平成30年12月定例会 第15回岩手県議会定例会会議録

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〇5番(柳村一君) 改革岩手の柳村一でございます。
諸先輩方の御配慮により登壇の機会を与えられたことに感謝申し上げつつ、一般質問をいたします。
地球温暖化対策について伺います。
まずは、温室効果ガス削減、抑制等の対策について伺います。
県は、岩手県地球温暖化対策実行計画を2012年3月に策定し、計画の中間年に当たる2015年度に計画期間前半における指標や各施策等の達成状況、地球温暖化対策に関する国内外の動向、再生可能エネルギーを取り巻く情勢などを踏まえ見直しを実施し、2016年3月に計画を改定しました。
この計画は、2020年度の温室効果ガス排出量を、1990年比、排出削減対策で13%、再生可能エネルギー導入で4%、森林吸収量で8%の合わせて25%を削減する、2020年度の再生可能エネルギーによる電力自給率を2010年度18%から35%にする、2020年度の森林吸収量の見込みを114万8、000トンにすることを目標としています。
〔議長退席、副議長着席〕
また、岩手県次期総合計画案の第1章の理念4、幸福と持続可能においてSDGsを取り上げており、誰一人として取り残さないの理念のもと、経済、社会、環境の課題を総合的に解決することを目指すというSDGsの理念や持続可能な開発目標は、幸福を守り育てようとする考えに相通じるものであり、幸福を次世代に引き継ぎ、持続可能な社会とする取り組みを岩手県から広げていく必要があるとしています。
そのSDGsには17の目標があり、目標13、気候変動に具体的な対策をは地球温暖化に関するもので、17の目標全てに関連があると考えられております。2015年のパリ協定では、今世紀後半に温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを掲げており、これを受け、我が国では、長期的目標として2050年までに温室効果ガス80%削減を目指すとしています。
県は、温室効果ガス排出抑制等の対策として、二酸化炭素の排出抑制対策、その他の温室効果ガス排出削減対策、環境学習の推進を施策の柱として地球温暖化対策に取り組んできていますが、施策の効果をどのように捉えているのか、また、次期総合計画での取り組みをどのように行うのか知事に伺います。
この後の質問は質問席から行いますので、よろしくお願いいたします。
〔5番柳村一君質問席に移動〕
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 柳村一議員の御質問にお答え申し上げます。
温室効果ガス排出抑制等の対策についてでありますが、地球温暖化は、生活や産業、生物の多様性に深刻な影響を与えるものであり、国内のみならず、世界の全ての国が協力していかなければ解決できない問題と捉えております。
県では、岩手県地球温暖化対策実行計画において、温室効果ガスの排出削減目標の達成に向けた施策として、温室効果ガス排出抑制等の対策、再生可能エネルギーの導入促進、そして森林吸収源対策の3本の柱を掲げ、柱ごとの施策の推進方向に基づいて取り組みを進めているところであります。このうち、温室効果ガス排出抑制等の対策については、温室効果ガスの排出量が東日本大震災津波からの復興需要等により平成25年度以降横ばい傾向で推移しており、今後、復興の状況等も踏まえながら、さらなる取り組みが必要と考えております。
こうしたことから、次期総合計画案におきましては、政策項目として地球温暖化防止に向けた低炭素社会の形成を掲げ、家庭部門においては、エネルギー消費量の見える化の推進、住宅の省エネルギー性能の情報提供などによるエネルギー消費の少ないライフスタイルへの転換の促進、産業部門においては、事務所における環境マネジメントシステムの普及、省エネルギー性能の高い設備、機器の導入、効率的なエネルギー管理の支援、運輸部門においては、次世代自動車の普及、公共交通機関の利用促進などによる自動車交通における環境負荷の低減などに取り組むこととしております。
これらの取り組みを効果的に進めるため、全県的な団体、機関で構成する温暖化防止いわて県民会議を中心に、具体的な行動に取り組む県民運動を展開し、総合的な温室効果ガスの排出削減対策を推進してまいります。
〇5番(柳村一君) 県の今までの取り組み等についてのお考えはわかりましたので、次に、それぞれの取り組みについてお伺いしたいと思います。
CO2ゼロへの取り組みについて伺います。
東京都は昨年10月、CO2を排出しないゼロミッション東京を目指して、2020年に開催される東京オリンピック、パラリンピックまでに水素燃料電池バス100台を準備するなど、開会式、閉会式の合計4日間、都内で排出される全てのCO2をゼロにする取り組みを実施すると報道されました。また、埼玉県も、ことし10月、目標設定型排出量取引制度で対象事業所が創出したクレジットを活用し、ラグビーワールドカップ2019日本大会が熊谷ラグビー場で開催される3日間の熊谷市のCO2排出量をオフセットする取り組みゼロカーボン3デイズin 2019を実施すると報道されております。
このような家庭、産業、運輸などの各部門が一体となって取り組む県民運動となるカーボンオフセットや、CO2ゼロのイベントの開催と、次期総合計画での水素利活用推進プロジェクトの活用の考えをお伺いします。
〇環境生活部長(大友宏司君) CO2ゼロへの取り組みについてでありますが、カーボンオフセットは、イベント等の開催時に主催者がCO2の排出量をできるだけ削減する努力を行い、削減が困難な部分の排出量を他の排出削減、吸収量で埋め合わせる仕組みであり、社会の低炭素化に寄与する取り組みとされております。
県では、平成26年度からいわて温暖化防止フェアの開催に伴う来場者の移動、パンフレットの印刷等に係るCO2排出量や、環境学習広報車の走行に伴うCO2排出量を森林整備により生じたCO2吸収量でカーボンオフセットしてきたところでございます。
こうした取り組みは、地球温暖化対策のみならず、森林整備等により地域の活性化や環境保全等にもつながることから、温暖化防止いわて県民会議を中心に、県民、事業者、地域活動団体のイベント等において広く活用されるよう働きかけてまいります。
また、水素は利用時にCO2が排出されないクリーンなエネルギーであることから、水素の安全性や利便性についての普及啓発、環境学習等を通じて県民や地域の理解促進を図るなど、水素利活用に向けた取り組みを一層進めていく考えです。
〇5番(柳村一君) 地球温暖化対策については、県民の皆様にそれぞれ温度差があり、重要と考えている人と全く考えていない人との差がすごくあると思うので、東京都や埼玉県の取り組みが県民に広く認知されるような取り組みも必要と思います。今後、県としてもそのような取り組みを考えていただきたいと思いますし、次期総合計画においては水素の利活用推進という旨も掲げておりますので、その点についても県民に広く理解を求めて推進するような形でお願いしたいと思います。
次期総合計画案の中で、県北広域圏の地域性として、再生可能エネルギーの高いポテンシャルを有すると県は認識されているようでありますし、地域性を生かした地域づくりに取り組むとしております。地域の所得の向上や活性化に向けた施策の展開に期待するものでありますが、地域の資源を生かす上で代表的な取り組みでもある高森高原風力発電所を有する企業局に事業展開についてお伺いしたいと思います。
