令和元年6月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇21番(城内よしひこ君) 自由民主クラブの城内よしひこです。
今任期中最後の定例会に質問の機会をいただいたことに対し、先輩議員、同僚議員の皆様に感謝を申し上げ、当選以来10回目の登壇をさせていただきます。
まず、東日本大震災津波及び平成28年台風第10号災害からの復旧、復興について伺います。
東日本大震災津波発災から8年4カ月がたとうとしています。いまだ1、685人の方が応急仮設住宅で9回目の厳しい夏を迎えようとしています。また、平成28年8月に本県を直撃した台風第10号は、久慈市、岩泉町、宮古市を中心に県内各地に甚大な被害をもたらし、いまだに、その復旧、復興の途上にあります。
改めて、東日本大震災津波及び平成28年台風第10号災害で被害を受けられた方々に対し、お見舞いを申し上げます。
まず、東日本大震災津波について伺います。
災害発生からこれまでの間、他の自治体などからたくさんの応援の職員を初め、日本はもとより、世界の方々にたくさんの御支援をいただいたことは周知のところであります。
東日本大震災津波の国で定めた復興期間もあと1年9カ月で終了しようとしています。県では、安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生を三つの柱として復興を進めてきましたが、その進捗は地域により差が出ております。国からの手厚い財政支援のあるうちに、その復旧、復興が完了するかと案ずるものであります。
県は、復興期間を終え、新たな県民計画の中でその事業を引き継いでおりますが、県内被災市町村では、まだ計画途中の自治体もあります。
このような状況の中、令和2年度までの国の復興・創生期間内において、国の手厚い財政支援があるうちに、市町村の復旧、復興が進むよう支援を行うとともに、県として、市町村のおくれが生じそうな事業や復興・創生期間後も対応が必要な課題等を適時に把握していくべきと考えます。
その上で、国の復興・創生期間の終了後においても、市町村が復興に必要な事業を実施する場合は、最後まで事業を継続できるよう、財源の確保を初め、被災地の実態に応じた対応が必要と考えますが、県として、復興・創生期間終了後、市町村に対してどのような支援を行うのか、知事の考えを伺います。
次に、平成28年台風第10号災害について伺います。
台風第10号災害では、特に、久慈市、岩泉町、宮古市に大きな被害がありました。この地域は、大震災津波の被害もあり、その復旧、復興を進めている中で再度災害に見舞われました。その災害から間もなく3年となります。
そこで、復旧工事の進捗状況はどのようになっているのか伺います。
また、復旧工事は、発災年を含む3年以内に終わらせるのが原則とされており、昨年度末がその期限でした。市町村においては、現在も復旧工事を継続しており、必要な復旧工事を終了するためには国とも連携した支援が必要と考えますが、県としてどのような支援を行うのか、知事の考えを伺います。
次に、三陸防災復興プロジェクト2019について伺います。
復興のまちづくりに力強く取り組み、新しい三陸の創造に向かって歩みを進める地域の姿を発信し、復興の現状に対する関心を高め、東日本大震災津波の風化防止や国内外の防災力向上に資するとともに、当該催事を機に来訪した方に繰り返し訪れてもらえる三陸地域の形成を目指し、今月6月1日から8月7日までの計68日間開催されるプロジェクト事業であります。
目指す姿を実現するための五つのテーマとして、防災の啓発と伝承、復興の現状の発信と支援への感謝、つながり・関係の強化、地域力の強化、新たな交通ネットワークの活用と盛りだくさんであります。
いまだ多くの被災地は復興途中であり、通常の市町村ごとの祭りやイベントと相重なって、その実施は困難であると思われます。先日、沿岸広域振興局宮古庁舎において、東日本大震災津波復興特別委員会が宮古市、山田町、岩泉町、田野畑村の復興状況について調査を行いました。震災からの時間経過とともに、地域コミュニティーの形成の難しさやマンパワーの不足など新たな問題が生じているとのことでした。その中で、三陸防災復興プロジェクト2019について、現場の状況について伺うと、正直まだわからない、てんやわんやな状況という話が出ました。
そこで、プロジェクトの実施に当たって市町村との連携はどうなっているのか伺います。
また、市町村からは、せっかくの機会をいただいたプロジェクトの取り組みを、できれば今後も継続してほしいとの話も出ました。
そこで、今現在のプロジェクトの成果をどのように捉え、来年度以降、この成果を具体的にどのように生かしていこうと考えているのか伺います。
次に、ラグビーワールドカップ2019について伺います。
いよいよことし9月20日から開催されるラグビーワールドカップに向け準備をされてきた関係各位に敬意を表し、開催まで残り84日のこの時期に、最後の詰めの段階と思いつつも伺うものであります。
ラグビーワールドカップの開催に向け、議員連盟を立ち上げ誘致を進めるとともに、釜石市に誘致が決定した後は、大会開催に当たっての勉強会を開催し、また、平成28年度岩手県議会海外行政視察において、ラグビーワールドカップの前回の開催地であるイギリスに調査研究に行く機会をいただきました。
ラグビーは、イギリスを中心とした関係国を中心に発展してきたこと、熱烈な応援スタイルとその応援の移動距離の長さとオリンピックとの違いなどの説明があり、名誉を重んずるスポーツで、それにかかわる方々もプライドを持ってその運営をされているとのことでありました。それがゆえに、チケット販売も、ラグビーワールドカップリミテッドによる厳格な管理のもと販売されるなど、大会運営についても勉強してきました。日本にはない形での運営方法に驚きも覚え、我が国開催のイメージが浮かばない、そんな感じで調査をしてきたところであります。
