令和元年6月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇32番(関根敏伸君) 改革岩手の関根敏伸でございます。
任期中最後の一般質問の機会を与えていただきましたことに感謝申し上げ、通告に従い、順次質問をいたします。
東日本大震災津波の発災から8年4カ月が経過しようとしております。この間、県民一体となった取り組みにより復興事業はおおむね順調に進んでいるものの、地域によって事業の進捗状況が異なっている現実が生じております。また、安全の確保などのハード事業がほぼ完遂の時期を迎えようとしている一方で、震災発生当時は想定し得なかった新たな課題が生まれている現状も明らかになっております。
岩手県議会では、平成27年9月定例会において、東日本大震災津波復興特別委員会を設置し、これまで20回にわたり委員会を開催してまいりました。委員会では、復旧、復興の現状や課題などについて、関係者を招くなどしながら説明を受け、質疑、意見交換を行うとともに、内陸を含めた被災市町村などを対象に、延べ32回の市町村等に対する現地調査を行ってまいりました。
また、先ごろも、6月第1週に4班編成で沿岸12市町村全ての関係者から聞き取り調査を行い、現状と課題、県や国等に対する意見、要望等を受けてきたところであります。
これら調査の中で、私なりに問題意識を持った点について何点か伺います。
まずは、沿岸部共通の課題である人口減少対策について伺います。
2015年の国勢調査によると、沿岸部の人口は25万1、465人であったのに対し、岩手県毎月人口推計によると、直近の令和元年5月1日現在の沿岸12市町村の人口は23万5、254人と約1万6、000人の減少となっております。沿岸12市町村が作成した人口ビジョンでは、2040年の人口は18万7、699人と推計されているのに対し、国立社会保障・人口問題研究所によると、2040年の沿岸部の将来人口推計は16万1、426人となっており、大きな開きがあります。また、2015年からの人口減少率は、内陸部23%に対し、沿岸部36%と13ポイントもの大きな差となっております。
復興需要が終了に向かい始めた現在の沿岸部の人口の現状を見た際には、人口ビジョンの見直し等も含め現実的な対応が必要な時期に来ているのではないかと思われます。
県としての沿岸部への人口減少対策と現実的な予想人口規模を踏まえた、まちづくりへの対応策の必要性に対する認識をお伺いいたします。
市町村財政規模と職員の対応について伺います。
自治体によって差はありますが、震災前と比べ、震災復興時の財政規模はどの自治体も大きく膨らみ、全国各地の応援職員等の協力を得ながら、復興関連事業を懸命に進めてきたものと思われます。
陸前高田市は、震災前の平成22年度の当初予算が113億4、100万円だったのに対し、平成31年度当初予算が732億2、100万円と6.5倍に、職員数は、平成22年4月時点で正職員293名だったのに対し、平成31年4月現在では、正職員238名に任期付職員と派遣応援職員の109名を加えた347名体制となっております。県も震災後は通常時の2倍程度の予算規模で県政運営を行ってきたわけでありますが、それをはるかにしのぐ規模の自治体経営を行い、それが、復興後は急激に震災前の状況に戻るわけであります。
また、岩泉町のように、震災後の平成28年台風第10号災害で大きな被害を受けたところは、災害復旧事業等の自治体負担分がこれからの財政を圧迫しかねないことに、少なからず懸念を持っております。
これら復興後の各被災自治体経営に目を配り、健全化への支援を行う必要もあると考えますが、県の支援のあり方に対する認識をお伺いいたします。
消費税増税が10月に予定されております。まだ流動的な面もありますが、消費税率引き上げに伴う被災地経済への配慮も必要になってまいります。平成26年4月に消費税率が5%から8%へ引き上げられた際、国内の経済は数十カ月にわたり低迷を余儀なくされたという思いがあります。当時は震災から間もない時期であり、かつ、復旧、復興事業が沿岸部中心にかなりの量が発注されていた時期でもあり、現在の復興終了に近い現状とは環境が異なるとは思いますが、さまざまな予測に基づいた対応への準備は必要と考えます。
まず、平成26年の消費税増税時の岩手県内と沿岸部における経済的影響はどのように把握されているのでしょうか。その上に立って、今回の増税が実施された場合の、特に沿岸部全体の経済への影響をどのように捉え、対応をどうするべきと考えているのかお伺いいたします。
県民の幸福を守り育てるという理念を基礎に策定された新しいいわて県民計画が4月からスタートを切り、2カ月が経過しております。計画に基づいた具体的な施策や事業がそれぞれ開始される時期となりますが、先般6月5日に平成31年の県の施策に関する県民意識調査結果の速報が発表され、生活全般の満足度、いわて県民計画の七つの政策に関連する50項目に係る重要度と満足度、そして、県民の幸福度などについて実態が明らかになっております。
全県的に見てみると、県民満足度については、満足の割合が35%で過去最高、不満の割合も前年から0.4ポイント低下し32%と過去最低に近い数値となっており、長期的なトレンドとしても好ましい傾向と言えるのではないかと思います。
しかしながら、県央、沿岸、県北の各広域振興圏では、長期的に満足傾向が上昇し、不満足傾向が低下傾向にあるのに反し、県南広域振興圏のみが、ここ2年間で明らかに満足傾向が低下、不満足傾向が上昇傾向にあり、平成30年調査からは、満足より不満足の割合が上回っている状況が続いております。
また、県全体では幸福と感じている方の割合が52.3%となっており、県央と沿岸広域振興圏では50%を超えている一方、県南と県北広域振興圏では40%台にとどまっております。特に県南広域振興圏では、幸福の割合が前年を5.6ポイント下回る一方、幸福と感じないが6.4ポイント上昇し、明らかに他圏域と異なった傾向を示しております。
そこで伺いますが、新しい県民計画がスタートを切った現在、最新の調査結果をどのように捉えているのか、所感をお伺いいたします。
また、県民意識調査の結果を踏まえ、県南広域振興圏での地域振興をどのようにかじ取りしようと考えているのか、お伺いいたします。
