平成30年12月定例会 第15回岩手県議会定例会会議録

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〇38番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
今任期最後の一般質問となりますので、達増県政の成果を検証しつつ、県民の命と暮らしを守る課題について質問いたします。
東日本大震災津波からの復興は、県政の最大の課題であります。達増県政は、被災者一人一人の幸福追求権を保障することを復興の基本原則に掲げて、被災者の立場に立った復興を進めてきました。
被災者の医療費、介護保険利用料等の免除を8年連続して継続実施し、来年も継続実施の方向を示したことは、被災者の命と健康を守る大きな力となり、復興の取り組みの中で最大の成果と言うべきものであります。
〔副議長退席、議長着席〕
どれだけの予算で、どれだけの被災者の医療費を免除してきたか、具体的成果を示してください。
また、震災の年の6月8日の臨時県議会で、国に先駆けて共同利用漁船の確保や養殖施設の整備への補助など、岩手県が先駆的に取り組み、その後、国の制度となったもの、国の制度にはなく、岩手県独自の事業として進めてきた事業とその実績について示してください。
あとの質問は、質問席から一問一答で行います。
〔38番斉藤信君質問席に移動〕
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 斉藤信議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、被災者の医療費等の免除についてでありますが、平成24年10月に、それまで行われてきた国民健康保険等の一部負担金の免除に係る国の特別な財政支援が終了したことから、県では、引き続き市町村が免除措置を継続することができるよう必要な財政支援を行ってきたところであり、その総額は21億円余となっています。
平成29年度までに免除が行われてきた一部負担金の総額は、国民健康保険、後期高齢者医療制度、介護保険及び障がい福祉サービスを合わせて約194億円となっており、延べ約22万人の被災者の医療や介護サービス等を受ける機会の確保と健康の維持増進等に寄与したものと考えております。
次に、復興に係る県の先駆的取り組み等についてでありますが、本県では、国に先駆けて、事業者の二重債務問題に対応した債権買い取り等の支援策を講じるとともに、復興祈念公園や伝承施設の整備、用地取得迅速化のための制度創設に向けた取り組みを進めてきたところであり、これらはその後、国の施策に反映されました。
また、国の対応に先んじて県で補正予算を編成し、被災者の内陸宿泊施設への短期移動や中小企業の早期復旧のための災害復旧資金の貸し付け及び被災資産修繕費の補助、漁船等を一括整備する共同利用システムの構築、三陸鉄道の復旧、整備などに取り組んだところであります。
さらに、平成23年度に開催された国の東日本大震災復興構想会議において、本県から復興道路等の緊急整備、復興特区制度の創設等について提言し、国の東日本大震災からの復興の基本方針に盛り込まれ、事業化や制度化が図られたところであります。
こうした取り組みに加えて、県では、被災地域の実情に応じ、暮らしの再建やなりわいの再生等に弾力的かつきめ細かに対処できるよう、国が一定期間で終了した事業の継続や国の制度に上乗せした手厚い支援など、県独自の取り組みを実施してきたところであり、主な取り組みとしては、住宅等の再建や補修に係る費用の一部助成、国民健康保険等における一部負担金の免除、被災地での福祉灯油の助成、被災児童生徒等の支援のためのいわての学び希望基金の創設のほか、いわて復興未来塾及びいわて三陸復興フォーラムによる県内外での情報発信に取り組んでおり、さらに、来年度は三陸防災復興プロジェクト2019の開催を予定しております。
このように先導的な取り組みや県独自の取り組みを実施しながら、いのちを守り海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸の創造を目指してきたところであります。
〇38番(斉藤信君) 大変丁寧な答弁でありました。
実は、11月11日、12日に、岩手県大槌町のホテルで災害対策全国交流集会が開催されまして、北海道から熊本県まで、西日本豪雨の被災地からの参加者を含めて170人が参加いたしました。達増知事からもメッセージをいただきましたが、そのときのスローガンが、岩手のたたかいに学ぼう被災者・被災地の声を生かした人間復興ということでありました。岩手県の取り組みに大変大きな反響、そういう声が寄せられたところであります。この成果を引き続き継続していただきたい。
同時に、大震災津波から7年9カ月近くとなりまして、緊急の課題もまた切実であります。10月末現在で応急仮設住宅で生活している被災者は1、341戸、2、805人、みなし仮設住宅では324戸、795人、災害公営住宅には4、882戸、8、772人が入居しています。
応急仮設住宅、災害公営住宅それぞれの孤独死は、ことし、また累計でどうなっているでしょうか。阪神・淡路大震災の教訓を踏まえて、孤独死を出さない特別の取り組みの強化が必要と考えますが、具体的な取り組みと、対策を含めて示してください。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 平成30年10月31日現在、東日本大震災津波に係る応急仮設住宅と災害公営住宅において、ひとり暮らしで亡くなられた後に発見された方は、応急仮設住宅で平成30年は1人、累計で44人、災害公営住宅で平成30年は15人、累計で31人となっており、被災者が地域で孤立を深めることがないような対応が必要と考えております。
本県においては、県と岩手県社会福祉協議会が連携して配置した生活支援相談員が、市町村が配置する支援員等と連携しながら、被災者への個別支援や住民相互に支え合うコミュニティー形成等の地域支援の両面に取り組んでいるところであります。
さらに、今年度から、有識者や関係団体等による検討会の開催やコミュニティ食堂の試行的な実施など、中長期的な見守り体制の充実を図るための取り組みを始めたところであり、今後も、被災者が安心して暮らすことができるよう、被災者に寄り添ったきめ細かな支援を行うとともに、地域で暮らす人々が相互に支え合うことができる新しい福祉コミュニティーの形成支援に努めてまいります。
〇38番(斉藤信君) 災害公営住宅でことし15人が孤独死していると。去年は6人でした。これは本当に急増と言うべき問題であります。
災害公営住宅におけるひとり暮らし高齢者や要支援者の見守りとコミュニティーの確立は、重要な課題であります。災害公営住宅に入居されている方々は、津波で家をなくし、避難所の生活を経て災害公営住宅に入居されてきた方々であります。また、国の家賃低減の対象となる低所得者が75%を占めるように、低所得で高齢化しているのが特徴です。それだけに、見守りやコミュニティーの確立には特別の支援が必要です。
9月定例会でも取り上げましたが、一番土台となる入居者名簿が県から自治会に提供されず、整備されていないのが実態です。知事は、個人情報保護の観点から、同意をいただいた方の情報について自治会にも要請に応じて提供していると答弁しましたが、その後改善が図られたのでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 災害公営住宅の自治会において、入居者名簿を作成しておくことは、コミュニティー形成や災害時の避難活動などに有効であると考え、まずは、名簿未作成の自治会から必要とする入居者情報を把握することとしており、また、入居者からは、情報提供の同意が得られるよう取り組んでいるところです。
このような名簿作成などの自治会活動を支援するため、県では、災害公営住宅において、一定のコミュニティーが形成されるまでコミュニティ形成支援員を派遣して、相談対応や運営のサポートを行っております。
今後においては、こうしたコミュニティ形成支援員の活動を通じて、入居者名簿の作成に当たっての自治会のニーズなどを積極的に把握し、市町村や市町村社会福祉協議会等の関係機関とも連携しながら、自治会の活動を支援してまいります。
〇38番(斉藤信君) 私は9月定例会前も、そしてその後も災害公営住宅を訪問して聞きましたが、入居者名簿は提供されていないのが実態です。提供できますよと、このように通知してやっていただきたい。
