平成31年2月定例会 予算特別委員会会議録

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予算特別委員会会議記録
(第 6 号)
平成31年3月13日(水)
1開会 午前10時3分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 村 上 宏 治
議事管理担当課長 安 齊 和 男
主任主査 柳 原   悟
主任主査 金 戸 伸 幸
主査 上 野 公一郎
主査 小 原 亜季子
主査 赤 坂 宏 紀
主査 戸 塚 教 仁
1説明員
労働委員会
事務局長 井 上   馨
審査調整課
総括課長 小笠原 隆 行

商工労働観光部長 戸 舘 弘 幸
副部長兼
商工企画室長 佐 藤 一 男
雇用対策・労働
室長 八重樫 浩 文
ものづくり自動車
産業振興室長 瀬 川 浩 昭
参事兼観光課
総括課長 平 井 省 三
商工企画室
企画課長 阿 部   博
商工企画室
管理課長 澤 田 彰 弘
経営支援課
総括課長 熊 谷 正 則
産業経済交流課
総括課長 菊 池   孝
地域産業課長 高 橋 孝 政
観光課特命参事 浅 沼 秀 行
雇用対策課長 西 野 文 香
特命参事兼
ものづくり産業
振興課長 伊 藤 浩 司
自動車産業
振興課長 小 野 和 紀
産業集積推進課長 熊 谷 克 行

企業局長 藤 澤 敦 子
次長兼
経営総務室長 菊 池   満
技師長 朝 岡   薫
経営総務室
管理課長 高 橋 啓 三
経営企画課長 菅 原 克 浩
業務課総括課長 野 崎   裕
電気課長 村 上 敏 弘

財政課総括課長 臼 井 智 彦
〇軽石義則委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
木村幸弘委員及び田村勝則委員は欠席とのことでありますので、御了承願います。
議案第1号から議案第20号まで、議案第28号、議案第30号、議案第32号から議案第39号まで、議案第41号、議案第43号から議案第45号まで、議案第47号から議案第55号まで、議案第57号、議案第60号から議案第63号まで、及び議案第65号から議案第71号までの以上55件を一括議題といたします。
本日は、労働委員会、商工労働観光部及び企業局関係について延べ14人の質問者を予定しておりますが、午後5時を目途に審査が終了するよう、議事進行に御協力をお願いいたします。
初めに、労働委員会事務局長に労働委員会関係の説明を求めます。
〇井上労働委員会事務局長 労働委員会関係の歳出予算につきまして御説明申し上げます。
便宜、お手元の予算に関する説明書により御説明申し上げますので、説明書の153ページをお開き願います。5款労働費3項労働委員会費のうち、1目委員会費3、200万円余は、労使紛争の解決を図るための労働委員会の運営に要する経費であり、委員15人に対する報酬及び旅費等の事務費であります。次に、2目事務局費8、768万円余は、事務局の管理運営に要する経費であり、事務局職員10人の人件費及び旅費、需用費等の事務費であります。154ページをお開き願います。これらを合わせますと、計の欄のとおり1億1、969万円余となるものであります。
以上で、労働委員会関係の歳出予算についての説明を終わります。よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。
〇軽石義則委員長 これより質疑を行いますが、議会運営委員会の決定及び世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇軽石義則委員長 質疑がないようでありますので、これで労働委員会関係の質疑を終わります。
労働委員会の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
次に、商工労働観光部関係の審査を行います。
なお、鎌田労働課長は疾病のため欠席となりますので、御了承願います。
商工労働観光部長に商工労働観光部関係の説明を求めます。
〇戸舘商工労働観光部長 商工労働観光部関係の平成31年度歳出予算につきまして御説明申し上げます。
初めに、当部の予算編成に当たっての基本的な考え方についてでありますが、東日本大震災津波からの復興と、その先の地域経済の持続的な発展に向け、暮らしの再建やなりわいの再生の取り組みを着実に推進するとともに、いわて県民計画最終案に掲げる活力ある産業のもとで、安定した雇用が確保され、また、やりがいと生活を支える所得が得られる仕事につくことができる岩手の実現に向けまして、産業の一層の振興と雇用、労働環境の整備を促進するための予算として編成したところであります。
まず、復興推進関係の取り組みでありますが、暮らしの再建につきましては、産業振興施策と一体となった安定的な雇用の確保や労働環境の整備に取り組んでまいります。
また、なりわいの再生につきましては、被災地域の中小企業の事業再開や経営力向上に向けた取り組みを支援いたしますとともに、新たなまちづくりと連動した商店街を核としたにぎわいの創出や地域の特性を生かした産業の振興を図ってまいります。
次に、政策推進関係の取り組みでありますが、まず、県民一人一人が能力を発揮でき、ライフスタイルに応じた新しい働き方ができる環境の整備に向けまして、若者や女性の県内就業の一層の促進を図るため、いわてで働こう推進協議会を中心に、来年度、政策地域部から移管される移住、定住の促進の取り組みとあわせまして、U・Iターン支援強化も図りつつ、働き方改革や、人材の育成、定着促進の取り組みを官民挙げて推進いたします。
また、地域経済を支える中小企業の振興を図るため、経営力の強化や生産性の向上のほか、急務となっております円滑な事業承継、起業者や後継者の育成など、総合的かつ計画的な施策の推進に努めてまいります。
次に、国際競争力が高く、地域の産業、雇用に好循環をもたらすものづくり産業の振興を図るため、自動車、半導体関連産業の一層の集積促進と競争力強化に向けて取り組みますとともに、県内各地域のものづくり企業の成長支援や新産業の創出等を推進いたします。
また、企業誘致や、県内企業の生産性、付加価値の向上を図りますほか、産学、行政、金融機関が連携し、今後成長が期待される地域産業及びものづくり産業を支える産業人材の育成と県内への定着を促進いたします。
次に、本県ならではの地域資源を生かした産業の振興を図るため、食産業及び地場産業の経営力、生産性の向上に向けた取り組みを促進いたしますとともに、食や伝統的工芸品を初め、特色ある県産品の国内外でのPRや販路の拡大などの取り組みを促進いたします。
さらに、地域経済に好循環をもたらす観光産業の振興を図るため、多様な主体の参画による観光で稼ぐ地域づくりを推進いたしますとともに、三陸防災復興プロジェクト2019などの大型イベント開催を絶好の機会と捉えまして、周遊、滞在型や高付加価値型の旅行商品の開発、売り込み、東北各県等と連携したプロモーションの展開、受け入れ環境の整備等によりまして、国内外からの誘客や観光消費の拡大を図ってまいります。
以上が予算編成に当たっての基本的な考え方でありますが、施策推進に当たりましては、地域が持つ特性や魅力、人材などの資源が最大限に生かされるよう、広域振興局や関係機関と連携して取り組んでまいります。
それでは、予算議案につきまして御説明申し上げます。
まず、議案第1号平成31年度岩手県一般会計予算でありますが、議案その1の6ページをお開き願います。2款総務費4項地域振興費の一部1億8、078万円、7ページに参りまして、5款労働費のうち、1項労政費及び2項職業訓練費の合計32億1、544万7、000円と、7款商工費の1、234億4、329万4、000円、9ページに参りまして、11款災害復旧費3項商工労働観光施設災害復旧費の65億7、129万7、000円と、13款諸支出金2項公営企業負担金の一部3、113万7、000円、合わせまして1、334億4、195万5、000円が商工労働観光部関係の予算の総額であります。これを前年度の当初予算と比較いたしますと72億8、827万円の減、率にいたしまして5.2%の減となっております。減額となった主な内容といたしましては、中小企業東日本大震災復興資金貸付金の51億2、508万円、中小企業経営安定資金貸付金の9億9、081万円余の減などによるものでございます。
以下、予算の内容につきましては、予算に関する説明書により御説明申し上げます。
なお、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に御説明申し上げますので、御了承願います。
それでは、予算に関する説明書の98ページをお開き願います。まず、2款総務費4項地域振興費1目地域振興総務費でありますが、説明欄、商工労働観光部とあります上から三つ目の地方創生移住支援事業費は、東京圏から本県へのU・Iターンによる就業、起業の促進及び県内の中小企業等の人材確保を図るため、国のわくわく地方生活実現政策パッケージを活用いたしまして、就業に向けたマッチングを支援いたしますとともに、U・Iターン者の移住に伴う経費等を支援しようとするものでございます。
次に、148ページをお開き願います。5款労働費1項労政費1目労政総務費でありますが、関係職員の給与費や労働情報の把握、労働組合調査などに要する経費であります。2目労働教育費は、労働環境の整備や労働紛争の未然防止等を図るための雇用・労働フォーラムの開催などに要する経費であります。149ページに参りまして、3目労働福祉費でありますが、説明欄一つ目の労働者等生活安定支援資金貸付金は、離職者や育児、介護休業を取得した方に対して、休業期間の生活資金を貸し付けるための原資の一部を金融機関に預託しようとするものであります。4目雇用促進費でありますが、説明欄上から九つ目のいわて就業促進事業費は、県内就業の促進及びU・Iターンによる人材確保を推進するため、求職者及び企業に対して支援しようとするものであります。次のいわて働き方改革加速化推進事業費は、県内企業における働き方改革の促進と労働生産性向上を両輪とした取り組みを推進していくため、雇用、労働環境の整備に向けた取り組みを支援しようとするものであります。次の事業復興型雇用支援事業費は、被災地の事業者が被災求職者を雇用する場合に、雇い入れに要する経費を補助いたしますとともに、求職者の雇い入れのために要する住宅支援の経費を補助しようとするものであります。
151ページに参りまして、2項職業訓練費1目職業訓練総務費でありますが、説明欄一番下のいわて地域産業高度化人材育成事業費は、本県経済を牽引するものづくり産業や新たな成長分野等を担う高度技術、技能人材の育成、確保、定着を促進しようとするものであります。2目職業訓練校費でありますが、説明欄上から一つ目と二つ目の管理運営費及び公共職業能力開発費は、産業技術短期大学校等の職員給与費及び運営費であります。説明欄下から二つ目の就職支援能力開発費は、離職者及び母子家庭の母等の就職を支援するため、各種職業能力開発のための訓練を実施しようとするものであります。
次に、185ページをお開き願います。7款商工費1項商工業費1目商工業総務費でありますが、説明欄一番上の管理運営費は、関係職員の給与費や事務経費など管理運営に要する経費であります。その二つ下の北上川バレー産業・生活向上推進事業費は、ものづくりを初めとする産業分野に加えて、社会生活分野全般への第4次産業革命技術の導入促進を図り、働きやすく、暮らしやすいエリアの創出に向けた取り組みを推進しようとするものであります。その六つ下のメイカームーブメント推進事業費は、ファブテラスいわてが中核となり県内各地域の関係団体の取り組みを支援し、メーカー等のネットワークを構築しようとするものであります。説明欄下から八つ目の中国における岩手認知度向上促進事業費は、輸出拡大のため、中国における岩手の認知度の向上を図りながら、企業の多様なビジネス展開を支援しようとするものであります。その四つ下の世界の市場を切り拓く事業者海外展開加速化促進事業費は、EU等ビジネスチャンスのある国の市場への輸出に挑む県内事業者に対しまして、戦略策定から輸出体制構築までの一貫した支援をしようとするものであります。186ページに参りまして、2目中小企業振興費でありますが、説明欄上から九つ目の中小企業東日本大震災復興資金貸付金は、被災事業者に対して、事業の再建や経営の安定に必要な資金を融資する際の原資の一部を金融機関に貸し付けようとするものであります。その八つ下の商工業小規模事業経営支援事業費補助は、商工会、商工会議所が行う経営改善普及事業及び岩手県商工会連合会が行う商工会指導事業等に要する経費の一部を補助しようとするものであります。その四つ下の岩手産業復興機構出資金は、被災事業者の二重債務問題の解決を図るため、債権買い取り支援を行う岩手産業復興機構に出資している岩手中小事業者支援投資事業組合に対して出資しようとするものであります。次の中小企業被災資産復旧事業費補助は、沿岸市町村の産業復興を促進するため、市町村が行う被災事業者の施設等の復旧に係る補助事業に要する経費を補助しようとするものであります。次の被災商店街にぎわい支援事業費は、被災地域の商業機能の回復と復旧した商店街等の持続的な発展を図るため専門家派遣等を行い、商店街、共同店舗の整備計画や新たに構築した商店街等のにぎわい創出に向けた取り組みを支援しようとするものであります。次の被災中小企業重層的支援事業費は、被災事業者の事業の再建や経営の安定、経営力向上等の支援策を効果的に実施するため、各商工団体等が行う被災事業者の復旧、復興支援事業に要する経費の補助等を行おうとするものであります。説明欄一番下の次世代経営者育成事業費補助は、産業支援機関と連携し、経営革新等の取り組み拡大に向けた施策の展開を図るとともに、中小企業の円滑な事業承継に向けた取り組みを支援しようとするものであります。187ページに参りまして、説明欄二つ目の小規模事業者支援推進事業費は、小規模事業者が商工会、商工会議所と一体となって取り組む販路開拓や生産性向上の取り組みを支援しようとするものであります。次のキャッシュレス・エコノミー推進事業費は、中小企業、小規模事業者の生産性の向上を図るため、キャッシュレス化に向けた普及啓発事業等を実施しようとするものであります。その三つ下の自動車関連産業創出推進事業費は、自動車関連産業の集積に向けて、県内企業の取引拡大、研究開発促進及び人材育成等の取り組みを支援しようとするものであります。その五つ下の中小企業総合的成長支援事業費は、県内中小企業に対するIoTやAI等を活用した生産技術の高度化支援、人材育成等を実施しようとするものであります。次のいわてものづくりイノベーション推進事業費は、第4次産業革命技術の普及啓発、基盤技術型企業への伴走支援、次世代ものづくり技術者の育成支援等を実施しようとするものであります。その七つ下のいわての漆産業新時代開拓事業費は、県産漆の生産拡大や漆文化の魅力向上を図るため、漆振興に向け、販路拡大の支援や情報発信を行おうとするものであります。その四つ下のいわて美味しい食の振興事業費は、沿岸地区食産業事業者の商品開発の支援や、本県の食の魅力拡大を図るためのイベント等を開催するものであります。次の岩手県伝統的工芸品月間推進協議会負担金は、伝統的工芸品月間国民会議全国大会実施のため、岩手県伝統的工芸品月間推進協議会に対し負担金を拠出するものであります。188ページに参りまして、3目企業立地対策費でありますが、説明欄上から二つ目の企業立地促進資金貸付金は、県内に工場等を新設または増設する企業に対し、設備資金を貸し付けるための原資の一部を金融機関に預託し、企業立地の促進を図ろうとするものであります。次の企業立地促進奨励事業費補助は、本県の企業立地を促進するため、工場、ソフトウエア事業所等の新設、増設を行う企業に対し市町村が補助する場合に、その経費の一部を補助しようとするものであります。その二つ下の特定区域産業活性化奨励事業費補助は、県内での大型投資を促進し、一層の産業集積や高度化を加速させるため定められた特定区域における産業の活性化に関する条例に基づき、大型投資案件に対し支援するものであります。4目中小企業経営指導費でありますが、説明欄二つ目の中小企業ベンチャー支援事業費は、中小企業の事業活動を総合的に支援するため、公益財団法人いわて産業振興センターが行う経営相談、取引市場開拓支援等の事業に対し補助しようとするものであります。189ページに参りまして、5目貿易振興費は、日本貿易振興機構-ジェトロ-盛岡貿易情報センターの事業運営経費に対する負担金であります。6目工業技術センター費は、地方独立行政法人岩手県工業技術センターに対する運営費交付金及び施設設備整備に要する経費の補助であります。
次に、190ページに参りまして、2項観光費1目観光総務費でありますが、説明欄一番上の管理運営費は、関係職員の給与費、県有観光施設の管理運営に要する経費であります。説明欄中ほどになりますが、いわてインバウンド新時代戦略事業費は、ラグビーワールドカップ2019、東京2020オリンピック、パラリンピック競技大会の開催等を契機とした誘客拡大を図るため、海外市場等へのプロモーションや外国人観光客が安心して県内を周遊するための受け入れ環境整備の支援等をしようとするものであります。次の三陸観光地域づくり推進事業費は、三陸DMOセンターを中心に、三陸地域の観光地域づくり関係者の連携の促進、売れる旅行商品づくりを担う人材育成、旅行商品化への支援等を実施しようとするものであります。その二つ下の稼ぐ観光人材育成事業費負担金は、地域の観光産業の持続的な発展に向け、地域資源を生かした魅力的な観光地づくりを担う中核人材等の育成に取り組もうとするものであります。次の三陸周遊・滞在型観光推進事業費は、震災学習を中心とした教育旅行や企業研修などの復興ツーリズムの誘致や、三陸の地域資源を活用した旅行商品の造成を推進しようとするものであります。2目観光施設費は、県有観光施設の修繕や、全県観光案内板の改修等を行おうとするものであります。
次に、239ページをお開き願います。11款災害復旧費3項商工労働観光施設災害復旧費1目商工観光施設災害復旧費でありますが、中小企業等復旧・復興支援事業費、いわゆるグループ補助でありますが、被災事業者が一体となって復旧、復興を図る事業を行う場合に、当該事業に不可欠な施設等の復旧、整備に要する経費に対しまして、国と県が連携して補助しようとするものであります。
次に、246ページをお開き願います。13款諸支出金2項公営企業負担金1目公営企業負担金のうち、説明欄一番下の工業用水道事業会計負担金は、工業用水を低廉かつ安定的に供給することにより、企業立地施策の推進及び雇用の維持、拡大を図るため、第二北上中部工業用水道における金ケ崎ろ過施設の維持に係る経費の一部を負担しようとするものであります。
以上で一般会計歳出予算の説明を終わります。
次に、債務負担行為について御説明申し上げます。
恐れ入りますが、議案その1に戻りまして、11ページをお開き願います。第2表債務負担行為のうち、当部関係のものは、事項欄4から9までの6件であります。内訳は、損失補償に係るもの3件、保証料補給に係るもの1件、離職者等再就職訓練に係るもの1件、特定区域における産業の活性化に関する条例に基づく補助金に係るもの1件でありまして、これらについて、それぞれ期間及び限度額を定めて債務を負担しようとするものであります。
次に、特別会計について御説明申し上げます。
32ページをお開き願います。議案第6号平成31年度岩手県中小企業振興資金特別会計予算でありますが、これは、歳入歳出予算の総額をそれぞれ54億4、929万円とするものであります。
次に、33ページに参りまして、第1表歳入歳出予算の歳入でありますが、1款繰入金1項一般会計繰入金は、中小企業高度化資金の貸付原資及び貸付事務費に充てるため、一般会計から繰り入れするものであります。
2款繰越金1項繰越金は、前年度からの繰越金を予定するものであります。
3款諸収入1項貸付金元利収入は、設備資金貸付等の貸付償還金でありまして、2項預金利子は、歳計現金の利子、3項雑入は、中小企業高度化資金の延滞違約金収入等であります。
4款県債1項県債は、被災中小企業施設・設備整備支援事業貸付金の貸付原資といたしまして、独立行政法人中小企業基盤整備機構から借り入れしようとするものであります。
次に、34ページに参りまして、歳出でありますが、1款小規模企業者等設備導入資金貸付費1項貸付費は、公益財団法人いわて産業振興センターが行う被災中小企業施設・設備整備支援事業貸付に要する資金の貸し付けのほか、国、独立行政法人中小企業基盤整備機構及び一般会計に対する償還金等であります。
2項貸付事務費は、貸付事務及び資金の回収などに要する事務経費のほか、公益財団法人いわて産業振興センターが行う被災中小企業施設・設備整備支援事業貸付等に要する事務経費に対する補助であります。
以上が商工労働観光部関係の当初予算の内容でございます。
続きまして、予算に関連する議案について説明させていただきます。
お手元の議案その2の107ページをお開き願います。議案第48号産業文化センター条例の一部を改正する条例について御説明いたします。
改正の趣旨でありますが、平成31年10月1日の消費税及び地方消費税の税率の引き上げに伴いまして、利用料金の上限額を引き上げようとするものであります。
次に、条例案の内容でございますが、岩手産業文化センターの施設の利用に係る料金につきまして、区分ごとの利用料金の上限額を定めているものでありまして、その上限額を引き上げるものであります。
次に、施行期日でありますが、平成31年10月1日からとしようとするものであります。
以上で商工労働観光部関係の議案の説明を終わります。御審議のほどよろしくお願いいたします。
〇軽石義則委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇小野共委員 中小企業等復旧・復興支援事業費(グループ補助金)1点に絞ってお伺いいたしたいと思います。
2月下旬でありますが、国の復興推進委員会が開かれまして、今後の復興庁の後継組織のあり方について、被災都道府県あるいは被災自治体から委員が集まって話をしたと承知しておるところでありまして、現行の復興庁の復興事業の課題のようなものを千葉副知事から話をされたと聞いております。
現行の復興事業の四つの課題の中の一つとして、面整備終了後の事業者支援関係のこと、いわゆるグループ補助金も課題の一つとして話をされたと。ことしの3月で県の復興事業が終了するに当たって、補助事業担当の商工労働観光部、特に経営支援課担当のグループ補助金につきましても、果たしてどのようなことがよかったのか、どのような経済状況あるいは活動に対してメリット、デメリットがあったのか、課題はどんなものだったのかということを恐らく総括する必要があるのだろうと思います。そういった観点で少し質問させていただきます。
先日いただいた資料によりますと、今、グループ補助金の公募は第21次までとなっていまして、採択グループ数が191グループ、そして補助の事業者数が1、525者と資料提供をいただきました。
それでお伺いしたいのは、補助をもらった1、525者の中で、経営破綻している事業者数と業種、あるいは経営破綻した事業者の中に共通性であるとか、ある傾向みたいなものがあったら聞かせていただきたいと思います。
〇熊谷経営支援課総括課長 グループ補助金を活用した事業者の経営破綻の関係でございます。
グループ補助金を活用した事業者で、事業の継続が困難となり破産申請をした事業者は、これまでに9事業者、会社更生法の適用申請など、その他の債務整理を行った事業者が3事業者ということで、計12事業者となっております。
事業の継続が困難となった原因につきましては、被災による取引先の操業停止に伴う売り上げの減少、あるいは水産加工業における漁獲量の減少や、それに伴う原材料の高騰など、業績不振が要因と考えられます。
〇小野共委員 先週、NHKスペシャルの番組がありました。グループ補助金という名前は出ておりませんでしたが、発災後の事業者の復興支援事業でさまざまな課題を抱えている沿岸の2業者が取り上げられておりましたが、5年間の支払いの猶予という話がありましたので、恐らく高度化スキーム事業、いわゆるグループ補助金の4分の1を借りた業者なのだろうという気がしております。これは通告した順番とは違いますけれども、現行の状況の中で、何らかの事情により、支払いを猶予してくれといった業者がどのぐらいあるのか、そして、その理由を聞かせていただきたいと思います。もちろん、民間の業者に限っては、民間の金融機関の事情はわからないと思いますので、高度化スキームのほうだけでも構わないので、その状況を聞かせていただきたいと思います。
〇熊谷経営支援課総括課長 グループ補助金は4分の3補助でございまして、自己負担分の4分の1を、いわて産業振興センターを通じて無利子で貸し付けするもので、貸付期間が20年、償還猶予が5年間となっている制度でございます。
これまで高度化スキームを貸し付けた件数は、2月末現在で、延べ341事業者ございます。そのうち、返済時期の繰り延べ等貸付金の償還に係る条件変更について、22事業者から33件の相談があったところでございます。このうち、15事業者に対して25件の条件変更を行っております。1事業者が複数回条件変更しており、15事業者、25件の条件変更が行われているということです。
その要因としては、やはり事業不振ということになりますが、水産加工会社であれば不漁の問題、人手不足、台風の影響、親会社の経営悪化などが考えられます。
15事業者の業種の内訳を見ますと、水産加工会社が25件のうち15件、宿泊が4件、食料品卸売業が3件、道路貨物運送が2件、その他が1件と、水産加工会社の割合が多い状況となっております。
〇小野共委員 グループ補助金をもらう前から、沿岸の経済状況は決していいとは言えない状況でありました。東日本大震災津波で、さらに経済状況が悪化したことはそのとおりなのだろうと思います。そのグループ補助金をもらった業者に対して、果たして行政がどのような支援なり補助ができるのか、かなり私は難しい話なのだろうと思って見ておりました。あれから8年たちました。グルーブ補助金の採択業者に対して、行政とすれば、どんな支援なり活動をされたのですか。フォローアップはどういう形だったのですか。
〇熊谷経営支援課総括課長 補助完了後のフォローアップ、県のかかわり方についてでございます。