いわて県民計画の中に位置づけられた11のプロジェクトは、10年後の岩手の将来像をより確かなものにしていくため、長期的視点に立って、岩手らしさを生かした新たな価値とサービスを創造するなどの先導的な取り組みをするために設定されたとあります。
北上川バレープロジェクトは、県央、県南の広域振興圏にまたがる自動車や半導体関連産業を中心とした産業集積を進めることで、新たな雇用を生み出しながら、第4次産業革命技術のあらゆる産業分野、生活分野への導入を進めることによって、働きやすく、暮らしやすい、21世紀にふさわしい新しい時代を切り拓く先行モデルとなるゾーンの創造と定義されております。
北上川バレープロジェクトの具体化には、経済界、産業界、自治体、支援機関、学識経験者などで戦略的プラットホームを構築して進められると伺っておりますが、改めて、このプロジェクトによって生み出そうとしている新しい価値とは何なのかお伺いいたします。
北上川流域での自動車、半導体を中心とした産業集積は、御承知のとおりであります。大きな環境変化の中、事務所スペースや人材確保のための住宅の確保に苦慮する自治体の現状が伝えられ、住宅不足による人口流出などを試算しながら、独自の補助制度の創設に向けて、市議会などでの議論が行われているようであります。
県は、これらの現状をどのように捉えているのでしょうか。また、県の支援、関与も必要と考えますが、いかがでしょうか。
北上川バレープロジェクトの工程表には、今年度、生活分野への第4次産業革命技術の導入を見据えた可能性調査の実施が記載されております。可能性調査の具体的内容と事業開始状況について伺います。
〔議長退席、副議長着席〕
また、圏域に求められる必要な人材や新たなサービス提供を生み出すには、北上川流域の特徴と可能性に対する県内外への発信と普及啓発への具体的取り組みが急がれます。北上川バレーという名称とも合わせ流域のイメージアップと効果的なPRの必要性が考えられますが、具体の取り組みについてお伺いいたします。
3月7日、東京都内で開かれたILCに関する国際会議において、文部科学省の研究振興局長が、初めて国としての見解を示しました。期待された誘致の表明には至らなかったものの、素粒子の精密測定の重要性に関する一定の学識的意義を有するとともに、ILC計画がもたらす立地地域への効果の可能性に鑑み、文部科学省は、ILC計画に関心を持って国際的な意見交換を継続すると結論づけました。
この見解に対する評価に賛否はあるものの、日本政府として公式にこのプロジェクトへの関心を表明したことは、一歩前進と捉える見方が一般的で、研究振興局長も、誘致を表明する熟度にはなっていないが、段階としては前に進んでいると述べております。
日本学術会議の新しいマスタープランは2020年2月に策定予定と聞いており、また、同時に示された欧州素粒子物理戦略も2020年の承認予定と、どちらもこの秋に大きな山場を迎え、残された時間は半年以内とも言えるのではないでしょうか。
一方、国会内につくられた複数の議連等の動きも活発になっており、政治的なアプローチ等による国家プロジェクトとしての位置づけへの期待もあり、多方面からの集中した誘致実現に向けた取り組みが必要不可欠となっております。
高エネルギー加速器研究機構─KEKでは、先月末に懸案とされている建設費用負担のあり方などを検討する国際的なワーキンググループを設置し、9月末までに文部科学省に検討結果をまとめ提案するとの報道がなされております。加えて、10月から11月にかけて、仙台市において国際学会リニアコライダーワークショップが開催されることも報道されており、大きな動きにつながることが期待されております。
そこで伺いますが、まず、県としては、誘致決定に向けたスケジュールと費用負担の問題、国民的な理解の増進、研究者間の理解増進など、解決していかなければならない課題をどのように捉えているのか伺います。
県は今定例会に、議会からの要請を受ける形でILC推進室を局に格上げするための岩手県部局等設置条例の改正案を提出しております。限られた時間でするべきことをやり遂げていくためには、組織体制の拡充を図り、機能的に役割分担をしながら、与えられた誘致実現という悲願を達成していく必要性は十分理解しております。具体的な組織体制、期待される役割や効果などをお伺いいたします。
残念ながら、ILCに対する国民的な理解醸成はまだまだと認めざるを得ません。先日、奥州市で開かれた県政懇談会において、未来のILCを担う人材育成事業モデル校に指定されている花巻農業高校の生徒が、東京のいわて銀河プラザなどで県産品の実演販売をしながら、訪れたお客様にILCをPRしているという話を聞き、ありがたく思ったものです。
さまざまな角度からの取り組みが必要と考えますが、その上で、各界の著名人から成るILC100人委員会やILCサポーターズの存在に期待をし、さらなる拡大や活動の充実を期待したいと思いますが、現状の規模や広がり、具体的な行動など、国民理解の増進の効果的な取り組みについてお伺いいたします。
ILC誘致後のまちづくりとグリーンILCについてお伺いいたします。
県内外の一層の理解増進のためには、ILCの科学的な意義や経済波及効果等とともに、具体的なまちづくりのデザインを地域との対話により進めながら、将来の地域イメージをより具体的に、視覚的に進めることも必要ではないかと考え、そのポイントは、地域住民との新しいコミュニティーとグリーンILCではないかと思われます。
再生可能エネルギー、木材、農産物の利用促進、持続可能な地域づくり構想の具現化など、民間事業者も巻き込んだグリーンILCをより進めるための人材、組織体制の構築、国内外へのPR等の必要性があると考えますが、いかがでしょうか。
次に、地域防災力の強化に関連して何点かお伺いいたします。
まず、地域防災力の強化のかなめとなる消防団の装備の充実、財政支援のあり方について伺います。
国は、平成25年12月に消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律を制定。それを受け、県議会では、平成28年3月に全議員が参加し岩手県議会消防防災議員連盟を設立、消防団活動への支援や県内の防災力全般の充実に向けた活動を展開しており、平成29年3月には、消防団員確保対策のさらなる充実を求める意見書を国に提出しております。
