令和元年6月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇45番(柳村岩見君) 議席番号45番、自由民主クラブの柳村岩見でございます。
今定例会において一般質問の機会をいただきました先輩、同僚議員の皆様に感謝を申し上げます。
通告に従い、順次質問いたします。
東日本大震災津波被災からの復興についてお尋ねいたします。
被災から8年3カ月がたちました。改めて、この被災でとうとい命を失われた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。
県は、東日本大震災津波からの復興に関する2019年の意識調査結果を公表いたしました。それによれば、県内全体の復興実感が、進んでいるがおくれているを初めて上回ったとのことであります。また、調査結果では、復興実感に沿岸南北で差があることも示されております。
意識調査結果のこの2点について、知事の所感をお尋ねいたします。
また、県は、東日本大震災津波からの復興状況についても公表し、応急仮設住宅等の入居戸数は初めて1、000戸を割り990戸となりました。復興事業の進行が反映され、自立再建、災害公営住宅が順次完成し、入居が進んだことは事実でありますが、依然として2、100人以上の方々が、応急仮設住宅等での生活を余儀なくされております。
調査から数カ月たちましたが、現時点での状況についてお尋ねいたします。その上で、2019年度末での見通しについて、あわせてお尋ねいたします。
災害公営住宅の整備がおくれて入居希望者が入居できないケースでは、順次、完成とともに解消されることと存じます。それでも、幾つかの理由によって応急仮設住宅等から退去できない方々がおられると予測しております。応急仮設住宅の期限もあるところですが、入居されている方々が全員退去されて、復興が進んだと言うのが本当ではないでしょうか。
退去が困難となっている方々の状況把握はどうなっておられるかについてお尋ねいたします。
また、災害公営住宅の整備が完了し、自立再建意向の方々が再建を果たした後、なお応急仮設住宅に残る方々の課題は複数重なり存在することと考えますが、その内容をお尋ねいたします。
課題解決には、現行制度を総動員するほか、新しい制度設計での取り組みが求められると考えますが、その御認識と対策についてお尋ねいたします。
次に、国土強靱化についてお尋ねいたします。
国土強靱化については、国において、強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法があります。
同法は前文で、我が国は、地理的及び自然的な特性から、多くの大規模自然災害等による被害を受け、自然の猛威は想像を超える悲惨な結果をもたらしてきた。我々は、東日本大震災の際、改めて自然の猛威の前に立ち尽くすとともに、その猛威からは逃れることができないことを思い知らされた。ここに、強くしなやかな国民生活の実現を図る国土強靱化の取組を推進するため、この法律を制定する。とあり、平成25年12月に施行されております。
この国土強靱化基本法においては、都道府県の地域計画の策定を求めていることから、岩手県では、岩手県国土強靱化地域計画が平成28年2月に策定され、平成29年6月に改定が行われております。
また、市町村での地域計画の策定が求められておりますが、岩手県内の市町村における現在の策定状況についてお尋ねいたします。策定のある、なしは、予算獲得において大いに関係してくると考えますが、その関係についてもお尋ねいたします。
国では、重要インフラ緊急点検の結果及び対応方策のほか、既往点検の結果等を踏まえて、特に緊急に実施すべきソフト、ハード対策について、2018年から2020年までの3カ年に防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策を発表し、予算総枠も示しております。
この対策に基づく関係省庁所管の箇所数、交付金、補助金の岩手県における平成30年度実績、令和元年度の活用見込みはどうなっているかお尋ねいたします。
今年3月策定されたいわて建設業振興中期プラン2019によると、県内の建設投資額は、平成27年度の1兆3、466億円をピークに、平成29年度では1兆2、047億円に減少し、復旧、復興事業のさらなる進捗に伴い、前回プランの期間中に比べて建設投資額が減少することを予想。一方、国は、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策の特に緊急に実施すべきハード、ソフト対策について、平成30年度から3年間で集中的に実施することとした、おおむね7兆円を目途とする事業規模に着目いたしております。
