平成30年9月定例会 決算特別委員会会議録

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決算特別委員会会議記録
(第 7 号)
平成30年10月11日(木)
1開会 午前10時3分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 村 上 宏 治
議事管理担当課長 安 齊 和 男
主任主査 柳 原   悟
主任主査 金 戸 伸 幸
主査 上 野 公一郎
主査 小 原 亜季子
主査 赤 坂 宏 紀
主査 戸 塚 教 仁
1説明員
農林水産部長 上 田 幹 也
理事 内 宮 明 俊
技監兼
林務担当技監 阿 部 義 樹
副部長兼
農林水産企画室長 佐 藤 隆 浩
農政担当技監兼
県産米戦略室長 小 岩 一 幸
農村整備担当技監 千 葉   匡
水産担当技監兼
水産振興課
総括課長 伊 藤 克 宏
漁港担当技監 岩 渕 和 弘
理事心得 及 川   忠
競馬改革推進室長 千 葉 義 郎
参事兼団体指導課
総括課長 菊 池 光 洋
参事兼農村計画課
総括課長 多 田   繁
農林水産企画室
企画課長 照 井 富 也
農林水産企画室
管理課長 山 本 卓 美
指導検査課長 関 口   等
流通課
総括課長兼
県産米販売推進監 高 橋 浩 進
農業振興課
総括課長 藤 代 克 彦
担い手対策課長 中 村 英 明
農業普及技術課
総括課長 菊 池 政 洋
企画調査課長 村 瀬 勝 洋
農村建設課
総括課長 伊 藤 啓 治
農産園芸課
総括課長兼
県産米生産振興監 菊 池 徹 哉
水田農業課長 佐 藤   実
畜産課総括課長 菊 池 伸 也
特命参事兼
振興・衛生課長 村 上 隆 宏
林業振興課
総括課長 大 畑 光 宏
森林整備課
総括課長 橋 本 卓 博
整備課長 佐 藤 昭 仁
森林保全課
総括課長 久 慈   敏
漁業調整課長 森 山 拓 也
漁港漁村課
総括課長 阿 部 幸 樹
漁港課長 佐々木   剛
競馬改革推進監 菊 池 信 幸
競馬改革推進室
特命参事 小 上 俊 雄
県産米戦略監 小 原   繁

会計管理者 高 橋 宏 弥

監査委員 寺 沢   剛
監査委員 沼 田 由 子
監査委員事務局長 熊 谷 正 和
監査第一課
総括課長 千 葉 達 也
監査第二課
総括課長 小 守 健 一

財政課総括課長 臼 井 智 彦
〇名須川晋委員長 これより本日の会議を開きます。
これより議事に入ります。
認定第1号から認定第14号まで、並びに議案第38号及び議案第39号の以上16件を一括議題といたします。
本日は、農林水産部関係について延べ24人の質問者を予定しておりますが、午後5時を目途に審査が終了するよう議事進行に御協力をお願いいたします。
なお、委員各位御承知のとおり、本日の農林水産部の審査につきましては、議会運営委員会の決定に基づき、第1部、第2部に分けて審査することとし、第1部では農業関係分野について、第2部では林業関係分野及び水産業関係分野について審査することになっておりますので、御了承願います。
初めに、農林水産部長に農林水産部関係の説明を求めます。
〇上田農林水産部長 平成29年度の農林水産部関係の決算について御説明申し上げます。
初めに、農林水産部所管の事務事業に係る主な取り組み、成果と今後の取り組み方向の概要について御説明申し上げます。
平成29年度は、東日本大震災津波からの復旧、復興に向け、第3期復興実施計画の初年度として、一日も早くもとの生活に戻ることを願う被災された方々の思いに応えるため、なりわいの再生に向けた事業を実施してまいりました。
また、平成28年台風第10号被害からの復旧、復興に向け、被害状況に応じた各種支援策を講じ、生産者の早期経営再開を支援いたしました。
さらに、本県農林水産業の持続的な発展に向け、いわて県民計画に基づき、復興の取り組みと軌を一にした強い農林水産業と活力ある農山漁村の確立に取り組んだところであります。
具体的な取り組みと成果につきまして御説明申し上げます。
まず、東日本大震災津波からの復旧、復興についてでありますが、水産業関係では、漁港施設や海岸保全施設の復旧、整備に取り組み、このうち漁港施設につきましては、被災した108漁港のうち、市町村管理漁港も合わせ、計107漁港の復旧が完了いたしました。
また、農業関係では、被災した農地のうち、復旧が完了したものが9割を超えたほか、林業関係では、被災した海岸防災林のうち、14地区で植生基盤の造成や植栽を実施し、8地区で工事が完了いたしました。
さらに、原木シイタケの生産再開に向け、ほだ木の処理や落葉層除去などのほだ場環境の整備に取り組み、平成29年度末までに、13市町、187名の生産者が出荷再開可能となりました。
次に、平成28年台風第10号被害からの復旧、復興につきましては、農林漁業者の早期経営再開に向け、農地や林道等の復旧、整備を進めるとともに、さけ・ますふ化場については、原状復旧にとどまらず、施設の機能強化を図り、平成29年度内には稚魚生産が再開されました。さらに、岩泉町では、待望の生乳加工施設が復旧し、牛乳やヨーグルトの販売が再開されているところです。
次に、いわて県民計画に掲げた取り組みのうち、農林水産業の未来を拓く経営体の育成につきましては、地域農林水産業の中核となる経営体の育成に取り組み、リーディング経営体数や地域牽引型林業経営体数、中核的漁業経営体数が増加したほか、平成29年4月に開講したいわて林業アカデミーなどの取り組みにより、将来の本県農林水産業を担う人材の養成に取り組みました。
消費者から信頼される食料、木材供給基地の確立につきましては、県オリジナル水稲新品種金色の風や銀河のしずくのブランド化に向け効果的なプロモーション活動を展開した結果、米のヒット甲子園2017において、全国の195銘柄中、上位9銘柄に双方が選出されるなど全国的に高い評価をいただいているほか、ICT等の先端技術を活用したスマート農業や、醸造用ブドウの生産に適している本県の優位性を生かしたいわてワインヒルズプロジェクト、第11回全国和牛能力共進会に向けた生産者や関係者と一体となった取り組み等を積極的に推進いたしました。林業関係では、高性能林業機械の導入等による生産体制の強化に取り組み、素材供給量が増加いたしました。
農林水産物の高付加価値化と販路の拡大につきましては、商品開発のアドバイスや実需者とのマッチング支援等の取り組みにより、6次産業化による販売額が増加したほか、県産農林水産物の輸出先として有望視されるタイ等でのプロモーション活動を展開いたしました。
いわての魅力あふれる農山漁村の確立につきましては、いわて農業農村活性化推進ビジョンに基づく地域ビジョンの作成と実践、地域活性化の牽引役となるリーダーの育成、多彩な農林水産物の食文化等を活用した農山漁村ビジネスの振興等に取り組みました。
次に、今後の取り組み方針についてでありますが、まず、東日本大震災津波からの復旧、復興につきましては、第3期復興実施計画に基づき、引き続き、海岸保全施設等の復旧、整備を進めるとともに、復旧の先を見据えた地域漁業を担う経営体の育成や、水産物の高付加価値化等に取り組むほか、原木シイタケの産地再生や風評被害対策に取り組んでまいります。
また、平成28年台風第10号被害からの復旧、整備につきましては、引き続き、被害を受けた農地や林道等の早期の復旧、整備に取り組んでまいります。
さらに、強い農林水産業と活力ある農山漁村を確立するため、地域農業を牽引するリーディング経営体の育成や、(仮称)いわて水産アカデミーの開講に向けた準備、若者や女性農林漁業者の活躍促進などにより、意欲ある担い手の確保、育成に取り組むほか、スマート農業の一層の推進と林業、水産業分野への展開、東京オリンピック、パラリンピック競技大会等を見据えたGAPの取り組み促進等による生産性、市場性の高い産地づくりを進めるとともに、6次産業化の推進等による農林水産物の高付加価値化や海外市場への販路拡大、さらには、地域資源を活用した農山漁村の活性化などに取り組んでまいります。
以上、当部所管の事務事業に係る主な成果と今後の取り組み方針の概要について御説明申し上げました。
続きまして、当部関係の平成29年度の決算について御説明申し上げます。
まず、一般会計歳出決算でございますが、平成29年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開き願います。予算現額は、6款農林水産業費のうち県土整備部が所管するものを除いたもの、及び16ページの11款災害復旧費3項農林水産施設災害復旧費並びに12款公債費のうち当部が所管するものを合わせまして1、976億7、870万円余であります。これに対する支出済額は983億5、895万円余となり、前年度に比較いたしまして、金額で1億7、221万円余、率にして0.2%の減となっております。
また、翌年度繰越額は、東日本大震災津波被害からの復旧、復興に向けた事業などについて、他事業との調整や設計、工法の検討に不測の日数を要したことなどによる繰越明許費の462億3、930万円余、及び工法の見直しにより工事が遅延したことなどによる事故繰越の360億4、950万円余を合わせまして822億8、880万円余となっております。
なお、不用額は当部全体で170億3、095万円余であり、その主な要因は、東日本大震災津波からの復旧、復興事業における他事業との調整や計画の見直しであります。
次に、歳出決算の内容につきましては、便宜、お手元に配付しております平成29年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げます。
なお、金額の読み上げは省略させていただき、予算科目ごとに主な内容について簡潔に御説明申し上げますので、御了承をお願いいたします。
歳入歳出決算事項別明細書の246ページをお開き願います。6款農林水産業費1項農業費であります。1目農業総務費の主なものは、農政関係職員の人件費などの管理運営や国土調査に要した経費であります。2目農業金融対策費の主なものは、農業近代化資金などの制度資金の貸し付けを行う金融機関に対する利子補給及び農業経営改善促進資金の貸し付けに要した経費であります。248ページをお開き願います。3目農業改良普及費の主なものは、農業改良普及センターの管理運営に要した経費であります。4目農業振興費の主なものは、機構集積協力金交付事業の取り組みや農業用機械などの導入への補助、中山間地域等直接支払交付金の交付に要した経費であります。250ページをお開き願います。5目農作物対策費の主なものは、鳥獣被害防止対策や園芸栽培施設及び水稲の乾燥調製施設などの整備への補助に要した経費であります。252ページをお開き願います。6目畑作振興費の主なものは、花きセンターの管理運営に要した経費及びリンドウやリンゴの優良オリジナル品種の開発に要した経費であります。7目植物防疫費の主なものは、生産者及び農薬販売業者に対する病害虫の防除や農薬の安全使用の指導に要した経費であります。254ページをお開き願います。8目農業協同組合指導費及び9目農業共済団体指導費は、各組合の検査、指導監督に要した経費であります。10目農業研究センター費は、同センターの管理運営及び試験研究に要した経費であります。256ページをお開き願います。11目農業大学校費は、同校の管理運営に要した経費であります。
次に、2項畜産業費であります。1目畜産総務費の主なものは、畜産関係職員の人件費などの管理運営に要した経費であります。258ページをお開き願います。2目畜産振興費の主なものは、家畜飼養管理施設などの整備への補助及び平成28年の台風第10号により被災した生乳加工施設の機能回復、復旧への補助に要した経費であります。3目草地対策費は、畜産生産基盤などの整備に要した経費であります。260ページをお開き願います。4目家畜保健衛生費の主なものは、家畜伝染病予防法に基づく家畜伝染性疾病の検査、予防に要した経費であります。5目農業研究センター費は、畜産研究所の管理運営及び試験研究に要した経費であります。
262ページをお開き願います。3項農地費であります。1目農地総務費の主なものは、農地関係職員の人件費などの管理運営に要した経費であります。2目土地改良費のうち当部関係は、圃場整備や農業水利施設の補修、更新、農道の整備など、農業の生産基盤と農村の生活環境の総合的な整備及び地域共同による農地、農業用水等の地域資源の質的向上を図る活動への交付金の交付に要した経費であります。264ページをお開き願います。3目農地防災事業費は、沿岸地域における農地の生産性及び収益性を高める圃場整備や農地、農業用施設等の自然災害を未然に防止するための防災ダム、農業水利施設などの整備等に要した経費であります。266ページをお開き願います。4目農地調整費の主なものは、農地中間管理機構の業務への補助に要した経費であります。
次に、4項林業費であります。1目林業総務費の主なものは、林政関係職員の人件費などの管理運営や県有林事業特別会計への繰出金であります。268ページをお開き願います。2目林業振興指導費の主なものは、いわての森林づくり県民税を財源としたいわての森林づくり基金への積み立てや、間伐、木材の加工、流通施設の整備及び高性能林業機械の導入などへの補助、いわて林業アカデミーの運営に要した経費であります。270ページをお開き願います。3目森林病害虫等防除費は、松くい虫などの森林病害虫の防除に要した経費であります。272ページをお開き願います。4目造林費は、植栽や間伐など森林の整備への補助に要した経費であります。5目林道費は、林道の整備に要した経費であります。274ページをお開き願います。6目治山費は、治山や地すべりの防止、保安林の管理、整備などに要した経費であります。7目林業技術センター費は、同センターの管理運営及び試験研究に要した経費であります。
276ページをお開き願います。5項水産業費であります。1目水産業総務費の主なものは、水産関係職員の人件費などの管理運営や水産科学館の管理運営に要した経費であります。278ページをお開き願います。2目水産業振興費の主なものは、サケ稚魚などの放流支援やアワビなどの放流種苗生産など栽培漁業の推進及び平成28年台風第10号により被災した水産物生産施設の復旧への補助に要した経費であります。3目水産業協同組合指導費は、漁業協同組合などの検査、指導監督や、漁業近代化資金などの貸し付けを行う金融機関に対する利子補給に要した経費であります。280ページをお開き願います。4目漁業調整委員会費及び5目漁業調整費は、海区漁業調整委員会などの開催や漁業調整に要した経費であります。6目漁業取締費は、漁業取締事務所の管理運営や密漁等の取り締まりに要した経費であります。282ページをお開き願います。7目水産技術センター費は、同センターの管理運営及び試験研究に要した経費であります。8目内水面水産技術センター費は、同センターの管理運営に要した経費であります。284ページをお開き願います。9目漁港管理費は、県管理漁港施設の管理運営に要した経費であります。10目漁港漁場整備費は、安全・安心な水産物供給体制の構築や、漁村環境の整備などを重点とした漁港、漁場、漁村の水産基盤施設の総合的な整備に要した経費であります。
次に、恐縮でございますが、大きく飛びまして、350ページをお開き願います。11款災害復旧費3項農林水産施設災害復旧費であります。1目農地及び農業用施設災害復旧費は、東日本大震災津波及び平成28年台風第10号により被災した農地、農業用施設、海岸保全施設の復旧に要した経費であります。352ページをお開き願います。2目林道災害復旧費は、平成28年台風第10号などにより被災した林道の復旧に要した経費であります。3目治山災害復旧費は、東日本大震災津波により被災した治山施設の復旧に要した経費であります。354ページをお開き願います。4目水産業用施設等災害復旧費は、東日本大震災津波及び平成28年台風第10号により被災した水産業共同利用施設及びさけ・ます種苗生産施設などの復旧への補助に要した経費であります。5目漁業用施設災害復旧費は、東日本大震災津波により被災した漁場施設の復旧への補助に要した経費であります。6目漁港災害復旧費は、東日本大震災津波等により被災した漁港及び海岸保全施設の復旧に要した経費であります。
恐縮でございますが、また少し飛びまして、362ページをお開き願います。12款公債費1項公債費であります。1目元金のうち当部の決算額は2、425万2、000円で、就農支援資金の国への約定償還分であります。
以上で一般会計の歳出決算の説明を終わります。
続いて、特別会計の歳入歳出決算について御説明申し上げます。恐れ入りますが、お手元の平成29年度岩手県歳入歳出決算書にお戻りいただきまして、30ページをお開き願います。
県有林事業特別会計の歳入歳出の予算現額は37億7、193万円余であります。これに対する収入済額は37億6、912万円余で、一般会計からの繰入金などであります。次に、支出済額は37億2、899万円余で、県行造林、模範林、公営林の維持管理、保育などに要した経費であります。
なお、翌年度繰越額は、基本計画の策定等に不測の日数を要したことにより、翌年度へ1、406万円余を繰り越しております。
32ページをお開き願います。林業・木材産業資金特別会計の歳入及び歳出の予算現額は9億7、070万円余であります。これに対する収入済額は9億7、823万円余で、前年度からの繰越金や貸付金の償還金などであります。次に、支出済額は4億6、099万円余で、木材事業者等が生産流通の合理化や経営改善を図るための低利の運転資金の融通に要した経費であります。
34ページをお開き願います。沿岸漁業改善資金特別会計の歳入歳出の予算現額は9億6、553万円余であります。これに対する収入済額は9億6、578万円余で、前年度からの繰越金や貸付金の償還金などであります。
次に、支出済額は12万円余で、沿岸漁業改善資金の回収に要した経費であります。
以上で特別会計の歳入歳出決算についての説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇名須川晋委員長 これより質疑を行いますが、世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行うとともに、質疑項目が複数ある場合、関連する事項はできるだけまとめて質疑を行うこと、他の委員と重複した内容の質疑は極力避け、どうしても必要な場合には、関連質疑として短時間かつ簡潔に行うことを基本とすること、数値の確認のみの質疑や要望のみの発言は原則として行わないこととし、議事進行に特段の御協力をお願いいたします。
ただいまの説明のうち、第1部農業関係について質疑はありませんか。
〇高橋元委員 それでは、何点かお伺いしたいと思います。
まず、ことし6月定例会の一般質問で岩手県における種子条例の制定についてお尋ねしたところでございます。それについての回答もいただきましたが、時間がちょっと足りなくて確認できなかった点もありましたので、再度お伺いしたいと思います。
さきの一般質問での回答を見ますと、本県は、稲、麦類及び大豆の種子の生産等に関する要綱に基づき県が種子の生産、供給に関与しており他の県では条例を制定する、あるいは制定に向けた検討を開始するなどの動きもあるところです。条例の制定には、今後、行政法学研究者など、専門家の見解もいただきながら研究していきたい。こういう回答をいただきまして、半歩なのか3分の1歩なのかわかりませんが、いずれ前に進んだ回答があった、このように理解しておりまして、そのことについては私は評価するものであります。
しかし、昨今の動きも急でございまして、先日の新聞報道によりますと、米どころ山形県におきましても、9月定例会に条例議案が提出されたということであります。そうした中で、研究したいというレベルの段階でいいのかなという思いもちょっとあります。研究していくに越したことはないのですが、ある程度、1年とか2年以内という期限を決めながら集中して研究をし、条例の制定を急ぐべきではないかと思うところでありますが、改めて、この条例制定についての考えを伺いたいと思います。
〇佐藤水田農業課長 現在、本県を含む多くの県では、要綱等に基づき、県が種子の生産、供給に関与しておりますが、一方で、3県が条例を制定し、4道県が制定に向けた検討を開始するなどの動きもあるところです。
条例の制定については、現時点では、その課題等の抽出や絞り込みができていないことから、今後、専門家の意見を伺いながら、他部局と連携を図りつつ議論を深めてまいりたいと考えております。
〇高橋元委員 現在、日米二国間の貿易協定でさまざまなものについて協議されようとしております。そういうことを含めますと、この種子関係についても開放しろ、そして、さまざまな技術とかもオープンにしろと必ず迫ってまいりますので、それに十分備えていかなければならないということであります。
県でも、これまでどおり種子の生産を続けていくために、政府とか国の支援を継続してほしいという国に対する要望等もやっているわけですね。そういうことに鑑みますと、やはりこれは早急に条例をつくる必要があるのではないかと思います。
そこで、部長、条例は必要だと感じているのか感じていないのか、その辺、どう思われているのかお尋ねします。
〇上田農林水産部長 条例制定の必要性についてのお尋ねでございますが、先ほど担当の課長から御説明申し上げましたとおりで、条例制定に関して、恐縮でございますが、現時点で、いろいろな知識とか、どういったことが課題なのか、私もまだ把握しておりません。そういうことで、これからそこについて勉強させていただいて、その上でさまざまな議論なりを深めてまいりたいと考えております。
なお、お話のございました、いつまでにということについては、大変恐縮でございますが、そういう状況でございますので、はっきりしたことは申し上げにくいのでございますが、これからこういった種子供給に関してどういった形式で定めていくかについては、条例の制定も含めて検討を進めてまいりたいと考えております。
〇高橋元委員 これ以上突っ込んで話を聞く予定はありませんが、しかし、やっぱり農家としては非常に不安であるし、どういう無理難題を押しつけられるか、そういったことも今まではいろいろなところで話がありましたので、危機感を持っていかないと、またそういうことがあると思います。我々県議会議員も、地元に帰ると、農家からそういう切実な心配の声も寄せられております。それにうまく、時期もそんなにかけないで動かなければならないと思っておりますので、ぜひ、間を置かないでどんどん進めていただければと思います。
2点目は、米の生産であります。
平成30年産米から生産調整が廃止になっております。そういう中で、昨年は、岩手県農業再生協議会が一応、市町村の目安等を算定して、それを標準として作付をするということだったように思いますけれども、この具体の内容、それから市町村との調整等、どのように取り組みをされたのか伺います。
〇佐藤水田農業課長 岩手県農業再生協議会では、平成28年度に市町村や流通業者、担い手農家との意見交換やアンケートを実施した上で、昨年5月に、平成30年産主食用米の生産目安の算定方法を決定したところであります。
昨年12月には、この算定方法により、県全体の生産目安については、安定供給が確保できる生産量として国が算定した735万トンに、岩手県の平成29年産米の生産数量目標の全国シェア3.61%を乗じて26万5、432トンと設定しました。
また、市町村の生産目安については、県全体の生産目安に、平成28年産主食用米の市町村別生産量のシェアを乗じた数量として設定したところであります。
なお、生産目安については、今後においても、同協議会が制定した岩手県における需要に応じた米生産の推進要領に基づき、毎年度設定することとしております。
〇高橋元委員 そういうことで平成30年産の作付が進んできたわけでありますが、9月28日に農林水産省が発表した数値によると、増加した県として秋田県、新潟県、岩手県、青森県、福島県、減少した県としては鹿児島県、佐賀県、山口県、香川県、宮崎県、こういう結果が載っておりました。
その中で、本県も1、800ヘクタール、4%ほど増加したということです。かつてから、米の増産がどんどん進めば単価がどんどん下がっていくという懸念もあるわけであります。だから、ある面では、もう自制をしながらつくらざるを得ない、その一方で、良質米の提供をしなければならないという使命もあるわけです。その中で、この平成30年産の作付が1、800ヘクタール増加したことについてどのように評価しているか、増加した要因、また、どういう銘柄がふえているのか。それから、平成31年産についても同じような傾向が続くと観測しているのかどうか、お尋ねします。
〇佐藤水田農業課長 平成30年産主食用米については、実需者との結びつきが拡大した地域において、政府備蓄米や飼料用米等から主食用米への転換が進んだことにより、作付面積が平成29年産から1、800ヘクタール増加しました。
なお、品種につきましては、ひとめぼれが県の大宗を占めておりますので、ひとめぼれがふえたということでございます。
県としましては、引き続き、市町村や農協等で構成する地域農業再生協議会が作成しました具体的な生産計画に基づき、需要に応じた米生産を進めていくこととしております。
〇高橋元委員 農家の安定所得あるいは所得の向上を考えますと、ブランド米は高価ですので、これをどんどん作付して農家収入の手取りがふえればいいなという一方もありますが、余りつくり過ぎて、今度、通常のお米の値段が下がっても、これもまた困る。
そしてまた、外食とか中食の業務用米が年間約130万トン不足だと言われております。ここに焦点を当てて、戦略を練っていく必要があるのではないかという思いもちょっとあります。余り業務用米の供給量がどんどん減っていくと、私は、外米がどんどんふえるのではないかという心配もしているところであります。その辺についての今後のポイントとなる点はどう考えておられるのか伺います。
〇小原県産米戦略監 業務用仕向けのお米の供給につての考えというお尋ねだと思いますけれども、委員御指摘のとおり、業務用向けのお米の供給量がやや不足ぎみというような業界からのお話は認識しております。
本県におけます業務用仕向けの割合でございますけれども、ひとめぼれ、あるいはいわてっこ、どんぴしゃりといった銘柄につきまして、一定割合が業務用米として仕向けられているところであります。こういった品種を中心といたしました作付につきましても、実需の要求を踏まえながら計画的な作付に取り組んでいるところでございます。
〇高橋元委員 本県だけ考えて進めても、東北全体あるいは全国の動きというものもあるわけでありますが、いずれ、供給を求めているところに対して、うまく求めるものを提供していくことも非常に重要でありますので、今後とも、少しその辺のパイプを太くして、ぜひ消費地の期待に応えるように取り組みをお願いしたいと思います。
3点目ですが、野生鳥獣の被害防止対策についてであります。
これについては、鳥獣被害防止総合対策事業で、昨年度決算では1億1、968万円余の支出となっております。中身としては、農作物被害を防止するため、侵入防止柵の設置等支援、それから、被害防止活動を担う人材の育成、確保に向けた取り組み等の支援とあるわけでありますが、平成29年度において、どのような実績だったか、あるいは今年度どのような取り組みをされておられるのか、その辺についてお伺いいたします。
〇中村担い手対策課長 県では、鳥獣被害を防止していくため、国庫事業等を活用しながら、平成29年度は約1万4、000頭のニホンジカの捕獲や約110キロメートルの侵入防止柵の設置、さらに、ICTを活用した捕獲実証や捕獲技術の向上研修などを実施してきたところであり、このような取り組みなどにより、平成29年度の野生鳥獣による農作物被害額は、前年より約2、000万円減少の約3億7、000万円となったところです。
平成30年度につきましては、被害のさらなる低減に向けまして、ニホンジカの有害捕獲に係る予算を昨年度より2、000頭分増額したほか、侵入防止柵のさらなる延長とともに、北上市など県内4地区を新たに地域ぐるみの被害防止活動に取り組むモデル地区と位置づけ、その取り組みを県内各地に波及していくこととしております。
今後とも、市町村や関係団体と連携しながら、鳥獣被害が低減していくよう取り組んでまいります。
〇高橋元委員 取り組みの成果は徐々に出ているということで、これはこれで非常に評価をしたいと思います。
それで、例えば侵入防止柵の設置とか、地域からさまざまな対策の要望がたくさん出ていると思いますが、その要望に対してどれだけ対応できているのかというところがポイントのような気がするのですけれども、その辺の様子がわかればお伺いしたいと思います。
〇中村担い手対策課長 侵入防止柵につきましては、鳥獣被害防止総合対策事業のほか、中山間地域所得向上支援事業等も使いまして、おおむね各市町村の要望を満たしていると考えております。
ただ、有害捕獲等の事業等につきましては、現時点では8割から9割ほどの充足率になっておりまして、これにつきましても、できる限り国に対して予算を確保できるよう要望していきたいと考えております。
〇高橋元委員 それでは、新年度の予算確保も含めて、今後とも有害鳥獣の防止対策を進めていただければと思います。
全国的にジビエ化が普及し始めたと。それで、我が県ではどうかということでお尋ねしたいのですが、ジビエ化については余り需要がないというか、さまざまな課題があって導入までは至っていないということのようでございます。
そうはいっても、今後のことを含めますと、やはり全国の動きとか導入に向けての課題はどういうものがあるのかといったことを、ぜひ今後とも調査、研究をしていただければと、これは要望しておきます。よろしくお願いしたいと思います。
次に、もう一点ですが、農家民宿、農家民泊についてであります。
農家民宿も農家民泊も同じかと最初は思っておりましたけれども、農家民宿については、旅館業法の許可を得ている宿泊施設に泊めるということで、そういう意味では、普通の旅館と似たような形になるわけであります。今のところ、この農家民宿では、農業を営んでいる農家が、その住居を旅行者に提供する新しい形の宿泊施設。宿泊客は、農作業を体験したり、その農家がつくった作物を食べることで、より深くその土地の習慣や文化に触れることができるということです。
一方、農家民泊については、旅館業法の許可を取得する必要がない施設で、宿泊料を取りませんので、食事代ぐらいということでありましたが、同じく農業を営んでいる家庭に宿泊し、農家とともに、ありのままの農家の生活を体験できる仕組みだということであります。
今後、例えば岩手県でありますと、世界遺産の滞在型の観光をどうしていくかとか、あるいは、これから先ですと、2020年の東京五輪、それから、国が掲げる訪日外国人旅行者数4、000万人という大きな目標もあります。
そういう意味では、例えば台湾便の定期就航などもありますので、四季折々岩手県の自然に触れ、岩手県の農家にも泊まっていただくシステムをつくっていかなければならないのではないかという思いからお尋ねするわけでありますが、本県における農家民宿、農家民泊の実態と、あるいはその需要、そして課題等についてどう捉えているのかお伺いいたします。
〇藤代農業振興課総括課長 本県の農家民宿、農家民泊の数についてでございますけれども、平成29年度現在、農家民宿については56施設となっていまして、5年前の平成24年度に比べ17施設増、それから、農家民泊につきましては、平成29年度現在1、297施設ということで、5年前に比べますと160施設増というような形になっております。全体として見ますと施設数は1.2倍ぐらいにふえている状況でございます。
また、利用者数についてでございますが、これは、済みません、農家民宿と農家民泊を合わせた形で申し上げますけれども、平成29年度現在で約6万人となっておりまして、東日本大震災津波の影響で一時期、利用者数が減少したところでございますけれども、現在は東日本大震災津波以前の水準まで回復してきている状況でございます。
本県ではこれまで、中学校ですとか高等学校を中心に体験型教育旅行の受け入れといった取り組みを進めてきているところでございますけれども、将来的には、少子化等の影響で生徒の受け入れの数が減ることも懸念されますので、受け入れる学校の拡大ですとか、新たな顧客を開拓していくことが課題だと捉えているところでございます。
〇高橋元委員 私が想定しているよりもかなり多いかなという思いをしております。私の地元でも、農家民泊をやりたいということで北上市に相談に行ったら、その手続とか申請にいろいろ大変だという話もしておりました。その辺、こういう手順でとか、申請の仕方といったものについて、説明会も開催しているという話も聞きましたけれども、その辺のところをもう少しわかりやすいように、取り組みしやすいように手引書等もしっかりしてもらえばいいのかなという思いもちょっとしておりました。
それから、この取り組みを進めていくためには、どうPRしていくかということが一つの課題かと思うし、例えば岩手県の旅行を扱う県の旅行業協会がありますね。ああいうところが窓口になって、岩手県の農家に泊まりたいという場合は、こういう場所があるよとか、そういう紹介をしてもらうような仕組みづくりも必要ではないかと思っておりますが、旅行業協会との連携みたいなものはあるのでしょうか。
〇藤代農業振興課総括課長 それぞれの地域地域で濃淡はございますけれども、先ほど申し上げました、例えば首都圏等の学校から修学旅行を誘致する場合には、旅行代理店と連携してとか、あるいは一般の方の場合でも、名前を出して恐縮ですけれども、農協観光とか、いろいろな旅行代理店と連携しながら、そういった誘致ですとか、あるいは受け入れるための技術的なノウハウのスキルアップに取り組んでいるところでございます。
〇名須川晋委員長 高橋元委員に申し上げます。世話人会の申し合わせにより、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、議事の進行に御協力をお願いします。
〇高橋元委員 はい。
そういう今の御回答でしたので、いろいろなところで取り組みやすいように、ぜひ工夫を凝らしていただければと思います。
山形県で農家民宿をやられているところに外国人も結構泊まられて、言葉は通じないけれども、日本の文化を非常に堪能してもらったとか、それから、日本の食べ物はすごくおいしいということで、リピーターもどんどんふえてきているということでもありますので、ぜひそういう連携も深めていただきたい。これは要望して、終わります。
〇高橋孝眞委員 平成29年産の米の販売についてお伺いします。
銀河のしずくに続きまして金色の風が昨年、本格デビューしたわけでありますけれども、米の販売の県の評価につきましては先ほど部長からお話がございましたので、それはよろしいのですが、実際、販売をしてみて、米の評価とは別に、特Aを取ることができなかったことの影響はどのようにあったと考えられるかについてお伺いしたいと思います。
実際に販売をしている方から聞きますと、若干苦労したという人もあったやに聞いておりますが、卸業者の評価はどのように考えているか、消費者の評価はどうであったか、これらについてお伺いしたいと思います。また、米価が全体的には高値でありましたけれども、他の品種と比べまして、生産者の10アール当たりの手取り、利益はどうであったのかについて、まず最初にお伺いしたいと思います。