国では、緊急対策として、3年間に限定して消防団設備整備補助金を創設し一層の装備充実に努める動きを見せておりますが、補助対象資機材以外の装備品についても装備がおくれがちな現状にあります。
また、自治体の消防費に係る基準財政需要額は人口10万人当たりの消防団員数に基づいて算定されておりますが、47都道府県のうち36府県についてはこの標準団員数を上回っており、多くの市町村において、非常備消防費について大きな負担が生じる懸念があります。
そこで伺いますが、岩手県においては人口10万人当たりの消防団員数は決して少なくないと認識しておりますが、現状はどのようになっているのでしょうか。
また、県としては、消防団員の装備の充実に対する現状と課題をどのように捉えているのでしょうか。
そして、人口に比して消防団員数の多い市町村は、結果として多くの財政負担が生じる結果となっていないのか、そのことが地域防災力強化の阻害要因となることにはならないのか、県の認識と対応策について伺います。
県の消防防災の教育訓練施設の拠点である県消防学校については、建設から40年以上が経過し、施設、設備の老朽化が進んでいるのが現状です。劣化度調査などの総合所見では、構造躯体はおおむね健全であるとはされたものの、災害の大規模化、複雑多様化など、消防行政や社会状況が変化している中、今後を見据えた消防学校のあり方を検討し、必要な機能に応じた整備の方向性を検討する時期に来ていると思われます。
特に訓練施設は、消火、救出、救助等、多種多様な災害状況を想定しての訓練が適切に実施できることが重要であります。消防学校等を対象としたアンケートによると、必要な施設として、実火災体験型訓練装置、震災訓練施設、模擬火災訓練家屋、複合型救助訓練施設などが挙げられたようでありますが、現在の消防学校には、いずれも設置されていない状況です。
そこで伺いますが、まず、岩手県消防学校は、教育訓練施設としての必要な機能が現在十分満たされているのか、認識をお伺いいたします。
また、消防学校は、災害時の広域防災拠点施設として位置づけられております。求められる機能として、支援部隊の現場活動支援、災害医療活動支援、広域医療搬送拠点、物資、機材の備蓄、支援物資の受け入れ、分配、ヘリコプター基地、展開などとなっております。
これらのことから、望まれる要件として、交通機関からのアクセス性、情報、通信設備の充実、エネルギー供給、水供給等の自立機能、代替機能の確保などが指摘されております。県の現状認識と課題についてお伺いいたします。
報告書では、移転新築、現地新築、改修の三つの工法に加え、PFI導入の可能性にも触れ、平成31年度以降の基本構想の策定に向けた具体的検討の必要性が示されております。同年代に建設された他県の同様の施設も、平成21年度以降、7府県において新築整備がされているようであります。約40億円から70億円ともされる整備費用の財源確保もあわせ、整備に当たってのスケジュール、整備手法等に対する認識をお伺いいたします。
次に、災害からの回復力、いわゆる災害レジリエンスと男女共同参画についてお伺いいたします。
先般、都内で行われた研修会に参加した際、男女共同参画から見た災害時の課題と題された講座に参加いたしました。結論づけて言えば、地域の備えている回復力が最終的な災害の被害の規模を決定づけるというもので、この回復力の大きさを左右するのが男女共同参画の視点だということでありました。
2005年、神戸で行われた国連防災世界会議では、あらゆるリスク管理政策、計画、意思決定過程にジェンダー視点を取り入れることが採択され、日本政府も防災協力イニシアチブを発表し、防災分野におけるジェンダーの視点を明記しており、2005年の中央防災会議の防災基本計画にも男女双方の視点が盛り込まれております。
災害からの回復力、災害にタフか危ういか、復興は順調かを考える際の指標の一つに災害関連死が挙げられます。いわば被災後、避けられたかもしれない被害をいかに少なくするかが災害回復力とも言えるわけでありまして、避難所における備蓄や環境の差異が大きくかかわってくることが予想されます。
多様な住民が参加する災害に強い、回復力のあるまちづくりと持続可能な復興をなし遂げるために、女性の占める役割は大きいと講師は結論づけております。
所感を伺いますとともに、県では、県及び県内市町村での備蓄を含めた防災行政における男女共同参画の現状をどのように把握しているのでしょうか、お尋ねいたします。
東京2020オリンピック・パラリンピックまであと400日を切るまでになりました。両大会は、復興オリンピック、パラリンピックと位置づけられ、平成27年に閣議決定された基本方針を踏まえ、被災地復興を後押しする取り組みを強力に進めるとともに、被災地が復興をなし遂げる姿を世界に発信することとされており、釜石市におけるラグビーワールドカップ2019の開催もその一環として位置づけられているのは、御承知のとおりであります。
また、被災3県の木材が新国立競技場のエントランスゲートに活用されるほか、被災地食材を活用したメニュー提供方針が盛り込まれるなど、資材及び食材活用の取り組みも進められようとしております。
加えて、復興ありがとうホストタウンが新設され、県内でも9市町村が決定し、また、事前キャンプ誘致を目指している自治体も見えております。
このように、各省庁にまたがった取り組みは評価をしたいと思いますが、一方、経済産業省における被災地の産業支援、文化庁における被災地の文化の発信と大型文化イベントの開催、スポーツ庁におけるオリパラ教育の推進、復興庁における被災地の情報発信強化の取り組みについては、具体的な取り組みが見えづらい状況であります。また、東京2020オリンピック・パラリンピックの三つの基本コンセプトの中にも、復興という表現は一切使われておらず、やや残念な気がしております。
そこで伺いますが、復興五輪として準備が進められている来年の大会に向け、現時点でこのような取り組みを被災県としてどのように評価しているのかお伺いいたします。
先日、この大会に向けた大会組織委員会公表による聖火リレーのルートの概略が報道されておりました。報道では、聖火リレーは、来年3月26日に福島県のサッカー施設Jヴィレッジをスタートし、岩手県内では6月17日から19日までの3日間が割り当てられ、県内28市町村を通過する予定とされております。
2020年は、まさに震災から10年目の年であり、国の復興・創生期間の最終年にも当たることになります。聖火リレーのコンセプトは、希望の道を、つなごう。とされております。