自治会に住民の名簿がないところはないのですよ。誰が、どこに住んでいるかわからない、こういう中でできた自治会が大変苦労している。例えば平田災害公営住宅は、防災訓練に取り組んでいるけれども、火事が心配だと。しかし、誰を助けていいかわからないのです。ひとり暮らし高齢者がどの部屋にいるかわからないのです。そういう意味で、本当に孤独死を出さないためにも、この入居者名簿の情報提供は、ぜひ積極的に進めていただきたい。
生活支援相談員やNPOなどの方々も被災者を訪問しています。私は、こういう情報が地域で、また自治会で共有されることが必要だと考えますが、いかがでしょうか。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 被災者への訪問、支援についてでありますけれども、県社会福祉協議会が配置する生活支援相談員が、被災者の見守り活動を行っておりまして、また、市町村が配置する支援員やNPOなどの民間支援活動等について、生活支援相談員と連携しながら、応急仮設住宅などの個別の見守りやサロン活動など、地域の実情に応じた活動を行っているところであります。
見守り対象世帯の情報を一律に提供することは困難ではありますけれども、個々の被災者の見守り支援のため、世帯の構成員であったり、心身の状態、配慮を要する点など必要な情報について町内会や自治会に対し、必要な都度、必要な範囲で提供することにより、情報共有を図っていきたいと考えております。
〇議長(佐々木順一君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〇38番(斉藤信君) 個人情報を壁にしないで、やっぱり被災者、住民の命を守るという立場で、ぜひ積極的に取り組んでいただきたい。
なりわいの再生と商店街の再建は、復興の成否にかかわる重要な課題であります。沿岸の基幹産業である漁業と水産加工業は、サケ、サンマ、スルメイカ等の主力魚種の大不漁と貝毒による長期の出荷規制に直面して、原材料不足と価格の高騰で大きな影響を受けています。実態をどう把握しているでしょうか。廃業、倒産、工場休止等の実態はどうなっているでしょうか。
復興の途上で漁業と水産加工業は、第二の災害とも言うべき大不漁に直面しており、復興特区の延長で固定資産税の減免の継続、グループ補助等の借金の返済猶予などの対策が必要と思います。現状をどう把握し対応されているか示してください。
商店街の再建もこれからが正念場であります。グループ補助の交付決定は10月末現在1、507件、交付決定額は874億円余となっています。製造業や商業等の内訳はどうなっているでしょうか。商業では、仮設店舗でピーク時730事業者が営業再開を行いましたが、その後の本設移行、廃業、仮設施設の無償譲渡、現在も仮設店舗で営業している事業者の実態はどうなっているでしょうか。
中小企業庁は、来年度概算要求に仮設施設への支援を盛り込みました。仮設店舗で営業している事業者に対して、無理に退去を迫ることなく、本設移行や営業の継続を親身になって支援すべきと考えますが、県としてどう取り組んでいるでしょうか。
〇知事(達増拓也君) まず、グループ補助金交付決定事業者の内訳についてでありますが、これまでに交付決定を受けた1、507事業者の業種別内訳は、小売業、サービス業が651者で全体の43%、製造業が157者で10%、水産加工業が同じく157者で10%、以下、建設業9%、飲食業8%、宿泊業5%などとなっています。
また、交付決定額874億円の内訳を見ると、水産加工業が213億円で全体の24%、小売業、サービス業が194億円で22%、製造業が150億円で17%などとなっています。
仮設施設で事業再開した商業者729者の状況は、平成30年9月末現在で、仮設施設の譲渡を受けた者を含む本設移行が365者、休廃業等が138者、残りの226者が、引き続き仮設施設で事業を継続しています。
仮設施設で事業を継続している方への支援については、仮設施設の撤去等費用の助成期限の延長については県も国に要請してきたところ、平成31年度の国の概算要求に盛り込まれたものであり、これにより、市町村があらかじめ定めた退去期限までに本設移行ができない事業者であっても、その事情に応じて、退去期限の延長等、市町村において弾力的な運用が可能となっています。
県としては、引き続き市町村と連携を密にして、円滑な本設移行に向けて、グループ補助金等の活用に向けた支援や金融支援を行ってまいります。
〇農林水産部長(上田幹也君) 原材料不足、それから価格の高騰の実態についてであります。
今年度の魚市場の水揚げ状況でございますが、11月末現在で、数量が約7万1、000トン、金額が約139億円。これを震災前の同期比較で見ますと、数量が約6割、金額が約8割でございまして、約27億円の減となっております。逆に、単価は約1.5倍となっております。
ホタテガイの出荷状況でございますが、9月末現在で、数量が約780トン、金額が約4億9、000万円でございまして、震災前の同期比較でいきますと、数量が約2割、金額が約6割、逆に、単価は2.4倍となっております。
次に、影響についてでございますが、お話し申し上げたとおり、魚市場での水揚げ金額は減少しております。漁業者の減収分が当然出てまいりますが、これについては、漁業共済制度により補填の対象となるものでございます。
また、水産加工業者については、地元魚市場以外からの原料調達を余儀なくされております。ただし、このかかり増し経費については、国の補助制度の対象となるものでございます。
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) 水産加工業者の廃業、倒産等の実態についてでありますが、平成30年5月に復興局で調査した水産加工業者の実態把握調査結果によりますと、震災前に操業していた水産加工業者205者のうち、震災後に廃業した業者は22者となっています。また、水産加工業者の倒産でありますが、会社更生法の適用を申請した業者が1者、破産申請をした業者が4者と把握しております。
復興特区の延長での固定資産税の減免の継続についてでありますが、固定資産税の減免は、課税権を有する市町村が条例を定めて実施しているところでありまして、本年11月には、東北市長会や県市長会等におきまして、水産加工業等の現状に鑑み、復興特区に基づく固定資産税の課税免除に係る減収補填の期間延長等について、国に要望していると伺っております。
次に、グループ補助等に伴う自己資金分の高度化スキーム貸し付けに係る返済猶予などの対策についてでありますが、高度化スキーム貸し付けは、グループ補助金等の採択事業者に対しまして、公益財団法人いわて産業振興センターが自己資金相当分を無利子融資する制度でありますが、貸付実績は、平成30年10月末現在で、延べ306事業者に対しまして148億7、000万円余となっております。
県は、いわて産業振興センターと連携し貸付先の業況を確認しておりまして、これまでに償還が困難となった14者20件につきまして、最終償還期限の延長や毎回の返済額の低減といった条件変更を行っております。
〇38番(斉藤信君) なりわいの再生は文字どおりこれからが正念場と、また、極めて困難な局面に直面していると思いますので、ぜひ、必要なあらゆる手だてを講じて、このなりわいの再生に対する支援に取り組んでいただきたい。
次に、2項目めは飛ばして、国民健康保険の問題に入ります。
国民健康保険の構造的な問題の打開と高過ぎる国民健康保険税の引き下げについて。
国民健康保険制度が、今年度から、県が国保財政に責任を持ち、市町村と共同で運営する制度になりました。国保税は住民にとって最も重税感の高い切実な問題であります。
第1に、高過ぎる国保税の現状について質問します。中小企業の労働者が加入する協会けんぽと盛岡市の国民健康保険税について、単身世帯、年収240万円の保険税、保険料はどうなっているでしょうか。また、4人世帯、年収400万円、就労1人、子供2人の場合はどうなるでしょうか。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 協会けんぽ及び盛岡市の国民健康保険それぞれの保険料年額は、40歳未満の単身世帯で収入240万円の場合、協会けんぽが11万8、080円、盛岡市の国保が18万7、800円、また、夫婦とも40歳未満、就労者が1人、子供が2人の4人世帯で年収400万円の場合は、協会けんぽが20万736円、盛岡市の国保が40万円と試算されます。
〇38番(斉藤信君) 今答弁があったように、中小企業の労働者の倍の国保税が課せられていると。これは高過ぎる国保税と、私はそのように言わなければならないと思います。
高過ぎる国保税となっている原因は、国保に対する国庫支出の削減と国保加入者の貧困化、高齢化、重症化にあると思います。