開催間近の現在となりましたが、開催現場には必要な情報が不足しているとの情報もあり、無事開催ができるのか心配しております。特に、チケットの販売は好調とのことは新聞やニュースで知っていますが、一体誰がチケットを購入して、誰が岩手に来るのかわからない状況にあります。
また、宮古地域の宿泊関係者からは、旅行代理店から宿泊予約の仮押さえをキャンセルされたと伺いました。国内の観戦者のほか、世界中の方が大会を見るとはいうものの、今だからこそ、まだ手を打っておかなければならない課題もあるのではないかと心配をしています。泰山鳴動ネズミ一匹とならないよう願うものであります。
そこで、大会開催における観戦者の宿泊について、どのように考えているのか伺います。あわせて、観戦者の移動シミュレーションを含めた大会運営の準備状況はどうなっているのか伺います。
また、大会においては、海外から多くの観戦者が本県を訪れることが見込まれますが、試合を観戦するだけでなく、県内各地の観光地などを楽しんでもらえるよう、県としてどのような受け入れ態勢を整備しているのか伺います。
次に、本県のインバウンドについて伺います。
東日本大震災津波発災時には、特に東北では、外国からの訪問客が大きく減りました。
〔議長退席、副議長着席〕
もとより、東北の中でもインバウンドについては後進県だった我が県においては大きく取り上げられませんでしたが、花巻空港の国際空港化により、台北や上海との国際定期便などが就航し、国際化が力強く進み、また、世界のジャパンブーム、円安、安全な国であることなどの要素から、東北にも多くの外国人客が訪れています。
そこで、台北及び上海との国際定期便の利用状況について伺います。
また、昨年6月22日に本県初の定期フェリー航路が、宮古―北海道室蘭間で開設されました。そのことを受け、中国在札幌総領事、孫振勇氏が来県された際に、中国の方々にも北海道経由で岩手にフェリーを利用して来ていただくよう要請したところ、前向きに考えましょうと気さくに答えられました。
そこで、宮古―室蘭フェリーの利用状況はどのようになっているのか伺います。
昨年、議会代表の一員として、中国雲南事務所開設式典に参加させていただきました。中国の発展ぶりは、すごいの一言に尽きます。中でもスマートフォンの普及とキャッシュレス化には目をみはるものがありました。
我が県においても、インバウンドの誘客をさらに進めるためには、スマートフォンなどの利用によるキャッシュレス決済の一層の推進が必要と考えますが、県として、キャッシュレス決済の必要性についてどのように考え、具体的にどのような取り組みをしているのか伺います。
次に、本県水産業の振興について伺います。
東日本大震災津波発災から8年4カ月がたとうとしている今、被災地の水産業は、漁船、魚市場、養殖施設などのハード面の復旧がおおむね完了しつつある一方で、震災後は、秋サケ資源の減少に加え、海況変動に伴い、漁船漁業ではサンマ、スルメイカ、養殖ではワカメなどの生産量の減少が続いており、漁業者のみならず、水産加工業者の多くも厳しい経営を余儀なくされています。
近年、本県の主要な水産物の生産量が不安定な状況にあることから、これまで以上に養殖を盛んにすることで漁業生産の安定化を図る必要があると考えます。そこで伺います。本県の主要水産物の生産状況についてでありますが、特に秋サケ、サンマ、スルメイカの昨年の漁獲実績は、震災前に比べてどのような状況であったのか伺います。
次に、ワカメの生産量減少への対応について伺います。
本県のつくり育てる漁業を牽引する養殖ワカメの生産者数や養殖施設の台数は、震災を契機に大きく減少していることから、生産力の低下に早急に歯どめをかけ、増大に転ずるための取り組みが必要と考えます。
そこで、県として、ワカメ生産量の減少原因をどのように分析しているのか伺います。また、ワカメ養殖における生産力の低下に歯どめをかけ、増大に転ずるため、今後どのような取り組みをしていくのか伺います。
次に、サーモン養殖について伺います。
国内では、1980年以降、生食用サーモンに対する人気が高まっており、これまで、ノルウェーやチリなどからの輸入物が中心でしたが、近年は国内においてもサーモンの養殖が盛んであり、数多くの地域において御当地サーモンが生産、供給されている状況にあります。
現在、宮古市が宮古漁協などと連携してサーモン養殖を計画していますが、県として、このような新たな取り組みをどう捉えているのか伺います。また、県としてどのような支援を考えているのか、あわせて伺います。
次に、今後の水産基盤整備について伺います。
東日本大震災津波によって壊滅的な被害を受けた漁港は、防波堤や岸壁の復旧がおおむね完了しており、関係各位の御尽力に敬意を表する次第であります。しかしながら、地球温暖化の影響などによって、近年、台風や低気圧が大型化するとともに、本県沿岸へ頻繁に来襲するようになり、安心して漁船を係留できなくなっている漁港も見受けられますので、今後の津波対策とあわせて、より強固な漁港の整備が必要と考えます。
また、本県の主力魚種の不振が続く状況などから、今後、新規増殖、養殖などを漁港で行うことも検討していかなければならない時期に入っていると思われます。このような状況を踏まえ、本県では、平成31年3月に岩手県水産基盤整備方針を策定したと聞いています。
本県水産業の将来を見据え、今後、本県の水産基盤整備をどのように行っていくのか、具体的な取り組みについて伺います。
次に、介護人材の確保について伺います。
平成12年に創設された介護保険制度は、地方分権の先駆けとして、地方で特色ある事業ができるなどと言われ、鳴り物入りでスタートしたと記憶しています。当時は、この制度が日本の文化になじまないのではないかと心配する向きもありましたが、あっという間に定着し、その事業者もふえてきました。介護保険制度創設時には、その人材の育成も急務と多くの専門学校が開校いたしました。あれから19年が経過し、令和7年までは、介護サービスの利用は増加すると見込まれています。
