令和元年6月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇48番(樋下正信君) 無所属の樋下正信でございます。
一般質問の機会をいただいたことに感謝を申し上げ、通告に従い順次質問をさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
まず、ILCの誘致についてお伺いいたします。
ILCの計画については、去る3月に、文部科学省がILCの学術的意義や技術的研究の推進、立地地域への効果の可能性等に鑑み、ILC計画に関心を持って国際的な意見交換を継続するなどとする政府の見解を示しました。国として誘致の意思表示には至りませんでしたが、計画について真剣に検討する姿勢が対外的にも示されたと思います。
いずれ、ILCは岩手の将来を大きく左右する巨大プロジェクトであり、何としても実現できるよう官民挙げて取り組んでいるところですが、現時点での誘致の感触はいかがでしょうか、知事にお伺いいたします。
次に、県の財政運営についてお伺いいたします。
県の借り入れである県債の残高は、臨時財政対策債を含めると、平成22年度末の1兆4、611億円をピークに年々減少しており、今年度末には1兆2、556億円まで減る見込みとなっています。
〔副議長退席、議長着席〕
本県は実質公債費比率が18%を超えて起債許可団体となり、平成25年度から公債費負担適正化計画を策定して県債残高の圧縮に取り組んできたところであり、一定の成果を上げているものと思います。
一方で、昨年度公表された2022年度までの岩手県中期財政見通しによれば、高齢化等に伴い社会保障関係費が増加する見込みであり、県は厳しい財政状況が見込まれる中で新しいいわて県民計画を推進していかなければなりません。県財政を圧迫する県債残高の減少に向けて県はどのように取り組んでいくのか、今後の見通しとあわせてお伺いいたします。
健全な財政運営を図っていくためには、県債残高や公債費の負担を減らす一方で、歳入の確保、特に県税収入を上げていくことが重要であります。県の中期財政見通しでは、県税徴収の強化など、あらゆる手法により歳入確保に努めるとあります。県では、県税の滞納を減らす方法の一つとして、これまでも口座振替払いやクレジットカード払いなども導入しているところですが、我が国でもキャッシュレス化の流れが進んでいる中で、ぜひ県税についても時代にマッチした収納方法を検討していただきたいと思います。
そこで、県税収入のうち、口座振替やクレジットカードによる納付がどのくらいあるのか、新たな収納方法を導入するなどの考えはないかお伺いいたします。また、県税収入の確保に向けてどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
この後の質問は質問席から行いますので、よろしくお願い申し上げます。
〔48番樋下正信君質問席に移動〕
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 樋下正信議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、ILCの誘致についてでありますが、去る3月7日の政府による初めての関心表明を受け、現在、ILC実現に向けて、国内及び国外において、政府、研究者それぞれの立場で議論が進んでいます。
具体的には、国内においては、日本学術会議により来年2月のマスタープラン策定に向けた審査が開始され、海外との関係においては、日米欧の研究者による国際ワーキンググループで国際分担等の議論が行われるとともに、政府間では、米国に続いてフランス、ドイツとのディスカッショングループが設置される見込みと聞いているところであります。
県といたしましては、このような動向を踏まえ、政府が決断すると考えており、国内外の議論が促進されるよう超党派国会議員連盟等の関係団体と連携を密にしながら、ILC実現に向けて引き続き全力で取り組んでまいります。
次に、県債残高の減少に向けた取り組み等についてでありますが、平成25年度に公債費負担適正化計画を策定後、事業の効率化、重点化に配慮しながら新規の県債発行を抑制してまいりましたほか、震災特例として創設された補償金免除繰上償還制度を活用して11億円を繰り上げ償還するなど、利息負担の軽減と県債残高の圧縮を図ってきたところであります。これらの取り組みにより、県債残高はピーク時の平成22年度末から2、000億円以上減少し、実質公債費比率は当初の計画を2年前倒しして、平成30年度決算において18.0%を下回り、その後も着実に低下していく見通しとなったものであります。
県債には、住民負担の世代間公平のための調整という機能もありますことから、引き続き、発行規模に留意しながら必要な県債を活用し、財政の健全化といわて県民計画(2019〜2028)の着実な推進の両立を図ってまいります。
その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔総務部長八重樫幸治君登壇〕
〇総務部長(八重樫幸治君) まず、県税の収納方法についてでありますが、県では、多様な収納方法を確保する観点から、インターネットバンキングを利用した電子収納を自動車税などの4税目において実施しているほか、口座振替を個人事業税と自動車税で実施しています。また、自動車税においては、コンビニエンスストアでの支払いによる収納のほか、昨年度からインターネットを利用したクレジットカード決済を開始したところであります。
平成30年度における収納方法ごとの利用率は、口座振替では個人事業税で約18.1%、自動車税で約4.7%、また、自動車税においては、インターネットバンキングで約0.6%、コンビニエンスストアで約40.1%、クレジットカードで約1.5%となっています。
このような収納方法については、主に課税件数の多い自動車税を対象として提供していますが、自動車税以外の税目への拡充を検討していきます。また、スマートフォン決済などの収納を開始した都道府県も見受けられることから、他の都道府県の事例を踏まえ、実施が可能かあわせて検討してまいります。