県では、商工指導団体と連携しながら、経営支援課あるいは広域振興局の職員が事業者を訪問の上、経営上の課題を聞き取るフォローアップを行っております。また、事業者の抱える経営課題の解決の支援のため、商工指導団体が行う専門家派遣に要する経費を補助することなどにより、事業者の支援ニーズにきめ細かく対応するよう努めてきたところでございます。
また、来年度からは、新たに専任の非常勤職員、名称は復興企業支援員とする予定でございますが、この職員をフォローアップの専従として沿岸広域振興局に3名、釜石、大船渡、宮古に各1名を配置しまして、特に業績不振となった事業者に対して、売り上げ拡大に向けた販路開拓の集中支援など、事業計画の達成に向けた具体の支援を行っていくということで、補助金の再建後の課題が多くなってきておりますので、そういったフォローアップ体制を強化する予定としております。
〇小野共委員 NHKスペシャルの番組の中で、旅館業のおかみさんが、アドバイザーが行政のほうとバッティングしたと、そちらのほうにとられたという話がありました。明らかにできるような話があれば教えていただきたいと思いますが、大丈夫ですか。
〇熊谷経営支援課総括課長 私もテレビは見ましたが、番組の中ではたしか県のアドバイザーという言い方をしましたけれども、沿岸広域振興局の経営支援アドバイザーに就任したということは広域振興局から聞いております。
〇小野共委員 4分の3補助の4分の1自己資金ということでありました。傾向として、その4分の1の自己資金、高度化スキームか民間の金融機関か、あるいは本当の、純粋の真水の自己資金か、傾向とすればどんな割合ですか。
〇熊谷経営支援課総括課長 自己資金の調達方法ということかと思います。
グループ補助金の自己負担分については、先ほど申し上げましたとおり、県では、高度化スキーム貸し付けをいわて産業振興センターを通じて行っております。この高度化スキーム貸し付けを利用した方は341者。先ほど委員からお話がありましたけれども、全体の補助事業者は1、525者ですから、割合を出してみると22%ほどになります。それ以外の方は自己負担分を自己資金で賄ったか、あるいは金融機関からの借り入れで対応しているものと考えられます。
〇小野共委員 2月の復興推進委員会で、復興庁の後継組織の話を千葉副知事からしてきたと聞いております。そのグループ補助金は事業として恐らく続くのだろうという思いはありますけれども、後継組織に、果たして、復興予算と呼ぶかどうかわかりませんが、2021年度から関連予算として幾ら計上するのか算定する上で、岩手県は、この2年でどのぐらいの事業者がグループ補助金を申請するのか、そして予定業者をどういう基準で算定しているのか聞かせていただきたいと思います。
〇熊谷経営支援課総括課長 来年度、再来年度におけるグループ補助金の新規の申請見込みということでございます。
来年度につきましては、当初予算案に、グループ補助金を交付するための必要な額として65億6、000万円余を計上しております。これは、新規の申請者見込み数を現在仮設施設に入居している商業者の状況、あるいは土地区画整理事業の進捗状況を市町村や商工団体に確認しながら、74件を見込んだ積算としております。
また、再来年度のグループ補助金につきましては、具体的な件数、金額は現時点では少し流動的でございますので、来年度の申し込み状況なども勘案しながら今後精査していきたいということで、現在の額は持ち合わせておりません。
〇小野共委員 後継組織がグループ補助金をどういった形で継続させていくのかという話になると思いますけれども、発災後、グループ補助金という制度ができ上がったときから、個人の事業者に補助すべきではないのかといった話がありました。今、形とすれば、あくまでもグループに補助すると、もちろん個々の事業者から申請書は出しておりますけれども、復興庁の予算がグループに補助されるという形であります。恐らく個々の事業者に直接補助するというのはやはり難しいのだろうなという気はしますが、いわゆる個人の資産形成に資するような補助は云々という話がありましたので、今後のグループ補助金の予算の制度なりを交渉するに当たって、課題とメリット、制度をどのようなものにしていくべきなのかというのをどう考えていますか。
〇熊谷経営支援課総括課長 グループ補助金につきましては、被災した施設などの修繕、復旧に必要となる経費の4分の3という高率の補助制度で、東日本大震災津波で生まれた制度でございます。被災された事業者の事業再開に当たっては、負担軽減が大幅に図られるという点では、事業者にとって大きなメリットがあるものと考えております。
一方で、残りの4分の1につきましては事業者負担となりますので、その自己負担分の資金を調達し、返済の計画を立てる必要があるということ、あるいは補助金で取得した財産につきましては、耐用年数に応じて一定期間、財産処分に制限がかかりますので、その辺が事業者が留意すべき点かと思います。鉄骨鉄筋の建物ですと、耐用年数は38年ぐらいになりますし、機械設備の一般的なものは10年、フォークリフトみたいなものは4年という決まりがありますので、その期間内は、財産の処分は制限されるといったところを事業者の皆さんに周知する必要があると考えております。
震災から8年たちまして、グループ補助制度もさまざまなニーズに応じた見直しをしてまいりました。例えば、期間内に復旧事業を完了できない事業者に対しては、再度交付決定の手続を行うことで、補助事業を継続するいわゆる再交付ですとか、資材高騰に対応した増額の措置、あるいは新分野における事業開始の支援など柔軟に対応してきたところですし、今年度から、土地区画整理事業で一旦再開した人がもとの土地に戻る場合には、再度グループ補助が利用できるような対応も出てきたところです。復興の進展に応じながら、柔軟に制度を運用してきたところでございます。
グループ補助の制度も終盤にはなってきましたが、まだ利用ニーズはあると思いますので、国とも連携しながら、きめ細かい支援に引き続き努めていきたいと考えております。
〇小野共委員 今課長がおっしゃるように、課題とすれば、繰越明許や、事故繰越など、単年度予算であることの弊害は確かにありました。確かにそれは改善していく必要があるのだろうと思います。そして、例えば復興庁を通しての水産庁からの予算では、共同利用漁船や共同利用施設に対する補助が9分の8、自己負担が9分の1であるのに対して経済産業省の予算だと4分の3が補助、4分の1が自己負担だったと、その合理性もよくわからなかったという気がしておりました。
いずれにいたしましても、なかなか行政の補助というのは難しいのだろうと思います。今後のフォローアップも十分に意見を聞いていただきまして、2021年度からの新たなグループ補助金をよりよいものにしていくための努力をしていただきたいと思います。最後に部長に、今の議論の中身をどう考えているのか、どう思ったか、聞かせていただきたいと思います。
〇戸舘商工労働観光部長 グループ補助金でありますけれども、被害の甚大さに鑑みて、復旧、復興をスピーディーに進める、そして、それぞれの事業者にできるだけ寄り添った支援をするということで、かなり手厚い補助になっているわけであります。ただ、これらの補助事業はすべからくそうでありますけれども、自己負担の分がありますので、そこを見据えた上で、再開後の事業計画をしっかりと立てていく必要があると思いますし、そのために、地元には商工指導団体等もありますので経営計画を立てて、補助金交付後の事業経営が安定的に行われるということも含めてしっかりとした計画を立てて、まさになりわいが再生されるように活用していただければと思っております。
復興・創生期間終了後のグループ補助金のあり方に関しましても、土地区画整理事業の進捗などで取りかかれない事業者もいらっしゃるわけですので、しっかりとフォローできるように、国に対しても必要な要望をしながら対応してまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 ものづくり産業等における人材確保対策についてお伺いいたします。
県内のさまざまな分野において、人手不足から人材育成に対する取り組みが行われております。全県的に産業界における人手不足がどれくらいと見込んでいるのか、求人に対してどの程度充足されて、どのくらいの人数が今不足とされているのかお伺いいたします。
〇西野雇用対策課長 人手不足の状況でございますが、ハローワークに出されております職業紹介の求人状況からお答えさせていただきます。
1月の本県の状況でございますが、県内の有効求人倍率は1.43倍と、69カ月連続の1倍台となっております。県内の有効求人数全体で2万9、128名に対しまして、有効求職者数は1万9、509人と、その差は9、619人という状況になっております。
また一方、職業別の求人、求職のバランスを見てみますと、建設、医療、福祉、介護、運輸などの職業では有効求人倍率が2倍を超えている分野がありまして、人手不足が顕著な状況となっております。一方、事務的職業におきましては、その有効求人倍率が1倍に満たない0.41倍となっておりまして、人手不足の状況が一様ではないと捉えております。
〇工藤勝子委員 職種によって充足されているところ、非常に足りないところがあるということがわかってきました。今、建設や医療、介護で有効求人倍率が2倍を超えているという話ががありましたけれども、人手不足がどのような影響を与えているのかということをお聞きしたいと思いますし、沿岸、県北、内陸で多分状況が違っているのだろうと思いますが、この人手不足はどのようになっているのかお聞きいたします。
〇西野雇用対策課長 まず、人手不足が企業に与えている影響でございますが、昨年の9月から10月に岩手県経営者協会が会員企業にアンケートをした雇用動向調査によりますと、やはり人手不足が長時間労働の主な原因の一つになっていると回答している企業が多くございました。また、岩手経済研究所が本年1月に実施したいわて景気ウオッチャー調査によりますと、受注はあるものの人手不足で生産が追いつかない、サービスが追いつかないという声がありまして、例えばものづくり企業などにおいては、取引先から生産拡大の要請があったとしても、その人材確保が困難なために、対応に苦慮しているということが多いのではないかと認識しております。
また、エリアごとの人手不足の状況を申し上げますと、ハローワークにおける求職者の状況からお答えさせていただきますが、沿岸は、釜石、宮古、大船渡の3公共職業安定所の合計で見てみますと、有効求人数が4、619人に対しまして、求職者数は3、024人、1、595人という差、大体65.5%ほどになっています。
また、同じく県北におきましては、二戸、久慈となりますが、有効求人数が2、120人であるのに対しまして、求職者数は1、557人と563人の開き、ここは73.4%、そして内陸はそれ以外の安定所の合計となりますが、全体求人数が2万2、389人に対しまして、求職者が1万4、928人、7、461人の差、大体66.7%という対比になっております。
〇工藤勝子委員 それぞれのエリアでもかなりの人手が不足とされている。そして会社とすれば、今働き方改革を進めていかなければならない中において、非常に企業の人たちに労働が加算されてきているのではないか、この人手不足に対して、今後、岩手県がどのように取り組んでいくのかが非常に大事な要素になってくるだろうと思っています。
そういう中において、今年度、卒業された高校生、大学生における県内、県外の就職状況について、昨年の9月1日の岩手日報を見ますと、有効求人倍率が2.69倍と非常に高くなっている。就職希望者も多くなっているという報道もございましたけれども、現在はどのようになっているのかお聞きいたします。
〇西野雇用対策課長 この春に卒業された高校生、大学生の就職状況でございますが、企業の採用意欲が旺盛で求人が多い年でございました。
直近の1月の就職内定状況を申し上げますと、高校生については、就職内定者が2、962人、そのうち県内就職が2、028人、大体県内就職率68.5%で、それ以外の934人が県外就職に決まっております。
また、大学生に関しましては、就職内定者1、514人のうち県内就職は645人で、大体42.6%、県外就職が869人となっておりまして、県内就職率の観点で申し上げますと、高校生、大学生ともに、前年度で数ポイント上昇している状況になっております。
〇工藤勝子委員 そういう中において、県外に出る人たちも結構いると思っております。聞いてみますと、自分が学んだことを生かせる職種が県内には少ないということもありますので、これは今後どのように求人、人材確保をしていくのかということが、岩手県の企業の発展のためにも非常に重要な要素になってくるだろうなと思っています。
そういう中におきまして、若手人材の県内の就職を図るためにワンストップサービスセンターがあって、ジョブカフェいわてが設置されており、さらに地域においてもジョブカフェが設置されております。県内には一関、大船渡、宮古、久慈、二戸、遠野でも高校と企業、そして、本人といろいろ結びつけて仕事をしている人たちもありましたが、この成果と課題、今後の充実についてお伺いしたいと思います。
〇西野雇用対策課長 委員からお話があったとおり、県内には若年者の就労支援のワンストップサービスセンターといたしまして、盛岡のジョブカフェいわてと、県内8カ所に地域ジョブカフェが運営されているところでございます。そして、御案内のとおり、ジョブカフェでは、学生や求職中の若い方を中心に、カウンセリングやセミナーの開催などにより、それぞれの適性に合った仕事探しから実際の就職活動、就職してからの職場定着まで、一貫したきめ細かな支援を行ってきておりまして、大体毎年2、000人以上が就職を決めていらっしゃいます。
今、地域産業の人材需要が大きく伸びている中で、必要な人材を確保するためには、県内企業が働き方改革の推進によって自社の魅力や価値を高めるとともに、高校生など若い方たちが地元企業への理解を深めることが非常に重要と考えております。
そういう点に取り組みを進めるに当たりまして、長年にわたって雇用環境の変化に柔軟に対応しながら求職者の支援に携わってきたジョブカフェのノウハウは非常に重要な役割を担うと考えております。こうした考え方に基づきまして、ジョブカフェにおきましては、県内企業に対しまして、働き方改革運動の取り組みの支援や採用力の向上、職場定着、育成といった観点でのカウンセリングなども行って、支援企業数も徐々にふえているところでございます。また若者に対しましては、ことし重点的に行っております保護者への企業ガイダンスなど、学校での高校生と企業の接点を持つ場のような取り組みにおいて中心的な役割を果たしてもらっているところでございます。
今後も、若者個々の就職支援をベースとしながら、そのノウハウが本県の雇用情勢に対応した取り組みとなるよう、サービスなどを充実させていきたいと考えているところでございます。
〇工藤勝子委員 それでは、この対応をしてくれるジョブカフェで働いている人材は、今は十分なのでしょうか。若者の就職をあっせんしたり、いろいろ相談窓口になっている人たち、相談を受ける人たちのそこの人材は十分なのでしょうか。
〇西野雇用対策課長 確かに、一番重要なのがキャリアカウンセラーを初めとした人材の部分だと思っております。
県におきましては、ジョブカフェの管理運営費やその他取り組みの経費におきまして、必要な人材確保に関する経費を盛り込んでいるところでございまして、今年度に関しましてもジョブカフェいわては約20名の体制で運営をしているところでございます。
今後につきましても、必要な人員をきちっと手当てして、それがまさに核となる、推進力となる部分だと思いますので、必要な予算を確保した上で事業、取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 卒業されて就職された人たちが全て定着していればいいのですけれども、これが3カ月もつかもたないか、1年もつかもたないかという形で、離職する人たちが多いのです。ということは、この人たちの受け皿、相談窓口として非常に大事な役割を担っているのだろうと思っています。そういう部分も含めて、ぜひ相談を受ける人材の確保、さらにはいろいろな教養を身につけていただくこと、そしてしっかりと若者の相談に対応できる人数を今後も確保していただきたい、そのように思っております。
人口減少問題もありまして、県内においてUターン、Iターンの取り組みをしていますし、各都道府県でもいろいろな取り組みをしております。全国においても、職員をふやして、首都圏においてUターン、Iターンのいろいろな取り組みをしているところであります。
そういう中において、ふるさと回帰支援センターの職員が少ないという話を、昨年4月、会派のほうで調査に行って知りました。今後、首都圏のIターン、Uターン者の受け入れのためにも、しっかり取り組む一元化した窓口が必要だと思っております。そういう中において、定住推進・雇用労働室を設置すると書かれてありましたけれども、これに対する皆さんの期待度はいかがでしょうか。
〇八重樫雇用対策・労働室長 移住、定住あるいはU・Iターンの一元化に対する期待あるいは体制についてのお尋ねでございます。
今、地方移住への関心を持つ方がふえていると言われる中におきまして、これを実際に本県への移住の実現に結びつけるためには移住先における仕事が最も重要な要素の一つとなっていることから、これまで、U・Iターン業務を含む雇用施策を当部において担っておりました。新年度からは、移住、定住に係る業務を一元的に所管することにしております。
この定住推進・雇用労働室設置による業務の一元化とあわせまして、今、委員から御指摘のありました首都圏における総合的なU・Iターン支援体制を強化していく必要があります。
そこで、新たに東京事務所にU・Iターン推進の特命課長を常駐させることにしておりまして、これにより、東京事務所にあります岩手県U・Iターンセンターと、ふるさと回帰支援センターの中にありますいわて暮らしサポートセンターの一連の業務を総合的に統括するということで体制の強化を考えております。
両センターがそれぞれ持っていた情報や支援のノウハウ等を共有いたしまして、U・Iターン就職あるいは移住を希望する方が、どちらの窓口でも同等の情報あるいはアドバイス等を受けられるように、ワンストップサービスを実現させていく体制としたいと考えております。
〇工藤勝子委員 ふるさと回帰支援センターには2名の県の職員がいらっしゃいました。他県の例ですけれども、富山県は8名です。ここに4万人の人たちが毎日のように相談に来るわけです。私たちは岩手県では本当にウエルカムと迎える気があるのですかというような話もされました。富山県は8人体制にして、Uターン、Iターンの人数、ふるさとに帰る人たちをふやしているわけであります。やはり職員体制の充実というのは、私は非常に大事ではないかと思ったところであります。
それと一緒に、Uターン、Iターンの人たちは、自分の仕事があるのか、住む場所があるのか、さらには応援団があるのかと。つまり応援団というのは、それぞれの市町村なわけです。県というよりは、みんながUターン、Iターンして帰るのはそれぞれの市町村なわけであります。そういう中で、岩手県の中では5市町だけであると言われました。遠野市、葛巻町、花巻市、岩泉町、一関市だけだと。ですから、そういう応援団、それぞれの市町村でしっかりとした窓口と人材を確保していただいて、こういう人たちの受け皿をつくる必要が非常に大きいと思うのです。そういう働きかけを今後、県はどのようにしていくかということをお聞きいたします。
〇西野雇用対策課長 委員御指摘のとおり、U・Iターンの促進に当たりまして、県内での受け皿、地域での受け皿となる市町村との連携は非常に重要と考えております。今年度は、そういう意味合いで、ちょっと薄まるかもしれませんが、担当者との情報共有というところで連携を図ってきたところです。4月からは、U・Iターン業務と移住、定住業務を一元的に当部で所管いたしまして、岩手で働く、暮らすということをトータルで魅力発信をしていく。また、移住を希望する方々へのきめ細やかな支援を行っていくことを考えておりまして、より一層、市町村の取り組みと連携を図っていくことが重要と認識しているところでございます。
そのための具体的な取り組みといたしましては、来年度は、東京圏からのUIJターンの促進のため、地方創生の取り組みでもありますわくわく地方生活実現政策パッケージの事業に県と市町村が連携して取り組むこととしております。
この事業は、県がまずマッチングサイトを開設いたしまして、県内企業の求人とあわせて、市町村の住宅や移住支援施策など、移住に必要な情報を一元的に発信する。あわせて、市町村におきましては、このマッチングサイトに掲載された求人に応じて就職した方に対して-一定の条件を満たす方となりますが-移住支援金を交付することとしております。この取り組みを通じまして県と市町村とのより緊密な連携を図るとともに、市町村において、UIJターン、そして移住、定住の受け入れ態勢の整備が促進されるよう働きかけていきたいと考えております。
〇工藤勝子委員 ぜひどうぞよろしくお願い申し上げたいと思っております。
いろいろな人材が不足している人手不足の中で、外国人労働者の関係で、総括質疑で神崎浩之委員も質問されておりましたが、現在、在留外国人は6、627人ということでございました。今後、この外国人労働者をどのような形でふやしていこうとしているのか。
遠野市のある企業でも、求人のため、社長が直接ベトナムに出向いているということがございます。そういうことで各企業がそれぞれ取り組むことなのか、それとも県が仲介して今後外国人労働者を入れていくのか、その辺のところもお聞きいたします。
〇八重樫雇用対策・労働室長 今、御指摘がございました外国人労働者につきましては、御案内のとおり、改正出入国管理及び難民認定法によって在留資格として特定技能が新たに設けられるということで、外国人技能実習生は現在もふえているわけですけれども、今後も本県においては外国人の方が増加していくことが見込まれております。
このため、県では、先般の議会でも答弁がありましたが、2月13日に知事を本部長といたしますいわてで働こう推進本部-こちらには岩手労働局長もオブザーバーとして入っておりますが-こちらで法改正等の情報共有をするとともに、今後の対応方針、事業も決定したわけでございます。
本県といたしましては、ふえてくる外国人労働者の就労環境の整備、あるいは暮らしやすい環境づくりを進めることがまず課題と捉えております。今後、新年度におきましては、政策地域部国際室と連携して、県内の外国人の受け入れ実態あるいはニーズの把握に努めることにしておりますし、介護関係は保健福祉部、農業関係は農林水産部という形で、それぞれ縦の省庁に連絡が来ている部分もございます。そちらについても十分に横の連携をとって、岩手県としてこちらの対応に当たっていかなければならないと考えております。今回の法改正については一義的には法務省の仙台出入国在留管理局、岩手労働局ですが、こちらとも密接に連携いたしまして、企業側や外国人労働者の方からの相談にも適切に対応していきたいと考えております。
〇工藤勝子委員 風習の違い、食文化の違い、そして言葉などいろいろな問題もあるようですので、ぜひ適切に対応して働きやすい環境づくりをしていただきたい。県内の企業は外国人労働者に頼る部分も多いと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思っています。
時間もありませんので、観光振興についても通告いたしておりました。
ことしは三陸防災復興プロジェクト2019もあります。来場者は、岩崎友一委員の質問に対しまして、集客13万人、経済効果は25億円という発表もございました。こういうことを商工労働観光部でも共有されているのか。
そして、今度、ラグビーワールドカップに観光客、外国人の方々も多くいらっしゃると思いますし国内からも多くの方々がいらっしゃる中で、宿泊予定者とその課題をどのように捉えているかお伺いいたします。
〇平井参事兼観光課総括課長 私から、三陸防災復興プロジェクトの来場者数等の共有についてお答えいたします。
このプロジェクトの運営計画の策定に当たりましては、商工労働観光部におきましても、同プロジェクトの実行委員会に設置された専門部会や、専門部会の下に設置された催事別検討チームに参画してきたものでございます。この中で、運営計画において事業ごとに集客目標を設定し、これが合計で13万人程度であるという情報は共有しているところでございます。
また、商工労働観光部といたしましては、この三陸防災復興プロジェクトにおける集客目標の達成に向けて、例えば旅行商品の造成やPRは実行委員会サイドとともに共同して参画してまいりますし、また、私どもの目指すべき姿といたしましては、沿岸地域の観光産業を振興していくというのが大きなミッションでございますので、このプロジェクトの終了後におきましても三陸の観光産業が振興していくように、三陸の旅行商品の定番化を図るための働きかけに注力してまいりたいと考えております。
〇浅沼観光課特命参事 私からは、ラグビーワールドカップの関係についてお答えをさせていただきたいと思います。
ラグビーワールドカップ期間中の外国人観光客と宿泊の関係でございますが、ラグビーワールドカップ2019釜石開催実行委員会による試合当日の来場動向予測によりますと、釜石市開催の2試合における海外からの動員数は約1、000人と想定されていると聞いております。
宿泊につきましては、この来場が想定される1、000人に、本県の外国人観光客の平均宿泊日数を単純に掛け合わせますと、試合前後には1、200人から1、300人泊の宿泊者数が想定されております。
一方、日本政府観光局の推計によりますと、大会開催期間中、外国人の訪日客数は約40万人、その方々の平均宿泊日数は23泊という想定もございまして、試合当日以外も非常に多くの観戦者の方が日本に滞在されることが想定されております。
こうした観戦目的で訪日される方々、大会の関係者、選手、そしてスタッフの皆様を本県に誘引するため、これまで、メディアを活用して、欧米などに対して本県の魅力のPRを行ってきております。また、来年度早々に釜石市を中心に欧州メディアを招請して、釜石市と周辺の魅力を発信することを考えております。さらに、試合当日におきましても、外国人観光客向け情報発信ブースの設置につきましてもただいま検討しておりまして、引き続き、本県の観光情報を積極的に発信してまいりたいと思います。
