平成30年12月定例会 第15回岩手県議会定例会会議録

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〇10番(川村伸浩君) 自由民主クラブの川村伸浩でございます。今回、一般質問の機会をいただきました先輩、同僚議員に感謝を申し上げます。
通告に従い順次質問をいたします。
まず、成年後見制度についてお伺いいたします。
成年後見制度は、平成12年4月に、介護保険制度とともに高齢化社会を支える車の両輪として同時にスタートしましたが、成年後見制度の利用は低迷しております。
平成29年の全国の利用者数を比較すると、介護保険制度の利用者数約619万人に対して、成年後見制度の利用者は約21万人と約30分の1にすぎません。成年後見制度は、認知症、知的障がい、精神障がいなどにより判断能力が十分でない人に、その人を援助する成年後見人や保佐人等をつける制度であります。岩手県内でも判断力が十分でない高齢者などが、オレオレ詐欺などの特殊詐欺の被害に遭う事件が多発しており、こうした被害から県民の財産を守るために、さらには福祉や介護サービスの利用契約が適切に締結されるためにも、成年後見制度の普及は喫緊の課題となっており、法律に、成年後見人等となる人材の育成、必要な助言その他の援助を行うよう努めると規定された県の役割は大きいと思います。
そこで、県内の成年後見制度を必要とする認知症高齢者、知的障がい者及び精神障がい者について、潜在的な後見のニーズをどのように捉えているかお伺いいたします。
成年後見制度の利用が必要な状況であるにもかかわらず、本人、家族ともに申し立てを行うことが難しい場合などは、市町村長が申し立てを行うことができます。市町村長申し立て件数は、平成12年の成年後見制度開始以降、年々伸びております。平成29年には全国で約7、000件にまで増加し、申し立て総数全体の19.8%を占めるまでに至っております。
ところが、岩手県内の状況を見ると、平成29年の市町村長申し立て件数は44件で、申し立て総数281件に占める割合は15.7%です。これを他県の市町村長申し立て率と比較すると、トップの福島県が37.8%、第2位の青森県が36.8%、第3位の山形県が36.6%であり、岩手県内の市町村長申し立て率は上位3県の半分にも満たず、著しく低調であることがわかります。親族がいても音信不通や虐待、申し立て拒否などで、申し立てが期待できない高齢者も少なくないと考えられ、市町村長による申し立ては住民の財産を守るために重要な手だてです。
そこで、県内における市町村長申し立ての活発化に向けた取り組み状況についてお伺いいたします。
成年後見制度の申し立てに当たっては、申し立て手数料、登記手数料、本人の判断能力を医学的に判断するための鑑定費用などの経費が必要となります。また、後見人等に対する報酬も必要です。資力のない人でも成年後見制度を利用できるよう、こうした申し立てに要する経費や成年後見人等の報酬等の一部について、補助または助成する制度が設けられています。
そこで、県内市町村における成年後見制度の利用経費に対する助成の実施状況とその課題についてお伺いいたします。
市町村によっては、市町村長申し立ての場合に限定して助成を行っているようですが、こうした対応は、低所得者の住民の申し立てを困難にしかねません。県内では、このような市町村がどのくらいあるのか、県の対応とあわせてお伺いいたします。
また、成年後見制度の利用を拡大するためには、弁護士などの専門職が後見人になるだけでなく、市民後見人や社会福祉協議会、NPOによる法人後見など、幅広く後見活動を支援する体制を構築する必要があります。
そこで、県内市町村における市民後見人の育成や法人後見の普及に向けた取り組みの実施状況と課題についてお伺いいたします。
次に、台湾との交流についてお伺いいたします。
私は、先月11月7日から4日間、台湾友好議員連盟の現地視察研修で台湾を訪問してまいりました。現地では、花巻空港への国際定期便により、多くの観光客を本県に送り込んでいただいているイージートラベル社の系列会社であるHHトラベル社や、台湾の対日窓口に当たる台湾日本関係協会への表敬訪問などを行い、大変有意義なお話をお伺いすることができました。
台湾から日本への観光客は、近年、LCCの大量参入やホテルのインターネット予約の普及に伴って、FITと呼ばれる外国人個人旅行者が急激に増加しているとのことです。
HHトラベル社の担当者によると、台湾から日本の首都圏や大阪圏への旅行者はおおむね7対3で個人旅行客のほうが多いのに対し、東北への旅行者は反対に、3対7で団体旅行客のほうが多いそうです。つまり、東北地方には今後多くの個人旅行客を呼び込める可能性があり、そこに力を入れていくべきとのお話でありました。
私は、台湾からの個人旅行客をいかに岩手に呼び込むかが、台湾からのさらなる誘客をふやす鍵になってくると考えますが、県では、台湾からのFITの誘客にどのように取り組もうとしているのかお伺いいたします。
また、台湾から岩手を訪れるツアーの行き先に関しては、現状では、盛岡市、雫石町、花巻市、平泉町の4カ所にほぼ限られているとのことでした。しかしながら、担当者が実際に岩手をくまなく回ってみると、三陸沿岸や県北地域にも、美しい海岸などの風景や新鮮な魚介類に代表される食べ物など魅力的な資源が豊富にあり、ここにも大きな可能性があるとの見立てでした。台湾から岩手へのさらなる誘客に向けては、こうした三陸沿岸や県北の地域の魅力を発信し、個人旅行客に訴求していくことが重要だと考えます。