復興五輪の理念を踏まえ、ギリシャから宮城県東松島市に届けられた聖火は、復興の火として岩手県を含む被災3県に2日間ずつ展示されることになり、また、聖火が被災地福島県をスタートすることや、被災3県は他の道府県よりも長い3日間の割り当てとなっていることなど、一定の配慮をされていることは理解しております。しかしながら、今回の発表でルートに含まれなかった軽米町、西和賀町、葛巻町、九戸村、住田町の5町村の落胆は想像にかたくなく、ルート発表直後に5町村長が、大会組織委員会にルートの再検討を求めるよう県に要望した首長たちの判断を理解するものであります。
聖火ルートの基本的な考え方は、地域が国内外に誇れる場所や地域の新たな一面を気づかせる場所、聖火が通ることによって人々に新たな希望をもたらすことができる場所などとなっております。
岩手県は、言うまでもなく全県が被災地であります。今回ルートを外れた5町村は、県内中山間地域の象徴的な地域でもあり、復興に向けた取り組みと同様に、全国や世界に目を向けてもらいたい地域であると考えます。
そこで伺いますが、今回発表されたルート概要は、各都道府県で作成したものを大会組織委員会が取りまとめたものと報道されておりますが、県は、ルート概要作成に当たり、どのような基本的考えに基づき進めてきたのでしょうか。
また、これからの詳細なルートや全体の走行距離などは、今後、各都道府県と組織委員会で詰めて年末ごろに発表予定とされておりますが、要望を受けた県の思いと再検討に向けた取り得る取り組みの可能性等についての認識をお伺いいたします。
最後に、病弱教育の充実について伺います。
一般質問や委員会などでの質問、質疑を通じて、何度かこの問題点と課題解決に向けた取り組みの必要性を提起させていただきました。
2月の次期総合計画特別委員会の総括質疑においても同様の質疑をさせていただいた中、県民計画のアクションプランにおいて取り組みに対する方針が明示されたことには、感謝申し上げたいと思います。
東京2020オリンピックで活躍が期待された競泳の池江璃花子選手が、急性白血病と診断され、競技を一時中断せざるを得なくなったことは、国民の多くの関心を集めました。池江選手は、当時高校生だったこともあり、病床での教育の問題にも直面していたのだろうと思います。池江選手の病床での教育環境がどのようになっていたのかは、残念ながら知るよしもありませんが、このような環境にある県内高校生たちの病弱教育の充実は、急務かつ具体的であるべきと考えます。
新年度の具体的な取り組み、高校生の病弱教育の拠点として期待される岩手医大への院内教室整備の状況など、お伺いをいたします。
以上で私の一般質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 関根敏伸議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、沿岸部の人口減少対策についてでありますが、沿岸地域では県平均を上回る人口減少が続いていることから、若者、女性の地元定着、U・Iターンの促進を図るための産業振興や雇用機会の確保、魅力ある地域づくり等の人口減少対策を重点的に推進していく必要があります。
このため、沿岸被災地の復興の推進そのものが人口減少対策となるものでもありますことから、いわて県民計画(2019〜2028)に基づき、被災地の一日も早い復興の実現を目指して、復興まちづくりなどの安全の確保、住宅や雇用の確保などの暮らしの再建、水産業、商工業などのなりわいの再生、さらに、東日本大震災津波伝承館の整備などの未来のための伝承、発信に取り組んでいるところであります。また、宮古市や山田町などでは、駅周辺に商業施設や公共施設等を集約した災害に強いコンパクトなまちづくりに取り組んでいるところであり、まちのにぎわい空間を活用した交流の拡大が進むものと考えております。
県では、いわて県民計画において、長期的視点に立ち三陸防災復興ゾーンプロジェクトに取り組んでいるところであり、市町村が進めるまちづくりと緊密に連携し、引き続き、移住、定住の促進や交流人口の拡大など、地域の特色を生かした、持続的で魅力ある地域づくりを進めてまいります。
次に、消費税増税による経済への影響についてでありますが、税率が8%に引き上げられた平成26年の県内経済は、物価上昇の動き、大型小売店舗販売額、新車登録台数などの個人消費の落ち込み、鉱工業生産指数、新設住宅着工戸数の前年割れなど、税率引き上げや駆け込み需要の反動減の影響が見られたところであります。住宅再建が進む沿岸部におきましても、新設住宅着工戸数が前年割れするなど、同様の影響が見られました。
消費税率の引き上げは、経済的に弱い立場にある方々や我が国の経済を支える多数の中小企業に負担を強いることになるため、国民生活に多大な影響を及ぼすことが懸念されます。特に、本県の沿岸部においては、東日本大震災津波や平成28年台風第10号災害からの暮らしの再建やなりわいの再生の妨げとなることが懸念されます。
県といたしましては、経済的に弱い立場にある方々が困窮することがないよう、また、地域に根差した産業に十分配慮して、地方経済の落ち込みや復興のおくれを招くことがないよう今月11日に政府予算提言、要望を行ったところであり、引き続き、全国知事会などと連携し、十分な対策を講じるよう国に対応を求めてまいります。
次に、北上川バレープロジェクトについてでありますが、北上川流域は、県央広域振興圏における都市機能や学術機関、IT産業等の集積や県南広域振興圏におけるものづくり産業の集積が進み雇用が著しく拡大しており、両広域振興圏に共通する農業生産基盤や充実した文化、スポーツ施設、豊富な観光資源なども含め、産業集積と恵まれた生活環境、豊かな自然が調和したエリアであります。このエリアの魅力を一層高め、その情報を強力に発信することにより、これまで以上に人材が集まり、定着するエリアを形成し、生活関連サービスや教育、観光、スポーツ、文化芸術などの分野の需要を高める好循環を生み出してまいります。
北上川バレープロジェクトでは、こうした北上川流域の強みを生かした、産業振興、生活環境の充実に資する施策を取り組みの柱として展開してまいります。また、県内外の有識者から提言をいただきながら、第4次産業革命技術による地域課題の解決や地域振興に向けた取り組みを市町村や大学等の関係機関と連携しながら展開してまいります。
