平成31年2月定例会 予算特別委員会会議録

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予算特別委員会会議記録
(第 2 号)
平成31年3月6日(水)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 村 上 宏 治
議事管理担当課長 安 齊 和 男
主任主査 柳 原   悟
主任主査 金 戸 伸 幸
主査 上 野 公一郎
主査 小 原 亜季子
主査 赤 坂 宏 紀
主査 戸 塚 教 仁
1説明員
知事 達 増 拓 也
副知事 千 葉 茂 樹
副知事 保   和 衛
企画理事 大 平   尚

秘書広報室長 高 橋 勝 重
秘書広報室
副室長兼
首席調査監 上和野 里 美

政策地域部長 白 水 伸 英
理事兼政策地域部
副部長兼
地域振興室長兼
三陸防災復興
プロジェクト2019
推進室長 鈴 木   敦
政策地域部副部長
兼政策推進室長
兼主席ふるさと
振興監 小 野   博
政策監兼
ふるさと振興監 岩 渕 伸 也
市町村課総括課長 小 原 重 幸

文化スポーツ
企画室企画課長 畠 山   剛

環境生活企画室
企画課長 高 橋 孝 嗣

保健福祉企画室
企画課長 中 野 文 男

商工企画室
企画課長 阿 部   博

農林水産企画室
企画課長 照 井 富 也

県土整備企画室
企画課長 嵯 峨 俊 幸

復興局長 佐々木   信
復興局副局長 森   達 也

教育企画室
特命参事兼
企画課長 鈴 木   優

議会事務局長 泉   裕 之
次長 千 田 利 之
参事兼総務課
総括課長 小 倉   茂
政策調査課長 佐々木 ユ カ

企画理事兼
総務部長 佐 藤   博
副部長兼総務室長 熊 谷 泰 樹
総合防災室長 佐々木   隆
参事兼管財課
総括課長 山 崎   隆
総務室管理課長 橋 場 友 司
特命参事兼
行政経営課長 松 村   達
入札課長 今   俊 晴
人事課総括課長 佐 藤 法 之
財政課総括課長 臼 井 智 彦
法務学事課
総括課長 松 本   淳
私学・情報
公開課長 武 蔵 百 合
税務課総括課長 横 道 栄 雄
防災危機管理監 西 島   敦
防災消防課長 栗 澤 孝 信
総務事務
センター所長 中 野 俊 也
〇軽石義則委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
議案第1号から議案第20号まで、議案第28号、議案第30号、議案第32号から議案第39号まで、議案第41号、議案第43号から議案第45号まで、議案第47号から議案第55号まで、議案第57号、議案第60号から議案第63号まで、及び議案第65号から議案第71号までの以上55件を一括議題といたします。
本日は、昨日に引き続き、総括質疑を行った後、議会、総務部関係を終わるように進行したいと思いますので、御協力をお願いいたします。
これより、昨日に引き続き、総括説明に対する総括質疑を行います。千田美津子委員。
〔千田美津子委員質問者席に着く〕(拍手)
〇千田美津子委員 日本共産党の千田美津子です。会派を代表し質問いたします。
まず第1に、深刻な医師、看護師不足と地域医療の充実について質問をいたします。
厚生労働省が発表した岩手県の医師偏在指標が全国最下位と示された中で、これまで以上に医師確保の取り組みを本格化させる必要があります。
そこで、医師確保について、大都市圏から不足地域に医師を配分する施策が急務との指摘もありますが、私は、日本の医師不足にはもっと根本的な原因があると考えます。それは、OECD諸国に比べましても日本の医師数は断トツに少なく、医師不足に対応するためには、OECD並みに11万人程度ふやす必要があると考えております。簡単にできることではないと思いますけれども、このことに取り組まなければ根本の解決にはならないと考えますが、知事の御見解を伺います。
そして、そのためには、国の責任で医学部の定員を1.5倍にすべきと考えますが、あわせてお伺いいたします。
〇達増知事 まず、医師不足に対する所感でありますが、本来、住民がその居住する地域で、必要なときに適切な医療を受けられることが、地域医療のあるべき姿でありますが、地域医療の現状は、今般、国から示された医師偏在指標においても、改めて医師不足と偏在の状況にあることが示されたと認識しております。
医師不足と偏在の解消に向けて、この地域医療のあるべき姿を実現するためにも、国を挙げて根本的な解決に向けて取り組む必要があると考えております。
そして、医学部定員の拡充についてでありますが、医師不足と偏在を解消するためには、医師の絶対数の確保が必要であり、医学部の入学定員の増員は、有効な解決手段の一つと考えます。
岩手医科大学医学部の入学定員は、当初の80名から現在の130名まで順次拡大が図られてきましたが、このうち地域枠分については、2019年度までの臨時定員増となっていることから、県では、これを恒久的な措置とするよう、国に対して要望を行っているところであります。
今後、高齢化等に伴う医療ニーズの多様化、医療の高度化、専門化が進むことや、医師の働き方改革を推進していく上でも、医師の確保に最優先で取り組む必要があることから、大学医学部の入学定員増について、引き続き国に対して強く働きかけてまいります。
〇千田美津子委員 ただいま知事からも、絶対数の確保も含めて国に引き続き要望していくという答弁がありました。
県内でも、医療関係者からは、医学部定員を抑制してきた国策の失敗が医師不足を招き、新専門医制度が偏在に拍車をかけていること、あるいは勤務地の強制は、医師のやりがいに反したり、人権侵害となる恐れもあるため、絶対的な医師数をふやすことが必要だという指摘、そして、現場に出るのに時間がかかるけれども、医学部定員の地域枠の拡充が必要だとの指摘があります。
そこで、達増知事は、国レベルで医師不足や偏在に取り組む必要があるとして、これまでも岩手発の(仮称)地域医療基本法の制定を全国に発信してこられましたが、今度は、国に医師の増員を働きかけるその先頭に立つべきではないかと私は考えますが、いかがでしょうか。
〇達増知事 県では毎年度、政府予算提言要望等を通じて、大学医学部における医師養成数の増について国に対して要望を行っているほか、(仮称)地域医療基本法の制定について、北海道東北知事会や全国自治体病院協議会、地域医療を守る病院協議会と連携し、国に提言、要望を行うなど、さまざまな機会を通じて情報発信に取り組んでまいりました。
今回、国が示した医師偏在指標により改めて全国的な医師の偏在が明らかにされたところであり、県としては、計画的な医師の養成や県境を越えた医師の配置調整により、全国的な医師の不足や地域偏在を根本的に解消するよう、(仮称)地域医療基本法の制定を提言しながら、他県との連携を強化し、先頭に立って国に強く働きかけてまいります。
〇千田美津子委員 現実の問題として、医師偏在指標が全国最下位という状況があるわけです。ですから、ただこれを悲観するのではなく、むしろ逆手にとって、県民挙げて全国のお医者さんに、岩手はいいところだから来てほしいというメッセージを発信すべきときではないかと私は考えますが、そういうお考えはないでしょうか。
〇達増知事 今回、全国的な医師不足と偏在が明らかにされたことは、この問題に対する全国的な関心が高まり、医師少数県を中心に改めて都道府県が連帯する契機にもなり、本県がこれまで進めてきた医師不足対策の取り組みを進めるに当たっての転換点となり得るものと考えております。
他都道府県、医療関係団体、産業界などとも連携しながら、全国的な医師不足と地域偏在を根本的に解消するためのメッセージを強く発信し、取り組んでいきたいと思います。
〇千田美津子委員 実は、県内でも産科、小児科の数が落ち込んでいる地域がかなりあるわけですが、私の地元の奥州市でも、今回、医療を考えるパパママの会を若い方々が中心となって立ち上げまして、この間、市長も参加する中で講演会とトークライブを開催し、医師確保に向けた市民運動が実質的にスタートいたしました。
知事は、このような県民の立ち上がりをどう受けとめ、また、最下位とされた本県の県民に対してどういうメッセージを発していくお考えか、お伺いしたいと思います。
〇達増知事 地域医療を守るためには、地域の住民の皆さんの努力と工夫が非常に効果があり、県でも、団体を組織しながら岩手の地域医療を守る県民運動を展開してきたところですが、市町村の単位あるいは地域ごとに、そうした住民の皆さんによる地域医療を守るための運動が起きてきているということを、非常に心強く感じますし、県としても、そういった取り組みと連携しながら、ますます医師不足と偏在に対する対策をしていかなければと考えます。
いわてWalkerの発刊など、県内のあらゆる分野での人手不足の解消に向けて県を挙げて取り組む中で、医療関係の人材確保についても、そのような角度からも取り組み、医療の面でも岩手で働き、岩手で暮らす、岩手は最高ということを県内外にアピールしていきたいと考えます。
〇千田美津子委員 次に、診療科の偏在についてですが、岩手県では診療科の偏在も大変深刻です。この解消のために、私は、産科、小児科、救急医療などの医師確保の取り組みを特別に重視し、強化すべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇達増知事 県では、分娩取扱医療機関の整備、開設に対する支援、岩手医科大学の総合周産期母子医療センターの設備整備補助などにより、小児周産期医療等の体制整備に取り組んでおります。
こうした体制整備とあわせて、周産期や救急などの政策医療を担う医師の確保に向けて、産科、小児科を選択した奨学金養成医師については、義務履行と専門分野のキャリア形成の両立を支援するため、義務履行の全期間を地域周産期母子医療センターでの勤務に専念できる特例措置を設けています。
さらに、岩手医科大学の地域枠の養成医師に限った取り扱いでありますが、配置基本ルールにおいて、岩手県高度救命救急センターで従事した期間の一部を義務履行に含めることを可能としており、これまでに産婦人科を5人、小児科を7人、救急科を4人が選択するなど、一定の効果があらわれてきています。
来年度におきましては、全国的に偏在が深刻な産科、小児科の医師確保も含め、具体的な医師偏在対策などを盛り込んだ医師確保計画の策定を行うこととしており、医師の確保と偏在の解消に向けて取り組んでまいります。
〇千田美津子委員 県では、医師確保のためにさまざまな施策を展開しているわけですが、その一つに、ママドクター制度-育児短時間勤務女性医師を県で立ち上げていますが、せっかくの制度なのに、今までの採用は1人にとどまっています。私は、子育てで中断された方々に復帰してもらい、この制度がもっと有効に確保に結びつくよう、ぜひ検討していただきたいと思いますが、その点をお聞きします。
〇達増知事 ママドクター制度は、県立病院の現場で働く女性医師の生の声を伺ってつくった制度でもあります。これをより多くの皆さんに知っていただけるよう、さらに工夫を凝らし、ぜひこの制度も利用して、岩手で働いていただけるようアピールしていきたいと思います。
〇千田美津子委員 よろしくお願いいたします。
次に、県立病院の看護師不足についてお聞きします。
県立病院の次期経営計画では、看護師については66人の増員計画にとどまっておりますが、看護現場からは、日勤が終わるのは夜8時、9時が大半であり、働き続けられない等の悲痛な声が聞かれます。また、今、月9日夜勤も発生しているようですが、どのような実態にあるでしょうか。
私は、9日夜勤の解消と看護現場の悲痛な訴えからも、看護師の大幅な増員が急務だと考えます。また、看護師の増員のためには、年次有給休暇取得率の向上など労働条件を抜本的に改善して、県立病院で働きたいと思えるような病院にしていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。
〇千葉副知事 まず、県立病院における看護職員の勤務実態についてでありますが、看護職員の超過勤務の状況につきましては、平成30年度の4月から12月までの超過勤務時間数の実績で、1人当たり月平均時間数は10.8時間となっており、平成29年度同期の11.2時間と比較いたしまして0.4時間減少しております。
次に、夜勤回数が月8回を超えた看護職員の状況につきましては、今年度12月までの実績で延べ537人となっており、昨年度同期の延べ784人と比較いたしまして延べ247人減少しているところですが、依然といたしまして月8回を超える夜勤が相当程度あるものと認識しております。
このため医療局におきましては、今年度も、各病院における業務の繁閑を踏まえた県立病院間の兼務発令や業務応援の実施に加え、年度途中における人事異動を実施するなど、夜勤回数の抑制に努めたところであり、今後におきましても、各病院における業務の繁閑に適時に対応しながら、月8回を超える夜勤の解消に努めていくものと聞いております。
次に、看護職員の労働条件の改善についてでありますが、医療局におきましては、県立病院の次期経営計画の実施に当たりまして、まずもって計画期間内に産前産後休暇及び育児休業の取得者を代替する正規の看護職員を計画的に増員することとしております。
さらに、例えば会議や各種委員会等の勤務時間内の開催や、採血業務の臨床検査技師への移管など、看護業務の効率化や省力化をさらに推進いたしますとともに、夜勤専従や2交代勤務制などの多様な勤務形態を運用するなど、勤務環境の改善に向けた取り組みを進めていくこととしているところです。
こうした取り組みが、看護職員の夜勤回数の抑制や業務負担の軽減にも寄与するものと期待しております。
また、労働基準法の改正により、平成31年度から年次有給休暇の年5日取得が義務化されることに伴いまして、就業規則を改正することとしております。この機会に、改めて職員に周知しながら、休暇の着実な取得を推進し、職員のワーク・ライフ・バランスの向上を図っていくものと伺っており、これにより、職場としての県立病院の魅力が増していくものと考えております。
〇千田美津子委員 さまざまな手だてがなされているわけですが、抜本的な対策、いわゆる看護師の増員が私は必要だと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
それでは、続きまして、子ども・子育て支援事業支援計画と保育所の待機児童の解消策についてお聞きいたします。
まず、保育所の待機児童の現状と改善策についてお聞きします。
昨年10月1日の県内の待機児童数は506人であり、前年度の681人、そして2016年度の710人と比べ、一見減ってはおりますけれども、保育所落ちたは、岩手でもまだまだ深刻な課題となっています。しかも、いわゆる隠れ待機児童は含まれておりません。
そこで、全体の待機児童数はどうなっているかお聞きいたします。
〇千葉副知事 いわゆる隠れ待機児童を含めた全体の待機児童数についてでありますが、厚生労働省が実施いたしました保育所等利用待機児童数調査の速報値によりますと、平成30年10月1日時点におきまして、保育所等の利用申込者のうち、特定施設のみを希望するなどの私的な理由や、求職活動を行っておらず保育の必要性が認められない状況にあることなどの理由で保育所等を利用していない、いわゆる隠れ待機児童数は698人であり、先ほどお話ししました待機児童数506人と合わせまして1、204人となっております。
〇千田美津子委員 隠れ待機児童数が698人ということであり、全体では1、200人を超えているとの答弁だったと思います。
それでは、なぜこのような事態となっており、なぜ解消できないのか、その原因について知事はどのようにお考えかお聞きします。
〇達増知事 県では、平成27年度以降、子ども・子育て支援事業支援計画に基づき、保育所等の施設整備に対する財政支援によって定員増を図ってきたところであり、この計画における平成30年4月1日時点の保育利用定員の達成率は97.7%となり、おおむね計画どおりに定員が確保されています。
一方で、特にゼロ歳から2歳の低年齢児における保育の利用ニーズが、計画上の想定を超えて伸びています。
近年、女性の就業が大きく進んでいることや、子ども・子育て支援新制度の施行により、パートタイム勤務の方でも保育所等の利用が可能となるなど、予想以上に保育ニーズが高まっていることが、待機児童の解消に至らない主な要因であると認識しております。
〇千田美津子委員 岩手県の保育所の定員でありますけれども、実はこの3年間で815人ふやされました。しかし、待機者は依然として多い状況です。保育士確保とともに、保育ニーズをきちんと捉えて対応すべきと私は考えますが、いかがでしょうか。
〇千葉副知事 保育ニーズの把握についてでありますが、県といたしましては、市町村がまずもって地域の保育ニーズを的確に把握した上で策定しております子ども・子育て支援事業計画に基づき、必要なサービスが実施されるよう取り組んでいくことが重要であると認識しております。
来年度は当該計画の最終年度でありますことから、2020年度を始期とする次期計画の策定に向けまして、今年度、市町村では、利用規模を把握する調査を実施したところでありまして、今後、その結果を踏まえ、保育の受け皿確保の目標値や多様な保育サービスの提供量等を、計画に的確に反映させていくこととしております。
県といたしましては、次期子ども・子育て支援事業支援計画が、地域の保育ニーズを踏まえて必要なサービスが提供される計画となるよう、市町村に助言してまいりますとともに、当該計画を踏まえて、県の子ども・子育て支援事業支援計画の見直しを行いまして、施設整備に対する財政支援や保育人材の確保に取り組むことで、市町村計画の実現に向けて支援してまいります。
〇千田美津子委員 ただいま答弁があった岩手県子ども・子育て支援事業支援計画ですが、この間、平成31年度には保育ニーズを上回る定員数が確保される見込みだと述べておられたのですが、改めて、この見通しについてお示しいただきたいと思います。
〇千葉副知事 岩手県子ども・子育て支援事業支援計画についてでありますが、平成30年4月1日時点の保育の利用定員は、県全体で3万1、302人、達成率は97.7%であり、おおむね現在の計画どおりの定員となっている一方で、申込児童数は、女性の社会進出等が進んだことなどを要因といたしまして、特に低年齢児の保育ニーズが高まっていることから、計画を上回る状況となっております。
今年度におきましては、保育所等の施設整備に対する補助などによる302人分の定員増に加え、認定こども園の新設や幼稚園からの移行による183人分の定員増を見込んでおり、企業主導型保育事業などの増加要因もあることから、平成31年4月1日時点の保育の利用定員は830人程度拡充され、3万2、130人程度を見込んでおります。
一方で、保育所等の申込児童数は、現時点では、正確な数値を算出することが困難でありますが、来年度の計画上の利用児童数3万844人と仮定した場合、県全体では、申込児童数を上回る定員が確保されると見込んでおります。
〇千田美津子委員 確保できるという答弁だったわけですが、私は、やはり隠れ待機児童のカウントが問題だと思います。そもそも保護者の私的な理由と言われますけれども、国が隠れ待機児童数を少なく見せるために、そういう理由等による方々は隠れ待機児童に追いやったわけですね。ですから、やっぱり子供にとっても親にとっても、安心して入れる体制整備が必要だと私は考えますので、もう一度その点をお聞きします。
〇千葉副知事 隠れ待機児童も含めた申込児童数の見込みについてのお話と承りましたが、いずれ、いわゆる隠れ待機児童の要因につきましては、今、委員からもいろいろな御指摘を頂戴したところでありますが、例えば自宅と勤務している仕事場との間で経由できるような場所の保育所を使わせたいとか、さまざまな事情があることは私どもも承知しております。
したがいまして、できるだけそういうことにも配慮できるよう、定員数については、そういうところも踏まえながら考えていく必要があると考えております。
〇千田美津子委員 次に、国の幼児教育、保育の無償化についてお聞きいたします。
幼稚園、保育園などの費用の無償化が10月から予定されておりますけれども、内容は、保育料の全額または一部を国と自治体が補助するというもので、厳密に言えば軽減措置であります。今の保育料は、国の基準での最高額は10万円を超え、3万円、4万円と払っている父母が少なくありません。しかも、今回の無償化の対象が3歳以上とされ、負担の重いゼロ歳から2歳児は、住民税非課税世帯だけが対象となっています。
今、世界の流れは教育費の無償化にあります。ところが、無償化と言いながら、給食費を幼稚園に合わせて保育園も実費負担にするなど負担増を持ち込もうとしております。これは、むしろ低所得者には負担増となりかねないとの指摘がありますが、知事は、このような国の対応にどのような認識を持っておられるかお聞きします。
〇達増知事 幼児教育、保育の無償化は、政府が進めている人づくり革命の一環として取り組むこととされたものであり、働きながら子育てする世代を支える取り組みとして認識しております。
一方、ゼロ歳から2歳児は住民税非課税世帯のみが対象とされたほか、給食費の取り扱いなど、なお検討中の事項があることや、新たに無償化となる認可外保育施設の質の確保、向上などの課題もあると認識しております。
県では、それらの課題への対応について、国と地方の協議の場の中で、全国知事会を通じて国に対して働きかけていきますとともに、実務を担う市町村と十分に連携を図りながら、無償化により新たな利用者の負担増とならないよう、円滑な制度の施行に向けて取り組んでまいります。
〇千田美津子委員 今回の無償化によって、実は地方自治体、県とか市町村には大きな負担となると指摘されています。それは、軽減措置により新たに必要な財源は年間8、000億円、うち地方自治体の負担は3、000億円と試算されています。民間の園には国が50%、県と市町村が各25%ずつ負担しますけれども、公立施設については地方交付税に算入するとのことから、交付税の全体がふえない状況において、これは市町村の持ち出しとなり、公立施設の民営化や職員の非正規化につながるおそれがあると考えますが、知事の見解をお聞きします。
〇達増知事 公立保育所の民営化等については、その設置主体である市町村において、地域住民の意向や関係機関の意見等を聞きながら、それぞれの方針に沿って実施しているものと承知しております。
県としては、保育所の設置主体にかかわらず、保育を受ける子供に対しての必要なサービスが確保されることが重要と考えていますことから、市町村に対しては、民営化をするとしても適切なサービス提供が行われるよう、助言等を行ってまいります。
〇千田美津子委員 やっぱり保護者にとっても、子供たちにとっても、安心して預けることができる保育園を、増設することはあっても、民営化することについては、県としてもきちんと指導していただきたいと思っております。
次に、防災体制について、特に要配慮者利用施設の避難確保計画の策定についてお聞きいたします。
平成29年6月の水防法及び土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律の改正を受けて、避難確保計画の作成と避難訓練の実施が義務化されましたが、県内における2月現在の避難確保計画の策定率は県全体で50.9%とのことであり、今も半数の施設において策定されておりません。
先日の高田一郎議員の一般質問では、策定されない理由として考えられるのは、施設管理者の制度に対する理解や計画作成方法、気象情報の知識の不足が挙げられましたが、今後、策定率を引き上げるためにはどうあればよいとお考えかお聞きします。
〇佐藤企画理事兼総務部長 要配慮者利用施設の避難確保計画についてでありますが、避難確保計画の策定率は、委員御指摘のとおり、2月時点で5割程度となっております。詳しく市町村の状況を見ますと、施設数の多少によって策定率に差があることがわかりました。例えば、盛岡市は、対象施設数が472に対して、策定済みが248で52.5%、大船渡市は、66に対して14で21.2%、奥州市は、98に対して21施設が策定済みで21.4%となっております。
このことから、特に策定率の低い市町村に対しましては、個別に働きかけを行っていくことが必要と考えておりまして、計画未策定の社会福祉施設や医療施設の管理者等に対し、また、市町村に対し、具体的な支援ニーズを把握しまして、個別具体的に計画策定を支援していきたいと考えております。
それから、国主催の講習会の活用の例もありますことから、そういった活用も市町村に働きかけるなど、関係機関と連携しまして、早期に避難確保計画が策定されるよう、取り組みを一層強化してまいります。
〇千田美津子委員 個別具体的に指導していきたいということで、ぜひお願いしたいわけですが、私は、とりわけ沿岸部などへの支援が急務だと考えておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。
そして、国土交通省は、2021年までに策定率を100%とし、逃げおくれによる人的被害ゼロの実現を目指すとしています。しかし、計画をつくり訓練さえすればいいというものではなく、いざというときに命を守れる体制となっているかが重要であり、そのためには訓練を繰り返し、教訓や反省を計画に書き込み、体得させることが重要だと考えております。
そういった意味でも、国の言う2021年ではなくて、できれば2019年度中に全施設が策定できるように指導、援助すべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇佐藤企画理事兼総務部長 先ほど個別に各市町村ごとの様子を確認しているとお話しさせていただきました。2月時点で50%程度ですが、現在、各施設において作成中であるということを把握しております。
各市町村におきましては、何とか今年度中の策定を促しているとか、現在、策定作業を進めているところに対しても支援等を行っていたり、今年度末までに策定するというようなところもあります。