〇小原県産米戦略監 平成29年産の銀河のしずく、金色の風の販売の評価等についてのお尋ねでございますけれども、全国農業協同組合連合会岩手県本部によりますと、平成29年産米につきましては、県外の米卸業者からの評価は高く、取引も順調に進んでおり、今回の食味ランキングの結果についての影響はないと聞いております。
また、県内外の米卸売業者によりますと、金色の風を初めとする県産米の評価は高くて、例年よりも販売実績は上がっているというような情報をいただいております。
お米の専門家であります全国の五つ星お米マイスター86名が、今一番食べてほしいお米を選ぶ米のヒット甲子園2017におきましても、全国の195銘柄の中から、金色の風、銀河のしずくがともに上位9銘柄に選出されており、さらに、生産者による販売促進のために実施いたしました米穀専門店への訪問での聞き取りでは、消費者からも、おいしいお米だという評価をいただいているところでございます。
また、生産者へのメリットについてもあわせてお尋ねがございました。平成29年産の県産米の販売額は、精算金が未確定でございますので、JAの概算金と品種ごとの収量をもとに10アール当たりの販売額を試算いたしますと、今回、ひとめぼれと対比いたしまして、銀河のしずくは約15%増、金色の風では約20%増と見込まれております。
このようなことから、今後も、いわてオリジナル品種ブランド化戦略に基づきまして、大消費地でのトップセールスなど、県産米に対する消費者や実需者の評価を一層高め、高価格での取引を実現するなど、米生産者の所得向上に取り組んでまいります。
〇高橋孝眞委員 生産者はかなりメリットがあったという内容でありますけれども、今、米の刈り取りをしているわけでありまして、種もみの生産もまずは順調に進んでいるのだろうと思います。銀河のしずくと金色の風につきまして、来年度はことしと比べてどの程度の作付面積を目標にしているかお伺いいたします。
〇小原県産米戦略監 金色の風、銀河のしずくの来年度の作付計画についてのお尋ねでございますけれども、現在、平成31年産の販売見込み等につきまして、主要卸関係機関から情報収集させていただいているところでございます。そういった情報をもとに、生産者等の意見も踏まえまして、現在、平成31年産の作付面積について協議をしておりまして、今月末には、作付の応募について公募できると思っております。
なお、種子につきましては、不足がないよう手当てをしているところでございます。
〇高橋孝眞委員 先ほども話がありましたけれども、十分なメリットがあるということでありますから、作付できる地帯につきましては、できるだけ作付をして、農家の手取りを多くするよう取り組んでいただければと思います。
次は、先日テレビを見ましたら、福井県のいちほまれという品種が、昨年、作付されながら特Aを取って、ことし本格デビューするという内容でありました。魚沼産コシヒカリを上回るということで開発しているということでありましたけれども、県の現在取り組んでいる良質で多収な主食用米品種の開発は順調なのかどうか、今後のスケジュールについてはどうなっているかということ。
それから、開発上、当然、温暖化対策なり倒れにくいものとかを考えていると思いますけれども、それ以外にもどういう考え方で取り組んでいるかということ。そして、多収米ということでありますので、現在と比べてどの程度の収量を目指して取り組んでいるのかについてお伺いいたします。
〇小原県産米戦略監 良質で多収の主食用米品種の開発についてのお尋ねでございます。
県では、現在、拡大する業務用仕向けにも対応できる良食味で多収な品種を目標に開発を進めているところでございます。平成29年度までに2系統、平成30年度に1系統を加えまして、合わせて3系統について、現在、現地の適応性を評価するため県内5カ所で現地試験を行っております。
また、これら3系統につきましては、平成28年度から富山県、福井県に依頼して、御指摘のありました高温登熟耐性検定等も実施しているところでございます。
今後、これらの現地試験の結果を踏まえまして、いわての美味しいお米生産・販売戦略の期間中に、品種登録について検討することとしております。
また、収量目標につきましては、現在適性を評価している品種の中では、対象品種よりも1割程度多収というものもございます。そういったところが一つの品種選定の基準になろうかと思っております。
〇高橋孝眞委員 ぜひ、収量が多くて、価格が高くて、農家に多くの利益が出るように、そして早くデビューできるように取り組んでいただければと思います。
次に、肉用牛肥育安定特別対策事業、通称マルキンと言っておりますけれども、肉牛経営につきましては、素牛の価格高騰で非常に厳しいのが現実でございます。この事業は、粗利益から生産コストを差し引いた差額がマイナスになった場合に補填金を交付するという事業であります。昨年いろいろ取り組んでいただきまして、ことし4月からでありますけれども、地域算定をすることとなったわけでありますが、先ほどのマイナスの補填金につきましては9割が生産者に支払われております。
ただ9割でありますけれども、4分の1は生産者の掛け金でありますから、4分の3が国からの補助金ということになるわけでありまして、実質は67.5%が補填されると思っております。
肉用牛の種類でありますが、肉用種といいましても、和牛と、それから交雑種、肥育、乳用種と別々に算定されているわけでありますけれども、肉用種につきましては県独自でも算定することはできますよということで昨年から取り組んで、ことしの4月から県独自の算定をしていただいていると思っております。7月分で考えますと、全国平均で、去年はマイナスでも生産者に7、500円しか補填されなかったわけでありますけれども、今回取り組んできたことによりまして生産者に7万1、900円が支払われることになっておりまして、この部分につきましては、当局に対して生産者の一人としても非常に感謝申し上げたいと思うところであります。
ただ、素畜費が高いのはそのとおりで、地域算定されているわけですけれども、本県は生産者の平均肥育頭数が少ないところでありまして、そういう意味合いから、私は生産コストをより広く地域算定するべきではないか、してもらうべきではないかと思っております。素畜費と家族労働費が今回、地域算定されていますけれども、それ以外の分についても全国平均より高いと思っていますので、そういう意味合いでは、今の畜産農家、和牛の肥育農家の経営は非常に厳しいのではないかと思うのであります。生産コストの全額、飼料費なり物財費、ここの部分についての地域算定をどう考えるか、どのように算定されているかについてお伺いしたいと思います。
それからもう一つは、和牛の関係で、地域算定されていますけれども、家族労働費が全国平均では7万7、187円に対し、岩手県平均は7万675円となっております。全国平均より6、500円ほど低いわけでありますけれども、これはどういう理由から低いのかについても教えていただきたいと思います。
〇村上特命参事兼振興・衛生課長 この事業は、肥育農家の経営安定のために独立行政法人農畜産業振興機構が行っており、本県におきましては、これまでは全国一律の算定方式により対応しておりましたが、今年度から本県独自のデータを利用した補填金算定方式である地域算定を導入したところであります。
本県独自のデータとしましては、生産コストのうち、県内子牛市場等の平均価格でもある素畜費と労働費、また、粗収益のうち、株式会社いわちくや東京食肉市場等に出荷された去勢肥育牛の枝肉重量と枝肉価格でございます。なお、労働費につきましては、農林水産省の統計調査の肉用牛生産費のうち、東北地域の家族労働費を用いております。
このような独自のデータを利用した結果、今年度4月から7月に販売された本県黒毛和種への補填金は全国算定方式に比べ1頭当たり6万円程度多く支払われておりまして、素牛価格の高騰等により経営が悪化している肉用牛肥育農家の救済が図られたものと考えております。
〇高橋孝眞委員 物財費といいますか、生産コストにつきましては、先ほど言いました部分で、県独自で算定しているかどうかについてお伺いしたいと思います。しているか、していないかということです。
〇村上特命参事兼振興・衛生課長 物財費についてですけれども、素畜費のみが県の算定となっております。
〇名須川晋委員長 もう一度お願いします。
〇村上特命参事兼振興・衛生課長 物財費でございますが、素畜費のみが県独自の算定となっております。その他の、例えば飼料代などにつきましては独立行政法人農畜産業振興機構のデータとなっております。
〇菊池畜産課総括課長 物財費の関係でございますけれども、本県独自の生産コストの算定につきましては、利用できる統計がないことから難しくなっておりまして、独立行政法人農畜産業振興機構からも、素畜費と家族労働費以外の独自データを地域算定に用いることは認められておりませんので、先ほど申し上げたような形になっております。
〇高橋孝眞委員 岩手県は生産コストが高いので、ぜひ調べていただいて、独自算定が一部できるわけですから、全部できるような仕組みを要望していただきたいと思うのです。
県では絶対調べているのではないかと想定するのです。これはなぜかといいますと、原発事故の補償があったからです。福島原発事故による東京電力からの補償は、各県独自の算定をした結果、原価積み上げ方式で費用を補償したという実績があります。
青森県などは、原発の立地県ということで電気料金が安いのです。特に市町村ごとですとほとんど電気料金はかからないという生産者もいるわけです。そういう意味合いで、青森県の生産コストは低いのです。岩手県はそれと比べますと絶対生産コストが高くなるはずですし、生産頭数が少ないということは、 1頭当たりの飼料費も高くなるので、ぜひその辺を考えて対応していただければと思いますし、国にもそういう要望をしていただければと思います。答弁はいいです。
もう一点、負担金、補助金及び交付金の不用額の関係につきましては、農林水産部から資料をいただきました。特に農業委員会運営費補助が4、374万9、000円の不用額。経営体育成支援事業費補助が2億円、強い農業づくり交付金が約2億円近く不用額があります。これはどういう内容で不用額になったのか。久慈市の補助事業でしょうから、来年度に繰り越せるものなのかどうかについて、お伺いしたいと思います。
〇藤代農業振興課総括課長 農業委員会運営費補助につきましては、農業委員会の円滑な運営を図るため、組織の運営や業務に要する経費について、国庫事業を活用して補助しているものでございます。平成29年度は、農地集積等を推進します農地利用最適化活動を農業委員会が行った際に交付金を交付するという部分につきまして、22の市町村で新体制に移行したところですけれども、ここを対象に、そういった農地集積の活動、それから成果、実績に応じて交付金が交付されたものでございます。
その中で、活動実績に応じたものについては予算額どおり交付が行われたところですけれども、農地集積の実績につきまして、22市町村全ての利用を見込んでいたところ、この実績を点数化して評価する国の交付基準を下回る市町村がございましたので、交付額が予算額を下回って不用額となったものでございます。
この分については今年度ということになりますけれども、また農地集積の実績、成果に応じて交付されるという形で予算を計上させていただいているところでございます。
続きまして、経営体育成支援事業費補助についてでございますけれども、この事業は、地域農業マスタープランに位置づけられました中心経営体等を育成するため、農業用の機械や施設の導入を支援しているものでございます。
平成29年度につきましては、国の補正予算に対応いたしまして、地域の要望を踏まえて2月定例会に補正予算を計上したところでございますけれども、全国的にこの事業の要望が多く、国の内示額が予算額を下回ったため、執行できない予算について不用額とさせていただいたものでございます。
なお、補正予算の計上に当たり要望があったけれども執行できなかった事業につきましては、平成30年度での対応とするよう現在調整しているところでございます。
〇佐藤水田農業課長 強い農業づくり交付金につきましては複数の課にまたがっておりまして、農産園芸課の部分につきましては、農業関係の施設整備及び機械導入に要する経費を補助するものであります。
平成29年度は、盛岡市及び奥州市のリンゴ選果施設、盛岡市の花卉生産施設等が整備されましたが、事業計画の作成時において複数業者から見積もりを徴収し、最低価格で事業費を設定したものの、事業の実施段階で入札を実施した結果、不用額が発生したものであります。
なお、不用額のうち9割を超すものが平成28年度からの繰越分でありましたので、他地区への流用を行うことができなかったものでございます。
〇高橋流通課総括課長 強い農業づくり交付金のうち、平成28年の台風第10号で被災いたしました岩泉町の乳製品加工施設についてでございます。これは、被災した施設の機能回復、復旧に要する経費を交付したものでございますが、交付先である岩泉町が所要の事業費を計上していたところ、入札の結果により不用額が生じたものでございます。
〇名須川晋委員長 高橋孝眞委員に申し上げます。世話人会の申し合わせにより、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、議事の進行に御協力をお願いします。
〇高橋孝眞委員 わかりました。
その中で一つだけ、農業委員会運営費補助の関係でありますが、先ほどのような理由から考えますと農地集積が進んでいないというふうに思うのですけれども、それはそのとおりなのでしょうか。この辺はこれからどのように考えていくのかについて教えていただければと思います。
もう一つ、回答は要りませんけれども、先ほど事業執行の関係で、不用額の原因が入札減だったということ。これは非常にもったいないことであります。要望も多いわけでありますので、当初計画する際にきっちりと聞き取りをしながら予算要求をして、もし余るのであれば別の事業に回せるわけでありますので、それはそれで対応していただければと思います。よろしくお願いします。
〇藤代農業振興課総括課長 農業委員会の関係の農地集積が進んでいないのかという部分でございますが、農業委員会には積極的に農地集積に対応するために活動していただいていると捉えております。今回のこういった交付金の執行に際しては、国のほうで2023年度までに全体として9割ぐらい農地集積をするという目標を掲げていて、その分について市町村ごとに農地集積の目標値のような基準を設定して、その基準を超えた場合、成果を達成した場合に交付金を交付するという仕組みになっておりますので、今回、その基準に到達できなかった市町村が幾つかあって、予算を不用額とさせていただいたものでございます。農地集積についてはきちんと取り組んでいると認識しているところでございます。
〇臼澤勉委員 関連。高橋元委員、高橋孝眞委員の質問にありました米生産について、関連して質問いたします。
生産調整の影響等については答弁がありましたから割愛いたしますが、全国の主食用米の需要量が年間8万トンずつぐらい減少すると言われております。国の統計においても、国内消費向けで884万トンから864万トンに、ここ2年で約20万トンも減っているような状況にあります。
一方で、生産面積をふやしている県について先ほど答弁がありました。本県を含め、新潟県、秋田県でも強気強気でふやしているというところは、ある意味、私は評価するところでありますが、最終的に過剰米が出てくる懸念というのは県としてどのように考えているのかお伺いします。
〇佐藤水田農業課長 過剰米の懸念についてでありますが、本年9月末に公表された国の資料によりますと、平成30年産主食用米の作付面積が増加した県は、委員御指摘のとおり、秋田県、新潟県、岩手県など20道県となっております。
本県の平成30年産主食用米の作付面積は4万8、800ヘクタールで、平成29年産から1、800ヘクタール増加しましたが、関係機関、団体や県で構成する岩手県農業生産協議会が設定した平成30年産主食用米の生産目安を下回っており、各地域からの聞き取りにより、需要に応じた生産が行われていると確認しているところでございます。
一方、鹿児島県、佐賀県など20都府県で主食用米の作付面積が減少したことによりまして、全国の作付面積は平成29年産とおおむね同水準となっていることから、需要への大きな影響はないものと考えております。
〇臼澤勉委員 私は、全国の産地で二極化が進んできていると思うわけでございます。北海道、東北─本県を含め、米については、当然、消費者ニーズ、販路をしっかりとつかみながら、やはり強気でやっていく。産地間競争が激化している中で、こういう販売戦略をこれから非常に強化していかなければいけないということでございます。
先般、私の地元である矢巾町の量販店で店頭を歩いていたら、隣の青天の霹靂は5キロで3、180円、銀河のしずくが2、780円、ひとめぼれが2、680円という価格帯でございましたが、この評価ですね。販売価格の評価。高ければいいかどうかは別にしても、これをどういうふうに捉えて、そして、先ほどの質問にも関連しますが、銀河のしずく、金色の風、業務用米をどこまでふやそうとしているのか、ここら辺をお伺いしたいと思います。
〇小原県産米戦略監 県産米の小売価格、販売価格についてと作付の考え方についてでございます。
販売価格につきましては各小売店の判断によるものと考えますけれども、品種ごとの価格差につきましては、仕入れ価格や販売重量─量目の大きさといったものも影響していると推察しております。
なお、銀河のしずくなどにつきましては、概算金のレベルでは昨年と同様と聞いており、農家収入への大きな影響はないものと認識しております。
また、県産米の作付についてでございます。
金色の風、銀河のしずくにつきましては、ブランド価値の向上や高価格での取引を目的といたしまして、実需者ニーズをもとに、平成30年産では金色の風で226ヘクタール、銀河のしずくでは1、043ヘクタール作付されております。今後の作付面積については、実需者ニーズを加味しながら、毎年度設定することとしております。
一方、業務用仕向けにつきましては、適切な品種配置や生産コストの低減技術の導入を図りながら、実需者などの要望を踏まえて、安定的な取引の拡大に向けて複数年契約などの取り組みを推進するなど、関係団体との連携をより一層強化しながら取り組んでまいりたいと思っております。
〇臼澤勉委員 青天の霹靂の作付面積は、資料によりますと、青森県において平成27年から平成30年の4カ年で550ヘクタールから2、000ヘクタールに一気に伸ばすという取り組みをしております。銀河のしずくは、今お話ありましたとおり1、000ヘクタール規模です。ここをどう見るかということです。産地間競争が非常に激化している中で、隣の青森県などは出口戦略をしっかり立て、先、先で取り組んでいると私は評価しているところでございます。しっかりそこら辺を、おくれることのないように取り組んでいただきたいと思います。
現場を歩いていて生産者の方々から聞く声は、例えば銀河のしずくの生産者からも、この夏の高温で追肥とか非常に難しい栽培があったと思うのですが、県のほうから普及員などが指導に来ていますかと聞くと、来たことがないと言います。非常に私、残念だと思って、どこかは回っているのかもしれませんけれども、そういう声が二、三聞こえると心配になります。
そこで、良食味、高品質生産に向けた指導について県としてどのように取り組んでいるのか。青森県では、たんぱくマップとか収穫適期マップなど、リモートセンシング技術の活用なんかもしながら取り組んでいると伺っておりますが、本県の取り組みについてお伺いいたします。
〇小原県産米戦略監 良食味で高品質な生産に向けた指導等についてのお尋ねでございます。
金色の風、銀河のしずくにつきましては、昨年度の研究成果をもとに、栽培マニュアルに新たに栄養診断に基づく適正な追肥判断等の項目を入れ込み、県及び地域の栽培研究会を延べ34回開催する中でその実践を図っているところでございます。
また、ひとめぼれ等についても、あわせて各JAの食味向上に向けたモデル圃場の設置、運営等にも支援しているところでございます。
次に、食味向上に係る対策でございます。
リモートセンシング技術による品質向上等につきましては、衛星画像を解析した圃場別の生育状況と玄米たんぱく質含有量の推定モデルの作成に取り組んでおります。来年度は、引き続き、食味への影響が大きい玄米たんぱく質の含有率の推定精度を高めるとともに、収穫適期判定への活用など、積極的に良食味、高品質生産に向けた指導に取り入れていきたいと考えております。
〇名須川晋委員長 関連質疑は、短時間かつ簡潔に発言されるよう御協力願います。
〇臼澤勉委員 ぜひ総力を挙げて、力を入れているオリジナル品種の生産指導について取り組んでいただきたいと思います。
〇工藤勝博委員 大きく3点お伺いいたします。
まず最初に、経営体育成基盤整備事業でありますけれども、東北で一番整備率が低い岩手県の中で、平成29年度の事業採択、そしてまた、事業の進みぐあいをお聞きいたします。
〇伊藤農村建設課総括課長 経営体育成基盤整備事業の平成29年度の事業採択及び事業の進捗状況でありますが、平成29年度の事業採択については、一関市西黒沢地区ほか4地区、総事業費で46億円、受益面積203ヘクタールとなっております。
事業の進捗状況につきましては、平成29年度実施地区44地区において、平成29年度末時点のソフト事業を除きました事業費ベースで45%となっております。
〇工藤勝博委員 特に水田の場合、大区画あるいはまた用排水施設の整備が何といってもこれからの農業生産には欠かせないものであります。そういう中で、この事業が順調に進捗しているのかということもあわせてお伺いしたいと思います。
いただいた資料では、平成20年、平成21年ごろから年々採択されており、事業もかなり進んでいるとは思いますけれども、特にここ数年の進みぐあいはどのような状況になっているのでしょうか。
〇伊藤農村建設課総括課長 事業の進みぐあいということでございますが、1事業の事業採択から事業完了までの期間ということでお答えいたします。
過去5年の完了地区につきましては、事業採択から完了まで約11年を要しておりまして、現在、新規地区5地区、継続地区31地区、完了地区4地区と、大体40地区ぐらいをめどに事業を進めております。
〇工藤勝博委員 採択されているそれぞれの事業、箇所によっては大規模な箇所もあります。北上市和賀中部では670ヘクタール、あるいは金ケ崎町六原では245ヘクタールということであります。
平成30年度も7件採択されて、それぞれ100ヘクタールを超している基盤整備事業計画もありますけれども、例えば今まで事業完了に11年かかったということであればことし採択された箇所ではあと十何年農作業をしなければならないということになるのですけれども、期間を短縮させる何かいい工夫はないのでしょうか、お伺いします。
〇伊藤農村建設課総括課長 先ほどお話ありましたとおり、平成30年度におきましても7地区を新規採択しております。うち3地区につきましては100ヘクタールを超えるということで、事業費ベースにしますと大体24億円から35億円という予算規模になります。そういった中で、それを時間的に速く進めるということになれば、やはり事業費の確保が必要になると考えております。
平成30年度につきましては、当初予算32億3、000万円と平成29年度の補正予算の繰越分50億円を合わせ、実質的な事業執行予算として82億3、000万円を確保したところでございます。この予算によりまして、平成30年度におきましては45地区で区画整理を320ヘクタール、暗渠排水を102ヘクタール実施する予定でございます。
今後とも、地域の整備要望に可能な限りお応えできるよう効率的な執行に努めるとともに、引き続き国に対して、先ほど御指摘のありました水田整備のおくれている本県の実情を強く訴えながら予算の確保に努めていくこととしております。
〇工藤勝博委員 大規模な基盤整備の場合は当然事業費が相当かかるわけで、ここ二、三年、TPP関連の対策ということで国でも当初予算や補正予算で大分手当てしているわけですけれども、この対策費が途切れたとするとかなりブレーキがかかるような感じがします。その辺をどう捉えて、次年度以降、どのような形でこの事業費の確保を図るか、あわせてお聞きしたいと思います。
〇千葉農村整備担当技監 今の圃場整備の推進に当たりましては、当初予算と、それから、今、委員から御指摘があったように補正予算を合わせて進めているのが実態でございます。したがいまして、補正予算は非常に大切な財源と捉えております。
このため、県といたしましては、国に対しまして、平成31年度の当初予算はもとより、今年度の補正予算もぜひ実現するように、この10月4日にも部長が上京いたしまして農林水産省に要望しているところでございます。あらゆる機会を捉えて予算の確保に努めてまいりたいと考えております。
〇工藤勝博委員 先ほどもお話ししましたけれども、あと10年かかるとすれば、農業者の平均年齢は68歳から70歳です。そうすると、もうほとんどの人が、私はいないよ、次の世代に任せるしかないと、そういう状況になると思うので、1年でも2年でも早く採択した地区も含め取り組んでいただくようお願いしたいと思います。そのためにも、事業費確保をぜひとも頑張っていただければと思います。
2点目です。
平成26年から始まった農地中間管理事業に関してお伺いします。
農地集積の事業成果と今までの課題をお聞きしたいと思います。
〇藤代農業振興課総括課長 農地中間管理事業の事業成果、課題についてでございますが、委員御指摘のとおり、農地中間管理事業については平成26年から開始されたところでございますけれども、この4年間で、農地集積の実績は貸付面積が1万2、509ヘクタールということで、面積ベースでいきますと全国第2位の実績、それから新規の集積面積につきましては5、844ヘクタールと、全国第1位の実績となっております。
課題につきましては、耕作条件のよい平場の地域では農地の出し手の面積が受け手の借り受け希望面積を下回っていまして、新たな農地の出し手を確保していくことが課題と考えておりますし、また、中山間地域では耕作条件が不利なところも多くございますので、そういった不利な農地であっても受けてくれるような受け手を確保していくことが課題と捉えているところでございます。
〇工藤勝博委員 この管理事業につきましては、当初、平成26年、平成27年あたりは出し手への協力金が大分手厚く出たわけですけれども、それがなくなったわけです。途端に出し手も借り手もなくなったと。ただ、実際、集積されたのは五十数%ということで、まだまだ残っているわけです。先ほどお話ありましたように、逆に受け手が条件の悪いところは受けられないという状況になっていると思うのですけれども、その辺の対策は今後どうなされていくのか。
あわせて、県でもアンケート調査をしましたよね。私も農地集積の懇談会に行ってお話しさせてもらいました。各地区、いろいろな形で懇談会などをやったと思うのですけれども、そこで出された課題の中から、今後解決できる課題はどういうものがあるのか、もしあればお聞きしたいと思います。
〇藤代農業振興課総括課長 農地集積をこれからさらに進めていくためにということで、先ほど委員御指摘のとおり、当初は出し手にも手厚い支援があったところでございますけれども、国から状況を聞きますと、出し手側への協力金が新規の農地集積につながらないところにかなり使われているということで、その予算を少し削減して、受け手の交付金の予算は少し厚くしてという形で予算を組み替えたと伺っているところでございます。
こういった出し手側のメリットがちょっと少なくなった中で、県といたしましては、農地中間管理機構や市町村農業委員会と連携しながら、まだ農地所有者の皆さんへの制度周知が不足していると考えておりますので、まずこの制度をお知らせして農地の貸し出しを促していきたいと思っています。また、先ほど申し上げましたとおり、中山間地域では、やはり農地条件がよくないところもございますので、農地を借り受けしやすくするように、農地の排水機能を高める簡易な圃場整備の支援ということで、昨年度ですと10市町村16地区、今年度につきましては5市町村12地区で農地耕作条件改善事業により圃場整備の支援なども行っておりますので、こういった取り組みを進めながら、今後とも担い手の農地集積が進むように取り組んでいきたいと考えているところでございます。
〇工藤勝博委員 小規模な基盤整備が必要なところは、先ほど経営体育成基盤整備事業の関係で話をしましたけれども、農地中間管理事業でも事業化できるというお話も伺っていますが、その辺の取り組みはどうなっていますか。
〇藤代農業振興課総括課長 委員御指摘のとおり、農地中間管理事業でも先ほど申し上げました簡易な圃場整備に取り組めることにはなっているのですけれども、なかなか機構も資金面で難しいところがあるので、この事業については、そういうノウハウをお持ちの、例えば土地改良関係の団体の皆さんにお願いして、機構はできる部分を請け負いながら進めていきたいというふうに聞いております。
〇工藤勝博委員 農業委員会も体制が変わって、農地利用最適化推進委員もかなり人数がふえています。それらの皆さんとも協力しながら、ぜひとも集積率を高めて、要は耕作放棄地がふえないように、さらにまたコストが下がるように体制を強化していただきたいと思います。
次に、畜産振興についてお伺いいたします。
まず、県有種雄牛の造成と活用状況についてお伺いいたします。
〇菊池畜産課総括課長 県では昭和62年度から黒毛和種の種雄牛造成に取り組み、全国肉用牛枝肉共励会で日本一となる名誉賞を受賞いたしました菊福秀など、これまで59頭の種雄牛を造成してきたところでございます。
また、県内の凍結精液のシェアでございますが、平成23年度には44%まで増加したものの、その後減少いたしまして、平成29年度には14%となったところでございます。
この要因でございますが、これまで供給本数の大半を占めておりました菊福秀が高齢となりまして供給本数が減少していることや、菊福秀を超える産肉能力を持つ種雄牛を造成できなかったことなどにより、九州などの民間の家畜人工授精所が所有いたします種雄牛の利用が増加したためと考えております。
今後におきましては、今年度から導入しておりますゲノム解析技術を活用して優良種雄牛を早期に造成するとともに、家畜人工授精師を対象といたしました研修会の開催などにより県有種雄牛のPRを強化し、県有種雄牛の凍結精液の利用拡大を図ってまいりたいと考えております。
〇工藤勝博委員 県有種雄牛の凍結精液のシェアは、平成23年度をピークにして、先ほどお話しのありましたとおり、14%まで落ち込んでいるということ。この14%の活用の裏には、岩手県には家畜改良事業団も近くにありますし、あるいは、九州の個人でやっている、すばらしい凍結精液を持っている方もいます。それらの活用が進んでいるということは、実際、私もことしの八幡平市畜産共進会を見て感じましたが、28年前に生まれたのは、かなりの割合で県有種雄牛の精液による子牛であったものが、それ以降、家畜改良事業団や個人の精液による子牛がかなり評価されているということだと思います。
それらも含めると、県の種雄牛の造成を根本的に変えていかないと、かなり手おくれ、と言えば変ですけれども、ゲノム解析を使ってやるというのも確かにいいと思うのですけれども、それにしても5年、10年はかかると思うので、本県の種雄牛を改良するのか、あるいはまた新たな種雄牛の導入を含めて改良するのかお聞きしたいと思います。
〇菊池畜産課総括課長 県有種雄牛の造成につきましては、先ほど申し上げましたように、現在、今年度から導入いたしましたゲノム解析という技術を使いまして、早期に優良種雄牛をつくることに取り組んでおります。
また、現在、今月、検定を終了いたしました種雄牛でございますが、非常に成績の高い種雄牛も出てきております。そういったものが間もなく正式に選抜されて本格的に供用されますので、さらにPRを強化しながら、県有種雄牛の利用率の拡大に努めてまいりたいと考えております。
〇工藤勝博委員 ぜひとも早期に菊福秀の後継牛を育成してほしいと思います。
あわせて、和牛オリンピック・総合優勝チャレンジ事業というのが昨年ありました。私たちも畜産議員連盟で第11回全国和牛能力共進会の応援に行ってきましたけれども、総合優勝からははるかに遠い成績だったわけです。やはりその辺も含めて、本県の優良種雄牛の確保が最も大事だと思いますけれども、チャレンジ事業に関する事業と、次回の全国和牛能力共進会は鹿児島県で4年後にあるわけですが、その取り組みもあわせてお聞きしたいと思います。
〇菊池畜産課総括課長 この事業につきましては、昨年9月に委員の皆様方にも行っていただきましたが、宮城県で開催されました第11回全国和牛能力共進会で総合優勝を目指すということで、若い担い手あるいは女性などの生産意欲の向上によって、魅力ある肉用牛経営の実現と産地の維持拡大を図ることを目的に実施したものでございます。
成果につきましては、第1区の若雄の部におきましては全国第3位という成績をおさめましたし、五つの出品区で優等賞を獲得いたしました。また、復興特別区では盛岡農業高校が全国第6位という成績をおさめました。さらには、和牛審査競技会女性の部で、牛飼い女子の活動もいたしております奥州市の岩渕恵美さんが全国第3位という成績を獲得いたしました。こういったそれぞれの成績に加えて、生産者あるいは関係者が一丸となって、チーム岩手として本県の和牛能力を最大限に高めていこうとする意識あるいは目標を共有できたということで、団結して取り組むことができたことが非常に大きな成果と考えております。
また、鹿児島県の次期大会に向けては、本年7月に第12回全国和牛能力共進会総合戦略を策定いたしました。この戦略に基づいて、関係者が一丸となって、出品候補牛の計画的生産、さらには育成管理の強化などに取り組んでまいります。
〇工藤勝博委員 私も実際、大会を見せてもらって、一番成果が上がっているのは、牛飼い女子が元気だったなということだろうと思います。各地で牛飼い女子の会がそれぞれ情報交換しながら、自分たちの牛の飼養管理なども含めて技術を上げていると思っているので、継続して牛飼い女子の皆さんを応援していただきたいと思います。
最後の質問です。
岩手県の場合は、畜産も含めて農業産出額が一番多いのはブロイラーでございます。このブロイラー産業の課題といいますか支援といいますか、それらをお聞きしたいと思います。実際、米とか乳牛というのは結構マスコミに出てくるのですけれども、ブロイラーはなかなか出てこないことが多いので、ぜひともお伺いしたいと思います。
〇菊池畜産課総括課長 本県のブロイラーは、平成28年の産出額が545億円と、宮崎県、鹿児島県に次いで全国第3位に位置しております。また、生産から加工、流通の分野で9、000人以上の雇用を創出するということで、まさに地域経済を支える重要な産業となっております。
国内における鶏肉の需要が消費者の健康志向等を背景に増加する中、生産農家の経営安定を図りながら、規模拡大に向けたより一層の生産の効率化や、生産性を阻害する家畜伝染病の発生予防が課題と考えております。
