平成30年9月定例会 決算特別委員会会議録

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決算特別委員会会議記録
(第 1 号)
平成30年10月2日(火)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
事務局長 泉   裕 之
議事調査課
総括課長 村 上 宏 治
議事管理担当課長 安 齊 和 男
主任主査 柳 原   悟
主任主査 金 戸 伸 幸
主査 上 野 公一郎
主査 小 原 亜季子
主査 赤 坂 宏 紀
主査 戸 塚 教 仁
1説明員
知事 達 増 拓 也
副知事 千 葉 茂 樹
副知事 保   和 衛
企画理事 大 平   尚
企画理事
兼総務部長 佐 藤   博
会計管理者 高 橋 宏 弥
会計指導監 山 梨 康 紀

秘書広報室長 高 橋 勝 重
秘書広報室
副室長兼
首席調査監 上和野 里 美

総務部副部長兼
総務室長 熊 谷 泰 樹
財政課総括課長 臼 井 智 彦

政策地域部長 白 水 伸 英
理事兼政策地域部副部長兼
地域振興室長 鈴 木   敦
政策地域部副部長兼政策推進室長
兼首席ふるさと
振興監 小 野   博

文化スポーツ
企画室企画課長 畠 山   剛

環境生活企画室
企画課長 高 橋 孝 嗣

保健福祉企画室
企画課長 中 野 文 男

商工企画室
企画課長 阿 部   博

農林水産企画室
企画課長 照 井 富 也

県土整備企画室
企画課長 嵯 峨 俊 幸

復興局長 佐々木   信
復興局副局長 森   達 也

経営管理課
総括課長 吉 田 陽 悦

教育企画室
特命参事兼
企画課長 鈴 木   優

監査委員 寺 沢   剛
監査委員 沼 田 由 子
監査委員事務局長 熊 谷 正 和
監査第一課
総括課長 千 葉 達 也
監査第二課
総括課長 小 守 健 一
〇泉議会事務局長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うこととなっておりますので、年長の委員を御紹介申し上げます。
出席委員中、工藤勝子委員が年長の委員でありますので、御紹介申し上げます。
工藤勝子委員、委員長席にお着き願います。
〔年長委員工藤勝子君委員長席に着く〕
〇工藤勝子年長委員 ただいま御紹介いただきました工藤勝子です。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、ただいまから決算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開きます。
なお、吉田敬子委員は当委員会は欠席とのことでありますので、御了承願います。
これより委員長の互選を行います。
委員会条例第7条第2項の規定により、委員長の互選の職務を行います。
お諮りいたします。委員長の互選の方法につきましては、先例に基づき、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子年長委員 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子年長委員 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
決算特別委員長に名須川晋君を指名いたします。
お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました名須川晋君を決算特別委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子年長委員 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました名須川晋君が決算特別委員長に当選されました。
ただいま当選されました名須川晋君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
名須川晋委員長、委員長席にお着き願います。
〔決算特別委員長名須川晋君委員長席に着く〕
〇名須川晋委員長 ただいま決算特別委員長に選任されました名須川晋でございます。
御推挙を賜りまして、大変光栄に存じておる次第であります。
委員各位の御協力をいただきまして責務を全うしたいと考えておりますので、御協力をよろしくお願い申し上げ、御挨拶とさせていただきます。(拍手)
引き続いて副委員長の互選を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇名須川晋委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
これより副委員長の互選を行います。
お諮りいたします。副委員長の互選の方法につきましては、先例に基づき、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇名須川晋委員長 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇名須川晋委員長 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
決算特別副委員長に福井せいじ君を指名いたします。
お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました福井せいじ君を決算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇名須川晋委員長 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました福井せいじ君が決算特別副委員長に当選されました。
ただいま当選されました福井せいじ君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
福井せいじ副委員長、御挨拶をお願いいたします。
〇福井せいじ副委員長 ただいま皆様の御承認を得まして副委員長に就任させていただきました福井せいじです。
名須川晋委員長をしっかりと補佐し、皆様の御協力を得て決算特別委員会を円滑に進行していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願します。(拍手)
〇名須川晋委員長 お諮りいたします。当決算特別委員会に付託されました決算14件及び議案2件についての審査の方法でありますが、お手元に配付しております日程案のとおり、本日及び明日は、知事、副知事、企画理事、会計管理者及び関係部局長等の出席を求め総括質疑を行い、明日の総括質疑終了後から5日まで及び9日から12日までの7日間は、会計管理者及び関係部局長等の出席を求め部局ごとに質疑を行うこととし、決算14件及び議案2件に対する意見の取りまとめと採決につきましては、10月12日の県土整備部関係の質疑が終わった後、世話人会の意見調整を経た上で行いたいと思います。
なお、7日目の農林水産部の審査については、第1部を農業関係、第2部を林業、水産業関係とし、それぞれ区分して審査することとしたいと思いますが、これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇名須川晋委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
これより議事に入ります。
認定第1号から認定第14号まで、並びに議案第38号及び議案第39号の以上16件を一括議題といたします。
これより、会計管理者に決算の総括説明を求めます。
〇高橋会計管理者 平成29年度歳入歳出決算の概要について御説明申し上げます。
お手元に平成29年度歳入歳出決算書、歳入歳出決算事項別明細書、実質収支に関する調書など8件の法定書類のほか、決算調製資料を補完する説明資料として平成29年度歳入歳出決算説明書をお配りしております。
決算の概況につきましては、便宜、この歳入歳出決算説明書に基づき御説明させていただきます。
それでは、歳入歳出決算説明書の1ページをお開き願います。第1平成29年度歳入歳出決算の概況、1決算の状況についてであります。
東日本大震災津波からの復興と平成28年台風第10号災害からの復旧、復興を最優先に進めるとともに、いわて県民計画に掲げる希望郷いわての実現に向けた施策を着実に推進するために編成された平成29年度歳入歳出予算に係る決算の状況は、次のとおりであります。
まず、一般会計当初予算は、未来につなげる復興ふるさと振興予算として9、797億3、252万円が措置され、前年度の当初予算に比べ863億7、440万円、8.1%の減となっております。
また、その後の補正予算において、東日本大震災津波関係事業費の確定などにより、16億1、440万円減額補正されたところであります。これに前年度からの繰越額2、824億1、782万円を加えた最終予算額は1兆2、605億3、594万円となり、前年度に比べ885億6、185万円、6.6%の減となっております。
次に、この予算に対する決算についてであります。
まず、歳入について御説明いたします。44ページ、45ページをお開き願います。第2表一般会計歳入決算状況の表の一番下の合計欄をごらん願います。
平成29年度の収入済額は1兆918億3、897万円余で、右のページ中央、前年度との比較増減額は533億9、007万円余、4.7%減少となりました。収入率は、予算現額に対して86.6%、調定額に対して97.8%となっております。
なお、収入未済額は、44ページ右端の欄ですが、246億485万円余で、前年度に比べ3億7、633万円余の増となっており、この収入未済額の主なものは諸収入であります。
次に、歳出について、52ページ及び53ページをお開き願います。第7表一般会計歳出決算状況の表の合計欄をごらん願います。
平成29年度の支出済額は1兆60億2、075万円で、右のページ記載の前年度との比較増減額は227億3、682万円余、2.2%減少となりました。執行率は、予算現額に対して79.8%となっております。また、翌年度繰越額は2、143億7、470万円余で、前年度に比べ680億4、312万円余の減少となっており、この繰越額の主なものは災害復旧費や土木費であります。
なお、不用額は401億4、049万円余で、前年度に比べ22億1、809万円余の減となっております。
次に、実質収支の状況についてでありますが、少しお戻りいただき、42ページ、43ページをお開き願います。第1表一般会計及び特別会計決算状況の表中、一番上、一般会計の欄ですが、歳入総額は1兆918億3、897万円余、歳出総額は1兆60億2、075万円であり、歳入歳出差引額は858億1、822万円余となっております。
また、歳入歳出差引額から翌年度に繰り越すべき財源615億292万円余を差し引いた実質収支額は243億1、529万円余の黒字となっております。
次に、一般会計の決算の特色についてでありますが、再度、1ページをお開き願います。中段の2決算の特色をごらん願います。
一般会計の決算の特色といたしましては、第1に、決算規模が前年度を下回ったことであります。歳入においては、繰入金、地方交付税、国庫支出金等の減により、前年度に比べ533億9、008万円、4.7%減少し、歳出においては、総務費、災害復旧費、労働費等の減により、前年度に比べ227億3、682万円、2.2%減少しております。
第2に、県税収入が減少したことであります。県税収入は、個人県民税が個人所得の増に伴い11億4、310万円、3.2%増加したものの、法人事業税が税制改正の影響により16億2、638万円、6.0%減少したことなどにより、前年度に比べ20億2、102万円、1.5%減少しております。
第3に、投資的経費が増加したことであります。投資的経費は、災害復旧事業費が減少したものの、道路、橋梁、河川等の整備事業の土木費の増に伴い、普通建設事業費が増加したことにより131億9、386万円余の増となり、歳出総額に占める投資的経費の割合は、前年度に比べ1.9ポイント増加し、30.4%となっております。
第4に、翌年度繰越額が多額となったことであります。翌年度に繰り越した金額は、前年度に比べ680億4、312万円、24.1%減少したものの、復興事業等において計画調整等に不測の日数を要したことなどから、2、143億7、470万円と引き続き多額となっております。
第5に、県債残高が減少したことであります。県債残高は、県債発行額が県債償還に充てられる公債費の元金償還額を下回ったことから、前年度に比べ300億8、588万円、2.3%減少し、1兆2、826億3、180万円となっております。
以上、一般会計の特色を申し上げました。
次に、特別会計の決算について御説明申し上げます。35ページをお開き願います。第3特別会計の決算状況を、中段、特別会計歳入歳出決算収支の状況の表により御説明申し上げます。
母子父子寡婦福祉資金特別会計など10会計の歳入総額は2、033億6、839万円余で、前年度に比べ185億7、161万円余の減であり、その主なものは、公債管理特別会計の減などであります。また、歳出総額は1、997億8、782万円余で、前年度に比べ173億8、255万円余の減であり、その主なものは、歳入同様、公債管理特別会計の減などであります。
なお、実質収支は、各会計とも黒字または収支均衡となっております。
以上で決算の概要説明とさせていただきますが、決算の内容の詳細につきましては、審査日程に従いまして、それぞれ担当の部局長から御説明申し上げることとなっております。
なお、監査委員から御意見のありました事項につきましては、関係部局において所要の措置を講じているところでございます。
よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇名須川晋委員長 ただいまから総括質疑に入るわけでありますが、議会運営委員会の決定に基づき、総括質疑は、各会派及び会派に所属しない議員に質疑時間を配分して行うことになっております。
質疑時間につきましては、まず、改革岩手が37分、次に、自由民主クラブが29分、次に、いわて県民クラブが15分、次に、創成いわてが15分、次に、日本共産党が11分、次に、社民党が9分、次に、会派に所属しない議員は、公明党小野寺好委員、無所属樋下正信委員の順に、それぞれ7分となっております。
各会派は、配分された時間の範囲内で複数の委員が質疑をすることができること、この場合におきましては、会派として続けて行うこととなっておりますので、御了承願います。
なお、総括質疑は、あす遅くとも正午までに終了することを目途にしたいと思いますので、御協力をお願いします。
これより総括質疑に入ります。佐々木朋和委員。
〔佐々木朋和委員質問者席に着く〕
〇佐々木朋和委員 改革岩手の佐々木朋和でございます。
質問の機会を与えていただきました先輩、同僚議員に感謝し、質問をさせていただきます。
昨夜、本庶佑先生がノーベル医学生理学賞を受賞といううれしいニュースが飛び込んでまいりました。これを機会に国民全体に科学分野の基礎研究に対する理解が深まりまして、本県が誘致を進めておりますILC誘致につながりますことを祈念申し上げますし、また、それを機会に岩手県の子供たちから、将来、ノーベル賞を受賞する子供たちが出てくることを夢に描きながら、通告に従い質問させていただきます。よろしくお願いいたします。
まず、現実的なところから質問させていただきたいと思います。
平成29年度歳入歳出決算、財政運営の状況についてお伺いしたいと思います。
平成29年度一般会計歳入歳出決算は、歳入が1兆918億3、897万3、060円、歳出が1兆60億2、075万731円で、差し引き額は858億1、822万2、329円となり、実質収支額、実質単年度収支額ともに黒字であり、母子父子寡婦福祉資金特別会計ほか9特別会計の歳入歳出決算も実質収支額は30億8、992万2、499円の黒字となりました。
財政運営状況は、歳入、歳出ともに前年度を下回る中、財政構造の弾力性を示す経常収支比率は97.6%、前年度比で0.7ポイント増加しており、実質公債費比率は18.2%となり、前年度比率で1.3ポイント減少しましたが、地方財政法上、地方債発行に当たり国の許可が必要となる基準18%を超える状況が続いております。
そこで知事に質問いたします。
平成29年度歳入歳出決算をどのように評価しているのか、また、財政運営状況についてもどのように評価しているのか、今後の方向性も含めお示しください。
〇達増知事 平成29年度は、東日本大震災津波や平成28年台風第10号災害からの復旧、復興、ふるさと振興の推進に県の総力を挙げて取り組んだところであり、事業実施に当たりましては、あらゆる歳入の確保に努めましたほか、施策の優先度を見きわめ、限られた財源の選択と集中を図り、また、公債費負担適正化計画に掲げる取り組みなどにより実質公債費比率が前年度から1.3ポイント低下して、プライマリーバランスについても7年連続で黒字となるなど、復興、ふるさと振興の推進と財政健全化の取り組みの両立を図ってまいりました。
県財政は、9月28日に公表した岩手県中期財政見通しでお示ししたとおり、今後も収支ギャップが生じるなど、厳しい財政運営が続くものと認識しておりますが、あらゆる事業での国費の有効活用、未利用資産や基金の活用などの歳入の確保、事業効果や効率性を踏まえた事務事業の精査などの歳出の徹底した見直し、公共施設等総合管理計画に基づく県有施設の適正な管理や財政負担の平準化などに取り組みながら、中長期的な視点に立ち、持続可能な財政構造を構築していきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 震災復興、また、ふるさと振興という大きな課題を抱えながら、このような財政のバランスをとっていたということを評価させていただきたいと思います。
一方で、県民生活に直接関係のあるいわて県民計画、東日本大震災津波復興実施計画、ふるさと振興総合戦略が、厳しい財政状況の中でどのように進捗していったのかということが気になるところであります。この三つの進捗状況をお示しいただきたいと思います。
〇達増知事 まず、いわて県民計画については、仕事について、自動車や半導体関連産業を中心とした産業集積の進展や、正社員の有効求人倍率の7年連続での上昇、暮らしについては、人口10万人当たりの病院勤務医師数の増加や、保育所整備、子供の貧困対策などの取り組みの進展、学び・こころについては、平成23年の平泉と平成27年の橋野鉄鉱山の世界遺産登録の実現や、グローバル人材の育成などの成果を上げているところであります。
次に、復興実施計画につきましては、安全の確保について、本年度中に復興まちづくり事業の約96%が完了、暮らしの再建については、本年度中に災害公営住宅の約97%が完成の見込み、なりわいの再生については、一部再開も含め8割超の事業所で事業が再開するなど、一部の事業におくれが見られますものの、計画に掲げる事業は着実に進捗しているところであります。
そして、ふるさと振興総合戦略につきましては、岩手で働くについては、第4次産業革命技術等を活用したものづくり革新の取り組みや、地域産業高度化支援センターの設置等による若者やU・Iターン希望者の県内就業の促進、岩手で育てるについては、“いきいき岩手”結婚サポートセンター─i-サポの運営による結婚支援や、子育てしながら働きやすい労働環境の整備、岩手で暮らすについては、若者、女性の活躍支援やものづくり産業人材の育成など、ふるさとの未来を担う人づくりなどに取り組んでいるところであります。
〇佐々木朋和委員 厳しい財政の中で、そのように各種計画を着実に進めてきたというところでございました。
それでは、各計画、ふるさと復興総合戦略について個別に質問をさせていただきたいと思います。
まず、復興実施計画から、2021年度以降の復興関連事業と、その財源を中心に伺いたいと思います。
今後の県政の2大課題は震災復興とふるさと振興であり、その課題意識は多くの県民が共有しているところであります。また、県の次期総合計画長期ビジョン中間案の中身とも共通しているものと認識しております。
しかし、県の一般財源が硬直化している現状から、これまで国からの支援を頼りにそれらに取り組んできたと認識しているところでございます。
震災復興については、これまで、事業費の国庫補助である復興交付金に加え地方交付税の復興分による裏づけがありましたが、国の復興計画が終わる2021年度以降の財源の保証はなく、県は国へ復興完遂までの支援を要望しています。
防潮堤や復興道路など完成し切れないインフラはもとより、災害公営住宅の見守り事業や中小企業等被災事業者の支援などソフト事業の継続も望まれますが、県は具体的に2021年度以降も継続される復興関連事業をどのように想定しているのか、また、その財源をどこに求めようとしているのか伺います。
〇佐々木復興局長 2021年度以降の復興関連事業とその財源についてでありますが、国の復興・創生期間終了後においても、被災者の心のケアやコミュニティーの形成支援、本設移転後の事業者への支援など、施策の進捗状況や被災地の実態等を踏まえた事業の継続が必要と考えています。また、東日本大震災津波の事実や教訓の伝承、情報発信に係る事業等、未来のために永続的に実施すべき取り組みもあります。
これらの財源確保のため、国に対して、ことし6月に実施した2019年度政府予算提言、要望において、施策の進捗状況や被災地の実態等を十分に踏まえ、当該期間終了後も必要な事業及び制度を継続するよう要望したところです。
今後におきましても、復興を進めるために必要な事業や制度の継続について国に提言、要望しながら、被災者一人一人の復興がなし遂げられるよう、必要な取り組みは最後まで実施していく考えであります。
〇佐々木朋和委員 復興局長に、今の部分で再質問をさせていただきたいと思います。
今、御説明をいただき、各被災者の方々の復興が終わるまで事業を継続していくのだという力強い御言葉もいただいたところですが、やはり被災者の皆さん方が不安に思っているのは、先ほど説明させていただいたとおり、復興については財源を国に求めるところが大きいという中で、財源を確保しましたと言えないところだと思っております。
そのために、今回、次期総合計画の中に復興プラン(仮称)を盛り込んで、人口減少対策あるいは産業振興、雇用対策も含めて一体的に取り組んでいる姿を見せることで、被災者の皆様方に安心感を与えるということが求められているのだろうと思っております。
復興プラン(仮称)の骨子案が出されております。その中に、先ほど復興局長が説明していただきました2020年度までの完了を目指す事業と、それ以降も当面の間継続する事業、そして復興後も永続的に実施する事業という記載例がありまして、当面の間継続する事業の矢印が2020年までは濃い青、その後の2021年、2022年が水色になって、そして白くなっていくというような濃淡であらわされております。これを被災者の方が見れば、財源がなくなるごとにだんだん不安になっていくのではないか。私はそのような受けとめをしたわけであります。
そこでお伺いしたいのですけれども、この復興プラン(仮称)の中には地域コミュニティーとか、市町村の行政機能の支援も盛り込んでいるということは評価いたします。しかしながら、いわて県民計画のアクションプランのように、例えば、被災者の方がこうなるまで支援していくのだという目指す姿や指標を見せて、それに対して継続してアクションプランに示していく。財源については国の対応を待たなければいけないので、安心してくださいとは言えないにしても、そういうことを見せることによって、被災者の皆様方は安心感を得られるのではないかと思いますけれども、今おっしゃった継続的な支援を復興プラン(仮称)にどのように盛り込んでいかれるおつもりなのか伺いたいと思います。
〇佐々木復興局長 国の復興・創生期間終了後におきましても、被災地では、心のケアですとかコミュニティー形成支援については、そこですぐにやめるのではなくて、被災地の状況に応じた取り組みが必要であると考えております。
現在、来年度から始まる県の次期総合計画の中の長期ビジョン、そして復興に係るアクションプランについて、各部局と協議しながら、その取りまとめを行っているところでございまして、現在の復興実施計画と同様のアクションプランを策定していきたいと考えております。その中で、今後取り組むべき事業についても明示していきたいと思っております。
〇佐々木朋和委員 被災者の皆様方がそういった不安な点を持っているということをもちろん御認識されていると思いますので、その部分に光を当てる復興プランにしていただきたいと要望したいと思います。
また、今後の財源の確保という面では、全国に先駆けて整備しております水門、陸閘自動閉鎖システムの維持管理についての財源は確保できているのか伺いたいと思います。
〇保副知事 水門、陸閘自動閉鎖システムの維持管理費の財源については、将来、国費でどれだけカバーできるかというところが、ポイントになるかと思っております。
今のところ、将来の機械、設備等の更新にかかる部分については、ある程度、国費が措置されるのではないかという見通しはついておりますけれども、いわゆる維持管理にかかる電気料、通信費あるいは保守点検費の部分については、まだ見通しがはっきりしていないところでございます。
これについては、国が平成26年6月に策定いたしました国土強靭化基本計画に、全国的に水門等の自動化、遠隔操作等の着実な推進とあわせて効果的な管理運用を推進するということが明記されております。こういったところをよりどころにいたしまして、本県が整備しているシステムの維持管理費についても、国の施策に先駆けて実現しているものということを訴えながら、財政措置が講じられるように国に要望しているところでございます。県としては当面、毎年度、必要な予算を確実に確保していくということで対応していきたいと思っております。
〇佐々木朋和委員 ぜひ強く要望していただきたいと思いますし、国庫補助分もさりながら、地方交付税の算定基準においても、道路や河川の長さと同様に、水門、陸閘も何基あるという形で措置されるようにぜひ要望していただきたいと思います。あわせて、東日本大震災津波伝承館や高田松原津波復興祈念公園の維持管理についても、これは国がやはり必要だということで認めていただいているものでありますから、その点についても強く要望していただきたいと思います。
次の質問に移らせていただきますけれども、先ほど、いわて県民計画、復興実施計画、ふるさと振興総合戦略の進捗状況を知事にお示しいただきました。
そこで伺いたいと思いますが、県は、次期総合計画長期ビジョン中間案において、復興で培ってきた幸福を守り育てる姿勢を、危機を希望に変える原動力として岩手全域に展開していく旨を記載していますが、具体的にはどういうことか伺いたいと思います。
〇達増知事 東日本大震災津波の復旧、復興の過程におきましては、被災者一人一人の幸福追求権を保障するということを原則の一つとして、例えば、住宅再建における市町村と連携した国の制度では補い切れない支援策の創設や、新たな仕組みによる土地収用手続の迅速化など、被災地の人々の暮らしや仕事を起点に復興に取り組んできたところであります。
また、国内外からの多くの御支援をいただく中で新たなつながりが生まれ、さらに、ボランティアを初めとしたさまざまな場面での女性や若者の力強い活躍など、多様な主体の参画のもとで復興を進めてきたところであります。
このような人々の暮らしや仕事を起点とする政策の展開や、多様な主体の参画やつながりを生かした取り組みなどを、幸福を守り育てる姿勢として県政全般に広げていこうということであります。
〇佐々木朋和委員 今、知事から説明していただきましたが、今まで行政が踏み込まなかった分野、領域についても、震災において傷ついた皆様方が幸福を追い求める最低限のところは保障していこうと。その中で踏み込んでいった部分や震災によって多くの県外の皆さんから協力していただいた部分を、内陸や全県にも広めていくといった趣旨であると伺いました。