そういった形で、具体の支援の必要なところにきめ細かく対応してまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 ぜひ、よろしくお願いいたします。
計画策定とあわせて重要なのは、その後の訓練の中身だと思います。平成28年台風第10号被害からの教訓からしても、要配慮者施設における職員体制は決して盤石なものではないと考えておりますので、休日や夜間などの体制が薄い状況も想定しながら、訓練は地域の方々などの協力を得る努力も必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇佐藤企画理事兼総務部長 委員御指摘のとおり、災害発生時等におきまして迅速に避難するためには、地域の協力が重要であると考えております。
そういったことから、施設と地域が連携した取り組みをしなければならないということでありますが、県内でも具体的な動きがあり、岩泉町のグループホームが、施設の近隣住民の協力を得て、夜間帯を想定した避難訓練を実施したことがあるということ、また、昨年、同じく岩泉町の介護施設と近隣企業が、災害時の避難について協定を締結するなどの動きも出てきております。
県といたしましては、このような取り組み事例を市町村あるいは施設の管理者等に情報提供し、避難訓練の実施について積極的に助言、指導してまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 引き続きよろしくお願いいたします。
それでは、最後の質問になりますが、奥州市と金ケ崎町の間を流れる胆沢川沿いのメガソーラー事業についてお聞きいたします。
一級河川である胆沢川にメガソーラーの設置が進められておりますが、この場所が河川区域内であったにもかかわらず、県が誤って指導したため、正規の手続がとられないまま事業が開始されていたことが明らかになりました。
このメガソーラー事業については、そもそも事業者から地元には何ら説明がなく、しかも堤防が破壊されながら進められたために、地元から事業者に対し説明会の開催を要求し、この間2度にわたる説明会を開催させ、経過についてただしてまいりました。
1月17日に開催した説明会には、ドイツから責任者が来日し、この間の不手際を陳謝し、事業継続への理解を求めてきました。そのような中での今回の事態であります。事業者はもちろんのこと、60名を超える地権者や地元など、多くの関係者に与えた影響は大変大きなものがあると指摘しなければなりません。
そこで、今回の事態を知事はどのように受けとめておられるのか、お聞きします。
〇達増知事 胆沢川における河川区域を誤認したことについてでありますが、事業者から照会のあった事業区域の一部の区域について、河川を管理する上で当然把握しておくべき河川区域の範囲を十分に確認しないまま、河川区域ではないとして、事業者に誤った情報を提供していたものであります。
委員御指摘のとおり、事業者や地域の方々などへ多大な影響を及ぼすこととなっており、大変遺憾に受けとめております。
〇千田美津子委員 大変遺憾なことという知事の答弁をいただきましたが、それでは、なぜこのような事態が起きたのか、この間の経過と今後の対応策、そして、今後の事業への影響、見通しについてお聞きいたします。
〇保副知事 このたびの誤認の案件につきましては、県土整備部を所管いたします副知事として、私も大変遺憾に思っております。
これまでの経過等についてでありますが、これは、平成28年4月に、今回該当しております民有地に関しまして、一般の方から、河川区域であるかどうかという照会が県南広域振興局土木部にあり、その土地については河川区域外であると回答しておりました。その後、本年1月に当該事業者から詳細な事業区域が示されたことから、改めて確認作業を行った結果、この事業区域内の一部が河川区域であることを確認したということであります。
そもそも平成28年に照会があった際に、十分に河川区域の状況を確認しないまま、河川区域ではないと情報提供していたことが原因であったと考えております。
県といたしましては、直ちに事業者に対しまして、この事業区域の一部が河川区域であること、河川法に基づく許可手続が必要であることを連絡いたしますとともに、誤った情報を提供していたことにつきましては陳謝しております。
それから、今後の対応につきましては、事業者との間では、適切に河川法に基づく許可手続に関する協議を行っていくとともに、地域の方々に対しましても、経緯等について御説明する機会を設けたいと考えております。
また、今後の事業への影響等につきましては、現在、この事業者との協議を開始した段階ですので、現時点では明確ではないものでございます。
〇千田美津子委員 今回の問題は、本当に行政に対する信頼が失われかねない問題でありますし、ぜひ、二度と起きないようにしっかりやっていただきたいと思うのですが、実はあした、地元説明会が業者側からの要望で開催されますので、できればその場面で、県からしっかりと説明をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇保副知事 あす3月7日に説明会が開催されることは承知しておりまして、この際、県といたしましても、地元の皆様にしっかり説明するようにすると聞いております。
〇千田美津子委員 今回のメガソーラーの問題は、きのうも高橋元委員から質問があったわけですが、やはりいろいろなところでいろいろな問題があるということで、県としても、きのう条例化に向けて検討するとの答弁があったと思いますが、小さな規模であっても、事業者に対する配慮も含めてきちんと条例化に踏み出す必要があると私は思います。
それから、今、市議会が行われているわけですが、遠野市長も、地域住民の和を分断させるプロジェクトは持ち込ませないという強い意志でやっていくという答弁がありました。知事としても、やはりそういう立場で取り組んでいただきたいと思いますが、この質問をして、終わります。
〇達増知事 メガソーラー事業に対する対応策については副知事から答弁させたいと思いますけれども、岩手にとって、また県民の皆さんにとって、このメガソーラー事業というものが、生活の中に入り込んでいくくらい大規模に行われたり、また、その数がふえているという状況にあると私も思っておりますので、改めて、県民の生活や、また県土を守っていくために必要な県の制度の検討を進めていくべきと考えます。
〇千葉副知事 メガソーラー事業に対する対応策についてでありますが、昨日も一部答弁したところですが、国におきましては、土砂流出や濁水の発生、動植物の生息、生育環境の悪化など、近年の大規模太陽光発電事業を取り巻く状況を踏まえ、平成30年8月に太陽光発電施設等に係る環境影響評価の基本的な考え方に関する検討会を設置し、太陽光発電施設を環境影響評価法の対象とする方向で検討を進めているところであります。
昨日、実はこの検討会から、太陽光発電施設等に係る環境影響評価の基本的考え方に関する検討会報告書が公表されました。昨日の高橋元委員の質問に対しましては、報告書案の段階として答弁させていただいたところですが、案の段階と同様に、法による環境影響評価を必須とする事業の規模要件を総出力4万キロワット以上とすることや、法アセスと条例アセスの関係などについての考え方が示されたところであります。
繰り返しで恐縮ですが、県では、現在、環境影響評価法に準じて太陽光発電施設を環境影響評価条例の対象としておりませんが、現在及び今後の国の検討状況を踏まえつつ、条例アセスによる太陽光発電施設に係る環境影響評価のあり方についても、速やかに検討していきたいと考えております。
〇千田美津子委員 終わります。(拍手)
〇軽石義則委員長 次に、小西和子委員。
〔小西和子委員質問者席に着く〕(拍手)
〇小西和子委員 社民党の小西和子でございます。
最初に、将来の県財政の見通しについて伺います。
2019年度の予算を見て心配になるのは、将来の見通しです。県の2019年度末の県債残高は約1兆2、556億円で、前年度に比べて234億円程度減る見通しです。2011年度からの9年連続の減少となりますが、現在の人口で計算すると、県民1人当たりの借金は101万円となります。2019年度の県債発行予定額は前年度当初比8.7%減の689億円。震災対応分を除く通常分の予算に対する県債依存度は10.0%で、前年度当初比で0.7ポイント下回っています。
借金返済に当たる公債費は1、023億円で、前年度当初比6.7%減少しました。過去の大型公共投資に伴う償還は2014年度をピークに減少に転じていますが、公債費は依然として高い水準で推移する見込みです。
財政調整基金など貯金に当たる財源対策3基金からは102億円取り崩し、2019年度末の合計残高は287億円となる見込みです。財源不足の穴埋めで取り崩しが続き、枯渇の懸念が増します。この先の県財政が心配だとの県民の不安な声も聞こえてきます。近年の当初予算編成における収支ギャップを考慮すると、大きな不安を残す内容となっています。
いわて県民計画(2019~2028)のもと、東日本大震災津波と2016年台風第10号災害からの復旧、復興に最優先で取り組むとともに、本計画に掲げる県民みんなで目指す将来像の実現に向けた取り組みの推進、三陸防災復興プロジェクト2019やラグビーワールドカップ2019など、大震災津波の教訓や復興の姿を国内外に発信する取り組みの内容になっています。さらには、新しい時代を切り拓くプロジェクトを戦略的、積極的に推進とあります。
このように、必要とされる事業が山積する中、2019年度はどのように県民の不安を解消する財政運営を行っていく考えか、知事に伺います。
〇達増知事 平成31年度当初予算案は、いわて県民計画の初年度として計画を着実に推進するための事業を盛り込んだところであり、予算編成に当たりましては、全ての事務事業をゼロベースで見直して政策の優先度に応じた財源の最適配分を図るとともに、事業立案の段階からの国費の活用の検討など、あらゆる手段による歳入確保に努め、限られた財源の重点的かつ効果的な活用を図ったところであります。
こうした取り組みや公債費の縮減により、財源不足に対応するための財源対策基金の取り崩しについて約43億円縮減しましたほか、9年連続のプライマリーバランスの黒字の維持や、実質公債費比率の低減にも意を配り、計画の着実な推進と財政健全化を両立する予算として編成したものと考えており、今後も引き続き、持続可能な財政運営に努めてまいります。
〇小西和子委員 2019年度からのいわて県民計画のもと、次の10年を見据えた安定的な財政運営についても伺います。
〇達増知事 岩手県中期財政見通しでお示ししたとおり、高齢化に伴う社会保障関係費の増や老朽施設の適正管理に要する経費の増大等に伴う維持費の増などにより、引き続き厳しい財政状況が見込まれます。
このため、毎年度更新する中期財政見通しを踏まえて、企業誘致や中小企業の育成強化などによる産業振興や人口減少対策等、あらゆる施策を通じた税源涵養、公共事業を初めとした全ての事業における国費の活用、事業効果や効率性等を踏まえた事務事業の精査、公共施設等総合管理計画に基づく県有施設の適正な管理や財政負担の平準化などに取り組むとともに、国に対し、偏在性が少なく税収が安定的な地方税体系の構築や地方交付税を初めとする地方一般財源総額の確保を求めていくことで、いわて県民計画の期間も含め、将来にわたり持続可能で安定的な財政運営を行ってまいります。
〇小西和子委員 県民の不安を取り除くために、どうぞ知事から発信をしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
次に、東日本大震災津波等からの復興に向けた県の組織体制等について伺います。
多くの命を奪い、ふるさとが失われた東日本大震災津波から8年が過ぎようとしています。いまだに2、827人の方々が、応急仮設住宅等で不自由な生活を余儀なくされています。県職員を初め関係する方々は身を粉にして復興業務に奮闘しておりますが、マンパワーの不足、財源問題など今も多くの課題を抱えています。中でも、マンパワーなくして復興は進みません。
2019年度の県組織体制が2月6日に示されました。職員数は20人程度減少し、4、430人程度となる見込みとしています。直近の本県議会12月定例会では、11月1日現在の欠員数が83人になっているとの答弁があり、欠員解消は相当厳しいと見込まれますが、欠員解消に向けては、今定例会において、来年度の欠員数について一定程度の減少を見込んでいること、また、今後もこれまでの新規採用職員数の拡大、任期付職員及び再任用職員の採用、都道府県等からの応援職員の受け入れなどの取り組みを継続し、事業の効率化や重点化などに配意しながら欠員解消に向けて取り組んでいくとの答弁がありました。
その中で、専門職種の人材確保に向けては、処遇改善を含めた対策が必要であると県議会の場で求めてきましたが、県行政の専門性確保の観点から、民間事業者での人手不足を背景に、総合土木、建築などの専門職種の充足状況はどうなっているのでしょうか。
精神障がい者に関する通報に対応する保健師、GAP-農業生産工程管理対応の農業改良普及員など、新たな行政課題に対応した専門職種の確保も喫緊の課題であり、人員確保策について伺います。
また、専門職種のうち、地域の偏在も言われている獣医師については、処遇改善は一定の効果が見込まれるものの、他県でも人材確保に向けた対策が加速する中で、安定的な人材確保につなげるための一層の対策が必要と考えます。具体的対策をどう講ずるのか見解をお伺いいたします。
〇佐藤企画理事兼総務部長 専門職種の充足状況についてでありますが、ことし2月1日現在におきまして、一般行政職を除いた専門職種の欠員は43人となっておりまして、その中でも、総合土木職が27人、建築職が1人という状況になっております。
専門職の職員につきましては、それぞれ専門的な知識を必要とする行政分野において欠かせない人材であり、その確保は極めて重要な課題と捉えております。
このため、総合土木職や建築職の職員の確保に向けては、民間等経験者のための採用枠を設けているほか、全職種を通じてインターンシップや大学訪問等を実施しております。また、人事委員会と連携した業務説明会等により、採用試験受験者の確保の強化を図っているところであります。
また、獣医師の確保に向けては、通常の採用選考に加えまして、免許を有する者の通年の随時募集や、都道府県等での職務経験者を対象とした任期付職員の採用選考を実施するなど、幅広い採用に努めているところです。
また、獣医師の処遇改善につきましては、これまで初任給や手当の額の引き上げを行ってきたところですが、継続的かつ安定的な獣医師確保の観点から、現在、初任給をさらに引き上げる方向で人事委員会と協議を進めているところです。
今後におきましても、所管部局や人事委員会と連携しながら、専門職種確保のための取り組みを進めてまいります。
〇小西和子委員 いわて県民計画の行政経営プランに、職員の人材育成、育児等との両立支援などの推進を掲げています。とりわけ女性の活躍推進やワーク・ライフ・バランスなどの取り組みの推進について明記されていますが、現場では、正規の育児休業代替職員の配置が不可欠との意見を伺っています。そこで、今後の職員定数を含めた対策を伺います。あわせて、行政経営プランで明記した各種取り組みの実効ある対策が履行できるようにするための手だてを伺います。
〇佐藤企画理事兼総務部長 行政経営プランにおきましては、育児休業中の職員の代替職員について、正規職員の配置も検討することとしており、具体的には、代替職員分の定数を追加で措置し、正規職員を配置する予定で、今、進めているところです。
また、行政経営プランを着実に推進するためには、職員の能力開発が重要であると考えており、新年度からは、人事課に新たに職員育成監を配置し、職員研修体系の整備や研修内容の充実を図ろうとしております。
それから、育児等の両立支援等を推進することで、職員の能力と意欲の向上、それから職員が明るく生き生きと働くことができる職場環境づくりを進めてまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 ありがとうございます。正規の代替職員というのは、本当にうれしいことだと思っております。
次に、超過勤務の上限規定の創設に伴い、超過勤務の上限を超過した場合における対策として、業務縮減や人員増などを具体的に示すべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇佐藤企画理事兼総務部長 超過勤務の縮減に向け、これまでも事前命令と事後確認の徹底や、定時退庁日の設定、事務分担の見直し、業務支援の活用等に取り組んできました。月100時間を超える超過勤務を行った職員に対しましては、その所属長に対するヒアリング等も行い、長時間労働の是正を図ってきたところです。
今年度からは、ワーク・ライフ・バランスシートの全庁展開を行っておりますし、部局ごとに働き方改革推進員を指名しまして、働き方改革の取り組みを全庁で集中的に実施する強化月間を設定するなど、取り組みの強化を図ってきたところです。
また、震災復興を初めとしたさまざまな行政課題に対応するためのマンパワーの確保にも、あわせて取り組んできたところです。
今回の上限設定は、職員の健康の確保の観点から行うものであり、来年度から新たに行う職員の勤務時間の客観的把握をも含めまして、これらの取り組みを通じて、超過勤務の一層の縮減に向けて取り組んでまいります。
〇小西和子委員 よろしくお願いいたします。
東日本大震災津波から間もなく8年が経過しようとしており、ハード整備はピークを過ぎつつありますが、心のケアやなりわいの再生などのソフト面は長期的な支援が必要であることや、いわて県民計画を着実に遂行するためにも職員配置は重要です。今後の職員配置のあり方に関し、知事の見解を伺います。
〇達増知事 行政経営プラン案においては、社会経済情勢の変化や復興の状況等に柔軟に対応できるよう、適時適切な組織体制の見直しや、行政需要に応じた適切な定数配置等に取り組むこととしています。
まず、組織体制については、政策推進プラン案の進捗や北上川バレープロジェクト等の三つのゾーンプロジェクトの展開等に伴う課題に対応するため、不断に必要な見直しを行っていくこととしております。
また、定数については、新たな定数等管理計画では、現行の計画と同様、復興業務に必要な職員数を確保するほか、復興業務以外については、業務の見直しによる定数の再配置を行いつつ、児童相談体制の強化などの今後の行政需要の拡大や、育児休業等を取得しやすい職場環境づくりによる職員のワーク・ライフ・バランスの推進などに対応するため、平成31年度からの4年間で80人から100人程度増員することとしています。
こうした組織、職員体制の整備を通じて、いわて県民計画最終案の着実な推進を図ってまいります。
〇小西和子委員 職員の確保に当たっては、職員の勤務意欲の向上も重要な課題と言えますが、早期退職や採用内定の辞退などが増加しているのではとの懸念があります。職員の確保や定着に向け、職員の勤務意欲が確保できる処遇や職場環境の改善が必要と考えますが、早期退職や採用内定の辞退の現状をお示しいただくとともに、今後の対応策について伺います。
〇佐藤企画理事兼総務部長 東日本大震災津波発災以降、多くの職員の採用を進めてきておりますが、その中で20代の若手職員の退職者がふえているという傾向はあります。その理由等については、本人の意向等もあり、その全てを把握することは困難ですが、結婚に伴う配偶者の居住地への転居、あるいは他の職に転職するということも中には見受けられるところであります。
引き続き、離職の抑制に向けて、職員が明るく生き生きと働くことができる職場環境の整備を進めてまいります。
もう一つ、採用内定の辞退の中には、先ほど申し上げましたほかに、併願して他の公務員試験に合格している方も多く見られるところであり、現在実施しております内定者を集めたガイダンスや職場実習の取り組み等を継続していくとともに、県職員希望者への業務説明会やインターンシップを充実強化しまして、県職員の仕事のやりがいや魅力のアピールに努めていきたいと考えております。
〇小西和子委員 昨年度は、普通退職者の半数を10代、20代が占めています。さらなる勤務意欲の向上に努めていただきたいと思います。
次に、学校における働き方改革について伺います。
昨年6月、県教育委員会は岩手県教職員働き方改革プランを発表しました。最終的には長時間勤務をゼロにすることを、プランの目標として掲げています。県教育委員会では、教職員のワーキンググループによる業務のスクラップ・アンド・ビルドの検討を行い、市町村教育委員会でも同様の取り組みを行うよう働きかけています。
多忙化解消の三つの要素である、仕組みを整えること、人をふやすこと、業務を減らすことが三位一体として機能することが重要です。教職員の働き方について、知事はどのように捉えているのか伺います。
〇達増知事 本県の教職員は、教育に対する情熱や強い使命感を持って子供一人一人の成長や自己実現に真剣に取り組んできていますが、新学習指導要領への移行や教育改革、いじめや不登校などの教育課題の多様化、子供の貧困対策など、学校の役割の増大に伴い長時間勤務の実態が常態化しており、その負担軽減は喫緊の課題であると認識しております。
平成28年度に文部科学省が実施した調査においては、全国的に教員の勤務時間が大幅に増加している実態が明らかとなり、中央教育審議会においては、この1月に働き方改革に関する総合的な方策に係る答申をまとめたところでありますが、県におきましても、答申の内容等を踏まえ、学校における働き方改革に重点的に取り組み、教員が心身を健康に保ち、子供たちとしっかりと向き合うことのできる環境を整備していく必要があると認識しております。
〇小西和子委員 2018年度は、長時間勤務者の割合について、時間外勤務80時間以上は前年度比3割減、100時間以上は半減、2019年度、2020年度は、80時間以上は前年度比3割減、100時間以上はゼロというプラン目標になっていますが、その進捗状況について知事はどのように捉えているのか伺います。
〇達増知事 教育委員会が策定した働き方改革プランは、今年度からの3カ年を取り組み期間として、教職員の充実感等の向上や長時間勤務者の削減を目標に掲げており、教育委員会では、その目標に向け、部活動指導員やスクールサポートスタッフ等の外部人材の活用、タイムカードの導入による勤務時間の客観的な把握、教員等のワーキンググループの提案に基づく業務改善や心と体の健康対策などの負担軽減策に鋭意取り組んでいると承知しております。
教育委員会においては、市町村教育委員会を初めとする関係団体との十分な連携のもとに、教職員の負担軽減、健康確保等を柱としたプランの取り組みを着実に推進してほしいと考えております。
〇小西和子委員 現場では全く変わっていないという声がありますので、よろしくお願いします。
岩手県の学校における働き方改革の目指す姿を知事に伺います。
〇達増知事 中央教育審議会の答申においては、働き方改革の目指す理念を、教師のこれまでの働き方を見直し、教師が日々の生活の質や教職人生を豊かにすることでみずからの人間性や創造性を高め、子供たちに対して効果的な教育活動を行うことができるようになるとしており、この理念を岩手県としてもしっかりと受けとめ、教員の勤務環境の改善を通じ、子供たちへの質の高い教育の充実につなげていくべきと考えております。
そのためには、答申でも指摘されていますが、学校における働き方改革の取り組みに対する保護者、PTA、地域を初めとする社会全体の理解と協力を得ていくことも重要と考えます。
〇小西和子委員 教員採用試験の倍率の低下は全国的な傾向であり、多忙化が大きな要因と考えます。働き方改革が待ったなしの状況であります。また、教員の採用倍率の推移と定年退職者を除く退職者の推移の要因から、学校における働き方改革を急ぐべきと考えますが、知事の見解を伺います。
〇達増知事 本県の教員採用試験の倍率は、定年退職者の増加や国立教員養成系大学の定員の減少、有効求人倍率の改善など、さまざまな要因が関係してここ数年低下してきているところでありますが、定年退職者を除く早期退職者等の状況は、大幅な増減がなく推移しております。
今後10年で教員の若返りが進む本県においては、新たに採用になる教員を含めた全ての教職員が、心身ともに健康で、やりがいを持って教育活動に専念できる環境を整備していくことが急務と認識しており、教育委員会においては、昨年6月に策定した教職員働き方改革プランの実現に向け、しっかり取り組んでほしいと考えております。
〇小西和子委員 講師経験者が他県に流出している状況、さらには免許更新制度の影響から、教職員を確保することが困難になっています。今後の対応策について知事に伺います。
〇達増知事 教育は人なりという言葉がありますように、岩手の未来を担う子供たちの教育は教員の力量によるところが極めて大きく、教員の職務が崇高な使命を持った魅力ある仕事であるということが広く認識され、これから岩手で教員を目指す若者がふえていくよう、教職員の人材確保への一層の取り組みが求められていると認識しております。
教育委員会では、本県の教育に有為な人材を確保するため、平成26年度の採用試験から、本県出身者など他県で勤務している教員を対象とする特別選考の実施や、平成27年度からは、岩手県内の公立学校で講師経験のある者に対する一部試験科目の免除措置などを行い、実務経験のある教員の流出抑制にも取り組んできていますが、今後においても、有為な人材の確保に向けて、教職員の採用試験の改善などに努めてほしいと考えております。
〇小西和子委員 さらなる対応策をよろしくお願いいたします。
次に、フッ化物洗口にかかわり、歯科医師会や保健所等から市町村や市町村教育委員会、さらには学校に直接導入を促す話が全県のあちらこちらで出てきています。既に導入している市町村もあります。フッ素は劇薬であり、希釈したとしても危険な薬物であることに変わりありません。さらに、学校現場に医療行為を持ち込むことに対して反対の声もあります。また、特に多忙化を助長するものであり、教職員の働き方改革に逆行することから、学校に押しつけるものではないと考えます。