このため、県といたしましては、鶏肉価格が基準を下回った場合に、その差額を補填いたします本県独自の価格安定対策の実施や、畜産クラスター事業による約25万羽分の鶏舎整備への支援、さらには、飼養衛生管理基準の遵守、家畜伝染病の監視、通報体制の強化などに取り組んでおります。
この結果、1戸当たりの飼養羽数は5年前に比べて約1割増の7万1、200羽となっており、今後も引き続き本県が国内有数のブロイラー産地として発展していくよう取り組んでまいります。
〇工藤勝博委員 ブロイラー産業は、土地生産性がすごく高い、単位面積当たりの生産額が一番高いと思うのです。また、年間の回転数、飼養羽数も、少ない場所から生産できるということは岩手県にとって最もいい品目だろうと思いますし、さらに、餌工場がある八戸市から近いという点でも、畜産農家の皆さんは岩手県の立地条件はいいのだと。そして、中国や韓国の近場ですと鳥インフルエンザなどの危険性がかなり高いということを考えると、岩手県はそういう点でも環境がいいと思っています。それらも含めて、今後の生産額を上げるために、支援といいますか、条件をさらに満たすような推進方法をこれからとっていただければと思います。
上田部長は長年農林水産部にいたということもありますので、その辺の取り組みはどうお考えになるかお聞きして終わりたいと思います。
〇上田農林水産部長 本県の農業に占める畜産の割合は、生産額ベースでいきましても非常に高い割合、約6割でございます。その中で、特にブロイラー産業につきましては非常に大きな割合を占め、例えば飼養羽数、生産額におきましても全国トップクラスでございます。そしてまた、生産、加工といったところまで含めますと、約9、000人雇用を創出しております。そういった面で地域経済を支える重要な産業だと認識しておりまして、今後も、岩手県全体の経済を支える重要な産業であることに鑑みまして、生産基盤の強化なりに引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
〇田村勝則委員 時間がもう少しで12時になるところでございますけれども、実は、質問項目が工藤勝博委員と重複しておりました。端的に2点、お伺いしたいと思います。
農地の基盤整備については自治体からもかなり要望等が多いわけでございますけれども、特に県北地域は基盤整備がおくれている。51.1%という現状の中にあっても県北はさらにおくれているという状況があると思います。
そういう中で、いわて県民計画実施状況報告書の55ページに記載されていますけれども、水田整備率30アール区画程度以上の達成度がBとなっております。実績値は51.6%ということで、0.2%ほど少ないことからBになっているわけですけれども、そもそもの目標が低いわけですから、こういうものはきちっと達成して、やはりしっかりと事業を前に進めていかなければいけないと思うわけですが、その点について、まずお伺いいたします。
〇伊藤農村建設課総括課長 水田整備率の平成29年度の達成度がBになっていることについてでございます。
いわて県民計画第3期アクションプランにおける水田整備率の指標設定に当たっては、他の都道府県との比較が可能となるよう、2年おくれで公表されている国の統計数値を採用しており、平成29年度は、平成27年度の実績により評価しているものでございます。
平成29年度は水田整備率の目標を51.8%とし、これに向けた圃場整備を実施してきたところでございますが、51.6%にとどまったことから、達成度はBとなったものでございます。
これは、平成27年度の県の当初予算において、対前年比12%増の52億2、000万円を措置したところでございましたが、国からの配分が35億9、000万円と県予算に対する充足率が69%にとどまり、水田整備の目標に達しなかったことによるものでございます。
〇田村勝則委員 わかりました。
今の状況を見ますと、国の補助の金額が低いという理由づけだったわけですけれども、さらに県としても国に対してしっかりと岩手県の農業の現状はこうだということ伝えながら、もっと積極的な取り組みをされるように望んで、これ以上の質問は、なしにしたいと思います。
続いて、もう一点でありますけれども、先ほど工藤勝博委員からも質問がございました農地中間管理機構の関連でございます。
担い手が利用する面積が2023年度までで全農地面積の8割となるよう農地集積を推進するということを政策目標にして実施されるのが農地中間管理機構関連農地整備事業でございます。これは、実は受益者の負担がなくて済むという事業でございまして、平成29年度ですか、一関市の曲田地区で採択されて取り進めているとお聞きしておりますけれども、現状はどうなっているかお伺いしておきたいと思います。
〇村瀬企画調査課長 農地中間管理機構関連農地整備事業についてのお尋ねでございました。
委員おっしゃいますとおり、平成30年度の新規地区の一つとして一関市の曲田地区というところでこの事業に取り組む方向で手続が進められているところでございます。平成31年度以降にこの事業の活用を希望する地区については、複数地区出てきているところでございます。今後、各地区において地域の要望を踏まえまして、事業計画の熟度を高めつつ、県としましては、国との協議も進めながら、地域の営農ビジョンの実現に向けた事業計画の策定に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
〇田村勝則委員 非常に小さな、例えば事業対象農地面積が10ヘクタール以上、あるいは中山間地域は5ヘクタール以上というような対象面積ですし、特に受益者負担を伴わないということがございますので、非常に手を挙げるところは多いと思うのです。
そういう中で、県とすればぜひこういう事業を積極的に進めていっていただきたいわけですけれども、課題としては、実施要件が5項目あって、農地中間管理権をまず設定しなければいけないというようなことがあるようでございます。その課題についてはどのような認識であるのかお伺いしておきたいと思います。
〇村瀬企画調査課長 農地中間管理機構関連農地整備事業につきましては、幾つかの実施要件があるところでございますが、特に、この事業の特徴的な要件としまして、農地中間管理権が全ての農地について設定されていることがございます。
この中間管理権につきましては、農地中間管理機構が農地の出し手と契約を交わして設定されるものでございますので、機構が行う業務となるわけでございますけれども、当然、中間管理権を設定するに当たりましては、この地域でどのような圃場整備を行うのかなどにつきまして丁寧に地元の農家の皆様に御説明して、御理解を得て、同意を得て設定していく必要があると考えております。
そういった地元の農家の皆様の御要望を踏まえた、どのような工事を進めていくかという内容の説明などを、県としましても、市町村や土地改良区などの関係機関と連携して、協力を得ながら丁寧に進めることで、この事業実施を希望するところについて、御要望に応えられるように取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
〇田村勝則委員 最後に、今のような課題もありつつ、やはり岩手県の場合はどうしても中山間地域が多いということもありますし、前段でも申し上げたように、まだ整備率が51.1%─伸びて51.6%になっているわけですけれども─まだまだ整備が進んでいないということもございます。国に対してしっかりと要望を伝えながら、積極的な取り組みを求めるわけですが、部長から最後に御答弁をいただいて終わります。
〇上田農林水産部長 圃場整備などの生産基盤整備につきましては、やはり生産性の向上などで大変大きな効果がございます。さらに、お話の中にも出てまいりましたが、それをきっかけにして農地の集積が進み、集落全体での力が強まるという非常に大きなメリットがございます。一番の課題は、国の予算が確保され、県に対して配分いただけるかということでございまして、これまでも強く働きかけてきたところでございます。それがございまして、ここ数年はかなり優遇された配分を頂戴していると認識しております。
ただ、そこでとどまらずに、地域からは整備の要望をたくさん頂戴しております。その声に応えるため、さらに国に対して、我が県に対して予算の配分を重点的に行うよう、状況を丁寧に御説明した上で強く働きかけてまいりたいと思います。
〇名須川晋委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午後0時1分 休 憩
午後1時2分再開
〇福井せいじ副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
委員各位及び執行部に申し上げます。この後、本日審査を予定している部局について延べ20人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭、テンポよくお願いいたします。
質疑を続行します。
〇軽石義則委員 私からは1点、馬事文化プロモーション推進事業費について質問させていただきます。
馬事文化の振興については、馬産、馬資源の確保を含めてこれまでも何度か取り上げてきておりますので、どのような形で今進んでいるのかを確認する意味で質疑をさせていただきたいと思います。
初めに、この取り組みにおける現状をどう把握されているのか、どのような取り組みをして、成果、また課題をどのように捉えているのかお示し願います。
〇菊池競馬改革推進監 馬事文化振興に対する取り組みの現状についてでございますが、本県は古くからの馬産地であり、チャグチャグ馬コや流鏑馬など、各地に多様な馬事文化が培われており、他に誇るべき地域資源と認識しております。
一方で、県内における馬の飼養頭数は年々減少しており、催事等に参加する馬資源の確保が難しくなってきている現状にあると考えております。
このような認識から、本県の馬事文化を観光資源として旅行客の誘客につなげられないか、また、馬事関係者間のネットワークを構築し、馬資源の利用調整などに取り組むことで、催事等に参加する馬資源を確保し、効果的に活用するための仕組みを構築できないかということで、馬事文化プロモーション推進事業に取り組んでいるところでございます。
本事業の成果と課題についてでございますが、この馬事文化プロモーション推進事業では、新たにコーディネーターを設置し、チャグチャグ馬コ同好会など、馬に関係する団体や市町村が参加する馬事文化地域連携連絡協議会を設立するなど、馬事関係者間のネットワークを構築するとともに、シンポジウムの開催や馬事イベントの実施、専用ホームページでの情報発信等を行っているところでございます。
また、台湾や香港で開催された観光プロモーションにおいて、本県馬事文化の魅力を広くPRしたところでございます。
このことによりまして、県内の馬事文化に係る情報が関係者間で共有され、共同で情報発信する体制が整うとともに、県内外や香港、台湾におきましても、本県独自の観光資源として馬事文化が認識されるきっかけとなるなどの成果が上がったものと考えております。
今後の課題といたしましては、減少しつつある馬資源を有効に利活用するための仕組みの構築や、観光客の増加や地域の活性化につなげるために、催事や生活文化に限定せず、多様な馬事文化を掘り起こすことやさらなる情報発信が考えられるところでございます。
〇軽石義則委員 海外も含めて大分取り組みを広げてきていただいているということで、台湾、香港をターゲットにしていろいろPRをしたということでありますが、海外の反応はどうだったのでしょうか。
〇菊池競馬改革推進監 台湾と香港、海外は主にこの二つを中心にプロモーションに取り組んだところでございます。国際観光博、これは観光課と一緒に展示会に参加しまして、そこでプロモーション活動を行ったり、海外の旅行社を回ったりしたところでございますが、準備していた中国語のチラシ等もすぐ足りなくなるような状況など、海外では馬事文化というのはかなり好評で、多くの方々に興味を持っていただけたと思っております。
〇軽石義則委員 多くの皆さんに興味を持っていただいて、この岩手にも来ていただく事業がこれから始まるのだと思います。ただ、イベントをする上で、まさに馬資源がなければそのイベントすら開催できないということで、飼育農家、いわゆる生産者も含めて、そちらの対応をしっかりしていかないと、岩手にいない馬を使って岩手の事業、行事をしなければならないようなことにならないようにしていくことが大事だとこれまでもお話をしてきたのですけれども、馬資源の確保対策はどのように進めているのでしょうか。
〇菊池畜産課総括課長 減少傾向にあります農用馬の生産を維持していくためには、後継者や指導者の育成、繁殖管理などの生産性の向上に向けた取り組みが重要と考えております。
このため県では、馬産振興総合対策事業により、県馬事振興会等と連携しながら、後継者や指導者の育成のための飼養管理技術などの研修会の開催や獣医師の繁殖指導による子馬生産率の向上、優良基礎雌馬の保留奨励金の交付及び種馬登録促進による優良馬の改良などについて取り組んでいるところでございます。
今後におきましても、こうした取り組みをさらに充実させながら、関係機関と一体となって農用馬の担い手育成や生産拡大に努めてまいります。
〇軽石義則委員 体制は整った、進めていると。実際、飼養頭数はどういう状況なのでしょうか。
〇菊池畜産課総括課長 県馬事振興会の調査によりますと、県内の馬の飼養状況でございますが、最新の平成27年の数値で、飼養戸数が317戸、頭数が1、522頭となっております。
その内訳で、特に農用馬につきましては減少傾向になっており57戸、124頭でございます。
〇軽石義則委員 減少傾向にあるということでありますので、やっぱり飼育するところで困っていることがあれば、そこにきちんと指導なり支援なりをしていくことが大事だと思います。爆発的にふえることはないとして、徐々にであるけれども、まず減少をとめてプラスに結びつけていく対策が必要ではないかと思いますので、今後も引き続き対応していただきたいと思います。
馬事文化の今後の取り組みについてお伺いいたしますけれども、馬事文化地域連携連絡協議会を設立したという先ほどのお話でしたが、具体的にどのような取り組みをしようとしてこの協議会が設立され、現状どういう状況になっているのかお示し願いたいと思います。
〇菊池競馬改革推進監 馬事文化地域連携連絡協議会を去年設立しておりますけれども、馬事関係者のネットワークを構築いたしまして、いろいろな各地の催事や馬事関係のイベントの情報共有をいたしまして、お互いに、例えば馬の貸し借りとかもできるようなことを目指して設立したものでございます。去年は2回ほど会議を開催しておりますし、ことしになってからも1回、会議を開催いたしております。
この会の構成は、県内市町村と馬事関係団体ということでございますが、現在、11市町と関係団体は14団体に参加いただいている状況でございます。
〇軽石義則委員 連絡調整する機関があるということは、これからもいろいろな意味で連携がとれると思います。ただ、その役割だけだと、馬事文化の振興をさらに広げていくという意味では、もうちょっと掘り下げて対応していく必要があるのではないかと思うのです。それぞれ市町が11、関係団体が14ということですが、現状、その市町や関係団体がどういう考え方を持って、どういう行事に取り組もうとして、そこには課題がそれぞれあると思いますが、その部分についてはどのように把握されているのでしょうか。
〇菊池競馬改革推進監 それぞれの地域にいろいろな催事とかイベントがあり、それにつきまして情報共有等もしておりますけれども、協議会の中では、出場して、いろいろな手当みたいなものはあっても収入につながらないという声も多く、その辺に大きな問題があるという話もされております。
それで、このネットワーク構築もしておりますし、地域連携連絡協議会の中でホームページ等も立ち上げておりまして、そこでそういう各地の情報等も発信しているところでございます。
〇軽石義則委員 今の課題はかなり大きい課題ではないかと思います。やはり、そこで馬資源をしっかり確保できなければ次に進めないのが現実です。馬資源を確保するためには、その馬をしっかりと育てていく環境づくりもかなり大事だと思うので、現場でそういう声があるとすれば、その現場の課題をどう解決するかという役割を県が果たしていかなければならないと思うのですが、その部分についてはどう考えているのでしょうか。
〇菊池競馬改革推進監 連絡協議会の中でそのようないろいろな意見が出されまして、こちらの地域では例えばこういう問題があるとか、あとは、チャグチャグ馬コなどもそうですが、県の中でも馬資源が足りないとか、そういうような情報等もございまして、それらについてはまだ、連絡協議会の中で、今後どうしていけばいいのか協議をしているところでございます。
今後、シンポジウムとかも開催する予定でございまして、例えば観光につながれば、収入の問題とかも解決するのではないかと考えておりますので、今後そういう点にもう少し力を入れて取り組んでまいりたいと思っております。
〇軽石義則委員 連絡協議会で全て解決させるのはかなり難しい取り組みだと思いますので、連絡協議会が求めているものに、いかに県ができる支援をプラスしていくかという考え方でいかなければだめだと私は思います。ぜひその点は、始まったばかりですので、これからさらにいろいろな課題が出てくると思いますから、それらについてはしっかり対応していただきたいと思います。
今、ホースセラピーなど、医療との連携や教育との連携とかも含めて、いろいろな馬の力が認められてきております。それらの事業も関係部署とフルに連携して、活動できる場所があれば収入も当然ふえる、収入がふえれば飼養する頭数もふやすことができるというような流れにしていくことが大事だと思うのです。そのようないろいろな事業との連携支援、また、新しい事業も、前に私も騎馬隊をつくってはどうかというような提案もしてきておりますが、パレードや、花巻空港で海外のお客さんを馬で迎えるとかという案も出ておりましたが、そういう新規の事業は何か考えているのでしょうか。
〇菊池競馬改革推進監 ホースセラピー等、馬を活用した事業等の連携、それから、新しい事業の新規開発等の取り組みについてでございますが、ホースセラピーにつきましては、調教された馬に触れたり乗ったりすることで、心身の発達やコミュニケーション能力の向上など多様な効果が期待できるとされており、県内では、滝沢市の馬っこパーク、釜石市の三陸駒舎で取り組んでいると承知しております。
連絡協議会には、馬っこパークを運営するNPO法人や三陸駒舎にも加入いただいておりまして、本年4月からは、三陸駒舎の取り組みを連絡協議会のホームページで紹介するなど、連携を図りながら情報発信を行っております。
それから、新しい取り組みについてでございますが、連絡協議会に加入している団体では新しい取り組みを行っている団体もございまして、例えば、八幡平市の地熱と馬ふんを活用してマッシュルームの栽培を行っているジオ・ファーム八幡平とか、馬を放牧して芝高原の復元を目指す等の環境保全活動を行っている安比高原ふるさと倶楽部などがございます。今後とも新しい事業や取り組みを行っている団体等と連携を図りながら取り組んでまいります。
イベントにつきましても、昨年度、チャーター便が来るということで、花巻空港に馬を連れていって観光客の方を出迎えたりもしております。今後そういうイベントにつきましても、もう少し効果のあるような工夫をいたしまして、取り組んでまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員 行事のための行事ではなくて、岩手においては馬資源がしっかり確保できるということと連動していかなければならないと思いますので、それらも今後十分対応していただきたいと思います。
最後に部長に、馬資源の確保はなかなか目立たない活動ではあるけれども、必要な活動であると思いますので、さらに馬資源を確保するために取り組みを強化するというようなことを含めて、所感を聞いて、終わりたいと思います。
〇上田農林水産業部長 馬事文化、それから馬資源の確保ということで、本県では、各地で馬を核とした馬事文化が培われておりまして、そういったことでは岩手の特徴と多分言えるのだと思います。ただ、残念ですが、馬の飼養頭数は減少しておりまして、例えば催事等がございますけれども、参加する馬の数も年々減ってきているということでございます。そういったことで、先ほど申し上げましたような事業を活用いたしましてネットワークをつくって、それで催事を盛り上げていくと。そういうことで、恐らくは収入とかの面でもいろいろ工夫ができるだろうといったことで、新たな馬資源の造成につなげていきたいと考えております。
先ほど申し上げました馬事文化プロモーション推進事業も一つのきっかけ、核になるものだと思っておりますので、そういったものを大事にしながら、県としても、馬事文化振興と馬資源の確保に取り組んでまいりたいと存じます。
〇柳村岩見委員 関連。馬事振興について関連で、簡単に質問します。
岩手大学には乗馬クラブというか馬術部があり、県立大学にないと承知しております。県立大学に馬術部創設の働きかけをする気持ちがございますか。あるいは、働きかけをしてください。働きかけをしたことによって、どういう課題があるか後で教えてください。
県立大学が管理しているゲストハウスの前に馬っこパークの馬場がある。朝、ゲストハウスの2階の窓をあけますと、その前で朝の馬のトレーニングをしている、そういうロケーションなのです。そういうところに馬っこパークの存在もございますから、県立大学に馬術部をぜひつくったらいかがですかという発想はできませんか。やってください。やった結果を教えてください。
〇福井せいじ副委員長 答弁は後でいいのですか。
〇柳村岩見委員(続) 千葉伝委員も関連質問をしたいのだと思うのですが、並んで関連質問をするわけにいきませんので、私が代表で申し上げます。いかがですか。
〇菊池競馬改革推進監 確かに県立大学と馬っこパークが隣接しており、そこにゲストハウスなどもありまして、本当に朝は、馬がいる風景が非常によく、PR等にも効果的かと思っております。
県立大学の馬術部につきましては、馬っこパークに同好会か何かの馬を預かっていたような気もするのですけれども、馬術部があったかどうかは、はっきり確認できておりませんので、担当部署には、今のお話を伝えさせていただきたいと思います。
〇柳村岩見委員 同好会じゃなく、馬術部というものの創設を訴えたらいかがですか。これは部長だな。部長、お願いしてみてくださいよ。お気持ちはどうですか。
〇上田農林水産業部長 馬術部は、一般的に申し上げまして、さまざまな設備とか、あるいは馬を飼育するためのノウハウとかが必要になろうかと思います。そういったところを、例えば県立大学でどう考えるかという話になろうかと思います。ただ、ロケーションを考えますと、非常に恵まれた、特に馬事文化とか馬に関しての交流とか、あるいはそういったことを楽しむといったことでは非常にいいところにあろうかと思います。ぜひ、所管しております部局と意見交換をさせていただいて、今のお話の趣旨をお伝えして、相談させていただきたいと存じます。
〇城内よしひこ委員 私からは2点お伺いします。
まず、国土調査について、平成29年度の実績と課題についてお伺いします。
〇多田参事兼農村計画課総括課長 国土調査に係る平成29年度実績についてでありますが、県内10市町でおよそ30平方キロメートルの調査を実施したところであり、この結果、平成29年度末までに調査が完了した面積は県全体で9、551平方キロメートルとなり、その進捗率は85.2%で、全国5番目に位置しております。
課題についてでございますが、国土調査事業は、公共事業に係る用地取得事務の期間短縮や災害時における土地境界の復元などに重要な役割を果たしており、これを継続的かつ計画的に事業の推進を図っていくためには、やはり予算の確保が重要と認識しております。
〇城内よしひこ委員 きょうは東日本大震災津波から7年7カ月の月命日であります。沿岸市町村では、これまで、国土調査のおくれ等があって、復旧、復興の工事もおくれた一因、要因になっていると私は思っています。
そこで、市町村で進捗の差があると思います。全部もう終わっている市町村もあるようですし、そうでない市町村もあります。そういった進捗の差はどうなっているのか。また、残りの面積の部分を今のペースでやると、あとどれぐらいかかるのかがわかれば、お知らせください。
〇多田参事兼農村計画課総括課長 沿岸市町村の進捗状況についてです。
本県の国土調査事業につきましては、国土調査法が制定された翌年の昭和27年度から積極的に調査を進めてきたところでありますが、地域によってやはりその進捗にばらつきがあり、特に沿岸部では内陸部に比べ進捗率が低い状況にあります。
このため震災以降、平成23年度以降となりますが、通常予算に加えまして、東日本大震災津波により被災した沿岸市町村を対象とした震災対応予算を活用しまして、調査に必要な予算の確保に努めてきた結果、沿岸部で調査を実施している宮古市ほか3市町の平成29年度末の進捗率が、震災前から9ポイントほど増加したところであります。
それから、2点目、このペースで行った場合ということで、全県の数字ということでお話を申し上げますが、一概に調査完了年をお示しすることはできません。というのは、都市部とか山村部などで地形の条件とか筆の数等により進捗に差異がありますものですから。そういったことをお話しした上で、過去3カ年程度の進捗面積を出しまして、それを残った調査面積で仮に割ったとすればということでお答え申し上げますと、今後47年を要するという試算となります。
〇城内よしひこ委員 近年、災害がたくさん起きています。もちろん東日本大震災津波が最たるものでありますけれども、全国各地で台風や大雨等による災害が起きています。そういった際の復旧、復興を早めるためにも、やはり備えとしてこの事業はしっかりと進めるべきと思いますので、ぜひ、予算確保も含めて頑張っていただきたいと思います。
次、2点目、鳥獣被害についてお伺いします。鳥獣被害が大変なわけでありますけれども、その被害が拡散している中で、その状況はどのようになっているかお伺いします。
〇中村担い手対策課長 鳥獣被害の過半を占めますニホンジカによる被害市町村数は、平成29年度では27市町村と県内の約8割の市町村で被害が確認されております。また、イノシシについては6市町村と、初めて被害が確認された平成22年度から5市町村が増加している状況にあります。
このため県では、鳥獣被害の防止に向け、これまで、市町村が策定している鳥獣被害防止計画を踏まえながら、市町村や猟友会等で構成する地域協議会が行うニホンジカ等の有害捕獲の強化や、本県で開発した積雪に強い恒久電気柵の設置に加え、里山周辺の除間伐や雑草の刈り払いなど、野生鳥獣を人里に寄せつけないための地域全体で取り組む被害防止活動への支援などを行ってきたところでございます。
今後におきましても、鳥獣被害のさらなる低減に向けまして、市町村や関係機関等と連携しながら、鳥獣被害防止対策の充実強化に取り組んでまいります。
〇城内よしひこ委員 環境生活部で聞いた数によれば、鹿は4万頭、イノシシは、被災3県の福島県、宮城県、岩手県で10万5、000頭いるというのです。これまで実は限られたエリアにしかいなかったものが、今は岩手県中にいる。そういうことになると中山間地域の農家は大変な思いをしています。ぜひ、これが拡散しないように水際でとめてほしいということをこれまでも再三言ってきたのですけれども、そうは言っても、もう拡散してしまっているということであります。
電気柵なども、実はもう鹿用のものは、今までのものではなくて高さを増したものが必要になってくる。二重に投資をしなければならないという話があります。そういったことも含めて、これから余計な仕事をしないように、しっかりと駆除対策を環境生活部と連携して図ってほしいと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
〇中村担い手対策課長 環境生活部と連携しながら、農林水産部では有害捕獲、そして環境生活部では個体数管理という形で毎年1万頭以上捕獲をしております。本年度は、有害捕獲におきまして2、000頭以上捕獲できる予算を確保、増加しておりますので、これらにおいて、ニホンジカの捕獲を進めたいと考えております。
イノシシにつきましては、昨年約80頭の捕獲をしておりますが、これにつきましても、ことしは予算を確保しまして、さらなる捕獲を進めていきたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 イノシシも、今や沿岸部にも来ているという話があります。そういった痕跡がありますので、しっかりと対処していかないと、これもまた拡散していってしまう。その昔、縄文時代のころには、崎山貝塚付近でもイノシシもとれたし鹿もとれたという、まさにその縄文時代にさかのぼるような環境が今整いつつあると思っています。何とかそういうことを未然に防ぐことが、私は政治の役割だと思いますが、被害をふやさないようによろしくお願いしたいと思いますが、いかがですか。
〇中村担い手対策課長 やはり水際対策は非常に重要なことと考えておりまして、何とか拡散しないよう、農業サイドとしては守るとともに、有害捕獲にも力を入れていきたいと思っております。
今後とも、予算確保しながら頑張っていきたいと思います。
〇伊藤勢至委員 関連。先ほどの城内委員の国土調査に関してお伺いいたします。
東日本大震災津波があった平成23年度当時の県内の国土調査の数値を資料をとって確認したところ、野田村は100%終わっておりました。下閉伊の中にありましては、田野畑村も100%終わっておりました。宮古市は36%、山田町は35%、たしか大槌町も36%、釜石市も100%行っていませんでしたし、大船渡市も90%ぐらいと記憶しております。これは国の事業でありまして、国が4分の2、県が4分の1、そして市町村が4分の1、こういう事業だったわけであります。
私が議長をしておりましたとき、宮古市から、なかなか予算がつかないので何とかしてほしいという要望がありました。よく聞いてみると、首長が熱意を持って来たところに順番に予算を配分していったということのようでありまして、最終的には、この30%台のところの首長方は、職員を働かせる意欲がなかったと言われてもしようがない。そういう大事なことを見逃してきたことは、首長の責任だと私は思っているのです。
あなた方もしゃべりづらいでしょうからあえて言いますが、予算というものは、口をあけて待っていれば配分になるものではないと思うのですね。盛岡市を初め内陸の市町村は、ほぼ100%終わっていた中で、沿岸だけがなぜかおくれていたということは、地震津波というあらがえないものを背負ってきたところとしては非常に生ぬるかった、私はそう思っているのです。
したがって、今後においても、やはり積極的にやりたいという要望が県にあって初めて予算の配分があるのだと思うのですね。多田参事は宮古市の出身ですからよくおわかりでしょうが、言いづらいことは言わなくてもいいけれども、予算というものはただ待っていれば行くものではありませんよということぐらいは、答弁で言っても構わないと私は思うのですよ。一言あなたから、せっかくだから。
〇多田参事兼農村計画課総括課長 伊藤委員から、ただいま国土調査の関係でお話がございました。確かに、御指摘のとおり、沿岸4市町村につきましては、やはり進捗率が遅うございます。これは、取り組み着手の年度を見ますと、宮古市においては昭和63年度から着手していることもあって、ほかの市町村に比べるとちょっと遅いかなという感じはしていました。そこら辺は、それぞれの自治体の取り組みということに基本的にはなるのだろうと思いまして、政策の優先度で別なところに力を入れたからそうなってしまったのかなという理解もできるわけであります。
そうした中で、震災を踏まえ、取り組んだ後につきましては、積極的に予算等の要望も受け続けてきたわけでありますが、先ほど答弁申し上げましたとおりに、現時点におきましては、各市町村からも強い要望を頂戴しまして、積極的に事業を実施することになっておりますし、平成23年以降につきましては、震災予算ということで別枠で国からも頂戴できる仕組みもつくっていただいたものですから、それをうまく活用しながら、進捗率の向上まで持っていきたいと思っています。
当時進捗率は30%台だったというお話がございましたが、基本的には、現時点では40%を超えるところまで進んできておりますので、この流れをといいますか、こういった取り組みを続けながら、進捗率の向上を市町村とともに図ってまいりたいと思っております。
〇伊藤勢至委員 この国土調査ですが、各市町村は、人の出入りのないところを早くやるのですね。効果を上げるために。例えば人の出入りがあって相続が行われていなければ、もう3代、4代さかのぼってこれは突き合わせをしていかなければならない。
宮古市、下閉伊郡にも、ブラジルに行った方の後がなかなかつかめないとか、外国に行ってわからないとか、そういうものがいっぱいありましてね。だから、町場に来るほど人の出入りが多いから町場は残しておくと。そうすると、今度の宮古市の鍬ケ崎地区、あるいは赤前地区みたいな大きな災害を受けたところに手がついていない。そういうところは遅くなったということがある。
やはり海を背負っているところから早く、時間がかかっても、誰かの代には必ずやらなければならないこととしてやらなければならない。ひとつ、何かの折には、大事なことですから早くおやりくださいということを、予算をとりに来いと言ってあげるようなこともかえって親切なのではないかと多田参事にお願いして、終わります。
〇福井せいじ副委員長 要望でよろしいですか。答弁はいいですか。
〇伊藤勢至委員 はい、要らない。
〇佐藤ケイ子委員 私からは、地理的表示、GI法による農畜産物のブランド化についてお伺いしたいと思います。
農林水産省では、地理的財産として国が保護する地理的表示保護制度、GI制度に基づいて、9月27日に北上市特産の二子さといもをGI登録いたしました。県内では、前沢牛、野田村荒海ホタテ、岩手木炭に続き4例目という事例であります。こういった登録については、時間もかかったり、地域の協議会で何度も検討したり、かなり大変な作業もあったわけですけれども、申請してから1年間で認定になったということであります。
この登録に関して、生産者団体、JA、行政と皆さんで取り組みを進めていただいたわけですけれども、どのような課題、取り組みがあったのか、それから、今後さらに、県内での農産物のブランド化に向けてどのように取り組んでいくのかお伺いしたいと思います。
〇高橋流通課総括課長 二子さといもの地理的表示保護制度、いわゆるGI制度についてのお尋ねでございます。
このGI制度の登録に際しましては、北上市内の生産者、生産者団体、花巻農業協同組合、さらには北上市及び県が連携いたしまして、平成29年6月に二子さといも協議会が設立されているところでございます。この協議会が中心となりまして、申請書類の作成を初め、申請に必要な栽培管理記録簿の記帳徹底、そして、栽培実証試験、栽培指導会や食味検査などの取り組みを進めてきたということでございます。そうした取り組みの成果ということで今回の登録に至ったということでございます。