企業局が発電している電気は、水力、風力、太陽光と全て再生可能エネルギーによるものですが、再生可能エネルギーにより発電された電力に対する期待が高まっていると思います。企業局としてこの動向をどのように捉え、今後の事業展開をどのようにしようと考えているのか、また、企業局が発電する再生可能エネルギーを地域内経済の活性化にどのように生かそうとしているのかお伺いいたします。
〇企業局長(藤澤敦子君) 企業局の今後の事業展開と再生可能エネルギーの活用についてでございますが、企業局としては、これまで一貫して水力や風力、太陽光といった再生可能エネルギーによる発電事業に取り組んできており、今後も、県民の生活を支えるため、再生可能エネルギーによる電力自給率の向上は重要なことと認識しております。
企業局では、ことし1月には高森高原風力発電所の運転を開始したほか、現在、簗川発電所の建設を進めているところでございまして、今後も再生可能エネルギーの導入について調査検討を進めてまいりたいと考えております。
また、企業局で発電した電力を活用し、いわて復興パワーによる中小企業等の電力料金の割引や事業活動の支援などを通じて震災復興やふるさと振興に取り組んでおりますほか、市町村などが行うクリーンエネルギー利用設備の導入に対し支援を行っているところでございます。
今後とも、地域社会の発展に向け、再生可能エネルギーによる電力を活用して地産地消や地域貢献などに取り組んでまいりたいと考えております。
〇5番(柳村一君) 再生可能エネルギーイコール企業局、企業局イコール再生可能エネルギーかわかりませんけれども、後ほどまた関連して御質問いたします。
RE100%地域についてお伺いします。
RE100とは、使用する電力の100%を再生可能エネルギーにより発電された電力にすることに取り組んでいる企業が加盟している国際的な企業連合で、民間企業が事業運営で使うエネルギーを遅くとも2050年までに100%再生可能エネルギーで調達するという目標を掲げることが加盟企業には求められております。ことし10月現在の日本企業の加盟は13企業と、世界に比べてまだまだ取り組みがおくれているのが現状でございます。
先進的な取り組みを行っている長野県ではRE100%地域を目指すと宣言しており、今後、多くの県でも追従していくと思われます。恵まれた再生可能エネルギー資源を持つ岩手県もRE100%地域を目指すべきと考えますが、県の考えをお伺いします。
〇環境生活部長(大友宏司君) RE100%地域についてでありますが、平成29年度に長野県で開催された国際会議で、長野県を初めとする2県6市の長が再生可能エネルギー100%地域を目指して宣言したものであります。
本県における再生エネルギーによる電力自給率は直近の平成29年度末で28%となっており、風力や地熱など全国トップクラスのポテンシャルを背景に再生可能エネルギー導入は今後も進み、自給率もさらに上昇すると見込まれるところですが、再生可能エネルギー100%地域を目指すに当たっては、送配電網への接続制約への対応や環境との調和などの課題もあることから、まずは、次期総合計画案に掲げている再生可能エネルギーによる電力自給率を2020年度に37%まで高める目標の達成に向け、着実に取り組みを推進していくことが重要と考えております。
〇5番(柳村一君) ポテンシャルは高いけれども送電線の関係などによりなかなか100%まではいかないというようなお答えでしたが、長野県で100%を目指すという部分では、岩手県には海もあるので、岩手県はポテンシャルが高いわけです。洋野町や釜石市などでもさまざまな発電を考えているので、再生可能エネルギーから電力を生み出し有効活用するため、さらなる送電、配電の高圧線の関係、そういう部分なども電力会社と協力しながらさらに進めていっていただきたいと思います。
送配電の関係もあるので企業局にまたお聞きしますが、RE100に取り組む企業等への企業局の電力供給についてお伺いします。
企業局が発電した電力は全て今、東北電力へ売電されておりますけれども、電力自由化により、新電力と言われる新たな小売電気事業者が県内にも設立されています。この小売電気事業者や東北電力と連携して、県内のRE100に取り組む企業や企業団地などで再生可能エネルギーを生かすことを考えられないのかお伺いします。
〇企業局長(藤澤敦子君) 小売電気事業者との連携による企業局の電力供給についてでありますが、県内の小売電気事業者の多くは、地域における電力供給を通じて再生可能エネルギーの地産地消を進め、地域経済の循環を担う存在と認識しているところでございます。
企業局では、電力システム改革において発電事業者の売電先や売電価格に係る規制が撤廃されたことにより、2020年度以降の売電方法について、現在、検討を進めているところでございまして、この中で、当局としては、電力の地産地消に努めるとともに、県内の小売電気事業者などとの連携についても検討してまいりたいと考えているところでございます。
〇5番(柳村一君) 2016年4月1日に電力小売事業が全面自由化になりました。先ほど来環境生活部長もおっしゃっているように、岩手県は再生可能エネルギーの資源はあるということですけれども、小売電力事業者が県内で発電したものを他県や首都圏と契約してそちらに電気を送った場合、電力の自給率には換算されないわけですよね。そういうことを考えると、企業局が発電している─今度は簗川ダムでもやるということですが、例えば岩洞発電所に近い滝沢市にあるIPUイノベーションパークと契約して、岩洞発電所の電力をそのまま団地の電力とすることによってRE100という仕組みが生まれてきますし、四十四田発電所などでも下流域には盛岡市の団地があるわけでして、そこと契約することによってRE100が達成されるという考えもあると思うのです。送配電網にあきがなければ、地域で電力を賄うことによって送電線にまたあきが出てくるわけで、そうしたらほかの地域からの電力がまた再生可能エネルギーとして供給できるということもあるので、そこら辺、もう少し突っ込んで今後考えていったらいかがかと思いますけれども、お考えを伺います。
〇企業局長(藤澤敦子君) 企業局では、企業局で発電しております電力につきましては、現在も県内への電力供給を前提として供給させていただいているところでございます。2020年度以降の売電につきましても、県内供給を基本として、現在、検討を進めているところでございまして、そういった県内供給を通じて、県内のRE100に取り組む企業への電力供給等ができればと考えているところでございます。
〇5番(柳村一君) よろしくお願います。自然豊かな岩手で、再生可能エネルギーを地域に循環させていくことによって地域の経済も発展すると考えますので、ぜひとも前向きに取り組んでいただきたいと思います。
次に、世界気候エネルギー首長誓約についてお伺いします。
この誓約は、持続可能なエネルギーの推進、温室効果ガスの大幅削減、気候変動の影響への適応に取り組み、持続可能で強靭な地域づくりを目指し、同時に、パリ協定の目標の達成に地域から貢献しようとする自治体の首長がその旨を誓約し、そのための行動計画を策定した上で具体的な取り組みを積極的に進めていく国際的な仕組みであります。世界気候エネルギー世界誓約は、2008年から始めている欧州連合域内の自治体を中心に、現在、世界で9、000以上の首長が署名し、これに取り組んでいます。
日本でも、ことし8月1日から世界首長誓約/日本の誓約、登録が始まっており、11月現在、愛知県豊橋市、大阪府豊中市、石川県加賀市など11自治体の首長が誓約しました。誓約する首長は原則的に市区町村長でありますが、都道府県知事も誓約することができるとされ、また、隣接する複数の自治体の首長が連名で誓約することができるとされております。