そこで、台湾からの観光客の三陸沿岸や県北地域への誘客に向けて、県はどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
台湾日本関係協会では、専門委員の洪英傑氏からお話をお伺いしました。洪氏は、双方の青少年同士が交流することにより、訪問客、特にリピーターがふえていくと訴え、例えば、広島県では、県内33の高校が台湾の高校と交流があることや、香川県でも同様に、学校間の交流に力を入れていることを紹介してくれました。私は、こうした学生など青少年の交流を活発化させるためには、まず、教育旅行で相互に訪問することがよいきっかけになると考えます。
そこで、県では、台湾からの教育旅行の誘致にどのように取り組んでいくのかお伺いします。
また、今後、県立学校における台湾への教育旅行を推進していくお考えがないかお伺いいたします。
また、先ほど紹介した香川県では、台湾の桃園市との間で、文化芸術、観光、音楽、教育、スポーツなどをテーマとした交流や、民間団体間の交流促進に取り組まれていると聞いています。
岩手県と台湾の関係を見ますと、台湾総督府の民政長官を務めた後藤新平や、サトウキビ生産や製糖業の近代化に道筋をつけた新渡戸稲造など、多くの岩手県出身者が台湾の発展に貢献しているほか、台湾からも、東日本大震災津波の発災後多大な支援をいただくなど、非常に強いつながりを有していることは、今さら言うまでもありません。
そこで、県では、台湾と岩手の一層の交流促進に向けて今後どのように取り組んでいくのか、知事のお考えをお伺いいたします。
台湾では、毎年、旧暦1月15日の元宵節に、旧正月のイベントのクライマックスとして各地でランタン祭りが開催されます。中でも特に有名なのが、願いごとを託したたくさんのランタンを気球のように夜空に放つ平渓天燈祭と、台湾政府が主催するさまざまな形をした何千個もの大型ランタンが飾りつけられるランタンフェスティバルであります。台湾の各都市の持ち回りで開催されるランタンフェスティバルには、期間中、延べ2、000万人もの観光客が訪れるとのことで、日本の自治体も多く出展していて、ことし2018年のフェスティバルには、千葉県、新潟県、静岡県、北海道札幌市などが出展し、それぞれの地域の特産品をかたどったランタンでアピールを行っているとのことです。
台湾はもちろん、世界から観光客が集まるこの絶好の機会に、台湾との強いつながりを持つ岩手県を現地でアピールすることは、インバウンドの誘客に効果的と考えます。本県もランタンフェスティバルへの出展など、現地での観光PRに力を入れるべきと考えますが、県のお考えをお伺いいたします。
次に、いわて花巻空港についてお伺いいたします。
いわて花巻空港では、本年8月から台湾便が定期便化されました。台湾便の就航1カ月目である8月の搭乗率は70.1%と、4月から7月までのチャーター便の平均を2.2ポイント上回ったとのことで、順調に推移している状況です。これに加え、花巻空港には、香港やタイなどからの国際チャーター便があるほか、新たに上海との路線が開設されるとの一部報道もありました。こうした国際線の増加による国内定期便とのふくそうや利用客混雑の緩和に対応するため、花巻空港では、平成28年に国際線航空会社専用カウンターとチェックインロビーを新設し、国際線搭乗待合室、入国審査場、国際線手荷物受取所を拡張する増改築を実施しました。
空港における出入国の祭に必要となるCIQ、すなわち税関、出入国管理、検疫の各手続について、花巻空港では、現在、税関は大船渡市の税関支署から、出入国管理は盛岡市の入国管理局出張所から、検疫については塩釜市の検疫所などから、それぞれ出張で対応しているところです。
訪日外国人客数はここ数年飛躍的に伸びており、今後花巻空港においても、国際定期路線の新設やチャーター便の増加も見込まれている中で、花巻空港におけるCIQは、現在のような出張対応により十分対応可能なのか、見通しについてお伺いいたします。
また、空港ターミナルビルの増改築からまだ間もないところではありますが、今後想定される国際定期便やチャーター便の増加等に向けて、県では花巻空港の設備面に関して何らかの対応をしていくお考えはないかお伺いいたします。
〔副議長退席、議長着席〕
次に、農業振興についてお伺いいたします。
国では、農林水産業、食品産業分野では担い手の減少、高齢化の進行などによる労働力不足や、現場での人手に頼る作業や熟練者でなければできない作業が多く、省力化、人手の確保、負担の軽減などが重要となってくることから、スマート農業の実現に向けた研究会を立ち上げております。その中で中間取りまとめを行い、将来像、ロードマップ、取り組み上の留意点が公表されております。これまで、県では、いわてスマート農業推進研究会を母体として、スマート農業祭の開催などによる普及啓発や、農業者ニーズと技術シーズのマッチングによる本県の実情に即した実証研究の推進、実用化された技術の導入支援などを行ってきたと伺っております。
スマート農業には、農作業の軽労化や自動化技術の導入、農業機械のロボット技術やアシスト装置の導入のほか、センシング技術や過去のデータをもとに分析して適切な対応を可能とする精密農業、プロ農家のわざのデータ化、実需者や消費者に有益な情報を伝達するシステムの導入などさまざまな側面がありますが、こうした技術への対応状況はどうなっているのか、県内のスマート農業の現状についてお伺いいたします。
また、現状認識を踏まえ、県として今後どのようにスマート農業を推進していくのかお伺いいたします。
