平成30年9月定例会 決算特別委員会会議録

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決算特別委員会会議記録
(第 3 号)
平成30年10月4日(木)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 村 上 宏 治
議事管理担当課長 安 齊 和 男
主任主査 柳 原   悟
主任主査 金 戸 伸 幸
主査 上 野 公一郎
主査 小 原 亜季子
主査 赤 坂 宏 紀
主査 戸 塚 教 仁
1説明員
政策地域部長 白 水 伸 英
理事兼副部長兼
地域振興室長 鈴 木   敦
理事兼科学ILC
推進室長兼国際監 佐々木   淳
副部長兼政策
推進室長兼首席
ふるさと振興監 小 野   博
国際室長 押 切 拓 也
交通政策室長 箱 石 知 義
参事兼調査統計課
総括課長 伊 勢   貴
参事兼三陸防災
復興プロジェクト
2019推進課
総括課長 小野寺 宏 和
政策監兼ふるさと
振興監 岩 渕 伸 也
評価課長 竹 澤   智
調整監 滝 山 秀 樹
政策推進室
管理課長 高 橋 光 羊
市町村課総括課長 小 原 重 幸
情報政策課
総括課長 藤 田 芳 男
地域振興監 菅 原 健 司
県北沿岸振興課長 竹 花 光 弘
地域連携推進監 酒 井   淳
ふるさと振興監 和 田 英 樹
ILC推進課長 植 野 歩 未
地域交通課長 渡 辺 謙 一
空港振興課長 土井尻 英 明

復興局長 佐々木   信
技監兼副局長 千 葉 一 之
副局長 森   達 也
復興推進課
総括課長 佐々木   亨
まちづくり再生課
総括課長 和 村 一 彦
産業再生課
総括課長 小 原 由 香
生活再建課
総括課長 工 藤 直 樹

警察本部長 島 村   英
警務部長 高 石 将 也
生活安全部長 小野寺 勝 善
刑事部長 佐 藤 力 也
交通部長 勝 又   薫
警備部長 新 家 勝 昭
警務部参事官兼
首席監察官 山 田   剛
警務部参事官兼
警務課長 吉 田 良 夫
警務部参事兼
会計課長 中 村   茂
生活安全部
参事官兼
生活安全企画課長 小田島 洋 憲
刑事部参事官兼
刑事企画課長 高 橋   仁
交通部参事官兼
交通企画課長 阿 部 裕 一
警備部参事官兼
公安課長 乳 井   博
総務課長 伊 藤   寛
交通規制課長 板 垣 則 彦

会計管理者 高 橋 宏 弥
会計指導監 山 梨 康 紀

監査委員 寺 沢   剛
監査委員 沼 田 由 子
監査委員事務局長 熊 谷 正 和
監査第一課
総括課長 千 葉 達 也
監査第二課
総括課長 小 守 健 一

財政課総括課長 臼 井 智 彦
〇名須川晋委員長 これより本日の会議を開きます。
これより議事に入ります。
認定第1号から認定第14号まで、並びに議案第38号及び議案第39号の以上16件を一括議題といたします。
本日は、政策地域部、復興局及び警察本部関係について延べ19人の質問者を予定しておりますが、午後5時を目途に審査が終了するよう議事進行に御協力をお願いいたします。
初めに、政策地域部長に政策地域部関係の説明を求めます。
〇白水政策地域部長 それでは、平成29年度の政策地域部関係の決算につきまして御説明申し上げます。
まず最初に、お知らせがございまして、本年4月の組織再編に伴いまして、空港利用促進業務が県土整備部から当部へ移管されまして、また、三陸ジオパーク関係業務につきましては、当部から環境生活部へ移管しておりますので、ただいまから御説明申し上げますのは、現在、政策地域部が所管しております内容であることを御了承願いたいと思います。
それでは、お手元の岩手県歳入歳出決算書の12ページと13ページをお開き願います。政策地域部関係の決算につきましては、2款総務費のうち、1項総務管理費、2項企画費、4項地域振興費の一部、5項選挙費及び7項統計調査費、それから、14ページと15ページに参りまして、8款土木費のうち、1項土木管理費の一部でありますが、これらの支出済総額は132億168万円余でございまして、翌年度への繰越額は2、821万円余、不用額は1億7、029万円余となっております。
それでは、決算の内容につきまして、お手元に配付しております歳入歳出決算事項別明細書を御説明させていただきます。
なお、事業ごとの金額の読み上げは省略させていただきまして、主な事業の内容を中心に御説明させていただきます。
それでは、この事項別明細書の164ページと165ページをお開き願います。まず、2款総務費1項総務管理費7目情報システム管理費でございますが、支出済額15億734万円余につきましては、財務会計などのオンラインシステムや通信ネットワーク等、庁内の行政情報システムの管理に要した経費でございます。
続きまして、168ページと169ページをお開き願います。2項企画費1目企画総務費でございますが、当部関係の支出済額3億2、371万円余のうち、主なものについて御説明申し上げます。まず、一番右の備考欄の政策地域部の上から二つ目でございますが、いわて三陸復興のかけ橋推進事業費につきましては、復興支援ポータルサイト等を活用して、復興支援マッチングや県内外企業とのネットワーク強化、情報発信等に要した経費でございます。その二つ下でございますが、高等教育機関連携推進費につきましては、雇用創出や若者定着の促進を図るため、県と地方大学の連携によりまして、市町村の地方創生総合戦略の推進を支援するとともに、地元中小企業と岩手県立大学による共同研究等に要した経費でございます。次に、2目計画調査費のうち、当部関係の支出済額は3、139万円余でございますが、その主なものについて御説明申し上げます。170ページと171ページをお開き願います。同じく右側の備考欄の政策地域部の一番下でございます。復興局の一つ上でございますが、次期総合計画策定費につきましては、岩手県総合計画審議会の運営や県民等からの幅広い意見聴取、情報発信などに要した経費でございます。続きまして、4目科学技術振興費の支出済額2億1、184万円余のうち、主なものについて御説明申し上げます。備考欄の下から二つ目の科学技術イノベーション創出促進事業費につきましては、将来有望な研究シーズや地域資源を活用した研究開発への支援等に要した経費でございます。その下のいわて戦略的研究開発推進事業費につきましては、大学等の技術シーズを活用した製品化や事業化に結びつく研究開発への支援等に要した経費でございます。続きまして、次の172ページと173ページに参りまして、備考欄の上から二つ目の洋上ウィンドファーム事業化促進事業費につきましては、洋野町沖合海域における洋上風力発電の事業化に向け、地元の合意形成や情報発信の実施等に要した経費でございます。その下のプロジェクト研究調査事業費につきましては、ILCの実現に向けまして、国内外への情報発信や関連企業への参入促進支援、立地条件等に関する調査研究等に要した経費でございます。
続きまして、次の174ページと175ページをお開き願います。4項地域振興費1目地域振興総務費の支出済額33億2、611万円余のうち、環境生活部に移管いたしました三陸ジオパーク関係業務2、028万円余を除く33億583万円余の主なものについて御説明申し上げます。備考欄の上から四つ目でございますが、地域経営推進費につきましては、広域振興局におきまして、市町村やNPO、民間との協働のもと、圏域の振興を図るために要した経費でございます。一つ飛びまして、携帯電話等エリア整備事業費補助につきましては、携帯電話の利用可能地域の拡大を図るため、市町村が行う整備事業に対して助成したものでございます。その下の県北・沿岸振興費につきましては、県北・沿岸圏域の振興を図るため、地域資源の活用による地域活性化に向けた取り組み等に要した経費でございます。一つ飛びまして、三陸総合振興推進費につきましては、三陸地域における交流人口の拡大等を図るための推進体制の検討や三陸防災復興プロジェクト2019の開催に向けた検討等に要した経費でございます。一つ飛びまして、いわてへの定住・交流促進事業費でございますが、被災地の復興や過疎地の活性化を担ういわて復興応援隊の受け入れ等に要した経費でございます。次に、2目市町村振興費の支出済額13億4、584万円余のうち、主なものにつきまして御説明申し上げます。次の176ページと177ページをお開き願います。備考欄上から四つ目の市町村振興宝くじ交付金につきましては、市町村への貸付原資や交付資金とするため、公益財団法人岩手県市町村振興協会に対しまして、市町村振興宝くじ等の販売収益金を交付したものでございます。その下の特定被災地域復興支援特別交付金につきましては、平成28年台風第10号災害からの早期の復旧、復興を支援するため、岩泉町に対しまして交付金を交付したものでございます。次に、3目交通対策費の支出済額50億2、312万円余のうち、主なものについて御説明申し上げます。まず、上から三つ目の三陸鉄道運営支援事業費につきましては、山田線の経営移管に伴うJR東日本からの移管協力金等を基金に積み立てるとともに、移管に伴う初期投資経費等について、交付金を交付したものでございます。一つ飛びまして、並行在来線対策事業費につきましては、IGRいわて銀河鉄道による鉄道事業の経営を支援するため、県と沿線市町村が連携し、車両更新に要する経費等について、基金に積み立て等を行ったものでございます。その下のバス運行対策費につきましては、地方バス路線を運行するバス事業者に対しまして、国庫補助制度に基づき運行欠損額を助成したものでございます。続きまして、4目国際交流推進費の支出済額1億3、476万円余のうち、主なものについて御説明申し上げます。まず、上から四つ目の留学生等人材ネットワーク形成事業費につきましては、本県と海外との人的ネットワークを形成するため、県内大学等で学ぶ外国人留学生に対する支援や海外研修員の受け入れ等に要した経費でございます。その下のグローバルいわて推進事業費につきましては、多文化共生の推進やグローバル人材の育成を図るため、高校生を対象とした海外派遣研修や中国雲南省との相互交流等に要した経費でございます。
次の178ページと179ページをお開き願います。5項選挙費でございますが、支出済額8億866万円余は、県選挙管理委員会の運営、衆議院議員総選挙等の管理執行等に要した経費でございます。
続きまして、182ページと183ページをお開き願います。7項統計調査費でございますが、支出済額3億5、204万円余は、人件費及び一般管理事務並びに県単独で実施しました統計調査、それから、国の委託により実施した統計調査に要した経費でございます。
次に、ちょっとページを飛んでいただきまして、300ページと301ページをお開き願います。8款土木費1項土木管理費4目空港費の支出済額8億8、249万円余のうち、県土整備部から移管されております空港利用促進業務1億5、709万円余について御説明申し上げます。備考欄の一番下でございますが、いわて花巻空港利用促進事業費の1事業でございますが、交流人口の拡大や地域経済の活性化を図るため、岩手県空港利用促進協議会の活動の支援等に要した経費でございます。
なお、政策地域部の繰越明許費は2、821万円余でございまして、その主なものは、地域経営推進費500万円、携帯電話等エリア整備事業費補助2、115万円余などについて、計画調整に時間を要したことなどから繰り越しをしたものでございます。
以上で説明を終わります。よろしく御審議をお願いいたします。
〇名須川晋委員長 これより質疑を行いますが、世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇郷右近浩委員 私からは、歳入歳出決算事項別明細書の173ページのプロジェクト研究調査事業費についてお伺いさせていただきたいと思います。
こちらの事業名はこのとおりになっておりますけれども、もちろんILCに関しての決算ということで認識しているわけでありますが、平成29年度もILCの誘致実現については、本当にさまざまな形で、もちろんこれは県民にであったり、また地域にであったりという中で啓発事業を中心に、そしてまた、いろいろな働きかけということで事業が行われてきたことを認識しております。
ただ、その成果がどのようにあらわれているかが、現在、日本学術会議が頻繁に行われていく中で、踏み込んだ議論が今行われていると認識しているところであります。昨年来、例えばアメリカやドイツであったり、フランス等が、正式ではないにしても、まずは国際協力をするといったような表明をしてくる中で、最近においては、インド、中国であったりが、同じような形で協力の確認をしてきているといった現状であると感じております。
そこでお伺いしたいと思いますが、現在の国際間の動きであったり、日本学術会議の審議の進捗状況、そして、今後県はどのような対応をとっていくのか。また、その対応をとっていくに当たっては、もちろん平成29年度も含め、これまでやってきたものの中で反省すべき点というか、これをさらにどう生かしていくのかをあわせてお伺いしたいと思います。
〇植野ILC推進課長 初めに、国際間の動きについてでございますが、約30年前にヨーロッパ、アメリカ、日本でILCにつながる検討が開始されまして、現在は、国際的なILC推進の枠組みが確立されております。
アメリカとの関係におきましては、平成28年度より政府間の対話や研究者間の共同研究が行われており、ヨーロッパとの関係におきましては、日本の超党派国会議員連盟が、ドイツ、フランスの国会議員と意見交換を行ったほか、先日は、フランスの国会議員が本県の取り組みを視察に訪れたところでございます。
また、アジアとの関係におきましては、ことし5月に開催されましたアジア地域のリニアコライダーワークショップにおきまして、ILCの実現を期待するとの宣言が出されるなど、ILC実現に向けた国際間の動きが進んでいると認識しております。
日本学術会議につきましては、本年8月に審議が開始されまして、委員会と分科会でそれぞれ6回の会議が開催されており、ILCの目指す物理でありますとか、必要経費と他分野への影響、災害対応など約10項目の論点が整理されておりまして、当該論点に関しまして、研究者からのヒアリングを行うなどの審議が行われております。
県としてはこれまで、東北ILC推進協議会と連携し、研究者の求めに応じて必要な資料を提供したところでありまして、今後も、高エネルギー加速器研究機構─KEKなどの研究者の求めに応じまして、必要な資料を提供するなど委員会の審議に協力してまいります。
〇郷右近浩委員 この間、もちろんさまざまな動きがあったということで、過日、フランスの国会議員が視察に来たということであります。また、10月17日には、知事がヨーロッパに出張するとお聞きしております。今回の出張については、CERNでの意見交換であったりとか、もちろんこれはフランスで開催されるジャポニスム2018のタイミングに合わせてということで承知しているわけでありますけれども、そのときに、せっかくフランスの国会議員に来ていただいたのであれば、例えばフランス政府なのか国会議員なのか、または、フランスのその関係者なのか、そうした方々と、このILCの情報交換をしていく、さらに、現在行われている日本学術会議であったり日本の中での議論に対して、国際間での必要性の共有であったり、そうしたものをつくっていくことができるのではないかと思います。
これまでも知事の出張では、過日、ブラジルへ行った際にも、足を延ばして、ラグビーワールドカップ2019の岩手県での出場国を回ったりとか、今後もそうした形での出張を予定されているということで聞いておりますけれども、せっかくのこの機会を有効に使うことも考えられると思いますが、その点についてどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
〇植野ILC推進課長 知事のCERN訪問の目的及び内容についてでございますが、知事は、10月16日から22日までヨーロッパに出張いたしまして、10月18日にジュネーブにあるCERNを訪問する予定でございます。
CERNにおきましては、リニアコライダーコラボレーションの責任者等に面会し、国内の取り組みをお伝えし、国際社会における一層の協力をお願いするとともに、加速器関連研究の最新の取り組みを視察する予定でございます。
ILCの日本誘致が重要な時期を迎える中にありまして、建設候補地である県の知事が訪問することで、さらにCERNとのつながりを強化してまいりたいと考えております。
〇佐々木理事兼科学ILC推進室長 委員御指摘のとおり、フランスとの関係は非常に大事だと思っておりますので、知事がせっかくヨーロッパ、フランスに参りますので、御意見の意に沿うような形、我々も連携するような形で対応したいと今検討していると御理解いただければと思います。
〇郷右近浩委員 恐らく日程等いろいろな制約があるということで、調整は非常に大変だと思います。ただ、せっかく行くのであれば、そのときを契機にいろいろな話が進むような姿勢をつくっていくことも必要なのではないかと思います。
また、今、学術会議でいろいろ議論されていますが、本来の学術会議の立ち位置は、有識者会議でさまざまな形の議論があったものを検証するという位置づけが本来的であったのではないかと、私自身、当初は理解していたわけであります。それから比べると、日本学術会議自体が、いろいろな可能性であったり影響であったり、そうしたものに大分踏み込んでかなりやりとりしているといった印象を受けております。
もちろん報道でしかないわけでありますけれども、そうした部分を担当部局はどのように受けとめていられるか、お伺いしたいと思います。
〇植野ILC推進課長 現在、文部科学省から日本学術会議に審議依頼が行われております。その中で、現在、論点と呼ばれるものが整理されおりまして、約10項目の論点をピックアップして審議が行われております。さまざまな論点が今出されておりまして、それらについて、全ての分野について詳しくこれから審議が行われるということです。その後、日本学術会議の中で、それらの論点について全て取りまとめて、もう一度、国に回答という形で戻されるような予定になっております。
そこの議論を踏まえ、その後、日本政府でILCをやるかどうかについての判断がなされるというところでありますが、今、日本学術会議におきましては、大体議論の中間地点をようやく越えたところで、今後、年内に向けて取りまとめを加速していくものと認識しております。
〇佐々木理事兼科学ILC推進室長 日本学術会議につきましては、ただいま課長が申し上げたとおりですが、やはり具体的な細かいところまで審議が進められ、深められるような状況にもなっております。例えば、平成29年度に地質調査を行っておりますが、そういった地域の情報を東北ILC推進協議会と連携して、資料としてKEKを通じて提出し、審議が深まるような貢献もしておりますので、県としては、日本学術会議の議論が進展するようにサポートしていくというスタンスで臨んでおります。
〇郷右近浩委員 ぜひ、それはきちんとサポートできるような形で進めていただければと思います。
そこで、今、課長からお話がありましたけれども、今回、日本学術会議においては、取りまとめを年内に行う方向との報道等もありますけれども、これまで研究者の方々からタイムリミットとされてきたのが12月18日という日にちであります。例えば、この期日との整合性についてはどのように考えればいいか、お伺いしたいと思います。
〇植野ILC推進課長 今、委員から御指摘ございましたように、ILCの実現のためには、ヨーロッパの素粒子物理5カ年戦略に反映されることが必要でありまして、さきに開催された国際会議におきまして、研究者から、議論開始のための資料提出期限が12月18日との見通しが示されておるところでございます。
一方で、文部科学省から日本学術会議に審議依頼する際に、ILC計画に取り組む意義を速やかに判断できるよう、早期の審議並びに回答を求めておりまして、今回の日本学術会議の委員長の発言は、これら国内外の動向を踏まえてのコメントと推察されます。
県といたしましては、日本学術会議の取りまとめが日本政府の判断に資するよう協力するとともに、引き続き審議の状況を注視してまいりたいと考えております。
〇郷右近浩委員 わかります。そういうことなのですけれども、ただ、私が聞いたのは、12月18日という日にちと年内という進め方と、それがどのように整合性がとれるのかということをお聞きしたいということでございます。
〇植野ILC推進課長 失礼いたしました。先ほども申し上げましたけれども、8月から日本学術会議の議論が始まっておりまして、既に延べ12回の会議を開いております。そういうことで、9月末の会議では既に論点整理が行われておりまして、おおよそ議論の中間地点を越えたかと認識しております。今後は、10月、11月に向けて、さらに議論を加速化させて取りまとめに持っていくのではないかと期待しているところでございます。
〇郷右近浩委員 その点はわかりました。もちろんそういうことなのですけれども、確かに、それは冒頭私も話したとおり、この日本学術会議では物すごいスピード感を持ってやっていただいている、進めていただいていると。そうした中にあって、日本学術会議の会議自体以外にもいろいろな形で動きが出てきている、そうしたものは承知しております。
ただ問題は、例えば12月18日を越えてしまったときに、日本政府として、12月30日にやりたいと言って、果たしてそれで通用するものなのかどうなのか。12月18日というのは区切られた期日でありますので、そこはどのような整合性がとれるのだということをお聞きしたいわけであります。
極端なことを言えば、ILCを推進する中で、例えば科学者の間でも、12月18日とはいえ、ヨーロッパの計画も年内であれば盛り込めますよということなのか、もしくは、やっぱり12月18日までに何としても決めてもらわなければならないとなっているから、それまでに何としても日本政府に対して、県やさまざまな関係機関からも早く決めてくれという行動をとっていくという話なのか。それで、12月18日が終われば、もうどうしようもないという話なのか。そこら辺の整理はどうなるのかということを聞きたいということです。
〇植野ILC推進課長 大変失礼いたしました。先ほどの12月18日の期限というのは、研究者の間でのヨーロッパの素粒子物理5カ年計画の議論を始めるための一応の資料提出日ですので、年内に方向性を決めるというところは、ここからは推測になりますけれども、柔軟に対応できるものではないかということで、まずは、年内に日本政府が判断できるように、しっかりと県でもサポートしていきたいと考えております。
〇郷右近浩委員 わかりました。ただ、もちろんそれは柔軟に対応できるのではないかという話であるので、そうした部分については、きちんとした形での何かの確証を得ることが必要ではないかと私自身は考えます。確かにこの間の議論の中で、例えば研究者からも、あくまで日本政府が、やる方向だというか、やりたいと思う、そうした意思表明だけでいいのだといった発言等があることも存じております。そうだとしても、それが本当に年内でいいのかといった部分は、ぜひ県としてもきちんと把握していただきたいと思いますし、それにあわせて対応をしていただきたいと思います。
もう一点お伺いします。これは、私自身はILCも関連していると思ってあわせて質問するのですけれども、医療通訳についてお伺いしたいと思います。
今定例会で高橋元議員の一般質問におきまして、全県での医療通訳の体制構築は課題がありハードルが多いこと、さらには、その中でも県としてさまざまな対応を検討していることは承知いたしております。
しかし、今後、岩手がILC建設という契機により、必要性も含めて、国際化を目指していくのであれば、例えば、まずは県南部を中心に、地元の市町村、そして当該県立病院とも連携を図りながら、先行して外国人患者の受け入れについて早急に準備を進めていく必要があると考えますが、県のお考えをお伺いしたいと思います。
〇押切国際室長 医療通訳についてでございますが、ILCなどを見据えまして、外国人患者が安心して医療機関を受診できる環境づくりに向けましては、現在、県の国際交流協会や、奥州市を初めとした国際交流協会において、さまざまな支援を行っておりますほか、県では今年度、医療ガイドブックの作成でありますとか、外国人からの医療相談に係る研修会を開催しようとしているところでございます。
また、今年度から、市町村や市町村国際交流協会を対象としまして、地域国際化推進会議を県内4カ所で開催しております。地域の国際化に向けました課題などについて情報共有を行っているところでございまして、県南部で開催された際には、外国人が医療機関を受診する際の課題について情報提供があり、近隣の市町村が連携して広域的に取り組むべき課題であることを共有したところでございます。
医療通訳の導入につきましてはさまざまな課題があるという御指摘はそのとおりでございますが、まずは、県内で先行している奥州市の現状と課題をしっかりと認識いたしまして、ボランティアの活用方法でありますとか通訳者の養成を初め、多言語による外来問診票や翻訳アプリケーション、あるいは電話通訳の導入などの可能性を含めて、他県での先進事例等も参考にしながら、市町村や県、医療機関等と研究を進めてまいりたいと考えているところでございます。
〇郷右近浩委員 この医療通訳に関しては、平成29年度におきましても、国際交流協会と連携をとったりしながら、さまざまな形で、県としても進めてきていただいていると。
医療通訳を養成するには、もちろん講習会であったりとか、また、スキルを継続するためにさらなる講習会と、奥州市国際交流協会でいうと年に2回講習会を行って進めているということであり、平成30年度においては、岩手県国際交流協会で、そうした部分も含めていろいろなことを検討していただくような形での予算を措置しているという認識も持っております。
ただ、やはり育成という部分については手間暇がかかっていく中で、また、それを継続していかなければいけない。さらにそれを全県で全部やっていくということ自体も、本当に大変な作業であることは認識しております。ただ、最終的には、やはりILCの効果を全県に波及させるということで考えるならば、本来的には、県としていずれかの形で全体でやっていかなければいけない。
そうだとすると、その手間というか大変な作業をやっていく中で、まずはモデルケースとして県南地区で、県南地区の市町村長や、もちろん県立病院、そして国際交流協会等の関係者の方々といろいろな形での協議を進めながら、本来的には外国人のボランティアという考え方と日本人のボランティアという考え方、そして、そのような研修を受けてスキルを得た方々に対して委嘱するボランティアといったことを考えたときに、どのような形で対応をしていくことが望ましいのかということも含めて、ぜひ、さらに進めていただきたいと思うわけでありますが、御所見をお伺いします。
〇押切国際室長 いずれILCのみならず、国における新たな在留資格の創設など、本県に在住する外国人がふえる環境にございます。
そういう中で、医療通訳につきましては、専門性も高く、その導入についてはいろいろな課題もあるところでございますが、先ほど申し上げました先進事例の研究とあわせまして、医療機関の主体性を尊重しながらでございますが、例えば、まずは先行している県南部でモデル的な取り組みを行い、それを全県に波及させることも含めて、今後研究を進めてまいりたいと考えております。
〇郷右近浩委員 最後にします。もちろん研究を進めていただきたいですけれども、私自身は、ILCの実現というのは何としても達成してほしいと。そして、もちろんそうなるという中での前提条件でお話をさせていただければ、やはりもう待ったなしの部分もあります。確かにILCの関係で日本に来られる方々、それから、現在違う形で在住の方々、いろいろな形での対応の仕方は、もしかしたら切り口としては難しい面もあるかとは認識しております。
ただ、それにつけましても、やはり岩手の国際化というか、外国人の方々に、これから例えば就労を含めていろいろな形の中で岩手に魅力を持ってもらうために、これは観光にも必要な要素の一つであると私自身は思っておりますので、ぜひここは、ILCは待ったなしでありますので、国際室としてもしっかり取り組んでいただきたいと思います。
〇臼澤勉委員 それでは、私も、まず初めに、郷右近委員の御質問に関連しまして、ILCの誘致についてお伺いいたします。
ちょうど1年前の決算特別委員会の総括質疑において、私も知事に対して、まさにこれからが将棋でいうところの詰めの段階に入ってきますね、しっかりとそこを取り組んでいただきたいということで質問をしました。知事は、詰めの作業を関係機関ともども一緒になって行っていくと述べておりましたが、平成29年度の取り組みの成果と、あわせて、どこまで詰まってきたのかお伺いいたします。
〇植野ILC推進課長 初めに、平成29年度の成果でございますが、国等への要望活動につきましては、東北ILC推進協議会等と連携いたしまして、内閣官房や文部科学省等の関係省庁を中心に8回、延べ28件の要望先に対しまして、ILCの実現をお願いしたところでございます。
また、受け入れ準備につきましては、ILC東北マスタープランの策定、東北大学との共同研究による地質や水文等の調査、産業集積拠点形成に向けた共同研究やセミナーの開催といった活動に加えまして、外国人居住環境や地域資源活用など六つの分野について、庁内研究会により対応策を検討してきたところでございます。
普及啓発活動につきましても、リニアコライダーワークショップやILDミーティングなど国際会議への参画や国内の学会、展示会等に出展し、研究者や技術者に建設候補地として東北、北上サイトをPRしたところでございます。
平成30年度におきましても、引き続き国への要望活動に取り組んでおりまして、国においては、有識者会議から日本学術会議に審議が移行し、その後には、自由民主党ILC誘致実現連絡協議会が設立され、さらには、20万人を超えたILCサポーターズの署名活動やILC100人委員会の設立など、国民的な理解の増進につながっているところでございます。
また、県といたしましても、受け入れ準備に万全を期すため、庁内研究会に関係自治体や団体も加わり具体策を検討しているところでありまして、こうした活動をより強化しながら、日本学術会議の審議に対して、必要な対応を行うなど、年末に向けまして、日本政府がILC実現に前向きの方向性を打ち出すよう全力で取り組んでまいります。
〇臼澤勉委員 まさに、先ほども郷右近委員とのやりとりのとおりで、タイムリミットの12月18日が迫ってきております。国への要望活動等も取り組まれているということでございますが、文部科学省とか内閣府、国のほうの反応といいますか手応えというか、県はどんなふうに感じているのかお伺いいたします。
〇植野ILC推進課長 要望時の感触でございますけれども、8月に知事、鈴木俊一超党派ILC国会議員連盟副会長、谷村邦久県ILC推進協議会会長、鈴木厚人県立大学長の4者で与党への要望活動を行っております。
そのときのコメントというか感触でございますけれども、政府関係者からは、有識者会議におきまして慎重に検討しており、推移を見守るというコメントがあった一方で、与党の関係者とか超党派の国会議員連盟からは、協力して政府への働きかけを進めていきたいという力強い発言をいただいたところでございます。
今後、国会議員連盟の皆さんや与党関係者の皆さんと一緒に、さらに関係団体と連携を密にいたしまして、継続して要望活動を行っていきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 まさに詰めの段階に入ってきているということでございますし、それぞれの立場、立場で連携しながらやっていくことが、やはり重要なのかと思います。そういった意味からも、まさに超党派でそれぞれの岩手県選出の国会議員、あるいは経済界、行政一体となって今動いております。ここは、やはり最後は経済的なコストの部分とか負担割合とか、いろいろな課題も出てまいりますので、そこは一緒になって最後の詰めに取り組んでいかなければいけないと思います。
そして、そのポイントとして、我々地元として、受け入れ側として大事なことは、国民、あるいは県民から、科学コミュニティーの理解、支援を得ることが重要になってくるかと思います。先ほどの回答でも、今できる環境アセスメントや地質の調査とか、あるいは鳥獣のイヌワシの状況とか、これまでもやっていると伺っております。
今、県民の皆さんとか地域、地元からも、いろいろな御意見があるとも伺っております。何かあったときに、どんなリスクがあるのかないのか。あるいはトンネルを20キロメートル掘っていく中で、環境への影響があるのかないのか。あるいは、日本学術会議の技術部会での論点メモにも書いていますが、電源喪失の場合の対策であったりと、さまざまそういった部分がありますけれども、そういった部分に対しては、やはり丁寧に説明していかなければいけないと思います。住民合意形成に向けて、県としてどのように取り組んでいるのかお伺いします。
〇植野ILC推進課長 今、委員からお話がありましたように、ILCの実現には地元住民の方々の理解を得ることが欠かせないという観点から、住民合意形成に向けた取り組みとして、これまで講演会等を行い、平成29年度では延べ141回、1万4、317人の御参加をいただいているところであります。さらには、リスクと呼ばれるような観点も含めましたQ&Aの掲載を県のホームページ等で行っております。
さらに、9月24日には、東北ILC準備室との共催で、一関市でILC解説セミナーを開催させていただいたところでありまして、今後もさまざまな機会を捉えながら、住民の皆様に丁寧に説明してまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 ぜひ、政府へのそういった要望活動と並行して、建設に当たっての地元の了解であったり、あるいは土地の取得とか建設候補地云々という段階にはまだちょっと早いのかとは思いますけれども、できること、特に環境アセスメントとかといった部分についても、道路への影響、ただ、これはもう改めて私が言うまででもないのですが、環境影響評価とかは、あくまで事業主体がやらなければいけない位置づけにはなりますから、県がどこまでやれるのかというのはあろうかとは思いますが、一方で、それでも事業主体が決まってからどうだということではなくて、地元として、今できる最大限のことをやりながら、そして、国民理解を得られるような取り組みを進めていかなければいけないと思います。部長から、そこの取り組みについての御所見を聞きたいと思います。
〇白水政策地域部長 ILC誘致に向けた取り組みを進めていく中で、やはり地元の理解が本当に必要だと思っております。
委員御指摘のとおり、さまざまな環境アセスメントとか道路への影響という疑問も出てくるところでございます。これまで県といたしましては、東北ILC準備室の研究者らと連携して、独自に基礎的な調査を行うなどの準備を進めてきたところではございますが、やはり、いろいろな県民の皆さんにさらにしっかりとした説明も同時にしていきながら、その辺はしっかり対応してまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
先般、経済波及効果の資料等もまとまっておりました。次の質問に入っていきたいのですけれども、その波及効果の中でも、ILC誘致が実現されれば、情報インフラの整備といった部分も相当程度進んでくる、太平洋の海底をつなぐような、もう本当に地球全体をつなぐインフラ整備とかの環境整備も進んでくるという大きな夢のあるお話をいただいているところでございます。
そういった中で、情報通信基盤整備とインターネット利用率の向上についてお伺いいたします。携帯の利用可能地域の拡大あるいは岩手県が抱える中山間地域の条件不利地の解消に向けて、この基盤整備の取り組み実績、課題認識はどのようになっているのか。
なぜそのようなことを聞くかというと、まさにこれからの未来の岩手をつくっていく上での第4次産業革命の基本はインフラになると認識しておりますので、そこら辺についてお伺いします。
〇藤田情報政策課総括課長 情報通信基盤の関係でございます。
まず、取り組みの実績でございますが、県ではこれまで、光ファイバーでありますとか携帯電話などの情報通信基盤整備を図るために、市町村による国庫補助導入に向けた国との調整、事業者への働きかけ─これにつきましては委員にも御尽力を多分にいただいているところでございますが、こういった支援を行ってきておりまして、光ファイバーなど超高速ブロードバンドの整備は着実に進められていると考えております。携帯電話につきましても、平成29年度におきましては、大槌町、岩泉町や、今年度に繰り越しをしました紫波町も含めまして、4町5地区で基地局の整備を図ったところでございます。
こうした取り組みの結果でございますが、直近の総務省調査、平成29年3月末時点でございますが、光ファイバーの利用が可能な世帯率は96.2%、また、携帯電話の利用が可能な人口の割合は99.78%と、整備が着実に進んできているものと考えております。
しかしながら、一方で、課題として、やはり委員からも御指摘がありましたとおり、中山間地域とか条件不利地域においては、光ファイバーであるとか携帯電話とも共通いたしまして、採算面から通信事業者による整備が進みにくいといった事情があるのは、御案内のとおりでございます。
こういう課題を受けまして、県といたしましては、今後とも市町村の要望を把握した上で、国に対して通信事業者の整備を促進するための支援制度の創設、また、通信事業者みずからによる整備につきましても要望を重ねていきまして、これら取り組みを進めた上で、市町村の取り組みをさらに支援していく形を考えております。
〇臼澤勉委員 私は、人口減対策を含めて、これから岩手に移り住んできたい、住みたい、暮らしたいという部分では、この情報基盤を整備することは大事になってくると思います。県ができることは、限定的な部分であろうかと思いますが、ある意味、国策としてやるべきテーマだと私は思っておりまして、以前には前藤田政策地域部長にも聞いたわけでございます。
それで、そういった基盤整備の一方で、インターネット利用といった使う側の部分もすごく大事になってくるわけですが、主要施策の成果に関する説明書の評価を見ますと、平成29年度実績が、70.5%、D評価ということです。市町村の調査した対象地域の利用が低調であったこともあって低かったということでございますが、利用率向上に向けた課題と取り組み方策をどのようにお考えか、お伺いします。
〇藤田情報政策課総括課長 インターネット利用率の向上に向けた課題等でございます。
先ほど申しましたように、情報通信基盤整備は進んでおりまして、インターネットを利用する環境の整備は着実に進んでいるというのは、委員御指摘のとおりでございます。
しかしながら、基盤を活用してインターネットを使っていろいろな利便性を享受する等につきましては、やはり広く県民の皆様方に普及、啓発を進めていくことが特に重要と考えております。