一方、戦後ベビーブーム時代に生まれた子供の数に比べ激減した孫子の代が、その世代を支える役割にあります。これに加え、御承知のとおり、介護の現場は、その厳しい労働環境から人手不足が大きな問題となっております。外国からの介護人材の導入も始まっています。
また、近年、介護事業所の廃止もふえています。平成29年度に107事業所、平成30年度に152事業所の廃止がありました。経営法人の変更などを加味しますと、実質的な事業所廃止は、平成29年度に74事業所、平成30年度には69事業所となっており、居宅介護支援事業所、訪問介護事業所、通所介護事業所などが多くなっています。その廃止の主な理由として人材不足を挙げる事業所もあると聞いています。
我が県は四国4県とほぼ同じ面積を有することから、多くの介護人材が必要でありますが、介護人材の確保についてどのようになっているのか伺います。
次に、県立高校の再編について伺います。
人口減少は大きな社会問題として注目されています。これまで我が国において経験したことのない大きな問題も見え隠れしています。一時期は、1人の孫が生まれると、両親の父母からたくさんのお小遣いがもらえたなどと報道されたことも記憶にありますが、今は、1人の孫が、両親の親である祖父母の面倒を見なくてはならないなどの不安材料は、挙げれば切りがありません。
その実態を裏づけるかのように、県内の小中学校の統廃合は急ピッチで進んでいます。生まれる子供の数は、まずは学校の存続に影響を与え、地域を疲弊させます。昭和31年には小学校が781校、昭和32年に中学校が394校ありましたが、平成31年4月現在は、小学校が310校、中学校が158校と激減しています。地域から子供の声が消え、一抹の寂しさを感じるのは私だけではないと感じます。
孟母三遷という中国の言葉がありますが、現代もこれに似た話があります。私の選挙区内の話でありますが、子供の進級、進学とともに都市部へ家族ごと引っ越しをする家庭があります。
東日本大震災津波を機に、県立高校の再編計画も一時凍結されましたが、いよいよ再編に向けて動き出しています。子供の数が少ないのだから仕方ありませんが、子供の将来と地方への定着とは相反する問題であります。今後、地方で暮らす若者をその地方に定着させる上でも、子育て支援の延長線上に位置づけてその全体像を見るべきと考えます。
現在でも内陸部と沿岸部の高校の数はおよそ8対2でありますが、沿岸部の人口減は加速しています。沿岸部の県立高校においても、将来、地域を支える人材を育成するため、専門高校のあり方を新たな視点で考えていく必要があるのではないでしょうか。
昨年、商工文教委員会で秋田県立の専門高校を調査しました。秋田県においては専門高校の1学科の定員を35人としていることから、本県においても、これまでの固定的概念にとらわれず大胆な考え方を持つことも必要と考えます。
教育長として、これまでの県立高校の再編方針をそのまま踏襲するのか、また、現状を踏まえ、地域の将来のあるべき姿を考慮しながら、県立の専門高校に少人数学級を導入するなどのアクションを起こされるのか、県立高校再編にどのように対応していく考えなのか伺います。
また、高齢化が進む我が県においては、県の介護分野を支える人材の育成も喫緊の課題であり、保健福祉部と教育委員会との情報の共有と連携した介護人材の確保の取り組みも必要ではないかと考えます。
地域の介護人材の確保も考慮しながら県立高校の再編を進める必要があると考えますが、県立高校における介護人材の育成についてどのように考えているのか伺います。
次に、交通対策について伺います。
東日本大震災津波発災後、急ピッチで復興道路、復興支援道路、復興関連道路が随時、開通、供用開始されています。また、復興まちづくりの中で新たな道路ができ、震災前と比較して地図にない道路がたくさんできています。地元に住んでいても、しばらく見ない間に、目的地まで不安を感じながら運転をする経験を持つのは、私だけではないと考えます。震災前のように狭い路地はなくなり、きれいな町並みとゆったりとした道路ができてきました。一方で、旧来からの手つかずの道路も混在するなどして、新たな道路の案内板や標識など十分な状況にあるとは言えません。
この6月22日に三陸沿岸自動車道路釜石北インターチェンジと大槌インターチェンジ間がいよいよ開通となり、宮古市以南について、県内の三陸沿岸自動車道路は全線開通となり、あわせて東北横断自動車道釜石秋田線とつながり利便性は一気に向上します。これまで沿岸部にはなかった自動車専用道路が供用開始され、古い地図やカーナビにはない道路がふえています。利用になれていない方も多く利用していると思われます。
そこで、新たな道路における標識や信号機などの設置状況について伺います。
また、近年、高齢運転者の関係する重大な事故が多発しています。高齢者が運転する自動車が歩行者をはね、たくさんの死傷者が出たとの報道を目にし、心を痛めています。
県警察では運転免許返納の取り組みも強化していることは承知していますが、広大な県土において、公共交通の行き届かないエリアにお住まいの方に言わせると、生活の足としての車の必要性を考慮せざるを得ません。このような状況の中、高齢運転者が大事故を起こさないような対策が必要と考えます。
そこで、高齢運転者の事故防止対策と運転免許返納の状況について伺います。
最後に、知事の政治姿勢について伺います。
6月16日夕方に、知事は、突然、記者会見を開き、今般の岩手県知事選挙に4選目の出馬を表明されました。
知事は、初めて知事選に挑戦されるとき、多選はよくないとの旨を話され、おおむね2期をめどにと言われ出馬されたと記憶しております。その後、1期目後半には東日本大震災津波を経験し、岩手の復興を目指すとし、多選を否定して2期目の県政に挑まれたと記憶しています。
