平成31年2月定例会 予算特別委員会会議録

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予算特別委員会会議記録
(第 1 号)
平成31年3月5日(火)
1開会 午前10時4分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
事務局長 泉   裕 之
議事調査課
総括課長 村 上 宏 治
議事管理担当課長 安 齊 和 男
主任主査 柳 原   悟
主任主査 金 戸 伸 幸
主査 上 野 公一郎
主査 小 原 亜季子
主査 赤 坂 宏 紀
主査 戸 塚 教 仁
1説明員
知事 達 増 拓 也
副知事 千 葉 茂 樹
副知事 保   和 衛
企画理事 大 平   尚
企画理事兼
総務部長 佐 藤   博

秘書広報室長 高 橋 勝 重
秘書広報室副室長兼首席調査監 上和野 里 美

総務部副部長兼
総務室長 熊 谷 泰 樹
人事課総括課長 佐 藤 法 之
財政課総括課長 臼 井 智 彦
税務課総括課長 横 道 栄 雄

政策地域部長 白 水 伸 英
理事兼政策地域部副部長兼
地域振興室長兼
三陸防災復興
プロジェクト2019
推進室長 鈴 木   敦

政策地域部副部長
兼政策推進室長
兼主席ふるさと
振興監 小 野   博
政策監兼
ふるさと振興監 岩 渕 伸 也
市町村課総括課長 小 原 重 幸

文化スポーツ
企画室企画課長 畠 山   剛

環境生活企画室
企画課長 高 橋 孝 嗣

保健福祉企画室
企画課長 中 野 文 男

商工企画室
企画課長 阿 部   博

農林水産企画室
企画課長 照 井 富 也

県土整備企画室
企画課長 嵯 峨 俊 幸

復興局長 佐々木   信
復興局副局長 森   達 也

教育企画室
特命参事兼
企画課長 鈴 木   優
〇泉議会事務局長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うことになっております。
出席委員中、工藤勝子委員が年長の委員でありますので、御紹介申し上げます。
工藤勝子委員、どうぞ委員長席に御着席をお願いします。
〔年長委員工藤勝子君委員長席に着く〕
〇工藤勝子年長委員 ただいま御紹介のありました工藤勝子であります。よろしく御協力をお願いいたします。
それでは、ただいまから予算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開きます。
これより委員長の互選を行います。委員会条例第7条第2項の規定により、委員長互選の職務を行います。
お諮りいたします。委員長互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子年長委員 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子年長委員 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
予算特別委員長に軽石義則君を指名いたします。
お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました軽石義則君を予算特別委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子年長委員 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました軽石義則君が予算特別委員長に当選されました。
ただいま当選されました軽石義則君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
軽石委員長、委員長席にお着き願います。
〔予算特別委員長軽石義則君委員長席に着く〕
〇軽石義則委員長 ただいま予算特別委員長に選任されました軽石義則でございます。
御推挙いただき大変光栄に存じておる次第であります。委員各位の御協力をいただきまして職責を全うしたいと考えておりますので、御協力をよろしくお願い申し上げ、御挨拶といたします。(拍手)
引き続いて副委員長の互選を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇軽石義則委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
これより副委員長の互選を行います。
お諮りいたします。副委員長互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇軽石義則委員長 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇軽石義則委員長 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
予算特別副委員長に千葉絢子さんを指名いたします。
お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました千葉絢子さんを予算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇軽石義則委員長 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました千葉絢子さんが予算特別副委員長に当選されました。
ただいま当選されました千葉絢子さんが委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
千葉絢子副委員長、御挨拶をお願いいたします。
〇千葉絢子副委員長 千葉絢子です。ただいまは副委員長に選任いただきまして、まことにありがとうございます。
軽石委員長を補佐いたしまして委員会の円滑な運営に努めてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
〇軽石義則委員長 お諮りいたします。当予算特別委員会に付託されました議案55件についての審査の方法でありますが、お手元に配付してあります日程案のとおり、本日及び明日は知事、副知事、企画理事及び関係部局長等の出席を求め総括質疑を行い、明日の総括質疑終了後から8日まで、12日から15日まで、及び18日は、関係部局長等の出席を求めて、部局ごとに質疑を行うこととし、議案55件に対する意見の取りまとめと採決につきましては、18日の県土整備部関係の質疑が終わった後、世話人会での意見調整を経た上で行いたいと思います。
なお、8日目の農林水産部の審査については、第1部を農業関係、第2部を林業、水産業関係とし、それぞれ区分して審査することとしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇軽石義則委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
これより議事に入ります。
議案第1号から議案第20号まで、議案第28号、議案第30号、議案第32号から議案第39号まで、議案第41号、議案第43号から議案第45号まで、議案第47号から議案第55号まで、議案第57号、議案第60号から議案第63号まで、及び議案第65号から議案第71号までの以上55件を一括議題といたします。
企画理事兼総務部長に総括説明を求めます。
〇佐藤企画理事兼総務部長 平成31年度当初予算の概要等につきまして、総括的に御説明申し上げます。
この平成31年度当初予算は、東日本大震災津波からの復興と平成28年台風第10号災害からの復旧、復興に最優先で取り組むとともに、新しいいわて県民計画に掲げる、県民みんなで目指す将来像の実現に向けた取り組みを推進する新時代スタートダッシュ予算として編成したものであります。
具体的には、健康づくりや結婚、家庭、子育ての環境づくりなど、保健、医療、福祉の充実、自動車、半導体関連産業の集積や県内への就業促進、農林水産業の生産性向上などの産業振興、移住、定住の促進などのふるさと振興、社会基盤の整備、強化などの取り組みを推進してまいります。
また、三陸防災復興プロジェクト2019やラグビーワールドカップ2019釜石開催など、東日本大震災津波の教訓や復興の姿を国内外に発信する取り組み、ILCプロジェクトを初め、10年後の未来を見据えた新しい時代を切り拓くプロジェクトの取り組みを推進してまいります。
さらに、中期財政見通しや公債費負担適正化計画を踏まえ、財政健全化にも配慮したものとしているところであります。
それでは、予算の概要について御説明申し上げます。
お手元の議案その1の1ページをお開き願います。議案第1号平成31年度岩手県一般会計予算であります。
第1条は、歳入歳出予算の総額をそれぞれ9、355億182万1、000円と定めるものであります。これを前年度当初予算に比較しますと1.9%の減となるものであります。第2条は債務負担行為の限度額等を、第3条は地方債の限度額等をそれぞれ定めるものであり、第4条は、一時借入金の最高額を1、000億円とするものであります。第5条は、職員給与について同一款内での予算流用を定めるものであります。
次に、歳入について御説明いたします。便宜、予算に関する説明書により説明いたします。これは厚い冊子のほうでございます。予算に関する説明書の1ページをお開き願います。
一般会計歳入歳出予算事項別明細書の1総括、歳入のうち、自主財源は、1県税、2地方消費税清算金、7分担金及び負担金、8使用料及び手数料、さらに10財産収入から14諸収入までであり、その総額は3、728億3、700万円余で、前年度当初予算と比べると5.3%の減となっています。これは、主に基金からの繰入金や諸収入の減少などによるものであります。
また、依存財源は、3地方譲与税、4地方特例交付金、5地方交付税、6交通安全対策特別交付金、9国庫支出金、15県債であり、その総額は5、626億6、400万円余で、前年度当初予算と比べて0.6%の増となっておりますが、これは、主に国庫支出金の増などによるものであります。
この結果、歳入に占める自主財源の割合は39.9%、依存財源の割合は60.1%と、自主財源の割合が昨年度から1.4ポイント減少しております。
次に、歳入の内容について御説明申し上げます。4ページをお開き願います。
まず、1款県税1項県民税は433億9、200万円で、前年度比1.7%の増となっておりますが、これは、2目の法人県民税について、企業業績の伸びによる増収が見込まれることなどによるものであります。
2項事業税は296億1、000万円で、7.1%の増となっておりますが、これは、2目の法人事業税について、法人県民税と同様、企業業績の伸びによる増収が見込まれることなどによるものであります。
次に、6ページの3項地方消費税は219億3、300万円、4.1%の増を見込んでおります。
4項不動産取得税は25億5、700万円で、15.2%の増と見込んでおります。
8ページの5項県たばこ税は13億8、300万円で、1.3%の減、6項ゴルフ場利用税は2億6、300万円で、6.4%の減と見込んでおります。
10ページの7項自動車取得税は、本年9月末で廃止されることから10億3、900万円で、47.4%の減、8項軽油引取税は170億8、200万円で、2.6%の減と見込んでおります。
次に、12ページの9項自動車税は、本年10月から環境性能割が導入されることから183億600万円で、3.3%の増と見込んでおります。
10項鉱区税は、最近の課税実績等を勘案し1、800万円を計上しております。
次に、14ページの11項狩猟税は、狩猟者登録の見込み数により1、300万円を見込んでおります。
12項産業廃棄物税は、最終処分場の年間埋立量などを勘案して8、800万円を計上しております。
以上、県税の合計額は1、356億8、400万円で、前年度当初予算に比べ30億7、200万円、2.3%の増となるものであります。
次に、16ページの2款地方消費税清算金は501億1、400万円で、3.2%の増となっております。
17ページの3款地方譲与税1項地方法人特別譲与税は213億2、100万円、18ページの2項地方揮発油譲与税は32億5、000万円、19ページの3項石油ガス譲与税は1億5、300万円をそれぞれ計上しております。
20ページの4項自動車重量譲与税は、平成31年度から国税から地方税への税源移譲のため、市町村に加え、新たに都道府県にも創設されるものであり、9、200万円を見込んでいるものであります。
21ページの5項地方道路譲与税は100万円を計上しております。
22ページの6項森林環境譲与税は、平成31年度から森林整備を実施する市町村の支援等に関する費用に充てるため創設されるものであり1億2、500万円を見込んでいるものであります。
23ページの7項航空機燃料譲与税は3、400万円を計上しております。
24ページの4款地方特例交付金1項地方特例交付金は、住宅借入金等特別税額控除による減収を補填するための特例交付金及び自動車税の減収を補填するための特例交付金であり9億1、900万円余を見込んでおります。
2項子ども・子育て支援臨時交付金は、幼児教育、保育の無償化に係る特例交付金であり9億5、700万円余を見込んでおります。
26ページの5款地方交付税は、国の地方財政対策の内容や震災からの復旧復興事業費等を総合的に勘案して推計を行いまして2、819億7、200万円余と、前年度当初予算に比べ83億7、100万円余、2.9%の減で計上しております。
27ページの6款交通安全対策特別交付金は3億9、400万円余を見込んでおります。
次に、28ページの7款分担金及び負担金でありますが、1項分担金は、そのほとんどが農業農村整備事業等に係るものであり2億8、700万円余、29ページから30ページまでの2項負担金は、民生費などの受益者負担金、市町村負担金等を計上しており17億2、800万円余となっております。
31ページ、8款使用料及び手数料でありますが、1項使用料の主なものを申し上げますと、32ページの4目労働使用料では、産業技術短期大学校授業料、33ページの7目土木使用料では、道路及び河川の占用料、県営住宅使用料、9目教育使用料では、県立学校における授業料などであります。これら使用料の総額は、34ページの計欄61億2、400万円余で、前年度に比べ1.7%の増となっております。
次に、35ページから39ページまでの2項手数料でありますが、その主なものは、3目衛生手数料のうち、36ページの屠畜検査に係る手数料、38ページの7目土木手数料の建築確認に係る手数料、8目警察手数料の運転免許に係る手数料などでありまして、合計は、39ページ計欄の21億6、200万円余で、5.0%の増となっております。
次に、40ページ、9款国庫支出金でありますが、1項国庫負担金の主なものを申し上げますと、2目民生費負担金では、41ページの生活保護や災害救助など、42ページの6目教育費負担金では、小中学校教職員の人件費に係るものや県立学校の授業料に充てるための就学支援交付金など、7目災害復旧費負担金では、漁港災害復旧事業、河川等災害復旧事業、港湾災害復旧事業などであります。これら国庫負担金の総額は、43ページの計欄990億3、900万円余で、震災復興事業費の増加などにより前年度より24.3%の増となっております。
次に、44ページ、2項国庫補助金でありますが、その総額は、57ページまで進んでいただきまして828億7、300万円余で、5.8%の減となっております。
次に、58ページの3項委託金でありますが、1目総務費委託金の参議院議員選挙執行に係る国庫委託金の増などにより、その総額は、60ページまで進んでいただきまして26億900万円余で、57.0%の増となっております。
61ページの10款財産収入でありますが、1項財産運用収入は1億6、500万円余を計上、62ページから63ページにかけての2項財産売払収入は、県有未利用地や生産物の売り払いによる収入などでありまして9億700万円余を計上しております。
64ページの11款寄附金は、ふるさと岩手応援寄付など8、200万円余を見込んでおります。
次に、65ページ、12款繰入金1項特別会計繰入金は3億6、600万円余であります。
66ページ、2項基金繰入金は、東日本大震災復興交付金基金などの基金を活用するため340億6、300万円余を計上しております。
67ページの13款繰越金は、整理科目であります。
68ページの14款諸収入1項延滞金、加算金及び過料等は1億9、200万円余を計上しております。
69ページの2項預金利子は1、000万円余を計上しており、70ページ、3項公営企業貸付金元利収入は113億円余を計上しておりますが、県立病院等事業会計への貸し付けの償還金であります。
71ページの4項貸付金元利収入は、各行政部門における貸付金に係る元金及び利子の収入で、合計額は、72ページの計欄1、171億4、500万円余となっております。
73ページ、5項受託事業収入は、次の74ページの計欄のとおり、総額で44億4、000万円余となっております。
次に、75ページ、6項収益事業収入は、宝くじ発売収益34億9、100万円余となっております。
76ページの7項利子割精算金収入は、整理科目であります。
77ページ、8項雑入の総額は、80ページまで進んでいただきまして45億6、800万円余と見込んでおります。
次に、81ページ、15款県債でありますが、その総額は、84ページの計欄のとおり689億2、100万円余であり、前年度に比較して65億3、100万円余、8.7%の減となっております。
この結果、県債の現在高見込みでありますが、一旦305ページまで進んでいただきまして、前年度末現在高見込額が平成30年度末残高であり、右端の当該年度末現在高見込額が平成31年度末残高となりますが、306ページの上から5行目の計欄をごらんいただきまして、左から3列目の平成30年度末残高は1兆2、848億6、800万円余、平成31年度末では、計欄の右端になりますが1兆2、625億1、100万円余の残高になると見込んでおります。
また、306ページの中ほどの表に県債管理基金への積立金を記載しており、これを調整した実質的な県債の現在高見込額につきましては、一番下の表の計欄、左から3列目の平成30年度末残高は1兆2、789億6、200万円余、平成31年度末では、計欄の右端になりますが1兆2、555億9、800万円余の残高になると見込んでおります。
以上で歳入についての説明を終わります。
次に、歳出についてでありますが、主要な事業につきましては、それぞれ所管部局の審議の際に担当部局長から詳細に御説明申し上げます。
款別歳出については説明を省略し、私からは、性質別の主なものについて申し上げます。
お手元の予算に関する資料で御説明いたします。3ページをお開き願います。第2表、平成31年度一般会計歳出性質別内訳表でございますが、この表の右端の前年度当初予算からの増減率の欄を中心にごらんいただきたいと存じます。
平成31年度当初予算の特徴的なところを何点か申し上げますと、まず、4ページに参りまして、6普通建設事業費につきましては10.7%の減となっておりますが、これは、震災事業に係る地域連携道路整備事業111億1、400万円余の減、平成28年台風第10号災害に係る河川激甚災害対策特別緊急事業44億7、700万円余の減等によるものであります。7災害復旧事業費は、震災事業に係る漁港災害復旧事業187億4、400万円余の増等であり、20.9%の増、5ページに参りまして、8公債費は6.7%の減、9積立金は、地域医療介護総合確保基金積立金8億6、000万円余の増等により33.9%の増、10出資金は、食肉処理施設への出資の皆減により90.9%の減となっております。
平成31年度岩手県一般会計予算の概要は、以上のとおりであります。
なお、特別会計につきましては、所管部局におきまして御説明申し上げますので、私からは省略させていただきます。
以上で総括説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇軽石義則委員長 ただいまから総括質疑に入るわけでありますが、議会運営委員会の決定に基づき、総括質疑は、各会派及び会派に所属しない委員に質疑時間を配分して行うことになっております。
質疑時間につきましては、まず、改革岩手が54分、次に、自由民主クラブが42分、次に、いわて県民クラブが21分、次に、創成いわてが21分、次に、日本共産党が15分、次に、社民党が12分、次に、会派に所属しない委員は、公明党小野寺好委員、無所属樋下正信委員、無所属吉田敬子委員の順に、それぞれ9分となっております。
各会派は、配分された時間の範囲内で複数の委員が質疑をすることができること、この場合におきましては、会派として続けて行うこととされておりますので、御了承願います。
なお、総括質疑は、本日及び明日に予定されておりますが、明日は、総括質疑終了後、議会、総務部関係の審査も予定されておりますので、議事の進行に御協力をお願いいたします。
また、本日の総括質疑は、世話人会の申し合わせにより、5時前に質疑に入った会派等の質疑が終了するまで議事を継続することといたしたいと思いますので、あらかじめ御了承願います。
これより総括質疑に入ります。高橋元委員。
〔高橋元委員質問者席に着く〕
〇高橋元委員 改革岩手の高橋元でございます。会派を代表し総括質疑を行います。
これまで、代表質問や一般質問、次期総合計画特別委員会において質疑がなされ、重複する点もありますが、基本部分で何点か知事や各部局の考えを伺いますので、よろしくお願いいたします。
まず最初に、現いわて県民計画の総括についてであります。
平成31年度一般会計当初予算は総額9、355億200万円であり、復旧、復興の進捗に伴い、復興予算の減少から前年度比178億4、600万円の減、率にして1.9%の減となっており、新いわて県民計画のスタート予算として、また、東日本大震災津波復興計画が、新県民計画の四つのアクションプランの一つ、復興推進プランとして位置づけられてスタートする予算であります。
知事は、就任してから2度目の県民計画策定となりました。前回はリーマンショック後の世界同時不況のさなかであり、平成21年度予算にゼロ予算事業なるものも誕生いたしました。
2度目となる新県民計画は、東日本大震災津波を経験し、8年間の復興基本計画を終え、復興は新たなステージに進むとともに、人口減少や急激な高齢化、過疎化の進行、TPP11や日EU・EPA協定発効等、グローバル経済への対応など、県政運営も一段進化した取り組みが必要となってきております。
まずは、計画推進により県民の生活、県内経済、医療、福祉、教育等はどのように推移してきたか、知事の目指す希望郷いわてが実現したのか、実現しつつあるのか、現県民計画の総括を伺います。
〇達増知事 私が知事に就任しました当時、岩手県は6、000人を超える人口の社会減や県民所得の低迷、厳しい雇用情勢や深刻さを増す地域医療などの危機に直面していました。
こうした危機の克服に向けて、現行のいわて県民計画では、いっしょに育む希望郷いわての基本目標のもと、仕事、暮らし、学び・こころの三つの分野の将来像を示し、県民が希望を持つことができる社会を実現すべく取り組みを進めてきたところであります。
現行の計画に基づくこれまでの取り組みによりまして、仕事については、自動車や半導体関連産業を中心とした産業集積の加速、いわて花巻空港における台北、上海国際定期便の開設、金色の風や銀河のしずくに代表される農林水産物のブランド化の進展、暮らしにつきましては、人口10万人当たりの病院勤務医師数の増加や保育所整備、保育人材の確保、子供の貧困対策などの取り組みの進展、学び・こころについては、平泉と橋野鉄鉱山の世界遺産登録の実現や、文化芸術、スポーツの分野における本県の才能豊かな人材の国内外での活躍など、多くの成果を上げてきたところであります。
また、平成28年の希望郷いわて国体、希望郷いわて大会は、県民の底力とさまざまなつながりの力を結集して大成功をおさめたところであり、いっしょに育む希望郷いわてという現計画の基本目標にかなりの程度近づくことができ、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわてを基本目標とする、新しいいわて県民計画につながる土台を築いたものと考えております。
〇高橋元委員 次に、いわて幸福関連指標を用いた次期県民計画についてでありますが、本計画の策定に向けて、県内市町村長を初め、議会、県民の皆さんの声を聞き、総合計画審議会でまとめられたもので、新計画策定に当たって、知事の考えはどう反映されたのか見えにくかったと感じております。
次期県民計画の四つのアクションプランの中で、特に達増知事がスタートダッシュで重要と思われる政策を三つ挙げるとしたら、それは何か、その事由も含めて伺います。
〇達増知事 平成31年度におきましては、東日本大震災津波からの復興に最優先で取り組みますとともに、いわて県民計画最終案の基本目標の実現に向けた10の政策分野の取り組みを進めることとし、目標に向かってスタートダッシュする予算として編成したものでございまして、盛り込んだ取り組みは、いずれも重要と考えているところでございます。
その中でも主なものといたしましては、災害に強い交通ネットワークの構築、こころのケア活動の推進、地域のなりわい再生など、復興の取り組み、健康づくりや結婚、家庭、子育ての環境づくりなど、保健、医療、福祉の充実を図る取り組み、自動車、半導体関連産業の集積や人手不足対策を初めとした県内への就業の促進、先端技術の活用による農林水産業の生産性向上など、産業振興を図る取り組み、そして、移住、定住の促進、魅力あるふるさとづくり、文化芸術、スポーツの振興など、ふるさと振興を図る取り組みなどが挙げられるところであります。
〇高橋元委員 どれも重要な事項でございまして、新しい県民計画の議論の中でもいろいろ指摘をいただいたところでございます。
ところで、スタートダッシュということにつきましては、10年計画の初年度ということもありますし、また、4年にわたる第1期アクションプランのスタートの年ということになるわけでありまして、まさに4月1日からスタートダッシュということになろうかと思います。
ただ、知事の任期は9月までなのです。スタートダッシュと言いつつも、9月の初めのころで任期を迎えるわけでございまして、知事としては、やはりこの新しい県民計画、10年の県民計画をしっかりと軌道に乗せるためには、ことし1年、あるいは1期目の4年間のアクションプランを責任を持って担当すべきだと私は思います。そういう意味では、そろそろ知事も時期について語る時期ではないかとも思いますが、現状での知事の思いをお伺いしたいと思います。
〇達増知事 大変ありがたいお言葉を頂戴したなと思っておりますけれども、今、新年度のこの予算の審議をお願いしているところでありまして、この予算の中にスタートダッシュというもの、この4月1日から始まる事業を牽引する、あるいは担保する予算をお願いしているところでございますので、まずは、この予算について、いただいた質問に私から直接あるいは執行部のそれぞれ担当から答弁をさせていただいて、御理解の上で、採決、議決いただくことに今は専念したいと思います。
〇高橋元委員 なかなかそのタイミングというものもあろうかと思っております。ただ、そうは言っても、刻一刻と日にちがなくなってきておるわけでありまして、私は、やはり責任ある立場でしっかりとこの計画あるいは予算執行していくことを考えますと、4月の早い段階でも態度を表明していただければいいかと、こんな希望を持っております。
次に、東日本大震災津波復興計画の8年の総括についてであります。
東日本大震災津波からの復興でありますが、間もなく8年が経過いたし、この間、膨大な瓦れき処理から安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生に取り組んできましたが、この8年間の復興計画の総括と必要な予算が手当てできたのか伺います。
〇達増知事 県では、これまで、岩手県東日本大震災津波復興計画を策定し、被災者一人一人に寄り添った支援を行いながら、県政史上かつてない予算規模で復旧、復興事業に取り組んでまいりました。
その結果、災害廃棄物の処理、被災した漁船や養殖施設の整備などが完了しましたほか、復興道路や津波防災施設、災害公営住宅の整備、商業施設や水産加工施設の再開など、復興の歩みは着実に進んでいるところであります。
さらに、復興事業を進める中で、当初の復興計画には盛り込まれていなかった釜石港でのガントリークレーンの供用開始、宮古-室蘭フェリー航路の開設などが実現しております。
その一方で、一部の社会資本等の整備については、計画期間内に事業が完了しないことや、本年度末における応急仮設住宅等の入居世帯が600世帯を超えることが見込まれるほか、引き続き、被災者の心のケアや市町村が行うまちづくり後における事業者への支援等が必要であると考えております。
これらに加えて、発災から8年が経過しようとする中、記憶の風化も懸念されておりまして、東日本大震災津波の事実や教訓の伝承、情報発信に係る取り組みを実施していく必要もございます。
そのため、復興推進プラン案に復興の柱として、安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生、そして、未来のための伝承・発信を掲げたところでありまして、来年度におきましても、東日本大震災津波からの復興等に最優先で取り組むこととして、当初予算案を編成したところであります。
〇高橋元委員 復興の現状等について伺います。
津波災害の甚大な陸前高田市、大槌町、山田町、野田村等で、市街地の基盤整備が終了もしくは終了間近となっております。しかしながら、震災から間もなく8年となり、一様に地域社会全体や被災者の方々の暮らしも、8年が経過したことに伴い、基盤整備した市街地に店舗や住宅の再建を希望された方々の中に、再建を断念せざるを得ない状況が出ております。
震災直後、知事とは復興のあり方、すなわち700年から1、000年規模の災害に対応した復興を目指すのか、100年、200年の災害に備える復興を目指すのか、復興のスピードによってまちの再生が難しくなると思われると議論させていただきましたし、知事も、復興のスピードが大事と述べられておりましたが、現状は、危惧していた状況になりつつあるように思われます。
そこでお尋ねしますが、現在の復興状況を踏まえ、復興のスピードに係る知事の認識について伺います。また、県は、これまでも、市町村の復興整備計画の作成や実施を支援してきたと思いますが、現状を踏まえ、市町村が取り組む市街地整備に向け県としてどのように支援されるか、考えを伺います。
〇達増知事 県では、これまで、岩手県東日本大震災津波復興計画に基づいて、一日も早い復興を目指して取り組んできたところであります。
その結果、安全の確保については、土地区画整理や高台への集団移転など復興まちづくり事業は、本年度中に約96%が完了する見込みであり、また、三陸沿岸道路の唐桑高田道路や吉浜釜石道路などが順次開通し、今週末には東北横断自動車道釜石秋田線が全線開通いたします。
暮らしの再建については、被災した県立病院や公立学校の校舎は全て復旧し、災害公営住宅は、本年度中に約97%が完成する見込みであります。
なりわいの再生については、一部再開も含め約84%の事業所で事業を再開し、大型商業施設や共同店舗が開業するなど、新しいまちづくりが進んでいるところであり、復興計画に掲げる事業は着実に進捗していると認識しております。
一方で、依然として1月末で2、827人の方々が応急仮設住宅等での生活を余儀なくされていまして、被災者の心のケアや住宅再建、市町村が行うまちづくり後における事業者への支援等の課題がございます。
復興の進捗は、地域や被災者によってさまざまではありますが、いわて県民計画に基づいて、個人の尊厳を基本価値とし、誰ひとりとして取り残さないという理念のもと、被災者一人一人の復興がなし遂げられるよう、必要な取り組みは最後まで実施してまいります。
〇佐々木復興局長 市街地の整備に係る市町村支援についてでありますが、県では、これまで、事業計画の策定に係る助言や、周辺事業との調整を行うとともに、復興庁による復興交付金ヒアリングに同席しての事業採択に向けた助言や、復興交付金効果促進事業の活用事例集の作成、配布などの支援を行ってきたところでありまして、土地区画整理や高台への集団移転など、いわゆる市街地整備に係る事業は、山田町や陸前高田市などを除き、今年度中に概成する見込みです。
山田町におきましては、隣接する他事業との調整や仮設店舗の撤去後の造成工事となったことから時間を要したところでありますが、来年度には概成する見込みです。
陸前高田市におきましては、宅地に係る整備区画数が1、954と県全体の4分の1を超え、また10メートルを超えるかさ上げを行うなど大規模な整備であり、概成時期は2020年度となる見込みです。
県といたしましては、市町が現在取り組んでいる事業が一日でも早く完成するよう、引き続き、事業計画や復興交付金に係る助言等を行い、市町村を支援してまいります。
〇高橋元委員 さまざまな環境等がありまして、かつて市街地に住まわれていた方々とか事業されていた方々が、新しく区画整理されたところで事業再開なり生活を再建することは、非常に時間がたって、その当初の計画よりかなり縮小せざるを得ないような状況にもなっているところでございます。しかし、引き続き県の支援をしていただかなければならないと思っておりますし、また、スピード感も大事だと思っておりますので、ぜひ新しい計画の中でも強力に進めていただければと思います。
新県民計画における大震災からの復興は、4年にわたるアクションプランの一つ、復興推進プランとして、これまでの3分野に未来のための伝承・発信が加えられ、総仕上げの計画に見てとれます。4年後の被災地の姿、未来展望、国の支援や予算の確保の見通しについて伺います。
〇達増知事 復興推進プラン案に基づき、社会資本等については、早期に整備を完了させるとともに、心のケアやコミュニティーの形成支援等の被災者支援、農林水産業や商工業の振興など、中長期的な視点から必要な事業については、被災地の状況を踏まえながら、2020年度で区切ることなく実施してまいりますほか、東日本大震災津波の事実を踏まえた教訓の伝承や復興の姿の発信に係る事業については、未来のために永続的に実施していく考えであります。
こうした取り組みにより、被災地においては、単なる原状復旧にとどまることなく、一人一人が生き生きと暮らすことのできる地域社会づくりが進むことが重要であり、政策推進プラン等に掲げる施策や三陸防災復興ゾーンプロジェクトの取り組みと連携しながら、三陸のよりよい復興の実現に向けた取り組みを推進してまいります。
また、国の復興・創生期間後の財源確保のため、国に対して、施策の進捗状況や被災地の実態等を十分に踏まえ、当該期間終了後も必要な事業及び制度を継続するよう要望しておりまして、先般開催された国の復興推進委員会におきましても、復興施策の着実な推進のための制度の継続や財源の確保について要請したところであります。