農業生産の効率化に向けては、圃場整備も行われております。整備の推進により、水田の大区画化による機械作業の効率化や労働時間の短縮など、低コスト生産、排水施設の整備による水田の汎用化、農地の利用集積による担い手の育成などの効果が期待されています。ところが、本県の状況を見ると、平成27年度の水田整備率は51.6%であり、全国平均の64.7%と比較してかなり低く、東北では最低となっております。
そこで、県内の水田整備率が低い要因はどのように分析しているのか、また、整備率向上に向けて、今後、圃場整備にどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
あわせて、スマート農業を推進するために、どのように圃場整備などの基盤整備に取り組んでいくのかお伺いいたします。
中山間地域における農業は傾斜地を多く抱え、圃場の大区画化や大型農業機械の導入、農地の集積、集約化が容易でなく、平地に比べて営農条件面において不利な状況にあるため、農業生産を継続して中山間地域の多面的機能の維持を図ることを目的に、平成12年度から中山間地域等直接支払制度が行われており、現在、第4期対策が平成31年度までの5年間実施されています。しかしながら、県内の耕作放棄地の面積は5年ごとに行われる農林業センサスによると、平成27年には1万7、428ヘクタールと、5年前の平成22年よりも3、495ヘクタール、率にして25%増加しております。中山間地域等直接支払交付金の協定を締結している各集落では高齢化や人口減少が進んでおり、これまで行ってきた農用地の維持管理を続けるのが困難となってきており、国の調査では、協定を結ぶ集落の約4割が、交付金の返還が生じないよう、耕作放棄地となる見込みの農地を今後除外する意向とのことです。
私は、交付金頼みの中山間地域の営農維持対策は、もはや限界に来ているのではないかと感じております。新規就農者を含めた多様な担い手の確保、支援などにさらに注力していく必要があると考えます。
そこで、県では、今後、中山間地域における農業、農村の振興についてどのように取り組んでいくのか、知事にお伺いいたします。
県では、園芸販売額1、000万円以上の規模の園芸経営体を育成すべく、さまざまな取り組みをしてきましたが、大きく経営体がふえていないのが現状であります。一方で、水田を利用した集落営農や農業法人が多く立ち上がって、水稲や転作作物を取り入れた大規模経営体がふえてきております。
県では、今後の野菜の生産振興において、経営規模の拡大やパイプハウスなど施設の団地的整備により、大規模経営体の育成が重要であるとの認識のもと、今年度からいわて型野菜トップモデル産地創造事業を開始し、水田等への高収益野菜の作付拡大により、新たな野菜販売額1億円産地の形成等に取り組んでいると伺っております。
今後の園芸産地を育成していくには、担い手不足や労働力不足が進む中で、作業の機械化や省力化、岩手の主力野菜であるピーマンなどの品目に加え、新たな主力となる品目の育成が必要です。さらに、産地として野菜の需要動向を的確に捉え、生産拡大につなげていくことが、農家所得の向上の観点からも大切であると考えますが、今後の野菜振興の取り組みの方向性についてお伺いいたします。
また、いわて型野菜トップモデル産地創造事業の取り組み状況はどうなっているのかお伺いいたします。
次に、農林水産部の組織のあり方についてお伺いいたします。
お隣の宮城県では、2019年度から農林水産部を農政部と水産林業部に分割するとの方針を打ち出しました。村井宮城県知事は、記者会見でその狙いについて、農林水産行政をもっと機動的で現場により近い組織にすることだとして、ハード面の復興は相当落ちついてきて、今後は、農業で言えば、米中心の農業から畜産や園芸に思い切ってシフトさせ、大規模化、集約化、機械化、販路拡大を図っていく時期に差しかかっていると話しております。また、問題解決に向けて、現場と一緒になって前向きに行動できる組織にすることで、担当職員の士気も上がるのではないかとも言っています。
現在、本県の農林水産部には、本庁だけで16の室、課があり、職員数は約1、400人と、県の一般行政部門の3分の1を占める巨大な組織であります。本県も、もともとは農政部と林業水産部に分かれていたものを平成13年度に統合し、今に至っております。
各部門にあった企画担当や管理担当、指導検査担当などを集約することで行政の効率化が図られているのは理解します。しかし、これだけの広い分野を所管する組織だと、部長を初め幹部の皆さんが日々相当に多忙であることは想像に難しくなく、機動的な意思決定ができず、農林水産行政が停滞するのではないかと懸念するところです。
今後、経済、社会のグローバル化や技術革新の加速が見込まれる中で、攻めの農林水産行政を展開していくために、この際、本県でも、農林水産部の組織のあり方を再検討してはどうかと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
次に、道路整備についてお伺いいたします。
主要地方道花巻大曲線は、花巻市と西和賀町を最短距離で結ぶとともに、本県内陸部と秋田県内陸部をつなぐ広域的な重要路線であります。これまで、花巻市の豊沢ダムの先から西和賀町の川舟地区までの全長8.5キロメートルの区間で道路改良事業が行われておりますが、現在、工事は小倉山の2工区のうち約1.5キロメートルを残すのみであります。しかしながら、残りの未改良区間は、冬期間は通行どめとなるため、地域住民は一日も早い通年での通行確保を望んでおります。
