平成31年2月定例会 予算特別委員会会議録

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予算特別委員会会議記録
(第 7 号)
平成31年3月14日(木)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 村 上 宏 治
議事管理担当課長 安 齊 和 男
主任主査 柳 原   悟
主任主査 金 戸 伸 幸
主査 上 野 公一郎
主査 小 原 亜季子
主査 赤 坂 宏 紀
主査 戸 塚 教 仁
1説明員
文化スポーツ部長 菊 池   哲
副部長兼文化
スポーツ企画室長 石 田 知 子
ラグビーワールド
カップ2019
推進室長 木 村   久
参事兼スポーツ
振興課総括課長 工 藤 啓一郎
文化スポーツ
企画室企画課長 畠 山   剛
文化スポーツ
企画室管理課長 安 藤 知 行
文化振興課
総括課長 中 里 裕 美
大会運営課長 高 松 秀 一

教育長 高 橋 嘉 行
教育次長兼
教育企画室長 今 野 秀 一
教育次長 岩 井   昭
教育企画室
特命参事兼
企画課長 鈴 木   優
予算財務課長 山 本 洋 樹
特命参事兼
学校施設課長 佐 藤 博 行
教職員課総括課長 永 井 榮 一
首席経営指導主事
兼小中学校
人事課長 荒 川 享 司
首席経営指導主事
兼県立学校
人事課長 梅 津 久仁宏
首席指導主事兼
学校調整課
総括課長 佐 藤   有
首席指導主事兼
産業・復興
教育課長 鈴 木 智 香
高校改革課長 藤 澤 良 志
首席指導主事兼
生徒指導課長 橋 場 中 士
学校教育課
総括課長 小久保 智 史
首席指導主事兼
義務教育課長 佐 野   理
首席指導主事兼
高校教育課長 里 舘 文 彦
首席指導主事兼
特別支援教育課長 佐 藤   信
首席指導主事兼
保健体育課
総括課長 荒木田 光 孝
首席社会教育主事
兼生涯学習
文化財課総括課長 佐 藤 公 一
文化財課長 鎌 田   勉

財政課総括課長 臼 井 智 彦
〇軽石義則委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
木村幸弘委員及び田村勝則委員は欠席とのことでありますので、御了承願います。
議案第1号から議案第20号まで、議案第28号、議案第30号、議案第32号から議案第39号まで、議案第41号、議案第43号から議案第45号まで、議案第47号から議案第55号まで、議案第57号、議案第60号から議案第63号まで、及び議案第65号から議案第71号までの以上55件を一括議題といたします。
本日は、文化スポーツ部及び教育委員会関係について、延べ13人の質問者を予定しておりますが、午後5時をめどに審査が終了するよう、議事進行に御協力をお願いいたします。
初めに、文化スポーツ部長に文化スポーツ部関係の説明を求めます。
〇菊池文化スポーツ部長 それでは、平成31年度岩手県一般会計予算のうち、当部の歳出予算等について御説明申し上げます。
なお、組織改編によりまして、来年度、当部から環境生活部に移管予定の若者文化関係事業につきましては、当部において御説明させていただきますので、あらかじめ御了承願います。
初めに、平成31年度当初予算編成に当たっての当部の基本的な考え方についてでありますが、東日本大震災津波からの復興に最優先で取り組むとともに、いわて県民計画最終案に掲げる県民みんなで目指す将来像の実現に向けた取り組みを推進する予算として編成したところでございます。
まず、復興推進の取り組みについてでありますが、被災者の暮らしの再建に係る郷土芸能の保存、継承や文化芸術の鑑賞機会の確保などを支援するとともに、東京2020オリンピック、パラリンピックに向け、ホストタウン登録や事前キャンプの誘致、聖火リレー及び復興の火の実施などに向けた体制整備、機運醸成等を図ります。
次に、政策推進の取り組みについてでありますが、まず、健康・余暇分野につきましては、岩手芸術祭の充実や、アール・ブリュットの振興などに引き続き取り組みます。また、県民誰もが、障がいのある人もない人も、共に生涯にわたってスポーツを楽しむことができる共生社会の推進などに取り組みます。
次に、教育分野についてでありますが、選手強化事業への支援やスポーツ医・科学サポート等により、本県選手の競技力の一層の向上を図るとともに、若手トップアスリートの育成に取り組みます。また、障がい者トップアスリートの競技力向上に向け、大会出場や遠征を行う選手等に対する支援に取り組むほか、スポーツ・インテグリティーの確保に向けた指導者等に対する教育、支援体制の充実などに取り組みます。
次に、居住環境・コミュティ分野についてでありますが、ラグビーワールドカップ2019釜石開催を万全の態勢で迎えるため、機運醸成や受け入れ態勢整備を進めるとともに、スポーツ大会、合宿の積極的な誘致や、来年開催されますクライミングアジア選手権盛岡2020に向けた準備を進めます。また、ラグビーワールドカップ2019釜石開催等を契機とした文化プログラムの展開や、漫画を生かした海外との文化交流などに取り組みます。
次に、歴史・文化関係についてでありますが、北海道・北東北の縄文遺跡群の世界遺産登録や平泉の文化遺産の拡張登録及びガイダンス施設整備などを推進します。
続きまして、当部関係の歳出予算について御説明申し上げます。
お手元の議案その1の6ページをお開き願います。当部関係の予算は、2款総務費8項文化スポーツ費の42億9、400万円余であります。これを前年度当初予算額と比較いたしますと11億8、800万円余の増となっておりますが、その主なものは、ラグビーワールドカップ2019開催準備費10億2、200万円余の増などによるものでございます。
また、3款民生費2項県民生活費の一部1、300万円余につきましては、当部から環境生活部へ移管する予算となっております。
以下、予算の内容につきまして、予算に関する説明書により御説明申し上げます。
なお、金額の読み上げにつきましては省略し、主な事業の内容を中心に御説明申し上げますので、御了承願います。
お手元の予算に関する説明書の108ページをお開き願います。2款総務費8項文化スポーツ費1目文化スポーツ総務費でありますが、右側の説明欄の上から一つ目、管理運営費は、職員の給与費や事務経費など管理運営に要する経費であります。次に、2目文化振興費は、岩手県民会館や岩手県公会堂の管理に要する経費のほか、説明欄上から二つ目、いわての文化国際化推進事業費は、本県の民俗芸能の魅力を国際的に発信するとともに、漫画を国際交流のツールとしても活用し、海外との文化交流を実施しようとするものであります。次の、いわての文化プログラム推進事業費は、ラグビーワールドカップ2019釜石開催等を契機とし、国内外に向け本県の文化的な魅力を発信する文化プログラムを展開しようとするものであります。次の、いわて文化芸術王国構築事業費は、各広域振興圏に文化芸術コーディネーターを配置し、地域の文化芸術活動を支援するとともに、文化芸術企画調整マネージャーを配置し、官民一体による文化芸術推進体制の構築を推進しようとするものであります。109ページに参ります。説明欄上から二つ目、郷土芸能復興支援事業費補助は、被災地における郷土芸能の保存、継承を支援するため、市町村が実施する郷土芸能団体等への活動再開支援に要する経費を補助しようとするものでございます。次の、海外との絆を活かした文化芸術形成促進事業費は、地域の文化芸術活動の盛り上げを図るため、海外の一流芸術家による公演や交流を行うとともに、地域が主体で取り組む文化芸術イベントの開催経費の一部を支援しようとするものであります。次の、障がい者芸術活動支援事業費は、障がい者の文化芸術活動を支援する人材の育成や関係者のネットワーク形成を行うため、障がい者芸術活動支援センターを運営し支援活動を展開しようとするものであります。次の、いわてアール・ブリュット魅力発信事業費は、県民のアール・ブリュットへの関心を高めるとともに、県内のすぐれた作品を集めた巡回展を開催するほか、県民への普及を拡充しようとするものであります。六つ飛びまして、岩手芸術祭開催費は、本県最大の文化芸術の祭典岩手芸術祭を開催しようとするものであり、次の、岩手芸術祭地域活性化魅力発信事業費は、岩手芸術祭の全県的な盛り上げを図るため、創作体験や地域の文化催事との連携イベントを開催しようとするものでございます。次の、文学の国いわて推進事業費は、本県における文芸活動の振興を図るため、本県ゆかりの作家による講演会等を開催しようとするものであります。次に、六つ飛びまして、世界遺産の理念・価値普及事業費は、本県の二つの世界遺産及び御所野遺跡の理念や価値等の理解促進を図るため、一体的な情報発信を実施するとともに、新たに世界遺産を中核とした関連遺産のネットワーク構築に向けた取り組みを進めようとするものであります。次の、世界遺産登録推進事業費は、北海道・北東北の縄文遺跡群の世界遺産登録や平泉の文化遺産の拡張登録に向けた取り組み、明治日本の産業革命遺産の世界遺産委員会決議事項に対応した取り組み等を実施しようとするものであります。次の、平泉文化遺産ガイダンス施設整備事業費は、平泉の文化遺産を総合的に紹介する施設整備を進めようとするものであります。次に、3目スポーツ振興費は、スポーツ施設の管理やスポーツ大会への選手派遣に要する経費のほか、説明欄上から三つ目、スポーツ推進プラットフォーム構築事業費は、スポーツの力による健康社会の実現と人的、経済的交流を推進するため、官民一体によるスポーツ推進体制の構築に向けた調査研究等の取り組みを行おうとするものであります。次の、スポーツ振興戦略推進費は、スポーツ振興を通じ地域の活性化を図るため、いわてスポーツコミッションによるスポーツイベント等の誘致や、トップスポーツチームとの連携による地域のスポーツ機運醸成等を実施しようとするものでございます。次の、復興五輪ムーブメント推進事業費は、東京2020オリンピック、パラリンピック競技大会に多くの県民が参画できるよう、ホストタウンや事前合宿の誘致、聖火リレーの実施に向けた体制整備などを実施するとともに、新たに、旧聖火台や復興の火を活用した機運醸成イベント等を実施しようとするものでございます。次の、スポーツクライミング国際大会等推進事業費は、スポーツクライミングの振興などを図るため、クライミングアジア選手権盛岡2020の開催に向けた取り組みを実施しようとするものであります。次の、生涯スポーツ推進費は、県民が生涯にわたってスポーツを楽しめる環境を整備するため、総合型地域スポーツクラブの育成や指導者養成、各種スポーツイベント開催などの取り組みを進めようとするものでございます。次の、障がい者スポーツ振興事業費は、障がい者スポーツの振興を図るため、スポーツを行う機会の提供や指導者養成を実施しようとするものでございます。次の、スポーツを通じた共生社会づくり推進費は、スポーツを通じた共生社会の推進を図るため、障がいのある人もない人も共に楽しむスポーツ大会の開催や、総合型地域スポーツクラブにおける受け入れ態勢整備などを実施しようとするものでございます。110ページに参ります。説明欄上から三つ目、オリンピック選手等育成・強化事業費は、いわゆるスーパーキッズの発掘、育成やトップアスリートの活動支援を実施しようとするものであります。次の、東京オリンピック等メダリスト育成事業費補助は、岩手県体育協会が実施する競技団体への若手アスリートの育成、強化支援に要する経費を補助しようとするものであります。次の、パラリンピック選手等育成・強化事業費は、パラリンピックを初めとする国際大会等に向けて競技力の向上を図るため、障がい者スポーツ選手育成研修会の開催や、障がい者トップアスリートの活動支援等の取り組みを実施しようとするものでございます。次の、いわて競技力向上事業費は、岩手県体育協会が実施する競技団体への競技力向上支援に要する経費を補助しようとするものでございます。一つ飛びまして、スポーツ医・科学サポート事業費は、本県選手の競技力向上と県民の健康増進を図るため、競技団体へのトレーナー派遣や各種研修会開催等のサポート活動を実施するとともに、新たに、いわてアスレチックトレーナー第3期生の養成を行おうとするものでございます。次の、国際スポーツ交流推進事業費は、国際的に認知度の高いトレーニング地とのスポーツ関係者の相互訪問を実施し、選手、指導者交流に向けた調査研究の取り組みを実施しようとするものでございます。一つ飛びまして、ラグビーワールドカップ2019開催準備費は、共同開催の釜石市と連携した受け入れ態勢の整備やスタジアム仮設施設整備の支援などを実施しようとするものでございます。
次に、環境生活部へ移管する事業について御説明申し上げます。少し飛びますが、122ページをお開き願います。3款民生費2項県民生活費3目青少年女性対策費のうち、右側の説明欄の下から二つ目、いわて若者活躍支援強化事業費のうち一部につきましては、次代を担う若者の文化芸術活動を後押しするいわて若者文化祭の開催経費の一部を負担するとともに、各広域振興局で非営利団体等が実施する若者文化関連イベントの開催に要する経費を支援しようとするものでございます。
次に、債務負担行為について御説明申し上げます。お手元の議案その1にお戻りいただきまして、11ページをお開き願います。第2表債務負担行為の表中、文化スポーツ部関係は、3、平泉文化遺産ガイダンス施設整備事業でございます。これは、当該施設の整備工事が翌年度以降にわたるため、期間及び限度額を定め、債務を負担しようとするものでございます。
以上で一般会計予算の説明について終わらせていただきます。
続きまして、予算に関連する議案について御説明申し上げます。議案その2の24ページをお開き願います。議案第28号公会堂条例の一部を改正する条例、以降、ページを飛びますが御容赦願います。89ページの議案第43号屋内温水プール条例の一部を改正する条例、またページが飛びまして、111ページの議案第49号勤労身体障がい者体育館条例の一部を改正する条例、さらに飛びます、160ページの議案第66号県民会館条例の一部を改正する条例、次は167ページの議案第67号県立体育館条例の一部を改正する条例、また飛びまして、170ページの議案第68号県立野球場条例の一部を改正する条例、さらに飛びまして、173ページの議案第69号県立スケート場条例の一部を改正する条例、次に、177ページの議案第70号スキージャンプ場条例の一部を改正する条例及び178ページの議案第71号武道館条例の一部を改正する条例についてでございますが、これらは、いずれも物件費の伸び等に伴いまして、平成31年4月から利用料金の上限額を引き上げるとともに、消費税及び地方消費税の税率の引き上げに伴いまして、平成31年10月から利用料金の上限額を引き上げようとするものでございます。
以上で当部関係の議案につきましての御説明を終わらせていただきます。どうぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇軽石義則委員長 これより質疑を行いますが、議会運営委員会の決定及び世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇高橋但馬委員 私からは、ラグビーワールドカップ2019開催準備費について、まずお伺いいたします。
8月19日、釜石鵜住居復興スタジアムにおける観客の円滑な輸送の確保に対する評価、オープニングイベントに対する評価をどのようにしているかお知らせください。
〇木村ラグビーワールドカップ2019推進室長 釜石鵜住居復興スタジアムオープニングイベントにおきます観客輸送についてでございますが、このスタジアムの常設席6、000席の完成に合わせまして、盛岡駅、新花巻駅及びいわて花巻空港からスタジアムに直通するライナーバスの運行、そしてスタジアムを中心として北方面、西方面、南方面に駐車場を配置しスタジアムまでのシャトルバスを運行するパーク・アンド・バスライドの運用、そして釜石市内中心部からスタジアムまでのシャトルバスの運行の三つの交通手段によります交通輸送対策をとったところでございます。
その輸送実績でございますけれども、ライナーバスやパーク・アンド・バスライド、市内のシャトルバスの三つの交通手段の利用者が入場者の約半数の3、000人にとどまった一方、釜石市内からスタジアムまでのシャトルバスの利用が想定より多かったところでございます。
そして、その評価につきましては、交通渋滞や大幅な運行遅延を生じず、全体として円滑な輸送であったと考えているところでございます。
また、この交通輸送対策の利用促進を図るための事前周知やスタジアム周辺での交通規制情報の周知徹底などの課題もあったと認識しているところでございます。
〇高橋但馬委員 評価としては、全体として円滑な輸送ができたということであります。7月27日に行われる日本代表対フィジー戦が、スタジアムの仮設施設が整備されて最初で最後の本番前の1万6、000人の来場動向予測、そして交通輸送テストとなると思います。そのオープニングイベントで得たデータをどのように反映していくおつもりでしょうか。
〇木村ラグビーワールドカップ2019推進室長 このスタジアムオープニングイベントで得たデータの活用についてでございますが、現在検討を進めております交通輸送実施計画では、県外からの観客の幅広い受け入れ態勢を整備するために、ライナーバスの出発点をオープニングイベントのときの3カ所から内陸、沿岸の8カ所にふやすとともに、釜石市内からのシャトルバスをふやすなど、交通手段別の来場動向を踏まえまして精査を行っているところでございます。
その計画の主な柱でございますが、鉄道の増便増結、そして、スタジアムへ直通するライナーバスの運行、パーク・アンド・バスライドの運用、釜石市内からスタジアムのシャトルバスの四つでございまして、鉄道事業者によります通常の2倍から3倍の最大限の輸送力の増強や、釜石近隣市町の協力によりますパーク・アンド・バスライド駐車場の3、700台分の確保、そして、県内外のバス事業者と調整し、必要なバス車両台数を260台から280台という規模を確保するなど対策を進めているところでございます。
本年7月に行われます日本代表対フィジー戦では、この計画に基づきまして、観客1万6、000人での交通輸送テストを実施するとともに、結果をしっかり検証しながら万全を期してまいりたいと考えております。
〇高橋但馬委員 8月19日に行ったオープニングイベントは、私も行ったわけですけれども、開催の要項を見てみると、10時から12時がキッズラグビーのプログラムで、12時からレジェンドマッチ、13時から平原綾香さんのオープニングセレモニーで、14時からメモリアルマッチのキックオフとなっているわけですが、それぞれのイベントがこれは分かれているわけですね。正直な話、ラグビーに興味はなくても平原綾香さんに興味がある人は、その時間帯に来る。会場に来たお客様のそういう動きも結構あったと考えるのですけれども、今度の大会の場合や、本番はラグビーの試合しかないと。そこに1万6、000人が一気に来て、終わったら一気にはけていくという可能性もあるのですけれども、その辺はどのように分析していますか。
〇木村ラグビーワールドカップ2019推進室長 本番に向けての対応でございますが、本番の際には、試合の2時間半前にゲートがオープンするということがございますので、我々がラグビーワールドカップ2019組織委員会と協議する中では、少なくとも1時間前にはバス等での輸送の半数以上が入場できるようにバス対策をとっているところでございます。
そして、問題となりますのは、試合が終わった後の帰りの便についても、スタジアムの閉門になる時間が、試合が終わってから1時間半後ということでございます。退場の部分の御協力で制限という形になるのかもしれませんけれども、そういったことも行いながら、なるべく観客の皆様に御迷惑をかけないような形でお帰りいただけるような体制で、今準備を進めているところでございます。
〇高橋但馬委員 まだ7月27日まで日があるわけですので、なるべく迷惑がかからないようにという部分をしっかり詰めていく必要があると思います。オープニングでは2時間半あるのですけれども、その後の帰りで最も混雑するときに、閉門までの時間がオープニングよりも短いわけですから、やっぱりその辺を詰めていく必要があると思いますので、引き続きその辺は取り組んでいただきたいと思います。
あとは、当日パブリックビューイングもあると思うのですけれども、その辺の対応、対策はどのように考えていますか。
〇木村ラグビーワールドカップ2019推進室長 パブリックビューイングの関係につきましては、県内でキャンプ地となっている自治体等もございますので、各市町村において、そういったパブリックビューイングができないかというやりとりを今させていただいているところでございます。県内で広くワールドカップの大会を楽しんでいただけるような取り組みを、市町村と連携しながら進めてまいれればと考えております。
〇高橋但馬委員 釜石市でもイオンタウン釜石でパブリックビューイングがあるというお話も聞いたのですけれども、それはまた別なのですか。その辺も含めて、新しい情報が入りましたら教えていただければと考えております。
もう一つが、大会本番は、観客、選手、大会関係者の約1万8、000人が会場に入ることになりますけれども、地震及び津波、台風等、災害発生時の避難対応をどのように考えているのか、お願いいたします。
〇木村ラグビーワールドカップ2019推進室長 大会本番時における災害発生時の避難対応でございますけれども、釜石鵜住居復興スタジアムからの観客等の避難につきましては、釜石開催実行委員会に設けました消防、県警、県及び市の防災関係部局から構成されます防災等に関する専門部会において検討を進めております。
避難場所につきましては、スタジアムに近い高台かつ多数が避難できる場所を要件に、釜石市が津波緊急避難場所にしております鵜住居小学校と釜石東中学校及び釜石ワーク・ステーションの2カ所を設定しております。
観客の安全確保を第一に、迅速な避難が可能となりますように、避難誘導に当たりましては、会場の内外の要所に十分な数の警備員、誘導員等を配置するほか、会場内の大型ビジョンや場内放送によります多言語での案内、誘導、そして、会場内外での絵文字や英語を表記いたしました避難誘導看板の設置を行うこととしております。
また、車椅子利用の観客の方に対しましては、補助員を個別に配置し、会場からの専用出口や、健常者とは別なルートの避難経路を設けるなどのきめ細やかな避難誘導対策を講じてまいりたいと考えております。
〇高橋但馬委員 実際に日本代表対フィジー戦のときに訓練を行うことはできないと思うのですが、円滑な避難誘導のために、例えば観客がいないけれども、想定してとか、何かしらの訓練を行う予定でしょうか。
〇木村ラグビーワールドカップ2019推進室長 日本代表戦に向けての訓練でございますが、1万6、000席の仮設スタンドが6月末に完成するということがございますので、この大会前に、図上訓練も含めまして、そういった訓練を行う予定にしております。
〇高橋但馬委員 ぜひ、災害復興で釜石市で開催するという部分もありますので、実際に何か起きた場合に、安全な避難誘導ができるように対応していただきたいと思います。
あと、ラグビーワールドカップについては最後になりますけれども、3月の初めにフィジー、トンガ、サモアがワールドカップをボイコットするという話がありましたが、現時点で県としてどういう情報を持っているのでしょうか。
〇高松大会運営課長 出場国のボイコットについてでございますが、ラグビー競技に係る国際統括団体のワールドラグビーが計画しております新しい国際大会の出場国にフィジー、トンガ、サモアが含まれていなかったため、それらの国々の選手の所属する選手会が、日本大会をボイコットするというような報道があったところでございます。
この報道を受けまして、我々もラグビーワールドカップ2019組織委員会に確認いたしましたところ、ワールドラグビーからの情報は特別入っていないということでございまして、情報が入った場合には、速やかに開催都市にも共有していただくことになっておるところでございます。
今後とも、組織委員会と連携いたしまして情報収集に努めてまいりたいと考えております。
〇高橋但馬委員 開催県でありますので、情報収集のほう、よろしくお願いいたしたいと思います。
次に、スポーツ振興に係る施設整備について伺います。
このたび、県と盛岡市の共同事業であります盛岡南公園野球場(仮称)整備事業が2023年の供用開始に向けて動き出しました。これは新聞にも書かれておりましたけれども、自治体が連携してスポーツ施設を整備するのは全国で初めてということで、知事も非常に前向きな考えを示しているところであります。
盛岡南公園には、いわぎんスタジアムがございます。これは、2016年のJリーグルール改正によって、J3開催スタジアムの基準に、夜間照明を2022年6月のリーグ開幕までに附帯されることがルールに追加されました。現在、J3開催が可能でいわてグルージャ盛岡のホームスタジアムでもありますいわぎんスタジアムは、ルールの対象外となってしまいます。県内のプロスポーツチームの活躍が岩手のスポーツ発展の原動力となると私は考えているのですけれども、盛岡南公園野球場(仮称)整備事業を踏まえ、県と市が改めて協力し合い、共同事業によって整備推進をするべきだと考えておりますけれども、県のお考えをお知らせください。
〇工藤参事兼スポーツ振興課総括課長 スポーツ振興に係る施設整備というお尋ねでございますが、今回の県と盛岡市の共同による野球場の整備につきましては、まずもって、既存の県営及び市営野球場のいずれもが非常に老朽化しており、今後の改修費用など維持管理費の増嵩が見込まれることや、公認野球規則の規格に合致していないことなどを踏まえたものでございますが、共同整備という手法を採用することにより、施設の集約化、複合化による行政コストの低減とともに、利用期間の拡大が期待される全面人工芝のグラウンドや多目的に利用できる屋内練習場の整備により、県民サービスの向上をも両立させようとする取り組みでございます。
加えて、有利な起債の活用が見込まれることなどから、事業化に向けて、昨年末、整備基本計画案をお示ししたところでございますが、ここに至るまでには、県と市との共通認識の形成を初め、規模や整備手法、財源や負担割合等に係る綿密な協議、調整を行ってきたものでございます。
一方、プロスポーツへの支援といたしましては、県では、平成29年度から、いわてグルージャ盛岡と連携いたしまして、学校や地域におけるスポーツ・健康づくり教室の実施や、子供たちの公式戦観戦招待など、県民のスポーツ機運の醸成や地域活性化に取り組んでいるところでございます。
お尋ねのいわぎんスタジアムにつきましては、盛岡市の施設でございますことから、市がどのような整備計画を検討しているのか、そのお考えをまず伺ってから、必要に応じ国からの財政支援等の可能性を探っていきたいと考えております。
〇高橋但馬委員 市が、これからの整備計画を立てた中で国の支援も考慮したら、県もそこの共同の事業推進に向けて動く可能性があるということでよろしいですか。
〇工藤参事兼スポーツ振興課総括課長 現時点におきましては、盛岡市における具体的な改修あるいは整備の計画を伺っておりませんので、そういった具体的な検討段階にまでは至っていないところでございます。
〇高橋但馬委員 わかりました。その辺は情報収集をしながら、改めてまた県に伺いたいと思います。終わります。
〇工藤勝子委員 関連。ラグビーワールドカップの交通輸送体制についてお伺いいたします。
今、高橋但馬委員からも質問がございましたけれども、釜石開催実行委員会から遠野市に対して駐車場の台数を当初2、000台お願いしたいという話があったと聞いております。遠野市に確認しましたところ、とても2、000台は無理なので、1、100台だったらいいでしょうという答えを出しているということです。これは県も共通の認識のもとでこういう台数を出したのでしょうか、お伺いいたします。
〇木村ラグビーワールドカップ2019推進室長 パーク・アンド・バスライドにかかわります駐車場の関係でお尋ねいただきました。昨年4月に策定いたしました交通輸送の基本計画で、そういう大まかな台数を算出しながら、遠野市と必要と想定している台数等について御協議させていただいた中で、当初の2、000台から、現在は約1、200台とさせていただきました。そのような台数で御説明にも伺っておりますけれども、文書でお願いさせていただいているところでございます。
〇工藤勝子委員 釜石自動車道がつながったわけでありますが、このくらいの台数の自動車が遠野インターチェンジでおりなければならないわけですよ。場所はどこですかと聞くと、多分綾織中学校が中学校の統合であいていますので、そこと遠野運動公園とかという話を聞きました。あそこのインターチェンジから遠野市内におりていただく態勢はどのようになるのでしょうか。
〇木村ラグビーワールドカップ2019推進室長 遠野市の駐車場の関係ですが、旧綾織中学校だけではなくて、遠野運動公園のほうも合わせてお借りして、そのような台数にと考えております。
それで、お尋ねのありました高速道からの結節という部分でございますけれども、当然、交通の総量の抑制ということを考えますと、高速道だけではなく、一般道のほうも御利用いただくような形での周知もあわせて進めながら、盛岡方面からは、まず西側でおとめになってスタジアムに向かっていただくような周知を、これから遠野市等と一緒に詰めてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いします。
〇工藤勝子委員 関連ですので最後にいたします。
いろいろな形の中で遠野運動公園の話も聞いておりました。とにかく全部一般道を来るわけでもないでしょうし、高速道を来た人たちはどうするのかというようなこともあるでしょう。じゃ、遠野市の職員の要請、例えば駐車場の係とか、そういう部分は今から要請することになるでしょうか。
〇木村ラグビーワールドカップ2019推進室長 このパーク・アンド・バスライドにかかわります駐車場についての警備、誘導員については、委託で対応することにしておりますので、市の方々にお願いすることは、当面は考えていないところでございます。
〇工藤勝子委員 とにかくスムーズに、遠野市の駐車場でも事故がないようにやっていただきたいということをお願い申し上げまして、終わりたいと思います。
