令和元年6月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇11番(田村勝則君) 一般質問の許可をいただきました創成いわての田村勝則であります。
初めて県政に参画して4年がたとうとしております。この間、会派の代表、先輩議員、そして今期で勇退を表明された畏友、工藤誠氏の御所野遺跡の世界遺産登録、県北振興にかける熱意に触発され、また、折々の厳しくも温かい叱正に奮起し、微力ながらも県民のため、思い一筋に活動できたことは幸せなことでした。そして本日、このような登壇の機会をいただきました議員各位にも、あわせて御礼を申し上げます。
去る5月1日、上皇陛下におかれましては御譲位なされ、今上陛下が御即位あそばされました。国民の一人として、上皇陛下へ敬意と感謝を、今上陛下の御即位のお祝いを心から申し上げる次第であります。
令和の元号は、今回初めて我が国の古典である万葉集を典拠とし、万葉集精考の著書もある紫波町出身の名誉町民、菊池寿人氏が存命であれば大いに喜んだことと思います。
知事は、2月定例会の演述で、新元号元年は、本県にとっても未来に向かう出発の年となると述べられました。私も、令和の時代が、我が国の文化が生まれ育ち、世界からも尊敬される日本になるよう願い、質問に入ります。
まず初めに、知事の目指す希望郷いわての実現について伺います。
知事は、平成21年に策定したいわて県民計画に基づく希望郷いわての実現に向け、産業・雇用、農林水産業、医療・子育て・福祉、安全・安心、教育・文化、環境、社会資本・公共交通・情報基盤の七つの政策分野における取り組みを着実に進めるとしています。その船出に当たっては、オール岩手で施策を推進するとの思いも示されました。
さきの予算特別委員会における答弁では、いっしょに育む希望郷いわての基本目標のもと、仕事、暮らし、学び・こころの三つの分野の将来像を示し、県民が希望を持つことができる社会を実現すべく、取り組みを進めてきたとの答弁でありました。また、いっしょに育む希望郷いわてという現計画の基本目標に、かなりの程度近づくことができたとも述べておられます。しかし、私は、知事の評価する例えば三つの分野の仕事では、自動車や半導体関連産業を中心とした産業集積は進んでいるものの、人材、雇用、住宅の確保といった点で新たな課題も出ていると考えます。
暮らしについては、人口10万人当たりの病院勤務医指数の増加や、保育所整備、子供の貧困対策などの取り組みについても進展していると述べられました。進展はそのとおりだと存じますが、一方で、待機児童がふえているなどの深刻な自治体もあり、県として、さらに踏み込んだ対策が求められていると私は考えます。
三つ目の学び・こころについても、知事は、平泉や橋野鉄鉱山の世界遺産登録の実現、文化芸術、スポーツの分野における国内外での活躍を挙げ、多くの成果を上げているとしております。世界遺産における観光面での実績評価やラグビー競技場の新設がなされたものの、野球やサッカーなどのプロスポーツ施設の整備などについては、まだまだ立ちおくれているとの見方もあります。
また、こころの点では、いまだに自殺やいじめ、子供への虐待などの痛ましい事件が発生するなど、解決困難な問題も生じております。誰もが心豊かに生きられるように、ひとりとして取り残さないという精神に少しでも近づくための施策の展開、努力が求められていると思います。
そのような視点で見れば、知事の描く希望郷いわてとしての将来像が、例えば宮沢賢治の農民芸術概論綱要の序論に書かれている有名な言葉、世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ないという思想とつながるとするならば、その道程は厳しく遠いものと感じます。しかし、私はその実現を否定的、悲観的に捉えているわけではありません。賢治は序文の結びで、求道すでに道であると言っています。この卓見、考え方に沿うならば、その道がいかに困難を伴う長い道程であっても、県民のため、前向きに進むことが肝心ということと私は捉えております。
そこで知事に伺います。知事は、これまでの取り組みを通して、御自身の目指すあるいは思い描く希望郷いわてに、山で例えると、どの程度のところまで到達したとお考えなのか、率直な所感を伺います。
今年度からスタートいたしました総合計画について伺います。
この計画は、長期的な岩手県の将来を展望し、県民みんなで目指す将来像と、その実現に向けて取り組む政策の基本方向を明らかにするものとなっており、計画の期間を今年度から10年間としています。この中に、新しい時代を切り拓くプロジェクトとして、11のプロジェクトが掲げられておりますが、まず、北上川バレープロジェクトについて伺います。
この件については、昨日、関根議員も取り上げておりましたので前段は省略いたします。
このプロジェクトには、大いに私自身期待をしておりますが、県南広域振興圏における現実問題として、ものづくり産業などの人手不足や住まいの不足などの問題も深刻と聞きます。この最も重要な人材の確保について、県としてどう対処し、どのように乗り越えようと考えておいでか、お示しをいただきます。
また、このプロジェクトの取り組みの成果が、沿岸地域を初めとした他地域に速やかに波及していくことも重要と考えます、いかがでしょうか。
さらに、盛岡市、矢巾町、紫波町を含む県央圏域の産業振興も重要な施策、ポイントになります。その取り組みとして、今後どのような施策を進めようとしているのか、あわせてお伺いいたします。