そこで、まず、花巻大曲線の整備の進捗状況と今後の見通しについてお伺いいたします。
花巻大曲線の未改良区間では、本年4月に土砂崩れが確認され、夏場の通行すらできない状況が長く続いている上、10月にはさらに別の箇所でも土砂崩れが確認され、地域住民には大きな落胆と不安が広がっております。
この道路は、西和賀町沢内地区の農家が、花巻市内の加工施設や花巻南温泉峡の宿泊施設に農作物を運ぶルートとしても使われており、国道107号を迂回することによる時間やコストの増は、農家の大きな負担となっております。現道と別ルートで進められている改良工事には、なお数年の期間を要するものと思いますので、ことし確認された土砂崩れの早期復旧が望まれますが、その見通しについてお伺いいたします。
国土交通省は本年8月、スマートインターチェンジに関して、新たに全国6カ所で準備段階調査を開始する旨を公表しました。国としてスマートインターチェンジの必要性が確認できる箇所を選定し、国が調査を開始するというものであり、大きな期待を寄せているところであります。このスマートインターチェンジが整備されれば、北上工業団地から最寄りのインターチェンジとなり、2019年の完成を目指している東芝メモリの新工場を含めた各工場などからの高速道路を利用した製品搬出の利便性が格段に向上します。また、県立中部病院などから岩手県高度救命救急センターへの搬送時間が短縮され、救命率の向上が期待されるなど、救急医療の充実も図られます。花巻パーキングエリアの近くを県道花巻和賀線が通っており、スマートインターチェンジが整備された場合、この道路がアクセス道になることが想定されていると思います。
そこで、(仮称)花巻パーキングエリアスマートインターチェンジの整備の見通しについてお伺いいたします。
あわせて、県のこれまでの取り組み状況とアクセス道の整備を含む今後の対応についてお伺いいたします。
国道4号の北上市と花巻市の間の約3キロメートルの区間は、2車線であるため慢性的な渋滞が発生しております。この区間には、富士大学や花巻市公設地方卸売市場、生産活動が活発な民間企業などが立地しており、大型車両が頻繁に通行している状況です。さらに、東芝メモリの新工場も北上工業団地内に建設中であり、今後さらなる交通渋滞が危惧されております。
国道4号は国の管理道路であり、県では、4車線拡幅整備に関して、これまでも国に対する要望を行っていると承知しています。現在、2車線の区間のうち、花巻市内の約1キロメートルについては既に都市計画決定されていますが、北上市内に関しては具体的な動きがまだ見えていません。東芝メモリが1兆円規模と言われる投資を行い、1棟当たり1、000人規模の雇用が見込まれる工場を今後複数建設するとの情報もある中、今こそ、県は、知事が先頭に立って国に対して事業化を力強く働きかけるべきと考えます。
国道4号北上-花巻間の4車線化に向けて、県として今後どのように対応していくのか、知事のお考えをお伺いいたします。
以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 川村伸浩議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、台湾との交流促進についてでありますが、岩手と台湾は、先人たちの活躍があり、また東日本大震災津波の際に多大な御支援をいただいたこともあり、特別な関係にあると考えています。さらに、台湾からの観光客は本県の外国人宿泊者全体の過半を占めており、昨年策定したいわて国際戦略ビジョンにおいても、外国人観光客の誘客拡大における最重点市場として取り組んでいます。このような中、本年8月、台湾桃園国際空港といわて花巻空港を結ぶ本県初の国際定期便が就航し、今後、両地域の発展とさまざまな分野における交流拡大が期待されます。
県内では、台湾花蓮県と祭りを通じて交流する盛岡市や、東京2020オリンピック、パラリンピックにおける台湾の復興「ありがとう」ホストタウンに決定した野田村など、市町村における交流のほか、盛岡、水沢の青年会議所を初めとした民間団体での連携など幅広い交流が行われています。
県といたしましても、台湾定期便化を契機とし、さらに航空会社や旅行会社と連携した効果的なプロモーションによる誘客拡大に取り組んでいくとともに、日本酒や水産加工品を中心とした県産品の販路拡大、輸出が再開された牛肉、リンゴ等農林水産物の流通拡大など、産業、経済分野を初め、さまざまな分野において台湾との交流促進に取り組んでまいります。
次に、中山間地域における農業、農村の振興についてでありますが、本県の中山間地域は、急勾配や農地分散など不利な生産条件の中で、地域の核となる担い手や新規就農者、小規模、兼業農家が生産活動に携わっている現状にあり、こうした多様な担い手が参画した農業生産や地域活動の活発化を通じて活力ある農業、農村を実現していくことが重要であります。
このため、県では、中山間地域等直接支払制度により農業生産活動等を支援するとともに、区画の拡大や排水対策などの生産基盤の整備に加え、地域コミュニティーを支える人材の育成などにも取り組んでおり、地域からも農業生産等の維持向上に効果があると評価されていますことから、引き続きこれらの取り組みを積極的に進めてまいります。
また、現在、策定している次期総合計画の政策分野、仕事・収入の中に、一人一人に合った暮らし方ができる農山漁村づくりを柱に掲げ、農村の活性化に向け、地域の立地条件を生かした農業生産の振興や、多様な主体の連携、協働による活力ある農村づくり、さらに、地域の多彩な農産物や食文化を積極的に活用した農山漁村ビジネスの振興などの取り組みを進めていきたいと考えております。