この世界気候エネルギー首長誓約への県内市町村の取り組み状況と、県の取り組みへの考えについてお伺いします。
〇環境生活部長(大友宏司君) 世界気候エネルギー首長誓約についてでありますが、世界首長誓約/日本は、パリ協定の目標達成に地域から貢献しようとする自治体の長がその旨を誓約し、温室効果ガスの排出削減に向けた行動計画を策定して具体的な取り組みを進めていく仕組みであり、地域特性を踏まえ、地域住民に身近な市町村において自主的、主体的な取り組みが広がっていくことが重要と考えております。
県では、これまで、県民向けフォーラムの開催支援、温暖化防止いわて県民会議での情報共有、世界首長誓約に関する情報の各市町村への周知などを行ってきたところですが、現時点では、県内市町村の誓約への参加に向けた具体的な動きはないと承知しております。
今後も、市町村に対し、必要な相談対応や情報提供などの支援をしてまいります。
〇5番(柳村一君) 県の方向性がちょっと聞こえなかったのですけれども、通告していませんが、知事にお伺いしたいと思います。
環境生活部長は世界首長誓約/日本とおっしゃっていましたけれども、これは、知事も会員になっているプラチナ構想ネットワークの提唱者でもある東京大学元総長小宮山宏会長がプラチナ構想の重要な施策の一つと位置づけている課題であり、趣旨へ賛意を示しております。この誓約について知事の御所見があったらお伺いします。
〇知事(達増拓也君) 趣旨には大賛成でありますけれども、この首長誓約、英語ではメイヤーズとあって、やはり基礎自治体の長、日本でいえば市町村長が主役になるべき運動だと思っております。
草の根の運動として世界の地球温暖化防止を地域で進めていこうということだと思いますので、まずは市町村長の皆さんに、それぞれ住民の皆さんの関心をかき立てるような草の根の対話といいますか、そういうやりとりを行いながら形をつくっていくことが望ましいのではないかと考えておりまして、入り口の段階で、県がやると決めて全市町村従えという形にならないような形で県も関与していきたいと思っております。
〇5番(柳村一君) 市町村が盛り上がって県もということですけれども、県も地球温暖化対策をしっかり前面に押し出して、こういうことを県は考えているのだよというもとで市町村長も市町村も考えて地球温暖化対策をしていくのだと思いますので、地球温暖化対策の全庁的な取り組み推進についてお伺いしたいと思っております。
地球温暖化対策に対する施策は、今、環境生活部長が答弁しましたけれども、環境生活部以外の部局、今お話をいただいた企業局や、産業関係に特段に協力していただくのが効果的だと考えています。地球温暖化対策を有機的に結合して、県全体として一体感を持って取り組むべきと考えますが、お考えをお伺いします。
〇知事(達増拓也君) 地球温暖化対策は、環境分野のみならず、エネルギー、産業経済、交通運輸、林業など各分野にわたる施策が必要であり、各般にわたる施策を総合的に推進していくことが重要であります。
このため、県といたしましては、知事を本部長として、副知事、各部局長等で構成する岩手県地球温暖化対策推進本部を平成28年度に設置して、地球温暖化対策や再生可能エネルギーの導入、気候変動への適応策の推進に向けて、全庁的な施策推進の取り組みの強化や関係部局による連携を図ってきたところであります。
自然環境や資源、エネルギー、社会基盤などを持続可能なものとして次世代に引き継いでいくことが求められており、低炭素社会の実現に向けて、引き続き推進本部を中心としながら、全庁挙げて地球温暖化対策に取り組んでまいります。
〇5番(柳村一君) どの分野でもこれからは地球温暖化対策を念頭に置いた上で活動したり起業したりしなければいけないと思いますので、県も一生懸命取り組んでいただきたいと思います。
次の質問に移ります。
県職員の確保についてお伺いします。
まず、欠員の状況と欠員解消に向けた対策についてお伺いします。
東日本大震災津波から7年8カ月が経過いたしました。この間、県においては、速やかに復興局を設置し復旧、復興に取り組むとともに、2016年の台風第10号災害に際しても、早々に台風災害復旧復興推進室を立ち上げ、復旧、復興に取り組んできましたが、まだ復興は途上であり、引き続き復旧、復興事業を着実に推進していくためには、さらなる職員の確保が重要な課題であります。
そこで、知事部局の職員数及び欠員の状況と欠員解消に向けた取り組みをお伺いします。
〇企画理事兼総務部長(佐藤博君) 県ではこれまで、東日本大震災津波や平成28年台風第10号災害からの復旧、復興を着実に推進するため、マンパワーの確保を最優先に取り組んできたところでありまして、知事部局におきましては、震災発災以前の体制から400人を上回る増員を行っております。本年11月1日現在の職員数は4、454人となっております。
それから、職員の確保に向けては、今年度も、昨年度に引き続き特別募集を実施しまして、8月1日付で34人の職員を採用し、一定程度欠員数の縮小が図られたところでございます。他の道府県等から応援職員が来ていただいておりましたが、その後、大阪府北部地震等、全国的に災害の発生が続く中で、引き揚げもございまして、本年11月1日現在の欠員数は83人となってございます。
今後におきましては、来年度の新規採用職員数を今年度の採用者数170人と同程度と見込んでいるほか、任期付職員や再任用職員の採用、都道府県等からの応援職員の受け入れ、任期付職員経験者の任期の定めのない職員への採用など、あらゆる手段を講じまして欠員の解消に向けて取り組んでまいります。
〇5番(柳村一君) 6月定例会で佐藤ケイ子議員も質問したときには、たしか欠員が70名ぐらいというお話だったようですけれども、やはりまた、補充しても欠員がふえるという状態で県としても大変なのだと思います。特別採用という形で補充しておられるようですが、かといって誰でもいいというわけではなく、きちんとしたスキルとか教養とかというものが必要になってくると考えております。
現在、国において公務員の定年延長が検討されております。県では多くの再任用職員が今も働いていらっしゃいますが、これらの職員の活用も含めて、今後の職員確保に向けてどのように取り組んでいくのかお伺いします。
〇企画理事兼総務部長(佐藤博君) 今後の職員の確保に向けての取り組みでございますが、職員の確保に向けましては、これまで大学生あるいは高校生を対象としたインターンシップであるとか、県内外の大学生や保護者に対する説明会、U・Iターンを希望する方への採用情報の提供など、いろいろと受験者の確保にも取り組んできております。
それから、特にインターンシップについては、県業務に対する興味、理解を深める有効な手段と考えております。そういったところで、ことしも多くの大学生受け入れをしております。また、職場におきまして、再任用の先輩職員のスキルをきちんと見ていただくことも重要と考えております。
この再任用職員につきましては、長年の経験に基づく業務遂行能力に加えまして、OJTであるとか、あるいは研修等を通じて知識あるいは技術を組織的に若手職員に継承していくことが重要でありまして、そうした役割を担っていただいているところでございます。そういった意味でも、知識、経験豊富な再任用職員の確保に努めていきたいと考えております。
〇5番(柳村一君) どこの業界でも今は人手不足ということで大変な状況なのだろうとお察ししますし、今さまざまな取り組みを行いながら人員確保に向けて頑張っておられるようですが、今後、知事部局の欠員の解消が見込まれる時期をどのように捉えていらっしゃるのかお伺いします。