今後におきましても、復興を進めるために必要な事業や制度の継続について、その財源の確保も含めて、国に対して要望や提言を行いながら、切れ目のない復興の取り組みを進めていく考えであります。
〇高橋元委員 次に、次期県民計画初年度の対応について伺います。
現県民計画から新県民計画へ移行するには、数年の行政評価によるスクラップ・アンド・ビルド、新計画事業の予算化、計画実施に向けた体制整備など多くの作業があったと思われます。
新計画に移行するに当たり、財源の制約もある中で、新計画初年度の予算をどのように検討し編成したのか伺います。また、ベテラン職員から若手職員へ切りかえられる中、県政運営、計画推進に人員体制は整っているのか伺います。
〇佐藤企画理事兼総務部長 予算編成についてでございますが、平成31年度当初予算案は、いわて県民計画の初年度として、東日本大震災津波及び平成28年台風第10号災害からの復旧、復興事業、それから、10の政策分野に基づく取り組み、新しい時代を切り拓くプロジェクトの推進に向けた取り組みなど、計画を推進するために必要な事業の計上について特に意を用いながら進めてまいりました。
部局横断的に取り組む事業等を対象とした新たな要求枠、政策・プロジェクト推進費の設定をしまして、また、社会基盤の計画的な整備を図るため、国庫財源の活用を前提とした公共事業費のプラスシーリングなどといった対応をして、いわて県民計画に盛り込んだ施策を着実に推進する予算として編成したところでございます。
予算編成過程におきましては、県民のニーズや政策評価結果等を踏まえまして、全ての事務事業をゼロベースで見直しをしまして、一層の選択と集中を進め、限られた財源の重点的かつ効果的な活用を図ったところです。
組織、人員体制についてでございますが、東日本大震災津波発災後の新規職員採用数の大幅な拡大によりまして、若手職員が増加してきております。その組織的な育成が求められている状況にあるところでございます。
このため、来年度から、人事課に新たに職員育成監を配置しまして、研修体系の整備であるとか研修内容の充実を図ることとしておりまして、若手職員の基礎的執務能力などの早期習得、それから、中堅層における基礎的なマネジメント力の向上などに取り組んでまいります。
また、新たな定数等管理計画では、現行の計画と同様、復興業務に必要な職員数を確保するほか、復興業務以外につきましては、業務見直しによる定数の再配置を行いつつ、児童相談体制の強化等の今後の行政需要の拡大や、育児休業等を取得しやすい職場環境づくりなどに対応するため、平成31年度からの4年間で80人から100人程度の増員を図ることとしております。
これらの取り組みを通じて、いわて県民計画の推進に向けた組織、人員体制の整備を図ってまいります。
〇高橋元委員 平成31年度政府予算案についてであります。現在、国会で審議中でありますが、平成31年度政府予算案等について、昨年末に政府予算案が決定した時点で、政府予算案に対する知事の評価が示されたわけでありますが、地方財政対策、地方創生、震災復興関連について、全体的にはおおむね評価できるとのことであります。
新県民計画の関連で、主にどの部分が評価できるのか、また、なかなか県の要望が届かなかった、県民計画推進に弾みがつかない部分はないのか伺います。
〇達増知事 いわて県民計画最終案における東日本大震災津波からの復興や、10の政策分野、新しい時代を切り拓くプロジェクトの取り組み等を推進するためには、継続的、安定的な財源の確保が重要であります。
東日本大震災津波からの復興の関連では、被災者の心と体のケアやコミュニティーの形成、被災事業者への支援の継続に関する予算が盛り込まれ、復興のステージに応じた課題に対応するための財源が確保されたところであります。
10の政策分野や新しい時代を切り拓くプロジェクトの関連では、10の政策分野に広く活用できる地方創生推進交付金が1、000億円確保されたこと、わくわく地方生活実現政策パッケージによる起業、就業支援施策が講じられたこと、防災、減災、国土強靱化対策が盛り込まれたこと、ILCプロジェクトに資するILC関連予算2.7億円が確保されたことなど、本県の要望内容がある程度反映され、一定の評価ができると考えております。
一方で、地域医療確保に必要な財源措置の拡充など、現時点で不明な部分も多いことから、今後も、引き続き情報収集に努めるとともに、いわて県民計画最終案に盛り込んだ施策を推進するための必要な財源が確保されるように、さまざまな機会を捉えて、国に対して働きかけてまいります。
〇高橋元委員 今後の公共事業の見通しについてであります。
国土交通省及び農林水産省所管の公共事業関係予算は、前年度を上回る予算が確保されたことや平成30年度第2次補正において、防災、減災や国土強靱化のための緊急対策関連予算が計上されていますが、第1期アクションプラン内に両省のどのような事業が展開されると捉えているのか伺います。
橋梁や道路、トンネル化の要望など、交通関連、教育施設、警察署など多くの公共施設の更新が待ったなしで存在しております。緊急性のある県施設の改良や更新はどのくらいあり、どのような計画のもとに取り組んでいかれるか、あわせて伺います。
〇保副知事 私からは前段のほうをお答え申し上げます。
県では、国の防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策に呼応いたしまして、国庫で初めて対象となりました河道掘削、立ち木伐採などを含む河川改修あるいは土砂災害対策、道路の防災機能の強化、農業水利施設や治山施設の整備など、緊急に実施すべき対策に積極的に取り組むこととしております。
平成31年度当初予算案におきましては、公共事業費は平成28年度台風第10号災害対応事業を除いたいわゆる通常分におきまして、公共事業のプラスシーリングや国土強靱化緊急対策への対応等によりまして約500億円弱を計上しております。これは、前年度当初予算と比較いたしますと9.1%の増となっております。
今後の政策推進プラン案におきましては、社会基盤の政策分野にハード対策とソフト施策を効果的に組み合わせた防災、減災対策や災害に強い道路ネットワークの構築、自然災害に強い農山漁村づくりの推進などの施策を盛り込み、この国土強靱化の取り組みを積極的に推進してまいります。
この国の対策は、今年度から2020年度までの3カ年にわたって実施されるということでもあり、この間は、国の対策を最大限活用しながら、積極的に取り組んでまいりたいと思います。
〇佐藤企画理事兼総務部長 公共施設等の管理についてでございますが、県では、庁舎や県民利用施設、学校施設など約6、000棟の公共施設、それから、道路や港湾を初めとするインフラ施設など多数の施設を保有しております。その多くが大規模修繕や更新の時期を迎えている状況でございます。
こうしたことから、平成28年3月に策定しました岩手県公共施設等総合管理計画に基づきまして、各施設所管部局におきまして、個別施設計画の策定作業を進めております。今年度末におきましては、22の施設類型中、半分の11類型で計画策定が完了する予定となってございます。
未策定の11類型の施設につきましても、国のインフラ長寿命化基本計画で定めます2020年度末までの期限内に策定するよう取り組んでまいります。
〇高橋元委員 次に、消費税増税による社会保障の充実について伺います。
本年10月1日より消費税の増税が見込まれています。増税に当たっては、経済や国民生活に大きな打撃が危惧されており、多くの国民が反対されており、実行されるのか否かの帰趨は定かではありませんが、いずれ社会福祉、保健、衛生費等で財源不足は明らかであります。
平成31年度県予算には10月1日からの地方消費税増税による影響額を見込んでおりますが、消費税増税による影響額を通年とした場合、社会福祉、保健、衛生費等でどのように拡充するものか伺います。
あわせて、地方消費税増税による県予算における福祉の充実について、知事の所感を伺います。
〇達増知事 平成31年度の当初予算案における地方消費税の実収入額は255億円余を見込んでおりまして、増税の影響が平準化した2021年度では、本県の地方消費税の実収入額は302億円余、このうち8%から10%への消費税率の引き上げ分は59億円余と試算しております。
国においては、これまで取り組んできた子供、子育て支援、医療、介護サービスの提供体制改革などの社会保障の充実に加え、新しい経済政策パッケージとして掲げた待機児童の解消、幼児教育、保育の無償化、介護人材の処遇改善等に消費税率の引き上げ分を充てることとしており、これらの施策の充実が図られるものと考えております。
県の平成31年度当初予算案では、幼児教育、保育の無償化や、保育士の処遇改善を図る施設型給付費等負担金のほか、地域密着型特別養護老人ホーム等の整備を支援する介護施設等整備事業費などの対象経費を拡充したところであります。
地方消費税の増収分については、社会保障施策に要する経費に充てることとされ、今回、福祉等の充実が図られましたので、今後、この増収分を教育負担の軽減や子育て支援、介護人材の確保等本県の取り組みの着実な推進に活用し、保健医療、福祉、介護の充実を図っていく考えであります。
〇高橋元委員 財政の見通しについて伺いたいと思います。
歳入について、自主財源のかなめである県税は、平成31年度において、法人二税、自動車税、個人県民税の増収が見込まれ、平成24年度以降、県税は増加傾向にあり、予算編成上好ましい状況にあります。しかし、本年10月の消費税増税の影響が税収にどう影響するのか、ちまたで言われている東京2020オリンピック終了後の景気後退、米中貿易摩擦の影響など、先行き懸念材料が数多く、不透明なこときわまりありません。
本年2月に公表された岩手県中期財政見通し(2018年度~2022年度)を見ますと、2019年度は対前年度61億円増、2020年度は132億円増、2021年度は116億円増、2022年度は増減なしとの数値になっており、試算方法に税制改正の影響を反映との説明がありますが、景気の不透明さや人口減少の進行等もあり、厳しいのではないかと思うところでありますが、県税の見込みについて改めて伺います。
また、財源対策基金残高は、2017年度決算に基づく積み戻しなどによって、9月末時点の試算により、2022年度末で70億円増加し116億円とのことであります。この基金残高は果たしてこの額が妥当なのか、理想とする金額があるとすれば幾らか、その金額に向けての計画はないのか、あわせて伺います。
〇佐藤企画理事兼総務部長 まず、県税の見込みについてでございますが、本年10月からの消費税率引き上げや平成31年度税制改正の影響によりまして、平成31年度以降の各年度で、8億円から190億円程度の増を見込むとしております。それから、県民税などについても、国の中長期の経済財政に関する試算で示されております名目GDPの成長率等を参考に試算をして、今般お示しした見込み額となっているところでございます。
それから、基金残高についてでございますけれども、中期財政見通しでは、各年度末の財源対策基金残高をお示ししているところでございますけれども、これは毎年度の歳入歳出の見込み額を算定しまして、その結果生じる収支ギャップに対応した取り崩し等を反映させたものでございます。
財源対策基金につきましては、それぞれの地方自治体が公共施設の老朽化であるとか、あるいは災害対応等の将来の財政需要に備えて積み立てているものでございまして、その適正規模につきましては、一概に申し上げられるものではございません。
例えばでございますけれども、地方自治体で通常見込まれます一般財源の額を示す標準財政規模というものがございます。この標準財政規模に対する基金残高の割合を平成31年度末で見ますと、本県は6.9%となっております。現時点で東北の中で本県と同程度の標準財政規模であります青森県は8.8%、秋田県が3.9%、それから山形県が3.2%という状況でございまして、本県の6.9%というのは極端に少ない状況ではないと捉えております。また、本県よりも規模の大きい宮城県が6.5%と、大体、本県と率では同水準という状況になっております。
引き続き収支ギャップが見込まれますことから、毎年度更新する中期財政見通しを踏まえまして、歳入確保の強化あるいは歳出の重点化等、徹底した取り組みを行いまして、残高の確保に努めていきたいと考えてございます。
〇高橋元委員 次に、包括外部監査の結果報告への対応について伺います。
包括外部監査人から、平成30年度包括外部監査の結果報告書が提示されております。監査項目は、子ども・子育てに関する財務事務の執行・管理についてであります。財務に関する事務の執行等において、適当でない事務処理があったと判断された事項に該当する指摘21点、違法なものまたは不当なもの以外で、最小の経費で最大の効果を上げる努力の面で検討が望まれる事項などに該当する意見58点がありましたが、包括外部監査の結果をどのように捉え、どのように対応していくのか伺います。
〇佐藤企画理事兼総務部長 今回の包括外部監査では、保健福祉部の子ども子育て支援課を初めとしまして、いわて子どもプランに関する事務事業を所管する本庁、出先機関の各公所を監査対象として実施されたところです。監査の結果につきましては、今、委員から御指摘のあったとおりでございます。
庁内及び各公所におきましては、日ごろから適正な事務の執行に務めているところではございますが、今回の監査で指摘された事項等については、公認会計士としての専門的な知見や、第三者の視点から幅広く詳細に監査いただいたところでございまして、事務手続を点検する上で貴重な機会が得られたと認識しております。
指摘や意見を受けた所管部局におきましては、今月中旬までに措置計画を策定し、今後、当該計画に基づき是正措置を講じながら適切な事務処理が行われるよう、対応していくこととしております。
さらに、いただいた指摘等につきましては、監査対象とならなかった部局等においても留意すべき事項が多く含まれていることから、事務処理の適正化に向けて、全庁で共有してまいりたいと考えております。
〇高橋元委員 包括外部監査を受けてさまざまな点の指摘をしていただいておりますので、ぜひそれを有効活用していただければと思っています。よろしくお願いしたいと思います。
進学による県外流出対策について伺いたいと思います。
平成31年度の組織、職員体制についてでありますが、震災復興がおおむねハードからソフトに移行していくことや、新県民計画第1期アクションプランへの対応等を考慮しての体制整備を図ったとのことであります。その中で、高等教育機関との連携強化や産学官連携推進という部門を統括しての学事振興課設置は評価できます。所管が政策地域部になったことで、より広範な政策課題にも対応できるものと期待をいたしております。
大学進学で東京都内や近郊に若者が流出し、そのまま定着という流れも変えなければなりません。近年、ICT情報通信や衛星回線を活用し、デジタル通信教育やサテライトキャンパスにおけるスクーリング授業など、遠隔授業が導入されてきております。例えば、当県にも大学と提携してサテライトキャンパスが設置されるとなれば、少しでも都会への進学流出に歯どめがかかるのではないかと思うところでありますが、そのような取り組みも学事振興課で研究すべきと思いますが、どうでしょうか。
〇白水政策地域部長 学事振興課につきましては、大学連携業務や私学振興業務、それから県立大学業務の知事部局における学事関係業務を集約いたしまして、大学等の高等教育機関や私立学校等との連携強化を図ることなどを目的として設置するものでございます。
本県では、自動車、半導体関連産業の集積によります雇用の創出や、県全域における高校生の県内就職率の上昇傾向など、若者の地元定着に向けた環境整備が整いつつあるところでございますが、委員から御紹介がありましたサテライトキャンパスの設置につきましては、地方創生に資する大学改革の取り組みの一つとして、国の有識者会議等においてその方向性が示されているところでございまして、こうした国の動向にも注視しながら、本県への新たな人の流れを創出し、若者を含む人口減少に歯どめをかける取り組みを進めていきたいと考えております。
〇高橋元委員 次に、産業振興についてであります。
スマート農業やGAP等、農業分野での技術革新や重要課題対応を担う業務を本庁農業普及技術課に移管し、農業革新支援課長を配置した点も評価できます。
他県の取り組みを見ますと、農業県の本県においてやや遅きに失したとの感が否めないわけでありまして、強力な推進を願うものであります。
今後、全産業において、外国人労働者の雇用や職場での処遇、生活支援等さまざまな相談が予測され、専門的で的確な対応が求められ、相談窓口も明確にする必要があると思います。
県においても、外国人労働者雇用支援特命課長を配置するなど、しっかり取り組んでいく必要があるのではないでしょうか。御検討を期待したいと思います。
自動車、半導体に次ぐものづくりの第3の柱である医療機器産業の推進に向け、医療機器関連企業の技術開発を支援する目的で、県工業技術センター敷地内に貸し研究施設を新設する方針のもと、約13億円の補正予算が今定例会に提出、議決されました。
東北大学でも医療関係の材料分野で研究棟、革新材料創生センターを整備するとのことであります。本県ではどのような医療機器関連企業の需要があり、その先の戦略をどう描いているのか、新年度での取り組みは何か伺います。
〇保副知事 それでは初めに、外国人労働者の相談窓口についてであります。
まず、外国人労働者の問題につきましては、県の体制といたしまして、外国人労働者の雇用労働環境の面については商工労働観光部、生活環境の面については政策地域部、それから、今度新たな外国人労働者の制度が始まるわけですが、外国人労働者受け入れの対象分野とされた各産業分野における個別の課題につきましては、関係部局が対応するということを考えております。
そうではありますが、相談窓口ということにつきましては、国において、各都道府県に外国人に対する行政や生活に関する情報提供あるいは相談対応を多言語で行う、仮称でございますけれども、多文化共生総合相談ワンストップセンターを設置する方針であるということでございます。これができたときには、本県におきましては、アイーナに設置しております国際交流センターに位置づけるということで考えております。
県といたしましては、仙台入国管理局や岩手労働局等の国の関係機関や市町村などとの情報共有にも十分留意いたしまして、関係省庁が行う産業分野ごとの制度の周知に協力していくとともに、事業者や外国人労働者から相談があった場合には、この国際交流センターを中心に適切に対応していきたいと考えております。
新たな職の設置についても御提案がございましたけれども、国際交流センターでの相談状況などを見ながら、必要に応じて検討していきたいと考えております。
続きまして、ヘルスケア産業の関係でございますが、一般にこのヘルスケア産業というのは厳密な定義があるわけではございませんけれども、医療機器それから健康診断等の予防から、治療、リハビリ、介護、自立支援といった一連のサービス、それから、これらに使われる検査機器や介護福祉機器などを製造する産業と捉えております。
これまで、県や産業支援機関等が支援してきた医療機器関連産業分野におきましては、近年、医療機器製造業の登録企業数ですとか、医療機器の生産金額は大幅に伸びてきております。例えば、新たに製品化された件数でありますと、3年前までは、年間おおむね1件、2件程度でございましたけれども、ここ2年間では、4件ずつということで増加が見られるところであります。これは、県内の大手誘致企業と取引を行う地場企業がふえてきていること、それから、医療関連機器の製品化に向けた企業間の連携による研究開発などの取り組みが活発化してきていることもありまして、今後も成長が見込まれるところであります。
政策推進プラン案におきまして、企業間連携や産学官連携によるさまざまな関連技術開発、販路開拓等の取り組み支援ということを位置づけておりますけれども、来年度におきましては、市町村等と連携いたしまして、クラスターの形成、拡充の取り組みを支援するとともに、先日2月補正予算の議決をいただいた貸し研究施設を整備しまして、入居企業が進める製品、技術の共同研究開発等に取り組んでまいりまして、産学、行政連携により、この分野を重点的に支援してまいりたいと考えております。
〇高橋元委員 次に、岩手県競馬組合についてであります。
岩手競馬の禁止薬物陽性馬の相次ぐ発生により、14日間の開催取りやめを余儀なくされ、公正確保という信頼も低下いたしました。幸いに、経営は黒字で終える見込みとのことで安堵いたしておりますが、ファン離れが心配されます。県警の捜査の進展、再発防止への取り組みに期待しておりますが、新年度の取り組みにおいて、構成団体である県としてどうお考えか伺います。
また、新年度は、薄暮競馬の開催や火曜日開催などを企画されているとのこと、新たなファン拡大に有効と思われますが、働き方改革で競馬関係者の処遇が問題視されており問題はないのか、県としてのお考えを伺います。
〇保副知事 まず、禁止薬物陽性馬の再発防止に向けた取り組みについてでございます。
岩手県競馬組合におきましては、去る1月23日に、岩手県警察本部長に対し、競馬法違反の疑いにより刑事告発を行ったところでありまして、構成団体である県といたしましても、この捜査の進展には期待しているところでございます。
再発防止策につきましては、3月23日からの競馬の再開に向けまして、監視カメラをさらに増設するとともに、新たに競馬組合職員や厩舎関係者等を対象とした手荷物検査などを行うと聞いております。
競馬組合では、今後においても、これまで講じてきた再発防止対策について随時検証を行いながら、厩舎関係者と一丸となってさらに再発防止対策の強化、徹底を図っていくものと承知しております。
県といたしましても、この3月23日からの競馬が無事に開催され、多くのファンに愛され続ける岩手競馬になるよう、さまざまな支援をしてまいりたいと思います。
それから、競馬関係者の処遇に関連してのことでございますが、雇用関係という問題につきましては、調教師が厩務員を雇用するという形になっておりますので、これに関してお答え申し上げたいと思います。
厩務員というのは、直接競走馬のお世話をするということで、労働基準法におきましては、動物の飼育の事業に従事するということに該当いたしますため、これまでは、労働時間、休憩及び休日に関する規定の適用が除外されてきたところでございます。
一方、昨年6月にいわゆる働き方改革関連法が成立したことに伴いまして、ことしの4月からは厩務員の処遇について、事業主である調教師が、年5日の年次有給休暇の確実な取得、それから労働時間の把握、長時間労働者に対する医師による面接指導などを行うことが義務づけられることになります。
競馬組合によれば、岩手競馬の調教師や騎手で構成する岩手県調騎会-実質的には雇い主の団体と考えてよいと思いますけれども-この調騎会におきまして、労働基準監督署から講師を招いて、この働き方改革関連法への対応を含め、厩務員の労働環境について研修を受けるなど、対応を進めてきているところでございます。県としては、しっかりとこの準備を進め、円滑な導入が進んでいるものと認識をしております。
また、委員からお話がありました薄暮競馬の開催期間の拡大や火曜日の開催の試行につきましては、これもまた厩務員の労働条件にもかかわるということでございます。
県としても、競馬組合に対しては必要な情報を提供するなどして、支援してまいりたいと思います。
〇高橋元委員 先日の懇談会では、大変厳しい環境下にあるというお話も聞いておりましたので、ぜひその点を含めて御配慮もお願いしたいと思います。
TPP等への対応と海外戦略について伺います。
TPP11協定並びに日EU・EPAが発効し、海外から農畜産物が安く輸入され、消費者にとっては利益が出てきておりますが、本県の第1次産業の多くは厳しい状況となりつつあります。国が進めようとしている支援策は、果たして有効となり得るのか。本県の第1次産業をどのようにして守っていくのか、新年度予算の中での対応とその効果を伺います。
また、2018年度の農林水産物、食品の海外輸出が前年度比12.4%増の9、068億円、6年連続で過去最高を更新したとのことであります。本県の状況と今後の海外戦略、新年度の取り組みを伺います。
〇保副知事 まず、TPP11協定等の問題でございますが、このTPP11あるいは日EU・EPAなど自由貿易体制の再構築が進んでおる中にありまして、一層、本県としても、この農林水産業の体質強化を進めることが大事だと思っております。県では、国のTPP等関連対策予算を活用して平成30年度の2月補正予算、それから当初予算にさまざまな事業を盛り込んでおり、総額は約133億円でございます。
中身といたしましては、水田の大区画化、畜産の経営規模の拡大、輸出拡大等を見据えた食肉処理施設の整備などでございまして、こうしたものに積極的に引き続き取り組んでまいりたいと思います。
効果ということに関しましては、県といたしましては、とれる国庫事業はもう全てとるという勢いで、一刻も早く効果を発現させ、生産者の皆様が意欲と希望を持って生産活動に携わることができるよう、取り組んでいきたいと思います。
それから、県としての農林水産物の輸出についてでありますが、今、国全体での動きの御紹介がありましたけれども、県におきましては、本県の平成29年度(後刻「平成29年」と訂正)における農林水産物の輸出額は、台湾向け牛肉とリンゴの輸出の再開ということがございまして、前年比で約30%増の約28億2、000万円ということになっております。アジアや北米地域を中心にふえてきております。
県では、平成29年3月に策定いたしましたいわて国際戦略ビジョンに基づきまして、農林水産物の輸出拡大につきましては、関係団体や企業で構成いたしますいわて農林水産物国際流通促進協議会を中心として、官民一体となって、海外でのトップセールスを初めバイヤーの招聘による産地での商談会、あるいは海外に出向いてのフェアなどにより、売り込みを強化してきているところでございます。
こうした取り組みに加えまして、新年度、新たにリンゴの輸出が解禁されましたカナダなどの新規開拓市場におけるニーズ調査等を実施いたしますほか、県が委嘱しております輸出コーディネーター、こういう専門の方々のお力もいただきながら、さらなる販路の拡大、開拓に向けて積極的に取り組んでまいります。
失礼いたしました。一部答弁に間違いがございまして、輸出の統計ですが、これは年度ではなく暦年でございましたので、先ほど申し上げました本県の輸出額は平成29年ということでございます。
〇高橋元委員 スマート農業についてであります。
いわてスマート農業推進事業費ほか総額2億5、140万円の予算を組み、国の施策のスマート農業加速化実証プロジェクトに取り組むとのことであります。農業就業人口の激減や高齢化、担い手不足、所得の向上等さまざまな課題が山積する中、まさに待ったなしの改革が望まれているところであり、ようやく県が動いたことに安堵いたしております。
諸外国では、稲作以外の多くで既に実用化されている技能技術で、広大な県土で第1次産業が営まれている本県であることから率先して取り組むべきであり、国の補助待ち政策、事業であってはならないと強く思っているところであります。
2年間程度の実証試験等も計画しているようでありますが、その具体の取り組み内容と、そして実証プロジェクトであり、多くの農業者が期待を持って見守っておりますので、可能な限り、農業者に公開で進めていただきたいと思うところであり、意見交換等も含め、導入がスムーズに進むよう願うところでありますが、そのような考えはないのか伺います。
〇保副知事 国では、平成31年度からスマート農業加速化実証プロジェクトを進めるということでございます。これはロボットやAI、それからIoTなどの先端技術を実証し、生産現場への情報提供等に取り組むというものでございます。県でもこれには必ず参加したいということで、県の予算といたしましては、次世代革新的技術導入加速化事業という名称で新年度の当初予算案に盛り込んでいるところでございます。
この事業におきましては、県内の先進的な経営体などと連携いたしまして、水稲、露地野菜、飼料作物などさまざまな作目ごとに一貫した体系のもとで、自動操舵のトラクター、ドローン、リモートセンシング技術などを活用したスマート農業技術の実証に取り組むこととしております。現在、国に対してこれらの中身を提案しているところでございまして、この採択に向けて県も頑張っていくということでございます。
また、この成果につきましては、いわてスマート農業推進研究会、これは平成29年度から県内の関係者で組織しているものです。農業者の方々も加入していただいておりますが、こういう会を通じまして、農業者の方々に広く情報提供するなどいたしまして、本県農業の実情に即したスマート農業技術が早期に普及するよう、取り組みを進めてまいります。
〇高橋元委員 次に、がん対策についてであります。
がん対策の推進について、一般質問で木村幸弘議員からがん治療と仕事の両立について質問がありました。事業所を初め社会全体が、我が事としてがん患者の闘病生活に理解と支援を望むものであります。
本年1月に、厚生労働省から、2016年にがんと診断された方が99万5、000人で、過去最多を更新したと発表がありました。高齢化が主な原因で、当面増加は続くものと推察されるとのことであります。豊かな老後ではなく、がんを患い厳しくつらい老後は幸福な人生ではない。穏やかで安らかな終活ではないと思うところであります。
さて、本県の人口10万人当たりの年齢調整罹患率は388であり、全国平均402、東北平均405より少ないものの、多くのがん患者は厳しい治療や高額な治療費、治療を続けながらの生活や仕事と、命と向き合いながらの闘病生活を余儀なくされております。
岩手県がん対策推進条例に伴う事業、各種目標に向けての進捗状況、がん撲滅に向けた平成31年度の主要施策について伺います。
〇千葉副知事 がん対策についてでございますけれども、まず、岩手県がん対策推進条例におきましては、基本的施策といたしまして、がんの予防、がんの早期発見の推進、がん医療、緩和ケアやがん患者等への相談支援体制の充実などを位置づけておるところでございまして、県といたしましては、県民へのがん予防のための健康情報の提供やがん検診受診率の向上対策の推進、緩和ケア医療従事者の研修や相談支援センター相談員の配置などによりますがん診療連携拠点病院の機能強化に対する支援などの取り組みを実施しているところでございます。
また、昨年3月に策定いたしました第3次岩手県がん対策推進計画に掲げる指標の進捗につきまして、現時点で把握できるものといたしましては、全国がん登録実施医療機関数が125施設から134施設へと増加しておりますほか、緩和ケア提供体制の検討が全ての二次保健医療圏において実施されるなど、全部で60指標ほどございますが、既に目標が達成されたものも多数ございまして、着実に進展が図られているものと認識しております。
今後も引き続き、がんの予防や医療の充実に向けた取り組みを行ってまいりますが、今、委員からお話もございましたけれども、患者等への療養生活の支援に向けましては、岩手労働局などの就労支援機関と連携した患者の仕事と治療の両立支援に向けた普及啓発や、がん診療連携拠点病院における相談体制の強化、療養生活支援に関する普及啓発セミナーの開催などを行うこととしております。
さらに、平成31年度当初予算案におきましては、乳がん検診車の整備補助に要する経費を新たに盛り込ませていただきましたほか、がん患者が療養生活を送る上で有用な情報をわかりやすくまとめましたいわてのがん療養サポートブックの充実などにも取り組んでいくこととしております。
県といたしましては、がん患者を含めた県民が、がんを知り、がんの克服を目指すことの実現に向けまして、関係機関あるいは県民と連携いたしまして、一体となりましたがん対策を推進してまいります。
〇高橋元委員 第4次産業革命の対応について伺います。
第4産業革命の到来と言われております。県としてどのように捉え、平成31年度及びそれ以降にどのような施策を推進していく方針か、平成31年度施策を事例に説明をお願いいたします。
〇達増知事 第4次産業革命の到来は、生活や生産の現場にイノベーションが浸透する新しい時代の幕開けと考えておりまして、IoTやAIなどの先端技術は、産業振興や行政の効率化に加えて、人口減少社会における生産性や付加価値の向上を図る上でも、極めて重要なものと考えております。
こうしたことから、平成31年度におきましては、県内中小企業へのIoTやAIの導入支援や、農業分野におけるロボットトラクターなどの先端技術の実証のほか、これら先進的なICTを活用できる人材の育成などにも取り組んでいくこととしております。こうした取り組みに加えて、ビッグデータを活用した健康対策の推進や、今後新たな雇用の創出が見込まれる北上川流域を中心とした産業、生活分野への第4次産業革命技術の導入促進など、長期的な観点に立ったプロジェクトにも着手することとしています。
県といたしましては、今年度、岩手県科学技術イノベーション指針や岩手県ICT利活用推進計画を策定することとしておりまして、引き続き、医療、介護、健康、教育、農林水産業など、各政策分野におけるさまざまな地域課題の解決に向けて、本県の地域特性を踏まえながら、第4次産業革命技術の利活用を一層推進してまいります。
〇高橋元委員 中小零細企業においては、技術革新に伴う設備資金や新技術、新設備の導入に伴う人材育成等に産学官金の総合的な支援が必要であり、県も取り組んできたところでありますが、やっぱり一番の問題は、後継者不足による技術革新へのちゅうちょではないでしょうか。中小零細企業と産学官金、そして起業を志す若い世代の方々を交え、第4次産業革命の対応を推進すべきと思いますけれども、所感を伺います。
〇白水政策地域部長 今、委員が御指摘のとおり、まさに中小企業の後継者の問題、それから産学金労で取り組んでいくということは非常に重要だと考えてございます。
今、知事から御答弁申し上げましたように、今年度、県におきましても、岩手県ICT利活用推進計画等を定めまして具体的に取り組むこととしてございますので、委員の御指摘の点も十分踏まえながら、しっかりと取り組んでまいりたいと考えてございます。
〇高橋元委員 よろしくお願いいたします。
国際定期便への対応についてであります。
昨年8月の台湾からの定期便に加え、本年1月には上海からの定期便が就航し、海外からの旅行客が東北北部各地にも多く見受けられますが、いわて花巻空港におり立った旅行客は、どのようなルートを回遊しているのでしょうか。多くがいわて花巻空港を発着場所として、秋田県、青森県を回って岩手県には1泊だけといった情報もあります。
本県は、広い県土に多くの観光資源があり、また、四季折々の季節を楽しめ、同じ場所に4度は来ていただける素地があることから、県内周遊が期待されます。本県の観光バスや旅館、ホテルの利用拡大や県産品のお土産の売り上げ増加など、トップセールスで実現した定期便の県内経済の波及効果を広げる観点から、訪日客の回遊ルートをどう分析し、その対応をどう検討しているのか伺います。
