平成30年12月定例会 第15回岩手県議会定例会会議録

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〇44番(工藤勝子君) 自由民主クラブの工藤勝子です。
12月定例会におきまして、一般質問の機会をいただきましたことに感謝を申し上げ、順次質問をしてまいりますので、よろしくお願いいたします。
初めに、知事のトップセールスについてお伺いします。
知事は、ことし、中国や台湾、南米、スイス、フランスを訪問されております。知事が県民を代表し、国内外に直接出向いて県をPRするとともに、交流や意見交換によって有効な関係を構築することは大事であると思っています。
ことしの4月には、中国日本友好協会などや雲南省人民政府との会見、経済界との交流を初め、台湾においては、いわて花巻空港の利用促進に向けた台湾からの誘客拡大のトップセールスを行っております。経済界との友好な関係の構築や、県産品や観光情報のPRによる市場開拓により、岩手を知っていただく、岩手に来ていただくなど、知事みずからのトップセールスはとても重要であると思っております。
そこで、知事に、訪問された成果と課題についてお伺いいたします。
次に、県産品や観光のPRについて伺います。
岩手県のアンテナショップは、東京都のいわて銀河プラザに加え、大阪府、福岡県にも設置されています。いわて銀河プラザは、リニューアルもされて売り上げは順調に推移していると思いますが、大阪府や福岡県のアンテナショップの売り上げ状況をお伺いいたします。
ことしの6月22日、宮古市と室蘭市を海の道として結ぶ定期フェリーが就航し、観光振興や物流の促進、さらには三陸沿岸道路整備促進等、県として初の定期フェリーは、地域の活性化や地方創生にもつながるものと大きな期待が寄せられました。
1日1往復、初年度の利用目標を旅客1万7、000人、トラック1万8、000台、乗用車8、800台と見込んでいましたが、現在、旅客利用は順調な中で、物流面では厳しい状況と伝えられております。
フェリーの運航会社は、減便や発着時刻の見直し、八戸港への寄港などの対策をとっている現状について、県としてどのように認識し、今後の利用促進をどのように進めようとしているのか、お伺いいたします。
また、フェリーの順調な運航には物流促進も重要と思いますが、人と人との交流につながる観光PRを含めたアンテナショップを北海道にも開設すべきと思いますが、県のお考えをお伺いいたします。
この後の質問は質問席から行いますので、よろしくお願いいたします。
〔44番工藤勝子君質問席に移動〕
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 工藤勝子議員の御質問にお答え申し上げます。
トップセールスの成果と課題についてでありますが、県産品の販路拡大、国内外からの誘客拡大に当たりましては、岩手が誇る自然や歴史文化、特色ある伝統工芸品、安全・安心で高品質な食など、本県の多彩な魅力を効果的、戦略的にPRして売り込んでいくことが必要であります。このことから、県では、いわてまるごと売込み推進本部を中心に、トップセールスを含めた全庁的な対外的売り込み活動を推進してきたところであります。特に、海外でのトップセールスについては、現地において、各分野のキーパーソンや多数の方々に、直接、本県を売り込むことができますほか、現地の生きた情報を得る貴重な機会であると認識しております。
今年度の海外でのトップセールスでは、中国との経済、文化交流の促進に向けた政府、経済界との協力関係強化、台湾との国際定期便就航に向けた主要関係者への働きかけ、フランスにおける民俗芸能の公演等による本県の新たな文化的魅力の発信などを行ったところであり、台湾との国際定期便就航の実現など着実に成果に結びついていますほか、今後の経済、文化交流促進の基盤強化が進展したところであります。
今後、三陸防災復興プロジェクト2019、ラグビーワールドカップ2019や、東京2020オリンピック、パラリンピックなどを国内外に岩手を売り込む絶好のチャンスと捉え、本県の認知度向上や観光誘客促進に向けて、引き続き積極的にトップセールスを展開していくことといたしたいと考えております。
その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁をさせますので、御了承をお願いいたします。
〔商工労働観光部長戸舘弘幸君登壇〕
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) まず、大阪府と福岡県のアンテナショップの売り上げ状況についてでありますが、大阪の青森・岩手えぇもんショップにつきましては、平成28年7月に現在の堂島に移転したところであり、今年度10月までの売り上げは約1、800万円余となっておりまして、前年同期の約1、400万円余と比較すると24.4%の増加となっております。
また、福岡県のみちのく夢プラザの売り上げにつきましては、平成28年度は約7、700万円余、平成29年度は約7、900万円余となっております。今年度10月までの売り上げは約4、600万円余で、前年同期の約4、300万円余と比較いたしますと6.3%の増加となっております。
両アンテナシッョプとも、売り上げは順調に推移しているところでございます。
次に、北海道へのアンテナショップの設置についてでありますが、県では、本県の特産品や観光資源等の情報を発信し、販路拡大や観光客の誘致を図ることを目的に、遠隔地の大都市にアンテナショップを設置しているところでございます。
北海道との交流につきましては、これまで、道央、道南地区を中心に、本県の魅力を伝えるプロモーションや教育旅行の誘致活動を実施してきたほか、県産品の情報発信、販路拡大として、毎年1月に、東急百貨店札幌店で岩手物産展を開催してきたところであります。
宮古-室蘭フェリー運航によりまして、北海道と岩手県の交流がさらに活発化することが期待されるところでありますが、北海道と岩手県の距離的な近接性や気候風土、産品の類似性などから鑑みますと、アンテナショップの設置については慎重な対応が必要と考えているところでございます。
〔県土整備部長八重樫弘明君登壇〕
〇県土整備部長(八重樫弘明君) 宮古-室蘭フェリーの今後の利用促進についてでありますが、運航会社では、10月6日から、南下する便の八戸港への寄港や発着時刻の変更等を行ったところです。このことについては、運航会社からは、実際の利用状況や物流事業者からの要望により、さらなる利便性の向上のために当面の措置として行ったものと聞いていますが、県としては、宮古港と室蘭港との航路が今後もしっかり定着していくことが非常に重要なことと認識しています。
今後の利用促進については、三陸沿岸道路等の開通による宮古港へのアクセス性の向上などを積極的にPRするとともに、トラック事業者等から、実際に航路を利用した際のメリットや改善点等の意見を広く収集しながら、さらなる利用拡大の施策に結びつけていきたいと考えています。
〇44番(工藤勝子君) 知事からは、非常にいい友好関係、さらには、いろいろな部分で物流関係も非常に伸びているということを聞きました。私は、課題はないでしょうかとお聞きいたしましたけれども、それに対する答弁はなかったと思っています。
