平成30年9月定例会 決算特別委員会会議録

前へ 次へ

決算特別委員会会議記録
(第 4 号)
平成30年10月5日(金)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 村 上 宏 治
議事管理担当課長 安 齊 和 男
主任主査 柳 原   悟
主任主査 金 戸 伸 幸
主査 上 野 公一郎
主査 小 原 亜季子
主査 赤 坂 宏 紀
主査 戸 塚 教 仁
1説明員
保健福祉部長 八重樫 幸 治
技監兼副部長兼
医療政策室長 野 原   勝
副部長兼
保健福祉企画室長 高 橋   進
保健福祉企画室
企画課長 中 野 文 男
保健福祉企画室
管理課長 日 向 秀 樹
健康国保課
総括課長 佐々木   哲
地域福祉課
総括課長 菊 池 優 幸
長寿社会課
総括課長 近 藤 嘉 文
障がい保健福祉課
総括課長 山 崎   淳
障がい保健福祉課
特命参事 伊 藤 信 一
子ども子育て
支援課総括課長 門 脇 吉 彦
医務課長 福 士   昭
地域医療推進課長 稲 葉   亘

医療局長 大 槻 英 毅
次長 千 葉 雅 弘
経営管理課
総括課長 吉 田 陽 悦
職員課総括課長 三田地 好 文
医事企画課
総括課長 鈴 木 吉 文
業務支援課
総括課長 鎌 田 隆 一
薬事指導監 工 藤 琢 身
看護指導監 高 橋 弥栄子

医師支援推進室長 佐 野   淳
医師支援推進監 菅 原 朋 則

会計管理者 高 橋 宏 弥
会計指導監 山 梨 康 紀

監査委員 寺 沢   剛
監査委員 沼 田 由 子
監査委員事務局長 熊 谷 正 和
監査第一課
総括課長 千 葉 達 也
監査第二課
総括課長 小 守 健 一

財政課総括課長 臼 井 智 彦
〇名須川晋委員長 これより本日の会議を開きます。
これより議事に入ります。
認定第1号から認定第14号まで、並びに議案第38号及び議案第39号の以上16件を一括議題といたします。
本日は、保健福祉部及び医療局関係について、延べ20人の質問者を予定しておりますが、午後5時を目途に審査が終了いたしますよう、議事進行に御協力をお願いいたします。
初めに、保健福祉部長に保健福祉部関係の説明を求めます。
〇八重樫保健福祉部長 平成29年度の保健福祉部関係の決算について御説明いたします。
初めに、当部所管の事務事業に係る総括的な評価及び今後の取り組み方針について御説明いたします。
当部においては、いわて県民計画に掲げる岩手の未来をつくる七つの政策の一つである医療・子育て・福祉〜共に生きるいわての実現に向け、地域の保健医療体制の確立、家庭や子育てに希望を持ち安心して子どもを生み育てられる環境の整備、福祉コミュニティの確立の3点を政策項目として掲げ、取り組んできたところであります。
まず、一つ目の地域の保健医療体制の確立についてであります。
県民一人一人がみずからの心身の健康づくりに主体的に取り組み、地域に必要な医師等が確保され、県民が必要な医療や健診等を適切に受けることができるとともに、感染症などによる健康被害を心配することなく安心して生活できる体制を確立するため、奨学金等による医師の養成や即戦力医師の招聘、病院勤務医の離職防止に向けた勤務環境改善などの医療を担う人づくりを初め、岩手県地域医療構想に基づく病床機能の分化と連携の推進等の実現に向けた取り組みや、ICTを活用した地域医療連携体制の推進、災害医療人材の育成、在宅医療と介護の連携体制の構築支援や医療機関の復旧支援などの質の高い医療が受けられる体制の整備、新型インフルエンザやウイルス性肝炎対策の推進などの感染症対策の推進、市町村など医療保険者による特定健診などの受診率向上の支援や民間団体と連携した啓発活動、被災地における保健活動の支援などの生活習慣病予防等の推進に取り組んでまいりました。
今後とも、地域における医療人材の確保、定着に取り組むとともに、質の高い医療サービス提供に向けた医療機関の機能分担と連携の促進、被災市町村の新しいまちづくり計画や住民ニーズなどに対応した医療機関の復興支援に取り組んでまいります。
さらに、新型インフルエンザなどの感染拡大防止対策、生活習慣病予防のための健診受診率向上や健康づくりの普及啓発などの取り組みを推進してまいります。
次に、二つ目の家庭や子育てに希望を持ち安心して子どもを生み育てられる環境の整備についてであります。
男女が希望する時期に結婚でき、安心して子供を産み育て、次代を担う子供たちが健やかに育つ環境を整備するため、“いきいき岩手”結婚サポートセンターの運営による結婚を望まれる方への支援などの若者が家庭や子育てに希望を持てる環境の整備を初め、周産期医療体制の整備や親と子の健康支援、不妊に悩む夫婦への支援などの安全・安心な出産環境など親と子の健康づくりの充実、地域ニーズに対応した保育サービスの拡充や放課後児童対策、企業による子育て支援活動の促進などの子育て家庭への支援、子供の貧困対策や児童虐待防止、被災地における子供への各種支援などの子供の健全育成の支援に取り組んでまいりました。
その結果、いわて子育て応援の店の延べ協賛店舗数の増加、保育所における処遇改善実施率、放課後児童クラブ設置数は目標を達成して、取り組みは順調に進んでいるところであります。
今後とも、結婚サポートセンターによる結婚支援や、周産期医療体制の整備など安全・安心な出産環境の充実、多様な地域ニーズに対応した保育サービスの充実、被災児童の支援や継続的な心のケア、児童虐待の防止、子供の貧困対策などを推進してまいります。
三つ目は、福祉コミュニティの確立についてであります。
県民誰もが、必要な福祉サービス等を利用しながら、住民相互の支え合いなどにより安心して生活できる福祉コミュニティーづくりを進めるため、地域の支え合い体制づくりの支援や福祉を担う人材の育成などの生活支援の仕組みづくり、介護予防や地域包括ケアシステムの構築などの、高齢者が住みなれた地域で安心して生活し続けることができる環境の構築、障がい者の地域生活移行と定着の促進や、被災地における障がい福祉サービス提供体制の復旧支援などの、障がい者が必要なサービスを利用しながら安心して生活できる環境の構築、生活困窮者の自立支援や災害時における要配慮者の支援、被災地における見守り活動などの安全・安心のセーフティネットづくり、自殺対策を担う人材の育成や、自殺リスクが高い方への支援体制づくりなどの自殺対策の推進、被災者の心のケアを行う体制づくりなどの心のケア活動の推進に取り組んでまいりました。
その結果、元気な高齢者の割合の増加、人口10万人当たりの自殺死亡率の減少については取り組みが順調に進んでおります。
一方、地域密着型サービス拠点数の増加については、市町村の公募に対し、建設費の高騰などの理由によりサービス事業者からの応募がなかったことなどのため、また、障がい者のグループホーム利用数の増加については、必要とする方が希望する地域にグループホームがないなどの理由により、いずれも目標に達しなかったところです。
今後とも、市町村地域福祉計画の策定や地域福祉活動コーディネーターの育成への支援などを通じて地域の実情に応じた生活支援の仕組みづくりに取り組むとともに、被災地の福祉コミュニティーの復興支援、地域包括ケアシステムの構築に向けた介護サービス基盤の整備促進など介護サービスの充実、障がい者のグループホームなどの整備促進や障がい者に対する不当な差別的取り扱いの禁止と合理的配慮の考え方についての普及啓発、災害派遣福祉チームの派遣体制整備や福祉避難所の設置支援など避難行動要支援者支援体制の構築、生活困窮者の自立支援などに取り組んでまいります。
引き続きまして、平成29年度保健福祉部関係の決算について御説明いたします。
お手元の平成29年度岩手県歳入歳出決算書の12ページをお開き願います。当部関係の一般会計歳出決算は、3款民生費のうち、1項社会福祉費、3項児童福祉費及び4項生活保護費並びに5項災害救助費の一部で、支出済額901億4、545万円余、4款衛生費のうち、2項環境衛生費を除いた支出済額197億1、483万円余、16ページに参りまして、11款災害復旧費のうち、2項保健福祉施設災害復旧費、支出済額1億5、216万円余、13款諸支出金のうち、1項公営企業貸付金、支出済額103億円、2項公営企業出資金、支出済額531万円余、3項公営企業負担金の一部で、支出済額220億3、116万円余であります。
当部関係の支出総額は1、423億4、893万円余、翌年度繰越額は24億4、475万円余で、その主なものにつきましては、後ほど目別に御説明いたします。また、不用額は13億4、470万円余で、主なものは、救急医療に係る補助や市町村補助事業等で実績が見込みを下回ったことによるものであります。
以下、順次、項目ごとにその主なものにつきまして、便宜、お手元の歳入歳出決算事項別明細書により御説明いたします。
なお、事業ごとの金額の読み上げは省略し、備考欄記載の主な事業の内容を中心に御説明いたします。
歳入歳出決算事項別明細書の194ページをお開き願います。3款民生費1項社会福祉費1目社会福祉総務費の主なものでありますが、まず、冒頭の管理運営費は人件費が主なものであり、上から八つ目の生活福祉資金貸付事業推進費補助は、岩手県社会福祉協議会が行った低所得世帯等に対する生活福祉資金の貸し付けと相談援助事業の支援に要した経費であります。196ページに参りまして、2目障がい者福祉費の主なものでありますが、この目の上から六つ目の障がい者介護給付費等は、障害者総合支援法に基づく介護給付費等の障害者自立支援給付について、市町村が支弁した一部を負担したものであります。その次の障がい者自立支援医療費は、精神障がい者の通院医療費の自己負担額の一部を負担したものであります。下から四つ目の重度心身障がい者(児)医療助成費は、市町村が行った重度心身障がい者(児)医療費助成事業に要した費用の一部を補助したものであります。
なお、繰越明許費2億962万円余は、障害者支援施設等整備費補助において、基本計画の策定等に不測の日数を要したことにより繰り越したものであります。
3目老人福祉費の主なものでありますが、199ページに参りまして、この目の中ほどよりやや上の介護給付費等負担金は、介護保険法に基づき、市町村が行った介護保険事業に係る介護給付及び予防給付に要した費用の一部を負担したものであります。次に、六つ飛びまして、後期高齢者医療制度安定化推進費は、低所得者等に係る保険料の軽減相当額を市町村が負担した場合にその一部を負担したものであります。三つ飛びまして、後期高齢者医療療養給付費負担金は、岩手県後期高齢者医療広域連合が被保険者に対して支弁した医療給付費の一部を負担したものであります。
なお、繰越明許費17億2、537万円余の主なものでありますが、冒頭の老人福祉施設整備費補助などを、補助事業者の事業実施が遅延したことにより繰り越したものであります。
200ページに参りまして、5目国民健康保険指導費は、市町村の国民健康保険財政基盤の安定化に資するための負担金や基金の積み立てなどに要した経費であります。202ページに参りまして、6目婦人保護費は、婦人保護施設及び婦人保護一時保護所に保護しているDV被害者等の生活環境改善を図るための経費などであります。7目社会福祉施設費は、県立の社会福祉施設の管理運営に要した経費であります。
次に、ページを飛んでいただきまして、206ページをお開き願います。3項児童福祉費1目児童福祉総務費の主なものでありますが、207ページの下から五つ目の施設型給付費等負担金は、特定保育施設・地域型保育事業の給付に要した経費の一部を負担したものであります。二つ飛びまして、地域子ども・子育て支援事業交付金は、市町村における子ども子育て支援事業計画を推進するための事業に要した費用の一部を補助したものであります。
なお、繰越明許費1億8、937万円余は、上から八つ目の児童福祉施設等整備費補助などにおいて、補助事業者の事業実施が遅延したことなどにより繰り越したものであります。
208ページに参りまして、2目児童措置費の主なものでありますが、この目の冒頭、児童保護措置費は、児童福祉施設に措置された児童等の入所に要した経費であります。3目母子福祉費の下から二つ目の児童扶養手当支給事業費は、父または母と生計を同じくしていない児童が育成される家庭の安定と自立の促進に寄与するための児童扶養手当の支給に要した経費であります。4目児童福祉施設費の主なものでありますが、この目の一番下の療育センター整備事業費は、岩手県立療育センターの移転改築整備に要した経費であります。
なお、繰越明許費699万円でありますが、療育センター整備事業費において、関係機関等との調整に不測の日数を要したことにより繰り越したものであります。
210ページに参りまして、4項生活保護費1目生活保護総務費は、生活保護指導職員の人件費や生活保護給付事務、指定医療機関等に対する指導監査などに要した経費であります。
212ページに参りまして、5項災害救助費1目救助費は、災害救助等に要する費用に充てるための積立金や、平成28年台風第10号等に係る災害救助費の精算に伴う国への返還に要した経費などであります。
次に、ページを飛んでいただきまして、216ページをお開き願います。4款衛生費1項公衆衛生費1目公衆衛生総務費の主なものでありますが、上から二つ目の母子保健対策費は、小児慢性特定疾病医療費助成事業、未熟児に対する養育医療給付、周産期医療対策などの実施に要した経費であります。218ページに参りまして、3目予防費の主なものでありますが、上から三つ目の特定疾患対策費は、指定難病患者の医療費自己負担分に対する公費負担などに要した経費であります。4目精神保健費の主なものでありますが、221ページに参りまして、この目の下から二つ目、被災地こころのケア対策事業費は、東日本大震災津波による被災者の精神的負担を軽減するため、長期にわたる継続した専門的ケアを実施するこころのケアセンター等の運営に要した経費であります。5目高齢者保健費の主なものでありますが、この目の上から二つ目の特定健康診査・保健指導事業費負担金は、市町村が行った特定健康診査及び保健指導事業に要した費用の一部を負担したものであります。
次に、ページを飛んでいただきまして、228ページをお開き願います。3項保健所費1目保健所費は、保健所職員の人件費等の管理運営などに要した経費であります。
なお、繰越明許費121万円余でありますが、管理運営費において、備品の年度内の納入が困難であったことにより繰り越したものであります。
230ページに参りまして、4項医薬費1目医薬総務費は、人件費等の管理運営費がその主なものであります。2目医務費の主なものでありますが、233ページに参りまして、上から三つ目の救急医療対策費は、救急医療の確保充実を図るための救命救急センター運営やドクターヘリの運航に対する補助などに要した経費であります。下から四つ目の地域医療介護総合確保基金積立金は、医療、介護サービスの提供体制の改革を推進し、各地域において地域包括ケアシステムの構築を図るための基金の積み立てに要した経費であります。235ページに参りまして、冒頭の県立病院再建支援事業費補助は、東日本大震災津波により被災した県立病院の再建に係る費用を補助したものであります。
なお、繰越明許費3億1、217万円余の主なものでありますが、233ページにお戻りいただきまして、上から三つ目の救急医療対策費などを、関係機関との調整に不測の日数を要したことなどにより繰り越したものであります。
234ページに戻りまして、3目保健師等指導管理費は、この目の二つ目の看護職員確保対策費がその主なものであります。
ページを飛んでいただきまして、350ページをお開き願います。11款災害復旧費2項保健福祉施設災害復旧費1目社会福祉施設等災害復旧費でありますが、東日本大震災津波及び平成28年台風第10号により被災した保育所及び児童福祉施設等に対し、施設復旧支援に要した費用の一部を補助したものであります。
ページを飛んでいただきまして、364ページをお開き願います。13款諸支出金1項1目公営企業貸付金は、県立病院等事業会計への運営資金貸付金であります。
2項1目公営企業出資金は、県立病院等事業会計への運営資金出資金であります。
3項1目公営企業負担金のうち、当部の所管は、県立病院等事業会計への負担金220億3、116万円余であります。
以上で一般会計の説明を終わります。
引き続きまして、特別会計について御説明いたします。
ページを飛んでいただきまして、384ページをお開き願います。母子父子寡婦福祉資金特別会計の決算状況でありますが、収入済額は387ページの収入済額欄の末尾、6億1、388万円余であり、その主なものは、384ページにお戻りいただき、2款の前年度からの繰越金、3款1項の貸付金元利収入などであります。収入未済額は、387ページの収入未済額欄の末尾、1億6、717万円余で、その主なものは、母子福祉資金償還金などであります。
次に、388ページに参りまして、支出済額は、389ページの支出済額欄の末尾、3億4、370万円余であり、その主なものは、母子及び父子世帯並びに寡婦に対する修学資金、就学支度資金及び修業資金などの貸し付けに要した経費であります。
以上で保健福祉部関係の説明を終わります。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
〇名須川晋委員長 これより質疑を行いますが、世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇郷右近浩委員 委員長に協力するためにも、ぜひとも簡潔に質問してまいりたいと思います。答弁のほうもできる限り簡潔にわかりやすく説明をしていただいて再質問しないように進めていただければと思いますので、よろしくお願いします。
まず、奨学金養成医師についてお伺いいたします。
これまで、岩手県の慢性的な医師不足に対応するため、県でも奨学金養成医師を養成していく中で本当にさまざまな形で御尽力いただいておりますことに心から敬意を表したいと思います。
その成果がだんだん出てきたと思う反面、やはりどうしても診療科の偏在という部分に関してはなかなか解決できない部分が多々あるという認識を持っております。
そこで、奨学金養成医師におきましては、平成30年4月1日現在─平成29年度内で義務履行の猶予を受けている方々が56名、それから県立病院等への配置が42名となっていると聞いております。全奨学金養成医師98名中、小児外科2名、小児科5名、産婦人科3名となっているとのことでありますが、それがどのような配置になっているのかお伺いしたいと思います。
〇福士医務課長 奨学金養成医師の配置についてでありますが、県では、良医を育て、質の高い地域医療の確保に寄与することとした医師養成の基本理念のもと、大学院進学や専門医資格の取得など専門研修のためのキャリア形成にも十分配慮しながら適切な配置調整に努めております。
今年度の配置に当たりましては、平成29年度中に全体で98名の養成医師を対象に配置調整を行ったところです。本年4月1日現在で、沿岸・県北地域に配置した11名を含めまして、九つ全ての保健医療圏の公的基幹病院等に42名を配置したところです。
また、診療科別の状況についてでありますが、養成医師が専攻した診療科は全体で29科に上っております。小児科、産婦人科及び小児外科─産科、小児科に関連する診療科を専攻した養成医師は10名となっております。このうち、小児科で2名、産婦人科で1名の医師を県立病院に配置したところです。
なお、小児科等の養成医師で今年度配置にならなかった残りの7名につきましては、現在、専門研修等のため義務履行猶予中となっております。研修等が修了後、順次、県立病院等へ配置することとなると考えております。
〇郷右近浩委員 確かに、それぞれのスキルを伸ばしていきたいといった部分も含めて、医師としてのキャリアをどのようにつくっていくか、またさらに診療科の選択というのもそれぞれの方々をおもんぱかるところが大きいわけでありますけれども、ただ、やはり現場にぜひとも早く出していただきたいといった思いから質問させていただいております。
義務履行猶予者の方々がかねてより人数がどんどんふえていっている中で、その方々に対しての例えば県としての働きかけは何か行っているのか、どのようになっているのかお伺いしたいと思います。
〇福士医務課長 義務履行猶予者の状況についてでございますけれども、昨年度の配置調整を踏まえまして、今年度は全体で56名の養成医師に対しましてキャリア形成のための義務履行猶予を認めたところです。このうち42名が県内で専門研修を行っているところです。特に岩手医科大学で研修中の猶予者につきましては、猶予期間におきましても、県内の医療機関の宿日直応援を行うなど地域医療への貢献を求めることとしているところであり、研修等を修了した後は速やかに義務履行を開始することとなるものです。
今後の円滑な義務履行に向けては、これまでも、義務履行中、猶予中を問わず、全ての養成医師を対象にキャリアアップに対する助言等を行うため、県立病院長経験者である医師支援調整監による面談を重ねてきたところです。今年度は新たに医師支援調整監を2名増員して4名体制とし、今後さらに増加する養成医師の面談や大学関係者への説明にきめ細かく対応しているところでございます。
今後とも、こうした働きかけとあわせ、配置基本ルールに基づく計画的な配置調整に努めながら、全ての養成医師に対して確実に義務履行がなされるように促してまいりたいと考えております。
〇郷右近浩委員 本当に奨学金養成医師は金の卵であります。非常に大きく期待しておりますので、ぜひコミュニケーションをしっかりとりながら進めていっていただきたいと思います。
そこで、岩手医科大学等で研修をやっていただいている方々が多数いるわけでありますが、岩手医科大学への補助金の関係からお伺いをさせていただきたいと思います。
先日、総括質疑の中で斉藤信委員からもこの質疑がありました。大まかなところは大体わかったわけであります。特に、これまでこの10年間で148億7、000万円ほど補助している中で、今回の移転に係る費用が来年度出す分も合わせて74億円というボリュームで考えたとき、アベレージでと言うのも変な話ですが、必要に応じて、年、約10億円のいろいろな補助をしている。もちろんそれは、医師養成や周産期にかかわる部分で、きちんと購入していかなければならない機械や対応していく状況をつくっていくために使われてきたと認識しております。これほど補助している中で、成果としては、確かに県立病院に対して岩手医科大学からは先ほどの答弁にもあったとおりいろいろな形で医者を出していただいている。奨学金養成医師等も出していただいている中で、県立病院全体としては、医師数が何とか横ばいを保ってきている。これはもちろん退職医師等がある中で何とか補完になっているといった認識ではありますけれども、できればそれがぜひとも上向きになるような形に持っていっていただきたいと思うところであります。
今後、これほど補助金を支出している中で、ぜひとも県にはさらに岩手医科大学とのいろいろな話の詰めをしていっていただきたいと思うのですけれども、岩手医科大学とのコミュニケーションはどのような形で、県内の地域医療を守っていくということに対しての岩手医科大学の役割というものを含めた形での話というのはなされているのか、その点についてお伺いいたします。
〇野原技監兼副部長兼医療政策室長 これまで県では、岩手医科大学に対して、救急医療など大学が担う機能に応じた補助のほか、病院移転に対する財政支援を行ってきたところでございます。
県では、今般の岩手医科大学の移転に際しまして、平成29年度に地域医療の確保に向けた連携及び協力に関する協定書を岩手医科大学と締結したところであり、岩手医科大学は、医師の適正な養成、派遣、配置等を初め、地域医療への貢献に努めることとしております。
また、岩手医科大学の地域枠が今年度から平成31年度まで2カ年延長となったことに伴い、県は、平成20年度に締結した岩手医科大学医学部の教育研究費の負担に関する協定書の見直しを行い、大学による地域医療への貢献を求めるため、必要に応じて、大学で研修中の奨学金養成医師に公的病院等の診療応援等を行わせるよう努めることを新たに明記したところでございます。さきの総括質疑で知事が御答弁申し上げましたとおり、これらの協定に基づき、保健福祉部と医療局とが連携いたしまして、県立病院を含む地域の公的病院への医師派遣の拡充により地域医療の充実が図られるよう、岩手医科大学に対してあらゆる機会を通じて強く求めていく考えでございます。
〇郷右近浩委員 ぜひともその方向で頑張っていただきたいと思います。先日の総括質疑の際の知事の答弁の中にも、やはり地域、県民に対する役割を果たしてもらわなければならないという発言がありました。補助金を出しているからどうのというだけではなく、本来的に岩手医科大学がどのような形でつくられたものかということも根本にしながら、ぜひとも地域医療を守る、そうした中での岩手医科大学の役割という部分をしっかり県と一緒になって進めていっていただきたいと思います。
次に、特別養護老人ホーム等の施設整備についてお伺いしたいと思います。
このたび、4月1日現在の県内各市町村の入所待機者が公表されておりますけれども、現在の第7期介護保険事業計画で最終的にどのような形になっていくのか伺います。
〇近藤長寿社会課総括課長 特別養護老人ホームの入所待機者と施設整備についてでありますが、特別養護老人ホームの入所待機者への対応といたしましては、市町村において、高齢者人口の動向や社会資源等地域の実情などを勘案して介護保険事業計画を策定し、当該計画を踏まえて、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、認知症高齢者グループホームの整備などに取り組み、さらには、施設サービスだけに頼るのではなく、在宅介護サービスの充実も図っているところでございます。
平成30年4月1日現在において、今後1年程度で入所が必要となる見込みの方を含めまして早期入所が必要と判断されている待機者は856人となっておりますけれども、今年度中に新たに特別養護老人ホーム427床、認知症高齢者グループホーム117床の開設が予定されているほか、来年度以降も第7期介護保険事業計画期間中に施設整備が予定されていることなどから、これらを合わせて一定の対応が可能になるものと考えているところでございます。
〇郷右近浩委員 ぜひともこの開所に努めてほしいというのはまさにそのとおりでありますけれども、ただその反面、今の介護の現場が置かれている状況では、例えば特別養護老人ホームについてもほかの施設等についても、建てたはいいけれどもなかなか介護職員がいないということで、結局使われていないベッド等が多々あると私自身理解しております。きちんとそこが稼働できるようになれば、わざわざ新しい施設を建てなくてもいいのではないかといった考えを持つわけであります。もちろん施設を整備するに当たっては、今現在3分の1ほどに減ったとはいえ、いろいろな形の公的資金が入ったりするわけであります。そうしたもの全体を合わせたものが介護保険料にはね返っていく中にあって、新しい施設を建てれば建てるほど介護保険料が高くなっていく。もちろんサービスがふえればふえるほど高くなっていく。そうした中で、新しい施設をせっかく建てたのに、それが稼働していないというのは非常にもったいないという思いがあるわけであります。その点につきまして、今現在県では、例えば岩手県内に特別養護老人ホームのベッド数は3月末時点で8、517床、そして今回またふえるという中で、どのぐらいの空きベッドがあるという認識を持っているのか、その点についてお伺いをさせていただきたいと思います。
〇近藤長寿社会課総括課長 特別養護老人ホームの空床状況でございますけれども、これまで県として空床状況について調査を行ったことはございませんで、その詳細については把握できていないところです。関係団体等からお話を伺っている範囲では、既存の特別養護老人ホームについて、本県においては入所者の入れかえ等に伴って一時的に空床が生じることはあるものの、恒常的に空床となっているケースは余りないのではないかと感じているところでございます。
ただ、先ほど委員からもお話がございましたけれども、新設の施設の場合は短期間のうちに一括して多数の職員を確保する必要がありまして、人材確保が間に合わず、開設時に受け入れ人数を抑制して、数カ月かけて満床とするケースもあると伺っているところでございますので、施設整備に際しては、事前に職員確保対策に万全を期すように指導しながら施設整備を支援していきたいと考えております。
〇郷右近浩委員 新設の施設をつくる際には職員の配置計画などを提出しなければならない中で、もちろん最初はきちんと稼働できるという見込みでさまざま市町村でも判こを押したりという形で進んでいくわけでありますけれども、現実に、それが計画どおり開所した施設であっても、なぜかわからないけれども人が足りなかったというところがあるように見受けられます。そこ自体が私自身疑問ではあるのですけれども、施設を新しくつくっていただくということ自体、それはそれで、やはり特別養護老人ホームに何としてもお願いしたいといったニーズや、ひとり暮らしの方をどのようにケアしていくかという面で必要であると思っているわけであります。しかしながら、せっかく税金を投入してつくった建物がそのとおりあいているのは、もったいない。逆に、今度、あいていることによって収入が減りその施設の運営自体の資金繰りがショートするなど、施設自体がこのまま開所を続けられなくなるといったことがあるとすれば、まさにもったいないお金の使い方をしたという結果でありますし、そこの地域の方々に対して非常に残念な結果になるのではないかということを危惧しているわけであります。
そのための対応策としては、人材をつくっていくということで、そもそも介護人材を養成しなければいけないというところに行き当たるわけでありますけれども、例えば今現在の介護報酬の引き上げであったり、いろいろな対応も必要になってくると思います。そうしたことも含めて、きちんと空きベッドを活用する、そして介護人材をきちんと育てていくという部分についてしっかりと取り組んでいかなければいけない。そのためには調査から入っていかなければならないと感じるところであります。
ちなみに、埼玉県の第7次高齢者支援計画においては、特別養護老人ホームのベッド数467施設3万5、357床のうち空きベッドが71施設533床となっており、やはりきちんとまずそれを埋められるような手だて、人材の確保というものをきちんとやっていくべきだということで、実は予算が凍結になっております。新年度の予算が凍結になっておりまして、これは、全国的な人材不足の解消だったり、税金をつぎ込んだ施設をどのように活用していくかといったことが大事であると思いますが、その点について御所見、そして、県としてそうした調査を始めていくか、どのような対応をとっていくか、その点についてお伺いしたいと思います。
〇近藤長寿社会課総括課長 全国的にそうした空床が生じているという問題があることは伺っております。本県においてもやがてそういうときが来る可能性が高いというのもそのとおりと思います。委員御指摘のとおり空床が出るということはもったいないことでもありますし、施設の運営にも大きな影響を与えますので、決して好ましいことではありません。これまで県としては空床状況の調査はしてなかったわけですけれども、介護の現場は非常に忙しくて、事務作業等々をできるだけ省力化しようという流れがある中で余り負担をかけるのは本意ではないのですが、例えば入所待機者調査を毎年実施しておりますので、その中に調査項目を少しふやすような形で空床の状況を調査するという方法も考えられるのかなというような気はしておりますので、関係団体の皆様の意見なども聞きながら、少し調査のやり方などについては研究させていただきたいと思います。
〇郷右近浩委員 確かに介護の現場は本当に大変な状態で、そのとおりそれぞれの施設での人材不足だったり、いろいろな中で頑張っておられる。ではありますけれども、例えば今現在の空きベッド数がどのようになっているか、そしてその原因はといった調査というのは、そんなに負担をかけるような調査であるとは私自身考えないわけであります。これはやる気の問題だけであって、そして、そういったものをきちんと積み重ねていく中で新しいものがどれほど必要かをちゃんと考えていくことが必要だと思いますが、その点について御所見を伺います。
〇近藤長寿社会課総括課長 先ほどの答弁について少し語弊があったかもしれませんけれども、調査をする考えはないということではなく、何とか県にとっても、あるいは施設側にとってもいい形で調査ができればと考えておりますので、そこら辺を少し関係団体等と研究させていただきたいと思います。
〇郷右近浩委員 最後にします。
介護現場の今の状況というのは、恐らく議員諸兄、皆様方本当に肌でそれぞれ感じておられることだと思いますし、もちろん職員の皆さんもそうだと思います。
実際問題、先ほど御答弁いただいた中で、岩手でもそのようなことがこれからというような話がありました。現実にはもう既に倒産しかねない事業者とか、本当は20床動かすはずが10床しか動いていない、そういった施設があるというのは私自身現実に感じているところであります。
そうした中で、これは人が先か何が先かになっていくのですけれども、しっかりとそうした認識を持っていただいて、そして地域でどれだけのことができるのか、対応ができるのか、そしてそのために人材育成などをどのようにしていかなければいけないのか真剣に考えていただきたいと思いますが、部長から答弁をお願いします。
〇八重樫保健福祉部長 御指摘いただきました介護人材の関係につきましては、今、県で、参入促進や資質の向上、あるいは労働環境、処遇の改善といった視点から総合的に人材確保に取り組んでおります。委員から御指摘いただきました介護人材の活用─空きベッドの活用という点も含めて、施設側、あるいは今、市町村で第7期介護保険事業計画におけるサービス量を見込んで新設の施設整備等々を計画しているわけですので、そこについても市町村に適切なサービス量というところで助言をしながら待機者の解消に努めてまいりたいと考えております。
〇郷右近浩委員 まだまだ言いたいことはありますけれども、協力して、終わります。
〇工藤勝子委員 ただいま、郷右近委員からもいろいろ介護福祉施設の関係、介護人材の育成等の質問がございました。私も通告しておりましたので、若干そこのすき間みたいなところを聞いてみたいと思っております。
高齢者が住みなれた地域において安心して生活していくため、医療、介護、生活支援サービスなど、地域包括的なシステムがそれぞれ市町村で構築されてきていると思っております。資料によりますと、先ほどのように856人の方が早期に入所を希望されているというようなデータも出ております。そういう中において施設整備の関係でありますけれども、地域密着型サービス拠点の整備は、平成29年度41カ所の計画に対して実績値22カ所と、約半分になっているわけであります。今後やはり計画的に施設の整備を進めていく必要があるのではないかと思っているところであります。県の市町村への支援についてお伺いしたいと思います。
〇近藤長寿社会課総括課長 施設整備等に関する市町村への支援でありますけれども、先ほど郷右近委員への答弁でも申し上げましたとおり、特別養護老人ホームの入所待機者の対応としては、市町村において、高齢者人口の動向や社会資源等地域の実情などを勘案して介護保険事業計画を策定し、その計画を踏まえて施設整備に取り組んでいるところでございます。
県といたしましては、昨年度、市町村において行われた第7期介護保険事業計画策定作業の段階から、適切なサービス見込み量に基づいて計画的な整備を進めるよう市町村に助言するとともに、連絡会議や研修会の開催などを通じて各市町村の計画策定を支援したところでございますので、引き続き、こうした経緯で策定された計画に基づいて、市町村の施設整備など各種介護サービス基盤の整備が着実に進むように補助金の交付などを通じて支援していきたいと考えております。
〇工藤勝子委員 どうぞ市町村と連携をとりながら、ぜひよろしくお願い申し上げたいと思っております。
次に、介護人材の質問もございました。
いわていきいきプラン2020の資料によりますと、介護職の需要と供給差として、平成30年度423人が不足している。そして、2020年になりますと1、377人、2025年になると3、275人ということでありました。これからいろいろな施設をつくっていくにしても、介護人材が不足すると、それぞれの市町村において、事業者もなかなか施設をつくられないという状況になってきているわけであります。まして少子化であります。
そういう中において、これから、若い人たち、例えば高校を卒業した人たち、それから専門学校を卒業した人たちに介護職を選択してもらうため、生き生きと─介護職は重労働でありますけれども、非常にやりがいのある仕事でもあると私は思っているところでありまして、介護職を選択していただくため、県として、どのような切り口と申しましょうか、今後、どこにどのような形で人材育成を図っていこうとしているのかお伺いしたいと思います。
〇近藤長寿社会課総括課長 若い方々への働きかけということでございますけれども、平成27年に株式会社リクルートキャリアが行った介護サービス業職業イメージ調査を見ますと、高校生や大学生等が、介護サービス業に対して体力的、精神的にきついとか給与水準が低目であるというネガティブなイメージだけではなく、社会的な意義の大きい仕事という前向きな印象も持っており、また、介護の仕事について理解が進むことで、就職先として介護サービス業を思い起こす割合が大幅に増加しているとの結果が示されているところでございます。
