平成30年12月定例会 第15回岩手県議会定例会会議録

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〇8番(佐々木宣和君) 自由民主クラブの佐々木宣和です。
4度目の一般質問の機会をいただきました先輩議員の皆様に心より感謝を申し上げ、通告に従って質問いたします。
初めに、平成28年台風第10号災害からの復旧、復興に関して伺います。
発災から2年余りが経過いたしますが、県当局を初めとする関係各位の皆様の支援によりまして、一歩一歩着実に進捗が見られております。本年9月には、廃線となったJR岩泉線の鉄道敷を利用しながら復旧を進めてきた国道455号二升石地区が供用を再開しました。また、来年4月には、災害公営住宅への入居が開始される見込みとのことです。
しかしながら、まだまだ課題点が多く山積しています。本定例会でも、被害が甚大であった小本川、安家川における河川激甚災害対策特別緊急工事等の請負契約議案が提出されており、今後も関係各位、各方面の皆様の引き続きの御支援、御協力を必要としています。
平成28年台風第10号災害のポイントは、被害が岩泉町、宮古市、久慈市と非常に局所的な災害であること、東日本大震災津波の復興途上である地域に重ねて起こり、取り扱いとしては別の災害であることの2点です。この2点を意識して質問させていただきます。
まず初めに、一般国道455号について伺います。
平成28年台風第10号災害発災時、被害が甚大であった岩泉町では、道路の決壊による孤立世帯は428世帯、873人に及びました。その中で、県都盛岡市に続く主要道路である国道455号は、町内3カ所が決壊し、約半月間の通行どめとなる事態となり、地域の産業、経済、住民生活、医療連携にも大きな打撃を与えました。
復旧に当たっては、国による迅速な道路啓開、応急復旧が実施された路線でもあります。改めて本路線の重要性を再認識したと同時に、被害があった箇所の復旧はもとより、災害に強く、信頼性が高い、災害時においても寸断を回避できる道路について、早急な強靱化を図る必要があると感じます。
先般、岩泉町のみならず、田野畑村、普代村からも、3町村合同での要望があったと承知しておりますが、本路線に関しての取り組み、所感を伺います。
次に、林道の災害復旧事業について伺います。
間もなく発災から3カ年度が経過します。災害復旧に関しては基本3年という原則がある中で、一つの懸案事項は林道の復旧です。
平成28年台風第10号災害では、山間部の沢沿いの道路が全てと言っていいほど破壊されました。図面を見るとわかりますが、宮古市、岩泉町と非常に広大な面積の市町において、段階的に県道、市町村道、林道と工事を進めなければならず、林道に関しては、決壊箇所があるなどの問題から、片側からしか工事ができない等の問題があり、なかなか進捗が厳しいと伺っております。また、請負業者の確保についても非常に厳しいと伺っております。そろそろ雪が降り出す中で、現状をどう捉え、対策をどうとるのか所感を伺います。
先ほども触れましたが、間もなく発災から3カ年度が経過します。災害復旧工事の一つの区切りです。岩泉町では、東日本大震災津波での被害額は約44億円であるのに対し、平成28年台風第10号災害では約421億円で10倍の被害でありました。一つの区切りが間近に迫る中で財政的な負担も多くなっていると伺っています。県当局におかれましては、町財政をタイムリーに捉えながら、国と連携した上で必要な支援を今後ともお願いいたします。
次に、東日本大震災津波からの復旧、復興について伺います。
発災後に岩手県が立てた8年間の復興計画が間もなく終わり、国の支援期間である10年間までのカウントダウンが始まります。
先日、自民党会派で復興庁へ要望に行った際、渡辺復興大臣から、来年の3月までに国の復興・創生期間の終了する2021年度以降の復興庁のあり方や事業、制度の継続等について方向性を決定するとの発言がありました。これからの数カ月の間に、これまで積み重ねてきた事業をきちんと整理し、自立できる部分は自立し、継続が必要な支援、制度については、しっかりと継続されるように取り組む必要があると感じています。
その中での大きな課題が防災集団移転促進事業の移転元地の利活用です。県からいただいた資料では、買い取り対象面積324.3ヘクタールに対して、事業化済みの面積が143.1ヘクタール、44%となっております。野田村を除き、宮古市、山田町、大槌町、釜石市、大船渡市、陸前高田市では、いまだに大きな面積が残っている状態です。
会派で実際に現地を歩きましたが、住宅地や商業地との間に移転元地があるケースもあり、その二つが分断されているような印象も受けました。これまでもさまざまなアプローチをしていると承知していますが、国の支援期間の終わりが迫る中で、市町村もあせりがあるように感じます。県としてこの問題に対してどう取り組むのか、御所見を伺います。
次に、宮古-室蘭フェリー航路について伺います。
本年6月22日にいよいよ宮古-室蘭の定期航路がスタートしました。青山室蘭市長の、これからは宮古がお隣さんになりますとのコメントが非常に印象に残っております。しかしながら、10月6日から、室蘭市から宮古市へ向かう便のダイヤが改正され、新たに八戸市を経由するルートとなりました。もちろんこれは、三陸沿岸道路が全線開通するまでの措置と受けとめていますが、やはり3カ月足らずでのダイヤ改正は不安に駆られます。
