令和元年6月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇18番(名須川晋君) 改革岩手の名須川晋でございます。
5月1日、31年にわたる平成の時代から令和に改元となりました。新天皇、皇后両陛下の御即位に心からの祝意を表します。また、東日本大震災津波の後、常に被災地に心を寄せられ、3回にわたり本県を御訪問され、被災者を勇気づけていただいた上皇御夫妻に深謝いたします。
さて、新時代を迎え、文化、スポーツ面で躍進する岩手県人の活躍に代表される本県が秘める可能性はいよいよ顕在化し、明るい未来の到来を待望するものであります。東日本大震災津波からの完全復興に臨み、今後10年の岩手のあるべき姿を見通した新しい時代を切り拓く11のプロジェクトを盛り込み、幸福の追求という独自の焦点を当てたいわて県民計画(2019〜2028)の出航は、これを手がけた達増知事が再び先導役として実現に邁進されることは、策定者としての責任であり、最も自然でふさわしいと考えます。
先ごろ、知事は岩手県知事選挙4選への出馬表明を果たされましたが、まずはその決断理由と、これからの県政運営にかける姿勢、意気込みなどにつきまして県民にわかりやすくお知らせいただきたいと思います。
環境問題について伺います。
地球温暖化が原因と分析される異常気象の頻発、2016年のダボス会議(世界経済フォーラム)で予測された、2050年には海洋生物より多くなると言われる海洋プラスチックごみや海底に堆積していくマイクロプラスチック、中国が受け入れをやめて行き場を失った廃プラスチック問題等、地球を脅かす国際的な環境問題が世界で声高に指摘されています。
2015年のパリ協定によって、温室効果ガスの排出量ゼロを目指す脱炭素化が世界的な潮流となりました。が、一方で、昨年策定された国のエネルギー基本計画において、2030年における太陽光、風力、地熱、バイオマスといった再生可能エネルギー電源構成比率を22%から24%、原子力発電の構成比率を20%から22%、石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料に由来する電源構成比率56%と、特に火力発電の割合が大きいという実に消極的な姿勢が示され、失望するばかりであります。
エンバイロメント─環境、ソーシャル─社会、ガバナンス─企業統治、これら三つの頭文字をとったESG投資という単語を知事はもちろん御存じのことと思います。この3要素に配慮した企業に対する投資額は近年激増しており、SDGs─持続可能な開発目標と密接に関連しています。投資家のみならず、公共投資の基本的な考え方にも通ずるESG投資の概念を行政も十分念頭に置いていくべきものと考えます。
世界の潮流は低炭素社会から脱炭素社会へ、再生可能エネルギー100%を目標とする極めて高い次元にある、このことを背景に質問を進めさせていただきます。
本県の再生可能エネルギーによる電力自給率の推移についてでございます。
脱炭素化の要諦とも言える再生可能エネルギーによる電力自給率はどのように推移しているか、まずは伺います。
岩手県地球温暖化対策実行計画の進捗と改定について。
計画期間を2011年度から2020年度までとする岩手県地球温暖化対策実行計画は間もなく最終年度を迎えますが、どのような進捗となっているでしょうか。
計画策定時に目指すべきとした低炭素社会は、脱炭素社会へと一層の強化を果たさねば地球環境の維持はできないという認識が今のものとなりました。
横浜市は、横浜市地球温暖化対策実行計画において、2050年を見据えた脱炭素化に向けて、Zero Carbon Yokohamaを掲げ、持続可能な大都市モデルの実現に向けた取り組みを進めています。その一環として、岩手県の県北広域振興局管内9自治体と青森県、福島県内を含む計12市町村と連携協定を結び、再生可能エネルギーの創出、導入、利用拡大に関すること、脱炭素化の推進を通じた住民、地域企業主体の相互の地域活力の創出に関すること、再生可能エネルギー及び地域循環共生圏の構築に係る国等への政策提言に関することの3分野について取り組みを図る内容であります。
また、東京都は、先月開催されたUrban20東京メイヤーズ・サミットにおいて、大阪市を含む世界26都市の首長らとともに、遅くとも2020年までに温室効果ガス排出量を減少に転じさせ、2050年までの脱炭素化に向けた目標と排出経路を設定する、2030年までに再生可能電力の割合を100%、2050年までに再生可能エネルギーを100%にするといった極めて高い目標設定をしました。実現性には若干の疑問を持たないわけではありませんが、まずは率直に評価したいと思います。
岩手県地球温暖化対策実行計画に戻りますが、本計画はそろそろ改定作業に取り組む準備段階に差しかかってまいりましたが、自然豊かな県土を最大限活用する環境先進県として、やはり高い目標を掲げることを前提として策定に当たるべきと考えますが、その道筋をお示しください。
再生可能エネルギーの導入拡大についてでございます。
再生可能エネルギー導入推進ビジョンの策定について。
現在、岩手県地球温暖化対策実行計画の中につつましく記載されているだけのエネルギー導入推進ビジョンでありますが、わかりやすく、また意気込みを示すため、一つの冊子として作成するべきではないでしょうか。また、本県の再生可能エネルギーの導入拡大にどのように取り組んでいくのでしょうか、知事の考えをお伺いいたします。
企業局の取り組みについて。
企業局としてさらなる再生可能エネルギー開発を進めていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
RE100を目指す取り組みについて。
RE100という取り組みを御存じでしょうか。Renewable Energy 100%の略で、イギリスのNGO団体ザ・クライメート・グループが運営する再生可能エネルギー100%を目指す取り組みのことであります。
RE100には、2019年2月18日現在、世界で165社が加盟、うち17社が日本企業で、ソニーやイオン、アスクルといった名立たる広い業種の大企業が名を連ねています。また、RE100大学として、千葉商科大学がみずからを発表しています。この動きに連動した形で、ザ・クライメート・グループの地域パートナーであるJCLP─日本気候リーダーズ・パートナーシップは、この夏を目途に中小企業版RE100を設立し、中小企業や自治体、学校、病院などを巻き込み、再生可能エネルギー利用の裾野を広げていくとのことであります。今や国や政府の遅い対応にしびれを切らし、民間からの動きが加速しています。福島県では、原発事故の影響もあり、2040年をめどに再生可能エネルギーで県内エネルギー需要の100%を賄うという高い目標数値を2012年の段階で掲げています。