この間、東日本大震災津波という未曾有の被害を受けた我が岩手県としては、復興を最優先にその事業を進めてきたことは言うまでもありません。復興に際しては、国内外から多くの物的支援、人的支援など多大な支援のもとに復興が進んできたことは、周知のところであります。
知事2期目においては、3度にわたる決算の不認定という歴史にも残る不名誉な記録もつくりました。そのような時の流れにあって、知事の暗い顔を明るくしたのは、あまちゃんのドラマが、岩手の被災地をロケ地として放映されたことです。ドラマ終了後、知事は、あまロスという言葉を何度も発信し、ドラマの終了を惜しんだと記憶しています。
また、復旧、復興を進める上で、県民党的立場で、オール県民党として知事選の3選を早くから表明し、平成28年には、復旧のさなか、東日本大震災津波からの復興のかけ橋となる被災地での希望郷いわて国体、いわて大会を感動のもとに終えることができたことは、記憶に新しいところであります。
以来、日本中が好景気の中、アジア圏との交流の強化を図るなど、知事本来の力を発揮すべく、台北、上海と花巻空港の定期便化による岩手の国際化に力を入れていると一定の評価はするものでありますが、東日本大震災津波からの復興道半ばの県民計画のあり方などは、苦言を呈するところがあります。このままでは、ますます沿岸と内陸の格差が拡大すると危惧するところであります。被災地に思いを寄せる姿勢を期待するものであります。
そこで、知事に伺います。知事は、4選を目指す上で、将来に向けた岩手の課題であるILCの誘致など、多くの国民、県民の御理解が必要な案件を抱える中、なぜ特定の団体に推薦を要請し選挙に向かおうとするのか、その思うところを伺うものであります。
いつ、何が起こるかわからないこの世の中でありますが、知事の過去の経緯を考えますと、将来、これ以上の多選はないものと信じますが、知事から、その真意を確認し、壇上からの質問を終えます。
なお、答弁によっては再質問を行います。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 城内よしひこ議員の御質問にお答え申し上げます。
東日本大震災津波からの復旧、復興についてでありますが、県では、昨年度までの8年間を計画期間とする岩手県東日本大震災津波復興計画に基づき、被災市町村と一体となって、被災者一人一人の復興を見守り、寄り添った支援を行いながら、一日も早い復興を目指して取り組んできたところであります。
また、国の復興・創生期間が令和2年度までとされている中、被災市町村に対して適時ヒアリング等を実施することで、おくれが生じそうな復興事業の進捗状況を含めた課題や、被災者の複雑化、多様化する問題に応じた被災者の見守りや心のケア、コミュニティー形成など、復興・創生期間を超えて中長期的に取り組むべき課題の把握に努めているところであります。
一方、国においては、復興・創生期間後における対応について年内に方向性を示すとしていますことから、県としては、復興を支える仕組みや復興庁の後継組織のあり方等について、被災市町村の実態等を十分に踏まえて検討を進めていただくよう、国に提言、要望しているところであります。
さらに、いわて県民計画(2019〜2028)においても、復興を県政の最重要課題として位置づけ、個人の尊厳を基本価値として、誰ひとりとして取り残さないという理念のもと、被災者一人一人の復興がなし遂げられるよう、必要な取り組みは最後まで実施していくこととしており、こうした考え方に基づいて、引き続き被災市町村の財政状況や職員体制等を注視しながら必要な支援を行ってまいります。
次に、平成28年台風第10号災害からの復旧に係る市町への支援についてでありますが、河川や道路、林道、農地等の災害復旧事業は、原則として発災年を含む3カ年度内に完了できるよう国から財政措置がされるところでありますが、平成28年台風第10号による被害はかつてないほど広域かつ甚大で、地形的な制約もありますことから、特に山間部の被害箇所の工事については市町においても大変苦労しているところであります。
県におきましては、これまで国に対し本県の実情を説明し、事業期間の延長などを要望してきた結果、予算の繰越制度の柔軟な取り扱いなどが可能となりましたことから、現在、令和2年度までの完成を目指して、被災市町と一体となって取り組んでおります。
平成28年台風第10号災害からの復旧、復興は、東日本大震災津波からの復興と同様に最後までやり遂げる必要があるものであり、県としては、市町の災害復旧工事の進捗状況を注視していくとともに、令和2年度までに完了しない可能性が生じた場合には、市町の意見も聞きながら、県による必要な支援も検討してまいります。
次に、私の政治姿勢についてでありますが、任期満了に伴う令和元年岩手県知事選挙への立候補に当たりましては、県民の政治、経済、社会など、各活動にかかわる団体に広く推薦を求めるべく手続を進めているところでありますが、私以外の候補者を擁立すると公にしている団体には推薦を求めない考えであります。
知事の任期については、1期4年ごとに民意の負託を受けるものであり、それぞれの知事選挙において誰が立候補し、誰が当選するかはそのときの民意に基づいて決まるものと考えます。
その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔県土整備部長八重樫弘明君登壇〕
〇県土整備部長(八重樫弘明君) まず、平成28年台風第10号災害の復旧工事の進捗状況についてでありますが、令和元年5月末時点での河川や道路、林道、農地等の災害復旧工事の進捗状況は、県工事では、607カ所のうち420カ所が完成し、完成率は69.2%、市町村工事では、1、942カ所のうち1、534カ所が完成し、完成率は79.0%となっており、県と市町村合わせて1、954カ所が完成し、完成率は76.7%となっています。
先ほど知事から答弁がありましたとおり、平成28年台風第10号に係る災害復旧工事は東日本大震災津波からの復興と同様に最後までやり遂げる必要があるものであり、一日も早い工事の完成に向けてしっかりと取り組んでまいります。