また、当日、恐らく国内からも多くの観戦者の方が釜石市あるいは本県を訪れると考えております。遠野市、釜石市、大槌町周辺の宿泊施設の収容人数は現在3、200人ほどと推計されておりますので、外国人宿泊者数の単純試算、延べ1、200人から1、300人がこの地域に全てお泊りになることは非常に難しいと考えております。そのため、今、ラグビーワールドカップ実行委員会でも、県内の大きな宿泊施設等からのシャトルバス運行など、交通輸送の検討も進められているところと聞いております。
〇軽石義則委員長 工藤勝子委員に申し上げます。世話人会の申し合わせにより、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、議事の進行に御協力をお願いいたします。
〇工藤勝子委員 最後の質問になります。
震災から8年が経過いたしまして風化も進んでいると言われている中、震災学習における県外からの教育旅行や企業研修の実態はどうなっているのかお聞きして終わりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
〇平井参事兼観光課総括課長 震災学習における教育旅行や企業研修旅行、特に県外からどのような方々がいらっしゃっているかの実態でございますけれども、まず、沿岸地域への県外の中学校及び高等学校による教育旅行の入り込みは、県の調査によりますと、平成27年は1万7、538人回、平成28年は1万5、320人回、平成29年は1万1、874人回と減少しているところでございます。
また、企業研修旅行の受け入れ実績につきましては、地元自治体や交通事業者、旅行会社等で構成し、震災、防災や復興を学ぶ研修のツーリズム化を推進するいわて復興ツーリズム推進協議会によります企業研修、それから三陸鉄道の被災地フロントライン研修の二つのところからの聞き取りにより把握しております。こちらの結果は、一部県内企業からの受け入れ等もございますが、平成27年度は1、602人、平成28年度は765人、平成29年度は1、078人となっており、減少傾向にあるところでございます。
このように、教育旅行、企業研修旅行ともに厳しい状況でありますことから、例えば宮古-室蘭フェリーが就航になりました北海道や、市場規模が大きい大都市圏を重点的に学校、企業の掘り起こしに取り組んでいるところでございます。
〇佐々木努委員 私は、1点だけ質問させていただきます。
県産品の海外への販路拡大についてでありますけれども、今、国としても全ての国産品の輸出拡大に非常に力を入れておりますし、それを受けて県も一生懸命取り組んでいるというのはよく見えてはおりますが、さまざまな課題もあるのではないかということで、期待の意味も込めて幾つか質問させていただきたいと思います。
通告では今年度の海外展示商談会の実績についてもお願いしていましたが、次年度の出展計画についてだけ答弁をいただければと思います。
〇菊池産業経済交流課総括課長 次年度の出展計画でございますけれども、これまで私どもが中心としてきました東アジア地域を中心に、中国の商談会、香港、台湾での見本市、韓国での-韓国の場合は日本酒を特に重点にやっていますけれども-日本酒の商談会あるいはフランス、こちらも最近、日本食の普及などで日本酒の需要が相当高まっているところでございまして、日本酒を中心とした商談会など、今のところ11の海外展示商談会への出展を予定しておりまして、こうしたことにより県産品の販路拡大を支援してまいりたいと考えているところでございます。
〇佐々木努委員 今年度は全部で15回ということですが、今のところということですから、これからふえる、同じぐらいの数になるということでよろしいわけですね。
〇菊池産業経済交流課総括課長 今年度は日仏友好160周年記念の単年度限りのイベントもあった関係で通常の年よりは多いのですけれども、今のところ見込んでいるのはその程度でございます。予算の関係もございますけれども、また必要な事案が出てくれば、それはその都度検討してまいりたいと思います。
〇佐々木努委員 私は、海外の商談会出展が本当に実績につながっているのか疑問に思うというか知りたいと思っているわけでありまして、これまでの取り組みの成果。結構前からこれは続けられています。同じ会場で商談会出展もされていますけれども、これまでの成果と、それから今後の可能性をどういうふうに見ているのか、その辺もお示しいただければと思います。
〇菊池産業経済交流課総括課長 これまでの成果ですけれども、現行のいわて県民計画で重点地域とする東アジア地域で、商工労働観光部は加工食品あるいは工芸品等を主体に取り組んでおります。
震災の前後ということで御紹介申し上げますと、東アジア向けの加工食品の輸出額は、震災前の平成22年が約1億7、200万円、これに対しまして、平成29年が約2億4、400万円と7、200万円の増加。それから、南部鉄器等の工芸品でございますけれども、これも同様に、平成22年の約7、000万円に対しまして、平成29年は約1億5、500万円と8、500万円の増加となっております。
特に、日本酒は平成22年は約2、800万円、これが平成29年は約8、000万円と2.9倍に増加し、特に韓国は、震災前は岩手の酒蔵は1社しか出しておりませんでしたけれども、岩手県産日本酒試飲商談会等々の取り組みによりまして、平成29年には9社の酒蔵が出しているところでございます。
今後でございますけれども、東アジア地域は引き続き経済成長を続けているということ、一方で、県内事業者は、米国、欧州あるいはオーストラリアといった先進国の所得水準の高い市場にも可能性を見出していまして、私どもとしても、これまでの取り組みに加えまして、来年度の新規事業として世界の市場を切り拓く事業者海外展開加速化促進事業を用意して県内の事業者の海外展開を支援してまいりたいと考えているところでございます。
〇佐々木努委員 この海外展開の一番の目的は-最終目的と言ってもいいかもしれませんけれども-結局県内の企業がもうかって、その利益で雇用が守られて岩手県の経済が活性化することだと私は思っていて、そのためには大いにやっていただきたいと思うのですが、実際、輸出額、輸出量がふえていることはよく理解できましたけれども、業者の利益に確実につながっているのかというところがちょっと私はわからないのです。
私が言うまでもなく、輸出というのはさまざまなコストがかかると思うのです。それをどう県として捉えていて、今後どのように対応していくかということも考えていかなければならないと思うのですが、その辺の御認識はいかがでしょうか。
〇菊池産業経済交流課総括課長 今、委員御指摘のように、海外との取引は、商慣習の違いや輸出相手先の地域のさまざまな規制など、ハードルが高いのはおっしゃるとおりだと思います。
輸出して、企業を強くして利益や雇用を生み出すというのもそれはそのとおりでございます。ただ、海外展開の事業で利益を出すまで伸ばしていくには、相当時間がかかると思っております。しかしながら、私ども、事業者と話をしておりますと、海外に挑むということには企業人としてのやりがいや達成感というものもある種ございまして、利益を出すまでに時間がかかる例はあるかもしれませんけれども、事業者の意欲がある以上、私どもとしてはそれを応援していきたいと思っております。
もう一つ、昨今の中小企業白書などでは、海外展開をしている中小企業と労働生産性には相関関係がある。要するに海外展開している企業のほうが一言で言えば元気だというようなこともございまして、利益一つだけでははかり知れないところもあるのではないかと思っています。私どもの次期総合計画の政策推進プランの中でも、仕事のやりがいを生み出していけるようにということで、やりがいというのは、企業にとっては海外展開というのも一つの方策なのではないかと思っているところでございます。
〇佐々木努委員 私は、やりがいも大事ですけれども利益はもっと大事だと思っていまして、いかにもうけにつながるか、利益につながるかということを、業者もそうですけれども県もしっかり考えていく必要があると思います。収支がどうなっているのかということについては常に把握しているべきだと思います。そうしないと、結局、輸出を伸ばしたけれども、もうけがない、だから撤退する、また今度、新しい業者が挑むというふうな繰り返しで、輸出量は伸びているけれども、結局は利益につながらない、それでじり貧になってしまうということにつながると思っているのです。そうでなくても今、全国全ての都道府県で海外進出を狙っていますので、まさに競争でありますから、そういう意識がないと、ただ単に売り込んで商談会に行って、その期間、展示をして終わりということにしかならないと私は思っています。
次期総合計画のアクションプランを見ますと、2017年までの商談会における商談成約件数は13件ということで、これを2022年には120件にまでふやしていくと。これはすごい目標だと思いますけれども、それだけ県には頑張ろうという気持ちが多分あるのだと理解しますので、ぜひそういう気持ちでやっていただきたい。
去年、東日本大震災津波復興特別委員会で沿岸のある企業に行った際、代表の方から、一度海外のそういう商談会に県から誘いを受けて行ったけれども、その後のケアがなくて、自分たちはノウハウも持っていないし、ジェトロに頼めばいいのかもしれませんけれども、県として、商談会が終わってから支えてもらえるような取り組みをしてほしいということを言われました。私もその辺のところをどう県が業者とかかわっているかはわかりませんけれども、いずれそれが業者の率直な思いなのではないかと聞いてきたわけで、改めてここでそのことを申し上げるのですが、そういうことに対する御認識と、これから業者とどのようにかかわっていこうとされているのか、そこもお伺いしたいと思います。
〇菊池産業経済交流課総括課長 今、御指摘の商談会等に出展した後のアフターケアということでございますけれども、これまで、商談会、展示会等の直前の準備や当日の対応が主体となってきたということはございます。ただ、特に中小企業の場合、御指摘のとおり海外取引の経験も少のうございますし、意欲はあるけれども次どうしたらいいかわからないというケースも見られるところでありまして、その結果、商談が滞ってしまうことがあることも承知しております。
私どももアフターケアは大事だと認識しておりまして、昨年度あたりから、まず私どもなり、あるいはジェトロの職員と一緒に企業訪問させていただきまして、商談会への申し込み段階あるいは展示商談会後のフォローまでをなるべく丁寧にするように努めているところでございます。
さらに、専門的な知識、支援が必要な場合についてはジェトロなり専門家の方と連携をしながら取引の成立に向けた支援をしてきているところでございます。
〇佐々木努委員 しっかりとその部分はやっていただきたいということを私からもお願いしたいと思います。
最後に、これはかなり実現は困難かもしれませんけれども、今、岩手は海外のさまざまな場所に事務所を持っているわけであります。県産品の売り込みについては台湾、香港など東アジアを中心にやられているということでありますけれども、もし本気で取り組むということであれば、やはり台湾なり香港なりにアンテナショップ、あるいは簡易なものでもいいので事務所を置いて、そこで積極的に売り込みを展開するぐらいでないと他県には絶対勝てないのではないかと思いますが、そういうことを検討された経緯はあるのかお聞かせいただきたいと思います。
〇菊池産業経済交流課総括課長 国外へのアンテナショップ設置についてですけれども、例えば中国でございますと、上海万博に共同で出展した際のパートナーであります上海大可堂-高級なプーアル茶を提供するティーサロンといいますか茶会所ですけれども、こちらの御協力をもちまして上海大可堂の店舗内に岩手県上海アンテナプラザを設けておりまして、こちらで、鉄瓶を初めとする工芸品の紹介あるいは一部の販売などもしているところでございます。平成29年12月には、同じく上海大可堂のつながりで、上海の経済人の御協力を得まして上海の中心部に日本岩手県観光物産店を開設しておりまして、これら両施設には一種のアンテナショップ的な機能も果たしてもらっているところであります。
それから台湾につきましては、県産の日本酒や食材を積極的に利用していただいている店が3店舗ございます。こちらを、これは農林水産部の制度ですけれども、「黄金の國、いわて。」応援の店ということで登録をお願いしておりまして、こちらでも県産品の情報発信などの機能もしていただいているところでございます。
当面、私どもとしましては、こうしたパートナーの施設あるいは店舗に本県のアンテナショップ的な機能を持たせて展開してまいりたいと思っております。
それから香港のお話がございましたけれども、各地域において本当に岩手県に深い関心をお持ちいただいて、私どもと信頼関係ができているからこそこういうものを実現してきているところでございまして、香港は、展示会等で長らく出展はしてきておりますけれども、残念ながらまだそこまでのパートナーを見つけかねておりまして、今後の課題と思っております。
〇佐々木努委員 パートナーが見つからないのは、年に数回しか行かないからではないかと私は思っていて、韓国に北東北3県の事務所がありますよね。私は岩手単独では絶対に無理だと思うのです、コストがかかり過ぎますし。こういうときに、北東北3県なり、あるいは東北でなりみんなで協力して、台湾に在駐して売り込みをしようと。何月に行って、ただ商談会をします、そこで向こうの偉い方々と話をしてそれで終わりということではなく、常にそういう売り込みを進めていける体制を現地に築くということは、私は本気度を見せるためにも大事ではないかと思います。お金をかけないでやる方法は探せば幾らでもあると思いますので、それはぜひ検討してほしいなと。そうしないと、なかなか私は岩手の県産品は認められないのではないかと思います。それを申し上げて質問を終わります。
〇福井せいじ委員 関連。今の佐々木努委員の県産品の輸出拡大に関して、利益確保と競争力の強化という点で関連質問したいのですけれども、利益確保については、実は国内の問題もあると言われています。というのは、物流費であります。地方から出荷港湾への商品の搬送費が一番かかるとも言われていますが、地方の産業を創生する、そのために輸出の促進をするという国の方向性もありますから、そういった意味では地方の商品の運賃に対する支援もあっていいのではないかと私は思っております。
出荷する港湾までの運賃について、今、大きな問題になっていると私は輸出業者から聞いていますけれども、その点についてどのような体制をとれるかお聞きしたい。
それから、先ほど言った商売のリピーターあるいはクロージングという意味では、そういった機能をつくることが必要であって、展示会をやった、どこかに売れただけでは返り注文がなかなかないわけです。そこに現地法人を置けとは言いませんが、ある意味、現地の商社との連携も必要ではないかと思いますが、この2点について、県としては何かお考えがあるかお知らせください。
〇菊池産業経済交流課総括課長 委員御指摘のとおり、いわゆる横持ちですけれども、地方の企業が主要な輸出港、例えば空輸であれば成田、船便であれば横浜等々に運ぶ運賃が負担になっているというのは私どもも十分承知しております。
ただ、正直申し上げて、今まで課題と思いつつも、例えば運賃に対して国が助成すべきではないかというようなことまではまだ検討に至っておりません。課題であることは十分認識しておりますので、例えばある程度まとめて物流コストを抑えるなどの工夫は今後検討していかなければならないと思いますし、御指摘の点も踏まえて、そこはよく考えてまいりたいと思います。
それから現地の代理店の商社の話ですが、私、10年前も産業経済交流課におりましたが、当時のうまくいかない例として、例えば展示会なり商談会なりに物を持っていって、これ、いいねと。ただし、例えば香港でも台湾でもどこでもいいですけれども、では、どこの業者からそれを引けばいいのですかという課題がよくございました。
私ども、輸出にチャレンジする場合には、現地で販売代理なり卸なりをするところを見つける作業も並行しながらやってきております。そういう取り組みもしているところでございます。
〇福井せいじ委員 一つ目の運賃の横持ちの格差が実は非常に大きく利益構造を圧迫している。そしてまた、同じ酒を売るにしても横浜市近辺のほうが価格が安いとなるのが現実問題ということで、競争力も低下しているということで、ぜひとも横持ちについての政府の支援とか国の支援とか、あるいは、先ほどおっしゃったように県内での仕組みづくりというのも私は本当に必要だと思います。生産地岩手県から出荷港湾までの共同配送を行う、そういった仕組みづくりがこれから求められると思いますので、ぜひ工夫をしていただきたいと思います。
現地商社との連携ですけれども、現地の商社だけではなく、逆に日本から一緒に、酒なら酒を販売している会社がありますので、そのラインに乗せるというのも私は一つではないかと思いますので、ぜひそういったリサーチ、そしてまた実現に向けて取り組んでいただきたい。即売会だけで終わっては、絶対コストはとれません。そういう意味では、リピーターをふやしていく仕組み、ルートの確保が必要だと思います。ぜひお願いしたいと思います。
それから、先ほど佐々木努委員がおっしゃった本気度ですけれども、私は、中国や韓国のように現地にリトルチャイナとかコリアタウンとか、ある意味国を挙げてエリアを持っていくとか、そこら辺までいけば非常に安定的な供給、そしてブランド力が高まるのではないかと思いますので、そういった点もひとつ視野に入れながら取り組んでいただきたいと思います。
〇工藤誠委員 私からは、商店街の振興ということをまず初めにお聞きしたいと思います。
地域の商店街の元気がないということが言われております。さきに県からいただいた資料によりますと、岩手県商店街実態調査では、県全体の商店街の数が平成18年度194から平成27年度153ということで、41、21.1%の減少。それから、商業統計等の過去10年間のデータでは、小売事業者数は約3割減少となっています。本県の経営者の平均年齢も全国に比べて高齢化が進んでいる。岩手県平均で61.6歳であるようです。
こういうデータを見まして、非常に商店街が衰退してきている、また、店舗も休業、廃業になってきているということが目に見えてきているわけです。県として、こういう商店街及び商店の減少の実態をどのように受けとめているのか。また、原因をどのように分析しているのか。また、今後、人口減少が進む中で、今後の状況についてどういうふうな推測をしているのかお聞きしたいと思います。
〇熊谷経営支援課総括課長 商店街や商店の実態、今後の状況等についてでございます。
3年ごとに実施しております、今回の場合は平成27年度岩手県商店街実態調査によりますと、3年前の平成24年度と比較した商圏範囲について尋ねておりまして、広くなったと答えている商店街が2%、逆に狭くなったと答えている商店街が30.4%、変わらないが67.6%となっております。また、同じく3年前の平成24年度と比較した空き店舗の状況について尋ねたところ、ふえたと答えた商店街が34.5%、減ったと答えたのが15.5%、変わらないが50%ということで、こういったデータからも商店街、商店を取り巻く厳しい環境がうかがわれるものと考えております。
その原因としましては、コンビニエンスストアや大型商業施設の進出などによりまして購買機会が多様化していること、あるいは少子高齢化によりまして商圏自体の人口が減っている。また、個々の商店におきましては、個店の魅力低下や、先ほども御案内ありましたとおり経営者の高齢化あるいは後継者不足といった原因があるものと考えております。
今後も高齢化や人口減少が進むと予測されますので、商店街、商店にとっては厳しい環境が続くものと考えております。
〇工藤誠委員 今、御答弁あったとおり、まさに厳しい環境がこれからも続くというお話でございました。特に県北地域を含む中山間地域ではかなりそういう進行が早いという状況もございます。
この問題はなかなか難しいのは重々承知で質問するのですけれども、県もそういう実態を踏まえていろいろな対策をこれまで打ってきていると思います。これまでの取り組みの内容や実績についてどのように評価されているのか、また、実際、商店街からはどういう支援を求める声が上がってきているのかということ。
それから、平成31年度の事業を見ると商店街にぎわい創出支援事業費が新規事業で200万円ぐらい計上されていますけれども、こういう事業は一体、最終的にはどういう効果を目指しているのか教えていただきたいと思います。
〇熊谷経営支援課総括課長 商店街振興策のこれまでの取り組み内容と平成31年度の新規事業についてでございます。
平成30年度に実施した事業の概要を御紹介しますと、地域の商店街活性化連携支援事業では、起業に関心のある方、あるいは不動産オーナーの方を対象に、商店街に起業しようとする人の機運醸成を図るためのセミナーを県内4カ所-盛岡市、釜石市、久慈市、奥州市で開催しております。また、今週の16日は、そのセミナーの参加者や地域おこし協力隊の方にも声がけして、ワークショップをしてさらに機運醸成を図りたいと考えております。
また、個店経営力アップ応援事業では、今年度は久慈市の4店舗を対象に、中小企業診断士を7カ月間にわたり継続的な個別指導ということで派遣しまして、集中支援を行いました。その結果、さまざまな売り上げアップに向けたチャレンジとか、実際に売り上げ増加などの成果が見られたと聞いております。
また、商店街の方たちのニーズについては、いろいろな場面でお話を伺いますと、商店街活動について考える余裕がない、自分の商売で目いっぱいだという声とか、アイデアがあってもなかなか実行に移せないということで、人材不足ということもあり、この辺からすると外部の支援ニーズがあるのかなと感じております。
平成31年度に新規で計上しております商店街にぎわい創出支援事業費におきましては、商店街の空き店舗の情報を市町村や商工指導団体と共有し、出店希望者、いわゆる起業、創業希望者とのマッチング支援をすることで空き店舗解消と起業、創業の両方に一気に取り組めないかというような実証事業を予定しております。また、これにより、商店街の活性化のために必要な人材、リーダー的な人材の育成に取り組んでいきたいと考えております。
〇工藤誠委員 なかなか厳しいですけれども、知らないうちにシャッターがおりていたというのは地域によくある話でありまして、実際に廃業とか休業をしている商店もふえている状況であります。
先ほど、外部からの支援や人材の育成などさまざまなことに取り組んでいらっしゃるということでありましたけれども、こういう状況の中で、商工会-小さいまちでは商工会ですけれども-その役割というのは非常に重要だと私は考えております。どういう活動をしているかおおよそは見当がつくのですけれども、商工会等で伴走型の支援ということで県は商工業小規模事業経営支援事業費補助を13億円ぐらい毎年計上しているわけですが、その成果と実績についてどうなっているのか伺いたいと思います。
〇熊谷経営支援課総括課長 商工会等の活動状況についてでございます。
先ほど御紹介のあった商工業小規模事業経営支援事業費補助でありますが、この事業は、商工会と商工会議所含みの経営指導員、対象者は115名になりますが、この方たちが毎年度、実数でいいますと1万者を超える小規模事業者に対して巡回指導を行っております。この巡回指導は、小規模事業者の経営にまで踏み込んだ、しっかり寄り添う、先ほどお話のあったいわゆる伴走型支援と言われるものでございます。こういった伴走型支援で、販路開拓等を支援する国の補助金であります小規模事業者持続化補助金の採択に向けた指導や、新たな事業活動を支援する経営革新計画の承認などの最終的な成果に結びついているものと考えております。
経営革新計画の承認数は、平成27年度から3年間、本県が東北地区では最も多いということで、それも商工会、商工会議所の経営指導員の頑張りによるものだと考えております。
また、東日本大震災津波あるいは平成28年台風第10号災害におきましても、商工会、商工会議所が中心に、早期事業再開に向けて非常に大きな役割を担ってきたものと考えております。
〇軽石義則委員長 工藤誠委員の質疑の途中ではありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
工藤委員、御了承願います。
午前11時58分 休 憩
午後1時4分再開
〇千葉絢子副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
委員各位及び執行部に申し上げます。この後、本日審査を予定している部局について11人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
質疑を続行いたします。
〇工藤誠委員 事業承継と今後10年の商店街振興等について通告しておりましたけれども、いろんな対策をこれから打っていかなければならないと思います。いろいろな対策が考えられていると思いますので、事業承継も含めて、今後10年間、人口減少、高齢化がどんどん進行していくわけでありますので、次期総合計画の中では商店街振興また商業振興にどのように取り組んでいかれるのか。それから、市町村とか指導団体との連携をどのように持っていくかということをまとめてお答えいただきたいと思います。
〇熊谷経営支援課総括課長 事業承継と今後10年の商業振興等の取り組みについて答弁いたします。
まず、事業承継につきましては、承継のタイミングを迎える経営者には、まず承継自体に時間がかかるため、早目の取り組みの必要性を認識してもらうことが重要であると考えております。このことから、県や商工指導団体、金融機関からなる岩手県事業承継ネットワークを組織しておりまして、第三者への承継を含めたさまざまな選択肢や税制などの支援策を示して、事業承継に対する意識を高める取り組みを進めております。
親族内や社内に後継者がいらっしゃる経営者につきましては、ネットワークに配置した事業承継コーディネーター1名と中小企業診断士のコーディネーター4名が事業承継計画の策定等を支援しております。
また、後継候補者がいない経営者につきましては、盛岡商工会議所に開設しております岩手県事業引継ぎ支援センターが相談対応あるいはマッチング支援を行っているところでございます。