次に、県税収入の確保についてでありますが、いわて県民計画(2019〜2028)の行政経営プランにおいては、県税収入の確保を具体的な推進項目として掲げ、滞納整理の強化と課税対象の捕捉調査に取り組むほか、個人県民税の確保のため、岩手県地方税特別滞納整理機構などによる市町村の支援などに取り組んでいくこととしています。
具体的には、法人事業税や不動産取得税などの課税捕捉調査を確実に実施するほか、岩手県地方税特別滞納整理機構などによる個人県民税の収入未済額の縮減に向けた市町村職員を対象としたスキルアップ研修や、悪質な滞納事例に対する毅然とした滞納処分の実施により、県税収入の確保を図っていきます。
〇48番(樋下正信君) それでは、ILCについて知事に再度お聞きしたいと思います。
いずれ、ことしがILC誘致の正念場だと思っております。ILCは、岩手のみならず、日本にとって本当に一生に一度の最大のチャンスであると思っております。ぜひ知事には、先ほどもお話がありましたけれども、国、関係閣僚などあらゆるチャンネルや人脈に働きかけて、本県への誘致が決まるまで2カ月でも3カ月でも東京に泊まり込んで、そのくらいの気概を持って誘致に臨んでほしいと思っております。そして、岩手を留守にしても、副知事初めすばらしい職員がいますので安心して、決まるまで活動をしていただきたいと思います。
知事から力強いコメントをお願いします。
〇知事(達増拓也君) ILCの実現に向けて、関係者そして関係機関が一丸となってこれまで取り組んできたことによって、ことし3月の日本政府による初めてのILC計画への関心表明につながったと考えております。
そして、今月21日に閣議決定されたいわゆる政府の骨太方針2019には、世界の学術フロンティア等を先導する国際的なものを含む大型研究施設の戦略的促進ということで、ILC─国際リニアコライダーと解釈できる文章が初めて盛り込まれました。
いよいよ大きく前進してきているという手応えを感じているところでございまして、日本が主導する初の国際研究プロジェクトであるILC実現に向けまして、岩手はもちろん、東北で受け入れる準備がしっかり進んでいるということを発信しながら、東日本大震災津波からのいわゆる創造的復興でもあり、また、地方創生にも資する、そして新しい東北の扉をあける、そういう思いでILCの実現に取り組んでいきたいと思います。
〇48番(樋下正信君) 私も3年前に、CERNに視察に行ってまいりました。実はきょう、一緒に行った方が傍聴に来ておりますけれども、ジュネーブから車で三、四十分ぐらいのところに位置していまして、すごいにぎわいがありました。ぜひとも最後の最後まで頑張っていただきたいと思います。
それでは次に行きます。
先ほど社会保障関係費について触れましたが、私は、県の社会保障関係費の増加を抑えるために、県民がなるべく健康を維持することが有効だと考えております。
過去に沖縄県に行ったときに見かけた標語に、歩け歩け、健康の医者は二本の足というものがあり、私はまことにそのとおりだと思いました。歩くことにより、全身の血行がよくなり、筋力アップや体脂肪の燃焼にもつながるもので、私も毎日なるべく1万歩以上歩くようにしております。
国の予算に占める社会保障関係費の割合は3割を超えています。今後も高齢化が進み、医療や介護の費用の増加をとめることがなかなか難しいと思いますが、県は、一人一人が自分のできる範囲で健康を保つように県民に向けてアピールするなど、県民の健康を維持増進するためにこの予算を使っていただきたいと思います。
県は、県民の健康に対する意識を高めるために、どのように取り組んでいるのかお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 県では、これまで、岩手県脳卒中予防県民会議など、行政と民間が一体となって生活習慣病予防などの健康づくりの普及啓発の取り組みを県民運動として推進してまいりました。しかしながら、本県のがん、心疾患及び脳卒中による年齢調整死亡率は65歳未満の働き盛りから全国よりも高く、県民生活習慣実態調査における歩行数や肥満などの数値が悪化しているなどの課題がございます。県民の行動変容につながるよう、一層の取り組みを進める必要があると認識しております。
いわて県民計画(2019〜2028)では、県民の幸福に大きくかかわるものとして健康を政策分野の一つに位置づけ、生活習慣の改善や運動習慣の定着などによって、生涯を通じた健康づくりを推進することとしております。
本年度は、引き続き県民運動として普及啓発活動を推進していますほか、特に働き盛り世代の健康づくりに関する施策を強化し、いわて健康経営事業所の認定や従業員の歩行数増加の後押しなど企業の主体的な活動を促し、行動変容につなげる取り組みを進めているところであります。
今後も関係機関や団体と連携を図りながら、県民の健康づくりに対する意識を高め、健康寿命が長く、生き生きと暮らすことができる岩手の実現に努めてまいります。
〇48番(樋下正信君) 歩け歩け、健康の医者は二本の足だということで、ぜひとも前に進めていただければと思います。
次に、東日本大震災津波から8年余りがたち、復興道路や津波防災施設の整備、災害公営住宅の整備など、復旧、復興事業はこれまで着実に進んできたところです。しかし、国の復興・創生期間が2020年度で終了することから、今後は県内の公共事業が大きく減少すると思われます。
一方で、高度成長期に大量に整備された施設が老朽化しており、更新や修繕を計画的に行っていく必要があります。県の公共事業が県内経済に与える影響の大きさに鑑みて、県の公共事業予算が急激に減少しないようソフトランディングを図っていく必要があると考えますが、2021年度以降の見通しと、あわせて御所見をお伺いいたします。
〇県土整備部長(八重樫弘明君) 復興後の公共事業についてでありますが、県民の安全、安心な暮らしを守り、地域の産業振興に資する社会資本の整備や適切な維持管理などの観点から、公共事業費については、安定的に必要な予算を確保していくことが重要と考えております。
今後の公共事業費は、復興事業の進捗に伴い減少することとなりますが、令和元年度当初予算においては、その予算要求、調整基準において、通常分について5%のプラスシーリングとし、さらに、国の防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策に呼応した予算を計上したところでありまして、この結果、前年度当初予算に対して、県全体では約9%の増額となったところです。
