平成30年12月定例会 第15回岩手県議会定例会会議録

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〇47番(工藤大輔君) 創成いわての工藤大輔でございます。
今議会において登壇の機会をいただいたことに感謝を申し上げます。
それでは、通告に従い順次質問をいたします。
初めに、農林水産業の振興についてお伺いします。
まずは、県産米戦略についてお伺いします。
2015年にデビューを果たしてから連続して日本穀物検定協会の食味ランキングで特A評価を獲得していた銀河のしずくと、昨年度デビューし県のフラッグシップ米として期待されている金色の風は、大方の予想に反し、特A評価の取得を逃しました。
県では、生産者と関係団体で構成される研究会等を中心に、生産技術の普及を積極的に行う努力を積み重ね、これまで同様の高い評価を得られるよう取り組んできたと承知をしております。その成果として、県産米の10月末時点の一等米比率が全国第1位の98.3%になるなど、本年の作柄は全般的には順調に生産できたのではないかと認識をしております。
このような中で、平成30年産米の10アール当たりの収量は、生育診断圃では、それぞれの収量目標を超えてはいるものの、生産者によっては、平成29年産を大きく下回っていると聞いております。両銘柄の生産には、食味を向上させるための施肥など栽培上の留意点があり、他の銘柄と比べ高い生産技術を必要とすることから、買い取り価格は高いが収量が思うように見込めないという状況が続けば、生産者から栽培する労力に見合わないと判断されかねず、相対取引価格が上昇中であり収量を見込める、従来のひとめぼれやあきたこまちの生産に戻ることも考えられます。
そこで、平成30年産米の金色の風と銀河のしずくの課題をどのように捉え、対策を講じていくのかお伺いします。
いわゆる金、銀米の販売は、米卸業者からの高評価を背景に順調に伸びております。首都圏の米穀専門店における平成30年産米の小売価格は、税込みで、金色の風が1キログラム当たり1、180円、銀河のしずくが1キログラム当たり950円となっており、金色の風と銀河のしずくは、他産地のブランド米と比較し市場から高い評価を得ていると考えますが、知事はどのように認識をされているのかお伺いします。
県では、いわてオリジナル品種ブランド化戦略を策定し、市場の需要を見ながら生産性を高めていくとともに、販売戦略としてブランド化を進めようとしております。今年度の生産と販売状況から、ひとめぼれに比較して、生産者のメリットはどのようであったかお伺いします。
あわせて、平成31年産米の需要見込みをどのように立てているのか、現段階における生産者の作付希望状況についてお伺いします。
次に、県北地域における園芸産地の強化についてお伺いします。
県北地域では、畑作を中心とした農業振興策の展開により、レタスやホウレンソウ、キュウリ、リンゴ、リンドウなどの園芸品目の産地化が図られております。
久慈広域では、やませを生かした雨よけホウレンソウの生産が盛んに行われ、平成16年には10億円を超える販売額を上げ、生産を拡大していたところですが、その後、生産者の高齢化や担い手の減少などにより、現在はその半分の約5億円に減少しています。
県では、水田等への高収益野菜の作付拡大により新たな産地形成を目指す新規事業、いわて型野菜トップモデル産地創造事業を創設し、2022年度を目標に、野菜販売額1億円となる産地をつくろうとしており、生産者の期待も非常に大きいと感じております。
一方で、園芸品目を中心に振興策が図られてきた県北地域においては、この事業に適した水田は少なく、事業採択がされにくいとの指摘があり、同事業のような手厚い支援を受けられるメニューを年数カ所程度確保しながら、規模拡大、生産性の向上に努め、強い産地づくりを積極的に推進する必要があると考えております。
今後、この事業の活用も含め、県北地域における園芸産地の強化にどのように取り組むのかお伺いします。
次に、林業振興についてお伺いします。
森林現場の諸課題にできるだけ早期に対応する必要があることから、新たな森林経営管理制度の施行とあわせて、森林環境譲与税が来年度から施行されることとなります。
スタート当初は国全体で200億円、岩手県では1億2、500万円が見込まれているとのことですが、取り組みの主体となる市町村にはどの程度見込まれているのでしょうか。また、市町村において来年度はどのように活用されるのか、現時点での見通しをお示し願います。
平成18年度に導入されたいわて森林づくり県民税は、森林を良好な状態で次の世代に引き継いでいくため、公益上、特に重要で緊急の整備が必要な針葉樹林の整備や県民参加の森林づくりを進めるなど、森林環境の保全のための大きな役割を果たしております。
実際、緊急な整備が必要な森林2万6、000ヘクタールのうち、いわて森林づくり県民税を活用し、昨年度まで1万5、507ヘクタールの整備が行われてきましたが、さらに約1万ヘクタールの整備を必要としています。
現在の取り組みは2020年まで継続することとなっておりますが、利用目的の一部が森林環境譲与税と重複するおそれもあることから、国と県の二つの目的税を充てながら、森林整備等の事業を来年度から行う際には、県事業と市町村事業の目的と役割を論理的に区別し事業を行わなければ、二重課税になると指摘もされかねません。
県は、現段階において森林環境譲与税をどのように活用していこうと考えているのでしょうか。いわて森林づくり県民税を生かしながら、二つの目的税を効果的に活用していくべきと考えますが、知事の所見をお伺いします。
次に、水産振興についてお伺いします。
東日本大震災津波の影響を受けた本県の漁業就業者は、平成20年からの5年間で全国平均を大きく上回る35%の減少となっており、今後20年間で半減するとも予想されております。水産業を担う人材の減少は、生産量の回復や水産業の持続的発展の大きな阻害要素となります。
水産振興議員懇談会の調査で訪問した宮城県では、みやぎ漁師カレッジを立ち上げており、事業概要の説明をしていただくとともに、研修生と意見交換をさせていただきました。研修生からは、長期研修が就業のきっかけとなったなどの高評価がある一方、研修プログラムの充実、住居の確保が重要などの意見が寄せられました。
本県でも、主な研修地となる大船渡市から遠方にある漁家子弟や県内外からの研修生にとって、住む家については最初に考える課題であります。岩手県漁業担い手育成ビジョンにおいて、住居支援に関しては市町村の役割であるとしておりますが、実際に支援策を講じ、研修生も対象としているのは7市町村にとどまっております。
研修生の募集に当たっては、応募者が、岩手県での水産業や暮らしを漠然と描くのではなく、研修内容の魅力や充実度、独立や企業への就職支援策を理解し、沿岸で暮らしながら将来設計のビジョンを明確に描くことができれば、選ばれる研修地になると思いますが、いわて水産アカデミーではどのような特徴を持たせているのか、研修生の独立までの支援とあわせてお伺いします。