課題というお話でございましたが、この制度につきましては、その地域の共有する財産、今回は二子さといもということでございますが、それを名称保護するというものであります。したがいまして、地域の合意形成が非常に重要だということであります。この合意形成にある程度時間を要し、それを解決して今回の登録に至ったと認識しているところでございます。
また、品目拡大の取り組みということでございます。現在、浄法寺漆の登録申請が行われており、農林水産省のホームページにも公示されているところでございますが、県産農林水産物にとりまして、このGI制度は、差別化による有利販売でありますとかブランド構築に向けては、新しい産地戦略として期待ができるものであると考えております。
県といたしましては、引き続き、国や専門アドバイザーと連携いたしまして、GI制度、地理的表示保護制度への登録拡大に向けて、支援をしてまいる考えでございます。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。今は浄法寺漆の申請をしているということですね。
江刺りんごもやっているのでしょうか。申請をしているのではないかと思って、私は農林水産省の資料を見ているのですけれども、さらに、私が思うには、西和賀町の西わらびとか、例えば遠野市の暮坪かぶとか、岩泉町のワサビとか、宮古市山田町のアカモクとか、さまざまな特産品というか、余り大手市場には出ていないのだけれども、岩手県らしさのある特産品があると思うのですね。そういったものを本当に全国に向けてアピールするには、こうした制度を活用したほうがいいと思って、さらに生産者団体にも進めるように働きかけていただければいいのではないかと思っているのです。
申請をするまでにもかなり時間もかかるし、申請してから認定になるまでもまた1年もかかりますし、それから、登録の後も、今度はパッケージのこととか、ブランドとしてのPR作業、販売戦略、後継者の育成とか、いろいろな取り組みをしなければ、せっかく認定されてもなかなか効果が出ないということになると思うので、さらに取り組みをしていただければと思っているところです。
この生産者団体、岩手木炭もそうですけれども、どこも平均年齢も70歳とかに上がっておりますので、後継者育成のためにも、そして、何よりも地域の活性化のためにもこうした取り組みは重要だと思いますので、さらなる品目の拡大目安についてはどうでしょうか。
〇高橋流通課総括課長 このGI制度でありますけれども、先ほども申し上げましたように、地域の合意形成が極めて重要だということでございます。これまでも、各地域、関心のある産地などで説明会、勉強会が開かれているということでございます。
国では、このGI制度のためにアドバイザーを委嘱しておりまして、そのアドバイザーの方々と私ども県が一緒になって、制度の周知でありますとか、先ほど申し上げたような合意形成に向けた取り組みを支援しているということでございます。
委員おっしゃるように、この制度は、ブランド構築のためには大変有効な制度だと思っておりますので、今後とも、取り組みの拡大に向けて進めてまいりたいと考えているところでございます。
なお、先ほど江刺りんごのお話がございましたが、江刺りんごでは、地域、生産者の合意形成に時間がかかるということで、その申請については取り下げられたとお伺いしているところでございます。
また、申請数が国全体としても非常に多くなってきているということで、審査にも時間を要していることも聞いておりますので、そのようなことも含めまして、県としてもしっかり働きかけを進めてまいりたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 そうすると、江刺りんごは、平成29年10月に申請したようですけれども、取り下げたということなのですね。わかりました。
それから、では、県でこの産品はGI制度に登録するべきだと推し進めたい品目は、今のところないのでしょうか。
〇高橋流通課総括課長 具体的にこの品目というようなことは持ち合わせてはおりませんが、先ほど申し上げましたように、地域の皆さんの合意形成が重要だと認識しておりまして、単なる登録ではないというお話がございましたが、産地の強化であるとかも含めて、その後のさまざまな計画をお持ちのところに対しまして支援してまいりたいと考えているところでございます。
〇臼澤勉委員 私からは1点、いわてワインヒルズ推進事業についてお尋ねいたします。
平成29年度は協議会を立ち上げて、ワイン生産アカデミーとかといった取り組みを行ってきたと承知しておりますけれども、平成29年度の成果をどう捉えて、それを踏まえて、今後どのように取り組んでいくお考えかお伺いいたします。
〇菊池農産園芸課総括課長 いわてワインヒルズ推進事業の平成29年度における成果についてでございますけれども、昨年6月に、県内のワイナリーや自治体、研究機関、流通関係者などで構成するいわてワインヒルズ推進協議会を設立し、この協議会を中心に、ワイナリー開設に必要なノウハウ習得のためのいわてワイン生産アカデミーを開講するとともに、いわてワインを楽しむ夕べの開催による県内消費者等に対するPRなどに取り組んできたところでございます。
こうした取り組みの結果、いわてワイン生産アカデミーでは、24名が受講を修了し、うち2名が県内にワイナリーを開設したほか、いわてワインを楽しむ夕べには約250名の参加をいただき、県内消費者への県産ワインの一層のPRが図られるなど、一定の成果を上げてきたものと認識しているところでございます。
平成30年度は、平成29年度の取り組みを継続するとともに、新たに、いわてワイン生産アカデミーの修了生に対する醸造用ブドウの栽培技術のフォローアップ講座の開催、また、ラグビーワールドカップ2019の開催機運の醸成に向けた県内のイベントや、食や観光と連動した県外のイベントでのPR、さらには、フェイスブックによるワイン原料となるブドウの生育の様子や、ワイナリーの仕込みの状況の情報発信などに取り組んでいるところでございます。
〇臼澤勉委員 私はやはり、まずは原料、醸造用のブドウの生産振興が重要なポイントになってくるかと思います。今後どのように取り組んでいくのか、そして、その地域に適した醸造用ブドウの品種選定とかはどのように進めようとお考えになっているのかお伺いします。
〇菊池農産園芸課総括課長 醸造用ブドウの生産振興の取り組みについてでございますが、国産ブドウのみを原料とし日本国内で製造された日本ワインの需要の高まりを背景に、本県の平成27年の醸造用ブドウの生産量は約258トンと、平成17年に比べて約118トン、85%の増となっており、気象条件等による変動があるものの生産量は増加傾向にあります。
こうした状況も踏まえ、醸造用ブドウの栽培面積の一層の拡大に向けて、苗木の新植、改植や栽培棚の整備等を支援するとともに、平成29年度からは、いわてワインヒルズ推進事業により、醸造用ブドウ栽培マニュアルに基づく技術指導、先ほども申し上げた、いわてワイン生産アカデミー等を通じた醸造用ブドウの栽培技術の習得などに取り組んでいるところでございます。
また、醸造用ブドウの品種選定に向けては、県内の多様な気候、土壌、地勢などの地域性も踏まえ、現在、紫波町、花巻市、陸前高田市、野田村の県内4カ所において栽培適性試験を行うとともに、工業技術センターにおいて醸造試験を実施しております。
こうした試験の調査結果も踏まえながら、地域に適した醸造用ブドウ品種の導入を図り、積極的に生産振興に取り組んでまいります。
〇臼澤勉委員 私は、地域、県内を歩いてみて、特にブドウに関しては担い手の育成、担い手不足も深刻な状況になっております。棚田というか斜面の急なところでは機械化もなかなか図られない部分もございますので、ぜひ、そういった部分での人材育成にもしっかり取り組んでいただきたい。
そして、最後に、県産ワインの知名度向上のために、先ほど佐藤ケイ子委員からもお話がありましたけれども、GI保護制度、地理的表示保護制度は、山梨県とかでも非常に取り組んでいるところでございますが、原料や製法などを規定したワインを製造する岩手ならではのオール岩手の取り組みをどう推進しようとしているのか、お伺いして、終わります。
〇菊池農産園芸課総括課長 県産ワインの知名度向上に向けたオール岩手の取り組みについてでございます。
県内では、多様な気候、土壌、地勢などの地域特性を生かしたワインがつくられております。こうした特徴を国内外にも広く発信していくために、地域ブランドとしての価値向上や輸出拡大も期待できるお酒の地理的表示、GI保護制度の活用も有効な手段の一つと考えております。
先ほどありましたのは農林水産省のGI制度ですが、お酒の場合は、国税庁の長官が指定するとなっております。このため、本年8月に、ワイナリー関係者や市町村、関係団体の参加により、いわてワイン研究会を開催しまして、ワインの地理的表示、GI保護制度の先進県である山梨県から講師を招き、取り組み事例などを学んだところでございます。
今後も、ワイン産地としての発信力向上に向け、こうした調査、研究を進めながら、ワイナリーや関係機関、団体が一体となってオール岩手で取り組んでまいりたいと考えてございます。
〇臼澤勉委員 本県は技術に関しても、南部杜氏の里でもあり、ワインづくりに関しても、原料供給も含め非常に高い技術力もある地域、土壌だと思いますので、ぜひ積極的な取り組みを期待して、よろしくお願いしたいと思います。
〇阿部盛重委員 私から、農作業の死亡事故について改めて伺います。
11月15日まで秋の農作業安全月間になっておりますけれども、なかなか事故防止の改善がされていない状況だと思います。県内では昨年8件で、毎年件数が減ってはおりますけれども、これは、農家が減り続けている現状を考えれば大きい件数かと思っております。なぜこういう状況が起きてしまうのか、その要因をどう捉えているのかお伺いします。
〇佐藤水田農業課長 事故の要因についてでございますが、県内では、この10年の平均で、年間12件の農作業死亡事故が発生しております。65歳以上の高齢者の割合が約77%と高く、乗用トラクターの転倒事故が多いなどの傾向が見られるところでございます。
この要因としては、農業従事者の高齢化や、傾斜のある農地や狭い農道など移動や農作業に注意が必要な農業の現場において、安全フレームが装着されていないトラクターなどが使用されていることなどが考えられるところでございます。
〇阿部盛重委員 いろいろとハード面の問題もあるようなお話ですけれども、農作業工程管理、GAPを活用した安全対策の取り組み状況はどうなっているかお伺いします。
〇佐藤水田農業課長 農業生産工程管理、いわゆるGAPは、みずからの農業生産活動を正確に実施、記録、点検及び評価することにより、経営改善が図られるとともに、食品の安全や労働者の安全が確保される取り組みであり、県では、岩手県版GAPの普及拡大やGAP認証の取得を推進しているところでございます。
岩手県版GAPでは、農場の危険な場所の把握、改善や、機械機具の点検、整備、それから農作業従事者の健康への配慮等を求めており、農業者に対して、農業改良普及センターが、労働安全管理も含むGAPの普及啓発や農場における危険な場所の改善指導などを行っているところでございます。
今後とも、GAPの周知を通じまして、農作業安全対策の推進を図ってまいりたいと考えております。
〇阿部盛重委員 確かにそういう状況でございますので、作業ルールをつくることで、より安全な作業ができることになっておりますので、ぜひ、さらなる普及をお願いいたします。
次に、農林水産省が高齢農業者対策に力を入れておりまして、自治体と連携して健康診断とか農業機械の総点検、そして、先進事例の発信などの取り組みされておりますけれども、本県ではどのようなところに重点を置いているのかお伺いします。
〇佐藤水田農業課長 高齢農業者対策の取り組み状況についてでございますが、県や農業団体などで構成する岩手県農作業安全対策協議会が中心となりまして、地域や家庭での高齢者等への事故防止の声かけのほか、トラクターへの安全フレームの装着、農業機械の始業前点検、シートベルトの着用などの周知について、農作業安全講習会やラジオ広報などにより呼びかけを行い、安全意識の醸成を図っているところでございます。
また、9月15日から11月15日までの2カ月間を秋の農作業安全月間と定め、現在も市町村や関係機関、団体と一体となって農作業事故の防止に取り組んでいるところでございます。
〇阿部盛重委員 なかなかその安全フレームに関しては外している方も結構多いということで、かなり不注意の事故が多いかと思っておりますので、改善をよろしくお願いいたします。
それから、担い手の男性及び女性農業者が増加している状況でございますが、女性の死亡事故も結構ふえている状況でございます。圃場は、先ほどの道路からの転落という状況もあるようでございますけれども、事故を防ぐ研修会、また、それにかわるソフト、ハード面の対策についてお伺いいたします。
〇佐藤水田農業課長 研修会の内容についてでありますが、県ではこれまで、市町村やJA等の農作業安全担当者を対象とした農作業事故の発生要因や事故防止のポイント等を内容とする農作業安全講習会を開催するとともに、農業大学校において、新規就農者向けのトラクター等の運転操作の研修を開催しております。
また、今年度は新たに、女性が活躍しやすい環境づくりなどの取り組みを推進することを目的とした幸せ創る女性農林漁業者育成事業を活用しまして、女性農業者の機械作業技術の向上を図るために、農機具の安全使用を中心とした内容の研修会を県内4カ所で開催したところでございます。
〇阿部盛重委員 研修会が4会場ということですが、女性の参加者の状況はどういう参加人数になっておりますでしょうか。
〇菊池農産園芸課総括課長 今回の女性を対象にした研修会は県内4カ所、これは広域振興局単位で、盛岡広域振興局、県南広域振興局、県北広域振興局、沿岸広域振興局で開催しておりまして、総勢45名の女性の参加者があったところでございます。
〇阿部盛重委員 わかりました。これはもう20代、30代、40代の方が多いということで受けとめてよろしいでしょうか。
〇菊池農産園芸課総括課長 若い女性も多うございましたが、60歳を超えるような方々も積極的に参加していただいて、機械の操作法などを学んでいたところでございます。
〇阿部盛重委員 わかりました。60代も若いと思っておりますので、ぜひ御対応をよろしくお願いします。
昨年も同じような質問をしましたけれども、どうしても事故がなかなか減らないという状況でございますので、いずれ自己自身の甘さというところが非常に多いかと思いますので、ぜひ、事故のないよう徹底した普及及び指導をお願いできればと思います。
〇菅野ひろのり委員 事項別明細書の259ページ、いわてのいいべご生産強化事業費の評価について、まずお伺いいたします。
〇菊池畜産課総括課長 この事業につきましては、受精卵移植技術を活用した和牛子牛生産、優良県有種雄牛産子の保留や導入を支援する事業であり、平成29年度につきましては、交雑種の借り腹による30頭の和牛子牛生産、50頭の肥育素牛の導入を行っております。
また、繁殖雌牛の保留、導入につきましては、この事業に加え、農畜産業振興機構の肉用牛経営安定対策補完事業や県単事業の家畜導入事業資金供給事業を活用いたしまして、全体で708頭の保留、導入が図られたところでございます。
今年度もこうした取り組みを継続いたしまして、約700頭の繁殖雌牛の導入等を予定しているところでございます。引き続き、このような事業を有効活用しながら、本県の繁殖雌牛の増頭を図ってまいります。
〇菅野ひろのり委員 確認ですけれども、約700頭の和牛の保留雌牛ということですか。
〇菊池畜産課総括課長 約700頭の和牛でございます。
〇菅野ひろのり委員 これは平成29年度の事業ということで、特に全国の和牛共進会に向けた取り組みとして、県単事業で頑張っていただいた内容でございますが、今後、共進会に向けてさらに強化していくという中で、やはり雌牛─種雄牛をつくる上での母牛をどのように確保していくのか、また、その適性に合ったものをどう見つけていくのか非常に重要になってくると思っていますが、平成30年度はこの事業がなくなってしまったのですよね。これを県は評価していると思っていますが、評価しているのであれば、なぜ平成30年度はこの事業がなくなっているのか改めてお聞きしたいと思います。
〇菊池畜産課総括課長 いわてのいいべご生産強化事業のうち受精卵移植を活用した和牛子牛生産につきましては今年度も継続しております。平成29年度に実施した繁殖雌牛の保留事業につきましては、今年度、新たに独立行政法人農畜産業振興機構で同様の事業ができたことによりまして、そちらを最大限活用する対応としております。
〇菅野ひろのり委員 同様の事業というのは幾らぐらいの事業になりますか。例えば1頭当たりの補助金額とかを伺いたいと思います。
〇菊池畜産課総括課長 1頭当たり6万円から9万円の補助金額になっております。
〇菅野ひろのり委員 昨年、藤代畜産課総括課長だったと思いますが、共進会について御答弁いただいた中で、どうやっていい種牛をつくっていくのかというと、例えば母牛は、鹿児島県や宮城県には岩手県の3倍以上の頭数がいると。岩手県は約3万頭から3万5、000頭ぐらいでしょうか。その3倍以上の頭数が鹿児島県、宮城県にはいると。一方で、大分県は岩手県の半分だと。岩手県の半分、少ない頭数の中でも改良していくのだと。
これからゲノム解析の状況もお聞きしたいのですけれども、母牛をしっかり残していくには、さっき1頭当たり6万円から9万円とおっしゃいましたけれども、他県の御紹介をいただいた中でいうと、県単事業だと思いますが、秋田県は1頭当たり30万円の予算をつけてやっているわけです。そう考えると、岩手県の畜産振興に対する予算のかけ方というのは私は不十分ではないかと思うのですが、その点どういうふうに考えていますでしょうか。
〇菊池畜産課総括課長 限られた予算の中で最大限にうまく母牛を残していくということは非常に重要でございます。したがいまして、今申し上げたように、独立行政法人農畜産業振興機構の事業であるとか、例えば市町村の事業、あるいは農協、全国農業協同組合連合会の事業もございます。そういったものをうまく組み合わせながら1頭当たりの補助金額を多くしまして、農家の方々にすぐれた繁殖雌牛の導入を図ってまいりたいと考えております。
〇菅野ひろのり委員 昨年4月にアピオで出品候補者激励会が開催されて、そのときの和牛登録協会の方の講演の中に、和牛生産の改良には三つの矢があると。その一つとして、繁殖雌牛の増頭が大事だと。要はこれから岩手県は母牛集団の整備をしていかなければいけないということを述べられたわけでありますが、先ほどの鹿児島県、宮崎県、大分県、岩手県の状況を鑑みたとき、これからどうやってそれを強化していくのかまだまだ見えないと思っていますので、その点に力をぜひ入れていただきたいと思います。
余談になりますが、市場の県有種雄牛の頭数、使われ方というのも非常に少ないというか、まだまだ伸びが足りないと思います。例えば、前回、共進会に出た山根雲が使われた子牛の市場での上場頭数。平成29年度、岩手県で一番だと言われている菊福秀の子供は1、000頭出されているわけですが、これからというのもありますが、山根雲は31頭でまだ伸びも足りない。そして花安勝も250頭というまだまだの実績の中でどういうふうにやっていくのか。
今、県はゲノム解析を頑張っていらっしゃいますけれども、このゲノム解析の進捗について伺いたいと思います。
〇菊池畜産課総括課長 本県の肉用牛生産の拡大と生産者の所得向上を図るため、今年度からゲノムの解析技術を活用し、種雄牛候補を早期に選抜いたしますいわて牛産地育成革新技術導入事業に取り組んでおります。
この事業につきましては、今年度から関係機関、団体と連携を図りながら3カ年計画で進めておりまして、初年度であります今年度につきましては、種雄牛の母牛となる優秀な繁殖雌牛を選定するためのゲノム解析を行っております。2年目の来年度でございますが、今年度選定されました雌牛に優良種雄牛を交配して種雄牛候補牛を作出いたします。さらに3年目は、誕生した種雄牛候補牛のゲノム解析を行って、その中から優秀な候補牛を選抜することとしております。
今申し上げましたように、今年度は1年目でございますが、750頭の若い繁殖雌牛のゲノム解析を進めておりまして、現在、生産者の協力をいただきながら、ゲノムのサンプルとなります毛根の収集が終了し、解析の準備が整ったところでございます。
今後は、計画しております3カ年の工程で、引き続きゲノム解析による繁殖雌牛の能力の調査を進めながら、計画的に能力の高い繁殖雌牛から種雄牛候補の雄子牛を作出いたしまして、全国トップレベルのすぐれた種雄牛の造成を図ってまいります。
〇菅野ひろのり委員 引き続き、共進会の取り組み、種雄牛をつくる取り組みをぜひ進めていただきたいのですが、先日、岩手県の家畜共進会がございました。岩手県畜産議員クラブに案内をいただいたのが開催の前日ということで、当日参加した議員は3名でございました。参加者、出品者の方からは、全国の共進会があるときはあれだけ県議会議員が来てくれたのに、ことしは来ないのかという声をいただいたわけでございます。あわせて、初競りのときも県議会議員は呼んでいただけないということで、生産者の目からすると、共進会の年だけではなく、牛づくりにも年数がかかるわけで、毎年見ていてくれるということが機運醸成につながっていくのだと思いますが、ぜひその点は今後もお力添えをいただいて、声をかけていただきたいと思います。
もう一点、共進会は何のためにやるかというと、やはり牛の価値を向上させる、すなわち値段が上がっていくことが求められていくわけでございますが、岩手県の家畜共進、岩手県南家畜市場、岩手中央家畜市場は、全国の中でも真ん中ぐらいに位置していて、東北の中だと比較的上のほうだと思いますが、価格の上昇がなかなか見られないこの現状をどういうふうに捉えられていますでしょうか。
〇菊池畜産課総括課長 本県の和牛市場と県有種雄牛の評価でございますが、平成29年度に1、000頭以上の取引実績のありました全国63の家畜市場のうち、県内の取引頭数は、中央家畜市場につきましては1万1、384頭で、全国で8位でございます。県南家畜市場につきましては5、669頭で、全国18位になっております。また、平均税抜き価格でございますが、県南市場につきましては69万9、000円で、全国第38位、中央市場につきましては67万9、000円で、全国52位となっております。
また、平成29年度の県有種雄牛の産子でございますけれども、取引頭数全体の割合は県全体で19%となっております。また、平均税抜き価格は、去勢が72万3、000円、雌が61万円と、全体平均の去勢、雌に比べてそれぞれ3万円ほど安く取引されておりますが、その中でも、全国肉用牛枝肉共励会で名誉賞を受賞いたしました菊福秀につきましては頭数も市場全体の1割を占めておりまして、価格も県有種雄牛の中で最も高く、税抜き価格で去勢が74万9、000円、雌が63万9、000円となっております。
〇菅野ひろのり委員 やはり市場の価値を高めていくということが生産者に付加されていくことだと思いますし、その上では、母牛をどう残して競争力を高め、また、県有種雄牛をつくっていくのかということが引き続き求められている強い課題だと思いますので、継続的に取り組んでいただきたいと思います。
では、これをどうやって農家に普及、拡大していくのか、または指導していくのかとなると、畜産担当普及員が非常に重要な価値といいますか意味合いを持ってくると思います。その中で、例えば奥州市ですと3名の畜産担当普及員がいます。肉牛担当、乳牛担当、牧草担当の方がおりますが、畜産担当普及員は何を基準に配置され、十分に配置されているのかどうか、その点を伺いたいと思います。
〇菊池農業普及技術課総括課長 畜産担当普及員の配置基準、配置数でありますけれども、平成30年度は、全体で204名の農業普及員を9普及センター及び4普及サブセンターに配置しておりまして、そのうち畜産担当普及員は25名を配置しております。
この配置の考え方ですけれども、普及センターごとの畜産担当普及員の配置につきましては、その地域の飼養戸数や産出額など地域の農業特性を考慮しまして、若手職員とベテラン職員がバランスよく組み合わされるよう、複数名の配置を基本としているところでございます。
〇菅野ひろのり委員 バランスよくということを今おっしゃられておりましたが、私は、ここに少し疑問を持っています。奥州市に関して言えば、今回、担当は若い新人の方が入られています。非常に一生懸命やって、地域でコミュニケーションをとっている非常に優秀な方たちではありますが、その指導する先輩というか上司の方も異動してこられたばかりで、要は地域の実情を伝えることができないような体制になっている、これは非常に課題ではないかと思っています。やはりそこに地域の実情を指導できる方がいらっしゃることで、その方々も成長してこれからさらに貢献していただけるのではないかと思っていますので、その点をもう一度どういう状況か確認したいのと、もう一点、地域ごとでございますが、いただいた情報ですと、例えば普及センターごとの配置というのは、私からするとほぼ均等のような感じで配置されているのかと。例えば、盛岡2人、八幡平3人、奥州3人、一関4人、宮古4人。これでバランスよくと言われても、定数を分割しているような感じになるわけです。例えば黒毛和種であれば一関市が非常に頭数が多いわけで、肉用担当を厚くするとか、そういった地域の実情に合わせていないのではないかと疑問を持っているわけです。その点どのように考えられますでしょうか。
〇菊池農業普及技術課総括課長 畜産担当普及員の年齢のバランスでありますけれども、畜産に限らず、今、普及センターの農業普及員につきましては20代の職員が比較的多い状況になっております。したがいまして、これは課題になるかもしれませんけれども、奥州市に限らず、そういった若い農業普及員をなるべく早くベテラン農業普及員のもと育てなければならないといった状況の中、日々訓練しているところです。
また、バランスでございますが、先ほど、地域ごとに3名ないし4名ということでございましたけれども、それぞれの普及センターごとに、隣の普及センターを見て歩くとか、構成するエリアが違う場合がございます。例えば一関農業改良普及センターは大船渡農業改良普及センターのエリアも見るといったようなことでありますので、そこの地域だけを畜産担当普及員で見ているということではないので、そういった面ではバランスを一応考えながら配置しているということになります。
さらに、畜産の中でも肉と酪農とありますけれども、そこにつきましては、そういった地域で、同じ畜産の中で双方に対応できるように勉強していくということになると思います。
〇菅野ひろのり委員 その地域の実情に合った配置をされているということでございますが、やはり、先ほど臼澤委員からも質疑がありましたように、地域の評価とちょっと違うのかと。農業普及員は普及指導計画をもとにされていますから、もしかして要望と計画の遂行に任務のギャップが出ているのかとも思っています。というのは、やっぱり現場がなかなか見えない、足しげく通ってくれていないという評価もある中で、そういったところも出ているのではないかと思います。
引き続き農業普及員の育成にも努めていただいて、地域の農業に貢献できるようにさらに頑張っていただきたいと思います。
〇斉藤信委員 きょうがちょうど大震災から7年7カ月目の月命日ということで、最初に、東日本大震災津波、そして平成28年台風第10号で被災した農地の復旧状況、そして耕作の状況についてお聞きいたします。
〇伊藤農村建設課総括課長 被災した農地の復旧状況でありますが、東日本大震災津波で被災した沿岸部では、復旧対象農地面積545ヘクタールのうち、本年8月末までに511ヘクタールの復旧が完了しております。残りの34ヘクタールについて、その主なものは陸前高田市の高田沖地区でありますが、市街地のかさ上げに利用するために仮置きされていた盛り土が撤去されたことから、本年3月から本格的に圃場整備工事に着手するなど、平成31年春の営農再開を目指し、復旧工事を進めているところであります。
また、平成28年台風第10号災害については、復旧対象農地206ヘクタールのうち、本年8月末までに197ヘクタールの復旧が完了しているところであり、残る9ヘクタールについては、他事業との調整を終えたことから、同じく平成31年春の営農再開を目指し、復旧工事が進められている状況にあります。
〇菊池農業普及技術課総括課長 復旧農地の活用状況についてでございます。
まず、東日本大震災津波から復旧しました農地につきましては、例年10月に利用状況を調査しておりまして、平成29年度につきましては、474ヘクタール、94%で営農が再開されております。
また、平成28年台風第10号で被災し、その後復旧された農地につきましては、現状は被災以前の活用状況となっておりまして、中でも米や野菜につきましては担い手集積が進みまして、若い農業者がそういった農地を活用して営農に励んでいるところでございます。
〇斉藤信委員 今、平成28年台風第10号災害の関係は、復旧した197ヘクタールがまだ耕作されていないということですか。正確に答えてください。
〇菊池農業普及技術課総括課長 平成28年台風第10号で被災し、復旧した農地につきましては、市役所からの報告によりますと、被災以前の利用状況に戻っていると。復旧したところは活用されているところでございます。
〇斉藤信委員 いや、面積で言ってくださいよ。197ヘクタールが全て耕作されているということですか。正確に言ってください。
〇菊池農業普及技術課総括課長 復旧しました197ヘクタールで営農を開始しているということでございます。
〇斉藤信委員 ちょっと信じがたいところがあるけれども、これは疑問符だけつけておきます。私は、平成28年台風第10号災害の現場を見てきたけれども、とてもじゃないけれどもそういう状況ではないと思うけれどもね。今のが正しかったらそれでいいけれども、そうではないのではないかと思うので、これは指摘だけにとどめておきます。
次に、日EU・EPA、TPP11。TPP11については、7月の国会で、どさくさ紛れでまともに審議もしないで、批准と関連法案まで強行採決をしました。私は予算特別委員会でもこの影響試算について取り上げましたけれども、これは国会でも審議されて、その明確な根拠は示されなかったと。
改めて聞きますが、日EU・EPAで輸入量はどのぐらいふえるのか、これは示されていますか。
〇照井農林水産企画室企画課長 影響試算についてでございますが、国の試算におきましては、価格の低下により生産額は減少するものの、国内対策により生産量が維持されることを前提としておりまして、輸入量の増加や国内生産量の減少については考慮していないという状況になっております。
〇斉藤信委員 ごまかしもここまでくるとばかばかしくなるぐらいです。私も改めて国の影響試算の結果を見ました。こう書いているのです。関税削減等の影響で価格低下による生産額の減少が生じるものの、体質強化対策による生産コストの低減、品質向上や経営安定対策などの国内対策により引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されると。先に結論ありきなのです。影響はないという結論で試算しているから、具体的に貿易協定というのは、EUにしてみれば輸出をふやすためにやるんですよ、これ。そして、その見返りに自動車の関税が100%なくなるんですよ。自動車の関税が100%なくなるけれども、EUからの農産物が入らないなんてことがありますか。こんな貿易協定があるわけないじゃないですか。部長、おかしいと思いませんか、こういう試算は。
〇上田農林水産部長 国においてこういった試算があるということは担当課長から御説明申し上げたとおりでございますが、こういったやり方について、あるいは試算の方法等については、さまざまな方から、やはりそれは説明が不十分ではないのかという御意見があることは私も承知しております。
そういうことを受けまして、県ではこれまで国に対しまして、農林水産物への影響を十分に分析してください、さらに丁寧な説明を行ってくださいと要望したところでございます。今般、日米の個別の交渉等が始まろうとしておりますが、ここにおきましても、今までと同じようなやり方については、さまざまな生産者を初めとして不安を感じる可能性もございますので、そういった中身についてはきちんとした情報を開示して、説明等も丁寧にやるように、引き続き国に対して働きかけてまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 前の紺野部長より丁寧な答弁ですね。
2018年の牧草と園芸という雑誌の1月号に、北海道大学大学院の教授が、日本・欧州連合経済連携協定が日本酪農に及ぼす影響とその意味という論文を出しております。この論文は特に酪農への影響と限定されているのだけれども、御存じで、うなずいている方もいると思います。この方の論文では、特に影響があるのはナチュラルチーズと脱脂粉乳だと。国産ナチュラルチーズは、82.3%を占めるハード系が輸入に置きかわり、残りのソフト系は残存すると。脱脂粉乳は、ヨーグルト用途以外の用途の半分、すなわち国産の25.3%が輸入ホエーに置きかわる。こういう予想で影響額を試算すると、北海道では脱脂粉乳、バター等向けが29.9%、チーズ向けが69.2%減りますと。その結果、飲用向けは43.3%増加すると。これが本州に流れてくる、こういうことであります。それで都府県の生乳生産量は19.2%、54万2、000トン減少すると、こういう試算です。私も予算特別委員会で40万トン影響を受けるという指摘をしましたけれども、大体のいいところではないかと。
その結果、北海道の影響額は、最大477億円、最小で391億円の減少、では、北海道から本州に回った生乳によって本州はどのぐらい影響を受けるか。生乳生産量が減少して654億円の影響を受けると。ですから、全国の影響額は1、045億円から1、132億円ですよ。私はこれが科学的な試算と言うべきものではないかと思いますけれども、どうですか。
〇照井農林水産企画室企画課長 TPP11の影響試算についてはさまざまな意見が出ていることは承知しております。特に、6月28日の参議院内閣委員会におきまして、農林水産物の生産額の影響試算を含むTPPの経済効果分析については、より精緻なものになるよう見直しに努めることと附帯決議がされております。このような状況を踏まえまして、今後、国等の動向を踏まえながら、本県としても必要な対応を検討してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 私は、日EU・EPAの影響試算で1、000億円を超える影響額と、今、専門家の試算を紹介しました。この方は、TPP11を加えると、さらに200億円程度の影響が出るという指摘もしております。だから、政府の試算をそのまま受けとめる人はほとんどいないのではないかと思います。それを真に受けて対策をとっていたら大変なことになる。
もう一つ、もっと深刻な問題が実は9月26日の日米首脳会談でありました。日米首脳会談で、実質、日米FTAの交渉が開始される、合意になったと。日本農業新聞は、実質的なFTAだと。そして、目標はTPP以上だと、こういう報道です。一般新聞も、白旗を上げたとか、政府の発表をそのままうのみにした報道はほとんどありませんでした。実質、日米FTA交渉の開始という受けとめがマスコミ報道の特徴であります。