このような状況の中、本県においても、他県の状況を踏まえ、RE100を目指す取り組みを推進していくべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
海岸漂着物処理推進法(美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境並びに海洋環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律)に基づく地域計画の策定について。
このたび開催されたG20(金融・世界経済に関する首脳会合)エネルギー・環境相会合において、海に排出されるプラスチックごみ、いわゆる海洋プラスチックごみの削減に向けた国際枠組みの創設などを盛り込んだ共同声明が採択されました。具体的な目標値や削減策などは各国の自主性に任せるとして、実効には拘束力はないものの、それぞれが行動計画を策定し、毎年進捗状況を報告、互いに検証する体制を確立するとのことであります。
この海洋プラスチックごみの削減を含む海岸漂着物対策については、今般、内陸から沿岸に至るまでの流域圏の関係主体が一体となった対策の実施や、マイクロプラスチックの海域への排出の抑制等を盛り込んだ海岸漂着物処理推進法の改正や国の基本方針の改定が行われたところでありますが、こうした状況の中、海に面している都道府県で海岸漂着物処理推進法に基づく地域計画を策定していないのは、いよいよ5月に福島県が策定を終え、岩手県のみとなっており、現在、地域計画の策定に取り組んでいるところと伺っております。本県の取り組みの遅さに失望を禁じ得ないのでありますが、地域計画の策定について今後のスケジュールをお知らせください。
また、地域計画の策定に伴い、広域振興局において策定している流域基本計画の見直しも必要と考えますが、その認識について伺います。
廃プラスチック対策について。
中国は、平成29年末に廃プラスチックの全面的な輸入禁止を打ち出しました。現地リサイクル企業の大部分が廃業したというインパクト。日本国内でのリサイクルの必要性があり、中国資本のリサイクル工場が稼動し始めているようです。中国の廃プラスチックの輸入禁止が本県の廃プラスチックの処理にどのように影響しているか、また、対応について伺います。
外国人材の活用について伺います。
外国人実習生の大量失踪の理由の解決とその改善がないにもかかわらず、労働力不足に対応するとして、新たな外国人労働者を受け入れるため、新しい在留資格を創設した出入国管理及び難民認定法の改正は、昨年末、与党の強硬な姿勢によって可決に至りました。相当程度の知識、または経験を要する技能を持つ外国人に与えられる在留資格の特定技能1号では通算5年以上の滞在が許されず、家族帯同が認められないといった非人道的な人権侵害、悪質なブローカー規制の不備など、検討すべきさまざまな問題を内包したまま、拙速のうちに4月1日に施行されました。法務省入国管理局を格上げした出入国在留管理庁を新設し、5年間で最大約34万5、000人、今年度は最大で4万7、550人の受け入れを見込んでいるとのことであります。
本県の平成31年4月の有効求人倍率は1.43倍。人材を獲得するため近々外国に出張してくるといった福祉関係者の声も聞くようになり、特に県南広域振興局管内においては今後一層逼迫していく状況下で、現実として外国人材の受け入れ環境整備は急務であります。
外国人材の受け入れ環境整備について。
国では、在留手続、雇用、医療、福祉、出産、子育て、子供の教育等の生活に係る適切な情報や相談場所に迅速に到達することができるよう、情報提供及び相談を多言語で行うワンストップ型の相談窓口の設置、拡充のためとして外国人受入環境整備交付金を創設いたしましたが、本県におけるワンストップ窓口の整備について伺います。
広大な県土において、窓口機能が盛岡市1カ所では外国人利用者の利便性は確保できず、地域社会との共生は期待できません。各市町村の国際交流協会との連携強化が必要となりますが、どのように取り組まれるのでしょうか。
日常生活における総合的な安全確保対策について、登下校時の子供たちの安全性の確保について伺います。
神奈川県川崎市で発生した無差別の殺傷事件や、滋賀県大津市で散歩中だった園児の列に車が突っ込むといった事故が相次いで発生、幼い子供たちが犠牲になる事件、事故に本当に心が痛むばかりであります。前段の事件の場合、他人に危害を加えようと明確で強い意思を持ち不意をつけば、大の大人も抵抗できず、無力と言えましょう。万が一の場合、被害がより大きくなる傾向にある集団登校も、場合によっては見直しを検討せざるを得ないのかもしれません。リスクをいかに減らしていくか、時間帯や地域によってさまざまな手法があると思われますが、今後、県としてどのように対応していくのか、また、園児の散歩コースの安全確保をどう進めていくのか伺います。
高齢者の運転免許返納の取り組みについて。
昨今、ドライブレコーダーや防犯カメラの普及も相まって、高齢者が運転する車が暴走する映像とともに交通事故報道が相次いでいます。
〔副議長退席、議長着席〕
本県の過去5年のブレーキとアクセルの踏み違い事故の年代別の割合を比較すると、24歳以下の若年齢者と65歳以上の高齢者に多く、特に、高齢者のほうが重大事故になる傾向があります。今や県民の3人に1人が高齢者という超高齢化社会の到来によって必然的に運転者の高齢化も進む中、事故防止には運転免許の自主返納が最善ではありますが、その最近の状況と周知対策について伺います。
公共交通確保策について。
一方で、自宅付近にバスや電車等公共交通機関が走っていない、タクシー移動には費用がかかり過ぎる、都市部を循環する100円バスの恩恵も受けられない、いわゆる在に居住する高齢の交通弱者は非常に多く存在します。我が身を振り返れば、年老いた父母の免許証を取り上げた場合、用を足すための移動手段がなく、肉体的、精神的、金銭的負担も大きく、そろそろ免許を返納せよとおいそれと促すことができないのが実情であります。ライドシェアサービス、NPO法人によるタクシーといった移動の足を確保する施策を積極的に進めるべきでありますが、広大な県土を有する本県の対策は大きく不足しているのではないでしょうか。
