平成30年9月定例会 決算特別委員会会議録

前へ 次へ

決算特別委員会会議記録
(第 8 号)
平成30年10月12日(金)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 村 上 宏 治
議事管理担当課長 安 齊 和 男
主任主査 柳 原   悟
主任主査 金 戸 伸 幸
主査 上 野 公一郎
主査 小 原 亜季子
主査 赤 坂 宏 紀
主査 戸 塚 教 仁
1説明員
県土整備部長 八重樫 弘 明
技監兼
河川港湾担当技監 中 平 善 伸
副部長兼
県土整備企画室長 小 原   勝
道路都市担当技監 遠 藤 昭 人
技術参事兼
河川課総括課長 杣     亨
県土整備企画室
企画課長 嵯 峨 俊 幸
県土整備企画室
管理課長 高 井 知 行
用地課長 佐々木 一 弘
空港管理課長 佐々木   誠
建設技術振興課
総括課長 大久保 義 人
技術企画指導課長 沖 野 智 章
道路建設課
総括課長 田 中 隆 司
道路環境課
総括課長 白 旗 牧 人
河川開発課長 佐々木 雅 章
砂防災害課
総括課長 佐 野   孝
都市計画課
総括課長 山 田 壮 史
まちづくり課長 小野寺   淳
下水環境課
総括課長 阿 部 善 一
建築住宅課
総括課長 伊 藤 勇 喜
住宅課長 小野寺 哲 志
営繕課長 野 里 茂 生
港湾課総括課長 照 井   巧

会計管理者 高 橋 宏 弥

監査委員 寺 沢   剛
監査委員 沼 田 由 子
監査委員事務局長 熊 谷 正 和
監査第一課
総括課長 千 葉 達 也
監査第二課
総括課長 小 守 健 一

財政課総括課長 臼 井 智 彦
〇名須川晋委員長 これより本日の会議を開きます。
この際、10月10日に高橋但馬委員から議事進行があったことについて、10月10日及び昨日、世話人会を開催し、協議した結果について御報告いたします。
議事進行の内容につきましては、10月4日の政策地域部審査における千葉絢子委員の質疑における発言のうち、その業者に対する見積もり依頼のメールの中で、議会からの追及が厳しいので内容の精査をということで依頼があったと伺っておりますとの部分について発言の撤回を求めるものでありますが、世話人会で協議した結果、発言の撤回は求めないとの結論に至ったところであります。
なお、世話人会におきましては、発言のあり方についてさまざまな議論があったところでありますが、千葉絢子委員の誤解を招いた発言等も含め、伝聞や報道等に基づく発言に当たっては、発言の趣旨が適切に伝わるよう御留意いただくことについて、委員各位に御確認願うこととして意見が一致したところでありますので、御了承願います。
〇斉藤信委員 日本共産党は世話人会に参加していないので、今の世話人会のまとめについて、私はちょっと事実を確認したい。
一つは、千葉絢子委員の誤解を招いた発言となっていますが、この発言は事実と違ったのではないか、それが一番の問題だと思うのです。
もう一つは、最後のところで、委員各位に御確認を願うというのはどういう意味ですか。本人に確認するならともかく、私は、10月10日に配付のあった速記録の千葉絢子委員の質問を1ページから見ましたけれども、ここから始まっているのです。
きのう、業者に対して裏づけのある見積もりの再提出を求めたそうですねと。そことのかかわりで、次のページに、業者に対する見積もり依頼のメールの中で、議会からの追及が厳しいので云々と。これに対して、参事兼三陸防災復興プロジェクト2019推進課総括課長は、メールの内容については私、承知しておりませんでしたので、後で確認してみたいと思いますと。もし、そういうことであれば大変申しわけなかったと、ここまで答弁しているわけです。しかし、そのメールはなかったというわけですから、誤解ではなくて、事実に反したというその事実確認は世話人会でされたのか。そして、最後に、議員各位に御確認願うというのはどういう意味なのか、このことを説明してください。
〇名須川晋委員長 斉藤信委員の御質問についてでございますが、千葉絢子委員が御発言をされた、その業者に対する見積もり依頼のメールの中で、議会からの追及が厳しいので内容の精査をということで依頼があったと伺っておりますというくだりでございますけれども、これは、県から業者に対してのメールではなくて、業者間の見積もり依頼のメールの中でそういうやりとりがあったということでございまして、その旨が世話人会の中で報告があったということでございますから、この点について、文脈を読み取ると、県から業者ということにも読み取れるわけでございますが、御本人は、業者間であるということを、世話人会を通して御報告をいただいたということでありますので、御理解をいただきたいと思います。
また、委員各位に御確認を願うということは、発言について、おのおのお気をつけいただきたいという意味でございますので、よろしく御了承ください。
これより議事に入ります。
認定第1号から認定第14号まで、並びに議案第38号及び議案第39号の以上16件を一括議題といたします。
本日は、県土整備部関係について12人の質問者を予定しており、その後、決算14件及び議案2件について意見の取りまとめと採決を行いたいと思いますので、御了承願います。
初めに、県土整備部長に県土整備部関係の説明を求めます。
〇八重樫県土整備部長 平成29年度決算の内容について御説明申し上げます前に、県土整備部所管の事務事業に係る主な取り組みと成果につきまして御説明申し上げます。
まず、震災関連についてですが、東日本大震災津波復興計画の着実な推進に取り組んだところです。具体的には、防災のまちづくりでは、防潮堤などの海岸保全施設の復旧、整備や水門、陸閘自動閉鎖システムの整備に取り組むとともに、市町村の復興まちづくりの支援やこれと連携した道路整備を進めるなど、多重防災型まちづくりの推進に取り組みました。この結果、平成29年度末時点で、県土整備部が所管する防潮堤等の海岸保全施設については、計画している65地区全ての整備に着手し、平成29年度末で39地区が完成しました。
交通ネットワークでは、災害に強く信頼性の高い道路ネットワークを構築するため、国と連携し復興道路の整備促進に取り組んだほか、県で整備する復興支援道路、復興関連道路の整備推進に取り組みました。この結果、三陸沿岸道路を初めとした復興道路等の整備が進み、平成29年度末における復興道路の供用延長は176キロメートルで、事業化延長の約5割が供用されたほか、復興支援道路では、改築予定の33カ所のうち24カ所、復興関連道路では、改築予定の19カ所のうち13カ所が供用済みとなりました。
港湾では、国による釜石港の湾口防波堤の復旧が完了したほか、県が管理する岸壁の復旧整備が完了しました。
暮らしの再建では、被災者の方々が一日も早く安心して暮らせるよう、災害公営住宅の早期整備に取り組んだ結果、平成29年度末時点で、県、市町村合わせて215地区、5、865戸のうち、約9割となる186地区、5、284戸が完成しました。
次に、震災以外の分野につきましては、安全で安心な暮らしを確保する取り組みの推進や、復興道路を核とした物流、産業振興を支える取り組みの推進を重点施策とし、いわて県民計画第3期アクションプランに掲げる社会資本の四つの政策項目の着実な推進に取り組んできました。
まず、産業を支える社会資本の整備では、物流の効率化による産業振興や広域観光ルートの形成を支える道路として、矢巾スマートインターチェンジなどの高規格幹線道路へのアクセス道路や国道281号案内工区などの内陸部と港湾を結ぶ道路等の整備に取り組みました。
また、港湾の利活用の促進につきましては、釜石港のガントリークレーンや宮古港のフェリーターミナルの整備など、港湾施設の機能強化を進めたほか、荷主企業や船会社などへのポートセールスに取り組みました。これらの取り組みの結果、外貿定期コンテナ航路の開設が実現するとともに、大型外航クルーズ船の寄港が決定したところです。
次に、安全で安心な暮らしを支える社会資本の整備では、近年頻発している豪雨や土砂災害などから県民の生命、財産を守るため、治水施設や砂防施設等の整備とあわせ、水位周知河川の指定や土砂災害のおそれのある区域の公表を行うなど、ハードとソフトを組み合わせた防災、減災対策の推進に取り組みました。また、信頼性の高い道路ネットワークの確立に向け、橋梁の耐震化など防災対策に取り組みました。
次に、豊かで快適な環境を創造する基盤づくりでは、汚水処理施設などの都市基盤の整備や多自然川づくりによる良好な水辺空間の確保、美しく魅力あるまちづくりの推進などに取り組みました。
次に、社会資本の維持管理と担い手の育成、確保では、岩手県公共施設等総合管理計画に基づき策定した橋梁やトンネルなどの個別施設計画により、計画的な維持管理や施設の長寿命化等に取り組みました。
維持管理計画の直接の担い手である建設企業の育成、確保につきましては、建設現場の生産性向上に向けてICTを活用した工事や週休2日のモデルとなる工事を試行的に導入したほか、建設企業の経営力強化等に関する講習会を開催するなど、社会資本の維持管理に不可欠な地域の建設企業の経営基盤強化や技術力向上に取り組みました。
次に、県内に甚大な被害をもたらした平成28年台風第10号災害への対応につきましては、被災した公共土木施設の早期復旧、河川の改良復旧事業や砂防堰堤の整備等に取り組みました。
土木施設災害復旧工事の契約状況につきましては、現時点で9割を超えており、引き続き早期復旧、復興に向けて取り組んでいきます。
以上が県土整備部における平成29年度の主な取り組みと成果の概要であります。
東日本大震災津波の発災から7年半余が経過しましたが、県土整備部では、他府県等からの応援をいただきながら、総力を挙げて復旧、復興に取り組んでおります。平成28年台風第10号災害の一日も早い復旧、復興、いわて県民計画の着実な推進とあわせて、今後とも、職員一丸となって取り組んでまいります。
それでは、平成29年度県土整備部関係の決算について御説明申し上げます。
なお、本年4月の組織再編に伴い、空港利用促進業務を政策地域部へ移管しておりますので、これから御説明いたしますのは、現在、県土整備部が所管している内容であることをお断り申し上げます。
お手元の平成29年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開きください。
まず、一般会計についてでありますが、県土整備部関係は、6款農林水産業費3項農地費の一部、8款土木費、16ページに参りまして、11款災害復旧費5項土木施設災害復旧費であります。これらの予算現額の合計は3、626億1、122万円でありますが、これに対する支出済額の合計は2、253億5、529万円余となっております。また、翌年度繰越額の合計は1、242億2、941万円余、不用額の合計は130億2、650万円余となっております。
次に、一般会計歳出決算の内容につきまして、便宜、平成29年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げます。
なお、主な事業を中心に御説明申し上げますので、御了承願います。
歳入歳出決算事項別明細書の262ページをお開き願います。6款農林水産業費3項農地費2目土地改良費のうち、当部関係は、265ページの備考欄下から4行目以降の4項目で、汚水処理施設整備の補助などに要した経費であります。
次に、少し飛びまして、298ページをお開き願います。8款土木費のうち、政策地域部へ移管した事業を除いた支出済額は1、760億3、904万円余となっております。翌年度繰越額は、繰越明許費589億602万円余、事故繰越は222億8、894万円余となっており、これらは、震災復旧、復興事業の計画調整に不測の日数を要したことや、工法の見直しにより工事が遅延したことなどが主な理由であります。また、不用額は107億1、726万円余となっており、前年度繰越事業の計画変更や入札執行残などが主な理由であります。
8款土木費1項土木管理費1目土木総務費の主なものは、職員の人件費など当部の管理運営に要した経費、国庫補助事業費の確定に伴う償還金、特別会計への繰出金などであります。2目建設業指導監督費は、建設業者の許可、指導監督及び支援に要した経費であります。300ページをお開きいただきまして、3目建築指導費は、建築確認事務に、4目空港費は、空港設備の維持補修に要した経費であります。
次に、302ページをお開き願います。2項道路橋りょう費1目道路橋りょう総務費は、職員の人件費や事務的経費のほか、市町村道路事業の指導監督に要した経費であります。2目道路橋りょう維持費の主なものですが、備考欄1行目の道路環境改善事業費は、歩道の整備や道路、橋梁の補修など道路環境の改善に要した経費であり、除雪費は、県管理道路の除雪に、道路維持修繕費は、県管理道路の日常的な維持管理や応急補修などに要した経費であります。次に、304ページをお開き願います。3目道路橋りょう新設改良費の主なものですが、備考欄1行目の地域連携道路整備事業費は、一般国道340号など57路線の拡幅、線形の改良、バイパスの建設などの道路整備に要した経費であり、3行目直轄道路事業費負担金は、復興道路など国が行う道路整備に対する県の負担金であります。
3項河川海岸費1目河川総務費の主なものですが、備考欄下から2行目の河川海岸等維持修繕費は、河川、砂防、海岸施設の維持管理や修繕に要した経費であります。次に、306ページをお開き願います。2目河川改良費の主なものですが、備考欄1行目の基幹河川改修事業費は、一級河川木賊川など9河川の改良に要した経費であり、三陸高潮対策事業費は、二級河川甲子川など11河川の水門や防潮堤などの整備に要した経費であります。3目砂防費の主なものですが、備考欄中ほどの総合流域防災事業費は、土砂災害警戒区域の指定のための基礎調査などに要した経費であります。次に、308ページをお開き願います。4目海岸保全費の主なものですが、備考欄1行目の海岸高潮対策事業費は、野田地区海岸の防潮堤の整備などに要した経費であります。5目水防費は、水防警報施設の保守整備に要した経費、6目河川総合開発費は、簗川ダムの建設などに要した経費であります。
次に、310ページをお開き願います。4項港湾費1目港湾管理費、備考欄下から4行目の港湾利用促進費は、荷主企業の訪問など港湾利用拡大活動のために要した経費であります。2目港湾建設費の主なものですが、備考欄1行目の港湾高潮対策事業費は、大船渡港海岸及び宮古港海岸の防潮堤の整備に要した経費であります。続いて312ページに参りまして、備考欄1行目の港湾施設改良事業費は、宮古港のフェリーターミナルの整備などに要した経費であり、次の直轄港湾事業費負担金は、久慈港湾口防波堤の整備など国が行う事業に対する県の負担金であります。
5項都市計画費1目都市計画総務費の主なものですが、備考欄の中ほどの広域公園管理費は、御所湖広域公園の維持管理などに要した経費であります。2目街路事業費の主なものですが、備考欄1行目の広域公園整備事業費は、花巻広域公園の施設の更新や高田松原津波復興祈念公園の設計などに要した経費であり、都市計画道路整備事業費は、盛岡駅長田町線などの都市計画道路の拡幅整備などに要した経費であります。次に、314ページをお開き願います。3目下水道事業費の主なものですが、備考欄2行目の浄化槽設置整備事業費補助は、個人設置型の浄化槽の整備に要した経費の一部を補助した市町村に対する補助であります。
6項住宅費1目住宅管理費の主なものですが、備考欄4行目の公営住宅維持管理費は、県営住宅の指定管理などに要した経費であり、下から3行目生活再建住宅支援事業費は、被災者の住宅の新築、改修などに係る経費の一部を補助した市町村に対する補助であります。2目住宅建設費の主なものですが、備考欄2行目災害公営住宅整備事業費は、大槌町三枚堂地区など6地区の災害公営住宅の整備に要した経費であります。
次に、少し飛びまして、356ページをお開き願います。11款災害復旧費5項土木施設災害復旧費の支出済額は490億8、914万円余となっております。翌年度繰越額は、繰越明許費321億7、171万円余、事故繰越は108億4、663万円余となっており、これらの繰り越しは、震災復旧事業の事業計画の変更や平成28年台風第10号災害復旧事業の計画調整に時間を要したことなどが主な理由であります。不用額は23億910万円余となっており、入札執行残や前年度繰越事業の計画変更などが主な理由であります。1目河川等災害復旧費の主なものですが、備考欄2行目河川等災害復旧事業費は、東日本大震災津波や、平成28年台風第10号などにより被災した河川、道路の復旧に要した経費であります。358ページに参りまして、2目港湾災害復旧費の主なものですが、備考欄1行目港湾災害復旧事業費は、東日本大震災津波により被害を受けた大船渡港など6港の港湾施設の復旧に要した経費であり、次の直轄港湾災害復旧事業費負担金は、平成29年度に完了した釜石港湾口防波堤など国が行う復旧事業に対する県の負担金であります。3目都市災害復旧費の主なものですが、備考欄1行目都市災害復旧事業費は、平成28年台風第10号などにより被災した公園等の復旧に要した経費であります。
以上で一般会計の説明を終わります。
次に、特別会計について御説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元の平成29年度岩手県歳入歳出決算書の38ページをお開き願います。平成29年度岩手県土地先行取得事業特別会計の決算について御説明申し上げます。
まず、歳入の状況でありますが、収入済額の合計は26万円余であり、その主なものは、土地開発基金運用の利息収入であります。
次に、歳出の状況でありますが、支出済額の合計は26万円余であり、一般会計への繰出金であります。
次に、44ページをお開き願います。平成29年度岩手県流域下水道事業特別会計の決算について御説明申し上げます。
まず、歳入の状況でありますが、収入済額の合計は90億5、804万円余であり、その主なものは、流域下水道の維持管理費などに係る市町負担金のほか、国庫補助金、前年度からの繰越金であります。
次に、歳出の状況でありますが、支出済額の合計は79億7、754万円余であり、その内容は、流域下水道の維持管理及び建設に要した経費や県債の元利償還金であります。
次に、48ページをお開き願います。平成29年度岩手県港湾整備事業特別会計の決算について御説明申し上げます。
まず、歳入の状況でありますが、収入済額の合計は32億5、941万円余であり、その主なものは、一般会計からの繰入金及び前年度からの繰越金であります。
次に、歳出の状況でありますが、支出済額の合計は29億4万円余であり、その内容は、釜石港のガントリークレーンなど6港の施設整備に要した経費及び県債の元利償還金であります。
これで特別会計の説明を終わります。
以上をもって県土整備部所管に係る平成29年度決算について説明を終わらせていただきます。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇名須川晋委員長 これより質疑を行いますが、世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇軽石義則委員 外航クルーズ船誘致事業費についてお伺いをいたします。
県でも、商工労働観光部の対応等含めてこれまでもインバウンドを拡大していく議論をしてきましたが、まさに外航クルーズ船の誘致によるインバウンドというのも大事であると思っておりますけれども、この誘致事業の現状と成果、課題についてまずお伺いをいたします。
〇照井港湾課総括課長 外航クルーズ船誘致事業の現状についてでございますけれども、平成28年度に、宮古港におきまして船舶の航行安全対策の検討を行いまして、14万トン級の大型クルーズ船が安全に入出港できることを確認したところでございます。これを踏まえまして、平成29年度は、宮古港に14万トン級の大型クルーズ船が寄港した際の埠頭内での物販や、大型観光バス駐車場等についてのレイアウト案を作成したところでございます。
また、寄港誘致につきましては、宮古港への大型クルーズ船の寄港実現に向けまして、宮古市とともに、海外に本社を置くクルーズ船社の日本支社等への訪問活動や、国土交通省主催のクルーズ船社との商談会に参加するなどしたところでございます。
成果につきましては、本県初となる10万トンを超える大型クルーズ船が平成31年4月に宮古港に寄港することが決定いたしまして、これが平成29年12月に運航会社から発表されたこと、そして、大型クルーズ船が宮古港に寄港する際の埠頭内での乗客等の動線や物販、大型バス駐車場、保安エリア等のレイアウト案を作成したことにより、受け入れ環境整備が進んだことが挙げられます。
また、課題といたしましては、クルーズ船寄港による観光産業の振興を図るため、さらなる寄港拡大に向けた取り組みが必要であると認識しているところでございます。
〇軽石義則委員 非常に成果も出ていて、今後につながる道筋ができてきているということだと思いますけれども、今、観光にもつながるというお話もありましたが、これからがまさに大事な取り組みではないかと考えております。商工労働観光部では、外国のお客様向けの周遊パスなどの導入も含めて二次交通との連携をとっていくということですが、そのときに、外航クルーズ船の話は出ておりませんでしたので、やはりそういう関係箇所、観光なり物販と言っても地域の特産品を含めてしっかり宣伝をして誘致事業をしなければ効果は高まらないと思うのですが、それら関係するところとの連携などはどのようになっているのでしょうか。
〇照井港湾課総括課長 外航クルーズ船の誘致につきましては、外航クルーズ船の日本の支社に働きかけを行っているわけですけれども、その際には、地元の宮古市とともに、県の観光課の担当者も必ず同行いたしまして、県の観光地も紹介してもらいながら、宮古市のアピールをしているという状況でございます。
〇軽石義則委員 私も以前、秋田港に調査に行った際に、当然、乗船しているお客様の観光ルートも大事ですけれども、乗組員の皆さんが上陸した際の休息といいますか、その後のいろいろな連携というのも大事だというお話も聞いてきたところであります。関連する箇所とも連携をとっているというお話ですが、それらの受け入れ態勢整備についてはどのような連携をとっているのかをお伺いいたします。
〇照井港湾課総括課長 今年5月と9月に、震災後初となります外航クルーズ船が宮古港に寄港しております。乗組員の方は、寄港地に着きますと、自分の家族に連絡をとったりするためWi-Fiが非常に重要なのだそうです。それで、今回の場合は、宮古市で無料Wi-Fiを設置いたしまして対応していますし、来年のダイヤモンド・プリンセスの寄港に向けてもそういうものを準備することで、宮古市と今調整を進めているところでございます。
乗組員の方は、寄港地においては、遠くには出かけないのですけれども、非番になっている方は、周辺の商店とかに出かけて買い物をすることがあるそうですので、そこでの外国語対応についても準備を進めていきたいと考えております。
〇軽石義則委員 しっかりそれらの対応を含めて進めていくことが、さらに寄港する船もふえてくるということだと思います。今回は宮古港で受け入れるわけですが、岩手にはまだほかの港湾もあり、他の港湾の受け入れ態勢等はどのようになっているのでしょうか。
〇照井港湾課総括課長 今のところ、宮古港以外に外航クルーズ船が寄港した実績はございません。ただ、大船渡港の場合ですと、例えば5万トン級の飛鳥2が毎年寄港しているという状況もありますので、昨年も海外のクルーズ船社の本社の寄港地選定のキーマンを招請しておりまして、その方々に、例えば宮古港なり大船渡港を見ていただいて、周辺の観光地も御案内した際には、市の担当者に説明をしていただくなど、地元市と連携をして、大船渡港についても誘致に取り組んでいるところでございます。