この日米首脳会談で事実上FTA交渉ということになったら、TPP11プラス日米FTA、結果的にTPP交渉以上の輸入が見込まれるということになるのではないか、いかがですか。
〇照井農林水産企画室企画課長 日米物品貿易協定の交渉については新聞等でさまざま報道されているところでございますが、日米物品貿易協定につきましては、本県の基幹産業である農林水産業を初め、幅広い分野に大きな影響を及ぼすことが非常に懸念されていることから、交渉に当たっては、農林漁業者が安心して経営を継続できるよう、国に対して強く求めていくことが必要と受けとめているところでございます。
このため、県では、先週─10月4日に部長が上京し、国に対して、十分な情報提供を行い、国民的議論を尽くすなど適切な対応をするよう要望したところでございまして、今後においても、国の動向を注視しながら必要な対応を検討してまいりたいと考えているところでございます。
なお、具体的な影響については、交渉がまだ開始されていない現段階において、それを推しはかることは困難と考えております。
〇斉藤信委員 部長が10月4日にいち早く国へ行ったということは評価したいと思います。
許せないのは、政府の発表なのです。TAG─日米物品貿易協定の交渉を開始することにしたというのが日本政府発表でした。ところが、共同声明には、アメリカの文書にこれはないのです。アメリカ政府の日本語訳にもないのです。ないものを、いわばFTA交渉ではないというごまかしで、捏造と言ってもいいこういうやり方というのは本当に私は許されないことだと思うけれども、10月4日に国へ行った部長に聞きますが、この政府の対応、日米共同声明というのはTAG交渉ではない、実質FTAではないかと思うけれども、いかがですか。
〇上田農林水産部長 国─政府の見解、それから報道機関の報道を見ておりますと、やはり若干の差異があるものと感じております。地方公共団体であります県として、そこについてどちらが正しいのかという判断は難しいものでございます。今後、交渉なり、あるいはそのための準備等が始まってまいりますので、その中で内容が明らかになり、例えば国会等の場面でそういった内容についての議論が繰り広げられると思いますので、そこを注視してまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 難しい問題では全然ないのです。翻訳の間違いなのです。アメリカの文書にはないのですから、TAGなんていうのは。そして、アメリカ政府は日本語訳を出していますが、日本語訳にもそれはないのです。だからこれは決して難しい話ではないということだけ。
こういう形で自動車の関税を引き上げることだけは阻止するけれども、もろ手を挙げて日本の農林水産物を差し上げるような交渉というのは、私は絶対許してはならないと思います。
次に、ことしから米の直接支払交付金が廃止になりました。昨年度の米の直接支払交付金の件数と交付額、その農家と集落営農組織に対する影響はどうなるのかを示してください。
〇佐藤水田農業課長 米の直接支払交付金についてでありますが、平成29年度の本県への米の直接支払交付金の交付額は30億2、000万円で、交付件数は3万353件となっております。
経営規模別では、水稲作付20ヘクタールの経営体では約150万円、100ヘクタールの経営体では約750万円が交付されたところであり、交付金の廃止により、大規模な経営体ほど影響は大きいと考えております。
〇斉藤信委員 一方で自由化を進めながら、一方で今まで農家が頼りにしていた直接支払交付金を廃止する、本当に私は踏んだり蹴ったりだと思います。
平成29年産米の相対取引価格と生産費について示していただきたい。どの規模の農家が採算をとれるのか、赤字の農家の実態はどうなのか、ことしの概算払いの状況を含めて示してください。
あわせて、収入保険の加入者数、加入率はどうなっているでしょうか。
〇佐藤水田農業課長 平成29年産のひとめぼれの出回りから平成30年8月までの平均の相対取引価格は、60キログラム当たり1万5、171円となっております。平成29年産米の生産費は未公表であるため、平成28年産米の自己資本利子あるいは自作地地代を含む全算入生産費の作付規模別で見ると、60キログラム当たり、1ヘクタールから2ヘクタールでは1万6、292円、2ヘクタールから3ヘクタールでは1万3、796円であることから、2ヘクタール以上の規模で相対取引価格が生産費を上回っておるところでございます。
規模別の作付経営体数は、2ヘクタール未満は2万9、773で、割合は86%、作付面積は2万893ヘクタールで、割合は42%となっております。
全農岩手県本部が公表した平成30年産米のJA概算金は、60キログラム当たり、ひとめぼれで1万2、900円、あきたこまちで1万2、700円、いわてっこ、どんぴしゃりで1万2、300円となっており、いずれも昨年と比較し、100円の増額となっております。
〇菊池参事兼団体指導課総括課長 収入保険の加入者数、加入率についてでありますが、収入保険制度は平成31年1月から開始されることとなっております。加入申請の受け付けは平成30年10月から開始されております。岩手県農業共済組合では、2、900経営体を目標として、今、加入推進を行っているところであります。
現在の加入申し込みの状況は400件程度と聞いておりますが、今後は、岩手県農業共済組合で実施しました意向調査において加入の意向を示した約2、600件の農家を対象に戸別訪問等を行い、加入推進することとしております。
収入保険の加入率ですけれども、収入保険は青色申告者が加入の対象になります。平成29年度の青色申告の農業者数は1万3、185人でございますけれども、目標の2、900の農家が加入した場合には22.0%となるという状況でございます。
〇斉藤信委員 昨年は、作付規模が2ヘクタール未満の農家は赤字と。これは86%を占めると。農地面積でも42%ということですね。だから、全体とすれば、規模が小さいということもあるけれども、赤字で農業をやっているのが岩手の農業の実態だと。それが42%の作付面積を占めているということを私たちがリアルに見て、農業、農家を守る手だてが大切だと思うのです。
収入保険の話を聞きましたけれども、目標が2、900経営体、そして加入の意向が2、600経営体ということですから、ほんの一部の農家しか収入保険の対象にしない、ならない。こういう制度はほとんど効果を発揮しないのではないか。だとすれば共済制度というのが引き続き私は重要な意義を持つと思うけれども、この共済制度というのはきちんと維持されるのか、どうなっているのかお聞きしたい。
〇菊池参事兼団体指導課総括課長 これまで自然災害の被害を補填してきた共済制度については、若干内容が変わる部分もありますけれども、基本的には維持されるものです。例えば、米や麦などは当然加入するということで、これまでは一定面積以上の農家は必ず入らなければいけないため、九十数%という高い引き受け率だったのですが、それが収入保険との選択制になったことで当然加入するという形ではなくなったので、農家によっては制度をわかった上で入らない方がいるかもしれませんけれども、いずれ無保険者が生じないように進めていきたいと考えております。
農業新聞などにも報道がありましたけれども、米だけをつくっている農家だと、むしろ今までの農業共済のほうがいいという試算も載っていますが、一方で花や野菜とかいろいろな品目をやっている方は収入保険もいいということで、今、農業共済では個人個人の経営内容を細かく見ながら、どういう形の保険がいいのかについて普及していると聞いております。農業共済については、一部見直して継続するという状況です。
〇千田美津子委員 私は、国際農業年にかかわる質問をいたします。
国では今、農地中間管理事業等によって農地の8割を大規模経営体に集積する、こういう農政が進められているわけですが、一方、今、世界を見れば、食料のうち約8割が家族農業による生産で賄われております。世界中の食卓を守る重要な役割を私は果たしていると思います。国連が取り組む2030年までの持続可能な開発目標の中にも貧困や飢餓の撲滅が掲げられており、目標達成の上でも、家族農業という持続性のある農業形態は、特に今、注目されております。このような背景のもとで、2017年12月20日に開かれた国連総会において、2019年から2028年度までの10年間を家族農業の10年とすることが104カ国の賛成で決定されております。
そこで質問ですが、国連が採択した家族農業の10年に対して、岩手の農業の現状をどのように捉えておられますかお聞きいたします。
〇藤代農業振興課総括課長 家族農業の10年については、今、委員御指摘のとおり、国連が小規模、家族農業が果たしている役割の重要性を世界に周知するために提唱した─平成24年ごろだったと思いますけれども─国際家族農業年を10年間延長したものと承知しているところでございます。
本県の農業経営は、平成27年の農林業センサスを見ますと、全体として4万7、000経営体ほどございますけれども、その9割の経営体が家族経営という状況になっております。また、その4万7、000経営体のうち、約8割の経営体が販売額1、000万円未満という余り規模が大きくない経営体になっておりまして、多くの小規模、家族経営体が本県の農業、農村を支えていると認識しているところでございます。
〇千田美津子委員 今、御答弁いただいたように、岩手県の中でもやはり家族農業が本当に大きく支えているということだと思います。国連の採択というのは、今始まったのではなく、2014年の国際家族農業年をさらに10年間これから延長しようとするものであります。これは、世界各国、それから各地域で、小規模、家族農業関連政策の中心に位置づけようとする国際的流れが定着し、それを拡大していることを示しているものと思います。国連とその加盟国は、小さな家族農業を再評価して、政策的にも支援することが求められていると思います。
そこで、家族農業が果たしている役割を再度どう評価しているかお聞きしたいと思います。あわせて、家族農業に対する支援がやはりもっと強化されるべきだと思いますが、その点お聞きしたいと思います。
〇藤代農業振興課総括課長 先ほど答弁させていただきましたとおり、本県の農業は、多くの小規模、家族経営体が生産活動に携わっていただきながら、本県の農業生産や農業、農村の多面的機能の維持などに取り組んでいただいていると考えております。県といたしましては、中山間地域等直接支払制度、県単制度などさまざまな制度を活用しながら、小規模、兼業農家の方も参画しました地域特産物の産地化や地域の特色ある農畜産物の加工、直売などに取り組む6次産業化、豊かな自然、食などの地域資源を生かしたグリーンツーリズムなどの都市住民との交流といった取り組みを支援しているところでございます。
今後とも、多様な生産者が参画した農業生産あるいは地域活動の活発化を通じまして、活力ある農業、農村の実現に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
〇千田美津子委員 二つ目ですけれども、新規就農者に対する支援制度の現状と今後の見通し、そして課題についてお聞きしたいと思います。これには国の制度、県の制度があるわけですが、両方あわせてお聞きしたいと思います。
〇菊池農業普及技術課総括課長 まず、新規就農者に対する国の支援制度から御説明いたします。国の制度は、大きく三つございます。一つ目が、就農前の研修の後押しや就農直後の経営安定を支援する農業次世代人材投資事業、二つ目が、農業法人への雇用就農を促進する農の雇用事業、そして三つ目が、営農に必要な機械、施設を整備するための青年等就農資金及び経営体育成支援事業でございます。
次に、県の事業でございます。県の新規就農者支援の事業は大きく二つございます。一つは、新規就農者の確保に向け、県内外における就農相談会や研修受け入れのあっせん、短期農業体験の実施などを行うソフト事業になります。もう一つは、国、県等の各種補助事業や担い手育成基金助成事業によりまして、機械、施設整備等の支援を行う事業でございます。
〇千田美津子委員 今後の見通し、課題の答弁がなかったので、再度お願いします。
〇菊池農業普及技術課総括課長 まず、国の支援制度の利用状況を御説明させていただきたいと思います。
先ほど三つ説明させていただきましたけれども、農業次世代人材投資事業につきましては、平成29年度の交付者が前年度並みの371名となっておりまして、その交付額は約4億8、800万円という状況になっております。二つ目の農の雇用事業は、研修生が35名、受け入れ経営体が32経営体と、これも前年並みとなっております。さらに、青年等就農資金は、融資件数45件、融資額が約2億2、000万円、そして経営体育成支援事業─ハード事業が青年農業者に対して10経営体、事業費で約6、600万円となっております。
これら国の支援制度は今年度も昨年並みの活用が見込まれておりまして、新規就農者の課題となっております早期の経営安定に向けて大変有効な制度でありますことから、引き続き国に対して予算の確保を要望してまいりたいと思っております。
次に、県の制度でございます。先ほどハード事業として御説明した担い手育成基金助成事業は、就農時の初期投資を抑えるため中古の機械や施設等の導入も認めておりまして、平成27年度から3カ年で124名の活用がありました。新規就農者につきましてはこれ以外に早期の経営安定が課題となっておりますので、新規就農者個々のレベルに応じた技術指導に加え、経営計画の作成や複式簿記の習得など、市町村、関係団体と連携いたしまして、新規就農者が早期に経営を確立し、担い手として定着できるよう積極的に支援してまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 多彩なメニューがあるわけですし、今、御答弁あったように、大変有効だと。昨年並みの予算計上をお願いしていくということです。計数的にはそのように見えるのですが、ただ、一部、関係者の皆さんから、新規就農者関係の補助が非常に……。例えば、農業次世代人材投資事業の経営開始型は最長5年間の交付になっています。ただ、3年目で中間評価があって、さらなる支援方針はそこで決定するということですが、多分そこの評価は非常にきついところがあるのではないかと思っています。
この資金を活用して農業をやり始めた方々が、すごく順調にいけばいいですけれども、そうでない場合もあるわけで、そういう方々が交付を打ち切られているとか、最終的にはその判断は市町村に委ねられることにはなっていますが、いずれこれは国の制度でありますので、根本の制度がそのような、農業を始めたはいいが、途中の見直しで交付が打切られるということが現実に起きていると聞いておりますが、そのような状況は把握されていますでしょうか。
〇菊池農業普及技術課総括課長 農業次世代人材投資事業の経営開始型の中間評価についてでありますけれども、この投資事業は、先ほど委員がおっしゃったとおり5年間の交付を前提としております。その間、農業経営が上下、うまくいったりうまくいかなかったりといった方もございますので、周りを支援する関係機関で中間年にその取り組みを評価するということでございます。その際、経営に問題がある、いろいろな課題が見つかった場合には、さらなる支援を強化して軌道に乗せていくことを目的にしておりますので、交付を打切ることを目的にしているということではございません。
一方で、年間150万円の交付がございますので、営農を実質行わずに交付を受けるといったようなことがあってはなりません。そういったことのチェックも含めて評価を行っているところであり、なるべく早く経営を軌道に乗せていくということがこの評価の本質にあります。
〇千田美津子委員 それでは、次の質問に移ります。
三つ目ですが、金ケ崎町にある農業大学校についてでありますが、金ケ崎町を初めとした関係者から、農業系の大学にしてほしいという声があります。これは、岩手の農業を本当に心配し、そして発展させるために、生産、加工、販売などを先導する人材育成のためにぜひそういったことを検討していただきたいし、若い人たちにとっても、大学化することでさらに魅力を持って取り組めるのではないかということがあるようですが、この間、この課題については検討された経緯があるか。その場合、どのような検討がなされてきたかお聞きいたします。
〇菊池農業普及技術課総括課長 農業系の大学とおっしゃいましたけれども、専門職大学化という御質問かと思います。
本県の農業大学校は、地域農業のリーダーとなります農業経営者の養成を目的に設置しまして、平成27年度から平成29年度の3カ年の卒業生154名の進路を見たところ、154名のうち105名、68%が就農あるいは農業団体や農業関連企業に就業しまして、本県農業の振興に大いに貢献しているものと考えております。
また、平成19年度には学校教育法上の専修学校に位置づけられまして、国立の農業系大学への編入が可能となっております。この制度を活用しまして、これまで19名の学生が希望どおり編入しております。
国では、産業界からの実践的─即戦力ということです─な教育へのニーズに対応するため、よりすぐれた技能を有する人材養成を目的に、4年制の専門職大学及び2年制、3年制の専門職短期大学の制度を昨年度創設いたしました。
本県の農業大学校では、2年間のカリキュラムの中で農業、農村の幅広い知識と実践的技術を身につける教育を実施しておりまして、専門職短期大学となる場合には、例えば農作業実習─農作業の技術の習得に大きく時間を割かれるため、現代農業に必要不可欠な経営のための学習時間の確保が難しくなること、また、新たに専任の教員数の確保、実習時間の増加に伴う実習先の確保や専任教員の研究室の整備、さらには学生や保護者の費用負担の増加などが課題と考えられております。
このため、今後、学生や保護者のニーズを踏まえながら、メリット、デメリット、そして農学部を有する大学とのすみ分けなどについて、他県の取り組み状況なども十分に検証しながら検討していきたいと考えております。
〇千田美津子委員 4年制大学への編入者が19名いらっしゃるということで、若い人たちにはやはりそういう意向もあるということで、ニーズを見ながら検討していきたいので、ぜひよろしくお願いいたします。
それでは、4点目ですが、農業生産環境放射性物質影響防止支援事業についてお尋ねいたします。
事業の現状と今後の見通しについてお知らせいただきたいと思います。
〇菊池農業普及技術課総括課長 農業生産環境放射性物質影響防止支援事業についてでありますが、県では、この事業を活用しまして、農業研究センターにおいて農畜産物の放射性物質検査を行ってきたところでありまして、平成29年度の検査実績は、農産物35点、畜産物127点、林産物108点の計270点となっております。
この事業は平成29年度で終了しておりますが、平成30年度以降の米、麦、大豆、原乳、シイタケなどの放射性物質検査につきましては、農林各分野の放射性物質検査関連予算により、外部の分析機関に委託して実施しているところでございます。
〇千田美津子委員 主要施策の成果に関する説明書では計画値が800点となっていたのですけれども、この根拠は何だったのでしょうか。
それから、ここ数年間の点数と検査結果はどうだったのかお聞きしたいと思います。
〇菊池農業普及技術課総括課長 検査の計画値でございますけれども、平成24年度から平成27年度ぐらいまでは1、000点から800点、そして600点ぐらいで推移しておりましたので、この平均値をとりまして、平成29年度も最大限そういったことに応えられるように800点と計画しておりました。
それから、検査点数ということでよろしいですか。(千田美津子委員「点数と結果」と呼ぶ)
検査点数は全部で270点ですけれども、基準値を超える数値は出ておりません。
〇千田美津子委員 それでは、最後になりますが、死亡牛の保管と処理施設について、それらの現状と課題についてお聞きいたします。
〇村上特命参事兼振興・衛生課長 死亡牛については、一般的に農場から一時保管施設に搬入され、保管された後、産業廃棄物処理業の許可を有する化製場に搬入されて処理されております。
県内の一時保管施設は、県北・県央地域には、生産者、農協及び市町村がみずから設置した地域の一時保管施設が八幡平市、雫石町、葛巻町、二戸市、宮古市の5カ所と、BSE検査施設が洋野町に1カ所の合計6カ所ございます。また、県南地域には、BSE検査施設を兼ねた一時保管施設が金ケ崎町に1カ所ございまして、死亡牛は、これらの施設で適切に保管された後、県外の化製場に搬入され、処理されております。
地域の一時保管施設につきましては、平成7年から平成11年までに建築あるいは他の施設を修繕して設置されておりまして、いずれも老朽化が進んでいるものの、設置者である各地域のへい獣処理協議会が修繕し、施設を維持しているところでございます。
〇千田美津子委員 県央と県北地域の死亡牛は青森県に、県南地域は群馬県に搬送されているわけです。適正に処理されているということだと思いますが、ただ、産業廃棄物でありますので、いずれも県外の処理施設で処理しなければならないという現実があります。そういった点で、関係者からは、本当にこのままで大丈夫だろうか、そういう懸念が広がっております。畜産県として考えたとき、将来の対応をきちんと考えるべきではないかということがあるわけですが、その点お聞きしたいと思います。
〇村上特命参事兼振興・衛生課長 県外の施設で処理していることについてでございますが、まず、青森県の化製場につきましては以前から岩手県内の死亡牛の処理をしておりまして、今後も受け入れ中止となることは考えられないと思っております。また、群馬県の化製場につきましては平成26年から本県の死亡牛の処理を行っておりますが、定期的に化製場を訪問して受け入れ継続について依頼しておりまして、同社の代表者からはおおむね理解を得ており、少なくとも突然に受け入れ中止ということにはならないものと考えております。
〇千田美津子委員 最後になりますけれども、今、突然受け入れを中止することは考えられないということで、そのようなことがあっては困ると思うのですけれども、今、青森県、群馬県に対し処理に関するさまざまなお願いを毎年されていると思いますが、どのようなことで交渉され、お願いをしているのですか、そのことについてお聞きしたいと思います。
〇村上特命参事兼振興・衛生課長 どのようにということですけれども、繰り返しになりますけれども、引き続き受け入れをお願いしますということで訪問してお願いしているところでございます。
〇千田美津子委員 ちょっと言い方が悪かったのですが、例えば、青森県については1年分の搬入について交渉して許可をいただいているとか、群馬県については、年に2回ほどこちらからお願いに行って、小まめにそういう交渉をされているということをお聞きしました。いずれそういうことをこれからも小まめにやっていただきながら、農家が困ることのないようにぜひ取り組んでいただきたいと思いますが、その点についてお聞きして終わります。
〇小岩農政担当技監兼県産米戦略室長 ただいまの千田委員の御指摘でありますけれども、私どもも、常に畜産農家を最優先に考えております。県内の死亡牛を処理する化製場がつぶれた当時に私どもが第一に考えたのは、畜舎─うまやに死亡牛を滞留させることは絶対ないようにしたいということで動きました。その考えは今でも変わっておりません。
そういうことから、先ほども申し上げておりますけれども、盛岡市以北につきましてはこれまでも八戸市の化製業者に処理をお願いしておりますが、県を越えて産業廃棄物を移動する場合には青森県の条例に基づき事前協議が必要でありまして、これを定期的に行っております。群馬県に関しましては、青森県のような条例がありませんので事前協議は必要ないのですが、実際に処理をお願いしております群馬県の化製場に対しまして、私ども、そして全農の本部長も一緒になって、年2回ほど本県の実情もお話ししながら、適切に処理していただくように常にお願いしております。現時点では農家のうまやに死んだ牛が滞留するようなことはないと考えておりますし、将来的にも、県内での化製処理のあり方について引き続き関係機関と協議している状況にございますので、長いスパンにはなろうかと思いますけれども、そういう取り組みを通じて、畜産農家が安心して畜産業を営めるように取り組んでまいりたいと考えております。
〇福井せいじ副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇福井せいじ副委員長 質疑がないようでありますので、これで第1部農業関係の質疑を終わります。
この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
午後3時6分 休 憩
午後3時24分再開
〇名須川晋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑、答弁とも簡潔明瞭に行いますよう御協力をお願いいたします。
次に、第2部、林業、水産業関係について質疑はありませんか。
〇伊藤勢至委員 前略も中略も後略もなしで行きます。
本県沿岸の基幹産業は、申すまでもなく水産、漁業であります。そのベースは漁港にあると思っております。本県には、県管理の31漁港、市町村管理の80漁港、合わせて111の漁港がありますが、東日本大震災津波では、このうち108の漁港が被災いたしました。本県では発災後1カ月で復興計画を立ち上げましたが、その際に知事から、本県の漁港は岩手県の名において全ての漁港を復旧するとの決断をいち早く表明されたところであります。これは、水産漁業関係者にとっては大変大きな励ましになりました。
そこで伺いますが、平成29年度現在で漁港の修復の状況はどの程度進んでおりますか。相当数進んでおると思いますが、あと残りの部分は完成の見込みもあわせて教えていただきたい。
〇阿部漁港漁村課総括課長 漁港の復旧状況についてでありますが、発災直後から、岸壁のかさ上げや倒壊した防波堤等の復旧を進めてきた結果、被災した108漁港のうち、これまでに107漁港の復旧が完了しております。
引き続き、残る1漁港の復旧工事を進め、今年度末までには全ての漁港の復旧の完了を目指してまいります。
〇伊藤勢至委員 本当に発災以来、まじめに、真摯に、そして積極的に取り組んでいただいたおかげと感謝をしているところであります。
ちなみに、隣の宮城県知事は、この際、宮城県の漁港は半分にするということを言いまして、その後、すったもんだがあって、恐らく現在はいいところ70%か80%しか復興していないと思いますよ。そして、その数値を公表していないのですね。だから、初動のおくれが今になって響いている。そういう点、私は岩手県は立派だったと思っております。
これはこれとして、私は、漁港の復興につきましては、あわせてホイストクレーンと巻き上げ機をセットで復興するべきだと申し上げてまいりました。ホイストクレーンは、岸壁に係留してある船をそのまま持ち上げて、ぐるっと回して台車に乗せて高台に避難、保管をすると。それから、巻き上げ機は、斜路をそのままワイヤーで引っ張って高台に移転といいますか保管する、そういうものなわけであります。
今や船外機も船体も沖合の漁場との行き帰りの時間を短縮するということから相当大きくなってきていますので、このホイストクレーンあるいは巻き上げ機がなくては、とても人間だけではもう作業できない状況になっているわけでありますから、これが3点備わってこそ初めての機能だと思っていますが、それについても伺います。
〇阿部漁港漁村課総括課長 ホイストクレーン、それから、巻き上げ機の整備状況についてでありますが、漁港の復旧とあわせてこれらの復旧を行ってきたわけですけれども、ホイストクレーンにつきましては、平成30年9月末までに、国庫補助事業を活用しまして、事業計画のある283基全ての整備が完了しております。
それから、巻き上げ機につきましては、これも国庫補助事業を活用しまして、事業計画のある191基のうち185基、9割以上の施設整備が完了しております。
今後、未整備となっている巻き上げ機6基につきましては、引き続き、国に対して必要な予算を措置するよう要望しまして、早期整備に取り組んでまいります。
〇伊藤勢至委員 私は、ホイストクレーンに非常にこだわりを持っていまして、実は平成23年度予算で重茂の県管理の音部港に2、000万円のホイストクレーンを設置してもらいました。2台目でありますけれどもね。これが東日本大震災津波で、1回しか使っていない状況で持っていかれてしまった。大変悔しい思いをしておりましたので、こだわっていたところであります。あと一息頑張っていただけるようにお願いします。
それから、水産業につきましては、加工業でありますから、もちろん養殖から始まって、原材料がなければ成り立たないということだと思います。平成29年度は岩手缶詰の宮古工場が撤退いたしました。これは、イワシ、サンマ、サバ等の缶詰が主力でありましたので、その水揚げががくんと減ったことに主な原因があると聞いています。
実は室蘭と宮古間の定期フェリーが就航しまして、北海道が相当近くなったという捉え方をするべきだと思います。北海道の食材を、この際、宮古市、下閉伊あるいは岩手県沿岸の加工業者が購入をして、原材料に活用する道を開くべきだと思います。
宮古市にもウニでありますとか、ホタテでも、業者間でやったりとったりをして既にやっている方がもういっぱいいるわけであります。北海道はサーモン、ニシン、昆布、ウニ─バフンウニが主ですけれども、それからハナサキガニ、ズワイガニ、毛ガニ、噴火湾のホタテ等、いろいろな漁のボリュームがありますので、そういう道を県の農林水産部のほうで一つ先導的な役割をしていったらいかがかと。この際、お考えいただいたほうがいいのではないかと思います。
大概の岩手県人が九州に旅行した場合は、からし明太子をお土産に買ってくるわけでありますが、この明太子のタラコは、三陸沿岸の宮古市から久慈市沖のタラの子であることを知らない人が多いかもしれませんが、これを大量に買い付けをして、からしを練り込んでからし明太子に仕上がっているのです。だから、原産地は宮古市、久慈市なのですね。そういう考えからいくと、当然、北海道のものを買って宮古市沿岸で加工してもいい、こういうこともあっていいと思うのです。
もっと景気がよかったころに、重茂漁協婦人部が慰安旅行に四国徳島県の金比羅様に参りました。そして、下がってきてお土産屋に寄ったところ、非常にいいワカメがある。これ、いいワカメだね、どこのワカメだろうと。ところが、メイドイン何とかが書いていない。鳴門ワカメかなと思っていたら、売っていたおばさんが、これこれ、こっちへおいで。これは宮古市の重茂のワカメだと言われたという話もあるのですよ。
大分県のシイタケも、農林大臣賞とか総理大臣賞をもらったシイタケを大量に買い付けていって、それが大分県産のシイタケの上の部分に。岩手県はロッドが少ないものですから、そういったふうに使われているということもあります。もちろんほだ木も岩手県のものが多いのですよ。そういう積極的な商売気を出していくべきだと思うのですが、そういう考えはありませんか。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 水産加工業の原料確保についてでございますが、近年は、本県の主要魚種でありますサケ、スルメイカなどが不漁であるため、これらを加工原料とする加工業者は、地元魚市場以外からの原料確保や代替原料への変更を余儀なくされているところでございます。
宮古市の缶詰工場につきましては、サンマが主な原料だったということで、サンマの影響だったと記憶しております。
県では、加工原料の安定確保のため、遠隔地から原料を調達する加工業者への支援のほか、漁獲が好調なサバ、イワシのまき網漁船の地元魚市場への誘致などにより、代替原料の確保を推進しているところでございます。
一方で、サバ、イワシなどの多くは、北海道の主要魚市場に水揚げされていますことから、漁船誘致のほかに、これらを効率よく本県に輸送しまして活用することも、原料の安定確保につながるものと考えております。
輸送手段としましては、宮古─室蘭フェリーを活用する、これも一つの方法だと考えておりますので、今後、加工業者の意向を確認しながら、まず、輸送時間とコスト等の採算面を検討しながら、そして、輸送業者等の調査をしながら、その可能性を検討してまいりたいと考えております。
〇伊藤勢至委員 次に、重茂の音部港の掘り込み漁港についてお伺いいたします。
平成24年4月25日、当時の復興大臣を重茂の里地区へ御案内し、堀内─熊の平間にトンネルをぜひ欲しいとお願いし、1億円の調査費をつけていただきました。その際、当時の重茂漁協の組合長から、音部の掘り込み漁港を発災後から提案しているけれども、さっぱり動きがない、フォローしてくれということを言われ、わかりましたということでお願いをかけてきたわけであります。
平成25年7月、国の承認がおりたのでありまして、被災した岩手県、宮城県、福島県の3県の中で掘り込み漁港を提案しているのは岩手県だけで、これが早く通った原因でもあると思っております。
実は、音部漁港は二重の堤防があるのですね。岸壁が一つあって、ブロックが積み上げてあって、それが一つ。沖合にも一つ防潮堤的なものがあって、ブロックでやっている。だけれども、低気圧あるいは台風等が来るとどうしても越波をしてきて係留した船を傷めてしまうおそれがある。ですから、組合長は、大きな何かがあった場合には、今の漁港の後ろ側、山の手のほうに掘り込みの港湾、漁港をつくれば、二重三重の防護された漁港ができるという提案を温めていたようでありますが、この際ということで実は出てきたわけであります。
現在、着工中なわけでありますけれども、我々素人から見ると、重機やクレーンとかが動き回らないとさっぱり仕事が進んでいないように見えるのですが、現状はどうなっているのか、その辺を教えていただきたい。
〇阿部漁港漁村課総括課長 音部港の掘り込み漁港についてでありますが、委員お話のとおり、平成25年に計画が承認されました。その後、平成25年12月に護岸工事に着工するとともに、掘り込み部の用地取得が必要だったものですから、掘り込み部の設計、それから用地測量を実施してきております。
その後、用地の中に共有地がございまして、共有地の買収を進めまして、用地取得がおおむね完了した平成28年3月から、導流堤、それから掘り込み部の物揚げ場の工事に着手しました。
平成29年度末までに、導流堤118メートル、航路部の支障物撤去、それから物揚げ場の鋼矢板打設104メートル、土砂掘削約6、500立米などの工事を実施してきたところでございます。
平成30年度につきましては、安全な航路の確保に向けた護岸への消波ブロックの設置工事を現在進めているほか、掘り込み部の施工に伴って必要となる仮設道路等の工事発注準備を進めているところでございます。
