平成31年2月定例会 予算特別委員会会議録

前へ 次へ

予算特別委員会会議記録
(第 8 号)
平成31年3月15日(金)
1開会 午前10時3分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 村 上 宏 治
議事管理担当課長 安 齊 和 男
主任主査 柳 原   悟
主任主査 金 戸 伸 幸
主査 上 野 公一郎
主査 小 原 亜季子
主査 赤 坂 宏 紀
主査 戸 塚 教 仁
1説明員
農林水産部長 上 田 幹 也
理事 内 宮 明 俊
技監兼
林務担当技監 阿 部 義 樹
副部長兼
農林水産企画室長 佐 藤 隆 浩
農政担当技監兼
県産米戦略室長 小 岩 一 幸
農村整備担当技監 千 葉   匡
水産担当技監兼
水産振興課
総括課長 伊 藤 克 宏
漁港担当技監 岩 渕 和 弘
理事心得 及 川   忠
競馬改革推進室長 千 葉 義 郎
参事兼団体指導課
総括課長 菊 池 光 洋
参事兼農村計画課
総括課長 多 田   繁
農林水産企画室
企画課長 照 井 富 也
農林水産企画室
管理課長 山 本 卓 美
指導検査課長 関 口   等
流通課総括課長兼
県産米販売推進監 高 橋 浩 進
農業振興課
総括課長 藤 代 克 彦
担い手対策課長 中 村 英 明
農業普及技術課 総括課長 菊 池 政 洋
企画調査課長 村 瀬 勝 洋
農村建設課
総括課長 伊 藤 啓 治
農産園芸課
総括課長兼
県産米生産振興監 菊 池 徹 哉
水田農業課長 佐 藤   実
畜産課総括課長 菊 池 伸 也
特命参事兼
振興・衛生課長 村 上 隆 宏
林業振興課
総括課長 大 畑 光 宏
森林整備課
総括課長 橋 本 卓 博
整備課長 佐 藤 昭 仁
森林保全課
総括課長 久 慈   敏
漁業調整課長 森 山 拓 也
漁港漁村課
総括課長 阿 部 幸 樹
漁港課長 佐々木   剛
競馬改革推進監 菊 池 信 幸
競馬改革推進室
特命参事 小 上 俊 雄
県産米戦略監 小 原   繁

財政課総括課長 臼 井 智 彦
〇軽石義則委員長 3月12日の医療局審査の際、後日提供することとしておりました資料については、お手元に配付してありますので、御了承願います。
これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
田村勝則委員は欠席とのことでありますので、御了承願います。
議案第1号から議案第20号まで、議案第28号、議案第30号、議案第32号から議案第39号まで、議案第41号、議案第43号から議案第45号まで、議案第47号から議案第55号まで、議案第57号、議案第60号から議案第63号まで及び議案第65号から議案第71号までの以上55件を一括議題といたします。
本日の農林水産部の審査については、3月5日の当委員会で決定したとおり、第1部及び第2部に分けて審査することとし、第1部では農業関係分野について、第2部では林業関係分野及び水産業関係分野について、それぞれ審査することになっておりますので、御了承願います。
また、本日は、農林水産部関係について、延べ24人の質問者を予定しておりますが、午後5時を目途に審査が終了するよう、議事進行に御協力をお願いいたします。
それでは、農林水産部長に農林水産部関係の説明を求めます。
〇上田農林水産部長 農林水産部関係の平成31年度の予算関係議案について御説明申し上げます。
予算関係議案の説明に入ります前に、平成31年度の農林水産施策の推進に当たっての基本的な考え方について御説明申し上げます。
まず、本県農林水産業を取り巻く状況でありますが、東日本大震災津波からの復旧、復興は、これまでの取り組みにより、漁港や海岸保全施設などのハード整備は着実に進展しているものの、本県の主力魚種でありますサケなどの水揚げ量は、震災前を下回るなどいまだ途上にあるほか、放射性物質の影響を受けた原木シイタケ等の産地再生や消費者の信頼回復、販路の回復、拡大を進めていく必要がございます。
また、本県農林水産業は、担い手の減少や高齢化など、さまざまな課題を抱えております。
このような状況を踏まえ、平成31年度は、東日本大震災津波からの復興と、初年度となるいわて県民計画(2019~2028)を着実に推進する予算として編成したところであり、本県農林水産業が、地域経済を支える基幹産業として持続的に発展できるよう、将来を見据えた取り組みを幅広く展開し、地域の特色を生かした収益性の高い農林水産業の実現に向けて、力強く取り組んでまいります。
まず、東日本大震災津波からの復興につきましては、漁港施設や海岸保全施設等の復旧、整備について、2020年度までの完成に向けて全力を挙げて取り組むとともに、復興の先を見据え、地域漁業をリードする人材の確保、育成や、水産物の高付加価値化と販路の拡大に取り組むほか、サケの漁獲量の回復に向けて、種苗生産や放流に対する支援のほか、回帰率向上に向けた調査、研究などに取り組んでまいります。さらに、放射性物質影響対策として、原木シイタケの出荷制限解除に向けた検査やほだ場の環境整備を進めるとともに、県産農林水産物の安全・安心と魅力の発信に取り組んでまいります。
次に、復興に向けた取り組みと軌を一にした農林水産業の振興を図るため、意欲と能力のある経営体の育成につきましては、いわてアグリフロンティアスクールやいわて林業アカデミーに加え、新たにいわて水産アカデミーを開講するなど、農林水産業の次代を担う新規就業者の確保、育成、経営力の高い経営体の育成、女性農林漁業者の活躍促進に向けた環境整備などを進めてまいります。
収益力の高い食料・木材供給基地の確立につきましては、水田等での高収益野菜の作付拡大による新たな野菜産地の形成や、農畜産物のGAPの取得促進に取り組むほか、ゲノム解析技術を活用した全国トップレベルの種雄牛の造成、家畜飼養管理施設や高性能林業機械の整備を支援するとともに、水田の大区画化などの生産基盤の着実な整備を進めてまいります。
農林水産業の高付加価値化と販路の拡大につきましては、金色の風や銀河のしずくを核とした県産米のブランドイメージの定着と販路の拡大を進めるとともに、6次産業化による県産農林水産物の高付加価値化や、輸出拡大に向けたプロモーション、県産木材の利用拡大に向けた製材品開発への支援などに取り組んでまいります。
さらに、一人一人に合った暮らしができる農山漁村をつくるため、地域資源を活用した農山漁村ビジネスの振興、都市と農村との交流人口の拡大、防災、減災対策に取り組んでまいります。
また、新しい時代を切り拓くプロジェクトのうち、農林水産業高度化推進プロジェクトにつきましては、スマート農業やスマート林業の推進、漁港の静穏域を活用した増養殖モデルの実証などに取り組んでまいります。
それでは、予算関係議案について御説明申し上げます。
まず、議案第1号平成31年度岩手県一般会計予算でございますが、議案その1の7ページをお開き願います。第1表歳入歳出予算の歳出の表中、農林水産部関係の予算は、6款農林水産業費の673億1、063万2、000円のうち、県土整備部所管分を除く671億4、890万7、000円、さらに、9ページでございますが、11款災害復旧費2項農林水産施設災害復旧費の346億9、507万円及び12款公債費1項公債費のうち839万2、000円を合わせまして、総額1、018億5、236万9、000円となります。これを前年度当初予算834億2、626万1、000円と比較いたしますと184億2、610万8、000円、率にして22.1%の増となります。
増額の要因でございますが、震災対応分の漁港災害復旧事業費が前年比約187億円の増となっており、これは、請負工事の事業進捗が一層進むことから予算額が増額となるものであります。
それでは、予算の内容につきまして、便宜、予算に関する説明書により御説明申し上げます。
なお、金額の読み上げは省略させていただきまして、主な事業を中心に簡潔に御説明申し上げます。
それでは、予算に関する説明書の155ページをお開き願います。6款農林水産業費1項農業費1目農業総務費は、農政関係職員の人件費や国土調査等に要する経費であり、説明欄上から六つ目、いわて農林水産業6次産業化推進事業費及びその二つ下、いわて6次産業化ネットワーク活動推進事業費は、いわて6次産業化支援センターの運営等を通じまして、特産品の開発や販路拡大等の取り組みを支援しようとするものであります。説明欄中ほど、いわての食財ゲートウェイ構築展開事業費は、首都圏などへの食材供給や商品開発の仕組みづくり、県産食材のPRのほか、高品質な県産の果実や短角牛、綿羊を活用した県内外でのプロモーションを実施しようとするものであります。156ページをお開き願います。2目農業金融対策費は、農業近代化資金等の貸し付けを行う農協などの融資機関に対して利子補給等を行うものであります。3目農業改良普及費は、農業改良普及センターの管理運営等に要する経費のほか、説明欄の一番下、いわてニューファーマー支援事業費は、新規就農者に対して、就農前の研修や就農直後の経営安定を支援する資金を交付しようとするものであります。157ページでございます。4目農業振興費でございますが、説明欄一番下、いわて地域農業マスタープラン実践支援事業費は、地域の中心となる経営体の規模拡大や、地域農業を牽引するリーディング経営体の育成などに必要な機械、施設の整備等を支援しようとするものであります。158ページをお開き願いまして、説明欄の中ほど、次世代革新的技術導入加速化事業費は、農業経営の高度化を実現するため、ロボット、AI、IoT等の次世代革新的先端技術について、体系的な技術実証と経営評価等を実施しようとするものであり、その下、未来を育む県北農業ステップアップ事業費は、県北地域の次世代を担う新規農業者等を確保、育成するため、県北農業研究所において農業研修を実施しようとするものであります。5目農作物対策費ですが、説明欄二つ目、鳥獣被害防止総合対策事業費は、鹿などの野生動物の侵入防止柵の設置等を支援するとともに、被害防止活動を担う人材の育成、確保に向けた取り組みを支援しようとするものであり、説明欄一番下、強い農業づくり交付金は、収益向上に向けた農業機械や生産資材の導入、集出荷施設等の整備を支援しようとするものであります。6目畑作振興費ですが、159ページに参りまして、説明欄中ほど、いわて型野菜トップモデル産地創造事業費は、水田等において高収益な野菜の作付を拡大する取り組みを支援しようとするものであり、7目植物防疫費は、病害虫の防除指導のほか、生産者等に対する農薬の適正使用の指導等に要する経費であります。160ページをお開き願います。8目農業協同組合指導費及び9目農業共済団体指導費は、各組合の指導監督に要する経費であり、10目農業研究センター費は、同センターの管理運営、試験研究等に要する経費であります。161ページに参りまして、11目農業大学校費は、同校の管理運営に要する経費であります。
次に、163ページをお開きいただきます。2項畜産業費であります。1目畜産総務費は、畜産関係職員の人件費など管理運営等に要する経費であります。2目畜産振興費ですが、164ページをお開き願いまして、説明欄中ほど、畜産競争力強化整備事業費補助は、畜産クラスター計画に位置づけられた地域の中心経営体に対し家畜飼養管理施設等の整備を支援しようとするものであり、下から三つ目、いわて県有種雄牛利用推進事業費は、和牛の産地評価の向上を図るため、県有種雄牛のPRを強化し、若い県有種雄牛の凍結精液の利用を推進しようとするものであります。その下、いわてスマート共同放牧場実践支援事業費は、畜産経営の規模拡大と収益力向上を図るため、共同放牧場における労働力削減等に向けたスマート農業技術のモデル実証への支援やICT活用等の研修会を開催しようとするものであり、その下、強い農業づくり交付金は、地域の特徴ある乳製品の生産を拡大するため、乳業会社が行う乳製品加工施設の整備を支援しようとするものであります。3目草地対策費は、畜産農家等の生産基盤の整備を支援しようとするものであります。165ページでございます。4目家畜保健衛生費ですが、説明欄二つ目、牛海綿状脳症防疫対策事業費は、48カ月齢以上の死亡牛のBSE検査等に要する経費であり、その下、家畜伝染病予防費は、家畜伝染病予防法に基づき、各種疾病の検査を行おうとするものであります。166ページをお開き願いまして、5目農業研究センター費ですが、畜産研究所の管理運営等に要する経費であります。
次に、167ページでございます。3項農地費1目農地総務費は、農地関係職員の人件費等であり、2目土地改良費のうち、当部関係の主なものですが、説明欄上から五つ目、経営体育成基盤整備事業費は、圃場の大区画化や排水改良など、生産基盤の整備と担い手への農地集積を一体的に推進し、地域の中心となる経営体の育成を図ろうとするものであります。その下、中山間地域総合整備事業費は、地域の実情に応じた農業生産基盤と農村生活環境基盤の整備を実施しようとするものであり、説明欄一番下、資源向上支払事業費は、水路等の長寿命化や農村環境保全活動など、地域資源の質的向上を図る地域共同活動等を支援しようとするものであります。168ページをお開き願いまして、3目農地防災事業費は、農地、農業用施設等への自然災害を未然に防止するための防災ダムや老朽化した水利施設の更新等に要する経費のほか、説明欄中ほど、農用地災害復旧関連区画整理事業費は、東日本大震災津波により被災した農地と隣接する農地の一体的な圃場整備により、生産性、収益性の高い農業を実現できる生産基盤を整備しようとするものであります。169ページ、4目農地調整費は、農地中間管理機構と地域の農業者組織との連携強化など、担い手への農地集積業務の推進等に要する経費であります。
次に、171ページをごらん願います。4項林業費であります。1目林業総務費は、林政関係職員の人件費や全国植樹祭の開催準備に要する経費、県有林事業特別会計への繰出金等であります。172ページをお開き願いまして、2目林業振興指導費ですが、説明欄下から五つ目、いわての森林づくり推進事業費は、いわての森林づくり県民税を財源とし、針葉樹と広葉樹の混交林化を進めるとともに、地域住民が自主的に取り組む森林づくり活動等を支援しようとするものであり、その下、特用林産物放射性物質調査事業費は、特用林産物の放射性物質調査を実施するほか、使用自粛となったシイタケ原木等の処理や、出荷制限解除に必要なほだ場の生産環境整備を支援しようとするものであります。173ページでございます。説明欄下から五つ目、原木しいたけ生産拡大支援事業費補助は、原木シイタケ産地の再生を図るため、生産性の向上による規模拡大に必要な設備等の整備を支援しようとするものであり、その下、森林整備等支援基金積立金は、市町村が実施する森林整備及びその促進の支援等のための事業に要する経費に充てるため、平成31年度から譲与が開始される森林環境譲与税を基金へ積み立てようとするものであります。3目森林病害虫等防除費は、松くい虫などの森林病害虫の防除と被害の拡大防止等に要する経費であり、4目造林費は、森林経営計画等の認定森林における再造林や間伐等の森林整備に要する経費等であります。174ページをお開き願いまして、5目林道費でございます。林道整備事業中期実施計画等に基づき、森林整備の基盤となる林道の開設、改良等に要する経費であります。175ページ、6目治山費は、山地災害を未然に防止し、県土の保全を図るための治山や地すべり防止、保安林の管理や整備などに要する経費であります。176ページをお開き願います。7目林業技術センター費は、同センターの管理運営、試験研究等に要する経費であります。
次に、178ページをお開き願います。5項水産業費であります。1目水産業総務費は、水産関係職員の人件費や水産科学館の管理運営等に要する経費であります。179ページ、2目水産業振興費ですが、説明欄中ほど、さけ、ます増殖費は、サケ資源の早期回復に向け、稚魚の生産、放流等の取り組みを支援するとともに、サケの高水温耐性種苗の開発や、遊泳力の高いサケ種苗の生産技術開発等を実施しようとするものであり、四つ下、栽培漁業推進事業費は、漁協等が行うアワビ種苗放流の取り組みを支援するほか、栽培漁業に関する技術の開発を実施しようとするものであります。説明欄下から四つ目、いわて水産アカデミー運営事業費は、漁業者に必要な生産技術や経営手法を習得できるいわて水産アカデミーの運営に要する経費であり、その下、新しい増養殖モデル創出事業費は、漁業生産量の維持、増大を図るため、漁港等の復旧、整備により造成された静穏域を活用したサケ、マス類等の増養殖モデルの実証に取り組もうとするものであります。3目水産業協同組合指導費は、組合の指導監督や漁業近代化資金の利子補給等に要する経費であり、180ページをお開き願いまして、4目漁業調整委員会費及び5目漁業調整費は、海区漁業調整委員会等の開催や漁業調整などに要する経費であります。181ページ、6目漁業取締費は、漁業取締事務所の管理運営や老朽化した漁業取締船岩鷲の代船建造に要する経費であります。182ページをお開き願いまして、7目水産技術センター費は、同センターの管理運営、試験研究に要する経費であり、8目内水面水産技術センター費は、同センターの管理運営に要する経費であります。183ページでございます。9目漁港管理費は、県管理漁港施設の維持管理等に要する経費であり、10目漁港漁場整備費ですが、184ページをお開き願いまして、説明欄上から三つ目、海岸高潮対策事業費は、市町村のまちづくり計画等との調整を図りながら防潮堤の整備を進めようとするものであります。説明欄中ほど、漁港施設機能強化事業費は、漁港機能の向上を図る防波堤、護岸等の整備などに要する経費であり、説明欄下から三つ目、津波危機管理対策事業費は、津波避難機能を確保するため、防潮堤の避難通路の整備を行おうとするものであります。
次に、大きく飛びまして、236ページをお開き願います。11款災害復旧費2項農林水産施設災害復旧費1目農地及び農業用施設災害復旧費から238ページの6目漁港災害復旧費にかけましては、東日本大震災津波などにより被災した農林水産業施設の復旧に要する経費等であります。
次に、244ページをお願いいたします。12款公債費1項公債費1目元金のうち、当部関係は839万2、000円であり、これは、国の就農支援資金に係る償還元金であります。
次に、債務負担行為について御説明申し上げます。
恐縮でございますが、議案その1にお戻りいただきたいと存じます。11ページをお開き願います。第2表債務負担行為の表中、10公益社団法人全国農地保有合理化協会が公益社団法人岩手県農業公社に融資した資金について元利金の償還がない場合の不足額の損失補償から、13ページ、32漁港災害復旧事業までの23件であります。その内容は、公益社団法人岩手県農業公社の事業資金の借り入れに係る損失補償が1件、農林水産業関係の各種資金の融通に伴う利子補給が8件、平成31年度から翌年度以降にわたって施工される工事等に係るものが14件で、いずれもそれぞれ期間及び限度額を定めて債務を負担しようとするものであります。
次に、特別会計予算について御説明申し上げます。
23ページをお開き願います。議案第3号平成31年度岩手県県有林事業特別会計予算は、予算の総額を、歳入歳出それぞれ37億5、103万5、000円としようとするものであります。
24ページをお開き願いまして、歳入の主なものですが、1款国庫支出金は、県行造林、模範林及び公営林の整備に係る国庫補助金で、3款繰入金は、一般会計及び県営林造成基金からの繰入金であり、5款諸収入は、立木処分に係る売り払い収入等であります。
25ページ、歳出の主なものでございますが、1款県有林事業費は、県行造林、模範林及び公営林の維持管理や保育のほか、県債の償還等に要する経費であります。
次に、26ページをお開き願います。議案第4号平成31年度岩手県林業・木材産業資金特別会計予算は、予算の総額を、歳入歳出それぞれ9億8、443万6、000円としようとするものであります。
27ページでございます。歳入の主なものでございますが、2款繰越金は、前年度からの繰越金を予定するものであり、3款諸収入は、貸付金に係る償還金等であります。
28ページをお開き願います。歳出の主なものですが、1款林業・木材産業改善資金貸付費は、林業及び木材産業経営の改善を図るため、林業従事者等に対し無利子資金を貸し付けようとするものであります。
次に、29ページでございます。議案第5号平成31年度岩手県沿岸漁業改善資金特別会計予算は、予算の総額を、歳入歳出それぞれ9億9、656万7、000円としようとするものであります。
30ページをお開き願います。歳入の主なものでございますが、2款繰越金は、前年度からの繰越金を予定するものであり、3款諸収入は、貸付金に係る償還金等であります。
31ページ、歳出1款沿岸漁業改善資金貸付費は、沿岸漁業の経営改善を図るため、漁業従事者等に対し無利子資金を貸し付けようとするものであります。
次に、予算以外の議案について御説明申し上げます。
71ページをお開き願います。議案第16号農業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについては、かんがい排水事業ほか10事業の農業関係の建設事業に要する経費の一部を受益市町村に負担させようとするものであります。
次に、77ページをお開き願います。議案第17号林業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについては、県単独治山事業に要する経費の一部を受益市町村に負担させようとするものであります。
次に、78ページをお開き願います。議案第18号水産関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについては、水産生産基盤整備事業ほか7事業の水産関係の建設事業に要する経費の一部を受益市町村に負担させようとするものであります。
次に、予算関係条例について御説明申し上げます。
恐縮でございますが、議案その2により御説明いたします。29ページをお開き願います。議案第30号森林整備等支援基金条例でありますが、これは、市町村が実施する森林整備及びその促進の支援等のための事業に要する経費の財源に充てるため、森林整備等支援基金を設置しようとするものであります。
次に、37ページをお開き願います。議案第35号岩手県手数料条例の一部を改正する条例でありますが、本条例のうち、農林水産部関係の改正内容は、恐縮でございますが56ページをお開き願います。中ほど、別表第6(第2条関係)でございますが、これは、医療品医療機器等法施行規則等の改正に伴い、農林水産事務関係手数料の額を4月から増額しようとするものであります。
73ページに飛んでいただきまして、同じく別表第6(第2条関係)でございますが、これは、消費税及び地方消費税の税率の引き上げに伴い、農林水産事務関係手数料の額を10月から増額しようとするものであります。
次に、76ページをお開き願います。議案第36号岩手県牛馬寄託手数料条例の一部を改正する条例でありますが、これは、農業研究センターに牛馬を寄託する手数料の額を4月から増額しようとするものであります。
次に、114ページをお開き願います。以下、御説明する内容は、使用料等の改定に関するものであります。
114ページの議案第50号森林公園条例の一部を改正する条例、また、116ページ、議案第51号緑化センター条例の一部を改正する条例、117ページ、議案第52号水産科学館条例の一部を改正する条例、118ページの議案第53号岩手県漁港管理条例の一部を改正する条例、120ページの議案第54号海岸休養施設条例の一部を改正する条例についてでありますが、これは、10月から消費税及び地方消費税の税率の引き上げに伴いまして、使用料及び占用料の額の増額、並びに利用料金の上限額の引き上げを行おうとするものであります。
以上で予算関係の議案についての説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇軽石義則委員長 これより質疑を行いますが、議会運営委員会の決定及び世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
ただいまの説明のうち、第1部農業関係について質疑はありませんか。
〇高橋元委員 農林水産業につきましては、気候変動の影響を受けやすいということで、高温による生育障害あるいは品質低下などが既に発生しております。その一方で、気温の上昇に伴い、南方の農業生産物の栽培地域が拡大されていることもありまして、それらへの対応等も含めて取り組んでいかなければならない、こんな思いをしております。
私は、気候変動適応計画について3点伺いたいと思います。
まず第1点目は、高温障害の影響についてであります。
昨年の稲作作況指数が100を超えた都道府県は9道県、東北では青森県と秋田県の2県のみ。本県は98と、作況指数100を下回った。東北以外では、北陸4県が100を超えたぐらいで、関東から九州に至っては100を軒並み下回っている。特に九州においては、2015年以降4年連続して作況指数は100を下回っている状況にあります。
近年、高温障害によると思われる生産量の低下や白未熟粒、胴割れ粒の発生、一等米比率低下等の品質低下が指摘されておりますけれども、本県において高温障害の影響についてどのように捉えているのか、この点を伺いたいのですが、けさも地元紙でワカメの不漁というのが記事になっておりました。養殖ワカメが前年比44.2%の減ということで、発芽時期の海水温が高く、成長がおくれたことが要因と記載があります。水稲に限らず、農業全般、畜産業、林業、水産業などにおいて高温障害の影響がどのように出ているのか伺います。
〇照井農林水産企画室企画課長 農林水産物の高温障害の影響についてでございますが、県内では、農業分野におきまして、米の登熟期間におけます気温の上昇による品質の低下やリンゴの着色不良などの影響が確認されているところでございます。
また、水産業分野におきましては、本県の主力魚種でありますサケについて、三陸沿岸域の表層水温の上昇が繁殖や母川回帰に影響を及ぼしているほか、先ほど委員から御指摘のありました、海水温上昇によりましてワカメの収穫量減少などの影響の可能性が指摘されているところでございます。
このほか、畜産分野におきましては、乳用牛の乳量低下、林業分野におきましては、松くい虫等の森林病害虫によります被害地域の拡大など、全国的に見るとその影響が懸念されているところであります。
〇高橋元委員 被害額の総額といったものは調べたことはありませんか。
〇照井農林水産企画室企画課長 被害額の調査までは至っておりません。
〇高橋元委員 いずれ生産農家は、高温による障害で、じわじわ収入が減ってきているということもありますので、年度ごとにその被害額を、一つ一つの業種だけではなく全体としても把握していく、そういう取り組みも必要ではないかと思っております。
二つ目ですが、農林水産省の気候変動適応計画への対応について伺いたいと思います。
昨年11月に気候変動適応法が施行されております。農作物の被害にとどまらず、気象災害など、地球温暖化の被害軽減のための適応策をつくっていくということで、これを受けて各省庁でもさまざまな取り組みをされている。
農林水産省におきましては、既に2015年に農林水産省気候変動適応計画を策定して取り組んでいるわけでありますが、今回、政府の気候変動適応計画を踏まえて改訂されたと聞いております。これにつきまして、本県は現在どのような取り組みをされているのか伺います。
〇照井農林水産企画室企画課長 国の気候変動適応計画の改訂に伴います県の取り組みについてでございますが、県では現在、環境生活部を中心に2019年度の岩手県気候変動適応策取組方針の策定を進めているところでございまして、農林水産分野につきましても、昨年11月に改訂されました農林水産省の気候変動適応計画の内容を踏まえまして、気候変動が及ぼす影響や具体的な適応施策を盛り込むこととしているところでございます。
具体的には、高温登熟耐性にすぐれた水稲品種の育成や、気温上昇によるリンゴへの影響の調査、北上川水系のサケ稚魚の特性を利用した、高水温に強い稚魚生産技術の開発などに取り組むこととしております。
〇高橋元委員 2015年に最初、農林水産省で計画をつくっているわけです。その割には今の説明ではちょっと取り組みが弱いのかなと私は感じたのですけれども、今、課長がおっしゃったように、水稲では、高温による品質の低下、高温耐性品種への転換が進まない場合には全国的に一等米比率が低下する可能性があるということ、リンゴにおいては着色不良、ナシについては発芽不良とか、さまざま懸念されております。畜産においても、高温による乳用牛の乳量、乳成分、繁殖成績の低下といったものが指摘されているし、高温と少雨によって、飼料作物の夏枯れ被害あるいは虫の被害といったものが懸念されている。水産業は先ほどサケのお話もありましたけれども、かなりの分野において高温障害が指摘されているわけであります。
そういう意味では、もう少し私は積極的に取り組んできてよかったのではないかと思っております。予算も見ましたけれども、高温障害に対する取り組みの予算化は大きな項目ではないわけでありまして、もう少しその辺は、各部署だけではなくトータルで取り組んでいく必要があるのではないかと思っております。
例えば、今、全国的にも学校にクーラーをつけなければならない。一方、畜舎の牛も鶏も豚も暑い暑いと毎年言っているわけですから、ここもクーラーとまではいかなくても相当の対策を進めていかなければならない。そういったことも含めると、早急に県としても動かなければならないのではないかと思っております。
そこで3点目ですが、農林水産部では気候変動に対応する取り組みを今後どうしていくのかということであります。近年、我が国では、年平均気温の上昇、日最高気温の上昇、真夏日の年間日数が増加してきておりまして、特に北日本は、年平均気温及び日最高気温の年平均値の上昇幅が大きいと指摘されております。
また、今後の予測につきましても、年平均気温は全国で平均1.1度から4.4度上昇する、それから日最高気温の年平均値については全国で1.1度から4.3度上昇する、真夏日の年間日数につきましても平均で12.4日から50日増加する、また、海面水温もRCP(代表的濃度経路)8.5シナリオの場合、4.4度上昇するという予測が出されているわけです。
そういう意味では本県の第1次産業全体が高温障害の危機にあると言っても過言ではないと思っておりますので、個別部署の取り組みも大事ですけれども、各部署の取り組みを総括していくという体制整備も必要ではないかと思っております。
農林水産部は大変大所帯でありますし、また人をふやしてということもなかなか難しいのかもしれませんけれども、農林水産部内に気候変動対応対策室を設置して第1次産業の安定生産を推進していくべきではないかと思っております。この辺についての所感を伺いたいと思います。
〇山本農林水産企画室管理課長 農林水産部への気候変動に係る組織の設置についてでございますけれども、気候変動の影響は広範でありまして、自然災害や自然生態系など農林水産業分野以外にも影響を及ぼすことから、専担の組織を置く場合は、全庁的な視点で検討する必要があると考えております。
このため、現時点では農林水産部内に専担組織を設置することは検討しておりませんが、他の都道府県の動向も踏まえつつ、関係部局と連携し、専担組織のあり方などについて研究してまいります。
〇高橋元委員 研究されるということですから、前向きな回答として捉えたいと思っております。
農林水産企画室の所管には、例えば病害虫防除所、家畜保健衛生所、生物工学研究所、農業研究センター、林業技術センター、水産技術センター、内水面水産技術センター、農業改良普及センター等々さまざまな研究機関があるわけでありまして、個々それぞれに温暖化に対する取り組みはその分野で進めていただきたいと思いますけれども、この大きなテーマについて、それを束ねていかなければならない。
今後の検討課題ですけれども、私は、早急に、例えば特命課長とか、あるいは各技術センターのどなたか1人、併任でこの対策をするチームとか、現在の体制の中でもやれることはあるのではないか、そんな思いもしておるのですが、部長の所感を聞いてこの質問を終えたいと思います。よろしくお願いします。
〇上田農林水産部長 やはり第1次産業は、気候変動の影響を非常に受けやすいところでございます。これまでも個別にさまざまな対応をしてまいりましたけれども、委員からの御指摘あるいは御提言もございましたので、それらを参考にさせていただいて、これからぜひ研究を進めてまいりたいと思います。
〇高橋元委員 ぜひ早急に動いていただければと思っております。
〇千葉伝委員 予算に関する説明書165ページ、農林水産業費4目家畜保健衛生費に関して質問させていただきます。
本県は全国屈指の農業県として、これまでも農業経営者の所得向上に各施策を通して頑張っていただいていると思っております。特に県内の農業総生産額は、平成29年においては約2、693億円、品目別としては、畜産が約1、670億円と、農業全体の62%を占めているのは御承知のとおりであります。これまでの取り組みの成果が出ているものと思い、農林水産部の皆様初め関係団体、関係者に敬意を表するものであります。
農業全般にわたる振興策について、私は今議会の一般質問で取り上げたところですが、その際、畜産部門の中で特に家畜衛生分野について質問できなかったところであります。一般質問でも出ておりましたが、今回、私から質問させていただきたいと思います。
家畜衛生分野では、日ごろから、県畜産課、家畜保健衛生所を中心に家畜衛生対策、予防対策に取り組んでいることは承知しているところです。
まずは、特に最近の疾病、病気発生という部分で、家畜伝染病が一旦発生しますとその対応、対策は大変な状況になります。日ごろからの疾病に対する対策は、いかに早く疾病を発見し、いかに早く対策を進めて蔓延を防止するかということが重要であります。
そこで、最近の疾病の発生状況、過去5年間において本県の伝染病発生状況はどうなっているのでしょうか。
〇村上特命参事兼振興・衛生課長 本県における家畜伝染病の最近5年間の発生状況でございますが、まず初めに、家畜伝染病予防法で定められております家畜伝染病の発生は、平成26年度から平成30年度までの5年間で、牛のヨーネ病が乳用牛で5戸9頭、肉用牛で7戸29頭確認されております。
また、届出伝染病でございますが、牛白血病、牛ウイルス性下痢・粘膜病、サルモネラ症、鶏の伝染性気管支炎などの発生が毎年確認されておりますほか、平成26年度には、全国的に流行しました豚流行性下痢の発生が県内の養豚場19戸で確認されております。
なお、口蹄疫、高病原性鳥インフルエンザ、豚コレラ等の、一度発生しますと経済的影響が大きい伝染病の発生はございません。
〇千葉伝委員 余り大きな伝染病というのはここしばらくないわけでありますけれども、今、御答弁あった部分で、いつ侵入してもおかしくない状況にあると思っているところであります。
最近、特に注目されているのは高病原性鳥インフルエンザであります。最近の新聞にも、簡易検査で陽性であったが精密検査では陰性と出ていたところでありますけれども、最近は東北での発生もあるやの話であります。野鳥、野生動物、人、物の移動による感染が危惧されておりますけれども、現状の防疫対策はどのように行っているのでしょうか。
〇村上特命参事兼振興・衛生課長 高病原性鳥インフルエンザの防疫対策でございます。
県では、国内外での発生等につきまして養鶏場及び関係団体等に対し情報提供し、注意喚起を促すとともに、家畜保健衛生所が、毎年、県内全ての養鶏場への立入検査を行って、侵入防止対策等、衛生管理の徹底を指導しているところでございます。
また、自然保護課と連携して死亡野鳥の検査をしておりまして、平成28年度には130件の検査を行い、18例で高病原性鳥インフルエンザウイルスの感染を確認しております。平成29年度には42件の検査を行っておりまして、1例で低病原性鳥インフルエンザウイルスの感染を確認しております。
また、今年度でございますが、これまでに34件の検査を行っておりまして、先日3月8日には、紫波町で回収されました死亡オオハクチョウが簡易検査で陽性反応を示したため、養鶏場及び関係者に対しまして注意喚起を行ったところでございます。なお、本事例につきましては、北海道大学で行った確定検査で陰性を確認しております。
〇千葉伝委員 いずれ、いつ飛んでくるかわからないという状況でありますので、防疫対策に万全を期していただきたいと思います。
次に、豚コレラについての質問をしますが、まずは県内の豚の飼養状況をお示し願いたいと思います。
〇村上特命参事兼振興・衛生課長 豚の飼養状況でございますが、農家戸数が約130戸、飼養頭数が44万頭となっております。
〇千葉伝委員 飼養戸数、頭数ですが、繁殖豚から生産される子豚を肥育して出荷される分については、豚の場合、年平均分娩回数は2.233なので、掛け算すれば約七十二、三万頭ということで、全国の中でも屈指の豚生産県だと認識しております。
そういった中で、今回、昨年9月に26年ぶりに岐阜県で豚コレラが発生して、その後、トータルで1府4県に拡大しているということでありますが、発生状況と、感染の推定要因、あるいは感染拡大の要因をどのように把握しているのか、わかっている範囲でお願いします。
〇村上特命参事兼振興・衛生課長 岐阜県及び愛知県で確認されております豚コレラの発生についてでございます。
昨年9月、岐阜県の養豚場で本病の発生が確認されて以降、これまでに岐阜県及び愛知県の両県で11例12農場の発生が確認されております。これらを含めますが、全国では5府県、関連農場を含めますと32農場、2施設で発生が確認されております。
また、岐阜県及び愛知県では野生イノシシへの感染も確認されておりまして、約1、000頭の検査で224頭の感染が確認されております。
現在、国内で流行しているウイルスはアジア等で検出されているウイルスと近縁ということがわかっておりまして、海外から侵入した可能性が高く、発生国から国内に違法に持ち込まれた食品がごみとして廃棄され、そこから野生イノシシに感染したと考えられております。
発生農場の疫学調査の結果では、農場周辺での感染した野生イノシシの確認、消毒対策の不備及び野生動物等の畜舎内への侵入等が確認されておりまして、小動物、人あるいは物を介したウイルスの持ち込みの可能性が示唆されております。