定期便の維持には、アウトバウンド旅行者が欠かせません。福島県では、東アジアまたは東南アジアを渡航先とする国際チャーター便を利用して渡航先で交流活動を行う場合、利用者1人当たり1万5、000円の補助をしているとのことであります。加えて、県内旅行業者の協力を仰がなければなりません。アウトバウンドへの対応をどのように進めているのか、あわせて伺います。
また、無料Wi-Fi環境の整備やポケット型翻訳機の貸し出し、カード決済の導入拡大等、訪日外国客への対応も急がなければなりません。新年度以降、どのように進めていかれるのか、あわせて伺います。
〇保副知事 アウトバウンドの関係につきましては政策地域部長から答弁をさせます。
私からは、まず訪日される外国人観光客がどういう動きをしているのかということでございますが、台北と花巻を結びます便を利用してのさまざまな団体ツアーがございます。その団体ツアーの中には、4泊5日といった比較的長い期間で北東北や東北全体を周遊するというものがございまして、その中には、岩手県内での宿泊が1泊だけというものもあることは承知しております。
また、県におきましては、平成30年12月1日から平成31年1月5日までの間、台北-花巻便を利用したいわゆる外国人の個人旅行者を対象といたしましてアンケート調査を実施いたしました。これによりますと、日本での平均滞在日数は5.9日、このうち岩手県での滞在が4.0日、それから、県内での訪問先といたしましては盛岡市、八幡平市周辺、一関市、平泉町周辺、花巻市周辺、この三つで大半を占めるという結果でございました。
このことから、県内におきます経済効果をさらに高めていくためには、県北や沿岸地域への周遊を含む県内広域周遊を一層促進していくことが大事でございます。県としてもさまざま取り組んでいるところではございますけれども、来年度におきましても、旅行会社を招聘して県内の魅力を伝えるですとか、海外での旅行博、商談会への参加などによりまして、今、まだ観光客が少ない県北・沿岸地域を特に重点的に売り込むということ、それからラグビーワールドカップ2019釜石開催、三陸鉄道の一貫経営もありますし、それから三陸防災復興プロジェクト2019もございます。こうしたことを大きな機会といたしまして、沿岸地域への重点的な受け入れ環境整備の支援を実施したいということでございます。これについては既に一部実施しているものもございます。
さらに、二次交通の利便性向上のために、外国人に向けまして周遊パスを販売したいということで、これに向けても関係者の間で今準備のため調整しているところでございます。
それから、次に、外国人の受け入れに係るさまざまな翻訳等の整備ということでございますが、これまで宿泊、観光施設等に対しましては、無料公衆無線LANの整備、キャッシュレスの決済に係る機器、それから多言語表示などの整備に対しまして支援を行ってきております。また、多言語による電話の通訳ですとか、電子メールを使っての翻訳サービスを行う事業者がございまして、無料で利用できるようにする環境整備を進めてきております。
ラグビーワールドカップもございますので、先ほど申し上げましたような取り組みの中には、まず自分たちの宿泊施設やさまざまな観光施設がどのぐらいの水準にあるのか診断を受けていただくと、それに基づいて、さらに整備支援をしていくといったパッケージで行う取り組みも導入いたしまして、一層の充実を図ってまいりたいと思います。
〇白水政策地域部長 私のほうから、アウトバウンド対策について御答弁申し上げます。
県では、国際定期便の維持、拡大に向けましては、インバウンドの利用促進とともに、アウトバウンドの安定的な需要確保が重要なものと認識しております。
昨年8月に定期便化されました台北線につきましては、テレビCMやイベントなどさまざまな機会を通じて、県内はもとより、秋田県、青森県といった隣県におきましても、台湾の観光情報を発信するなど利用促進に取り組んでおりますほか、パスポート取得費や県内企業等と現地企業等によります交流事業費に対しまして、それぞれ1人当たり5、000円の助成を実施してきております。また、旅行会社のアウトバウンドツアーの造成を後押しするため、旅行会社に対し、広告費を助成するなどの取り組みを進めております。
今後、本年1月末に就航したばかりの上海線につきましても、こうした取り組みを実施するとともに、中国各地や世界各地への旅行のしやすさをPRし、旅行会社に対しましても、上海経由の乗り継ぎ商品の造成を働きかけまして、アウトバウンドの需要創出に取り組んでまいりたいと考えております。
〇高橋元委員 次に、小規模校への対応についてであります。小規模高校における授業の確保について伺います。
1学年1学級、3学年3学級の県立高校が数を増しつつある中で、教員の配置が十分であれば問題ありませんけれども、平成31年度における教科履修がどのような体制にあるのか伺います。
また、小規模校の授業の質の確保について、全国では遠隔授業や大規模校からの出張授業等の対応策が取り組まれておりますが、文部科学省の方針、本県の対応について伺います。
〇達増知事 県立高校の教員配置については、公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律に基づいて行っていますが、小規模校において専任教員の配置が困難となる科目については、教員の加配や近隣の学校の教員の兼務等の措置を講じてきており、今後におきましても、必要に応じて教員の加配等を行うこととしております。
また、小規模校における授業の質の確保の一方策として、平成27年度から平成29年度まで、国の委託事業を活用して県内2校を結んだ遠隔授業の研究に取り組みましたが、本年度におきましては、県単独事業による新たなシステムの導入により、課外授業や教員研修に取り組んでおります。
文部科学省においては、昨年9月、小規模校等における教育活動の充実などの観点から、遠隔教育に係る施策を総合的、継続的に推進する方針を示したところであり、教育委員会では、来年度において遠隔教育の実施校を拡大し、実用化に向けた取り組みを一層推進しますとともに、教員の加配や出張授業等を行い、小規模校における授業の質の確保に努めていくこととしております。
〇高橋元委員 どうぞよろしくお願いいたします。
ラグビーワールドカップ2019釜石開催についてであります。
ラグビーワールドカップ2019釜石開催まで200日を切り、9月と10月の試合開催まで半年余りとなってまいりました。昨夜、NHKの番組でも、釜石市とラグビーワールドカップの紹介がありました。また、先日、ボランティア向けオリエンテーションがあったとの報道を目にいたしましたが、会場地釜石市での開催準備は着々と進んでいるものと拝察いたします。
国体と異なり、ラグビーワールドカップは釜石会場という地域限定であり、試合会場の釜石市と試合出場チームの公認キャンプ地である盛岡市、宮古市、北上市の県民は、ポスターやのぼり旗、市の広報等によって開催されることを知り、関心を示しておりますが、多くの県民は時折報道で知る程度であり、入場チケットもほとんど手に入らず、現時点では関心が低いと推察されます。
被災地釜石市での開催は、東日本大震災津波災害に際し世界から多くの支援をいただき、感謝の心を伝え、復旧、復興の現状を世界に知ってもらうことや、復興後の被災地へ足を運んでもらうことの意義などから、県として釜石市とともに釜石開催を強く求め、開催地の一つに決定されて以降、大会本番までの間に、大会運営費やスタジアム整備等に多くの県負担がなされる見込みでありますが、大会そのものに県民の関心が持たれていないのでは寂しいものがあります。残り半年間、どのような開催PRを検討しているのでしょうか。
また、ほとんどの県民はスタジアムへの入場は難しく、仕方なく自宅でテレビ観戦と決め込んでいるのは私だけではないと思います。できれば、多くの人たちとともにテレビで観戦したい、感動を共有したいと願う県民も多いと思います。ルール解説チラシ等を手にし、県内33市町村でパブリックビューイング、近くの公民館でパブリックビューイング、そんな呼びかけがあってもいいのではないでしょうか。多くの県民がラグビーワールドカップ2019釜石開催を楽しむ企画について伺います。
〇千葉副知事 まず、大会開催へ向けましての県内での機運醸成についてでございますけれども、アジア初のラグビーワールドカップが岩手・釜石で開催されることを岩手県民の皆様にしっかりと理解していただきながら、楽しく、さまざまな形で大会にかかわっていただけるよう、釜石開催実行委員会において、これまでも機運醸成の取り組みを実施してきたところでございます。
具体的に申し上げますと、民間事業者等との連携によります盛岡駅や釜石駅周辺などにおける大規模なPR看板等の掲示のほか、県内の道の駅を初めといたしました集客施設、体育施設、文化施設等におけるのぼりやポスターの掲出など、さまざまな取り組みを展開してきたところでございます。
また、2月末現在の開催都市独自のボランティア応募状況は75グループ、延べ2万人を超えましたこと、盛岡市及び釜石市において開催いたしました外国人おもてなし研修会には、観光産業従事者等280名の方々の参加がありましたことなどから、県民の参画意識やおもてなし機運は着実に高まってきていると感じております。
お尋ねのございました開催までの半年間に実行委員会が行うPR活動といたしましては、釜石市を訪れるお客様がこぞって写真撮影をする記念スポット設置や都市装飾を初め、県内各市町村庁舎への横断幕の掲出、多くの県民が参加可能な100日前などの節目のイベントなどを各地で実施すること、民間や市町村が主体となって実施するパスリレー等の取り組み支援などを実施する予定でございます。
さらには、県内各市町村が、実行委員会と連動いたしましてラグビーワールドカップを盛り上げるさまざまな取り組みが進められるよう、働きかけをしてまいりたいと考えております。
このような取り組みを行いまして、あと半年となりましたが、県民の皆様の機運が一層高まり、国内外からのお客様にしっかりおもてなしを行いますとともに、県内の地域活性化が進むように取り組んでいきたいと考えております。
次に、県民が釜石開催を楽しむ企画についてでございますけれども、釜石開催に当たりましては、より多くの県民の皆様に、一生に一度の世界大会の感動を共有し、大会を楽しんでいただくことが重要であると考えております。
釜石会場は、御案内のとおり、全開催都市の中で極めて人気が高いことから、会場以外でも世界最高峰のプレーのだいご味はもちろんのこと、岩手・釜石開催の喜びを感じ、さまざまな魅力を堪能していただきますよう、県では、先ほどお話が出ましたが、あの希望郷いわて国体、希望郷いわて大会時に国体大会プラスで大変盛り上がりましたパブリックビューイングの実施を広く県内市町村に働きかけているところでございます。
既に、県内の複数の市町村では、パブリックビューイングの実施を前向きに御検討いただいているところでございまして、県といたしましては、県内各市町村が実行委員会と連携し、お祭りあるいはイベント等と連動した複合的な取り組みが展開できますよう、今後、実行委員会の中でしっかりと合意形成を図りながら、的確な支援につなげてまいりたいと考えております。
〇高橋元委員 次に、メガソーラーの建設に関する県条例について伺います。
メガソーラー建設についてでありますが、本県は広大な県土を有し、森林面積も県土の8割以上ということもあって、建設適地ということでメガソーラー建設が相次いでおりますが、軽米町や今回の奥州市での建設工事をめぐってのトラブルや、遠野市では、防災上あるいは景観上適地でないとの住民意見があって、計画の撤回を求める住民運動も出ております。
事業者や地域住民への対応は市町村が行っており、県は、関係法令に基づく許認可や各種法令との整合性の点検、あるいは相談に応じるだけとの姿勢ではないでしょうか。再生可能エネルギーであり、国の推進もあって積極的に導入との立場としても、事業主が多国籍ということもしばしばあり、諸問題が発生したときに国内法に基づき対応できるのかなど、多くの懸念材料が内在しております。
このような状況を回避するためには、県内におけるメガソーラーの建設に関する県条例を早急に整備すべきと思いますが、そのような考えはないのか伺います。
〇千葉副知事 メガソーラー建設に関する県条例についてのお尋ねでございますけれども、昨今、県内の市町村におきまして、太陽光発電施設の建設に当たりまして、環境との調和あるいは地域住民との合意形成などでトラブルになるケースが発生したことは承知しております。また、同様のケースが各県でも生じていることも承知しているところでございます。
現在、国におきましては、土砂流出や濁水の発生、動植物の生息、生育環境の悪化など、近年の大規模太陽光発電事業を取り巻く状況を踏まえまして、昨年8月に、太陽光発電施設等に係る環境影響評価の基本的考え方に関する検討会を設置いたしまして、現在、太陽光発電施設を環境影響評価法の対象とする方向で検討を進めているところでございます。
1月に国が公表いたしました太陽光発電施設等に係る環境影響評価の基本的考え方に関する検討会報告書案におきましては、法に基づく環境影響評価を必須とする事業の規模要件を総出力4万キロワット以上とすることや、法アセスと、今お話をしました条例アセスの関係などについての考え方が示されたところでございます。
現在、県におきましては、現行の環境影響評価法に準じまして、太陽光発電施設を環境影響評価条例の対象とはしていないところでございますが、このような国の検討状況も踏まえつつ、この太陽光発電施設に係る環境影響評価のあり方について、速やかに検討してまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員長 高橋元委員の質疑の途中ではありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
高橋元委員、御了承願います。
午前11時58分 休 憩
午後1時2分再開
〇軽石義則委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
各委員及び執行部に申し上げます。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
質疑を続行いたします。
〇高橋元委員 午前中に続きまして、メガソーラーの件について質問したいと思います。
先日いただいた資源エネルギー庁の資料、太陽光発電事業計画策定ガイドラインに事業者の遵守すべき事項が示されております。県の関与について担当課から伺ったところ、県内のどこで事業計画があるかは、東北経済産業局のホームページによる情報ということでありますし、また、法令適否の確認については、事業計画のある市町村から県庁各課に問い合わせがあるとのことで、トラブルが出た時点での県指導というのがおおむねの状況のようであります。
再生可能エネルギー発電施設立地へ庁内横断の立地円滑化チームを組織し、年1回の全体会議開催のほか、必要の都度、開催するとのことですが、事業者が計画の段階で市町村に相談に来た時点から、県に情報を上げていただくルール化を図るとともに、法令ごとの各課個別対応にとどまらず、立地円滑化チーム全体で情報を共有し、トラブル等を未然に防止すべきと思ったところですから、条例制定と申し上げたものでございます。
この条例制定が難しいということであればルール化、市町村からいち早く情報を上げてもらう、また、情報の共有化を図るといったことをルール化すべきではないかと思うところでありますが、そのような考えはないのか伺います。
〇千葉副知事 メガソーラー建設への対応についてでございますが、先ほど御答弁申し上げたところでございますけれども、まず、県としても、国の動向を見据えながら、条例制定の検討はしていく必要があるものと思っておりますので、改めて申し上げておきたいと思います。
あわせて、先ほど申しましたように、非常にトラブルになるケースがふえているということでございますので、やはりいち早く、どういう計画を事業者が持っているかということについては、幅広く情報を収集する必要があると思っておりまして、今お話がございましたが、特に、必ず事業者が市町村に相談に行くのは当然でございますので、相談があった時点で、県にも情報を上げていただくようなルートづくりは必要なものと考えております。
また、立地円滑化チームをつくって今取り組んでおりますが、このチームの使い方についても、いずれ機動的にさまざまな課題について部局横断的に対応していける運営を図るような取り組みをしてまいりたいと考えております。
〇高橋元委員 縄文遺跡群の世界遺産登録への取り組みについてお尋ねします。
一戸町御所野遺跡を含む北海道・北東北の縄文遺跡群は、世界遺産登録に向けて国内の推薦リストに登録となり、やがてユネスコでの審査が始まるものと思います。
昨日、登録に向けた専門家委員会で、海外でもわかりやすい名称に変更する方向で一致、世界的に認知されつつあるアルファベットのJOMON表記、それから、北部日本などを含む名称が出され、来年2月1日までに、4道県と文化庁で検討する方針との報道であります。
さて、縄文文化は、旧石器時代が終わる約1万5、000年前から弥生時代の始まる約2、300年前まで1万年以上続き、草創期、早期、前期、中期、後期、晩期と6区分に時代区分され、西日本から北海道にかけ広く分布し、自然と共に集団生活を送っていたとされており、発掘された土器や貝塚、お墓、住居跡等を分析して時代考証がなされております。
そのような中、縄文後期にヲシテ文字が誕生しており、記紀原書の可能性を秘めているホツマツタヱ、これがその書物でございます。このような未確定の歴史書が、江戸時代に続き、昭和41年、1966年に現代用語の基礎知識、自由国民社初代編集長であった故松本善之助氏により再発見され、現在では、古事記、日本書紀との比較研究が進められているとのことであります。
御所野遺跡は縄文中期に位置し、文字の伝播も地理的に北方ということもあって文字の発見には至っていませんし、北海道・北東北の縄文遺跡群でも、同様の文字が発見されたとは聞いておりません。
しかしながら、縄文遺跡として日本を代表し、北海道・北東北の縄文遺跡群が世界遺産登録を進めており、紀元前2、000年前後の日本の縄文時代に文字が存在していた可能性が高いなどの紹介があれば、国内外の縄文遺跡群に対する評価や関心が高まると思うのですが、国内の関連資料等の収集、展示を行えないのか、所感を伺います。
〇千葉副知事 今お話しがございました一戸町の御所野遺跡を初めとします北海道・北東北の縄文遺跡群は、自然との共生のもと、1万年以上前から定住が開始され、発展、成熟した人類史上極めてまれな先史文化を現代に伝える貴重で価値が高いと認められる遺産であると認識しております。
このような縄文文化は、考古学等の専門家によりまして、さまざまな観点から日々研究が進められていると承知しているところでございますが、縄文土器の装飾にあらわされている芸術性、石器や漆製品の製作に用いられている高い技術や技能などに加えまして、産地が限定される黒曜石やひすいなどが広範囲に流通していることや、土偶などの現在まだ用途が明らかではない道具につきましては、さらなる研究余地を残しているものと認識しております。
今後、研究が進められることにより、これまでの縄文観を変えるような新たな発見などがあった場合には、縄文遺跡群への興味関心が一層高まり、県民の世界遺産に関する意識の向上や、あるいは縄文文化を素材として活用することができる地域の活性化などにもつながっていくと考えております。
御提言いただきました縄文文化への評価や関心が高まるような関連資料等の収集、展示につきましては、先ほども申しましたが、近年さまざまな分野での研究が進展しておりますことから、今後の研究動向も踏まえつつ、さまざまな企画の可能性を多面的に検討していきたいと考えております。
〇高橋元委員 来日客というか来訪客というか、海外からたくさんの方々が見えておりますし、縄文について非常に興味があると私は思っております。そういう中で、ロマンとかといったものを含めて、いろいろ進めていく必要があるのではないか、そんな思いをして、今お話をさせていただいたところでございます。ぜひよろしくお願いしたいと思います。
県民の健康サポートの取り組みについて伺います。
10の政策分野のトップに掲げる健康・余暇のうち、健康について伺います。
健康寿命を延ばし、生き生きと暮らすことを掲げ、生涯にわたり心身ともに健やかに生活できる環境をつくるとし、医療等ビッグデータ利活用推進費6、270万円、マンモグラフィー検診精度向上事業費補助3、690万円が新規に予算計上されたほか、県民主体の健康度アップ支援事業、生活習慣病関連事業、自殺対策関連事業等が計上されております。
心身ともに健やかとは突き詰めれば何か。古くから病の多くは食にある、食源病とか、病は気からという言葉があるとおり、心身ともに健やかになるため、自力で取り組めるのは食生活であり、気の流れを正すこととストレスの解消ではないのでしょうか。
非科学的と言われるかもしれませんし、行政として取り組んでいるところもありません。しかしながら、東洋医学では、化学薬品や手術、放射線治療といった対症療法ではなく、病気の原因となっているところを改善し、自然治癒力を引き出して、体に優しい治療を施すとともに食生活の改善を進めております。
かつて、富山の薬売りなる家庭への配置薬訪問時に、食当たり防止のためとして食べ物の食い合わせの良否の早見表を受け取った記憶があります。知っているのは私の年代まででしょうか。
県民の健康をサポートする観点から、行政としてこのような食物と病気、健康の関係や販売されている食品添加物の人体における影響等を調査研究して、広く県民に周知する取り組みが必要と思われますが、そのような考えはないのか伺います。
〇千葉副知事 県民の健康サポートの取り組みについてでございますけれども、現在、県におきましては、健康寿命の延伸に向けまして、がん、心疾患、脳卒中を含む生活習慣病の発症を防ぐため、食生活や運動、禁煙などの生活習慣の改善に取り組みますとともに、早期発見、重症化予防のため、がん検診や特定健診の受診率の向上、特定保健指導実施率の向上を推進するなど、総合的な健康対策を推進しているところでございます。
中でも食生活は、生命の維持や健康的で豊かな生活を送るために欠くことのできない営みでありますことから、過食や偏食などの不適切な食生活によります生活習慣病に罹患することがないよう、岩手県脳卒中予防県民会議や食生活改善推進員連絡協議会などの関係団体とも連携を図りながら、官民一体となってさまざまな取り組みを推進しているところでございます。
また、食品添加物の人体への影響につきましては、最近も週刊誌等でさまざまな報道が出ておりますけれども、国の食品安全委員会におきまして、リスク評価を行い、食品の安全性の確保を図っているところでございまして、リスク評価の結果につきましては、ホームページ等において周知が図られているものと承知しております。
平成31年度当初予算案に盛り込んでおります県民主体の健康度アップ支援事業におきましては、内臓脂肪減少に関する新しい知見に基づいた健康的な食事のあり方を学び、実践する指導者を養成するための経費を新たに措置したところでございまして、食生活改善キャンペーンや健康教育講座の実施により、食品や食生活に関する最新の正しい知識の普及を図りながら、県民の健康づくりを推進していくものと考えております。
〇高橋元委員 提言も含めた質問に前向きな御答弁をいただきまして大変ありがとうございました。以降の時間につきましては、千葉進委員へ引き継ぎいたしますので、よろしくお願いいたします。
〔千葉進委員質問者席に着く〕
〇千葉進委員 改革岩手の千葉進です。
高橋元委員に引き続いて質問させていただきますけれども、高橋元委員は大局的見地で質問された部分がありますので、私からは、若干個々の部分を含めながら質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。
先日、30歳になる男性の若者5人と懇談する機会がありました。彼らは、私がある高校で3年間授業をし、部活動でも顧問をした若者たちです。高校を卒業してから地元に残ったのは4人、Uターンで帰ってきたのが1人とそれぞれでしたが、高校卒業後約12年間、それぞれがいろいろと苦労しながら成長しておりました。
彼らの一人は、自宅で農業につき、大規模なトマト栽培をしながら、地元では若者のリーダーとして、子供のPTA役員として頑張っている様子を聞くことができました。
別の一人は、そのトマト栽培を手伝っているとのことでしたが、突然私に、先生、種子法(主要農作物種子法)って何だと問いかけてきました。県政調査会で山田正彦氏のお話を伺っていたので一応説明できましたが、彼いわく、外圧が強くなってくると、トマトだけでなく、金色の風や銀河のしずくも岩手の特産物ではなくなる可能性もあるということになるのではないかとのことでした。
過日の一般質問で菅野ひろのり議員が、知事を初め関係する部長に種子法の廃止に伴う条例制定についてただしましたけれども、私からも、この条例化について、どのように捉え、今後どうされようとしているのか伺います。
〇保副知事 これまでの一般質問での議論等もさまざまございましたけれども、県では、この種子法の廃止に伴いまして、種子生産関係団体からの要望を踏まえまして、要綱を制定し、種子法廃止後も、これまでと同様の種子の生産、供給体制を維持、継続しているところでございます。
ただ、関係団体と話をしながら進めてきたとはいえ、個々の農家の皆さんのところでさまざまな不安といったものがあるとすれば、これはもっともっと県としても、安心していただくような取り組みは、別途必要だと考えております。
先日の一般質問で知事から御答弁申し上げましたとおり、この種子生産につきまして、どのような根拠規範の形式がふさわしいか、現在研究しているところでありますけれども、私としても、さまざまな議論等を踏まえ、この問題意識をしっかり受けとめていきたいと考えております。
〇千葉進委員 今言ったとおり、30歳の若者が種子法という言葉を出したので私もびっくりしたわけですけれども、そのように若者たちがこれに関心を持ち始めているという事実もきちんと捉えて、今後、別途という言葉が使われましたが、お願いしたいと思います。
そしてまた、シイタケ栽培にかかわっている者もいたわけですけれども、放射能被害による象徴的なものとして県南ではこのシイタケ栽培があるわけですが、原木シイタケは2012年4月に、原子力災害対策本部より出荷制限が指示され、さらに、震災前には1キログラム当たり4、500円程度であった県産干しシイタケの価格が2012年から2014年に1、000円台に下落したことなどから、多くの方が生産を見合わせたり諦めた結果、生産に取り組んでいる人は40名前後と聞いています。
出荷制限が解除され、頑張っている生産者や、これから出荷制限解除に取り組もうとしている生産者を今後どう支援していくのかお伺いします。
〇保副知事 原木シイタケ生産者の皆さんが大変御苦労されているということで、私も心を痛めております。県といたしましては、まず、出荷制限の解除が順次進んでいるわけでありますが、出荷を再開した生産者に対しましては、原木等の資材購入費用への助成、それから、東京電力からの損害賠償金が支払われるまでの間の経営資金の無利子の貸し付け、それから、各生産工程で必要となるさまざまな検査があるわけですが、そういったことを県で行うといったような形での支援に取り組んでおります。
また、これから出荷制限を解除してほしいということで、さまざま取り組んでいる生産者の皆さんもいらっしゃるわけですが、この皆様に対しては、前述のような支援も行いますけれども、きのこ原木等処理事業ということで、この出荷制限の解除に必要なほだ場、現場のさまざまな汚染物質の除去といったような環境整備を支援しております。
これまで、国の出荷制限の指示のあった県南13市町におきまして、平成31年1月末現在、生産再開の意欲を持っている生産者の方々が315名と把握しておりますが、ちょうど200名の方の出荷制限が解除されたということで、先ほど申し上げたような取り組みをこれからも行いまして、支援に取り組んでまいりたいと思います。
また、平成31年度におきましては、県単独の事業といたしまして、必要な施設整備も支援いたします原木しいたけ生産拡大支援事業も当初予算案に盛り込んだところでありまして、生産者の皆さんに寄り添った取り組みをしっかり進めていきたいと考えております。
〇千葉進委員 予算を見せていただくと、三つほどの項目で手当てしていらっしゃるようですけれども、なおかつ、今後ともぜひ、特に東京電力に対する要求という部分を強くお願いしたいと思います。
次に、若者の働き方についてお伺いさせていただきます。
先ほどお話しした若者たちの中で、私に問いかけてきた彼は、現在、ある仕事をしているわけですけれども、非正規雇用という身分であり、この3月末をもってその仕事をやめるとのことでした。将来的にその会社で正規雇用となる可能性はほとんどなく、地元には残らざるを得ない環境の中で、自分の将来設計が見通せず、結婚、子育て以前に、生活の不安があるものの自分に合う仕事を探してみたいとのことでした。
このように非正規雇用の仕事が多い中、次期総合計画で、全ての県民の幸福度を高めるとし、岩手で働くことに重きを置いているとすれば、地元に残りながらも将来設計の見通せない若者たちに、どのような取り組みを講じようとしておられるのか伺います。
〇保副知事 若い方々の就職支援ですが、本県での主力になっておりますのは、就職支援施設である盛岡市のジョブカフェいわて、それから、県内8カ所に地域ジョブカフェを置きましてその支援を行っております。学生や求職中の方々に、まず個々にカウンセリングを行うとか、各種セミナーの開催といったようなことで、それぞれの適性に合った仕事探しから就職活動、職場定着まで一貫したきめ細かな支援を行っておりまして、このジョブカフェいわてを通じまして就職を決めた方は毎年2、000人以上に上っております。
そのほか、さまざま求職中の方などを対象とした公共職業訓練等もあるわけでございます。平成29年度の受講者は全体で1、070名で、その約8割が就職に結びついております。
また、非正規という問題もございましたが、岩手労働局が設置しております岩手県正社員転換・待遇改善等実現本部がございまして、これに県も参画いたしまして、経済団体等にさまざまな要請活動等を行っております。
今年度は、県が実施しております働き方改革及びワーク・ライフ・バランスに関する調査、これは企業に対する調査でありますけれども、県内企業が無期転換ルールにどのように対応しているかも調査しております。これは今、集計、分析中ではございますが、今後、いわてで働こう推進協議会等でこの結果を共有いたしまして、必要な取り組みをしていくと考えております。
〇千葉進委員 先ほど言ったとおり、とにかく若者たちが困っている状況の中で、相談するところという部分でジョブカフェとかいろいろ言われましたけれども、なかなかそこに行けない、あるいは非正規雇用という形の中で時間がとれないという部分があったりしますので、ぜひこの10年間の計画の中で、非正規雇用の人たちを少しでも正規雇用という形の中で見通しが立てるようなものを構想していっていただきたいと思います。
そしてまた、さらに、別の学校で部活動の顧問をしていたある30代後半の女性から先日メールが届きました。それは、先生、出産費用高過ぎ。少子高齢化の中で、自然分娩で元気に産んだのに10万超えなんて、そんな世の中おかしいというものでした。それに対して私は、一関市の補助、保険の適用等のため、病院の費用などの明細をとっておけという形で返しておきました。
しかも、彼女は今回3人目を産んだのでしたが、こういうときの補助等はどう予算措置されているのか。特に、各市町村ごとで特徴等があったらお伺いします。
〇千葉副知事 出産費用についてでございますけれども、出産に際しましては、その経済的負担を軽減するため、健康保険法等に基づきまして、子供1人の出産に対しまして、保険者から42万円の出産育児一時金が支給されることとなっております。
加えて、県内におきましては、子供の誕生を祝すため、市町村単独の出産祝い金を支給している団体が12市町村ございまして、例えば岩泉町や洋野町などでは、世帯の子供の数に応じて支給額をふやす取り組みをしておりますほか、久慈市などでは、地域の活性化を図るため、地元で使える商品券の支給などもしております。
また、一関市におきましては、出産祝い金制度はございませんが、ブックスタート事業として、新生児1人につき絵本を1冊贈呈するというような取り組みを行っていると伺っております。
このように、各市町村におきまして、地域の実情等に応じた独自の取り組みが行われているものと承知しております。
〇千葉進委員 そういうことで、絵本1冊ということだったわけです。やっぱりそういう面で、市町村のみならず県でもそれなりの対応、特に少子高齢化という中で3人目を産んでいる部分があるわけですので、考えていただければと思います。
そして、次ですけれども、子供の貧困対策について伺います。
昨年4月、北上市で1歳9カ月の男の子が、十分な食事も与えられずに死亡するという痛ましい事件が発生しました。また、千葉県の事例等に触れ、子供の貧困対策や子供の虐待について、数人の議員が一般質問でも触れています。
次期総合計画の理念として、幸福を追求できる地域社会の実現を目指し、幸福を守り育てるための取り組みを推進する、幸福を次世代に引き継ぎ、持続可能な社会とする取り組みを岩手から広げていくと掲げていますけれども、そうした観点からも、子供の貧困や虐待対策は、象徴的な最重要課題と考えられます。
いわて県民計画の第5章、子どもの貧困対策や児童虐待の防止対策などにより、子どもが健やかに成長できる環境を整備します。就学支援金や奨学給付金などにより、生まれ育った環境に左右されない教育機会の確保を図ります。と明記されていますけれども、2019年度予算において、どのような今後の対応、方向性が措置されているのか伺います。
〇千葉副知事 まず、子供の貧困対策につきましては、平成31年度当初予算案に、これまでの取り組みに加えまして、対策を強化するため、ことしの子どもの生活実態調査を踏まえた新たないわての子どもの貧困対策推進計画を策定するための経費を計上しております。
また、子ども食堂など子供の居場所の新規開設等に取り組む市町村を支援するための経費や、ひとり親家庭の自立促進のため、新たにファイナンシャルプランナーによる家計支援を行う経費なども盛り込んだところでございます。
次に、児童虐待防止対策についてでございますけれども、児童相談所の児童福祉司等専門職員7人の増員や福祉総合相談センターの組織体制の強化を図りますほか、当初予算案におきましては、今お話がございました北上市での事件を受け、ネグレクトの早期発見、早期対応に結びつけるため、本年度9月補正予算で拡充いたしました県歯科医師会に委託して実施いたします医療従事者研修を、来年度も継続して実施する経費を盛り込んでいるところでございます。