このため、利用率が恐らく低いと推測される高齢者の方も含めた県民の皆さんを対象にいたしまして、例えば、離れて暮らしている高齢者の方をスマートフォンで簡単に見守ることができるサービスであるとか、生活の利便性向上に実感が持てるようなセミナーであるとか展示会を通じて、これら取り組みと申しますか、いい点を紹介しながら、一層の利用向上に努めていきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 人口減、少子高齢化といった社会的課題解決に向けて、まさにICTの利活用というのはすごく重要になってきます。交通の分野であったり、防災の面、教育とか福祉、あるいは働き方というテレワークの分野とか、農業とか産業、スマート農業の話もございます。やはりこういった部分は、先ほども答弁がありましたけれども、実感のある部分を見せていく取り組みがすごく大事になると思います。
県ができることは、みずからはそこはできないわけでございますので、民間事業者であったり、さまざまなそれぞれの分野の方々のお力を引き出して持ってくると。そして、それをコーディネートしながら、具体のこの岩手の現場、現場の中のできるところで、やりたいという市町村なりに落とし込みながら、できるところを見せていく、ここが私は重要になってくると思うのですが、そこら辺の取り組みについてどのようにお考えでしょうか、お伺いします。
〇藤田情報政策課総括課長 今、委員からお話のありましたICTの有用性とかを見せるという指摘はごもっともでございまして、県では、ICT利活用の取り組みを進めるために、現在、仮称ではございますが、県のICT利活用推進計画を年度内につくることで準備作業を進めているところでございます。
この計画策定におきましては、学識経験者のほかに、サービスを提供する通信事業者であるとか、サービスを受けるほうの、例えばものづくり産業であるとか、医療であるとか介護等の識見を持った方も広くお集まりいただいて、意見を伺いながら計画をつくっております。
この計画に定めました取り組みを実行していくことで、さらなる利活用を推進したいと考えております。
〇臼澤勉委員 それでは、次に行きます。公共交通の維持、確保、利用促進について伺います。
第三セクター鉄道、バスの1人当たりの利用回数は、平成29年度、17.5回でD評価ということでございました。課題と対策についてお伺いします。
〇渡辺地域交通課長 第三セクター鉄道、バスの1人当たり年間利用回数についてでございますが、少子化の進行あるいはモータリゼーションの進展などの影響によりまして、路線バスの利用者数の減少傾向が続いております。
また、昨年度は、第三セクター鉄道については利用者数が若干増加に転じたものの、鉄道、バスの合計では減少したため、達成度がDとなったものでございまして、バス及び第三セクター鉄道において、さらなる利用促進を図っていく必要があると認識しております。
バスにつきましては、路線の維持に向けまして、住民のバス利用を促すことが重要と考えておりまして、かしこい交通ライフチャレンジウィークを初めといたしましたモビリティーマネジメントの実施などによりまして、利用促進を図ってまいりたいと考えております。
また、鉄道との乗り継ぎの改善、路線の見直しなどによりまして利便性の向上を図るとともに、ノンステップバスの導入によるバリアフリー化、高齢者、障がい者を初め、誰もが利用しやすいサービスの提供に向けたバス事業者の取り組みを支援してまいりたいと考えております。
第三セクター鉄道につきましては、利便性の向上やマイレール意識の醸成による地元利用の拡大と観光需要の喚起が課題であると考えておりまして、使いやすいダイヤ編成や子供向けの乗車機会の創出、県と沿線市町村で構成いたします利用促進協議会を通じた情報発信やエージェント営業の強化などにより、利用促進を図ってまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 県民意識調査によれば、満足度が沿岸地域で特に低いという結果も出ております。一方で、私も沿岸被災地を回って聞くのは、国の復興・創生期間が終わる平成32年度、今は被災地特例で国庫補助の補助要件とかが大幅に緩和されているということで、その後の地元の負担とかがきつくなるのではないかというところで声を聞くわけでございます。
被災地特例終了後の被災地の公共交通の維持、確保に向けて、具体的にどのように取り組む考えかお伺いします。
〇渡辺地域交通課長 委員御指摘のとおり、被災地特例につきましては、被災地域における公共交通の確保に大きな役割を果たしておりまして、特例措置の終了により、地域の公共交通の確保が困難となることが懸念されております。
このため県では、まずは、今年度も実施いたしましたが、国に対して、被災市町村の復興まちづくりが完了するまでは、この被災地特例制度の継続や補助対象の拡大を要望しているところでございまして、引き続き、国に働きかけてまいりたいと考えております。
また、県におきましては、被災地に限らず、路線バスを初めとした地域公共交通の維持、確保に懸念が生じておりますことから、昨年度、国、市町村、交通事業者、学識経験者等によります検討会議を設置いたしまして、持続可能な地域公共交通ネットワークの形成を目指して検討を行ったところでございます。
その結果を踏まえまして、今年度、法定協議会を立ち上げまして、公共交通のマスタープランとなる地域公共交通網形成計画を策定することとしております。
この計画の策定の中で、路線に応じた利用促進策の実施や利用者の少ない区間のデマンド交通への転換など、効率的で利便性の高いネットワークを構築していくことで、持続可能な公共交通につなげていきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 この公共交通は、県民意識調査でも非常に重要度とかニーズ度の高い政策の一つであります。私は、県内各市町村を見たときに、この公共交通の維持は、中心地についてはある程度、それでも厳しいところはあるにしても、沿岸とか人口減の特に厳しい市町村においては、公共交通の維持は非常に難しくなってくる。極端に言えば、補助金とか公的な支援がなくなると、本当にやっていけないような状況になってくるのかなという危機感を持っております。
そういった意味から、私は以前、シェアリングエコノミーの視点、ライドシェアとかカーシェアという視点はすごく重要になるのではないかということで少しお話ししたこともございますが、けさテレビのニュースを見ていたら、カーシェアリングの動きなどが全国放送されておりましたが、総合的な交通政策の検討をすべき時期に来ている。世界的、あるいは日本国内でも、さまざまな課題はあるにしても、地方で、県でも実証実験をやるべき時期に来ているのではないかと私は思いますが、御所見をお伺いいたします。
〇渡辺地域交通課長 ライドシェア、カーシェアリングを含めた総合的な交通政策についてでございます。
まず、ライドシェアについてでございますが、一般のドライバーが、ガソリン代の実費を超える対価を得て利用客を運送する、いわゆるライドシェアにつきましては、道路運送法に基づく許可を受けずに有償で旅客を運送する違法行為でございまして、国内では導入例がないと承知しております。現時点でライドシェアを含めた交通体系の検討はしておりませんが、今後、国の動向を踏まえまして、随時検討してまいりたいと思います。
一方、道路運送法に基づく交通空白地有償輸送あるいは福祉有償輸送など、地域の移動ニーズに応じた適切な種類の自家用有償旅客運送の導入は必要と考えておりまして、本年4月1日現在、自家用有償旅客運送の登録は、市町村有償運送が11市町村、福祉有償運送が23市町村30団体、交通空白地有償運送が4市町村4団体登録されている状況でございます。
この自家用有償旅客運送でのICT活用については、より効率的な運行や利用者の利便性の向上につながる可能性があるということで、デマンド交通を含めて、今後、先行事例を研究してまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 情報インフラが整備されてCtoC─個人間の電子商取引で結びつながる、そういった時代になっているという認識は持っていると思います。私は、規制があるからできないといった議論をここでする気はありませんが、それでも我々は、決算特別委員会ですから、決算を踏まえての未来を見据えた政策を今後一緒に検討していけたらいいと思っています。
最後に、いわて花巻空港の平成29年度収支は17億200万円の赤字で、維持運営経費のみでは約7億円の赤字ということでございました。国際チャーター便の増減に対応した維持運営費の増などが要因と伺っていますが、今後の需要見込みをどのように捉えられているのか。あわせて、赤字解消に向けて、空港の利用促進を担う交通政策室としてどのように取り組むのかお伺いします。
〇土井尻空港振興課長 いわて花巻空港の今後の需要見込みと利用促進策についてでありますけれども、県では、これまで官民一体となっていわて花巻空港の利用促進に積極的に取り組んできたところでありまして、この間、国内線は、平成22年度に2路線、1日5便まで減少したところでありますが、現在では4路線、1日12便となっております。また、国際線については、チャーター便の実績を積み重ねまして、本年8月に台湾との間で本県初の国際定期便が就航するなど、空港全体の利用者数は震災後7年連続で増加し、平成29年度は44万人余となっております。
台湾定期便につきましては、8月の利用率が70.2%、9月は速報値で75.9%となっておりまして、今後も秋の紅葉シーズンなど、インバウンドを中心に高い需要が見込まれておりますが、さらなる需要喚起と利用促進に向けまして路線や観光資源のPRを強化するとともに、台湾以外の国や地域からの誘致にも積極的に取り組んでまいります。
空港収支につきましては、歳出の主な内容は借入金償還と空港等維持運営費等でありますけれども、歳入における路線誘致のための着陸料の減免や、運航拡大に伴う空港等維持運営費の増加などから赤字が発生している状況と認識しております。
他方で、本県唯一の空の玄関であるいわて花巻空港は、国内外との人的、経済的な交流拠点として、さらには災害拠点として大きな役割を担っており、県内経済や防災の両面において収支上にはあらわれない効果ももたらしているものと考えていることから、引き続き、路線、便数の拡大や利用促進に取り組んでまいりたいと考えております。
〇名須川晋委員長 世話人会の申し合わせにより、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、議事の進行に御協力をお願いします。
〇臼澤勉委員 最後にいたしますが、いわて花巻空港のみならず、今まさに空港間の誘致合戦というか競争が激しくなっていると思います。インバウンド、アウトバウンド、他空港との連携にもしっかり取り組みながら利用促進を図っていただければと思います。
最後に、箱石交通政策室長から取り組みを聞いて終わりたいと思います。
〇箱石交通政策室長 いわて花巻空港を活用したインバウンド、アウトバウンドの誘致拡大、また、他空港との連携等についてでございますが、今回8月に就航いたしましたタイガーエア台湾は、仙台空港、函館空港にも定期便を就航しております。仙台空港といわて花巻空港を合わせますと、実質デイリーで東北を回る多様な旅行商品の造成が可能でございます。先月も仙台市、宮城県の担当者と意見交換をしておりまして、東北、北海道の他空港と連携し、インバウンド、アウトバウンドの利用促進の拡大に努めていきたいと考えております。
〇柳村一委員 関連。ただいまの情報通信基盤の整備と情報通信技術の利活用促進について、通告しておりましたが、関連で何点かお聞きいたします。
目指す姿指数でインターネット普及率の達成度がDということで芳しくなかったと承知しておりますけれども、指標設定の際、平成26年度の北海道、東北の平均まで伸ばすというのが目標であり、達成できなかった理由が、対象となった市町村の利用が低調だったためという調査報告になっております。
先ほど来、ブロードバンドの整備や携帯の不感地域の解消など、インフラの点ではかなり一生懸命やっていますというお話のように聞いておりましたけれども、実際、平成26年度は東北で4番目、全国だと下から5番目という低さでありますし、平成29年度については、全国で下から2番目、鹿児島県に次いで低いというのが現状であります。調査対象市町村の利用が低調だったとおっしゃっていますけれども、平成29年度はインターネット利用状況の推移は全国でも2.6ポイント下がっているわけで、全国的に下がった状態です。ということは対象者の範囲が広がったからということであって、一概に調査対象となった市町村が理由ではないと私は思います。
その中で、基盤整備と一緒に掲げている利活用の促進について、平成22年にICT地域振興支援センターを設置して今までやってきましたけれども、いわてICT利活用促進会議を平成26年までに10回開催しましたが、その後そのような会議は行われていない状況です。先ほど答弁していましたけれども、今年度中に岩手県ICT利活用推進計画(仮称)を策定し、平成31年度から平成34年度までの4年間の計画でやるという話をされていました。でも、その空白の平成27年度から平成29年度までの間、果たして県は利活用の促進に向けてちゃんと施策を講じてきたのか疑問ですので、平成29年度は利活用促進について、どのような事業を展開して、その事業に対する評価はどうだったのかお伺いします。
〇藤田情報政策課総括課長 平成29年度のICT利活用関係の取り組みについてでございます。
平成27年度から平成29年度は確かに計画がない期間でございましたが、この間は、戦略会議と申しまして、大手通信事業者や市町村の方から意見を頂戴しながら、利活用の促進も含めた知見等を頂戴して、それを施策に反映させてきたところであります。
平成29年度につきましては、自治体職員や県民を対象といたしました最新のICT技術に関する展示会の開催や、また、第1次産業における利活用事例の紹介などが必要ということで、セミナーも開催いたしまして、具体的には、モノのインターネットと言われますIoTを活用した水温センサーによる遠隔監視の事例を紹介しながらICTのさらなる普及啓発に取り組んできたところでございます。
〇柳村一委員 インターネットの活用にたけた人は別に何も問題なく使えるわけでありまして、高速ブロードバンド化、不感地帯を解消したといっても、インターネットを活用できない人たちが活用できるような取り組みを県がやっていかなければいけないと思います。総務省の資料によると現時点のインターネット利用者の年齢層は13歳から59歳が9割以上ということですので、この方々がどんどん年をとっていくということは、イコール利用率が上がっていくということですよね。平成29年に初めてスマートフォンがパソコンを上回ってインターネットの活用ツールになっているということと、13歳から49歳の7割以上がスマートフォンを利用しているということは、もはやパソコンの時代ではなく、携帯電話、スマートフォンの時代になってきているということですので、情報基盤整備についても、果たして不感地帯の解消だけでいいのかという部分もあります。
Wi-Fiに関しても、観光分野、防災分野では整備の補助金などがありますけれども、それ以外の分野ではなかなかWi-Fi整備についての補助がなく、民間に頼っている状況ですので、そこら辺も含めて県としてもやっていかなければいけないと思います。
防災分野に関しては、ファイブゼロ・ジャパンということで災害時に公衆無線LANをセキュリティーなしで使える取り組みが熊本地震から始まっておりますので、そういう整備をしっかりやりながら、情報通信技術の利活用について、今後、もっと県民に知らせるべきだと思いますけれども、そこら辺の今後の展開についてお伺いして終わります。
〇藤田情報政策課総括課長 今、委員から貴重な御指摘を頂戴いたしました。やはり、今後の最新技術に対応した取り組みと同時にインターネットも含めた利用を促進しなければならないということもございました。
先ほど申し上げました、今年度予定しております岩手県ICT利活用推進計画(仮称)は、専門家はもちろん、広く県民、関連業界の方からの意見を頂戴しながらつくっております。今いただきました意見もこの計画策定の中に反映させながら、県民、事業者も含めた岩手県でのICT利活用が進むような取り組みを計画し、それを実行することによって政策の目的を達成したいと考えております。
〇佐々木努委員 2点お伺いします。
最初に、ILCの誘致についてでありますけれども、先ほどの臼澤委員の質問と重複する部分がありますので、簡単にまとめて質問させていただきたいと思います。
ILC誘致の政府の決断の期限が年末に迫っていると聞こえてくるわけでありまして、県としても、ラストスパートという形で、誘致に向けてのさまざまな活動、行動を進めていくというお話でした。
その中で、残念なことにこのILCへの理解が本当に深まっていないのではないかという動きも実は出てきているということで、日本学術会議の検討委員会にももう少し慎重にやったいいのではないかという意見書が地元から出されたりということがありました。これについては私も、いいことだけを常に住民の方々にお話しして、リスクとその解決方法について、なかなか自分自身の理解が深まっていない部分があったということを反省しながら、これから年末に向けて、何としてもILCを誘致するという思いを持って、私ももちろんそういう説明をしていきたいし、県にも住民の理解を一層得られるような取り組みをしていただきたいと思います。
年末に向けて、時間がないわけですけれども、さらに住民の意識というか理解を高める、そういう活動をどのように行っていくかということ。
まとめてもう一点、日本学術会議のILC計画の見直しに関する検討委員会の中でも、国民の理解が進んでいないのではないかという指摘がありました。これもまた時間がない中での取り組みになると思いますが、国民に向けてどのような理解の醸成を図る取り組みをされていくのか、具体的な行動の計画があればお教えいただきたいと思います。
〇植野ILC推進課長 まず初めに、県民に対しILCの必要性をどう周知していくかについてでございますが、県では、これまでも講演会やホームページ等を通じてILCの意義や内容について説明し、また、県民の皆様からいただいた質問にもお答えしながら取り組みを進めているところでございます。
この10月には、県内全戸配布されております県政広報誌いわてグラフにILCの特集ページを掲載するなど、積極的に周知を行っております。その特集ページの中では、自然環境への影響や放射線、建設費用など課題となるような部分についても掲載させていただいております。
今後も引き続き、研究の意義や重要性はもとより、さまざまな機会を通じてこれらの内容を説明していくとともに、先日9月24日にILC解説セミナーを開催いたしましたように、疑問と思われることについても県民の皆様に丁寧にお答えして、十分な理解を得られるよう取り組んでまいりたいと考えております。
続きまして、国民に対しどのように理解の醸成を図っていくかについてですが、県ではこれまで、関係団体と連携しながら、ILCサポーターズやILC100人委員会の活動支援のほか、東京で開催されましたシンポジウム、あるいはさまざまな展示会への出展PRなど、広く全国に向けILCの周知、理解増進に取り組んでいるところでございます。
今後、日本学術会議の審議状況も踏まえながらILCサポーターズの拡大を引き続き支援するとともに、東京で開催される東北3県復興イベントへのブース出展や企業誘致イベントへの参加などを通じてILCへの理解と支援を広げる取り組みを行うほか、年末に向けましては、メディアへの働きかけなども強化するなど、ILCの実現に向け全力で取り組んでまいります。
〇佐々木努委員 メディアへの働きかけが非常に大事だと思います。印刷物でこれを読んでくださいと言っても、多くの方に理解をしていただくということは非常に難しい。それだけILCというのは奥が深いものですので、ふだんテレビを見ているときにそういうわかりやすい情報が流れてくるとか、そういう機会をぜひつくってもらうように私からもお願いしたいと思います。
それから、先ほど知事がヨーロッパのCERNに行くというお話がありましたが、私は、それはそれで全く意味のないことではないと思いますけれども、やはり県として、あるいは知事としてまずやるべきことは、外国からの支援を訴えるのではなく─それは科学者や国がやるべきことですから─国内の都道府県あるいは東北の理解を得られるような行動を知事みずからすべきではないかと思います。先日の一般質問で─どなたの質問のときの答弁だったか忘れましたが─北東北3県と北海道が連携してILC推進に取り組んでいくと知事はおっしゃったのですが、この短い期間の中でどのような取り組みを行っていこうとしているのか、あの発言の詳しい中身を教えていただければと思います。
〇植野ILC推進課長 北海道、東北との連携でございますけれども、これまでも、政府、関係省庁に対しまして、北海道、東北6県、新潟県による北海道東北地方知事会として要望活動を行ってきております。6月8日には、村井宮城県知事など関係者とともに菅官房長官など政府、与党の幹部にも面会し、日本政府が早期に前向きの方向性を示すよう要望活動を行ったところでございます。
ただいま委員から御指摘ありましたように、年末までが極めて重要な期間でございますので、北海道、東北各県や東北ILC推進協議会など関係機関と連携いたしまして引き続き新たな要望活動を行うことを検討しているところでございまして、日本学術会議の審議の動向を見ながら対応を進めてまいりたいと考えております。
〇佐々木努委員 このILC計画というのは、岩手県だけではなく、もちろん宮城県もそうですが、東北ILCですから、東北にILCをという理念を掲げて呼ぼうとしているものですから、知事みずから知事会議のときにそういう話をするとか、事務レベル、担当者レベルでそういう話をするということではなく、やはり東北6県を回って、県民に対してぜひこういうものを周知してほしいと、東北が一つになって、ラストスパートに向けて、こういう誘致を進めていくんだという行動を私はとるべきなのではないかと思います。あわせてもちろん中央省庁あるいは国会議員に対する要望も必要ですけれども、そういうことを私はぜひ職員からも提案してほしいと思います。
年内に本当に政府が判断する、私はそう期待していますけれども、これまでも何度も先送りされてきたという経緯があるわけです。しかも検討委員会の家委員長がこの間の会見でなるべく年内に結論を出したいというお話をされたということで、私もちょっと考えたのですが、年を越す可能性もあるかもしれない。あるいは政府の判断ももう少しおくれるかもしれないということを常に想定して、もうこのぐらいの期間しかないのだからこれぐらいしかできないだろうではなく、決定が延びることも想定して、手を抜かないで、ありとあらゆる事業あるいは活動、行動を県のほうでやってほしいと思いますが、室長、所見があればお願いします。
〇佐々木理事兼科学ILC推進室長 日本学術会議の審議動向が気になるところでありますが、まず第1に、学術的な意義は認められるといった文言があり、さらに、課題等はどうかを審議されているところを我々は酌み取るべきと思っています。できれば我々も年内までに日本学術会議に一定の方向性を出してほしいということで、審議の進行に協力していく。
委員がおっしゃった東北一体で広域でILCを実現するということについては、あらゆる手だてを使って政府に向けて要望、行動していきたいと思います。
〇佐々木努委員 よろしくお願いします。
二つ目、最後の質問になります。三陸防災復興プロジェクト2019について質問させていただきます。
このプロジェクトには24のメニューが示されております。初めに、この24のメニュー決定までのプロセスを教えていただければと思います。
〇小野寺参事兼三陸防災復興プロジェクト2019推進課総括課長 三陸防災復興プロジェクト2019のメニュー決定までのプロセスでございますけれども、昨年度にこのプロジェクトの準備委員会を立ち上げ、それから3月に実行委員会総会が開催されたわけでございますが、その準備委員会での検討のプロセスの中で催事をどのような形で行っていくかという検討がなされ、3月にメニュー、基本計画に24の催事を記載させていただいて実行委員会にお諮りさせていただき、そこで御承認いただいたところでございます。
〇佐々木努委員 24のメニューですが、これはどなたが考えたメニューなのでしょうか。
〇小野寺参事兼三陸防災復興プロジェクト2019推進課総括課長 これは、準備委員会と実行委員会の中で関係機関と協議しながら24の催事となったわけでございますけれども、開催の趣旨にございますとおり、懸命に取り組んでいる復興の今をお伝えする、それから防災力の向上に貢献する、それから三陸の多様な魅力を発信して交流人口の拡大に資するといった大きな趣旨に沿って24の催事を関係機関で協議させていただいたところでございます。
〇佐々木努委員 質問が悪かったと思います。どなたのアイデアなのかという質問です。
〇小野寺参事兼三陸防災復興プロジェクト2019推進課総括課長 アイデアといいますか、これはいずれ実行委員会総会で決めたものでございますので、それに尽きるところでございます─回答になっているかどうかあれですけれども。
〇佐々木努委員 私は、どなたが一つ一つのイベント、こういうものをやろうということを提案したのかということをお聞きしているのです。どこで決めたということではなく、どなたがそれを企画してそれを実行委員会に上げたのかということをお聞きしたい。
〇小野寺参事兼三陸防災復興プロジェクト2019推進課総括課長 この実行委員会の事務局は県の政策地域部が担ってございますので、そちらで事務局案をつくってお諮りしたところでございます。
〇佐々木努委員 それでは、事務局の職員が一つ一つのメニューを考えて、それをそのまま実行委員会に上げたということで間違いないですね。
〇小野寺参事兼三陸防災復興プロジェクト2019推進課総括課長 事務局機能を果たすべく、政策地域部がそういう形で作業を進めて実行委員会総会にお諮りしたところでございます。
〇佐々木努委員 もう一回確認します。これは、計画策定をイベント業者に委託したとお聞きしていますが、その業者が考えたメニューではないということで間違いないですね。事務局─県の職員が考えて、それを業者にこういうものをやりたいと。これをやるのでまとめてくれというふうにしたということで間違いないですね。
〇小野寺参事兼三陸防災復興プロジェクト2019推進課総括課長 準備委員会から実行委員会にかけて、基本計画の策定業務を委託しておりますので、そこは業者と一緒になってやっておりますから、一緒になって考えたところでございます。
案としてつくったのは事務局となりますので、全く業者が関与せずに県の独断でということでもなく、そこは一緒になって協議しながら、事務局としてこういう催事のメニューがいいのではないかという提案をさせていただいたところでございます。
〇佐々木努委員 業者に丸投げではないということで理解してよろしいですか。では、そういうことにしたいと思います。
もう少し質問させていただきますが、当初、知事が三陸防災復興博をやりたいということで、これは知事のマニフェストだったと思います。そのときに知事が想定していたもの、あるいは県が─県がと言ったほうがいいでしょうね─想定していたものと、今度は名称が変わりました。復興博からプロジェクトに変わりましたが、当時想定していたものとプロジェクトという形で名称が変更になって今回上がってきたものと、考え方は同じなのでしょうか。
〇小野寺参事兼三陸防災復興プロジェクト2019推進課総括課長 そのような経緯があって復興博からプロジェクトという名称に変わったわけですけれども、いずれ沿岸の現場の声─今、復興の途上であるということで復興の今を見ていただきたいとか、震災の風化を防止したいといった声も踏まえて、やはり博覧会的なものではなく、復興、防災というところにも力を入れて発信していこうということでプロジェクトの名称になったと認識しております。
〇佐々木努委員 そうすると、考え方が変わったということですね。博覧会とプロジェクトとでは私は全然違うものだと思いますし、24の事業を見ても、博覧会とはちょっと中身が違う、ニュアンスが違うというふうに見させていただいたものですから、考え方が変わったということでよろしいですね。
〇小野寺参事兼三陸防災復興プロジェクト2019推進課総括課長 復興博という名称で受けとめられるイメージがいかがなものかという御意見もありましたので、そういうところを踏まえて名称を変更させていただいたところでございます。
〇佐々木努委員 確認までにお聞きしますが、24の一つ一つのイベント、これは実際に誰が主導的に事業を進めていらっしゃるのか教えてください。
〇小野寺参事兼三陸防災復興プロジェクト2019推進課総括課長 今、実行委員会を構成する関係団体の実務者による専門部会等で主に検討を進めております。また、市町村に対しても、市町村連携会議を開催してしっかりと意見交換をして進めておりますし、その中で業務委託もしておりますので、業者の方々と一緒に24の催事の磨き上げをしっかりやっていこうということで、業者の方を交えながら、当課だけではなく、県の関係部局も一緒になって催事別検討チームをつくりまして、案をつくって専門部会にお諮りし、作業を進めているところでございます。
〇佐々木努委員 そうすると、担当課の職員、それ以外に関係する部署の職員、それから業者とでチームをつくってやっている。そこに市町村の職員は入っていないのですか。
〇小野寺参事兼三陸防災復興プロジェクト2019推進課総括課長 催事別検討チームは、県関係部局、それから業者を交えてということでございますので市町村は入っておりませんけれども、先ほど申し上げたとおり、市町村連携会議や催事の検討過程におきましては、沿岸に足を運びましてブロック会議をやって、この催事についてどうお考えになりますでしょうかということで意見を聴取したりしております。そういう形で、個々の催事ごとにも御意見を承って、それを反映させるようにということで今、作業を進めていっているところでございます。
〇佐々木努委員 そうすると、市町村と県が一緒になってやっていく、当初はそういう計画でありましたが、実質、このイベント一つ一つについては、県と業者が計画をまず練って、最終的に市町村は意見を聞くだけということでいいわけですね。
〇小野寺参事兼三陸防災復興プロジェクト2019推進課総括課長 いろいろな局面で私も4月以降、13市町村の首長とお会いしていますし、その後、市町村の担当課としっかりとディスカッションしております。基本計画の段階からどういうふうに催事を煮詰めていったらいいかというあたりはしっかりと市町村の意見を伺っているつもりでございます。決して独断専行でこれを進めているものではございませんので、ぜひそういうところは御理解をいただければと思います。
〇佐々木努委員 独断でということを言っているのではなく、市町村の協力が得られるのか実は心配しているわけです。計画段階で市町村の職員が入っていないということは、実際にそのイベントが始まったときにどれだけ市町村の支援が得られるのか。もし得られないと、今度は県職員総動員で長い期間やらなければならないという心配を私は持っていて、本当に県職員だけで、大丈夫だろうかと。そんなに人がいるのだろうかと非常に心配するわけですが、その辺の市町村とのやりとり、考え方というのはどうなっていますか。
〇小野寺参事兼三陸防災復興プロジェクト2019推進課総括課長 先ほども御説明いたしましたけれども、催事ごとに例えばブロック会議をやって意向を承ったりということでやっていますので、これでいけそうですねというあたりは市町村としっかり意思疎通をしているつもりですけれども、足りない部分がもしかしてあったとすれば、そこはやはり今後しっかりと作業を進めていかなければならないと思っております。
先日、新聞報道ですが、釜石市から、このプロジェクトに関して、会期中に釜石市としても市がやっているイベントを寄せて一緒に何かやっていきたい、考えていきたいというようなこともおっしゃっていただいていますし、首長の御意見としても、復興の今を伝えるとか、あるいは交流人口の拡大に資するということで歓迎する声もいただいておりますので、ぜひそういうことで今後とも連携をとってやってまいりたいと思っております。
〇田村勝則委員 午前中最後の質問になると思いますが、簡潔に3点質問してまいりたいと思います。
まず、達成度Dのインターネット利用率についてお伺いしたいところでありましたけれども、先ほど臼澤委員、柳村一委員からの質問とも重複するところがございますので、1点だけお伺いしておきたいと思います。
県は、電子県庁の構築ということで、情報基盤の整備、あるいは情報通信技術の利活用の促進などを進めております。私が持っている、例えば平成17年度あたりからの資料によりましても、かなりそういう意味で経費の節減等にも取り組んで、現在もそのような経過の中でさまざまな事業を進めていると私は承知しております。
こういう時代でございますから、インターネット利用がさらに促進していくのはもう当たり前のことですけれども、残念ながら、総務省が調査した対象の市町村─5市町村でしたか─が低調だったということであります。お二人の質問への答弁ではどこかというのはありませんでした。もしよろしければ、一体どういう市町村であったのかお聞きしておきたいと思います。
〇藤田情報政策課総括課長 インターネット利用率の対象の市町村でございます。
この調査は、五つの市町村を総務省が任意に抽出して、任意に抽出した市町村の中からさらに合計で810名の方が対象となったもので、盛岡市、北上市、奥州市、一関市、山田町の5市町となっております。
〇田村勝則委員 先ほどの答弁にもありましたが、普及のために引き続き努力していただきたいと思います。
次に、いわてモバイルメールについてお伺いいたします。
いわてモバイルメールは、防災、災害情報や観光情報等の行政情報を電子メールで配信するサービスであります。広く県民に利用されていると承知しておりますが、その状況をまずお聞きしたいのと、関連して、去る10月1日、台風第24号に係る気象庁の気象警報解除を知らせるメールについてでありますが、気象警報が解除されてから大幅におくれて受信された方がいると聞いております。県はこのような事案を把握しておられるのか。把握している場合には、その原因についてもあわせてお聞かせいただきたいと思います。
〇藤田情報政策課総括課長 いわてモバイルメールの関係でございます。
まず、1点目でございますが、このモバイルシステムは、いろいろなジャンルからの登録が可能となってございます。例えば防災、災害の情報を登録すると、登録された方々に一斉にメールが流れるというシステムでございます。防災、災害のジャンルや市町村のお知らせ等々がございまして、中身として193のコンテンツがシステムの中で情報発信されておりまして、延べ登録者数は約31万人となってございます。
2点目のメールの遅延の話でございますが、10月1日未明の台風第24号関係で気象庁の気象警報解除をお知らせするメールがおくれたことは私も確認しております。最大で約10時間の配信のおくれとなっておりまして、本メールシステムを御利用された方々に御迷惑をおかけして大変申しわけないと考えております。
配信がおくれた原因は大きく三つございます。
このシステムは、先ほど申し上げました気象警報に関する情報にプラスして河川の水位情報や市町村独自の防災情報などを付加していて、短期に集中的に配信する状況になりますと、どうしても情報を流すのに時間を要することが1点目でございます。
2点目でございますが、これはセキュリティーの確保にも関連しておりますが、ユーザーが持っておられる携帯電話の会社のシステムが、同時に多数のメールが配信されると迷惑メールと察知してメールが送れなくなるということがございまして、このシステムは、それを回避するため意識的に一定の配信間隔をあけて送っているということがございます。
3点目は、そもそものインターネット回線の速度が今回のような多数の情報を流すのに見合った速度ではなかったということでございまして、これらの要因が重層的と申しますか、ふくそうして残念ながら生じた事案と考えております。
〇田村勝則委員 193のコンテンツがあるということで、いろいろ重層的な要因を今お話しいただきました。それらの課題を踏まえて、それでもやはりこれからの情報時代でございますから、非常に貴重な情報源であると思います。その対策等についてお聞きしておきたいと思います。
〇藤田情報政策課総括課長 先ほど申し上げた事案の発生を受けまして、今、利用登録者数や配信するコンテンツがふえているという現状がございますので、そもそものメール配信能力、キャパシティーがこれでいいかということについてシステム構成の見直しが一つ目の課題。もう一つは、インターネット上で電子メールを送るという性格があるものですからどうしても配信に時間がかかるということもございますので、配信方式の見直し、大きくこの二つの課題があると考えております。
これは委員からお話ありましたように有用なシステムと思っておりまして、当面、メール配信サーバーへ接続するインターネット回線の速度を引き上げることをまずやりまして、今回のような事案をできるだけ回避するように措置したいと考えております。
〇田村勝則委員 3点目の質問に入りたいと思います。
昨日でしたか、財政の効率化という観点で私、総務部でも質問したわけでございます。あわせて、情報システムの改善の観点から、財政の効率化にもかかわってくるわけでありますけれども、クラウド化を政府も率先して進めているようでありますが、岩手県としても積極的に取り組んでいくべきではないかと思います。当然デメリットもあるわけですけれども、メリットについて申し上げれば、おわかりのとおり─釈迦に説法になると思いますけれども─クラウド化によってサーバーが不要になる、あるいは投資リスクの軽減になる。常に最新でメンテナンスが要らない。四つ目には、導入や維持に関する担当者の負担軽減ということもあるようであります。そういう意味で、岩手県もしっかりと研究、検討を重ねながら取り組んでいただくべきと思いますが、いかがでしょうか。
〇藤田情報政策課総括課長 情報システムのクラウド化の御質問でございます。
説明させていただくと、そもそもクラウドというのは、情報システムを庁舎ではなく外部センターにおいて管理、運用してネットワーク経由で利用するものでございまして、委員御指摘のように、セキュリティーレベルの向上や災害に強い基盤の構築、また、システムの運用コストの削減等の効果が期待できるということで、国におきましては、世界最先端デジタル国家創造宣言ということで、2023年度までに全国の約9割の地方自治体での導入を目指すとされているものでございます。
こうした中、県内では、二戸市、一戸町、一関市、陸前高田市などが平成30年9月1日現在で単独でのクラウド、もしくは複数の市町村が共同で行う─自治体クラウドと私どもでは呼んでおりますが、それも含めまして17市町村で導入されている状況でございます。委員からお話がありましたように、県もこれを積極的に進めなければならないということで、市町村に対するクラウドの有用性の周知や導入に向けた支援が課題と考えておりまして、9月には専門家をお呼びしてクラウド導入に向けたセミナー、また、国の支援制度を活用して市町村へ専門アドバイザーを派遣するといったことをお話ししながら、県内市町村におけるさらなるクラウドの導入促進を図っていく考えでございます。