〇千葉伝委員 いずれにしても、最近のインバウンドを含め、海外からいろいろな人たちが入ってくる、あるいは日本人も行き来がある。そういった中で特に考えられるのは、先ほど御答弁いただいた加工食品、そういったあたりをかばんに入れてこっそりというか……。そういったウイルスがすぐに死ぬというわけではなく、数週間生きるということも言われているわけで、そういったところから感染した可能性が高い。中国あるいは他のアジアの国からの感染が考えられるということであります。
そこで、イノシシの話が出ております。今、約4万頭近く処分されていると聞いていますが、本県に侵入しないようにするためにも、現在、発生地で取り組んでいる対策をわかる範囲で教えてください。
〇村上特命参事兼振興・衛生課長 発生地で取り組まれております野生イノシシを含めた豚コレラの防疫についてでございますが、発生農場及び関連農場における殺処分等の防疫措置に加えまして、発生農場等と屠所等が同一であるなど交差汚染の可能性がある農場等の監視を徹底し、蔓延防止対策を強化しているところです。
また、岐阜県では、国や有識者を加えましたチームによる農場巡回により衛生管理状況の再確認を行っております。
さらに、野生イノシシ対策でございますが、捕獲による感染状況調査、拡散防止のための防護柵の設置等を行うとともに、3月下旬からは経口ワクチンの散布を開始することとしております。
〇千葉伝委員 新聞等で、豚コレラのワクチンをイノシシに餌として与えて予防するということを進めるという国の方針が報道されておりますけれども、そういったワクチンがあるのに、イノシシには使って、実際の豚にそのワクチンを接種しないということで国は進めるということですね。なぜワクチンがあるのに豚には接種しない方策を進めるのか、そこを教えてください。
〇村上特命参事兼振興・衛生課長 なぜイノシシにはワクチンを使用して飼養豚には使わないのかといったことかと思います。
今般の豚コレラの発生によりまして、現在、我が国は国際的ルールで定められております豚コレラの清浄国ではなくなっている状態でございます。
それで、現在、国では、摘発淘汰による清浄化を目指しております。この場合、最終発生から3カ月経過した時点で清浄国に復帰することが可能となりますが、一方、ワクチンを使用した場合には、ワクチン接種豚全頭が屠畜されることが条件となります。そのため、早期の清浄国復帰は困難となりまして、豚肉の輸出等ができなくなるなどの影響が懸念されるため、国は、豚へのワクチンの使用については慎重に検討していると聞いております。
なお、委員のお話にございましたとおり、野生イノシシへのワクチンの使用につきましては、国際獣疫事務局-いわゆるOIEでございますが-の規定によりまして、清浄国への復帰には影響がないとされております。
〇千葉伝委員 いずれワクチンがあるのになぜ使わないかというのは、いわゆる野外株というか野外での感染と実際のワクチンの抗体と区別がつかなくなるということも多分あるかと思っております。したがって、限定的な発生については、ワクチンを使わないやり方が国の方針だということであります。
ただ、これがどんどん全国に蔓延した場合は、そうは言っていられないということに多分なるのではないかと。まだそこまで行っていないから、限定した対策で進めるということで承知しました。
それで、実は前、2月18日付のある新聞に、岐阜大学の学長が、この獣医学研究科の学生たちをねぎらったという記事が載っていました。なぜか。県内に端を発した豚コレラで12人が豚の処分に従事したと。学生たちは、すごく意義のある作業だ、勉強になったと語ったが、その表情はかたかった。豚の処分には一頭一頭注射をする。これは獣医師にしかできない。病気の拡大を防ぐためとはいえ、発症もしていない豚を手にかけるつらさは想像も及ばない。しかも8時間3交代で夜通し作業して4日もかかったと。ほかの作業まで入れるともっとかかっているかもしれません。豚舎に豚を追い込み押さえるのは自衛隊がやる。巨体を押さえ込めば、豚の子供たちが集まってくる。その豚の悲鳴を聞くと精神的な負担は大きい。そういうことで、隊員にはカウンセリング係も同行したということであります。
豚コレラは中部、近畿に拡大し、いまだ終息しない。処分対象の豚は既に五つの府県で約4万頭に迫っている。産業動物獣医師や公務員獣医師は全国的には足りない。岐阜大学では、獣医師資格のある教員16人も協力した。悲しい経験をした学生たちが、防疫研究者や家畜の獣医師となって伝染病を防ぐ人材に育ってほしい。こういうことであります。
岐阜大学の話でありますが、全国から、あるいは本県からも応援職員が行ったやに聞いていますが、岩手県から行った応援職員はどんな役割をしたのでしょうか。
〇村上特命参事兼振興・衛生課長 本県から岐阜県への派遣ということでございますが、本県の家畜保健衛生所の職員5名を岐阜県に派遣しております。その作業してきた内容でございますが、発生農場の周辺農場の検査で1名、それから、発生農場の周辺農場の巡回指導で2名、発生農場における防疫作業で2名、計5名の職員が現地で作業を支援してまいりました。
〇千葉伝委員 いずれ、お互いに何かそういった大きなことができた場合は、資格のある人が応援して、早く終息させることが肝要だということで、大変御苦労さまでございます。
それで、ちょっと気になるのは、こういった伝染病が発生すると、ともすれば安全・安心に対する風評被害が出ることが危惧されるところであります。既に発生地周辺でも価格低下が見られるとか、さまざまなことがあるのですが、そういったことに対しての対応は今からやったほうがいいかと思うのですが、どうでしょうか。
〇村上特命参事兼振興・衛生課長 風評被害の対策ということでございます。豚コレラは、豚及びイノシシに感染する病気でございまして、人に感染することはございません。また、感染した豚の肉が市場に出回ることもございませんし、正確な情報の提供が風評被害を防ぐ上で重要と考えております。
県としましても、さまざまな機会を活用しまして、正しい知識の一層の普及を図ってまいりたいと考えております。
〇千葉伝委員 この家畜伝染病、疾病による損害を防止すること、あるいは早く終息させることが、本県畜産のこれからの大きな課題であると思いますし、しっかりと対策を進めていただきたいと思います。
そこで、最後になりますが、最近の本県畜産の振興をさらに進めていく観点から、疾病による損害をいかに減少させるか、そして、ふだんからの経営の中での家畜衛生対策が重要だと思うところであります。ついては、防疫対策、予防対策も含めて、岩手県のみならず関係者が一丸となって取り組んでいくことが肝要だと思うところでありますが、今後、対策を万全に期して推進してもらいたいと思いますが、農林水産部長の意気込みをお聞かせください。
〇上田農林水産部長 ただいま豚コレラを中心に家畜伝染病に関してのお尋ねがございましたが、一度感染いたしますと、火がどんどん大きくなるものでございまして、その損害額も、やはり規模が大きい農場が本県にはたくさんございますので、非常に懸念されるところでございます。
やはり重点は、絶対に病気を持ち込ませないということでございます。それで、家畜保健衛生所なり、あるいは現場の職員が中心となりまして、今までもそういった研修会あるいは個別農場への指導などを行ってきたところでございます。そういった取り組みについては全国的にも評価を受けておりまして、農林水産省からも、モデル的な取り組みだとお褒めを頂戴しております。
今後とも、そういった取り組みをしっかりと進めてまいりたいと思います。
〇千葉伝委員 よろしくお願いします。終わります。
〇飯澤匡委員 私は、畜産の中で酪農をめぐる情勢と今後の振興策についてお伺いします。1点だけです。
その質問に入る前に、畜産全体の振興に関して、今まで岩手県では、過去の歴史をひもときますと、畜産振興を非常に一生懸命やってきたわけです。岩手県第2次農業基本計画の策定から50年、畜産500億達成運動の展開を図ったとされる計画でありました。それから岩手県農業発展計画、その次に係る計画でありましたが、LAP運動の展開、この終了から40年。今次の畜産振興を鑑みまして、これらの計画が岩手県に果たしたその評価について、まずお伺いしたいと思います。
〇小岩農政担当技監兼県産米戦略室長 ただいま委員からお話がありましたとおり、県では、市町村や関係団体と連携いたしまして、昭和45年度から昭和50年度までの畜産500億達成運動、また、昭和51年度から昭和55年度までのLAP運動を通じまして、生産組織の育成や農用地の有効活用、堆肥活用による土づくりなどに取り組んできており、こうした取り組みにより、畜産主産地としての土台が形成されたものと認識しております。
また、こうした運動の終了後におきましても、新いわて農業確立計画やいわて県民計画に畜産振興に向けた先人の思いを施策として盛り込みまして、その目標を達成するため、ひたむきな取り組みを続けてきた結果、運動のスタート時点であります昭和45年の畜産産出額約230億円が、平成29年には農業全体の6割強となる1、670億円となるなど、本県農業の基幹部門として大きく成長いたしますとともに、輸入や食肉などの生産、加工、流通を通じた関連産業での雇用創出など、地域経済に大きな役割を果たしているところであります。
今後におきましても、こうした動きをさらに進めるため、いわて県民計画(2019~2028)最終案におきまして、次世代を担う新規就農者の確保、育成や意欲と能力のある経営体の育成、さらには女性などが能力を発揮できる環境整備などに加えまして、畜舎等の整備やゲノム解析技術の活用による優良種雄牛の造成、畜産GAPの取り組みなど、収益力の高い食料供給基地づくりに向けた取り組みなどを盛り込んだところでありまして、引き続き、この計画に基づきまして、生産者、畜産関係団体と一体となって全力で畜産振興に取り組んでまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 何だかもう答えが出てしまったのですけれども、それでは、次の酪農をめぐる情勢と今後の振興策について具体的にお伺いします。
ただいま答弁がありましたように、なぜこれを持ち出したかというと、今の畜産振興の基礎をなした非常にすばらしい県民運動的な展開をされたと思っています。この基礎なしに現在の岩手の畜産県としての確立はなかったと私は思っているわけです。
そこで、酪農に関して、どうも最近、生産額が減少しつつも、まだ肉牛等の出荷額については、毎年ほぼ同等であることは見逃してはいけないと思うわけでありまして、今後の振興策について、これから伺います。
今、農協改革等でかなり環境が変わってまいりまして、農協改革におけるアウトサイダー容認によって、本県の状況が変わりつつあるとも聞いておりますが、生産者に対してどのような影響を与えているのか。
まず一つ目は、系統と系統外との販売額の比較、それから、二つ目ですが、これは一番大事なのですけれども、需給バランスに対してもアウトサイダーはしっかりと対応するようにというのが原則になっているわけですが、どのような状況になっているのかお知らせいただきたいと思います。
〇菊池畜産課総括課長 出荷状況についてでございますけれども、販売額につきましては、統計データがないのでお答えできませんが、生産量で申し上げさせていただきたいと思います。
平成29年度の本県の生乳生産量は21万6、845トンでございます。そのうち系統につきましては19万5、664トンで90.2%、系統外につきましては2万1、181トンで9.8%となっております。
また、昨年4月から始まりました新たな制度でございます加工原料乳生産者補給金制度につきましては、生産者が自由に出荷先を選択できることに加えて、みずからの創意工夫で乳製品の加工、販売あるいは販路開拓が可能となったところでございます。
一方、この制度でございますけれども、国があらかじめ生産者が作成いたします月別の出荷量などを内容といたしました年間販売計画を確認することになっておりまして、この計画を守らない場合は、生産者は、生乳の販売ができなくなることになっております。
この制度は、繰り返しになりますが、昨年4月から始まっておりますが、これまでおおむね順調に運用されているところでございます。
〇飯澤匡委員 わかりました。以前より出荷割合が大分ふえていることがよくわかりました。
次は、TPP11と日EU・EPA締結の影響について、酪農をめぐる情勢はいかなる影響があると考えているか、短期、長期的に、その展望とともに示していただきたいと思います。
〇菊池畜産課総括課長 TPP11と日EU・EPA締結の影響についてでございますが、県では、国の経済効果分析をもとに、本県の牛乳、乳製品への影響を試算いたしました結果、日EU・EPAは生産額が約1億円から2億円の減少、TPP11につきましては、生産額が約2億円から4億円減少するとの結果を公表しております。
特にチーズでございますが、本県で生産される生乳の約7割が飲用向けとなっておりまして、チーズ仕向けへの割合につきましては0.3%と極めて小さくなっております。このことから影響は限定的とも考えられますが、今後、安価なチーズの輸入が増加した場合には、国産チーズの価格や加工原料乳が飲用向けに回ることによる生乳全体の価格の低下につながることも懸念されます。
県では、引き続き、万全の対策を講じるよう国に対して求めてまいりたいと思っております。
〇飯澤匡委員 県外への出荷状況ですが、最近、加工向けと言っては何ですけれども、飲用の別系統というような形で、メーカー側の調達状況も非常につかみにくくなっているというのが現状のようです。したがって、この影響については、もう少し影響が出るのではないかと懸念されるわけですが、いずれ生産体制の基盤をしっかりつくっていくことが、本県にとっては大事なことだと思っています。
そこで、最初の質問等も含んで今後の酪農振興ですが、やはり生産者がどんどん少なくなっている現状と、もし新規にやるとしても設備投資がかなりかかるという状況、それから、何についても、人工知能をつくったりスマート農業をやるにしたって、人がしっかりと育っていなければ、酪農に限らず農業というのは持続的に発展しないわけですから、その点も含みながら今後の酪農振興の方針を、どういう方針で進んでいこうとしているのか。
私は何回も、今回のいわて県民計画(2019~2028)については柱立てがどうも緩いような感じがして、今でも心配でならないのですけれども、先ほど技監から力強い言葉が出ましたから、当該部では皆さん方が一生懸命やるという気概は感じられましたが、酪農振興のこれからの振興方針についてお伺いしたいと思います。
〇菊池畜産課総括課長 今後の酪農振興方針についてでございますが、県では、平成28年3月に、2025年度を目標といたします岩手県酪農・肉用牛生産近代化計画を策定しております。この計画でございますけれども、経産牛1頭当たりの乳量を増加させて、県全体の生乳生産量をおおむね維持するとしております。
このため、規模拡大を志向する生産者の方々の牛舎等の整備に加えまして、本県の強みであります豊富な草資源、自給飼料の積極的な利用や飼料の収穫、供給を行いますコントラクターあるいはTMRセンターなどの育成、強化を進めております。
また、生産性を高めていくために、乳牛の能力を最大限に発揮させるための牛群検定の活用、また、新たに性判別精液といったものを活用して、効率的に乳牛の後継牛を確保するモデル実証を現在進めております。
県では、今後におきましても、生産者あるいは次世代を担う若い後継者の方々等が、意欲と希望を持って酪農経営を行っていくことができるように、規模拡大の取り組み支援など、酪農経営の体質強化に取り組んでまいります。
〇飯澤匡委員 昭和40年代と経済背景は大きく変わってきて、より量より質へという形になってきていますが、やはり岩手県の土地利用型の畜産をさらに大きく展開していくためには、今までもいろいろな運動を展開してきているわけですが、もう少し県民、また生産者にとってわかりやすい政策の柱立てをしていきながらやる必要もあると私は思っています。
今までの取り組みについては評価をしておりますけれども、いずれ生産年齢人口が減っていく、生産者が減っていく中で、岩手県の畜産、そして酪農が今後も発展できるような形を追求していただきたいと思っているわけです。
今の私たちの議会にも生産者の方がいらっしゃるから、こういう方々がもっと一生懸命やれるような体制をつくっていただきたいと思います。最後に、部長に所感を求めて、終わります。
〇上田農林水産部長 畜産関係でございますが、本県農業における生産額、産出額の約6割を占めており、本県農業を支える重要な分野でございます。そういった中で、生産者が非常に頑張っていただいて今の状況をつくり上げてきたという認識でございます。
これからの取り組みは、やはり生産者の方々あるいは関係団体と一緒になって、連携を深めながら、一体となって取り組むことが必要だと考えております。
これからの考え方について十分な説明を行い、情報共有、認識を共有しながら、ぜひ畜産の振興に取り組んでまいりたいと思います。
〇工藤大輔委員 初めに、雑穀生産についてお伺いしたいと思います。
雑穀については、近年の健康志向、また、雑穀の持つ健康機能性が高く評価、また見直され、生産が拡大していたところでもありましたけれども、東日本大震災津波以降、生産面積、生産量、そして生産者が県内でも大幅に減っている状況にあります。
面積においてはピーク時の51%、収穫量においてはピーク時の34%、生産者においてもピーク時の40%というのが現状となっておりますけれども、その減少理由をどのように見ているのか。市場からは需要が非常に高い作物ですが、なかなか戻り切れない理由をどのように見ているのかお伺いします。
〇菊池農産園芸課総括課長 雑穀生産が減少している理由についてでございますけれども、県北エリアを中心に、高齢となった生産者が年々栽培を減らしてきていることに加えまして、今、委員御指摘のとおり、東日本大震災津波に伴う原発事故の風評被害を受けて、県外の実需者との取引が減少したことによりまして、在庫を抱えた産地では、生産調整を行い、結果として作付面積が減少し生産量も減少したものと考えているところでございます。
その後、風評被害は大分おさまってきているのですけれども、先ほどお話ししましたが、高齢者がリタイアしていった分を十分にカバーできない状況が今続いているのかなと受けとめております。
〇工藤大輔委員 収益性を見ても、10アール当たり小麦で1万7、000円、大豆で3万8、000円。その中で、雑穀、アワの場合は10アール当たり15万円ということで、格段の差がある中にあって、市場性の高い、需要の高いものについては、新規も含めて若い生産者が出てもいいのではないかと思うのですが、高齢者が減っているという理由はわかるのですが、新規あるいは参入できない理由は何かあると思いますか。
〇菊池農産園芸課総括課長 雑穀生産は、そのほとんどが手作業でこれまで行われてきました。特に県北エリア、中山間エリアでは、そういった状況でございました。この手作業ですと、非常に労働負担が重くて、なかなか若い人も入りにくかったという傾向があると存じ上げております。
ただ、近年、二戸エリアでも、4ヘクタール、5ヘクタール規模で栽培するような若い生産者も出てきておりまして、この方々は、コンバインを導入して収穫作業を機械化しております。こういった若い生産者あるいは集落営農組織なども含めて、新しい栽培者をふやしていくことを考えていきたいと思っております。
〇工藤大輔委員 水田転換の畑においても栽培可能だということもありますし、これまでも、県では品種改良を積極的に行ってきました。そしてまた、今の話ではないですが、生産性の向上に向けても取り組んできましたけれども、やはりこれは一層伸展させなければいけないと思いますが、現状についてお伺いしたいと思います。
〇菊池農産園芸課総括課長 雑穀の品種改良の状況と生産性向上に向けた取り組みについてでございますけれども、まず、品種改良の状況につきましては、生産者や実需者のニーズを踏まえまして、食味にすぐれ、また、草丈を低くすることにより、倒伏に強く栽培しやすい半もち性のヒエであるねばりっこや、菓子原料に求められている鮮やかな黄色を有しまして、また粒が大きくて多収性のモチアワであるゆいこがねなどを育成してきたところでございます。
さらに、現在、ルチンなどの健康機能性成分を多く含む新たな雑穀品種の開発に取り組んでいるところでございます。
また、生産性の向上に向けては、機械移植に適した育苗技術や乗用田植え機を改良した移植機械の開発などを行い、生産現場への普及を図っているところでございます。
〇工藤大輔委員 開発された新しい生産性向上に向けた取り組みを含めて、ぜひ、さまざまなサポートをしていただきながら普及していただくのが何より必要だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
これまで、県北と花巻地域が主体となって雑穀生産に取り組んできたわけでありますが、需要に対して一、二割の生産にとどまっているのは非常に残念だと思います。震災以前の生産量を取り戻せるように、また、それ以上のニーズに応えられるような生産体制を再構築する必要があると思いますが、改めて県の取り組みをお伺いします。
〇菊池農産園芸課総括課長 雑穀の生産体制の再構築でございますけれども、現在、健康志向の増加によりまして国産雑穀の需要は非常に高まってきております。委員御指摘のとおり、県内の供給を上回る需要があるのですけれども、それにまだ十分対応できていないところでございます。
また、県南部の水田地帯では、水田転作として機械化体系が確立されて省力化が図られてきておりますが、県北部の中山間畑作地帯では、先ほども申し上げましたが、手作業中心で生産性が低く、生産量の拡大がなかなか進まない状況にございます。
こうした課題に対応するために、まずは生産性の向上を図っていくことが重要であり、県では、これまで、先ほども申し上げましたが、多収品種の開発ですとか機械化移植体系の確立などを含め、普及拡大を図ってきたところでございます。特に二戸エリアでは、農業研究センターや農業改良普及センターが、いろいろ機械の実証などを行って、農家に普及拡大を図ってきております。
今後は、こうした取り組みをさらに強化しまして、雑穀生産で高い収益性が期待できることなど、きちんとメリットを提示しながら、法人ですとか集落営農組織へ栽培の誘導を図り、生産体制を確立していきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 そこで、県北地域においてもさらに進めてほしいわけですけれども、県北の新規並びに若手生産者の育成にどのように取り組むのか。これについては、雑穀だけではなく、新年度、県北の生産物に対してどのように取り組むかということで、未来を育む県北農業ステップアップ事業が予定されているようでありますが、県北の新規並びに若手生産者の育成にどう取り組むか、もう一点、岩手県農業研究センター県北農業研究所の成果を生産現場にどのように定着させていくのかお伺いしたいと思います。
〇菊池農業普及技術課総括課長 まず1点目、県北地域の新規並びに若手生産者の育成についてでありますが、新規就農者などの育成につきましては、早期の経営安定が重要であることから、新規就農者が農業技術や経営手法を学べる場の整備が必要であると考えております。
このため、県では、金ケ崎町にあります農業大学校において新規就農者を対象とした研修を実施しておりますが、遠隔地であるため県北地域の受講生が少ない傾向にあることから、平成31年度に、軽米町にあります県北農業研究所で受講できるよう遠隔講義システムを整備することとしております。
具体的な研修内容といたしましては、1年を通じて、農業技術や経営手法を学ぶ基礎コース、そして、農閑期に基礎的経営知識を学ぶ冬期集中簿記コース、さらに、自己の経営実績を検証して、さらなる経営発展を目指す経営確立コースなどを開設いたしまして、県北地域の新規就農者の早期経営確立に向けまして、経営発展段階に応じたきめ細かな支援を行うこととしております。
2点目の県北農業研究所の研究成果の普及についてでございますが、県北農業研究所では、夏季冷涼な気候や平場から高地に至る県北地域の立地条件に適した農業技術の研究開発に取り組んでいるところであります。
これまでに、先ほどの話と若干重複いたしますけれども、乗用田植え機を改良した雑穀の移植機の開発、乗用管理機1台でホウレンソウの播種から防除、収穫までを一貫して行う機械化体系の確立、そして、収益性の高い春まきタマネギの栽培法など、研究成果をもとに実用化され、生産現場への普及を図ってきたところであります。
また、現在は、機能性成分を含む新たな雑穀品種の開発や、水稲のプール育苗設備を活用したレタスなどの水耕栽培施設の確立、さらには、薬用作物における機械除草技術の確立など、作業の省力化、そして生産者の所得向上に向けたさまざまな研究開発を進めているところであります。
今後も、県北地域におきまして、今般開設予定の農業者向けの研修などを通じまして、県北農業研究所の研究成果を生産現場へ速やかに普及させていきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 県北の中でも、夏場暑い地域もあれば、やはりやませでまだまだ悩んでいる地域があると。同じ県北といっても気象状況がかなり違うのは理解されていると思いますが、やませ対策ということからすると、今まで雨よけホウレンソウが中心となってきたと思いますが、やはりホウレンソウも減少傾向にあることもありますし、このやませ対策を一層強化していただきたいのですけれども、何か取り組みあるいは今後の方針についてお伺いします。
〇菊池農産園芸課総括課長 委員御指摘のとおり、県北エリアの雨よけホウレンソウについては、近年、栽培者の減少とかによりまして販売額が少し減ってきている傾向にございます。
県北エリアでは、そういったことも踏まえまして、最近、施設を使った菌床シイタケ栽培を農家が導入してきております。こういった菌床シイタケ栽培に対しては、国の事業あるいは県の事業、いわて型野菜トップモデル産地創造事業でも支援ができますので、こういったことを踏まえながら、県北エリアに適した園芸振興等に努めてまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 やませについては、古くから長く課題となっていたことでありますので、やはりやませに悩むだけではなくて、やませを活用できるようなものが何かないかということも模索していただきながら、より研究を深めていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
次に、県産米についてお伺いしたいと思います。
県産米の評価についてはこれまでも答弁いただいていたところでしたので、ここは割愛したいと思います。
そこで、やはり気になるのが、日本穀物検定協会の食味ランキングが先般発表されましたけれども、金色の風が、ことしこそは特Aを取ってくれるかと期待していたわけですが、A’という評価になってしまいました。それについてどのような所感を持っているかをお伺いするのと、この結果をどのように分析し、来年度の生産に臨もうとしているのかお伺いします。
〇小原県産米戦略監 食味ランキング結果の分析でございますけれども、県では、日本穀物検定協会に対しまして、今回の評価結果の理由について問い合わせたところ、その評価理由については明らかにされなかったため、詳細は不明でございます。
食味ランキングでは、複数産地のコシヒカリのブレンド米を基準としていることから、やわらかさに影響するアミロース含有率がコシヒカリと比べ低い特徴を持つ金色の風は、その硬さの項目で評価が得られなかったものとも推測しておるところでございます。
一方、銀河のしずく、ひとめぼれにつきましては、その基準となりますコシヒカリと比べまして、アミロース含有率がほぼ同等ということで、たんぱく質含有率も低く、粘りと硬さのバランスが評価されたと推測しておるところでございます。
来年度の生産に向けては、安定した収量確保に向けた栽培マニュアルの見直しに加えまして、リモートセンシング技術の活用による施肥管理など栽培技術の高度化など、高品質、良食味米の安定生産に向けて、取り組みを強化してまいりたいと思っております。
〇工藤大輔委員 栽培研究会をつくって、指導においても、また生産現場においてもかなり頑張ったのだと私は思います。そういった中で食味ランキングでは評価が下がってしまったということで、これは、ほかからの評価は高いけれども、食味ランキングにはなかなか合わない米なのでしょうか、お伺いします。
〇小原県産米戦略監 食味ランキングでは、先ほども申し上げましたけれども、複数産地のコシヒカリのブレンド米が基準とされているということでございます。コシヒカリにつきましては、全国で一番のシェアを持っている品種でございますので、穀物検定協会では、それを基準としていると推測しております。それとの比較ということでありますと、金色の風は、軽やかな食感といったものが私どもは最大の特徴と思っておりますが、そういったことが比較の際、評価していただけなかったものと推測しております。
〇工藤大輔委員 今後、何か金色の風の品種を、例えばもう少し生産性が高まるようにする、あるいは炊いたときの水かげんも難しい品種であると聞いていますけれども、それに対応できるような品種の改良をもう少し加えるような取り組みはされるのかどうかお伺いします。
〇小原県産米戦略監 今後においても、栽培研究会の活動あるいは栽培マニュアルの充実といったものを進めまして、金色の風の特徴あるいは消費者の皆様方に支持されるような品質の高いものの生産に向けて取り組んでまいりたいと思っております。
〇工藤大輔委員 必要な対策は研究も含めて進めていただいて、ぜひいい成果が出るようにまた期待したいと思います。
そこで、平成31年産の金色の風、銀河のしずくの需要見込みと作付面積の見込みについてお伺いします。
〇小原県産米戦略監 平成31年産の金色の風の需要と作付の見込みについてでございますけれども、全国農業協同組合連合会岩手県本部が行いました主要米卸業者への需要調査では、平成31年産の金色の風につきましては、平成30年産よりも多い要望をいただいておるところでございます。
このことから、平成31年産の作付面積につきましては、平成30年産の実績よりも増加する見込みとなっております。
〇工藤大輔委員 12月の一般質問の際もお伺いしたら、作付面積は現在集計中ということで、その後3カ月経過しておりますので、これはいつごろわかり、そしてまた生産体制に向かうのかお伺いします。
〇小原県産米戦略監 作付面積の確定につきましては、現在、取りまとめ中でございますけれども、一般作付のほかに、先ほど来御質問いただいております特性をあらわすための試験圃場等の設置も積極的に今取り組んでおるところでございます。そういったものの調整がまだきちんとできていないことから、現時点での面積については、取りまとめ中という答弁をさせていただいております。最終的には、作付面積が確定する5月にはまとまるものと思っております。
〇工藤大輔委員 では、いわてオリジナル品種ブランド化戦略を策定して、これまでも各種プロモーションを展開してきましたが、来年度どのような方針で実施していくのかお伺いします。
〇小原県産米戦略監 いわてオリジナル品種ブランド化戦略の取り組みについてでございますけれども、県では、これまで、この戦略に基づきましてブランド確立に取り組んできたところでございますけれども、今後も引き続き、効果的なCMや大消費地でのトップセールス、生産者による消費者への直接的なPR、三陸防災復興プロジェクト2019などのイベントを通じまして販売促進活動を行うなど、高価格での取引に向けて取り組んでまいるところでございます。
〇工藤大輔委員 この米の分野は、全国的にもかなり経費をかけて、予算を投入しながらアピールされている、そしてまた新品種が続々参入している状況で、これは本当に戦国時代に入っていると言えるわけであります。
いずれ、本県は、米がよくなければ農業全体も厳しいわけでありますので、金色の風、銀河のしずく、そしてひとめぼれ、この三つの柱を中心にしながら、全県の米を引っ張ってもらうための効果的な対策、施策を来年度も引き続き力強く打ってもらいますようにお願い申し上げて、質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。
〇軽石義則委員長 正午までにはまだ若干時間がありますが、この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午前11時47分 休 憩
午後1時2分再開
〇千葉絢子副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
委員各位及び執行部に申し上げます。この後、延べ20人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
質疑を続行いたします。
〇郷右近浩委員 まず最初に、平成30年産米の作況指数の評価、分析、対策について、県はどのように考えているかお伺いしたいと思います。
といいますのは、平成30年産米の作況指数は101とのことでありましたけれども、現場においては、非常に多くの単収があったところと、実は作況指数95から97ぐらいではないかというぐらい悪かったという感触を持っている方がいるとお聞きしております。県は、平成30年産米の作況についてどのような感触を持ち、分析、そして評価をしているのかお伺いしたいと思います。
〇小原県産米戦略監 平成30年産米の作況についてでございますが、農林水産省の公表によりますと、1月末現在の一等米比率は、ひとめぼれが98%、金色の風が99.3%、銀河のしずくは99.5%と高い比率でございます。また、本県の作況指数は委員おっしゃるとおり101となっておりますけれども、JA等からは、生産者によって単収に差が見られるといった声を聞いております。
このため、JA、関係団体などを対象といたしました稲作技術対策会議を2月に開催いたしまして、県内に設置している調査圃場の品質、収量などのデータをもとに、今後の対策について検討したところでございます。
〇郷右近浩委員 現場において、一体どうしてこのような形になったのかということで、非常に困惑の声が広がっております。
今、さまざまな分析、そして検討をしていただいているということでありますけれども、そうすると、平成31年産米の生産に当たってこれからどのような指導や対策を講じていくのか、そうした部分についてお考えがあればお伺いしたいと思います。
〇小原県産米戦略監 平成31年産米の作付への対策についてでございますが、平成31年産米の生産に向けましては、安定した収量確保に向けた施肥管理など、栽培マニュアルの見直しに加えまして、リモートセンシング技術の活用などによるきめ細やかな品質管理の導入など、高品質、良食味米の安定生産に向け、栽培研究会を中心とした取り組みを強化してまいります。
〇郷右近浩委員 取り組みを強化していくという話であります。ただ、この間指摘されているいろいろな問題点もあると思いますし、そうしたことで考えられていると思いますけれども、もう少し具体に何が悪かったかという部分の分析内容と、そして、そこに向けてどのような形で対応していくとか、そうしたところまでの話というのはまだできていないということでよろしいのでしょうか。
〇小原県産米戦略監 先ほど申し上げました2月に開催いたしました稲作技術対策会議の中では各地域からいろいろな情報が集まっておりましたけれども、それにつきましては個別具体の差が大きいこともございまして、現在、農業研究センター、農業改良普及センター等々でその分析を進めておるところでございますし、考え得る平成31年に向けての対応については、栽培マニュアル等にできる限りの反映をすることとしておるところでございます。
〇郷右近浩委員 ぜひしっかりとした対策をとっていっていただきたいと思います。
ことしは雪が少ないということもありまして、土のにおいがしてくると農家の方々は外に出てすぐ田植えができるように準備を進めていく、そうした季節になってきております。そうした中で、しっかりと早目早目に栽培マニュアル等を理解していただけるような形で進めていっていただきたいと思います。
次に、金色の風について質問させていただきたいと思います。
先ほど工藤大輔委員からも質問がありましたが、私も今回、日本穀物検定協会の食味ランキングの評価や、そのことをどのような形で考えているのかお伺いしようとしたわけでありますけれども、そもそもコシヒカリとの比較検査のような基準に対して、そこの部分が違うのではないかといったような御答弁であったと思います。
岩手県のフラッグシップ米である金色の風が全く新しい次元の食感の米であることを考えると、売り方やアピールなどいろいろな仕方があると思いますが、そうした中でのこれからの金色の風の販売戦略をお伺いしたいと思います。
〇小原県産米戦略監 金色の風の販売戦略についてでございますけれども、食味ランキングでは、作付が1、000ヘクタールに満たない新品種につきましては、2カ年に限り参考品種ということで評価できることとされております。2年目のエントリーとなりました金色の風につきましては、来年度は食味ランキングの対象にならないこととされております。
こういったことを踏まえまして、販売面につきましては、効果的なCMや大消費地でのトップセールス、生産者による消費者等への直接PRなどに加えまして、お米マイスターなど米穀専門店のニーズに対応した特別栽培米などの提供や県内外で開催されるイベント等での販売促進活動を強化し、高価格での取引に向けた取り組みをしっかりと進めてまいりたいと思っております。
〇郷右近浩委員 午前中、金色の風や銀河のしずくの作付面積の拡大等の質疑もあったと記憶しておりますが、金色の風については、作付面積1、000ヘクタール以下ということで、これまで、日本穀物検定協会の食味試験に平成28年は依頼試験、そして平成29年、平成30年はあくまで参考品種という形での出品となっている中にあって、私自身は、これだけ食味が全く違う次元の米だということであれば、これまでの基準においての試験を受けるよりも、試験をそもそも受けないで、全く違うものだといった売り方をしたほうがいいのではないかという考えを持つわけであります。現に他県においても、これがそういう考え方で進めているかどうかはともかくとして、新潟県の新之助や石川県のひゃくまん穀などは食味試験に出品していないという話もお伺いしております。