港湾議員連盟で小樽市や苫小牧市等にも視察に行きましたが、フェリーは物流に強く影響されるものだとの印象を受けました。それは、運航時間、ルートにおいても荷物が最優先で、運営する船会社もそれに左右されるようなイメージです。
今後、三陸沿岸道路全線開通の際にきちんと宮古港を使っていただけるように、これまで以上に物流事業者に対するメリットを積み上げなければいけないと感じていますが、御所見を伺います。
また、岩手県においては、平成30年度に政策地域部内に交通政策室が設置され、鉄道、バス、飛行機等の公共交通に関する施策の総合的な企画、調整等を実施しております。
フェリー航路の振興には総合的な企画、調整が必要と考えますが、現状では、フェリーの所管は港湾振興の一環として県土整備部が担っているところです。今後、宮古-室蘭フェリーの振興を図るためには、部局横断的な取り組みが必要であると考えますが、御所見を伺います。
次に、復興支援道路の国道340号について伺います。
国道340号は、陸前高田市を起点に北へ向かい、北上高地を南北に縦断しながら、遠野市を経て青森県八戸市へ続く総延長251.8キロメートルの道路です。震災時には横軸、斜め軸の道路として活用されました。先日11月29日には、立丸峠の大峠工区が開通しました。これで国道340号においては、押角トンネル前後の区間が未改良で残された状態になりました。
地域からの要望も強く、先日11月3日には住民総決起大会が行われ、1、000人の住民が集まりました。本年度予算で調査が進められていると承知しておりますが、押角トンネル前後の道路改良について、改めて伺います。
次に、防災対策について伺います。
ことしは大きな災害が相次いで起こりました。お亡くなりになられた方々に哀悼の意を表するとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。
北海道胆振東部地震は震度7を記録しました。震度7は北海道で初めてとのことで、厚真町では山体が崩れるような大規模な土砂崩れというか山体崩壊のような衝撃的な映像が報道され、さらには、北海道全体が停電するというブラックアウトも起きました。
平成30年台風第21号に関しては、高潮による関西国際空港の浸水、西日本を中心とした平成30年7月豪雨においては、災害の集中化、激甚化という、これまでの多くの豪雨災害とは異なり被害範囲が広域に及ぶという異常事態となりました。
いずれの災害も、インフラの整備が追いついていないこと、また、ソフト面での整備をこれまで以上に進めていくことが重要であると感じています。防災に関する知識や情報を更新しながら、現在住んでいる地域の災害リスクを把握し、踏まえる必要性を感じました。
まず、水門、陸閘自動閉鎖システムについて伺います。
11月10日に実施された県総合防災訓練において、田野畑村の中央防災センターで実際に遠隔地の陸閘が閉まるのを見ました。東日本大震災津波においては、消防団員の死者、行方不明者が119人おられ、その多くは水門閉鎖に関係した勇敢な方々でした。
東日本大震災津波の教訓を生かした県の防災対策として大きな取り組みは、水門、陸閘自動閉鎖システムであります。2020年度までには全てのシステムが完成すると聞いていますが、その進捗、またパンフレット等も作成しているようですが、沿岸の消防団員の方々に対する周知はどうされているのか伺います。
次に、土砂災害警戒区域等の指定について伺います。
平成28年台風第10号災害で得られた教訓を踏まえ、さまざまな取り組みをしていると承知しています。その中で、土砂災害警戒区域等の指定推進について、特に平成30年7月豪雨や北海道胆振東部地震等で危険に対する意識が高まっているように感じますが、現在の進捗状況と周知に関して伺います。
次に、漁業法の改正について伺います。
現在、国会において70年ぶりの大改革となる漁業法改正の議論が行われています。同法案の主なポイントは、漁業権制度の見直し、資源管理制度の見直し、密漁対策の見直し、海区漁業調整委員の選出方法の見直し、漁協制度の見直し等であると聞いています。
特に企業の参入、TAC(漁獲可能量)やIQ(個別割当)の資源管理に関する部分が注目されています。漁業関係者に聞くと、魚がとれない現状で企業が本当に参入するものなのかという声も聞いています。
岩手県の漁業に照らし合わせ、この漁業法の改正がどのような影響をもたらすのか、また、この改革を生かすためにはどうすればいいのか、県当局の御所見を伺います。
次に、林業振興について伺います。
いよいよ平成31年度から森林環境譲与税の交付が始まります。用途に関してはまだまだ明確になっておりませんが、助走をつけながら準備をする必要に迫られていると感じています。
森林整備に関する一つの大きなネックは、土地の問題であると考えます。2015年の農林業センサスによると、全国の保有山林面積別の林家数は、1から5ヘクタールが61.7万戸、5から10ヘクタールが11.1万戸で約90%を占めています。今後、森林整備を進める上では、筆界未定や共有土地の問題を解決し、施業面積をまとめて確保し、そこから森林経営計画を立てるという一連の流れを加速する必要があると思います。
森林環境譲与税にひもづく森林経営管理制度の中には、所有者不明森林の問題にも対応するとあり、所有者不明森林等における経営管理権の設定に当たっての特例を措置するとあります。
集約化の取り組みに関しては林野庁の補助事業もありますが、なかなか活用が進んでいないのも現実としてあります。市町村との連携をもとに、森林集積を進める工夫と仕組みを改めて考える必要があると思いますが、所感を伺います。