このような取り組みにより、仕事のやりがいが実感でき、必要な収入や所得が得られる就労環境と多様で質の高いサービスが受けられ、あらゆる人が生き生きと快適に暮らすことができる社会の創造を新しい価値として追求してまいります。
次に、ILC誘致についてでありますが、去る3月7日の政府による初めての関心表明を受け、現在、ILC実現に向けて、国内及び国外において重要な局面を迎えていると認識しております。
まず、国内においては、日本学術会議が来年2月の第24期学術の大型施設計画・大規模研究計画に関するマスタープラン策定に向け審査を開始しており、このプロセスを通じて、ILCに対する他分野の研究者コミュニティーのコンセンサスが得られ、学術的にもILCの意義が再認識されるものと考えております。
海外との関係においては、日米欧の研究者による国際ワーキンググループの国際分担の議論と並行し、政府レベルにおいては、米国に引き続き、フランス、ドイツとの国際協議の場がこの7月には設置される見込みと聞いております。こうした一連の動きの中で国際的な費用負担の議論が深まるとともに、年内にも素案が固まると言われている欧州の素粒子物理戦略にILCが反映されていくものと考えております。
また、ILCの実現に向けて国民的な理解や支援の広がりも重要であり、本県を初め、KEK等関係団体が一体となった体制により、マスコミや各種媒体を活用した効果的な広報を展開することとしております。
県といたしましては、このような国内外の動向を踏まえ政府が決断すると考えており、超党派国会議員連盟、研究機関や推進団体など関係する組織が一致団結して国内外の議論を促進することが極めて重要でありますことから、今後も連携を密にしながら全力で取り組んでまいります。
次に、防災行政における男女共同参画についてでありますが、県では、いわて県民計画(2019〜2028)に基づき、男女が互いに尊重し合い、ともに参画する社会の実現に向けて各般の施策を推進しているところでありますが、地域防災の分野においても、防災に関する政策、方針決定過程に男女がバランスよく参画し、男女の違い等に十分配慮した防災対策を行っていくことが重要であると考えております。
防災行政における男女共同参画の現状を示す、女性委員が参画する市町村防災会議の割合は2017年度現在で81.8%にとどまっていますことから、防災対策の推進に向けた活動が男女共同参画の視点で行われるよう、県、市町村防災会議における女性委員の登用を積極的に進めているところであります。
また、経済、産業団体等で構成するいわて女性の活躍促進連携会議には防災部会が設けられており、この取り組みの中でも消防団への女性の加入促進や女性消防職員の活躍の場の拡大を図っているほか、被災者の生活を支えるための備蓄については、避難所運営等を担う市町村に対して、女性や高齢者、障がい者、乳幼児及び妊産婦等の要配慮者に配慮した物資の調達を働きかけています。
今後におきましても、災害時に被災者に寄り添ったきめ細かな対応を図るため、男女共同参画の視点を取り入れた防災対策を一層推進し、地域防災力の向上に努めてまいります。
その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔政策地域部長白水伸英君登壇〕
〇政策地域部長(白水伸英君) まず、被災自治体への県の支援のあり方についてでありますが、被災市町村においては、復興事業の進捗とともに震災前の予算規模や職員数に戻りつつある市町村がある一方で、復興事業の実施が引き続き必要な市町村もあるところでございます。
県といたしましては、これまで、それぞれの市町村の行財政の状況変化に応じて、いわて行財政コンサルティングなどあらゆる機会を通じて、財源の確保や有利な起債、地方債の活用などについての助言、中期財政見通しの策定のサポート、行政運営の効率化に向けた助言を行ってきたほか、復興事業に必要な予算の確実な措置や応援職員の確保について国に要望してきたところでございます。
また、平成28年台風第10号により甚大な被害を受けた市町に対しましては、応援職員等の確保のほか、平成28年度に特定被災地域復興支援緊急交付金を、また平成29年度には特定被災地域復興支援特別交付金を交付し、早期の復旧、復興を支援してきたところでございます。
今後におきましても、被災市町村による住民サービスが安定的、持続的に提供されることが重要であることから、引き続き市町村の財政状況や職員体制等を注視し、市町村と情報共有をしながら必要な対応を検討し、支援をしてまいりたいと考えております。
次に、県の施策に関する県民意識調査の結果に係る所感についてでございますが、議員御指摘のとおり、生活満足度につきましては、県全体で見ますと満足の割合が35%となり、平成12年の調査開始以来、過去最高となったところでございます。また、幸福感につきましては、幸福と感じている人の割合が52.3%となり、調査開始以来4年連続で50%を超えたところでございます。
一方で、議員御指摘のとおり、生活満足度、幸福感とも広域振興圏別では差が見られたところでございまして、その要因等の詳細につきましては、今後、総合計画審議会に設置いたしました県民の幸福感に関する分析部会において詳しく分析していくこととしております。
なお、この分析部会における県民意識調査の分析結果等も踏まえながら、新しい県民計画に基づく10の政策分野の取り組み等を推進することで県民の満足度や幸福度を高めることにつなげていきたいと考えております。
次に、県南広域振興圏における地域振興についてでございますが、県南広域振興圏につきましては、いわて県民計画(2019〜2028)におきまして、目指す姿を、人とのつながり、県南圏域の産業集積や農林業、多様な地域資源を生かしながら、暮らしと産業が調和し、世界に向け岩手の未来を切り拓く地域とし、各種施策を展開することとしております。
県民意識調査の結果につきましては先ほど御答弁申し上げたとおりでございまして、今後、詳細に分析することとしておりますが、現時点では、例えば県南広域振興圏における小児医療体制の課題が報道されたことや、同圏域の一部の地域において自殺死亡率が高いこと等が影響している可能性があると考えております。