〇伊藤勢至委員 本当にいろいろと頑張ってもらってありがたく思っております。仕事ですから、やってみなければわからない部分があると思うのですね。当然だと思いますが、それによって変更もやっぱりあるのだと思います。やっていると思いますけれども、そういったことについては、漁協を通じてでもいいのですが、やっぱり地元の関係者に周知徹底がなされるように、今やっていますけれども、こういうわけでおくれていますとか、いつごろには着工ができそうですとか、いつごろ終わるめどを持っていますとか、そういう情報を、せっかくいいことをやっているのに、さっぱり進んでいないなどと言われないようにやっていただきたいということをお願いして、終わります。
〇岩崎友一委員 まず最初に、ホタテガイの貝毒の関係についてお尋ねしたいと思います。
この麻痺性貝毒によるホタテガイの出荷自主規制が、ことしは本当にひどいと思っていました。これまでよりも広域的だと思いますし、ことしの3月以降、釜石市から南ですか、ですから、本県沿岸部の約半分になるかと思うのですけれども、その地域が規制の対象となっておりまして、漁師、組合、流通、そして水産加工と、多くの方々が頭を抱えている状況でございます。
きょうの新聞には、大船渡湾東部の規制解除ということが載っておりましたけれども、釜石湾などは、いまだに特に数値が高い状況で高どまりしているかと思います。
今の出荷規制の現状について、まずはお尋ねいたします。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 ホタテガイの出荷自主規制の現状についてでございますが、ことしの貝毒による出荷自主規制は、3月以降、釜石市以南の最大6海域に及ぶなど、これまでになく広域化、長期化しております。これらの地域の漁業、加工業者などにさまざまな影響を与えていると承知しているところでございます。
昨日、大船渡湾東部の出荷自主規制が解除されまして、きょう現在、規制された6海域中4海域で規制は解除されているところですが、委員おっしゃるとおり、釜石湾海域と県南の広田湾を中心としました南部海域の2海域につきましては、規制が継続している状況にあります。
〇岩崎友一委員 3月からずっと規制ですから、これは本当に深刻な状況であります。本当に悩ましいのは、これまで加工用だけでも使えるようにとか、いろいろ工夫されてきたかと思うのですが、出荷して、万が一問題が起きれば、やはりブランドにも影響しかねないので、本当ににっちもさっちもいかない状況でございます。
まず、私もいろいろ勉強していますし、いろいろな方に聞いていますが、なかなかわからない部分があるのですが、県として、現段階で、この広域化、長期化の原因をどのように捉えているのかと、これは3月からずっと続いているわけですが、この間の対策等あればお示しいただきたいと思います。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 まずは、貝毒の原因の究明でございますけれども、水産技術センターが釜石湾などで貝毒の原因となるプランクトンの発生状況を調査しているところでございますが、ことしの貝毒の広域化、長期化の原因を解明できるまでには、残念ながら至っていないところでございます。
ことしの貝毒は、本県のみならず全国で広域的に発生していることから、その原因の解明は全国的な課題となっております。そこで、県では、他県と連携しながら、まず国に対して、国の研究機関を中心とする、もちろん県の研究機関も入りながらですが、この調査研究事業を創設しまして、この原因等を解明していく必要があろうと思っておりますので、今後、国に要望していきたいと思っております。
次に、県の対応についてでございますが、まずは、これまで、県漁業協同組合連合会と連携しまして、毒化したホタテガイの加工向け出荷基準を緩和し、これによりまして、釜石湾を除く全ての海域において、貝柱を加工原料とする出荷が行われたところでございます。
加えまして、毒化したホタテガイを扱う漁業者や加工業者などに対しまして、基準に沿って適切に、安全をしっかり確保するように指導してきたところでございます。
さらに、今後ですけれども、釜石湾などの出荷自主規制が長期化しておりますので、まずは、県の漁業共済組合に対しまして、漁業者への減収補填のための共済金の早期の支払いを指導してまいりたいと思いますし、そのほか、県漁業協同組合連合会との連携によるさらなる基準緩和の検討ですとか、あるいは水産技術センターを中心に、毒化したホタテガイなど水産物の毒量を下げるような技術の開発、確立に向けた試験、研究を進めていきたいと考えております。
〇岩崎友一委員 ぜひよろしくお願いします。ホタテも、東日本大震災津波後にホタテを扱う養殖業者がかなり減りまして、またこういったことがあれば、お金的には共済金云々というのはあるかもしれませんが、やはりやりがいだったりといったものを含めると、今、大きな課題である後継者の問題ですとか所得の問題にもかかわってくるかと思いますので、ぜひ、他県とも連携して、また、国とも連携しながら、原因の究明であったり新技術の開発といったものを進めていっていただきたいと思います。
もう一点が、浪板海岸の砂浜再生についてでありますけれども、県ではこの間、前向きに国と協議を進めていただいていると理解しております。ことしの3月、県が開催しました浪板海岸砂浜再生技術検討委員会において、技術的には砂浜再生は可能という見解が示されておりますけれども、その後の取り組み状況と、今後の見通し、スケジュールをお伺いしたいと思います。
〇阿部漁港漁村課総括課長 浪板海岸の砂浜再生についてでありますが、浪板海岸の砂浜再生に向けまして、平成30年度は、漂砂シミュレーション等を実施し、砂浜が長期的に安定することを確認したことから、砂浜再生の設計着手について、10月9日に復興庁との協議が調ったところでございます。
今後、学識経験者の助言を得ながら、砂浜再生に向けた技術的検討を速やかに進めていくとともに、引き続き、復興庁と設計等に関する協議を重ね、2020年度までの砂浜再生工事の完成を目指し取り組んでまいります。
〇岩崎友一委員 本当に、復興庁との協議にいろいろ壁があったのもわかっております。私も要望にも行きましたけれども、なかなかすぐには進まなくて、県のほうで相当御助力をいただいたと思うのですが、やはり観光の話にもなるわけでありますが、今はまだ砂浜がほぼなく少し戻ってきたかどうかという状況ですが、やはり夏にはサーファーの方が、かなり天気が悪く、こういった状況でもやるのかと思うような状況でも、かなりの方々が来ております。これは神奈川県とか県外の方々も結構来ているのですが、砂浜再生を期待しております。震災後の地域経済に大きく寄与するものでありますので、ぜひ、今後ともしっかりと進めていただきたいと思います。
〇飯澤匡委員 最初に、いわての森林づくり県民税による強度間伐の実績低下に関してお伺いします。
主要施策の成果に関する説明書によりますと、目標値1万7、500ヘクタールに対して、実績値1万5、507ヘクタールで、達成度はDとなっています。なぜ達成できなかったのか。ここに書いてあるのは、復興工事等に伴う伐採作業の増加に加え、国産材の需要の高まりから素材生産などの作業が増加したと。要するに作業員のパイが少ないのでそちらにとられてしまったということが書いてありますが、それ以外に何か理由があったら示してください。
それから、いわての森林づくり県民税は法定外目的税であり、納税者が、この森林づくり県民税を使って森林整備をするということで納税しているわけですから、県が示した目標を達成していないということについては、納税者の期待に対し私は何らかの説明責任が伴うと考えておりますので、この点をどのように認識しているのかお伺いします。
もう一点、いわての森林づくり県民税の認知度についても、主要施策の成果に関する説明書では達成度C、このような評価を受けておりますが、調査方法と今後の対応策について、あわせてお伺いします。
〇大畑林業振興課総括課長 まず、いわて環境の森整備事業でございます。委員御指摘のとおり、復興工事等に伴います伐採作業の増加に伴いまして間伐を行う作業員が不足したことが、森林組合とさまざま意見交換をしている中で指摘されているところでございますので、大きくはこれが要因であろうと思っております。
それから、森林所有者の皆様方が、この制度を理解していない部分もあるかとは思っておりますけれども、そういったところを広報等もしながら、私ども取り組んでいるところでございます。
今回のこの事業の実績でございますけれども、復興工事が本格化した平成25年度以降、目標面積を下回っている状況が続いております。この間、県としても森林組合と意見交換をしながら、地域間での労務調整等を働きかけてきたほか、昨年度は、新たな事業体の掘り起こしに取り組んだところでございます。この結果、昨年度は3事業体が新たに事業主体として参画いただいたところでございます。
今後とも、県としてこうした取り組みを進めること、それから、森林所有者への制度の周知や働きかけも積極的に行いながら、目標面積を確保できるよう取り組んでいきたいと考えております。
同じく、いわての森林づくり県民税の目標達成、目的達成の県民への説明という部分でございます。県民税を活用した事業の実績につきましては、目標達成に至らなかった点を含めまして、いわての森林づくり県民税事業評価委員会において、御報告、御説明をし、有識者から御意見を頂戴しているところでございます。
今後におきましては、新聞広告等によりまして事業実績をお知らせするなど、県民向けの広報をより丁寧に行っていくことを検討していきたいと考えており、目標達成に向けた取り組みをより一層強化しながら、県としての責務をきちんと果たしていけるよう取り組んでまいりたいと考えております。
それから、いわての森林づくり県民税の認知度でございます。まず、調査方法でございますけれども、認知度調査につきましては、インターネットを活用して実施しております。具体的には、アンケート調査専用のウエブサイトを開設いたしまして、昨年度は、昨年12月から本年1月にかけて、森林環境保全への関心の有無、それから、県民税の制度を知っているかどうかなど五つの質問を設けまして、517人の方から回答をいただいたところでございます。
次に、この達成度がCという状況でございますけれども、これまでのアンケートにおきましては、若年層の認知度が低い傾向にあるということで、平成29年度におきましては、若年層向けにインターネットの動画検索サイト、ユーチューブを活用した広報を実施したところでございます。
これによりまして、平成29年度のアンケート結果では、若年層の認知度向上が見られたところでございます。全体の認知度約55%ということで、平成28年度と比較すれば17ポイント向上したところではありますが、目標の70%には達しなかったところでありますので、より一層の取り組みが必要と考えております。
平成30年度におきましては、一定の効果がありましたユーチューブの活用を継続していくこと、それから、新たに児童、生徒、一般の方々の理解を深めていただけるよう、県民税の啓発も含めた森林環境学習用のDVDを制作、公開いたしまして、あらゆる世代で認知度が向上するよう取り組んでいるところでございます。
〇飯澤匡委員 岩手県が森林県であるのは言うまでもなく、このポテンシャルをこれから将来にどのように生かすかは、岩手県が逆に試されている。そういう意味においては、議会でもこの県民税を導入するときには大きな議論がありましたが、確かにあのころの議論の様子を思い出すと、果たしてどの程度の効果が出るのかと。一定程度効果が出ているのですが、認知度が少ない。それから、これは構造的な問題ですけれども、やっぱり施業をしている人たちの層が薄いということに起因しているわけですね。
先ほど答弁をいただきましたが、いわて林業アカデミーなども通じて、そこら辺は頑張っていると私も認識をしておりますが、まだまだちょっと足りないと。特に私の問題意識は、やはり県民から法定外目的税として取っているので、これに対して当該部は、そういうしっかりとした税に対する認識を持って管理をしていくこと、計画的な施業に対してももうちょっと強い意識づけが必要だと私は思うのですが、その点については今御答弁がありました。
今後、さらに加えて、もっと学校の教育現場であったり、これはいろいろな場面を通じて認知を高め、そして、やはり税ということをさらに強調して、いただいているのでこれだけやっていますというのは、もっともっとやっている部分も含めて発信すべきだと思いますが、その点はいかがですか。
〇大畑林業振興課総括課長 委員御指摘のとおり、県民税につきましては、森林の有する公益的機能の維持増進に活用する、あるいは県民の皆様が取り組む森林環境教育、森林環境保全といった取り組みを支援する目的で創設された税であります。これは、県民の皆様の御理解の上で成り立っている制度だと思っております。
毎年度、税収を適切かつ有効に活用していく責任があると考えておりますので、森林の整備、強度間伐はもとより、委員から御指摘のありました学校現場における森林環境教育の支援、あるいはNPO、地域住民団体が、地域の中で活動している取り組みを、積極的に支援できるように取り組んでまいりたいと思います。
〇飯澤匡委員 この件は最後にしますが、我が一関地方でも、この間育樹祭がありまして、県からも御祝辞があったわけですが、この県民税についてはなかなか触れられないのですね。だから、やはりもう少し県庁内でも、広域振興局を含めて、もう一回この県民税がなぜ設立をされたのかという意義を新たに照らして、事あるごとに広報のやり方にも留意をされたいと思います。
2点目ですが、間伐材の利用率について。以前にも指摘をしましたが、なかなかこの主要施策の成果に関する説明書に実績値が示されない。間に合わないということもあるのでしょうけれども、実績値が示されないと評価ができない。指標改善の工夫が必要かと私は思うのですけれども、その点についてはどのように考察をされていますか。課題等があれば、それもお示し願いたいと思います。
〇橋本森林整備課総括課長 委員御指摘のとおり、主要施策の成果に関する説明書作成の段階では、間伐材の利用率は調査中でありまして、実績値をお示しすることができなかったものであります。
現在、9月中旬に取りまとめた数値では、目標値40.2%に対し、実績値が40.8%になっているところであります。
実績値をお示しすることができなかった理由としては、平成29年度中に生産された間伐材が、土場といいまして、山土場ともいいますけれども、その土場に集積され、年度を越えて出荷されているものがあったということで、それらの動きを把握するまで一定の期間を要したもので夏ごろに出荷先や用途がわかったところであります。そのため、実績の取りまとめが遅くなったところでございます。
間伐材利用率は、間伐材の利用状況を把握する上で重要な指標であり、実際に調査を行う現地機関と調査方法等について協議を進め、できる限り早期に把握するよう検討していきます。
〇飯澤匡委員 わかりました。やはり成果を求めて、それをもとにして、反省をしながら次の展開をしていくためにこの評価があると思いますので、できる限り御努力をいただきたいと思います。
最後に、決算とは直接的には関係ないのですけれども、これまで多くの議論が長期計画に関する質疑においてされました。この際、農林水産部長にお聞きします。1回しか質問しませんので、お答え願いたいと思います。
今の長期計画では、農林水産業は、農林水産業、食と緑の創造県というタイトルがついて、七つの政策の柱の2番目として、主要な政策、そしてまた、皆様方も主要な部局として今日、政策課題に当たっているわけであります。
今回示されている次期総合計画長期ビジョン中間案では、仕事・収入の政策体系に組み込まれて、いわば雇用、商工と同列のカテゴリーにあるわけです。これはこれまで議論がありましたが、私は、岩手の農林水産業のいろいろな施策を今後展開していく上で、この明確でないやり方については今でも理解できない部分があります。
農というのは、やはり私たちの生活、もちろん産業、経済、コミュニティー、暮らしの根本をなす普遍的な存在であり、我が県のいわゆる象徴的ななりわいであると私は思っております。
いわゆるこの農というものに対していろいろな考え方がありますけれども、私は、金足農業高校の校歌に、農はこれたぐひなき愛、日輪のたぐひなき愛というのが、まさしくこの農耕生活の中にあり、幾千年も続いてきた我がふるさとのありようだと思っております。
これから、この歴史を踏まえてもっともっと盛んにしていかなければならないという観点に立って、この政策体系について当該部長に聞くのは、これがいいとか悪いとかという問題ではなくて、岩手の農林水産業の矜持、部長の答弁を参考にしながら、この長期計画についても私たちは議論していきたいと思いますので、その一端をお知らせ願いたいと思います。
〇上田農林水産部長 次期総合計画に関してのお尋ねでございます。
まずは、恐縮でございますが、本県農林水産業についての基本的な認識をお話しさせていただきたいと思います。
本県の農林水産業は、食品産業や観光業など他産業への波及が大きい裾野の広い産業であるとともに、農山漁村という生活と生産の場を通じまして、多彩な文化や風土が育まれ、豊かな地域社会が築かれるなど、県民生活と密接に結びついており、将来にわたり持続的に発展することが重要であると考えております。
お示しさせていただいております次期総合計画長期ビジョン中間案の中では、仕事・収入の分野に農林水産業の振興、それから農山漁村の活性化に係る政策項目を掲げさせていただき、その中で、まず一つは、農林水産業の振興につきましては、地域の核となる経営力の高い経営体の育成あるいは生産性、収益性の高い産地の形成、そして、地域特産品などのブランド化などの取り組みを、また、農山漁村の活性化に向けましては、地域を牽引するリーダーの育成あるいは農地や森林等を保全する共同活動の推進、また、地域資源を生かしたグリーンツーリズムや6次産業化などの取り組みを重点的に進めていくこととしているものでございます。
この中間案は、パブリックコメントあるいは各種の審議会など、さまざまな機会を通じて幅広く御意見を頂戴し、その御趣旨を盛り込みながらまとめさせていただいたものでございます。長期ビジョン中間案に加え、政策プラン(仮称)素案についてもお示ししておりますので、今後、さらに丁寧に御意見等を伺いながら、本県の農林水産業の振興と農山漁村の活性化に向けた計画の策定に取り組んでいく考えであります。
〇工藤大輔委員 先般、青森県南部町で、青森県南地域で初めて松くい虫被害が確認されました。岩手県北の木材業界というか産業にかかわる人たちには、ショッキングな話題となっています。県北地方と青森県南地方は全国有数のアカマツの産地となっており、どういう経路で青森県南で発生したかということが注視されるわけであります。
青森県の現在の松くい虫の被害は、近年、日本海側の深浦町で継続的に発生している。2016年7月からの1年間では約70本程度の被害が確認されているという状況にあって、本県では、ピーク時には約4万立方メートル程度の被害から、さまざまな取り組みもあって3万立方メートルまで被害が減少しているという傾向でありますが、一方では被害が北上しているという大きな課題もあります。2017年には一戸町で3本の被害木が発生したこともあり、県北地域においての松くい虫被害対策が急務になっていると思います。
今回の青森県で発生した事案を受け、どのような対策を講じようとしているのかお伺いしたいと思います。また、所見についてもお伺いします。
〇佐藤整備課長 青森県南部町で発生しました松くい虫被害の対応についてでございますが、松くい虫被害が確認されました5本につきましては、11月末までに全て伐倒薫蒸処理が行われると青森県から伺っているところでございます。
県では、県境近くでの発生であることを踏まえ、二戸管内の松くい虫等防除推進員による製材所や森林の巡視回数をふやすなど監視体制の強化を図るとともに、青森県と密接に連携し、松くい虫被害が県北地域に定着しないよう、必要な防除対策を講じてまいります。
また、全国的にアカマツ資源の枯渇が懸念されている中、本県の質、量ともに豊富なアカマツ資源は貴重であり、引き続き関係者に対し、松くい虫防除への理解と協力を求めてまいります。
〇工藤大輔委員 被害の規模を確認するには、1年程度ではなくて、やはり複数年しっかりと監視を強化して、早期発見、早期駆除に徹しなければならないと思います。先ほどの答えでは、監視を強化するとは言っていますが、例えば上空からドローンを活用した探査をするとか広範囲に確認する必要があると思いますし、実際、青森県ではそのような対応もとるということであります。
国道4号の青森県南部町から岩手県境までの約18キロメートルをしっかりと監視をするということのようですが、やはりこれは、青森県では、国道4号を北上したと見ているからだと思います。
2017年に一戸町でも発生したことを踏まえて、国道4号沿いの対策の強化はやはり取り組んでいかなければならないと思いますけれども、もう一度、どのように強化するのか、私は、これはかなりやらないと本当に定着するかもしれないという危機感を持っての質問ですので、対策について改めてお伺いします。
〇佐藤整備課長 委員御指摘のとおり、国道4号での被害の早期発見が重要になってくると思います。これにつきましては、青森県でもドローンが活用されておりますけれども、本県におきましても、現地機関あるいは市町村で所有しているドローンも活用しながら、早期発見に努めてまいりたいと考えております。
さらには、委員御指摘のありましたとおり、年越し枯れといいまして、その年に枯れずに、徐々に枯れていく被害木もございます。見た目で、外見上ではわかりづらい、緑のままでも被害を受けている木があります。そういったものにつきましては、ヤニ打ちといいまして、小さな穴をあけましてヤニが出ているか出ていないかを確認して、出ていないものは枯れていると判断しまして、それらも含めて駆除していくことで対策を強化してまいりたいと思っております。
〇工藤大輔委員 青森県、岩手県両県ともに、近年、製材の大型工場、プレカット工場あるいは集成材の工場、また、バイオマス工場がバイオマスの関係で利用されますので、かなり多くつくられて稼働しているわけですけれども、それによってかなりエリアも広範囲にわたって必要量も多くなってきますので、移動しているのが以前に比べても多いのだと思います。
そこで、例えば被害林のマップ等を作成して、数年間はそのエリアから移動する際には何か注意をするなり、特に被害の大きいエリアからの移動に関しては、数年間はこのエリアからは移動させないとか、何らか気をつける点を、あるいは業界の方々に気をつけてもらうような一つの指針なども示しながら、対策を講じるのがよりよいかと思いますけれども、県としてはどのような考えかお伺いしたいと思います。
〇佐藤整備課長 委員御指摘のありました被害地域からの松の移動についてでございますけれども、基本的には、被害木につきましては移動が禁止されているところでございます。
そのほかに、健全なアカマツも移動してはどうかということと認識しましたけれども、これにつきましては、森林所有者あるいは素材生産業者等への影響が大きいことを考えますと、なかなか難しい部分もあろうかと思いますが、これからいろいろ研究してまいりたいと思っております。
〇工藤大輔委員 私が言っているのは、被害木は当然移動させてはいけないのはそのとおりです。被害木があった場所を、伐採する方々も含めて、まず情報の共有ができているのかどうか。ここで発生しているかどうかということが全くわからないまま、発生地において、必要だからといってどんどん県内あるいは県北、県南、これは隣県も含めて移動させることによって被害が拡大するのではないかと。
その拡大しない方法として、まずは情報を共有しながら、関係者の方々に注意喚起をしてもらうことも必要なのだと思います。そういった取り組みについては、隣県とも協議を深めながら、どうすれば松くい虫被害のこれ以上の拡大を防げるのかについての効果的な対策を講じてほしいと思います。これについては要望したいと思います。
次に、その松くい虫抵抗性の苗木を県でも近年つくっていると思いますが、この造林の実績であったり、民間ではなかなか活用がないということも伺っていたわけですが、民間利用での活用の状況についてお伺いします。
〇佐藤整備課長 松くい虫抵抗性苗木の造林実績についてでございますが、平成29年度は、陸前高田市の高田松原を再生するために治山事業で1.24ヘクタール、それから奥州市で開催されましたいわての森林の感謝祭で0.04ヘクタール、合わせて1.28ヘクタール、6、300本の造林実績となっております。
民間の利用状況についてでございますが、平成29年度はありませんでしたが、平成30年度現在ですが、一関市及び野田村で2.6ヘクタール、5、900本ほどの造林実績となっているところでございます。
今後とも、景勝地や沿岸部の防潮林などへの松くい虫抵抗性苗木の活用を進めまして、抵抗性の優位性を示しながら、県の木でもありますアカマツの植栽を促進してまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 県木であるアカマツの資源量は、松くい虫被害や、また、アカマツの価格や需要の低下等もあってカラマツに置きかえられていく、他の樹種への変換が進んでいることもあって、かなり以前と比べても資源量は減少していく、そして、これからも減少していくのだなと思うところであります。やはり県木をどう守っていくかという視点は大事だと思いますので、取り組んでいただきたいと思いますし、ぜひ、民間でも利用されればいいなとも思うところです。
やはり利用してもらうためには、アカマツの利用拡大も必要だと思いますけれども、その利用拡大に向け、また県北のほうでもナンブアカマツのブランド化に向けての取り組みも進めているわけですけれども、県木アカマツの利用拡大に向けてどう取り組むのか、積極的な答弁があれば期待をしたいと思います。
〇大畑林業振興課総括課長 御指摘のありましたアカマツの活用でございます。県林業技術センターにおきましては、平成26年度からアカマツCLTの技術開発に取り組んでおり一定程度、研究開発が進展してきたところで、今後は、民間企業への技術移転といいますか共同研究といったところへ進めていく段階にあるかと思っております。アカマツ活用という観点で、そういったCLT技術の開発促進に取り組んでいきたいと思っております。
それから、アカマツは、文化財の修復資材ということで近年注目が集まっていると聞いております。そういう意味で、国内で文化財修復が毎年行われておりますので、修復事業を請け負う企業といいますか、そういったところへの売り込み活動を進めていくこと、それから、一般住宅の内装材としても、木目が白くてきれいだというところでアカマツは注目されているところでございます。
市場関係者からも、岩手のアカマツを使って何か製材品がつくれないものかという相談も受けておりますので、今、県内企業の皆さんと相談をしながら、どういった製材品を製作、供給できるのか、市場関係者の意見も伺いながら取り組んでいるところでございます。そういった取り組みがうまくいくように、私たちも取り組みながら、アカマツの有効利用を進めていきたいと考えてございます。
〇工藤大輔委員 東京2020オリンピック、パラリンピックにおいても、これはアカマツに限らないかとは思いますが、森林認証を受けた山からの木材が利用されるということですので、さまざまな機会を通じて、アカマツの材質のよさをPRしていただきながら、利用拡大に努めていただきますようにお願いしたいと思います。
もう一点、最後に、少花粉杉の供給についてもお伺いしたいと思います。これについては県でも開発を進めておりますが、供給はどのような形で進めているのか。また、林業技術センターでつくる容量が、マックスこのぐらいというのが決まっているようですけれども、今後、種も含めた供給体制の確立を目指そうとしていると思いますが、今後の供給の拡大計画についてもお伺いしたいと思います。
〇橋本森林整備課総括課長 少花粉杉の関係での供給実績と供給の拡大についてということでございますけれども、供給実績につきましては、県では、苗木生産者に対して、少花粉杉品種の挿し木苗のもととなる挿し穂を供給しており、その実績は、平成29年度が1万7、500本、平成30年度が、これは今年度ですので見込みということになりますけれども、2万4、000本となっております。
さらに、今後の供給の拡大ということでありますけれども、現在は、この挿し穂の供給をやっているわけですが、さらに少花粉杉の種子を供給するため、平成27年度から、樹高を低く抑えて種子採取を容易にするミニチュア採種園の造成を進めており、平成31年度から苗木生産者に種子の供給が可能となる見込みでございまして、今後、少花粉杉の苗木供給を拡大していきたいと考えております。
〇高橋但馬委員 地域森林経営を担う経営体の育成の具体的な推進方策の林業技能者数が、年度目標485人に対して実績値491人で、達成度Aということで、過去2年のBから上がったという状況にあります。これは、平成29年4月に開講したいわて林業アカデミーが寄与していると考えるのですけれども、ここ2年間の受講状況をお示し願います。
〇橋本森林整備課総括課長 いわて林業アカデミーの受講状況ということでお尋ねがありました。
まず、開講初年度の平成29年度は15名が受講したところであり、年齢別の内訳は、10代が11名、20代が3名、30代が1名となっております。出身学校別では、高校新卒者が10名、高校既卒者が1名、大学、短大新卒者が2名、大学既卒者が2名となっております。
平成30年度は、今年度ですけれども、18名が受講しており、年齢別の内訳は、10代が8名、20代が9名、30代が1名となっております。出身学校別では、高校新卒者が8名、高校既卒者が6名、大学、短大等既卒者が4名となっております。
〇高橋但馬委員 平成29年度、平成30年度の状況を踏まえて、来年度のアカデミー研修生の募集概要の応募資格が大きく変わっているわけですけれども、その理由をお示しください。
〇橋本森林整備課総括課長 募集要項の応募資格の変更についてでありますが、平成30年度研修生の募集要項では、一般選考での年齢に関する規定をおおむね30歳までの者としておりましたが、平成31年度研修生の募集要項では、昭和54年4月2日以降に生まれた者、つまり平成31年4月1日時点で40歳未満の者と変更しております。
この変更については、外部有識者等で構成するいわて林業アカデミー運営協議会において、他産業─林業以外─から林業への従事を希望する30歳代の方も対象にすべきとの意見が出されたことを踏まえまして、他産業で培った職業経験が林業にもよい影響を与えるということで年齢に関する要件を変更したところでございます。
〇高橋但馬委員 県の林業就業者数の年齢別を見ると、39歳以下が393人で21%、40から59歳が679人で37%、60歳以上が764人で42%ということで、60歳以上が4割を超えているということですけれども、この現状を県としてはどう捉えていますか。
〇橋本森林整備課総括課長 60歳以上が4割を超えている現状についてでありますけれども、近い将来、60歳以上の林業就業者の引退が本格化することが予想されることから、確実な世代交代を図るため、若い就業者の確保が重要と考えております。
このため、岩手県林業労働対策基金と連携して、就業希望者を対象とした林業体験教室や高校生を対象とした高性能林業機械試乗体験や職場見学会を開催し、林業就業者の確保に努めているほか、いわて林業アカデミーや緑の雇用制度による現場技術者の養成に取り組んでおります。
〇高橋但馬委員 60歳以上の方々がこれから離職するので若い林業就業者をふやしていかなければいけないと。いわて林業アカデミーでも緑の青年就業準備給付金制度を活用できて、これは月12万5、000円、最大11カ月給付されると。しかし、この給付は、常用雇用の契約を締結していないというのが支給の要件になっています。いただいた資料によれば県の年間の林業就業者の平均所得は約270万円で、緑の青年就業準備給付金は一回仕事をやめなければいけないので、月額にすると10万円分の収入の減ということになるわけです。
先ほどお聞きすると、20代、30代の受講の方が多いと思うのですけれども、例えばぎりぎりの39歳の方がこれを利用して受講した場合、技能者になるまでの1年間の部分が非常に生活がままならないと思うのですが、そういうことを考えると、県としてせめて平均所得になるぐらいの何らかの補助があってもいいのかなと考えるのですけれども、その辺はどう考えますか。
〇橋本森林整備課総括課長 緑の青年就業準備給付金のほかに何かそういった若手の就業者等を支援する仕組みはないのかという御質問かと思います。
県の独自支援というわけではありませんけれども、県では、先ほど言いました緑の青年就業準備給付金のほか、県が出捐している岩手県林業労働対策基金を通じ、新規就業者や既就業者の段階的な技術習得を目的とした緑の雇用現場技能者育成研修の参加者に対して研修費用の一部を助成しているところでございます。
また、林業技術センターにおいては、受講者の費用を伴わない高性能林業機械オペレーター特別研修を実施するなど、林業技術者への支援を行っているところでございます。
〇高橋但馬委員 私が相談を受けた方は、林業について8年、現在、39歳で、いまだ年収が200万円に届かないワーキングプアの生活をしていると。林業就業者の充足率が40%ということで、人手不足なのになぜ賃金が上がらないのかという問題に悩んでいるということでありました。
これは林業にかかわらずいろいろな職種にあることだとは考えるのですけれども、やはりこれから林業に就業する若者をふやしていくことを考えるのであれば、年間の平均所得以上の所得がもらえるようなことをしていかなければ、今後、60歳以上の方々がいなくなった場合、岩手の林業がどうなっていくのかということになりますけれども、ここの部分については部長の所見を伺いたいと思います。
〇上田農林水産部長 新規の林業就業者に関してのお尋ねでございます。
林業の就業者全体につきましては、近年、減少傾向にございます。ただ、新規参入者だけを見ますと、年間約90名程度の方が林業に就業していらっしゃいます。これは、例えば農業などと比べましても─そもそも産業規模が違うものですから─かなりの数の方がいらっしゃると受けとめております。
こうした新規就業者を初めとして、もう既に就業なさっている方も含めて、継続して安心して就業していくことがやはり大事だと考えております。そのためには、委員からのお話にもありましたとおり、福利厚生あるいは給与等についての待遇改善を図っていくことが重要と考えております。
このためには、経営体の力をつけさせることがまず一つ大事だろうと考えております。特に森林経営実践力アップ研修などがございまして、これは経営者の方々の意識改革あるいは経営力向上を目的に開催しているものでございますが、それに取り組んでおります。
それから、実際の給与水準で、先ほど例として200万円に年収が届かないというお話がございました。就業形態がわかりませんので一概には比較できませんけれども、県の林業従業者の年収の平均をとりますと、古い資料ですと260万円、直近のものですと285万円ということで、それはかなり低い状況にあろうかと思います。
詳細な事由はわかりませんけれども、一般的には、恐らく高度な林業スキルが必要な仕事に従事していらっしゃらない可能性が高いのかなと思います。そういったことで、いわて林業アカデミーでもやっておりますけれども、そういった方々のスキルをアップさせて、より重要な仕事で給料が高いところの職につけるような取り組みをしてまいっているところでございまして、一つの例示はいわて林業アカデミーでございます。39歳というお話でございましたので、もうぎりぎりということになりますけれども。