〇工藤勝博委員 まずもって、今も試合が続いておりますノルディックスキーのワールドカップジャンプ男子での、小林陵侑選手の活躍をたたえる横断幕を文化スポーツ部が掲げていただいたということで、大変感謝申し上げたいと思います。そういうことも含めて、私からは、アスリートの競技力向上に関して何点かお伺いいたします。
東京オリンピック等メダリスト育成事業及びオリンピック選手等育成・強化事業についてですが、具体的な事業内容と、選手育成ですから、目標値が掲げられておるのであればお聞きしたいと思います。
〇工藤参事兼スポーツ振興課総括課長 東京オリンピック等メダリスト育成事業及びオリンピック選手等育成・強化事業についてでございます。
まず、東京オリンピック等メダリスト育成事業は二つの事業で構成されておりまして、そのうちの一つは、本県の中学生、高校生等で、その年代の世界トップレベルの実力を有する選手を岩手県体育協会-以下県体協と申し上げます-が指定し、海外遠征や国内遠征等の競技活動に対して支援するものでございます。
もう一つは、継続したオリンピック選手の輩出に向け、世界で活躍する選手の輩出経験がある競技団体を県体協が指定いたしまして、小学生から中学生の選手育成に向けた経費を支援するものでございます。
次に、オリンピック選手等育成・強化事業についてでございます。これも同様に二つの事業で構成されておりまして、その一つは、中央競技団体指定の強化選手や日本代表選手を県体協がトップアスリートとして指定しまして、その大会参加や強化合宿等の経費を支援するものでございます。
もう一つは、いわてスーパーキッズ発掘・育成事業でございます。素質のあるジュニア期の選手を発掘し、専門的な育成プログラムによりトップアスリートに必要な競技力、人間力を育成するもので、この事業につきましては、県が直接実施しているところでございます。
目標値ということでございますが、これら四つの事業のほか、いわて競技力向上事業、いわて指導者育成事業、スポーツ医・科学サポート事業など、アスリートの競技レベルや年代に応じて事業を組み立てまして、体系的に競技力向上を図ることとしております。それによりまして、来年度は、本県関係選手の日本代表への選出数28人という目標をいわて県民計画の最終案に掲げまして、取り組みを進めることとしております。
〇工藤勝博委員 3年前ですか、リオデジャネイロオリンピックに県出身選手も参加しております。パラリンピックにも出場しております。東京オリンピックは来年ということですから、もう期間がないわけですけれども、これから、特にことしは選手の選考会が各種目進むと思うのですね。そういうことも含めて、中高生の重点的な育成事業等は、まさにこれから岩手のスポーツを担う選手の育成になると思いますけれども、焦点を絞った中でオリンピック選手に結びつくような強化に果たしてなるのかなと。
中高生の中にはトップレベルの実力を持った選手もいるとは思いますけれども、それらをサポートする部分は、今の小林陵侑選手じゃないですが、コーチングスタッフが、完璧とは言わないのですけれども、かなり充実した中で実力以上のものを発揮できる環境にあると思うのです。それらも含めてこの育成事業をしていかないと、せっかく能力があっても伸ばし切れないということも考えられると思うのですけれども、総合的な育成事業をどのように考えているでしょうか。
〇工藤参事兼スポーツ振興課総括課長 トップレベルのアスリートにつきましては、日本代表の指定といった形になりますと、県からというよりも中央競技団体あるいはJOCといった団体から支援費が出るということがあります。また、そういうアスリートに関しますと、企業からの支援、スポンサーとかといったものもございます。私どももそういった部分を把握いたしまして、逆に言うと、中学生とか高校生につきましては、トップレベルでもなかなかそういう支援を受けられにくいという事情がございましたものですから、今年度ですけれども、東京オリンピック等メダリスト育成事業という形で発足させたわけでございます。
社会人、あるいは大学生等につきましては、むしろ企業支援といったものが充実しているという実態もございます。そういったもの全体に目を配りまして、県として必要な支援という部分をきっちりと押さえていくことを考えております。
そして、トップアスリートだけではなく、日本代表レベルではなくても、県代表レベルのアスリートを育成しなければならないということで、そちらにつきましては、いわて競技力向上事業等々で強化を進める。さらには、その下の年代、小学生、中学生の段階から強化を進めることができるような事業についても今年度スタートさせたところでございますので、全体として体系的な競技力向上の取り組みが進みつつあるのではないかと考えているところでございます。
〇工藤勝博委員 全国の競技団体との連携も含めて、よく活躍している選手は、ナショナルトレーニングセンターを拠点に活躍している卓球とか、あとは、今はバドミントンがあります。それから、中高生が大変活躍している。まさに今それがいい手本になると思うのですね。国のA代表に入れるような選手を岩手からどんどん送り出せるような仕掛けといいますか選手育成が必要ではないかと思います。
現時点で中高生の中にナショナルセンターに行って活躍できるような候補の選手はいるのでしょうか。その辺を聞きたいと思います。
〇工藤参事兼スポーツ振興課総括課長 委員から御説明ありましたナショナルトレーニングセンターですけれども、競技がある程度限られております。いわてスーパーキッズの中からセレクションされて、ナショナルトレーニングセンターに毎年数人行って、トレーニングを行っているという実態はございます。それから、ナショナルトレーニングセンター以外にも、各地にJOCの強化指定施設がございまして、そちらに行く例もございます。私どもも、そういったA代表につながるようなアスリートの輩出を目指していきたいと考えております。
〇工藤勝博委員 特に小中高生を含めて意欲を持って取り組む世代に、そういういい環境を与えられるような取り組みを、東京オリンピックだけで終わってしまわないように、継続してぜひともやっていただきたいと思います。
二つ目の質問です。いわて競技力向上事業については、各競技団体の支援をするとありますけれども、前年に比較しますと1、920万円ほど減額になっています。各競技団体も財政的にはかなり窮屈な思いをしながら運営していると思うのですけれども、その競技団体も減額ということになると大変だろうと思いますが、これはどういうことから減額なのでしょうか。
〇工藤参事兼スポーツ振興課総括課長 いわて競技力向上事業についてでございます。この事業は、国民体育大会等における本県選手の競技力向上を図るため、県体協を通じ、競技団体が実施する強化事業、つまり遠征ですとか強化合宿等の経費の補助が中心の内容となっております。
減額になった理由は主に三つございまして、一つ目は、来年度、茨城県で開催される第74回国民体育大会から正式種目として採用される体操競技のトランポリン種目の選手育成強化に向け、平成30年度に競技用具を購入いたしました。それが完了したことに伴う減額が一つでございます。
それから、二つ目として、競技団体が実施する強化事業の経費について、成年、少年等々の男子、女子の種目別に過去の競技成績等に基づき積算しておりますけれども、その基準に従い積算した結果、減となったものでございます。
三つ目ですが、それ以外に大会への出場見込み者数の減がございまして、中学生等でJOCジュニアオリンピック大会もございますので、そういった大会への出場見込み者が減になったことが主なものでございます。
〇工藤勝博委員 わかりました。例えば一つの競技団体の中で、従来にないような種目がこれから結構ふえてくるということもあるのですね。特に若い人たちが行うようなスノーボードの大会とか、今度のオリンピック種目にも入ってくるような競技種目がふえてきます。そういう事態になったときに、競技団体が結成されていればいいのですが、結成されないけれども、個人の能力があって、そういう中央の大会に出るということも当然あると思うのですね。冬季競技の岩渕麗楽さんも、岩手県にはそういう団体がないので、みずからいろいろなところに行って練習しながらワールドカップにも出ている。そういう選手が生まれてきていますので、そういう選手に対する支援はどういう形になるのでしょうか。
〇工藤参事兼スポーツ振興課総括課長 競技団体が全くつくられていないというのは実は余り多くなくて、例えばスノーボードですと、スキー協会に所属する格好で、現在のスノーボードで優秀な成績を上げている方につきましても、スキー協会を通じて支援ができている状況にございます。
今後とも、競技団体ができていないような競技につきましては、県体協とも、どういう形で育成あるいは支援していくのかを協議してまいりたいと考えております。
〇工藤勝博委員 ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。
次に、3点目です。国際スポーツ交流推進事業が新規に導入されました。この事業の目指す方向といいますか、何を目指して導入したのかを聞きたいと思います。
〇工藤参事兼スポーツ振興課総括課長 国際スポーツ交流推進事業についてでございます。
本県関係選手が日本代表として国際大会等で活躍するためには、スポーツ医・科学に基づく最新のトレーニングとともに、次世代を担う若手選手に海外の競技者との交流経験を積んでもらうことも重要であると考えております。
今般、本県と青少年の相互派遣や教育関係者の訪問など、さまざまな交流を重ねてきている中国の雲南省から、選手、指導者、トレーニングスタッフ等、幅広い層での相互訪問の提案がございました。
雲南省は、世界有数の高地トレーニングの拠点でございます。充実したトレーニング施設や年間を通じて温暖な気候など、数多くのスポーツ資源を有しておりまして、主に持久系の競技において、世界中から選手が集い、成果を上げているところでございます。
このことから、本県と雲南省の双方が持つさまざまなスポーツ資源をどのように活用すれば、指導者、トレーニングスタッフ、そして、何よりもアスリートが相互に高め合うことができるかについて、来年度から調査研究を始めることとしまして、当初予算に計上したところでございます。
〇工藤勝博委員 特に陸上関係の選手の高地トレーニングというのはごく普通、当たり前という感じになっていますけれども、海外に行ってそういう合宿というものも、確かにこれからのアスリートの育成には欠かせないことだろうと思います。ぜひとも多くの選手あるいは指導者が、現地でも、逆に吸収しながら、育成に結びつくような事業になればいいかという思いもしております。
次に、ことしはラグビーワールドカップ釜石大会がありますし、来年は東京オリンピックということで、大きな大会が次々あるわけですけれども、3年前の希望郷いわて国体が終わってから、よく国体の成功を踏まえてレガシーと言われていました。そのレガシーを引き継ぐような形の大会が、ことしのラグビーワールドカップ、そして来年の東京オリンピックになると思います。その次の大きな大会の開催を岩手でも考える必要があるのではないかと思って、国際大会の誘致についてお伺いしたいと思います。
〇工藤参事兼スポーツ振興課総括課長 国際大会についてでございますが、県では、平成29年10月に、市町村、スポーツ団体、商工観光団体、トッププロスポーツチーム等を構成団体といたしまして、いわてスポーツコミッションという団体を設立いたしまして、スポーツ大会、合宿等の誘致に取り組んでいるところでございます。
特に、国際大会などハイレベルな大会が県内で行われることは、スポーツに取り組む若者たちを初め、広く県民の関心を高め、次世代トップアスリートの育成にもつながるものと考えております。
このようなことから、これまで本県では各種大会の誘致等の取り組みを進めてきたところでございまして、国際大会の例で申しますと、ラグビーワールドカップを除きますと、1993年に雫石町で開催されたアルペンスキー世界選手権ですとか、直近では、来年になりますけれども、クライミングアジア選手権2020といった取り組みを現在進めているところでございます。
〇工藤勝博委員 今までの経過も含め、また、ことし、来年度の国際大会には、当然岩手県も大きな期待をしているわけですけれども、地の利を生かした国際大会となれば、岩手県の場合、冬季の大会だろうと思います。去年、夏のアジア競技大会はインドネシアで行われました。
冬季のアジア競技大会ですけれども、日本が提唱しながら今まで8回大会が開かれております。オリンピックの間に4年に1回開かれる大会ですけれども、北海道札幌市は、オリンピックをやった経験もあり施設等も充実している中で、8回の中で3回大会を開いています。また、それ以外に国内では、青森県が2003年にアジア冬季競技大会を開いています。この青森県を含めて、北東北でそういう大会を開くことによって初めて、世界といいますかアジアに知名度が上がると私は強く感じます。
5年前ですか、ロシアのソチでオリンピックがありました。最初、ソチってどこにあるのだろうと、地図を見て探して、ようやくソチというのを知りました。ところが、連日報道されます。特にフィギュアスケートでメダルをとった。そういう目玉になる競技、活躍する選手がいれば、否応なしに耳に入るし目にも触れます。
そういうスポーツの力で岩手の知名度を上げることは、これから最もいいのではないかと。知事が行ってトップセールスをするのもいいのですけれども、それよりはるかにスポーツの力のほうが、知名度の向上にはつながっていくという思いがしております。
このアジア冬季競技大会の誘致は文化スポーツ部としての大きな意義がある大会になるのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
〇工藤参事兼スポーツ振興課総括課長 お尋ねの冬季競技の国際大会の誘致でございますが、競技種別ですとか大会の規模にもよりますけれども、国際競技団体ですとか、あとは国内のJOC等の関係団体等との調整が必要になるものと考えております。また、県内のスポーツ団体が競技の運営等にかかわりますし、それから競技会場のある市町村との協議等が必要になると思っております。こういった大会開催の受け皿づくりに相当の時間とか労力がかかると踏んでおます。また、県内にございます競技施設、スケート場ですとかジャンプ台が対応可能なのかどうか、まだ明らかではないところでございますが、本県の競技施設だけでは対応できない可能性もございますので、中央競技団体ですとかJOC等からの情報収集に努めながら、広域的な連携といった部分も含めた開催の可能性を探っていきたいと考えております。
〇工藤勝博委員 大変前向きな答弁をいただきましたけれども、札幌市なり青森県であった大会要項を見ますと、主催はアジアオリンピック評議会ということで、運営はそれぞれの地域の組織委員会が運営することになっていますけれども、岩手県では国体の成功、ことしのラグビーワールドカップの大会運営に関してのノウハウはしっかり蓄積されていると思うのです。雫石のアルペンスキー世界選手権もそうですけれども、それらをしっかり引き継ぐような形で、アジア冬季競技大会に向けての取り組みをやっていただきたいと思いますけれども、部長からお聞きして終わりたいと思います。
〇菊池文化スポーツ部長 まず国際大会の関係、一般論としてですが、我々も積極的に取り組むこととしているのは御案内のとおりでございます。選手の輩出のみならず、大会の誘致ということで、いろいろなトライを重ねながら、より規模の大きいものをやっていこうということです。わかりやすいのは、例のクライミングアジア選手権を盛岡市でまたやろうという取り組みを進めておりまして、委員おっしゃるような、国体での、県民が感じ、そしてまた、力強く動いたあのスポーツの力を地域にどうやって活用していくかという上で、非常に大きなインパクトがあり、しかも、象徴的なものが国際大会であろうと思いますので、引き続き、先ほど総括課長も答弁しましたが、可能性を追求していくということは、もちろん、前向きにそうしているところでございます。
一方で、総合的な国際大会、まさに東京オリンピックあるいはアジア競技大会クラスのものになりますと、これは受け入れ準備、施設面等々、いろいろ戦略的に練っていかなければならない部分がございます。特に今持っている我々の施設資源等では、マンパワーも含めて、1県ではなかなか難しいのではないかと思うのも正直なところでございまして、広域的な連携のもとに、相互補完の中でさらにそれぞれが可能性を追求していくような取り組みを、合意形成のもとに進めていかないと、なかなか組織委員会といいますか、そういった実行部隊の母体がまだ形成できないのではないかと思っております。
ちょっと長期的な話もさせていただきましたが、そういったことを視野に入れながら、さまざまな面から可能性を追求していきたいと思います。
ちなみに、スポーツコミッションの活動がございまして、これも大きな取り組みでございます。地道な取り組みではあるのですけれども、先ほどのクライミングアジアカップの誘致とか、国際大会そのものもそうなのですが、常日ごろのスポーツ合宿、いろんな企業の団体の研修、そういったものをどんどん誘致して、岩手の知名度のみならず、岩手の利便性、優位性を、国民レベルで共有してもらう取り組みも続けていかなければいけないと思っておりまして、そのスポーツコミッションの取り組みも一生懸命頑張りながら、環境整備に取り組んでいきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
〇工藤誠委員 私からは世界遺産登録推進費に関連してお伺いをしたいと思います。
まず初めに、縄文遺跡群の世界文化遺産登録についてでございますけれども、このことについては執行部の皆さん、それから議員連盟の皆さん、たくさんの皆さんの御支援をいただいて、暫定リスト記載から10年にして本当に大きな一歩を踏み出したということについては、心から感謝を申し上げたいと思っております。
非常にうれしかったわけでもありますけれども、最終的には、ユネスコへの推薦は見送られたということもありまして、非常に動きがあった1年だったと思っております。
そういう意味で、改めてですけれども、確認の意味も込めてこの平成30年度の取り組み結果について、また、世界文化遺産登録について次の新たなスタートも切っているわけでありますので、平成31年度の取り組みについてもお伺いしたいと思います。
〇中里文化振興課総括課長 縄文遺跡群の世界文化遺産登録に係る平成30年度の取り組み結果、そして平成31年度の取り組みについてでございます。
まずは、専門家や文化庁の指導、助言をいただきながら、推薦書のブラッシュアップに平成30年度は努めたところでございます。それに加えまして、委員からもお話をいただいたところですが、国会議員連盟や県議会議員連盟の皆様に御支援をいただきながら取り組みを進めたことによりまして、昨年7月、国の文化審議会において、縄文遺跡群が世界文化遺産登録の国内推薦候補に決定をされました。これによりまして、北海道・北東北の縄文遺跡群の貴重で高い価値があることは認められたものと認識をしております。ただ、残念ながら、今年度の推薦は自然遺産になったということでございますが、ことし1月、文化審議会は、平成31年度における世界文化遺産推薦候補の選定に当たっては、平成30年度の文化審議会の答申内容をそのまま引き継ぐことを基本とし、縄文遺跡群については、取り組みの進捗状況の確認を行った上で、最終的に、平成31年度の推薦候補を決定するという発表がなされたところでございます。
この状況から、縄文遺跡群につきましては、来年度、ユネスコへの推薦の可能性が極めて高まったと認識しておりますが、平成31年度につきましても、引き続き文化庁や専門家の指導、助言をいただきながら、関係自治体と連携をして、確実に世界文化遺産として登録されるよう取り組みを進めてまいりたいと思っております。
〇工藤誠委員 平成31年度の取り組みに関して、一部報道では、今お話があったことと同様だと思うのですけれども、新規の推薦書の受け付けはもうしないということ、それから4月の文化審議会では、もう、この縄文遺跡群だけに絞って審査をするようでありますが、それは事実であるということでよろしいかどうか確認します。
〇中里文化振興課総括課長 そのように文化庁からお話を聞いておりまして、来年度に向けての募集は行われておりませんので、来年度は、文化審議会で審議されるのは縄文遺跡群だけということになると思います。
〇工藤誠委員 そこで、今後のことになるわけであります。2021年度の登録を目指すということでありますけれども、これは日本の案件に限ったことではないのかもしれませんけれども、登録に向けてはイコモスの指摘事項が毎回多いと私は感じています。石見銀山しかり、潜伏キリシタン関連遺産なり、宗像・沖ノ島の場合もそうでした。資産構成を変更しろとか、そもそもの考え方を変えろとか、さまざまな指摘もあるわけですけれども、でも、それにも負けないで逆転登録を果たしてきたこともありますので、どういうことが出てくるかわからないわけでありますが、縄文遺跡群が順調に登録されるためには、平成31年度に世界遺産委員会の審議にかかる百舌鳥・古市古墳群が必ず登録されないとまたおくれていくということになるわけです。この百舌鳥・古市古墳群については、なかなかイコモスからの情報が報道でもよくわからないのですが、多分もう現地調査なども終わっているし、中間報告みたいなものも出ていると思うのですけれども、当局で把握されている指摘事項等があれば教えていただきたいと思います。
〇中里文化振興課総括課長 百舌鳥・古市古墳群におけるイコモスからの指摘事項等の情報でございますけれども、昨年9月にイコモスによる現地調査が行われて、その後、推薦書の審査が行われているということは承知をしておりますが、イコモス及び文化庁等から指摘事項等の内容の公表が行われておらず、中間報告も公表されておりませんので、まだ把握できていない状況でございます。
〇工藤誠委員 世界遺産委員会は6月の末からですね。そういう段階でも、地元の大阪府としても、まだ情報は把握していないということですか。
〇中里文化振興課総括課長 本県としましては、公表されるあるいは文化庁からの情報だけということで、把握をしておりません。大阪府には、問い合わせたりということはしておりません。
〇工藤誠委員 マスコミのほうが早いでしょうから、現時点で余り報道されていないということは、順調に進んでいるのかなと思っていたいと思います。
それで、次の機運の醸成についての質問はカットさせていただいて、次のジャポニスム2018の関係なのですけれども、去年、補正予算をとって海外プロモーションをするということで、パリでジャポニスム2018が開かれる会場で、私が聞いているところでは、国立博物館で開催された縄文展の土器とか土偶とかも持っていかれたようですし、また4道県の縄文遺跡のブースなども設けられたと。あとは岩手県独自のブースも設けて、PRに努められたという話を聞いていますが、その展示会でいろいろアピールされたと思うのですけれども、ヨーロッパにおける縄文文化の評価みたいなものを、どのように受けとめておられるかということをお聞きしたいと思います。
〇中里文化振興課総括課長 ジャポニスム2018における海外の縄文文化に対する評価ということでございますけれども、昨年10月17日から12月8日まで、フランスのパリで開催された縄文-日本における美の誕生展は、火焔土器を初め、土偶ですとか装身具など、国宝そして重要文化財を含む出土品を一堂に紹介しまして、その中には、本県からも一戸町で出土した鼻曲り土面ですとか、軽米町の土器なども出展をいたしまして、日本美の原点である縄文の美、そして、それを生み出した縄文人の文化について伝えることができたと考えております。
文化庁に確認をしましたところ、9、182人の来場があったと伺っておりまして、多くの現地の方々に日本の縄文の魅力を伝えることができたと考えております。
〇工藤誠委員 ヨーロッパの方々にも縄文の専門家の方もいらっしゃいますし、また、縄文文化を高く評価されていらっしゃる方もいますので、ぜひ今後も続けていただきたいわけですが、通告はしていないのですけれども、知事も会場を訪れたと聞いていますが、何か感想などをお聞きしていたら聞きたいと思いますし、この海外プロモーションについては平成31年度も行うのかどうか、その辺を教えていただきたいと思います。
〇中里文化振興課総括課長 知事も縄文展を見まして、私も随行したところなのですけれども、一戸町の鼻曲り土面があるということで非常に喜んでおりまして、また、多くのフランス・パリの方々で、本当に混雑を感じるぐらい込み合っている状況で、縄文への興味、関心が高いのだということを知事も改めて認識されてお帰りになったと考えております。
来年度は、海外プロモーションは特に予定はしておらないところでございます。
〇工藤誠委員 それでは次に移ります。これは今、新聞記事で盛んに報道されていることなのですけれども、世界文化遺産と無形文化遺産の連携と情報発信について伺いたいと思っています。
今、世界文化遺産は、平泉、橋野鉄鉱山があり、これから縄文とか平泉の拡張とかが続いていくと思うのですけれども、無形文化遺産については早池峰神楽、スネカは既に登録されています。それから漆かき文化については2020年の登録を目指す、それから、鬼剣舞も2022年の登録を目指すという報道がされております。これら有形と無形の文化遺産の連携を今後図っていくべきではないかと私は思っています。特に縄文は漆とは切っても切り離されない関係にもありますし、その他の無形文化遺産も非常に価値があるものだと思いますので、この辺の連携と活用をどのように考えておられるか、お伺いしたいと思います。
〇中里文化振興課総括課長 世界文化遺産と無形文化遺産の連携と活用についてでございますが、まずは世界文化遺産を目指す北海道・北東北の縄文遺跡群と、無形文化遺産を目指す伝統建築工匠の技:木造建造物を受け継ぐための伝統技術という名称でございますが、これにつきましては、いずれも登録に向けて必要な取り組みを進めているところでございます。
伝統建築工匠の技の構成につきましては、二戸市に保存団体の事務所を置く選定保存技術、日本産漆生産・精製が含まれておりまして、無形文化遺産に登録されることにより、漆に対する注目がさらに高まるのではないかと考えております。
今回登録を目指しております漆技術につきましては無形の文化遺産でございますし、有形の遺跡等を評価の対象とするのが世界遺産ということで、直接的な関係はないということはございますが、漆につきましては、委員からも御紹介をいただきましたとおり、縄文時代に始まり現代に至るまで、高度に洗練されて発展してきたものということで、歴史的なつながりを認識することも可能だと考えております。
今後は、縄文時代の漆技術と伝統建築工匠としての漆技術との具体的接点について情報収集を行うとともに、漆文化という点につきましても、関係部局と連携をしながら、両者を連携させた活用あるいは地域振興の可能性について検討していきたいと考えております。
また、漆以外の御紹介をいただきました世界文化遺産そして無形文化遺産につきましても、漆に見られるような共通のPRできる内容があれば、それを活用したPRを検討してまいりたいと考えております。
〇工藤誠委員 PRしていくということだったので、次は情報発信を聞く話ですけれども、最終的に平泉の拡張まで登録されれば、四つの世界遺産を持つことになりますし、それから無形文化遺産もたくさんふえてくるということになります。非常に全国の中でもそういう点では珍しいというよりも、有意義な文化財を持つ県になると私は思っています。そういう意味では、これは全国に限らず世界にも発信していくべきだとも思っておりますし、これからふえるであろうインバウンドの誘客にもつながっていくことにもなるだろうと思います。
それで、2020年には先ほどの漆が登録される予定であると。2021年は縄文遺跡群であると。そして2022年は鬼剣舞の予定ということで、こう続いていくわけでありますので、これをもっと県としても情報発信して、岩手にはこれだけの世界文化遺産と無形文化遺産があるのだと。そして、以前から話がありますが、周遊ルートとか、また、それをたくさん見られる、また、体験できるということも情報発信していくべきだと考えますが、そのあたりの取り組みについてお伺いしたいと思います。
〇中里文化振興課総括課長 世界文化遺産、無形文化遺産の情報発信についてでございますが、今年度いわての文化情報大事典というポータルサイトの改修を行っておりまして、多言語化を図っております。また、SNSを活用した情報発信も強化することとしておりますので、それらを活用して、世界に向けて世界文化遺産、無形文化遺産の情報発信をしてまいりたいと考えております。
また、それらは観光資源としても大変魅力のあるものになろうかと思いますので、商工労働観光部とか関係部局と連携して取り組んでまいりたいと思います。
〇工藤誠委員 それでは最後の質問になりますけれども、今までは縄文遺跡群の世界遺産登録に非常に時間がかかったわけであります。最後に、岩手県に関する世界文化遺産で残っているのは平泉の拡張登録ということでありますが、この件については平成24年に暫定リストに登載されているわけであります。それで一昨年だったでしょうか、柳之御所の世界遺産登録を目指すということで推薦書を提出しましょうという話にもなったような気がしますが、最終的には提出しなかったということであります。そういうことで、非常に大事なことだと思いますので、縄文遺跡群も一定のめどがつきましたので、これを進めていただかなければならないのではないかと思います。
そこでまとめてお聞きしたいと思います。この平泉の拡張登録の関係について、現状はどうなっているのかということ。それから、推薦書提出に向けて課題があると思うのですけれども、その課題は何であるかということ。それから、先ほども申し上げましたけれども、縄文遺跡群の場合は特別かもしれません。暫定リストから候補に選ばれるまで10年かかっていますから、平泉の場合も平成24年ですから、もう7年ぐらいたっています。1回目で国内推薦に選ばれるというのはなかなか難しいわけです。ですから、そういう意味でも、推薦書というのは出して、戻されてブラッシュアップをかけて、また提出してというようなことが何回も行われるわけでありますので、早目に出したほうがいいと私は思っていますが、推薦書提出時期の見通し、この3点についてお聞きしたいと思います。