次に、実際に作業する事業体について伺います。
森林経営管理制度においては、林業経営に適した森林は、経営管理を市町村から意欲と能力のある林業経営者に再委託し、林業経営に適さない森林は、市町村がみずから管理するとされています。
この意欲と能力のある林業経営体の確保、育成は、喫緊の課題であると思います。震災の関連工事から林業に戻ってくる方もいると期待しておりますが、その取り組みを伺います。
次に、木材需要の創出に関して伺います。
次期総合計画の第1期アクションプランの政策プラン(仮称)素案においては、新たな木材需要を創出するため、付加価値の高い製材品の研究開発、木材加工事業者と大手家具メーカー等とのマッチング支援などを進めるほか、県産木材製品の輸出を促進するとあります。ニーズからのはね返りが大きくなれば、林家へのはね返りも大きくなり、川上、川中、川下のサイクルが確立していくことが、まさに林業の成長産業化へとつながると思います。
新たな木材需要の創出に関して、取り組みを伺います。
次に、ICT利活用推進計画について伺います。
私は、岩手県におけるICT利活用の課題は、シンプルに情報サービス産業の事業者が少ないこと、使う人が少ないこと、そして、データ量が少ないことだと思っています。NTTデータのレポートによると、情報通信業の中核4域7都県、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、愛知県、福岡県への集中度は80.8%に上ります。札幌市や仙台市、さらには、中核4域の近隣県を含めると、さらにその割合は増加すると考えます。
〔副議長退席、議長着席〕
多くの企業は、機械化やIT化を進める過程で支店、営業所の人員を圧縮し、大都市にあるシステム部門の人員を増強してきました。ITサービス業も、こうした顧客企業の動きに合わせて大都市での人員をふやしてきています。
もう一つ、日本のITサービス業、いわゆるベンダーの特徴は、日常的にユーザー企業に出向き、共同で設計、開発を進めるのが通例となっています。アメリカのように、ユーザー企業側で仕様がほぼ確定し、これをもとにITサービス業に指示を与えるのとは趣が異なります。このことからも、顧客企業に近接する大都市に拠点を設ける例が多いとのことです。
情報通信技術の革新が進み、社会のIT化が進めば、都市部だけではなく地方でも仕事ができるようになると言われてきました。それは紛れもない事実ではありますが、現実は、社会のIT化、知識集約化が人口の大都市集中を加速させてきたように見えるのも事実であると思います。
そして、データ量に関しても同じことが言えます。顧客企業があることは、つまり効率化するべきデータがあるということですし、統計データに関しても人口に関連するものが多いので、例えばリーサス(地域経済分析システム)を見ても、当たり前ですが、都市部に比べて情報量が少ない状況です。総じて岩手県には、今のところ使用できるデータが少ないと考えます。
先ごろ岩手県ICT利活用推進計画の素案が示されました。現状の分析として、強みとして挙げられた農林水産分野におけるICT利活用の推進は県内に波及していくのか、自動車や半導体等の産業集積と情報サービス産業の相関性はあるのか疑問に思っています。
また、ILCの建設がもたらすイノベーションは、まだ予測ができないことだと思います。チャンスとしてIoT、AI、ビッグデータの活用、ソサエティー5.0等が書かれています。もちろん将来への期待感はありますが、全国の先進県を見ると企業や国とのつながりが見てとれます。
岩手県の現状を考えると、特に企業とのつながりをしっかりと考えた上で、できることを積み上げていくべきだと思います。改めて、県内に情報通信業者が少ないこと、情報通信業の首都圏への集中が進んでいることを踏まえ、ICT利活用推進計画、地域が抱える課題の解決と県民一人一人の暮らし、仕事、学びにおける利便性の向上を図るとの目標をどう達成するつもりなのか、所感を伺います。あわせて、活用できるデータが少ないという現状をどう捉え、どう取り組むのか、考え方を伺います。
中小企業振興について伺います。
本年8月29日に商工会青年部主張発表東北・北海道ブロック大会に出席しました。何とか地域を元気にしたいという熱く強い思いに感動したところです。
講演では、モノ消費からコト消費へ、消費価値の変化についてさまざまな知見からヒントをいただきました。前回の一般質問で取り上げたプラチナ社会、量的な充足感から質的な満足感へにも通じることですが、これからは、お客様の多様な主観的レベルに価値やニーズが合うように、クオリティーの高い商品を考え、つくり続けることが重要と感じました。
さて、小売、飲食の分野では140兆円の巨大市場の中で目まぐるしく激しい競争が行われています。物が売れなくなったのではなく、今までデパートで買っていたものがインターネットで買われるようになったこと、今まではスーパーで材料を買って料理をしていたものが、コンビニエンスストアで1人用のお惣菜を買うこと、手間の分が付加価値としてついたものを買うようになったというのが現状です。
そういった中で、地方の中小企業、小規模事業者は非常に苦しんでいます。特に沿岸部では、復興工事の収束に伴う顧客減少、重ねての人口減少があり、マーケットの縮小が顕著です。地域に張りついたビジネスモデルでやってきた事業者が、転換を迫られているのが現実です。