私も内陸の人間でございまして、沿岸被災地においての空気感であるとか、今までの行政とは違うなといったところは、恐らく現地の皆さんは感じているのだろうと思います。それを全県に展開していくときにはよりわかりやすく、あるいはそのシステムをしっかりと伝えながら、肌感覚で県民の皆さん、そして我々議員にもお伝えいただきながら施策を展開していただきたいと思います。
この件について、また後段で取り上げさせていただきたいと思います。
次に、ふるさと振興総合戦略の財源の確保、地方創生の効果について伺います。
ふるさと振興総合戦略の事業費は、国の地方創生推進交付金と、それに対応する地方交付税による裏づけがされております。平成29年度の成果はまだ発表されておりませんが、次期総合計画長期ビジョン中間案の中で、東京一極集中の是正や個性豊かな地域社会の形成、少子高齢化への対応などの取り組みに関して、期待された効果は十分にあらわれていないと記載しています。この原因をどのように分析しているのか、国が示す地方創生事業メニューのどこに課題があるのかをお示しいただきたいと思います。
〇白水政策地域部長 地方創生の効果についてでありますが、今後、東京一極集中の是正や個性豊かな地域社会の形成、少子高齢化社会への対応などの取り組みを進めていくためには、より地方の人々の暮らしや仕事を起点とする政策の推進を可能とするよう、国から地方への権限移譲や税財源の確保、充実などをさらに進めることが重要と考えております。
また、国が示す地方創生事業のメニューについてでございますが、人口減少は、その要因や課題が地域ごとに大きく異なるところでございますので、地方創生関係交付金の趣旨に沿った事業につきましては、対象分野や対象経費の制約などは大幅に排除し、真に使い勝手のよい制度とするとともに、その配分に当たりましては、財政力の弱い自治体において、より人口減少が進んでいることに鑑み、自治体の財政力を考慮した算定とすることが必要であると考えております。
〇佐々木朋和委員 今の御説明の中で、財政力が弱い自治体、あるいはまた人口減少が進んでいる自治体こそ進めなければいけないといったことがありましたけれども、一方では、国は経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる骨太の方針2018において、地方創生における成果主義について言及しています。地方交付税に関し、まち・ひと・しごと創生事業費について、地方創生の取り組みの成果の実現ぐあいに応じた算定へのシフトを進めるとしています。また、地方創生推進交付金について、各事業及び事業全体の効果を検証して、効果の向上を図ることとしています。地方公共団体の改革意識を損ねないようにしつつ、業務改善の取り組みなどの成果を、地方財政計画及び基準財政需要額の算定基礎へ適切に反映するとしております。
国のまち・ひと・しごと創生総合戦略長期ビジョンには四つの基本目標があります。1が地方の仕事創出、2が地方への人の還流、3が結婚、出産、子育ての支援、4が時代に合った地域づくり。このうち、直接人口増加に資する1から3までの基本目標については、目立った成果のないままに、4の基本目標では時代に合った地域づくりというオブラートに包んだ言い方をしながら、人口減社会に合わせた地域づくりを進めるため、痛みを伴う政策や行革を、地方交付税や交付金を担保のようにして推し進めようとしているようにも見えます。
県は、地方創生における成果主義をどのように評価しているのか伺います。
〇白水政策地域部長 地方創生における成果主義についてでございますが、地方創生の推進に当たりましては、その要因や課題等が地域ごとに異なりますことから、地方の責任と創意による対策を講じることが重要でございます。そのためには、地方の自主性や主体性が最大限に発揮できる十分な財源を継続的に確保するなど、地方重視の経済財政政策の実施が不可欠と考えております。
具体的には、現在、地方財政計画に係るまち・ひと・しごと創生事業費に係る地方交付税の算定におきまして、委員御指摘のとおり、例えば人口増減率といったような成果主義の指標が取り入れられ、算定されておりますが、地方交付税の本来の役割である財源調整機能と財源保障機能が適切に発揮されるよう、より地方の施策の必要度に応じた算定方法とする必要があると考えております。
〇佐々木朋和委員 今、政策地域部長に御説明いただきましたけれども、私は、一つ目の質問と二つ目の質問は矛盾があるのではないかと。部長のお答えにではないです。国の進め方として、成果主義を用いることによって、人口増加を図りやすい地域がより交付金をもらえるようになって、ほかの自治体、人口減少に歯どめがなかなかかけづらい地域においては、1、2、3、4の基本目標のうちの4ではどんどん公共施設を廃止したりといったところで成果を出していくしかなくなっていくと。要は、人口増加という、言い方が悪いかもしれませんが、餌を与えられながら、結局は人口減社会に対応するだけの施策になっていってしまうのではないかという課題を私は認識しております。しかも、地方財政については、先ほど来説明をいただいたように、財政が硬直化している中で、国のメニューが使いづらければ、地方の財政の中で、県単独事業でやっていくしかなくなるわけであります。その辺について、どうやって工夫していくかという話に移らせていただきたいと思います。
経常収支比率についてお伺いしたいと思います。
国は、骨太の方針2018において、一般財源の総額は、2018年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保するとしていますが、2021年度以降の復興事業の財政の担保、県独自のふるさと振興施策の展開、また、たび重なる異常気象、自然災害予防のための中小河川の管理等、今後、一般財源の需要はますます増大していくことが予想されます。
経常収支比率は、義務的性格の強い経常的経費に地方税、地方交付税などの経常一般財源収入がどの程度使われているのかを見る指標ですが、県の平成29年度決算に基づく指標は97.6%と高い数値を示しています。
高齢化社会が進行する中、一般財源の多くが社会保障関係費を初めとする補助費等に振り向けられている現状を鑑みるに、経常収支比率が高くなるのは当然の結果とも言えます。
県は、経常収支比率の現状をどのように捉えているのか、また、今後の見通しもお示しください。
〇佐藤企画理事兼総務部長 平成29年度決算に基づく経常収支比率は、前年度から0.7ポイント上昇しまして97.6%となっており、東北6県の平均95.8%を上回っている状況でございます。
経常収支比率が上昇した主な要因でございますが、歳入面では、地方交付税の減など経常一般財源の減少、歳出面では、人件費、扶助費、公債費の義務的経費に加えまして社会保障関係費の伸びに伴う補助費の増など、経常経費に充当した一般財源が増加したことなどによるものと分析してございます。
今後の見通しにつきましては、先般お示ししました岩手県中期財政見通しにおいて、2019年度以降、公債費が低減する一方で、高齢化等に伴い社会保障関係費が増加していくものと試算しておりまして、経常収支比率については、引き続き高い状況が続くものと見込まれます。
〇佐々木朋和委員 今、企画理事兼総務部長からの御説明によって、先ほどお話ししたとおり、地方創生については、国のメニューの使い勝手というか、人口減少に直接的にきくというところにはなかなか至ってないという現状で、また、一般財源も苦しく、なかなか県単独事業も実施できないといった状況であると理解いたしました。
そこで知事に質問したいと思いますけれども、次期総合計画の初年度に係る予算編成についてでございます。
平成29年度決算に対する監査委員の総括的意見に、今後は東日本大震災津波からの一日も早い復興はもとより、新たな需要課題に迅速かつ的確に対応するため、限られた財源を重点的かつ効率的に活用するとともに、経済性、有効性の観点にも十分留意の上、適時適切な行財政運営などに努められたいと記されています。しかし、このような硬直した財政状況においては思い切ったカットも難しいのではないかと思われます。
次期総合計画の初年度となる来年度予算においては、これまでの予算の継続性とバランスを重視するのか、新たな財源確保も含めて、思い切った濃淡をつけるのか、所見を伺いたいと思います。
〇達増知事 岩手県中期財政見通しでお示ししましたとおり、平成31年度も厳しい財政状況は続きますが、引き続き東日本大震災津波からの復旧、復興に最優先で取り組むとともに、特に来年度は次期総合計画の初年度でありますことから、計画の着実な推進に向けた取り組みが必要と考えております。
このため、平成31年度当初予算編成に当たりましては、政策的経費の一部に削減率を乗じ、全ての事務事業をゼロベースで見直し、スクラップ・アンド・ビルドを促す一方で、次期総合計画に関して部局横断的に取り組む事業等について、新たな要求枠として、政策・プロジェクト推進費を設けることなどにより、次期総合計画に係る取り組みを力強く推進してまいります。
また、公共事業費について、実質公債費比率の低下や復興の進捗に伴う震災対応予算の減少を踏まえまして、国庫財源を最大限活用することを前提に、東日本大震災津波以降、初めてのプラスシーリングとして、今後の公共投資について計画的に進めていくこととしているところであります。
来年度の予算編成に向けて、政策の優先度に応じた財源の最適配分による一層の選択と集中を進めながら、次期総合計画における施策の具体化を図ってまいります。
〇佐々木朋和委員 今、御説明をいただきましたが、その中で、1点、確認をさせてください。
政策・プロジェクト推進費についてお話がありましたけれども、これは次期総合計画の11のプロジェクトとリンクするものでしょうか、それとも全く別のものでしょうか。
〇白水政策地域部長 現在検討しております政策・プロジェクト推進費につきましては、次期総合計画長期ビジョンの中間案でもお示しいたしましたけれども、11のプロジェクトを円滑に検討あるいは推進していけるような形にしていきたいと考えております。
今、御答弁が不十分でございましたけれども、その11のプロジェクト以外にも、さまざまな新しい取り組みも含めて対応してまいりたいと思っております。
〇佐々木朋和委員 平成31年度予算要求、調整要領では政策的経費のうち政策推進費については0.95のマイナスシーリングと書いてありましたが、今御説明があった政策・プロジェクト推進費は、別枠で予算を持ってきて、スクラップ・アンド・ビルドにより全体としてはプラスとし、また、次期総合計画の初年度ということで、予算の大幅な組み直しをして、震災復興プロジェクトの振興を含めて取り組んでいくということだと認識いたしました。
また、知事の説明の中にございました社会資本整備について質問させていただきたいと思います。
先ほど御答弁をいただきましたとおり、岩手県中期財政見通しの中で触れられている次年度の予算要求について、通常分の公共事業費等が一般財源相当額の1.05と、本年の1.00に比して上昇しているとのことです。これは、復興需要にめどがつき、震災復興分以外の国庫支出金の獲得を想定していることだと御答弁がございました。
復興需要が終わる前に、なだらかな着地をするためにも、復興後の社会資本整備にどのような方針で取り組んでいくのかを示すことは重要だと思いますが、所見を伺いたいと思います。
〇保副知事 公共事業の関係につきまして、私から答弁いたします。
本県の公共事業費の推移を当初予算で見てみますと、震災分につきましては、平成27年度の1、680億円がピークでございまして、平成30年度におきましても1、147億円であり、依然としてまだ大規模な予算ではございます。しかし、復興事業の進捗に伴いまして、震災分につきましては今後減少していく見込みでございます。
一方、震災復興分以外の通常分につきましては、震災前である平成22年度がおよそ890億円でしたが、平成30年度は574億円と少なくなっております。通常分につきましては、今後、国土強靭化や社会資本の適切な維持管理といった観点が非常に重要になってくることから、県といたしましても、ボリュームを徐々にふやし、将来にわたって一定の額を確保することが必要であると考えております。
そういうこともあり、1.05という倍率にしたわけでございますけれども、今後、平成22年度の890億円という事業規模も参考にしながら、予算を確保していきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 通常分の国の予算については、岩手県が今まで手を挙げられなかった分が他県にも配分されていたと思っております。そういった中で、いち早く通常分の国庫支出金を確保しにいく姿勢については大いに評価させていただきたいと思います。
また、復興後の県土の均衡ある発展の考え方をもとにした雇用や観光振興施策も考えた整備計画を行っていただきたいということを申し添えたいと思います。
次に、ICTを活用した行政運営について伺いたいと思います。
先ほど来議論がありますとおり、厳しい財政状況の中で、やはりコスト削減ということを考えていかなければなりません。国の骨太の方針2018では行政、インフラについて、旧態依然としたアナログ行政から決別し、行政のあらゆるサービスを原則としてデジタルで完結させることで、国民、企業が直面する時間、手間やコストを大幅に削減するとしております。加えて、このICT化を活用したスマート行政のチャレンジは行政そのもののコスト削減や、働き方改革にもつながると考えますが、県としての取り組みの方向性を伺います。
〇白水政策地域部長 ICTを活用いたしました行政サービスの取り組みについてでございますが、人口減少や少子高齢化が進行する中で、ICT化によっては、産業分野において生産性の向上や労働力の不足を補うことが期待されているほか、行政分野におきましても、県民サービスの利便性の向上や業務の効率化、行政コストの削減等に資するものと認識してございます。
こうしたことから、県では、これまで、電子申請・届出等システムの運用のほか、過去の浸水地域や避難場所、犯罪等発生場所など、生活に密着した情報を地図上にわかりやすく表示するいわてデジタルマップの提供などにより、県民の利便性を高める取り組みを進めてきたところでございます。
また、平成27年度から、庁外でタブレット等を用いたモバイルワーク実証実験に取り組んでおりまして、その成果も踏まえ、本年7月からは、職員個人の端末から職場と同様の環境での作業を可能にする新たなテレワーク環境を整備し、一部で運用を始めるなど、効率的で柔軟な働き方の推進につながる取り組みを行っているところでございます。
県といたしましては、今後もこれらの取り組みをさらに進めていくとともに、パソコン上で定型業務を自動で処理する、いわゆるRPAというシステムや、AIを初めとした先進的技術を含むICTの利活用を一層推進し、行政分野における県民サービスの利便性の向上と業務の効率化等に取り組んでまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 その取り組みをさらに進めるため、ICT、IoT、AI技術導入には専門的な知見が必要であり、さらに、今後、農林水産業、医療、教育など各分野の政策においてもICT技術の活用は重要な取り組みとなっていくと思われます。
県として、専門家の雇用や事業者との提携も考えるべきと思いますが、その方向性を伺います。
〇白水政策地域部長 ICT等の専門家の雇用や事業者との提携についてでございますが、進歩が著しく、農業や教育などさまざまな分野で導入が進んでおりますICTを有効に活用していくためには、ICTに関する専門家の知見の活用や各分野の事業者との連携が極めて重要であると認識しております。
こうしたことから、県では、これまで大手通信事業者や情報サービス事業者等と協働して、最新のICT技術に関する展示会あるいは利活用事例を紹介するセミナーを開催いたしまして、県民や企業等へのICTの普及啓発を図ってきたところでございます。
また、ICTの利活用による地域課題の解決や県民の利便性向上を図るため、現在、(仮称)岩手県ICT利活用推進計画の策定を進めており、大学や試験研究機関の学識経験者や医療、ものづくり分野の民間事業者等をメンバーとする岩手県ICT利活用推進計画策定有識者会議を新たに設置いたしまして、専門的な観点から意見をいただいているところでございます。
今後も、各政策分野におきましてICTを活用した取り組みが実効性を伴うものとなるよう、国の人材派遣制度によるICT専門家の活用や各分野の企業、関係団体との連携を一層進めてまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 次に、いわて県民計画の進捗と今後について伺いたいと思います。
主要施策の成果に関する説明書、いわて県民計画実施報告書について質問をいたします。
みんなで目指す姿を示した82の指標については、おおむね達成以上の割合は76.8%となっていますが、具体的な推進方策の達成度とリンクしないところが見受けられます。これはどのように捉えればよいのか、まずは伺いたいと思います。
〇白水政策地域部長 みんなで目指す姿指標と具体的な推進方策指標についてでございますが、まず、具体的推進方策指標は、県が主体となって取り組む具体的推進方策の成果指標であるのに対しまして、みんなで目指す姿指標は、県はもとより、県民、NPO、市町村及び企業などが一丸となって取り組むことを前提とした成果指標でございます。このため、県の取り組みのみでは目標達成が困難なものや効果の発現までに時間を要するもの等につきましては、この両指標間で差異が生じる場合があるということでございます。
本定例会におきまして報告いたしました主要施策の成果に関する説明書は、指標に基づく達成度をまとめたものでございますけれども、今後、12月県議会定例会におきまして、社会経済状況の変化や県以外の実施主体の取り組み状況なども加味いたしました総合的な評価を行いまして、次期総合計画の政策プラン(仮称)策定の際にも参考となる評価レポートとして報告をしていきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 ぜひ、その評価についての報告を待ちたいと思います。差異が生じているということですが、この説明書では知事を初め、県は頑張ったのだけれども、ほかはだめだったということを言いたいわけではないと思っております。
いわて県民計画は、県だけではなく、県民、関係団体、市町村など皆で実現していく計画であり、県には、総合計画について関係各位の理解や協力を得て、全県で取り組む態勢をつくることにも責任があると思われます。
次期総合計画においては各主体の役割も明記されておりまして、その点は評価をさせていただきたいと思います。それをもう一歩進めて、アクションプランにおいて、目指す姿指標と具体的な推進方策指標の達成度に乖離が出ないように、アクションプランの中で各主体の取り組みの進捗状況について見える化をしてはどうかと思いますが、所見を伺います。
また、次期総合計画には10の政策分野のほか、11のプロジェクトが設定されていますが、その進捗管理はどのように考えているのか、あわせて伺いたいと思います。
〇白水政策地域部長 県以外の主体の取り組みについてでございますが、現行のいわて県民計画第3期アクションプランでは、政策項目ごとに各主体の役割分担を記載しておりまして、政策評価において、指標の達成状況や社会経済状況の変化等に加え、各主体の取り組み状況についても整理した上で、先ほど御答弁申し上げましたけれども、総合的な評価を行い、その結果を政策評価レポートとして公表しているところでございます。
現在策定中の政策プラン(仮称)におきましても、県以外の主体に期待される行動について盛り込んでいるところでございますけれども、政策プラン(仮称)を評価する政策評価レポートについては、現行レポートの内容も踏まえながら、今後検討を進めてまいりたいと考えております。
また、新しい時代を切り拓く11のプロジェクトでございますが、より長期的な視点で推進していくものでございますので、アクションプランとは別に、その進捗状況に応じて別途管理をしていきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 余りよくわからなかったのですけれども、各主体の目標を県が決めるのはおこがましいという思いはあるかもしれませんが、ある意味、そういった各主体にやっていただけるような県の取り組みという形でアクションプランに盛り込めないでしょうか。
今の社会情勢の中で、行政だけが住民サービス提供の主体ではなく、市町村はもとより、NPOや各種団体が大きな役割を果たすようになってきている中で、県の進捗状況のみで政策の達成をはかっていくのは、私は困難ではないかと思っております。そういった意味での提案でございますので、ぜひとも前向きに検討していただきたいと思います。
また、11のプロジェクトの進捗管理については、これまでも議会の中で、例えば農林水産業であるとか、ほかの分野で、10の政策分野に分けられた考え方が見えづらいというような意見もございました。
そういった中で、恐らく施策それぞれについては、10の施策分野のアクションプランの中で、一つ一つの事業は精査されているのだろう、進捗管理はされているのだろうと思います。それをまたプロジェクトごとにまとめて、それぞれのプロジェクトの進捗を見える化すべきではないかという私の提案でございますが、もう一回御答弁をお願いしたいと思います。
〇白水政策地域部長 まず一つ、前段の御指摘につきましては、各主体、県以外のさまざまな主体が参画した県政づくりや計画の推進は非常に大事でございますので、具体的な評価内容、方法等につきましては、今後検討を進めてまいりたいと考えてございます。
それから、二つ目のプロジェクトの関係でございますけれども、その進捗状況がわかりにくい、見えづらいということがあってはだめだと思いますので、その点についてはしっかり検討してまいりたいと思います。一方で、プロジェクトの性格としまして、10年間、10年後の状況や、先も見据えた長期のプロジェクトでございますので、なかなか短期で、1年、2年で具体的な成果がわかりやすく出てくるわけでもないと思います。そういった性格も踏まえて検討してまいりたいと思います。
〇佐々木朋和委員 わかりました。では、今、部長から10年後というキーワードを出していただきましたので、次の質問にさせていただきますが、次期総合計画長期ビジョン中間案には、10の政策項目ごとに、強み、チャンス、弱み、リスクという形で整理されております。人口減少社会の中で、人材、財源の確保に不安があり、強み、チャンスに分類されている、例えば県立病院ネットワークや地域コミュニティーや人のつながり、豊かな農林水産業、田園風景、里山、自然環境などなど、10年後の存続に注力しなければ維持できないのではないかと懸念される分野もあります。この点についてどのように認識しているのか伺いたいと思います。
〇白水政策地域部長 岩手の強み、チャンスの10年後についてでございますけれども、今後、人口減少、少子高齢化が進む中で、持続可能な財政構造を構築するとともに、あらゆる主体が連携、協働して幸福を守り育てるための10の政策分野に掲げる取り組みを総合的に推進し、岩手の強みやチャンスを維持し、高めていくことが重要であると考えております。
具体的には、限られた財源の重点的かつ効果的な活用を図るなど、持続可能な財政構造の構築を図りつつ、長期ビジョン中間案に掲げました医療機関の役割分担と連携などによります質の高い医療サービスの提供、それから、お互いに助け合い、活力が感じられる地域コミュニティーづくり、経営体の育成などによる農林水産業の振興、多様な主体の参画による森と川と海の保全に関する活動促進などの取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 私も議員にならせていただいて7年になるのですけれども、議員になった当初に私の地域にも元気なコミュニティ100選に選ばれた地域があります。7年前であれば、選ばれている、すごいですねと言うと、皆さん誇らしく、そうなんだよ、何々も取り上げられたんだよと自信満々でお話をしていただいたところでありました。それが今、7年たつと、そういう話をすると、いやいや、でも10年後はわかんないよ。次の後継者がいなくて。そういった話をされるのですね。
まさにそういったところで、今、次期総合計画の当初に強みとして載っているものを、県民計画なので、10年後には、それを維持して、武器にして人口減少に取り組んでいこうよということだと思うのですが、その武器の維持がなかなか大変だという課題意識を申し上げたところでございます。
そういった中で、もう一度再質問させていただきたいと思うのですけれども、例えばこの指標の中に、せっかくSDGs、持続可能性をキーワードとしているのですから、この強みが10年後も維持されていくのかという持続可能性指数のようなもので、今の現場のものではなくて、10年先を見据えて評価する、そういった指標を盛り込むべきではないかと私は思うのです。大変抽象的な提案で恐縮でありますけれども、御所見を伺えますでしょうか。
〇白水政策地域部長 今御指摘をいただきました10年後以降も見据えた具体的な指標についてでございますけれども、この9月定例会で、幸福に関する客観的な数値目標の項目案をお示しさせていただきましたが、今後は、さらに具体的な推進方策指標も検討し、お示ししていきたいと考えております。その中で、さまざまな観点も含めてしっかりと検討してまいりたいと思います。
〇佐々木朋和委員 せっかく長期ビジョン中間案において強み、弱みを出しながら、また、考え方として持続可能性というところがフューチャーされているのに、このアクションプランになるとそこが薄まっているのではないか、今までの総合計画のアクションプランと余り差異がないのではないかという課題意識でございますので、ぜひとも御検討を進めていただきたいと思います。
次に、医療・子育て・福祉分野についてお伺いしたいと思います。
七つの政策の中で、みんなで目指す姿指標の達成度がおおむね達成以上が76.8%となったのに対し、医療・子育て・福祉の分野の指標が40%でややおくれ、おくれとなっております。予算の不足、人員の不足等、原因をどのように分析しているのか伺いたいと思います。
〇白水政策地域部長 医療・子育て・福祉分野におきます指標のおくれの原因についてでございますが、医療・子育て・福祉分野におきまして、おくれまたはややおくれが見られる目指す姿指標は、医療分野では、がん、脳血管疾患及び心疾患で死亡する女性の数、これは人口10万人当たりの数でございますけれども、この1指標。それから、福祉分野におきましては、地域福祉計画を策定し、施策に取り込んでいる市町村数。これは累計の数字でとっております。それから、地域密着型サービスの累計拠点数と障がい者のグループホーム利用者数。この三つの指標となっており、福祉分野でおくれが多く見られているところでございます。
特におくれが見られる指標といたしましては、地域密着型サービス拠点数は、定員29人以下の特別養護老人ホームなど地域内で利用する施設や事業所の累計数でございますが、平成29年度の目標値446カ所に対しまして、実績値が390カ所にとどまったという状況であります。市町村による事業実施の公募に対し、介護人材の不足あるいは建設費の高騰といった理由によりまして、サービス事業者からの応募がなかったことなどから、整備が進まなかったものと分析をしております。
また、障がい者のグループホーム利用者数でございますが、平成29年度の目標値2、006人に対し、実績値は1、850人となっておりまして、必要とされる地域にグループホームの整備が進まなかったことなどから、利用者数の伸びが見込みを下回ったものと考えております。
〇佐々木朋和委員 各所について掘り下げていきたいところでありますけれども、時間も時間ですので次に進ませていただきたいと思います。次期総合計画中間案において、そういった課題のある医療・子育て・福祉分野については、アクションプランで、1、健康・余暇、2、家族・子育てに分離をしています。
