平成30年12月定例会 第15回岩手県議会定例会会議録

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〇13番(高田一郎君) 日本共産党の高田一郎でございます。議案に対する質疑を行います。
議案第1号は、2018年度岩手県一般会計補正予算(第4号)であります。人事委員会勧告に伴う給与改定の所要額が計上されました。給与表全体の水準を0.17%、ボーナスを0.1カ月引き上げ、年間平均給与額は4万7、000円の増となるものであります。給与引き上げは昨年に続くものでありますが、県職員の給与は平成11年から連続して引き下げられ、管理職手当及び今年度は退職手当を大幅に削減されました。ピーク時からどの程度削減されているのでしょうか。
今回の人事委員会の給与等に関する報告では、長時間勤務の解消の取り組みを推進し、あるいは会計年度任用職員制度の円滑な導入に向けた適切な対応が明記されております。県職員の長時間労働の実態と取り組み方針はどうなっているのでしょうか。
また、会計年度任用職員制度は、1年任期の職員として非正規職員を制度化するものであります。勤務時間や業務内容も同じなのに、非常勤として任用させることには大きな問題があります。県はどう対応されるのでしょうか。
議案第5号は、岩手県工業用水道事業会計補正予算(第2号)であります。東芝メモリの進出に伴う工業用水の需要拡大に対応するための浄水場建設にかかわる詳細設計について債務負担行為を追加するものであります。
第一北上中部工業用水道は、日量2万5、970トンで給水率69.9%、給水余力は1万1、323立方メートルとなっています。当初計画より10%減の給水率となっています。新しい浄水場は147億3、000万円もの事業費を投入する計画になっているだけに、需要量については県民に根拠のある十分な説明をすべきであります。これまで、企業からの情報と企業局の予測を合わせて出された日量6万立方メートルとしておりますが、詳細は詰めている段階とされています。東芝メモリの使用計画はどうなっているのか、需要量の設定についての企業局としての考え方を示してください。
議案第13号は、県営住宅等条例の一部を改正する条例であります。災害公営住宅は、沿岸部では今年度中に県営部分は全て完了する予定であります。現在の入居率は89.1%、空き家は162戸となっております。今後、介護施設への入所や子供との同居による転居などがあり、入居率の低下も予想されます。一般の入居は全ての希望者に対応できると判断したときとされておりますが、現在の災害公営住宅への入居希望者数、及び再建方法が未定となっている被災者はどういう状況でしょうか。
先月、陸前高田市の県営栃ケ沢災害公営住宅に調査に行き、自治会役員と懇談を行ってきました。入居者の情報がなく、自治会活動や災害時の対応に課題があるということ、せっかく建設した集会所にエアコンなどがなく使い勝手が悪いなど、さまざまな要望をいただきました。自治会など入居者からの要望や課題に県はどう対応されているのでしょうか。
次に、議案第18号一般国道340号(仮称)今泉大橋(上部工)工事の請負契約の締結に関し議決を求めることについであります。入札参加申請者数は今回も1者となり、落札率は96.82%となりました。橋梁工事をめぐっては、9月定例会の主要地方道一関北上線柵の瀬橋旧橋撤去(上部工)工事、6月定例会の一般県道大ケ生徳田線(仮称)徳田橋(下部工)(第2工区)工事も1者入札となり、落札率はそれぞれ99%となっています。この間の答弁では、20者及び30者の参加を見込んでいる、適正な入札だったと繰り返し答弁されております。橋梁工事などをめぐっては競争が働かない現状がこの間続いておりますが、この理由を県としてどう分析しているでしょうか。