本年3月に策定いたしましたいわて建設業振興中期プラン2019におきましては、目指すべき姿を実現していくための施策として一番目に建設投資額の確保を掲げたところであり、今後、国の交付金等の積極的な活用や公共事業予算の安定的、持続的な確保、国直轄事業の整備推進等について市町村とともに国へ要望を行うなど、必要な事業量の計画的な確保に努めてまいります。
〇48番(樋下正信君) いずれ、ただいまもお話がありましたとおり、ソフトランディングするような形になるように、ぜひともお願いしたいと思います。
続きまして、三陸防災復興プロジェクト2019が去る6月1日に開幕しました。8月7日までの期間中に県では22の事業を実施し、市町村でも多くの関連事業を行うとのことです。このプロジェクトは県の今年度の目玉事業であり、県民がやってよかったと思えるように官民一体となって各事業を計画どおり進め、しっかりと成功させるように頑張っていただきたいと思います。
現在もプロジェクトが進行中ですが、さきの2月議会でも議論があったとおり、震災を風化させないためには一過性のイベントではなく、ことし実施して好評だった事業などについては来年も再来年も継続して行うことを考えてはいかがかと思いますが、御所見をお伺いいたします。
〇政策地域部長(白水伸英君) 今般策定いたしましたいわて県民計画(2019~2028)に掲げました三陸防災復興ゾーンプロジェクトにおきましては、東日本大震災津波の記憶と教訓を伝え、三陸の多様な魅力を発信する三陸防災復興プロジェクト2019の目指す姿や取り組みを継承し、持続的な三陸地域の振興につなげていくこととしているところでございます。
来年度以降の取り組みにつきましては、この三陸防災復興ゾーンプロジェクトの趣旨、目的等を踏まえまして、今年度開催しております三陸防災復興プロジェクト2019の成果と課題を検証、分析し、その詳細について検討してまいりたいと考えております。
〇48番(樋下正信君) いずれ、内陸では、まだまだ知らない方々がたくさんいるように私は感じております。これからもどんどんPRをしていただいて、内陸からもたくさんの方が沿岸に出向いて参加するような誘導をお願いしたいと思います。
次に、スポーツ振興についてお伺いします。
このところ、大リーグシアトル・マリナーズの菊池雄星選手やロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手を初め、スキージャンプの小林陵侑選手、スポーツクライミングの伊藤ふたば選手、大相撲の錦木関など、本県出身のスポーツ選手が大活躍をしております。
私は少年野球チームの盛岡東リトルシニアに、平成11年の設立のときからかかわってきております。見前中学校在学中に、リトルシニアチームに所属していた菊池雄星選手が世界の大舞台で活躍していることは大変うれしく、誇りに思っております。
先日、県民栄誉賞が贈られた小林陵侑選手は、県が行っているいわてスーパーキッズ発掘・育成事業の第1期生だったとのことです。このようなトップアスリートを育成する取り組みの中から世界トップレベルの選手が輩出されたことは、実にすばらしいことだと感じております。
そこで、いわてスーパーキッズ発掘・育成事業のこれまでの成果をどのように捉えているのか、今後の展望とあわせてお伺いいたします。
〇文化スポーツ部長(菊池哲君) いわてスーパーキッズ発掘・育成事業は、平成19年度に全国4番目に事業を開始して以来、オリンピックを目標に世界で活躍するトップアスリートの発掘、育成を目的として取り組みを進めてきているところでございます。これまでの修了生は301人を数え、さきの希望郷いわて国体においては9名の入賞者を輩出しました。そして、オリンピックを初め、世界選手権、ワールドカップなどの国際大会に延べ27人が出場し、56の入賞を数えるなど着実に成果を上げてきておりまして、子供たちや保護者の皆さんを初め、競技団体からも高い評価をいただいていると認識しているところでございます。
また、事業の実施に当たりましては、アスレティックトレーナーによる指導やコンディショニングのサポートなど、いわゆるスポーツ医・科学を取り入れた育成を重視してきたところでありまして、こうした取り組みが着実に成果に結びついてきたと考えております。
今後におきましては、引き続き競技団体との連携のもと、スポーツ医・科学サポート面での強化を図るとともに、身長や運動能力の成長時期が異なる子供たちに対応した選考を行うこととし、これまで小学4年生を対象としていた選考に、今年度からは小学6年生時での選考を追加するなど改善を行いながら、事業内容の一層の充実を図ってまいります。
こうした取り組みにより、議員御指摘のたくさんのアスリートが活躍しておりますが、今後も彼らに続くトップアスリートの輩出を目指し、競技団体と積極的に取り組みを進めてまいります。
〇48番(樋下正信君) 次に、関連しますけれども、競技力の向上策についてということで、いわてスーパーキッズ発掘・育成事業では、世界で活躍できるトップレベルの選手の育成を目指して取り組んでいると思いますが、対象となる選手たちは、どうしても限られた人数にならざるを得ません。先ほど申し上げたトップアスリートの活躍は大いに喜ばしいのでありますが、例えば国民体育大会の成績を見てみますと、本県で開催された平成28年の本県の総合成績は、天皇杯、皇后杯ともに2位でしたが、平成29年はそれぞれ14位と12位。平成30年には、それぞれ24位と25位に順位を下げております。
スポーツエリートの育成も重要だと思いますが、私は、本県選手の競技力の向上に向けて、先ほども述べましたけれども、地域のクラブチームへの支援なども必要ではないかと考えますが、御所見をお伺いいたします。
〇文化スポーツ部長(菊池哲君) 地域のクラブチームへの支援ということでございますが、県内には1、000を超えるスポーツ少年団と、その少年団を含めた地域のクラブチームがありまして、本県の競技力向上に向けては、いわてスーパーキッズ発掘・育成事業に加え、これらスポーツ少年団や地域のクラブチームの活動の強化を図っていくことが重要であると認識しております。このため、県としては、まずもって各地域のクラブチームの指導力の強化について支援を行うこととし、指導者のコーチング能力の高度化を図るため、スポーツ医・科学に裏づけられたトレーニングの知識、指導技術の普及等を目的とした研修会の実施や、指導者の公認資格取得に向けた支援を行うなどの取り組みを展開してきているところです。