次期総合計画長期ビジョン中間案において、子育てと介護のダブルケアの懸念に触れながら、医療・福祉・子育て分野を二つに分けた理由は何か。また、余暇については、働いている世代のワーク・ライフ・バランスなど、労働時間と密接にかかわると思いますが、健康と一緒にした理由は何か伺いたいと思います。
〇白水政策地域部長 次期総合計画の政策体系についてでございますが、まず、10の政策分野の設定に当たりましては、幸福の実感に関連する12の領域をもとに、各領域の相互の関連性等を踏まえまして、政策として一体化したほうが効果的なものを10に統合したものでございます。
具体的には、健康・余暇につきましては、幸福を考える上で個人にとって重要な要素でございます健康と、健康づくりに密接に関連するスポーツや生涯学習が含まれる余暇を組み合わせました。
また、家族・子育てにつきましては、社会の最小単位のつながりである家族とその中での重要な活動となる子育てを組み合わせたということでございます。
〇佐々木朋和委員 健康と余暇の部分は関係するといったことでしたけれども、余暇をとるためには、ワーク・ライフ・バランス、労働時間との兼ね合いは、最も根っことなる部分なのではないかと私は思っております。ぜひともこの分野との関連性を確保して取り組んでいただきたいと思います。
また、健康・余暇の部分を見ると、どちらかというと、イメージとして、高齢者の皆様方がいつまでも元気に過ごしましょうというようなイメージに捉えられます。それはとてもいいことですよ。いいことですけれども、そこに、やはり先ほど申し上げた子育てと介護のダブルケアの概念、介護、子育てをしていく立場への配慮が余りないのではないかと私は思っております。もちろん同じ部局の中で進めていくことでしょうけれども、やはりこの点についても、政策分野の整理の中で今後検討していただきたいと思います。
また、元気な高齢者の方には、余暇を楽しんでもらうことも重要ですが、65歳以下の生産年齢人口が減少している現代社会においては、健康で希望があれば、自分のペースで年齢に関係なく働ける環境づくりをしていくことが、本人の幸福にもつながり、人口減少対策にもなると考えています。
県は、この点についてどのように考えているのか、次期総合計画アクションプランに盛り込んでいくのか伺いたいと思います。
〇白水政策地域部長 高齢者の雇用についてでございますが、次期総合計画の10の政策分野のうち、仕事・収入の政策分野において、高齢者の個人の状況に応じた働き方の実践について、みんなで取り組みたいこととして盛り込んでおります。
また、参画の政策分野におきましては、男女共同参画や若者、女性の活躍に加えまして、高齢者がこれまで培ってきた豊かな経験や知識、技能を生かし、地域で活躍していただくことが重要と考え、高齢者の社会貢献活動の促進を内容とする新たな取り組みの方向性も掲げているところでございます。
〇佐々木朋和委員 私は、この分野は今後の人口減少についての政策的に大きなエッセンスだと思いますので、ぜひ、もう少し大きく取り上げていただきたいと思います。
次に、県の施策に関する県民意識調査の結果との乖離について伺いたいと思います。
アクションプランにおいて達成度がA、Bでありながら、ニーズ調査において上位であるものが散見されます。今まで取り上げてまいりましたアクションプランの政策項目ナンバー15の家庭や子育てに希望を持ち安心して子供を産み育てられる環境の整備は、みんなで目指す姿指標が三つともに達成度はB以上で、具体的な推進方策指標も11中10が達成度B以上でありながら、満足度は平均以下の2.616、37位、重要度が高いこともありニーズ度は2.017の4位となっています。
この原因をどのように分析し、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
〇千葉副知事 県の施策に関する県民意識調査におけます安心して子供を産み育てられ、子育てがしやすい環境であることの満足度は、各年代を通じて満足と回答した割合が低くなっておりまして、特に、子育て世代である30代が低い状況になっております。
このように、満足度が低い理由といたしましては、実際に子育てしている20歳代から40歳代におきましては、社会構造の変化等に伴いまして、働く女性の割合が年々増加することにより共働き世帯が増加する中で、保育所待機児童や経済的負担の問題、あるいは働きやすい職場環境の整備など、さまざまな課題が要因としてあるものと考えております。
県といたしましては、これまで、市町村の保育所整備に対する助成を初めといたします保育サービスの拡充を図るとともに、子供の医療費助成の拡充や現物給付化などの経済的負担の軽減、女性の仕事と生活の両立やワーク・ライフ・バランスの実現に向けました、いわて働き方改革推進運動の展開や、いわて子育てにやさしい企業等認証制度の普及の取り組みなどによりまして、少子化対策や仕事と子育ての両立支援に努めてきたところでございます。
安心して子供を生み育てられ、子育てがしやすい環境の整備は、県の施策に関する県民意識調査の結果からも、本県の重要な課題であると認識しておりまして、さらなる施策の充実を図っていく必要がございます。
現在、次期総合計画を策定中でございますので、新たな取り組みなどの検討も進めながら、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援を身近な地域で提供できますよう、市町村、関係団体、企業などと連携し、オール岩手で取り組んでまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 ぜひ次期総合計画の中でも取り組んでいただきたいと思いますが、やはり今までの指標等を見ましても、全小学校区での放課後児童クラブの設置数でありますとか、保育を必要とする子供に係る利用定数という指標になっておりますが、それを小学区ごとの充足率にするなど、よりきめ細かな取り組みや指標の設定が必要であろうと思われます。
また、同じようにアクションプランの政策項目ナンバー8の雇用・労働環境の整備については、みんなで目指す姿指標二つともに達成度はB以上、具体的な推進方策についても、12指標中、達成度がC以下は二つとなっていますが、満足度は2.268で44位、ニーズ度は2.287で1位となっております。
同じく、この原因をどのように分析をし、今後どのように取り組んでいくのか伺いたいと思います。
〇保副知事 雇用・労働環境の整備の項目についてでございます。この指標が順調である一方、なかなか満足度が上がらないということですけれども、この県の施策に関する県民意識調査の結果をさらに詳しく見ますと、世代別に差がございまして、いわゆる働き盛りの30歳代から60歳代の方々については、満足、やや満足と回答した割合が10%を下回るという結果になっております。
この要因については、別途県が実施いたしました働き方改革及びワーク・ライフ・バランスに関する調査の中で、給与あるいは休暇の取得といったいわゆる労働条件の満足度が低いということを把握しておりまして、こうしたところにその原因があるのではないかと考えております。
これについて、県としては、企業における生産性を高めていくことに力を入れていく必要があると考えておりまして、生産性を高めるさまざまな取り組み、あるいは千葉副知事からも申し上げましたが、いわて働き方改革運動などで労働環境の改善を図っていくことに一層注力していきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 今、人口減少が進む中で、東芝メモリ株式会社の北上市への進出などは明るい話題ですが、他地域や地場産業への影響も著しいものと認識しております。また、学卒者のミスマッチの問題などを考えれば、子供たちの希望する職種、業種に合った企業を誘致する、雇用を創出するという視点も今まで以上に必要かもしれません。
県としては、人口減少下での企業誘致、雇用の確保をどのように捉えているのか伺いたいと思います。
〇保副知事 企業誘致についてでございますけれども、かつて本県は、雇用の場の数自体が非常に少なかったこともございまして、若者を中心に県外への人材流出が著しい時代が続いたということがございます。
このため、即効性の高い取り組みという観点から、雇用創出力、付加価値の高いものづくり産業を中心として、これまで企業誘致に注力してきたところでございますけれども、特に近年、大型の立地や既存企業の増設が相次いでおり、このようなものづくり産業の集積の効果は、単に直接の雇用増だけではなくて、さまざまな周辺の産業にも波及してきております。このような多種多様な就業の場がある現状を御理解いただきたいと思います。
学生、生徒の希望に沿って、それにカスタマイズした形というのは、企業誘致ではなかなか難しい面もございますけれども、今後も、多様な事業の導入や地場企業の拡大といったことにも力を入れていきたいと思います。また、若い方々が県内で起業する際の支援にも注力してまいりたいと思っております。
また、人口減少の進行する中での問題についてでございますけれども、まだ若者の流出に歯どめがかかっていないことが大きな問題だと考えております。本年3月の県内の新卒者を見ても、高校卒業者の約1、000人、大学、短大卒業者も同じく約1、000人が県外に就職しているという問題がございます。
目下のところ、若者の流出をいかにして食いとめるかを最大の課題といたしまして、さまざまな取り組みを進めていきたいと思っております。
〇佐々木朋和委員 人口流出をとめるためには、多種多様な職種を県内に確保するということが課題だと思います。そのとおりだと思います。一方で、やっぱり地域格差が出てきてしまうという課題があります。大型工場があるところはいいけれども、そうじゃないところでは、大型工場があるところに人が寄っていってしまうということもあると思います。
そういった中で、企業においても地域枠を設けていただくなどの取り組みや、道路を整備して通勤可能な地域をふやす、4号線の4車線化、または沿岸への横軸道路の要望も出ております。そういったところも、前に質問させていただいた道路の一般枠の拡充にもつなげながら、ぜひとも考えていっていただきたいと思います。
次に、アクションプランの政策項目ナンバー9の農林水産業の未来を拓く経営体の育成において、みんなで目指す姿指標三つ全てが達成度B以上、具体的な推進方策指標は七つ全て達成度B以上となっていますが、これの県民の満足度は2.243で45位、ニーズ度は2.019で3位となっています。
また同じ質問で恐縮ですけれども、この原因をどのように分析し、今後どのように取り組んでいくのか伺いたいと思います。
〇保副知事 今、委員からお話がありましたとおり、農林水産業の未来を拓く経営体の育成という項目につきましても雇用・労働環境の整備と同様の状況となっています。農林水産業の経営体の育成に関する施策は一定程度進んでいると考えておりますけれども、地域において就業されている方々の高齢化が進んでいる中にあって、県民の皆様が、本県農林水産業を支える担い手の重要性を認めるがゆえに将来に不安を持っているのかなと受けとめております。
県といたしましては、これまで、担い手の確保、育成に向けて農業大学校、いわて林業アカデミーや来春の開講を予定しております(仮称)いわて水産アカデミーでの取り組みや、農山漁村を活性化するようなさまざまな取り組みを進めております。引き続き、これらに力を入れて取り組んでいきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 今、副知事の見解をお話しいただきました。私は別な受けとめをさせていただいております。このギャップの原因は、私は、認定農業者などの第1次産業の産業としての担い手の確保は進んでいるけれども、県民は、やっぱり里山や農村風景の維持に資する中山間地域の担い手の確保を求めているのではないかと推察しています。
県は、これまでも中山間地域の振興に尽力をいただいておりますけれども、国はスマート農業の推進や農地の大規模化などの方向性を示しているものの、中山間地域の方向性についてはいまだ示されていないという状況にあります。
県として、次期総合計画の中で、中山間地域の農業、農村振興にどのように取り組んでいくのか伺いたいと思います。
〇保副知事 今、委員からお話のとおり、大規模な経営体の育成は一つの大きな柱でございますけれども、中山間地域の農業の活力は、岩手にとっては非常に特徴的なものでございます。この豊かな中山間地をつくることが、将来の岩手の豊かさに直結すると考えております。
次期総合計画におきましては、農業、農村の振興に関して、もちろん中核的な経営体の育成ということもございますけれども、特に中山間地域には、その地域のまとめ役となるようなリーダーを育成していくことが非常に大事であります。そういったリーダーを中心に、地域の共同活動を進めることを狙っていきたいと思っております。それが、例えばグリーンツーリズムや6次産業化という形で展開していくことによって、中山間地域の活性化に資すると考えております。
このようなことを重点的に意識しながら、次期総合計画においても、さまざまな施策に取り組んでいきたいと思っております。
〇佐々木朋和委員 今、三つの分野について取り上げさせていただきましたけれども、この客観的指標と県の施策に関する県民意識調査の結果とのずれを指摘させていただきました。次期総合計画のアクションプランの見直し時期においては、このような主観と客観指標のずれから、アクションプランの見直し検討が行われていくものだと認識しています。
今後、主要施策の成果に関する説明書、いわて県民計画実施状況報告書の中で、主観と客観指標のずれをどのようにあらわしていくのか。また、そのずれを修正し、新たな指標を作成していくことにより、より県民生活に密着した視点が必要と思われますが、どのような検討が行われていくのか伺いたいと思います。
〇白水政策地域部長 次期総合計画における指標についてでございますが、次期総合計画におきましては、県民がどの程度幸福を実感しているかといった状況を県の施策に関する県民意識調査で詳細に把握しながら、政策プラン(仮称)において、10の政策分野それぞれに幸福に関連する客観的な数値目標を掲げまして、そのもとに具体的な推進方策に関する指標も設定することとしておりまして、その達成状況と県民の主観的な幸福感の関係性について、詳細な分析をしていくこととしております。
次期総合計画におけます主要施策の成果に関する説明書におきましては、指標の達成度や県の施策に関する県民意識調査で把握した県民の実感等をどのようにあらわし、県議会や県民にお示ししていくかにつきまして、現在策定中の政策プラン(仮称)の内容も踏まえまして、政策評価委員会の御意見も伺いながら、今後検討してまいりたいと考えております。
また、次期政策プラン(仮称)におきましても、パブリックコメントなど県民の皆様の御意見を伺いながら、社会経済情勢の変化や政策評価の結果などを踏まえ、必要に応じて内容を見直してまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 通告をしておりませんが、今の答弁を受けて知事に再質問をさせていただきたいと思います。私が指摘させていただきました客観と主観のずれについて、今お話をいただいた幸福度というものを使いながら、県民の意識と施策のずれが埋まっていくのであれば、私はいいことなのだろうと思っております。
今出ているさまざまな指標についても、議会の中で、やはり現実と乖離があるのではないかといった指摘もございます。そういった意味では、次期総合計画については客観的指標もブラッシュアップしていかなければいけないと思います。また、主観と客観のずれをどうやって埋めていくのかについては、まさに県の職員の皆さんが、ふだん触れている県民の皆さんの行動規範を県民の幸福のために指導していかなければならないと思っております。
その辺についての知事の実現に向けた所感を伺いたいと思います。
〇達増知事 行政として達成すべき目標に関する指標と、行政がその手段として実際に行っている事業の推進、進捗状況という意味での指標をそれぞれ使い、その間に乖離があるということの御指摘をいただいております。
行政の担い手は、ともすれば手段として行っている日々の事業の進捗に一生懸命になり、そこで少しでも実績を上げようということに集中する傾向があると思うわけですけれども、それによって、結果として、県民の暮らしや仕事や学び、心がどうなっているかというところにこそ着目し、そこがよくなるようにしていかなければ、行政というものが本末転倒になるということであります。
次期総合計画においては、行政のミッションとして、より県民のありように寄り添いながら、その目標を達成するための手段としての政策やプロジェクトであるということをさらに徹底できればと思います。
〇佐々木朋和委員 県民に接する県の職員の皆さん方も、県民の幸福に資するように、これからこのアクションプランに基づいて行動していくのだろうと思っております。期待をしておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
時間がなくなってまいりましたので、観光について伺いたいと思います。観光について2番目の質問に予定しておりました東日本大震災津波伝承館について伺いたいと思います。
ラグビーワールドカップ2019の開幕まで1年を切ったというニュースや、これに関連する各種イベントが話題となっております。
2019年には、3月のJR山田線の三陸鉄道株式会社への移管による一貫経営のイベントや、それに合わせた4月から6月までのJR東日本の重点販売地域指定、そして6月1日から8月7日までの三陸防災復興プロジェクト2019、9月、10月のラグビーワールドカップ2019釜石開催と、夏休みやお盆、紅葉時期の合間の閑散期を埋める形で沿岸地域はイベントがめじろ押しであり、被災地沿岸地域の観光振興にとって勝負の年を迎えます。
そのような中、高田松原津波復興祈念公園内に道の駅施設とともに整備される東日本大震災津波伝承館は、震災の教訓を後世に伝える伝承機能と合わせて、沿岸地域に点在する震災遺構や観光拠点を結ぶゲートウエーとしての機能も期待されています。
先日、東日本大震災津波伝承館の愛称が、いわてTSUNAMIメモリアルに決まりました。開館時期は、ラグビーワールドカップ2019釜石開催前の予定と聞いておりましたが、開館に向けた整備状況はどうか、また、具体的な展示内容についてお示しいただきたいと思います。
〇佐々木復興局長 東日本大震災津波伝承館の整備状況等についてでありますが、伝承館が入る建物は国が建築中であり、現在、県では、展示に必要な資料やデータの収集を進め、具体的な展示内容やレイアウト等について詳細な詰めを行っています。今後は、建物整備を進めている国と協議、調整を図りながら、展示物の製作、据えつけを進めてまいります。
伝承館では、いのちを守り、海と大地と共に生きるを展示のテーマとしており、全体をゾーン0からゾーン4までに区分し、具体には、ゾーン0は地域と交流するコーナーとして、復興祈念公園内や陸前高田市街地、三陸沿岸地域へと誘う情報提供を行います。
ゾーン1は、歴史をひも解くコーナーとして、過去の津波被害の歴史や東日本大震災津波発生のメカニズム等をわかりやすく解説します。
ゾーン2は、事実を知るコーナーとして、流出した気仙大橋の一部など大型被災物の実物展示や大型映像装置を用いた震災津波の映像、また、被災者の証言映像等の放映を行います。
ゾーン3は、教訓を学ぶコーナーとして、震災時の避難行動や多大な困難の中での救助、救援活動等に関する放映、展示を行います。
ゾーン4は、復興をともに進めるコーナーとして、被災地が復興に向けての歩みを進める姿の展示を行います。
このように、全体を通して伝承館を見学する方々が、震災津波の破壊力や脅威を実感し、震災津波を自分事として捉え、命を守る教訓を学べるような展示となるよう進めていきます。
〇佐々木朋和委員 それでは、次年度、そして次年度以降、これらイベントとゲートウエー機能を持った伝承館を生かして、どのような三陸観光振興策を行っていくのか、今からどのような準備をしていくのか伺いたいと思います。
〇保副知事 観光の取り組みの具体的なところについて、私から答弁させていただきます。
来年度は、三陸地域が国内外から大きな注目を集め、これを観光振興に結びつける非常に大きなチャンスでございます。
県では、この一連のイベントへの誘客や、訪れた観光客の周遊、滞在、それが観光消費の拡大につながるように、羅列になりますけれども、三陸鉄道を組み込んだ旅行商品やイベント列車の造成、販売については、既にモニターツアー等を実施して進めております。
それから、今お話がありましたとおり、伝承館が大きなゲートウエーになり、教育旅行や企業研修旅行を誘致していく非常に大きな内容になるということです。これについては、現在誘致の説明会を行うほか、関係者を招請して見ていただいております。
そのほか、三陸防災復興プロジェクト2019やラグビーワールドカップ2019をごらんになった方々やおいでになった方々に、一日でも長く岩手に滞在していただくことを狙いとして、三陸DMOセンターと連携した体験プログラムなどの観光コンテンツの開発支援、モニターツアーの実施、特にラグビーワールドカップ2019に向けまして、海外へのプロモーション、外国人の観光客受け入れのための環境整備の支援に取り組んでおります。
いずれ、来年度ではございますけれども、さらにその次、そして、ずっと三陸の観光振興につながるようにという視点を持って取り組んでいきたいと思います。
〇佐々木朋和委員 来年度が沿岸のインバウンド観光の元年だという気持ちで、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。
次に、誰ひとり取り残されない理念について伺いたいと思います。
本県の水洗化人口割合は平成28年度末で71.8%、市町村別で見ると、盛岡市では92.9%でありながら、低い市町村では30%台となっております。
水道についても、県内には生活用水を井戸水に頼っている地域があり、今後、水道事業が広域化する方向にある中で、未普及地域の解消のハードルは高くなっていると思われます。
これからICTの時代と言われている時代に、本県の超高速ブロードバンドの整備状況は、固定系96.2%、移動系99.2%でありながら、インターネット利用率は全国平均が80.9%のところ70.5%となっております。
地上デジタル放送の難視地域は、平成27年3月末で全て解消しており、現在、国、県ともに把握していない状況と県当局からは説明されていますが、一関市からは、受信困難地帯の解消などについて毎年要望が出されている状況です。
県は、復興計画の推進について、全ての被災者の幸福追求権を保障することを旨に進めてきました。次期総合計画においては、誰ひとり取り残されない理念を記載しています。90%だからよいではなく、地デジやスマートフォンを家で見て、水道、水洗トイレが使えるという都会では当たり前の環境を、全ての県民に保障する気概を持って取り組まなければ、まさにその地域は取り残されてしまうと思いますが、所見を伺いたいと思います。
〇白水政策地域部長 誰ひとり取り残されない理念についてでございますが、人口減少が著しい農山漁村部などの過疎地域におきましては、住みなれた地域に暮らし続けていくため、また、若者を初めとした移住、定住の促進のためにも、情報基盤や上下水道などの生活を支える環境の整備が重要と考えております。
これまでも、県及び市町村におきましては、過疎地域自立促進計画を策定いたしまして、生活環境の整備を含む総合的な対策を展開してきたところでございます。
また、次期総合計画の長期ビジョン中間案では、計画の理念におきまして、議員も御指摘いただきましたけれども、誰ひとりとして取り残さないを基本方針とする持続的な開発目標の考え方を踏まえ、幸福を次世代に引き継ぎ、持続可能な社会とする取り組みを進めていくこととしております。
この理念のもと、引き続き、過疎地域などの条件不利地域の振興に取り組むとともに、新しい時代を切り拓くプロジェクトの一つとして活力ある小集落実現プロジェクトを掲げまして、ICT技術などの第4次産業革命技術を活用した生活サービスの提供など、地域の課題解決に向けた住民主体の取り組みなどを通じ、将来にわたり持続可能な活力ある地域コミュニティーの実現を目指していく所存でございます。
〇佐々木朋和委員 人口減少に立ち向かっていくためには、各地域、必要最低限度の武器が必要だと思います。そういった意味では、岩手版のSDGsをぜひ明確に定めて取り組んでいただくことを祈念申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
〇名須川晋委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午前11時48分 休 憩
午後1時2分再開
〇名須川晋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。次に、城内よしひこ委員。
〔城内よしひこ委員質問者席に着く〕(拍手)
〇城内よしひこ委員 自由民主クラブの城内よしひこです。
ことしの夏は、大阪府北部地震、西日本豪雨、そして先月の北海道胆振東部地震など数々の災害に見舞われました。災害で亡くなられた方々に謹んで哀悼の意を表するとともに、被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げます。また、台風第24号も大きな被害をもたらし、あわせてお見舞いを申し上げるところであります。
東日本大震災津波発災から7年半が過ぎ、来年の3月11日には丸8年になろうとしています。県は、平成23年8月に計画期間を8年とする東日本大震災津波復興基本計画を策定し、これまで県を挙げて被災地の復旧、復興に取り組んでこられました。また、来年度から始まる次期総合計画に復興計画の内容を引き継ごうとしています。
新たな計画に引き継ぐためには、これまでの取り組みの実績について、何ができて、何ができなかったのかということを丁寧に分析し、その上で、あと何年でどの程度まで仕上げるという具体的な内容を定めていく必要があると考えます。
復興計画で定めた安全、暮らし、なりわいの3分野の取り組みについて、県では、この8年間をどのように総括しているのでしょうか。復興計画は計画どおりに進んできたとお考えか、お伺いしたいと思います。
〇達増知事 県では、これまで、計画期間を8年間とする岩手県東日本大震災津波復興基本計画に基づき、被災者一人一人の復興を見守り、寄り添った支援を行いながら、一日も早い復興を目指し取り組んできたところであります。
その結果、安全の確保につきましては、土地区画整理や高台への集団移転など復興まちづくり事業は本年度中に約96%が完了し、復興道路等は新規事業化された全ての区間で着工しており、本年度中に東北横断自動車道釜石秋田線の全線開通が見込まれているところであります。
暮らしの再建については、被災した県立病院は昨年度までに全て復旧していますほか、本年度中に災害公営住宅は約97%が完成し、公立学校施設は全て復旧工事が完成する見込みであります。
なりわいの再生については、一部再開も含め、約84%の事業所で事業が再開しているところであり、復興計画に掲げる事業は着実に進捗しているところであります。
一方、一部の社会資本等の整備については計画期間内に事業が完了しないことや、本年度末における応急仮設住宅等の入居世帯が600世帯を超えることが見込まれますほか、引き続き、被災者の心のケアや、市町村が行うまちづくり後における事業者への支援等が必要であると考えております。
そのため、現在策定中の復興に係るアクションプランにおきましても、これらの施策や事業を盛り込み、次期総合計画に基づく政策の推進や地域振興の展開と連動しながら、切れ目のない復興の取り組みを進めていく考えであります。
〇城内よしひこ委員 漁港施設や防潮堤、災害公営住宅の整備など、特にハード面のおくれを原因に、県では、これまで数次にわたり復興のロードマップの見直しを行ってきました。漁港施設や災害公営住宅は被災地に暮らす人々の基盤であり、基盤整備のおくれは、暮らしや産業の再生にも直接影響を及ぼすのは当然のことと考えます。