次に、議案第16号、第19号、第29号については、変更請負契約の締結に関し議決を求めるものであります。一般国道大ケ生徳田線(仮称)徳田橋(下部工)(第2工区)工事については、本年7月5日の契約直後の詳細な現地調査の結果などの理由により、1億4、000万円余の増額となっております。甲子川筋甲子川水門土木工事については、当初契約32億3、784万円から75億1、270万円に、また、野田地区海岸防潮堤ほか工事は42億4、200万円から75億7、805万円に増額されました。当初の設計や金額の妥当性がどうだったのか。詳細な調査の結果による変更契約とありますが、詳細設計や地質調査はもっと早くできなかったのか。水門、防潮堤工事はそもそも特別な事業であり、やむを得ないと考えているのでしょうか。
次に、議案第39号損害賠償請求事件に関する和解及びこれに伴う損害賠償の額を定めることに関し議決を求めることについての議案であります。平成27年7月に大船渡市日頃市町鷹生ダムにおいて、県職員が操船する巡視体験で乗船していた参加者が負傷したことに伴うものであります。事故になった原因と賠償額95万3、955円の根拠、そして、事故から3年以上も経過して和解となった、これだけ時間がかかった要因はどういうことでしょうか。
最後に、議案第45号から第50号までについては、指定管理者の指定に関する議案であります。アイーナにある県民活動交流センター、岩手県立視覚障がい者情報センター及び岩手県立図書館、県営住宅等の管理について引き続き同一の団体が指定管理者となる提案であります。指定管理者は、本来、民間事業所等のノウハウを活用することにより住民サービスの質の向上を図る目的で設けられたものであります。指定管理者の指定でどう貢献されているのでしょうか。
五つの施設の指定管理者の非正規職員の割合は68%となっております。正規雇用の拡大など雇用対策を進める県の施策に逆行していないのでしょうか。月収、年収など雇用環境の改善は図られているのでしょうか。
以上で質問を終わります。答弁によっては再質問いたします。
〇企画理事兼総務部長(佐藤博君) まず、今回の給与改定後の状況についてでございますが、40歳の主査クラスの職員を例にしますと、今回の給与改定後の給与額と平成11年度の給与改定前の給与額を試算して比較しますと、年収額については約82万円、退職手当については約519万円の減となります。
次に、知事部局職員の長時間労働の実態等についてでございますが、平成30年度の10月までの職員1人当たりの月平均超過勤務時間数は─速報値でございますが─全庁で12.4時間となっており、前年度の平成29年度の10月までと同水準となっております。
これまでも、超過勤務の縮減に向けて、事前命令と事後確認の徹底や定時退庁日の設定、事務分担の見直し、業務支援の活用等により縮減に努めてきたところです。さらに今年度からは、所属長が職員の事情を適切に把握するためのワーク・ライフ・バランスシートを全庁展開したほか、さらに8月からは、部局ごとに管理課長等を働き方改革推進員に指名するとともに、働き方改革の取り組みを全庁で集中的に実施する強化月間を設定するなど、取り組みの強化を図ったところです。
今後におきましても、超過勤務の縮減や休暇取得の促進などに努め、職員の健康保持や仕事と生活の両立に向けた働き方改革に取り組んでまいります。
次に、会計年度任用職員制度への対応についてでありますが、会計年度任用職員制度は、地方行政の重要な担い手となっている臨時、非常勤職員の適正な任用や勤務条件の確保を趣旨として、2020年度から導入されるものであります。この制度の適正かつ円滑な実施を確保するため、昨年8月に国から事務処理マニュアルが通知されており、この中で、個々具体の職の設定に当たっては、職務の内容や勤務形態に応じ、常勤職員、任期付職員及び会計年度任用職員を含む臨時、非常勤職員のいずれが適当かを検討することが必要と示されております。
県といたしましては、現在、任用している臨時、非常勤職員の職務内容や勤務形態等に応じ、マニュアルに示された職の設定の考え方を踏まえながら、適切な任用となるよう対応を検討しているところです。
次に、一般国道340号(仮称)今泉大橋(上部工)工事の請負契約についてでございますが、県営建設工事の入札につきましては、入札参加資格要件の設定の際に施工実績等から入札への参入見込み者数を検討した上で手続を進めているところであり、本件橋梁工事についても同様でございます。