今後の支援策としては、例えば商品開発をするとして、PDCAサイクルを回すときに、一連の流れを迅速に、一体的に行うことだと思います。クオリティーを求める社会において、特にもプッシュ型の広告を出す等のマーケティング手法だけでは間に合いません。顧客に寄り添った形でブランディング形成していくためには、コンサルティング業務の強化が必要だと考えます。
震災で企業を初めとするさまざまな方々から応援がありました。新たなチャレンジをされている事業者の方もおります。売れるようになるまで、サイクルが回るようになるまでの商工会の動きも含めた継続した支援が必要と考えますが、所感を伺います。
ラグビーワールドカップ2019について伺います。
先日、新たにカナダの出場が決まり、釜石会場でアフリカのナミビアと対戦することが決まりました。それに呼応するように、先日、宮古市においてRWC2019宮古市スクラムミーティング設立総会が行われ、その際に、ラグビーワールドカップ2019組織委員会から、前回イングランド大会においては、チケット販売数247万枚、テレビ視聴者40億人以上であったこと、世界3大スポーツ大会の一つであること、アジアで初の開催であること、日本でのラグビーワールドカップの認知度が68.3%で過去最高であること等について御説明いただきました。
機運醸成のためのイベント、出場国のキャンプ、本大会と進めていく中で、私は、特に国際都市としてのブランド力アップ、外国人旅行者の増加に期待しているところですし、世界的に岩手を自慢する格好の機会と考えております。
沿岸市町村においては、ラグビーワールドカップ開催時には、宮古市から南側の三陸沿岸道路の開通が見込まれる中で、この機会をどうやって将来につながるものにするのか考える必要があります。レガシーがスタジアムだけでは尻すぼみです。
ラグビーワールドカップ開催の効果を最大化するために、つかんだお客様を離さないためにも、開催後に何をやるかもセットで考えていただきたいです。世界地図に岩手県をポイントする、それだけの規模、チャンスだとの認識を持って取り組んでいただきますようお願いいたします。
それでは、ラグビーワールドカップの準備状況について具体的に伺います。
まず、予想宿泊者数に関して伺います。オフィシャルな旅行会社はJTBと承知していますが、チケットを単体で購入し、個人で宿泊施設を予約する方も想定されます。その数と対応について把握されているか伺います。
チームキャンプ地における課題点と対応について伺います。宿泊施設、練習グラウンド、屋内練習場、トレーニングジム、スイミングプール等、要件があると思いますが、その対応状況と課題を伺います。
最後に、次期総合計画について伺います。
まず、ことし9月に、自由民主党総裁選挙に当たって自由民主党青年局で取りまとめた文章を紹介します。
これからの日本が直面するのは、従前とは全く異なる課題であり挑戦である。それはすなわち、かつてと比較にならない変化の速さであり、少子高齢化という逃れようのない現実であり、台頭する中国と国際的な関与を弱めつつあるアメリカが引き起こす不安定な国際情勢である。
これらのいわば新たな常態を一言で表現すれば、それは変化である。
今後の少子高齢化時代に対応できる社会保障制度の抜本改革や、気候変動に伴う自然災害の新常態に対応できる社会資本整備の抜本改革を進めること。
特定地域への偏在なく各地域が真に活性化するためには、従来のような予算獲得競争ではなく地域を真に経営し、自治体ごとの違いを明確にし、特徴を活かしきる経営競争を行う必要がある。そのために税源移譲を含む地方自治のあり方に関する検討をすすめること。
という声明を全国47都道府県の青年局メンバーとともに、文面を練り上げ、総裁候補にお伝えしました。同じ思いを共有する仲間が全国にいることが非常に心強く、モチベーションが上がりました。
岩手県においては、東日本大震災津波、平成28年台風第10号災害という大きな自然災害に見舞われる中で、人口減少のスピードが加速しています。
今回取り上げた課題に関しては、漁業においても、林業においても、ICTにおいても、中小企業においても、大きな変化にいかにスピーディーに、かつ柔軟に対応するか、現在岩手県にあるリソースを最大化できるかがポイントだと考えています。また、事業としてサイクルを回すために多種多様な連携をつくること、それは、企業、海外も含めた大きなつながりをつくらなければいけないと考えます。そして、その中でも将来に対する期待感がなければ、人間は頑張れません。
例えば、ILC誘致のすばらしさは未来がイメージできることだと思います。未知のものの解明により新たなものが発見されるかもしれない。個人的には、科学技術振興議員懇談会で視察したスーパーカミオカンデの梶田先生のように、近くにILCがあることによって、岩手県の子供たちが影響を受け、いずれノーベル賞を受賞するかもしれないという想像を膨らませています。未来進行形の政策であることが、何よりも魅力なのだと思います。
さて、今回今後10年間の次期総合計画長期ビジョンの中間案に関して、第2章の岩手は今で、現状認識として触れているさまざまな変化に対して、いかにして、柔軟に、スピーディーに対応するか、また、第6章の新しい時代を切り拓くプロジェクトに関して、活力ある小集落実現プロジェクトや人交密度向上プロジェクト、三陸防災復興ゾーンプロジェクト等、非常に期待されるものでありますが、これらの政策を実行する組織体制について、また、県職員の皆様の能力を最大化するための人員体制に関して、どうお考えになるか、御所見を伺います。
人員体制にも関連しますが、今回の計画は、非常にきめ細やかに政策が上げられていると感じますし、既存事業もある中でこれだけのボリュームの事業を実行していくことは、非常に大変なことだと思います。