今後、この県民意識調査の分析結果も踏まえながらではございますが、質の高い医療、介護サービスの提供体制の構築、それから地域企業の技術力、競争力向上等による産業集積の一層の推進や産業人材の確保、育成、定着、世界遺産平泉の文化遺産や食文化など地域の魅力を生かした観光の振興、米、園芸、畜産や林業などの多様な経営体による収益性の高い農林業の振興などに取り組んでいくこととしております。
また、新しい時代を切り開くため、北上川流域全体の産業の高度化、高付加価値化、生活環境の充実等を目指す北上川バレープロジェクトや、国際リニアコライダーの実現により知と技術が集積された国際研究拠点の実現を目指すILCプロジェクト等に取り組むことにより、県南圏域の持つポテンシャルや特性を生かした地域振興を行い、県民の満足度や幸福度の向上につなげてまいりたいと考えております。
次に、ILCに対する国民理解の増進についてでございますが、昨年度、ILCの自主的な応援団として各界の著名人により設立されたILC100人委員会には129名が参画し、そのうち、委員のお一人である漫画家の引兼憲史氏は、自身の連載作品でILCをテーマに取り上げ、漫画を通じてILCの重要性について広く全国に発信していただいたところでございます。また、映画監督の押井守氏が発起人となりましたILCサポーターズは、首都圏でのイベント開催やSNSを通じたILCの周知、地元での活動との連携などにより、41万人を超える署名が集まったところでございます。
今後、ILCの全国的な理解増進に向けまして、ILC100人委員会の皆様にはそれぞれの立場でILCについて発信をいただくとともに、ILCサポーターズについては、今年度もSNS等を通じて広くPRするほか、日本SF大会へのILCブース出展や、同SF大会での鈴木県立大学学長の講演等を通じた新たなファン層への訴求など、積極的な活動が展開されるよう、関係団体と連携し、県として支援してまいる考えでございます。
次に、グリーンILCについてでございますが、グリーンILCは、ILCのエネルギー消費を抑えながら、施設から排出される熱や研究関連施設の木造化など地域資源を有効活用するものでございまして、第1次産業を基幹産業とし、持続可能な社会を目指す、本県の特徴を生かした取り組みと認識しております。また、グリーンILCは、環境、エネルギー、農林業、建築、まちづくりなど多様な分野がかかわることから、現在、ILCの研究者を初め、民間企業、公設試験研究機関等が参画し、関係者相互に理解を深めながら共同研究や実証試験に取り組んでいるところでございます。特に、県産木材を活用した施設の木造化につきましては、農林水産部や県土整備部の職員も共同研究に参画し、全庁的な取り組みを進めているところでございます。
今後は、ILCを推進する庁内の体制強化の中でグリーンILCの検討チームを設けるとともに、民間企業や研究者と開催しておりますグリーンILCセミナーを今年度は県北地域で開催するなど、全県での展開を行うこととしております。さらに、加速器関連の学会での発表や、全国的な企業展示会などの場におけるPR強化など、グリーンILCの取り組みを積極的に発信してまいります。
〔商工労働観光部長戸舘弘幸君登壇〕
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) まず、北上川流域における人材確保のための県の支援等についてでありますが、オフィスや住宅の確保は、将来にわたり一層の産業集積や人材確保を推進していくための重要な課題と認識しています。
北上市及び花巻市とその周辺地域では、県外の半導体関連企業から地元不動産事業者にオフィスや住宅に関する数多くの問い合わせが寄せられていると聞いています。また、平成30年度の貸し家の新規着工戸数は前年度の約1.5倍に拡大し、民間による不動産投資が大幅に増加しています。こうした中、北上市におきましては、共同住宅の建設等に対する補助制度の創設や北上駅東口の市有地の利活用など各種施策を予定しており、さらに周辺市町でもさまざまな支援策の検討に着手したと聞いております。
県といたしましては、このような各自治体のまちづくり施策を基本に据えつつ、関係自治体の連携による一体的な取り組みを推進する必要があると考えておりまして、まずは、北上市や花巻市、有識者等を交えた研究会を立ち上げ、情報交換などにより課題の整理を行うとともに、オフィスや住宅の確保策、渋滞緩和策などについて検討を始めたところであります。産業集積に伴う新たな雇用の増加などによる人の流れを今後の北上川流域発展のチャンスと捉え、北上市や花巻市など関係自治体と県が一体となった広域的な取り組みを進めてまいります。
次に、北上川バレープロジェクトの可能性調査等についてでありますが、本プロジェクトでは、生活分野への第4次産業革命技術の導入促進を通じて、より暮らしやすい生活環境の実現を目指すため、まずは可能性調査を実施することとしておりまして、今年度におきましては、第4次産業革命技術による地域課題の解決等について、有識者からの意見聴取や市町村との意見交換、情報共有、先進事例の調査等を行うこととしています。
また、具体の事業開始はこれからになりますが、高齢化の進展による買い物弱者の発生や労働力不足を背景とした物流分野の生産性向上等が課題となっていることを踏まえまして、リーディングプロジェクトといたしまして、新たな輸送手段として期待されているドローンを活用した物流システムの構築に向けた調査研究にも着手することとしておりまして、市町村や商工団体等で構成する研究会を設置して取り組んでまいります。
次に、北上川流域のイメージアップとPRについてでありますが、北上川流域は、すぐれたものづくり人材や豊かな自然などが高く評価され、半導体や自動車関連工場の新規建設が大規模に進み、最先端の製品を最新の技術で生産する地域へと大きく成長している途上にあります。今後、さらに生産と雇用が大きく伸びると見込まれる地域でありますことから、産業集積と生活環境、豊かな自然が調和したエリアであることを広く発信することが人材の確保、定着を図る上でも重要と考えています。
このため、岩手で働くこと、暮らすことの魅力を伝えるいわてWalkerの発行や、関係人口の創出をテーマとしたセミナーの開催など、新卒者の県内就職の促進や、移住、定住、U・Iターンの促進、県内企業の認知度向上に取り組んでいるところであります。