そうした中で、県は、次期総合計画の中に復興計画を取り込み、事実上、復興計画の期間を延長しようとしているわけでありますが、これまでのロードマップの見直しのタイミングにおいても、基本計画そのものの期間や内容を適時見直し、広く県民に対し、計画は何年おくれる、いつまでに復興がなし遂げられるということをその都度示す必要があったのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
復興がなかなか進捗せず、めども示されないことで地元から離れてしまった人々も多く、こうしたことが、被災地が今後力強く立ち上がっていく上で大きな支障になっているのではないかと危惧するものでありますが、県のお考えをお示しください。
〇達増知事 復興実施計画に掲げる復興の取り組みのうち、まちづくりや災害公営住宅の整備などの県民生活に身近な社会資本の復旧、復興事業について、被災者の今後の生活設計や持ち家再建に資するよう、国に先駆けて平成24年度から社会資本の復旧・復興ロードマップを作成し、市町村別に事業箇所ごとの進捗状況や今後の見通しについて定期的に情報発信を行ってまいりました。
また、第2期及び第3期復興実施計画の策定に当たって、その前期の復興実施計画期間において進捗状況がおくれとなった事業や要因を分析しつつ、実質的おくれに分類された事業については、所要の見直しを行ってまいりました。
現在策定中の復興に係るアクションプランにおきましても、復興事業の進捗状況を踏まえながら、現行の復興実施計画と同様に具体的な施策や事業を盛り込む考えであります。
今後におきましても、被災者に対して、事業の進捗状況等の情報提供を丁寧に行うとともに、市町村の実情に応じ、寄り添った支援を行いながら、被災地の復興が一日も早くなし遂げられるよう全力で取り組んでまいります。
〇城内よしひこ委員 そこでお伺いしますが、なぜ計画期間を8年に設定したのか。震災の復興状況がなかなか進まないというのは目に見えている中で、なぜ8年にしたのか、その延長をなぜ行わなかったのかお伺いしたいと思います。
あわせて、覆水盆に返らずという言葉があるように、時間が戻らない。真の復興を知事はどのように考えているのかお伺いしたいと思います。
〇達増知事 2011年3月11日に東日本大震災津波が発生し、そして1カ月後の4月11日から岩手県東日本大震災津波復興委員会を立ち上げてこの復興計画の策定を始め、8月11日と記憶しますが、岩手県議会の承認も得て、県民的な知恵と力として、特に岩手県の復興会議には漁業、農業、林業、医療、福祉、教育、経済産業等の主要な団体のトップの皆さんにお集まりいただき、また、市町村の代表にも参加いただいて、それぞれの市町村の復興の見通しや、それぞれの分野の復興の見通しなども踏まえながら、8年間の復興計画を策定したものでございます。
その後、市町村によっては、今までの7年半の間に、全ての復興事業を完了した市町村もあれば、社会資本整備等におくれが生じている市町村もあります。その間、復興計画については、いわて県民計画に比べますと、かなり個別具体的に、個々の河川の整備でありますとか、水門の建設でありますとか、小学校の建設あるいは個別具体的な圃場の土地改良でありますとか、それぞれの事業に関しての完了見込みを、市町村と連携しながら提示してまいりました。そういったことを通じて、復興の現場で被災者の方々がそれぞれの自分の生活や仕事、学び等の復興ともすり合わせられるように努めてきたところであります。
〇城内よしひこ委員 私は、見通しの甘さがあったのではないかと指摘しますし、知事の描く真の復興の姿をどのように考えているのかということも先ほどお伺いしたのですけれども、いかがでしょうか。
〇達増知事 復興計画に沿った復興が完了するのは、それぞれの復興事業の完了ということになりますけれども、実質的には東日本大震災津波で被害を受けた被災者の方々それぞれがみずからの生活、仕事、そして学びを再建し、再生し、そしてそれに励むことができてこその復興だと考えます。
〇城内よしひこ委員 次期総合計画における復興のプランは、我々に示されているのはまだ骨子レベルですが、県は、今後の復興完了に向けてどの程度の事業費が必要と試算しているのでしょうか。市町村の事業費も含めて伺います。
〇佐々木復興局長 平成27年4月に行った市町村も含めた本県における復興事業費の再試算では、2011年度から2020年度までの総額約5兆6、000億円のうち、2018年度から2020年度までの所要額を約1兆円と見込んでいます。
このほか、復興のステージが進むにつれ、国の復興・創生期間を超えて中長期的に取り組むべき事業もあると考えておりますが、2021年度以降の対応については国でも検討を始めたところでありまして、必要な事業費のボリュームを現時点でお示しすることは困難です。県といたしましては、復興を進めるために必要な事業や制度の継続について国に提言、要望しながら、被災者一人一人の復興がなし遂げられるよう、必要な取り組みは最後まで実施していく考えであります。
〇城内よしひこ委員 次期総合計画では、復興の財源は国に求めるとしていますが、もし、工事が期限内に完了できない場合、その財源の確保はできているのか、その準備はあるのかお伺いします。
〇佐々木復興局長 公共土木工事の進捗につきましては、個々の箇所ごとに国ともいろいろ協議しながら進めているところであり、財源については、復興庁を初め国の関係省庁との協議を始めているところであります。
〇城内よしひこ委員 復興庁は2020年にはなくなるものと思っています。それ以降の姿が見えない中で、しっかりと財源を確保できるように、被災地に寄り添った政策をとってほしいと思いますが、いかがですか。
〇佐々木復興局長委員 御指摘のとおり、復興庁につきましては法律で2020年度までと設置期間が決められておりまして、東日本大震災復興特別会計についても、その復興庁の期限と合わせて廃止するというのが決まっております。
現在、復興庁においては、復興・創生期間における東日本大震災からの復興の基本方針について、後期の3年目である今年度に見直しを行うことになっておりまして、そうした検討を進めているものと承知しております。
県といたしましても、被災地の実情等を踏まえ、国にしっかり伝えまして、その財源が確保できるよう努めてまいります。
〇城内よしひこ委員 事業を確実に実施するには、引き続き他自治体からの応援職員をお願いせざるを得ない状況にあると考えますが、その規模はどの程度と試算されているのでしょうか。
冒頭述べましたように、全国でも災害が多発している中、職員を派遣する側も余裕がなくなっているものと考えますが、必要な職員をどのように確保していくのか、県、市町村それぞれお伺いしたいと思います。
〇佐藤企画理事兼総務部長 県職員の確保についてでございますが、本県が他都道府県等に要請した応援職員の数は、ピーク時は平成24年度で258人でございました。以後、復興事業の進捗に伴いまして減少し、本年度は99人となっております。
来年度の応援職員の要請につきましては、現在、復興事業の見通しなどを考慮しつつ検討している状況でございます。現時点におきましては具体的にお示しすることはできませんが、今後も減少傾向が続くものと見込んでおります。
県といたしましては、復興事業を着実に進めていくため、引き続き応援職員の確保が必要と認識しておりまして、今年度も応援をいただいている都道府県を幹部職員が訪問しまして、継続派遣の要請を行っているところでございます。また、委員御指摘のように、全国的にも災害が多発しておりまして、こういった中での応援職員の要請は厳しい状況にはございますが、本県の復興状況等を丁寧に説明しながら、全国知事会等を通じまして継続派遣への協力を要請していきたいと思います。
あわせて、新規職員の採用の拡大であるとか、任期付職員や再任用職員の採用などにより、復興事業に必要な職員の確保に取り組んでいくこととしております。
〇白水政策地域部長 市町村の職員確保についてでございますが、来年度の必要数につきましては、現在、被災市町村からの回答を取りまとめているところでございまして、現時点では具体的にお示しできませんけれども、復興事業の進捗に伴いまして、平成27年度の779人をピークに年々減少し、本年度は586人となっているところです。今後もその傾向は続くのではないかと見込んでおります。
被災市町村におきましても、復興事業を着実に進めていくためには、引き続き応援職員の確保が必要であると認識しておりまして、全国的に災害の発生が続いている状況ではございますけれども、これまで同様、全国の自治体の人事担当者等を対象とした県内沿岸被災地の視察の実施、被災3県合同によります各都道府県、市長会、町村会等を直接訪問しての要望活動を通じて、引き続き理解を求めているところでございます。
さらに、県内の内陸市町村に対しましても、継続的な人的支援について協力を依頼するなど、来年度も必要な応援職員が確保されるよう取り組んでまいりたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 被災市町村ではまだまだ応援の職員を必要としておりますので、引き続き、寄り添った丁寧な対応をお願いしたいと思います。
被災市町村では、これまで多くの自治体から職員を派遣いただき、復興業務を進めてきました。職員を派遣した側にとっても、今後、みずからが災害に見舞われた場合の対応を実地に体験できるということで、積極的に復興業務に携わっていただき、感謝の念にたえません。
一方、支援を受けた市町村では、これまで復興業務にかかわってくれた職員、特に技術職員の方々が一斉に帰り始め、果たして復興のノウハウがきちんと地元市町村に残るのかということをいささか懸念するところであります。
被災地では施設や設備が最新式のもので整備されており、そのメンテナンスなども適切に行っていけるのか、非常に危惧しています。
全国各地で災害が多発しており、震災復興の暁には、今度は我々がその災害で被災した自治体を支援していかなければならない立場にあると思いますが、県は、市町村の職員確保、育成─確保については今お伺いしましたので、育成をどのように考えているのかお伺いしたいと思います。
〇白水政策地域部長 復興の進捗に伴いまして自治体等からの派遣職員が減少し、被災市町村の職員が担うべき分野が拡大していることが見込まれる中で、行政サービスを安定的に提供していくためには、復興の先を見据え、被災市町村が業務を円滑に遂行できる体制に移行することが重要であると認識しております。
このため、被災市町村におきましては、計画的な職員の確保や、現在、派遣職員が担っている復興関連業務の被災市町村職員への確実な引き継ぎによります業務の継続性の確保等が必要であると考えております。
県といたしましては、自治体運営に支障が生じないよう、被災市町村から、今後の職員の確保や育成に向けた取り組み、課題等を丁寧にお聞きしながら必要な助言、支援等を行ってまいりたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 行政間のやりとりはそのとおりでいいと思いますが、UR(独立行政法人都市再生機構)などに外注している事業はどの程度あって、十分な引き継ぎがされているのか。大事な仕事を外注してしまったので職員が育たないということが今後考えられるわけですが、県としての支援はどのように考えているのかお伺いしたいと思います。
〇白水政策地域部長 都市再生機構、いわゆるURへの委託状況等についてでございますが、これまで、地区数ベースで市街地整備事業が25地区、災害公営住宅建設が43地区で委託されておりまして、全体で約2割が都市再生機構に委託されているという状況でございます。
委託事業の遂行に当たりましては、事業計画策定から工事発注、監理まで、被災市町村と都市再生機構が連携して進めているということで、事業完了後は委託契約に基づきまして引き継ぎがなされているものと認識しております。
ただ、委員御指摘のとおり、職員の育成やノウハウの蓄積は重要であると考えておりますので、県といたしましては、今後の被災市町村における自治体運営に支障が生じないよう、必要な助言や支援を行ってまいりたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 山田地区でかさ上げをした地区をURが受託したのですけれども、いざ家を建てようとしたら地盤が軟弱だったということがありました。その引き継ぎがしっかりとなされていなかったために、家を建てたいという方が大分お待ちになったことがあったようですので、しっかりとその辺も確認をしながら対応していただきたいと思います。いかがでしょうか。
〇白水政策地域部長 都市再生機構におきましては、復興まちづくりを支援するため、これは山田町も含むようですが、被災市町村に復興支援事務所を設置していると聞いております。復興事業の各段階におきましては被災市町村と緊密な連携を図っているということでございますけれども、委員御指摘のとおり、しっかりと進めていくことが大事だと考えておりますので、県におきましても、さまざまな助言や支援をしっかりと行ってまいりたいと思っております。
〇城内よしひこ委員 次に、被災地の人口減少について伺います。
平成27年に実施された国勢調査によりますと、県沿岸部においては、前回の平成22年の国勢調査から平成27年までの間、県外からの転入者が転出者を上回ったという喜ばしいデータが報告されました。
一方、沿岸部の産業別就業者数を見ますと、この5年間、就業者が大きくふえたのは、建設業と学術研究、専門・技術サービス業、それから公務員の方々です。
震災からの復興工事が終われば、建設業などは需要が激減し、県外から来ている作業員の方々も帰ってしまうでしょうし、他県から県や市町村に来ている応援の職員も、復興期間の終了とともに自県に帰ることは必然です。
2年後の国勢調査では、こうした特需の反動減が大きく、かつてない人口減少に陥ってしまうのではないかと懸念するものですが、県では、この調査結果をどのように認識しているのか伺います。あわせて、人口減少への対策を伺いたいと思います。
〇達増知事 平成22年と平成27年の国勢調査を比較しますと、委員御指摘のとおり、沿岸12市町村の人口が減少する中で、県外からの転入者数は増加しております。
転入者の産業別就業状況のデータはございませんが、沿岸12市町村における産業別就業者数を平成22年と平成27年で比較しますと、建設業や学術研究、専門・技術サービス業、公務などが増加する一方、製造業や漁業、卸売、小売業などは減少し、全体の就業者数はほぼ横ばいとなっております。
就業状況の変化についてはさまざまな要因が考えられますが、復旧、復興事業に携わる就業者が県外から転入したことに加えて、沿岸地域における産業間での就業者の移動もあったものと思われます。
沿岸地域におきましては、復興の進捗に応じた環境変化を踏まえながら、三陸沿岸道路やフェリー航路など新たな交通ネットワークを生かした産業振興や、復興の取り組みを通じて培われたつながりを生かしたU・Iターンの促進、ラグビーワールドカップ2019釜石開催、三陸防災復興プロジェクト2019の開催を契機とした交流人口の拡大など、復興の先も見据えた三陸地域の振興に総力を挙げて取り組んでまいります。
〇城内よしひこ委員 人口が減少することは目に見えているわけでありますので、ぜひ、しっかりとした支援策をこれから盛り込んでいってほしいと思いますので、その辺もあわせてよろしくお願いしたいと思います。
次に、三陸防災復興プロジェクト2019について伺います。
今般の補正予算では、来年度までの債務負担行為を含め4億9、400万円の事業費が計上されました。そのほとんどは一般財源で対応されています。
県として、多額の一般財源を投入する意義をどう考えているのでしょうか。実行委員会には復興庁も参加していますが、国はどの程度関与しているのでしょうか。
実行委員会の経費のほとんどを県の税金で賄おうというのは、県のひとりよがりにも見えますが、この点をどう考えているのかお伺いしたいと思います。
〇達増知事 三陸防災復興プロジェクト2019については、三陸地域全体で開催することにより、東日本大震災津波からの復興に懸命に取り組んでいる被災地の姿を発信し、東日本大震災津波の風化を防ぐとともに、国内外からの復興への支援に対する感謝を示し、また、被災県として東日本大震災津波の記憶と教訓を伝え、日本国内や世界の防災力向上にも貢献していくこと、さらに、三陸地域の多様な魅力を国内外に発信し、三陸地域への関心や認知度を高めながら、交流人口の拡大や地域経済の活性化を図り、復興を力強く推進し、新たな三陸の創造につなげていくために必要な事業であります。
財源につきましては、個別の催事に応じて関係省庁と協議を進めているところであり、地方創生推進交付金や東北観光復興対策交付金の交付決定を得ていますほか、復興交付金についても協議を進めているところであります。今後におきましても、さらに国からの支援を得られるよう調整を進めてまいります。
また、本プロジェクトは東京2020オリンピック、パラリンピック競技大会の文化プログラムでありますbeyond2020の認証事業にも位置づけられておりまして、いわゆる復興五輪にも資するものと考えております。
今後におきましても、国や市町村、関係団体との連携によりまして、オール岩手の力を結集して取り組んでまいります。
〇城内よしひこ委員 復興五輪ともリンクし、位置づけられているという今の知事のお話でしたが、そういった連携が今後の計画の中になかなか見えてきませんが、そういった取り組みについてはどのように展開していくつもりなのかお伺いしたいと思います。
〇達増知事 東京2020オリンピック、パラリンピック競技大会の文化プログラムであるbeyond2020の認証事業の位置づけにつきましては、内閣官房の東京オリンピック、パラリンピック競技大会の担当部局と随時やりとりしております。被災地、復興の現場でできることは何か、東京サイド、全国サイドへの要望は何かということを、随時調整しながらやっておりますので、そういったやりとりも生かしながら工夫してまいりたいと思います。
〇城内よしひこ委員 国でつくったメニューがあったからというのはわかりました。しかし、それに対して、多くの外国人などが来訪してくれるようにどうやって誘客するかが見えてこない中では、正直言って、誰のためにこれをやるのか、何のためにやるのかというのが、なかなか県民の皆さんに見えてこないと思っています。その辺はどのようにお考えかお伺いしたいと思います。
〇達増知事 復興から現在7年半以上がたち、東日本大震災津波の風化に対する懸念、そして復興の状況が被災地以外の場所で報道されなくなっているのではないか、語られなくなっているのではないかという懸念については、沿岸部の復興の現場、いわゆる被災地の皆さんが強く懸念するところではないかと認識しております。
復興の後半ならではの取り組みで全国的な関心を高め、今からでもさまざまな支援をいただけるように県外の皆さん、あるいは海外の皆さんの思いを形にしていくという趣旨を御理解いただければと思います。
〇城内よしひこ委員 次に移ります。
平成28年8月の台風第10号発災から2年と1カ月が経過しました。災害復旧は原則3年の国庫補助制度でありますから、残り1年を切っています。私の地元でも、進んでいる箇所が見えるところもあれば、まだ対応できていない、対応がおくれているのではないかと心配する箇所もありますが、災害の復旧状況はどのようになっているのでしょうか。繰越額も多額に上っていると聞いていますが、その額と今後の執行見込みについてもあわせてお伺いします。
〇保副知事 平成28年台風第10号の災害復旧事業についてですが、公共土木施設につきましては、県と市町村を合わせた箇所が1、891カ所ございます。8月末の時点で、このうち1、795カ所について発注済みであり、発注率は94.9%でございます。また、既に791カ所が完成済みということになっておりまして、完成率では41.8%でございます。
次に、農林水産関係の施設につきましては、これも県、市町村合わせまして658カ所ございます。8月末時点で655カ所が発注済みであり、発注率は99.5%、完成箇所は376カ所でございまして、完成率は57.1%でございます。
この災害復旧工事のほか、これとあわせて実施している小本川や安家川など7河川の河川改修工事もございますけれども、まだ用地の取得を終えていないところもございます。この災害復旧工事とあわせてやっている全ての工事につきましては、2020年度までに完了することを目指して、今、鋭意取り組んでいるところでございます。
それから、平成30年度に繰り越されている額は、河川等災害復旧事業などの工事関連を中心といたしまして33事業で、あわせて357億円余でございます。いずれも2019年度内の完了に向けて、今現在、鋭意取り組んでいるところでございます。
〇城内よしひこ委員 先ほどの東日本大震災津波関連でもお話しさせていただきましたが、皆さんはもちろん期限内におさめるということで努力目標を設定しておりますし、それは認めます。でも、明らかにおくれそうだというところもあるわけであります。そういった際には、関係する市町村に早目に連絡をして、しっかりとその状況を認識してもらって、各地域が復旧、復興に支障にならないような手だても必要だと思いますが、いかがでしょうか。
〇保副知事 特に深刻なのは岩泉町でございますけれども、県では、岩泉土木センターに人員を充実させて、ふだんから岩泉町とは非常に密接な連携をしております。
今後、さまざまな原因等でおくれることがないとは言えませんけれども、逐次密接に連携し、情報交換しながら情報を伝えていくように意をもって取り組みたいと思います。
〇城内よしひこ委員 近年、冬場にたくさん雪が降っています。やむなく工事を中断、中止することが散見されますので、ぜひ、その辺の対応もしっかりとしていただきたいと思います。
次に移ります。
大きな災害を受けた国道106号を初め、県工事が進んでいないという印象を受けております。市町村の復旧工事も影響を受けているという話も聞こえてくるわけですが、県工事がおくれている原因をどのように分析しているのでしょうか。
平成28年台風第10号関連工事では、県工事の567カ所を入札に付し、そのうち入札不調が一昨年から215カ所発生していますが、この原因と対策についてお伺いします。
〇保副知事 まず、公共土木施設に係る県の災害復旧工事についての全体像ですけれども、契約実績として、8月末で全部で592カ所あり、そのうち504カ所、割合にして85%まで契約済みにこぎつけているという状況であります。
今、委員からお話がありましたとおり、592カ所のうち入札に付した総数が567カ所でございまして、215カ所が入札不調となっております。これが大きな原因となりまして、なかなか工事が進まなかったということです。
入札不調になった原因は、同時期に非常にたくさんの発注案件が生じ、企業側でそれを十分に受け入れることができなかった、技術者や労働者の確保ができなかったということであります。
このため、県では、これまでもやってきましたけれども、複数の箇所を集約する発注ロットのさらなる拡大によってまとめる、それから、技術者の配置要件の緩和の適用といった対策を行ってきており、入札不調となった215カ所のうち、152カ所は再入札により契約に至ったところでございます。
残る未契約箇所についても、今後、順次手続を進めて、いち早く完成するように取り組んでまいります。
〇城内よしひこ委員 まだそれぐらい残っているということでありますので、いずれ、そういったことが、所管する各市町村に影響を与えると思いますので、しっかりと対応をお願いしたいと思います。
次に移ります。
住宅再建が思うように進んでいません。応急仮設住宅は本来2年の期限とされていますが、岩泉町では発災から2年経過した今でも、いまだ121世帯が応急仮設住宅での不自由な暮らしを余儀なくされています。
工事のおくれなども原因と思われますが、被災者の中には、住宅再建に希望を持ちつつ、その資金確保に苦労されている方も多いと思われます。東日本大震災津波では、被災者生活再建支援金に加え、県、市町村での100万円の追加支援もあるわけですが、被災した方々にとってみれば、東日本大震災津波も台風災害も同様の苦しみがあり、震災と同じような住宅再建支援策も必要と考えますが、県ではどのように考えているのかお伺いします。
〇保副知事 住宅再建に係る支援についてでありますけれども、東日本大震災津波の際は、かつてないほど非常に大規模な災害であり、国の特別交付金等もあって、それを裏づけにいたしまして、100万円の上乗せといったことが可能であったわけでございます。しかし、平成28年台風第10号災害におきましては、そういったことがかなわなかったという経過がございます。
県といたしましては、国に対して、被災した市町が幅広い財政需要に対応できるような、弾力的で自由度の高い総合的な支援制度の創設を再三にわたり要望しております。県といたしましても、被災者生活再建支援法の支援対象とならない半壊世帯や床上浸水世帯に対する独自の県単独補助金を創設し、宮古市、久慈市、岩泉町の早期復興を支援するため、自由度の高い県単独交付金によって、それぞれの市町において独自の住宅支援なども実施しております。
引き続き、国への働きかけは継続していきますけれども、県としましては、自由度の高い県単独交付金について、いつまでという期限を決めているわけではございませんので、これも活用しながら、今後ともできる限りの支援をやっていきたいと思っております。
〇城内よしひこ委員 早い対応を行わなければ、新たな問題が生ずる。これは東日本大震災津波の復旧で我々は学習しているところであります。一日も早い復旧を望みます。高齢者の方々が多く、時間との戦いと考えますので、ぜひ、これは早急に寄り添った対応をお願いしたいと思います。
次に移ります。
平成29年度決算を受けて改定された公債費負担適正化計画では、実質公債費比率の低減について、当初の計画より2年前倒しでの達成が可能との報告がされました。
公債費の高まりと東日本大震災津波という二重の原因で、これまで県の公共事業等は抑制基調で来たわけですが、実質公債費比率の低下に加え、今後、震災対応事業も縮減していくことが見込まれる中、県の財政運営も転換の時期に来ているのではないかと考えられます。
平成31年度は総合計画刷新の年であり、今後の投資戦略について、県はどのように考えているのかお伺いしたいと思います。
〇達増知事 9月28日に公表しました岩手県中期財政見通しでお示ししましたとおり、引き続き収支ギャップが生じるなど、厳しい財政運営が続くものと見込んでおりますが、今後の公共投資につきましては、東日本大震災津波以降、通常分の公共事業に国の要求基準を超えるシーリングを課して抑制を図ったことなどから、実質公債費比率も着実に低下していること、復興の進捗に伴い震災対応予算が減少しており、国の復興・創生期間の終了も見据え、通常分の公共事業を推進していく必要があること、そして、次期総合計画の10の政策分野に、各分野を下支えする共通的土台として社会基盤を設け、幸福の追求を支える社会資本を整備していくこととしていることといった状況を踏まえ、計画的に進めていく必要があると考えております。
このようなことから、平成31年度の当初予算編成に当たりましては、公共事業費の予算要求基準について、国庫財源を最大限活用することを前提に、東日本大震災津波以降初めてプラスのシーリング、前年度掛ける1.05としたところであります。
引き続き財政運営の健全化を図りつつ、復興の進捗や国庫の措置状況も見ながら、県民生活の土台となる公共投資を着実に推進してまいります。
〇城内よしひこ委員 財政が厳しいと、県民の福祉の向上というのはなかなかできないと私も思いますので、ぜひ、柔軟性のある補助事業を導入して、これまで滞っていた内陸部の事業やいろいろな仕事もしっかりとしていただきたいと思いますが、その辺の計画も盛り込んでいるのかお伺いしたいと思います。
〇達増知事 来年度の当初予算編成については、先ほど示した基準を参照しながら、今、担当で準備をしているところでありますが、今、委員からお話があったような県民の皆さん、特に地域ごとの御意見を参考にしながら予算を編成してまいりたいと思います。