〇企画理事兼総務部長(佐藤博君) 欠員解消の具体的な見通し、解消のめどということになりますが、県では、震災からの復興、それから台風災害に加えまして、新たな行政課題、政策課題への対応などへの人員配置も行っていく必要がございます。そういった意味で、ことしも欠員は8月1日現在で70人ほどから、災害等もあって他県からの派遣職員の引き揚げにより83人ほどにふえておりますけれども、先ほど答弁申し上げましたさまざまな取り組みをしながら、この欠員の縮減に努めていきたいと考えております。
この具体的な解消のめどは、先ほど申しましたいろいろな部署に人員配置を行っていく必要がございますし、退職あるいは新規採用、いろいろ職員確保の課題もございまして、そういったところを総合的に見ていく必要があり、現時点において具体的な時期等についてはなかなか明示できるところではございません。困難な状況であるということでございます。
〇5番(柳村一君) なかなか解消されないということで、県の仕事は大変だなと思われて、ますます応募に来なくなったということにならないことをお祈りします。限られた職員数で一生懸命お仕事をされているのでしょうけれども、少しでも欠員を減らして、職員の負担のないように取り組んでいただきたいと思います。
次に移ります。医療、介護、福祉における課題についてお伺いします。
まず、岩手県地域医療構想についてお伺いします。
急速に高齢化が進む中、2025年にはいわゆる団塊の世代が全て75歳以上となることから、医療や介護の需要が大きくなることが予想されます。このような状況において、患者が住みなれた地域や自宅で生活しながら、地域全体で支えるために、医療と介護、さらには住まいや自立した生活の支援までもが切れ目なくつながる地域完結型の医療の重要性が高まっています。
また、医療を必要とする重度の要介護者や認知症高齢者が今後ますます増加していくことなどにより、医療と介護の連携の必要性が高まっています。
医療需要の増加や変化等に対応して、患者が病状に応じて適切な医療を将来にわたって持続的に受けられるようにするためには、限られた医療資源を効率的かつ効果的に活用していく必要があり、病床機能の分化と連携を推進し、各病床の機能区分に応じて必要な医療資源を適切に投入し、患者の早期の居宅等への復帰を進めるとともに、医療と介護の連携を通じ、より効率的な医療提供体制を構築していくことが重要です。
県では、2016年3月に医療計画の一部として岩手県地域医療構想を定め、将来における病床機能の分化と連携などを推進することとしていましたが、構想の実現に向けてどのように取り組んできたのか、また、今後どのような役割を果たしていくのか、知事にお伺いします。
〇知事(達増拓也君) 県では、将来のあるべき医療提供体制の構築に取り組むため、平成28年度に県内九つの構想区域に医療関係者や介護関係者、市町村等を構成員とする地域医療構想調整会議を設置し、各医療機関が担っている機能、医療従事者の確保や在宅医療の体制整備など、地域における課題について協議を行ってきております。
今年度は、人口や世帯数の推移、病床機能の現状などを確認しながら、2025年を見据えた各医療機関の担うべき役割や病床数、地域包括ケア病床や介護医療院の整備による医療と介護の連携に向けた取り組みなど、具体的な対応方針について調整会議で検討しているところであります。
今後は、調整会議における議論をさらに進めるため、県が選定しました5名の地域医療構想アドバイザーと連携し、病床機能などに関するデータの分析に基づいた客観的、専門的な助言を行いながら、病床機能の分化と連携の推進、医療と介護の連携等について協議し、高齢化の進展などに伴う医療需要の変化に対応した効率的で質の高い医療提供体制の構築に取り組んでいく考えであります。
〇5番(柳村一君) 今、5名のアドバイザーによりというお話がありましたけれども、医療圏的には、その5名はどこに所属して、どういう受け持ちをされているのかお伺いします。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 今回5名の地域医療構想アドバイザーを設置するということで、地域医療構想調整会議に出席して議論が活発化するよう助言等を行ってもらいますが、5名の方それぞれでございます。8月31日に就任していただきましたが、これから担当構想区域を決定いたしまして、その区域ごとの調整会議に出席していただくことで進めているところでございます。
〇5番(柳村一君) まだ始まったばかりということですけれども、やはり医療圏域ごとにさまざまな地域課題がありますし、一昨日来、地域医療につきましては、議員の方々から御提言やさまざまな御意見がございましたので、しっかりその地域に根差した地域医療構想を進めるような形で、県としても指導していただきたいと思います。
次に移ります。地域包括ケアシステムへの参画について、医療局にお伺いします。
高齢化が進行している状況において、高齢者等が住みなれた地域で安心して生活し続けられるよう、各市町村で地域包括ケアシステムを構築する必要があり、在宅医療を初めとする医療と介護の連携体制の構築が急務になっています。
県医療局においては、医師不足等の限られた医療資源の中で、県民に良質な医療を持続的に提供するために、県立病院間はもとより、ほかの医療機関及び介護施設等との役割分担と連携をより一層深める必要があることから、現在、策定中の県立病院の次期経営計画では、医療と介護、福祉を含めた地域連携を進め、地域包括ケアシステム構築に参画するとしています。
県立病院として、具体的にどのような取り組みを進めていくのかお伺いします。
〇医療局長(大槻英毅君) 県立病院では、在宅や介護施設への復帰に向けた医療支援を行うため、これまで九つの病院で合計で243床の地域包括ケア病床を導入しておりますが、来年、平成31年4月からは一戸病院での導入も予定しております。今後も、市町村、介護施設等と連携して、地域包括ケアシステム構築への参画を進めているところでございます。
あわせまして、入退院の支援や在宅医療充実のための看護師や医療社会事業士を配置するとともに、リハビリテーション機能の強化のため理学療法士を配置するなど、職員体制の整備も進めてきたところでございます。
議員から御紹介のありました現在策定中の次期経営計画でございますが、この中では、市町村や介護施設等と連携した地域包括ケアシステムの構築への参画、それから、医療、介護、福祉等関係機関との連携強化、リハビリテーション提供体制の強化を図ることとしておりまして、特に職員につきましては、福祉とか市町村との連携を担う立場になりますが、医療社会事業士を10人、それから、リハビリの強化のためリハビリテーション部門の職員を63人増員することにして体制の強化を図ろうとしております。
引き続き、市町村、介護施設等と連携して、地域包括ケアシステム構築への参加を進めてまいりたいと考えております。
〇5番(柳村一君) 今度、一戸病院でも始めるということですが、そうなると9圏域ではなくて10圏域になるという解釈でよろしいのでしょうか。
〇医療局長(大槻英毅君) 地域包括ケアにつきましては、現在、軽米病院に地域包括ケア病床が入っておりますが、同一圏域の中に一戸病院、軽米病院が入っておりますので、9圏域ということになります。
〇5番(柳村一君) 圏域、圏域によって圏域の持つ特性が違うわけでありまして、国が言っているような地域包括ケアシステムの構築といっても、岩手県にとって一律の制度をやるわけにはいかないわけです。特に県立病院が主としてやる地域が、今後、地域包括ケアシステムの構築にとってはすごく大変な地域でもあるわけですので、そこら辺しっかりと取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