予想される補強、補修工事の技術向上が不可欠と考えますが、地域の守り手である県内建設企業を対象とした技術研修等の取り組みについてお尋ねいたします。
岩手県国土強靱化地域計画平成31年度関連予算案では2、188億4、000万円とあり、強靱化すべき施策分野、重点施策ごとの主な平成31年度事業、分野別関連事業一覧においても膨大な予算となっております。予算関連事業一覧を読み込みますと、通常時推進されているべき事業や施策が多く見られます。
県民の安全・安心につながる国家強靱化の視点から行政全般を見渡しますと、あらかたのことが関連する上で整理されたものと考えますが、関連予算案の編成の考え方についてお尋ねいたします。
次に、岩手県公共施設等総合管理計画についてお尋ねいたします。
岩手県では、高度成長期から昭和50年代を中心に、社会情勢や県民ニーズの変化に対応して数多くの公共施設等を建設し、各種の公共サービスを提供してきました。
現在、これら公共施設等の老朽化が進んでおり、今後、大量に大規模修繕、更新の時期を迎え、多額の経費が必要とされると見込まれております。
このため、公共施設等の全体状況を把握し、計画的な更新や長寿命化、施設配置の最適化により、財政負担の軽減、平準化を図るなど長期的な視点に立った公共施設等マネジメントの取り組みを推進するとして、平成28年3月、岩手県公共施設等総合管理計画を策定しております。
この計画への日ごろの取り組み状況についてお尋ねいたします。
この計画は、東日本大震災津波被災後にできた計画ですが、計画の推進に当たって、東日本大震災津波からの復旧、復興による公共施設等の増減の影響などについてお尋ねいたします。
計画では、施設類型ごとの管理に関する基本方針において、庁舎のほか、体育館等の県民利用施設など施設類型ごとにアクションプランを置いていますが、いずれの類型においても、2020年度までに個別施設計画を策定することになっております。
この施設類型別の個別施設計画の策定状況とその内容についてお尋ねいたします。
岩手県公共施設等総合管理計画は、施設の築後年数や耐用年数、老朽度、危険度等を診断しての計画であります。それぞれの施設には客観的診断と、それに基づく計画とは別に社会的環境の要因があります。その一例として、昨年の決算特別委員会でもお尋ねいたしましたが、岩手県庁施設と隣接する岩手医科大学キャンパスと附属病院の移転による周辺環境の変化が挙げられます。
移転後の岩手医科大学側の整備計画も少しずつ明らかになってきておりますが、どのように把握しておられますかお尋ねいたします。県も参加しております岩手医科大学跡地活用検討会議の現段階での検討内容についてもお尋ねいたします。
施設周辺で起きる環境変化は、みずからの計画とは別に、予測なく起き、存在することになります。その対応は難しいものがありますが、岩手医科大学附属病院等移転に伴う跡地利用を初めとする内丸地域の環境変化への対応の基本的考え方についてお尋ねいたします。
次に、林業振興策についてお尋ねいたします。
まず、今年4月1日、議員提案条例として施行された岩手県県産木材等利用促進条例に対する知事の所感と、改めて、県産木材利用促進に向けた決意をお尋ねいたします。
〔副議長退席、議長着席〕
条例には、六つの関係者の責務、役割などが示されております。県の責務において、県産木材等の利用に関する総合的な施策を策定し、及びこれを実施するものとするとあり、県産木材等の利用促進に関する計画を策定することとされておりますが、この計画づくりの基本的な考え方とスケジュールについてお尋ねいたします。
計画とも関係することと考えますが、県は、県民の間に広く県産木材等についての関心及び理解を深めるとともに、積極的に県産木材等を利用する意欲を高め、県産木材等利用推進月間を設けるとされておりますが、県産木材等利用推進月間における取り組みについてお尋ねいたします。
第73回全国植樹祭の2022年岩手県での開催が内定しております。その準備委員会が設置され、開催規模や開催候補地などを盛り込む基本構想の検討が進められておりますが、このほど、開催候補地に陸前高田市の高田松原津波復興祈念公園が選定されました。この選定について知事の所感をお尋ねいたします。