また、新規項目といたしましては、児童虐待情報を共有するための県警察本部への児童相談所情報管理システムの導入経費、あるいは施設の老朽化と一時保護所の個室化等の推進に早急に対応するため、宮古児童相談所整備に係る設計に要する経費並びに福祉総合相談センターの一時保護所の環境整備に係る経費を盛り込ませていただいております。
また、教育機会の確保対策につきましては、いわての学び希望基金奨学金や、あるいは教育費の負担を軽減するための公立高等学校等就学支援金を引き続き措置いたしますとともに、低所得者世帯における高等学校等の授業料以外の教育費負担を軽減するための奨学のための給付金につきましては、非課税世帯の第1子に係る給付金を拡充するための経費も盛り込ませていただいております。
〇千葉進委員 そういう面で、その中でも特に次のことに触れたいと思うわけですけれども、北上市の児童虐待に関する件で、児童虐待による死亡事例検証報告書がまとめられました。その中の視点4、関係機関との連携の項で、児童相談所による市町村支援の充実として、児童相談所の組織体制が十分ではないことも影響しているものと考えられるとの指摘がありました。
児童福祉司は、その家庭、保護者との連絡は昼夜を分かたず、また、関係する学校の教職員、市町村職員、警察等、多くの関係者と連絡をとり、時間を費やしている実情を聞いております。しかも、人員不足の中、守秘義務もあり、人にも相談できずにいる苦労も聞くことがあります。
再発防止に向けた提言で、提言4、関係機関による連携強化の項に、県の児童相談所の体制整備として、適切な助言指導を行うことができる児童相談所の人員増員も含めた体制整備を図ることとあります。
この提言を受け、今後、県内の児童相談所、私の認識では3カ所だと思っていますけれども、それをふやすことを考えているのか、また、児童福祉司をそれぞれふやすことを考えているのか伺います。
〇千葉副知事 児童相談所の体制についてでございますけれども、北上市での残念な事件を受けまして、児童虐待による死亡事例検証報告書におきましては、関係機関による連携として、市町村からのケースの相談に柔軟に応じ、適切な指導助言を行うことができる児童相談所の人員増員も含めた体制整備を図ることと提言をいただいたところでございます。
県といたしましては、この提言も踏まえ、まず、児童福祉司の増員につきましては、来年度、福祉総合相談センターの児童福祉司を3人、児童心理司を2人増員いたしますほか、子供を虐待の危険からちゅうちょなく保護する介入業務と保護者との信頼関係の中で指導を行う支援業務を行っております児童女性部児童相談課を、この二つの業務の関係で2課に分割いたしまして、組織体制を強化していきたいと考えております。
また、現在の県内3児童相談所の増設につきましては、本会議におきましてもお尋ねがございましたけれども、児童福祉司あるいは児童心理司の専門職員が、相談対応のスキルを獲得し児童虐待対応の専門性を確保していくためには、長期的な相当の期間をかけまして組織的に教育訓練を行うことが必要不可欠でございます。また、専門的な児童相談対応を行うためには、このような訓練を受けた一定規模の職員数が必要でございます。
したがいまして、まずは、現状の3児童相談所体制で専門職員を養成しながら、警察や市町村要保護児童対策地域協議会等、関係機関との一層の連携によります地域での見守り体制の充実を図ることで、児童虐待の発生予防から早期発見、早期対応、再発予防に至るまで、切れ目のない児童虐待防止対策を推進していきたいと考えております。
〇千葉進委員 二つお伺いしたいのですが、一つは、まず、その3カ所をふやせないという部分で、人員不足等あるいは専門的な部分があることは重々わかりますけれども、例えば、その専門的な人を外部といいますかほかの県からお願いして来てもらうとか、何かそういうような形で、育てると同時に、そういう経験のある人を採用するといった考えはないのかということが一つ。
そして、二つ目は、その相談にかかわる部分で、私も学校現場で守秘義務で言えない部分が結構あったわけですけれども、そういうときに弁護士の活用といった部分は考えておられないかお伺いします。
〇千葉副知事 委員から二つほど御提言を頂戴いたしました。まず、1点目でございますが、他県におられるそのような職員の方あるいはOBの方という話もございます。現在、全国的に福祉専門職の職員は不足状況にございますので、現職の専門職の方を本県にお招きするのは非常に難しいものがあるかと思っております。
ただ、今お話がありましたように、例えばOBの方で、さらに御協力いただけるということであれば、そのような方々の御協力は頂戴していきたいと考えておるところでございます。
また、弁護士の活用についてでございますが、これも現在、さまざまな複雑なケースにつきましては、関係機関の協議の中で弁護士の方々の占めているポジショニングも非常に重要でございます。さまざまな形で今御協力いただいておりますので、どういう分野でさらに今後御協力いただけるかということは、引き続き検討してまいりたいと考えております。
〇千葉進委員 ぜひそういう面で、弁護士の活用といった部分を考えていただきたいと思います。
次に、消費税についてお伺いする予定でしたけれども、先ほどの高橋元委員の質問の中に含まれていましたので、省略させていただきます。
次に、奨学金養成医師についてお伺いします。
先日、ショッキングなニュースが飛び込んできました。それは、厚生労働省が新たに作成した医師偏在指標の都道府県ごとのまとめで、岩手県の充足度は全国最下位というものでした。これらはもうこの間の一般質問等でも質問されている分ですけれども、特に岩手県においては、県内の医師偏在が顕著であるとして以前から指摘されてもいたわけです。
そこで、2016年度から始まった奨学金養成医師の配置について伺います。過日の代表質問でもありましたけれども、養成医師の計画的な配置調整により、2016年度から2018年度までの3年間及び2019年度の予定を含めた配置人数、配置先等をお伺いします
さらに、これまでの配置調整での課題等で配置ルールの特例制度や義務化した特徴的なこと、そしてまた、今後の部分もお伺いします。
また、現在在学している奨学金を受けている学生たちの人数、特に、先ほど来話題になっている岩手県出身の医師をつくるということで、その岩手県出身者の割合等を教えていただきたい。そして、今後、彼らに岩手で医師となってもらう方策をより強く、どのようにすればいいと考えておられるのかお伺いします。
〇千葉副知事 奨学金養成医師についてでございますけれども、養成医師の公的病院への配置人数は、2016年度は16名、2017年度は25名、今年度は42名と増加してきたところでございまして、来年度は、配置先が調整中でございます数名を除きまして、現在52名の養成医師を全ての医療圏の公的病院に配置する予定であります。
県では、奨学金による医師の養成確保を図りますとともに、養成医師の計画的な配置を進めながら、地域偏在あるいは診療科偏在の解消を目指して取り組んでいるところでございますけれども、地域偏在の解消に向けましては、今回、医師免許を新たに取得する養成医師から沿岸地域等での義務履行を必須化し、医師不足が深刻な沿岸、県北地域の公的病院等の医師確保を進めることとしております。
さらに診療科偏在への対応については、小児、周産期医療を担う医師を確保いたしますため、本年度から、産科、小児科を選択した養成医師につきましては、地域周産期母子医療センターでの勤務に専念することを可能とする配置上の特例措置の運用を開始したところでございまして、産科医等の養成の取り組みを強化してまいります。
また、現在、貸し付け中の医学奨学生は全部で260名おりますが、6割以上に当たります166名の学生が本県出身者でございます。県では、出身地にかかわらず、全ての養成医師が地域医療マインドを持ちながら、岩手の医師として定着してもらう必要があると考えておりますことから、医学部在学中から医師免許を取得した後におきましても、さまざまな支援の取り組みを行っております。
若干具体的に申しますと、学生の段階におきましては、地域医療に関する意識の醸成を図るため、知事が地域医療の重要さを直接語りかけるガイダンスや、奨学生と養成医師との世代を超えた交流会などを実施しております。
また、医師免許取得後におきましても、円滑な義務履行を進めるため、地域医療の現場で不可欠な総合診療スキルの習得を目的とした研修会の開催や、県立病院長を務め、地域医療の豊富な経験を有する医師支援調整監によりますキャリアアップ支援などを行っているところでございまして、こうした取り組みを通じまして、養成医師の確実な定着を図っていきたいと考えております。
〇千葉進委員 ぜひ協力してそこはお願いしたいと思います。
次に、観光についてお伺いします。先ほどの高橋元委員と少し重なる部分はあるわけですけれども、違う見地の部分もありますので。
最近、私は地域批評シリーズとして、岡島慎二さん編著のこれでいいのか岩手県という文庫本を読みました。その中で、海・山・世界遺産などスポットは多種多彩との見出しで観光について書かれている部分があり、回遊性の低さが岩手観光の弱点とありました。確かに、これまでは、平泉に来たとしても、バスで素通りし宿泊をしない人も多いという実態があるわけです。
2月26日の朝日新聞に、観光伸びれば先に進むとの見出しで知事のインタビューが載っていました。それは、2019年度の重点施策で、復興事業が減る中で、観光にも力を入れたい。復興事業が少なくなり、地元に回るお金が少なくなる中で、観光が伸びれば先に進んでいくことができるとの内容でした。
三陸鉄道リアス線の開業や東北横断自動車道釜石秋田線の全線開通などにより交通アクセスも便利となり、観光の条件はよくなることになります。しかし、一つの関連スポットをめぐる等のコースの紹介をするなどの工夫も必要だと思われます。そして、その土地ごとの関係する方々、グループなど民間の観光活力の協力も必要です。
県としては、そのような観光ルート開発に対して、2019年度の予算措置をどのように考えているのかお伺いします。
〇保副知事 私もその文庫本は承知しております。それから、かねてから、岩手県の場合は、地域にすばらしいいいものがありながら、さっぱり発信もしていないし、生かされていないのではないかということもいろいろ聞いてきたところであります。
観光資源として生かせる要素につきましては、さまざますばらしいものがあるわけですので、一つは、地元の民間の方も含めて、これは観光のコンテンツになるのだという意識を持っていただくこと、それから、これをどういう形で多くの方にPRして、これで岩手県に行ってみたいと思っていただくか、そういうことが問題だろうと思っております。
これまでもそういう観点から、県では、観光コンテンツづくりという観点で、三陸観光プランナー養成塾の開催ですとか、観光コーディネーターという専門家の方を派遣して、地域の方にさまざまアドバイスをするといったことですとか、旅行会社向けにも、モニターツアーの実施ですとか商品造成への支援といったことを行ってきたわけでございます。
さらに、大きなイベントを控えていることもありまして、あるいは交通ネットワークが格段に変わることを踏まえまして、いわばマーケットインの視点といいますか、旅行する側からの視点を一層重視して、魅力ある観光ルートの開発を行う人材の育成が大事でございますので、稼ぐ観光人材育成事業費を新たに当初予算案に計上しておるところでございます。
いずれにしても、来年度は大きなチャンスでありますので、これを大きなきっかけとして、さらに、今まで埋もれている地域のさまざまないいところをどんどん観光で出していくことに意を用いながら、取り組んでいきたいと思います。
〇千葉進委員 ぜひ、その埋もれている部分の民間の方々のいろいろな情報等も入れながら、そういうルートづくりをしていただければと思います。
次に、教育について伺います。これも高橋元委員が聞いた部分ですけれども、私としては、まだちょっとどういうことなのかがうまく把握できていませんので、お伺いします。
大学や私立学校との連携強化等のために、これまでの総務部所管の県立大学業務、私学振興業務、政策地域部所管の大学連携業務を集約し、政策地域部に学事振興課を設置するとのことですけれども、その利点について、どのような具体的な内容があるのか、そして、それをどう想定しているのかお伺いします。
〇佐藤企画理事兼総務部長 学事振興課の設置についてでありますが、これまで、大学との連携等は政策推進室が行っておりました。また、私学振興については法務学事課の私学担当、県立大学につきましては総務室が、それぞれ業務を担ってきたところでございますが、今回、学事振興課を設置し、これらの業務を所掌することとしたものでございます。
これによりまして、大学等の高等教育機関や私立学校等との一層の連携強化を図りまして、例えば、具体的に申し上げますと、大学等の専門的知識を活用した地域課題の解決、例えばふるさと振興関連などの共同研究を行うとか、それから、地域を担う人材の育成、若者の地元定着促進などの、いわて県民計画最終案に掲げます施策やプロジェクトをより効果的に推進していくということで設置するものでございます。
〇千葉進委員 私立の部分と大学、県立大学というのはわかるのですが、私たちは昔よく高大連携という言葉を使って高校と大学の連携ということでもやってきたわけですけれども、それとのかかわりはどうなるのかお伺いします。
〇佐藤企画理事兼総務部長 今、委員が御指摘の高大連携講座の拡充による県内高校からの県内大学、県内には大学6校、短期大学5校、高等専門学校1校の高等教育機関がございまして、こういったところの高大連携についても担当することとなっております。
〇千葉進委員 担当するということで確認してよろしいのですね。はい、わかりました。
次に、地球温暖化が進んで、気候変動で猛暑が続き、熱中症が過去に例のないほどふえてきている状況があります。そんな中で、小中学校では、文部科学省が主導してエアコンの設置が全国的に進められようとしている状況があります。
過日の商工文教委員会で確認されてもいるのですが、岩手県の県立学校、高校や特別支援学校において、エアコン設置は2018年度補正予算による設置、それを受けての2019年度の予算措置はどういう形になっていくのか。特に2019年度で全校配置できないだろうと思いますが、設置できないにしても、2020年度以降の設置見通しについてお伺いします。
〇千葉副知事 県立学校へのエアコン設置についてでございますけれども、まず、特別支援学校につきましては、新たに創設されました国の臨時特例交付金を活用いたしまして、13校の教室及び管理諸室699室、寄宿舎287室等への設置を行うため、関係補正予算を本定例会で議決いただいたところであり、来年度にかけまして整備を進めてまいります。
また、一関第一高等学校附属中学校につきましても、一関市立中学校と同様に整備することとし、教室16室への整備については、臨時特例交付金を活用し、保健室、職員室ついては、県単独事業で整備を進めることとしたところでございます。
次に、高等学校について申し上げますと、まずもって、現在、高等学校のエアコン整備についての最大の課題が、現時点で整備に関する新たな地方財政措置が示されていないことでございます。
したがいまして、今回、平成31年度当初予算案につきましては、当面、緊急的な対応といたしまして、保健室における未設置の解消と、あと、夏季課外学習室、具体的には視聴覚室とか多目的ホールとかというところが使われておりますが、そういう学習室への重点整備を行うということで予算措置をしたところでございます。具体的には、保健室33室と夏季課外学習室17室の整備を盛り込ませていただいております。
したがいまして、2020年度以降の高等学校普通教室への設置につきましては、財源の問題が極めて大きいかと思っております。現在、教育委員会から聴取いたしました概算でございますけれども、高等学校の全ての教室に整備した場合、おおよそでございますが50億円という試算が出ております。したがいまして、引き続き、国に対して、地方財政措置の拡充などにつきましては強く要望していく必要があると考えておりますし、また、相当程度の財政負担がありますので、どのように計画的に整備をしていくべきかについても、具体的検討を改めて行いながら進めていく必要があるものと考えております。
〇千葉進委員 それについて二つ具体的な部分でお伺いしたいところがあるのですが、1点は、電気料がかなりかかると思うのですが、これは県費負担という形で捉えていいのかどうかという部分があるわけです。そしてまた、既に視聴覚室とかいろいろな教室に冷房を入れている学校があったと。そこは結構私費で、PTA等が払ったりしている。その整合性をどうしていかれるのかということが1点。
2点目は、需要と供給ということで、特にエアコンは、全国的にいろいろなところでこれから注文していく。それに製造が間に合っているのか、あるいは物としてあるのか。外国からのものをとってしまう可能性もあるのではないかという面で、需要と供給の見通しについてお伺いします。
〇千葉副知事 まず、設置に伴ういわゆるランニングコスト、光熱水費でございますけれども、今回、ランニングコストにつきましては、概算でございますが、年間1、900万円の電気料金の増額を試算しているところでございます。いずれ、これについては県単独で負担しなければならないことになります。
二つ目でございますが、確かに、現在既に設置しているエアコンにつきましては、同窓会等の御負担で設置し、また、ランニングコストにつきましても、同窓会等、あるいは高校によりましては整備支援会とかいろいろな名前がありますけれども、そういうところで御負担しているところがあると思います。したがいまして、そこにつきましては、まだこれは本質的な運用と、今回入れました公費負担の分をどのように区分けするかについては、混乱を生じさせないためにも、教育委員会で早急に統一的見解をまとめるものと承知しております。
個人的には、今まで私費で対応してきたものは、やっぱり私費で対応をお願いすることになろうかということも一つ考えられるところでございます。ただ、それは、今後、教育委員会のほうでどのように考えるか。やっぱり新たな県民負担ということですので、これまで県民負担していないものについてどうするかも大きい課題でございますので、これは極めて重要な課題でありますので、そういう問題もあるということだけはお示しして、あとは教育委員会で統一的な見解を今後示していくものと考えております。
申しわけございませんが、最後の点、確かに委員おっしゃるとおり、いわゆる国内生産のものだけでおさまるのかどうかという、これから予算をとり、発注手続が全国的に一斉に始まりますので、本当に実際のエアコンが確保できるのかについては、私どもも、今、確たるデータは持ち合わせておりません。いずれ、できる限り確保していきたいとは考えております。
〇千葉進委員 ぜひ県でやれるようにお願いします。
もう一つ、県立学校の洋式トイレの設置についてお伺いしたいと思います。
私は、かつて体育館で部活動しているとき、えらくでかいブツッという音がして肉離れをしたことがあるのですけれども、結局、学校には松葉づえをついて行き、そして、トイレについては、洋式用のものを自分で買って職員トイレに置いたという経験があります。
現在、学校では、小中学校で洋式トイレの設置が進み始めようとしている状況があるかと思います。県立学校への洋式トイレの設置は、2019年度予算ではどうなっているのか伺います。特に、8年前の東日本大震災津波のとき、学校が避難所となり、トイレの使用について不便を来したという経験もあります。そのことを考え、全校設置を進めるためにも2020年度以降の設置見通しもお伺いします。
〇千葉副知事 県立学校における洋式トイレの設置についてでございますが、これまで、児童生徒の生活様式の変化、あるいは避難所としても活用される学校施設の多様な利用者への配慮などの観点を踏まえまして、トイレ基数の過半数を洋式化することをまず原則としながら、順次その整備を進めてきたところでございます。
平成31年度当初予算案におきましては、福岡工業高校と伊保内高校の耐震改築や西和賀高校と大槌高校の大規模改修を行う経費を計上しておりますが、この中でトイレの洋式化等の実施も計画しているところでございます。
また、指定避難所となっております高等学校の屋内運動場のトイレ、15校、44基の洋式化も進めることとしまして、この分といたしましては7、800万円余を計上しているところでございます。
これまで、トイレの洋式化につきましては順次整備を進めてきたところでございまして、県立学校の昨年5月1日現在の洋式化率は、特別支援学校が59.7%、中学校が54.5%と過半数に達しているところでございますが、高校につきましては35.1%にとどまっている状況にございます。
したがいまして、先ほど申しましたが、今後とも、校舎の改築あるいは大規模改修などにあわせた整備を進めることで、50%、過半数に向けた取り組みをまずは進めていきたいと考えております。
〇千葉進委員 ぜひ進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、現在実施されている大学入試センター試験にかわって、2020年度から、つまり現在の高校1年生が高校3年生となると言いながらも、もう3月ですので2年生になります。再来年の2021年1月から大学入学共通テストが導入される予定があります。
英語については大学入試センターが確認した民間検定を活用するということですが、岩手県立大学を含めて複数の大学が、民間検定を活用しないと打ち出しており、対応がまちまちとなっている状況があります。
しかも、高校3年の4月から12月の間、2回の試験を各大学に送付することになっています。対応の統一性がない中、民間検定を受けるとするなら、もう1年後という状況です。生徒たちのみならず、高校の進路指導の見通しが立ちません。さらに、民間の検定料の負担も大きいと考えますが、それらに対しての方向性や検定試験への補助や配慮はどうなっているのかお伺いします。
〇千葉副知事 大学入学者選抜改革への対応についてでございますが、グローバル化が急速進展する中で、英語によりますコミュニケーション能力の向上を図りますため、今般の入試改革におきましては、いわゆる英語の4技能を総合的に評価することとし、英語の民間検定を活用することとされておりますが、現時点におきまして、費用負担の問題に加え、具体的な実施場所や大学側の活用方法等が確定しないこともありまして、不安を感じている生徒、保護者も少なくないと認識しております。
このため、県におきましては、2019年度政府予算要望におきまして、検定料に対する財政支援の実現等を強く要望し、国からは、非課税世帯や離島、僻地の居住者等に対する負担軽減策が示されているところでございます。加えまして、教育委員会におきましては、全国都道府県教育委員会連合会等を通じまして、均等な受験機会の確保などについても要望いたしますとともに、民間検定の主催団体に対しましては、検定試験を高校で実施するなどの必要な措置が講じられるよう、働きかけを行っているところでございます。
また、進学希望者が新たな試験に対応できる力を養成するため、今年度、大学入学者選抜改革対策事業を立ち上げ、核となる教員の県外講座への派遣や外部講師を招聘した研修会の開催などを通じ、先進的な指導法を導入するなど、教員の指導力向上に取り組んできております。
来年度におきましては、その核となる教員を各高校に派遣し対策講座を実施するとともに、当該講座を収録した映像を各学校で活用するなどによりまして、高校生の英語の4技能を着実に育成し、本県の生徒が新たな試験に円滑に対応できるように取り組んでいきたいと考えております。
〇千葉進委員 1年後に迫っていますので、ぜひそこはよろしくお願いします。
最後になりますけれども、岩手県教育委員会では、厳しい財政状況の中、2019年度で、小中学校での35人学級を完全導入という形で実現されることになっています。その姿勢に対して改めて敬意を表したいと思います。
教育の投資は未来への先行投資と言われることからも、岩手県も教育にお金をぜひかけていただきたいと思うわけですけれども、そういう中で2019年度、新たな県立高等学校再編計画の後期計画の策定を進めることになっています。また、予算も計上されています。その2019年度には具体的にどのような取り組みがなされて、それがどのような形で予算としての裏づけとなっているのかお伺いします。
また、定数等の関連も十分理解はしつつも、小規模校や専門高校への35人学級を導入することによって、小規模校の存続が図られるのではないかと思われるのですけれども、その方向性についてもお伺いします。
〇達増知事 教育委員会におきましては、現在、2021年度から2025年度までの高校再編計画後期プログラムの策定に向けて、昨年末から、県内9ブロックにおいて地域の代表者による地域検討会議を開催していますが、2019年度においても、引き続き、地域検討会議を開催するとともに、加えて、県民を対象とした意見交換会等も行うこととしており、それに要する経費を当初予算案に盛り込んだところであります。
これまで開催した地域検討会議においては、少人数学級の導入や小規模校の存続を求める意見等があったと承知しておりまして、高校における少人数学級の導入については、小規模校における定員充足の状況や教員配置の実情等も踏まえながら検討していく必要があると考えております。
後期計画の策定においては、地域の皆様の意見などを丁寧に伺いつつ、地域における高校の役割等も見きわめながら、少人数学級のあり方も含め、中長期的かつ戦略的な視点にも立った検討が必要と考えております。
〇千葉進委員 終わります。ありがとうございました。(拍手)
〇軽石義則委員長 次に、福井せいじ委員。
〔福井せいじ委員質問者席に着く〕(拍手)
〇福井せいじ委員 自由民主クラブの福井です。
それでは、随時質問をしていきますのでよろしくお願いいたします。
まず初めに、予算編成の方針について幾つか質問をさせていただきます。
平成31年度当初予算は、いわて県民計画(2019~2028)の初年度ということで、岩手の未来を切り開くため、目標に向かってスタートダッシュする予算とあります。
そこで伺いますが、来年度から始まるいわて県民計画において、岩手の未来をどのような姿にする考えかお示しください。また、スタートダッシュをかけるため、どの部分に、どのようなエネルギーを注入したのかをお示しいただきたいと思います。
〇達増知事 いわて県民計画最終案におきましては、東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き復興に取り組みながら、お互いに幸福を守り育てることで、県民一人一人が希望を持つことができる希望郷いわてを目指していくこととしております。
このため、計画の初年度となる平成31年度当初予算案におきましては、東日本大震災津波からの復興に最優先で取り組みますほか、健康づくりや、結婚、家庭、子育ての環境づくりなど保健、医療、福祉の充実、人手不足対策を初めとした県内への就業の促進や農林水産業の生産性の向上などの産業振興、そして、移住、定住の促進などのふるさと振興、また、社会基盤の整備、強化など、10の政策分野に基づく取り組みを推進してまいります。
また、新しい時代を切り拓くプロジェクトに係る取り組みを進めますとともに、三陸防災復興プロジェクト2019やラグビーワールドカップ2019など、東日本大震災津波の教訓や復興の姿を国内外に発信する取り組みを推進してまいります。
これらの取り組みを進める中で、お互いに幸福を守り育てるという岩手の志を県内外に示し、その志にふさわしい岩手を実現していきたいと考えております。
〇福井せいじ委員 私が今お聞きしたかったのは、今回の予算特別委員会、そしてさらに次期総合計画特別委員会でも財政の見通しという言葉がありましたが、特にスタートダッシュという言葉を使った意義をお聞きしたかったのですけれども、先ほど財政の見通しについては10年後とか20年後という言葉も出ましたが、当局からは、4年ごとのアクションプランについての財政の見通し、配分についてはそのような設定があるとお聞きをしました。私は、スタートダッシュというと、例えば、その4年後には達成しなければいけないもののスタートに重点的に配分するとか、あるいは政策を、最終的に時間がかかるものは均等配分するとか、そういった小さな財政の予算の措置の配分というのは考えながらやっているのかどうかということをお聞きしたいのですけれども、いかがでしょうか。
〇達増知事 内容的には10の政策分野、新しい時代を切り拓くプロジェクト、それぞれ大事ではあるのですけれども、先ほど答弁で申し上げましたように、まず東日本大震災津波からの復興を10年計画のこの最初の年度に力強く進めなければならないということ、そして、保健、医療、福祉の充実ということに力を入れなければならないということ、また、人手不足対策を初めとした県内への就業の促進、プラス、農林水産業分野も含めた産業振興、また、移住、定住、そして社会基盤の整備強化、これはこの3カ月も物すごい勢いで復興道路等の整備が進みますが、年度をまたいで4月以降も非常に大事な局面であります。プラス、これも先ほど述べましたけれども、教訓の発信系の事業であります三陸防災復興プロジェクト2019、そしてラグビーワールドカップ2019、こうしたことに力を注いでいるということの予算面につきましては、冒頭、佐藤企画理事兼総務部長のほうから説明した歳入歳出のバランスの中でやっておりまして、その中では、例えば復興についての事業予算の伸びなども説明されたところであります。
〇福井せいじ委員 今知事がおっしゃる言葉の中には、岩手の今の環境あるいは社会情勢の変化、そしてまた知事の思いの軽重というか、そういったものをいかにバランスよく組み立てていくか、そしてまた、配分についてはそれに応じた重さ、軽さ、あるいは速さ、遅さというのがあると思いますので、そういったところを考えながら配分していくと、スタートダッシュをかけていくということで私は理解しました。
次に、選択と集中についてお聞きをします。
この予算編成に当たっては、政策の優先度に応じた財源の最適配分を図り、一層の選択と集中を進めたと述べています。今のお話だと思いますけれども、知事として、何を選択し、どのような形で集中の取り組みを行う決意か、お聞かせいただきたい。
さらに、歳入確保のさまざまな手法と、歳出の徹底見直しについての取り組みをお聞かせいただきたいと思います。今のお話に重なるかと思いますけれども、よろしくお願いします。
〇達増知事 平成31年度当初予算案の編成に当たりましては、地方財政措置の充実や地方一般財源総額の確保を国に要請するとともに、県税等の徴収強化を初め、震災復興・ふるさと振興パワー積立金の一般会計への繰り入れや、未利用県有地の売却などの歳入確保を進めます一方で、事務事業評価の活用による効果的、戦略的に事業を進めるためのスクラップ・アンド・ビルドや、必要性や有効性等の観点からの県単独補助金の見直しなど歳出の重点化を図るなど、一層の選択と集中を進めたところであります。
今後、10の政策分野ごとに設定するいわて幸福関連指標の状況や、県民意識調査等で把握した県民の実感などを踏まえて政策の効果等を捉えながら、引き続き選択と集中を図っていくものであります。
〇福井せいじ委員 続きまして、予算の編成方針について伺いたいと思います。
先ほども話しましたが、平成31年度はいわて県民計画の初年度であります。2019年度から始まるいわて県民計画では、幸福度を大きな指標として設定しています。幸福度を高める観点から、予算の編成方針において、平成30年度までの予算とどのような点で編成方針を変えたのかお示しください。
また、計画と予算は表裏一体のものであると考えますが、幸福度を高めるために、いかなる予算措置を講じているのかを教えてください。
さらに、2020年度以降の予算を編成していく上で、いわて幸福関連指標を基準とした施策の評価が必要になってくると考えますが、施策に対する評価基準をいかに設定しているのかを教えてください。
〇達増知事 平成31年度当初予算案については、新しい計画の初年度となることを踏まえて、さらなる部局連携を図るための政策・プロジェクト推進費の創設、全ての事務事業のゼロベースでの見直しなどによって、計画の着実な推進に向けた予算編成を進めたところであります。
こうした方針のもと、10の政策分野ごとに掲げるいわて幸福関連指標の向上に直接関連する取り組みとして、例えば、健康寿命の延伸に向けた健康、医療、介護のデータを活用した健康増進の取り組みや、子供たちの確かな学力を育成するための取り組み、長時間労働の是正に向けた働き方改革推進の取り組みなどの予算を措置しましたほか、10の政策分野のもと、いわて幸福関連指標や具体的推進方策指標の向上に資するさまざまな事業を盛り込んだところであります。
2020年度以降の予算編成に当たりましては、幸福に関連する10の政策分野を中心に、いわて幸福関連指標の状況や、県民意識調査等で把握した県民の実感、参考指標、そして社会経済情勢などを勘案しますとともに、新たに立ち上げる有識者による研究会での分析なども踏まえながら評価を行って、次年度以降の施策の立案や見直しにつなげていく考えであります。
〇福井せいじ委員 いわて幸福関連指標についてでありますが、何点か私も見せていただきまして、今回、この指標に関しては幸福実感者、例えば県民のあり方について直接的な指標を設けていることについて私は非常にいいことだと思っております。今まではどちらかというと、二次的な評価が多かったのですけれども、一次的な評価あるいは実感者、県民のあるべき姿を指標とするということは非常にいいことだと思いますので、ぜひこれに基づいた政策を推進していただきたいと思っております。
続きまして、持続可能な県土構築についてお聞きします。
今、大きな社会問題であります人口減少及び少子高齢化対策について伺います。
政府は、昨年閣議決定した経済財政運営と改革の基本方針2018において、1、人づくり革命の実現と拡大、2、生産性革命の実現と拡大、3、働き方改革の推進、4、新たな外国人材の受入れ、5、経済・財政一体改革の推進といった基本方針を定め、少子高齢化の克服による持続的な成長経路の実現を目指した政策を推進していくこととしています。
人口減少、少子高齢化の先進県である岩手県において、いかなる政策をもって持続可能な県土を構築していくか、そのお考えをお聞かせください。
さらに、平成31年度予算を編成する上で、いかなる部分にその予算を充当したのかをお聞かせください。
〇達増知事 いわて県民計画最終案では、2040年に100万人程度の人口を確保するとの人口の展望を踏まえ、10の政策分野のもと、人口減少対策を総合的に推進していく中で、岩手への新たな人の流れを創出することとしております。このため、平成31年度当初予算案においては、生産技術の高度化などを通じた仕事の創出につなげる中小企業総合的成長支援事業、移住、定住の促進や人材の確保に向けた地方創生移住支援事業、出産や子育て支援の充実を図る保育士確保・保育所等受入促進モデル事業など、ふるさと振興を強力に展開する取り組みを盛り込んだところであります。