また、このプロジェクトの中で、この圏域の果たす役割あるいは効果、その点をどのように考えておられるのかもお示しいただきます。
農業の振興策について伺います。
総合計画の農林水産業高度化推進プロジェクトでは、農林水産業の高度化を推進し、収益性の高い農林水産業の実現を目指すとしておりますが、その推進のためには、多岐にわたる取り組みが必要なことは申すまでもありません。その中でも、とりわけ重要な取り組みの一つに農地集積があります。
この事業では、今後10年間で、担い手の農地利用が全農地の8割を占める農業構造を実現することを目標に、都道府県に一つの農地中間管理機構、いわゆる農地集積バンクを設け、市町村や農業関係団体と連携して農地の集積、集約化を進めているわけでありますが、農地中間管理機構が動き出して5年、新たに担い手に集積された面積は8万6、698ヘクタールで、政府目標74万6、050ヘクタールに対する割合は12%と、極めて低調な状況にあります。そのため、停滞の改善に向けて、人・農地プランの具体化や農業委員会の役割の明確化、関係組織の協力体制の強化などが盛り込まれた改正関連法が5月に成立いたしました。この改正法成立により、農林水産省は、農地の集積、集約の加速化を図りたいとしております。
そこで、本県の現状はということでありますが、去る6月14日の日本農業新聞に、都道府県別実績ランキングが掲載されておりました。これは、目標集積面積に占める農地中間管理機構の新規集積面積の割合で順位づけたもので、1位は福井県、集積面積は2、682ヘクタール、目標面積に占める割合は34%であります。本県は6位となっております。
また、関係課から提供いただいた平成30年6月に東北農政局が取りまとめた資料によれば、耕作面積に対する担い手への集積面積の多いのは奥州市、1万1、847ヘクタール。以下、花巻市、一関市の順となっています。集積率は県全体で51.9%となっており、高いのは81.2%の矢巾町、次いで紫波町、金ケ崎町となっております。
本県における今後の農地集積、集約の加速化を図るためには、農地中間管理機構と地域に近い組織とのより一層の連携強化を図ることが必要であることは申すまでもありません。そのためには、農家の声に耳を傾け、事業要件の緩和など、きめ細かい取り組みが求められると考えます。また、中山間地などの条件不利地への積極的な取り組みも欠かせません。県として、今後の農地集積、集約化をどのように進めようとしているのか伺います。
次に、肉用牛、養豚振興策についてであります。
全国規模で畜産農家の減少が課題となっています。農林水産省畜産統計によれば、本県においても、肉用牛については、平成26年が繁殖、肥育合わせた飼養戸数は5、660戸であったものが、平成30年には1、100戸の減少、飼養頭数は約9万頭から微減。豚の飼養戸数は、平成26年には123戸であったものが、平成30年には13戸の減、飼養頭数も約45万頭から3万頭の減少ということでありますが、畜産による食料供給県として、今後さらに深刻な状況になるのではと危惧するものであります。その要因は、担い手不足や飼料価格の高どまりなどによる経営の難しさ、近年のTPP発効による影響、環境問題があると推測いたしますが、困っている畜産農家に寄り添った支援策を講じる必要があります。
そこで、県として畜産業の現状をどのように捉え、今後の振興策をどのように進めようと考えておられるのか伺います。
また、現在、国や県などの補助により、大規模な増設工事を進めている第三セクター、株式会社いわちくについてでありますが、私が東京のアンテナショップ、いわて銀河プラザを訪れた際、いわちく製品の売れ行きは好調とのことでありました。近年は輸出についても力を入れていると伺っております。よいものは世界でも通用します。販路の拡大に向けて、県として、その支援策、現在の実績についても伺います。
農業振興策の最後に、桑という地域資源を活用した事業への支援策についてお聞きします。
古くから我が岩手には桑の文化がありました。近ごろは健康志向の高まりにより、さまざまな健康食品が販売されており、青汁の原料として桑の葉が人気なのだそうであります。既に、北上市に、この桑を利用した付加価値のある新商品の開発や蚕の飼育などに取り組んでいる会社があります。紫波町でも里山に桑の木を植え、地域の活性化につなげようと里山振興プロジェクトを立ち上げる計画があります。
このように、桑などの地域資源を活用し、地域活性化を図ろうとする取り組みに対する県の支援策について伺います。
次に、水害対策について伺います。
礒田道史という歴史学者は、地震や自然災害の多い日本人は災間、つまり、災いと災いの間を生きているのだと述べています。全国各地で豪雨による甚大な水害が頻発している昨今、災害への不安と恐怖は常につきまとっており、この現実はまさに災間を生きているということなのだろうと思います。
このような中、国は、国土強靱化基本法に基づき国土強靱化基本計画を策定し、防災・減災、国土強靱化のための3カ年緊急対策として160項目の対策事業を定めております。この中には、河川の堤防強化対策や河道掘削なども含まれております。
1級河川である北上川は、近年、大雨による洪水や浸水被害が頻発していることから、現在、上流地区において国による整備が進められておりますことに、まずは感謝申し上げます。しかし、その進捗率も低いため計画に対する未整備地区も多く、また、新たに整備を必要とする地区も見受けられております。そのため、北上川周辺住民の不安は消えることはありません。