今はヒューマンエラーのない自動運転までの過渡期にあると考えますが、さきの質問での指摘のように、高齢者の免許返納と公共交通の確保はワンセットであり、これに安全運転サポート車が加わる三位一体の方法によって当面事故を減らしていくしかないと考えますが、公共交通の確保について県はどのように進めていくのか伺います。
安全運転サポート車の導入についてでございます。
東京都は都議会において、高齢者を対象とするペダル踏み間違いを防止する急発進防止装置の購入、設置費用の9割補助の方針を示されました。3万円を上限とした安全運転サポート車の購入補助制度を導入した自治体もあります。本県でも補助制度の導入について検討してはどうかと考えますが、状況について伺います。
公用車のドライブレコーダーの装備について。
県職員の業務時における事故が多数発生しており、今議会にも職員による自動車事故に係る損害賠償事件に関する専決処分が14件報告されています。安全運転の自覚を高めるとともに、交通事故の正確な状況把握も期待できますが、公用車へのドライブレコーダー装備の考え方について伺います。
パトカーのドライブレコーダーの装備についてでございます。
パトカー324台のドライブレコーダーの装備率は約24%とのデータをいただいておりますが、正直、この数値の低さに驚いたところでございます。パトカーは、日夜、警らに使用され、走行距離も多く、交通事故ほか犯罪捜査への客観的な証拠としての利用も可能となりますことから、優先して装備を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。
防犯カメラの設置について。
犯罪抑止と犯罪の早期解決を図るため、プライバシーに配慮しつつ、防犯カメラ設置を進める必要があると考えますが、取り組みについて伺います。
農業問題について伺います。
農業大学校におけるGAP教育の現状等について。
本県農業の担い手を育成する農業大学校におけるGAP教育の現状と、認証取得に向けた取り組み状況について伺います。あわせて、本県におけるGAP取得状況を伺います。
農業高校におけるGAP、HACCPの取得に向けた取り組みについて。
福島第一原発事故による風評被害を払拭するため、福島県は県教育委員会とともに農業高校のGAP取得に力を入れ、現在、全国最多の10校が取得しております。
先ごろ、農林水産委員会調査において、米、リンゴ、バジル、キュウリ、レタス、ミズナの6品目のグローバルGAPを取得した福島県立岩瀬農業高等学校を視察させていただきましたが、ある女子生徒が、自分の実家も専業農家なので、学校での経験をもとにGAPを導入したいという意気込みを語ってくれたのが大変印象的でありました。つまり、農業高校でのGAP導入を起点に、農家のGAP取得が広がっていくことで農業復興にも期待がかかっているのであります。
本県における農業高校のGAP取得状況は、盛岡農業高校ただ1校が岩手県版GAPを取得しているのみです。しかしながら、全国農業高等学校長協会においてGAP、HACCP等教育推進方針が確認されており、本県もしっかりと取り組むべきものと考えます。県教育委員会はこの方針をどう捉えているか、GAP、HACCP取得に積極的に取り組むべきと考えますが、いかがでございましょうか。
GAPの認知度の向上について。
農林水産省が実施した各種調査によれば、一般消費者におけるGAP認知度は13%程度、食品事業者がGAP認証取得等農畜産物を仕入れないのは、生産者や産地の情報が不足している、あるいは需要がないといった回答が7割を占めているとのことであります。つまり、一般消費者はGAP制度を知らないし、事業者は情報不足、そもそも需要がないから仕入れないという循環にあります。ゆえに、GAPに求められる食品安全、環境保全、労働安全、人権保護といった見えない価値への理解が進まなければならないと見当いたします。
生産者のみならず、一般消費者、あるいは取扱業者の理解と情報へのアクセス向上を図る必要がございますが、そのすべをお示しください。
農業データの連携について、農業データ連携基盤、通称WAGRIの導入に対する考え方について伺います。
内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム、次世代農林水産業創造技術に端を発するWAGRIは、気象、農地、地図、生産予測、土壌、統計等ICTベンダーや農機具メーカー、民間企業や農業研究センターなど、官民それぞれが有するシステムと情報を一元化し、勘や経験が頼りだったノウハウを見える化する農業者への新たなサービスのことであり、スマート農業実現に必須の情報プラットフォームと言えます。
過日開催されたいわてICTフェア2019においてもWAGRIに関する講演があり、私も興味を持って聴講させていただいたところでございます。したがって、主催者ではないのでしょうが、共催者としての岩手県もその必要性については認識しているものと思われます。県としても会員になるなどして情報収集を図り、データ活用を進めていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
ドローンを活用した野生鳥獣捕獲の研究について。
本県においては、鹿やイノシシ等、野生鳥獣による農作物被害を防止するため、捕獲や侵入防止柵の設置などの対策が行われていますが、平成30年度の被害額は約3億8、000万円と依然として被害が大きいことから、新たな被害防止技術など、さまざまな研究や取り組みを進めていくことが必要と考えます。
4月25日、山梨大学が熱赤外線カメラ登載小型UAV支援によるニホンジカ捕獲に国内で初めて成功との興味深いプレスリリースがありました。南アルプスの山中で、熱赤外センサーを登載した小型UAV、いわゆるドローンを活用して野生動物の存在を可視化、その確認から猟銃による捕獲まで完遂するという実証実験が成功したとのことであります。猟友会に所属する方々の高齢化も年々進み、会員減少が顕著な昨今、新技術を用いて捕獲者の作業労力を減らし、安全性の向上に寄与するなど、ドローンとの連携が効率的で、有用性が実証されました。
本県では、平成28年末、大日本猟友会がやはりドローンによって6日間の調査で鹿20頭を確認したという事例があるそうでございます。効果的な防御対策が見つけられない状況において、捕獲にも活用する研究を進めていくことが必要であると考えますが、いかがでしょうか。
ドローンを活用したカワウ対策の研究について。