全国知事会、全国市長会、全国町村会などの地方団体は、加入者の所得が低い国保が、他の医療保険より国保税が高く、負担が限界となっていることを国保の構造問題だと指摘し、国保を持続可能とするためには、被用者保険との格差を縮小するような抜本的な財政基盤の強化が必要だと主張しています。そのために全国知事会は、1兆円の公費負担増を政府に要望しています。
知事は、高過ぎる国保税の原因とその打開策について、どのように認識されているでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 国民健康保険は、構造的に被保険者の年齢構成が高く、医療費水準が高いことに加え、年金生活者や無所得世帯の割合が高く所得水準が低いことが、保険税負担が被用者保険よりも重くなっている原因であると認識しておりまして、今後も、医療の高度化や高齢化の進展等により、1人当たりの保険給付費の増加やこれに伴う被保険者の負担の増加が懸念されます。
今般の国保制度改革において、国の財政支援の拡充により財政基盤の強化が図られ、保険税負担の伸びの抑制が図られていますものの、必ずしもこうした構造的な課題の解決には結びついていないものと考えております。
県といたしましては、国民健康保険制度が国民皆保険を支える重要な役割を担っている制度でありますことから、国の財政責任のもと、安定的な財政基盤を確立することが不可欠であると考えており、将来にわたって持続可能な制度となるよう、他の都道府県と連携しながら、国に対し、さらなる財政措置を求めてまいります。
〇38番(斉藤信君) 協会けんぽより2倍も高い国保税の打開は、やっぱり国の責任にあると、これは共通認識になったと思います。
そこで、次に、国保税のゆがみを正すことも重要な課題です。国保税には、世帯の人数にかかる均等割、各世帯に定額でかかる平等割があります。これは国保税にしかない人頭税とも言うべき前近代的なものであります。全国知事会なども均等割の見直しを要求しています。均等割、平等割の見直しを進めている市町村も出ています。
国に対し見直しを求めるとともに、改善すべきところから改善を図るべきだと思いますが、いかがでしょうか。また、1兆円規模の国の公費投入があれば、均等割、平等割をなくして協会けんぽ並みの国保税になると思いますが、県の国保の状況はどう推計されるでしょうか。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 国保税の標準課税総額に対する均等割、平等割等の標準割合については、地方税法で定められており、県では、これに基づき市町村納付金の算定を行っています。
一方で、均等割、平等割は、所得の状況にかかわらず賦課されるため、特に均等割分の課税が、子育て世代の負担を重くしている実態があります。
こうした実態を踏まえ、全国知事会から、子供にかかる均等割保険料軽減措置を導入するよう国に要望を行っているところであり、このような軽減措置は、県が推進している人口減少対策としての総合的な子育て支援策にも通じることから、引き続き国に求めていきたいと考えております。
また、1兆円規模の公費投入に伴う効果についてでありますが、約3兆円に上る全国の国保税を1兆円程度引き下げる効果が見込まれ、3分の1程度の負担軽減につながるものと考えております。
これに伴う本県の国保税軽減額は、国保税全体の約半分を占める均等割及び平等割の約7割に相当する八十数億円と試算され、保険料も被用者保険に近づくことが見込まれるところであります。
〇38番(斉藤信君) 1兆円の国の負担増、そうすれば均等割、平等割の廃止に結びついていく、協会けんぽと同等になると。私たちは、そういう方向こそ構造的問題の打開、解決の道だと、このように提起をしておきたいと思います。
次に、高過ぎる国保税を抑えるために、県内市町村では一般会計から繰り入れを行っていますが、昨年度の実績はどうなっているでしょうか。一般会計からの繰り入れで高過ぎる国保税の値上げを抑えることは、住民の命と暮らしを守る当然のことと考えますが、いかがでしょうか。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 平成29年度において、14市町村で総額7億5、300万円余のいわゆる法定外繰り入れが、一般会計からの繰り入れとして行われております。いわゆる法定外繰り入れについては、市町村の判断により行うことができるものと考えておりますが、昨年11月に策定いたしました岩手県国民健康保険運営方針において、財政健全化のためには、決算補填を目的とした法定外繰り入れは解消に努める必要があるとしているところであります。
平成30年度からの国保制度改革に伴い、県が財政運営の責任主体として市町村納付金の算定を行っているところであり、算定方式の変更に伴う保険税負担の激変緩和が行われている間においては、改革施行前後における被保険者の負担の変化にも十分配慮した対応が必要であると考えているものであります。
〇38番(斉藤信君) 協会けんぽより2倍も高い国保税が低所得者にかかっていて、その高過ぎる国保税を抑えるために14市町村が一般会計から繰り入れているのに、国保の運営方針でそれを縮小するなどと、私はその方針が問題だと思いますよ。やっぱり切実な県民の実態と声が反映されていないのではないでしょうか。
それで、次にお聞きしますが、高過ぎる国保税の滞納者に無慈悲なペナルティーが科せられていることは、直ちに改善すべき問題です。滞納者に対する短期被保険者証、資格証明書の発行、保険証未交付の状況はどうなっているでしょうか。滞納者に対する資産の差し押さえの件数、額、滞納世帯に対する比率はどうなっているでしょうか。差し押さえの件数は全国最悪の状況ではないでしょうか。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 短期被保険者証及び資格証明書の交付世帯は、平成30年9月1日現在で、短期被保険者証が5、047世帯、資格証明書が146世帯となっており、短期被保険者証の未交付者数については1、446人となっています。
また、平成29年度における滞納処分は、差し押さえ件数3、815件、差し押さえ金額約12億4、000万円となっています。
差し押さえ件数の滞納世帯に対する比率については、滞納世帯数が翌年度6月1日時点での滞納繰越世帯の数であり、差し押さえが年度内に実施された延べ件数であるため、的確な分析をすることは難しいものですが、便宜的に、滞納世帯数1万5、687世帯との比率を算出すると24%程度となります。
また、差し押さえの件数につきましては、全国統計のある平成28年度での比較となりますが、全国では多いほうから32番目、東北では、福島県、青森県、宮城県、山形県に次いで5番目となっております。
〇38番(斉藤信君) 高過ぎる国保税を押しつけて、払えない方々に資産の差し押さえまでやる、短期被保険者証を交付すると。短期被保険者証の未交付が1、446人ですか。これね、保険証が届かないということですよ。医療を受ける権利を侵害しているということですよ。こんなことは絶対直ちに改善しなければだめですよ。
それで、これは知事にお聞きしますけれども、国保税の滞納は県民の暮らしの危機のあらわれであります。滋賀県野洲市は、債権管理条例を制定して、滞納は生活状況のシグナル、ようこそ滞納いただきました、こういう立場で、市民生活を壊してまでは回収しない。滞納を市民の生活支援のきっかけにする、こういう立場で取り組んで、滞納者の実態、課題を把握し、各部署が連携して生活を再建して、結果として滞納の解消を図っています。
県民の幸福を目指す岩手県として、滋賀県野洲市の取り組みに学んで滞納者生活支援を進め、ペナルティーのあり方を抜本的に見直すべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 被保険者が保険税を滞納する背景にはさまざまな状況が考えられ、税負担に関する公平性等を確保する観点からは、滞納処分や短期被保険者証等の交付は、担税能力がありながら納付していただけない方に対する手段としては一定の効果があるものと考えられるので、市町村において十分な調査を行った上で実施されるべきものと認識しております。
一方で、滞納の要因が失業や疾病などによる経済的困窮である場合など、真に納付が困難な場合にあっては、分割納付や徴収猶予等の対応のほか、生活困窮者の自立支援を担当する部署と連携した支援などにより、滞納者に寄り添ったきめ細かな対応を行うよう、市町村に対して要請を行っているところであります。
滋賀県野洲市の例を御紹介いただきましたが、滞納者の生活再建の視点も踏まえた対応は県内市町村においても実施されている例がありますことから、今後、こうした取り組みについても共有を図りながら、滞納者個々の実情に応じた適切な対応を促してまいります。