〇城内よしひこ委員 ILCについてお伺いします。ILCについては一般質問でも取り上げられましたが、国内外の研究者は、国に対し、年内にその方向性を示すことを求めています。これまでに把握している情報、分析を踏まえ、県では、国の方向性決定についてどのような見通しを持っているのか、率直にお伺いしたいと思います。
〇達増知事 ILC計画が世界の協力のもとに実現されるためには、2020年欧州素粒子物理5カ年戦略にILCが盛り込まれることが必須となっており、年内に日本政府がILCに前向きな方向性を打ち出す必要があると認識しております。
本年7月に文部科学省から日本学術会議に対して、ILCの学術的意義など5項目について、政府判断に向けて早期に審議するよう依頼しており、同会議において、現在、論点の整理が行われております。
また、先般設立された自由民主党ILC誘致実現連絡協議会では、政策横断の国家プロジェクトとしてILCを位置づけること、通常の科学技術予算の枠外で措置することなどの決議がなされています。
県といたしましても、これまで関係機関と連携し、要望を重ねてまいりましたが、その際にも、東北・岩手の準備状況について説明しているところであり、これら国内外の情勢を踏まえて、国として年内に前向きな判断があるものと期待しています。
〇城内よしひこ委員 我々県議会議員も議員連盟で陳情してきたところでありますが、その際にも明確な答えはいただけませんでした。
誘致がまだ決定していないのに、次期総合計画にはもうILCが入っています。大丈夫でしょうか。その点を確認でお伺いしたいと思います。
〇達増知事 そこは、私から政府・与党に伺いたいところでもございますけれども、特に、先ほども申し上げた自由民主党ILC誘致実現連絡協議会において、政策横断の国家プロジェクトとしてILCを位置づける、通常の科学技術予算の枠外で措置するとしており、現実的にといいますか、政府・与党としてのILCの実現に対して前向きな方向性、そのための決議が行われたということは期待したいと思います。
〇城内よしひこ委員 次の通告は飛ばして、ラグビーワールドカップ2019の質問に入ります。
ラグビーワールドカップ2019を来年に控え、開会までもう残り353日になりました。8月には釜石鵜住居復興スタジアムで釜石シーウェイブスとヤマハ発動機ジュビロのメモリアルマッチが行われるなど、開催に向けた機運が高まってきました。メモリアルマッチには6、530人の来場者が訪れ、イベントは滞りなく終了しましたが、ラグビーワールドカップ2019の本番は仮設スタンドも含め、メモリアルマッチの3倍近い1万6、000人の方々が観戦に訪れる見込みとなっています。
復興道路等の整備が進む中、観客1万6、000人を安全に会場に誘導するには、希望郷いわて国体、希望郷いわて大会の経験も踏まえ、効率的な運送計画の立案が必要ですが、観客輸送に係る準備状況はどのようになっているのかお伺いしたいと思います。
〇千葉副知事 ラグビーワールドカップ2019釜石開催におけます観客輸送の準備状況についてでございますけれども、現在、県内全市町村、関係団体で構成されておりますラグビーワールドカップ2019釜石開催実行委員会におきましては、昨年度、国や交通事業者等からなります交通輸送・宿泊専門部会を設置いたしました。大会時にスタジアムに来場する1万6、000人の観客を円滑かつ確実に輸送するための対応策としての三つの柱、具体的に申し上げますと、一つ目といたしまして、鉄道の輸送力を生かした釜石駅やスタジアム直近の鵜住居駅までの臨時便の運行及び鉄道車両の増結、二つ目といたしまして、県内の鉄道主要駅や空港からスタジアムに直通するライナーバスの運行、三つ目といたしまして、自家用車で訪れる観客をスタジアムまで輸送するシャトルバスへの乗りかえ拠点をスタジアムの北方面、西方面、南方面の主要な道路沿いに設置するパーク・アンド・バス・ライドの運用の三つの柱からなります交通輸送基本計画を策定したところでございます。
今年度におきましては、この基本計画に掲げておりますこれら三つの柱の具体的な運用方法を定めます交通輸送実施計画を取りまとめることとしておりまして、鉄道の増便、増結や、必要なバス車両及びパーク・アンド・バス・ライド拠点の確保に万全を期すべく、現在、関係機関との調整を進めているところでございます。
今後におきましては、大会観戦チケットの販売状況を踏まえ、観客の方々がどこからどのような交通手段で来場するかについてシミュレーションを繰り返し、予測精度を高めていきますとともに、今月実施いたします大会開催1年前イベントや、来年度、スタジアムの仮設スタンド完成後に実施します本番前のテストイベント等を通じて各種検証を重ねながら諸課題を解決し、万全な交通輸送対策となるように努めてまいります。
〇城内よしひこ委員 今回のラグビーワールドカップ2019では外国から多くの方々が岩手や釜石を訪れるため、観光面でも大きなチャンスと思われます。
ラグビーワールドカップ開催による消費支出に伴う経済波及効果は21億円余りと、一昨年、岩手経済研究所が報告していますが、移動時間に抵抗のない外国からの観戦者は隣県に宿泊場所を確保することも大いに想定されます。試合観戦だけにとどめず、県内全体に消費拡大を図っていくためには、このチャンスを生かし、周辺イベントの開催や、関係者が一丸となった受け入れ準備、観光地情報の周知が必要と考えますが、県では、経済波及効果の拡大をどのように図っていくお考えかお伺いしたいと思います。
〇保副知事 観光の関係について、答弁申し上げます。
ラグビーワールドカップ2019が観光面で非常に大きなチャンスであるということで、県では、例えばサッパ船アドベンチャーズを初め12の観光ポイントを設けました。三陸ジオパークガイドツアーといった体験プログラムをつくること、新たな土産品の開発、県内での宿泊を伴う広域周遊、滞在型旅行商品の開発の支援、さらには、ハード面では、宿泊、観光施設におけます無料公衆無線LAN、あるいは外国語表示等の整備への支援などにより、外国人観光客の方の受け入れを進めております。
観光地としての魅力アップが非常に大事でございまして、そういった点の磨き上げですとか、あるいは欧米などの旅行会社、メディアの招請、海外旅行博において釜石のPRをするといった面でさまざまなプロモーションを展開しております。
開催時もいろいろイベントがあるわけですけれども、開催直前までさまざまな活動をいたしまして、一人でも多くの観光客を呼び込むよう取り組んでまいります。
〇城内よしひこ委員 次に、中小企業の人手不足に移りたいと思います。
内陸部では、東芝メモリの誘致決定以降、関連企業の進出が相次いでおり、6月の一般質問で知事は、5年間で5、000人規模に及ぶ雇用が見込まれると答弁されました。
一方、7月の就業地別有効求人倍率を見ると、岩手県が1.56倍であるのに対し、全国では1.63倍、北陸では2倍を超える状況です。また、東北でも山形県が1.78倍、宮城県が1.69倍など、青森県を除き、いずれの県も岩手県より高い倍率となっており、人手不足は全国共通の課題です。
県は、その対策の一つとして、人材確保のための情報誌を作成する経費を今般の補正予算に計上しましたが、岩手県以上に人手不足となっている地域から岩手県に人を呼ぶということについて、どの程度、実現可能性を見込んでいるのか伺います。
〇達増知事 全国的に人手不足が深刻化する中、県南地区では産業集積が進み、生産と雇用が大きくふえることが見込まれ、県全体の各産業における人材の確保は急務となっています。これは、岩手県の産業、経済を発展させ、また、県民一人一人が豊かな暮らしを得ることにつながる大きな好機と認識しております。
県では、これまで、関係機関との連携による首都圏でのU・Iターンフェアの開催、職員による就職相談会対応や企業、大学等への訪問など、U・Iターン就職希望者と県内企業とのマッチングを促進しているところであります。
また、本年6月には、首都圏等の大学等で構成される岩手U・Iターンクラブを創設し、県外学生に就職情報や企業情報をできる限りダイレクトに届ける取り組みを進めているところです。
さらに、全国的な人材需給の逼迫を踏まえて、U・Iターンの促進を初めとする人材の確保に向けた一層の取り組みを進めることが早急に必要であり、今回、その第1段階として、情報誌等を制作することとしたところであります。首都圏等の学生やU・Iターンを考えている方に、岩手で働く、暮らすなどを強くアピールしてまいります。
これらの人材確保に向けた取り組みを強力に促進することにより、必要な人材の確保は可能と考えております。岩手で働き、暮らすことを望む人たちの希望に応え、岩手県への新しい人の流れをつくり、ふるさと振興につながるよう取り組んでまいります。
〇城内よしひこ委員 ぜひお願いをしたいと思います。
次に、企業の事業承継についての質問に移ります。
中小企業庁によると、中小企業経営者の高齢化に伴い、今後、5年から10年で多くの中小企業が事業承継のタイミングを迎えるとしております。平成28年には事業承継ガイドラインが公表され、県においても、岩手県中小企業振興基本計画の中で、岩手県事業引継ぎ支援センター等と連携をした円滑な事業承継を支援するとしていますが、先月配付されました主要施策の成果に関する説明書では、事業承継のセミナー参加者が増加し、県の目標が達成されたとあるのみで、具体的な成果がわかりにくい状況です。
現場では、県がどのような活動をしているのか知らない方も多く、もっと周知を図り、事業承継を進めていくべきと考えますが、平成29年度の事業承継の成果と課題についてお示しください。
〇保副知事 企業の事業承継については、本県では、盛岡商工会議所が平成27年7月から、岩手県事業引継ぎ支援センターを開設して、事業承継に関する取り組みを進めております。平成29年度には、県を初め県内の商工指導団体や金融機関、税理士会、弁護士会等が連携して岩手県事業承継ネットワークを立ち上げ、県内の中小企業者の皆様への支援体制を強化したところでございます。周知が十分ではないのではないかという点につきましては、御指摘のとおりのこともあるかもしれませんので、そこはしっかりやりたいと思います。このような取り組みもありまして、岩手県事業引継ぎ支援センターにおきましては、平成29年度末までに延べ247件の相談を受け付けておりまして、これまでに成約して、実際に事業承継に至ったケースは、7件ございます。
一方、親族への承継については支援の強化が課題だと考えております。事業承継に係るセミナーの開催を支援し、商工指導団体との連携強化を図ってきたところでありますが、平成30年度は、盛岡商工会議所が国の委託事業を活用しまして、専任の事業承継のコーディネーターを1名、県内を南北二つのブロックに分けて、ブロックコーディネーターとして中小企業診断士を合計で4名、事務職員1名を配置して体制の強化も図っておりますので、今後とも力を入れていきたいと思っております。
〇城内よしひこ委員 その中核を担う商工会議所や商工会も、会員の減少や市町村合併により弱体化していると感じております。今後、県として商工会議所や商工会への支援も必要と思いますが、その辺はいかがでしょうか。
〇保副知事 今のお話については、岩手県商工会議所連合会や岩手県商工会連合会からもたびたび県に対して要請をいただいております。そのことは私どもも十分承知しておりますので、とにかく弱体化したということにならないように努めてまいります。
〇城内よしひこ委員 これもまた時間との勝負ですので、スピード感を持って対応していただきたいと思います。
次に、釜石港のガントリークレーンについてであります。
県では、これまで久慈、宮古、釜石、大船渡と四つの重要港湾をつくり上げ、それぞれの特色を生かしながら港湾を海の物流拠点として育ててきました。このことは大いに評価をするところであります。
昨年9月には、釜石港にガントリークレーンを設置し、同港でのコンテナ取扱量が震災前を上回るなど、明るいニュースも報道されています。ガントリークレーンは、震災を機に大阪府から支援を受けて設置したものであり、その支援に応える上でも、さらに活用が進むことを期待するものであります。
昨年度のガントリークレーンによるコンテナ取扱量の実績と計画に対する達成度をお示しください。さらなる活用に向けどのように取り組んでいくか、あわせてお伺いしたいと思います。
〇保副知事 釜石港のガントリークレーンについて、まず、その実績ですが、統計が暦年になっておりますので暦年ベースでございます。平成29年の釜石港におけるコンテナの取扱量は、実際に貨物が入っている、いわゆる実入りコンテナの取扱量の統計でございますが、ガントリークレーンの供用開始前の1月から9月までの9カ月間で1、803TEUでした。供用開始後の10月から12月までの3カ月間が642TEUでございまして、合計で2、445TEUとなっております。
目標値もございまして、いわて県民計画の第3期アクションプランにおきましては、県全体で平成29年の目標値を2、800TEUとしており、このうち釜石港の分が約1、600TEUとなっております。したがいまして、実績と目標値を比較いたしますと約1.5倍の達成率となっております。
また、平成30年に入りまして1月から8月までの取扱実績は、既に昨年の年間実績の約1.4倍の3、465TEUに達しておりまして、順調に伸びている状況です。
これにあぐらをかかないで、コンテナ取扱量を強くアピールをしていきたいと思いますので、今後とも力を入れてまいります。
〇城内よしひこ委員 次に、6月に定期運航が開始された宮古─室蘭フェリーは、今回の北海道胆振東部地震でも、被災地に派遣される救援部隊や支援物資の輸送ルートとして大きな存在感を示しています。一方で、これだけ車が集まったのは6月22日の開設のとき以来だという地元の方のコメントが報道されたように、ふだんの乗客や貨物取扱量は期待どおりではないのが現状です。
宮古─室蘭フェリーは岩手県初の定期航路であり、これから長く県民の足として定着していくことが望まれますが、これまでの乗船実績と今後の振興策をお伺いします。
〇保副知事 宮古─室蘭フェリーについてでございますけれども、6月22日の航路開設以来、8月末までの間に運航された126便の実績を申し上げますと、宮古発では、旅客が計3、751人、トラックが219台、乗用車が843台、また、室蘭発では、旅客が7、013人、トラックが402台、乗用車が1、622台という利用実績でございました。
これを1便当たりの平均利用数で申し上げますと、宮古発では、旅客が約60人、トラックが約3台、乗用車が約13台、室蘭発では、旅客が約111人、トラックが約6台、乗用車が約26台となっております。委員からお話があったとおり、当初の目論見どおりとはなっておらず、トラックの利用拡大が大きな課題だと認識しております。
現状におきましては、三陸沿岸道路が部分開通にとどまっておりますことや、八戸港にも同じようなフェリーがあるわけでございますけれども、首都圏等へのトラック輸送に関して、時間的なメリットが八戸港に比べてまだ小さいということもございます。
ただ、末永く定着を望むという委員のご指摘はもちろんそのとおりでございますので、県としては、道路の完成を待っているのではなくて、さまざまな機会を捉えて積極的にPRをすることで、利用拡大にしっかり取り組んでまいります。
〇城内よしひこ委員 宮古─室蘭フェリーのダイヤの減便と航路の変更が発表されました。これはまさに経済活動ですので、しっかりとした対応、支援策をお願いしたいと思います。
次に、三陸鉄道の利用促進についてお伺いします。
三陸鉄道株式会社へのJR山田線の経営移管に伴いJRから30億円の移管協力金が交付され、運賃の調整や設備更新などに使われることになっていますが、最長で20年の交付であり、資金には限りがあります。
三陸鉄道は2年連続で赤字となり、経営は非常に厳しいものの、この20年で三陸鉄道の運営を軌道に乗せ、復興後の県民の足として定着させていくことが必要と考えます。
人口減少で利用客の減少が避けられない中、どのように三陸鉄道の利用促進を進めていくかお伺いします。
〇達増知事 来年3月に予定しているJR山田線の三陸鉄道への移管による一貫経営のメリットを生かして、久慈─盛間の直通運転や復興まちづくりに合わせた新駅の整備、通学、通勤などの地域ニーズに合わせた柔軟なダイヤ編成等により、三陸鉄道を沿岸住民の足として定着させてまいります。
また、観光利用については、全線を通じて乗車できる企画列車、観光商品の造成を図りますほか、三陸沿岸道路等の整備に伴うアクセス改善により、盛岡、八戸、仙台圏等の国内観光需要を取り込むとともに、いわて花巻空港への台湾定期便の就航を活用したインバウンドによる三陸地域への誘客などにより、三陸鉄道の利用促進に取り組んでまいります。
さらに、移管開業に合わせて来年6月から開催する三陸防災復興プロジェクト2019などを契機に、沿線地域のマイレール意識の醸成と地域一体となった利用促進の動きを加速させ、県及び関係市町村が一体となって三陸鉄道の運営を将来にわたって支えてまいります。
〇城内よしひこ委員 沿岸部では、かつてないスピードで三陸沿岸道路が整備され、三陸鉄道の全線開通を間近に控えるなど、交通体系が大きく変わろうとしています。
一方、先ほども申し上げましたが、沿岸部では人口減少が危機的な状況にあり、交通網がストロー効果を起こし、人口の流出を招くようでは元も子もありません。この機をどう生かしていくかは、ひとえに政策次第とも考えられます。
県は、こうした交通網の展開を次期総合計画の中でどう位置づけ、沿岸部の振興につなげていこうとしているのかお伺いします。
〇達増知事 復興道路や三陸鉄道など新たな交通ネットワークの整備を踏まえ、次期総合計画長期ビジョンの中間案におきまして東日本大震災津波からの復興を明確に位置づけ、新たな交通ネットワークを生かした産業振興や誘客の促進など、三陸のよりよい復興の実現に向けて、引き続き取り組むこととしております。
また、県北・沿岸振興を引き続き重要な課題として位置づけ、新たな時代を切り拓くプロジェクトの一つとして、三陸防災復興ゾーンプロジェクトを検討しているところであります。
この中では、復興道路やフェリー航路、三陸鉄道など新たな交通ネットワークを生かした地域経済の好循環を拡大する取り組み、三陸の魅力的な自然環境を活用したスポーツツーリズムの推進による交流の活性化など、交通ネットワークの整備による環境変化を踏まえた具体的な取り組み内容について検討しているところであります。
〇城内よしひこ委員 次に、三陸沿岸道路が完成すると沿岸北部から沿岸南部まで2時間で移動が可能となり、利便性は一気に向上しますが、一方で、三陸鉄道とどのように共存していくかということが新たな課題になると思われます。
仮に高速バスが三陸沿岸道路を走ることを想定すると、各地の道の駅を発着地に、沿線住民は、三陸鉄道よりも短時間で移動することができることになります。
大量輸送の利便性や時刻の正確性など、三陸鉄道としては、鉄道ならではの長所を生かしながら利用客へのサービス向上を図っていくことが必要と考えますが、県として、三陸鉄道と三陸沿岸道路との共存をどのように図っていくかお伺いします。
〇白水政策地域部長 三陸沿岸道路の整備につきましては、内陸からの横断道の整備とあわせ、新幹線の停車駅やいわて花巻空港から、また、仙台市や八戸市から沿岸地域までのアクセスを改善し、観光客の沿岸地域における滞在時間の拡大にもつながることから、これを好機と捉え、三陸鉄道の利用拡大に結びつけていくことが重要と考えております。
また、来年3月からの三陸鉄道の一貫運行経営によりまして、同鉄道に県内外の注目が集まる機会を生かしまして、県と関係市町村で構成いたします三陸鉄道強化促進協議会などにおきまして、特色ある企画列車の造成や国内外の旅行エージェント向けの営業を支援するとともに、三陸沿岸道路等の整備状況を踏まえつつ、台湾や仙台市、八戸市等からの入り込み客などに向けた新たな旅行商品造成などに取り組み、利用者の増加を図ってまいりたいと考えております。
また、沿線には大規模な集客が見込まれるスタジアム等の整備も進められていることから、大規模イベント開催時の利用を促進するなど、大量輸送や高い定時制という鉄道の特性を生かした利用拡大に取り組んでまいりたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 イベント等、一過性のものにとどまらないようにお願いしたいと思います。
そこで、三陸鉄道の利便性をさらに伸ばしていく手法として急行列車の導入が有効ではないかと思われますが、急行列車の導入については、昨年、予算特別委員会で岩崎委員から提案がありましたが、その後の検討状況をお伺いしたいと思います。
〇白水政策地域部長 JR山田線の移管に伴います久慈─盛間の一貫運行経営に向け、現在、三陸鉄道におきましてダイヤの検討を進めているところと承知しております。
委員から御質問いただきました急行列車につきましては、速達性の向上により主に観光利用者の利便性向上が図られ、その有効性を認識しておりますけれども、一方で、沿線住民の通院や通学等の日常生活の足としての役割、利便性をも考慮する必要があると考えております。
近距離利用が主となる沿線住民の方にとりましては、もともと列車の間隔が1時間から1時間半に1本と運行本数が限られている中、急行列車の導入により最寄り駅が通過駅となり、さらに列車の間隔が開くことで利便性を低下させる懸念がございます。三陸鉄道からは、来年3月の一貫運行経営開始時点においては、急行列車の導入を見送る方向ですが、その後の利用状況や利用者の声等を踏まえて、引き続き検討していく予定と聞いております。
〇城内よしひこ委員 ぜひ前向きに検討してほしいと思います。
次に、水産業振興について伺います。
本県沿岸部の主要産業である水産業は、震災後、漁港や水産加工施設の復旧が進んできた一方、就業者数の減少や高齢化の進行、主要魚種であるサケ、サンマ、スルメイカの不漁が続くなど、依然として厳しい状況にあります。
このような中、国においては、昨年、新規就業者の育成、確保や資源管理の基本的な方向性を盛り込んだ新たな水産基本計画を策定しました。
計画では、生産性の向上と所得の増大による漁業の成長産業化を図ることなどが示されていますが、県では、国の計画の方向性を踏まえ、本県の水産振興に生かしていく取り組みをどう進めていくお考えか、お伺いしたいと思います。
〇保副知事 現在、本県の水産業が非常に厳しいことは十分承知しているつもりでございます。御紹介がありました国の新たな水産基本計画でございますけれども、しっかりとした産業としての生産性の向上と所得の増大や、水産資源とそれを育む漁場環境の適切な保全、管理などが基本方針として策定されております。
県といたしましては、東日本大震災津波を契機として漁獲量、漁業生産量や漁業経営体数が非常に落ちてきていることを踏まえて、生産性や市場性の高い産地づくりや、次代を担う意欲ある新規就業者の確保、育成、水産資源の維持、持続的利用に取り組んでおります。
これは、言ってみれば国の考え方とも全く同じ方向でございまして、今後、しっかりこの計画を踏まえながら国と一緒にやっていくことになると思っております。
また、県の取り組みは、今後、新しい次期総合計画の長期ビジョン中間案やアクションプランなどにもしっかり盛り込んでおり、引き続きしっかり取り組みまして、水産業を一層振興してまいりたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 国の漁業センサスによると、本県の漁業就業者数は6、289人で、前回調査の約6割まで減少しています。県では、この原因をどのように分析しているのでしょうか。
国の新たな水産基本計画では、漁業者の確保に向け、労働環境の整備と安定的な所得の提供が必要との見解が示されています。県では、岩手県漁業担い手育成ビジョンのもと、市町村や漁協など関係機関と連携してさまざまな担い手対策を推進しているものと思いますが、漁業者の労働環境や安定収入の確保等について、どのような対応が必要と考えられているのか伺います。
来年には、(仮称)いわて水産アカデミーを開講するとのことですが、アカデミーで確保できる人材は数名程度と、非常に限られたものになると思われます。水産高校から水産業への就業促進も含め、総合的な担い手確保の取り組みについて伺います。
〇保副知事 担い手の問題でございますけれども、漁業につく方が減少している原因につきましては、やはり東日本大震災津波の影響によりまして、高齢者であったり、それまで兼業で漁業をやられていた方々が廃業したことが主な原因と考えております。
そこで、労働環境や安定収入の確保の面で、漁業生産の共同化や協業化、省力化機器の導入やICT技術の導入によりますスマート漁業の推進を図る取り組みを進めております。
また、意欲ある漁業者の生産規模の拡大も大事でございまして、収益性の高い漁業者をモデルとした生産方法の普及指導、漁業協同組合の自営養殖の推進などによりまして、安定収入の確保に取り組んでまいります。
それから、担い手確保につきましては、今、委員からも御紹介がありましたとおり、来年度から、(仮称)いわて水産アカデミーを発足させるということで、岩手県漁業担い手育成ビジョンに基づいて、市町村ごとに設置している新規漁業就業者育成協議会と連携しながら、幅広く担い手対策を推進してまいります。
平成26年度から平成29年度までの4年間に、現計画での目標数を190人としておりましたが、211人の方が新たに就業し、この中には水産高校等の卒業生も33人含まれております。
今後、この(仮称)水産アカデミーをしっかり立ち上げて、新しい漁業者を育てていくことに注力していきたいと思います。また、幅広く新規参入できるように、県ばかりではなく、市町村や漁協においてもしっかり取り組んでいくことが必要だと思いますので、関係者が一丸となって取り組んでまいります。
〇城内よしひこ委員 水産業は裾野の広い産業であります。そして、新たな担い手となる方々は、漁業権や設備投資も含めて大変な思いをして参入するわけでありますので、しっかりとした支援策が必要になると思います。そういったことが先ほどのお話の中にはなかなか見えてこないのですけれども、その辺のお考えはいかがでしょうか。
〇保副知事 新しく漁業を始める方は、さまざまな設備や機材等あるいは漁船なども一式そろえる必要があるかもしれませんけれども、そういったことについては、支援のメニューがさまざまございますし、(仮称)いわて水産アカデミー等で勉強している間の給付といったものも考えていきながら、その辺もしっかり考えていきたいと思います。
〇城内よしひこ委員 鳴り物入りで(仮称)いわて水産アカデミーが開講されるわけでありますので、そこに期待する漁業関係者の方はたくさんいます。先ほど裾野が広いという話もしましたけれども、とれたものを加工する側も、物が上がってこないと商売にならない、仕事にならないということで、期待感を持っていますので、ぜひその辺もしっかりと支援をしていっていただきたい。また、離職する方がないように、追跡も含めて、卒業したら終わりということのないように支援策を講じてほしいと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
〇保副知事 将来、せっかく(仮称)いわて水産アカデミー等を卒業してさまざまな形で漁業に希望を見出して、漁業を志した方が、途中でやめてしまうのは非常に残念なことでございます。地元にとってもこれは大きな痛手になると思いますので、県としてもさまざま支援を行います。また、受け入れる側がしっかりサポートしたりフォローしたりしていくことも大事だということで、関係者間で共通の認識を持ちながら、取り組みを進めていきたいと思います。
〇城内よしひこ委員 最後に知事にお伺いします。
知事は、毎年のように金色の風の田植えだったり、稲刈りであったり、コンバインに乗ったりされており、その姿をテレビで見るわけであります。しかし、漁業の分野で、定置網を体験する、例えばかっぱを着て船に乗ったりする姿を私は見たことがないのですが、これまで経験をされたことがあるのでしょうか、お伺いします。