今後、人口が減少する中でも、多様化する社会に対応するための政策はふえていくと予測されます。知事は、財政的な面から選択と集中という表現をたびたび使われますが、今後は、政策に関してもこの考え方がますます重要になると思います。
ICT利活用で触れましたが、企業のように集約化することで効率化していくのではなく、行政としての考え方は、地域資源を、地域の人々の能力を最大化することが仕事だと思います。
このため、全国共通の県行政として取り組むこと、岩手県で貢献できること、岩手県だからできることと段階に分けて整理しながら考える必要があります。これらを踏まえて政策効果を最大化するための取り組み、工夫をどのように考えるのか、御所見を伺います。
最後になりますが、今回提示いただきましたアクションプランに関しても、長期ビジョンに関しても、非常に丁寧につくられていると感じますし、議会からの提案に真摯に向き合い、作業されていることに敬意を表します。
しかし、計画は、実行して初めてその意味をなします。計画策定という一大事業がピークとならないように、この期待感を実感へとつなげていただけますように、実行体制やかかわる方々の明確化、市町村との具体的な役割分担、連携方法など、実行するに当たって盛り上がっていくような計画になることを期待して質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 佐々木宣和議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、防災集団移転促進事業における移転元地についてでありますが、移転元地及びその周辺は、災害危険区域の指定を受け、住宅の建設が制限されるとともに、多くの場合、公有地と民有地が混在しており、また、残存している建物基礎やかさ上げした道路との段差などがある場合もあることから、その利活用を図るためには、従来の枠組みを超える特別な事業が必要となっている土地が多いです。
これまで、移転元地に係る復興交付金の活用については、具体的な利活用計画のある土地について認められている状況にありますことから、県では、移転元地の集約や整地に係る復興交付金の活用等を国に要望してきたところであります。
また、市町村に対しては、復興交付金を活用して移転元地を利活用した事例をデータベース化して提供するほか、復興庁と合同で現地調査を行うなど、その取り組みを支援してきたところであります。
さらに、今年度は、市町村から個別地区ごとに聞き取りを行うなど、利活用計画の策定支援に一層取り組んでいるとともに、具体的な計画策定が難しい移転元地については、復興交付金の効果促進事業を活用した移転元地の現況調査や、防災集団移転促進事業による建物基礎の撤去、復興事業で生じた残土を活用した移転元地への盛り土の実施など、現行制度の積極的な活用を市町村に提案しているところであります。これを受け、山田町において復興交付金を活用した現況調査を行うなど、移転元地の利活用に向けた取り組みが進んでいます。
今後とも、国の復興・創生期間内において移転元地の利活用が進むよう引き続き国への要望を行うとともに、市町村の意向を確認しながら、その取り組みを支援してまいります。
次に、漁業法の改正についてでありますが、現行の漁業法は、漁業権など漁業の基本制度を定め、漁業生産力の発展と漁業の民主化を図ることを目的として昭和24年に制定され、以来、全国の養殖生産量が大きく伸長するとともに、漁業の民主化が進み、一定の成果をおさめてまいりました。
一方、近年は、資源量の低迷や漁業担い手の減少などによる生産力の低下が進んでおり、これらに対応するため、今回の改正案は、適切な資源管理と水域の適切かつ有効な活用を趣旨として閣議決定されたものと承知しています。しかしながら、今回の改正案においては、漁業権を取得できる者の基準など、施策の具体的な内容は別に定めることとされており、本県への影響は現時点では不透明であります。
国は、今後、施策の具体化に向け、関係者の意見を聞きながら進めていくとしていますことから、県では、漁協や漁業者などの意向をきめ細かに把握し、これに沿った施策が展開されるよう、引き続き国に働きかけてまいります。
次に、ICT利活用推進計画の目標達成についてでありますが、ICTの利活用を推進していく上で、情報通信事業者は、新たな技術によるサービスの提供やインフラの整備などに重要な役割を担っており、特に本県の地域課題を把握している県内事業者の果たす役割は大きいものと認識しております。
こうしたことから、さきに公表した岩手県ICT利活用推進計画の素案においては、情報通信事業者に期待される役割を明記して計画推進に当たっての重要なパートナーとして位置づけ、計画の策定に当たって設置した有識者会議においては、県内の情報通信事業者から専門的な観点で御意見をいただき、素案に反映させたところであります。
今後、策定した計画を推進するに当たっては、進捗状況を情報通信事業者を含む県民と共有し、必要な見直しを図りながら、ICTによる安全で安心な暮らしの実現やICTによる産業の振興など、目指す姿の実現に向けた五つの取り組み方向に基づき、医療・介護、教育、農林水産業など、計画に掲げる各分野の取り組みを着実に推進してまいります。