〇38番(斉藤信君) 協会けんぽより2倍高い国保税を低所得者に押しつけて、払えない方々にペナルティーをかける、これぐらい幸福からかけ離れた対応はないと思いますよ。私は野洲市の債権管理条例を紹介したけれども、さっきも述べましたが、ようこそ滞納いただきました、滞納は生活状況のシグナル、こうやって市民にお知らせして取り組んでいるのですよ。そしてかえって生活再建を支援して、滞納を解決しているのです。これが一番、幸福をキーワードとするのだったらあるべき姿ではないでしょうか。もう一回知事にお聞きします。
〇知事(達増拓也君) やはり自立し、そして滞納を解消していただくことが一番でありますので、困窮した方々……今、生活保護ドラマを続けて見ていたのを思い出しましたが、今回のケースに直接当たるものではないのですけれども、市町村の現場の職員に対して、社会的にも困窮している人たちの実態にもうちょっと踏み込んでやってもらおう、そしてそういう市町村職員の努力を社会的にも評価しようという流れがことしようやくできてきているかなと思っておりますので、岩手もそういう流れの中でおくれをとらぬようにしてまいりたいと思います。
〇38番(斉藤信君) それでは次に、県立高校3年生のバレーボール部の生徒の自殺事案と、部活動から一切の暴力行為を根絶する課題について質問します。
第1に、生徒の自殺にかかわる顧問の教師の暴言が、日本体育協会等がスポーツ界から暴力行為を根絶すると宣言した暴力行為に当たるのではないかという問題についてお聞きします。
県教育委員会の詳細調査では、亡くなった原因として何か思い当たることはあるかとの問いに、バレーボール部員は、決勝で負けた高等学校総合体育大会後の練習で、ミドルブロッカーとセッターの3名の部員が、おまえらで負けたことを本当に自覚しているのかと厳しい口調で言われた。亡くなる3日ぐらい前の練習で、同じミスをした本人を顧問は怒っていた、だから部活やめろってんだよと暴言を吐いている。4月後半から5月前半の時期には、そんなんだからいつまでも小学生だ、幼稚園児だとどなり、練習でミスをすると、おまえはばかか、もうバレーすんな、脳みそ入っていないのかと叱責しています。こうした発言は、人権侵害、人格破壊の許されないものであり、日本体育協会等がスポーツ界から暴力行為を根絶すると宣言した暴力行為に当たるのではないでしょうか。
〇教育長(高橋嘉行君) 体罰や暴言は児童生徒の人権を侵害する行為であり、いかなる場合にも許されないものである旨、全ての教職員に対し、さまざまな機会を通じてその趣旨を徹底し、その根絶に向け取り組んできておりますが、運動部活動における指導に当たっては、日本体育協会等の共同宣言等をも踏まえ、文部科学省が示した運動部活動での指導のガイドラインの活用を各学校に指導してきたほか、県高等学校体育連盟などの競技団体等とも連携しながら取り組んできているところであります。
県立高校で発生した今般の事案については、県教育委員会調査において、生徒の一部から顧問のそのような発言があったとする回答があったことは御案内のとおりでありますが、同じ場で活動していた他の生徒などからは、異なる観点からの回答等もあります。顧問の発言が共同宣言の内容に抵触する行為であるか等については、今後、第三者委員会による調査を予定しているところであり、その過程においては、できる限り予断のない調査検証を行っていただく必要があることや、当該顧問に対する刑事告訴がなされておりますので、現時点においては具体的な発言は差し控えさせていただきたいと思います。
〇38番(斉藤信君) 大変残念な答弁でありました。私は、自殺の因果関係を聞いているのではないのですよ。今、私が紹介したような発言を授業中でやったらどうですか。許されませんよ、こんなことは。脳みそが入っていないとか、小学生児だ、幼稚園児だとか、おまえのせいで負けたとか、これを授業でやったらどうなりますか。許されない発言ではないですか。
〇教育長(高橋嘉行君) ただいま御答弁申し上げたとおりでございます。授業中、それから部活動いずれの場合も、これは同じようなことで適切な指導をすべきというように考えております。
〇38番(斉藤信君) 私は、余りにもひどい発言なので、亡くなった生徒の遺書の一部を紹介します。
高校生になると仲間から怒られ、先生からも怒られ、バレーボールも生きることも嫌になりました。点を取るまでは有利でも、ミスをしたら一番怒られ、必要ないと、使えないと言われました。高校でこれなら大学で生きていけるはずがないです。また、周りからのプレッシャーなどにおびえ、怖かったです。これが遺書の中身ですよ。
因果関係について、それは第三者委員会で究明される。しかし、人権侵害、人格破壊とも言うべき発言が暴力行為かどうかを教育長が判断できなかったら、何でこれが根絶できるのですか。できないでしょう。
〇教育長(高橋嘉行君) ただいま議員から遺書の内容の一部の御発言がありましたけれども、その遺書には、全体的にほかの、小学校、中学校時代からどういう思いを持っていたかというようなことがるる述べられております。それらを含めて総合的に判断していただくことが自死との関連ということでは必要だということで、第三者委員会での調査をお願いすることにしたものでございます。
〇38番(斉藤信君) 日本体育協会、これは高等学校体育連盟も一緒に行った宣言ですよ。こう書いているのです。
殴る蹴る突き飛ばすなどの身体的制裁、言葉や態度による人格の否定、脅迫、威圧、いじめや嫌がらせ、さらにセクシャルハラスメントなど、これらの暴力行為はスポーツの価値を否定し、私たちのスポーツそのものを危機にさらす。これが暴力行為の規定ですよ。
知事にお聞きしますが、私が紹介したようなあの発言は、この宣言から見たら根絶すべき暴力行為そのものではないでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 実際にあった個別具体的な事案においてどうだったかということとは別に、一般論としてでありますけれども、議員が述べられたような言葉というのは、その言葉の発し方や、また状況等においては日本体育協会の何々等の暴力行為に当たるおそれはあるものでありまして、やはり課外活動も含めて、教育の現場、あるいはスポーツに取り組む中にあって、暴力行為というものは許されないと考えます。
〇38番(斉藤信君) 顧問のこういう発言、暴力行為がこの生徒を追い詰めたと私は考えております。しかし、今、第三者委員会がつくられますから、その暴力行為と自殺の因果関係は第三者委員会で究明されるでしょう。私はそこまでは決めつけていない。
しかし、原点になるべきそれぞれの発言が人権侵害、人格破壊かどうかというのは、これはあなたが、教育長が判断しなければだめですよ。根絶なんかできませんよ。
そこで、次にお聞きします。
この顧問教師は、前任の高校でも暴言等の行為でバレーボール部員が不登校に陥る事件を起こし、民事裁判を提訴されました。昨年11月の盛岡地裁判決では、体育教官室での暴言行為が不法行為に当たると認定され、20万円の賠償が命じられました。原告側が控訴して控訴審で争われていますが、県教育委員会は控訴しませんでした。なぜこの顧問教師は処分されなかったのか。これまでと同様にバレーボール部の顧問としてなぜ活動できたのか。教育長、なぜですか。
〇教育長(高橋嘉行君) 一審判決において県側の主張がおおむね認められたことから控訴は行わないこととしたところでありまして、ただ、原告側が判決全体を不服として控訴し、現在、控訴審において係争中でありまして、判決が確定していない段階にございます。このような段階におきまして、一審判決で認定された事実のみに基づいて懲戒処分を行った場合には、確定判決において、仮に原告側の主張が一審判決より広く認められた場合であっても、重ねて懲戒処分を行うことは、一度懲戒処分を行った事実について重ねて処分を行うことができないとする、いわゆる一事不再理の法理に抵触するものでありますことから、今後、当該教諭の行為や国家賠償法に基づく県の責任が判決により確定した後において、地方公務員法に基づく懲戒処分を含め、そのあり方を検討する考えであります。
また、バレーボール部の顧問を継続させてきたことについては、判決が確定していないことに加え、当該教諭は、部活動指導に限らず生徒指導や進路指導等の面でも担当業務に真摯に取り組んできており、生徒、保護者との関係なども総合的に勘案して部顧問を継続させる判断を学校として行ったものであり、県教育委員会においても承知していたものであります。
〇38番(斉藤信君) 盛岡地裁の一審判決が控訴されましたから、今、係争中です。ただ、県教育委員会は、この不法行為を認めて控訴しなかったのです。あなた方が控訴して争っているならまだあなたの言い分はいいけれども、あなた方は認めたのですよ、不法行為を認定されて20万円の賠償を。処分は一事不再理だと言うけれども、しかし、強豪校でなぜ同じように顧問にしたのですか。それは別問題じゃないですか。