平成8年をピークに、国内の水揚げ量は減少し続けております。漁業資源の減少が浜の活気を失わせており、漁業者と水産加工業者を初めとする関連産業に影響を及ぼしてきました。
東日本大震災津波以降、一部の魚種には持ち直しの傾向が見られるものの、本県の主要魚種の水揚げ量と主要養殖物の生産量は、完全回復のめどが立っていない状況にあります。特に、放流事業を行っている秋サケの動向は、漁協経営にも大きな影響があることから、回帰率の上がる効果的な取り組みが急務となっております。
県では、北上川水系のサケが高水温に強い性質があることから、その遺伝特性を活用しようという取り組みを始めましたが、この成果が出るのは、サケの回帰のサイクルを考えても、少なくとも8年から12年先になるのではないでしょうか。高水温や環境の変化に強いサケのさらなる研究を継続しながら、自然産卵の親魚をふやす取り組み、稚魚の生産へのマイクロナノバブルの導入、放流時期、放流サイズなど、回帰率の上がる可能性を求め調査項目をふやしていただきたいと思います。
そこで、漁獲シーズンも終盤を迎えている秋サケの水揚げ状況と、来年春の稚魚放流事業の方針についてお伺いします。
次に、水産加工業の現状についてお伺いします。
第12回被災事業所復興状況調査によると、復興に向けた課題として67.7%の事業者が材料調達を、40.9%の事業者が雇用確保を、38.7%の事業者が業績悪化を挙げております。原材料不足と人手不足は企業活動の根本にかかわる問題であり、仕入価格や流通コスト等による販売原価の上昇は、企業収益に直結し、業績悪化をもたらすのは当然のことと考えます。
水産加工業者の生産量、生産額は、震災前の3カ年平均では、生産量が119トン、生産額が718億円あったものが、直近のデータである平成26年からの3カ年平均では、生産量が101トン、生産額が692億円と、回復傾向に向かってはいるものの、平成27年以降は漁獲の低迷が続き厳しい経営を余儀なくされております。
今年度も、本来とれるべき魚種の不漁や魚体の小型化の影響、夏場のウニの高値や11月から水揚げされているアワビの価格も、さきの入札で浜値で1万7、000円台をつける生産部があるなど、水揚げ量の減少は、加工業者の再建へ大きな影響を及ぼし続けております。
そこでお伺いしますが、県は、本県主要魚種の水揚げ量の減少による加工業への影響をどのように捉えているのでしょうか。また、県外から原材料を調達せざるを得ない状況への対応を含め、今後どのような支援を行おうとしているのか、あわせてお伺いします。
次に、産業振興についてお伺いします。
国においては、昨年末の新しい経済政策パッケージで、2020年までの3年間を生産性革命・集中投資期間とし、大胆な税制、予算、規制改革など、あらゆる施策を総動員し、ソサエティー5.0の実現に向け最先端の取り組みを伸ばし、日本経済全体の生産性の底上げを図るためさまざまな施策を講じることとしました。
本年6月には、未来投資戦略2018として取りまとめ、成長戦略のスコープとタイムフレームを広げて、第4次産業革命の技術革新を取り込み、これまでの取り組みの再構築、新たな仕組みの導入を図ろうとしております。
私は、本年2月の代表質問において、第4次産業革命を見据えた人材育成やその技術の活用についてただしたところですが、今後、こうした動きは加速的に広がり、直接労働する部分はさまざまな機械やロボット等に置きかえられる一方で、こうしたロボット等をつくり、産業化を図る、いわばAI人材は一層必要性を増すものと考えております。これからは、時代の流れを読み、いかに人材を育成し確保していくかが本県の進むべき道と考えます。
次期総合計画も現在検討されておりますが、国に先んじる形で本県の人材、とりわけAIやIoTにかかわる人材についての考え方、方策を明確に示していくことが極めて重要と考えます。
第4次産業改革に対応し、本県では、ものづくり産業などにおける人材育成や技術の活用について、どのように対応し、今後どう取り組んでいくのか、知事にお伺いします。
本県では、岩手県立大学に学部規模としては全国でもトップクラスと言われるソフトウェア情報学部がありますが、こうした新たな社会の動きにどのように対応してきているのかお伺いします。私は、ソフトウェア情報学部を拡充し、本県の強みとして社会に貢献していくべきと考えますが、今後の学部体制のあり方についてお伺いします。
次に、防災についてお伺いします。
県議会において日本防災士機構が認証する防災士資格の取得に向けた機運が高まり、多くの議員が、その取得に向け講習を受講しました。総合防災室によると、受講者35名全員が合格したとのことであり、既に取得済みの議員を含めると、岩手県議会では防災士の資格取得者は38名となる見込みであります。
講習では、災害に備える事前活動や自然災害における率先行動、避難所の立ち上げや運営、救急救命講習など幅広い分野について学んだところであり、防災力が高い地域づくりには、地域の防災リーダーの育成と活用の必要性を改めて感じました。
平成30年3月現在、県内には全市町村に1、823名の防災士がおり、防災士の資格取得支援事業を設けている自治体もあります。また、防災士以外の民間資格には、災害ボランティアコーディネーターや災害防災アドバイザーなどがあり、職場や個人が社会の防災力の向上に向け取得している事例が見られます。
そこでお伺いしますが、自助、共助、公助の役割を果たすため、災害や防災の資格取得者などが、機能的に防災活動にかかわることができる仕組みづくりを整え、資格取得者を防災活動に生かしていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
平成28年に発生した台風第10号災害の教訓を踏まえ、平成29年6月に水防法及び土砂災害防止法の一部が改正され、市町村の地域防災計画で指定された洪水浸水想定区域及び土砂災害警戒区域内にある要配慮者利用施設の避難確保計画の策定が義務づけられました。
気象予報の精度の向上により、より早い段階で災害の想定を行うことができるようになってはきましたが、発生時間やそれまでの降雨量、河川、のり面等の整備状況など、個々の地形や地質の違いから、的確な避難指示を行うことは非常に難しいことに変わりはありません。
要配慮者の避難については、危険性を早い段階で判断し、避難誘導しながら身の安全を守る手だてを講じる必要があり、計画策定に当たり、タイムライン等の手法を取り入れるなど、施設管理者が、複数で危険の察知や判断基準を共有することにより実効性が高く効果的な計画をつくることができると考えますが、現在の策定状況と今後どのように取り組むのかお伺いします。
平成23年に制定された津波防災地域づくりに関する法律に基づき、沿岸地域における津波災害警戒区域の指定を見直す動きが全国的に進み始めております。この法律は、東日本大震災津波以前の津波対策に係る法制度を大きく見直し、将来発生し得る最大クラスの津波や津波災害全般への対策を講じることとしたものであります。