さらに、関係団体と連携いたしまして、月給制による通年雇用、あるいは社会保険、退職金共済への加入など労働条件の改善といったものを経営体にいろいろと支援して経営指導もやっている、そういった取り組みもございまして、その内容についても支援しているところでございます。
このような取り組みを通じまして、林業就業者の所得向上、そして新規参入者の確保に努めてまいりたいと考えます。
〇高橋但馬委員 ぜひこういう方々がそういう情報を得られるように、農林水産部としてもしっかりとアピールをしていただきたいと思います。
〇高橋孝眞委員 私は、久慈市冷凍水産加工業協同組合からの補助金返還の状況についてお伺いしたいと思います。
これは大原商店から回収しながら県に返還していくということでの説明がありました。きのう、大原商店の会社更生法の計画が認可されたという情報提供を受けたわけでありますけれども、それはもう少し後に聞くことにしまして、最初に、平成27年に請求しました1、635万5、000円の補助金返還があるわけですが、これは3年間の履行延期をしたということであります。3年間というとことしになるのかなと感じるわけでありますけれども、これはどういうふうになっているか。
それから、残りの分は2億2、400万円の請求額合計になるわけですけれども、約2億円分につきましては、その翌年度に10年間の延期をしたということになっているわけであります。これの回収は十分できるのかどうかについてお伺いしたいと思いますし、県は、再三にわたって久慈市冷凍水産加工協同組合に対して指導、助言をしていきますというふうにお話ししておったわけでありますけれども、県の指導体制もあわせてお聞かせ願いたいと思います。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 久慈市冷凍水産加工業協同組合に係る会社更生法の適用についてでございますが、まず、その前に1点、平成27年から3年間返済が履行延期された補助金1、635万円についてでございますが、これは、返済期限がことし6月4日でございました。これは久慈市冷凍水産加工業協同組合─この後は加工協と呼ばせていただきます─から同日までに全額県に返済されております。
続きまして、約2億円の返済を10年間延期しているということですが、この2億円は大きな金額でございますので、加工協がどのように返済していくかということで、その返済の方法として会社更生法の手続を行うということで加工協は弁護士と相談しまして、この申し出を昨年8月に行っております。そして、本年2月にこの手続の開始決定が東京地方裁判所から行われまして、それを経まして、管財人等の調査のもと更正計画がつくられ、そして今般、この更正計画が認可されたということであり、今後は、この計画が履行されることで大原商店が再建されていくと認識しておるところでございます。
再建された大原商店から加工協は補助金の返済を受けて、そしてそれを県に返済するという形でこの2億円を回収していくという考え方で、大原商店がしっかりと再建され、県に返済がされることを期待しているところでございます。
それから、県の指導あるいは助言体制ということでございますが、県は、この補助金返還問題が発覚した平成26年度、農林水産部長のもと特命チームを設置しまして、他部局とも連携しまして、一体となって問題解決に取り組んできたところでございます。
今後も引き続き関係部局と連携しまして、補助金が返済されるよう、組合に対し、関係機関や団体と協力いたしまして指導、助言を行ってまいりたいと考えております。
〇高橋孝眞委員 では、大原商店の会社更生法の認可の関係についてでありますけれども、きのういただいた資料を見ますと、弁済に当たっては、債権者の有する債権について一定の免除を受けるということになっております。この債権カットにつきましては、会社更生法から考えますと大きな割合になるのだろうと思います。大きく言うと配当は5%しかないとか10%しかないとかというふうになるんだろうと思いますけれども、債権カットについてはどの程度されるのかについてお聞かせ願いたいと思います。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 昨日、配らせていただきました資料につきまして、その資料の1の(2)、弁済に当たっては、債権者の有する債権について一定の免除を受けるということで、これは、一般的な会社更生法の手続ではこのようになっているということでございます。
今回の会社更生法による債権カットについてでございますが、この会社更生法の計画の内容は、認可はされたのですが、まだ東京地方裁判所から公表されておりません。それに先立ち県がコメントするのは差し控えさせていただきたいと思っております。
〇高橋孝眞委員 公表できないのであればそれはそれで仕方ないのかもしれませんが、認可するということは、会社更生法を適用するということにつきましては、申請する、債権を最終的には回収できないから、債権者ないしは会社更生法を適用させていくわけでありますけれども、当然カットになると思います。この点はおわかりだろうと思います。このカットされた部分、例えば、先ほど5%、10%しか配当がないのではないかと言いましたけれども、大きく言いまして半分しかカットされませんでしたよということで考えますと、加工協から見ますと、大原商店からいただく部分が半分になりましたということになるわけですよね。例えば2億円だったら1億円しか加工協には入ってこないわけです。その分はカットされたわけですね。にもかかわらず、先ほどの答弁ですと、大原商店から全額いただいて県のほうに返還するようなお話なのですけれども、それはそのとおりなのですか。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 更生計画の内容になると思いますので、大変恐縮ですが、詳しいことは申し上げられませんけれども、一般的に、カットされる部分は、昨日の資料でも、あるだろうということです。一方で会社が再建されていくということになりますので、この仕組みにつきましては、更生計画の中でそのような仕組みになっていると。要するに県に補助金が返還されるような仕組みが組み立てられていると聞いております。これ以上の詳しいことは、申しわけございませんが、差し控えさせていただきたいと思います。
〇高橋孝眞委員 先ほど、特命チームをつくって指導していますよという答弁でしたよね。そうしますと、加工協の経営の中身はほとんどわかっているはずですよね。わかっているということであれば、100%そういう格好で回収できますよということをお話しされているというふうに認識してよろしいのでしょうか。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 今後、大原商店が再建されまして、その再建で経営が軌道に乗っていく。まずはそういうところをしっかりと加工協等が見ていきながら、そして県も助言等をしていきながら再建を軌道に乗せる。そのような中で補助金を県にも返済していただくというような指導、助言等を引き続き続けてまいりたいと思っております。
〇高橋孝眞委員 指導することはそのとおりですから、100%回収できるように私は指導していただきたいと思いますが、ちょっと勘違いしているのではないかと思います。会社更生法上、50%カットになりますと、それ以上は大原商店から回収することはできませんよね。回収することができないということは、先ほど言いましたとおり2億円の半分は回収することになりましても、1億円は加工協は大原商店に請求できないのですよ。これを大原商店は加工協に払いますと、会社更生法上から見ますと、全債権を皆さん方に払っていかなければいけないことになりますよね。そういう意味合いでは、認識がちょっと甘いのではないかと思うのです。
指導、助言を十分されて加工協の中身について十分わかっているということですから、100%回収できるものだと私は理解しているわけです。自信を持って答えられていると思うのですけれども、そういう意味合いでは、私自身は、回収に不安はないのですから大丈夫だろうと思いますので最終的にはしっかりとした計画案が示されるだろうと思います。債権カットのことも含めて。そのとき本当に回収できるかどうかについては十分特命チームで検討していただいて、どういう回収の方法をすれば補助金返還、最終的に100%回収できるのかどうかについて考える必要があるだろうと思います。もし回収が困難ということに、私は9割カットされると回収は困難ではないかと思うのですけれども、そうなるとすれば、最終的に10年後にどうのこうのという問題を起こすよりは、今のうちからどうしてこういうふうになってしまったのかということを十分検証して、回収できなければできないなりの仕組みといいますか整理というものを今のうちからやらないと、10年たってからもう一度過去10年前のことを検証しますよと言っても大変だと思うので、そういう面を含めて私は検討していく必要があるのではないかと思いますけれども、部長はこの点についてどのようにお考えでしょうか。
〇上田農林水産部長 委員がおっしゃることについては十分に理解しております。今回、更生計画が認められましたので、何らかの率でもって恐らく債権はカットされると思います。カットされた分については、当然、債権はカットということでございますので、加工協は大原商店からカットされた分を回収することはできません。それは委員おっしゃるとおりでございます。
ちょっと違う話になりますけれども、平成26年からチームをつくりまして検討させていただきました。その中では、かなり早い段階から、今回の大原商店の経営体制などを何とか刷新しないとこれから借金払いが進まない。となると加工協がつらい立場になるということでいろいろ検討した中で、最有力だったのがこの会社更生法による手続でございます。
そのときのスキームの中では、会社更生法によって大原商店の経営陣が一新され、それが可能となりますので、そうしたときで軌道に乗れば大原商店は十分に利益を上げられる。そうした会社設備を持っており、その見込みは高いと考えておりました。
例えば経営の中に加工協が参画、加入するとすれば、その中で出資なりをさせていただく、あるいはそういったことで経営に参画するということになるのですが、そこで新生大原商店が利益を上げた場合、加工協に対して何らかの─これが配当になるかどうかはわかりませんけれども─バックが来るだろうと。そこで何らかのお金なりが新生の大原商店から加工協に戻っていく、こういったスキームがつくれないかということを検討した経緯はございます。
ですので、実際の補助金返還に関しては、カットされた分については回収できませんが、別途、新しい大原商店になったときにもうけを上げて、そこで経営がうまくいった場合に、その範囲内で配当なりのものでもって大原商店から加工協のほうに金が回っていく。そのお金を県への回収に回していくというのが基本的な考え方でございました。
今回どうなるのかについては、先ほど伊藤水産担当技監から申し上げたとおりで、その内容についてつまびらかに私ども承知しておりませんけれども、あるいはこういった今申し上げたような中身で検討されていることは想定されるのではないかと私は考えております。
〇高橋孝眞委員 いずれ最終的には回収するということでありますから、そういうスキームについては、そこはそこでいいと思います。ただ、考えなければいけないことは、最終的には剰余金も出さなければいけない。税金もかかってきますし、それら全てを考えると年間2、000万円か3、000万円、4、000万円なりの収益を上げないと支払いが困難であるということにもなってくると思います。そういう部分も全て含めてこれから十分考えて、万が一回収できない事態に陥るようであれば早目に対応するべきだということを言いたいわけでありまして、そういう意味合いでも、今からきっちりと検証しておくほうがよろしいのではないかと申し上げて、次に行きたいと思います。
負担金、補助金、交付金の不用額についてでありますが、前にいただいておりました資料から、森林整備加速化・林業再生事業費の約1億円余りの不用額と、さけ、ます増殖費の不用額3、400万円、これはどういう理由で不用になってきたのか、それを教えていただきたいと思います。
〇大畑林業振興課総括課長 私から森林整備加速化・林業再生事業費の不用額についてお答え申し上げます。
森林整備加速化・林業再生事業は、林業事業体や木材加工事業体による間伐等の森林整備あるいは木材加工施設、高性能林業機械の整備を支援する事業でございます。
1億800万円余の不用額が生じた理由でございますけれども、間伐等の森林整備の支援のところで間伐に要した経費が当初予定しておりました経費を下回ったこと、林業専用道の線形見直しなどによりまして4、300万円余の不用額が生じたほか、木材加工施設の整備支援の部分におきましては、事業主体が機械の納入業者と見積もり合わせを行った結果、予定価格を下回り、6、500万円余の不用額が生じたことによるものでございます。
なお、この不用額は平成28年度から平成29年度への繰越分で、他への流用を行うことができなかったところでございます。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 さけ、ます増殖費の不用額についてでございますが、本事業は、その名のとおりサケ、マス類についての振興の事業でございまして、ふ化場の放流事業を推進します。そして、種苗生産施設の整備等に要する経費でございます。
2点ほどありますが、まず1点は、施設整備について、入札の結果によりまして入札残が出たということで、その金額が約1、600万円、これが事業として減額されることになりますし、もう一点は、サケ、マスの種卵確保のため、定置網に入りましたサケを親魚、要するに採卵して親の魚として使うのですが、これの購入費がこの事業の中に入っていますけれども、ふ化場の最終的な実績に基づきまして、実績額の確定によりまして約1、800万円の減額が生じたということでございます。
〇高橋孝眞委員 次、部長に聞きたいと思うのですけれども、午前の農業の関係につきましては3人の課長が答弁していましたし、今回は2人の方、合計で5名が回答したわけでありますけれども、それぞれいろいろなことを考えますと、不用額はもっと早くわかってよかったのではないか。そうすると別な事業ができたのではないかと私は思うのでありますけれども、この辺について、部長はどういう認識でこの予算管理といいますか執行を管理しているのかについて教えていただきたいと思います。
〇上田農林水産部長 不用額が出た事業がございますけれども、委員おっしゃるとおり、不用額というのは当然出してはならないものでございますし、そのための予算執行でございます。やむを得ない事情は当然ございますけれども、今、第1部から幾多の事業について御説明申し上げましたが、その中身について、真にやむを得なかったかというと、やはりそうではない。例えば見込みとか何かのところでもっと精緻な見込みをやる余地があったかと言われれば、恐らくそういったものはあるのではないかと私も感じております。
これからにつきましては、2月補正という機会がございますので、その際に可能な限りきちんと精査して、不用となりそうな見込みのあるものについては補正で落として、もしそれで例えばここが余るようであればそれを有効活用したい。そういう方向でぜひとも取り組んでまいりたいと思います。
〇名須川晋委員長 高橋孝眞委員に申し上げます。世話人会の申し合わせにより、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、議事の進行に御協力をお願いします。
〇高橋孝眞委員 実は私は、部長のおっしゃるとおりでよろしいのかなとは思うのですけれども、どこかの段階で全体の予算管理をしていく必要があるのではないかと思うのです。そうしないと、農林水産業そのもの、どの部であろうとそのとおりだと思うのですけれども、全ての予算を管理をしていかないと、執行そのものが、おくれている部分もあれば進んでいる部分、計画どおりいっている部分が分からないと思うのです。これから長期計画を組んでいくわけでして、各年度ごとにマスタープランをつくっていく。そういう意味合いから見ますと、きっちりとどこかの部分できっちりと予算管理をしていく必要があるのではないかと思ってお話ししたところでありまして、そういう意味合いでどのように対応をしていこうとしているのかなと思ったところでありますが、もし所感があればお伺いします。
〇上田農林水産部長 委員おっしゃるとおりでございまして、部の全体の予算管理は農林水産企画室でやっております。機会といたしましては、最後の予算補正でございます2月定例会、2月の予算補正、こういったタイミングもございますので、そこにきっちりと間に合うようにコントロールして、不用額は出さないように工夫する、そういった取り組みについて、どういったものが適当か、そういった検討を進めてまいりたいと存じます。
〇田村勝則委員 私は、いわて県民計画実施状況報告書に基づいて何点か質問してまいりたいと思います。
まず、漁業生産の回復に向けた取り組みについてでありますが、農林水産省が平成29年漁業経営調査による統計を公表いたしました。それによれば、漁船漁業を営む個人経営体1経営体当たりの漁労収入は872万円、支出は575万円、したがって所得は297万円という数字が公表されております。岩手県もしっかりと復興を進めていく上では、やはり漁業者の所得向上が当然大きな課題になってくるわけでございます。中核的な漁業経営体、年間1、000万円以上の達成度を見ますと、445経営体に対して489経営体ということで、Aという評価にはなっているわけでございますけれども、実際は、今の沿岸の状況を見れば、非常に不漁であったり、あるいはまた自然災害によって養殖も不振であったり、したがって6次産業化、加工も連鎖反応で非常に厳しい状況にあるというのがこれまでの質疑でもなされているところでございます。
そこで、実際、指標の中では達成度がAということで目標値より上回っているわけですけれども、その中身、いわゆる漁船漁業の経営体なのか養殖の経営体なのか、その内訳がありましたら、まずお聞かせいただければと思います。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 中核的漁業経営体の取りまとめですけれども、これにつきましては、漁協が販売事業等をやっている中で、その販売額等につきまして1、000万円を超える漁業者ということで、漁船漁業、養殖業合わせて、漁協の中でトータルで何人、何人ということで県で集計しておりますので、詳細についてはわかりません。
〇田村勝則委員 承知しました。いずれ数値的には達成度がAとはなっているわけですけれども、やはり漁業者全体の所得が当然向上していくことを我々は望んでいるわけです。その中でも中核的な経営体がリードしていくことが、雇用の部分も含めて前に進んでいく上では大きな課題であろうと思います。そういう部分で、しっかりとこれからも、この指標の達成度はAですけれども、さらにAの字が大きくなるように取り組みをひとつ進めていただければと思います。
次に入ります。
けさの新聞に、洋野町のウニの養殖事業に取り組む会社北三陸ファクトリーの記事が掲載されておりました。痩せたウニなどの養殖にしっかり取り組んで輸出産業にまでつなげようという取り組みをこれから事業化していくということであります。これは、経済産業省の支援事業地域未来牽引企業に選定されたのを機に会社化にこぎつけてこの事業に取りかかったということでありますが、県としてはどのようなかかわりをしてきたのか、まずお伺いいたします。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 県としてというよりも、我々農林水産部なので、農林水産部としてのかかわりということで答えさせていただきますが、その事業は経済産業省の事業ということで、我々はその事業についてはかかわりを持っておりません。
〇田村勝則委員 かかわりを持っていないということでございますが、実は、復興実施計画、平成29年度、平成30年度ですけれども、この84ページにもありますが、重点的に取り組む事項、漁業生産量、養殖業生産量の確保という部分で、さけ、ます増殖事業や栽培漁業推進事業というメニューがしっかりと盛り込まれております。そういう中で、こちらのいわて県民計画実施状況報告書の53ページには、アワビ種苗放流数について、漁協種苗生産施設において平成29年台風第18号等の影響による種苗のへい死があったため達成度はCとなりましたということで、残念ながら養殖に大きな影響を与える事業がCになっているということがあります。こういう状況であれば、やはり漁業のこれからの活性化や所得の向上というものは難しいわけでございまして、さらなる進化というものが養殖事業に必要なのではないかと私は思います。
山田町でも、議会としていろいろ先進事例なども視察に行ったりして再生に向けて取り組んでいこうとしているようでございますけれども、県とすればしっかりとこういう現状を鑑みて取り組みをしていかなければいけないのではないかと思いますが、その点についてお伺いいたします。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 本県の漁業はつくり育てる漁業を推進していくということで、これは震災前からもそういう考え方で進行しております。つくり育てる漁業というのは、人の手は入るのですが、安定的に生産量等を確保できるというメリットがございます。その中の中心は養殖業になろうかと思います。
委員がおっしゃいましたウニの養殖についても、陸上でやるとなると施設の整備コスト等もかかっていく可能性もありますので、採算性についてはよく検討しなければいけないと思うのですけれども、養殖業全体として、県として今後どのように進めていくかという考え方を申し述べさせていただきますと、生産量は、やはり震災後、減少しております。これを回復することが本県の水産業の振興に非常に重要だと考えておりますので、この養殖生産量の回復に向けて、意欲ある漁業者の生産規模の拡大、あるいは、漁協でみずから漁業をする、漁協自営といいますけれども、漁協の自営で養殖を推進していく。あるいは、養殖をやっている漁業者の中には、技術的な問題等で収益を高く上げている方─これがいわゆる中核的漁業経営体の方々になろうかと思いますが、こういう方々をモデルとしてその方々の生産方法を普及していく。あるいは、人が減ってきていますので省力化機器を導入していくとか、このような取り組みを、これまでもしてきておりますし、今後も引き続き行っていきたい。
それから、これから新たに、生産者と加工あるいは小売業者等との協働によります水産物の販路拡大等に向けまして、両者のマッチング等にも取り組んでいって養殖業の振興を図ってまいりたいと考えております。
〇田村勝則委員 県としても今のような取り組みをしっかりと、ひとつ漁業者の声にも耳を傾けつつ取り組んでいただきたいと思います。漁船漁業をしております私の知り合いも、先般電話しましたら、非常に沿岸は漁獲量が少ないということで、北海道まで行ってカジキマグロの突きん棒をしていたようでした。やはり養殖というのは通年出荷が可能になるということで、当然所得も安定してくるし雇用の確保にも資するということがあるようです。そういう意味でしっかりと……この北三陸ファクトリーは、北海道大学や八戸学院大学と餌なども共同開発して養殖事業に取り組むようですが、農林水産部としても情報をしっかりと把握していただきながら、岩手県の漁業振興に資するように取り組んでいただきたいと思いますので、最後に部長に一言お聞きして終わります。
〇上田農林水産部長 いずれにいたしましても、震災からの復興が大きな課題となっている沿岸地域を見まして、養殖業、そのほかの水産業は産業全体の中でも重要な役割を果たしており、その振興に向けて、さまざまな手だてを用いて取り組んでまいりたいと思います。
〇名須川晋委員長 おおむね再開後2時間が経過いたしますので、この際、世話人会の申し合わせにより、暫時休憩いたします。
午後5時12分 休 憩
午後5時37分再開
〇福井せいじ副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
委員各位及び執行部に申し上げます。この後、本日5人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
質疑を続行します。
〇阿部盛重委員 私から、県林業技術センターといわて林業アカデミーについてお伺いいたします。
先ほど高橋但馬委員からも触れられましたけれども、いわて林業アカデミー研修制度としまして1期生15人が修了されたということで、全員が技術を生かせる職場に就職されておられます。もう6カ月たちましたが、修了生に対しまして、県としてどのようなフォロー体制とされているのか伺います。
続けて質問いたします。2期生としまして18人の研修生が入学されておりますけれども、その18人の状況と研修内容についてお伺いいたします。
半年間たちますと、1期生は特に、もうお仕事をされていますので、プロ意識もありながら、基本的なところもちょっと甘くなるということで事故等が起きる可能性もあると。また、2期生は、勉学や技術の習得等で非常に大変な状況かと思っております。県として、そういう方々に対してのコミュニケーションといいますか助言等、どのようなことを考えられるのか、この3点をお伺いいたします。
〇橋本森林整備課総括課長 まず、第1期修了生へのフォローについてでありますが、県では、修了生の職場への定着状況を確認するため、8月下旬から9月上旬にかけて、担当職員が就職先を訪問し、職場の指導者及び修了者と面談を行っております。
面談の結果、修了生15名は、いわて林業アカデミーで習得した技術を活用して意欲的に仕事に取り組んでおり、職場の指導者からは、その仕事ぶりについて高い評価をいただいております。
今後も、職場巡回や指導訪問を実施するなど、修了生が林業の現場で活躍できるようサポートしてまいります。
次に、2期生の研修の内容についてでありますけれども、まず、上半期の研修では、造林、育林技術や林業経営などの講義に加え、植栽や下刈り、チェーンソーを用いた伐木造材、測量などの実習を行うとともに、林業への就業に必要となる労働安全衛生法に基づく資格を研修生18名全員が7月までに取得いたしました。
今後の研修では、現場で必要とされる技能の向上を図るため、地形に合った実践的な作業道の開設や高性能林業機械を用いた搬出、間伐実習、林業機械の習熟訓練を繰り返し行うほか、林業の現場で働くイメージをつかむため、就業体験を実施することとしております。
次に、1期生と2期生との交流、コミュニケーション計画についてですが、7月に開催したいわて林業アカデミーオープンキャンパスにおいて、1期生を招き、模擬伐倒の実演のほか、2期生及びオープンキャンパスに参加した高校生等を対象に、林業の魅力や仕事をする上での苦労などについて話をしてもらったところでございます。
また、7月に実施した2期生の就業体験において、1期生の活躍する現場で2期生が一緒に作業するなどの交流が図られており、今後計画している就業体験においても、一層の交流が図られるよう努めていくところでございます。
〇阿部盛重委員 十分な対応とフォローがされていると思っております。いずれ、2期生も就職まできっちりとフォローされていくと伺っていますので、よろしく御指導のほどお願いいたします。
次に、新たな需要を創出するための県産アカマツ材の活用及びCLT製造技術開発については、工藤大輔委員からお話がありましたので、ここは飛ばさせていただきます。
県では漁業関係者と漁業協同組合、水産関係者、沿岸12市町村と連携し、担い手の確保、育成のために、岩手県漁業担い手育成ビジョンを策定されていました。その中で、岩手型漁業の人材確保、育成をしっかりするために、(仮称)いわて水産アカデミーの設置、運営体制などの案がまとめられまして、4月から設置に向けた準備、研修生募集も始められたようでございます。その現段階での募集状況についてお伺いいたします。
続けて質問いたします。基本知識及びICTを学ぶという内容になっていますけれども、全体のカリキュラムはどのようになっているのか。
次に、募集人員が10名、年齢が45歳までとされておりますが、人員、年齢を定めたポイントは何か。漁業を守るためには、人員的にもっと募集されてもよろしいのではないか、また、年齢ももう少し上げてもいいのではないかと。そのポイントはどこに定められるのかお伺いいたします。
次に移ります。女性でも漁業を希望されている方ももいらっしゃると思いますが、そういう方へどう対応されるのかお伺いいたします。
それから、講師の先生方はどのような方々なのか、岩手大学農学部食料生産環境学科の水産システム学コースとの連携強化をどのように考えているのか、まとめてお伺いいたします。
〇森山漁業調整課長 まず、募集状況についてでございますが、県ではこれまで、PRリーフレットを作成し、東京都での漁業就業支援フェアを初め、県内外の就業あっせん会での呼びかけのほか、水産系高等学校や岩手労働局での研修生募集の呼びかけを行いまして、(仮称)いわて水産アカデミーの研修生の掘り起こしを積極的に行ってきたところであります。これまで、新規就業希望者や水産系高等学校の卒業予定者から、(仮称)いわて水産アカデミーヘ応募する意向が示されているところでございます。
県では、近日中に(仮称)いわて水産アカデミーの運営母体でとなります協議会を立ち上げ、正式に募集を開始し、市町村、漁協等の協力を得ながら研修生を確保していきたいと考えております。
カリキュラムについてでございますが、平成31年4月に開講した後に、大船渡市北里大学三陸臨海教育研究センター等におきまして、漁業関係法令、水産施策等の漁業の基礎的な知識や、ロープワーク、網補修等の技術を習得する集合研修を1カ月間実施することとしております。
5月以降は、熟練漁業者の指導のもと、漁業の生産技術等を習得する実践研修を行うとともに、研修生の地域への円滑な定着を図るため、地元のイベントへの参加等を通じまして、地域住民との交流を実施する予定としております。
また、5月以降の実践研修の期間に、北里大学三陸臨海教育研究センターにおきまして、ICT、6次産業化等の高度な知識、技術を学ぶ集合研修を隔月ごとに行いまして、将来の本県水産業の中核を担う人材を育成していくこととしております。
募集人員についてでございますが、募集人員につきましては、隣県の宮城県や、本県と同様の研修形態で実施している他府県の定員を参考とするとともに、国の漁業人材育成総合支援事業による支援を十分受けられる規模の定数10名としております。
また、年齢要件等につきましては、国の支援事業の対象要件が、(仮称)いわて水産アカデミー修了時に45歳未満であることとされておりまして、その1年前に入講することから、基本的に44歳未満の方とするものでございます。
女性の就業についてでございますが、国の統計によりますと、平成25年の本県の漁業就業者数のうち、女性の比率は14.8%となっております。
近年は、沿岸出身の女性が他県からUターンして定置網漁に従事している事例や、県職員を退職した女性が熟練漁業者の指導のもとに就業している事例など、女性が漁業に就業した事例が見受けられます。
県といたしましても、女性の声を積極的に取り入れながら、女性の活躍の場を広げるための施策を推進していくこととしておりまして、(仮称)いわて水産アカデミーにつきましても、女性を含めて広く人材を募集したいと考えております。
具体的な支援についてでございますが、(仮称)いわて水産アカデミーにおけます座学研修の講師は、水産業の概要や施策等については岩手県水産技術センターなど所属の県職員、ロープワークや網補修、実践研修等の技術については漁業者が行い、ICT、6次産業化等の専門的な知識、技術については岩手大学等からの講師を予定しております。
岩手大学との連携につきましては、(仮称)いわて水産アカデミーの講師を担っていただくほか、研修生と大学の学生及び教員との情報交換などを実施いたしまして、岩手大学との交流を深めていきたいと考えております。
〇阿部盛重委員 しっかりとしたカリキュラム体制、講師等を予定していると感じました。岩手の漁業を支える方々ですので、しっかりとした運営及びフォローをお願いします。
〇城内よしひこ委員 松くい虫対策については、先ほど工藤大輔委員が質疑をしましたので、これは割愛します。
ナラ枯れ対策についてお伺いします。平成29年の取り組みの実績と拡散防止対策について、お伺いしたいと思います。
〇佐藤整備課長 ナラ枯れ対策についてでございますが、平成29年度の被害量は、11市町で発生し、約6、000立方メートルとなっており、被害の拡大傾向が続いております。
被害防止対策としましては、新たに被害が発生した市町村では被害木の駆除を徹底しております。また、高齢で太い木が被害に遭いやすいことから、被害木から30キロメートルの範囲内の広葉樹林の若返りを図るため、ナラ林健全化促進事業により伐採利用を促進し、ナラ枯れ被害に強い広葉樹林への転換に取り組んでおります。
〇城内よしひこ委員 今般、議会でも県産材の利用促進条例をつくろうとしていますが、岩手県は宝の山であると私は思っています。その宝を利活用できるように、しっかりとした効果的な対策をこれからとっていかないと、なかなか利用促進も図られないと思いますし、これは裾野の広い産業でありますので、川上から川下までしっかりと金になるような仕組みづくりもするべきだと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
〇大畑林業振興課総括課長 県産材の利用促進でございますけれども、県といたしましては、県産材の需要拡大や高付加価値化に取り組んでおります。需要拡大につきましては、先ほども答弁しましたけれども、文化財の修復材としてのアカマツの利用促進、高付加価値化につきましては、製材品としては乾燥材が求められておりますので、乾燥材を一般流通材として出せる製造事業者を育成していく取り組みを進めております。
それから、もう一つは、木を使った施設や建物を整備していく取り組みでございます。県でも計画をつくりまして、県が整備する公共施設への県産材利用を進めておりますし、民間での、例えば保育園ですとか介護老人保健施設といったところでの木材を利用した施設の整備を働きかけながら、県産材があらゆるところで使われるように取り組んでいるところでございます。
〇城内よしひこ委員 しっかりとそういう対策をとりながら事業展開していかないといけないと思いますので、これは要望にとどめます。
次に、漁港整備についてお伺いします。
平成28年の低気圧や台風第10号では、東日本大震災津波からの復旧が完了した防潮堤が倒れるなどの被害が生じています。今後頻発する高潮、高波対策として、漁港整備をどのように行っていくのかお伺いしたいと思います。
〇阿部漁港漁村課総括課長 漁港整備についてでありますが、近年、超大型台風や急速に発達した低気圧によりまして異常な高波が発生し、防波堤の倒壊、漁船の損傷、転覆等により漁業活動に支障が生じている事例がございます。その対策が必要と私ども認識しております。