次に、中小企業振興についてでありますが、中小企業が厳しい経営環境の中においても持続的に事業活動を行っていくには、市場の変化や多様な消費者ニーズを的確に捉え、新商品開発や新サービスの提供に生かしていくことが必要と考えております。このため、次期総合計画におきましても、引き続き、中小企業振興施策の一つとして、新分野への進出や新商品の開発など新たな事業活動に取り組む事業者に対し、経営計画の策定段階から、事業実施、目標達成までを一貫して支援することとしており、商工会、商工会議所を初めとした産業支援機関等と連携し、継続的にサポートする伴走型支援体制を強化してまいります。
次に、政策の実行に係る組織体制及び人員体制についてでありますが、本県を取り巻く社会経済情勢は、人口減少、少子高齢化の進行、グローバル化の進展など大きく変化しており、県民ニーズが多様化する中でリスクやチャンスに適切に対応していくことが求められています。
このような状況のもとで、安定的、持続的に県民サービスを提供し、新しい時代を切り拓くプロジェクトを初め、次期総合計画に掲げる施策の実効性を高めていくためには、限られた経営資源を最大限有効活用するとともに、県民、企業、NPO、市町村など多様な主体と協働し、県民本位の行政経営を進めていく必要があります。このため、第1期アクションプランの行政経営プラン(仮称)中間案においては、新たな行政課題や県民ニーズに的確に対応できる機動的な組織体制の整備や、行政需要に応じた適切な定数配置、危機管理体制の充実強化等に取り組むこととしています。また、職員の能力開発を進めるとともに、組織として高いパフォーマンスが発揮できる職場環境づくり等に取り組んでまいります。
次に、政策効果を最大化するための取り組みについてでありますが、次期総合計画の政策の推進に当たっては、県民、企業、市町村や県など、地域社会を構成するあらゆる主体がそれぞれ主体性を持ってともに支え合い、みんなで行動していくことを通じて、地域の歴史的、文化的、経済的、人的資源を最大限に活用しながら、地域の個性や特色を生かし、地域の価値を高めていくことが重要と考えております。このため、幸福の実感に関連する12の領域をもとに設定した10の政策分野により、幸福に着目する意義の一つとして挙げられるあるもの探しというポジティブな発想につなげながら、地域の豊かな資源に目を向け、これを強みとして生かし、政策の効果を高めていく考えであります。
また、各政策分野それぞれにみんなで取り組みたいこととして、県民を初めとする多様な主体に期待される取り組みを盛り込むことで、政策を進める上での参画や協働の広がりにつなげていくものであります。
さらに、こうした取り組みに加え、統計データなどに基づく客観的指標としていわて幸福関連指標を定め、これを政策評価に活用することで全国との比較なども通じ、本県の強みや弱みを明らかにして、政策の選択と集中を図ってまいります。
その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔県土整備部長八重樫弘明君登壇〕
〇県土整備部長(八重樫弘明君) まず国道455号についてですが、本路線は、岩泉町など沿線の地域にとって住民生活や産業振興のほか、沿岸部と県央部との交流、連携に欠くことのできない道路であるとともに、救急搬送や災害時における支援物資の輸送を支える緊急輸送道路としても重要な役割を担っているものと認識しております。
平成28年の台風第10号の際には18カ所が被災しましたが、現在では12カ所の復旧が完了し、残る箇所についても、一日も早い完成を目指し工事等を進めているところでございます。
さらに、平成29年度には、道路の浸水被害があった岩泉町新町地区や中島地区などにおいて、冠水対策のための道路のかさ上げや急カーブの解消を行う道路改良事業に着手したところであり、災害に強く、信頼性の高い道路ネットワークの構築を目指し、着実に整備を進めてまいります。
次に、物流事業者への宮古-室蘭フェリー就航のメリットについてでありますが、本年6月22日のフェリー航路開設以来、トラックの利用拡大が課題となっていたところであり、フェリー運航会社では利用者の要望を踏まえ、10月6日から、南下する便の八戸港への寄港や発着時刻の変更等を行ったところであります。
県としては、トラック事業者等から、実際に航路を利用した際のメリットや改善点等の意見を広く収集しながら、さらなる利用拡大の施策に結びつけていくとともに、さまざまな機会を捉えて、三陸沿岸道路等の開通区間の拡大による宮古港へのアクセス性の向上や輸送コストの低減、トラックドライバーの休息時間が十分に確保できることなど、現時点での航路利用のメリットについて積極的にPRしてまいりたいと考えています。
次に、フェリーの利用促進のための部局間連携についてでありますが、フェリーの利用促進を図るためには、安定的な運航のための港湾管理者としての県土整備部の対応はもとより、個人や団体による旅行利用の拡大や、北海道から首都圏までの広域での物流事業者等に対する貨物利用拡大の取り組みなどさまざまな対応が必要であり、部局間連携が重要であると考えております。
これまで、商工労働観光部では、観光客向けの情報発信や旅行事業者向けのPR、貨物のトライアル利用の働きかけ、交通政策を担う政策地域部では、フェリーターミナルと宮古駅との接続バスや三陸鉄道との連携、沿岸広域振興局では、北海道胆振総合振興局との連携協定に基づく地域間交流に取り組むなど、部局間の情報共有や連携のもと、フェリー航路の利用促進に向けた取り組みを進めてきたところでございます。
今後においても、関係部局との一層の連携のもと、岩手県と各港湾の利用促進協議会等が、毎年東京で開催しておりますポートセールスの場を活用してPRするとともに、地元宮古市や北海道室蘭市などとも協力しながら、フェリーの利用促進に取り組んでまいります。