川魚の天敵であるカワウは、1日当たり500グラムの魚を捕食するそうであります。近年、県内では年間1、300羽程度のカワウの飛来が確認されており、内水面の各漁業協同組合では、高齢化、組合員の減少による経営難問題に匹敵する深刻な問題と受けとめられています。
本県では、岩手県カワウ等被害防止対策協議会において対策を進めておりますが、現実として効果的な対策はなく、狩猟による駆除効果もかなり限定的であると伺っています。鳥類についてもドローンを活用した駆除の研究を進めるべきと考えますが、どのような動きとなっておりますでしょうか。
リノベーションまちづくりについて、最後お伺いいたします。
花巻市においては、ことしも7月26日から28日まで3日間にわたりリノベーションスクール@花巻の開催が予定されています。これに先立って先ごろ開催された事前講演会は100名近くが聴講し、リノベーションまちづくりに対する変わらない関心の高さがうかがえました。
県内においても徐々に取り組みが広がり、地域おこし協力隊による空き家活用等の事例も見られますが、まだまだ県内各地でも温度差があるというのが私の実感であります。花巻市のリノベーションスクールは、行政と民間の公民連携により、その成果も徐々にあらわれつつあるのを目の当たりにし、県内各地に波及させるべきとの思いが強まりますが、私が言うところのリノベーションまちづくりに伴う県の今年度の事業は、昨年度作成した事例集を活用した取り組みの周知のみではないでしょうか。リノベーションまちづくりに対する理解と施策はどうなっているか伺います。
以上で、登壇しての質問を終わります。前向きな御答弁をよろしくお願いいたします。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 名須川晋議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、岩手県知事選挙についてでありますが、岩手はいまだ東日本大震災津波からの復興の途上にあります。また、北上川流域において、生産と雇用の飛躍的拡大が見込まれる一方、全県的にも全国的にも深刻な人手不足が構造化していること、岩手沿岸三陸地域においては復興の正念場を迎えていること、北岩手においては環境や地域資源に対する高い評価がある一方、さらなる発展が求められていることなど、大きなリスクと大きなチャンスがともに目の前にあります。
このような岩手において、復興をなし遂げ、チャンスを生かすために、東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き復興に取り組みながら、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわてを基本目標とするいわて県民計画(2019〜2028)を力強く推進し、岩手県民の皆様とともに岩手の未来を切り開いていきたいと考え、任期満了に伴う令和元年岩手県知事選挙への立候補を決意したところであります。
次に、再生可能エネルギーの導入についてでありますが、県では、いわて県民計画(2019〜2028)において、政策項目として、地球温暖化防止に向けた低炭素社会の形成を掲げ、県民、事業者、行政が一体となった県民運動の展開を基本方向としながら、温室効果ガス排出削減対策の推進、再生可能エネルギーの導入促進、森林吸収源対策に総合的に取り組むこととしております。
また、岩手県地球温暖化対策実行計画では、エネルギー消費効率の向上による省エネと再生可能エネルギーの導入促進による創エネで築く低炭素社会の実現を目指し、温室効果ガスの排出抑制対策等の取り組みを進めているところであります。
再生可能エネルギーの導入は、エネルギー自給率の向上はもとより、災害に強いまちづくりや地域振興など多面的な効果をもたらすとともに、発電において二酸化炭素を排出しないことから地球温暖化対策を進める上で極めて重要であり、温室効果ガス排出削減対策とあわせて、総合的かつ一体的に取り組むことが必要と考えます。
本県の再生可能エネルギーの高いポテンシャルを有効に活用し、引き続き、風力や地熱発電等の導入促進に取り組むほか、北いわて産業・社会革新ゾーンプロジェクトや水素利活用推進プロジェクトなどの取り組みを進め、再生可能エネルギー関連ビジネスへの地域企業の参入促進や再生可能エネルギー由来の水素の利活用の推進など、地域に根差した再生可能エネルギーの導入促進に努めてまいります。
次に、RE100を目指す取り組みについてでありますが、RE100については、パリ協定の目標達成に向けて、事業者がみずからの消費電力を再生可能エネルギー100%の電力で賄うことを目指す国際的な取り組みであり、国内外でグローバル企業などが参加しているほか、再生可能エネルギー100%地域を目指す自治体も出ており、今後、こうした取り組みが広がっていくものと認識しております。
本県における再生可能エネルギーによる電力自給率は、直近の平成29年度末で28%となっており、風力や地熱など全国トップクラスのポテンシャルを背景に、再生可能エネルギー導入が今後も進み、自給率もさらに上昇すると見込まれるところであります。
一方で、再生可能エネルギーの導入促進のためには、送配電網への接続制約などの課題もありますことから、まずは、いわて県民計画の政策推進プランに掲げる令和4年度の再生可能エネルギーによる電力自給率37%の達成に向けて着実に取り組みを推進していくことが重要と考えております。
県内でも、雫石町や葛巻町など、再生可能エネルギーによる電力自給率が100%以上であることを公表している自治体があるほか、バイオマス発電など再生可能エネルギーの発電設備を導入している企業もあり、こうした取り組みが地域や事業者の自主的な取り組みとして広がっていくことは、パリ協定の目標達成に地域から貢献する観点からも重要でありますことから、温暖化防止いわて県民会議などを通じ、引き続き、電力自給率の向上に向けた機運醸成を図ってまいります。
その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔環境生活部長大友宏司君登壇〕
〇環境生活部長(大友宏司君) まず、本県の再生可能エネルギーによる電力自給率の推移についてでありますが、本県では、全国的にも優位な風力や地熱などのポテンシャルを活用し、再生可能エネルギーのさらなる導入促進に取り組んできたところです。
本県の再生可能エネルギーによる電力自給率については、地球温暖化対策実行計画の基準年である平成22年度の18.1%を、令和4年度に37%まで引き上げることを目標としており、その推移は、平成27年度は目標値19%に対し実績値21.1%、平成28年度は目標値20%に対し実績値23.6%、平成29年度は目標値22%に対し実績値28.0%となっており、各年度とも目標を達成している状況にあります。