また、今後10年の商業振興等の取り組みであります。商店街を含む市町村の中心市街地につきましては、地域住民の生活と交流の場、あるいは地域における社会的、経済的、文化的活動の拠点として重要な役割を担っておりますが、その反面、商圏人口の減少ですとか、個々の店の魅力低下といった課題に直面しているものと考えております。
また、中小企業、小規模事業者は本県中小企業の99%を占めておりますので、事業活動や雇用を通じて、県民の暮らし、地域の経済を支えているところですが、先ほどの課題のとおり、経営者の高齢化ですとか後継者不足という課題があります。このため、県では、いわて県民計画最終案におきまして、仕事・収入の政策分野に、地域経済を支える中小企業の振興を掲げました。この中では、中小企業者が行う経営力の強化や生産性の向上、新たな事業活動の取り組みの促進、商工指導団体や金融機関などの支援機関との連携による事業承継の円滑化、あるいは若者を初めとする起業者や後継者の育成、また、市町村や商店街を初めとする多様な主体の連携を強めまして、まちのにぎわい創出に取り組むといったことを盛り込んで、商店街や商業を含む持続可能で活力のある地域経済の振興に取り組んでまいりたいと考えております。
〇工藤誠委員 いずれ、よろしくお願いいたします。
次に移ります。県北地域における企業誘致ということで、まず初めに、平成23年度以降の企業誘致、新増設を含めて分野ごとにどういう実績があるのか、また、直近の雇用人数が地元の若者の定着にどういう貢献があったと認識しているのか伺いたいと思います。
〇瀬川ものづくり自動車産業振興室長 県北地域における企業誘致の実績についてでありますが、県北地域における平成23年度以降の企業誘致の件数は、新規立地が8件、増設が8件の計16件となっております。内訳としましては、食料品製造業が6件、その他の製造業が7件、製造業以外の業種が3件となっております。
これらの企業の雇用の状況については、平成26年度から平成30年度までの5年間で、約80人を地元の高校から新規に採用しており、若者の地元定着に貢献しているところと認識しております。
県北地域における新規高卒者の地元就職率は、この5年間で約12ポイント上昇しており、引き続き市町村等と連携し、企業誘致と地場企業の振興を一体的に推進し、若者の地元定着に取り組んでまいる所存であります。
〇工藤誠委員 引き続き若い人たちも地元に残していただきたいと思います。
それで、平成23年度以降、企業立地促進奨励事業費補助金が創設されたわけですが、この交付件数、また、雇用人数。それから、県北広域産業力強化促進事業費補助金についても採択企業数と雇用人数。これらの事業が製造品出荷額を含め、県北地域の経済にどのような影響を与えたと分析しているのか。さらに、県北地域で奨学金返還支援制度を受けている人数は何人か、お知らせください。
〇瀬川ものづくり自動車産業振興室長 まず、企業立地促進奨励事業費補助金についてですが、市町村が企業に補助する額の2分の1を県が市町村に対して補助する仕組みとなっており、平成23年度以降に、市町村に補助した実績は、件数が9件、それに伴う雇用人数は223人(後刻「229人」と訂正)となっているところです。
次に、県北広域産業力強化促進事業費補助金については、平成29年度からの2年間で5社を採択し、このうち1社が辞退したため、これを除く4社の雇用計画人数は12人となっているところです。
これらの取り組みによる地域経済への影響は、製造品出荷額について、平成22年と平成28年を比較しますと、電気機械器具製造業の大きな伸びもあり、全体で12%上昇し、地域経済に好影響を与えているものと推測されているところです。
次に、いわて産業人材奨学金返還支援制度の活用については、現時点で1名となっているところです。
県北地域では、大卒者を採用する企業はそれほど多くないものの、新たに大卒者の採用を計画するものづくり企業も見られていることから、このような企業に対して制度の活用を働きかけてまいります。
雇用人数の読み間違いがありまして、一番最初の企業立地促進奨励事業費補助金ですが、雇用人数は229人でございます。
〇工藤誠委員 誘致企業については、毎年一、二社ぐらいはあるような感じはしますけれども、インセンティブ制度も活用されて地域経済にも貢献されているということでありますが、依然として製造品出荷額は4圏域で最低であり、県南とは桁が違うという現実があるわけでございまして、これまでの政策が功を奏しているとはなかなか言いがたいものではないかと思っています。
それで、次期総合計画策定の中で、平成31年度はどのような議論がなされて、どのような考えのもとで事業を展開されていくのかということをお伺いしたいと思います。
〇瀬川ものづくり自動車産業振興室長 県北地域において産業の活性化や高度化を図るためには、農林水産資源を初めとする地域資源の高度利用、地域クラスターの形成とその成長促進、県南地域において集積が進むものづくり産業の県北地域への波及などをさらに進める必要があると考えています。このため、いわて県民計画第1期アクションプランにおいて、多様な就業の場を確保するための企業誘致や既立地企業の業容拡大に加え、地域全体の産業競争力の強化のため、地場企業を含めた生産性、技術力の向上や人工知能、IoTなどの導入を支援しながら、地域産業の高度化に取り組むことを盛り込んだところであります。
来年度においては、いわて県民計画第1期アクションプランを着実に推進することとし、県北地域においては、引き続き他の地域に比べて有利な制度としている企業立地促進奨励事業費補助金を活用し、多様な企業の誘致に取り組むとともに、県北広域産業力強化促進事業費補助金や中小企業総合的成長支援事業、いわてものづくりイノベーション推進事業を活用した第4次産業革命技術の導入など、さらに付加価値の高い地場中小企業へと成長するための取り組みを支援してまいります。
〇工藤誠委員 ぜひお願いしたいわけであります。
次に、久慈地区、二戸地区の拠点工業団地の分譲率の話については余り効果は上がっていないでしょうから、ここは割愛させていただいて、あえてお聞きしないことにします。
次に移ります。県北地域の企業誘致を今後はどのように進めていくのかということについては、部長がものづくり自動車産業室長時代に、商工文教委員会で私と質疑を交わしたことがございました。部長の答弁では、根っこがないところに新たな産業を持ってくるというのはなかなか難しいということで、引き続き、県北地域においては第1次産業の高付加価値化につながるような企業誘致を中心に進めて、新産業については研究もしていきますという趣旨の御答弁があったと記憶しております。それで、今室長がお答えになったように、IoTなどの分野も含めて第4次産業革命の誘致とまではいかなくても、そのあたりの研究の成果はどのようになっているのかお聞きしたいと思います。
〇瀬川ものづくり自動車産業振興室長 新産業の研究については、平成28年度において、地元市町村等と検討を重ね、既存の補助制度である企業立地促進奨励事業費補助金について新産業の誘致にも対応できるよう、対象業種の拡充や雇用要件等の緩和を行いました。これに加え、地場企業も含めた中小企業の生産性や技術力の向上の取り組みを支援するため、県北広域産業力強化促進事業費補助金を創設したところであり、市町村や関係機関と連携して誘致活動等を展開し、地域産業の新たな芽となるような企業の誘致や地場中小企業の競争力強化など、具体的成果に結びつくように取り組んできたところであります。
県北地域に新たな事業分野の立地企業として、平成28年度に立地した医療用機械器具製造企業が、隣地を活用して新工場を建設しており、また、ブロイラー加工企業がスープ製造企業と合弁会社を設立して、鶏がらを活用した新事業を開始したほか、ヤマブドウジュースなどを製造する企業が樹液を活用した新たな商品展開を検討するなど、地域資源の高付加価値化につながる取り組みが展開されているところでもあります。
このような取り組みを大きく育てながら、さらには第4次産業革命技術の活用を含め、若者の地元定着につながる産業振興を図っていきたいと考えております。
〇工藤誠委員 私はこの4年間の前期2年は商工文教委員会におりまして、この県北の企業誘致については再三取り上げてきたところであります。食産業、ブロイラー、アパレル、それから漆という話は再三されるわけでありますけれども、それ以外にも新たな産業をしっかりとつくって、若い人たちを地元に残していかなければならないという強い思いがありまして質問をしてきたわけですけれども、なかなか一気にはいかない状況の中で、最後に部長にお聞きしたいと思います。
部長は、県北地域の実情を十分理解されていると思います。若者が地元に定着する企業誘致こそが、まさに持続可能な県北地域をつくると私は考えているところであります。
今後の企業誘致と県北の地域発展をどのようにお考えになられているか、また、企業誘致において先ほどのIoTやロボット産業など、根っこがない産業についても、種をまかないと成長することはないと私は思っていますので、そういうことにも絶対に挑戦するべきだとも思います。そのことも含めて、最後に部長の見解をお聞きしたいと思います。
〇戸舘商工労働観光部長 県北地域における企業誘致ということでありますけれども、豊富な農林水産資源の高付加価値化につながるような企業誘致や既存企業の業容拡大に取り組みながら、委員御指摘のような新しい事業分野に関してもさまざま研究もいたしましたし、そして、新たな産業の集積も視野に、既存制度の改正、先ほどものづくり自動車産業振興室長から答弁した内容ですが、そういった制度改正も行いながら、幅広く企業誘致に取り組んできたところでありまして、徐々にその成果もあらわれてきていると認識しているところであります。
一方、地域産業の高度化やさらなる産業の集積ということを視野に入れますと、地場中小の競争力の向上が重要だということでありまして、生産性や技術力の向上につながる取り組みへの支援策を整備するなど、地場中小企業の振興と企業誘致に一体となって取り組んでまいりましたし、これからもそういう方針でございます。
ことし1月に久慈市で北いわて地域未来牽引サミットを開催いたしました。このサミットに参加した企業経営者の皆様方は、大変元気で前向きな取り組みをされている方が多く、県といたしましても、市町村や関係機関と連携をして、こうした企業の取り組みをしっかりと支援いたしますとともに、いわて県民計画第1期アクションプランに掲げておりますとおり、多様な就業の場を確保するための企業誘致、そして既立地企業の業容拡大に取り組んでまいりますし、地域全体の産業競争力の強化に向けまして、地場企業を含めた生産性、技術力の向上、そして御指摘のありました人工知能-AI、IoTなどの導入を支援して、地場企業をまずしっかりと太くしていくということに取り組んでいきたいと考えております。そういったことによりまして、若者の地元定着あるいはU・Iターンというものを促進してまいりたいと考えております。
〇高橋但馬委員 私はいわてインバウンド新時代戦略事業費について伺います。
平成30年度5億2、900万円余、平成31年度6億8、300万円余と、1億5、400万円余の増額となっておりますけれども、平成31年度のインバウンドに対する県の考えをお示しください。
〇浅沼観光課特命参事 平成31年度のインバウンドの取り組みに関する考えでございますけれども、三陸鉄道リアス線の運行開始、三陸防災復興プロジェクト2019、ラグビーワールドカップ2019釜石開催、第36回伝統的工芸品月間国民会議全国大会、さらに再来年度の東京2020オリンピック、パラリンピック競技大会の開催など、インバウンド誘客の非常に大きなチャンスが参ります。こうしたチャンスを生かすためにも、戦略的かつ効果的なプロモーションを展開するとともに、インバウンドの受け入れ環境の整備を促進することが重要と考えております。
このため、プロモーションの展開につきましては、東北各県、北東北3県などとも連携いたしまして、各市場のニーズ等に応じたプロモーションを行うことにより、広域への誘客拡大、そして、その中から本県への誘客、特に宿泊の増につなげていこうと考えているところでございます。
また、受け入れ環境整備の促進につきましては、ラグビーワールドカップ2019釜石開催に向けて、外国人観光客の受け入れを予定している県内事業者の受け入れ環境の状況診断、それと環境整備をパッケージで支援をさせていただいているほか、これまで行ってきております受け入れ環境整備への支援も引き続き継続して充実を図ることとしております。
〇高橋但馬委員 来年度は非常にインバウンドの観光客がふえる年になるのだろうなと考えているところでございます。受け入れ環境整備事業については、私も継続的に質疑をさせていただいておりまして、施設側のニーズに応えていただいていると認識しております。いずれ、施設整備に取り組んできたと思いますけれども、県内の整備状況を県としてはどのように分析しているのでしょうか。
〇浅沼観光課特命参事 現在の外国人観光客の受け入れ環境整備の状況についてでございますけれども、平成27年度から県内の観光事業者、交通事業者及び飲食店事業者で外国人観光客等を受け入れ、または受け入れる計画がある者に対しまして、その受け入れ環境整備に要する費用を補助してきているところでございます。
これまでの4年間の整備状況を見ますと、無料公衆無線LAN整備、いわゆるWi-Fi整備が76件と最も多い状況で、次いで多言語対応への整備が60件となっております。
一方、平成29年度に県が実施しました岩手県外国人観光客等受入実態調査におきましては、何らかの外国人受け入れ態勢の整備をしている施設につきましては、沿岸地域では約38%、内陸地域で約58%の結果となり、沿岸地域を中心に受け入れ環境のさらなる充実が必要と考えております。
さらに、今年度県で実施した花巻-台北便を利用したいわゆる個人旅行客を対象としたアンケート調査で、来県中に困ったことを聞いたところ、スタッフとのコミュニケーションが一番多く、その次が無料公衆無線LAN、多言語表示といった回答結果となっております。
こういったことからも、まだまだ受け入れ環境の整備は引き続き必要だと考えております。
〇高橋但馬委員 ことしの初めですけれども、観光関係の新年会で、災害が起きた場合の誘導等の多言語化も必要だという話も出ておりまして、いろいろなその時期に合ったニーズが出てくると思います。いろいろと分析されていると思うのですけれども、今新しいニーズはどういうものが出てきているのか、把握している限り教えていただければと思います。
〇浅沼観光課特命参事 新たなニーズでございますけれども、本年度、県が実施した調査によりますと、依然として無料公衆無線LANあるいは多言語表示へのニーズが高いという結果になっておりますが、一方、昨年9月の北海道胆振東部地震の際には、停電等により、外国人観光客がインターネット情報端末による情報収集が非常に困難となった事例も発生しております。こういったことを踏まえますと、無料公衆無線LAN整備に合わせまして、非常用電源ですとかそれに伴う蓄電池、あるいは情報端末への充電機器、そういったものへの整備のニーズが生じていると捉えております。
さらに、全国的な訪日外国人観光客の増加に伴いまして、イスラム教の信徒、いわゆるムスリムの観光客も増加してきております。国土交通省東北運輸局が策定した2019年訪日プロモーション方針において、東北におきましては、やはりムスリムの受け入れ態勢の整備が必要とされているところでございます。
このようなニーズに対しまして、来年度、外国人受入環境促進整備事業におきまして、外国人観光案内所や、宿泊施設等での非常用電源や充電機器整備、あるいは礼拝所の整備を新たに補助対象に加えることとして、現在、当初予算案に計上させていただいているところでございます。
〇高橋但馬委員 いろいろな国の方がいらっしゃるということもありますので、それぞれのニーズに応えて、気持ちよく観光そして宿泊をしてもらうように、引き続き取り組んでいただきたいと思います。
そして、プロモーション強化事業費について伺います。
かなりいろいろな国から外国人の方がいらっしゃるわけですけれども、最重点市場、重点市場、開拓市場の各市場の特性をどのように踏まえて効果的なプロモーションをしていこうと考えているのか、お知らせ願います。
〇浅沼観光課特命参事 効果的なプロモーションについてでございますけれども、平成29年3月に県で策定いたしましたいわて国際戦略ビジョンにおきましては、台湾を最重点市場、中国、香港、韓国を重点市場、また、オーストラリア、東南アジアを開拓市場と位置づけ、各市場のニーズに合わせたプロモーションを展開しております。
最重点市場であります台湾につきましては、夏の入り込みが少なくなっていることから、夏祭りや海、山などの自然といった夏の魅力をPRするとともに、急速に個人旅行化が進んでいることから、メディアですとかブロガーなどの影響力のある方々の招請、また、一般消費者向けのイベントの実施など、個人旅行者をターゲットとした取り組みを今後は強化していきたいと考えております。
また、重点市場であります中国につきましては、これまでの団体旅行客向けの取り組みに加えまして、国際定期便を活用して現地のメディアや航空会社と連携した広告など、一般消費者向けのPRを強化、韓国につきましては、ゴルフやスキーなど、特定の目的を持った旅行者が非常に多い傾向がございますので、そういった特定目的を持った旅行に重点を置いたプロモーション、香港につきましては、旅行者1人1泊当たりの観光消費単価が非常に高いということを踏まえまして、質の高い食や宿を組み合わせた旅行商品の造成促進といったプロモーションを実施していく予定にしております。
開拓市場につきましては、オーストラリアにつきましては、非常に人気の高いスキー、東南アジアにつきましては、食、温泉などを切り口とした誘客を図るため、現在、現地の旅行会社へのセールスあるいは旅行博等への出展などによりまして、商品の造成を進めているところでございます。
今後も、各市場の特性に応じたプロモーションを展開して、誘客拡大を図っていきたいと考えております。
〇高橋但馬委員 各市場それぞれニーズが違うというのもありますので、的確に特性を捉えてプレゼンをしていくことが重要だと考えますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
インバウンドを受け入れる宿泊施設からは、定期的に意見のヒアリング会を開催してほしいという声があるのですけれども、その辺についてはどうでしょうか。
〇浅沼観光課特命参事 インバウンド受け入れ施設からの意見のヒアリング会についてでございますけれども、現在、官民一体となって国内外からの誘客拡大の取り組みを進めておりますいわて観光キャンペーン推進協議会の中に、行政あるいは宿泊施設を初めといたします民間の事業者で構成するインバウンド推進部会を平成29年度に設置いたしました。ここでインバウンドに関する情報の共有、あるいは官民一体となった海外へのプロモーションに取り組んでいるところでございます。
また、観光関係団体等から要請をいただきました際には、随時、県と団体等との意見交換を開催させていただいております。
今後におきましても、インバウンド推進部会を中心に、情報共有を初め、官民一体となって誘客等の取り組みを進めますとともに、宿泊施設を初めとした関係者の方々の意見も踏まえまして、定期的な情報交換、意見交換の場の設定などについても検討させていただきたいと存じます。
〇高橋但馬委員 定期的にそのように開催しているのかもしれないのですけれども、私のほうに声が上がってくるというのは、もっと数をふやしてほしいという部分もあると思いますので、その辺は的確に捉えていただきたいと思います。
また、個人旅行が進んでいる中で観光関係者、宿泊施設の関係者は、かなり今現地に行って顧客の取り込みに努力しています。その実情の把握と、それに対する事業スキームをつくり上げる中で、しっかりと民間の声を入れることによって岩手に来るインバウンドがふえると考えておりますので、その辺を強く要望して終わりたいと思います。
〇川村伸浩委員 私はいわて花巻空港、それから上海の定期便について1点お伺いをしたいと存じます。
待望であった台湾の定期便が昨年運航になって、そして年が明けてすぐ1月に、上海の定期便が運航になりました。やっと岩手へも国際定期便が2便運航されて、本当によかったなと思っております。運航して1カ月半ぐらいになるわけでありますけれども、その運航状況、実績についてまずお伺いします。
〇浅沼観光課特命参事 上海定期便の運航状況でございますが、いわて花巻空港と上海浦東空港を結びます上海定期便は本年1月30日に就航開始いたしまして、現在、毎週水曜日と土曜日の各1往復の運航となっております。就航から2月末までの1カ月間で9往復18便が運航されておりまして、その利用実績は、インバウンド1、481人、アウトバウンド34人、合計1、515人となっておりまして、利用率は54%となっております。
〇川村伸浩委員 1、500人ちょっとということでありますし、利用率、いわゆる搭乗率と考えていいのでしょうか、54%ということで、この54%というのは通告していませんでしたが、一般的な路線を維持する搭乗率と比べてどんな数字なのでしょうか。
〇浅沼観光課特命参事 現在の54%の利用率というのは、通常の運航継続を目指す利用率からすると、若干少ない利用率かと存じます。
〇川村伸浩委員 了解しました。それでは、ほとんどがインバウンドなわけでありまして、その1、400人が岩手に入って、その後どういったところに観光に行かれているのか、その動向についておわかりであればお示しをいただきたいと思います。
〇浅沼観光課特命参事 花巻空港到着後の旅客の動向についてでございますけれども、上海の旅行会社に聞き取りをさせていただきました。その結果、これまでの旅客のほとんどが団体のスキーツアー客ということでございまして、これらのツアーの多くは、県央部のスキーリゾートの宿泊施設に3泊または4泊するというツアーになっているということでございます。
また、これらのツアー客につきましては、滞在中には当然スキー場でのウインタースポーツを楽しみますほか、オプショナルツアーによりまして、近隣市町村の観光施設等へ日帰り観光を楽しんでいると聞いております。
〇川村伸浩委員 多分、県央、安比がほとんどではないのかなと思っております。通告と順番が違うのですが、花巻空港に着いて、団体ですからバスで行って、安比でスキーを楽しまれてまた帰られるということだと思うのですけれども、中国なり海外、台湾もそうですけれども、ウインタースポーツなりあるいは雪というものに非常に憧れなり楽しみを求めて来ているようであります。年間を通じますと、冬のスキーなり雪、そして春は桜とか、そして秋深くなると紅葉等々、それなりのシーズンであるわけですが、いわゆる春から秋までのグリーンシーズンが、なかなか魅力を出せないでいるのかなと思っております。そういったことに対する岩手なりの魅力を伝えることをやっていかなければいけないのだろうと思っていまして、先ほど高橋但馬委員からも話がございましたけれども、旅行会社、エージェントあるいはマスメディアにアプローチする必要があると思いますが、その辺についてのお考えをお願いいたします。
〇浅沼観光課特命参事 ただいま委員から御指摘がございましたけれども、本県の中国あるいは台湾からの観光客の入り込みにつきましては、桜が終わってから紅葉までのグリーンシーズンが若干落ち込むということでございますので、さらなる誘客拡大を図るためには、通年での入り込みの底上げ、特に夏場での入り込みの増加を図ることが非常に重要なことであると考えております。そのため、来年度におきましては、盛岡さんさ踊りを初めとする夏祭り、三陸ジオパークなどの自然、山海の食あるいは田野畑村のサッパ船といった、グリーンシーズンの中でも特に夏に魅力を発揮するようなコンテンツのPR、こういったものを取り上げつつ、現地の旅行会社の方の招聘あるいは旅行商品の造成の促進をしてまいりたいと考えております。
さらに、三陸鉄道リアス線の運行、三陸防災復興プロジェクト2019、あるいはラグビーワールドカップ2019、そして第36回伝統的工芸品月間国民会議全国大会と、非常に多くのイベントがグリーンシーズンに合わせて続いていくことになりますので、まさに誘客拡大の好機と捉えております。この3月からJR東日本と連携した観光キャンペーンいわて幸せ大作戦!!~美食・絶景・イベント「黄金の國、いわて。」~を展開することにもしております。この中では、国内外の旅行会社への県内周遊、滞在型旅行商品の造成の働きかけ、さまざまなメディアを活用した情報発信、こういったものを図りながら、一層の誘客拡大に努めていきたいと考えております。
〇川村伸浩委員 ちょっと前後するかもしれませんが、急に上海便が決まって、運航していただいて54%の搭乗率ということなのですが、中国の方々があるいは上海周辺の方々が、日本という中で岩手というものを知っているのか。いわゆる知名度、日本の中で岩手を知ってもらうというのが、継続的に来ていただく対策になってくるのかなと思いますけれども、その知名度アップについてどういったことを考えておられるのかお伺いします。
〇浅沼観光課特命参事 本県の知名度アップに向けた取り組みでございますけれども、本県への誘客の拡大を図ってまいりますためには、本県の魅力を中国の方々に直接訴求するようなプロモーションが重要であると考えております。このため、現地旅行博などのイベントへの出展、旅行会社や現地メディアの招請など、中国の方々に本県の魅力をPRする取り組みをこれまでも進めてきたところでございます。このような取り組みによりまして、平成30年の中国からの宿泊者数は2万9、910人と、過去最高となっているところでございます。
平成31年度におきましては、定期便の就航先である上海エリアを中心として、現地旅行博への出展などの取り組みに加え、県の海外事務所が有しているネットワークを活用して、現地メディアによる本県の歴史文化、自然、豊かな食、伝統工芸品など、魅力の情報発信でありますとか、消費者向けの広告などに取り組むことにしております。
上海を初め、中国の各拠点に対して、引き続き岩手県の知名度アップの取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇川村伸浩委員 最後になるのですが、今までの質問の中でさまざまな取り組みをされていくという部分はわかりました。ただ、最初にもお聞きしましたけれども、搭乗率が思ったくらい多くないと。ほとんどインバウンドだということもあって、アウトバウンドとインバウンドが相乗効果を生むような取り組みをやっていかなければいけないだろうなと思います。