県としても、県内の介護福祉士養成施設において定員割れが続いている状況等を踏まえまして、若い世代への働きかけが重要と考えており、平成29年度には、市町村や介護福祉士養成施設協会が小、中、高等学校の生徒等を対象として実施した介護の仕事への理解を深める事業に対し補助を行うなど、介護分野への若者の参入促進を図る取り組みを進めてきたところです。また、今年度においては、こうした取り組みに加えまして、将来の進路を考える時期となる中学2年生を対象に、進路選択の参考となるよう、介護の仕事の魅力をわかりやすくまとめたフリーペーパーを配布するなどの取り組みを進めています。
今後とも、関係団体等と連携して、若い世代の方々に介護の仕事の魅力や重要性を理解してもらい、介護職を目指してもらえるように努めていきたいと考えております。
〇工藤勝子委員 今、大幅に介護職を選ぶ人たちが多くなってきているというお話を聞きまして、少し安心したところでもあります。
次に、介護職の中で非常に離職者が多いという現状もあると思っておりますが、その現状をどのように把握されているかお伺いいたします。
〇近藤長寿社会課総括課長 離職者の状況でございますけれども、離職率ということで厚生労働省の雇用動向調査の平成29年度のデータで申し上げますが、全産業では全国で離職率が14.9%でありますけれども、これを介護労働者で見ますと、全国では16.2%。これは、全国の全産業14.9%に対して16.2%ですので、介護労働者のほうが高いという状況であります。これに対して、岩手県の状況について見ますと14.8%ということで、全国平均の離職率よりはやや低目となっております。
〇工藤勝子委員 全国よりは低いわけでありますけれども、やはり離職しないで、退職まで健康である限りは続けられるような環境整備というのは非常に大事になってくるのではないかと思っております。
そういう中において、働き方改革という新しいことが出てまいりました。いろいろな現場におきまして、今後、この働き方改革を導入していかなければならないのではないかと思っております。そうしますと、介護施設を運営する側─経営者側、それから介護する側との間にすき間が出てくるのではないかと思っております。つまり、働き方改革を導入することによって、運営者側としてはさらにまた1人、2人と介護人材を入れていかなければならない。それから報酬改定もありましたけれども、先ほども話しましたように非常に経営的に苦しくなってきているという声を現場から実際に聞いているわけであります。その中で、しっかりと介護から離職しないような形、そして働き方改革も進めて、やりがいを持って、生きがいを持って介護職に当たる、働く環境整備というのが非常に今後大事になってくるのではないかと思っています。こういうことを整備することによって、結局、若い人たちももっと介護現場で働きたいという要望が多くなってくるのではないかと思っているところであります。そういう形で、今後、県としてこの働き方改革を介護現場にどのように指導されていくのかお聞きしたいと思います。
〇近藤長寿社会課総括課長 働き方改革の関係でございますけれども、介護人材不足が非常に厳しい状況の中でありますので、働き方改革に取り組むのが難しいというのは経営者側の立場としてあろうかと思いますが、逆に申し上げますと、そういうことに取り組まなければ職員の定着もあり得ないということでありますので、そこら辺はやはり労使間でしっかり認識を共有しながら、濶達な意見交換をして職場を活性化していくことが大事ではないかと考えております。
それにつけましても適切な水準の介護報酬が設定されなければ職員の処遇改善もなかなか難しいところがございますし、施設の安定的な経営というのも難しいものがございますので、そこら辺については国のほうに引き続き必要な働きかけ、提言等は行ってまいりたいと考えております。
また、間接的な働き方改革ということかもしれませんけれども、ICTの活用や介護ロボットの導入といったことも職場の負担軽減の役に立つものでございますので、そういったものの導入についても県としていろいろ支援していきたいと考えております。
〇工藤勝子委員 資料にもありましたように、今、介護ロボット等もかなり改良されてきているということもありますし、展示もされているという話もありました。でも、やはり県として、もう少し介護施設、大きいところ、それから30床以内の小規模施設もいっぱいあるわけでありますが、ぜひ現場に足を運んでいただいて、現場がどのような状況になっているのか、今後、介護施設を運営していくために何が大切で、そして今、何が課題になっているのかをしっかり把握しながら、さらにまた次の計画を立てていただければいいのではないかと思っております。
なかなか施設に入れなくて、家庭で家族が介護している人たちもたくさんいるわけであります。そういう人たちから、介護疲れというようなことを聞いている状況もございます。いろいろな形で、ショートステイなど短期入所を活用されている方々もありますけれども、それもできなくて、ずっと家庭で介護している方々も現場にはいっぱいおります。
施設の中でもやはり先ほど言った働き方改革等をしっかり進めていかないと、施設で介護する人たちも非常に疲れている。人間関係のトラブルも起こります。そうなってきますと、全国でもいろいろな大きな事件につながった事案もあるわけであります。岩手県ではそういう施設において虐待等は私はないと思っていますけれども、最後に、そういうところがあるのかないのか、そういうところを確認して質問を終わりたいと思います。
〇近藤長寿社会課総括課長 施設での虐待の事案があるかどうかという御質問でございますけれども、県内におきましては、平成29年度の状況について申し上げますと、ショートステイの施設で介護職員が利用者の方々に乱暴な言葉遣いをするとか乱暴な対応をする、物を雑に扱うといったような、暴力というよりは心理的な虐待というニュアンスでありますが、そういったことをした事例があると聞いておりますし、また、金銭的な虐待といいますか、お金を借りてなかなか返さないといった例もあったやに聞いているところでございます。
全国で非常に重大な虐待事案、暴力事件等が発生している中で、県内ではそうしたものはないとはいうものの、いわゆる虐待と認定されるような先ほど申し上げたような心理的虐待や経済的虐待はあるということで、その背景に、過重労働等、職員の心の余裕のなさ等があるということも指摘されているところでありますので、そういった虐待を防止する意味でも、職員の処遇改善、職場環境の改善について事業者とともに努めてまいりたいと思っております。
〇佐々木努委員 2点お伺いします。
最初に、受動喫煙対策についてお伺いします。
これは議会事務局の部局審査でも取り上げましたけれども、4月の健康増進法の一部改正によってますます県の役割というのが大きくなっていますので、保健福祉部にも取り組みをお伺いしていきたいと思います。
初めに、昨年度の取り組み状況、あと、今年度どういうことをやっていこうとしているのか、簡単で結構ですから、お知らせいただきたいと思います。
〇佐々木健康国保課総括課長 昨年度の取り組みと今年度の取り組みについてお尋ねがございました。
受動喫煙防止対策については、昨年度は、企業や事業所などを対象とした講座やセミナーにより受動喫煙による健康影響の普及啓発でありますとか、食品営業許可更新講習等の機会を利用しました受動喫煙防止対策の働きかけ、禁煙、分煙の飲食店、喫茶店、宿泊施設の登録といったさまざまな受動喫煙防止対策に取り組んだところでございます。
あわせて、喫煙対策の取り組みも並行してやっておりまして、世界禁煙デーや禁煙週間における取り組みでありますとか、禁煙希望者への禁煙支援の取り組み、全国健康保険協会岩手支部と連携した働き盛り世代への普及啓発などに取り組んだところでございます。
同様の取り組みは今年度においても引き続き取り組んでまいりますけれども、御紹介にありましたとおり、健康増進法が一部改正されて新たな受動喫煙防止対策が進められることとなりましたので、県においても、取り組みを推進するために、9月補正予算で必要な予算を計上させていただきました。
今後、受動喫煙による健康影響についての正しい知識の普及啓発を一層強化してまいりたいと考えておりますし、各種施設の管理者に求められる措置の周知などに取り組みたいと考えております。
〇佐々木努委員 成果は上がっているということを前提に、次に進みたいと思います。
今、施設の管理者にもさまざま取り組みが求められるという話がありましたけれども、県立施設において、受動喫煙対策をどのように進めてきたのか。あわせて、県立施設の禁煙と分煙の状況についてもお知らせください。
〇佐々木健康国保課総括課長 県立施設における受動喫煙防止対策でございます。
県では、平成23年3月に、県立の施設における受動喫煙防止対策指針を策定し、対策を順次進めてきたところでございます。
平成30年8月1日現在、県立施設453カ所につきまして、禁煙、分煙の状況について調査をいたしました。屋内施設436施設のうち、施設、建物の中、その敷地内では喫煙できない敷地内禁煙が117施設、施設、建物の中では喫煙できない屋内禁煙が288施設、分煙が31施設となっております。非分煙は今のところないということでございます。
それから、屋外施設もございまして、17施設確認しておりますが、敷地内禁煙が2施設、分煙が9施設、喫煙場所が限られていない非分煙が6施設あったという状況でございます。
〇佐々木努委員 屋内施設436施設のうち、405施設が施設内では喫煙ができないということで進んでいると思いますが、残り31施設ではいまだに分煙の状況だということです。この31施設はどこですか。
〇佐々木健康国保課総括課長 31施設の内訳ということでございますけれども、警察署など警察施設が23施設、県外の4事務所を含む─これは間借りをしておりますので、ビルの施設の状況に応じてなかなか対策が難しいというのがありますけれども、その4施設を含む知事部局の所管施設が7施設、残り1施設は議会棟ということでございます。
〇佐々木努委員 そうだと思います。その理由は、平成23年度に県が策定した方針から、警察の派出所とか議会棟が除かれている。県立の施設であるのに、除かれた理由は何ですか。
〇佐々木健康国保課総括課長 策定の当時の検討経緯を調べたところ、議会棟につきましては、議員の自主的運営によるものであるというような理由で除外されております。
それから、交番、駐在所等については、ほとんどの駐在所が1人勤務でございまして、受動喫煙が生じる可能性が低いこと、交番、駐在所の勤務者は外勤が主でありまして、不特定多数の人が利用する公共の場所に位置づけられないという考えから除外しているところでございますけれども、ここに例示されている交番、駐在所につきましては、現在はいずれも屋内禁煙の扱いとなってございまして、まだ屋内の喫煙施設があるのは、警察署等の施設が中心となっているところでございます。
〇佐々木努委員 これは、県立施設としてそういう方針を立てられたのですから、私は、除外をする必要はどこにもないと思いますし、むしろ、県民の受動喫煙対策を進める保健福祉部として、県としては、やはり全ての県立施設は厳しく禁煙を進めるという立場でこの対策を進めていくべきではないかと思います。警察にも、県としてもっと進めてほしいということをどんどん言っていくべきではないかと思うわけです。
国では、来年の9月までに行政施設は、敷地内禁煙を進めるようにという法改正が行われたわけでありますけれども、それを受けて、県立の施設における受動喫煙対策の方針を早急に見直すべきだと私は思いますが、所見をお伺いします。
〇佐々木健康国保課総括課長 県の指針についてでございます。国の受動喫煙防止対策に係る法改正が行われましたけれども、その詳細について、今現在におきましても、たばこについては、国におきまして、たばこの健康影響評価専門委員会で、具体的な基準でありますとか、その範囲でありますとか、そういったところを検討していると聞いております。
今後、いつになるかというところは大変気になるところではございますが、健康増進法の一部を改正する法律の施行は公布の日から6カ月を超えない範囲でと定められております。その前には確実に出してもらえるだろうと考えておりまして、それを見据えて、その内容いかんによっては、県の指針についても検討せざるを得ないだろうと考えております。
ただ、県の指針につきましては、基本的には屋内禁煙もしくは敷地内禁煙を基本としておりますので、改正後の健康増進法の基準と同等もしくはそれ以上となっている施設もございますので、その辺につきましては、詳細な基準を見ながら検討してまいりたいと考えております。
〇佐々木努委員 私の個人的な知り合いの方がヘビースモーカーでしたが、肺がんで亡くなったということがあって、この禁煙対策についてはぜひ進めてほしいという思いも強く持っておりまして、県には、健康づくり、健康寿命をこれからどう伸ばしていくかということを、次期総合計画にもうたっているわけですから、そういうものを進めるという意味からも、もっと強く、積極的に進めてほしいと思うのですが、部長、いかがでしょうか。
〇八重樫保健福祉部長 望まない受動喫煙が生じないように、受動喫煙を防止するための措置を総合的かつ効果的に推進するよう努めるという、県を初めとした地方公共団体の責務の規定がございまして、県としても、先ほど総括課長が答弁したとおり、例えば県立施設でどういう対応が必要かということはしっかり各部局にも通知して、必要な施設改修等を依頼していこうと考えておりますし、まさに健康寿命の観点からも、この受動喫煙対策にしっかりと取り組んでいくという考えでございます。
〇佐々木努委員 次に、地域医療構想の実現に向けた県の取り組みについてお伺いいたします。
昨年度と今年度の地域医療構想調整会議は各構想区域でどのような形で行ってきたのか、開催状況についてお伺いいたします。
〇野原技監兼副部長兼医療政策室長 地域医療構想調整会議の開催状況についてでございますが、平成27年度に地域医療構想を策定いたしまして、平成28年度には県内九つの構想区域に地域医療構想調整会議を設置して以降、平成28年度は各構想区域でそれぞれ1回、平成29年度はそれぞれ2回または3回会議を開催し、病床機能の現状や将来の予定、医療従事者確保や在宅医療等の体制整備などの地域における課題などについて協議を行ってまいりました。
今年度は、各構想区域で3回程度の開催を予定しており、これまで四つの構想区域で調整会議を開催したところでございます。個別の医療機関ごとに、2025年度を見据えた担うべき役割や医療機能ごとの病床数を含む具体的な対応方針の取りまとめに向けた議論を開始したところでございます。
〇佐々木努委員 私も去年から自分の選挙区である胆江保健医療圏の調整会議にオブザーバーとして出席させていただいておりまして、一番思うのは、なかなか議論が進まないと。回数を重ねても、入り口のところで行ったり来たりしているということで、これは胆江地区に限ったことなのか、それとも全域でそういう状況なのか、ほかの状況をまだ私も詳しくお聞きしていないのでわからないのですけれども、議論が進んでいると思われているか。もし思われていないということであれば、何がその議論の進行を阻害しているのか、その現状と課題についてお聞かせいただければと思います。
〇野原技監兼副部長兼医療政策室長 まず、県全体の状況という形で申し上げたいと思います。
国が進めている地域医療構想の目的として、主に都市部において、同じような機能を持った医療機関の再編や機能分担を進めようというものがあると理解しておりまして、本県の現状といたしましては、多くの構想区域においては、急性期機能を担う中核的な県立病院等と、回復期、慢性期の機能を担う中小の公的病院や民間病院等により一定程度役割分担が行われているという実態があると認識しています。
圏域によりまして、例えば盛岡保健医療圏ですと、かなりの医療機関がございます。一つの県と言ってもいいぐらいの地域です。一方で、比較的小規模な沿岸南部や県北の地域ですと、病院が三つか四つという形で、中核病院があって、慢性期、回復期の病院があって、もう既にある程度役割分担が進んでいて、今後、在宅医療や人材確保をどうしていこうかという論点が明確になっているところもあります。医療機関が多数ある保健医療圏、特に東北本線沿いといいますか、内陸部の保健医療圏におきましては、各病院の今後の方向性をどうしていくのかといったところの具体的な議論まではまだ至っていないというのが現状かと認識してございます。
また、各圏域からいただいている意見として、大体共通しているものということで申し上げますと、地域によっては唯一の病院がさまざまな機能を担っている場合もあって、地域の実情に配慮した議論が必要であること、また、ひとり暮らしの老人世帯が増加するなど、地域の介護力や看護力が低下する中で、在宅医療に対する需要の増加が見込まれて、訪問診療や訪問看護の強化、連携が重要であることなどが指摘されていると考えております。
したがいまして、具体的なデータを地域ごとにきちっと分析いたしまして、現状の課題や論点を、本庁または現場の保健所の事務局できちっと協議いたしまして、また、関係者とも事前にもう少し協議して、各回で、今回はこういったテーマで議論していこうということまでも設定しまして、まず取り組んでいくべき課題、じっくり腰を据えて取り組んでいく課題なども整理をしながら、今後検討を進めてまいりたいと考えております。
〇佐々木努委員 確かに、地域医療構想はいわば国の押しつけだと、半分はそのように私も思っています。医療機関が多いところは、それぞれ医療機関ごとの経営というものがありますし、これまでの流れとか方針もありますから、自分のところが率先して病床を減らそうとか、一概にそういう議論にはなかなか進んでいかないというのは理解できることですけれども、一方で人口もこれからどんどん減少していく、病院にかかる方も、ある一定の年になれば、それからどんどん減っていくということで、将来、20年、30年あるいは50年後を想定した際に、今の医療体系でいいのかということは、県としてもしっかり考えていかなければならないし、そのために地域医療構想をどうしていくかということを考えるのは大事なことだと思うのです。
それで、これも私の地元のほうの保健医療圏のことを言いますけれども、たくさんの医療機関がある中で、どうしていったらいいのかという議論になかなか進んでいかない。ほかにもさまざまな要因があるのですけれども、そういうものを、県が中心になってどうしようという話をしても、県も県立病院を抱えているという立場がありますから、なかなか難しい。保健所の所長が一生懸命何とかしようと思っても、いろいろな利害関係なり思惑がある中で、進まないと思うのです。
これをスムーズに進めていくには、私も地域医療構想調整会議でお話ししましたけれども、県職員以外のコーディネーターなりアドバイザーなり、そういう方を大事なところにしっかり置いて、その方がうまく調整役を果たすような流れといいますか、そういう体制にすべきではないかと思うのです。そういう考えはないですか。
〇野原技監兼副部長兼医療政策室長 委員から御指摘いただきましたとおり、地域医療構想調整会議における議論を活性化させるための方策の一つとして、客観的かつ専門的な助言を行う第三者的なコーディネーターの配置は有効であると考えております。
今般、国におきまして、地域医療構想の進め方についての助言などを役割とする地域医療構想アドバイザーを都道府県の推薦に基づき設置したところでございます。
本県では、医療政策や病院経営に関する知見を有する有識者5名を国に推薦し、アドバイザーとして任命されたところであり、県といたしましては、このアドバイザーと連携しながら、保健、医療、介護のデータ分析に基づき地域の実情に応じた論点の提示などにより議論を活性化させ、地域における必要な医療提供体制の構築に取り組んでいく考えであります。
〇佐々木努委員 地域医療構想アドバイザーを設置するということなのですね。わかりました。いつから配置になるのか、どういう役割を担うのですか。
〇野原技監兼副部長兼医療政策室長 ことしの8月に推薦いたしまして、8月の中旬に委嘱されました。8月31日に全国のコーディネーターの会議がございまして、そこで1回目の研修を行ったところでございます。
具体的な運用等につきましてはまだ国から示されていないところですけれども、ある程度想定されているのは、コーディネーターはみんな医師なのですけれども、担当地区を決めまして、コーディネーターに毎回入っていただいて、客観的な立場から御助言をいただくという形で連携して進めていくということで今後準備を進めていきたいと考えています。
〇佐々木努委員 ちなみに、どういう方々が委嘱されたのでしょうか。
〇野原技監兼副部長兼医療政策室長 県医師会の立場から2名、大学の専門家の立場から1名、あとは、ある程度病院経営、病院の院長を経験した、そしてまた、現在も地域の病院の院長をされている方が2名、そういった形で5名ということでございます。
〇佐々木努委員 それでは、引き続き、アドバイザーの方々も効果的に活動していただいて、なおかつ、地域医療構想は県が主導的にという役割をこれからも担わなくてはならないと思いますので、もっと積極的に議論をリードしていただけるように、県もしっかり考えていただきたいと思います。
このことにつきましても、これからどういう形でこの地域医療構想の実現に向けて取り組んでいかれるのか、部長の考えをお聞きして、終わります。
〇八重樫保健福祉部長 地域医療構想の実現に向けましては、今、構想区域ごとに医療関係者あるいは介護関係者、市町村等の構成員で地域医療構想調整会議があるわけですけれども、その中でさまざまな協議を行いながら取り組むことが必要でありまして、県としては、地域医療構想調整会議の協議に基づく医療機関の自主的な取り組みを支援する役割を担っていると考えておりますので、先ほど説明いたしました地域医療構想アドバイザーの方々等にもこれから協議の場に加わっていただいて、地域医療構想調整会議の中で、さまざまな機能分担であったり地域医療の課題について、しっかりとその方向性について議論していきたいと考えているものでございます。
〇工藤誠委員 私のほうからは2点お伺いいたします。
1点目でございますが、児童福祉司の配置についてでございます。児童虐待のことにつきましては、けさの新聞にも出ておりましたし、また、今議会も一般質問、部局審査でも出てきております。
そこで、最初に確認でございますけれども、虐待の状況ということで、全国、岩手県、県内の広域振興圏のここ5年間ぐらいの推移はどうなっているのか、件数や原因について教えていただきたいと思います。
〇門脇子ども子育て支援課総括課長 初めに、児童虐待の傾向についてでございますけれども、平成25年度から平成29年度までの5年間の動向でお話し申し上げますと、全国の児童相談所が対応した児童虐待相談対応件数につきましては7万3、802件から13万3、778件へ5万9、976件、81.3%の増となっております。
一方、県内の児童相談所と市町村が対応いたしました児童虐待相談対応件数につきましては、845件から1、505件へ660件、78.1%の増となっております。
広域振興圏別で申し上げますと、盛岡広域振興圏が240件から703件へ463件、192.2%の増、県南広域振興圏が376件から377件へ1件、0.3%の増、沿岸広域振興圏が172件から318件へ146件、84.9%の増、県北広域振興圏が49件から92件へ43件、87.8%の増となっているところでございます。
また、類型別の過去5年間の傾向で申し上げますと、全国では、心理的虐待が2万8、348件から7万2、197件へ4万3、849件、154.7%の増、身体的虐待につきましては2万4、245件から3万3、223件へ8、978件、37%の増、ネグレクトにつきましては1万9、627件から2万6、818件へ7、191件、36.3%の増、性的虐待につきましては1、582件から1、540件へ42件、2.7%の減となっているところでございます。
また、県内の児童相談所と市町村が対応いたしました児童相談対応件数で申し上げますと、心理的虐待が323件から857件へ534件、165.3%の増、身体的虐待が302件から327件へ25件、8.3%の増、ネグレクトにつきましては204件から295件へ91件、44.6%の増、性的虐待につきましては16件から26件へ10件、62.5%の増という状況になっております。
〇工藤誠委員 いずれも驚異的に増加する傾向にあると。平成27年でしたか、面前DVの問題が出てきていますので、そのあたりから一挙にふえてきているのかと思います。そして、それを裏づけるように心理的虐待がふえてきているので、そういうことなのかと思っています。
それで、なかなか難しい問題でありますので、これといって、すぐにどうこうということではなく、地道ないろいろな啓発とか、その事案に対応していくということは当たり前なことなわけですが、県内においては、児童福祉司また児童心理司がいらっしゃるわけですけれども、今、福祉総合相談センターと児童相談所が県南と沿岸にあって、3カ所で対応しているということですけれども、その配置状況と、どの児童相談所がどのエリアまでカバーしているかということ、特に県北の方面は、多分、盛岡の福祉総合相談センターなのだと思いますけれども、かなりの大きな範囲ではないかと思うので、その辺の状況を教えてください。
〇門脇子ども子育て支援課総括課長 児童福祉司の配置の状況についてでございますが、まず、児童福祉司につきましては、今年度は全県に37人の配置をしております。内訳を申し上げますと、福祉総合福祉センターに20人、一関児童相談所に9人、宮古児童相談所に8人でございまして、今、委員からも御紹介ございましたけれども、県北地域につきましては、県北広域振興局に、これは福祉総合相談センターからということになりますが、その20人のうち3名を駐在という形で配置しているところでございます。
また、児童心理司の状況でございますが、県全体で18名配置しておりまして、福祉総合相談センターに9名、一関児童相談所に5名、宮古児童相談所に4名という状況でございます。
なお、エリアにつきましては、ただいま委員からも御紹介がございましたとおり、県北・沿岸につきましては、かなり広域でございますけれども、福祉総合相談センターがカバーしているという状況でありまして、そういったことから、移動距離とかの関係もありますので、県北広域振興局保健福祉環境部に児童福祉司が3名駐在しているという状況でございます。
〇工藤誠委員 それで、先ほどの数字からうかがえば、県北広域振興圏の児童虐待相談対応件数は92件というお話もございました。そうした場合に、3名の児童福祉司が、盛岡市の福祉総合相談センターから駐在という形で久慈市の県北広域振興局保健福祉環境部に行っているということで、そのお三方が県北8市町村の事案に対応しているということだと思います。
実際、久慈市から二戸市まではどれぐらい時間がかかるのかという話になった場合、普通、法定速度で走っても1時間ちょっとぐらいはかかるのですけれども、急な事案が発生した、要保護児童対策地域協議会などの会議に出なければならない、一時保護とか措置の権限は児童福祉司にあるわけですから、そういう緊急を要するような場合において、果たして、久慈市に3人駐在させておいて、二戸地域の事案に緊急に対応できるものなのかと、これが現場の声でもあります、現実に。
年々、要保護児童対策地域協議会に上がる事案は多くなっていますし、かつ、家庭訪問をしなければならない事案もふえてきています。そして、二戸地区の人口を見ても、5万5、000人以上ですから、児童福祉司を1名は必ず置かなければならないような状況にはなっています。その辺の対応、認識についてお伺いしたいと思います。
〇門脇子ども子育て支援課総括課長 久慈市駐在におきましての福祉総合相談センターとの役割の分担ということで申し上げたいと思いますけれども、駐在の3名の方につきましては、あくまでも児童福祉司によるソーシャルワークを担っておりまして、心理判定ですとか、一時保護の関係ですとか、措置の事務の関係につきましては盛岡市の福祉総合相談センターで行っているところです。
そういった役割分担をしながら、移動距離は確かにあろうかと思いますけれども、その3名の中で、可能な範囲で緊急対応もしているところでございます。
〇工藤誠委員 久慈市駐在と盛岡市の福祉総合相談センターと役割分担をしながら、事案に対応していくということなわけですけれども、はっきり申し上げれば、二戸保健福祉環境センターに1名でも駐在できないのか、あるいは人口50万人に1カ所という児童相談所の設置基準があるようですから、それで縛りがあって、それ以上のことはできないようですけれども、例えば単独で─単独という言い方はおかしいか、その地域、広域なら広域でやった場合に、つくろうとすれば、財源的な支援は国からあるものなのかどうか。人的な確保と施設の運営、その辺も含めてお伺いしたいと思います。
〇門脇子ども子育て支援課総括課長 ただいま県北・沿岸地域の中で二戸市という話もございましたけれども、これにつきましては、現在の久慈市の駐在の理由をまずお話し申し上げたいと思います。
久慈市はやはり移動距離が長いというのが一番です。二戸市の倍ぐらいかかるというところから、久慈市には駐在として置いているところです。
また、制度としてということですけれども、児童相談所の設置につきましては、現在ですと都道府県以外でも、市でも設置しようと思えば、制度上はそれは可能となっております。ですが、今、委員からもお話がございましたとおり、例えば人口の規模ですとか、効率性あるいは職員の方々の専門性の維持確保というところから考えますと、現在の県で実施しておりますこの地域の3カ所で当面対応していくことが一番効果的なのかと思っているところです。
財政的なところで申し上げますと、児童相談所の運営費あるいは整備費につきましては、これは一時保護所を除くということでございますが、全て一般財源ということで、特別な補助はございません。なお、特別な加算をする一部の職員の分につきましては一定程度の補助金はございますが、基本的な運営費は一般財源ということでございます。
〇工藤誠委員 私は、盛岡市の福祉総合相談センターは、事案の件数からしても、盛岡市とか滝沢市とか、その周辺の都市部で扱う事案が多いと思うのです。ですけれども、ちょっと恐縮ですが、例えば二戸地域とか久慈地域も確実に件数はふえてきている。そのままの現体制でいいのかということです。
そして、今回、市町村要望で、ある町からそういう要望が上がっていますが、事務レベルで話を聞きますと、どこの市町村も、1名は二戸地域には駐在が欲しいという声も私は聞いています。これは、国の緊急経済対策で、今後4年間で2、000人の児童福祉司をふやすとか、そういう制度もどんどん変わってくるとは思うのですけれども、県として今後どうするかということです。ふえていく一方のこういう事案に対して、ただ単に法律がこうだから、何万人に1人だからと。ちなみに申し上げますけれども、久慈市からは1時間ですけれども、盛岡市から二戸市まで新幹線で20分ですから、本当にすぐ近いですから、俊敏に対応していただけると思うのです。ですから、そういう前向きな一つの対応のお考えがないか、そこをお伺いしたいと思います。
〇門脇子ども子育て支援課総括課長 今、二戸市のというお話がございましたけれども、先ほども申し上げましたとおり、県北、久慈市につきましては、やはり移動距離、移動時間の関係がございますので、特別に駐在という形をとっているということです。
今、委員からも御紹介がございましたとおり、二戸市につきましては、高速道路を使いますと、車で1時間20分程度、新幹線ですと20分ぐらいというところでございます。駐在にしましても、児童相談所の新たな設置ということにいたしましても、現在、児童虐待件数がふえていく中で、児童福祉司もどんどん増員を図っているところでございます。専門的な児童相談対応のためには一定規模の職員が必要であると考えておりまして、まず、現状の体制で専門職員を育成しながら、関係機関等との一層の連携により、地域の見守り体制の充実、あるいは児童虐待の早期発見、早期対応といった取り組みに努めてまいりたいと考えております。
〇工藤誠委員 子供は次の次代を担う宝です。それが、不幸にしてそういう事案に巻き込まれて、転居によって行政と行政とのつながりの連絡がうまくいかなかったという事案もありますし、今、そういう事件を起こしている親を育てた世代が我々の世代でもあるわけなので、私も非常に心苦しくは思っていますが、そのことはしっかりと取り組んでいただきたい。前向きに、いろいろな制度も活用しながら、盛り込んでいただきたいと思います。
それで、一つは、主要施策の成果に関する説明書の中に、例えば児童虐待の部分というところが見つからなくて、きのう、私もわからなくて、見つけていただいたのですけれども、80ページに児童養育支援ネットワーク事業費、子ども子育て支援課が所管ですか、虐待通告受理件数のうち48時間以内に児童の安全確認を実施した割合も100%でA評価、すばらしいことです。しかし、実態はどうですか。全ての事案にA判定を出せるぐらいの対応をされていますか。このどこのページに、先ほど私が前段でお聞きした数字が出てきて、それを何年までに現状から計画値を何パーセント下げて、そして実際はどうだったと、その数字が出てきてないじゃないですか。皆さんは、法律に基づいてそのとおりやっていますよ、あとは制度的な問題ですよとおっしゃるけれども、どこにもそれは出てきてないです。別のプランもありますけれども、これは決算ですから、皆さんの努力の結果があらわれるものですから、ぜひそれを示していただきたいと思うのですが、いかがですか。
〇門脇子ども子育て支援課総括課長 ただいま、アクションプランの評価のお話がございました。児童虐待の関係につきましては、県におきましては、平成28年3月に策定いたしました現行の児童虐待防止アクションプランに基づいて取り組みを進めているところでございますが、このアクションプランの中にも児童虐待件数について具体的な目標数値というのは定めていないところです。
児童虐待に関する目標設定につきましては、さまざまな議論、御意見があるところでございます。何件であればいいとか、あるいはゼロでなければいけないのか。もちろんゼロであることが望ましいのに間違いはございませんけれども、一定の期間の中で、どういう目標設定をすべきかというところについてはさまざま議論があるところでございます。
今、委員からもそういった御意見もございますが、今後、県の要保護児童対策地域協議会といった場でも議論してまいりたいと考えております。
県といたしましては、引き続き、ただいま申し上げました児童虐待防止アクションプランに基づき、市町村や警察等の関係機関と連携いたしまして、児童虐待の発生予防、早期発見や対応の充実等に取り組んでまいりたいと考えております。
〇工藤誠委員 いろいろな事情があって定められないと。それはそのとおりです。難しい問題があります。だけど、毎年件数がふえているわけです。きょうの新聞でも、上半期でもう前年を上回っているという報道です。やはりその危機感が当局にとっては足りないのではないですか。まして、県内でもああいう事案も起きている。そして、児童福祉司もなかなか厳しいと言う。どうも後手後手に回っているような対応だと私は感覚として受けるのです。ですから、その目標をしっかり定めたっていいじゃないですか。別にそれができなければできない、また次の対応を考えればいいわけだし。もう少し踏み込んだ対応ができませんか。再度答弁を求めたいと思います。
〇門脇子ども子育て支援課総括課長 ただいま、委員からも、心強い御意見をいただいたところでございます。
先ほども申し上げましたとおり、今後、県の要保護児童対策地域協議会といった場で、数値目標も含めまして、あり方については検討してまいりたいと考えております。
〇工藤誠委員 では、よろしくお願いします。
いずれ、来年はという言い方は失礼かもしれませんが、今後は少しでも減っていくようなことをやっていただいて、目標を立ててしっかりと取り組むということが必要だと思います。
2点目でございますけれども、県も自殺防止アクションプランを立てて自殺防止を図っているわけですけれども、こちらについても最近の傾向を、全国、県内の状況とか、広域振興圏別の状況をお知らせください。
〇山崎障がい保健福祉課総括課長 自殺者の過去5年間における状況についてでありますが、平成25年から平成29年までの5年間の推移といたしまして、全国の自殺者数は2万6、063人から5、598人減の2万465人、自殺死亡率は20.7から4.3ポイント減の16.4となっており、岩手県の自殺者数は340人から78人減の262人、自殺死亡率は26.4から5.4ポイント減の21.0となっております。
保健所ごとの状況になりますけれども、年度にばらつきが大きくて、一概に比較することは難しいところでございますけれども、同じ5年間の自殺死亡率の平均で申し上げますと、盛岡市保健所が18.8、県央が30.2、岩手中部が23.7、奥州が20.4、一関が27.0、大船渡が20.6、釜石が18.1、宮古が24.9、久慈が26.6、二戸が39.1となっておりまして、県全体の平均24.1と比較いたしますと、二戸、県央、一関、久慈、宮古の順で県平均を上回っているところでございます。
〇工藤誠委員 これも、県北のほうがなかなか厳しいなという思いを持っております。
それで、当然、自殺対策アクションプランをつくっておられるということなので、この原因の分析と、また、いろいろな手を打ってきていると思うのです。傾聴ボランティアだとか、さまざまなことをやったりとか、そういう効果をどのように認識されているかということを伺いたいと思います。
〇山崎障がい保健福祉課総括課長 原因の分析とこれまでの対策の効果についてでございますが、平成29年の警察庁自殺統計によりますと、原因動機別では、男女ともに健康問題が最も多く、40歳代男性では経済、生活問題が最も多くなっているところです。
県におきましては、現行のアクションプランのもと、官民一体となりました自殺対策を推進してきた結果、自殺死亡率は目標値を超えるペースで減少を続けるなど、成果があらわれているものと認識しております。