第73回全国植樹祭については、今夏、公益社団法人国土緑化推進機構で正式決定される見通しと聞いておりますが、今後、県としてどのように取り組まれていこうとしているのかお尋ねいたします。
国では、納税義務者から個人住民税とあわせて年間1、000円を国税として徴収する森林環境税と、市町村と都道府県に譲与する森林環境譲与税を創設いたしました。
森林環境税は2024年度からの課税とされておりますが、森林環境譲与税は2019年から2023年度までは特別会計借入により譲与。借入金は2024年度以降の税収の一部で償還することとし、2019年度から市町村と都道府県へ譲与されますが、譲与割合や譲与額、譲与の状況についてお尋ねいたします。
今年度からの森林環境譲与税の譲与は、森林環境税の徴収前からのものであり、2024年度からの徴収開始以降の徴収額によって譲与税の譲与額が変わってくると予測されますが、現在試算できる譲与税の譲与額の変化についてお尋ねいたします。
県が譲与を受けた森林環境譲与税については、でき得る事業に振り分けられ、事業展開、推進が図られることとなっておりますが、その事業の内容を少し詳細にお示しください。
森林環境税徴収後の譲与額予測について先ほどお尋ねいたしましたが、今持っておられる事業規模や展開のイメージについてお尋ねいたします。
次に、教育関係についてお尋ねいたします。
このところ教育に関する改革や諮問、検討作業が数多くあります。平成30年8月20日、30文科初第483号として、地域との協働による高等学校改革の推進についての通知が、各都道府県教育委員会、各都道府県知事初め関係機関、その長に対してありました。
この通知に前後して、高等学校改革に関する閣議決定や経済財政運営と改革の基本方針2018及びまち・ひと・しごと創生基本方針2018等、相次いで方針が示されました。
高等学校改革に関する部分で、高等学校は、国家及び社会の形成者として必要な資質等を養うこと等を目標としているとともに、卒業後に進学、就職等で地元を離れる場合には、地元における最後の教育機関となることから、新高等学校学習指導要領や報告書を踏まえ、生徒の学びの質の向上のために高等学校と地域が協働し、高校生が地域の産業や文化への理解を深めるための機会を提供することは、地方創生の観点からも重要です。と通知されております。
都道府県教育委員会においては、所管の高等学校及び域内の高等学校を設置する市町村教育委員会に対し、本通知を通知していただくように示されております。
この通知は、関連するそれぞれの閣議決定の内容や検討に入った事項とも符号し、人口減少への取り組みの一丁目一番地で、地方の再度の確立、地方創生につながる生まれ育った地の歴史、文化に触れながら、自己のアイデンティティーの確立や産業界、経済界から求められる人材の育成に資することなどが含まれていると考えます。その意味では、高等学校の大規模、小規模、都市部、地方、普通科、総合学科、専門学科を問わず、全ての高等学校を対象としたものであります。
そこで質問ですが、県教育委員会は、この通知をどのように理解し、どう対応されたかについてお尋ねいたします。
こういう流れの延長線上で、政府の教育再生実行会議の議論では、普通科を類型化、高校ごとの特色明示を提言する方向とされております。
高校生の7割が在籍する普通科で、各校の教育目標と教育課程が十分に関連づけられておらず、学校の特色が発揮されていない現状に、全国の高等学校に、どういう力を持った生徒に入学してほしいか、特に力点を置く学習内容、履修単位の認定方針を明確にするよう求め、その上で、普通科を国際的に活躍、科学技術の分野を牽引、地域課題を解決するといった各校の人材育成のイメージに応じて分類し、学びの変化を促し、具体的な分類や履修単位の設計については、中央教育審議会の議論に委ねるとしております。
このほかにも、教員の負担軽減や働き方改革、生徒の学習バランスの視点から、部活動のあり方、部活動指導員の配置や文部科学省が小学校高学年における教科担任制度の導入推進、それに伴う免許制度見直しなど、さまざまな課題について中央教育審議会に諮問されております。
こうした動きがある中、特に高等学校の普通科の見直しについては、本県も注視し、適切な対応をお願いしたいと思いますが、所感と決意をお尋ねいたします。
県教育委員会では、県立高等学校再編計画の後期計画、2021年度から2025年度までの策定に向けた検討を本格化、今年度内に計画案をまとめ、2020年度には計画を策定するとしております。現在、地域検討会議を開いておりますが、現状、それに対する計画見通しは岩手県政の重要課題になっております。