このような取り組みを通じて、多様な担い手が豊かさを実感し、意欲と希望を持って生産活動や地域活動に携わることができる中山間地域の農業・農村の実現に取り組んでまいります。
次に、農林水産部の組織のあり方についてでありますが、農林水産部は、総合的な食料供給基地の形成を目指した産業活動の支援体制を充実強化するため、平成13年度に農政部と林業水産部を統合し、設置したものであります。農林水産部の設置に伴い、農林水産物の流通、販売等を担う流通課、農林水産関係団体の検査、指導監督等を担う団体指導課をそれぞれ新設し、それまで各分野において個別に実施していた業務を一元化して効率的、専門的に推進するなど、本県の基幹産業である農林水産業の振興を総合的に進めてきたところであります。
この結果、統合前の平成12年度と昨年度とを比較しますと、流通、販売分野では、県産農林水産物の一体的なプロモーションの展開等により輸出額は約11倍に増加し、また、団体の経営指導分野では、業務に精通した職員を集約したことで各組合に対する指導の強化が図られ、繰越欠損金を計上した組合の割合は約55%から約22%へと大きく減少し、団体の財務の健全化が進むなどの成果があったところであります。
また、両部の統合に当たっては、組織が大きくなることでの生産現場との乖離や意思決定過程の煩雑化などを心配する声もありましたが、現在は、農政、林務、水産それぞれの分野を所掌する副部長級の担当技監を配置し、担当事務に関して迅速に意思決定を行い機動的に実行できる体制を整えており、部長、副部長、各担当技監がそれぞれの役割を担いながら、農林水産行政を適切かつ円滑に展開していると認識しております。
このようなことから、現時点で農林水産部の分割等の検討はしていませんが、今後とも、さまざまな行政需要に柔軟かつ適切に対応するため、必要な組織の見直しに不断に取り組んでまいります。
次に、国道4号北上-花巻間の4車線化についてでありますが、県としては、これまでも、6月の2019年度政府予算提言、要望等において、国道4号の事業中区間の早期完成や北上-花巻間などを含めた未着手区間の早期4車線化を要望しているところであります。また、10月には、県、市町村等で開催したいわての地域づくり・道づくりを考える大会において国道4号の4車線化を着実に進めることを決議し、これを国に要望したところであります。特に、北上-花巻間の4車線化は、東芝メモリの新工場が立地する北上工業団地へのアクセス道路でもありますことから、渋滞緩和による通勤や物流などの定時性、速達性の確保が不可欠であると認識しておりまして、早期の事業化が図られるよう、引き続き物流事業者や地元市と連携し、国に対して強く働きかけてまいります。
その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔保健福祉部長八重樫幸治君登壇〕
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) まず、成年後見制度に係る潜在的なニーズについてでありますが、成年後見制度は、認知症、知的障がい、その他の精神上の障がいがあることにより判断能力が著しく不十分な方々を対象として、後見人などがその財産管理や地域での日常生活を支える制度であり、県内における制度利用者は、平成30年6月30日現在で1、722名となっています。また、判断能力に不安のある方に対して福祉サービス利用手続の支援等を行う日常生活自立支援事業の利用者は、平成30年10月31日現在で991名となっています。
県内で成年後見制度の対象となり得る方は、平成30年3月末現在で、認知症高齢者等は4万7、124名、知的障がい者は、療育手帳の所持者が1万1、909名、精神障がい者は、精神障害者保健福祉手帳の所持者が1万35名であり、これらの方々のうち、実際に成年後見制度による支援の対象となる方は、判断能力が著しく低下している独居高齢者など、日常生活を支える人が身近にいない方と想定されるところです。
次に、市町村長の申し立てについてでありますが、成年後見人の選任を申し立てることができるのは、本人、配偶者、4親等内の親族のほか、判断能力が不十分な高齢者等の身近に成年後見等の申し立てを行う親族がいない等の場合で、高齢者等の福祉を図るため、特に必要があると認めるときに市町村長が申し立てをすることができるとされています。
本県において市町村長申し立てが少ない理由としては、親族の確認や、親族全員から申し立てに係る同意を得るなどの手続が必要であるほか、家庭裁判所に提出する書類が多岐にわたることなど、手続が煩雑であることが挙げられています。
このため、県では、市町村が申請事務を円滑に処理するための技術的な支援として、平成27年度から成年後見申立支援講座を実施しており、平成30年度までの4年間で28市町村から延べ130名の職員が研修を受講しております。
県としては、市町村長申し立てが適切に行われるよう、申請事務に関する講座を継続して開催するほか、今後、市町村長申立マニュアルを作成するなど、市町村の取り組みを引き続き支援してまいります。
次に、成年後見制度利用支援事業については県内全市町村で実施されていますが、平成29年度の制度利用に係る助成実績は、高齢者に対しては、介護保険制度を利用し、16市町村で56件340万円余、障がい者に対しては、障がい福祉制度を活用し、3市町村で7件55万円余となっており、制度のさらなる活用が求められるところです。