〇軽石義則委員 今、釜石港の話も出るのを期待していたのですけれども、ラグビーワールドカップ2019釜石開催はもう来年に迫っていて、多くのお客さんを受け入れることが大事だということはずっと課題になっています。釜石市周辺を含めて、受け入れられる宿泊者数はもう決められており、クルーズ船も活用して、特に海外から来る参加国それぞれのチームの応援の方々が来る可能性も高いと言われているわけですから、それにきちんと対応しておかないと、来年いきなりということにはなかなかなり得ないと思うのです。ラグビーワールドカップに関連して対応してきたことがあれば、お示し願いたいと思います。
〇照井港湾課総括課長 ラグビーワールドカップに関連したクルーズ船誘致の取り組みについてでございますけれども、平成27年3月に、ラグビーワールドカップ2019釜石開催が決定したところでございまして、それ以降、クルーズ船社を訪問する際には、2019年に岩手でラグビーワールドカップが開催されますということをアピールしながら寄港の働きかけを行ってきているところでございます。しかしながら、今のところ、ラグビーワールドカップ開催に合わせてクルーズ船を運航していただけるという情報は、まだいただいていないところでございます。
〇軽石義則委員 情報がなければ発信して、魅力を感じてもらうようにつくっていかなければならないのではないかと思います。これから間に合うかどうかはやってみなければわからないところもあると思いますが、直接、ラグビーワールドカップの参加国に出向いて、観光を含めて宣伝するという考えはあるのでしょうか。
〇照井港湾課総括課長 ラグビーワールドカップの参加国に出向いて直接働きかけをすることまでは今のところまだ考えていないのですけれども、例えば日本に寄港している海外のクルーズ船社の日本支社ではなくて本社に行ったほうが、より効果的な誘致活動ができるという場合も今後出てくるかと思いますので、そういう場合には、直接海外に行って、釜石港も含めて岩手の港の売り込みを図っていくことも考えていきたいと思います。
〇軽石義則委員 どちらかというと、必要であればやるのではなくて、岩手の魅力、震災後の岩手はこんなによい状況になりましたという情報発信はかなり強いと思うのです。津波を経験したところから出るわけですので。ぜひやっていこうという強い思いを少し込めて答弁をいただいたほうが、開催地である釜石選挙区から選出されている小野委員、岩崎委員も非常にうれしいのではないかと思います。まさにそういう沿岸被災地で頑張っている皆さんに力を与えるようなものにしてもらえないと、ラグビーワールドカップは終わりましたがクルーズ船は来ませんでしたでは、せっかくやっているのだけれども何の効果にもならないと思うのですが、部長、どうでしょうか。
〇八重樫県土整備部長 岩手県は、北から南まで200キロメートル以上にわたる海岸線を持っている海洋県でもあります。重要港湾を4港備えているということで、本当に御指摘のとおり、海洋県として岩手県をPRするというスタンスを持ちながら、積極的に震災復興の状況もPRしてまいりたいと思います。
クルーズ船は、船社がどういうお考えで運航していくかということもありますので、直接参加国というよりは、クルーズ船社に対して、岩手はここまでこういうふうに元気になっているとか、こういう受け入れ態勢もあるということを、御指摘も踏まえながら、関係部署とも連携しながらぜひ取り組んでまいりたいと思います。
〇軽石義則委員 ぜひ強い思いを出していただきたいと思いますし、クルーズ船社に頼むことも大事だと思いますけれども、国内にはラグビーワールドカップを開催する12会場があって、海につながっている会場もあるわけです。開催日程に合わせて岩手にも寄港してもらうように、他の開催地とも連携をとることは大事だと思います。そのことをしっかりやっていただいて、やっぱり岩手の港湾は船で来ても安心だし、寄っても楽しいところだとなるように、さらに関係箇所と連携をとっていただきたいと思いますが、その部分はどうでしょうか。
〇八重樫県土整備部長 他の開催地、開催都府県との連携でございますが、今のところは具体的に構想として持ち合わせておりません。文化スポーツ部あるいは商工労働観光部とも相談しながら、可能性についていろいろ探っていきたいと思います。
〇軽石義則委員 ぜひ関係箇所、開催地とも連携をとっていただいて、国土交通省にもしっかりその部分をPRして訴えて、さらに支援なり協力をいただくことも大事だと思いますので、実現することを強く要望して終わります。
〇岩崎友一委員 まず最初に、社会資本整備総合交付金、以下、社総交と言いますけれども、この通常分に関して取り上げたいと思います。
平成26年度以降の社総交の国からの内示状況について資料の読み込みをさせていただきました。それで、非常に気になっているのが、今、社総交に関しては震災後に復興枠ができて、そちらでも事業を執行しているというのは十分理解した上での質問でありますけれども、通常分に関して、社総交は、社会資本整備総合交付金事業と防災・安全交付金事業と二つあるわけでございまして、それぞれ県分と市町村分があると。この二つの事業とも、平成26年から比較しましても県分の交付金が減ってきているという現状であるかと思いますけれども、まずこの辺の状況を県としてどのように捉えているか、お示しをいただきたい。
〇嵯峨県土整備企画室企画課長 社会資本整備総合交付金についてでございますけれども、ただいま御指摘ありましたとおり、平成30年度の本県への配分額は約71億円となっておりまして、5年前と比較いたしますと、平成26年度の約89億円に対して約18億円の減という状況でございます。
要因といたしましては、交付金の配分に当たり、国で重点配分の対象事業を定めておりまして、例えば物流ネットワークの強化に資するアクセス道路の整備などが対象とされているところでございます。
本県におきましては、先ほど委員からも御案内ございましたとおり、そういった対象事業の多くが、復旧復興事業費により措置されているという状況もございまして、通常分の配分がふえない要因の一つではないかと考えているところでございます。
〇岩崎友一委員 それで、一応確認ですけれども、気になっているのが、被災地という部分で見ますと、社総交全体でありますけれども、平成30年度は、青森県が約296億円、宮城県が約283億円、秋田県、山形県は岩手県並みでもあるのですが、岩手県は約240億円ということで、同じ被災地でも青森県、宮城県ともちょっと金額的に違います。宮城県とは43億円くらい違うわけでありますけれども、その辺をどのように考えておられますでしょうか。
〇嵯峨県土整備企画室企画課長 ただいま御指摘がございました青森県、宮城県と、配分額、内示額に差があるということでございますが、委員御案内のとおり、社総交につきましては、通常分に加えて復興分というのも配分をいただいております。
平成30年度は、通常分につきましては、青森県、宮城県のほうが本県に比べて多いという状況でございますが、復興分について見ますと、青森県が約30億円、宮城県が約137億円に対しまして、本県への配分額が約206億円ということでございまして、宮城県と比べても約70億円近く多い配分額になっている状況でございます。
〇岩崎友一委員 私も国で復興枠と通常枠のバランスをどのようにとっているかというのはちょっとわからない部分もあるわけでありますが、岩手県でも復興需要というか、復興事業も大分減ってまいりまして、これから通常分をしっかりふやしていかなければいけないという思いを持っております。道路にしましても、恐らくきょうも質疑が出ると思うのですが、新笹ノ田トンネルもありますし、土坂峠や平庭峠、押角トンネルの前後の整備等々もあります。また、全県的には河川改修、河川整備の要望も伺っていると思いますので、そういった事業をしっかりと遂行するためにも、通常分をこれからどんどん獲得しなければならないと思っております。その辺は小原副部長は財政課総括課長もやっていましたので、いかに国から予算を引っ張ってくることが重要かというのも理解していただけるかと思うのですけれども、今の予算獲得に向けた国への要望の状況というのはどうなっていますでしょうか。
〇嵯峨県土整備企画室企画課長 国への要望の状況についてでございますけれども、引き続き国土強靭化とか生産性の向上に資する社会資本の整備といった、通常の公共事業の予算を今後どんどん確保していかなければならないというのは委員御案内のとおりでございます。そういった通常分の予算の確保に向けましては、昨年度の状況を申し上げますと、6月に政府予算要望ということで全庁的な要望を実施しておりますし、県土整備部としても、国土交通省に対して要望をしているところでございます。
また、それぞれの事業予算の要求、概算要求に向けた要望といった中で各事業課でも個別の協議等を通じまして、交付金等の確保に努めている状況でございます。
今年度におきましても、6月には全庁的な要望をしたところでございまして、県土整備部としては、来月また国土交通省に予算の確保に向けた要望を実施したいと考えております。
〇岩崎友一委員 予算を持ってくることの必要性は共有できていると思いますので、要望には行かれているということでありますけれども、その要望の回数もそうでありますけれども、相手方であったり、また、要望の方法を工夫しながら、どうやったら予算を持ってこられるのかという視点から逆算をして要望活動を行っていただきたいと思います。
政府におきましても、12月の国土強靭化の閣議決定に向けて、これはハードもソフトもあると思うのですが、補正予算に向けて閣議決定する方向で調整もされているということでもありますので、そういった機も逸することなくしっかりやっていただきたいと思いますが、部長、まずここはいかがでしょうか。
〇八重樫県土整備部長 社会資本整備総合交付金等の確保に向けまして、国に対しては全庁的な政府予算要望を実施しております。例年、県土整備部としては、県土整備部単独での要望活動も秋口に行っておりまして、私を筆頭にして、今年度も、補正予算等のお話も今委員御指摘のとおり聞こえているところでもありますので、機を逃さずまた上京して、省庁に要望活動はしてまいりたいと考えております。ことしの7月には、事務次官、国土交通省等の幹部の人事異動に合わせて私も訪問して、いろいろなコンタクトをとらせていただいております。
じっとしていることなく、機を捉えてこういった活動は継続して、極力、国費を県に充当していただくように、今後とも活動してまいりたいと考えております。
〇岩崎友一委員 その点は我々もしっかり要望していきたいと思いますので、ぜひ、ともに頑張って岩手県にお金を引っ張ってこられればと思います。
先ほどからトンネル化の要望がたくさんありますけれども、きょうは土坂峠のトンネル化について、大槌町でも動きがありましたので取り上げたいのですが、大槌町も震災で甚大な被害を受けて、これまでまちづくりに対する復旧、復興を中心に進めてきましたけれども、ずっとその間も、土坂峠のトンネル化について町民の思いというのが強いこともございまして、ことしの8月1日に、町役場内に土坂峠トンネル化推進室を設けて今活動を強化しております。また、今月28日には、宮古市、遠野市にも協力をしていただきまして、シンポジウムを開催させていただくところでございます。
土坂峠に関しましては、これまで私も一般質問等々でも何度も取り上げてまいりまして、微動だにしないというか、少しも前に進まない答弁をいただいてきたわけであります。これまで言ったように、災害時に沿岸部から内陸部に安全に抜けられるルート、また、防災面という観点や産業振興という話だったり、いろいろ必要性は訴えてきたのですが、私が一番思っているのは、今、三陸沿岸道路をつくっていることです。三陸沿岸道路が全部つながれば、大槌町から仙台市まで2時間半くらいで行けるようになるわけです。そうなってくると、沿岸の南部地域は、どうしても仙台圏に人が流れていく傾向になるのではないかと思っています。思っていますというか、道路ができたら、みんなで仙台市に行こうねとみんなが結構言っていますので。そうなりますと、盛岡市の経済への影響というものも出てくると思うのです。そういった観点からも、これまでも県内のさまざまな道路ネットワークの中で、トンネル化に関しては検討していきますと答弁をいただいておりますけれども、盛岡市の経済という視点からも考えていくことが必要ではないかと思うのですが、その辺、道路をつくるだけではなくて、そういった観点からも考えてほしいと思うのですが、県のお考えをお示しいただきたいと思います。
〇田中道路建設課総括課長 主要地方道大槌小国線については、防災面での必要性もあるということで御指摘もありましたが、災害に強い信頼性の高い道路ネットワークを構築するために、復興計画におきまして、大槌小国線を復興関連道路として位置づけまして改良整備を進めてきております。
土坂峠については、早期に整備効果の発現が見込まれる現道拡幅区間約1.1キロメートルの整備をまず進めるとともに、あわせて、のり面の防災対策を実施しているところでございます。
土坂峠のトンネル化につきましては、現地が急峻な地形である大規模な事業になると見込まれることからより慎重な検討が必要と考えております。したがいまして、事業の必要性とか重要性、緊急性等を考慮しつつ、御指摘あった道路ネットワークが今年度、来年度から大きく変わってまいります。そういった道路ネットワークの状況等も考慮しながら、交通量の変化、公共事業予算の動向等も含めまして判断してまいりたいと考えております。
〇岩崎友一委員 確かに今までどおりの答弁でありまして、県の言いたいこともわかるのですが、そういった視点の中では、多分、交通量とかBバイCという話になると思うのです。そうではなくて、もっと大きな観点でいけば、道路ができることによって、さっき言ったように盛岡市の経済への影響も出るということで、沿岸部から盛岡市までいかに早く来ることができるか、そういった部分の視点も持ち合わせて検討していくべきではないかと思うのです。県土整備部だけではなく、政策地域部も中心になって考えていかなければならない話かと思うのですが、その辺いかがでしょうか。
〇田中道路建設課総括課長 復興道路と道路ネットワークがどんどん構築されていきますと、交通の流れが変わってまいります。その結果、観光等交流人口の拡大という効果が出てくると思っております。公共事業の評価するに当たって、そういった観点を便益としてどういった切り口で算入ができるのかといったところも課題の一つだと捉えております。そういったことから他県の便益算定の項目等を調査しておりまして、それを踏まえまして、いろんな道路整備の効果をなるべく数値化できるような研究も合わせてしてまいりたいと考えております。
〇岩崎友一委員 大槌町内は、宮古市、遠野市も含めて機運が大分盛り上がってきている状況でございます。三陸沿岸道路は全線開通によってプラスになる部分、マイナスになる部分があって、先ほど来言っていますけれども、そういった中で本県経済という大きな視点から、道路ネットワークプラスアルファといった視点からもぜひ考えて、一日も早い土坂峠のトンネル化に向けて頑張っていただきたい。これ以上言いますと、ほかの地域でもトンネル化の要望がありますので、この辺にしておきます。
最後に1点、根浜海岸の砂浜再生についてお伺いをしたいと思います。
先般、国に対しまして、復興交付金約8億9、000万円の申請をしていただいた状況かと思います。予算を要求するわけでありますから、大体砂浜の再生の面積もわかるかと思うのですが、その辺、どのくらいの規模で再生するのか、その再生に向けたスケジュールをお示しいただきたいと思います。
〇杣技術参事兼河川課総括課長 根浜海岸の砂浜再生についてでございますが、今年度詳細設計を行いまして内容が固まりましたことから、10月10日に第22回復興交付金事業計画の提出をしたところでございます。いわゆる復興交付金の申請に当たるものでございます。
事業費につきましては、総事業費は約9億8、000万円を見込んでおります。今回提出した事業計画では、平成30年度から平成31年度の事業費として約8億9、000万円を申請したところでございます。
砂浜再生の規模につきましては、養浜の延長が約450メートル、砂浜の幅が約30メートル、事業期間今年度から2020年度までを予定しております。
今後のスケジュールでございますが、今回提出しました事業計画が認められましたなら、年度内に工事着手したいと考えております。
〇岩崎友一委員 一応確認でありますけれども、砂浜の幅が約30メートルというのは、砂を入れて、ある程度持っていかれる部分も想定して、残る部分が約30メートルという解釈でよろしいですか。
〇杣技術参事兼河川課総括課長 今、委員からのお尋ねのとおり、いろいろロスがあっても、最終的に幅約30メートルの砂浜が残るということでございます。
〇岩崎友一委員 それで、事業完了年度が2020年度ということであります。先ほど、軽石委員からラグビーワールドカップの関係の話も出ましたが、根浜海岸はラグビーワールドカップの釜石鵜住居復興スタジアムから徒歩で5分、10分のところにありまして、来年、ラグビーワールドカップが開催されたときに、来てくれた方々に足を運んでいただき、きれいな景色も見ていただきたいというおもてなしの観点から質問させていただきます。
多分、今のスケジュールでいくと工事は終わらないということでありますが、ラグビーワールドカップの開催時に最低限どこまでやろうとか、その辺は釜石市でも、全部終わらなくても、来た方にきれいな砂浜だと思ってもらえる程度にはという思いもあるようですが、その辺、県としてのお考えをお伺いしたいと思います。
〇杣技術参事兼河川課総括課長 ただいま、ラグビーワールドカップの開催との連携というお尋ねでございましたが、工事の進捗を見ながら、また、地元の釜石市など関係機関とも調整を図りながら、ラグビーワールドカップのときに砂浜の再生がどこまで進められるか、どういう形で見せられるかというところを調整してまいりたいと考えております。
〇岩崎友一委員 来年のラグビーワールドカップの開催までにどこまでできるかというのはあるかと思うのですが、来た方が見て、きれいだな、もう一回来たいなと思ってもらえるような─震災からきのうで7年7カ月たちまして、砂浜は前よりは少しは戻ってきた感じはするのですけれども、大槌町の海はもともときれいですので、ぜひ、釜石市と調整していただいて、ラグビーワールドカップの開催に合わせて、地域というか、その周辺でおもてなしができる環境整備に向けて、市と連携をしっかりとりながら進めていただきたいと思います。
〇飯澤匡委員 大きく2点についてお伺いします。
最初に、宮古─室蘭フェリーのダイヤ改編に関して伺います。
私は、1期目の2回目の一般質問だったと思いますが、港湾の重点化ということで提言をさせていただいて、その後、港湾議員連盟ができたり、港湾ビジョンも策定していただいて港湾の重要性も認識され、その役割分担とともに大きく前進が図られてきたという思いを持っております。今回は、せっかくこういう航路が設置されましたので、これをもっと発展的に捉えて継続していくべきだという観点に立って質問します。
随分と早いダイヤ改編がありました。帰便で八戸港に寄港するというダイヤが発表され、それに伴う船のメンテナンスのために減便にもなったということです。
質問の順序を変えますけれども、まず、減便されたことに対する県の所感、もう一つは、さきの予算特別委員会で、私は、県内の貨物集荷の取り組みを強化すべきだと指摘しましたが、この間の県の取り組み、その効果、そして、この間の総括質疑において、1便当たりの平均利用数は、宮古発ではトラック3台、室蘭発ではトラック6台との答弁があり、大変厳しい状況に至っているわけですが、この間の課題認識をお伺いします。
〇照井港湾課総括課長 初めに、減便に対する所感でございますけれども、減便の理由につきましては、従来、停泊時間を利用して船舶のメンテナンスを行っておりましたが、今回のダイヤ改編により、宮古、室蘭両港での停泊時間が短くなることから、メンテナンスの時間を定期的に確保する必要があるため、比較的貨物量の少ない日曜日の室蘭発と月曜日の宮古発の便を運休するとフェリー運航会社から聞いております。
県といたしましては、船舶のメンテナンスに万全を期し、航行の安全を確保するものであり、やむを得ないものであると考えております。
次に、県内集荷の取り組みとダイヤ改編に至った課題認識等でございますけれども、これまで、県政広報誌のいわてグラフや新聞、テレビ番組などさまざまな広報媒体を活用いたしまして、フェリー航路の概要や宮古港へのアクセス性の向上などについてPRをしてきたところでございます。
本県初のフェリー航路が徐々に浸透していると認識しており、乗客の利用は順調に推移しておりますが、三陸沿岸道路が部分開通にとどまっていることによりまして、貨物のほうはまだ伸びていないことが課題と考えております。
県といたしましては、さまざまな広報媒体やポートセールスなどにより、ダイヤ改編による利便性の向上や三陸沿岸道路の開通による宮古港へのアクセス性の向上などを積極的にPRしながら、集荷に取り組んでいきたいと考えております。
やはり貨物の集荷が大変大きな課題だと認識しておりまして、それに対するPR活動、何といっても三陸沿岸道路がどんどん開通してくることによってアクセス性が向上していくというところが宮古─室蘭フェリーの生命線と認識しておりますので、その情報を小まめに物流会社等に提供していきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 八戸寄港というのは、フェリー会社から言えば、サービスの向上と言っているわけですが、八戸寄港に至ったことで、ダイレクト便がなくなるわけですから、そのことに対する県の所感というのはどうですか。
〇照井港湾課総括課長 八戸寄港によって、結果として1便が減便になってしまったことについては残念で、やむを得ないと考えているのですが、その反面、宮古港へ寄港する時刻が2時間近く遅くなることによって宮古─室蘭フェリーは、県内の企業が利用しやすい時間帯になったという認識は持っております。そういう関係から見れば、県内の物流事業者にとってもいいダイヤ改編であったのではないかと考えております。
〇飯澤匡委員 肯定的といいますか、ポジティブに捉えればそういうことだと思うのですが、利用者側、物流業者側の目から見ると、八戸港は今のところやはり潜在力があるわけです。将来的に三陸復興道路が全線開通すれば、間違いなく競争力があります。ですから、この間、どうやってつなぎとめる方策を考えるかと。やはり物流をしっかりとどめるような努力をしていかなければならない。これは大変な努力が必要かと思います。
せっかくできた航路ですから、これは生かしていかなければならないし、八戸港というのは八戸─苫小牧という非常に太い動脈航路があって、その中で、やむを得ず八戸港に行くものを少しでもいただこう、そして積載率を高めようというのがフェリー運航会社の考え方だと思うので、言うなれば、積載率をどうやって高めるかというのが課題となっているわけです。
私が心配しているのは、いかんせんこのダイヤ改編が早かったと。これはやはり重大な事実として受けとめて、危機感を持って対応しなければならないと思います。
確かに、この間の北海道の地震等で利用されたことで宮古─室蘭間のフェリーについては注目はされましたけれども、これを安定的に継続していくことが大事なので、その点をもう少し危機感を持ってほしいと思います。