しかしながら、本県の自殺死亡率は全国的には依然として高位にあり、また、年間262人の方が自殺で亡くなられていることを重く受けとめまして、引き続き包括的な自殺対策プログラム等を推進するとともに、地域の特性や現状を踏まえまして、ハイリスク者に応じた対策や相談支援体制の充実に重点的に取り組んでまいりたいと考えております。
〇工藤誠委員 先ほど、児童虐待のところでも申し上げたんですけれども、このアクションプランの中で、自殺のところについては、86ページの自殺対策推進協議会等の開催数10回、実際は12回やったので100%、A判定だということです。そのことが結果として減少につながっているかとは思うのですけれども、実際、これもまさに目標値を、何かつくらなければいけないのではないですか。特に、私は地元だから言うわけではないのですけれども、ワーストワンなわけです。以前は久慈もワーストワンの時代があったわけです。そして、全国の自殺率の中でも岩手県はかなり高い位置にあるのではなかったでしょうか。そうですよね。そのプランをつくって、その実効性が果たして担保されてきているのでしょうか、その辺の認識を伺います。
〇山崎障がい保健福祉課総括課長 委員から御指摘がございました自殺対策推進協議会の開催回数の指標の考え方などについてでございますけれども、まず、自殺対策推進協議会の考え方として一つございますのは、自殺対策推進協議会は官民連携の一つの大きな柱といったところがございまして、その協議会を積極的に開催することが、直接、直ちにということではございませんけれども、間接的に自殺対策に功を奏するような形になるのではないかといったあたりもございまして、一つの指標として掲げた経緯はあるものと認識しておりますが、委員御指摘のとおり、自殺件数は本県はまだまだ高位、具体的には全国ワースト2位でございますので、今後も、減少傾向にあるとは申しながら、引き続き強力に総合的な自殺対策に取り組んでいかなければならないものと認識しているところでございます。
〇名須川晋委員長 工藤誠委員に申し上げます。世話人会の申し合わせにより、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう議事の進行に御協力をお願いします。
〇工藤誠委員 最後になります。先ほどの児童虐待もそうですし、自殺の対策もそうなのですけれども、本当に県民の命のことでありますので、最大限連携をしながらやっていただきたいと思います。
それで、先進的な全国の取り組み事例などもあると思いますので、最後に、その辺の大きな取り組みを、部長の見解をお聞きして、終わりたいと思います。
〇八重樫保健福祉部長 今後の目標設定についても、今、次期岩手県自殺対策アクションプランを策定しておりますので、適切な目標値を設定して、それに向かって進めていきたいと考えております。
また、全県民の参画というようなお話がございました。官民一体となった総合的な自殺対策を推進するために、岩手県では、岩手県自殺対策推進協議会を設置しながら、県民一人一人の意識醸成と参画を促してきたところでありまして、本県の自殺死亡率が中長期的に減少傾向にあることは、先ほど総括課長から申し上げたとおりであります。引き続き、県民一人一人が心の健康問題の重要性を認識して、身近な人たちの心に寄り添う活動を行うということで、今、県ではゲートキーパーの養成を行うことを進めております。まさに、県民誰もがゲートキーパーとなっていただくことを期待しながら、そうした理解の促進を図っていくことが重要と考えています。その際に、委員から御教示のありました先進の全国事例を紹介していくことも効果的な取り組みの一つと思われますので、市町村初めNPOや関係団体と連携しながら、自殺予防対策に取り組んでまいります。
〇名須川晋委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午前11時55分 休 憩
午後1時3分再開
〇福井せいじ副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
委員各位及び執行部に申し上げます。この後、本日、審査を予定している部局について、延べ16人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
質疑を続行します。
〇軽石義則委員 私から大きく2点質問いたします。
障害者就業・生活支援センター事業費にかかわってお伺いいたします。
障がい者の皆さんは、働く場所を見つけることも今は大変ですし、働きながら生活を続けることも非常に厳しい環境にあるのが実態だと思います。私の知っている方が明るく元気に働いている姿を見ると、やはりともに生きる社会というのはこういうものだなというのを実感しています。それには障害者就業・生活支援センターの役割はかなり重要だと思いますけれども、障害者就業・生活支援センターの現状をどのように把握されているのかお示し願います。
〇山崎障がい保健福祉課総括課長 障害者就業・生活支援センターの現状についてでありますが、本県では、障がい者の方々の身近な地域において、就業面と生活面の一体的な相談、支援を行うため、平成23年度までに九つの障がい保健福祉圏域全てに障害者就業・生活支援センターを設置いたしまして、就業に関する相談支援を行う就労支援員は岩手労働局が、生活に関する相談支援を行う生活支援員は県が各センターに配置しているところでございます。
センター別の体制、配置人数についてですが、就労支援員5名、生活支援員1名の6名体制が3カ所、就労支援員4名、生活支援員1名の5名体制が2カ所、就労支援員3名、生活支援員1名の4名体制が4カ所となっております。
〇軽石義則委員 就労支援員と生活支援員、就労支援員の数と生活支援員の数のバランスというのがあると思うのですけれども、相談も、支援を含めてやられていると思いますが、どのような相談支援内容になっているのでしょうか。
〇山崎障がい保健福祉課総括課長 相談内容についてでありますが、就業面を中心とした相談では、在職中の方からは、上司や同僚との人間関係、仕事内容に関する相談、あるいは転職の相談などがありますし、離職中の方からは、離職理由の分析、適性を把握するための相談などがあり、就職経験のない方からは、職業訓練に関する相談や資格取得に関する相談などを受けているところです。
生活面を中心とした相談では、生活保護、障害者基礎年金の申請に関する相談、障がい福祉サービスの利用に関する相談などを受けているところです。
いずれの相談につきましても就業面と生活面が一体となった相談が多いことから、就労支援員と生活支援員が連携しながら対応しているところでございます。
〇軽石義則委員 一体的に取り組みをされているということですが、就業支援は国、生活支援は県ということでそれぞれの行政機関が一つのセンターを運営しているのですけれども、岩手労働局との役割分担ですね。連携等、それぞれが機能分担をしていると思うのですが、就業と生活を─さっきも答弁にありましたけれども─切り離して対応するのは難しいことのほうが多いのではないかと思っております。その連携のとり方を岩手労働局サイドとはどのようにされているのでしょうか。
〇山崎障がい保健福祉課総括課長 岩手労働局との役割分担についてでありますが、雇用安定等事業を行う岩手労働局におきましては、ハローワークや地域障害者職業センター、職業能力開発施設、特別支援学校などとの連携により、就業に関する相談支援、企業に対する障がい特性を踏まえた雇用管理に関する助言など、就業に向けた支援を行っているところでございます。
一方で、生活支援等事業を行う県におきましては、就労移行支援事業所、保健所、市町村や医療機関などと連携いたしまして、日常生活、地域生活に関する助言など、生活面に関する支援を行っているところです。
こうしたことで、障害者就業・生活支援センターを一つの窓口といたしまして、岩手労働局と県がそれぞれの所管する役割を果たしながら障がい者の就労を総合的に支援しているところでございます。
〇軽石義則委員 十分機能していればいいと思います。ただ、委託先もありますよね、センターそのものの事業としては。センターが両方の行政としっかり連携がとれていればいいと思うのですけれども、センター自体、いわゆる委託先との連携、指導などはどのようになっているのでしょうか。
〇山崎障がい保健福祉課総括課長 委託先との連携、指導等についてですが、まず、委託先との連携という観点から申しますと、年に4回、委託先である障害者就業・生活支援センター、岩手労働局、県の雇用対策労働室、それから当障がい保健福祉課、これらの担当者が出席する協議会を開催しておりまして、さまざまな情報交換等を通じまして委託先との連携を図っているところでございます。
また一方で、指導に関しましては、年1回、全てのセンターに対しまして、委託業務である相談支援などの実施状況、あるいはセンターの運営に係る経理事務などを実地で確認し、必要な事務指導を実施しているところでございます。
〇軽石義則委員 連携、指導をしっかりとやっているというお話ですけれども、ことしの3月14日に厚生労働省から障害者就業・生活支援センターと就労定着支援事業所の関係についてという通知が発信されております。これは、センターと事業所のそれぞれの領域でしっかり連携がとれていないので、改めてセンターと支援事業所の考え方についての文書が発信されたものと思うのですが、県としてはこれをどう受けとめているのでしょうか。
〇山崎障がい保健福祉課総括課長 障害者就業・生活支援センターと就労定着支援事業所の連携ということでございますけれども、私どものところには現段階では、具体的な話として連携がどのようにとれていないかといった話は届いていないところでございますが、委員から御指摘があった中身につきましては、調査をいたしまして、その上で適切に対応してまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員 多分、就労定着支援事業所が最長3年支援すればその支援は終わって、その後、支援している人が困ったときにどうするかというのはセンターも事業所も連携して一緒にやりなさいよという文書なのです。岩手ではそういう問題はないというのであればいいのですけれども、実際そういう通知が出されているということは、現場にそういう事実があったがために国からも通知が発信されていると思いますので、そういう事実をもう一度確認していただいて、連携がしっかりとれるよう運営していただきたい。
一番はやっぱり、そこに相談に行く方、支援をいただいている方、また親御さんたちも、障がい者の場合は、自分たちが年齢を重ねてきて子供たちがどうなっていくかという将来の不安もあって、そういう状況の中で、支えているところがしっかりしていれば安心するということになると思いますので、そのことはしっかり確認していただきたいと思います。
それらをやっていただいているのはわかりますけれども、今、県として、障がい者の生活支援をする上で抱えている課題、そして今後の取り組みなどについてはどのようにお考えでしょうか。
〇山崎障がい保健福祉課総括課長 課題と今後の取り組みについてでございますけれども、今年4月から精神障がい者の方が障害者雇用義務制度の対象に加わったこと、それから、精神障がい者の方の障害者就業・生活支援センターの利用登録が増加している状況から、精神障がい者の方の就労及び職場定着に向けた支援の充実が必要であると考えております。
このため、県としましては、関係機関と連携して、一般企業等に対しまして、障がいについての正しい理解を啓発することで障がい者に対する偏見、差別の解消を図りますとともに、センターの職員につきましては、県が実施する精神障がい者に対する支援方法を学ぶ研修などに参加してもらうなどの取り組みを通じまして支援体制の強化を図ってまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員 ぜひしっかりと対応していただきたいと思います。
生活支援を担当しているのは保健福祉部というのはよくわかるのですけれども、先ほどもお話ししたとおり、就業する上では生活支援とは切っても切れない状況ですので、その場合に、連携がなければ次にステップアップできないという状況もあると思います。
先般、法定雇用率に係る問題が国全体で発生しましたけれども、その影響といいますか、それらに対して障がい者支援をしている皆さんの動揺があったとか、そういう問い合わせ等はあったでしょうか。また、県として、あの問題についてどのように受けとめておりますでしょうか。
〇山崎障がい保健福祉課総括課長 法定雇用率問題に関するお尋ねでございますけれども、まず、法定雇用率の問題に関して、当障がい保健福祉課に対して具体的な問い合わせは今のところございません。
この雇用問題に関する受けとめについてでございますけれども、県におきましては、ことし3月に策定しました岩手県障がい者プランにおきまして、障がい者一人ひとりが地域の人たちと共に支え合う仲間として、いきいきと暮らし、幸福を実感できる社会を基本目標に掲げておりまして、障がい者の方々の自己選択、自己決定による自立と社会参加の促進のため、一般企業への就労機会の拡大や職場定着に向けた支援にも積極的に取り組んでいるところでございまして、今回、障がい者雇用率の不適切な算定がなされていた国や地方公共団体の機関におきましては、制度の趣旨を踏まえ、本来あるべき障がい者雇用を着実に実現し、障害者就業・生活支援センター等の支援を受けながら一般就労を目指している障がい者の方々の気持ちに応えるべきであると考えております。
〇軽石義則委員 ぜひそのことがしっかりと伝わるように、見えるようにしていただきたいと思います。
その一つの手法として、主要施策の成果に関する説明書の中に障がい者が必要なサービスを利用しながら安心して生活し続けることができる環境の構築という項目があります。この中で就労支援サービス月間利用者数の目標を掲げ、平成29年度は達成度Dになっているのですけれども、相談に来た利用者の数を目標にするよりは、まさに就職支援した人がどのぐらい定着したかという数字をしっかり捉えたほうがやっている事業の意味になっていくのではないかと思うのですが、これを利用者の数にしているのはどういう理由なのでしょうか。
〇山崎障がい保健福祉課総括課長 就労支援サービス月間利用者数を指標としていることにつきましては、障がい福祉のサービスを考えましたときに、障害者総合支援法に基づくさまざまなサービスがございます。それらのサービスの尺度といたしましては、やはり一番目にくるのがどれだけそのサービスを障がい者の方が利用しているかといった観点が恐らくあろうと考えておりまして、そういった観点から利用者数を指標にしたものと認識しておりますけれども、委員御指摘のように、どれだけ定着したか、要するに利用という一時点だけを捉えずに、時間の経過も含めて、相談した方が相談を経てどれぐらい定着しているかといった観点も非常に重要と考えております。
〇軽石義則委員 非常に重要であれば、目に見えるようにしていただくように期待しますし、そういうふうにしていただくことによって具体的にどのぐらい県内で定着が進んでいるかというのがはっきりわかると思いますので、ぜひそちらの方向に持っていくようにお願いしたいと思います。
次に移ります。
ふれあいランド岩手管理運営費にかかわってお聞きいたします。
平成28年度と平成29年度の利用者の人数がかなり開いているのですけれども、これはどういう理由なのでしょうか。
〇山崎障がい保健福祉課総括課長 ふれあいランド岩手の利用人数についてでございますが、平成28年度の利用人数26万4、474人に対し、平成29年度の利用人数は24万949人となっておりまして、2万3、525人減少した格好となっております。
この主な要因といたしましては、平成29年12月に発生しましたプールの空調設備の故障のため、平成30年1月から3月までの約3カ月間、プールの営業を休止したことが大きな要因として考えられると捉えているところでございます。
〇軽石義則委員 プールで2万人ぐらい年間利用しているということはかなりの利用率だと思うのですけれども、分類を見ますと、障がい者、高齢者と一般を比較すると、一般が平成29年度は31.4%、高齢者が38.9%、障がい者は9.3%です、利用の比率でいくと。本来のふれあいランド岩手の設立目的等あると思うのですが、これはそれに合致した利用率なのでしょうか。
〇山崎障がい保健福祉課総括課長 委員御指摘のとおり必ずしも障がい者の方の利用割合は高くありません。それが目指している利用のされ方だということでは必ずしもないわけでございますけれども、この施設は、障がい者の方、高齢者の方あるいは健常者の全ての方が利用できる施設として整備されたものでございます。適切な割合というのはなかなか難しいところもあると思いますけれども、県といたしましては、障がい者の方にも十分に利用していただけるようにこれからも努力してまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員 ふれあいランド岩手の職員の皆さん含めて非常に一生懸命努力して、いろいろな苦情等があってもしっかり親切、丁寧に対応していただいているのは私も見て実感しておりますが、そういうふうに努力はしているけれどもなかなか利用率が伸びないということは、どこかにまだ足りないところがあるのではないかというところをもう一度検証してみるべきではないかと日ごろから考えております。もう一つは、障がい者の皆さんが、もしかして利用しづらいので行かないというところもあるのではないか、狭かったり。多分一般の皆さんよりは優先して利用できるような制度にはなっていると思うのですけれども、利用者の皆さんから意見や要望とかは出ていないのでしょうか。
〇山崎障がい保健福祉課総括課長 利用者からの意見、要望についてということでございますが、つい最近、ふれあいランド岩手に対しまして意見、要望の状況について確認したところによりますと、委員からお話がありましたとおり、利用に当たって、例えばふれあいランド岩手主催の催し物の参加者の決定方法に不満があるとか、他の利用者のマナーに対する不満とか苦情等が幾つかあると聞いております。恐らく苦情は時々はあると思いますけれども、それにいかに迅速に対応するかが肝心だと思います。それにつきましてはふれあいランド岩手で適切に対応してもらっているものと考えております。
それから、意見、要望の中で、禁煙の要望がかなり強いと聞いております。ふれあいランド岩手は、屋内は当然全面禁煙でございますが、屋外に灰皿を設置している状況でございます。それに対しまして全面禁煙にしてほしいという要望があると聞いておりますが、一方で利用される方で喫煙される方もいるということで、ふれあいランド岩手ではなかなか直ちに改善に踏み切れずにいるといったようなことは伺っているところでございます。
〇軽石義則委員 そういう要望や苦情を含めて適切に対応できるように、ふれあいランド岩手側だけでは多分予算を含めてできないことがあると思います。そういう意味では、県当局もしっかりバックアップする体制はとっていると思いますけれども、さらに現場の声をしっかり吸い上げた上で対策をしていただかなければならないことが多くあると思います。
私もこれまで、ふれあいランド岩手については、かなりの年数がたってきて、あのままで本当にいいのかと。どんどん修繕でお金をかけていくよりも、見直す、いわゆる建てかえも含めて検討する時期に来てはいないかと再三お話ししてきておりますけれども、今後の具体的な施設の老朽化対策を含めて計画はされていると思いますけれども、どうですか、部長、毎年聞いていますが、これから新しいものをつくっていくことは財政上も厳しいとは承知しながらも、障がい者の皆さんのみならず一般の方もかなり利用しているということは利用率が高いということですので、それを含めて今後検討していくべきではないかと思いますが、それを聞いてみたいと思います。
〇八重樫保健福祉部長 ふれあいランド岩手は、ノーマライゼーションの考え方に基づいて、障がい者と健常者の交流を図ることを目的とした施設でもあります。ただいま委員からお話のあったとおり、障がい者の皆さんからの意見を踏まえて、より利用しやすい施設になるよう改善に努めてまいります。
施設の状況と今後の計画については、当部では全庁的な公共施設等総合管理計画に基づいて、平成31年度中に長寿命化などを目的とした個別施設計画を策定することとしておりますので、その中でも施設の今後のあり方について考えてまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員 ぜひ移転を含めて新しいものを考えることも選択肢として入れていくことをお願いして終わります。
〇城内よしひこ委員 私からは、大きく分けて2点お伺いしたいと思います。
民生、児童委員についてお伺いします。
現在の民生委員の、充足率という表現ではないと思いますが、県内の状況をお伺いしたいと思います。
〇菊池地域福祉課総括課長 民生委員の充足状況についてでありますが、平成30年9月1日現在、中核市である盛岡市を含めて、定数3、408人に対し、委嘱数3、337人、充足率は97.9%となっております。欠員71名という状況でございます。
〇城内よしひこ委員 民生委員の方々は、第一線からリタイア─という言い方は変ですね、おおよそ仕事を持たないで地域でいろいろな顔役をされている方々がなっていると私は認識していますが、その方々の平均年齢はどれぐらいでしょうか。
〇菊池地域福祉課総括課長 民生委員の平均年齢についてでありますが、3年に1度行われる民生委員の一斉改選期の統計データで申し上げますと、直近の平成28年度において平均年齢は65.4歳となっております。
〇城内よしひこ委員 平均年齢につきましては昨年にもお伺いしていますが、大分年齢が上がってきたと思っております。中には、結構御高齢で一生懸命頑張っていらして、できればどなたかとかわってもらいたいという方もいらっしゃいますが、後継者となる、人望があって口がかたくてアクティブに動くという三点セットの人というのはなかなかいないもので、地域でそういう方がいればすぐかわりになるのでしょうけれども、それが現状だと私は思っています。
そこで、民生委員のなり手の確保とか育成というのは地域任せでこれまでやってきたと思うのですが、そういったことでいいのかということも含めて、なり手確保というのをお伺いしたいと思います。
〇菊池地域福祉課総括課長 民生委員の確保についてでございますけれども、各市町村におきましては、自治会等の協力を得て、地域で適任と考えられる候補者に働きかけるなどさまざまな取り組みを行い、就任していただいている状況と認識しております。
県といたしましては、今後も市町村や岩手県民生委員児童委員協議会と連携し、民生委員の制度や役割について住民の理解を深めるための啓発活動等を行いまして、地域で民生委員が活動しやすい環境整備や、定年退職を迎えられた年代の方の潜在候補者の掘り起こしを図ってまいりたいと考えております。
また、民生委員を対象とした各種福祉制度に関する研修会の開催のほか、学識経験者を交えて委員同士が日ごろの活動について意見交換、助言し合う機会を設けるなど、資質向上や、業務的な負担はもとより精神的負担の軽減に取り組み、民生委員の活動を支援し、なり手の確保に努めていきたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 本来、身近にいる、そういう存在であるはずなのですけれども、困っていない人にとっては民生委員というのは全然関係ない存在であって、そういうことが実はなり手や認識の不足につながるのではないかと思っています。困ったときだけの民生委員ではなくして、ふだんから民生委員の存在がわかるよう、安い手当で一生懸命頑張って、中には持ち出しで働いていらっしゃる方々がいますので、そういった実情に即した支援というのも今後考えていかなければならないのではないかと思います。そういったことはこれまで検討したことは多分ないと思いますが、そういう方向で前向きに支援策を考える必要があると思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
〇菊池地域福祉課総括課長 民生委員のなり手の確保につきましては、やはり民生委員の活動がどういったものであるかを多くの方に知っていただいて、なり手になる、もしくはその活動を支援していただくことが重要であると考えております。県では、これまでもラジオなどを使って広く民生委員の活動を紹介しております。昨年は民生委員制度100周年ということで、テレビの県政番組で放送するということもしてまいりました。今後も引き続き、広く民生委員の活動を知っていただくように努めてまいりたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 これは担い手という観点からも必要なことですし、県の仕事あるいは市町村の仕事、国も仕事も含めて末端で地域住民と接する方々ですので、育成と掘り起こしに努めてほしいと思います。
次に移ります。
インフルエンザの予防についてお伺いしたいと思います。
平成29年度の状況については、主要施策の成果に関する説明書で見るとおおむね達成度はAということで評価が高くてよかったと思っておりますが、昨年はワクチンをつくる熊本県で震災があって、なかなかワクチンがそろわないということで、もしかしたら蔓延するのではないかということで質問させていただきました。平成29年度の状況と今シーズンの見通しはどのように推移しているか、2点あわせてお伺いします。
〇野原技監兼副部長兼医療政策室長 まず、昨シーズンのインフルエンザの流行状況でございますけれども、例年と同じような流行の入りとピークを迎えておりますが、ピーク時の1医療機関の患者数が57.0人と、近年で最も流行した2011、2012シーズンが59.0人でございましたので、これとほぼ同規模の大きな流行でございました。
委員からもお話がございましたとおり、昨シーズンのインフルエンザワクチンについては、ウイルス株変更の影響などによりまして出荷がおくれるなどワクチン不足の懸念がございましたけれども、県では、市町村、医療機関、卸業者等と連携いたしまして、13歳以上の方への─1回でも十分免疫がつきますので─1回接種の周知徹底等ワクチンの効率的な接種を行うなど、配給体制の維持、確保に努めたところでございまして、ワクチンを必要とする方には十分に行き渡ったものと認識しております。
今シーズン─平成30年のインフルエンザの流行の見通しでございますけれども、直近の9月第4週における本県のインフルエンザの1定点医療機関当たりの患者発生状況はまだ0.15人と少なく、流行入りの目安である1はまだ超えておらず、流行は今後ということでございます。今後、12月上旬には流行入りが想定されますことから、県では10月上旬に岩手県インフルエンザ対策実施要領を関係機関等に通知することとしておりまして、本要領に基づいて、手洗い、うがいの徹底などインフルエンザ予防法の普及啓発を行うとともに、学校等の施設閉鎖や患者数等の発生動向の把握及び公表を行うなど、関係機関と連携してインフルエンザ対策に取り組むこととしております。
あわせまして、ワクチンの流通、十分必要な方に行き渡るように、昨年と同様、医療機関、卸業者と連携して取り組んでまいりたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 評価の指数について、備蓄が100%で評価がAという達成度になっていますけれども、お伺いしたいのですが、この100%というのは県立病院に100%なのか。備蓄状況というのはどのようになっているのかお伺いしたいと思います。
〇野原技監兼副部長兼医療政策室長 こちらの目標は新型インフルエンザのための抗インフルエンザ薬の備蓄ということでございます。先ほど御答弁申し上げたのは季節性インフルエンザの対応でございまして、新型インフルエンザの流行に備えて、その場合に速やかに抗インフルエンザ薬を住民の方々に行き渡らせるように備蓄しているのですけれども、その体制につきましては毎年滞りなく適切に配備がなされているという形で評価しているものでございます。
〇城内よしひこ委員 インフルエンザが流行し出すと御高齢の方々や弱い方々にしわ寄せがいくわけでありまして、いつでも、どこでも、誰でも、望む人は予防接種が受けられるような体制づくりが私は必要ではないかと思っています。県では県立病院の医者の負担軽減のためにかかりつけ医制度などを進めているわけですが、そのかかりつけ医の方々のワクチンの備蓄というのはなかなか厄介で、そんなに日持ちがしないために持たないという傾向があり、なかなかその辺のバランスがあって皆さんが思っているような形では市中にワクチンが出回らないと私は思っています。先ほども言いましたけれども、誰でも受けたいときに受けたいところで受けられるような体制づくりも必要ではないかと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
〇野原技監兼副部長兼医療政策室長 委員から御指摘いただきましたとおり、ワクチンの配給、接種体制、特に子供たちに接種する定期予防接種に関しましては、決まった時期にちゃんと接種しないと、本当に子供たちの健康、また地域での感染症の予防対策にとって支障を来しますので、ワクチンの取扱い事業者、また医療機関等と連携しまして、どの時期にどのぐらい需要があるかをきちっと予測しながら適切に進めてまいりたいと思います。
一方で、季節性インフルエンザのように、この時期、冬季間にかかるような疾病への対応につきましては、流行する時期が決まっておりますので、大体ことしはこういったインフルエンザ株が流行するだろうという予測を立てて毎年違うインフルエンザワクチンをつくっております。大体11月ぐらいから皆さん接種し始めるわけですが、我々としても、市町村と連携しまして医療機関における適切な広報を行って、かかりつけの医療機関に予約をしていただいて安全に接種を受ける、また、そのための流通がきちんと確保できるよう、関係機関、また卸業者などとも連携して取り組んでまいりたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 しっかりと注意喚起を図ってほしいと思います。
最後にお伺いしたいのですけれども、風疹の流行状況と、今、県で対応策というのはどのように考えているのかお伺いしたいと思います。
〇野原技監兼副部長兼医療政策室長 風疹の流行状況でございますけれども、全国の状況を申し上げますと、本年の9月第3週までの風疹の患者累積報告数は全国で770人となりまして昨年1年間の患者数93人の8倍を超えたところでございます。これは、現在と同じ届け出方法となった2008年以降で3番目に多い報告数で、特に首都圏を中心に今、風疹の届け出、流行が懸念されているところでございます。
岩手県の発生状況につきましては、去る9月20日に2年ぶりに盛岡市内の医療機関から風疹患者1名の届け出がございましたけれども、現時点では多数の患者の発生が認められる状況ではないところでございます。
一方で県では、風疹の全国的な流行を受けまして、風疹のワクチン接種について、1歳児などの定期予防接種対象者や、リスクの高い妊婦への感染を防ぐため、配偶者など必要な方への接種を優先して実施するよう、平成30年9月7日付で関係機関等に通知したところでございます。今後も、希望者にワクチンが行き届くよう、医薬品卸業協会を初め、関係機関と情報交換しまして連携した取り組みを進めていきたいと思います。
〇城内よしひこ委員 過去にインフルエンザの関連でもお話しした経緯があるのですけれども、東日本大震災津波の復興工事で全国各地からいろいろな方々が沿岸部に来たりということで、昨年はそういったこともあって流行が早かったのではないか。人の移動によってこれが発生するわけですので。風疹についてもやっぱり人から人への感染になると思いますので、そういったことも注意喚起しながら、発生してからではいろいろな意味で問題が生じますので、ぜひその対応は怠らないようにやっていただきたいと思います。これは要望して終わります。
〇ハクセル美穂子委員 私からは、児童養護施設退所者等自立支援資金貸付事業費補助について質問いたします。
平成29年度主要施策の成果に関する説明書の80ページにありますけれども、県内で生活支援費の貸し付けを受けて就職、進学した人数が平成29年度の目標値5名のところ実績値が3名ということで、大変な状況だと思っておりますが、この3人という少ない結果になった要因をどのように捉えていらっしゃるのかお伺いしたいと思います。
〇門脇子ども子育て支援課総括課長 児童養護施設退所者等自立支援資金貸付事業費補助の状況についてでございますけれども、この事業は、児童養護施設等の退所後、就職または進学した児童のうち、保護者からの支援が受けられないなどの理由によりまして、住居や生活費など、安定した生活基盤の確保が困難な状況にある児童に対しまして家賃相当額等の貸し付けを行うものでありまして、平成29年度の貸付人数は、委員御指摘のとおり3名となっているところでございます。
貸付人数が目標の5人を下回った要因につきましては、個別の状況を確認しておりますが、中には、民間団体の返済が不要な給付型の奨学金制度を利用したこと、あるいは、そのお子様に家族を含めまして一定の貯蓄があって利用の必要がなかったことによるものと聞いております。
もともと対象になります人数が、高等学校を卒業されて児童養護施設を退所する方が年間大体30名いくかいかないかぐらいでありますし、また、里親委託を18歳で解除される方も10名いくかいかないかぐらいということで、大体40名弱ぐらいの方がその後の対象になっているところであります。ですので、年度の貸し付けにつきましては、やはり年によってある程度変動があるものでございます。ちなみに、本年度、現時点での状況を申し上げますと7人増加している状況でございます。
本事業につきましては、一定年数の就業継続によりまして貸付金の返済が免除されますので、さまざまな課題を抱える施設退所者の自立に向けて効果が大きいものと考えているところでございます。
引き続き、利用児童が入所している児童養護施設あるいは里親等に対しまして個別に返済の猶予も含めまして貸付制度があることを御説明させていただきながら、貸付制度の利用拡大を図ってまいりたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 この事業は平成28年度から実施されたとお聞きしました。平成28年度はゼロ人、1人もこれを使った方はいらっしゃいませんでした。そして平成29年度が3人ということで、その要因としていろいろ挙げていただきましたが、ことしはもう6月1日現在ぐらいで10名に利用者が拡大されているということも教えていただいております。これは、平成28年度、平成29年度、平成30年度の取り組みに差があったのかもしれないと私は思うところがあります。民間団体の奨学金制度を利用したというのが使わなかった理由に挙がるということは、一定期間働くと貸付金の償還が免除されることを御存じなかった可能性もあるのではないかと感じるのですが、特に平成30年度にふえてきた要因としてどういった工夫をされたのか、その部分をもう一回教えていただきたいと思います。
〇門脇子ども子育て支援課総括課長 ただいま委員から御指摘をいただきましたとおり、先ほど、返還免除があるという話を申し上げたのですが、これは5年ということで、やっぱり長いということがあります。例えば、高等学校を卒業されて大学に進学する場合につきましては、そこから4年間。そして、さらにその後1年以内に就職して、5年間就労を継続してやっと返還免除になるということでありますので、やはり返還が免除になるまで長期にわたるという不安等もあるのではないかと思います。
ただ、先ほど申し上げましたが、この返還免除につきましては、例えば、就職しまして、何らかの理由で仕事を一旦やめられた。求職活動をしてさらに就職をした場合につきましては、通算して5年間と算定できることになっておりますので、そういった返還免除に当たってのさまざまな説明も丁寧に行いましたので、そういったところでやはり理解が進んだのかなと思っているところでございます。
〇ハクセル美穂子委員 やはり取り組みに対して、こうやっていろいろな使い方や貸付金の免除の方法なども詳しく説明していただいたおかげで少しずつふえているのかなということを私もわかりました。やはりしっかりと説明すること、周知を図ることが重要だということが取り組みの推移からわかると思っております。
私は、次期総合計画の中の幸福を守り育てるという論点についてお話しさせていただいた一人として、やはりこういった児童養護施設に入っていらっしゃるお子さんたちがしっかりと働いて、そして自分の人生をつくっていく、つくっていけるような土台を支えていくことが行政や県がやるべき仕事だと思っていますので、こういった部分にしっかりとこれからも取り組んでいっていただきたいと思います。その辺の所感を部長に聞いて終わりにしたいと思います。
〇八重樫保健福祉部長 委員から今お話がありましたとおり、児童養護施設の子供たちへの支援ということで、今年度─平成30年度から、県では、児童養護施設や里親家庭で過ごしている方の支援の年齢を、20歳だったものを22歳まで拡大するとか─これは東北でいいますと宮城県に次いで2例目となるのですけれども─そうした要保護児童に対する支援の拡充なども行っておりますので、委員から今、御指摘があったとおり、次期総合計画の中でもさまざまそういった取り組みをしながらこうした児童養護施設の皆さんをしっかり支えてまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 私からは、午前中も議論がありましたけれども、介護等についてお聞きしたいと思います。