また、当該制度に係る助成対象を市町村長申し立てに限定している市町村は、介護保険制度においては22市町村、障がい福祉制度においては21市町村となっています。
県としては、本事業の実施に当たって、市町村長申し立て以外の本人または親族からの申し立てについても助成の対象とするよう周知を図ってきたところですが、今後、市町村に対して具体的な助言を行うとともに、県内外の事例を情報提供するなど、市町村の取り組みを支援してまいります。
次に、市民後見人の育成等についてでありますが、県では、平成23年度から毎年度、成年後見人養成研修を実施し、広く市民後見人の育成や法人後見の普及啓発に取り組んでおり、これまで延べ1、805名が研修を受講したところであります。また、県内市町村では、平成29年度において、介護保険事業の高齢者権利擁護等推進事業補助金を活用するなどして、8市町村が市民後見人の育成に取り組んでいます。
しかしながら、本県の平成29年度における成年後見人の選任件数320件のうち、市民後見人の選任は1件で0.3%、法人後見は3件で0.9%にとどまっており、市民後見人の育成とともに、その資質向上を図る必要があると考えています。
こうした状況を踏まえ、県では、関係機関や団体で構成する岩手県成年後見制度利用促進ネットワーク会議を今年度新たに設置したところであり、引き続き人材育成の取り組みを進めるとともに、今後、各市町村や地域の取り組みを支援することにより、県内どの地域においても必要な人が成年後見制度を利用できるよう環境整備を進めていきます。
〔商工労働観光部長戸舘弘幸君登壇〕
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) まず、台湾からの外国人個人旅行者の誘客への取り組みについてでありますが、全国的に台湾からの訪日客に占める個人旅行者の割合がふえていることから、本県におきましても個人旅行者の誘客拡大は重要と認識しております。
このため、県では、宿泊、観光施設等における個人旅行者のニーズの高い無料公衆無線LAN導入等の受け入れ態勢整備を支援いたしますとともに、東北各県とも連携し、東北エリアの鉄道や高速バスのフリー乗車券の利用促進PR、レンタカー利用者向けのドライブ冊子の作成など、個人旅行者の利便性の向上に取り組んできたところでございます。さらに、現地の消費者に本県の魅力を直接訴求するため、現地のメディアの招請やフェイスブックでの情報発信などに加え、国際定期便の就航に合わせ、航空会社と連携した現地セミナーを開催するなど、個人旅行者向けのプロモーションを強化しているところであります。
今後におきましても、SNSを活用した本県情報の発信や、現地の大型商業施設を活用したPRなどのプロモーションを強化し、FITの誘客拡大を図ってまいります。
次に、三陸沿岸や県北地域への誘客についてでありますが、県では、これまで、沿岸や県北地域において、観光地づくりを推進する日本版DMOの整備や観光コーディネーターによる魅力ある観光地づくりの支援とともに、台湾のメディアや旅行会社の招請等による広域観光ルートの提案や、内陸と沿岸を結ぶバスツアーの造成支援などを行ってまいりました。このような取り組みによりまして、平成29年の三陸沿岸地域における台湾からの入り込み客数は、龍泉洞や浄土ヶ浜などを中心に大きく伸びてきている一方、県北地域においては、インバウンド誘客に対するアプローチに弱さも見られるところであります。
今後は、来年度開催の三陸防災復興プロジェクト2019、ラグビーワールドカップ2019釜石開催といった誘客拡大の大きなチャンスに向けて、橋野鉄鉱山や御所野遺跡などの歴史、文化、三陸ジオパークなどの自然、山海の食、サッパ船等の体験メニューなど観光コンテンツを磨き上げるとともに、二戸市で始まっている地域に根づいた生活文化や伝統工芸品、酒蔵ツーリズムなどを組み合わせたにのへ型テロワールと銘打った観光地域づくりなど、外国人旅行客に岩手・三陸や県北地域に来てよかったと感じてもらえる、ほかにはない魅力、特色のある観光地域づくりを進め、台湾へのプロモーションも強力に行うことにより、三陸、県北地域への誘客拡大を図ってまいります。
次に、教育旅行の誘致についてでありますが、平成28年度までの北東北3県での誘致活動に加えまして、平成29年度からは本県独自に現地での説明会への参加や台湾側の関係者の招請に取り組み、昨年度には本県初の台湾からの訪日教育旅行が実現したところでございます。
さらに今年度は、現地説明会におきまして、台湾からの訪日教育旅行に不可欠とされます学校交流やホームステイ、農泊体験等ができる県内高等学校や施設のPRもあわせて行いますとともに、台湾の高等学校長を本県に招きまして、学校交流ができる高校や農泊施設、震災学習などの視察、教育旅行関係者との交流を行い、本県での教育旅行の実施を働きかけてまいりました。
今後におきましても、引き続き本県教育関係機関とも連携し、学校交流の受け入れ学校の拡大や震災学習等の本県独自プログラムの開発など受け入れ態勢を整備いたしますとともに、台湾からの教職員の招請などのプロモーションにより教育旅行の誘致拡大を図ってまいります。
次に、現地での観光PRについてでありますが、県では、これまでも東北各県や東北観光推進機構等とも連携し、台湾で開催される旅行博、商談会、大手デパートの観光物産展への出展や台北駅等における大型広告の掲出、ウエブ広告などによる現地での観光PRに取り組んでまいりました。また、平成29年2月に雲林県で開催されたランタンフェスティバルにも出展したところであります。