私は、いろいろな分野についてある程度の課題を見つけながら、それを解決していくことで、新たな販路が広がったり、そしてますます前進することができると思っているのですけれども、その課題は本当にないでしょうか、お伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 来年のラグビーワールドカップ2019、そして2020年の東京オリンピック、パラリンピック、これらが日本全体として海外との交流を強化し、また、日本全国の自治体も、それぞれの県の食を初め、特産品また文化などもどんどん売り込んでいこうという中、岩手県もその中で、名誉ある地位を占めるような形で参画していかなければならないと考えております。
また、東日本大震災津波からの復興を進める三陸沿岸地方がラグビーワールドカップや東京オリンピック、パラリンピックにおいて、海外からきちんと注目をしていただけるように、そのためにも三陸防災復興プロジェクト2019を実施するところでありますが、そういったことをきちっとやっていくことが課題と受けとめておりまして、先ほどそのように答弁いたしました。
〇44番(工藤勝子君) 北海道は新幹線の陸、それから花巻空港からの空、それからフェリーによる海、すごく近い環境が私は整ってきていると思っています。九州の福岡県よりは北海道のほうがより近くなったと感じているところでありまして、平成30年北海道胆振東部地震の際もフェリーが大活躍をしたわけでございます。そういう中において、物流の促進を図るために、このたび11月29日、一般国道340号立丸峠工区が全線開通をいたしました。知事にも完工式に御出席をいただいたところでもあります。三陸縦貫道の整備はまだまだ時間がかかるわけでありますが、この整備によって宮古市から内陸に向かっての物流が大幅に変わることが現実としてあるのではないかなと捉えているところでもあります。そういう関係から、宮古市との協議を含めて、物流の促進に全面的に取り組んでいただきたいと思っておりますが、もう一度お伺いしたいと思います。
〇県土整備部長(八重樫弘明君) ただいま御質問のありました11月29日に開通いたしました立丸峠工区、第1トンネル、第2トンネルあわせて工区の全線が開通したわけでございます。宮古市から遠野市、内陸南部へ直接結ぶ一般国道340号ということで、その中の隘路が4キロメートル余り短縮されて、時間も6分程度短縮されるということですが、冬季についてはさらなる安全な交通が確保されていくものと認識しております。
こういった状況も踏まえながら、さらに三陸沿岸道路、それから、整備を進めています盛岡-宮古間の国道106号路線の整備も含めまして、物流に関するいろいろな大きな効果が発生してくると考えられますので、物流事業者、荷主の方々に幅広にいろいろな意見を頂戴するとともに、こういった効果も一生懸命PRしながら、これからの物流促進、利用促進に努めてまいりたいと考えております。
〇44番(工藤勝子君) もう一度知事にお伺いいたしたいと思います。
私は先ほど、陸と空と海で北海道が近くなったと申しました。結局、これから北海道にある程度ターゲットを絞ってやることが、私は非常に大事ではないかと思っているわけです。そこでアンテナショップの話をしたわけでありますけれども、今のところ、設置については余りお考えがないようでありますけれども、知事としてはどう考えますか、お伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 知事としてといいますか、県としては先ほど部長が答弁したとおりでありますけれども、個人的な印象、感想ではありますけれども、宮古-室蘭フェリー航路によりまして、北海道の室蘭市及びその周辺地域がもうお隣になったという感じを受けております。平成30年北海道胆振東部地震の際は、もうお隣が大変なことだということで直ちに支援をしたところでもあります。そういう意味では、岩手県と宮城県の関係、岩手県と秋田県、岩手県と青森県の関係のような、もう県境でつながっている、北海道ともそういう関係にあると考えますので、そういった宮城県、秋田県、青森県と岩手県は物産の流通に関するもの、売ったり買ったりが非常に盛んでありますので、そういうことが北海道とも期待できると考えます。
〇44番(工藤勝子君) ぜひ達増知事におかれては、このことをもう少し前向きに検討するよう、心からお願い申し上げたいと思っております。
次に、ILC建設実現の見通しについて伺います。
ILC─国際リニアコライダーの国内誘致につきましては、現在、日本学術会議において審議が行われ、文部科学省への回答案が示されるなど、審議結果の取りまとめの時期に入っていると聞いております。
この審議の中では、ILC実験の科学的意義を初めとして、さまざまな議論がされてきたものと思いますが、本県においては、日本の科学技術振興の中心的な役割を担うことに加えて、地方創生や東日本大震災津波からの復興の観点からも、ぜひとも実現にこぎつけていただきたいと考えております。
また、北海道東北地方知事会と岩手県議会、宮城県議会国際リニアコライダー建設実現議員連盟が合同で要望活動を行い、岩手県知事を初め、東北各県と岩手県、宮城県の両県議会議員連盟メンバーが関係省庁を訪問し、ILCの実現に向けて東北の総意として国へ働きかけを行ったところであります。今、まさに、政府からゴーサインを出してもらう最終段階にあって、あらゆる機関や団体等が国に対する働きかけを行うことが大変重要と考えていますが、そこでお伺いをいたします。
知事は、10月にフランスを訪問した際には、フランスのベシュト国会議員と会談を行い、また、同月にドイツのカウフマン連邦議会議員が来県した際には一関市で会談を行うなど、ILC推進のキーパーソンとなる国会議員と相次いで意見交換を行っておりますが、その成果についてお伺いをいたします。
〇知事(達増拓也君) ILCは、アジアで初めての大規模な国際研究プロジェクトでありますことから、その実現には国際社会の協力が不可欠であり、県としても、欧州各国政府、議会及び研究機関との連携が重要と考えております。このようなことから、フランスのオリヴィエ・ベシュト国会議員とは、本年5月の来県時に続き、10月にフランス・パリにおいてことし2回目の意見交換を行い、ILC実現に向けた国際的な連携強化とともに、日本政府への働きかけに御尽力いただくことを確認いたしましたところであります。
また、フランスと並び、日本とヨーロッパとの国際間調整に重要な役割を担っているドイツのステファン・カウフマン連邦議会議員には、ヨワヒム・ムニックDESY研究所所長・国際将来加速器委員会前委員長などとともにILC建設候補地までおいでいただき、ILC実現を望む岩手県民の思いや受け入れ準備状況について改めて理解いただいたところであります。
今後とも、ILCの実現に向けて、こうしたヨーロッパの政府等関係者との連携を一層強化してまいります。
〇44番(工藤勝子君) ということは、この件についても、日本学術会議や政府にしっかりと伝わっていると捉えてよろしいでしょうか。
〇企画理事(大平尚君) 具体的な訪問について、文書等ではこちらから提出しているわけではございませんが、情報としては、当然、来日されたことについては情報は伝わっていると考えております。
〇44番(工藤勝子君) 国、日本学術会議に対しまして、しっかりと岩手県の取り組みというものを伝えておく必要があるのではないかと思っているところでもあります。