知事は、子供の安全・安心な学校生活、教職員の働き方改革の観点からも、学校におけるフッ化物洗口を行うべきではないことを市町村及び市町村教育委員会に対し働きかけるべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇達増知事 学校におけるフッ化物洗口についてでありますが、本県の児童生徒に係る大きな健康課題の一つとして、虫歯の有病者率が全国平均を上回っている現状があります。用法、用量を守って実施するフッ化物洗口につきましては、厚生労働省や日本歯科医師会、日本学校歯科医会などの専門機関が一致してその安全性を認め推進しているところであり、県におきましては、平成26年に策定したイー歯トーブ8020プランに基づき、フッ化物洗口の高い虫歯予防効果を踏まえ、小中学校において、保護者の同意のもと、関係者が連携しながらその推進を図ることとしております。
一方、この実施に対し、委員御案内のような懸念の声があるということも聞いておりますが、フッ化物の適正使用は、総体的に子供の健康の保持増進上、大きな効果がありますことから、今後におきましても、保護者や教職員等の十分な理解のもとに円滑な活用が推進されるよう市町村に要請してまいりたいと思います。
〇小西和子委員 当時の保健福祉部長に質問したときには、それぞれの学校できちんと協議をした上でということでしたので、押しつけは、学校現場では大変困っているということです。
フッ化物洗口には、養護教員だけではなく担任も立ち会い、誤って飲み込まないか見守ります。それだけ教職員の仕事量はふえます。岩手県教職員働き方改革プランは、子供と向き合う時間、教材研究など授業準備の時間を確保するためのものでもあります。中学校教員では6割が、小学校教員では3割が、過労死ラインと言われる時間外労働が月80時間超えとなっています。今の学校現場では、健康診断結果により受診を促されても、ぎりぎりの人員ですので病院に行くのをためらってしまいます。教職員の休職状況は、12月末現在で小中学校が48人、県立学校が21人であり、うち長時間労働が原因と言われる精神疾患は36人と5割を超えています。現職死亡は12人です。
時間外労働が月150時間を超える長時間労働を続け、体調を大きく崩して退職し、今も通院の日々を過ごす方から手紙が届きました。安心して働ける学校職場にしてくださいと記してありました。教育にかかわることですら今、削減しているときに、何で教育とかかわらないフッ化物洗口を学校でやらなければならないのでしょうか。市町村長を初め県民の皆さんに対し、子供たちの幸福のために、教職員の幸福のために、学校における働き方改革の趣旨をわかりやすくまとめた、明確で力強い知事のメッセージの発信をお願いします。
〇達増知事 過労死などというものが発生することがないように、そして心身の健康がきちんと守られるような形で働くことができるようにさまざまな分野で働き方改革を進めていかなければならず、特に教育の分野においては、子供たちを相手に、人間と人間が直接触れ合う中で学びというものが行われるわけでありますので、教職員の健康、そして子供と触れ合い、子供の学びを促していくために勤務のコンディションがきちんと維持できるようにするための働き方改革は、岩手においても特に重要であります。教育委員会がきちんと取り組んでいくことを期待いたしますし、また知事部局としてもそれをしっかり支え、ともに取り組んでいきたいと思います。
〇小西和子委員 終わります。(拍手)
〇軽石義則委員長 次に、小野寺好委員。
〔小野寺好委員質問者席に着く〕
〇小野寺好委員 公明党小野寺好でございます。
最初に、人材育成について伺います。
次の時代を決するのは、よくも悪くも今の子供次第です。かつては、お国のため、あるいは企業のためにと青年を手段にした時代もありましたが、子供たち自身の幸せのため、その成長をしっかり支えていきたいものです。
ちょうど50年前、県内の県立高校3校に、普通科とは別に、コンピューター時代に備えることも目的として理数科が設置されました。アナログ式ということでしたが、この3校にコンピューターを導入するということで人気の学科となりました。しかし、実際には開設して3年たっても導入されず、むしろ授業がきついということもあって、この科の人気はがた落ちになりました。とはいえ、いつの時代であっても、先端科学技術の知見を高校生に与えたいものであります。
新年度県予算には、政策地域部の事業として、世界と岩手をつなぐ意欲のある子供に外国を見てもらう計画があります。一人でも多くの高校生にチャンスを与えたいものですが、期間や人数、目的、公立、私立の区別なく募るのかどうかについて伺います。
20年ほど前にニュージーランドの農業視察に行った際、自家用車の後ろのリヤカーのようなものに家庭などから出た木の枝を埋却処分するために運んでいる光景を目にしました。私どもの常識は、木の枝はごみとして行政が焼却処分するものなので、少なからず驚きました。
異なる物の考え方、文化を若いときに経験することは非常に有益であります。多くの子供が事故なく派遣されることを期待し、その内容を伺います。
〇白水政策地域部長 グローバル化や情報化が進展する中、広い視野を持って世界と岩手をつなぐグローバル人材の育成を目的といたしまして、平成25年度から県内の高校生の海外派遣研修事業を実施しております。
平成31年度においては、高校生12名を北米へ約2週間派遣いたしまして、現地の高校生や在米の岩手県人会との交流を初め、また、国際連合などの国際機関や日系企業への訪問を行う予定としております。
参加者の募集に当たりましては、教育委員会事務局と連携し、全ての高等学校に案内をしているところであり、これまで公立、私立を問わず各高等学校から多くの生徒に応募いただいております。
海外において多様な考えや文化に直接触れることは、海外との多面的な交流の担い手となる人材を育成する上で、またとない機会と考えられますことから、渡航中の生徒の健康と安全の確保に最大限留意することを念頭に、最新の治安情報についてしっかりと情報収集を行うとともに、在外公館や旅行代理店等の関係機関と緊密に連携し、研修事業を遂行してまいりたいと考えております。
〇小野寺好委員 所得制限はありますが、来年から私立高校の授業料が実質的に無償化となります。公立高校の2倍ほどかかっていた県内の私立高校の授業料は、現在は同程度になりましたが、入学金や施設整備費等の負担が伴っていると思われます。入学初年度を見た場合、公立高校との負担の差はどの程度でしょうか。来年度はどのように見込まれるのか伺います。
公立、私立の区別なく襲ってくる地震への対策ですが、幼稚園も含めた私立学校の耐震化工事に関し、進んでいる学校、一番おくれている学校の現状はいかがでしょうか。県による耐震化への財政支援の予定も伺います。
危険なブロック塀等の調査、点検、改修工事の状況はいかがでしょうか。
〇佐藤企画理事兼総務部長 私立高校の入学初年度の納入金についてですが、県内私立高校の学則に定める平成31年度学納金の平均額を公立高校と比較いたしますと、入学金は、私立が約9万5、000円、公立は約6、000円ということで8万9、000円の差があります。授業料は、私立が約31万8、000円、公立が約11万9、000円で19万9、000円の差となっております。また、私立高校にあっては、施設整備費約12万1、000円を納付することとなっております。
私立高校には、学納金の免除や学校独自の奨学金制度があり、一概に比較はできないところでありますが、ただいま説明申し上げました初年度の納入金につきましては、約41万円の差があります。
次に、私立学校の耐震化工事の現状についてでありますが、文部科学省の私立学校施設の耐震改修状況調査の対象となっている非木造で2階以上、または非木造で200平米を超える学校施設については、昨年4月1日現在で県内に146棟あり、このうち127棟が耐震性のある建物となっております。
建物に耐震性のある学校は、小学校、中学校、高校、特別支援学校で17校中10校、幼稚園及び幼保連携型認定こども園では58園中51園となっております。
また、耐震診断を行っていないため、耐震性が不明となっている建物がある学校は12校あります。このことから、平成31年度当初予算案には、耐震性が不明な12校が対象となる耐震診断等に要する経費として、私立学校耐震化支援事業費補助930万4、000円を計上しております。
また、今年度から、私立学校の耐震化等に要する資金貸し付けにつきましては、上限額を2億円まで引き上げ、県内私立学校の耐震化の促進を図っております。
次に、危険なブロック塀等の調査点検、改修工事の状況についてでありますが、昨年8月時点の調査では、私立幼稚園等6園、私立高校3校が安全性に問題があるブロック塀等を有していたところです。本年2月までに幼稚園等3園、高校1校がブロック塀等を撤去しているところであり、その撤去に要する費用に対する補助として、先般、議決いただきました平成30年度2月補正予算で180万円を計上しております。また、平成31年度中には全ての学校で撤去が完了するよう、これも平成31年度当初予算案においても240万円を計上しております。
〇小野寺好委員 次に、奨学金の返済について伺います。
動機はさまざまあると思いますが、高等教育を受けたいという子供がふえています。県内の大学等への進学率は伸びているものの、全国平均はそれ以上であります。家庭の所得が十分ではなくても、進学の道を歩めるのが奨学金制度です。普通の借金、しかも金利を取る場合もあり、奨学の名に値しないではないかとの批判がありますが、とりあえず当座の資金を調達できるありがたさはあります。
例えば、月額10万円を4年間借りると480万円、これを月々2万円返済していくと20年間かかります。社会人のスタートはマイナスからということになり、次に来る結婚にも影響するのではないかと危惧しております。
県内のものづくり企業に就職した場合、県と企業とで造成した基金でその返済を支援するという制度がありますが、基金の造成、採用の状況はいかがでしょうか。
4年前、鳥取県が国の特別交付税措置を受けて、全国初の奨学金返済支援制度を導入しました。以来、32府県、300を超える市町村で対象を広げて実施しております。
本県においても、県内への就職を促進するために、ものづくりに限定せず、対象範囲を拡充すべきではないでしょうか。大学の無償化も始まりますが、これには条件があり、全員が該当するわけではありません。未来への投資として、奨学金の返済支援についての考えを伺います。
〇保副知事 今、委員からお話がありました制度は、いわて産業人材奨学金返還支援制度というものであり、これは、国の特別交付税措置を活用いたしまして、県内のものづくり企業等の技術力、開発力の向上を担う人材の確保-理工系の人材の確保を支援し、主に県外の大学生が県内に定着を図ることを目的として、産業界、経済界などの協力をいただいて基金を設置し、奨学金の返還を支援するものであります。平成29年度から開始いたしまして、現在、1億8、000万円の基金を造成しております。
現在の計画では、この1億8、000万円を3年間で全額取り崩しまして、約150名を支援する予定としております。今のところ、これまでの2年間で105名の支援対象者を認定いたしまして、このうち、既に43名が県内のものづくり企業に就業しております。また、この春には、さらに45名の方が就業予定となっております。
この制度は、認定を受けた学生の皆さん、それから就職予定先企業の双方から高い評価を得ております。当面は、3年間で1億8、000万円という計画がありますので、現行制度による高度技術人材の確保ということで運用してまいりたいと考えておりますが、今後、どれだけ産業界の皆様から支援をいただけるかということも見定めつつ、また、就職した若い方々が企業の中でどれだけ定着していけるかということも考えつつ、対象範囲も含めまして次なる展開を今後研究してまいりたいと考えております。
〇小野寺好委員 次に、糖尿病対策について伺います。
本県の三大生活習慣病による死亡率は全国平均よりも高くなっており、その予備的要因として心血管疾患のリスクを高める糖尿病が挙げられます。身近には、糖尿病だという方、糖尿病ではないかと診断されたという方が結構多くいます。激痛に耐えられず病院に駆け込むということはないためか、放置している方もいると聞きます。がんと診断されれば間違いなく病院にかかりますが、糖尿病と診断されても、深刻に自覚していないためか、治療を受けない方が3割はいるのではないかと言われています。
糖尿病の原因は複雑でよくわかりませんが、本県の糖尿病、糖尿病の疑いのある方はどれだけいて、どのような治療をどれだけの方が受けているか、糖尿病が重症化して人工透析を受けている方はどれだけいるか、近年の状況を伺います。
〇千葉副知事 糖尿病患者等の状況についてでありますが、本県における直近の平成27年度の特定健康診査結果から推計いたしますと、糖尿病が強く疑われる方及び糖尿病の可能性が否定できない方は、健診の対象となります40歳から74歳までの方だけでも13万6、000人に上ると推計されており、近年、増加傾向にあります。
また、糖尿病と診断されたことがある方は、国の平成26年患者調査などから約4万8、000人と推計され、このうち約70%に相当する約3万3、000人が、医療機関において薬物療法のほか食事療法や運動療法による治療を受けていると見込んでおります。
さらに、本県における糖尿病性腎症による人工透析患者数は平成30年9月1日現在で1、044人となっており、全透析患者数3、083人の33.9%を占め、原疾患別では最も多い要因となっております。
〇小野寺好委員 糖尿病が長期間続くと、脳や心臓の血管、腎臓や目に合併症を起こすため、保健行政上、重要課題の一つとなっています。
県は、県医師会とともに岩手県糖尿病性腎症重症化予防プログラムを策定し、腎不全、腎代替療法への移行を防止するため、未受診者、治療中断者に受診勧奨を行い、重症化の予防に努めております。このプロジェクトの対象者は、既に糖尿病性腎症等で通院していて重症化するリスクの高い方と、そのリスクが高いにもかかわらず医療機関未受診者や治療中断者とされています。市町村が対象者を個別に選定し、文書、電話、訪問、個別面談により受診勧奨を行うとされており、住民に一番身近な市町村の役割が重要になります。しかし、実際には市町村によって状況が違い、また、勧奨を受ける住民の健康状態、仕事等の生活や経済事情はいろいろで、困難が想定されます。
しかしながら市町村には、特定健康診査データやレセプトデータ等を活用して、被保険者の疾病構造や健康問題などを分析し、地域の実情に応じた対策を立案する役割が求められています。市町村の果たしている重症化の予防対策の現状はいかがでしょうか。
〇千葉副知事 重症化の予防対策の現状についてでありますが、岩手県糖尿病性腎症重症化予防プログラムは、国における糖尿病性腎症重症化予防の取り組みに呼応いたしまして、県医師会などの協力を得ながら平成29年11月に策定したものであり、今、委員からも御案内のとおり、糖尿病が重症化するリスクが高い方を対象に、特定健康診査を実施している市町村が医療機関と連携し、治療や栄養指導等の保健指導を行うことにより、重症化を予防しようとするものであります。
県が昨年5月に行った市町村に対するアンケート調査におきましては、既に医師会に加え歯科医師会とも連携し、対象者を治療につなげるなどの取り組みを開始している市町村が17団体あった一方で、16市町村におきましては、市町村の担当体制や医療機関との連携に課題を抱え、十分な取り組みが進んでいない状況を把握したところです。
このような状況を踏まえ、昨年8月には、県におきまして、市町村の担当職員を対象といたしました研修会を開催し、先行市町村の状況を共有するとともに、個別の市町村の課題に対し、対応方法等の助言を行いながら積極的な取り組みを促したところです。
この結果、このプログラムに取り組む市町村は、現時点で17市町村から31市町村にまで拡大したところであり、現在は、引き続き、市町村と医療機関との連携強化に向けた支援を県として行っているところであります。
御提案申し上げております平成31年度当初予算案においては、2年目となる市町村の担当職員を対象とした研修会の開催のほか、新たに、市町村の保健指導体制で不足しております管理栄養士の派遣に要する経費を盛り込んでおり、円滑な実施に向けた助言を行いながら市町村のプログラム推進を支援してまいりたいと考えております。
〇小野寺好委員 保健指導を依頼するかかりつけ医、かかりつけ歯科医もさまざまでしょうし、多忙な医師が対象者から糖尿病性腎症重症化予防保健指導プログラム参加同意書をとって市町村長へ提出することは、煩雑さから忌避されるようにも思われますが、現状はいかがでしょうか。
県の役割としては、県民に対して糖尿病重症化予防の啓発を行い、市町村に対しては、糖尿病性腎症重症化予防に係る国や県の動向を周知、助言し、円滑な事業実施を支援するとされています。県民の健康長寿の観点から、糖尿病及び糖尿病性腎症重症化予防に関する県の取り組みの成果と今後の対策を総合的に伺います。
〇達増知事 県は、これまで市町村の糖尿病性腎症重症化予防プログラムへの取り組み促進を図るとともに、市町村の体制や医療機関の状況を踏まえ、連携のあり方などについて医師会等と協議する場を設けて調整を行うなど、市町村を支援する取り組みを進めてまいりました。
その結果、市町村と、かかりつけ医や地域で糖尿病治療を担う医療機関との連携が進んでおり、効果的な取り組みを推進できる体制が整ってきたものと考えております。こうした基盤整備により、これまで実施してきた生活習慣の改善の取り組みや、疾病の早期発見、早期治療に向けた特定健康診査受診率の向上の取り組みとあわせ、糖尿病予防や糖尿病性腎症の重症化予防に向けた総合的な対策が推進されることとなります。
今後、これらの取り組みが本格化してまいりますが、県におきましては、市町村の推進体制強化などの支援を行うとともに、岩手県医師会や岩手県糖尿病対策推進会議等と取り組み状況を共有し、円滑な実施に向けた助言を行いながら糖尿病対策を実効性のあるものとしてまいります。
〇小野寺好委員 終わります。ありがとうございました。(拍手)
〇軽石義則委員長 次に、樋下正信委員。
〔樋下正信委員質問者席に着く〕
〇樋下正信委員 無所属の樋下正信でございます。
総括質疑をさせていただきます。
まず、県有地の跡地活用についてでありますが、いわて県民計画(2019~2028)の初年度となる平成31年度当初予算は、新時代スタートダッシュ予算として編成されたところであります。このいわて県民計画(2019~2028)は、岩手の未来を切り開く羅針盤として多くの施策が盛り込まれましたが、計画の実現に向けては多額の経費も必要であり、財源確保に向けた取り組みも必要であると認識しております。
県有の未利用資産の処分も財源確保の有効な手法の一つであると考えますが、旧盛岡短期大学、旧自治研修所などの跡地活用の検討状況はどうなっているのかお伺いいたします。
〇佐藤企画理事兼総務部長 委員お尋ねの二つの資産のうち、旧盛岡短期大学の跡地につきましては、盛岡市において一部を山王児童・老人福祉センターの移転候補地として活用したいとの意向があり、このことを踏まえ、平成31年度当初予算案におきまして、活用されていない校舎等の施設の解体に向けた調査費等を計上したところです。
それから、旧自治研修所-旧第二分庁舎につきましては、現在、売却処分に向けた諸条件の整備を進めており、今後、他の未利用資産の処分も含めて引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
〇樋下正信委員 今のお話は大分前から出ているように思っておりましたので、早く前に進めていただければと思います。
次に、観光振興の取り組みについてでありますが、本県の観光振興策については、昨年の総括質疑においても、国内外からの観光客増加に向けた取り組みとして、盛岡城の再建や盛岡市大通を水路とするなどの大胆な施策が必要ではないかと取り上げたところでありますが、今般、盛岡市において、盛岡城跡公園に盛岡城の復元を目指した取り組みを進めていると伺っております。県都盛岡の観光の目玉として、ぜひとも実現してほしいものと大いに期待しているところであります。
そういった中、県もこうした動きに連動して、観光を切り口とした市町村に対する支援を積極的に実施、協力するべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
〇保副知事 盛岡市では、史跡盛岡城跡について、平成24年3月に史跡盛岡城跡保存管理計画を策定し、平成25年3月にはこの計画の基本方針に基づいて史跡盛岡城跡整備基本計画を策定しております。市では現在、これらの計画をもとに、盛岡城跡の建物の復元などを目指した資料収集、石垣の修復工事、電線の地中化などの取り組みを進めていると承知しております。歴史、自然、文化などの地域にありますさまざまな資源は、魅力的な観光コンテンツになると考えております。
私の経験で恐縮ですが、盛岡城跡公園の本丸の一番上にありますモニュメント。なぜあれが台座しかないのかというようなこと、それ一つとっても訪れる方にとっては非常に興味を引くものであります。
このように、資源をどのように観光に結びつけるかにおいて、市町村の方々が果たす役割は非常に重要であると思っております。
県におきましては、今後とも観光のコンテンツと捉えて、コンテンツの開発を担う人材の育成や、観光コーディネーターを地域に派遣する、あるいはモニターツアーを実施することによりコンテンツの磨き上げを支援してまいりますが、これにはぜひ市町村も一緒に参加していただき、市町村と県が一緒になって取り組むことを想定しております。市町村などが観光コンテンツづくりを具体的に進めるに当たっては、県も積極的に支援してまいりますし、広域振興局がこういった部分でさまざま取り組みを進めておりますので、ぜひ一緒にやっていただきたいと思っております。
〇樋下正信委員 ぜひ市町村と一緒になって進めていただくようにお願い申し上げたいと思います。
次に、伝統的工芸品月間国民会議全国大会についてでありますが、本年11月に第36回伝統的工芸品月間国民会議全国大会が19年ぶりに本県で開催されます。三陸防災復興プロジェクト2019、ラグビーワールドカップ2019に続く大型イベントであり、日本を代表する伝統的工芸品の南部鉄器のほか、岩谷堂箪笥や浄法寺塗、秀衡塗など、各地に多くの工芸品を有する岩手の魅力を全国に発信する絶好の機会として、前回の大会以上の盛り上がりを期待しているところであります。
伝統工芸産業は、全国的に後継者不足や需要の低迷による生産額の落ち込みなど多くの課題を抱えております。関係する市町村、関係団体との連携のもと、本大会を成功させるのはもちろんでありますが、このイベントを一過性のものとせず、本県の伝統工芸産業の持続的な発展の契機とすることが重要であると考えます。
本大会開催に向けたこれまでの取り組み状況はどうなっているのか、また、この大会に期待する効果や、今後、大会を契機にどのような取り組みが必要と考えているのかお伺いいたします。
〇保副知事 伝統的工芸品月間国民会議全国大会は、ことし11月の開催に向けて、昨年6月に県や関係する市町村、団体等で構成する準備委員会を設置して開催内容や経費負担について検討を重ね、本年度内には基本計画を策定いたしまして、来年度は、この準備委員会を母体に推進協議会という形に移行し、大会開催に向けた取り組みを本格化させることにしております。
この大会は、東日本大震災津波の復興支援に対する感謝を伝え、未来に向けた伝統的工芸品の魅力の発信、次代を担う若者の理解促進を図る貴重な機会であることに加えまして、展示販売や国内外に向けた商談会を同時に開催する予定であります。県内の関連業界にとっては大きなビジネスチャンスになると期待しております。
県といたしましては、今、委員からお話がありましたとおり一過性のものにせず、伝統的工芸産業の持続的な成長を図るため、この大会を契機として、工芸品に関連する事業者の技術力、デザイン力の高度化を図り、昨今のライフスタイルの変化に対応した新商品の開発、あるいは大会を通じて構築するネットワークを生かして、新たな購買層の開拓に取り組み、事業の発展に寄与していきたいと考えております。
〇樋下正信委員 ぜひ関連する団体としっかりと連携しながら、成功に向けて取り組むようお願いしたいと思います。
次に、公立学校のエアコン整備についてでありますが、昨今の記録的な猛暑に起因する健康被害の発生状況等を踏まえ、早期に子供たちの安全と健康を守るため、国は平成30年度補正予算においてブロック塀・冷房設備対応臨時特例交付金を創設し、本県でも、本交付金を活用し、県内公立小中学校などに熱中症対策として空調設備の整備が進められております。
児童、生徒等の学習環境の安全性を早期に確保することは重要でありますが、業界団体からは、設計、工事発注が一斉に行われることにより、空調設備等の需要が局所集中的にふえ、供給が逼迫することを懸念する声も聞こえているところであります。また、学校の規模等に応じ、適切な整備水準の検証や、電気式、またはガス式などの空調方式の選択についても、トータルコスト、機器の需給状況等を検討し、実施する必要があると考えます。
今回の空調設備の整備を円滑に進めるため、本県での電気工事、また、管工事業者等に対する情報提供の状況はどうなっているのか、また、発注の平準化、効率化に向けた取り組み、整備方式の検討状況はどうなっているのかお伺いいたします。
〇千葉副知事 公立学校へのエアコン整備についてでありますが、教育委員会におきましては、文部科学省及び経済産業省からの要請を受けまして、昨年12月に関係する全ての事業者団体にお集まりいただき、県内の需要に応えることができる万全の態勢を敷いていただくことを要請するともに、国のブロック塀、冷房設備対応臨時特例交付金の対象となる公立学校へのエアコン設置について、その規模感などを御説明し、県内の事業者に対する情報提供や空調設備工事需要への円滑な対応について要請したところです。