次に、国道340号についてでございますが、国道340号は、沿線地域の安全・安心な暮らしを支えるとともに、ことし6月に就航した宮古-室蘭フェリー定期航路と一体となった広域観光や県北・沿岸圏域の振興を支える重要な基幹道路の一つと認識しています。
押角峠工区は、今月、トンネルの掘削工事が完成予定であり、今後、トンネル舗装工事や設備工事等を進めながら、2020年度の開通を目指しているところです。
押角峠工区の前後区間についても、押角峠工区と同様の規格で整備していくことが必要と認識しており、事業化を見据えながら、ルートや構造、優先区間の検討など、必要な調査を行っていきたいと考えております。
次に、水門、陸閘自動閉鎖システムについてでありますが、本システムは、県内で約220カ所の水門や陸閘の自動閉鎖を行うものであり、平成29年7月末に8カ所の運用を開始し、本年11月末時点では19カ所において運用しているところでございます。平成30年度末には、49カ所の運用を予定しているところでありまして、今後も水門や陸閘の工事進捗に合わせて、順次運用を図ってまいります。
また、このシステム運用に係る周知については、水門や陸閘の運用を開始する際に、前もって消防団員を初めとする地域の方々への説明会を開催し、パンフレットや実際の動画等を活用して水門や陸閘の自動閉鎖の仕組みなどをお知らせしているところでございます。
今後も、新たな箇所の運用開始や現地での見学会、防災訓練など、さまざまな機会を捉えて、消防団員の皆様などへの丁寧な説明を行ってまいります。
次に、土砂災害警戒区域等の指定についてでありますが、本県においては、土砂災害危険箇所が1万4、348カ所あり、土砂災害警戒区域等の指定済み箇所は、平成30年10月末時点で6、086カ所で、約42%の事業進捗状況となっております。
なお、土砂災害警戒区域等の指定に必要な基礎調査については、平成30年10月末時点で1万9カ所、約70%が終了しており、その調査結果については速やかに県のホームページに掲載しているほか、市町村のハザードマップに反映していただくなど、周知を図っているところでございます。
また、土砂災害警戒区域等の指定に際しては、基礎調査の完了地域において市町村と連携しなから住民説明会を開催しており、土砂災害の危険性や避難の重要性などについて丁寧に説明するなど、さらなる周知に努めているところでございます。
今後とも、土砂災害警戒区域等の指定を加速化していくために、ノウハウを有するNPOやボランティア団体とも連携するなど、効果的、効率的な住民への説明に取り組んでまいります。
〔農林水産部長上田幹也君登壇〕
〇農林水産部長(上田幹也君) まず、林道の災害復旧事業についてでありますが、平成28年台風第10号災害に係る林道災害復旧工事の発注状況は、復旧を計画している10市町村、104路線、330カ所のうち、本年11月末までに104路線、328カ所の請負契約が締結され、そのうち54路線、107カ所が完成したところであります。
なお、特に被害の大きかった宮古市と岩泉町の一部路線においては、他の復旧工事や震災復興関連工事と重なり作業員の確保が計画どおりに進まず、工事の進捗がおくれている箇所がございます。現在、森林土木関係団体、市町、県が一体となって作業員の確保に努めるなど、施工体制の整備に取り組んでいるところでございます。
県では、事業主体である市町と連携し、関係団体等への下請確保の協力要請を行うとともに、路線ごとの進捗管理や工法に係る技術的助言を行っており、引き続き年度内完成に向けて市町を積極的に支援してまいります。
次に、森林集積についてでありますが、本県におきましても、小規模な森林共有者が多くを占め、また、所有者や境界が不明な森林の問題も顕在化しております。これが効率的な施業を進める上での課題となっております。
こうした中、来年4月に創設される森林経営管理制度では、市町村が森林所有者が経営できない森林を経営管理していくこととされており、この制度は、施業の集約化を進める上で極めて有効な手段と考えております。この場合、市町村は、森林所有者への意向確認や林業経営の適否判断などを行う必要がございますが、これを円滑に進めるためには、地域の森林等を熟知している森林組合等と連携して取り組んでいくことが重要であります。このため、県では、これまで、市町村や森林組合等を対象に、制度に係る説明会の開催などを行ってきたところでありまして、今後とも、市町村が森林組合等との連携を深めながら、制度を適切に運用できるよう支援をしてまいります。
次に、意欲と能力のある林業経営体の確保、育成についてでありますが、森林経営管理制度では、県がこの意欲と能力のある林業経営体を登録することとされており、年度内の登録に向けて、各圏域を単位に取り組みを進めているところであります。
経営体の確保に向けては、まず平成18年度から本県独自に育成していた地域牽引型林業経営体、さらに県が認定した就労改善や事業合理化等に取り組む林業事業主のほか、建設業者や林業に取り組むNPO法人などを対象に、県内4カ所で制度に関する説明会を開催したところであり、今後とも、幅広い事業体の参入などに積極的に取り組んでまいります。
また、経営体の育成に向けましては、引き続き路網整備や高性能林業機械の導入を促進するほか、新たに参入してくる企業等も対象といたしまして、経営能力向上に向けたセミナーを開催するなど、重点的に支援を行ってまいります。