〇田村勝則委員 自治体でも、17市町村がもう既に取り組んでいるという状況もございます。県としても、この事業を進めることによってコストの削減ができます。内部のいわゆる働き方改革にも資する、そしてまた、県民も情報を早期に受け取ることができるわけでございます。三方全部よしということになるわけでございますから、しっかりと新年度においても取り組んでいただきたいと思いますが、再度その点をお聞きして終わります。
〇藤田情報政策課総括課長 委員からクラウドの有効性というお話を頂戴いたしました。ありがとうございました。
県といたしましても、平成31年度に向けまして市町村における導入がさらに進むように努力してまいりたいと思いますので、引き続きどうぞ御指導をよろしくお願いします。
〇名須川晋委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午前11時53分 休 憩
午後1時2分再開
〇福井せいじ副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
委員各位及び執行部に申し上げます。この後、本日審査を予定している部局について、延べ15人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
質疑を続行いたします。
〇佐々木朋和委員 まず、広域的なバスについてお伺いしたいと思います。
午前中にも議論があったところでありますが、今、国では広域的なバス─市町村を越えて運行しているバスですけれども、平均乗車密度5以上、県では4以上を要件に補助を行っています。こちらの主要施策の成果に関する説明書の181ページ、政策項目ナンバー41の公共交通の維持・確保と利用促進の具体的な推進方策指標は、平成30年度を県の補助要件である平均乗車密度の4.0を目標にしているわけですけれども、平成29年度は3.4で、平成26年度の3.8から下降傾向にあるところでございます。
現在は、被災地特例の激変緩和措置によって、沿岸被災地だけではなく県内全域がカバーされておりまして、これによって内陸も含めて補助要件が緩和されているわけですけれども、終了した場合、国、県の補助要件を下回る路線はどの程度あるのか、まず伺いたいと思います。
〇渡辺地域交通課長 被災地特例や激変緩和措置の終了によりまして補助要件を下回る路線についてでございますが、激変緩和措置を含む被災地特例の対象となっておりますのは、平成29年度の実績で申し上げますと、国庫補助路線で47路線中16路線、県単補助路線で17路線中9路線、合計64路線中25路線となっておりまして、仮に被災地特例が終了すると、これらの補助が対象外となる可能性がございます。
〇佐々木朋和委員 この被災地特例、激変緩和措置について、国からはいつまでと言われているのでしょうか。
〇渡辺地域交通課長 被災地特例につきましては平成32年度まで、激変緩和措置については当面の間とされておりまして、いつまでということは示されてございません。
〇佐々木朋和委員 午前中の質疑では、被災地のまちづくりが終わるまではと要望していただいているということでございますけれども、やはりこの計画について、平成32年度を目途に次の形を検討していかなければいけない状況に今あると認識しております。
そのような状況の中で、各路線の検討状況と県の地域公共交通網形成計画の検討状況はどうなっているのか伺いたいと思います。
また、岩手県内、全国もですけれども、人口減少の状況にあるわけですから、それに鑑みて、県として、この平均乗車密度4以上という要件を緩和していくような検討はしているのか、あわせて伺いたいと思います。
〇渡辺地域交通課長 三つ御質問を頂戴いたしました。
まず、1点目でございます。各バス路線の検討状況についてでございますが、補助路線につきましては、路線ごとにバスのあり方検討会を開催しておりまして、これは国、市町村、バス事業者で構成しておりますが、ここで利用促進策や路線の見直し等の検討を行っているところでございます。
今年度につきましては、地域公共交通網形成計画の策定もありますことから、再編されたばかりの一部の路線を除きまして、おおむね全ての路線について検討することとしており、現在までに30路線について検討を実施しております。
今後、残りの路線について検討を行いながら、その検討結果を地域公共交通網形成計画に反映していきたいと考えております。
二つ目の地域公共交通網形成計画の検討状況でございますが、持続可能な地域公共交通体系の構築に向けまして、昨年度開催いたしました検討会議の結果を踏まえて、今年度、地域公共交通活性化協議会─これは、法定協議会でございますが─を設置して、地域公共交通網形成計画の策定を行うこととしており、4月中旬に第1回目の協議会の地域別部会を、そして、4月下旬に本体の協議会を開催し、協議会や地域公共交通網形成計画の制度概要あるいは今後の進め方について、協議をしたところでございます。
計画の策定に当たりましては、各市町村の意向を把握することが必要と認識しておりまして、春から夏にかけて、全ての市町村に個別訪問し、意見交換を実施したところでございます。9月中旬には沿岸地区を除く3地域について第2回目の協議会の部会を開催いたしまして、地域公共交通網形成計画の骨子案や地域ごとの現状、課題、方向性について議論を行ったところでございます。10月までに第2回目の沿岸地域の地域別部会と第2回目の本体の協議会を開催したいと考えております。
三つ目の補助要件緩和の関係でございます。県単補助事業の補助要件につきましては、平日に1日1往復以上、それと、平均乗車密度4人以上となっておりますが、1日1往復以上については、これ以上の緩和は難しいと考えておりまして、また、平均乗車密度につきましても、公共交通機関であるタクシーとの役割分担も考慮しまして、バスにつきましては、タクシー以上の乗車人数とする必要があるとの考え方から、4人以上という要件を設定しているものでございます。
被災地特例を除き、この要件の緩和は、現時点では難しいものと考えております。
〇福井せいじ副委員長 執行部に申し上げます。答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
〇佐々木朋和委員 済みません、三つ聞いてしまいました。
要件緩和は難しいという答弁でしたけれども、やはり広域的なバスの利用者は、町村を越えて高校に通うとか、あるいは地域にその診療科がなくて病院に通うとか、そういった方々が多いのではないかと思っております。そういった調査もしていただきながら、全部が全部要件緩和ではなくても、県の政策として、その中でやはり必要だというものは、私は残していかなければいけないと思いますので、その点も含めて、今後の地域公共交通網形成計画の中でしっかりと議論していただきたいと思います。
そういった中で、平均乗車密度が4以下の部分はタクシーとのすみ分けということもあるのでしょうけれども、そうすると、やはり今度はデマンドタクシー等の、デマンド交通への転換も考えていかなければいけないと思いますし、午前中の質疑でもそういったやりとりもありました。
今後、この広域的なバスが、補助要件に至らずにやむなく廃止となった場合でも、市町村はこれからコミュニティーバスやデマンドタクシーとして運行継続を図らなければならない状況になってくると思っております。
地域内の公共交通として残していくといったときに、現在では、地域公共交通活性化推進事業費補助で、導入時の実証実験に対する補助はあるものの、運行については8割が国からの特別地方交付税で措置されるとされているのですが、ほかの特別地方交付税と一緒になってしまっておりまして、市町村においては、導入に二の足を踏んでいる状況にあると認識しております。
また、国の地域内フィーダー系統確保維持国庫補助金は、要件が厳しく、デマンドタクシーなどで、本県で採択された事例はないと聞いております。
県は現在、地域公共交通網形成計画の中で地域内公共交通についてどのような検討を行っているのか、また、県として補助制度を創設するべきではないかと思います。もう一つ、地域の住民の皆さんからも、高齢化が進む中で、バス停よりも近いところに来られるデマンド型の乗り合いタクシーを要望する声が多くなっていると聞いております。そういったものへシフトチェンジしていくために補助を厚くしてはどうかと考えますが、御所見を伺いたいと思います。
〇渡辺地域交通課長 地域内公共交通についてでございますが、地域公共交通網形成計画における地域内公共交通の検討につきましては、本県においては、市町村をまたぐ幹線路線については県が、そして、地域内公共交通を市町村が、それぞれ分担して維持、確保に取り組んでおります。
現在、県において検討しております地域公共交通網形成計画は、主に幹線路線について策定することとしておりますが、幹線路線とそれに連なるコミュニティーバスなどの市町村内の公共交通網を一体的に捉え、効率的で利便性の高い持続可能な交通ネットワークに再編することが重要と考えております。この基本認識に立ちまして、まずは、市町村の考え方をお伺いするということで、先ほど申し上げましたとおり、全市町村と意見交換をしたところでございます。
補助制度の創設あるいはデマンド型乗合タクシーへの補助の拡充ということでございますが、委員御指摘のとおり、地域内公共交通の運行に対しましては、8割の特別地方交付税措置あるいは地域内フィーダー系統補助の制度がございます。また、県におきましても、アドバイザーの派遣や地域交通活性化推進事業費補助などによりまして、コミュニティーバスやデマンド型交通の実証運行への補助を行っているところでございますので、県と市町村の適切な役割分担ということで、引き続き、こういった形で市町村を支援してまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 今、役割分担という話がありましたけれども、幹線路線あるいは広域的なバスの利用率を上げるためにも、やはりそれにつながる路線は大事だと思っております。今の前段の話で、平均乗車密度4の補助要件を下げられないというのであれば、その部分については、この乗り合いタクシーなど、デマンド型交通への補助を県としてやるべきではないでしょうか。
今、市町村では、私が申し上げたような不安があって、そこに踏み込めないでいるということです。今のまま3年たてば、激変緩和措置がなくなってしまったり、また、被災地特例が終わってしまうわけですから、今のうちにそちらへ移行させるような施策を県としては打っていくべきだと思います。もう一度伺いますが、いかがでしょうか、そういった考えはありませんか。
〇渡辺地域交通課長 委員お話のとおり、確かに、幹線路線バスがどんどん縮小すると、交通空白地域をつくらないために、市町村はコミュニティーバスあるいはデマンド型交通へと切りかえる必要があるということで、市町村の負担がふえるという現状も承知しております。
ただ、繰り返しになりますが、制度としては、8割という他の交付税に比べて高率の交付税措置があること、そして、県としてはその導入に際して補助をしているということもございますので、当面は、これで市町村に対する支援を行ってまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 それでは、部長にお聞きしたいと思います。今の議論を聞いていただいたと思うのですけれども、今だからこそ、被災地特例が終わってから、どうしましょうでは、やはり住民の不安は大きくなると思います。市町村としては、今8割が特別交付税措置されているといいながら、それが見えづらい状態になっている。これに災害なんかがあったりすると交付税は合算されて来るわけです。そういった状況で、またデマンド型乗合タクシー等はどのぐらいの必要があるのかという、維持管理にも増減があって市町村としてもなかなか計画を立てにくいところがあると思います。
私はそこに一歩、財源がないのであればそれはしようがないと思うけれども、平均乗車密度4.0で補助で出していたところが、これからの人口減少によって補助をしていた部分が減るのですから、その部分を当て込んでいけばいいのではないかという提案なのですけれども、いかがでしょうか。
〇白水政策地域部長 非常に重要な御指摘をいただいたと思っております。私も、個人的な経験で恐縮でございますけれども、市町村役場に6年ほど幹部でおりましたので、その中にいるときにも、やはり山間地を回りますと、デマンド型交通とかコミュニティーバスの支援をぜひということの要望を聞いてきた人間でございますので、特に特別地方交付税の措置が8割といっても、全体になってしまってよくわからないということも、皮膚感覚でわかっておるつもりでございます。
まず、財政につきましては、特別地方交付税措置も8割なのですが、財政力指数によって措置がされていないということもあったりしますので、そもそも8割でいいのかということもございますけれども、そこは、引き続き国にはしっかり言っていきたいと思います。それから、国土交通省の補助になると思うのですが、地域内フィーダー系統補助ということで、そこの制度についてもしっかり言っていきたいと思います。
岩手県は、特に山間地が多く、非常に広うございますし、私もまだ全部の視察はできてございませんが、まず、しっかり実情を把握していきたいと思っております。
いずれにいたしましても、委員の御指摘も踏まえまして、市町村の状況や意見をまずはしっかり聞いて、どのような対応が可能かどうかは研究、検討してまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 よろしくお願いしたいと思います。
次の質問に移ります。ワールドカップ2019釜石開催、津波伝承館等の二次交通の整備について伺いたいと思います。
総括質疑でも少し触れさせていただきましたが、来年は、3月のJR山田線の三陸鉄道への全線移行、4月から6月のJR東日本の重点販売地域指定、6月1日から8月7日までの三陸防災復興プロジェクト、ワールドカップ2019釜石開催、それにあわせたゲートウエーとしての津波伝承館のオープンという、沿岸地域でさまざまな観光に資するようなイベントが開催されます。
三陸鉄道を含めて、私は公共交通利用促進のチャンスであるし、二次交通の整備は、集客や周遊を促すことにも必須だと思っております。現在の検討状況はどのようになっているのか伺いたいと思います。
〇渡辺地域交通課長 ラグビーワールドカップ2019釜石開催などを踏まえました公共交通の利用促進についてでございますが、ラグビーワールドカップは、一度に集中して多数の来場者が見込まれることから、公共交通とあわせて、その個別のイベントに対応した輸送計画が必要でございまして、現在、実行委員会において、輸送計画等の検討が進められているものと承知してございます。
なお、個別の対応に合わせた公共交通の果たす役割も─個人のお客様ということですが─大きいと考えられますので、内陸のJR線から接続する三陸鉄道や盛岡から沿岸部へのバス路線をPRして、利用促進に努めてまいりたいと考えております。
また、こうしたビッグイベントにつきましては、来年3月に山田線が移管され、南北一貫運行を行う三陸鉄道にとりましても、利用促進に向けた大きなチャンスと認識しております。大量輸送という鉄道の特性を生かしながら、イベント当日の交通輸送に協力するとともに、三陸地域を周遊する観光客の足として利用が促進されるよう、観光施設との連携による企画切符の販売あるいは他の公共交通機関との連携による周遊パスの販売など、三陸鉄道でも検討しているということでございますので、県としても、こうした三陸鉄道の取り組みを支援してまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 総論を言っていただきましたけれども、これから交通計画を立てていくということでありましたが、ぜひ、もう少し細かく、しっかりとやっていっていただきたいと思います。
やはりラグビーワールドカップもそうですけれども、津波伝承館については、内陸からのアクセスが重要になってくると思っております。それを生かすためにも、私は、新笹ノ田トンネルの整備が何としても必要だと思うわけでありますけれども、その点は県土整備部で詳しく申し上げさせていただきたいと思います。
時間もありませんので、地上デジタル放送の難視地域について御質問させていただいて、終わりたいと思います。
一関市においては、国の制度を使いながら、中継所の整備、共同受信施設の新設などの対策を講じてきましたけれども、現在でも50世帯でワンセグ波による視聴を余儀なくされております。このような世帯が県内でどれほどあるのか、県は把握しているでしょうか。
〇藤田情報政策課総括課長 ワンセグ波による視聴の関係でございます。平成27年3月までに地上デジタル放送への移行に伴う難視対策については、国と放送事業者において完了ということにはなっております。
委員御指摘の一関市における状況でございますが、私どもも、市からの要望などによって状況は把握しております。ただ、そのような状況が県内にどれぐらいあるかということにつきましては、地上デジタル放送を所管している総務省においても把握されていないと聞いておりまして、また、県としても把握していない実情にございますが、一関市からさらに状況をお伺いしながら、詳しい実態を把握するように努めてまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 平成27年3月で日本国民はみんな地上デジタル放送を見られることになっているということだと思うのですけれども、実際にはなっていなくて、一関市では50世帯あると。もしかしたら県内でもそうした世帯があるのではないかと思うのですけれども、この点については把握をしなくてもよろしいのでしょうか。これからそういった調査等をするつもりはないのでしょうか。
〇藤田情報政策課総括課長 今、委員から御指摘がありました一関市の事例をまず聞いて、実態を把握して、それから県内での調査が必要かどうかを検討したいと考えております。
〇佐々木朋和委員 これから一関市の実態調査もされるということですけれども、ぜひ、それはやっぱりもう少しフットワークを軽くやっていただきたいと思います。これまでの委員からの質疑の中でも、インターネットの普及が不可欠だ、これからはそういった時代だと言いながら、地上デジタル放送も見られないところがあるのはいかがなものかと思っております。
その中で、テレビの共同受信施設維持管理費の負担、また老朽化に伴う施設改修ということも大きな課題になってくるということでございます。今見られているところでも、老朽化したものを改修できなければ、さらに見られなくなってくるということでありますけれども、この課題をどのように認識していらっしゃいますでしょうか。
〇藤田情報政策課総括課長 テレビの共同受信施設で、私どもが把握しております51世帯以上をカバーする施設は、ことしの9月時点で、27市町村において355カ所設置されていると把握しております。
これらの施設は、地域の組合員の皆様の負担により維持管理されており、また、整備から時間がたって、施設の改修が委員御指摘のとおりに必要になっている施設も一定程度あるものと考えております。この共聴施設の維持管理費の負担でありますとか老朽化への対策が重要な課題でございます。
県といたしましては、これまでも国に対しまして、県独自の政府予算要望でありますとか全国知事会を通じての要望ということで、維持管理及び老朽化に伴う設備の更新に対する支援制度の創設等を繰り返し要望しております。
また、市町村が共聴施設の改修や更新に対して補助を行う場合に、これは広域振興局との相談になりますが、地域経営推進費による支援も可能となっております。
いずれにいたしましても、今後とも市町村と連携いたしまして、これらの共聴施設の実情の把握、そして、まずは国に対しての必要な支援制度の創設について、粘り強く対応してまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 最後にしたいと思います。今、国にも要望していただいているということでしたけれども、その反応はいかがでしょうか。どういったような検討を国でしていただいているか教えてください。
〇藤田情報政策課総括課長 今、県独自の政府予算要望、また、全国知事会の中での要望という話をしましたが、残念ながら、国の対応は、基本的に受益者負担、利用されている方の負担という考え方が強くあるようでございまして、この考え方を崩していくことをいろいろな角度で攻める─攻めるというのは失礼でございますが、提案も含めてやっていく必要があると考えております。
〇柳村一委員 関連。通告していた二つ目も出てしまったので、関連で質問したいと思います。
公共交通の維持、確保についてですけれども、今までさまざまな議論があって、現状の維持、確保はもう難しいのではないかと皆さんもお思いでしょうが、8割の特別地方交付税があるから新しいものをやればいいとか、そういうものではないと思います。
県も、平成30年度から、政策地域部交通政策室を設置して、真剣に取り組もうとされておりますけれども、市町村とちょっと温度差があるのではないか思います。というのも、今までは市町村は県、国から補助を得てバス路線を維持するのでやっとということだったのですが、維持しても、利用者がいないということは、もう維持できない状態であるということです。現に、地域別部会を4地域に分けてやられているのでしょうけれども、県北地域で計画をつくっている市町村が入っていないということで、県と市町村の公共交通に関する考え方がちょっとずれてきているのではないかと思うのですが、そこら辺の認識はあるでしょうか。
〇渡辺地域交通課長 今年度、県で策定いたします地域公共交通網形成計画の土台となっております法定協議会については、本体については、広域振興局ごとに2市町村ずつ入っていただいておりますが、地域別部会については、全ての市町村に入ってもらって検討しております。
温度差というお話でございますが、確かに、市町村を回っておりますと、担当者が二、三年でかわることもあったり、あるいは、担当者1人で交通の担当をしているようなところもありまして、確かに温度差があるとは思います。
県としても、市町村にもしっかり意識を持ってもらうため、新任の担当者研修会なども開催しております。首長とか上の方々は、交通に対して結構強い認識を持たれておりまして、いろいろな御意見をいただくことがあるのですが、担当者レベルでは、まだ意識が薄いところも若干あるかなというところもございますので、そういったところも引き上げながら対応してまいりたいと考えてます。
〇柳村一委員 確かに、首長は、直接懇談会とかで住民の意見を聞くので意識が高いと思いますが、例えば市町村で専任の担当職員を置いているところは五つぐらいだと思うのですけれども、少ない職員でいろいろな施策をやっていかなければいけないときに、交通の専任担当を置くというのはなかなかできないと思います。
計画自体も、策定済み、策定中、策定予定を、全部合わせても16市町村となっていて県の半分の市町村しか計画が立てられない状況でありますので、今後、県としても、市町村を牽引する形で、先ほど市町村内は市町村で、広域は県でとすみ分けてやっているとおっしゃっていましたが、交通というのはつながるのです。道路は全部つながっているのですから、あなたの市町村の中はあなたがやりなさいということではなくて、やっぱり交通はつながってこそ生きていくと思いますので、そこら辺は、県が主導をとってやっていただきたい。
それから、広域公共交通活性化検討会議の取りまとめの中で、四つの強化するべきことが書かれているのですけれども、交通事業者に対しては地域に密着した企業として活躍してほしいとなっていますが、実際問題、今まで交通事業者は、補助金であったりとか、そういう既得権益に守られて営業してきたので、もう少し企業努力をするべきだみたいなことを県からも要請してほしいと思います。
利用者については、逆に、地元住民の意識改革をしようとなっていますが、利用者は、利便性がよければ使うし、そうでなければ使わないわけです。意識改革をして不便なものを使ってくれということはおかしな話でありまして、やっぱり使う人にとって使い勝手がよくなるような交通政策をするように、県が主導となって市町村に協力してほしいと思いますけれども、最後に、そこを聞いて、終わります。
〇渡辺地域交通課長 ただいま委員から御指摘いただいた点については、全くそのとおりということで認識しております。市町村と本当にしっかり連携をしながら、この地域公共交通網形成計画が、よりよいものになるように取り組んでまいりたいと思います。
〇ハクセル美穂子委員 私からは、まず最初に、いわてへの定住、交流促進についてお聞きしたいと思います。
決算書の中では、いわてへの定住・交流促進事業費ということで、政策地域部の予算にもある部分ですが、この定住と交流に関するいろいろな事業が行われていますが、平成29年度はどういった部分でこれが促進されたのか、そういった成果の部分について、まず、お聞きしたいと思います。
〇菅原地域振興監 移住、定住の取り組みについてでございますけれども、移住、定住につきましては、平成27年度に岩手県ふるさと振興総合戦略を策定し、その一環といたしまして、ふるさと移住・定住促進プロジェクトを掲げているところでございます。
このプロジェクトに基づきまして、市町村や関係団体等と連携した全県的な推進体制の整備あるいは首都圏での移住相談窓口を設置するとともに、移住専用ホームページやパンフレットでの一元的な移住情報の発信、首都圏での移住相談会の開催、また、移住者をコーディネーターとした移住体験ツアーの実施など、市町村や関係団体と連携したさまざまな取り組みを積極的に行ってきたところでございます。
また、移住の前提となる魅力ある地域づくり、あるいは移住者の受け入れ環境の整備につきましては、地域の役割が重要であるという考え方のもとに、県では、NPOなどの地域団体が行う移住、定住の促進に資する取り組みに対する補助を行っているところでございます。
さらに、地域に根差した被災地の復興を推進するために、国の復興支援員制度を活用いたしまして、いわて復興応援隊の配置でありますとか、市町村での活用が拡大してきている、地域おこし協力隊を対象といたしました研修会の実施など、活動終了後の定着を見据えた支援を行っているところでございます。
市町村におきましても移住、定住の取り組みを拡充してきておりまして、市町村や関係団体等と連携した取り組みの結果、平成29年度の移住者数は1、346人と目標を上回っており、一定の成果があらわれているものと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 さまざまな取り組みをされてきて1、346人、これは1年ではなくて、何年ぐらいの合計で1、346人の移住者になっているのかお聞きしたいと思います。
〇菅原地域振興監 移住者につきましては、県独自の捉え方でございますけれども、こちらは、ハローワークを通じて県外から就職された方でありますとか、市町村の窓口を通じて移住された方を積み上げたものでございます。これらを積み上げた結果、平成29年度に移住された方が1、346名となっているものでございます。
〇ハクセル美穂子委員 ハローワーク等を通じて積み上げたということは、必ずしも移住かはわからない方、例えば、仕事で岩手県に転居されて、仕事でまた帰るかもしれない方も含まれた上で、この1、346人という認識でよろしいですか。
〇菅原地域振興監 例えば転勤等で異動された方はハローワークを通じませんので、県外からハローワークを通じて新たな仕事を見つけたという方については、移住者として捉えることができるのではないかという考え方であります。
〇ハクセル美穂子委員 わかりました。
その中で、東京で移住、定住の窓口もやられていると思いますが、いわて暮らしサポートセンターですとかUターンセンターに、移住、定住の相談に来てくださる方々の中で一番ハードルとなっている部分をどのように捉えられているか。移住するためのハードルとなっている部分は何なのかということについて、研究はされているのでしょうか。
〇菅原地域振興監 相談者の傾向を見ますと、Uターンにつきましては、やはり仕事ということになりますし、Iターンにつきましては、田舎暮らしの自然環境でありますとか、もちろん仕事もありますし、あと、自分の趣味を十分に生かせるような暮らしということでさまざまなニーズがありますので、Iターンにつきましては、伴走型で、さまざまなニーズを伺いながら支援をしていく必要があると考えております。
また、このようにニーズが多様であることと、移住先を決めかねているような方につきましては、やはりさまざまな情報を提供して、マッチングをするまでに時間がかかるというようなことがございますので、きめ細かな支援を継続してまいりたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 移住をするというのは、人生の中でも最大の決断にかなり近いような大きな決断をしなければなかなかできないことだと私も思っています。移住のためのサポートセンターの皆さんも頑張っていらっしゃることはよくお聞きしていますし、ツアーなどで雫石町にも来られたりしているのは、私も知っております。
移住政策を考えたときに、いろいろ先進的にやっていらっしゃる県などもあるのですが、住む場所よりは、どちらかというと、仕事が重要で、仕事を見つけて、住む場所も見つけてというとハードルが高くなるのですが、これからはもうちょっと視点を変えて、仕事はかえずに、働く場所をかえるというような取り組みを国でも推進しています。
そういったテレワークとか、あとサテライトオフィスなど、子育て期のちょうど1人目を産んで、2人目までどうしようかなと迷っていらっしゃる方々などが、例えば地方で、仕事はかえずに住む場所をかえて、そして、一番忙しい時期を、ちょっとゆっくりした環境で生活をしていくというような場所の提供も、この移住、定住支援のほうに入ってくるのではないかと思うのですが、今後そういう取り組みをしていくような考え方はあるのでしょうか。その点についてお伺いします。
〇菅原地域振興監 ICTを活用したサテライトオフィスの設置あるいはテレワークということは、働く場を問わない地方への移住を促進するための有効な手段の一つということで認識しております。
県内におきましても、例えば、大船渡市のテレワークセンターを整備いたしまして、都市部のIT企業、ITの技術者の誘致をしている例でありますとか、八幡平市のプログラミングを学べる講座、スパルタキャンプと言っているようですけれども、プログラミングの技術を習得できる講座と、あわせてシェアオフィスを整備して、そこでの起業家の支援など、特徴的な取り組みが行われている例がございます。
このような市町村の取り組みにつきましては、移住を促進するための有効な手段であり、受け入れ環境の整備が重要でございますので、このような取り組みを市町村とも共有しながら、連携して取り組んでまいりたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 秋田県などでも、今度、テレワークの取り組みを進めるということもお聞きしていますし、先進地の徳島県では、IT企業と連携しながら、企業の福利厚生の一部として、地方で生活をしながら仕事もするというようなオプションを、社員の皆さんに与える取り組みをされております。
仕事も全部かえて岩手県にぜひ来てくださいというとハードルが高いのですが、仕事はそのままだけれども、移住というか居住地を岩手にしてもらう。そのうち岩手県を気に入ってもらって、定住してもらえれば、それもまたいいことですし、3人ぐらい子供を産んでいただいて、そこから東京に戻ったとしても、全国的な出生率の向上には役立つ部分もあるかと思いますので、新しい視点で、またさらに取り組んでいただきたいと思います。
次に、いわてまるごと売込み推進事業費と北いわて若者・女性活躍支援事業費について、まとめてお聞きしたいと思います。
いわてまるごと売込み推進事業費は、まるごとプロモーションモデル事業と黄金の國、いわて。プロモーション事業とプロモーション事業が二つ並んでいるような事業ですが、これは、いわてまるごとプロモーションモデル事業の派遣費を事業費にしていますが、その派遣した結果、どういった効果が生まれたのか、その点についてお聞きしたいと思います。
〇和田ふるさと振興監 いわてまるごとおもてなし隊を派遣した効果でございますけれども、県では、いわてまるごと売込み推進本部を設置して、県産品の販路拡大や観光客の誘客拡大等に向けて、国内外において、対外的な売り込み活動を部局横断的に推進しており、その取り組みの一つとして、民間のPR隊に業務を委託し、各部局等が実施するイベント等に派遣して、本県のさまざまな魅力を総合的にPRしております。
平成29年度は、海外3回、県外25回、県内22回、合わせて50回PR隊を派遣しておりまして、観光展や物産展等で岩手県のPRや岩手県ブースでの集客活動、県産品等の商品案内や販促支援、歓迎行事等での出迎えやさんさ踊りの披露などを行っております。
民間のPR隊を派遣する効果といたしましては、部局横断的なPR活動の充実が図られたこと、複数の自治体が出展するようなイベントにおいては、PR隊を派遣することで差別化が図られたこと、さんさ踊りやカッパなどに扮した衣装やパフォーマンスが集客につながり、売り上げの増加に寄与する例もあったことなどが挙げられております。
これまでの活動により、県内外での岩手県の知名度も高まっていると認識しております。
〇ハクセル美穂子委員 続いて、これにも関連しますが、もう一つ、北いわて若者・女性活躍支援事業費の活動、事業の内容を見せていただきましたが、若者の地元就職とか定着促進に向けた取り組みというような、どちらかというと若者主体で、一体、女性活躍支援はどこに入っているのかなとちょっと疑問に思ったのですが、この事業の中で女性活躍支援について何を行ってきたのか、その部分についてお聞きしたいと思います。
〇竹花県北沿岸振興課長 北いわて若者・女性活躍支援事業の中の女性活躍支援の部分ということですけれども、まず、この事業につきましては、主に小、中、高校生の就職支援、あとは、就業した後の定着支援ということで、これは男女を問わず支援を行っています。
活躍支援という部分につきましては、主に九戸政実武将隊の支援を行っておりまして、これは、現在、昨年から隊員が8名ふえて32名となり、そのうち女性の方も4名入っていらっしゃるということで、そうした若者の取り組みの中で、女性の支援もさせていただいております。
〇ハクセル美穂子委員 私がこの二つをセットでお聞きしたのは、いわてまるごとというそのまるごとで、どこの相手から見て、丸ごと全部というのだと、ポイントが絞られていないということをすごく感じたのです。若者、女性活躍支援に関しても、若者・女性活躍支援事業と書いているのですけれども、女性は確かに入っているかもしれませんが、これで本当に女性の活躍支援になっているのかという点をきちんと検証していかないといけないと思うのです。
まるごと売込み隊に関しましても、部局横断的に推進できた、民間の方に頼めば部局横断的になるのですかと。だったら、そういうPR事業も民間の方にみんなお願いしてしまったほうがいいのではないかと思ってしまうわけです。
やっぱりきちんと、この事業を何のためにやるかという目的を、名前だけじゃなくて、事業の中でもしっかりと取り組んでいって、その結果どうなったかが見えるような形で事業を進めていかないと、本来やるべきことがなかなか進んでいかないのではないかと思うのです。
そのことについて、部長に聞きたいと思います。
〇白水政策地域部長 これも非常に重要な御指摘をいただいたと思います。まず、いわてまるごと売込み推進事業でございますけれども、やはりこれは、岩手県に限らず、どの県もそうですが、今までは縦割りで、農林水産とか、観光とか、それぞれの部署でやっていた部分があって、それぞれ同じような目的を持ってやっているのに連携がとれていないところもあり、これは全国的な動きでもあるのでしょうけれども、やはり一つの部署をつくってしっかりとやっていくという流れの中で、今答弁しましたように、岩手県も副知事を本部長として、関係部長なり関係職員を入れた本部を立ち上げたということだと認識しております。
これは、ほかの部長もそうですけれども、私もメンバーになっておりますので、そこはしっかり委員の指摘していただいたことを踏まえてやっていきたいと思っております。
あとは、女性活躍支援も、事業名が若者・女性活躍支援事業ということで、ここでは、どれが若者でどれが女性だということで、重複している部分もありますのでこういう事業名になっているかとは思うのですけれども、御指摘も踏まえて、そこはしっかり対応してまいりたいと思います。
〇ハクセル美穂子委員 特に若者と女性は、いつも若者、女性と政策指標とか、いろいろなところに出てくるのですが、結局のところ、やっているのは若者のことだけだったりして、その中に女子学生とかが入っているからというだけでは、本当の女性支援とか女性活躍支援にはつながらないと思いますので、その点については、今後はしっかりと分けて考えるとか、やり方を工夫していただきたいと思います。
それは要望としまして、最後に、三陸防災復興プロジェクト2019のことについてちょっとお聞きしたいのですけれども、このプロジェクトは、震災の風化を防ぎたいとか、支援に対する感謝を伝えていきたいといった目的もあって行うと何度も説明を聞いておりますが、風化を防ぐとか感謝を伝えていくという方法で、この方法がなぜベストだと、1回の一過性のイベントを実施することが風化を防ぐことになると考えられたのか、その点についてお聞きしたいと思います。
〇小野寺参事兼三陸防災復興プロジェクト2019推進課総括課長 このプロジェクトは、ただいま次期総合計画の長期プランの中間案の中でも、復興の取り組み方向の情報発信の中に位置づけられております。ただいま委員から御指摘があった震災の風化防止ですとかといった情報を継続して発信していくという一つの流れの中で、このプロジェクトは重要な位置を占めているのではないかと考えております。
これは、復興の現場である沿岸市町村からも、震災を風化させたくないとか、あるいは復興への関心も風化させたくない、それから、現地に来てほしいといったようなお声もいただいておりますので、このプロジェクトをすることによって、そういうお声にもお応えできるものと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 私の住んでいる雫石町は、47年前に全日空機が上空で自衛隊機とぶつかりまして、その当時、世界で一番最悪の飛行機事故が起きた町でございます。47年がたっていますが、実は、その事故を風化させないためにという取り組みがありまして、33回忌までは、いわゆる御巣鷹山の事故と同じように、慰霊祭をずっと重ねてきました。それで、33回忌以降は、そのとき静岡県富士市の方がたくさん亡くなられましたので、雫石町と富士市とで交流事業をずっと重ねていこうということになり、子供たちのホームステイを交換でやっていくという取り組みをずっとやっていまして、今14回目ぐらいとなっています。