〇達増知事 衆議院議員時代に、網起こしの現場体験で定置網漁船に乗せていただいたことがありまして、記憶だと、夜中の2時に集合し、3時ごろ出発して、夜明け前には帰ってくるというような作業を見せていただきました。
〇城内よしひこ委員 そういう過酷な、農業も過酷ではありますが、漁業も、夜中に出て、寒い中、網揚げをしたりするわけであります。せっかくですからぜひ、そういったことを知事の立場で情報発信をする。そのことが岩手の水産業は頑張っているのだというイメージにつながるのではないかと私は思いますが、そういったことをお考えではないかお伺いしたいと思います。
〇達増知事 水産関係の作業は早朝に行われることが多いので、マスコミによる取材の方法なども工夫する必要があると考えますけれども、岩手の水産業は沿岸地域の基幹産業でもあり、東日本大震災津波からの復興を県内外に発信することが大事でありますので、岩手の水産業の魅力を積極的にPRしていきたいと思います。
〇城内よしひこ委員 おいしいウニを食べている姿の写真で発信するだけではなくて、やっぱりねじり鉢巻をして、一緒にみんなと頑張っている姿を情報発信すれば、私は、おっ、やってみようかという若者がまだまだ出てくると思うのですが、知事の得意の分野での情報発信を含めてお考えはないものか、再度お伺いしておきます。
〇達増知事 最初に例として出された定置網漁船の網起こしの作業は、全体の指揮をとる漁協の組合長の隣で、船のブリッジで指揮をとりながらかじをとるところを見せていただいて、そこが一番全体が見えるし何が起きているかもわかるのですけれども、そこにテレビカメラがいたりとか新聞記者の人が撮影するというのは想像しにくい状況ではあるのです。ただ、やはりPRは大事だと思いますので、いろいろ工夫していきたいと思います。
〇城内よしひこ委員 マスコミにも知事は多分友達はたくさんいると思いますので、マスコミの方々を引き連れて、船を仕立てろと言えば、多分漁協の方々は別船で仕立てると思いますので、ぜひそういったPRをしてほしいと思います。それが岩手の漁業の元気にもつながると思いますので、お願いをして、終わります。(拍手)
〇名須川晋委員長 次に、千葉絢子委員。
〔千葉絢子委員質問者席に着く〕(拍手)
〇千葉絢子委員 いわて県民クラブの千葉絢子です。会派を代表して総括質疑をさせていただきます。
まず、昨年度の歳入における県税収入のうち、県民税は419億4、400万円余で前年度2.9%の伸びを見せています。一方で、県税のうち県民税の次に大きな割合を占める法人事業税は、昨年度5.8%マイナスの268億2、900万円余となっています。
法人事業税が減少した要因と今後の見通しについて、まずお伺いいたします。
〇佐藤企画理事兼総務部長 法人事業税の減少要因についてでございますが、これは、平成28年度税制改正におきまして、外形課税部分の税率引き上げが行われた一方で、所得課税部分の税率引き下げが行われたことが挙げられます。増収、減収両方の要素がございますが、本県では、この所得課税の税率引き下げの影響が大きかったことから減収となったものでございます。
次に、今後の法人事業税の税収の見通しについてでございますが、将来的な収益環境を予測することは難しいところでございますが、平成30年度当初予算におきましては、企業収益の伸びにより増収を見込んでいるところでございます。
〇千葉絢子委員 今後は増収を見込んでいるということでございました。
人口減少と高齢化の中で持続可能な財政構造を構築していくためには、地方一般財源総額の確保はもちろんですけれども、自主財源を確保していかなくてはいけないと思っております。
知事は、その一つの方法が、企業誘致を初めとした産業振興による税源涵養であると6月定例会で答弁されていますけれども、岩手県の企業誘致はどの分野に力を入れているのか、また、それによる地域の産業振興、相乗効果として期待される部分についての方針を改めてお聞かせください。
〇達増知事 県ではこれまで、自動車、半導体など、国際競争力が高く、経済成長の牽引役となるものづくり産業の発展を目指すとともに、それぞれの地域の資源や特性を生かした産業振興を図るため、ものづくり分野を中心に、企業誘致と地場企業振興の両面から取り組んでまいりました。
その結果、北上川流域地域においては、東芝メモリの新工場建設やデンソー岩手の大規模増設などを契機として、ものづくり産業の集積が一層加速し、地場企業の新規参入や取引拡大といった好循環が生まれてきているところであります。
また、県北・沿岸地域におきましても、自動車、半導体関連産業への新規参入、取引拡大や、また、地域資源を生かした産業の活性化、高付加価値化の動きが見られるところであります。
今後におきましても、県全体として既存の産業集積や地域の資源、特性を生かした企業誘致を推進しますとともに、地場企業の生産性や技術力の向上を支援して、設計、開発から量産までを担う企業群の形成を目指してまいります。
〇千葉絢子委員 企業誘致は、一方で地元の企業の人手不足を助長してしまうといった側面も心配されているところであります。そのうち自動車、半導体関連を初めとするものづくり産業の集積について、次はお伺いしたいと思います。
県南地域では、今年度から5年間で5、000人の雇用を創出する見込みだということを伺いました。決算書に附属している主要施策の成果に関する説明書におきまして、県の政策項目のまさに筆頭項目である国際競争力の高いものづくり産業の振興の1番目の目指す姿指標に、県が力を入れているものづくり関連分野の製造出荷額が掲げられています。
過去を振り返ってみますと、平成27年度決算審議で達成度はDとなっておりました。この要因については、震災後拡大を続けていた国内自動車需要台数が前年比マイナスに転じたなどのため、つまり外的な要因によるものが理由であると書かれておりました。
しかし、目標を達成するための具体的な推進方策指標に関しましては、六つの指標はいずれも達成度がAであったと記憶しております。
私はこの点について、去年2月の予算特別委員会での政策地域部の部局別審査において、この指標の矛盾について、外的要因を理由にして、目標を達成できなくても、県の取り組みとしては具体的方策を確実にやっているので事業の評価は満点ですといったような逃げ道になっていないかと指摘をさせていただきました。
この指標の不一致の疑問につきまして、先ほど佐々木朋和委員の御質問にもお答えになっていたようですけれども、私は、やはりその疑問が解消されておりません。改めて、その指標設定の考え方についてお伺いしたいと思います。
〇保副知事 政策との関係がありますので、私からお答えいたします。
午前中の佐々木朋和委員の総括質疑中でもお話がありましたけれども、みんなで目指す指標のうち国際競争力の高いものづくり産業の振興については工業出荷額としております。確かに、最新の報告書ではデータが出ていないということで表記がバーになっていますが、過去2年では達成度がDになっております。一方、主に県の取り組みを図るための具体的な推進方策の指標につきましては、県としてはいろいろ取り組みをして頑張っているということで達成度がAとなっているわけであります。
午前中の議論の中でもございましたとおり、二つとも性格が違うものであり、それぞれの性格は県の取り組みがうまくいっているか、果たして全体的にどれだけ寄与できているか、影響を与えることができるかについての指標と言えると思います。特に、ものづくり関係の経済分野の指標におきましては、例えば工業出荷額は民間がどれだけ生産したかということでございますが、県がさまざまな取り組みをやったとしても、例えばリーマンショックのような世界的な大きな不況といったさまざまな外的な要因によって、額が伸びないということは、ままあることではないかと考えております。
委員御指摘のとおり、外的な要因だからしようがないのだという形で結論づけていいかどうか、果たして私たちの取り組みが本当に効果を上げているかどうか、この評価制度の中で、指標の動きとの関係でよくよく自省しながら分析する態度が必要でございます。最終的には、12月に評価結果の報告書をまとめる際に、県として十分考えていくことになると思います。
したがって、例えば目指す姿指標が全てA評価で取り組みもA評価だから全てよしとするかというと、仮にそういう結果になっているとしても、果たして本当に県の取り組みがきいた結果なのかということについては、我々としてもよくチェックする必要があります。いろいろなケースがありますけれども、そういう意味では、この評価制度は、私たちが政策を考える上での大事な一つのツールであり、これをどう生かすかが私たちには課せられているものでございます。ここは、十分に検討しながら制度を運用していくことになるということでございます。
〇千葉絢子委員 この目指す姿が実現されるかどうかは、もちろん県だけの取り組みによるものではなくて、民間だったり、NPOだったり、県民だったり、そういったさまざまな主体が協力し合うことによって、この県民計画をつくり上げていく、そして仕上げていくのだというような考え方は、もちろんそのとおりだと思っております。
ただ、この項目は、県民計画においては、政策項目のナンバー1になっているわけです。アクションプランの中でも真っ先に掲げられているもので、岩手県が進める自動車、半導体関連の産業集積の成果をあらわすものとして掲げられているものですから、この指標が持つ意味は、非常に重要なものがあると私は感じております。
これに関連してですけれども、平成28年度決算審査において同じ指標を見てみますと、製造品出荷額は前年度の目標値よりもさらに210億円多い1兆5、650億円を目標値に掲げていましたが、実績は、調査結果が公表されていないため、やはり測定できなかったとあり、達成度についても、決算資料においては表記はありませんでした。
ただいま審査されている昨年度決算においての資料を見ますと、昨年度についても、調査結果が公表されていないためという理由で製造品出荷額の記載がなく、判断の材料がありません。
一方で、平成28年度決算においての達成度はDであるということがこの欄に記載されているわけですけれども、この達成度を判定すべき実際の製造品出荷額はどうだったか。同じ資料の186ページに1兆5、510億円という記載がありました。こちらは目標には150億円届かなかったようですが、これは何が要因だったのか、分析結果もお示しいただければと思います。
〇保副知事 今手元にその関係のデータ等がございませんので、大変申しわけありませんが、どのように分析しているかということにつきましては、後で答弁させていただきたいと思います。
〇千葉絢子委員 やはり達成度に関しましては平成28年度がD、平成28年度の製造品出荷額は186ページに載っていますが、去年の決算審査の場においては、その数値と原因が示されなかったわけです。ただ、製造品出荷額は経年で見ていくことになると思いますので、そういった分析の結果は、いずれの段階かでお示しいただかなくてはいけないと思っております。
〇保副知事 具体的な分析の結果は手元にないのですが、補足させていただきますと、現在達成度の欄にAかBかCかDかという判定が入っていないわけであります。これは、9月定例会の時期にはまだ最新のデータが出てこなくて間に合わないということです。昨年度は、最終的に政策評価の結果を取りまとめる12月の報告書の段階において、改めて判定いたしまして、その結果、達成度がDとなっていると承知しております。
手元にそのときの判定のデータがございませんので、後で御報告をしたいと思います。
〇千葉絢子委員 私がこういう質問をした背景には、自動車や半導体の出荷額が思うように伸びていないことがあり、今後成長していく産業とこのまま捉えていいのかということをお聞きしたかったわけです。
今後の見通しについては、どのようなお考えでいらっしゃいますでしょうか。
〇保副知事 本当にそうなるのかというとなかなか難しいわけですけれども、例えば、きょうニュースになっておりましたが、自動車関連では、トヨタ自動車株式会社のヴィッツという車種を岩手工場が中心になってまた生産を始めるという話もございます。
それから、半導体関連でも、東芝メモリの工場等の投資が今後も見込まれるとというような情勢については、我々がふだん企業の皆様とおつき合いをしていて大体つかんでいるということもございます。
一方、例えば、ソサエティ5.0とかいわれておりますけれども、自動車の自動運転ですとか、さらにインターネットの速度がアップするですとか、そういった今後の社会が描かれています。半導体とか自動車がこれからもますます高度化し、あるいは使われていくといった総合的なところを判断して、将来とも岩手を支える屋台骨の産業になるだろうと考えております。
〇千葉絢子委員 私は、もしかすると県が進めているものづくり関連産業を中心とした企業誘致ですとか産業振興策は、うまくいっていない可能性があるのではないかと指摘をさせていただきたいと思います。
例えば、この資料の12ページにありますものづくり人材の育成について伺いますけれども、地域ものづくりネットワーク等と連携した工場見学への参加高校生数は、目標値をおよそ680人上回る1、879人で、達成度は3年連続Aとなっているのですね。しかし、40ページの高卒者の県内就職率は、平成27年度及び平成29年度は目標を下回っております。さらに、県立大学卒業生の県内就職率に至っては、目標値を4ポイント下回る46.4%で、達成度は3年連続Dとなっています。これは、ものづくりを進めたい県と県内就職を希望する学生、高校生たちのニーズが合っていないということを示すに十分なデータではないでしょうか。
県内に就職を希望する学生のニーズと県が進めている産業政策のミスマッチが生じているのではないかと考えられるのですが、これについてはどのように分析しているか伺います。
〇保副知事 県の活動を捉える指標がさまざまあるわけですけれども、今の御指摘は、工場見学はたくさんいるのだけれども、結局そういう人たちが、見学した結果、県内の会社に就職していないのではないかということであろうと思います。
確かに、そこをびたっと合わせていくのはなかなか難しいわけですけれども、県内では、近年ものづくり産業におけます求人が急激にふえている状況にございます。県もさまざまな対応をしているわけでございますが、ものづくり産業といえども、かつてのようなラインで働くことだけではない、非常に多様な職場がございます。
また、大規模な企業が立地することに伴いまして、それに付随するさまざまなサービスとか、あるいはそこで住む方々、工場で働く方々に対するサービスとか、そういった形で職場はふえてきているわけですけれども、まだ高校生や大学生の意識に十分浸透していない。今までどおり、どうしても、まず最初に東京都とかの県外の企業に就職すると考えてしまうといったことがあるので、県内にも就職するすばらしい場所がある、職場があるということを浸透させていきたいと考えております。
これには、そういった意識を変えていくことが必要でございます。例えば進路指導担当の先生ですとか、あるいは親御さんの意識の持ちようを変えていきたいと思いますが、時間がかかると考えておりまして、そういった取り組みをやった時期と、成果があらわれてくる間の時間的なギャップがあるのではないかと分析しております。
〇千葉絢子委員 40ページの下のほうにある特記事項には、ことし4月時点の県内の有効求人倍率が1.45倍と高い水準で人手不足が深刻化している。職種によって求職者の希望する求人が少ないなどのミスマッチが生じているとあります。
新規学卒者のニーズと県の誘致企業の方針は、本当に必要な雇用を生み出し、生産性を高め、税源を涵養していくという目的と合致しているでしょうか。もし合致していないのならば、若者の県外流出をとどめるためには何か解決策を考える必要があると思うのですけれども、それについて次期総合計画も含めた戦略的な取り組みは考えていらっしゃいますか。
〇保副知事 学生のニーズについてでございますけれども、今のところは、依然として就職時に県外に流出している数が、高校生、大学生の段階で2、000人にも上っています。何とかこの流出をとどめることが、ひいては県内での企業の方々の求人にも応えることになるということで、とにかく力を入れて、県内で就職し、仕事について、豊かな暮らしができることを示していくといった取り組みをしていきたいと考えております。
誘致をする際には、県としては、できるだけ多様な職場を常に意識しているわけでございますけれども、目下の課題としては、半導体関係の立ち上げ、あるいは自動車の集積ということがあります。途中で手を抜くと、後々には大きな痛手になることがありますから、これに万全を期すということは考えていく必要があると思います。そういったことに取り組んでいきたいということでございます。
〇千葉絢子委員 これに関連して知事にお伺いいたします。通告はしていないのですが、先日、北上市に来年完成する東芝メモリでの採用状況が不調であるという報道がありました。報道によると、東芝メモリでは、来年春に卒業する大学生と高校生など合わせて510人の採用を計画しているということですが、大卒者は170人の募集に対し3割程度の採用にとどまる見通しとのことです。このため、先月から始まった高校生への募集枠を200人から1.5倍の290人に拡大するなど、大幅な採用計画の見直しを進めているという報道がNHKでありました。
また、けさの新聞報道によると、きのう50人の内定式が行われたということですが、やはりこれは170人募集に対して50人の応募にとどまったということだと思います。
企業の立地を求め、そして誘致してきた県としては、この採用状況の不調についてどのように考え、どう対応していくのでしょうか。
また、知事としては、岩手県での人材確保に期待して立地を進めてきた企業のことや県の人材育成の方針について考えると、どのようにお考えか伺いたいと思います。
〇達増知事 東芝メモリのような世界最先端の工場は、東芝メモリとしては工場という言葉は使わず、生産拠点という言葉を使うぐらい、もう工場離れした工場ですが、岩手の若い人たちが、条件がよければ自宅から通うことができる、自宅、実家から離れなくてもそこで働くことができるというのは、非常に恵まれたことだと思っております。
一方で、まだ工場が完成していない、工場の中も見ることができない中でそこに就職することを決めるのは、かなり思い切ったことでもあり、やはり情報を伝えていくことが大事だと思っております。
東芝とかトヨタという会社の名前は聞いたことがあっても、それがいかに日本経済の中で隔絶した位置にあるか、世界経済の中で重要な位置にあるかということがなかなか理解されていないのではないかと思います。さらに、デンソーやアイシンという会社については、これも日本を代表する世界有数の超優良企業なのですけれども、子供たち、さらには学校の先生や家庭の人たちは、名前がわからない、ぴんと来ないというような話も聞きます。
そういう意味で、岩手にある、そして、これからつくられる働く場所について、地元の皆さんに理解していただくことが重要だと考えております。
〇千葉絢子委員 岩手県の将来を考えますと、やはり自動車とか半導体というのは、それこそ外的な要因に左右されかねない産業であると私は考えております。
岩手県は、これまで数百年続いてきた農業にも力を入れなければいけないと私は思うのですけれども、先ほど佐々木朋和委員の質問で、いわて県民計画、岩手県東日本大震災津波復興計画、それから、岩手県ふるさと振興総合戦略の中で進捗をお伺いする質問があったわけですが、それについて知事からは農業などへの言及がありませんでした。この農業の振興などについてはどのように考えていらっしゃるでしょうか。
〇達増知事 これは、今の総合計画もそうですし、次期総合計画長期ビジョン中間案もそうでありますけれども、とにかく、ありとあらゆる働く場を確保し、また、発展させていこうということで取り組んでおり、その中では、農林水産業は非常に大事な柱として県としても取り組んでいるところであります。
最近では、スマート農業という形で、先端的情報通信技術も駆使できるということを若い皆さんに伝えようとしていますし、林業ではいわて林業アカデミー、水産業では(仮称)いわて水産アカデミーをつくって、その分野で働いて、そして、より自己実現できるように県としても取り組んでいるところであります。
〇千葉絢子委員 平成30年県の施策に関する県民意識調査によりますと、農林水産業の担い手確保のニーズ度は第3位に上がっているわけですね。ものづくり産業の振興よりも高いニーズ度になっているわけです。ですので、やはり知事がこれまでの計画に対しての進捗をお話しになる際に、農林水産業に触れないのは非常に不自然であるなと私は感じた次第です。
先ほどの東芝メモリの話にも関連しますけれども、恐らく県内の学校を卒業して就職を希望する人たちは、大きな工場で3交代制などで働くことをもしかしたらイメージできない、望んでいないのではないかと考えるわけです。単なる大企業志向ではない学生たちのニーズを聞いた上での産業振興、それがあらゆる働く場を提供していくことにつながっていくのではないかと思うのです。
また、自動車の輸出に関しては、アメリカや中国などの経済政策にも大きく左右されるものと理解しておりまして、最近では、自動車の関税がさらに25%引き上げになるというような話も現実味を帯びて報道されたところであります。
ですから、こういった世界の動きにも順応できるように、やはり足元から続いてきた農業を含めた産業の振興、それから、後継者育成にも来年度以降、政策や予算をつけていく必要があると思いますので、検討をお願いいたします。
次に、女性の雇用拡大についてもお伺いいたします。
平成27年度の国勢調査によると、20代から30代の男女の人口において、女性が5、380人少ないことがわかっています。これは、6月定例会での商工労働観光部長の答弁では進学、就職期の社会減によるものと分析されているわけです。また、自動車関連産業の一番の大口雇用者であるトヨタ自動車東日本株式会社金ケ崎工場においては、2、500人もの従業員に占める女性の割合がわずか3%であると、6月定例会での私の一般質問でもお示しいたしました。
女性の採用を抑えているのか、そもそも女性がそういった産業を望まないのか、そのあたりを分析しなくては、結婚や妊娠、出産適齢期の20代、30代の女性を県内にとどめられないばかりか、そもそも男女の出会いの機会さえ阻害され、それゆえ、さらに少子化が進んでいくのではないかと心配しているのですが、女性の若い労働者を県内につなぎとめるには、どのような産業の育成や誘致に努める必要があると考えていらっしゃるでしょうか。
〇達増知事 トヨタ自動車に言及されましたけれども、社内託児所を創設したところにも見られるように、女性が活躍する職場づくりについては、全国的にも先進的な取り組みをしている会社でございます。
さて、本県においては、ものづくり産業を初め農林水産業、また建設業や福祉等のさまざまな産業分野において女性が活躍しておりまして、今後、より一層女性が持てる能力を発揮できるよう、それぞれの分野で働きやすい職場環境づくりが重要と認識しております。
県では、いわてで働こう推進協議会を核として、働き方改革による女性が働きやすい職場環境づくりを進めるとともに、いわて女性の活躍促進連携会議を設置して、女性の就業促進などの取り組みを進めています。
今後も、さまざまな産業分野において女性が活躍していることや、働きやすい職場環境づくりに取り組んでいる企業の状況等を、学生を含む若年層の女性に向けてきめ細かく発信して、女性の人材定着につながるよう取り組んでまいります。
〇千葉絢子委員 次期総合計画におけるアクションプランにも、ぜひ若者の、そして、何より女性の県内就職や定着を進めるための方策を本気で考えて盛り込んでいただきたいと思っております。
知事は、2020年の社会減ゼロを掲げていらっしゃいますけれども、この数字は果たして達成が可能なのでしょうか。現時点での状況をお伺いいたします。
〇達増知事 いわてふるさと振興総合戦略、長期ビジョンで掲げた目標でありますけれども、国のまち・ひと・しごと創生長期ビジョン、総合戦略において、東京圏への人口流入は、今は10万人から12万人にふえているところですが、これをゼロにすることとしており、これに対応するような形で岩手県も努力しているところであります。
国も新たな内閣を組閣して女性の地方創生大臣が誕生するようでございますし、そういった国のさらなる地方創生政策の展開とも呼応しながら、岩手県においてもしっかり努力してまいりたいと思います。
〇千葉絢子委員 若者や女性の流出について、本当に今具体的な行動を起こさなければ、現在の4、490人という社会減の数字を考えると達成は困難であるのではないかと感じています。
この数字は誰が達成するもので、万が一、達成できなかったら、それは誰かがその責任を負うことになるんでしょうか。
〇達増知事 国のまち・ひと・しごと創生法にはそれぞれ書かれていないわけでありますけれども、これだけ国を挙げて、政府、そして全国の都道府県、市町村、あらゆる自治体がビジョンをつくり、そして、総合戦略をつくって5カ年計画として取り組んでいることであります。行政は、まずはその成功のために最後の最後まで頑張らなければならないですし、民間のおよそあらゆる主体に対して、それぞれ国、都道府県、市町村が呼びかけ、また、働きかけているところでもございますので、日本国民一億総活躍という趣旨の中で実現されていくべきものと考えます。
〇千葉絢子委員 ただ、この2020年の社会減ゼロというのは、知事がおっしゃって、私も含め、それが本当に達成できるのかとみんなびっくりして聞いた覚えがあるものですから、それを知事が達成するということをおっしゃった以上、やはりそれを達成するための責任は、今のところ知事にも十分におありになるのではないかと私は指摘を申し上げたいと思います。
次に、時間の関係で最後になりますけれども、三陸防災復興プロジェクト2019についてお伺いいたします。
開催まであと9カ月に迫りましたこのプロジェクトですけれども、昨年度決算においては、三陸防災復興博(仮称)準備委員会の立ち上げ並びに三陸防災復興プロジェクト2019実行委員会への改組と三陸防災復興プロジェクト2019基本計画の策定、パンフレットやポスターなどの制作費として2、050万余円が使われました。内訳はほとんどが委託費と思われますが、今定例会に提出された補正予算議案では2億3、900万円余が計上されています。事業費用は総額で4億8、000万円に上る見通しで、昨年度の準備に係る費用を含む事業費総額は5億円を優に超えるものと考えられます。
このプロジェクトの事業規模について、費用と効果の観点からどのように検討されているか伺います。
〇達増知事 平成30年3月に実行委員会で決定した基本計画の開催趣旨に掲げますとおり、復興に力強く取り組んでいる地域の姿を発信し、東日本大震災津波の記憶と教訓を伝え、さらに、三陸地域の多様な魅力を発信していくこととしております。
これは、復興の現場である沿岸市町村からの震災を風化させたくない、復興への関心も風化させたくない、そして、全国あるいは海外から現地に来てほしいという声にも応え得るものであります。
そのため、沿岸各地でシンポジウムや展示会を開催し、国内外の防災力向上に貢献できるよう、東日本大震災津波の記憶と教訓を伝え、多くの支援により復活した伝統芸能や沿岸地域のお祭りが一堂に会した祭りイベントの実施により、支援の感謝を伝え、三陸鉄道の車両や駅を活用した企画や三陸ならではの旅行商品造成など、復興の先も見据えながら、2019年に集中的に防災復興行事に取り組むとともに、そのレガシーを次期総合計画の新たな時代を切り拓くプロジェクトの一つとして検討を進めています三陸防災復興ゾーンプロジェクトにつなげ、持続的な地域振興に取り組んでまいります。
〇千葉絢子委員 開催まであと9カ月でありながら、このイベントは、被災した地域の人たちのためという視点が抜け落ちてしまっているのではないかという指摘や、県から委託されている事業の集客に不安があるが、動員を満たせなかった場合は業者の責任になることへの不安の声、イベント来場数の頭数を合わせるために県職員の動員やむなしとの声も聞こえております。