教育委員会における特別支援学校へのエアコン設置につきましては、関係補正予算を本議会で議決いただいたところですので、現在、発注に向けて具体的な手続を進めるとともに、高等学校についても、現在、御審議いただいております当初予算成立後に同様の対応をしてまいります。
また、文部科学省からは、設計施工一括方式など多様な入札契約方式の導入について詳細な内容が示されており、教育委員会におきましては、その内容を踏まえ県立学校についての入札契約方式を検討しているところであり、また、各市町村教育委員会にも伝達しているところです。
その伝達内容においては、具体的な空調方式について、トータルコストや施工性、機器の需給状況、地域性等の諸条件の総合的な評価を行い、適正な方式を検討するよう努めるものとされておりまして、現在、各市町村においても検討を進めているものと認識しております。
〇樋下正信委員 ぜひ各団体の声もしっかり聞いて対応していただければと思います。
次に、新規就農者の確保、育成対策についてでありますが、県では、年間260人の新規就農者の確保を目標として就農計画の作成や計画実現に向けた支援を実施し、新規就農者が早期に自立、定着するよう取り組んできたところであります。平成29年度の新規就農者は218人と、目標はおおむね達成されたものの、定着状況は農業雇用者が66%と低く、農業法人等とのマッチング機会や就農後の相談体制の充実が必要であると考えます。
また、跡取りがいない個人農家に対して、受け皿となる農業法人を設立し-私の地元ではこういったことを結いっこと言っておりますが-隣近所の方々が互いに農作業を助け合うような形で技術を習得させ、将来、古民家などを使って農家レストランのオープンへとつなげるなど、後継者の育成から生産、加工、販売と、6次産業化に発展するまでの一貫した支援をするような仕組みがあってもいいのではないかと考えます。
岩手の農業を支える担い手の育成は喫緊の課題であり、こうした状況を踏まえ、県では今後どのような取り組みを進めていこうとしているのかお伺いいたします。
〇保副知事 まず、新規の就農者の確保についてでありますが、県ではこれまで、岩手県農業公社をワンストップの窓口といたしまして、県内外における就農相談会や研修の受け入れのあっせん、短期農業体験を実施してまいりました。そのほか、農業大学校生を対象とした農業法人等による会社説明会の開催、新規就農者に対し、年間で最大150万円を交付する農業次世代人材投資事業の活用、それから経営の発展に必要な機械導入や施設整備への支援などを行っており、これらは今後とも継続して実施してまいります。
雇用される形で就農した方々の定着率の向上に向けましては、生産技術の情報共有、あるいは就農者同士のつながりを深めるため、新たに就農した若い方々を孤立させてはいけないという観点から新規雇用就農者等ネットワーク研修会といったものを開催しており、これらも引き続き実施してまいります。
今、結いっこのお話を御紹介いただきましたが、私はそれを存じませんでしたが、伺っていて、新しい計画案に盛り込んでおります活力ある小集落実現プロジェクトにも相通ずるものがあると感じたところです。
いずれ、数少ない貴重な新規の就農者、そしてその方が継続して農業に携わって発展していけるようにしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
〇樋下正信委員 大きい規模では生産組合とかいろいろできてはいますが、小単位の農家にも光がしっかり当たるような取り組みをしていただきたいと思います。
ありがとうございました。以上で質疑を終わらせていただきます。(拍手)
〇軽石義則委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午前11時59分 休 憩
午後1時2分再開
〇軽石義則委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。次に、吉田敬子委員。
〔吉田敬子委員質問者席に着く〕(拍手)
〇吉田敬子委員 無所属の吉田敬子です。
妊産婦支援についてお伺いいたします。
県の積極的な取り組みにより、産前・産後サポート、産後ケア事業が市町村への広がりを見せていることに改めて感謝と敬意を表します。
しかしながら、宿泊型やデイサービス型の産後ケア事業は、限られた市町村でしか実施されておりません。これらの事業は産婦の利用満足度がとても高く、所在市民に限らず広域的に利用できるよう、団体に対して県の助成などを検討すべきではないかと考えます。また、現在、産科診療所開設等支援事業を行っていますが、産後ケアを開設しようとする産科医療機関等への人材確保や研修等への補助の拡充も検討すべきではないかと考えます。
国では、2020年度までに子育て世代包括支援センターの全市町村への設置を求めています。センター設置の目的は、保健師、助産師などの専門職員が、全ての妊産婦と子供の状況を継続的に把握し、必要な支援を行うワンストップ拠点となることにあります。
来年度新規のいわての妊産婦包括支援促進事業は大変有効と考えるところであり、加えて産後ケア事業の広域的な展開や産科医療機関等の人材の確保、育成への支援、市町村が設置する子育て世代包括支援センターにおける体制整備などに取り組む必要もあると考えますが、その方向性について知事に伺います。
〇達増知事 妊産婦に対しては、市町村が実施主体となり、保健師等が継続して支援を行う子育て世代包括支援センターや産前・産後サポート、産後ケアなどの施策が総合的に実施されており、県では、安心して妊娠、出産、子育てができる環境の構築に向け、市町村に対して、各種会議等を通じてセンターの設置や産後ケア事業等の実施を働きかけるとともに、支援を行う潜在助産師等の掘り起こしによる専門人材の確保や、研修会による母子保健指導者等の資質向上を支援してまいりました。
妊産婦に対する支援について県内市町村に実施したアンケート結果によりますと、専門職員の人材確保が難しいことや対応スキルの不足、地域で妊産婦等を支援する機関が少ないなどの課題が挙げられています。
県としては、専門人材の確保や人材育成研修の取り組みを継続するとともに、来年度においては、当初予算案にセンターの職員が妊婦訪問時に配布する啓発物品等の経費の一部を補助する、いわての妊産婦包括支援促進事業を盛り込んだところであります。
これらの事業を通じて、市町村における子育て世代包括支援センターの体制整備を支援するとともに、市町村や関係機関等と意見交換しながら、広域の取り組みも含めて、地域の実情に応じた事業展開ができるよう助言を行い、引き続き、妊産婦の包括的な支援に向けて取り組んでまいります。
〇吉田敬子委員 昨年3月に県でこれをつくられてから、今年度は、多分いろいろなところに配布されているのだろうと思っておりました。すばらしいリーフレットをつくられたと思っているのですが、やはり支援が必要な方に届くとか、あとは、安産には妊娠前からの体づくりが必要ということなので、高校でもいろいろな授業をやっているかと思いますが、そういったところにもぜひ利活用していただくよう加えてお願いしたいと思います。
次に、乳児用液体ミルクの災害時における導入についてお伺いいたします。
昨年8月に省令の改正がなされ、液体ミルクの国内での製造、販売が解禁されました。きのうの報道でもありましたし、ことしの3月11日に発売されるときょうの新聞に載っておりました。沸かしたお湯で溶かさなければならない粉ミルクとは違い、液体ミルクは、停電時やガス、水道がとまっていても使用可能で、常温で約6カ月の保存が可能です。
平成26年3月に策定された岩手県災害備蓄指針では、乳幼児及び妊産婦等の要配慮者のための育児用品、女性用品等の物資については、災害時に必要量を調達できるよう民間団体等との協定の締結などを進めていくこととしていますが、液体ミルクを災害時の調達品目の一つとすることについて、液体ミルクの安全性に関する情報提供など、市町村への普及啓発も含めて、県の見解をお伺いいたします。
〇佐藤企画理事兼総務部長 乳児用液体ミルクの災害時における導入についてでありますが、液体ミルクにつきましては、委員御案内のとおり、昨年8月に国内での製造、販売に必要な安全基準等が整備され、関係省庁における手続を経て、間もなく販売されるとの報道がされているところであります。
液体ミルクは、粉ミルクで使うお湯を必要とせず、それから、持ち運びができるなどの利点があり、災害備蓄として活用も考えられます。
報道等もありまして、内閣府に確認したところ、内閣府が平成25年5月に策定した男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針について、平成31年度中に改定を予定しているとのことであります。この改定作業に当たっては、検討会の開催や専門家のヒアリングを行った上で進める予定とのことでありますので、県の備蓄物資に加えるかどうかについては、液体ミルクの販売開始以降の流通状況や使用者の声などを把握し、また、内閣府の取組指針の改定の検討状況を見ながら、前向きに検討してまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 北海道胆振東部地震の際には、東京都から支援物資として送られてきたのですが、危険と表示され使われなかった事例がありました。そういった安全性に関する情報を含め、市町村への普及啓発を進めていただきながら、ぜひ御検討をよろしくお願いいたします。
次に、不妊治療についてお伺いいたします。
不妊治療を受ける者は年々増加し、夫婦の5.5組に1組が不妊検査や治療経験があるとの統計がある一方、治療は長期にわたり平日に通院が繰り返し必要となることから、不妊治療と仕事の両立が大きな課題となっています。
国などの統計によると、不妊治療の経験者の約9割が仕事との両立が困難と回答し、勤務先に対しては、不妊治療のための休暇制度の創設などを求める声が多くなっています。一方で、不妊治療のための休暇などの支援制度がある企業は、全国で9%にとどまるほか、制度化していないものの個別の支援を行っている企業も約21%、残りの約70%は支援が全くないのが現状です。
また、岩手県不妊専門相談センターでは電話相談と面談を行っていますが、平日に限られている状況です。さらには、現在、岩手県で特定不妊治療を受けられるのは2施設に限られており、県外の医療機関を受診する方も多いと聞いています。移動などの負担もあることから県内で受診できることが望ましいと考えます。
企業への理解促進と支援策に関して、今後の取り組みと相談体制の実態及び不妊治療の県内の医療機関における受診状況についてお伺いいたします。
〇千葉副知事 まず、企業への理解促進と支援策に関する今後の取り組みについてでありますが、県においては、企業に対して、平成29年度に国が作成いたしました仕事と不妊治療を両立しやすい職場環境づくりを進めるためのリーフレットを、各保健所が行う企業訪問の際に配付しているほか、いわて働き方改革アワードの審査項目といたしまして、不妊治療を含む休暇制度の規定の有無を盛り込み、不妊治療への理解促進に努めますとともに、各保健所においては、支援制度を検討している企業からの相談に対応し、その取り組みを支援しております。
次に、相談体制の実態についてでありますが、県が岩手医科大学に委託しております岩手県不妊専門相談センターでは、平日の一定時間、相談に対応しており、昨年度は、電話相談が55件、面接相談が32件で、合わせて87件の相談実績となっており、一昨年度の62件に比べ、25件増加しております。
また、不妊治療の県内の医療機関における受診状況についてでありますが、盛岡市を含めた特定不妊治療の給付決定件数は、平成28年度は877件、平成29年度は863件とおおむね横ばいの状況です。昨年度863件のうち58.2%に当たります502件が、県内の医療機関での受診となっており、これまでは県外の医療機関の受診件数のほうが上回っている状況でしたが、昨年度は県内の医療機関の受診件数が上回ったという状況になっております。
今後とも、県におきましては、不妊に悩む方への相談支援に努め、特定不妊治療への助成を継続して実施するとともに、岩手医科大学などの専門医師等で構成する不妊治療協議会における意見等も踏まえながら、県内の不妊治療体制の充実について検討してまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 県民の健康づくりについてお伺いいたします。
働き盛り世代の健康づくりに向けて、今年度から実施している県民主体の健康度アップ支援事業は、取り組み企業22社中、平均内臓脂肪面積が減少した事業所数が、男性で16社、女性で19社という結果であり、有効と感じます。企業だけではなく、個人も参加できる仕組みや、歩数などによる健康ポイント制度はさらに有効と考えます。
来年度実施するビッグデータを活用した新規事業とともに、医療費の削減、介護予防にもつながると期待する事業の一つと考えますが、来年度、両事業をどのように展開していくお考えかお伺いいたします。
〇千葉副知事 まず、県民主体の健康度アップ支援事業についてですが、本県の65歳未満の年齢調整死亡率が全国平均より高い状況を踏まえまして、働き盛り世代の健康づくりを推進するため、企業の健康経営の取り組みの促進とともに、本年度強化した取り組みであります。
この事業により、歩行数の増加や食生活の改善を促すことで内臓脂肪の減少といった具体的成果が個々に見られたことから、今後の施策展開の大きな弾みになると考えております。
したがいまして、今御提案しております平成31年度当初予算案におきましては、引き続き、本事業を実施するための経費を盛り込み、企業が行う健康づくりの支援を強化するともに、御提案の健康ポイント制度などのような県内外の優良事例を県内市町村に横展開する取り組みや、県民から応募があった実践企画を施策に生かす取り組みなども進めていきたいと考えております。
次に、医療等ビッグデータ利活用促進費についてでありますが、全国有数の県立病院ネットワークなどを有する本県の優位性を生かしまして、電子カルテデータの利用を含めた健康課題の解決に資する健康、医療、介護データの分析や活用を図るための基盤整備に取り組むものであります。
来年度は、有識者の御意見を伺いながら、既に標準化されております県内の特定健診データと医療、介護データ等を集積、連結し、データ分析できる環境の整備や、病院ごとに異なる様式で保管されている電子カルテデータを連結し、分析する手法などについて、調査研究を行うこととしております。
今後とも、市町村等の関係機関と連携しながら、また、他県などの優良事例にも学びながら、県民の健康づくりを促進するとともに、医療等のビッグデータを分析、活用し、介護予防や医療費等の適正化に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 周産期医療情報ネットワークシステムのいーはとーぶというものがあるのですが、今回のビッグデータを活用したものと一緒になったりするものなのか、現時点で何か考えがあるのかを確認したいと思います。
〇千葉副知事 現在、どのようなビッグデータのネットワークを構築するかという手法などの議論が先行しておりまして、できるだけ多くのネットワークの情報が連結することが望ましいと考えておりますが、まずはマクロな取り組みからスタートしていくものと保健福祉部からは聞いております。
〇吉田敬子委員 次に、アパレル産業の振興についてお伺いいたします。
ことしで6回目となる北いわて学生デザインファッションショーが先日開催されました。文化ファッション大学院大学との連携や北いわて仕立て屋女子会の取り組みなど県内外への広がりも感じますが、県民が、さらにその技術やファッションを身近に感じられるよう、販売会等を設けるなどの工夫も必要と考えます。
事業者の生産額増加や若者、女性等の雇用創出等にもつながっているのかお伺いします。また、アパレル産業の振興に向けて、来年度はどのような取り組みを実施していくお考えかお伺いいたします。
〇保副知事 アパレル産業につきまして、まず、生産額の状況についてですが、国の工業統計調査の本県の繊維工業の分ということで申し上げたいと思います。
この繊維工業の製造品出荷額は、平成23年に203億円(後刻「207億円」と訂正)、平成27年に269億円、平成28年には314億円と確実に増加してきている状況にあります。
これは、県がこれまで進めてきました学校法人文化学園との連携による縫製技術の指導を初め、御紹介のありました北いわて学生デザインファッションショー、それから、盛岡でのいわてアパレルコレクションの開催によります産業としての盛り上げや首都圏での商談会を通じた取引支援等の振興策が寄与しているものと認識しております。
こうした取り組みにより、県北地域におきましては、この文化学園の大学生が縫製企業に就職した事例や首都圏の美容院の経営者が転身して、Iターンで起業したといったような事例が出てきているほか、高い技術力を習得した盛岡の縫製企業の女性従業員が、技能五輪全国大会において上位に入賞を果たすといったようなこともありまして、アパレル産業は、特に県北地域ではそうですが、岩手県全体としても大きな産業として位置づけられるのではないかと考えております。
来年度は、これまで取り組んできたものもしっかりやっていきますが、文化学園とのつながりがあるデザイナーなどの方々を招聘いたしまして、縫製事業者を訪問して商品企画の指導をしたり、文化学園の学生がインターンシップで県内の事業所で短期の体験をするといったような新たな取り組みも行うということでありますし、さらには、新たに本県オリジナルの防災服の製作に取り組むというようなことも考えているところです。
今、答弁を間違えたようでございます。平成23年の出荷額を203億円と答弁いたしましたが、207億円の間違いでございます。失礼いたしました。
〇吉田敬子委員 生産額と、雇用にもつながっているということで、すばらしいと思っておりますが、やはり今北いわて学生ファッションショーは6年目を迎えて、実績としてあらわれなければいけないと思っていますので、引き続き、北岩手だけではなく県内に大きく広がっているので、雇用につながるように頑張っていただきたいと思っております。
先ほど触れた県民の方々から、実際にファッションというか洋服を買える機会というか、どこで売られているのかと言われることが多く、私も買ってみたいという方がいらっしゃるのです。せっかく頑張っている中で、身近に触れる機会というか、販売会を、ファッションショーのときでいいのか、いろいろ検討していただきたいのですが、年に1回でもいいから、そういうことがあってもいいのではないかと私は考えておりますので、ぜひ御検討をよろしくお願いいたします。
ちょっと順番を変えて、先に、いわての森林づくり県民税についてお伺いいたします。
県民税を活用した間伐等の森林整備活動は山間部で実施されており、県民に取り組みが見えないという声が聞かれます。ユーチューブでの配信や小学生向けリーフレットの作成などにも取り組んでいますが、県民税の認知度の向上を図り、県民へのわかりやすい報告がさらに必要と感じます。
県は昨年、森と自然の育ちと学び自治体ネットワークに参加表明されました。市町村が行う新生児や保育所等への木製品の贈呈に対する助成など、県民税を活用した子育て支援についてこれまでも提言させていただいていますが、来年度から国が森林環境譲与税を導入しようとする中、前述の県民へ取り組みが見えないという声に応えるためにも、県民税の特色を出すことも重要なのではと考えます。
滋賀県は、森のようちえんなどの自然保育や幼児教育への県民税による支援も検討しています。12月定例会では、岩手県立盛岡第一高等学校の生徒たちから、地域材を活用したアスレチックの建設に係る陳情もありました。年間約20万人が訪れる県の森林公園の施設整備や市町村が行う新生児への木製品の贈呈など、県民が身近に感じるような県民税の使途拡大も検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。知事にお伺いいたします。
〇達増知事 いわての森林づくり県民税は、本県の豊かな森林環境を次の世代に良好な状態で引き継いでいくことを目的に、森林環境保全に関する施策に要する費用に充てるものとし、公益的機能の高い森林へ誘導する間伐や、地域住民等が取り組む森林づくり活動の支援、森林環境保全の理解醸成などに取り組んでいるところであります。
県民税は、現在、2020年度を終期とする第3期の取り組みを推進しているところでありまして、第3期終了後の県民税のあり方について、その使途を含め、今後、県民の皆様を初め、事業評価委員会や県議会、市町村の御意見なども広くお伺いしながら検討を進めてまいりたいと思います。
〇吉田敬子委員 いつも質問させていただいている中で、やっぱり審議会や市町村の声を聞きながらという声をいただくのですが、知事から御意見があれば、きっと審議会でも検討をしていただけるのではないかと思っております。知事の出身校の県立盛岡第一高等学校からもこういった声があり、そういう声に応えていただくためにも、ぜひ知事に前向きな検討を改めてお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇達増知事 森林づくりについては、高度な専門性と、一方で住民目線の森林への親しみやすさのような感覚の中でどう施策を展開していくかがポイントだと思います。そういう意味で、専門家と住民の声を反映するような意見のすり合わせが大事だと思っておりまして、それがうまくいくよう指導してまいりたいと思います。
〇吉田敬子委員 ぜひ県民の皆さんに見えるような税金の使い方について検討をお願いいたします。
以上です。ありがとうございました。(拍手)
〇軽石義則委員長 以上で総括説明に対する総括質疑を終わります。
知事を初め、執行部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
これより各部局別の審査に入るわけでありますが、委員席の移動を行いますので、その間、暫時休憩いたします。
午後1時26分 休 憩
午後1時48分再開
〇千葉絢子副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
これより部局別の審査を行います。
質疑につきましては、議会運営委員会の決定及び世話人会の申し合わせにより、質疑項目が複数ある場合、関連する事項はできるだけまとめて質疑を行うこと、他の委員と重複した内容の質疑は極力避け、どうしても必要な場合には、関連質疑として、短時間かつ簡潔に行うことを基本とすること、数値の確認のみの質疑や要望のみの発言は原則として行わないことについて、御協力をお願いいたします。
また、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、質疑及び執行部の答弁は簡潔明瞭に行い、この後、議会、総務部関係について延べ10人の質問者を予定しておりますので、午後5時を目途に審査が終了するよう議事進行に御協力をお願いいたします。
初めに、議会事務局長に議会関係の説明を求めます。
〇泉議会事務局長 平成31年度の議会関係の歳出予算について御説明申し上げます。
お手元の議案その1の6ページをお開き願います。
議会関係の歳出予算は、第1款議会費の15億4、604万円余であります。これを前年度の当初予算と比較いたしますと1億1、108万円余の増、率にして7.7%の増となっております。増額となった主な内容は、議員会館の空調設備等の改修に要する経費及び本会議場の放送設備の改修に要する経費などであります。
予算の内容につきましては、便宜、予算に関する説明書により御説明申し上げますので、予算に関する説明書の85ページをお開き願います。
なお、金額の読み上げは省略させていただきます。
第1款議会費第1項議会費のうち、第1目議会費は、議員の報酬、旅費等の議会運営に要する経費であります。次に、85ページから86ページにかけてでありますが、第2目事務局費は、議会事務局職員の人件費及び事務費、本会議場の放送設備の改修を実施するための経費等、事務局の管理運営に要する経費、並びにタブレット端末を試行的に導入し、議会の情報化を推進するための経費であります。次に、86ページでありますが、第3目議員会館費は、議員会館の管理運営に要する経費、並びに議員会館の空調設備、電気設備及び自家用発電機の改修を実施するための経費であります。
以上で、議会関係の予算についての説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇千葉絢子副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇斉藤信委員 それでは、3点質問いたします。
一つは、県議会の受動喫煙の防止対策についてであります。
ラグビーワールドカップ2019釜石大会を開催するに当たって、私は、たばこのないワールドカップということになるのだと思います。県庁、県議会も敷地内禁煙を徹底すべきではないかと思いますが、いかがですか。
〇泉議会事務局長 受動喫煙の防止対策につきましては、平成30年7月25日に健康増進法の一部を改正する法律が公布され、また、今般、改正法の施行に関し、健康増進法の一部を改正する法律の施行について、平成31年2月22日付で厚生労働省健康局長から通知があったところであります。
改正法における施設類型ごとの取り扱いでは、望まない受動喫煙をなくすという観点から、学校や病院などの子供や患者等が主たる利用者となる施設や行政機関は第1種施設、敷地内禁煙となり、これら以外の事務所や工場、飲食店等は第2種施設として、原則屋内禁煙、喫煙専用の室内のみ喫煙可能となる施設に分類されるものであります。
厚生労働省のホームページ掲載の改正健康増進法の体系によりますと、国会議事堂や裁判所は、行政機関の庁舎等には含まれず、第2種施設に分類されており、各施設が明確に区分されている地方議会の議会棟も第2種施設に分類されることから、本県議会棟につきましては、敷地内禁煙ではなく、原則屋内禁煙となるものであります。