交流事業でことし来た女の子の中に、自分のおじいさんが事故で亡くなったという方もいらっしゃいました。実際に自分は知らないおじいさんだけれども、そのおじいさんが亡くなった場所に来て、拝礼をして帰る。そのほかにも、富士市と雫石町では、いろいろなイベントを入れながら、毎年毎年、小さいですけれどもつなげていくような取り組みをしている事例もあります。
本当に1回来てもらうだけでいいのかと。それが本当に市町村の皆さんが望んでいることなのか。被災市町村の中には、多分、それぞれに関係の強い国だったり市町村だったりがあるのではないかと思うのです。そういった方々と息の長い交流活動をつなげていくことに予算を割く方法もあったのではないかと私は思うのですけれども、その点についてどのようにお考えかお聞きしたいと思います。
〇小野寺参事兼三陸防災復興プロジェクト2019推進課総括課長 ただいま委員からお話がありましたが、本当に息の長い交流をされているということで、感慨を受けたところでございます。
震災以降、やはりいろいろなところから多様なつながりということで御支援をいただいていて、例えばトモダチイニシアチブというアメリカ政府と、あとは日本の政府もかかわっていると思いますけれども、沿岸被災地の子供たちを留学させるプロジェクトですとか、まだ今も続いておりますが、そういった形で脈々と震災以降いろいろなつながりが出てきて、活動が継続していると思います。
そういうことをこのプロジェクトで改めて、そういうつながりがある、それから深まっているというあたりを象徴として情報発信していきたい。例えば、そういう方々に出演をいただくということで、改めてそういうところを深めていくことも、非常にこのプロジェクトの意味としてあるのではないかと思います。
それから、つなげていくというのは本当に大事な視点だと思います。次期総合計画のことを紹介させていただきましたけれども、未来を切り拓くプロジェクトの中で、三陸防災復興ゾーンプロジェクトということを位置づけておりまして、今回の本プロジェクトをレガシーとして、次期総合計画に掲げているゾーンプロジェクトのほうにしっかりとつなげていく、委員御指摘のような、つなげていくという視点を重要に考えていきたいと思っております。
〇ハクセル美穂子委員 つなげていくということの最初のきっかけとするというのであれば、やはり、先ほど佐々木努委員への答弁の中で、今、県と事業者の方で組み立てているというようなお話をされていましたけれども、きちんと市町村の皆さんの御意見を入れたりしながらイベント自体を組んでいくことが、非常に重要だと思います。長く続いていくというか伝えていけるような取り組みになるようにしていただきたいと思います。そのことを要望して、終わります。
〇菅野ひろのり委員 先ほどのハクセル委員に続きまして、いわての定住・交流促進事業について質問させていただきます。ちょっと重複するところもありますので、通告と少し観点が違うような質問にしたいと思いますが、御容赦いただきたいと思います。(「大丈夫だ」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。
では、まず、目標についてでございますが、先ほど移住者数の積み上げというところで、ハローワーク、市町村からの聞き取りということをお示しいただきました。確かに、国でも定まった基準がないですし、各市町村もないということで、これは非常に難しいのだなと思っております。
移住というのは、基本的に、県からすると県外から来ていただくという観点が強いですが、市町村の場合は、例えば奥州市であれば、一関市から来て空き家バンクを利用しても移住ということになるというのが県と市町村の大きなずれで、非常に大きな課題であると考えています。
そこでお伺いしたいのですが、この目標について乖離があるところを県はどのように受けとめていますでしょうか。あわせて、市町村からの聞き取りというのは、大体で結構ですけれども、どの程度の市町村から聞き取りができているものか、お伺いします。
〇菅原地域振興監 まず、目標値についてでございますけれども、これにつきましては、市町村から聞き取りをした結果ということで、市町村の窓口でありますとか移住施策を通じて移住された方ということで、全市町村に照会をしておりまして、基本的には全市町村からの回答を取りまとめたものでございます。市町村の中には、移住者の把握ができていないところもございますので、移住者数がゼロといいますか空白で回答した市町村もあるところでございます。
移住の取り組みにつきましては、県南地域が先行して積極的に取り組まれておられますけれども、都市部については、比較的移住者の把握が難しいといったところ、沿岸地域につきましては、まず、被災者の生活が優先ということで、移住、定住の取り組みについては、いよいよこれからというところもございますので、そういった市町村のばらつきがあるものと考えております。
あと、移住の目標値との乖離につきましては、県とすれば、目標値は、あくまでも県外からの移住者数ということで捉えておりますけれども、確かに、市町村であれば、県外に限らず、市町村外からの転入であれば移住という捉え方をしている部分もあるとは思います。
この施策の取り組みの中では、基本的には地方創生の中で東京圏の一極集中の是正ということで、やはり東北出身者が首都圏で多く居住しているというデータもございますので、首都圏を中心に、いかに地方に人を呼んでくるか、岩手に戻すかというところが取り組みの肝だと考えておりますので、首都圏に向けては、市町村と一体となった移住相談会の開催でありますとか、移住体験ツアーにつきましても、市町村と連携しながら取り組んでいるところでございます。今後とも、市町村と連携をしながら取り組んでまいりたいと考えております。
〇菅野ひろのり委員 私も、まさに首都圏からいかに岩手に来ていただくかというところに着眼しないといけないと思っていますし、今回、定住・交流促進事業で予算が8、900万円計上されて、使っていると。それで、実際に移住してきた方が、今1、346人という数字のことで、費用対効果を正確に求めるためには、やっぱり移住者数を正確に把握することが、皆さんの事業の成果につながってくることだと思います。今後に向けて、この移住の目標または実数の把握は大きな課題だと思いますので、ぜひ、引き続きどういう捉え方をしていくべきなのかを検討していただきたいと思います。
そして、8月1日の閉会中の総務委員会で移住、定住交流の推進について説明があったと伺っておりますが、この資料の中に、移住、定住の取り組み課題として、訴求力の高い地域の魅力の発信ということが書かれておりました。すなわち、いかに岩手に来たい方を特定してアプローチするかということにつながるのだろうと思っています。
そこでお伺いしたいのですが、そのために属性分析のキーになるポイントとして、東京にいわて暮らしサポートセンターが設けられているということでございますが、そこに来た方の情報のデータベースはどういった登録状況になっているのか、その属性分析、また、市町村から依頼があればそういった方に情報を提供、発信するという機能ということでございますが、この活用状況はどのようになっているのか伺います。
〇菅原地域振興監 いわて暮らしサポートセンターの活用状況についてでございますけれども、いわて暮らしサポートセンター、ふるさと体験支援センターに来場された方、あるいはイベントで来場された方についてデータベースに登録しておりまして、現時点で246名の方を移住希望者として登録しております。
この内訳ですけれども、20代から40代の相談者が約7割となっており、若い世代の利用が多くなっております。また、U・Iターンの比率では、Uターンが約4割、そしてIターンが約6割で、Iターンの割合が高い傾向となっております。また、移住に当たり優先する事項につきましては、就労の場が32.5%と一番多く、次いで自然環境が14.2%となっております。
次に、市町村との連携の部分ですけれども、市町村からは、移住体験ツアーあるいは移住相談会の実施─これは市町村が開催するものでございますけれども─といったイベント情報、また、地域おこし協力隊の募集などの情報の提供がなされておりまして、SNSやふるさと回帰支援センターのホームページに掲載して情報発信しているほか、データベースの登録者に対して個別に情報を提供しているところでございます。
〇菅野ひろのり委員 個別に情報を提供しているというのは、どの程度の頻度なのでしょうか。といいますのも、例えば有楽町のセンターも他県のブースが非常にたくさんあって、これはもう地域間の競争になっているわけです。そうなりますと、マッチングするために、属性に合わせて特定した情報をピンポイントで送ることが非常に重要になってくると思っています。具体的にどのくらいの件数のやりとりというか配信があるのでしょうか。
〇菅原地域振興監 情報の頻度につきましては把握しておりませんけれども、移住希望者、登録者につきましては岩手県に関心のある方で、情報提供を引き続き希望されている方ということで情報を発信しておりますので、基本的には、移住希望者の必要とする情報を提供できているものと考えております。
〇菅野ひろのり委員 そういった情報は提供できているという答弁をいただきました。先ほどの総務委員会での資料の中の移住・定住の傾向2に、サポートセンターのアンケート結果が記載されています。どんな相談内容だったかというところで、仕事に関してが半分の50%です。その中身が重要で、農業以外の仕事の相談が45%、農業は5%。私は今、田園回帰とか、岩手のよさ、農業が好きで、もしくはそういった生活を送りたくて来るのではないかという固定観念があったので、非常に驚きました。あわせて、市町村の定住、交流促進施策、仕事支援の実施市町村数が延べ99となっているのですが、そのうち33が農業についての支援です。
そういうところを重ねて見てみると、実は移住したい方というのは農業以外に興味をお持ちなんだけれども、市町村が思っているのは農業に魅力があるから来てくださいというようなアンマッチになってしまっているのではないかと思うのですが、そこはどのように捉えていらっしゃいますでしょうか。
〇菅原地域振興監 移住相談者につきましては、仕事に関するニーズが一番高いということでございます。その中で、やはり地方都市での暮らしを希望される方が一番多いということですが、基本的には就職という部分の情報が一番ニーズとしては高くなっております。このため、ふるさと回帰支援センターには商工労働観光部と連携してキャリアカウンセラーを配置いたしまして、移住と就職の一元的な相談対応の体制をとっているところでございます。
農業につきましても、田舎暮らしということで農業を希望される方のニーズとすれば総体とすると低くなっておりますけれども、田舎暮らしを志向される方もIターン者の中では結構なニーズがありますので、岩手県農業公社等と連携しながらきめ細かに移住相談者へのフォローをしているところでございます。
〇菅野ひろのり委員 そういう中で、今、有楽町といわて銀河プラザにセンターを設置されていて、総務省によると、平成29年に岩手県は3、263件の相談があったという報道がありました。先ほど示されていた取り組みの課題として移住希望者の掘り起しが移住者をふやすためのキーワードだということが総務委員会で報告されておりますが、私は、掘り起こしというのは、まさにこの3、263件の方々がターゲットになるのではないかと思っています。いかにこの3、263件の方々にマッチする情報を提供していくのか。これをしていかないと、幾らセンターを設置しても、相談に来た人が必要な情報が提供できなければ、次は、来てくれないと私は考えます。その3、263件の相談、もしくはポテンシャルの掘り起こしに、どういうふうに今後取り組まれていくお考えでしょうか。
〇菅原地域振興監 ふるさと回帰支援センターに設置しておりますいわて暮らしサポートセンターにはキャリアカウンセラーを配置いたしまして就職と一体的な相談対応を設けているところでございますけれども、東京事務所のいわて銀河プラザに配置しておりますいわてUターンセンターといわて暮らしサポートセンターとは定期的に情報交換をしておりまして、連携をとりながら進めているところでございます。
移住希望者につきましては、1度相談に来ていただいた方、こちらと接点を持っていただいた方に対するアプローチが効果的と考えておりますので、いかに適切にフォローしていくかが重要なことだと考えております。
また、移住促進のためには、岩手県にかかわりのある方をいかにふやしていくかが重要と考えております。例えば、ことし2月に第3回岩手わかすフェスが開催されておりまして、このイベントは、首都圏あるいは県内に在住する本県にゆかりのある若者が中心となって開催したものでございまして、岩手に関心のある800名の方が参加したという実績がございます。こうしたイベントに、県といたしましても移住体験ツアー参加者のワークショップをあわせて開催するなど連携した取り組みをしているところでございまして、今後とも、市町村や関係機関だけではなく、このような若者のネットワークとも連携しながら移住希望者の拡大に取り組んでまいりたいと考えております。
〇菅野ひろのり委員 最後にいたしますが、今回、問題提起させていただいたのは、目標をどうするのか、もう一つは、属性を分析、特定して、そこに対してどういう情報発信をしていくのかというところであります。
これは私も具体的にはまだアイデアを持っていないわけでございますが、ヒントになるのではないかと思ったのが青森県の取り組みでして、あおもり移住倶楽部というのを始められているそうです。これは何かといいますと、移住を検討している県外在住者の方を対象に、申請をすると3年間有効で特典を受けられると。岩手県でいうと、消防団員のお店─いわて消防団応援の店みたいなところを特典として使えたり、あとは移住のために戻ってきたときにホテルやレンタカーの割引を受けられるというような制度をつくったと。
何がいいかというと、一つ目は、申請をすることでその人の個人情報が入手できる。二つ目が、地域の宿泊施設や経済活性化につながる。三つ目として、地域振興のための仕事というか予算の使い方が明確になってくる取り組みだと私は思っているのです。
そういう意味で、今やっている積み上げの目標だけではなく、またはフェアの開催だけでなく、さらに踏み込んで、そういった潜在者に対して直接刺さっていくような施策を考える必要が私はあると思うのですが、その所見を伺いたいと思います。
〇菅原地域振興監 ただいま潜在的な移住希望者に対するアプローチということで大変貴重な御指摘をいただきました。
いかに岩手県に関係のある人を拡大していって、その関係性を保ちながら移住に結びつけていくかが重要と考えておりますので、ただいま御紹介いただきました青森県の事例等も参考にさせていただきたいと思います。
また、県では、移住の一歩手前の取り組みということで、最近、関係人口という捉え方が注目されておりますけれども、総務省の関係人口創出モデル事業の採択を受け、一関市と釜石市と連携いたしまして、中小企業の抱える課題を解決するために、複業をテーマに首都圏との関係人口を創出するモデル事業を展開しているところでございます。こうした関係人口の中に移住希望者のデータベースみたいなものの構築もあわせて考えていきながら、移住希望者が段階的に移住、定住にも結びついていけるような取り組みということを考えておりますので、他県等の先進事例や今回のモデル事業の実施も検証しながら、より効果的な施策になるよう取り組んでまいりたいと思います。
〇千葉絢子委員 三陸総合防災プロジェクト2019についてお伺いさせていただきたいと思います。
総括質疑のときに聞き逃したというか、時間の関係で聞けなかったものからお聞きしたいと思います。
決算の審査意見書におきましては、限られた財源を重点的かつ効率的に活用するとともに、経済性、有効性の観点にも十分留意の上、適時適切な財政運営等に努められたいとの指摘がありました。この点において、本プロジェクトの経済性、有効性についてはどのように今の時点で考えていらっしゃるのでしょうか。
〇小野寺参事兼三陸防災復興プロジェクト2019推進課総括課長 経済性と有効性についてのお尋ねでございました。
定性的なお話になりますけれども、まずは、災害が頻発している状況の中で、このプロジェクトを通じまして東日本大震災津波の事実を伝える、それから国内外の防災力の向上にも貢献していくということは、大震災を経験した被災県としての責務であると考えております。この取り組みは、平成27年に仙台市で開催されました第3回国連防災世界会議で確認された仙台防災枠組みに掲げる取り組みにも資するもので、有効性があるのではないかと考えております。
それからまた、復興支援のつながりを生かした文化芸術企画や、三陸の地域資源の価値をさらに高めるための食や旅行商品造成企画などを通じて交流人口の拡大や地域経済の活性化を図ることは、復興や三陸地域の振興という本県の重要課題への対応として大きな意義があると考えております。本プロジェクトの取り組みを通じて、復興を力強く推進し、新たな三陸の創造につなげていきたいと考えております。
〇千葉絢子委員 国体で言うところのレガシーについて、このプロジェクトは何がそれに当てはまると見込んでいますか。
〇小野寺参事兼三陸防災復興プロジェクト2019推進課総括課長 レガシーという御質問でございましたけれども、いずれ防災復興プロジェクトでございますので、震災の経験をしっかりとつないでいくということ、防災力向上に貢献していくこと、それから交流人口の拡大にも資するものであるということを、本プロジェクトだけではなく次にもしっかりとつなげていくことがこのプロジェクトとしてのレガシーということになるのだろうと思っております。
〇千葉絢子委員 きのう、業者に対して裏づけのある見積もりの再提出を求めたそうですけれども、きのうも含めて締め切りまで連休を除くと営業日は5日なのです。この少ない日数の中、具体的な中身や、あるいは出演交渉すら固まっていないイベントもある中で、来年度当初予算に間に合わせるために見積もりをとること、それを内容が確定しないまま要求するということは果たして妥当なのかどうかお伺いしたいと思います。
〇小野寺参事兼三陸防災復興プロジェクト2019推進課総括課長 事務局としては案はほぼ固まっておりまして、それをもとに、最初、基本計画に掲載されている催事の関係で4.8億円という数字がございますけれども、これを参考にしながら再度積算して予算の要求、それから計上させていただいて御審議をいただいたところでございます。ですので、事務局とすれば、案は骨格としては固まりつつ、ただ、年内に催事運営計画を実行委員会で御承認いただくために、さらに磨き上げの作業を今進めております。
事務局の案をそれぞれ関係機関にお伺いして、そこからまた変わっていくものがやはりあるだろうと思っておりますし、今、業者にお願いしているものは、債務負担行為を来年度の分、設定させていただきましたけれども、やはり来年度の当初予算に向けて再度精査していくのは必要と思っておりますので、来年度当初予算の計上をした上で、また県議会に御審議をいただいて、事業費を最終的に確定させていくといった作業の中の見積もり依頼と受けとめていただければと思います。
〇千葉絢子委員 その業者に対する見積もり依頼のメールの中で、議会からの追及が厳しいので内容の精査をということで依頼があったと伺っております。我々は、4.8億円が3億円や2億円になることを望んでいるわけではないのです。額の多寡ではなく、開催の意義や、その後に何を残すのか、もっと被災地や地域の人たちのため、こんな実績やつながりを残したという目に見える効果であり、美しい言葉と県の自己満足ではないわけです。もっとそこは疑問を持って考えていただきたいと思っております。
そして、間違っていることは間違っていると指摘するのが我々議員の仕事だと思っておりますので、それを踏まえてもう一度お尋ねいたします。
知事が開催すると言ったから、もしそうならば、中身やコンセプトを業者に丸投げしないで少しでもアイデアや人脈を発揮していただきたいと私は思っております。広報もプロジェクトも移住促進事業も、はっきり言って、さっき小野寺参事は委託というのは丸投げではないというようなお話を佐々木努委員の質疑で答弁していらっしゃいましたけれども、例えばこういう企画ものというのは、企画を業者に出させて、県がそれに何だかんだと言う構図になっていると私は前職の経験からも思うわけです。県の独断ではないとおっしゃいましたが、何らかの意見をすることが独断ではないということなのかなというふうに私は先ほどの答弁をお聞きしました。
県のPRもそうです。セールスポイントも含めてどうぞ御提案くださいというような業者への発注の仕方なのだそうです。締め切りが2日後で見積もりを出せ。今回は営業日が5日ありますから余裕はありますけれども、できなかったら違約金だとか、そういった業者をいじめるような構造になっているというのは随分私もいろいろな業者から訴えられるところであります。
開催内容が固まっていない段階でどう見積もるのでしょうか。オーケストラからまだ出演交渉自体受託したという確証もない中でギャラも含んだ見積もりをとり、それが予算で通ったとしたら、それはそれで問題ではないのでしょうか。
〇小野寺参事兼三陸防災復興プロジェクト2019推進課総括課長 メールの内容について私は承知しておりませんでしたので後で確認してみたいと思いますけれども、もしそういうことであれば大変申しわけなかったというふうに思います。
一方、アイデアや人脈を生かしたらどうかというお話ですが、業者にも頑張っていただいておりますけれども、我々なりの企画というのは結構多く出しております。そのつながりの中で出演交渉をして、我々のほうで内諾をいただいているものも結構ございまして、私は、この活動の中で、著名人の方ですとか復興支援をしていただいている企業、団体の思いを改めてありがたいと思って再認識しているところでございます。ですので、我々としても企画をたくさん出しておりますので、そこはぜひ御理解をいただきたいと思っております。
〇千葉絢子委員 予算を確定しない中でギャラも含めた分を要求してそれがもし通ったとして、後から出演がなくなったとかその事業自体を諦めたとなった場合、その予算はどこに行ってしまうのかというところがやっぱり問題になってくると思いますし、あと9カ月で事業目的を満足させる中身が……。ちょっとこれはないよねというものとか、大幅に変更になっているものもありますよね。これは後ほど指摘させていただきますが。
次の質問に行きたいと思います。
シンポジウムの各会場、500人の集客を予定しているようです。4会場ありますが、この集客やプロモーションについてはどういうふうにしていくおつもりでしょうか。
また、この各イベントは集客について業者が責任を負っているようで、見込みは、シンポジウム、展示も含めて、これだけで1万3、650人の集客を予定していると伺っております。とてもこの人数を達成できないから各会場のシンポジウムの集客に県職員の動員も想定されているようですが、それがもし本当だとしたら、国内外への防災力の向上とか復興の現状の情報発信というイベントの趣旨とは異なってくるのではないかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
〇小野寺参事兼三陸防災復興プロジェクト2019推進課総括課長 シンポジウムについてのお尋ねでございました。
このシンポジウムは、非常に国内外の防災力向上に貢献するということで、意義深い事業だと思っております。このシンポジウムは、基本計画に掲げております三陸防災復興展示会と一体となって4会場で開催したいと考えておりまして、まず、シンポジウムのテーマごとの関係団体の方々の観覧は見込めると思っておりますし、シンポジウム会場の外で行う防災復興展示会におきましては、災害の体験や、体験車両の借り入れ─これは自衛隊などと連携した上でということになりますけれども─ということで、相当程度の集客が見込めるのではないかと我々としては考えておりますし、これをしっかりと煮詰めていきたいと思っております。
それから、プロモーションにつきましてはホームページやSNSで情報発信もしておりますし、県の広報誌のいわてグラフ、あるいは市町村の広報紙でも発信していただけることになっております。前回開催しました市町村連携会議では、沿岸の情報を内陸の市町村が広報紙に載せて発信しようといった御意見も多数交わされたところでございます。そういう形での発信もありますし、テレビ、ラジオ、それから鉄道やバスでの広告の掲出といったことで幅広くプロモーションを行っていき、多くの方に御参加いただけるように取り組んでまいりたいと思います。
〇千葉絢子委員 会場に行ってみたら、半分以上県職員だったというようなイベントにはしていただきたくないと私は思っております。
次に、基本計画。私たち県議会議員も実行委員会というか顧問という立場でこのプロジェクトのメンバーに名前を連ねておりまして、3月の総会でいただいた資料があります。この基本計画と、それから9月の補正要求額について、一つの事業で最大3、000万円の違いがあるようです。これは事業の中身も大幅に変わっています。この事業の予算額のスキームや考え方について伺いますし、最終的な事業費用の総額はどの程度になる見込みか、その根拠もあわせてお示しください。
〇小野寺参事兼三陸防災復興プロジェクト2019推進課総括課長 予算額のスキームや考え方についてでございます。
今年度の補正予算につきましては、基本計画に記載されている事業費4億8、000万円を参考にしつつ、事業内容や年度内に必要な経費の積算を行って計上させていただいたところでございます。また、来年度実施する事業につきましては、債務負担行為という形での設定をさせていただいているところでございます。
来年度の債務負担行為の設定分までを含めた事業費につきましては、事業内容の検討の中で、市町村の要望や、連携して事業を実施する関係者との協議を踏まえまして、催事によっては増額を検討しているものもあるところでございます。
今後は、年内に開催する実行委員会におきまして催事運営に関する具体的計画を策定した上で、来年度当初予算について改めて県議会の御審議をいただきまして、最終的な事業費を固めていきたいと考えております。
〇千葉絢子委員 我々がいただいた基本計画では、三陸浜のにぎわいフェスタ─三陸浜のバーベキューガーデンというのが1、890万円の予算の予定でありました。これが当初の計画から大幅に内容変更しまして、流通課のガストロノミーというイベントに置きかえられているわけです。この事業の中身がこれだけ変わった。そして1、890万円が、9月補正予算として4、800万円で可決されているわけです。この可決の経緯に至りましては、常任委員会に付託されて、その中での審議というふうに我が会派の代表から伺っておりますけれども、具体的な詳しい内容を見せられないまま総額で2億3、900万円の補正が決まったところでございました。
この事業の中身がこのように大幅に変更したのはいつだったのか。そして、その予算についても3、000万円プラスというのはすごく大幅な増額だと思うわけですけれども、なぜ事業変更したことも示さずに予算を要求して常任委員会に付託という形で議決までに至ったのか、そのあたりを詳しく御説明をお願いします。
〇小野寺参事兼三陸防災復興プロジェクト2019推進課総括課長 ただいま御指摘いただきました三陸浜のにぎわいフェスタでございますけれども、当初は三陸の海産物を楽しむ食のイベントを予定しておりましたが、関係部局と協議していく中で、三陸の食の魅力を高めながら、観光客を呼び込み、食を中心とした地域振興や農山漁村の継続的発展につなげられるような取り組みを検討していきたいということで変更しているものでございます。
ガストロノミーでございますけれども、三陸の食を中心に据えながら、その土地に内包された歴史や文化、風土といった背景で食と地域のストーリーを伝えるということで、いわばつくる人も食べる人も食を通じて地域を知るということを目指していく取り組みでございます。
この取り組みは次期総合計画の長期ビジョン中間案の中の先ほど御紹介しました三陸防災復興ゾーンプロジェクトに受け継がれていくものと考えておりまして、このゾーンプロジェクトの中では、持続的に発展するゾーンの創造を目指すポイントの一つといたしまして、三陸の豊かな資源を活用した、世界に誇れる食のまちを形成する取り組みの推進というものを掲げております。これにつなげることを目指して取り組んでいきたいと思っております。
過程といたしましては、新年度になってからこの催事を改めて深掘りしていく中でこういう発想が出てきたわけですけれども、専門部会あるいは市町村連携会議等にお諮りしながらこの内容を磨き上げてきたところでございます。
ただ、先ほど御指摘のありました全体の事業費につきましては四千何百万円になるかどうかというところでございますけれども、この具体的な事業費につきましては、年内に開催する実行委員会において具体的計画をまず策定していただきます。その上で、催事につきましては来年度の当初予算が大部分でございますので、その来年度の当初予算につきまして、改めて県議会の御審議をいただきまして決めていきたいと考えております。
〇千葉絢子委員 今、実行委員会という名前が出ました。この事業の事業主体は三陸国際美食会議実行委員会というものになっています。この実行委員会の方々はどんな方々なのでしょうか。
〇小野寺参事兼三陸防災復興プロジェクト2019推進課総括課長 その団体は流通課のほうで所管しておりますけれども、ガストロノミーを推進する関連する団体が中心になりながらそういった施策を展開していこうということで実行委員会ということになっていると聞いております。
〇千葉絢子委員 後でこの美食会議の実行委員会のメンバーの資料をいただきたいと思います。
この中身を見ますと、国内外の著名なシェフ等が一堂に会する美食会議、県産農林水産物を集めたいわて黄金食材日本一、内外料理人が腕を振るう美食サロンを実施とあります。これは、料理の鉄人のようないわゆる料理ショーみたいなもの、人を呼んで実際に料理してもらい、料理の技術や哲学、最新の知見等を発表、共有するようなものなのかとイメージしているわけですけれども、これが本当にプロジェクトの目的である防災力の向上に結果的にリンクするのか。食材や料理の認知度を高める目的のみになっていないかと。新たな販路の拡大や三陸の創造にどのように貢献していくのかお伺いいたします。
〇小野寺参事兼三陸防災復興プロジェクト2019推進課総括課長 ただいまの委員の御指摘はしっかりと真摯に受け止めまして取り組んでいかなければならないと思っておりますが、先ほども御紹介しましたけれども、ガストロノミーは食を通じて地域を知るということを表現していこうとしているものでございますし、例えば食材の調理技術の改善とか、新しい形を生み出していくといった側面もあると聞いておりますので、そういうところは、さらに三陸の食を押し出していくための一つの起点になると思っております。
取り組み自体は、来年のプロジェクトだけで終わることなく継続していくものと考えております。
〇千葉絢子委員 中間報告書、これは我々議員には配付されないものなのでしょうか。実行委員会の委員の間でだけ共有されるものなのか。
また、第2稿から最新の中間報告書になる過程で、事業の費用、9月補正でどれぐらい要求したとか、そういう金額の部分がカットされているわけですけれども、その理由についてお話しいただけますか。
〇小野寺参事兼三陸防災復興プロジェクト2019推進課総括課長 まだ案の段階、中間報告の段階でございますので、実行委員会の総会の委員にも送付しておらない、内部で今詰めていると。部会にはお諮りはしていますけれども、そこからだんだん積み上げていって年内の策定に向けて作業していくということでございますので、そのスケジュールについてはどうか御理解をいただければと思います。
それから、金額につきましても、先ほど来御説明しているとおり、9月補正については、年度内にこのぐらいのスケジュールで企画費やいろいろな準備費がかかるというのは出ているのですけれども、本番に向けてこのぐらいの事業費でやっていくというのは、まさに今、精査して当初予算においてお諮りしたいと思っているところですので、今のところはそれを掲載していないところでございます。
〇千葉絢子委員 最後にしますけれども、私たちも含め、このプロジェクトにかかわっている方々みんな、三陸のためになることは何かという思いを一にしているというのは一緒だと思うのです。ただやはり、三陸に何が残るのか。それは、自分たちのもうけよりも、その後に残るものを重視することが一番ではないかということで、こういうふうに情報を出して取り上げてくれと我々も言われるわけです。
議論の根っこになるのが、この中間報告書の基本計画催事や計画検討シートというものがあってこその議論になってくると思っているのです。今回、プロジェクトの予算に関しては、補正予算ということで常任委員会へ付託され、中身は全議員には詳しく示されていません。私たちはこの詳しい内容を見せられないまままた2月でも例えば補正要求があるとするならば、この中身を目にしないまま5億円超の予算を承認するしかないのかと。そういう手法は、私は議員としておかしいということを指摘せざるを得ないです。
そういう手法では、我々議員としての存在価値もなくなってしまうのではないか。やはり予算を適切に執行しているかどうかを監視するのが議会の一つの役目だと思いますので、どういった根拠で予算が計上され、執行されるかはつまびらかにしていただきたいということを問題提起したいと思います。
なるべく常任委員会への付託ではなく本会議にかけるような形での予算、見えるような提案の仕方にならないものかお願いしたいのですが、最後に部長の見解を伺って終わります。
〇白水政策地域部長 今、委員から大変厳しい意見をいただいたと思っております。今回の9月定例会におきまして一般質問もいただきましたし、総務委員会の補正予算の質疑のときにも厳しい御意見をいただいたところでございまして、重く受けとめております。
本日、委員から御指摘をいただきました経済性、有効性の観点、あるいは各催事のプロモーションの関係、あるいは催事の予算のしっかりした精査、これらは引き続きしっかり務めてまいりたいと思いますし、今るる答弁してきましたが、年内に開催する実行委員会で具体的な計画を策定して詰めていく作業がございますので、それをしっかりと進めていきたいと思います。やはりそれを議会にも委員の皆様にもしっかりと説明をしていかないといけないと思っておりますので、その説明の仕方も含めてしっかりと検討してまいりたいと思います。
委員が最後におっしゃいましたように、この事業の目的についてはおおむね委員の皆様から御理解をいただいたと思っておりますが、一過性にならないように、いかに将来のレガシー、遺産として残していくかも非常に大事だと思っております。また、市町村等を巻き込んだ、市町村とのしっかりした連携等々も含めまして非常に課題がたくさんあると思っておりますので、引き続きしっかりと検討してまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 それでは最初に、東日本大震災津波からの復興の課題で、被災市町村への応援職員の配置状況について、これは、県内、県外、どういうところから派遣され、どう今年度は配置されているのか。そして、来年度以降の見通しは今の時点でどのように把握されているのか示してください。
〇小原市町村課総括課長 被災市町村における応援職員の確保の状況でございます。
まず、全体のお話といたしまして、平成30年9月1日現在で必要数587人に対しまして539人が確保されており、充足率は91.8%という状況になっているところでございます。
来年度の必要数につきましては、現在、被災市町村からの回答を取りまとめている状況でございますので、現時点で明確な数字はお示しできない状況でございますが、復興事業の進捗に伴い、平成27年度の779人をピークといたしまして年々減少しておりますことから、今後もその傾向は続くのではないかと見込んでいるところでございます。
また、他県等からの状況ということでございます。こちらは平成30年4月1日の状況でございますけれども、県外からの派遣が172名、県内からの派遣が177名、被災市町村の独自確保が197名という形で確保している状況でございます。
〇斉藤信委員 9月1日の時点は539人と。陸前高田市は137人、釜石市が123人、大槌町が104人と、100名を超える状況です。自治体によってはプロパー職員と同じかそれを超えるような規模で、今でも大変大きな戦力になっていて、被災自治体に行きますと、あと2年で応援職員の派遣事業は終わるのかと。とてもじゃないけれども、あと2年で事業が終わることは考えられないと。残された半分の職員でどうやっていくのかという話も私は聞いていますけれども、減少するにしても来年度、再来年度は続くと思いますが、その後の必要性、必要数を示して、応援職員確保のための財政的な保障というのも直前ではなく国との関係で明らかにしていく必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。
〇小原市町村課総括課長 応援職員の確保につきましては、復興事業の進捗に合わせてどのように確保していくかということが大切と考えております。
そういう中で、今後見込まれる事業といたしまして、例えば地域コミュニティー形成支援業務、土地、家屋の課税に係る現地調査事務や土地区画整理事業等々を担う職員がまだまだ必要というのはそのとおりだと思いますので、そこにつきましては、市町村からしっかり今後の見込みを聞きながら把握していきたいと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 あと2年ではとてもじゃないけれども終わらないということは被災地の現場では明らかになってきていると思うので、それをどのように具体的根拠を持って国に示していくかが大変大事だと思いますので、よろしくお願いしたい。
あわせて、平成28年台風第10号災害の問題で、2年1カ月余が経過しましたけれども、岩泉町への応援職員の派遣について、岩泉町からの要望に対してどういう派遣になっているのか、来年度の見通しもわかれば示してください。
〇小原市町村課総括課長 平成28年台風第10号災害の岩泉町に対する応援職員の確保についてでございます。
岩泉町につきましては、現在24名必要だという要請に対しまして21名が確保されている状況でございまして、具体的には、一般事務が7名必要なところに対しまして6名確保ということで、1名足りないところでございます。土木職員は16名必要という要請に対しまして15名、こちらも1名足りないということでございますし、保健師が1名必要ということに対して、そこは確保できていない状況でございます。
来年度以降の見込みにつきましては、先ほど申しましたように、東日本大震災津波と同じように現在取りまとめ中でございますので、具体的な数字ははっきりとお示しできませんけれども、基本的には来年も同程度の職員が必要ということでお伺いしているところですので、県といたしましても任期付職員の採用等も進めている状況でございます。