平成29年度の主要施策の成果に関する説明書の83ページ、福祉コミュニティの確立の中で、施設・居住系サービスの定員数が、平成30年度の目標1万8、375人に対して平成29年度の目標は1万7、802人ですが、平成29年度の実績値は1万6、965人でありました。第7期岩手県介護保険事業支援計画見込み量において、平成32年度までにどの程度の定員数を確保していく予定なのか伺いたいと思います。
〇近藤長寿社会課総括課長 岩手県介護保険事業支援計画、いわゆるいわていきいきプラン2020におけるサービス見込み量と定員数の確保についてでありますが、プランに位置づけましたサービス見込み量につきましては、各市町村等保険者が要介護認定者数や介護サービスのバランス等を分析の上、それぞれの介護保険事業計画において見込んだサービス見込み量の積み上げの数値でございまして、施設、居住系サービス、具体的には特別養護老人ホームと介護老人保健施設、地域密着型特別養護老人ホーム、認知症高齢者グループホームですが、その2020年度末の見込み量の合計は1万8、492人となっております。
市町村においてそれぞれの計画に位置づけたサービス見込み量を踏まえて、今後、施設整備等を進めていくことになりますけれども、平成30年7月時点での各市町村からの聞き取りの結果、これら施設の2020年度末の床数は1万8、130床の予定となっております。
〇佐々木朋和委員 今、聞き取りにおいては1万8、130床ということで言っていただきました。積み上げ方式だと1万8、492床ということでよろしいですか、今のお話ですと。(近藤長寿社会課総括課長「そうです」と呼ぶ)
これの傾向ですけれども、これから高齢者の方もまた下がってくるかもしれませんが、上昇率というのはどのように分析なさっているでしょうか。上昇カーブは一つ峠を越えてなだらかになってきているのか、まだこれからもどんどんふえていく状況なのか伺いたいと思います。
〇近藤長寿社会課総括課長 今後の施設の床数の見込みということかと思いますけれども、65歳以上高齢者の人口も間もなくピークを迎えるという推計等もなされておりますので、市町村ではそういったことも踏まえながらサービス見込み量あるいは施設整備計画等を策定しているところでございますが、ただ、一般的に要介護状態になりやすいと言われる後期高齢者といいますか75歳以上の方々というのはまだもう少し今後もふえていく見込みでございますので、当面はまだ上昇傾向にあるのではないか。どの時点で潮目が変わるかというのは現時点ではわかりかねるところでございますが、そういった状況でございます。
〇佐々木朋和委員 了解いたしました。
施設、居住系サービスの定員数の達成度がDとなった理由の一つに建設費の高騰もありますけれども、ある本では介護人材の不足を挙げております。その中で、2020年度までの施設、居住系サービス定員確保にどの程度の人員が必要なのか。そして介護保険事業全体でどの程度の人員が必要なのか。また、その確保策も含めてお示しいただきたいと思います。
〇近藤長寿社会課総括課長 介護保険事業で必要な人員とその確保策についてでございますけれども、施設、居住系サービスに限った介護職員の必要数についての推計は、大変申しわけございませんけれども、持ち合わせておりません。ただ、介護保険事業全体で必要となる介護職員数につきましては、国が示した方式により─新たな介護人材確保の取り組みの効果を見込まずに機械的に行った推計になりますが─、2020年には需要が2万3、436人、これに対する供給が2万2、059人ということで、1、400人弱の不足が見込まれているところでございます。
このため、県といたしましては、参入促進、専門性の向上及び労働環境、処遇の改善の三つの視点から総合的に介護人材確保に取り組んでいるところでございまして、例えば、介護人材キャリア支援員による求人、求職のマッチング支援や、岩手県社会福祉協議会と連携して介護福祉士修学資金を貸し付ける、あるいは、関係機関、団体や市町村が行う人材確保に資する事業への補助などを実施しているところでございます。
今年度においては、こうしたこれまでの取り組みに加えまして、新たに、介護未経験者を対象として入門的研修から介護施設、事業所への就職に向けたマッチングまでを一貫して行う介護入門者研修事業や、介護従事者の身体的負担の軽減や業務の効率化などに資する介護ロボット導入支援事業などを実施しているところでございまして、今後も引き続き、介護事業者や関係機関、団体、市町村等の意見を伺いながら、連携して積極的に介護人材の確保に取り組んでまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 私が指摘したいところは、次期総合計画において、介護や支援が必要になっても住みなれた地域で安心して生活できる環境をつくりますという基本方向を出しております。これについては、国の方針に従って、また県も同じ方向を向いてということですけれども、地域の実態を見たとき、本当に岩手県民がそれを望んでいるのかというところであります。居宅介護等サービス及び生活介護サービス月間利用者数については、評価が3年間、D、D、Cということで、需要も伸びてきておりますが、居住、また施設サービス系ほどではないと認識しておりまして、そういった意味では、本当に地域包括ケアまたは在宅介護というのが国や県で推し進めるほどにニーズがあるのか。それよりも、人員が少ないのであればやはり施設系に振り向けるほうが県民のニーズに合っているのではないかといった思いもするわけですけれども、この辺について御所見をいただきたいと思います。
〇近藤長寿社会課総括課長 施設系のサービスを充実するか居宅系のサービスを充実していくかということかと思いますけれども、これについては、右か左かということではなく、バランスよく進めていくことが大事だと考えております。施設サービスを希望する方々も当然いらっしゃると思いますし、自宅で最期まで過ごせるのであれば自宅で暮らしたいという方々も多くなっていると伺っておりますので、そうした高齢者の方々が望むサービスの選択肢を用意するといいますか、こちらしかないとかこちらが足りなくてやむなくこちらにという形ではなく、バランスよく整備していくことが大事と考えておりますので、市町村のほうでも、そういった視点でもって介護保険事業計画を策定して計画的に整備を進めているところと考えております。
〇佐々木朋和委員 まさに課長と気が合ったなと思っているところでございます。御本人、家族ともに、共働きだし、施設にお願いしたいという方には施設があって、また、地域密着型でやりたいというところはそのようにということであれば、書き方としては、多様な介護支援が求められる環境づくりというような形になるのかなと私は思っております。
1、400人介護の人が足りない分、どこにしわ寄せがいくかというと家族、身内の皆さん方であって、それによって介護離職が進むというのでは、地域で住みなれたところで御高齢の方が生活できる環境をつくったとしても、それがあってはいけないだろうと思っております。そういった意味では、この次期総合計画のこの分野に例えば介護離職ゼロ等の指標も入れていくべきではないかと思うのですけれども、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
〇近藤長寿社会課総括課長 次期総合計画における介護離職ゼロ等の指標の設定についてでありますけれども、国においては、平成28年にニッポン一億総活躍プランを閣議決定し、この中で介護離職ゼロの実現を打ち出し、介護サービス基盤の確保を初めとして幅広い分野での取り組みを総合的に進めることでその実現を目指すこととしていると承知しております。ただ、一億総活躍プランにおいても、介護離職ゼロそのものを指標として年次別の目標値を定めていない状況でありまして、また、離職者の中には、高齢の親との時間をできるだけ長く大切にしたいということでみずから進んで離職されるケースもあると伺っておりますし、そういうことでは、現状では望まない介護離職の状況を正確に把握することはなかなか困難であるということがございまして、今のところ、県の次期総合計画には介護離職ゼロそのものを指標としては盛り込んでいないところでございます。
ただ、介護離職ゼロの達成に向けた取り組みとして国が示している健康寿命の延伸や介護人材の確保などに関連した指標につきましては政策分野指標等に位置づけているところでありまして、これらの取り組みを総合的に進めることで、介護を理由として望まない離職に陥る方が可能な限り少なくなるように取り組んでまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 国が言っている介護離職ゼロは、たしか介護職の人の離職がゼロだったような気がするのですが、違いましたでしょうか。いいです、質問ではないです。
指標としてははかり切れないということでありますけれども、やはりその視点は必要なのではないかと。先日、平泉町の社会福祉協議会の総会では、認知症の親をスマートフォンで見守るような取り組みを紹介していたり、あとはマインドチェンジで、ずっとついていなくてもいいのだといったところを浸透させるとか、県として、家族のサポートというか、取り組むべき部分はあるのではないかと思っております。ぜひ、そういったところも次期総合計画の指標に入れていっていただきたいし、総括質疑で少し指摘させていただきましたが、健康・余暇と子育て支援が離れるのであれば、ダブルケアについてどうしていくのだというところも私は聞きたいところであります。
先ほどの議論と、そのダブルケアのところも踏まえて、部長にお聞きしたいと思います。
〇八重樫保健福祉部長 まさに子育てもしながら親の介護もするということで、ダブルケアの問題は人それぞれにさまざまな課題を皆さん持っていると思います。
先ほどの地域包括ケアサービスの関係で、施設と家庭のサービスの話も出ましたが、地域包括ケアというのは、まさに介護、医療、予防とか、あるいは住宅を含めたそういうサービスの包括的な提供を図るものですし、先ほど来出ております介護人材の不足といったような、岩手県の各地域で限られた資源を使ってどのようにサービスを提供していくかという視点で、介護人材の育成も含めてやっていきたいと思います。
ダブルケアの話も、今のところといいますか、市町村といろいろ話をしていく中にあっては、地域包括ケアセンターを含めて、ワンストップで相談に応じられるようなサービスを提供していきたいというような話を市町村といろいろやっているところでございますので、次期総合計画の中でもさまざま施策を検討していますが、今申し上げたような視点でしっかりと取り組んでいきたいと考えているところでございます。
〇佐々木朋和委員 指摘させていただいたのは、地域包括ケアシステムに反対するわけでも何でもございませんけれども、余りに地域密着あるいは住みなれた地域で安心して暮らせるということを、国から、県から、市から手拍子を打ってやっているような気がいたしますが、介護人材が少ない、また県土が広い岩手県において、そこを突き詰めていくと、今度は家庭のほうにしわ寄せが来ると。私は40代ですので、介護をこれから、されるではなくて、していく世代としては、そういったところも目線の中に、施策展開の中に、あるいはチェック機能の中に入れてやっていかないと、そういった理想論の中で現実が埋没してしまうような気がして、指摘をさせていただきました。どうぞ御検討をよろしくお願いしたいと思います。以上です。
〇神崎浩之委員 私は1点、自死対応、自殺対策についてお伺いいたします。
最初に、今、県職員は一丸となって幸福をキーワードに仕事をしようという動きになっております。そこで、幸福と全く反対のところに位置するのが自死ではないかと思っております。
私の同級生が、経済的にも、地位的にも結構恵まれている人間なのですが、配偶者が自死をいたしました。私の友人の配偶者もそういうことになっております。
そこで、お金があっても、地位があっても自死に至るということもありますし、日ごろ、障がい者の方と接していますと、経済的にもそれほど豊かではないのだけれども、それなりに仲間と楽しく過ごしているということがあって、まさに経済的な指標ではなくて幸福ということを考えるということでありますから、それに合わせて、幸福と自死との関係について、最初に部長の所見を求めたいと思います。
〇八重樫保健福祉部長 今、委員から自死についてのお話がございまして、先ほどの質疑の中でも、まさに自殺に追い込まれないような社会といいますか、あるいは自殺死亡率は岩手県の場合はいまだに高位にあるわけです。
そういったお話の中で、自殺について、さまざまな要因が関係しておりまして、県としても包括的な取り組みというものをしておりますけれども、まさに幅広い分野で包括的な取り組みをしていく。地域でそういうネットワークの力を構築して、地域のつながる力を支援につなげていく。まさに地域づくりが大事だと思っておりまして、幸福度の関係でいくと、そうした地域づくり、あるいはネットワーク力を構築することで自殺を防ぐといいますか、みんなで見守っていく。それが、まさに幸福との関係で言うと、自殺対策としては非常に大事な部分かと思っているところでございます。
〇神崎浩之委員 自殺がない、自死がない社会というのが幸福な社会であるのではないかと私は思っておりますので、ぜひ、保健福祉部がリーダーシップを発揮していただきたい。決して幸福イコール福祉とは私は思っておりませんが、そういう観点から、他の部局のリーダーシップをとっていただきたいと思います。
一般質問の中で、官民一体となった自死への取り組み、東日本大震災津波の影響への対策という質問をさせていただきました。続きとして、官民一体となった取り組み、民間団体と一体となった取り組みについて、県はどのように取り組んでいるのかお伺いしたいと思います。
民間団体には精神障害者家族会、精神保健ボランティア、傾聴ボランティアと、住民に身近な団体があります。精神障害者家族会は立ち上げからもう30年以上、精神保健ボランティアは20年以上、傾聴ボランティアは10年以上で、これは県が取り組んで立ち上げたものであります。どこも会員数の減少、運営体制の課題が生じております。その点、県として、自分たちが立ち上げた団体でありますが、今、どう支援しているのかお伺いしたいと思います。
〇山崎障がい保健福祉課総括課長 まず、民間団体と一体となった取り組みについてでございますが、県では、官民一体となった総合的な自殺対策を推進するために、平成18年度に岩手県自殺対策推進協議会を設置いたしますとともに、市町村や民間団体と連携、協力いたしまして、ゲートキーパーの養成、傾聴サロンの設置、保健師等専門人材に対する研修、自死遺族支援などを行う、いわゆる久慈モデルと言われる包括的な自殺対策プログラムを推進してきたところでございます。
自殺対策は、家庭や学校、職場、地域など社会全般に深く関係しておりますことから、官民一体となった取り組みが非常に重要であると認識しておりまして、県では、関係機関のネットワーク構築や人材養成、市町村では、地域の保健福祉事業を通じ住民のニーズに応じたきめ細やかな対応、民間団体では、それぞれの組織目的に応じた地域活動といったぐあいに、それぞれの役割分担のもと、地域全体が一体となって自殺対策に取り組んでいるところでございます。
次に、民間団体における会員数の減少等の課題に対する県の対応についてでございますが、県といたしましても、民間団体における会員の高齢化や担い手不足といった課題は認識しておりまして、民間団体の活動の充実強化を図っていく上で、人材の確保や育成が極めて重要であると考えているところでございます。
県では、これまでも傾聴ボランティア等の自殺対策の担い手養成に努めてきたところでございますが、自殺対策を進める上で民間団体と協力、連携した取り組みは不可欠でありますことから、民間団体の方々と意見交換を行いながら、引き続き、研修等を通じた人材育成の充実強化や団体の交流、連携の促進を図るなど、民間団体が活動を継続していくために必要な支援に取り組んでまいりたいと考えております。
〇神崎浩之委員 民間団体を支援しているというお話がありましたけれども、昨今、県は傾聴ボランティアの育成に力を入れて、一番のハイリスクであります精神障がい者にかかわる家族会であるとか精神保健ボランティアに対する支援が弱いのではないかと思っております。
これについて、これらの団体のここ数年の会員数、団体の数、具体的な支援策について、傾聴ボランティア以外の部分をお話しいただきたいと思います。
〇山崎障がい保健福祉課総括課長 精神障害者家族会と精神保健ボランティアの数の関係でございますけれども、まず、精神障害者家族会につきましては、平成21年度が55団体、平成25年度が33団体、平成29年度が29団体となっております。
また、精神保健ボランティアにつきましては、団体数が、平成21年度が53団体、会員数が979人、平成25年度が50団体、1、042人、平成29年度が41団体、815人となっております。
精神障害者家族会や精神保健ボランティアに対する県の支援が弱いのではないかということについてでございますけれども、県といたしましても、家族会の皆さんや精神保健ボランティアの皆さんとこれからもコミュニケーションを図りまして、意見を伺いながら、県としてどのような支援を行えるのか、適切に考えてまいりたいと思います。
〇神崎浩之委員 精神保健ボランティアも半分以下になっています。これは県が立ち上げました。役割を終えたと思っているのでしょうか。支援が弱いと私は言いましたけれども、この中で、新規で設立した団体があるのか、新規で団体を立ち上げようとするような支援を県は行ったのか。いずれ、家族会なり精神保健ボランティアの役割は終えたのでしょうか、それとも重要な役割だと思っているのでしょうか、お伺いいたします。
〇山崎障がい保健福祉課総括課長 精神保健ボランティア団体の新たな立ち上げ等の動きにつきましては、大変申しわけございませんが、こちらとしては把握していないところでございますけれども、精神保健ボランティアにつきましては、まさに心の健康であります精神保健のボランティアとして一生懸命活動していただいていると認識しておりまして、役割を終えたといったような考え方はとっておりませんで、今後もボランティアの方々と意見交換をしながら、取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇神崎浩之委員 把握していないということは、支援していないということなのです。だから、わからないとうことです。午前中にもそういう議論がありました。数を把握してないということは、それだけ意識していない、支援もしていないということの裏づけだと思っております。
次に、次期自殺対策アクションプランの進捗状況について聞きます。
総合計画ではなくて、自殺対策アクションプランというものも今まで4年、4年でつくっておりましたが、来年からの次期自殺対策アクションプランの計画策定の時期が、今、次期総合計画の策定時期と一緒になっているということであります。
策定に向けての進捗状況と、前回のアクションプランと、それにつながって大切にすることについてお伺いいたします。
〇山崎障がい保健福祉課総括課長 次期自殺対策アクションプランについてでありますが、次期アクションプランの策定に向けまして、平成29年7月に政府が閣議決定いたしました自殺総合対策大綱の重点施策等を勘案しながら、本県の実態を踏まえて、現在、内容を検討しているところでございます。
現行のアクションプランのもと、官民一体となった自殺対策を推進した結果、自殺死亡率は全国順位では依然高位にあるものの、目標値を超えるペースで減少を続けるなど成果があらわれておりますことから、次期アクションプランにおきましては、引き続き包括的な自殺対策プログラム、いわゆる久慈モデルを推進いたしますとともに、高齢者や働き盛り世代などの対象に応じた支援、地域特性に応じた支援、さらには震災関連自殺対策及び相談支援体制の充実強化を取り組みの方向性として検討しているところでございます。
策定スケジュールにつきましては、ことしの6月末にアクションプランの骨子を作成して市町村に情報提供しておりまして、現在、素案を取りまとめているところでございますので、年内に案を取りまとめまして、その後、自殺対策推進協議会、自殺総合対策本部での協議を経て、年度内に次期アクションプランを策定する予定としております。
〇神崎浩之委員 今、自殺対策は順調に進んでいる、目標を上回っているということでありました。被災地における包括的な支援による自殺を防ぐということが取り組みになっておりますが、ここ数年の被災地での自死の数はどうなっているのかお伺いいたします。
〇山崎障がい保健福祉課総括課長 恐れ入ります。今、データを手元に持ち合わせておりませんので、調べて、後ほど答弁させていただきたいと思います。
〇神崎浩之委員 被災地における自死の数というのは、岩手県は特に重視しなければならないデータではないのでしょうか。
いずれ、次期アクションプランでありますけれども、自殺対策アクションプランを今つくっている、それと同時に県の総合計画を立てる、そしてアクションプランを立てる。これの整合性とか、どう連動させていこうとして今進めているのかということを一つお伺いいたします。
どの議員も、アクションプランの指標についてはいかがなものかと思っております。先ほど、自殺対策アクションプランの指標として、推進協議会の回数、10回に対して10回やった、それで評価はAだと。これが自殺対策の指標でいいのでしょうか。同じように、自殺死亡率は、人口10万人当たり26.6だったのが21だからAだという指標の立て方です。先ほど部長からありましたけれども、評価はAだと言いながら、262人も県内で自殺なさっている方がいるということに対して、アクションプランの指標に対する違和感を、私だけでなくて皆さんも非常に感じていると思うのですが、それを、今、部局でちゃんと整理して政策地域部に上げないと、次期総合計画特別委員会でやっても、現場のほうからきちっとした実態に合った指標を出してもらわないと、また変なアクションプランになるのではないかと危惧があるのですが、それもあわせてお伺いしたいと思います。
〇山崎障がい保健福祉課総括課長 前アクションプランから次期アクションプランへの流れについてでございますけれども、まず、いわゆる久慈モデルと呼ばれます包括的な自殺対策プログラムにつきましては、引き続き推進していくこととしておりますほか、次期アクションプランにおきましては、方向性でございますけれども、自殺ハイリスク者に応じた自殺対策の推進の中で、新たに生活困窮者への対策でありますとか、国においても新たに重点対策に挙げております子供、若者への対策といったものを項目として追加することとしております。
また、地域特性に応じた自殺対策の推進ということで、本県は非常に広うございますので、社会資源や医療資源、産業構造などによって、それぞれの地域で特性を生かした自殺対策を推進するという内容を盛り込む方向で検討しているところでございます。
〇神崎浩之委員 最後にしますけれども、今、同時に策定を進めている次期総合計画、その中には保健福祉部、その中には自死の項目が出てくると思いますので、一番言いたいのは、次期総合計画特別委員会で質問しても、各部局からちゃんとそれに合った指標が出てこないと、おかしなアクションプランになりますので、それは部のほうできちっと精査して上げていただきたい。
最後に言いたいのは、自殺と自死の言葉であります。これは、部長に所見を求めて終わりますけれども、遺族にとっては自死という言葉に対して非常につらい思いで受けとめるということを何回も言っております。いろいろな人生の終え方があるのですけれども、病気とは違って自死ということで、家族も自分を責めるわけです。そういう中で、自殺という言葉に非常に心を痛めているということを私は遺族から聞いております。
9月に一関市で、岩手県一関保健所が開催しましたいわて自死遺族フォーラムということで、自死遺族に対する社会のまなざし、なぜ自殺ではなく自死なのかということで講演があって、恐らく本庁からは行ってないと思いますけれども、ぜひ、こういうことで真剣に考えなければならない言葉である。私は、幸福の最初の中間報告が出たときに言いました。幸福というのに自殺という単語をなぜ使うのだと。その辺が幸福ということを全然意識していないのだと、そういう話をしたこともありますけれども、部長の見解を求めて、終わります。
〇八重樫保健福祉部長 目標設定の関係につきましては、国の自殺総合対策大綱で2026年度までに自殺死亡率を平成27年度と比べて30%以上減少させることを目標に掲げておりまして、県では今、次期自殺対策アクションプランの策定作業をしていますので、大綱の趣旨も踏まえながら適切な目標値を設定して、次期総合計画と整合がとれるようにしていきたいと考えております。
それと、自死の関係でありますけれども、自死遺族交流会というふうに自死を用いるというような使い分けを行っているところですけれども、なかなかそこがうまくいかないところはあると思います。ぜひ、丁寧な使い分けを行っていきたいと思います。
NPO法人の全国自死遺族総合支援センターで、自死、自殺の表現に関するガイドラインというものを設定いたしておりまして、例えば行為を表現するときは自殺というのを使うけれども、自殺したということではなくて、自殺で亡くなったと表現する、あるいは遺族や遺児に関する表現は自死を使うというガイドラインがございます。まさに残された遺族の痛みを忘れてはならないと考えますので、関係性であったり、状況に応じた丁寧な使い分けに努めていきたいと考えているところでございます。
〇福井せいじ副委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇山崎障がい保健福祉課総括課長 先ほどお尋ねがございました沿岸地域の自殺死亡率の推移ということでございますけれども、平成15年から平成19年、平成20年から平成24年、平成25年から平成29年の平均をとった形でございます。
大船渡が、順に申しますと、33.8、27.7、20.6と減少してきております。釜石が、38.3、32.4、18.1と、これも減少傾向にあります。次に、宮古でございますが、32.9、30.8、24.9と減少傾向にございます。最後に久慈でございますが、44.7、34.3、26.6と減少傾向にあるということでございます。
〇佐藤ケイ子委員 私は、保育の状況、介護人材確保、民生委員のことの3点を通告しておりますけれども、重複している部分は割愛しながら質問させていただきたいと思います。
まず、保育の定員のことについてです。
今、小規模保育ということで保育所、認定こども園などあるわけですけれども、定員増の取り組みをずっとしてきました。それで、平成29年度実績では、利用定員目標3万1、138人に対して3万716人とB評価となっておりますが、認定こども園が予定より5カ所整備できなかったことによるのではないかと思って見ておりました。
そこで、平成30年4月の利用定員はどのようになっているか伺います。あわせて、待機児童の数についても伺っておきたいと思います。待機児童と隠れ待機児童とあるわけですけれども、その状況を伺ってから次の質問に入りたいと思います。
〇門脇子ども子育て支援課総括課長 二つお尋ねがございましたが、まず、保育所の点についてでございます。
本年4月におけます保育を必要とする子どもに係る利用定員につきましては3万2、540人分(後刻「3万1、302人分」と訂正)の確保というところでございます。
また、待機児童につきましては、これも本年4月1日時点ということでございますが、145名となっているところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 ことしの4月の時点での隠れ待機児童は把握しておりませんか。
〇門脇子ども子育て支援課総括課長 失礼しました。
隠れ待機児童につきましては、把握している数字といたしましては513人でございます。
〇佐藤ケイ子委員 そういうことで、4月の時点でも待機児童はいる。10月の時点になれば、これが倍増するという状況に毎年なってしまうわけですけれども、待機児童対策ということで、今まで5年間にわたって待機児童解消加速化プランというものをやってまいりました。今度は、それでも待機があるというので、子育て安心プランを策定し平成30年度から2年間、遅くとも3年間で待機児童を解消させようということになっているということですけれども、定員増を図っても、またそのニーズが掘り起こされて、いつも待機児童は起きるのではないかと私は思いますし、さらには、来年の10月から保育の無償化となれば、ますます保育ニーズは高まるのだろうと思いますけれども、待機児童を解消させるということは本県では可能になってくるのかどうか伺いたいと思います。
〇門脇子ども子育て支援課総括課長 大変申しわけございません。答弁させていただく前に訂正をさせていただければと思います。
先ほどの本年4月1日時点の保育所の利用定員でございますが、3万2、540人というお話を申し上げましたが、正しくは3万1、302人でございます。
待機児童の解消についてでございますが、今、委員から御指摘もございましたとおり、来年10月からはいわゆる幼児教育、保育の無償化も始まるということで、さらにニーズが高まると思っているところでございます。
また、国におきましては、女性の就業率80%を目標とするということでありまして、年々女性の働く割合は増加しておりますし、そういった意味で、少子化と言われる状況ではございますが、保育ニーズにつきましては、当面増加していくのだろうと思っているところでございます。
そういったところもございまして、まず、昨年度に市町村におきます保育の確保の目標でございます子ども・子育て支援事業計画の見直しを行いまして、県といたしましては、市町村の数値を積み上げまして、子ども・子育て支援事業支援計画を策定しているところでございます。市町村におきましても目標を上方修正をしておりますので、それに向けて、保育所の整備などを含めまして定員の利用拡大に努めてまいりたいと考えているところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 それで、ますます利用定員をふやしていかなければならないということですけれども、現実的には計画どおりにはいかないわけです。それが今回の問題なのですけれども、まず、保育士の確保が難しいということ、幼稚園から認定こども園の移行が難しいということなどがあって、なかなか計画どおりには行かないことだと思います。
問題は保育士の確保のことですけれども、お伺いしたいのは、保育士の処遇改善もずっとやっていますので、達成度は100%、A評価ということになっております。潜在保育士の就職も115人、Aと評価されているのです。そういうそれぞれの取り組みをされているということは評価いたしますけれども、では、保育士の正規職員、臨時、非常勤の数はどうなのかということです。やはり臨時、非常勤の不安定雇用が保育の職場では多いので、それでなかなか就職しないということがあるのですけれども、どのような状況になっているでしょうか。
〇門脇子ども子育て支援課総括課長 県におきまして、県内全ての保育所に対しまして行った調査によりますと、本年4月1日時点で保育士が4、752名いらっしゃいますが、そのうち正規職員は2、506人、非正規職員は2、246人となっておりまして、正規職員が占める割合は53%となっております。これは前年よりも高まっておりまして、その割合は年々高まっているところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 正規職員の数をふやしていかなければならない。今度は認可外施設を小規模保育事業所に格上げするというか、整備をさせていかなければならない。幼稚園を認定こども園化しなければならない。今、幼稚園は結構欠員が出ておりまして、幼稚園の経営自体からしても、認定こども園化するということが、幼稚園の経営上からも言われているのですけれども、これがなかなか進まない状況になっています。
結局は、市町村が今度の保育計画を立てて実施するわけですけれども、小規模保育事業所をふやそうということなのか、認定こども園をふやそうということなのか、整備の方針について県は何か持っていらっしゃるのでしょうか。ここは通告していないところなのですけれども、これは、全く市町村の考えに委ねるということなのか、県は方向性を示すものなのか、どうなのでしょうか。
〇門脇子ども子育て支援課総括課長 ただいま、市町村におきます保育の利用定員の拡大の方針ということでございますが、基本的には、これはそれぞれ地域の状況がございますので、市町村の判断ということになろうかと思います。幼稚園が一定程度数がありまして、今、委員からも御紹介がありましたとおり、例えば定員が欠けているところが相当数出ていると。これは地域によってもさまざま異なると思いますが、そういったところにつきましては、当然のことながら、市町村におきましても利用できる一つということで、検討に値するものだと思います。
また、保育所の整備が一定程度進んでいるところにつきまして、あとは、数的にはもう少し頑張ればという市町村もあると思いますので、そうしたところにつきましては、将来的な少子化といいますか、出生数の減少といいますか、子供もいずれ減っていくのではないかと心配されている市町村もございますので、そうしたところにつきましては、やりやすいといいますか、取り組みやすいといいますか、小規模型の保育のほうで考えていくというところもあろうかと思います。
県といたしましては、それらの地域の状況も踏まえまして、市町村とは適切に情報交換させていただきながら、こういう方法もあり得るのではないかという御提言はさせていただきますが、あくまでも最終的には市町村での決定ということになろうかと思います。
〇佐藤ケイ子委員 保育のところではこれは最後にしたいのですけれども、処遇改善のことです。
保育補助者、保育支援者にも加算をするということで、保育士ではないけれども、そのスタッフにも加算が出てきたりしているわけですけれども、どういう活用状況になっているか、保育スタッフの充実は図られているのかどうかお伺いします。
〇門脇子ども子育て支援課総括課長 ただいま御紹介がございました保育補助者あるいは保育支援者についての関係でございます。この事業につきましては比較的新しい事業でございますけれども、保育補助者あるいは保育支援者の雇い上げに対する補助につきましては、昨年度行った調査によりますと、保育補助者の雇い上げを計画しているところが3市町村で9施設、保育支援者の雇い上げにつきましては5市町村で28施設から実施の意向が示されているところでございます。これにつきましては、現在、市町村から交付申請を受け付けているところございますので、その状況を見ませんと、実際にどれぐらいの数が出てくるのかというところはございますが、予定では、ただいま申し上げました数字ということでございます。
〇佐藤ケイ子委員 それぞれにいろいろな制度を活用して取り組んでいらっしゃるということだとお聞きいたしました。
この間、保育士の方とお話しすることがありましたが、処遇改善はされているわけですけれども、その実感が全くないとおっしゃっているのです。その処遇改善は1年ずつの措置費になっているのですけれども、最初のころは、何年か前は、これが処遇改善費だというので見える形になっていたけれども、最近は、定期昇給なのかよくわからなくなってきたと、ある法人の方はそう言っている。やり方があるのでしょうから。せっかくいろいろな措置があるのですけれども、保育従事者が実感を持てるような制度にしていかなければならない。来年度もどうなるかわからないという制度ではなくて、しっかりと加算を継続させるような制度にしなければならないといつも思っているのですけれども、そうした部分では、国にもこの制度の充実を働きかけていただきたいと思っているところです。
次の質問に行きます。
保育とか介護とかあるのですけれども、福祉職場は女性の職員が非常に多くて、賃金も一般の平均に比べると低いです。なかなか厳しいところで女性の方々が多く働いております。でも、こういう保育とか介護が充実しないと、男性もそうですけれども、女性は働き続けられないので、本当にしっかりとした制度になってほしいといつも思っているところですけれども、毎年使いづらい制度になっているのではないかというのがこの介護保険だと思っております。
それで、介護人材の確保については、さきにおっしゃった方々がたくさんいるのですが、介護人材マッチング支援事業はA評価となっております。施設整備は目標に達せずD評価と。人材不足、建設費の高騰などでサービス事業者に応募するところがなかったということですけれども、そのほかに休廃止する事業所もあります。そうしたことで、介護事業所は大変な状況だと受けとめております。
人材確保対策として、地域医療介護確保基金というものがあって、マッチング支援とか若者世代の参入促進、外国人留学生の受け入れとかさまざまなメニューを実施しているようですけれども、本県の取り組み状況はどうなっておりますでしょうか。
〇近藤長寿社会課総括課長 介護人材確保対策の関係でございますけれども、県では、深刻な介護人材不足に対応するために、参入促進、資質の向上及び労働環境、処遇改善の三つの視点から、総合的に介護人材確保に取り組んでいるところでございます。
平成29年度における主な取り組みを申し上げますと、地域医療介護確保基金などを財源としながら、参入促進については、県内各地に7名のキャリア支援員を配置して求人、求職のマッチングを支援し、新たに311名が県内の事業所に採用されたところであります。
資質の向上については、介護職員初任者研修に係る受講料を28名分補助いたしましたほか、労働環境、処遇改善については、事業者に対して処遇改善加算の活用を働きかけ、直近の状況では、平成30年8月現在の加算の届出率が93.8%になっているところでございます。さらに、今年度から介護従事者の身体的負担の軽減や業務の効率化に資する介護ロボット導入支援事業を実施しているところでございます。