〇教育長(高橋嘉行君) 一事不再理の考えに基づいて処分を行わなかったということでございますし、それから、指導につきましては、まだ判決が確定しておりませんので、それも含めて控訴を受けておりますので、確定判決後において適切な対応をしたいというように考えているものでございます。
〇38番(斉藤信君) 結果的に、前任校と今度の高校で2度にわたる事件が起きてしまった。これは私、極めて重大だと思いますよ。そのことについて教育長はどういうように受けとめていますか。
〇教育長(高橋嘉行君) これは、それぞれ対象生徒、それから活動等、それから環境等も違う場で起きたものでございますけれども、顧問として共通していたということ、こういうことが問題化されているということについては残念に思っております。
〇38番(斉藤信君) 県教育委員会の対応は第三者委員会の調査事項になっていると思います。第三者委員会の設置の見通し、そして調査事項はどうなっているでしょうか。
〇教育長(高橋嘉行君) 第三者委員会の所掌事項といたしましては、当該事案に至るまでの事実経過及び背景を調査検証することや、今後の再発防止に関する提言を行うことなど5項目を設置要綱で定めております。
この設置要綱は10月末に決定したところでございますけれども、設置要綱の決定後、委員の選考等を現在行っているところでございまして、できるだけ速やかに第1回目の第三者委員会を開催したいというように考えております。
〇38番(斉藤信君) 私は、この事件を契機に、部活動を初めとした学校教育の場から、体罰はもとより人権侵害の暴言を含めた暴力行為を一掃する取り組みを真剣に進めることが必要だと考えます。教師による体罰、暴言を総点検して根絶の取り組みを進めるべきだと考えますが、どう取り組んでいるでしょうか。
そして、部活動の改善についてもあわせてお聞きします。
学校の部活動は、学習指導要領でも生徒の自発的、自主的活動に位置づけられています。ところが、岩手県は全員加入制をとっている中学校が97.5%で、全国トップクラスです。直ちに改善すべきではないでしょうか。
勝利至上主義からの脱却を図るべきです。部活動の目標は生徒自身が自主的に決めて取り組むべきですが、実態はどうなっているでしょうか。必要な改善、研修は行われているのでしょうか。この間の部活動の改善の取り組みとあわせて示してください。
〇教育長(高橋嘉行君) まず、暴力行為一掃の取り組みについてでございます。
体罰や暴言は絶対に許されないという認識のもとで、県教育委員会におきましては、事案発生の都度、通知を発出し、全教職員に対して強く注意喚起を促すとともに、各学校長に対しては、各校の状況を再度確認するよう指導してきております。
また、感情をコントロールするすべを学ぶためのアンガーマネジメント研修の受講者数の拡大や体罰チェックリストの活用、さらには、所属長など管理職のリーダーシップによる日常からのコンプライアンスの取り組みの徹底等によりましてその再発防止に努めているところであります。
部活動における指導の改善については、運動部活動担当教員の研修を、これまで競技ごとに教職員の希望に基づく受講としていたものを、順次、学校ごとの悉皆研修へと切りかえを進めてきておりますが、今後におきましては、研修内容をコミュニケーションスキルの向上、生徒の意欲喚起を促す指導法に主眼を置いたものに見直すことなども検討し、今後とも学校における体罰や暴言等の防止に鋭意努めてまいります。
次に、部活動の改善についてであります。
本県中学校における部活動の加入状況については、各学校において、社会性や生涯にわたってスポーツ、文化に親しむ能力を育成する観点等から部活動への加入を勧めてきており、全国と比較いたしまして高い加入率となっております。本年6月に策定した部活動の在り方に関する方針におきましても、生徒の自主的、自発的活動である部活動の趣旨を各学校に徹底したところでありますが、部活動の加入のあり方等についても、今後さまざまな取り組み事例の積極的な情報提供等を行いながら、関係者の合意形成のもとに部活動の本質を踏まえた見直しが推進されるように取り組んでまいります。
〇38番(斉藤信君) 部活動というのは、自発的、自主的活動なのですね。全員加入制というのは強制なのです。私は、少なくとも全員加入制は見直して、自主的、自発的なクラブ活動にすべきだと思います。そのことだけ簡単に答えてください。
〇教育長(高橋嘉行君) 昨日も一般質問で佐々木努議員の御質問にお答えしたとおりでございまして、部活動の自主的、自発的な活動が定着するように努力していきたいと思っています。
〇38番(斉藤信君) 次に、県の次期総合計画案について質問いたします。
私は、幸福をキーワードにすることは、東日本大震災津波からの復興の取り組みで被災者一人一人の幸福追求権を保障するとした基本原則が大きな役割を果たしたことから、評価するものであります。同時に、幸福をキーワードにするというなら、格差と貧困の拡大のもとで、幸福から一番遠ざけられている県民に光を当てることが最も重要な課題だと考えるものであります。
そこで知事に質問します。格差と貧困の実態をどう認識されているでしょうか。
県民の階層別所得水準を示すデータが直接的にはないのが問題ですが、平成29年就業構造基本調査結果では、非正規雇用者の割合、199万円以下の、いわゆるワーキングプアの正規職員、パート職員の割合はどうなっているかを含めてお答えください。
〇知事(達増拓也君) 平成19年の知事就任以来、格差と貧困の原因となる雇用情勢の回復のおくれや県民所得の低迷など岩手が直面する危機を希望に変えるべく、いわて希望創造プランやいわて県民計画に基づき、課題解決に取り組んできたところであります。
このような中、5年に1度行われる就業構造基本調査では、直近の平成29年において、役員を除く雇用者に占める非正規雇用者の割合は35.7%となっており、所得が199万円以下の正規職員の割合については15.8%、パート職員の割合については92.6%となっているところであります。
引き続き、労働力不足を背景とする求人、求職のミスマッチの解消や、国民所得に対する県民所得水準の乖離縮小などに取り組む必要があることから、次期総合計画では、いわて県民計画の成果や課題を土台に、10の政策分野のうち、仕事・収入分野において、安定した雇用や仕事のやりがい、生活を支える所得の確保などを初め、県民一人一人の幸福を守り育てるための政策を進め、格差と貧困の改善を図っていく考えであります。
〇38番(斉藤信君) 今、答弁あったように、正規の労働者でも15.8%が年収199万円以下、パートに至っては92.6%、これが岩手の労働者の実態ですよ。本当に貧困打開というのは私は切実な課題だと思います。
具体的な問題についてお聞きします。
子供の貧困問題を含めて、貧困の打開を図ることなしに幸福を実感することはできないと思います。子供の貧困問題については、盛岡市や陸前高田市など既に8市町で独自にひとり親家庭や子ども生活実態調査が行われています。そこで示された子供の貧困の実態をどう把握、認識されているでしょうか。
次期総合計画案では、生まれ育った環境に左右されることなく子供が成長していけるよう、子供の貧困対策や児童虐待の防止対策などにより子供が健やかに成長できる環境を整備しますとしていますが、具体的な対策はどうなっているでしょうか。貧困を解消する目標、子供の居場所づくり、子ども食堂などの食事支援、学習支援の具体化が必要ではないでしょうか。
また、ひとり親の、朝早く出勤し夜遅くまで仕事し、土日、休日も仕事をしているという苛酷な就労の改善を図り、子供と過ごす時間の確保の対策や、児童養護施設の退所者の進学、就労のフォローと支援などの対策も必要と考えますが、県の具体的な施策を示してください。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 子供の貧困実態の把握、認識についてでありますが、平成29年度までに、盛岡市や陸前高田市など県内8市町で独自にひとり親世帯等を対象とした子供の貧困に関する実態調査を実施したと承知しております。
調査結果について一概には申し上げられませんが、ひとり親世帯の特徴としては、保護者の雇用形態が非正規である場合が多く、就労時間も不規則であることから、子供と過ごす時間が制約されている状況にあることなどがうかがわれる結果となっているところであります。また、低所得者世帯でも利用できる学習機会の確保や食事の提供など、子供の居場所づくりに対する支援ニーズが高いことなどが見てとれます。この調査結果は、いわての子どもの貧困対策推進計画に示すひとり親家庭や生活困窮世帯等の子供の居場所づくりに関する支援の方向とも合致しているものと考えております。