また、新しい時代を切り拓く11のプロジェクトについて、先端技術の活用による生活サービスの確保や地域運営組織の育成等に取り組む活力ある小集落実現プロジェクト、地域、大学、産業界との連携による豊かな地域資源の活用等に取り組む北いわて産業・社会革新ゾーンプロジェクトなどを具体的に進める事業の予算化をしておりまして、持続可能なふるさと岩手の構築につなげていく考えであります。
〇福井せいじ委員 さまざまな施策の準備があるようでありますが、今までの現状をお話ししますと、東京一極集中がとまらないというお話でありますが、私も実はこの岩手県で非常にショックな数字を見ました。それは、地方から東京への流出率でありますが、これは内閣官房の作成したデータでありましたが、地方都市の中で盛岡が全国一、東京への流出率が高いということであります。平成27年度は、実に人口の0.35%、1、050人ほど東京への流出人口があったということであります。知事は、社会減少をゼロにしたいというお話でありますが、盛岡においてさえ、ダム機能が果たされていないというのがこの岩手県の現状であります。
さまざまな政策を準備はしているのですが、その原因として、実は大学進学希望者に対して、岩手県における大学の定員数は6割に満たないという状況で、やはり大学進学を希望する人は、仙台なり東京なり、県外に流出することになっているのではないかと思っています。また、希望職種と今ある業種がミスマッチであるということも一つの原因であると私は推察しますが、こういった点で、学びの面あるいは仕事の面において、具体的にもう少し、当事者にとって響くような政策というのは何か達増知事はお考えがありますでしょうか。
〇達増知事 1995年においては、岩手全体の人口の社会減、いわゆる人口流出が329人にとどまっていたと記憶しますが、1995年を挟んだ1990年代の中ごろというのは、岩手からの人口流出が全体として1、000人いくかいかないかぐらいの水準であって、さまざまな条件のもとでは、必ずしも岩手の人たちは都会に出なければだめだと思っているわけでもなく、当時はまだ岩手県立大学がなかったころでありますので、地元に大学がない中、大学等では一度岩手を離れてもまた岩手に戻ってくるという流れが当時はあったということだと思います。
今、東京一極集中が地方創生時代の中で年々加速している状態ではありますけれども、そこは国に対してそれを逆転させる方策を求めていくところではありますが、地方は地方でやはり手を打っていかなければならない。例えばいわてWalkerの発刊に象徴されるような、岩手から他都道府県に進学、就職した若い人たちが岩手の企業のことをよく知らないでいる、それを伝えることでミスマッチを解消する、また、農林水産業の魅力や将来性についても知られていないので、それもきちんと伝えていく、そうした情報の発信、共有ということで、今、岩手は非常に人手不足状態、製造業についてもサービス業についても、農林水産業についても、ありとあらゆる分野、また、知られた企業、知られていない企業も含め、個々の会社もどんどん人に来てもらいたいという状況でありますので、そういったことを知ってもらうことで、そういう新しい人の流れをつくっていくことができると考えております。
〇福井せいじ委員 人口の社会減少、それと社会流出というか人口流出の主な層というのが、高校卒業者あるいは大学卒業者が主たる層であるとしたならば、それを選択した、そしてまたそこにターゲットを絞った方策、それこそが選択と集中という、小さい意味での選択と集中になるのではないかと思います。
そういった意味で、そういった層への働きかけを今後一層取り組んでいただければありがたいと私は思うわけでありますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、東日本大震災津波復興計画についてお聞きします。
岩手県は8年間の復興期間が過ぎ、組織として復興局は存続しておりますが、2019年度からの復興計画はいわて県民計画の中の一部として位置づけられました。しかし、政府は、国の復興・創生期間は2020年度まで継続し、その後のあり方は今後検討していくとしています。
このような動きの中で、被災地である岩手県が、その復興計画をいわて県民計画の一部に統合するという動きは、国の復興・創生期間そして組織の存続の可能性を低くすることにつながらないかと懸念しています。
いわて県民計画については、昨日、次期総合計画特別委員会において賛成されたところですが、いまだ復興途上にある被災地への復興推進を国へも要求していくものとして、国に先駆けてその計画を総合計画に内包するのではなく、あくまでも復興計画は総合計画から独立したものとして存続させるべきではないかとの考えもあったと思いますが、復興計画を総合計画の中に位置づけた知事の考えを改めてお聞かせください。
〇達増知事 県では、東日本大震災津波からの復興に当たり、国の制度では補い切れない支援策の創設や、新たな仕組みによる土地収用手続の迅速化など、被災地の人々の暮らしや仕事を起点に復興に取り組んでまいりました。また、復興を進める過程で、国内外から多くの御支援をいただく中で、新たなつながりが生まれ、さらに、ボランティアを初めとしたさまざまな場面での女性や若者の力強い活躍など、多様な主体の参画やつながりが大きく広がってきたところであります。
いわて県民計画最終案では、こうした東日本大震災津波からの復旧、復興の取り組みの中で学び培った経験を生かし、人々の暮らしや仕事を起点とした政策の展開や、多様な主体の参画やつながりを生かした取り組みなどを県政全般に広げていきたいと考え、基本目標に、東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き復興に取り組みながら、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわてを掲げたところであります。
東日本大震災津波からの復興は引き続き県の最重要課題でありまして、この基本目標を掲げながら、復興の取り組みと10の政策分野や三陸防災復興ゾーンプロジェクトの取り組み等を連携させながら、三陸のよりよい復興の実現に向けた取り組みを推進していく考えであります。
〇福井せいじ委員 先ほど、スタートダッシュの中に、真っ先に掲げたのも復興の取り組みだということをお聞きしまして、知事の総合計画の中における復興の位置づけは最重要課題だということは確認させていただき、今の答弁でもそういったことを再確認させていただきました。
しかし、もう一つちょっとお話をさせていただきますと、2月19日のある新聞によりますと、被災地の首長からの要望は、復興事業を統括する組織の継続、被災地の課題に即応できる体制の存続として、国に対して復興庁の存続を求めたいという話がありました。
そこでお聞きしたいのですけれども、本県にも今復興局があり、その計画はいわて県民計画の中に内包されますが、組織として、復興局の存続について知事はどのような見解をお持ちでしょうか。
〇達増知事 今年度から来年度にかけては、県の8年前につくった8年分の復興計画は、8年間が終わってそして県の総合計画とともに復興に取り組む、県の総合計画も基本目標の中に東日本大震災津波の経験、そして引き続き復興に取り組むということを掲げ、いわば県の総合計画そのものがもう復興のための計画でもあるような形になっているという年度の切りかわりにあって、基本的に復興局という体制は県においては存続させるということで、復興局の存在については全然いじっていないわけでありまして、現在、復興局について廃止でありますとか統廃合のようなことは考えておりません。
〇福井せいじ委員 常に知事は、最後のひとりまで寄り添うというお話をされているわけですけれども、そういった意味では、復興局の存在というのも最後のひとりまでという考え方でよろしいのでしょうか。
〇達増知事 来年度に向けてというか、今までもですけれども、組織体制についてはそのときそのときの復興のステージに合わせて変えてきたところでございまして、そういう意味では、県の復興に関する組織のあり方は、そのときそのときの県の復興施策を推進するためのベストの形をその都度追求していくべきものと考えます。
〇福井せいじ委員 県内被災市町村の要望に沿った形で、ぜひとも組織のあり方についても知事の対応を期待します。よろしくお願いします。
何点か飛んでお話を聞いていきたいと思います。予算の規模について伺いたいと思います。
平成31年度当初予算額は9、355億200万円、昨年比178億4、600万円、1.9%の減であり、震災分を除いた通常分の予算額は6、660億6、100万円、前年度比23億8、000万円、0.4%の減であります。
ここで予算規模の経年推移を見せていただいたところ、平成23年に東日本大震災津波が発災し、我が県の予算規模は震災分を加え、平成24年度から1兆円を超える規模となりましたが、通常分の予算額についてみると、震災前の平成22年度の当初予算は6、987億6、700万円でした。
ここで伺いますが、平成31年度の通常分の予算額は6、660億6、100万円で、震災前の平成22年度より327億600万円の減、約4.7%減となっていますが、この原因をお聞かせ願いたいと思います。
〇佐藤企画理事兼総務部長 予算の規模についてでございますが、平成31年度当初予算案と震災前の平成22年度当初予算の歳出を性質別に比較してみますと、まず、人件費や公債費等の義務的経費は179億円の減となってございます。それから、公共事業や災害復旧事業の投資的経費は244億円の減、それから、その他の経費について95億円の増となっているところでございます。
その主な要因でございますが、平成25年度に策定しました公債費負担適正化計画を着実に推進してきた結果、公債費が減少していること、それから、東日本大震災津波の発生により、復旧、復興事業に最優先で取り組むこととしたことから、通常分の公共事業については抑制を図ってきたこと、それから一方で、高齢化の進行に伴いまして、社会保障関係費等を含む補助費等が増加したことなどによるものでございます。
〇福井せいじ委員 続きまして、消費税増税の影響について伺います。
消費税増税は、今後一層の高齢化社会を迎える日本の社会保障の充実と安定化を図る上で欠かせないものとして、社会保障と税の一体改革による議論を経て行われるものです。さらに、本年10月施行の8%から10%への増税に当たっては、教育の無償化等にもその使途が拡大され、子育て世代にも手厚い支援が行われることになりました。
消費税増税は、平成31年度予算の歳入歳出にどのような影響を与えているのかお聞かせください。また、今後の見通しをあわせてお示しください。
〇佐藤企画理事兼総務部長 消費税関係のお尋ねでございますが、平成31年度当初予算案におきましては、課税が年度途中ということもございまして、本年10月の税率引き上げに伴う実質的な税収額については3億8、400万円と見込んでいるところでございますが、2020年度は47億円、それから、引き上げ分が平準化する2021年度以降は59億円程度になるものと見込んでいるところでございます。
この増収分につきましては、地方税法によりまして、全額、社会保障施策に要する経費に充てることとされておりまして、国の制度設計等を踏まえまして、県としては社会保障の充実分として、保育士や介護人材の処遇改善や低所得高齢者の介護保険料の軽減強化等の財源に、また、社会保障の安定化分として、従来、臨時財政対策債いわゆる県債で賄っていた部分でございますが、その部分は既存の社会保障費の財源にそれぞれ充当しているところでございます。
それから、2020年度以降、消費税で賄われる幼児教育の無償化に係る財源につきましては、この平成31年度の増収額がわずかであるということから、仮称でございますが、子ども・子育て支援臨時交付金が創設されまして、全額、国費により措置されることとなったものでございます。
〇福井せいじ委員 今の部長のお話を伺っていますと、今回の増税については、社会保障費の充実という説明は今までありましたが、初めて安定という言葉が出ました。これまでは臨時財政対策債を用いての社会保障費の充当でありましたが、今後は消費税を確保しながら安定につなげると考えてよろしいものでしょうか。
〇佐藤企画理事兼総務部長 今委員御指摘のとおり、社会保障の安定化分として措置がされたということでございます。今後につきましても、そのような形になっていくものでございます。
〇福井せいじ委員 続きまして、県税について改めてお伺いします。
平成31年度の県税収入は1、356億8、400万円と見込んでいます。平成31年度は、個人県民税、法人県民税などは増収が見込まれ、本年の9月で廃止される自動車取得税は減収と見込まれています。県税は主な歳入のおよそ20%を占める大きな歳入科目と捉えられますが、今後、人口減少と比例し税収は減少していくと考えます。しかし、私は、今後、自主財源を確保していく上で、非常に重要な歳入科目である県税収入の維持は大きな課題であると思いますが、知事は、県税収入の確保についてどのような政策を講じていくかお聞かせください。
〇達増知事 持続可能な財政運営を行っていく上で、県税収入の確保は大きな課題であり、これまでも企業誘致や中小企業の育成強化など、産業振興等の取り組みによって税源涵養に努めてきたところであります。今後も、これらの取り組みに加えまして、若者や女性の県内就職の促進や観光産業、農林水産業の振興など、あらゆる政策を展開していきますとともに、いわて県民計画最終案に掲げるILCプロジェクトを初め、北上川バレープロジェクト、三陸防災復興ゾーンプロジェクト、北いわて産業・社会革新ゾーンプロジェクトの取り組みなどにより、総合的な産業振興を図って税源涵養に努めてまいります。
〇福井せいじ委員 産業振興ということから、自主財源の確保という面で、ぜひ今後も積極的な産業振興策に取り組んでいただきたいと思っております。
また、ちょっと飛びまして、次は歳出の状況についてお聞きしていきたいと思います。
まず、投資的経費について伺います。
ここ数年の公共事業費の経年推移を見ますと、平成23年度は780億5、100万円で、その後マイナスシーリングが続き、平成29年度は427億6、900万円、平成23年度比で352億8、200万円の減、54.8%にまで減少しました。公共工事を担う建設業者は、災害対応に即応できる人材や資機材を備え、また、その事業の裾野は広く、地域経済を支える上で大きな存在だと私は考えています。今後、人口減少など社会構造の変化に対応し、公共事業の減少は見込まれるものの、環境変化に適応した建設業のあり方を構築することが必要であると考えます。
そこで、今後の建設業の振興策の方向性とともに、公共事業の予算のあり方について知事のお考えをお聞かせください。
〇達増知事 地域の建設業は、社会資本の整備や維持管理の担い手であるほか、災害等の緊急時に即応できる必要不可欠な存在であり、また、地域経済を支える重要な産業であると認識しております。このことから、今後の人口減少等の社会構造の変化を見据えた建設業の振興を図るため、建設投資額の確保、安定的な経営環境の確立、生産性の向上と適切な施工の確保、働き方改革による担い手の確保、育成、災害対応と維持管理体制の確立を柱に、現在策定中の次期いわて建設業振興中期プランに振興施策を盛り込み、建設業団体等とともに取り組んでいく考えであります。
公共事業につきましては、平成31年度当初予算の予算要求、調整基準において、通常分について5%のプラスシーリングとしたところであり、さらに、防災、減災、国土強靱化のための3カ年緊急対策などの国の動きに呼応し、平成31年度当初予算案では、平成30年度当初予算に対して約9%増額したところであります。
今後の公共事業については、復興事業の進捗に伴い震災分は減少していきますが、通常分については、将来にわたって必要な規模の事業量を確保しながら、いわて県民計画最終案や岩手県国土強靱化地域計画に掲げる施策を着実に推進してまいります。
〇福井せいじ委員 建設業者の方々に対する、ある意味メッセージが込められた答弁であったと思います。ありがとうございます。
続きまして、働き方改革について伺います。
平成31年度の人件費は、前年度当初予算とほぼ同額の1、825億4、700万円ですが、通常分の歳出総額の約27%を占める大きな科目です。現在、働き方改革が大きなテーマとなっていますが、県庁の働き方改革の取り組みはどうなっているのでしょうか。
国は、人事院規則を改正し、職員の勤務時間について一部の例外を除き、1カ月45時間、1年360時間を上限とすると定めました。県は、関係条例を今議会に提案していますが、具体的な対応は県人事委員会規則に委ねています。規則については、人事院規則を踏まえ検討を進めているものと思いますが、肝心なのは、実際にどのような働き方改革を進め超過勤務を短縮していくかです。具体的な取り組みと知事の決意をお示しください。
〇達増知事 県では、県民がみずからの希望に応じて、仕事と生活の調和を大切にしながら充実した生活を送ることができるよう、県内の企業や団体の参画を得て働き方改革の取り組みを進めているところでありまして、庁内におきましても、こうしたワーク・ライフ・バランスを重視した働き方改革を推進してまいります。
このため、これまでも、超過勤務の縮減に向けて事前命令と事後確認の徹底や定時退庁日の設定、事務分担の見直し、業務支援の活用等に取り組んできましたほか、今年度からは、所属長が職員の事情を適切に把握するためのワーク・ライフ・バランスシートを全庁展開しましたほか、部局ごとに働き方改革推進員を指名して、働き方改革の取り組みを全庁で集中的に実施する強化月間を設定するなど、取り組みの強化を図ってまいりました。
また、働き方改革をテーマに知事と若手職員との意見交換会を開催し、職員に対して、直接イクボスとしての思いを語ることにより、働き方改革の機運の醸成を図っております。
さらに、来年度に向けては、国の例に準じて超過勤務命令の上限を設定するための改正条例案を今議会に提案していますほか、管理職員が職員の勤務時間を客観的に把握する仕組みを導入することとしており、今後におきましても、職員の健康保持や仕事と生活の両立に向けた働き方改革を一層推進してまいります。
〇福井せいじ委員 私は、この働き方改革についてはかけ声だけではだめであると。やはり仕組みをつくっていく必要がありますし、また、意識の醸成が必要だと思っております。
議会でもこの働き方改革の取り組み事例を視察してまいりましたが、現場における話し合いの中でいかに時間短縮をするか、あるいは生産性を上げるかという、皆さんのアイデアが上に上がっていって、初めてそれが実現されると考えておりますので、ぜひ現場の皆さんとともに、この働き方改革について取り組んでいただきたいと思っております。
続きまして、社会保障関係費について質問します。二つまとめてお聞きします。
直近5カ年の社会保障関係費の推移と歳出に占める割合をお聞かせいただきたいと思います。
また、歳出の通常分の区分についてですが、これまでは義務的経費は人件費、扶助費、公債費、投資的経費は普通建設事業費、災害復旧事業費、そしてそれ以外の経費を一括してその他の経費として記載していますが、私は今後、歳出の区分に社会保障関係費を記載していくことを提案しますが、いかがでしょうか。よろしくお答えください。
〇佐藤企画理事兼総務部長 まず社会保障関係費の推移についてでございますが、委員御指摘のとおり、高齢化の進展に伴いまして、平成27年度から平成31年度までの社会保障関係費は、当初予算ベースで申しますと、平成27年度が837億円、平成28年度900億円、平成29年度937億円、平成30年度は若干下がりまして912億円でございますが、平成31年度は938億円と増加傾向にございます。
また、通常分の歳出に占める割合でございますが、同様に、平成27年度が12.6%、平成28年度13.5%、平成29年度が13.9%、平成30年度13.6%、平成31年度が14.1%と高まっているところでございます。
そして、社会保障関係費の説明についてでございますが、社会保障関係費は、例えば、児童扶養手当支給事業費は義務的経費に区分される、それから社会福祉施設整備事業は投資的経費に、それから医療給付費はその他の経費に区分をまたがって計上されていることから、性質別区分には記載してございませんが、どういった形で説明していくかということになります。
消費税率が8%に引き上げられました平成26年度以降でございますが、当初予算案とあわせまして議会に提出しております予算に関する説明書がございます。ここの一番最後の第7表、一般会計歳入歳出予算のうち地方消費税率引き上げに伴う社会保障経費調というものを作成しております。そこには歳出予算額であるとか、それから財源内訳等についてもお示ししているところでございます。委員御指摘のとおり、社会保障関係費が年々増加しておりまして、また、県予算に占める割合も高くなっているということでございますので、ホームページ等で公表している当初予算のあらましにも記載するなど、県民の皆様によりわかりやすい形でお示ししていく方法を検討していきたいと考えております。
〇福井せいじ委員 社会保障関係費、先ほどの消費税の関係もありますので、今後着目すべき項目だと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
続きまして、医療、介護情報の共有化について伺います。
医療等ビッグデータ利活用推進費は、環境保健研究センターの特定健診等データベースに医科等レセプトデータを追加し、データの集積、解析システムの整備、さらに、そのデータ連携に関する調査研究等の費用と伺いました。
そこで、健康、医療、介護のデータの活用についてですが、県民一人一人の健康、医療、介護のデータをデジタル化し、いつ、どこでも開示可能な環境をつくることがおのおののデータの共有を可能にし、医療、介護の作業の円滑化、省力化、診療の円滑化、レベルの向上、高度医療受診の可能性が図られると私は考えます。さらに、重複検査、二重投薬の回避も図られ、医療費、介護費の低減化にもつながります。
環境福祉委員会で視察した広島県尾道市では、既に医療、介護情報の共有化に取り組んでおり、検査費の低減化につながっていると伺いました。このような仕組みづくりにおいては、個人情報のセキュリティーや診療報酬の負担割合の基準づくりなど、さまざまな課題がありますが、社会保障費の増加対策、そして制度の維持においても有効な仕組みであり、何よりも県民の健康寿命延伸につながる大きな改革であると考えます。特に、県立病院機能が充実している岩手県では、このような先進ネットワークモデルを構築しやすい環境にあると考えますが、知事の考えをお聞かせください。
〇達増知事 県では、いわて県民計画最終案の新しい時代を切り拓くプロジェクトにおきまして健康づくりプロジェクトを掲げ、健康、医療、介護データを連結するビッグデータの連携基盤を構築し、その活用を通じて健康寿命が長く生き生きと暮らすことのできる社会の実現を目指しております。
医療、介護情報の連携につきましては、これまで、岩手医科大学と地域の中核病院間をつなぐテレビ会議システムによる遠隔診断支援や遠隔病理画像診断システムの導入、医療局における診療情報共有システムの整備など、全県的な医療情報連携システムの構築を図ってきましたほか、被災地を中心として、医療と介護施設間における診療情報等の共有による連携強化を目的とした地域医療介護情報連携システムの整備をそれぞれの地域で推進してきたところであります。
さらに、平成31年度当初予算案におきまして、県立病院ネットワーク等の優位性を生かし、電子カルテデータの利用を含めた健康課題の解決に資するデータの分析や活用を図るための基盤整備に要する経費を盛り込んだところでありまして、県民の健康に関する情報活用を進め、医療費等の適正化や健康寿命の延伸に向け取り組んでまいります。
〇福井せいじ委員 県立病院のネットワークがありますので、病病連携、病診連携、そしてさらには医療介護連携のモデルを岩手県からつくっていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
最後に、地域の暮らしを支える公共交通の整備についてお聞きします。
自分ひとりで移動が困難な高齢者が増加する高齢化社会にとって、非常に重要なことだと思っています。さらに、広域な県土を有する岩手県では、さまざまな交通機関を活用し効率的な公共交通網を整備すること、さらに将来実用化される自動運転に対応した交通インフラの整備が急務であると考えます。そのためには、まず公共交通の利用促進を図った上でさまざまな利用状況を詳細に把握し、効率的で効果的な交通網を作成し、事業者が継続的に運行可能とする環境を整備することが求められます。
そこで私は、第1に、バス利用における共通ICカードを導入し、バス利用促進を図り、利用実態の把握を可能にする環境を整備することが必要であると考えます。そして、さらに、その公共交通機関である鉄道、タクシーでも利用できるカードを導入し、また、買い物などにも利用できるペイメント機能を備えたシステムの拡充を視野に入れた公共交通網、またICカードの環境整備を提案しますが、知事のお考えをお聞かせください。
〇達増知事 交通系のICカードは、切符の購入や運賃精算の煩雑さの解消、1円単位での運賃設定、訪日外国人旅行者の公共交通機関の利用のしやすさの確保など、利用者の利便性向上につながるとともに、運賃精算の迅速化による渋滞緩和などさまざまな効果が期待され、また、委員御指摘のとおり、利用実態の把握による効果的、効率的な運行の実現など、交通事業者にとってもメリットがあると認識しております。
一方、ICカードの導入に当たっては、システム導入や維持管理に多額の費用を要すること、全国的な交通系ICカードとの連携のあり方、交通事業者間での相互利用、共通カード化の有無など、検討すべき課題も多いところであります。
ICカードにつきましては、こうした課題を踏まえつつ、その整備主体となるバス事業者とともに、公共交通の利便性向上や利用促進に加え、地域振興の観点も含めて、整備方針等の検討を進めていきたいと思います。
〇福井せいじ委員 ぜひとも、このバスそしてまた全ての公共交通機関、さらにはペイメントの活用を拡充していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
以上をもちまして私の質問を終わります。以降は神崎浩之委員に引き継ぎます。ありがとうございました。(拍手)
〇軽石義則委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後2時53分 休 憩
午後3時13分再開
〇軽石義則委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。次に、神崎浩之委員。
〔神崎浩之委員質問者席に着く〕
〇神崎浩之委員 自由民主クラブの神崎浩之です。
福井せいじ委員に引き続き、会派を代表して総括質疑を行います。
私の質問は、国の制度の躍進により、4月以降、県行政において今までやってこなかった業務、例えば外国人労働者の受け入れ、また、今まで県は直接水道事業はやってこなかったが、水道法の改正に伴う水道に関する業務、こういうものがきちんとやっていけるのか。4月まであと1カ月を切りました。既に混乱が想定されておりますので、これらについて順次質問してまいります。
初めに、出入国管理及び難民認定法等の改正を受けた県の対応について。
昨年12月、出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法が改正されました。この改正の目的は、日本全体の本格的な人口減少の到来を踏まえ、生産性向上や国内人材の確保のための取り組みを行ってもなお人材確保が困難な状況にある産業上の分野において、外国人材の受け入れ拡大を実現しようとするものであります。この制度を司っているのは、地方自治体に接点が薄い法務省であります。
そこで伺いますが、人手不足に直面している県内企業は、すぐにでも改正法を捉え動き出すことが想定されます。県本庁、広域振興局、市町村は、こうした動きにどう連携し、対応する予定なのか、担当する部署を含め、どのような組織体制で対応するのかお伺いいたします。
〇達増知事 まず、県の体制といたしましては、外国人労働者の雇用労働環境の面については商工労働観光部が、生活環境の面については政策地域部が、新制度による外国人労働者受け入れの対象分野とされた各産業分野における個別の課題等については各関連部局が、情報共有を図りつつ適切に対応することとしているところであります。
本年2月13日には、知事を本部長、各部局長、広域振興局長等を本部員、岩手労働局長をオブザーバーとして構成する、いわてで働こう推進本部会議を開催して、平成31年度いわてで働こう推進方針におきまして、法改正に対応した外国人労働者受け入れ体制整備の支援等を行う方針を盛り込んだところであります。
県といたしましては、仙台入国管理局や岩手労働局等の国の関係機関及び市町村等と情報共有を図り、関係省庁が行う産業分野ごとの制度の周知に協力するとともに、事業者や外国人労働者からの相談対応など、市町村や国際交流協会等と連携して、外国人労働者が安心して暮らせるよう適切に対応してまいります。
〇神崎浩之委員 もう1カ月を切りました。さまざまな問題が本庁以外にも出先にも来ると思いますので、たらい回しにならないように努めていただきたい。
次に、ワンストップセンター設置への対応でありますが、外国人労働者は、地域の生活者でもあります。生活する上では、言語の問題が最も課題になり、買い物や医療、教育、果てはごみの出し方に至るまで、日本の制度、習慣になれるまでには周囲の支援が重要となります。
先日、ベトナム人が、日本食が合わず、カルガモを捉えて料理しようとしたとの報道もありました。今回の入管法の改正では、そうした生活支援についても受け入れ機関、雇用主で対応するものとされておりますが、やはり一事業者では限界もあり、行政による支援が欠かせません。
住民からの苦情や買い物に行く小売店からの相談等、かつて一関市においても、ブラジル人の方がおりまして、ポルトガル語で、私は小学校のPTA会長だったのですが、ごみの出し方や運動会でのお弁当の説明等、難儀した経験があります。
国では100カ所に多文化共生総合相談ワンストップセンターを設置するとしておりますが、改正法の施行はもう来月であります。県にも1カ所のセンター設置が考えられますが、県の準備状況とその対応の内容はどうなっているのかお伺いいたします。
〇白水政策地域部長 ワンストップセンターについてでございますが、国では、外国人材の受け入れに向けた国の総合的対応策の中で、外国人に対する行政、生活に係る情報提供や相談対応を多言語で行う一元的窓口として、全国100カ所に整備をすることとしておりまして、国は、新たな交付金の創設により、都道府県等への財政支援を行うこととしております。
本県におきましては、アイーナに設置しております国際交流センターでございますが、ここで通年にわたり無料で相談に応じること、それから、多言語により情報提供及び相談を行っていることなど、国の交付金の支給要件を満たしているところでございまして、国際交流センターを本県のいわゆるワンストップセンターに位置づけることとしております。
今後、相談件数の増加や相談内容の多様化、複雑化が見込まれることから、県としましては、国の財政支援を最大限に活用し、対応言語の追加や相談員の増員など、国際交流センターの機能の拡充について検討してまいりますほか、庁内の関係部局を初め、仙台入国管理局や岩手労働局など関係機関と適切に連携し、外国人にも暮らしやすい環境づくりのため、相談体制の強化に取り組んでまいりたいと考えております。
〇神崎浩之委員 このワンストップセンターは、在留手続、それから、雇用、医療、福祉、出産、子育て、子供の養育、教育等、11カ国の言語を準備しながら対応するワンストップセンターであります。来月からもうスタートしなければならないのですが、もちろん知事にはそのセンターのテープカット等、御連絡が来ているとは思いますけれども、先週、私が国際交流協会にお邪魔したときには、何の話もないよという話をされました。来月であります。間に合うのでしょうか、非常に心配であります。
もう少し知事からねじを巻いていただきたいと思うのですけれども、この辺について、どういうスタートをするのか。知事は、この分野は誰よりも卓越している分野だと思っておりますので、お伺いしたいと思います。
〇達増知事 先ほど部長から答弁がありましたように、国際交流センターを本県のワンストップセンターに位置づけるということでありますけれども、国際交流センターの機能につきましては、仙台入国管理局や岩手労働局など関係機関と適切に連携し、また、岩手県の場合でありますと、市町村とも連携をしながら、相談体制の準備を進めてまいりたいと思います。
〇神崎浩之委員 本当にさまざまな相談が来ると思います。市町村に行っても、盛岡駅前のアイーナに行きなさいということで、多岐にわたる対応ということで本当に大変だと思っております。ぜひ、全力を挙げて対応していただきたいと思っております。
今までの質問は、外国人が来た場合の対応が大丈夫かということでありましたが、実際、外国人が来るのかなということをちょっと心配しております。果たして岩手に外国人労働者が来るのでしょうか。
地域枠の設定について。
昨年12月に閣議決定された特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針では、人材が不足している地域の状況に配慮し、特定技能外国人が大都市圏等に過度に集中して就労することとならないようにするための必要な措置を講じるよう努めるとあります。
就労しようとする外国人の多くは、給与面や気候環境から首都圏や西日本での就労ばかりに希望が殺到し、東北地方を選択しようとする方は少ないのではないかと危惧しております。私の友人で先行して外国人を雇用している関西の老人ホームの方のお話では、東北は寒くて敬遠されているという話も聞きました。
居住の自由や職業選択など難しい事情があることも承知しておりますが、寒冷地手当の創設など、東北地方での就労を誘引するような制度設計も含めて、地域枠の設定を国に訴えていくべきではないかと考えるものでありますが、御所見をお伺いいたします。
〇保副知事 労働者の問題ということで、私からお答え申し上げます。
今お話しがありましたように、大都市圏などに希望が集中する可能性については、こちらでも県内の経済界の方々から、懸念があるということについては伺っております。
委員からもお話がありました国においても措置を考えているということですけれども、一つは、現在、国において考えていることは、交付金等により財政面の支援をすること。それから、産業分野別、地域別の受け入れ実績を把握した上で定期的に公表すること。それから、各産業分野ごとに受け入れ機関が参加する協議会を設けるということで、地域ごとの人手不足の状況等を把握し、原因を探るとともに必要な措置を講じることを検討していると、これは国会答弁等の議事録等もありまして、そんなお話になっております。
私どもとしましては、こうした今後の国の動きに合わせて対応していこうということでございますけれども、やはり実態として、結果としてそのようなことが起こることがあれば、国にはさまざま要望する等、手を打っていきたいと思います。