〇中里文化振興課総括課長 平泉の拡張登録のまずは現状についてでございますが、平成29年の文化審議会におきまして複数の課題が提示されたことですとか、幾つかの遺跡につきましては、海外から招聘した世界遺産の専門家から、価値の証明になお時間を要するのではないかということが指摘されたことから、引き続き、文化審議会から提示された課題等を解決するため、県と関係市町がそれぞれ所管する遺跡の調査研究を進めているところでございます。
次に、推薦書提出に向けた課題についてでございますが、文化審議会からは、価値証明や保存管理に関する幾つかの課題が示されているところでございます。特に、各遺跡等が浄土思想とどのように関連するのかを明確に説明するようにですとか、価値を証明するために必要な資産の範囲について史跡等の指定を進めることなど、重要な課題が示されていると認識しております。
また、文化庁や外部有識者からは、さまざまな開発行為から資産及び緩衝地帯を適切に保全するためには、十分な保存管理を進める必要があるという指摘もいただいているところでございまして、現行の保存管理計画を改定するなどの対応をしていく必要があると考えているところでございます。
次に、推薦書提出時期の見通しについてでございますが、推薦書につきましては、文化審議会や海外専門家等から示された課題に対応するため、現在、文化庁等の指導をいただきながら、それぞれの遺跡ごとにその課題解決に向けた調査研究を実施しているところでございまして、推薦書の提出につきましては、その結果を踏まえて、関係市町と調整をする必要があり、現段階では明確な見通しを持つことは難しいということがございますが、できるだけ早期に提出できるよう取り組んでまいりたいと考えております。
〇工藤誠委員 いずれ、世界文化遺産それから無形文化遺産が岩手に多くあるということは非常に強みであるとも思いますので、これが地域の活性化であるとか観光振興であるとか、大きな役割が期待できるものでございますので、縄文遺跡群もまさにもう一歩というところでありますので、引き続き、関係者の皆様には御尽力をお願いして質問を終わりたいと思います。
〇千葉伝委員 関連。今、工藤誠委員の縄文遺跡群の世界遺産登録に関連して、もちろん、私も早く登録されるようにと願っている一人であります。そういった中で、最近気になる新聞報道があった。それは、今お願いしている世界遺産登録に向けての名称について、長いのだかわかりませんけれども、変えたほうがいいのじゃないかみたいな新聞記事をちょっと目にしたのです。その記事は今手元にないのですけれども、要するに、お聞きしたいのは、今さらの話かもしれませんけれども、そういった動きがあるのは承知しているのか、また、そういった中身について、わかる部分があればお知らせ願いたいと思います。
〇中里文化振興課総括課長 新聞報道等でも取り上げられておりましたが北海道・北東北縄文遺跡群でございますが、4道県で設置をしております有識者の委員会におきまして、名称については検討したほうがいいという御意見を多数頂戴したと報告を受けております。
北海道・北東北といいますのは、日本国内では非常にアピールができるのですけれども、これが世界に行ったときに、わかりやすさという点ではどうなのだろうという御意見、そして縄文をローマ字表記といいまか、JOMONということで表記するのがいいのではないかとか、さまざまな御意見を頂戴していると聞いております。
まだ少しユネスコへの推薦書の提出に向けては時間がございますので、青森県が事務局をしております4道県の推進会議におきまして、名称につきましては時間をかけて、世界にアピールできる名称を検討していくということになっております。
〇千葉伝委員 前も名称でいろいろあったということもあるわけで、イコモスのほうからしっかりと中身がよくわかるというか、わかりやすい名称を考える指摘があろうかと思っています。したがって、これから検討するということでありますが、岩手県だけではありませんので、北海道、青森県、秋田県と一緒になって、どの名前がいいのか、そういったあたりをぜひ検討して頑張っていただきたいと思います。
〇神崎浩之委員 関連。工藤誠委員の平泉の世界遺産の拡張に関連して質問させていただきます。
今の平泉の拡張登録に弾みをつける形で、県では、今ガイダンス施設の整備の準備を一生懸命していただいているところであります。そこで、今度リニューアルしようとしている平泉のガイダンス施設の進捗状況と、整備の予定について、そして、今ある施設も今度大きくなるわけでありますが、その特徴についてあわせてお伺いしたいと思います。
〇中里文化振興課総括課長 平泉の文化遺産ガイダンス施設でございますが、現在は柳之御所資料館ということで、柳之御所から出土した重要文化財を展示する、あるいは内容を御説明する資料館が設置されているところでございます。その場所に柳之御所の資料館も含めた形で、平泉のガイダンス施設を整備する予定になっておりまして、現在、建築設計と展示の基本設計が今年度終了いたしまして、来年度からは、工事そして展示のほうの実施設計に入りまして、2021年のオープンを目指して取り組みを進めているところでございます。
平泉のガイダンス施設につきましては、平泉の文化遺産が、どうしても中尊寺あるいは毛越寺といった大きな資産に来訪者が集中してしまうということがございますので、まずは平泉のガイダンス施設に足を運んでいただいて平泉の文化遺産の全体像を見ていただく、あるいは勉強していただいた上で、それぞれの各資産に足を運んでいただきたいという狙いで整備を進めているところでございます。
〇神崎浩之委員 まさにそのとおりだと思っておりますし、それに対して、県からは物すごい応援をしていただいていると感謝申し上げます。いずれ、お話になったとおり、平泉の文化遺産というと、毛越寺に行ってそれから金色堂を見て帰るという、建物を見る方が多いので、この背景というのは浄土思想ですね。その浄土思想が登録の根拠になっておりますので、それは安倍氏の流れとか藤原氏の流れとか、そうであるということを世界の皆さんに知ってから見ていただきたいということで、このガイダンス施設だということになります。
寄っていただかないとだめなのですよね。一つは、平泉町に文化遺産センターがあります。それも同じような機能だと思いますが、まず平泉町と平泉町の文化遺産センターとの連携というか、役割分担、町と打ち合わせについて、それから今言ったように、まず寄っていただいて全体を知ってから各遺産に足を運んでいだたくということが重要だと思いますけれども、この方策についてお伺いをしたいと思います。
〇中里文化振興課総括課長 平泉町との調整といいますか打ち合わせ等でございますけれども、ガイダンス施設の整備に当たりましては、世界遺産の保存ですとか活用について協議をいたします世界遺産保存活用推進協議会という組織がございますが、県と県の関係部局と市町で構成しております。その下にガイダンス部会というのを設けておりまして、それに一関市、奥州市も加えまして、ガイダンス施設の整備に当たりまして、市町の御意見をいただきながら整備を進めているところでございます。その上で、平泉町の文化遺産センターとの役割分担というのは非常に重要でございまして、そこはお互いに重複することのないように、お互いの施設に足を運んでいただけるような調整をして整備を進めていきましょうというのは当初から話をしているところでございます。
ガイダンス施設にまず足を運んでいただく方策というのは、委員おっしゃるとおり非常に重要なことでありますが、まだ明確にこのような方法でというのが見出せていない状況でございますので、これから十分に検討を進めてまいりたいと考えております。
〇名須川晋委員 それでは、できるだけ進行を早めていきたいと思います。
まず、eスポーツの普及についてということで、このたびいわて県民計画にもこの文言を載せていただきましてありがとうございました。
それで、今後、文化スポーツ部として、eスポーツを施策にどう位置づけていくのかということと、そして県の担当でございますが、具体的にはどこの担当になるのか。また、いわてeスポーツ協会というのができておりまして、今度花巻市にも支部ができる方向にありますが、そうしますと、それぞれの広域振興局でもしっかりと情報等々動きを押さえておく必要があるかと思いますが、その際は広域振興局での担当も必要になってくるのか、この辺についてお知らせください。
〇工藤参事兼スポーツ振興課総括課長 まず、eスポーツの施策の位置づけについてでございます。
ことし茨城県で開催される国民体育大会において、正式競技ということではなく、文化プログラムとして実施される予定と承知しておりますが、こういうeスポーツという名称の活動が広がりを見せていると認識しております。そういう中にあって、スポーツ庁では、現在のところ、eスポーツも含め、今後のスポーツのあり方について整理しておくことが必要であるとし、昨年11月、日本学術会議に対しまして、科学的エビデンスに基づくスポーツの価値の普及の在り方に関する審議を依頼したところでございます。県としては、こうした動向を踏まえながら、今後、eスポーツの可能性を研究してまいりたいと考えておりまして、いわて県民計画の最終案、そして岩手県スポーツ推進計画の案において盛り込んだところでございます。
次に、eスポーツの県の担当でございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、ことしの茨城国体において文化プログラムとして実施される予定でございまして、当面の対応のため窓口が必要となりますものですから、文化スポーツ部スポーツ振興課がこれを担当することとしております。
広域振興局単位の担当につきましては、国や県内等の動向を注視しながら、その必要性等の対応を研究してまいりたいと考えております。
〇名須川晋委員 スポーツ振興課はわかるのですけれども、具体的に担当というのはどういうところになるわけですか。生涯スポーツとか競技スポーツ等々あると思うのですが、もうちょっと詳細をお知らくだい。
それとあわせて、昨年12月31日、県内で初のeスポーツ公式大会が盛岡市で、YOROZU CUPと銘打たれて開催されております。
実は私も、大みそかだったのですが、盛岡市まで来まして視察をさせていただいたところでございます。その際、私が行ったのは昼前だったのですけれども、保副知事は午後からいらっしゃるということを関係者から伺っておりましたが、もし本当に見学をされたのであれば、保副知事の御感想等も伺いたいと思います。
〇工藤参事兼スポーツ振興課総括課長 県の担当の詳細ということでございますけれども、eスポーツにつきましては、国体の文化プログラムによる県代表という側面がございますので、その部分については競技スポーツの担当のほうで所管しております。そのほかに、いわゆる産業振興あるいは地域振興的な側面もございまして、そういった部分は生涯スポーツ担当のほうで所管しておりますので、生涯スポーツ担当と競技スポーツ担当が、それぞれ役割分担をしながら取り扱っていくことになると考えております。
次に、保副知事の感想についてでございます。
保副知事からは、確かに12月31日に開催されたYOROZU CUPを視察したと聞いているところでございます。その感想につきましては、端的に申し上げますと、県内においても、eスポーツの動きが盛り上がりつつあると感じたということでございました。
〇名須川晋委員 随分簡略化された感想だなと思いました。いずれ、保副知事も視察をされたということでございます。
たまたまきょうの新聞報道にもございましたが、5月5日には、陸前高田市の夢アリーナたかたで、ウイニングイレブンの岩手県代表決定戦が開かれると。5月18日はぷよぷよeスポーツ、グランツーリスモSPORTは7月6日、7日に開催されるということで、これら大会をしっかりとオブザーブして、県としてどういうバックアップ体制がとれるのか検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。
また、その反面、負の側面もございます。中毒になってゲームばっかりということもあって、過日の報道では、高校に部をつくろうとしたら学校側は後ろ向きだったということ、その気持ちも当然だと思います。これは教育委員会の範疇になるのかもしれませんけれども、そういうところにもぜひとも目を向けていただきたいと思いますが、そのバックアップ体制といいますか、つまりは、文化プログラムが茨城県で開かれるのですけれども、それに向けてどういう取り組み体制をとるのかということをもうちょっと詳しくお知らせください。
〇工藤参事兼スポーツ振興課総括課長 茨城国体の文化プログラム、全国都道府県対抗eスポーツ選手権2019 IBARAKIという名称だそうですが、これで実施される3タイトルの都道府県代表戦につきましては、県内で開催されるのは、ウイニングイレブンとぷよぷよeスポーツの2タイトルでございまして、もう一つのグランツーリスモSPORTにつきましては、宮城県で開催されると承知しております。
本県で実施される2タイトルの代表戦につきましては、既に主催者または主管団体から後援の申請や申し出を受けているところでございまして、県として後援名義の使用を承認するなど、事業をバックアップする予定としております。
そして、先ほど負の側面という御指摘がございましたが、私どもも、ゲーム依存ですとか、ゲームに長時間携わることによる弊害といった部分についても認識しております。スポーツ庁もそういったところは認識しているようでございまして、そういった意味で、eスポーツも含めて、スポーツの価値といった部分を日本学術会議に諮問しているのではないかと考えているところでございます。
〇名須川晋委員 いわてスーパーキッズについて伺いますけれども、まずスーパーキッズ第1期生の小林陵侑選手がノルディックスキージャンプワールドカップで総合優勝をいたしましたが、部長にその感想を伺いたいと思います。
〇菊池文化スポーツ部長 我が岩手県の八幡平市出身の小林選手ですので、もろ手を挙げて喜んでおります。
〇名須川晋委員 まさにそのとおりでございまして、もろ手を挙げて喜びましょう。
それで、スーパーキッズの事業の狙いがあるのですけれども、これはチラシを見ての話です。夏季オリンピック、東京オリンピックを目標に世界で活躍するトップアスリートとなる人材を発掘、育成しますということで、かなりその目標も到達してきている状況にあると思いますが、私はここにパラリンピックも入れていく必要があるのではないかと思います。特に身体障がい害の場合後天的ですから、選手の数と言えば少ないとは思いますけれども、ノーマライゼーションの観点から、意欲と素質があれば、自分もパラリンピアンとして活躍できるのだという希望を持てるのではないかと思います。対象は小学4年生、5年生となっておりますけれども、若干幅を広げながらでも、そういう素質を持った選手を発掘していくことも-文化スポーツ部は設置されてから大きく県の施策が変わったと認識していますから、そういうところにも今度目を向けて、さまざまな障がい児・者のアスリートを育成するノウハウを蓄積する意味でも、スーパーキッズにそういう子供たちをぜひとも加えてもらうのもいい機会になるのかなと思いますが、その辺の考え方についてお知らせください。
〇工藤参事兼スポーツ振興課総括課長 後天的な障がいを負う方ということでございますが、スーパーキッズ事業は、障がい児に門戸を閉ざしている事業ではございませんで、素質そして意欲があって、チャレンジワンからスリーという選考がございますけれども、その選考に合格されると受講生として認定されることになりますが、身体障がいということになりますと、現在、障がい者スポーツに十分対応した内容になっておりませんので、障がいの種類とか程度にもよりますけれども、障がい者と健常者を全く同じプログラムで育成するというのは、正直、過度の負担が生じる可能性もございまして、現実には難しい状況と今認識しております。
一方で、県では、昨年度から別事業ということで、パラリンピック等の国際大会で活躍する選手の発掘、育成事業を実施しております。岩手県障がい者スポーツ協会、それから水泳連盟等の関係団体から推薦された選手に対しまして、スポーツ医・科学の知見を有する専門家や中央講師による講義等の全体研修会や専門競技に特化した競技別の研修会を実施しているところでございます。
また、同じく昨年度からでございますが、いわて障がい者スポーツ強化選手を指定いたしまして、その選手等の遠征費等に対して支援をしているところでございます。この強化指定選手には、下は中学生から、上は一般の社会人まで含まれているところでございまして、今後も障がい者スポーツにおけるトップアスリートの発掘、育成に取り組んでまいる所存でございます。
〇名須川晋委員 それであれば、この事業の狙いには、パラリンピックを入れるのも当然だという認識と受けとめさせていただきます。
いわてアール・ブリュット魅力発信事業ということで、新年度の巡回展の内容について伺います。
続けて問いますが、アーティストの創作意欲を高めるため、また、就労支援のための工賃アップという観点からも、アール・ブリュットのプロダクトの紹介、販売も合わせて会場で行うというのも非常にいいことではないかと思いますが、それがなされているのか。なされていなければ、そういうことをやってみてはいかがでしょうか。
そして、今年度設置した障がい者芸術活動支援センターの課題が出てきたころかなと思いますが、これをもとに新年度はどう取り組むかということをあわせて伺って終わります。
〇中里文化振興課総括課長 まずはいわてアール・ブリュット魅力発信事業についてでございますが、新年度も巡回展を開催することとしておりまして、いわてアール・ブリュット巡回展を各広域振興圏4カ所で開催することとしております。来年度は、新たに巡回展と合わせて障がい者との交流の場を創出するワークショップ、また、有識者による作品解説会を開催する予定としておりまして、県民のアール・ブリュットに関する理解がさらに深められるように取り組んでまいりたいと考えております。
委員から御提案をいただきました作品あるいは商品の販売、紹介ということは、現在のところ巡回展で開催する予定はございませんが、アール・ブリュット作品の商品化とその販売というのは大変重要なことであると認識しております。今年度、障がい福祉サービス事業所の職員を対象に、障がい者アート商品化講演会を実施したところでございまして、今後、保健福祉部と連携しながら、巡回展における商品の販売の可能性、実施方法等について研究を進めてまいりたいと考えております。
次に、障がい者芸術活動支援センターにおける今年度の課題と新年度の取り組みについてでございますが、今年度の課題としましては、センターは今年度の5月の設置ということがございました。また、相談窓口につきましては、9月の開設でございまして、十分に県民の皆様に周知が行き届かなかったのかなと考えております。ですので、来年度は、今年度のセンターでの取り組みを継続しながら、障がい者芸術活動支援センターの活動に係る情報を、いわての文化情報大事典ホームページでSNSを活用して広く発信をしていきたいと考えておりますし、保健福祉部と連携して、障がい福祉サービス事業所等への周知をこれまで以上に図っていきたいと考えております。
県民の障がい者芸術活動支援センターに対する認知度の向上が図られて、支援が一層推進されるよう取り組んでまいりたいと考えます。
〇軽石義則委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午前11時54分 休 憩
午後1時3分再開
〇千葉絢子副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。
〇千田美津子委員 私は、文化芸術振興にかかわって3点、それから、いわて競技力向上事業についても通告しておりましたが、午前中に工藤勝博委員の質疑で明らかになりましたので、これはカットいたします。
私は、スポーツ振興とともに、県民の心を育むという点で文化芸術の振興は非常に大事だと考えております。そこで、県民の目指す姿として、多彩な本県の文化芸術が育まれ、人々が文化芸術に触れ、活動、鑑賞する機会がふえていること、それから、歴史遺産や伝統文化が保存、継承されていることなどが掲げられております。
この間いろいろ頑張っていただいておりますが、文化芸術振興のこれまでの到達がどのような状況にあるのかという点、それから、それに対する評価をどのようにしておられるか、まず、その点をお聞きいたします。
〇中里文化振興課総括課長 文化芸術振興にかかわる施策の進捗状況と評価についてということでございますが、県では、地域の文化芸術活動を支援するため、岩手県文化芸術コーディネーターを配置いたしまして、コーディネーターと連携して、文化芸術の発表や鑑賞の機会の拡充に取り組んでいるほか、漫画やアニメなどの新しい分野の文化芸術、そして、障がい者の文化芸術に係る活動への支援に取り組んでいるところでございます。
また、東日本大震災津波により多くの民俗芸能団体が被災いたしましたが、その活動再開に対する支援や、被災した子供たちの心の復興を図るための取り組みも行っているところでございます。
これらの施策の評価についてでございますが、県の取り組みといたしましては、指標の状況等から、政策評価としてはおおむね順調と考えているところでございます。また、県以外の県民や企業など、ほかの主体におきましても、地域における文化芸術活動を支援する取り組みや被災した民俗芸能団体の活動再開を支援する取り組み、そして、若者が主体となった取り組みなどが活発に行われておりまして、文化芸術の振興が図られているものと認識しております。
〇千田美津子委員 多岐にわたる事業が展開されて、おおむね順調という評価をされたということで、本当に頑張っていただいているなと思います。
それで、今後の課題にもかかわるのですけれども、一つ、活動再開に至った郷土芸能団体数の指標が、この間の達成度がCあるいはDという評価でありました。いろいろな事情によってなかなか回復できないという状況があったと思いますが、まず、これについてお聞きいたしたいと思います。
〇中里文化振興課総括課長 県では、被災した郷土芸能団体に対しまして、みずからの活動で必要となる施設ですとか設備を支援する取り組みを実施しております。市町村がその設備を整備する費用の全部または一部を補助する場合に、その費用を補助しておりまして、その件数を事務事業評価の指標ということで設定いたしているところでございます。
評価がCとなった点につきましては、地元の土地造成等がおくれていることから、山車収納庫等の整備を予定していたところでありますが、その整備が予定どおり行うことができなかったということで、県でも予定をした件数の補助ができなかったことによるものでございます。
被災した団体の多くは、この事業のほか、県の文化振興基金ですとか民間団体の助成なども活用しながら活動を再開しているところでございます。また、活動用具を保管する収納庫等の再建などの支援を必要としている団体はまだございますことから、今後も、県としましては、沿岸被災地における民俗芸能の保存、継承を目的とした市町村や民俗芸能団体の取り組みに対する支援を継続してまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 三つ目の通告している部分とかち合ってしまいましたが、また後でもう一度お聞きしたいと思います。
二つ目に、県民の文化芸術活動への支援に向けて、専門人材を配置するということであります。各地域における文化芸術活動支援ネットワークの充実等を図るとしておりますけれども、今までも岩手県文化芸術コーディネーターの配置とかいろいろなされたわけですが、これから配置する専門人材とは、どういう方で、何を目指しているのか、その点をお聞きしたいと思います。
〇中里文化振興課総括課長 県では、岩手県文化芸術コーディネーターのほか、昨年度から、公益財団法人岩手県文化振興事業団に、本県の特徴を生かした効果的な文化施策の企画立案を行う専門人材として、岩手県文化芸術企画調整マネージャーを配置いたしまして、文化芸術団体等と連携した文化芸術活動の支援を行うほか、県内各地域において、文化芸術を生かした地域づくりなどに取り組む人材の育成、そして、相互交流を図るためのアートマネジメント研修を開催するなど、企画調整マネージャーを中心として、本県の文化芸術のさらなる振興を図る取り組みを行っているところでございます。
〇千田美津子委員 文化芸術企画調整マネージャーということでありますが、どういう方が対象なのかお聞きします。
〇中里文化振興課総括課長 現在の文化芸術企画調整マネージャーは、県内の公立文化施設で勤務経験のある方をマネージャーとして配置いたしまして、県内の文化芸術コーディネーターとともに活動していただいているところでございます。
〇千田美津子委員 わかりました。そうしますと、この文化芸術企画調整マネージャーの活動エリアは、県内一円ということでよろしいのでしょうか。その点、もう一度お願いいたします。
〇中里文化振興課総括課長 各地域には文化芸術コーディネーターを配置しておりますので、文化芸術企画調整マネージャーにつきましては、県内全域を対象として、文化芸術コーディネーターと連携しながら文化芸術の振興に取り組んでいただくこととしております。
〇千田美津子委員 いろいろ頑張っていただいているわけですが、岩手県の文化芸術の振興という点で、震災復興の問題もあってさまざま大変なものがあると思いますが、今後の全体の課題としてはどういうことを考えておられるか、それから、次の計画に向けてどういう対応策をとられるお考えか、あわせてお伺いいたします。
〇中里文化振興課総括課長 今後の課題でございますけれども、本県の文化芸術や民俗芸能等の魅力が広く理解されるように、今年度開催されますラグビーワールドカップ2019、そして、東京オリンピック、パラリンピックを見据えて、国内外に向けた情報発信をさらに強化していく必要があると認識をしているところでございます。
また、県民が文化芸術に親しむ機会の創出は今も取り組んでいるところでございますが、さらに拡充していく必要があると考えておりまして、県だけではなく、行政だけではなく、官民一体となって本県の文化芸術活動を支える推進体制を構築する必要があると考えており、そういう取り組みを今後やっていきたいと考えております。
次期計画策定に向けてですけれども、国内外に向けた情報発信のさらなる強化につきましては、いわての文化情報大事典ホームページを多言語化いたしますとともに、現在はフェイスブックで情報発信しているところなのですが、来年度からは、ツイッター、インスタグラムも加えまして、SNSの充実を図るなど、文化芸術情報のさらなる発信力の強化に取り組みます。
また、民俗芸能等の伝統文化を保存、継承するとともに、さまざまな視点で注目されている漫画を活用するなど、国内外に向けた岩手らしい文化の魅力発信に取り組んでまいりたいと考えております。
また、先ほども申し上げましたとおり、本県の文化芸術活動を支える推進体制の構築につきましては、県内各地における文化芸術活動の促進と活発な活動が行われる環境の整備を図るため、文化芸術プログラムのさまざまな活動の企画、実施、そして、文化芸術団体等への活動支援、また、シンクタンク機能などもあわせ持つ官民連携の組織の設立といったことも、検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
〇千田美津子委員 よろしくお願いいたします。
それでは二つ目、被災地児童生徒文化芸術支援事業についてお聞きします。
これは、被災地13市町村の児童生徒に対して、文化芸術に触れる機会を提供するなどの目的だと思いますが、平成30年度事業の状況と、それから、来年度の見通し、さらには、予算が平成30年度より700万円余減額されてわずか100万円にとどまっておりまして、私はちょっと驚いたのですが、その理由についてお聞きしたいと思います。
〇中里文化振興課総括課長 被災地児童生徒文化芸術支援事業でございます。これは、沿岸被災地の児童生徒が、内陸の美術館などの文化芸術を鑑賞する際に、県でバスを手配いたしまして、鑑賞していただくという事業でございます。
今年度は、沿岸の高校7校がこの事業を利用いたしまして、主に中尊寺レクイエムコンサートですとか、県立美術館の企画展の鑑賞に利用いたしました。参加者は全部で153名となっております。
来年度、予算が大幅に減額になったということですが、この事業は今年度で3年目を迎えるところです。事業開始当初、60台ぐらいのバスを予定しまして、沿岸部から児童生徒の皆さんにどんどん内陸のほうに来ていただきたいと考えて事業を構築したところでございますが、平成28年度、平成29年度は、事業実績として90万円程度、今年度も50万円程度ということで、事業の学校への周知には努めておりますが、利用実績としては、なかなかそこまでにはならないということがございます。
この一つの要因といいますか、県では、また文化庁などの事業でもございますけれども、芸術家を学校に派遣する事業がございます。これは県内全部の学校を対象とするものと、あとは、震災復興の事業として実施しているものもございまして、内陸まで来なくとも、学校で文化芸術を鑑賞できる機会をつくっているということもございます。
また、学校行事等もさまざまあると思いますが、そんな中でも、せっかく事業をつくりましたので、ぜひ活用していただきたいと思いまして、昨年度は年1回の周知だけだったのですけれども、今年度は2回周知をいたしまして、年間を通して随時受け付けをすることに変更いたしました。来年度は、さらに回数をふやして学校には周知いたしまして、活用していただきたいと思っております。
来年度の100万円という予算につきましては、これまでの3年間の事業実績を踏まえて計上したところでございます。
〇千田美津子委員 今の御説明で大体わかりましたが、周知をしっかりして活用してもらうこともですが、必ずしも学校行事をふやすことがいいとは私も思いません。ただ、こういう支援事業があるのであれば、今まではバスの借り上げ料の支援だけだったけれども、中身を変えて、子供たちにいいものを見てもらうという観点でもう少し検討して、私は有意義に使っていただきたいと思います。特に、被災地の子供たちは傷ついている部分が非常にあると思うので、こういう支援事業は、削減というのではなくて、内容を充実して、なおかつ、子供たちにとっても先生方にとっても、いい事業になるようにしていくべきじゃないかという観点で私は御質問いたしましたが、どうでしょうか。