県の販売戦略の中で、逆に次元が違うのだということを売りにしながら進めていくべきと思いますが、今後の日本穀物検定協会の試験に対して金色の風をどのような形で扱っていく考えか、それからまた、そうした中での金色の風の販売に対しての考え方をもう一度お伺いしたいと思います。
〇小原県産米戦略監 日本穀物検定協会が実施しております食味ランキングへの金色の風のエントリーについてでございますけれども、食味ランキングに準ずる食味試験を依頼することはできますけれども、現在、その対応については未定でございます。
また、売り方につきましては、委員おっしゃるとおり、金色の風の特徴をしっかりと消費者にお伝えできるように、特にお米マイスターの資格を持っている、お米に詳しい米穀店の皆様方の御協力をいただきながら販路拡大、顧客販売につなげてまいりたいと思っております。
〇郷右近浩委員 米穀専門店、特に小さい卸売業者に対してこれまでも売り込みやいろいろな形で県に御尽力いただいて、少しずつしっかりと販路が拡大されてきているというのは私も理解しております。
口コミじゃないですけれども、そうしたところからの力のほうが、もしかしたらこの米については非常に支えとしては強いのではないかと思うわけでありますし、それが現実に平成31年産米の需要見込み-先ほど午前中の質疑の中で示されておりますが、これについても非常に大きくなっていると伺っております。
そうした結果にしっかり結びついてきているのであれば、あえてこれまであった土俵で戦わないで、しっかり自分たちがつくってきた土俵で広げていくことが有効だと思います。先ほど来答弁いただいておりましたが、そのような形で進めていっていただければと思うわけですが、いかがでしょうか。
〇小原県産米戦略監 委員からの御意見、そしていわてオリジナル品種ブランド化戦略実践本部員の御意見等々も踏まえながら、戦略の中の取り組みについて十分検討して、金色の風を本県のフラッグシップ米に育てていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
〇郷右近浩委員 よろしくお願いいたします。
もう一点、県産米の海外輸出戦略についてお伺いしたいと思います。
これまで県におきましては、アジアを中心に県産米の輸出を順調に伸ばしてきていると認識しております。ただ、ここにきて、優位性を持っていたシンガポール等では他県のディスカウント米等も出てきているということであり、県はこれからどのような対応をしていくのか注視したいと思っております。
まず、平成31年度の海外輸出戦略をお示しいただければと思います。
〇高橋流通課総括課長 県産米の輸出についてでございますが、県ではこれまで、関係団体、企業の皆様方で構成するいわて農林水産物国際流通促進協議会を中心とし、官民一体となって、輸出先の小売店や外食店等の実情に合わせ、県産米の利用を働きかけるなど、海外市場への販路の開拓、拡大に取り組んできたところでございます。
この結果、ただいま委員からもお話がございましたように、県産米の輸出量は、シンガポールや米国などを中心に、平成22年度は約104トンでございましたが、平成29年度には約660トンに増加している状況でございます。
近年、シンガポールを初めアジア諸国において、委員からお話がありましたように日本産の古々米を廉価で販売している事例を確認しております。海外市場における産地間競争の激化が予想されると認識しております。
平成31年度、今後の取り組みといたしましては、これまで信頼関係を構築してきました現地の卸売業者の皆様方、あるいは小売店や外食店等との結びつきをさらに強めながら、安定した取引につなげてまいりたいと考えております。また、輸出コーディネーターの方々の人的ネットワークを活用いたしまして、新規取引先の開拓を進めながら、さらなる県産米の輸出拡大を図っていく考えでございます。
〇郷右近浩委員 これまでやってきた方向性というのは、私自身も、決して悪くなく、いい形で進めてこられたと思います。シンガポールでのお米の販売会のときに私もお邪魔させていただいて、そのとき拝見させていただいた中にあっては、岩手県産米はよその米より高くても一番売れているといった形で、評価はしっかり受けていると私も感じて、安心して帰ってきたところです。
ところが、この間、ディスカウント米、それこそ1年前や2年前の米まで全てがあくまで日本の米ということで一緒くたになって、古米も新米も同じ土俵で戦うような、余りにも安い金額での戦いとなっている今の商取引場としてのシンガポールなどの状況については物すごく心配しているわけであります。
そうした中にあってもしっかりと我が県のすばらしいお米をPRしながら進めていっていただきたいと思いますが、米卸売業者の方々とさまざまやりとりする中で、どうしても値段競争みたいな話に持ち込まれてくるのではないかと危惧しているのです。だとすると、どこかでコストカットするとか、もしかしたらこれまでの米よりも多少質を落としてもいいからもうちょっと安いものを持ってきてくれというような話も出るのではないかといった危惧をしているわけであります。
外国での輸出米の販売について、需要というか、そうした声があるのかどうか。そしてまた、さらには、県としてはそうした状況に対してどのような形で対抗というか進めていこうとしているのか、その点についてお伺いしたいと思います。
〇高橋流通課総括課長 米の輸出でございますが、先ほど申し上げましたように他産地との競合が十分予想される中で、先ほど委員お話しのように、評価をしていただいている卸売業者、小売業者の皆様方としっかり今後とも取引を進めていかなければいけないと考えておりますが、一方で、知名度がまだ不十分であるという認識でございます。したがいまして、フェアの開催やマッチング、商談会を現地で開催するとか、現地からバイヤーの方々を招聘した上での交流会といったものを引き続き着実に進めてまいりたいと考えております。
また、販売先でございますが、例えば日本食レストラン等への販路の拡大を図るとか、これまで進めてきた部分を継続するものの、しっかり対象を見きわめて効果的に進めていくとともに、高付加価値米、例えば天日干しなどの特徴もしっかり提案しながら、県産米の利用拡大、取引の拡大を図っていくということを今後とも進めてまいりたいと考えております。
〇郷右近浩委員 ぜひよろしくお願いします。
米を輸出すること自体、私の地元の岩手ふるさと農業協同組合でもかなり昔から手がけてやっていた。そもそも何のためにやるのかといったら、日本のおいしい米をぜひ海外の方々にも食べていただきたい、そうした思いはあったとしても、何より一番大事なのが農家の方々の実入りをしっかりとつくっていくために、国内で米がだぶついているのだったら海外に売ろうということで、決して安売りをするために売るわけではなく、日本米のよさを知らしめるためだけに安くても何でもよかろうという形で売るわけでもなく、宣伝費でもなく、しっかりと売れるところに売っていこうという形でのスタートだったと思います。ですから、そこの本質の部分を見失わないようにしながらしっかりと輸出戦略を立てていっていただき、さらなる取引拡大へと進めていっていただけるように頑張っていただきたいと思います。
そうしたことを踏まえまして、金色の風、銀河のしずく、そしてひとめぼれと、これまでも岩手県においては、中食向けの業務用米など、広い意味で米についてはいろいろな展開をされてきて、それがさらにいろいろ形づくられてやっとここまで来たと思っております。そうしたものをぜひしっかりと伸ばしていっていただきたいと思いまして、その部分について、小岩県産米戦略室長にお考えをお伺いして終わりたいと思います。
〇小岩農政担当技監兼県産米戦略室長 ただいま郷右近委員からお話がありましたけれども、私ども、これは米に限らないのですが、国内販売、そして海外輸出も含めましてなぜやるのかと。これは、まさしく委員御指摘のとおり、農家の所得を向上する手段の一つとして取り組んでおります。
そういったことがありますので、これは国内も海外も同じですけれども、単なる安売りということではなく、きちんとそれが農家の所得向上に結びつくような取り組み、例えば業務用仕向けなどの場合には当然価格帯として若干安くなりますので、そうした米については低コスト生産や収量を多くとるような取り組みなどトータルの取り組みの中で、結果として農家の所得向上が図られるような取り組みを進めてまいりますし、同様に、輸出に関しましてもそういう観点を失うことなく、その考えを基本にしながら取り組んでまいりたいと思っております。
いずれ、これは米のみにかかわらず牛肉もそうだと思っておりますし、全ての品目についてそのような観点で、いわゆる農家の所得向上を第一に考えながら取り組んでまいりたいと思っております。
〇高橋孝眞委員 郷右近委員、工藤大輔委員からもお話がありましたけれども、私も金色の風について、重複しないように1点お聞きしたいと思います。
自信を持って昨年、米生産をしたと思うのですけれども、農家の皆さん方は日本穀物検定協会の食味ランキングの結果に非常にがっかりしているのではないかと感じているわけでございます。先ほど、販売方法等についてお話がありましたが、新潟県の新之助というお米につきましては、有名百貨店-三越なり伊勢丹で販売ないしは通信販売という形で一定の場所で販売しておりますので、そういう方法で取り組んでいただければいいのかなと私自身も思うところでございます。
その中で、少し考えておく必要があると思ってお聞きしたいわけでありますけれども、去年の予算特別委員会で、金色の風と銀河のしずくの評価について、お米の専門家であります全国の五ツ星お米マイスター86名が今一番食べておいしいお米を選ぶ、米のヒット甲子園2017年において、全国の195銘柄の中から上位9銘柄に選出されており、さらに生産者が販売促進のため実施している米穀店への訪問による聞き取りで、おいしいお米だと高い評価をいただいていると回答されております。
食味ランキングではAからA'になってしまったわけでありまして、さらにランクが下がったという結果を十分考えて販売していく必要があると私は思うわけであります。先ほどもアミロースのことなど、食味値の関係をいろいろ話されておりましたけれども、実際は、最終的には味覚の問題であると思うわけであります。
AからA'にランクが落ちた理由を分析しているとすればお話をいただければと思いますし、分析していないのであれば分析していただきたい、こういうことですけれども、答弁をお願いします。
〇小原県産米戦略監 金色の風がA'評価となった理由についてでございますけれども、先ほど来答弁させていただいておりますが、日本穀物検定協会は、評価結果の理由について明らかにしておりません。
食味ランキングの中身を見ますと、複数産地のコシヒカリのブレンド米を基準米として、外観、香り、味、粘り、かたさ、そして総合評価の6項目で評価しているものでございます。繰り返しになりますけれども、基準米となっておりますコシヒカリに比べますと、やわらかさに影響するアミロース含量が低くふわりとした食感が特徴である金色の風は、かたさの項目での評価がやや厳しく出たのかなと推測しているところでございます。
なお、金色の風についてはA'評価ではございましたけれども、先ほど委員おっしゃったとおり、お米マイスター等々からは、平成30年産ものは非常にいいという評価をいただいておりまして、あわせて、食味ランキングの結果は評価の一つということで、頑張って取り組んでくれというお話をいただいているところでございます。
〇高橋孝眞委員 それはそれでいいと思いますけれども、逆に、AからA'になったとすればさらにおいしくなったのかなと言いたくなるわけであります。そういう分析をきっちりとして対応する、ここが必要なのではないかということでお話ししたところでありまして、そういう部分をしっかりとやっていただければ販売にも十分結びついていくと思いますので、お願いしたいと思います。
次に、獣医師確保対策事業について若干質問いたしますけれども、県内の肥育牛の生産頭数はこの10年間で1万頭も減少しているとも言われておりますし、肉牛の販売頭数も半減しているということであります。これは子牛の高値ということもあると思いますけれども、私は、県内の獣医師が不足していることも大きな原因ではないかと考えております。
この事業は県の獣医師の充実を図ることが目的のようにも思われますけれども、今、農業共済組合の獣医師なり開業獣医師が不足していると思っております。県として、この事業により今までどの程度獣医師確保につながってきたと思っているか、また、これからどういうふうに対応していくかということであります。
私どもは、けがをしたり風邪を引けば病院に行くことができるわけでありますが、畜産農家にとって牛を病院に連れていくことは不可能なわけでありまして、そのためには往診をしてもらう必要があります。緊急を要するときもあります。そういうことからも、獣医師が不足していることで、先ほども言いましたとおり、小規模な畜産農家が廃業へと追い込まれているのではないかと感じるわけでありまして、そういう意味合いで獣医師の確保をどのように考えているか、農業共済組合での獣医師の確保をどのように県として考えているかお聞かせ願いたいと思います。
〇村上特命参事兼振興・衛生課長 獣医師確保対策事業についてでございます。
まず、本県の獣医師の数でございますが、平成30年12月末現在、608名で、このうち、牛などの産業動物診療獣医師や県職員獣医師を合わせました産業動物獣医師は301名で約50%を占めております。
この事業についてですが、県では、獣医師確保に向けて、今年度、東日本の獣医系9大学を訪問しまして就職説明会を開催いたしました。また、6大学18名のインターンシップを受け入れまして、県外出身者に対しまして宿泊費の助成を行っております。
また、産業動物獣医師を含めました獣医師確保のため、平成3年に県事業として獣医師修学資金貸付制度を創設しまして、平成29年度からは国事業を活用して拡充してきたところでございます。これまでに合計70名に貸し出しまして、卒業した57名のうち33名が県に、11名が産業動物関連業務に従事しております。今年度は、修学資金の月額をこれまでの12万円から18万円に引き上げ、さらなる確保に努めております。
今後とも、農業共済組合や関係者と連携しながら、こうした取り組みを強化して獣医師確保に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
〇高橋孝眞委員 取り組んできたということはそのとおりだろうと思いますけれども、実際、取り組まれた成果が上がっているかというと、私は上がっていないのではないかと思うわけであります。そのことが岩手の畜産を伸ばせない、生産頭数などが減少している大きな理由だと思っておりますので、酪農の話も先ほどありましたけれども、ひとつ獣医師確保対策を十分講じながら、今のような対策ばかりではなく、もう少し広げた対策といいますか、別個の面からの対策も考えていただければとお願いしたいと思います。
もう一つ、いわて県有種雄牛利用推進事業についてでありますけれども、これは新規の取り組みになっております。具体的にこの取り組みの内容についてお示しいただければと思います。
〇菊池畜産課総括課長 いわて県有種雄牛利用推進事業についてでございます。
本県が全国有数の肉用牛主産地として評価を高めていくためには、枝肉重量や脂肪交雑などの産肉能力にすぐれた本県独自の種雄牛を造成し、その利用を推進することが重要でございます。
今年度、県では、本県歴代最高の産肉成績を上げました菊勝久を造成して、昨年10月にデビューしております。これら新規種雄牛の利用促進に向けまして、和牛雑誌への新規種雄牛の広告掲載や家畜人工授精師へのPRを強化するほか、新規種雄牛の子牛生産のための家畜人工授精に係る経費を支援するいわて県有種雄牛利用推進事業を平成31年度の当初予算案に盛り込んだところでございます。
本事業の推進によりまして、県内家畜市場における優秀な県有種雄牛産子の上場割合を高め、農家所得の向上を図ってまいりたいと考えております。
〇高橋孝眞委員 県内の和牛子牛市場は県南市場と中央市場の二つの市場があるわけでありまして、毎月開催されております。ここ3年間の上場頭数と、上場の中で、県有種雄牛からの子牛が上場された割合を示していただければと思います。
〇菊池畜産課総括課長 過去3カ年の県内和牛子牛市場への上場頭数の推移についてでございますが、平成28年度は1万9、340頭、平成29年度は1万9、444頭、そして今年度は2月末現在で1万7、860頭であり、前年同期と比べますと137頭増加しております。
次に、県有種雄牛産子の上場頭数に占める割合でございますが、平成28年度は23%、平成29年度は18%、今年度は2月末現在で15%となっております。
〇高橋孝眞委員 非常に優秀な種牛ができたということであっても県の種雄牛は使われていないわけでありまして、そういう意味合いでは、もう少しどんどん使っていただけるような仕組みが必要ですし、それから、せっかく精液をとっているわけでありますけれども、古くなってしまえば捨ててしまうということであります。それではもったいないわけでありますので、少し安くしてでもどんどん使ってもらい、そして評価を高めてもらうような仕組みを考えていく必要があると思います。
先ほどの事業により和牛生産に県の種雄牛使っていくのとは逆に、和牛ばかりではなく乳牛にも種をつけてF1スモールとして上場する。そういう仕組みでどんどんやっていくことによってF1での価値が高くなれば和牛での評価も上がってきますので、私はそういう形で進めていったほうがもっともっとよいのではないかと思いますので、少し検討していただければと思います。
和牛の受精卵ないし精液を不正に中国に輸出したということで、大阪府警に2名の方が逮捕されております。家畜伝染病予防法に違反する疑いが持たれているとのことでありますけれども、せっかく国内で改良に改良を重ねてきたものが、受精卵や精液の流出によって海外で大量に繁殖なり肥育されてしまったら、国内の肥育農家、畜産農家にとりまして将来大変な打撃になると思います。
海外への不正持ち出しは氷山の一角とも言われておりまして、国全体の問題でもあると思っておりますし、国も十分対応していかなければいけないだろうと思います。国の対応について、もし情報があればお話しいただければと思いますし、県としてはどのような対策を講じているかについてお伺いいたします。
〇菊池畜産課総括課長 和牛受精卵等の不正流出についてでございますが、昨年6月に和牛の受精卵や凍結精液が不正に中国に持ち出された事件を受けまして、国では、全国の家畜人工授精所を対象に和牛凍結精液の流通、保管状況等に関するアンケート調査を実施するとともに、本年2月、和牛遺伝資源の流通に関する検討会を立ち上げております。この検討会におきまして、和牛凍結精液などの流通管理の現状や課題などについて検討を開始したところでございます。
県では、本県の家畜人工授精所リストの提供など、国が実施しましたアンケート調査への協力を行うとともに、家畜人工授精師を対象といたしました研修会等において、家畜改良増殖法に基づく凍結精液等の適正な管理と盗難防止等について周知徹底を図ったところでございます。
〇高橋孝眞委員 畜産農家はいい部分もありますけれども、現状でいいますと大変厳しい状況でもありますので、先ほど言いましたとおり、精液の関係につきましても、F1にというか乳牛に種つけするとか、そういうことも含めながら十分対策を講じて、畜産農家が少しでも収益が上がるように取り組んでいただければとお願いして終わります。
〇工藤勝博委員 私から、2点お伺いいたします。
まず最初に、いわて型野菜トップモデル産地創造事業でありますけれども、平成30年度においての事業の成果をお聞きいたします。
〇菊池農産園芸課総括課長 いわて型野菜トップモデル産地創造事業の平成30年度における事業成果についてでございますけれども、県ではこれまで、本年度創設したいわて型野菜トップモデル産地創造事業の推進に向け、県内各地を回って事業のPRを展開するキャラバンを実施するなど、事業の周知や掘り起こしを行ってきたところでございます。
こうした取り組みの結果、奥州市のネギについて、新たな野菜販売額1億円産地を目指し、その規模拡大に必要な機械、施設が整備されたほか、盛岡市と花巻市、また一戸町のトマトの施設栽培について、単収を飛躍的に向上させる環境制御装置の導入が図られたところでございます。
〇工藤勝博委員 従来にない事業だと思いますけれども、この事業の実施に当たって、これは市町村が手を挙げるのか、それとも生産組織、JAとか生産部会、あるいは農業法人等が手を挙げて受ける事業なのか、その辺のことを具体的に教えていただければと思います。
〇菊池農産園芸課総括課長 平成30年度の実績を見ますと、農協の生産部会を通じて要望が上がってきたもの、また、生産者あるいは農業法人から要望が上がってきたものなどございます。これは、市町村を通じてでも農協を通じてでも、県の出先機関に御相談いただきながら、事業要望を取りまとめて事業の実施につなげていくものでございます。
〇工藤勝博委員 今、農協も大型合併が進んで、生産者とのつながりが薄くなっている地域も多いのです。そういう中で、意欲的に取り組みたいという生産者の場合、どこに行って相談したらいいのだろうということもあるのです。そういうことも含めてしっかり事業の内容をわかりやすく伝えていただかないと、農協に行ったらいいのか役所に行ったらいいのか農業改良普及センターに行ったらいいのかわからないということがあると思うのです。
平成31年度当初予算案も増額して計上されています。そういうことも含めて、この事業の内容、そして平成31年度に手を挙げている実施主体がどの程度あるのかお聞きします。
また、補助事業の場合、事業主体は当然しっかり取り組むところを確認しながらやると思うのですけれども、その部分も含めてお伺いいたします。
〇菊池農産園芸課総括課長 事業の要望をどこに出したらいいのかというお話が一つあったと思います。
県では、例えば水田で土地利用型野菜を推進する研修会を昨年は2回開催しましたし、環境制御装置については、次世代型農業を研修するセミナーのようなものを開催しています。そういったところに来ていただいて、県に対して、こういう事業に取り組んでみたい、話を聞かせてくれというようなことがあれば、どんどん事業の話をお聞きしていきたいと思っております。
また、この事業でございますけれども、来年度-平成31年度の実施予定としましては、県央部の土地利用型のニンニク栽培、また県南部の施設-ハウスを使ったトマトやピーマンの栽培、また県北部の菌床シイタケなどの品目で取り組む相談が寄せられております。この事業主体となるのは、生産者、生産された野菜を供給する実需者、また農協、市町村を構成員とする協議会でございまして、そこで事業の導入に向けた検討が進められているところでございます。
県といたしましては、事業に取り組む経営体に対して、県、市町村、農業団体等で構成する集中支援チームが一体となって、きめ細かな栽培、経営管理の指導を行うなど、ハード、ソフト両面から積極的に取り組みを進めることによって、本県のトップモデルとなる新たな野菜産地の創造にしっかりと取り組んでいく所存でございます。
〇工藤勝博委員 特に担い手の皆さんは、園芸関係に関しては、大変興味を持っているというか力を入れているということが実際あります。そしてまた生産高も、そういう方々がしっかり上げているということが支えになっていると思うのです。これから一定の生産能力がつけば、さらにまた規模拡大に進むということがあると思うので、こういう使いやすい事業をどんどん拡充していただければ、稲作をしながらでも、さらに収益の高い品目の導入につながっていくと思うのです。
繰り返しになるのですけれども、使いやすい制度にぜひ工夫していただきたいということですが、今、協議会をつくるという話もありました。そこまで巻き込むためのエネルギーが大変難儀なのです。その辺も含めて、もうちょっと制度的に使いやすい方法、何かいい方法はないのでしょうか。
〇菊池農産園芸課総括課長 今、使いやすい事業にしていってほしい、そういうふうに拡充してほしいというお話がありましたけれども、この事業は、例えばハウス建設の場合、当初はパイプハウスを対象に事業導入していくことを考えておりましたが、先ほど言った新しく園芸に取り組みたいという若い生産者からは、低コスト耐候性ハウスといいまして、パイプハウスよりもう少し機能の高い、軒の高い高規格ハウスに近いもので環境制御装置を使って収量を上げていきたいという要望がございました。それを踏まえまして、今般、低コスト耐候性ハウスについても事業対象とすると。パイプハウスの場合は1ヘクタール当たり7、600万円の上限事業費でしたが、低コスト耐候性ハウスであれば1ヘクタール当たり2億円の上限事業費で、事業費は3倍になりますけれども、単収が3倍とれれば十分ペイできるということで過剰投資ではないということを理解いただきまして、そういうふうに要件の見直しもしてきております。
いろいろ要望があれば、それにできるだけ対応するように努めてまいりたいと考えておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
〇工藤勝博委員 今、答弁あったとおり、現状のハウスも相当コストが高くなっているのです。震災以降、特に高くなっています。建てるときの初期投資もすごく大きくなっています。それらも含めながら、担い手が取り組みやすい仕掛けをしていただければと思います。
2点目ですけれども、鳥獣被害防止総合対策ということでお聞きします。
野生鳥獣被害の平成30年度の実態と、被害防止に向けた取り組みはどういう形でなされているのかお聞きします。
〇中村担い手対策課長 野生鳥獣による農作物被害の直近の調査は平成29年となりますが、県内全ての市町村で被害が確認されておりまして、平成29年度における被害額は総額で約3億7、600万円となっております。
県では、野生鳥獣の被害防止に向けまして、市町村が策定している鳥獣被害防止計画を踏まえながら、市町村や猟友会等で構成する地域協議会が行うニホンジカ等の有害捕獲の強化や、本県で開発した積雪に強い恒久電気柵の設置に加え、里山周辺の除間伐や雑草の刈り払いなど、野生鳥獣を人里に寄せつけないための地域全体で取り組む被害防止活動への支援などを行っております。
今後とも、鳥獣被害のさらなる低減に向けまして、市町村や関係機関等と連携しながら鳥獣被害防止対策の充実強化に努めていきたいと考えております。
〇工藤勝博委員 野生鳥獣の中でも、特に今、大きな対策が必要なのはイノシシだろうと思います。猟友会、狩猟免許を持っている方々が年々減っていることもありますし、イノシシの分布状況は、年々北上していると伺っていました。私の八幡平市でも目撃が何件かあります。まだ被害までは聞いていないのですが目撃はあるということで、これは、拡大する前に何とか最小限の頭数で抑えることが必要になってくると思いますけれども、イノシシに限った場合、どういう状況なのでしょうか。
〇中村担い手対策課長 イノシシの平成29年度の被害額につきましては約1、100万円と、昨年度に比べまして約500万円増加しております。これに向けましては、奥州市等におきまして、地域で一緒になって刈り払い等をしながらイノシシを寄せつけない取り組み、あるいはイノシシ専用の電気柵-張る段の高さ等を変える、そういう実証等も行いながら、防止柵の張りつけ、あるいは、イノシシの捕獲に向けての有害捕獲の予算等をふやしながら、何とかイノシシが広がらないような取り組みを進めております。
〇工藤勝博委員 野生鳥獣で今般の豚コレラが発生したということもあります。午前中に千葉伝委員からもお話がありましたけれども、豚コレラのもとは、岐阜県の畜産研究所、発端はそこなのですね。ですから、それらをしっかり確認しながら対策をとっていかないと、大きな被害を及ぼすと思います。
岩手県でも大規模な養豚所、あるいはまた鳥でもブロイラーが大変多いようですけれども、その辺の対策はどのようになされているのか。特に県の施設にもしそういうことがあれば大変なことになると思いますので、お聞きしたいと思います。
〇村上特命参事兼振興・衛生課長 鳥獣が及ぼす家畜伝染病への対策でございますけれども、岐阜県の農場で国内では26年ぶりに豚コレラが発生しまして、現在、1府4県の32農場、2屠畜場で発生が確認されております。また、岐阜県及び愛知県では野生イノシシについても227頭で感染が確認されておりますことから、野生イノシシを介した感染の拡大が懸念されております。
また、高病原性鳥インフルエンザにつきましては、平成30年の香川県での発生以降、国内での発生は確認されておりませんが、本病ウイルスは渡り鳥を介して国内に持ち込まれると言われております。
県では、国内外でこれら疾病が発生した際には、発生状況等を県内の家畜を飼養する全ての農場及び関係者に速やかに情報提供し、注意喚起を促しているところでございます。
また、平時より全ての農場を定期巡回しまして飼養衛生管理状況を確認し、野生動物の侵入防止の徹底、並びに畜舎出入り時の消毒及び専用衣服への交換等、人や野生動物等による病原体の畜舎への持ち込み防止の徹底を図っているところでございます。
それから、県関係でございますけれども、県にも畜産試験場がございまして、そちらのほうで豚を飼養しております。現在、豚を約220頭ほど飼養しておりますが、試験場では、きっちり豚舎がある区域の入り口を封鎖して部外者は立ち入りを禁止する、職員が入る際は入り口で車両を消毒する、豚舎、関連施設の周囲にはフェンスを張って境界を区別する、豚舎に入る際はシャワーイン、シャワーアウトを行うといった対策をとっておりまして、こういった疾病の侵入防止対策に努めているところです。
〇工藤勝博委員 万全な対策で、絶対ウイルスの侵入を防ぐようにしていただきたいと思います。
もう一つ、危険性があるのは、外国人、特に中国、東南アジアからのインバウンドが持ち得るウイルスの可能性があるということで、実際起きていると言われています。岐阜県での豚コレラの発端は、旅行者が持ってきたお土産-肉製品の捨てられた部分をイノシシが食べて、そこから伝播したのではないかと疑われています。
そういう可能性があるということになると、花巻空港は上海直行便、あるいはまた台湾もそうです。花巻ばかりではなく、海外から入ってくる外国人はこれからどんどんふえてくると思うのです。海外研修生もふえています。特に東南アジアからの研修生がふえているわけです。水際で防止するには、特に花巻空港は、注意喚起はしていると言いつつも、なかなか目に見えるものではないからそういう部分はしっかり対応をとらなければならないと思いますけれども、その辺の対策についてはどう考えているでしょうか。
〇村上特命参事兼振興・衛生課長 花巻空港における水際対策ということでございますけれども、御存じのとおり、花巻空港には現在、台湾便、上海便が週、各2往復飛んでおります。我々県としましては、花巻空港の事務所にお願いしまして、農林水産省が作成したリーフレットやポスター掲示をお願いしましたり、手で持っていけるように、ラックへの展示を依頼しております。また、国では動物検疫指導法でも対策を強化しておりまして、所持品検査は必ず所持品について口頭で質問して確認する。それから、マットを設置しまして靴底の消毒も実施して対策を強化していると聞いておりますし、実際、私どももお伺いして確認いたしております。
〇工藤勝博委員 空港なり、あるいはまた、これから船で来るお客さんもいると思うので、それらも含めて万全な対策に努めていただきたいと思います。
これは通告しておりませんでしたが、去年、米穀園芸生産流通議員研究会でニュージーランドを現地調査してまいりました。最初にオークランドの飛行場に入るわけですけれども、とてつもなく手荷物検査は厳しかったです。また、オークランドから南島のクライストチャーチ、同じ国内でトランジットするにもまたゼロからの検査ということで、大変厳しいと感じました。それはやはり、ニュージーランドは畜産王国です。よそからウイルスを絶対入れないと、国自体が徹底しているということを改めて感じてきたところでもあります。
そういう中で、ニュージーランドの話をすればいいのですけれども、国全体が緑の国という感じで、すばらしい現地を見させていただきました。畜産王国ということも改めて感じました。コストを見ればかなわないなと。明らかにかなわない。道路沿いの歩道のそばまで牧柵があって、きれいに牧草地です。雑草はほとんど見ない。牧草地で、そこに、ちょうど秋ですから子羊が産まれて、すごく子羊が群れていました。そういう風景も含めて、綿羊ですから、牛舎などの施設もないわけです。ほとんど牧草の中で出産して、すぐ起き上がって生産されるということでありました。
ニュージーランドの農家には、従来は補助事業がさまざまあったらしいです。ところが財政的に無理だということで、今は補助事業はないということでした。そのかわりに、経営者の経営相談、あるいはまたいろいろなトラブルのときの相談、販売の相談、そういう業務が主体的だと。それもほとんど生産者、農家がそういう組織をつくって自主的にやっていると。すばらしいと思って改めて感じてきたところでもありました。
現地調査には小岩技監も一緒に行って、いろいろなアドバイスもいただきながら調査をしてきましたけれども、小岩技監からも一言、これからの岩手の農業はこうあるべきだということを感じているのであればお聞きしたいと思います。
〇小岩農政担当技監兼県産米戦略室長 今、お話がありましたとおり、私も委員の皆様と一緒にニュージーランドに行かせていただきました。そこで私が非常に感じましたのは、一言、サステーナビリティー-持続性ということをニュージーランドの皆様は強く意識して農業に取り組まれている。これは、我々として非常に見習わなければいけないことだなと。これが最も学んだことです。
畜産におきましても、我々はこれまで農地を開発しながら、よりよい畜産を目指してきましたし、今後もそれは間違っていないと思うのですけれども、一方で、サステーナビリティーのような考え方も取り入れながら、取り組まなければいけないのではないかということを強く感じて帰ってまいりました。今後、私自身そのような観点でいろいろなことについて考えていきたいと思います。
なお、先ほど畜産国であるニュージーランドは検疫が非常に厳しいというお話がありました。私は平成13年にアメリカに行く機会があったのですけれども、そのときも、FMDを入れない-これは口蹄疫ですけれども、横断幕がそちこちにあって、こうした取り組みはぜひすべきだと思いますし、畜産県岩手ですので、国はもちろんそれはわかっておりますが、こうしたことも国に申し述べながら、海外の悪性伝染病等は絶対入れないという取り組みを、国と一緒になって取り組まなければいけないと考えております。
〇工藤勝博委員 やっぱり岩手県の地域資源をさらに発展させるには、畜産、あるいは先ほど来、米の話もありますので、生産者が意欲的に取り組むような制度設計をしていただいて、さらに生産高、そしてまた農家が幸福を感じるような政策をぜひつくっていただきたいと思います。
〇佐藤ケイ子委員 私からは、幸せ創る女性農林漁業者育成事業というものもあるのですけれども、この幸せを守り育てる岩手、そして、持続可能性のある岩手をつくるための農業のあり方に関して、女性農業者の状況について、それから、多面的機能支払交付金についての通告をしております。
まず、農業者の中で女性が占める割合、女性の方々が元気で働いているかをどう把握しているかということですけれども、農林水産省の農業における女性の活躍推進についてという資料によりますと、農業就労人口は175万3、000人、うち女性が約80万人ということで、46%が女性ということです。そして、年齢別に言いますと、やはり60代以上が非常に多いという状況で、基幹的農業従事者も40%が女性、しかも50代以上がほとんどだということであります。
私も60代になりましたけれども、女性で農業にかかわっている方々は高齢者が非常に多くて、男性もそうなのですが、多分、絶滅危惧種に近い形になっていくのではないかと心配しております。絶滅危惧種は守り、育てなければならないのです。何とか御配慮をお願いしたいという思いがあります。
それで、私の周りで感じることなのですけれども、女性の団体、JA女性部とか、生活研究グループとか、婦人会とかという団体が、どんどん会員が少なくなったり、やめたり、消滅したりということがこの間ずっと目につくなと思っているのですけれども、本県の農業にかかわる女性の状況はどう把握しておられるかお示しいただければと思います。
〇菊池農業普及技術課総括課長 本県の農業にかかわる女性の状況ということでございますが、まずは、本県の農業就業人口が約5万8、000人おりまして、このうち約2万9、000人が女性ということで、半分が女性だということでございます。
それから、農山漁村における男女共同参画の指標の一つとして女性農業委員がいらっしゃいますけれども、平成29年度における女性農業委員が全県で89人、割合でいきますと15%で、全国第4位ということで、女性の参画が進んでいるなと感じております。
一方で、女性の農協役員は全県で19人ということで、割合でいきますと8.5%、順位でいくと全国第24位となります。
さらに、先ほど生活研究グループのお話がありましたけれども、生活研究グループの会員数は、平成29年度で69グループ、418人、JA女性部では7農協で1万1、549人となっております。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。
女性が農業にかかわっていると特徴的な傾向が出ているというのがあるのですけれども、女性が経営の多角化に取り組む経営体は、収益力が向上する傾向にあるといったデータが出ているようです。
さらに女性の活躍というか、かかわってもらえるような施策が必要だと思っているのですけれども、以前は生活改良普及員とか、かなり地域の女性と一緒になって活動してきた歴史がありますが、今はなかなかそういう状況ではないということで厳しいなと思っているところです。
そんな中で、今、県の施策として幸せ創る女性農林漁業者育成事業というものが平成30年度から始まっており、新年度当初予算案では1、000万円の事業ですね。それから、農山漁村いきいきチャレンジ支援事業、これは新年度当初予算案で80万円なので少ないのですけれども、二つの事業が行われております。この事業の実績、課題、新年度の取り組みについて伺いたいと思います。