子育て支援についてお伺いします。
放課後児童クラブの待機児童について伺います。
放課後児童クラブの児童に対応する児童支援員等の配置は、突発的な事故や資質向上のための研修参加等への対応のため複数配置が必要とする基準を国が定めており、この基準は、市町村が条例を定める際に従うべきもの、いわゆる従うべき基準とされております。
しかし、全国的な放課後児童支援員等の人材不足の深刻化を受け、11月19日、内閣府地方分権改革有識者会議の専門部会で、内閣府と厚生労働省は、来年の通常国会で児童福祉法を改正し、同法に基づいて厚生労働省令で定める従うべき基準を参酌すべき基準にとどめる方針を示しました。
岩手県学童保育連絡協議会は、従うべき基準が緩和され、職員が1名で多くの児童に対応することになった場合、放課後児童クラブの安全性が低下するおそれがあり、これを単に放課後児童クラブ支援員等の人員の確保が難しいという理由から緩和すべきでないとの理由で、放課後児童クラブの職員配置基準等の堅持を求める請願を9月定例会に提出し、これを受けまして岩手県議会は、放課後児童クラブの職員配置基準等の堅持を求める意見書を提出いたしました。
放課後児童クラブは、女性就業率の上昇に伴い利用児童数が増加の一途にあり、待機児童も生じております。県内の市町村の放課後児童クラブの待機児童の現状と国の従うべき基準、参酌すべき基準についての県の考えをお伺いします。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 放課後児童クラブの待機児童についてでありますが、県が実施しました放課後児童クラブ実施状況調査によりますと、平成29年5月1日時点の待機児童数は、8市町村で79人であったものが、平成30年5月1日時点の待機児童数は、4市町村で12人となり、前年度に比べ4市町村、67人がそれぞれ減少したところであります。
また、放課後児童支援員の配置基準についてでありますが、県としては、児童の安全を確保するためには、複数の支援員を配置して運営する必要があると考えていますが、登録児童が少ない小規模な放課後児童クラブや利用児童が少ない時間帯など、必ずしも複数の支援員を配置しなくても対応可能なケースもあることから、事業の実施主体である市町村が基準を定め、それぞれの地域の実情や利用ニーズを踏まえ、適切に対応していくべきであると考えております。
〇5番(柳村一君) ということは、市町村の主体に任せるということで、県の従うべき基準とか参酌すべき基準についての考えは、特にないということでよろしいのでしょうか。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 職員の配置基準等につきましては、厚生労働省令でその基準を定めて、事業の実施主体である市町村が条例で基準を定めているわけであります。
県としては、先ほど申し上げましたとおり、利用児童が多い時間帯などは、これまでどおり複数の放課後児童支援員を配置して、児童の安全を確保した上で運営されることが原則であると考えております。
国におきましても、職員配置基準の参酌化の方針のもとで、放課後児童クラブの質の低下を招かないようにする方針もあわせて示しておりますことから、県では、放課後児童支援員の養成であったり資質向上研修などで、必要な人材の確保、スキルアップを図って、放課後児童クラブの質の確保に取り組んでいく考えであります。
〇5番(柳村一君) ケース・バイ・ケースだよという話になると思いますけれども、今回の国の参酌すべき基準というものに、市町村がもし条例でそっちに傾いていくと、きちんと2名体制であるところとの地域格差がだんだん出てくると思います。そこら辺は、県としても子供たちの安全とかの部分をしっかり指導していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
次に、放課後児童支援員の処遇改善についてお伺いします。
経験等に応じた放課後児童支援員の処遇改善を促進し、児童の安全・安心な居場所を確保するとともに、次世代を担う児童の健全な育成に資することを目的として、放課後児童支援員等の賃金改善に必要な経費を補助する放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業や放課後児童支援員等処遇改善等事業の処遇改善の対象と実施状況についてお伺いします。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 放課後児童支援員の処遇改善についてでありますが、放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業は、放課後児童支援員の勤続年数や研修実績に応じて、1クラブ当たり87万8、000円を上限に、国と県が市町村を通じて補助することによりまして、認定資格研修を受講した放課後児童支援員には年額12万5、000円、勤続年数がおおむね5年以上で、一定の研修を修了した放課後児童支援員には年額25万1、000円、勤続年数がおおむね10年以上で、一定の研修を修了した事業所長的立場にある放課後児童支援員には年額37万7、000円の賃金改善を行う事業であります。
平成29年度の実績では、県内93カ所で、237人分の賃金改善が図られたところであり、今年度は147カ所、457人分の賃金改善が図られる予定であります。
また、放課後児童支援員等処遇改善等事業は、平日に18時半を超えて開所する放課後児童クラブに対して、家庭や学校と定期的に情報交換し、地域との交流や連携を担う職員を配置する場合に、その職員を配置するための費用や処遇改善に要する費用の一部を市町村を通じてクラブに対し補助する事業であります。
平成29年度の実績では、県内145カ所で、574人分の処遇改善が図られたところであり、今年度は152カ所で、544人分の処遇改善などが図られる予定であります。
〇5番(柳村一君) 10年以上前からするとかなり処遇はよくなってきていると思いますけれども、それでもまだまだ処遇改善は放課後児童支援員にとって必要だと考えます。
また、県で学童保育の連絡協議会があるところは、それなりに国の動向とか県からの指導などを受けながら処遇改善をやっているわけですけれども、連絡協議会がない市町村もあるわけで、そこに対して県はどのような指導の仕方をされているのかお伺いします。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) ただいま御説明いたしました放課後児童支援員等処遇改善等事業は、平成27年度に創設された事業、さらに、放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業は、平成29年度創設という比較的新しい事業であるので、その事業内容を周知して活用を促しているところでありまして、市町村の会議等を通じ、その活用、運営に係る国庫補助基準のさらなる引き上げ等について要請をしているところであります。
先ほど申し上げました事業の実施によりまして、平成30年度には、クラブ全体に占める処遇改善の実施クラブの割合が69.1%ということで、約7割まで改善しているところでございます。
〇5番(柳村一君) 県も一生懸命努力していらっしゃるようでありますけれども、先ほどの参酌すべき基準になって放課後児童支援員が少なくなってくると、連絡協議会とかの情報などを入れる以前に、子供の世話にかかり切りになって自分の処遇どころではなくなってくる部分もありますので、そこら辺、しっかりと県が指導して、放課後児童支援員の処遇改善に努めていただきたいと思います。