また、これらの取り組みに加えまして、先ほど委員から御紹介がありましたように、地域医療介護確保基金の中の新規メニューのうち、介護未経験者を対象として、入門的研修から介護施設、事業所への就職に向けたマッチングまでを一貫して行う介護入門者研修事業についても、今年度から取り組んでいるところでございます。
その他、外国人留学生の受け入れ環境整備などに係る新規メニューにつきましても、現在は実施していないところでありますけれども、県内事業者の意向等を踏まえながら、今後の事業化に向けて検討を進めていく考えでございます。
〇佐藤ケイ子委員 外国人の介護職員の雇用のことで、今、県内にはいらっしゃらないとおっしゃったような気がするのですけれども、そうでしょうか。私の知っているところにはいるのですけれども。
〇近藤長寿社会課総括課長 ただいま申し上げたのは、地域医療介護確保基金の新規メニューとして外国人留学生の受け入れ環境整備等の事業があるわけすが、これについてはまだ取り組んでいないという趣旨でございまして、外国人介護人材が県内にいらっしゃらないという意味ではございません。紛らわしい答弁で失礼いたしました。
〇佐藤ケイ子委員 わかりました。それで、外国人の介護職員を導入しようということを国は言うわけですけれども、なかなかこれも難しい話だなと思っております。そして、家族を連れてきてはだめだとか、5年までだとか。それも規制を緩和したようですけれども、外国人の方々を雇い入れるというのも大変なことだと思っております。
きょうの朝日新聞に、介護福祉学ぶ留学生倍増ということが書かれておりまして、2018年度入学の留学生がいると。在留資格に介護も加えて2年以上学んで、介護福祉士の国家試験を取得すれば、卒業後も在留資格を切りかえることができるということ、配偶者や子供も在留できるというようなことも出されているのですけれども、どうも、東南アジアのほうでは、日本の介護はひどいらしいというので人気がなくなっているといううわさもあるのですが、外国人の介護職員の雇用状況は今はどうなっているのでしょうか。
〇近藤長寿社会課総括課長 外国人介護人材の雇用の状況についてでございますけれども、ことしの6月に、県内の特別養護老人ホームなど介護事業所309施設に対しまして、5月末日時点での外国人介護人材の雇用状況について照会いたしましたところ、回答があった204施設のうち、1施設で経済連携協定─EPAに基づく介護福祉士候補者2名が勤務しているという回答がございました。また、これ以外にも21の施設において、従来からありましたけれども、日本人の配偶者の在留資格でもって外国人29名の方が勤務しているという回答があったところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 介護の世界はなかなか厳しいわけですが、それでも介護保険に対する不満もたくさんあるのですけれども、介護保険制度がなくなったら、これも大変なことだと思います。何とかこれも国に、消費税も上げると言っているのですけれども、介護の制度を充実するため国費がもっと投入されるような制度にならないかということで、折々に制度要求もしていただければと思っております。
次に、民生委員の関係です。先ほど城内委員が質問しておりますので、民生委員の欠員ということも通告しておりましたが、それは重複したので割愛します。
それで、活動費のことなのですけれども、厚生労働省からの委嘱ですので、国から任命されて、報酬はなしということなわけですが、市町村によって活動費を出しているわけです。その市町村の活動費も非常に差がありまして、年間ゼロのところから年間20万円のところとか、本当にさまざまあるようでございます。
県内はどうなっているのかと思うのですけれども、活動の量とか責任の重さに対して、無報酬というのはいかがなものかと私は思うのです、活動費も少額ですし。市町村から活動費を出しているのですけれども、市町村への活動費に対して国からの財政措置というのはあるのでしょうか。
〇菊池地域福祉課総括課長 民生委員の活動費についてでございますけれども、県では、民生委員1人当たりの活動費として年額5万4、000円を措置しております。この財源は地方交付税であります。これには別途交付税措置のある盛岡市を除いたものであります。
市町村が支給している活動費についてですけれども、私どもで把握したところによりますと、全ての市町村において、上乗せ支給あるいは民生委員が他の福祉に関する相談員を兼務していることに対する活動費として支給しておりまして、平均の年額は5万7、000円程度と把握しております。これにつきましては、国の財政措置がなく、一般財源で措置していると聞いております。
〇佐藤ケイ子委員 民生委員は、昔は名誉職みたいな感じであったのですけれども、今は実行部隊として、子供から、お年寄りから、障がい者から何からかにから、本当に地域福祉の担い手なわけですけれども、先ほどの質疑で、今、欠員があると。これが来年の今ごろ、また改選の時期で、そうしたときに、この欠員がまたそのまま欠員になるのではないか、もっと欠員になるのではないかという心配があります。そうした意味では、民生委員の活動費をもう少し国が手厚くするべきではないか。また、県もそれに上乗せをする、市町村ももう少し上乗せをするという形で、少しでも処遇を改善してあげないと、なかなか後継者というのも難しいと思います。
農業委員などは、しっかりとでもないけれども、まず報酬があるわけですけれども、それに比べて、民生委員も厳しいのに、これも本当に微々たる活動費だけでというのはおかしな話だな、申しわけない話だなと思っております。ぜひ、こういった制度の改善につけてもお願いしたいと思いますし、県でさらに上乗せできないか、そうした考えはないか伺いたいと思います。
〇菊池地域福祉課総括課長 委員御指摘のとおり、地域住民が抱える課題の複雑化、多様化に伴いまして、民生委員の活動については、質、量ともに負担が増加しております。
国においては、平成28年度に地方交付税算定基礎を増額したということもありまして、こうしたことも踏まえまして、本県では平成28年度の民生委員の活動費について増額を図ったところであります。
今後につきましては、国の動向なども見まして、この単価については関係機関とも協議をして決定してきている経過もございますので、そうした意見も踏まえて研究してまいりたいと思います。
〇福井せいじ副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後2時56分 休 憩
午後3時14分再開
〇名須川晋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
委員各位及び執行部に申し上げます。この後、本日審査を予定している部局について、延べ10人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
質疑を続行します。
〇臼澤勉委員 それでは、平成29年度の決算審査に当たりまして、私はまず自死対策についてお伺いいたします。これまでも工藤誠委員、神崎委員から質疑等がありましたので、重複しない私の視点でお尋ねいたします。
平成29年は、国で自殺総合対策大綱が閣議決定された年でもあり、これを踏まえて県が次期自殺対策アクションプランの策定に着手した年でございました。まず初めに、自死の現状、そして対策に対する基本的な認識をお聞かせいただきたいと思います。
〇山崎障がい保健福祉課総括課長 自死の現状と自殺総合対策に対する基本認識についてでございますが、本県の自殺対策アクションプランは平成19年に示された国の自殺対策総合大綱を踏まえて策定しておりまして、これまで取り組みを進めてきた結果、自殺者数は中長期的に減少傾向にあり、平成29年厚生労働省人口動態統計によりますと、自殺者数は前年比27人減の262人、人口10万人当たりの自殺死亡率は前年比1.9ポイント減の21.0となっております。
委員からお話がございました平成29年7月に国が策定した自殺総合対策大綱におきましては、新たに、子供や若者、勤務問題、妊産婦等の自殺対策が重点施策に加えられているところでございます。
県といたしましては、本県の自殺死亡率は着実に減少しているものの、依然として全国的には高位にあり、年間262人もの方が自殺で亡くなられている事実をしっかりと受けとめまして、新たな大綱の趣旨も勘案の上、引き続き包括的な自殺対策プログラムを推進するとともに、地域の特性を踏まえ、ハイリスク者に応じた対策や相談支援体制の充実に重点的に取り組んでまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 私はこの問題をずっと取り上げてまいりました。私は、自殺死亡率は低下、着実に成果があらわれていると先ほども答弁がありましたけれども、自殺死亡率の達成度A評価につきましては、機械的に出せば達成度はAということになるのでしょうけれども、やはり何か違和感を持つものであります。
10万人当たり二十何人ということで出ております。例えば、1万人の規模で見れば2人。矢巾町の人口でいけば毎年6人が亡くなっているという事実。これを素直に達成度Aとして喜べない。ましてや、私が議員になってから、若者─中学生、高校生の命が私の知っているところで失われているこの事実。先ほどもお話がありましたとおり、20代、30代の若者の死因の1位が自死というこの事実。そして、先進国の7カ国の中でも最悪の状態にあるというこの事実。これをやはり岩手県としてしっかりと取り組んでいかなければいけないと思っております。
それぞれの地域ごとにも異なっております。県央保健所管内で過去5年間の実態を見ても、市町村ごとで大きく異なっております。地域レベルの実践的な取り組みをどう進めるお考えなのか。また、沿岸地域における対策をどのように考えているかお伺いします。
〇山崎障がい保健福祉課総括課長 地域レベルの実践的な取り組みについてでございますが、委員御指摘のとおり、地域によって自殺の実態は異なりますことから、地域特性に応じた自殺対策を推進することが極めて重要であると考えております。
平成28年の自殺対策基本法の改正によりまして、各市町村においても大綱や地域の実情を勘案して地域自殺対策計画を策定することが義務づけられておりまして、今年度内に計画を策定する予定となっております。県では、この地域自殺対策計画の策定に当たりまして、自殺統計データの集計、分析結果や、国が作成いたしました地域自殺実態プロファイル及び地域自殺対策計画パッケージなどを市町村に情報提供いたしまして、円滑な計画策定に向け支援をしているところでございます。
また、沿岸地域につきましては、時間の経過に従いまして被災者の方が抱える問題が複雑化、多様化しておりまして、復興の進捗に対応した被災地の方々の心のケアが必要と考えられますことから、引き続き、市町村、こころのケアセンターあるいは市町村社会福祉協議会などの機関等と連携を図りながら、被災地における自殺の防止に努めてまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 私は、さまざま県のほうでも保健福祉部あるいは各部局でそれぞれの団体がやっているメニューがございますが、悩んでいる方々にいかにそういった支援メニューや情報を届けるかがすごく重要なポイントになると思います。それは年代別もそうですし、地域別にも若者が悩んでいることと働いている方々が悩んでいることというのは傾向としても大分違っておりますので、ぜひそこら辺の対策をしっかりとっていただきたい。
先ほどの話に戻りますけれども、特に若年層の自殺対策を私は強化すべきというふうに問題意識を持ってございます。これまでの取り組み実績と成果をどのように捉えているのか、そして実効性のある対策をどういうふうに進めようとしているのかお伺いいたします。
〇山崎障がい保健福祉課総括課長 子供、若者の自殺対策についてでございますが、委員御指摘のとおり、本県の10代から20代までの自殺者は厚生労働省の人口動態統計によるとほぼ横ばいでございまして、全体に占める割合は約1割となっております。また、原因、動機別で見ますと健康問題、勤務問題が上位となっておりまして、次いで、経済、生活問題、男女問題などとなっております。
こうした多様な原因、動機に対応するためには、周囲の人々が若者の心や表情などの変化に気づき、声をかけ見守っていくことが重要でございますことから、県としては、引き続きゲートキーパーの養成や高校カウンセラーの配置、事業所におけるメンタルヘルス対策の要請などに取り組みますとともに、年代や悩み事に応じた相談窓口が活用されるようその周知に努めるなど、市町村や関係機関、学校、企業等と連携、協力して若い世代の自殺対策に取り組んでまいりたいと考えております。
また、平成29年7月に国が策定した自殺総合対策大綱では、新たに、先ほども申し上げましたが、子供や若者の自殺対策が重点施策に加えられましたことから、平成30年度に策定を予定しております次期自殺対策アクションプランにおいて、本県の実態を踏まえた上で、SNSの活用など、新たな取り組みも検討してまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 我が事・丸ごと支援という言葉もありますが、子供たち、自分の息子や娘という目線で、困っている、悩んでいる、なぜ彼らがその道を選ばざるを得なかったのか。なぜ親に、あるいは先生や友達になぜ相談できなかったのか。SOSのサインを、周囲が─私も含めてですけれども、なぜキャッチできなかったのか、そういった視点を持ちながら、防ぐ方策の調査研究をケース別にやっていくことが大事だと思いますし、特に学校現場においては、教育委員会とも連携しながら、そこの対策、先ほどの保健室のカウンセリングの徹底、そしてSNSの活用というのは、私はぜひやっていただきたい。回答は難しいとは思いますけれども、このSNSについては、特に子供たちはそこを通じてサインを送りやすいところがありますので、ぜひ調査研究をしていただきたいと思います。
次に、がん対策に移りたいと思います。
平成29年度第3次岩手県がん対策推進計画を策定しておりますが、がん検診が死亡率減少に寄与する最大の効果を持つと思いますが、受診率向上にどう取り組まれているのかお伺いいたします。
〇佐々木健康国保課総括課長 がん検診の受診率向上の取り組みについてでございます。
本県のがん検診の受診率、特に委員からは、乳がんや子宮頸がんの検診率がなかなか上がっていないという御指摘もかねてからあったところでございますけれども、こういった検診率も、徐々にでありますが向上しているという実態がございます。
県はこれまでも、例えば乳がんですといわてピンクリボンの会という団体や、がん検診受診率向上プロジェクト協定を複数の企業と締結してございますので、こういった締結企業などと連携いたしまして、正しい知識の普及や重要性に関する普及啓発を行いながら受診勧奨を行ってきたところでございますし、市町村や医療保険者等の関係機関による検討会を開催いたしまして、受診しやすい環境の整備などにも取り組んできたところでございます。
本年度はこれに加えまして、昨年度、岩手県生活習慣病検診等管理指導協議会を開催しております。その下の各がん部会での指標の分析、評価をもとに、受診率が低い市町村に対する個別の指導、助言を行っているところでございます。それから、今年度、特に力を入れているところでございますけれども、企業の健康経営の取り組みの促進に合わせても受診率向上の普及啓発を行うなどの取り組みの強化を図っているところでございまして、今後も引き続き受診率の向上に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えてございます。
〇臼澤勉委員 以前、NHKテレビのためしてガッテンだったか何かを見ていましたら、タイアップしていろいろ受診率向上に向けた取り組みをやっていました。市町村においても、がん検診の無料クーポンとか健診手帳の配布とか、ああいった情報が意外と届いていなかったりもしているようでございますし、働く世代にも配慮した休日、夜間帯の検診など、そういった環境をしっかり整えていくことが大事になってくると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
特に働く世代に対する取り組みでございますが、以前にも御質問しましたが、20歳から40歳未満の末期がん患者が介護保険制度の対象から抜け落ちているような状況になってございます。兵庫県などは全国に先駆けてそういった支援に取り組むなど、全国では14市町村以上がサービス利用料の9割相当を助成するという取り組みもありますが、働く世代に対する支援への取り組みについても検討するのかどうかお伺いいたします。
〇稲葉地域医療推進課長 働く世代のがん対策についてでありますが、こうした世代に対しては、治療と仕事の両立に向けた環境整備を図りつつ、ただいま委員から御指摘いただきました40歳未満の患者に対する支援について、法令に基づいた支援制度のはざまにあるということで、全国共通の課題であると認識しております。
このため県では、こうした世代のがん患者の療養生活に対する支援制度の創設につきまして今年度の政府予算提言、要望に新たに盛り込んだところでありまして、国に対して、医療費助成や介護保険サービスと同等の支援制度の創設を働きかけているところであります。あわせて、委員から御紹介いただきました兵庫県の事例などのように徐々に取り組みが広がりつつありますので、こうした先進的な取り組みを研究して、引き続き医療関係者等と意見交換しながらニーズの把握に努めていきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 ぜひよろしくお願いいたします。
次に、医療機関内に設置されている特別支援学校には小、中学部のみということで、高校生のがん患者の学びの機会の確保、教育の保障にぜひ県としてしっかり取り組んでいただきたいということでございます。岩手に生まれた子供が平等に、それは義務教育課程以外にも、高等学校で学んでいる子供たちがぜひ学びたいといった教育の扉を開くよう、教育委員会とも連携して保健福祉部からもぜひ強く働きかけていただきたいと思いますし、復学、就労支援に向けてどのように保健福祉部として取り組んでいくのか、そこの意気込みをお伺いいたします。
〇稲葉地域医療推進課長 長期入院する児童生徒への教育環境整備についてでございますが、本県では、病弱等で特別支援学校に在籍している児童生徒につきましては、病状や入院等の状況に応じて、通学または教員が病院を訪問する形態により学習が進められておりまして、義務教育段階に比べ、高等学校教育段階では取り組みがおくれていることにつきましては、国のがん対策推進基本計画においても指摘されているとおり、全国的な課題であると認識しております。
教育環境の整備につきましては、県のがん対策推進計画におきましてライフステージに応じたがん対策として位置づけておりまして、具体的には、いわて特別支援教育推進プランに基づき、義務教育、高等学校段階において一人一人が一貫した指導、支援を受け、病気療養児のニーズに応じた取り組みが図られるよう、その実現に努めることとしております。
現在、教育委員会においては、平成31年度からの新たな特別支援教育推進プランを策定中でありまして、新たに高等学校段階についての学習確保につきましても検討されておりまして、教育環境の整備が進展するものと考えております。
がん医療から教育、就労と切れ目のない支援を行うには関係機関相互の連携が重要でありますので、保健福祉部といたしましても、教育部門等と連携を密にしながら、がん対策推進計画の着実な取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 ぜひよろしくお願いいたします。
次に、重症心身障がい児・者対策についてお伺いいたします。
重症心身障がい児・者の施設入所の待機状況についてお伺いしたいのですが、これの解消に向けて県としてどのように取り組まれているのかお伺いしたいと思います。
今度、盛岡市青山にある国立病院機構盛岡病院に平成31年度40床の開設予定ということであります。この待機者は盛岡広域に大体半数以上が集中しているような状況と伺っておりますけれども、この解消に向けてどのように取り組まれるのかお伺いいたします。
〇山崎障がい保健福祉課総括課長 まず、重症心身障がい児・者の施設入所待機の状況についてでございますが、県内の重症心身障がい児・者が利用できる入所施設は5施設ございまして、今月1日現在の入所待機者について施設に聞き取り調査を行いましたところ、18歳未満の障がい児が9人、18歳以上の障がい者が45人となっております。
続きまして、重症心身障がい者の施設入所待機の解消についてでございますが、先ほど委員からもお話がございましたように、国立病院機構盛岡病院による40床の療養介護の整備によりまして、18歳以上の重症心身障がい者の入所待機者につきましては一定の改善が図られるものと認識しております。
一方で、18歳未満の重症心身障がい児につきましては岩手県立療育センターの活用が見込まれるところでございますが、現在、超重症児の入所者が多いことや、医師や看護師等が不足し、十分にその受け皿となっていない状況もございますことから、引き続き療育センターの指定管理者と連携して医療従事者等の確保に取り組み、受け入れに努めてまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 いろいろ施設の方々から聞くと、例えば入りたくても入れないような方々、そういった御家庭は、家族の高齢化に伴って、将来このまま大丈夫かということで在宅介護に対する不安感も非常に高まっていると聞いておりますし、胃ろうやたん吸引などの医療的ケアが必要な重症心身障がい者についても、私は在宅の方々が6割ぐらいいるようなお話も聞いております。そういったところで、ぜひ解消に向けて、民間施設でも独自に増床に取り組もうとしているところもありますので、そういったところについてはしっかりとヒアリングしていただきながら、支援等についても検討していただきたいと思います。
最後に、重症心身障がい児・者一貫体制の維持、継続、障がい児から障がい者に円滑に移行する、ここが途絶えることのないような支援体制も重要になってまいります。専門指導員の育成、介護職員の確保についてどのように取り組むのか最後にお聞きいたします。
〇山崎障がい保健福祉課総括課長 まず、重症心身障がい児・者一貫体制の維持、継続についてでございますが、国におきましては、平成29年3月に、現に障害児入所施設に入所している18歳以上の者が退所させられることがないよう、障害児入所施設の指定を受けていることをもって、障害者支援施設又は療養介護の指定基準を満たすものとみなすという特例の制度を恒久化しております。医療型障がい児入所者が18歳以上になっても引き続き同じ施設に入所することが可能となり、また、療養介護を行う施設において重症心身障がい児を受け入れることも可能となったところでございます。重症心身障がい児・者が年齢によらず安心して生活できるよう、県内の医療型障がい児施設及び療養介護の施設におきましては、今申し上げました取り扱いに既に取り組んでいるところでございます。
今後とも、施設からこの特例や児・者一貫体制について相談等があった場合には、必要な助言を行うなど丁寧な対応に努めてまいりたいと考えております。
次に、専門指導員や介護職員の確保についてでございますが、重症心身障がい児・者の生活支援等に携わる職員につきましては、医学的管理下での介護や日常生活上の世話などに関する専門的な知識や技能が求められ、その確保は重要な課題であると認識しております。
医療、福祉人材が不足している中にあって、こうした職員を確保していくためには、まずは、社会福祉の専門職として養成された人材に障がい福祉分野の仕事を選択していただくことが重要と考えているところでございまして、社会福祉士養成施設の生徒への就学資金の貸し付けや、岩手県社会福祉協議会に委託して実施しております岩手県福祉人材センターによる就労マッチング支援等々の支援を行ってまいりたいと考えております。
今後とも、これら養成校や福祉人材センターなどの関係機関等と連携いたしまして、職員の確保に努めてまいりたいと考えております。
〇阿部盛重委員 私からは、災害発生時の避難行動要支援者の名簿と個別計画、そして現状の課題と対策についてお伺いいたします。
〇菊池地域福祉課総括課長 避難行動要支援者名簿等についてでありますが、避難行動要支援者名簿は県内全市町村で作成されております。その総数は、平成30年5月1日現在8万1、423人となっており、自主防災組織など避難支援関係者への平常時からの名簿提供は29市町村で3万5、896人となっております。また、避難支援等を行うための個別計画は、13市町村において1万6、788人分が策定済みとなっております。
本県においては、避難支援関係者への平常時からの名簿提供は要支援者の約4割にとどまっており、本人から提供の同意が得られないことが主な課題となっております。また、避難行動要支援者の個別計画につきましては15市町村で計画の策定に未着手となっており、地域における避難支援者の確保が難しいことなどが課題として挙げられているところでございます。
県といたしましては、実効性のある避難支援が行われるよう、今後とも研修会等においてこうした課題に係る先進的な取り組み事例を紹介するなど市町村を支援するほか、自主防災組織リーダー研修会の開催等を通じて地域の防災活動を支援するなど、避難行動要支援者への避難支援の充実に取り組んでまいります。
〇阿部盛重委員 6割の市町村が名簿の作成が未着手、15市町村が個別計画の策定も未着手というお話ですが、要は有事がいつ来るかわからないという状況で、各市町村も状況は十分わかっていると思うのですが、未着手のなかなか進まない大きな問題点というのはどのように捉えておりますでしょうか。
〇菊池地域福祉課総括課長 名簿の事前提供について、先ほど課題として本人の同意が得られないと申し上げましたが、これについては、要支援者が身体の状況など自身の状況を周囲に知られたくないといったこともありまして、同意が得られないなどの例があると聞いております。
それから、個別計画策定の課題についてでありますが、少子高齢化等の影響が大きいということで、避難支援者となり得る人が既に多くの役割を担っていて支援者となることが難しいケース、それから、近所づき合いが疎遠となっていく中で、その確保が難しいということがあると認識しております。それから、避難支援者になることで、事故が起きた場合に責任を問われるのではないかといった懸念から支援者となることを断られるケースがある、こういった課題があると認識しております。
〇阿部盛重委員 そういう状況の中でもきちんと対応されている市町村もあるということで、事例的なものをお話しいただければありがたいですけれども。
〇菊池地域福祉課総括課長 こうした中ですが、避難行動要支援者名簿の支援機関への提供や個別計画の策定が進んでいる市町村が県内でもございます。取り組みが進んでいる市町村におきましては、民生委員等地域住民の協力を得るなどいたしまして、避難行動要支援者名簿の平常時からの提供への同意の取得、名簿情報の更新、名簿への新規、追加の呼びかけなどを丁寧に行っているということ。あわせて、地域ごとに情報交換会を開催いたしまして、名簿情報をもとに要配慮者の避難経路を地図上で確認するなどの取り組みを通じて個別計画の策定につなげている、そういった取り組みがあると聞いております。
〇阿部盛重委員 民生委員のお話が出たのですけれども、これは各市町村、各地域ごとに民生委員がいらっしゃるのですが、未着手のところというのは民生委員の負担がかなり大きくなっているのかなと思っております。地域に根差している、例えばケアマネジャーや認知症サポーターや生活支援コーディネーターなどいろいろな専門職の方々が地域に入っているのですけれども、あとは社会福祉協議会もしかりでしょうけれども、そのあたりの協力体制というか、かなり密着度が高まっていれば未着手のところもかなり進んでいくと私は思うのですけれども、そのあたりはどうでしょうか。
〇菊池地域福祉課総括課長 今、委員からお話がありましたとおり、避難行動要支援者の適切な避難のためには、民生委員、市町村社会福祉協議会、それから自治会等避難支援関係者の協力を得ることが重要であります。このため県では、先ほど御答弁いたしました市町村への支援のほか、民生委員を対象とした研修会や市町村社会福祉協議会の会議等で避難行動要支援者の避難支援対策の推進について協力を依頼するなどしております。今後も引き続き、市町村、民生委員等との連携が一層強化されるように努めてまいります。
〇阿部盛重委員 正直言って、もう時間がないと私は思っております。要は、きょうの夕方来るかもしれない、あす来るかもしれない。そんな状況の今、ないことが全て起き得るという時代になっていますので、県の皆さんもそうでしょうし市町村の方々もそうでしょうし、地域を守っていただいている町内会及び各専門のプロの能力者の方々もそうだと思うのですけれども、それが一体となってこれの作成を、全て100%とは私は言いませんけれども、90%までは持っていけるのかなというふうに思っておりますので、ぜひ根強くいろいろと御指導していただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
〇斉藤信委員 最初に、北上市で発生した児童の虐待死問題について、日本共産党岩手県議団としても北上市の検証報告書について聞き取り調査も行ってまいりました。経過の中に大変さまざまな問題があるのではないかと感じてきましたので、お聞きしたいと思います。
ことし2月27日に、県南広域振興局による認可外保育施設の監査に同行した市の子育て支援課職員が、園長から気になる子供がいると情報提供を受けました。この内容はこういうものでありました。衣服が尿でぬれた状態で登園、かばんに便が付着、翌日も同じ服装で登園、異常な食欲、痩せてきている、こういう通報であります。市は、ネグレクトの疑いがある事案として当日に虐待相談・通告受付票を起票いたしました。
そこでまずお聞きしたいのですけれども、これは県南広域振興局による監査でしたが、県南広域振興局の担当者はこの話は聞いていなかったのでしょうか。
〇門脇子ども子育て支援課総括課長 ただいまお話ございましたとおり、2月27日に県南広域振興局において認可外保育施設の監査を行ったところでございますが、私どもで聞いているところでは、監査の最中ということではありませんで、監査が終了した後に同行した市の方にその旨を施設のほうからお話ししたと聞いているところでございます。ですので、その後3月15日に北上市で要保護児童対策地域支援協議会を開催しておりまして─実務者会議でございますけれども─広域振興局で把握いたしましたのはここで報告されたときと伺っております。
〇斉藤信委員 それは極めて残念な……県の監査ですからね。信頼関係がなかったのか、このように疑われますけれども、北上市の対応として、虐待相談・通告受付票を起票した場合には直ちに緊急受理会議を開催することになっています。これは開催されませんでしたね。
〇門脇子ども子育て支援課総括課長 ただいま、具体的な北上市の対応についての御質問でございましたが、現在、県におきまして、死亡事例の検証委員会を開催して8月から検討していただいているところでございます。ですので、そこで委員の方々から確認事項等を求められているところと重なるところもございますので、その点につきましてはさらに北上市に確認した上で明らかにするものと思ってございます。
〇斉藤信委員 北上市の検証報告書ではこの会議は開かれなかったとなっていますので、県が改めて検証しようとしていることは私、承知しているけれども、北上市の検証結果では、そうしたマニュアルに基づく緊急の受理会議というのは開かれなかった。実は、この緊急受理会議を開いて、初期調査報告票というのを準備することになっているのです。受理して何をするか、これもはっきりしなかった。あれだけ深刻な情報提供があったのに、私は初動の段階でミスしたのではないかと。
もう一つは、同時に2月28日と3月15日に家庭訪問をしているのですね。ところが、2度、夜に家庭訪問しているのだけれども、不在だったと。この当時、1歳8カ月ですよ。1歳8カ月の子供を抱えているのに、家に不在だった。2回も不在といったら異常な事態じゃないですか。ところが、確認されないままになっているのですね。
そして、実は、その母親は2月中旬から仕事で奈良県に行っていたということが母親の実家の連絡でわかった。25歳の父親が1歳8カ月の子供の面倒を見ていたということなのです。私はこれだけでも緊急に支援が必要な子供になったのだと思いますが、2度も不在で、母親が2月中旬からいなかった、この事態を緊急な事態として受けとめられなかったことも重大だと思いますけれども、どう考えていますか。
〇門脇子ども子育て支援課総括課長 先ほども申し上げましたとおり、細部につきましてその対応がどうだったかにつきましては死亡事例の検証委員会のほうで検証していただくわけでございますけれども、確かに今、委員から御紹介がありましたとおり、今の説明の中で、夜間に訪問しても不在であったということにつきましてはやはり児童虐待等が疑われる重大なサインであったのだろうと考えられるところでございます。そういった意味におきましては、対応にやはり問題があった可能性があると考えてございます。
〇斉藤信委員 残念ながら北上市は、不在である奈良県にいるお母さんとばかり連絡をとっているのですよ。実際に1歳8カ月の子供を見ている父親とは全然連絡をとらなかったということも私は重大なミスだと思うけれども、次の大きな山は3月12日でありました。園長から電話があって、こういう通報、情報です。足が冷たくて温まらない、食欲がすごくある、登園時、母の姿は見ていない、こういう話です。私、この通報というのは、体調に異常を来していたのではないかと思いますよ。足が冷たくて温まらない、食欲がすごくある、ですから。これは本当に健康上のまさに危険信号の発信という形で私は園長が市に情報提供をしたと思うのですけれども、これについても機敏に対応をしませんでした。本当にこれは残念な事態であります。
そして、3月15日に先ほどお話があった北上市要保護児童対策地域協議会─実務者会議が開催されました。ここで本来ならこの虐待について情報共有されるべきだった。なぜこれはされなかったのですか。
〇門脇子ども子育て支援課総括課長 私どもが伺っていたところ、あるいは先ほど委員からも御紹介ありましたが、いわゆる報告書の内容から判断いたしますと、情報共有は全くされなかったわけではないと伺っております。いわゆる実務者会議でございますので、北上市において対応しているケースにつきましてどういう状況かというのを報告する会議でございます。ですが、その中で100件を超えるケースが一度に報告されたと伺っておりますので、細かい一件一件のケースについての報告ではなかった。そういったところから、その会議には児童相談所あるいは広域振興局、警察も含めて出席しているわけでございますけれども、いわゆる危険な事例、リスクがある事例との認識には至らなかったと聞いております。
〇斉藤信委員 実は、この協議会には156件のケースが一覧表で出されたのですね。その一つだったと。情報共有というのはこの程度です。156件の中に一つあったと。しかし、これが具体的に報告されなかったのはなぜかというと、家庭環境の確認ができなかったからです。そして、本来、すぐやるべき初期調査報告票というのがつくられていなかったから具体的に報告できなかったわけです。本来ならこの極めて重要な虐待のケースを情報共有すべき要保護児童対策地域協議会が機能しなかった。私はひとえに北上市の責任が大きいと思うけれども、そういう点では、要保護児童対策地域協議会の実務者会議のあり方というのも、私は大変今回、教訓になったのではないかと。
そこで、マニュアルでは、この要保護児童対策地域協議会を活性化させるために市に調整機関を設けるとなっています。ここには児童福祉司などの専門家を配置した、いわばきちんとした議論ができるようにするためにそういう調整機関が必要だと。北上市はこの調整機関がなかったのではないですか。
〇門脇子ども子育て支援課総括課長 調整機関につきましては、要保護児童対策地域協議会を設置しているところについては必置の機関でございますので、設置はされていたと認識してございます。
〇斉藤信委員 専門家が配置されていたのですか。そして、結果的には機能しなかったということになるのだけれども、これはなぜ機能しなかったのですか。
〇門脇子ども子育て支援課総括課長 北上市におきましても、要保護児童対策地域協議会、そして調整機関というのは設置されているところでございますし、担当者の方も一応いらっしゃるとは伺ってございますけれども、先ほど委員からも御説明がございましたとおり、私どもが聞いているところでは、先ほど御案内のありましたマニュアルどおりの対応がなされていなかったところが問題点、課題として北上市のほうでは考えていると聞いております。
〇斉藤信委員 1歳8カ月の段階での虐待の通報でしたから、1歳6カ月健診も受けていなかった。私はここも重要なシグナルだったと思いますよ。1歳6カ月健診。繰り返し受診するように連絡したけれども、連絡がとれなかったり、結局は受診せずに亡くなってしまうわけです。