アウトバウンドについては所管が違うわけですので答弁は要りませんけれども、今まで新年度の予算については御紹介をいただきましたけれども、改めて、スタートしたばかりの上海の路線でありますが、これを拡大していくあるいは維持していくための新年度予算について御紹介をいただいて私の質問を終わります。
〇浅沼観光課特命参事 来年度の来客増等に向けた予算でございますけれども、基本的に観光総務費のインバウンド新時代戦略事業費において計上させていただいているところでございますが、その内容につきましては、定期便を活用いたしました旅行商品造成を促進するため、上海の旅行会社へのセールスあるいは本県の実際の観光地を見ていただくような招請事業、団体旅行商品の造成への支援などを行うとともに、上海の消費者に本県の観光の魅力を直接訴求するため、上海の旅行博等のイベント出展、あるいはメディア等を活用して、上海等に岩手というものを知らしめるような広告の掲出などに取り組んでまいりたいと考えております。
〇名須川晋委員 それでは、私のほうからも、ただいまの高橋但馬委員と川村伸浩委員の質問と丸かぶりでございますので、足して2で割った残ったところを若干質問させていただきたいと思います。
今、中国東方航空による花巻空港から上海便の搭乗率について伺ったところでございますし、周遊コース等、日程等お答えをいただきました。そこで、貨物の量というのはどうなのですか。花巻空港から輸出入ができましたでしょうか。税関等々、この辺で輸出の関連というのが賄えるのかどうか、確認をさせていただきます。
〇浅沼観光課特命参事 貨物につきましては、航空会社の聞き取りをさせていただきましたところ、現在、花巻空港から上海便におきます商用貨物の積載はしていないと聞いております。
〇名須川晋委員 その理由はおわかりになりますでしょうか。例えば、先ほど午前中の質問でもございましたけれども、輸出の拡大ということで、この中国への便が使えるのかどうか、そこを確認させてください。
〇浅沼観光課特命参事 航空会社から聞いた際には、あくまでこれは旅客便という位置づけだということしか聞いておりません。そのために、商用の貨物は今載せていないという回答をいただいたところでございます。
〇名須川晋委員 一定の貨物量は搭載できるのかどうか、その辺も含めて活用できるのかどうか、これは後でまた調べてみたいと思います。
そこで、先ほどの高橋但馬委員の質問にも絡むわけでございますが、中国や台湾の代理店がよく訪れているということで、私も報道でも目にしますし、周りからもいろいろと聞いているところでございますが、そういう人たちが来るということを逐一情報を入手しているのか。もしされている場合は、彼らの要望はどのようなものか、どう反映をしているのかというところをまず伺います。
〇浅沼観光課特命参事 エージェントの情報でございますけれども、来県情報につきましては、県や市町村あるいは観光関係団体、民間事業者等で構成するいわて観光キャンペーン推進協議会インバウンド推進部会などを通じまして、可能な限り、県や市町村などの構成委員間での情報共有に努めております。
来県したエージェントなど、我々も同行したりいたしますので要望等をいただいておりますが、その中では、受け入れ態勢の整備あるいは観光コンテンツの磨き上げ、二次交通の問題と、非常に多岐にわたる御指摘あるいは御要望を頂戴しております。中でも、宿泊施設の受け入れ環境、あとは二次交通に関するものが多い状況になっております。
〇名須川晋委員 そのエージェントのお一人、中国の方なのですが、この前お会いしてお話をする機会がありました。そのとき強く言われたのは、ウィキペディアで調べた情報ですが、上海浦東国際空港から中国国内62都市に飛んでいるということで、上海あるいはその近郊だけでなく、中国全土から花巻や岩手はお客さんを呼べるポテンシャルがあるのだと、それをぜひとも進めてくれということでございました。そうしますと、中国全土ということがターゲットになってきますが、それはなかなか難しいとしても、重点地域を置いていかなければいけないと思いますが、その辺のPRをどのようにするか、具体的に教えていただきたいと思います。
このいわてインバウンド新時代戦略というのがございますけれども、ラグビーワールドカップ、東京オリンピック、パラリンピック等々、このいわてインバウンド新時代戦略というのは私も岩手県のホームページから調べてみたのです。それ単体の戦略というのは見つけかねたのですけれども、平成28年ぐらいからあった施策だと思いますが、戦略という名をつけるのであれば、しっかりとした戦略を載せてしかるべきだと思うのですが、これはどうなっているのですか。
〇浅沼観光課特命参事 中国へのPRでございますけれども、委員のおっしゃいますとおり、中国は非常に広大でありますため、効果的なPRを行うために、現在北京、大連エリア、上海エリア、広州エリア、雲南エリアというように、拠点と範囲をある程度設定いたしまして、県の大連経済事務所と雲南事務所のネットワークを活用して、プロモーションを展開しております。
御指摘のありました上海浦東国際空港は中国国内線のハブ空港ということで、非常に中国全土への交通アクセスにすぐれた地域ということでございますので、来年度におきましては、上海エリアを最重点のエリアということでプロモーション活動を強化していくことにしております。
また、いわてインバウンド新時代戦略事業でございますけれども、これは事業名としてつけてはおりますが、ベースになっているものはいわて国際戦略ビジョンのほうで、観光につきましても各地域を最重点、重点、開拓という市場に分けまして、それぞれの市場ごとの取り組みを明記していますので、これに沿った取り組みをするために起こした事業ということでございます。
〇名須川晋委員 いわて国際戦略ビジョン、ここにあるのですけれども、そうすると、岩手インバウンド新時代戦略というのは、随分大げさな名づけ方だなと個人的に思うわけでございます。では、戦略って何だと、ペーパーで見せてくれと言われれば何か出てくるものはあるわけですか。
〇浅沼観光課特命参事 ベースとなりますのは委員もお持ちのいわて国際戦略ビジョンでございますけれども、この取り組み、国の東北観光復興対策交付金を使っておりますので、この交付金に対しまして、我々のほうとしては、岩手県の観光復興の計画というものをペーパーとして作成して、これに沿った事業を展開させていただいているところでございます。
〇名須川晋委員 そうしましたら、果たして、それがそれなりの名づけ方にふさわしい戦略になっているのか、後で資料としていただければと思います。
また、いわて国際戦略ビジョンの中で、これは担当がまた別のところにあるのかもしれませんけれども、重点市場が設定されておりまして、最重点市場が台湾、重点市場が中国、香港、韓国ということでございますが、中国便ができたということであれば、最重点は台湾と中国になるのかなと思われますが、この辺のタイムラグはあると思いますので、その力の入れ方というのはどのように変わっていくのか、そこをお伺いいたします。
〇浅沼観光課特命参事 もちろん、ビジョン上は、最重点は台湾のままでございますし、中国は重点という状況ではありますが、国際室とも実は内々には話をしておりますけれども、やはり時代によってニーズあるいは情勢が変わってくるということで、必要に応じて見直しも必要という議論もされております。そうした中で、今回の定期便が就航したということもございますので、場合によっては、中国が最重点ということもあり得るかとは存じますが、現在はビジョンの書きかえはまだ行われていないわけでございますが、事業としては、中国に対しても手厚くやるということで今年度は考えております。
〇名須川晋委員 最後にします。私も日中関係の政治状況について不安ですねとお話をしましたら、この前そのお話をさせていただいた中国のエージェントは、いや、これからは大丈夫ですと。どんどんよくなってきますから、どんどんお客さんを呼んでくださいということでございました。それぞれの国際情勢等々ありますので、一つに偏るというのは回避をしたほうがいいと思いますが、バランスよくぜひとも力とお金をかけていただきたいと思います。
そして最後、キャッシュレスシステムでございます。これは予算の説明書にもございますけれども、不安なのが、間に合うのかということで、ラグビーワールドカップ、オリンピック、パラリンピックがあります。沿岸にもお客様が参ると思いますけれども、できるだけお金を使っていただきたいわけでございますが、キャッシュレスは、日本はおくれているという状況の中で、一刻も早く進めていかなければいけないわけですけれども、どうなのでしょうか。もっと導入を進めるようないい施策がないのか、それがこの予算だと言われればそうかもしれませんが、間に合うようにやっていただきたいと思いますが、その辺について伺って終わります。
〇熊谷経営支援課総括課長 キャッシュレスの普及と導入の取り組みについてでございます。
花巻空港と台湾、上海定期便就航あるいはラグビーワールドカップなど、ことしは外国人を初めとした観光客の増加が見込まれる中、クレジットカードや電子マネー、あるいは中国で普及しているQRコード決済などのキャッシュレスを推進することは、来る方の利便性に直結するほか、県内の中小企業、サービス事業者にとっても多様な決済手段への対応ですとか、業務の効率化、生産性の向上につながるものでありまして、観光客の受け入れ態勢の面、あるいは事業者の生産性向上の両面から対応が急務であると認識しております。
県では、これまでも観光事業者、交通事業者等が行う海外カード決済の導入を支援してきているところでございますが、平成30年度からは、海外のモバイル決済についても補助対象としているところであります。
また、昨年の10月、県内で初めてとなりますキャッシュレス導入セミナーを宮古市において、県主催で開催しまして、本年の2月には、盛岡市でも開催したところです。また、あわせて、沿岸広域振興局でも、2月に宮古市、大船渡市でキャッシュレスの導入に向けた先進的な活用事例や操作の実演、導入に向けた相談会などを開催して、ゼロ予算事業になりますが、前倒しで県も取り組みを進めているところでございます。
ラグビーワールドカップが秋にありますので、できれば来年度の前半戦に小規模事業者、中小企業の方がキャッシュレスの導入に向けた環境整備を行えるように、商工団体とも連携してしっかり支援していきたいと考えております。
〇佐々木宣和委員 大きく2点伺いたいと思います。
まず初めに、地域内経済循環を拡大する取り組みについて伺いたいと思います。
新たないわて県民計画においては、地域内経済循環を拡大していく総合的な産業政策が重要とあります。新年度予算について、この地域内経済循環を拡大する、高める取り組みについて、商工労働観光部では具体的な政策を打っていると思いますけれども、この地域内での生産を高める、所得を高める、消費を高めるという取り組みについて伺います。
〇阿部商工企画室企画課長 地域内経済循環を高める商工労働観光部の具体的な取り組みについてでありますが、部全体にまたがる内容となりますので、答弁に少々お時間をいただきますことを御了承願います。
いわて県民計画最終案に盛り込みました地域内経済循環とは、域外において需要の高い製品を域内で生産し、その生産を地元雇用や地場企業からの資材調達など、域内所得や域内調達に結びつけながら、地元の商店街などの域内消費につなげていくという考え方でございます。
まず、域内生産につきましては、ものづくり産業の一層の集積を図るとともに、県南地域におけるものづくり産業の集積効果が、県北・沿岸地域を含めた全県に波及するよう、取引支援や生産性向上などの支援をするほか、食産業や伝統工芸産業でも、生産拡大につながる支援を進めてまいります。
また、域内所得については、高校生の県内就職率の向上やU・Iターン就職者の確保に向けた取り組みにより県内就業の促進を図るほか、女性、若者、障がいを持つ方などへの職業能力開発を支援し、地元の雇用につなげてまいります。
域内調達については、自動車、半導体関連では、域内の取引拡大に向けた取り組みを推進していくほか、県内中小企業者に対するIoTやAIなどを活用した生産技術の高度化や新技術開発などの取り組みを支援し、県内各地の中核的企業と地場企業群とのサプライチェーン構築と、形成したクラスターの拡大の促進を図ってまいります。
また、観光分野においては、岩手ならではのコンテンツに食、宿などを組み合わせた高付加価値型の観光商品造成を促進するなど、総合産業として域内調達の拡大に資する取り組みも進めてまいります。
域内消費については、商店街全体でのにぎわい創出に向け、市町村や商工指導団体と連携した取り組みなどを促進していくほか、小売業、サービス事業者へのキャッシュレスの導入促進を図ることとしており、また観光分野においては、早朝観光やナイト観光など滞在型コンテンツの開発、充実や、外国人観光客が安心して県内を周遊するための受け入れ態勢の整備の支援などにより、観光客の域内消費の促進にも取り組んでまいります。
これら各般の産業政策によりまして、域内生産などを高め、地域内経済循環を拡大してまいります。
〇佐々木宣和委員 域内-県内で商品をつくるところまで完結して、それを外に売るとメリットがあるという観点で、非常に重要な視点と思っているところでございます。
私が質問した大きな一つの理由というのは、RESAS(地域経済分析システム)で調べたとき、震災前、震災後を比較いたしまして、岩手県の経済循環率は2010年が86.9%、2013年が75.5%。33市町村を比べますと、金ケ崎町が138.5%でトップ、盛岡市が103.7%ですけれども、沿岸被災地は軒並み経済循環率が非常に下がっている現状でございます。特に大船渡市、山田町、陸前高田市、大槌町は循環率が30%以上下がっているという現状で、大きな建設工事の発注等々があって域外からお金が入ってきて域外にお金が出て行く。ある程度それは仕方がない部分もあると思うのですけれども、山田町を例に挙げますと、所得からの支出が2010年と2013年を比較すると530億円から1、568億円にとんでもなく金額がふえている。支出による生産への還流というのが384億円から489億円にふえているというところで、震災で全て流された状況だったのでお金を使う場がないというのが一つと、もう一つは、産業構成が大きく変化しているというのがあると思います。
中分類、付加価値を創造している事業区分を見ると建設業が非常に大きくなっているという状況がある中で、今までの経済循環からかなり変化しているという実情を踏まえた上で、域内での経済循環率を高めていくというのは非常に重要な視点だと思っているところでございます。
データを見ると循環率が高くなっている市町村も33分の11あるようでございまして、この割合を上げていくというのは非常に意味があることだと思っているわけですけれども、この循環率を高めていく、サイクルの効率を上げていくということに関して取り組みを伺いたいと思います。
〇阿部商工企画室企画課長 地域内経済循環の循環率を高める取り組みでございます。
各地域の産業構造あるいは置かれている状況についてアプローチが違う部分もあろうかと思いますけれども、全体的な話をさせていただきたいと存じます。
域内生産では、ものづくり産業の一層の集積と高度化を通じたグローバル拠点化を推進していくほか、食産業、伝統工芸産業では、商品開発や販路開拓などを通じて生産拡大を図ってまいりたいと考えております。
また、域内所得につきましては、若者の地元定着に向けて、高校生や保護者を対象とした地元企業を知る機会の拡充、あるいは、今年度作成いたしました県内ものづくり産業で活躍する若手人材を紹介する動画を活用した授業などにより県内企業への理解を促進し、県内定着を図ってまいりたいと考えております。
域内調達につきましては、自動車、半導体分野において産学官の連携による研究開発の促進や人材育成の取り組みなどを進め、取引拡大につなげていくほか、観光分野では、地域DMOなどにおきまして地域資源を生かした体験メニューを開発するなど、農林水産業や製造業などに広く波及効果をもたらし、域内調達につながる取り組みを支援してまいります。
域内消費では、地元に密着した商業、サービス業者等が市町村や商工指導団体と連携し、付加価値の高い商品やサービスを創出する取り組みを促進していくとともに、個店の魅力を通じた商店街全体でのにぎわい創出を図るため、個店の経営力向上や商店街活性化の取り組みを鋭意支援してまいります。
これらの取り組みによりまして、地域経済の循環率を高めてまいりたいと考えております。
〇佐々木宣和委員 私は、質問する観点として、一つのサイクルを把握できているとすごくいいのかなというところで、循環率が高いというのは、まず一つは安心感を高める。外的な影響がない形で商売が回るのが見えるというのが一つと、もう一つは、仕事をする上で、今かなり高度に役割分担されている中で、一つのセクションだけ仕事をやっていると自分が何をやっているのかわからないみたいなこともあると思っていまして、県内で-自動車産業などはまた別な話とは思いますけれども-つくったものがお客様に届くまでの一連の流れがわかっていると働く上でのモチベーションにもつながると思っておりまして、この循環率というものを意識して各施策に取り組んでいただきたいと思っているところでございます。
二つ目、起業について伺いたいと思います。
県内企業の廃業、そしてまた起業の状況について伺いたいと思います。
〇熊谷経営支援課総括課長 本県の廃業、起業の状況についてでありますが、まず廃業の状況について、国が2年あるいは3年置きに実施しております経済センサスによりますと、本県の廃業率はおおむね6%前後で推移しており、東日本大震災津波の影響で一時期上昇したものの、最新の平成28年経済センサスによりますと、平成26年7月から平成28年6月までの23カ月間に廃業した事業所数は7、342事業所、年率で6.5%となっております。
起業の状況につきましては、本県の開業率ということでありますが、最新の平成28年経済センサスによりますと、平成28年6月までの23カ月間に開業した事業所は5、750事業所、年率で5.1%となっております。
〇佐々木宣和委員 震災等々もあって、新しい仕事に道筋をつくろうと起業する方々も多いと思っているところですけれども、創業した企業に対する支援策について、また今の課題点について伺いたいと思います。
〇熊谷経営支援課総括課長 創業した企業に対する支援策と課題についてであります。
2017年版中小企業白書によりますと、創業した企業は、創業後から事業が軌道に乗るまでの成長段階に応じたさまざまな課題を抱えているとされております。
まず、本業の製品、商品、サービスによる売り上げがまだない創業期におきましては資金調達を課題としている事業者が多く、また、創業に当たり、家族の理解がまだ得られないといったような創業期特有の課題を抱えることも多いとされております。次に、売り上げが計上されておりますが営業利益がまだ黒字化しない場合、成長初期とされておりますこの段階におきましては、資金調達の課題に加えまして、人材確保に関する課題があると言われております。さらに、営業利益が黒字化して安定、拡大期の段階になった場合には、人材確保に加えまして、企業の成長段階に応じた組織体制の見直しといった課題が出てくるとされております。
このように、創業後も企業が抱える課題は段階に応じて変化することから、県では、商工指導団体と連携しまして、いわゆる伴走型支援により、創業計画の策定段階から、創業した後も継続して段階に応じたさまざまな課題の解決を支援しているところです。
また、資金面につきましては、いわて希望応援ファンドなどの補助事業による支援や、創業期を対象とした制度融資であるいわて起業家育成資金などを設け、金融面の支援を行っているところでございます。
〇佐々木宣和委員 そのとおりだと思うのですけれども、それはどの起業をした人も同じような話ですので、最後の質問は、岩手県で起業するということに対するメリットを聞きたいと思います。震災があって、その復旧、復興に携わりたいということで、こういった事業ができるのではないかと新しくチャレンジされた方もいると思いますし、社会的な課題があって、それを解決するために事業を起こす方々もいると思います。
岩手県としては、そういった方々にチャレンジしてもらいたいのだと思うのです。新しく事業を起こすときに、マーケットは大きいほうがいいので東京で起業したほうがお客さんは多いけれども、岩手県で起業したほうが何かおもしろいことができるとか、そういったことを考えて支援策なりフォローというものを考えていかないと、ハードルが高いところではやりようがないと思っているのです。というところで、人口減少社会における起業、岩手県で起業することのメリットについて所感を伺って終わります。
〇熊谷経営支援課総括課長 人口減少社会における起業についてでありますが、本県におきましては、人口減少の進行によりまして、地域コミュニティー活動を牽引する人材の不足が懸念されていると思います。地方に移住し、地域協力活動を行う地域おこし協力隊員の方々は県内各地で増加しているわけですが、こういった方々、あるいは、先ほどお話がありましたとおり、東日本大震災津波を契機に、震災復興支援やボランティア活動を通じて本県とつながりを持った若者を初めとした多くの方がいらっしゃると思います。こうした方々が本県において起業し、移住、定住することで地域づくりの担い手になり、また地域資源の活用による地域の活性化につながることが期待されます。
このため、県としては、若者の起業マインドの醸成や、女性の発想や視点を生かした地元の方向けの起業支援に加えまして、地域おこし協力隊員の任期終了後の起業支援、あるいはU・Iターン者のいわゆるソーシャルビジネスを起こすような起業支援などを関係部局と連携しながら総合的な起業、創業支援として取り組んでいきたいと考えております。
本県の豊かな風土、あるいは自然、歴史、文化、おいしい食べ物などをアピールポイントとして、本県の魅力ある地域、豊かな環境の中で働き、暮らすことができる、そういった面が本県で起業するメリットではないかと考えます。
〇佐藤ケイ子委員 私からは、いわて産業人材奨学金返還支援制度についてお伺いしたいと思います。
これは小野寺好委員が総括質疑で行っているのですけれども、その際には、基金は今、1億8、000万円、2年間で105名が活用し、新年度は45名の活用が予定されているということでありました。
詳しくお聞きしたいのですけれども、この基金は県も企業も造成しているわけですけれども、その内訳はどうなっているか。
それから、その活用状況についてですけれども、基金を出した登録企業と一般企業では助成の金額が違ってきますよね。ですから、そういう活用状況は、企業の業種とか違いがあるのか。
それから、申請をする際の課題はどういうことがあるのかということですけれども、最大で8年間、250万円、大学生はこういう制度をどうやって知っていくのか、そういった課題をお示しいただきたいと思います。
〇伊藤特命参事兼ものづくり産業振興課長 いわて産業人材奨学金返還支援制度に係る御質問でございます。
現在、造成しております1億8、000万円の基金の内訳でございますが、県の出捐が1億758万円、民間からの出捐が7、242万円となっております。また今年度は、2月末までに県内外12の企業や団体から合計481万円の寄附の申し込みをいただいておりますので、この部分に関しましては3月末までに基金に積み増す予定となっております。
次に、活用の状況でございます。
この制度を活用いたしまして既に就業、企業に就職した方は43名いらっしゃいます。内訳でございますが、委員からお話のありました登録企業-一定金額以上の寄附をいただき、返還支援額が割り増しになっている企業でございますが、43名のうち18名、それから、割り増しのない通常の一般企業が25名となっております。
業種で申し上げますと、情報サービス業が20名、電気機械器具製造業が8名、プラスチック製品製造業と業務用機械器具製造業がそれぞれ4名という内訳になっております。
それから、申請時の課題といいますか、学生等への周知の仕方でございますが、この制度ができて丸2年ということで徐々に浸透しつつありますけれども、各大学への広報活動や、企業でも、登録企業あるいは一般企業の方に制度を周知していただきますよう、面接の際には奨学金を利用していないかどうか確認していただき、活用している場合にはこの制度を紹介していただくというようなやり方で周知を図っているところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 43名の活用ということでしたけれども、105名がもう既に活用しているのですよね。そこがちょっと飲み込めないでいるのですが。
〇伊藤特命参事兼ものづくり産業振興課長 2年間で105名の支援の認定者がいるということで、実際に企業に就職した方は、今までのところそのうち43名でございます。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。
この事業ですけれども、平成29年度から平成31年度までの3年間事業ということになって、国の交付金事業なわけですけれども、新年度で終わりということになってしまうのか、今後の方向性はどうなのかということです。
本県は1年おくれで始まったのですかね、ほかのところに比べて。それを継続しているところもあるようですけれども、今後の方向性はどのようになっていくか伺いたいと思います。
〇伊藤特命参事兼ものづくり産業振興課長 委員から御指摘いただきましたように、この制度は平成29年度から3年間ということで、国の特別交付税措置を活用して行っている事業でございます。今までほぼ2年たって、認定を受けた学生、就職予定先企業の双方から非常に高い評価をいただいております。