加えて、県では、岩手県体育協会が特に強化が必要と認めるクラブチームに対しましては、競技団体を通じてその活動費の支援を行っているところでありまして、さらに地域のクラブチームからジュニアオリンピックカップに出場する選手に対しましては、その参加経費を補助するなどの支援も行っているところでございます。
今後も、各競技団体等と連携しながら指導者や選手の活動をサポートするとともに、地域クラブチームを直接的に支えている地元市町村及び関係団体としっかりと連携を図りながら、支援を進めていきたいと考えております。
〇48番(樋下正信君) 次に、農業振興についてお伺いします。
人口減少社会にあって農村部の過疎化が一層進んでいる中で、大区画の農地が整備されている地域では、農地集積による規模の拡大と機械化による経営の効率化が進められています。その一方で、農家と農家の間に挟まれた田畑や中山間の農地などの小規模な農地は、借り手もなく集積もなかなか難しいので、このまま農家の後継者不足や高齢化が進んでいくと耕作放棄地となってしまいます。
このような地域においては、小規模農家など地域ぐるみで法人を立ち上げて、生産、加工、販売までを行う6次産業化に取り組むことで、地域の農地の維持と営農の継続を両立させ、地域の活性化につなげることができると考えますが、こうした経営体が6次産業化を展開するための支援策についてお伺いいたします。
〇農林水産部長(上田幹也君) 6次産業化の支援についてでありますが、県内では、生産者が地域の関係者と連携しまして、その創意と工夫により、地域の特色ある農林水産物を活用した商品を開発するなど、6次産業化等の取り組みを通じて地域の活性化を目指す取り組みが進められております。
例えば、盛岡市の農事組合法人では、地域企業と力を合わせ米粉麺の共同開発、販売のほか、昨年には、菓子店と連携いたしまして米粉を使用したサブレの商品化などに取り組んでいるところであります。
ただ、一方で、生産者が6次産業化に取り組み、しっかりと収益アップにつなげていくためには、まず、商品開発や加工技術、販売方法等に関する知識やノウハウを身につけることが不可欠でございます。また、県内外への販路を開拓、拡大することなどが重要であります。
このため、県では、6次産業化に取り組む生産者等に対しまして、商品開発や販路開拓、拡大等に向けた専門家の派遣、商談機会の提供、そして、施設設備の導入に対する助成等を行っており、引き続き、地域ぐるみの6次産業化に向けた取り組みを積極的に支援してまいります。
〇48番(樋下正信君) 私自身、今申し上げたようなことから、例えば、自宅を使って、近所の農家の農産物を使った農家レストランや加工、販売施設を設置できないか検討していますが、盛岡市からは、市街化を抑制すべき市街化調整区域であるため難しいとの話をされております。私のケースでは盛岡市が許可権限を持っていますが、同じことは市街化調整区域のある隣の滝沢市や矢巾町でも起き得ると思っております。
都市計画は、農林漁業との健全な調和を図りつつ、健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保すべきことを基本理念とすると都市計画法に書かれておりますが、都市計画法で定められた市街化調整区域の規制によって、地域の農業振興のための農家レストランや加工、販売施設の設置が妨げられては、本末転倒ではないかと思っております。
農村地域に寄り添った都市計画制度の運用が必要であり、それが法律による規制であるならば、その緩和を国に求めるなどの対応が必要だと考えますが、県のお考えはどうでしょうか。
〇県土整備部長(八重樫弘明君) 都市計画制度の運用についてでありますが、都市計画区域において市街化区域と市街化調整区域を区分しているのは、本県では盛岡広域都市計画区域が該当しております。
市街化調整区域は市街化を抑制すべき区域とされておりまして、原則として開発行為及び建築行為が規制されているところですが、一定の要件に該当するものについては、例外的に、許可を受けて開発等を行うことが可能でありまして、許可に当たっての審査基準は、許可権者である岩手県及び盛岡市がそれぞれ個別に定め、必要に応じて見直しを行っているところです。
例えば、県では、平成19年度以前は市街化調整区域に農産物等を販売する施設を設ける基準はなかったものでございますが、自分たちで生産したものを直接販売したいという農業者のニーズを踏まえまして、市街化を促進するおそれがない一定の土地や建物の面積の範囲内で、農畜産物等直売施設の設置を認めることができるよう見直しを行ったものでございます。
議員からお話のあったように、農家レストランや加工、販売施設についても、都市計画法による農林業との健全な調和や健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動の確保という基本理念を踏まえつつ、地域の実情や関係する市町の意向も伺いながら、適宜、基準の見直しを検討してまいります。
〇48番(樋下正信君) よろしくお願いしたいと思います。
次に、鳥獣被害対策についてお聞きいたします。
盛岡市内を流れる雫石川のちょうど盛岡駅西口のあたりに鹿が数頭いて、河川敷の畑を荒らしているとの話を地域の方から聞きました。近くには人家や公共施設等もあり狩猟ができない区域なので、昨年、盛岡市がわなを仕掛けたということでございますが、捕獲できなかったとのことです。
私は、昨年6月定例会の一般質問でもニホンジカの農作物被害防止対策について質問し、当局からは、積雪に強い電気柵の設置への支援や里山周辺の除間伐の推進などを行っていくとの答弁をいただきました。しかしながら、このように鹿は県都の中心部まで来ており、狩猟や電気柵などでは対応が難しいケースもふえてきているのではないかと思います。
また、ツキノワグマによる農作物被害は以前から確認されていましたが、近年、人里周辺での出没がふえてきており、こちらについても対策が必要な状況です。