そこで、最後の大きな山場は3月27日であります。これは、この園の保育士が別件で市役所を訪れたときに状況を聞いた。たまたま聞いたということなのですね。そのときに、昨日も足に便が付着していた、相変わらず手足が冷たく、父に理由を尋ねても答えない、この情報が改めて寄せられた。実は、これ以降、連絡が途絶えるのです。保育園からも連絡がない、市役所からも連絡をとらずに、実際には3月30日から登園せずに、まともに食事も与えられず、水も与えられずに亡くなってしまった、こういうことになるわけです。2月27日から4月8日に亡くなるまでわずか40日間です。3月27日にたまたま訪れた保育士からのこの危険な、本当に危ない情報もまともに対応されずにこの事故が起きたというのは、私は本当に……。いろいろなところで本来真剣になって取り組まなければならない。虐待通報というのは、全国的なルールで48時間以内に安全を確認するのですよ。48時間以内に、ネグレクトだったら家庭環境を把握しなければだめなのですよ。それが40日間も放置されて最悪の事態を招いてしまった。
さまざまなところで本当に一つ一つ見過ごされた。知事は、この事件は防ぐことができた、防がなくちゃならない事件だったと言いましたけれども、私は、今、県の機関で再検証されていますので徹底的な検証を求めたいと思いますけれども、それはそれとして、今の段階で把握されている問題について、各市町村に徹底してこういう事故が絶対に起こらないようにやるべきだと。ここは部長に聞きましょう。
〇八重樫保健福祉部長 児童虐待が疑われるサインがあったにもかかわらずその児童を救えなかった結果となっておりまして、委員御指摘の点も含めて対応に問題があったと考えられますが、そういった点について検証委員会において今後検討を行っていきたいと思いますし、この事件を受けて、市町村に対しまして通知を行っております。緊急度のある案件として早急に児童相談所等に通知する案件等を具体的に示しまして、そうした対応について市町村への通知を行ったところでございます。
〇斉藤信委員 いじめの事件、自殺事件もそうですし今回の虐待死の事件もそうですけれども、大事なのは、徹底した事実に基づく解明、究明なのです。私は極めてこれは不十分だと思うけれども、北上市のこの報告書は、全ての市町村の担当者が見て、自分のところで本当にまともに対応できたのだろうかという検証が必要だと思いますよ。事実に基づいて教訓を生かす。単なる文書の通知ではだめなのだと思います。
そういう精神でしっかりこの問題に対応していただきたいし、私は、これは児童相談所に届く前の段階でこういうことが起きたという点でも重大だと。児童相談所に行っていれば、必ずこれは48時間以内にやったと思います、そういう専門的な集団ですから。そういう点でも、連携、市町村の役割というのが今回厳しく問われる問題ですので、その点をしっかり踏まえた対応を、再検証待ちにならないでやっていただきたい。
関連しまして、児童相談所の体制と対応についてもお聞きしますが、中央児童相談所からも児童虐待に対する対応を聞いてまいりました。全県的には、昨年1、088件の相談件数。児童福祉司の虐待相談件数は1人当たり200ケースだというのですね。これは、国の基準というのは、大体40から50ケースに1人とするということになっているのです。岩手県の場合は虐待には複数で対応していることはありますけれども、それにしても、200ケース抱えていたら、どんどん新しい虐待の通報も来る、継続して対応しなければならないケースもある。私は、本当にもう苛酷な状況ではないのかと。国が基準としている1人40ケース、50ケースに向けた改善が必要だと思うけれども、実態をどう把握して改善に取り組もうとしているか示してください。
〇門脇子ども子育て支援課総括課長 初めに、今、委員から御指摘がございましたとおり、福祉総合相談センターの児童福祉司におけますケースの持ち数でございますが、確かに私どものほうでも、委員も同行されました視察の際には、そのような御説明、お話があったことは伺っているところでございます。ただ、福祉総合相談センター、児童相談所におきましては、1人で1ケースを担当しているということではございませんで、2人ないし3人の複数でケースを担当している状況でございます。ですので、お一人の方が複数のケースを持っているということになりますので、全体としますと、確かに200ケースという方もいらっしゃると伺ってございます。ですが、主として担当しているケースの数というところから申し上げますと─これはあくまでも暫定的な数字でございますけれども─福祉総合相談センターにおきましてはおおむね70ケース台ぐらいと聞いているところでございます。
〇斉藤信委員 答弁、半分なのだけれどもね。
複数で対応しているから100ケースなり70ケースということが実数かもしれません。それにしても、私が言ったように国は1人40ケースから50ケースを基準にしなさいと言っているのだから─国もこれから2、000人増員するという方向も示していますけれども─この改善に向かってどう取り組もうとしているかということを先ほど聞きました。
〇門脇子ども子育て支援課総括課長 その対応についてでございますが、国では緊急総合対策を示してございまして、まだ詳細につきまして国から示されているところではございませんが、法律の改正事項は今もう進んでございまして、経過措置といたしまして人口5万人に対して1人の児童福祉司とという基準になっておりますが、来年度からはこれが4万人に1人となるところでございます。
今回、国で緊急総合対策を示しておりますが、恐らくそれよりもさらに綿密に基準が示されるのではないかと思っております。それが、今、委員からお話がございましたとおり、児童福祉司1人当たり、虐待件数以外のところも含めまして40ケースぐらいを標準としてということになろうかと思います。ですが、具体的なところは今申し上げましたとおりまだ国から示されておりませんので、いずれそれに従いまして、県といたしましても児童相談所の児童福祉司の増員あるいは充実について検討してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 本当に命にかかわる緊急性、重要性を持った仕事をされて、苛酷な仕事に携わっていると思うので、国の増員の方向も示されたので、必要な児童福祉司、児童心理司をしっかりと増員、確保するように強く求めていきたいと思います。
関連して、子供の貧困問題について、私は、これは県政の緊急、重要な課題だと思っていますが、子供の貧困問題の岩手県における具体的な取り組みはどうなっているでしょうか。
全国の取り組みの特徴、先進的な経験をどう把握しているか示してください。
〇門脇子ども子育て支援課総括課長 子供の貧困対策の具体的な取り組みでございますが、県におきましては、いわての子どもの貧困対策推進計画に基づきまして、福祉部門はもとより、教育部門、労働部門など、庁内の各部局が連携いたしまして、教育の支援、生活の支援、経済的支援等、総合的に子供の貧困対策に取り組んでいるところでございます。
具体的に申し上げますと、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーの配置、あるいは放課後児童クラブ、放課後子ども教室といった子供の居場所の確保、就職支援のための就業支援員による高等学校訪問などを実施しておりますほか、今年度は新たに、生活困窮者自立支援事業におきまして、生活困窮家庭等の子供に対する学習支援事業について実施地域や対象者を拡大いたしましたほか、この5月には、子どもの居場所ネットワークいわてを立ち上げまして、子供の居場所づくりに取り組む団体を支援することによりまして、子ども食堂や学習支援などの取り組みの拡大を図っているところでございます。
また、県内の小中学校に通う児童生徒を対象といたしました子どもの生活実態調査を8月に実施したところでございまして、この結果をもとに今後の具体的な支援施策を検討いたしまして、いわての子どもの貧困対策推進計画の見直しに反映させることとしているところでございます。
〇斉藤信委員 全国的な取り組みも聞いたのだけれども、ありますか、答え。
〇門脇子ども子育て支援課総括課長 全国の取り組みの特徴あるいは先進事例の関係でございますけれども、県におきましては、他都道府県の担当者、あるいは先進的に子供の支援に取り組んでおります全国の民間団体等との情報交換や、あるいは、内閣府におきましてはホームページで事例紹介等も行ってございますので、民間団体が発行しているガイドブックなどとあわせまして全国の取り組み状況を積極的に把握しているところでございます。
全国の特徴的、先進的な取り組みの例といたしましては、東京都足立区あるいは福岡県福岡市で実施しております学校で朝食を提供する取り組み、あるいは、東京都江戸川区で取り組んでおります、食事支援ボランティアということで、家庭を訪問して買い物から調理、片づけまでを行う、いわゆるおうち食堂といった取り組み、また大阪市では、学校現場で課題のある児童が見つかった段階で、学校と区が情報共有いたしまして、生活保護や児童扶養手当の受給、また就労支援などの行政サービス、あるいは子ども食堂のような地域のサービスにつなげる取り組み、こういった先進的な活動を行っているところがあると承知してございます。
県といたしましては、今年度、先ほど申し上げましたが子どもの生活実態調査を実施したところでありますので、その結果をもとにいたしまして、そういった取り組みにつきましても次期総合計画の中に反映させていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 ぜひ全国的な取り組みをしっかり学んでやっていただきたいし、今、県内でも、盛岡市や陸前高田市など、市段階で、町段階も含めて実態調査をやって、盛岡市は新たな計画も示しています。
例えば、沖縄県は2015年に実態調査をやったのですけれども、どういう計画になっているかというと、2030年までに子供の貧困の問題を解消すると。沖縄県は29.9%という最悪の貧困率でしたが、子供の貧困率を10%まで下げる、3分の1まで下げる、こういう目標を掲げて、例えば27市町村135カ所で子供の居場所づくりが行われて、114カ所では食事支援、105カ所では生活指導、122カ所では学習支援が行われている。就学援助の普及徹底に県は1、000万円かけてテレビコマーシャルも含めてやっているのです。これは普及と拡充です。
私は、そういう意味で、全国で既にそういう先進的な取り組みがありますので、岩手としても来年の次期総合計画とかみ合うようにこれを具体化しないと、総合計画は貧弱で、その後、実態調査が出て、それからの計画とはならないと思うので、これは、部長、ぜひ、次期総合計画の長期ビジョン、アクションプランに子供の貧困問題がしっかり位置づくというように作業を進めるべきだと私は思いますが、いかがですか。
〇八重樫保健福祉部長 子供の貧困問題につきましては、本県においても極めて重要な課題であると認識しております。
次期総合計画に掲げます、生まれ育った環境に左右されることなく子供が健やかに成長できる環境整備のために、経済的な支援あるいは教育の支援のほかに心身の健康も含めた支援が必要と考えておりまして、その施策を展開して早急に対応してまいります。
先ほど、総括課長から説明いたしました子どもの生活実態調査において支援ニーズというものが寄せられておりますが、支援を希望する世帯に対して、既に、順次、市町村や児童相談所等の関係機関が個別に指導を行っているところでありますので、それらも含めて、子供の貧困対策に迅速に対応してまいります。
〇名須川晋委員長 斉藤信委員に申し上げます。世話人会の申し合わせにより、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう議事の進行に御協力をお願いします。
〇斉藤信委員 最後に、私は、子供の貧困問題の一つポイントになると思う、先ほどの虐待死事件でも問題になった1歳6カ月児健診、3歳児健診の未受診者の実数と、その後の対応、対策はどうなっているかを示してください。
〇門脇子ども子育て支援課総括課長 把握しているデータにつきましては平成28年度のものでございますけれども、1歳6カ月児健診、3歳児健診の未受診児の数とその後の対応状況についてお答え申し上げます。
平成28年度におけます県全体の実績でございますけれども、1歳6カ月児健診は、対象者8、961人に対しまして、受診率は96.8%、未受診児は284人でございました。3歳児健診につきましては、対象者が9、448人に対しまして受診率は95.4%で、未受診児は433人となっているところでございます。
未受診児に対するその後の対応についてでございますが、市町村におきまして、電話、文書、家庭訪問等によりまして受診の勧奨を行い、受診に結びつけるように努めているところでございます。
具体的な例を申し上げますと、ある市では、健診終了後1週間を目途に未受診者を把握いたしまして、担当保健師が、次回健診日までに母親等に連絡をとりまして受診勧奨を行いますとともに、未受診理由あるいは幼児の状況を把握しているところでございます。
また、連絡がとれない場合につきましては、保育園や託児所の様子等を確認いたしまして、保育園等に受診勧奨を依頼する場合もあると聞いております。その後も連絡等がない場合につきましては、電話や家庭訪問で個別にフォローを行いますとともに、児童福祉担当課との情報共有も図っていると聞いているところでございます。
乳幼児健診につきましては、子供の健康状態や母親の育児の悩みなどにつきまして確認できる有効な機会でもございますので、市町村に対しましては、これらの機会を通じまして、積極的に子供あるいは家庭の状況の把握に努めますとともに、受診勧奨に対しまして反応等がない場合には、市町村の母子保健担当課と児童福祉担当課が連携いたしまして、関係機関から情報収集しながら、安全確認あるいは児童の状況把握に努めるよう助言してまいっております。
〇小西和子委員 2点お伺いいたします。
まず1点目は、発達障がい児・者の支援体制についてお伺いいたします。
県内の学校現場などで発達障がいなど社会生活に困難がある児童生徒らへの対応が大きな課題となっております。専門家は、発達障がいのある子供の早期発見と、保護者を含めた早期支援の必要性を強調しております。
県内のことですけれども、県教育委員会の実態調査によると、通常学級に在籍し、学習面か行動面で特別な支援を必要とする児童生徒の割合は約5.7%、文部科学省の一昨年度の問題行動・不登校調査では、本県公立小学校での暴力行為の発生件数が前年度から2.4倍に増加して、発達障がいのある児童が複数件かかわっているという結果もあります。教員への暴力は1、000人当たりの件数が1.4件で、島根県の1.8件に次いで2番目に多くなっております。専門家は、発達障がいがある子供の早期発見と保護者らへの支援に向け、かかりつけ医の対応力向上が課題ですと述べております。
そこで、本県における発達障がいの専門医の配置状況についてお伺いいたします。
〇山崎障がい保健福祉課総括課長 発達障がいの専門医の配置状況についてでございますが、発達障がいの診療を専門とする医師につきましては、認定資格等の制度的な位置づけがないことから、県としては、現在、把握していないところでございます。
ただ、岩手県医師会では、独自の基準によりまして、発達障がいの診療に係る医療機関を公表しておりまして、これによりますと、精神科医または小児科医、臨床心理士などが配備され、発達障がいを確定診断するための検査が可能な専門医療機関が6カ所、専門医療機関で診断と治療方針が確定した後、専門医療機関と連携して患者を地域で治療する協力支援医療機関が、小児科、精神科、眼科、耳鼻咽喉科などで72カ所となっております。
〇小西和子委員 残念なことに、前回お聞きしたときよりも専門医療機関が1カ所減っております。
次にお伺いいたします。発達障がい児・者に対応する医療従事者向け研修で支援体制はどのように充実したのでしょうか。あわせて、今年度の取り組みについてもお伺いいたします。
〇山崎障がい保健福祉課総括課長 医療従事者向け研修による支援体制の充実についてでございますが、県では、発達障がいの早期発見、早期支援の重要性に鑑みまして、最初に相談を受け、あるいは診療することの多い小児科医などの医療従事者等を対象とした、かかりつけ医等発達障がい対応力向上研修を平成29年度から実施しているところでございます。
この研修は、県医師会と連携いたしまして、国が開催した3回の研修に派遣した医師等を講師として県内で伝達研修を行うものでございまして、平成29年度は11月と3月の2回に分けて実施し、県内各地域から、医師や看護師のほか教育関係者や保育関係者など、計670名が受講したところでございます。
県としましては、この研修や、別途実施しております地域の相談支援専門員等を対象とする研修によりまして、地域における支援者の育成が徐々に図られてきているものと考えておりまして、今年度も1月と3月に伝達研修を実施し、着実に県内各地域における支援体制の整備を図ってまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 本当によかったと思います。これは、私はずっと続けて質疑をしている内容でございますけれども、最初、国での研修に派遣するのも難しいというような答弁だったのが、中央で研修してきた小児科医等が、本県で670名の方にそれを伝えていると。話に聞きますと、準備していた会議室では足りなくて、モニターつきの部屋まで準備して対応したということも聞いておりますので、いかに関心が高いというか、大変な課題であるかということがそれからも言えるかと思います。
それから、主要施策の成果に関する説明書の79ページに発達障がい児等の支援者を養成する研修修了者数ということとで達成度がAとなっておりますけれども、このことについてもお話しいただけますでしょうか。
〇山崎障がい保健福祉課総括課長 発達障がい児等の支援者を養成する研修の修了者数ということで、累計値になってございますけれども、発達障がい者の支援者を養成する研修につきましては、複数回にわたって行われるものですから、受講者と修了者が必ずしも一致しないということでございまして、県としますと、受講していただくのは入り口として当然必要なのでございますけれども、ぜひ、所定の回数を全受講して修了していただきたいということから、これを指標としているものでございます。
〇小西和子委員 これは等とついていますので、発達障がい児、重症心身障がい児と分かれているのかと思いますけれども、この修了者数が153人となっており、ここからも大きな課題だということが言えるかと思います。
それで、大変心配しているのは被災地のことであります。被災地の子供たちの話はこれまでも何度もしてまいりましたけれども、震災直後に生まれた子供たちが大変心配な状況であるということが言われております。それを調査した結果では、本県では被災地の約40%の家庭が問題を抱えていると出ておりまして、面接で精神的不調がわかった親の子におくれが見られがちだということです。この研究は、震災後の混乱期に乳児だった子の落ちつきのなさや、保護者のメンタルヘルスを懸念する地域の保育士や保健師らの声から始まったとものと聞いております。
専門家は、震災で直接被災した人だけでなく、その後の混乱期に誕生した子供と保護者にも継続した手厚い支援が必要である。地域全体で保護者を支えていくための体制を整えるべきだと言っております。
そこでお伺いいたします。主要施策の成果に関する説明書の80ページにもあるのですけれども、被災地発達障がい児支援体制整備事業の昨年度の実績をお伺いいたします。今年度の支援体制は要請に見合う体制か、あわせてお伺いいたします。
〇山崎障がい保健福祉課総括課長 被災地発達障がい児支援体制整備事業についてでございますが、県では、釜石市に発達障がい沿岸センターを設置いたしまして、発達支援コーディネーターなどの職員が、発達障がい児・者やその家族に対する相談支援、いわゆる直接支援を行うとともに、地域の相談支援事業者等の圏域の支援機関が発達障がいの支援に対応できるよう、専門的な知識や支援方法の伝達等、いわゆる間接支援にも力を入れて事業を実施しているところでございます。
平成29年度の実績は、個別の相談支援が498件、研修の実施が28件、相談支援事業所等の支援機関に対するスーパーバイズや保育所等におけるペアレントプログラムの指導などの技術的支援が175件となっております。
今年度も、昨年度と同様、発達支援コーディネーターなど4名の職員を配置いたしまして、引き続き、盛岡市にございます県発達障がい者支援センターと密接に連携を図りながら、圏域の支援機関に対する専門的な知識や支援方法の伝達等に取り組みますとともに、個別の相談に適切に対応してまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 発達障がい児・者の支援体制については、本当に大きな課題だと私は捉えております。
今、ひきこもりのことにつきましても、親の高齢化に伴って、40代、50代のひきこもりの方々が、この先、どのように生きていったらいいのだろうかということになっているという話を前回しましたけれども、発達障がい児もひきこもりになっていくというようなことが心配されておりますので、そこで、部長にお伺いいたします。
発達障がい児・者の支援体制について、今後、県として、どのような政策を整えていくのかということにつきましてお伺いしたいと思います。
〇八重樫保健福祉部長 特に被災地における発達障がいに関する相談支援ニーズはむしろふえている状況ですから、支援を継続していく必要があると思いますが、今、県の復興実施計画において、被災地発達障がい児支援体制について、平成31年度以降の復興に関する計画を策定する中で検討しています。
具体的には、県発達障がい者支援体制整備検討委員会で、医療や福祉、そして、委員からお話のありました教育等の関係団体の意見、あるいは被災地域におけるニーズ等の現状を踏まえて支援のあり方を検討していくこととしております。
〇小西和子委員 前にもお話ししましたが、私も教員時代にアスペルガー症候群の子供を担任しました。そのときに、どのように対応していったらいいのか、私自身はわからなかったのですけれども、専門家の方に来ていただいて、いろいろなやり方を教えていただきました。そうすることで落ちついて勉強もできたのです。その子供はどんどん障がいが薄れていきまして、今は武蔵野美術大学の彫刻学科に入っております。ですから、障がいだから、もうこの先はあれだなんて、そういうことはないのです。どんどん子供のよさを引き出していけば障がいは薄れますし、自分の持てる力を発揮できる、そういうふうに成長していくということを私は実感しておりますので、よろしくお願いいたします。
次に、障がい者施設の災害時の避難先についてお伺いいたします。
私は、2年前に松山荘の避難について質疑をしたことがあります。平成28年台風第10号で被災しまして、花巻市石鳥谷町の松風園の体育館で避難生活を余儀なくされた37人の松山荘の入居者の方がいらっしゃいまして、災害が起きたならば、そういう施設の方たちはどこで受け入れてくださるのかということを事前に決めておくということは大事だと思っておりましたところ、さまざまな協定とかが行われるようになったことを大変喜ばしく思っております。
まず最初に、県社会福祉協議会による相互支援協定書の主な内容についてお伺いいたします。
〇山崎障がい保健福祉課総括課長 県社会福祉協議会による相互支援協定書の主な内容についてでございますが、県社会福祉協議会障がい者施設協議会の会員事業所におきまして、災害等により大規模な被害が発生した場合、被災していない施設が被災施設の利用者受け入れや応援職員の派遣などの支援を円滑に行うことを目的とした協定であると伺っております。
具体的な協定の中身としましては、被災施設の運営が再開されると見込まれる、おおむね発災後1週間から1カ月までの間において、被災していない施設が、自施設の業務を妨げない範囲で、被災施設に対しまして、被災者の避難のための施設の提供、被災者に対する給食、給水及び生活必需品の提供、災害応急措置に必要な職員の派遣、災害応急措置に必要な資材物資の提供などを行いまして、各施設の被災状況の把握や支援の調整等については、県社会福祉協議会障がい者福祉協議会が災害対策本部を設置して行うこととされているものでございます。
〇小西和子委員 大変充実した内容だと思います。
それでは、今年度は各ブロックにおいて周知を図り、施設間協定の締結を促していく予定とのことですけれども、進捗状況はどのようになっているでしょうか。
〇山崎障がい保健福祉課総括課長 施設間協定の進捗状況についてでございますが、県社会福祉協議会に確認いたしましたところ、第1段階といたしまして、県社会福祉協議会障がい者福祉協議会の中央、県南、両磐、沿岸、県北の5ブロックにおいて、各ブロック内の施設間での協定締結を進めており、現在、5ブロックのうち4ブロックで協定の締結が完了しているということでございます。
ブロック内での協定締結が完了しましたならば、ブロック間での支援を行うための協定及び他団体との協定を締結する予定と伺っておりまして、これらを年内を目途に事務を進めていると伺っているところであります。
〇小西和子委員 最後に、今後、県としての支援をどのように行っていくかを部長にお聞きして、終わります。
〇八重樫保健福祉部長 県としても、被災した施設の入所者を支援できるような相互の体制をあらかじめ整備することが必要と考えておりまして、必要な情報提供や助言を行っていきます。
また、実地指導などを通じて、避難計画策定や避難訓練の実施など災害への備えの徹底を図っていく考えであります。
〇高田一郎委員 私からは、まず、障がい者の就労支援事業所の工賃の問題について質問いたします。
昨年度の工賃の実績は月額1万8、982円、時間額について219円でありました。わずかながら増加はしているものの、決して高くない工賃だと思います。あわせて、岩手県の工賃向上計画における目標に対して、未達成の事業所が51%、76事業所になっております。県は、このような状況をどのように分析しているのか、まずお伺いいたします。
〇山崎障がい保健福祉課総括課長 工賃の実績が少ないことをどう分析しているかということについてでございますけれども、就労継続支援B型事業所にアンケートを実施いたしましたところ、工賃向上を進める上での課題といたしましては、安定した作業量の確保、販路の拡大や確保、利用者の作業効率の改善などの回答が多く得られたところでございまして、これらが目標工賃を達成できなかった主な要因であると捉えております。
さらに、開所後3年未満の事業所の平均工賃が開所後3年以上の平均工賃より低い傾向にございまして、新規参入の事業所におきまして安定した作業を確保することが困難な状況にあったということも原因であると考えております。
〇高田一郎委員 私も、この間、幾つかの就労継続支援B型事業所を訪問してきましたけれども、最近、さまざまな障がいを持つ、病気を持つ方々が、通所というのですか、そして年齢も高齢化しているということで、職員1人に対する負担が非常に増していると。一方では、そういった状況ですから、毎日来れる障がい者もいないわけで、働く人たちもどんどん減ってきているという状況の中で、非常に構造的な問題、課題があるのかということを感じてきました。
それで、就労継続支援B型事業所というのは最低賃金法に基づかない福祉的就労ですから219円となっているのですけれども、これを引き上げるということをしていかないと、わずかな障害者年金と工賃で暮らしているというような状況がありますので、従来にない支援と、工賃目標をもう少し高く掲げて、具体的に支援をしていく必要があるのではないかと思うのですけれども、その点についていかがでしょうか。
〇山崎障がい保健福祉課総括課長 工賃目標についてでございますが、県では本年9月に第3期岩手県障がい者工賃向上計画を策定いたしまして、2020年度における目標工賃を平成29年度実績比で6.6%増の2万230円に設定したところでございます。
この目標額につきましては毎年度2%以上の伸びが必要でございまして、近年の伸び率が1%を下回っている状況を考慮しますと、高い工賃目標であると考えております。
この目標を達成するために、事業所の安定した作業量の確保あるいは販路の拡大を図るために、これまでも取り組んでまいりましたが、官公需の促進に一層強力に取り組みますとともに、民間企業への発注の呼びかけをさらに強化いたします。
また、工賃引き上げ支援セミナーを継続して開催いたしまして、企業的経営手法を強化するための情報提供、あるいはいわて障がい者就労支援振興センターによります沿岸地域の事業所へのアドバイザー派遣といった取り組みを通じて、事業所の工賃向上に向けた取り組みをこれまで以上に支援してまいりたいと考えております。
〇高田一郎委員 毎年2.2%というのは決して低くないというお話でしたけれども、決して高くない数字であります。それで、もう少し目標を高く掲げて、従来にない支援策をお願いしたいと思います。
この間、障がい者施策に対する制度改正も行われて、この4月から報酬の見直しも行われました。例えば、工賃の問題では、平均工賃に応じた報酬の見直しが行われて、つまり頑張れば頑張っただけそこの事業者に入る報酬がふえるということになったわけです。
この間、障がい者施策は、いわゆる月額制から日額制に大きく変わりました。今まで、一つの事業所に1人登録していれば、1カ月間、きちんと報酬が認められていたけれども、今は1日に対して、そこに通った実績に対しての報酬ですから、障がい者の方々はさまざまな問題を抱えて毎日行けないわけで、それだけでも物すごく報酬が落ちたわけです。そういうことをやりながら、工賃を上げるために頑張ったところに報酬をあげるというやり方は絶対おかしいと思うのです。一つの事業所だけで恐らく何百万円という形で影響が出ているわけで、私は、障がい者事業所では、この間、何度となく報酬が改定になって、かなりの影響を受けていると思うのです。4月以降も、恐らく実態も把握されていないと思います。ですから、4月からの報酬改定を改めて受けて、障がい者施設の経営の実態、影響、あるいは利用者に対する負担も行われたのではないかと思いますけれども、この実態を県としても把握して、必要な対策をとるべきではないかと思うのですが、県の対応についてお伺いいたします。
〇山崎障がい保健福祉課総括課長 障がい者施設の実態調査についてでございますが、2018年の障害福祉サービス等報酬改定は、全体としてプラス0.47%の改定とされておりますが、事業所団体との意見交換などにおきましては、基本報酬が工賃実績により設定されたことや目標工賃達成加算が廃止されたこと等の報酬改定の影響から、一部の事業所では経営が厳しくなったという声も聞いているところでございます。
なお、報酬改定による利用者への影響につきましては、利用者負担は所得に応じた負担上限月額が設定されておりまして、この負担上限の改正が行われておりませんことから、多くの利用者には負担増等の影響が生じていないものと考えております。
経営等の話に戻りますが、人材不足に関しましては、工賃向上計画に係る就労継続支援B型事業所へのアンケート調査結果では、150事業所中59事業所、約4割の事業所で職員不足を課題として挙げているところでございます。
県といたしましては、こうした課題につきまして、障がい福祉サービス事業所等で構成しております県社会福祉協議会障がい者福祉協議会などと課題の共有や必要な支援の方策などについて意見交換を行いながら、調査の実施も含めまして、実態把握できるように努めてまいりたいと考えております。
〇高田一郎委員 現場では相当な影響が受けている事業所もたくさんありますので、ぜひ実態を把握して、必要な対策をとっていただきたい。
私が訪問したところでは、もっと作業所を拡大して自立生活支援事業も新たにやっていきたいとか、あるいは地域貢献ももっとしたいのだ、だけれども今の状況の中でなかなか展望が見えないのだという声もありますので、そういうところを大事にしながら対応していただきたいと思います。
もう一つ、障がい者施設で働く職員に対する研修があると思うのですけれども、この支援というものを充実、拡充すべきではないか、県としてもっと多様な支援を行うべきではないかと思います。これについて、県としての対応についてお伺いいたします。
施設を経営していくと、職員のモチベーションを上げるために研修も必要ですし、さまざまな資格を取らないと、その事業所に対する報酬にも影響してくるわけですから、必ず研修しなければならない。しかし、現場の声を聞くと、盛岡市に行かなければならない、あるいは何泊もして研修しなければならない。それが全部施設の持ち出しになって大変なのだというようなお話もいただきました。県内1カ所ということではなくて、2カ所でやるとか、いろいろな工夫をして、研修に対する負担軽減といいますか、支援をしていくべきだと思うのですけれども、この点についてはいかがでしょうか。
〇山崎障がい保健福祉課総括課長 施設職員の研修についてでございますが、県では、障がい者支援の質の向上を図るために、障がい者施設職員を対象としたサービス管理責任者研修、強度行動障害支援者養成研修、精神障がい者地域移行・地域生活支援関係者研修などを実施しております。
また、就労継続支援事業所職員等を対象といたしました工賃引き上げ支援セミナーを毎年開催いたしまして、平成29年度からは回数を2回にふやして実施しているところでございます。
さらに、被災沿岸市町村にある就労支援事業所の復興に寄与するために、いわて障がい者就労支援振興センターを設置いたしまして、施設のニーズに応じた職員向けの研修を開催しているところでございます。
現状では、こうしたところが実施している研修でございますが、今後におきましても、施設からの要望を伺いながら、現場のニーズに沿った研修を実施していくように努めてまいりたいと考えております。
〇高田一郎委員 研修の内容の充実だけではなくて、交通費とか宿泊費とかいろいろかかるわけで、それに対する軽減、支援をしていただきたいという要望ですので、それも含めて検討していただきたい。
時間がないので、次に岩手県社会的養育推進計画の策定についてお伺いいたします。
今後の社会的養育のあり方を示す新しい社会的養育ビジョンが昨年策定されました。これを読んでみますと、子供の最善の利益を理由にして、例えば7年以内に里親委託率を乳幼児については75%に引き上げるということが示されました。これについては、2019年度中にこのビジョンに基づいて策定するということのようであります。現場からは、基本的な考えはいいけれども、大変なのだというような声も出ております。
県としては、社会的養育ビジョンを受け、また、7月に通達も行われて、2019年度以内に策定を義務づけられたわけですけれども、この件についてどのような対応をされようとしているのか、これについて伺います。
〇門脇子ども子育て支援課総括課長 岩手県社会的養育推進計画の策定についてでございますが、本県におきましては、これまで、平成27年3月に策定いたしました岩手県家庭的養護推進計画に基づきまして、里親委託の推進や施設の小規模化、地域分散化など、家庭的環境での養育を進めてきたところでございます。
昨年8月に国が示しました、先ほど委員からも御紹介がございました、新しい社会的養育ビジョンに基づきまして、岩手県家庭的養護推進計画の見直しが求められたところでございまして、本年6月に、里親会や児童養護施設等関係者を構成員といたします岩手県家庭的養護推進検討会を開催いたしまして、岩手県家庭的養護推進計画の見直しに向けた意見交換を行ったところでございまして、社会的養育推進計画の検討も始めたところでございます。
7月6日に国が示しました都道府県の社会的養育推進計画の策定要領におきましては、ビジョンより踏み込んだ検討の方向性が示されまして、2019年度末までに計画を策定することが求められているところでございます。これにつきましては、推進計画の策定に向けまして関係機関と調整をしているところでございます。
〇高田一郎委員 一つは、社会的養育ビジョンに対する県としての考え方、そして、具体的に今後策定に向けてどういうスケジュールといいますか、内容といいますか、この辺についてもう少し詳しくお願いしたいと思います。
これまで、岩手県の社会的養育推進計画というのは、児童養護施設、里親、グループホームと大体3分の1ずつになるような計画だったわけです。これを大幅に見直すということで、社会的養育ビジョンについても、現場の声も聞かないで突然出たということで、現場の非常に大変な声も出ているわけで、この間、児童養護施設などにも行っていろいろなお話を聞いたのですけれども、子供一人一人に応じた養育を保障してほしいのだと。そして、一律の数値目標ではなくて、あるいは入所期限を盛り込むのではなくて、やはり子供一人一人に応じた養育を保障する観点に立った計画にしてほしいのだという率直な声もお聞きしてきました。そこのところを踏まえて、先ほどの質問に答えていただきたいと思います。
〇門脇子ども子育て支援課総括課長 ただいま委員からも御意見がございました。先ほども申し上げましたとおり、6月に県におきましても検討会を開催させていただいたところでございますが、養護施設とか現場からは、かなり厳しい数値だということが言われているところでございます。
国におきましては、この数値につきましてはあくまでも参考的な目標の扱いにする方向で示されているところでございますので、縛りは少し緩やかになると伺っております。
そうは言いましても、いずれ、家庭的な養育を推進するという観点は県の方策そのままでございますので、施設の方々にもかなり無理を強いる内容だと考えております。その点を含めまして、どういった形で進めていけばよろしいのか、あるいはそのあり方も含めまして、施設の方々の意見を十分にお聞きしながら、その検討会の中で進めていきたいという趣旨でございます。
〇高田一郎委員 最後に、介護保険制度についてもお聞きいたします。午前中、午後と何人か質問がありましたが、重複しないようにお聞きしたいと思います。
まず、介護離職の現状はどうなっているのか。この間、安倍政権が新三本の矢で介護離職ゼロを掲げました。しかし、なかなか改善できない。なぜ、介護離職が改善できないのか、県の考えをまずお聞きしたいと思います。