そこで、10月1日の記者会見で知事は、八戸寄港にダイヤを改編したことに対して、サービス向上と、業者の目から見たような形の発言をしました。記者が二の矢で、存続の危機なのではないかというダイレクトな質問をしたのに対して、ビジネスというのは常に危機とともにあるという、非常にはぐらかしたような状況で問題をすりかえている。私は、これこそ大変な情報発信の損失だと思うわけです。フェリー会社は非常に足が速いわけです、やはり採算を求めていきますから。何とか復興道路が開通するまでしっかりと支えていかなければならない。それには安定した乗客、定期的なお客さんをしっかりつかまえる努力を─単発ではだめなのです。常に北海道に行く、そして帰るという便を確保しなければならない。これは相当な努力が必要です。八戸からの荷物を取ってこなければならない、そういうことも考えなければならないのです。
私は、知事のこの意識というのは非常に誤っていると思いますが、部長も同じような考えですか。
〇八重樫県土整備部長 まず、サービス向上と捉えているという知事の記者会見での発言ですが、これは、船社である川崎近海汽船からのメーンの理由として承ったという趣旨での発言ということで、そこは私も同様の認識であります。
ただし、県として危機感を持っていないということは全くありません。これは、やはり宮古─室蘭の航路が定着するということが非常に重要なことですので、八戸港に一時寄港するというのが利用者の一時的な利便になるのは間違いありません。ことしは台風も多くて、宮古─室蘭の欠航も実は相当数あったことで就航率が伸びなかったということもあります。その分、例えば八戸港に寄港した場合でも、航路は往復確保されたという状況にもなりますので、船社では、就航率もそんなに落ちてないというような対外的なPRの必要性も認識して、こういった決断に踏み切ったのではないかと考えております。
そういったことも含めて、まずサービス向上という言葉は、それはそれで間違っていないのではないかと考えておりますが、これは当面の措置であると知事も申しています。いずれ、復興道路が完成した折には、宮古─室蘭でダイレクト航路に復帰していただくということが非常に重要でございますし、その後もしっかり定着していただくということが重要でありますので、委員御指摘のとおり、これからはできる限り貨物自動車の掘り起こしを行うため、船社と連携しながらいろいろな荷主会社に、必要な対策を早急に打ってまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 部長の答弁で安心しました。やはり情報発信するときはしっかりそういうものを持ってやっていただかないと、要らぬ誤解を招きますから、よろしくお願いしたいと思います。
私も物流業者の端くれとして、そこら辺は大いに応援したいと思いますし、なお一層の宮古港の発展を願う者として、せっかく定着していただいた路線を維持していくために、いかなる努力も払ってやっていただきたいと思います。
2点目の質問ですが、復興支援道路の整備促進について伺います。
おかげさまで県南部の国道284号室根バイパスが完成いたしまして、その効果は予想以上に目を見張るものがあります。道の駅の盛況ぶり、また、気仙沼市など、主に宮城県の沿岸方面からの利便性も高まって、この役目を大いに果たしており、効果は絶大だと思っております。
そこで、同じ内陸を結ぶ路線ということで、酒田港でも片方の通行どめがあったように、不測の事態に陥った場合は代替路線というのは必要ですから、そういう意味でも国道343号というのは非常に不可欠な路線であると私は認識しております。
陸前高田市においては、今、まちづくりの再生に向けて頑張っているところですが、大きな課題となっているのは就業場所です。この間、気仙沼市で、青森県、岩手県、宮城県の3県で定期的に行われている三陸沿岸国道並びに鉄道完遂促進協議会がありました。その際、気仙沼市の今の状況も視察させていただきましたが、陸前高田市から結構多くの方々が気仙沼市に職を求めて行っているような状況です。ただいま岩崎委員がおっしゃったように、陸前高田市と気仙沼市間の道路はまだ開通していませんが、副次的な効果というものは出ていると感じたところであります。
そこで、内陸との就業支援等の効果が期待できる国道343号の整備促進は、今まで何人もの委員が指摘をしてきました。いわゆる観光ルートとして高田松原津波復興祈念公園と平泉の文化遺産との横軸の連携、そして気仙地区と内陸部の経済交流、もう一つ、ILC実現を見越した先手を打つ物流戦略に対し、大いに期待値が高いとこれまで何回も言っていますが、国道343号の整備促進、復興支援道路にもなっているわけですけれども、現状の分析について改めてお伺いします。
〇田中道路建設課総括課長 国道343号の整備に関連いたしまして、まず、高田松原津波復興祈念公園と平泉の文化遺産の連携につきましては、岩手・宮城県際広域観光推進研究会が平成25年度に発行した県際回遊モデルコースガイドの復興応援コースでは、奇跡の一本松や道の駅高田松原、中尊寺などを周遊するコースが設定されておりますことから、高田松原津波復興祈念公園と平泉の文化遺産の横軸のルートが周知されていると思っております。
また、平成26年度に行われました岩手県観光地点パラメーターの調査データによりますと、中尊寺を訪れた393グループが中尊寺の前後に立ち寄った670地点のうち高田松原を訪れたグループの率が7.1%という結果が示されておりますことから、一定の観光の交流が図られていると考えているところでございます。
気仙地区と内陸部との産業面での交流につきましては、観光分野に加えまして、内陸の工業団地で生産した紙、パルプ製品を大船渡港から東北、関東方面に移出していることや、大船渡港から内陸のセメント工場へ石炭を輸送しているといった流れが挙げられると考えております。
ILCに関する物流といたしましては、ILCの建設に伴う資材輸送の物流に加えまして、中央キャンパス等の拠点の立地による交通の流れの変化等を考慮する必要があると考えておりまして、その分析につきましては、ILCの一定程度の具体化が条件として必要になってくると考えております。
〇飯澤匡委員 それだけ国道343号の有効性、必然性というのはあるわけです。ポテンシャルとしてある。
そこで、これから本題に入るわけですけれども、ことしも7月25日に新笹ノ田トンネル建設促進期成同盟会が開かれました。改めて、同盟会のメンバーのうち、行政の構成員を見ますと、一関市、奥州市、陸前高田市、大船渡市、平泉町、住田町の4市2町です。私は、これだけの期成同盟会というのは余り例がないのではないかと思います。加えて、9万筆にも及ぶ住民の署名もございます。これも、商業界、商工会、または商工会議所の方々が大いに頑張っていただいてこの有効性を働きかけ、それに呼応していただいたという経緯もございます。この重みをどう感じているか、これも改めてお伺いしたいと思います。
〇田中道路建設課総括課長 4市2町により新笹ノ田トンネル整備促進期成同盟会が結成されていることにつきましては、奥州、両磐及び気仙地域の笹ノ田峠への新たなトンネル整備への強い期待のあらわれだと思っておりますし、同様に9万筆の署名も非常に重たいものと認識してございます。
〇飯澤匡委員 重たいのであれば、余り強くは申しませんけれども、いずれ、しっかり調査をしていただいて、ILCについてもことしの12月がいわゆる山場と言われていますから、その点は早急に分析していただいて、この道路の効果をさらに高めていただきたい。これはあくまでも私見ですけれども、当時とすれば有効的な橋ということでループ橋をかけられて約30年たっているわけですが、私も大船渡市まで大型車で何回か通ったことがありますけれども、非常に恐怖感を感じる道路です。冬期間の安全性を確保するという意味においても、これから、長大な40フィートのコンテナ、今、主流となっている高さが9フィート6インチのコンテナを積んだ車輌が通るということを想定すれば、今の状況ではなかなか難しいということで、新笹ノ田トンネルという構想が大分前からあるわけですから、この点についてしっかり着目して、経済交流、またILCの決定はまだですけれども、それを見越してそういう思いを持ってやっていただきたい。
今回もこれぐらいにしておきますけれども、最後に部長、よろしくお願いします。
〇八重樫県土整備部長 新笹ノ田トンネルという大規模な事業化、構想の要望でございますが、必要性、建設への思いというものは、先ほど道路建設課総括課長が答弁したとおり、まさに現実のものだと思います。それは受けとめさせていただきまして、この検討は、我々もこちらのたんすにしまっておくわけではなくて、その思いをいつもちゃんと抱えながら、いろいろと引き続き検討させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
〇工藤大輔委員 私も道路の関係についてお伺いしたいと思います。
まず最初に、内陸部と沿岸部を結ぶルートなどにおける都市間平均所要時間はいわて県民計画実施状況報告書にも目指す姿指標として取り上げられているわけでありますが、対象7ルートの整備の状況について、その進捗等がわかれば、まずお伺いしたいと思います。
〇田中道路建設課総括課長 いわて県民計画に位置づけている内陸と沿岸を結ぶルートは、具体的にお話しさせていただきますと、一関市─大船渡市、奥州市─大船渡市、北上市─釜石市、花巻市─釜石市、盛岡市─宮古市、盛岡市─久慈市、二戸市─久慈市の7ルートでございます。
これらのルートにつきましては、内陸の新幹線駅を有する都市と沿岸の重要港湾を有する都市を結ぶ7ルートを設定させていただいております。
第3期アクションプランの目指す姿指標では、これらの都市間の所要時間を平均して算出しております。平均所要時間につきましては、平成26年度の現状値94分に対しまして、これまでの道路整備によりまして、平成29年度末における目標値の93分を達成している状況になっております。
〇工藤大輔委員 平成26年度の94分の目標値に対し、平成29年度は1分の短縮ということです。そこで、平成30年度の目標値は89分ですが、計画の達成に向けて、平均であと4分短縮するということになりますけれども、7ルートということになると合計で28分の短縮ということになるのですか。この目標達成、89分の実現は可能なのかどうかお伺いします。
〇田中道路建設課総括課長 平成30年度の目標値の達成見込みでございますが、平成30年度には仙人峠道路の前後区間が開通いたしまして、花巻市から釜石市まで自動車専用道路でつながるといったところが一番の効果として大きく寄与することによりまして89分は達成できるものと考えております。
〇工藤大輔委員 わかりました。それで、対象7ルートの平均所要時間ということで、この7ルート設定で、最初、私はどうなのかと思ったのですけれども、よくよく見たら、残り3ルートも含めて、しっかり考えられて設定されていると思いましたので、事前に指摘した点は撤回したいと思います。
ただ、この7ルートの平均所要時間を目標値に掲げることによって、今言われたように、整備がぐっと進む路線と、ほとんど進んでいない路線が少しぼやけてしまうのではないかという課題はあると思いますので、それぞれの整備の進捗、あるいは目標がしっかりと高く設定されているような形で整備が進めばよりよいと私は思いますので、そのような方向で進めていっていただきたいと思います。
その7ルートの中でも二戸市─久慈市間の国道395号の関係ですけれども、県北広域振興局には二戸市と久慈市の二つの市があって、その移動が61分、1時間を超えるので、もう少し県北地域の一体性を持たせるためにも、ここを大きく短縮させてほしいと思います。
また、病院の状況を見ても、産科が二戸市に集約しているということもあって、県立久慈病院、県立二戸病院をつなぐ路線の整備はさらに重要性が増しているのだと思います。医療は担当課のほうで向上させなければならないのですけれども、それに関係する道路の整備もあわせて進めていただきたいと思いますが、これについては要望ですけれども、何か、こうしていこうという方向性があれば、お示しいただきたいと思います。
〇田中道路建設課総括課長 二戸市─久慈市間の交流を促進するために、より移動時間の短縮をという御質問があったと理解しております。
医療の連携のお話もありましたが、これからの先を見据えていくと、医療の連携というのは非常に大事な視点かと思います。
そういったことで、救急医療を支援するような道路整備というのも、引き続き取り組みの方向性の中に掲げて取り組んでいきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 重要な7路線ということでも選定されていると思いますので、ぜひ、整備のほうもよろしくお願いしたいと思います。
次に、沿岸市町村から盛岡市を結ぶ道路の所要時間についてお伺いしたいと思います。
これは、以前、県議会でもかなり議論が深まったところであります。以前は90分構想ということで、大きな目標を立てながら道路の整備促進をしていたわけですけれども、実際に盛岡市役所から沿岸市町村の各市役所、役場までの所要時間をはかってみれば、90分どころか2時間を超えるような状況にあるのだと、いただいた資料で見ておりますが、この2時間を超える状況について、これはやはり問題ではないのかと私は思うのです。以前の90分構想というのは、県民の多くの方々のイメージの中にも残っている県の道路整備の基本方針というか、理念だとも思いますが、実際に所要時間をはかってみたら2時間を超えている。この状況について、部長はどのような認識を持っているのかお伺いしたいと思います。
〇八重樫県土整備部長 各市町村の行政庁から盛岡市まで、例えば県庁までの時間距離が120分を超えるようなところがあるのではないかということですが、確かに、市と、その周辺にある町村ですと、ダイレクトな国道等ではなくて、市からまた道路を分岐して町村へ移動するというところもあって、どうしても、盛岡市から各市までの移動時間と、盛岡市から市を経由する各町村までの移動時間については、ある程度差が出るのはいたし方がないのかと思いますが、いずれ、中心となる市から県庁所在地である盛岡市までの移動時間は、皆さん、それぞれかなり速い到達を望まれているということは承知しております。
かつて90分構想を唱えたというところは、それまでの社会資本整備、特に道路の環境も今のような状況までは至っていないというようなことで、東北自動車道や八戸自動車道もまだ整備途上であったという時期での県の思いといったものが表現されたものではなかったのかと考えております。
今は、いろいろな道路改良を進める中で、結果として交通環境が改善されてまいりますので、先ほどのお話にもありましたが、先ごろの国道284号室根バイパスの開通とか、徐々に時間短縮効果も発揮されてきておりますので、今、その90分構想ということはなかなか申し上げられないというか、その当時とは高速道路ネットワークの整備状況もいろいろ変わってきておりますので、別な次元での当時の思いを表現させていただいたと考えております。
〇工藤大輔委員 今の話だとちょっと認識が変わってくるのですけれども、高速道路を使っても120分かかっているわけです。例えば久慈市─盛岡市間は121分です。主要道路を見ても、釜石市─盛岡市間も123分、大船渡市でも112分だとか。確かに道路は整備されていっているわけですけれども、当時、そういった道路の整備がおくれていた時代に90分構想を持って整備に当たってきたと。その後、各種道路整備、トンネル等も含めて一つ一つ進んできても、今なお、90分どころか2時間を超えているというのが現状なわけです。この状況を、今の答弁ではちょっと私は納得できないです。部長の答弁のようであれば、高速道路もそうだし、道路も各種整備ができている、線形もよくなっている、時間も短縮になっているとなれば、やはり100分を切るようなところがどんどん出てきてもいいのではないかと思いますけれども、今なお120分以上、百三十何分もかかっているところもやはりあるわけです。それに対してどうかということを聞いているので、改めて答えていただきたいと思います。
〇八重樫県土整備部長 90分構想については、例えば盛岡市の到達点は、これまでの県議会でも御説明させていただいた場面があるのですが、県庁の地点ではなくて、いろいろな市内の渋滞等の状況もありますということで、最寄りのインターチェンジ等ということになっていた状況でございます。先ほど、120分を超えるという時間距離とはまた別な捉え方となっていましたので、直接同じ土俵で今の庁舎間の時間距離ということでの90分構想とはちょっと異なっているということでございます。
ただ、それはそれとして、庁舎間の時間距離が120分を超えているというような状況は確かにございますので、そういったところは、道路整備を休めるというわけではなくて、本当に必要な整備は日々取り組んでまいりたいと思いますので、その結果として、1分でも2分でも時間距離を短縮させていきたいという考えはございます。
〇工藤大輔委員 次期総合計画も今つくっているわけですけれども、10年後を見据えて、以前は90分構想を掲げながら道路整備をしてきた。これからの10年間においては、沿岸の市町村から県都盛岡市まで何十分構想でやろうという決意を持った方向性で整備をしてもらいたいと、沿岸に住む者としては思うわけです。1分、2分という現実的な数字、思いはありがたいですし、そのとおり努力してもらっていると思いますが、目指す姿がどこにあるかということが非常に大事なのだと思います。次期総合計画の中では何らかの道路の整備方針、東日本大震災津波からの復興を遂げようとしている沿岸の地域から県都盛岡市まで何分で行くのだという方向性を示していただきたいと思いますが、部長、どうでしょうか。
〇八重樫県土整備部長 具体的な時間を目標とするかどうかということにつきましては、今後ともしっかりと検討させていただきたいと思います。
ただ、平成31年度からの次期総合計画で、大きな道路ネットワークの整備の完了が予想されています。それは2020年度ということで三陸沿岸道路、横軸の盛岡市─宮古市間、釜石市─花巻市間は今年度開通ということですが、実はその整備は、震災があって、今、かつてないスピードで国において進められているということでありまして、震災仮になかりせば、向こう何十年かの事業を、一気に達成していただいているというところでもありまして、非常に大きな成果が出てくるということが見えております。そういった状況も踏まえまして、今後、それ以降の道路整備のあり方というものはじっくりといろいろな側面から研究していかなければならないと考えておりますので、そこは引き続きしっかり検討させていただきたいと思います。
〇工藤大輔委員 よろしくお願いしたいと思います。
最後に、高速道路における通行どめの発生の傾向、状況についてお伺いしたいと思います。
〇田中道路建設課総括課長 県内の高速道路の通行どめの発生は冬期間に多くなっております。通行どめ区間につきましては、松尾八幡平インターチェンジから安代インターチェンジ間、安代ジャンクションから浄法寺インターチェンジ間など、八幡平市以北が多い傾向にあると認識しております。
〇工藤大輔委員 そこで課題なのですけれども、盛岡以北の高速道路は国道4号と並行で走っていないということもあって、通行どめになった際に、国道282号が混んだり、あるいは国道4号も場所によっては混むわけです。そうすると、かなりの渋滞になったり、事故が発生しやすいという状況にもあって、その補完する道路をどのようにどう整備していくかということも課題なのだと思います。
そこで、今言われた冬期間における高速道路の通行どめの傾向を踏まえて、今後の補完する道路の整備方針についてお伺いして、質問を終えたいと思います。
〇田中道路建設課総括課長 先ほど答弁させていただいたとおり、八幡平市以北の高速道路において冬期間の通行どめの発生が多いということで、八戸自動車道に並行する二戸五日市線、東北自動車道に並行する国道282号があります。これまでに浄法寺バイパスとか西根バイパス等の整備を進めてきたところでありまして、現在は、国道282号の八幡平市の佐比内地区において、工事着手に向けた用地補償等を進めさせていただいているところであります。
今後におきましても、県土の縦軸、横軸になる幹線道路の整備とあわせまして、高速道路の代替機能を有する路線の防災機能の強化とか緊急輸送道路の整備といったことを通じまして、全体のネットワークとして機能がより高まるような整備を進めていきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 私からは大きく3点伺いたいと思います。
まず、主要施策の成果に関する説明書の173ページ、目指す姿指標の水洗化人口割合は、平成27年度は71.1%、平成28年度は71.8%と、平成26年度の69.6%から微増にとどまっております。この数字が多いか少ないかの議論はあると思いますが、市町村別の割合を見せていただきますと、92%、93%の市町村もあれば、30%台にとどまる市町村も散見されるという中にあって、格差といいますか、地域差が激しいのだろうと思っております。
その中で、これまでの取り組みと、数値が伸びない原因をお示しいただきたいと思います。
〇阿部下水環境課総括課長 水洗化人口割合についてでありますが、これまでの取り組みとしましては、汚水処理県構想であるいわて汚水処理ビジョン2010に基づき、汚水処理施設の整備とあわせ下水道などへの接続率の向上を図るため、市町村職員を対象とした勉強会等の開催、出前講座による普及啓発、市町村による支援制度の情報共有などに取り組んでまいりました。
水洗化人口が微増となっている原因としましては、市町村では計画的に汚水処理施設の整備を進めておりますが、下水道などの整備においては中心市街地から郊外での整備に変わってきていること、また、人口減少の影響などにより、下水道などの集合処理区域において、経済性や効率性の観点から、下水道から浄化槽での整備への整備手法の見直しを進めているためであると考えております。
今後は、平成29年度に策定した新たな汚水処理県構想であるいわて汚水処理ビジョン2017に基づき、地域の実情を踏まえた効率的な汚水処理施設の整備を推進しながら、水洗化人口割合の向上に取り組んでまいります。
〇佐々木朋和委員 都市部においては下水道の整備も進んでいるが、これからは郊外の整備になってきて、なかなか進みづらい状況にありますけれども、やはり進めていかなければいけないのだろうと思っております。
今般、国は下水道の広域化・共同化計画の策定要請を各県に行っておりまして、岩手県は先行してモデル的に計画策定に取り組むとしておりますが、どのような検討をしているのか、新たな下水道の整備にどのような影響があるのか伺いたいと思います。
〇阿部下水環境課総括課長 下水道を含めた汚水処理施設の広域化・共同化計画についてでありますが、昨年度、国から、持続可能な事業運営のため都道府県が計画を策定するよう要請があったところです。
当県は計画策定モデル県へ応募し、選定されたことから、県内の中でも一関地域をモデルチームとして先行的に計画策定を進めているところです。
一関地域におきましては、下水道等の処理場の維持管理業務の共同化、ICTを活用した広域管理などの検討を進めているところです。
今回の広域化・共同化の計画検討は、処理場等の維持管理の共同化を検討するものであり、市町村が行う下水道の整備について検討するものではありませんが、国におきましても、まずは下水道の概成、未普及解消を重点方針に掲げており、県としても、管内市町村の下水道の整備につきましては、財政及び技術支援に引き続き取り組んでまいります。
〇佐々木朋和委員 維持管理を共同化をすることによってコストが削減され、また、その分で新たな整備等々にも振り分けられるというのであればいいのですけれども、一方で会計の仕方も変わって一般財源を繰り入れるのが難しくなったり、各地域の整備率がばらばらですから、広域化の中で整備について意思を統合していく、意思を合わせていくということは難しくなるのではないかという懸念も地域では広がっていると思います。