〇菊池農業普及技術課総括課長 まず、幸せ創る女性農林漁業者育成事業についてですけれども、これは、いわて発元気な牛飼い女子応援事業などを統合いたしまして、平成30年度に新たに創設した事業でございます。女性が活躍しやすい環境づくりや女性のネットワークづくりなど、幅広く女性活躍の取り組みを支援しております。
その結果、既存の牛飼い女子のほか、新たに米や花、林業などの女性グループが結成されまして、グループ活動を通じて経営力向上や高付加価値化の取り組みが進んでおります。
もう一つ、農山漁村いきいきチャレンジ支援事業につきましては、農山漁村における男女共同参画を一層推進するためのセミナーの開催や、食の匠認定によります地域食文化の発信、伝承活動を支援しているものでございます。
その結果、家族経営協定の締結などによりまして女性の経営参画が進んでおり、また、食の匠については、制度が創設されました平成8年から平成30年度まで、273の個人及び組織が認定されたところでございます。
平成31年度は、セミナー開催など一部重複している取り組みがありましたことから、これらを見直しまして、幸せ創る女性農林漁業者育成事業では、グループ活動を中心として、女性農業者が生き生きと活躍できるよう、きめ細かに支援していくほか、農山漁村いきいきチャレンジ支援事業では、引き続き、家族経営協定の推進や食文化の発信、伝承活動を通じた地域活性化の取り組みを支援していくところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。ぜひ、これからも積極的にお願いしたいと思います。
特に、幸せ創る女性農林漁業者育成事業は、新たなビジネスモデルを持ったところが3件、経営力向上、高付加価値化というので合わせて11件、全部で14件が今年度は事業採択されたようですけれども、こういう方々の事例をどんどん発信していただいて、元気に農業ができるように応援していただければと思っております。
次は、多面的機能支払交付金についてでございます。
農地維持支払交付金が新年度は16億1、000万円、それから、資源向上支払交付金は24億1、600万円ということで、これは昨年度より1億3、900万円ぐらい削減されているようですけれども、この関係で、農業関係の新聞を見ますと、全国の2018年3月末現在の実施状況は、農地維持支払交付金は2万8、290組織、227万ヘクタール、資源向上支払交付金は2万2、299組織、約200万ヘクタール、それから、長寿命化事業なども行われておりますが、この事業は、地域では本当に期待されております。事務が複雑とか面倒だということはあるのですが、本当にこの事業があっていいなと言われていました。
この事業が5年たったらどうなるのかということも心配されていたのですが、また第2期事業に継続されるということなので、さらにこれも進めていただきたいと思っております。
それで、本県の取り組みの組織数、面積はどうなっているか、それから、前年度より予算が少なくなったのは、私が思うに組織が減少したり面積が減少したりしている傾向があるのではないかと思っているのですけれども、新年度の予定はどのようになるでしょうか。
〇伊藤農村建設課総括課長 まず、平成30年度の取り組み状況でございますが、取り組みにつきましては三つほどございまして、一つ目の農地維持支払交付金は、共同で行う草刈り、水路の泥上げを行うものでございますが、33市町村、1、077組織で行われておりまして、水田においては、県内の農業振興地域内の農用地の水田の76%に当たる約6万7、000ヘクタールで取り組んでおります。
また、二つ目の取り組みであります資源向上支払交付金のうち共同活動では、共同で取り組みます導水路の軽微な補修などを行うものでございますが、これも水田においては県全体の68%に当たる6万ヘクタールで取り組みが進められております。
三つ目の取り組みであります資源向上支払交付金のうち施設の長寿命化につきましては、共同で導水路の補修を行うものでございますが、26市町村、762活動組織、水田におきましては5万1、000ヘクタールと県全体の58%で取り組んでいるところでございます。
また、前年度より予算が減額というお話がございましたけれども、平成31年度の取り組みでありますが、組織数及び取り組み面積は平成26年度の制度発足以来、毎年増加しておりまして、平成31年度においても、組織数では6組織の増で1、083組織、また、面積では約800ヘクタールの増となる7万6、000ヘクタールで実施が見込まれております。
〇佐藤ケイ子委員 面積もふえるということですけれども、そうすると予算が少なくなるのは、継続して取り組むと75%の支給率になるという意味ですか。
〇伊藤農村建設課総括課長 平成31年度の当初予算案につきましては、平成30年度の国庫支出金の割り当てを踏まえました予算で編成したもので、平成30年度の交付実績よりは増額になっているということでございます。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。
農家の皆さんから、支払いの時期が非常に遅いということをよく言われております。農地維持支払交付金は、まずそこそこの時期に支払われるのですけれども、資源向上支払交付金の支払いが非常に遅くて事業をするのに困ると言われております。それを市に言いますと、市は県の責任だと言いますし、県は国の責任だと言いますけれども、何とかならないのかなと。早期の支払いをお願いしたいと思っております。
それから、農林水産省では、多様な人材の参画率、農家だけではなくて、地域住民も巻き込んで共同活動をしましょうということで奨励しているわけですけれども、その参画率を4割以上に向上させることとか、広域での農地の管理を進めましょうということで、広域管理の農地面積の割合を5割以上にする目標を出しているようなのですが、現実的にはどうなのでしょうか。私は、これもかなり難しい話だと思っておりますが、どのように見られているでしょうか。
〇伊藤農村建設課総括課長 本県における多様な人材の参画率につきましては、平成26年度の制度発足以来、毎年度増加しております。しかしながら、平成26年度15.6%が平成29年度実績で20.6%ということで、4割にはまだ届かないような状態にはなっております。
また、広域管理の農地面積の割合につきましても、平成26年度15.9%が、平成29年度で16.5%ということで、これによって、スケールメリットを生かした事務の効率化が図られるという一定の効果は発現されていると聞いております。
市町村では、こうした地域の取り組みを促進することとしておりまして、県としても、地域組織の意向を踏まえながら、多様な人材の参画や組織の広域化について、引き続き支援してまいりたいと考えております。
ちなみに、国は政策目標ということで、参画率については4割以上、広域化については5割以上という目標を立てて進めており、県につきましては、具体的に目標設定は行われておりませんが、その趣旨に鑑みて、取り組みを進めることについては、国の考え方に準じる必要があるのではないかと考えているところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。現実的にはかなり難しいなと今の答弁をお聞きしながら感じたわけですけれども、では、県、それから市町村、JA、さまざまな団体があるわけですが、本当に農家の方々とどうかかわってこの事業をもっと進めていくのか、そして農家の方々の収入を幾らかでも増加させるよう、どのように取り組んでいくのか伺って、終わりたいと思います。
〇伊藤農村建設課総括課長 ちょっと聞き取りにくいところがあったので申しわけございませんが、広域的な管理の取り組みということに関して言えば、具体的に300ヘクタールぐらいを21経営体が一つの組織をつくって、スケールメリットを生かし事務を効率化したという事例も出ています。そうしたメリットはあるということを説明しながら、結局は、事務の効率化が図られれば農家の手元に残るお金も多くなるわけですので、そういった形で個別農家に対して支援していくという方向で考えるのかなと思います。
〇城内よしひこ委員 先ほど野生鳥獣被害については工藤勝博委員からも質問がありましたので、重ならないように聞きたいと思います。
環境生活部で駆除数を把握しているのが鹿ですね。鹿の駆除数3、469頭ということでありました。農林水産部でまだ数字が確定していないようなのでわからないということでありましたけれども、平成30年度の実績はまだわかっていないか、あわせてお伺いしたいと思います。
〇中村担い手対策課長 ニホンジカの平成30年度の捕獲数につきましては、まだ確定している数字はありませんが、おおむね1月中旬あたりで、環境生活部とこちらの事業を合わせて9、500頭ほど捕獲されていると見込んでおりまして、本年度もおおむね1万頭以上捕獲できるものと考えております。
〇城内よしひこ委員 先ほどの工藤勝博委員の質問に対する答弁では、野生鳥獣による被害額は約3億7、600万円ということでありました。被害がこれまでもずっと減らないで拡大してきている。県はこれまで、被害額が一定程度おさまりつつあるような話もされたと私は記憶していますが、いずれ鹿の生息エリアが拡散しています。どんどん北上しているわけでありますので、この被害はまだまだふえていくものと思っております。
猟友会も、実は皆さんの御理解もいただきながら会員数がふえてはいます。ただ、鹿の数が実際におおよそ4万頭いて、平成29年度実績では1万4、000頭ぐらい駆除したと。そのときのシカ管理検討委員会での話だと、数字が横ばいだという話でした。ですが、このぐらい被害額がふえているということは、またふえているのではないか、またエリアが拡散しているのではないかと思っていますが、そういったことについては、意見交換も含めて関係団体からの聞き取り等はしているのかお伺いしたいと思います。
〇中村担い手対策課長 鳥獣被害の金額につきましては、こちらで把握している数字でいけば、5年前に比べて2割ほど減少していると捉えてはいるのですが、久慈地域でイノシシが捕獲されるなど、イノシシ被害等が増加しておりまして、これらも含めまして、引き続き被害防止対策を強化していくことが必要だと考えております。
シカ管理検討委員会あるいはイノシシ管理検討委員会等で、捕獲技術の向上等が必要だ、あるいは新たな技術導入等が必要だというお話を聞いておりまして、県としましても、来年度は、これまでの1万頭以上のニホンジカの捕獲を継続し、これまで900キロメートル張っている電気柵をさらに110キロメートル延長するほか、これらに加えまして、県内9カ所でICTを活用した箱わなを導入することとしております。そういう技術実証も含めながら、技術向上しながら、そういうものを普及させながら、何とか全体の被害防止を強化していきたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 いずれ、ふえている鹿を激減させることに努めなければ、幾ら電気柵を設置して被害額が減っても、かかる経費は増していくわけですので、被害を根絶するぐらいの気持ちで立ち向かってほしい、そういう取り組みをしてほしいと思います。
猟友会の方々の話をお伺いすると、確かに補助は出るけれども、シーズン途中で補助金がなくなり、金の切れ目が縁の切れ目ではないですが、玉が買えなくて駆除できないという話も聞いたこともあります。そういったことのないようにしっかりと対策をしてほしいと思っております。
ことし1月に猟友会の総会に参加させていただきました。市農協、森林組合、農業共済組合、警察、県と、これまでに参加のなかった各関係団体が集まり、やはり被害が大きく、自分たちにもその被害が及んでいるのだということで立ち上がってきているようであります。ぜひそういった方々と連携をしながら、しっかりと根本的な対策に取り組んでほしいと思います。
特にイノシシについては、猟友会の方々も経験がないという中で、大変慎重に対応しないと事件、事故が発生しかねないということで、そういう取り組みをしているようでありますので、そういった方向についても、環境生活部と連携しながらしっかりと対応してほしいと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
〇藤代農業振興課総括課長 野生鳥獣被害の鹿対策でございますけれども、委員御指摘のとおり、鹿被害のほうだけ見ますと、5年前の平成25年度ですと2億9、000万円だったものが、平成29年度では1億9、000万円ということで、被害金額については1億円ほど減という状況になっております。これは、平成35年を目途に鹿の生息頭数を半減させるということで毎年1万頭の捕獲を目指してやっている効果もあるかと思います。
一方で、やはり現地からは、なかなか被害が減らないという声も聞いていますので、そこについてはしっかり、農林水産部では有害捕獲ということで4月から10月まで、環境生活部は指定鳥獣の管理ということで11月から3月までという形で、切れ目のない補助を行えるよう連携しているところですが、ここを徹底させて対策を講じていきたいと考えております。
また、イノシシについては、先ほど中村担い手対策課長からも申し上げましたとおり、県北のほう、久慈地域でも捕獲されるなど、生息域が広がっているのを非常に懸念しております。また、イノシシはこれまで県内であまり生息していなかったものですから、捕獲技術がまだまだ不足だと考えております。こういったことについては、先ほど申し上げましたICTを活用した箱わなを県内9カ所に配備しまして、捕獲技術について学んでいただいて、皆さんで、なるべく手間がかからずに効率的に捕獲できるように、何とか被害を抑えるような形で取り組んでいきたいと考えているものでございます。
〇城内よしひこ委員 いずれ猟友会の方々も高齢化が進んでおります。若い方々も入ってきてはいるようでありますけれども、経験が少ないということでありますので、しっかりとその辺を連携しながら、事故のないように取り組んでいただきたいと思います。
先ほどの答弁で、人里に近寄らせないという話がありましたけれども、岩手県は中山間地域が多いわけであります。被害額が確定したように話はされますけれども、農業共済組合の方々や農協関係の方々と話をすると、届け出をしていない、被害がこれぐらいだったらしようがないと諦めている方がまだまだあるようですので、そういうことが進んでいくと、人里が、それこそ鹿もいないし人もいないという環境になりかねないと思いますので、ぜひしっかりと取り組んでほしいことをお願いして、終わります。
〇神崎浩之委員 関連。城内委員の鳥獣被害の質問に関連して、イノシシと電気柵の関係についてお聞きします。
イノシシの対策で電気柵を設置するのもなかなか進んでいないのですけれども、この効果を県としてどう捉えているのか。私が地元の業者に聞くと、1回ビビッとなったぐらいでは、なれて、また来ると言うのです。一つは、電気柵を設置するときに、電源をどうとっているのか。例えば太陽光というものもあるらしいのですけれども、太陽光で1回ビビッとすると、また次に電気をためるまで大分時間がかかるのだそうですよ。ですから、1回ビビッとやって、またイノシシが来ても、太陽光ですから十分に電気がたまらないのだそうですね。
そこで、電気柵の電源はどうなっているのか。それから、その効果について県はどう捉えていて、指導なさっているのかお伺いしたいと思います。
〇中村担い手対策課長 電気柵の電源につきましては太陽光発電を使うのが一般的ですが、バッテリーを備えておきまして、それに充電しまして24時間通電するような形のものを配備しております。
それから、イノシシにつきましては、1回ビビッと来ても、また次に行ったときに電気が通じなければ安心して柵を通り抜けるということもありますので、常に、何回行ってもビビッと来るような体制というか、そういう設置の仕方をすることが重要です。
また、イノシシの場合は、鹿等と違いまして、1段目が30センチメートルではなくて、10センチメートルとかの低いところに張ったりしますので、そういう張り方等を徹底することも重要だと考えております。また、低く張ると生えてきた草等に電線が触れ、漏電等で効果が劣ることがありますので、そういう保守管理も重要でございます。そういう面も合わせまして、農業改良普及センター等を通じまして農家に指導したいと考えております。
〇神崎浩之委員 いずれ認識は同じでございますので、これは備品とか器具は全額補助の対象ということですが、金額のみならず、そういう技術的指導まで行っていただいて、せっかくの機会でありますので、効果が出るような御指導をお願いしたいと思います。
〇ハクセル美穂子委員 私からは、農業とITに関連することについて、まずお聞きしたいと思います。
平成31年度に取り組むスマート農業関連の事業がいろいろ上がっておりますけれども、農業改良普及センターの普及指導に関する第4次産業革命にかかわるようなICTを活用した取り組みはあるのかどうか、その点についてお伺いします。
〇菊池農業普及技術課総括課長 スマート農業に関係する農業改良普及センターの役割でございますけれども、まず、国では、平成31年度からスマート農業加速化実証プロジェクト事業を立ち上げまして、岩手県でもこれに平成31年度から参画するということで準備をしております。
この事業におきましては、県内の先進的な経営体と連携いたしまして、水稲、露地野菜、飼料作物など作目ごとに一貫した体系の中で、自動操舵トラクターであるとか、ドローン、リモートセンシングなどのスマート農業技術の実証に取り組むこととしております。
農業改良普及センターでは、現地実証の進行管理役といたしまして、資材費や労働時間、それから収益性などを把握するほか、作物の生育調査、収量調査を行うなど、スマート農業技術の評価に中心的な役割を果たすこととしております。
さらに、個々の農業者がスマート農業技術の設備、機械を導入するに当たりましては、農業改良普及センターを中心に、それぞれの経営規模やニーズに応じた選択ができますよう助言するなど、積極的な支援をしていくこととしております。
〇ハクセル美穂子委員 農業者の方が活用されるスマート農業の普及拡大事業がたくさん企画されているというか行われるということで、普及指導を行う農業改良普及員の方々が使うようなITのツールは、具体的には、今のところはそんなに使われていないということでよろしいでしょうか。確認です。
〇菊池農業普及技術課総括課長 普及活動の現場におきましては、昨年度からタブレット端末を配布いたしておりまして、農業改良普及員が農業者の皆さんに対しまして、有益なデータを画像で見えるような形で直接提供しております。
今後も、そういったツールを使いまして、迅速かつきめ細かな情報発信に努めていきたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 タブレット端末をお使いになって、全員分はないという話も前にちらりとお聞きしましたけれども、そういうものはしっかりと、農業改良普及員の皆さん全員がそういったものを活用できるような環境整備になればいいと私も思っておりますので、この点については、ぜひ進めていただきたいと思います。
もう一つ、私が地元の若手農業者の皆さんと話をする機会の中で、ICT、ITを使った農業指導の中で農業改良普及員に質問したことが余りないという方もおられました。細かいことだからそれほど質問する必要もないかと思っていてというようなこともあったのです。農業青年の皆さんは、総じて純で、シャイで、自分で何とかできるものは何とかしていこうとか、JAの部会の先輩に聞いたりというような感じでやっていらっしゃる方のほうが多いのです。やっぱり農業改良普及センターがありますので、しっかり活用していただくために、例えばですが、ほかの部門でもよく出てきますが、LINEとかSNSといったツールを活用して、ちょっと浮かんできた、今こういう状態になっているのだけれども、どういうことなのだろうかということを農業改良普及センターにすぐ聞けるようなことも、これからは取り組んでいくべきではないかと私は思っております。
第4次産業革命に対応した新しい取り組みがいわて県民計画(2019~2028)の中でもたくさん掲げられておりますので、その点をこれから農業分野でも取り組んでいくべきではないかと思っていますが、今後そういった質問等の活動はどうされるのかをお聞きしたいと思います。
〇菊池農業普及技術課総括課長 若い農業者の皆様に、生産技術であるとか経営に関する有益な情報を適宜提供することは、とても大事だと思っております。
これまで、県では、ホームページなどを通じましてそういった情報を提供してきておりましたけれども、最近、農業改良普及センターでも、SNSを活用いたしまして、農業青年組織や、牛飼い女子グループなどと経営力強化に向けた各種研修会の周知であるとか、イベントや活動状況などの情報共有、さらには相談活動なども、こういったツールを使いながら取り組んでいるところでございます。
今後も、こういった若い農業者の方々の相談しやすい環境づくりに努めてまいりたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 いろいろと進めていらっしゃるということも今教えていただきましたが、無農薬でやっていらっしゃる方とか、結構1人でやっていらっしゃる方も多くて、若手の方はそういったところから新規就農される方も多くいらっしゃいますので、ぜひそういった方のニッチな質問にも答えられるようなITの活用の方法も、ぜひ取り組んでいっていただきたいと思います。
次に、いわて牛の生産振興について、さきに質問された方もおりますが、いわて牛は、平成22年度から平成29年度までで東京都中央卸売市場への出荷頭数が半減しているということがあるそうです。その出荷頭数を今後どのように回復させていくのかといった部分についてのいわて牛の生産振興の考え方をお聞きしたいと思います。
〇菊池畜産課総括課長 出荷頭数の回復についてでございますが、本県の黒毛和種の東京都中央卸売市場への出荷頭数につきましては、今、委員から御説明ありましたとおり、平成29年度は4、968頭でございました。7年前の平成22年度に比べまして約4、000頭減少しております。これは、大規模経営体の廃業や子牛価格の高騰で肥育素牛の確保が困難になったことなどが、その主な要因と考えております。
このため、県といたしましては、牛舎等の整備や肥育素牛の導入、乳牛等への和牛受精卵移植による肥育素牛の生産拡大などの支援のほか、肥育経営の安定に向け肉用牛肥育経営安定特別対策事業、いわゆる牛マルキンの活用などを行っており、肥育牛の飼養頭数につきましては、ここ数年増加傾向になっております。
今後におきましては、こうした取り組みに加えて、肥育農家に肥育素牛を安定供給するための施設でございますいわゆるキャトルセンターを整備するなど、生産者、関係団体などと一体となって、本県の肉用牛生産の拡大に取り組んでまいります。
〇ハクセル美穂子委員 確認をしたいのですけれども、今、いわて牛の生産流通戦略を多分策定されている途中かと思うのですが、12月中旬にいろいろな生産者の方とか市場関係者の方とかにお話を聞いて、策定のためのヒアリング活動をされているということだったのです。いわて牛の市場関係者からは、例えばどれぐらいの頭数まで回復してほしい、もうちょっと出してほしいといった御意見があるのか、それから、生産者の方からはどういった御意見をいただいているのか、その辺をお示しいただくことはできますでしょうか。
〇高橋流通課総括課長 ただいま委員からお話がありましたように、いわて牛の生産流通戦略につきまして、いわて牛関係の農業団体、そして市町村、県で組織いたしますいわて牛普及推進協議会で、その策定作業を進めているところでございます。
その中で、先ほどお話のありましたように、東京都中央卸売市場などの流通関係者の皆様にも現状につきましてお話を承っているところでございますが、委員お話のあったように、例えば何頭ぐらいという頭数の話でございますけれども、期待されるロット数という言い方をさせていただきますが、200日の市場開設に1日20頭ぐらいといったような目安の中で上場されることが、いわて牛というよりは、一般論として期待されているというお話は承っております。
また、地元の農協からのお話の中では、上場頭数の確保に向けて、さまざま今まで取り組みを進められてきたわけでございますが、地域銘柄牛として出荷されているものを含め、今後、いわて牛を統一ブランドとしてしっかり進めていくかどうかといったことも、あわせて検討を進めている状況でございます。
〇ハクセル美穂子委員 いわて牛は、宮城県でやっている仙台牛のように統一してやったほうがいいのではないかという話も出ているのは、私も承知しております。まず、ブランディングもすごく重要だと思いますけれども、平成22年度から平成29年度にかけて頭数が半減しているということは、生産現場が非常に厳しい状況に置かれているのではないかと私は捉えています。
ブランディングとか流通とかはもちろん重要です。それはやっていかなくてはいけないことですけれども、肥育の生産基盤自体がもうかなり弱くなっているのではないかと思っています。そこのところをしっかりと強化というか再生するぐらいの勢いでやっていかないと、平成22年度9、600頭が今4、900頭になっていますので、ここをしっかり上げていかなくては、ブランド牛をつくったところで、実は牛が出荷されないということになってしまうのではないかということを懸念しております。
その点について、県としてはどういった明確な目標を持って、このいわて牛をさらに生産振興していくのか、今時点であるのであれば教えていただきたいと思います。
〇高橋流通課総括課長 明確な目標というお話でございますが、先ほど御説明いたしましたいわて牛普及推進協議会で今検討を進めております生産流通戦略の中で、今お話のあった頭数でありますとか、それぞれ目標を定めて進めてまいりたいと考えております。その戦略の中で、頭数につきましても、今後検討の上、関係の皆様と協議の上、定めてまいりたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 その生産流通戦略は、本当に生産現場の声を反映されたものになってほしいと思っていますし、例えば枝肉重量とか脂肪交雑がどの程度のものをいわて牛とするのだというはっきりとした明確な基準をきちんとつくって、それに向けて、県南と県北の繁殖雌牛にどういった県有種雄牛とか種牛をつけていくのか。県有種雄牛のゲノム解析とか育種とかしていますけれども、それの目標にもなるものだと思いますので、しっかりと、どういうものをいわて牛と定義して、その生産体制をどのようにしていくのかを、生産者の皆さん、それから市町村の皆さん、関係者の皆さんと共有していくことが非常に重要だと思います。この生産流通戦略がもうすぐ策定になるとは思うのですが、その中でしっかりとそういったところを明記してやっていっていただきたいと思います。
最後に、いわて牛の生産振興について、部長にお聞きして、終わりたいと思います。
〇上田農林水産部長 いわて牛の生産振興についてでございますが、いわて牛につきましては、一応基準は設けております。
他県では等級でやっておりますけれども、本県の場合には、いわて牛を3等級以上ということでくくっておりまして、出荷の際には、いわて牛という名前で出していただくことにしております。
ただ、生産振興なり、あるいは出荷頭数の増については、さまざま個別の農協と、いわて牛としての出荷を伸ばそうということでお話をさせていただいておりますし、例えばPRの場、いわて牛の集いなどではいわて牛として統一でやらせていただいておりますが、市場に出荷する際には、やはり地域ブランドをとても大事にされている農協もありまして、そういったところでは、地域ブランドでの出荷をされております。そこに関しましては、今まさに相談なりをしているところでございますし、今申し上げました生産流通戦略をどうするかという話し合いの中で、そういった位置づけなり、これからの方向をどんどん詰めてまいりたいと思っております。
基本的には、いわて牛の出荷頭数をふやしますと市場での価値が上がります。定時に定量の牛肉、枝肉が手に入るということですので市場での価値が高まってまいります。ぜひそういったことを皆さんに御理解いただいて、進めてまいりたいと思います。
〇菅野ひろのり委員 まず、酪農についてお伺いします。
先ほど飯澤委員から土地利用型の酪農というお話がありました。そして、小岩技監から、過去の経緯を説明いただきましたし、持続性が大事だということもおっしゃっておりました。そこでお伺いしたいのですが、岩手県酪農・肉用牛生産近代化計画には持続性という言葉がまず載っていないのですね。
ちなみに、先ほどニュージーランドの話が出ましたが、先ほど課長は、乳牛の能力を最大化するのだという御答弁をされたと思います。今、日本の乳牛は大体2回から3回お産をして、あとは事故であったり云々で肉にしてしまう。一方、ニュージーランドは、放牧主体で10産ぐらい、10年以上生きる。この違いが、やはり持続性の大きな違いにつながっていると思います。先ほどの能力をふやすということは、逆を言えば牛の寿命を縮めてしまう。
そこでお伺いしたいのですが、畜産振興、酪農振興という中での持続性はどのように考えられているのか伺いたいと思います。
〇菊池畜産課総括課長 先ほど申し上げました能力を高めることにつきましては、要は、いろいろな経営体がございます。大きい経営体、そしてまた家族経営体がございますので、県のいろいろなやり方がある中で、牛群検定等を使いながら、牛の能力を最大限に高めていただくことによって、所得の向上につなげるという意味合いで申し上げたものでございます。
〇菅野ひろのり委員 岩手県酪農・肉用牛生産近代化計画は、平成28年度から平成37年度までの10年計画になっています。この10年で岩手の酪農環境は非常に大きく変わると思っております。そして、さらに生産振興を図っていくためには、小岩技監がおっしゃったような持続性を、これは酪農だけではないと思いますけれども、畜産に取り入れていく必要があると思いますので、この計画を変えるのもなかなか難しいのかもしれないですが、立ちどまりながら、本県の酪農の実情を組み入れていただいて、持続的に土地利用型の推進、そして乳牛の状況把握、畜産振興をぜひ図っていただきたいと思います。
次に、お米について伺いたいと思います。
金色の風について、たくさん質問がありました。私は、生産者、販売、すなわちブランド化、そして作付計画、この三つの視点から質問したいと思います。
まず、生産者という観点でございます。日本穀物検定協会の食味ランキングが特Aであろうが、A’であろうが、Aであろうが、農家からすれば、しっかりと買い取ってくれるという前提が、経営という観点では最低限必要だと思っております。では、金色の風を何でつくるかというと、全農が全数量、そして、ひとめぼれよりも高い値段で買ってくれるという前提があるからです。ただ、いわてオリジナル品種ブランド化戦略の期間は3年でありますけれども、買い取りの契約は1年となっています。
そこで伺いたいのですが、私は、この買い取りの契約を複数年にするべきではないかと思っておりますが、これについての考えと、あわせてこの価格帯、ブランドであれば、どういったところを目指していくのかをお伺いしたいと思います。
〇小原県産米戦略監 金色の風の生産振興に係る買い取りという視点での御質問と思われます。
金色の風につきましては、本県の最高級品種として位置づけ、高価格での販売を実現し、生産者が意欲を持って取り組めるように、平成29年産、平成30年産については、全農岩手県本部が全量買い取りをしてきたところでございますし、平成31年産につきましても同様の対応をすると伺っております。
価格帯につきましては、金色の風の目指すところでございますけれども、いわてオリジナル品種ブランド化戦略におきましては、金色の風は、魚沼産コシヒカリに次ぐポジションを目標としておりますし、銀河のしずくについては、北陸産コシヒカリ並みのポジションを目標としております。
〇菅野ひろのり委員 複数年のところはどうでしょうか。
〇小原県産米戦略監 複数年の買い取りにつきましては、現在、買い取りそのものは全農岩手県本部で判断していただいております。先ほど申し上げたとおり、平成31年産までの買い取りは表明されておりますし、金色の風につきましては、平成32年産の買い取りを現在検討中ということを伺っております。流通の中でいろいろ判断しながら対応されると伺っているところでございます。
〇菅野ひろのり委員 魚沼産コシヒカリに次ぐということで、平成29年は、魚沼産コシヒカリは2万644円、その下になると、例えば山形産のつや姫は1万8、111円と2、000円ぐらいの差がありますが、ぜひその価格帯に本当になるように努めていただかなければいけない。金色の風は非常に手間がかかります。倒れやすいし、単収が少ないし、機械もかえなければいけない、専用のものが必要だとなると、価格が下がってしまうと、だったらひとめぼれでいいよねとどうしてもなりますから、その前提を崩さないようにお願いしたいと思います。
次に、販売ブランド化についてでございます。
私は、この金色の風の県の取り組み、または全農の取り組みは、非常にポイントを絞って成果を上げられていると感じています。といいますのも、新規の取扱店、金色の風を取り扱うお米の専門店が、平成30年3月末では124店だったのが、平成30年12月末には296店、倍以上になっている。これは、やはり県、全農の米穀専門店で売っていくのだという成果のあらわれだと思っております。心から敬意を表したいと思います。
その中でポイントとなってくるのが、ブランドをどのようにつくっていくのか、またはどうやって販売していくのかということだと思っております。今回の予算では、ブランドイメージに7、500万円計上されております。では、この7、500万円が妥当なのかどうかがポイントになるのではないかと私は思っております。
例えば他県、富山県の富富富は2億5、000万円で2、500トンを目指すもの、県の一般会計予算総額は5、500億円。福井県のいちほまれ、3億円以上の予算で3、000トンを目指すもの、一般会計予算総額は4、600億円。岩手県は、金色の風、銀河のしずくを合わせて7、500万円の今回のPR予算、そして収量は8、000トンぐらいでしょうか。恐らくそのぐらいだと思いますが、この予算規模、果たして県は効率よく予算を使えていると言えるのか、それとも、本当はもっと使わなければいけないけれども、使えていない実情なのか。この状況に対するお考えを伺いたいと思います。
〇小原県産米戦略監 ブランドイメージ定着に係る予算規模についての御質問でございますけれども、ブランドイメージの定着につきましては、県といたしましては、これまで、テレビCMやトップセールス、積極的なプロモーションを展開しておりまして、先ほどありましたけれども、米穀専門店の支持もございまして、米のヒット甲子園でいわゆるベスト9に選出されるなど、評価を得ているところでございますし、そのブランド化のプロモーションは一定の効果があったものと考えております。
先ほど委員から他県との予算の比較等ございましたけれども、オリジナルブランド品種金色の風、銀河のしずくにつきましては、県の予算が7、500万円でございますし、これに全農岩手県本部においてもプロモーション用の予算が別途ございまして、それに合わせて、おのおのの立場で強みを発揮できる場面で、そのプロモーションを分担し、取り組んでいるところでございます。
〇菅野ひろのり委員 岩手県の販売戦略は、基本的には米穀専門店への広がりだと。そうなると、彼らが評価しているのは、ブランドよりも、恐らく食味ですよね。ブランドにお金を費やすということは、一般的な米マーケットからお客さんを受動的な状況の中で呼んでくることが非常に大事だと思います。しかしながら、需要という言葉がネックになるのですね。県でいう需要は、卸の、お米専門店の需要のことを言っていますね。我々が一般的に考えるのは、米マーケットの中での需要、つまりは不特定多数の人が求めているものといったところの違いがあると思っています。
そこでお伺いしたいのですけれども、では、これからどうしていくのか。今までは、米のデビューラッシュで700以上の銘柄がある。ただ、一方で、お米の消費量は減っています。今まで年8万トンから9万トン減っていたのが、年15万トンぐらいになってきていると言われています。米の消費減が加速する中、生産計画をどうやっていくのか伺いたいと思います。
〇小原県産米戦略監 県産米の生産計画についてでございますけれども、県では、いわての美味しいお米生産・販売戦略において、米産地としての地位を確立するため、生産戦略の柱の一つとして、主食用米のシェア確保に向けた取り組みの推進を位置づけております。
主食用米のシェア確保に向けて、実需者や消費者との結びつきをさらに深めながら、既存品種の作付を維持するとともに、金色の風、銀河のしずく等の新品種の作付を推進することとしております。
〇菅野ひろのり委員 では、その中で、金色の風、銀河のしずくのようなトップブランド、そして、ひとめぼれのような基幹品種、あとは業務用米の割合はどう考えますか。
〇小原県産米戦略監 県産米全体の生産計画という御質問かと思いますけれども、お米につきましては、国の米政策を踏まえまして、市場の動向を踏まえ、毎年度、生産計画を決めることとしております。
また、品種ごとの生産計画につきましては、戦略の目標に基づいて取り組んでいるところでございます。
〇菅野ひろのり委員 そういう中で、例えば新潟県は、予算の中に業務用米等生産拡大支援事業ということで、明確に業務用米をふやしていくのだと、新潟県でさえそういう取り組みをしているわけですね。ただ、本県の計画は、品種配置計画があると聞いておりますけれども、その中だと、どちらかというと飼料用米を少なくしながら、ほかは満遍なくというのでしょうか、もしくは銀河のしずくをちょっと厚くするような、簡単に言うと、余りめり張りがないのかなと思います。
そういう中で予算計上はトップブランドに注力していると。この計画と予算の配分と行われていることに一貫性がないではないですけれども、私はどうお米をやっていくのかがちょっと見えていないのですが、その辺をお伺いしたいと思います。