地元の人たちの生きる力につながる成果として、例えば、シンポジウムではハーバード大学など海外の著名な学者との対談をメインにしたものが考えられているようですけれども、この厳しい財政状況の中で、どのようにその成果を判断なさるのかお伺いしたいと思います。
〇達増知事 オープニングセレモニー、シンポジウム、オールいわて・祭りイベント、さんりく音楽祭等の大型のイベントに加えまして、三陸ステーションガーデンプロジェクト、三陸縦断夜行列車等、三陸鉄道関係の事業もございます。
各催事が、それぞれの地域への誘客効果や、また、その後、翌年以降も外からの人を呼び込んでいくような仕掛けをレガシーとして残していくこと、また、三陸鉄道においては三陸鉄道としての乗客数の増加や、特に新しくできる宮古─釜石間について地元のマイレール意識を定着させる効果など、効果についてさまざまな視点はあると思いますけれども、それぞれの効果をまとめながら、翌年以降の防災と復興を核にした岩手県の沿岸地方の振興に役立てていければと考えます。
〇名須川晋委員長 先ほどの千葉絢子委員の質疑に関し、保副知事から発言を求められておりますので、これを許します。
〇保副知事 先ほどの質問は、ものづくり関連分野の製造品出荷額の平成28年度の達成度がDということになっていることについて、その要因は何かということでございます。
ものづくり関連分野の製造品出荷額という指標でございますけれども、内訳は、輸送用機械─輸送用機械というのは、主に自動車でございます。それから、半導体製造装置、電子部品、デバイスが主に半導体関連です。この中で大きな部分を占めております自動車、輸送用機械について、東日本大震災津波直後の平成23年度から人気車種であるアクアの生産が開始されまして、その売り上げが非常に多かった、生産が大変に伸びたということでございます。
したがって、平成24年度のデータが大幅に増加したわけですけれども、その後、モデルチェンジなどもございまして、平成24年度の水準までその出荷額が回復していないことが、その原因と考えております。
〇名須川晋委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後3時10分 休 憩
午後3時28分再開
〇名須川晋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。次に、中平均委員。
〔中平均委員質問者席に着く〕(拍手)
〇中平均委員 創成いわての中平均です。会派を代表いたしまして、平成29年度決算総括質疑を行います。
まず初めに、平成29年度決算について伺います。
平成29年度決算について、監査意見等が出ておりますけれども、それを踏まえて、知事の所見をまずお伺いいたします。
〇達増知事 平成29年度決算に係る監査審査意見についてでありますが、平成29年度歳入歳出決算に関し、復旧、復興の推進や喫緊の課題の克服に向けて、体制面の強化や財源の確保に努めること、限られた財源の重点的かつ効率的な活用や適時適切な行財政運営に努めること、留意、改善を要する事項等の各種個別的意見など、復旧、復興、行財政運営、適正な事務執行などの観点から御意見をいただき、重く受けとめなければならないものと認識しております。
これまでも、御意見等を踏まえて、自己点検の実施や審査指導体制の強化など内部管理体制の強化、各種研修会の充実による職員の資質向上など、県組織全体として対応を進めてまいりました。
今後におきましても、今回いただいた御意見も踏まえながら、財源の重点的かつ効率的な活用に努めるなどして次期総合計画を着実に推進するとともに、適正な事務執行の確保に向けて効果的な内部統制体制を構築するなどして、県民の皆様や県議会の信頼にお応えできるよう県政を推進してまいります。
〇中平均委員 私も見させてもらっているのですが、個別的意見には指摘事項が45件あり、内部管理体制については、前年度監査の指摘事項が改善されていないといった内容もございます。組織内部における進捗管理、職員の意識改革、全庁的なチェック体制強化などが求められていると思います。
そういった意味での知事の答弁だったと思いますが、今後の対応について、会計管理者からお伺いしたいと思います。
〇高橋会計管理者 監査審査意見では、会計事務の適正な執行に関しまして幅広く御意見をいただいたところでございます。指摘事項はここ数年、年々減少してきてはおりますものの、先ほどお話がありましたとおり、前年度監査の指摘事項が改善されていないなど、今後、取り組むべき事項もあると考えております。
これまで、会計事務自己点検や補助、委託事業に係る自己点検、広域振興局への審査指導監の設置や会計検査院との人事交流、研修や会計事務ハンドブックの作成など、各種取り組みを行ってきたところでありますけれども、今後におきましても、これらの取り組みをさらに充実させていくとともに、改正地方自治法により導入される内部統制制度を適切に運用していくことなど、引き続き会計事務の適正化に向けて努めてまいりたいと思います。
〇中平均委員 前年度からの同様の指摘事項については、たしか、去年も同じような記載があって、ここ何年か続いてあるわけです。この原因はどこにあるのかをきちんと踏まえて。指摘事項を見れば単純な管理のミスもあると書いておりますけれども、そういった点が毎年記載されるということが、県の決算として大きな問題ではないかと思います。先ほど知事からお話もありましたし、会計管理者からもお話がございましたけれども、その点をきちっと努めていって、確実にゼロにするということを目標にしながらも、なかなかそうもいかないところはあるのでしょうが、前年度と同様のミスと何度も記載されること自体が問題だろうと思いますので、この点の問題意識を強く持っていただきたいと思います。
続きまして、東日本大震災津波からの復興について、今までの議論にもありましたが、第3期復興実施計画の進捗状況によると、安全の確保について進捗率がDで、18.4%となっています。この進捗がおくれている要因と、復興・創生期間内に事業完了できるのか、できないものもあると先ほど聞きましたが、改めて今後の見通し等を伺います。
〇佐々木復興局長 本年5月に公表いたしました第3期復興実施計画の施策体系・事業に基づく平成29年度進捗状況のうち、安全の確保の分野において、進捗率60%未満のDとなっているものは、防災のまちづくりで7指標、交通ネットワークで2指標、合わせて9指標、18.4%となっています。
そのおくれの要因は、施工条件の変化により基礎工法等を変更する必要が生じたことや、他事業の進捗に合わせて実施時期を調整したことであり、具体的には、海岸保全施設工事において詳細な地質調査の結果、軟弱な地盤であることが判明した事例などが挙げられます。
これらの事業の中には、今年度に入り既に完成に至っている箇所もあり、引き続き、早期の事業完了を目指し、取り組んでまいります。
〇中平均委員 その点を踏まえて、次に、次期総合計画への反映という点についてお伺いいたします。
今までさまざまな議論がございましたが、政策評価結果の来年度予算への反映について、2月定例会の予算特別委員会で、指標の設定に当たっては社会経済情勢の変化等に対応し、必要に応じ見直し、弾力的に対応していくと答弁をいただいております。
次期総合計画の策定に当たりまして、平成29年度決算、主要施策の成果、また知事任期3期の成果、課題を踏まえて、知事として特にも配慮していく政策分野、項目についてお伺いいたします。
〇達増知事 平成29年度の主要施策の成果に関する説明書によりますと、医療・子育て・福祉と、社会資本・公共交通・情報基盤の二つがおくれが見られる政策となっています。
このうち、医療・子育て・福祉については、がん、脳血管疾患及び心疾患で死亡する女性の数や、障がい者のグループホーム利用者数などの目指す姿指標におくれが生じており、一方で、県の施策に関する県民意識調査の結果によりますと、個人が幸福を判断する際に健康を重視する割合が最も高いことから、次期総合計画の10の政策分野の一つ目に健康、余暇を掲げ、健康寿命が長く、生き生きと暮らすことができる岩手を目指すこととしています。
あわせて、新しい次代を切り拓くプロジェクトに健幸─コウの字は幸という字を書きますが、健幸づくりプロジェクトを掲げ、ビッグデータを活用した健康対策など、先駆的、戦略的な取り組みを進めることとしております。
また、社会資本・公共交通・情報基盤については、さまざまな要因により個々の指標におくれは見られますものの、知事就任後の主な成果である産業・雇用におけるものづくり産業の集積や、教育・文化における二つの世界遺産登録を生かしていく上でも、産業や交流を支える基盤となるものでありますことから、次期総合計画では八つの政策分野の共通的土台となる社会基盤として位置づけているものであります。
〇中平均委員 先ほど来の議論においても、指標の捉え方、考え方ということで、いろいろな指摘が出ています。今までの県でつくった指標は、例えば達成していてもそのままいくとか、時代に合わなくなってきていても、そのまま使っているといった点があったと。前から指摘しておりますけれども、ずれが生じてきているという点を踏まえて、次期総合計画における指標についても、まず実態に即して、これだけ変化の速い時代でありますから、そこを捉え直していく随時の検証を引き続きやっていく必要があるということを提起させていただいて、次に行きます。
県北・沿岸振興を伺います。
平成18年度から県政の重要課題と位置づけ、12年間取り組んできているところでございます。今定例会の一般質問においても当会派の工藤誠議員から質問があり、答弁を伺っているところでございますけれども、企業誘致、地域資源の活用を図っていくために、これからも引き続き予算、人材を投入していかなければ底上げが難しいという認識は一致しているかと思いますが、改めて、本部長である千葉副知事にその認識と取り組みの決意をお伺いしたいと思います。
〇千葉副知事 県北・沿岸振興についてでございますけれども、これまで、いわて県民計画の地域振興の展開方向の中で県北・沿岸圏域の振興を掲げておりまして、具体的な取り組みにつきましては、県北・沿岸振興本部を中心に、全庁を挙げて展開してきたところでございます。
今般公表いたしました次期総合計画長期ビジョンの中間案におきましては、引き続き、県北・沿岸振興を県政の重要課題に位置づけておりますことに加え、新たな時代を切り拓くプロジェクトとして、県北プラチナゾーンプロジェクトと三陸防災復興ゾーンプロジェクトを掲げ、県北・沿岸振興を図っていくこととしております。
具体的には、これまで県北・沿岸振興で進めてまいりました地域資源を生かした産業振興の取り組みや、地域産業の中核となり得る企業の誘致や業容の拡大などの取り組みを一層推進していくことに加えまして、多様な交通ネットワークや再生可能エネルギー資源を生かした新たな取り組みなども進めていくこととしております。
次期総合計画の初年度となります平成31年度の予算編成におきましては、全庁的な取り組みを強化するため、各部局に対し、県北・沿岸圏域の地域資源を活用した産業振興や広域観光を通じた交流人口の拡大など、地域振興の取り組みを推進するよう指示しているところでございまして、本部長といたしまして、県北・沿岸地域の持つポテンシャルを最大限発揮できる先導的な地域づくりに全力をつくしてまいりたいと考えております。
〇中平均委員 市町村民所得を見ますと、平成22年度と平成27年度の比較では、県平均は19.9%伸びているのに対して、沿岸部は39.7%増の283万6、000円、県北広域振興圏は24%増の256万6、000円と、県央広域振興圏の292万6、000円には及ばないものの、平成22年度から見ると県民所得の引き上げになっています。これは、東日本大震災津波以降のさまざまな復興需要によるものであり、経済対策が大きい要因ではないかと思うのですが、先ほど、副知事にもお聞きした県北・沿岸振興をどうしていくかというのは、皆さんも同じ懸念を持っていて、質問も出されています。復興事業が終わりに近づいてきている中で、内陸と沿岸部の格差が、今は縮まってきていますけれども、これがまた再度開いていくということになっては大変だと懸念していると。
次期総合計画においても、県北・沿岸振興を引き続き重要な施策と位置づけ、11の新たな時代を切り拓くプロジェクトの一つとして、三陸防災復興ゾーンプロジェクトを掲げるという答弁は、一般質問でもございましたけれども、より踏み込んで、縮まってきているとはいえ、復興事業終了後の所得格差がまだあるわけですから、それを解消していく具体的な取り組みを改めてお伺いいたします。
〇白水政策地域部長 県北・沿岸地域におけます所得格差解消に向けた具体的な取り組みでございますけれども、新たな時代を切り拓くプロジェクトの一つであります三陸防災復興ゾーンプロジェクトにおきましては、三陸地域が本県と国内外をつなぐ海側の結節点として持続的に発展することを目指しまして、三陸沿岸道路やフェリー航路、国際コンテナ定期航路など新たな交通ネットワークを活用した販路の拡大や物流の活性化、企業集積を進めていくとしております。
あわせまして、復興により整備されました産業基盤を生かし、地域経済を牽引する産業を育成するため、次期総合計画長期ビジョン(中間案)にも盛り込んでございますが、生産性と付加価値の高いものづくり産業の育成、あるいは最新技術の活用や経営革新などによる水産加工業等の経営力強化等に取り組むことによりまして、所得の向上に努めていきたいと考えております。
〇中平均委員 県北地域の地域特性を生かした取り組みを重点的に行い、復興事業終了後を見据えた県北・沿岸地域の所得の維持向上に向けた施策についてという質問を通告していましたが、よく考えたら同じ質問ですので、ここは省略しますけれども、答弁を準備しているのであれば、お願いします。
〇白水政策地域部長 県北・沿岸地域におけます所得の維持、向上についてでございますけれども、県北・沿岸地域の1人当たりの市町村民所得は、平成22年度を100とした場合、平成27年度で県北地域が124、沿岸地域が140となっておりまして、委員からも御指摘がありましたように、復興需要もあり、順調に増加してきたところでございますが、復興工事の終了による地域経済への影響は、建設業はもとより、サービス業などへ広く及ぶものと考えられるところでおります。
こうしたことから、地域を牽引する産業の育成、多様な交通ネットワークを活用した人と物の交流の活発化など、新たな取り組みによりまして地域経済を活性化し、所得の維持向上に取り組んでいく必要があると考えております。
県といたしましては、市町村等との緊密な連携のもと、さらなる産業集積や再生可能エネルギーなど新産業の創出、御所野遺跡や三陸ジオパークなどの特徴的な観光資源を生かした交流人口の拡大等々を推進することによりまして、県北・沿岸地域の所得の維持向上に努めてまいりたいと考えております。
〇中平均委員 よろしくお願いいたします。
続きまして、医師確保に参ります。
主要施策の成果に関する説明書では、医学奨学生の一部に国家試験の不合格者がいたために、目標値に対して1割減の54名で、D判定となっておりました。
昨年の12月定例会で一般質問をさせていただいた際、知事から、岩手医科大学医学部の定員増として15名の地域枠が継続されることに伴い、当初の見通しよりも幾分早く必要医師数を満たすことができるのではないかとの答弁がございましたが、現在の認識と今後の対応についてお伺いいたします。
〇達増知事 奨学金養成医師の配置見通しについては、平成27年度に県が独自に実施した必要医師数実態調査にあわせて、当時の貸し付け状況に基づいて、一定の試算条件のもとで推計を行ったものであります。
岩手医科大学医学部の地域枠15名分に係る定員増が、今年度から平成31年度まで2カ年延長となったことに伴い、この増員分を新たにおおむね10年先の養成医師数の増加要素として加味した結果、当初の見通しより必要医師数を満たす時期が幾分早まるものと予測したものであります。
今後の配置見通しにつきましては、今回のような医学奨学生の国家試験不合格等により、短期的には当初の見通しと前後する部分はありますものの、10年スパンで捉えたときには、昨年12月に答弁した予測のとおりに推移するのではないかと考えております。
〇中平均委員 やはり地域の医療体制をどう確保していくかというのは重要な課題でございます。久慈圏域の周産期医療体制についてもですが、二次保健医療圏ごとの医療施設従事医師数は、盛岡圏域を100とすると、久慈圏域は50.9%、小児科の医師数では42.5%、産婦人科及び産科医師数では17%となっています。また、現在、久慈圏域の分娩取り扱いは岩手県立久慈病院のみでありまして、しかもハイリスク分娩は50キロメートル以上離れている県立二戸病院に行かなければならない現状にあります。県内においても周産期医療体制が特に厳しい状況にある地域の一つと言えます。
地域で安心して妊娠、出産、子育てができる環境は、県が掲げるふるさと振興総合戦略の三つの柱の一つ、岩手で育てるにおける重要な課題として認識しているものと思いますが、ハイリスク分娩の対応や分娩施設から遠い地域においての周産期医療体制をどのように構築していくのかの考えを伺います。
〇千葉副知事 周産期医療体制についてでございますけれども、まず、久慈二戸周産期医療圏におきましては、県立久慈、二戸の両病院を県北地域周産期母子医療センターとして位置づけまして、久慈病院では正常分娩に対応し、それ以外のリスクの高い分娩は二戸病院で対応するなど、機能分担と連携による一体的な診療体制で取り組んでいるところでございますが、久慈病院では、分娩取扱施設は県立久慈病院のみとなっておりまして、周産期医療体制が極めて厳しい状況にあるものということは、委員御指摘のとおりでございます。
現在、久慈地域では、管内4市町村と保健所及び県立久慈病院の関係者によります協議の場を設置し、遠隔地の医療機関で妊婦健診を受診する際の交通費等の助成、いわゆるアクセス支援に管内4市町村が足並みをそろえて取り組んでいただいているところであり、関係者の方々の御努力をいただいていると思っております。
周産期医療体制についてでございますが、通常は九つの二次保健医療圏で対応しておりますけれども、この周産期医療につきましては九つの医療圏では対応が難しいことから、あえて4周産期医療圏を設定して取り組んでいるところでございます。
現在、県におきましては、周産期医療圏の基幹病院に位置づけております周産期母子医療センターを中心とした遠隔診断支援の取り組みによりまして、妊婦が身近な地域で健診を受け、周産期母子医療センター等で安全に分娩を行うことができる医療連携体制を構築し、妊産婦の分娩施設へのアクセスの負担軽減を図ってきたところでございます。
また、総合周産期母子医療センターでございます岩手医科大学附属病院に救急搬送コーディネーターを配置し、救急時における搬送連携体制を確保するため、分娩リスクに応じた適切な医療の提供に努めているところでもございます。
また、本年度はドクターヘリによります新生児搬送の実施に向けて関係機関との協議を進め、搬送マニュアルの作成など実施体制の整備にも取り組んでいるところでございます。
私どもといたしましては、この体制を確保するために産科医の確保が喫緊の課題であると当然考えておりまして、即戦力医師の招聘や医師派遣大学への増員の要請などはもとより、奨学金によります医師の養成などにも取り組んできているところでございます。今後とも岩手県周産期医療協議会で関係者の意見もいただきながら、本年3月に策定いたしました岩手県保健医療計画に基づきまして、医師を初めとする医療従事者の確保や救急搬送体制の強化などについて御議論いただき、周産期医療体制の確保に努めてまいりたいと考えております。
〇中平均委員 努力されているということは私も認識しております。ただ、これは久慈圏域に限らず、盛岡圏域を100とすると、ほかの圏域は100に満たないということも皆さん承知のところです。どの県でも都市部は医師は充足し、公立病院も私立病院も各診療科が全部そろっているけれども、地方に行けば行くほど苦しいと。そういう中で、努力しているのは感謝しますけれども、先ほど知事がおっしゃったところを都度都度示していただきながら、地域でも頑張りますし、一日でも早く、医師を1人でも多くという形で体制整備をお願いしていく。みんなで努力していくところかと思っておりますので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。
次に、予算確保に向けた取り組みについてと題しましてお伺いします。
例年の当初予算編成に当たっては、あらゆる手段による歳入確保の取り組みを進めており、特に自主財源の確保に重点的に取り組んできているのは承知しております。
歳入決算額に占める自主財源の割合は、平成27年度が47.2%、平成28年度と平成29年度は46.2%ということで、結果として、地方交付税、国庫支出金に頼らなければならない実情にありますが、こういった中で、予算確保に向けた取り組みについて、事業ごとにお伺いしたいと思います。
県においては、今、インバウンド、いわゆる海外からの誘客促進を図っているということでございます。国際定期便の誘致に取り組んできた結果が、念願の台湾定期便就航につながっております。こういった点を踏まえまして、受入態勢施設整備も平成30年度の計画目標値である121施設を1年前倒しで達成するなど、成果を上げてきました。
また、来年度はラグビーワールドカップ2019日本大会や、さまざまな議論がある三陸防災復興プロジェクト2019の開催と、多くの海外、国内の観光客が期待されるところですが、電子決済についてどう考えているかを伺います。
日本全体で見ても、現状、小売業で14.5%のカード決済比率でありますが、来年度の経済産業省の概算要求では、地域需要喚起キャッシュレス実証事業として29.5億円が計上されています。こういった補助メニュー等の導入を県としてどのように行っていくのか。早急に行動を起こして国の事業採択につなげていく必要があると考えますが、県の考え、方針を伺います。
〇保副知事 日本におきましては、円の信頼性もありまして、現金での決済が非常に長く定着してきております。最近海外からのお客様が一般的に利用しているスマートフォンやカードでの決済への対応が進んでいない状況であり、今委員から御指摘がありました今後のさまざまなチャンスのことを考えますと、対応は急務であると考えております。
海外からの方の利便性もそうですけれども、お店の側にとりましても、在庫管理ですとかの面で生産性の向上につながるというメリットがございます。
これまで、観光事業者や交通事業者が行う施設整備に補助金を出しており、海外カード決済の導入についても補助メニューに加えまして支援してきたところでありますが、平成30年度からはスマートフォンでのモバイル決済についても補助対象としているところでございます。
それから、国が7月に一般社団法人キャッシュレス推進協議会を設立いたしましたが、これに本県も参画を決めたところでございます。
今、委員から御紹介がありました経済産業省の平成31年度概算要求における地域需要喚起キャッシュレス実証事業については私どもも情報をつかんでおります。詳細はまだわからないわけではございますけれども、県内の中小企業者がこの事業を活用できるように、市町村や商工指導団体とも連携して取り組みを進めてまいります。
〇中平均委員 消費税増税が来年10月に行われるということで、中小小売店でキャッシュレス決済した消費者を対象に2%分のポイントを還元するという報道も出ていることですし、そういう点を踏まえながら、やはり早急な対応をと思います。例えば、いわて花巻空港で降りて、盛岡市までバスに乗ってくるときに、カードを使えますかというと、使えるのは現金だけなのです。私たちはいいですよ。でも、個人で旅行してきて、午後4時の遅い便で来て、もう金融機関等も閉まっているとなると、不便さが出てくるのかと思います。そういった利用者側、エンドユーザー側の立場に立って、どういったものが必要なのかということも踏まえながら、今後の検討を進めていただきたいと思います。
次に、道路法改正を契機といたしました国道281号整備の事業化について伺います。
ことし3月の道路法の一部改正によって、道路整備に係る財政上の特別措置が10年間延長され、また補助国道の修繕に係る国費についても補助率かさ上げとなりました。来年度の国土交通省の概算要求を見ると、ストック効果を高めるアクセス道路の整備に重点配分すると書かれています。
久慈─盛岡を結ぶ国道281号は復興支援道路にも位置づけられており、特に平庭地区の隘路解消は、生活の質の向上の面においても事業化が長年要望されているところであります。
大規模事業については総合的に判断していくとの答弁をいただいておりますけれども、今回の道路法等改正を契機として、事業化に向け積極的な検討を行う時期に来たと考えますが、今後の方針を伺います。
〇保副知事 委員からお話のありましたとおり、道路法の一部改正がありまして、これまで補助率のかさ上げ措置がありましたが、これが10年間延長されたということでございます。
ただ、国の説明によりますと、今後、かさ上げの対象になるものについては、ストック効果を高めるアクセス道路に重点配分するというような方針が出されており、ストック効果の中でも、特に生産性の向上に効果が認められるものを対象とすると聞いております。
詳細は現時点ではまだ明らかになっておらず、国道281号がかさ上げ措置の対象になるのかどうかについても、まだ判然としないところでありますけれども、この路線が我が県にとりまして非常に重要だということは再三御答弁申し上げているとおりでございます。今後、このかさ上げ措置の対象となるように国に働きかけていきたいと思いますし、引き続き、交通の隘路となっている箇所の改良ですとか防災対策についてはしっかり取り組んでいきたいと思います。
〇中平均委員 判断がまだ先だという今の副知事の答弁はわかるのですけれども、ぜひともさまざまな努力をして、とっていくのだという決意を知事から伺いたいと思うのですが、どうでしょうか。
〇達増知事 国の道路法改正や、国土交通省道路関係予算の概算要求等を見ると、日本全体で、ストック効果に着目しています。ただ、少子化に伴って日本という国を店じまいしてしまおうということではなく、必要なメンテナンス、さらにまたストック効果を生かした生産性の向上など、地方の経済、社会を強くしながら、日本全体の再生を図るという方向性も見られるところであります。そこは私どもも前々から言ってきた方向性でありますので、ぜひ、しっかり活用していきたいと思います。
〇中平均委員 次に、国土交通省関係の交付金事業についてでございますけれども、平成29年度の県土整備部に係る普通建設事業の決算額は、通常分が328億円余、震災分が1、214億円余、合計で1、543億円余であり、東日本大震災津波前の平成22年度の決算額は484億円余、比較すると155億円余、32.2%の減となっています。そして、今回の補正予算案については27億円余の減でございます。
この現状を鑑み、今から、復興需要の反動を抑えるための公共事業費の総額確保に全力を尽くしていく必要があると考えますが、その考え方について、今の数字は間違っていないと思いますが、そこの確認も含めてお伺いしたいと思います。
〇保副知事 数字についてはそのとおりですが、いずれにしましても、本県の場合、さまざまな社会資本整備関係の交付金事業、いわゆる通常分については、震災前と比べると大分落ちていると。
一方、物流の強化ですとかの事業が震災対応分で大分ふえてきたという事情はあると考えております。いずれにいたしましても、震災対応分はだんだん減少していきますので、国土強靭化は引き続き必要でございますし、適切な維持管理も必要だということで公共事業の必要性を訴えてまいります。
県といたしましても、平成31年度は公共事業費を前年度に対して1.05倍までとしておりますし、国の交付金の確保は非常に重要でございます。政府予算要望におきまして、今後、個別に具体的な協議を進めるに当たっては、こちら側から提案することを積極的にやりながら、できるだけ国の交付金の額を確保していくことに努めてまいります。