県では、頻発する高波に対応するため、昨年度、設計に用いる波高の見直しを行い、波高が約9メートルから10メートルへと1メートル程度高くなったことから、この見直しをした波高を用いまして、平成30年度に小堀内漁港など3漁港で防波堤等の設計を実施しております。
今後におきましては、引き続き、漁業関係団体や関係市町村と協議、調整しながら、防波堤のかさ上げや消波ブロックの設置等による漁港の防災機能の強化を図り、災害に強い安全な漁港づくりを進めてまいります。
〇城内よしひこ委員 漁民にとって漁港は本当に大切な施設であります。それによってしっかりとした営みができるという仕組みであります。まさに改良復旧という言葉で表されると私は認識しています。
波が高くなったということですけれども、これまでの復旧に対する試算がもしかしたら低かったのではないか。その結果、二次被害といいますか、2回目、3回目の被害につながっていると。復旧するだけではだめだと皆さんもわかってきていると認識しておりますが、しっかりとした改良復旧の取り組みを今後進めていくということでよろしいか、再度確認したいと思います。
〇阿部漁港漁村課総括課長 再度災害と申しまして、一度波浪で倒れたものが再度倒れてしまう事例も近年目につくようになってまいりました。私どもといたしましても、そういった被害を受けたものにつきましては、国の査定により、再度災害として採択されるよう努めていきたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 ぜひお願いします。
次に、本県の主要魚種でありますサケ、サンマ、イカの漁獲について伺います。
その主要魚種のサケ、サンマの昨年度の漁獲状況と、今年度の状況もわかればお伺いします。
〇森山漁業調整課長 サケにつきましては、本年9月30日現在、漁獲量が397トンで、震災前5カ年平均の同期比54%、前年同期比111%でございます。漁獲金額は2億3、000万円でございまして、震災前5カ年平均の同期比96%、前年同期比85%となっております。
昨年度の実績は7、289トンで、震災前5カ年平均の27%、漁獲金額は64億円で、震災前5カ年平均の72%でございました。
次に、サンマにつきましては、本年9月30日現在、漁獲量は5、170トンで、震災前3カ年平均同期比43%、前年同期比で323%、漁獲金額は約12億5、000万円でございまして、震災前同期比93%、前年同期比185%となっております。
昨年度につきましては、1万4、146トンで、震災前3カ年平均の27%、漁獲金額は約34億6、000万円で、震災前3カ年平均の92%でございました。
次に、スルメイカにつきましては、本年9月30日現在、漁獲量が1、453トンで、震災前3カ年平均の同期比17%、前年同期比82%、漁獲金額は約6億9、000万円で、震災前3カ年平均の同期比47%、前年同期比74%でございます。
昨年度につきましては、3、584トンで、震災前3カ年平均の19%、漁獲金額は約18億6、000万円で、震災前3カ年平均の56%となっております。
〇城内よしひこ委員 水産業は、御存じのとおり裾野の広い産業であり、加工業も大分苦戦をしています。ことしはサンマが思いのほか昨年よりはよかったということでありますけれども、サケは依然として、宮古市より南のほうが悪い状況であります。これが2年も3年も続くようであると、まさに震災から復興して立ち上がって、施設は立派になったけれども、飯が食えない状況が出てくるという状況があろうかと思います。しっかりとした予測も含めながら、加工業や、水産に関係する方々に対する指導も含めて徹底してほしいと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
〇森山漁業調整課長 今年度の見通しについてでございますけれども、サケにつきましては、ことし7月に県水産技術センターから回帰予報が出ておりまして、昨年度を7割程度上回る397万尾、1万2、000トンと予想されております。回帰の時期については11月下旬が中心と予測されております。
サンマにつきましては、国の研究機関の発表によりますと、日本近海での資源量が昨年の約2.4倍と推定されておりまして、漁期全体で前年を上回り、10月中旬には三陸沖に漁場が形成される予想となっております。
スルメイカにつきましては、国の研究機関の発表によりますと、来遊しにくい環境が予測されておりまして、三陸海域での来遊量は昨年度を下回るという予想がされているところでおります。
〇城内よしひこ委員 いずれ、それを専門に取り扱う業者がたくさんいらっしゃいます。その専門の魚種がとれなくなると大変な状況が発生しますし、もう発生しています。だからこそ、しっかりとした予測と漁獲の情報収集も徹底して、加工への悪い影響をなるべく少なくするようにお願いしたいと思います。
そこで、サケの資源造成は、先ほど高橋孝眞委員からも質問があったのですが、私は、海産親魚をしっかりと確保できる状況があるのか、来年につなげられる、次の世代につなげられるような体制が整っているのか、見通しも含めてお伺いしたいと思います。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 サケの資源造成の関係で、海産親魚をしっかり確保できるのかについてでございます。
東日本大震災津波後、ふ化場が被災して種苗放流数が減ったことが主な要因となりまして、サケの回帰数も減っております。基本的には河川に上ってくるサケを採卵に使用するわけですが、それではなかなか間に合わないため、定置網に入った魚を海産親魚として使用しております。
これまでも全県で積極的に海産親魚を使用しまして、何とか4億尾を達成するように取り組んできましたが、残念ながら、昨年は全体で約3億7、000万尾と4億尾に届かない状況でございます。
全県の各漁協やふ化場が一生懸命海産親魚を使用しているところであり、ことしもそれを引き続き継続していきますし、河川への遡上は、現在のところ昨年度よりも上回っておりますので、まず何とか河川で確保して、そして、海産親魚をプラスして種苗の確保に努めてまいりたいと思っております。
〇城内よしひこ委員 11月15日、20日過ぎぐらいから本格的な、本来の秋サケの好機運が来るだろうと思っていますけれども、そこに私も大きな期待をしているところでありますが、昨年のような本当に寂しい思いをしないような漁獲高になってほしいと思います。その辺は聞いてもしようがないと思いますけれども、ぜひ、お互いにそれを望んでいきたいと思います。
〇臼澤勉委員 それでは、私からは、いわての森林づくり県民税1点についてお伺いします。先ほど飯澤匡委員からも御質問がありましたので、重複しない観点でお伺いいたします。
まず初めに、税収7億円と決算見込み額に乖離がございますが、その要因はどのように捉えられていますか、お伺いします。
〇大畑林業振興課総括課長 平成29年度のいわての森林づくり県民税の税収は7億2、700万円余となっております。事業といたしましては、強度間伐あるいは森林環境教育を実施する団体への支援、広報等の普及啓発等に取り組みましたが、決算見込み額は3億7、100万円余と、税収との乖離があるところでございます。
この税収と充当額との間に乖離が生じた大きな要因でございますけれども、税収の約9割を充当するいわて環境の森整備事業につきまして、平成29年度の施工地確保面積が888ヘクタールになったところであり、施工地の面積が目標とする1、500ヘクタールの半分程度にとどまったことが、乖離が生じた大きな要因でございます。
〇臼澤勉委員 いわて環境の森整備事業の確保面積が目標に至らなかったということでございました。
阿部技監兼林務担当技監にお伺いしたいのですけれども、人材不足、復興事業等に伴ってなかなか人材、作業員とかが確保できないという話が、先ほどの飯澤匡委員とのやりとりの中でもございました。税収の7億円と充当額の乖離解消に向けての方策、ポイントをどのように捉えられているかお伺いします。
〇阿部技監兼林務担当技監 いわて環境の森整備事業が目標達成できなかったということで、その乖離解消に向けた方策についてでございます。
先ほど来御説明したとおり、沿岸地域を中心に復興需要の支障木伐採等の作業員が確保できなかったこともございます。森林組合以外の林業事業体がございますので、そういった事業体に、いわて環境の森整備事業を実施していただくよう働きかけを行っております。
具体的には、これまで国有林だけで事業を行っていた事業体がございますので、そういった方々に働きかけを行う。あとは、森林組合においても、当然、年がら年中復興事業を行うわけではございませんので、事業量の調整等をすることによって労力を確保して、いわて環境の森整備事業を行っていただけるようにと考えております。こういった事業体への働きかけを強めて、いわて環境の森整備事業の目標達成に向けて頑張っていきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 いわての森林づくり推進事業の中で、約9割をいわて環境の森整備事業で実施し、あとは啓発事業等を行うということでございました。私は、ここら辺の構成割合も少し見直してもいいのではないかと思うのでございます。最近は森林の多面的機能を促進する事業も大分拡大していると認識しておりますけれども、そこら辺に対する御所見をお伺いしたいと思います。
〇大畑林業振興課総括課長 森林整備活動ですとか森林環境教育といった活動に取り組む地域住民団体あるいはNPO団体に対する支援でございますけれども、毎年度、そういった活動に取り組みたい、支援を受けたいという団体を募集して取り組んでいるところでございます。
毎年、県民参加の森林づくり事業で大体40団体、あるいは森林・山村多面的機能発揮対策事業では90団体程度という想定をして予算を措置しているところでございますけれども、応募の状況を見まして、必要な部分についてはきっちりと支援できるように対応してまいりたいと思っております。
〇臼澤勉委員 私は、いわての森林づくり県民税創設の目的につきましては、改めて言うまでもないのですけれども、森林の有する公益的機能の維持増進、持続的な発揮のために、間伐以外にもいわての森林づくり県民税で実施すべき森林整備があるのではないかと考える一人であります。
例えば、県民が悩んでいる花粉症の対策として花粉の少ない杉への植えかえとか、あるいは鹿対策や、先ほど工藤大輔委員からもありました松くい虫被害の話など、公益的機能が失われている森林への植栽や、所有者が当初想定していなかった事態に対応するための再造林も考えられるのではないかと思うのですけれども、この点についての御所見をお伺いします。
〇大畑林業振興課総括課長 いわての森林づくり県民税につきましては、御案内のとおり、平成18年度に創設いたしまして、5年を一つの期間として事業を実施しているところであり、現在、2020年度を終期とする第3期の取り組みを進めているところでございます。
いわての森林づくり県民税の使途につきましては、現行制度では、再造林や里山林整備といった事業は対象にしてきていないところでございますけれども、第3期の取り組みを始めるに当たっては、アカマツ林の広葉樹林化事業でありますとか、ナラ林健全化促進事業を新たに加えて取り組みを進めているところでございます。
いずれ、今後のいわての森林づくり県民税のあり方につきましては、現在の取り組みの成果や課題、あるいは森林、林業を取り巻く状況の変化を十分に踏まえるとともに、県民の皆様を初め、いわての森林づくり県民税事業評価委員会に加え、ただいま委員から御提案いただいた内容も含めまして、県議会の御意見なども伺いながら、今後、具体的に検討を進めていきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 私は、なぜこれを取り上げているかというと、やはり県民の受益と負担にしっかりと取り組んでいくことで理解が深まると思っております。ですから、例えば通学路などにも隣接するような森林の整備とか、倒木の危険性があるような箇所の整備、あるいは今期定例会でもいろいろと議論がありました里山等での熊対策の整備について、県民がより身近にその恩恵を感じられるような使途にも、ぜひ拡大を検討していただきたいと思いますが、改めて最後にお伺いして、終わりたいと思います。
〇大畑林業振興課総括課長 いわての森林づくり県民税は、先ほども御答弁申し上げましたが、県民の御理解と御協力の上で成り立っている制度と思っております。そういう意味で、いわての森林づくり県民税が目的の趣旨に沿って、最大限有効かつ適切に使われるように取り組んでいくことが必要であろうと思ってございます。
いずれ、委員から御提案いただきました内容につきましては、いわての森林づくり県民税事業評価委員会にしっかりと伝えまして、今後のあり方検討の中で生かしていけるよう取り組んでまいりたいと思っております。
〇斉藤信委員 それでは、私も本県の主要魚種であるサケ、サンマ、スルメイカの状況を質問しようと思いましたけれども、先ほど答弁がありました。改めて少し確認をしておきたいと思いますが、サケは昨年度7、289トンで、震災前同期比27%、サンマは1万4、146トンで、震災前同期比27%、スルメイカは3、584トンで、震災前同期比19%ということでしたね。
ことしは、9月末現在ということですけれども、サケは397トン、前年比111%。これはこれから本番ですから何とも言えない状況だと思いますが、サンマは5、170トンで、前年比は323%、3倍と。しかし、震災前同期比で見れば43%にとどまっていると。スルメイカは1、453トンで、前年比82%で、前年よりもさらに落ち込んで、震災前同期比では17%ということでした。
サンマは回復傾向にありますけれども、依然として、昨年度もことしも危機的状況に変わりがないのではないかと思いますが、どのように受けとめているでしょうか。
〇森山漁業調整課長 サケにつきましては震災前の半分ということで、今後、主要魚種として回復していくために、種苗の適切な放流が必要になってこようかと思います。
また、サンマにつきましては、国の予測においても、資源が減少していると評価しておりまして、ことしは、今のところ去年の3倍程度というような実績ではございますが、やはり今後の推移を慎重に見ていかなければいけないと思っております。
それから、スルメイカにつきましては、本県の場合は、冬生まれ群という東シナ海で生まれてくる群れなのですけれども、冬期の水温が低かったことで、資源がかなり少ない状態と聞いております。回復には、やはりしばらくかかるのだろうという感じを持っております。
〇斉藤信委員 魚市場への水揚げ状況をあわせてお聞きします。水揚げ量と水揚げ額の合計について、昨年度とことしの状況を示してください。
〇森山漁業調整課長 魚市場の水揚げ状況でございますけれども、昨年度は、県内の全ての魚市場で、数量は8万6、892トンで、金額ベースで211億2、600万円でございました。
平成30年9月30日現在の状況でございますけれども、水揚げ量につきましては5万7、986トンで、金額については91億2、400万円でございます。
〇斉藤信委員 昨年度の水揚げ額はそうなのですけれども、震災前と比べると、数量で49%、金額で90%と、数量が落ち込んでいる割には金額が高目になっているのは、漁家にとってはいいのだけれども、水産加工業にとっては悲鳴のような声が聞こえる状況です。
それで、サケの大不漁の要因について、漁民、関係者は大変心配しています。国、県それぞれでさまざまな調査が行われていますけれども、その調査の状況はどうなっているでしょうか。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 サケの大不漁の要因と国、県の調査の状況についてでございます。
不漁の要因は、これまでも申し上げさせていただいたところですが、稚魚の放流数が東日本大震災津波により少なくなったことや、放流後の海水温が春先に急上昇し、沿岸域で稚魚が減少した可能性があること、そして、広く北洋海域でも稚魚が減少した可能性があること、これらが不漁の要因だと考えております。
そして、調査の状況についてでございますが、まず、県水産技術センターでは、放流後の沿岸における稚魚の生残調査を行っており、これによりまして稚魚の減少の要因の解明に取り組んでおります。
そのほかに、健康な稚魚等をつくるために、大規模実証試験場において、陸上でのふ化場の生産技術開発につきまして、生産ベースの試験を実施しております。また、今年度から新たに、高水温に対応するため、水温が高い海域から遡上してまいります北上川水系の稚魚を使用しまして、稚魚生産技術開発を進めていきたいと考えております。北上川にサケが上ってまいりましたので、その採卵した卵を活用して、これから試験をしていきたいと思っております。
国の調査についてでございますが、平成27年度に、回帰率の向上に向けた調査事業を新たに創設しております。種苗放流手法改良調査事業という事業でございますが、放流の時期やサイズ等を変えました放流調査などを実施しておりまして、これにつきましては、河川や沿岸での稚魚の減少を回避するための技術開発を実施しているところでございます。
〇斉藤信委員 日本共産党岩手県議団も、県水産技術センターや東北区水産研究所宮古庁舎にも訪問して、この間勉強してまいりましたけれども、県水産技術センターに行ったときにちょっと気になったのは、今お話にあったサケ稚魚の初期生残率が、昭和60年は16%だったものが平成18年は4%に落ち込んでいると。だから、もう海に出る前に湾内でかなり減耗しているのではないかと大変危機感を感じました。
東北区水産研究所宮古庁舎では、海水温が春先までは冷たくて、その後急速に上昇する。いわば稚魚が生息する期間が大変短縮されていると。それだけに、リスク回避した時期に放流することが必要なのではないかという提起もされたのですけれども、その点について、もう一言。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 確かに、春先に急激に水温が上がることが稚魚の生残に影響しているのではないかというのは、県の研究者も国の研究者も同じ見解ではないかと思います。
やはり健康で強い稚魚をつくらなければいけない。そのためには、密度をある程度ゆったりと、過密ではない、適正な密度でサケの稚魚を飼うということもございます。それから、放流の時期も非常に重要になってくると思いますので、海水温の上昇等を勘案しながら、適正な時期に放流していくことが必要となっております。
放流の時期につきましては、県水産技術センターでこのときが適切ですよ、今がいいですよという情報を、皆さんにお知らせすることにしております。
〇斉藤信委員 さまざまな研究も行われて一定の方向性も示されていると思いますけれども、簡単にすぐ解決できる課題ではなく、大変重要な課題だと思いますので、本当に英知を結集して指導を徹底していただきたい。
次に、ワカメ、昆布、カキ、ホタテ、アワビ、ウニの養殖、採海藻も私は大変厳しい状況になっているのではないかと思いますが、それぞれの水揚げ量と水揚げ額の昨年度、今年度の状況、震災前との比較を示してください。そして、減少している具体的な要因は何なのか。あわせて、アワビ稚貝生産のための栽培漁業推進事業、アワビ種苗放流支援事業が平成30年度で終わるという話も聞いていますが、この継続も必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 まず、ワカメ、昆布、カキ、ホタテ、ウニ、アワビの水揚げ量と水揚げ金額について、昨年度、今年度の状況と震災前との比較を申し上げさせていただきたいと思います。
まずは昨年度の実績から申し上げます。養殖ワカメは、水揚げ量が1万6、000トンで、以下震災前3カ年平均との比較で71%、金額が39億円で震災前の92%。昆布は、水揚げ量が5、884トンで震災前の52%、金額が12億円で震災前の76%。カキが2種類ありまして、カキのむき身は、水揚げ量が395トンで震災前の62%、金額が6億6、000万円で震災前の66%。カキの殻つきは、水揚げ量が985万個で震災前の47%、金額が8億7、000万円で震災前の71%。ホタテガイは、水揚げ量が2、571トンで震災前の41%、金額が16億7、000万円で震災前の95%。ウニは、水揚げ量が77トンで震災前の63%、金額が8億8、000万円で震災前の115%。アワビが、水揚げ量147トンで震災前の42.8%、金額が11億8、000万円で震災前の51.3%でございます。
次に、今年度の実績でございますが、平成30年9月30日現在で、養殖ワカメは、水揚げ量が1万4、000トンで震災前の63%、金額が32億円で震災前の77%。昆布は、水揚げ量が6、313トンで震災前の59%、金額が13億円で震災前の92%。ホタテガイは、水揚げ量571トンで震災前の19%、金額3億7、000万円で震災前の47%。ウニが、水揚げ量68トンで震災前の57%、金額7億5、000万円で震災前の99%となっております。
なお、カキにつきましては10月からの出荷ですので、まだ集計は出ておりません。それから、アワビについては11月からの漁獲になりますので、数量は今後集計するということになります。
続きまして、減少の要因についてでございますが、ワカメ等の主要な養殖種目につきましては、震災によりまして養殖業者の減少に伴い養殖施設数が減少したことなどが要因でございます。特に、今年度はホタテガイの減少が大きいのですが、これは貝毒による出荷自主規制等の影響や稚貝のへい死、変形等によりまして生産量が減少したことが要因でございます。ウニにつきましては、餌となる海藻の生育が悪くウニの身入りが少なかったことなどが挙げられますし、アワビについても、餌の問題で痩せたアワビが多いことが、水揚げ量が減少している要因になっております。
続きまして、アワビの種苗放流事業でございます栽培漁業推進事業についてでありますが、震災後、県では、アワビの早期の資源回復に向け、漁協が行う種苗の生産や購入、放流に要する経費に対しまして、国の事業を活用して支援してきたところでございます。アワビの水揚げ量も低迷していますので、今後とも、アワビ種苗の生産、放流への支援が必要と考えております。
平成31年度以降についても、引き続き、国に対して事業の継続を強く働きかけまして、アワビの資源造成に取り組んでいく考えでございます。9月上旬に発表されました農林水産省の来年度予算の概算要求には、アワビの放流支援事業が組み込まれていると確認しましたので、来年度も補助が予算化されることを期待しているところでございます。
〇福井せいじ副委員長 斉藤委員に申し上げます。議会運営委員会の決定、世話人会の申し合わせを踏まえ、数値の確認のみの質疑については原則として行わないよう、議事の進行に御協力をお願いします。
〇斉藤信委員 確認だけじゃないのでね。実態を踏まえて要因を聞いているので。
それで、水揚げ量がそれぞれ減少して原材料価格は高騰していると。私は、宮古市の水産加工業者にもお話を聞きましたけれども、今の不漁と原材料の高騰が3年続けば、水産加工業はとてももたないと。これは大船渡市で聞いたときもそうでした。
水産加工業の現状と課題、県の対応策はどうなっていますか。
〇伊藤水産担当技監兼水産振興課総括課長 水産加工業の現状と課題、その対応についてでございますが、平成28年の本県の水産加工業の生産状況ですが、国の調査によりますと、生産量が9万4、000トンで、震災前の78%、生産額が729億円で、震災前の101%となっております。
また、県の調査によりますと、平成30年8月現在におきまして、震災で被災した水産加工事業者の68%が、主な課題として、原材料価格の高騰や調達困難を挙げておりますことから、加工原料の安定確保が最も大きな課題だと認識しております。
このため県では、まずは、水揚げ量などの情報を迅速に提供するとともに、不漁のサケ、スルメイカ以外で価格が安定している原料に転換するよう事業者へ助言を行い、先ほども申し上げましたが、遠隔地から原料を調達する場合の国の補助制度の活用などにより支援しております。
あわせて、漁獲が好調でありますサバ、イワシを漁獲するまき網漁船などを地元魚市場に誘致しまして、代替原料の安定的な確保等を図ってまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 これで最後にしますけれども、東日本大震災津波後に復旧した施設等の固定資産税免除の継続が来年度まで延長されますが、宮古管内の漁協を訪問しましたら、通常なら5、000万円のところを1、500万円に減免されていると。これが丸々課税されたら、本当に復興の障害になるということでありました。
共同利用漁船は今漁協の船になっているのですけれども、利用漁業者に無償譲渡する場合に寄附行為になって課税されると。これは漁協にも漁民にも課税されるということで、今答弁があったように、極めて厳しい漁業、水産業の状況の中で、私は、こうした減免の制度は本当に継続を強く求めていく必要があるのではないかと思います。
最後の最後ですけれども、クロマグロの規制の問題で、定置網に1回で100尾かかるとか、小型漁船漁業はこれまで700尾投げたと聞きました。クロマグロを投げれば一緒に別の魚も逃げていくということで、卵を抱えたクロマグロをとったり、三、四キロのクロマグロをとっているまき網こそ、いわば一番の原因ではないのかと。そこに甘くて沿岸漁民には厳しいのではないかという指摘もありましたが、県はどのように対応しているでしょうか。
〇菊池参事兼団体指導課総括課長 固定資産税の軽減措置、減免期間の延長についてでございます。
この固定資産税の軽減措置につきましては、いわゆる震災復興に向けた投資直後に、事業者の税負担の軽減を図るというもので、初期の段階の税負担を軽減するために、減免期間が4年とか5年という形で組み立てられた仕組みでございます。
現時点においては、国が減免期間の延長を検討しているという情報は聞いておりません。ただ、今、斉藤委員から宮古市の漁協等からの話ということがありましたので、改めて状況について私どもも聞いて、必要な対応をしてまいりたいと思っております。
〇森山漁業調整課長 共同利用漁船に関しての課税についてでございますが、漁業協同組合が所有します共同利用漁船を、処分制限期間経過後に組合員へ無償譲渡する場合は、漁船の実勢価格相当額が譲り受けた漁業者の事業所得とみなされまして、課税の対象になると聞いております。
クロマグロの関係でございますが、本県におけるクロマグロの漁獲は定置網で行われておりますけれども、定置網の特性上、特定の魚種のみを漁獲することは困難でございまして、クロマグロを漁獲しないためには他の魚も逃げてしまうということで、クロマグロのために放流または休漁の措置が必要になってきております。
それに伴いまして、漁業者においては漁業の収入に影響を与えるということがございます。
県としましては、国の補助事業を活用いたしまして放流経費への支援を行うとともに、休漁する場合には、漁業共済制度による減収補填が受けられるように指導しているところでございます。
〇小西和子委員 私からは、先ほどから質疑が交わされておりますが、重複しないように、いわての森林づくり県民税事業についてお伺いいたします。
私は、このいわての森林づくり県民税事業というのは、本県の豊かな森林環境を次の世代に良好な状況で引き継いでいくための事業と捉えております。
端的に伺います。いわて環境の森整備事業の今年度の実績と事業実施主体の傾向についてお伺いいたします。
また、この事業は、創設されてから12年が経過しましたので、事業を行いやすい施工地はもうほとんど整備されているわけです。ですから、施工地確保というのは簡単なことではないと思いますけれども、先ほど飯澤匡委員からもお話がありましたが、やはり1人1、000円ずつ税金を集めてやっている事業でありますので、施工地確保のための今年度の取り組みの重点をお伺いいたします。
〇大畑林業振興課総括課長 今年度のいわて環境の森整備事業の施工地確保の状況でございますが、10月5日時点で267ヘクタールとなっております。
また、事業体の傾向につきましては、昨年度から新たな事業体の掘り起こしに取り組んできたところでございますけれども、昨年度は3事業体、今年度におきましてもこれまでに1事業体が参入したところでございまして、森林組合に加えて民間林業事業体の参入がふえている状況にあると思っております。
それから、施工地確保に向けた取り組みでございます。
繰り返しになりますが、昨年度、新たな事業体の掘り起こし、さらには共有地など面積の大きな施工地の確保などに取り組んだところでございます。平成30年度におきましては、事業主体からの申請手続の簡素化に取り組んで事業主体の負担軽減を図ったところでございますし、昨年度までの取り組みで比較的効果のありました新しい事業体の掘り起こし、それから森林所有者向けの広報といった取り組みを重点的に進めているところでございます。いずれにしましても、目標面積を確保できるよう、さまざま工夫を重ねながら取り組んでいきたいと思っております。
〇小西和子委員 ぜひ重点的に取り組むようお願いしたいと思います。
それから、先ほど認知度につきましては飯澤委員からも質疑があったわけですけれども、これは私、ずっと追いかけて質疑をしてきましたが、一昨年までは4割程度の認知度という状況がずっと続いていたのです。それが昨年度17ポイントもアップしたということは、大きな一歩だと私は思いました。
主要施策の成果に関する説明書の67ページにありますように、テレビ、ラジオCM放送回数の計画値100回のところ170回も行った効果もあったのかなと思います。それで、今年度は7割─70%を達成するため、昨年度と同じように取り組みを強化して、ぜひ70%をクリアするように力を入れてほしいということを要望いたします。
次に、大変厳しい御意見もありましたけれども、いわての森林づくり県民税事業というのは、事業評価委員会では、担当の方がすごく熱心に取り組んでいるというふうにあの厳しい岡田委員長からも評価されております。同じような事業を37府県で行っているのですけれども、他県からは、これほどきちんとやっているところは岩手県しかないというふうに評価されていると聞いております。これから国の森林環境税との兼ね合いもあろうかとは思いますけれども、さらによりよい事業となるように、関係者の皆さんで知恵を出し合って頑張っていっていただきたいと思います。
次に、国の森林環境譲与税事業がいわての森林づくり県民税事業に与える影響として、林業事業体の労務確保と市町村の体制整備が大きな課題であると言われておりますが、どのような対策を講じているのか伺います。
あわせて、いわての森林づくり県民税事業の見直しをしていかなければならないということでそのスケジュールについてもお伺いしたいのですが、林野庁から森林環境譲与税の取り扱いについてまだ資料が出ていないということもあるようですので、スケジュールをお伺いしたいと思います。
〇阿部技監兼林務担当技監 まず、森林環境譲与税がいわての森林づくり県民税に与える影響についてでございます。
国の森林環境譲与税により市町村が行う森林整備等の業務が増加するものと考えておりますので、まず、現場で働く林業従事者の確保のみならず、委員御指摘のとおり、市町村の実行体制の確保が大きな課題と認識しております。
このことから、県ではまず、林業従事者を確保するため、岩手県林業労働対策基金と連携しながら新規就業者の養成研修等を実施してきたほか、昨年度からいわて林業アカデミーを開講しているところでございます。また、市町村の実行体制を確保するため、県の林業関係職員で構成する対策チームを立ち上げまして、市町村に対し、新たに生じる業務に関する助言等を現在行っているところでございます。
次に、いわての森林づくり県民税の見直しについてでございますが、現在の県民税事業は、平成28年度から5年間、2020年を終期とする第3期の取り組みを進めているところであります。まず、森林環境譲与税の具体的な使途─これは市町村が行いますが─について、どういったことを行っているのかをしっかりと調査した上で県民税事業との関係を整理するとともに、これまでの県民税事業の成果や課題を取りまとめ、公表した上で、今後のあり方について、いわての森林づくり県民税事業評価委員会からの提言、あるいは県民の皆様や県議会議員の皆様の御意見を伺いながら、今後の方向性をしっかりと定めていきたいと考えております。
〇小西和子委員 大変大きな仕事だと私は思いますが、森林県である岩手県にとっては大きなチャンスでもあると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
最後に、防潮林の再生についてお伺いいたします。
防潮林の再生の現状と今後の見通し、各地で行われている植樹祭についてお伺いいたします。
〇久慈森林保全課総括課長 防潮林の再生の現状と今後の見通しについてでございますけれども、再生を予定している防潮林18地区、約44ヘクタールのうち、平成29年度末までに14地区、約38ヘクタールに着手し、このうち8地区、約9ヘクタールが完成したところです。
平成30年度は、これまで未着手となっていた4地区のうち、新たに2地区、約2ヘクタールに着手しておりまして、未着手の2地区につきましては、所管が異なる防潮堤工事等と調整しながら、2020年度末までに全ての地区の植栽が完成できるように取り組んでまいります。
次に、地域住民等に参加いただいた県内各地の植樹祭等についてでございますが、平成26年から平成30年9月までの間に宮古市摂待地区ほか6地区で実施しておりまして、延べ1、100名の方に参加いただいたところでございます。
地域住民の方々や次代を担う子供たちと一緒に植樹した苗木が大きく育ち、もとの美しい景観を取り戻すまでには長い年月が必要でありますけれども、防潮林が地域の安全と暮らしを守ってくれるよう、今後、適切な管理に努めてまいりたいと思います。
〇小西和子委員 順調に進んでいるというお話でありました。山田町の船越の植樹祭に参加した方のコメントですけれども、これからの子供たちの命を守ってもらうために地域住民で大事に育てていきたい。これはまさに希望だと思います。苗木というのは15年から20年後には高さ約25メートルに育ち、防潮林ができる見込みであるということでありますので、ぜひ子供たちのためにも整備をしていっていただきたいと思います。
最後に、防潮林や白砂青松の美しい風景というのは、先人が長い年月、心血を注いで育成したものと捉えております。それを取り戻すためにも、取り組みを強化していただくことをお願いして終わります。
〇福井せいじ副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇福井せいじ副委員長 質疑がないようでありますので、これで農林水産部関係の質疑を終わります。
農林水産部の皆さんはありがとうございました。
以上で本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後6時49分 散 会

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