計画策定過程においては、幾度も現状が伝わり、その解決策が見出せるものでなくてはなりませんが、改めて、現在、将来の中学校卒業者数の推移をどのように把握し、それによれば現在の県立高校がどういう状況になるのか。基本的な方向はどう示され、それはどういう基準によって示されたものであるかを改めてお尋ねいたします。現状理解を深めての計画でなければなりません。懸命なる計画策定を期待いたします。
以上で私の一般質問を終わりますが、答弁次第では再質問をさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(佐々木順一君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 柳村岩見議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、復興に関する意識調査結果についてでありますが、東日本大震災津波からの復興については、復興道路や災害公営住宅の整備が進み、被災した県立病院や公立学校の校舎は全て復旧したほか、多くの被災事業所が事業を再開し、大型商業施設や共同店舗が開業するなど、復興の歩みは着実に進んでいるところであります。平成31年の復興に関する意識調査結果において、県全体の復旧、復興が進んでいる、やや進んでいると感じる方々の割合が、おくれている、ややおくれていると感じる方々の割合を調査開始以来初めて上回ったことについては、こうした復興の歩みが県民の皆様にも実感として感じられるようになってきているためと考えております。また、沿岸南部と沿岸北部における復興の実感に相違があることについては、市町村の被災状況の違いにより、地域によって復興事業の進捗が異なっていることが一因と考えております。
こうした意識調査の結果が出ているものの、依然として5月末で1、685人の方々が応急仮設住宅等での生活を余儀なくされており、被災者の心のケアや住宅再建、市町村が行うまちづくり後における事業者への支援等の課題もありますことから、今後におきましても、市町村が抱える復興の課題を十分に踏まえつつ、被災者一人一人に寄り添った支援を行いながら、被災地の復興が一日も早くなし遂げられるよう全力で取り組んでまいります。
次に、岩手県県産木材等利用促進条例についてでありますが、本県において、豊富な森林資源が本格的な利用期を迎える中、県産木材等の利用促進による林業、木材産業の発展を通じ、本県経済の活性化や県民の豊かな暮らしの実現に寄与することを目的とする条例が施行されたことは大変意義深いことと認識しております。
県においては、今年度スタートしたいわて県民計画(2019〜2028)第1期アクションプランに基づき、森林施業の集約化や高性能林業機械の導入支援による県産木材の安定的な供給体制の構築に取り組むほか、県が率先して公共施設整備等における県産木材等の利用を推進してまいります。また、高品質な県産木材等の需要の拡大につながるよう、東京2020オリンピック・パラリンピック選手村施設への県産木材製品の利用や、県産アカマツを活用したCLT製造技術の実用化に向けた研究開発のほか、新たに、中高層分野及び非住宅分野の木造化や内外装の木質化に携わる建築士、建築施工技術者等の木造設計技術の向上支援に取り組んでまいります。
この条例に基づき、こうした川上から川下に至る施策を総合的に展開するなど、国や市町村、森林所有者、関係事業者、関係団体、県民等と協働し、一体となって県産木材等の利用促進に積極的に取り組んでまいります。
次に、第73回全国植樹祭開催候補地の選定についてでありますが、昨年の2月県議会定例会において第73回全国植樹祭を本県に招致することを表明し、8月に主催者である公益社団法人国土緑化推進機構から開催県の内定を受けたところであります。
県では、9月に有識者等をメンバーとする準備委員会を設置し、本年5月に、開催理念や開催規模、開催候補地を定める基本構想を取りまとめていただきました。基本構想では、県民総参加による森林づくりや森林資源の循環利用の推進、東日本大震災津波からの復旧、復興の姿を国内外に発信することなどを基本理念とし、開催候補地には高田松原津波復興祈念公園が選定されたところであります。