次に、新たな木材需要の創出についてでありますが、人口減少に伴う新規住宅着工戸数が減少し木材需要の減少が懸念される中、林業の成長産業化を実現するためには、県産材の新たな需要を創出し、県産材の積極的な利用を促進していくことが重要と認識しております。このため、県では、県産アカマツを用いたCLT製造技術の開発、さらに公共施設整備等における率先した県産材利用の推進に取り組むとともに、本県の高品質な木材、製材品の需要拡大につながるよう、東京2020オリンピック、パラリンピック関連施設での県産材利用に取り組んできたところであります。
引き続きこうした取り組みを推進するほか、本県の豊富なアカマツや広葉樹を初めとする県産材の需要拡大に向けまして、大手家具メーカー等をターゲットにした県内事業者による製品開発や販路拡大を支援していくとともに、商業施設を初めとした非住宅分野での木造化を促進するなど、関係団体の連携を深めながら、県産材の新たな需要の創出に取り組んでまいります。
〔政策地域部長白水伸英君登壇〕
〇政策地域部長(白水伸英君) ICT利活用の取り組みについてでありますが、国におきましては、多様かつ大量の情報の活用により、社会課題を解決する環境を整備するため、平成28年度以降、官民データ活用推進基本法の制定や官民データ活用推進基本計画の策定など、データ利活用の促進に向けた環境づくりを進めており、県におきましても、さまざまな地域課題の解決や県民の利便性向上を図る有効な手段として、データの利活用が重要であると認識しております。
一方、本県におきまして、オープンデータを公開している自治体は、本年10月時点で県を含め5団体であるなど、さらなるデータの公開と利活用の促進が必要であると考えております。
こうした状況を踏まえ、県では、現在素案を公表している岩手県ICT利活用推進計画を官民データ活用推進基本法に基づきます都道府県計画に位置づけ、年度内の策定を目指しているところでございます。
今後は、この計画に基づいて、データを活用した県民の利便性向上に向け、例えば、地理情報システムであるいわてデジタルマップにおきます防災や土地利用規制の情報等の充実を図るほか、公共データの民間利活用を推進するため、県が保有するデータの利活用しやすい形式での公開を進めるとともに、セミナー等によるオープンデータの普及啓発やモデル事例を提供するなど、県内におけるさらなるデータの利活用を推進してまいる所存でございます。
〔文化スポーツ部長菊池哲君登壇〕
〇文化スポーツ部長(菊池哲君) まず、ラグビーワールドカップ2019釜石開催における予想宿泊者数についてでありますが、宿泊者の予測に必要なチケット購入者の国や地域等の情報についてはラグビーワールドカップ2019組織委員会において非公表とされているため、精度の高い宿泊者数のシミュレーションが行えない状況にあるため、組織委員会に対し詳細な情報提供を求めているところでございます。
こうした中で、釜石開催実行委員会では、交通事業者や宿泊、旅行業関係団体の代表者などで構成される交通輸送・宿泊専門部会において、昨年度、国体等の大規模スポーツのデータを活用した動員予測システムによる来場動向シミュレーションを実施し、2試合合計で、県外及び海外から1万3、800人の観客が来場されると予測し、これをもとに検討を進めているところであります。
宿泊者の交通輸送については、鉄道では、臨時便の運行及び車両の増結、県内主要駅等からスタジアムへ直通するライナーバスの運行など、宿泊施設からスタジアムへ円滑に移動できるような対策を講じることとしておりまして、さらに、宿泊者が1日でも長く県内に宿泊いたただけるよう、試合日前後でのイベントの実施や滞在、周遊型旅行商品の造成等、市町村や関係団体と連携しながら取り組みを進めてまいります。
なお、釜石会場に係る出場国やヨーロッパ、オセアニアの各国から、例えば、世界最大級の旅行ガイドブック出版社や新聞、雑誌社などのメディア、旅行会社を県内視察に招請する取り組みを行っておりまして、これはいわゆるFIT(個人旅行客)への訴求にもつながる取り組みでありまして、今後もさまざまな対応を図ってまいりたいと考えております。
次に、公認チームキャンプ地における課題と対応についてでありますが、県内では、盛岡市、北上市、宮古市、釜石市の4市が出場チームのキャンプを受け入れることとし、精力的に準備を進め、さまざまな条件をクリアし、公認チームキャンプ地としてラグビーワールドカップ2019大会組織委員会から承認を受けたところでありまして、先般、4市とラグビーワールドカップ2019組織委員会との間で、それぞれ公認チームキャンプ地契約を締結し、大会本番に向けて、各国チームの受け入れに万全の準備がなされるよう、着実に取り組みを進めているところでございます。
ラグビーワールドカップの公認キャンプ地に選ばれたことによりまして、国際的な知名度が飛躍的に向上し、出場国との人的、経済的、文化的な交流の拡大が大いに期待されるとともに、各種ノウハウの蓄積や人材育成なども期待されるところでございます。
本大会を契機として、本県全体へのスポーツツーリズムなどによる来訪者や交流人口が拡大し地域活性化へとつながっていくよう、各市町村と連携し取り組みを進めてまいります。
〇議長(佐々木順一君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後5時36分 散 会

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