次に、宮古―室蘭フェリーの利用状況についてでありますが、昨年6月22日の航路開設から本年5月末までの間に運航された557便の実績では、宮古発が旅客1万5、597人、トラック1、729台、乗用車2、800台でございまして、宮古着が旅客1万6、676人、トラック1、645台、乗用車4、021台という利用状況であります。これを1便当たりの平均利用数でいいますと、宮古発で旅客が約38人、トラックが約6台、乗用車が約10台、宮古着では、旅客が約60人、トラックが約6台、乗用車が約14台となっております。
県としましては、特にトラックの利用拡大が課題であり、そのためには、宮古―室蘭フェリーの一層の知名度向上や、整備が進む三陸沿岸道路の物流効果などを物流事業者に実感してもらう取り組みが重要であると認識しています。このため、本年度においては、岩手県内から関東、東海にかけて運行する自動車関連物流企業の大型トラック2台に宮古―室蘭フェリー航路のPRラッピングを施すことや、フェリーを利用するトラックを対象に意見を広く収集する物流効果等実証事業を昨年度に続きまして実施するなど、トラックの利用促進に向けた取り組みを宮古市など関係機関と連携して行っているところです。
このような取り組みとあわせて、三陸沿岸道路等の開通による宮古港へのアクセス性の向上などを積極的にPRしながら、宮古―室蘭フェリーがしっかりと定着していくように取り組んでまいります。
〔政策地域部長白水伸英君登壇〕
〇政策地域部長(白水伸英君) まず、三陸防災復興プロジェクト2019の実施における市町村との連携についてでありますが、本プロジェクトは、東日本大震災津波からの復興の大きな原動力となっているさまざまなつながりを最大限生かし、また、県、市町村、関係団体が一丸となって事業を進めていくため、オール岩手の実行委員会体制で取り組んでいるところでございます。
市町村とは、実行委員会の場のみならず、市町村連携会議を初め、個別事業の調整の場を通じて連携を図っております。また、具体の事業の実施に当たりましては、いまだ復興途上にある市町村の状況に配慮いたしますとともに、市町村の意向も踏まえながら、連携した取り組みを進めてきたところでございます。
具体的には、本プロジェクトと連動した各市町村の取り組みといたしまして、住田町では、木造の応急仮設住宅を再現した展示、宮古市では、防災復興特別展示の実施、釜石市では、釜石市、大船渡市、気仙沼市の有志と連携し、オープニングセレモニーに合わせて会場の外で食のイベントを開催するなど、多くの市町村で、会期に合わせて復興状況の発信や、食、観光資源等を活用した交流人口の拡大に向けた取り組みが行われているところでございます。
県では、このような市町村の取り組みに対しまして、地域経営推進費などでの支援、広報協力を行うなど、三陸地域の多様な魅力の発信と、認知度向上につながるよう連携を図っているところでございます。
三陸防災復興プロジェクト2019の実施に当たりましては、引き続き、市町村の意向もしっかりと伺いながら、市町村と連携し、取り組んでまいります。
次に、三陸防災復興プロジェクト2019の成果の活用についてでありますが、6月1日の開幕以降、本プロジェクトにつきましては、マスコミ各社で連日のように報道がされているほか、参加者の声を御紹介いたしますと、防災について考える機会として意義がある、復興の現状を知る機会となった、三陸を応援したい気持ちになったという声や、沿岸の住民の皆様からも、震災を経験した者にしか伝えられないことを発信するよい機会である、この機会に復興の今を全国に発信したいなどの評価の声もいただいております。復興に力強く取り組む地域の姿や三陸地域の魅力を伝えていくことに一定の手応えを感じているところでございます。
本プロジェクトの成果につきましては、今後、実施いたします事業の成果に対する分析、検証も踏まえながら、いわて県民計画(2019〜2028)に掲げました三陸防災復興ゾーンプロジェクトの中で推進することとしております持続的な三陸地域の振興に向けた取り組みにもしっかりとつなげていきたいと考えております。
次に、国際定期便の利用状況についてでございますが、本県初の国際定期便として昨年8月に就航いたしました台北便の昨年度の利用者数でございますが、1万8、000人余り、利用率は約72%となっております。また、中国と本県を結ぶ重要な路線として本年1月に就航いたしました上海便の昨年度の利用者数は3、000人余り、利用率は約54%となっているところでございます。台北便は、定期チャーター便の実績を積み重ねた上での就航で、定期便就航後も安定的に推移しているところでございます。一方、上海便は、本年1月末に就航したばかりでもありますので、引き続きその利用状況については注視してまいります。
今後とも、国際定期便の持続的、安定的な運航のため、路線の認知度向上を図るなど、利用促進にしっかりと取り組んでまいります。
〔文化スポーツ部長菊池哲君登壇〕
〇文化スポーツ部長(菊池哲君) ラグビーワールドカップ2019釜石開催の準備状況についてでありますが、釜石開催実行委員会では、来場動向シミュレーションを行い、2試合合計で1万1、400人の観客が県外及び海外から来場されると予測するとともに、そのほかにも、大会関係者やボランティア等、本県来訪者が広く県内各地域の宿泊施設に宿泊することが見込まれることから、スタジアムまで直行するライナーバスの運行拠点を、内陸ではいわて花巻空港のほか、盛岡駅、新花巻駅、北上駅、水沢江刺駅、一ノ関駅の6カ所に、沿岸では宮古駅と盛駅の2カ所に設定し、周辺の宿泊施設と連携した誘客活動を促進しているところでありまして、旅行会社ではチケットつき宿泊ツアー商品を造成しているところでもあります。また、日本語及び英語の2カ国語に対応した、本県来訪者向けホームページ、いわて・かまいしラグビー情報や、県内の観光物産情報を掲載したガイドブックにより、観光、宿泊情報の発信も進めているところでございます。