この災間を生きている住民の不安を早期に払拭するためにも、必要な予算の確保や整備促進について県として国に対し強く働きかけるべきと考えますが、いかがでしょうか。
また、洪水によって著しい被害が生ずることのないよう、滝名川、岩崎川の整備状況と今後の対策についてもあわせて伺います。
障がい者や高齢者が暮らしやすいまちづくりについて伺います。
今から13年前、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律が施行されました。通称バリアフリー新法の目的は、高齢者や全ての障がい者、妊婦、けが人といった何らかの不自由を抱えている人々の利便性や安全性を向上させるためにつくられ、公共施設などのさまざまな施設においてバリアフリー化の取り組みが進んでいることは喜ばしいことと思います。しかしながら、公共交通機関である鉄道の駅においては、1日当たりの平均利用者数3、000人以上といった基準があるため、県内の主要駅と一部の駅以外はエスカレーターなどの設置はなく、高齢者や障がい者の方々には依然として不便な状態が続いています。
障がい者や高齢者の方々の利便性や安全性を確保するためにも、一定の乗降客を有する駅には、基準の見直しも含め、エスカレーターやエレベーターの設置をするよう関係機関に働きかけるとともに、県としてもその支援策を考えるべきと思いますが、いかがでしょうか。
次に、子育て環境の整備促進についてであります。
高齢化対策とともに重要なのは、子育てしやすい環境の整備であることは異論の余地はないと考えます。
厚生労働省は、待機児童解消加速化プランによる支援事業を行ってきたのでありますが、いまだ本県での保育所等待機児童は解消されておりません。県は、その実情についてつぶさに調査し、自治体とも協議、連携して解消支援策を講じるべきと考えますが、実態の把握と具体的な取り組みについて伺います。
続いて、県内の公立学校における冷房設備の設置状況について伺います。
地球温暖化による異常気象が続いております。特に、ことしの5月には全国各地で5月の最高気温の記録を更新、学校で熱中症になる子供も多く、命にかかわる問題として喫緊の対策が求められております。
文部科学省によれば、平成30年9月1日現在の公立小中学校の普通教室への空調設置率は、全国平均で58%にとどまっています。そこで、国は、急務となっている熱中症対策として、空調整備予算822億円を平成30年度補正予算で計上しております。本県においても、早期に全学校、教室に冷房を設置し、授業に専念できる教育環境を整える必要があります。
県内の公立小中学校における普通教室への冷房設置状況、今後設置を予定している学校数、県としての取り組みについてお聞かせ願います。
いじめ、不登校対策についてであります。
全国の国公私立の小、中、高、特別支援学校が平成29年度に認知したいじめは、前年度より9万1、235件増の41万4、378件であります。過去最多を更新したことが文部科学省の問題行動・不登校調査でわかったと報じられておりました。また、県教育委員会によると、本県の公立学校のいじめ認知件数は6、653件、前年度から903件ふえ、2年連続で過去最多を更新。また、不登校の児童生徒数は全体で1、403人、小学校では201人と15年ぶりに200人を超え、大きな課題となっています。
このような状況を踏まえ、当局において、いじめや不登校に対するきめ細かい対応策を練る必要があります。これまでの取り組みと成果について、今後の取り組みについてもお聞かせ願います。
先人教育についても伺います。
私の好きな言葉の一つに、古人の跡を求めず、古人の求めたる所を求めよという松尾芭蕉の言葉があります。
総合計画長期ビジョンの教育分野には、強み・チャンスとして、司馬遼太郎が、明治以後、最大の人材輩出県は岩手県と評していることや、岩手県には多くの偉人を育んできた人づくりの土壌があることを挙げています。既に盛岡市は、先人記念館を初め、学校などでの先人教育を進めております。県民性に根差した情緒豊かな児童生徒に対し、歴史に残るすぐれた業績を残した偉人、先人教育を通じて、先人たちがさまざまな困難を乗り越え、希求したものは果たして何であったのかを学ぶことは確かな成長の糧となると考えます。本県の児童生徒の人間力向上のためにも、先人教育を積極的に取り入れるべきと考えますが、いかがでしょうか。
次に、文化財や民俗芸能などの活用支援策について伺います。
総合計画には、世界遺産の保存と活用を進め、過去や現在から未来に引き継ぎたい地域の歴史や伝統文化を学び、受け継ぐことにより、岩手や地域への誇りや愛着を実感できる取り組みを展開するとあります。
6月24日の岩手日報地域欄には、民俗芸能に関する記事が4カ所に掲載されておりました。この中で、北上市民俗芸能団体連合会は北上市民俗芸能協会に名称を改めたとの記事がありました。その主な理由として、会員団体が昨年実施したアンケートによると、4分の1が今後の継承の見込みについて、困難、わからない、休止中として維持、継続が課題になっていることからの再編のためとのことであります。
文化財や民俗芸能は、我が岩手県のかけがえのない宝であります。その具体的な活用、支援策について、どのような取り組みをお考えか、伺うものであります。