今後におきましても、北上川バレーエリアの魅力や、このプロジェクトによって目指す姿などを発信する取り組みを強化することとしており、具体的には、シンポジウム等の定期的な開催や、いわてWalkerに引き続き、訴求力の高い広報媒体等を活用した情報発信に取り組み、対外的なPRとエリア内での周知を図ってまいります。
〔総務部長八重樫幸治君登壇〕
〇総務部長(八重樫幸治君) まず、ILC推進局の組織体制等についてでありますが、本年3月の政府見解や岩手県議会国際リニアコライダー建設実現議員連盟からの体制強化の要請などを踏まえ、今般、部局等設置条例の一部改正を提案しているところであります。
具体的な組織体制については、現在、調整中でありますが、専任の局長のもと、企画総務課と事業推進課の2課体制とするとともに、県南広域振興局に総括課長級の職員を駐在させ、現地の体制強化を図ることとしています。また、職員規模については、専任の職員のほか、関係部局の職員を兼任配置し、50人程度の体制とする方向で検討しております。
今後、見込まれる国内外の研究者による議論や政府レベルでの協議が円滑に進められるよう、適時適切に情報提供していくとともに、国民理解の増進や受け入れ環境の整備など具体的な準備を進めていくため、体制の強化を図り、ILC推進局が中心となって一層の部局間連携を進め、ILCの実現に向けて全庁挙げて取り組んでまいります。
次に、消防団員数の現状についてでありますが、平成30年4月1日現在の本県の人口10万人当たりの消防団員数は1、720人で、全国平均の660人を上回るとともに、普通交付税算定の基礎となる人口10万人当たりの標準消防団員数583人を大きく上回っており、地域の実情に応じて必要な団員の確保をしているところであります。
次に、消防団員の装備に対する現状と課題についてでありますが、消防庁が実施した平成30年4月1日現在の県内消防団の装備品状況調査では、投光器や車用無線機の装備率が高く、特定小電力無線機─トランシーバー、油圧切断機、AEDなどの救助用資機材の装備率が低い状況となっています。また、現場の消防団からは、消防団の活動用の資機材も必要であるが、活動服や防火衣、防寒衣等基本的な装備がまだ十分ではないといった声もあるなど、消防団員が多い本県では、基本的な装備品も含め、整備が十分でないと認識しております。
次に、消防団に係る市町村財政負担と地域防災力の関係についてでありますが、普通交付税の消防費に係る基準財政需要額は、標準団体行政規模である人口10万人当たり消防団員数583人に基づいて算定されていますが、本県においてはほとんどの市町村において標準団員数を上回っており、消防団の維持に係る経費について財政的に大きな負担が生じている状況にあります。地域の防災力については市町村が計画的に強化を図るべきものと考えていますが、消防団の装備の充実や団員の処遇改善など、地域の実情に応じた財政支援が必要と考えています。
このため、人口に比して消防団員の多い市町村や、少子高齢化、過疎化が進む市町村に対しては、普通交付税の算定方法の改善や特別交付税のさらなる拡充など、市町村の実情に応じた財政支援について引き続き国に働きかけていきたいと考えております。
次に、岩手県消防学校の機能についてでありますが、校舎本館等は、建設後45年が経過し、経年劣化による施設設備の老朽化が進むとともに、訓練施設等についても、災害の態様が大規模化、複雑多様化する現在の消防活動のニーズに対応した訓練が十分にできない状況となっています。また、入校生の寄宿舎が1室8人収容となっており、居住及び学習の環境の改善が必要な状況であるほか、女子寮は応急的に整備した施設であり、教育施設としての機能、設備が十分でない状況にあります。
このことから、本年3月、県と関係機関で構成する岩手県消防学校に必要な機能等に関する研究会において、実火災に対応した消火活動訓練など高度な教育訓練が実施でき、入校者の学習環境が良好に保てるようプライバシーにも配慮した施設設備の整備が望ましいなどとした報告書を取りまとめたところであります。
次に、広域防災拠点としての認識と課題についてでありますが、広域防災拠点の一つである消防学校は、災害発生時に緊急消防援助隊、DMAT等の活動支援や、傷病者を治療が行える医療機関に搬送するための中継点となることが期待されています。平成28年台風第10号災害の際は、岩泉町からの避難者を内陸部の医療機関に搬送するためのSCU─広域医療搬送拠点を開設したほか、防災ヘリや自衛隊ヘリの活動拠点となるなど、広域防災拠点としての役割を果たしたところであります。
一方で、設備がバリアフリー仕様ではなく、電気、水道等供給の自立機能を有していないことから、こうした施設設備の充実が必要であるほか、災害対応活動に必要な情報収集、伝達のための情報通信設備の充実なども必要であると考えています。
次に、整備に係るスケジュールや手法等についてでありますが、平成29年度に実施した岩手県消防学校劣化度診断調査において、救急棟を除く校舎など5棟は5年以内に改修等を要するとされたことから、早期に対応することが必要と考えています。整備手法については、移転新築、現地新築、長寿命化改修のそれぞれの可否について、今後、検討を行うこととしております。
また、整備の財源については、更新時期を迎える多くの県有施設があることから、全庁的な施設整備の優先度や中期財政見通しの中で、PFI等の導入の可能性も含め検討していく必要があると考えています。
〔文化スポーツ部長菊池哲君登壇〕
〇文化スポーツ部長(菊池哲君) まず、東京2020オリンピック・パラリンピックの取り組みへの評価についてでありますが、この大会では、復興五輪の理念のもと、経済や文化の分野を含め、さまざまな面から被災地にスポットを当てた取り組みが展開されているところでありまして、具体的には、議員御指摘のとおり、県産木材や食材の活用、ホストタウンなどの取り組みに加え、スポーツ庁においては、児童生徒が著名なオリンピアンなどと交流し、学ぶ機会の提供、復興庁においては、在京大使館関係者による被災地訪問が行われているほか、文化庁における日本博など文化イベントにおける魅力発信、経済産業省においては、地域資源を生かした観光需要につなげる取り組みへの支援などが、具体化に向けて動き出しているところでございます。