津波浸水想定の設定に関しては、浸水区域の設定と公表の義務づけを求めるとともに、津波災害警戒区域のうち、一定の開発行為や建築等を制限すべき区域の指定や公表も任意で盛り込まれるなど、これまでより踏み込んだものとなっております。
一方、本県を含む被災3県では、現在、国において日本海溝、千島海溝の巨大地震モデルの検討が続いていることなどから、津波浸水想定がいまだ設定されていない、未設定の状況であります。東日本大震災津波後に浸水想定の見直しの取り組みも見られますが、同規模の津波が目の前の沖合や角度を変えて発生した場合には、今回被災した規模では済まないとの認識が共有されております。
被災地では、防潮堤の整備やかさ上げ事業が進み、大震災前の被害想定と日常生活の環境も大きく変わっております。東日本大震災津波の教訓を踏まえ、最大の津波規模が、沿岸中央部や県北部で発生することなどを想定した新たな浸水予測の更新を初め、津波災害警戒区域の設定、避難体制の周知や整備などを県独自でも進めるべきと考えますが、知事の所見をお伺いします。
次に、いじめ問題についてお伺いします。
全国的に、いじめを起因とする事件や自殺に至った報道が後を絶ちません。本県においても、平成26年と平成27年に、いじめが一因と見られる最悪の事態が連続して発生しました。平成29年度の児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査によると、本県における児童生徒1、000人当たりのいじめの認知件数は、全国平均を大幅に上回る結果となり、特に小中学校での認知件数が増加しています。
その要因として、私は、学校側が積極的な認知を行おうとしていることのあらわれであると受けとめてはおりますが、平均すると、小学校各校で年間15.4件、中学校で8.5件、高等学校で3.2件、特別支援学校で2.8件発生していることとなり、いじめの根絶がいかに難しいかを物語っているとも言えます。
このうち、いじめ防止対策推進法第28条第1項の規定する重大事態に発展したケースは1件とのことであり、平成27年度の17件、平成28年度の19件と比較をすると大きく減少しております。これまでの取り組みの成果が出ていると受けとめることもできますが、県ではどのように分析をしているのでしょうか。また、いじめとその重大事態の解消の状況についてお示し願います。
子供が持つ悩みには幾つもの背景が重なり合っているケースが多いことから、県ではこれまで、心理や福祉などの専門的な知識と経験を持つスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを増員しながら、学校不適応や家庭環境の問題などに当たっております。
一方で、いじめの認知件数の増加や不登校の生徒児童数の増加傾向を見ると、十分に対応し切れているとは言いがたいのではないかと懸念されるところであり、発達障がい児・者の相談や支援のニーズの高まりに対応できるよう、地域でも相談支援が受けられる専門員の育成が重要となります。
そこで、岩手県立大学を初めとする学校教育機関での人材育成、専任職員の配置や処遇改善、職場環境の整備などの体制の強化が求められると考えますが、今後の対応についてお伺いします。
次に、不登校対策についてお伺いします。
県内の平成29年度の不登校の児童生徒数は、小中学校で1、044人、高等学校で359人であり、全体的にわずかながら増加しております。
不登校の児童生徒の中には、社会生活の不安や将来の進路への悩みが増し、その期間が長引くことにより、学校への復帰の意思が薄れ引きこもりに発展するケースが見られるなど、深刻化が懸念されております。それぞれの学校へ通えなくなる事態は、義務教育課程において必要な学びの機会が失われてしまうことになり、培うべき社会性を身につけることのおくれも懸念され、将来、社会からの孤立につながる大きな問題であると認識をしております。
県内21市町に適応指導教室が設置されておりますが、長期化している不登校児童生徒が通っている実態は少ないと聞いております。また、12町村では未設置という状況でもあります。児童生徒の居場所をつくり、学校への復帰や中学卒業後の進路を見据えた支援が急務であると考えますが、県の認識と取り組みについてお伺いします。
次に、児童虐待についてお伺いします。
平成29年度の本県の児童相談所における児童虐待相談対応件数は1、088件であり、前年度を上回り4年連続で過去最高を更新しました。これは、子供の面前で配偶者に暴力を振るう事案、いわゆる面前DVが急激に増加したことが要因に挙げられます。
県では、児童虐待防止アクションプランに基づき発生防止等の取り組みを進めている中で、残念ながら、本年4月に北上市で児童虐待による死亡事案が発生したところであり、重篤な事案の防止や早期発見による児童の安全確保など、実効性の高い積極的な対応が求められております。県では、北上市での事案をどのように検証し、新たにどのような対策を講じる考えかお伺いします。
児童相談所での体制については法令に基づき児童福祉司は5万人に1人配置することとなっており、今年度増員分も含め、児童福祉司が37名、児童心理司17名の54名体制で相談対応に当たっております。しかし、どの程度の業務を1人が抱えているのかというケース数をカウントしづらいとの指摘もあり、困難化する個別案件に対して丁寧な対応をとることができる体制になっているのか、24時間体制による職員の負担は過度になっていないかなどを確認しながら増員を図るべきであると考えます。
ネグレクトや心理的虐待などの事例を早い段階で見つけることは、高い専門性と知識、経験を持つスペシャリストでないと判断し切れないこと、子供を一時保護する権限は児童相談所あるいは警察にしかないことなどを踏まえ、組織体制の見直しを強く望むものであります。来年4月からは配置基準が4万人に1人と変更となるようですが、福祉総合相談センターの中央児童相談所機能を強化しつつ、三つの児童相談所をどのような考えのもと強化していくのかお伺いします。
また、現状を踏まえ、広大な県土の中で、盛岡市、宮古市、一関市の3カ所に加え、県北地域へ新設する考えはないのかあわせてお伺いします。
以上で私の一般質問を終わらせていただきます。答弁によっては再質問させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 工藤大輔議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、金色の風と銀河のしずくに対する市場の評価についてでありますが、全国の米産地から食味レベルの高い新品種が次々とデビューする中、金色の風、銀河のしずくのブランドを確立するためには、全国の消費者や実需者から信頼と評価をいただくことが重要であります。