最後に、今からさかのぼることおおよそ2、500年前に生きていた孔子は、後生畏るべし。いずくんぞ来者の今に如かざるを知らんやとの名言を残しております。私も、名言は残せませんが、岩手の未来、そして若者に、大いに希望と期待を持っている者の一人であります。しかし、今を生かされている者として、その責務も感じつつ、私の考えを申し述べた次第であります。
当局の真摯な答弁を求め、私の一般質問を終わります。
なお、答弁によっては再質問もいたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 田村勝則議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、希望郷いわての実現度についてでありますが、この10年間、いわて県民計画に掲げるいっしょに育む希望郷いわての基本目標のもと、県政の推進に取り組んできたところでありまして、特に印象に深いものを挙げますと、順不同ではありますが、東日本大震災津波からの復興の進展に伴います新しい交通ネットワークの形成や、港湾の機能拡充が進む中で、ガントリークレーン整備や本県初となるフェリー航路の開設、三陸鉄道リアス線の開通があったこと、平成28年の希望郷いわて国体、希望郷いわて大会が成功したこと、東芝メモリの新工場建設やデンソー岩手の大規模増設など、ものづくり、半導体産業集積の一層の加速があったこと、いわて花巻空港において国際定期便として台北、上海便が開設したこと、県立療育センターと県立盛岡となん支援学校が開所、開校されたこと、ラグビーワールドカップ2019の釜石開催決定など、短い時間では語り尽くせないものがございます。これらは、県民を初め多くの主体と一体となって一歩一歩着実に歩んできた成果であり、県民一人一人が希望を持つことができる社会経済環境はかなり整ってきているものと考えます。
一方、議員御指摘のとおり、人手不足の問題や、また待機児童の増加など課題も多くございますことから、いわて県民計画(2019〜2028)のもと、幸福の実感に関連する10の政策分野の取り組み等を推進し、いわて幸福関連指標も活用しながら、県民一人一人が希望を持つことができる希望郷いわての実現をより確かなものにしていきたいと考えております。
次に、北上川流域における人材の確保についてでありますが、人口減少に伴う全国的な人手不足の中、北上川流域は、県央広域振興圏における都市機能や学術機関、IT産業等の集積や県南広域振興圏におけるものづくり産業の集積が進み、雇用が著しく拡大していることから、その人材確保が重要な課題となっています。これは、一方では、岩手の経済、産業を発展させ、また、県民一人一人が豊かな暮らしを得ることにつながる大きな好機と認識しております。このため、岩手への新たな人の流れを形成するために設立したいわてで働こう推進協議会を核として、雇用、労働環境の改善に向けた働き方改革や、新卒者等の県内就職、U・Iターン等を推進しているところであります。
新卒者等の県内就職については、これまでも実施してきた高校生や大学生向けの企業見学会やインターンシップに加え、生徒や保護者を対象とした企業ガイダンスの全県的な実施などにより、新卒者等の地元ファースト、岩手ファーストといった意識の醸成に取り組んでおります。
U・Iターンの促進については、今年度は、U・Iターン支援と移住、定住促進を一体的に推進するための組織再編と、東京事務所に専任の課長を駐在させるなどの体制強化を図っているところでありまして、さらには、U・Iターンマッチングコーディネーターによる首都圏大学の理工系学部への訪問活動の強化や、昨年度設立した岩手U・Iターンクラブ加盟大学との連携強化などに取り組んでおります。若者の地元志向は着実に高まってきていると認識しておりまして、岩手で働き、岩手で暮らすことを望む人たちの希望に応えられるよう、これらの取り組みを強力に推進してまいります。
次に、北上川バレープロジェクトの成果の他地域への波及についてでありますが、北上川流域における産業集積及び生活環境の充実の効果や、さらには第4次産業革命技術による生産性の向上や各種生活関連サービスの高機能化などの成果を速やかに他地域に波及させ、全圏域の産業、経済が活性化することにより、県民全体の暮らしが豊かになることが重要と考えております。
県では、これまでも自動車や半導体などを中心に、国際競争力が高く、経済成長の牽引役となるものづくり産業の発展を目指し、全県域において強固なものづくり基盤の形成に努め、県北・沿岸地域に立地する企業における新規受注や取引拡大などにつなげてきているところであります。今後、展開していく北上川バレープロジェクトにおいても、多様な産業集積の効果を県北・沿岸地域に波及させるような取り組み、さらには、プロジェクトの成功事例の発信や、取り組みスキームの共有等を通じて他地域での取り組みを促進し、より働きやすく、暮らしやすい岩手県の実現につなげてまいります。
その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔商工労働観光部長戸舘弘幸君登壇〕
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) 県央圏域の産業振興についてでありますが、この圏域は、都市機能や学術機関、IT産業等が集積し、本県生産額の3分の1を生み出しているほか、県内一の消費地であることを背景として、第3次産業の生産額が8割を超え、その中でも、情報通信業はこの分野における本県生産額の5割を超えるなど、全県を牽引しています。