これらの取り組みは、三陸防災復興プロジェクト2019やラグビーワールドカップ2019釜石開催などの機会を通じ、復興支援に関する感謝を伝え、復興に向けて歩み続ける姿を国内外に向けて発信しようとしている本県の取り組みにとって、支えとなっているものと受けとめているところでございます。
今後もさまざまな取り組みが幅広い分野で展開されていくものと期待しているところでありまして、大会終了後においても、本県の地域振興に資する取り組みとして、人的、文化的な交流の進展につながるよう、市町村との連携のもと、丁寧に対応していきたいと考えているところであります。
次に、聖火リレーのルート検討の基本的考え方等についてでありますが、本県は、沿岸被災地はもとより、全県が被災地であり、全県民が被災者であるとの基本認識のもと、全県一体となって復興に取り組んできていることから、全市町村でのリレーが実施できるよう、組織委員会にお願いしてきたところでございます。
組織委員会においては、まずもって、被災した沿岸市町村でのリレー実施を確保しつつ、1日当たりの実施時間、区間数を初めとしたさまざまな制約がある中で、より多くの人々が集まりやすく、見ることができるルートであることなどを考慮し、先般、28市町村において実施される内容が示されたものと受けとめております。
また、他県においては、おおむね半数の市町村での実施となっている中、本県では8割を超える実施となっており、一つの聖火をいかにして県内をめぐらすかについて、組織委員会では相当に意を用い検討されたものと受けとめているところではありますが、議員御指摘の5町村が含まれずに公表になったことについては、これまでの各要望において示された皆さんの思いと同様に、残念に思っているところであります。
組織委員会では、IOC国際オリンピック委員会とも協議した上で公表したとも聞いているところであり、今後のルートの変更についてはなかなか容易ではないものと推測されているところではございますが、5町村及び町村会の要望を伝え、組織委員会等と相談していく考えであります。
一方、これと並行し組織委員会から各県に与えられた聖火リレーランナーについて、本県は66人の枠を得ているところでございますが、全市町村からのランナーの選出に向けた調整、また、聖火関係のもう一つのいわゆる看板事業でありますパラリンピック聖火フェスティバルの実施市町村等の調整、さらに、ルートの変更がかなわなかった場合、各町村の人たちが喜んで参加し、オリンピック、パラリンピックの価値を共有できる関連事業の実施に向けた検討などを早急に進めていく必要があると考えているところでございます。
こうしたことから、今後、より一層各市町村との連携を密にし、復興オリンピック、パラリンピックの成功に向け、オール岩手で盛り上がっていくよう努めてまいります。
〔教育長佐藤博君登壇〕
〇教育長(佐藤博君) 長期入院等を必要とする高校生の学習保障については、病状や学びのニーズが多様であることなどから、指導方法、単位認定、教員配置、転学等の検討が必要であり、本県のみならず、全国的にも課題となっていると認識しているところです。
県教育委員会といたしましては、いわて県民計画(2019〜2028)、岩手県教育振興計画を踏まえ本年3月に策定した、いわて特別支援教育推進プラン(2019〜2023)に基づき、長期入院等を必要とする高校生の学習保障について取り組みを進めることとしています。
この5月には、病気等による入院や自宅療養等により長期間登校できない高校生に関する書面での調査を実施し、その結果に基づいた学校訪問を行うなど、県内の状況把握を進めているところです。
また、岩手医科大学附属病院を含めた関係機関との連携については、現在把握を進めている状況等を整理し、今後、支援体制の構築や運用方法など総合的な検討を進めていくこととしております。
〇副議長(五日市王君) この際、暫時休憩いたします。
午後3時55分 休 憩
出席議員(45名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 千 葉 絢 子 君
3  番 ハクセル美穂子 君
4  番 菅野 ひろのり 君
5  番 柳 村   一 君
6  番 阿 部 盛 重 君
7  番 佐 藤 ケイ子 君
8  番 佐々木 宣 和 君
9  番 臼 澤   勉 君
10  番 川 村 伸 浩 君
11  番 田 村 勝 則 君
12  番 工 藤   誠 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 吉 田 敬 子 君
15  番 佐々木   努 君
16  番 千 葉   進 君
17  番 佐々木 朋 和 君
18  番 名須川   晋 君
19  番 軽 石 義 則 君
20  番 神 崎 浩 之 君
21  番 城内 よしひこ 君
22  番 佐々木 茂 光 君
23  番 高 橋 孝 眞 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 工 藤 勝 博 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 高 橋   元 君
32  番 関 根 敏 伸 君
33  番 岩 崎 友 一 君
34  番 中 平   均 君
35  番 五日市   王 君
38  番 斉 藤   信 君
39  番 小野寺   好 君
40  番 飯 澤   匡 君
41  番 佐々木 順 一 君
42  番 田 村   誠 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 工 藤 勝 子 君
45  番 柳 村 岩 見 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 大 輔 君
48  番 樋 下 正 信 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時13分再開
〇副議長(五日市王君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第1、一般質問を継続いたします。柳村岩見君。
〔45番柳村岩見君登壇〕(拍手)

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