また、知事は定例記者会見におきまして、地元として準備はしっかり進んでいることを伝えたいという話をされておりました。私はこの点について、準備とはどういうことを意味してお話しになったのか、ちょっと理解できませんでしたので、この点について知事に再度伺いたいと思いますし、研究者がこちらにおいでになるに当たっての不安だとかいろんな希望とかを、今回、どのように受けとめてこられたのかもお聞きしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 県が取り組む受け入れ準備についてでありますけれども、まず、東北ILC準備室のILC東北マスタープラン策定に主体的に参画するとともに、並行して、庁内副部長級職員で構成するILC推進研究会を設置して、その下に、まちづくり・インフラ整備、居住環境、医療、子弟の教育、産業振興、地域資源活用の六つの分科会を設け、ILC受け入れ環境の整備について検討を進めています。
具体的には、まちづくり・インフラ整備については、海外で製造されるILCの部品輸送に係る県内港湾の活用や搬送ルートの調査、検討、子弟の教育や保育については、既存校、保育園等への受け入れに係る関係者との意見交換、居住環境については、関係市との連携による外国人研究者家族の生活を支援するWEB版電子ハンドブックの作成、地域資源活用については、県産木材によるILC実験準備棟の木造化の研究や、ILCの排熱回収による県内各産業の振興に資するグリーンILCの推進などを検討しているところであります。
〇44番(工藤勝子君) それでは、約8、000億円とも言われるILCの建設費につきましては、日本学術会議においても国民の理解が必要であると指摘しておりますが、知事は、現在の世論の盛り上がり、これは東北だけではなく、日本全体の盛り上がりをどのように捉え、どのような取り組みを今後行っていくべきと考えているか、お伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) ILC実現には広く国民の理解、支持を得ることが政府の意思表示の大きな力になると考え、その取り組みを強化してきているところであります。
具体的には、関係団体とも連携をしながら、ILCサポーターズの積極的な展開を初め、ILC100人委員会の活動や、東京で開催されたノーベル物理学賞受賞者を招聘したシンポジウムの支援、VACUUM2018真空展や首都圏での大型サイエンスイベント、サイエンスアゴラへの出展PRなど、広く全国に向けILCの周知、理解増進に取り組んでおります。
また、先般、日本学術会議のILCに関する検討委員会から示された回答案に対し、研究者の意見書に合わせて東北ILC準備室による地域からの意見書も提出し、その内容について記者発表を行うなど、幅広く国民の理解を求める取り組みも行っております。
こうしたことから、最近では、全国規模のニュースや新聞記事、論説等で取り上げられるなど、ILCへの関心が全国的に高まっております。
今後も、引き続き、首都圏等で行われるイベントなどを通じて、ILCの国民的理解を広げる活動を強化するとともに、超党派の国会議連や自由民主党ILC誘致実現連絡協議会の動きに連動し国への要望活動を行うなど、ILCの実現に向け、全力で取り組んでまいります。
〇44番(工藤勝子君) 昨年度は議会に対しましても、ことしの夏ごろとか秋ごろに政府の決定が行われるのではないかという情報もあったわけでございますけれども、こうやっておくれている理由、今の段階で、政府の決定の見通しを県はどう見越しているのかお聞きしたいと思います。
〇企画理事(大平尚君) 政府の決定時期についてでありますが、世界の研究者コミュニティーにおいては、本年5月に開催された国際学会で、欧州の次期素粒子物理5カ年戦略への資料提出は12月18日と、具体的な期限が正式に示されたものです。このようなことなどを受け、ILCの実現には、政府の意思表示を年内に行うことが必要とされ、文部科学省の有識者会議から日本学術会議に至る審議も、この流れで進められてきているものと認識しております。
現在、日本学術会議では、本年7月の文部科学省からの審議依頼に基づき、ILC計画の見直し案に関する検討委員会を設置し、これまで11回の委員会を開催するなど慎重な審議がなされており、今後、日本学術会議の幹事会を経て文部科学省に回答が行われるものです。その後、政府内で検討がなされ、意思表示が行われるものと考えております。
一方、欧米の関係者においては、このような我が国の状況について一定の理解が得られており、政府の意思表示が1月以降にずれ込んだ場合でも、欧州の次期戦略策定の審議の俎上に上がるよう、日米欧の関係者で調整が行われていると聞いております。
県としては、引き続き、日本学術会議の審議状況や関係者の調整状況を注視しながら関係機関と連携を図り、臨機の対応を行ってまいります。
〇44番(工藤勝子君) まさに最終段階に入ってきているのではないかと思っています。でも、私は、この間大阪万博が決定したときに、ちょっと危機感を持ちました。国の財政支出がまたあちらのほうに向けられてしまうのではないかという不安を持ったわけであります。でも、このILCについても経済波及効果を5兆7、200億円と見込んでいるわけであり、こういうことを訴えながら、知事は決定権を持っている安倍総理大臣に直接会うという考えはないでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 先ほど工藤勝子議員は、二階幹事長からは、自由民主党本部としても全力でILCの実現を後押ししていくとの力強い言葉もいただいたとおっしゃっていましたけれども、二階幹事長を初め自由民主党、そして私も先ほど申し上げましたが、超党派の国会議員連盟のほか、自由民主党ILC誘致実現連絡協議会でありますとか、そうしたところと県としても連動しながら要望活動を進めていくことが重要と考えておりまして、そうした中で効果的に動いていきたいと考えております。
〇44番(工藤勝子君) なかなか会うとは言ってもらえませんけれども、そういう働きかけも私は大事ではないかと思っております。
次に、次期総合計画についてお伺いいたします。
県は、次期総合計画の……(知事達増拓也君「会います、会います」と呼ぶ)大丈夫ですか─長期ビジョンの案とアクションプランの中間案を公表し、地元説明会やパブリックコメントなどを行い、議会に対しても説明が行われました。幸福を守り育てる希望郷いわてを理念とする案に対して、9月定例会や説明会でも議論が行われてきたところであります。
私は、基本的に、幸福とは人から与えられるものではなく、仕事や家庭、地域活動、また健康、余暇等においても、一人一人がみずから心の中につくり出す努力があって初めて幸福を実感することができると思っていますが、私の思いを伝えましたので、知事は幸福の理念をどう考えているかお聞きいたします。
〇知事(達増拓也君) 先ほどちょっと言葉足らずで大変恐縮だったのですけれども、安倍首相には、会っていただけるなら毎日でもお会いしてILCの話をしたいということを申し上げさせていただきながら、幸福についてでありますけれども、岩手の幸福に関する指標研究会報告書や総合計画審議会での議論を踏まえて、幸福の実感に関連する12の領域をもとに設定した健康・余暇から参画までの10の政策分野の取り組みを推進することでいわて幸福関連指標の向上を図り、ひいては県民の幸福度も高まっていくと考えております。