このため、県では、本年2月にいわてオリジナル品種ブランド化戦略を策定し、全国トップクラスの品質と食味を実現するとともに、大消費地でのトップセールスや米穀専門店を訪問してのPR、県内外でのテレビCMなど、プロモーションを展開してまいりました。その結果、先月公表された米のヒット甲子園2018において、お米に対する深い見識を持つ五つ星お米マイスターが厳選した全国の銘柄米の中から、金色の風が2年連続、銀河のしずくが3年連続して最終審査の9銘柄に選出されるなど、全国的に評価が高まっていると認識しております。
また、県外の大手米卸売業者からは、岩手県は、主力のひとめぼれに加え、高品質、良食味の県オリジナル品種が二つも加わり、高級ブランド米から業務用仕向けの米をそろえる全国有数の産地として強い信頼をいただいており、県オリジナル品種は、県産米全体に対する評価の向上にも大きく貢献しているものと考えます。
次に、森林環境譲与税といわての森林づくり県民税の効果的活用についてでありますが、森林環境譲与税は、市町村が主体となった新たな森林経営管理制度の創設にあわせて2019年度から県及び市町村に譲与されるものであり、県においては、市町村による森林整備に対する支援等に関する費用に活用することとされています。こうした趣旨を踏まえ、この譲与税を有効に活用した事業展開が図られるよう、2019年度当初予算編成において検討を進めてまいります。
また、いわての森林づくり県民税は、現在、2020年度を終期とする第3期の取り組みを進めているところであります。2021年度以降の県民税のあり方については、今後、制度の詳細が明らかとなる森林環境譲与税との関係を整理するとともに、これまでの取り組みの成果や課題等も踏まえ、県民の皆様を初め、いわての森林づくり県民税事業評価委員会や県議会、市町村の御意見なども伺いながら検討を進めてまいります。
次に、第4次産業革命に対応した人材育成と技術の活用についてでありますが、IoT、AIなどの第4次産業革命技術は、ものづくり産業はもとより、第1次産業や建設、土木、教育、医療、福祉、行政などあらゆる産業や社会活動、そして生活の現場に活用できるものであり、本県において導入や活用が大いに期待されます。
県では、第4次産業革命技術に関する高度技術人材の育成については、岩手大学や岩手県立大学と連携したロボット制御技術者などの育成や、企業の従業員を大学に派遣し、製造ラインのIoT化など新技術活用を牽引する人材の育成などの取り組みを推進してまいりました。
また、ものづくり産業における第4次産業革命技術の活用については、企業経営者等に対しIoTの活用やロボット技術の導入を働きかけてきたところであり、県内中核的企業において、県の支援を受け技術高度化や新技術開発に取り組み、草刈りロボットの製品開発に成功した事例も出ています。
さらに、第4次産業革命へのゲートウエーとして、県ではファブテラスいわての運営を初めメイカームーブメントの推進にも取り組んでいるところです。
第4次産業革命技術の導入は急速な広がりを見せており、引き続き、企業や大学等と連携し、高度技術人材の育成、確保と県内企業への技術の活用を促進するとともに、次期総合計画長期ビジョンの中間案におきましても、10の政策分野において、ものづくり産業、建設・土木、医療・福祉などで引き続き取り組みを進め、11の新しい時代を切り拓くプロジェクトでも、活力ある小集落実現や農林水産業高度化推進、健幸づくり、学びの改革などにおいて、第4次産業革命技術の活用に着目した取り組みを戦略的に展開してまいります。
また、県行政の運営に関しても、AIの活用などによる効率的な業務遂行や柔軟な働き方を長期ビジョン中間案の第8章、行政経営の基本姿勢において示しているところです。
次に、津波浸水想定の設定についてでありますが、国の中央防災会議における日本海溝・千島海溝周辺型地震の地震防災戦略の決定を踏まえ、本県では、平成22年3月に岩手県地震・津波アクションプログラムを策定し、地域防災力の強化、地震や津波に強いまちづくりの推進、機能的な体制の整備などの取り組みを進めてまいりました。
しかしながら、東日本大震災津波の発生により状況が大きく変化したことから、県では、津波浸水シミュレーションを実施し、海岸堤防等の復旧、整備の完了を前提に、東日本大震災津波での津波などを最大クラスととした場合に想定される津波浸水範囲等を公表するとともに、岩手県東日本大震災津波復興計画及び復興実施計画に基づき、毎年度、進捗管理を行いながら、海岸保全施設、まちづくり、ソフト対策による多重防災型のまちづくりを進めてきたところであります。
現在、国においては有識者会議を設置し、日本海溝と千島海溝を震源域とする巨大地震についてその規模や被害想定の見直しを行っているところであり、この想定に基づいて国の計画や防災戦略が改正されるものと伺っています。
県といたしましては、これらの国の動向を注視し、復興の進捗状況も踏まえながら、地域防災計画や岩手県地震・津波アクションプランの見直しについて検討してまいりたいと思います。
その他のお尋ねにつきましては企画理事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔農林水産部長上田幹也君登壇〕
〇農林水産部長(上田幹也君) まず、平成30年産金色の風と銀河のしずくの課題についてでありますが、農林水産省の公表によりますと、10月末日現在の一等米比率は、金色の風が100%、銀河のしずくは99.4%と非常に高く、また、10月15日現在の本県の作況指数は101となっておりますが、JA等からは、生産者によって単収に差が見られるといった声もあるところであります。
このため、平成31年産米の生産に向けましては、安定した収量確保に向けた施肥管理など栽培技術マニュアルの見直しに加えまして、今年度から新たに取り組んでおりますリモートセンシング技術の活用によるきめ細かな品質管理の導入、高精度食味分析器を活用した食味向上に向けた生産管理など、高品質、良食味米の安定生産に向けて、栽培研究会を中心に取り組みを強化してまいります。
次に、生産者のメリット、需要見込みと作付希望状況についてでありますが、平成30年産米について、JA概算金と品種ごとの収量をもとに10アール当たりの販売額を試算いたしますと、ひとめぼれ対比で、銀河のしずくは約10%増、金色の風は約15%増と、生産者のメリットが見込まれるところでございます。
また、平成31年産の金色の風と銀河のしずくの需要見込みでございますが、全農岩手県本部への聞き取りでは、主要米卸業者の需要調査で、平成30年産より多くの要望をいただいているとのことでございます。
作付面積につきましては、JA等を通じ生産者の作付の募集を行い、現在、集計中であります。平成30年産の実績よりは増加するものと見込んでいるところでございます。
次に、県北地域の園芸産地の強化についてでありますが、県北地域では、夏季冷涼な気候や平場から高標高地に至る立地条件を生かしながら、野菜、果樹、花卉産地の形成を図ってきましたが、近年は高齢化の進行などによりまして生産者が減少してきており、産地を維持、発展させていくためには、生産性の向上や規模拡大に加え、意欲ある担い手の確保、育成が必要であります。