陸前高田市は、全国に名をはせた気仙大工の発祥の地域であり、また、良質な気仙スギを生産する県内有数の林業地帯でありますほか、被災した高田松原の再生に取り組んでおり、林業の持続的で健全な発展や、復興に力強く取り組んでいる地域の姿をしっかりと発信できる、開催地としてふさわしい候補地を選定していただいたものと考えております。
全国植樹祭の本県での開催は48年ぶり2回目となるものであり、関係機関、団体を初め、県民の皆様と一丸となり、本大会の成功に向けて全力を挙げて取り組んでまいります。
その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔復興局長大槻英毅君登壇〕
〇復興局長(大槻英毅君) まず、応急仮設住宅等の入居の状況についてでございますが、直近の本年5月末現在、県内6市町にある建設型の応急仮設住宅に600戸1、256人、また、県内17市町のみなし仮設住宅に177戸429人、合わせまして777戸1、685人の方が今なお応急仮設住宅等に入居している状況にございます。
また、土地区画整理事業等の面整備事業につきましては、令和元年度末の進捗率は99.3%と見込み、令和2年度には全ての宅地が供給される予定であり、宅地引き渡し後に住宅が順次、再建されることになります。
今後、面整備事業等が完成時期を迎えますが、現時点では、令和元年度末で、災害公営住宅の完成や土地区画の引き渡しを受けられないために応急仮設住宅等へ入居し続けなければならない方々は約130戸、約300人と見込んでいるところでございます。
次に、応急仮設住宅等での生活からの移行についてでございますが、応急仮設住宅等に入居している世帯のほとんどは恒久的住宅への移行を予定しており、再建の見通しが立ってはおりますが、一部の世帯は、資金的事情で再建計画に変更が生じたことなどによりまして、再建方法や退去時期が未定となっている状況でございます。
応急仮設住宅等に残る方々は、経済的問題や健康問題など多くの課題を抱えており、また、これらの課題が複雑化していることから、経済的な問題を抱える方につきましては、被災者相談支援センターにおいてファイナンシャルプランナーなどの専門家による相談対応を実施してまいりましたほか、健康問題を抱える方につきましては、社会福祉協議会の生活支援相談員や市町村の支援員等が個別に訪問し、見守りや相談支援などを行い、課題解決に向けて支援してきたところでございます。また、昨年度からは、内陸避難者支援センターの支援対象者を沿岸市町村の応急仮設住宅等の入居者にも拡大いたしまして、それぞれの課題に応じた支援策をコーディネートし、恒久的な住宅への移行を進めているところでございます。これまでのこうした重層的な取り組みが被災者の方々の生活再建に少しずつ結びついているものと認識しております。
今後も引き続き、現在の市町村、関係機関との連携体制の中で、被災者の方々との関係性を築きながら、応急仮設住宅等にお住まいの方々が一日も早く恒久的住宅に移行できるよう、被災者一人一人に丁寧に寄り添った支援を推し進めていく考えでございます。
〔政策地域部長白水伸英君登壇〕
〇政策地域部長(白水伸英君) まず、市町村における国土強靱化地域計画の策定についてでございますが、本県におきましては、東日本大震災津波の経験も踏まえながら、安全・安心な地域社会の構築に向けた取り組みを推進するための指針となる国土強靱化地域計画の市町村における策定は重要であると考えているところでございます。県内市町村では、平成30年9月に二戸市が策定しているほか、その他の複数の市町村でも策定に向けた検討が進められていると承知しております。
また、国においては、地方公共団体による国土強靱化地域計画に基づく取り組みに対し、関係府省庁の所管の交付金、補助金による支援を講じておりまして、内閣官房国土強靱化推進室が公表している支援策の資料によれば、その交付の判断に当たって一定程度配慮するとされているものでございます。このため、引き続き、市町村における計画策定が進むよう、国とも十分に連携の上、県の国土強靱化地域計画の内容や策定プロセスの共有等の支援を行ってまいります。
次に、計画に基づく箇所数、交付金等の実績及び見込みについてでございますが、国では、近年の自然災害の教訓を踏まえた防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策を集中的に実施することとしておりまして、地方公共団体が策定する国土強靱化地域計画に基づき実施される取り組みに対し、交付金、補助金による支援の充実を図ることとしております。