〇近藤長寿社会課総括課長 介護離職の現状についてでございますけれども、国が毎年実施しております雇用動向調査によりますと、平成29年度中に離職した常用労働者は全国で約734万5、000人、うち介護、看護を離職理由とするものは1.2%、人数にいたしますと約8万8、000人となりまして、これは年によって増減はあるようでありますが、平成29年度の数値を平成28年度と比較しますと、約2、000人の増加という結果だったようでございます。
国においては、介護基盤の供給や介護人材の確保、育成、介護休業、介護休暇の利用率向上などに関連する予算を措置するなど取り組みを進めていると承知しておりますが、介護離職ゼロに向けましては、幅広い分野での継続的な取り組みがやはり必要なのではないかと考えられるところでございます。
県としても、その一助となるように、介護サービス基盤の整備への支援や介護人材の確保、育成に向けた取り組みなどを引き続き積極的に進めていきたいと考えております。
〇高田一郎委員 事前に介護離職の現状について資料をいただきましたけれども、全体の数字がなかったので私もちょっと調べてみたのですが、2017年度の就業構造基本調査が7月13日に発表されて、9万9、100人という数字でありました。総務省調査では、そのうち女性が7万5、000人で、再び仕事についたというのは2万5、000人の25%。40代、50代で離職すると、なかなか再就職ができないということで、この数字を見ると、本当に大変だなという思いをいたしました。
今、総括課長からお話があったように、地域で支える介護基盤の整備というのがしっかりしていないと、もちろん職場環境も大事ですけれども、この両面でしっかりとした対策がないと、介護離職ゼロというのは本当に改善できないのではないかと思います。
それで、保健福祉部でありますから、地域で支える介護基盤の整備について幾つかお伺いしたいと思います。
第6期介護保険事業支援計画は昨年度で終わりましたけれども、整備計画の達成状況はどうなっているのか。計画に対してきちっとした整備がされたのか、あるいは待機者も、この間、介護度3以上となりましたけれども、それでも増加をしていると。これは何なのかということです。
先ほど、質疑の中で、今後はバランスよく整備をしていきたいというお話でしたけれども、周りの状況を見ていると、介護力がかなり低下して、在宅サービスというのはかなり大変だなという思いもあります。今後の見込み、見通しとして、多様な施設整備というのも大事だと思うんですが、介護力が非常に低下している中で、今後も特別養護老人ホームのニーズというのは当面高まっていくのではないかと思うのですけれども、県としての見通しについて改めてお伺いしたいと思います。
〇近藤長寿社会課総括課長 第6期介護保険事業支援計画の達成状況及び待機者が増加する要因ということでありますが、第6期計画期間内において、特別養護老人ホームにつきましては27施設、530床整備されまして、累計で申しますと8、517床となっております。ただ、第6期計画におけるサービス見込み量については8、978人と見込んでおりましたので、それと比較すると、461床ほど少ない数値になっております。
入所待機者につきましては、年により増減もございますけれども、待機者が増加する要因ということについては、一つは高齢者が増加しているということもございますけれども、本日も質疑で御指摘がございましたが、介護人材の不足などを理由として、市町村の計画どおりに施設整備が進捗していないというような状況もございましたので、そういったことも一因ではないかと考えております。
ただ、特別養護老人ホームへのニーズは高いものがございますし、やがてはそういった施設の対象となる方々の数も減少に転じる時期もあるかとは思いますが、当面はそういう状況にはないということでありますので、市町村で、将来の見通しを見据えながら、施設整備計画を適切に進めていくというような状況であろうと思います。
〇高田一郎委員 今、第6期介護保険事業支援計画の実績について伺いましたけれども、計画に対して461床の施設整備ができなかったと。今度、第7期計画の整備見込みについても3年間で773床なのです。ところが、今現在でも早期入所が必要な方というのは856人ですから、全然足りないという状況なのです。介護保険料をまじめに払っても必要なサービスが受けられないというような現状だと思います。
もう一つは、最後に、介護保険料の推移と滞納状況、また、介護サービスの利用状況と限度額に対する利用状況はどうなっているのか、この点についても示していただきたい。
〇名須川晋委員長 大きな声でお願いします。
〇近藤長寿社会課総括課長 介護保険料の推移と滞納状況についてでありますが、介護保険料につきましては、本県も全国と同様に、制度創設以来上昇傾向にございまして、今年度から2020年度までの第7期介護保険事業計画期間内におきましては、県内の保険者の月額は加重平均額で5、955円ということで、第6期計画の5、577円から378円、率にして6.8%上昇したところでございます。
また、県内における滞納状況につきましては、平成29年度は、65歳以上の第一号被保険者39万7、564人に対して、滞納者は3、228人となっておりまして、滞納率は0.8%となっているところでございます。
それから、居宅サービスの限度額に対する利用状況というお尋ねかと思いますが、居宅サービスにつきましては、要介護度に応じて、1カ月当たりの保険対象の上限、区分支給限度基準額と申しますが、これが設けられておりまして、当該限度額に対するサービスの利用割合は、平成30年3月サービス分で50.6%となっており、全国平均と比べますと、1.6ポイントほど下回っている状況にございます。
〇名須川晋委員長 高田一郎委員に申し上げます。世話人会の申し合わせにより、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう議事の進行に御協力をお願いします。
〇高田一郎委員 一言お伺いしたいと思いますけれども、県内の介護保険料については、第7期計画では5、955円となりましたけれども、当初始まったときから比べると倍以上になっているのです。この15年間で2倍にもなっているのです。当初は、社会全体で支えるのだということで始まりましたけれども、特別養護老人ホームの待機者もたくさんいる、必要なサービスも受けられないと。本来の医療保険制度では考えられないことです。病院に行って、診療しませんなどということはあり得ませんから、介護保険制度というのは異常な制度だと思うのです。
先ほどのお話を聞いていて、介護人材不足があるからやむを得ないのだみたいなことが伝わってくるのですけれども、これは異常なことなのだと。介護保険をまじめに払って必要なサービスを受けられるという当たり前の介護保険制度にしていくべきだと思います。これは、国の制度のありようが問題だからと思いますけれども、その点について最後に伺って、終わりたいと思います。
〇近藤長寿社会課総括課長 介護保険制度のあり方については、委員御指摘のとおり、いろいろ御意見があるところと存じ上げております。
いずれ、当初想定したよりも大いに利用されているという状況もある中で、保険料の上昇等もあるわけでございますけれども、介護保険制度の持続可能性を確保しながら、必要なサービスを適切に受けられるようにしていくというのが大事なことであると考えておりますので、そうしたことが実現できるように、引き続き、国に対しては制度的な問題等、必要な見直しを行うように働きかけていく考えでございます。
〇名須川晋委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇名須川晋委員長 質疑がないようでありますので、これで保健福祉部関係の質疑を終わります。
おおむね再開後2時間が経過いたしますので、この際、世話人会の申し合わせにより暫時休憩いたします。
午後5時9分 休 憩
午後5時33分再開
〇福井せいじ副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
次に、医療局長に医療局関係の説明を求めます。
〇大槻医療局長 認定第12号平成29年度岩手県立病院等事業会計決算につきまして御説明申し上げます。
県立病院等事業の運営に当たりましては、地方公営企業法第3条に規定する経営の基本原則並びに県立病院等の設置の本旨、県議会の審議を通じての御意見及び監査委員の御意見の趣旨を踏まえまして、医師不足などまことに厳しい医療環境ではございますが、事業の効率的な運営と経営の健全性に配意しながら、公的医療機関としての使命である地域医療の確保と保健衛生の向上に努めてきたところでございます。
平成29年度におきましても、良質で効率的な医療供給体制と、これを支える安定した経営基盤の確立のため、平成25年12月に策定した岩手県立病院等の経営計画のもとに多様な取り組みを展開してきたところでございます。
まず、沿岸の被災した3病院の再建につきましては、平成28年度に開院した大槌病院、山田病院に続き高田病院が平成30年3月に新病院が開院となり、被災した3病院の再建が全て完了したところでございます。
次に、医師確保につきましては、関係大学への派遣要請や即戦力医師の招聘活動のほか、奨学金制度による養成医師の配置に加え、新専門医制度に対応するため、県立病院に勤務しながら専門医資格の取得が可能なプログラム策定による専攻医の受け入れ体制の整備に努めてきたところでございます。また、臨床研修医師の積極的な受け入れに取り組んだ結果、平成29年度は初期研修医が110名となり、後期研修医は50名を勤務医として確保したほか、女性医師支援のための総合的な施策である岩手JOYサポートプロジェクトの推進や電子カルテの導入拡大などにより医師の勤務環境の改善に努めるなど、県民医療に必要な医師の確保と定着に努めてきたところでございます。
次に、病院機能の明確化等につきましては、中央病院や各圏域の基幹病院を中心に地域医療を支える体制づくりを進めるとともに、地域包括ケア病床の導入や入退院支援体制の整備を図るなど、他の医療機関及び介護施設を含めた役割分担と地域連携の推進に努めてきたところでございます。
このほか、医療サービスの提供におきましては、より良質な医療を提供できる体制の整備を図るため、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等の医療技術職員の増員を行い、医療の質の向上に努めてきたところでございます。
また、これらの取り組みにあわせまして、地域包括ケアや入院体制にかかわる加算など新規、上位施設基準の取得等による診療単価のアップなど、収益の確保に努めたところでございます。
一方、費用面では、職員の適正配置、後発医薬品の使用拡大、物品管理システムデータを活用した診療材料の整理統一による廉価購入等によりまして費用の抑制を図るなど、総合的な経営改善に努めてきたところでございます。
以上、事業の概要を申し上げましたが、先ほど申し上げましたとおり、被災した3病院の再建が全て完了するなど地域医療の確保に取り組んでおりますが、医療提供体制の中核であります医師につきましては、絶対数の不足はもとより、地域偏在、診療科偏在があるなど、引き続き厳しい経営環境に置かれているところでございます。こうした状況のもとではありますが、今後におきましても、経営計画の目標の達成に向け、収益の確保や効率的な費用の執行など各種取り組みを進め、安定した経営基盤の確立を図りながら、県民に良質な医療を持続的に提供できるよう努めていきたいと考えております。
それでは、お手元の決算書に基づきましてその概要を御説明いたしますが、決算報告書は、予算に対する決算という性格上、消費税及び地方消費税相当額を含めた金額で作成するものであるのに対しまして、損益計算書及びその他の財務諸表は、消費税及び地方消費税相当額を除いた金額で作成することとされており、金額に相違がございますので、あらかじめ御了承願います。
それでは、決算書の1ページをお開き願います。まず、決算報告書の収益的収入及び支出でございますが、収入の第1款病院事業収益は、予算額1、045億4、800万円余に対し、決算額は1、041億8、100万円余でございます。
次に、支出でございますが、第1款病院事業費用は、予算額1、052億6、100万円余に対し、決算額は1、046億6、600万円余でございます。
2ページに参りまして、資本的収入及び支出でございますが、収入の第1款資本的収入は、予算額210億5、600万円余に対し、決算額は195億4、000万円余で、その主なものといたしましては、第1項企業債78億5、400万円、第3項負担金67億9、600万円余、第5項補助金48億5、400万円余などでございます。
3ページに参りまして、支出の第1款資本的支出は、予算額276億9、900万円余に対し、決算額は267億5、900万円余、繰越額は5億500万円余で、決算額の主なものといたしましては、第1項建設改良費は137億2、300万円余で、高田病院新築工事、並びに中央病院及び磐井病院への全身用エックス線CT診断装置の整備等に要した費用でございます。
第2項企業債償還金は126億7、400万円余で、施設の整備等のために借り入れた企業債の償還金でございます。
なお、資本的収入額が資本的支出額に不足する額73億8、500万円余につきましては、消費税及び地方消費税資本的収支調整額800万円余、前年度からの繰越工事資金4、000円及び過年度分損益勘定留保資金63億8、600万円余で補填し、残りの9億9、100万円は、当年度許可済未発行企業債で措置するものでございます。
次に、損益計算書について御説明申し上げます。
恐縮ですが、4ページをお開き願います。医業収益は885億1、200万円余で、その主なものといたしましては、入院収益555億8、800万円余と外来収益267億6、500万円余でございます。
次に、医業費用は982億8、700万円余で、その主なものといたしましては、給与費559億4、900万円余、薬品などの材料費230億1、600万円余、光熱水費、賃借料及び委託料等の経費135億4、900万円余、減価償却費52億300万円余などでございます。
また、医業外収益は154億8、300万円余で、その主なものといたしましては、一般会計繰入金のうち、医業外収益として繰り入れました負担金交付金123億700万円余などでございます。
5ページに参りまして、医業外費用は56億2、700万円余で、その主なものといたしましては、支払い利息及び企業債取扱諸費18億9、600万円余、仕入れ控除できない消費税及び地方消費税28億9、100万円余を含む雑損失35億4、800万円余などでございます。
この結果、経常損益では8、000万円余の利益が生じたところでございます。
次に、特別損失5億7、500万円余は、旧北上病院の解体工事費でございます。
この結果、平成29年度岩手県立病院等事業会計の損益は4億9、400万円余の純損失が生じ、赤字決算となったものでございます。このことにより、当年度末累積欠損金は464億7、400万円余となるものでございます。
以上、決算報告書及び損益計算書について御説明申し上げましたが、6ページ以降の剰余金計算書及び貸借対照表、その他の事項につきましては、説明を省略させていただきたいと存じます。
以上で医療局関係の説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇福井せいじ副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇伊藤勢至委員 これまでもずっと本県の懸案でありました医師、看護師の確保について伺います。
まず、これまでの医師確保の流れについて確認いたしたいと思います。私は、これまで6期23年間議員として務めさせていただいておりますが、この間、岩手県営医療の最大のピンチ、県営医療の崩壊の危機は、平成18年、平成19年、平成21年の3年にあったと思っております。
その第1は、平成16年からの医師法の施行により臨床研修医制度が義務化され、これにより医師の需要と供給のバランスが崩れてしまい、その結果、若い医師に過重な負担がかかってしまいました。当時のマスコミがこの問題を大きく取り上げ、睡眠時間3時間、食事はカップラーメンという相当ショッキングな報道でありました。こうなりますと、家族の、特に奥さんから、そんなに体に悪いことをするようなら、お父さん、やめて民間に移ったらどうとの声が出て当然だと思います。将来は県立病院の中核医師として、県民のために働きたいとの熱い思いを持ってきた若い医師の心は相当揺れたものと思います。
第2点でありますが、前増田知事は、その12年間の任期中、県立病院長との懇談会等に、1度あったかどうか、ほとんど出席したことがなかったということであります。それは、県営医療を最前線で支える医師と県政の執行者としての関係としてはいかがなものかと思っておりました。前増田知事の任期中にこのことがわかれば、懇談の場に出席されるよう進言したものと残念に思っております。
一方、現達増知事は、平成19年4月の当選ですが、同年8月、県立病院院長会から医療局長への要望書を受け取り─9項目でありましたが─この中で、医療クラークの早期配置に、まずはすぐできることとしてモデル病院での医療クラークの配置を開始、同11月には医療クラークの本格配置に係る検討を開始、その後の状況として、平成21年度100名、平成22年度151名、平成23年度179名、平成24年度246名、平成25、26年度266名、平成27年度275名と順調にふやしてきたのであります。
平成19年10月の知事と県立病院長との懇談会を初め、平成20年は知事と県立病院に勤務する医師との懇談会に出席、その後も年4回から5回の懇談会に積極的に参加、意見交換をしております。このことにより、県立病院の若い医師の皆様の使命感、責任感、そしてプライドをすんでのところでつなぎとめることができ、医師の大量退職による県立病院の破綻をかろうじて未然に防ぐことができたのであります。
医療局長は、ここまでの流れについてどのようにお考えになっていますか。
〇大槻医療局長 委員からこれまでの経緯をつまびらかに御紹介いただきました。私もその節々に医療局におったものですから、そういった事情については意識を同じくするところでございます。
医師不足の端緒は、やはり平成18年の医師法改正の前に、臨床研修が新たにできるということで大学の医局から医者がいなくなるという状態から、その当時、公立病院が─岩手県だけではないのですけれども─例えば当直応援なども含めて医師の派遣を大学病院にかなり負っていた部分があって、それが全然なくなってしまうという危機感のところから始まったと認識しております。
そういったこともございまして、五つの地域診療センターの無床化も含めて県議会でもいろいろと御議論いただきまして、そういった中で地域の中での話し合いの場がつくられました。それから県民運動が非常に盛んになって、初期医療─プライマリーケアの部分は開業医が、県立病院にはその紹介を受けた患者が来るというような形がある程度県民の皆さんに定着してきたという部分があったと思います。
そういった中で、委員からの御指摘もございましたが、私ども県立病院の前線で働く医師に対して、知事、保健福祉部もそうでしたし、それから県議会の有志の皆さんも、院長会だけではなく中堅医師の集まりである県立病院の医師連合会の生の声も聞いていただきまして、こういったものがつながって、結局は最終的に新しい奨学金制度や岩手医科大学の地域枠の創設といったものにつながっていったと考えております。
それが今の時期につながってまいりますけれども、一つの新しい医師確保のめどをある程度つけていただいたと考えてございまして、そういった部分では、私どもとしては非常にこの議論は感謝しているところでございます。
〇伊藤勢至委員 当時もずっと一緒でしたから詳しくわかっていらっしゃるわけですけれども、一方、議会との関係についてでありますが、平成20年度、岩手県立病院の新しい経営計画、平成21年度から平成25年度までのものが示されたわけであります。当時、有床診療所としていた五つの地域診療センターについて、医師の確保が難しい現状を踏まえ、無床診療所にすることを計画したものであります。これを受けた平成21年2月定例会は大変緊迫した、激しく、そして当局と議会ががっぷり四つに組んだ大相撲となったわけであります。
当局が提案した予算案が修正可決─これはなかなかないことだと思いますよ─当局は、これを再議に付しました。少し間を置いて再議を撤回、今度は議会から動議が出ました。その内容は、二次保健医療圏ごとに保健所が中心となり、医療局、市町村、県立病院、医師会、福祉施設及び事業者、住民代表から成る協議機関を立ち上げ、各地域に即した完結した地域医療体制の確立を目指すため、協議機関の設置を求め、その必要額の増額修正を求めたものであり、当局はこれを受け入れ、地域医療に関する懇談会運営費を計上し、平成21年度に懇談会が設置されたのであります。これは、がっぷり四つに組んだ、どっちが勝った、負けたのではなく、何が県民のためになるのかを当局と議会が突き詰めた結論でありました。
議会と当局はこれが本来の姿であると思っておりますけれども、これについても医療局長の考えをひとつ伺いたいと思います。
〇大槻医療局長 なかなか白熱した議論で、非常に私も緊張感が今でも抜けないのでございますけれども、ああいう熱心な御議論をしていただいたことが今の地域医療の基本にあるのかなと思っております。先ほども申し上げましたけれども、そういった議論が、あるいは知事や県議会議員も含めた皆さんに現場の声を聞いていただいたことによりまして、新しい地域枠など地域定着の仕組みができたのかなと思っております。
その後、医師を育成するには、医学部自体6年ですし、それに初期臨床研修を入れて8年、一人前になるまでおよそ10年かかるみたいな話になりますので、なかなかそれがすぐに増員につながらなかったという部分があろうかと思います。
最初に地域枠で入った人たちが初期臨床研修を終わるころがちょうど今ということで、これからの取り組みが非常に大事と思っておりまして、何とか医師あるいは看護師どちらもですけれども、医療を目指す人間に県立病院を選択していただけるような、患者に選ばれるだけではなく、志望する方々にも選んでもらえるような病院づくりを今度は私らの使命としてやっていかなければならないと考えております。
〇伊藤勢至委員 実は今、私の友人の孫が宮古病院に研修医として来ております。この青年は宮古高校から岩手医科大学に進学して現在に至るわけでありますが、宮古高校時代は、一発で東京大学に行けるのではないかと大変嘱望された青年であります。そういうふうに県が地域枠の拡大や奨学金制度の充実等など、手を打った結果が今、結実しつつある。そういう意味で、私は楽観もしておりませんけれども悲観もしていない。大いに期待しているところでありまして、ぜひその辺を……。特に、少子高齢化と言われる中で大事なのは、産婦人科の医者が不足している、一番がここにあろうかと思います。
言わずもがなと思いますので、これはひとつよろしくお願いいたしまして、次に、看護師の確保について伺いたいと思います。
まず、密接に関係のある岩手県立大学の看護学部についてお伺いしたいと思います。
岩手県立大学の創立は平成10年4月1日で、来年で創立20周年となります。平成29年度の大学への運営交付金は37億1、000万円余、施設等整備費補助は3億9、700万円余、大体1年に40億円ぐらいの県費を投入し、運営を支えてきた、まさに県民の手による県民のための大学であります。年間約40億円掛ける20年、8、000億円、これは岩手県の年間当初予算額に匹敵する金額であり、大変大きなものだと思っておりますし、そしてその裏には、県民の大いなる期待が込められているものと思っております。
ただ、そういう中で、看護学部を卒業して、就職をする、岩手県内に残る、そういう看護師希望の生徒がどうも少ないのではないかと思われます。ちなみに、平成25年度は就職者数87名のうち県内就職が36名、そのうち医療局関係には7名、平成26年は75名のうち県内就職33名、医療局関係は15名、平成27年が就職者数が89名、県内就職が46名、医療局が8名、平成28年が就職者数が92名、県内就職者47名、医療局12名。そして平成29年は88名の就職者数のうち39名が県内就職、うち医療局が9名。これは決して多いとは言えないと思います。
そういう中で、私は二つ危惧している点がございます。一つは、看護学部を卒業して将来の進路を選択する際、生徒の方々はそれぞれにいろいろなアンテナを張って情報を確保しながら進路を決めるものだと思っております。そういう中にあって、危惧の第1番目は、県議会の中に、特にこの予算特別委員会、決算特別委員会の中で、県立病院の看護師は大変だ大変だと。時間外労働が大変多いとか休暇がとれないとか、そういうことを強調する議論がございます。その大意としては、最後に、待遇を改めることによって看護師がふえるのだからということに落ち着くようでありますが、情報というものの伝わり方は、大変だ大変だばかりが先に伝わってしまうと、県立病院の看護師にはなりたくない、こういう選択になるのではないか。したがって、私は、そういう情報の伝達の仕方も考えて、思いをいたして我々は対応していかなければならないという点が1点あります。
そういうことがもしあったとすれば、岩手県としては、そういう看護学部の生徒の方々に、県立病院の看護師はこうです、こういうこともやっています、ですからどうぞいらっしゃいと。あるいは、先に入った先輩が後輩に向かって県立病院はいいところだからおいでと、そういうふうにしていくことが必要だと思います。これが一つです。
それからもう一つは、岩手医科大学あるいは盛岡赤十字病院あるいは友愛病院、民間医療法人、いろいろな病院がありますけれども、県立病院と決定的に看護師の待遇の中で違うのは、県立病院には転勤があるということです。おそらくほかの病院には転勤はないでしょう。卒業されて、県内をあちこち見たいから転勤して歩くのもいいと思われるかもしれませんが、それはお若いうちであって、結婚されお子さんができると、やはりお母さんには子供のそばにいてほしい、あるいはお母さんもいたい、そういうのが当たり前だと思うのです。そこにそれなりの対応をしていきませんと、大きなネックになっていっては困ると思います。手を尽くしているとは思いますけれども、その点についてまずお伺いしたいと思います。
〇三田地職員課総括課長 最初に、転勤の関係から御説明をさせていただきたいと思います。
県立大学の卒業生に限りませんけれども、県立病院に採用された場合には、最初にどの病院に配属されるかわからないということ、それから、その後に転勤があるということにつきまして、確かにマイナスに捉えて敬遠する学生もいるということはさまざまな学校の関係者からお伺いしております。
それから、県立病院と県立大学の連携の関係でございますけれども、平成29年度は、保護者のための就職説明会、それから県立病院を見学するバスツアーを開催したところでございます。学生等に説明する際には、県立病院の福利厚生、それから教育体制のほか、先ほど話題になりました転勤につきましては、転勤がキャリア形成や長く働き続ける上でプラスになるということについて強調して説明させていただいております。
それから、職員の採用試験の実施時期につきましては、県外の医療機関のほうが早くやっているという御指摘も学校関係者からいただいておりますので、この点につきましては、来年度から県立病院の試験を早めることについて、今、検討しているところでございます。
さらには、一旦、どうしても憧れで都会に出てしまうというケースがありますので、そういった方の情報をなるべくキャッチして、Uターンの受け皿になるような取り組みも並行して進めていきたいと考えております。
〇伊藤勢至委員 いろいろやっておられると思います。そういう中で、ふるさと納税というのがありますけれども、これの反対のことをやるのも結構いいのではないかと思います。例えば、青森県出身の松村和子が歌っている帰ってこいよの歌のCDと盛岡のリンゴと一緒に県の情報を送ってやる。県外に就職したからといって関係を切らないで、県内の看護学部を終わった生徒とのつき合いは続けておいたほうがいいと思うのです。都会の水になれてそのまま都会生活を生涯する人もあれば、半分から3分の2ぐらいは水が合わなくて戻ってくる人もいらっしゃると思います。そういう人の望郷心に火をつけるのが大事な点だと思います。時期は今なのです。乙女が心を痛める秋です。そういうときに望郷の歌と盛岡のリンゴと県の情報を送ってやる。ぐさっと刺さると思いますけれども、いかがなものでしょう。
余りかたく考え過ぎてもいけないのですよ。余りふざけ過ぎもよくないけれども、ふるさとを思う気持ちをこちらに向けるということも大事だと思うのです。いかがでしょうか。
〇三田地職員課総括課長 いろいろ御提言をいただきましてありがとうございます。
最近始めている取り組みといたしましては、県内の養成校で卒業生のいろいろな情報を集める取り組みをして、帰ってきたいという問い合わせとか、そういった情報が入った場合には、県内に就職していただくように誘導していただいているということもございます。そういった取り組みを、もっと学校の範囲を広げたり、こちらから直接情報を個々に出すというのは難しいですけれども、県立病院のホームページやツイッターなどを通じて発信していきたいと考えております。
〇大槻医療局長 いろいろ御提言ありがとうございます。
一番最初に、県外就職の話の前に、職員の待遇等ネガティブな話ばかりということにもちょっと触れさせていただきたいと思いますけれども、私どもは、働いている現場の人間の苦しさといったものもちゃんとしっかりと受けとめなければならないと考えています。それはしっかりと受けとめた上で、学生が本質を見抜いて、そして最終的に県立病院を選んでいただけるような格好で取り組みをしていきたいと思っております。
それから、県立大学につきましては、看護学部と去年来、意思疎通を図っておりまして、その中で、県立病院のセミナーという格好で授業の枠、90分の一つのこまをもらって、県立病院の福利厚生だけではなく、県立病院が県内でどういう役割をしているのかというところまで含めて御説明もさせていただいている。それから、職員課長が申し上げましたけれども、今、OBの名簿という話になると、これは個人情報の関係もございましてなかなか県立大学でも難しいようですが、その中で、本人の同意をとった上での名簿作成に取り組んでいただいております。
私どもとすれば、最近の若い方々ということで登録していただいた方にSNSを使ってこちらから情報発信する。あるいは仲間内での情報交換ができるような場もつくってきておりますので、もう少しこれを推し進めて、できるだけ岩手県に人が帰ってくるように取り組んでいきたいと思っております。
〇飯澤匡委員 ただいま平成21年の再議の件からいろいろお話がありましたが、あのときは医療局のやり方に対して地域住民とのコミュニケーションが図れなかったと。そういうことを受けて私が組み替え動議を提出しましたけれども、その後、予算を執行するに当たってはこのまま膠着状態ではいけないということで、先ほど伊藤勢至委員から説明があったように、一つの条件として二次保健医療圏ごとに懇談会を設置する、それを常設するということが今はもう動いているわけです。今まさに地域医療構想などについても話し合いをするという場にもなっていますから、これは議会側が提案して初めて成就したものだと私は思っています。再議のときはひどかったです。総務部長をかなり私は責めましたけれども、あのやり方については、これは医療局だけではなくて、提案する側に瑕疵がありましたから。
ただ、その後、花泉地域診療センター事案などもあって、これは非常に今も地域の中で禍根を残しています。したがって、これから大きく時代が変遷していく中で、地域とのコミュニケーション、地域医療のとりで、特にこれから、地域病院のあり方については心を割いて、心を配ってさらに発展的に進めていくというような考え方でこれから質問させていただきます。
今の大槻医療局長や前任の八重樫医療局長など立派な医療局長がいるときはいいのですが、時としてぐりっと方針が変わるときがあるわけです。人口の集積効率で物をはかったり、いろいろなことに理由があって政策が変わるときがあるので、次期経営計画の中間案を読んでも今の体制は維持してしっかりやっていくという方針が定められていますので安心はしていますが、ただ、やはりそこに具体的な方策をしっかり位置づけていかないと私はだめだと思うわけです。
質問は1点ですが、安定的な地域医療の確保について、今回、次期経営計画中間案に産業組合運動からの沿革もしっかり入れていただいて、医療局はなぜここに誕生したのか、これはぜひ大事にしていただきたいと思うし、それから、地域病院は政策医療のとりでです。これを起点に今進めようとしている地域包括ケアのいわゆる基地にもなっているわけですから、この点をぜひともいろいろ発展的に進めていただきたい。
私は、地域住民に期待される、またはニーズに合致した地域病院を存続、継続していくには二つの大きな政策体系を充実させていくことだと思料しておりますが、一つは、医師の地域遍在を解消するべく努力をする。安定的な医師の配置をプログラム化するということ。そして二つ目は、医療、介護、福祉、行政との連携、協働により地域包括ケアシステムの一翼を担う。これをいかにして実体化させるかが大事だと。この二つが大きな柱だと思います。
まず一つ、安定的な医師の配置について伺います。
ことし4月から始まった新専門医制度による影響は地方にほど打撃が大きいと思いますが、今年度からその取り組みについて、さきの総括質疑で、知事から地域遍在について非常に深刻な今の状況が示されました。また、本県の総合力のある専門医の育成、これは他県でも随分進んでいるようですが、臨床能力向上等の取り組みについてはどうなっているのか、これをまずお伺いします。
〇菅原医師支援推進監 安定的な医師の配置に向けた取り組みについてでございます。
県立病院においては、今年度から開始された新専門医制度に対応し、県立病院に勤務しながら専門医資格を取得可能な基幹プログラムとして9領域17プログラムを策定したところでございます。平成30年4月1日現在、県立病院を基幹施設とするプログラムに登録された専攻医14名、大学病院を基幹施設とするプログラムの専攻医16名の計30名が県立病院で勤務しているところでございます。
総合力のある専門医の育成については、平成20年度に創設された新たな奨学金制度の中で、養成医師が最初に所属される基幹病院において、地域病院での勤務を見据えた総合的な診療スキルを習得させるため、専門分野のみならず幅広い症状や疾病、さらには福祉や介護の分野との連携や橋渡しに対応したプログラムを実施してその後の地域病院での勤務を義務づけており、現在、4名の奨学金養成医師が地域病院で勤務しているところでございます。
総合的な臨床能力の向上については、岩手医科大学においても、昨年度、新しく総合診療科を立ち上げたところであり、今後、総合診療医の重要性を奨学金養成医師や医学生に広めていくため、大学と連携を図っていくこととしているところでございます。
〇飯澤匡委員 これは、ただいま説明がありましたように、中核病院から地域病院に一定程度医師を派遣すると。なかなかこの制度が一定程度、安定的になっていない。これは大変だと思います、医療局でシステムをつくっても。やはり働くのはドクターですから。地域にモデルをつくって、地域医療に情熱を持った方々─ドクターもいますので、地域包括ケアについてもやはり自治体との協議がとても大事なので、そこの中に県が介在して、うまく円滑に動かすような流れをモデル的につくっていただきたい。流れ的には非常にうまくいっているような感じはしますが、さらにこれを目に見えるような形にしていただきたいと思います。
二つ目ですが、地域包括ケアの充実です。成功している事例は、何回も言っていますけれども、ドクターがその思いを持って進めているということなのです。行政が主体になったり福祉のほうが主体になったりという成功事例を私は余り知らないので、県立病院といえどもその中核となってやっていただきたい。
さきの保健福祉部の審査でも地域医療情報ネットワークというようなハード的な話を充実させるという話がありましたが、あえて医療局で私が言うのは、さっき言ったように、ドクターが思いをしっかり実行に移す、そこの中で医療局が介在することでもっと実効性が上がっていくのではないかというような思いがしていますので、地域包括ケアシステムについては診療報酬改定でもフィーチャーアップしていますので、その点を酌んで、医療局はどういうふうにやるのか、その点、答弁願います。
〇大槻医療局長 地域包括ケアのお話は、事実上、市町村がつくるシステムということになっていて、市町村立病院を持っているところでは割としやすいかもしれませんが、県立病院と市町村の保健福祉部門というのは今まで接点も余りなかったという部分もございまして、そういう部分を橋渡ししていかなければならないのかなと考えております。