今年度におきましては、航空会社や旅行会社とのタイアップによる一般消費者向けセミナーの開催やSNSでの情報発信、機内誌等への広告掲載などを予定しておりまして、現地での観光PRを強めてまいります。
〔県土整備部長八重樫弘明君登壇〕
〇県土整備部長(八重樫弘明君) まず、いわて花巻空港におけるCIQへの対応についてでありますが、県では、これまで、CIQ業務が円滑に行えるような国際線施設の拡充整備や、国際便の運航計画の情報収集とCIQ各機関への迅速な情報提供を行ってきているところです。また、CIQ機関においては、県からの情報も踏まえて、東北管内を初めとした出先機関からの応援などにより人員体制を整えて対応しており、いわて花巻空港でのCIQ体制は適切に確保されているものと認識しています。
一方、いわて花巻空港を初め、東北地方への国際定期便、チャーター便が増加しており、今後、国際便の受け入れ拡大にはこれまで以上にCIQ体制の確保が重要となるものと考えています。
県では、これまでも、国に対して、迅速かつ円滑な出入国管理が行われるよう、確実かつ十分な人員体制の確保を要望してきたところでありますが、さらなる国際線の受け入れ拡大に向けて、引き続きCIQ体制の充実強化を要望してまいります。
次に、花巻空港の設備面の対応についてでありますが、国際定期便の就航する空港においては、国から保安体制の早期の強化が求められていることから、先進的な保安検査機器であるボディースキャナーの導入について準備を進めているところであり、国際便に対応した保安検査の高度化と円滑化を図っていくこととしています。
今後、国際便が増加し、空港施設の機能や利便性のさらなる向上が必要となる場合には、航空事業者や関係機関等と連携しながら適切な対応策について検討してまいります。
次に、主要地方道花巻大曲線の整備についてでございますが、本路線は、花巻市と西和賀町間の交流の促進や観光振興を支援する重要な路線であり、昭和61年度から花巻市中山地区と西和賀町川舟地区の間、約8.5キロメートルについて、交通不能区間の解消等を目指し、整備を進めてきたところです。これまでに約7キロメートルの区間を供用し、現在は、未改良となっている小倉山の2工区、約1.5キロメートルの改良工事を進めています。今年度は、現在工事を進めている橋梁の上部工工事に着手し、着実に整備を進めていくこととしており、残るトンネル区間についても、予算の確保に努めながら、橋梁完成後に着手できるよう取り組んでいきます。
次に、花巻大曲線の復旧についてでありますが、本年4月に崩落が確認された箇所については、復旧工事を進め、10月下旬には仮設道路による通行が可能な状況となったところです。
一方、10月初めに確認された新たな崩落箇所については、最大2メートルほどの巨石が道路上に崩落しているほか、のり面上部にも不安定な巨石などが残っており、さらなる崩落の可能性もあることから通行どめとしているところです。この新たな崩落箇所については、現在、調査や測量を継続していますが、これから積雪期となるため、詳細な調査は融雪後に実施せざるを得ない状況であります。今後は、一日も早く供用できるよう、雪解け後、速やかに調査を再開するとともに、仮設道路に着手していくなど、復旧に向けて取り組んでいきます。
次に、(仮称)花巻パーキングエリアスマートインターチェンジについてですが、県では、平成29年12月に花巻市が設置した検討会に参加し、インターチェンジ設置の必要性や整備方針等の検討を行ってきました。国においては、本年8月に本スマートインターチェンジについて、準備段階調査の箇所として採択したところです。9月には、国や県、県警察本部、花巻市、高速道路会社を構成員とする準備会が組織され、インターチェンジの位置や構造、アクセス道路など具体の検討を開始したところです。
県としては、引き続き国や花巻市等と連携しながら、事業化に必要な実施計画書の作成に向けて取り組んでいきます。
〔農林水産部長上田幹也君登壇〕
〇農林水産部長(上田幹也君) まず、スマート農業の推進についてでありますが、県内では、農業研究センターにおける施設野菜の単収を飛躍的に向上させる高度環境制御システムのほか、岩手大学による陸前高田市での次世代養液土耕システムや、花巻市、一関市、北上市におけるGPS基地局設置による自動操舵農業機械の取り組みなど、研究機関や大学、地方公共団体等が県内各地でモデル実証に取り組んでおります。
こうした取り組みの結果、新たに県内3カ所で施設野菜の高度環境制御システムが導入予定であるほか、農薬散布におけるドローン利用の拡大や、先ほど申し上げましたGPS基地局が設置されている地区を中心にトラクターや田植え機等の自動操舵農業機械の導入が進むなど、一定の成果があらわれてきております。
今後は、モデル実証の取り組み成果をいわてスマート農業推進研究会等を通じまして農業者や企業などに広く情報提供していくほか、来年度、国が予定しております大規模な実証プロジェクト等の活用も検討しながら、農業者の経営規模やニーズに即した技術開発、現地実証を進めるなど、スマート農業技術の早期普及と機械設備の導入促進を図ってまいります。
次に、水田整備率が低い要因と整備率向上に向けた取り組みについてでありますが、本県の水田における30アール区画以上の整備率は平成27年度末の実績で51.6%となっており、全国平均の64.7%、東北平均の66.1%に比べて低い状況となっております。