こうした中、3月のホームページ開設以来、県内宿泊施設への問い合わせがふえてきているほか、先日からライナーバス等の予約受け付けを始めたところでございまして、今後、こうした具体的な交通手段の予約確保と呼応し、宿泊施設への予約が本格化していくと期待しているところでございます。
なお、議員御指摘の宮古地域の宿泊施設の件についてでございますが、隣県からの大会ボランティアスタッフの団体予約が、御都合により宿泊先を沿岸の南のほうに変更されたためと聞いております。
交通輸送・宿泊専門部会を通じ、旅行会社等に対しましては、県内宿泊施設が困ることがないよう協力要請していくこととしております。
次に、大会運営の準備状況についてですが、JR東日本や三陸鉄道による鉄道の増便等を見込んでの必要なバス車両台数や駐車場等は確保済みとなっております。また、釜石市等と連携し、災害やテロ等への危機管理体制を構築しておりまして、今後におきましても、組織委員会や関係機関と連携しながら、大会運営に向け万全の態勢整備を進めてまいります。
〔商工労働観光部長戸舘弘幸君登壇〕
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) まず、海外からのラグビーワールドカップ観戦者の受け入れ態勢についてでありますが、県では、ラグビーワールドカップ2019を契機とした海外からの誘客と周遊を促進するため、釜石での試合国及び訪日観戦客が多数見込まれる国からメディア等を招請し、現地の雑誌やSNS上において本県の観光情報を発信しており、今年度も開催直前までに同様の取り組みを実施いたします。
観戦者に対しましては、釜石開催実行委員会が作成する2カ国語ガイドブックに観光物産情報を掲載し、提供いたしますほか、試合当日及びその前後に、観戦者やメディア等に観光やイベントなどの情報提供を行うためのブースを釜石市内に設置することで調整を進めております。
各観光地への移動につきましては、外国人個人旅行者向けのイワテエリアパスやJR EAST PASSなどが利用できますほか、JR東日本とトヨタ自動車が連携し、レンタカー割引を外国人にも拡大する予定になっております。
さらに、宿泊施設や飲食店等の受け入れ環境につきましては、外国人観光客等受入促進環境整備事業によりまして、平成27年度から平成30年度までに無料公衆無線LAN76件、ホームページや看板等の多言語表示60件、トイレの洋式化41件など、延べ181件の整備を支援してきたところであります。今年度は、大会開催前までの整備を加速するため、受け入れ環境の診断と、診断に基づく整備をパッケージで支援しておりまして、20件程度の整備を見込んでおります。
今後とも、9月の大会本番に向けまして、海外からの観戦者等を含めた外国人観光客の受け入れ態勢の整備に万全を期してまいります。
次に、キャッシュレス決済についてでありますが、一般社団法人キャッシュレス推進協議会によりますと、国別のキャッシュレス決済比率は、2016年時点で、日本は20%にとどまっているのに対しまして、海外では、韓国は96%、イギリスは69%、中国は66%、オーストラリアは59%、アメリカは46%、フランスは40%となっておりまして、特に中国では、近年、QRコードによるキャッシュレス決済が大きく伸びています。
キャッシュレス決済につきましては、インバウンドを含む利用客の利便性の向上や、事業者のレジ締め時間の短縮等による生産性向上、消費税率引き上げに伴い実施される予定のポイント還元事業への対応など多くのメリットが期待できますことから、県といたしましてもその普及拡大を図っていく必要があると認識しております。
県は、今年度、全国で4県が実証地域に選定されました総務省の統一QR「JPQR」普及事業に取り組んでいるところでありまして、参加事業者は、国内のQRコード決済事業者7社と一括契約を結ぶことができ、本年8月から6カ月間の実証期間中は、低廉な手数料率が適用されるメリットがございます。また、オプションといたしまして、中国で広く普及している二つのQRコードが利用できますことから、中国人観光客への対応も進むものと考えています。
県では、国や商工指導団体等と連携いたしまして、6月から7月にかけて県内各地で本事業の事業者向け説明会を開催しているところでありまして、キャッシュレス決済の導入が進むよう取り組んでまいります。
〔農林水産部長上田幹也君登壇〕
〇農林水産部長(上田幹也君) まず、主要水産物の生産状況についてでありますが、平成30年度の秋サケ漁獲実績は、漁獲量1万269トンで震災前比41%、漁獲金額は、約56億円で震災前比68%となっております。平成30年のサンマ漁獲実績は、漁獲量2万3、629トンで震災前比45%、漁獲金額は、約40億円で震災前比106%となっております。また、スルメイカの漁獲実績は、漁獲量2、833トンで震災前比15%、漁獲金額は、約14億円で震災前比42%となっております。
次に、ワカメ生産量の減少への対応についてでありますが、ワカメ生産量の減少は、中長期的に見ますと、震災後の生産者の廃業等に伴いまして養殖施設数が減少したことが主な要因であり、現時点におきましても震災前の生産量まで回復していない状況が続いております。
生産量を回復するためには、経営体の生産力を高めることが重要であり、このため、県では、意欲ある生産者の規模拡大や漁協における自営養殖を推進するほか、本年4月に開講いたしましたいわて水産アカデミーにおいて、地域漁業をリードする人材育成などに取り組んでいるところであります。
また、本年3月から5月までの漁期は、前年同期に比較して生産量が大きく減少したところでございます。これは、育成期間の11月の生育水温が例年よりも高く、種苗が芽落ちしたことが大きく影響したものと考えられます。