次に、放課後児童支援員認定資格研修についてお伺いします。
2014年の放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準において、放課後児童支援員として有資格者となるための都道府県知事が行う研修として、放課後児童支援員認定資格研修を行っておりますが、県内の放課後児童クラブにおける支援員の配置の状況と研修の成果についてお伺いします。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 放課後児童支援員認定資格研修についてでありますが、国が定めた職員配置基準では、児童40人程度の支援の単位ごとに放課後児童支援員を2人以上配置し、そのうち少なくとも1人は、県が実施する認定資格研修を修了した者であることとされています。
本県では、平成30年5月1日時点で385カ所の放課後児童クラブに1、658人の放課後児童支援員等が配置されています。
県では、平成27年度から研修を実施し、計画的に放課後児童支援員の養成を行ってきたところであり、平成29年度までに802人が研修を修了したほか、今年度は214人が受講しておりまして、現時点では、全ての放課後児童クラブにおいて基準を充足した運営がなされているところであります。
〇5番(柳村一君) この制度は、学童保育の連絡協議会にとってもとてもありがたい制度だと評価されているようでありますし、この研修を2日間受けることによって放課後児童支援員の資格を得るということで、放課後児童支援員の資格を持てば処遇改善も受けられるわけですので、この研修はすごく必要と考えますけれども、研修の継続について県はどのように考えているのでしょうか。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 県では、引き続きこの認定資格研修を行って人材の確保と資質向上を図るとともに、先ほどお話ししました放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業の実施などによって、放課後児童支援員のスキルアップや待遇改善を図りながら放課後児童クラブの質の確保を図っていきたいと考えております。
〇5番(柳村一君) 学童保育の基準は市町村が条例で決めるわけですけれども、放課後児童支援員の育成、確保については、県が主体性を持って行う、市町村だけでは到底無理な話ですので、今後とも放課後児童支援員に対する取り組みをしっかりと行っていただきたいと思います。
次に、幼児教育、保育の無償化に係る試算について伺います。
政府が2017年12月8日に閣議決定した新しい経済政策パッケージにおいて、20代や30代の若い世代が理想の子供数を持たない理由は、子育てや教育にお金がかかり過ぎるからが最大の理由であり、教育費への支援を求める声が多いとされました。
国は、幼児教育、保育の無償化の政策を打ち出しております。この幼児教育、保育の無償化による国、県、市町村の負担額の試算と、ゼロ歳児から2歳児の保育料が無償化にならない利用者数と保育料の負担額の試算についてお伺いします。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 幼児教育、保育の無償化に係る試算についてでありますが、現時点では、国と地方の負担割合など制度設計が流動的でありますが、平成30年4月時点の利用児童の状況をもとに、一定の要件のもとで算定した粗い試算によりますと、無償化の対象となる3歳から5歳までの全ての子供と、ゼロ歳から2歳の住民税非課税世帯の子供に係る利用者負担額は、制度が始まる2019年10月から2020年3月までの半年間で28億8、000万円程度と推計されます。これを、仮に現行どおりの割合で、国が2分の1、県と市町村がそれぞれ4分の1を負担する場合、国が14億4、000万円程度、県と市町村ではそれぞれ7億2、000万円程度の負担がふえる見込みです。
また、無償化の対象とならない住民税課税世帯のゼロ歳から2歳の子供のうち、平成30年4月1日時点で私立の保育所等を利用する児童は約8、200人でありまして、その利用状況をもとに2019年10月からの半年間の利用者負担額を試算すると16億1、000万円程度となる見込みであります。
〇5番(柳村一君) まだこれは決まったわけではございませんので、今どうのこうのというわけではありませんし、無償化は来年10月からやりますと言われています。とりあえず県と市町村の7億2、000万円については初年度は国が負担するとされていますが、その後については市町村や県が負担するわけですし、課税世帯のゼロ歳児から2歳児の負担とのギャップが出てくると思いますので、今後の国の動向を見ながら、県としてどのような対策をとっていけばいいのかをしっかりと打ち出していただきたいと思います。
そこで、幼児教育、保育の無償化に係る対応についてお伺いします。
今回の幼児教育、保育の無償化は、1号及び2号認定の3歳から5歳児全ての子供を対象とし、3号認定のゼロ歳から2歳児については、先ほど言ったように、生活保護世帯及び住民税非課税世帯を対象とする内容であります。この無償化により、保育サービスの供給量に対して、より多くの需要が掘り起こされていく可能性があります。無償化により予想される1号及び2号認定の利用希望者の増加と、利用者枠の拡充が望まれている3号認定に対する県の考えについてお伺いします。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 幼児教育、保育の無償化に係る県の対応についてでありますが、全ての子供が無償化の対象となる3歳児以上については、国の推計による未就園児の割合は5%未満で、利用規模が増加した場合であっても現在の幼稚園や保育所の定員の状況からおおむね受け入れが可能であり、比較的影響が少ないものと考えております。
一方、3号認定のゼロ歳児から2歳児の保育ニーズは年々増加しておりまして、現時点でも待機児童のほとんどを占めておりますことから、特に低年齢児への対応が必要であると考えております。
低年齢児の受け入れに当たっては、保育室の面積や保育士の配置などの基準が3歳児以上に比べて厳しく設定されているほか、自園調理による給食提供が原則であるため、認定こども園に移行する施設は、新たに調理室を設置するなどの対応が必要となる場合があります。
県では、施設整備に対する支援により受け皿の拡充や機能の充実を図るほか、保育士・保育所支援センターによる潜在保育士のマッチング支援などにより保育士の確保に努め、引き続き増加が見込まれる利用ニーズに対応できるよう取り組んでいきます。
〇5番(柳村一君) ということは、現時点で3歳児から5歳児については受け入れ可能ということで、全員が希望してもほぼ大丈夫ということで、問題は、出産後に早く就職や職場復帰したい女性の受け皿が余りにも小さいという部分だと思うので、幼児教育、保育の無償化というのもいいのでしょうけれども、ゼロ歳児から2歳児の受け入れなどの部分でもっと施策を講じていく必要があると思いますので、県もその方向についての取り組みを強化していただきたいと思います。
次に移ります。
内水面漁業の振興についてお伺いします。
内水面漁業と内水面養殖業の振興についてお伺いします。