〇神崎浩之委員 何もしないと、医師や土木作業員のように、なかなか地元に残らないのではないかという懸念を持っているわけであります。
知事演述で知事もおっしゃっておりましたが、人手不足は深刻な課題であり、一刻も早い対応が必要と考えます。外国人の確保に向けた県のこれまでの取り組み、平成31年度当初予算案に盛り込んだ外国人確保の取り組みについてお示し願います。
〇保副知事 具体的な取り組みということでございますけれども、これまでは、市町村や国際交流協会等の関係機関と連携いたしまして、日本語学習の支援や生活情報の提供、災害時の外国人支援体制の構築といったことに取り組んでまいりました。今年度は、医療ガイドブックの作成、それから、その地域で外国人の支援を担う人材の育成にも取り組んでいるところでございます。
また、人手不足が顕著な沿岸市町村の水産加工業者が、外国人技能実習生を初めとする地域外からの人材の確保に当たって、宿舎の整備を行う場合に要する経費を補助するといったこともやっております。
特に、ものづくり関係におきましては、企業から外国人研修生向けの住宅ですとか、あるいは日本語などの研修施設の設置などの相談もありますが、そういったことは個別に対応しております。
来年度は、さらにこうした事業を拡充いたしまして、今申し上げたような取り組みは継続するわけでございますけれども、さらに外国人の介護人材の在留に関する制度や先行事例等を紹介するセミナーの開催といったことも含めて、当初予算案に盛り込んでいる状況でございます。
〇神崎浩之委員 次に、これも県行政にとって新たで、そして実に重要な業務が付されました水道法の一部改正であります。
水道事業の経営状況を見ますと、全国の33%が原価割れ、いわば赤字の状態です。また、既存の水道設備は老朽化が進み、年間2万件を超える漏水、破損事故が発生しているほか、水道管の耐震適合率は4割に満たないなど、水道の基盤強化を図ることが全国の急務となっております。
そこで伺いますが、県では、県内の水道事業の経営状況や水道管の老朽化、水道管の耐震化率など、実態をどのように把握されているのでしょうか。
また、特に人為災害が多発している昨今、水道管の耐震化は急務と考えます。来年の当初予算には水道施設耐震化等推進事業費が20億円余り計上されておりますが、この予算でどの程度耐震化を進めようとしているのかお伺いいたします。
〇千葉副知事 県内の水道事業の状況についてでございますけれども、水道は、日常生活に欠くことのできない重要なインフラでございまして、市町村等各水道事業者においては、東日本大震災津波、平成28年台風第10号災害等からの復旧を図りつつ、施設の老朽化、耐震化等の対策に取り組んでいるものと認識しております。
まず、県内の水道事業の経営状況でございますけれども、家庭などへの給水を行っております上水道事業全25事業の平成29年度の総収支は41億3、000万円余の黒字となっておりますが、2事業者においては、純損失を計上いたしております。
また、今、原価割れのお話もございました。平成29年度、県内の上水道の25水道事業所において、原価割れをしている料金収入率100%未満のものが11事業者となっているところでございます。
次に、水道施設の老朽化等の状況でございますけれども、県内の上水道管路のうち、法定耐用年数である40年を経過した割合、いわゆる耐用年数超過率は、平成28年度末で、全国の14.8%に比べ6.4ポイント低い8.4%となっております。
また、水道基幹管路の耐震適合率は、平成29年度末で、全国の39.3%に比べ10.3ポイント高い49.6%となっており、耐用年数超過率、耐震適合率とも全国平均を一定程度上回っている状況にございます。
県におきましては、引き続き耐震化を進める必要があると考えておりますので、政策推進プラン案におきまして、水道基幹管路の耐震適合率を2021年度末までに57.4%と目標設定しており、平成31年度当初予算案におきましては、ただいま委員から御紹介がございました水道施設耐震化等推進事業費におきまして、13事業者の所要額を計上しているところでございます。
〇神崎浩之委員 人口減少時代を迎えて、水道事業をどのように運営していくかは今後の大きな課題であります。
昨年12月、国、県、市町村それぞれに水道の基盤強化に関する新たな責務を付与するという水道法の一部改正がなされました。人口減少時代を踏まえて、事業者、岩手県では市町村等となりますが、この広域化の推進、市町村における耐震化の促進など、県はその推進役としての役割が位置づけられました。
これまで、水道は、市町村が普及、運営を進めてまいりましたが、県では、この役割をどのように果たしていくお考えでしょうか。
改正法では、県が水道基盤強化計画の策定主体となり、市町村の広域調整等、市町村を引っ張っていく役割が付与され、新たな業務が生まれました。私は、県としてきちんと職員を手当てして、専担組織をつくり、市町村へ対応すべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇千葉副知事 水道法の改正を受けました県の対応についてでございますが、県におきましては、現在、平成22年3月策定のいわて水道ビジョンの見直しを行っておりまして、当該ビジョンにおいて、県内の水道事業の目指すべき方向性等を示すこととしております。今、委員から御紹介がありました平成30年12月の水道法の一部改正によりまして、都道府県には、水道事業者等の広域連携の推進がその責務として規定されたところでございまして、今般のこのビジョンの見直しにつきましては、広域化についても盛り込む方向としており、来年度中に策定することとしております。
また、この策定に当たりましては、実は平成29年1月に、県及び県内の全水道事業者で構成しております岩手県水道事業広域連携検討会を既に設置しております。現在、県内5地域ごとに設けましたブロック検討会で、広域連携のあり方について検討しているところでございまして、ただいま申しましたいわて水道ビジョンに、その検討結果を反映させることとしております。
また、先日、国から、各県における広域化の推進方策及び当面の具体的取り組みに関する水道広域化推進プランを2022年度までに策定することを要請する通知が発せられたところでございます。その策定に当たりましては、冒頭申し上げましたいわて水道ビジョンの記載内容を活用するよう求められているところでもございまして、この水道ビジョン案の策定後には、引き続き、水道広域化推進プランの策定も進めていく必要があろうと思っております。
さらに、今回の水道法改正では、関係市町村等の同意を得て、県が水道の基盤強化に向けた具体的実施計画でございます水道基盤強化計画を定めることができることとされたところでございまして、いわて水道ビジョンや水道広域化推進プランなどを踏まえつつ、今後、国から示される基本方針も踏まえ、県と市町村において議論を進めていく必要があろうかと思っております。
いずれにいたしましても、今回の法改正で、県が広域連携推進業務に本格的に取り組むことが必要となりましたので、委員から今お話がございました専担的組織等については、この計画の策定状況を見ながら、引き続き必要な研究をしていかなければならないと思っていますし、これについては、そう遠くない時期に組織体制強化も図る必要があろうと考えております。
〇神崎浩之委員 水道事業の広域化については、厚生労働省のみならず、総務省自治財政局の公営企業の経営に当たっての留意事項からも求められているということであります。
また、広域化については、県内にとどまらず、県を越えた広域化も国は視野に入れているということで、これは、国はすごく本気でかかってくると思っておりますので、ぜひ進めていただきたいと思います。
次に、今回の改正のもう一つの特徴が、水道事業の民間委託をさらに推進することを可能にしたことであります。この計画策定に当たっては、事業の広域連携とあわせて、事業の運営主体をどうするかということで、県は、水道事業の民間委託についてどう考えているか、それから、コンセッション方式の導入に関してはどう考えているのかお伺いいたします。
〇千葉副知事 民間事業者との連携についてでございますけれども、現在、県内のほとんどの水道事業者におきましては、既にメーター検針、料金徴収、施設の運転管理等の業務を民間委託している現状にあります。今後、職員体制や技術者確保などの経営課題に対応し、より経営の効率化を進めるため、より広範囲な委託や、あるいは水道法で定めております第三者委託の導入なども検討していく必要があろうかと考えております。
また、今般の水道法の改正によりまして、水道の基盤強化のために官民連携を行うことは有効であり、多様な官民連携の選択肢をさらに広げる観点から、市町村等が、水道事業者等としての位置づけを維持しつつ、水道施設の運営権を民間事業者に設定できる方式、いわゆる今、委員から御紹介ありましたコンセッション方式が、法制度上創設されたところでございます。
現在、まだこのコンセッション方式は全国で導入された事例もないところでございまして、また、本県のように中山間地など条件不利地域を抱える事業者において有効に機能するかどうか、さまざまな観点から検討していく必要があろうと考えておりまして、今後、全国の状況も見据えながら研究してまいりたいと考えております。
〇神崎浩之委員 次のテーマに移ります。これも新たな県の業務の追加でありますが、森林環境税について。いわての森林づくり県民税とのすみ分けについてお伺いいたします。
平成31年度の税制改正において、年額1、000円の森林環境税が平成36年度から課税されるということであります。その使途は、市町村の間伐、人材育成等でありますが、実際の課税に先立って、来年度から森林環境譲与税として県の予算にも1億2、000万円歳入が計上されております。
県では、森林の有する公益的機能の維持増進ということで、平成18年度からいわての森林づくり県民税を年額1、000円、県民から徴収しております。
森林整備と森林環境の保全という非常に似た目的の税が2種類誕生するようにも見えるわけでありますが、県では、今般の森林環境譲与税といわての森林づくり県民税をどのようにすみ分け、活用していくつもりでしょうか。
〇達増知事 いわての森林づくり県民税は、本県の豊かな森林環境を次の世代に良好な状態で引き継いでいくことを目的に、公益的機能の高い森林へ誘導する間伐や、地域住民等が取り組む森林づくり活動の支援など、森林環境保全に関する施策に要する費用に充てております。
一方、森林環境譲与税は、市町村及び県に譲与されるものであり、市町村は、森林経営管理制度に基づく適切な森林管理を目的とした森林整備などの費用に、県は、その市町村の取り組みを支援する費用等に充てることとされています。
県民税は、現在、2020年度を終期とする第3期の取り組みを進めており、第3期終了後のあり方につきましては、その使途を含め、今後、県民の皆様を初め、事業評価委員会や県議会、市町村の御意見なども伺いながら検討を進めていくこととしておりまして、その中で森林環境譲与税との関係等について整理していくものと考えます。
〇神崎浩之委員 実際、平成36年度から森林環境税の徴収が始まるということでありますが、そうなれば、今は1、000円の税負担ですが2、000円になるということであります。
そこで、国と県と税の徴収主体は異なるものの、実際に2、000円の負担を県民にお願いするかどうかの判断もありますが、この県民税を継続する場合には県の説明責任が必要と思われますが、現時点での知事のお考えをお伺いいたします。
〇達増知事 第3期終了後の県民税のあり方は、2019年度から具体的な検討を進めていくこととしておりますが、検討に当たりましては、県民の意向を幅広く反映していくことが重要と考えておりまして、このため、森林環境保全に関する県民意識等を把握するアンケートを実施するとともに、検討状況について、県ホームページ等を活用し、県民に向け丁寧に情報発信を行ってまいります。
〇神崎浩之委員 次に、これもあわせて始まりました森林経営管理制度は、管理が行き届かない森林について、市町村が仲介役となって森林所有者と担い手をつなぐシステムとして新たに創設された制度でありますが、その業務内容は、調査森林の抽出から、所有者の特定から、境界確認等、非常に膨大な事務の負担になると見込まれております。
そこで伺いますが、県では、円滑に進めるべく4広域振興局に各1名の市町村支援のための専門員を配置すると聞いておりますが、具体的な支援内容についてお示しください。
〇保副知事 この県が設置いたします専門職員でございますけれども、市町村にとっては全く新しい、これまでなかなか林政ということについては専門的な知識を持つ職員が少ないという状況もございます。
そこで、今後、市町村が新たに実施いたします経営意向調査、山を持っている方からの意向調査に対して、どのような区域を設定したらよいか、森林所有者に対する経営意向調査の実施をどのように進めていくか、それから、仮に森林所有者から市町村が事業の委託を受けることになった場合に、その林業経営をやっていけるのかどうかという適否の判断、そのようなことに際しまして、技術的な面からのアドバイスを行うことを想定しております。
〇神崎浩之委員 荒れている森林を守っていくということで非常にいい制度だと思っておりますが、やはり境界とか所有者の関係は非常に難儀すると思っておりますので、ぜひ市町村支援をよろしくお願いいたします。
最後の大きな項目になりますが、岩手県ふるさと振興総合戦略について。
まず、第1期の総括についてお伺いしたいと思います。
県では、社会減ゼロ等を含めて高い目標を掲げて人口減少対策に取り組んでまいりました。しかし、この間、東京圏への転入超過云々は、もう何回も議会等で言われているところであります。出生率はやや上昇したものの、国民所得と県民所得の関係については、乖離が拡大しているということであります。
知事は、この4年間の総合戦略期間をどう振り返り、その上で、平成31年度の総括に向け、どのような施策で第1期を仕上げていこうとしているのか。
そして、あわせて、次の質問も関連がありますので、次のステージについて。
国では来年度中に新たなまち・ひと・しごと創生総合戦略の策定に向けて動き出しておりますが、県では、ふるさと振興総合戦略について、改定するお考えなのでしょうか。改定する場合は、社会減ゼロなどの目標は現状を踏まえてどのように策定していくお考えかお伺いいたします。
〇達増知事 まず、第1期の総括についてでありますが、岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らすの3本の柱を掲げた岩手県ふるさと振興総合戦略の取り組みによりまして、自動車、半導体関連産業の集積による雇用の創出や、県全域における高校生の県内就職率の上昇、保育所整備や保育人材の確保につながったところであります。
平成31年度におきましては、岩手で働くでは、第4次産業革命技術等を活用したものづくり革新や、県内中小企業等とのマッチング支援などによる若者やU・Iターン希望者の県内就業の促進、産業界等と連携した働き方改革の促進、岩手で育てるでは、“いきいき岩手”結婚サポートセンター-i-サポの運営による結婚支援や、地域で妊産婦を支える体制の構築、子育てしながら働きやすい労働環境の整備、岩手で暮らすでは、公共交通の利用促進や産学官連携による地域課題の解決、医師や看護師の確保対策、ものづくり産業人材の育成など、ふるさと振興に取り組んでいくものであります。
次のステージについてでありますが、昨年12月21日に閣議決定されたまち・ひと・しごと創生総合戦略2018改訂版におきまして、第1期の総仕上げを踏まえ、ソサエティ5.0の実現やSDGs達成などを見据えた次期総合戦略策定の準備の開始、地方における現行戦略の検証と次期戦略に向けた政策課題の洗い出し等を進めることが必要とされたところであり、県としても、こうした国の動きを注視しながら、次期ふるさと振興総合戦略の策定に向けて、現行戦略の進捗状況等の分析を進めてまいります。
また、現行の社会減ゼロの目標は、国の目標である東京圏の転出入の均衡を前提としたものであり、新しい目標については、本県の現状等に加え、国における検証の結果や、次期戦略の方向性なども踏まえながら検討してまいります。
〇神崎浩之委員 次に、移住政策について。
宝島社が発行している田舎暮らしの本では、毎年度、総合アンケートと実際の移住者人口に基づいた集計、住みたい田舎ベストランキングを公表しております。先ごろ発表された2019年版によりますと、一関市のお隣の宮城県栗原市が東北1位であり、全国でも9位と高い点数を獲得しており、実際に移住者も多いと聞きます。
このランキングには、岩手県から15市町村が参加していますが、残念ながら、東北10位にはいずれも入りませんでした。これは市町村の問題だということでいいのでしょうか。県は責任はないのでしょうか。
他所のすぐれているところを分析して、導入できる施策について、すぐに取り入れ、全国に向けてPRしていくことが肝要ではないでしょうか。
移住政策について、県内と他県のランキングの高い自治体について、県では、どのように違いがあると分析しているのかお伺いいたします。
〇白水政策地域部長 宝島社の田舎暮らしの本が毎年度公表しております住みたい田舎ベストランキングによりますと、市町村へのアンケートにより、移住者数や移住支援制度、それから、日常生活の利便性等を数値化し、得点数に応じてランクづけをしたものであると承知しております。
本県では、委員からも御紹介いただきましたけれども、15市町村が回答したところでございますが、花巻市が東北エリアの若者世代が住みたい田舎部門の4位、あるいは自然の恵み部門の7位にランクインしている。あるいは、北上市が、若者世代が住みたい田舎部門の10位にランクインしているという状況でございます。
全国でランクインした市町村を見てみますと、買い物や医療、交通などの生活環境や豊かな自然環境のほか、特に移住施策が充実し、受け入れ態勢が整っている市町村が上位に来ているということでございまして、参考とすべき点も多いと考えております。
このことから、県では本年度、県内市町村に声をかけながら、特徴的な施策により移住希望者の注目を集めている市町村の取り組みの視察調査を行ったところでございまして、今後におきましても、県内市町村と情報共有を図りながら、移住施策の充実に取り組んでまいります。
〇神崎浩之委員 お隣の宮城県栗原市ですが、岩手県と遜色ないような気はするのですけれども、着々と数字を上げているということであります。今、私も研究中でありますので、市町村のことと片づけずに、市町村の積み重ねが県の数字だと思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、SDGsの推進についてであります。
政府は、地方創生を一層促進するために、環境未来都市構想を発展させ、新たにSDGsの手法を取り入れて戦略的に進めていくとしております。
地方創生に向けた自治体SDGs推進事業で5億4、000万円予算化しておりますが、県のふるさと振興総合戦略では三つの政策、それから、いわて県民計画では幸福指標の達成のための10の政策分野を設定しておりますが、その内容は、SDGsが示す17の国際目標とシンクロするものがあり、誰ひとり取り残さないとのビジョンは、知事が目指すところではなかったのでしょうか。
知事は理念のみで誰ひとり取り残さないというフレーズの部分はよく話されておりますけれども、県の施策体系をSDGsに置き直し国際社会と協調していくことが重要な視点と考えます。
知事は、これからの総合戦略の推進、いわて県民計画の推進に当たって、SDGsと県の施策をどのように体系づけていこうとしているのかお伺いいたします。
〇達増知事 いわて県民計画最終案における、県民一人一人がお互いに支え合いながら、幸福を守り育てる取り組みを進めていこうとする考え方は、SDGsの誰ひとりとして取り残さないとの理念に相通じるものであり、また、ふるさと振興を進める上でも重要な視点であるものです。
いわて県民計画最終案については、10の政策分野に盛り込んだ子供の貧困対策や、住みなれた地域で安心して生活できる環境の整備、森、川、海の保全活動などの施策を初め、多くの取り組みがSDGsの考え方に合致しており、あわせて、SDGsの理念も踏まえ、経済、社会、環境の課題を総合的に解決するという考え方を前提に構築した11のプロジェクトの取り組みにより、幸福を次世代に引き継ぎ、持続可能な社会とする取り組みを岩手県から広げていく考えであります。
また、ふるさと振興総合戦略については、国におけるSDGsアクションプラン2019に基づくSDGsを原動力とした地方創生の取り組みや次期まち・ひと・しごと創生総合戦略策定に向けた動きなどを注視しながら、本県における次期総合戦略へのSDGsの導入などについて検討を進めていきたいと考えております。
〇神崎浩之委員 今回の次期総合計画を策定するに当たって、知事は幸福の指標を取り入れました。そのときに、国際基準であるSDGsという考えがあったわけでありますが、SDGsを指標にするという考えはなかったのかお伺いいたします。
〇達増知事 いわて県民計画ということで県民本位の計画を策定すべきで、県民にとってわかりやすい内容、県民が行動に移しやすい計画にするに当たりましては、やはりふだんから岩手県政で使われている言葉を使ったり、また、岩手県民の皆さんがなれ親しんだような政策の整理の仕方とか体系の組み立て方をするほうが望ましいのではないか。岩手県民一人一人のそれぞれの幸福度を高めていくことを最優先して、そのような県民計画にしたところであります。
一方、委員も御指摘のように、国においてSDGsについてさまざま政策に取り入れるに当たり、地方との関係では、まち・ひと・しごと創生、いわゆる地方創生の次のサイクルにおいて、このSDGsの考え方を踏まえた政策体系を導入しようとしており、これについては、県のまち・ひと・しごと創生関係の施策体系も合わせていくようにしたほうがいいと考えております。
〇神崎浩之委員 国際基準ということでありますので、ぜひシンクロさせながら進めていただきたいなと思います。
次に、地域ごとの計画の具体化について。
総合戦略は、岩手県全体の計画となっておりますが、地域振興は、地域の実情に応じたきめ細かい施策が必要であると考えます。
いわて県民計画では、新しい時代を切り拓くプロジェクトとして、北上川流域、それから三陸沿岸、県北と三つに区切り施策を展開するとありますが、その具体化に当たっては、さらに詳細な計画が重要ではないかと思います。
昭和60年代に花巻市など4市1町で構成する北上川流域テクノポリス開発計画がつくられ、工業用地や工業用水の整備、4号線の4車線化など道路網の整備が、そのエリアに強く県主導で進められ、その恩恵が、他地域から飛び抜けて今の北上地域に工業の集積を導いたものであるとも認識しております。
平成29年に制定された地域経済牽引事業の促進による地域の成長発展の基盤強化に関する法律に関しても、県は、県全域を促進地域と設定しておりますけれども、小圏域ごとに振興計画を立てることには至っておりません。今後の計画推進に当たっては、北上川流域、県北エリアを一くくりとせずに、例えば両磐地区を対象にした計画、二戸エリアを対象にした計画と具体的な整備計画を作成してはいかがかと考えますが、いかがでしょうか。
〇達増知事 いわて県民計画最終案における新しい時代を切り拓くプロジェクトの中で掲げました三つのゾーンプロジェクトは、北上川バレープロジェクトに関しては、ものづくり産業等の集積を生かした産業の高度化や生活環境の充実を、やはり南は一関市から、北は盛岡広域という広がりの中で、それぞれの力を引き出し、また、それを合わせて進めていくことが望ましいのではないか。そして、三陸防災復興ゾーンプロジェクトについては、復興の取り組みによって進展したまちづくりや交通ネットワークを地域産業の振興に生かすことで、復興道路やその関係の道路の整備、また、三陸鉄道の一本化といったような、歴史上、岩手沿岸、三陸がインフラ面で実質的に初めて一つに結びついたような、インフラ上の実態を生かした取り組みが必要ではないか。また、北いわて産業・社会革新ゾーンプロジェクトについても、北岩手の豊かな地域資源を高度に活用し、産業の創出と社会の革新を一体的に推進することを、この広いエリアの中で実現していくことが望ましいのではないかという考えから、そういったプロジェクトを掲げているものであります。
一方、例えば二戸市では、漆や日本酒、農業を活用してインバウンド等の交流人口の拡大を図る、にのへ型テロワールの取り組みが進められておりまして、そのような市町村の取り組みと連携することもプロジェクトの具体化には重要と考えておりまして、今後、市町村や大学、企業、関係団体初め、多様な主体と各プロジェクトに掲げた目指す姿を共有し、広域的な連携による相乗効果を発揮しながらプロジェクトの実現を図っていく考えであります。
〇神崎浩之委員 昭和60年代にこの北上川流域テクノポリス開発に、一関市は外されたという悔しい思いを持ちながらの質問でありました。
次に進めさせていただきます。最後ですが、医療、福祉、介護について。
各市町のふるさと振興計画の人口減少対策として、医療、福祉、介護を充実させる取り組みが見られました。そこで、以下の3点についてお聞きいたします。今までの県の取り組みは重々承知の上で、かつ、現場を知っている者として、前置きなしで率直にお聞きしますので、回答も率直に、ごちゃごちゃ効果が緩い政策など述べずに、国への要望を含めてお答え願いたいと思います。
一つ目、医師確保対策であります。奨学金養成医師の拡充について、県の今までの取り組みは間違ってはいませんが、日本全体や県内での医師の偏在化をどうしていくのか。同じく診療科の偏在をどうしていくのか。その解決策の一つとして、私は、今は岩手医科大学のみに地域枠の奨学金を設定しておりますけれども、これは、思い切って他県の医科大学にも本県の地域枠を拡充することが、一番効果を上げる方法ではないかと考えております。
全国では実施しております。東北でも、福島県が東京の大学医学部に奨学金を出しております。多くの県が東京の医科大学に地域枠を設定して奨学金を出しております。これが手っ取り早いのではないかと思いますが、御所見をお願いいたします。
〇達増知事 国全体の医師の偏在対策は、国主導の取り組みが必要でありますので、本県が提案する(仮称)地域医療基本法の制定について、引き続き国に働きかけていきますとともに、一方、県内の医師の偏在解消には、奨学金養成医師の計画的な配置を進めていくこととしているものであります。
県では、55名分の奨学金枠を設定し、岩手医科大学の地域枠入学者のほか、県外大学を含めて広く奨学金の貸与を行っており、平成28年の東北医科薬科大学開学にあわせて設定された東北地域枠入学者も対象とするなど、医師の養成確保に努めているところであります。
こうした取り組みとあわせ、県では、地域医療を確保する観点から、県内の地域枠にとどまらず、各地方の中核的な大学においても、その地方の出身者が地域医療を支える人材として主導的な役割を担っていけるよう、東北大学等に医学部入学定員のブロック枠を創設することを国に対して要望してまいりました。
現在、国は、今後の大学医学部の入学定員のあり方や地域枠の入学制度等について検討を進めており、こうした国の動向を注視しながら、本県が要望するブロック枠の創設等、県外の大学に本県の地域枠の設定が実現するよう、引き続き国に働きかけてまいります。
〇神崎浩之委員 次に、二つ目、私は長年障がい者の方とおつき合いをさせていただいておりますが、障がい者の一番の課題は、親亡き後の生活であります。ほとんどの親御さんや当事者は、一番そこを心配しております。
さまざまな福祉サービスの種類や量が拡充されておりますが、その心配は変わりません。県としてどう対応していくのかお伺いいたします。
〇千葉副知事 障がいのある方々につきましては、御両親が亡くなられた後におきましては、生活上の相談や公的サービスの利用など、障がいのある方々の自己選択、自己決定への支援がこれまで以上に必要となりまして、相談支援事業所の役割がさらに重要になるものと考えております。
県といたしましては、毎年度、障がいのある方々の希望に沿ったサービス利用調整等を行う相談支援専門員を養成するための研修会を開催することにより、まずは相談支援体制の充実を図っていくこととしております。
また、日常生活を支える日中活動や住まいの場を確保するため、社会福祉法人等が行うグループホーム等の施設整備を支援し、市町村等と連携して地域の実情に応じたサービス提供体制の構築を進めてまいります。
さらに、国におきましては、平成27年度から、親亡き後を見据えたサービス提供体制として、相談や緊急時の受け入れ対応、ひとり暮らしへの移行に向けたグループホーム等の体験などの居住支援のための機能を備えました地域生活支援拠点の制度を創設しておりまして、本県におきましても、県障がい福祉計画においては、平成32年度(後刻「2020年度」と訂正)までに保健所設置区域ごとに整備することとしております。
現在、まだ整備された拠点はございませんが、市町村あるいは障害福祉サービス事業所に対して本制度の周知を図っておるところでございまして、また、今後必要な施設整備については、国の補助制度を活用して支援したいと考えております。
〇神崎浩之委員 最後に、知事に、最後の質問となるかもしれませんので、この際、強く申しておきます。
復興が最優先と話されますが、それは間違いではありません。しかし、私は、災害以前から、障がい者は、災害がなくとも、生まれながら、また人生中途で不自由な生活を送られ頑張っている当事者、家族を多く知っております。
日曜日、心の病を持つ方々と春を呼ぶ会を開催いたしました。22年目であります。震災には遭いませんでしたが、苦労して生きて、注目されず、でも何とか踏ん張って生きてきております。震災など来る以前から、医療費の特別な減免も受けず、注目もされず、ひたすら身体障がい、知的障がい、精神障がい、難病、関根敏伸議員からも取り上げていただきました小児慢性疾患等の高校生等、復興が最優先と同時に、幸福がキーワードであれば、そういう方々を忘れないでほしいということであります。
また、そういう方々は、障がいや病気によって配慮が必要なのに、被災者に対するような心からの配慮はなく、被災者のように語る機会も十分に与えられていません。彼らの話をどれだけの人が真剣に聞き、ともに悩み、考えているか疑問に思うことが非常に多いのであります。Sさんにしても、Kさんにしても、Kさんのお母さんのKさんにしても、どれだけ泣いて、もがいて、決断し、暮らしてきたか。親を失うことは、自分を心から気遣ってくれる唯一の存在を失うことになります。社会保障制度があっても不安なのは、ひとりへの不安でもあるように思います。
家族や家をなくし、支え合う人がたくさんいる被災者は何とかなる、障がいは、親亡き後を心配する社会であること、これが福祉の問題によるものだけではありません。その辺のことを、知事にもたくましく生きている障がい者をきちんと見ていただきたいということを申し述べさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇達増知事 今、委員御紹介の話の中にもあったように、岩手においては、地域の皆さんと、そしてまた専門家の皆さんが、障がいのある方々に寄り添い、また囲み、一緒に生きてきた、そういう誇るべき歴史と言ってもいいものがあると思います。
県の視覚支援学校は、かつてヘレン・ケラーさんが視察訪問されたという歴史を持っていまして、いわばそういうヘレン・ケラー時代から、岩手においては、障がいのある人とともに生きる共生の理念というものが、地域の皆さんと専門家の皆さんの尽力で実現していたと言っていいと思います。
2016年に希望郷いわて国体、希望郷いわて大会を開催し、改めて、岩手でその共生の理念を現実のものにということを全国障害者スポーツ大会の開催を通じて、県民みんなで確認することができたのではないかと思います。
あの年は神奈川県相模原市で衝撃的な事件があり、日本全体の中では、何か障がいのある人たちに対して、非常に心ない考え方のようなものも特にインターネットなどで出てきたと記憶しております。岩手は、むしろそうあってはならない、そういう流れを変えていかなければならないということで、相模原事件を受けた知事のメッセージを発出し、希望郷いわて大会を通じて、障がいのある人もない人もともに生きる岩手、そして、それを全国に広げていこうという決意を新たにしたところであります。
そのレガシーを生かして、次の年度においても、障がいのある人もない人もともに生きるという理念を現実のものにしていくよう、岩手から全国にそれを広げていくこと、これは岩手県民の皆さんがそれをやるのだということを私もともに進んでいきたいと考えます。
〇千葉副知事 先ほど私からの答弁で、地域生活支援拠点の制度について申し上げました。県の障がい福祉計画においても、平成32年度までに保健所区域ごとに整備するとお話し申し上げましたが、平成32年度でなく2020年度ということで、訂正して、おわび申し上げます。失礼いたしました。
〇神崎浩之委員 ありがとうございました。(拍手)
〇軽石義則委員長 次に、ハクセル美穂子委員。
〔ハクセル美穂子委員質問者席に着く〕(拍手)
〇ハクセル美穂子委員 いわて県民クラブのハクセル美穂子でございます。
会派を代表しまして御質問をしてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、私の質問に入る前に、1点確認をさせていただきます。
2月20日の代表質問において、当会派の飯澤匡議員から、三陸防災復興プロジェクト2019のPR動画が他のイベントで放映されている件について質問したところ、知事からは、資料を持ち合わせていないため、別の機会で答弁することを調整するとのことでしたが、どうなっているでしょうか。
〇達増知事 三陸防災復興プロジェクト2019の動画についてでありますが、二つの動画は、県の平成29年9月補正及び平成30年度当初予算が措置されたことを踏まえ、それぞれ三陸防災復興プロジェクト2019の準備委員会及び実行委員会の決定に基づき、機運醸成に向けた広報の一環として制作したものであります。
なお、イベントでの動画の放映は、2018年度から周知活動に努めると定めている基本計画に基づいて実施したものであります。
〇ハクセル美穂子委員 それでは、順次質問してまいります。
まず初めに、歳入に関して御質問いたします。
平成31年度当初予算、歳入歳出のポイントの中で、県税は、法人事業税等の伸びにより31億円増加しているとあります。法人事業税について、5年前の平成25年は173億円余ということですから、その当時に比べれば98億円余り増加していまして、県内経済が震災以降、堅調に推移しているように見受けられます。