鳥獣による農作物被害への対策については市町村が中心となって実施されていると思いますが、県は、市町村とどのように連携しているのかお伺いいたします。
〇農林水産部長(上田幹也君) 鳥獣被害対策に関しての御質問でございますが、野生鳥獣による農作物被害を防止するためには、有害鳥獣の捕獲とともに、食害等から農作物を守り、さらに、集落に寄せつけない対策を地域ぐるみで実施していくことが重要であります。
このため、県ではこれまで、鳥獣被害防止策の推進に向け、市町村における鳥獣被害防止計画の策定や、その計画に基づく捕獲などの実践活動を担う鳥獣被害対策実施隊の設置を促進するとともに、例えば、盛岡市猪去自治会など地域で取り組む有害捕獲活動や、食害の防止に向けた恒久電気柵の設置、そして、里山周辺の除間伐などの鳥獣被害防止活動などを支援してまいったところであります。
また、市町村が連携して効果的な鳥獣被害防止対策を推進するため、広域振興局を単位といたしまして、地域鳥獣被害防止対策連絡会を設置いたしまして、野生鳥獣による被害状況や防止対策について情報交換等を行っているところであります。
このような取り組みにより、野生鳥獣による農作物被害は、平成24年度をピークに減少傾向となっております。県といたしましては、今後とも、市町村や関係団体と連携を密にしながら、野生鳥獣による被害がより一層低減するよう取り組んでまいります。
〇48番(樋下正信君) いずれ、先ほども申し上げたとおり、人里、また中心市街地のほうにも出てきているということもありますので、ぜひ、当該市町村と連携を密にして対応していただきたいと思います。
次に、安全で快適な生活環境の整備について何点かお伺いいたします。
滋賀県大津市で保育園児が犠牲になった痛ましい事故など、このところ歩道上の歩行者が事故に遭うケースが全国で相次いでおり、歩道を歩いていても必ずしも安全とは言えない状況になっていると感じております。これらの事故の中には高齢のドライバーが引き起こした事故もあり、今後このような事故がふえることが心配されます。
県内には歩道が、村道、町道、市道、県道、国道を合わせて5、000キロメートルあるそうですが、特に児童の安全を確保するために、通学路にある歩道には、車どめや防護柵を設置するなど、車の進入を防ぐための対策が必要だと考えます。
昨今の事故を踏まえ、県では通学路の歩道の安全確保に向けてどのように取り組んでいく考えかお伺いいたします。
〇県土整備部長(八重樫弘明君) 通学路の歩道の安全確保についてでありますが、登下校中の児童が犠牲になった事故は平成24年にも相次いで発生しておりまして、同年、国からの通達を受け、道路管理者や教育委員会、学校、警察等が連携し、通学路における安全点検を実施しており、必要な箇所については、順次、歩道の整備や警戒標識の設置等を行ってきたところでございます。
また、保育園児らが被害者となったことしの事故を受けまして、国からは、都道府県等に対し、未就学児の移動経路における緊急安全点検の実施について要請がなされたところでございます。
県では、いわて県民計画(2019〜2028)の政策推進プランにおいて、目標値を定め、さらに、この4年間で通学路における新たな9キロメートルの歩道の整備を行っていくこととしておりますが、今般の要請を受けまして、今後、関係機関が連携し、早急に安全点検を実施するとともに、その結果を踏まえ、効果的な対策を検討し、通学路等の歩道の安全確保に努めてまいります。
〇48番(樋下正信君) 今、通学路の歩道の安全確保という話でしたが、例えば裁判所の交差点のところとか公会堂のところの交差点なども、かなり大きな交差点で、防護柵などは何もないのですけれども、いずれそういう事故があった場合に、車が進入してこないような何かがあってもいいかと思っておりますので、御検討願えればと思います。
そして、先ほど高齢ドライバーの話をしましたが、県内には、バスなどの公共交通機関の便が悪い地域も多く、高齢者が自分の運転に不安を覚えたとしても、やはり自家用車を使わざるを得ないため、運転免許証を返納しないというケースが多いのではないかと思います。
市町村によっては、福祉バスや患者輸送バスを走らせたりタクシー券を交付するなどして高齢者の足を確保しているところもありますが、県内どの地域であっても、高齢者が運転免許証を返納しても安心して生活できる環境を整備する必要があると考えます。
市町村の地域交通ネットワークを確保するため、県は、市町村とどのように連携しているのかお伺いいたします。
〇政策地域部長(白水伸英君) 近年、人口減少などを背景にいたしましたバス路線撤退による、いわゆる公共交通空白地の広がりが懸念され、運転免許返納者を初めとした高齢者の交通手段の確保が課題と認識しております。
県では、これまで、市町村の地域公共交通ネットワークの維持、確保の観点から、市町村によるデマンド交通の導入や地域公共交通網形成計画等の策定を支援してきたところでございます。
また、昨年度は、市町村の意見を聞きながら、持続可能な公共交通体系の構築に向け、岩手県地域公共交通網形成計画を策定したところでございます。
今年度は、この計画に基づき、県や市町村、交通事業者等によりますバス路線活性化検討会を新たに設置いたしまして、バス路線ごとの利用促進策や効率的な運行などの見直しの検討を行いまして、広域バス路線の維持に取り組んでまいります。
さらに、今年度は、地域内公共交通構築検討会を新たに設置いたしまして、市町村とともに、地域内公共交通への支援の検討を進めているところでございます。このような取り組みを通じまして、今後も、市町村と連携しながら、高齢者や通学生など県民の皆様の移動手段の確保に取り組んでまいります。
〇48番(樋下正信君) いずれ大変難しい問題だとは思いますけれども、高齢者が、私も含めて、自由に移動できるように努力していただければと思います。
次に、汚水処理についてお伺いします。
下水道や農業集落排水などの汚水処理については、住民が快適な生活を送るために当然整備されるべきものと思いますが、私の住んでいる盛岡市でも、まだ整備されていない地区があります。県全体では相当あるのではないかと思います。