〇中平均委員 総事業費をどう確保していくのか。基金もどんどん取り崩していかなければならなくなるという現状でございますから、その点を踏まえて、より強力に動いていっていただきたいと思います。
一つ飛ばしまして、国の復興・創生期間を越えたソフト事業の財源確保についてお伺いします。
ソフト事業については、心のケア事業等を行ってきました。参考として、子供のこころのケアについて見ますと、児童養育支援ネットワーク事業費2億3、900万円余のうち、いわてこどもケアセンター設置運営費は1億3、300万円余と。財源については、復興庁の国庫補助事業の被災者支援総合交付金で、10分の10の補助率となっています。子供のこころのケアもそうですし、大人のこころのケアもそうですし、被災の初期から、避難所から応急仮設住宅、そして災害公営住宅へと状況に応じての変化があります。その中で、中長期的に取り組んでいかなければならない課題については、どちらかというと、今からがより大切な時期に入ってきているのですが、国の復興特別会計は2020年度までとなっています。この専門的ケアを引き続き実施していくには財源措置をしていくことが必要かと思いますが、この点について、どうやって国に訴えていくのかお伺いします。
〇達増知事 国においては、2020年度までを復興・創生期間として、復興庁を2021年3月31日までに廃止し、東日本大震災津波復興特別会計も廃止することとしており、今年度中を目途に、復興・創生期間における東日本大震災からの復興の基本方針について必要な見直しを行うこととしています。
被災地では、被災者の心のケアなど、被災者支援のため復興・創生期間を超えた中長期的に取り組むべき課題もありますことから、本年6月に実施した2019年度政府予算提言、要望において、国の基本方針の見直しに当たり、施策の進捗状況や被災地の実態等を十分に踏まえ、当該期間終了後も必要な事業及び制度を継続するよう要望いたしました。また、同じく6月に開催された国の第26回復興推進委員会におきましても、被災3県からの報告の中で、この要望内容について説明したところです。
今後におきましても、あらゆる機会を捉えて、復興を進めるために必要な事業や制度の継続について国に提言、要望しながら、被災者一人一人の復興がなし遂げられるよう、必要な取り組みは最後まで実施してまいります。
〇中平均委員 対応がおくれていくと、ノウハウを持った人材がどんどん流出していくのではないかと。実際、宮城県においてはどうせ切れるのだったらと既にもう退職されている職員もいるといった点を踏まえて、今後、より積極的に対応していくことが必要だと思います。
いろいろ話をしてきましたけれども、予算確保をどうしていくかということがやはり一番の課題だと思っておりますし、今、国においても、先ほど出た国土強靭化、小中学校の猛暑対策、また、2020東京オリンピック、パラリンピック競技大会等に向けた対策等があります。そういった報道について、岩手県としてもアンテナを高く持って、一つ一つ他県を先回ってでも必要な事業費を確保するということが必要だと思います。
最後に、知事にその確保に向けた意気込みをお伺いして、終わります。
〇達増知事 東日本大震災津波からの復興や、平成28年台風第10号災害からの復旧、復興、あるいはふるさと振興総合戦略を推進するために、継続的、安定的な財源の確保が欠かせないという認識から、県では、例年、各政策分野の重要課題について国に対する提言、要望活動を行っており、本年度は6月に実施したところであります。
8月末に公表された国の概算要求では、地方一般財源総額は本年度以上に確保するとされ、復興に係る予算もおおむね本年度並みに要求されていますが、その一方で、地方創生推進交付金の自由度を高めるための制度の見直しの状況など不明な部分もあるところでございます。
また、国の補正予算においては、小中学校における猛暑対策やブロック塀の安全対策、防災、減災に向けた国土強靭化対策などが盛り込まれることが見込まれています。
今後、国の補正予算や来年度予算の動きについて、引き続き情報収集に努め、復興やふるさと振興、そして次期総合計画の着実な推進に向け、必要な財源が確保されるように、全国知事会などとも連携をしながら、さまざまな機会を捉えて国に対して要請をしてまいります。
〇中平均委員 委員長、済みませんでした。時間をオーバーしました。終わらせていただきます。(拍手)
〇名須川晋委員長 次に、斉藤信委員。
〔斉藤信委員質問者席に着く〕
〇斉藤信委員 それでは、東日本大震災津波からの復興の課題について。
新たな犠牲者を出さないためにも、被災者の実態を把握して具体的な支援を強化することが必要だと考えますが、被災者の健康と生活の実態をどう把握しているでしょうか。
〇達増知事 被災者の健康状況については、岩手医科大学が沿岸4市町を対象に昨年度実施した調査によりますと、健康状態がよくないと答えた被災者の割合は、男性で12.0%、女性で14.2%となっています。また、生活の実態については、昨年度、生活支援相談員に寄せられた相談内容を見ますと、日常生活に関する相談が全体の約3割と最も多く、次いで健康、保健医療に関する相談が全体の約2割を占めています。
このように、応急仮設住宅での生活の長期化や、災害公営住宅等への転居に伴う生活環境の変化などによる健康や生活への影響が見られるところであります。
〇斉藤信委員 岩手大学教育学部社会学研究室の麦倉教授が、毎年、大槌町の仮設住宅で調査をしているのですけれども、この調査によりますと、応急仮設住宅に生活している方々のうち、暮らしや人間関係でリスクを負っているという方の割合が85%、暮らしが厳しいという方の割合が56%でした。東北大学が仙台市若林区で災害公営住宅の調査を行ったところ、6割に睡眠障害の疑いがあったと。私は、大変厳しい状況にあると思いますが、これに対する対応は県はどう考えていますか。
〇達増知事 県は、これまで、被災市町村が行う健康支援活動への経費支援や、応急仮設住宅及び災害公営住宅等での健康・栄養相談、口腔ケア指導などに取り組んできたところであります。
今後におきましても、被災者の皆さんの健康の維持、増進を図るために、市町村等と連携しながら、被災者の方々の具体的な健康状態を踏まえて、被災者に寄り添ったきめ細かな健康支援を行ってまいります。
〇斉藤信委員 生活支援相談員による被災者の見守りについて、重点見守りと通常見守りの状況の情報は、地域の自治会や災害公営住宅の自治会等に提供される必要がある。地域での見守りとの連携が必要だと考えますが、いかがでしょうか。
〇達増知事 岩手県社会福祉協議会が配置する生活支援相談員は、平成30年6月末現在で9、649世帯を対象とし、被災者の見守り活動を行っており、見守り対象世帯のうち、専門機関などと連携した訪問等が必要な重点見守り世帯は497世帯、状況把握などのための定期訪問等が必要な通常見守り世帯は4、044世帯となっています。
生活支援相談員等が被災者に寄り添ったきめ細かな支援を行うためには、町内会や自治会など支援にかかわる関係機関、団体等と情報共有し連携を図ることが重要であり、自治会や町内会に対し、個々の被災者の見守り支援のため必要な情報を必要な都度、必要な範囲で情報提供し、見守り世帯の個別の状況に応じた連携を図っているところであります。
〇斉藤信委員 生活支援相談員の活動は大変重要な取り組みなのですけれども、今言われた497世帯の重点見守りは、市町村で大きなばらつきがあります。大船渡市が126件、山田町は203件と多いのですけれども、陸前高田市は13件とか、ちょっと精度が不十分なのではないかというのが一つ。
もう一つ、この生活支援相談員が回っている、とりわけ重点見守りの方々というのは、月平均2回程度の訪問なのです。日常的には地域で見守るべき対象なのだと思うのです。しかし、その情報は提供されてないのが実態です。私は、そこを抜本的に改善すべきではないかと思いますが、改めてお聞きします。
〇達増知事 見守り対象世帯の情報を生活支援相談員から一律に提供することは、個人情報保護の観点から困難とされていますが、個々の被災者の見守り支援のために、世帯の構成員や心身の状態、配慮を要する点など必要な情報について、町内会や自治会に対して、必要な都度、必要な範囲で提供するという形で情報共有を図っているところであります。
〇斉藤信委員 今大きな問題になっているのが災害ケースマネジメントという、被災者全体を訪問して、どういう課題があるのか、さまざまな団体とも情報を共有しながら生活の再建を支援するというやり方があり、鳥取県がこれを採用していると。
私は、東日本大震災津波で大きな被害を受けた岩手県でこそ、こういう取り組みをすべきではないかと思いますが、いかがですか。
〇達増知事 県社会福祉協議会において生活支援相談員が配置され、市町村と連携しながら町内会や自治会との連携も図られているわけでありますけれども、委員御指摘のとおり、やはり応急仮設住宅等はもちろん、災害公営住宅においても、生活や健康の面でさまざまな厳しい状況というのがあり、それを的確に把握して対策を講じることが重要でありますので、岩手県としてもさまざまな工夫をしてまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 いよいよ伴走型支援が必要になってきた。最後の一人までということを知事は強調しているので、災害ケースマネジメントはぜひ検討して、そういう立場で具体化をぜひ図っていただきたい。
次に、災害公営住宅で自治会が設立されていますけれども、それによってすぐにコミュニティーがつくられるわけではないんです。私たちも自治会の調査をしました。一般質問でも千田美津子議員が取り上げましたけれども、22の県営の災害公営住宅の中で入居者名簿を持っているのはたった3自治会だけです。あとは情報が提供されていないと。私は、この問題は改善されるべきだと思いますが、いかがですか。
〇達増知事 県営の災害公営住宅の入居者の情報については、個人情報保護の観点から、同意いただいた方の情報について自治会にも要請に応じ提供しているところであります。
コミュニティーの形成については、県としてもコミュニティ形成支援事業によってコミュニティ形成支援員を災害公営住宅に派遣して、相談対応や自治会運営のサポートを行っていますほか、被災地コミュニティ支援コーディネート事業によって、市町村と支援団体等を調整するコーディネーターを配置し、市町村の取り組みを支援しております。今後とも、市町村や支援団体等と連携してコミュニティーの確立に努めてまいります。
〇斉藤信委員 実際には入居者の名簿は提供されていないので、厳密に同意を確認するなどして、必要な情報は提供する。災害公営住宅を支援している専門家に聞いたのですけれども、高齢化率が4割です。あと10年たったら老人ホームになりかねない。そういうところへのコミュニティー確立の支援というのは急務なのだという指摘もいただきましたので、そういう立場で支援を強化していただきたい。
次に、東日本大震災津波の教訓を伝承するというのは次期総合計画でも位置づけられた大事な課題です。私は、その中で、なぜ多くの犠牲者を出したのか、その具体的な要因、分析、教訓というものを解析すべきだと思いますけれども、どのように分析、把握されているでしょうか。
〇達増知事 東日本大震災津波で多くの犠牲者を出した要因についてでありますが、平成24年2月に、東日本大震災津波に係る災害対応検証報告書をまとめており、その中で避難行動の原因分析を行っています。主なものとしては、防潮堤、防波堤などへの過信や、今回の津波の大きさに対する過小評価、過去の津波警報等発令時のいわゆる空振りによる油断、家族の安否確認のため一時帰宅したケースなどによりまして避難しなかったことや、また、避難した場所が結果的に被災したことなどが挙げられております。
〇斉藤信委員 今度、東日本大震災津波伝承館もつくられますけれども、私は、ここの分析が知らされることが本当に必要だと思います。
私は、被害の大きい市の検証報告書を見てみました。釜石市は、犠牲者の36%は自宅で被災した要援護者だと思われる。陸前高田市は、死者、行方不明者の5割は積極的な避難行動をとらなかったと。大槌町は、犠牲者のうち、自宅から避難しなかった、あるいは逃げ遅れたという人が7割に上ると。だから、津波の一番の教訓は避難なのです。なぜ避難しなかったか、できなかったか、この問題にしっかり光を当てて、その検証、教訓を全国、全世界に広げていくことが私は必要だと思いますけれども、いかがですか。
〇達増知事 東日本大震災津波に係る災害対応検証報告書によりますと、犠牲者の死因の92.4%が溺死、年代別では60歳以上の割合が63.3%を占め、高齢者の犠牲が著しく多い状況でありました。
津波により再び犠牲者を出さないため、被害状況や地理的条件、歴史や文化、産業構造などに応じて、その地域にふさわしい海岸保全施設、まちづくり、ソフト対策を適切に組み合わせた多重防災型まちづくりを進め、被害をできるだけ最小化するという減災の考えにより、安全の確保に努めてきたところであります。
特にソフト対策としては、津波発生時のシミュレーションによる浸水範囲や浸水深さ、津波到達時間を明示した津波浸水予測図の作成、高齢者や障がい者など誰もが余裕を持って避難することができるよう、避難場所、避難路、避難の手法等を定めた避難計画の策定、重層的な情報通信ネットワークの構築、自主防災組織の強化や防災教育の推進に取り組んできたところであります。
とりわけ、単独での避難が難しい高齢者や障がい者の避難については、岩手県地域防災計画において避難行動要支援者名簿の作成についての規定を設け、県内市町村で名簿を作成し、自主防災組織等の避難支援関係者に名簿の提供等を働きかけてきたところであります。
今後におきましても、防災教育や総合防災訓練等を通じて、みずからの身はみずから守るという防災意識の徹底を図ってまいります。
〇斉藤信委員 次に、最近続発している大雨洪水、台風被害、そして土砂崩れなどの災害対策についてお聞きいたします。
災害から人命を守ることは自治体の最大の使命でありますが、その鍵は、やはり適切な避難の勧告、指示と避難の取り組みだと思います。
一昨年の台風第10号災害の教訓を踏まえた県の取り組みはどうなっているでしょうか。
〇達増知事 平成28年台風第10号災害で得られた教訓を踏まえ、県では、新たな風水害に対応した防災体制の整備に係る報告書を取りまとめ、県地域防災計画に反映させてきたところであります。
これに基づいて河川改修や砂防施設の整備などのハード対策の実施、水位周知河川や土砂災害警戒区域等の指定、中小河川への危機管理型水位計の設置、市町村長へのホットラインなどのソフト対策の実施、風水害対策支援チームによる台風接近時の避難勧告等の発令や避難所開設に係る市町村への助言、要配慮者利用施設における避難確保計画の策定支援などに取り組んできたところであります。
今後においても、こうした取り組みを着実に進め、地域防災力の強化を図ってまいります。
〇斉藤信委員 そこで、私は、その避難の問題に焦点を絞ってお聞きしますが、市町村での避難行動要支援者名簿の作成、名簿の自主防災組織への提供や、要支援者の個別支援計画の作成が実践的には一番大事な課題になると思いますが、その状況と、進んでいない要因と対策はどうなっているでしょうか。
〇達増知事 避難行動要支援者名簿は県内全市町村で作成されており、その総数は平成30年5月1日現在で8万1、423人となっており、名簿の自主防災組織への提供については20市町村で行われ、避難支援等を行うための個別計画は13市町村において1万6、788人分が策定済みとなっています。
本県におきましては、自主防災組織など避難支援関係者への平常時からの名簿提供は要支援者の約4割にとどまっており、本人から提供の同意が得られないことが主な課題となっています。また、避難行動要支援者の個別計画については、15市町村で計画の策定に未着手となっており、地域における避難支援者の確保が難しいことなどが課題として挙げられています。
県としては、実効性のある避難支援が行われるように、今後とも研修会等において、こうした課題に係る先進的な取り組み事例を紹介するなど市町村を支援するほか、自主防災組織リーダー研修会の開催等を通じて地域の防災活動を支援するなど、避難行動要支援者への避難支援の充実に取り組んでまいります。
〇斉藤信委員 今の答弁にもあったのですけれども、8万1、423人の要支援者の名簿はつくられたと。しかし、自主防災組織に提供されているのは20市町村で、13市町村では提供されていないと。また、平常時から避難支援等関係者に名簿情報が提供されている人数は3万4、953人で41.6%です。個別計画の作成人数に至っては1万6、788人で、これは全体の名簿の20.6%、13市町村しかつくっていません。これだったら避難にならないのです。
西日本豪雨で220名余の犠牲者を出して、最も被害が大きかった岡山県倉敷市真備町は、地区の個別支援計画がなかったのです。だから助けられなかった。また、特別警報が出されても、特別警報なのにですよ、3%しか避難しなかった。
情報提供がされてないということも大問題だし、個別計画の作成が進んでいない。一方で、避難行動要支援者名簿の作成人数に対する個別計画の作成人数の割合が100%となっている自治体は、提供された市町村の中で4市町あるのです。この格差、落差について県はしっかり指導を援助すべきだと思いますが、いかがですか。
〇達増知事 西日本豪雨災害での真備町など大変悲惨な例がありまして、やはり要支援者を事前に確認し、迅速にその避難を支援するということが極めて重要と考えます。
避難行動要支援者名簿の事前提供に関して本人の同意が得られない等の課題が指摘されているわけではありますけれども、そこを克服している例も県内市町村であるところですので、県といたしましても、県内全ての市町村において、要支援者の皆さんの避難が迅速に行われるような日ごろの準備を実現するよう努めていきたいと思います。
〇斉藤信委員 私は、100%提供している市町村もあるのだから、個人情報保護を壁にしないで、住民の安全を守るということを優先にした取り組みをすべきだと思います。
そこで、実は避難できない理由として、一番大きな問題が避難所の劣悪な環境なのです。テレビで見たら、大体どこでも体育館で雑魚寝ではないですか。ああいう状況だったら、要支援者は避難する気にならないのです。リスクが大き過ぎるのです。
ですから、スフィア基準というものがあるのですけれども、これは国際赤十字社が出した、発展途上国も含めて、避難所の最低基準というものです。それと比べれば、日本はとんでもない、その基準の何分の1の状況なのですけれども、スフィア基準を踏まえた避難場所の抜本的な改善を岩手県から取り組む必要があるのではないかと思いますが、いかがですか。
〇達増知事 県におきましては、東日本大震災津波の経験も踏まえて、避難所を運営する市町村の参考としていただくために、平成25年度に市町村避難所運営マニュアル作成モデルを作成して、県内市町村及び都道府県に配付しているところであります。
この作成モデルは、委員から御紹介のあったスフィア基準も参考として、避難所の空間配置や、プライバシーや安全に配慮した専用スペースの確保、男女別トイレの設置などを記載したところであります。
これについては、北海道胆振東部地震の際に、避難所支援員として派遣した職員を通じて北海道安平町にも提供したところであります。岩手県では、東日本大震災津波の際に、内陸のホテル、旅館、宿泊施設等への一時避難ということを行って、避難所生活を極力人間らしい、先進国水準と申しましょうか、そうしたレベルにしようと努めたところではありますが、今後とも、避難所における良好な生活環境の確保につながるよう、今御紹介した作成モデルの周知に努めてまいります。
〇斉藤信委員 欧米と日本の避難所の決定的な違いは何かというと、簡易ベッドの提供なのですよ。実は、現在29道府県が業界団体と協定を結んで、段ボールベッドがすぐに提供されるようになって、西日本豪雨災害でも、協定を結んでいたところと結んでいなかったところの差が出ました。
岩手県は、まだ全国段ボール工業組合連合会との協定を結んでいないのですよ。だから、本当にこういうものは早くやって、やっぱり東日本大震災で被害を受けた岩手だからこそ、国の基準を変えるような取り組みをすべきではないかと思いますが、いかがですか。
〇達増知事 御指摘の全国段ボール工業組合連合会との協定につきまして、県では、平成30年10月1日付で、東日本段ボール工業組合と災害時における段ボール製品の調達に関する協定を締結いたしました。
調達物資の種類は、段ボール製簡易ベッド、段ボール製シート及び段ボール製間仕切りなどでありまして、今後、必要に応じ物資の提供を受けてまいります。
〇斉藤信委員 大変タイミングのいい答弁でした。
それでは次に、岩手医科大学附属病院の新築移転にかかわる問題と医師派遣についてお聞きいたします。
岩手医科大学は来年9月に移転しますが、その影響と課題をどのように捉えているでしょうか。
〇達増知事 岩手医科大学総合移転整備事業では、小児、周産期、救急部門の機能強化、病床数1、000床の特定機能病院を整備、災害時の医療拠点として機能する施設整備等が予定されていることから、高度救命救急医療を初めとする高度専門医療のさらなる強化、充実などが図られるものと期待しておりますが、矢巾地区への移転後、現在の附属病院に受診している患者の動向が変化することにより、盛岡医療圏の救急医療体制に影響を及ぼすことや新病院への交通アクセスの確保等が課題として考えられます。
このため県としては、初期救急医療の役割等を担う市町や医師会、関係医療機関等と連携し、地域住民への啓発等により、救急医療に係る医療提供体制の確保に取り組んでいくほか、矢巾スマートインターチェンジからのアクセス道路整備や徳田橋のかけかえ整備を進めていきたいと考えます。
〇斉藤信委員 それで、この10年間の岩手医科大学に対する県の補助額は幾らになっているか示していただきたい。
〇達増知事 高度救命救急センターや総合周産期母子医療センター、ドクターヘリの運営費助成など、地域医療の確保を図るためのいわゆる通常分に加えまして、災害時に継続的な医療体制を維持するためのエネルギーセンター設備整備など、震災対応整備分を含む岩手医科大学附属病院の移転に係る補助などで、平成21年度から平成30年度までの10年間において、約148億7、000万円の補助を見込んでおります。
さらに、岩手医科大学附属病院の移転に係る補助については、平成31年度において13億4、000万円を見込んでおり、これに平成18年度に行った学部移転に対する補助約7億9、000万円を合わせますと、岩手医科大学移転に係る支援総額は約74億1、000万円を見込んでいるところです。
〇斉藤信委員 10年間で148億円、さらに74億円ということで、私は、岩手医科大学が地域医療に果たしている役割は極めて大きいものがあると。しかし、同時に、これだけ岩手医科大学への補助をしているわけだから、県立病院に対する医師派遣をもっとやるべきではないのかと。県立病院への医師派遣の状況をどのように把握しているでしょうか。
〇達増知事 県立病院への医師派遣の状況についてでありますが、岩手医科大学からの派遣等により県立病院に勤務している医師数は、平成28年度が241人、平成29年度が254人、平成30年度が260人となっています。
県は、岩手医科大学の移転に際して、平成29年度に、地域医療の確保に向けた連携及び協力に関する協定書を岩手医科大学と締結し、大学は、医師の適正な養成、派遣、配置等を初め、地域医療への貢献に努めることとしています。
こうした中、岩手医科大学医学部の地域枠が今年度から平成31年度まで2カ年延長となったことに伴い、県は、平成20年度に締結した岩手医科大学医学部の教育研究費の負担に関する協定書の見直しも行いました。この見直しに当たりましては、大学による地域医療への貢献を求めるため、必要に応じて、大学で研修中の奨学金養成医師に、公的病院等の診療応援等を行わせるよう努めることを新たに明記しました。
今般の岩手医科大学の移転に対する県からの支援に当たっては、県と同大学との間で締結したこれらの協定に基づき、地域医療の確保に向けた連携及び協力について確認したところであり、新病院のさらなる機能強化とあわせて、同大学から県立病院等への医師派遣の拡充により、地域医療の充実が図られるよう岩手医科大学に対して求めてまいります。
〇斉藤信委員 今、岩手医科大学からの医師派遣の数が出ましたけれども、あれは医局管理の医師の数で、私が医療局からいただいた資料では、この5年間、県立病院の医師は減りましたね。実は大学からの派遣等で15人減っているのですよ。これだけ補助をしながら減っている。これが実態ですから、ぜひ、県立病院の次期経営計画を策定する上でも、岩手医科大学に対する要請を強くやっていただきたい。
知事、どうですか。
〇達増知事 岩手県内での医療を必要とする人が、必要な医療を必要なときに受けられるようにということに対する県民のニーズは非常に強いものがあります。それに応えるための県立病院の体制について、やはり岩手医科大学には、地域に対する、岩手県民に対する役割を果たしてもらわなければならないと考えますので、しっかり求めていきたいと思います。
〇斉藤信委員 それでは、最後に、一昨年の台風第10号災害からの復旧状況と課題、県の支援についてお聞きします。
2年1カ月が経過しましたけれども、復旧、復興の状況はどうなっているでしょうか。この間の県の支援はどうなっているでしょうか。
〇達増知事 災害復旧工事につきましては、8月末時点で、公共土木施設の完成率が41.8%、農林水産関係施設の完成率が57.1%となっています。
被災者の生活再建については、8月1日現在で144世帯の方々が応急仮設住宅での生活を余儀なくされていますが、災害救助法に定める2年間の供与期間の終了を迎えますことから、恒久住宅への移行が困難な世帯については、今年度、県単事業で供与期間の延長を行うこととしています。
こうした中、応急仮設住宅への入居世帯数が最も多い岩泉町では、災害公営住宅64戸、被災者移転地17戸分の整備を進めており、今年度中に恒久住宅への移行が大きく進むものと見込んでいます。
〇斉藤信委員 岩泉町の平成28年台風第10号災害の被害は300億円を超える、大震災の約10倍の規模でありました。その中で生活橋の再建が進んでいません。再建には5億円必要だけれども、1、500万円しか寄附金が集まっていない。その中で、被災者の医療費の免除措置を継続しています。住宅再建に対して200万円、補修に対して100万円の独自補助をやっています。
その点で、私は、多額の財政需要に対応できるような県の支援として、特定被災地域復興支援特別交付金を継続、拡充すべきと思いますが、いかがでしょうか。
〇達増知事 岩泉町への県の支援の継続、拡充についてでありますが、これまで県独自の支援として、平成28年度に特定被災地域復興支援緊急交付金3億1、400万円、平成29年度に特定被災地復興支援特別交付金8、700万円を交付し、早期の復旧、復興を支援してきたところであります。
本年度の岩泉町の復旧、復興に係る事業費につきましては、9月時点で約145億円、うち12億4、000万円程度の一般財源を要するものと聞いています。
現在、国の特別交付税の算定に向けた調査が実施されており、まずは、国に対して、岩泉町の財政需要への十分な特別交付税措置を要請するとともに、その交付の状況等も踏まえた上で県の支援について検討してまいります。
〇名須川晋委員長 お諮りいたします。予定の午後5時までにはまだ若干時間がありますが、区切りの関係から、続く総括質疑はあす行うこととしたいと思いますが、これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇名須川晋委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
あす以降は、毎日午前10時から開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後4時39分 散 会

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