そういった不安の声に対して、県としてはどのように応えていくのか伺って、この部分については終わりたいと思います。
〇阿部下水環境課総括課長 人口が減少する中、汚水量が減少してまいりますし、供用開始から年数が経過して施設の老朽化により更新費用がふえてまいりますので、市町村の汚水処理施設の経営はますます厳しくなるものと考えます。
その中で、広域化・共同化計画を活用して、持続可能な汚水処理施設の経営を市町村とともに目指していきたいと考えております。
あわせまして、汚水処理施設の整備につきましても、いわて汚水処理ビジョン2017に基づきまして、一体的に市町村と整備してまいりたいと思います。
〇佐々木朋和委員 下水道やトイレの水洗化については、医師会からも、大腸がんの早期発見にも資するという話も出ております。そういったことも含めて、ぜひとも進めていただきたいと思います。
〇名須川晋委員長 佐々木朋和委員の質疑の途中ではありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
佐々木委員、御了承願います。
午前11時55分 休 憩
午後1時2分再開
〇名須川晋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
委員各位及び執行部に申し上げます。この後、本日8人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
質疑を続行します。
〇佐々木朋和委員 では、午前中に引き続き御質問させていただきます。
二つ目の項目として、河川の河道掘削、立ち木伐採についてお伺いしたいと思います。
県は、今、5カ年計画を立て河道掘削、立ち木伐採を進めておりますが、平成29年度の進捗状況、実績をお示しいただきたいと思います。
また、今年度の見通しについて、予算の確保、また、掘削した土砂の土捨て場の確保の状況も含めてお示しをいただきたいと思います。
〇杣技術参事兼河川課総括課長 河道掘削、立ち木伐採についてでございますが、まず、平成29年度の実績については、河道掘削について、平成29年度予算及び平成28年度からの繰り越し予算も含め、30河川、34カ所において実施いたしました。また、立ち木伐採につきましては、24河川、28カ所において実施いたしました。
平成30年度におきましては、既に発注しております箇所と今後発注を行う箇所合わせて、河道掘削につきましては、砂鉄川等36河川、40カ所、立ち木伐採につきましては、21河川、23カ所において実施することとしております。
土捨て場の確保につきましては、関係機関と連携を図りながら、必要な土捨て場の確保に努めてまいります。
〇佐々木朋和委員 今の土捨て場の点でちょっと再質問をさせていただきたいと思いますけれども、この土捨て場は、土砂を置いたらその土砂を使っていくのでしょうか。それとも、そのまま置きっ放しになるのですか。
〇杣技術参事兼河川課総括課長 土捨て場につきましては、土捨てという形で、そのまま処理されるというのが前提でございます。また、土砂を捨てないで他の公共事業への流用することも処理の一つでございます。
〇佐々木朋和委員 その土捨て場は、県有地あるいは市有地、民有地があると思うのですけれども、どのようなところを探して場所を確保しているのでしょうか。
〇杣技術参事兼河川課総括課長 土捨て場の敷地につきましては、さまざまなケースがございます。町の遊休の場所でありますとか、あるいは経済的にどうしても近いところという場合は、民有地に捨てる場合もございます。
〇佐々木朋和委員 先ほどのお話ですと、基本的には置いたらその場で土砂をならしてなのか、置きっ放しにするということですから、河川に土砂がたまるところは決まっているわけで、やはり年々、土捨て場の確保というのが大変になってくると思っておりますし、予算がついても、土捨て場が確保できないと、なかなか事業は進められないということで大きな課題だと認識しております。
そういった中で、県は、平成30年度から公募型の土砂撤去ということで、砂利採取業者から採取費用を取らないで土砂をとっていただく、有効に活用していただく事業を始めておりますけれども、この実績がどのようになっているのか。また、住民との協働による立ち木処理の研究もしていると思いますけれども、そちらについてもお示しいただきたいと思います。
〇杣技術参事兼河川課総括課長 公募型土砂撤去の実績でございますが、今年度4月から公募型土砂撤去制度の運用を開始したところでございます。現在、県内では、九つの広域振興局土木部、土木センター等で、合計で27河川において公募を実施しているところでございます。このうち、砂利採取業者が決定したのは2河川でございます。また、砂利採取業者の応募があり現在審査中が5河川ございます。また、引き続き公募型土砂撤去制度による河道掘削により、効率的な土砂撤去を進めてまいりたいと思っております。
もう一つ、民間の活力を活用した立ち木伐採につきましては、現在、近隣では山形県などが既にそういう制度を活用した立ち木の伐採などをやっておりますので、それらの調査をしながら、現在、公募型の制度整備について検討をしているところでございます。
〇佐々木朋和委員 河川については、今頻発するゲリラ豪雨等が心配な状況でありますので進めていただきたいと思うのですけれども、土砂を土捨て場に置いていくということが、計画的に進めるのがだんだん難しくなってくるのではないかという思いがございます。そういった中にあっては、沿岸の被災地の首長にお話を聞いても、震災復興で山を削って早く工事をしていただくのはいいのだけれども、頻発する土砂災害等を見ていると、河川の土砂を有効に使いながら県として回していく工事の仕組みをつくっていくのも大事なのではないかという話をされるところでございます。こういったところについて部長の御所見を伺いたいと思います。
〇八重樫県土整備部長 ことしも全国的に、特に西日本豪雨など激甚災害、大雨災害が発生しているところでございます。大雨が降りますと、どうしても川には雨水だけではなくて、土砂が入り込んでくるため、結果的に河川の勾配が緩いところに沈殿して、堆積するという状況が生じます。土砂が堆積しますと、次の洪水のときに河積が少し足りなくなって溢水等の危険性が増すことから、そういった対策として河道掘削で解消しようとするものでございますが、いろいろ予算ですとか土捨て場、それから土砂がたまっているところが河道内の民有地である場合は、所有者の同意も必要になってきます。いろいろな課題がある中でも進めていかなければならないものだと思っております。
土砂がたまってくる一方ですので、河道掘削をしていけば、土砂を処理するところをどんどん工夫せざるを得なくなってくることは委員のおっしゃるとおりでございますが、土砂を再利用したり、あるいは骨材として利用していただいたりという、さまざまな工夫を加えながら進めてまいりたいと思います。これからも鋭意、いろいろな可能性を探りながら対応してまいりたいと存じております。
〇佐々木朋和委員 よろしくお願いしたいと思います。
次に、最後の質問になりますけれども、午前中、岩崎委員から、交付金の観点から震災前との比較がございました。私からは、一般財源の相当額が、公共事業費等で、平成31年度予算要求が平成30年度に比して1.05倍に上昇している中で、復興需要にめどがついたということで、国庫支出金の獲得を想定して、一般財源相当額を1.05倍というシーリングで予算要求をしていくということだと思うのですけれども、平成29年度における県土整備部所管の一般財源の通常分は、震災前と対比してどの程度のものになっているのか、まず伺いたいと思います。
〇嵯峨県土整備企画室企画課長 ただいまの御質問でございますが、大変申しわけございません。一般財源の金額と受けとめておりませんでしたので、公共事業の決算額の通常分ということで御答弁をさせていただきたいと思います。
平成29年度の県土整備部所管の通常分の公共事業の決算額でございますが、329億円となっております。震災前と比較しますと、平成22年度は485億円でございますので、156億円の減となっております。
〇佐々木朋和委員 了解しました。私の通告の仕方が悪かったと思います。
それでは、これから通常分を震災前の基準かそれ以上に回復させていくということだと思うのですけれども、その上で、これからの公共事業をどのような考えで進めていくのか、優先順位をどのように考えているのか、お答えいただきたいと思います。
午前中にも議論がありましたけれども、BバイCでは、都会はより栄え、田舎はより衰退すると思っております。交流人口の増加のための観光ルート、あるいは沿岸地域へ多様な雇用を確保するために、内陸への出勤のための道路、あるいはSDGsの考え方のもと、BバイCでは上位にはならなくても、生活に必要最低限の道路というものもあると思っております。そういった社会情勢の中で、どのような優先順位で公共事業を考えていくのか、お答えいただきたいと思います。
〇嵯峨県土整備企画室企画課長 公共事業の優先順位に関してでございますけれども、大きく施策の方向性といたしましては、今現在は、いわて県民計画第3期アクションプランで掲げております四つの政策項目ということで、物流の効率化による生産性の向上や、観光振興などの産業振興に資する社会資本整備、あるいは災害に強い県土づくりに向けた防災、減災対策等に取り組んでいるところでございます。それぞれの事業の実施に当たりましては、当然、そういった県の総合計画の施策の方向性を踏まえながら、公共事業評価制度に基づく評価を実施した上で、公共事業予算の動向等も見きわめながら、総合的に判断していくということになろうかと思います。
次期総合計画におきましても、先ほど御紹介がありましたSDGsの考え方を基本理念ということで掲げておりますし、また、社会基盤ということで中間案にお示ししております安全・安心を支える社会資本の整備、あるいは産業や観光振興の基盤となる社会資本の整備、それは道路であったりさまざまなものがあろうかと思いますが、こういったところを重点的に進めていくという考えでございます。
〇佐々木朋和委員 午前中の質疑の中で、社会的な効果を数値化するように研究をしていくという話もありましたけれども、そういった数値化の検討というものも含めての今の御答弁でよろしいですか。
〇嵯峨県土整備企画室企画課長 先ほど道路の質問のところでそういったお話も出ましたので、例えば道路整備を例にとると、平常時であれば、物流あるいは観光であったり、交流人口の拡大に資する道路ということでございますし、一方では、災害時における緊急車両の通行や緊急物資の輸送、災害に強い道路ネットワークということで、一つの道路が複数の観点の機能を果たしているといったこともございます。午前中に御答弁申し上げたのは、さまざまな観点の費用便益も工夫しながら、どういった整備が可能かを検討していくという趣旨でございます。
〇佐々木朋和委員 わかりました。
それでは最後にしたいと思いますけれども、そういった議論から新笹ノ田トンネルの整備実現について話をつなげていきたいと思っているところでございます。
午前中も議論がありましたし、また、私も政策地域部、商工労働観光部の審査でも若干申し上げさせていただきました。今、陸前高田市で高田松原津波復興祈念公園、東日本大震災津波伝承館の整備が進められておりますが、そこを今ゲートウエーにして、入口にして三陸観光のルートをつくっていこうとしているわけでありますけれども、私は、まずゲートウエーまで人をどうやって持っていくかというところがなかなか見えていないと思っております。
観光の分野で質問したときには、三陸沿岸道路、国道343号あるいは公共交通機関を使って来ていただくということでありましたけれども、外国人の方がレンタカーを運転していくには、やはり峠というのは大変でありますし、また、公共交通機関は、最寄りの新幹線駅から電車を乗り継ぎ、BRTもまた非常に回り込んでいるルートにもなっておりますので、なかなか三陸観光のゲートウエーたる陸前高田市に来るまでが大変なのではないかと思っております。私はこの新笹ノ田トンネルをしっかりと整備することによって、今度できる高田松原津波復興祈念公園が一大防災観光の拠点になるかならないかの瀬戸際ではないかと思っているところでございます。
そういったことを含めてしっかりと整備しないと、今、高速BRTもなかなか通しづらいという状況にあると思います。
もう一つ、三陸沿岸道路ができてくると、今度は、気仙地区の皆さんの経済圏が仙台市に移ってしまうだろうと思っております。そういったことを防ぐためにも、あそこに一本トンネルを通すことによって、岩手の経済圏をしっかり守っていくといった効果があると思っておりますが、今回の通常分の増加に伴い、新笹ノ田トンネルの事業化に向けた検討はどのようになっているのか、部長にお聞きして終わりたいと思います。
〇八重樫県土整備部長 ただいま佐々木朋和委員から貴重な御提言をいただいたと存じております。
新笹ノ田トンネルについてでありますが、国道343号は気仙地区と内陸部を結び、沿岸地域の復興を支援するとともに、県民の安全・安心な暮らしを支えて、観光振興にも資する重要な道路と認識しております。これは何ら思いが変わるものではありません。
県では、復興計画において復興支援道路に位置づけておりまして、昨年12月には一ノ通工区の供用開始をいたしましたほか、現在、渋民工区において、2020年度の完成を目指して、トンネルを含むバイパス整備を進めているところでございます。
御意見のありました笹ノ田峠に新たなトンネルを整備することにつきましては、多額の事業費がかかるということが見込まれておりまして、国費とともに安定的な事業予算の確保が大きな課題と考えております。
今後の復興道路のネットワークの完成も見据えながら、交通需要の変化など、今、重要な御指摘をいただいたと思っておりますが、そのBバイC、その他もろもろの要因がこれからも考察要素に挙げられてくると存じております。そういった状況を見ながら、必要性について検討してまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 高田松原津波復興祈念公園は国費も入れて整備するものであります。それを生かす道路にあっては、県だけでなく、国にも責任を持って整備をしていただくと。維持費については県も出していくわけですから、ぜひともその点をしっかり国にも要望していただきたいということを申し上げて終わります。
〇城内よしひこ委員 私からは道路環境改善事業についてお伺いしたいと思います。
今、橋梁等の耐震化を進めている箇所がたくさんあるようですが、耐震化の状況はどのようになっているのか。あわせて、今後の見通しはどのようになっているのかお伺いします。
〇白旗道路環境課総括課長 橋梁の耐震化の状況についてでございますけれども、県では、これまで、平成7年発生の阪神・淡路大震災を契機にいたしまして、緊急輸送道路上の15メートル以上の橋梁688橋を対象といたしまして、地震時の橋梁の倒壊や落橋を防止し、車の走行に支障となる大きな段差が生じないよう耐震補強を進め、平成29年度までに634橋、約92%の耐震化が完了したところでございます。
次に、今後の見通しについてでございますけれども、ただいま申し上げた緊急輸送道路上の15メートル以上の橋梁における耐震化未対策の橋梁につきましては、平成29年度末で54橋ございます。このうち、平成30年度は、国道106号蟇目橋を含む10橋で耐震補強が完了し、これによりまして、耐震化橋梁は644橋、耐震化率は約94%となる見込みでございます。
引き続き2019年度以降も対策を進めまして、早期の耐震補強の完了を目指す考えでおります。
〇城内よしひこ委員 私は、10月8日に国道106号を盛岡市に向かってきたら、盛岡市から宮古市のほうに100キロメートル歩く団体がいて、何が渋滞しているのかと思いました。国道106号は歩道がある道路ではないので、そういった方々が歩くというのは想定はしていないのだと思いますし、通常は、そういう方々が通るように考えてはいないのだと思います。ただ、いずれ、今後国道106号と併行する新しいルート、三陸沿岸道路に関連する盛岡市と宮古市をつなぐ道路改良が進んでくるわけでありますが、これから利用頻度が落ちるかもしれない従前の国道106号など、たくさんの道路が出てくるわけでありますけれども、そういった道路の維持管理も含めて、今後、点検というのはどういう形で行っていくのか。また、そういう歩道というのは、今後どう考えていくのかというのもお伺いしたいと思います。
〇白旗道路環境課総括課長 まず、道路施設の点検についてのお尋ねでございますけれども、平成25年に道路法が改正されまして、現在、5年に一度の頻度で点検が義務づけられております。橋、トンネル、大型カルバート、シェッドという覆い、それから門型標識─道路をまたぐように組んでいる標識、横断歩道橋が法定で点検を義務づけられた施設でございます。
橋とトンネルについてでございますけれども、県では平成26年度から、橋梁2、689橋、トンネル159カ所を中心に点検を進めておりまして、平成29年度までに、橋梁2、249橋、トンネル117カ所の点検を完了したところでございます。今年度は、残る橋梁440橋、トンネル42カ所の点検を実施しておりまして、5年間で、合計、橋梁2、689橋、トンネル159カ所の法定点検としての一巡目が完了する見込みでございます。
このほか、先ほど申し上げました大型カルバートは平成28年度、平成29年度、シェッドは平成26年度、門型標識は平成29年度、横断歩道橋は平成26年度と平成29年度に一巡目の法定点検を終えているところでございます。
それから、歩道の整備につきましては、現在、通学路を中心に歩道を整備しているところでございますけれども、通学路の緊急合同点検を行うことにより危険箇所等を把握しまして、歩道の整備が必要なのか、歩行空間でよろしいのかといったことを判断しながら、歩道の整備のあり方について検討していきたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 もちろん、第一義に優先順位というのはあると私も思っていますし、それは正しい考えであると思っています。ただ、交通量が少なくなったりする中にあって、人や、最近は自転車とかも、スポーツバイクというんですか、結構猛スピードで、国道106号を走っているのですが、追い抜くときに若干危険を感じたりする場合があります。今後、そういった箇所が出てくるのではないかと思っています。そういったことも気にかけながら、道路の維持管理をするというのは必要だと思います。維持管理の中には穴ぼこの補修であったり、いろんなものもあると思います。点検をしてそういった維持管理はしているというのはこれまでもお伺いしましたけれども、箇所数が多過ぎて一気に直すのはなかなか難しいでしょうけれども、定期的に直す習慣がないと、大きい事故、事件になりかねないのではないかと思います。特に、ことしの冬場、国道340号の宮古市の川井から小国にかけての道路が、結構、凍上災にひっかからない程度の大荒れの状態でありました。観光客の方々が、そこで大変苦慮したということも地元の方からお伺いしましたので、ぜひそういったことがないような道路点検整備をしてほしいと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
〇白旗道路環境課総括課長 先ほど申し上げましたとおり、まずは法定点検も重点的に点検して、損傷ぐあいに応じた対策を考えていきたいと思っております。そのほか、委員から御指摘のありましたように、舗装であるとかのり面といったところも点検しながら、適切に維持管理をしていきたいと思っております。
それから、先ほど国道106号の現道区間の将来的なメンテナンスというお話がありましたけれども、宮古盛岡横断道路ができた後に、国道106号を県でそのまま管理するのか、宮古市、盛岡市に移管するのか、あるいは国に移管というか管理をお願いするかということについてこれから検討していく必要があると思いますけれども、いずれにせよ、道路は残ります。先ほどの法定点検は全ての道路管理者に課せられた義務でございますので、基本的には、それにのっとって点検をして適切に修繕をすることで、維持管理に対応していくものになると考えております。
〇城内よしひこ委員 道路を利用する者は、その道を誰が管理しているかを考えませんので、しっかりとした管理をできるような体制で役割を果たしてほしいと思います。
次に移ります。港湾利用です。先ほど飯澤委員からも質疑がありましたし、私も今回の総括質疑をさせていただきました。宮古─室蘭フェリーの欠航の状況についてお伺いしたいと思います。
〇照井港湾課総括課長 宮古─室蘭フェリーの欠航の状況についてでございますけれども、航路が開設されました6月22日から9月末までの間に、合計202便の運航が予定されておりましたが、実際に運航されましたのは181便でございまして、台風などの影響によりまして21便が欠航となっております。したがいまして、この期間の就航率は89.6%となっております。
〇城内よしひこ委員 台風などの影響による欠航ということなのですけれども、以前、議員連盟で九州のほうに視察に行った際は、フェリーは欠航が少ないので、使い勝手はいいのだと、それがフェリーの売りなのだということをお伺いしてきたところでありますが、宮古─室蘭フェリーの欠航については残念な数字でありますし、そういったことが実は今回のダイヤ改正に─改正というか、若干改悪と言ってもいいのでないかと思いますけれども、そういうことにつながっているのではないかと思います。
また、欠航の一部理由の中には、宮古港の静穏度が、なかなか波が荒くて着岸できないとお伺いしました。そういった話について、原因と対策をまずお伺いしたいと思います。
〇照井港湾課総括課長 宮古─室蘭フェリーの欠航の原因は、室蘭港から宮古港まで航行する間の波が高くて来られないというのではなくて、宮古港へのうねりの影響で欠航になっております。フェリーが岸壁に接岸する際に、車とかの積み下ろしが安全に行えるかどうかを船会社で判断しまして、無理だと判断すれば、欠航になっているという状況でございます。
対策といたしましては、現在、宮古港にはタグボートを1隻配備しておりますけれども、来月上旬には係留補助装置が完成する予定となっております。係留補助装置は、岸壁に機械を据えまして、機械からフェリーにワイヤーをつけてウィンチで引っ張るような装置で、通常はフェリーのほうから係船柱にロープをひっかけて上から引っ張るのですが、係留補助装置は、ほとんど水平に近い角度でフェリーを直接岸壁に引っ張るという装置です。タグボート1隻に加えて、係留補助装置の使用によって改善していくのではないかと考えております。
〇城内よしひこ委員 今のお話だと、そういう装置がつくということで期待をするところであります。ただ、船関係者の方々に言わせるとタグボート2隻が必要で、今は1隻でやっているのですけれども、なかなかタグボートが宮古港にはなくて、実は1隻でカバーをしているところですが、そういったことに対する対策、タグボートは選択肢の中にはないのでしょうか。
〇照井港湾課総括課長 フェリー就航率の向上については就航前から懸案事項になっていまして、船会社と県、宮古市で協議を進めてきたのですけれども、タグボート1隻の常駐と係留補助装置の設置ということで、お互いに了解して今進めているものでございます。