本県におきましては、関係省庁の交付金、補助金につきまして、平成30年度2月補正予算におきまして73億円余を計上したほか、令和元年度は18億円余を当初予算で計上し、事業費ベースではこの2カ年分を合わせまして173億円余となっているところでございます。また、箇所数につきましては、見込みも含め、約200カ所について取り組みを実施することとしております。
次に、国土強靱化関連予算案の編成の考え方についてでございますが、県では、致命的な被害を負わない強さと速やかに回復するしなやかさを持った安全・安心な地域社会の構築に向け、岩手の強靱化を推進するという考え方のもと、国の制度なども踏まえながら、必要となる事業の予算を計上し、学校施設等の耐震化や河川改修等の治水対策などに取り組んでいるところでございます。こうした取り組みのさらなる推進に向け、国土強靱化地域計画に基づく取り組みに対する関係府省庁の所管の補助金、交付金等について、優先枠や新たな補助金の創設など、財源の充実を図るよう国に要望しているところでございます。
今後も、国のこの3か年緊急対策などの動向も踏まえながら、毎年度の予算編成におきまして、岩手の強靱化を実現するための必要な予算を計上し、国土強靱化に係る施策を効率的かつ効果的に推進してまいる所存でございます。
次に、岩手医科大学等の移転の状況についてでございますが、岩手医科大学側の計画につきましては、平成31年3月に開催されました岩手医科大学、盛岡市、盛岡商工会議所及び県の4者によります岩手医科大学跡地活用検討会議におきまして、岩手医科大学側から内丸メディカルセンターにつきまして説明があったところでございます。その内容についてでございますが、迅速な検査、診断を行う高度外来機能病院として、病床数50床、一次救急医療の対応を行い、当面は既存施設を利用して運営していく旨の説明があったところでございます。
また、この岩手医科大学跡地活用検討会議の検討状況につきましては、これまで、地元企業、地元町内会、商店街、市の医師会等の関係者の意見を踏まえながら、跡地の活用について検討を進めてきたところでございます。今年度は、引き続き先進地の事例視察や勉強会、地元町内会等との意見交換会を実施し、継続的に跡地活用の検討を行っていくこととしております。
〔県土整備部長八重樫弘明君登壇〕
〇県土整備部長(八重樫弘明君) 建設業を対象とした技術研修等の取り組みについてでありますが、県ではこれまで、岩手県建設業協会に設置されている経営支援センターと連携し、コーディネーターによる新技術、新工法に関する経営相談、ICT活用技術の研修、アドバイザーの派遣による技術的な助言など、技術力の向上や人材育成を図ってきたところです。また、本年3月に策定したいわて建設業振興中期プラン2019においても、地域の守り手である県内建設企業を対象に、維持補修の技術向上を目的とした技術研修等の開催を盛り込んでおり、地域の維持管理の強化に向けた取り組みを進めることとしております。
今後も、地域の建設企業が国土強靱化の担い手となるよう、ニーズに応じた研修の実施や専門家の派遣など、引き続き企業の技術力の向上に取り組んでまいります。
〔総務部長八重樫幸治君登壇〕
〇総務部長(八重樫幸治君) まず、岩手県公共施設等総合管理計画の取り組み状況についてでありますが、平成28年5月に各施設所管部局の企画課長等をメンバーとする岩手県公共施設等総合管理計画推進会議を設置し、施設所管部局への個別施設計画策定支援と計画の進捗管理を行っているところです。公共施設等総合管理計画は、コスト縮減、財政負担の平準化を計画推進の第一の柱に掲げ、計画的な維持管理と施設の長寿命化を推進し、公共施設等の維持管理や修繕、更新等に係る中長期的なコストの縮減と財政負担の平準化に取り組むこととしているものであります。
震災後の公共施設等については、復旧した施設や新たに建設した公共施設等もあることから、令和2年度までに各部局において策定することとしている個別施設計画において、施設の適正な管理に向けた取り組みに反映してまいります。
次に、施設類型別の個別施設計画の策定状況についてでありますが、岩手県公共施設等総合管理計画においては、施設類型ごとの管理に関する基本的な方針として、庁舎等、県民利用施設など22の施設類型ごとに個別施設計画の策定を含めた施設の管理に関する取り組みスケジュールをまとめたアクションプランを整理しているところです。