このため、これまで、野菜の自動かん水装置や移植機の導入、リンゴやリンドウの優良品種への新植、改植に対する支援、さらには、経営管理能力の向上に向けたセミナーの開催などに取り組んできており、平成29年度における県北地域の園芸品目の販売額を5年前の平成24年度と比較いたしますと、レタスやトマトが約2割増加するなど、野菜を中心に増加基調にございます。
今後は、県北地域の園芸産地の強化に向け、いわて型野菜トップモデル産地創造事業などを活用いたしまして、高性能機械の導入や園芸施設の整備を一体的に進めるほか、高度な農業知識や技術を習得する機会を拡充するなど、意欲ある担い手の確保、育成に積極的に取り組んでまいります。
次に、森林環境譲与税についてでありますが、県内市町村への譲与総額は、林野庁から示された譲与基準により試算したところ、譲与が開始される2019年度は4億9、000万円余、森林環境税の税収全額が譲与される2033年度以降は16億8、000万円余と見込まれるところでございます。
市町村に譲与される森林環境譲与税は、森林整備及びその促進に関する費用に充てることとされておりますが、初年度となる2019年度においては、市町村では、新たな森林経営管理制度の運用など、今後の取り組みを円滑に推進できるよう、森林整備に対する森林所有者の意向調査等を実施していくものと想定しております。今後、市町村における2019年度当初予算編成作業の進捗状況等を見据えながら、活用状況について把握してまいります。
次に、いわて水産アカデミーの特徴についてでありますが、アカデミーの運営主体であるいわて水産アカデミー運営協議会は、漁業関係団体、各市町村の漁業就業者育成協議会、県を構成員としておりまして、県内関係組織全体が連携し、それぞれの強みを生かした幅の広い研修を行うこととしております。また、研修においては、基礎的な知識、技術のほか、ICT等の先端技術などの高度な生産技術など、幅広い知識、技能、資格を取得、習得できるカリキュラムとしております。
また、沿岸地域以外からの新規就業希望者については、市町村と連携して住居のあっせんなどを行うとともに、地域に着実に定着させるため、イベントへの参加などを通じた地元住民との交流を促進するほか、研修修了生などをメンターとしたフォローアップを行ってまいりたいと考えております。
アカデミーの修了後におきましても、研修生がひとり立ちするまでは、国の長期研修支援制度を活用いたしまして、漁業指導者のもとで実務研修を継続し、独立するために必要な実践的な知識、技術を習得できるよう支援してまいります。
アカデミーの開講に向けましては、このような特徴を積極的にアピールするなど、水産系高校生などがアカデミーに魅力を感じ、進路として選択して、将来、本県水産業の担い手として活躍できるよう積極的に取り組んでまいります。
次に、秋サケの水揚げ状況等についてでありますが、11月30日現在、秋サケの水揚げ量は5、884トンで、前年同期比125%と増加しておりますが、一方で、震災前の同期比では37%にとどまっております。また、水揚げ金額は約34億円で、前年同期比81%、震災前の同期比62%となっております。
秋サケ資源の早期回復には、高水温に負けない健康な稚魚を計画どおり4億尾放流することが重要でございます。このため、現在、必要な種卵の確保に取り組んでいるところであります。11月30日現在、秋サケの河川遡上尾数は約27万尾と、前年同期比169%となっており、遡上した親魚を最大限活用するほか、定置網で漁獲された親魚も活用し、計画を上回る約2億7、000万粒の種卵を確保したところであります。
今後も、漁協等と連携し、計画している種卵数の確保に努めるとともに、卵や稚魚の適切な飼養管理、さらに適期放流を徹底し、来春の健康な稚魚4億尾の放流に向け積極的に取り組んでまいります。
次に、水産加工業の現状についてでありますが、近年は、主要魚種でありますサケ、スルメイカが不漁であり、これらを加工原料とする水産加工業者は、地元魚市場以外からの調達を余儀なくされているところであります。
このため、県では、水産加工原料の安定確保のため、地元以外の魚市場の水揚げ状況などの情報提供や、主要魚種以外の原料に変更を検討する事業者への助言のほか、遠隔地から原料を調達する場合のかかり増し経費に対する補助制度の活用など、必要な支援を行っているところであります。
このような中、全国有数のマダラの水揚げがある宮古市では、地域を挙げてマダラのブランド化を推進し、地元の加工業者によるマダラ加工品が消費者からの好評を得て売り上げを伸ばしているなど、県としても高く評価しているところであります。
加えまして、近年はサバ、イワシの水揚げが好調であることから、市町村や漁協と連携いたしまして、これらの魚種を漁獲するまき網漁船などの地元魚市場への誘致などに取り組んでいるところでありまして、引き続き代替原料の確保に努めてまいります。
今後は、これらの取り組みを継続するとともに、付加価値の向上や販路の開拓、拡大に向け、通電過熱技術などの新しい加工技術の開発、普及、水産加工品コンクールや展示商談会への出展支援を進めるなど、本県水産加工業の一層の振興に取り組んでまいります。
〔企画理事兼総務部長佐藤博君登壇〕
〇企画理事兼総務部長(佐藤博君) まず、岩手県立大学ソフトウェア情報学部についてでありますが、同学部では、県立大学の第3期中期目標に掲げた社会環境の変化に適切に対応した学術研究の推進に向け、実践的なスキル向上のための教育や地域ニーズに応じた研究を展開しており、これまでに、次世代自動車の技術開発に関連する研究や、東日本大震災津波の被災者に対する健康支援システムの開発などに加え、最近では、ソーシャルメディアの分析を通じた観光情報システムの構築に取り組むなど、社会の変化に的確に対応しつつ、実学、実践を重視した教育、研究を行ってきております。
また、同学部では、今後ますます成長が期待されているビッグデータ、IoT、ロボット、AIなどの先端技術分野で活躍できる人材を育成するため、これまでの教育研究組織やカリキュラムを見直し、平成31年度から、コンピューター工学や人工知能など時代の変化に対応した四つのコースの導入や、博士前期課程も含めた6年制の一貫教育体制の整備を行って、高度な専門性を有する技術者を育成していくこととしております。
次の防災に関する答弁に入らせていただく前に、一言申し述べたく存じます。
このたびは、多くの議員の皆様が防災士の資格試験に合格されたとのことでございます。お忙しい中、膨大なテキストでもって研さんを積まれるとともに、救命講習も受けられるなど、大変な御労苦があったことと拝察いたします。
今後とも本県の防災力の向上に御支援を賜ればと存じますので、よろしくお願い申し上げます。(拍手)
それでは、答弁に入らせていただきます。