〇小原県産米戦略監 まず、業務用米に係る生産販売戦略についてでございますけれども、県では、いわての美味しいお米生産・販売戦略において、実需者のニーズに対応した品種配置とか、生産コスト低減技術導入に加え、良食味、多収品種の導入検討の取り組みを位置づけて取り組んでいるところでございます。
こうした中、外食、中食など食の外部化が一層進み、業務用米の需要は今後も高まってくるものと考えております。
業務用米につきましては、県は、農業団体と一体となり、これまで直播栽培の導入による生産コストの低減に加えまして、実需者ニーズを踏まえた安定的な取引拡大に向けて取り組んできたところでございます。
その結果、先般、国で公開されましたデータの中で、平成29年7月から平成30年6月までの県産米の業務用向けの販売数量は、全国6番目の実績となっております。
今後におきましても、こうした取り組みを継続いたしまして、生産者の所得確保に向け取り組んでまいりたいと思います。
また、あわせて、業務用米に係る予算措置の考え方でございます。繰り返しになりますが、業務用米の生産、販売の拡大は、生産者の所得確保に向け重要であると考えております。
このため、業務用米にも対応した多収品種の開発といった点も重要と考えておりまして、今回、いわてブランド米品種開発推進事業によりまして、来年度当初予算案に必要経費を盛り込ませていただいたところでございます。
また、業務用米の販路拡大のために、いわて純情米マーケティング戦略展開事業によりまして、全農岩手県本部など関係団体で構成するいわて純情米需要拡大推進協議会の活動を支援し、業務用米の大半を取り扱っております大手米卸への売り込みを図っているところでございまして、来年度当初予算案に必要経費を盛り込ませていただいたところでございます。
〇菅野ひろのり委員 最後に、県産米の生産量目安をお伺いしたいのですが、国が示したところでいいますと、2019年の県産米は1.2%減ということでございました。そして、3月中に各地域の協議会がまとめた2019年産米作付計画が出ると思います。この集計状況、本県の契約はどうなっているか、わかればお示しいただきたいと思います。
〇佐藤水田農業課長 期限が3月20日までとなっている2019年産米の作付計画でございますけれども、まだ県に到着しておりませんので、集計等はしておりません。
〇千葉絢子副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
午後3時5分 休 憩
午後3時23分再開
〇軽石義則委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
委員各位及び執行部に申し上げます。この後、延べ13人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
質疑を続行いたします。
〇川村伸浩委員 私は、いわてワインヒルズ推進事業についてお伺いいたします。
この事業については何度か質問で取り上げさせていただいておりますが、近年、日本ワインの人気が非常に高まっていると。岩手ワインも国内外のさまざまなコンクールで上位に入賞しているということで、岩手の一つのブランド品として非常に大切なものだと思っております。東北新幹線のグランクラスでも大迫の高橋葡萄園のリースリング・リオンが提供されているということで、非常に知名度も上がってきていると思っております。
まず、平成30年度までのこの事業についての実績あるいは成果についてお伺いいたします。
〇菊池農産園芸課総括課長 いわてワインヒルズ推進事業の平成30年度までの実績と成果についてでございます。
これまで、県内のワイナリーや自治体などで構成するいわてワインヒルズ推進協議会を中心に、ワイナリーの開設に必要なノウハウ等の習得のためのいわてワイン生産アカデミーの開講や、いわてワインを楽しむ夕べの開催による県内消費者等に対するPRなどに取り組んできたところでございます。また、本年度は新たに、アカデミー修了生等を対象として、醸造用ブドウの圃場において栽培技術を学ぶフォローアップ講座などにも取り組んでまいりました。
こうした取り組み等を通じて、5名のアカデミー修了生が新たに醸造用ブドウの生産を開始したほか、年度内に花巻市にワイナリーが1件開設する予定となっております。さらに、本年1月に開催したいわてワインを楽しむ夕べ2019においては、昨年度を上回る約300名の参加をいただき、県産ワインの一層のPRが図られるなど、一定の成果を上げてきたものと認識しているところでございます。
〇川村伸浩委員 大きな伸びではないけれども、確実にその生産なり、ワイナリーを新たに始めるといった部分のスタートができているということでは非常に成果があったのではないかと思っております。
5名の方が新たにブドウ園を開設されたということでございます。ワインを生産していく上で一番大切なのはもとになる醸造用ブドウの生産でありまして、どんどん作付面積がふえていけばこれにこしたことはないわけですけれども、現状の醸造用ブドウの作付面積がどうなっているのか。それから、目標といいますか、どのくらいふやしていこうとお考えなのか、その辺についてお伺いいたします。
〇菊池農産園芸課総括課長 醸造用ブドウの振興方策、また作付面積、今後の拡大目標についてでございます。
県では、醸造用ブドウの推進と作付拡大に向けて、県内各地の果樹産地協議会などと連携し、苗木の新植、改植や栽培棚の整備等を支援してきたほか、地域に適した醸造用ブドウの品種選定や、醸造用ブドウ栽培マニュアルに基づく技術指導などに取り組んできたところでございます。また、委員御指摘のとおり、近年の日本ワインの需要の高まりを背景に県内におけるワインの生産量が増加傾向にある中、ワイナリーからは作付の拡大を求められていることから、平成31年度当初予算案に醸造用ブドウの作付拡大を図るためのセミナーの開催経費を盛り込んだところでございます。
次に、県内の醸造用ブドウの栽培面積についてでございますが、平成27年では約125ヘクタールとなっておりますが、県内各地の果樹産地協議会が定めます果樹産地構造改革計画において、ワイナリーの需要を踏まえた醸造用ブドウの生産目標をそれぞれ定めております。県としては、こうした地域の目標達成に向けた取り組みをしっかりと支援していく考えでございます。
〇川村伸浩委員 きっかけとする部分についていわてワインヒルズ推進事業をもってスタートを切っていただいて、あとはさまざまな事業で、新規の方々、あるいは今、作付している方々のサポートをぜひよろしくお願いしたいと思います。
もう一点お伺いしたいと思います。
次世代革新的技術導入加速化事業についてでございます。
国では、スマート農業を推進するということで、さまざまなそれに関連した事業をトータル130億円ぐらいで取り組もうとしているようでございます。その中で、今申し上げた次世代革新的技術導入加速化事業でありますけれども、国の事業はスマート農業加速化実証プロジェクトということで、これも合わせて66億円ぐらいの予算になっております。
まず、この事業の中身はどういったものなのか、予定されている経営体の内容なり、あるいはどういった作目にそれを取り入れていくのか、あるいは作業内容等々についてお伺いします。
〇菊池農業普及技術課総括課長 国が平成31年度から始めようとするスマート農業加速化実証プロジェクトを受けまして、県では、次世代革新的技術導入加速化事業として平成31年度当初予算案に盛り込んだところでございます。
この事業におきましては、岩手県内の大規模経営体や中山間地域の経営体と連携いたしまして、水稲、露地野菜、飼料作物などさまざまな作目ごとに、一貫体系のもとで、自動操舵トラクターやドローンあるいはリモートセンシング技術などを活用したスマート農業技術の実証に取り組むこととしております。
〇川村伸浩委員 了解しましたが、実際に、例えば水稲であればどういった機械が導入されてそれを進めていくのか、もうちょっと具体的にお話をお伺いしたいと思います。
〇菊池農業普及技術課総括課長 水稲を例にとりますと、平地と中山間地域で若干違いますけれども、最初述べましたように一貫体系となりますので、耕起は自動操舵のトラクターが入り、田植えも直線キープの田植え機、それから栽培期間中は、いろいろな生育診断のために人工衛星の画像解析、あるいはドローンをそれに応用するといったもの。さらには、途中で自動の水管理、草刈り、最終的には収穫、調製のところもそういった自動の機械を入れながら、全てのものがデータとして成績を管理できるといったものが一例となります。
〇川村伸浩委員 この前の年末にテレビドラマの下町ロケットで自動トラクターをやっていましたけれども、多分ああいうものが導入されるのかなと思います。
これからまさに普及する部分で、それを県が取り上げてやるというのは非常にすばらしいことであります。新しいものを実際に使ってどうなのかというところをどうやって検証していくかが非常に大切になってくると思います。その辺の取り組みの過程で、県としてどういった検証をしていくのかというところについてお伺いします。
〇菊池農業普及技術課総括課長 技術の検証についてでございますが、この事業で実証しますスマート農業技術につきましては、農業改良普及センターが中心となりまして、国の研究機関や民間企業と連携しながらデータ収集を行い、技術検証と経営の評価を行うこととしております。
また、この事業は全国各地、よその県でも取り組まれる予定でございまして、国の研究機関がそれぞれの実証成果をもとにスマート農業技術の総合評価をすることとしております。県では、これらの評価を踏まえまして、本県農業に適した技術体系の構築を進めていこうと考えております。
〇川村伸浩委員 農家もかなり注目している事業だと思います。水稲が平場と中山間、それから露地野菜と飼料作物ということで作目も広い分野で取り組まれるわけでありますし、どんどんその情報を農家なり関係者に提供していく部分が非常に大切になってくると思うのですけれども、その辺のやり方についてはどういったお考えでしょうか。
〇菊池農業普及技術課総括課長 農業者への情報提供、フィードバックについてでありますが、この事業で得られました実証成果につきましては、いわてスマート農業推進研究会などを通じまして農業者に広く情報提供するなど、本県農業の実情に即したスマート農業技術の早期普及に向けた取り組みを行っていきたいと考えております。
また、個々の農業者の皆さんがスマート農業の技術や設備、機械を導入するに当たりましては、農業改良普及センターを中心に、その経営規模やニーズに応じた選択ができますよう助言するなどの支援を行っていきたいと考えております。
〇川村伸浩委員 先ほども申し上げましたが、さまざまな分野でAIやIoTなりの活用が広がっております。農業は、どちらかというとおくれていた部分があったと思います。それに、これから国でも力を入れる、お金も出す。岩手県でもこれに取り組む。そして、それを実証していくという本当にスタート地点だと思います。いい部分もあるしマイナスの部分も出てくるかもしれませんけれども、きっちりと検証していただいて、それが結果として岩手のスマート農業の一助となるような事業にしていただきたいと思います。
〇福井せいじ委員 関連。いわてワインヒルズ推進事業についてお聞きしたいのですけれども、今、さまざまな形で、岩手のワインを盛んにしよう、収量も上げていこう、そしてまた品質も上げていこうという取り組みをなさっているのですけれども、私は、岩手のワインのブランディングをしていくことが必要だと思っています。
先ほどは栽培面積あるいは技術についてはお聞きしたのですけれども、商品としてのブランディングについてはどのようなお考えを今お持ちか、もしあったらお聞かせいただきたいと思います。
〇菊池農産園芸課総括課長 岩手ワインのブランディングについての御質問でございます。
現在、県内では12社のワイナリーが営業してございます。うち7社は平成27年度以降の開設で、非常に若いワイナリーでございます。その12社の中で先行する大手のワイナリーなどを含めますとその実績や経験には差があるわけですけれども、そういったワイナリーが集まって、いわてワイン研究会を設置していろいろ勉強を重ねてきております。昨年は、いわてワイン研究会といわてワインヒルズ推進事業が一緒になりまして、技術の向上を目的とした勉強会をしています。その中で、ワイン醸造の専門家を、山梨県から講師としてお招きして、地理的表示-GIについての勉強会を開催しました。また、先進地調査ということで北海道に参ったり、ワインでGIを取得しているのは山梨のワインでございますので、これらの取り組みを勉強して、本県でGIの導入について今、検討しているところでございます。
すぐにはならないかもしれませんけれども、岩手ワインは、先ほど川村委員からもお話がありましたように各種コンクールで賞をとったりして非常に注目を浴びておりますので、岩手ワインのブランディングについても、今後、積極的に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
〇福井せいじ委員 非常に品質的にも高まっていると思いますし、6次産業化の一つのモデルがワイン事業だと思っています。
最後に、山梨県なら甲州とか、ブドウ品種とワインというのはまさに表裏一体のものであって、どういった品種のブドウをつくるかによってワインの味が変わってきますから、例えば岩手なら岩手の品種を一つ育成して、それに沿ったブランディングをしていく形が私は望ましいのではないかと思います。ぜひいろいろな勉強を重ねて、ブランディングというものも最初から視野に入れた形でのマーケティングなりマーチャンダイジングを展開していっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇菊池農産園芸課総括課長 委員御指摘のとおり、本県において特徴的なワインを生産していくに当たりましては、岩手ならではの品質の高い醸造用ブドウの生産が必要だと考えております。このことに向けては、今、農業研究センターあるいは県内各地において醸造用ブドウの栽培適性試験なども実施しているところでございます。また、工業技術センターで醸造適性試験にも取り組んでおります。岩手ならではのワインをつくるために、岩手固有の特徴のある醸造用ブドウの栽培もあわせて取り組みながら、岩手ワインのますますの生産振興、情報発信に努めてまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 最初に、東日本大震災津波からの農業分野の復興状況についてお聞きいたします。
農地の復旧状況と耕作面積はどうなっているでしょうか。
また、大船渡市のトマトや陸前高田市のイチゴなど新たな取り組みも出ているようですけれども、復旧の特徴はどうなっているでしょうか。
〇伊藤農村建設課総括課長 東日本大震災津波で被災した農地の復旧状況でありますが、東日本大震災津波で被災した沿岸部では、今年2月末までに、復旧対象農地面積545ヘクタールのうち513ヘクタールの復旧が完了しております。残る32ヘクタールについては、主なものは陸前高田市の高田沖地区であり、本地区は仮置きされていた市街地のかさ上げに利用する盛り土が昨年3月に撤去されたことから、その後、圃場整備工事を実施しており、今年春の営農再開の見通しが立ったところでございます。
〇菊池農業普及技術課総括課長 耕作面積について御説明いたします。
県では、毎年5月末時点の復旧農地について作付状況を調査しているところであります。平成30年度は、この時点で復旧が完了した511ヘクタールのうち94%となる481ヘクタールで水稲、麦、飼料作物等が作付されております。
〇菊池農産園芸課総括課長 復旧の特徴についてでございますが、東日本大震災津波の被害を受けた沿岸地域では、夏季冷涼で冬季温暖な気象条件を生かし、高規格ハウスなどの園芸施設でのトマトやイチゴの生産や、また、ワイナリーの設立を契機とした醸造用ブドウの生産が新たに開始されるなど、園芸品目を中心に産地化に向けた取り組みが進められております。
県ではこれまで、国の交付金等を活用しながらこれらの取り組みに対してさまざまな支援を行ってきたところであり、引き続き、沿岸地域の特性を生かした園芸産地の形成に取り組んでまいります。
〇斉藤信委員 これは3月13日付の岩手日報の論説ですけれども、陸前高田市の横田町で、大きなイチゴハウスをICT-情報通信技術を活用して取り組まれていると。若手農業者に呼びかけて、陸前高田食と農の森ということで、若者が束になって農業振興に取り組んでいると。こういう動きを大事にして、本当に復旧から復興へということで、県としても大いに取り組みを強めていただきたい。
そこで、農業就業者の推移、経営体経営規模はどうなっているでしょうか。
あわせて、原発事故による放射能汚染の被害総額と賠償、復旧の状況も示してください。
〇中村担い手対策課長 農業就業者の推移等についてでございますが、平成27年の農林業センサスが最新の統計値となりますが、沿岸12市町村の農業経営体数は4、386経営体と、5年前の平成22年に比べ25%の減となっています。また、その経営形態については、個別経営が4、277経営体、法人経営が109経営体となっており、5年前に比べ、個別経営では26%の減となる一方、法人経営では38%の増となっています。経営規模については、経営体1戸当たりの経営耕地面積は2.1ヘクタールとなっており、5年前に比べて11%の増となっています。
〇照井農林水産企画室企画課長 原発事故によります放射能汚染の賠償、復旧状況についてでございますが、農林水産関係の損害賠償協議会における東京電力への損害賠償請求額につきましては、平成31年1月末現在で農畜産物関係が431億1、000万円余、林産物関係が14億6、000万円、水産物関係が33億8、000万円余で、総額では479億5、000万円余となっております。この請求額に対する支払い額についてでございますが、農畜産物関係では422億円余、林産物関係が14億6、000万円、水産物が33億8、000万円余で、総額では約470億4、000万円余で、支払い率は98%となっております。
それから復旧状況ということで、出荷制限の解除状況について御説明させていただきますが、きのうクロダイが解除になりまして、これを含めますと、これまで、ソバ、大豆、マダラなど13品目が出荷制限の解除がされております。
一方、現在、出荷制限指示が継続されているのは、山菜類あるいは野生キノコ、原木シイタケなどの19品目となっております。
また、原木シイタケにつきましては、平成31年3月12日現在、生産再開の意向を持っている生産者316名中204名の生産者の出荷制限が解除されるという状況になっております。
〇斉藤信委員 原木シイタケの復旧はまだまだという感じがいたしますし、まだ出荷制限も19品目にわたっているということで、この取り組みはぜひ進めていただきたい。
次に、TPP11、日欧EPAの影響と対策についてお聞きいたします。
TPP11、日欧EPAの影響を具体的にどう把握しているでしょうか。
〇照井農林水産企画室企画課長 TPP11につきましては昨年12月30日、日欧EPAにつきましてはことし2月1日に発効したところでございますが、国では、発効後における牛肉の輸入量についてデータで公表しているところでございます。それによりますと、TPP11発効国からの輸入量は、平成31年1月が約3万3、000トンで前年同月の155%、2月が約2万2、000トンで前年同月の101%となっております。また、EUからの輸入量につきましては、2月が102トンで前年同月の約14倍という形になっております。
この輸入量の増加につきまして、国では、TPP11の発効に伴う関税の引き下げのほか、為替の影響等によりまして、輸入業者が昨年12月の通関を控えて本年1月に繰り越したという特殊要因もあるのではないかという考え方も示しているところでございますが、県としましては、これまでも国に対して、TPP11や日EU・EPAの発効に伴う農林水産業への影響について十分な情報提供をするよう、あるいは総合的なTPP等関連対策大綱に基づく施策を着実に実施するよう要望してきたところでございまして、今後も、国の責任において万全の対策を講じるよう要望してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 牛肉の輸入量は1月は1.55倍です。本当にこれは驚くべき増加で、2月は101%ということですからもう少し推移は見る必要があると思いますけれども、しかし、直後から影響が出始めている。私はこれは極めて重大だと思います。
日欧EPAについて国会でも論戦がありましたけれども、EUが試算したのです。加工食品の対日輸入で1.5倍、約1、300億円輸入額がふえると。うち乳製品は215%、984億円輸入がふやせるというのがEUの試算なのです。日本の試算は、乳製品で-これは全体でしょうか-203億円生産額が減少すると。4.5倍開きがあるのです。私はでたらめな試算ということが明らかになったのではないかと思いますけれども、これについてはどういうふうに見ていますか。
〇照井農林水産企画室企画課長 EUの試算が公表されたことは承知しておりますが、計算方法の詳細についてはこちらではわからない状況でございまして、その部分についてコメントすることは難しいと考えております。
〇斉藤信委員 EUとの関係では、乳製品の輸入増というのは極めて大きな影響を与えるのではないかと思います。私は決算特別委員会でも北海道大学の大学院の先生の試算を示しましたが、約1、000億円程度の影響があるというものでありました。大体一致するのではないかという感じがしますが、既に酪農家は、飼養戸数、頭数が大幅に減少しているのではないか。岩手における乳牛の飼養戸数と頭数はどうなっていますか。
〇菊池畜産課総括課長 本県におけます酪農家の戸数と頭数でございますが、全農岩手県本部で受託しております酪農家戸数につきましては、大体毎年度30戸程度ずつ減少してきております。ただ、ある程度規模の小さい方々が大分こぼれてきておりましたので、ここに来て、ある程度減りは少なくなってきております。
頭数につきましても、傾向とすれば減ってきておりますが、戸数ほどではない傾向でございます。
〇斉藤信委員 全面自由化を前にして、どんどんやっていけなくなって縮小しているのですね。だから生乳不足で輸入をふやしたりしているわけでしょう。私は、ここでどっと輸入がふえたら、本当に致命的な打撃を与えるのではないかと思います。
これは指摘だけにとどめますけれども、こういう中で、日米FTAの交渉が本格的に1月から進められております。この日米FTAというのはTPP以上だと。これはまさにダブルパンチになるのではないかと思いますけれども、これに対する県の対応はどうなっていますか。
〇照井農林水産企画室企画課長 日米物品貿易協定につきましては、昨年9月の日米首脳会談におきまして協定の交渉を開始することが公表されたところでありまして、今後、交渉結果によりましては、農林水産業への影響がさらに拡大することが懸念されると思っております。
このため、県におきましては、機会あるごとに国に要望を行ってきたところでございますが、去る3月11日にも部長等が上京しまして、交渉における協議内容などについて十分な情報開示と説明を行うとともに、国益にそぐわない交渉は決して行わないことや、地域経済や国民生活に影響が生じると見込まれる場合には、交渉からの撤退も含め、断固たる姿勢で臨むよう要望してきたところでございます。
今後においても、国の動向を注視しながら必要な対応を検討していきたいと考えております。
〇斉藤信委員 今の安倍政権の農業政策というのは、全面自由化ですね。国内の農業、食料を全て明け渡すような亡国の農政ではないか。
これは2年前の農業新聞のJA組合長のアンケートですけれども、安倍政権の農業政策は評価せずは93%ですよ。いわば農家の先頭に立っている農協組合長のアンケートで、93%が安倍内閣の農業政策は評価できないと。これについてどういうふうに受けとめていますか。
〇照井農林水産企画室企画課長 平成28年1月4日の農業新聞と承知しております。同紙が全国の農協組合長に対して行ったアンケートでございますが、県以外の組織が実施したアンケートでございますので、意見を申し述べることは差し控えさせていただきたいと思います。
〇斉藤信委員 今の安倍農政に対する農家、農民の痛烈な批判のあらわれだと指摘しておきたいと思います。
実は、ことし1月4日も農業新聞が組合長アンケートを行いました。低迷する食料自給率の向上策で、第1位が、中小規模の農家を含めた多様な担い手を対象とする所得政策の実施が必要というのが65%でありました。来年度から国連家族農業の10年が始まりますけれども、国連家族農業の10年の取り組みの意義をどう捉えて、そして県としてはどう取り組もうとしているのか具体的に示してください。
〇藤代農業振興課総括課長 国連家族農業の10年の取り組みの意義についてでございますけれども、家族農業の10年につきましては、国連が、家族農業が食料生産等に果たす役割を周知するため、2014年に提唱した国際家族農業年について10年間延長したものと承知しております。家族農業の果たす役割の重要性を広く世界に周知する意義のある取り組みと捉えているところでございます。
また、家族農業にかかわる事業についてでございますけれども、国連は、2017年の総会において2019年から2028年までを国連家族農業の10年と定めまして、加盟国等に対しまして、各国が家族農業に係る施策を推進するよう求めたところと承知しております。
本県の農業経営は、97%が家族経営体となっております。本県の農業振興施策全体が国連の家族農業にかかわる事業と捉えているところでございます。
〇斉藤信委員 私は岩手県の事業を見ましたが、残念ながらいわて県民計画(2019~2028)に、同じ10年なのに国連家族農業の10年にかかわる取り組みがなかった。これは極めて残念です。そして、県予算を見ても従来どおりの事業しかないのです。全ての事業が規模拡大が条件になっていて、本当の意味で家族農業を支援する施策になっていない。これを言うと時間がなくなるので、指摘だけにとどめます。
最後、種子条例の制定についてお聞きいたします。
種子法(主要農作物種子法)が果たしてきた役割をどう捉え、廃止の理由と県の受けとめはどうなのかをまず最初にお聞きします。
〇佐藤水田農業課長 種子法の役割、廃止の理由と県の受けとめでございますが、主要農作物種子法は、稲、麦、大豆の優良種子の生産、普及を促進するため、都道府県が種子生産圃場の指定、種子等の審査、原種、原原種の生産、奨励品種決定のための試験等を行うことを定めていたものであります。
法廃止の理由は、国の資料によりますと、種子法に基づき、普及すべき優良な品種を奨励品種として指定するための試験を都道府県が実施し、稲の奨励品種として全国で合わせて444品種が指定されておりましたが、民間企業が育成した品種は指定されておりませんでした。こうしたことから、民間活力を最大限に活用した種子の開発、供給体制を構築するため、民間の品種開発意欲を阻害している種子法を廃止したものとされております。
次に、県の受けとめですが、県は、水田農業の振興上、米、麦及び大豆の優良種子の安定供給は極めて重要であると考えており、主要農作物種子法は廃止されましたが、引き続き県が関与し、優良な種子を安定的に生産、供給する体制を維持したところでございます。
〇斉藤信委員 本当にこの種子法廃止は異常でした。これは農業新聞ですけれども、こう言っています。唐突な廃止劇だった。廃止法案が閣議決定されたのが一昨年の2月ですけれども、2カ月後の4月にはわずか12時間の国会審議で成立したと。めちゃくちゃですよ。今までの日本の農業に極めて重要な役割を果たしてきた。まともな審議もしないで、規制改革推進会議の報告を受けてやっちゃったのです。今、言われたように、民間活力最大限ですよ。
これは余りにも大変だというので、今、都道府県で種子条例の制定が広がっています。どういうふうにこれを把握していますか。
もう一つは、県は確かに要綱を制定いたしました。私、見ました。簡単なものです。要綱における法律とか条例の根拠がないのではないかと思うのです。これだったら守れないのではないかと思いますけれども、いかがですか。
〇佐藤水田農業課長 都道府県における種子条例制定の動向についてでございますが、既に条例を施行しているのは、山形県、埼玉県、新潟県、富山県、兵庫県の5県、それから平成31年4月1日に施行されますのが北海道、福井県、岐阜県、宮崎県の4道県、今後、条例の制定を予定しておりますのが長野県となっております。
なお、種子生産を行わない東京都を除く本県を含む36府県では、要綱、要領等により対応しております。
要綱の関係でございますけれども、県としましては、種子法が廃止されたことに伴い、同日付で要綱を制定し、種子生産を維持していくこととしております。
〇斉藤信委員 かなり急速にと言ってもいいぐらい都道府県で種子条例が制定されて、国が放棄するなら都道府県がそれを守ると。種子法を復活するという法案も国会には出されていますけれども、私はこの動きがやっぱり大事だと思うのです。
今も聞いたけれども、確かに県は要綱を制定した。しかし、要綱の根拠がないのです、法律の根拠が、条例の根拠が。だからしっかり条例を制定して、岩手の貴重な米、麦、大豆……。北海道などは独自の品種も守る対象にしていますけれども、そういうことが必要なのではないか。
これは最後の質問ですけれども、県における種子条例制定の研究と取り組みの状況はどうなっていますか。
〇佐藤水田農業課長 種子条例制定の研究と取り組みについてでございますが、現在、本県においては、要綱等に基づき、県が種子の生産、供給に関与しておりますが、一方で、他の道県で制定された条例について、それぞれの条例制定の目的や規定の範囲が異なることから、その考え方について整理、研究が必要と判断し、研究しているところでございます。
また、専門家からは、廃止された法律の規定により生じていた効果について、条例を制定し、所要の規定を設けることにより、これと同等の効果を生じさせようとする場合において、行政法学的観点から検討する事項はないかという御意見を伺ったところであり、現在、その御意見を参考に研究を行っているところでございます。
県としましては、これまで答弁で申し上げましたとおり、県における種子の生産等への関与のあり方について、どのような根拠規範の形式がふさわしいかさらに研究してまいります。
〇斉藤信委員 部長、今度の議会には種子条例の制定を求める請願が提出されていて、私はこれは確実に採択される見通しだと思います。そこも見越しながら部長の決意をお聞きしたい。
〇上田農林水産部長 米を初めとした種子の生産、供給等につきましては、引き続き県が主体的に関与していきたいということについては、恐らく誰も異論はなかろうと思いますし、それは継続してまいりたいと思っております。
そのことを決める規範形式については、現在、要綱でやっておりますけれども、他県の状況を見ますと条例を制定するという動きもございます。さらに、その条例制定に関しての請願が出されていることも承知しております。どういったあり方が正しいのかについては引き続き研究をさせていただきたいと思いますし、そういったことではさまざまな御意見があろうかと思いますので、そこはお伺いしながら研究を進めてまいりたいと思います。
〇千田美津子委員 私は、3点ですが、短目に質問いたします。
一つは、荒廃農地への対応についてお聞きいたします。
国の交付金事業の中に荒廃農地等利活用促進交付金がありますけれども、岩手県での活用実績はどうか。
それから、この交付金は平成30年度で廃止されるということでありますけれども、この事業が今後どのように引き継がれていくのか、その見通しについてもお聞きいたします。
〇藤代農業振興課総括課長 荒廃農地等利活用促進交付金の、まず実績についてでございます。
この交付金につきましては、荒廃農地の再生による営農再開を目的に平成29年度に国において創設された事業でございますけれども、本県では活用実績がないところでございます。
なお、本県においては、平成21年度に、農業団体と組織いたします岩手県農業再生協議会に国予算を活用いたしました耕作放棄地再生のための基金を造成しておりまして、この基金を活用しながら地域における荒廃農地の発生防止や再生利用の取り組みを支援してきており、この10年間で270ヘクタールの荒廃農地の再生を行ってきたところでございます。
また、先ほど委員から御指摘がありました交付金の廃止後の対応についてでございます。
この交付金につきましては本年度で廃止され、また、先ほど答弁申し上げました本県が活用してきた基金事業も本年度で終了するという状況でございます。県といたしましては、平成31年度以降の荒廃農地の再生利用に向けた新たな支援策等を措置するよう、これまで国に要望してきたところでございます。
県といたしましては、平成31年度につきましては、暫定的な措置として、中山間地域等直接支払などの日本型直接支払制度や農地耕作条件改善事業といったものを活用しながら、農地の維持や耕作放棄地の解消等の取り組みを推進していくこととしておりまして、国に対しましては、引き続き、荒廃農地の再生利用に向けた新たな支援策について措置するよう強く求めていきたいと考えているところでございます。
〇千田美津子委員 岩手県では、平成21年から基金を活用した事業をずっとやられてきて、10年間で270ヘクタールの実績と伺いました。10年で割りますと1年平均27ヘクタールということでありますけれども、最近の部分でよろしいので、今の基金事業は年間どれぐらいの実績になるのか、そこをわかれば教えていただきたいと思います。
あわせて、県内の荒廃農地全体はどれくらいになるのか、それについてもわかる範囲内でお聞きしたいと思います。
〇藤代農業振興課総括課長 まず、県内の荒廃農地全体の面積についてでございます。
平成29年度の値が最新値になりますけれども、平成29年度で5、158ヘクタールで、平成25年が5、900ヘクタールほどでしたので、平成25年に比べれば800ヘクタールほど減という状況になっています。
ちなみに、荒廃農地の5、000ヘクタールのうち、再生可能な部分については約3、200ヘクタール、A区分という形になるものでございますが、そういった面積になっているものでございます。
また、先ほど申し上げました耕作放棄地再生利用の基金を活用した取り組みですけれども、年によって変動があるのですが、県内34の地域農業再生協議会を設けておりまして、その中で大体、年間10ないし15ぐらいの協議会に活動を行っていただいているのですが、予算額とすれば大体3、000万円ぐらいで取り組みをしていただいておりまして、平成27年ですと23ヘクタール、平成28年ですと25ヘクタール、平成29年ですと14ヘクタールという再生の実績になっているものでございます。
〇千田美津子委員 県内の荒廃農地がさまざまな基金事業等の活用によって、平成25年の5、900ヘクタールから5、158ヘクタールに減っているということで、ただ、再生可能面積が約3、200ヘクタールあるということであります。平成31年以降については、県として暫定的に先ほど御紹介あった中山間の事業などをさまざま使って対応する予定ということでありましたけれども、今の時点では国の方向はまだ決まっていないということですか。確認したいと思います。
〇藤代農業振興課総括課長 現時点では、先ほど申し上げましたとおり、委員御指摘の荒廃農地等利活用促進交付金あるいは本県が使っていた基金事業にかわるような新たな事業の措置というものについては、国から情報は来ていないところでございます。
〇千田美津子委員 私は、荒廃農地を少なくして、できるだけ耕作放棄地をなくして利活用できるようにするという事業は本当に有効だったと思うのです。耕作放棄地等がふえると、景観上も、環境面、衛生面など、ほかに及ぼす影響が非常に大きいわけです。ですから、私は、この荒廃農地あるいは耕作放棄地を減らしていくという取り組みは本当に必要だと思います。
それはそれとして国にこれからもぜひ強く要望していただきたいわけでありますけれども、これまでの基金を使った事業における実績について、私は大きいものがあったろうと思いますが、これまでの耕作放棄地を再生してきた事業の意義についてどのように評価し、認識されているのか改めてお聞きしたいと思います。
〇藤代農業振興課総括課長 本県は、中山間地域が今、大体8割ということで、大変多うございます。また、農業者の方の高齢化が進んでいる中で、なるべく耕作放棄地を出さずに、良好な状態で農地を次世代に引き継いでいく取り組みが重要と考えております。
こういった耕作放棄地を出さないように、先ほど申し上げました日本型直接支払制度やさまざまな制度を活用しながら利活用、発生防止や再生できるように取り組んでいるところでございますが、特に今回の基金事業あるいは交付金につきましては、荒廃農地に光を当てて、それを再生するという形で取り組むことができるというふうに特化した事業でございましたので、いろいろな事業で取り組むことは可能ですが、生産者の方に意識を持って取り組んでいただくという意味においても、耕作放棄地解消の事業はこれまでも有効に作用していましたし、引き続きそういうことに取り組んでいきたいと考えているものでございます。
〇千田美津子委員 そういった意味でこれからも引き続き頑張っていただきたいわけですが、根本の問題は、農政の問題ですよね。なぜ耕作放棄地がふえていくのか、そして荒廃農地がふえている部分でいえば、農業になかなか若い方々が就業できないという構造的な面、そして農政の根本の問題が解決されないとこういうことになると思いますが、そういう中でも今まで頑張ってきたこの事業が廃止され、また来年度から見通しがないというのは、私は大変なことだと思います。いずれ、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
二つ目、中山間地域総合整備事業についてお聞きしたいと思います。
ここ数年間のこの事業の実績、それから来年度の事業内容と今後の事業見込みについてお聞きしたいのと、来年度予算が減額されておりますけれども、その内容、理由についてお聞きしたいと思います。
〇伊藤農村建設課総括課長 中山間地域総合整備事業の、この数年の事業実績についてでございますが、平成28年度から平成30年度の3カ年において、奥州市愛宕地区ほか9地区、事業費50億9、000万円余で、区画整理142ヘクタール、暗渠排水41ヘクタール、用水路整備224ヘクタール、営農飲雑用水施設の整備を実施しているところでございます。本事業により、圃場の区画の拡大や農業用水のパイプライン化など、基盤整備による農作業の効率化やコスト低減とともに、営農飲雑用水や集落道の整備による生活環境の改善が図られているところでございます。