〇中里文化振興課総括課長 このバスを用意する事業につきましては、手元に届いたばかりなのですが、利用いただいた高校生からは、沿岸地域の生徒にとってとてもありがたい事業で、ぜひ継続をお願いしたいというアンケートの声もいただいているところでございますので、この事業も継続しつつ、委員から御提言いただきました中身を工夫した取り組みについても、今後検討してまいりたいと思います。ありがとうございます。
〇千田美津子委員 それでは、ちょっと先ほども関連した質問をしましたが、郷土芸能復興支援事業について質問したいと思います。
先ほども御紹介あったように、これは震災で被災した沿岸地域の郷土芸能団体に対する市町村が補助した場合の全額あるいは一部の負担をしているということのようであります。これについては、いろいろな事情があってなかなか予定どおりにいかなかったというのがあると思うのですが、実は内陸部でも、今、こういう郷土芸能団体を継続、維持することだけでも大変な状況にあるので、ぜひ私は、これは、市が支援したからというよりも、どういう支援が必要かということも含めて、県ももっと積極的にかかわっていくべきではないかと考えまして質問いたしておりますので、その点、お聞きしたいと思います。
〇中里文化振興課総括課長 民俗芸能団体の保存、継承につきましては、後継者不足ですとか人材育成の問題でいろいろ言われているところでございまして、県としましても、そういった問題意識を持っているところでございます。一方で、沿岸部ではかなりの民俗芸能団体が復活を遂げて、また、子供がどんどん民俗芸能団体に加入されて、衣装が間に合わなくなっているという意味で支援が欲しいというようなうれしい声も聞こえているところでございます。
文化振興基金で、被災地に限らず民俗芸能団体の衣装ですとか太鼓等の支援をするメニューもございますし、民間による支援もございますので、そういったこともどんどんPRをしながら、活用していただければと思っております。
また、来年度早々には、民俗芸能団体を担当する市町村の担当課の方々にお集まりいただきまして、問題点等を県と市町村とで共有し、これから役割分担をしながら、どういったことを進めていけばいいのかというようなことを協議する場を設けたいと考えております。そういったことで積極的に進めてまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 今、御答弁いただいたことで、そういう方向で私もいいと思います。私自身も、地元で子供大黒舞を三十数年前に立ち上げて、最初は地域の方々が生地だけは裁ったけれども、後は手縫いで衣装をつくりました。ただそれが、だんだんそういう協力者がなくなって、衣装代を工面するとか大変なことになるのですね。ですから、岩手県はすごく郷土芸能団体が私は多いと思いますので、本当に被災地を含め芸能団体を育成するということは非常に大事ですが、費用もかかるという点で、ぜひこれからも支援をお願いしたいと思います。
最後に、部長に、芸術、郷土芸能、それから文化活動は、県民にとってもすごく生きる力を与えるという部分で非常に大事だと思っているわけですが、担当部長として、郷土芸能や、そういう活動の今後のあり方も含めて御見解をお聞きできればと思っております。
〇菊池文化スポーツ部長 まさに郷土芸能、伝統芸能は地域の宝でございます。ちょっと話がずれるかもしれませんが、私が、県庁へ入って3年目に二戸地方振興局ができて、そこに赴任しました。当時は地域活性化事業というものでいろいろ取り組みを始める時期でございまして、多分地方振興局で一番最初だったと思いますけれども、郷土芸能フェスティバルを二戸市で始めて、それが二戸地区では今も続いています。その大きな意味は、着目した意味、そしてそれが育ってきている意味は、多世代にわたって地域が自分たちの宝を大事に育て、大事に継承していくという活動は、伝統芸能そのものをつなげるのはもちろん非常に価値のあるものですけれども、地域全体の活性化につながる、そして、地域の持続性につながる大事な要素だと思っておりまして、我々も限られた力の中でさまざまな支援策を用意しているところです。
先ほどの説明の中で補足をいたしますと、国の自治総合センターとかでも、同じようにこういった支援策をいっぱい用意していまして、我々は、県の事業だけではなく、先ほど言いました民間の事業やさまざまな団体の事業を、いかに市町村の、まさにかゆいところに手が届くといいますか、そういったガイドをして、誘導して使っていただくような仕事も我々の大きな仕事だと思っています。そして、市町村、そして地域が主体となって、この大事な宝をどう継承していくかを考えて取り組んでいただく、それに対して我々はしっかりとバックアップしていくというようなことで今後も取り組んでいきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
〇千葉絢子副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇柳村一委員 スポーツクライミングについてお伺いします。
平成31年度、スポーツクライミング国際大会等推進事業費が計上されていまして、それは、クライミングアジア選手権盛岡2020についての取り組みとなっていますけれども、そのクライミングアジア選手権というのはどのような大会なのか、あと、来年度の事業内容はどのようなものなのかお伺いします。
〇工藤参事兼スポーツ振興課総括課長 クライミングアジア選手権についてでございますが、クライミングアジア選手権は毎年実施されているものでございます。競技種目が3種類ございまして、ボルダリングとリードとスピードがございます。そして、4種類目として、その三つを組み合わせたコンバインドというものがございまして、この四つの種目全てを実施する大会になっております。
そして、参加選手数でございますけれども、2018年に鳥取県で実施されましたが、その際は約200名という参加者数でございました。この2020年に開催される盛岡大会につきましては、東京2020オリンピック競技大会のアジア出場枠を選考する大会に位置づけられておりまして、非常に注目度が高いと認識しております。
来年度の事業でございますけれども、来年度は、岩手県山岳協会、盛岡市、そして岩手県の3者で準備を進めることにしておりまして、これに日本山岳スポーツクライミング協会を含めた4者で実行委員会を設立する予定にしております。その実行委員会で準備を本格化するということで、実行委員会では、海外の選手、スタッフ等を受け入れるための通訳の養成あるいは輸送、宿泊対策といったものを実施する予定としておりますので、その実行委員会に対する負担金等がメーンになります。
〇柳村一委員 2月補正予算でボルダリングの施設をつくって、多分三つが同じ会場で。希望郷いわて国体のときはボルダリング会場がちょっと離れていて、お客さんが移動しなければいけなかったということで、利便性が増すとは思うのですけれども、その施設整備をどのような形でされるのかお伺いします。
〇工藤参事兼スポーツ振興課総括課長 今回整備いたしますボルダリングの施設につきましては、現在のリード施設、そしてスピード施設が建っている場所の隣接地にL字型のような形で建設を予定しております。したがいまして、観客につきましては、同じ場所に座りながら直角に体勢を変えることによって、ボルダリングの競技も見ることができますし、リード、スピードの競技も見ることができるというようなことを検討しております。
〇柳村一委員 3競技同時にはやらないわけですから、座っていて見る方向を変えるというのでしょうけれども、懸念があるのが、例えば悪天候のときとか、あと、岩手県でいうと冬季は雪が降りますよね。そういうときの施設の維持管理とか施設の使用はどのような考えでしょうか。
〇工藤参事兼スポーツ振興課総括課長 今計画しておりますボルダリング施設につきましては、半屋外のタイプでございまして、大型の屋根がついていて、その下にボルダリングの壁がついていると。それが外に向かって観客が見られるようになっているというものでございますが、その後ろ側のほうに屋内の施設を併設いたします。これは、中にボルダリングの壁があって、そこでも練習できるということを検討しておりまして、大会を行う際には、そこで出場選手が待機する場になるというような構造を検討しているところでございます。
〇柳村一委員 今は、勤労身体障がい者体育館のところにボルダリング施設があって、あと、県営運動公園のところに小さい施設が2カ所あるのですけれども、この施設ができた後のその二つの施設の活用方法はどうなのかということをお伺いします。
〇工藤参事兼スポーツ振興課総括課長 現在、勤労身体障がい者体育館にはボルダリングの施設はございませんで、ジャパンカップを行った際は、あそこに仮設で設置をしたということになります。現在ございますボルダリング施設は、運動公園の中に中型の施設と非常に小規模な施設の二つでございます。今度新しくボルダリング施設を整備した際には、そちらのほうは、どちらかというと初級者の方々に御利用いただくような形になるのではないかと。これから管理者のスポーツ振興事業団とも相談しながらになりますけれども、そういうことを考えているところでございます。
〇柳村一委員 ボルダリングは伊藤ふたば選手の活躍で結構脚光を浴びているのですけれども、スピードという競技は、突起物を手で持って上っているのは世界共通なので、その施設があればあるだけ、そこで練習すればするだけ選手の育成になると思うのです。きちんと三つ施設がそろっているところは、先ほどお伺いした3カ所しかないということですので、岩手県の優位性が出ると思うのですけれども、選手の育成に関する今後の県の考え方はいかがでしょうか。
〇工藤参事兼スポーツ振興課総括課長 御指摘のとおり、スピード、リード、ボルダリングと3種類の施設がそろっている公の施設につきましては、鳥取県と愛媛県と岩手県ということで3カ所になります。あとは、民間の事業目的あるいは学校の中にあるというような施設がございますけれども、そういうことからすると極めて希少な施設でございます。
そして、この施設は、全体としてJOCの認定する競技別強化センターと認定されております。こういった優位性を生かしまして、今後は、全国レベルあるいは国際レベルの合宿ですとか大会を誘致していこうと考えております。それが施設の活用にもなりますし、県内の若手選手の競技力向上にもつながると考えているところでございます。
〇千葉絢子副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇千葉絢子副委員長 質疑がないようでありますので、これで文化スポーツ部関係の質疑を終わります。
文化スポーツ部の皆さんは退席されて結構です。お疲れさまでした。
次に、教育長に教育委員会関係の説明を求めます。
〇高橋教育長 教育委員会関係の平成31年度岩手県一般会計予算等について御説明申し上げます。
初めに、教育委員会における当初予算編成に当たっての基本的な考え方等についてでありますが、教育委員会におきましては、今議会に提案されている新しいいわて県民計画や現在策定に取り組んでおります教育振興計画に基づき、大震災からの教育の復興と学校教育・社会教育等の充実の二つを大きな柱として、人を育む教育は社会形成の礎であるという認識に立って、現下の課題に対応しつつ、中長期的な展望も見据えながら、学校教育の充実や社会教育の推進などに取り組んでいく考えであります。
平成31年度においては、特に学びの場の復興と、その先を見据えた教育の充実に取り組むとともに、地域産業を支える人材の育成や、新たな県立高等学校再編計画の推進などの重要課題に積極的に取り組んでまいります。
全体的な方針につきましては、本定例会の招集日、2月13日に行わせていただいた教育長演述で申し上げたとおりでございますので、早速ではございますが、一般会計予算の歳出予算について、資料に沿って御説明申し上げます。
お手元の議案その1の8ページをお開き願います。教育委員会が所管する予算の合計額は、10款教育費の1、504億230万円余のうち、政策地域部が所管する1項教育総務費の一部と、下のページ、9ページの一番上の8項大学費と9項私立学校費を除いた1、397億138万円余に、次の、11款災害復旧費5項教育施設災害復旧費の12億8、048万円余を加えた総額1、409億8、186万円余であります。これを平成30年度当初予算額と比較いたしますと13億5、941万円余の減、率にして1.0%の減となっております。
以下、予算の内容につきまして、便宜、お手元の予算に関する説明書により御説明申し上げます。
なお、金額の読み上げにつきましては省略させていただき、主な事業の内容を中心に御説明申し上げますので、御了承をお願いいたします。
予算に関する説明書の215ページをお開き願います。10款教育費1項教育総務費1目教育委員会費は、教育委員会の運営に要する経費であります。2目事務局費は、事務局の管理運営等に要する経費であり、説明欄六つ目の被災児童生徒就学援助事業費補助は、大震災により経済的理由から就学が困難となった小中学校の児童生徒を対象として、市町村が行う就学援助事業に対して補助しようとするものであります。一つ飛びまして、いわての学び希望基金奨学金給付事業費は、大震災津波により遺児、孤児となった児童生徒等に対して、大学院終了時までの就学に応じて奨学金を給付するものであり、次の、いわての学び希望基金大学等進学支援一時金給付事業費は、大震災津波により被災した低所得世帯の高校生等に対して、大学等への進学に伴い必要となる費用等を一時金として給付し、経済的な理由により進学を断念することのないように引き続き支援しようとするものであります。次のページ、216ページをお開きいただきまして、3目教職員人事費は、教職員の健康診断など人事管理に要する経費や学校事務補助非常勤職員、部活動指導員の配置など、教員の勤務負担軽減を図るための経費のほか、児童手当、退職手当等に要する経費であります。下のページ、217ページに参りまして、4目教育指導費は、被災した幼児児童生徒の心のサポートや学校教育に係るソフト事業に要する経費であり、教育委員会分の説明欄五つ目の児童生徒健全育成推進費は、幼児児童生徒の心のサポートや教育相談体制の充実を図るため、全ての公立学校でスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーを活用できるようにするための経費や、復興・創生期間後の相談体制のあり方の検討や、学校支援の充実を図るための経費であります。あわせて、いじめ等に悩む児童生徒及び保護者の電話相談の実施や不登校の未然防止、初期対応の学校体制づくり等の調査研究に取り組む経費も計上いたしております。二つ飛びまして、いわて教育情報ネットワーク整備費は、急速なICT技術の進展に対応するため、県立学校におけるICT機器を活用できるネットワーク環境等の整備を行うものであり、その下、特別支援教育推進事業費は、いわて特別支援教育推進プランに基づき、障がいのある児童生徒が充実した学校生活を過ごすことができるよう支援員や看護師を配置するほか、特別支援学校高等部生徒等の実習先や就労先の拡大を図るため、職業指導支援員の配置や特別支援学校技能認定会の実施など、地元企業と連携した雇用の支援体制の充実を推進するための経費であります。一つ飛びまして、いわて地域担い手育成支援事業費は、生徒が郷土に愛着や誇りを持ち、社会人、職業人としての自立や本県の特色ある産業、文化を担う人材を育成するため、学校の実践的な教育活動などの取り組みに要する経費であり、次の、いわて進学支援ネットワーク事業費は、生徒一人一人の進路希望の達成を支援し、将来の岩手を支える人材を育成するため、進学対策講座の開催や各学校における進学指導の取り組みに要する経費でありますが、2021年度入試から導入される新たな大学入学共通テストに対応するため、本年度において、高校1年生を対象として実施した大学入試対策講座を、来年度においては学年進行を踏まえ、その対象を高校2年生まで拡大し、進学指導の強化を図ろうとするものであります。その下の大学入学者選抜改革対策事業費は、大学入学共通テストの導入に向けた教員の指導力向上等に要する経費であり、二つ飛びまして、いわての地域国際化人材育成事業費は、イングリッシュキャンプの実施や、英語能力測定テストの活用などを通じたグローバル人材の育成に要する経費であります。一つ飛びまして、小中高をつなぐ子どもの学びの履歴構築事業費は、新たな社会を創造し、本県の未来を牽引する人材を育成するため、いわて県民計画最終案における学びの改革プロジェクトに要する経費でありますが、これは、小中学校の児童生徒を対象とした学習定着度に関する調査や、小中高の学力、学習状況に関する連結データの整備、分析に向けた研究等を行い、子供たちの確かな学力を育成するための体制を構築しようとするものであり、三つ飛びまして、県立学校復興担い手育成支援事業費は、沿岸地域の高校生を対象としたキャリア教育や進学支援講座等を実施し、生徒一人一人の進路の実現を支援しようとするものであります。一つ飛びまして、いわての復興教育推進事業費は、大震災津波から8年が経過し、記憶の風化への懸念や、さらなる復興教育の充実に期待する声など、さまざまな変化や動きが出てきていること等を踏まえ、現在見直しを進めております復興教育プログラムの改訂版に基づき、新たな副読本を作成し、その活用対象を高校や特別支援学校高等部まで拡大して、いわての復興教育を一層推進しようとするものであります。次の218ページをお開きいただきまして、5目教育センター費は、教職員の研修などに要する経費のほか、総合教育センターの管理運営に要する経費であり、6目恩給及び退職年金費は、恩給及び扶助料等であります。
下のページ、219ページに参りまして、2項小学校費1目教職員費は、小学校教職員の人件費、旅費等でありますが、少人数学級については、来年度は35人学級を小学校6年生にも拡大し、小中学校全学年への少人数学級の導入を図ることといたしております。説明欄二つ目のすこやかサポート推進事業費は、児童の基本的な生活習慣の定着と基礎学力の向上を図るための非常勤講師の配置に要する経費であります。
次のページ、220ページをお開きいただきまして、3項中学校費1目教職員費は、中学校教職員の人件費、旅費等のほか、生徒指導や学習定着度状況調査等で課題のある学校をサポートするための非常勤講師等の配置に要する経費であり、次の、2目学校管理費は、県立一関第一高等学校附属中学校の管理運営に要する経費であります。
下のページ、221ページに参りまして、4項高等学校費1目高等学校総務費は、高等学校教職員の人件費、旅費等でありますが、説明欄三つ目の高等学校教育改革推進費は、新たな県立高等学校再編計画に基づく前期プランの推進や、後期プランの策定に向けた取り組みに要する経費であります。2目全日制高等学校管理費及び次のページ、222ページの3目定時制高等学校管理費は、それぞれの学校の管理運営等に要する経費であります。下のページ、223ページに参りまして、4目教育振興費は、高等学校における教育用備品の整備や、工業、農業及び水産業教育等の実験実習に要する経費のほか、説明欄中ほどの高校奨学事業費補助は、高校生向けの奨学資金の貸与に要する経費の一部を公益財団法人岩手育英奨学会に対し補助するものであります。三つ飛びまして、いわての学び希望基金教科書購入費等給付事業費は、大震災津波で被災した高校生等に対して学校生活で必要な経費を給付するものであり、次の、公立高等学校等就学支援金交付事業費及び次の奨学のための給付金支給事業費は、保護者の経済的負担の軽減を図り、高校生の就学の機会を確保するため、公立高等学校の授業料相当分の支援や、低所得者世帯への授業料以外の教育費の給付を行おうとするものであります。一つ飛びまして、被災地域県立学校産業教育設備等整備費は、被災した沿岸地域の県立高等学校の産業教育設備や部活動設備を整備し、教育活動の充実を図ろうとするものであります。5目学校建設費は、高等学校の校舎、教職員住宅等の整備、維持管理に要する経費でありますが、一つ目の校舎建設事業費は、久慈高等学校、福岡工業高等学校及び伊保内高等学校の校舎耐震改築工事等を行おうとするものであり、次の校地整備事業費は、千厩高等学校及び久慈高等学校のグラウンド整備等に要する経費であります。その下の校舎大規模改造事業費は、老朽化した校舎の大規模改修や保健室等への冷房設備の整備、指定避難所となっている屋内運動場等のトイレ洋式化への改修等に要する経費でありますが、本年度の2月補正予算において、近年の夏の猛暑対策として、特別支援学校等への冷房設備の整備に要する経費を計上させていただいたところでありますが、当初予算においては、高等学校の保健室、夏季課外学習室で未整備となっている学校の整備に取り組もうとするものであります。次のページ、224ページに参りまして、6目通信教育費は、通信教育の管理運営に要する経費であります。
下のページ、225ページに参りまして、5項特別支援学校費1目特別支援学校費は、特別支援学校の管理運営に要する経費であり、説明欄三つ目の施設整備費は、老朽化した特別支援学校の校舎等の改修や県立釜石祥雲支援学校の移転整備に係る設計等に要する経費であります。
次に、227ページをお開き願います。6項社会教育費1目社会教育総務費は、社会教育関係職員の人件費のほか、学校、家庭、地域等の連携のもとに、地域の教育課題の解決に自主的に取り組む教育振興運動の推進や、青少年の家の管理運営等に要する経費であり、説明欄下から二つ目の学びを通じた被災地の地域コミュニティ再生支援事業費は、子供を中心とした地域活動及び地域住民の学習や交流の機会を通じた地域コミュニティーの再生支援に要する経費であります。次のページ、228ページをお開き願います。2目文化財保護費のうち、説明欄二つ目の文化財保護推進費は、指定文化財の保存、修理への補助等に要する経費であり、一つ飛びまして、柳之御所遺跡整備調査事業費は、柳之御所遺跡の発掘調査及び史跡公園の整備等に要する経費であります。3目芸術文化振興費は、中高校生の芸術文化活動への支援に要する経費であり、説明欄一番下のいわての学び希望基金被災地児童生徒文化活動支援費補助は、被災した児童生徒の文化活動の大会への参加に要する経費を補助しようとするものであります。4目図書館費及び下のページ、229ページに参りまして、5目博物館費及び6目美術館費については、それぞれ県立図書館、県立博物館及び県立美術館の管理運営等に要する経費であります。
次に、231ページをお開き願います。7項保健体育費1目保健体育総務費は、保健体育関係職員の人件費のほか、県立学校医や児童生徒の検診、その他保健管理等に要する経費であり、説明欄一番下の指導運営費は教職員の研修に要する経費であります。2目体育振興費は、生涯スポーツの推進、児童生徒の体力、運動能力の向上対策に要する経費等であり、説明欄三つ目の児童生徒の体力向上推進事業費は、希望郷いわて元気・体力アップ60運動をキャッチフレーズに、幼児児童生徒が運動習慣を身につけるための環境づくりを推進しようとするものであり、その下のオリンピック・パラリンピック教育推進事業費は、オリンピック、パラリンピックへの興味、関心を高め、スポーツを通じて国際、異文化理解、共生社会への理解等を深めるため、オリンピアン、パラリンピアンを学校へ派遣しようとするものであります。
次のページ、232ページをお開きいただきまして、説明欄下から三つ目のいわての学び希望基金被災地生徒運動部活動支援事業費は、被災した生徒に対して、運動部活動の県大会や東北大会等への参加に要する経費を補助するとともに、学校体育施設の活用に制約を受けている沿岸の中学校、高等学校の運動部活動の機会を確保するため、内陸部の体育施設へ生徒たちが移動するためのバスの借り上げ等に要する経費を支援しようとするものであります。その下の全国高等学校総合体育大会岩手県実行委員会負担金は、2020年度に本県で開催されるインターハイ3競技、卓球、ハンドボール、ボクシング競技の開催準備組織である県実行委員会への負担金であります。
次に、ページを飛んでいただきまして、242ページをお開き願います。11款災害復旧費5項教育施設災害復旧費1目学校施設災害復旧費は、高田高等学校の第一グラウンド等の復旧工事など、県立学校施設の災害復旧に要する経費であり、次の、2目体育施設災害復旧費は、県立野外活動センターの移転復旧工事に係る用地造成及び管理宿泊棟などの建設工事に要する経費であります。
次に、債務負担行為について御説明いたします。
議案その1にお戻りいただきまして、14ページをお開き願います。第2表債務負担行為の表中、教育委員会関係のものは、事項欄58のいわて教育情報ネットワーク整備から事項欄62の体育施設災害復旧事業までの5件であり、その内容は、いわて教育情報ネットワークの整備や県立学校の校舎耐震改築工事、県立野外活動センター災害復旧工事等に要するものであり、期間及び限度額を定めて債務を負担しようとするものであります。
以上が当初予算の概要についてでありますが、あわせて、2020年度からの新学習指導要領の実施に向けた対応や、県民の皆様からの教育に対する信頼の確保に向け、教職員の服務規律の確保などにも引き続き取り組んでいく考えであります。
続きまして、予算に関連する議案について御説明申し上げます。
議案その2の155ページをお開き願います。議案第65号青少年の家条例の一部を改正する条例についてでありますが、この条例案は、消費税法等の改正による税率の引き上げに伴い、青少年の家の附属施設の使用料の額及び岩手県立県北青少年の家の附属施設であるスケート場の利用料金の上限額を、消費税率の引き上げ分相当額を加算した額に引き上げようとするものであります。
なお、施行期日については、消費税の引き上げ時期に合わせ、平成31年10月1日から施行しようとするものであります。
私からの説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
〇千葉絢子副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇伊藤勢至委員 大きく2点についてお伺いしたいと思います。
まず、第1番目は岩手県立博物館についてでありますが、伺えば40年を迎えるそうであります。今度、元号も変わることでもありますし、これまでの岩手県に対する効果といったものもどうだったかあわせて伺いたいのですが、その前に、そもそもこの県立博物館設立の趣意はどこにあったのか。それと、これまでの運営状況、そして、リニューアルをするとなればどういうことを考えていかれるのか、まずお伺いしたいと思います。
〇鎌田文化財課長 岩手県立博物館の運営についてでありますが、岩手県立博物館は、自然史や文化史の面から岩手の魅力や価値などを発信する施設として、40年近く県民の皆様に岩手の文化と自然の状況を見ていただいたところであります。本県の観光資源としての機能も求められておりまして、県内外の広い世代の方々を積極的に呼び込む取り組みが必要であると考えており、企画展の充実やさまざまなイベントの開催などにより、この誘客に努めているところであります。
昨年度の来館者について申し上げますと、県立博物館においては、平成17年度以来、12年ぶりに5万人を超え、来館者のアンケート結果でも高い評価をいただいたところであります。
次に、リニューアルのことについてでありますが、委員御指摘のとおり、昭和55年10月に県立博物館が開館して以来、再来年で40周年を迎えることとなります。
これまで部分的なリニューアルは実施しておりまして、平成9年度には、特別展示室と隣接してハイビジョン室を設置するとともに、平成13年度には、1階の近代美術展示室の跡地に自然史展示室の新設、1階から2階までの階段に、モシリュウと同系統であります大型恐竜マメンキサウルスの骨格標本を展示するなど、博物館の魅力づくりに努めてきたところであります。
なお、総合展示室につきましては、基本的に開館以来の展示内容となっておりますが、部門ごとに収蔵資料による展示がえや動物や鳥の骨格標本の剥製などのトピック展示など積極的に展示活動を行いまして、来館者が繰り返し見たくなる展示になるよう、日ごろから取り組みの工夫を進めているところであります。
施設面としては、老朽化対策として、必要に応じ細かなメンテナンスに努めておりまして、開館40周年を前に、施設整備のあり方等も含め、博物館と情報を共有しながら検討してまいりたいと考えております。
〇伊藤勢至委員 先だって久しぶりにぐるっと回ってきたのですが、博物館に入ってすぐのアイキャッチャー、これはずっと変わっておりませんでした。つまりは、東和町の成島毘沙門堂の毘沙門天の立像ですね。これが一木造約4.5メートル、一木造としては県内最大と。そのほかにも何体か兜跋毘沙門天がありまして、それを左に入っていくと恐竜の骨の化石等があって、縄文時代の部分があって、弥生時代があって、ずっと流れてきて、若干は変わっているのですが、総体的には、私とすれば、私見なのですけれども、パンチがないといいますか、引きつけられるものがないというか、そう感じてきたところであります。特に、アイキャッチャーたる兜跋毘沙門天につきましては、前にもお話をしたことがありますが、これは12方位に分けた際の東北を守る神様というか、十二神将の中の一つで、持国天とか増長天とか十二天があるわけですが、兜跋毘沙門天は東北の方角を守る。
この東北というのはどこから見ての東北かと言いますと、平安時代から京都から見ての東北の方角、表鬼門なのです。したがいまして、作品的には立派なのかもしれませんが、これは京都から見たときに、俺たちの影響範囲はここまでだよという仏像なのだという理解をするべきだと思っています。その仏像の背中、つまり、盛岡も含めて久慈、県北のほうはまつろわぬものども、蝦夷と思っているのです。そういうものをありがたがってあそこに立てるというのは、私はちょっと違うのじゃないかと。仏像に対する理解が少ないのではないか。負け犬根性をさらしているようなものだと思っています。表鬼門なのです、向こうから見て。だから、そこまでが我々の京都の影響範囲だという意味なのです。