しかし、この法人事業税を資本金1億円を超える企業と1億円以下の企業で分けてみますと、平成25年当時は1億円を超える企業、いわゆる大企業の事業税が83億円余、1億円以下の企業、いわゆる中小企業が89億円余で、中小企業のほうが多く事業税を納めている状況でした。その3年後の平成28年が法人事業税のピークで、県の全体額が272億円余りとなりましたが、そのときも、大企業が131億円余、中小企業が140億円余ということで、このころもまだ中小企業の景気のほうがよかったのではないかと思われます。
しかし、平成30年度は、大企業が145億円余で、中小企業は125億円余となっています。大企業は企業誘致の成果などが事業税の収入額に反映されているのではないかと考えられますが、反面、中小企業の税額は平成28年度をピークに右肩下がりになっています。
今後、復興需要は減少していくと思われますが、県は法人事業税収の今後の見通しについてどのように捉えておられるのかお聞きしたいと思います。
〇佐藤企画理事兼総務部長 法人事業税の税収の見通しについてでございますが、平成31年度当初予算案におきましては284億4、100万円を見込んでいるところでございまして、これは、前年度当初予算との比較では7.1%増の19億7、100万円の増、それから、平成30年度最終予算額との比較では4.6%増の12億5、000万円の増を見込んでいるところでございます。
大企業と中小企業とに区分して税収の実績を見ますと、年度によって増減があるものの、企業収益が伸びているところでございまして、平成25年度と比較しますと大企業が1.7倍、それから中小企業が1.4倍となってございます。
なお、平成31年度におきましても、一定の伸びが期待できるものと考えているところでございます。
今後の見通しにつきましては、将来的な企業収益の状況を予測することは難しいところでございますが、平成31年度税制改正によりまして新たな偏在是正措置が講じられることから、一定の増収が見込まれるものと受けとめてございます。一方で、復興需要の減少とともに、企業収益にも変化が見込まれるということも見込んでございます。
県といたしましては、企業誘致や中小企業の育成強化などの産業振興、それから若者、女性の県内就職の促進であるとか、観光産業、農林水産業の振興などあらゆる施策の展開に努めまして、税源涵養に努めてまいりたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 次に、関連しますが、中期財政見通しの中で、県税等300億円が2022年度までにふえていくという見通しを示していまして、その根拠等については、先に質問された委員の答弁でお話をされていますけれども、法人事業税の伸びというのは、特に財政見通しの中では見込んでいないということでよろしいのでしょうか、確認でございます。
〇佐藤企画理事兼総務部長 この中期財政見通しの税収の見込みについては、まず一つには、消費税率の引き上げ等、それから税制改正の影響等も見込んでおりまして、300億円の内訳としては190億円程度の増を見込んでいたところでございます。それから、法人事業税も含めまして、県民税とか他の税目についても、見込みの手法としては国の中長期の経済財政に関する試算で、名目GDPの成長率等も参考にしながら、ある程度一定の伸びを見込んでいるところでございます。
〇ハクセル美穂子委員 予算書の法人事業税で見ていくと、どうしても右肩下がりになっているように見受けられるけれども、確定税額としては中小企業も少しずつは伸びていて、ただ、その伸びが弱まっていることも事前にいただいた資料の中では書かれております。ある意味、法人事業税というのは企業の利益に対して課税される税ですので、赤字決算の企業には課税されない類いの税です。ということは、県内の黒字決算の企業がたくさんあれば、税収がふえることが示されている税でもあるのではないかと思っています。
それから、法人事業税がふえると、地方交付税はその分減らされてしまうといった面もあるのですが、25%分については確実に財源増につながるということで、交付税の増減幅は75%だけということで、自主財源をしっかりと確保していくという観点においては、法人事業税を増税させるという対策は、非常に大きな意義があるのではないかと思っています。
あともう一つ、私が注目しているのは、法人事業税というのは黒字企業の利益に対しての税ですので、県の今行っている政策が正しく機能していれば増収になっていくタイプの税なのではないかと思っています。産業振興政策の効果を判断する材料としても、活用できるのではと思っています。
この法人事業税収入は企業規模ごとの税区分ですけれども、産業分野ごととかいろいろな分析の方法があると思います。分析を工夫することによって、県内のどの産業分野が景気がいいのか、それから、どこがちょっと力が弱まってきているのかとか、そういったことを捉えることができるのではないかと思っています。
今現在、中小企業の法人事業税の伸びは弱まってきております。そういったことは事実なのですが、震災需要の減少に向けて、これまでの中小企業振興対策を見直す必要があるというサインなのではないかと私は思っています。そこで御質問をしたいと思います。
中小企業、特に小規模事業者向けの商工業小規模事業経営支援事業費補助というのがありますが、これは商工会と商工会議所が、小規模事業者に対して経営指導をする人件費に対して補助するものです。平成31年度も昨年度に引き続き13億円の予算が計上されていますけれども、この事業内容は昨年度と同じ内容なのでしょうか、お聞きします。
〇保副知事 今、委員からお話がありましたとおり、この商工業小規模事業経営支援事業費補助というのは、県内に商工会、商工会議所が34カ所ございます。それから、岩手県商工会連合会を加えまして計35団体でございますが、この団体の経営指導員等の人件費のほか、経営相談あるいは専門家の派遣、販路開拓支援など、さまざま中小企業者向けの事業に要する経費を補助するものでございまして、これはもう県の中小企業振興策の根幹となる事業でございまして、基本はこれまで同様の中身で、平成31年度当初も計上しているものでございます。
〇ハクセル美穂子委員 この商工業小規模事業経営支援事業費補助が政策評価でB評価なのです。そして、法人事業税額でも伸びが弱まっているということで、同じことをやっても、その効果が本当にあらわれるのか、疑問に思う部分もあります。でも、13億円をかけている事業ですので、県は商工会や商工会議所の活動が適切であるように、この小規模事業者が活用しやすいよう、事業効果と照らし合わせながら運用のあり方をしっかりと見直して、指導とか監督とか助言をしていくべきではないかと思いますが、すっかり同じなのか、もう一回、新年度の中で何か工夫をしている点というのはないのかどうか、お聞きしたいと思います。
〇保副知事 政策評価上B評価だというお話もありましたけれども、目標値として設定しておりますのが、団体におります経営指導員が管内の小規模の事業所を巡回指導すると、その件数を目標値として1万2、000件としたところ、若干それに及ばなかったという状況でございます。ただ、この1万2、000件という数はかなりの数でございまして、毎年度、実数で1万社を超える小規模事業者に対して、巡回指導を実施するというのはかなりの水準だと認識しております。特に岩手県の場合は、個々の業者の事情に応じてしっかり寄り添う伴走型支援を打ち出しておりまして、これは補助金の採択ですとか、経営革新計画の承認とかさまざまな事業があるわけですけれども、これらが平成27年度から平成29年度までの3年間、本県が東北地区では最も多い数を上げているということでございます。それから、岩手県の場合は、東日本大震災津波や平成28年台風第10号災害からの早期の事業再開においても非常に大きな力になっております。
近年、経営者の方々が高齢化しておりまして、構造的な人手不足の問題ですとか、IT化への対応、さらには事業承継といったさまざまな問題を抱えて、内容が非常に高度になっているということもございまして、そういった面での支援が一層必要だと考えております。
改善したところということですけれども、団体の職員には経営指導員のほか、記帳専任職員と言って、帳簿づけを支援する職員がおるわけですけれども、職務内容を見直しまして、改めて経営支援員、つまり伴走支援、巡回指導もすることで、経営指導の業務体制をより充実させようと考えております。このことで、非常に中身の濃い巡回指導がさらにできるのではないかと期待しております。また、小規模商工会の職員の一部につきましては、商工会連合会に集約をするということで、広域的に効率的な巡回指導を行うことも考えております。
県としても、今様子を見ながらという話もありましたが、しっかり現状を捉えながら、改善に関しては今後もさまざま手を加えていきたいと思っています。
〇ハクセル美穂子委員 いろいろと改善をされているというお話をいただきました。私がこれを取り上げたのは、商工会と商工会議所の各団体の温度差がちょっとあるのではないかというのも感じていまして、実際に小規模事業者で支援が欲しくても、そこまで行かずに我慢している方も実はいらっしゃる。特に小さい商工会であれば、多分、行こうかなと思っているけれども行っていないという方がいると思います。私の地元にもいるのですけれども、そういうのもあってお話をしました。平均的にというか、きちんと必要な方に指導員が行っていただいて、市町村の商工会ごとのやり方が大体平均的になるように、しっかりと助言と指導をしていただきたいというのもありまして、このトピックを挙げました。
そしてまた、こういった指導が必ず経営改善につながっていけば、法人事業税という形で県税に返ってくるものだと私は思っています。県の政策として、貴重な税金を投資して事業支援しているのであれば、その効果があれば、しっかりと法人事業税とか歳入のほうに還元されていくという、よいスパイラルをつくるような形で、政策自体もしっかりと改善させていくということを着実に行っていただきたいと思ってお話をしております。
産業振興に関しては、きちんと投資したお金が歳入として返ってくることによって、次の投資にまたつながるという、よいスパイラルをしっかりつくっていくことが重要だと思いますし、そういったスパイラルのために、県職員の皆さんが時間をかけて計画をつくって、そして政策評価もやってくださっていると理解していますので、ぜひそれが効果的な形でいくように、アウトプット的な指標からぜひ脱却をしていただいて、成果を確認できるもの、いろいろ工夫をして、県税の中でもありますので、そういったところを参考にして取り組んでほしいと思っております。
それで、次に、事業の選択と集中に関して御質問しようと思っていたのですけれども、もうお二方が質問されておりまして、その答弁の中で、七つぐらい選択しているものを知事がおっしゃっておりました。震災の復旧、復興とか、保健、医療、福祉の充実等々、10の政策分野のいずれも重要であるというお話をされていましたけれども、その10の政策分野を見ていますと、ほとんど全部のことを網羅されていると私は感じてしまって、どれに選択と集中をしていらっしゃるのかというのがまだ理解できないのです。平成31年度当初予算の中で、何度も御答弁いただいていますけれども、明確な目標設定としてこれだというのがあるのであれば、この中で絞ってお答えいただきたいと思いますが、どれが知事として一番やっていかなければならないことなのかということをお聞きしたいと思います。
〇達増知事 いわて県民計画最終案の基本目標の実現に向けては、復興に最優先で取り組みながら、10の政策分野に基づく各分野の施策と、新しい時代を切り拓く11のプロジェクトに取り組む必要があると考えているわけでありますけれども、事務事業評価の活用による効果的、戦略的に事業を進めるためのスクラップ・アンド・ビルドを行いながら予算編成を行ったところであります。
今、御指摘がありましたように、まず復興の取り組み、そして保健、医療、福祉の充実を図る取り組み、産業振興を図る取り組み、そしてふるさと振興、地方創生関係の取り組みなどを盛り込んだところでありまして、引き続き、選択と集中を図りながら取り組んでまいります。
〇ハクセル美穂子委員 さきの御質問の中で答弁された内容と大体同じだったと思います。選択と集中というのは、財政が厳しければ厳しいほど、しっかりと取り組んでいかなくてはいけないところだと思いますし、どれを選択するのか、集中するのかという方向性を示すのは、県のリーダーとしての知事のお役目だと思っています。職員がそれを考えるのではなくて、10の政策からこれだというのではなくて、この分野についてはしっかりとやっていかなければならないということをお示ししていただいて、それに向かってちゃんと財政もつくっていくのが適切な方向ではないかと思いますので、ぜひそのことを意識していただいて、どれに集中していくのかというのをもうちょっとはっきり教えていただけるとありがたいと思いますが、そのことはお伝えして、次の質問に移りたいと思います。
これまでも、知事初め県執行部は、社会減ゼロを目標にさまざまな取り組みを行ってきました。でも、社会減に歯どめをかけることはできませんでした。現在の社会減は5、000人ということで、社会減の改善というのは一筋縄ではいかないということは、皆さん御承知のとおりだと思います。
社会減となるということは、人口も減りますので県民税は減っていくということです。そういう中において、法人事業税がふえているということは私は救いの光ではないかと感じていますので、今後も企業活動の活発化というのを自主財源確保の根幹に据えて、重点的に取り組んでいくべきだと考えています。
そこで、企業-企業と言っても、岩手県では特に自動車や半導体関連産業というものがトピックとして出されますが、それだけではないことを皆さんと共有したいと思ってこの質問をいたします。
県南地域には大規模に整備された工業団地がありまして、自動車とか半導体関連産業を中心に集積が進んでおります。今後もさらにそこも伸ばしていけばいいのですけれども、それ以外の地域における産業振興について、企業誘致も含めてどのようにしていくお考えなのかを知事にお聞きします。
〇達増知事 県では、これまで、幅広い産業を対象に企業誘致を進めてまいりまして、この結果、平成21年度からの10年間で180件の新規立地があり、このうち、IT関連や物流関連など、製造業以外の業種が86件と約半数を占めております。
県南地域に集積している自動車、半導体関連産業については、その集積の効果を全県に波及させるため取引支援などに取り組んできたところであり、県北や沿岸地域においても、これらの産業への参入や取引拡大による増設などにつながっているところであります。さらに、県央地域では、IT関連産業の集積やヘルスケア関連産業の活発化、沿岸地域では、交通や港湾の利便性向上による物流関連企業等の進出、県北地域では、豊かな農林水産資源を活用する食品関連企業の立地等が進んでいるところであり、引き続き、地域特性を生かした企業誘致、産業振興に取り組んでまいります。
〇ハクセル美穂子委員 さまざま取り組んでいるということを教えていただきましたが、県央部はITとヘルスケアということですけれども、県央と県北のちょうど中間、それから中山間地域というのは農業の盛んな地域であり、地域農業で原料生産を賄うことができます。そういった原料調達ができるメリットを掲げて、今、企業が誘致されていない地域に食品加工産業の誘致を図ること、それも県内の学術的研究機関との連携のメリットもさらに掲げて、オランダでやられているフードバレーのような食の産業集積を図るべきではないかと考えています。
知事は、食品産業の誘致を企業誘致の中でどのように位置づけているのかをお聞きしたいと思います。
〇達増知事 県では、豊かな農林水産物を初め、各地域の魅力ある資源を生かし得る企業の誘致に市町村等と連携して取り組んでまいりました。このような取り組みによって、県北地域において、ブロイラー企業が県外のスープ製造企業と共同で会社を設立し、鳥がらを活用したスープ製造事業を開始しており、地域資源の高付加価値化につながるものと期待されます。
また、沿岸地域においては、東日本大震災津波後に、オイスターバーを全国展開する企業によるカキの加工センター、関東の食品製造企業による高級冷凍惣菜工場や茎ワカメ等のおつまみ工場が立地するなど、水産資源の活用が進んできております。
食品関連企業の誘致は、本県農林水産物の付加価値を高めることにつながりますので、このような企業に対して生産者との連携などについても提案しながら、本県の立地を積極的に働きかけてまいります。
〇ハクセル美穂子委員 オランダのフードバレーの特徴というのは、ワーヘニンゲン大学という地元の大学が企業と農業者のニーズを聞いて、それに関連した研究を一緒に行っているところが世界的にすばらしいところであって、農業に関連する人々、それから企業のニーズに合わせた研究を行うことができる地盤が、盛岡市の岩手大学農学部のあたりにあるのではないかと私は考えております。そして、農業者の方々に家族経営を推進させつつ、個々に高付加価値化とか6次産業化とか、生産性の向上を図ることを進めていますけれども、これは言うほど簡単なことではなくて、できる農家はできるのですけれども、全ての家族経営の農家が、同じようにこういったことはなかなかできないと私は思っています。そういう点においても、生産者としての農家の方、それからそれを加工する専門の方、そこのマッチング、それから実際に消費地からちょっと遠いのでそこまでの物流とか、どうやって鮮度を保つのかという研究を大学や研究機関と連携をして、農と食の産業クラスターというものを構築することも、中山間地域の農業を活性化させるためには必要なことではないかと、新しい取り組みとして10年後に向けて取り組んでいくべきではないかと私は考えているのですけれども、その点についてもう一回知事にお聞きしたいと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
〇達増知事 岩手大学もさまざま取り組んでいると今思い出しますけれども、岩手にある大学や試験研究機関が、委員のおっしゃるような、生産者と加工のマッチングや、さらにまた、販売にもつながるようなつなぎ役をしていくというのは非常に重要だと思います。県でも、岩手県工業技術センターなど、そういう役割が期待されていると思いますので、しっかり取り組んでまいりたいと思います。
〇ハクセル美穂子委員 ぜひこれをお願いしたいと思います。西和賀町とか、県南の中に入っているけれども企業誘致の恩恵を受けられない地域とか、私の地元の雫石町もそうですけれども、そういったところでも幸福に生きていくためには、もう一つ新しい取り組みをしっかりと入れていく必要があると思いますので、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
それから、県でもいろいろと国の事業とか民間の財団の資金を活用して研究なども進めておりますので、その点についても質問しようと思っていましたが、そこについてはさらに取り組んでいただくことをお願いして、次の質問に移りたいと思います。
それでは、歳出に関連して御質問したいと思います。
先日、私は知人に呼びとめられまして、DVシェルターを探しているけれども、どこにも見つからないと。ハクセルさんは御存じないかと聞かれました。知事は、岩手県にDVシェルターが幾つあるのか御存じでしょうか。そして、運営主体はどこかというのを御存じだと思いますので、教えていただきたいと思います。
〇達増知事 一時保護所いわゆるDVシェルターは、被害者の安全確保のために場所等を公にしておらず、県民等からの一般的な問い合わせには答えることはできないものでありますが、DV被害者から配偶者暴力相談支援センターに相談があった場合には、被害者の状況によって一時保護するという仕組みになっております。
〇ハクセル美穂子委員 何カ所かは言えないということなのかもしれませんが、実は県でやっているのは1カ所。場所は教えられないというのは知事がおっしゃるとおりですけれども、岩手県にはDVシェルターは1カ所しかありません。そして、事業主体は県です。都市部では、民間のシェルターもありますけれども、岩手県には1カ所しかないですね。
私に質問してくださった方は相談された方なので、市役所に電話してDVシェルターというのはないのかということをお聞きしたそうです。そしたら、市にはDVシェルターはありませんと言われて、DVシェルターを紹介してもらうことができなかったということを聞きました。
知事は、この事例をお聞きになって、この事例があらわす問題点をどのようにお考えになりましたでしょうか。
〇達増知事 県では、岩手県福祉総合相談センターほか、県内12カ所の配偶者暴力相談支援センターにおいて、市町村、警察など地域の関係機関と連携しながら、相談対応から緊急時における安全確保、一時保護、自立支援までのDV被害者に対する必要な支援を行ってきているところであります。
県内全ての市町村においては、DV相談窓口を設置して担当者を配置しており、一時保護に関する相談があれば、最寄りの配偶者暴力相談支援センターにつなぐ体制となっていますが、委員御指摘の今回の事例は、その仕組みがうまく機能しなかったものと認識しております。
〇ハクセル美穂子委員 今まで取り組んでくださっていることが機能していないという実例です。本当に私はこのお話を聞いたとき、非常にショックを受けました。幸福を掲げて次期総合計画に幸福関連指標を導入するような県なのに、一番困っている方がきちんと救われていないという現実があることを目の当たりにしました。悲しかったです。
この一番の問題点というのは、市町村とか県が事業主体であるのに、その場所も言えないDVシェルターをどう周知していくのかという、想像力がちょっと欠けた事業の行い方をしているのではないかと思っているのです。市の方も勉強不足だったという感は否めないのですけれども、県内に一つしかないDVシェルターをどう利用してもらうのか。普通の方も、私自身も含めてですが、きちんと周知徹底されていないということは、小さい幸福も守れない県になってしまうのではないかということをとても気にしております。
この事例に限らず、市町村との情報共有とか連携体制の構築というのは、県政を進める上で非常に重要なことだと思いますが、これをどのようにこれからしっかりと取り組んでいくのか、その辺についての知事の御所見をお伺いしたいと思います。
〇達増知事 まず、配偶者やパートナーからの暴力は重大な人権侵害で、絶対に許されないことでありますので、緊急時における安全確保や一時保護の体制は整備されておりますが、配偶者等に対する暴力を根絶するため、教育、啓発、相談体制や安全確保体制の充実を図る取り組みをさらに推進してまいります。
市町村相談担当者等の資質向上に向けた研修の充実や、配偶者暴力相談支援センターごとに設置している市町村、関係機関との連絡会議における情報共有と連絡体制の強化を図るなど、配偶者等からの暴力を防ぐ環境づくりや被害者の自立支援に努めてまいります。
そして、市町村等との情報共有や連携体制の構築全般についてでありますが、市町村は、住民に最も身近な基礎自治体として、生活に密着した行政サービスを総合的に提供する役割を担っていますので、市町村と県が情報共有、連携を図りながら施策を展開し、住民福祉の向上にともに取り組んでいくことが重要であります。このため、日常的に各行政分野において、会議や研修等を通じた緊密な情報共有や意見交換を行うとともに、高い専門性が求められる分野での助言を行っていますほか、県職員と市町村職員との相互理解と資質向上を図るための人事交流等により、県と市町村との連携体制を強化してきたところであります。
今後とも、より質の高い住民サービスが提供されるよう、県と市町村との一層の情報共有や連携を重視し、県政を推進してまいります。
〇ハクセル美穂子委員 この事例は、今知事がおっしゃったことがうまく機能していなかったということで起こった事例ですので、これからはしっかりと市町村との連携-この事例だけではないと思います。さまざまな事例がありますし、広域的な取り組みのところでも県の役割というのは大きいと思いますので、その点についてしっかり取り組んでいただきたいし、その点、トップリーダーである知事にも御配慮いただいて、県政運営を進めていただきたいと思います。
これで私の質問は終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇軽石義則委員長 次に、工藤大輔委員。
〔工藤大輔委員質問者席に着く〕(拍手)
〇工藤大輔委員 創成いわての工藤大輔でございます。委員長の御指名ですので、会派を代表し総括質疑をさせていただきます。
来年度はいわて県民計画の初年度に当たり、計画の実現に向け、知事の思いがこもった予算編成になったのではないかと思います。
幸福に関連するもの、これらについては積極的な取り組みにより、ぜひ県民に浸透するような取り組みを望むものであります。
そこで、最初にひきこもりについてお伺いします。
昨年、地域住民の社会参加活動に関する実態調査、いわゆるひきこもり実態調査の全県版を初めて実施し、先般、調査結果が公表されました。調査結果から、男性が71%、40代以上が61.7%、ひきこもり期間が10年以上の方が37.1%という傾向がわかり、その多くが改善に向けた支援を受けていない、または不明という結果となり、必要な支援の手が行き届いていないということがわかりました。調査結果を踏まえ、これまでの対応をどのように評価しているのでしょうか、お伺いします。
〇千葉副知事 県におきましては、これまで、岩手県ひきこもり支援センターに専門相談員を配置しまして、各保健所とともに相談対応に当たっておりますほか、当事者の居場所づくりや家族教室、支援者向けの研修や技術支援、住民を対象とした啓発活動など、関係機関と連携いたしましたひきこもり対策を推進してきているところでございます。特に、当事者等から相談があった場合には、本人の背景にございますさまざまな課題を丁寧に聞きながら、本人との信頼関係を構築し、時間をかけた継続的支援を行ってきたところでございます。
ただいま委員から、これまでの対応についての評価という話もございました。県といたしましては、これまで、このような取り組みを行いまして、相談体制等の整備については行ってきたところでございますが、今回、このような実態調査が示されたことで、この実態調査の結果を踏まえまして、いわゆる個々のひきこもり家庭に対しまして、民生児童委員、市町村、県が連携してアプローチを行うことで、ひきこもり家庭との関係構築等から始めるところも必要ではないかと考えております。そのような個々の家庭ごとに必要な支援について、関係機関が連携して具体的に進めていく新たな取り組みをしていく必要があるものと考えております。
〇工藤大輔委員 平成29年9月の決算特別委員会で、私は釜石保健所での調査のみならず、全県の調査を行うべきという指摘をさせていただきました。その際、千葉副知事から前向きに検討していきたいとの答弁があり、この調査に取り組まれたことは評価したいと思います。
本県では、ひきこもり支援センターが平成21年度に設置され、全国でも一番早い段階からその対策の強化に取り組んできたと思っています。ただ、今回の調査で、課題はまたはっきりと浮き彫りになったものと思います。
調査は、民生委員、児童委員に協力していただき、活動で知り得た範囲の回答であり、不明や未記入の項目も多いことから、実態はより深刻であると思っております。県、市町村の相談体制も十分と言えない中でありますが、効果的な支援体制を今後どのように構築していくのかお伺いします。
〇千葉副知事 ひきこもりにつきましては、早い段階で、本人あるいは御家族に、みずからが置かれている状態を認知していただき、相談や支援に結びつけますとともに、支援に当たりましては、ひきこもり状態に至ったさまざまな要因に対応するため、医療や保健、福祉、教育、労働等、各種支援を組み合わせ、本人の年齢や状態、意向等に応じたサポートが必要だと考えております。
これまでも、このような認識で取り組みを進めてまいりましたが、県といたしましては、今回の実態調査を踏まえ、平成31年度当初予算案にひきこもり地域ケアネットワーク推進事業費を盛り込みまして、ひきこもり支援センター及び保健所における専門相談や市町村巡回相談を強化し、ひきこもり当事者及び家族等の個々の状況やニーズに合わせた相談支援の充実を図りますとともに、早期の支援につながるよう、一般住民や民生委員を対象とした研修会の充実、ガイドブックを活用した支援者に対する啓発活動にさらに取り組むこととしております。
また、今回の調査の中で明らかになりましたところでございますが、ひきこもり当事者の高齢化あるいはひきこもり期間の長期化に伴いまして、相談支援内容も年々難しくなっていくことが想定されますので、より高度な支援を行う支援者を養成するため、国が主催しております研修への派遣等を拡大するなど、人材育成事業の充実も行いながら、相談支援体制の強化を図っていきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 私も早期に対応することが何よりも必要だと思っております。
不登校をきっかけとしたひきこもりが14.4%という調査結果であります。在学中は定期的な訪問がありますけれども、卒業後の引き継ぎがなくなることが課題であり、長期化する要因にもなっていると思います。
情報共有と継続的なサポートについて、どのように考えているのかお伺いします。
〇千葉副知事 学校に在学中で不登校の児童生徒に対しましては、状況に応じて、学校が保護者、スクールソーシャルワーカーとのケア会議を開催して対応を検討し、必要な場合には、スクールソーシャルワーカーから市町村福祉担当課や地域若者サポートステーション等に情報提供し、進学相談や就労支援、居場所支援等につなげているところでございます。
また、進路が決定しないまま卒業する場合には、在学中に、学校から、本人や保護者に対し、進学、就労、福祉サービスの利用等のさまざまな選択肢や相談支援窓口の情報を提供し、支援につなげる取り組みをしているところでございます。しかしながら、本人や保護者側から自発的な相談がない場合は、支援が途切れてしまうことが懸念されますことから、冒頭申し上げました市町村福祉担当課や地域若者サポートステーションが、本人の在学中から培ったつながりを保ちながら、早い段階で包括的な支援につなげる仕組みが必要であると考えております。
県といたしましては、昨年12月県議会定例会で、全県レベルの連絡協議会の設置についての請願が採択されましたことを重く受けとめておりまして、現在、保健福祉部において、その設置を検討することとしております。その設置された審議会の中で御議論いただき、包括的支援につながる仕組みを構築していきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 小、中、高等学校において、訪問など学校がかかわる機会が多いと思いますが、通信制を含む高校、専門学校、大学などで離学者または卒業生に対して、サポートという点において私は課題があるのではないかと思います。それは十分できているかどうか、そういったサポートがとれているかどうかということでありますけれども、どのような認識を持っているのかお伺いします。
〇千葉副知事 いずれ、今お話がございましたように、サポート体制が、高校までの在学中については支援を保つシステムが機能しているけれども、その後、進学あるいは就職ということで、それ以降のサポート体制の継続をどういう形で図っていくかということが重要だと思っておりますので、先ほど申し上げましたような、高校卒業後も含めまして包括的な支援の仕組みをどうやってつくっていくか、これが大きな課題だと思っています。したがいまして、その点について、繰り返しになりますが、今後全県レベルの連絡協議会を設置し、その中で仕組みづくりをしていきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 その子供の進路に沿ったきめ細かい対応、その間に隙間となるようなものがないように、各教育機関とも深く連携をしながら対応に当たっていただきたいと思います。
そこで、今回当初予算には計上されていませんけれども、ひきこもりサポーターの配置等も必要だと思いますけれども、今後どのような配置をしていくのかお伺いします。
〇千葉副知事 ひきこもりサポーターについてでございますけれども、ひきこもり当事者や家族等に対する支援に関心のある方などが地域に潜在するひきこもりを早期に発見し、適切な支援機関に早期につなぐ役割を担いますことが、早期の自立を促進する上で重要であると考えておりまして、県におきましては、民生児童委員や非常に関心のございます一般県民の方などを対象に、啓発事業等を実施してきたところでございます。
これまで、県では、国の実施要領に規定されておりますひきこもりサポーターの養成には至っておりませんが、ひきこもりの支援に当たりましては、さまざまな分野の方々の御協力が不可欠でございまして、幅広い人材の養成が必要であると考えております。したがいまして、先ほどから繰り返しておりまして恐縮でございますけれども、請願で採択されました全県レベルの連絡協議会の設置ということが非常に不可欠だと認識しておりまして、先ほどの仕組みづくりもそうでございますが、ひきこもりサポーターの養成、派遣事業の実施についても、この協議会において議論してまいりたいと考えております。
また、現在、各保健所において設置されておりますひきこもり地域ケアネットワーク関係機関支援連絡会においては、各圏域ごとに、今後養成するサポーターの効果的な活用方策についても検討していただきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 補正対応も含めて、また対応をよろしくお願いしたいと思います。
また、ひきこもり者の半数に不登校歴があるというデータもあります。そういった中で、就職の失敗や失業といった、仕事にかかわる事由と何らかのかかわり合いがあるのではないかと思います。そういったことも深く見きわめていただきながら対応をしていただきたいと思います。
また、親の病気や介護、亡くなるなどの生活環境の変化で、急速に生活が困窮する可能性があります。生活困窮者自立支援法に基づく自立相談支援機関とも一層の連携強化を願いたいと思います。これはよろしくお願いしたいと思います。
次に、児童相談所の体制と一時保護の課題についてお伺いするわけですが、児童福祉司の配置についてのところは、答弁が出ていますので省略をしたいと思います。
そこで、次に一時保護所についてお伺いします。
一時保護の状況は250名程度で県内では推移をしていますが、平成29年度は267名でありました。一時保護は、虐待を受けた子供が非行で保護された子供と同室であったり、保護する子供の年齢にもばらつきがあるなど、心身の状況を考えても、個別的な対応ができる安心な環境とは言えないのではないでしょうか。
保護期間中の課題をどう認識し、策定を進めている社会的養育推進計画にどのように盛り込んでいく考えかお伺いします。
〇千葉副知事 一時保護施設についてでございますけれども、現在、県におきましては、新たな岩手県社会的養育推進計画を来年度末を目途に策定を進めているところでございますが、昨年7月に国が示しました都道府県社会的養育推進計画の策定要領がございまして、その中におきましては、一時保護所改革に向けた取組など、11項目の記載事項が定められております。