個別施設計画の策定状況については、平成30年度末の実績として、22施設類型中、下水道などのインフラ施設を中心に9施設類型において策定済みであります。残る13施設類型についても、令和2年度中の計画策定に向けて引き続き作業を進めてまいります。
次に、内丸地域の環境変化への対応についてでありますが、岩手医科大学が矢巾町に移転後、跡地活用検討会議での検討も踏まえ、大学がどのような形でこの地区を活用していくのか、盛岡市が内丸地域のまちづくりをどのように考えていくのか、さらに、内丸地内の官公庁は都市計画法に定める一団地としての官公庁施設であることなどを踏まえながら、今後においても公共施設等の管理が適切に行われるよう、県庁舎等の施設のあり方について検討してまいります。
〔農林水産部長上田幹也君登壇〕
〇農林水産部長(上田幹也君) まず、県産木材利用促進に関する計画策定についてでありますが、木材利用を促進し、本県の林業及び木材産業を発展させていくためには、地域の森林経営を担う経営体を育成し、本県の豊富な森林資源を生かした生産性と市場性の高い木材産地を形成することが重要であり、計画の策定に当たりましては、このような視点を基本とし、県民の皆様初め、県議会や関係団体等の御意見なども伺いながら、岩手ならではの県産木材の利用促進のあり方について検討を進めてまいります。
計画策定のスケジュールについてでありますが、外部有識者等で構成する検討委員会を来月7月に立ち上げ、この委員会で県産木材等の利用の促進に関する基本的な考え方や具体的な施策について検討し、12月を目途にパブリックコメントを行い、森林審議会の審議を経て計画案を取りまとめることとしております。その後、この計画案を令和2年2月定例会にお諮りし、年度内に計画を策定したいと考えております。
次に、県産木材等利用推進月間の取り組みについてでありますが、条例で推進月間と定めている10月は、これまでも国が進める木づかい推進月間として木材利用の推進に係る活動が展開されてきており、県では、市町村や関係団体等と連携しながら、木工体験や地域材の展示会など、木に親しむ取り組みを進めてまいりました。今年度においては、これらの取り組みに加え、県のホームページや広報媒体により推進月間の周知を図るとともに、盛岡市で開催する木質バイオマスエネルギーフォーラムや大船渡市で開催する第12回いわての森の感謝祭において県産木材等の利用促進に係るPR活動を行うこととしております。引き続き、推進月間の機会を活用し県独自の取り組みを実施するほか、関係団体や県民等と協働し、県産木材等の利用推進に向け、さまざまな取り組みをより一層進めてまいります。
次に、全国植樹祭の開催に向けた今後の取り組みについてでありますが、第73回全国植樹祭の開催県は、本年8月の国土緑化推進機構の理事会において正式決定される見込みであります。県では、開催県の決定を受けまして、関係団体や有識者をメンバーとする実行委員会を設置し、本県の豊かで多様な森林のすばらしさを実感できる式典の演出、会場レイアウトや参加者の宿泊地や輸送体制などを盛り込んだ基本計画の策定に向けた検討を進めることとしております。
検討に当たりましては、実行委員会の中に専門部会を設置し、式典の構成など植樹祭を円滑に運営するための具体的な事項を検討してまいります。また、大会のPRを目的とした1年前に開催するプレイベントなど、大会の開催機運を盛り上げるさまざまな取り組みも考えてまいります。
今後とも、関係機関、団体等と連携しながら、全国各地からいらした多くの皆様に本県の豊かな森林に親しんでいただき、震災からの復興の姿を発信し、感謝の気持ちを伝えることができるよう、万全の体制で着実に準備を進めてまいります。
次に、森林環境譲与税の譲与についてでありますが、都道府県と市町村への譲与割合は、本年度から令和6年度までは都道府県2割、市町村8割となっております。令和7年度以降は割合が段階的に移行し、環境譲与税の税収全額が譲与される令和15年度以降は、都道府県1割、市町村9割となるものでございます。
本県への譲与額でありますが、本年1月に総務省から示された基準により試算いたしますと、本年度は県が1億2、000万円余、市町村が4億9、000万円余となり、県、市町村合計で6億1、000万円余と見込まれるものでございます。
譲与の時期は、森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律により9月と3月とされており、税の譲与は本年9月から開始される見込みであります。