私はこれまで、我が東北、岩手は、中央に対して5連敗だと言ってまいりました。これはその時々の歴史でしようがないことですが、そういうものを我々の悔しさに変えて、今に見ていろ、負けてたまるかという気持ちを持たなければ、岩手県はファイティングポーズがとれないのだと思うのです。そういう点に対してお考えになったことがありますか。
〇鎌田文化財課長 博物館の展示内容につきましては、将来、大規模なリニューアルが行われることが期待されるわけですが、まだ具体的な形では構想は立ってはいません。ただ、今後の県立博物館のあり方としては、岩手の自然と文化が岩手そのもの、岩手の独自性というものがどのように表現できるかということを十分に考えて、縄文時代から奥州藤原氏の時代、そして九戸政実を生んだ戦国時代や盛岡藩の時代、そして原敬を生んだ近代、この連綿たる岩手の長い歴史の中で、多くの人材を輩出してきた背景となるものを系統立てて、さまざまな部門から表現して、皆様にお伝えしていくということが大事ではないかと考えております。
〇伊藤勢至委員 今あなたがおっしゃった中で、アテルイあるいは安倍一族、藤原三代、それから九戸政実、そして戊辰戦争、戦国時代を含めてこういった一連の事変といいますか、トータルで言えることは、我々岩手県人は関東、関西に攻めたことは一度もないのです。向こうの覇権主義で攻めてきて、数が多いから残念ながら破れたということです。特に、平泉藤原三代については、亡くなりましたが哲学者の梅原猛が、宮沢賢治は決して人をくさしたことがない人であるけれども、源頼朝を大盗人と言ってくさしていると指摘しているのです。これは藤原三代の文化を盗んだ大盗人ということです。そういう気持ちを我々は心の中に持っていなければいけないと思います。
九戸政実も、たった5、000人で6万5、000人を迎え撃ちましたが、自分は首を切られてもいいから、城にこもっている5、000人は助けてくれと言って投降したのですが、結局、全員が首をはねられたのです。そういう部分の表記が県立博物館にさっぱりないです。
なぜ引きつけられるというか、パンチがあるかということは、血で血を争った歴史をあらわしてこそ引きつけられるものがあって、奮起しようという気持ちが起こってくるのだと思いますよ。そう思いませんか。
〇鎌田文化財課長 委員御指摘のとおり、やはり岩手の先人の方々の精神、たとえ戦いに敗れたとしても、先人たちの精神、岩手の精神というのは岩手県の、我々も含めて人々の中に生きていると感じておりまして、今後も大規模な展示がえというのは難しい状況ではありますが、少しずつ各部門あるいは歴史の各時代ごとに、そのような岩手の独自性や岩手の高い文化、あるいはそれぞれの先人たちの志のようなものを表現するような展示を考えていきたいと思いますし、あるいは年3回から4回、博物館独自のテーマ展、企画展を開催しておりますので、その際に、委員御指摘のような考えを反映させるように検討してまいりたいと考えております。
〇伊藤勢至委員 私は兜跋毘沙門天は悪くはないと思っています。ただ問題は、兜跋毘沙門天の足元を見てほしいのです。地天と言いまして、地天が兜跋毘沙門天を支えているのです。逆から見れば、兜跋毘沙門天に踏んづけられているのです。その踏んづけられているほうが岩手県だという思いを、なぜしないのでしょうね。兜跋毘沙門天はそういう神様なのです。我々を踏んづけているのをアイキャッチャーとして置くのだったら、私はアテルイを置いたほうがいいと思います。
アテルイ没後1、200年祭か何かを、三、四年前にやりましたね。アテルイを置いて-実は40年ぐらい前に、フランスのルーブル美術館からモナリザの絵が東京国立博物館に来たときがあるのです。半年ぐらいの陳列をしました。見には行けませんでしたけれども、相当反響があったようでして、私はそのポスターの下に書いてあった、ここに電話するとモナリザの声を聞けますよというのに電話をかけました。そしたら、ウィ、ボンジュール何とかかんとかって、フランス語らしいのが10円で30秒聞けた。あれは骨相学的に声まで推定ができるのだそうです。ですから、アテルイを置いて、骨相学的に、城内委員よりもごっつくなるかもしれませんが、我こそはアテルイじゃみたいなのをやったほうが、私は若い人に受けると思うし、そういう精神的な部分も含めて、負けてたまるか、ネバー・ギブアップ、中央にむしろ攻めていくぞという気持ちを植えつけるためにも、兜跋毘沙門天をやめてアテルイでいくべきだと思うのですが、私は専門家ではないので、これは答弁は求めないことにします。でも、そういう考え方を持ってほしいと思います。
それから、私らしくない質問を一ついたします。
実は3年前に、宮古短期大学の先生から、岩手の復興状況を学生たちに説明してもらいたいということで、喜んでお受けして説明をしてまいりました。宮古-室蘭フェリーが就航すること、三陸沿岸道路、宮古盛岡横断道路、その他もろもろ説明をしてまいりました。学生たちからも若干の質問がありましてお答えはしましたが、その後、先生と2人で御苦労会の夕食をしました。
その中で、先生が私に、伊藤さん、今の男子学生は元気がないのですと、こう言われました。どうしましたかと。私に、つまり先生に、女子学生をどういうときに、どういうところにデートに誘ったらいいのでしょうかと、学生が聞いてくるという。ああ、そうなんですかと一旦は言いましたが、これは大変な問題だなと。
つまり、その学生たちというのは、多分、純真な真面目な人だと思うのですが、もう卒業してしまいましたから言ってしまいますけれども、皆さんは結婚がなければ当然子供ができないと。そういう点、i-サポから入っていくわけです。出会いをつくって、それから交際があって、結婚して、子供が生まれる。ところがこの話というのは、男子学生が委縮をしてしまっているのじゃないかと。つまり、いろんなセクハラ、パワハラといったもので萎縮をしているのじゃないかという話に私は聞いたのです。だとすると、出会いの前の、もう一歩前の大事な点からまさに元気がなくなっている。これは学校教育、その前の家庭教育、社会教育、いろんな教育があると思うのですが、どこでどうなるという簡単な話ではないと思うのです。草食系だとか肉食系だとか、そういう話は置いておいて、伴侶を求めようとする行動というのをとめるようなことがあってはいけないと思うのですが、どの部局でしゃべろうか迷って、誰に聞いたらわからなくてここまで来てしまいましたので、いろんなことの経験があるはずの教育長に、どうだこうだの答えを求めているのではないです。どうしていこうか、こうしていこうかをみんなで考えなければならない問題だと思いますので、答えを聞くのではありませんが、そういう若い学生もいるよと、これをどうにかみんなで対応していかなければならないと思うのですが、どのようにお考えでしょうか。
〇高橋教育長 大変幅の広い御質問をいただきました。これからの社会を担っていく人材を育成していくというのは、これはもう、学校教育のみならず、社会全体での役割というのはあると思っています。ただいま委員から御案内のありました、例えば一つ例を挙げて結婚問題のお話がございましたけれども、いろんな経験をすることによって自然に、そしてまた自分と、そして相手側の気持ちを酌み、多くの皆さんと触れ合いを通じながら、その中でいいパートナーが見つかっていくということ、いろんな経験をすることによって身につけていくことが大事かなと、今お話を聞きながら感じさせていただきました。
今、少子化がどんどん進んできている中で、かつては兄弟も多かったですし、兄弟の中でもまれて、兄貴、お姉ちゃんに勝っていこうとか、それから、それぞれの地域では餓鬼大将がいて、その人はいろいろ厳しく鍛えてやるのですけれども、見る側にとってみればいじめられているという思いを持ったと思います。その人を越えようという、人と人との交流によって人間性を高めていったということがあると。ただ、時代が違いますので、その時代に合った子供たちの育成というのは必要だと思っております。できる限り、学校教育において、社会の変化を見据えながら、自立できるような子供たちに、地域の力も借りながら育てていくことが一番大事なことではないか。そういう人間形成を通じながら、結婚もそうですし、それから社会人として仕事についてもそれを続けていく、仕事にやりがいを感じるとか、全体的な人間性を高めていくというのは、学校を卒業しても、その後、社会でまた成長していくということが大事だと思っておりまして、そういう考え方を教員からの教育ということもありますけれども、地域の皆さんからの力もお借りしながら、そして産業界の皆さんの経験等も子供たちに伝えながら、そういうことで、子供たち自身がみずから考えていくということを通じながら成長していくのかなと、そういうことを学校教育でしっかりと支えていくことが大事だと思っております。
〇伊藤勢至委員 よろしくお願いします。
〇臼澤勉委員 それでは、私からは高等学校教育改革推進費についてお伺いいたします。
ことしも県内の約1万1、000人を超える子供たちが、中学校を卒業して高校を受験されたと。合格発表もございましたが、約8、000人を超える生徒が県立高校に合格されるという状況でございます。それでまず初めに、基本的な考え方をお伺いさせていただきたいと思います。
募集定員を一定程度上回る高校について、例えば過去の受験状況とかを配慮しながら、学級減に補正をかけるとかしながら、一定の調整を図ってはどうなのかと私は思うのですけれども、まず基本的な考え方、御所見をお伺いいたします。
〇藤澤高校改革課長 学級数調整等のお尋ねてございますけれども、まず最初に、現在の新たな県立高等学校再編計画の考え方でございますが、現在の計画は、本県の児童生徒数が減少していく中で、望ましい学校規模の確保による学びの質の保証と、それから本県の地理的条件等を踏まえた学びの機会の保障というところを柱としておりますけれども、策定に当たりましては、学級減であったり統合などの対象を、市町村等からの要望とか、県民の皆様からの御意見もいただいた上で策定したものでございます。
再編計画の考え方としましては、県内の九つのブロックを単位として調整を行うこととしておりまして、ブロック単位で中学校卒業予定者数、各高校への進学者数などをもとに必要な学級数を算定いたしまして、具体的な再編プログラムをお示ししたところでございます。
比較的定員が充足している盛岡ブロックにおいても、中学校卒業予定者数が再編計画策定時の推計どおりに減少していることで、平成31年度については計画どおり募集学級減をしたところでございます。
適切な教育環境を整備していくという観点からは、再編計画を着実に推進していくことが重要と思っておりますけれども、前期再編プログラムにおいても、各地におけるふるさと振興の取り組みであるとか、ブロック内の中学校卒業予定者数の状況、各校の入学者の状況等を十分見きわめながら計画を進めていくということにしておりまして、平成32年度の学級編制においても、丁寧な意見交換をしながら進めてまいりたいと思っております。
〇臼澤勉委員 特に盛岡ブロックにおいて、大学進学を重視しているような学級型の高校で、毎年、夢がかなわない100人以上を超える子供たちが、なかなか希望どおりの学校に入れないという状況が続いていると。そういう中で、一律にクラスを減らしているところも、そこは基本的に考え方はわかるのですけれども、今生徒たちあるいは親御さんたちも、ちょっと高いレベルで大学進学を目指して頑張っていきたいというニーズが現実に若干ございますので、そういったところは丁寧に考えて様子を見ていくことが必要なのかなと思います。
それでお伺いしますが、県立高校と私立高校における募集学級数のあり方について、県教育委員会としてどのようにお考えかお伺いいたします。
〇藤澤高校改革課長 県立高校と市立、私立高校における募集学級のあり方についてでございますけれども、県立高校の再編計画の作成に当たりましては、先ほど申し上げましたように、各地域の首長や教育長、代表者の方々と意見交換をしたところでございますし、さらに私立高校の関係者の皆様方と、今後の中学校卒業予定者数の推移であるとか、公立高校、私立高校の募集定員割合の状況等の情報交換にも努めたところでございます。
私立高校につきましては、それぞれの学校法人の建学の精神、教育理念に基づいて設置されて、特色ある教育活動が展開されているものと承知しておりますけれども、本県の高校教育は、公立の県立高校それから市立高校、さらには私立高校がそれぞれ個性や特徴を発揮しながら、子供たちや保護者の皆様の期待に応えているものと考えております。
今後の計画策定に当たりましても、県立高校それから私立高校、市立高校それぞれの入学者の状況等を見きわめながら、学級数調整の見通しなどについて考えてまいりたいと思いますし、常々、盛岡市教育委員会あるいは私立高校との連携を図りながら、計画策定あるいは高校教育の充実に努めてまいりたいと思っております。
〇臼澤勉委員 新たな県立高校再編計画の中に、魅力ある高校づくりに向けてということで、大きな方向性が記述されております。生徒の希望する進路の実現、自己実現ができる高校を目指していくのだという大きな基本的な考え方があろうかと思います。基本的には、高校受験というのは単独選抜みたいな形になっていると思いますが、兵庫県では、第2志望の高校まで選んで、複数志願制度という受験の仕方に取り組んでおります。一応第1希望と第2希望をエントリーしながら、あるいは第1希望のみをエントリーする方もいますし、第2希望までを選択して、そして複数志願制度で自分の行きたい高校を実現させていくような枠組みみたいなのをやっているところもございますので、ここは答弁は求めませんが、ぜひそういったところもいろいろ調査研究をしていただきながら、子供たちの希望する、なるべくならここの学校で学びたいのだというところに近づけるような環境整備を整えていただきたいと思います。
それで教育長にお伺いいたしますが、教育長は、岩手だからこそできる、やるべき教育というものを常々お話しされておりますが、教育長が考える岩手だからこそできる、やるべき教育、これを具体的に高等学校の教育あるいは再編においてどう考えているのかお伺いいたします。
〇高橋教育長 岩手だからこそできる教育、やるべき教育、この思いについては、以前、一般質問の中で佐々木朋和委員から御質問もいただきましたけれども、今高校再編計画を推進している中で、それぞれの地域の皆様方から、この高校教育を岩手県、これだけの県土を有するところにおいて学ぶ機会をしっかり保障してほしいという強い思いがありました。
また、岩手の魅力というのは、それぞれの地域に産業でありますとか生活でありますとか、漁村集落それから中山間地それから農業集落、都市部とか、いろんな生き方がこの岩手の中にあり、そういうところで生活することによって、この岩手の魅力というのは出てきていると。そういう中で、学校教育の役割というのは極めて大きいと常々感じておりまして、しっかり取り組む必要があるという思いもございます。
あと一方では、岩手に今後移住等をどんどん進めていく場合にあって、岩手に来るからこそ、岩手の教育に触れることによって人間的な成長を図っていくという姿を学校教育は目指していかなければならないと。そしてまた、岩手に生まれ育った子供たちがしっかり岩手の中で教育を受けて成長していくという思いを、この二つの言葉に込めたところでございます。
具体的な推進に当たりましては、いろんな皆さんとの意見交換、合意形成が必要だと思っておりますので、しっかりたたき台というものを我々のほうから示しながら、そこで積極的な意見交換をして合意形成を図っていくことが大事だと感じております。
〇臼澤勉委員 県外の生徒も岩手に来て学びたくなるような学校をぜひつくっていただきたいと思うのです。
それで、私は岩手だからこそできる、やるべき教育という大きな環境の変化を次のILC誘致と絡めて、ぜひ理数科、県内でも盛岡あるいは一関の学校で理数科を設置しているところもございますが、改めてILCを見据えて強化していく必要性があると思いますし、例えば今もスーパーサイエンスハイスクール-SSHの事業を実施している学校が県内にございます。今、理数科がないSSHをやっているような学校にも新たに理数科を設置しながら、理数系のトップレベルの人材輩出に向けて少し整えていく。あるいは高大接続連携、大学との連携も見据えて取り組んでいく必要があるのではないかと思うのですけれども、御所見をお伺いいたします。
〇藤澤高校改革課長 理数教育の充実ということでございますけれども、大変重要なことだと思っております。現在、ILCを見据えた人材育成ということに関しましては、現行それから次期学習指導要領の柱に理数教育の充実がうたわれておりまして、本県高等学校におきましても、探究的な学習の取り組みや科学的手法や分析を用いた課題研究の実践などを通して、科学技術人材の育成に取り組んでおります。
また、科学ILC推進室が行っている未来のILCを担う人材育成事業では、県立高校6校が指定を受けまして、大学教授による講演会、研究所の施設見学など、ILCを初めとする科学技術分野への関心を高める活動を行っているところでございます。
また、委員から御紹介のありましたように、スーパーサイエンスハイスクールも2校が指定を受けまして、理数教育の充実を図っているところでございます。
こうした面におきましては、今後とも大学や他部局と連携しまして、知識、技能を活用し、思考力、判断力、表現力を重視した授業の改善であるとか、科学的探究活動の充実を図りながら、科学技術人材の育成に努めてまいりたいと思っております。
一方で、理数科の設置ということに関しましては、現在の再編計画の中では、学科については、中学生の志望動向であるとか、卒業の進路の状況、それから生徒、保護者の意識の変化等、また、産業界のニーズなども含めまして全県的な視野に立った配置を行うこととしておりまして、今後においても、地域検討会議をこれから開催してまいりますけれども、新しい学科の設置につきましては、中長期的かつ戦略的視点に立ちながら、地域の声や中学生の進路希望、卒業後の進路、社会情勢の変化等、さまざまな観点から検討を行った上で、適切に対応してまいりたいと思っております。
〇臼澤勉委員 高大接続というか、高校と大学の連携の出口を見据えて、あるいは東北大学でも高大接続を一生懸命やっておりますし、岩手大学を含めて、県内の大学との連携というか研究していただきたいと思いますし、後期計画の検討においても、生徒あるいは保護者、学校関係者のニーズというか、どういった部分を求めているのかといったところを丁寧に聞いていただきながら、今後の学科再編だとかいろいろと検討していただきたいと思います。
そしてもう一つ、岩手で今やるべき教育の一つに、医療従事者が不足しているという大きな県政課題を有しております。県立高校にも、医療専攻を核としたキャリア教育を見据えた、本県独自の専攻課程も検討してみるというのはいかがかと思います。
具体的に、新潟県においても、県立高校において、同じような共通課題認識を持って医療専攻の学科を設置したりしております。その辺の御所見をお伺いします。
〇藤澤高校改革課長 医療専攻を核とした高校づくり、学科等についてでございますけれども、今委員から御紹介のあった新潟県の事例を伺いましたところ、新潟県では、看護師であるとか保健師、臨床検査技師等の医療従事者を目指す生徒のために専攻を設けてやるということでございます。
現在、本県では、医師などの医療分野を目指す生徒に関しましては、外部講師による講義であるとか、県内医師による地域医療に関する講演などを内容とする医学部進学セミナーを開催しまして、医学部進学への動機づけを図るということ、あるいはいわて進学支援ネットワーク事業におきまして進学対策講座の開設などを行いながら、医学部進学の裾野の拡大を図っているところでございます。現状では、そういった取り組みをしているということでございます。
今後においては、先ほども申し上げましたとおり、地域検討会議を開催してまいりますが、そういった中で、地域におけるどういった学びが必要かということについても、地域の皆さんの声、生徒の進路希望、卒業後の進路状況等、さまざまな観点から検討を行った上で適切に対応してまいりたいと思っております。
〇臼澤勉委員 その辺のアンケート調査とかを行いながら検討していただきたいと思います。
そして最後に、教育においては、指導する教師の配置というものも非常に大事かと思います。高校教員の配置の基本的考え方と人財育成にどう取り組むお考えか。
それから、精神疾患による病気休職者が国のデータでも少しふえている、岩手においてはふえているような傾向が見られます。この辺に向けた現状認識と改善に向けた取り組みをお伺いして終わりたいと思います。
〇梅津首席経営指導主事兼県立学校人事課長 高校教員の配置の基本的考え方と人財育成についてでありますが、配置に当たっては、知、徳、体を備え、調和のとれた人間形成を行うという教育目的の実現に向けて、各校が抱える課題を考慮しながら、それぞれの地域の期待や生徒の進路希望等にきめ細かに応えることができる魅力ある学校づくりができるよう、全県的な視野に立ちながら、教員の加配や兼務等の措置も講じつつ、バランスのとれた職員構成となるよう努めているところです。
教員の適正な配置に加え、教員の資質能力を向上させることは最も重要でありますので、校内におけるOJTや教科部会における研修を充実するとともに、総合教育センターを機能強化し、本県の教育課題の解決につなげる先進的、実践的な研究の充実や、計画的、効果的な研修の充実に取り組んでまいります。また、教員の専門性の向上を図るため、教職大学院等関係機関と連携し、有為な教員の育成に取り組みます。
これらの取り組みに当たっては、昨年度策定した教員等育成指標を踏まえながら、教員のライフステージに応じた資質の向上に向けて、教員の養成、採用、研修が全体として一貫した体系的なものとなるよう取り組んでいるところであります。
次に、高等学校教員の精神疾患による病気休職者の状況と改善に向けた取り組みについてでございますが、高等学校教員の精神疾患による休職者は、平成30年12月末現在7名となっておりますが、過去3カ年での推移で見ると、平成28年度が通年で10名、平成29年度が同じく5名となっており、年度ごとに増減が見られるところです。
発症の要因としては、職場環境に起因するものが多くなっていることから、改善に向けた取り組みとしましては、メンタルヘルスに関する基礎知識とケアの重要性について理解を深め、相互支援できる職場環境の醸成を図るため、メンタルヘルスセミナーの開催や専門医によるメンタルヘルス相談、保健師による巡回相談などの取り組みを実施しています。
教職員の健康確保等については、昨年6月に策定した教職員働き方改革プランにおける具体的取り組みの大きな柱の一つに位置づけて取り組んでいるところでありますので、プランに掲げる心とからだの健康対策を着実に推進し、教職員が心身ともに健康な状態で教育活動に従事できるよう、引き続き、メンタルヘルス対策の充実を図ってまいります。
〇臼澤勉委員 健全な子供たちの教育においては、先生たちが太陽のように明るくパワーを照らしてあげていただきたいと思いますし、もし曇り空になったときには、その辺も少しケアしていただきながらフォローをお願いしたいと思います。終わります。
〇飯澤匡委員 柳之御所遺跡整備調査事業費について伺います。
柳之御所遺跡整備については午前中も議論があったところでありますが、平成22年4月に史跡公園として暫定開園後は、県が事業主体となり発掘調査、公有化が進めてられております。
そこで、調査整備のスケジュールもいただいたわけですが、来年度予算化されている事業内容、平成32年度がお堀の工事等の直接的な工事に入る予定となっていますけれども、来年度はどういうところに重点的に予算を投入して進めるのかということをまず最初にお伺いします。
〇鎌田文化財課長 平成31年度の柳之御所遺跡整備調査事業費についてでありますが、主な事業といたしましては、柳之御所遺跡の発掘調査、史跡公園の整備に要する経費を計上させていただいております。
発掘調査については、史跡公園北側に隣接する堀外部地区と呼ばれる部分を調査し、過去の調査で確認されていた中尊寺へと向かう道路跡の延長部分の調査を実施する予定としております。
史跡公園の整備につきましては、現在、文化スポーツ部において、史跡公園内で整備を進めておりますガイダンス施設へのアクセス向上を図るため、公園南西部の地形造成及び堀跡の遺構復元等を計画しているものであります。堀跡の表現をする前提となる造成工事を行う予定としております。
〇飯澤匡委員 県に最初にこのように主体的に工事を行っていただいているおかげで、非常に重要な発掘調査により、その事実も出てきているわけです。
そこで、平泉町がもう何年越しで県に要望しております、これは堀の外の部分になるでしょうか、猫間が淵跡の県の公有化、整備についてですが、現在の状況、また、平泉町とどのような協議がなされて、今後どのような整備方針であるのか、その点をお伺いします。
〇鎌田文化財課長 猫間が淵の県有化と整備についてでありますが、県内の国指定史跡では、地元市町村が事業主体となって史跡の保存活用計画を策定し、計画に従って公有化や整備を取り進めており、県は国庫補助のかさ上げを行う等、市町村を支援しているところです。
柳之御所遺跡に関しては、平泉の文化遺産をひもとく上で極めて重要な遺跡であることから、県と平泉町との申し合わせによって、特例的に県が公有化及び整備を行っているものであります。
県といたしましては、史跡を管理している平泉町が策定した保存管理計画に基づいて整備計画を作成し、史跡整備を進めているところであり、引き続き、計画対象範囲の公有化やその整備に、地元平泉町と連携しながら取り組んでいきたいと考えております。
一方、柳之御所遺跡と無量光院跡の間に位置する猫間が淵については、現在、平泉町の保存活用計画に明確な位置づけがなされておらず、現時点で県が行う整備の対象範囲とはなっていないところです。このような状況にありますので、猫間が淵の公有化及び整備については、保存と活用の方向性を盛り込んだ形で保存活用計画を見直すことが必要条件となりますので、現在、史跡の保存活用計画の改定作業に取り組まれるよう平泉町に要請しているところであり、その改定作業を踏まえ、その整備について町との協議を継続してまいります。
〇飯澤匡委員 今の答弁をもとにお話をしますと、県でもしっかり下支えして、これからも協議は続けていくということは確認させていただきました。
無量光院についても、先ほど事前に御説明をいただいたところで、今回の猫間が淵の個所も重要な接続点として考察されるということですので、今後の無量光院についてもこれから整備を進めていく方向性にあるわけですが、これとのつながりの中で、県として考えている方向性、その点の重要なポイントであるとか、今考えてあるところがあれば概略的にお知らせをいただきたいと思います。
〇鎌田文化財課長 無量光院跡、柳之御所遺跡、そして猫間が淵跡につきましては、3代秀衡の時代の重要な遺跡として一体的な整備が必要であると考えておりますし、世界遺産に登録される際も、この一体的な価値というものが評価されているところだと考えております。
柳之御所遺跡については、整備は県が特例的に行っているところであり、基本的には、平泉町内の史跡の保存活用については平泉町で構想を立案して、そして計画を立てていって、その計画に県として従っていくという形になっていくものですが、猫間が淵の重要性というのは、無量光院跡と柳之御所跡の、3代秀衡にとっては、みずからの居館とみずからの重要な持仏堂をつなぐ連絡役を果たす重要な遺跡と考えておりますので、今後も見学された方々が、柳之御所遺跡から無量光院、無量光院から柳之御所へという行き来ができるような整備が望ましいのではないかと考えております。
〇飯澤匡委員 それはごもっともな認識だと思いますけれども、いずれ、平泉町は非常に財政的にもなかなか厳しいものですから、世界遺産ということで、県がただいまのような御認識の中でしっかりとした資産形成ができるように、今後も御協力、また、さまざまな意見を与えていただければありがたいと思っております。今後ともよろしくお願いします。終わります。
〇中平均委員 最初に、高校再編計画について私からもお伺いいたします。
昨年暮れからことしの2月まで、各地区で意見交換会がやられてきたと思うのですが、その代表的な内容を御提示いただければと思います。
〇藤澤高校改革課長 後期計画に向けた地域検討会議の内容についてでございますけれども、昨年末から県内9ブロック、10会場において始めており、各地域の代表者の方々に参加をいただいております。
最初の1回目の会議では、統合は最小限にして、小規模校の教育環境の充実を図ってほしいであるとか、地域の人材育成という視点で高校再編を考えてほしいであるとか、高校の魅力づくりのために市町村と連携の強化を図ってほしいといったさまざまな意見をいただいたところでございます。
こうした意見を伺いながら、各地域における高校教育に対する大きな期待、特に地域を担う人材育成の面での期待を感じたところでございます。
〇中平均委員 その地域の意見が出てきて、後期計画にどのように反映させていくのか伺います。
〇藤澤高校改革課長 後期計画の具体的な反映ということでございますけれども、また来年度も地域検討会議を開催する予定でございますので、そういった中で、今回出された意見の幾つかについては資料をお示ししながら議論をし、可能なものを取り入れるということも今後検討してまいりたいと思います。
〇中平均委員 先ほど議論でありましたけれども、クラス数が減少していますね、久慈もそうですし。そうすれば、4クラスが3クラスになったときに、当然5教科分の、5クラスあれば5教科で配置してやっていますけれども、3クラスになると当然3教科分の先生しかいないわけですが、そういった点を踏まえて、先ほどの各地区からの、地域の教育の質を上げてほしいといった意見を、今回の人事で、そういった点を配慮した配置となされたものかどうかをお聞きしたいと思います。
〇梅津首席経営指導主事兼県立学校人事課長 今回の定期人事異動についてはまだ発表前でございますので、具体的なことは申し上げられませんけれども、小規模な学校においては、近い学校との兼務であるとか、教育課程が正常に実施されるために非常勤講師の配置などを行って、子供たちの学びの場を保証するように人事異動も行っております。