次に、平成31年度の事業の内容と今後の事業の見込みでございますが、平成31年度は7地区で、平成30年度国の補正予算1億5、000万円を合わせた予算額13億8、000万円により、区画整理22ヘクタール、用水路整備41ヘクタールの整備を予定しているところでございます。これらの地区の平成30年度末の平均の進捗率は事業費ベースで60%となっており、今後も早期の効果発現に向け、必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えているところでございます。
また、平成31年度が平成30年度に比べまして予算が減したことでございますが、これは、平成30年度に震災復興地区の主要工事が完了したことに伴い、減になったものでございます。
〇千田美津子委員 まず減額理由については、震災復興関係で主要工事が完了したということで、わかりました。
来年度は7地区で、これまでの進捗率が60%ということでこれからも続くわけでありますけれども、これに期待している方々が非常に多いわけですので、今後の事業費の確保の見通しについてどのような所感を持っておられるかお聞きしたいと思います。
〇伊藤農村建設課総括課長 中山間地域総合整備事業の主たる財源は農山漁村地域整備交付金ということで、なかなか国費を確保しにくい財源でございまして、平成30年度におきましても平成29年度の割り当てに対して80%で、かなり厳しいものになっております。しかしながら、今回、平成30年度には、国の補正予算で、今までなかなかつかなかった交付金についても予算が組まれて1億5、000万円ほどいただいたわけでございますけれども、そういった予算の獲得については今までどおり努めていくほか、そういったときを踏まえまして事業を進めてまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 それでは、引き続きよろしくお願いいたします。
3点目です。
いわて6次産業化ネットワーク活動推進事業についてお聞きしたいと思います。
県は、県産農林水産物について6次産業化を推進し高付加価値化を図るとともに、ブランド化の推進あるいは輸出の促進に向けたプロモーションの展開、生産者等による多様な直売機会の創出等への支援などに取り組んでおられると思います。
これまでの事業実績について、それから来年度の事業見込みについてお聞きします。
〇高橋流通課総括課長 いわて6次産業化ネットワーク活動推進事業の実績と来年度の計画という御質問でございますが、この事業を活用いたしまして、県が設置するいわて6次産業化支援センターにおきまして、商品開発や販路開拓などの専門家を6次産業化プランナーに委嘱しております。そうしたプランナーを通じて、生産者と加工事業者等が連携した商品開発の支援や、生産者とほかの事業者等との交流や商談の機会の提供、そして、6次産業化に取り組む生産者の計画づくり、国の交付金を活用した施設等の整備の支援などに取り組んでいるところでございます。
本年度につきましては、6次産業化プランナーを延べ44回派遣しておりますほか、生産者と加工、小売事業者等をマッチングするための交流会を10回ほど開催しているところでございます。
また、商品開発の事例でございますが、例えば、岩手町の事業者による県産食材を活用したいわて冷麺餃子や、花巻市内の温泉宿、生産者、そして加工事業者との連携によるしいたけと白金豚の鍋ぎょうざといった商品の開発、取り組みを支援しているところでございます。
来年度の事業計画でございますが、この6次産業化の取り組みを今後促進していくに当たりましては、地域の関係者が一体となった地域ぐるみでの商品開発、販路開拓、そして品質やおいしさ等の積極的な情報発信による商品のブランド力の向上などに取り組むことが重要であると考えております。
こうした観点から、来年度も引き続き生産者と加工事業者等が連携した商品開発の取り組みを支援するとともに、県内の量販店等との商談会の開催などにより、その販路開拓を積極的に支援してまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 今、いろいろ御紹介をいただきましたし、その成果として具体的な岩手町のいわて冷麺餃子とか、さまざま御紹介いただいて、本当にすばらしいことだと思います。やっぱりさまざまな付加価値をつける、そして、いろいろな業種の違う方々でコラボレーションして、本当にいいものを発掘していく、そして販売を拡大していくということは、私も非常に有効だと思っています。
それで一つ、最近、例えば高校生が中に入っていろいろアイデアを出すという活動も地域ではいろいろ出てきているわけですが、そういう若い方々をターゲットにした取り組みのようなものはないでしょうか。
〇高橋流通課総括課長 県内の高等学校あるいは専門学校で食品の関係の勉強を通じて、さまざまな商品開発に取り組まれている事例は承知しております。
県といたしましても、これまで、そうした高校でありますとか専門学校、調理師学校のような学校と連携して、商品の開発でありますとか、あるいは昨年になりますが、果実を活用したフェアにも御協力いただくなど、連携を図っているところでございます。
次世代の人材育成のためにも、そういった取り組みは非常に重要だと思っておりますので、引き続き取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇軽石義則委員長 質疑がないようでありますので、これで第1部農業関係の質疑を終わります。
次に、第2部林業、水産業関係についての質疑はありませんか。
〇田村誠委員 それでは、数点にわたりまして御質問申し上げます。
森林病害虫対策、被害対策についてお伺い申し上げます。第1点目は、松くい虫被害対策についてであります。
岩手県に松くい虫被害が最初に発見されたのは昭和54年で、その後、昭和61年に岩手県松くい虫被害対策大綱が策定されました。大綱のサブタイトルは松材線虫病の被害拡散防止と被害発生の根絶を目指してでございますが、主な内容は、被害木の徹底駆除とアカマツ材の移動制限でありました。
林業は、生産を始めてから販売するまで実に50年以上かかると言われており、時代の流れにすぐ乗れないのが難点であります。岩手の県木であるナンブアカマツをこれからも守り続けていくため、今後、アカマツ材の需要拡大をどのように計画しておられるのかを含めて、これまでの取り組み状況、成果と課題について、まずお伺いいたします。
〇佐藤整備課長 これまでの取り組みの成果と課題についてでございますが、これまでの成果につきましては、本県では、先ほど委員からお話がありましたとおり、昭和54年に一関市で初めて被害が確認されてから40年がたちますが、被害木の徹底駆除や伐採時期を制限する伐採施業指針の徹底により、被害地域の北限は現在でも、内陸部は盛岡市、沿岸部では大船渡市となっております。多くのアカマツ資源を有する県北・沿岸地域への被害の北上阻止に一定の効果を上げてきたものと考えております。
課題につきましては、平成29年度に一戸町で新たに被害が確認されるなど、県北のアカマツ地帯への被害拡大が懸念されることから、県では、被害の先端地域における監視体制の強化と駆除の徹底を図るとともに、被害の蔓延地域においては、毛越寺など重要な松林の保全を図りながら、それ以外の松林については積極的に利用を進め、松以外の樹種へ転換を図るなどの対策に取り組んでまいります。
〇田村誠委員 いずれ松くい虫の被害の実態は、平成15年をピークに下降をたどって年々減ってきているわけでございますけれども、ただ、被害地は拡大してきました。被害地が拡大しているということは、拡大を阻止するのはなかなか難しいという実態もあるのだろうと思われます。したがいまして、今までもう既に被害に遭われた松は全伐するなり、あるいは松くい虫に強い苗木の植林など新たな方法は検討されないものでしょうか。
〇佐藤整備課長 被害のあった松林の伐採、それから、抵抗性苗木の植栽等のお話だと思います。
まずは、被害のあった松林につきましては、アカマツ林の樹種転換ということで、いわての森林づくり県民税を使いました事業あるいは森林整備事業を活用しながら樹種転換を図っているところでございます。
また、松くい虫の抵抗性苗木については、現在、林業技術センターで開発しております。それにつきましては、沿岸部の震災復興のための防潮林で植栽等を進め、活用しているところでございます。
〇田村誠委員 先ほど答弁がなかったような気がするのですけれども、アカマツの今後の需要拡大等についてどのように考えているのかも、あわせてお願いします。
〇大畑林業振興課総括課長 大変失礼いたしました。アカマツの需要拡大についてでございます。
県では、これまで、県産アカマツのCLT製造技術の研究開発に取り組むとともに、県産アカマツを利用して建築された住宅の見学会を開催するなど、関係団体と連携しながら、その普及と需要の拡大に取り組んできたところでございます。
また、今年度におきましては、県産アカマツの付加価値向上を図るため、県内の若手製材事業者と連携いたしまして新たなアカマツ製材品を試作いたしまして、県外の木材市場において売り込み活動を実施したところでございます。
引き続き、こうした取り組みを進めていくことと、もう一つ、名古屋城天守閣の復元工事に県産アカマツが供給されますので、そういう実績を生かしながら、文化財あるいは寺社仏閣等の修復用資材として販路開拓を進めながら、需要拡大に向けて積極的に取り組んでいきたいと考えております。
〇田村誠委員 いずれ、アカマツを含めて県木である木材の有効活用を図るためには、将来の需要がどの程度あるのか。今のところ、チップ材とか、あるいは先ほどお話をいただいた名古屋城のはりに使われるとかということでありますけれども、ただ、50年先ということになりますと、果たしてナンブアカマツ、松材はどのような利用予測ができるのか大変難しい課題だろうと思います。いずれ、県木であるナンブアカマツを含めて、利用拡大を図りながら進めていただきたいということでございます。
次に、ナラ枯れ被害対策について、これまでの取り組み成果と課題をどのように捉えているか。また、対策を強化するために予算を重点化して、対策をなお一層強化すべきではないかと思いますので、お伺いいたします。
〇佐藤整備課長 これまでの取り組みの成果と課題についてでございますが、これまでの成果につきましては、県では、被害が判別しやすくなる9月をナラ枯れ被害の調査強化月間に定め、ヘリコプターによる空中探査や地上調査を集中的に実施し、被害の早期発見により、新たに被害が発生した市町で重点的に駆除を実施し、被害拡大抑止に一定の効果を上げてきたものと考えております。
課題につきましては、平成30年度に新たに田野畑村で被害が確認されるなど、沿岸部では被害の北上が続いていることから、被害先端地域における被害木の徹底駆除に加えて、ナラ林健全化促進事業などにより予防を目的とした伐採利用を促進し、ナラ枯れ被害に強い広葉樹林への転換を進めております。
次に、予算を重点化してはどうかというお話についてでございます。
県では、県北地域に多く賦存する広葉樹資源を守り、被害の北上を阻止するため、被害先端地域において、ドローンを活用した早期発見と被害木の徹底駆除を実施するとともに、高齢なナラ林が被害を受けやすいことから、ナラ林健全化促進事業の対象区域を被害地点の半径2キロメートル以内から30キロメートル以内まで拡大し、重点的に対策を講じることとしたところであります。ナラ枯れ被害に強い若い広葉樹林への転換を促進してまいります。
〇田村誠委員 ナラ枯れ被害が岩手県で最初に発見されたのは平成22年ということでありますが、現在、先ほどお話をされましたとおり、沿岸地域で急速に拡大しておりまして、田野畑村にまで行ってしまったということであります。
ナラは、シイタケの原木や木炭の材料となり、岩手県の林業で重要な位置を占めておりますが、県南部では放射能の問題など、ほとんど活用されていないのが実態だろうと思います。
岩手県は、ナラ枯れ被害対策に、松くい虫被害対策と同じように範囲の拡大について失敗は許されない、先ほどお話をされましたとおり、先端地域で徹底して駆除したいというお話でありますけれども、私は、やるべきことは被害の拡大防止ではなく、活用できるナラ林の利用とナラ枯れに強いナラ林を育成すること、いわゆる新たなものに切りかえていく必要があるだろうと思っております。これやりませんと、実は私は前の一般質問でもお話をさせていただきましたが、今、広葉樹と言われる部分、特に里山と言われる部分は、先ほども千田美津子委員がお話ししておりましたが、耕作放棄地がふえることによりまして、どんどん下のほうに下がってきているわけであります。それによりまして鹿の食害であるとかにまで影響している。
ですから、やはり里山を含めた広葉樹林の、あれは全伐をして、さらに芽が出てくるものを使って植林みたいなことをするのだそうですが、やはりそうしたものにもっと積極的に予算をつけていただいて、全伐して、それを活用しながら、新たな広葉樹林を整備していく必要があるのではないかと思います。広葉樹林を有効活用するために今後どのように整備をしていこうとしているのか、まずお伺いいたします。
〇橋本森林整備課総括課長 広葉樹林の有効活用、今後の整備というお尋ねでありますけれども、本県は、北海道に次ぐ全国第2位の広葉樹材の生産県であり、県産広葉樹材の一部は高値で取引され、市場関係者からも高く評価されるなど、本県の貴重な森林資源であると認識しております。
広葉樹全体の話を言いますと、県では、天然広葉樹林の適正な更新を目的として伐採を行う更新伐施業-これは広葉樹を全部切るような形での更新伐施業を支援しておりますし、そのほか、新年度、林業成長産業化総合対策事業を当初予算案に盛り込んでおりますが、そういった形で、広葉樹の間伐材生産についても支援することとしております。
また、お話のありました里山の広葉樹林をどうするかというお尋ねにつきましては、森林・山村多面的機能発揮対策事業によりまして、森林所有者や地域住民等が主体となった刈り払いや除間伐などの里山の保全や、伐採木のまきやシイタケ原木への利用など、さまざまな活動をしております。
今後とも、広葉樹資源の有効な活用を進めるため、適切な整備に積極的に取り組んでまいります。よろしくお願いします。
〇田村誠委員 最後にさせていただきますけれども、実は、シイタケ栽培をしている方が気仙地方にいるわけですが、その方々は、今、県南の原木は利用できない。県北からほとんど買っている。そのために原木が高くなっているし、さらには運搬費にも余計な経費がかかって、とてもこれ以上は頑張っても頑張ってもやっていけないというシイタケ栽培の方の御意見が、私のところにしょっちゅう来るのです。
したがって、こうした方々の将来の見通しを少しでも明るいものにするために、私は、やはり里山整備あるいは広葉樹林の整備促進に対して、特に今まで以上に予算を配分していただくことがまず大事であろうと思いますし、あわせて、先ほどもお話が出ましたけれども、森林・山村多面的機能発揮対策事業は、果たして今までどの程度の成果があったものでしょうか。私はなかなか目に見えた形ではないような気がするのですね。
したがって、そうしたものもなお一層PRをしていただくと同時に、シイタケ産業だけではなくて、広葉樹林の資材を有効活用していくためにも、今のまま整備をしないで置いておきますと完全に荒廃してしまう結果になるのだろうと思いますので、シイタケ産業や広葉樹を利用する方々のために、ひとつ部長の決意のほどをお伺いさせていただきたいと思います。
〇上田農林水産部長 広葉樹林でございますが、本県の場合には、非常に広い面積で広葉樹林が広がっております。そういったことでは、先ほどの答弁でも申し上げましたけれども、北海道に次ぐ、非常に貴重な資源として有効に使わせていただいております。
さらに、広葉樹材に対しての市場あるいは関係者の方々の関心も非常に高うございますので、そういったことで、ぜひ有効に活用したいと考えておりますし、例えばナラ枯れ等で被害が起こりそうな老いた木については、更新伐によりまして元気な林に変えていく、さらには、当然原木シイタケの原木になるところもございますので、そういったものについても、ぜひ、シイタケをやっていらっしゃる方々に手ごろな値段での供給ができるように、このためには国の支援も当然必要となりますので、引き続きそういった支援も求めながら、県としても取り組んでまいりたいと思います。
〇柳村岩見委員 平成31年度のいわて林業アカデミー運営事業費については、原資であるとか額もそうですし、どこからの財源ということも、基金条例の新しい制定もあり大変変化のあった予算項目でございます。整理すればどのようになりますか。
〇橋本森林整備課総括課長 いわて林業アカデミーの運営事業費に関する予算編成の考え方についてというお尋ねでありますけれども、いわて林業アカデミー運営事業費については、平成28年度から3カ年間、国の地方創生推進交付金を活用し、平成28年度は、林業アカデミーの教室や実習施設の整備等の開講準備、それから、平成29年度、平成30年度については、アカデミーの運営に要する経費に充当してきたところでございます。
平成31年度以降におきましては、新たに創設される森林環境譲与税が県、市町村に譲与され、県については、市町村が実施する森林整備及びその促進を支援する経費等に充てることとされておりまして、林業の現場で活躍する技術者の育成を目的とするいわて林業アカデミー運営事業は、まさにこの森林環境譲与税の目的に合致していることから、当該事業の新たな財源として予算編成を行ったところでございます。
〇柳村岩見委員 平成29年度に比べれば2、300万円ぐらい増額されていると。いわて林業アカデミーはそのふえた予算でどのように変わるイメージでしょうか。
〇橋本森林整備課総括課長 来年度、林業アカデミーに関しての予算は増額しているところでありますけれども、林業アカデミーは今まで2年間やってきまして、やはり現場の研修を充実強化するべきだということもありまして、機械ですとか、外部講師等も入れながら、研修の安全性も確保しながら技術の向上を強化しようということで予算措置をしているところでございます。
〇柳村岩見委員 いろいろお話を伺うところによれば、林業アカデミーをスタートするに当たっては、結構苦労して、業界も、当局も、議会も、東日本大震災津波の被災からの復興のさなかにおいて、今話を出していいのだろうか、いつなのだろう、もう少し待てとかがあり、ようやく出されて、具体化して、開講2年目です。そういう苦労をしたいわて林業アカデミーであります。
今、2年たって恒久的な財源が見つかったという、国のお金によってあらかた運営していける財源が見つかったということは、県の予算編成上、大変喜ばしい話なのだと思います。
ところが、私はそのように考えない性格なのです。こんなに早く、あの苦労したいわて林業アカデミーの恒久原資が見つかった、財源を得るに至っては、この先心配だ。気をつけてやらなければといった、むしろ緊張してやっていたころがいいのよ。国から毎年財源が来るといったら楽ちんなものだということがあってはならないと考えるタイプなのです。阿部技監、そういうことを後輩に残される必要があると思います。意見は同じになりますか。
それから、現状において国の森林林業に対する諸施策が講じられております。それらのこと、あるいは岩手県議会では、岩手県県産木材等利用促進条例という条例も議員発議されました。こういった環境、それから、阿部技監が見ていて、今の森林林業、特に林業の部分はどのような現実にある、しばらくこういった展開になるということをお聞きしておきたいと思います。いかがですか。
〇阿部技監兼林務担当技監 まず、いわて林業アカデミーの恒久財源の確保についてでございます。
本当に創設する際には、財源をどうするか、地方創生推進交付金というものがあって、新たな取り組みに対して国から支援いただけるということで、うまく活用させていただきました。
そうした中で、このアカデミーは、御存じのとおり、戦後、先人の方々が苦労して造成した人工林が、まさに収穫期に来て、今まさに岩手の林業の現場が活性化している。そういった中で、人材をこれからどうしようかといったときに、こういったしっかりとした技術を身につけた人材を育成する必要があるということから、このアカデミーの創設を考えたところでございます。
おかげさまで順調に定員をオーバーするように満たして、そして、その卒業生も現場で活躍していただいているということで、大変うれしく思っているところでございます。
林業アカデミーを今後どういう形で、進化させるなり、このまま継続するかは別といたしまして、やはり財源として、国が今回創設する森林環境譲与税は、森林整備を進めていくための人材育成も含めてこの使途になるということでございますので、これをしっかり活用させていただきながら、岩手の林業人材を育成してまいりたいと思います。
また、あとは岩手の林業の現状あるいは今後についてでございます。
先ほど来申しましたとおり、先人の方々が苦労して造成していただいた人工林が、まさに収穫期、利用期に達して、今、岩手の林業現場は非常に元気がいい状況になっております。
また、さらに、今定例会におきましては、県産木材の利用を促進する岩手県県産木材等利用促進条例案を御審議いただけるなど、森林、林業に対する期待がかつてなく高まっていると認識しております。
こうした状況の中で、やはり先人の方々の労苦を忘れずに、木材を収穫した跡地には、しっかりと植えて育てる、そして次の世代に引き継いでいくことが、今求められていることだと認識しております。
県議会の皆様を初め、県民の方々の御理解と御協力をいただきながら、本県の基幹産業として、岩手の森林、林業のあすを切り開いていけるよう前を向いて邁進してまいりたいと考えておりますので、今後とも御指導、御鞭撻をいただきたいと思います。
〇ハクセル美穂子委員 私からは、いわての森林づくり推進事業について1点お聞きしたいと思います。
岩手県県産木材等利用促進条例がこのたび議員提案で出されておりますが、その策定に当たって、パブリックコメントとか陳情で、盛岡一高の生徒から、公園に県産木材を使ったフィールドアスレチックを設置したらどうかというような提案がありました。それで、盛岡一高にもお邪魔して、どういう趣旨でこの陳情をされたのかお聞きしましたら、彼ら自身も、小さいころにアスレチックで遊びたかった、木の香りがするもので遊びたかったというのと、それから、実際に上田小学校とか日詰小学校に出向いて、児童生徒とその保護者の皆さんからもアンケート調査をして、その結果、やはり必要だという必要性を研究してくださって、この提案に至ったということでした。
それで、高校生が提案してくれたということもすばらしいのですけれども、実際にアンケートをとった上でということなので、このフィールドアスレチックの設置をいわての森林づくり県民税を活用した事業でつくっていくことは、そういう可能性があるのかどうかについてお伺いしたいと思います。
〇大畑林業振興課総括課長 県民税を活用したアスレチック遊具などの木製品の設置についてということでございます。
県では、いわての森林づくり県民税を活用した取り組みの一つとして、県民参加の森林づくり促進事業を実施しております。この事業では、森林公園等の公共的施設への木製品の設置を支援しているところでございますけれども、その支援対象は、県民税の趣旨を踏まえまして、森林環境学習や普及啓発活動など、森林環境保全の重要性の理解醸成を図る取り組みと一体的に行われるものとしているところでございます。
このため、例えば児童公園といったところへの木製品の設置のみにとどまる場合につきましては、支援の対象とはしていないところでございます。
〇ハクセル美穂子委員 平成31年度もそういった森林環境学習と一体で、そして、対象は森林公園だけということで、制度としてはそうですが、こういった陳情も出ていますし、それから、実は市町村でフィールドアスレチックをもう既に公園整備のときに整備しているのだけれども、森林公園でないために、きっと財源がなくて更新できないのかと思うのですが、結構な数のフィールドアスレチックが、危険だということでロープを張られて使えなくなっているということがあり、私の地元の近隣の市の公園にもあります。それから、いわて子どもの森の外にあるフィールドアスレチックも同じような状態で、私も個人的に子供を連れていきますので、これは、何とかならないものかと思っておりました。
環境学習というか森林学習もすることという条件つきでもいいと思いますし、きちんといわての森林づくり県民税を使ってここにアスレチックをつくりましたという看板を設置するとか、いろいろ普及活動にも寄与するのではないかと思いますので、次年度以降、児童公園とか市町村で何かやるときには、そういったところまで制度の拡大をしていただきたいと思うのですが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
〇大畑林業振興課総括課長 先ほどの答弁で、1点舌足らずだったかもしれません。森林公園のみということではなくて公共的な施設ということにしておりますので、不特定多数の方が集まるような公共的な部分であれば対象になるということで御理解いただければと思います。
それから、支援対象の拡大といった部分のお話でございますけれども、いわての森林づくり県民税は今、2020年度を終期とする第3期の取り組みを推進しているところでございます。この第3期終了後の県民税のあり方につきましては、今後、具体の検討を進めていくこととしております。この検討の中におきまして、ただいまいただいた御意見、それから、これまでも多くの御意見を頂戴しておりますので、そういった御意見も含めまして対応を整理していきたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 では、そういった普通の公園や公共的な施設にも森林環境学習と一体化すると活用できるということも、ぜひ市町村にも周知していただいて、取り組みを進めていただきたいと思います。
〇工藤大輔委員 最初に、原木シイタケの生産についてお伺いします。
先ほど斉藤信委員の1部の審査で、出荷制限の解除の状況ということで答弁がありました。生産意向のある方316名中、204名が解除になっているという答弁だったと思いますが、いずれ出荷制限が解除になっていない方に対して、また、出荷制限が解除になった方においても、支援体制を強化していかなければ、原木シイタケの生産が震災以降かなり落ち込んだままの状況であります。そのことについて、震災から年数も経過する中で、早く生産体制の再度の確立を目指すべきだと思いますが、その件について、解除になっていない生産者への支援についてまずお伺いします。
〇大畑林業振興課総括課長 出荷制限の解除に向けて取り組んでおります生産者の皆様への支援ということでございます。
こうした生産者の皆様に対しましては、生産再開に不可欠なほだ場の環境整備、それから、原木等の資材購入支援をするとともに、シイタケの出荷制限が発生した段階で、順次、出荷制限解除に向けた検査を県が実施いたしまして、その結果、安定して放射性物質濃度が低下していると認められた場合につきましては、国との協議を進めている状況でございます。引き続き、こうした取り組み、生産者の意向もきちんと確認しながら、早期に出荷制限が解除されるように取り組んでいきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 原木シイタケは、県全体で、やはりこれは高齢化もあったり、重労働だということもあって生産量が減っています。一番の産地である洋野町においても減っている状況であります。
そういった中、これは数年間かけて毎年多くの本数を植菌していく、一つの生産期間が整わなければ安定生産に向けた体制が整ったと言えないわけですけれども、解除になった方の状況がそうであっても、まだまだ出荷量においては戻るような基調になっていると感じられないのですね。その状況について、さらに大きい支援が必要ではないかと思うのですが、現状も含めてどのような認識であるかお伺いします。
〇大畑林業振興課総括課長 原木シイタケの生産につきましては、原発事故の影響によりまして、福島県を中心としたところでの原木生産ができないことで、本県が特に使っておりますコナラの原木が、全国的に非常に不足している状況でございます。そうした不足している状況もあって原木価格が高騰しているということで、生産者の皆様は、資金繰り等を含めまして非常に生産に苦慮している状況にあるとは認識しております。
こうした状況を踏まえまして、県といたしましては、価格高騰が続く原木等の資材購入への支援、助成、それから、東京電力からの損害賠償金が支払われるまでの経営資金の無利子貸し付けに取り組みまして、意欲を持って取り組んでいただいております生産者の皆様を支援しているところでございます。
それから、新規参入者が所属する生産組合等を対象にいたしまして、県、市町村が連携しながら種駒の購入支援もしております。こういった形で新規参入者の支援にも取り組んでいるところでございます。
さらに、平成31年度におきましては、生産性の向上による規模拡大を促進、支援していこうということで、県単独の新規事業として、必要な施設整備を支援いたします原木しいたけ生産拡大支援事業を当初予算案に盛り込ませていただいたところでございます。こうした取り組みによりまして、県内各地の原木シイタケ産地を支援いたしまして、ぜひ生産規模を拡大していけるように県としても取り組んでいきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 今、大畑総括課長に答弁いただいた原木しいたけ生産拡大支援事業を新規でやっていただくということで、この取り組みは評価したいと思います。やはり資機材の関係とかが整わないと、また、これまで生産している方々においても、どうしても高齢化もあったり、全県的にもこれは必要なものだと思いますので、新規で来年度やっていただくわけですが、これはぜひ継続しながら体制の整備は進めなければならないと思いますので、お願いしたいと思います。
私の持っている資料では、平成21年と平成28年で干しシイタケの生産状況が半減しているわけです。この状況を県としても計画性を持って、前の状況までにはならなくても、生産体制を何トン体制まで再度持っていくという計画を立てるべきではないかと思います。
また、菌床シイタケにおいても、昨今、県北地域では伸びているのですけれども、県全体で見ると生産量も下がっているということもあります。
やはり県のシイタケ産業をどのように再生させるかが重要だと思いますので、今後のその取り組み、あとは、計画性を持って、目標を高く設定して取り組んでいただきたいと思いますが、その件について所感をお伺いします。
〇大畑林業振興課総括課長 原木シイタケの産地再生ということで、今、県議会に御提案しております新しいいわて県民計画、それから政策推進プランの目標の中におきましては、原木シイタケの植菌本数を毎年2万本ずつ今後4年間でふやしていくという目標値を盛り込んでおります。
また、先ほど御答弁申し上げました新規事業におきましては、生産者の皆様でつくる生産組合で、植菌本数をふやしていくのだという生産計画をつくっていただいて、その計画に基づいて取り組んでいただくと。そういうところを支援していくという形の事業構成ということで考えておりますので、計画的に生産者の皆様に植菌本数をふやしていただくというところをしっかりと支援していきたいと思っております。
あとは、いわて県民計画は10年の期間でございますので、毎年2万本ずつふやしながら、ぜひ10年後には、震災前を若干下回るかもしれませんが、そういった震災前の規模まで回復できるように、県としても取り組んでいきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 ぜひその体制を強化していただきながら、よろしくお願いしたいと思います。
次に、新しい増養殖モデル事業についてお伺いしますが、これは予算特別委員会の総括質疑でも取り上げさせていただきましたが、静穏域を活用した増養殖事業をぜひとも漁協の地域営漁計画の中にもしっかり盛り込めるような体制をつくって、漁協の収益事業としての生産性の向上に結びつける必要もあろうと思います。そのことについての所感と、今回提案されている事業において、どの程度の生産を目指していこうとしているのかお伺いします。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 新しい増養殖モデル事業につきまして、事業を実施するに当たっては、地域再生営漁計画に位置づける、そして、生産目標についても考えながら進めていったらどうかという御質問でございます。
まず、この事業ですけれども、ICT等の先端技術を活用しましたサケ・マス海面養殖の推進に取り組むために、平成31年度当初予算案に、新しい増養殖モデル創出事業を盛り込んだところです。
平成31年度の実施内容でございますけれども、まずは、養殖生産のモデルを構築していきたいと考えておりまして、サケ・マス類の市場流通調査、あるいは先進地の生産の調査、それから、養殖に適した成長の早い種苗の開発などをまずは実施していきたいと。その上で、本県に合った養殖生産のモデルをまずは構築します。その次の年に、そのモデルを海面において実証していきたいと考えております。
さらに、その実証したことによって、どのような規模で、どのくらいの数のサケ、マスを養殖すれば、どのくらいの収益が上がるということがわかりますので、それをもって、県内の漁協へ普及していきたいと考えております。
もう少し段階を踏みながら漁協に普及していくということですが、漁協に普及したときに、全ての漁協あるいは漁業者等が実施するとは限らないのですけれども、まず、この事業を実施する漁協におきましては、地域再生営漁計画に位置づけることなどによりまして、しっかりとした裏づけを持って収益向上に結びつけていきたいと考えておりますし、生産目標については、まだ始まったばかりで、モデルを構築して、それから実証しなければなりませんので、まず、その実証した後に、生産の目標がどのくらいになるのかを検討していくことになろうかと思っております。
〇工藤大輔委員 県内では内水面で稚魚をつくれる技術があります。これを上手に連動させることが大切だと思いますし、また、宮古漁協では、飼料メーカーと組んで増養殖事業に取り組もうとする事例も出てきそうな状況です。この事業のほかにも、静穏域をいかに有効に使っていくかということからすれば、他の魚種あるいは他のものについても可能性が十分あるのだと思いますので、それらの件も含めて取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 静穏域をどのように活用していくかという御質問でございますが、静穏域は、漁港もございますし、湾口防波堤の整備も進んできましたので、湾口防波堤の中の活用もこれから考えられると思っております。
先ほど申しましたサケ、マスの養殖につきましては、どちらかというとある程度の規模が必要になるかと思うので、湾口防波堤の中とかが考えられます。
そして、漁港の中については、アワビ、ウニあるいはナマコというような、これについては増殖と申しますが、増殖種目の生産をどんどんふやしていく可能性が今後出てくると考えておりますし、静穏域の活用をどんどん進めていきたいと思っております。
〇工藤大輔委員 よろしくお願いしたいと思います。
最後に、いわて水産アカデミーについてお伺いしますが、開講に向けて応募の状況はどうなっているのか。10月ぐらいからの募集だったので苦労も多かったのではないかとも思いますが、現状についてお伺いします。
〇森山漁業調整課長 いわて水産アカデミーの応募状況についてでございます。
いわて水産アカデミーの運営主体でございます、いわて水産アカデミー運営協議会では、平成30年10月15日から研修生の募集を開始いたしまして、これまで、県のホームページ、漁業就業者フェア、漁業体験イベント等におきまして募集するとともに、県内高等学校への受講あっせん依頼のほか、市町村、漁協等から得た情報をもとに、受講希望者に対しまして個別に勧誘してきたところでございまして、3月14日までの段階で8名から受講の申し出があったものでございます。
また、現在、研修に意欲を示している候補者と受講に関する最終的な調整を行っておりまして、定員10名の確保に努めているところでございます。
〇工藤大輔委員 スタート段階ですので、ぜひとも定員いっぱいになるような状況まで頑張っていただきたいとも思いますが、以前にもこれは指摘させていただきましたが、一緒に宮城県の状況を見に行ったときにも、住宅の関係とか、生徒さん方にそれぞれ希望があったのだと思います。これについては、県でもそれぞれ聞きながら対応はしていくこととなると思いますが、新たな課題等にも積極的に対応していただいて、よりよい学習環境、また希望の多い状況をぜひともつくっていただきたいと思います。
そして今回、U・Iターンの関係が政策地域部から商工労働観光部に所管が移りました。そういった中で、全国それぞれ漁業就業フェアにおいても募集等、紹介等もされてきて、これからもしていくと思いますが、やはりそことの関係性が、どうしても農林水産の分野が、他の産業に比べてU・Iターンの状況が強いかどうかと言えば、十分ではない分野もあるのではないかと思います。情報提供もしっかりしていただきながら、県の東京の窓口とも一体性を持った取り組みが今後とも求められていくと思いますが、これについては、水産というだけではなく農林水産共通のことですので、部長にお答えいただければと思いますが、よろしくお願いします。
〇上田農林水産部長 いわて水産アカデミーに関しては、U・Iターンの方々もぜひ広くアカデミーに入っていただきたいと考えております。
水産アカデミーの場合にそういったことを担っておりますのがいわて水産アカデミー運営協議会になりますけれども、研修生募集の一環といたしまして、ふるさといわて定住財団が今年2月に岩手県U・Iターンフェア2を開催いたしましたが、そこに参加させていただきまして研修生の募集を行っております。