次に、岩手県地球温暖化対策実行計画の進捗と改定についてでありますが、本県の温室効果ガスの排出量については、東日本大震災津波からの復興需要等により、平成25年度以降横ばい傾向で推移しているものの、再生可能エネルギーについては太陽光発電を中心に順調に導入が進んでいるほか、森林吸収源対策については、造林や間伐などの森林整備や木質バイオマスの利用拡大などを推進していることから、全体では、平成27年度で基準年と比べ12.7%の減少となっております。
次期岩手県地球温暖化対策実行計画については、現在検討中の岩手県環境基本計画とも整合を図りながら令和2年度当初に環境審議会に諮問し、大気部会での審議や、住民説明会やパブリックコメントを通じた県民の皆さんからの意見聴取を行った上で、令和2年度末に策定する予定としております。
目標値の設定については、今後見直しが予定されている国の地球温暖化対策計画の内容や環境審議会大気部会の専門的な意見などを踏まえ検討してまいります。
次に、海岸漂着物処理推進法に基づく地域計画の策定についてでありますが、現在検討を進めている海岸漂着物処理推進法に基づく地域計画においては、5月に改定された国の基本方針を踏まえ、内陸から沿岸にわたる流域圏の関係主体が一体となった発生抑制対策等を盛り込む予定としております。
今後、NPO法人、学識経験者、関係行政機関等で構成される岩手県海岸漂着物対策推進協議会において、海岸に漂着したごみの円滑な処理や発生抑制の施策の内容等について協議し、11月までに海岸管理者や関係地方公共団体への意見聴取、パブリックコメントを経て、年内に地域計画を作成する予定としております。
地域計画は、河川を経由して海域にごみが流出、飛散することを防止する等の観点から発生抑制等の施策を定めるものであり、一方、岩手県ふるさとの森と川と海の保全及び創造に関する条例に基づく流域基本計画は、流域の特性に応じた河川清掃、河川パトロール等の地域の環境保全活動等の施策を定めているものであることから、取り組みを推進する上では両計画の整合性が図られていると認識しておりますが、具体的には、今後、岩手県海岸漂着物対策推進協議会において議論をいただきたいと考えております。
次に、廃プラスチック対策についてでありますが、平成29年末の中国等による輸入禁止措置の影響を受け、国内で処理される廃プラスチックの量が増大したことにより国内の廃棄物処理施設が逼迫し、廃プラスチック等の処理に支障が生じている状況にあることから、本年5月に、国から不法投棄等の不適正処理の未然防止について、産業廃棄物処理業者等に対する指導を徹底するよう通知が出されたところです。これを受け、本県では、廃プラスチックを処理している事業者64社に対し、各広域振興局等に配置している産業廃棄物適正処理指導員等が基準を超えた大量保管の有無等について立入検査を実施し、その結果、不適正処理事案は確認されていないところです。
県としては、全国や県内における廃プラスチックの処理状況を引き続き注視するとともに、各広域振興局等における監視を強化し、不適正な処理の防止に取り組んでまいります。
次に、安全運転サポート車の導入についてでありますが、安全運転サポート車は、高齢運転者を含めたドライバーの事故を防止し、被害を軽減するために有効であり、国においては、高齢者の安全運転を支える対策の一つとして、安全運転サポート車の普及を一層促進することとしております。本県においても、県、市町村、県内事業所などで構成する岩手県交通安全対策協議会の事業として、平成30年度から、高齢者を主な対象とした安全運転サポート車の体験型教室を開催し、機能に対する理解と普及に取り組んでいるところでございます。
安全運転サポート車の補助制度について、新車購入の補助を行っている香川県や、後づけ踏み間違い防止装置への補助を検討している東京都などの事例は承知しておりますが、本県において、高齢者の交通事故防止対策を進めていく上でどのような対応が効果的であるか、今後研究してまいります。
次に、ドローンを活用した鹿の捕獲の研究についてでありますが、県では、ニホンジカ等の適正な個体数管理と野生鳥獣による被害を低減するため、大量捕獲技術の開発と普及など、効果的な個体数管理に資する施策の充実を図るよう、国に要望しているところです。
近年、大学などにおいて、野生鳥獣の生息状況の把握や、捕獲にドローンを活用するさまざまな実証実験が行われ、一定の成果が得られることは承知しておりますが、捕獲への技術導入の実績が少なく、実用化までには至っていない状況にあると聞いているところです。
ドローンの活用の事例も含めた新しい捕獲技術に関する研究や取り組みについては、作業の効率化や捕獲の安全管理に寄与するものであると考えられることから、国による捕獲技術の開発、普及等について引き続き要望していくとともに、実用化に向けた全国の動向等を注視してまいります。
〔企業局長藤澤敦子君登壇〕
〇企業局長(藤澤敦子君) 企業局における再生可能エネルギー開発の取り組みについてでありますが、企業局では、平成30年1月に運転を開始した高森高原風力発電所を含め、水力、風力、太陽光の3種類の再生可能エネルギーを利用して19カ所の発電所を運転しているほか、令和3年度の運転開始を目指し、簗川ダム直下に簗川発電所の建設を進めているところでございます。
現在、送配電網への接続制約などにより、今後新しい発電所の建設に直ちに取り組むことには課題がありますが、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の動向などを注視しつつ、引き続き、事業化の可能性について調査検討を進めていくこととしております。
さらに、今年度から稲庭高原風力発電所の再開発事業、いわゆるリニューアルに取り組むこととしており、既存発電所の再開発や発電機器の効率の向上により発電電力量の増加を図り、再生可能エネルギーの拡大に努めていく考えであります。
〔政策地域部長白水伸英君登壇〕
〇政策地域部長(白水伸英君) まず、外国人材の受け入れ環境整備についてでありますが、議員御指摘のとおり、本年4月の出入国管理及び難民認定法の改正に伴い、今後外国人労働者等の増加が見込まれることから、県では、アイーナにある国際交流センターの相談機能を強化するため、国が創設した新たな交付金の活用により、まずは今年度当初に74言語の翻訳機能を有する翻訳機を整備し、これまで国際交流センターが対応していた7言語に加え、多様な言語での相談に対応する体制を備えたところでございます。