〇中平均委員 人口減少、生徒数がどんどん減っていくという中で、適正なクラス数、1クラスの人数がどうかというのはこの後質問しますけれども、その中で、今まで5クラスあった学校が減って、教員の配置が単純に少なくなっていくとなると、当然先生の負担もふえてくる、また、どうしても教育の質の低下というものを招くのではないかという懸念が生じ、また、そういったところに加配とか、さまざまな手を使いながらきちんと配置をしていくということが非常に重要になってくると思っております。人事はこれから発表になるでしょうけれども、配置しているということでありましたので、また実態を見ながら、その点は今後も留意をしていただきたいと思います。
あとは、再編計画について、小規模校をどうしていくかというのが、どの地域でも一番の課題だと思います。盛岡地区でもクラスを減らしていかなければならない時代になってきているという認識でやっていると思うのですが、その中で、今、国では、大学生への給付型の奨学金であるとか、いろんな教育に係る経費を少しずつ減らしていこうという施策があると思うのですが、どうなのでしょう。高校も今は1クラスの定数が決まって、それによって教員配置が決まってきているのでこの人数でいかなければならないとなっていますけれども、いずれ、これは人口減というか生徒の数が減って小規模化して、公立高校という面で苦しんでいるのは岩手県だけじゃなくて、全国各地、同じ状況にありますよね。そういった中において考えていけば、これは国に対する要望であるとか、実態をより伝えていきながら、地域の実情に合ったクラス数であるとか、そういった実現を目指していくことに、本来、もっと力を注ぐべきではないかと私は思うのです。今の政策の流れがそうなっているような気もするので、後期計画で今すぐやらなければならない、来年にはもう統合しなければならない、来年はこうやらなければならないという計画は計画でわかるのですけれども、そういった点を見据えていきながら、今少し、岩手県としても教育のあり方をどう見ていくかということで、若干我慢しながらいろんな施策なり、国の展開を待ちながら動かすべきではないか。
というのは、これは小中学校皆そうですけれども、一回統合したところは元に絶対戻りませんよ、よほど人口がふえていくとか何かない限り。あと1年待っていれば実は制度が変わって、1クラスの人数がもう少し少なくても維持できたみたいなことになっては大変じゃないかなと、私は個人的に思っているのですが、そういう点に対してどう考えているのかということをお聞きしたいと思います。
〇藤澤高校改革課長 再編計画の柔軟な対応ということかと承知いたしましたけれども、再編計画の基本的な考え方としては、望ましい学校規模の確保による教育の質の保証というのが一つ、それから教育の機会の保障もしていこうということが一つでございます。そういうことでありますけれども、計画の中には、統合であるとか、それから学級減についても、地域の取り組みであるとか、中学校卒業予定者数の動向であるとか、そういったものも勘案しながら具体的に進めていくことにしておりまして、実際、統合についても、当初計画では3地区を予定しておりましたところを1地区とし、2地区は延期しております。学級減等についても、一部の高校については延期をしております。そういった柔軟な対応をしながら、丁寧な対応をしていきたいと思っております。
それから、小規模校の対応ということでございますけれども、教員の定数改善につきましては、常々国のほうに要望しているところでございますので、今後も引き続きそういったことをしてまいりたいと思います。
〇中平均委員 ぜひ柔軟な対応と、また実態に即したところをお願いしたいと思います。
そういった意味では、前期計画で、久慈で言えば久慈東高校は、久慈商業高校、久慈農林高校、久慈水産高校が一緒になって総合学科となっています。これは県内では一戸高校もそうですし各地ありますけれども、実際、前期計画で総合学科高校という形にして、この評価をどう考えていらっしゃるのかをまずお聞きしたいと思います。
〇藤澤高校改革課長 総合学科高校の評価ということでございますけれども、平成6年度に普通科、専門学科に続く第3の学科として制度化されたものでございまして、現在、県内に6校ございます。教育内容としては、普通科目のほかに専門科目も含めた多様な教科、科目の中から自己の興味関心に基づいて、将来の職業選択を視野に入れながら、主体的、系統的に科目を選んで学んでいくという特色がございます。
1年生では、進路をじっくり考えて、2年生になると関連教科のまとまりである系列を選択するということで、生徒にとりましては、学習意欲の向上であるとか進路意識の高揚にもつながっておりまして、生徒や保護者の満足度は高い状況にございます。
他方で、2年生からの系列選択ということですので、専門教科指導等におきまして、学習内容が2年間ですので深まらないといった御指摘もあるところでございますが、生徒、保護者から、あるいは地域からの評価ということもありますので、そういった成果を確実なものとしながら、教育内容の充実に努めてまいりたいと思っております。
〇中平均委員 評価をいただいているということで、今お話があった1年生のときは普通科目をやって2年生からコース選択と、そのとおりで私も知っているのですが、実業高校と比較すると、今話があったとおり、1年生のときから専門教科をやっていかない分、例えば商業科目で言っても、今までは簿記の2級が取れたところが、総合学科だとどうしても1年足りない分でそこまで伸びないとかが、実際あるわけじゃないですか。満足度が高いところはそれでいいのです。盛岡地区のように、商業高校があって工業高校があって、普通科もいっぱいあって、高校を選べる地域ならいいのです。そうでなく、総合学科になったところは、最初の前期計画でやって、3校、4校を一緒にしてつくっていますね、大体は。そういった中において、久慈で言えば久慈高校と久慈東高校と久慈工業高校の3択。あと、種市高校、大野高校もありますけれども。そういった中で、大学進学を目指すというわけではなくて、高校から社会に出るとなると久慈東高校という選択になって、満足度は高いけれども、社会に出たときにさまざまな資格が、専門教科が1年足りない分、ほかの高校を終わってきた生徒とまた差が出てきてしまう。すると、資格の差で給与の差も出てきます。そういった点を踏まえながら、総合学科高校のあり方というのを、成果が高いと言われているところは当然そのとおりでいいのですが、それとはまた別に、1年生から選べるという形もやっていくとか、その辺は考えていかなければならないのかと思っているのですが、その点はいかがでしょうか。
〇藤澤高校改革課長 総合学科高校のカリキュラムの点のお尋ねでございますけれども、教育課程上は、1年生からの専門課程というのはなかなか難しいところがあるのかなと思っております。そうしますと、今申し上げたような課題というのを解消する方法としては、地域の方々のお力もお借りしながら、インターンシップをするだとか、これは現在も行われているのですけれども、地域の方に講師に来ていただくだとか、そういった形で、より当該系列の専門性というのを少し高めていくといったことが考えられるところでございます。
〇中平均委員 専門性をある程度高めていかないと大変なのじゃないかと、いろいろ聞いていて思うのです。そういったところを今後のあり方ということで、ぜひ後期計画を今考えていく中で、今ある学校を縮小していく、統合していく、実態に合わせて、実数、生徒数に合わせて考えていかなければならないという議論もですけれども、そのほかにも、今ある総合学科とかのプラスの面、そして改善すればもっと生きてくる面もあるはずですので、そういった点をより今後やっていっていただきたいと思うのです。そういった点を含めながら今後のあり方。
あとは、これは指摘をさせてもらいますけれども、総合学科高校でパンフレットを見させていただくと、いろんなコースがあっていろんな資格を取れていけますよとあります。実際は、入ってみるとコースを選んだ人が少なくて、なかなか大変だというのもありますよね。設置してすぐのあたりはいろんな加配もあったので、全部できたのですがという声も聞きますので、そういった点を踏まえながら、最初に質問させていただきました教員配置等の問題を含めて、今後のあり方というのをきちんと、また後期計画を組んでいく過程の中で、全般的に岩手の高校教育をやっていっていただきたいと思いますので、最後に所感を教育長からいただきます。
〇高橋教育長 総合学科高校のあり方につきましては、議員御案内のとおりさまざまな御意見がございます。仮にこれを一つの方向として大きく転換して進むとすれば、しっかりとした議論を行っていく必要があると思っております。
それから、岩手の中で産業人材をしっかり育んでいくというのは極めて重要なことだと考えておりまして、委員からお話のありました県北地域もそうですけれども、久慈地域を含めてどういう人材が必要かと、やっぱりそういうところはしっかり見ていくことが大事だと思っております。
後期計画の策定に向けまして、地域検討会議を来年度も複数回、全地域で行うことといたしておりますので、そこの中でさまざまな御意見、総合学科高校の課題等についても、それをテーマとして取り上げながらさまざま意見交換をさせていただきたいと思っております。
後期計画は5年間の計画期間を今想定しておりますけれども、その中で大きく学校の方向性というのを転換できるかどうかというのはしっかりとした議論が必要だと思いますので、委員からの御提言として、しっかり受けとめさせていただければと思います。
〇中平均委員 私も今すぐ大きく転換しろとか、そういった総合学科のことを言っているのではなくて、こういった考えもある中でこれから生徒数が減っていく、でも、人材はどんどんつくっていってこの岩手をどうしていくかという時代ですので、そういった点を踏まえながら今後もお願いしたいという趣旨でございましたので、よろしくお願いします。終わります。
〇千葉絢子副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後3時4分 休 憩
午後3時23分再開
〇軽石義則委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。
〇佐々木朋和委員 休憩前の中平委員との議論の中で、高校再編計画の後期計画の策定に向けた地域での意見交換の中でも、地域との連携や担い手の確保というところでさまざまな意見があったという話でございましたけれども、私から、一般質問でも取り上げさせていただきました地域との協働による高等学校教育改革推進事業について伺いたいと思います。
質問に対する答弁の中では、平成31年度、2校が指定校の準備をしており、それ以外についても現在、総合的な学習の時間や課題研究などを活用して、地元自治体や産業界との協働による地域課題を解決する探究活動に取り組んでいると。また、全ての高校に対し、事業の成果や実践事例の紹介を行いながら充実を図っていくとの答弁をいただきました。
現状、具体的にどのようなことに取り組んでいるのか、また、地域や産業界との連携体制はどのようにとられているのか、この取り組みは学校ごとに任せられているのか、また、全県的に共通して取り組んでいることはあるのか伺いたいと思います。
〇里舘首席指導主事兼高校教育課長 地域課題を解決する探究活動についてでございますが、高等学校におきましては、総合的な学習の時間や課題研究を活用して、例えば、地域の農業廃棄物を活用した製品開発、地域の魅力発信に取り組む活動、それから地域の観光、子育て支援などについて探究活動を行い、地域課題の解決や地域創生に取り組んできております。
連携体制につきましては、各協力団体から指導者を学校に派遣していただき、生徒が直接指導を受けながら探究活動に取り組んでおり、地元自治体、地元企業や研究機関等と協定を締結して取り組んでいる学校もございます。
総合的な学習の時間や課題研究の内容につきましては、学習指導要領において、地域や学校、生徒の実態に応じて教育活動を行うこととしており、各学校において、創意工夫した取り組みを行うとともに、県教育委員会におきましても、研修や研究会等の機会を通じて、特色ある取り組み事例を共有しているところでございます。
〇佐々木朋和委員 今、取り組みを紹介していただきました。代表的なところだと思うのですけれども、そうやって取り組んでいると言いながら、高校再編の意見交換ではそういう話が出ると。私も県南地域での地域検討会議に出ましたけれども、首長からは、やはり高等学校は敷居が高くて、どのように連携したらいいのかわからないというような話も出ておりました。
そういった中にあって、では、なぜ取り組んでいるのにそういった認識なのだろうと。市町村がそうだということは、私も商工会議所とかとお話をしますけれども、まさにそういった思いがあっても、なかなか連携できないというような話も聞くところですが、なぜ取り組みが広がっていないと言ったらいいのか、認識がそのようだとお考えですか。
〇里舘首席指導主事兼高校教育課長 まず、高等学校はどうしても県立学校という部分がございますが、高等学校は、魅力化を推進していくために地域と連携しながらやっていかなければいけないというので、全ての学校で、今、取り組みを始めているところでございます。新しい学習指導要領でも、今度、探究活動を地域と連携しながらということが明確にされておりますので、今後さらに進めていきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 市町村または産業界が連携を深めていくのには、高校のみならず、県の姿勢として、リーダーシップをとって連携に取り組んでいくことが必要なのだろうと思っております。
そういった中で、文部科学省のこの事業のホームページには、県が主体となって地方創生推進交付金を使って行われている先進事例が紹介されております。島根県では、学校を核とした官民協働による地方創生プロジェクト、あるいは長野県においては、学びと働きを連携させた信州創生のための新たな人材育成モデルということで予算化をして、県がリーダーシップをとって取り組んでいるということでございました。
そういった意味では、岩手県としては、こういった地方創生交付金を使用して地域との連携や担い手人材確保に向けた事業を検討したことはないのか、また、今後の予定も含めて伺いたいと思います。
〇里舘首席指導主事兼高校教育課長 地方創生推進交付金の活用についてでございますが、県教育委員会におきましては、これまで、地域との連携や担い手人材確保に関連する事業に地方創生推進交付金を活用したものはございませんが、県の事業のいわて地域担い手育成支援事業やいわての学び希望基金を活用した県立学校復興担い手育成支援事業により、各学校における地域の将来を担う人材の育成に取り組んできたところでございます。
地域との連携のさらなる推進につきましては、より課題に特化している文部科学省の地域との協働による高等学校教育改革推進事業を活用したいと考えておりまして、採択に向けて準備を進めているところでございます。
学校と地域との協働はますます重要となってきておりますので、今後におきましても、地方創生推進交付金も含めまして、さまざまな事業の活用を模索しながら、地域との連携による本県を支える人材の育成に努めてまいります。
〇佐々木朋和委員 この交付金も含めて考えていただけるということでございました。この先進事例を見ますと、しっかりKPIをつけて目標値を持って取り組んでいくことが、市町村や産業界へも本気度が伝わる部分であるかと感じたところでございます。ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
次に、学校・家庭・地域連携協力推進事業補助金と、学びを通じた被災地の地域コミュニティ再生支援事業について伺いたいと思います。
両事業を合わせて平成31年度は23市町で放課後子ども教室を間接補助する予定とお聞きしております。うち17市町村が被災者支援総合交付金事業ということで、これが10分の10の国の補助になっていて、ほかの部分については3分の1ずつの国、県、市町村の負担ということですけれども、今後のこの10分の10事業の継続見通しと、終了した場合の影響をどのように考えているのか伺いたいと思います。
〇佐藤首席社会教育主事兼生涯学習文化財課総括課長 まず、被災者支援総合交付金事業の今後の継続見通しについてですが、この事業は、被災地とその周辺地域において、地域住民による放課後子ども教室の運営等、子供たちの学習支援を通じた地域コミュニティーの復興支援を目的としているものであり、本県においては、震災後の平成24年度から国の予算を活用し事業を推進してきたところであります。
国の震災復興特別会計が2020年度で終了することに伴い、この事業も終了することとされておりますが、県といたしましては、これまでも毎年機会を捉えまして、2021年度以降の事業継続について強く要望を重ねてきたところであります。仮にこの事業が終了となり、事業内容を継続しようとする場合には、学校・家庭・地域連携協力推進事業費補助金は国、県、市町村ともに3分の1負担になるわけですが、これに移行いたしまして、地域全体で子供たちを育成しながら地域コミュニティーの活性化を目指していくことになります。
次に、この被災者支援総合交付金事業が終了した場合の影響についてでございますが、この交付金事業は、御指摘のとおり、国10分の10の間接補助であることから、学校・家庭・地域連携協力推進事業費補助金に移行する場合は、県及び市町村において新たな財源確保が必要となります。
このため、県の対応といたしましては、2年後の終了を想定し、今後の事業推進の方向性あるいは財源確保等について、市町村とともに考えていく必要があると考えており、早速、先月2月に市町村担当者説明会を実施し、今後想定される状況や来年度から取り組むべき内容等について情報共有を行ったところであります。
〇佐々木朋和委員 ぜひ、市町村また県と連携しながら課題を洗い出して、また、こういったサービスが継続できるようにお願いしたいと思っているところでございます。
そういった状況もありながら、今放課後子ども教室は106教室行っていただいているのですけれども、放課後児童クラブとの一体型が16教室、連携型が33教室ということで、文部科学省は放課後児童クラブとの一体型、連携型を全小学校区にという目標を立てております。そういった中で、今後の教育委員会としての取り組みと、また保健福祉部との連携についてお伺いしたいと思います。
〇佐藤首席社会教育主事兼生涯学習文化財課総括課長 まず、放課後子ども教室と放課後児童クラブとの一体型及び連携型の取り組み状況についてでありますが、御案内のとおり、文部科学省、教育委員会が所管する放課後子ども教室は、個別の費用負担なしで誰でもが参加できる、放課後に多様な体験活動の機会を提供する事業であります。一方、厚生労働省、保健福祉部が所管する放課後児童クラブは、共働きなど日中に保護者がいない家庭の児童を対象に、放課後の生活の場を提供する登録制の事業であります。
国が示すプランにおきましては、活動内容の共有あるいは充実の観点から、両事業を同じ施設内で一体的に、あるいは離れていても連携して運営することを奨励しているものでございます。
本県の今年度における一体型は10カ所、連携型は29カ所で、合計106教室中39カ所、放課後子ども教室全体に占める割合は約36%。来年度の計画になりますが、一体型は16カ所、連携型は29カ所で、合計106教室中45カ所、割合として42%ということで、6カ所、率にして約6ポイントの増加という現状であります。
一体型、連携型の推進は課題の一つとなっておりますが、その原因を探るため市町村に調査をいたしましたところ、余裕教室がない、または必要な環境が確保できないなどの現状があるということ。一体型あるいは連携型への理解が自治体内でなかなか進まない一方で、財政的負担が大きいこと。地域人材の確保が困難であること。そもそもニーズがないということなどの回答が寄せられたところでございます。
県といたしましては、より多くの子供たちに多様な体験機会を提供するため、住民のニーズや市町村の実情等を踏まえながら、一体型あるいは連携型の取り組みを促していくとともに、保健福祉部との連携により、本県の推進方針として位置づける全ての小学校区に何らかの公的な居場所を確保することの実現に重点を置いて引き続き取り組んでいきます。
次に、保健福祉部との連携についてですが、国の新・放課後子ども総合プランに対応した本県の推進方針を両部で合同で策定したわけですが、それに基づきまして、両部局で公的な居場所の確保にともに取り組むほか、複数の研修会の合同実施等による関係者の資質向上、特に、特別な配慮を必要とする子供に対する関係者の対応力の向上等にも取り組んでおります。
また、放課後児童クラブに必置とされております放課後児童支援員の認定資格研修は、4年前から県内4会場で合計4日ずつ実施されてきておりますが、その企画運営は、専門的なノウハウを生かし、私ども教育委員会の生涯学習推進センターが担ってきているところであります。
〇佐々木朋和委員 市町村の回答を聞いて、ちょっと寂しい気持ちになってしまいました。課長とは、前にニーズの議論と、また何らかの形ということの議論もさせていただきましたので、きょうは割愛させていただきますけれども、やはり市町村では、私はこのニーズは隠れていると思っているので-大きく課長もうなずいていただきまして、ありがとうございます。我々も課題認識を市町村とともにできるように頑張っていきたいと思いますし、県としても、その点をぜひ市町村とも連携していただきたいと思います。
一つ、保健福祉部との連携というところで、例えば、今、放課後子ども教室は無料なものですから立ち上がっていると。また、被災地支援ということもあって10分の10で立ち上がっていることも多くございます。しかしながら、そんな中で、放課後児童クラブはないところもあるのですけれども、そういったときに、例えば放課後子ども教室を核として、保育園の幼保一体型とか認定こども園のイメージかもしれませんが、そういったところを核として一体型として立ち上げていくとか、そういった連携の仕方はできないものでしょうか。
〇佐藤首席社会教育主事兼生涯学習文化財課総括課長 現在、県内におきましては、放課後子ども教室が106教室と御紹介ございましたが、放課後児童クラブはその3倍強、380ぐらいだと記憶してございます。私といたしましては、ニーズという部分では、優先されるのはやっぱり放課後児童クラブの設置なのではないかと見ておりますが、市町村によっては、週平均いたしますと2日ぐらいの開催というのがスタンダードなところでございますし、主に学校を会場にというケースも多うございます。それが単位となって、今、お話をいただいたような拠点化を進めて一体型というような、方法論としては大いにあり得ることだと思います。現状としては、市町村にそういうケースがあるかどうかはちょっと手元にございませんが、一つの方策として検討してまいりたい、市町村と相談をしてまいりたいと思います。
〇佐々木朋和委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
次の話題に移りたいと思いますけれども、高校の通級指導について伺いたいと思います。
3月9日の産経新聞に、発達障がい者の大卒の6割が就職できずというショッキングな記事が出ました。文部科学省は、その記事の内容は高校での専門的な指導等がないのが原因だというような書き方をしていたわけですけれども、文部科学省は平成30年度から、小中学校のみに設置していた通級指導を高校にも拡大し、本県では紫波総合高校で導入されたとお聞きしておりますが、平成31年度の状況と、また、この制度として県ごとに枠づけ等があるのか、あわせてお示しをいただきたいと思います。
〇佐藤首席指導主事兼特別支援教育課長 高校における通級による指導についてでございますが、本県においては、平成29年度の文部科学省の委託実践研究を踏まえ、平成30年度から紫波総合高等学校において運用を開始し、平成31年度からは前沢高等学校において実施を予定しており、対象生徒の教育的ニーズの把握や対象生徒とその保護者との合意形成を図りながら、また、近隣の特別支援学校から支援を受けながら本格運用を行うとともに、県といたしましては、制度の拡大に向けて取り組んでまいりたいと思っております。
また、全国の状況についてでありますが、平成30年度は45都道府県、20政令市において123校、平成31年度は47都道府県、20政令市において125校が実施を予定しております。実施校の枠組みにつきましては、都道府県、政令市ごとの枠づけはないということになります。
〇佐々木朋和委員 枠づけがないということは、県としては、高校が手を上げれば導入できるということなのでしょうか。また、しかしながら、1年1校ずつふえているわけですけれども、このような進み方には、導入に向けて何かハードルがあるのでしょうか。
〇佐藤首席指導主事兼特別支援教育課長 特に、通級による指導に関しましては、先ほどお話ししたとおり、保護者の理解、それから高等学校の教員、そして校長の理解を求めながら進めていくことが大切だと考えております。県といたしましても、それぞれの高校の実情を勘案しながら、設置に向けて協力を進めていきたいと考えているところでございます。
〇佐々木朋和委員 この記事には、大阪府のある高校では、作業療法士による支援等、学業から日常生活の送り方の支援を行っていると紹介されておりました。また、専門家の意見として、単に学力を補うのではなくて、社会に出て生きていくためのスキルを身につける必要があるという指摘もございますけれども、本県のこの支援内容については、どのような支援を行っているのか伺いたいと思います。
〇佐藤首席指導主事兼特別支援教育課長 高等学校における通級による指導の支援内容についてでありますが、通級による指導の目的は、障がいによる学習上また生活上の困難の改善、克服とされております。対象生徒の個別の指導計画に基づき、健康の保持、心理的な安定、人間関係の形成、環境の把握、身体の動き、コミュニケーションの自立活動の6区分に準じた支援内容ということになります。
紫波総合高等学校においては、通級による指導を特別な教育課程として位置づけ、対象生徒が時間割の中で受講できるようにしております。具体的な指導内容としては、健康状態の維持、改善に関すること、自己の理解と行動の調整に関すること、姿勢と運動、動作の基本的技能に関すること、コミュニケーションの基礎的能力に関することなどに取り組んでいるところでございます。
通級による指導は、苦手科目の補充指導ではなくて、社会への自立を見据え、未来を生きる力を高めるものであり、制度への理解、周知を図っていきたいと考えているところでございます。
〇佐々木朋和委員 さらなる充実を求めていきたいと思います。
時間もなくなってまいりましたので、最後に、特別支援学校におけるスクールバスについて伺いたいと思います。
前回の決算特別委員会において、義務教育段階の児童生徒等に対する通学保障について、就学奨励費では、本県においては必ずしも親にかわって通学支援をしてくれる主体は確保できない旨、指摘をした上で質問させていただきましたが、その後どのような検討をなさり、平成31年度予算へ反映されているのか伺いたいと思います。
〇佐藤首席指導主事兼特別支援教育課長 特別支援学校における通学支援についてでございますが、平成31年度の盛岡ひがし支援学校の設置に当たり、同校の通学バスの運行について、保護者等の要望を伺いながら継続的に検討を進め、平成31年度予算において必要な経費を計上しているところでございます。
今後の通学バスの運行を含めた通学支援につきましては、次年度から特別支援学校の教育環境に係る整備計画の策定に着手いたしますので、引き続き、地域や児童生徒、学校の実情等を踏まえながら検討を進めさせていただきたいと思います。
〇佐々木朋和委員 今は1地域についてのお話でありましたけれども、前回の決算特別委員会では教育長に御答弁をいただいておりまして、全県的な検討をしていただくような旨の答弁をいただいたと思っております。最後のやりとりの機会になるかもしれませんので、ぜひとも前向きな答弁を後輩に残していただきますようにお願いをして、質問させていただきます。
〇高橋教育長 最後のやりとりということで、この間、一般質問のときにも同じようなお話を頂戴いたしましたけれども、ありがとうございます。
この特別支援学校の子供たちの通学というのは、通常の学級に在籍する子供たちとは違って、より丁寧な対応も必要だというように思っております。
それで、それぞれの学校におきましては、保護者が送迎する、それから通学バスを使う、それからあとは、自立で通える子供たちもおりますので、それぞれのニーズに応じて丁寧な対応をしてきております。これはそれぞれの学校だけの問題ではなく、岩手県全体としてどうやるか、その辺の検討は指示して、当面、新設の学校についてはしっかり対応することにしたところでございますけれども、今後ともまた、子供たちの実態をしっかりと押さえながら、各学校とともに教育委員会として適切な対応を図っていきたいと思っております。
〇佐々木朋和委員 よろしくお願いします。
〇佐々木努委員 通告は大きく3点についてしておりますが、済みませんが、順番を変えて質問させていただきます。
最初に、児童虐待防止についてお伺いいたします。これは、先日の県警、そして保健福祉部にも同様の質問をいたしましたが、最後に教育委員会にもさせていただきたいということで、幾つか質問させていただきます。
まず、学校から児童相談所への通告件数の推移も含めて、これまで児童虐待防止のための児童相談所との連携をどのように図られてきたのかお伺いします。
〇橋場首席指導主事兼生徒指導課長 児童虐待防止のための児童相談所との連携についてでございますが、学校からの通告の件数につきましては、今年度5件ございました。昨年度は2件でございましたので、数的にはそのようになっておりますし、保健福祉部のデータにつきましては、御承知のとおりかと思っております。
これまで、児童相談所等との連携につきましては、いわゆる要保護児童対策地域協議会において、県教育委員会の職員や小学校や中学校の校長会の代表が構成メンバーとなっておりまして、要保護児童に関する情報や適切な支援を図るための必要な情報の交換を行っておるところでございます。