子供の貧困を解消する具体的な対策と目標の具体化についてでありますが、県では、本年度、子どものの生活実態調査を実施しているところであり、現在、結果は取りまとめ中でありますが、この調査を踏まえて子供の貧困対策の方向性を検討し、政策推進プラン(仮称)に反映させたところであります。
政策推進プラン(仮称)においては、子供の貧困対策に向けて、いわての子どもの貧困対策推進計画に基づく学習環境の整備や福祉部門との連携強化などの教育の支援、相談事業の充実などの生活の支援、金銭の給付や奨学金の貸与などの経済的支援等の内容をさらに充実させて取り組むこととしています。
また、政策推進プラン(仮称)の具体的な推進方策の指標として子ども食堂のある市町村数を掲げ、子ども食堂や学習支援などの子供の居場所づくり等に取り組むこととしております。
ひとり親世帯や児童養護施設退所者に対する県の対策についてでありますが、ひとり親世帯支援対策については、岩手県ひとり親家庭等就業・自立支援センターを設置し、就業相談員による就業相談や就業講習会を実施するとともに、岩手県ひとり親家庭等自立促進計画に基づき、子育て支援、生活環境の整備、経済的支援の充実など、総合的な支援施策を実施してきたところであります。
また、児童養護施設退所者に対しては、自立支援資金貸し付けを行い生活費等の支援をしているほか、今年度から施設退所後も相談対応などの支援を行い、将来の自立に結びつける社会的養護自立支援事業を実施するなど、施設入所措置が解除された後も個々の子供のニーズに応じた支援を行っているところであります。
〇38番(斉藤信君) ぜひ今度の次期総合計画に子供の貧困打開の具体的方向を示していただきたい。
次に、知事にお聞きしますが、広域行政としての県の役割を発揮するためにも、幸福の土台である仕事、収入の確保のためにも、産業政策を明確に打ち出すことが必要だと考えます。
高知県産業振興計画は既に第3期の計画となっていますが、農業、林業、水産業、商工業、観光の五つの分野の産業成長戦略と七つの地域のアクションプランで構成され、検証するための数値目標を定めて、充実、改善が図られています。高知県の取り組みも参考にして、岩手県の産業振興計画を次期総合計画に盛り込むか別立てで作成するか検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 産業振興は、市町村を越える広域的な地域経済の活性化に加え、ものづくり、食産業、観光、農林水産業など地域の特性や資源を生かした地域振興、魅力ある仕事づくりによる若者の地元定着などに結びつくものであり、さまざまな産業分野の振興を総合的に展開していくことが重要と認識しております。
このような考え方のもと、産業政策については、次期総合計画案の長期ビジョンにおいて、地域経済を支える中小企業の振興、ものづくり産業の一層の集積、地域資源を生かした産業の魅力向上、観光産業の総合産業化、農林水産業の持続的な発展など、その方向性を示し、政策推進プラン(仮称)において、4年間の目標や県が取り組む具体的な推進方策、工程表などを盛り込んでおります。
さらに、地域振興プラン(仮称)におきまして、四つの圏域ごとに、地域の特性を踏まえたそれぞれの地域経済の基盤の強化に向けた取り組みを掲げており、これらの政策体系によって産業政策の全体像を示しているところであります。その上で、総合計画の方向性と整合を図りながら、条例の規定に基づき、中小企業振興基本計画やみちのくいわて観光立県基本計画を策定しているところであります。
安定した雇用の確保、仕事のやりがい、生活を支える所得の確保など、県民一人一人の幸福を守り育てる上で産業振興は重要でありますので、次期総合計画や条例に基づく計画によって着実に取り組みを進めていきたいと考えております。
〇38番(斉藤信君) 私から見ると、この産業振興政策がまだ物足りない。このさらなる拡充を最終的に図るように、ひとつやっていただきたい。
次に、教育の政策課題で、主要な指標として、学力が全国平均以上の生徒の割合とされていますが、この指標は絶対に採用すべきではありません。
全国学力テストは、今年度の実施要領でも、調査により測定できるのは学力の特定の一部分であること、学校における教育活動の一側面であることなどを踏まえるとともに、序列化や過度な競争が生じないようにするなど、教育上の効果や影響等に十分配慮することが重要であると指摘されています。
実際には、全国学力テストに向けて過去問の練習や事前対策など過度の競争に陥っているのが実際です。国連子どもの権利委員会からは、3回にわたって、過度の競争的な教育制度によって、生徒の健全な成長がゆがめられていると指摘されています。岩手県が学力テストの競争をあおるようなことは決してやってはならないと思いますが、いかがですか。
〇教育長(高橋嘉行君) グローバル化や情報化、人口減少など社会が急速に変化する中で、本県の子供たちが予測困難な社会の変化に対応し、新たな社会のつくり手として活躍できるように成長していくためには、本県の学校教育において、知、徳、体から成る生きる力をバランスよく育んでいくことが重要であると考えています。
確かな学力の定着の観点から活用している全国学力・学習状況調査では、児童生徒の身につけるべき学力が具体的な問題の形で示されており、調査の有効な活用によって、児童生徒の学習上の課題を明らかにし、学習状況の改善や学習意欲の向上につながると考えております。
このような考えから、次期総合計画の政策推進プラン(仮称)中間案においては、各学校等が、児童生徒一人一人に寄り添う教育を推進し、一人でも多くの児童生徒に全国水準以上の力を身につけてもらうように、学力が全国平均以上の児童生徒の割合と学びに向かう姿勢をより一層育んでいくため、主体的に学ぼうとする児童生徒の割合を幸福関連指標として位置づけ、総合的な学力の育成を図ることといたしております。
学力調査の活用については、議員御案内のような、過度な競争等につながるのではないかとの御懸念もあろうかとは存じますが、県教育委員会といたしましては、全国的な順位を争うものではなく、指標設定の趣旨、諸調査の適切な活用のあり方について、さまざまな機会を通じて地域や学校等と十分な共通理解を図り、児童生徒のつまずきに応じた授業改善や学校づくりなどへの組織的な取り組み等を推進し、児童生徒の学びの一層の充実を図っていこうと考えております。
〇38番(斉藤信君) 長々と答弁しましたけれども、あなたの答弁は、全国学力テストの実施要領にも反しているのですよ。国連子どもの権利委員会の3度にわたるこの勧告にも反しているのですよ。わかりますか。指標にしたら競争になるのですよ。
知事にお聞きしましょう。私が全国学力テストの実施要領も示して、国連子どもの権利委員会の勧告も示して、これは指標にすべきではないと。指標にするのだったら、平均点以下の学力をどう引き上げるかなのですよ。そういう目標にすべきですよ。これを、平均点としたら全国の競争をあおるだけなのです。これは絶対にやってはいけませんよ。
知事、あなたの考えをお聞きしたい。
〇知事(達増拓也君) 教育長から答弁がありましたように、児童生徒一人一人に寄り添う教育を推進し、その結果、一人でも多くの児童生徒に全国水準以上の力を身につけてもらうように、学力が全国平均以上の児童生徒の割合を指標として位置づけたということで、児童生徒一人一人に寄り添う教育が推進されているかどうかを見る指標という趣旨と理解しておりまして、競争をあおる趣旨ではないと理解しております。
〇38番(斉藤信君) 1960年代に全国学力テストが導入されて、競争が激化して、これはやめられたのですよ。だから、今回再開するときにも、そういうふうにしてはならない、公表もしないとなっていたのですよ。公表もしないものを平均点を争うなどということをやったら、競争をあおることになるじゃないですか。
あなた方が指標を決めるというのだったら、平均点以下をどう底上げするかという目標をこそ掲げるべきなのですよ。これは次期総合計画の最大の弱点、欠陥ですよ。そのことは厳しく指摘して、今後も追及していきたい。知事、これは真剣に検討していただきたい。こんなことをやったら全国から物笑いになりますよ。
次に、県立病院の次期経営計画の最終案についてお聞きします。
県立病院の次期経営計画の最終案が示されました。医師の増員計画が81人と引き上げられたことは評価します。具体的にどう実現するか示してください。
看護師の増員はマイナス24名から66名への増員計画となりました。これは極めて不十分です。この5年間で130名の増員の計画を上回る138名の増員を行いました。しかし、9日夜勤は昨年度年間で903名にも及びました。ふえ続けています。年次休暇も平均で8.2日、5日以下の看護師が多数います。今後6年間で66名程度の増員で、こうした劣悪な看護師の労働条件は解決できないのではないでしょうか。