県では、育成初期の芽落ち対策として、漁場の栄養塩や水温などの状況に基づく生産管理を徹底するほか、水産技術センターが開発いたしました水温変化に強い大型の人工種苗の導入を積極的に進めることとしております。
次に、サーモン養殖についてでありますが、宮古市は、地域水産物の安定供給を図るため、今年度、海面養殖調査事業を創設し、宮古漁協と連携して、本年11月を目途に宮古湾内でサケ、マス海面養殖試験を開始する予定と聞いております。この取り組みは、主要魚種の漁獲量が震災前の水準まで回復していない中で、いわゆるサーモン類への国内需要の高まりを見据え、地域における新たな養殖の可能性を見出そうとする意欲的な試みであり、県としても大いに注目しているところであります。
県では、収益性の高いサケ、マス海面養殖を推進するため、今年度、新しい増養殖モデル創出事業を創設いたしまして、養殖に適した成長の速い種苗の開発やICTを活用した生産管理技術の調査研究を進めており、これらの成果を積極的に提供するなど、宮古市を初め、地域の新たな養殖の展開に向けた取り組みを力強く支援してまいります。
次に、今後の水産基盤整備についてでありますが、近年の超大型台風等による異常な高波の発生や、新たな増養殖生産への期待の高まり、また、漁業者の高齢化の進行など、水産業を取り巻く環境の変化に的確に対応し、必要な水産基盤の整備を進めることが重要であると認識しております。
県では、このような観点に立ち、新たに小堀内漁港などにおいて防波堤のかさ上げ等に着手するほか、重茂漁港においては、岸壁等の整備とあわせて、漁港内の静穏水域を活用したアワビ、ウニ増殖場の整備にも取り組んでいるところであります。
今後とも、漁業関係団体や関係市町と連携しながら、本年3月に策定した岩手県水産基盤整備方針に基づきまして、漁港の防災、減災機能の強化に向けた防波堤等の整備、生産力の向上に向けた漁場の整備、さらに漁業生産の効率化、就労環境の改善に向けた浮き桟橋等の整備など、地域の実情に応じ、水産業の振興に向け、水産基盤の整備を計画的に推進してまいります。
〔保健福祉部長野原勝君登壇〕
〇保健福祉部長(野原勝君) 介護人材の確保についてでありますが、本年4月の県内の有効求人倍率は、全産業の1.43倍に対して介護職では2.31倍となっております。また、平成30年度に廃止届を提出した事業所の約4分の1が人材不足を理由としているほか、公益財団法人介護労働安定センターの平成29年度介護労働実態調査において、県内の約7割の事業所が職員の不足感があると回答しているなど、介護人材の不足が顕著な状況にあり、人材確保対策が重要な課題となっております。
このため、県では、参入の促進、労働環境、処遇の改善、及び専門性の向上の三つの視点から、介護の仕事のイメージアップやキャリア支援員による求人、求職のマッチング支援、介護の仕事の魅力をまとめたフリーペーパーを県内全ての中学2年生へ配布、労働環境の整備、改善を促進するセミナーの開催や介護ロボットの導入促進、市町村や関係団体との連携による介護職員等を対象とした研修の実施などの人材確保対策を総合的に進めてきたところであります。
今年度においては、これらの取り組みに加え、介護職員の早期の離職防止、定着促進を図るため、介護職員等合同入職式を事業者団体と連携して開催したほか、外国人介護人材に関する理解促進を図るセミナーを開催することとしており、こうした取り組みにより、新卒者のみならず、元気な高齢者や外国人の方々など多様な人材の参入を促すとともに、就職した方々の職場への定着を図ることで、引き続き、必要とされる介護人材の確保に努めてまいります。
〔教育長佐藤博君登壇〕
〇教育長(佐藤博君) まず、沿岸部の専門高校のあり方についてでありますが、沿岸部では、2校の総合的な専門高校と工業、水産、商業の各専門高校等において専門教育が行われており、地域との連携を深めながら地域産業を支える人材を育成していくことは大変重要なことと認識しております。
専門高校への少人数学級の導入については、他県では専門学科を中心として導入されている例もあり、実習における技術習得や安全確保等に向けたきめ細かな指導により、教育内容の充実が図られるなどの効果があるものと承知しております。
本県での導入には、教員配置に係る制度上の課題もあることから、国への教員定数改善の要望を行いつつ、今後さらに研究していきたいと考えております。
県教育委員会では、新たな県立高等学校再編計画後期計画の策定に向けた地域検討会議において専門高校のあり方についてもさまざまな御意見をいただいており、地域の産業構造、人材ニーズ、産業振興の方向性等を踏まえながら、今後も地域の声を丁寧にお聞きし、多面的に検討を進めていく考えです。
次に、介護人材の育成についてでありますが、現在、県立高校では、一戸高校、久慈東高校及び一関第二高校の3校において、介護、福祉に関する系列を設け、介護に関する基礎的な資質、能力の育成を図っており、高校卒業後、一定の実務経験を経て、介護福祉士国家試験の受験資格を得ることができるものとなっております。
また、紫波総合高校ほか3校では、系列やコース等を設けて介護職員初任者研修課程を実施しているところです。
介護人材の育成に当たっては福祉分野との連携が重要であり、これまでも、県内各地の高校で介護、福祉について学ぶ生徒は、地元の福祉施設での介護実習やインターンシップを通して、介護、福祉に対する理解を深める取り組みも行っています。
後期計画の策定に向けた地域検討会議においては、介護人材を初め、地域を支える産業人材の育成について期待する意見が多く出されており、後期計画策定上の大きな視点の一つと捉えております。このため、地域の意見等を丁寧に伺いながら、広く検討を進めていく考えです。
〔警察本部長島村英君登壇〕
〇警察本部長(島村英君) まず、標識、信号機などの設置状況についてでありますが、東日本大震災津波発災後、沿岸地域では、自動車専用道路を初め新たな道路が整備され、道路利用者を取り巻く環境が大きく変化しております。