今後の議会棟の受動喫煙の防止対策につきましては、こうした点のほか、全国の都道府県議会の対応状況などを踏まえ、議員間で協議されるべきものと考えております。
〇斉藤信委員 第2種だ、屋内禁煙だということですから、私は、これは法律ですから、法律に基づいた議会の判断が問われることだと思いますので、これは追って、しかるべきところでしっかりと議論していただきたい。
それで、都道府県庁舎、議会棟の敷地内禁煙の実施状況、県内の庁舎、公共施設の敷地内禁煙の実施状況はどうなっているか示してください。
〇泉議会事務局長 平成30年8月に新潟県で実施した全国調査によりますと、敷地内禁煙をしている県庁舎は1庁舎、議会棟はなしとなっておりますが、大阪府議会は府庁舎と一体の施設となっており、実態上、敷地内禁煙となっております。また、秋田県議会においては、昨年10月から敷地内禁煙としているとのことであり、これを踏まえますと、現在2府県議会において敷地内禁煙となっております。
次に、県内の庁舎、公共施設の敷地内禁煙の実施状況についてでありますが、健康国保課の調査によりますと、平成30年8月1日現在の県立施設における敷地内禁煙の実施状況は、屋内施設431施設では117施設が敷地内禁煙となっており、また、屋外施設17施設では2施設が敷地内禁煙となっております。
〇斉藤信委員 県内の市町村の動向はわかりますか。
〇泉議会事務局長 県内の市町村の公共施設等につきましては、把握しておりません。申しわけございません。
〇斉藤信委員 わかりました。県内、県立施設でも117施設が敷地内禁煙をやっていると。学校、県立病院はもちろんそうであります。私は、やっぱり議会こそ、こういう取り組みの先進的役割を果たすべきだと思うのです。そのことは、この場で指摘だけにとどめておきます。
次に、二つ目ですが、県議会における海外行政視察の実施状況についてお聞きいたします。
2018年度、都道府県議会の海外行政視察の実施状況はどうなっているでしょうか。また、来年度の実施の申請は、岩手県議会ではあるのでしょうか。
〇泉議会事務局長 平成30年度における全国の都道府県議会の海外行政視察の実施状況についてでありますが、本年1月25日現在で、実施が30府県、実施せずが13道県、未定が4都県となっております。
次に、本県議会における来年度の実施予定者についてでありますが、平成31年2月6日付で、平成31年度の海外行政視察の希望を照会しているところでありますが、現在までのところ、海外行政視察議員派遣提案書は提出されておりません。
〇斉藤信委員 平成30年度の全国の都道府県議会における海外行政視察は、実施せずが13と。未定といっても、3月5日の時点ですから、4県を合わせると私は17都道県が未実施ということになるのではないかと思います。戦後最大の大災害を受けた岩手県は、こうした中で、本来、海外行政視察はやるべきではなかったと私は思っていますが、来年度の申請は3月1日まででなしと、これは確認しておきたいと思います。
そうすると、来年度予算は計上されていると思いますが、幾ら計上されているのですか。
〇泉議会事務局長 平成31年度当初予算につきましては、1人当たり90万円、全体で12名、1、080万円の予算を計上しております。
〇斉藤信委員 では、最後の質問です。政務活動費の領収書のホームページでの公開について、全国の動向、そして、県内の市町村の動向について示してください。
〇泉議会事務局長 まず、全国の政務活動費に係る領収書のホームページでの公開状況についてでありますが、岩手県議会事務局で本年2月28日現在で調べたところ、大阪府、兵庫県など14都府県において公開しております。また、今後の公開予定についてでありますが、京都府、山口県など4府県で平成30年度交付分から、秋田県では平成31年度交付分から公開を予定しているところであります。
次に、県内の市町村の政務活動費に係る領収書のホームページでの公開状況についてでありますが、同じく2月28日現在で、盛岡市、宮古市など9市町において公開しております。
〇斉藤信委員 この政務活動費の領収書のホームページにおける公開というのは、ほとんど新たな財源なしで実施できる。こういうものは議会改革でも最優先で実施すべき課題だったのではないかと。
政務活動費の問題については、岩手県議会は、全国に先駆けて領収書の添付を実施したのですよ。ところが、その後改革が進まない。今、答弁があったように、18の都府県議会では領収書のホームページでの公開が既に実施されている。県内でも市町村議会のレベルでも9市町ですよ。そういう意味で、これも議会運営委員会または議会改革推進会議で議論することだと思いますし、こういう課題こそ、県議会の最優先の課題として議会改革を進めるべきではないのかと。
これは事務局長に聞くわけにはいかないので、私は、会派議員の皆さんにこのことを率直に訴えて、私の質問を終わります。
〇千葉絢子副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇千葉絢子副委員長 質疑がないようでありますので、これで議会関係の質疑を終わります。
議会事務局の皆さんは退席されて結構です。お疲れさまでした。
次に、総務部長に総務部関係の説明を求めます。
〇佐藤企画理事兼総務部長 それでは、総務部関係の議案につきまして御説明申し上げます。
議案の説明に入ります前に、平成31年度当初予算の編成に当たりまして、当部の基本的な考え方について御説明いたします。
平成31年度当初予算は、東日本大震災津波からの復興と平成28年台風第10号災害からの復旧、復興に最優先で取り組むとともに、いわて県民計画(2019~2028)に掲げる県民みんなで目指す将来像の実現に向け、多様なニーズに応じた特色ある私学教育の充実、高等教育機関と連携した地域づくり・人づくり及び自助、共助、公助による防災体制づくりなどを重点施策とし、予算を編成したところであります。
なお、組織体制の整備に伴い、学事関係業務を政策地域部に、入札業務を出納局に、それぞれ事務事業を移管しようとするものであり、これらの事業内容についても、当部から御説明申し上げます。
まず、多様なニーズに応じた特色ある私学教育の充実についてでありますが、私学教育の充実が図られるよう、私立学校への運営費補助や就学支援金の交付、授業料の減免補助等について、継続して実施しようとするものであります。
高等教育機関と連携した地域づくり・人づくりについては、公立大学法人岩手県立大学の第三期中期目標、中期計画を踏まえ、同大の地域の未来創造に貢献するための取り組みについて支援しようとするものであります。
自助、共助、公助による防災体制づくりについては、東日本大震災津波や近年の各種災害における経験、教訓を踏まえ、県民一人一人の防災意識の向上や、地域コミュニティーを基盤とした防災体制の強化、国、県、市町村、防災関係機関が連携し、防災、減災体制の強化などの取り組みを推進しようとするものであります。
このほか、歳入の確保を図るため、県税につきましては、引き続き滞納整理の強化による収入未済額の縮減や課税対象の適切な捕捉などに取り組んでまいります。
あわせて、いわて県民計画最終案に掲げる政策の実効性を高めるため、行政経営プランを推進し、将来にわたって安定的な財政構造の構築が図られるよう、中長期的な視点に基づき、歳出の重点化や行政の効率化に取り組んでまいります。
以上が、平成31年度予算編成に当たりましての総務部の基本的な考え方であります。
続きまして、議案第1号平成31年度岩手県一般会計予算中、総務部関係の歳出予算について御説明申し上げます。
なお、説明におきましては、金額の読み上げは省略させていただき、主な内容について申し上げます。
お手元の厚い冊子、予算に関する説明書87ページをお開き願います。平成31年度当初予算一般会計の総務部関係の予算総額は、共通経費、予備費を含み1、662億8、400万円余であり、前年度と比較し166億9、600万円余の減額となっております。これは、公債費の減少のほか、組織体制の整備に伴い事務事業を他部局に移管することなどによるものであります。
それでは、予算の内容について御説明申し上げます。
第2款総務費第1項総務管理費第1目一般管理費は、平成31年度当初予算額31億592万円余のうち、総務部関係は、説明欄の上段に記載しております22億2、802万円余、説明欄の下段に記載しております共通経費の1億9、839万円余を合わせた24億2、641万円余であり、これは、職員の人件費などの管理運営費であります。また、説明欄の中段、出納局中、県営建設工事請負人選定費や入札事務改善推進費などの入札業務に要する経費を出納局へ移管するものであります。
88ページをお開き願います。第2目人事管理費は、職員研修費や退職手当などであり、説明欄の上から6番目、庁内保育施設整備費は、当該施設の整備に要する経費について計上しようとするものであります。次の第3目文書費は、法規審査事務や文書事務のほか、情報公開、個人情報保護制度の推進に要する経費であります。89ページに参りまして、第4目財政管理費は、財政管理事務や各種基金への積立金などであります。90ページをお開き願います。第6目財産管理費は、県庁舎や地区合同庁舎、職員公舎及び通信施設設備の更新、整備や維持管理などに要する経費であり、説明欄の下から三つ目の財産管理費は、未利用資産の売却に向けた測量等に加え、旧盛岡短期大学の校舎等の施設の解体に向けた調査費等を計上しようとするものであります。91ページに参りまして、第8目県外事務所費は、東京事務所の管理運営に要する経費であり、第9目恩給及び退職年金費は、恩給、退隠料及び扶助料等に関する経費であります。92ページをお開き願います。第10目諸費は、宗教法人設立認証事務や公益法人関係事務等に要する経費及び共通経費であります。
少し飛びまして、96ページをお開き願います。第3項徴税費第1目税務総務費は、税務関係職員の人件費などの管理運営費や県税の還付に要する経費であり、第2目賦課徴収費は、個人県民税徴収取扱費交付金など賦課徴収に要する経費であります。
少し飛んでいただきまして、104ページをお開き願います。第6項防災費第1目防災総務費は、防災関係職員の人件費などの管理運営費のほか、防災ヘリコプターひめかみの運航に要する経費などであり、平成31年度は、地域防災力の強化に向け、新たに防災士制度を活用した自主防災組織の中核人材の育成に取り組もうとするものであります。次の第2目消防指導費は、消防学校の運営に要する経費や危険物の取り扱いの指導等に要する経費であります。
次に、飛びまして、217ページをお開き願います。第10款教育費第1項教育総務費第4目教育指導費のうち、政策地域部中、いじめ防止対策推進費を同部へ移管するものであります。
次に、飛びまして、233ページをお開き願います。第8項大学費第1目大学費は、政策地域部への移管科目であり、公立大学法人岩手県立大学に対し、運営費交付金等を交付しようとするものであります。
234ページをお開き願います。第9項私立学校費第1目私立学校費は、政策地域部への移管科目であり、私立学校への運営費補助や就学支援金の交付、授業料の減免補助等について、継続して実施しようとするものであります。説明欄の一番下の子ども・子育て支援交付金は、2月12日に閣議決定された幼児教育、保育を無償化する子ども・子育て支援法改正案に対応し、私立幼稚園及び預かり保育の利用料に係る県負担分を計上しようとするものであります。
次に、飛びまして、244ページをお開き願います。第12款公債費第1項公債費第1目元金922億8、555万円余のうち、総務部関係は920億2、686万円余であり、第2目の利子と合わせ公債管理特別会計へ繰り出し、県債の償還を行おうとするものであります。次の第3目公債諸費は、銀行等引受債の発行手数料などであります。
次に、飛びまして、247ページをお開き願います。第13款諸支出金第3項地方消費税清算金第1目地方消費税清算金は、都道府県間での地方消費税の清算を行う経費であり、次の248ページ、第4項利子割交付金第1目利子割交付金から254ページの第10項環境性能割交付金第1目環境性能割交付金までについては、いずれも市町村に交付する交付金であります。
なお、第10項環境性能割交付金については、2019年10月からの自動車の車体課税の見直しに伴い、従前の自動車取得税交付金が廃止となり、新たに環境性能割交付金が創設されるものであります。
次に、255ページに参りまして、第11項利子割精算金第1目利子割精算金は、都道府県間での利子割の精算を行う経費であります。
257ページの第14款予備費は、前年度当初予算と同額の3億円を計上しようとするものであります。
恐れ入りますが、議案その1の11ページをお開き願います。第2表債務負担行為の表中、総務部関係は、1庁内保育施設整備及び2地区合同庁舎施設等整備事業であります。これらは、事業が翌年度にわたるため、期間及び限度額を定め、債務を負担しようとするものであります。
以上で、総務部関係の一般会計歳出予算の説明を終わります。
続きまして、議案第8号平成31年度岩手県公債管理特別会計予算について御説明申し上げます。
冊子がかわりまして、予算に関する説明書の374ページをお開き願います。平成31年度の公債管理特別会計の歳入、歳出それぞれの予算総額は1、879億2、776万円余、前年度と比較し201億6、410万円余の増額であります。
376ページから379ページは公債管理特別会計の歳入であり、県債管理基金の財産運用収入や、一般会計及び県債管理基金からの繰入金、並びに県債であります。
次に、380ページをお開き願います。公債管理特別会計の歳出は、県債の元金及び利子の償還、県債管理基金への積立金及び銀行等引受債の発行手数料などであります。
続きまして、総務部の予算以外の議案につきまして御説明申し上げます。
重ねて恐縮でございますが、また冊子がかわりまして、議案その2の37ページをお開き願います。議案第35号岩手県手数料条例の一部を改正する条例中、総務部関係は、第1条関係であり、これは、これまで指定研究機関等の名称を個別に規定していたところでありますが、これらの機関等を新規に指定する場合、条例改正まで一定の時間差が生じてしまうことなどを踏まえ、機関等の名称を直接規定しない方法に改めようとするものであります。
以上で、総務部関係の議案の説明を終わります。何とぞよろしく御審議いただきますよう、お願い申し上げます。
〇千葉絢子副委員長 ただいまの説明に対し、質疑はありませんか。
〇伊藤勢至委員 消防、防災に関しましてお伺いしたいと思います。
東日本大震災津波で消防職員、消防団員ともに大変大きな犠牲を強いられたわけであります。東日本大震災津波以来、特に消防団の入団者が減っておりまして、定数を満たしていないと思っております。これは、新たなる防災対策上も大変大きな問題だと捉えているところであります。
そういう中で、県の消防担当には、消防という肩書を背負った方は栗澤防災消防課長しかいませんので、あなたにお伺いしますが、消防に関する行政は、言ってみれば防災ヘリコプターと消防学校の運営だけですよね。一般行政管理指導などというのは一体何をやっているのでしょうか、教えてください。
〇栗澤防災消防課長 消防組織法上は、消防は独立した機関でありますので、県が各消防本部等を直接的に指導する権限はございませんが、県内各地の消防本部あるいは消防団の活動が適正に、速やかに行えるような後方支援を行っているものです。
〇伊藤勢至委員 後方支援という話が出てきました。私たちは数年前に消防防災議員連盟を立ち上げたところでありますが、それも根本的には消防の後方支援が主たる目的だったと思っております。そういう中で、現在、定数が満ちていない消防団の中で、特に新入団員、若い人が入ってこない。そうすると先輩方が、そろそろリタイアしてもいいかなというのを思いとどまって頑張っている。それが現状であります。
そういう中で体力的に一番きついのは、いざ火災が発生した場合、建物の火災に駆けつけます。そうすると、消防ポンプ車にみんなが走り寄り、飛び乗って火災の地点に向かうわけです。消防ポンプ車というのは火点に行くのではないのです。消防水利に着くのです。消火栓でありますとか防火水槽でありますとか、河川とかため池、そういったところに着いて、そこからホースカーというホースが詰まった車をおろして、これを2人ぐらいで引っ張ってホースを延長して走るわけですが、実は、消防活動の中でこれが一番の激務であります。
消防団活動というのはゼロ、100の世界です。サイレンが鳴って、出動命令がかかると消防ポンプ車に全力で走って駆けつけます。そうすると、1分団、2分団、3分団、4分団、どこどこの火災が発生、出動してくださいとなると出動するわけです。そうすると、今言ったように、火点につくのではなくて、水利について、そこからホースを延べる。これが重労働なのです。50歳、60歳になると、2人でこのホースカーを引いて火点に行ったときは、もう酸欠状態です。そういうのが現状です。
そういう中で、数年前に電動アシストという電気で補助する自転車が開発されました。これをホースカーに転用できればいいなと長々思っていましたが、今回たまたま聞いてみましたところ、さすが日本の科学力はすごいもので、数年前から電動アシストがついたホースカーがあちこちで採用されているようです。例えば盛岡市でありますとか、大船渡市でありますとか、あるいは宮古市なんかも、消防署でぼちぼち導入している。けれども、33市町村の消防団には一台も入っていない。
消防署と消防団というものは、いざ鎌倉のときは、使命は同じで一緒に頑張っているわけです。消防職員は東日本大震災津波で殉職をしています。消防団員も殉職しています。同じ消防賞じゅつ金も受けていますが、社会的地位は消防職員と消防団員では全く違うわけですが、せめて装備ぐらいは同じものをそろえて、消火活動を早くお願いしたい、後方支援をしていただきたいと思うわけであります。
このホースカーが、全部そろっていますと、何と1台160万円から150万円、そして、半分の本当のアシスト部分だけですと70万円ぐらい。そうしますと、県内33市町村で仮に500台近い消防ポンプ車があり、ホースカー化が進んでいるとすると、それだけでも3億5、000万円。これはとても県や市町村で負担できるものではありません。こういうときにこそ、消防防災議員連盟あるいは岩手県が一緒に総務省消防庁に要望して、そして同じ状況のもとで働いていただくというところに持っていかなければいけないと思うのですが、いかがお考えでしょうか。
〇栗澤防災消防課長 今、委員からお話がありましたとおり、消防団の高齢化により平均年齢が上がっております。平成29年のデータによると、岩手県内の消防団員の平均年齢は44.1歳であり、全国平均が40.8歳ですので、3.3歳上回る状況にあります。
消防団の車両の関係でありますが、現在、県内に448分団あり、消防ポンプ車は551台配備されております。お話のとおり、県内の消防団にはまだ導入されていない状況ですので、消防団員が減少し平均年齢が上昇している傾向にある中で、消火活動に当たる消防団員の負担軽減や消火活動の効率化の観点から、消防署の配備資機材と差異がないよう配慮する必要があると考えております。
なお、電動式ホースカーにつきましては、高額でもあり、現在の国の支援メニューの対象外となっていることから、車両の装備費用も含めて支援対象とするよう、さまざまな機会を捉えて国へ要望してまいりたいと考えております。
〇伊藤勢至委員 岩手県民に、消防署と消防団を混同している人が多くなってきたと思っております。
簡単に言えば、そろそろ5月、6月に各地区で消防大演習等があるでしょうが、そういったときに各分団は各管内の町内会からお祝いを頂戴します。実は、それが1年間の活動のベースとなる資金なのです。もちろん火災出動するたびに1回幾らとか出動手当は出ますが、大体それが1年間の活動経費となります。そういう中にあって、管内にも人家数が多いところと少ないところがあり、非常に高低差があります。演習が終わった後の御苦労会というものをどこでもやると思うのですが、そんなに立派ではありませんが、ちゃんとテーブルに折りを乗せてやるところもあれば帰りにラーメン屋でラーメンともっきりで終わるところもある。非常に差がある。けれども、使命感は一緒なのです。
義を見てせざるは勇無きなり。まさに義勇消防の意気でやっているわけですが、防災のボの字を語る前にそういう待遇の面が違うところを調整して、それなりの装備を整えてから、よろしくお願いしますと言うのが筋だろうと思うのです。
佐々木総合防災室長に、一言お願いしたいと思います。
〇佐々木総合防災室長 今、委員からお話がございましたとおり、消防署員、それから消防団員いずれも使命は同じですので、県としても装備や待遇の面で、消防団員の皆様にもしっかりした形でサポートできるというのが望ましい姿だと考えております。
〇伊藤勢至委員 最後にしますが、いずれ、消防団に入った分団員を早くやめさせないようするためには、やはり装備の拡充、充実が大事だと思っております。消防署も消防団も目的は一緒ですが、県民の皆さんが消防団に頼るところは多いけれども自分の家族は消防団に入れたくない、こういう人が多くなってきました。これは東日本大震災津波で相当の消防団員が犠牲になったということもあるのだと思いますが、自助、公助、共助のどれにも当たっていないのです。建前とすればそうなのですと言いながら、自分のところでは出したくありませんと。消火活動は消防署だけではできません。やはり消防団と一緒にやっていかなければ効果がないし、実効性が上がらない。これが現状ですので、どうぞひとつ、消防団のほうにも、できる限りの後方支援をするようお願いして終わりたいと思います。
〇柳村岩見委員 県営建設工事の請負選考の入札業務を、現行の総務部から出納局に移されるということであります。一体、今、総務部に入札業務が置かれている現状において、どういう課題がございましたか。また、どういう課題があり、それをどう協議して出納局へ移管することになったのか。移管して、どのように解決されますか。そのことについてお尋ねしたいと思います。
〇今入札課長 県営建設工事の入札業務の出納局への移管理由についてでありますが、現状におきましては、総務部で特段、入札業務に関して大きな問題が生じているということではありません。県営建設工事の入札業務は、透明性、公平性、公正性の確保のもと的確に手続を実施することが求められる業務として、これまでも総務部で実施してまいりました。
他方、出納局においては、会計事務の適正な執行を確保するための内部牽制の仕組みといたしまして、地方自治法上、予算執行機関から独立した組織となっており、また、物品の入札業務を従来から実施しているところであります。
今般の業務移管につきましては、県営建設工事の入札業務と物品の入札業務を一体的に実施することにより、事務執行のより一層の適正確保を図ろうという観点から行われるものであります。
〇柳村岩見委員 恐らく実態は、特段の問題点がないのに、出納局が入札業務を移管してくださいと言ったはずはない。総務部が移管しようとしたのです。特段の理由がないのに、よそにやろうとする。もともと入札業務は、県土整備部にあったのだろうと思います。建設技術振興課、いわゆる業界を見渡し、指導する、振興を図るそばにあったのだと思います。
この入札業務が、ひとり歩きするのです。恐らく、その入札業務をうちの部局に寄こしてくださいなんて言う部局はない。厄介者扱いされて、どこかにやりたがるのだ。それはよくない。
特段、総務部において問題点はなかったのに、それを移管すると言う。入札業務というのは大変重要な業務ですよ。きれいごとではない。非常に生臭かったり厳しかったり緊縛されたりする中で、入札結果を出して請負者が決まっていきます。まさにこれは経済の縮図の部分です。もう一回練り直した答弁をください。
〇今入札課長 入札業務を移管するメリット、デメリットということかと存じますが、出納局は、先ほども申し上げましたとおり、地方自治法上、予算執行機関から独立した組織になっております。したがって、工事の入札業務を移管した場合でありましても、引き続きその独立性を発揮して、工事所管部局からの独立性の担保や相互牽制体制が十分確保できると考えているところであります。
また、今後は工事と物品の入札業務を同じ組織で一体的に実施することにより、これまで外部からなかなかわかりづらかった入札手続の所管の明確化が図られるという意味でも、よりよいのではないかと考えております。
〇柳村岩見委員 もともと総務部には、入札業務を所管する資格がなかったのです。今、出納局に移管することの正当性を答弁するなら、もともと総務部に入札業務があることがおかしかった。それを議論しても始まりませんから、出納局がどういう体制になるのかという情報共有はされていますか。
〇佐藤人事課総括課長 出納局の体制についてでありますが、現状におきましては出納局は課を置かない体制となっておりますが、今回、県営建設工事の入札業務を移管することに伴い、来年度から総務課と会計課の2課体制とすることとしたところです。
まず、総務課においては、移管する県営建設工事の入札業務と物品の入札業務を一体的に所管することとしており、内部の組織として管理担当と入札担当を置くこととしております。
会計課につきましては、指導、審査、出納の3担当を置くこととしており、出納局、これは本庁全体になりますが40名の体制とするものです。
また、2課体制とすることに伴い副局長を配置し、会計事務の適正化や移管する入札業務に係るリスクマネジメント体制の強化を図ることとしております。
〇柳村岩見委員 入札業務につきましては、入札そのものの種類も数多くあります。大枠的な分類でも数多くありますし、細かい条件、その他を考えれば何十種類の入札方式があります。実はこれは、建設業界を育成する、指導していくことととても密接な関係があります。入札業務の入札制度の種類の選び方によっても、業界が大変苦難したり、あるいは成長する道筋を見つけたり、いろいろ幅があることなのです。
この入札業務が出納局に行く。これから、業界を見ている建設技術振興課、あるいは現在までありました総務部とも一体となって、入札業務の入札制度は業界の発展と密接に関係があるから、やはりこれは情報を共有して業界の振興に一体となって寄与していく、そういう精神が大事だと思いますが、いかがですか。