〇医療局長(大槻英毅君) 次期経営計画の最終案についてでございますが、医師の配置計画は、2019年度から2024年度の6年間で、医師72名、初期研修医9名の計81名の増員を計画したところでございます。
具体的には、これまでも進めてきた即戦力医師の招聘活動の推進とか関係大学等に対する医師派遣要請などの取り組みに加えまして、奨学金養成医師が、県立病院に勤務しながら専門医資格の取得が可能なプログラムの積極的な活用を図りまして、初期研修修了後に早期の義務履行の促進を図ることによるものでございます。
次期経営計画におきましては、これらの取り組みを着実に進めまして、医師の確保に努めてまいりたいと考えてございます。
また、看護師の配置についてでございますが、人口減とか薬剤の長期投与などに伴います患者数の減少に見合った看護師数の適正化を考慮する一方で、例えば、認定看護師の育成とか入退院支援など医療の質の向上として39人の増員、産前産後休暇及び育児休業等の取得者を代替する正規職員のさらなる充実のため90人の増員を計画しておりまして、これらを合わせて66人の増員となっているものでございます。
また、これまでの夜勤専従制度などの多様な勤務形態の導入や勤務環境の改善の取り組みをさらに進めますとともに、全ての病院現場において、業務の見直し、改善等を強く推進することによりまして、夜勤回数の抑制や休暇取得の増加を図ってまいりたいと考えております。
〇38番(斉藤信君) 9日夜勤がふえ続けていることについて、解消の見通しを示せませんでしたね。138人ふやしたけれども、9日夜勤はふえたのですよ、年次休暇はとれなかったのですよ。
そこで、岩手医療労働組合連合会の看護職員労働実態調査がまとまりました。人手不足による深刻な健康被害、慢性疲労を感じている人は81.1%、健康不安は71.5%。その理由は、仕事量が増えたが62.6%です。仕事での強い不満、悩み、ストレスを68.8%の方が感じています。いつでもやめたいという方々が実に3割、時々やめたいと考えているのが5割ですよ。
こういう労働条件の改善を図らなかったら、看護学生から見放されますよ。私は、思い切った看護師の労働条件の改善のために、さらなる増員を図るべきだと思いますが、簡潔に答えてください。
〇医療局長(大槻英毅君) 先ほど勤務環境の改善と業務改善ということを申し上げましたけれども、こういったことに取り組みまして、今年度の9日夜勤者の実績でございますが、平成30年度第2・四半期までの数で申し上げますと、延べ人数ですが181人分減になってございます。
こういった取り組みを各病院で一生懸命取り組んでおりますので、これを進めて、さらに産休、育休者の補充につきましても配慮した格好で進めてまいりたいと考えております。
〇38番(斉藤信君) 少し減った程度ではだめだと私は言っているのですよ。なくさなければね。
時間がないので次に行きますが、県民の暮らしにかかわる国政の課題について、知事にお聞きします。来年10月から予定されている消費税の10%へ増税の問題です。
2014年に消費税が5%から8%に増税されました。これ以降、国民1世帯当たりの年間の消費支出は25万円も減少し、労働者の実質賃金は18万円も減少しました。経済は落ち込んだままとなっています。
8%への増税が県民にもたらした負担増、県内中小企業と経済に与えた状況をどう把握しているでしょうか。10%への増税になったらどれだけの負担増になるのか。県立病院の転嫁できない消費税の負担額はどうなっているか。
私は、増税するなら400兆円を超える内部留保をため込んでいる大企業や、株などで利益を倍増している富裕層にこそ増税すべきだと。大企業に対する優遇税制をやめれば4兆円、株にヨーロッパ並みに課税すれば1.2兆円、10%への増税分はここで賄えるんですよ。こういうことこそ必要だと思いますが、知事の認識をお伺いします。
〇知事(達増拓也君) 消費税率引き上げに伴う負担増については、国、地方合わせて消費税率8%となったときの負担増は、地方消費税に係る平成25年度と平成28年度の決算額に基づき推計しますと、県民1人当たり年間約5万2、000円となります。
また、税率が8%に引き上げられた平成26年の県内経済においては、物価上昇の動き、大型小売店舗販売額、新車登録台数などの個人消費の落ち込み、鉱工業生産指数、新設住宅着工戸数の前年割れなど、税率引き上げや駆け込み需要の反動減の影響が見られました。
次に、消費税率10%となったときの負担増は、政府の試算をもとに推計すると、軽減税率適用後で、県民1人当たり年間約2万7、000円になります。
また、県立病院の転嫁できない消費税の負担額については、消費税が導入された平成元年度から平成29年度までの間の累計消費税負担額は総額605億円余となっているところであります。
消費税率の引き上げは、経済的に弱い立場にある方々や、我が国の経済を支える多数の中小企業に負担を強いることとなるため、国民生活に多大な影響を及ぼすことが懸念され、特に本県の場合、東日本大震災津波や平成28年台風第10号災害の被災地への影響も大きく、被災者の暮らしの再建やなりわいの再生の妨げとなることが懸念されます。
県といたしましては、経済的に弱い立場にある方々が困窮することがないように、また、地域に根差した産業に十分配慮して、地方経済の落ち込みや復興のおくれを招くことがないような対応を国に求めてまいります。
〇38番(斉藤信君) 8%への増税で県民1人当たり約5万円余、10%へ増税になればさらに2万7、000円の負担増になると。これを県民の総負担額で試算しますと、8%へ増税になったときに約625億円の負担増でした。これに、さらに10%の負担増を含めますと960億円の県民総負担増になると。これは本当に耐えがたい負担を強いるもので、県民の暮らしも地域経済も復興もだめにしてしまう。これは絶対に行ってはならない、このことを指摘しておきたいと思います。
幸い、増税の前に参議院議員選挙がありますから、この結果次第では、必ずこの10%への増税は阻止できるものと考えております。
最後に、警察本部の不祥事案と公安委員会の対応についてお聞きいたします。
第1に、岩手競馬の競走馬から、レース後、筋肉増強剤が3度にわたって検出され、予定されていたレースが2度にわたって中止される事態となっています。
岩手競馬は330億円の莫大な借金を抱え、県と奥州市、盛岡市の2市が肩がわりして継続されていますが、赤字になったら廃止するという原則で継続されているものであります。
今回の筋肉増強剤検出事件は、岩手競馬の存続にかかわる重大問題でありますが、県警察本部は、威信をかけて捜査をしているでしょうか。
〇警察本部長(島村英君) 現在、鋭意捜査中であります。
〇38番(斉藤信君) しっかりやっていただきたい。
次に、この10年間に警察職員の自殺等で亡くなった実態とその所属はどうなっているでしょうか。
〇警察本部長(島村英君) 平成20年度から平成29年度までの10年間に、県警察職員が死亡により退職した数は36人であります。このうち自殺者は6人、東日本大震災津波による殉職者は11人、それ以外は病気等による死亡退職であります。
〇38番(斉藤信君) 私は県議会で繰り返し取り上げてきましたが、震災の殉職死の11人を除く25人ですけれども、県警察本部の交通規制課で3人が、簗川大橋から飛び降り自殺をする、北上川で水死体になって発見されるという異常な事態が3年連続で発生しました。
この問題について、単に事件が3件続いたという話ではないのではないか。この背景に何があるのか。裏金を隠して苦にして亡くなったとか、そういうことはないのですか。徹底して調べましたか。
〇警察本部長(島村英君) 職員の死亡事案につきましては、一般の方と同様に検視等を行っておりまして、また、健康状態や心的な要因、職場環境や勤務状況等の問題の有無等についても可能な限り調査しているところでありますが、当該職員の所属を含め、個別の事案の内容につきましては、死者の尊厳や御遺族の心情への配慮から、答弁を差し控えさせていただきます。
また、先ほど裏金等の御指摘がございましたけれども、職員の自殺事案の調査において、会計経理に絡む不適切行為等の疑われる事案はございません。県警察の会計経理につきましては、毎年、県監査委員による監査を受けており、また、内部の定期監査により適正経理の確保に努めているところであります。
〇38番(斉藤信君) 簗川大橋から2年連続ですよ、飛び降り自殺。これは普通の死に方ではないですよ。