北上川バレープロジェクトでは、こうした県央圏域の強みとものづくり産業が集積する県南圏域の強みを生かし、県央圏域に集積しているIT企業と北上川流域のものづくり企業とのマッチングによる取引拡大や、第4次産業革命技術の導入による企業の生産性の向上を促進してまいります。さらに、学術機関が集積している強みを生かした、岩手大学や岩手県立大学などとの産学行政の連携した取り組みを一層強化するとともに、岩手医科大学などとの医工連携による新事業の展開も促進してまいります。
このように、IT産業や学術機関等が集積している県央圏域がこのプロジェクトにおいて果たす役割は重要であり、その強みをさらに伸ばしていきながら、県南圏域の強みと掛け合わせることにより、北上川流域全体の産業の生産性向上や付加価値向上、新たな製品、サービスの創出等の効果を生み出し、北上川バレーエリア全体の産業振興につなげてまいります。
〔農林水産部長上田幹也君登壇〕
〇農林水産部長(上田幹也君) まず、農地集積の進捗状況についてでありますが、本県では、農地中間管理機構である岩手県農業公社を中心に、関係機関が一体となって地域農業の核となる担い手等への農地集積の取り組みを進めてきた結果、貸付面積や新規集積面積では全国トップクラスに位置するなど、一定の成果をおさめてまいりました。
一方で、農地の集積、集約化のさらなる推進に向けましては、平場地域では、新たな農地の出し手の確保や、中山間地域では、農地の受け手となる担い手の確保などが課題となっております。本年度秋に予定されている農地中間管理制度の見直しを見据え、改めて、地域の農地を将来にわたりどのように利用していくか、議論を深めながら、農地集積等の取り組みを強化していくことが重要と考えております。
このため、県では、市町村、農業委員会等の関係機関、団体との連携をさらに強化し、集落での話し合いを活性化させ、農地利用の方針を明らかにしながら担い手への農地集積等につなげていくほか、特に中山間地域においては、担い手が借り受けしやすくなるよう、農地の排水機能を高める簡易な圃場整備への支援などを進めていくこととしております。
また、現在、農地中間管理機構である県農業公社と農業委員会ネットワーク機構である県農業会議とともに全ての市町村を訪問し、地域での農地集積の取り組みの強化を促す農地集積・集約化キャラバンを実施しているところであり、今後においても、関係機関、団体と連携を密にしながら、担い手への農地集積等が着実に進むよう取り組んでまいります。
次に、肉用牛、養豚振興策についてでありますが、本県の肉用牛は、飼養頭数、産出額において全国トップクラスの地位にあるものの、1戸当たりの経営規模は小さく、また生産コストも高くなっておりますことから、経営体質の強化に向けて、規模の拡大や生産性の向上を進めることが必要であります。
このため、規模拡大を志向する生産者の皆様の牛舎等の整備に加え、優良な繁殖雌牛の導入やサポートチームによる分娩間隔の短縮、子牛の発育改善などの支援に取り組んでいるほか、小規模農家も含めた肉用牛経営体を支援するキャトルセンターや公共牧場の機能強化を進めております。
また、養豚につきましては、1戸当たりの経営規模が全国第5位であり、地域経済を支える産業として重要な役割を担っており、さらなる生産力の向上に取り組んでいくことが必要であります。
このため、いわゆる豚マルキン(養豚経営安定対策事業)など経営安定対策を強化するとともに、豚コレラなどの家畜伝染病の発生を防ぐための衛生対策を強化するほか、さらなる規模拡大に向けての畜舎等の整備や畜産GAPの取り組みなどを支援しているところであります。
今後とも、こうした取り組みにより生産性や経営力の向上による収益力の強化を図るとともに、消費者から信頼される産地づくりに取り組んでまいります。
次に、いわちくの販路の拡大等についてでありますが、いわちくでは、牛肉は香港や米国など12の国、地域、豚肉は香港における輸出食肉取扱施設の認定を取得しております。その輸出拡大に向けましては、関係機関、団体、企業とで構成するいわて農林水産物国際流通促進協議会を主体といたしまして、輸出先国でのフェアの開催やバイヤー招聘などに取り組んできたところであります。
また、現在、いわちくが行っている豚食肉処理施設の整備については、県としても財政支援を行っているところであり、事業は年度内に完了し、令和2年4月から稼動開始の予定であり、さらなる輸出拡大が期待されるところでございます。
いわちくの平成30年度の輸出実績でございますが、牛肉では前年対比28%増の約267トン、その輸出先は香港や米国等となっております。また、豚肉では前年度対比5%増の3.2トンで、その輸出先は香港となっております。
県といたしましては、経済成長が著しく、日本食レストランが増加しているアジアや北米に加え、新たに牛肉の輸出が解禁されたオーストラリアをターゲットに、引き続き、PRレセプションやフェア、商談会を通じ、県産畜産物の評価の向上と新たな販路の開拓、拡大に取り組んでまいります。
次に、地域資源を活用した事業への支援策についてでありますが、県内では、これまでも地域の特色ある農林水産物を活用した新商品の開発など6次産業化の取り組み等を通じまして農林漁業者の所得向上を図り、そして地域の活性化を目指す取り組みが進められてきたところであります。