汚水処理には、下水道も農業集落排水もあり、また、合併浄化槽などもありますが、そこで暮らしている住民の方々は、種類がどれであろうと目的は同じだと思います。行政は、縦割りを排して汚水処理の普及を進めていただきたいと思います。
汚水処理のさらなる普及に向けて、県はどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
〇県土整備部長(八重樫弘明君) 汚水処理についてでありますが、平成23年2月に策定した、いわて汚水処理ビジョン2010に基づいて汚水処理施設の整備を進めてきたところでございますが、県内の汚水処理人口普及率は、平成21年度末の71.9%から、平成29年度末では8.9ポイント上昇し80.8%となったところでございます。
また、県では、汚水処理人口普及率のより一層の向上を図るために、平成7年度末(後刻「令和7年度末」と訂正)の同普及率の目標を91%とする、いわて汚水処理ビジョン2017を平成30年1月に新たに策定したところでございます。
このビジョンでは、人口減少など社会情勢の変化を踏まえ、家屋が点在している地域においては、管路を敷設するいわゆる集合処理から、それぞれの家屋に浄化槽を設置するいわゆる個別処理に計画を見直していくことや、浄化槽による整備割合が高い市町村を対象に重点的な普及啓発に努めるなど、一層の汚水処理人口普及率の向上に取り組んでいくこととしております。
〇48番(樋下正信君) いずれ、これも昔からずっと質問をさせていただいてきておりますけれども、ひとつ前進するように、整備率が上がるようによろしくお願いしたいと思います。
次に、河川環境の整備についてお聞きしたいと思います。
河川区域の中で柳やアカシアなどの樹木の繁茂しているところが見られます。先ほども言いましたけれども、盛岡駅西口の雫石川川原、これは国の管理ですが、樹木が相当に生い茂っており、こうしたことも鹿があらわれる原因の一つになっているのではないかと思っております。
恐らく県内の他の地域でもこういう状況が見られていると思います。人間も髪が伸びれば床屋に行きますね。それと同じようなもので、樹木もそれなりに手入れをするものではないかと思っております。川のそばに公園や散策路などの整備をして、河川区域を有効に活用するべきと私は考えます。
そこで、河川区域内の樹木の伐採はどのような考え方で行われているのかお伺いいたします。
〇県土整備部長(八重樫弘明君) 済みません、先ほど汚水処理についての答弁の中で、91%の目標を平成7年度と答弁いたしましたが、令和7年度末の間違いでございますので、おわびして、訂正させていただきます。
ただいまの樹木伐採の考え方についてでございますが、県では、河川の樹木について、治水安全度の向上を図る観点から、定期的な河川巡視や洪水後の河川巡視、住民からの情報等を参考にしながら、家屋の浸水実績がある箇所や資産の集中している箇所など、優先度に応じて計画的に樹木の伐採を実施しているところでございます。
また、河川は、ふだんから散策や自然観察、レクリエーションなどの場としても有効に活用できる空間であります。
県ではこれまで、諸葛川や和賀川などにおいて河川公園や散策路などの整備を行い、住民の方々に利用いただいているところでありますが、現在は、矢巾町の岩崎川において、河川改修事業の残土を活用した河川公園の整備を進めているところでございます。
今後も、地域住民の方々の意見を聞きながら、市町村と連携して、魅力ある河川環境の整備や保全に取り組んでまいります。
〇48番(樋下正信君) 岩手河川国道事務所では、雫石川など県内数カ所の河川区域について、樹木の伐採者、木を切ってくれる方の募集を行ったと聞いております。河川環境の整備に地域の住民に参画してもらうことで、伐採費用の縮減などにつながると考えますが、県の管理している河川区域でも、こうした取り組みが行われているかどうかお伺いいたします。
〇県土整備部長(八重樫弘明君) 住民の参画についてでございますが、県では、河川の草刈りや美化清掃活動等、住民の参加が可能なものについては、いわての川と海岸ボランティア活動等支援制度を設けまして、必要な用具の支給や保険料の負担などの支援を行ってきたところでありまして、この制度を活用した団体数は、平成30年度末までで101団体を数えております。
また、住民の参画により行う樹木伐採につきましても、国や他県の事例を参考として、検討を進めているところでございます。引き続き、効率的な河川環境の維持に努めてまいります。
〇48番(樋下正信君) いずれ、きれいな河川といいますか、東京都の荒川とか、ああいう川までとは言いませんけれども、整備された河川にしていただければとお願い申し上げます。
次に、携帯電話やスマートフォンは、今では高齢者を含めてほとんどの人が持っております。昨年の決算特別委員会で、携帯電話の利用が可能な人口の割合は99.78%との答弁がありましたが、盛岡市上米内の白石地区を含めて、県内には携帯電話が通じない地域がまだ存在しております。
携帯電話には気象庁や市町村からの緊急速報メールが届くなど、災害など有事の際に住民の生命や財産を守るための情報伝達手段としても必要不可欠であります。
携帯電話の不感地域解消に向けた県の取り組み状況についてお伺いいたします。
〇政策地域部長(白水伸英君) 携帯電話でございますが、議員御指摘のとおり、災害発生時における重要な通信手段でございますほか、さまざまなICTサービスを活用する手段でもありまして、県民の皆様の暮らしに必要不可欠なものであることから、その不感地域の解消は重要な課題と認識しております。
本県における不感地域の人口は、直近の総務省の調査によりますと、平成29年3月末の3、626人から、平成30年3月末で3、369人と減少しております。整備が着実に進んできておりますが、中山間地域等においては不感地域が残されているところがございます。
こうしたことから、県では、市町村と連携した国庫補助事業の活用や通信事業者に対する要望を行っておりまして、不感地域の解消を図ってきておりますほか、昨年度から総務省の携帯電話の基地局整備の在り方に関する研究会に参画し、国の新たな携帯電話基地局の整備方針に本県の実情が反映されるように、働きかけを行っているところでございます。