〇斉藤信委員 一般質問でも総括質疑でも、平成28年台風第10号災害からの復旧状況は41%程度という回答もありました。まさに今たくさんの事業が進んでいる状況なので、ぜひ平成28年台風第10号災害、とりわけ被害の大きかった岩泉町への人的支援をしっかり県として支えていただきたい。
2番目に、被災地の交通確保対策についてお聞きいたします。
一つは、特定被災地域公共交通確保調査事業、これは10年間は継続されることになっていますが、仮設団地をつなぐことが前提になっていて、どんどん縮小されているのではないか。一方で、被災地では新たな高台団地や災害公営住宅が周辺に整備されるということで、新たな公共交通の確保が求められていると。
その点で、私は二つお聞きしたい。
特定被災地域公共交通調査事業が昨年、ことしとどのように実施されているのか。
もう一つは、この対象にならないデマンド型交通やさまざまな工夫を被災地はやっていますけれども、そういう取り組みはどうなっているのか。その財源はどうなのかということを教えてください。
〇渡辺地域交通課長 まず、特定被災地域公共交通調査事業の状況でございます。
実績としては、平成29年度におきましては6市町村65路線に対しまして2億4、437万6、000円が補助されております。また、今年度につきましては、現時点で6市町村67路線に対して2億96万9、000円の交付見込み─現時点で見込みですが─となっております。
御指摘のとおり、この調査事業につきましては応急仮設住宅を経由するという条件がございまして、復興まちづくりが進み、生活拠点が応急仮設住宅から高台団地、災害公営住宅などに移る中、引き続き応急仮設住宅のみを対象としていることから、委員と同じ認識に立ちまして、県としては国に対して改善の要望を出しているところでございます。
これから漏れているデマンド……。
〇名須川晋委員長 斉藤委員、もう一度質問いいですか。
〇斉藤信委員 私が先ほど言いましたように、防災集団移転促進事業で高台の団地がつくられる、災害公営住宅が周辺に整備されており、そこと役場や病院、商店街を結ぶ新たなルートが必要になっているわけです。これが特定被災地域公共交通調査事業の対象にならないのですが、陸前高田市などでは独自のデマンド型交通を含めてさまざまな形の公共交通確保対策を示してやっているのです─ほかのところもそうだと思いますけれども。そういう実態を県はどう把握しているかというのと、その財源は国の補助なのかということを聞いているのです。
〇渡辺地域交通課長 補助の対象にならない分につきまして……(斉藤信委員「別な補助」と呼ぶ)
〇名須川晋委員長 違った形での補助があるかどうかということを聞いているのです。デマンド型交通とか……。
〇渡辺地域交通課長 失礼いたしました。調査対象事業以外のものについては通常のものになりますので、特別地方交付税8割の措置のほか、仮に新たに導入するとなると県の補助がございます。
〇斉藤信委員 被災地の現場では、極めてこの問題は具体的なので、特定被災地域公共交通調査事業でやっているものと、それでは間に合わないので、先ほど陸前高田市の話をしましたけれども、さまざまな形での公共交通体系を提起してやっているのです。だから、その実態をぜひ把握して、その財源も私はあるという話を聞いているのだけれども、それはぜひ把握して県としても対応してください。
次に行きます。
三陸鉄道の一貫経営と利用促進策についてお聞きしますが、いよいよ来年3月に一貫経営になって、総延長が日本一長い第三セクター鉄道になります。しかし、これはJR東日本から切り離された結果そうなるのであって、私は、これはプラスもあるけれどもマイナスもあると思います。現実にこれまで年間5、000万円程度の赤字を抱えてきているわけだから、本気になって三陸鉄道一貫経営のメリットを最大限生かした、沿岸12市町村挙げた取り組みをしていかないと赤字体質が一層さらに悪化することになりかねないのではないか。これは私、予算特別委員会でも取り上げたところですけれども、その点でどういう対策、対応がなされているか示してください。
〇渡辺地域交通課長 JR山田線移管による一貫経営後の三陸鉄道に対する支援でございますが、県、市町村の支援枠組みを含めました鉄道事業再構築実施計画の策定作業を現在進めておりまして、この鉄道事業再構築実施計画が国の認定を受けますと、通常、施設整備に対する3分の1の補助率が2分の1に上がるということ。また、国においては、認定した鉄道に対しては優先的に予算を配分するということとされており、ぜひ再構築実施計画を策定したいということで、現在、作業を進めております。これには、関係市町村、県はもちろん、国と関係団体にも入っていただいて、協議会において進めることとなっております。2期連続の赤字ということで、その結果として累積欠損の拡大という厳しい現状も踏まえながら、一貫経営後の持続可能な運営が確保されるよう進めてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 鉄道事業再構築実施計画を策定するということですが、これはいつまでに策定されるのか。そして、既に鉄道事業再構築実施計画について議論されていると思うので、その目玉は何なのか、どういう議論が中身としてされているのか。
例えば、新しい宮古市役所が先日オープンしましたけれども、宮古駅前に整備される、山田町でもまちづくりで駅前の開発を進める、こういう新たな動きもあるわけだから、本当に沿線住民がこぞって三陸鉄道を利用しよう、活用しよう、そういう新たな運動が起きてこないと、人口減少が進む中で大変なことではないのかと。
あわせて、交流人口をどういうふうに拡大して観光客を呼び込むのかということがもう一つの大きな柱だと思いますけれども、そういう点ではどういうことが議論になって、いつまでにこの計画は策定されるのか示してください。
〇渡辺地域交通課長 まず最初に、計画の策定時期ですが、一応今年度中の策定を目標に作業を進めております。
計画の柱でございますが、委員からただいまお話がありましたとおり、まず地元の利用ということで、計画の策定には当然市町村にも入っていただいているということで、委員から御紹介のありましたように、宮古市におきましては市庁舎を三陸鉄道の駅と接続させて、市役所の職員がまずは通勤に使えるような形とし、山田町あるいは大槌町におきましても、まちづくりに合わせて駅周辺を整備して、三陸鉄道を使っていただけるような形での整備を進めております。今、主なところを申し上げましたが、各市町村におきましてもいろいろ検討をするということで、いろいろ計画にものせることとしてございます。
もう一点が交流人口の拡大ということで、やはり目玉としては、ラグビーワールドカップ2019あるいは三陸防災復興プロジェクト2019といったビッグプロジェクトをいかに利用促進につなげていくかを柱に、企画切符や貸し切り列車の運行といったものを検討してございます。
〇斉藤信委員 この再構築実施計画というのが年度内ということになると、三陸鉄道の一貫経営のスタートとセットなのです。だから、一体的にこれは運動していかないと、計画をつくってからということには絶対にならないので、計画をつくりながら、来年の3月に向けてどういう取り組み、運動を進めていくのか。ぜひこれは一体で取り組んでいただきたい。知事はいつもピンチをチャンスにと言っていますけれども、そういう構えで、本当に私は、一大住民運動というか、そういうことが必要だということを提起しておきます。
次に、若者定住対策と若者定住住宅の取り組みについてお聞きいたします。
県内各地で今、必死に若者の定住、移住の取り組みを進めています。そこで、若者定住住宅がかなり市町村レベルでは整備されて効果も上げています。例えば葛巻町などでは、毎年、若い世帯を3世帯ずつ確保すれば地元の小学校は守られる、こういう構えでやっています。そういう形で、県内どれだけの市町村で若者定住住宅の取り組みを行っているかをまず示してください。
〇菅原地域振興監 移住、定住対策、特に定住住宅の取り組みでございますけれども、市町村でも定住住宅の取り組みが進んでおります。例えば雇用促進住宅を取得して若者の定住住宅として活用している例、御紹介いただきました葛巻町のように若者定住住宅を整備をしている例、あるいは若者のU・I・Jターン者を対象に家賃補助を実施しているところがございます。具体的な内容につきまして正確な数は把握しておりませんけれども、31市町村で何らかの住宅支援の補助などに取り組んでいるところでございます。
〇斉藤信委員 31市町村で住宅支援の補助に取り組んでいると。そして、若者定住住宅を整備しているところも少なくないと。例えば花巻市は雇用促進住宅を活用している。久慈市も定住促進住宅を整備していますし、二戸市も定住促進住宅。釜石市も雇用促進住宅を若者定住住宅にしている。葛巻町も岩泉町も西和賀町も、町村段階ではみずから定住住宅を整備して、必死になって若者の定住、移住に取り組んでいる。雇用確保の問題を聞いても、やっぱり住宅確保というのが一つのポイント、課題になっているのです。
東京で就職するにしても、寮があるところとか住宅がきちっと確保されているところが人気が高いということですから、県内でもぜひ若者定住住宅の整備、家賃補助も含めて、盛岡市も古い住宅を確保してリフォームには補助するなどという取り組みがなされているので、ぜひそういう形で具体例を示しながら、私は岩手県としても考える時期に来ているのではないかと思いますので、この問題は提起しておきます。
最後の質問ですが、平成29年の就業構造基本調査の速報値が出されました。この就業構造基本調査の結果、正社員の雇用、非正規の雇用、実労働者の人員はどのように推移しているか示してください。
〇伊勢参事兼調査統計課総括課長 就業構造基本調査は5年に1度行われる調査でございます。委員御指摘のとおり、直近は平成29年の調査でございました。平成29年の県内における役員を除く雇用者数は53万1、600人、うち非正規雇用の職員、従業員が18万9、800人となっております。この非正規雇用の全体に占める割合は35.7%で、前回が5年前ですので平成24年になりますけれども、平成24年と比較して非正規雇用は8、700人の減少、減少割合は1.9ポイントでございます。
〇斉藤信委員 前回の平成24年というのは震災直後で、そのことも考えれば非正規雇用が比較的多く出たということになるのではないかと思いますが、平成29年の段階でも18万9、800人が非正規雇用で割合が35.7%。5年前が37.6%でしたから、この比率は8年前と比べても高いのです。8年前の平成19年は18万2、300人で、33.5%でした。5年前と比べれば下がったのだけども、高い比率で非正規雇用が推移している。この点については、私は、次期経営計画でも雇用・収入という問題の位置づけをもっと高めるべきだと思います。8時間働いたら安心して生活できる、これが幸福の最大の土台になると思うのです。
この調査の中には収入基準というのがありまして、収入基準が200万円を割っている正規雇用の比率はどうなっているか。パートの場合、200万円を割っている、いわゆるワーキングプア基準の割合はどうなっているか示してください。
〇伊勢参事兼調査統計課総括課長 足し上げないとちょっと出ませんが……。300万円でよろしいですか。(斉藤信委員「200万円」と呼ぶ)
〇名須川晋委員長 後ほどにしますか。今そろいますか。
〇伊勢参事兼調査統計課総括課長 ちょっとお待ちください。
〇斉藤信委員 私のもらった資料では、正規の職員、従業員の200万円以下の総数は15.8%です。だから、正規職員でも15.8%は200万円以下のワーキングプア。パートになるとどうなるかというと、92.6%です。だから、本当に非正規雇用という実態が極めて深刻だと。全体とすればワーキングプアだと。このことも今度の就業構造基本調査で─速報値ですけれども─明らかになったのではないかと。間違いなければそれで……間違いないでしょう。
〇伊勢参事兼調査統計課総括課長 失礼いたしました。今、委員のおっしゃった数字で合っております。
〇斉藤信委員 これで終わりますが、この就業構造基本調査は5年ごとにかなり信頼できる正確な実態が反映されるもので、この調査結果に基づいても、非正規雇用の問題、生活実態というのは極めて重要な問題だと。政策地域部は次期総合計画を所管していますから、こうした実態もよく踏まえて、雇用、収入の課題をもっと重視してやっていただきたい。部長に一言聞きます。
〇白水政策地域部長 貴重な御指摘をいただきましたし、この間の次期総合計画特別委員会でも同様の指摘をいただいたと認識しております。
今まさに次期総合計画の長期ビジョン中間案、政策プラン(仮称)等、策定段階でございますけれども、長期ビジョンでは、仕事・収入の中に、各分野における企業等の雇用環境の改善を促進する、あるいは非正規雇用から正規雇用への転換を拡大することにより安定的な雇用への移行を促進するということを盛り込んでおりますので、引き続きさまざまな御指摘も踏まえながら検討してまいりたいと思います。
〇千田美津子委員 バス交通についてお聞きします。先ほど各委員からもさまざまな提案がありましたので、それも含めてお聞きしたいと思います。
県民の足の確保という点で、バス路線の廃止あるいは減便に伴って、対応を迫られる自治体が大変ふえております。最近では西和賀町でそういう対応がされたと報道がありました。
一つは、県内のバス事業の現状について。市町村が実施しているコミュニティーバス、デマンドバス、患者輸送バス等々について、まず現状についてお聞きします。
〇渡辺地域交通課長 県内のバス事業の状況でございますが、大変済みません、今まとまっている最新の数字が平成28年度ということで御容赦いただきたいと思います。
平成28年度の数字でございますが、バス事業者が運行するバス路線に対して市町村が補助しているものが21市町村164系統、市町村営バスの有償運行が13市町村153系統、市町村がバス事業者へ委託しながら有償運行しているものが7市町村52系統、市町村が有償で行っているデマンド型交通が11市町村36系統となっております。このほか、無償による患者輸送バスあるいはスクールバスなども多くの市町村で運行されており、地域内のさまざまな移動需要に対応しているところでございます。
〇千田美津子委員 今、御答弁いただきましたが、スクールバス、患者輸送バスを除いて多いのが路線バス、市町村営バスということで、これがどんどんふえております。そういった点で、市町村がその対応に苦労しているということで、これからの計画づくりが本当に大事だと思います。
あわせて、県単独補助路線の状況についてお聞きしたいと思いますし、また、平均乗車密度が減ることによって見直さなければならない路線があるのかどうか、それについてもお聞きします。
〇渡辺地域交通課長 県単独補助路線の状況でございますが、地域バス交通支援事業費補助として、平成29年度実績では17路線について県から市町村に対し2、656万4、000円の補助を行っており、輸送人員は24万6、919人となっております。
平均乗車密度の見直しによって被災地特例による補助が受けられなくなる路線として、県単補助につきましては17路線のうち9路線が仮に被災地特例がなくなると補助が受けられなくなるというで、こちらについては検討が必要なものと考えております。
〇千田美津子委員 そういうこともあるのですけれども、実は、県の補助は平均乗車密度が4人ということで対応されていると。先ほど佐々木朋和委員からそれを見直すべきではないかというお話がありました。私も実はそう思うのです。国庫補助については、平均乗車密度だけではなく、輸送量、1日に密度掛ける何回運行しているかを掛けて、国だと15人以上ということで、密度が下回っていても補助しているわけです。ですから、そういう考え方が私は県単補助においても必要ではないかと。確かに先ほど答弁があった、タクシーの4人を下回らないということも一つの基準かもしれませんけれども、私は、やはりこういう部分では県の補助の仕方も見直していく必要があるのではないかと思いますので、その点お聞きしたいと思います。
〇渡辺地域交通課長 先ほど答弁させていただきましたが、現状としては、特別地方交付税が8割措置ということもございますので、県といたしましては、導入の際の補助についてこれによって支援してまいりたいと考えておりますが、先ほど部長が答弁したとおり、市町村の意見を聞きながら研究してまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 私は、ぜひ見直していただきたいと思います。
県内市町村で地域公共交通網形成計画を策定しているのは、私の資料では、策定済みが10市町村、策定中が5市町村、それから来年度中の策定予定が2市町村ということで、17市町村が策定に向けて取り組んでいると聞いているのですが、それは間違いないでしょうか。
〇渡辺地域交通課長 法律に基づく地域公共交通網形成計画については、今、委員からお話があった、策定済みが10、策定中が5、今後策定予定が2ということでございますが、そのほか、法定以外のバスに関する計画について1市町村、今後、計画策定の予定があるということでございます。
〇千田美津子委員 なぜこれを聞いたかといいますと、県がこれから策定する計画を検討する上で、市町村の計画があるかないか、その接続も含めて、これらが非常に私は大事なことだと思っています。計画策定の準備をされていない市町村については、より丁寧に意見聴取というか把握が必要だと思うのですが、市町村の意見集約についてはどのように検討されているかお聞きします。
〇渡辺地域交通課長 計画が未策定の市町村についてでございますが、今回、県が策定する計画は幹線路線を中心に、市町村においては地域内交通を中心にということで役割分担しております。委員からお話のあったとおり接続を無視しては当然ネットワークにならないということで、接続部分を今回のこの地域公共交通網形成計画では重視したいと考えておりまして、そういったことで、計画策定に当たって全市町村と意見交換を行ったところでございます。
その中で、やはり市町村によって温度差はありますが、今後、法定計画かどうかは別として、そういったビジョンが市町村にも必要と考えておりますので、そういった方向で、指導とまではいかないですが、意見交換をしてまいりたいと思います。
〇千田美津子委員 ぜひお願いいたします。
それから、公共交通活性化支援チームを派遣しているようですが、派遣件数が余り多くないように思いましたがどういう状況にあるかお聞きします。
〇渡辺地域交通課長 公共交通活性化支援チームの状況でございます。
平成29年度におきましては、9市町村に対して派遣、支援等を行っており、具体的には、盛岡市における地域公共交通網形成計画策定への支援、金ケ崎町におけるスクールバスとコミュニティーバスの統合、活用に向けた検討への支援、奥州市における路線バスの減便等による代替交通の検討への支援などを行っております。
今年度は、これまでに久慈市と釜石市に対して支援を行っておりますが、今後、4市町村からも要望がある見込みですが、状況としてはもっと支援があったほうがいいということで、いろいろな機会を通じて市町村にこの制度について周知し、市町村の計画等が進むように支援してまいりたいと考えております。
〇名須川晋委員長 千田委員、質問項目はまだたくさんありますか。
〇千田美津子委員 最後にします。
今、答弁いただきましたが、公共交通活性化支援チームにも非常にすばらしいメンバーがいらっしゃいます。そういうものを活用しながら各市町村でも必要な計画をつくってもらって、どこでも今、高齢者の免許証の返納とか、高齢化の中で足の確保というのは本当に切実な課題になりますので、自分がその立場になったときに必要なバスとかそういう支援が受けられるように、ぜひ県民みんなでそういう地域づくりも含めてやっていく必要があると思いますので、最後に部長に一言お聞きして終わります。
〇白水政策地域部長 御指摘いただきましてありがとうございました。きょう、ほかの委員からも公共交通の確保をしっかりということで御指摘をいただいたところです。おっしゃったとおりそれぞれ市町村でもしっかり地域公共交通網形成計画をつくっていくことが必要だと考えておりますけれども、別の委員の質問の中でも出てきましたように、小さな市町村では人員─マンパワーが足りないところもありますので、そこもできるだけ丁寧に助言等をしてまいりたいと思っております。
この地域公共交通網形成計画の大きな流れの中で交通圏という考え方も出てきておりますので、やはりそれは必要な施策だということを念頭に、しっかり取り組んでまいりたいと思います。
〇名須川晋委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇名須川晋委員長 質疑がないようでありますので、これで政策地域部関係の質疑を終わります。
この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
午後3時19分 休 憩
午後3時38分再開
〇名須川晋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
次に、復興局長に復興局関係の説明を求めます。
〇佐々木復興局長 平成29年度の復興局関係の決算について御説明申し上げます。
初めに、復興局所管の事務事業に係る取り組み状況等について総括的に御説明いたします。
復興局は、東日本大震災津波からの復興に向けて、次の五つを施策の柱として重点的に取り組んでまいりました。
第1は、第3期復興実施計画の着実な推進です。
平成29年度及び平成30年度を計画期間とする第3期復興実施計画を着実に進めるため、東日本大震災津波復興委員会や総合企画専門委員会等の開催のほか、復興意識調査や復興ウォッチャー調査などを実施しながら、復興の取り組みを推進してまいりました。
第3期復興実施計画に掲げる事業の平成29年度の進捗状況につきましては、ことしの5月に復興実施計画の施策体系・事業に基づく進捗状況の確定値を公表しており、第3期復興実施計画に掲げる延べ271指標のうち、進捗率が80%以上の指標が250指標、92.3%となっております。
一方で、平成30年8月末で4、143人の方々が応急仮設住宅等での不自由な生活を余儀なくされており、被災者一人一人の復興を見守り、寄り添った支援を行うため、第3期復興実施計画に掲げる事業について、関係機関と連携を図りながら、最後までしっかりと取り組んでまいります。
第2に、災害に強い安全なまちづくりの実現です。
復興事業の円滑かつ迅速な実施を支援し、早期の住宅再建を図るとともに、快適で魅力あるまちづくりを促進するため、復興整備計画の作成や移転元地活用促進の支援に取り組んだほか、被災者の今後の生活設計や再建等のための情報提供として復旧・復興ロードマップを公表しました。
第3に、安心して心豊かに暮らせる生活環境の実現です。
内陸及び県外に避難している被災者に対し、いわて内陸避難者支援センターにおいて、住まいの意向調査や再建方法の相談支援を行うなど、市町と連携して恒久的な住宅への移行促進に取り組むとともに、持ち家の建設、購入に係る資金を市町村と共同で補助し、早期の住宅再建を支援しました。
また、沿岸4地区の被災者相談支援センターに相談員を配置するとともに、司法書士やファイナンシャルプランナーなどの専門家を派遣したほか、再建先での円滑なコミュニティー形成のためのコーディネーターの配置や被災者の心の復興に取り組む民間団体等への支援に取り組みました。
第4に、なりわいの再生と地域経済の回復です。
被災事業所復興状況調査を実施し、事業所の復興状況を的確に把握しながら、各種施策の効果的な推進につなげたほか、産業再生特区制度による事業者の税制特例措置の活用を促進しました。
また、沿岸地域の産業振興を促進するため、被災者等の新たな取り組みを支援するとともに、専門家によるきめ細やかな経営指導を行ったほか、基幹産業である水産加工業の人材確保のために必要な宿舎の整備等に要する経費を市町村と共同で補助しました。
第5に、復興に係る情報発信ときずなづくりです。
県内外での復興フォーラムやいわて復興未来塾の開催、いわて復興だよりの発行など、積極的な情報発信により、国内外の皆さんとの連携やつながりを深め、震災の記憶の風化防止に取り組んだほか、震災の事実と教訓を国内外に伝承するため、いわて震災津波アーカイブを構築するとともに、陸前高田市内で東日本大震災津波伝承館の整備に着手しました。
以上、平成29年度における復興局の取り組みについて総括的に申し上げましたが、今後におきましても、復興実施計画に基づき、多様な主体の参画や交流、連携により、復興の先も見据えた地域振興にも取り組みながら、一日も早い復興を目指し取り組んでまいります。
引き続き、復興局関係の決算について御説明いたします。
復興局関係の一般会計歳出決算は、お手元の岩手県歳入歳出決算書の12ページと13ページの2款総務費のうち、2項企画費の一部、3款民生費のうち、5項災害救助費の一部、16ページと17ページに参りまして、12款公債費の一部ですが、これらの支出済総額は154億6、535万円余であり、翌年度繰越額は7、362万円余、不用額は4億206万円余となっています。
決算の内容については、お手元の歳入歳出決算事項別明細書により御説明いたします。
なお、事業ごとの金額の読み上げは省略し、主な事業の内容を中心に御説明いたします。
事項別明細書の168ページ、169ページをお開き願います。2款総務費2項企画費1目企画総務費のうち、右側備考欄中ほどの復興局関係93億8、867万円余の主なものについて、まず、復興局関係の二つ目の復興情報発信事業費は、県内外での復興フォーラムやいわて復興未来塾の開催、復興に関する情報を発信するいわて復興だよりの発行などに要した経費です。七つ飛びまして、さんりくチャレンジ推進事業費は、被災地での起業等に係る事業計画策定や初期費用の補助、販路開拓などの支援に要した経費です。一つ飛びまして、東日本大震災復興交付金基金積立金は、県が実施する東日本大震災復興特別区域法に規定する復興交付金事業に要する基金の積み立てに要した経費です。
なお、繰越明許費7、362万円余は、復興局関係の七つ目の震災津波伝承施設(仮称)整備事業費において、施設の実施設計業務に不測の日数を要したことにより繰り越したものなどです。
次の、2目計画調査費のうち、復興局関係は、170ページ、171ページに参りまして、この目の備考欄の最後に記載しています復興計画推進費であり、復興委員会の開催や復興意識調査、いわて復興ウォッチャー調査など、復興計画の進行管理及び推進に要した経費です。
次に、212ページ、213ページをお開き願います。3款民生費5項災害救助費1目救助費のうち、右側備考欄下段の復興局関係59億703万円余の主なものについて、まず、復興局関係の二つ目の救助費は、応急仮設住宅の維持修繕や解体撤去、民間賃貸住宅の借り上げに係る経費など、被災者への応急的な救助に要した経費です。二つ飛びまして、災害援護資金貸付金は、被災した世帯の生活の立て直しに資するための貸し付けを行う原資を市町村に貸し付けるために要した経費です。二つ飛びまして、仮設住宅共益費支援事業費は、応急仮設住宅における集会所等に係る水道料金や電気料金などの共益費を負担したものです。その次の被災者住宅再建支援事業費補助は、持ち家による住宅再建を促進するため、被災者生活再建支援金の加算支援金を受給して住宅を建設または購入した世帯に対し市町村が補助する場合に、その費用の一部を補助したものです。
次に、362ページ、363ページをお開き願います。12款公債費1項公債費1目元金のうち1億6、050万円余が復興局の所管ですが、これは、災害援護資金の借入金に係る償還元金です。
以上で復興局関係の説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇名須川晋委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇工藤勝子委員 それでは、私から震災津波関連資料収集活用等推進事業費についてお伺いいたします。佐々木朋和委員の総括質疑でも質問されておりましたけれども、もう少し具体的に聞いてみたいと思っております。
高田松原津波復興祈念公園内に建設する東日本大震災津波伝承館の開館に向けて、展示物を充実させていくことが大変重要だと考えております。その中において、現在、この収集がどの程度進んでいるのかお聞きしたいと思います。
〇佐々木復興推進課総括課長 震災に係る被害を受けた資料の収集の関係でございます。
県では、東日本大震災津波の実態を正確に把握し、復旧、復興の状況を後世に残すことと、それから、これらの出来事から得ました教訓を今後の防災活動に生かすということで、写真、文書、動画などの震災関連資料を収集しておりまして、これを現在、いわて震災津波アーカイブ〜希望〜という形で、平成29年3月にインターネット上に構築いたしまして、公表しているところでございます。
資料収集の状況でございますけれども、全体では8月31日現在で23万6、718点という資料を公開しているところでございまして、そのうち市町村の関係は合計で6万6、405点、それから、NPO、大学、社会福祉協議会とか、そういう民間の団体からの収集という形で提供いただいたものが10万300点で、今後、アーカイブの中で保存している資料についても、伝承館でも活用するということで考えております。
〇工藤勝子委員 資料が集まっているということで安心しましたけれども、では、一部のマスコミで書かれた、写真、動画、物品の提供を呼びかけたが、寄せられたのは写真1枚だけだったとの記事は、どういうことでこういう記事が書かれたのでしょうか。
〇和村まちづくり再生課総括課長 先月末の津波伝承館の具体像見えずという新聞記事でございましたが、基本的に、現在行っておりますのは、津波伝承館に展示するような資料の情報提供をお願いしている段階でございます。その情報提供をいただいた中から、順次、必要な資料を御提供いただくことにしております。新聞記事では1点だけとなっておりましたけれども、もうかなりの数が集まっております。実際に、これからその情報をもとに、この写真をくださいとかということを行う段階になっております。そういうことで、今はまだ手元にございませんけれども、その情報を収集している段階ということでございます。
〇工藤勝子委員 遠野市の事例ですけれども、遠野市にもいろいろな資料があって、遠野市総合防災センターのところにプレハブの資料館をつくって展示しているわけです。遠野市でもかなりの資料を持っておりまして、やはり展示できない部分を保管している状況もあります。
情報によりますと、結局、遠野市にも資料の提供を県からお願いされたという話がありました。で、断ったという話が聞こえてきまして、遠野市からのそういう資料提供は行われていますでしょうか。
〇和村まちづくり再生課総括課長 遠野市の資料館については私たちも拝見いたしました。貴重な資料がありますので一部展示したいとは思っておりますが、遠野市は遠野市で、あそこに展示して、そこに人に来てもらうのが一番の目標だということもございましたので、我々としては、津波伝承館の中には、遠野市にこういうすばらしい施設がありますということを御案内をしようと思っておりますし、その中の一部として写真等は置きたいと思っております。
基本的に遠野市の施設の展示物全部を津波伝承館に移すのではなくて、遠野市にそういうものがありますという情報発信をしたいと考えております。
〇工藤勝子委員 被災した各市町村でも、それなりの資料を多分それぞれ持っていらっしゃるのだろうと思っています。そしてまた、遠野市のように、資料館をつくって津波を伝える、そして復興の姿とかボランティアの活躍の姿とかを、それぞれの市町村でも展示する施設などもきちんと設けているのではないかと思うのです。
それらを、県として、市町村も全部網羅した企画的なものは考えていらっしゃるのでしょうか。
〇和村まちづくり再生課総括課長 県の津波伝承館としましては、それぞれの地域での出来事というものではなくて、津波全体の脅威ですとか、あと、今回受けましたこの津波によって、人がどのような行動をとって助かったかとか、そういう教訓を残したいと考えております。
ですから、実際の地域での出来事につきましては、各市町村に行って見てもらうと。もっと大きな形での津波の伝承というものを県では考えておりますので、その役割分担をきちんとした上で、津波伝承館で学んだことをさらに深く学びたい場合には、こちらの施設をごらんくださいというような、いわゆるゲートウエーとなる機能を考えております。
〇工藤勝子委員 今、建設中でありますから、いろいろなところはまだ不透明なところもあるのだろうと思っていますけれども、しっかりとこれを見に来られた方が、見てわかるというのでしょうか、日本では今、津波が来るということもいろいろ予想されていますので、どうやって命を守るかというところにつないでいければいいのではないかという思いもあるわけです。
ですから、来た人たちが、いろいろな資料を見て津波の怖さを知る、どうやって自分の身や住んでいる地域で守ればいいかというところが鮮明にわかるように展示物をコーディネートするということが非常に大事になってくるのだろうと思っています。
それで、市町村からも6万6、000点もの資料が集まっているという話ですが、やはりせっかく提供していただいた資料をきちんと、例えばいろいろ交換しながらも保管していくことだって必要だと思っているのです。この津波伝承館の中にはそういう保管する施設などもきちんと整備しようと考えているのか、使わない資料は戻す。民間から提供されたものは、いや、これは展示できませんからということで戻してしまうのか、どう考えていらっしゃいますか。
〇和村まちづくり再生課総括課長 ある程度のものを保管するスペースはとっております。ただ、津波伝承館につきましては、震災遺物そのものを展示するというよりも、事象ですとか、あと、人間がどのような行動とったかとか、その津波や災害の脅威というものをデータや写真等で学んでいただくことを考えておりますので、例えば、壊れた時計ですとか、そういったものをたくさん集めようということは考えておりません。
一部スペースとして企画展をやるコーナーがございますので、そのときは、お借りして展示することもございますけれども、その場合は、またお返しするという形で考えております。
〇工藤勝子委員 例えば美術館でも博物館でも、やはりそれなりにきちんと配置、展示して、どういうことを、どう伝えていくか、そしてどう考えてもらうかということが非常に大事になってくるわけです。そのような部分は、専門的なコーディネーターにお願いしてやるのでしょうか、それとも県職員の知恵とアイデアでやるのでしょうか。
〇和村まちづくり再生課総括課長 現在は、民間のコンサルタント会社にお願いいたしまして、その知恵を拝借しながら全体像をつくっております。
また、今後につきましては、県職員になるかと思いますけれども、例えば学芸員ですとかを配置しまして、運営していきたいと考えております。
〇工藤勝子委員 わかりました。1回行って、あとは行かなくてもいいなという施設では、私はだめだと思うのです。1回行っても、もう一度行って確かめてみたいとか、あそこを見かねてしまったとかという形で二度も三度も足を運んでいけるような公園づくり、施設づくりが非常に大事だろうと思っておりますので、ぜひよろしくお願い申し上げたいと思っています。
また、ただ映像を見るだけではなく、そこで、やはり語り部として、来た方々に案内をしたり説明をしたりする、ガイドというのでしょうか、語り部のガイドも非常に大事になってくるのだろうと思っていますけれども、その辺の人材の確保はどのように考えていますか。
〇和村まちづくり再生課総括課長 語り部につきましては、地元の陸前高田市と協力しながら育成したいと考えております。
〇工藤勝子委員 簡単に答弁いただきましたけれども、何人ぐらい必要だと思っていますか。まだそこまで計画が立てられていませんか。
〇佐々木復興推進課総括課長 まず、語り部のボランティアガイドの県内全体の状況を先にお話しさせていただきたいと思います。
現在、県内の主な語り部ガイドの団体が12団体ほどございまして、約130名のガイドの方が活動されております。主な活動内容といたしましては、震災学習を中心とした教育旅行ですとか、それから、企業の研修旅行における説明ですとか、あと、個人の旅行ガイドというようなこともあるようです。
平成29年度の旅行者等の受け入れの実績でございますけれども、合計で4万9、567名、2、737団体に対応していただいたところでございます。
いずれ、この震災語り部につきましては、陸前高田市だけでなく、沿岸各地域におきまして震災の体験や教訓を語り継いでいくために実施されている重要な取り組みだと認識しておりますので、来年開館いたしますこの津波伝承館につきましても、県の観光部局でもボランティア団体とのやりとりがありますので、そういうところとも連携を図りながら、ガイドの受け入れ態勢の充実、強化について支援していきたいと考えているところでございます。
〇工藤勝子委員 ボランティアという名称がつくと無償でやらなければならないということもあるわけですが、県としてガイドの交通費とかをしっかりと予算化していく必要があるのではないかと私は考えますけれども、その辺のところはどう考えていらっしゃるんでしょうか。
〇佐々木復興推進課総括課長 このボランティアガイドは、今のところ、県では観光部門でも対応してやっているところでありますので、今後、津波伝承館の役割とかも検討しながら、関係部局と検討してまいりたいと思っております。
〇工藤勝子委員 それでは、もう一点、総合的被災者相談支援事業についてお伺いいたします。
震災からもう7年と7カ月を迎えます。そういう中において、三陸縦貫道を初めとして、港湾とか漁港、水門など、いろいろなハード面の整備が、国の支援もいただいて進んできていると思っております。
そういう中で、やはり被災者の体の不調とか心の健康の問題が今後残ってくるのではないかと思っています。応急仮設住宅にまだ多くの方々がいらっしゃいますし、さらに、災害公営住宅、持ち家に入った方々の中でも、体調を崩している人たちもあるでしょうし、復興を感じながら盛り上げようという機運もあるのでしょうけれども、釜石市の調査を見ると、心の悩みを持った方々で重い症状の人たちが、まだ3分の1もいらっしゃるというデータが出ているわけであります。
こういう中において、いろいろな相談窓口や、それから相談支援員の方々が活躍していらっしゃると思っているところでもあります。今後、平成30年度の県の復興計画期間が終わった後も、こういう人たちをしっかりと支えていくことが大事ではないかと思うわけです。
まだ国からのいろいろな支援があるうちはいいのでしょうけれども、例えば、国からの支援が平成32年度に打ち切られてしまっても、県として単独でこういう相談員を配置して、しっかりと見守り活動や、そういう相談に乗っていくという考えはありますでしょうか、お聞きいたします。
〇工藤生活再建課総括課長 総合的被災者相談支援事業によります相談体制の関係でございますけれども、県では、被災者の生活再建の支援のためということで、沿岸4カ所に被災者相談支援センターを設置して、相談員による相談対応ですとか司法書士、ファイナンシャルプランナーなどの専門家による相談対応を行ってきております。