また、学校におきましては、児童生徒の対応について児童相談所所員に相談するケース会議を開催したり、県教育委員会におきましても、今年度、昨年10月19日でございましたが、県内のスクールカウンセラーを対象とした児童虐待に関する研修会を開催いたしまして、一関児童相談所の所長を講師としてお招きして、その取り組み等を紹介していただき、研修を深めたところでございます。
今後におきましても、関係部局等との連携を図りながら、子供たちの状況等も情報共有しながら、必要な援助方針の見直しを図るなど、連携等にこれからも引き続き取り組んでまいりたいと思っております。
〇佐々木努委員 今年度は5件、昨年度は2件ということで、そんなに多くはないのだなと思いました。ただ、やはり学校側としては、保護者の方々とまず良好な関係を築きたいという思いがあって、虐待を疑っても、なかなか通告できないということが全国的に結構あると聞いておりますので、その辺の通告をためらうことが、大きな事件事故につながらないような形でぜひ指導していただきたいということ。
それから、ことし1月に千葉県野田市で起きた事件については、学校側が独自の判断で親にアンケートを見せてしまったことが大きな要因だと言われていますし、その後、その被害に遭った子供が転校した先で、学校が一度も家庭訪問しなかったことが原因だと言われていて、これは児童相談所もそうですけれども、学校にもやはり重大な事件を招いてしまった要因があるというように指摘されています。
そういう意味では、毎日子供の様子をじかに見られるのは学校だけでありますし、虐待の最前線にいると言ってもおかしくない、学校というのはそういう存在だと私は思いますので、ぜひそういう認識を強く学校側、先生方に持っていただきたいと思うわけです。
ここ数年のさまざまな痛ましい事件を受けて、県教育委員会として学校側に何か特別な指導等をされたのか、されていないのか、その辺をお聞きしたいと思います。
〇橋場首席指導主事兼生徒指導課長 全国各地で起きております児童虐待のケースの県教育委員会の取り組みについてでございますが、平成30年度におきましては、児童虐待防止アクションプランの取り組みとして、児童生徒に対する人権教育を推進するとともに、児童虐待の早期発見体制の確立等に資するための関係機関や団体が開催する研修会への参加等について、学校に周知し、参加を促してきたところでございます。
また、毎年11月に行われる国の児童虐待防止推進月間に合わせて、学校における児童虐待の早期発見に向けた点検及び通告や、関係機関との連携強化のための情報共有等の積極的な対応について、各学校に指導をしてきております。
今後におきましても、千葉県野田市で発生いたしました小学校4年生の死亡事案のような悲劇を繰り返さないためにも、児童虐待防止に当たって、学校と市町村、また児童相談所等の関係機関が連携し、実効ある取り組みが図られますよう、学校に対して必要な対応について、いま一度、周知徹底を図っておきたいと思います。
学校が虐待にかかわり求められているものは、やはり発見しやすい立場にあるのだということと、ちゅうちょすることなく通報するのだということは徹底いたしたいということを改めて思いましたし、保護者への啓蒙活動等についても、学校が果たすべき役割の部分については、継続的に行ってまいらなければならないものだと思っております。
〇佐々木努委員 その取り組みの強化をよろしくお願いいたします。
次に、部活動についてお伺いしたいと思います。
これも何度も取り上げさせていただいていますけれども、県の方針によって市町村が策定することになりました部活動方針は、年度末が期限ということになっていましたが、策定状況はどのようになっていますでしょうか。
〇荒木田首席指導主事兼保健体育課総括課長 国では、中学校、高等学校の運動部活動の持続可能な、そして子供たちの充実した活動となることを目指しまして、スポーツ医・科学に基づく適切な休養日とか活動時間を示したガイドラインを平成30年度3月に策定したところでございます。
それを受けまして、県では、関係団体等の代表者を交えて、合意形成を図りながら県の方針を策定しました。市町村は、その国のガイドラインと県の方針を踏まえまして、委員御案内のとおり、設置者の活動方針を策定することとなっております。県でも推進しまして、現時点では32市町村で策定済みとなっておるところでございます。
なお、未策定の団体につきましても、年度内に策定し、各中学校に通知する見通しであることを確認しているところでございます。
〇佐々木努委員 そうすると、年度末には全市町村で策定される、それぞれの学校でも同様に策定されるということでよろしいわけですね。
それで、先日ですけれども、夜8時過ぎにウオーキングをしていたときに、中学校の子供たちが部活、スポーツ少年団活動を終わって帰ってきたのですが、今言ったように、時間はもう午後8時を回っていました。新年度からこういう方針に沿ってそれぞれの学校が取り組むという認識であれば仕方がないと思うのですが、そういう状況が今時点でまだあるということを目の当たりにして、本当に4月から守られるのだろうかとちょっと心配になったところです。
県教育委員会として、これをしっかりと遵守させるために、どのような対策をこれからとっていこうとしているのか、それもお聞きします。
〇荒木田首席指導主事兼保健体育課総括課長 県の方針には、参加者が部活動と重複する、例えば父母会練習であったりスポーツ少年団については、部活動と同一した一連の活動として捉えるように基準を合わせ、その基準を超えないような記述をしたところでございます。
委員の活動方針を遵守させるための取り組みについてでございますけれども、学校は県、市町村が策定した部活動の方針にのっとり、学校の部活動に係る活動方針を策定することとしておりますけれども、これに基づく活動を行われるためには、教職員の適切な理解とともに、保護者、地域の理解をいただくことが不可欠であろうと捉えております。
県教育委員会としましては、方針にありますように、適切な活動時間であったり休養日の設定を示した部活動の方針等について、共通理解を図るために、教職員や保護者、そして、部活動指導員や外部指導者等による部活動連絡会などの開催を各学校に要請してまいるところでございます。
また、あわせまして、県教育委員会としましては、各学校の活動実態の定期的な把握に努めまして、適切な活動体制の推進を図ってまいりたいと考えております。
〇佐々木努委員 いずれ、県教育委員会として定期的に調査を行うなりして、状況をしっかり把握していただきたいと。21年前も部活動の適正化ということで同様の動きが実はあったのですけれども、それが定着しないまま今に至っているということですから、また同じことにならなければいいなと思っているので、ぜひそれはしっかりやっていただきたいと思います。
それから、教育長演述にもありましたし、教育振興計画にも明記されましたけれども、部活動の加入は生徒の義務的活動ではなく、自主的、自発的活動であるという基本の徹底を図ることが教育長から述べられ、そして教育振興計画にうたわれました。これに基づく教育委員会あるいは学校の指導は、これからどのように行っていくのか伺います。
〇荒木田首席指導主事兼保健体育課総括課長 部活動が自主的、自発的な活動であるという基本の徹底についてでありますけれども、部活動は教育の一環であるとしまして、中学校、高校生の人格形成に大きな意義のある活動であることから、学校におきまして部活動への加入を進めてきているところでございます。本県の加入率は他県等に比較しまして高い割合となっているところでございます。
しかしながら、近年では、学校外のスポーツクラブ等に取り組む生徒がふえるなど、興味、関心に応じて生徒の活動は多様化している傾向にあります。また、生涯にわたってスポーツや文化芸術に親しむ資質を育てるためには、活動を強制することなく、自主的、自発的な活動を保障することが重要であると捉えております。
県教育委員会といたしましては、教育長演述や教育振興計画案に示したとおり、部活動は義務的な活動ではなく、生徒、保護者の主体的な判断に基づく自主的、自発的な活動であるという基本の徹底を図ってまいります。また、部活動に一生懸命取り組む子供たちは、今後もぜひ応援していきたいと考えております。
〇佐々木努委員 これは私の持論ですけれども、岩手県が部活動の加入率が全国一高いのは、私は逆に誇りだと思っているのです。これは持論ですからいろいろ、共産党あたりは別な考えもあるようですけれども、やっぱり授業と……(「強制するなと言っているだけだ」と呼ぶ者あり)いやいや、授業と部活動と合わせて私は学校教育だと思っていて、部活動は先輩、後輩と一緒に同じ活動をすることによって、上下関係の大切さとかを教えられる。それから、運動、文化といった授業では触れられないようなさまざまなものにも触れて、そういうことを通じて人格形成がなされていく大事なものだと思っているので、強制じゃないことが前提だと思うのですが、大いに部活動はやってもらうような形で、教育委員会として取り組むべきなのではないかと思います。
もし、強制じゃないということを改めて明記することによって、学校現場で先生方が、強制じゃないから入らなくてもいいよとか、入ってもいいよということを言うようになれば、きっとどんどん部活動の加入率が全国同様に下がってきて、せっかくのこういう教育の場に子供がいられなくなるようなことにつながらなければいいなと思うわけであります。
どうなのでしょうか。こういう方針を出したことで、これから新年度以降、生徒にどういう形で先生方が部活動のあり方について説明をするのか、その辺のところは何か県教育委員会で考えていらっしゃるでしょうか。
〇荒木田首席指導主事兼保健体育課総括課長 委員御心配のところも私たちは考えておりますけれども、先ほども申し上げましたとおり、昔と違って、今はいろいろな活動、放課後の活動が、教育課程授業と特別活動以外に、いわゆる放課後の保障は非常に大事だと捉えておりまして、当然その課程以外の部活動を一生懸命やる子供もいれば、学校にはないスポーツで地域で頑張りたいという子供もいれば、あとは習い事もしたいとか自分の勉強もしたいとかという、いろいろな生徒がいるのだと思います。ですから、そういうものも含めまして、部活動は、学習指導要領にも記述がありますけれども、自主的、自発的な参加によるものだという基本的なものは押さえて、学校側は指導していかなければならないのではないかと捉えております。
〇佐々木努委員 それはよく私もわかりますが、ただ、消極的な加入促進というか、そういうものを先生方がやらないでほしいと。こういう意義があるのだよということはしっかりと説明をしてほしい。最初から入る、入らないをマル・バツでやられたら、せっかくの機会を子供から奪うことになると思いますので、そういう意味では十分配慮をしてほしいと思います。
多くの子供たちに部活動をやっていただくために、前段で話した部活動のルールはしっかり守らせなければならないと思います。いつまでも遅くまでやられるから、部活動に入れたくないとか部活動をやりたくないということにもつながってくるのだと思うので、それはしっかり徹底してほしいと思います。
最後に、情報モラル教育について質問させていただきます。これももう何度もやっておりますけれども、児童生徒のスマートフォン等の所持状況がどうなっているのか。それから、1日の使用時間の推移についてお示しいただければと思います。
〇橋場首席指導主事兼生徒指導課長 児童生徒のスマートフォンの所持状況についてでございますが、全国学力・学習状況調査によりますと、県内公立学校の児童生徒の携帯電話やスマートフォンの所持率は、平成29年度は、小学校6年生では51.8%、中学校3年生では75.9%となっており、前年度から比べますと所持率は上がっているものの、いずれも全国平均を下回っている状況でございます。また、高等学校につきましては、岩手県高等学校長協会調査によりますと、平成28年度の調査でございましたが、所持率は98.4%の状況でございました。
次に、1日の使用時間の推移についてでございますが、同じく国の調査によりますと、県内公立学校の児童生徒の平日の携帯電話やスマートフォンでの通話やメール、インターネットを使用する時間が2時間以上の小学校6年生は、平成28年度は8%でございましたが、平成29年度の調査では9.3%と1.3%の上昇でございましたし、中学校3年生では、平成28年度26.1%に対しまして、平成29年度は27.1%と、これまた1%上がっているという状況でございます。ただし、いずれも全国平均を下回っている状況でございます。
また、高等学校につきましては、県立総合教育センターで実施したインターネット利用に関するアンケートによりますと、インターネット利用時間が2時間以上の高校生は、平成29年度は47.2%、平成30年度は48.6%と1.4%上昇している状況でございます。
〇佐々木努委員 若干ですが、使用時間、それから所持率も年々上昇しているということのようです。所持率とか使用時間の増加によってさまざまな問題が発生しているということは、教育委員会の皆さんもよく御承知だと思います。いじめの温床になるとか健康被害、学力の低下、意欲の喪失、それから性被害等さまざま、これからそういう問題がさらにふえてくるのではないかと言われています。
そういう中で、県もこの情報モラル教育は何年も前から取り組まれているわけですが、今後、新年度以降、どのような形でさらにこの取り組みを進めていこうとされているのかをお聞きしたいと思います。
〇橋場首席指導主事兼生徒指導課長 新年度におきます情報モラル教育の取り組みについてでございますが、各学校におきまして、各教科や道徳等の授業等の中で、児童生徒の発達段階に応じまして、繰り返し繰り返し指導することがまず重要でございます。県教育委員会におきましては、平成28年度から3年間をかけまして、各学校における情報モラル教育を推進する役割を担う教員を養成する研修に取り組みまして、約700名が受講してきたところでございます。
インターネットの急速な普及に伴い、携帯電話やスマートフォン、またSNS等が児童生徒にも身近になる中で、先ほど委員から御指摘もいただきましたが、インターネット上の誹謗中傷やいじめ、インターネット上の犯罪や違法、有害情報の問題等の深刻化など、情報モラル教育の重要性につきましては、一層高まってきておるところでございます。
次年度の取り組みといたしましては、より一層情報モラル教育を充実させるために、教員を対象とした授業力向上研修の中で、児童生徒が情報を正しく活用する能力などを身につけさせるための指導に係る研修を実施いたしますとともに、各教育事務所単位での情報モラル教育にかかわる授業づくり研修会を、新たに3年かけて実施していくこととしております。
今後におきましても、児童生徒に情報社会の陰の部分も理解させた上で、情報手段を上手に使用していく判断力であるとか心構えを身につけさせていくことができますように取り組んでまいりたいと存じております。
〇佐々木努委員 この問題については、もう何年も前から取り上げさせていただいていて、小学校、中学校のうちはスマートフォンを持たせないほうがいいというのは、私は今でも変わらぬ思いでいます。それから、使用時間についても、ある程度、県なりで方針を決めて、他県のように9時以降は絶対使用させないとか、そういう決まりをつくるべきだということも私は提案させていただきましたが、これはなかなか難しそうです。小学校6年生はもう半分以上持っている、中学校3年生は4分の3、高校生はほぼ100%に近いぐらい持っているということですから、今さら言っても仕方がないと思いますけれども、この問題はこれからますますクローズアップされてくるのではないかと思いますので、しっかりと教育委員会で取り組んでほしいと思います。
最後に一つお聞きします。大阪府で、児童生徒のスマートフォン等の学校への持ち込みを容認するという方針を出した。それを受けて文部科学省も、これまでの通知について見直す検討を始めるという報道があります。そのことに対して県教育委員会はどのように考えていらっしゃるでしょうか。
〇橋場首席指導主事兼生徒指導課長 ただいま御紹介いただきました大阪府教育庁で作成中のガイドラインのことや、文部科学省が小中学校への持ち込みを原則禁止とした2009年度の通知について見直しなどの検討が進められる方向であることは、私どもとしても報道等を通しまして承知しているところでございます。
県教育委員会といたしましては、2009年度の文部科学省の通知を受け、小中学校においては、携帯電話は、学校における教育活動に直接必要のないものであることから、持ち込みについては原則禁止、高等学校におきましては、学校での教育活動に支障が生じないように、校内における生徒の携帯電話の使用を制限すべきであることとしております。
現在、各地域におきましては、例えば、域内の中学校の生徒会の代表者等が一堂に集まりまして、スマートフォンやインターネットの利用上のルールについて話し合い、安全使用宣言のポスターやチラシを作成するなど、それぞれの地域の実情に応じた取り組みも進められております。
今後におきましては、これまでの原則を踏まえつつ、各市町村教育委員会、関係機関との連携を図りながら、学校における携帯電話の取り扱い、また情報モラル教育の一層の充実に努めるとともに、今後の国の方針の見直しや他都道府県の取り組みの動向等も注視しながら、対応等について検討してまいりたいと考えております。
〇佐々木努委員 大阪府のような方針にならないことをお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
〇高田一郎委員 それでは、まず最初に、就学援助制度についてお聞きいたします。
就学援助制度の要保護児童生徒援助費補助金が新年度から拡充されることが文部科学省の方針で示されています。これは県教育委員会としてどのように把握されているのか、あるいは、県内の就学援助制度の支給内容と支給率はどのようになっているのか、まず示していただきたい。
〇佐藤特命参事兼学校施設課長 就学援助制度の拡充についてでございますけれども、国の平成31年度当初予算案に計上されている要保護児童生徒援助費補助金におきましては、拡充措置として、修学旅行費の中学校の単価引き上げ、新入学児童生徒学用品費等の単価引き上げ、卒業アルバム代等を補助対象費目に追加、この3点が盛り込まれておりまして、予算案で前年度比3.4%増となっていると承知しております。
県内の支給内容と支給率についてでございますけれども、修学旅行費につきましては、本年度において28市町村が交通費や宿泊費などを実費支給とし、5市町村が国の補助金単価を参考に支給しておりますけれども、うち2市町では、来年度における実費支給に向けた検討を行っているところでございます。
また、新入学児童生徒学用品費等につきましては、ほぼ国の補助金単価で支給されているものと承知しておりまして、国の単価引き上げに呼応するものと認識しております。
〇高田一郎委員 私はもう一つ、就学援助制度の支給率がそれぞれの自治体でどうなっているかということをお聞きしたのですが、その辺、答弁がありませんでしたので。
〇佐藤特命参事兼学校施設課長 支給率につきましては、就学援助の援助費目ごとに異なるものと認識しております。例えば来年度の単価引き上げの対象であります修学旅行費については、基本的に実費支給が多くなされておりますし、新入学児童生徒学用品費等については、国の補助単価によっているということでございます。
〇高田一郎委員 ちょっとずれていますけれども。今年度、保健福祉部で子どもの生活実態調査を行いました。この調査内容を見ますと、教育にかなりのお金がかかるということで、就学援助の拡充を求める声が49%になっているという状況です。そこで、今回の国の就学援助制度の単価の見直しに伴い、準要保護児童生徒にも拡充すべきではないかと私は思うのですけれども、この点が一つ。
もう一つは、これまで私たちも新入学児童生徒の学用品の入学前の支給を求めてきました。同時に、修学旅行費の支給方法についても改善をこの間ずっと求めてきました。これは現段階ではどのように改善されたのか、全県の状況についても示していただきたい。
〇佐藤特命参事兼学校施設課長 準要保護児童生徒への拡充についてでございますけれども、修学旅行費と新入学児童生徒学用品費等につきましては、県内33市町村全てが準要保護児童生徒においても援助費目としております。
準要保護児童生徒を対象とする就学援助につきましては、平成17年度から市町村の単独事業で行われておりますけれども、要保護児童生徒援助費補助金において拡充措置がとられた場合には、準要保護児童生徒につきましても地方財政措置が講じられてきているところでございます。
準要保護児童生徒への援助に関する平成31年度の地方財政措置の詳細は現時点では示されておりませんが、県教育委員会といたしましては、地方財政措置を踏まえつつ、地域の実情に応じ、保護者負担が増加することのないよう、適切な制度運用について県内市町村教育委員会に要請してまいりたいと考えております。
次に、まず修学旅行費の支給改善についてでございますけれども、修学旅行費につきましては、就学援助世帯に対する援助費の支給が実績額に応じた精算払いとなっておりまして、費用の事前積み立てに伴う保護者の一時負担が生じているところでございます。
そのような中、保護者負担を考慮いたしまして、盛岡市におきまして、修学旅行費の概算払いによる支給の実績がございまして、県教育委員会におきまして、県内各市町村に情報提供を行うなどした結果、本年2月1日現在、県内3市町村で就学援助世帯の個別の事情に寄り添って、概算払いに応じた方針としているところでございます。
また、県内での事例にはございませんけれども、県外、具体的には札幌市などでは、修学旅行費の学校代理受領によるいわゆる現物給付が行われております。現物給付には、学校において就学援助世帯の個別の事情を把握しづらくなるという側面もございますけれども、市町村が実情に応じて適切に運用できるよう、このような県外での事例も幅広く収集いたしまして、県内市町村への情報提供に努めてまいります。
次に、新入学児童生徒学用品費の入学前支給についてでございますけれども、本年度、新入学児童生徒については、県内29市町村で入学前支給が行われたところでございまして、平成31年度新入学児童生徒から新たに2市町村で実施されることが決定され、残る2町村では、2020年度新入学児童生徒から実施する予定であると把握しております。
〇高田一郎委員 準要保護児童生徒への拡充については地方財政措置がとられるといっても、それを判断するのは地方自治体でありますので、適切に拡充されるように、県としてもしっかりと指導していただきたいと思います。
新入学児童に対する入学前支給については、全市町村で新年度からなるということで、大変よかったと思います。ただ、修学旅行費の支給方法の改善については、まだまだ全県に広がらないなと思います。盛岡市が概算払いをやっているとか、札幌市のお話も出されました。これは学校現場の事務を軽減することにもつながりますので、ぜひ全国の経験もよくつかんで、全県に広がるように、県としてもしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
そこで、就学援助制度の問題で、県内の全ての自治体の支給状況の資料をいただきましたけれども、久慈市は、支給の対象になっている子供たちというのは24.13%なのですけれども、一番低い自治体は金ケ崎町の5.49%なのです。40人生徒がいれば、10人のところもあれば、自治体によっては2人のところもあるという状況なのです。これはそれぞれの自治体の住民の所得もあるかと思いますけれども、こんなに差が広がっているというのは私は原因があると思うのです。いろいろ調べてみましたら、対象になる所得水準が生活保護の1.4倍というところもありますし、1.2倍というところもあります。児童扶養手当を支給している方は全て対象だという自治体もあります。自治体によってまちまちなのです。だから、これは市町村の事務ではありますけれども、義務教育というのは無償なのだと、それにふさわしい就学援助制度にすべきだと思います。なぜこんなに町村で格差があるのか、その原因を県としてもしっかりと把握して、義務教育は無償化なのだと、教育の負担軽減を多くの保護者が求めているわけですから、これに対してしっかりと取り組んでいただきたいと思いますけれども、改めて課長に答弁いただきたいと思います。
〇佐藤特命参事兼学校施設課長 準要保護児童生徒の認定の基準につきましては、ただいま委員からお話がありましたとおり、要保護児童生徒の認定基準を基本といたしまして、市町村ごとに地域の実情に応じたさまざまな認定要件とされているところでございます。
いずれ、この制度につきましては、就学困難な児童生徒の就学機会を保障する制度でございますので、今後とも、市町村と一体になって適切に運用されるように努めてまいります。
〇高田一郎委員 同じ岩手県内に住んでいても、こんなに支給率が違うということについて、県教育委員会としてもしっかり分析をして対応していただきたいと思います。
次に、学校図書館の司書の配置状況についてお聞きいたします。
まず、学校図書館と司書の役割について、県教育委員会としてはどのように考えているのでしょうか。
1999年に採択された国連ユネスコ宣言では、学校図書館というのは、児童生徒が責任ある市民として生活できるように、生涯学習の技能を育成し、想像力を養うものであって、大変大きな役割を果たしていると、学校図書館法にもしっかりとこういうことが位置づけられているわけですけれども、改めて、そもそものところで教育委員会の考え方を聞きたいと思います。
〇永井教職員課総括課長 学校図書館と学校司書の役割についてのお尋ねでございます。
まず、学校図書館につきましては、学校教育において欠くことのできない基礎的な設備でございます。子供たちの読書活動を通じた豊かな心の育成に加え、さまざまな学習、指導場面での利活用を通じて、主体的、対話的で深い学びを効果的に進める基盤としての重要な役割を担っているものと承知しております。
次に、学校司書についてでございますけれども、学校司書は、学校図書館の利活用が進みますように、その管理運営と教育活動の支援を担っているものでございまして、司書教諭等と連携の上、子供たちの豊かな心を育むとともに、主体的な学びの力を身につける上で、これも重要な役割を担っているものと承知をしているものでございます。
〇高田一郎委員 そのとおりだと思います。学校図書館を充実していく、子供たちが本当に読書が楽しい、そういう環境をつくっていく上で、図書館に人を配置すると、情操を豊かにすると、この二つが非常に大事だと思います。それで、県内の学校図書館における司書の配置状況はどうなっているのか。全国の配置状況と対比してどういう位置にあるのか。
それから、県は今度のアクションプランの中で、その指標の一つに、読書がとても楽しいと感じる生徒の割合を高める指標をつくりました。県として具体的にどういう対応をされるのか、この点について示してください。
〇永井教職員課総括課長 まず私からは、学校司書の配置状況について御答弁をさせていただきます。
本県及び全国の学校司書の配置状況についてでございますけれども、直近の全国調査がございまして、これは平成28年度の文部科学省の調査になりますが、本県における学校司書については、小、中、高校合わせて560校弱のうち183校、配置率にしておよそ33%となっております。全国でまいりますと、3万2、600校余のうち、配置校が1万9、400校余ということで、配置率といたしましてはおおむね60%となっているものでございます。
〇佐藤首席社会教育主事兼生涯学習文化財課総括課長 読書がとても楽しいと感じる生徒の割合を高める県の対応についてでございますが、県では、読書がとても楽しいと感じる児童生徒の割合を高めることが、県が目指す、子供たちが読書活動に魅力を感じ、読書に主体的に取り組むことができる環境づくりの実現につながるものと考え、家庭、地域、学校等が連携、協力した取り組みを推進してきております。
具体的には、学校司書や読書ボランティア、学校図書館支援員等の資質向上や地域の人材育成を図る研修会の実施、情報メディアに触れる時間を減らして読書活動等を行うなどの教育振興運動の取り組みの奨励、子供自身による読み聞かせなど、読書活動を通じた社会参加活動の促進、県内全ての児童生徒へブックリストを配布して読書活動の普及啓発を図るなど、児童生徒が本に触れる機会の充実等に取り組んでおります。
本県の現状といたしまして、読書がとても楽しい、または、どちらかというと楽しいと感じている児童生徒の割合は、小、中、高校のいずれも8割を超えていることなど、児童生徒の読書状況はおおむね良好と考えられますが、学年が上がるにつれて、指摘されることが多い活字離れあるいは読書離れといったことは依然として課題となっております。
今後も、いわて県民計画最終案等に基づきまして、読書がとても楽しいと感じ、読書に主体的に取り組む児童生徒の育成を目指し、子供の発達段階に応じた取り組みや、子供の読書への関心を高める取り組みなどを具体的に推進してまいりたいと考えております。
〇高田一郎委員 学校図書館における司書の配置状況を伺いましたけれども、今答弁があったように、岩手県は小、中、高校を含めて32%程度ですね。全国は60%ですから、全国と比較しても半分という位置なのですね。
教育委員会はさまざまな努力をしているのは承知しております。こういうパンフレットもつくって普及しているということも知っていますし、さまざま検証をしているということも知っております。でも、やっぱりそこに人がいるのかどうか、ここが全然違ってくるわけです。この間、国においても、学校図書館整備5カ年計画もつくられまして、そして学校1.5校に1人の司書を配置しなさいと、蔵書もふやしなさいという具体的な指示もされているわけです。そういう意味で、アクションプランにおいても司書をふやしていくという計画になっています。県として、司書を配置する計画があってもいいのではないかと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
〇永井教職員課総括課長 今委員から御紹介のございました司書を1.5校に1人という部分については、市町村小中学校に対しての措置ということで、これは地方財政措置の関係もございます。会議等を通じてあるいはさまざまな機会を通じて、市町村に対しまして、これら地方財政措置の状況についてしっかりと御説明いたしますとともに、あわせて、学校司書の配置の拡充を働きかけてきておりますし、今後とも、引き続きお願いしてまいりたいと考えております。