防災士資格取得者の防災活動についてでありますが、本県の防災士は、本年3月末時点で1、823人であり、地域主体の防災活動の推進に御尽力いただいているところでございます。
現在、県地域防災サポーターには県内の防災士20名の方々を登録し、地域の要望に応じて防災関連研修会の講師に派遣しているところであり、地域防災力の向上に大きな役割を担っていただいております。また、本年11月には、宮古広域において開催した県総合防災訓練の際、初めて日本防災士会岩手県支部の協力を得、避難所設置運営訓練に防災士が参加いただくなど、連携の強化を図っているところです。
今後におきましても、日本防災士会岩手県支部との連携により、防災訓練、住民への防災知識の普及、自主防災組織の活性化など地域防災力の向上につなげてまいりたいと考えております。
次に、要配慮者利用施設避難確保計画についてでありますが、県では、対象となる施設について調査を行ったところ、本年4月1日現在の対象施設数は1、174施設となっており、このうち、避難確保計画を策定した施設数は196施設、16.7%にとどまっていたところでございます。
このため、県では、避難確保計画の策定を促進するため、計画未策定の社会福祉施設及び医療施設の管理者等を対象に、盛岡地方気象台の協力も得て、県内4地域で計6回の講習会を開催し、周知に努めたところです。こうした取り組みにより、本年11月1日時点で再調査したところ、新たに123施設が避難確保計画を策定し、合計で319施設、27.2%となっております。
今後におきましても、市町村等に対し、計画策定の指導や助言を積極的に行うなど、引き続き計画策定の支援に努めてまいります。
〔保健福祉部長八重樫幸治君登壇〕
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) まず、北上市での死亡事案の検証についてでありますが、現在、岩手県社会福祉審議会児童福祉専門分科会措置部会において事案の検証を行っているところであり、8月27日に第1回、10月30日に第2回の検証委員会を開催いたしました。今後、発生原因の分析、検証を行い、今年度中に再発防止策を取りまとめる予定としております。
事案を受けての対策としては、6月に県内市町村及び保育施設に対し、今回の事案を踏まえ、児童虐待の発生予防に係る取り組みを徹底するよう求めたほか、9月には、重篤な事案の防止や早期発見により児童の安全確保を図ることを目的として、児童虐待に関する児童相談所と警察との協定を締結し、相互の連携を強化したところです。
また、診療や歯科検診等の場でデンタルネグレクト等児童虐待が疑われる児童を発見し、関係機関に速やかに相談、通告することにより、児童虐待の予防及び重症化を防ぐことを目的に、歯科医療従事者研修を新たに事業化するなどの対策を実施しているところであり、今後示される検証結果を踏まえ、児童虐待の発生予防と早期発見、早期対応に向けた対策を講じることにより、このような痛ましい事件を繰り返さないよう取り組んでまいります。
次に、児童相談所の体制強化についてでありますが、来年度から児童福祉司の配置基準が引き上げられることから、県では、この基準を満たすよう、他の専門職員の配置も含め、児童相談所体制の強化を図っていきます。特に、中央児童相談所としての福祉総合相談センターについては、重点的に体制を強化し、職員の育成や他県との連絡調整、児童養護施設との連携等の業務で中核的役割を果たすことにより、県内児童相談所全体の機能強化を図ります。
また、県北地域への児童相談所の新設については、児童虐待の増加に伴い増員した児童福祉司や児童心理司等の専門職員が相談対応スキルを獲得し、児童虐待対応の専門性を獲得するためには、長期的に相当な期間をかけて組織的に教育訓練を行うことが必要不可欠であり、また、専門的な児童相談対応を行うためには、このような訓練を受けた一定規模の職員が必要であることから、まずは、現状の3児童相談所体制で専門職員を育成しながら、県北広域振興局保健福祉環境部駐在の体制強化を検討するとともに、警察や市町村要保護児童対策地域協議会等関係機関との一層の連携による地域の見守り体制の充実を図り、児童虐待の早期発見や早期対応等の取り組みを推進してまいります。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) まず、いじめ問題に関する重大事態の発生とその解消についてでありますが、県教育委員会におきましては、いじめの積極的な認知に加え、迅速な組織対応や児童生徒の主体的な取り組み等を重点的な取り組みとして、各学校における学校いじめ防止基本方針の着実な実施を推進してきております。
平成29年度の国の調査において本県のいじめの認知件数は増加しており、重大事態の発生件数は減少しております。これは、SNS等により表面化しにくいいじめ等もある中、各学校がさまざまな取り組みを進めてきており、初期段階のいじめを積極的に認知することが浸透した結果、その重大事態の芽を見逃すことなく、実態把握に努めてきたことなどによるものであると捉えております。
このうち83.9%のいじめが解消しており、また、重大事態の解消につきましては、平成27年度から平成29年度の間に発生した県立学校の重大事態のトラブルについては全て解消しており、市町村立学校事案についてもおおむね解消いたしております。
今後におきましても、教師がいじめの問題を決して一人で抱え込むことなく、学校いじめ防止基本方針に基づき、いじめの未然防止に向けた具体的な取り組みの強化や、いじめの認知、早期対応、保護者等への適切な情報提供等に取り組みながら、それぞれの事案の解消や解決に向け、各学校を支援してまいります。
次に、体制の強化についてでありますが、児童生徒を取り巻く環境が多様化してきている中で、いじめ問題や不登校の対策に当たっては、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなど、専門的知見を持つ職員の果たす役割が高まってきております。
議員御案内のとおり、専門的な職員の配置のためには人材確保が極めて重要でありますことから、県教育委員会におきましては、岩手大学や県立大学と連携しながら、臨床心理士や社会福祉士の養成等に取り組んできております。
また、教員を対象とした総合教育センターの長期研修制度においても、専門的な知見を持つ学校心理士を養成する講座を開設するなど、教育相談体制の充実に努めているところであります。
今後におきましても、関係団体や大学との連携を深めながら人材確保に努めるとともに、国に対し、スクールカウンセラーなどの配置基準の充実や処遇改善など、人材確保に向けた施策の充実を働きかけてまいります。
次に、不登校対策についてでありますが、国の調査によりますと、不登校の出現率は全国的に増加傾向にあり、生徒指導上の大きな課題になっていることから、その要因を丁寧に探るなど、復帰に向けた支援を行っていくことが極めて重要であると認識いたしております。