それから、内陸、県外に避難された方々の支援ということで、いわて内陸避難者支援センターを設置して、住宅再建の意向の把握ですとか相談対応を行ってきているところでございます。
被災された方々の応急仮設住宅から恒久的な住宅への移行が進むにつれて、こういったセンターでの相談件数は、減少してきておりますし、今後も減少が見込まれるところでございますが、引き続き、応急仮設住宅にお住まいの方々の住宅再建の支援ですとか、移行された後の支援を行うために必要な期間は、相談体制の継続が必要と考えております。
この財源は、国の被災者支援総合交付金でございますので、この交付金による措置の継続について、国に働きかけながら、必要な予算確保に努めてまいりたいと考えております。
それから、被災された方々の心のケアですとか体のケアにつきましては、直接的には保健福祉部で所管しております生活支援相談員の見守りですとか、こころのケアセンターの対応がありまして、そちらについても、これとは別に、必要な間の予算の確保等について国に働きかけをしていく、国からも調査がありますので、そういった対応をしながら、必要な間しっかり続けていくと聞いているところでございます。
〇工藤勝子委員 わかりました。資料によりますと、震災こころの相談室というものが5カ所あるということで、心のケースの相談が3、928件も行われているというような数字も出ているところであります。まだまだ心の復興が被災地で進まない中で、そしてまた、高齢化にもなってきておりますので、体調を崩す人たちが今後も出てくるのだろうと思っております。そういう面において、やはりこういう生活支援員とか相談員の配置は、今後も非常に大事な要素になってくるんだろうと思っていますし、これが次期総合計画の中で幸福を守り育てることに私はつながっていくのではないかと思います。
私は、岩手県民が幸福を感じるようになるためには、被災された方々が復興して、そして、沿岸地域の人たちが、本当に豊かになったとか、心がよくなったとか、そして幸せを感じるようになったという感じがデータとして出てきて初めて、次期総合計画のそういうものにつながっていくのではないかと思っているところでもあります。ぜひ今後とも、国に働きかけてと言っていますけれども、国がもしこういう予算を切ってしまったとしても、やはり県単独でもこういう人たちを支えていくというような強い意志を持ってやっていただきたいということをお話し申し上げたいと思います。
もし、いろいろな形の中で新たな取り組みがあったりしましたなら、その所感を伺って、終わりたいと思います。
〇佐々木復興局長 被災者の方々の心のケアですとかコミュニティー形成支援は、中長期の取り組みが必要だということは、阪神・淡路大震災の例を見ても、そういうことが言えるかと思います。
今回、復興大臣がおかわりになりましたけれども、前の吉野大臣は、御自身も福島で被災されたこともあって、この心のケアの中長期の取り組みの必要性について再三お話しいただいていたところでありまして、私どもも心強く思っていたところであります。
大臣は交代しましたけれども、次の大臣にも必要な事業についてはしっかり引き継ぐというお話もいただいておりますので、まずは、国において、この被災地の状況を踏まえて、しっかりと取り組んでいただくことが第一だと思っております。それを見ながら、県としても必要な取り組みについて検討してまいりたいと思います。
〇岩崎友一委員 今回の決算でも震災復興関係の繰り越しが非常に多いなと感じているところでありますが、基本的には、やはり2020年度の国の復興・創生期間内に復興を全て仕上げるというつもりで全力で頑張ってほしいと思っております。
ただ、私も現地を実際に見せていただいて、ハード面におきましても、防潮堤、水門も、それぞれ、どうしてもおくれが生じてしまっている原因というか要因も聞いていますので、いたし方ないと感じているところでございます。
我々自民党としましても、やはりそういった部分が見えてきましたので、自民党の復興加速化本部であったり政府に対する要望に当たっては、2021年度以降の復興庁の後継組織のあり方、財源確保の方法等も含めて要望しているところでございます。
まず確認させていただきたいのが、2020年度の国の復興・創生期間内に終了しない事業、まずハード面ですが、どういった事業が終了しないのかというのと、この辺は城内委員も総括質疑で取り上げましたけれども、どのくらいの金額を2021年度以降に繰り越さなければならないのかお尋ねします。
〇和村まちづくり再生課総括課長 復興に関するハード事業につきましてですが、平成30年3月31日を基準日とします社会資本の復旧・復興ロードマップによりまして、進捗状況や今後の見通しについて公表しておりますが、国の直轄事業の一部を除きまして、復興・創生期間内の2020年度までに概成する予定となっております。
一応、ロードマップ上では2020年度の完了となっております。
〇岩崎友一委員 2020年度にハード面は全部終わるということでよろしいのですか。
〇和村まちづくり再生課総括課長 全ての事業につきまして2020年度までの完成を目指しておりますが、一部の事業につきまして、工程上のリスクがあるということで、現在、復興庁と詳細のヒアリングを行っているところでございます。
〇岩崎友一委員 私が聞いているのは、県のほうで把握していると思うのですよ。これはもう厳しい、水門とか防潮堤も終わらないのは大体もう見えているわけですよ。私も現地を見ていますけれども、復興局でそれを把握していないということなのですか。精神論とかそういうのではなくて、実際どのくらいの事業が終わらなくて、その事業費はどのぐらいかということを私はお尋ねしているのですが。
〇和村まちづくり再生課総括課長 工程上のリスクがあるところがございますので、それで幾つ終わらないかとか、あと、その事業費が幾らかということを今ヒアリングというか調査中でございます。
〇岩崎友一委員 ということは、把握していないということでいいのですね。その事業進捗を把握していれば、これはもう終わらないというのがわかりますね。それがわからなければ、復興庁に対して協議できないですものね。
私の質問が悪いですか。
〇和村まちづくり再生課総括課長 現在、調査をして、調査の内容等につきまして復興庁と調整中ということでございます。
〇岩崎友一委員 調整中と言いますが、県として把握していないのかという話なのです。復興庁と調整中というのは全くわからないですよ。県としてどういった事業が終わらなくて、その分の金額として幾ら分を2021年度以降に繰り越さなければならないかと。
私は、おくれていることを責めているわけじゃないですよ。事実関係だけ教えてもらえればいいのです。
〇佐々木復興局長 社会資本の復旧・復興ロードマップに掲載している全ての箇所について、それぞれ担当の県土整備部、農林水産部等において進行管理をしておりまして、個々に、どこの箇所が2020年度の完成に向けてリスクがあるかは把握しております。
その把握している中で、リスクはあるけれども、工法を少し工夫するとか何らかの手だてによって早期の完成、2020年度までに完成できるのではないかといった技術的な詰めを国土交通省なり農林水産省とも相談しながら進めているところでございまして、現時点で2021年度以降に繰り越しそうな事業費を確定するには至っていない状況であります。
〇岩崎友一委員 それでは、その協議の状況でいいのですけれども、何カ所について今協議をしていて、その協議している部分に関しての金額はどのくらいになるのですか。協議している状況はわかりますね。復興局ですから、全て把握していなければおかしいですから。国土交通省なり農林水産省と何件協議しているか、それを示してください。
〇佐々木復興局長 個々の箇所についての協議は、それぞれ担当の部局で行っておりますので、現時点で詳細な数字は把握しておりません。
〇岩崎友一委員 いや、申しわけないですけれども、それじゃ復興局の意味がないのではないですか。各部局でやっているそれぞれの事業を取りまとめて、国の復興庁の出先である岩手復興局だったりと協議をするのが復興局の役割だと思うのです。それを各部局でやっているからわかりませんというのは、ちょっと私は、仕事の仕方が雑なのではないかと思います。
私は、おくれていることを責めているわけじゃないですよ。次に向けてしっかりとおくれている事業を把握して、その事業を執行するための予算確保に向けてどう動くかをきょうは議論したいと思ってお尋ねしたのですが、そういった状況では何も議論できないといいますか、復興局の存在自体を疑わざるを得ないわけであります。
それは復興局で本当に全く誰もわからないんですか。ロードマップはわかりますよ。ここまで終わらせようという努力目標で、結果おくれてしまうのは仕方がない。ただ、その数字を本当に誰も把握していないのですか。もう一度確認です。
〇佐々木復興局長 国との協議をしている中で、その時点、時点によって箇所も動いておりますので、現時点での正確な協議している数字、箇所数を今申し上げることができないということでございます。
〇岩崎友一委員 県土整備部、農林水産部など、いろいろあるでしょうけれども、やはり復興局が、しっかり連携しながら情報共有もしてやらなければならないのですから、それは知りませんというのは、復興局の組織のあり方を私は本当に疑わざるを得ないわけであります。
それはそれで、ぜひ改善というか、しっかりそういう進め方をまずしてほしいと思うのですが、局長、どうですか。
〇佐々木復興局長 この調査につきましては、復興庁からの話があって、こういった調査を関係省庁とそれぞれの自治体の関係部局で行っておりますので、どの時点で数字をどういう形で公表するかについては、復興庁との協議も必要かと考えております。その上で、しかるべき時期に、そのリスクのある箇所等についてお話しすることになろうかと思います。
〇岩崎友一委員 よくわかりませんけれども、何で国がそういう動きになるかといえば、国でも、やはりそろそろもう整理をしっかりしなければならないということで、先ほど工藤勝子委員への最後の答弁でも局長が言っていましたけれども、吉野復興大臣からも、やはり2021年度以降の後継組織、あと財源の確保をずっと気にしているので、国も県のほうにどうなっているのだという形で聞いているわけであります。
局長の話を聞いていると、何か言いわけがましく聞こえるのですけれども、じゃ、いつの時点だったらこれがわかるのですか。いつになったらわかるのですか。
〇佐々木復興局長 国におきましては、復興・創生期間の3年目に当たる今年度、復興に関する基本方針の見直しを行うとしておりまして、それに向けての一連の調査であると承知しておりますので、私らとしても、今年度中に、ある程度そういったもののめどを出したいと思います。
〇岩崎友一委員 それは国の指示というか、国もしっかり寄り添った仕事をしているのですからそうなのですが、途中経過もしっかり、まず共有しながらやってもらわなければ、復興局としての意味がないと思います。
これは多分堂々めぐりというか、数字を全く把握していないというので、これはもういいです。ハードの面はですね。
次に、ソフト面の関係でありますけれども、工藤勝子委員から心のケアの関係も質問がありましたが、ソフトのほうで、やはり2021年度以降継続すべき事業、制度等、県としてどのように捉えているかお示しいただきたいと思います。
〇佐々木復興推進課総括課長 復興・創生期間以降も継続すべきソフト事業ということでございます。総括質疑でお答え申し上げたものもございますけれども、まず、被災者の心のケア、それからコミュニティー形成支援は必要だと認識しておりますし、住宅再建、あとは本設移転後の事業者への支援など、被災地の実態、それから、施策の推進状況を踏まえながら、事業の継続が必要なものがあると考えているところでございます。
また、先ほどお話ししたような東日本大震災津波の事実、教訓伝承、それから情報発信に係る事業についても、永続的に実施していく取り組みだと考えているところでございます。
〇岩崎友一委員 わかりました。さっきはハードの部分が全然把握されていなかったのであれなのですが、やはり私も、2021年度以降も国にしっかりと予算をつけていただかなければいけない事業、制度があると認識しております。
それで、これらの財源確保に関してちょっと確認なのですけれども、復興庁の終了と一緒に復興特別会計も2020年度までとなっておりますが、それ以降の財源確保の考え方、私も復興特別会計が、例えば2020年度の予算について明許繰越、事故繰越ができるのかもわからないですし、その2年以内で事業が全部終わるかも、数字が全然出てこないのでそこは議論できないと思うのですが、県としては、どういった形で国に財源措置してほしいのかという復興局の考えを聞きたいと思います。
〇佐々木復興推進課総括課長 2021年度以降の財源ということでございます。まず前提として、2020年度までにつきましては、復興財源フレームを国で準備していただいて、その中で、県、それから市町村が必要と見込んだ復興費用については、おおむね確保されているということで進んでいるところでございます。
今申し上げたように、社会資本整備ではみ出してくるものがあるかもしれない。それから、ソフト事業については、やっぱり中長期的に取り組んでいかなければならない課題が幾つかあるということで、それにつきましては、今年度、2021年度以降の対応について、国の中で基本方針の見直しの方針を出すことになっており、その検討を始めているところでございますので、それに合わせまして、今年度、その必要な事業や制度の継続につきましての提言、要望を出しているところでございます。
国でも、基本方針を見直しつつ、あとは、予算、財源については、まだこれからの議論ということのようでございますので、それに対しましても、いずれ必要な事業の継続という部分は、機会を捉えながら要望してまいりたいと考えているところでございます。
〇岩崎友一委員 わかりました。さっきも言いましたけれども、その財源確保だって、例えば、特別会計の明許繰越、事故繰越が、そういう制度にしましょうと。それで了解してしまって、2年間の中でハード面が終わらなければ、もう予算が終わってしまうわけじゃないですか。とりあえずはですよ。そういうことで、やはりソフト面とハード面も分けるべきかと思いますけれども、そういった意味で、基金という形なのか、どういう形がいいのかということは県もしっかり考え方を持って、こうしてほしいということはしっかり国に言ってほしいと思うのですが、その辺はどうですか。
〇佐々木復興推進課総括課長 例えば、繰り越しについての技術的な部分とかを、どうしていくかということについては、国でもまだ、今後の検討ということで方向性を示していただいているところではございません。
いずれ、県といたしましても、被災地の特にソフト面につきましては、さまざまな被災者の状況がございますし、実情もその地域によって違う部分もありますので、これまでの予算要望の中でも、被災者に寄り添って柔軟に対応できるようにということでの自由度の高い財源の確保も要望してきております。そういうことで、今後とも、被災地の復興がおくれないように要望を続けていきたいと考えております。
〇岩崎友一委員 最終的に国が示すのですけれども、やはり県としての考え方で、自由度の高いというのはみんな言うと思うのですが、それは余りにも抽象的過ぎてよくないと思って要望書も見ていました。自由度の高い交付金、自由度の高い交付金と、みんなそれがいいわけですけれども、やはり現実的な事業の進捗も踏まえながら、どういった形の財政確保を岩手県がすべきか、それに伴って国にはどうしてほしいかということもしっかり言っていったほうがいいと思います。
何でこんなことを言うかというと、やはり復興特別会計が終わって、一回予算が全部切れてしまって、新たに予算化するとなった場合に、総務省、農林水産省、国土交通省、厚生労働省は、多分いろいろな県の要望は聞いてくれると思うのですが、やはり財務省との関係があるわけです。そういった中で、例えば被災地の負担割合がふえたりといったことを懸念しているので、最初の段階でしっかり予算を確保する必要があるという視点から、そういった提案をさせていただいておりますので、ぜひその辺、しっかりやっていただきたいと思います。
局長、どうですか、その辺は。
〇佐々木復興局長 ただいまの御質問の前に、先ほどのハード事業について私の答弁が不十分だったかと思いますので、ちょっと補足させていただきますと、リスクのある事業、2021年度にはみ出そうな事業について、復興局が全く知らないということではありませんで、各関係部局からは個々に、こういう箇所にこういうリスクがあるという情報はいただいております。
その上で、国との協議の中で、そこが時点によって数字が動くものですから、今の時点で何カ所で、金額が幾らとお示しする数字は持ち合わせていないという趣旨でございましたので、その点は御了解いただきたいと思います。
財源の話につきましては、岩崎委員から御指摘のあったとおりと私どもも考えております。それぞれの事業を所管する省庁とはいろいろ相談しているところでありますが、最終的に、今の10年間の復興期間における財源は、国民の皆様方から特別な税制で財源を出していただいて対応しているものでありますので、その全体の中におさまるのか、それがはみ出るのかとか、はみ出た場合に、新たな負担をお願いするのか、あるいはおさまるときに残余は使えるのかとか、そういった面での検討も必要かと思いますけれども、私どもとすれば、必要な事業がそのとおりできるように、ぜひお願いしたいと考えております。
〇岩崎友一委員 その辺の要望も、手おくれになれば厳しくなりますので、早い段階でお願いしたいと思います。
それで、これは細かい具体の質問では出していませんでしたけれども、我々は、ことしも県内33市町村全て回って市町村の要望ヒアリングを行いまして、沿岸部では、現地視察も全部取り入れながら回ってまいりました。
やはりずっと解決していない課題の一つが、防災集団移転促進事業の移転元地の利用策でありますけれども、県もずっと課題として認識していると思うのですが、この辺は、それぞれ当時、市町村によって災害危険区域の網かけのやり方が違ったので、進め方も変わってくるかと思いますが、この辺は2020年度以内に終わりそうなのかどうなのか。また、市町村と連携していればわかると思うのですけれども、そのために県が今どのような支援を行っているのかを確認させていただきたいと思います。
〇和村まちづくり再生課総括課長 移転元地につきましては、かなりの箇所がまだ活用できていない状況になっておりますが、それにつきまして、例えば、基礎が残っているとかという場所に関しましては、防災集団移転促進事業を使って整地はしましょうとか、そういった形で、今、できるだけ使い勝手がいいような土地にしようということで、各市町村と取り組んでおります。
その上で、その土地に対してどのようなニーズがあるかというニーズの掘り起こしについて、できるだけその情報を公開して、土地を使いたいという方にそれを知らせる方法がないかということで、今それを検討しているところでございます。
〇岩崎友一委員 ぜひお願いしたいのですが、ざっくり言えば、市町村が買い上げた土地と買い上げなかった土地が点在している状況で、市町村は、このままでは困るからどうにか集約化してほしいと。ただ、国としては、次に何に利用するかもわからない土地に国税を使って集約だけするのは厳しいという状況がずっと平行線で続いているわけです。それがなかなか前に進まない要因はどの辺にあるのですかね。
〇和村まちづくり再生課総括課長 やはり危険な土地であるという認識がございますので、それをどう利活用するかということが一つございます。その利活用のニーズを、人が住むのは無理ですけれども、商業とか工業とかといった形で使えないかということで今ニーズの把握をしておりますが、なかなかまだ情報が行き渡っていないところがございます。移転元地として市町村が買い取っておりますけれども、どこにその土地があるかという情報がまだ広く知られていないということもございますので、そういったことを知らせながら、ニーズの開拓をしていきたいと考えております。
〇岩崎友一委員 私は、今の答弁も若干違うと思うのです。市町村はもう結構はっきりわかっていますよ。それで、どうにかしたいのだけれども困っているということで、何が問題かというと、やっぱり制度の欠陥というか、制度が厳しいので、どこかで間に入って市町村と国をつないで利用促進していくのかは、県の役割だと思うのです。
これはもうずっと何年も同じ課題で解決されないままですので、もうちょっとしっかり踏み込んで国と協議をして、この課題が解決されるように進めてほしいと思うのですが、局長、どうでしょうか。
〇佐々木復興局長 防災集団移転促進事業の移転元地でまだ利用されていないところの活用についてでありますが、この間、国ともいろいろ協議してまいりましたけれども、国とすると、当然のことながら、具体的なニーズがあるところについては、その事業に乗っかって活用はできると。具体的なニーズがないのだけれども、例えば整地だけさせてくれというようなものは、整地しても、結果的に使われなかったら、それは公費の無駄になるのではないかといった議論もございました。
今の時点では、市町村ごとに、防災集団移転の個々の箇所でどういう問題があるのか、1カ所ずつヒアリングをしております。そういった中で、もちろん具体的なニーズが出てきたものについては、既に復興交付金の活用等を国と協議しているところもございますし、具体的なニーズが今ないというところに関しては、先ほどまちづくり再生課総括課長も申し上げたのですが、防災集団移転促進事業の中で残っている基礎の撤去ですとか、整地とかできるものもあります。ただ、その事業も、復興・創生期間が終わると使えなくなるということであれば、その時期を見込んで、今の使える制度でとりあえず整地だけやっていくとか、そういったものを箇所ごとに相談しておりまして、9月にも各市町村を回っていろいろ意見交換をしたところであります。
今後、こういった取り組みも進め、市町村の意向もさらに確認しながら、必要なものは国とも協議してまいりますし、市町村ともさらに相談を進めていきたいと思っております。
〇岩崎友一委員 やはり、この課題は複数の市町村から出ている課題でございますので、これは県の役割として、市町村と連携して、国とも協議を進めながら、解決に向けて取り組んでいっていただきたいと思います。
次の質問に移りますけれども、コミュニティーの関係で、全体的に聞きます。先ほど工藤勝子委員からも、心のケアの問題がございました。応急仮設住宅から災害公営住宅だったり自宅再建されて、それもどんどん進んできているわけでありますけれども、自治会の設立に苦労しているとか、とりあえず立ち上げたけれども、高齢化で先が見えないとか、いろいろな課題があるわけです。
これからどんどんそういった課題に対する対応が重要となってくるかと思うのです。今、私がいろいろ聞いている限りでは、例えば、市町村によっても自治会のかかわり方も違って、自治会で何か相談をするというときに、例えば、市営だったら市の担当者が来ますよと。ただ県営は、県だから行きませんという事例もあって、呼んでも来てくれないと。県で整備した災害公営住宅は、そこを県としても支援できる体制が整っていないというような状況であるかと思います。
これから、やはりそういった点もしっかりとフォローしていかなければならないと思いますので、ぜひ、復興局におきまして、このソフト面ですね、重要な部分であると思いますが、そういった部分に特化した部署というか部門を創設して、これまで光が当たらなかった部分にしっかり取り組んでいくことが必要かと思いますが、その辺のお考えをお伺いします
〇工藤生活再建課総括課長 コミュニティー形成の支援を含むソフト面での被災者の生活再建の支援についてでございますけれども、特にコミュニティー形成につきましては、新しい再建先とか、応急仮設住宅のときもそうですが、再建先で安心して生活していくために、お互いに支え合って暮らしていくコミュニティーの形成が重要ということで、各市町村などでコミュニティー支援員を設置するなど、さまざまな取り組みも行われているところです。
ただ、これほど大規模にいろいろなところで新しいコミュニティーができるということも、これまでに経験もないということで、市町村でも、コミュニティー支援員を配置したけれども、どう支援、指導していったらいいかという御相談もあります。
そういうことから、復興局としても、平成29年度から被災地コミュニティ支援コーディネート事業を行って、市町村、それから支援団体とかも、各自治会とか自治会を立ち上げようとしているところに結構支援に入っていただいていますので、そういった市町村と支援団体などを調整するコーディネーターを配置して、支援のための体制づくりとか人材育成、ノウハウなどについて助言するなど、市町村などの取り組みを支援しているところでございます。
その事業を通じてお聞きしているところでも、確かに、本当に自治会ごと、あるいは地域ごとに課題がそれぞれいろいろあると。おっしゃるように、県営と市町村営の住宅でも違いがあるというようなところもお聞きしておりますので、これについては、例えば県営の災害公営住宅には県土整備部でも支援を行っていますけれども、県土整備部とも連携を図りながら、被災者、お住まいの方々に必要な支援がきちんと届くように、それから、市町村でも、支援体制もどうしたらいいのかという御相談もいただいたりしますので、それぞれの市町村や地域でもどういう支援がいいのか、いずれ、最終的には被災者、お住まいの方々に必要な支援がしっかり届くように、復興局でもこの事業を通じながら取り組んでまいりたいと考えております。
〇名須川晋委員長 答弁は簡潔にお願いいたします。
岩崎友一委員に申し上げます。世話人会の申し合わせにより、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことがな
いよう、議事の進行に御協力をお願いします。
〇岩崎友一委員 わかりました。
ソフト面の重要性というのは共有できていると思うのですが、災害公営住宅を所管する県土整備部はどうしてもハード面が主ですので、やはりソフト面に対応するというのは厳しいと思うのです。だからこそ復興局の中に心のケアやコミュニティーに特化した部門を設けて、全体の課題をしっかり拾って解決できるようにとお願いしているわけでありますが、局長、お考えはどうでしょうか。
〇佐々木復興局長 見守りや心のケアについては、現在、保健福祉部が所管しているわけですが、それを保健福祉部から移管して復興局でという御提言と思っておりますけれども、そういった方法も一つあろうかと思います。
一方で、見守りについては地域福祉の従来の制度との連携も必要ですし、心のケアにつきましても精神保健の関係で従来からの施策との関連もございまして、そちらとの連携をどのように持つかについて組織としてどうあるべきかということもあると思います。
ちなみに、現在でも復興局では保健福祉部保健福祉企画室、地域福祉課、それから長寿社会課の職員を兼務発令いたしまして定期的に打ち合わせを行っておりまして、こういったソフト事業について復興局と保健福祉部が連携して施策を講じられるようやっているところでございますので、そういったことや、委員から御提言のあったことも含めて、今後の体制については関係するところともいろいろ相談してみたいと思います。
〇斉藤信委員 最初に、復興基金の昨年度の活用実績とこれまでの累計の実績、活用率を示してください。
いわての学び希望基金の活用状況についても同じように残額を含めて示してください。特に、いわての学び希望基金は平成30年度にかなり拡充されたようですから、その拡充された中身も示してください。
〇佐々木復興推進課総括課長 まず、復興基金の関係でございます。
平成29年度までに、暮らしの再建の分野ですと、住宅再建費用の一部助成や国民健康保険、後期高齢者医療制度における一部負担金免除に要する経費、安全の確保の分野では、再生可能エネルギー導入促進に向けた環境整備、なりわいの再生の分野では、中小企業の事業再開、被災地における起業の支援など、これまで44事業、計220億円余の事業に活用してきたところでございます。そのうち、平成29年度につきましては25事業、約25億円の事業に活用したところでありまして、平成29年度末の基金残高は約75億円となっているところでございます。
それから、いわての学び希望基金ですが、これは、平成29年度までに、東日本大震災津波による被災地の遺児、孤児に対する奨学金給付、生活基盤を失った低所得世帯の高校生等に対する教科書等の購入費給付、被災した生徒が運動部活動や文化活動における大会等に参加するための交通費等の補助など19事業、計23億円余の事業に活用してきたところでございます。このうち、平成29年度におきましては16事業、約4億円の事業に活用したところでございまして、平成29年度末の基金残高は約76億円となっているところでございます。
それから、拡充についてでございますけれども、今年度、教育委員会で遺児、孤児に対する奨学金給付事業について、支給額の増額、給付対象を大学院生まで拡充したほか、政策地域部でも通学費用の負担軽減により修学を支援する事業等を新たに実施するなどの拡充を図ったところでございまして、今年度につきましては約9億円の活用を見込んでいるところでございます。
〇斉藤信委員 復興基金のほうは目いっぱい積極的に事業をやられてきて残額が75億円ということは、基本的にはことしを含めた3年間は何とか維持できると。
いわての学び希望基金は、かなり今年度拡充もして、今年度分で9億円。残額76億円ですけれども、奨学金制度というのはかなりの期間が必要だと思いますが、大体どのぐらいの期間までこれは活用されると見込んでいますか。
〇佐々木復興推進課総括課長 今後の見通しでございますけれども、例えば今回拡充いたしました奨学金給付事業におきましては、教育委員会において、遺児、孤児が大学院を修了するところまでということで2035年度までの給付を見込んでいるところでございます。
〇斉藤信委員 いわての学び希望基金は90億円を超える温かい支援が寄せられ、基本的には教育の分野を中心に、積極的に活用されてきたのではないかと思います。
次に、被災地のコミュニティーの確立、災害公営住宅の高齢者対策についてお聞きしますが、これは一般質問や総括質疑でも取り上げてまいりました。
災害公営住宅のコミュニティーの確立にとって、高齢者問題は大変切実です。応急仮設住宅、災害公営住宅の入居者の高齢者比率はどうなっているのか。災害公営住宅の場合は、入居者名簿が整備されているのがわずか3団地でありました。知事答弁でも自治会の要望があれば名簿は提供できるという回答もいただきましたので、私は生活再建課も積極的にかかわってコミュニティーの確立に取り組むべきと思いますが、いかがでしょうか。
〇工藤生活再建課総括課長 応急仮設住宅と災害公営住宅における高齢者世帯の状況でございますけれども、8月末現在、応急仮設住宅に入居されている世帯のうち、65歳以上を含む世帯の率は41%、それから、災害公営住宅に入居されている世帯のうち、65歳以上の方を含む世帯は61.1%となっております。
それから、コミュニティーの確立、特に入居者の情報提供についてでございますけれども、自治会で入居者名簿を作成しておくことは有効でございますが、個人情報の観点から、入居者の同意を得た場合にその情報について自治会にも情報提供しております。先ほどの答弁でもお話ししましたが、自治会によって設立や運営についてさまざまな課題があるということで、復興局でも、今年度実施しておりますコーディネート事業で県土整備部ともしっかりと連携しながら円滑な設立や運営が行われるように対応してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 災害公営住宅の入居者名簿というのは、自治会が求めても今までは提供されていなかったというのが実態なのです。ただ、今度の議会で、自治会の要望があれば提供できる、提供しますと知事も答弁していますからね。22団地のうち、県営だけで3団地しか名簿は整備されていないのです。そういう実態も見て、自治会をつくっただけではコミュニティーはつくれないので、先ほど私が聞いたように、災害公営住宅では高齢者を抱えた世帯が61%です。だから、そういう意味では、そういう人たちの見守りを生活支援相談員などとも連携してやらなければならない状況になっているわけですから、踏み込んで、知事の答弁を生かして対応していただきたい。
次に、震災関連死の実態とその要因分析、死亡時期や年齢構成等を示していただきたい。
日本弁護士連合会がことしの8月23日、災害関連死の事例の集積、分析、公表を求める意見書を出しました。この理由は、阪神・淡路大震災では919人、犠牲者の14.3%が災害関連死、新潟県中越地震では52人、76.4%が災害関連死、そして熊本地震では212人、79.4%が災害関連死で、東日本大震災津波では3、676人、このうち岩手県は466人─この時点で─18.7%が災害関連死と。災害関連死でこれだけの犠牲が出ているわけです。災害によっては、災害関連死のほうが犠牲が多い。だから、この実態、要因を分析して、今後、災害では命が助かったけれども、その後の劣悪な避難生活等で命を落とすことがあってはならない。それをしっかり分析すべきだというのが日本弁護士連合会から出された意見書の内容です。
そういう点で、震災関連死の分析がどうなっているのかを示してください。
〇工藤生活再建課総括課長 震災関連死についてでございますけれども、東日本大震災による災害関連死として認定された件数は、県全体で昨年度末までで466件となっております。年齢で見ますと、66歳以上の方が8割以上を占めておりまして、死亡の時期─発災から亡くなられるまでの時期については、9割以上の方が発災後1年以内に亡くなっておられます。要因別では、県が受託しております審査会で認定された方については、避難所等での生活の肉体的、精神的疲労が一番多く約3分の1でありまして、次いで、既往症の悪化、介護機能の低下によるものなどとなっております。
〇斉藤信委員 極めてあっさりした答弁で、教訓も何も出てこない。どういう対策をとったら災害関連死をなくせるかというのが震災関連死の分析なのです。そういう趣旨が日本弁護士連合会の意見書なのです。
実は、平成24年8月21日に、復興庁がこの時点での震災関連死に関する分析、報告をやっています。ただ、これは1年後の分析で、犠牲者が1、263人の分析。このときに対象となった岩手県の犠牲者は193人でした。それから466人、今、467人になっているのですけれども、一人一人がどういう理由でどういう状況で命を落としたのか、この問題をしっかり岩手県としてもできる限り解明して、今後の災害では、災害で命が助かったら再び犠牲にしてはならない、こういう精神でこの分析、検証、対策を明らかにすることが必要ではないかと私は思いますが、改めてお聞きします。
〇工藤生活再建課総括課長 災害関連死の分析を踏まえた対応についてですが、先ほどの状況からしますと震災関連死の多くを高齢者が占めており、亡くなられた要因としては、避難所等での生活の肉体的、精神的疲労が多くを占めておられることから、災害関連死を防止するためには避難所における高齢者に対するケアが特に重要と考えられまして、これまで県─保健福祉部─で取りまとめております東日本大震災津波における避難者支援活動記録集におきましても高齢者のニーズに合った避難所の環境整備の必要性などをまとめておりますし、一般質問でも答弁がありましたが、市町村避難所運営マニュアル作成モデルを作成して市町村に配付するなど、避難所の環境の改善を図るなどの対応をしているところでございます。
それから、国では、平成24年に本県を含む被災3県の主な市町村に対して行った調査の分析、対応策を今お話ししたようなところも含めて公表しておりますけれども、その後も毎年2回、被災各県からの報告を受けて、関連死の方々の性別、死亡時期、年齢等について公表しているところでございます。
〇斉藤信委員 私の質問している趣旨がまだよく伝わっていない感じがしますね。
平成24年の復興庁の震災関連死の報告書、これは本当に震災から1年後の震災関連死の数がまだ少ない時期でも分析されて、九つの課題が提起されています。しかし、その後にもっとたくさんの犠牲者が出たというのが事実で、岩手県で467人の震災関連死というのはすごい犠牲者なのです。これ自身が大災害なのです。だから、これからの災害で災害関連死を出さないという立場で、ぜひこの問題は国のレベルでもやるべきだし、私は岩手県のレベルでも467人の犠牲を出したこの原因と分析と対策を考えていかないと教訓を生かせないと思いますけれども、局長、いかがですか。
〇佐々木復興局長 委員から御指摘ありましたとおり、災害関連死をなくすのは大変大事なことであり、せっかく助かった命がその後の状況の変化で命を失うことになるのは大変不幸なことでありますので、そういったことがないように取り組むべきものと考えます。
災害関連死の詳細な分析等につきましては、個々の方々の生涯の既往歴など個人情報に配慮した情報収集が必要でありますし、また、医学的見地からの十分な検討も必要かと思います。行政のみでできるものではないということでもございますので、国の考え方も確認しながら、今後どういう対応ができるか検討してみたいと思います。
〇斉藤信委員 ぜひ国にも求めるし、岩手県としてもこの467人の犠牲を生かす。実は、次のところで東日本大震災津波伝承館のことを聞きますけれども、東日本大震災津波の教訓を国内外に明らかにしようと思ったら、こういう問題はしっかり解明すべきだと思います。
また、東日本大震災津波の最大の教訓は避難です。しかし、なぜ避難できなかったのか、避難しなかったのか。また、避難誘導している中でも犠牲者が出た。本当に今度の教訓を踏まえて、それぞれの市町村はそれなりにやっているけれども、事実に基づいたしっかりした検証をしていく必要があると。その結果の問題点をぜひ今後に生かしていただきたい。
東日本大震災津波伝承館についてですが、私は、その運営と体制について、これが1回限りのものではなく末永く国内外に伝承されるとすれば、災害の専門家が館長になるとか、運営も、そういう専門家の英知を結集した運営体制や、いつ行っても同じものではなく、その時々の資料を生かした企画展示なども行われる必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。
〇和村まちづくり再生課総括課長 東日本大震災津波伝承館の運営につきましては、県が直接管理する方法や指定管理者制度を導入する方法などが考えられますが、それぞれのメリット、デメリットを勘案しながら鋭意検討を進めているところでございます。
また、館長につきましても、本当にこの館を代表するふさわしい方を今、考えております。
〇斉藤信委員 和村総括課長の答弁はシンプルですね。わかりました。ぜひそういう方向で。
最後、さんりくチャレンジ推進事業の実績と雇用効果を示してください。