11月上旬に完成する係留補助装置が加わることによって就航率が改善するのではないかと考えており、その結果を見きわめたいと考えております。その上で、さらに対応が必要ということでありましたら、フェリー会社と地元の宮古市と一緒に協議しながら、対策を検討していきたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 いずれ港の管理者とすれば、安定的にフェリーの欠航が少ない状況をつくっていかなければならないと思います。そのことが荷物を預ける方々に対しての最大のポートセールスになるのではないかと思っているのです。いろんな方々が宮古港を利用しやすい、安全だということを前面に出していかないと、なかなか荷物が集まらないのではないかと思っていますが、その辺はいかがでしょうか。
〇照井港湾課総括課長 短期的には、係留補助装置の効果を見守るということですが、宮古港に入ってくるうねりを抑えるというのがまず大切なことだと思いますので、長期的には、その対応に取り組んでいく必要があると考えております。そして、フェリー岸壁の前面に藤原防波堤、磯鶏防波堤があるのですが、これは国が整備した防波堤でございますので、今後、うねり対策をどうやっていくかということについて国と協議しながら検討を進めていきたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 ぜひその辺はしっかりとやってほしいと思います。
もう一点、港湾利用促進ということでお伺いしたいと思いますが、今、宮古港にサンマ船がたくさん入ってきております。昨年に比べれば、数字的には若干いいということで、みんな安堵しているところです。サンマ船は、宮古港に入ってサンマをおろすと、氷を積んですぐ出ていきます。宮古港では、製氷工場から船にすぐ氷が積めるように二股になっているのですが、一方の港沖側の水深が浅いのではないかと。大きな船が横づけして氷を満タンに積むと、船底をするという話があります。そういった話は県には届いていませんか。
〇照井港湾課総括課長 漁業関係者からは、直接そのような話はいただいておりませんけれども、一昨日、宮古市役所からそのような情報はいただいております。
〇城内よしひこ委員 ぜひ対応策を何とか検討してほしいと思います。サンマ船のシーズンだけとはいえ、出先地区も含めて、今後宮古港に入ってくる船が、そういった風評で宮古港は水深が浅くてだめだという話になると、これもまた外航船誘致でたくさん汗をかいている地元の皆さんに申しわけないと思うのです。そういった対策をしっかりと講じてほしいと思うのですが、再度お伺いしたいと思います。
〇照井港湾課総括課長 御指摘の施設はマイナス4メートルの物揚げ場ですけれども、もともと水深が深いところに設置されている物揚げ場で、平成28年に現地の測量をやっているのですが、大体6メートルの水深になっております。その物揚げ場から沖側のほうに現在整備を進めております新しい埠頭は、捨て石の天端をマイナス4メートルとする計画になっておりましたが、宮古漁業協同組合と相談をして、当該施設から18メートル沖までは、捨て石の天端をマイナス5メートルとして、施工しております。しかし、さらにその沖については捨て石の天端はマイナス4メートルになっていまして、現在まだ構造物が海上に出ていないため、そのあたりを航行する漁船は、多分どこがマイナス4メートルで、どこがマイナス5メートルかわからないような状況になっていると思います。一昨日、宮古市役所から、どうも漁船が捨て石に当たったようだという話もありましたので、昨日、点滅灯をつけて、浅いところがわかるような措置を講じたところでございます。
〇城内よしひこ委員 ものが船だけに、大きな事故にならないようにお願いをしたいと思います。
次に移ります。砂防ダムについてお伺いしたいと思います。
砂防ダムは、平成28年台風第10号でいろいろな被害が出た箇所がたくさんありました。県でも鋭意努力をしていただいて、いろんな箇所に予算をつけていただくということになっておりますけれども、要望箇所はどれぐらいあって、今後どれぐらい予算をつけていけるのかお伺いしたいと思います。
〇佐野砂防災害課総括課長 平成29年度の砂防ダムの要望箇所でございますが、二つの市町から5カ所の新規箇所、また、三つの市町から7カ所の促進要望があったところでございます。平成29年度は国庫補助事業で30カ所。これは平成28年の台風第10号関係で、岩泉町で25カ所、宮古市で5カ所を国庫補助事業として行っています。そのほか、交付金事業で19カ所、県単で2カ所の合計51カ所で事業を推進し、3カ所が概成したところでございます。
また、今後の見通しにつきましては、県内に土石流危険箇所が7、198カ所あり、そのうち、砂防堰堤等の要整備対象箇所が2、204カ所となっていますが、どうしても予算がかかりますので、被災履歴のある箇所や老人ホーム等の要配慮者関連施設のあたりを中心に整備するところでございます。
ただ、当然、要整備対象箇所数がこれだけ多く、また整備に時間、事業費がかかるものでございますから、ハード対策だけでは当然難しいと考えていますので、土砂災害警戒区域等の指定など、ソフト対策もあわせて進めていきたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 近年、大雨、風水害というのは頻繁に起きています。ぜひ、ハード面のおくれの部分をカバーできるぐらいのソフト面をしっかりと周知をしていただいて、適時適切に対応していただきたいと思います。
平成28年台風第10号で岩泉町の老人施設で大変な被害がありましたけれども、ああいったことも想定外という話には実はならないわけでありまして、それをしっかりと補完するのが我々行政の役割と思っています。ぜひ周知徹底をしながら、防げる事故はしっかりと防いでいくという気概を持って皆さんにお知らせをお願いしたいと思います。
〇千葉進委員 私からは大きく二つお伺いしたいと思っています。
一つ目は、既に何名かの方々、私と同じ旧東磐井郡出身の委員お二方も聞いているわけですけれども、新笹ノ田トンネルについてお伺いさせていただきます。
端的に言いますので、答弁は部長にお願いしたいと思います。
詳しい部分はもうお二方がお話しされたとおり、復興支援道路に位置づけられているし、実際に急勾配あるいは急カーブ、冬期間の路面凍結で非常に危険な道路だと。これに対して4市2町が要望しているわけですけれども、特に一関市では、重点要望の第一番に位置づける形で出させてもらっております。そして、今定例会の発議案で、12本あるうちの第7号として、大規模災害からの早期復旧に必要なエネルギー供給と流通網の確保を求める意見書が採択されていると。流通網の確保となっています。内陸と沿岸を結ぶという中で、この国道343号は非常に大事なものだということはもう御存じだろうと思います。さらには、こういう言葉も言われています。東日本大震災津波からの復興加速、産業振興、観光振興等の地域経済の活性化や地域観光を図ると。観光振興という言葉もあるわけですが、先ほど佐々木朋和委員から、陸前高田市はゲートウエーという片仮名を使いましたけれども、入口ということだろうと思いますが、それよりちょっと北上しまして、私は過日、被災した知人を訪問しながら、観光も含めて大船渡市三陸町越喜来に行ってまいりました。
陸前高田市は一本松と言われているわけですが、越喜来には一本ポプラという形で、そのポプラの名称がど根性ポプラと。樹齢80年で、昭和の大津波、そして今度の平成の大津波でも倒れなかったと。ただ、そのポプラが立っているところは、前は市街地といいますか町場だったと。全て流された中で、そのポプラだけは1本残っていると。そこがど根性ポプラ広場ということで、ポプラが1本立っているだけの広場でした。そばには三陸大王杉という縄文杉があり、知人宅を訪問した後、そこで2時間ほど過ごさせてもらいましたけれども、私以外、誰も来ませんでした。陸前高田市のみならず、越喜来も、それまでは釣りとかあるいは大学等もあったということで人が多かったにもかかわらず、そういう状況だと。8月の天気のいい昼どきにほとんど人がいなかったと。そういう部分でも、観光はまだまだなのだということを感じさせていただきました。ぜひ、そういう面でも、陸前高田市から始まって北上していく岩手県沿岸の観光ルートをつくっていくためにも、平泉町からつながっていく国道343号の新笹ノ田トンネルは、何としても早期事業化を進めていただきたいと思います。
先ほど部長の答弁では、思いはわかるし、それを抱えながら引き続き検討すると。特にたんすに入れることなくということでしたが、ある方は、まず、くいを打てということもよく言われるわけですが、それぞれの机上に、この新笹ノ田トンネルの早期事業化という標柱を立てるぐらいの意気込みでやっていただきたいわけですが、再度部長に、そういう面で、さらなる意気込みを期待してお伺いしたい。
〇八重樫県土整備部長 ありがとうございます。越喜来の一本ポプラ、なかなかの風光明媚な景観もまぶたに想像できました。くい打ちまでという具体的なお言葉もいただきましたけれども、いずれ、交通ネットワークは、笹ノ田地区も含めて、御案内のとおり、岩手県の中でいろいろあります。特にここはどうだ、ここはどうだというお話ではなくて、それぞれ地域の皆様とか道路を利用される皆様には、いろいろな思いが本当に現実のものとしてあるというのは、いろいろな要望を承っておりまして承知しているつもりでございます。
仮に私に1、000億円ぐらいのポケットマネーがあれば、すぐにでも行ってくいを打ってくるわけですけれども、そういうこともなかなか現実的ではありませんので、常に我々のミッションとして捉まえながら、引き続き検討をさせていただきたいと存じております。
〇千葉進委員 私、その際に、行きは国道343号を通って行ったのですが、帰りは一度と思って、陸前高田市の南のほうも開通したということなので、陸前高田市から気仙沼市経由で千厩に帰ってきましたが、非常に早く着きました。室根バイパスも開通しているということで。南から行く場合はある面では便利なのかもしれないですけれども、やはり内陸の人たちが東に行くときは、非常にそういう部分があるということで、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
二つ目になります。通学路についてお伺いしたいと思います。
質問の順番をちょっと変えさせてもらいますけれども、6月定例会の一般質問で、私はこの通学路について取り上げさせていただきましたけれども、教育長が取りまとめた形で答弁したということもあったので、再度確認をしたいと思っています。
主要施策の成果に関する説明書の168ページ及び206ページ等についての若干の説明及びこれまでの経過、過去5年ぐらいで、どういうところをどういうふうにしてきたといったところを教えてください。
〇白旗道路環境課総括課長 まず、6月定例会の一般質問のほうでございますけれども、道路管理者ということで答弁させていただきたいと思いますが、まず通学路の危険箇所につきましては、学校関係者、市町村、警察等の関係機関と合同で点検を実施いたしまして、対策が必要な危険箇所の把握を行います。その後、通学路交通安全プログラムに位置づけまして、優先的に整備を進めることとしております。
学校統合に伴いまして、通学路が変更されるような場合におきましても同様に、新たな通学路において合同点検を行いまして、危険箇所の把握、通学路安全プログラムに位置づけた上で優先的に整備をすることとしております。
歩道の整備が完了するまでに一定の時間を要する箇所等につきましては、学校とか警察の方々と連携いたしまして、通学児童への交通安全指導であるとか注意喚起を行うなどのソフト対策による安全確保にも努めているところでございます。
次に、主要施策の成果に関する説明書に載っている小学校における通学路の歩道設置率についてでございますが、いわて県民計画第3期アクションプランにおいて、小学校の通学路、延長約1、100キロメートルに対しまして、平成26年時点での整備延長826.5キロメートル、歩道整備率74.9%を平成30年度までの4年間で整備延長834.9キロメートル、歩道整備率75.6%に向上させることを目標として事業を進めているところでございます。これまで、その進捗率につきましては85.7%ということになっております。
過去5年くらいの経緯のベースとなりますのはただいま申し上げた数字でございますけれども、平成26年度の歩道整備延長826.5キロメートルをもとに、平成27年度は33カ所で事業を実施いたしまして、2カ所、約2.9キロメートルが完成しました。同じく平成28年度は、34カ所で事業を実施して、8カ所、約2.7キロメートルが完成、平成29年度におきましては、40カ所で事業を実施いたしまして、5カ所、約1.8キロメートルが完成したところでございます。平成30年度につきましては、39カ所で事業を実施いたしまして、3カ所、約1.6キロメートルの完成を見込んでいるところでございまして、平成30年度末には、整備延長が835.5キロメートルとなる見込みでございます。
〇千葉進委員 御苦労なさっているというのは十分わかりますけれども、それでもまだまだという部分があるわけです。先ほどちらっと答えも言ってもらったのですが、全県下で小学校が今統合されている状況の中で危険がある場合、さらには、これも今定例会の発議案第6号として、学校施設や通学路におけるブロック塀等の安全性確保を求める意見書が採択されているわけですけれども、これは結局、ことしの6月の大阪府北部の地震で、ブロック塀が倒壊し、児童が亡くなったことでこういう課題が出ていると。そういう喫緊性があるような場合はどう対応するのか。そこの優先度を最上位に位置づけていくのか、そういうことを私は聞きたいわけです。先ほど言いました小学校の統合によって危険な箇所がふえたと。そこを喫緊性があるということで先にやろうとするのか、従来やってきた流れでそこだけを順番にやっていこうとするのか、そこのところをちょっとお伺いしたいと思います。
〇白旗道路環境課総括課長 先ほども答弁いたしましたが、これまでは交通安全というところで合同点検をやってきたところではございますけれども、委員御指摘のように、大阪府北部での地震によってブロック塀が崩れたという事案もございましたので、そういったことも踏まえた合同点検もこれからはしていく必要があると思っております。倒れるおそれのあるブロック塀があるような場合、道路管理者といたしましては、所有者とか学校関係者、教育委員会に情報提供するほか、現地にはバリケードとか安全ポールみたいなものを立てて、近寄らないように措置はとっていきたいと考えております。
〇千葉進委員 その場合、その三者でイニシアチブをとるのはどこになるのですか。教育委員会、警察、そして県土整備部、どこがイニシアチブをとるのか。こういうものがあるのでという、例えばブロック塀の場合は教育委員会から皆さんに情報を出していって、中心となってやってもらうようにしたいということがあるのかどうかということです。
〇白旗道路環境課総括課長 学校単位で緊急合同点検であるとか定期的な合同点検をすることになっていますので、イニシアチブをとるのは学校とか教育委員会であると理解しています。
〇千葉進委員 わかりましたけれども、その場合でもいろんな情報は提供していきながら、こういったものがありますよと。特に危険箇所が地域から言われているので、こういうふうになるのですよということは、当然やられた上でのそういう判断でよろしいですか。
〇白旗道路環境課総括課長 そのように考えております。
〇千葉進委員 わかりました。とにかく、先ほども言いました通学路でいろんなものが考えられるわけです。歩道をつくるとかいろんなものがあるわけですけれども、今、全県下で小学校の統合が多くなっているという状況がありますので、その都度、あるいはその前の段階でも、通学路等がいろいろ話し合われるかと思います。そういったところにも積極的にかかわっていただきたいということを申し上げて終わりにします。
〇神崎浩之委員 いよいよラグビーワールドカップが開催されるということで、これを大成功させるために、私は、道路網の整備と花巻空港についてお伺いをいたします。
全国からそして海外からいろんな方が岩手を訪れます。そこで、これは市町村、これは県、これは国だということではなくて、岩手県全体としておもてなしをしなければならないわけであります。三つまとめてお聞きいたしますが、会場に一番近いところが釜石北インターチェンジです。三陸沿岸道路は仙台市から八戸市まででありますが、仙台市から釜石北インターチェンジ、ラグビーワールドカップの会場までの整備状況、そして宮古市から釜石市、久慈市、八戸市から釜石市等について、どういう整備状況になっているのかを確認させてください。
二つ目として、県内の三陸沿岸道路のインターチェンジでありますが、場所、数、それから形態がハーフインターチェンジとかありますね。私は8月に宮古市から陸前高田市まで三陸沿岸道路を使って南下してきたのですが、おりたり乗ったりで、おりるのはいいのです、簡単ですから。乗る場合には、これに乗ったらまた戻るのか先に行くのかが瞬時にわからないのです。夜で周辺に車がなかったからいいのですけれども、間違ってそのまま一緒に上がっていったら逆に戻るという、私自身がそういう不安、心配をしたところであります。
それから、城内委員が県警察本部の審査でもお話をされたのですが、警察の前に、道路の管理にかかわるものとしてそういう誤解のないようにしなければならないと思っております。いずれ、国が整備しておりますけれども、県土整備部で把握している事故、苦情、要望とかがあればお伺いしたいと思います。
〇田中道路建設課総括課長 まず三陸沿岸道路の整備状況であります。
三陸沿岸道路は仙台市から八戸市間の計画延長359キロメートルとなっていますが、現時点で216キロメートルが開通しておりまして、供用率は約60%となっております。今年度末までに、県内区間におきましては、さらに唐桑高田道路、吉浜釜石道路、釜石山田道路が開通する見通しとなっておりまして、県内分の供用延長は約125キロメートルとなるなど、三陸沿岸道路全体としては供用延長が約257キロメートルとなりまして、供用率は約72%になる見込みであります。そして、ラグビーワールドカップが開催される来年度には、仙台市から宮古市間のうち、気仙沼市内を除きまして、自動車専用道路として仙台市から宮古市間がつながる見通しになっております。
続きまして、三陸沿岸道路のインターチェンジの数、形式でございます。県内分213キロメートルにということで御答弁させていただきますが、設置済みあるいは設置が計画されているインターチェンジは41カ所ございます。インターチェンジの形式についてですが、フルインターチェンジが22カ所、ハーフインターチェンジが19カ所になっております。
それから、県には苦情等は来ておりませんが、管理する三陸国道事務所に確認させていただきました。三陸沿岸道路における逆走の事例等というのはまれにあるということでありますが、事故にはつながっていないということをお聞きしております。
〇神崎浩之委員 地元でもなかなかわかりづらいということがあって、その辺を非常に心配しております。何かいい方法がないのか。料金を取るようなところであればバーがありますけれども、瞬時にわからないので、その辺はある程度創意工夫で対応していただきたい。
それから、仙台市から宮古市までのうち、気仙沼市内がちょっと難しいということでありましたけれども、あそこはいずれ混むということなので、それについては頑張っていただきたいという気持ちがあります。
今のは縦軸でありますが、次に横軸であります。
一つは、東北横断自動車道釜石秋田線で、いよいよ遠野市の部分が開通するということですが、その日程は決まったのかどうか。
それから、先ほどの宮古─室蘭フェリーの荷物の関係もあるのですが、宮古市から釜石市に来て、釜石秋田線に入って北上市に行く場合に、江刺田瀬インターチェンジから北上市内、北上工業団地へのアクセスが悪いということで、これは非常に大きな課題だと思っております。花巻市経由でおりてくればいいということだと思いますが、これは運転手にとって非常にストレスらしいです。長距離の運転手にとって、1回北に上がってから下がるということは、大分ストレスだということが言われておりますが、その辺も含めて、横軸の道路の釜石秋田線、北上市内へのアクセスについてどうなっているのかお伺いいたします。
〇田中道路建設課総括課長 まず、釜石秋田線の整備見通しでございますが、釜石秋田線釜石─花巻間約80キロメートルにつきましては、昨年度末までに63キロメートル、79%が開通しております。現在、仙人峠道路の前後区間である釜石道路、遠野道路の整備が進められておりまして、開通見通しとしては平成30年度末というところまでしか出されてなくて、それより詳しい情報はまだ明らかになっておりません。
次に、江刺田瀬インターチェンジから北上市方面へのアクセスですが、北上市方面へのアクセス向上を図るため国道107号の整備を進めてきております。平成23年10月には江刺田瀬インターチェンジに直結する札押工区の供用を開始しております。現在は札押工区の西側に隣接する梁川─口内工区におきまして、急勾配等の解消を図るため、約1キロメートルのトンネルを含めた2.7キロメートルの整備を進めておりまして、今年度中にトンネル区間の開通を予定しております。
梁川─口内工区からさらに西側、北上市内側につきましては、東北横断自動車道釜石─花巻間の全線開通による物流の変化や周辺の開発動向なども見きわめながら、物流ルートとして整備が必要な区間等について検討していきます。
〇神崎浩之委員 来年のラグビーワールドカップに関しては一過性のことかもしれませんので、南から花巻市まで行って、少し南下して釜石市、宮古市経由ということはあるかもしれません。けれども、常時の物流を考えると、やはりストレスだということがあると思います。
先ほどから話のあった宮古─室蘭フェリーを何とか残していくためには、物流事業者の皆さんが使い勝手のいいような条件にしておかないと、お金がかかっても八戸市から東北自動車道をおりてきたほうがいいということになっては、危機的状況になるのではないかと思いますので、ぜひ、そういう事業者の要望を聞きながら、いい形で進めていただきたいと思っております。
次に、横軸の2点目でありますが、新笹ノ田トンネルであります。これは旧東磐井郡の議員が3人言いましたが、旧西磐井郡の議員としても触れておかなければならないので、簡単にやります。
何でここまでなのかということなのです。建設から30年ぐらいたっているループ橋で、お金がかかっている、まだ新しいという話もあるのですが、そもそもあそこはトンネルではなくて、なぜループ橋にしたのかということをお聞きしたい。
今、トンネルを掘るのに1メートル幾らということで、震災後、検討なさっているのか、その二つについてお伺いいたします。
〇田中道路建設課総括課長 国道343号の笹ノ田地区がなぜそういう整備になったのかというところでありますが、昭和58年ごろから平成元年ごろに整備が進められたと聞いておりまして、計画自体も30年よりも前に立ち上がったものだと思っています。当時としては、長いトンネルを掘る技術が県に余りなかったということもあって、なるべく上まで登っていっておりてくるという計画を選択せざるを得なかったという背景もあるのかと想像しておるところであります。
それから、トンネル工事の1メートル当たり単価は、標準的な単価で申し上げますと、300万円ぐらいの目勘で私たちは考えております。