さらに、来月上旬には、ワンストップ型の相談窓口として、新たに国際交流センター内に─仮称ではございますが─いわて外国人県民相談・支援センターを設置することとしております。
同センターでは、仙台出入国在留管理局や岩手労働局等の関係機関、行政書士や弁護士といった専門家との連携を一層強化し、外国人が生活する上でのさまざまな相談に対応できるよう、相談機能の充実を図ってまいります。
次に、国際交流協会との連携強化についてでありますが、本県の在住外国人につきましては、圏域ごとでの在住者数や国籍などに差異があることから、外国人からの相談に柔軟かつ適切に対応していくためには、身近な市町村における相談体制を構築していくことが重要と認識しております。このため、県では、これまでも岩手県国際交流協会に県職員を駐在させ、同協会との連携を強化しながら取り組みを進めているところでございます。
また、市町村や市町村国際交流協会との連携につきましては、広域振興圏ごとに開催をしております地域国際化推進会議におきまして情報共有を図るとともに、地域の国際化の担い手育成に向けた研修会等によりまして、地域における取り組みを支援しているところでございます。
また、新たに設置いたします(仮称)いわて外国人県民相談・支援センターでは、定期的に県内各地域に出向く巡回相談を実施していくこととしておりまして、引き続き、市町村や市町村国際交流協会等と連携をしながら、外国人が地域で安心して働き、生活することができる環境整備に取り組んでまいります。
次に、公共交通の確保策についてでございますが、高齢化の進展やそれに伴う運転免許証の返納の拡大に伴い、公共交通は、今後、高齢者等の移動手段としてますます重要性を増してくるものと認識しております。一方で、利用者の減少や運転手の不足によりまして、路線バスの廃止は拡大傾向にあるところでございます。
こうした状況の中、利用者のさまざまなニーズに応え、利便性の高い公共交通網を維持、確保していくためには、県、市町村が連携し、交通ネットワークを構築していく必要があると考えております。特に、市町村の域内交通につきましては、高齢者を含めた地域住民、それから関係者の積極的な参画と連携のもと、市町村が設置する地域公共交通会議等におきまして、域内交通のあり方やコミュニティーバス、デマンド交通を含む適切な輸送手段、路線形態、サービス水準や利用促進策などについての十分な議論が求められていると考えております。また、その議論の結果をもとに、地域公共交通網形成計画などの策定につなげていくことが重要であると考えております。
県としては、これまで、市町村の計画策定の支援やコミュニティーバス、デマンド交通導入の支援を実施してきたところでございますが、本年度は、これらの取り組みに加え、新たに地域内公共交通構築検討会を設置し、市町村とともに地域内公共交通への支援制度の検討を進めているところでございまして、今後も市町村と連携しながら公共交通の確保に取り組んでまいります。
〔総務部長八重樫幸治君登壇〕
〇総務部長(八重樫幸治君) 公用車のドライブレコーダーの装備についてでありますが、本年2月に監査委員が公表した平成30年度行政監査結果報告書によると、県が使用する公用車983台中、ドライブレコーダーが装備されているものが44台、装備率4.5%となっています。一方、本庁の集中管理車両として運用している管財課の公用車については、20台中7台に装備しているところであります。
集中管理車両については、職員がみずから運転する公用車に比べて走行距離が多いことなどを勘案し、昨年度より順次ドライブレコーダーの装備を進めているところであり、各部が管理する公用車についても更新等に合わせ、順次装備を進めてまいります。
〔農林水産部長上田幹也君登壇〕
〇農林水産部長(上田幹也君) まず、農業大学校におけるGAP教育の現状等についてでありますが、GAPは、みずからの農業生産活動を正確に実施、記録、点検、評価することにより経営改善を図る取り組みであり、これにより食品の安全や品質等が確保され、消費者からの信頼が得られるものであります。このため、農業大学校では、平成30年度にカリキュラムを改定し、国際標準GAPに関する専門知識の習得と実践力の向上を目的としてGAP概論を新設したところであります。
農産園芸学科では、令和2年度のアジアGAP認証の取得を目指し、農産、野菜、果樹の各分野において農場の環境改善等に取り組んでいるほか、畜産学科では、GAP認証の基礎となる農場HACCP認証の取得を目指し、農場の衛生管理方針策定等に向けた取り組みを開始したところであります。
また、県内のGAP認証取得農場数でありますが、令和元年5月末現在、グローバルGAPが2農場、アジアGAPが11農場、JGAPが10農場となっており、昨年同期に比較して11農場増加しております。さらに、県版GAPの確認登録農場数も全国6位となる186農場と大幅に増加しており、今後とも、GAPの取得拡大に向けた取り組みを強力に進めてまいります。
次に、GAPの認知度向上についてでありますが、GAPの取り組みをより効果的に進めていくためには、生産者のみならず、実需者や消費者のGAPへの理解を深めることが重要であります。このため、国においては、流通、加工、小売業者等を対象に、GAPの意義やメリットに関する理解醸成を図るため、GAP認証農産物を取り扱う意向を有している実需者を募り、GAPパートナーとして農林水産省のホームページに掲載しております。
また、県では、関係機関、流通業者等で構成する岩手GAP推進チームが仲卸業者等に対しまして、県内におけるGAPの取り組みについて情報提供するとともに、国が主催するイベントや、県内の大規模小売店における東京2020オリンピック・パラリンピック関連イベントなどの機会を活用し、消費者等に対し、GAPの意義や安全・安心な農畜産物の生産に向けた産地の取り組みなどをPRしております。今後とも、消費者等のGAPへの理解度向上に向け、積極的に取り組んでまいります。
次に、農業データの連携についてでありますが、農業データ連携基盤─通称WAGRIと申しますけれども─これは、国が気象や農地、地図情報等のデータシステムを提供し、民間企業が行うサービスの充実や新たなサービスの創出を促すことで、農業者等がさまざまなサービスを選択、活用できるようにするものであります。WAGRIを活用し、異なるメーカーのシステム間での相互連携が進むことで、各農家がデータをフル活用して最適な栽培管理を選択、実施できるようになることが期待されております。このため、県では、国におけるWAGRIの開発状況や、民間企業が生産者等に提供するサービスの動向などを注視しながら、WAGRIの積極的な活用について研究してまいります。