今後につきましては、産業界等からの出捐状況や制度を活用して就業した方の定着率などを検証し、次なる展開について研究してまいりたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 今、産業界の意向が強いわけですけれども、この奨学金の返還支援制度の対象範囲をどうするか独自に考えられている自治体も多くなってきたり、独自で奨学金返済支援をする企業がたくさん出てきているようです。そういうことになってくると、首都圏の大企業にまたインセンティブを与えて、そちらのほうに人材が流れてしまうのではないかという心配とか、ほかの県でも、金額は100万円程度とか少ないのですけれども、範囲を広げて、地元に定着してほしいという意味で支援制度を設けているところもあるわけです。県でやっているところもありますし市でやっているところもあるのですけれども、そういう柔軟な対応を考えていかなければならないのではないか。とにかく私は、若者に岩手に残ってほしいという思いだけなのですけれども、どのようにお考えになっているでしょうか。
〇伊藤特命参事兼ものづくり産業振興課長 奨学金返還支援制度の対象範囲の拡大ということでございます。
現行の支援制度につきましては、平成29年度からの3年間で、集積と高度化が加速する県内ものづくり企業の技術力、開発力の向上等を担う高度ものづくり人材の確保を目的として行っているものでございます。
委員御指摘の業種あるいは人数の拡大などにつきましては、国の動向や他県の制度の把握、さらには県内の学生や企業のニーズを踏まえまして、次なる展開について研究してまいりたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 ぜひ積極的な対応をお願いしたいと思います。
〇阿部盛重委員 私のほうから、第36回伝統的工芸品月間国民会議全国大会についてお伺いいたします。
国は毎年11月を伝統的工芸品月間と定めておりまして、各種の普及啓蒙事業を推進されております。本県でも19年ぶりに11月に開催されますが、基本計画の策定状況についてお伺いいたします。
〇高橋地域産業課長 全国大会の基本計画についてでございますけれども、本年11月の岩手大会の開催に向けまして、昨年6月に設置いたしました県や関係する市町村、団体等で構成する準備委員会におきまして検討を重ね、現在、策定作業を進めているものでございます。
その内容といたしましては、大会全体の展示全体テーマやシンボルマークの作成を初め、本県独自企画の催事となります伝統的工芸品の南部鉄器、岩谷堂箪笥、浄法寺塗及び秀衡塗などの展示販売や、県内各地の歴史、風土を背景とした多彩な工芸品の展示販売、これらの催事に係る会場使用計画、並びに関係者や来場者に係る車両誘導計画等を定めるものでございます。今月下旬に開催する第4回準備委員会におきまして、最終計画案を示す予定としているものでございます。
〇阿部盛重委員 まだ全て策定には至っていないというふうに今お伺いしましたけれども、県内からは、伝統的工芸品の4品と、それ以外ではどのような工芸品と作品が具体的に出展になるのか、おわかりになる範囲でお伺いします。
〇高橋地域産業課長 本県指定の伝統的工芸品以外でございますけれども、具体的には、染物、織物、焼き物、木工品等、県内各地のさまざまな郷土工芸品を紹介する岩手の郷土工芸品展というものがございますし、それから伝統的工芸品である浄法寺塗、秀衡塗以外の漆器等の展示販売を行ういわての漆展、それから県内45歳以下の若手職人の作品を紹介する若手職人作品展、さらに、県内工芸士同士のコラボレーション等によってつくられた新たな製品を紹介するコラボ作品展、県内の多彩な工芸品の製作体験を行う岩手の工芸品ワークショップ等を行う予定でございます。
これらの出展事業者につきましては、県のホームページを初め、市町村及び伝統的工芸品指定産地組合を通じましてことし1月から2月にかけて公募を行ったところでございまして、今月開催いたします出展事業者選考委員会におきまして出展事業者を決定する予定でございます。
〇阿部盛重委員 今の中で前回と違った企画内容というものはあるのでしょうか。
〇高橋地域産業課長 前回は平成12年に開催したものでございますけれども、前回と比較してとなりますと、手元に詳細な資料はございませんが、特に岩手の独自のものとして、いわての漆展ということで岩手が誇る漆がございますし、それからコラボ作品ということで、伝統工芸の中で例えば南部鉄器と漆をコラボした製品づくりとか、そういったものを今回新しく展示する予定でございます。
〇阿部盛重委員 2000年開催時には10万人が来場されたということでございまして、今度はどのぐらいの参加を見ているのか。そして、それに伴う開催周知、宿泊、観光面、販売等の経済効果はどれほど見込んでいるのかお聞きいたします。
〇高橋地域産業課長 全国大会の来場者数、それから効果額でございますけれども、11月2日に盛岡市で開催する記念式典には、本県を含む全国の伝統的工芸品事業者や伝統工芸士などの関係者が900人程度出席する見込みでございまして、11月5日まで岩手産業文化センターで開催する催事を含めまして、前回、平成12年度に岩手県で開催した第17回大会と同程度の10万人の来場者数を見込んでいるところでございます。
大会では、本県の伝統工芸品の実演販売に加え、県内各地の工房見学ツアーや、海外のバイヤーを招聘した商談会等を併催し伝統工芸品の販売を一層促進することから、今年度-昨年11月、九州福岡大会の売上額が約500万円ということで、これを上回る販売を目指しているところでございます。
開催期間中、全国の伝統的工芸品事業者や伝統工芸士などの関係者が盛岡市内に宿泊するほか、県外からの来場者も、ちょうど3連休に当たる期間でございますので、全国大会に合わせて県内各地を観光することも想定されるところでございます。
こうした宿泊や観光等に係る経済効果の試算はなかなか難しいところではございますけれども、例えば、来場者見込み数10万人の1割を県外からの来場者と仮定した場合、岩手県観光統計概要の観光消費額単価により試算いたしますと、観光消費額は約3億2、400万円余と見込まれるところでございます。
〇阿部盛重委員 これはわかる範囲で結構ですが、いわて産業振興センター、商工会議所連合会、それから商工会議所、診断士協会等々の連携協力がどのように決まっているのか。また、それに伴って外国人の方々の受け入れ態勢がどのような形で決まっているか、もし決まっていることがあれば教えていただければと思います。
〇高橋地域産業課長 各団体、それから産業支援機関との外国人を含めた対策ですけれども、現在、先ほど申し上げましたとおり基本計画を準備委員会で策定中でございまして、来年度、4月になってから本格的に推進母体となる協議会を立ち上げる予定でございます。現在、準備委員会でも各商工団体や関係機関も入っての検討を進めておりますので、具体的な対応につきましては、来年度、具体的に検討を進めていく予定でございます。
〇阿部盛重委員 伝統工芸分野においては後継者不足も話題になっていると思います。県としてどのような支援体制なのか。それから、大学、専門学校の芸術関係の方々への情報提供、及びAI、IoTを活用した人材育成というのもこれからはどんどん入ってくると思うのですが、現段階での県の支援体制をお伺いいたします。
〇高橋地域産業課長 後継者不足に対する県の支援策、それから大学生等を含めた対応についてでございますけれども、本県の伝統工芸産業におきまして、後継者を安定的に育成、確保するため、まず生産者が安定した事業活動を継続していくことが最も重要と認識しているところでございます。
県では、来年度、伝統工芸産業事業者の経営力向上を図るため、伝統工芸アドバイザー制度を新設し、新商品開発に取り組む事業者への個別訪問指導等を実施するほか、これまでの取り組みにより築いてきた首都圏での販売機会を活用するとともに、全国の特色ある工芸品を扱うセレクトショップへの商品提案など、さらなる販路開拓を図っていくこととしております。
それから、先ほど委員からお話のありましたAI、IoTを活用した人材育成や、大学生等への情報提供についてでございますけれども、特に本県が誇る漆関連では、産地としての担い手を確保するため、県北地域の漆器工房において、県内外の大学生や専門学校生を対象としたインターンシップも実施する予定でございます。
〇阿部盛重委員 ぜひよろしくお願いいたします。
最後に、すぐれた工芸と技術交流や商談会により本県のビジネスにつながっていくと思います。これを持続的な発展につなげていくため、どのように消費者への情報発信、商品開発、それから販路開拓など国内戦略と海外戦略をお考えか、また実行されていかれるのか部長にお伺いして終わります。
〇戸舘商工労働観光部長 伝統的工芸品月間国民会議全国大会は、本県の伝統的工芸品を未来につなげていく大事な機会だというふうに基本認識を持っております。
伝統的工芸品の魅力の発信や、今、後継者の話もございましたが、次代を担う若者たちの理解を得る貴重な機会でもあります。そして、展示販売や国内外向けの商談会を同時に開催してまいりますので、県内の関連する方々にとっては大きなビジネスチャンスになるものと思っておりますし、また、そういう機会にしていかなければならないと認識しております。
県といたしましては、伝統工芸産業の持続的な発展を図りますため、この大会を契機といたしまして、工芸品関連の事業者の技術力、デザイン力の高度化を図る。これは商品開発にもつながっていくと思いますけれども、国内におきましては、昨今のライフスタイルの変化に対応した新商品の開発や、これまでの展示販売会を初め、大会を通じて新たに構築するネットワークも生かしながら新たな購買層の開拓などに取り組んでまいります。
それから海外のお話もございましたが、日本のこういったたくみのわざに対する関心も高まってきていると認識しております。これまでの取り組みによりまして構築した海外とのネットワークもございますので、これらを活用しながらそれぞれの市場ニーズを捉えまして、商談会への出展支援、それからバイヤー招聘もこの機会に行ってまいります。さらなる販路の拡大を支援いたしまして、本県の伝統工芸産業の持続的な発展につなげてまいりたいと考えております。
〇高田一郎委員 私からは、まず最初に、中小企業の振興策について幾つか質問いたします。
中小企業の振興を図る上で、創業あるいは事業承継というのは喫緊の課題だと思います。新年度、県は、これを担当する特命課長を新設される予定ですが、具体的な取り組みはどのようになるのでしょうか。
〇熊谷経営支援課総括課長 創業・事業承継特命課長の具体的な取り組みについてでございます。
中小企業の喫緊の課題でございます創業あるいは事業承継の支援強化のため、来年度、新たに事業承継と創業支援を担当します特命課長を経営支援課に配置し、支援を強化することとしております。
具体的には、起業、創業では、他部局と連携した地域おこし協力隊や、若者、女性向けの起業、創業の各種事業の一体的、効果的な推進、事業承継では、県や商工指導団体、金融機関など26の関係機関で組織する岩手県事業承継ネットワークとの連携や円滑な事業承継の推進といった業務を行うこととしてございます。
〇高田一郎委員 岩手県商工会連合会は、昨年8月から10月に小規模事業者を対象とした大規模な調査を行いました。1、543事業所が回答した模様ですけれども、この中身を見ますと、廃業や事業譲渡を行いたいという希望が26.4%、事業の承継意向が45.85%、事業承継したいが準備をしていないが66.2%、そしてこの支援策を知らないというのが87.83%という実態が明らかになりました。
私は、この数字を見ると、とりわけ事業承継については本当に早い段階で対応していかないと大変ではないかと思うのですが、この問題については、熊谷総括課長も先ほど早い段階での対応が必要だと話をされました。早い段階での対応というのは、具体的にどういう対応をされるのでしょうか。
今、後継者がなかなかいない中で、家族でなくても承継できるような仕組みづくり、あるいは経営者の個人保証に過度に依存しないような支援策が本当に大事になっているのではないかと思いますけれども、具体的な事業承継につながるような県としての対応策について伺いたいと思います。
〇熊谷経営支援課総括課長 円滑な事業承継に向けては、後継者がいる方については早目早目の事業承継に取り組むことが重要でありますし、事業承継自体は1年ぐらいで終わるものでない場合が多く、遺産相続の問題ですとかいろいろ法的な問題もありますので、早目に着手するという点をもっと周知していく必要があると思います。
そこで、県あるいは商工会議所、金融機関では、事業承継診断というものをやっております。こちらの聞き取りをしながら、経営者の方に後継者の有無や、先ほど委員からあったような跡継ぎの方はいますかとか具体の準備をしていますかといった項目を聞きながら承継に向けた意識を促す、そういった取り組みをネットワークを通じてやっているところでございます。
いずれ、健康を害して、その後に後継者の方に承継するのではなく、お元気なうちに後継者の方と将来どうするかといったあたりをよく話し合うことが必要でありますので、そこに商工団体や金融機関などが入って協議していくのがいいかと思います。
それと、後継者がいない事業者でもその事業を継続したいという意向がある場合には、盛岡商工会議所に設置しております事業引継ぎセンターに相談いただければ、起業、創業の方を含めてマッチング支援を相談対応等を含めてやっておりますので、そういった関係機関からのつなぎのところの部分、先ほどのアンケート結果でも知らないということもありましたので、そういった事業承継の取り組みあるいは相談体制について一層広報、周知活動をしていく必要があると思っております。
〇高田一郎委員 岩手県事業引継ぎセンターの話が出ましたけれども、これは平成27年に盛岡商工会議所内に開設して、その後、中小企業診断士の体制の強化をしましたけれども、これは盛岡商工会議所内だけですよね。この間の実績を見ますと、相談件数がここ5年間で343件、成約件数は15件となっております。これが少ないか多いかはわかりませんけれども、どちらかというと少ないのかなという思いはしております。
こういう盛岡商工会議所での、もちろん地域の商工会議所もそれにかかわっているとは思いますけれども、この体制で十分対応できるのか、この点について伺いたいと思います。
〇熊谷経営支援課総括課長 事業承継ネットワークの仕組みについて、昨年度あたりから体制の構築を図ってきたところでございます。今年度から、国の事業を活用しまして、承継コーディネーターを1名とブロックコーディネーターと言われる中小企業診断士の方4名を県内2ブロックに分けて配置しまして、相談に応じて派遣するという体制をとっております。
今年度の実績については、相談対応が39企業者ぐらいございますし、ブロックコーディネーターを派遣した実績が9企業、それから、先ほど事業承継診断を行ったという話をしました。こちらが、目標500件に対して555件の承継診断を実施しながら経営者の事業承継を促している状況です。そのほか、事業承継セミナーと銘打った、商工指導団体や金融機関を対象にしたセミナー、あるいは新聞記事で事業承継の相談の御案内、ポスターの作成、あるいはラジオCMなどによってその普及啓発にも取り組んでいるところでございます。
〇高田一郎委員 岩手県の場合、事業者の平均年齢が62歳程度で、全国3位だという話も聞きます。繰り返しますけれども、事業継承したいが準備をしていないというのが66%、支援政策を知らないというのが9割近くになっているという現状を踏まえて、新しい特命課長を中心に全力を挙げてほしいと思います。
次に、小規模事業者持続化補助金とものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金について、これは中小、小規模事業者にとって大変歓迎されている事業ですけれども、この事業実績と採択率はどうなっているのでしょうか。
〇熊谷経営支援課総括課長 まず、小規模事業者持続化補助金につきましては、平成26年度から平成30年までの採択件数は岩手県分として1、626件になってございます。こちらの事業は、商工会、商工会議所経由で国の直接の事業のため、採択率等は把握しておりません。
次に、ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金につきましては、こちらも平成25年度から平成30年12月31日現在で、採択件数が482件になっております。こちらの事業は岩手県中小企業団体中央会が岩手県の事務局となりまして、これも国の直接の補助金になりまして、県を経由しないために採択率の状況については承知していないところでございますが、どちらの事業も事業者には多く使われている事業でして、商工団体の支援の代表的な補助金だと考えております。
〇高田一郎委員 県として採択率を把握していないという話ですけれども、実際の窓口は商工会議所や商工会ですから、採択率を把握して、採択できないのはどういうところに課題があるのかといったところをしっかり分析して対応する必要があるのではないかと私は思うのですけれども、その辺についてはいかがでしょうか。
もう一つお聞きしたいのは、小規模事業者持続化補助金というのは、いわゆる販路を開拓するための取り組みを支援する、本当に零細業者でも活用できるものでありますし、ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金についてはいわゆる設備投資を中心とした補助金で、大変歓迎されております。ただ採択率が、県では把握していないと言いますけれども大体30%とか40%とか、5割に満たないと言われているのです。だからこそ実態を把握してほしいと思うのです。
山形県では、中小企業スーパートータルサポ補助金といって、小規模事業者持続化補助金もものづくり補助金も両方不採択となった事業についても、商工会や商工会議所がブラッシュアップを図った上で、県知事が認定したものに交付している。こういうことで、さらに地域の中小企業を支援しているのです。平成30年度実績を調べてみましたら、小規模事業者持続化関係で75事業、ものづくり補助金で41事業ですから、山形県独自だけでも116件の事業所を支援しているということです。
小規模事業者持続化補助金については、さらなる上限のかさ上げを行っている都道府県もあります。滋賀県、静岡県、兵庫県などであります。これにしっかり学んで岩手県でも拡充していくべきではないかと思いますけれども、この2点について改めてお聞きします。
〇熊谷経営支援課総括課長 採択率のところは、国で県ごとの採択率が出ているかどうかは事務局に確認したいと思います。
小規模事業者持続化補助金の関係ですが、今年度、国の新規事業で、地方公共団体による小規模事業者支援推進事業が創設されました。県でもこれに対応する形で、当初予算案に2、000万円余の額を計上しております。こちらの事業は、先ほど紹介があったとおり、山形県のように、国の小規模事業者持続化補助金が不採択になった方々の計画をブラッシュアップして、さらにこちらの地方公共団体版の小規模事業者支援推進事業のほうに応募してもらい、商工団体が磨き上げをして事業を実施するというスキームを現在検討しているところでございます。
〇高田一郎委員 採択率の実態については、直接、商工会議所や商工会に聞けばわかることではないでしょうか。ここをしっかりと分析して今後の対応をしていただきたいと思います。
この小規模事業者持続化補助金の自治体版の拡充については新年度予算で対応していくということでよろしいのですね。はい、わかりました。
次に、いわて産業人材奨学金返還支援制度についてお聞きいたします。
先ほど佐藤ケイ子委員が質問した内容と全く同じ通告をしておりました。一言聞きたいのは、この105件の認定のうち出身県別はどうなっているのかということと、応募した方が全て認定されるわけではありませんね。いただいた資料ですと、応募117件に対して認定105件となっております。これはどういうことなのか、この点についてお聞きします。
〇伊藤特命参事兼ものづくり産業振興課長 いわて産業人材奨学金返還支援制度について、まずは105名の出身地別でございます。
岩手県内出身者が87名、県外が18名ということで、出身学校ですと県外が結構多く、具体的には、県内が58名、県外が47名です。もともと岩手にいて、県外の大学に行ってまた戻ってくる方が結構多いと感じております。
それから、応募者と認定者とのギャップはどういったことかということでございますが、この制度は高度ものづくり人材育成を目的としておりますので、理工系以外の学部の方に応募いただきますと、SEですとか、そういった関係の資格を持っていればいいのですけれども、理工系以外の学部で、資格もなく応募していただいた方につきましては、残念ながら今のところ認定はできないという状況でこの差が生まれております。
〇高田一郎委員 中小企業の振興についていろいろお聞きしてきたわけですけれども、岩手の中小企業の振興を図る上で、商工会や商工会議所の果たす役割というのは大変大きいと思うのです。115人の経営指導員を配置してさまざまな事業もやられておりますけれども、経営革新計画や小規模事業者持続化補助金や東日本大震災津波からの復興の課題など、これからも大きな役割を果たしていかなければならないと思います。県として、今の商工会、商工会議所が指導できる十分な体制になっていると考えているのか、現在の経営指導員1人当たりの指導件数はどうなっているのか、この点についてお聞きしたいと思います。
それから、先月、陸前高田市で商工会の皆さんとお会いしてお話をいただいてきました。陸前高田市では、この震災で700事業所から500事業所に200事業所減って、しかし、これからが大事なのだと。これからたくさんの事業をしていかなければならないけれども、会費を上げることができないのだということで、今後の商工会事業に対する不安の声が寄せられました。
この間、県も激変緩和措置をとって必要な加算措置をして商工会議所、商工会を支援してきたわけですけれども、今後、商工会の事業への支援策は復興期間が過ぎてもますます大事になってくると思うのですが、この支援のあり方についてどう考えているのか、この辺の方向性について伺いたいと思います。
〇熊谷経営支援課総括課長 商工会、商工会議所の指導事業の確保についてでございます。
商工会、商工会議所の経営指導員等の人件費、あるいは経営相談や専門家派遣、販路開拓支援などに要する経費を補助する商工業小規模事業経営支援事業費補助につきましては、平成31年度当初予算案で13億3、300万円余と、前年度とほぼ同額を計上しているところでございます。
経営指導員1人当たりの指導件数については、平成29年度における商工会、商工会議所の経営指導員による巡回指導実績は、実企業数で1万889企業、延べ件数で3万7、121件となっております。経営指導員の配置数は115名でございましたので、経営指導員1人当たりの指導件数は、実企業数で94.7企業、延べ件数で322件でございます。こうしたように、大変精力的な活動をしているものと評価しているところでございます。
また、商工会、商工会議所におきましては、被災事業者の復旧、復興支援、先ほど陸前高田商工会の話もありましたが、こういったことで、経営支援、伴走型支援、事業承継など、経営戦略に踏み込んだ新たな支援がこれから求められてきておりますので、限られた予算、あるいは小規模事業者が減少する中で、できるだけ効果的で効率的な経営支援体制を確保していくことが重要と考えております。
このため、県では、来年度、沿岸被災地の商工指導団体の体制を維持しながら、新たに、これまで記帳専任職員であった職員の職務内容を見直しまして、伴走型支援も担わせる経営支援員という役職を新たにつくりまして経営指導の業務体制を充実させるとともに、小規模商工会の職員の一部を商工会連合会に集約いたしまして、広域的な経営指導業務に当たれるように改善することとしております。
このように、この補助金での活動は大きな役割を果たしておりますので、今後とも、小規模事業者を取り巻く環境、支援ニーズに応じながら商工団体の必要な体制を確保していきたいと考えております。
〇千葉絢子副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
午後3時0分 休 憩
午後3時23分再開
〇軽石義則委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。
〇千田美津子委員 私はほかの委員と大分重複していますので、通告した順番にいかないと思いますが、よろしくお願いいたします。
まず、今、岩手県中小企業振興第1期基本計画が終わろうとしておりますが、その基本計画と次期計画への対応策について何点かお聞きをしたいと思います。
午前中に小野共委員の質疑にもありましたけれども、この基本計画の柱の一つには被災事業所への支援があると考えます。そこで、被災した商業者の本設移行と、営業継続を希望する事業者への支援の強化策が重要だと考えております。今、仮設店舗で営業を再開した事業者はピーク時731者ありましたけれども、平成30年12月末現在では、本設移行が382者、市町村からの払い下げが19者、廃業退去が139者、仮設店舗で営業中が210者となっており、これらの方々に対し、本当に寄り添った支援と援助の強化が、今後より重要だと考えております。
そこで、本設移行など商業者の状況をどう把握されておられますか、そして、今後どう対応されるお考えかお聞きします。それとあわせて、仮設施設有効活用等事業の継続についてはどのようにお考えか、お聞きをしたいと思います。
〇熊谷経営支援課総括課長 まず、本設移行などの商業者の状況についてでありますが、市町村からの聞き取り確認によりまして、商業者を初めとする被災事業者の状況を定期的に把握しております。先ほど話のありましたとおり、平成30年12月末現在で、仮設施設に入居している商業者は210者となっております。
仮設入居事業者の今後の意向につきましては、市町村が聞き取りを行い把握しているところでありますが、県といたしましては、円滑な本設移行に向けまして、市町村、商工指導団体あるいは金融機関と連携しまして、グループ補助金の活用を初め、本設再開に向けた支援、あるいは金融支援などの事業者ニーズに応じた、まさしくきめ細かい支援に努めていきたいと考えております。
次に、仮設施設有効活用等事業についてでございます。独立行政法人中小企業基盤整備機構が整備し、市町村に譲渡した仮設施設に係る撤去費用等については、中小機構からの助成が当初、平成30年度末まで行われることとされておりましたが、土地区画整理事業等の進捗状況により、本設移行が平成31年度以降になる地区も見込まれ、仮設施設の撤去ができないことから、市町村とも連携しながら、助成期間の延長について国に対し要望してきたところでございます。その結果、予算もついていたわけでございますが、平成31年2月28日付で、中小企業庁と中小企業基盤整備機構の連名によりまして、市町村に助成期間を2年間延長する旨の通知があったと確認しております。平成32年度末まで延長するという内容の通知が出ております。