先日、県内の商工会のそれぞれの会長の方たちとの意見交換、懇談もしました。私は個別にも聞きましたけれども、このさんりくチャレンジ推進事業が大変被災地での起業、第二創業などで大きな役割を果たしているので、ぜひ継続、拡充してほしいという要望もいただきました。実績、効果とあわせて今後の見通しを示してください。
〇小原産業再生課総括課長 さんりくチャレンジ推進事業の実績と雇用効果についてでございますが、この事業につきましては、被災地において起業や新事業を行おうとする方に対して、事業計画の策定から起業等に至る初期費用、クラウドファンディングによる資金調達、販路開拓までを総合的に支援する事業でございまして、平成28年度から3カ年で実施しております。
初期費用につきましては、平成28年度は14事業者、平成29年度は40事業者に対して補助金を交付いたしまして、平成30年度─今年度は現在3回目の募集を行っているところでございますが、これまで2回の審査会を開催いたしまして、21事業者を採択して順次交付決定を行っているところでございます。
雇用効果につきましては、これまでの合計75事業者におきまして、計画ベースで200名を超える雇用が見込まれているところでございます。
さんりくチャレンジ推進事業の今後の見通しでございますが、この事業の前にやっていた前身事業も含めますと130者を超える事業者につきまして新たな取り組みについての支援を行っており、今後、この方々の事業の継続、拡大について引き続き支援していく必要があると認識しているところでございます。
一方で、中心市街地における店舗建設がまだ途上であること、それから復興庁の平成31年度予算概算要求におきまして、仮設施設の移設、撤去等への助成期限が延長されたこと等を踏まえまして、起業、新事業活動等を行う方々への支援を来年度以降についても現在検討しているところでございます。
〇斉藤信委員 3年間に現段階で75事業者が採択されて、そのうち起業が35事業者です。若者、女性などが起業する、また、事業で新展開をするという第二創業でも本当に活用されていて、実は、2回目までで21事業者だけれども、3回目で15事業者が申請を予定していると、私はこのように聞いています。そうするとことしも36事業者までいくのです。だから昨年度並みの実績になると思うので、まだまだそういう需要は高いと。ですから、この間採択された方々のフォローとあわせて、被災地でのこういう起業、第二創業を支援するこの事業はぜひ継続、拡充してほしいと思いますが、改めて聞いて終わります。
〇小原産業再生課総括課長 今、非常に事業の実施に対して温かいお言葉もいただきました。中心市街地は、まだまだこれから店舗を建てたいという方はいっぱいいらっしゃいますので、その方々が前向きに新しい取り組みができるような支援については来年度に向けて前向きに考えていきたいと考えております。
〇名須川晋委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇佐々木茂光委員 私からも東日本大震災津波伝承施設について伺います。今、工藤委員、岩崎委員からも少しあったのですが、世界に伝えていく、残していく、後世に伝えていく、我々地元だけでなく広く伝えていくということになりますと、それなりの構えでないとそれを本当に伝えられないと思います。先ほど、運営は県がして、そして館長になるのか施設長になるのか、その辺はしっかりと配置していくという話をいただいたのですが、まずそれについて確認しますけれども、それでよろしいでしょうか。
〇和村まちづくり再生課総括課長 津波伝承館の管理体制につきましては、県が直接管理する方法と指定管理者制度を導入する方法につきまして、メリット、デメリットを勘案しながら鋭意検討しているところでございます。
また、館長につきましても、ふさわしい方を今いろいろな方面にお聞きしながら検討中でございます。
〇佐々木茂光委員 それだけの施設をあの地につくっていただくわけでありまして、常に誰かがそこに来て、誰かがそれを自分の心の中にしまい込んでいける、そういうふうな施設運営をしていただきたいと思うし、何万点、何十万点という資料を集めた中で、それが伝えられるような並べ方というか、その辺はよく工夫してやっていただきたいと要望しておきます。
一つは、ハードの面は、復興に関しては、もう7年7カ月。復興局が県庁内に局としてできてからもそのぐらいになると思うのですが、現状はまだまだ途上にあります。ハードの面は、防潮堤を初め、町並み再生、いろいろな住宅再建も含めていくと8割、9割の分がそこまで来ている。ところが、心の中を探っていくと、まだ復興感という気持ちを8割、9割が表現できないでいる。その実感を聞いていくと3割から4割ぐらいだろうという状況がまだあるわけであります。
そういったところの乖離というか、ここまで来ているのになかなかそこまで気持ちを持っていけないというのは、ここまで来ているのだけれども、先がまず見えない。これから自分たちはどうなっていくのだろうか。何で飯を食うのだろうか、そういうものが具体の中でなかなか見えてこないというのが復興感の開きの部分だと私は思っているのですが、その辺の被災者の感情的なものをどのように捉えておりますか。
〇佐々木復興推進課総括課長 被災者の復興の意識という部分でございます。
県では、実際の事業の進捗の客観的な指標も押さえつつ、被災者の意識の部分ということで、被災地にお住まいの方々大体5、000人を対象として─回答は5、000人全員からはいただけないのですけれども─、そういう形で意識調査もやっておりますし、あとは150人を超える方、同一の方に復興感についての調査もウォッチャー調査という形でやっているところでございます。
そういう中で、先般、ウォッチャー調査の結果が出たところですが、復興の回復度という部分については、これまでは右肩上がりで上がってきているというデータであったのですけれども、ここにきて横ばいというか若干下がった指標もございます。その辺を自由意見欄などで伺ってみますと、やはりハードができてきた中で、例えば避難者とか避難の意識が低下してくるのではないかという心配の声や、今、委員から御指摘ございましたようななりわいという部分でこれからどうしていくのだろうとか、あとは、新しい住宅に移っていく先でのこれからの不安感というようなことも出ているところでございます。今年度策定中の計画もありますけれども、いずれ復興の事業もきちんとやりつつ、あとは政策プラン(仮称)、地域プラン(仮称)その他でいろいろ記載されております地域振興、それから福祉施策などとも連動しながら、しっかりとよりよい復興に向けて努力していくことが必要と思っております。
〇佐々木茂光委員 そう考えると、当然まだまだ時間がかかるということですね。ハードのものは、いずれケツが見えているからそこに到達はするけれども、心の中の部分というのは、その後、そこに上るために今度は逆に追っかけていくわけですよね。だから、いろいろな対策、例えば声をかけたり働きかけをしたりというのはいろいろな事業の中でやれると思うけれども、そこをもう少し踏み込んで、これは地域の人たちも悪いと言えばおかしいけれども、周りの人たちもそういうのは盛り上げていくという働きは当然していかなければならないと思うのですけれども、その辺はまだまだ手薄な部分があるのかなと。例えばやり方を変えて取り組んでみるとか、そういうのも必要なのではないかと思います、正直なところ。その辺も、今後どのような方法でやっていったらいいのかということは当然考えた形で何かかにかの手を打っていただきたい。これは希望というか要望というか、その辺も考えていただければと思います。
それと、次期総合計画では幸福という言葉が柱となって、その中について、今、我々も審議に入ってきたのですが、次期総合計画での幸福の位置づけを私は理解しないわけではないのですが、それが、例えば震災のこれまでの取り組みや、いろいろな残すものを伝えなければならないですし、そして、今ここまで復興しましたよという頑張り的なことをベースにして、これから幸福になりましょうというのが一つの流れで、その言葉が出ております。
我々、被災地にいるほうから見ると、なかなか幸福というのは……。今々手いっぱいの中で生きている。当然幸福は、みんな誰しもが望まんとする姿なのです。それに対して、幸福を何とか組み入れながら大きく岩手県が前進していきましょうということなのですが、その辺の被災者の感情との、開きというのを復興局長はどのように捉えていますか。
〇佐々木復興局長 ちょっと難しい御質問だと思いましたけれども、被災地において委員御指摘のとおりあれだけ大きな被害を受け、そこからの復興にお一人お一人が立ち上がってといいますか復興に努力されていて、その一人一人が何をもって幸福と感じるかというのはもちろん違うと思います。
我々といたしますと、被災者イコール復興者という言い方もしておりますけれども、お一人お一人の復興が成し遂げられるよう、そしてその方々がそれぞれの幸福をつかめるよう寄り添った支援をしていきたいということで、行政としての取り組みのみならず、復興の重要な視点として参画、交流、連携というのも打ち出しております。そういったいろいろな主体の御協力をいただき、また連携し、国内外の方々とつながりながら、沿岸被災地の皆様の幸福についてもそういったことが実現するよう寄り添った取り組みを行っていきたいと考えております。
〇佐々木茂光委員 これまでの質疑を見てもまだまだ復興には時間がかかると思います。最後までしっかりと目を向けて、被災地のほうを見ていただきたいとお願いして終わります。
〇名須川晋委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇名須川晋委員長 質疑がないようでありますので、これで復興局関係の質疑を終わります。
復興局の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
次に、警察本部長に警察本部関係の説明を求めます。
〇島村警察本部長 平成29年度の警察本部関係の決算について御審議をいただくに当たり、初めに、東日本大震災津波に伴う県警察の取り組みについて御説明申し上げます。
東日本大震災津波により本県では4、674人のとうとい命が失われ、1、100人を超える方々がいまだに行方不明となっております。県警察といたしましては、行方不明者の御家族等からの御要望を踏まえながら捜索活動を継続して実施するほか、各種鑑定の活用等による身元の割り出しを引き続き推進してまいります。
また、被災した地域では、復興事業に伴う人や車の流入増加などによって、各種犯罪やトラブル、交通事故の発生等が懸念されておりますので、地域の方々の御要望や御意見に真摯に耳を傾けながら、復興のステージに応じた支援すべき具体的な施策を打ち出し、被災地の安全・安心を確立するための活動を推進してまいります。
続きまして、警察業務の推進状況について御説明申し上げます。
県警察では、平成29年の基本姿勢を県民の期待と信頼に応える力強い警察とし、活動重点に県民の安全を脅かす犯罪の抑止対策の推進などの6項目を掲げ、県下全体の治安維持に必要な各種施策を推進してまいりました。
それでは、平成29年中の県内の治安情勢について御説明申し上げます。
初めに、刑法犯の発生状況等についてでありますが、刑法犯の認知件数は3、435件で、前年より788件減少しております。
罪種別に見ますと、住宅を対象とした侵入窃盗、特殊詐欺の認知件数はいずれも減少しているほか、犯罪に発展するおそれのある子供や女性に対する不審者による声かけ事案等の認知件数も同様に減少しております。
一方で、サイバー犯罪に関する相談件数は2、989件で前年より407件増加し、事件の検挙件数も76件で前年より47件増加し、過去10年で最高を記録しております。
次に、交通事故の発生状況等についてでありますが、発生件数、負傷者数ともに14年連続で減少、死者数も61人と前年比で12人減少し、昭和29年以来の最少となりましたが、人口10万人当たりの死者数は東北6県で最も多くなっております。平成30年の県の施策に関する県民意識調査においては、交通事故の少ない社会づくり、犯罪への不安の少ない社会づくりがそれぞれ重要度が高い項目の上位にランクされており、県民の皆様が良好な治安の維持を強く望んでいることがうかがえます。
県警察といたしましては、このような諸情勢を踏まえ、県民が安全・安心を実感できる地域社会の実現を図るため、総力を挙げて各種施策に取り組んでいるところであります。
続きまして、平成29年度の警察本部関係の決算について御説明申し上げます。
お手元の平成29年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開き願います。第9款警察費の歳出予算現額は294億4、764万円で、これに対する支出済額は285億4、568万円余、執行率は96.9%であります。支出済額は前年度に比べますと11億6、699万円余、率にして4.3%の増となっております。
なお、翌年度繰越額の合計額は1億9、074万円余となっております。これは、警察署、交番等の庁舎新築、交通安全施設整備などの明許繰越に係る事業費であります。
不用額は7億1、120万円余となっており、その主なものは、警察施設整備事業及び交通安全施設整備事業における工事請負費等の入札執行残、休日給、宿日直手当等の支給実績が見込みを下回ったことによる職員手当の残などであります。
次に、16ページをお開き願います。第11款災害復旧費第1項庁舎等施設災害復旧費の中に警察施設の災害復旧事業費も含まれておりますが、詳細につきましては後ほど歳入歳出決算事項別明細書により御説明させていただきます。
次に、一般会計決算の内容につきまして、平成29年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げます。
なお、第9款警察費の説明に際しましては、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に御説明申し上げます。
決算事項別明細書の318ページをお開き願います。第9款警察費第1項警察管理費第1目公安委員会費は、公安委員3名の委員報酬及び活動経費であります。第2目警察本部費は、警察職員の給料、職員手当などの給与費が主なものであります。警察費の決算額に占める給与費等人件費の割合は76.7%となっております。第3目装備費は、犯罪捜査や災害対策などに対応するための警察装備の経費で、警察車両、警備船、警察用航空機の維持管理などに要した経費であります。次に、320ページをお開き願います。第4目警察施設費は、治安の基盤をなす警察署、交番、駐在所などの警察施設の整備や維持管理などに要した経費であります。第5目運転免許費は、自動車運転免許試験、免許更新、行政処分などに要した経費であります。次に、322ページをお開き願います。第6目は、恩給及び退職年金の経費であります。
第2項警察活動費第1目一般警察活動費は、110番通報を処理する通信指令システムなどの警察通信施設の維持管理などに要した経費であります。第2目刑事警察費は、各種犯罪の捜査、取り締まり、安全・安心なまちづくり推進事業などに要した経費であります。次に、324ページをお開き願います。第3目交通指導取締費は、交通安全や指導取締活動、交通信号機等の交通安全施設の整備及び維持管理などに要した経費であります。
次に、350ページをお開き願います。警察施設等の災害復旧事業に要しました経費につきまして御説明申し上げます。第11款災害復旧費第1項庁舎等施設災害復旧費第1目警察施設災害復旧費の歳出予算現額は19億1、719万円余で、これに対する支出済額は11億6、806万円余、執行率は60.9%であります。東日本大震災津波により被災した警察施設の復旧事業としまして、宮古警察署庁舎及び職員宿舎、宮古警察署の山田交番及び職員宿舎、釜石警察署の吉里吉里駐在所を新築したほか、釜石警察署庁舎等の新築工事に着手しております。また、平成28年の台風第10号により被害を受けた交通安全施設の復旧事業としまして、宮古警察署管内の交通信号機2基などの復旧工事を実施しております。
なお、翌年度繰越額は2億8、610万円余となっており、東日本大震災津波により被災した釜石警察署等の庁舎新築に係る事業費であります。
不用額は4億6、301万円余となっており、その内容は、警察施設災害復旧事業及び交通安全施設災害復旧事業における工事請負費の入札執行残などであります。
以上のとおりでありますので、よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。
〇名須川晋委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇阿部盛重委員 私のほうから安全・安心なまちづくり及び治安情勢についてお伺いいたします。
県内の交通死亡事故ですけれども、9月末の交通事故死者数は前年比4名増の44人、人口10万人当たりの交通事故死者数が山梨県、富山県に次いで全国3位という状況であります。また、免許人口1万人当たり1位、車両台数1万台当たりが富山県に次いで2位という状況でございますけれども、その中で、年齢層別死者は高齢者が31位になっております。この要因とその対策についてお伺いいたします。
〇勝又交通部長 初めに、8月末現在の交通死亡事故39件、死者数40人を分析した結果、路線別では国道及び市町村道が各14件と最も多くなっておりますし、また、類型別では単独事故が16件と最も多く、次いで正面衝突が10件と、運転者の一方的な不注意に起因する事故が多くなっております。また、年齢別では、高齢者が28人と、全体の7割を占めていることなどの特徴がございます。
〇阿部盛重委員 事故の状況には昼と夜があって、昼のほうが非常に多いという状況ですけれども、このあたりの分析といいますか、対応策を含めてお聞きいたします。
〇勝又交通部長 これらの特徴を踏まえた交通死亡事故抑止対策でございますが、まず、運転者の規範意識を高めることが重要であると考えております。そのため、県警察では、現在、コンビニエンスストア駐車場や交通要点における駐留監視活動、飲酒運転あるいは歩行者妨害違反等、重大事故に直結する違反の取り締まり、あるいは車載式の速度取り締まり装置を搭載したパトカーを複数台投入しての走行速度抑制対策のほか、動画危険予測トレーニング装置などの各種機材を活用した運転者教育等を推進しているところでございます。
県警察といたしましては、引き続き、交通事故分析に基づく効果的な対策により交通死亡事故の抑止を図ってまいりたいと考えております。
〇阿部盛重委員 次に、犯罪発生状況について盛岡東警察署管内の発生状況ですけれども、刑法犯が591件、万引きが111件、振り込め詐欺が6件で被害金額が4、489万円。あと、自転車窃盗が142件、住居侵入10件、侵入窃盗40件という状況で、この数字だけ見ると非常に多い状況ですけれども、盛岡東警察署管内の状況を見て、その要因と防止策についてお伺いいたします。
〇小野寺生活安全部長 盛岡東警察署管内の犯罪情勢でございますが、県内の犯罪情勢ということで御説明させていただきたいと思います。
県内の犯罪発生状況でございますが、刑法犯認知件数は平成14年以降減少傾向にありまして、本年8月末現在2、299件と、前年同期と比較しまして13件減少しているところでございます。
個別の犯罪の状況につきましては、万引きは本年8月末現在455件で、前年同期と比較して63件の増加となっておりますが、これは、万引きの全件届け出の要請を行ってきたことにより、これまで被害の届け出をためらっていた店舗から届け出がなされるようになったことが増加の要因の一つと考えられるところでございます。
今後、さらに岩手県万引防止対策協議会と連携した管理者対策や防犯指導のほか、学校における防犯教室や非行防止教室を通じて、万引きは犯罪であるとの広報啓発活動を行うなど、県民の規範意識の向上を図ってまいりたいと考えているところでございます。
振り込め詐欺を初めとする特殊詐欺につきましては、本年8月末現在、認知件数は16件、被害総額は約5、568万円で、前年同期と比較して認知件数は38件、被害総額は約6、664万円の減少となっております。
減少の要因につきましては、岩手県金融機関防犯協会連合会や岩手県コンビニエンスストア等防犯対策協議会連合会など関係機関、団体と連携し、広報啓発などの各種被害防止対策に取り組んできた効果によるものと考えております。
今後は、特殊詐欺被害防止広報センターからの電話による注意喚起やケアマネジャー等と連携した高齢者に対する広報啓発活動を実施していくほか、電子マネー被害が増加したことを踏まえまして、コンビニエンスストア店内に注意を促す掲示物を設置する対策を講じてまいります。
自転車盗、住居侵入、侵入窃盗につきましては、本年8月末現在、自転者盗は324件で、前年同期と比較して84件減少しておりますが、住居侵入は38件で、前年同期と比較して2件の増加、侵入窃盗は258件で、前年同期と比較して65件増加しており、これらの犯罪は、鍵をかけることである程度被害を防止できる犯罪でありますので、県民への鍵かけ意識のさらなる浸透が必要であります。
引き続き、鍵かけモデル地区や鍵かけモデル校の指定による広報啓発活動を推進していくほか、駐輪場管理者や事業者に対する環境整備の働きかけを推進するなど、関係団体と連携し、防犯意識の高揚を図ってまいりたいと考えているところでございます。
〇阿部盛重委員 全体の状況と盛岡東警察署の状況とはもちろん同じ傾向だと思うのですけれども、モデル地区を指定して鍵かけも推進されているようですが、なかなか件数が一挙にゼロ件にならないという状況です。そのあたり、サポーターの方々もいらっしゃるのでしょうが、地域との連携というのはどのような形で進められているかお伺いします。
〇小野寺生活安全部長 地域との連携でございますけれども、各ボランティア団体がございますので、その方々と連携しまして広報啓発活動を積極的に推進しているところでございます。
また、鍵かけモデル地区につきましては各警察署で選定して実施しているところでございますが、指定したところではやはり発生が余り多く見られないという効果もございますので、その辺はまたしっかりと取り組んで、さらに広げていって被害の減少を続けていきたいと考えているところでございます。
〇阿部盛重委員 わかりました。よろしくお願いいたします。
次に、昨年3月からスタートしました改正道路交通法についてお伺いいたします。
運転免許の自主返納件数が平成28年は2、500件ちょっと、平成29年は約3、700件ということでございますが、返納件数の増加の要因についてどのように分析されているのかお伺いいたします。
〇勝又交通部長 まず初めに、自主返納件数の状況について御説明いたします。
平成29年までの過去5年間を見ますと、平成25年の647件に対しまして、昨年─平成29年は約6倍の3、737件と大幅に増加しておりますが、平成30年8月末現在では2、595件で、前年同期比102件の増加にとどまっている状況にございます。
これまでの増加要因につきましては、65歳以上の高齢者の免許人口が増加していることに加えまして、自主返納制度が県民に周知されてきたこと、あるいは、運転免許を自主返納した方が申請して交付を受けられる運転経歴証明書が公的な身分証明書として生涯使用できるようになったこと、あるいは、同証明書の提示によるタクシー運賃の割引制度や自治体等による優遇措置など、自主返納者に対する支援策が広まりつつあることなどが考えられるところでございます。
〇阿部盛重委員 以前、免許を返す、返さないで大事故が起き、全国放送された例もありますけれども、迷っている方に対して、民生委員や地域安全アドバイザーが連携して対応されていくという行動的なものというのはされているのでしょうか。
〇勝又交通部長 現在、制度的には社会福祉関係との協働した取り組みというものまではいっていませんけれども、各警察署では、社会福祉協議会関係者から、自主返納といいますか、ちょっと運転が危ないような人について情報をいただき、その方については、運転適性相談等の窓口に来ていただいて必要な助言、指導等をしているところでございます。
〇阿部盛重委員 今度、返納受け付けが各交番でもできるということですが、1度で手続が済まないというお話もあって、2度、3度行かなければならないということもお聞きしているのですけれども、そのあたりは今後改善されて、1度行ったらそこで全て証明書も発行できるような形になっていくものでしょうか。
〇勝又交通部長 県内の交番、駐在所198カ所で運転免許証の自主返納、運転経歴証明書の交付申請を10月1日から開始したところでございます。ただ、1度の来所でそれができるかというお尋ねでございますが、どうしてもその方が対象の方であるかどうかについて交番等で処理することができないという現実もございまして、最終的には警察本部の運転免許課のほうで書類、通知書等をつくった上での交付になりますので、現在の制度の中では2回程度の来所をお願いすることになっております。
〇阿部盛重委員 ということは、本署に行かないとだめだということになるわけですね。
〇勝又交通部長 あくまでも交番、駐在所に来ていただければ、取り消しの通知あるいは運転経歴証明書は交付することができます。
〇阿部盛重委員 わかりました。じゃ、2回行くということですね。
最後になりますけれども、社会問題になっております車間距離不保持についてお伺いいたします。
過去にもありましたけれども、昨年6月、東名高速道で起きた夫婦死亡事故が大きなきっかけになりました。あおり運転で摘発した件数が全国で7、625件、そのうち9割が高速道でという状況でございますが、本県ではあおり運転に関する110番通報が昨年70件、ことしは既に60件以上という驚くべき件数の連絡が入っているようでございます。死亡事故に発展するおそれがある、あおり運転への取り締まり強化策についてお伺いいたします。
〇勝又交通部長 あおり運転への取り締まり強化策でございますが、いわゆるあおり運転につきましては現在のところ明確な規定はございませんが、前の車と車間距離を必要以上に詰めたり、あるいは他車を妨害する目的での急な割り込みあるいは幅寄せなどによって他車を威嚇するなどの危険な行為と認識しておりまして、これらの行為を警察官が街頭活動において現認した場合には、車間距離保持義務違反、進路変更禁止違反、急ブレーキ禁止違反等の道路交通法を積極的に適用しまして、厳正な交通指導取り締まりを推進しているところでございます。
本年8月末現在のこれら違反の検挙状況でございますが、車間距離保持義務違反が287件で、前年同期比プラス235件、進路変更禁止違反が20件で、前年同期比プラス10件、急ブレーキ禁止違反が2件で、前年同期比プラス2件となっておりまして、本県におきましては全て高速道路上での検挙となっております。
〇阿部盛重委員 確認ですが、強化策としまして、パトカー、覆面パトカー、白バイ隊の増強計画はありますでしょうか。
〇勝又交通部長 取り締まり強化に当たっての体制の強化ということですが、現在のところについてはそのような車両の増強という計画はございませんが、現在、県警察として対応しております強化策といたしましては、通報や交通事故により、あおり運転が関係すると認められる事案を認知した場合については、各種証拠資料の収集を行いまして、道路交通法のみならず、危険運転致死傷罪あるいは暴行罪等あらゆる法令を駆使しまして厳正な捜査を徹底しているところでございます。
具体的なあおり運転への強化策といたしましては、本年4月から、高速道路交通警察隊、生活安全部地域課航空隊、ネクスコ東日本の道路管理者が協力しまして、車両とヘリコプターを一斉出動させまして陸と空の両面から危険運転車両の指導取り締まりに当たるいわてハイウェー・ガード作戦と称しまして対策を実施しているところでございます。
県警察といたしましては、今後とも悪質、危険なあおり運転を抑止するため、ヘリコプターを活用した取り締まりの強化を図り、危険な行為を認めた場合には、看過することなく厳正に取り締まりを実施していきたいと思っております。
〇阿部盛重委員 もう1点だけですけれども、怒りの対処法のアンガーマネジメントや、あおり運転から身を守るため、どのような行動をすればよいのかお伺いいたします。
〇勝又交通部長 アンガーマネジメントの取り組みにつきましては、さまざまな交通が交差する道路上では、ドライバー個々の感情が運転にあらわれることがございます。そのため、安全運転管理者等講習におきましては、あおり運転の原因となる怒りの感情への冷静な対処につきまして教養講習を実施しておりますほか、県警察のホームページあるいはツイッターによりまして、交通規則を守り、譲り合う気持ちを持って思いやり運転を実践していただくような広報を推進しております。
また、あおり運転から身を守る対処法でございますが、トラブルに巻き込まれそうになった場合は、決して相手の挑発に乗らずに自分の安全を確保することが重要ですので、近くの駐車場あるいはサービスエリアなど安全な場所に避難し、ドアをロックして、車をおりることなく110番するようお願いしているところでございますし、加えまして、ドライブレコーダーの搭載を知らせるステッカーを車外に張って周囲に知らせることもトラブル回避に効果があるということで、これについても広報しているところでございます。
〇阿部盛重委員 私も小型の車に乗っているのですが、大型の車がどんどん後ろから来るものですから、本当に小型の車に乗っている方々が非常に怖がっているという状況でございますので、さらなる対策強化をお願いして終わります。
〇名須川晋委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇小野寺生活安全部長 先ほどの阿部委員の治安情勢の質疑で一部答弁漏れがございましたので、補足させていただきます。
盛岡東警察署管内の犯罪情勢でございますが、先ほど御説明した県下の犯罪情勢と同様でありますので、補足させていただきます。
〇名須川晋委員長 おおむね再開後2時間10分が経過いたしますので、この際、世話人会の申し合わせにより、暫時休憩いたします。
午後5時47分 休 憩
午後6時7分再開
〇福井せいじ副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行します。
〇城内よしひこ委員 阿部委員の質疑と大分重複していますので、簡単にお伺いしたいと思います。特殊詐欺についてであります。被害状況については先ほどの答弁でわかりましたので、対策についてお伺いしたいと思います。
水際での対策が有効だということが先ほど来お話に出ていました。そこで一つ、宮古市であった事例で、水際の方々に大変御迷惑ではないかという事例を御紹介したいと思います。
銀行の窓口に御高齢の方がお金をおろしに行った。そうしたら、何に使うのですかと再三にわたって聞かれたということです。その方は孫に車を買うという目的を持ってお金をおろしに行ったのですね。そうしたら、その方はもう怒り心頭で、全額おろして、こんなところに預けていられない、ほかに持っていく。早くおろせ、支店長を呼べと怒ったということがあったということで、本来の仕事にこれは影響があるものだと思います。
警察の方々が、特殊詐欺を防止する上で、水際となる金融機関の窓口であったりコンビニエンスストアの方々とお客さんとの間でトラブルのないような形でのお願いはできないものか、お伺いしたいと思います。
〇小野寺生活安全部長 水際対策についての御質問でございますが、特殊詐欺を防止する上で、金融機関あるいはコンビニエンスストアでの水際対策が極めて有効だということで力を入れて、協力を得ながらやっているところでございます。その中で、やはりお客様とのトラブルが発生しているのも事実でございます。
金融機関等におきましては、被害に遭っている可能性が疑われると判断した場合には、お客様を説得していただくとともに、必要に応じまして警察官の臨場を求めて、臨場した警察官が事件性を判断することとしております。この対策につきましては、お客様に対策の趣旨を説明した上で行っているものでありますが、中には、お客様の理解が得られないことでトラブルや苦情に発展していることもございます。
県警察といたしましては、広報活動を通じまして、県民の皆様に対して、被害防止のための対策であることについて理解と協力を求めているところでございますが、今後とも、金融機関あるいはコンビニエンスストアなどとも連携を図りながら、適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。
〇城内よしひこ委員 その点は、ぜひお願いします。
もう一つ、対策でですけれども、この特殊詐欺の認知件数については、私はずっと取り上げています。認知件数は先ほど答弁をいただいたのですけれども、認知件数として出ないものがあるわけです。氷山の一角というのですか、泣き寝入りをしている方々も中にはあると思います。そういったことにも今後は光を当てていかないと、特殊詐欺というのはどんどんディープになっていくというのですか、大きな金額じゃなくても、少額で、これぐらいだったらしようがないと諦められるような額にもしかしたらなりつつあるのかなと思っています。
ぜひ、そういったことにもしっかりと対応、対策を今後考えていってほしいのですが、その辺はいかがでしょうか。
〇小野寺生活安全部長 委員御指摘のとおり、被害に遭われても届け出をされていない方がいらっしゃる可能性はあると思います。
実際に被害に遭わなくても、いろいろな相談は多数寄せられております。このような電話が来たとか、あるいははがきが来たということで、被害に遭わないで済んでいる方もございますが、中には実際に被害に遭っても我慢しようかという方もいらっしゃると思います。そういう方々にも、きちんと届け出をしていただいて、捜査することによって被疑者を検挙できる場合もございますし、また、そういうふうに多く発生していることを広報することによって被害防止にもつながっていくと思います。そういう点でも、広報等もしながら、泣き寝入りしたりすることのないように、県警察でも取り組んでまいりたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 ぜひ、特殊詐欺については、根絶に向けて頑張っていただきたいと思います。
次に、高齢者の事故についてであります。先ほど阿部委員の質疑で加害者、被害者、事件数もわかりました。
免許返納も出ましたので、それもわかりました。御高齢の方が事故を起こす可能性は、先ほど来、事故件数の中に占める割合として7割ぐらいあるという話でした。
我々の住む沿岸部では、三陸沿岸自動車道が順次開通しております。その中で、三陸沿岸道路は乗ったりおりたりが、スムーズにできてしまうということで、御高齢の方がお盆に逆走する姿を見たという方々がいました。ぜひ、そういった逆走しないための注意喚起をしてほしいのですが、その辺の現状、取り組みはどのようになっているのかお伺いしたいと思います。
〇勝又交通部長 逆走防止等の高齢者に対する交通安全教育についてでございますが、まず一つ、加齢に伴う身体機能の変化について、自覚を促すために、歩行環境シミュレーター等を活用した参加、体験、実践型の交通安全教室、あるいは身体機能の変化をさらに実際に自分の運転で自覚していただくということで、高齢ドライバーを対象にドライブレコーダーを貸し出しまして、録画された映像をもとに警察が個別指導するという取り組みを行っているところでございます。
また、地域実態に応じた交通安全教育としましては、ただいま委員御指摘の三陸沿岸道路が開通する沿岸地域では、高齢者に対する安全講習におきまして、三陸沿岸道路は歩行者、自転車の通行禁止であること、あるいはただいま御指摘の逆走防止、それから、自動車専用道路における適切な速度などについて、現在指導を行っているところでございます。
〇城内よしひこ委員 今、交通部長からもお話がありましたが、自動車専用道路なのに、勘違いをしているのかもしれませんけれども、法定速度時速50キロメートルぐらいを守って低速でずっと走る方もいらっしゃいます。数珠つなぎになって追い越し車線があるところまで続きますので、ぜひそういったことも注意喚起を図れるような、これまで、我々の地域には自動車専用道路、高速道路がなかったものですから、走りなれていない方がたくさんいらっしゃると思います。そういったことについても注意喚起をしていただければと思いますが、いかがですか。
〇勝又交通部長 ただいま御指摘のとおり、今まで走ったことのない道路が近くにできるものですから、やはり逆走とか、あるいは速度についても戸惑いがあるのは事実かと思います。
これから全面開通に至るまで、さまざまな機会を捉えながら、先ほどのような交通安全講習等を通じまして、注意喚起を図ってまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 最初に、県警察が対応した児童虐待の相談件数、相談内容とその対応、児童相談所への通報と連携についてお聞きします。
〇小野寺生活安全部長 1点目の児童虐待の相談件数についてでありますが、平成29年中に県警察が相談や通報等で認知した件数は395件であり、前年と比較しますと23件の増加となっております。
また、本年8月末時点での認知件数は286件で、前年同期と比較しまして5件の増加となっております。
2点目の児童虐待を認知した際の警察の対応についてでありますが、児童虐待を認知した場合には、警察官や少年補導職員が現場に早期臨場し、直接、児童の安全確認を行い、虐待の事実が確認された場合や虐待が疑われた場合には、速やかに児童相談所へ通告するほか、暴行や傷害など具体的な法令違反があった場合には、所要の捜査を実施しております。
3点目の児童相談所との連携についてでありますが、県警察は、従来から児童相談所及び県との間で、連絡会議や、子供の生命や健康に対するリスクが高く、継続的に指導を行わなければならないなどの一定の要件に該当する児童虐待事案の情報共有、児童相談所による立入調査等を想定した合同訓練の開催など、児童の安全確保に向けた連携を構築してまいりました。
さらに、本年9月18日に県警察と県が締結した児童虐待に関する児童相談所と警察の相互連携に係る協定では、従来の連携に加え、相互が把握する児童虐待事案の全件について、情報共有をすることなどを定め、相互の連携をより緊密にし、児童の安全確保に万全を期すこととしております。
〇斉藤信委員 児童相談所に対する通告の中身も示してください。身体的虐待とか心理的虐待とかね。
それと、警察への通報、相談も多いのですけれども、これは、主な通報者は家族なのか、それとも近所の方なのか、それはわかりますか。
〇小野寺生活安全部長 警察から児童相談所に対する通告数でございますが、平成29年は657人で、前年と比較しますと110人の増加となっております。また、本年8月末の通告数は433人で、前年同期と比較しますと35人の減少となっております。
通告の内容でございますが、平成29年は、身体的虐待が90人、性的虐待が6人、ネグレクトが83人、心理的虐待が478人となっております。
本年8月末現在につきましては、身体的虐待が76人、性的虐待が2人、ネグレクトが57人、心理的虐待が298人となっております。
通報につきましてはさまざまでございまして、家族の場合もございますし、あるいは近隣の者等ございます。その数については、現在手元にございませんので、御了承願います。