また、その当該策定要領のもとに発出されました一時保護ガイドラインにおきましては、一時保護について、安全確保やアセスメントなどを適切に行うという目的に加え、代替養育としての性格も有することから、一時保護を行う場合は、こうした一時保護の目的を達成した上で、家庭における養育環境と同様の養育環境あるいはできる限り良好な家庭的環境にあって、個別性が尊重されるべきものと、ガイドラインでは示しているところでございます。
また、具体的な一時保護所のあり方につきましては、昨年12月に国が示しました児童虐待防止対策体制総合強化プランにおいて、一時保護の体制強化のため、一時保護の個室化の推進等により、個別性を尊重した一時保護を行うよう、環境整備を進めることとされたところでございます。
現在、県内の児童相談所は、それぞれ建設から40年程度が経過しておりまして、老朽化や狭隘化が進んでおり、一時保護所は3児童相談所で9室、定員40名で、個室は一関児童相談所に1室あるのみとなっている状況にございます。
このような中、県におきましては、児童相談所内の一時保護に加えまして、里親や児童養護施設、障害児福祉施設への委託によります一時保護も実施したところでございますが、一時保護が必要な子供は、その年齢も、また一時保護の理由も、被虐待や非行、発達障がい等さまざまでございますことから、子供たちに安心感をもたらすような個別性が尊重された一時保護ができる環境の提供が大きな課題であると考えております。
このため、県といたしましては、保護を要する一人一人の子供がその状況に応じて生活できるような、冒頭申し上げました一時保護ガイドラインに記述されている課題に対する取り組みを新たな県社会的養育推進計画に盛り込むこととしております。この計画策定に向けまして、現在、児童養護施設や里親会、学識経験者らで構成する検討会におきまして議論を積み重ねているところでございますが、現在の議論を踏まえまして、施設の老朽化と個室化の推進に早急に対応するため、平成31年度当初予算案に、宮古児童相談所の改築設計に要する経費及び福祉総合相談センターの一時保護所改修経費も盛り込ませていただいたところでございます。
〇工藤大輔委員 宮古児童相談所の建てかえがそのように予定されているということでありますが、福祉総合相談センターも建設から45年を経過しており、検討を開始する時期に来ていると思いますが、いかがでしょうか。
〇千葉副知事 福祉総合相談センターにつきましては、増加する児童虐待相談に対応するため職員を増員してきておりましたことから、事務室が狭隘となってきておりますこと、また、先ほど申しましたとおり、一時保護所の環境整備を進める必要があること、あるいは建物が老朽化していることなど、幾つかの課題があるものと認識しております。来年度予定しております、今申し上げました新たな県社会的養育推進計画の策定に当たりましては、一時保護所のあり方や児童相談所の機能強化についても検討することとしておりまして、福祉総合相談センターを含めた児童相談所の改築についてもあわせて検討を行ってまいります。
〇工藤大輔委員 よろしくお願いします。
これまで虐待の疑いのある事案について、月に1度程度、警察と児童相談所で協議というか情報共有をしていると思います。ただ、これは警察本部と児童相談所との情報共有ということでありますが、やはり問題は、各警察署の管内で起こっていることだと思いますので、警察署管内との情報共有だとか、あるいは児童相談所の方の仕事の軽減を進めるためにも、何らかのそういったシステムが必要ではないかと思います。新年度予算に対しての考え方をお伺いします。
〇千葉副知事 児童相談所と警察の情報共有が極めて重要でございまして、今回、当初予算案の中に、いわゆる児童相談所が持っています情報を警察と共有できるようなシステムの改修も、盛り込ませていただいたところでございます。
〇工藤大輔委員 効果的なシステムを構築できるように、よろしくお願いしたいと思います。
次に、三陸鉄道の経営支援等についてお伺いします。
三陸鉄道は、この3月から、JR山田線の全線移行による経営がスタートします。一貫経営による利便性の向上が進みますが、輸送人員は震災前の平成22年の85万1、000人から今年度は見込みで50万人となり、減少に歯どめがかからず、3期連続の最終赤字になる見込みであります。今年度は鉄道事業再構築実施計画の終期となり、事業規模の拡大に見合った財務基盤の強化を図るために、沿線市町村と累積損失の解消を初めて行おうとしておりますが、経営支援の方針についてお伺いします。
〇達増知事 三陸鉄道への経営支援の方針についてでありますが、今回の累積損失に係る三陸鉄道への支援は、本年3月に、三陸鉄道がリアス線として一貫運行され、新たな支援スキームに移行するタイミングを捉えて県と沿線市町村で連携して行うものであり、三陸鉄道の経営基盤の強化を図るものです。
また、新たな鉄道事業再構築実施計画を策定し、国の認定を受けたところであり、計画では、1、一貫運行による経営の改善、2、市町村による鉄道資産の所有による固定資産税の軽減、3、県と市町村による鉄道施設の修繕、維持管理費への補助、4、県と市町村の連携による利用促進策の推進などの取り組みを掲げ、三陸鉄道の経営を支援していくこととしております。
三陸鉄道の経営は、沿線人口の減少などにより引き続き厳しい状況が見込まれていますが、三陸鉄道が将来にわたって持続的に運営していくことができるよう、県、市町村が一体となって三陸鉄道の経営を支えてまいります。
〇工藤大輔委員 私も、市町村も駅を中心としたまちづくりというものが必要だと思っております。これは人口減少対策だとか商店街振興、公共交通機関の利便性を高めるという観点からも住民サービスの向上からも必要だと思いますので、それらの取り組みに対して県も強くバックアップしてもらいますように、よろしくお願いしたいと思います。
次に、収益の改善策についてお伺いしたいと思います。
来年度は、三陸防災復興プロジェクト2019やラグビーワールドカップ2019釜石開催など、大型イベントがあります。また、東日本大震災津波伝承館の開館も予定されております。JR東日本の重点販売地域にも指定されているということもあり、大量輸送の役割を果たすとともに、これらイベントを通し、三陸の魅力をPRしながら、今後の利用促進につなげる絶好の好機が訪れることになります。
来年度の利用者の増加が見込まれますが、それ以降の収益改善策をどのように取り組まれようとしているのかお伺いします。
〇白水政策地域部長 委員御指摘のとおり、2020年度以降でございますけれども、大規模イベントの終了や開業特需の落ちつきによりまして利用者の減少が見込まれております。持続的な経営を確保していくためには、2020年度以降の継続した利用促進の取り組みが重要と考えております。このため、まず1点目ですが、マイレール意識の醸成等による沿線需要の拡大に継続して取り組むことが重要だと考えてございます。2点目として、域外からの利用促進を図るということでございます。
具体的に申し上げますと、新たに開業するリアス線釜石-宮古間への誘客、それから交通アクセスの改善を生かした観光利用の促進、それからいわて花巻空港と連携したインバウンドの誘客拡大、それから一貫運行のメリットを生かした長距離周遊利用の促進などに取り組んでまいります。
また、東日本大震災津波伝承館などと連携をいたしました震災学習列車の運行、それから県内スポーツイベントでの釜石鵜住居復興スタジアムの活用、JRとの連携強化など、来年度のイベント、取り組みがその先にもつながるよう取り組んでまいります。
さらに、こうした継続した利用促進のほか、地場企業等と協働での商品開発による物販事業の強化、それからJRの新幹線等切符販売業務の受託を契機とした旅行業の強化等、三鉄ブランドを生かした多角的な収益確保にも取り組んでまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 積極的な取り組みを期待するものであります。
次に、スポーツ医・科学サポート等についてお伺いします。
中央競技団体等において、ドーピング、パワーハラスメント、暴力行為等の問題事案が発生しており、スポーツ庁長官が誠実性、健全性、高潔性といったスポーツインテグリティーの確保等のメッセージを発するなど、クリーンでフェアなスポーツの推進が求められております。
県では、いわて県民計画やスポーツ推進計画において目指すスポーツの推進に向け、今後、スポーツ推進プラットホームの構築を目指すとしておりますが、その中でも、特にスポーツ医・科学サポートの果たすべき役割はますます高まってきております。スポーツ医・科学の充実やスポーツインテグリティーの取り組みをどのように進めるのかお伺いします。
〇千葉副知事 スポーツ医・科学等についてでございますけれども、まず、スポーツ医・科学サポートにつきましては、岩手大学、岩手医科大学、県医師会、県歯科医師会、薬剤師会等との連携によりまして、選手の体力測定データに基づきましたトレーニング指導やスポーツメンタル、栄養、アンチドーピング等のセルフマネジメント能力の向上に取り組んでいるところでございます。その成果は、多くの県民がスポーツの力を改めて確認することのできました希望郷いわて国体以降も、さまざまな全国大会やオリンピック、パラリンピック等の国際大会での本県出身選手の活躍にしっかりとつながっているものと認識しております。
こうしたことから、今後も、スポーツ医・科学に基づくトレーニング指導等を継続するとともに、人材が不足してきておりますアスレティックトレーナーの確保を重点課題とし、いわてアスレティックトレーナー第3期生の養成をスタートさせるなど、さらなる競技力向上に向けて取り組む考えでございます。
加えまして、生涯スポーツの重要性も近年高まってきておりますことから、市町村等が進めます健康づくり関係の取り組みについても専門家を派遣するなど、しっかりと支援することにより、競技スポーツのみならず、生涯スポーツ振興についても対応していきたいと考えております。
次に、いわゆるスポーツインテグリティーについてでございますけれども、国におきましては、アスリートや指導者に対し、守るべきルールや倫理に関する理解を深める取り組みが進められており、本県におきましても、この考え方に基づき、スポーツ医・科学などの専門的知見を兼ね備えた指導者の資質向上等の取り組みを進めてきているところでございます。
今後におきましても、県体育協会との連携を一層強化しつつ、市町村体育協会を初め、各競技団体におけるコンプライアンスやスポーツ医・科学に基づく適切な練習指導の徹底を図りますとともに、アスリートからの相談窓口の体制強化など、スポーツインテグリティー確保に向けた取り組みを進め、本県における良好なスポーツ環境の向上に努めてまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 次に、漁業法改正を契機とした水産業の強化についてお伺いします。
国では70年ぶりに漁業法を改正しました。水産政策の改革は、水産資源の管理を行いながら漁業の成長産業化を目指そうとするものでありますが、漁業団体や漁業者の理解は進んでおらず、本県漁業への影響を不安視する声が多いのが現状であります。
法改正を県としてどのように受けとめ、本県漁業への影響をどのように推測しているのでしょうか。国の来年度予算案は前年対比71.8%増加しておりますが、法改正を契機に水産業の強化にどのように取り組むのかお伺いします。
〇保副知事 昨年12月の漁業法の改正によりまして、県内の漁業を営んでいる方々が不安に思っておるというのは、全く本意ではございませんけれども、国におきましては、今後、適切な資源管理と水域の適切かつ有効な活用をするという基本的認識でこの改正をしたということでございます。
一番関心がおありだと思われますのが、既存の漁業権者が漁場を適切かつ有効に活用していると認められる場合には、従来どおり免許をいいですよということですが、この具体的な中身が明らかになっていないことが、さらに不安をあおる一因になっているのではないかと思っております。
そういうことで、具体的な本県への影響につきましても、現時点ではやや不透明なところがございます。国の来年度予算がさまざま増額されているということで、この新たな資源管理の対応ですとか沿岸漁業の競争力強化といったようなことが盛り込まれているということでございますが、現時点で事業の中身の詳細がよくわからないということでございます。
県といたしましては、こういった予算の中身につきまして、国の情報を収集しまして積極的に活用するというスタンスで臨みたいと思っておりますし、この漁業権の問題につきましては、これまで、岩手県といたしましては、例えば東日本大震災津波の後、漁港を全部復活させたとか、漁業者を中心に漁船の共同利用に対して補助をして、漁業が一刻も早く立ち直るようにしたとかということを踏まえまして、漁協や漁業者を中心とした水産業を進めることに変わりございませんので、今後とも、こういうスタンスで国に対して必要な働きかけ等があれば行っていきたいと思っております。
〇工藤大輔委員 復興においても、知事はそのようなメッセージを発して、そのような形で水産業の再生に取り組んできたと思っております。それで、今回の漁業法改正に当たっても、こういった不安要素が多い中にあって、やはり知事からも、これまでどおり漁業団体と一体となって水産振興に当たるのだというメッセージ等も発してもらえれば、漁業者は、これまでどおり力を合わせて、県、市町村と一体となって取り組もうという形になるとも思います。そういった意味で、知事からの何らかのメッセージも必要かと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
〇達増知事 そういう意味では、こういう機会も捉えまして、岩手県といたしましては、漁協や漁業者の意向を把握し、これに沿った施策を展開してまいりますし、それができるよう国に働きかけてまいります。
〇工藤大輔委員 やはり知事が持っている知事許可というものも漁業推進に当たっては大きい-漁業者というのは、大臣認可、知事の許可のもとでしか水産業をなりわいとしてできませんので、そういった意味では、安心できる漁業の形をつくってもらいますように、よろしくお願いしたいと思います。
次に、漁業施設を活用したつくり育てる漁業についてお伺いしますが、静穏域が少ない県北地域で、このことは有効な施策になるとも思っております。また、沿岸、県央、県南部においても新たな魚種の養殖といった可能性を引き出すものになると思います。
開発が進む蓄養技術を積極的に取り入れ、協業化を促進するなど、漁港施設等の静穏域を活用した取り組みが必要かと思いますが、県の考え方、そして取り組みの方針をお伺いします。
〇保副知事 県内では、東日本大震災津波後に復興事業によりまして漁港や湾口防波堤の整備が進んでおります。このため、波浪の影響が少ない海面養殖に適した静穏海域が拡大しているということでございます。
県では、新たにICT等の先端技術を活用したサケ、マスの海面養殖の推進に取り組むということで、平成31年度当初予算案には、本県に適した養殖生産モデルの構築に向けまして、市場流通調査あるいは養殖に適した成長の早い種苗の開発などを中身といたします新しい増養殖モデル創出事業に取り組みたいということで、盛り込んでいるところでございます。
これによりまして、生産モデルをある程度実証いたしまして、サケ、マスを海面で養殖することの事業化を目指していきたいと思っておりますが、将来的には、ナマコやアワビ等にもその対象を広げまして、本県の新しい漁業を積極的に進めていきたいと思っております。
今後、では、どこで具体的にやるかという海域につきましては、来年度行う調査の結果をもとに、研究しながら判断をしていく段階でございます。
〇工藤大輔委員 モデル事業も予定されていると思いますが、その場所も決まっていませんか。
〇保副知事 申しわけありませんが、これは来年度、さまざま検討した上で決めていくということで、現段階では決まっておりません。
〇工藤大輔委員 わかりました。漁港施設とあわせて、港湾の中、特に、例えば久慈市などでも湾口防波堤の整備等も進んでおります。漁港の施設だけではなくて、湾口防波堤の中も有効に活用することも必要だと思いますので、そういった点でどのように取り組むのかお伺いします。
〇保副知事 漁港だけではなくて、久慈ですとか釜石湾もそうでございますし、そういったところの湾口防波堤内の海域も活用するということで考えていきたいと思っております。
〇工藤大輔委員 私は、これを水産の新たな柱にもしていただきたい、そして大きく育ててもらいたい。それが漁協経営であったり雇用の創出、水産の水揚げ高にもかかわってきますし、ある意味、新しい漁業法改正の目的とするものの一つになるのだと思います。ぜひ成功事例をつくっていただきますように、よろしくお願いしたいと思います。
次に、U・Iターンについてお伺いします。
都市から地方への移住に関心が寄せられております。この追い風に全国の自治体も競い合うように地方の魅力を発信し、移住による人口の増加と移住者の知見を地域の活性化に役立たせようとしております。
東京にあるふるさと回帰支援センターでは、移住、定住に係る問い合わせと来訪者は、2009年の3、823件から、10年で4万1、518件に増加し、25%だった10代から30代の相談は、今では半数を占めるまでに増加しており、若い世代の意識の変化は、地方にとって大きなチャンスになっているとも思います。
来年度の組織改編では、移住、定住業務を政策地域部から商工労働観光部に移管し、新たに定住推進・雇用労働室を設置しようとしております。県内企業、特にも県南地域の人手不足対策の強化を進めるためとも見受けられますけれども、個々のニーズに合った、仕事と暮らしのバランスのとれたアプローチが成果に結びつくと考えますが、取り組みの狙いについてお伺いします。
〇保副知事 今、委員からお話があったとおり、来年度以降、移住、定住のこれまで政策地域部で行っておりましたものを、商工労働観光部において一元化するということでございます。これは、委員からお話があった県南ということには限らず、県下全域でこのふるさと振興総合戦略を進める上でも、外から岩手に帰ってきてもらうことが非常に大事だという認識でございます。
特に、移住に関心を持つ方が、地方への移住に当たって重要な要素の一つになっているのが、移住先において仕事があるかどうかということでございますから、これまで以上に、一人一人のニーズに対応したきめ細やかな支援と岩手で働く、そして、岩手で暮らすことについてのトータルな魅力を発信することが可能になると思っておりますので、この組織体制を円滑にスタートさせまして、本県への新たな人の流れを生み出すことに取り組んでいきたいと思います。
〇工藤大輔委員 県下どこでも人手不足は大変ですけれども、県南の人手不足、これは本当に早急に対応しなければならないという思いを強く持っています。ものづくり産業においては理工系の大学とか、第1次産業においては、例えば農学部とか水産学部とか、やはりターゲットを絞った地域産業の担い手の人材確保に向けた取り組み等も必要だと考えます。来年度の取り組み方針についてお伺いします。
〇保副知事 来年度の人材確保に向けてさまざまなターゲットを絞った取り組みということですが、岩手県のいわてで働こう推進協議会を核とした活動として、これまで、今年度は岩手U・Iターンクラブ、これは首都圏等の大学に加盟していただいております。それから、さまざまな形で開かれております地方の移住に関するフェアですとか、そういったイベントを通じてU・Iターンの促進に取り組んできたところでございます。
これは全体的な取り組みということでございますけれども、ものづくり産業の理工系人材につきましては、理工系学部への個別訪問等の活動の強化、それから、いわて産業人材奨学金返還支援制度を行っておりますが、これは引き続き実施いたしますとともに、来年度は、新たに大学生の個々の希望に応じて、オーダーメード型の企業見学会などの開催も考えております。
また、第1次産業につきましては、東京で就農相談会やU・Iターンフェア等のいわゆる第1次産業向けのイベントなども出展したりして取り組んでおります。このほか、看護職員の確保、定着に向けて、本県出身者等を対象とした特別なセミナーの開催といったようなことも行っております。
オール岩手の取り組みと個々のターゲットを絞った取り組みとをあわせて実施いたしまして、今後、関心を持つ方にきめ細かく対応していきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 そういった取り組みは積極的にやっていただきたいと思います。
あと、やはりいろいろな方と話をすると、首都圏に近いところと岩手では、所得に大きな違いがあると。そういった中で、所得の違いが際立っていくと、明確に選ばれない地域になってしまうのではないかと。やはり暮らしのところの充実、そしてまた、うまい情報提供も必要だと思い、今回、この部局の移管によって、特に暮らしの部分を担ってきた政策地域部から、就職を中心とする商工労働観光部に移管するということで、暮らしの部分のサポートとか取り組みがどのようになっていくのかちょっと不安もあるのですけれども、どのようにフォロー、またカバーしていくのかお伺いします。
〇保副知事 委員からお話があったとおり、これまでは、東京におきましては、東京事務所にある岩手県U・Iターンセンターが、主に職業紹介という面から就職を希望する方向けの対応、それから、ふるさと回帰支援センター内のいわて暮らしサポートセンターということで、これが政策地域部で所管しております岩手への移住、定住を考えている方に、生活全般の相談対応あるいはセミナーの開催といったことをやっておりました。
このいわゆる二元体制といいますか、このことにつきましては、これで本当にいいのかと私自身も問題意識を持っておりましたが、この組織再編にあわせまして、首都圏における両者の総合的なU・Iターンに対する強化ということで、東京事務所に新たに特命課長を駐在させまして、この業務の一元的な統括を行うことにしております。
両センターがそれぞれ持っていた情報とか支援のノウハウといったことを共有させることで、相談に来られた方が、どちらの窓口でも同等の情報やアドバイスが得られるように、ワンストップサービスという形で実現していきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 その件は私も課題であったと思います。やはり、ふるさと回帰支援センターにある岩手ブースから品川区の職業安定所の関係の情報は共有できても、今まで、東京事務所にあるU・Iターンセンターで持っている情報と一致しなかったところが課題だったと思いますので、本当の意味でしっかりとリンクさせてもらって、移住希望者、また相談者がどっちにも行かなくてもいいような形で取り組んでもらえますように、そこを改善していただきますようにお願いしたいと思います。
また、このU・Iターンの取り組みにおいては、市町村の受け皿づくりの体制も重要だと思っております。県内市町村では、移住コーディネーターの配置を進め、先進的な取り組みの情報共有や受け皿づくりの体制を行おうとしておりますけれども、県の考え方についてお伺いしたいと思います。
〇白水政策地域部長 U・Iターンの促進に向けましては、移住希望者や移住者の多様なニーズに対応していくためのいわゆる移住コーディネーターの配置を初めとした受け入れ態勢を整備することが重要と考えております。
このことから、県では、これまで、市町村に対しまして、いわてで暮らそうシンポジウムにおきまして、移住コーディネーターが活躍している他県の先進的な取り組み事例を紹介するとともに、国の特別交付税措置の活用などを提案してきたところでございまして、今年度は、9の市町村で14名の移住コーディネーターが配置されているところでございます。
政策推進プラン案におきましては、県内全市町村への移住コーディネーターの配置を具体的推進方策指標に掲げているところでございまして、来年度は、県と市町村の情報共有の場を設け、本県の魅力の情報発信や受け入れ態勢の整備を重点テーマとして取り組むとともに、移住コーディネーターとの連携を強化しながら、移住、定住の取り組みを推進してまいります。
〇工藤大輔委員 よろしくお願いしたいと思います。この移住コーディネーターの配置は、やはり一番は、市町村がどのように受け皿をつくるか。仕事であったり、暮らしであったり、これは全国がかなり競争しながら、さまざまなサービス合戦になっているのが現状だと思いますので、その態勢の質についてもしっかりとフォローしてもらいますように、よろしくお願いしたいと思います。
それで、市町村の移住コーディネーターをどういった人がやっているのかと資料をいただいたときに見たら、地域おこし協力隊の方が当たっている事例がかなり多いと思います。地域おこし協力隊の方の期限後の定着率が6割程度だと以前の質疑の中で答弁があったと思いますけれども、やはりこの6割の方々の定着率を上げる取り組みが必要なのだと思います。
そのためには、やはり雇用環境であったり、あるいは起業化に向けた支援を積極的に進めながら、新しい外部からの視点を持って地域活動をしていた方が、その地域に新しい風を送るといった取り組みに今以上に取り組まれるべきではないかと思います。今後どのようにするのか、県の考え方をお伺いします。
〇白水政策地域部長 委員が今御指摘されたとおり、先ほどの答弁で、9市町村で14名の移住コーディネーターが配置されていると御答弁申し上げましたが、その半数以上の自治体で、地域おこし協力隊の方をコディネーターとして配置されているということでございます。これは、国の特別交付税措置もあるということで、市町村が積極的に活用していることもあるかと思います。
今後の取り組みでございますけれども、委員からも御紹介がございましたように、特に来年度は、任期が終了した後もしっかり定着されるように、例えば起業セミナーでございますとか、あるいは地域おこし協力隊の方が一堂に会したいわゆるプレゼンテーションの会といいますか、そういうマッチング的なことを想定した会も開催するなど、しっかりと取り組みを強化できるように取り組んでまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 よろしくお願いしたいと思います。
次に、特定区域産業活性化奨励事業費補助についてお伺いします。
東芝メモリ株式会社では、平成29年9月に北上市へ新拠点の設置を公表し、報道によると1兆円とも言われる投資を行い、2019年秋には建設工事が終了し稼働する計画となっております。この大規模投資は県内に相当規模の経済波及効果をもたらすほか、フル稼働時には1、000人が勤務すると見込まれており、県では、工場建設投資に対して、5年間で50億円の支援を行おうとしております。
操業開始時の人材確保が課題とされている一方、操業開始以降においても、安定的に人材の確保が図られるよう人材育成に取り組む必要があると考えておりますけれども、県はこれにどのように対応していくのかお伺いします。
〇保副知事 県におきます半導体関連産業の支援、特に人材育成の件でございますけれども、県としては、東芝メモリだけということではなくて、県内半導体関連産業全体の厚みを増すという観点から、幅広い人材の育成を図っていくこととしております。
特に、昨年4月、北上市に地域産業高度化支援センターを設置いたしまして、県内の高校生や大学生を対象とした半導体関連企業への工場見学会や、いわて産業振興センターに委託しての機器保全等の技能講習といった各種講座を、幾らかでも多くの人材が育つようにということで実施しております。
さらに、来年度は、こうした技能講習のメニューをふやすことのほか、学校への企業経営者による出前授業の強化、それから、教員や保護者向けの県内ものづくり産業を紹介する講演会など、さまざま人材定着と人材育成を進めてまいります。
なお、東芝メモリから聞いておりますところでは、新工場の稼働に向けて、新卒者や中途者の採用、さらには、四日市市の工場からの出向者を含めて人員確保を進めているということで、2020年に本格稼働、量産開始という見込みですが、影響はないと聞いております。
〇工藤大輔委員 今回、県では人件費についても支援をするということのようでありますが、これは初年度だけでしょうか。次年度以降も必要になってくるのかどうか、わかればお示しください。
〇保副知事 今の人件費というのは、東芝メモリに対するものという理解でよろしいでしょうか。
これは、5年間で50億円の支援ということでお願いしておりますけれども、この算定のときに、その年、その年、きちんと計算をしながらやっていくものでございます。
〇工藤大輔委員 今答えられたのは、5年間で、それぞれ年度ごとに算定するということですか。すみません、もう一度お願いします。
〇保副知事 この補助につきましては、設備投資あるいは雇用の拡大に着目して、それが将来は税源の涵養につながるという観点から補助をするものでございますが、その設備投資の状況、それから、それぞれ毎年の雇用の拡大の状況といったものを踏まえて、算定しながら支援をしていきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 そうなると、まず、総額が50億円ということで、その中で固定資産投資に関するものと雇用に関するものと、それぞれ年度で分けながらやっていく、そして5年間で総額50億円という認識でよろしいですか。
〇保副知事 今、委員がおっしゃったような認識で結構でございます。
〇工藤大輔委員 世界的なシェアを拡大しようとしている東芝メモリの生産拠点の整備ということからすれば、今回の事業で全てというわけではないのではないかとも思います。企業誘致に当たって、将来の拡大等の見通しとか、何らか東芝メモリサイドと協議等があったのかどうかお伺いします。
〇保副知事 現在、東芝メモリにおいては、とにかく新しい工場をまず万全な形で立ち上げることに全力を傾注しているところでございまして、県といたしましても、まずはそのことに全力を挙げて支援をするということでございます。
それから、申しわけありません、答弁につきまして修正させていただきたいと思いますが、先ほどの50億円の中身でございますけれども、固定資産投資に対する補助と雇用に対する補助ということで中身が分かれておりますが、固定資産投資に対する補助につきましては5年間にわたって計算をしてまいりますが、雇用に対する補助につきましての算定は、2019年度、平成31年度のみというものでございます。失礼しました。
〇工藤大輔委員 私はその件で、毎年雇用を拡大していく中にあって、初年度の支援だけで大丈夫かなという思いを持っての質問でありましたので、そういう方向で決まっているのであれば、了解しました。
いずれ、東芝メモリは、私はさらに拡大する可能性があるとも思っております。そういった際に、用地とか、例えば工業用水とかも含めていろいろな準備に前もって取り組まなければならないと思いますので、なかなか言えない分野もあろうと思いますが、必要な態勢はきっちり整えていっていただきますように、よろしくお願いしたいと思います。
東芝メモリの新生産拠点の立地によって、関連企業の進出も見込まれるとも思います。現時点でどのように把握しているのかお伺いします。また、地場企業の参入の見込みについてもお伺いします。
〇保副知事 東芝メモリの進出を契機といたしまして、これまでに、半導体製造装置のメンテナンスですとか、産業用ガスを供給するといった企業10社程度の立地が決定しております。さらに複数の企業の進出動向も把握している状況でございます。
既に東芝メモリの一大拠点がある四日市市の状況と比較いたしましても、今後、北上市の工場の稼働に伴って、さらに企業の進出が見込まれるものでございます。
それから、地場企業が東芝メモリ及び関連企業との取引ができるかということですが、主に設備のメンテナンスですとか、直接のものづくりということではなくても、さまざまなサプライに関連するサービス産業への波及など、地域産業全体にとって大きな参入のチャンスと考えておりまして、これが全体の活性化につながっていくものと考えております。
従来から、いわて半導体関連産業集積促進協議会という県内の関係機関で構成する組織で活動しておりますが、この中で、地場企業の取引拡大に向けては、さらに進めていきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 東芝メモリだけではなく、自動車、半導体という観点から見ても、誘致企業において、やはり地場産業の進出が必要なのだと思います。ものづくり産業の推進を進める本県にとっても、このことは重要施策に上がってくるのだと私は思っております。AIやIoTといった先端の技術を活用したものを使いたいといった際の中小企業への支援等も、やはりこれは拡充していくべきだと思いますが、県の考えをお伺いします。
〇保副知事 自動車産業がこのように一大拠点化になっていることですとか、それから、午前中の質疑でもございましたヘルスケア産業において、今取引が拡大しているとかということは、将来の県内の中小企業の振興あるいは地場産業が大きく成長していく非常に大きな可能性があるものと考えております。
県の支援ということですが、この生産性の向上ですとか技術の高度化を初め、さまざまなサービスの開発に対しましては、国のいわゆるものづくり補助金、今の正式名称で申し上げますと、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金といったものですけれども、そういったものを積極的に導入していくことですとか、自動車に限った話ですが、自動車関連産業の重点強化支援事業費補助といったもの、それから、県北エリアにおきましては、県北広域産業力強化促進事業費補助といったさまざまな取り組みをしております。これは新年度もやっていきますし、また、今後もどのような支援が可能か、必要かということについては、不断に検討してまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 産業政策においては、その波及効果をぜひ高めてもらいたいと思いますので、積極的なチャレンジをしてもらいたいと思います。そのことを申し上げまして、質問を終えたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手)
〇軽石義則委員長 お諮りいたします。続く総括質疑はあす行うこととしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇軽石義則委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
あす以降は、毎日午前10時から開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後5時45分 散 会

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