また、県立学校においては、現行の体制の中で、学校事務職員の役割として、司書業務を明確に位置づけるということを推進してまいりましたし、先ほどの御答弁で、司書教諭との連携というところで重要だと御答弁申し上げましたが、平成31年度からは、これらの取り組みに加えまして、司書教諭の養成と申しますか、資格取得の促進に取り組むことを考えているものでございますので、司書、学校司書、司書教諭の連携、協力体制をしっかりと来年度に向けても構築してまいりたいと考えているところでございます。
〇高田一郎委員 1.5校に1人というのは小中学校という話でありましたが、県立学校においても、全国は67%に対して岩手は21%ということで、さらに小中学校よりも格差が広がっている状況ですので、少なくとも県教育委員会として、ここはしっかりと計画を持って取り組んでいただきたいと思います。
次に、学校給食についてお聞きしたいと思います。
まず最初に、教育長にお伺いしたいのですけれども、学校給食というのは学校給食法に基づいて、教育の一環だということでしっかり位置づけられています。同時に、憲法では、義務教育は無償だということも明確なわけですけれども、学校給食の教育的な役割、全国で無償化が広がっているのですけれども、教育長はこの点についてどのようにお考えなのか。
もう一つは、これは教育長でなくてもいいのですけれども、今、給食費に対して助成をする自治体が全国各地で広がっております。岩手県内ではどういう状況になっているのか。あわせて、学校給食費の負担についてもどの程度になっているのか。10月には消費税10%増税で、また値上がりするのではないかという懸念の声も広がっていますけれども、現状はどうなっているのかについてもお聞きします。
あわせて、特別支援学校の給食も、この間、デリバリー弁当などもまだまだやっているということも指摘をして、その改善を求めてきました。特別支援学校における給食の改善がされているのかどうか、この点についてもあわせてお聞きします。
〇高橋教育長 まず、義務教育の無償についてでございます。これは憲法第26条第2項後段におきまして、義務教育は、これを無償とすると規定しておりますけれども、この規定の解釈につきましては、昭和39年の最高裁大法廷判決におきまして、授業料不徴収の意味と解するのが相当であるとされておりまして、同項の規定を受けて、教育基本法第5条第4項と学校教育法第6条ただし書きにおいて、義務教育については授業料を徴収しない旨規定されるとともに、学校教育法第5条においては、学校の設置者は、法令に特別の定めがある場合を除き、その学校の経費を負担することとされていると承知をいたしております。また、これとは別に、義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律において、義務教育諸学校で使用する教科書用図書の無償措置を定めているというものでございます。
ということで、学校給食については、その負担は求められていると解しております。
学校給食の教育的役割についてでございます。この学校給食は、児童生徒の心身の健全な発達に資することや、児童生徒の食に関する正しい理解と適切な判断力を養い、生涯にわたって健全な食生活を実践できる力を育む上で重要な役割を果たしております。
また、食料供給県である本県の特色を生かして、学校給食には、岩手の豊かな農林水産物を取り入れるよう努めてきておりまして、岩手に住むよさについて食を通して触れ、児童生徒に郷土愛や感謝の心等を育む役割も果たしていると思っております。
給食の時間における指導は授業時数に含まれないものの、教育課程上の学級活動として年間指導計画に基づいて行われる極めて重要な学校教育活動でありまして、学校では、給食の時間や教科等において、学校給食を活用した食に関する指導を実施してきております。
市町村教育委員会とともに、学校給食の充実に向けて今後とも取り組んでいきたいと思っております。
〇荒木田首席指導主事兼保健体育課総括課長 自治体における学校給食費の助成状況と保護者の学校給食費負担状況についてでございます。
学校給食に要する経費については、学校給食法第11条第1項で、施設費や人件費等の施設及び設置に要する経費並びに学校給食の運営に要する経費は義務教育諸学校の設置者の負担と、同項第2項におきまして、前項以外の食材料費等の学校給食に要する経費は、保護者負担と定められているところでございます。現時点において、本県において完全無償化を実施している市町村はございませんが、5町村におきまして保護者が負担する学校給食費に対して助成を行っている状況でございます。
また、平成30年度の保護者負担額の県平均単価でございますが、小学校では259円、中学校は299円、小学校で一番低い単価は219円、一番高い単価は281円(後刻「283円」と訂正)、同じく、中学校で一番低い単価は248円、一番高い単価は330円(後刻「333円」と訂正)となっており、市町村では、地域の状況や国の情勢を見きわめながら、学校、保護者等の合意形成を図りつつ、適切に給食費を検討していると捉えております。
失礼しました。中学校の一番高い単価は333円となっておるところでございます。
県教育委員会といたしましては、市町村に対しまして、学校給食費に対する助成の事例や給食費の設定状況について情報提供をこれからも続けたいと考えております。
〇佐藤首席指導主事兼特別支援教育課長 特別支援学校におけるデリバリー方式による給食についてでありますが、現在、デリバリー方式で給食を提供している特別支援学校は、盛岡みたけ支援学校、釜石祥雲支援学校、一関清明支援学校の3校でございます。
デリバリー方式の給食解消に向けて、釜石祥雲支援学校につきましては、新築移転する際に、釜石市の給食センターからの供給について検討しており、また、一関清明支援学校においては、一関市と情報共有を図りながら、一関市の給食センターからの供給を検討していくこととしております。盛岡みたけ支援学校につきましては、在籍児童生徒数も多いことから、市の給食センター以外から給食を配送することができるよう検討、計画してまいります。
今後とも、市町村等の関係機関との連携を図りながら、安定した給食提供に取り組んでいきたいと考えているところでございます。
〇軽石義則委員長 高田一郎委員に申し上げます。世話人会の申し合わせにより、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、議事の進行に御協力をお願いいたします。
〇高田一郎委員 では、最後にいたします。
そうすると、特別支援学校の給食については、改善の方向で前向きに検討しているということで理解してよろしいでしょうか……。はい、わかりました。
それで、最後ですので質問しますけれども、学校給食について、県内33市町村でいろいろ調べましたけれども、保護者負担で月1、000円も違っているのです。年間の提供回数も多いところで198回、少ないところで161回と、37回も違うのです。これは質を考えれば、保護者負担につながる、あるいは安い食材を求めるという状況につながっているのです。同時に、保護者負担をふやさないために、回数そのものを減らしていく状況です。現場では、10月の消費税10%で引き上げざるを得ないという現状にあります。だから、学校給食は市町村の事業ですけれども、いよいよ県もかかわって、負担軽減とか三陸の食材を活用するとか、そういった役割が県も必要ではないかと思うのですけれども、この点についてはいかがでしょうか。
〇荒木田首席指導主事兼保健体育課総括課長 委員御指摘のとおり、給食の回数につきましてはばらつきがあるということは認識しております。また、この辺につきましては、学校行事とか給食費を据え置く意味でも、いろいろな調整を図っているのだろうということで捉えてはおりますが、余り極端なばらつきがあるのでは、生徒の健全育成とか保護者負担にもつながりますので、そこは関係市町村と連携をとりながら進めていきたいと考えております。
地場産品につきましては、これからも岩手の豊かな食材を使って、先ほど教育長もお話をしましたが、郷土愛または郷土食を紹介しながら岩手の子供たちの健康づくり、また、郷土愛づくりに貢献していきたいと、学校給食を通じてやっていきたいと思っております。
〇千田美津子委員 私は大きく分けて2点、教職員の長時間労働の解消と、子供たちのいじめ、不登校への対応についてお聞きをいたします。
まず、教職員の長時間労働の解消についてですが、今議会でもさまざま議論がありました。教職員の皆さんの長時間労働の実態が余りにもひどいということで指摘をされておりますし、私もそのように認識をしておりますが、改めて、県教育委員会ではこの現状をどう認識し、どう改善をされようとしているのかお聞きをしたいと思います。
あわせて、教職員の異常な働き方、忙しさは、子供たちへの教育にも深刻な影響があると指摘されているわけですが、その点についてもお聞きをしたいと思います。
〇永井教職員課総括課長 教職員の働き方について、2点お尋ねをいただきました。
まず、現状の認識についてでございますけれども、いわゆる教員の長時間勤務について、本県の教職員は児童生徒に丁寧にかかわりながら、質の高い授業や個に応じた学習指導に当たっているところでございます。新学習指導要領への移行や教育改革、あるいはさまざまな教育課題への対応、また、学校の役割の増大に伴いまして、長時間勤務の実態は常態化しているということで、その負担軽減は喫緊の課題であると認識しております。
県教育委員会では、昨年6月に教職員働き方改革プランを策定し、本年度からの3年間を集中的な取り組み期間とした上で、教職員の充実感の向上や、長時間勤務者の割合の削減などを目標に、教職員の負担軽減と健康確保、この二つを重点的な柱とした取り組みを進めているところでございます。
引き続き、市町村教育委員会等との関係団体などともしっかり連携しながら、プランに基づく取り組みを着実に推進し、教職員の負担軽減を推進してまいりたいと考えているものでございます。
それから、2点目でございますけれども、教育への影響という部分でのお尋ねがございますけれども、本年1月の中央教育審議会の答申におきましては、働き方改革の目指す理念について、教師のこれまでの働き方を見直し、教師が日々の生活の質や教員生活を豊かにすることができるよう、みずからの人間性や創造性を高め、子供たちに対して効果的な教育活動を行うことができるようになるということが答申にされているところでございます。これらを踏まえ、県教育委員会といたしましても、子供たちが学校教育を通じ、必要な資質や能力を身につけていくためには、教員一人一人が、健全な心身を保ち、授業やその準備活動、さらには、十分な自己研さんの時間を確保し、子供たちにしっかりと向き合うことができ環境を早急に確立することが大変重要であると考えているところでございます。
〇千田美津子委員 御答弁のように、プランに基づいて集中的な取り組みをしていくということで、今お話があったような環境づくりをしていただきたいわけですが、具体の部分で、そうであれば、長時間労働解消の上では業務の削減が大変大事だと思いますが、どのように検討、実施をされていくお考えか、お聞きをいたします。
〇永井教職員課総括課長 業務の削減見直しについてでございます。県教育委員会では、これまで、教員の事務的業務の見直しや少人数学級の推進、部活動休養日の確実設定など、その負担軽減策に取り組んできたところでございます。今年度は、教職員働き方改革プランの具体的な取り組みとして、昨年9月に教員等によるワーキンググループ、これは県教育委員会、市町村教育委員会、関係団体を含んだ非常に広範なワーキンググループでございますけれども、これを設置いたしまして、業務の効率化や業務分掌の見直し、部活動のあり方など、業務改善等の検討を重ねてまいりました。このワーキンググループの検討を受けまして、市町村教育委員会とも連携しながら、学校現場それから教育委員会の双方において、業務改善等を推進してまいりたいと考えているところでございます。
〇千田美津子委員 実際はこれからということになると思いますが、実はきょうの朝のテレビで、岡山県の鴨方東小学校で働き方改革を進めているということで、先生方はいっぱいいろんな仕事をやられているわけですけれども、例えば校舎内のワックスがけとか見守りとか、率直にこういう仕事を担ってもらうと助かると地域の方々と話し合いをして、それらが時間外勤務の削減につながっているという報道がありました。私は全部見られなかったのですが、それで、多分これは平均だと思いますが、超過勤務の63時間が44時間に減ったということでありました。
私は、これから学校現場それぞれのところで、特に小中学校だと地域の方々に手伝ってもらってやれることもいっぱいあると思うので、高校となるとなかなか難しいかもしれませんが、私はこういう取り組みをどんどん広げていくことが、ひいては先生方が子供に向き合える時間をふやしていくことにつながると思うのです。県教育委員会からの働き方改革もそうですけれども、市町村がそれぞれ、そして各学校単位で、もっともっとそういう部分での議論をする必要があるなと、けさのテレビを見てそのように感じましたが、どうでしょうか、教育長。
〇高橋教育長 教職員の働き方改革でございますけれども、これは教育を将来に向かって充実させていくと、そのためには極めて重要な課題であると認識しております。
それで、これまで、さまざま部活動の見直しでありますとか外部人材の活用でありますとか、それから業務改善等、少人数学級の実現もそうですけれども、これまでさまざま取り組んでおりますけれども、現実的に、学校が行うべき業務が増大してきている中で、教員の働き方というのは、極めて時間外労働が多い実態にあるというのはそのとおりでございます。
これを改善していくためには、一つのことだけではなくて、さまざまなことに取り組んでいくことが重要でございますし、それから、地域の皆様方の理解、協力ということも重要なことだと思っております。これは学校が大変だから地域の皆さんお願いしますという一方的なことではなくて、学校と地域のウイン・ウインの関係を築いていく、その関係性を構築していくことが大事だと思っておりまして、ただいまいただいたお話等も含めまして、市町村教育委員会等を含めて、しっかりその働き方改革が定着するようにやっていかなければならないという思いを強くしたところでございます。また努力していきたいと思っております。
〇千田美津子委員 私が話したのは、ごく一部のことであって、今教育長がお話をされた多面的な部分からの改革が必要だというのはそのとおりです。ただ、こういうことも私はすごいなと思いましたし、今、地域の学校のあり方は住民にとっても大きな関心になっています。
この鴨方東小学校のブログでは、通いたい学校、通わせたい学校、協力したくなる学校というテーマがあるようで、そういう学校になっていくと、いろんな地域の見方も変わってくるので、私は必要な観点かなと思いましたので、ぜひ御検討をいただきたいと思います。
それで、学校現場で非正規の職員の皆さんが多数働いていらっしゃるわけですが、私はこういう方々をぜひ正規雇用にしていかなければ、働き方改革に本当の意味でならないのではないかと思っています。そして、これは当事者もそうですけれども、授業を受ける子供たちの教育にとっても私は重要なことではないかと考えるわけですが、その点をお聞きしたいと思います。
〇永井教職員課総括課長 学校におります非常勤講師等についての働き方という部分でのお尋ねでございますけれども、学校教育の推進に当たりましては、いわゆる正規採用の教職員とともに、委員から御案内のありましたような常勤講師あるいは非常勤講師として任用しているいわゆる非正規教員の方々にも、これは非常に重要な役割を担っていただいているところでございますが、少子化による学級数の変動等を見通した教員定数等の減少や、いわゆる産休、育休等の代替で入るような事情がございますので、これは一定数の非正規教員の任用は必要としている現状にございます。こうした講師の方々の中には非常に優秀な方も多うございますし、教員採用試験の勉強をしながら職務に当たっている方も非常に多いということでございます。こういった状況も勘案し、本県におきましては、平成27年度実施の教員採用試験から、いわゆる県内で一定期間の講師経験のある方についての特別選考の試験を実施しております。また、各学校では、講師の方々の勤務負担についての一定の配慮、軽減でありますとか、採用試験に向けたいろんな指導、支援なども行っていると聞いておりますので、近年では、こういう講師経験者の教員採用試験の合格率も高まってきております。
今後、児童生徒数が減少していく、あるいは学校統廃合によりまして教員定数が減っていくということですとか、再任用者の増加という状況もございまして、こういった教員需要などとも加味して考える必要がございますので、これらのことを総合的に勘案しながら、いわゆる非正規教員の任用のあり方について、引き続き検討してまいりたいと考えているところでございます。
〇千田美津子委員 もう一点、授業数についてお聞きをしたいと思いますけれども、週5日制になった時点で、本来であれば、授業数が同じなら教員を2割ふやす必要があったと思いますが、国は定数増なしに5日制に移行したわけです。授業総数は7%しか削らなかったということでありまして、もともとの原因はここに私はあったと思いますが、この現状を踏まえて、その点どのようにお考えかお聞きします。
〇荒川首席経営指導主事兼小中学校人事課長 週5日制の導入に伴う授業時数と教員定数についてでございますが、教職員の定数は公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律により、学級数をもとに算定されております。平成14年の学校週5日制の実施に伴い教育内容が厳選され、授業総時数も削減されましたが、それに伴う定数改善は行われていないものであります。
一方、国では、加配定数の拡充により、教員定数の改善を推進しており、本県においても、学校週5日制の導入以前より現在の加配定数は400人程度増加しており、この加配定数を振りかえて35人学級を段階的に拡充するなど、児童生徒に寄り添う時間の確保や個に応じた指導の充実に努めてまいりました。しかしながら、新学習指導要領の本格実施に伴い、小学校では外国語の教科化による授業時数増加により、教職員の持ち時間数は増加してくることから、これに対応するには抜本的な定数改善計画が不可欠と考えておりますので、これまでも国に対し強く要望してきたところでありますが、今後も継続して要望してまいりたいと思います。
〇千田美津子委員 ぜひよろしくお願いいたします。
それでは、部活動指導員の今年度の配置状況と、来年度配置見込みについてお聞きいたします。
〇荒木田首席指導主事兼保健体育課総括課長 部活動の今年度の配置状況と来年度の見込みでございますけれども、本年度の配置状況につきましては、中学校が14名、高校が27名となっているところでございます。部活動指導員を配置したことによりまして、担当教員の休養日が確保しやすくなったことなどに伴う勤務負担の軽減や専門的な指導の充実に伴う生徒の競技力の向上などが図られたところでございます。
平成30年度当初予算におきましては、中学校に58名、高校に31名の配置に係る予算を計上したところでございますが、今申し上げました実績にとどまっている理由としましては、地域によっては指導者の確保が困難な状況であること、また、事業導入初年度であることから、各学校の一部の部活動にのみ任用が限定されたことなどによるものと考えております。したがいまして、一層の人材確保に向けた具体的な取り組み及び指導員の積極活用に向けた学校への周知が主な課題であると認識しているところでございます。
来年度におきましては、一層の人材確保に向けまして競技団体等との連携のもとに、県広域スポーツセンターが設置しますリーダーバンクの活用等により配置を促進していくこととしており、各学校における部活動指導員の積極活用に向け、中学校については、市町村説明会等を実施するとともに、高校については、学校長会議等においてその周知を図ることとしておるところでございます。
このような取り組みによりまして、中学校については、県内全学校に1名ずつ、計158名に配置を拡大するとともに、高校には、今年度と同様、31名を配置することとして、所要経費を来年度当初予算案に計上しているところでございます。
〇千田美津子委員 いろいろな事情等があって平成30年度は目標どおりいかなかった部分があるけれども、新年度、特に中学校が158名配置されるということで、本当に努力をされたと思っています。ただ、文部科学省がもっと配置基準が低かったように思いますけれども、これは県独自でこのように拡大をするという方針であるということを確認したいと思いますが、どうですか。
〇荒木田首席指導主事兼保健体育課総括課長 国の動向も、先進的に働き方改革に取り組む中学校に対しては1名ずつ配置するという予算を計上しておりますので、県におきましても、各学校に1名ずつ配置するという取り組みをしていきたいと考えておるところでございます。
〇千田美津子委員 それでは、高校とさらにふやしていくように、相手方のこともあると思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
教職員の長時間労働の最後に、この間の人事委員会の予算審査の中で、人事委員会が掌握している県立学校の超過勤務の状況が100時間超えの方が668人いらっしゃるという答弁でございました。そして、ちょっと次のところが大事なのですが、しかもその668人のうち、産業医の指導を受けている人が全くいないと、ゼロだという話がありました。これは確認をしたいと思います。
〇永井教職員課総括課長 いわゆる長時間勤務者に対する健康確保という中でも産業医への受診ということでございますけれども、今年度から教育委員会におきましては、時間外勤務が単月100時間を超える場合、もしくは複数月を平均で80時間を超える場合については、所属長がその状況を本人に対して伝えた上で、産業医等医師へ受診をするように、勧奨といいますか、指導を行う取り組みを今年度から始めております。これに対して、最終的には、受けた教員が、自分の体調を勘案して落ちついているというような場合もございますので、強制という形ではございません。所属とそれから本人の状況の共有と、それから話し合いを受けてということになりますけれども、これを踏まえて、今年度4月から12月までの受診の状況でございますけれども、申し出が12件ございまして、その12件全て産業医等で受診を行っているという状況にございます。
〇千田美津子委員 先ほど私、人事委員会の調査で100時間超えが668人と言いましたが、この数は合っていますか。(「それは聞かなくていいのだから、秘書が調べているんだから」と呼ぶ者あり)ああ、そうか。
〇軽石義則委員長 千田委員、質問ですか。
〇千田美津子委員(続) いずれ、4月から12月までの申し出が12件ということで、ただ、これは80時間超えということですね。もう少しきめ細かに、先ほど臼澤委員の質問の中にも、精神疾患で退職された方々もいらっしゃるということですので、ぜひそういう状況にならないうちに、産業医に相談できる体制をぜひとっていただきたい。申し出がなければ相談できないということなのですか。気軽に相談するという状況にないのですか。
〇永井教職員課総括課長 申し出と申し上げましたのは、あくまで時間外勤務の状況を各所属長が把握をした上で、本人に対して、あなたの勤務状況はこうだよと伝えた上で体調を確認し、その結果を踏まえた上で産業医の受診をするかどうかについて相談をし、本人から、では、産業医へ受診の手続をしてくださいという申し出が12件あったということでございます。
〇千田美津子委員 私はもっと気軽に相談できる状況が必要だと思いますが、いずれ、検討していただきたいと思います。
職員の皆さんが健康で働き続けられる状況をつくっていく上でも、そういう方々との相談が気軽にできるという状況は非常に大事ですので、ぜひそこは改善をお願いしたいと思いますが、どうですか。
〇永井教職員課総括課長 委員御指摘のように、先ほど臼澤委員の御質問でも、健康管理が大事だということで御質問を頂戴いたしました。いずれ、県教育委員会としましては、職員の健康管理は働き方改革プランの中でも大きな柱に位置づけておりますので、いわゆる保健指導の体制については県教育委員会に置いております保健師がおりますので、いつでも相談は受けられる体制にしております。また、沿岸においては、沿岸南部教育事務所にいわゆる被災地支援を兼ね、被災地域で勤務する教職員が相談を受けやすいように、臨時の保健師を配置しております。また、メンタルヘルスについては、そういう申し出を踏まえて、月一遍、時間をとって専門医と相談できるような体制を今年度から拡充いたしまして、職員の心と体の健康対策、気軽に相談できるような体制の準備に努めているところでございます。
〇千田美津子委員 了解しました。引き続きよろしくお願いいたします。
それでは次に、いじめ、不登校への対応についてお聞きいたします。
いじめの認知件数と重大事態への対応の状況について、そして平成28年度に比べてどういう状況にあるのか。それから、あわせて、24時間いじめ相談ダイヤルの実施状況と対応策について、これも平成28年度に比べてどういう状況にあるかお聞きいたします。
〇橋場首席指導主事兼生徒指導課長 まず初めに、いじめの認知件数と重大事態への対応の状況についてでございますが、国の調査によりますと、平成28年度における県内公立学校のいじめの認知件数は5、750件でありました。平成29年度は6、653件と、903件増加をしております。また、いじめの重大事態につきましては、平成28年度は19件、平成29年度は1件という状況でございました。
いじめは、どの子供にも、どの学校でも起こり得るとの前提のもと、初期段階のいじめも積極的に認知することは、いじめ対応の第一歩であり、いじめ防止対策推進法が機能する大前提であることから、いじめ事案が深刻化する前に適切に対処してきた結果であると捉えておるところでございます。
また、平成28年度及び平成29年度に発生した県立学校の重大事態についてはすべて解消し、市町村立学校についてもおおむね解消をしております。
今後におきましても、総合教育センターで実施をいたします管理職や一般教諭それぞれの職層を対象とした研修や、教育事務所ごとに行われます専門研修の充実を図っていくとともに、各学校のいじめ防止基本方針に基づき、教師がいじめの問題を決して一人で抱え込むことなく、いじめの未然防止に向けた取り組みや積極的な認知、適切な対処等を組織的に行っていくよう、その取り組みを支援してまいります。
続きまして、24時間いじめ相談ダイヤルの実施状況と対応策についてでございます。
平成28年度及び平成29年度の相談件数は、それぞれ244件、288件であり、44件増加しております。相談者は、本人及び保護者が中心であり、全体の90%を占めております。相談内容によりましては、至急対応が必要な場合もありますことから、氏名等を話していただき、相談者の了解を得た場合には県教育委員会が当該校へ情報提供するなど、適切な対応が図られるようにしております。
また、毎年、相談窓口を記載した携行できる名刺サイズのカードを約15万枚作成し、県内の全児童生徒に配布するなど、児童生徒が困ったときにいつでも相談できる窓口があることを周知してきておりますが、加えて、現在、新たに生命尊重のポスターを作成し、そのポスター内に24時間いじめ相談ダイヤルの番号も掲載しておるところでございます。
今後も、このポスターを各学校の全教室に掲示することとしておりますので、24時間いじめ相談ダイヤル等の周知について、一層の取り組みを推進してまいりたいと思います。
〇軽石義則委員長 千田美津子委員に申し上げます。世話人会の申し合わせにより、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、議事進行に御協力をお願いします。
〇千田美津子委員 最後にします。不登校の実態について、平成28年度に比べてどういう状況にあるのか、お知らせをいただきたいと思います。
〇橋場首席指導主事兼生徒指導課長 不登校の実態についてでございます。平成29年度の国の調査において、県内公立学校の不登校児童生徒数は、小学校201名、中学校843名、高等学校359名、合計1、403名であり、前年度比33名減少となっております。
不登校については、一人一人その要因や背景が多様、複雑であるなどさまざまであり、一律的に解決策を見出していくことは難しい面もございますが、各学校に対しまして、保護者や関係機関等の協力をいただきながら、子供たち一人一人に寄り添い、共感的理解と受容の姿勢を持つなどして、丁寧に対応をお願いしているところでございます。
〇軽石義則委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇橋場首席指導主事兼生徒指導課長 先ほど佐々木努委員への答弁の中で、虐待の各学校からの件数ということでお尋ねをいただきまして、私のほうから、平成30年度が5件、昨年度が2件ということを答弁させていただいたところでございますが、これは国の調査等で本県のまとまった数字ということではなく、その年度に県立の学校から私どものところにその状況が知らされた件数ということでございますので、全ての数が含まれている数ということではございませんので、我々が把握している数ということで再度お伝えをさせていただきます。
〇荒木田首席指導主事兼保健体育課総課長 先ほど高田一郎委員に、学校給食の保護者学校給食費負担額の県平均の単価について、小学校の一番高い単価につきまして281円と申し上げましたけれども、283円の誤りでございます。大変失礼しました。
〇軽石義則委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇軽石義則委員長 質疑がないようでありますので、これで教育委員会関係の質疑を終わります。
教育委員会の皆さんはお疲れさまでした。
以上で本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後5時17分 散 会

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