〇千田美津子委員 市町村とぴったり寄り添った事業者のニーズに応じた対応をしていくということで、ぜひ今後もよろしくお願いしたいと思います。
そこで、グループ補助金の話も午前中にありました。これまでに191グループ、1、525事業者に890億円の交付決定がなされております。グループ補助金返済の5年間の据え置き期間が経過した事業者が、本当に大変な状況にあるということもお話がありました。事業の破綻が12事業者、返済できないということでの相談が22事業者、33件、条件変更申請が15事業者、25件との答弁であったと思います。そういった点では、個々の事業者が条件変更等の申請をしていくことになるとは思いますけれども、私は制度として、できれば据え置き期間の延長とか、返済条件をもっと緩和するということを国に求めていく必要があるのではないかと思いますが、その点をお聞きいたします。
〇熊谷経営支援課総括課長 グループ補助の自己負担分の4分の1は高度化スキーム貸し付けで支援をしているところでございますが、償還が困難となって猶予した15事業者、25件については、いわて産業振興センターと連携して、貸付先の業況を随時確認しながら、償還期限の延長あるいは毎回の返済額を減額するといった条件変更に対応しているところでございます。産業振興センターでは、全ての貸付先から財務諸表を年1回以上取り寄せて経営状況を把握したり、返済開始がまだのところについては事業者を訪問して経営状況のヒアリングをしたり、あるいは返済方法や経営支援に関する相談を随時受け付けたりしながら、貸し付けを受けたところのフォローアップをしているところでございます。
条件変更には、産業振興センターだけでなく、債権を持っている金融機関が一堂に会したバンクミーティングと言われる場所で、事業者の今後の事業計画などを検討した上で条件変更がなされるところでございますが、現時点では、個々の事業者の実情に応じてケース・バイ・ケースで判断していくことが重要ではないかと考えております。
〇千田美津子委員 実情に応じた対応をなさっているという答弁だと思います。返済できない事業者が22事業者、33件と午前中に答弁があったと思うのですが、条件変更できたのが15事業者、25件で間違いないでしょうか。もしそうであれば、返済できなくて相談をされた7事業者、8件の方々がどうなったかというのが気にかかるところでありますので、もしわかればお答えをいただきたいと思います。
〇熊谷経営支援課総括課長 条件変更についての相談が22事業者から33件の相談があったところです。そのうち、15事業者、25件の条件変更を行ったということで、その条件に差があるわけですけれども、そのうち電話相談で終了した方、あるいは条件変更の申請を取り下げた方、あるいは相談中の方が現在もいると聞いております。まだそのような形で、引き続き条件変更については協議中の方もいるという状況でございます。
〇千田美津子委員 いろいろ状況があるようですが、いずれ、こういう方々が引き続き事業を続けられるように、きめ細かな支援をぜひお願いしたいと思います。
それで、小野共委員からも、2021年度からのグループ補助金をいいものにしてほしいというお話がありました。私も本当にそう思います。そういった意味で、このグループ補助金を本当の復興につながるような形で継続すべきだと思いますが、どういうふうに見ておられるか、グループ補助金の見込みについてお聞きいたします。
〇熊谷経営支援課総括課長 グループ補助金の継続ということでございますが、仮設施設には今なお商業者の方が210事業者おりますし、土地区画整理事業の完了が平成32年度という地区もございます。そうなりますと、土地区画整理事業が終わってから土地の引き渡しを受けてグループ補助金の申請をするということも想定され、本設工事に着手できない事業者もまだいるということですので、県としましては、平成32年度以降のグループ補助金の制度の継続ですとか、複数年度にわたる事業実施のために必要な措置などについて国に要望していくほか、商工指導団体と連携して早目にグループ補助金の申請の準備をして、金融のほうの資金調達も検討しながら、早目に相談して申請していただくといったきめ細かい支援を続けながら、それぞれに応じた本設再開に向けた支援を行っていきたいと考えております。
〇千田美津子委員 ぜひよろしくお願いいたします。
次に、被災した事業者で二重債務を抱える方々への支援策でありますけれども、これまでも岩手県産業復興相談センターや岩手産業復興機構等を通じての支援、それから、国の東日本大震災事業者再生支援機構の取り組みがあるわけでありますけれども、これからの部分も含めてどのように見ておられるか、お聞きします。
〇熊谷経営支援課総括課長 被災した事業者のいわゆる二重債務問題についてであります。
平成31年2月末におきまして、二重債務問題を抱える事業者への支援を行う岩手産業復興機構の債権買い取り等の支援件数は251件となっております。これは買い取り支援件数とそのほかの金融支援を含んだ件数になります。また、国の東日本大震災事業者再生支援機構の買い取り支援件数は167件となっております。
最近の状況を見ますと、平成28年度と平成29年度は新規の買い取りはなかったのですが、今年度1件、国のほうの買い取りがあったという実績になっております。
こういった震災前の債務については落ち着いた状況ではあるわけですが、今後、区画整理の進展あるいは仮設から本設再開の過程におきましては、本設再開を行うための資金需要が発生し、その際に、震災前の債務があるという方もいらっしゃるかもしれませんので、県としても制度の広報をしながら、必要な方には債権買取制度につなぐような支援も、グループ補助の相談と一緒にやっておりますので、同じ会場で二重ローンの説明などもしながら周知を図っていきたいと考えております。
〇千田美津子委員 ぜひよろしくお願いいたします。
復旧、事業再開した事業者への支援については、きょうも答弁がありましたので省略します。
経営革新計画についてお聞きをいたします。
経営の相当程度の向上を図る取り組みをまとめた事業計画がこの経営革新計画だそうでありますけれども、平成27年度から平成29年度までの承認実績が東北地区で最も多いと見ましたが、どういう状況にあるのでしょうか。また、この計画の優位性がどういうところにあるのか、その点をお聞きいたします。
〇熊谷経営支援課総括課長 経営革新計画についてでありますが、この計画は、中小企業者が新商品、サービスの開発や、新たな生産、販売、提供方式の導入などの新たな事業活動に取り組むことで、経営の相当程度の向上を図ろうとする事業計画でございます。具体的には、付加価値額を年率3%以上上げるとか、経常利益を年率1%上げるといったことになりますが、この計画の作成や実施に当たりまして、商工会、商工会議所が伴走型の支援をしながら強みの把握ですとか、そういった部分から計画の策定まで支援をしていくということでございます。
本県の承認実績は、平成27年度が年間で38件、平成28年度が46件、平成29年度が41件で、この3カ年は東北地区で最も多いということでございます。また、平成31年2月末におきましても43件と、例年並みの件数を確保しているところでございます。こういった支援計画に取り組むことで、経営者あるいは事業承継する後継者の方の意欲の向上ですとか、人材育成につながっているものと考えております。県では、商工会、商工会議所による伴走型支援がこの成果に結びついているものと考えております。
引き続き、先ほど話があった商工業小規模事業経営支援事業費補助、商工団体の補助金でございますが、こういったもので伴走型支援に必要な体制を確保しながら、小規模事業者の新たな活動の取り組みを促進してまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 続きまして、岩手県よろず支援拠点というのがあって、国の委託を受けて、中小企業や小規模事業者のための高度で専門的な経営相談所として、売り上げ増加、経営改善などの、経営上のあらゆる悩みにワンストップで対応されているということでありますけれども、この間の取り組み状況、相談状況をお聞きをいたします。
〇熊谷経営支援課総括課長 岩手県よろず支援拠点についてでございます。
ワンストップサービスの相談窓口でありますが、中小企業者のさまざまな経営課題に対応するため、いわて産業振興センターが国の委託事業を利用して展開しております。毎年5、000件を超える相談に対応しておりまして、平成26年6月の開設以来の相談対応件数が、本年1月末時点で、東北地区で、最も多い2万3、000件余となっております。
これは、本県独自の取り組みとして、県内各地域で金融機関と連携して移動相談会を毎年100回以上実施しているといったようなことが相談事績に結びついているものと考えておりますし、利用者からも大変評価が高い状況になっていると考えております。
〇千田美津子委員 先ほどの経営革新計画それから今の岩手県よろず支援拠点も含めて、商工会、商工会議所等との連携のもとで東北で一番という、頑張っている状況だと、そういう支援のもとで県内の中小事業者、中小企業の皆さんが店舗を持って頑張っていることができるのだなと思いましたので、ぜひこれらの取り組みを強めて対応していただきたいと思います。
それでは次に、中小企業、小規模事業者の課題についてお聞きをしたいと思います。
県内の中小企業は県内企業全体の99.8%を占めているようでありますけれども、常用雇用者数で県内全体の85.9%ということで、事業活動や雇用を通じて、県民の暮らしや地域の経済を支えていると思っています。中小企業者は人口減少、少子高齢化の急速な進行など、多くの問題点が一方ではあると思いますが、改めて、どのような課題があり、どう解決していくべきかお答えいただきたいと思います。
〇熊谷経営支援課総括課長 中小企業、小規模事業者の課題についてでございます。
今、委員からお話がありましたとおり、中小企業、小規模事業者は、県民の暮らし、地域の経済を支えております。そのほとんどが小規模事業者でありまして、その一方で、経営者の高齢化、後継者不足、商圏人口の減少、個店の魅力低下といった課題を抱えているところでございます。このため、現在、本議会に提案しております岩手県中小企業振興第2期基本計画案におきましては、中小企業者が行う経営力の強化や生産性の向上、新たな事業活動などの取り組みの促進、商工指導団体や金融機関などの支援機関連携による事業承継の円滑化に向けた取り組みの促進、若者を初めとする起業者や後継者の育成による経営人材の確保、そして企業のライフステージに対応した切れ目のない金融支援、市町村や商店街を初めとする多様な主体の連携によるまちのにぎわい創出などを盛り込んで、中小企業、小規模事業者が持続的に事業活動を行っていけるように支援していきたいと考えております。
〇千田美津子委員 経営者の高齢化等々、きょうもいろいろお話がありましたが、そういった意味では課題がありますけれども、さらに新たな計画に、それらを実効性のあるものにしていくことが本当に求められていると思います。
岩手県中小企業振興条例がつくられて、いわば第1期の計画が今年度で終了し、来年度から新たな計画ということで提案されているわけですが、その計画を本当に県民に寄り添ったものにするために、地域説明会を開催されてきたようでありますけれども、どのような意見や要望が出されたのか、そして、それらをどう反映していくお考えかお聞きしたいと思います。
〇熊谷経営支援課総括課長 第2期基本計画策定に関する地域説明会に寄せられた意見、要望等についてであります。
昨年12月に県内4地区で開催した地域説明会では、市町村、商工指導団体、中小企業者など延べ75名が参加し、15件の意見、要望があったところでございます。その意見については、事業承継の話ですとか、起業、創業の話、あるいは人材の育成、確保、定着に対する意見があったほか、県全体の中小企業の取り組みはわかったけれども、4広域振興圏ごとの取り組みも知りたいといった要望が寄せられたところでございます。
これらの地域説明会の意見、要望につきましては、重点取組事項として記載したり、広域振興圏における主な取り組みについては新たに記載するなど、全部反映、一部反映というもので言いますと、15件中13件を反映させたところでございます。
さらに、県の商工観光審議会ですとか、商工指導団体の役員や、中小企業の経営者で構成します岩手県中小企業振興基本計画外部委員会の場におきましても、意見や要望をお聞きしながら、可能な限り、第2期基本計画に反映させてきたところでございます。
〇吉田敬子委員 県では、子育てと介護の両立や女性活躍推進など、働き方改革を行っておりますけれども、その中で、特に育児と仕事の両立支援についてお伺いしたいと思います。
県では、さまざまな取り組みを行っておりますけれども、育児と仕事の両立支援についてはどの程度進んだという認識でおられるのか、まずお伺いしたいと思います。
〇八重樫雇用対策・労働室長 本県では、いわてで働こう推進協議会を核としまして、育児と仕事の両立の実現にもつながるいわて働き方改革推進運動に取り組んできております。全県的な運動を展開する中で、いわて働き方改革アワード受賞企業の優良事例等について、広く企業や県民に情報を提供いたしまして、普及啓発を図るなどのさまざまな取り組みを進めてきているところでございます。
この運動への参加企業の中には、例えば子育て中の社員に対しまして、保育料の一部を補助する制度を設ける事例や、子の看護休暇の対象を法定以上に拡大する事例など、育児と仕事の両立に向けた先進的な取り組みを行う企業も出てきているところでございます。
また、県のいわて子育てにやさしい企業等認証の認証数でございますけれども、この改革運動が始まる前の平成27年度末の時点で32件でございましたが、平成31年2月末現在で108件と増加をしておりまして、育児と仕事の両立を図ることができる職場環境が着実に県内にも広がりつつあると認識をしているところでございます。
〇吉田敬子委員 冊子を毎年度つくられておりまして、この資料などを見させていただいたり、働き方改革実践企業の説明会というか、発表会にも何回か参加させていただいています。その中では、長時間労働の是正や、生産性の向上のための企業における取り組み事例を見ることができました。先ほど事例として挙げた企業がありますけれども、育児と仕事の両立支援をされている県内の企業がふえてはいるのですが、育児との両立支援の取り組みを、モデル事業としてきた企業は県としてあるのでしょうか。
〇八重樫雇用対策・労働室長 子育てと特化したところでのモデル企業ということで今までは特に取り上げてはおりませんけれども、ワーク・ライフ・バランスという観点で子育ての休暇をとりやすくしているとか、そういったモデル企業も育ってきております。
〇吉田敬子委員 確かに、企業の中で、新しい独自の取り組みをしている企業はふえてきていると思いますし、産休、育休も取得率が上がってきたり、進んではいると思うのですけれども、実際に現場で、産休、育休だけではなく、短時間勤務とか、時間単位の有給休暇という取り組みがさらに進んでいくための企業の理解促進が今必要ではないかと思っております。
私もモデルの取り組み事例の発表会に参加させていただくと、本当に企業の中でのチームワークがさらに向上していたり、すばらしい取り組みをされていると思っております。例えば育児という部分に特化した、そこだけに特化するわけにはいかないかもしれないのですけれども、企業の中ではどういった支援があると便利なのか、育休、産休があればいいと思っている企業もあるのではないかと思っております。
今年度の、2018年の働き方改革の冊子は本当にすばらしいなと思っているのですけれども、子育ての部分では、こういうことに困っているということを具体的に書かれているので、企業が取り組んで実践していくことに県として支えていただければいいのかなと思っておりますので、その点についての御所見をお伺いしたいと思います。
続けて、来年度はいわて働き方改革加速化推進事業費を新規で盛り込んでおりますけれども、働き方改革関連のホームページのポータル化というところがあるのですが、先ほどの育児の部分で、新たに保育料の半額を補助している企業があるとか、妊婦健診のときに有給休暇を使える制度をつくっている企業の紹介が、年度ごとの冊子には書いてはあるのですけれども、その年度が終わってしまうと、次の年にはもちろん書いていないので、そういうものがポータル化されて、こういう取り組みがあるということを表示していただけるといいと思います。私は前向きに捉えているのですけれども、この事業のポータル化の部分について特に御答弁いただければと思います。
〇八重樫雇用対策・労働室長 育児と仕事の両立支援に係る先進事例につきましては、いわて働き方改革アワードを受賞した中小企業等でも育ってきておりますので、それらについては特にPRするように努めてまいりたいと思います。
あと、ポータル化の部分は、保健福祉部あるいは若者女性協働推進室との連携ということでの事業でございまして、今、委員がおっしゃられたような御意見、すなわち、年度ごとの掲載ではなくて、取り組みごととか分野ごとという形での掲載を検討してまいりたいと思います。
〇吉田敬子委員 ぜひお願いしたいと思います。当局の方に、企業での育児の取り組みで先進的なものがありますかと、全体的な資料をいただきたいとお願いした際に、年度ごとのこの資料に載っている部分はわかるけれども、それが全体の資料としていただけなかったので、2016年には、株式会社アイカムス・ラボの、育児、介護休業中も出勤したものとみなしてボーナスの一部を支給しているとか、宮古市の社会福祉法人若竹会は、妊産婦健診を有給休暇で受診できるようになるとか、細かいことが書いてあります。ほかの企業がこういうこともあると、さらに育児と仕事の両立にもつながるのではないかと、アイデアにつながるようなものを継続して見える化していただくと、さらにもっと県内の中小企業の中でも-なかなか難しいとは思うのですけれども、そういう取り組みがもっと広がってほしいという思いから質問させていただきました。年度ごとでせっかく一生懸命すばらしい冊子をつくられているので、そういう取り組みが見えるようにお願いしたいと思っております。
次に、総括質疑のときに取り上げましたけれども、不妊治療と仕事の両立支援についてお伺いしたいと思います。
これは保健福祉部が管轄になっているので、答弁は保健福祉部からいただいたものになるのですけれども、実際には企業の中での理解促進というのがないと、なかなか不妊治療と仕事の両立というのがすごく難しい現状にある中で、具体的にどのような取り組みを行ってきて、どのような実績があるかお伺いいたしたいと思います。
〇八重樫雇用対策・労働室長 不妊治療と仕事の両立に係る取り組みと実績についてでございます。
先ほども申し上げましたが、本県では、企業に対していわて働き方改革推進運動をやっておりますけれども、平成29年度に国が作成した仕事と不妊治療を両立しやすい職場環境づくりを進めるためのリーフレットというのがございます。これを各保健所が行う企業訪問などの際に配布しているほか、いわて働き方改革アワードの審査項目といたしまして、不妊治療を含む従業員が望む妊娠、出産を実現するための休暇制度の規定の有無を盛り込んでおります。
そういうことで、不妊治療の理解促進に努めるとともに、各保健所において、支援制度を検討している企業からの相談に対応し、その取り組みを支援しているところでございます。そしてこの働き方改革アワード受賞企業には、先ほども紹介がございましたが、不妊治療のための休業を最長2年まで取得可能とする事例も出てきておりまして、こうした先進事例をホームページあるいはパンフレット等で広く県民、企業側にも情報を提供して、普及啓発に一層取り組んでいきたいと思っております。
〇吉田敬子委員 ぜひ、引き続き取り組んでいただきたいと思っております。
いわて働き方改革アワードもそうですけれども、この取り組みの中で不妊治療だけの話をするわけにいかないのはすごくわかってはおりますし、いろいろな取り組みの中の一つだと思っているのですけれども、いろんな講演会とかもされている中で、取り組みを県として御紹介していただいたり、両立することがすごく大変な事例があるということを、ただリーフレットを渡しただけでは、自分たちには関係ないのではないかと思うことが多いかと思いますので、さまざまな機会に、実践の報告会とか講演会をされていますけれども、1年の中の1回でもいいので、一方的に渡すだけでなく、言葉としてどこかにそういう-不妊治療だけではなく、一般質問では木村幸弘委員ががん治療のお話もされていましたけれども、治療と仕事の両立支援という部分についても、ぜひ積極的に取り上げていただきたいと思っておりますが、御所見を伺いたいと思います。
〇八重樫雇用対策・労働室長 働き方改革というのは、従業員が働きやすい環境づくりをするとともに、生産性を上げていくものでございます。働き方改革のやり方というのは先ほど言いましたが、休暇とか給与面だけではなくて、いろんな制度の面とかさまざま環境整備の面がございます。特に病気との両立の関係とか、子育てとの両立とか、治療との両立とか、さまざまな事例があるということを、県側でも県内企業、県民に周知していきたいと思います。
〇軽石義則委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇工藤勝博委員 通告はしておりませんでしたけれども、午後5時まで時間がありますので、簡潔に2点お伺いします。
一つは、今、建設中の東芝メモリに関してですけれども、半導体大手が、年明けから業績が大変悪化しているという報道があります。各社それぞれ大変な状況に入っているという報道もありますけれども、特に東芝メモリは、岩手のものづくりの一翼を担うと期待されております。今、盛んに建設が進んでおりますけれども、県ではどのような情報を得ているのか、まずお聞きしたいと思います。
〇瀬川ものづくり自動車産業振興室長 まず、東芝メモリといいますか、半導体産業についての今後の見通しというところで我々の認識をお話ししたいと思います。まず、今まさに業界の中では、半導体産業はスーパーシリコンサイクルということで、つい先日までかなり高い位置で生産が進んできたというところでございますけれども、昨今の世界的な状況で言いますと、アメリカと中国の経済的な戦いであったり、そういうところで若干低迷に入ってきて、特に装置産業のほうがまず先に落ちてしまったというところから、半導体そのものの生産もちょっと落ちたのかなと見てはいますが、あくまでもこれは短期的なところでございまして、基本認識としましては、まず需要の大幅な増加は、これは皆さん誰もが認めるところだと思います。まずIoTとかAIとか、ロボットであるとか、こういうものの大量の普及に基づいて、まずデータセンターそのものが大容量のデータを抱えるということで、特に東芝メモリが生産するNAND型フラッシュメモリーというのは、世界トップの64層の高層階3次元メモリーでございまして、これが非常に需要を呼ぶのではないかと業界等の中でも見られています。それから、通信速度の5G化に伴う対応として、これもメモリーそのものが大幅に今後需要が伸びると見られております。
また、次世代モビリティーということで、車関係について自動運転であるとか、そういったところから電動化であったり、電子部品が相当数ふえているということで、半導体もそういったところに需要が入っていくということで、一般的に業界なり経済誌の中では、この年末なり来年の春ぐらいには需要が戻るのではないかとも見られておりまして、我々も今の落ち込みについては、そう長いこと続かないだろうと見ております。
そういった意味で、先日の東芝メモリの中間の決算見込みを拝見しても、若干、のれん代がちょっと高かったという話も書いてございますが、投資に対して影響はそれほどないと見込んでおります。
〇工藤勝博委員 今の答弁ではマスコミで報道されているそのままと思っておりますけれども、確かにそのとおりだと思いますけれども、東芝本体から独立した東芝メモリ、子会社になっているわけです。力も相当違うのではないかと、私個人的に思うのです。そういう中で、米中の摩擦あるいは今のEU、ヨーロッパでも大分経済が落ち込んでいる。これはなかなか見通しが立たない状況だと思います。ましてや、今まで大きく牽引してきたスマートフォンが一段落して、なかなか思うように売れないと。そういう中で、東芝メモリがスタートの段階で、就職もほとんど決まってこれから新入社員もいると思いますけれども、そういう情報はしっかり伝えないと不安が大きいと思うのです。それらを正確に会社からも情報をいただきながら、大丈夫だというのであればよろしいと思うのですけれども、こういう報道が先行していきます。その辺の捉え方をもう少し正確に、あるいは安心感のあるような捉え方をしないといけないと思いますけれども、その辺はこれからどう取り組んでいくのか。
3月決算で50億円の赤字ということなのですね。これが数字だけで済むのであればいいと思うけれども、それではまだまだではないかと思いますけれども、その辺も含めてお願いします。
〇瀬川ものづくり自動車産業振興室長 いろいろ御指摘の点、御不安等々あるかと思いますし、我々も世界経済の動向といいますか、そういったものは非常に注視しておりますけれども、なかなか入ってくる情報ソースが、新聞なり報道なりというところで限られていると。アメリカや中国まで行って情報をつかんでくるというのは、なかなか難しいところがございますが、極力情報等をとりながら-ただ、一方で、我々が企業誘致も含めてさまざまとってくる企業情報は、ある意味、株価にも影響しかねない情報等々もございまして、そういった点では、なかなか公にできないところについては御了承いただきたい。ただ、我々としては、知事の答弁でもありましたように、ぶれずにやってきたというところが大きな誘致につながったものと思っておりまして、将来的なメモリー市場の好景気、不景気、それから今東芝メモリが持っている世界一のトップの技術、まさに今公表も既にしておりますけれども、64層から96層、さらには128層という高階層のメモリーづくりに世界トップで走っているというところから-やはり日米韓連合のファンドであったり、アメリカのウエスタンデジタルとの協業であったりとか、さまざま御不安な点を指摘する識者等々もございますけれども、そこはきちっと情報は見ていますが、我々としては、現在は不安は持っておりません。