これら10の政策分野の取り組みを進めるに当たりましては、県のみならず、県民、企業、NPO、市町村など、地域社会を構成するあらゆる主体がそれぞれ主体性を持ってともに支え合いながらみんなで行動していくことが大切であり、そうした行動の広がりを通じて、基本目標に掲げますお互いに幸福を守り育てる希望郷いわてを目指していくことができると考えております。
〇44番(工藤勝子君) なかなか知事の幸福論は聞けなかったと思います。自分はどういうときに幸福と実感するかという思いも私は聞きたかったと思っております。
10の政策分野の仕事・収入の中に農林水産業が組み入れられております。第1次産業の絶対的なイメージがなくなってしまっていることに、私は農業者の一人としてとても残念でありますし、食料生産や食料自給率に対する県の危機感が弱くなっていると感じております。
岩手県には広大な面積を有する恵まれた大地があり、山の幸を生み出す豊かな森があり、海の幸を恵与してくれる三陸海岸がある中で、食料供給県岩手という目標は、私たち農林水産業に従事する者の夢と誇りでもありました。農林水産業は、命をつなぐ生命産業であり、国土保全産業であると私は思っております。知事は、農林水産業が仕事・収入分野の位置づけで本当によいと思っておられるのかお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 本県の農林水産業は、食品産業や観光業など他産業への波及が大きい裾野の広い産業であり、地域経済を支える基幹産業の一つとして、また、地域振興の観点からも将来にわたり持続的に発展していくことが重要であります。
このような考え方を踏まえつつ、次期総合計画においては、農林水産業に従事する生産者も含め、県民一人一人の幸福を守り育てる観点から10の政策分野を設定したところであり、その一つとして、仕事・収入の政策分野に農林水産業を位置づけて、地域農林水産業の核となる経営体の育成、生産性、市場性の高い産地づくり、県産農林水産物の高付加価値化と販路の開拓、拡大、そして魅力あふれる農山漁村づくりに取り組んで農林水産業の振興を図っていくとしております。
こうした取り組みによりまして、仕事・収入の政策分野が目指す、農林水産業やものづくり産業などの活力ある産業のもとで、安定した雇用が確保され、また、やりがいと生活を支える所得が得られる仕事につくことができる岩手を実現していくという考えであります。
〇44番(工藤勝子君) そういうことも考えられるかもしれませんけれども、一般的に仕事・収入といいますと、例えばものづくりとか、そういうほうに向いていくのではないか。日本全体の国内生産額から見ると、農林水産物の生産額は1%と言われています。ですから、仕事・収入というとほとんど農業という感じにならなくて、工業とかそういう部分が重点的になっていくおそれがあるのではないか。私は、岩手県はそうあってはならない。やはり第1次産業を今、知事がおっしゃったように基幹産業と捉えて、この地域で農業をしている人たちを元気にしていくためにこの次期総合計画にしっかりと明記してほしいと私は願っているわけでありますけれども、改めて、まだ審議が行われるところでもありますので、農業分野についても、しっかり明記していただきますようこの点についてもう一度、お願い申し上げたいと思っております。
平成30年県の施策に関する県民意識調査結果によりますと、幸福またはやや幸福と感じている人の割合は55.4%と、岩手県民の半数以上が幸福だと実感している結果となっています。一方で、県内には所得格差やインフラ格差、医療格差等があり、また国とのさまざまな格差も広がっていると思っております。
幸福をテーマに掲げる次期総合計画では、県民のニーズを踏まえながら、所得の向上や医療の充実などにより県民の生活を向上させ、県内や国との格差を縮小していくことで県民の幸福の実感をさらに高めていく必要があると考えていますが、県はこうした取り組みをどのようにこの次期総合計画の中で進めようとしているのかお伺いいたします。
〇政策地域部長(白水伸英君) 幸福の実感を高めるための取り組みについてでありますが、次期総合計画では、政策の推進に当たりまして、県民意識調査で県民がどの程度幸福を実感しているかといった状況を把握しながら、各政策分野に幸福に関連する客観的な指標を定めまして、一人一人の幸福を守り育てる取り組みを展開していくこととしております。
具体的に申し上げますと、10の政策分野ごとに、例えば1人当たり県民所得、あるいは緊急輸送道路の整備延長、健康寿命などの客観的指標をいわて幸福関連指標として定めまして、農林水産業やものづくり産業などのさらなる振興、産業や暮らしを支える社会資本の整備、地域の保健医療提供体制の充実や福祉コミュニティーづくりなどの取り組みを進めることとしております。
このような取り組みを着実に推進することで、議員御指摘の格差の縮小を目指すとともに、いわて幸福関連指標の向上を図り、ひいては県民の幸福度を高めることにつなげてまいりたいと考えております。
〇44番(工藤勝子君) 岩手県が県民の幸福を守り育てる、これも大きなことだと思っておりますけれども、やはり一番県民に身近な市町村、自治体が、県の総合計画をどの程度受け入れて、そして市民とともに幸福づくりに向けて事業を立て、取り組んでいくかが非常に大事な要素となっております。そういう中で知事は、この33市町村の首長たちはどの程度幸福に対して理解を示していると捉えているかお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 次期総合計画の中における幸福ということにつきましては、幸福に関する指標を高めていって県民に幸福を実感してもらえるようにし、ひいては、お互いに幸福を守り育てるという目標が達成されるようにするための10の政策や、またそれをアクションプランにしていくもの、また地域ごと、広域振興局ごとの政策プラン、また復興に関連した復興プランが大変重要でありますけれども、県と市町村との関係ということでは、行政経営、行政に関するプランも重要であります。こういった全体に対して市町村に理解していただきながら、特に県民イコール市町村住民の幸福ということについては、市町村の役割は極めて大きいものがありますので、相互理解を深めながら取り組んでいかなければならないと思っております。さまざま説明の機会、意見交換の機会を設けてありますし、来年─1月と記憶しますが、知事と市町村長─県と市町村の意見交換の場もありますし、さまざまな場を活用しながら、県、市町村一体となって、県の総合政策の目標が達成されるような形で総合計画を決め、スタートさせていきたいと考えております。
〇44番(工藤勝子君) やはり市町村としっかり連携をとりながら進めていくことが大変重要だと考えておりますので、ぜひよろしくお願い申し上げたいと思っております。