近年、農林水産物の持つ機能性成分等を活用し付加価値を高める取り組みが進められており、紫波町におきましても、桑を活用して地域振興につなげようとする動きがあると承知しております。
県といたしましては、こうした地域資源を活用した6次産業化の取り組みに対し、商品開発や販路開拓、拡大のための専門家の派遣、商談機会の提供、施設設備の導入に対する助成等に取り組んでおり、引き続き積極的に支援してまいります。
〔県土整備部長八重樫弘明君登壇〕
〇県土整備部長(八重樫弘明君) 水害対策についてでありますが、北上川流域においては人口や資産が集中しており、従来から国により河川改修やダム、遊水地などの整備が計画的に進められてきているところです。
今年度、国の当初予算では、県内の北上川等直轄河川関係予算について、前年度と比べ約28億円増の約80億円を確保し、一関遊水地の整備を初め、紫波町日詰地区の堤防などの整備を進めていくと伺っています。
近年、全国的に記録的な大規模出水による被害が相次いで発生していることから、安全で安心できる県土づくりを進めるため、今月11日に実施した令和2年度政府予算提言、要望において、直轄河川改修事業等の推進について国に要望しました。また、県管理河川である滝名川については、防災・安全交付金事業により、計画延長11キロメートルのうち現在までに約10キロメートルが完了しており、岩崎川については、防災・安全交付金事業のほか床上浸水対策特別緊急事業を導入し、計画延長11.9キロメートルのうち約7キロメートルが完了したところでございます。
洪水から県民の生命、財産を守るとともに、県土の保全を図るため、今後とも、洪水対策に係る予算の確保や一層の拡充について、引き続き国へ強く働きかけてまいります。
〔政策地域部長白水伸英君登壇〕
〇政策地域部長(白水伸英君) 駅のバリアフリー化についてでありますが、多くの方々が利用し、公共交通の結節点となる鉄道駅のバリアフリー対策の推進は、高齢者や障がいを持つ方々の利便性の向上や、安全・安心の確保のためにも必要な取り組みと認識しております。
国では、議員御指摘のとおり、1日当たりの平均利用者数が3、000人以上の鉄道駅について、今後、全ての駅で段差解消等を促進する方針であると聞いておりますが、県では、この方針も踏まえつつ、鉄道事業者が国庫補助を活用して行う駅のエレベーターやエスカレーターの設置などに対し、市町村と連携し整備費の一部を補助するなど、鉄道駅のバリアフリー化を支援してきたところでございます。
一方、利用者数が3、000人未満の駅につきましては原則として国庫補助の対象外となっておりますが、県としましては、高齢者や障がいを持つ方々の利用が多く、地域の拠点となっており、バリアフリー化の必要性が高いと認められる駅に対する国の補助制度の拡充を要望するとともに、引き続き、市町村と連携しながら、鉄道事業者に対しバリアフリー対策の推進を働きかけてまいりたいと考えております。
〔保健福祉部長野原勝君登壇〕
〇保健福祉部長(野原勝君) 待機児童解消の取り組みについてでありますが、厚生労働省では、年に2回、保育所等利用待機児童数調査を実施しており、本年4月1日時点の速報値によると、本県の待機児童数は7市町村で合計175人となっており、前年度に比べ2市町村減少したものの、30人の増加となっています。年齢別に見ますと、1歳児が105人と最も多く全体の60%を占めており、ゼロ歳児から2歳児までの低年齢児で全体の88%を占めています。県では、待機児童が発生している市町村とは毎年度、個別に意見交換を行い、市町村ごとの実態把握も行ってきたところでありますが、待機児童の発生要因としては、宅地造成により利用のニーズが当初想定を大きく上回ったこと、保育士が不足し低年齢児の受け入れが困難になっていることなどが挙げられたところであり、保育所等の利用定員の拡大や保育士等の人材の確保を図ることが重要であると認識しています。
県では、保育所等の施設整備への支援や潜在保育士のマッチング支援などによる保育人材の確保に取り組んでいるほか、今年度から新たに、年度途中に増加する保育ニーズに対応するため、年度当初から雇用した保育士雇い上げ経費の一部を補助する保育士確保・保育所等受入促進モデル事業を実施しているところであります。
市町村では、今年度、次期子ども・子育て支援事業計画を策定することとしており、地域のニーズを的確に把握し、必要なサービスを確保する計画が策定されるよう、必要な助言などを行いながら、市町村と一体となって待機児童解消に向けて取り組んでまいります。
〔文化スポーツ部長菊池哲君登壇〕
〇文化スポーツ部長(菊池哲君) 文化財や民俗芸能等の活用支援策についてでありますが、本県には、二つの世界文化遺産を初め、地域の誇りであり地域の宝である文化遺産が数多く存在しているほか、先ごろユネスコ無形文化遺産の一つに登録されました吉浜のスネカなど多様な民俗芸能が地域に継承されておりまして、こうした文化財や民俗芸能をまずもって大切に思い、そして地域づくり等に活用していくことが重要であると認識しているところでございます。
このため、文化財につきましては、例えば、児童生徒に対し、世界遺産出前授業を実施する中で、郷土の歴史や文化への理解と愛着を深めてもらう取り組みを行っているほか、平泉の文化遺産中尊寺を会場に世界一流の音楽家によるコンサートを開催するなど、文化財をイベント等に活用するユニークべニューの取り組みなどを通じ、文化財の持つ魅力や価値の普及拡大に取り組んでいるところでございます。