〇斉藤信委員 虐待の中で心理的虐待が大変多いので、これは面前DVということになると思うけれども、面前DVの場合だと誰が通報するのかなということで、後でお知らせください。
次に、遺体捜索の取り組みについてお聞きしますが、今年度から、月命日にかかわらず、各警察署独自の取り組みで毎月やられているようでありますけれども、この遺体捜索の状況はどうなっているでしょうか。海中ドローン、水中ドローンというものもあって、遺族の方々は、やっぱり海底に沈んでいるのではないかと、この捜索を強く求めています。いずれ、ことしで8年目なので、いつまでも続くことではないと思いますが、ぜひ海中の捜索というものを大事な時期に位置づけてやっていただけないかと。
それと、つい先日、遺体の取り違えということがありました。大変残念な事態でありますが、これまでも何件かあったようでありますけれども、この教訓は何なのか、今後の対策を含めてお聞きします。
〇新家警備部長 遺体捜索の取り組みでございますけれども、捜索の状況につきましては、本年の東日本大震災津波による行方不明者の捜索活動につきましては、9月末現在で38回、約580人を動員して実施しているところでございます。
それから、平成24年から平成29年までの捜索活動については、延べ357回、約9、500人で実施しているところでございます。
これまで、本年につきましては、残念ながら行方不明者御本人や行方不明者につながるものの発見には至っておりません。
それから、2点目の海中ドローンを活用した捜索でございますけれども、機動隊で所有しておりますいわゆる水中ドローンと同様の性能を有する水中探索機でございますが、これによりまして、本年は3月11日の集中捜索の際に、陸前高田市の古川沼に投入して捜索を実施しております。
それから、本年9月にも、釜石署管内において、海上保安部と消防と共同で、機動隊を導入しての海中捜索を予定しておりましたが、台風第21号の災害対応のために、これは中止とさせていただきました。
昨年につきましては、水中探索機を使用した捜索は実施しておりませんけれども、潜水による捜索を4回ほど実施しているところでございます。
今後の水中探索機での捜索につきましてでございますが、自治体や管理者、それから海上保安部等、関係機関と協議、連携した上で、活用してまいりたいと考えております。
〇佐藤刑事部長 報道の件につきましては、その疑いが浮上し、現在、調査中の事案でございまして、いまだ身元特定には至っていないため公表していないものでございます。
ですので、本件については、調査中の事案でございますので答弁は差し控えさせていただきますが、これまでの取り違え事案を見ますと、全てが、発災の混乱時に、容貌、体格、年齢、身体的特徴のみで引き渡しをしていたことが、取り違えの原因となっているところでございます。
容貌、手術痕等の身体特徴と着衣、所持品で確認ができる場合であっても、原則的にはDNA型、歯科所見、指紋等の科学的な確認作業によって、個人を特定する必要があると考えているところでございます。
〇斉藤信委員 新聞報道だと、この女性の遺体は本人とは違っていたと。そして、当初引き取ったのは、山田町の同年女性とわかって、それぞれの遺族に謝罪し、今後遺骨を引き渡すと。渡したではなくて渡すとなっているのですけれども、これはまだ調査中ではっきりしていないということですか。
〇佐藤刑事部長 そのとおりでございます。現在、調査中の事案でございます。
〇斉藤信委員 わかりました。新聞各紙はかなり具体的に報道しているので、なぜこうなるのか。これは新聞社の責任で報道しているのだと思いますが。
次に移ります。ゾーン30の取り組みですけれども、通学路や生活道路の車の最高速度を時速30キロメートルに規制する、いわゆるゾーン30の設定が県内で進んでいて、これは27地区で設定され、人身交通事故発生件数が年間約40%減少するなどの効果が見られると報道があって、私は大変注目をいたしました。
実は、私の近隣でも要望があって、とりわけ通学路の場合はこういう設定が大変重要ではないかと思いますが、この間、ゾーン30の設定の状況、今後の見通し、この実際の効果を示してください。
〇勝又交通部長 ただいまお尋ねのゾーン30につきましては、委員お話のとおり、平成29年度までに27地区を整備しておりまして、本年度は3地区について整備予定でございます。
次に、ゾーン30の効果でございますが、整備した地域の皆様からは、登下校する子供たちの安全を考え運転に気を使うようになった、あるいは車のスピードが遅くなったように感じるなどの声がありますほか、平成28年度末までに設置した24地区につきまして、設置前と設置後それぞれ1年間の交通事故発生状況を見てみますと、人身交通事故は24件から15件と9件、委員から御説明のとおりでございますが、約40%減少するなど、一定の効果が認められるところであります。
県警察といたしましては、引き続き、道路管理者と連携したゾーン30の整備を推進するとともに、歩行者、自転車利用者の安全性を確保する必要性が高い箇所につきましては、30キロメートル毎時の低速度規制を行うなど、通学路や生活道路に対する交通安全対策を推進してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 次に、県警察職員の超過勤務の対策についてお聞きしますけれども、これは人事委員会からも警察本部長宛てに労働基準及び労働安全衛生の状況に関する指示が出されていると思いますが、1人当たりの超過勤務時間、そして1人当たりの超過勤務手当の支給、そのギャップ、今後の改善方向を示してください。
〇高石警務部長 まず、平成29年度の警察職員の超過勤務は、月平均1人当たりに換算いたしますと、超過勤務時間数が約19.7時間、支給時間数が約17.8時間で、超過勤務時間数に占める支給時間数の割合は約90%となっております。
それから、今後の改善方策についてですけれども、超過勤務につきましては、職員の健康保持と勤務環境改善の観点からも、まずは縮減することが必要であると認識しておりまして、事務の合理化、効率化を推進するとともに、署長会議を初めとした各種の幹部会議等において具体的に指示しているほか、縮減に向けたさまざまな取り組みを推進しており、改善が図られている傾向にあります。
他方で、警察業務は、地域の安全を確保するため、昼夜を分かたず事件や事故に即時に対応しなければならない特殊性を有していることも事実であります。
県警察といたしましては、超過勤務を縮減することが公務能率の向上、職員の健康保持などの観点からも重要であると認識しておりますことから、引き続き、事務の合理化、効率化を推進するとともに、突発的な事案に対処する必要がある場合には、所要の措置を講じるなど適切に対応してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 県警察は律儀に超過勤務時間と支給時間を出してくれるのでそのギャップがわかるのですけれども、1人当たり月2時間がサービス残業です。厳密に言うと犯罪行為です。
それで、恐らく月2時間というのは1人当たり1万円を超えるのですよ。そうすると、1人当たり12万円以上のサービス残業をしているということになります。正確に労働時間が把握されているのだから、ぜひ、その分はきっちり支給するというふうに改善してほしい。これは質問ですよ。
あわせて、年次有給休暇の取得がたしか8日になっていますね。平均してですよ。これは極めて低い。そもそも県警本部の年次有給休暇取得の目標自身が低いのですよ。やっぱり20日間の年次有給休暇があるのなら、基本的には、年次有給休暇がとれることを前提に取り組みを進める必要があると思うけれども、どういう目標で、どう取り組んできたか、今後の対策も含めて示してください。
〇高石警務部長 超過勤務のお尋ねについてでございますけれども、先ほど申したこととも重なりますが、まずは超過勤務は縮減することが優先されると考えておりますが、そのために、引き続き事務の合理化、効率化を推進しますが、突発的な事案に対応しましては、必要な措置を講じて、適切に対応してまいる所存でございます。
それから、年次有給休暇の件でございますけれども、年次有給休暇の取得状況には、平成29年中の職員1人当たりの年間平均休暇取得日数は8.0日でありまして、前年比で1.3日の増となっております。
県警察におきましては、平成28年3月に策定いたしました岩手県警察における次世代育成支援及び女性職員の活用のための行動計画に基づきまして、各種会議や研修会を通じた指示教養、本部担当官による出前講座等を通じて、計画的な休暇取得の促進を図っているところでありますけれども、さらに、今月からは、月に1日以上の年次有給休暇の取得を奨励するマンスリー休暇制度を試行実施することとしております。
〇斉藤信委員 県庁各部局と比べても、1人当たり平均8日というのは一番低いですから。皆さんが頑張って仕事をしているのはいいのだけれども、しかし、しっかり休暇もとって頑張ると。そのほうがかえって効果的ということもありますので、ぜひしっかりやっていただきたい。
次に、捜査報償費の執行額についてお聞きいたします。5年間の推移を示してください。
〇高石警務部長 捜査報償費の実績と推移についてのお尋ねでございますけれども、5年間の決算額でお答えいたしますと、平成25年度が1、149万円、平成26年度が1、067万9、000円、平成27年度が1、072万4、000円、平成28年度が1、040万7、000円、平成29年度が864万6、000円となっております。
〇斉藤信委員 着実に捜査報償費は減少してきました。それで、平成29年度は予算額1、300万円だったのですよ。1、300万円の予算に対して864万6、000円ですから、執行率は66.4%。もっと予算も減らせるし、これは裏金が疑われる費目なので毎回取り上げているのだけれども、思い切った抜本的な改革がいよいよ必要になってきたのではないかと。
それで、こういう中でもふえているところがあるのです。─資料が見えなくなったので、これはやめます。まあ、全体としては減っているので、やめます。
次に、平成29年度、平成30年度の県警察の不祥事の件数、処分の状況を示してください。
〇山田参事官兼首席監察官 平成29年、平成30年8月末現在の非違事案の発生状況について御説明いたします。
平成29年につきましては、懲戒処分者につきましては5名でございます。平成30年は8月末現在で懲戒処分者が3名となっております。
また、平成30年8月末現在におきまして、いわゆる懲戒処分まで至らない訓戒、注意の事案につきましては14名となっておりまして、これは前年比、平成29年同期比でプラス8名となっております。
〇斉藤信委員 平成29年を見ますと、異性に対する信用失墜行為で免職、強制わいせつ事案で停職と、本当にこれは深刻で、懲戒処分に至らない訓戒その他を見ますと、これはことしですよ、平成30年1月から8月まで、不適切異性交際が4件もありますね。本当に、県警察は少しおかしくなっているのではないですか。
本部長、この不祥事案の深刻さをどう思いますか。
〇島村警察本部長 今、首席監察官から御答弁申し上げましたとおり、昨年5人の懲戒処分者を出し、本年もこれまでに3人出している状況について、強い危機感を持って受けとめておりまして、今後、一層職員の綱紀粛正を図っていかなければならないと考えております。
一方、多くの警察職員が誠実に職務に精励している中、一部の職員による規律違反行為により県民の皆様の信頼を大きく損ねることは、まことに遺憾でありまして、引き続き非違事案の根絶に向けた取り組みを強化しますとともに、警察諸活動の推進を通じまして、県民の皆様の御期待と信頼に応えられるよう力を尽くしてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 私は、公務員というのは、モラルの問題でも人権の問題でも、やっぱり模範にならなくてはならないと。とりわけ警察官はそうだと思いますよ。しかし、こういう事案が続いているということをしっかり受けとめて、本気で改革を図るべきです。
そこで、私は具体的な問題について改めてお聞きします。3月28日の新聞報道で、元巡査部長が東京で遺体で発見されたと。これは、私が3月の予算特別委員会で取り上げた昨年11月23日から行方不明になった水沢警察署の警察官です。2月10日に懲戒免職になっていますけれども、なぜ行方不明になって、こういう形で遺体が発見されることになったのか。どういう捜査をして、その捜査の結果、この原因は何でしたか。
〇山田参事官兼首席監察官 本年1月26日に懲戒処分としました元水沢警察署の男性巡査部長が、本年3月に東京都内で遺体で発見されたことは、報道のとおりでございますが、死亡原因につきましては、死者の尊厳、御遺族の心情への配慮から、お答えを差し控えさせていただきます。
なお、他者の介在等、事件性についてはございませんでした。
〇勝又交通部長 ただいまの捜査の関係でございますが、失踪直前に発生した当て逃げ事故につきましては、これまでの捜査の結果、当該職員の飲酒運転による当て逃げ事件と断定しまして、本年5月24日、盛岡地方検察庁に書類送致しているところでございます。
〇斉藤信委員 これは私が予算特別委員会で指摘したとおりでした。飲酒運転で、当て逃げと。じゃ、どこで飲んだのだと。これは水沢警察署で飲んだのではないですか。水沢警察署で飲んで、飲み屋に行く途中に事故を起こして、そして、残念ながら逃走してしまった、こういう事件ではないですか。
〇山田参事官兼首席監察官 署内で飲酒したという事実はございません。
〇斉藤信委員 だったら、どこで飲んだのですか。わかりますか。
〇山田参事官兼首席監察官 詳細についてはお答えできません。
〇斉藤信委員 残念ながら証明はできなかったと。恐らく私の指摘どおりに推移したのではないかと私は思います。
もう一件指摘をします。ことし3月、盛岡東警察署の課長が一身上の都合で退職しました。これはなぜ退職したのでしょうか。
〇山田参事官兼首席監察官 個別の職員の退職、進退につきましては、プライバシーにかかわることであり、お答えは差し控えさせていただきます。
〇斉藤信委員 これが問題だということで指摘があるのですよ。暴力団との深い交際が発覚しての退職ではなかったかと。暴力団から資金、そして飲食接待、女を預けられて、それが発覚したために退職をしたと。先ほど言ったように、一般の職員だったら処分されているのですよ。しかし、こういうクラスになると、こういう形で免れると。私は、これだったら示しがつかないのではないかと思いますけれども、そういうことではないですか。
〇山田参事官兼首席監察官 御指摘の関係につきましては、確認しておりません。
〇斉藤信委員 微妙な答弁でしたね。確認しておりませんと。確認したくないということでしょう。事実はなかったというのではないのだから、これは、私は極めて微妙な答弁だと思いますよ。図星ということではなかったでしょうか。
最後に、県警本部長、今の答弁、私の指摘は否定できなかったということではないか。
もう一つ、新しい本部長なので、私はいつも聞いているのだけれども、岩手医科大学の元教授が、覚醒剤で相手の女性から公然と訴えられた。しかし、県警察はまともな捜査をした形跡がなく、その大学に当時の刑事部長が天下りした、再就職したと。私は、こんなことがあったら県警察の信頼は絶対に回復できないと思います。この二つの問題をお聞きして、終わります。
〇島村警察本部長 まず、先ほどの盛岡東警察署の件につきましては、首席監察官の答弁のとおりだと思います。
それからもう一点、岩手医科大学の関係につきましては、これまで前任の本部長が答弁しておりますとおり、警察と、委員御指摘のような癒着やもみ消しといった事実は一切ございません。
〇斉藤信委員 もみ消しはなかったと言うけれども、大体今もう数年たっていますから。予算特別委員会で聞いたときには、捜査しているかしていないか答えられないという答弁でした。やっていないときもこう言うのですか。捜査をやっていないときも、やっているかやっていないか答えられないと言うのですか。
〇島村警察本部長 捜査につきましては秘匿が原則でありまして、個別の事件を捜査しているか捜査していないか、あるいはその捜査状況につきましては、一般論として、捜査の相手方に手のうちをさらし、今後の捜査に支障を及ぼすおそれがありますので、答弁を差し控えさせていただきます。
〇小西和子委員 それでは、私からは、まず最初に交通事故防止対策についてですが、今まで2人の委員が質疑したところについては省きたいと思います。
平成29年の沿岸13市町村の交通事故の発生件数、死傷者数は前年に比べ減少しております。平成30年8月末までの高齢者の死者数が7人で、県全体に占める割合が4分の1であります。この状況をどのように分析しているのか、あわせて取り組みと対策をお伺いいたします。
〇勝又交通部長 初めに、本年8月末現在の沿岸市町村における交通事故の発生状況でございますが、発生件数は164件で、前年比マイナス24件、死者数は10人で、前年比マイナス2人、傷者数は220人で、前年比マイナス20人となっており、このうち高齢者の死者は7人で、県内と同様に、高齢者が被害に遭うケースが多い状況にございます。
また、高齢者の死亡事故は早朝から午前中が大半を占めておりまして、状態別では、自動車運転中が最も多いという状況にございます。
次に、本年の沿岸地域における主な交通事故防止対策でございますが、復興工事車両等が通行する通学路における安全を確保するために、交通機動隊沿岸分駐隊による目立つ指導取り締まり及び交通機動隊各分駐隊の集中投入による指導取り締まりを実施しておりますほか、可搬式の速度違反自動取り締まり装置を活用した通学路及び生活道路での速度抑制対策を強化しております。
また、復興関連事業所の運転者に対する動画危険予測トレーニング装置等を活用した安全教育を推進しておりますほか、関係機関、団体と連携した応急仮設住宅や災害公営住宅を初めとした家庭訪問による個別指導、それから、コミュニティーラジオ局との協働による広報啓発活動等の諸対策を推進しているところでございます。
〇小西和子委員 特に、通学路等における安全の対策をしてくださっているということで、子供たちは、まだまだ復興途上の地域もありますので、本当にありがたい対策だと思っております。
本県のことし上半期1月から6月までに発生した交通死亡事故については、全国でワーストツーであったというようなことが報道されておりますけれども、一方で、本県の10万人当たりの発生件数が68件、負傷者数も85件と、どちらも全国最少だったと報道されております。このことにつきましては、皆様方のふだんからの努力の成果だと思います。敬意を表したいと思います。
ただ、高齢者、私も高齢者でございますけれども、高齢者の死亡事故が多いという、ここが対策をとらなければならないところだと思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、子供、女性を犯罪から守る対策についてであります。
5月の新潟市における女子児童殺害など、児童生徒が被害者となる凶悪犯罪が発生しております。平成29年の声がけ等脅威事犯の認知件数が減少しており、沿岸のほうも同じような傾向ですので、あわせてお伺いしたいと思います。その傾向についてどのように分析していらっしゃるのか。平成30年の子供を犯罪から守る取り組みと対策についてもお伺いいたします。
〇小野寺生活安全部長 平成29年の声かけ等脅威事犯の認知件数についてでありますが、県全体では514件で、前年比で60件減少しております。そのうち沿岸5署では70件で、前年比で10件減少しております。
特徴につきましては、路上での発生が県全体では約6割、沿岸5署では約7割であり、児童生徒の下校時間に当たる午後2時から午後6時までの発生が、県全体では約4割、沿岸5署では約5割を占めております。
また、行為の形態では、声かけ、つきまとい及び容姿撮影が県全体では約6割、沿岸5署では約7割を占めております。
減少の要因につきましては、通学路における防犯ボランティアによる見守り活動や制服警察官の顕示的活動、事案発生時の速やかな情報提供、学校での防犯教室を通じた被害防止の啓発活動により、児童生徒、保護者の防犯意識が高まり、発生の抑止に結びついているものと考えているところでございます。
対策につきましては、この種の事案を性犯罪や誘拐等の前兆事案として大きく捉え、行為者を早期に特定し、事件検挙や指導警告などの措置を講じる先制、予防的活動を行っておりますが、これまでの対策に加えまして、本年8月より、ぴかぽメールの名称で教育委員会、学校等の関係機関、団体のほか、保護者等に対し、不審者情報等をタイムリーに発信しているところでございます。
〇小西和子委員 それでは、平成29年、平成30年中に声がけ等脅威事犯から犯罪に至った例をお伺いしたいと思います。
〇小野寺生活安全部長 声かけ等脅威事犯から犯罪に至った事件についてでありますが、平成29年には、1月に沿岸部において、70歳代の男性が、10代の女性に声をかけ、建物に連れ込んでわいせつ行為を行ったことで逮捕しております。
また、平成30年中は、7月に県央部において、40歳代の男性が、10代の女性に声をかけて、抱きつくなどのわいせつ行為を行ったことで逮捕しております。
〇小西和子委員 沿岸部の子供たちは、心の状態はまだまだ不安定であります。調査結果からも、これは数値として出されております。そういうまだまだダメージが大きいところに、さらに追い打ちをかけるようなことが起きるような、犯罪に巻き込まれるようなことがあっては絶対ならないと思っておりますので、対策の強化をよろしくお願いいたします。
続きまして、平成29年のストーカー相談、ストーカー被害の認知件数、特徴、対策についてお伺いいたします。あわせて、平成30年の対策についてもお伺いしたいと思います。
〇小野寺生活安全部長 平成29年のストーカー相談についてでありますが、認知件数は270件で、前年より63件減少しております。
特徴につきましては、元配偶者や元交際相手などの顔見知りからの被害が約7割であり、その態様としては、被害者の家などに押しかける行為、拒否されているにもかかわらず復縁や面会を迫る行為、しつこく何度も電話をかけたり、メールやSNSでメッセージを送ったりする行為で約8割を占めております。
対策につきましては、ストーカー事件は、事態が急展開し凶悪犯罪に発展する特徴があることから、加害者の迅速な検挙や被害者の避難など、再び被害を受けることがないように保護対策を徹底しているところであります。
また、昨年6月の改正ストーカー規制法の施行により、迅速に禁止命令を行うことができるようになったことから、法律を効果的に運用し、抑止効果を高めているところであります。
平成30年の対策といたしましては、警察本部に新たな当直員を配置し、夜間、休日に発生した事案について、警察署から報告を受理し、危険性の判断や対処について指導できるように運用しております。
このほか、被害を未然に防止するための対策として、ストーカーの被害者にも加害者にもならないための安全教育や啓発について、関係機関と連携して推進しているところでございます。
〇小西和子委員 ストーカー行為というのは、重大な事件に発展しているものもございますので、本当に対策等よろしくお願いしたいと思います。
最後でございますけれども、私は毎回お聞きしているのですが、本部長にお伺いしたいと思います。性犯罪を含めて、子供や女性を守る決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
〇島村警察本部長 今、委員御指摘の性犯罪あるいは女性を守るということでありますけれども、昨今、刑法犯の認知件数が減少しているにもかかわらず、住民の方々が依然として治安に対する不安を感じている背景の一つには、子供、女性を対象とした脅威事犯、犯罪等が身近で発生していることが挙げられるのだろうと考えております。
子供や女性が被害者となるこのような事案や犯罪への対処は、県民の身近な日常生活の安全・安心を確保する上で極めて重要と考えております。
県警察といたしましては、発生した事件の検挙、事案の解決はもとより、引き続き、関係機関と連携するなどして、この種犯罪の被害に遭わないための安全教育、啓発活動など、未然防止に向けた諸対策を推進しますとともに、ストーカーや配偶者暴力の加害者とならないための対策も、あわせて実施してまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 私は、安全・安心なまちづくりの推進策に関連して何点かお聞きしたいと思います。
まず、1点目は、交通安全施設整備でありますけれども、例年のように、特に信号機の整備について、震災対応分と通常分がどのようになっているか、それから、県民要望が非常に多いわけですが、過去5年間でどう実現されたのかお聞きします。
〇勝又交通部長 信号機の整備状況でございますが、まず、平成29年度は、震災対応分としまして、釜石市、大船渡市及び大槌町に、土地かさ上げ後の歩行者安全対策あるいは市街地整備に伴う交差点の安全対策としまして、定周期式信号3基、押しボタン式信号4基の計7基を、また、通常対応分としまして、盛岡市、奥州市、一関市、八幡平市及び釜石市に、それぞれ通学路や歩行者の安全対策として、定周期式信号1基、押しボタン式信号6基の計7基の合計14基を整備しております。
また、平成30年度は、震災対応分として、陸前高田市、大船渡市、山田町及び宮古市に、土地かさ上げ後の交差点安全対策や復興支援道路整備に伴う交差点の安全対策としまして、定周期式信号6基、押しボタン式信号2基の計8基を、また、通常対応分として、盛岡市、滝沢市、矢巾町、奥州市、大船渡市、釜石市、宮古市及び久慈市に、通学路や歩行者の安全対策として、定周期式信号6基、押しボタン式信号4基の計10基の合計18基の整備を予定しております。
続きまして、過去5年間の信号機の整備状況でございますが、平成25年度は、上申数42カ所に対して、平成26年度の整備数は10カ所で、割合は23.8%。平成26年度は、上申数31カ所に対して、平成27年度の整備数は10カ所で、同じく32.3%。平成27年度は、上申数46カ所に対して、平成27年度(後刻「平成28年度」と訂正)の整備数は13カ所で、同じく28.3%。平成28年度は、上申数41カ所に対して、平成29年度の整備数は12カ所で、同じく29.3%。平成29年度は、上申数48カ所に対して、平成30年度の整備数は18カ所で、同じく37.5%となっております。
〇千田美津子委員 過去5年間の県内の各警察署からの上申数は、これは表向きというか208カ所ですけれども、この裏には、各警察署で現地調査などをしながら、必要だけれども、上申してもなかなか設置されないということで落とされた数が相当数あると私は思います。
それで、上申数208カ所に対して、整備箇所が63カ所、30.3%に、この間ずっと30%台にとどまっております。本当に県民の命を守る、子供たちの命を守るという点では、これは、大変重大な問題だと言わなければならないと思います。
設置されなかった145カ所は、5年間たってもつけてもらえなかったということになるわけですね。ですから、本当にこれらの上申された箇所は、特に交通事故が頻繁に起きている、あるいは死亡事故が起きている箇所であります。とすれば、私は最優先でこれらについては設置をされるべき、そして、この間30%台にとどまっているこの率をやっぱり引き上げるべきだと考えますので、その点お聞きをしたいと思います。
それから、平成30年度の県警での会議はまだやられていないのでしょうか。というのは、震災復興が、災害公営住宅などがほぼ今年度中に完成してくるので、そういった点では震災対応分があとどれぐらい見込まれるか、震災復興に伴う信号機の設置がどのぐらい必要と見ているか、その点についてもお聞きします。
〇勝又交通部長 まず最初に、信号機の設置に関する考え方でございますが、委員御指摘のとおり、地域住民の皆様あるいは市町村、道路管理者の方からいただいた御要望については、交通安全を願う県民の切実な声として、一つ一つ精査しまして、その設置の効果や緊急性、代替性等を検討の上、優先度を判断して進めているところでございます。
なお、優先度の具体的な判断基準につきましては、警察庁が示しております信号機設置の指針に基づきまして、道路環境や交通量のほか、交通事故の発生状況、周辺施設の状況を勘案の上、総合的に判断することとしております。
今後とも、交通状況や復興状況を考慮し、総合的な見地から、我々としても、県民の命を守るという視点で、真に効果的な整備を図ってまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 これから見込まれる分の震災対応分はわかっていますか。もしわかっていれば、お知らせいただきたいと思います。
〇勝又交通部長 来年度以降の沿岸地域等における整備計画でございますが、現在のところについては、まだ固まっていない状況でございます。
〇千田美津子委員 ただいまの答弁で、いつも使われるのは優先度ということ、限られた予算だからということ、それから、定周期式信号機は1基が700万円から1、200万円ぐらいと、かなり高額だということもあって、限られた予算の中でということでいつも答弁いただいているのですけれども、私は、先ほども言いましたが、子供たち、高齢者、県民の命を守るという点で、やはり交通事故の発生を防ぐといった意味からしても必要な、特に事故が頻繁に起きているような箇所については設置するように、ぜひ予算を確保してやっていただきたいと思うのです。
命を守るという点で非常に頑張っていただいているのはわかります。ただ、その上で、さらに予算確保ということで、本部長の決意をお聞きしたいと思います。
〇島村警察本部長 悲惨な交通事故防止、命を守りたいという強い思いは、委員と私ども警察職員も同じでございます。信号機を初めとする交通安全施設の整備につきましては、今後とも、県民の皆様の御意見や御要望を十分踏まえつつ、効果的な交通安全施設の整備に努めてまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 それでは、よろしくお願いいたします。
二つ目ですが、非行少年を生まない社会づくり推進事業というものがありますが、サポート隊の支援数ということではかっているようですが、達成度がCとなっているのですね。なぜこういう対応になっているのか、その現状についてお聞きしたいと思います。
〇小野寺生活安全部長 少年サポート隊による支援についてでありますが、少年サポート隊は、例年、大学生ボランティア20名程度で構成され、非行などの問題を抱えた個々の少年の立ち直り支援を目的として、県内各警察署の要請に基づき、参加を希望する隊員を派遣して、少年の勉学支援や農作業、ものづくり、料理などの体験活動を支援しています。
昨年度中の支援数は、25回にとどまり、委員御指摘のとおり達成度がCとなっているところでございます。その主な理由としましては、大学生ボランティア側で都合がつかず不参加となったことや、少年側の都合、あるいは農作業が悪天候で中止となったことなどが挙げられるところでございます。
少年サポート隊は、問題を抱えた少年の立ち直り支援において、少年と大人の橋渡し役を担うなど重要な取り組みでありますことから、今後は、少年サポート隊が無理なく支援に参加できる日程の確保を各警察署に指示するとともに、隊員に対しましても、積極的な支援活動への参加に向けた働きかけを行ってまいりたいと考えているところでございます。
〇千田美津子委員 それでは、引き続きよろしくお願いいたします。
ただ、私は、非行少年を生まない社会づくり推進事業という壮大なテーマの割には、こういう指標でそれらをはかるというのが、どうも納得できなかったのですね。まさかそういうものではかっているのだとは思いませんでした。この指標がそもそも妥当なのかどうか、私はこれが疑問なのです。大学生ボランティアもいいですけれども、社会全体でそういう方々を見守っていく、そういうシステムづくりをしていくためにはもっとほかの指標というか努力が必要ではないかと思うわけですが、それについてはいかがでしょうか。
〇小野寺生活安全部長 委員御指摘のとおり、非行少年を生まないことは当然社会全体で取り組んでいくべき重要な課題でございますので、大学生等のボランティアに限らず広く担い手をつくっていって、みんなで見守っていくことが大切だと思います。
ただ、この大学生ボランティアにつきましては、やはり年齢が近いということで、非常に好評であります。最近、少年の再犯率も高くなってきておりますので、再犯する少年を少しでも減らしていくという意味では、こういう大学生ボランティアも非常に重要だと思います。委員御指摘のとおり、もう少し幅広く、みんなで非行防止に取り組んでいくという機運を醸成していきたいと考えております。
〇千田美津子委員 よろしくお願いいたします。
それでは3点目、特殊詐欺被害の阻止率でありますけれども、その達成度は50.7%で、B評価となっているのですね。この現状と対応状況についてお聞きします。
〇小野寺生活安全部長 特殊詐欺の阻止率でございますが、達成度Bという判定でございますけれども、それほど悪くない結果ではないかと考えているところでございます─目標に対して100%であればよろしいのですが。
県内の特殊詐欺の被害状況についてでありますが、8月末現在、被害認知件数は16件、被害総額は約5、568万円で、前年と比べますと認知件数は38件減少、被害総額は約6、640万円減少しているところでございます。この要因につきましては、コンビニエンスストアあるいは金融機関での水際対策が功を奏しているのではないかと考えているところでございます。
先ほど達成度Bということでございましたけれども、達成できなかった理由につきましては、昨年、架空請求詐欺の増加を受けましてコンビニエンスストア対策を推進してまいりましたが、昨年はなかなか浸透していなかったところがございます。本年は8月末現在で阻止率が64.4%と良好に推移しております。これは、阻止事例全体に占めるコンビニエンスストアの阻止事例の割合が増加しまして、全体の約7割を占めている状況からして、コンビニエンスストア対策が浸透してきたためと考えているところでございます。
今後も、1件でも多くの特殊詐欺被害を防止するため、各金融機関、コンビニエンスストアなどの関係機関と連携して取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
〇千田美津子委員 皆様の努力によって前年度から相当減っているのです。しかし、達成度の点については、平成26年度の阻止率である51.3%をキープしたいということで目標設定しているために達成度が低く出るのですよね。だから、ちょっと現状と合わない評価になっているのではないかと思って、私はお聞きしました。
これについては、現状をこうやって聞けば減っているし、頑張ってもらっているのはわかるのですけれども、B評価で達成度が50.7%というと、どうも判断する私たちからすればおかしいなと思いますので、これらについてももう少し現状に合うような評価にするとか、目標値の設定も私は検討すべきではないかと思いましたので、その点についてお聞きします。
〇小野寺生活安全部長 昨年─平成29年度の達成度でございますが、阻止率につきましては50.7%となっておりますけれども、これは目標に対する達成度は99%でございますので、その点は補足で説明させていただきます。
また、目標が妥当かどうかということにつきましては、検討しながらまた設定してまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 最後になりますけれども、自主防犯団体のうち、危険箇所点検の実施等に取り組んでいる団体の割合というのがありました。それが61.5%で、これも達成度はB評価となっているのです。これについても対応の現状についてお聞きします。
〇小野寺生活安全部長 いわて県民計画第3期アクションプランにおける危険箇所点検の実施等に取り組んでいる団体につきましては、危険箇所点検の実施、防犯指導、診断、地域安全マップ作成、環境浄化のいずれかに取り組んでいる団体でありまして、同プランでは、自主防犯団体のうち、危険箇所点検の実施等に取り組んでいる団体の割合を71.4%とする目標を掲げておりましたが、平成29年は61.5%となっているところでございます。人口の減少や自主防犯団体構成員の高齢化などによりまして、自主防犯の担い手不足が指摘されているところであります。
危険箇所点検の実施等に取り組んでいる団体の割合は、ここ3年間60%前後で推移しておりますが、特に子供の安全を守る上で重要な取り組みでありますので、今後、関係機関、団体との連携を図りながら、自主防犯団体の活動として危険箇所点検等にも取り組んでいただくよう働きかけを行っていきたいと考えているところでございます。
〇千田美津子委員 高齢化とかさまざまな理由はあると思いますけれども、自主防犯団体のうち、危険箇所点検の実施、防犯指導・診断、地域安全マップ作成、環境浄化の四つの取り組みのうち一つも実施しない団体が38.5%あることになっています。実施している団体が61.5%ですから、その残りは全く実施していないということになって、本当に高齢化だけの問題なのか、ちょっと疑問だったのでお聞きしました。
地域の担い手がなくて、同じ人があれもこれもやっているという事情も出てきているのでこういうことになっているのかもしれませんが、いずれ引き続きそういう方々の協力を得てこれらも高めていく。かなり毎年減っていますものね。ですから、これをぜひ高めるように努力をお願いしたいと思いますが、これについて、もし何があればお聞きして終わります。
〇小野寺生活安全部長 自主防犯団体につきましては、さまざまな活動をしておられるところでございます。見守り活動とか、そういうものに特化してされている団体もございますので、それなりに何か活動はされているところでございます。ただ、より積極的にこういう四つの取り組みもしていただければさらに子供の安全などが守られるのではないかと考えておりますので、さらに働きかけを行ってまいりたいと考えているところでございます。
〇福井せいじ副委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇勝又交通部長 先ほどの私の答弁の中で一部間違いがございましたので、修正させていただきます。
過去5年間の信号機の整備状況に対する答弁の中で、平成27年度は上申数46カ所に対して同じ平成27年度の整備数で申し上げましたけれども、これは平成28年度の間違いでございますので、修正させていただきます。
〇福井せいじ副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇福井せいじ副委員長 質疑がないようでありますので、これで警察本部関係の質疑を終わります。
警察本部の皆さん、ありがとうございました。
以上で本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後7時18分 散 会

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