〇神崎浩之委員 新笹ノ田トンネルについては、あと一回、部長に聞いて終わりにいたしますけれども、当時は技術がなかったということですが、今は復興の工事も経験して、多くの技術があると思われます。観光とか物流、商工業、ILCということもあるのですが、通常でも不安なのです。安全じゃないのです。そこが基本だと私は思っているのです。よく冬場のループ橋は危険だと言われますけれども、冬場だけじゃないのです。春、秋、夏であろうが、非常に危険な橋であります。私も何回も陸前高田市に行くのですけれども、下り坂で暗いトンネルに入って、カーブしているのです。非常に怖いです。一関市から陸前高田市に向かって、下り坂で暗いトンネル、狭い、曲がっているということで、水が流れると非常に怖い橋だと。私はわかっていますから、徐行して下っていきますけれども、そういう冬場のループ橋の危険だけではなくて、365日心配だということがありますので、そういうことも理解していると思いますが、お聞きしたいと思います。
それから、私は石井国土交通大臣にもお願いしてきました。各大臣が来るたびに通っていただいて、お願いしております。そうすると、これは3桁国道だから、国は応援しますけれども、まず県が手を挙げてくださいと言われます。県が手を挙げれば国は応援してくれるということ。石井国土交通大臣にも、直轄でやってくださいとも言いました。そうしたら、岩手県は直轄をいっぱいやっているから、ちょっとだめだということを言われたりして、私なりにも努力しているのですけれども、県が手を挙げないと、なかなか国もということもあります。
観光についても、三陸沿岸道路が通ると仙台市のほうに商圏が移るのではないかという心配をしております。一関市まで来て、新笹ノ田トンネルを通していただいて、沿岸を宮古市まで行って盛岡市に帰るということをやっていかないと─皆さん方も、道路の要望でバイパスを通すと町の中が寂れるというのを経験していますよね。要望があってバイパスを通すと、町なかの商店街が寂れていくということをよく聞いていると思いますけれども、大きな意味で東北、岩手がそういうことになるのではないか。三陸沿岸道路が通ることによって、内陸の経済ということも含めて一般質問でもやったわけですが、それらも含めて、部長の見解について、先ほどの読んだ答弁でない形で思いのたけをお話しいただきたいと思います。
〇八重樫県土整備部長 神崎委員からの新笹ノ田トンネルの御質問で、いよいよ本当に文字どおり四面楚歌に立たされたような気もしております。先ほどの御質問にありました現在の橋梁の構想自体は、いろいろ経済比較や工法比較を総合的に行っているという記録を確認しております。公共事業の盛んな時期の計画で、この橋自体も全国的にも画期的な技術を持ってつくったということでありまして、危険になるものをあえてつくったものではないと承知しております。
ただ、私もこの区間を冬季、夏季に何度も通っておりますが、委員と同じく、ちゃんと慎重に、安全に、事故のないように運転しているつもりでございます。必要かどうかということも含めて、先ほどの答弁でも申し上げましたが、公共事業費の来年度の予算要求は1.05倍とこれまでなかった上向きのベクトルを初めて認めていただいたということもあって、そういった動向も見据えながら、県内のこれからの高速ネットワークをうんと先取りしたような状況の完成度も見きわめながら、改めていろいろしっかりと検討していきたいと思います。全然ブラインドにするという意味ではなくて、各地域の課題を十分に認識しながら、検討させていただきたいと存じます。
〇神崎浩之委員 ちゃんと運転しなくても、普通に運転しても安全に通れるようなトンネルの実現を願っております。
最後に花巻空港についてでありますが、これもラグビーワールドカップ絡みであります。
この前、報道で花巻空港の収支が赤字だという記事を見て─社会的に必要なインフラです。道路も橋もそうですし、道路、橋自体で収支を黒字にするということはないのですが、ああいう取り上げ方になって、私は残念だと思いました。
利活用については、国際化などを観光課でやっておりまして、今はあくまでも県土整備部は管理ということなのです。
質問の一つ目は、JALとかFDA、タイガーエアの定期便以外の利活用についてはどういう状況になっているのか。例えば自家用ジェット機、セスナ機、ヘリコプターだとか、我々が知っている以外にもいろいろな花巻空港の活用があると思うのですが、その辺はどうなっているのかということが一つ。
二つ目は、ラグビーワールドカップへの対応ということで、臨時の利用があるのではないかと期待しているのです。例えば石油の国の王子様が自家用ジェット機で来るとか、セスナ機で来るとか、そういうことも想定していいのではないか。ほかの空港は混んでいるけれども、花巻空港は意外といいぞということになれば、ラグビーの観客というのはすごい金持ちだという話も聞いておりますので、もし、そういった場合に臨時の利用が可能なのかどうか、どういう利用の流れになっているのかについてお伺いしたいと思います。
〇佐々木空港管理課長 花巻空港の定期便以外、例えば自家用飛行機等の利用の状況でありますが、海外からのプライベートジェット機につきましては、平成29年度は1月中旬に1便が運航しております。また、本年8月上旬にも1便が運航しております。いずれも最大19人乗りの機材でありまして、ここ数年の状況を見ますと、運航実績は年に一、二度程度となっております。
次に、海外からではなくて国内でもビジネスジェット機が何便か運航されておりまして、平成29年度には民間会社で3便運航しております。
また、ヘリコプターにつきましては、駐機を受け入れた件数が平成29年度は327件となっております。なお、9月6日に発生した北海道胆振東部地方の地震の際には、その当日にヘリコプター延べ19機を受け入れておりまして、関東方面等から北海道に向かう救援ヘリ等の給油のための中継基地として側面支援を行っております。
続きまして、ラグビーワールドカップへの対応についてでありますが、花巻空港は、ラグビーワールドカップの釜石会場への国内外からのアクセスを考えた場合、非常に優位な状況にあると考えておりまして、先ほどお話のあったプライベートジェット機の運航なども可能性はあるものと認識しております。
プライベートジェット機の受け入れの場合の手続等につきましては、プライベートジェット機の運航会社から花巻空港事務所に駐機スポットの申し込み、あき状況の確認をいただきまして、同時にハンドリング会社、いわゆる空港内の地上支援業務を行う業者にもその対応が可能かどうかを御確認いただきます。また、海外から直接入ってくる場合には、CIQ機関─出入国管理、税関、検疫の対応もありますが、花巻空港ではそれらが常駐していないので、そちらにも対応いただけるようにあらかじめ運航会社から御確認をいただくということで進めております。
ラグビーワールドカップの出場チームの選手や関係者あるいは応援団、観戦者の皆さんが、海外から直接ではなくても国内便で花巻空港に入ってくることも想定されますので、本県の空の玄関として、ラグビーワールドカップの釜石会場を訪れる国内外の皆様に、花巻空港関係者が一体となって、スクラムを組んで、おもてなしの心で接することが大事であると考えております。
なお、花巻空港にプライベートジェット機等で訪れるという情報につきましては現時点ではありませんが、そのような情報があった場合には、関係機関と連携して適切に対応したいと考えております。
〇神崎浩之委員 最後に部長にお聞きしますけれども、私は、花巻空港の収支赤字の報道はちょっと残念だと思っております。我々が知っている以上にさまざまなことで使われているのだということ、それから、災害のときの中継基地ということもあって、除雪車や消防車とか、すごい設備です。ああいうものも、何か災害が起こったときに花巻空港を使えないとなったのでは困るので、維持、修繕、管理は非常に大切だと思っております。
そんなことも含めて、花巻空港のさまざまな活用をこの機会にお話ししていただきたいと思いますし、ラグビーワールドカップも、絶好のチャンスでありますので、ぜひ対応していただきたいと思います。部長のコメントをいただいて、終わりにしたいと思います。
〇八重樫県土整備部長 花巻空港の利活用を応援していただいたと受けとめておりまして、本当に感謝いたします。
空港施設というのも社会資本の一つでありまして、それを維持、経営するためには一定程度の管理費が当然必要になってくるということであります。一方、使用料、着陸料等の収入ということも当然あるわけです。その収支差のみで報告させていただいた結果としては収支赤字ということではありますが、県に一つの空の玄関としての社会資本ということで、年間の利用者数も年々伸びていまして、昨年度は44万人を超えたところです。さらに台湾への定期便が開設されたことで、岩手県の方も花巻空港から直接台湾に行けるという利便性の向上などさまざまな利用のされ方があります。
そういった意味で、仕方がないとは申しませんが、収支の赤字については、もっと利用活性化に取り組みまして改善していくように努めながら、さらに花巻空港の利用価値などについてPRしてまいりたいと考えております。
〇柳村一委員 四十四田ダムについてお伺いします。
四十四田ダムは流域面積が1、196平方キロメートルということで、北上川の5大ダムの中で一番大きいわけでございますが、最近の局地的な豪雨等で、四十四田ダムだけではなくて、5大ダムの連携操作によって流域の被害軽減等が重要になると思います。
そこで、四十四田ダムでの洪水調節の管理と、今までの効果がどうだったかお伺いします。
〇佐々木河川開発課長 四十四田ダムの操作、管理についてでございますけれども、洪水調節用ゲートの操作によりまして、洪水初期にはダムへの流入量と等しい量を放流し、流入量が毎秒400トンを超えてからは、下流河川の水位上昇を抑えるため洪水の貯留操作を開始し、最大放流量が毎秒600トンとなるよう運用しているところでございます。
それから、洪水調節の効果についてですけれども、これまでに43回の洪水調節を実施しております。近年では、既往最大の流入量を記録した平成25年9月の洪水におきまして、盛岡市の夕顔瀬橋下流地点において約3メートルの水位を低減させる効果があり、河川堤防の整備効果とあわせ、約7、500戸の浸水被害を防止する効果があったと国から聞いているところでございます。
〇柳村一委員 ことしの7月5日の記録的な西日本豪雨で、野村ダムが緊急放流を実施して、5名の死者を出したということがあります。四十四田ダムはかなり大きいので、そういう危険性はないとは思うのですが、国は今度、国管理ダムの利水容量を抑制して洪水調節容量をふやす制度の創設を考えているようです。四十四田ダムの利水容量と洪水調節容量の間に新たに国が管理するところを設けるらしいのですけれども、四十四田ダムの最低水位が158メートル、洪水貯留準備水位が159メートルで、その間が1メートルしかないということは、今回の国による制度は四十四田ダムには使われないものだと解釈してよろしいのでしょうか。
〇佐々木河川開発課長 今の委員からお話のあった件は、使われていない遊休の利水容量がある場合には、その分を利水者と調整した上で、あらかじめ洪水への備えということで、洪水が来る場合に前もって放流して洪水調節容量をふやしておいて、洪水に備えましょうというお話かと思います。四十四田ダムにおける1メートル分の利水容量については、企業局が発電容量ということで確保している容量でございます。発電の運用上で1メートル程度必要となると思いますので、そこは企業局と国の管理者との協議いかんかと思います。
〇柳村一委員 四十四田ダムにつきましては計画を上回る堆砂の進行が問題になっていまして、昨日から12月にかけて、上流の貯砂施設にたまった土砂を取り除く作業が始まったようでございますけれども、堆砂量の今までの推移と、堆砂している土砂の中にはヒ素とかも含まれていると思うのですが、その堆積物による影響の有無についてお伺いします。
〇佐々木河川開発課長 まず、四十四田ダムの堆砂量についてでございますけれども、四十四田ダムは昭和43年に完成いたしまして、ことしで50年が経過したところでございますが、堆砂の進行が想定よりも早く、平成28年度時点では、計画の堆砂容量に対しまして約95%の堆砂となっていると国から聞いているところでございます。
次に、堆積物の影響についてでございますけれども、四十四田ダムの貯水池内及びダム上下流の地点におきまして、定期的に水質調査、底質の調査等を国では行っており、水質への影響がないことを確認しておりまして、堆積物については貯水池内で安定していると伺っているところでございます。
〇柳村一委員 上流の土砂を調べたところ、ヒ素等の基準は大丈夫だったということなので、昔に処理する前にたまったヒ素がダムの下のほうに沈んでいるという状態だと思うのですけれども、定期的に観測しているので大丈夫なようですが、例えば大きな直下型地震が来たときにダムの底が不安定─水の下だから液状化というのはないと思いますけれども、そういう不安材料みたいなものはないのでしょうか。
〇佐々木河川開発課長 堆積物からのヒ素の流出というお話かと思いますけれども、国で、水質そのものは調査しておりますし、底質については堆積物の表層部分を採取して調査しているということと、一部底質の深いところまでボーリングを入れた上で深部も確認していると聞いております。もちろん、深部につきましては、そういった対策がまだなされていない昭和56年以前のものがあるので、そういった濃度は確認されているようですけれども、上のほうに、その後のきちんと処理された土砂等が流れてきておりますので、そういった懸念はないということを聞いております。
地震についても、堆積物は湖底で安定しておりますので、そういった懸念はないと考えております。
〇柳村一委員 素人目から見ると、堆砂が計画より早く流れてきたおかげで安定しているのかとも思いますけれども、逆に上流に貯砂施設をつくって土砂をかき集めなければいけないということなので、洪水調節とか堆砂の今後の対策はどのように考えているのかお伺いします。
〇佐々木河川開発課長 まず、堆砂につきましては、先ほど委員からお話のありましたとおり、平成28年度にダムの上流部に捕捉施設を設置しておりますので、そこで捕捉された土砂を定期的に維持掘削して、貯水池内へ流入土砂が入ってくるのをおくらせていくという対策を今後定期的に続けていくということを伺っております。
堆砂の抜本的な対策につきましては、今後も詳細な調査等を踏まえて、貯水池内の土壌汚染を考慮した適切な方法をあわせて検討していく予定と聞いております。
四十四田ダムの今後の洪水調節のあり方につきましては、北上川上流域におきまして、平成25年の洪水で四十四田ダムや御所ダムで既往最大の流入量を記録しており、近年の短時間豪雨が増加傾向にあるということを踏まえ、国では、来年度から新規事業といたしまして、四十四田ダムのかさ上げを含む北上川上流ダム再生事業の予算要求をいたしまして洪水調節機能を向上させていく予定と聞いております。それらによりまして、北上川の治水対策の水準の向上を図っていくと聞いております。
〇柳村一委員 最後にします。洪水調節の計画で、一部には2メートルのかさ上げという報道もありました。上流にある橋は平成29年度の予算で穴を補修していただいたと思うのですけれども、その計画によって、その橋も埋没する可能性があるから、新設については、その計画が発表になった時点で考えていきたいという広域振興局のお考えのようですが、その計画が明らかになるのはいつぐらいかおわかりでしょうか。
〇佐々木河川開発課長 四十四田ダムのかさ上げを含みますダム再生事業の今後の見通しというお話かと思いますけれども、今、来年度の新規事業化の予算要求をしているということでございます。もし、来年度からそのとおり事業化された場合には、最初に調査をやった上で、具体的に2メートルというような報道もありますけれども、その2メートルが技術的にどうなのかも含めて、今後、詳細な設計をして、計画を確定していくと聞いております。現時点で、いつ、こういった結果が出るというところまでは、国からはまだ聞いていないところでございます。
〇佐々木宣和委員 大きく3点伺いたいと思います。
1点目、平成28年台風第10号の災害復旧工事に関して1点のみ伺いたいと思います。
他の委員からも一般質問でありましたが、災害復旧は基本3年というところでございます。平成28年度にスタートして、今年度末に間に合わないと予測される工事が、県、岩泉町で相当数あると認識しておりますけれども、改めて、3年で間に合わない理由、課題点を伺います。
そして、岩泉町または地元建設業協会からの期間延長の要望状況と今後の取り組みに関して伺います。
〇佐野砂防災害課総括課長 平成28年台風第10号の災害復旧工事でございますけれども、限られた地域において同時期に非常に多くの発注案件が生じたことから入札不調が多く発生し、そのために多くの箇所で工事着手までに時間を要したと認識しているところでございます。
続いて、期間延長の要望、また、今後の取り組みでございますけれども、岩泉町などから、今年度中に全ての工事を完成することは難しいという話は聞いております。これまでも会議等の場を通じて情報共有を図るなど、連携を図りながら取り組んできたところでございます。
また、平成28年台風第10号災害の復旧期間につきましては、被害が広域かつ甚大であったことから、事業期間の弾力的運用について国と協議を行い、国からは、自治体の事業執行体制や現場状況の変化等を踏まえ、繰越制度の活用など柔軟に対応していただいているところでございます。
このことから、制度を最大限活用し、市町村及び関係団体としっかり連携しながら、復旧に向けて着実に取り組むこととしております。
〇佐々木宣和委員 何度も聞いて、ちょっとしつこいようなところもあるのですけれども、今、岩泉町もそうですし、地元建設業協会も一番気になっているところでございます。それこそ、図面を見ればわかるような話ではありますけれども、丁寧に国にも対応していただきたいというところでございます。
次に、台風の経験を生かすという話でございまして、県当局では、水防災意識社会の再構築というところで、水位周知河川の指定拡大とか、先日は危機管理型水位計の1基目が岩泉町の乙茂地区に設置されたという非常に喜ばしいニュースもいただいたところでございます。
もう一つ、平成28年台風第10号災害の教訓というところで、道路の通行どめ箇所数が非常に多かったと。ピーク時が44路線121カ所─数字は正確かちょっとわからないですけれども、そういった状況で、私も岩泉町から盛岡市まで、こっちに行ってまた通行どめで、大きく迂回するという経験をしたところです。
通行どめ情報に関しては、岩手県道路情報提供サービスというサイトで知らせているかと思うのですけれども、インターネット上に情報が出るまでの流れと、通行どめエリアに近い方、また使う方への周知への取り組みに関して伺います。
〇白旗道路環境課総括課長 通行どめ情報の周知方法についてでございますけれども、県におきましては、災害等により通行どめを行う場合は、土木センター等において、まず、市町村や警察、公共交通事業者などの関係機関に直ちに通知を行っております。あわせて、先ほど委員からもお話がありました、インターネット上の岩手県道路情報提供サービスに公開するために、速やかに所定の作業を行っているところでございます。
一方で、このインターネット上の情報周知のほか、通行どめ区間周辺におきましては、道路情報板での表示あるいは通行どめをお知らせする看板を現地に設置するなどして、周知を図っているところでございます。
〇佐々木宣和委員 私が提案したいのは、今、インターネット上で通行どめ情報というのは動く地図でも表示されていますけれども、PDFで吐き出すような形で表示されている。それを何とかカーナビの情報に組み込んで、ここは安心して通れるというような情報を示していただくというのはすごく大きいのではないかと思っています。
類似サービスというのはもう既に民間事業者でやっているのがあるのですけれども、それは、カーナビを持っている方が、その道を通った情報を飛ばして、これはヤフー地図でありますけれども、道路通行実績情報通れた道マップというのがあるようです。私も経験して思うのですけれども、岩泉町のようなところだと、VICSに対応しているカーナビを搭載している車が何台通るのだろうということもありますし、やはりおおよその時間が予測されないと、なかなか動きづらい。私は行かなければならないので行ったのですけれども、事例としては、通常だと15分で行けるところが、恐らく二、三時間かかってしまうと。おじいさん、おばあさんが近くにいるけれども、時間が読めないので行けないという話もありました。また、薬をどこかから取ってきたいけれども、道もわからないし、とりあえず我慢しているというような話もあって、内側にいる人間に対してはもちろん有効な情報になりますし、また、外側から応援に入ってくるボランティアスタッフ等々にも、わざわざ来ていただくのに、道が通れなくて迷って事故でも起こされたら本当に申しわけない気持ちでいっぱいになると思っています。ここで何とか岩手県の道路情報を画面上にカーナビのサービス、何かのウエブサービスに展開できないかという話なのですが、いかがでしょうか。
〇白旗道路環境課総括課長 今、委員から御指摘があったようなカーナビへの情報も当然提供はしております。ラジオ放送にも対応できるように関係機関に情報提供しているところでございますし、スマートフォン向けの岩手県道路情報提供サービスも平成28年8月から、見やすく、操作しやすくしたものを提供しておりますので、まずは、こういったところから、道路利用者が必要とする情報について、速やかに周知できるように取り組んでいきたいと考えております。
〇佐々木宣和委員 具体的なアクションの実例があるので紹介させていただきます。ITメディアのニュースであったものですけれども、西日本豪雨で東広島市の職員がグーグルマップのマイマップという機能を活用して、東広島市道路情報(グーグルマップ版)という、CSVのファイルを置いて、それを使うことによってグーグルマップのナビゲーションと連動することができる、いわゆるオープンデータのような取り組みなわけです。実際にこういうことでもう動いている自治体もあるというところで、今々はなかなか難しいというお話があったのですけれども、カーナビ情報が難しいのであれば、オープンデータでやることができないのか。オープンデータでやることができないのであれば、それこそ災害情報のオープンデータ化プロジェクトみたいな、若手職員のプロジェクト案件みたいなものでやっていただけたらおもしろいのかなというような提案でございます。所感があれば答弁をお願いします。
〇八重樫県土整備部長 県で提供させていただいております道路情報システムでの通行どめ情報はそのとおりですが、平成28年台風第10号の際に、どのように現道を連ねて被災地まで行くかということは、我々も苦労してルートを発見いたしました。今、委員のおっしゃるとおり、そういったシステムがあれば、我々も、こことここが通行どめのときに、どうやって行けるかということが瞬時にわかると思いますし、利用者の方の利便性も向上するものだと思います。
グーグルのマイマップという機能を活用したオープンデータのような事例も紹介していただきましたので、そういったこともいろいろ踏まえながら、勉強させていただきたいと思います。
〇佐々木宣和委員 政策地域部の話というところもあるかと思いますけれども、結局、通行どめ情報は各地域の土木の職員が調べていると思うので、それをいち早くどこに上げるのかというのも、仕組み化してしまえば、意外とそんなにハードルが高くないのではないかと。もう実際にやっているところもあるということなので、前向きに考えていただきたいと思ったところでございます。
最後に、建設キャリアアップシステムに関して伺います。
岩手県は、震災、台風と大きな災害を受けまして、今、建設業の方々は忙しいところですけれども、その前の状況を考えますと、公共事業が少ない中で、会社規模を小さい形で維持していくという発想の方々が多いところに震災が来たと。仕事をどんどんやって会社を大きくされている方もいますし、ちょっと怖いので、そのままやっているというようなところもあると。