県教育委員会におきましては、市町村教育委員会との連携のもとに、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの活用などによる教育相談体制の充実を図りながら不登校児童生徒への支援を行ってきており、市町村教育委員会におきましては、教職員による計画的な家庭訪問や支援員の配置、別室登校の措置を講じたり、不登校児童生徒数の状況などにより適応指導教室を設置したりするなど、当該児童生徒一人一人に寄り添った支援に努めております。
しかしながら、不登校の改善に当たっては、保護者の理解のもとに、不登校にある児童生徒の実情を共有しながら、地域や関係機関等との連携を図りながら継続的に支援していくことが必要ですので、今後におきましても、市町村教育委員会等との十分な情報共有を図りつつ、児童生徒の学校への復帰や将来を見据えた進路実現に向けた支援体制の充実に努め、児童生徒の社会的自立を支援してまいります。
〇47番(工藤大輔君) さまざま御答弁をいただき感謝申し上げます。
第4次産業革命の関係ですけれども、知事からは、さまざま各般にわたる御答弁を頂戴しました。ものづくり産業だけではなく県内あらゆる産業にその技術を必要とする、そして人のニーズがある。これからまさにそういった関係の人材を育成、確保することが重要でありますので、積極的に取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げたいと思います。
そこで、中小企業に関係してですけれども、中小企業における第4次産業革命技術の導入の支援についてお伺いしたいと思います。
大手企業においては、IoT、AI等を導入した新工場の設置など第4次産業革命技術の導入が進んでおりますが、中小企業の多くは、さまざまな課題を抱え、技術導入ができないでいる状況にあると思われます。
本県のすぐれたものづくり産業を支える中小企業にも第4次産業革命技術の導入が重要と考えますが、県としては、今後どのような支援をしていくのかお伺いします。
次に、防災の関係について、先ほど企画理事兼総務部長から感謝の言葉をいただきました。私は、正式に防災士資格を取得するには多分もう少し時間がかかると思いますけれども、この資格を取っただけで本当に防災士と名乗れるかどうかという不安も、同時に感じております。
大規模災害が発生するごとに潜在化する課題が浮き彫りになっており、新たな対策の必要性も指摘されています。また、防災に関する知見や技術も、年々進歩していき、スキルアップしていく必要もあると思います。
そういった中で、仙台市では、仙台市地域防災リーダーバックアップ講習会を開催するなど、フォローアップの取り組みも進んでおり、本県の防災力の向上に向け、県としてもさまざまなフォローアップ事業も必要かと思います。効果的にどのように取り組むのかお伺いしたいと思います。
次に、いじめの関係についてお伺いします。
いじめ問題を重大化させないために、学校側の調査において十分でなかったり、また、事態の改善が見られない場合には、小中学校であっても、学校側からの要請を待つという姿勢だけではなくて、早期にいじめ問題解決の支援チームを派遣する方針を示すなど、市町村教育委員会と一体となった対応も必要だと思います。
現在、小学校、中学校においては市町村教育委員会が主体となっていることもあって、以前お伺いした際に、重大事態の解消について小中学校は把握していないという説明をもらったところだったのですが、やはりそういった姿勢ではなくて、教育事務所も各広域ごとに設置してあって、市町村教育委員会と一体となった取り組みをしているはずですので、その情報等もしっかりと見、そしてまた理解をしながら、県としても、これは重大事態に発展するかもしれない事態になったと判断した場合には、積極的に市町村へ働きかけて課題解決に当たっていくべきだと思いますが、教育長の見解をお伺いします。
また、学ぶ機会の確保についてお伺いしたいと思います。
民間が設置しているフリースクールは、盛岡市、宮古市、陸前高田市に各1カ所、計3カ所あり、全国の事例と同様、居場所としての活動から高卒資格の取得支援など、各フリースクールの運営方針のもとに、各事業が行われていると理解しております。
学校へ通えなくなった全ての児童生徒に学ぶ機会の確保は必要であり、どの学びやであっても、児童生徒の成長を確認しながら必要とするサポートを行っていくべきと考えますが、県の考え方、また取り組みについてお伺いしたいと思います。
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) 中小企業における第4次産業革命技術の導入の支援についてでございますけれども、議員御指摘のとおり、本県ものづくり産業を支える県内中小企業におきましても、生産性の向上や省人化を図っていくことが必要でありまして、これを実現するために、第4次産業革命技術を活用することが重要と認識しております。
しかしながら、県内中小企業の多くは、第4次産業革命技術を導入し、活用するための情報を十分に持てていないことや、その技術に精通した技術者が不足していることなどによりまして、全体的には、導入が進んでいるとは言いがたい状況にございます。
このような中、IoTを導入し、無線LANによる工場内のネットワークを構築することによりまして、タブレット端末で工場内の生産の進捗管理や自動生産を行うなど、先進的な取り組みを行っている企業もあらわれてきております。
県といたしましては、これまで第4次産業革命技術の活用に関するセミナーやワークショップの開催などによりまして、技術の情報提供や活用事例の紹介などを行いますとともに、ものづくり企業とIT企業のマッチングや専門家派遣による技術支援などを行ってきたところでありまして、今後におきましても、県内中小企業における第4次産業革命技術の導入を一層促進してまいります。
〇企画理事兼総務部長(佐藤博君) 防災力の向上に向けたフォローアップについてでございます。
今、議員が仙台市の例をお話しされましたけれども、仙台市では、平成24年度から仙台市独自の講習カリキュラムをつくって、仙台市地域防災リーダーの養成をしていることと把握しております。
県といたしましても、今後も市町村と連携いたしまして、防災士制度を活用し、自主防災組織の中核となる人材の育成を図りたいと考えております。また、この防災士資格取得者も含めまして、防災関係者のスキルアップのための研修を充実していきたいと考えております。
また、地域防災リーダーとなる防災士資格取得者をふやしていく取り組みも、地域防災力の向上のためには重要であると認識しておりますので、その方策についてもあわせて検討してまいりたいと考えております。
〇教育長(高橋嘉行君) まず、市町村教育委員会と一体となったいじめ問題への対応についてでございます。