今後も引き続き、市町村の要望を把握した上で、市町村に対して国庫補助事業の活用を働きかけるとともに、災害時の通信手段としての重要性なども強く訴えながら、通信事業者に対し、事業者みずからによる携帯電話基地局整備を進めるよう要望を行うなど、さらなる不感地域の解消を図ってまいります。
〇48番(樋下正信君) 次に、道路整備についてお伺いいたします。
一般県道大ケ生徳田線は、北上川の東側に位置する盛岡市大ケ生から一般国道396号を経て対岸の矢巾町西徳田までを結ぶ道路であり、現在、北上川にかかる徳田橋のかけかえ工事が進んでおります。
一般県道大ケ生徳田線は、盛岡市南東部の住民にとって、国道4号や矢巾町中心部にあるショッピングセンター、さらには、ことし9月に移転、開院する岩手医科大学附属病院へのアクセスルートとして非常に重要です。
このため、盛岡市の大ケ生地区の方々からは、徳田橋の早期完成と、前後が改良済みで残された大ケ生地区の未改良部分の拡幅を求める声が上がっております。これらが整備されれば、地域の利便性向上や地域間交流の活性化も見込まれます。
そこで、一般県道大ケ生徳田線で整備を進めている徳田橋の現状と、大ケ生地区の未改良区間の整備についてお伺いいたします。
〇県土整備部長(八重樫弘明君) 一般県道大ケ生徳田線についてでございますが、本路線は、盛岡市大ケ生地区から矢巾町の中心部を結ぶ地域の皆様の生活に欠かせない道路であるとともに、ことし9月に矢巾町に移転する岩手医科大学附属病院へのアクセスルートとしても重要な路線と認識しております。
現在、かけかえ工事を進めている徳田橋につきましては、8月までに河川内に設置する5基の橋脚工事が全て完成する見込みでありますことから、引き続き、残る下部工である橋台工事の着手を予定しております。
橋台工事と並行しまして、橋梁前後の道路改良や上部工の製作を進めることとしておりまして、おおむね今後3年から4年後の供用開始を目指しているところでございます。
また、大ケ生地区から国道396号までの約5キロメートルの区間につきましては、これまで人家連担部を中心に、大ケ生地区約1.5キロメートル、国道396号までの乙部地区約3キロメートルの拡幅整備などを行ったところですが、残る区間の整備につきましては、今後の公共事業予算の動向や道路の利用状況などを勘案しながら検討してまいりたいと考えております。
〇48番(樋下正信君) 今お話をいただいた大ケ生地区のその先には根田茂とか砂子沢という地区がございます。そこに、盛岡市で設置、管理している林道がございます。一盃森線と言いますけれども、そこの改良も盛岡市で調査費をつけたり動き出しておりますので、この未改良の部分が改良されることによって、盛岡市での林道の促進につながっていくものと思います。根田茂、砂子沢のほうからも来られるようになれば、岩手医科大学附属病院などに国道106号を使わなくても行けるということになると思いますので、ぜひとも促進をよろしくお願いしたいと思います。
次に、市町村と連携した地域振興策についてお伺いします。
現在石垣だけが残されている盛岡城について、盛岡市では、平成24年度に史跡盛岡城跡整備基本計画を策定して、保存、活用を進めることとし、かつて城内に存在した本丸の天守や二階櫓を初めとする建物の復元にも取り組んでいくとのことです。今年度、盛岡市では、天守の再建に向けた調査費を予算化し、近々、その発掘調査が始まると聞いております。盛岡城は公益財団法人日本城郭協会が選んだ日本100名城に選ばれておりますが、もし、ここに天守閣が再建されれば、近年のお城ブームが、外国人観光客も巻き込んでますます高まっていくものと思います。本県を代表する観光資源となることは間違いありません。県も盛岡市に協力して、観光都市、観光県としての魅力を大いに高めていただきたいと思います。
そこで、県では、こうした観光振興の取り組みに対して、市町村とどのように連携しているのかお伺いいたします。
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) 観光振興における市町村との連携についてのお尋ねでありますが、盛岡市では、史跡盛岡城跡につきまして、平成24年3月に史跡盛岡城跡保存管理計画を策定し、この計画の基本方針に基づきまして、議員御紹介の史跡盛岡城跡整備基本計画を定めて、現在、これらの計画に基づいて、盛岡城跡の建物の復元などを目指した資料収集、石垣の修復工事、電線の地中化などに取り組んでいると承知しているところでございます。
このような地域の資源を観光資源として磨き上げていくことにつきましては、市町村や地域が主体的に担っていくものであり、その果たす役割が非常に重要と認識しています。
県は、観光コンテンツの開発を担う人材の育成や観光コーディネーターの地域への派遣、さまざまなコンテンツを体験するモニターツアーの実施など、市町村や地域のDMO等と連携をしながら、こういった観光資源の開発、磨き上げを支援しているところであります。
加えまして、こうした観光資源の国内外へのプロモーションにつきましては主に県が担いまして、東北各県や関係市町村等と連携しながら行っているところでございます。
今後におきましても、御紹介のありました盛岡城にかかわる取り組みも含めまして、地元市町村等と連携をし、観光振興に取り組んでまいります。
〇48番(樋下正信君) ぜひ、県でも協力していただいて、我々が元気でいるうちに、このお城といいますか櫓というのでしょうか、それを見たいものだなと思っておりますので、前に進むように協力していただければと思います。
次に、都市公園法が平成29年に改正され、都市公園において、飲食店、売店等の公園施設の整備と、その施設から得られた収益で公園内の道や広場等の整備を行う事業者を公募で選定する公募設置管理制度─Park−PFIが創設されました。これを受けて、盛岡市では、盛岡城跡公園の芝生広場、盛岡駅前の木伏緑地、そしてもう一カ所、本宮地区の中央公園の3カ所でこの制度を活用して公園整備に取り組んでいくとのことです。都市公園に民間の優良な投資を誘導し、公園管理者の財政負担を軽減することができるので公園の魅力アップにつながる上、公園を管理する行政にとってもメリットが大きいと思います。
県内では、盛岡市以外にこのような動きがあるのか、また、県はこの制度の活用について市町村への働きかけなどを行っているのかお伺いいたします。