〇今入札課長 工事入札の執行に当たりましては、信頼性の向上や相互牽制機能の充実を図りながら、透明性、中立性、公正性を確保して適切に進めることが重要と考える一方で、県内の建設業者は、地域経済の支え手であり安全で安心な暮らしの守り手でもあることから、地域において重要な役割を担っていると考えており、その健全な発展が必要であると認識しております。
入札制度につきましても、県内企業の育成や地域経済の活性化、雇用の確保の観点から、県内業者で施工が可能と認められる工事については、県内業者に発注することを基本として運用してきているところです。
今後も、入札業務に求められる基本的な考え方を十分踏まえ、建設業振興の担当部局である建設技術振興課とも連携を図りながら、入札制度の適切な運用に努めてまいりたいと思っております。
〇佐藤企画理事兼総務部長 私からも、今の今入札課長からの答弁に加え、答弁させていただきます。
まず、総務部から出納局に業務が移管されますが、当然もう総務部は関係ないということではなく、総務部としての役割も重要であります。建設業は、まさに地域経済の支え手、それからインフラの維持管理をしていく上で非常に重要な役割を担っております。中小の業者が多いわけですが、地域経済を支えていただくということで、そういった振興の面でも、総務部がかかわっていかなければならないと考えております。
特に、今、県土整備部で2019年から2022年度までの、いわて建設業振興中期プランをつくっておりまして、その策定作業にも総務部がかかわっております。その中で、委員御懸念のところとして五つの課題が掲げられております。
まず第1に、建設投資額の確保という大きな課題を抱えております。そういった中で、総務部としてもことしの当初予算で投資のシーリングを5%増にし、最終的に9.1%の伸びを確保したところです。復興需要が落ちていく中で、通常分の公共事業を確保しながら、そして地域経済の支え手であり、またインフラの維持管理を担っていただいている建設業界をきちんと支えていかなければならないという思いは十分持っております。
そういった意味でも、入札の執行業務については出納局が担い、総務部では引き続き建設業界とのかかわりを従前どおり確保しながら、支援にかかわる部分についてはきちんと対応していきたいと考えております。
〇柳村岩見委員 いろいろ過去のことをひもといてみますと、入札業務が県土整備部から総務部になるという経過を実はたどらなくてもよかったのだと思うのです。ただ、そのときは、県土整備部から出納局に移すことができなかったのだろうと思います。過去-余り言葉に出したくありませんが-官製談合、数回にわたる不祥事があったりして、どうしても県土整備部から入札業務を移したかった。だけど、出納局はそのころ受けられるような状況ではなかった。それで総務部を経由した。こんなふうに理解もできるわけです。しかし、特段の理由がないのに入札業務が移るのですから、答弁はもう少し練って、よほどの答弁の内容にしなければならないと思います。
部長、わかりました。しっかりそこは引き継いでいただきたいと思います。
次に、総務部に行政経営推進課が新年度設置されるということであります。名前が似たような行政経営課長がおりますが、課の設置の理由についてお聞きします。
〇松村特命参事兼行政経営課長 新たに設置される行政経営推進課についてでありますが、いわて県民計画最終案を着実に推進していくためには、その土台として安定的で持続可能な行財政運営が重要であると考えており、行政経営プラン案にさまざまな取り組みを盛り込んだところであります。
行政経営推進課においては、これらの取り組みが効果的、効率的に進められるように進行管理を行うとともに、今後の社会経済情勢の変化や取り組み状況などを踏まえて、適時適切に内容を見直しながら、行政経営の質の向上を図っていこうとしているものであります。
〇柳村岩見委員 お金のことも含めて、県庁全体の各部局から情報の集め方もありますでしょうし、あるいは発信についての権限は、どの程度、指導したり指示したりできる課になりますか。
〇松村特命参事兼行政経営課長 新しい行政経営推進課の担当業務についてですが、例えば、来年度から新たに内部統制の実施、あるいは、来年度から公益等法人の認定業務、これら全庁のものを一元的に実施することになっております。
そうした業務の中で、行政経営につきましても、各部局あるいは各課の取り組みをしっかりと見ながら必要な指導をしていくということになるかと思っております。
〇柳村岩見委員 大変期待される課になると思います。期待せざるを得ないし、期待されると思います。
課の体制について、お尋ねして終わります。
〇松村特命参事兼行政経営課長 新しい行政経営推進課の体制についてでありますが、総括課長の下に、新たに担当課長を設ける体制となります。先ほども御答弁申し上げましたが、内部統制の実施等も行うことから、関係室課等の職員を兼務させまして全庁的な推進体制を確保していくこととしております。
〇佐々木朋和委員 防災総務費に関連して、やさしい日本語についての認識を伺いたいと思います。
定住外国人への情報発信の手段として、小学校3年生が理解できる程度のやさしい日本語での発信が注目されております。特に災害時に有用で、発災時には翻訳のタイムラグがなく情報を出せる、外国語能力にたける者しかチェックができない外国語発信よりチェックが多角的に可能で、誤発信予防になる、発災から避難所運営まで長期にわたる支援において、行政の外国語能力者には負担が集中したり、そこがネックとなって支援が進まない状況になるが、やさしい日本語の活用は、訓練により行政、市民の誰もが取り組めるし、負担の分散につながる、岩手においても必ずしも英語が通用する外国人ばかりではなく、やさしい日本語のほうが汎用性があり、多言語化のコストカットにもつながる、子供たちや高齢者、障がい者への情報発信にも有用であるとの指摘がありますが、県は、やさしい日本語についてどのように評価しているのかお伺いします。
また、県として、定住外国人に通じる言語等の把握をしているのか伺いたいと思います。
〇佐々木総合防災室長 やさしい日本語についてでありますが、やさしい日本語は、平成7年1月の阪神・淡路大震災の際に、日本語も英語も十分に理解できず必要な情報を受け取ることができない外国人の方がいたことから、外国人の方が災害時に適切な行動をとれるよう考え出されたものと聞いております。
県では、公益財団法人岩手県国際交流協会におきまして、本年度、災害時に外国人に対して必要な情報を伝えるため、やさしい日本語研修会を実施しております。また、他県におきましては、防災ハンドブックやハザードマップに使用されている事例があると承知しております。
災害時の情報伝達を通常の日本語のみで行った場合、外国人の方によって日本語の理解力が異なるため、必要な情報が伝わらない可能性もあります。東日本大震災津波の際には、長引く避難所生活において、言葉や文化、習慣の違いで困ったこともありました。
このようなことから、委員御指摘のやさしい日本語の活用は効果的と考えられ、また、避難所等で外国の方を支援する人材の養成は重要であると考えております。
県内に在住している外国人に通じる言語の把握はしてございませんが、国籍別に見た場合、中国、ベトナム、フィリピンの割合が高く、これら3カ国で全体の68%を占めているところであります。
岩手県国際交流協会では、県内に在住する外国人に対して外国語による生活等の相談対応を実施しております。また、災害時多言語サポーターの育成に向けて研修や訓練を重ねており、引き続き、関係機関と連携を図りながら災害時における外国人支援に取り組んでまいります。
〇佐々木朋和委員 やはり県として、防災をつかさどる部局として、外国人の皆さんに災害時どのように情報を伝えるのかということを、しっかりと位置づけるべきだと思っております。他県においては、地域防災計画の中に取り入れて運用しているところもありますが、岩手県として地域防災計画の中にも位置づけるとともに、市町村へも活用を促すべきと思いますが、所見を伺いたいと思います。
〇佐々木総合防災室長 地域防災計画におけるやさしい日本語の位置づけ等についてでありますが、県の地域防災計画では、災害時において外国人が迅速かつ適切に避難することができるよう、多言語等による避難勧告等の伝達手段を確保するとともに、災害に関する案内板等について、多言語の併記表示を進めるよう市町村に求めております。
委員からお話がありましたとおり、他県におきましては-山形県や神奈川県、滋賀県というところになりますが-地域防災計画において避難所でのやさしい日本語による案内表示や情報提供等について明記されており、やさしい日本語が地域防災計画に位置づけられているところです。
県といたしましては、市町村消防防災主管課長会議等においてやさしい日本語の導入事例を紹介するとともに、市町村の意見も踏まえながら、県の地域防災計画への位置づけや市町村への活用の働きかけについて検討してまいります。
〇佐々木朋和委員 今の質問の前の質問のお答えで、県として、県内に定住している外国人の方々の言語が何かを把握していないという話でありました。しかしながら、県の地域防災計画では多言語化による情報発信という話をしているのでありまして、そこの精度がまさにいかがなものかと思っているところであります。
防災・減災対策調査特別委員会で参考人を招いてお話を聞くと、私もびっくりするくらい英語が通じないということ。岩手県の定住外国人の方々は、先ほどお話ししたとおりアジア圏の方が多くて英語が通じないという大変驚いた事例もありました。
そういった中で-通告はしておりませんが-今、市町村がそれぞれ多言語化に取り組んでいるということですが、市町村は、定住外国人の方々にどのような言語が通じるか把握していると認識されているのでしょうか。
〇佐々木総合防災室長 先ほど県では把握していないというお話を申し上げましたが、市町村で具体にそういう数字を把握しているという情報は、私が知っている範囲では入ってきていないところであります。申しわけございません。
〇佐々木朋和委員 了解しました。では、なおさら県としてやさしい日本語での情報発信に取り組むべきと思っているところであります。
そういった中で、来年度には海外から多くの皆さんに本県に訪れていただく大きなイベントがあります。定住外国人と観光客では日本語能力に違いがあるので、効果のほどは一概には言えませんが、ラグビーワールドカップ2019釜石大会における災害対策、また通常の案内等において活用予定があるのかどうか。この辺について伺いたいと思います。
〇佐々木総合防災室長 ラグビーワールドカップ2019釜石開催における災害対策等のやさしい日本語の活用等についてでございます。
外国人の観客は、日本語の理解力が十分でないことが予想されますことから、多言語対応を予定しております。
具体的には、ラグビーワールドカップ2019釜石開催実行委員会では、英語による避難誘導看板の設置や場内アナウンス放送を行うほか、多言語に対応できるボランティアの配置、13言語に対応できる災害時多言語表示シートや絵で情報を伝える災害ピクトグラムの活用によりまして、災害時において外国人が円滑かつ安全に避難することができるよう対策を講じております。
また、救急対応におきましては、英語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語の5言語に対応できる通話システムを導入するほか、15言語の翻訳をできるアプリケーションソフト救急ボイストラを活用しまして、緊急時における外国人と消防職員との意思疎通を図ることとしております。
〇佐々木朋和委員 なぜ私がこのような質問をさせていただいたかと申しますと、あした、ILC-国際リニアコライダーの誘致についての重大な宣言が必ずや出されるものと信じているところであります。今後、岩手県においては、ILC誘致、また外国人労働者の受け入れの増加、またインバウンドの増加等、本県の今後の定住外国人あるいは外国人観光客の増加が見込まれると思っております。
先日の一般質問の中で、ILCにおいてのEOI-意思表明が出た後の取り組みとして、オール岩手、東北の取り組みとして国際研究拠点に相ふさわしい教育や医療、保健、まちづくりなど、受け入れ態勢の整備を進め、さらに、そのような取り組みが国際的なアピールにもつながるようにしていきたいという話もありました。私は、やはり防災、安全が外国人の方々も気になっているところでありますし、一丁目一番地なのだろうと思っております。
そういった中にあって、防災分野での効果を研究しながら、また県内の広報や観光案内についても部局を横断してやさしい日本語について取り組むべきと思いますが、所見を伺いたいと思います。
〇佐々木総合防災室長 防災分野における外国人等に対する広報や案内等の取り組みについてでありますが、まず県では、ホームページいわて防災情報ポータルにおきまして、気象情報や避難所等の災害に関する情報を多言語-英語、韓国語、中国語で表示しております。
また、県の総合防災訓練におきましては、市町村や岩手県国際交流協会等と連携し、外国人の避難を想定した、多言語に対応できるボランティアが参加した訓練や避難所多言語情報伝達訓練を実施するなど、災害発生時における外国人の円滑な避難に向けた取り組みを行っております。
そのほか、避難所等で外国人を支援する災害時多言語サポーターの養成や外国人のための防災パンフレットの作成等によりまして、災害時に速やかに外国人を支援できる体制の整備に取り組んでいるところです。
今後におきましても、これまでの防災分野での取り組みで効果があったと考えられる点等は、関係部局と共有するなどして、防災分野の取り組みが県全体の外国人の受け入れ態勢の環境整備につながるよう努めてまいります。
〇高橋孝眞委員 実質公債費比率といいますか、今後の公共投資について1点お伺いいたします。
最初に、いわて県民計画(2019~2028)につきましては、先日の次期総合計画特別委員会で意見を付しての可決となりました。いわて県民計画の期間である10年間はこの附帯意見にとらわれるわけでありますが、財政を総合的に管理、調整をする部長として、この附帯意見についてどのように考えているのか、所感を最初にお聞きしたいと思います。
〇佐藤企画理事兼総務部長 いわて県民計画について審議いただき、承認を可とするという議会の判断をいただいたところであり、その際に意見を付していただきました。そこには、行財政運営をしっかりしてもらうということが盛り込まれているところであり、今回のいわて県民計画にしっかり取り組んでいくため、そして、掲げる目指す姿に向かって、県と多様な主体が参画して取り組んでいくわけですが、県そのもの、いわゆる行財政運営を担う、特に重要な役割を担っている総務部が、いわて県民計画が掲げた目標に向かって着実に推進できるよう、それをしっかり支える行財政運営をしていかなければならないという、ある意味では身が引き締まる思いを受けたところでございます。
具体的な取り組み、施策等については、アクションプランに基づいてやっていくということですし、それに向けて毎年度予算編成の選択と集中にしっかりと取り組み、そしてまた、岩手県財政は非常に厳しい状況に変わりはない状況です。少しずつよくはなってきておりますが、まさに実質公債費比率も平成30年度決算をもって18%を下回ることができると見込めるところまで来ていますので、その先を見据えて、これから平成31年度以降、着実な取り組みができるようにやっていきたいと心を新たにしたところであります。
〇高橋孝眞委員 ひとつよろしくお願いしたいと思います。
公債費比率についてでありますが、岩手県立大学の開学やいわて県民情報交流センター-アイーナの建設、岩手県立美術館等の開設により、急激に県債残高が増加しました。このことにより、実質公債費比率が18%以上となり、平成32年度までの実質公債費比率18%未満を目指して平成25年度から取り組んできたところであります。
毎年、中期財政見通しを示していただきまして、平成28年度決算もそうでしたが、平成29年度決算でも財源対策基金に70億円という積み戻しをして基金残高を増加したということであります。これも、公共投資に当たりまして、できるだけ有利な条件で国の事業を引っ張ってきたといいますか、利用した、そういう意味合いでの成果であると思っております。2年前倒しで平成30年度で達成する見込みだという今の部長からのお話もありましたが、これも財政当局の努力でありまして、こういう努力に私は大変敬意を表するところであります。
ただ、実質公債費比率は何%がいいのかというのは、また別なのだろうと思います。難しい問題だと思います。5%でいいのかというと、これでは公共投資が足りないのではないかということになるわけでありますし、18%ぎりぎりであると、これまた同じような状況に陥るということでありますから、一概に何%といかないのはそのとおりだと思います。
ただ最近、異常気象とまでは言えないのかもしれませんが、災害が多く発生してきております。国土強靱化という面からも防災、減災の面でも、河川の整備なり土砂災害への対策、道路網の整備など公共事業投資、特に農村におきましては土地の基盤整備事業が非常におくれております。この間も話しましたが100年以上もかかってしまうのではないかとなるわけでありまして、今回、中期財政見通しを踏まえますと、18%未満になるという実質公債費比率でありますが、下回ることによりまして、今後の公共投資というものをどういうふうに考えているのかについてお伺いしたいと思います。
〇臼井財政課総括課長 委員御指摘のとおり、実質公債費比率は、平成30年度決算において2年前倒しで18%を下回る見込みとなっております。そういった状況ではあるものの、中期財政見通しでは、引き続き厳しい財政状況が見込まれているところであります。
今後の公共投資についてでありますが、国の復興・創生期間の終了も見据え、通常分の公共事業を推進していく必要があること、また、いわて県民計画最終案の10の政策分野に、社会基盤を設けて、幸福の追求を支える社会資本を整備していくこととしていることから、今後の公共投資について計画的に進めていく必要があると考えております。
平成31年度の当初予算案におきましては、台風災害対応分を除いた通常分の公共事業費につきまして、国庫財源の活用を前提としたプラスシーリングや、国の国土強靭化緊急対策への対応などにより、前年度当初予算と比較して41億6、000万円、9.1%の増としたところであります。
引き続き、国庫補助金や有利な起債などの財源を最大限に活用しながら、実質公債費比率の抑制を図りつつ、県民生活の土台となる公共投資を着実に推進してまいりたいと考えております。
〇高橋孝眞委員 県民所得は全国平均に比べてやっと90%。こういうところに来ているわけであります。公共投資を十分やっていかないと、また落ち込んでしまうのではないかと思いますので、財政面を含めて十分考えていただきたいと思います。
この間も議論がいろいろされておりましたが、長期的な10カ年の財政面での計画を見るべきではないかというお話がございました。なかなか難しいという回答ではありましたが、私は、投資計画というのをきっちり持っていなければいけないのではないかと思います。先ほど、10カ年計画をするために公共投資を考えていきますというような意味合いではあるのですが、社会保障費がどんどん増加するのもそのとおりですし、厳しい財政であるということもわかるわけですが、復興を実現するための公共投資というものは、いつの時点までに必ずやっていかなければいけないということを持って、財政の見通しもつくりながら、公共投資はいつ、こうやっていきますということをやらないとなかなか財政運営というのは厳しいのではないかと思います。
例えば、長寿命化でいろいろな県施設がありますが、陸上競技場しかり。野球場はこれから盛岡市と一緒に建設していくわけでありますが、さまざまな施設をいつかは更新していく必要があると思います。
観光面であれば、二、三年前でしたが、金沢21世紀美術館に行きましたら100万人もの来場者があるということでした。そういうものをいつか持つために財政をこういうふうにしていくという考えで財政運営に当たっていく必要があるのではないかと思います。
そういう意味合いで、しっかりと公共投資の計画を組む。10カ年の計画は難しいと言いながらも、やはり私は内部では持ちながら進めていくべきではないかと思うのですが、この点を部長に聞きまして質問を終えたいと思います。
〇佐藤企画理事兼総務部長 投資の規模等をどう見据えて財政運営をしていくか。まさに委員御指摘のとおり公共施設もかなり老朽化してきて、建てかえなどいろいろと整備をしなければならないときを迎えております。
公共施設等総合管理計画をつくって、今、個別計画の策定に入っています。公共事業は、中期財政見通しの上では同じレベルで一応見ているのですが、公共事業以外の建設投資の部分を将来を見据えていく上では、やはりある程度、具体的な施設の整備というものも視野に入れながらでなければ長期の見通しが立てられない。まさに、委員御指摘のとおりであります。
そういった意味で、私どもも内部的には-なかなか難しいところではあるのですが-今後どのような施設の整備が求められているか。ある程度そういったものを、タマ出しといいますか、各部局ごとの案件を出していただいて-総務部も消防学校を抱えておりますし、その中の一つではあるのですが-全庁的な施設整備の方向づけを、今後行っていかなければならないと認識しているところです。
公債費負担適正化計画をつくって、何とか公債費の圧縮をして18%を下回るところまで、まずは取り組んできたところでして、それがやっとクリアできそうだと。そうすると、次は今まで先送ってきた施設の整備をどういうふうに進めていくか。また、県では6、000棟を超える施設を有しておりまして、そういう中で優先度をどのように決めていくかが、非常に難しい課題であります。
ただ、そうは言っても、そこの中から少しずつある程度、年度的に見通しを立てていく作業が必要になってきまして、それに応じて国庫あるいは県債の活用を図り、そして県債をどのくらいの期間で償還していくか、そういう見積もりは、当然施設単体の財源を考えればつくれるわけです。ただし、県財政となると、社会保障費など全体がありますので、そういった全体の長期の見通しというのはなかなか難しいのですが、そういったパーツ、パーツといいますか、建設投資の部分については一定程度そういったシミュレーションを当然やっていく必要があろうと思っております。
そういった意味で、今後の投資規模というのも、どのくらいの規模をやって公債費をコントロールしていくか、そういったところは非常に厳しく、難しい面もありますが、いずれはやっていかなければならないと考えております。
〇阿部盛重委員 岩手山の避難計画についてお伺いいたします。
現在、岩手山に目立った火山活動の変化は認められていない状況ですが、突発的な噴火が起きた場合の対策として火山避難計画の修正案が提示されております。その段階で警戒レベルを上げようということでもあるようですが、地元市町村の防災関係機関との連携、入山規制、避難勧告などの防災対応を実施していくと思いますが、具体的な対応策をお伺いいたします。
〇佐々木総合防災室長 岩手山の安全対策の取り組みについてでありますが、県、市町村、国の関係機関等で構成する岩手山火山防災協議会では、平成29年度に避難計画を策定しており、今年度は避難計画の一部見直しと地域住民等への周知に向けた火山防災マップの改訂に取り組んでいるところであります。
避難計画の一部見直しでは、突発的な噴火が起きた場合の対応について詳しく記載しておりまして、非積雪期に発生した場合は火口周辺にいる登山者等の、また積雪期には融雪型火山泥流の想定範囲内に居住している住民等の安全確保が重要と捉えております。
安全確保対策といたしましては、正しい情報をより早く、より的確に伝達し、被害が想定される範囲内にいる登山者や住民等に迅速な避難行動を行っていただくことが必要であり、防災行政無線、メール及びSNSなどによる速やかな情報伝達の実施を目指しているところです。また、状況に応じてヘリコプターによる上空からの呼びかけも考えております。
今後におきましても、市町や防災関係機関及び学識者とも連携を図りながら、火山対策を進めてまいります。
〇阿部盛重委員 浸透されていくものかと思いますので、まずはよろしくお願いします。
次に、岩手山の8合目には避難小屋があります。噴火による噴石によって、小屋が破壊される可能性もあると思うのですが、小屋の強度は大丈夫なのか。そして、小屋にはヘルメットしか装備されていない状況なのですが、万一のことを考えますと、食料の備蓄の必要性も考えられるのではないかと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
〇佐々木総合防災室長 避難小屋の強度と食料の備蓄についてでありますが、岩手山の8合目の避難小屋につきましては、火山弾が貫通しないように、今年度屋根の改修工事を行ったところであります。それから、8合目の避難小屋のほかにも、避難小屋は三つあります。8合目の避難小屋には食料の備蓄はありませんが、夏季は管理者が常駐しており食料が販売されているということでありますので、一定の食料はあるものと捉えております。
〇阿部盛重委員 確かに管理人がいらっしゃるということは聞いておりますが、わかりました。
それから、緊急時に送られてくるエリアメールなどが届かない携帯不感地帯があります。利用可能な地域の拡大、それから鉄塔施設の整備をするべきと思いますが、登山者の方々への対応はどうされていくのかお伺いします。
〇佐々木総合防災室長 基本的には携帯電話のエリアメールとなるわけですが、不感エリアがやはりございます。こういったところにつきましては、先ほども申し上げたところですが、防災ヘリコプターによる周知などといった形で、登山者の皆さんに避難するよう伝達することを考えております。
〇阿部盛重委員 いずれ登山者の方々は連絡網一本に頼らざるを得ない状況もあると思いますので、対応をよろしくお願いいたします。