県立病院では、現在、在宅や介護施設への復帰に向けた医療を支援する地域包括ケア病棟─これは地域包括ケアシステムの中の一つになりますが─をつくっておりますけれども、例えば本年10月には大槌病院が運用開始となりまして、盛岡を除く八つの二次保育医療圏域で地域包括ケア病棟ができるという格好になります。導入後においても、地域の実情に応じて、例えばこれは大東病院の場合ですが、当初12床で導入した地域包括ケアを7床ふやすというような柔軟な対応もさせていただきたいと思っておりますし、入退院支援や在宅の関係もございまして、看護や医療社会事業士の方々の増員も必要なのかなと。それからリハビリもまた必要になってくると思っておりまして、今度の計画の中では、リハビリテーション部門は52人の増員を考えています。それから、MSW─医療社会事業士については10人増員するということで、その辺につきましては、市町村の福祉、保健衛生部門との橋渡しを何とか医療局のほうでも一生懸命やっていきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 わかりました。意欲的に進まれるということは酌み取りました。今、次期経営計画中間案が出ていますが、これが実効性があるようにしっかりやっていただきたいと思います。この質問は何回もしていますが、やはり地域病院は政策医療のとりでですから、そこら辺を意を尽くして、これからももっともっと発展的に捉えていただくように、これは要望として最後に申し上げて終わります。
〇工藤誠委員 前のお二人の委員のすばらしい質問より落ちますけれども、私も、県立病院の診療科の充実という観点から、次期経営計画との関連も含めてお伺いしたいと思います。
県の広域振興局があり、要望を市町村が出すわけですけれども、その中には、医師の増員、休診をしている診療科の復活、それから非常勤の医師ではなく常勤の医師にしてくれという要望は、どこの市町村を見ても必ず入っていると私は思います。特に私たちのような小さな地域に住んでいる人間からすれば、県立病院の玄関に行ってみたら、がらっと十幾つも診療科があるのだけれども先生の名前の札はすき間が多いなと。これは非常に多いです。
そういう観点からまず先にお聞きしたいのは、県立病院の診療科における常勤の医師の充足率、このことをこれまでの5年間ぐらいの中でお聞きしたいと思います。
〇菅原医師支援推進監 県立病院の診療科における常勤医の充足率の推移でございます。
標榜診療科のうち常勤医のいる診療科の割合ですが、それぞれ4月1日現在で、平成26年度が60%、平成27年度が61%、平成28年度が60%、平成29年度が62%、平成30年度が62%となっております。
〇工藤誠委員 1%、2%のところで、ほぼ変わらないと思うのですけれども、やはり常勤医が確保できない。その要望を出せば、必ず医局との調整とか招聘医師を確保しますとか、当たり前のような回答しか返ってこないのですけれども、実際に具体的にどういうことをしていらっしゃっているのか。そして、どうしてその効果が上がらないのか。充足していない理由と、その対応策。これまでこの5年やってこられたと思うので、その状況をお知らせいただけますか。
〇菅原医師支援推進監 常勤医が充足していない理由と対応策についてでございます。
常勤医が不在の診療科への常勤医の配置については、派遣元である大学医局においても医師の絶対数が不足しており、現時点では増員や配置が困難な状況が続いているため、関係大学からの診療応援や県立病院間の連携等により診療科体制の維持に努めているところでございます。
引き続き関係大学を訪問し医師の派遣を要請するほか、即戦力となる医師の招聘、臨床研修医の積極的な受け入れ、奨学金養成医師の計画的な配置等に努めながら勤務医の確保に取り組んでまいりたいと思っております。
〇工藤誠委員 その回答の文章はもう何度も伺っていまして、逆に言えば医療局もお答えしようがないのかなという思いでこれ以上は言いませんけれども、地域枠の奨学金の関係もまた2年間延長されるというお話もありますし、先ほどから議論があるように、岩手のよさ、県立病院の使命、そして地域において県立病院がどういう役割を果たしているのかということをもっと医療局が熱く、学生の時代、高校生の時代から─今、次期経営計画でいろいろやっていますけれども─そういうふうなことをしていかないと、常勤医が6割の充足率というのは極めて心配だと思います。その分の負担が私たちが住んでいるような小さな医療圏では個人病院に集中していくところがありまして、朝5時ごろから行って待っているということもいっぱいあるわけです。そういう現実をしっかり見きわめて、同じ答弁しかないとは思うのですが、ぜひ一歩前に進めていただきたいという思いです。このことはこれで終わります。
次期経営計画も見せていただきましたが、およそすばらしいものというか変わってはいないということで以前も御説明が少しありました。それで、今回の計画において、20病院の中で大きくベッド数が減少するような病院があればそこを教えていただきたいということと、それがなぜ減るのかということを教えていただきたいと思います。
〇吉田経営管理課総括課長 現在策定しております平成31年度からの次期経営計画において大きくベッドを減少する予定の病院はありませんが、一戸病院につきましては、一般科病棟の病床利用率が平成24年度から70%を下回っておりまして、平成29年度においては59.6%という状況になっております。現在、2病棟ある一般科病棟を、平成31年1月から1病棟での運用を検討しているところでございます。
この病棟再編にあわせまして、地元市町村と連携しながら、地域の医療ニーズを踏まえ、平成31年4月から地域包括ケア病床の導入、それから在宅医療の体制強化のほか、認知症ケアの一環として、精神科病床を設置している強みを生かし、県立病院としては初めての重度認知症デイケアの平成31年度中の導入についても検討しているところでございます。今後も、地元市町村と連携しながら、地域ニーズに合った医療展開をしてまいりたいと思います。
〇工藤誠委員 私が地元ということもあってお伺いしているわけですが、今後7割を切っていくということは、当然人口減少も進んでいくことが想定されるわけです。もう一つ、公立病院改革ガイドラインの中でもやっぱり7割という一つの基準が示されています。そういうふうになってくると、今後、十何年前にあったベッド数がさらに削減されていく。それが例えば50%切ったらもう入院はやめるのかとか、40%切ったらまた入院をやめるのか、そういうことをやっぱり地域の方たちは不安視しています。そういうことの考え方としては医療局はどういうふうに思っているか、そこをお聞きしたいと思います。
〇吉田経営管理課総括課長 まず、病床数についてでございますが、今、委員からも話が出ましたけれども、平成27年3月に総務省が策定した新公立病院改革ガイドラインにおいて、公立病院改革の目的として、地域において必要な医療提供体制の確保を図り、その中で、公立病院が安定した経営のもとで、僻地医療、不採算医療、高度先進医療等を提供する重要な役割を継続して担っていくことができるようにすることとなっておりまして、その良質な医療を継続するためには、経営の効率化は避けて通れないものとガイドラインに記載されているところでございます。
このガイドラインでは、経営効率化の一つの視点として、病床利用率が3年連続して70%未満となっている病院については、病床数の削減等の見直しを検討することとされているところでございます。医療局の次期経営計画においては、今後の患者数は、将来推計人口を踏まえ、入院、外来ともに患者は減っていくと見込んでいるところでありますが、病床数については、新公立病院改革ガイドラインを踏まえつつ、患者数の状況や地域医療構想における急性期の病床から回復期の病床への転換など、地域医療構想調整会議での協議の状況や地域の実情に配慮しながら、住民の不安が生じないように対応していきたいと考えております。
〇工藤誠委員 確かに、人が減っていく、そして稼働率というのか利用率と言っていいのかあれですけれども、それが下がっていく中では、当然改革をしていかなければならないというのは私はわかります。ただ、地域にいろいろな開業医があっても、やはり入院を受け入れるというのは県立病院しかないわけです。いろいろシステムとして一般病棟から地域包括ベッドのほうにまで移っていく、それはそれで私はいいと思います。ただ、やはりそこの話をしっかりと地域、自治体を含めてやっていかないと、住民は、縮小かと、次は診療所化かと、そういうイメージが先行するのですね。ですから、皆さんはそういうふうな御努力をこれからするべきだと思います。
一方では、やはり赤字の病院も多いわけです。そういうものも解消していかなければならない苦しさも当然皆さんにはあるわけで、本当にそのことも考えれば、残せ、残せ、そのままでということも言えないわけですけれども、やはり最後のとりでですから、そこはしっかりとやっていただきたいと私は思います。
これはこの前もお聞きしたわけですけれども、一旦休診した科を復活させるということについて、何か基準はございますか。
〇大槻医療局長 総ベッド数が二次保健医療圏ごとに決められております。人口に対するベッド数という格好で全体のベッド数を決めておりますので、過剰な病床を持っている地域の場合はなかなか復活が難しいのですが、ベッド数自体が基準病床数よりも下回っている場合はすぐに復活できます。
それから、今の五つある診療センターもそうですけれども、今現在、これは廃止という形ではなく休止という格好にさせていただいておりますので、そういった意味では、復活ということは、状況が大きく変われば理論的にはあろうかと思っています。
〇工藤誠委員 いずれ、これからも地域においては、県立病院というものに対する住民の期待度というのは非常に大きいものがあります。やはり最後は県立病院という部分がありますので、ぜひ、今後、この次期経営計画も含めて、しっかりとやっていただきたいということをお願いして、終わります。
〇佐藤ケイ子委員 私も、県立病院の存在意義というのは非常に大きなものがあって、県民から大きく期待されていると思っておりますし、県がさまざまな指標を掲げる中でも全国に誇る県立病院が20あり、本県における県立病院の役割というのは、岩手らしさを見せる、すごく意味のあることだと思っているのです。それで、本当に県民に信頼される病院として、医者もスタッフも健康で元気に働いてほしいという思いなわけです。
たまたま私の息子の同級生も、奨学金を受けて今、県立病院で初期臨床研修を受けています。それで、地元に早く戻ってくれればいいなとみんなで言っているのです。ところが、この間、お母さんと話をしたら、とにかく勤務が厳しいらしくて、家にも全く戻ってこないし、いつ何を食べているのかもわからない。昔はスマートな青年でしたけれども、すごく太ってしまって、医師なのだろうけれども、病気が心配だと言っていて、本当に何かかわいそうだなと思ってお聞きしたので、ぜひ、職場環境をよくしてほしいと思っているのです。
職員数の状況について質問します。ずっと皆さんもお話ししてきておりますが、平成29年度末の職員数は6、277人ということになったようですけれども、前年度より26人減少しております。正規職員は20人増、臨時職員が46人減と。その中で医師は7人減少、薬剤師は9人減少、看護師は9人減少となっているわけです。大変だなと思っているのですけれども、そういう減少の主な要因は何だったのでしょうか。
〇三田地職員課総括課長 県立病院の年度末職員数の状況ということで、お手元の決算書の18ページの職員の異動状況のところに関するお尋ねと理解しております。
年度末職員数というのは、当該年度の3月31日に在職する職員の数でございまして、前年度と比較した場合には、当該年度内の採用数や年度中途の退職者数などによって左右されるものでございます。ストレートに定数を増したとか、そういったものとは必ずしも連動しないということでございます。
医師につきましては、平成29年度末の現員が前年度より7人減少しておりますが、これは年度内の退職者数がやや多かったこと等によるものでございます。
それから、薬剤部門についてでございますが、二つの要素がありまして、薬剤師と臨時職員の薬剤補助員があります。薬剤師については1人の減ですし、臨時の薬剤補助員は8人減少しております。薬剤補助員は、薬剤師が育児休業から復帰したりすれば、期限が来て減るということがございますので、そういった事情で臨時職員のほうが減っているということでございます。
それから、看護部門につきましては、平成29年度よりも9人減少しておりますけれども、これも、看護師と准看護師について見ますと、正規職員が10人増加しております。一方で臨時職員が18人減少しているところでございます。
正規職員の看護師の増加につきましては、年度中途の退職者が前年度よりやや少なかったことによるものでございますし、臨時職員の減は、看護師の退職者が少ないために採用されなかったということと、正規職員が復職した数が多かったといった事情によるものでございます。
〇佐藤ケイ子委員 今の答弁だと、おおむね前年と同様の医療体制は整っていると解釈してよろしいのですか。
〇三田地職員課総括課長 今の説明は年度末の現員でございましたが、これは、定数ベースでお話をいたしますと、平成29年度は医師以外の職種で合計23人増員しております。その中には医療技術職も入っております。
〇佐藤ケイ子委員 次に、労働基準監督署から是正勧告を受けたことについて、時間外労働、休日労働の問題とか賃金不払い、超過勤務手当不足だったということなわけですけれども、結局、この是正勧告に対して最終的にはどのような改善を行ったのか。未払い賃金とかは幾らで、どのように払ったのでしょうか。
〇三田地職員課総括課長 労働基準監督署からの是正勧告への対応についてでございますが、これまで、直接勧告を受けた中央病院におきましては、一定時間を超える時間外労働の際の事前通告、衛生管理者などの選任の際の監督署への届け出を行ったほか、臨床工学技士に対する超過勤務手当の追給、院内で待機する形態から交代勤務制への移行を行ったところでございます。
それで、中央病院にとどまらない県立病院全体に波及します医師の超過勤務手当が計算誤りによって不足していた件につきましては、医療局本庁において過去の不足額の支給に向けた準備を進めているところでございます。先般、補正予算をお認めいただいたところでございますが、過年度分の所要額が、平成28年度、平成29年度分でございますが、16億6、000万円余になっているところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 そうすると、その16億円はもう支払い済みだということですか。
〇三田地職員課総括課長 この16億円余りの支給につきましては、補正をお認めいただいたところでございますので、今まさに職員個々の支給額を精査しているところでございまして、できるだけ早い時期に職員に渡るように支給を進めたいと思います。
〇佐藤ケイ子委員 次に、決算の状況についてですが、赤字にはなっておりますけれども、4億9、478万円の純損失です。私は、赤字、黒字ということは余り言いたくないというか、意味もないことだと思っているのです。
平成29年3月の予算特別委員会のときに黒字を見込んでいたので、本当に黒字を見込んでいいのだろうかということを私は発言しまして、そのときには、上位の施設基準の取得、高額な薬剤とか、一般会計から繰り入れが確定するとか、企業債の減少があるので黒字を見込めるのではないかという答弁だったのですけれども、赤字になったと。その主な要因というのは何だったのでしょうか。
〇吉田経営管理課総括課長 赤字になった主な要因についてでございますが、平成29年度当初予算においては、旧北上病院用地の売却に伴う特別利益5億1、800万円余を見込んでいたところでございますが、平成29年3月に厚生労働省の石綿飛散漏洩防止対策徹底マニュアルが改訂されたことに伴いまして、アスベスト除去に係る工期の延長を行いました。それにより用地売却が平成30年度に先送りになったことに伴いまして、平成29年度には計上とならなかったところでございます。
また、給与改定がございまして、給与改定による給与費が2億3、500万円余増加したことなどによりまして純損失となったところでございます。なお、特別利益と特別損失を除く経常損益では8、000万円余の3期ぶりの黒字となったところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 旧北上病院の解体というのも大きく影響していると思いますし、土地の売却もおくれているということです。わかりました。
それで、県立病院の運営には一般会計からの繰り入れが非常に大きいわけでして、昨年度は152億6、100万円が一般会計から繰り出されているということで、資料を見ました。救急医療、高度医療、医師確保、消費税など21項目の政策的な支出が一般会計から繰り出されているというわけですけれども、それが年々増加しているわけです。その主な要因というのはどういうことなのでしょうか。
〇吉田経営管理課総括課長 一般会計からの繰入金に係る主な増加要因についてでございますが、平成27年度から平成28年度にかけましては12億3、800万円余の増となっております。その主なものにつきましては、高度医療機器の整備に対する繰入金が、会計制度の変更に伴いまして、企業債の償還期間を10年から5年に短縮したことによる償還額の増加によるものとして3億3、200万円余の増、不採算地区病院の運営に要する経費について2億4、400万円余の増、このほか職員及び職員の配偶者の国民年金保険料に充てるための基礎年金拠出金公的負担の対象となる病院が増加したことによりまして、3億7、800万円余の増となったところでございます。
また、平成28年度から平成29年度にかけましては4億7、400万円余の増となっておりますが、主なものとしましては、共済負担金率の改定による共済追加費用1億5、300万円余の増、また、基礎年金拠出金公的負担が1億1、500万円余の増となったところでございます。
〇佐藤ケイ子委員 さまざまな理由で一般会計から繰り出しをしていると。この一般会計の繰り出しというのが県立病院会計には本当に大きく影響しているのだと改めて思っております。
県の医療政策の意義というのが県立病院会計にあらわれていると思ったのですけれども、今、国は、公立病院改革ということで、独立採算性をとれとか、民間との統合を進めろとか、独立行政法人化しろとか、そうしたことを出しているのですけれども、そうなると、一般会計からの繰り入れというのが難しくなるということで、ますます赤字が膨大になったりしつつ、ますます県立病院が疲弊してしまうのではないかと私は思っているのです。県立病院は今の体制をしっかりと守るべきだ、県行政としっかりと連携してやるべきだと。政策医療の部分でも一般会計からの繰り入れも確保してもらうということも、これからも続けてもらうという意味では、国の公立病院改革とはまた違う独自の路線をとったほうがいいのではないかと思っているのですけれども、そういったことについてはどうなのでしょうか。
〇大槻医療局長 御心配の部分はよくわかります。ただ、政策医療の繰出金というものは、単なる赤字補填ではございませんで、最初から不採算が想定される救急医療といったものについての、どこもやりたがらないところをやっているということについていただいている部分でございますので、事業体が、今、私どものほうは地方公営企業という形態でございますけれども、例えば独立行政法人化されたとしても、そういった政策医療部分はいただけるものだと思っております。
ただ、これが市町村と一緒に合併するという話になってくると、どこが負担をするのかという話がまた出てくると思いますので、今の形で、ただ単に運営形態が変わるだけということであれば、そこの部分は大丈夫なのかとは思っております。
〇斉藤信委員 先ほど、県立病院をめぐって10年来の議論の話がありましたので、私も一言述べておきたいと思いますけれども、県立病院の有床診療所化、そして無床診療所化ということがありました。そうした中で、県議会では地域医療を守れという請願が採択されて、そうした強行的なやり方に県議会の意思が示されたと。そういう中で再議の手段まで使って強行突破したというのがあの経過でありまして、私は、県民や県議会との合意と納得というのをもっと丁寧にするべきだった、これが最大の教訓だったと思っております。
同時に、達増県政が大きく転換したのは、東日本大震災津波からの復興の中で、被災した三つの県立病院の再建の方針を打ち出したと。県立病院、地域病院というのが、地域の住民のセーフティネットだと。ここが位置づいて、20病院6診療所化は基本的に維持するという方向が明確に示されて、県民も、医療関係者も、今、安心して頑張るような状況がつくられたのだと。その転換は大変重要だったと私たちは評価しているところであります。これは前段です。
それで、今の県立病院の改革、前進のために避けて通れないのは医師不足の現状の打開だと思います。その立場で総括質疑でも立ち入って質問もいたしました。前向きの答弁がございました。
それで、改めてお聞きしたいのですが、平成27年度に保健福祉部が医師の必要数の調査というのをやりまして、県立病院全体では、その調査結果では245名不足、さらに必要という結果が出ました。私は、基本的にはこの調査結果の内容は今も変わっていないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
それと、医師の過酷な今の労働実態を打開することが大変重要で、9月に中央病院の新しい宮田院長とも懇談をしました。中央病院では、今、各部署とのヒアリング、職員アンケートを実施して、現状の問題と課題を明らかにして、七つのプロジェクトに取り組んでいると。私は、職員全体の声を聞きながら、中央病院の改革の七つのプロジェクトを打ち出して取り組んでいるという、この取り組み方は大変重要だと。その第1が安定的な医師確保でありました。そして、今の超過勤務を解消するためには、今の倍の医師が必要なのだということも言われまして、一気に超過勤務の解消というのは当然無理な話ですけれども、率直に言えば、そういう状況であったと。
そこで、緊急に改善すべきは、やはり月80時間、100時間という過労死ラインを超えるような超過勤務の実態の改善ではないかと思いますので、この80時間、100時間を超える超過勤務の実態はどうなっているかをお示しください。
〇菅原医師支援推進監 委員からお話がありました、県で行いました平成27年度の医師の実態調査の状況で出された状況と、現時点では余り変わってないような状況と認識しております。
〇三田地職員課総括課長 医師の超過勤務時間の状況についてでございますが、平成29年6月の実績について全病院の実態を取りまとめ調査いたしましたところ、医師で80時間超が107人、そのうち100時間超が50人となっております。
それから、平成30年6月の実績についても調査いたしましたところ、80時間超が85人、前年度よりは22人減少しております。そのうち100時間超が39人と、こちらは前年度より11人減少している状況でございます。
〇斉藤信委員 厳しい状況はありますけれども、改善されているということで、ぜひ、この80時間、100時間というのは直ちになくすような手だてをとっていただきたい。
そこで、次期経営計画の中間案では、医師の増員計画が見直されました。38人という素案から81人という増員計画に見直されたと。私は、これは高く評価したいと。
問題は、その内容、根拠はどうなっているのかということを示してください。
〇菅原医師支援推進監 次期経営計画の中間案についてでございますが、医師の配置計画は、平成31年度から平成36年度の6年間で、医師72名、初期臨床研修医9名の計81名の増員を計画したところでございます。
次期経営計画の素案では、増員のための主な取り組みとしまして、引き続き即戦力医師の招聘活動の推進や関係大学等に対する医師派遣要請を行うことにより、38名の増員を計画したところでありましたが、中間案におきましては、これらに加え、奨学金養成医師に対し、県立病院に勤務しながら専門医資格取得可能なプログラムの積極的な活用などにより、初期臨床研修後の早期の義務履行の促進を図ることとしまして、81名の増員計画をしたところでございます。
次期経営計画におきましては、これらのさまざまな取り組みを着実に行い、医師の確保に努めてまいりたいと思っております。
〇斉藤信委員 医師の増員は本当に切実で重要な課題ですが、ことしまでの5カ年計画で、109人の増員計画を立てながら、残念ながら7人減少になったというこの事実もまた直視しながら、しかし、それを本気になって打開していく。これは、医療局だけではない、県を挙げて打開していくことが、県立病院の最大の力になっていくと私は思いますので、よろしくお願いをしたい。
次に、看護師の大幅増員についてお聞きいたします。
看護師の深刻な労働実態について、医療局長はどのように具体的に把握しているでしょうか。
〇大槻医療局長 看護師の労働実態ということで、こういった決算特別委員会なり予算特別委員会で委員のほうからも何度も御指摘がございますけれども、いわゆる月8回を超える夜勤に従事した看護師の数というものが一つの指標という形でお示しをしていただいております。平成29年度において、14病院で月8回を超える夜勤に従事した看護師の数ですが、延べ903人となっておりまして、これは、平成28年度と比較して、2病院、延べ121人増加しておりました。その後、いろいろと増員も図りましたし、新人看護師がだんだん戦力になってくるということもございまして、平成30年度の第1・四半期までの実績でいきますと、12病院で延べで299人となりまして、平成29年度の同じ時期に比較しますと、延べで121人減少している状況になっております。
これで減少したからいいという気持ちは持っておりませんけれども、これまでの取り組みが少しずつ花開いている部分もあるのかと考えております。
〇斉藤信委員 私はいつも二つ指摘しているのですけれども、一つは9日夜勤。月8日夜勤というのは今までの原則だった。それが崩されて、崩されるどころか、毎年ふえ続けて、903人のところまで行ったというのが平成29年度。私は、看護師にとっては本当に危機的状況だと。
もう一つは年次有給休暇なのです。看護師の昨年の平均取得日数は8.2日です。これは、夜勤専従の方とか年次有給休暇をとりやすい方を含めた平均ですから、中央病院に聞くと、5日間以下しかとれなかったというのが50%を超えています。だから、本当に年次有給休暇がとれない。これで明るく頑張れと言っても本当に無理な話で、私は、そういう点でお聞きしたいけれども、前回の素案は看護師を減らす計画で、ショックを受けました。余りにもひどいのではないかと。しかし、今回は66名の増員という計画が出て、これを見直したことは評価するけれども、しかし、今の計画は、130名の計画に対して、それを超える138名の増員だったのです。138名増員しても、私が指摘したような、医療局長が述べたような、9日夜勤は減るどころかふえてしまった。どうですか、66名の増員計画で9日夜勤は解消できるのですか、8日しか年次有給休暇をとれないような状況というのは改善されるのですか、そこをお聞きしたい。
〇三田地職員課総括課長 本年度までの経営計画におきましては138人の増員という実績になっておりますけれども、その138人というのは、全て純増ということではなくて、入院患者数の減少に伴う病棟の休止とか病床数を減らしたことに伴う適正化などいろいろやりとりをして、そういう状況になっております。
増員した中の多くは、委員御指摘のとおり、育児休業などの職員の代替を充実させるということに配置しておりますけれども、かなりの数がそちらに回りまして、ほぼ満タンに近いという表現は適切ではないのですが、そういう状況まで来ております。
そういった中で、例えば部分的にお休みになる職員の分が十分手当てされないとか、そういった部分を中心に手当てをしていくということで、今度の計画では66名の増員を予定したところでございます。
〇斉藤信委員 明快な回答ではなかったような気がしますけれども、先ほど、一戸病院の質問については、病棟を2病棟から1病棟に削減という話がありました。恐らく素案は3病棟ぐらい削減の計画だったのではないでしょうか。これは1病院1病棟だけの病棟削減の計画になっていますか。
〇吉田経営管理課総括課長 経営計画における病棟削減という部分については、具体的には盛り込まれてないところです。我々のほうで、病床適正化の部分で減員となっている部分については、患者数の減少を見込んだ上での削減という部分でございまして、直接病床の削減ということではございません。
患者数の見込みにつきましては、毎年、1.4%から1.6%程度の人口減少があるということで、患者数もその割合で減らしておりまして、それに基づく看護師の試算をすると、そういった数字になるところでございます。
〇斉藤信委員 看護師の数は、病床よりも病棟単位なのです。だから、ちょっと正確ではないです。私は改めて聞くけれども、一戸病院ははっきり答えたわけです、返す刀で。
それで、病床稼働率が3年間経過して70%を割っているという病院は幾つあるのですか。
〇吉田経営管理課総括課長 病床利用率が70%を下回っている病院につきましては、具体的に申し上げますと、一戸病院のほか江刺病院、遠野病院、大東病院となっております。
〇斉藤信委員 一戸病院は削減するという話をしたけれども、ほかのところはまだ具体化はしてないと受けとめていいですか。
〇吉田経営管理課総括課長 遠野病院におきましては、昨年の1月から病棟を休止した上で、今年度7月から病棟を1病棟廃止したところでございます。そのように、随時、患者数の状況等を踏まえながら、病棟については再編等を検討していくというところでございます。
〇斉藤信委員 病床利用率が70%を下回っている病院が四つあったということで、これは地域病院の果たす役割をどう発揮させるかということも問われているという課題だと思うので、それはわかりました。
そこで、66人の増員で9日夜勤が解消されるのかという質問には明確な回答がありませんでした。
私は、中央病院の看護師と懇談をしてきました。中央病院でさえ9日夜勤が発生するというので、どういう対応をしているかというと、夜勤専従なのです。いわば夜勤専従をやらないと9日夜勤になってしまうというので、やりたくない若手の看護師まで含めて無理してやっている、これが実態です。いわば看護師が足りないために、9日夜勤を何とか食いとめるために夜勤専従を無理してやらないと回らない、これが中央病院の実態です。そういう意味でいけば、やはり3交代制勤務をしっかり基本的に看護師の増員で守っていくということが必要だと私は思います。
もう一つ、産前産後休暇の職員が出ても補充されていない。これは中央病院です。院長先生と懇談したときに、看護部長はこう言っていました。600人の看護師はいるが、常時約100人が育休、産休、短時間勤務など制限勤務となっている。だから、600人いるのだけど、若い女性の職場ですから、100人が制限勤務になっていると。それを前提にした看護師の確保をしなかったら、実働は600人とはならない。そこを踏まえた増員計画が必要ではないでしょうか。
〇三田地職員課総括課長 最初に、夜勤専従の関係についてでございますが、夜勤専従の第1の目的は職員のワーク・ライフ・バランスの向上でございます。家庭の事情、介護などによりまして夜間を中心に勤務をしたいという方が一定数いらっしゃいます。そういった方々に対して勤務の選択肢を与えるということで実施しておりますが、効果としましては、逆に夜勤が難しい方の分をカバーしているのは事実でございます。
それから、中央病院の例を出されまして、産休、育休の職員の補充が足りないという御指摘をいただいております。職員配置の定数の関係とか採用の関係というのは前の年の秋ごろに始まりまして、その時点で次の年度の休まれる方の見込みを立てて、できるだけそれを埋めようとして配置をしておりますが、これは、その後、予期せぬというのは失礼なのですが、新たに出産される方、休まれる方が発生しますので、そこでどうしてもずれが生じてしまいます。それをまた埋めようとしているうちに、またずれが生じるということで、追いかけっこをしているという部分は否定できないところでございますが、そういった部分を少しでもプラスして埋めていきたいというのが今度の計画の内容でございます。
〇斉藤信委員 夜勤専従というのは、残念ながら、労働組合の合意がないまま現場でやられている。そして、若い人しかやれないですよ、本当に。1カ月、2カ月夜勤をやったら、大体昼も稼ぐわけだから、本当に生活のサイクルが違ってきて、2カ月もやると、とても続くかなくなると。3交代それ自身が過酷な勤務なのです。それに対して、今度は夜勤で12時間交代制となると、さらに多くのリスクをふやすという勤務形態ですから、私は、慎重にこれはやっていただきたい。
最後の質問です。
中央病院の院長と懇談をして、労働基準監督署から是正勧告があったということで、タイムカードの導入を考えていると。出勤、退勤の職員の労働時間をしっかり把握して、実態に応じて改善を進めていくと。私は大変感心して聞いてきました。いろいろな手法があるようですけれども。
そういう点では、中央病院を突破口にして、県立病院全体でも出勤、退勤の時間を客観的に把握するという、民間では当たり前のそういう体制をとるべきではないのか、これが第1点です。
第2点は、今、実態はどうなっているかといいますと、看護師は仕事の大体30分前から1時間前には出勤しています。なぜかというと、事前の準備が必要だし、情報収集が必要なのです。しかし、これは勤務時間に入ってないのです。出勤簿にも超過勤務記録簿にも仕事の準備とか情報収集という項目がないのです。これは労働基準法上からは労働時間とちゃんと明確にされていますので、私は、ここは改善すべきじゃないかと。昼休みも、60分あるのだけれども、せいぜい30分しかとれていない。これも超過勤務の対象になるものですから、そういう意味で、過酷な状態で働いている中で、働いた分が正しく評価されないというのは、二重の苦しみになるのです。正しく評価される。そういう点で超過勤務の解消、年次有給休暇がとれるよう労働環境を改善しながら、労働時間の厳格な管理に踏み出すべきだということで、2点お聞きしたい。
〇三田地職員課総括課長 最初に、職員の勤務の管理についてでございますが、県立病院におきましては、職員による超過勤務の内容、時間の記録につきまして確認を行い、適正に手当を支給しているところでございます。先ほど来の計算誤りという事例はございましたが、不払いだというようなトラブルは基本的には起きていないところでございます。
それから、超過勤務の適正な把握のためには、超過勤務の基本的な考え方や原則について職場内で共通認識を醸成するとともに、日々の事前命令、事後確認の徹底を図りまして、適正にしていくことが最も重要だと考えております。
なお、タイムカードなどによる、勤務時間ではなくて出退勤の管理につきましては、他県の取り組み状況などの情報も収集しながら、出退勤時間と勤務時間との関係、例えば工場などであれば、その二つの関係は余りずれないと思うのですけれども、病院という性格上、かなりのずれとか、呼び出されて出たり入ったりとか、いろいろなことが起きますので、それらをどう整理していくかということについて研究をしていきたいと考えております。
それから、職員の休暇の取得などにつきましては、いろいろな取り組みを進めてまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 一言だけ。今の答弁で残念なのだけれども、私が質問をちゃんとしたように、早出の仕事の準備とか情報収集というのは、厚生労働省のガイドラインでも勤務時間にしなさいと。昼休みが30分しかとれなかったら、それも超過勤務だと。これは否定しがたいことです。それを無視して適正にやっていると言えば、正確ではないのではないかと。局長、私のほうが正論でしょう。
〇大槻医療局長 今回、県立中央病院に労働基準監督署が入ったということで、幸か不幸かと言えばおかしいのですが、職員の間で、超過勤務というものは何ぞやという意識がある意味高まっている時期でもございまして、この機会を活用して、そもそも超過勤務というものの考え方というものを各職員に徹底したいと思っています。
その中で、委員から御指摘のあった準備のための時間、残務の時間も、当然、労働時間として見なすということはそのとおりだと思いますので、そういった取り扱いがなされていない部分については是正してまいりたいと思っております。
〇福井せいじ副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇福井せいじ副委員長 質疑がないようでありますので、これで医療局関係の質疑を終わります。
医療局の皆さん、ありがとうございました。
以上で本日の日程は……
〔「委員長、議事進行」と呼ぶ者あり〕
〇高橋但馬委員 昨日の政策地域部の審査における質疑で千葉絢子委員から質問がありまして、メールの送信の件だったのですけれども、県のほうでは、後で確認をしてという話で、もしも県からそのようなメールが送られていたとしたら、我々会派としても、それはとんでもないことだと考えまして、改めて県の政策地域部に確認をしたら、県のほうからはそのようなメールを送っていないという話でありました。
それで、世話人会にお願いしたいことがあるのですけれども、千葉絢子委員が発言の根拠としたメールの内容と、県が、政策地域部がそんなことはないという発言の根拠となるもの、そして、そのときの議事録を我々委員に配付していただきたいと考えておりましたので、お取り計らいをよろしくお願いいたします。
〇福井せいじ副委員長 今の高橋但馬委員の議事進行について、確認をします。
一つは、昨日の政策地域部における千葉絢子委員のメールを送ったという根拠、会議録の確認と、それから、政策地域部からそのような事実はないということの根拠、この三つでよろしいですか。その取り扱いをどうするか、世話人会でもんでくれということでよろしいですね。
〇高橋但馬委員 委員に配付していただければ。
〇福井せいじ副委員長 配付すればいいということですか。
〇高橋但馬委員 その辺を含めて。
〇福井せいじ副委員長 はい、わかりました。
ただいまの件につきましては、世話人会を後日開催しまして協議することといたしますので、御了承願います。
以上で本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後7時16分 散 会

前へ 次へ