本件及び他の2件の橋梁工事については、いずれも大規模かつ技術的難度が高い工事であり、それぞれ入札参加条件を付し、その入札参加見込み者数は20者以上が見込まれたところでございますが、結果として参加者は1者であったものであります。
建設業者の入札参加に関しましては、それぞれの発注工事の内容や、全国、東北地区あるいは県内の同種工事等の発注状況、さらには入札参加見込み者が抱える手持ちの工事の状況や配置技術者数など個々の事情も考慮してそれぞれ参加の是非を決定しているものではないかと推測しているところでございます。
結果として1者入札ではございますが、一般競争入札により入札の機会の公平さが確保されていること、また、電子入札制度により、入札参加者は他の参加者の状況がわからないことなどから、競争性は確保されているものと考えております。
次に、指定管理者の指定による住民サービスの向上についてでございますが、今回、提案している施設で申し上げますと、県民活動交流センターから─それぞれ五つの施設でございますが─、この維持管理業務については、民間事業者等のノウハウを活用した趣向を凝らした幅広い年代向けの各種催事の開催や、利用者のニーズに対応したきめ細やかなサービスが提供されているほか、良好な施設環境の維持や速やかな修繕等が実施されているところです。
また、県営住宅等県営特定公共賃貸住宅等については、入居者からの苦情、要望等に対し、職員全員が情報共有するためのデータベースを構築し、迅速かつ的確に対応しているほか、指定管理者の自主事業として高齢者世帯の見守りや相談対応なども行っており、時代のニーズに沿ったサービスが提供されているところでございます。
岩手県立図書館の管理運営については、開館日数の増加や閉館時間の延長、レファレンスサービスの充実とコンシェルジュの配置等によりサービスの向上が図られた結果、来場者数が増加しているところです。
次に、職員の雇用環境についてでございますが、5施設の正規職員は、平成29年度は51名、29.7%、平成30年度は53名、31.9%となっており、前年度の実績と比較しまして、正規職員が2名ふえ、その割合は2.2ポイント増加しているところでございます。
職員の月収、年収については、雇用条件等により月収、年収の統一的な把握は困難であるため、1時間当たりの平均単価から試算しますと、正規職員及び有期採用職員とも増加傾向にあるところでございます。
〇企業局長(藤澤敦子君) 浄水場整備に係る工業用水需要量の考え方についてでございますが、今般の東芝メモリ株式会社の北上市への進出に当たり、東芝メモリ側からは今後の工業用水の使用計画を提出していただいているところであり、この工業用水使用計画などをもとに企業局において北上工業団地における将来の工業用水の需要量を予測し、日量6万トンの給水能力を有する浄水場を新たに整備することとしたものでございます。
なお、企業の経営情報であるため、詳細な使用計画などは申し上げられませんが、東芝メモリ株式会社とは、今後の工業用水使用数量などについて、双方で確認した工業用水供給に関する覚書を取り交わしているところでございます。
〇県土整備部長(八重樫弘明君) 災害公営住宅への入居希望者及び再建方法未定者の状況についてでございますが、本年10月末現在、みなし仮設住宅を含む応急仮設住宅に入居している1、525世帯のうち、災害公営住宅への入居希望者は427世帯、再建方法が未定の方は9世帯となっております。
次に、自治会等、入居者からの要望や課題に対する対応についてでございますが、災害公営住宅の自治会運営やコミュニティー形成に係る要望や課題については、自治会から公営住宅管理を所管する県の各公署に連絡をいただくほか、災害公営住宅コミュニティ形成支援事業によるコミュニティ形成支援員からの連絡や、コミュニティー形成支援団体との意見交換等の機会を通じて要望をいただいております。要望に対しては、その内容に応じて関係機関等と連携して対応しております。
次に、変更請負契約の内容についてでございますが、議案第16号の徳田橋(下部工)(第2工区)工事については、当初、工事契約後に実施した測量の結果、河川内の地盤が設計段階よりも低下していることが判明し、新たな盛り土や出水時の退避路などの仮設工の変更が必要となったものでございます。