今後とも、商工労働観光部と連携いたしまして、U・Iターンといったところでのさまざまな取り組み、イベント等に参加いたしまして、水産アカデミーへの研修生の募集を積極的に行ってまいりたいと思います。
〇工藤大輔委員 最後にいたしたいと思います。漁業就業フェアも私は何回か見に行きましたけれども、どうしても担当者が多くて、そっちのほうの関係者がなかなか来てもらっていないような状況もあるかとも思います。ぜひとも連携を強化し、成果を出していただきますようによろしくお願いして、質問を終えたいと思います。
〇伊藤勢至委員 関連。ただいま漁業の養殖についての質問がありましたので、そこに関連してお伺いしたいと思います。
1週間ほど前、大船渡漁港にイサダが揚がったという報道がありました。これは、漢字で書けば春を告げる魚と書きまして、いよいよ海にも春が来たな、ことしはいい浜であってほしいと思ったところでありますが、何と、けさの新聞に、ワカメが不漁、異例の高値ということが大々的に載っておりました。これは大変なことだと実は思ったところであります。
実は、東日本大震災津波以来、まずスルメイカがだめ、サンマがだめ、サケがだめ。それでも浜の中には、最後はワカメがあるさという思いもあったのでありますけれども、そのワカメがこういう状況では、本当にこの1年の先行きが思いやられると思っております。
そして今、特に水産加工業の方たちの在庫はほとんどありません。空の冷凍庫、冷蔵庫に電気代をかけるわけにはいかないということで、在庫がほとんどゼロに近い中で、ワカメを漁協から分けてもらって、芯抜き作業をしたりしながら食いつないでいる状況。そして、スルメイカとかサンマとかサケに期待している状況にあるのだと思うのですが、これはなかなか難しいと思います。
ですけれども、この記事に、発芽時期の海水温が高く成長がおくれたのが原因と書いています。一方では、シベリアの氷がどんどん解け出して、ツンドラの永久凍土までもどんどん解けて、このごろマンモスがごろごろ出てきたという話もあって、これが地球温暖化の影響なのかと思うと一朝一夕には回復に至らないのではないかと思う点もあるのですが、こういった点について技監はどのようにお考えでしょうか。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 温暖化等による海水温の上昇についてということでございますが、確かに、サケにしましても、それから、きょう新聞に出ましたワカメにしましても、海水温の上昇で影響がある部分はそのとおりだと思っております。
ただ、だからといって、我々もそれに何もしないでということではなくて、サケにつきましては、高水温の耐性を持った北上川等のサケを利用しました試験研究等も進めておりますし、ワカメについても、ことしは減産になるのではないかというような見通しがあるようなので、その状況は何が要因だったのか。海水温が高いのはどこが要因だったのか。それについて、じゃ、どのようにしていったらいいのか。そういうところを試験研究しながら、それぞれの養殖なり増殖種目におきまして、一つ一つ対応していきたいと思っております。
〇伊藤勢至委員 この定例会が始まる前に部長に資料請求しておきましたけれども、トラウトサーモンの陸上での養殖という資料でございます。これの特徴は、海水や地下水を使わない、つまり水道水、人工海水で養殖を行うことができるということです。
そして、そのいい点は、天然海水や地下水を使わないメリットには大きく三つある。一つ目は、場所を選ばないこと。つまり消費地近郊に立地することで輸送コストを最小限にできる。二つ目は、海水からの魚病侵入リスクがないこと。つまり抗生物質やワクチンを使わずに安定生産が可能になる。三つ目は、海水冷却コストが不要になること。つまり陸上養殖のネックであった電気代を大幅に低減できることとあります。
先ほど工藤大輔委員の質問に対する答弁の中で養殖という部分が出てまいりましたが、これはサケ、マスにこだわらずに、あらゆる魚種という部分で挑戦をするべきだと思うのですね。やっぱり陸上で養殖可能といっても、これを内陸でやっては水産と結びつきません。サケのふ化場が今6割か7割ぐらいしか稼働していませんから、その稼働していない部分に新しい分野として先覚的に一部でもいいのですが、試行のために取り入れるなどということをやっていくべきときが来ているのではないか。
先ほども言いましたが、地球温暖化で海水温が変わったことが原因であるとするならば、これは一朝一夕には回復しない。したがって、今までやってきた歴史あるサケのふ化養殖は、それはそれで継続をしながら、一部では海水を使わない養殖、もう実証が出ているのですから、そういうものにも取り組んでいくことが、水産漁業界の原材料を供給する、もって三陸沿岸を振興することにもつながると思うのですが、ここは部長に伺いたいと思います。
〇上田農林水産部長 委員から御指摘がございましたサケ、マス、いわゆるサーモン類と呼べばよろしいでしょうか、その陸上での養殖でございます。近年非常に関心が高まっておりまして、幾つかの企業では、その実用化に向けた取り組みも始めていると承知しております。
取り組み始めて、早いところでも四、五年といったところと聞いておりまして、まだまだ技術的にはこれから定着を図っていく段階かと思っております。ただし、こういったことでは大変有望なものですので、関心は非常に高いと聞いております。
私ども県といたしましても大変関心を持っておりまして、特に、岩手大学で既にそこの研究に着手しております。そのキャンパスは水産技術センターの隣でございますので、さまざまな情報を共有しながら、一緒に研究なり検討なりを進めていければと考えております。
その中で、御提案のありましたふ化場を活用しての養殖についても、あわせて検討を進めてまいりたいと思います。
〇伊藤勢至委員 最後です。資料請求しましたトラウトサーモンは、250グラムの稚魚が9カ月で4.2キログラムに成長した。そういう例もあったはずでありますので、岩手大学のキャンパスの中で、そういう研究に着手をするのは大いにいいことだと思っています。
近畿大学の近大マグロは、もう10年も前から始まって流通ベースに乗っているわけですし、和歌山県ではハマチの海水養殖をしているのですが、そこにカボスだったか何かを餌に入れて養殖しているのですね。そうすると、刺身にしたときに、ほのかにカボスの味がするというものですよ。こういうものも大いに可能性ありだと思いますから、ぜひ沿岸の期待を背中にしょって頑張っていただきたいと思います。
〇軽石義則委員長 おおむね再開後2時間が経過いたしますので、この際、世話人会の申し合わせにより、暫時休憩いたします。
午後5時30分 休 憩
午後5時54分再開
〇千葉絢子副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
委員各位及び執行部に申し上げます。この後、6人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
質疑を続行いたします。
〇阿部盛重委員 私からは、いわて水産アカデミーについてお伺いいたします。
先ほど工藤大輔委員からもお話がありましたけれども、私からは、アカデミーの内容は、講座から実践を通して知識からICTを活用した経営手法までやるということでございますが、詳細なカリキュラム内容についてお伺いいたします。
〇森山漁業調整課長 研修内容についてでございますが、いわて水産アカデミーでは、漁業の知識や技術を学ぶ集合研修と、現場で漁業指導者から学ぶ実践研修を実施することとしております。
まず4月は、大船渡市の北里大学三陸臨海教育研究センター等におきまして、漁業関係法令、水産施策等、漁業の基礎的な知識や、ロープワーク、網補修等の技術を習得する集合研修を実施することとしております。また、5月から翌年3月にかけましては、熟練漁業者の指導のもと、研修生が希望する漁業の技術を習得する実践研修を行うとともに、研修生の地域への円滑な定着を図るため、地元のイベントへの参加等を通じまして、地域住民との交流を実施する予定としております。
また、5月以降の隔月において、北里大学研究センターにおきまして、ICT、6次産業化等、高度な知識、技術を学ぶ集合研修を行うこととしており、これらの研修によりまして、将来への本県水産業の中核を担う人材を育成していくこととしております。
〇阿部盛重委員 このカリキュラムの中には、熟練の方々の指導ということですが、事故防止策や救命等に関しての勉強内容というのは入っていないのでしょうか。
〇森山漁業調整課長 カリキュラムの中には救命救急等のカリキュラムが入っておりまして、海上保安部等の職員を講師にお願いして講習を予定しております。
〇阿部盛重委員 募集結果が、8名ということでございます。きょうの15日まで第2次募集という状況になっているようですが、これはもう確定ですよね。あと2人足りないという状況ですが、これは定員に達しなくても開講されていくのか。そして、途中で入講したいという方もいらっしゃるかと思うのですが、その場合の対応は可能なのかどうかお伺いいたします。
〇森山漁業調整課長 途中入講等についてでございますけれども、県では、開講に向け10人の確保を引き続き続けてまいりますけれども、仮に研修生が定員の10人に満たない場合であっても、カリキュラムやアカデミーの運営自体には影響がないことから、予定どおり本年4月9日の開講を予定しております。
また、研修生の途中入講につきましては、全てのカリキュラムを研修できず、予定している知識等の習得が困難であることから、想定はしておりません。
〇阿部盛重委員 途中入講はだめということでございますね。わかりました。
受講生は、自分が目指す姿を持って入講されてきていると思います。実際の仕事や生活スタイルなど、戸惑いもあるかと思います。そういった場合にはどのようなフォローをされていくのかお伺いいたします。
〇森山漁業調整課長 研修生へのフォローについてでございますけれども、本年4月以降、いわて水産アカデミー運営協議会の事務局を岩手県水産技術センターに置いて専門職員を配置することによりまして、研修生への必要な情報提供や要望などを聞くとともに、市町村育成協議会におきましても、地域との交流を通じてきめ細かくフォローしていきたいと考えております。
〇阿部盛重委員 よろしくフォローをお願いいたします。
次に、先ほどもお話がありましたが、海水温の上昇が漁業経営に与える影響は非常に大きい問題だと思いますが、どう研修生に安心感を与えて勉学に励んでいただくのか、方向性をお伺いいたします。
〇森山漁業調整課長 海水温の上昇への対応策についてでございますけれども、水産技術センターでは、海洋観測を実施いたしましてその情報を迅速に漁業者に提供するほか、海水温の上昇に対応するため、高水温に強いサケの種苗生産技術の開発に取り組んでいるところでございます。
これらの技術開発の情報を研修生に提供するとともに、漁業生産におきましては、海況観測の重要性、データに基づく養殖管理の必要性等を指導していくことによりまして研修生の不安を取り除いていきたいと考えております。
〇阿部盛重委員 研究を進められてということでございますが、これはかなり期間的にかかるものと思うのですが、大体年数的にどのぐらいのめどを立てて進行されているのでしょうか。
〇森山漁業調整課長 技術開発につきましては、現時点で何年くらいということは想定しておりませんが、さまざまな可能性を検証していきたいと考えております。
〇阿部盛重委員 よろしくお願いいたします。
漁業経営者として、水産物の付加価値向上、それから販路開拓が求められておりますけれども、この点はカリキュラムに含まれていると思いますが、どのようになっているのかお伺いいたします。
〇森山漁業調整課長 水産物の付加価値向上、販路開拓についてでございますけれども、本県では震災を契機に漁業者と消費者との交流が活発化しております。例えば綾里漁業協同組合の漁業者グループでは、消費者と地域漁業に対する思いや価値観をSNSや現地交流会で共有しながら、地域の水産物を定期的に購入していただく仕組みを構築しております。この取り組みは、平成29年度の農林水産祭で内閣総理大臣賞を受賞している内容でございます。
このような優良事例にかかわる漁業者を講師に迎えまして、消費者との現地交流会、あるいは実際に参加させるなど、さまざまなカリキュラムとして研修生の方たちに体験していただくことによりまして、将来の地域漁業をリードする、経営感覚に富む漁業者として育成していきたいと考えております。
〇阿部盛重委員 よろしくお願いいたします。
入講される方々は入講すると、卒業後のことも考えるわけですけれども、研修後の就業環境整備は、地元漁協や市町村との連携もあると思いますが、どのような方向性で動いておりますでしょうか。
〇森山漁業調整課長 研修後の連携についてでございますが、アカデミーでの研修修了後も引き続き漁業指導者のもとで実務研修を継続していただきまして、独立するために必要な技術のレベルアップに努めていただくこととしております。独立時には、漁業協同組合の正組合員として、漁業権を行使できる漁業者に育成していくことを考えております。
また、新規就業者の受け入れ推進母体であります市町村育成協議会におきまして、漁協、市町村が連携いたしまして、アカデミー研修生が安心して漁業に就業できるよう、就業先や、必要な情報あるいは着業に向けた援助等、きめ細かく対応していきたいと考えております。
〇阿部盛重委員 安心して勉学に励めるということでございますので、よろしくお願いいたします。
2019年から2022年までに40人の修了生を就業させるという方向があるようでございますが、今後、就業希望者の掘り起こし対策というのはどのようにお考えなのかお伺いいたします。
〇森山漁業調整課長 今後の研修生の掘り起こしについてでございますが、アカデミーの運営主体でございますいわて水産アカデミー運営協議会では10月15日から募集を開始しておりまして、これまで、県内外のイベント等で研修生の募集、あっせん依頼をしてきたところでございます。
また、商工労働観光部と連携いたしまして、U・Iターンフェア等就業イベントに参加するなどいたしまして、県外に在住し、本県での漁業就業を希望される方々に対して研修生としての募集も行ってきているところでございます。
今後は、これらの取り組みを継続するとともに、次年度に向けましては、アカデミーの運営主体である協議会において、今年度の問題点を検証いたしまして、より多くの研修生に応募していただけるように改善を図っていきたいと考えております。
〇阿部盛重委員 先ほど県内の方々というお話を聞きましたけれども、県外まで広げるというお考えはあるのでしょうか。
〇森山漁業調整課長 就業フェア等につきましては県内外で開催されておりまして、昨年度もそういったイベントを利用しましてPRさせていただいておりますので、引き続きそういった取り組みはしていきたいと考えております。
〇阿部盛重委員 よろしくお願いいたします。
最後になりますが、これはわかる範囲で結構ですが、漁業生産活動ができる漁港施設の整備状況について、今どのような状況になっているのかお伺いして終わります。
〇阿部漁港漁村課総括課長 安全・安心で効率的な漁業生産ができる漁港施設の整備状況についてでございますけれども、東日本大震災津波によりまして、県内111漁港のうち108漁港において防波堤の倒壊、岸壁の損傷、沈下といった被害が生じております。そういった被害が生じたことによりまして、ちょっとしたしけでも漁船が安全にとめられない、あるいは陸揚げもなかなか効率的にできないといった状況が生じました。
こういったことから、これまで、震災直後から防波堤、岸壁等の復旧を進めてまいりました。今現在、108のうち107漁港の復旧が完了しております。今年度中にはもう一つの漁港の復旧が完了する予定でございます。
そういったことでおおむね漁港の復旧が完了し、安全で効率的な漁業活動ができるようになってきていると考えております。
〇高橋孝眞委員 久慈市冷凍水産加工業協同組合-久慈加工協について質問いたします。
久慈加工協につきましては施設整備の問題で国への補助金返還が発生したところでありまして、県は久慈加工協に対して2億円の10年間の返済猶予をしているということでありますが、前回の決算特別委員会で、これについては大原商店から回収して返還するという内容でありましたけれども、大原商店が会社更生法を申請していると。東京地方裁判所から更生計画が認可されたけれども、まだ内容が公表されていないということでありましたので、認可の内容についてまずはお聞かせ願いたいと思います。
また、債権者への債権カット率はどの程度のものか。そして、久慈加工協への配分金額はどうなるのか、その金額を示していただきたいと思います。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 会社更生法に関しまして3点ほど御質問がございました。
まず1点目ですけれども、会社更生計画の概要ということでございます。
会社更生計画は昨年10月5日に東京地方裁判所から認可をされておりまして、これが10月下旬に官報に公表されております。
その内容の大きなところにつきまして御説明させていただきますが、まず、更生債権等の弁済の方法が書いております。この更生債権につきましては大きく分けて四つほどございまして、更生の担保権、それから租税、そして一般更生債権、そして共益債権となっております。それから、この債権の弁済資金の調達方法をどのようにするかということが書いております。それから、新しく再建される会社の措置ということで、どのような仕組みで新しい会社を再建していくかというところがこの更生計画の内容に書いております。
それから、債権のカット率でございますが、先ほど申しました更生債権の四つの中で、特に一般更生債権が債権の大部分を占めている部分でございまして、これにつきましては、補助金の部分もこの一般更生再建に含まれているところでございます。更生計画の中身を見ますと、一般更生債権につきましては、99%債務を圧縮させていただくというような内容で記載されてございます。
3点目ですが、それに応じて、久慈加工協への補助金の返還の額というお尋ねだと承知しましたが、それにつきましては、組合に対しましては補助金に係る債権分として約300万円が弁済されることになります。
〇高橋孝眞委員 300万円ということは3億円から99%カットということになるわけでありますけれども、その300万円というのは現金で久慈加工協に入るのかどうかということでありますし、当然この300万円については補助金返還の対象になると思います。猶予しなくていい金額になると思いますけれども、それはどのようになるのか教えていただきたいと思います。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 全額一括で久慈加工協に支払われるということは聞いておりますが、現金なのか振り込みなのか、それは承知しておりません。
これは補助金に係る債権分でございますので、久慈加工協につきましては、弁済金を県に返還する方向で今、調整しているところでございます。
〇高橋孝眞委員 その金額については10年間と言わないで回収するということで進めているということですから、それはそれでよろしいだろうと思います。
そうしますと、2億円の猶予でありますので1億9、700万円がまだ残るわけでありまして、10年後ということもそのとおりでありますけれども、毎年返還をするような指導、助言体制を私は敷いていくべきではないかと思うわけです。この部分につきましては、新しい会社としてさまざま支援体制を講じているということでありますけれども、新しい会社のほうでどういうような内容で考えているのかについて教えていただきたいと思います。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 補助金の返還の方法でございますけれども、まず、会社更生法に基づきまして、大原商店では、大原商店を改めまして、実は名称を変えております。株式会社久慈フィッシュミールということで、再建された会社をその経営陣がしっかりと運営していこうという気持ちも含めて社名を変えたのだと承知しております。この新しくなった会社につきましては、立ち上がって運営が始まったところでございますので、今後、しっかりと経営を軌道に乗せて、収益等を上げていくのがまずは一番の大事なところと思っておりました。
県に対する補助金の返還については、平成24年の部分につきまして10年間の履行延期を承認しております。これにつきましては10年後に一括で払ってもらってもいいものでございますので、毎年幾らずつ払っていただくというものにはなっておりません。ですから、まず新しく再建された会社を軌道に乗せていただいて、そこでしっかりと収益を得るような経営に立ち上がっていただいて、その後について、収益等から県に見合い分を納めていただくことになるのであればそれは県としても期待するところでございますが、現段階で毎年幾らずつ納めてくださいという指導、助言はしておりません。
〇高橋孝眞委員 現実的に10年後に1億9、700万円をキャッシュで返還するということは非常に難しいわけでありまして、そういう意味合いでは、きっちりと県として指導体制をとって取り組んでいかないと、10年後に返還にならないのではないかと心配するわけであります。
水産業にとりましてレンダリング事業は非常に大事な事業であります。そういう意味合いでも、しっかりと指導体制をとっていくほうが大事だと私は思いますし、会社更生法上から考えますと、それ以外の債権を大原商店から取ることはできないわけです。前回もお話ありましたけれども、利益配分を受けてその分を久慈加工協が県に補助金返還をするということになるわけでありまして、税率を考えると、まずは年間3、000万円、4、000万円、ひょっとすると五、六千万円の剰余金を上げない限りは1年間でいうと約2、000万円を支払うことは困難なわけです。利益を積み立てしていくのだったら、そんなことをしないで、もらうときはもらうのだというような考え方をしないと一切取れないでしまうのではないか。
そして、指導体制もそうしないと十分ではないと思うわけです。毎年、必ず回収するという気持ちがない限り指導体制が見られないわけですので、その辺はどのように考えていますか。期待するものでありますと言われると、何か期待していないのかなと逆の意味に思うわけですけれども、もう一度答弁していただきたいと思います。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 委員おっしゃるとおり、毎年大体決まった額を県に返還してもらう、それは確かに計画的なことで、そのような方向についても今後考えていくことになろうかと思いますが、まずは新しい経営者で会社が立ち上がったところでございますので、この経営が安定して、それから収益が上がっていく会社にしていくことが今は一番大事と考えております。そういう中でしっかりと収益が上がってきているという状況になれば、そのときにでも返還について御相談していくことになろうかと思っております。
〇高橋孝眞委員 生ぬるいような言い方ですよね。ぬる過ぎるといえばそのとおりでありまして、私は、逆に言っているのです。補助金返還は10年後でもいいですから、今のうちからきっちりと指導体制をとって進めるべきだと。途中でだめにならないように体制をとってやっていかないと、10年後に1億9、700万円返還とならないのではないかと感じるわけでありまして、その辺については部長、どういうふうに考えながら指導体制をとっていくか示していただければと思います。
〇上田農林水産部長 社名は変えましたけれども、旧会社名でございます大原商店のほうでお話し申し上げたいと思います。
大原商店は、会社更生法によりまして、計画に基づく再建の手続が今、始まったところでございます。その中で、久慈加工協はこの経営に参画しております。持ち分についても更生計画で定められておりまして、そこに参画して売り上げを伸ばして、その配当なりを久慈加工協が受け、それを財源にして県に返済する、これが返済の枠組みでございます。
水産担当技監から答弁させていただきましたけれども、現在、この新しい会社がようやく立ち上がったところでございまして、ある程度見通しがあるということで久慈加工協のほかにも2社ほど参画しておりますけれども、その経営陣について、参画を了承した上で更生計画ができたと承知しております。
経営の内容につきましても、久慈フィッシュミールに関しましては、産業的に見てある程度利益は見込める経営状況にあると承知しておりますし、また、久慈市の中での加工業者につきましても、新大原商店に処理なりを依頼することが久慈加工協会全体としても非常に望ましいことだということで、恐らく経営については安定的に確実に利益が上がる会社になるだろうと思っておりますし、そこについては私どものほうでも可能な限り支援して、あるいは助言をしてまいりたいと考えております。
ただ、先ほど水産担当技監も申しましたけれども、まだ立ち上がったばかり。計画についてはかなり確実性があるということで更生計画の中に出資者として名前が載るという判断をしていただいたと考えておりますが、具体の計画の詰めについてはこれからということになります。そういったところを見させていだたいた上で、期限を10年延ばしておりますけれども、その中で確実に補助金なりの返還が行われるように、私どもとしても全力を挙げて支援、助言をしてまいりたいと思っております。
〇高橋孝眞委員 後で問題にならないようにきっちりと指導体制をとってやっていただきたいと思いますし、今の答弁からすると、また別な資本が入っているということになりますので、久慈加工協だけに配当があるわけではないのです。久慈加工協が3分の1の出資だとすれば、先ほど言った3、000万円なり4、000万円は、1億円近くの剰余金を上げてこないと配当ができないような感じになってしまうわけでありますので、今のうちからしっかりと内部まで入って指導、助言していくような、それはしていると言っておりますけれども、これからだこれからだと言うのではなく、きっちりと体制整備をとって進めていただきたい。そして10年後に問題にならないように進めていただきたいと思います。要望して終わります。
〇佐々木茂光委員 震災後、サケ、サンマ、あわせて地先のアワビ、ウニ等の水揚げが大分落ち込んでいる。磯焼けという海の状況を新聞で随分目にするようになっているのですが、農林水産部としてどのようにそれを捉えて、原因がどうなのか、そういうところも含めてお示し願いたいと思います。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 磯焼けについてでございますけれども、平成30年度のウニの漁獲量は約68トンで、震災前の6割程度。アワビにつきましては約140トンで震災前の4割程度ということで、餌となる昆布等の海藻の生育量が減少したことが一因であると思っております。
水産技術センターでは、震災前から県内の3カ所におきまして調査の定点を定めて、ウニ、アワビの生息量と海藻の生育量を調査しております。この調査結果から、近年の海藻の生育量の減少要因は、冬場の海水温が例年よりも高目で推移しているため、ウニ等の海藻を食べる動物が活発に活動しまして、芽が出たばかりの海藻を食べてしまうと。それで海藻の量が減っていく。そういう現象で磯焼けという状況が起きていると承知しております。
〇佐々木茂光委員 今お答えをいただいたのですが、本当に新聞に書かれているとおりでした。既にその原因までわかっているわけで、磯焼けというのは周期的に来るものなのか、一度動き出すとどんどん悪いほうに動き出すのかということを考えるのですけれども、一時期、磯焼けが戻った時期もありました。そのときからまたアワビが少し見えるようになってきて、今またその流れが悪いほうに行っているのかなと思うのですが、その辺の今までの農林水産部として調査した結果、取り組まれた結果を、現段階ではどのように捉えているのでしょうか。
今、水産担当技監が言われたのは、前に磯焼けの話をしたときも同じような回答だったと記憶しています。当時、磯焼けを防ぐために、海中のブロックに植生したり昆布の種をまきつけたりしたこともあったのですけれども、今はそういうことも見えないので、例えば、北のほうは比較的アワビは深いところにいるからですが、こっちの南のほうに来ると、遠浅ではないのですけれども比較的浅場で、餌になる昆布や海藻がついたり、そういうところが大分やられているのです。その被害を面積的に、例えばこの辺からこの辺ぐらいまでは影響があるというところはその調査の段階で捉えているのでしょうか。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 2点質問がございました。
まず1点目ですけれども、磯焼けが続いていくのか、あるいは周期的なものなのかというところでございますが、岩場等の海藻が生えるか生えないかというのは、海水温の冷水が岩手県の沿岸に着岸したかしないかというのが非常に大きいです。5度以下の海水が岩手県の沿岸に着岸しますと、先ほど言ったウニ等の活動が鈍るわけです。そして、その温度ですと海藻が生えやすい適温になります。今現在は、高目の水温が続いたものですから、ウニ等が活発に捕食しまして海藻がなくなっているという状況でありますので、着岸する海水温によってはかなり大きな影響を受けることになります。
ことし2月から冷たい水が沿岸に着岸しております。5度以下の水でございますので、これから考えますと、海藻は生えてくる可能性はあるのではないかと思っております。
被害の面積でございますが、残念ながらどのくらいのひどさでどのくらいの箇所があるというところまでは調べておりませんので、先ほど言った定点の調査でこのような状況ということで把握しているところでございます。
〇佐々木茂光委員 海水が5度を前後することによって磯の状況が変わってくるということは、調査の結果でそういうところまではつかんでいるようですが、逆に言うと、その対策としてどういったところを今、考えているのでしょうか。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 海水頼りではなく、暖かいときも餌料を確保していく必要がございますので、まず一つは、ワカメ、昆布などの海藻を人工的に増殖していく。古くは海中林というようなものを行いました。今のワカメ養殖の施設を海底に沈めて岩場にくっつけるような感じですけれども、そういうものとか、あるいは、種が出るような昆布とかワカメをバッグみたいなものに入れて海に沈めて胞子を出させる。それから、養殖昆布やワカメを加工しますと製品にならない葉ものが出ますので、それを海中に給餌してやる。それから、ウニ等が活発に動いて食べるものですから、ウニ等の海藻の芽を食べる動物を積極的に漁獲していくというような対策が考えられると思います。現在でも人工的に海藻を造成して餌料対策をしている漁協もございますので、今後、そういうところはふえていくと思います。そういう対策を講じながら餌料の確保に努めてまいりたいと思っております。
〇佐々木茂光委員 今お話しされたのは、これまでやってきたことですよね。ただ、私の周辺ではそういうものはしばらく見られませんでした。ワカメも当然そうだし昆布もそうだし、結局、養殖に取り組む人たちも年々減ってきているのですよね。
先ほど言うように、まいたときから芽落ちしてしまっている中で、最終的に今の収穫……。まく時期も、昔は11月初めぐらいに始まっていたものが、今はもう12月に入ってしまうのです。それだけ水温の低下が見られないことからまく時期もおくれたりして、当然収穫もおくれていくし、どうしても水温が高いから葉ものはみんな芽落ちしてしまって、収穫のときは、寒波の状態の中でワカメとりをみんなやっているわけですけれども、その辺を追究して、増殖をするというか、海中林ではないですけれども、そういったところをしっかり育てるまでやっていかないと、本当に資源の回復というのはできないと思うのです。
今、例えば所によってはかぎどめというか磯をとめて……。アワビの開口があるのだけれども、そのときはアワビは潜ってとるわけではなくかぎどりして、水揚げされるものはみんな痩せアワビといって、皆さんもわかっていると思うけれども、貝殻は大きいけれども身が小さい。それは何でかというと、食べるものがないから、殻の成長に身の成長が届かないわけだよね。だから、そうであれば、場所によっては一度浜をとめるとかして昆布が回復するように一生懸命やってはどうか。
震災以降特にそうだけれども、みんな浜から上がってしまって、浜ににぎわいも活気も何もないです。浜に下がっていってもアワビもねぇ、ウニもねぇ、何もねぇみたいな感じで、それこそ、おら、こんな村嫌だみたいになって、みんな若い人たちは出ていってしまう。浜にそういった魅力もなくなっていく。そこそこなりわいも追いついてきて、今これからというときにそういう状況を今、目の当たりにしているわけです。そういうところにこれからはしっかりと踏み込んで力をつけていってもらわないと、本当に地先も何も浜そのものも守れなくなるのではないかという心配があります。
そういうところに今、力を入れて、さっきの山枯れの話でもないですけれども、何かみんなそんな感じ。本来のあるべき姿からみんな遠のいてしまっているのです。里山もそうだし、海の地先をしっかり戻すというのはそこに住む人たちの命にかかわるのだから、これからはそういうところに、もっと現場のほうにしっかりと目を向けていってもらいたいと思います。
例えばウニなどもそうだけれども、確かにウニが磯を荒らしているというのもあります。アワビが食う前に、ウニのほうがそういう能力があるから、どんどんあるところあるところみんな食っていってしまう。だから、例えばそういうものは、開口でも今やっていますけれども、とにかく駆除するという意味で、とる分はとるけれども、あわせて、浜の人たちから協力をもらって、例えばこの区域は植栽に切りかえるから、アワビはもちろんとらないし、ウニを全部駆除しましょうという取り組みもやっていったほうがいいのではないかと思うのです。
これは単協ごとに判断することなのか、県がしっかりとその辺を農林水産部として指導していくものなのか、そういったところが何となくもやもやしている感じがします、浜にいる人たちから見ても。そういうところにもう一回目を向け直すというか……。浜の人はそれで食っているわけだから、なりわいを少しずつ震災から戻そうとしているわけだから、サケも来ない、イカも来ない、何も来ないと。これは水温が高くなってねみたいな感じで流されていたのでは、浜の人たちは大変です。
調査も、例えばおれたちだけでやれという話ではないでしょう。岩手県だけで調査してもやもやとなって何とも解決できないわけだから、例えば宮城県に行く、青森県に行く、北海道に行って、なぜこういうふうになるものかと。または、国の人たちからいろいろ協力をもらって、しっかりとした裏づけをとるような調査まで踏み込んでいかないと本当の解決にならないと思います。
さっき、おかでの養殖の話も出て、それはそれで全然構わないけれども、浜の人たちはそうでないということも承知してやってもらいたいと思います。
次の話になりますけれども、ホタテの貝毒を含めて、二枚貝の出荷規制がこのごろ随分かかりやすくなっています。みんな浜の人たちというのは、そのとおりおかに揚げて何ぼで、水の中にあるうちは値段も何もついていないのです。結局、物が動かないことによって、非常に大変です。仕事が厳しい状況に今、置かれていますけれども、その辺の貝毒等が発生する頻度が随分高くなったような気がするのですが、どのような状況と今捉えておりますか。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 昨年、特に大槌以南の7海域は全て麻痺性貝毒でホタテの出荷自主規制措置がとられております。
なぜ南なのかと思いましたら、実は、宮城県も全部出荷自主規制になっていたそうです。有毒プランクトンが蓄積することによって貝毒になりますので、簡単に言うと南のほうの海域にプランクトンが多かったのかなということは推測されますが、県でも水産技術センターが中心となりまして貝毒のプランクトン調査をしております。ですけれども、残念ながら貝毒の発生の原因を解明するまでには至っていないところでございます。
このような宮城県の状況もありますので、これは国の機関に、宮城県、岩手県の真ん中から南の海域を含めたもう少し広い視点での海域を見てもらって、そこで何が生じているのかというようなところを調査するべきではないかと思いまして、国にはその要望を上げておりますし、国の試験研究機関も現在その方向で検討していると聞いております。
〇佐々木茂光委員 これはやっぱり急がないとだめだと思うのです。岩手県にもそこそこ調査できる方々が水産研究センターにはいると思うのですが、自分たちでできるところをまず早くやると。そうやって、この部分は国が入らなければだめだというところもあると思うのです。そういうところをもっと危機感を持って、やっぱり地先のことからしっかり取り組んでいかないとだめなのではないかと思います。
今、プランクトンの話にもなったけれども、実はある人が言っていましたが、津波で海底の泥がみんなおかに打ち上げられたと。その後、復興の工事だ何だかんだで、濁ったものが山から川に流れてみんな海に来る。それが例えば広田湾に行くと、半分ぐらいまで濁った状態になるわけです。それから何日かするとだんだんその濁りが取れて昔の青い色になるわけです。それの繰り返しで今まで来ているわけです。ということは、津波で打ち上がったもののほかに、別から入ってきたものが堆積している状態にあるだろうと言うのです。
私は海の中を見ていないからわからないけれども、そういったところまで踏み込んで……、要するに元々いるのとは別のバクテリア、プランクトンが山から流れ着いて、海底に堆積しているのだろうと。それが貝にとっていいプランクトンなのか悪いプランクトンなのかもわからないから、それも一つの何かの原因になっているのではないかと。要は、泥に含まれているものまで分析、解析したほうがいいのではないかと言っている人もいます。
雨だ、しけだというと、本当に湾の半分以上、川につながっているところはみんなそういう泥水が出てきた場所だから、広田湾の半分から8割、宮城県境ぐらいまでは色が変わっていたものです。今、8年目を迎えていますけれども、それまでに堆積したものも何かかにか、海底の土砂というかヘドロというか、そういうものももしかすると性質が変わったのではないかと言う方もいます。