きょうは一般質問ですので余り細かいことを聞きたいとは思っていませんでしたけれども、例えば、幸福度指標値の中で、政策分野の指標の中に家族・子育てという分野があります。その中で、目標合計特殊出生率は現在の1.47を、2022年度には1.52と高く設定しております。今の状況を考えてみると、住んでいる地域の病院において出産できない状況になっており、また、産婦人科の医師不足の中で、産前産後のケア、それから育児の関係、そしてケアセンターの設置等もおくれていると思っておりますが、子育て支援にも大きな課題をまだ持っている中で、この合計特殊出生率1.52という根拠をどこから引き出してきたのかちょっと疑問に思ったわけです。数値目標が高くないでしょうか、この根拠をお伺いいたします。
〇政策地域部長(白水伸英君) 合計特殊出生率の数値目標の設定の考え方でございます。
これにつきましては、今回、岩手幸福関連指標ということで、まず主要な指標を長期ビジョンに掲げまして、それから政策推進プランのほうで、そのほかも含めて岩手幸福関連指標の全体を掲げさせていただきました。その政策推進プランの巻末のところに今回の指標の設定の考え方ということで表をまとめさせていただいております。
現在、この指標につきましては2017年時点で全国31位ということでありまして、これは、技術的な内容になって恐縮でございますが、過去10年間の推移等から2018年を1.48になると見込みまして、2022年に2017年時点の全国中位程度─1.52という水準になっておりますが─を目指してしっかり取り組むということで、今回1.52という目標値を設定させていただいております。
〇44番(工藤勝子君) 合計特殊出生率が1.52になったら幸福度指標が上がるのかということになってくるのではないかと思っておりますけれども、ぜひそのように岩手県の人口が一人でも多くふえていくことを私は今後望みながら、この1.52に向けてどんな取り組みをしていくかということに注目してまいりたいと思っております。
次に、農業振興についてお伺いいたします。
県立農業大学校は、昭和56年にそれまでの農業短期大学校や六原営農大学校などを統合、再編し、新しい県立農業短期大学校として定員130名でスタートしております。平成8年度には県立農業大学校と改め、定員110名とし、平成13年度の学科再編で定員70名として現在に至り、開学後37年目に入っております。農業の担い手を育成し、地域社会のリーダー的役割を担う農業青年を育成する教育目標のもと、多くの卒業生を県内に輩出し、岩手県農業の土台をつくり、今日の地域農業、地域経済を支えていると思っております。
ことし11月の農林水産委員会での調査で奈良県立なら食と農の魅力創造国際大学校に行くことができました。もとは、奈良県立農業大学校でありました。荒井正吾奈良県知事は、日本の重要課題であります地方創生において、食が大事な役割を果たすと考え、その核となるリーダー輩出を目標として、平成28年4月、農業人材を育成するアグリマネジメント学科とプロのオーナーシェフ等を育成するフードクリエイティブ学科に再編し、奈良県産材を活用したすばらしいキャンパスで学んでいる様子を見てまいりました。
岩手県立農業大学校も3年後には40周年を迎えるものと思いますが、少子化によって県内の生徒数が減少する中でも、農業を学びたい、体験したい、すばらしい仲間と出会いたい、高度な技術を身につけたいなどの意思を持つ学生を迎えるため、学科の再編や環境づくりなど、魅力ある農業大学校のあり方を検討すべきと思いますが、知事の考えをお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 農業大学校では、地域農業の発展を担うリーダーとなる青年農業者を育成するため、教養や専門科目の講義と実習、県内の先進的な農業経営体への派遣研修、さらに、農学分野において世界トップレベルのカリフォルニア大学デービス校での海外農業研修など、理論と技術を一体的に学び、高い農業技術と経営能力を身につける教育を実践しておりまして、これまで約2、900人の卒業生を輩出し、県内各地で担い手やリーダーとして活躍しています。
農業就業者の減少や高齢化が進む中、大規模な経営体が生産の中心になりつつあり、また、技術革新の進展に伴って、スマート農業機械等の導入が進んでいます。このような動きを加速するためには、すぐれた経営力と高い技術力を身につけた将来の担い手を育成する教育環境を整えることが重要であり、このため、今年度から新たにGAPの講座を設けましたほか、環境制御型園芸ハウスを整備して、高度、また最新のスマート農業の実習を開始したところであります。
今後とも、本県農業を取り巻く情勢の変化等を見据え、教育環境の一層の充実を図るなど、農業高校生等が農業大学校に魅力を感じて、進路として選択し、将来、本県農業の担い手として活躍するよう積極的に取り組んでまいります。
〇44番(工藤勝子君) それは、農業として確かにそうあるべきだと思っております。今は、スマート農業、人工知能のロボットを使ったAI農業とも言われております。そこの中で、やはり農業部門と食の部門、ここをしっかりやってほしいと思うのです。なぜ食かというと、岩手県には、私たちがつくり出す農業においても林業においても海においてもすばらしい食材が豊富にあるわけですけれども、これをいかに加工し、そして海外に売り出す。そういう海外戦術を立てていくためにも、この農業大学校において、いかに加工部門、そして食に結びつけられるかということを考えていく必要があるのではないかと思っています。ただただ私たちのつくった野菜をそのまま市場に出すのではなく、そこに─6次産業化といいますけれども─いかに付加価値をつけてやるかということが今後農業の所得向上に対して非常に大きな要素をはらむのです。そこを農業大学校でフルに学んでほしいと思っています。ほかにはないものをつくり出せる、そういうものを研究してほしいと思っているのですが、3年後の40周年に向けて、この食の部門を考える検討委員会を立ち上げるような考えは知事にはないでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 県内には複数の調理師専門学校があり、現時点では農業大学校に調理師を養成する学科の設置は考えていないということを担当からは聞いているのでありますけれども、今、12月1日から12月14日まで展開中の岩手アップル2Weeks2018におきましては、岩手県内の専門学校の生徒たちが開発した岩手のリンゴや果物を利用したスイーツをお店で売ったり大々的にアピールしていただいていて、そのような食の連携─農林水産物から、さらに料理、スイーツ、そういったところの連携については、専門学校と協力しながら進めているところであります。
〇44番(工藤勝子君) 農業大学校の生徒数が減少しているという状況も聞いております。ですから、もっとこの農業大学校の魅力づくりを進める必要があると思っておりますので、御検討をお願い申し上げたいと思っております。
日本における人口減少によって、若者の減少及び高齢化の進展、そして食文化の多様化などから米の消費が減退しております。農林水産省によりますと、毎年8万トンが減少すると言われてきた米の消費が、既に10万トンを超える減少という現実が発表されております。生産と消費がマッチングして初めて生産者が安心して米づくりに励むことができるわけですが、2019年産米の岩手県の生産目安についてお伺いしたいと思います。
ちなみに、新潟県では既に発表され、米生産目標を44万9、000トンとしております。