本県には、豊かな森林を水源とした大小さまざまな852の河川があります。県内陸部の河川では、内水面漁業協同組合が自然豊かな河川環境を活用し、イワナ等の稚魚の放流などを行い、釣りによる遊漁収入を得ています。国の研究機関によると、遊漁による経済効果は、遊漁収入だけにとどまらず、周辺の飲食店にも波及すると言われており、アユ釣りの名所である栃木県那珂川では、県内外から訪れる釣り人による経済波及効果が年間12億6、000万円に上ると栃木県水産試験場の調査で明らかになりました。しかし、残念ながら本県では近年、遊漁人口が減少しており、遊漁収入の減少による内水面漁業協同組合の経営の悪化が懸念されております。
また、内陸部では、豊かで、清涼で、かつ豊富な水を用いイワナやヤマメなどの養殖が盛んに行われており、全国で有数の生産量を誇っていましたが、近年、養殖業者の高齢化に伴う減少により、生産量が減少している状況であります。
このような状況下、今後どのように内水面漁業と内水面養殖業の振興を図るのか、お考えをお伺いします。
〇農林水産部長(上田幹也君) 内水面漁業と内水面養殖業の振興についてでございますけれども、県では、内水面漁業及び内水面養殖業の振興を図るため、平成28年度に岩手県内水面漁業振興計画を策定いたしまして、水産資源の回復、漁場環境の再生を施策の柱といたしましてさまざまな施策を展開しております。
水産資源の回復につきましては、遊漁者ニーズに対応したアユ種苗の生産体制の整備、バイオテクノロジー技術の活用による養殖生産量の増大、カワウによる被害防止、さらに伝染性疾病の予防などのほか、新たにサクラマスの資源造成に取り組んでおります。
漁場環境の再生につきましては、内水面漁協等が行う産卵場の造成等の生育環境の再生、さらに、生態系の維持保全、漁業体験などの取り組みを支援しております。
今後とも、内水面漁協等と連携いたしまして、水産資源の回復や漁場環境の再生等を進め、内水面漁業及び内水面養殖業の振興に積極的に取り組んでまいります。
〇5番(柳村一君) 岩手県は三陸の海という資源がありますけれども、一方で豊かな山から生み出される水があるわけでございますので、内水面漁業についてももっともっと取り組んでいただきたいと思い、質問しております。
次に、岩手県内水面水産技術センターの役割について伺います。
岩手県内水面水産技術センターは、岩手山からもたらされる豊富で清浄な湧き水が確保できる八幡平市に、ニジマス、サクラマス、ヒメマス、ヤマメ、イワナなどの養殖技術の開発、その卵や稚魚の供給を行うとともに、アユ増殖に関する研究や魚類防疫及び魚病診断や指導等を行っており、近年ではバイテク種苗の量産化にも取り組んでいます。また、県内のサケ、マスふ化場の魚病発生状況や、北上川水系の各ふ化場の巡回調査、現地研修を通じて適正な飼育管理の指導も行っています。
豊かな自然環境と豊富な水は本県の資源であり、これらを守り、活用していくことが重要です。今後の岩手県内水面水産技術センターの役割についてお伺いします。
〇農林水産部長(上田幹也君) 内水面水産技術センターの役割についてでありますが、岩手県内水面漁業振興計画に基づく水産資源の回復の実現に向けましては、内水面水産技術センターが、種苗生産等の技術開発、あるいは伝染性疾病の予防対策それぞれに重要な役割を担うことが求められております。
現在、センターでは、ニジマス等の種苗供給に加えまして、釣りやすいアユ品種の開発、バイオテクノロジー技術を活用したサケ、マス類の大型魚養殖生産技術、さらにサクラマス種苗の大量生産技術の開発のほか、先ほど議員からもお話がございました魚病検査、さらに養殖業者等の巡回指導に取り組んでおります。
今後とも、開発した技術等を漁協や養殖業者に提供いたしまして、集客力の高い魅力あふれる遊漁、さらには収益力の高い養殖生産を推進するなど、内水面漁業、内水面養殖業振興の中核機関としてその役割を果たしてまいります。
〇5番(柳村一君) 私も内水面水産技術センターに行ってみましたけれども、建物、設備等は古いのですが技術的なものがすごくあるような感じがしました。内水面水産技術センターを活用していくためには内水面漁協が元気になっていかなければいけないと思いますので、内水面漁業協同組合への支援等についてお伺いします。
県は、岩手県沿岸の秋サケの不漁について、稚魚放流後の水温上昇が一因であると見て、高い海水温に抵抗力があると考えられる北上川水系の稚魚の遺伝子を解析し、沿岸河川水系で高水温耐性のある稚魚の開発を始めております。
一方、2018年11月20日現在、北上川水系の秋サケ捕獲採卵速報では、全ての河川の捕獲数が対前年比100%を超えており、採卵数も、雫石川を除き100%を超えています。雫石川は前年度かなりとったという部分で100%いかなかったわけですが、このように、北上川水系では一生懸命サケの卵をふ化しているということでございますけれども、施設の老朽化や水の確保などについてさまざまな問題点があるとされております。
そこで、北上川水系のサケ、マスふ化場施設の整備や遊漁料収入をふやすなどの対応が必要と考えますが、内水面漁業協同組合の現状と支援についての考えをお伺いします。
〇農林水産部長(上田幹也君) 内水面漁協への支援等についてでありますが、現在、内水面漁業協同組合は県内に30組合ございます。この中でも、例えば沿岸地区で大規模な施設を有してサケの増殖事業を行っている組合については、運営体制、財政状況も良好でございます。一方で、遊漁料収入が主な収入源となっている組合については、一般的には運営体制、財政基盤が弱い状況にございます。
県では、国の水産業強化支援事業を活用いたしましてサケ、マスふ化場の整備を支援しておりまして、北上川水系の漁協に対しても、市町村を通じまして補助制度の周知を行っているところでございます。
また、遊漁料の増収に向けましては、遊漁者ニーズに応じたアユ品種の生産、さらにサクラマス増殖技術の開発に取り組んでおりまして、そのほかにも、遊漁料の増加に向けた他県の内水面漁協の取り組み事例などを紹介してまいっているところでございます。
今後とも、こうした取り組みを通じまして、引き続き内水面漁協の経営の安定化に向け支援を行ってまいります。
〇5番(柳村一君) 内水面漁協に対する県の補助はハード事業はなくてソフト事業だと思いますけれども、平成30年度の水産関係の予算で見ますと、沿岸のほうのソフト事業は2億3、500万何がしで、そのうち内水面は1、400万円ほどで、水産の中に占める割合が6%から7%ぐらいの予算しか内水面では使われておりません─それは震災対応を除いた金額ですけれども。その中でハード事業につきましてはほとんど使われていないので、もし内水面漁協に対しても県単で6%から7%の措置をすると、年間700万円前後の予算でハード面の改良などができると思いますけれども、そこら辺の考えはないのかどうかお伺いします。
〇農林水産部長(上田幹也君) 内水面漁協に関してのハード整備ということになりますと、議員からのお話がございましたふ化場等の整備が中心になろうかと存じます。老朽化している施設も多くございますけれども、補助制度がございましてもやはり自己負担が伴うということで、今現在、すぐさま整備をしたいというお話は頂戴しておりません。
しかしながら、将来に向けてそういった施設整備は必要となりますので、先ほど申し上げましたとおり、市町村などを通じまして、こういった制度の周知と、例えばそういった見込み、計画があるのであれば御相談にぜひあずかりたいと思います。
〇5番(柳村一君) 内水面漁協をなりわいとして生きている方々もいますけれども、やっぱり高齢化等々の影響が出ております。岩手の自然を守るためには、内水面漁協がしっかりと活動して河川の環境等々も維持していくことが重要と考えますので、そこら辺取り組みをお願いしたいと思います。