また、民俗芸能につきましては、例えば、県内各地の民俗芸能団体の発表、鑑賞の場として、毎年、岩手県民俗芸能フェスティバル等を開催するなどによりまして、民俗芸能の魅力や価値を県内外に発信し、より多くの方々に関心を持っていただき、保存、継承の必要性に対する意識を高めていただきながら、後継者の育成や確保等にもつなげる取り組みを進めているところでございます。さらに、東日本大震災津波で被災した団体への活動再開に必要な施設整備への補助や、岩手県文化振興基金を活用した後継者育成や用具更新等への支援、市町村が行う民俗芸能イベントの開催等への国庫を活用した支援などによりまして、民俗芸能の保存、継承に向けた取り組みを行っているところでございます。
今後におきましても、引き続き、地元市町村や関係団体と現状等についてよく共有しつつ、連携し、本県が誇る文化財や民俗芸能を大切にし、そして次世代へ継承していく取り組みを推進していく考えであります。
〔教育長佐藤博君登壇〕
〇教育長(佐藤博君) まず、学校における冷房設備の整備の進捗状況についてでありますが、県内公立小中学校の普通教室への冷房設備の設置状況は、昨年9月1日現在で13市町31校79室であり、設置率は1.8%と、全国平均の58%と比べ大きく下回っておりましたが、今年度中には30市町村で392校3、937室への設置が予定されており、これにより、設置率は90.9%となる見込みです。
県教育委員会としても、冷房設備の設置は児童生徒の安全の確保や教育環境の改善という観点から喫緊に取り組むべき課題であると認識しており、引き続き、市町村への情報提供や事業者団体に対する協力要請などを通じて、冷房設備の整備に向けた取り組みの支援を進めていきたいと考えております。
次に、いじめに対する取り組みについてでありますが、いじめはどの子供にもどの学校でも起こり得るとの前提のもと、初期段階のいじめであっても積極的に認知することが重要であり、近年のいじめ認知件数の増加は、いじめ事案が深刻化する前に組織的に対処してきた結果であると捉えております。
県教育委員会では、昨年度から総合教育センターにおいて、管理者や一般教諭それぞれの職層を対象に資質、能力の向上を図る研修を実施していることに加え、県内の公立学校で発生した解決が困難な事案に対しては、指導主事や有識者で構成するいじめ問題解決支援チームを組織し、解決等に向けた支援を行うなどの取り組みの充実を図っているところです。
今後におきましても、教師がいじめの問題を決してひとりで抱え込むことなく、学校いじめ防止基本方針に基づき、いじめの未然防止に向けた具体的な取り組みの強化やいじめの認知、早期発見と適切な対処による重大事態発生の防止に取り組みながら、それぞれの事案の解消や解決に向け、各学校を支援していきます。
次に、不登校に対する取り組みについてでありますが、本県の小中学校の不登校出現率については、全国平均と比較して極めて低い状況にあるものの、実数、出現率とも増加傾向であり、不登校は生徒指導上の大きな課題の一つであると認識しています。このことから、児童生徒一人一人の悩み等に寄り添うため、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを配置し、教育相談体制の充実を図っているところです。
今後におきましても、教育機関等との連携のもとに、児童生徒一人一人に寄り添った未然防止などにも取り組みながら、初期対応や学校復帰に向けた取り組みを推進するとともに、児童生徒の社会的自立に向けた支援などに努めていきます。
次に、先人教育の取り組みについてでありますが、先人教育は、新しい時代及び岩手の復興を担う児童生徒が岩手にゆかりのある先人の生き方や考え方を学ぶことを通して、将来の夢やふるさとに対する愛着等を育むという点で大切であると認識しております。これまでも、県内の小中学校においては、社会科の学習で、地域の発展に尽くした先人について学んだり、総合的な学習の時間等において、記念館等の施設を活用した先人についての学習を行ってきております。
県教育委員会としては、先人の生き方や考え方を内容とした小学校及び中学校道徳資料集を作成し活用を図るとともに、日本教育会岩手県支部発行の岩手の先人等も参考としながら、この岩手で育った先人が、創意工夫しながらさまざまな困難を乗り越えていった姿を学ぶことにより、児童生徒が自己の生き方についての考えを深めていく取り組みを現在も進めています。
今後におきましても、新学習指導要領の全面実施に合わせ、学校や地域の実情に応じた先人教育を適切に実施し、岩手のこれからを担う児童生徒の人格形成の基盤となる道徳性の育成及び郷土の復興、発展を支える人材育成を目指した取り組みを推進していきます。
〇11番(田村勝則君) 答弁によってはということでありましたので、私は答弁にちょっと納得できないところがありましたので、2点についてお伺いをしたいと思います。
まず、知事の目指す希望郷いわてについてでありますが、私の質問の最後は、山に例えればどの程度の達成のところに、今、知事は登っておられるとお考えでしょうかとお聞きしたわけでございますけれども、非常にわかりにくい質問であったなと、私も反省しております。山にも、岩手山もあれば、早池峰山もあれば、姫神山もあり、紫波町には東根山という山もございます。山田町には鯨山というのもありますけれども、そういう意味で山もいろいろありますから、どこの山かということを私も指定しなかったので、答えづらかったのかなとも思ったりしております。