このような中で、道路における危険を防止し交通の安全と円滑を図るため、供用が開始された道路につきましては、必要とされる信号機、道路標識等を設置してきたところであります。
県警察といたしましては、今後供用が予定される道路につきましても、道路管理者と連携の上、信号機を初めとする交通安全施設の整備について、地域の皆様からの御意見や御要望も踏まえつつ、効果的な交通安全施設の整備に努めてまいります。
次に、高齢者の事故防止対策についてでありますが、近年、65歳以上の高齢者が第一当事者となる交通事故の割合が増加しておりますことから、自動車教習所と連携した実技指導、動画を見ながら危険を予測するトレーニング機材やドライブレコーダーを活用した安全指導など体験型の安全教育を推進しているほか、高齢者が集まる会場における安全運転サポート車の試乗体験など、高齢者の事故防止に努めております。
次に、高齢運転者の運転免許自主返納の状況についてでありますが、自主返納受理件数は年々増加しており、平成30年中は3、752件、前年比162件の増加となっております。
また、昨年10月1日から開始した交番、駐在所における自主返納受理件数につきましては、本年5月末で、高齢者については182件となっております。
〇21番(城内よしひこ君) それぞれの答弁大変ありがとうございました。1点だけ、ちょっとお伺いしたいと思います。
登壇して質問した際にもお伺いしたのですけれども、三陸防災復興プロジェクト2019は、沿岸部にとっては東日本大震災津波からの復興のまだ道半ばでありまして、大変お忙しい中での事業であるというのは先ほど述べましたが、いろいろな事業が収束に来ております。
そういった中で経済的にも少し疲弊しているのかとも感じつつある中で、先ほども御紹介したのですが、プロジェクトを継続してほしいという声があります。まだ、このプロジェクトは始まったばかりで途中なのですけれども、そういった考えを持っていないのか、やるべきだとは思うのですが、その辺は、一過性のもので終わろうとしているのかお伺いしたいと思います。
〇政策地域部長(白水伸英君) 三陸防災復興プロジェクト2019につきましては、いわて県民計画(2019〜2028)の三陸防災復興ゾーンプロジェクトの中で考え方を書いておる部分がございます。東日本大震災津波の記憶と教訓を伝え、三陸の多様な魅力を発信する三陸防災復興プロジェクト2019の目指す姿や取り組みを継承し、持続的な三陸地域の振興につなげていくことが必要であるということでまとめておりますので、何らかの形で承継していくという大きな方針ではあるのですけれども、ただ、これまで議会でもさまざまな御意見もいただいておりますし、あるいは、沿岸市町村の皆様からの御意見もいただいております。その事業の成果、効果等について、しっかり検証、分析をした上で、具体的な詳細については検討してまいりたいと考えております。
〇21番(城内よしひこ君) 期待感があって多分そういう話が出たのだと思っています。ことしはラグビーワールドカップもありますし、沿岸部にたくさんの方が訪れる機会はあると思っていますが、これが一過性のものにならないように、今後、来年度以降は、東北六魂祭のような形で、少し地域を絞りながらも、沿岸被災地で目玉になるようなイベントも必要ではないかと感じています。ぜひ、そういったことも加味しながら持続的に考えてほしいと思います。
終わります。
〇副議長(五日市王君) この際、暫時休憩いたします。
午後2時13分 休 憩
出席議員(45名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 千 葉 絢 子 君
3  番 ハクセル美穂子 君
4  番 菅野 ひろのり 君
5  番 柳 村   一 君
6  番 阿 部 盛 重 君
7  番 佐 藤 ケイ子 君
8  番 佐々木 宣 和 君
9  番 臼 澤   勉 君
10  番 川 村 伸 浩 君
11  番 田 村 勝 則 君
12  番 工 藤   誠 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 吉 田 敬 子 君
15  番 佐々木   努 君
16  番 千 葉   進 君
17  番 佐々木 朋 和 君
18  番 名須川   晋 君
19  番 軽 石 義 則 君
20  番 神 崎 浩 之 君
21  番 城内 よしひこ 君
22  番 佐々木 茂 光 君
23  番 高 橋 孝 眞 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 工 藤 勝 博 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 高 橋   元 君
32  番 関 根 敏 伸 君
33  番 岩 崎 友 一 君
34  番 中 平   均 君
35  番 五日市   王 君
38  番 斉 藤   信 君
39  番 小野寺   好 君
40  番 飯 澤   匡 君
41  番 佐々木 順 一 君
42  番 田 村   誠 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 工 藤 勝 子 君
45  番 柳 村 岩 見 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 大 輔 君
48  番 樋 下 正 信 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時33分再開
〇副議長(五日市王君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第1、一般質問を継続いたします。吉田敬子さん。
〔14番吉田敬子君登壇〕(拍手)

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