次に、プラスチックごみの排出抑制について伺いたいのですが、昨日、佐々木努議員が何点かお話しされていました。私は、内水面というか河川の状況から御質問したかったのですけれども、プラスチックごみのほとんどが外国から来るのではなく、陸域から出たごみが河川を伝わって海に出るというような状況でございました。
きのうの答弁ですと、海岸漂着物対策地域計画はまだつくっていないけれども早期策定に向けて取り組むとされておりましたが、環境省の平成27年度海岸漂着物処理推進法施行状況の調査結果によりますと、岩手県は今のところニーズがないと回答しておりましたし、海岸漂着物対策推進協議会の組織状況についても組織化の予定がないという調査結果が報告されております。計画は今後早期に策定するとおっしゃっていましたけれども、協議会というものを立ち上げるつもりはないのか。
さらには、この計画は環境省の計画ですけれども、きのうは県土整備部長が話されておりました。私たちが調査に行ったのは農林水産委員会でございまして、どこが主管をしているのかがちょっとわかりづらいという印象がありますので、その点について、県はどこがどのように主導権を握って計画を策定しようとなさっているのかお伺いします。
〇環境生活部長(大友宏司君) プラスチックごみの排出抑制についてでありますが、海岸漂着物等の発生抑制を図るためには、まず、海岸漂着物等となり得る、生活に伴って発生したごみ等の発生抑制が重要とされております。このような取り組みや海岸漂着物等の処理を推進するために制定されたいわゆる海岸漂着物処理推進法においては、県は、海岸漂着物対策を推進するための地域計画の作成や同計画の作成、漂着物対策の推進に関する協議会の設置などに努めることとされております。
現在、本県においては、同法に基づく地域計画は作成準備中ですが、平成15年に制定した岩手県ふるさとの森と川と海の保全及び創造に関する条例に基づき、河川の流域ごとに関係行政機関等から成る協議会を設置し、その流域の特性に応じて流域基本計画を定め、河川清掃、河川パトロール等の環境保全活動等を行っているところでございます。
また、県では、これまで、プラスチックごみ等の発生抑制対策として、市町村等と連携してクリーンいわて運動により散乱ごみの回収等の取り組みを行うとともに、不法投棄等を防止するため、広域振興局等に配置している産業廃棄物適正処理指導員による監視指導等を行っているところです。
昨日の一般質問におきまして、海岸漂着物の対策に関する佐々木努議員からの御質問に対し、地域計画の早期作成に向けて検討を進めていく旨、県土整備部長から御答弁申し上げておりますが、海岸漂着物の発生の効果的な抑制を推進するため、県土整備部等と連携して地域計画の策定に取り組むとともに、本年6月の法改正により海岸漂着物の多くを占めるプラスチックごみの3Rの推進が盛り込まれたことを踏まえ、陸域におけるごみの発生抑制等の取り組みをさらに進めてまいります。
〇5番(柳村一君) 環境生活部がやるということでよろしいですかね。
〇環境生活部長(大友宏司君) 先ほども申し上げましたが、県土整備部等と連携して対応してまいります。
〇副知事(千葉茂樹君) ただいまの御質問に対しましては、ただいま関係部局の調整を図っておりまして、この法律の施行に関しまして一番最適な所管部局が総括をし、関係部局が連携をとるという仕組みについて、現在、早急に詰めているところでございます。
〇5番(柳村一君) わかりました。よろしくお願いします。
時間がないのではしょって、高等学校の教育について伺います。
核心のところでいきます。来年度に向けて、文部科学省は、地域との協働による高等学校改革について具体的な推進方策の検討を進めています。高等学校と地域が連携することにより地域の持続的な発展に資することが期待されますが、県の地域との協働による高等学校教育への取り組みについてお伺いします。
〇教育長(高橋嘉行君) 県を挙げて本県のふるさと振興を総合的に推進している中で、高等学校には、生徒一人一人の人格形成や目標の実現に加え、岩手のそれぞれの地域の発展を支え、ふるさとを創造していく人材を育んでいくという大きな役割があり、高校の魅力化をより一層図る観点からも、地域と学校との連携は極めて重要であると認識いたしております。
各学校におきましては、総合的な学習の時間や課題研究などを活用して、地元自治体や産業界との協働による、地域課題を解決する探求活動に取り組んできており、このような取り組みは、地域への愛着や地域の将来を担う当事者としての意識の向上に加え、産業振興への貢献活動などとしても注目されております。
県教育委員会といたしましては、各高校における探求活動の効果的な実践事例の紹介や、県立高校における県外生徒の受け入れのさらなる拡大なども含めて、学校と地域の連携による教育活動の一層の充実を図ってまいります。
〇5番(柳村一君) この取り組みは、地域の高校の存続や学校再編、若者の定着などの全て、高校を含めた地域に資する取り組みだと思いますので、しっかりと教育現場からも地域を活性化するために取り組んでいただきたいと思います。
以上で質問を終わります。(拍手)
〇副議長(五日市王君) この際、暫時休憩いたします。
午後4時6分 休 憩
出席議員(46名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 千 葉 絢 子 君
3  番 ハクセル美穂子 君
4  番 菅野 ひろのり 君
5  番 柳 村   一 君
6  番 阿 部 盛 重 君
7  番 佐 藤 ケイ子 君
8  番 佐々木 宣 和 君
9  番 臼 澤   勉 君
10  番 川 村 伸 浩 君
11  番 田 村 勝 則 君
12  番 工 藤   誠 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 吉 田 敬 子 君
15  番 佐々木   努 君
16  番 千 葉   進 君
17  番 佐々木 朋 和 君
18  番 名須川   晋 君
19  番 軽 石 義 則 君
20  番 神 崎 浩 之 君
21  番 城内 よしひこ 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 佐々木 茂 光 君
24  番 高 橋 孝 眞 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 工 藤 勝 博 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 高 橋   元 君
32  番 関 根 敏 伸 君
33  番 岩 崎 友 一 君
34  番 中 平   均 君
35  番 五日市   王 君
38  番 斉 藤   信 君
39  番 小野寺   好 君
40  番 飯 澤   匡 君
41  番 佐々木 順 一 君
42  番 田 村   誠 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 工 藤 勝 子 君
45  番 柳 村 岩 見 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 大 輔 君
48  番 樋 下 正 信 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時28分再開
〇副議長(五日市王君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第1、一般質問を継続いたします。斉藤信君。
〔38番斉藤信君登壇〕(拍手)

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