また、今年度からの生産調整の見直しとともに、生産調整に参加された農家に支払われてきた米の直接支払交付金も終了することになりました。特に集落営農法人や大規模水田経営体ほど所得が減少していると思いますが、今後の所得向上に向けての取り組みをお伺いいたします。
〇農林水産部長(上田幹也君) まず、2019年産主食用米の県全体の生産目安でございますが、関係機関、団体や県で構成いたします岩手県農業再生協議会では、国が需給見通しをもとに算定しております2019年産の全国生産量に、平成29年産米の生産数量目標でありました岩手県シェア3.61%を乗じて算定することとしております。国が11月28日に需給見通しを公表しましたけれども、2019年産主食用米の全国生産量は、本年を上回る需要減少を見込んで718万トンから726万トンとされておりまして、今後、県農業再生協議会において、これをもとに2019年産主食用米の県全体、市町村別の生産目安を決定し、今月中を目途に公表することとしております。
県としては、地域農業再生協議会の生産目安を参考に作成する作付計画に基づき、主食用米の事前契約の拡大など需要に応じた米生産を進めるとともに、国の助成制度も活用しながら、大豆等への転換、あるいは地域特性を生かした野菜、花卉等の高収益作物の生産拡大を進めるなど、水田のフル活用による農業者の所得向上に取り組んでまいります。
〇44番(工藤勝子君) 私は、岩手県としても、例えば何万トンとか、そういう答えをいただけると思っていましたけれども、それはないですか。岩手県の目標として何万トンとしているのですか。市町村の配分までは聞きませんけれども、岩手県としての目標数値をお聞かせいただけないでしょうか。
〇農林水産部長(上田幹也君) 先ほど申し上げましたとおり、生産目安につきましては農業再生協議会で定めるということにしておりますので、今後議論を重ねて決定、公表という手続となります。そこについてはぜひとも、地域の皆様あるいは生産者の需要に関してのいろいろな希望がございますので、そういったものを十分に酌み取ってそういった計画をつくっていただきたい。県としてもそれを後押ししたいと考えております。
〇44番(工藤勝子君) 少し残念でありました。県としての目標数値を定めてそれを配分していくということで、新潟県ではいろいろな主食用米とか加工米とか、すっかり目標数値を明記して発表しているのです。ですから岩手県としてもそういうものをいち早く公表し、農家に示すべきではないかと私は思うのです。なぜかおくれていると私は実感いたしました。ぜひそういう部分で、今、発表できなければ、近々発表するようにお願い申し上げたいと思っております。
全国的にブランド米の生産に力を入れて品種改良が行われ、特A評価の取得など、産地間競争が一層激化していると思っています。そういう中において、県産米の一等米比率は10月末現在で98.3%。特に金色の風は100%、銀河のしずくも99.4%と全国一となっております。気象的には難しい中ではありましたが、関係機関の指導と生産者の管理技術を高く評価するわけですが、県オリジナルブランド米だけでなく、他の品種も含めた販売にしっかりと結びつけるPRや情報発信、一等米比率全国一をどうPRして販売を進めていこうとしているのかお伺いいたします。
〇農林水産部長(上田幹也君) 県産米のPRについてのお尋ねでございます。
県では、平成30年2月─ことしの2月でございますが、新たないわての美味しいお米生産・販売戦略を策定いたしました。この戦略に基づきまして、県産米全体の評価、知名度の向上などに取り組んでいるところでございます。
この結果、毎年公表されます米のヒット甲子園2018において、金色の風が2年連続、そして銀河のしずくが3年連続で最終審査の9銘柄─いわゆるベストナインでございますけれども─に選出されるなど、高い評価を得ております。また一方、ひとめぼれ、あきたこまちなどは大手米卸業者から強い引き合いをいただいております。また、いわてっこ、どんぴしゃりなどについては事前契約の数が大幅に増加するなど、県産米全体の評価は高まっていると認識しております。
今後は、産地交流やSNSなどを活用した情報発信などによりまして消費者と実需者との結びつきをさらに深め、トップセールスなどの販売促進活動を広く展開することによりまして、消費者や実需者の方々の信頼や評価を一層高め、高価格での取引の実現に向けて取り組んでまいります。
〇44番(工藤勝子君) よろしくお願いしたいと思います。
私は、スマート農業という言葉を初めて聞いたとき、率直に、ああ、いい農業という言葉が生まれてきたなと感じました。やはり農業には、新しいイメージと申しますか、近代化されてきているわけでありますけれども、若者が興味を持つ、引きつけられる言葉も大変重要であると考えているところであります。
農業は生命を支える食料を生産している基礎産業であり、生命産業でありますが、昔から農作業は厳しく、農家の風習や、また、時には自然災害に見舞われ、所得も低いというイメージがある中で、一歩先を目指すスマート農業の技術は、担い手に夢をもたらすものと思っております。
生産性を高め所得の向上に結びつけ、コストの削減や食の安全、安心、労働の安全など、県としてスマート農業の推進をどのように進めようとしているのかお伺いいたします。
〇農林水産部長(上田幹也君) スマート農業でございますが、農業機械の自動運転、さらには高度環境制御などの先端技術を活用した新たな農業であり、労力軽減、生産規模拡大、あるいは生産性の飛躍的向上など、担い手が希望を持てる魅力ある農業の実現に向けた重要な取り組みでございます。
一方で、本県ではスマート農業を体験する機会がやはり限られておりまして、また、急速に高性能化が進むスマート農業機械あるいは設備は、高機能でありますが高額となっておりまして、導入に当たっては、必要性、収益性を十分に検討する必要がございます。このため、昨年度に引き続きまして、本年8月、全国最大規模となりますいわてスマート農業祭NEOを開催したところでございます。会場には約2万人の方々が来場いたしまして、最新の機械や設備あるいは技術に触れるなど、若者を初めとして幅広い農業者の関心、それから導入に向けた機運が高まっていると捉えております。
また、いわてスマート農業推進研究会が中心となりまして、農業者のニーズ、それから企業のノウハウ、それから研究機関の基礎技術をマッチングさせまして、本県の農業者の幅広いニーズに応える技術開発あるいは実証研究等に取り組んでおります。この結果、県内企業により開発された草刈りロボットがございますが、全国的に今注目を浴びております。具体的に、このような成果があらわれてきていると捉えております。
今後とも、こうした成果をさらに強化し、スマート農業を活用した新時代の魅力ある岩手県農業の実現に向けた取り組みを強力に推進してまいります。
〇44番(工藤勝子君) さまざまな面で施設整備には多額のお金がかかるということでありますけれども、これに対しては県は国にも働きかけて、ぜひ助成事業を導入して、どんどん集落営農組織なり法人化の人たちに、こういう農業の取り組みを進めていく必要があるのではないかと思っているところありますので、ぜひ県の取り組みに期待を申し上げたいと思っております。