県教育委員会におきましては、県内の公立学校におけるいじめの問題に対して、市町村教育委員会と連携し、管理職及び教員に対する研修を充実させ、いじめの未然防止や早期発見、重大化させない適切な対処のための教職員の資質向上に取り組んできているところでございます。
加えまして、県内の公立学校で発生した解決が困難な事案に対しては、県教育委員会に指導主事や有識者で構成するいじめ問題解決支援チームを組織するなど、速やかな解決等に向けた支援体制をつくっております。
いずれ、県教育委員会の大きな役割、使命は、岩手の子供たちの安全を確保することであるとか、一人一人の能力を高めていくことでございますので、市町村教育委員会との十分な連携のもとに、重層的な支援体制の充実に努めて、いじめ問題を重大化させないための取り組みを推進していきたいと考えております。
次に、学ぶ機会の確保についてでございます。
不登校が常態化している児童生徒に対しては、学校が保護者と連携、協力しつつ、十分な支援を行いながら、学ぶ機会を確保していくことは極めて重要であると考えておりまして、また、民間団体等との連携も必要であると認識いたしております。
県内には、議員御案内のとおり、現在3カ所のフリースクールが設置されておりますけれども、主に不登校や引きこもりの状態にある子供たちへの学習支援、居場所づくり等に取り組むとともに、その家族からの相談などにも応じていただいております。
県教育委員会におきましては、各教育事務所に配置しております在学青少年指導員が、これらのフリースクールを訪問するなどして、支援内容の状況把握でありますとか、児童生徒への支援のための情報共有などに努めているところでございます。
今後におきましても、市町村教育委員会や民間団体との連携のもとに、不登校対策の充実に向け必要な支援の充実に努めていきたいと考えております。
〇47番(工藤大輔君) それぞれ積極的な取り組みを要望したいと思いますし、今、岩手県立大学のソフトウェア情報学部等で人材育成等も進めているわけですが、学生の希望はどういった傾向があるかと聞いたところ、ゲームやアプリなどの開発を希望する生徒が多いと。その一方で、ものづくり系はどうかというと、比率にすれば7対3ぐらい。7がゲームやアプリ等を希望する学生、そして、実際にものづくりにかかわる者は3割だということで、やっぱりこの比率を高めていくことが、県内産業などに必要な人材の確保にもつながっていくのではないかと思います。
そういった中、ものづくり系の希望者をふやしていくためには、やはり学生が大学の研究課程において研究し開発した技術を、例えば、わかりやすく言えば、今、ドラマで下町ロケットをやっておりますけれども、ああいう実験圃場等で活用できるとか、自分やチームが開発した技術が社会の産業に貢献するとか、あとは、それをつくること、開発することの楽しさをより感じられる、そういった仕組みとか学びのさらなる研究が必要ではないかと思います。
できれば、来年度の予算等の中でもそういったものを計上していきながら、開発した技術を実践化させるような、研究課程と一体となった取り組みも必要ではないかと思うところであって、そういった分野に対しても意を用いて来年度予算編成等に当たっていただきたいと思いますが、その考え等についてお伺いしたいと思います。
〇企画理事兼総務部長(佐藤博君) 今、例に出されました下町ロケットは、私も拝見しておりますけれども、やはり地場企業といかに連携をして、そして仕事につなげていくかということが重要であると思います。
実際に県立大学のソフトウェア情報学部におきましては、岩手県情報サービス産業協会とタイアップして、いわて情報産業就職フォーラムなどを開いております。それから、岩手県の情報サービス産業を活性化するためのテクニカルカンファレンスといったことも開催しまして、県内に事業所のある情報通信企業等の説明を受けたり、あるいは学生との懇談を実施するなどの取り組みをしていると伺っております。
また、具体的に学生の目を向けるために、1年次の後期科目で起業論といったものに地元の実務家あるいは企業経営者、起業者等を講師に招いて、地元企業について紹介し、知っていただいて、そして、先ほど例示されました、下町ロケットのような技術開発に向けた志を持っていただくような取り組みもしているということでございますので、そういった支援に向けても、いろいろと研究を進めてまいりたいと考えております。
〇議長(佐々木順一君) この際、暫時休憩いたします。
午後2時20分 休 憩
出席議員(46名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 千 葉 絢 子 君
3  番 ハクセル美穂子 君
4  番 菅野 ひろのり 君
5  番 柳 村   一 君
6  番 阿 部 盛 重 君
7  番 佐 藤 ケイ子 君
8  番 佐々木 宣 和 君
9  番 臼 澤   勉 君
10  番 川 村 伸 浩 君
11  番 田 村 勝 則 君
12  番 工 藤   誠 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 吉 田 敬 子 君
15  番 佐々木   努 君
16  番 千 葉   進 君
17  番 佐々木 朋 和 君
18  番 名須川   晋 君
19  番 軽 石 義 則 君
20  番 神 崎 浩 之 君
21  番 城内 よしひこ 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 佐々木 茂 光 君
24  番 高 橋 孝 眞 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 工 藤 勝 博 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 高 橋   元 君
32  番 関 根 敏 伸 君
33  番 岩 崎 友 一 君
34  番 中 平   均 君
35  番 五日市   王 君
38  番 斉 藤   信 君
39  番 小野寺   好 君
40  番 飯 澤   匡 君
41  番 佐々木 順 一 君
42  番 田 村   誠 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 工 藤 勝 子 君
45  番 柳 村 岩 見 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 大 輔 君
48  番 樋 下 正 信 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時39分再開
〇議長(佐々木順一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第1、一般質問を継続いたします。柳村一君。
〔5番柳村一君登壇〕(拍手)

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