次に、ドローンを活用したカワウ対策の研究についてでありますが、カワウによる水産資源の被害は、内陸の北上川水系や馬淵川水系、沿岸河川など県内各地で確認されており、内水面漁業を振興する上で、カワウ被害の防止に向けた取り組みを進めることが大変重要と認識をしております。このため、県では、平成22年2月に、岩手県カワウ等被害防止対策協議会を設置し、これまで内水面漁業関係団体や県猟友会、関係市町村等と連携し、年2回の生息調査を実施するほか、平成30年度には286羽の駆除などを行ってきたところであります。
ドローンの活用につきましては、全国的にはカワウの巣にドライアイスを投入する繁殖抑制、大音量による追い払い等の研究が進められているところであります。県内では、岩手県内水面漁業協同組合連合会が岩手大学と連携し、生息調査の一環として、繁殖地やねぐらの位置を特定する研究を進めているところであります。
県としては、これらの研究成果を関係者と情報共有を図りながら、引き続き、カワウ被害の防止に積極的に取り組んでまいります。
〔県土整備部長八重樫弘明君登壇〕
〇県土整備部長(八重樫弘明君) リノベーションまちづくりについてでありますが、活用されていない住宅や建築物を改修し、新たな用途や機能を与えることによりまちの魅力を高めていくリノベーションまちづくりは、地域を活性化する重要な取り組みであると認識しております。
県では、これまで、リノベーションまちづくりにかかわる人材の育成を図るためのスクールの開催や、機運醸成のためのフォーラム等の開催、先進的事例の周知に取り組んできたところであり、今年度は、花巻市においては、前年までに引き続き3回目のリノベーションスクールが開催されるほか、岩手町、葛巻町、紫波町等においても講演会やワークショップが開催されるなど、リノベーションまちづくりの取り組みが広がってきております。
また、今年度から、住宅の状態を検査し、住宅を求める方に対し情報提供を行ういわゆるインスペクション制度を活用しまして、空き家となっている既存住宅の適正な流通を促していくための取り組みを進めていくこととしております。
〔教育長佐藤博君登壇〕
〇教育長(佐藤博君) まず、登下校時の子供たちの安全性の確保についてでありますが、本県では、国の登下校防犯プランに基づき、地域、関係者等の連携、協力のもと、通学時の子供たちの安全確保を推進してきたところであり、今般、川崎市で発生した事件を受け、県立学校や市町村教育委員会に対し、スクールガードの見守り等による集団時の安全確認について改めて要請したところです。
県教育委員会としては、引き続き、登下校のルートや時間帯等について、保護者やスクールガード等と確認を行うとともに情報を共有するなど、地域の実情に応じた見守り活動を行い、登下校時の安全に万全を期していくこととしております。
また、園児等の散歩コースの安全確保については、園児を含む未就学児が日常的に使用する集団移動経路の緊急安全点検等の実施について、保育園、幼稚園等を所管する担当部局から関係機関に要請したところです。県では、引き続き、関係機関等との連携による安全確保を推進してまいります。
次に、農業高校におけるGAP、HACCPの取得についてでありますが、全国農業高等学校長協会が示す方針においては、農業を学ぶ全ての生徒が工程管理の考え方を学習できるようにするとともに、GAP、HACCP等の教育や認証取得の推進、教職員の指導力向上を目指した研修等の機会の設定に努めることとされています。これを踏まえ、本県の農業高校においても、農林水産部等と連携して、農業高校における実践的な農業経営者の育成を視野に農業教育を推進しているところであり、現在、盛岡農業高校がリンゴで岩手県版のGAP確認を受けています。
今後も、農業高校においては、農業生産技術の習得に加えて、経営感覚を兼ね備えた人材として必要な資質、能力の育成に資するよう、GAP取得に向けた取り組みを進めることとしています。
また、次期高等学校学習指導要領においても、農業生産や農業経営の分野においてGAPやHACCPに関する学習内容が充実されたところであり、県教育委員会としては、今後も農林水産部等と連携を図り、農業高校でのGAP及びHACCPの認証取得に向けた取り組みを推進していくこととしております。
〔警察本部長島村英君登壇〕
〇警察本部長(島村英君) まず、高齢者の運転免許返納の取り組みについてでありますが、65歳以上の方の運転免許の自主返納件数は、平成25年の612件から、平成30年は3、752件と年々増加しております。本年につきましては、5月末現在で前年同期比151件増加の1、759件であり、5月中は440件と、月別では過去最多となっております。
自主返納の周知対策につきましては、自主返納制度について高齢者講習通知書や運転免許証更新連絡書に記載しているほか、県警ホームページや交番、駐在所作成のミニ広報紙において周知し、さらには運転適性相談等の機会を捉え、自主返納を働きかけております。
県警察といたしましては、市町村や企業、団体による返納後の支援策を含め、幅広く周知してまいります。
次に、パトカーに装備されたドライブレコーダーについてでありますが、パトカーは、犯罪等の防止、検挙や交通事故防止等のため警ら警戒活動を行っており、ドライブレコーダーに記録された情報が捜査上必要と認められる場合は、これを有効活用すべきものであります。また、公用車事故発生時の正確な状況把握の資料ともなることから、県警察といたしましても、車両更新等に合わせ、順次装備を進めてまいります。
次に、防犯カメラの設置についてでありますが、県警察におきましては、平成10年3月から、盛岡市大通地区に防犯カメラを2台設置しております。市町村や民間において設置するカメラを含め、防犯カメラにつきましては、犯罪の抑止のほか、事件、事故等の解決に有効であると考えております。
また、平成30年6月22日、登下校時の子供の安全確保に関する関係閣僚会議で決定されました登下校防犯プランにおきまして、防犯カメラの設置に関する支援、防犯まちづくりの推進が盛り込まれたところであります。
県警察といたしましては、市町村の防犯カメラの設置を支援するとともに、引き続き、関係機関、団体と連携の上犯罪抑止活動を推進し、安全・安心なまちづくりに努めてまいります。