令和15年度における本県に譲与される税の試算額でございますが、県は、本年度の1億2、000万円余から6、000万円増の1億8、000万円余、市町村は、4億9、000万円余から11億6、000万円増の16億5、000万円余と見込まれるものでございます。
次に、森林環境譲与税を活用した事業の実施等についてでありますが、県における森林環境譲与税の使途は、市町村が実施する森林整備の促進等の取り組みを支援する費用などに充てることとされており、県では、譲与される森林環境譲与税を森林整備等支援基金に積み立て、税の使途に合致する事業に対して基金を取り崩して実施することとしております。
本年度は、森林経営管理制度の着実な運営に向けた、市町村に対する技術的な助言を行う専門職員の配置や、航空レーザー計測等による樹種や材積等の森林資源情報を効率的に把握できる最新技術の実証を行うとともに、将来の担い手確保に向けた、若手の現場技術者を養成するためのいわて林業アカデミーの運営のほか、県産木材のさらなる需要拡大に向けた、木造建築技術者の育成研修会の開催や、木造建築に精通したアドバイザーの派遣等に取り組むこととしております。
今後の展開については、今年度の取り組みを基本としつつ、市町村が行う森林整備等の進捗状況を踏まえながら必要な施策を充実強化していくこととしており、各市町村における適切な森林に係る整備がさらに促進されるよう取り組んでまいります。
〔教育長佐藤博君登壇〕
〇教育長(佐藤博君) まず、地域との協働による高等学校改革の推進についてでありますが、平成30年8月の文部科学省通知に記載のとおり、地域の多様な主体と学校が連携、協働し、高校生が地域課題を解決する取り組みを行うことは、生徒の主体的、対話的で深い学びの実現に大きな意味を持つものであり、地域への愛着や地域の将来を担う当事者としての意識の向上など、地域の持続的な発展にも資する面からも極めて重要であると認識しており、地域と協働した探究的な学びの取り組みを推進しているところです。
県内においては、先般、大槌高校が文部科学省の新規事業である地域との協働による高等学校教育改革推進事業に採択され、大槌町や地元産業界等と構成したコンソーシアムのもと、探究活動の充実を図っているところです。
今後も、このような先進校の取り組みの紹介や探究活動の研修を通して、学校と地域との協働による教育活動の一層の充実を図ってまいりたいと考えております。
次に、高等学校普通科見直しへの対応についてでありますが、高等学校においては、急速に変化する社会を生き抜く力を身につけ、新たな社会を牽引する人材の育成が求められており、特に、さまざまな興味、関心や多様な進路希望を持った生徒が在籍する普通科においては、生徒一人一人に対応したきめ細かな教育を実践していくことが重要であると認識しています。各学校においては、生徒に身につけさせたい資質、能力を地域社会と共有し連携する地域に開かれた教育課程の実現を目指し、地域の豊かな資源を効果的に活用することが必要であり、県教育委員会としては、地域に根差し、地域を支えていこうとする人材、世界に羽ばたこうとする人材の育成に取り組んでいくこととしております。
次に、県立高等学校の再編についてでありますが、本県における中学校卒業者数は、再編計画策定時の平成28年3月は1万2、092人、平成31年3月は1万1、134人でありましたが、後期計画最終年の令和7年─2025年3月には約9、800人と1万人を割り込み、以後も減少が続くものと推計しているところです。
中学校卒業者数の減少に伴って、多くの高校が小規模化し、教育課程の編成、学校行事等の運営、社会性や協調性の育成等さまざまな困難が生じることが懸念されることから、平成28年3月に望ましい学校規模の確保による教育の質の保証と、本県の地理的諸条件等を踏まえた教育の機会の保障を大きな柱とした新たな県立高等学校再編計画を策定し、現在、前期計画を推進しているところです。
令和3年度から令和7年度までの後期計画の策定に当たっては、生徒数の推移等を十分見きわめ、今後の県立高校のあり方について、生徒にとってよりよい教育環境を整備していくという視点や地域における高校の役割等も十分に考慮しながら、地域検討会議などで地域と丁寧な意見交換に努めていく考えであります。
〇議長(佐々木順一君) 以上を持って本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後5時17分 散 会

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