そういった状況の中で、一つ、国で大きな動き、取り組みがあって、それが建設キャリアアップシステムというもののようでございます。これは、技能者の資格、社会保険加入状況、現場の就業履歴等を業界横断的に登録、蓄積する仕組みで、能力や経験に応じた処遇を受けられる環境を整備し、建設業の担い手を確保していくと。もう運用されているものですけれども、5年で全ての技能者の登録を目標とするという話のようでございます。
意図としては、リソースの最大化。建設業に従事される方もなかなか少なくなってきている中で、建設業にかかわっている方の能力を最大化するために、枠を少しずつ取っ払っていこうという発想のものだと思います。
これに関して、岩手県は、先ほど申し上げましたけれども、震災、台風という特殊な事情を経験しているわけですが、建設キャリアアップシステムの構築というものに関して、メリット、デメリットをどう捉えて、どのように取り組んでいくのか伺います。
〇大久保建設技術振興課総括課長 建設キャリアアップシステムについてでございますけれども、今、委員から御紹介がありましたが、改めてこのシステムについて申し上げますと、現場で働く技術者の資格、社会保険の加入状況、就業履歴につきまして、技能者一人一人がICカードを使って日々登録、蓄積するというシステムで、能力や経験に応じた技能者の評価と処遇改善を図るものでありまして、こうした環境を整えることで、将来にわたって建設業の担い手を確保することを目的としているものでございます。
現在、国では、来年度の本運用に向け準備を進めており、運用初年度には技能者100万人、5年目には全国の技能者330万人の登録を目標としているところでございます。登録は既に始まっておりますけれども、運用につきましては、まだ始まっていない状況でございます。
県内におきましては、一般社団法人岩手県建設業協会が登録申請の窓口となっており、現時点で2社の事業所が申請していると伺っているところでございます。
当該システムは、登録、運用に当たり費用負担が生じることになりますけれども、日々現場に入場する技能者の資格の取得状況、社会保険の加入状況が常に確認できるものでございますので、多くの技能者が出入りするような元請業者の現場管理の効率化が図られるものと考えております。震災により整備が進められているさまざまな大規模な工事においては、労務者の技能に応じた適正配置が可能になりますので、工事目的物の品質確保が見込まれるなどのメリットがあると考えております。
県では、国と歩調を合わせまして県内建設企業へのシステムの周知を図っておるところでございますけれども、全国的なシステムの普及、本運用の状況を踏まえながら、さまざまな機会を捉えて県内建設企業へ周知していきたいと考えているところでございます。
〇佐々木宣和委員 聞き逃したかもしれませんけれども、デメリットはないということですか。
〇大久保建設技術振興課総括課長 こちらにつきましては、工事の執行に当たりまして、このシステムの運用をしなければ契約できないとか、今、契約しているものの変更するといったものはございません。今考えられるデメリットは費用負担が生じるということです。主にこのシステムは元請会社と下請会社の間で働く技能者について焦点を当てているものでございまして、技能者の職歴をどんどん蓄積して、元請業者なり、今後雇おうとしている方たちを適正に評価して、技術的にどんな資格を持っているかを確認するものでございまして、発注者側にとっては、今のところデメリットというものはないと考えております。
〇佐々木宣和委員 私は感覚的にちょっと違う部分もあって、要は、ある程度情報を共有できる範囲が広くなるということは、配分、配置するのにすごく有用になるのではないかという発想なのです。それこそ、今、人口減少で技能者が減っていることと、これだけ自然災害が頻発している中で、岩泉町の案件も初めに聞きましたけれども、働ける方がいないと。それは、災害のときに東北の技能者はデータが一気に飛びますということになったらすごくメリットがある話なのかと思って見ていたのです。それこそ震災も台風も経験しているので、業者で下請に入っていただくところも、看板だけあって、実は来た人は余りできない人だったという話もあるのが、個人にひもづいていれば、そういうことはなくなるといったメリットもあるのかと思っています。
デメリットに関しては、その枠を取っ払っていくことで、中小の事業者が実は余り要らなくなるような話になるのかという形で受けとめていたのです。そういう捉え方なのかわからないですけれども、どちらにしろ、新しい取り組みというところで、歩調を合わせてというような言い方だったのですけれども、結局、働く人のメリットになる、そしてまた地元の事業者のメリットになるような形で、これだけの経験をしているわけですから、全国に先駆けてうまく使っているという印象になるといいのかと思います。
〇名須川晋委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後2時55分 休 憩
午後3時13分再開
〇名須川晋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。
〇斉藤信委員 それでは最初に、東日本大震災津波からの復興の課題について、復興局の所管になる被災者住宅再建支援事業は8月末までに8、762件、市町村と協力した100万円の補助です。
県土整備部関係では生活再建住宅支援事業に取り組んでいますけれども、昨年度の実績と、これまでの累積はどうなっているでしょうか。
〇伊藤建築住宅課総括課長 生活再建住宅支援事業の平成29年度の実績についてでございますが、この事業につきましては、東日本大震災津波により住宅に被害を受けた被災者に対しまして、新築、補修や改修、または宅地の復旧に必要な資金の一部を補助する事業でございまして、平成29年度の支給件数、実績でございますが、住宅再建の新築の件数が1、065件、補助金の額で6億3、930万円、被災住宅の補修が949件、2億8、683万円余、利子補給補助が346件、2、970万円余、宅地復旧への支援が46件、4、666万円余となっております。
また、事業開始の平成23年度から平成29年度末までの実績についてでございますが、累計で、住宅再建の新築が6、697件、41億3、770万円、被災住宅の補修が1万1、426件、33億3、600万円余、利子補給補助が2、335件、3億6、768万円余、宅地復旧への支援が1、640件、15億7、268万円余となっているところでございます。
〇斉藤信委員 かなり大きな成果を上げていると私は思うけれども、土地区画整理事業のおくれによって、平成32年度までに家を建てたくても建てられない方が出ますけれども、こうした方々も引き続き対象になるようにすべきだと思いますが、いかがですか。
〇伊藤建築住宅課総括課長 被災者住宅再建の状況等を見まして、同じように、復興局が所管しております被災者住宅再建支援事業とも連携しながら、今後の支援策については検討していきたいと思っております。
〇斉藤信委員 知事はかねがね、最後の1人まで寄り添って支援をすると言っていますので、ぜひその立場でやっていただきたい。
次に、住宅の自立再建について、震災前と比べて住宅建設の1戸当たりの費用、1坪当たりの費用というのはどうなったでしょうか。
〇伊藤建築住宅課総括課長 住宅建設の費用についてですが、まず1戸当たりの費用についてですが、国が行っております建築着工統計調査によりますと、本県における持ち家の木造1戸建て住宅の工事費は、平成22年度の1、949万円から平成29年度は2、184万円ということで、12%程度の上昇となっております。
次に、1坪当たりの費用についてでございますが、県内の建築士、設計事務所、工務店、林業、木材産業関係者などからなる岩手県地域型復興住宅推進協議会による調査の結果では、県全体では、震災前の坪単価48万5、000円から平成29年12月ごろの坪単価では58万円になっており、20%上昇しているところでございます。
また、沿岸市町村においては、震災前の坪単価47万9、000円から平成29年12月ごろの坪単価では57万6、000円となっておりまして、20%の上昇という状況でございます。
〇斉藤信委員 住宅建設の坪当たり単価は震災前に比べ9万5、000円値上がりしていると。30坪の家を建てれば285万円の負担増になるのです。そうすると、被災者生活再建支援金の300万円は飛んでしまうということになります。そういう点で、被災者生活再建支援金の500万円への引き上げと、県の100万円、さらには、県土整備部のさまざまな支援策というのは住宅再建にとって大変重要な補助制度でありますから、引き続き取り組んでいただきたい。
次に、災害公営住宅の1戸当たりの建設費用はどうなっているでしょうか。昨年度の実績、これまでの累計での1戸当たりの建設費用はどうなるでしょうか。
〇野里営繕課長 災害公営住宅の建設費用についてですが、県が整備した木造を除く災害公営住宅では、外構工事及び造成工事を除いた建物の本体工事価格で算定しますと、1戸当たりで、平成29年度が約2、384万円、これまでの平均では約2、004万円となっております。
〇斉藤信委員 今までの平均が2、004万円で昨年は2、384万円という形で、どんどん建設費が増加していったと。だからこそ、被災者の自立再建を支援することが、自治体にとっても被災者にとっても、大変大事な課題になってくると思いますので、そういう点でも自立再建の支援を強めていただきたい。
そこで、災害公営住宅入居世帯、国の家賃軽減の対象世帯はどうなっているでしょうか。県の減免制度の周知徹底はどうなっているでしょうか。
〇小野寺住宅課長 災害公営住宅の入居世帯と国が行っています特別家賃低減措置の状況についてでございますが、平成30年9月末現在におきまして、県が管理いたします災害公営住宅1、483世帯につきまして、入居は1、292世帯となっており、そのうちの国の東日本大震災特別家賃低減制度の対象は938世帯となっております。
県が独自に実施している家賃減免制度の周知方法につきましては、入居説明会のほか、昨年度は対象となる世帯、全戸にお知らせを配布している状況でございます。
〇斉藤信委員 今は県営だけ述べましたけれども、市町村営も含めて数を把握していると思うので、県、市町村営全体の災害公営住宅の入居者数と国の軽減対象、率を示してください。
〇小野寺住宅課長 県営、市町村営を含めました入居世帯数につきましては、9月末現在になりますけれども4、841世帯、そのうち、国が行っています特別家賃低減制度対象世帯につきましては3、624世帯となっております。
〇斉藤信委員 全県で国の特別家賃低減制度の対象世帯は74.8%、圧倒的に低所得者が入居しているというのが実態です。ですから、国の減免額が6年目から値上がりしていきますけれども、値上がりの過程で県の減免制度が有利な世帯が出てきますので、しっかり県の減免制度を周知徹底していただきたい。
それで、これは県営でお聞きしますけれども、高齢者の入居状況、高齢者数、世帯数、高齢者のひとり暮らしの世帯数、率を示してください。
〇小野寺住宅課長 県が管理いたします災害公営住宅に入居されている高齢者の世帯数、ひとり暮らしの世帯数につきましてですけれども、平成30年9月末現在の数値でございますけれども、入居しております1、292世帯のうち、65歳以上の高齢者を含む世帯は874世帯、約67%となっております。そのうち、高齢者のひとり暮らし世帯につきましては555世帯、全体の約43%となっております。
〇斉藤信委員 ひとり暮らしの世帯が43%で、高齢者のいる世帯は67%ということですので、本当に10年たったらどういうことになるのか。
きょうの岩手日報を見ますと、空き室ということが出ていますけれども、恐らく一度入居してから亡くなった、施設に入ったとか、そういう方々は少なくないのではないかと思いますが、そういう形で一度入居して退去された数というのはどうなりますか。
〇小野寺住宅課長 一度県営住宅に入居されまして退去されました世帯数につきましては把握しておりますけれども、今持ち合わせがございませんので、後ほど回答させていただきます。
〇斉藤信委員 高齢者が多い、ひとり暮らし世帯が多いということで、県は、管理している住宅センターに3人の支援員を配置して、見守り等コミュニティーの確立も含めて取り組んでいますが、その実績を簡潔に示してください。
〇小野寺住宅課長 県では、管理いたしております災害公営住宅を含めた県営住宅全体につきまして、指定管理者の自主事業といたしまして、75歳以上のひとり暮らし世帯、80歳以上のみの世帯を対象にいたしまして訪問巡回等を行っております。
災害公営住宅につきましては、昨年度は742回、本年度は第1四半期、6月末時点になりますけれども、215回の訪問を行っているところでございます。
〇斉藤信委員 わずか3人という体制で私はよくやっていると思いますけれども、社会福祉協議会の生活支援相談員、各自治体でも支援員を要請していろいろやっていると。ところが、この情報共有がされていないのです。
何度もここで紹介しますけれども、私が行った釜石市平田の災害公営住宅は自治会がつくられて活発な活動をやっているのだけれども、誰がどこに住んでいるかわからないと。ここでも恐らく見守りの対象の高齢者がいると思うのです。だから、住宅センターが見守りしている方々も、できれば自治会と情報を共有しながらやっていく必要があるのではないか。あわせて、入居者名簿は22団地のうち3団地でしかつくられていません。入居者名簿は提供できるという回答を何度もいただいているんだけれども、ぜひこれは徹底して、せっかくつくられた自治会が全ての入居者を対象にしてコミュニティーの確立が取り組めるようにしっかり進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇小野寺住宅課長 本県では、平成28年度から災害公営住宅の自治会の設立のほか、入居された方がお互いに顔見知りになるまで、一定のコミュニティーが形成されるまでの間、コミュニティーの形成支援員といたしまして2名の支援員を配置しております。
その支援員が自治会の設立や運営の支援におきまして、名簿作成のために必要な入居者状況につきましては、個人情報保護の観点から、事前に同意をいただいた方の情報を自治会に提供させていただいております。
災害公営住宅コミュニティ形成支援事業によります災害公営住宅の自治会の方が必要とする情報など、コミュニティー形成支援員などによる必要な支援につきましては引き続き行いたいと考えております。
〇斉藤信委員 実態はそのようにきれいになっていないので、よく現場で問題解決するようにしていただきたい。
大きな二つ目に、西日本豪雨の災害の教訓と堤防の強化、河川改修の取り組みについてお聞きしますが、7月の西日本豪雨災害で224名の方が犠牲になりました。一番多く犠牲者を出したのは、岡山県倉敷市の真備町でありました。ここでは52人の犠牲者を出しています。この直接的な要因は、100年前につくられた堤防が8カ所決壊したことです。これが多くの犠牲者を出した要因だと指摘をされています。愛媛県では、ダムがもういっぱいになって、安全基準の6倍を超えるような放流をしたことによって流域で合わせて8人が犠牲になったと。今、その検証がされております。私は想定外などという情勢ではないと思います。平成28年台風第10号災害に続く全国的な西日本豪雨災害の教訓をどう受けとめているか、まずお聞きしたい。
〇杣技術参事兼河川課総括課長 西日本豪雨で災害を大きくした問題についてでございますが、委員御指摘のとおり、本年7月、西日本を中心に記録的な大雨となり、しかも長時間の降水量ということで、多くの観測地点では観測史上1位を更新するという状況で、甚大な被害をもたらしたところでございます。改めまして、治水施設の能力には限界があり、堤防やダムなどの施設では防ぎ切れないような規模の洪水が起こり得るということを再認識したところでございます。
このことから、ハード整備の推進を行うとともに、ソフト事業も一体となって洪水対策を進める必要があると考えております。
〇斉藤信委員 これは岩手日報に載った、検証、西日本豪雨、3回の連載でした。共同通信社の配信だと思いますけれども、ハード頼りの限界と。結局、ダムというのは計画水量を上回ったらもう規制ができない。逆に、これは危険が増してしまうと。このことを今度の豪雨が明らかにしたと思うのです。決算特別委員会で、もうダムの時代だなんていう話がありましたけれども、とんでもない話で、今の想定を超えるようなこういう雨が降れば、ダムが危険に変わるということもまた、この間、浮き彫りになった問題ではないのか。
例えば、愛媛県の野村ダムでは毎秒1、800トン、鹿野川ダムでは安全の基準の6倍の3、700トン放流をしたのですね。逃げおくれて犠牲になったということです。
それで、今、簗川ダムが建設されていますけれども、例えば、簗川ダムの計画雨量は2日間で210ミリメートルです。今回どのぐらいの雨が降ったのかといいますと、1日で180ミリメートルとか、24時間雨量だと690ミリメートル、600ミリメートル、480ミリメートルです。こういう雨がもし県内に降ったら、簗川ダムは全然機能しないということになるのではないか。そういうことになりますか。
〇佐々木河川開発課長 今、委員からお話のあった件は、超過洪水にダムは効果がないのではないかというお話かと思われますけれども、ダムにつきましては、超過洪水時におきましても、洪水ピークを迎える流量増加時に流入量を上回って放流することはなく、下流への水量低減によりまして、ダムがなかった場合に比べまして、水位のピーク時刻をおくらせることができ、住民の避難時間の確保につながるという効果が挙げられております。
いずれ、ダムも含めて、施設では防ぎ切れない想定以上の洪水が発生するという考えのもと、ハード整備だけではなくて、ソフト対策を絡めて住民の避難行動に結びつくように対応していきたいと思っております。
〇斉藤信委員 慎重な答弁だったけれども、計画雨量を超えたらダムは機能しないと。それどころか、放流せざるを得なくなって危険を増すということなのです。これはダムの効果はあるということと、計画雨量を超えたらこういう危険が出ますよということを平時から徹底していかないと、これは愛媛県と同じことになってしまう。
これまでの河川事業のゆがみがどこにあるかというと、ダムをつくれば守られるという形で、河川の事業費はほとんどがダムなのです。そのために河川改修、河道掘削なり、それこそ小本川でも問題になりましたけれども、河川の中にも木が生えて、全然水を流せなくなった。洪水の被害を受けてからの対策は災害復旧事業ぐらいしかないのです。ダムだけに頼るのではない、特に盛岡市で台風が接近したときには堤防が決壊しそうになりました。堤防の強化、河道掘削こそ、私は一番効果のある洪水対策だと思います。
専門家はこう言っているのです。決壊しない堤防の技術は確立されたと。これは2002年の時点で確立されたと。しかし、これをやるとダムに事業費が回らないので封印したと。これは国土交通省の役人です。そうではなくて、決壊しない堤防をつくれば、越水しても被害は最小限に抑えられるのです。私はこういう形で、今、ダム行政、河川行政も見直すべきは見直すということでこの教訓を酌み取るべきだと思いますが、これは部長に聞きましょう。
〇八重樫県土整備部長 まず、ダムの治水効果ということでありますけれども、先ほど河川開発課長が答弁したとおり、例えば簗川ダムは洪水調節ゲートという機能はありません。あいている穴の寸法の分しか流出しませんので、洪水時はそこで自動的に調節されます。
計画を超える雨量になった場合は、まずあふれます、ちょろっと。そこから入ってきた分がそのまま流れていくということですので、入ってきた分以上に流れることはありません。そういう意味では、効果がないとは言えないということを答弁させていただきたいと思います。
ダム計画も、下流の堤防計画と一体となった計画になっておりますので、どちらかがある、どちらかがないということではなくて、一体となって一番効果的な治水対策をセットしているということでございます。ダムのない、河川堤防だけの、河道掘削だけの計画もございます。それは流域の土地利用の形態とか、そういった改修計画が適している、効果的だというところもございます。ただ、河道掘削の計画であってもダムと同じようにそれを超える洪水は当然あります。堤防が壊れないにしても……〔「手短に」と呼ぶ者あり〕はい。いずれ、予算とか、効果的な計画はどこまでなのかというコンセンサスを得た上で治水計画は立てられます。際限なく大きなものと言っても現実的ではございませんので、先ほどまで申し上げているとおり、ソフト対策も含めて、まず命を守るということを最優先に治水対策を進めてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 時間なのでこれで終わりにしますけれども、私が紹介したように、愛媛県でどういうことが起きたかというと、ダムの貯水量がいっぱいになって、流れ込む大量の水をそのまま放流したのです。それが安全基準の6倍になったと、私は事実を言っているわけじゃないですか。ちょろちょろではないのですよ。だから下流で犠牲者が出たのです。だから、私は西日本豪雨は想定外と言えないのだと、そういうことも平時からしっかり明らかにしてやらないと、同じことになりますよと。
一方で、国の行政はダム優先で、必要な堤防の強化とか河道掘削などには予算が回らないというのも実態で、小本川の氾濫もそういうことが大きな要因だったということを私は指摘をしたのです。
平成28年台風第10号の被害も教訓でしたし、全国のこういう─もう、今は想定外ということは言えない時代ですから、ぜひそういうことを想定して、本当に県民の安全を守るためしっかりと取り組んでいただきたい。
〇名須川晋委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇小野寺住宅課長 先ほど斉藤委員から御質問がありました災害公営住宅に一度入居して退去された方の人数について答弁いたします。
市町村営含む全体で364世帯、うち県営住宅につきましては71世帯、いずれも9月末時点の数字となっております。
〇千田美津子委員 まず、洪水、土砂災害対策についてお聞きいたします。
洪水浸水想定区域を指定した河川数でありますけれども、平成28年台風第10号の被害等を理由にしながら達成度Dと評価されているわけですが、改めて、現状と今後の対応についてお聞きをいたします。
あわせて、洪水減災対策協議会についてもお聞きします。
県内3圏域でこの協議会が立ち上げられ、本当にいざというときに確実に住民の皆さんに避難してもらうためのまさに重要な議論が開始されていると思っています。
そこで、この間の洪水減災対策協議会の開催状況、構成メンバー、そして、それぞれの議論の経過と今後の取り組み方針についてお聞きいたします。
〇杣技術参事兼河川課総括課長 まず、洪水浸水想定区域を指定した河川数が、いわて県民計画第3期アクションプランの達成度はD判定となっているという御指摘でございます。平成26年度末の現状値が23河川に対しまして、平成29年度末の目標値を8河川増の31河川としていたところですが、実績値は4河川増の27河川となりD判定となったものでございます。
今回、平成28年台風第10号災害を踏まえまして、洪水減災対策協議会で今後5カ年の計画等の見直しております。そういうところも踏まえまして、現在のアクションプランの最終年であります平成30年度末は、目標値34河川に対しましては37河川を見込んでいるところでございまして、計画を上回る見通しとなっております。
続きまして、洪水減災対策協議会についてでございますが、平成29年6月までに、県内で3圏域において洪水減災対策協議会を設立したところでございます。