それから、噴火レベルが4以上であれば約4万人の方々が避難の対象になるということであり、かなりのパニックになる可能性があると思いますが、その避難計画等は大丈夫でしょうか。
〇佐々木総合防災室長 地域住民の避難に向けた取り組みについてでありますが、岩手山火山避難計画では、一つ目は、火山情報が出た場合の情報伝達や避難所、避難経路等の事前対策、二つ目は、火山活動が活発化した場合の立入規制や避難勧告等の発令範囲、避難誘導や救出、救助活動等の災害応急対策、三つ目は、噴火後の避難所の長期化対策などについて、県、市町及び関係機関の役割や対応を定めているところであります。
噴火警戒レベルがレベル4の避難準備となった場合の影響範囲は、火砕流、火砕サージが東岩手想定火口からおおむね5キロメートル、融雪型火山泥流が盛岡市、八幡平市、滝沢市、雫石町の3市1町の範囲に及ぶと想定しております。
噴火レベル4となった場合の避難対応につきましては、警戒が必要な範囲において立入規制を実施するとともに、規制区域内にいる登山者や住民等を速やかに避難させることとしております。また、居住地域内で融雪型火山泥流による被害が想定される区域に避難準備、高齢者等避難開始を発令するとともに、指定避難所を開設することとしております。
火山活動が活発化した場合には、県、市町や関係防災機関及び学識者が連携を図りながら火山対策を進めてまいります。
〇阿部盛重委員 その内容は、もう地域の皆さんにも十分に伝達されているのでしょうか。
〇佐々木総合防災室長 やはりその地域の皆さんにしっかりと情報を伝えて理解していただくことが重要と考えておりますので、引き続き周知については十分力を入れてまいりたいと考えております。
〇阿部盛重委員 よろしくお願いいたします。
それから、火山を観測する設備の件でお伺いしますが、老朽化問題や火山泥流や土石流を防ぐ砂防堰堤、そして迂回路、それから登山者の安全確保、要配慮者対応、避難シェルターの設置などを含めた火山対策が必要と思っておりますが、御所見をお伺いします。
〇佐々木総合防災室長 火山防災に係る施設整備についてでありますが、岩手山は、火山防災のために監視、観測体制が必要な火山として、火山噴火予知連絡会によって全国に50ある常時観測火山の一つに指定されております。
気象庁は、噴火の前兆を捉えて噴火警報等を的確に発表するため、地震計、傾斜計、空震計、GNSS観測装置、監視カメラ等の火山観測施設を整備し、関係機関からのデータ提供も受け、火山活動を24時間体制で常時観測、監視を継続して行っております。
次に、砂防堰堤施設についてでありますが、岩手山では、降下火砕物が影響する渓流で、堆積厚で20センチメートル以上が想定される40の渓流につきまして、国土交通省、林野庁及び県が連携しながら整備を進めております。そのうち28渓流につきましては、堰堤、谷どめ等の対策工がおおむね完成済みとなっております。今後も順次、対策に取り組んでいくこととなっております。
次に、シェルター等の安全対策施設についてですが、県では今年度、環境省の事業によりまして、岩手山の8合目の避難小屋に、先ほども申し上げましたが、火山弾が貫通しないよう屋根の改修工事を実施したところでありまして、登山者の安全対策に取り組んでおります。
今後におきましても、市町や防災関係機関及び学識者とも連携を図りながら火山対策を進めてまいります。
〇阿部盛重委員 シェルターの件ですが、山の途中のほかの登山者については考えていないのでしょうか。
〇佐々木総合防災室長 シェルターについてですが、現状ではシェルターはない状況にありまして、その中でどうやって登山者等を避難させるかということを計画の中で位置づけて取り組みを進めるというところであります。
〇阿部盛重委員 8合目はわかるのですが、途中、途中でもそういうふうなものは-今後のことになりますが-計画やお考えがあるものかどうかお聞きします。
〇佐々木総合防災室長 その点につきましては、関係する部や市町村にも意見を伺いながら、対応について必要性も含めて検討してまいりたいと考えております。
〇阿部盛重委員 よろしくお願いいたします。
次に、自主防災組織についてお伺いいたします。
今、県内では86.9%という組織率でありますが、100%にするためにどのような対策を講じようとしているのかお伺いします。
〇栗澤防災消防課長 自主防災組織の組織率の向上の取り組みについてですが、委員からお話がありましたとおり、平成30年4月1日現在の組織率は86.9%となっております。組織数、組織率とも年々増加し、組織率では全国平均の83.2%を上回っているものの、県内では、県北、沿岸の一部の組織率が低いなど、地域間での組織率に差が生じている状況にあります。
このため、自治会を対象とした市町村主催の研修会等に地域防災サポーターを派遣しまして、自主防災組織の重要性について御理解いただいているところであります。また、毎年行っております県内市町村長を対象とした危機管理トップセミナーにおいて、首長の皆様にも直接、自主防災組織の組織化及び活性化に向けた取り組みをお願いしているところであります。
これまで行っている自主防災組織のリーダー研修会のほか、今年度からの新規事業といたしまして、自主防災組織活性化モデル事業に取り組んでおります。県内3地区の組織化及び活性化に向けた取り組みを、岩手大学と東北大学災害科学国際研究所の支援をいただきながら行っているところであり、その支援地域の一つが陸前高田市の矢作地区でございますが、この事業を通じまして新たに6行政区で組織化が見込まれているところです。
平成31年度もこのモデル事業を継続しまして、市町村を個別に支援しながら、自主防災組織の組織化及び活性化に向けた取り組みを推進してまいりたいと考えております。
〇阿部盛重委員 自主防災組織がないと、災害時になかなか消防署の方々も消防団の方々も対応できないのではないかと思いますので、ぜひ100%に近づけられるようよろしくお願いいたします。
それから、外国人への災害時の対応ですが、先ほどお話は聞きましたが、特に登山者に関して、対応の仕方に違いがあるのかどうか。あるのであればお知らせいただければと思います。
〇栗澤防災消防課長 自主防災活動は、基本的には地域内での活動ですので、自主防災組織の活動の中での登山者を対象とした活動を前提としている部分については、現時点では把握しておりません。
〇阿部盛重委員 皇位継承に伴う10連休の対応の仕方ですが、万が一災害が起きた場合の県の対応の仕方、危機管理体制についてお聞きします。
〇佐々木総合防災室長 大型連休における危機管理体制についてでありますが、県では、地震、津波、風水害等の自然災害を初め、林野火災等の大規模火災、感染症及び鳥インフルエンザなどから県民の生命、身体及び財産が守られるよう、さまざまな危機管理事案に備える体制を整備しております。
具体的には、夜間、休日を含めて職員による24時間危機管理体制を敷きまして危機管理事案の発生に備えております。また、危機管理事案ごとの対応マニュアルを定めておりまして、関係機関の役割分担と行動内容を明確にし、訓練や研修を行って備えております。
4月下旬から5月上旬の連休の時期は、林野火災が多い時期でもありますが、職員による24時間危機管理体制を継続し、警戒に当たるとともに、危機管理事案が発生した場合には、関係機関と連携を密にし、しっかりと対応してまいります。
〇阿部盛重委員 最後になりますが、災害時に避難所の鍵を自動であけるシステムの運用を開始しているところもあります。自治体職員が駆けつけなくても、自動で鍵があくため、住民の手で迅速に避難所開設ができるというメリットがあるのですが、今後、本県として検討の余地があるかどうかを部長にお聞きいたします。
〇佐藤企画理事兼総務部長 今、委員から御提案のありました自動で避難所の鍵をあけるシステムについては、兵庫県加古川市でこの春からそういったシステムを運用するということを私のほうでも把握したところでありまして、避難所を迅速に開設するというのは当然必要です。特に本県のように積雪寒冷地、冬季に災害等が起きた場合でも、避難所にいち早く駆けつけて避難所の鍵をあけるというのは当然ですから、そういったシステムの重要性は非常にわかります。
昨年11月10日に県の防災訓練を宮古地区でやりました。宮古市役所の新庁舎の中の災害対策本部の隣に個別の部屋があって、そこから宮古市内の小中学校の放送設備にダイレクトに避難放送ができ、伝達が確実に小学校、中学校の各教室のスピーカーで流れるように設置しましたということで、非常に感心した記憶があります。
今、インターネットプロトコル-IPを使って遠隔操作できるなど、どんどん技術革新が進んできております。避難所の設置、運営は市町村が主でありまして、迅速に避難してきた方々を確実に受け入れるということでは非常にすばらしいシステムではないかと思います。
経費的にどういったものがあるのかといったところを加古川市が今回取り組む内容等を研究しながら、そういったことを広めていくということがまさに重要ではないかと思っています。
遠隔操作をしなくても、石油ストーブの自動停止装置みたいなもので、鍵があくようなボックスもあるということも調べてみました。そういった意味では技術革新がどんどん進んできております。今後の地域防災力を高めていく上では、最新の技術革新に対応したいろいろなシステムや防災グッズ、きょう、吉田敬子委員からもお話がありました乳児用の液体ミルクとか、そういったものをどんどん取り入れていくことは重要だと思いますので、今後、研究してまいりたいと考えております。
〇千葉絢子副委員長 おおむね再開後2時間が経過いたしますので、この際、世話人会の申し合わせにより暫時休憩いたします。
午後3時30分 休 憩
午後3時48分再開
〇千葉絢子副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。
〇柳村一委員 1点についてお伺いします。公用車の管理についてお伺いします。
現在の知事部局の公用車の保有台数と管理の状況について、お伺いします。
〇山崎参事兼管財課総括課長 公用車の保有台数につきましては、知事部局が保有する車両で、特殊車両を除いた本年1月末現在の台数は879台であります。内訳は、本庁が268台、広域振興局が611台となっております。
本庁の268台のうち、20台につきましては、管財課において集中管理を実施しており、その他の車両については、各所属において維持管理されております。
〇柳村一委員 公用車は部局と広域振興局でばらばらに運用しているようですが、公用車の配置基準とか更新基準、あと、平成31年度の公用車の更新の予定についてどのようになっているのかお伺いします。
〇臼井財政課総括課長 各部局の予算要求に当たり、公用車の更新基準を定めておりまして、原則として、基準年数及び基準走行キロメートルを超えていること、かつ、使用に耐えられないものであることを満たすものについて、更新することとしております。例えば、2、000cc未満の普通自動車につきましては、基準年数が13年、基準走行キロ数が13万キロメートルなどと定められております。
また、公用車の配置基準では、使用する者等に応じて排気量等の区分を定めており、公用車の購入に当たっては、ハイブリッド車や排ガス基準などを満たすガソリン車等、岩手県グリーン購入基本方針の基準に適合する自動車の中から選定することとしております。
平成31年度当初予算では、この更新基準等に基づき、知事部局において48台の公用車購入経費を計上しております。
〇柳村一委員 来年度は48台ということで、公用車の基準の中でエコマネジメントシステムの部分ですが、公用車関係では、ガソリン、軽油の削減ということから岩手県グリーン購入基本方針に基づき公用車を導入する方針という形でしたが、今回48台中、環境等に配慮して更新する車は何台ぐらいあるのでしょうか。
〇臼井財政課総括課長 この48台につきましては、全て岩手県グリーン購入基本方針の基準に適合するものですので、その基準を満たすものと考えております。
〇柳村一委員 岩手県グリーン購入基本方針の中の自動車の判断基準というところに、新しい技術の活用等により従来の自動車と比較して著しく環境負荷の低減を実現した自動車であって、次に掲げる自動車であることということで、電気自動車、天然ガス自動車、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、燃料電池自動車、水素自動車、グリーンディーゼル自動車とかが入っているのですが、その中に、特にハイブリッド自動車や電気自動車などの購入の予定はあるかどうかお伺いします。
〇山崎参事兼管財課総括課長 温室ガス排出削減対策に向けた公用車導入の考え方についてでありますが、先ほど財政課総括課長からも説明がありましたが、県では、公用車配置基準、岩手県グリーン購入基本方針に基づく環境に配慮した低公害車の選定によりまして、地球温暖化対策に積極的に取り組むこととしており、車両を所管する各公所で導入や配置をしております。総務部におきましては、集中管理車両についても、当該方針等のもとに導入、配置しているところです。
具体の車種選定に当たっては、岩手県グリーン購入基本方針に掲げる判断の基準により、ハイブリッド車のほか、乗用車のうち、排出ガス基準や燃費基準を満たす自動車の中から選定することとしております。
公用車の更新に当たっては、これらの基準を踏まえつつ、新しい技術の活用等により環境負荷の低減を実現する自動車の動向も注視して対応してまいりたいと考えております。
〇柳村一委員 何台ぐらいというのは部局にまたがるのでわからないということでよろしいですね。わかりました。
公用車の配置基準について、岩手県グリーン購入基本方針に定める車から選定することということで、課長がおっしゃるような部局によって更新されているようですが、今度のいわて県民計画(2019~2028)によりますと、地球温暖化防止対策という観点で次世代自動車の導入ということを掲げています。また、水素利活用推進プロジェクトの中では、簡易型水素ステーションと燃料電池自動車-FCVの導入ということをうたっておりますが、知事も総括質疑で話していたように、平成31年度からスタートダッシュするということであれば、地球温暖化防止対策の一環として、公用車もそういう部分で平成31年度から取り組むべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇山崎参事兼管財課総括課長 新しい自動車とかが日々出てきているということは、新聞等でも見ているところでありますが、環境整備といいますか、社会的要請ですとか、あとは、新しい車に対する、例えば、今のガソリンスタンドの整備とか、さまざまそういう物理的な環境整備とかも必要になってこようかと思っておりまして、そのような状況を十分注視しながら、採用できる状況になりましたら、更新の候補の中に加えてまいりたいと考えております。
〇柳村一委員 環境問題に対しては、知事を本部長として、いろいろと相談されたりしてやっているようですが、県民に幾ら環境問題とかと言っても、やっぱり県として示していかないと浸透はしていかないと思うのです。ましてや水素ステーションは、岩手県にはまだないわけでありまして、民間がやるまで県が様子を見ているのでは、いつまでたってもできないと思います。やはり地球温暖化防止対策として県が考えるのであれば、公用車じゃなくてもいいのですが、公用車が一番見えやすいところですよね。例えば、脇にマグネットで地球温暖化防止対策をやっていますと張るとかという訴え方もあるでしょうし、一番見えやすいところなので、さらなる地球温暖化防止対策に向けた公用車購入は考えていらっしゃるでしょうか、お伺いします。
〇山崎参事兼管財課総括課長 新たな車両を購入するに当たって、さらに進んだ車種、車を今すぐ購入するというところまでは至っておりませんが、環境生活部とも情報交換をしながら、引き続き勉強してまいりたいと考えております。
〇柳村一委員 環境生活部は結構ハイブリッドなどを使っているので、やっぱりそこの部ですからあれでしょうけれども、ほかの部署も、そこら辺の意識を持って導入していただきたいと思います。
あと、先ほど総務部の管財課で20台を集中管理しているとおっしゃっていましたが、最初の御答弁ですと、知事部局だけで879台というかなりの車があるわけでして、例えばそれの使用率、稼働率というのでしょうか、車1台がどれぐらい使用されているかという統計みたいなものはとったことがおありでしょうか。
〇山崎参事兼管財課総括課長 総務部で管理している車両につきましては、集中管理車両の20台ですが、その公用車の運行率は、平成29年度で83%でございます。
〇柳村一委員 83%だったら、まあまあきちんと使われているということなのですが、それがいろいろな部局とかにまたがってくると、例えば、運行率が悪い車があったりすると思います。今、カーシェアリングとか、一般的にもそういう部分で車をいろいろ共有するという部分もあるので、20台だけではなくて、部局横断的な管理体制にして、エコカーみたいなものを各部で共用しながら使っていけば、少しは無駄が省けるのではないかと思いますが、その管理体制の構築みたいなものはお考えでしょうか。
〇山崎参事兼管財課総括課長 公用車の効率的な運行の確保や維持管理を行うために、平成13年度から、管財課において一部公用車の集中管理を実施しております。
現在、管財課においては、中型バス1台を含む計20台の車両を17名の運転技士によって運行、管理しており、本庁各部局の要請に応じて公用車の運用を図っているところです。
一方、各部局においてもそれぞれ公用車を所有しておりまして、各部局の業務に機動的に対応できるといったメリットもあります。
自動車の管理につきましては、定期点検整備のほか、日常点検も使用者の義務とされておりまして、点検の結果や使用時の異常やふぐあいへの対応も必要となることから、公用車の部局横断的な管理体制の構築に当たっては、そのメリットやデメリットについて整理しながら、今後研究してまいりたいと考えております。
あと、効率的な運用という観点からですと、集中管理している20台のほかに、各課で管理している公用車29台につきましても、設備予約システムの中に取り入れまして、あいているときは使えるような状態にしております。今、管財課としましては、そのような車両をふやしていこうと考えておりますので、担当部署からも、話も聞きながら進めてまいりたいと考えております。
〇柳村一委員 私が考えていることはもうやっているということですね。わかりました。ただ、やっぱり無駄を省くということと、あと、これからは地球温暖化対策をしっかり考えながら公用車の購入、更新等をやっていただきたいと思います。集中管理することによって、前にあった車検切れの車の件とかもなくなってくると思いますので、よろしくお願いしまして、終わります。
〇斉藤信委員 それでは、来年度予算における震災対応分と繰り越し分はどうなっているか、この間の推移を含めて示してください。
〇臼井財政課総括課長 平成31年度一般会計当初予算は9、355億円余であり、うち震災分は2、694億円余でございます。また、平成30年度の繰越明許費は1、388億円余でありまして、うち震災分は800億円余でございます。震災分の合計は3、494億円余となっております。
当初予算のうちの震災分と前年度からの繰越明許費の実繰越額を合わせた額の過去5年の推移についてですが、合計額で申し上げます。平成26年度は5、363億円余、平成27年度は5、726億円余、平成28年度は5、532億円余、平成29年度は4、562億円余、平成30年度は3、724億円余となっております。
〇斉藤信委員 平成26年が5、363億円、その後若干ふえて、今3、724億円、来年度予算では繰り越しを入れると3、494億円ということで、ピークを超えて減少している。ただ、岩手県の場合は、まだまだ一定の事業費があるのではないかという感じがいたします。
市町村の関係についてはあしたお聞きしますので、2番目に、国の地震調査委員会が2月26日に日本海溝沿いの地震の長期評価を明らかにいたしました。総合計画のところでもお聞きしましたが、青森県東方沖と岩手県沖の北部がマグニチュード7から7.5程度が30年以内で90%超、宮城県沖が90%程度と大変切迫した確率だと思いますが、防災の担当としてはどう受けとめておられますか。
〇佐々木総合防災室長 今回、国の地震調査研究推進本部が発表した長期評価は、将来発生すると想定される地震の場所、規模、発生確率について再評価したものでありますが、前回の評価に比べて、地震の規模や発生確率が高まっており、非常に憂慮していると受けとめております。
〇斉藤信委員 あれだけのマグニチュード9の東日本大震災があって、まだ8年という中で、その後の調査でこういう地震の確率が示されたのは、私は本当に緊張感を持って受けとめなくてはならないのではないかと思います。
それで、いわて県民計画(2019~2028)にはこういう表現がありました。防災、減災の最先端地域としての三陸の姿を広く国内外に発信していくと。私は、最先端地域とは言い過ぎではないのかと。ハードは、まだ防潮堤が完成していませんし、ソフトの面でいくと最先端とは言えないような状況がまだあるのではないか。
私は、ここでは一つだけお聞きします。東日本大震災津波の教訓を踏まえた地区防災計画の策定状況ですが、いわて三陸復興フォーラムで、私は大槌町安渡地区の地区防災計画をお聞きしました。安渡地区の地区防災計画は国際会議でも紹介され、内閣府のホームページにも紹介されています。一つの典型ということだと思います。
しかし、こうした地区防災計画はどのぐらい作成されているのか。これが本当に、特に被災地なんかではしっかりつくられてこそ最先端地域と言えると思うのですが、いかがですか。
〇佐々木総合防災室長 県内の地区防災計画の策定状況と県としての対応について、あわせて御答弁申し上げたいと思います。
まず、県内では、大槌町安渡地区が平成26年3月に策定したことを初めといたしまして、大槌町では2地区、陸前高田市では1地区、八幡平市では2地区、岩手町では24地区、岩泉町では6地区の計5市町、35地区において地区防災計画を策定しているところであります。
県といたしましては、地区防災計画は、市町村内の一定の地区内の居住者等が共同して地区の防災活動の計画を定めるものであり、この計画に沿って実践的な訓練等を実施することにより、自助、共助の意識が高まり、災害による被害の軽減につながる効果もあると考えております。
県といたしましては、地区防災計画を策定する際に中核的な役割を担うことが期待される自主防災組織の組織化と活動の活性化を図るため、地域防災サポーターの派遣、リーダー研修会の開催に加え、今年度から自主防災組織の活性化モデル事業も実施しております。
また、新たに来年度から、市町村と連携して50名程度の防災士の資格取得を目指す防災士養成研修を実施し、自主防災組織の中核を担う人材を育成していくこととしております。
今後におきましては、市町村消防防災主管課長会議等の場を通じて、県内の地区防災計画の策定事例を市町村と共有し、策定促進に向けた取り組みを働きかけてまいります。
〇斉藤信委員 それで、この安渡地区の地区防災計画は、あの東日本大震災津波で218人、地区の人口からいくと11.2%が犠牲になって、全ての犠牲者の調査、検証をしたのです。なぜこういう犠牲が出たのかと。それを踏まえて、協議会で何度も専門家も入って協議をして、地区防災計画を策定したと。
策定しただけではないのです。その後の避難訓練がまたすぐれていまして、例えば、私も一番問題にしているのだけれども、要支援者、自力では避難できない方々に、15分ルールをつくっているのです。15分以内に玄関まで出てもらう。そして、支援した人たちは、15分以内で自分も一緒に避難する。こういうルールをつくって、実際そういう訓練をしています。
私は、やっぱりここまで行けば最先端地域だと言えると思います。こういうすばらしい経験があるので、ぜひ、被災地はもとより、そういう形でこういう地区防災計画を今回の東日本大震災津波の教訓も踏まえて強力に進める必要があるのではないかと思いますが、いかがですか。
〇佐々木総合防災室長 地区防災計画の策定は非常に重要だと考えているところでございます。新しい動きをちょっと御説明いたしますが、日本防災士会では、地区防災計画の制度につきまして、積極的にその推進を図っております。
日本防災士会の岩手県支部でも取り組みたいという意向も持っていると伺っておりますので、県防災士会とも情報交換を行って、地区防災計画の策定が進むように、県としても市町村に働きかけるなど取り組んでまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 8年が経過して、私は改めて、切迫した状況も踏まえて、最先端地域にふさわしい防災、減災の取り組みを本当に本格的に進めていただきたい。
3番目に、消費税の問題についてお聞きいたします。
消費税の10%増税は1人当たり2万7、000円、1世帯当たり6万2、000円の負担増、県民総負担額は年間335億円と試算されています。これだけの負担増が岩手の経済に与えるマイナスの経済波及効果について、どのように試算されていますか。
〇横道税務課総括課長 経済波及効果についてでありますが、前回の消費税率が8%に引き上げられた平成26年の県内経済におきましては、物価上昇の動きが見られたほか、大型小売店舗販売額、新車登録台数などの個人消費の落ち込みや鉱工業生産指数、新設住宅着工戸数の前年割れなど、税率引き上げや駆け込み需要の反動減の影響が見られました。
国の平成31年度予算案におきましては、消費税率を10%に引き上げるに当たりまして、軽減税率の導入のほか、あらゆる施策を総動員し、経済の回復基調に影響を及ぼさないよう全力で対応することとされているところです。
県内経済が、今回も前回と同様の影響を受けるかどうかにつきましては、見通せないところであります。