農業改良普及センターは、昭和23年に農業改良助長法に基づきまして、農業普及員が農業者に直接接しながら、技術、経営指導を行うものとしてスタートし、今年度がちょうど70年の節目だと聞いております。この間、家族経営を中心に発展してきた本県農業ですが、この10年で、主業農家戸数が約3分の2に減少する一方で、3、000万円以上を売り上げる経営体が増加するなど、農業構造が大きく変化しています。また、スマート農業やGAPなど、これまでにない新しい農業技術や経営管理への対応も重要になってきております。
このように、本県農業の担い手や農業を取り巻く環境が変化する中で、これに対応したスピード感のある効果的な普及指導活動が必要と考えますが、県はどのように取り組むつもりなのかお伺いをいたします。
〇農林水産部長(上田幹也君) 本県の農業、農村の振興を図っていくためには、現場で直接農業者に接し、そして農業技術や経営管理等を指導する農業普及員の役割が重要でございます。県では、これまで、地域の農業の特性に応じて農業普及員を配置するとともに、プロジェクトチームによる重要課題の解決、あるいは市町村や農業協同組合と連携いたしました地域協働による産地づくりなどに取り組んでまいりました。
この間、議員御指摘のとおり、高齢化の進展などにより農業就業人口の減少が続く中、本県農業は大規模な経営体が生産の中心になりつつあります。こうした動きを加速させるためには、経営規模の拡大や多角化、高度化、これに対応できるスマート農業への取り組みとか、あるいはGAPなどの高度な生産管理手法の導入による経営改善など、新たなニーズへの対応が求められております。このため、今後、農業普及員の能力向上、それから普及指導活動の高度化を担うスーパーバイザー機能を強化するとともに、大規模経営体の経営の高度化、あるいは生産性、市場性の高い産地づくり、それから新規就農者の確保、育成などについて、市町村、農協、あるいは農業者のリーダーの方々などと一体となって活動する体制を整備していくことが必要であり、今後とも、普及指導活動の一層の充実強化を図ってまいります。
〇44番(工藤勝子君) 私が生まれてからこういう普及事業が始まり、70年になるわけであります。うちの母の時代は、緑の自転車で通ってくる農業普及員たちがおったと聞いております。そして、台所の改善、食生活の改善、そしてその地域を担う人を育ててきた、これは農業普及員ならではの非常に大きな成果だと、私は高く評価をしているところでもあります。
私は、そういう農業のこれからの近代的なさらに上をいく指導をしていくということは、今後も農業普及員に求められていくものだと思っておりますし、その中で、地域を支える人材なりそういう人たちをしっかり育ててくれる農業普及員たちへの農家の期待というのは、まだまだ大きいと思っております。
この広い県内に4広域振興局があるわけですけれども、その重点地域を考えながら、その地域に見合った専門技術員をしっかりと配置して、その地域の、例えば、県北地域、県南地域、沿岸地域、県央地域、いろんな形で地域の人たちにしっかりと指導できる体制を整えてほしいと思っておりますけれども、この農業普及員の配置について、もう一度部長に聞いてみたいと思います。
〇農林水産部長(上田幹也君) ただいま議員からお話がありましたとおり、地域の農業の振興に関しましては、これまでも農業普及員が非常に大きな役割を果たしてまいりました。現在でも地域の農業者の方々からは、農業普及員に対する期待が非常に大きいと感じております。ぜひとも、そういった地域の課題あるいは希望に沿えるように、農業普及員を有機的にあるいは効率的に配置をしていきたいと考えております。そのように努力をさせていただきたいと思います。
〇44番(工藤勝子君) よろしくお願いしたいと思います。
農業は、法人化による大規模経営と、中山間等条件不利地域における個人や中小規模経営との二極化が進んでいると思っております。
国も県も、どちらかと言えば法人化や組織化に力を入れて、支援策もあるわけですが、一方で、条件不利地域においても、農地や水資源を守り、郷土芸能や食文化を継承しながら、また、ニホンジカやイノシシ等の野生動物の被害を受けながらも頑張っている農業者が多いことも現実であります。
国連におきましても小農の権利宣言を採択しており、小さな農業の権利を守る、そして種子を守ることなどが宣言されておりますが、これには日本政府は棄権をしております。ですから、私は、いかに国もいろんな形の中で大きな組織へ力を移していこうとしているかということが、実際にわかったような気がいたしました。国連が採択したからといって、国の農業が変わるわけでもありませんし、私たち条件不利地域で農業をしている人たちの農業が変わることがないと思いますけれども、でも、国連でこういうことを認めているということは私は大きいと思っております。
中山間地域においても、土地改良事業を希望する地域が、県内30カ所以上申請されていると聞いております。圃場整備を進めるに当たっては、何よりも財源の確保が重要であると思っております。
そこで、中山間地域における圃場整備の現状、課題の整理と今後の計画的な取り組みについてお伺いをいたします。
〇農林水産部長(上田幹也君) 本県の中山間地域の圃場整備の状況でございますが、30アール区画以上の水田整備率が47.4%と、平場に比べまして16.4ポイント下回っております。また、現在、39地区で約2、600ヘクタールの圃場整備事業を実施しておりますほか、事業採択に向け、34地区が事業計画の策定に取り組んでいるところでございます。
中山間地域におきましては、担い手の確保それから農地の利用集積が課題となっておりまして、その解消に向けまして大きな契機となる圃場整備を推進することが非常に重要だと考えております。
また、整備に当たりましては、急勾配あるいは農地分散など中山間地域特有の条件を勘案しながら、大区画にこだわらない区画形状の選択など、地域ニーズに合わせたきめ細かい整備を進める必要がございます。このため、県では、事業計画の策定に向けまして地域での話し合いを積み重ねて、担い手の明確化あるいは農地集積などの営農ビジョンづくりの支援などに取り組むとともに、整備がおくれている本県中山間地域の実情を国等に強く訴えながら、引き続き必要な予算の確保に努め、中山間地域の圃場整備に取り組んでまいります。
〇44番(工藤勝子君) ぜひ国に対して財源の確保を強力に進めてほしいと、そのように願っております。
こういう条件不利地域で整備されると、そこにしっかりとした担い手も何人か残って、その農地を担って経営をしていくことにつながると思っております。そういうことによって、遠野市における中山間地域の圃場整備により、法人化になったり新たな6次産業化に取り組んだりしている地域があるわけであります。そして、ある地域から、ぜひ自分の地域でも、面積は少ないですけれども地域がまとまってやりたいのでお願いしますということがありました。しかし、聞いてみると、先ほど答弁があったように三十何件あるわけであります。そうすると、私はその地域に対してごめんなさい、今このぐらいあるのです。県はどういう優先順位をもってこの工事に入っているか私はちょっとわかりませんので、もう少し待っていただきたいと話をしたところであります。非常に大事な要素だと思っておりますので、お願いいたします。