その辺まで踏み込んで調査をしてしっかりわからないと、これからの未来あるもの、新しいものに飛びついていくというのも、なかなか表には飛びついていけないのではないかと思います。その辺の調査もしていただけるようにお願いして終わりにします。
〇城内よしひこ委員 アワビ、ウニの増殖についてお伺いしたいと思います。
震災後はアワビ、ウニの漁獲量が低迷しており、今後、資源量を増加させる対策が必要と考えます。そういった中で、重茂漁港内の水面を活用してアワビ、ウニの増殖場を整備すると聞いていますが、これまでの取り組みと今後の対応についてお伺いしたいと思います。
〇阿部漁港漁村課総括課長 アワビ、ウニの増殖についてでございます。
県では、アワビ、ウニ資源の増大を図るため、重茂漁港におきまして、岸壁等の整備とあわせ、漁港内の静穏水域を活用したアワビ・ウニ増殖場の整備計画を平成29年度に策定しております。これまで、地元漁業者等と協議しながら測量調査などを進めまして、平成30年度に詳細設計が完了したところでございます。
今後についてでありますが、2019年度-来年度は1億4、600万円を計上いたしまして増殖場の工事に着手することとしており、2020年度の事業完了を目指し、鋭意取り組んでまいります。
〇城内よしひこ委員 ウニ、アワビは、沿岸部にとってはまさに大事な資源であります。
そこで、1種、2種の漁港の違いというのはあると思いますが、そういった中で、整備は1億4、600万円ということでありましたけれども、どれぐらいの水揚げ量を期待できるものかお伺いしたいと思います。
〇阿部漁港漁村課総括課長 整備に当たりまして目標としている量ですけれども、アワビにつきましては1.6トン、ウニについては0.6トン、県全体からすれば少ないですけれども、そういった漁獲量の増大が期待されております。
〇城内よしひこ委員 数的には試験的ということなのでしょうけれども、先ほど来お話に出ていますが、東日本大震災津波を機に各地域の漁港が整備されてきております。その中においては静穏域が保たれる港が出てきましたので、大なり小なり蓄養も含めて増殖が図られるような港が出てきているものと思っています。これを機にこういった事業が横に展開していく可能性があると思うのですが、そういった計画があるのかどうかお伺いしたいと思います。
〇阿部漁港漁村課総括課長 今後の漁港内の増殖の可能性でございますけれども、今、お話しいたしました重茂漁港以外に、ほかにも計画されているところがございます。今後予定しておりますのが全部で8漁港ほどございます。まだ計画が完全に確定したり地元と協議が調っているわけではございませんが、今、構想しているところとしては、8漁港におきましてアワビ、ウニの増殖場やナマコの蓄養といったものを今後展開していきたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 これまでもつくり育てる漁業ということで種苗の放流を県では積極的に進めてきたわけですけれども、一歩進んで、管理ができる形での増殖といったものを今後展開して安定的に水揚げができるようにしないと、その先の加工業の方々が、大変、今、原材料の不足で苦労しています。
そういった対策にもつながると思いますのでしっかりとやっていってほしいし、特に、先ほど来お話に出ていますウニが磯焼けの原因になっているわけですので、小さいうちにとってきて、静穏域で、最近、キャベツでもいいウニができるという話がありますので、そういったことも研究の材料にしながら、しっかりと展開していっていただければいいものができると思いますが、そういった取り組みについての所感をお伺いしたいと思います。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 ウニ、アワビもそうだと思いますけれども、静穏域漁港等を活用した生産の増大ということでございますが、御承知のとおり、アワビもウニも本県の非常に重要な水産物でございます。先ほど委員が申されたとおり、ウニは雑食でございまして、いろいろなものを食べるということです。確かに野菜も食べるようです。ですから、漁港等の静穏域で人間が管理して、ウニを外からとってきて漁港内に入れて、キャベツを与えるかどうかはまた別としても、何か餌を与えながら大きくしていくと。そういうことは十分技術的にもできますので、ましてや今後、静穏域がふえていくわけですから、そういうところを活用しながら、アワビ、ウニ等の増殖をして生産をふやしていきたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 岩手県は、インバウンド等も含めて、安全・安心な食材を提供する県であります。そういった外国の方も含めて県内外の方々が訪れた際に、いつでもどこでも……。最近、テレビの秘密のケンミンSHOWで岩手は牛乳瓶入りのウニを食うというのをやって、いつでも食えるものだと思って勘違いして友達も電話をよこしましたけれども、そういったことが可能になるような環境を整備していかないといけないのではないかと思っております。ぜひそういうことに積極的に取り組んでほしいと思います。
次に移ります。
先ほど来ワカメが問題になっていますが、ワカメの養殖についてお伺いします。通告どおりにお伺いしたいと思います。
近年のワカメ漁の状況、漁獲と担い手の数、あわせて震災前との比較をまずお伺いしたいと思います。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 近年のワカメ漁の状況、漁獲と担い手数、それから震災前との比較でございますが、平成30年の養殖ワカメ生産量は、県漁連の共販実績によりますと約1万4、000トンでございます。これは、震災前と比較しまして63%でございます。
また、平成30年のワカメ養殖の担い手の数ですが、これも県漁連の調べによりますと903人で、震災前対比56%となっております。
〇城内よしひこ委員 そのとおり物がとれないし、担い手にもそういった意味では影響、暗い影を落としているものと私は思っていますので、ぜひその対策をとってもらいたいと思います。
今期は生えているワカメが不調だったということで、市況にも全然出回りが悪かったです。そういうことで、春先のワカメが悪いというのは先ほど来のお話であります。これが本格シーズンに向けてどうなのか。漁家に言わせると、昔のように二重に種をまいた人は、結構早どりワカメをとって調整するぐらい繁茂したと。それを、どうせ早どりワカメをとらなければならないから、手間暇を省いて一回りでまいた人が結構苦戦しているという話を聞きました。そういった状況も含めて、今後、本格シーズン、本格のワカメ、実際は余りよくないと新聞に出てしまったのでどうなのかと思うのですけれども、その辺の見通しはいかがでしょうか。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 ことしのワカメの見通しということでございますけれども、きょうも新聞に出て、一番最初の入札だったのですが、昨年に比べて56%の数量だということです。
まず、このワカメのそのような状況になっている要因でございますけれども、ワカメ種苗を巻き込む時期、11月、12月とかですが、水温が高く推移したことがあります。それから、ワカメが成長するためには栄養塩が必要になるんですが、リン酸塩、ケイ酸塩とか硝酸塩とかという塩類ですけれども、これの濃度が低かったために、ワカメを巻き込んだときに芽が落ちたということがございました。それにあわせて、先ほど海藻のところで海水温の話をさせていただきましたが、5度以下の水が実は接岸しております。その水は、ワカメの伸びるのをちょっととめるのですね。成長を少し遅くするのです。そういうような状況がことしあったということで、まずは、早どりワカメについては、せっかく巻いたのに芽落ちしたので、いわゆる早どりワカメは、間引きと申しまして間引いていくのですけれども、結果的には、ことしは間引かなくてよかったということになろうかと思います。
それから、まだ成長がおくれておりますので、1回目の入札までに出すような長さまで成長しなかったものがあるのではないかと聞いておりました。ですから、今後、ワカメに適した海況になりまして、ワカメが成長してくれば、もう少し生産が伸びてくることを期待しているところではございます。
〇城内よしひこ委員 先日、浜の漁協の方々とお話をする機会がありました。その際にお伺いしたら、宮古以北は減産になるかもしれないけれども、総じていいラインかな。もしかしたら、先ほど水産担当技監が言ったように、去年並みに水温が戻ってきそうだという話ではありましたが、総じて南のほうはもうだめだろうという話はしていました。だめだろうというのが、減産なのか、本当に壊滅的な被害になるのかということですけれども、これって漁家にとっても漁協にとっても結構大変なことであります。
そういったことを鑑みて、漁協の支援も今後必要になってくるのではないかと思いますが、その辺も含めてどうでしょうか。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 我々もワカメの生育状況については大変気にしておりまして、現地の普及員等が、漁協あるいは漁業者から状況を把握しているところでございます。そのような調査をしている中で、壊滅的になっているというところはほとんど聞いておりません。ただ、減産になるのではないかというようなことは多く耳にしておるところでございます。
じゃ、そうなったときの対策はどうするのだということになるのですが、ワカメ養殖の漁業者は、ほとんどが漁業共済に加入しております。それも積み立てプラスというさらに上乗せするようなものにも入っておりまして、減収の場合は共済で補填されることになります。
〇城内よしひこ委員 ですから、漁家の方々は共済が適用になるからいいわけです。ところが、減産になって、以降の流通過程に行ったときに、加工屋さんたちが大変だという話ですね。先ほどの平成30年度の1万4、000トンというのは震災前の数に比べて63%という話ですね。とすれば、それだけどこかで圧縮されて負担がかかって流通しているということが考えられるわけです。
全てのものが商品価格に転嫁できればいいわけですが、そういうことではないということがあるために、ぜひここは安心・安全を売りにしている岩手の海産物をしっかりと流通させることが、一方での県としての大きな使命ではないかと私は思っています。そういった上でも、しっかりとした体制づくりをしてほしいし、第1次産業である漁家の方々は共済で救われるというのは、そのための共済であることは間違いないですけれども、共済は漁家の人しか適用になっていませんので、ぜひそこはお願いしたいと思います。
次に移ります。トラウトサーモンの養殖であります。先ほど伊藤委員からもお話がありましたが、宮古市においてトラウトサーモンの養殖をするというお話がありました。養殖の調査事業の計画があると聞いているのですが、県としての対応とその支援はどのように考えているかお伺いしたいと思います。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 宮古市で行う予定になっておりますトラウトサーモンの養殖、それに対する県の支援ということでございますけれども、宮古市では、新しい養殖種目の開発のために、平成31年度当初予算案で、復興交付金の効果促進事業を活用して、トラウトサーモンの海面養殖の試験を行う事業を立てていると聞いております。
県も、先ほど説明させていただきましたが、来年度からサケ、マスの海面養殖の推進に取り組むこととしておりまして、平成31年度の当初予算案にこれを盛り込んでいるところでございます。
この宮古市の実施するものと、県も進めていく、この目的、方向性は同一のものと思っておりますので、今後、県が来年度実施いたします事業の中で得られた情報ですとか、あるいは開発する成長の早い種苗等を今後、宮古市に提供する、あるいは養殖生産の中での技術の指導をさせていただく等の支援を行ってまいりたいと思っております。
〇城内よしひこ委員 今まで、つくり育てる漁業と言いながらも、ふ化放流だけに岩手県は力を入れてきたわけでありますが、これは大転換期であると思います。
宮城県においては、震災前から銀ザケの養殖でブランド化を図ってきたと私は思っていますし、それが全国的な知名度、ブランド化にもつながってきていると思っています。
これは新たな漁業資源として、私は岩手県においても大きな可能性があると思っています。市場においては、寿司屋に行くと、今、子供たちはサーモンが大好きで、マグロよりサーモンだという話になっているぐらい人気が高い商品でありますので、しっかりと成功に結びつけてほしいし、これがいい意味での加工業にも、実は安定的に品物が供給できる体制ができるのではないかと思っています。
そこで、一つお伺いしたいのですけれども、岩手県には内水面の試験場がありますが、あそこも老朽化していますし、先ほどの話でもあるように、淡水でも養殖ができる魚であることを考えると、若干、内水面水産技術センターでも養殖を試験的にやっているようでありますが、そういったことも大々的にできて、それを県内の水産加工業に回せるような体制づくりは今後できないものか、お伺いしたいと思います。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 県の内水面水産技術センターの活用ということだと思うのですけれども、試験研究機関なものですから、成長が早い種苗とか3倍体の種苗とかの開発をする使命はございますが、魚を最後まで生産して売るようなことまでは、現段階ではなかなかできないと考えております。
今、サクラマスの種苗を量産化する技術開発に取り組んでおりまして、種苗を量産化して、その種苗を出していくことはできるかと思っております。
全国の海面養殖を見ますと、サクラマスを養殖しているところもございます。ですから、放流して戻ってくるサクラマスをとるというものもありますし、内水面水産技術センターが開発しました種苗を使いまして、養殖で生産を上げるということも、今後視野に入れて取り組んでいきたいと思っております。
〇城内よしひこ委員 以前、富山湾に視察に行ったことがあります。そこでは、海洋深層水を使ってサクラマスの養殖をしていました。そういったことがこの地域で可能なのかどうかは、なかなか難しいとは思いますけれども、漁業関係者も秋サケの不漁で大変苦慮しています。切れ目のないシーズンで働けるような漁業資源が欲しいといった意味で期待感を持っていますので、ぜひサクラマスについてもしっかりと取り組んでほしいし、あわせて、先ほど申しましたトラウトサーモンについてもしっかりとした支援、連携をとっていただいて、安心・安全な岩手の魚を全国に提供できるような体制づくりをしてほしいと思いますが、お考えをお伺いしたいと思います。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 サケ、マス類の養殖でございますけれども、サケ、マスにつきましては、基本的に冷たい水を好む魚でございます。海面でやっている養殖は、内水面水産技術センターでもいいですが、漁場でもいいですけれども、そこで種苗を200グラムから500グラム、1年から1年半ぐらい飼育します。それを秋から冬になる時期に海面の生けすに持っていきまして、そこで海での生産を開始します。冷たい水を好む魚なので冬場がちょうどいいということで、実は、岩手県は海面での養殖には適しているところではないかと思っております。
それを翌年の夏前、海水温が上がると耐え切れませんので、その前に揚げて出荷する。そのときに3キログラムぐらいになっているのではないかと思いますので、ある程度商品価値ができるということで、そういうサイクルで養殖をやっていくことにしております。
先ほども申しましたが、岩手県は適地なのかと思いますし、種苗についても、内水面の養殖業者等も生産しておりますので、ほぼうまく回転するような形で養殖を推進していきたいと考えております。
〇斉藤信委員 それでは、私も漁業の復興状況についてお聞きいたします。
主要な魚種であるサケ、サンマ、スルメイカの生産量、生産額の状況を前年比と震災前比で、パーセンテージだけでいいので示してください。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 現在、手元にあるデータが震災前比でございますので、それでよろしいでしょうか。
まず、サケについてですけれども、平成30年度における生産量は1万269トンで震災前の41%、生産額は56億円で震災前の68%となっております。
サンマにつきましては、平成30年度における生産量は2万3、629トンで震災前の45%、生産額は約40億円で震災前の106%となっております。
スルメイカにつきましては、平成30年度の生産量は2、833トンで震災前の15%、生産額は14億円で震災前の42%という状況になっております。
〇斉藤信委員 サケ、サンマは前年比でいけば今年度は生産量が上がったのだけれども、今答弁があったように、震災前と比べれば、サケで41%、サンマが45%、スルメイカに至っては15%と、復興途上で、本当に第2の災害とも言うべきような状況に直面しているのではないかと私は思います。
そこで、特にサケ資源回復については県の水産技術センター、東北区水産研究所もあると思いますけれども、調査研究の状況と、それに基づく具体的な対策はどうなっているでしょうか。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 サケ資源の調査研究の状況と対策についてでございますが、県の水産技術センターでは、サケ資源の回復に向けまして、放流後の稚魚の減少要因の調査や、稚魚生産技術に係ります大規模実証試験を実施しております。この実施におきまして、春の高水温が稚魚の生残に影響を及ぼすことや、与える餌によって稚魚の遊泳力などに違いが出てくることがわかってきております。
これらの成果をもとに、環境変動に強い稚魚の生産技術の開発を進めるために、高水温でも回帰します北上川水系のサケの遺伝情報等を活用した種苗生産技術の開発に取り組むことに加えまして、来年度から新たに、生残率が高いとされる遊泳力の高い稚魚の生産に向け、効果的な飼育環境や生産技術の開発に取り組んでいくこととしております。
この研究成果に基づきました対策を講じますことによりまして、サケ資源の早期回復に取り組んでまいるところでございます。
〇斉藤信委員 北上川のサケが高水温に強いと言われて調査研究をやっているようですけれども、これは、北上川のサケの回帰率は変わっていないのですか。減っていないのですか。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 北上川につきましては、河川、それから支流が非常に多いものですから、回帰率がどのくらいというデータはとられておりません。
我々が考えているのは、北上川に帰ってくるサケは、宮城県の石巻市に北上川の河口がございます。盛岡に上がってくるのが9月下旬、10月上旬ということは、北上川の河口は8月下旬あたりから上がってきているのではないのかと。そのときの海水温は高い海水温。それでも帰ってくるということは、高い海水温に耐性があるのではないのか。それに耐えるような独特の遺伝子があるのではないかと推測しておりまして、まずは、その遺伝情報を把握する。その遺伝情報に合った、沿岸に帰ってくるサケが同じような遺伝子を持っていれば、そこは耐性があるのではないかと思われますので、そういうところをまずチェックしていきたいということです。
〇斉藤信委員 海水温の上昇、環境変化は、私は大きく激変しないと思います。東北区水産研究所に行ったときに、サケの稚魚の生育環境の期間が短くなっている、放流時期をかなり考えてやる必要があるという提起もありましたが、今の状況の中でどうやって回帰率を上げるか、私は具体的で緻密な当面の対策が必要なのだと思うのですけれども、それはどうなのですか。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 まず、当面の対策ということですが、確かに、先ほど言った北上川のサケを活用した試験研究、それから、遊泳力の試験研究等もございますが、海況の変動に耐え得るような稚魚は、やっぱり健康で強い稚魚が必要なのだろうと思っております。そのためには、まず、ふ化場で飼育をするときに、きちんと水量を確保して、水をしっかり流す。それで、稚魚の密度を高密度にしないで、ある程度ゆったりしたような適正密度で飼う。それから、しっかりと餌も適切なときに与える。そういうことで、飼育をしっかりとチェックしながら、元気のよい、強い稚魚をつくる。まず、これが大事なのではないかと考えておりますので、県としても、ふ化場等を巡回して指導しておりますし、今後もそのように取り組んでまいりたいと思っております。
〇斉藤信委員 サケ、サンマ、スルメイカとあわせて、岩手県の場合は、主要な養殖生産物も、今まで議論があったように大変な不漁に直面していると。これは、震災前比のパーセンテージだけでいいので、ワカメ、昆布、ホタテガイ、カキ、アワビ、ウニと示してください。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 ワカメ、昆布、ホタテ、カキの生産量の震災前比でございますが、ワカメが63%、昆布が56%、ホタテガイが29%、カキが71%でございます。(斉藤信委員「アワビ、ウニ」と呼ぶ)大変失礼しました。アワビ、ウニもそうでした。
アワビは、震災前比41%、ウニが57%でございます。
〇斉藤信委員 主要な全国に誇る養殖生産物もまた大変深刻な状況だと。
そこで、先ほども議論があったのですけれども、収入減対策と漁業共済の補償はどうなっているでしょうか。
〇森山漁業調整課長 収入減対策と漁業共済の補償についてでございますけれども、漁業共済につきましては、ワカメ、昆布、ホタテ、カキ等の養殖につきましては特定養殖共済として、また、アワビ、ウニにつきましては漁獲共済として取り扱われております。
本県におけます平成30年度の特定養殖共済の加入率につきましては89.1%でございまして、漁獲共済の加入率は95%と全国的にも高い加入割合となっております。収入が減少した場合には、漁業者の9割以上がこの減収補填を受けることとなっております。
また、今年度は、ホタテガイ貝毒の長期発生あるいはアワビの不漁に伴いまして、特定養殖共済では2億3、700万円、対前年比で697%、漁獲共済では6億2、500万円で、対前年比133%の共済金が支払われておりまして、漁業者の経営安定に寄与しているものでございます。
県では、今後とも、岩手県漁業共済組合に対しまして、漁業者への減収補填であります共済金の早期支払いを指導するとともに、未加入者の加入を推進いたしまして、漁業者の経営の安定化を図っていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 不漁の中で漁業共済がかなり大きな役割を果たしているし、この漁業共済に各市町村がかなり支援もしているというのも大きなことではないのかと。
次に、漁船漁業についてお聞きいたします。
漁船漁業者の現状はどうなっているのか。あと、今、イサダ漁の最盛期ですが、何人かの漁民から、イサダ漁に参加したいのだけれども許可が受けられないという相談があって、伊藤水産担当技監にはいろいろ汗をかいていただきました。この間の許可件数の推移と来年度の見通しはどうなっているか示してください。
〇森山漁業調整課長 漁船漁業者の現状についてでございますが、20トン未満の漁船漁業者の経営体につきましては、漁業センサスによりますと、震災前の平成20年度の場合、2、519経営体に対しまして、平成25年度は2、125経営体となっておりまして、平成20年度に比べますと84%となっております。
また、漁船漁業者の経営状況につきましては、本県単独の統計データはないものの、国によります本県を含めました被災地域の漁船漁業経営体の経営状況調査がございまして、震災前の平成22年の漁業所得水準を100とした場合、平成27年度は84と公表されております。
続きまして、イサダ漁業の許可についてでございますが、イサダを漁獲対象といたしますあみ船びき網漁業許可についてでございますけれども、許可件数は平成21年度が106件、平成25年度が90件、平成27年度が84件、平成30年度が62件でございます。
この許可は、平成30年6月に許可の有効期間が満了いたしましたことから、県で定めました知事許可漁業の取扱方針に基づきまして、漁獲実績がある漁業者に対しまして許可を行ったところでございます。
また、漁獲実績がなく失効した許可が生じたことから、取扱方針に基づきまして、失効した許可数の範囲内で平成30年12月に新規許可を行ったところでございます。
その後、許可が失効した漁業者から、漁業経営が厳しいことから、再度許可を取得するために新規許可枠増加の要望があったものでございます。
イサダ漁業につきましては、漁船漁業の団体であります岩手県沿岸漁船漁業組合が、価格維持を目的といたしまして、漁獲割当量あるいは操業開始時間など操業に関する事項を厳格に管理しておりまして、許可数が増加しますと、実際に今操業している漁業者の漁獲等あるいは経営に影響を与えることから、県では、許可数の変更等については、これまでも同組合と協議いたしまして決定しているところでございます。
このため、今般、組合と新規許可枠の増加について協議したところ、要望への理解を示しまして、来年度の漁期に向けまして、新規許可の隻数について協議していくこととしております。
〇斉藤信委員 平成30年度のものにはならなかったけれども、今後、改善の方向を示されたことは評価したいと思います。
最後です。水産加工業の現状と課題について、主要魚種等の大不漁で原材料の高騰と材料不足に本当に苦労しています。現状をどう把握して、対策を講じているのか、新商品の開発とか販路の開拓、金融支援など、総合的な支援と対策が必要と考えていますけれども、県の対応はどうでしょうか。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 水産加工業の原料の高騰と確保についてでございますが、県の調査によりますと、平成30年8月現在で、水産加工業者の68%が、主な課題としまして、原材料価格の高騰や調達困難を挙げております。特に主要魚種でありますサケ、スルメイカを加工原料とします水産加工業者は、地元魚市場以外からの原料の調達を余儀なくされているような状況でございます。
このため、県では、水揚げ状況などの情報提供、そして、不漁のサケ、スルメイカ以外の原料に転換を検討する事業者につきましての助言あるいは、今年度は沿岸4地区で加工業者の方々に集まっていただいて意見交換をさせていただきました。このような中で、今後どうしていくかという話がございまして、加工業者個々ではなくて連携して進んでいくことも今後は重要なのではないかという意見も出されております。
それから、市町村や漁協の魚市場関係者と連携しまして、漁獲が好調で価格が安いサバ、イワシをまき網漁船が漁獲しますので、これを地元の魚市場に水揚げするように誘致を図ってきておるところでございます。年々まき網漁船の本県魚市場に水揚げする数量がふえてございまして、昨年度は8、000トンぐらいです。岩手県の水揚げの8%ぐらいまで来ました。震災前は1、300トンぐらいですから、六、七倍ぐらいまで水揚げを伸ばしているので、これについては、今後も積極的に市場関係者、市町村と連携して進めていきたいということで、このようなことで、加工原料の確保対策を進めていきたいと考えております。
それから、お尋ねの2点目ですけれども、新商品の開発と販路の開拓、付加価値向上等についてでございますが、我々も、新商品の開発や販路の開拓を図るために、復興シーフードショーIWATE、あるいは商工労働観光部もそうですが、コンクールですとか商談会を開催しております。これに加工業者が積極的に参加するよう推進しておりますし、全国的に高い評価をいただいております高度衛生品質管理地域づくり、これは岩手県独特の取り組みでございますが、漁獲から流通、加工までの一貫した衛生、品質管理の体制を構築していくことに支援しております。
また、金融支援については、水産加工業者が漁業近代化資金等を利用する際に、金融機関に対しまして利子補給を行いまして、利子の負担軽減を図っているところでございます。
今後につきましてですが、まず、引き続きこれらの取り組みを進めますし、通電加熱技術という新しい加工技術を水産技術センターで開発して、今普及を図っているところですので、このような新しい技術を使った付加価値化を高めていきます。このような取り組みを進めながら、水産加工業の総合的な振興に取り組んでまいりたいと思っております。
〇小西和子委員 私からは2点お伺いいたします。最初に、いわての森林づくり県民税事業についてお伺いいたします。
この事業は、本県の豊かな森林環境を次の世代に良好な状況で引き継いでいくための事業と捉えております。今年度のいわて環境の森整備事業が目標を大幅に下回ったのは、事業実施主体側の人員の確保が困難であったことが要因でありました。今年度の実績と事業実施主体の傾向についてお伺いいたします。
〇大畑林業振興課総括課長 いわて環境の森整備事業の今年度の実績等についてでございます。
まず、今年度のいわて環境の森整備事業の施工地確保面積につきましては、約580ヘクタールにとどまる見込みとなっております。
また、事業実施主体の傾向についてでございますけれども、昨年度から、いわて環境の森整備事業に参入する新たな民間林業事業体の掘り起こしに取り組んできたところでございまして、昨年度は3事業体、今年度は1事業体が新たに参入したところでございます。全体として、森林組合等に加えまして、こうした民間林業事業体の参入がふえる傾向にあると考えております。
〇小西和子委員 施工地確保が重要なわけですけれども、今年度の取り組みと次年度の新規の取り組みについて伺います。
〇大畑林業振興課総括課長 施工地確保に向けまして、今年度におきましては、地域説明会あるいは個別訪問による関係団体、林業事業体への働きかけ、それから、新たな林業事業体の掘り起こしに加えまして、申請手続の簡素化にも取り組んでまいりました。また、市町村広報誌等による制度周知ということで、森林所有者向けの働きかけにも取り組んできたところでございます。
ただ、一方で目標面積に届かない状況にございます。来年度におきましては、目標面積の確保に向けまして、これらの取り組みの継続のほかに、施行対象地が奥地化して通行不能な作業道がある森林もあるという傾向にございますので、こうした森林においても事業実施が可能となるよう、作業道補修に必要な重機の運搬経費を補助対象に加えることとしております。
また、事業実施主体による施工地確保が効率的に行えますよう、広域振興局等で調査し、把握した手入れ不足の森林の情報提供、あるいはこれまでの施工箇所を反映した地図情報の提供も行うなど、事業実施主体による施工地確保も支援しながら、目標面積を確保できるように取り組んでまいります。
〇小西和子委員 目標面積が1、500ヘクタールのところ、約580ヘクタールということですので、このことを重く受けとめて、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
次に、認知度でございますけれども、約55%と、以前よりは上がったのですが、目標の70%を目指さなければならない。3期もあと2年でございますね。ですので、その取り組みをお伺いいたします。
〇大畑林業振興課総括課長 いわての森林づくり県民税の認知度向上に向けた取り組みについてでございます。
今年度におきましては、テレビ、ラジオでのCM放送、それから新聞広告等での広報を実施しましたほか、昨年度に続きまして、インターネット動画検索サイトでの広告配信を実施したところでございます。
また、県民税の役割あるいは森林環境保全の重要性への理解醸成を図るため、学校や地域で行われる森林環境学習などで活用可能なDVDあるいはパンフレットの作成にも取り組んだところでございます。
一方で、今年度実施したインターネットの活用によるアンケート調査の結果におきましては、全体の認知度は昨年度を下回りまして約46%となったところでございます。
この結果を踏まえまして、平成31年度におきましては、DVDの活用を進めていくことのほか、ホームページ等による情報発信を丁寧に行うこと、それから、テレビ、ラジオでのCM回数を約1.5倍にふやしていくことなどを進め、これまでの取り組みの成果や課題、県民税の見直しに係る検討状況も含めまして、県民向けの広報を積極的、丁寧に行いまして、あらゆる世代での認知度が向上するように取り組んでまいります。
〇小西和子委員 46%に落ちたというところは、私はちょっとわからなかったものですから、頑張ってください。
同じような事業を37府県で行っておりますね。ですけれども、その中でも、担当の方が熱心に取り組んでいるということで他県から高く評価されています。
それから、さらには、いわての森林づくり県民税事業評価委員会は、岩手県の林政全体を象徴する県民参画の仕組みと位置づけられているという論文を私、見つけてしまいました。すごいんだなと思っております。
そこで、今度は、国の森林環境税事業がいわての森林づくり県民税事業に与える影響として、林業事業体の労務確保と市町村の体制整備が大きな課題であります。どのような対策を講じているのか、あわせて、いわての森林づくり県民税事業の見直しのスケジュールをお伺いいたします。
〇阿部技監兼林務担当技監 森林環境譲与税が県民税に与える影響についてでございます。
国の森林環境譲与税によりまして、市町村が行う森林整備等の業務が増加するものと考えておりまして、林業従事者全体の確保のみならず、市町村の実行体制の確保が大きな課題と考えております。
このため、県では、まず、林業従事者を確保していくため、岩手県林業労働対策基金と連携して新規就業者の養成研修等を実施してきたほか、平成29年度から、林業の現場で即戦力となる人材の確保、育成を目的に、いわて林業アカデミーを開講しているところでございます。
また、市町村の実行体制を確保するために、各広域振興局に新たに市町村を支援する専門員を配置するほか、業務の具体的な進め方に関する研修会の開催、優良事例の紹介などに取り組むこととしており、市町村に対し、きめ細かく支援をしてまいりたいと考えております。
次に、2021年度以降の県民税のあり方についてでございます。来年度から、いわての森林づくり県民税事業評価委員会において、県民税と森林環境譲与税の関係を整理していくとともに、県民を対象とした森林環境保全に関するアンケートを実施しながら、県民税のこれまでの成果や課題なども踏まえ、具体の検討を進めてまいります。
〇小西和子委員 森林県である岩手県にとっては、大きなチャンスであると捉えております。取り組みの強化をお願いいたします。
では、二つ目は、防潮林の再生についてお伺いいたします。防潮林の再生の現状と今後の見通しについてお伺いいたします。
〇久慈森林保全課総括課長 防潮林の再生の現状と今後の見通しについてでございますけれども、再生を予定している防潮林18地区、約44ヘクタールのうち、平成31年2月末までに17地区、約40ヘクタールに着手し、このうち11地区、約14ヘクタールが完成したところです。
未着手となっております1地区につきましては、他所管の防潮堤等工事と調整しながら着手する計画としており、2020年度末までには、全ての地区で植栽が完成できるよう取り組んでまいります。
〇小西和子委員 ほぼ完成ということでございます。
それでは、これまで各地で行われた植樹祭等について、県がかかわったものだけで結構ですので、どのくらいの人が参加したのかお伺いいたします。
〇久慈森林保全課総括課長 県内各地で行われている県がかかわった植樹祭等につきましては、平成26年度からこれまでの間に、宮古市摂待地区ほか6地区で実施しておりまして、延べ約1、100名の方々に参加していただいたところでございます。
〇小西和子委員 これには陸前高田市の高田松原の分は入っていないので、そのぐらいに-入っていましたね。大勢の方の力で植樹ができたということでございます。
白砂青松の美しい風景を取り戻そうということでこのことがずっと行われてきたわけですけれども、流されてしまった高田松原等というのは、先人が長い年月、心血を注いで育成したものと捉えております。ほぼ復旧が終了したということですので、数十年後には、あのような松原が復旧するものと思います。
最後でございますけれども、阿部技監に、いわての森林づくり県民税事業と防潮林の再生についての所感を伺って、終わります。
〇阿部技監兼林務担当技監 いわての森林づくり県民税についてでございますが、委員先ほどお話ありましたとおり、岩手の良好な森林環境を次の世代に引き継ぐために、今できることをやろうということで、平成18年度にスタートさせていただき、手入れの行き届かない森林の整備あるいは県民の皆様方に参画をいただきながら、みんなで岩手の森林をよくして、次の世代にしっかり引き継ごうということで取り組んでまいりました。
5年に1回ずつ見直しを行ってまいりました。その都度、皆様方から貴重な御提言をいただきまして、使途事業の充実を図ってまいりました。今般、また新たに見直すタイミングが参りますけれども、さまざまな御提言をいただいております。こういったものをしっかりと受けとめて、そして、きちんと県民の皆様方に説明できるような県民税事業にしてまいりたいと考えております。
また、防潮林の再生でございます。やはり防潮林の再生には長い年月がかかります。しかしながら、地域住民の方々あるいは次代を担う子供たちなど、多くの方々に参画をいただきながら植樹祭を開催してまいりました。50年、100年先に美しいもとの姿を取り戻せるよう、そして、防潮林の役目である地域の安全と暮らしを守っていけるよう、今後とも、地元の方々の協力を得ながら、適切な保育管理に努めてまいりたいと思います。
〇千葉絢子副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇千葉絢子副委員長 質疑がないようでありますので、これで第2部林業、水産業関係の質疑を終わります。
農林水産部の皆様はお疲れさまでした。
以上で本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後7時42分 散 会

前へ 次へ