〇斉藤信委員 8%増税で大変な影響を受けた。わかりやすい数字で言いますと、1世帯当たり消費支出が年間25万円減りました。すごい規模です。これはGDPで3兆円です。消費が3兆円落ちたのです。今度、10%増税というのは大変わかりやすい。税金を10%負担させられているというこの負担感は、8%以上のものがあるのです。大変なことがある。だから、増税額より、それを超えた減税対策をやるというのです。そんなことをやるのであれば、増税しなければいい。私はそこだけ指摘をして、次に、具体的な問題をお聞きいたします。
県内の中小企業は58%が赤字で法人事業税は課税されていませんが、消費税は課税されております。県内の消費税の滞納額の推移、他の滞納額との比較はどうか、わかりますか。
〇横道税務課総括課長 まず、県内の消費税の滞納額の推移でありますが、仙台国税局が公表しております本県の消費税及び地方消費税の合計値によりますと、平成25年度の滞納額は25億6、000万円でございました。税率が8%となりました平成26年度では34億2、500万円と増加いたしましたが、その後、毎年度減少いたしまして、平成29年度では29億2、600万円となっております。
その間、課税額は1.7倍となっておりますが、滞納額は1.1倍という状況でございます。また、収入率は、平成25年度で95.9%であったものが、平成29年度では97.3%まで上昇しております。
次に、他の滞納額との比較でありますが、県税滞納額について見ますと、税率引き上げ前の平成25年度から平成29年度まで毎年度減少しており、収入率につきましても毎年度上昇しておりまして、消費税率引き上げとの関連性は見られないところでございます。
〇斉藤信委員 平成29年度で29億6、000万円の滞納額。これを国税で見ますと、滞納額は総額41億円です。そのうち消費税が29億8、400万円。これは去年8月7日の仙台国税局の発表です。滞納は圧倒的に消費税なのです。それはなぜかというと、赤字でも取られるからなのです。こんな厳しい消費税はない。県内の中小企業の58%が赤字ですから。本当に、これは中小業者にとっては命を削られるような消費税になるのではないか。これは指摘だけにとどめておきます。
そこで、私は、消費税の10%増税が岩手県の税収と負担増の関係でどうなるのかということをお聞きしたい。消費税10%増税で、県民は335億円の負担になりますが、税収は幾らふえて、地方交付税は幾ら減って、県が発注する公共事業等に消費税の負担増が幾らかかるのか、転嫁できない消費税の負担額はどう見込まれるのか示してください。
〇臼井財政課総括課長 まず、本年10月からの税率引き上げに伴う実質的な増収額についてでありますが、課税が年度途中ということもありまして、来年度は3億8、400万円、2020年度は47億円、引き上げの影響が通年であらわれる2021年度以降は59億円程度と見込んでいるところであります。
この増収分につきましては、地方税法により全額、社会保障施策に要する経費に充てることとされており、県としても、国の制度設計等を踏まえまして、いわゆる社会保障の充実分と安定化分に、おおむね半分ずつ充てることとして試算しております。
交付税の影響でありますが、このうち安定化分については、既存の社会保障費の財源として充当されることで、実質的な交付税である臨時財政対策債の縮減につながるものと考えております。
また、県の歳出事業への税率引き上げによる影響でありますが、平成31年度当初予算案においては、工事請負費など課税取引対象となる経費について、こちらは国庫補助の財源も含めたものでありますが、約39億円の増を見込んでおります。この支出増分については、地方財政計画に計上されているものと認識しております。
転嫁できない状況についてのお尋ねにつきましては、県立病院等事業会計に係る影響をお答えさせていただければと思います。
本年10月からの税率引き上げの影響額については承知しておりませんが、医療局によりますと、県立病院等事業会計における平成29年度の実質消費税等負担額が15億900万円余、一般会計負担分が7億4、300万円余、それを除いた事業会計負担額が7億6、600万円余とのことであります。
〇斉藤信委員 県民が335億円もむしり取られて、県の税収は通年ベースで59億円です。そのうち半分は地方交付税で減らされるのです。これは今まで臨時財政対策債と言われてきたけれども、減らされるのです。効果は半分しかない。
一方で、公共事業に係る消費税は約39億円。このうち国庫支出金で手当てされるのは半分です。だから、県財政から見たら、ほとんどプラスはないと言ってもいい。ないどころか、県立病院の場合は、今まででさえ年間15億円を負担できない、転嫁できない消費税があるのです。だから、そういう意味で、岩手県も約半分それを補填し、医療局も半分補填している。医療局が転嫁できない総額は今、消費税で180億円になっています。これは本当に県民にとっても県立病院にとっても、大変なマイナスの影響を与え、県財政にとってもほとんどプラスがないということになるのではないか。
総務部長、このプラス、マイナスを聞いて、どうですか。
〇佐藤企画理事兼総務部長 県の財政運営をしていく上では、地方財政計画に計上されていまして、それを踏まえて県の予算も組んでいるところであります。そういった形で、県の財政運営にはしっかり対応しているところでございます。
〇斉藤信委員 全然聞いたことに答えていない迷答弁。
私は具体的に、本当にこの消費税の増税が百害あって一利なし、県民に負担を押しつけるだけということだけ厳しく指摘をしておきたいと思います。
次に、去年、米軍機F16戦闘機の異常な低空飛行訓練がありました。オスプレイも飛行いたしました。1月から6月にかけて米軍の演習の計画も示されていますが、その後の低空飛行訓練、オスプレイの飛行はあったのか。この演習で、オスプレイが参加することはあるのかを示していただきたい。
全国知事会は日米地位協定の見直しを政府に求めています。私は、やっぱり岩手県としても、県議会も請願を採択いたしましたが、これを本気で求めていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
〇佐藤企画理事兼総務部長 私から、沖縄県民投票の結果と、それに係る政府の対応の部分について答弁させていただきます。
まず、沖縄県民投票に係る政府の対応についてでありますが、これに対しましては、県としましてコメントする立場にはございません。
また、日米地位協定の見直しについてでありますが、これも国の外交、防衛政策や安全保障体制にかかわることでありまして、国の専権事項ということで、これについても答弁は控えさせていただきます。
ただ、全国知事会では、毎年度の国への要望の中で、日米地位協定の抜本的な見直しを行うよう要望しているほかに、昨年7月には、米軍基地負担に関する提言を取りまとめております。そして、その上で、国に対し要請活動を行っております。その中では、米軍機による低空飛行訓練等については、必要な実態調査を行うとともに、訓練ルートや訓練時期について速やかな事前情報提供を行うこと、それから、日米地位協定を抜本的に見直し、航空法や環境法令などの国内法を原則として米軍にも適用させることや、事件、事故時の自治体職員の迅速かつ円滑な立ち入りの保障などを明記することということで、全国知事会として、外務省及び防衛省に対して要請活動を行っております。
〇西島防災危機管理監 F16戦闘機の超低空飛行についてですが、昨年4月27日に動画サイトに投稿されたことが発覚しまして、県としては、速やかに米軍三沢基地と防衛省に要請文書を発出し、また、5月9日には、直接、二戸市、一戸町と帯同しまして要請文書を手交、そして、強い遺憾の意を表明するとともに、米軍に対する適切な対応をとるようにと申し入れたところです。
また、オスプレイの県内上空飛行につきましても、昨年7月17日に奥州市上空を飛行したことが報道されました。これに対しても、速やかに県としまして要請文書を発出いたしました。主たる骨子は二つでありまして、一つ目は、県民へのオスプレイの安全性の丁寧な説明による不安の払拭、そして二つ目は、オスプレイの飛行ルートなど具体的な飛行内容の事前説明。これは、こういった事案が起こるたび、また、日米共同演習等のたびごとに申し入れてきたところであります。
委員の御質問にありましたその後の情報についてですが、そういった情報、それから苦情は、これまでございませんでした。
それから、1月以降の米軍の演習ですが、これにつきましては、オスプレイも参加するという情報は入っておりません。
〇斉藤信委員 それでは、最後はまとめてお聞きしますので、簡潔に答えてください。
一つは入札問題です。最近、落札率が100%とか99%という異常な事態が続出しています。なぜでしょうか。予定価格の事前公表は見直すべきではないでしょうか。また、最低制限価格の実施は44都道府県となっていますが、岩手県も導入すべきではないでしょうか。
二つ目は、旧盛岡短期大学跡地の利活用問題についてで、来年度予算に解体の設計費用が盛り込まれました。総額幾らで、どういう中身なのかを示してください。
これは最後の質問ですが、県職員の旅費について、東京出張の場合、JRのはやぶさを使うのが合理的ですが、はやて、やまびこ料金が支給されているという話がありました。そうすると往復で1、020円、往復で2時間無駄な時間を過ごすことになるんですね。今、東京に行くときには、はやぶさを使うのが通例ではないかと思いますが、はやぶさ料金は支出できないのか、できるのか、はっきり示してください。
〇今入札課長 最近の落札率に伴う予定価格の事前公表の関係についてですが、予定価格の事前公表につきましては、一般質問の際に部長からも答弁させていただきましたが、入札の透明性の向上、発注者、受注者双方の事務効率の向上、さらには予定価格に係る不正防止の観点から有効なものとして導入しているものであります。
さらには、企業による適正な積算により入札に参加してもらうために、詳細な工事費の内訳書作成を義務づけているところであり、現時点では、適正な競争が確保されていると認識しているところであります。
落札率につきましては、発注時期、業種、地域によって、同じ工種であっても落札率が異なりますことや、入札参加者の手持ち工事量、受注意欲、それから、それぞれの企業の経営方針等によっても左右されるものと考えておりまして、その時々のさまざまな環境を総合的に反映した企業間の競争の結果と捉えるものと考えております。
一般競争入札におきましては、入札参加者は他の参加状況がわかりませんので、競争性は確保されており、予定価格の事前公表と落札率との因果関係はないと考えております。
次に、最低制限価格の導入についてでございます。最低制限価格制度につきましては、入札価格が最低制限価格を下回った場合に全て失格となる制度でありますが、本県の場合は、低入札価格調査制度を導入しているところであります。
この低入札価格調査制度は、調査基準価格を下回る入札があった場合でも、すぐには失格としないで、入札価格で適正な工事の施工が可能かどうか審査する制度となっておりまして、より低廉で良質な調達が可能になる点で、最低制限価格制度よりもメリットがあることから導入してきた経緯があります。
また、総合評価落札方式の入札の場合には、制度的に最低制限価格制度を適用できないという地方自治法上の制限があるという理由もあります。
さらに、ダンピング防止対策のために、低入札価格調査制度の中で、一定の価格を下回った場合には自動的に失格とする基準を設けているところであり、こうした面では、最低制限価格制度と同様の効果を発揮できるという点でも幅広く適用できることから、現在の方式をとっているものであります。
引き続き入札動向を注視しながら、低入札価格調査制度の適切な運用を図ってまいりたいと考えております。
〇橋場総務室管理課長 旧盛岡短期大学跡地の利活用について、予算額とその内訳ということですが、平成31年度当初予算案におきまして、財産管理費7、900万円の中に旧盛岡短期大学の校舎等の解体、撤去に向けた設計費等5、000万円を計上しております。これは、解体に伴う設計費のほか、必要に応じまして各種調査、例えば測量ですとか、周辺家屋への影響調査、立ち木の伐採などが生ずる場合があるため、一定額を計上しているものです。
〇佐藤人事課総括課長 初めに、旅費の基本的な考え方を申し上げますと、旅費の支給に当たりましては、条例の規定によりまして、最も経済的な通常の経路及び方法により旅行した場合の旅費によりまして計算することとしております。
この最も経済的な通常の経路及び方法という点についてですが、経費コストのみではなく、所要時間といった要素もあわせて考慮することとされております。
委員から今お話がございました東京まで出張する場合につきましては、スケジュール上の必要がある場合や、公務を効率的に遂行するため必要がある場合は、はやぶさの料金により旅費を計算できることとなっております。
〇小西和子委員 私は、1点のみ簡潔にお伺いいたします。市町村防災会議における女性参画についてお伺いいたします。
復興や参画の現場で政策方針の決定の場に必ず女性が参画すべきといわて男女共同参画プランには位置づけておりますが、市町村防災会議における女性委員の人数を見ると、6町村がずっとゼロであります。その理由をお伺いいたします。
〇佐々木総合防災室長 市町村防災会議の女性委員数についてでありますが、地域防災力の向上を図るためには、女性を初め、地域における多様な視点を取り入れていくことが重要であると考えております。
市町村防災会議において女性委員の割合が少ない要因の一つには、防災関係機関の長等を委員とする充て職が大半を占めていることが挙げられますが、平成24年の災害対策基本法の一部改正によりまして、市町村長が地域の防災関係者や学識経験者を委員に任命することができるようになっております。これにより、従前に比較して、女性委員を任命しやすい制度的枠組みとなったところでありますが、十分に活用されていない市町村があると考えております。
第1期アクションプランにおきましては、2020年までに女性委員が参画する市町村防災会議の割合を100%と設定しているところでありまして、その実現に向けて市町村に働きかけてまいります。
〇小西和子委員 そのような答弁だろうと思っておりました。充て職であるので、なかなか女性委員が生まれないということでありました。
そういう中で、これは平成30年4月1日現在の市町村防災会議における女性委員の割合の状況でありますが、釜石市は3人から12人にふえております。どのように取り組んだのかお伺いいたします。
〇佐々木総合防災室長 釜石市の取り組みについてでありますが、釜石市は、平成29年3月に市防災会議委員の条例定数を、35名から40名にふやしたところであります。
また、市の男女共同参画室に確認しましたところ、積極的に市の審議会等の委員として活動している女性がいないか確認し、委員就任を依頼した結果、女性委員が大幅に増加したと聞いておりまして、非常に有効な取り組みと捉えております。
〇小西和子委員 これはすばらしいなと思って見ておりました。そのほかにも、花巻市は3人から6人とふやしております。ただ、残念なことに、中には女性委員の人数が減っているところもあるといった状況であります。
先ほど室長がお話しになりましたように、2020年までに、女性が参画する市町村防災会議の割合を100%とする。つまり、どこの市町村防災会議にも女性委員が入っているという状況を目標として掲げているということでありますので、何としても女性委員ゼロの6町村に、釜石市の取り組みを紹介するなど女性参画の促進について要請すべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇佐々木総合防災室長 市町村防災会議に女性委員が参画できるようにする取り組みについてでありますが、市町村長を対象とした防災危機管理トップセミナーを開催しておりまして、そういった場面や市町村消防防災主管課長会議の場など、さまざまな機会を活用し、女性委員の参画について呼びかけるとともに、女性委員が一人もいない6町村につきましては、釜石市の取り組みを紹介するなどして、女性委員の登用について強く働きかけをしてまいります。
〇小西和子委員 なぜ女性委員が必要なのかといったことを詳しく紹介していかなければならないかと思いますし、1人とか2人とかという市町村もありますので、やっぱりもう少し、ある程度の人数がいないとなかなか意見も出しづらいのではないかと思います。たしか持続可能な開発目標-SDGsの中にジェンダー平等というものもありますので、そういうことで、男女共同参画の促進について要請をしていってほしいと思います。
最後に、総務部長としては私が質問するのはこれが最後かもしれません。男女共同参画についての思いをお聞きして、終わります。
〇佐藤企画理事兼総務部長 まさに委員御指摘のとおり、男女共同参画を推進していかなければならないのは当然のことでありますし、それから、総務部で防災を担当する立場として、こういった市町村の防災会議で、そして、女性の立場からのいろいろな提言や意見をしっかり述べていただく、それを市町村地域防災計画にしっかり反映させていくことが大変重要であります。そこは総務部としても、防災会議の女性委員の割合については、まず6町村のゼロの解消を必達目標にしていくこと、また、男女共同参画の取り組みについては、私も積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 まず、県庁における障がい者雇用の現状についてお聞きしたいと思います。
昨年、省庁と地方自治体等の公的機関において、障害者手帳の交付に至らないなど障がい者に該当しない人を障がい者として雇用し、障がい者の雇用率が水増しされていた問題がありました。その後のさまざまな調査の中で37府県で確認され、そのうち岩手県も入っておりましたが、どのような状況にあるのか、また、現在の法定雇用率はどのような状況にあるのかお伺いいたします。
〇佐藤人事課総括課長 知事部局における障がい者雇用率につきましては、平成30年6月1日現在での数字になりますが、2.52%となっておりまして、都道府県の法定雇用率2.5%を達成している状況であります。
今、委員からもお話がございましたとおり、障害者手帳の実物を確認するようにという指導もありまして、その後に実物の確認を行った結果として、この2.52%という数字になっております。
〇千田美津子委員 先ほど言いました岩手県もそういう水増しの例があったということは、知事部局でないところであったということで理解してよろしいですか。
〇佐藤人事課総括課長 知事部局におきましては、把握していたものと実物の手帳との確認結果が合致したということでしたが、教育委員会で、実際に確認したところ、手帳がなかったとか、あるいは、その後に該当しなくなった事例があったと承知しております。
〇千田美津子委員 けさも報道がありまして、中央省庁では障がい者雇用の水増し問題があって、各省庁が法定雇用率を達成できなかった場合、庁費の減額をするという方向が検討されているようであります。やはり行政がきちんとこれらを達成していくことが求められるわけですから、まず、知事部局では2.52%ということで了解しました。
さらに、報道等を見ますと、障がい者の方々に向けた国家公務員試験において、採用面接に受験者から不満が相次いだとの報道もありました。岩手県ではそういうことはないと思いますが、障がい者の方が試験を受ける場合にそのようなトラブルとか不都合とかはないのか、それから、岩手県においては、何かこういう方々に対する配慮がされていると思いますが、それらについて質問いたします。
〇佐藤人事課総括課長 先ほど知事部局の雇用率について申し上げましたが、この法定雇用率は段階的に引き上げられてきておりまして、県としましては、この段階的な引き上げを見据えて計画的な障がい者の採用に取り組んでまいりましたし、障がい者の募集や採用に当たりましても、点字や音声、手話等による試験の実施ですとか、実際に勤務する際の職場内で移動する際の負担の軽減などの対応も行ってきたところであります。これは、厚生労働省から示されております合理的な配慮基準に基づいて、適切な対応に努めてきたところです。
今後におきましても、さまざまな報道の御指摘等も承知しておりますので、そういった点につきまして、やはり人事委員会等の関係機関と十分意見交換、情報交換を図りながら、さらなる雇用の拡大に向けまして県として積極的に取り組んでいきたいと思います。
〇千田美津子委員 ぜひよろしくお願いいたします。
それでは二つ目、広域防災拠点設備等整備費に関連してお尋ねしたいと思います。
これから大規模災害に備えた防災体制を、本当に構築していく必要があるわけですが、広域防災拠点の食料等の備蓄を計画的に推進する事業だと思いますが、県内の防災拠点は、どこに、どのように設置されているのか。それから、目標とする備蓄量に対して現状はどのくらい充足されているのか。そしてもう一つ、まとめて聞きますが、期限が迫っている食料品とか、そういう物資等について、その活用はどのように行われているのか。その3点お聞きします。
〇佐々木総合防災室長 まず、広域防災拠点についてでありますが、県では、平成25年度に岩手県広域防災拠点配置計画を策定したところでありまして、県内全域で発生する大規模災害に対応する広域支援拠点を盛岡、花巻地区に、それから、被災地により近い場所で被災地支援を担う後方支援拠点を二戸、葛巻、遠野、北上の各地区に配置しております。
それから、備蓄でありますが、アルファ米、栄養補助食品、飲料水、毛布、それから携帯トイレといったものを計画的に備蓄しておりまして、それにつきましては、平成30年度で一通り整備が整ったところであります。
それから、使用期限切れの備蓄品の活用についてでありますが、今年度で使用期限切れとなる栄養補助食品につきましては、岩手県災害備蓄指針に基づき、二戸市の総合防災訓練において参加者に配布しまして、家庭における備蓄の啓発を行っております。
今後におきましても、使用期限が近づいている備蓄物資につきましては、県及び市町村の総合防災訓練等で配布するなど、有効に活用してまいります。
〇千田美津子委員 先ほどの防災拠点ですが、盛岡、花巻、二戸、遠野、葛巻、北上と、いずれ広い岩手県の中で全体を網羅したとは見えないわけです。例えば、県南とかの部分はどのようになっているのか。
また、あわせて広域防災拠点整備の上で課題になっているようなことはないのか、お聞きいたします。
〇佐々木総合防災室長 まず、県南の広域防災拠点ということですが、県南地区におきましては、先ほどの花巻市が入っておりますし、あとは、北上市と遠野市に設置しておりまして、何か災害が発生した場合には、そちらの拠点から被災地に物資を運搬することを考えております。
それから、整備の課題というところでありますが、県といたしましては、発災直後から流通が確保されるまでの間に必要な物資ということで、市町村でも当然備蓄はしているわけですが、それを補う意味で県でも備蓄をしております。したがいまして、発災した直後に、速やかにその物資をお届けできるように、関係機関なりと連携をしっかりとっていくことを心がけていきたいと考えております。
〇千田美津子委員 全体に、災害は起きないほうがいいわけですが、いざというときに早期に届けられるように。
それから、携帯トイレとかも多分あるのだろうと思いますが、そういう要配慮者に配慮した備蓄については十分な形で行われているかどうか、その点について、確認いたします。
〇佐々木総合防災室長 まさしく、今携帯トイレというお話がありましたが、県といたしましても、携帯トイレだけでは十分ではないと考えているところであります。
平成31年度当初予算案の中でも、組み立て型のトイレを新たに予算要求の中に入れておりまして、1基当たり大体30万円するものですが、それを24基、来年度は予算要求しているということで、713万円ほどになるのですが、そういったものも県で備蓄をしながら、有事の際にはいち早くお届けできるように取り組んでまいります。
〇千田美津子委員 引き続きよろしくお願いいたします。
それでは、最後に地域防災力強化プロジェクト事業に関連して、1点だけ、防災士の養成についてです。
新年度は、先ほども御答弁がありましたが50名養成予定となっているようですが、県議会でもかなりの議員が防災士を取得したわけですが、私は、この50名はぜひやっていただきたいし、もしPR次第でオーバーするようなことがあったら、補正対応も含めて前倒ししてもっとふやすことが非常に大事かと思っております。
もう一つ、防災士をふやしていくと同時に、どう活用していくか。今までも防災士の資格を取った方が結構いらっしゃるのですが、地域でどうしていったらいいかわからないという方々もいらして、実際に資格を生かせない状況もありますので、今後の見通しについてもお聞きしたいと思います。
〇佐々木総合防災室長 まず、1点目の防災士養成研修の前倒しというお話がございましたが、これにつきましては、市町村のニーズも聞きながら、新年度、まずは50名というところでしっかり取り組んでいきたいと考えております。あとは、単年度予算ということでありますが、複数年度にわたってそういうものができないかということも検討してまいりたいと考えております。
それから、活用についてですが、やはり自主防災組織の組織化でありますとか活動の活性化は非常に重要ですので、資格を取って終わりということではなくて、今考えておりますのは、市町村の推薦なりをいただいた方あるいは自主防災組織からの推薦といったことを考えております。戻った後に地域で活用できる方に資格を取っていただいて、資格取得の後も必要に応じて研修などを行いながら、地域に入っていって、活性化なり組織化に取り組んでいきたいと考えております。
〇千葉絢子副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇千葉絢子副委員長 質疑がないようでありますので、これで総務部関係の質疑を終わります。
総務部の皆さんはお疲れさまでした。
以上で本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後4時50分 散 会

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