今後とも、そういったところで適正に対応していきたいと考えております。
〇工藤勝博委員 大手という会社でもありますけれども、心配なのは、調子がよければ上場して資金調達するという手段があったと思いますけれども、上場もなかなか思うようにできないとなると、資金調達もかなり影響があるのではないかと思います。そういうことも含めて、情報だけはしっかり、地元の県として捉えていただきたいと思いますし、情報は我々にも伝えていただければと思います。
もう一点です。午前中に佐々木努委員から世界輸出関連で質問がありました。アンテナショップとか海外事務所を活用するという、今のインバウンドでも、従来は爆買いする方がいっぱいでした。今はもう手ぶらで来て手ぶらで帰る。ほとんどの買い物はインターネット通販を利用しているという状況なのです。インターネットにのせる、中国なら中国にウェブサイトを開くとかやるほうが、私ははるかにコストがかからないだろうと思います。今食料品でも、国内でも1兆円以上の通信販売です。ましてや、衣類でも、メーカーを言えばZOZOTOWNとか、そういう買い方をしています。常にそれを見て買うほうが早いわけですね。注文すれば3日以内とか、早いのは次の日に手に入る。物流がそういう方向になっています。ですから、それらをうまく活用しながら岩手の県産品のウェブサイトをぜひ検討すべきではないかと思いますけれども、その辺はどうでしょうか。
〇菊池産業経済交流課総括課長 特に中国などは、いわゆるEC-電商取引、それも国境を越えた越境ECと言いますけれども、中国でも急成長しているという認識がございまして、大連経済事務所でも、つき合いのあるパートナーの企業からやってみないかというお話は頂戴しているところでございまして、今、いろいろ相手先との諸条件の確認でありますとか、そういうことをもう少し研究する必要がございますけれども、委員御指摘のとおり、成長市場でありますし、これから伸びていく販売方法であるということは十分認識しておりますので、しっかり対応していくように頑張ってまいりたいと思っております。
〇飯澤匡委員 関連。東芝メモリの件ですが、今度持株会社制にしましたよね。これはやっぱり理由があると思うのです。なぜしたかと。今、東芝メモリは東芝の子会社じゃないのですよ。日米韓連合の傘下に入っていると。その資本の傘下に入っていると。子会社化してフォールディングス化することは、メリットはあるけれどもデメリットもあります。今回、社長は一緒らしいのですけれども、子会社化したものとまた同列の会社があって、こっちのほうが業績が悪いと資本関係で東芝メモリの子会社も影響を受けてしまいますから、そこら辺はどういう関係でこういう子会社化、フォールディングス化したかというのは情報をつかんでいますか。
〇瀬川ものづくり自動車産業振興室長 フォールディングス化の話は聞いております。ただ、フォールディングス化の話については、あくまでも次の上場を目指す取り組みの中での一環との説明でございまして、詳しい内容までは聞いておりませんでした。
〇飯澤匡委員 これは気をつけないとだめだと思うのです。この資本の中身が、いろいろ生き馬の目を抜く世界ですから、東芝というブランドにすっかりだまされちゃだめだと。やっぱり実態をよく見て、資本がどんどん動いていくので、さっきも申し上げましたように、持株会社化するというのは非常に機動性がよくなって、意思決定が早くなって動きが早くなる。先ほどおっしゃったように、恐らく上場に向けての動きなのかもしれません。しかし、一方で、また別の会社をつくって、そっちの方が業績が悪くなってしまうと全体的に今度は影響を受けるわけですから、そういう情報をしっかりつかんで、動きをつかんでおきながら、岩手県はもうどんどん企業局も巻き込んで投資をしているわけですから、これは県民の税金をどんどんつぎ込んで成長産業としてやっているわけですから、そこら辺しっかり情報をつかんでいただかないと、我々も判断のしようが-これからもいろいろな場面で出てくると思うので、そこら辺はよろしくお願いしたいと思うのですが、いかがですか。
〇瀬川ものづくり自動車産業振興室長 一般的にホールディングス化というのは、まさに今委員御指摘のとおり、増資であるとかM&Aに対して非常に動きやすくするという、そういったところで使われる手法と思っております。いずれにしろ、1棟当たりの投資額も相当の高額の投資でございますので、そういった意味では大きなお金が動く中で、我々も非常にそこの部分については期待もあるし、ある程度情報等々もとりながら、しっかりと地域として、インフラ等の整備も含めて受け入れをしっかりやっていきたいと思っております。
〇軽石義則委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇軽石義則委員長 質疑がないようでありますので、これで商工労働観光部関係の質疑を終わります。
商工労働観光部の皆さんは退席されて結構です。お疲れさまでした。
次に、企業局長に企業局関係の説明を求めます。
〇藤澤企業局長 企業局関係の平成31年度当初予算について御説明を申し上げます。
初めに、事業運営に当たっての基本的な考え方でございますが、平成31年度は、長期経営方針及び第5次中期経営計画の最終年度として、電力システム改革や大手半導体企業の新たな水需要などの経営環境の変化に的確に対応しながら、引き続き、電力と工業用水の安定供給に努めるとともに、次期長期経営方針及び中期経営計画の策定に取り組んでまいります。
電気事業では、県内への電力の安定供給を第一に、施設や設備の長寿命化や耐震化を進め、健全経営の維持に努めてまいります。また、電力システム改革に伴う発電、小売の自由化に対応し、電力会社との基本契約が満了した後の2020年度以降の新たな売電契約の締結を進めてまいります。
新規開発では、盛岡市の簗川発電所については、2021年度の運転開始に向けて、引き続き水車発電機の製作などを進めるほか、新たな開発候補地点や再開発についても、引き続き調査、検討を進めるなど、再生可能エネルギーによる電力自給率の向上に向けて取り組んでまいります。
地域貢献では、市町村等へのクリーンエネルギー設備等の導入や、平成28年台風第10号により甚大な被害を受けた公共施設の復旧を引き続き支援するとともに、電力会社と連携し、県内企業を対象とした割安な価格での電力供給と、震災復興やふるさと振興の関連施策への財政支援を一体的に行ういわて復興パワーの取り組みをさらに推進してまいります。
また、ラグビーワールドカップ2019日本大会の開催地釜石市における花いっぱい運動事業への支援などを行ってまいります。
工業用水道事業では、送配水管の老朽化対策や耐震化、さらなる業務効率化等に取り組み、安定供給と安定経営に努め、県内経済を牽引する企業の生産活動を支えてまいります。また、大手半導体企業の新たな水需要に対しても、浄水場建設室を新たに設置して推進体制を強化し、関係部局及び関係機関と連携しながら的確に対応してまいります。
それでは、議案について御説明を申し上げます。
議案その1の63ページをお開き願います。議案第14号平成31年度岩手県電気事業会計予算についてであります。
第2条は、業務の予定量でありますが、(1)は、年間販売目標電力量であり、その合計を、次の64ページの上から2行目に記載のとおり、5億3、594万9、000キロワットアワーと見込むものであり、(2)は、主要建設事業として、簗川発電所を建設しようとするものであります。
第3条は、収益的収入及び支出の予定額であります。収入の第1款電気事業収益は69億2、700万円余で、その主な内訳ですが、第1項営業収益53億5、000万円余は、水力発電の電力料収入などであり、第2項附帯事業収益13億4、600万円余は、風力発電及び太陽光発電の電力料収入であります。
次に、支出の第1款電気事業費用は65億4、600万円余で、その主な内訳ですが、第1項営業費用50億5、100万円余は、職員給与費、修繕費及び減価償却費などであり、第2項附帯事業費用12億5、200万円余は、風力発電所及び太陽光発電所の運転管理費用などであります。
第4条は、資本的収入及び支出の予定額であります。65ページにお進み願います。収入の第1款資本的収入は6、100万円余で、その主な内訳ですが、第1項負担金1、200万円余は、仙人発電所共有施設工事負担金であり、第2項長期貸付金償還金4、800万円余は、工業用水道事業会計からの長期貸付金に係る償還金であります。
支出の第1款資本的支出は20億3、800万円余で、その主な内訳ですが、第1項建設費3億7、000万円余は、簗川発電所の建設工事費などであり、第2項改良費8億8、200万円余は、各発電所の設備の改良及び更新に要する経費であり、第3項電源開発費4、700万円余は、電源接続案件募集プロセス工事負担金などであり、第4項企業債償還金5億4、800万円余は、企業債元金の償還金であり、第5項繰出金1億8、400万円余は、震災復興・ふるさと振興パワー積立金などを活用し、一般会計に繰り出しを行うものであります。
第5条は、一時借入金の限度額を定めようとするものであり、第6条は、予定支出の各項の経費の金額を流用することができる場合を定めようとするものであり、第7条は、議会の議決を経なければ流用することができない経費とその金額を定めようとするものであります。
電気事業会計予算の説明は以上でございます。
次に、67ページをお開き願います。議案第15号平成31年度岩手県工業用水道事業会計予算について御説明申し上げます。
第2条は業務の予定量ですが、(1)は、北上工業団地及び岩手中部工業団地内の18事業所に対する給水量について、年間総給水量を1、433万5、854立方メートル、1日平均給水量を3万9、169立方メートルとそれぞれ見込むものであります。(2)は、主要建設事業として、大手半導体企業の新たな水需要への対応に伴い、建設事業を行おうとするものです。
第3条は、収益的収入及び支出の予定額であります。収入の第1款工業用水道事業収益は10億5、900万円余で、その主な内訳ですが、第1項営業収益9億1、700万円余は、給水収益などであり、第3項事業外収益1億4、200万円余は、消費税等還付金のほか、一般会計負担金などであります。
68ページに参りまして、次に、支出の第1款工業用水道事業費用は9億4、000万円余で、その主な内訳ですが、第1項営業費用8億9、200万円余は、職員給与費、委託費及び減価償却費などであり、第2項財務費用4、700万円余は、企業債などの支払い利息であります。
第4条は、資本的収入及び支出の予定額であります。収入の第1款資本的収入は13億7、800万円余で、その内訳ですが、第1項企業債は、工業用水道施設の建設費及び改良費に係る資金を借り入れしようとするものであります。
次に、支出の第1款資本的支出は16億9、400万円余で、その主な内訳ですが、第1項建設費8億7、900万円余は、第一北上中部工業用水道の浄水場建設工事に要する経費であり、第2項改良費4億9、800万円余は、工業用水道設備の改良及び更新を行うために要する経費であり、第3項企業債償還金2億6、700万円余は、企業債元金の償還金であります。
第5条は、第一北上中部工業用水道浄水場建設他工事と第二北上中部工業用水道送水管更新工事について、債務負担行為の期間と限度額を定めようとするものであります。
69ページにお進み願います。第6条は、建設改良事業に充てる企業債の限度額や起債の方法などを定めようとするものであり、第7条は、一時借入金の限度額を定めようとするものであり、第8条は、予定支出の各項の経費の金額を流用することができる場合を定めようとするものであり、第9条は、議会の議決を経なければ流用することができない経費とその金額を定めようとするものであります。
第10条は、他会計からの補助金についてでありますが、第二北上中部工業用水道における金ケ崎ろ過施設(第2期)の維持に係る一般会計負担金であります。
工業用水道事業会計予算の説明は以上でございます。
なお、これらの予算に係る実施計画、予定キャッシュ・フロー計算書などにつきましては、予算に関する説明書の492ページから562ページに記載しておりますが、これまで御説明申し上げました予算の明細等でありますので、説明を省略させていただきます。
引き続きまして、県営工業用水道料金徴収条例の一部を改正する条例について御説明申し上げます。
議案その2の153ページをお開き願います。議案第63号県営工業用水道料金徴収条例の一部を改正する条例でありますが、これは、平成31年10月1日の消費税及び地方消費税の税率の引き上げに伴い、県営工業用水道料金の額を増額しようとするものであり、条例の施行期日は、平成31年10月1日としようとするものであります。
また、この条例の施行前から継続している工業用水の供給で、平成31年10月31日までに料金の支払いを受ける権利が確定されるものに係る料金の額については、なお従前の例によるものとしようとするものであります。
以上で説明を終わります。よろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。
〇軽石義則委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇斉藤信委員 それでは最初に、簗川発電所の問題についてお聞きします。
平成30年度までの工事の進捗状況はどうなっているでしょうか。平成31年度における工事内容、そして発電の時期を最初にお聞きいたします。
〇野崎業務課総括課長 まず、簗川発電所の平成30年度までの工事の進捗状況でございますが、平成28年度に現場工事に着手いたしまして、2021年度の運転開始を目指し着実に建設を進めているところでございます。
平成30年度は、平成29年度に引き続き発電所基礎工事を進めるとともに、水圧鉄管据えつけ工事につきましては、1月に現場据えつけを完了しております。また、発電所建屋新築工事につきましては、12月に契約を締結し、現在、現地工事着手に向けて準備を進めているところでございます。
続きまして、平成31年度に予定している工事の内容についてでございますが、平成31年度は、引き続き、ダムの建設工事に合わせて発電所基礎工事及び建屋新築工事を予定しているところでございます。あわせて、水車発電機及び放水路ゲートの工場製作を進めることとしております。また、2020年度には、水車発電機等の据えつけ及び各種試験等を行う予定としておりまして、2021年度中には発電所を運転開始する予定でございます。
〇斉藤信委員 総事業費と、そしてその事業費を回収する見通しはどうなっているのか。
二つ目に、事業効果はどうか。いかがでしょうか。
〇野崎業務課総括課長 まず、総事業費等の収支についてでございますが、総事業費につきましては17億2、800万円でございます。投資回収の時期につきましては、運転開始してから9年目を予定しております。また、20年後の累積損益につきましては約22億円の黒字を見込んでおります。(斉藤信委員「もう一つ聞いた、事業効果」と呼ぶ)
事業効果についてでございますけれども、こちらの発電所は、地球温暖化防止のため、県として再生可能エネルギーを活用した発電所を建設いたしまして、電力の自給率を高めることを目的としております。電力自給率といたしましては、0.1%向上することを見込んでおります。
〇斉藤信委員 この簗川発電所の規模は1、100万キロワットアワーで、一般家庭でいえば3、300世帯分に当たるということで、了解しました。
次に、高森高原風力発電所についてお聞きいたします。
高森高原風力発電所は、昨年1月に運転を開始して以来、1年以上の実績を積んだことになりますけれども、平成30年度の運転状況はどうなのか。また、これまでの風車や送電線、蓄電池など発電所施設全体におけるトラブルの発生状況はあったのかなかったのか示してください。
〇村上電気課長 高森高原風力発電所の運転状況についてでありますが、まず、平成30年4月から直近の平成31年2月までの運転実績と3月の目標を踏まえました平成30年度の見通しとしましては、販売電力量は、目標の4、919万キロワットアワーに対して5、222万キロワットアワーを見込んでおり、売電収入は、目標を6%程度上回る税抜き11億4、872万円余を見込んでおります。
次に、設備の状況についてでありますが、昨年の運転開始後、風車システムの状況を検出するセンサー等に軽微な故障が発生しておりますが、風車や送電線、蓄電池ともおおむね順調に運転しております。
〇斉藤信委員 高森高原風力発電所は蓄電池を設置したということで大変期待が大きいのですけれども、この蓄電池の効果というのはどういうものでしょうか。
〇村上電気課長 蓄電池導入の効果についてでありますが、蓄電池は、風車の発電出力が風向きや風速の変化等によって変動することから、電力会社の要請により、急激な変動を緩和する目的で設置したものです。昨年2月から本年1月までの効果を検証したところ、発電出力の変動は電力会社で求める技術要件を満たしており、この結果は、同様の蓄電池を併設しているほかの風力発電所に比べても良好な結果であり、十分に機能を果たしていると考えております。
〇斉藤信委員 その変動の幅というのはどのぐらいののものなのですか。
〇村上電気課長 変動の幅でございますけれども、任意の20分間で、発電出力の変動幅は最大出力の10%以内ということであります。高森高原風力発電所の場合は計画出力が2万5、300キロワットでありますので、その10%、2、530キロワットに変動幅を抑えるものでございます。
〇斉藤信委員 安定的に送電できているということですね。はい、わかりました。
実は、その高森高原風力発電所で、昨年、大変重大な事件が起きました。アメリカのF16戦闘機が風車の間を低空飛行訓練をするということで、昨年、局長も抗議に行ったと思うけれども、その後、そういう事態はあったのかなかったのか。
もう一つは、私は決算特別委員会のときにもお聞きしたけれども、やっぱり必要な監視体制、監視カメラも含めて設置する必要があるのではないかと。昨年の低空飛行訓練というのは、間違ったら大変な事故、事件になった危険な低空飛行訓練でした。こういうことは本当にあってはならないし、私は日常の監視体制が必要だと思うけれども、いかがでしょうか。
〇村上電気課長 昨年からの戦闘機の飛行状態ということですけれども、月1回の巡視点検並びに定期点検等で作業員が現地に行っておりますが、その方々からはそういう情報は入っておりません。
監視についてですけれども、現地には風車が11基ございますが、その電気を集める開閉所というところにカメラを3台設置しております。ただ、こちらのカメラにつきましては防犯対策を目的として設置してございまして、基本的には、構内側をずっと写して映像を記録しているということで、特に上空を記録しているということではないので、今のところ監視は行っていないところでございます。
〇斉藤信委員 3機の防犯カメラに低空飛行訓練は写っていなかったということですか。
〇村上電気課長 カメラには写っていないといいますか、常に写しているところが地上側ということで、上空は写していないところでございます。
〇斉藤信委員 わかりました。去年の事故が起こる前、我々も調査しましたけれども、結構な頻度であの地域を低空飛行訓練をしていたと。岩手山が一つの標的になっていて、その途中で風車の間を飛んだと。一戸町浄法寺あたりは保育園の上空を飛んだとか、そういう情報がたくさん寄せられて大きな社会問題になりましたので、恐らく今の時点は自粛しているということだと思います。これも黙っているとだめなので、再びそういうことが起こらないようにしっかりとやっていただきたい。
最後の質問でありますけれども、東芝メモリの進出にかかわる第一北上中部工業用水道浄水場の建設事業についてお聞きいたします。
この事業概要について、浄水場の規模、事業費について示してください。
〇朝岡技師長 現在整備を進めております浄水場の規模についてでございますが、今般の東芝メモリの北上市への進出に当たり、東芝メモリ側から今後の工業用水の使用計画を提出していただいているところであり、この工業用水使用計画をもとに、企業局において北上工業団地における将来の工業用水の需要量を予測し、日量6万立方メートルの給水能力を有する浄水場を新たに整備することとしたものでございます。
この浄水場建設に要する事業費でございますが、設計費や用地取得費、浄水場本体の建設工事費などで約156億円を見込んでいるところでございます。
〇斉藤信委員 日量6万立方メートルというのは、これはマックスですか。第3期計画まであるようですけれども、第1期にマックスで整備して、1期、2期、3期と給水をふやしていく、こういうことになるのですか。
〇朝岡技師長 整備計画についてでございますが、最初に、6万立方メートルという数字についてでございますけれども、これは新しい浄水場の供給能力を示すものですので、マックスという考え方になります。
整備につきましては、ただいま第1期工事について発注手続をしているところでございますが、第1期につきましては2万立方メートルの給水能力ということで発注を進めているところでございます。その後につきましても第2期、第3期ということで工事を進めてまいりますが、現段階では詳しい数字までは決まっていないところでございます。
〇斉藤信委員 東芝メモリは、来年度中ですか、工場を稼働するのは。第1期給水開始は2020年4月と聞いていますけれども、そうすれば、来年度からの稼働は、今、余っている給水で対応する、こういうことになるのでしょうか。
〇朝岡技師長 当面の水需要についてでございますけれども、既存の浄水場の増強で対応可能でございますため、新規の浄水場につきましては、既存の浄水場で供給できる水の量を超えた時点で立ち上げまして、新たに2万トンを供給することで計画しておるところでございます。
〇斉藤信委員 そうすると、今の第一北上中部工業用水の余力というのは幾らになっているのですか。
〇朝岡技師長 おおよそでございますが、日量で1万1、300立方メートルが現時点での供給余力となってございます。
〇斉藤信委員 第1期計画で2020年4月から日量2万トンの給水を開始すると。第2期、第3期という見通しは示されているのでしょうか。
〇朝岡技師長 第2期、第3期という区分はございませんけれども、先ほど申し上げました新しい浄水場の供給能力であります日量6万立方メートルというのは東芝メモリ側から提出されました工業用水の使用計画をもとに算出したものでございまして、将来的には第2期、第3期という時期が来るわけですが、具体的にその時点での供給量については、現時点でははっきりわからないところでございます。
〇斉藤信委員 確認しますけれども、東芝メモリから提出された工業用水の使用計画、将来的には日量6万トンと。第1期計画で、当面は2万トン必要だということが提出された内容だと、こういうことでいいですか。
〇朝岡技師長 東芝メモリから出された使用計画というのは、終点だけ書いてあるわけではなく、その途中、途中の生産量に応じた水の量が記載されているものでございます。したがいまして、最終段階の6万トンだけとか2020年の2万トンだけということではございません。
〇斉藤信委員 そういうことで第3期計画ということになっているわけですね。
私、去年の決算特別委員会で聞いたときには147億3、000万円という投資額だった。今聞いたら156億円なんですね。この差は何でしょうか。
それと、この投資を回収する見込みはいつなのか、これも示してください。
〇朝岡技師長 まず最初に、事業費の差でございますが、浄水場建設予定地におきまして埋蔵文化財等が発掘されまして、来年度、本格的調査をすることになっているところでございます。当初予定されていなかったものが発生した結果によりまして事業費がふえたところでございます。
続きまして、長期収支の見通しでございますが、建設にはこのとおり多額の投資を伴うため、事業開始からおおよそ10年程度はかなり厳しい経営収支になると見込んでおりますが、施設の平均的な耐用年数であります45年間で見ますと、最終的には約17億円の黒字を見込んでおります。
〇斉藤信委員 45年間たてば約17億円と。そこまでどちらも持ちこたえられるのかという話はありますよね。岩手東芝だって何年もったのかという感じがありますけれどもね。
ここで東芝メモリの見通しを聞くわけにはいかないけれども、先ほども商工労働観光部で議論がありました。半導体産業というのは浮き沈みが激しいということも言われている中で、私は着実にやる必要があるのではないかと思いますが、そういう点はどうですか、密に協議をしながらやっているということでよろしいのですか。
〇藤澤企業局長 工業用水の供給を担う企業局といたしましては、企業側が求める時期に求める量を供給できる体制を常に整えておくことが使命だと考えております。同時に、安定経営の観点からは、東芝メモリ側の工業用水需要を見きわめつつ、それに応じた整備をしていくこともあわせて必要だと考えております。
いずれにいたしましても、産業インフラとして整備する工業用水の浄水場を長期にわたり有効に稼働させていくため、商工労働観光部等と連携しながら、東芝メモリ側と十分に連絡を密にとって、確認しながら進めていきつつ、将来にわたって北上工業団地を生産拠点として活躍していただけるよう働きかけていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 かなり大規模な企業誘致であり、関連企業もかなり進出しているということも聞いていますので、岩手にとっては極めて重要な企業であり、産業になり得ると私も思います。しかし、先ほどお聞きしたように156億円を投入してやるわけだから、しっかりとそこは着実に進めていただきたい。
〇軽石義則委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇軽石義則委員長 質疑がないようでありますので、これで企業局関係の質疑を終わります。
企業局の皆さんはお疲れさまでした。
以上で本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後4時52分 散 会

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