これにはなかなかお答えしづらいと思うので、ちょっと質問の観点を変えます。
物事には、目指すことのために一生懸命努力をするわけですが、なし遂げたときの達成感あるいは充足感というものがございます。知事の場合、この目指す希望郷いわてのために、知事としていろいろな施策を通して、先ほど答弁にありましたようなことを実現されてこられたわけですが、現時点での達成感、そしてまた、恐らく、達成感100%というところではないから、またこれからも頑張ろうという思いもあるのだろうと拝察するわけですけれども、達成感、充足感といった意味では、どのような思いをお持ちなのか、お伺いしたいと思います。
もう一点、バリアフリーの件でございますが、1日当たりの平均利用者数が3、000人以上という規定がございます。先ほど基準も見直すべきと私が質問したのは、わかりやすい例として、紫波町には駅が三つあります。個別には1日の利用者数は3、000人以下ですけれども、三つの駅の乗降客数を足せば楽に3、000人はオーバーしている。そういうことを考えると、基幹駅である古館駅、紫波中央駅、日詰駅とあるわけですけれども、その一番のところに整備するということも一つの手法ではないかと私は考えるものでございます。
いずれにしても、高齢化の時代でございます。そして、人に優しいまちづくりが問われている時代でもございます。知事の、ひとりとして取り残さないという考えにどんどん近づくような施策というものが必要と考えますが、いかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 田村勝則議員の最初の御質問の中で、道を例えにされたところもありましたが、この政策の推進は、山登りというよりはむしろ道をつくる作業に似ているかと思います。県民一人一人がそれぞれの道を進んでいけばそれぞれの目標を達成することができるという、そういう希望を持って道を進んでいくことができればいいわけであります。ただ、その道というのは急な自然災害で壊れてしまうこともありますし、また、そのときの経済社会情勢に合わせてこういう道を確保しておけば望むところが実現するということが、ちょっとたってみると立ちおくれていて、それでは目標を達成できないというようになり、また改めて再整備をしなければならないということもあります。そういう意味では、山登りであれば、5合目まで行けばあとはそこから上に行くばかり、8合目まで行けばあとはそこから上に行くばかりということなのでありましょうけれども、政策の展開は、常に、何か今決定的に足りないところが気がつかないうちに出てきているかもしれない、そこをちゃんと計画の趣旨に沿って手当てをしていかなければという思いを常に持ち続けているようなところがございます。
一方、県議会を初め県民の皆さんの御協力もいただき、経済社会、学びそれぞれにおいて、岩手県においてはかなりいい道が整備されてきていまして、その道を進んで、例えば国民体育大会や全国障がい者スポーツ大会で好成績を上げること、また、アメリカの大リーグにまで行くことに成功している県民もいます。また、重度の障がいを抱えながらも、新しくできた施設の中で近代的な治療を受けながら勉強をすることもできる重度障がい児がいます。
そのように、それぞれが自分のやりたいこと、目指したいところ、やりたいことをやって目指したいほうに向かっていくことができている、その実態を把握できることが非常にやりがいとなり、やってきてよかったと思いとして感じるところであります。
〇政策地域部長(白水伸英君) 鉄道駅のバリアフリー対策についてのお尋ねをいただきました。これは、もう議員御指摘のとおりでございますが、バリアフリー法ができまして、バリアフリー対策というのが高齢者や障がいをお持ちの方々にとって利便性の向上、安全・安心の確保のためには必要不可欠だと考えております。
ただ、基準につきましては、議員の御指摘もございましたけれども、国では、原則1日当たりの平均利用者数が3、000人以上ということでございまして、岩手県もまだまだなのですが、全国的にも単独の駅で見たときでも3、000人以上の未整備の駅というのがまだまだ残っているところもあるかと思います。ただ、国でも、これはまず3、000人以上の全ての駅で段差解消を目指すという方針も出しておりますので、それを踏まえて、本県もしっかり取り組んでいくところでございます。
先ほど3、000人未満の駅についてもということで答弁をさせていただきましたけれども、今後さらに、基準の拡充といいますか、見直しということについても、しっかりと国には要望していきたいと思います。
今月11日には、国の省庁要望ということで、まさに基準の3、000人未満を含めて基準の拡充ということについても要望をさせていただいたところでございますけれども、引き続き、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
〇議長(佐々木順一君) 傍聴者への配慮から、しばらくお待ちを願います。
次に、高橋但馬君。
〔28番高橋但馬君登壇〕(拍手)

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