そして、北上川で水死体になった。これは、警察官OBの退職者を慰労する会の後でした。それで、頭に陥没の跡もあったと。しかし、私が幾ら質問しても、自殺でもない、事件性がなかった。何が残るのですか。自殺でも事件性もなかったら何が残るのですか。一般論でもいいから答えてください。
〇警察本部長(島村英君) 議員御指摘の北上川の事案につきましては、検視や司法解剖など所要の捜査を遂げて死因を特定しておりますが、詳細につきましては、死者の尊厳や御遺族の心情への配慮から、答弁を差し控えさせていただきます。
〇38番(斉藤信君) 一つの課で3年連続こういう自殺というか不審死が発生したことは、本当に重く受けとめて、公安委員長、後で聞きますけれども、こういうことをきちんと管理監督しなかったらだめだと思いますよ。
それで、もう一つの事件をお聞きします。ことし3月、盛岡東警察署の課長が一身上の都合で退職しました。私は決算特別委員会で、これは暴力団との癒着、接待、深い交際が発覚したためではないかとただしましたが、首席監察官の答弁は、御指摘の関係については確認していないということでした。これは否定した答弁ではなかった。私の指摘を踏まえて調査しましたか。
〇警察本部長(島村英君) 個別の職員の退職につきましては、プライバシーにかかわることであり、お答えを差し控えさせていただきますが、一般論として、職員の早期退職に際しては、必要に応じて事情などを調査しており、本年3月に退職した職員に、議員御指摘の暴力団との癒着といった事情で退職した職員は、確認されておりません。
〇38番(斉藤信君) 私は何度かいろいろな不祥事を取り上げていますが、事実がないときは事実がないと答えているのですよ。今は、確認されなかったのですよ。事実ではないと答えていないのですよ。隠したのではないですか。違いますか。
〇警察本部長(島村英君) 再度申し上げますけれども、本年3月に退職した職員に、議員御指摘の暴力団との癒着といった事情で退職した職員は、一人も確認されておりません。
〇38番(斉藤信君) 事実でなければ事実でないといつも答弁をしていますが、確認されなかったという答弁にとどまりました。一般の職員だったら厳しい懲戒処分されるけれども、課長はなぜ処分されないのだと、こういう県民の声があるのですよ。これは徹底してしっかり調査していただきたい。
それで、公安委員長にお聞きしますが、公安委員会の責務はどうなっていますか。
〇公安委員会委員長(石川哲君) 公安委員会の責務についてでありますが、公安委員会は、警察法第38条に基づき、県警察の民主的な運営を確保するため、住民を代表する合議制の機関として設置されており、国家公安委員会及び他の都道府県公安委員会と緊密な連絡を保ちながら、県警察を管理することとされております。
公安委員会の行う管理は、個々の事務執行は含まれず、大綱方針を定めて、これによる事前事後の監督を行うものと承知しております。
〇38番(斉藤信君) 私が警察本部からいただいた資料には、こう書いていますよ。都道府県公安委員会は、管内における事件、事故及び災害の発生状況等を踏まえた警察の取り組み、組織や人事管理の状況等について、定例会議の場等で警察本部長から報告を受け、これを指導することにより都道府県警察を管理していると。これに間違いありませんね。
〇公安委員会委員長(石川哲君) そのとおりでございます。ただ、個々の事件について監督するものではございません。
〇38番(斉藤信君) 私のことは否定しなかったね。否定しませんでしたね。
もう一回言いますよ。管内における事件、事故及び災害の発生状況等を踏まえた警察の取り組み、組織や人事管理の状況等について、定例会議の場等で警察本部長から報告を受け、これを指導することにより都道府県警察を管理しているとなっているのですよ。私が県議会で取り上げた、先ほど指摘した一つの課で3年連続自殺、不審死が発生する盛岡東警察署のこの疑惑。
もう一つは、私は何回も取り上げていますが、岩手医科大学の元教授の覚醒剤疑惑について、捜査したかどうかも確認せず、当時の刑事部長がその大学に再就職した。そのことについて2月の定例会で公安委員長は、癒着はないものと認識しておりますと答弁しました。報告を受けていないのに、何で癒着がないと認識したのでしょうか。そのことも含めて答えてください。
〇公安委員会委員長(石川哲君) 元岩手医科大学教授の覚醒剤疑惑につきましては、県警察から捜査状況に関する報告は受けておりません。ただ、この疑惑が週刊誌に掲載されたことや、これまでの県議会における斉藤議員からの御質問と、これに対する答弁の内容については報告を受けております。
元刑事部長の再就職につきましては、関係法令に照らして違反行為と認められる事実はなく、適正に行われているものと説明を受けているところであり、癒着はないものと認識しております。
〇38番(斉藤信君) この岩手医科大学元教授の覚醒剤疑惑、議会で聞きますと、捜査しているかしていないか言えないと言うのですよ。私が競馬の問題を聞いたら、捜査していると。何で覚醒剤の問題は捜査していると言えないのですか。やっていないからではないですか。
〇警察本部長(島村英君) 今回の岩手競馬の問題と岩手医科大学の件との整合性についてでありますけれども、今回の競馬問題につきましては、岩手競馬のレースに出走した競走馬から禁止薬物が検出され、県競馬組合において県警察に情報提供したことを公表し、既に公知の事実でありますので、捜査していることについて公表したものであります。
一方、岩手医科大学の件などについて、個別に事件を捜査しているか捜査していないか、あるいはその捜査状況につきましては、一般論として、捜査の相手方に手のうちをさらし、今後の捜査に支障を及ぼすおそれがありますので、答弁を差し控えているものでございます。
〇38番(斉藤信君) 全く整合性がとれませんでした。岩手医科大学元教授による覚醒剤事件というのは、週刊文春に掲載されたのですよ。公表の事実ですよ。そして、覚醒剤を打たれた女性が告発したのですよ。こんな公表の事実について、捜査しているかしていないかも言わないで、当時の捜査の責任者の刑事部長が、この大学に天下りしたのですよ。私は、県警本部の信頼にかかわる事件じゃないかと。
公安委員長にお聞きします。いいですか、天下周知の醜悪な事件で、この捜査をしているかしていないかも公安委員会は報告を受けていないと言う。おかしいでしょう。そして、捜査の責任者がその大学の病院長顧問に再就職。県民誰が見たって癒着でしょう。そういう県警本部の信頼にかかわる問題について、公安委員会は、私がさっき紹介したような重要な事件について、報告を受けて、管理、指導すべき問題じゃないのですか。違いますか。弁護士の良心にかけて答えてください。
〇公安委員会委員長(石川哲君) 先ほどから申し上げておりますように、公安委員会の管理監督は、個々の事件に及ぶものではないと認識しております。
〇38番(斉藤信君) 私はさっき何回も言ったじゃないですか。管内における事件、事故及び災害の発生状況等を踏まえた警察の取り組み、これについて報告を受けて、そして指導するとなっているのですよ。ましてや、当時の捜査の責任者が天下るという、これが問題ではないかと言っているのですよ。警察の人事管理からいっても。今の答弁は答弁になっていませんね。もう一度お聞きします。
〇公安委員会委員長(石川哲君) 議員御指摘の文章は、恐らく警察白書から引用されたものかと思いますが、あくまでそこで公安委員会の対象となるのは県警察の施策でありまして、個々の事件ではないと認識しております。
〇38番(斉藤信君) 個々の事件というよりは、重大な事件を私は言っているのですよ。個々の問題ではない。警察本部の信頼にかかわる重大な事件について、私は指摘しているのですよ。3人連続亡くなったということも、個々の事件ではないでしょう。やはり警察の内部に重大な問題が発生しているのではないか。そういう問題意識を持って、こういう問題に公安委員会が責任を持って対応すべきなのだと思いますよ。
時間がないから、もう言い切って終わりますが、公安委員会の責務をしっかり果たしていただきたい。
以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〇議長(佐々木順一君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
日程第2 議案第1号平成30年度岩手県一般会計補正予算(第4号)から日程第53 議案第52号当せん金付証票の発売に関し議決を求めることについてまで
〇議長(佐々木順一君) この際、日程第2、議案第1号から日程第53、議案第52号までを一括議題といたします。
これより質疑に入ります。
質疑の通告がありますので、発言を許します。高田一郎君。

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