この要因といたしましては、本県では、昭和30年ころまでに10アール区画程度の水田の1次整備を実施し、その後、農業用水の安定確保のため、国営かんがい排水事業等による基幹的な農業水利施設の整備に重点的に取り組んできたこと、また、区画の拡大に不利な地形条件にある中山間地域の農地が多いことなどによるものと考えております。
県といたしましては、生産性の高い農業を実現するためには、水田の大区画化や排水改良など基盤整備の着実な推進が必要であることから、引き続き国に対して十分な予算措置を強く求めるとともに、中山間地域においては、地域ニーズを踏まえた大区画にこだわらない区画形状や排水改良など、きめ細かな基盤整備に取り組んでまいります。
次に、スマート農業の推進に向けた基盤整備についてでありますが、ロボット技術やICT等の先端技術を活用し、超省力化や高品質生産等を可能にするスマート農業技術の効果を最大限に高めるためには、圃場整備などの基盤整備が必要であり、県内では、圃場整備を契機にスマート農業に取り組む事例が見られております。
例えば、花巻市では、GPSを活用した自動操舵装置つきトラクターや、水田の給水をスマートフォンで遠隔操作できる水管理システムが水田の大区画化や農業用水路のパイプライン化などを実施した地区で導入されております。
本県においては、地域の営農ビジョンに即した収益性の高い農業経営の実現に向け、農業生産基盤の整備を推進しているところであり、いわてスマート農業推進研究会が中心となって進める農作業の省力化、負担軽減等につながる技術の開発、普及の取り組みとも連動しながら、スマート農業技術の効果がより発揮されるよう、必要な基盤整備に取り組んでまいります。
次に、今後の野菜振興の取り組みの方向性についてでありますが、国内の野菜需要は、食の外部化の進展により、家計消費用から加工、業務用に徐々にシフトし、最近では加工、業務用が全体の6割を占めており、今後、野菜の生産拡大を図るためには、こうしたニーズに適切に対応していくことが重要であると考えております。このため、加工、業務用野菜として需要の高いキャベツやタマネギなどの導入に向け、低コスト、省力化生産が見込まれ、加工歩どまりが高い大玉品種の絞り込みや、播種から収穫までを一貫して行う機械化体系の普及拡大などに取り組んでいるところであります。
今後は、こうした取り組みを一層強化するため、いわて型野菜トップモデル産地創造事業により、加工、業務用野菜の生産に必要な高性能機械の導入や設備の整備を一体的に進めるなど、市場ニーズに対応した産地づくりを積極的に推進してまいります。
次に、いわて型野菜トップモデル産地創造事業の取り組み状況についてでありますが、県では、これまで、いわて型野菜トップモデル産地創造事業の推進に向け、県内各農協へのキャラバンを実施したほか、集落営農組織や農業法人等の大規模経営体に対する事業説明会を開催し、事業の周知や掘り起こしを行ってまいりました。そうした取り組みの結果、本年度は、水田へのネギやタマネギ、菌床シイタケの作付により、新たな野菜販売額1億円産地を目指し、その規模拡大に必要な機械、設備の整備や、トマトの施設栽培での環境制御装置の導入について、現在、調整を進めているところであります。
また、事業に取り組む経営体に対して、県、市町村、農業団体等で構成する集中支援チームが一体となってきめ細かな栽培、経営管理の指導を行い、目標達成に向けた取り組みを支援しております。
来年度は、ニンニクやピーマンなどで事業の導入に向けた検討も進められておりまして、これらについても集中支援チームが支援するなど、ハード、ソフト両面での積極的な取り組みにより、本県のトップモデルとなる新たな野菜産地の創造に取り組んでまいります。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) 台湾への教育旅行の推進についてでありますが、教育旅行は、学習指導要領に定められている特別活動として学校外に教育の場を求めて行う貴重な教育活動であり、それぞれの県立学校においては、国の通知と、県教育委員会が示している修学旅行実施基準等に基づき行っております。
グローバル化が進展している現在は、その旅行先は国内に限定せず、国外もその選択肢と位置づけておりますが、その経費については相応の負担を要しますので、国内旅行においてはその上限基準を設け、海外旅行においては、学校と県教育委員会との別途協議により決定することといたしております。
議員御案内のとおり、本県と台湾の関係については、歴史的な人的つながりや東日本大震災津波の発災の際にいただいた大きな支援や励まし、そして、今年8月からの花巻-台北線の定期便の運航などにより一層深まってきておりますので、一部の県立高校においては、近年、台湾への教育旅行の実施や教員の現地視察の実施など、新たな動きも出てきております。
いずれ、教育旅行先の決定に当たっては、経費負担への対応などさまざまな観点から、各学校における十分な合意形成が必要と考えておりますが、一方、本県との特別な関係があり、距離的にも近い台湾への教育旅行は、生徒たちの国際理解や生きた外国語学習の貴重な機会にもなると存じますので、その機運を醸成していくため、いわて花巻空港から台湾便利用への助成制度の活用や利便性なども含め、必要な情報の提供を行ってまいります。
〇議長(佐々木順一君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後5時43分 散 会

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