〇県土整備部長(八重樫弘明君) 公募設置管理制度についてでございますが、これは、事業者が設置する施設から得られる収益を公園整備に還元することを条件に、公園内に飲食店や売店等の設置や営業を認める制度でございまして、民間活力による公園の再生や活性化の推進が期待されるものでございます。
県内では、盛岡市のほか、二戸市の金田一近隣公園で制度を活用しておりますが、盛岡市と二戸市以外の市町村では、今のところ制度の活用予定がないと伺っています。
県におきましては、これまでも、市町村に対し、公募設置管理制度に関する資料提供を行い周知を図るとともに、個別相談があった場合には必要な助言を行ってきたところでございますが、引き続き、市町村への情報提供や市町村からの相談があった場合には、しっかりと応じていきたいと考えております。
〇48番(樋下正信君) 先ほども言いましたけれども、盛岡市では今、Park−PFI制度を活用した公園整備を3カ所で進めようとしております。1カ所は皆さんも御承知のとおり、盛岡駅前の開運橋と旭橋の間の北上川のほとりの木伏緑地、あそこにはもう建物が10戸ほどでしょうか建ち始めておりますけれども、いずれ中心市街地、まちのにぎわいにつながっていくものと思いますので、ぜひこれは活用して、県内に波及していけばいいのかなと思っております。
それでは、次に岩手競馬についてお伺いいたします。
私が平成11年に県議会議員となって以来、約20年が過ぎたわけでございます。その議員生活の中で、東日本大震災津波は別として、岩手競馬の存廃問題の採決を行った会議が一番記憶に強く残っております。
平成19年2月議会の最終日の本会議で、競馬を存続させるための議案が否決され、一旦は事業廃止の流れに傾きましたが、その4日後に開かれた臨時会で、発議案と修正された予算案が1票差で可決されて事業の存続が決まり、現在に至っているわけでございます。そして、新たな赤字を出さないという事業存廃のルールをクリアしながら、現在に至っているわけでございます。
岩手競馬については、昨年、競走馬から禁止薬物が検出された事件が今もって未解決であることが心配でありますが、年間の発売額が300億円を超え、関係者の数も1、000人近い岩手競馬であります。県内経済にも大いに貢献していると思います。12年前の採決で、岩手競馬の存続に賛成の1票を投じた者としては、今後とも、関係者が一丸となって経営状況の改善に努めて収益を上げ、構成団体からの合計330億円の融資を返済していってほしいと切に願うところですが、組合の管理者でもある知事の御所見をお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 岩手競馬は、収支均衡を条件に、県議会での議論も経て、構成団体からの融資を受けて事業継続が認められたものであります。今後も、競馬関係者の雇用を確保し、地域経済に貢献するとともに、構成団体の融資を返済していくためには競馬事業を継続し、収益を確保する必要があります。
昨年度においては、禁止薬物陽性馬の発生による14日間の開催取りやめという状況もありましたが、ファンの皆様の力強い支援もあり、12期連続の黒字決算が見込まれているところであります。
また、今年度の岩手競馬はさい先のよいスタートを切ったところでありますが、一方で、施設設備の老朽化など、さまざまな課題もあると受けとめているところであります。
今後も、岩手県競馬組合が馬主、調教師等の関係者と連携しながら、これらの課題に適切に対応し、その使命を果たしていくよう期待しているところであり、県としてもしっかりと支えていきたいと思います。
〇48番(樋下正信君) ぜひとも、徐々に上向きになっていくように、人馬一体となって御努力していただければと思います。
最後でございます。県立高校の再編についてお伺いします。
県では、平成28年3月に策定した新たな県立高等学校再編計画に基づいて再編を進めており、現在は後期計画の策定に向けた地域検討会議が行われているところです。教育の質を確保し、部活動や学校行事等で多様な教育活動を行うためには学校にはある程度の規模が必要であり、私は、現に子供の数が減っている以上、県立高校の学級数や学校数を減らすことはやむを得ない部分もあると考えます。地域から学校がなくなるのは住民にとっては大変残念なことですが、生徒がいないのに先生方をそろえて施設を立派に維持しておくことは課題が多いと言えます。県は、生徒の学力向上や人間形成を第一に考えて計画を推進していただきたいと思います。
ここで、改めて、県立高校の生徒数がどのくらい減ったのか、それに対して学校や学級の数はどのくらい減ったのかお伺いします。また、再編計画のこれまでの進捗状況と成果についてもお伺いいたします。
〇教育長(佐藤博君) 高校の入学者が減少に転じた平成元年度の県立高校の生徒数は5万1、000人余でありましたが、平成30年度の生徒数は2万6、000人余と、半数近くにまで減少しております。また、平成元年度86校、429学級であったものが平成30年度には66校、259学級となり、この間に20校、170学級減少しております。生徒数の減少を踏まえ、平成28年3月に新たな県立高等学校再編計画を策定し、現在、前期計画の推進に努めているところです。
現在までに、1地区の統合決定と18校の学科改編、学級減を行ったところでありますが、地方創生に向けた地域の取り組みの状況、中学校卒業予定者数や各高校の入学者の状況等を十分に把握、検証し、地域や関係者と丁寧な意見交換を行った上で、統合等を延期した学校もあります。
これまでの進捗状況等につきましては、おおむね計画に沿って再編を進めているものと考えております。
〇48番(樋下正信君) 大変難しい選択だと思います。県民の方々、学校関係者の方々が100%納得ということはないと思いますけれども、皆さんが納得するような方向でこの改編を進めていただければと思います。
以上で私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
〇議長(佐々木順一君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後3時45分 散 会

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