〇議長(佐々木順一君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〇18番(名須川晋君) それでは2点ほど質問させていただきます。
公用車、パトカーのドライブレコーダーの件でございますが、総務部長は、先ほど行政監査結果報告書によるとということで監査結果報告書の事例を挙げましたが、そこにデータを上げているのが総務部ではないわけですか。恐らく、資産として、消耗品ということで把握されていないのかと思いますが、答弁は、監査結果報告書によるとということではないのではないかと。そもそも、では、知事部局のほうで装備率を押さえていないわけでしょうか。
それと、パトカーですけれども、二十三、四%ということでございまして、これから更新に合わせてということでございましたが、資料をいただくに当たっては多少時間がかかったという状況がありまして、その背景は、消耗品なのでドライブレコーダーというのはちょっと調べないとわからないということでございました。いわゆる10万円以下ということで、警察本部としては一つの指針というのが特にないわけですね。恐らく、各警察署の判断によって装備をするということではないのですか。それぞれの上司の判断とか、そういうところにあるのではないかと思いますが、これから100%つけていくべき装備だと私は思うのですけれども、しっかりそれを方針として、これは知事部局も教育委員会もそうですけれども、しっかりと掲げて取り組むべき内容だと思うのですが、いかがでしょうか。
それとGAPについて、今は盛岡農業高校が取得しているということでございますが、現実として、具体的に、どこの高校がこれからGAPを取得しようとしているのかということでございます。GAPを取得するにも、この前、福島県の岩瀬農業高校を視察させていただきましたが、やはり施設の老朽化によって改修、改善が必要であるということで、200万円とか300万円予算措置をしていただいているということでございました。やはりそういうところへの配慮もしなければいけないわけで、例えば今年度どこかに予算を措置しているとか、来年度こうしようという考えを持っているとか、そういうところについてお聞かせいただけますでしょうか。
何かいまいち高校には、GAP、HACCP等教育の推進についてという全国農業高等学校長協会が発した方針が浸透していないというふうに私は認識しておりますし、やはり若い人たち、高校生がその取得に携わることで岩手県内の農業に広がっていくのだという認識で農林水産部のほうも積極的に農業高校の取得に取り組んでいただきたいと思いますが、GAPについては教育長にお伺いいたします。
以上、2点でございます。
〇総務部長(八重樫幸治君) 公用車のドライブレコーダーの装備率についての答弁でありますけれども、公用車983台については、本庁に126台ございまして出先機関で857台所有しておりますけれども、出先を含めまして、総務部が一括してその983台を管理しているわけではなく、更新等も含めて各部が管理しているという形でございますので、総務部で983台全ての装備品を把握しているわけではありませんでした。お答えには、平成30年度に行われた行政監査結果報告書でドライブレコーダーの装備状況の結果がございましたので、その数値を申し上げたものでございます。
〇警察本部長(島村英君) まず最初に、警察本部でドライブレコーダーの数値を把握していないのかという御質問につきましては、今回、各警察署のほうに調査をかけまして集計したので議員御指摘のとおりちょっと時間をいただいたのですけれども、そういったことで、本部のほうで直ちにお答えできるということではございませんでした。
それから、2点目が方針を掲げて推進していくべきではないかという御指摘でありますが、先ほど、まさに車両更新等に合わせ、順次、装備を進めてまいりますとこの県議会で私が御答弁申し上げましたので、それが方針というふうに考えております。
〇教育長(佐藤博君) 盛岡農業高校では、現在、岩手県版GAPを取得しているわけでございますが、今年度はアジアGAPの取得について検討しているという状況でございます。
また、盛岡農業高校以外では、花巻農業高校が岩手県版GAPの取得について、それから水沢農業高校ではJGAPの取得に向けて検討しているという取り組みを進めております。
〇18番(名須川晋君) 最後、ドライブレコーダーの件でございますが、県として、一つの指針というか基準をつくったほうがいいのかなと今、感じたところでございます。走行距離数で、ある程度多い車とか課のところはつけるとか。総務部で全く押さえていないというのはちょっと意外なところでございましたし、パトカーのほうも意外ですけれども、更新に合わせてとなるとまた何年もかかるわけで、恐らく消耗品で勘定区分しているとすれば割とすぐにつけられる装備なのかと思いますので、その辺での早期の対応について求めたいと思いますが、いかがでございましょうか。
〇総務部長(八重樫幸治君) 公用車の装備品の関係でございますけれども、議員御指摘のとおり、例えば登録の古い公用車であればあるほど装備品の装備がなされていないという状況がございます。しかも、その装備品というのは、ドライブレコーダーだけではなく、例えばバックモニターであるとかナビゲーションシステムとか、そういったものについてもついているものもあればついていない公用車もありますので、議員の今の御意見も踏まえながら、あるいは先ほど御答弁申し上げたとおり、比較的走行距離が多いことなどを勘案して、管財課の集中管理公用車については順次ドライブレコーダーの装備を進めているところでございますが、走行距離、あるいはどういったときに装備をしていくかについても検討させていただきたいと考えております。
〇警察本部長(島村英君) ドライブレコーダーの価格は、今回、御質問いただいたのでいろいろ聞きましたところ、高い、低いはあるのですけれども、おおむね3万円程度のものがあると伺っています。捜査用車、パトカー、白バイ、輸送車等、県警本部はたくさんの車両を保有しており、予算に限りがありますので、今、この場で全ての台数をやりますというようなことはお約束できませんけれども、御指摘を踏まえて検討していきたいと考えております。
〇議長(佐々木順一君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後5時5分 散 会

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