議案第19号の甲子川水門土木工事及び議案第29号の野田地区海岸防潮堤工事については、当初、早期の復旧、復興を図るため、いわゆる標準断面等による発注方式により契約したものですが、その後の詳細設計や詳細な地質調査の結果を踏まえ、必要となる工法の採用等、十分な精査の上、変更契約を提案してまいったところでございます。
甲子川については、第2期工事となる右岸側の仮締め切りが終了し、施工範囲の詳細な地質調査が可能となったもので、その結果により地中の巨れきや転石により対応可能な基礎ぐいの打設工法を採用するなどの変更を行うものであり、野田地区については、軟弱地盤対策として、防潮堤全線の基礎ぐいの追加及び河口閉塞対策として突堤工等を追加しているものでございます。
次に、鷹生ダムにおける事故に係る損害賠償請求事件についてでありますが、事故の原因は、平成27年7月の森と湖に親しむ旬間イベントとして開催した鷹生ダムのダム湖の巡視体験において、県の職員が操船する巡視船が浮き桟橋に接触したものであり、被害者がその弾みで船体に右頬を打ち、負傷したものでございます。
賠償額については、自動車損害賠償責任保険の基準に準じて金額を算定したところ、慰謝料として93万円、これに治療費の実費等2万3、955円を加え、95万3、955円としたところでございます。
また、和解までに時間を要した要因は、経過観察を含め、診断結果を得るまでに時間を要したことなどによります。
〇議長(佐々木順一君) これをもって質疑を終結いたします。
次に、ただいま議題となっております議案第1号から議案第52号までは、お手元に配付いたしてあります委員会付託区分表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
〔参照〕
委員会付託区分表
(第15回県議会定例会 平成30年12月6日)
総務委員会
1 議案第1号
第1条第1項
第1条第2項第1表中
 歳入 各款
 歳出 第1款
第2款第1項
   第2項
   第3項
   第4項
   第5項
   第6項
   第7項
   第9項
   第10項
第3款第5項
第9款
第11款第1項
2 議案第6号
3 議案第7号
4 議案第8号
5 議案第9号
6 議案第10号
7 議案第14号
8 議案第43号
9 議案第44号
10 議案第52号
環境福祉委員会
1 議案第1号
第1条第2項第1表中
 歳出 第3款第1項
   第2項
   第3項
   第4項
第4款
第3条第3表中
 追加中 1
2 議案第3号
3 議案第11号
4 議案第45号
5 議案第46号
商工文教委員会
1 議案第1号
第1条第2項第1表中
 歳出 第2款第8項
第5款
第7款
第10款
第3条第3表中
 追加中 2、4
2 議案第12号
3 議案第42号
4 議案第49号
5 議案第50号
6 議案第51号
農林水産委員会
1 議案第1号
第1条第2項第1表中
 歳出 第6款
第11款第3項
2 議案第2号
3 議案第15号
4 議案第33号
5 議案第34号
6 議案第35号
7 議案第36号
8 議案第37号
県土整備委員会
1 議案第1号
第1条第2項第1表中
 歳出 第8款
第11款第5項
第2条第2表
第3条第3表中
 追加中 3
2 議案第4号
3 議案第5号
4 議案第13号
5 議案第16号
6 議案第17号
7 議案第18号
8 議案第19号
9 議案第20号
10 議案第21号
11 議案第22号
12 議案第23号
13 議案第24号
14 議案第25号
15 議案第26号
16 議案第27号
17 議案第28号
18 議案第29号
19 議案第30号
20 議案第31号
21 議案第32号
22 議案第38号
23 議案第39号
24 議案第40号
25 議案第41号
26 議案第47号
27 議案第48号
〇議長(佐々木順一君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後6時17分 散 会

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