協議会のメンバーにつきましては、国、県、市町村で構成されておりまして、具体的には、国は岩手河川国道事務所長、北上川ダム統合管理事務所長、盛岡地方気象台長、県は県土整備部長、総務部長、市町村は各市町村長がメンバーとなっております。
取り組みの内容につきましては、国土交通省や気象台から最近の防災、減災に関する情報提供をいただきながら、市町村など各関係機関がさまざまな課題や意見交換を行って、情報共有を図っているところでございます。
また、この協議会では、5カ年の取り組み方針も定めておりまして、県あるいは国、各市町村もそういうものに取り組んでおり、例えば県におきましては、水位周知河川や洪水浸水想定区域の指定拡大、あるいはホットライン、タイムラインの運用等に取り組むこととしております。
最近では、本年6月に開催されました協議会において、関係機関で情報共有や意見交換などフォローアップを実施したところでございます。
今後もこの協議会は重要でありますので、関係機関が連携しまして取り組みをしっかり継続してまいりたいと思っております。
〇千田美津子委員 洪水浸水想定区域の指定河川については、目標値を引き上げて対応されるということで、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
それから洪水減災対策協議会は、関係者が情報共有を行っているとさらっと言われたのですけれども、私は去年の三陸圏域の会議録を見させていただいて、首長方が中心となって、本当に岩泉町の教訓を絶対に生かさなければならないという熱意、気迫を感じる発言が続いていたと思っています。ホットラインの設置に当たっても、こういうときにはこうしたらいいのではないかとか、本当に積極的な意見が続いておりまして、この協議会が本当に重要だと思いました。ことしから法定協議会に移っているわけですね。そういった意味では、ぜひこれまでの教訓を全域に広め─地域ごとにということで3圏域に分けたわけですけれども、ぜひ出された意見がちゃんと生かせるように対応していただきたいと思っております。
それで、この質疑の中身を見て大変大事だと思ったのが、要配慮者利用施設を中心とした避難訓練において、避難までに相当な時間を要することがわかったと。想定したよりも時間がかかるということがわかったと。見直しをしているという首長のお話がありました。これは非常に重要な指摘だと思いました。
というのは、避難訓練を実施する以前に、計画すらできていない危険地域にある高齢者施設がまだまだ県内にたくさんあるわけです。ですから、これを至急、計画の策定、避難訓練までしてもらうように、これは総合防災室とか保健福祉部との連携が必要でありますけれども、私はこの法定協議会での議論をぜひ結びつけていただきたいと思っています。
それからもう一つ、訓練に使用した土のうを災害の危険性のある付近の消防団の屯所に保管して、有事の際は、消防団または自主防災組織がそれを使用することで迅速、効率的に対応できると考えているという発言がありました。これも私は非常に、すぐ生かしていくべきことだと思いましたが、これらについては何か対応されているかどうか、お聞きしたいと思います。
〇杣技術参事兼河川課総括課長 ただいま委員から洪水減災対策協議会で出たいろいろな意見を紹介していただきました。
まさに各市町村長が本気になって自分たちの取り組みを協議会の中で披露して、参加した首長方はそれを共有して有益なものは自分たちのところで取り入れていくと認識しておりますので、この協議会が情報共有の場であると認識しております。
〔千田美津子委員「今の土のうは」と呼ぶ〕
土のうも、それぞれの市町村の取り組み内容が協議会の中で発表されたものと承知しております。恐らくその土のうをつくったのが地元の水防団、消防団なのか、あるいは自治体でつくりおきして置いたのかもしれませんが、そういう取り組みも、いざというときに袋に土を詰めていては遅いので、あらかじめつくっておいて、すぐそれを設置できるようにしておくということは非常に大事だと思っております。
〇千田美津子委員 それでは次に、風水害対策支援チームの取り組みについてお聞きしたいと思います。
本来の所管は総合防災室でありますけれども、県土整備部もその大事な一員で、中心的な一員でございますので、チームとしての活動状況についてお聞きしたいと思います。
〇杣技術参事兼河川課総括課長 風水害対策支援チームの取り組み状況でございます。
私ども県土整備部では、河川課と砂防災害課がこの風水害支援チームのメンバーとなっております。総務部のほか、盛岡地方気象台、岩手河川国道事務所、有識者という構成メンバーで活動しているところです。
具体的には、平成28年の台風第10号災害の教訓を踏まえ、昨年6月に風水害対策支援チームを設置しまして、台風が接近した際に市町村に早期の警戒体制がとられるように助言を行うなど、市町村の風水害対策へ支援を行っております。
平成29年度におきましては、9月の台風第18号や10月の台風第21号、本年度におきましては、先般10月の台風第24号が本県に接近した際、警報が発表される前に市町村に対し、日中のうちに高齢者避難等を行うことなどを助言し、早期の警戒体制の確立につなげたところでございます。
〇千田美津子委員 それでは続いて、水位計及び簡易水位計の設置状況と活用についてお聞きしたいと思います。
まず、この間の水位計及び簡易水位計の設置状況はどうなっているか、お聞きいたします。
あわせて、水位計等の管理と活用の周知という点で指摘をさせていただきたいと思いますが、今、全国各地で多発している風水害において、いざというときに、その周辺に位置する福祉施設等がそれを十分に活用して避難に生かしていないということがこの間の報道で伝えられております。私は、県として、努力をして設置が進められていると思うのですが、いざとなったときに、必要な方々にきちんと伝わる、そしてみずから判断するということが非常に大事なので、この現状と今後の対応についてお聞きしたいと思います。
〇杣技術参事兼河川課総括課長 まず、水位計の設置状況でございます。県においては、現在、従来型の常時観測タイプの水位計でございますが、これは60河川、85カ所に設置しております。また、国や他県の管理する水位計を含めますと、69河川、129カ所の水位観測データをホームページ上で公表しているところでございます。
これに加えまして、本年度から新たな取り組みといたしまして、洪水時に水位観測に特化した危機管理型水位計というものを県内約250河川、約300カ所に設置する予定でございます。既に9月には小本川と安家川の2カ所に設置し、供用を開始しており、水位情報を発信しているところでございます。
これら観測体制の強化により、地域の河川の水位状況が容易に把握できるようになりますので、住民の円滑かつ迅速な避難行動に結びつくものと思っております。
次に、水位計の周知についてでございますが、委員から御指摘のとおり、本県を襲った平成28年台風第10号を含む近年の洪水災害を踏まえまして、住民や要配慮者利用施設の管理者等に防災情報が的確に伝わるということは非常に大事なことであると思っております。
県では、先ほど申しました洪水減災対策協議会などを通じまして、各市町村の防災担当者へ水位周知河川制度の説明や河川情報システムの紹介などを行っているほか、洪水浸水想定区域の住民説明会を開催するなど、住民の理解を促進する取り組みを行っております。
また、現在設置を進めております危機管理型水位計の水位データの活用の周知につきましても、わかりやすいチラシなどを作成し、要配慮者利用施設における避難確保計画の促進、現在県でも要配慮者利用施設を対象に説明会なども行っておりますので、そういう機会などを通じまして、あるいは市町村を通じて、そのチラシを配布し周知を進めてまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 確認ですけれども、危機管理型水位計は、平成29年度の予算特別委員会でたしかことし設置するということなのですが、現在2カ所に設置したということですが、年度内に全部設置されるのでしょうか。
〇杣技術参事兼河川課総括課長 現在2カ所設置したところでございますが、年度内に約300カ所を目指して、今、進めているところでございます。
〇千田美津子委員 市町村との協議とかさまざまあるようなので、その見通しはあると理解してよろしいですか。
〇杣技術参事兼河川課総括課長 その見通しで進めております。
〇千田美津子委員 続いて、千葉進委員からもお話がありましたが、通学路における歩道整備の現状についてであります。
1、100キロメートルの小学校の通学路に対して826キロメートルの整備延長になっている。834.9キロメートルの整備延長を目指しているということで、4年間で約9キロメートルの整備がなされ、ほぼ計画どおり進んでいるということでありますけれども、そうすると、このペースだと1年間に2.25キロメートルなので、117年かかってしまうと。本当に子供たちの命にかかわる問題であり、ずっと継続してお話をしていますが、このテンポを上げる必要があると思っています。市町村と一緒になって通学路交通安全プログラムを確認しながら、皆さんと協議しながらやっているということですが、このテンポを引き上げるという認識に立たないとこれは全く進まないということになりますので、歩道整備の現状についてどのように見ていらっしゃるかお聞きします。
〇白旗道路環境課総括課長 通学路における歩道整備についてでございますけれども、委員御指摘のとおり、例年数箇所が完成することによりまして、約2キロメートルから3キロメートルの歩道の供用を開始しているところでございます。
県といたしましては、全ての通学路に歩道が整備されているのが理想と認識しているところではございますけれども、予算や用地上の制約、さらには関係機関との協議、調整状況によりましては、整備が完了するまでに一定の期間を要するという事実もございます。こうした中で、通学路の安全確保につきましては、歩道整備以外のハード整備、例えば歩行空間確保のための安全ポールの設置やカラー舗装などのほか、スクールガードを配置していただくなど、ソフト対策との両面から関係機関が連携して取り組んでいるところでおります。
県といたしましては、児童生徒の安全で安心な通学路の確保に向けまして、今後も地元市町村を初め、学校関係者、市町村と連携して取り組んでまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 これまでとほとんど変わらない答弁でありますが、考え方を変えていかない限り、ただ、今は震災復興がありますから潤沢な予算と言えないのはそのとおりだと思いますが、子供たちの安全という部分では、もっと予算もふやしていく必要があると思います。予算の確保についてどう頑張るか、ここは部長から一言伺ってこの件は終わります。
〇八重樫県土整備部長 まず、通学路の安全確保という観点から歩道の整備が必要だということでございますが、確かに大きな数字の整備延長に対して2キロメートル、3キロメートルという完成の進捗がございますが、それでもまず2キロメートル、3キロメートルというのも、いろいろな受けとめ方があろうかとは思います。200メートル、300メートルよりずっとできているというところもあって、子供たちの安全を守るというハード整備ということで大変重要な事業と考えております。
本当に財源が限られている中で、いろいろな御要望にもお応えしていかなければならないという現実もあります。その中でやりくりをしながら、まずはいろんな形で児童たちの交通安全が守られるよう、いろいろと工夫して対応してまいりたいと思います。
〇千田美津子委員 ぜひよろしくお願いいたします。
それでは次に、県道等の草刈りについてお聞きいたします。
県が管理する国道や県道において草刈りが十分に実施されていない、そして交通の妨げとなっている箇所が大変見られます。草刈りについてはどのような管理、運営がなされているか。あわせて、関連予算が削減されているからこういう状態なのかと思っていたわけですが、この数年間の推移についてお聞きをしたいと思います。
〇白旗道路環境課総括課長 県管理道路における草刈りについてでございますけれども、基本的に業者に委託しておりまして、年に1回、大体お盆前に草刈りを終了するように作業を実施しているところでございます。このほか、日常的に行っている道路パトロール等で、委員御指摘のような草が成長して交通の妨げとなるような箇所を発見した場合につきましては、応急的に道路パトロール員による草刈りを行うほか、職員による作業が手に負えないような場合におきましては、年間契約をしている道路維持修繕業務委託業者に作業を行わせているところでございます。
関連予算についてでございますけれども、道路の草刈りにつきましては、道路維持修繕費の委託費で実施しておりまして、草刈りのほかに、先ほどの道路維持修繕業務、路線応急処理、道路パトロールの各業務等を行っているものでございます。ここ3年ほどの決算額の推移につきましては、平成27年度が約35億2、200万円、平成28年度が約40億1、700万円、平成29年度が約37億4、300万円ということで、35億円から40億円程度で推移しているという状況になっております。
〇千田美津子委員 今の予算は包含しているわけなので、ちょっと草刈りだけがどうかというのは比較できないわけですが、お盆前に1回はやるということになっているようですが、ちょっとそういうふうに見られない状況があるので指摘をしました。
それで、三つ目に、道路の維持管理における協働団体がありますが、現状とこの間の推移、それから今後の見通しについてお聞きいたします。
〇白旗道路環境課総括課長 道路の草刈りにおける住民協働についてでございますけれども、この制度につきましては、自治会などの住民団体に参画いただく制度でございまして、平成18年度より本制度を設立して、草刈りなどに必要な用具の貸し出しであるとか、保険料の負担などを行っているものでございます。この制度によりまして、通学路やカーブの多い区間などを重点的に住民団体の方に草刈りをしていただけるなど、その地域の実情に合った管理をしていくことができるものでございます。
その団体数につきましては、平成29年度は333団体、平成30年度は353団体で実施しているところでございます。
今後の取り組みにつきましては、本制度により良好な道路環境の維持が図られるほか、地域住民が協働で草刈り等を行うことにより地域の連帯感が深まるなど、官民双方にメリットがあると考えておりますことから、今後も活動を継続していただけるように、住民の方々から負担と感じているような具体的な内容などを伺いながら、地域の実情に応じた支援を行いつつ、住民協働を推進していきたいと考えてございます。
〇千田美津子委員 ぜひよろしくお願いいたします。
あと、危険な民有地のブロック塀への対応ということで通告しておりましたが、ぜひこれはよろしくお願いしたいと思います。
最後に、岩手県公営住宅等長寿命化計画と県営住宅の長寿命化型改善についてお聞きしたいと思います。長寿命化計画の進捗状況について、そして県営住宅の長寿命化型改善について達成度がB評価になっておりますが、現状と今後の対応についてお聞きします。
〇小野寺住宅課長 岩手県公営住宅等長寿命化計画と県営住宅の長寿命化型改善についてですけれども、県営住宅等の建てかえや住戸改善の実施につきましては、予防にまずお金をかけて最終的なライフサイクルコストの縮減に配慮しながら、住宅ストックの更新や維持管理を計画的に実施しております。県営住宅等の長寿命化を図るために、岩手県公営住宅等長寿命化計画を策定いたしまして、現在、平成28年度から10年間の計画期間で実施させていただいております。
進捗状況についてですけれども、まず県営住宅の建てかえにつきましては、平成29年度、建てかえ計画戸数24戸に対しまして、ゼロ戸となっております。こちらの目標が計画を下回る結果となっていますのは、県営住宅の建てかえにつきまして、東日本大震災津波からの復興事業をまず優先するため、災害公営住宅の新築に振りかえているという状況がございます。また、バリアフリーですとか住戸改善につきましては、平成29年度の改善計画戸数24戸に対しまして、計画どおりの24戸の実施ということになっております。
岩手県公共施設等総合管理計画に基づく県営住宅の長寿命化型改善及び建てかえ戸数についてですけれども、平成29年度の目標値400戸に対しまして実績が376戸、目標の94%の達成率ということで、B評価となっておる状況でございます。これにつきましても、目標を下回る結果となっております理由は、県営住宅の建てかえにつきましては、先ほど申し上げました東日本大震災津波からの復興事業として急いでいる災害公営住宅の新築に振りかえて実施しているということでございます。今後につきましては、災害公営住宅の整備状況を踏まえながら、引き続き住宅ストックの更新とか維持管理を計画的に実施してまいりたいと考えております。
〇名須川晋委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇名須川晋委員長 質疑がないようでありますので、これで県土整備部関係の質疑を終わります。
県土整備部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
次に、お諮りいたします。当委員会に付託されました決算14件及び議案2件について、その意見の取りまとめの方法でありますが、この後、議会運営委員会室において世話人会で協議をいたし、その結果を待って委員会を開き、結論を出すことにしたいと思いますが、これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇名須川晋委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
この際、意見の取りまとめのため、暫時休憩いたします。
午後4時11分 休 憩
午後6時27分再開
〇名須川晋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
決算14件及び議案2件に対する世話人会の意見を取りまとめましたので、その結果を御報告申し上げます。
議案第38号平成29年度岩手県電気事業会計未処分利益剰余金の処分に関し議決を求めることについて、及び議案第39号平成29年度岩手県工業用水道事業会計未処分利益剰余金の処分に関し議決を求めることについての2件は、それぞれ原案を可とすることといたした次第であります。
次に、認定第1号平成29年度岩手県一般会計歳入歳出決算については、次の意見、すなわち、1、決算に対する全般的な意見。
平成29年度における本県財政は、景気の緩やかな回復傾向のもと、復興需要などによる個人所得の増などに伴う県民税の持ち直しなどがあったものの、財政調整基金現在高が前年度比19億円減の208億円余となるなど、厳しい運営を迫られたものとなった。
また、一般財源の規模に占める公債費の割合を示す実質公債費比率は18.2%と前年度に比べ1.3ポイント改善しているが、地方債の発行に当たり国の許可が必要となる基準を超える状況が続き、依然として県債の償還が高い水準で推移するとともに、社会保障関係費の増加などにより、今後も引き続き厳しい財政運営を強いられることが予想される。
このような中、県では、平成29年度予算を未来につなげる復興ふるさと振興予算と位置づけ、東日本大震災津波からの復旧、復興に向けた事業を最優先に取り組んできたところであり、本格復興への歩みは着実に進んでいるものの、いまだに応急仮設住宅などでの不自由な生活を余儀なくされている方々や、平成28年台風第10号で被害に遭われた方々の暮らしの再建やなりわいの再生など、引き続き復旧、復興に全力で取り組んでいくことが求められる。
今後の財政運営に当たっては、被災者一人一人に寄り添いながら県民が実感できる復興を強力に推進し、本県の喫緊の重要課題の克服に向けた施策を展開していくため、人材の確保など体制面を強化しつつ、岩手県中期財政見通し(2018年度から2022年度)において、2019年度以降に59億円から95億円程度の収支ギャップが生じると見込まれている状況を踏まえ、あらゆる角度からの歳入確保に全力を傾けるとともに、より効果的な事業を厳選するなど徹底した歳出の見直しを行って、限られた財源の重点的かつ効率的な活用に努められたい。
また、このような認識のもと、ラグビーワールドカップ2019釜石開催の成功や世界遺産の登録の推進に関する取り組みを初めとする文化、スポーツの振興、三陸防災復興プロジェクト2019の開催等による将来を見据えた沿岸地域の総合的な振興、国際リニアコライダーの実現のほか、人口減少対策や地域特性を生かした産業の振興、雇用対策、医療、介護、福祉の充実、学校教育の充実及び防災、減災対策など、本県が直面する課題を踏まえた次期総合計画を定め、県北・沿岸振興などふるさと振興の具体的な取り組みを着実に推進されたい。
なお、政策等の評価の実施に当たっては、それらの成果をより適切に評価するとともに、次期総合計画の策定に当たっては、課題解決につながるような指標の設定を行うなど、評価の実効性を高めるよう引き続き改善を図られたい。
平成31年度予算編成に当たっては、以上のことを踏まえ、適切に取り組まれたい。
2、事務の適正化等に関する意見。
平成29年度決算の監査結果では、事務の適正化について前年度の指摘事項等であったにもかかわらず改善されていないものが認められたことから、全庁的なチェック体制の強化に引き続き取り組むとともに、職員の意識改革を図るよう強く指摘されている。
県においては、適切な積算根拠に基づき県民の理解を得られるような予算編成や事務の執行を行うとともに、補助金事務や委託契約においては適正な事務処理を確保するため、従来からの内部考査の実施等の対策や昨年度の各広域振興局への審査指導監の配置に加え、今年度の内部統制体制の構築に向けた総務部総務室への行政経営課長の配置による相互牽制機能を高める取り組みを通じて、より一層の内部管理体制の確立を求めるものであるとの意見を付し認定することとし、認定第2号から認定第14号までの13件は、認定することといたした次第であります。
これより採決いたします。
お諮りいたします。議案第38号及び議案第39号の2件について、一括して採決いたします。
各案件は、原案を可とすることに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
〇名須川晋委員長 起立全員であります。よって、議案第38号及び議案第39号の2件については、原案を可とすることに決定いたしました。
次に、お諮りいたします。認定第1号平成29年度岩手県一般会計歳入歳出決算については、先ほど読み上げました意見を付し、認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
〇名須川晋委員長 起立全員であります。よって、認定第1号平成29年度岩手県一般会計歳入歳出決算については、先ほど読み上げました意見を付し、認定することに決定いたしました。
次に、お諮りいたします。認定第2号から認定第14号までの13件について、認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
〇名須川晋委員長 起立全員であります。よって、認定第2号から認定第14号までの13件については、認定することに決定いたしました。
以上をもって当特別委員会に付託されました案件の審査は全部終了いたしました。委員各位の御協力に対し深く感謝を申し上げます。
また、大変お聞き苦しい点、御不快な点もありましたことに対しおわびを申し上げます。
以上をもって決算特別委員会を閉会いたします。(拍手)
午後6時35分 閉 会

前へ 次へ