東日本大震災津波の発生から間もなく7年と9カ月になります。国からの大きな財政支援を受けて、復興の完遂に向けて事業が進められておりますが、復興事業の中には一部のおくれもあると思います。安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生の3本の柱を立て、もとの暮らし、さらには新しい復興の姿をつくるべく努力していると思いますが、全ての被災者の日々の生活とそして心の復興、そして健康に対する課題が、ハード事業が終わった後でも最後まで残っていくのではないかということを思っております。
そこで、2020年度までの国の復興・創生期間を超えると捉えている事業について、また、国の支援期間が終了した後においても、県として支援を継続する予算が確保できるのかについてお伺いいたします。
〇復興局長(佐々木信君) 復興事業についてでありますが、国の復興・創生期間の終了後においても、被災者の心のケアや本設移転後の事業者への支援など、施策の進捗状況や被災地の実態等を踏まえた事業の継続が必要と考えております。これらに加え、東日本大震災津波の事実や教訓の伝承、情報発信などに係る事業など、未来のために永続的に実施していくべき取り組みもあります。県としては、こうした復興事業に係る財源確保のため、国に対して、ことし6月に実施した2019年度政府予算提言、要望において、施策の進捗状況や被災地の実態等を十分に踏まえ、国の復興・創生期間終了後も、必要な事業及び制度を継続するよう要望したところです。
一方、国においては、2020年度までの復興・創生期間における東日本大震災からの復興の基本方針について、今年度中を目途に必要な見直しを行うこととしており、その検討とあわせて、復興・創成期間後も対応が必要な事業の整理と支援のあり方についても検討が行われていると伺っています。
県といたしましては、基本方針の見直し後に見込まれる個別の事業に係る国との協議等を通じて、復興を進めるために必要な事業や制度の継続について、その財源の確保をも含め、国に対して要望や提言を行いながら、被災者一人一人の復興がなし遂げられるよう、必要な取り組みは最後まで実施していく考えです。
〇44番(工藤勝子君) 国も、復興が全て終了するまでというようなお話をされているわけでありますけれども、2020年度までという期間があるわけでもありますので、その後も住宅の再建や心のケア、そして健康づくりなど、大きな課題をまだまだ抱えていると思っておりますので、県のさまざまな支援をぜひ継続できるようにお願いを申し上げたいと思っております。
ことしの10月末現在、プレハブ応急仮設住宅で1、341戸、2、805人の方々が生活し、これから寒い冬を迎えようとしております。この間は、大槌町でプレハブ住宅が風で飛ばされたという事故もありました。けが人がなくてよかったと思っております。そういう中において、土地区画整理事業が終了し、これから持ち家を建てる人たちもいるわけですが、被災された全ての人たちが、安全に安心して暮らせる住宅に住むことができる時期の目途をいつごろと考えているのか、お伺いしたいと思います。
〇復興局長(佐々木信君) 被災者の住宅再建についてでありますが、災害公営住宅は、沿岸部の住宅が2019年度に完成し、内陸部の住宅も含め、2020年度には全て完成して入居することができる見込みです。
また、土地区画整理事業等の面整備事業については、2019年度末の進捗率が98%と見込み、2020年度には全ての宅地が供給される見込みであり、宅地引き渡し後に住宅が順次再建されることになります。
こうした状況も踏まえ、県としては、全ての被災者が一日も早く恒久的な住宅に移行できるよう、市町村と連携して、一人一人に寄り添った支援を行ってまいります。
〇44番(工藤勝子君) 2020年度までには全てが完了すると、災害公営住宅も完成するとあります。現在の進捗率は、本年10月末現在で93.4%、5、470戸が整備されております。県及び市町村の災害公営住宅の現在の入居率についてお伺いをいたします。
〇県土整備部長(八重樫弘明君) 県及び市町村の災害公営住宅の入居状況についてでございますが、本年10月末現在、県は、管理戸数1、483戸に対しまして入居戸数1、321戸で、入居率は89.1%、市町は、管理戸数3、917戸に対して入居戸数3、622戸で、入居率は92.5%、全体としましての入居率は91.5%となっております。
〇44番(工藤勝子君) 報道によりますと、災害公営住宅について空き室がふえている。今は平均値で90%以上になっているわけですけれども、入居された後転居したり、つまり、持ち家を建てて移っていく人たち、また、高齢で残念ながら亡くなられたりと、今後も空き室がふえていく状況ではないでしょうか。
空き室の増加によって、エレベーターや照明など、共用部分の光熱費など共益費を上げなければならない団地もあると聞いておりますが、県として、災害公営住宅の共益費への支援を行う考えはないのか、お伺いをしたいと思います。
〇県土整備部長(八重樫弘明君) 災害公営住宅の共益費についてですが、現在、県が整備した災害公営住宅の入居率は89.1%となっております。災害公営住宅を含む県営住宅においては、入居者が共用する廊下等の照明、エレベーターの電気料金などの共益費については、利用者であります入居者がこれを共同して負担いただいているところであり、一般の県営住宅との公平性の観点からも、支援措置は難しいものと考えております。
県としては、災害公営住宅の空き室ができるだけ生じないよう、今後も完成前の内覧会の開催や入居相談の実施、空き室に対する随時募集の実施など、市町村と協力しながら、災害公営住宅の入居の促進に鋭意取り組んでまいります。
〇44番(工藤勝子君) 災害公営住宅の空き室対策については、市町村によって、低所得者を対象とした一般募集で被災者以外の人たちを入居させている例もありますが、県では、全ての被災者が応急仮設住宅を退去、移転した後に行うつもりということをうかがっているところであります。
確かにまだまだ多くの方々が応急仮設住宅で生活をされているわけでありまして、全ての被災者が、持ち家なりそれから災害公営住宅に移られてなお空き室となった場合においては、県としてはどのような考えを持っているのか、お伺いしたいと思います。
〇県土整備部長(八重樫弘明君) 災害公営住宅への入居者の一般募集についてですが、一部の沿岸市町村では、一般募集を開始していると承知しております。
県におきましては、被災者の方々を広域的に受け入れるという役割のもと、災害公営住宅の整備を進めてきたところでございまして、今後は、被災者の応急仮設住宅からの退去状況などを踏まえまして、市町村とも調整を図りながら、県内全域において、被災された方々全ての入居希望に対応できると判断された時点で空き室への一般募集を開始できるよう、検討してまいりたいと考えております。
〇44番(工藤勝子君) 今現在、市町村では一般の方々も入居されている状況もあり、共益費についても、一部、市町村で負担しているところもあるわけでありまして、ぜひ県と市町村の整合性をしっかりとるように、同じ被災者として、団地に住む人たちによって差があってはならないと、私はそのように思っているところでありまして、その辺のところを市町村としっかり連携をとりながら、整合性を持っていただきたいと思っているところでもあります。
政府は、2020年度までに、岩手県、宮城県の応急仮設住宅を解消する方針を発表しておりますが、暮らしの再建が厳しい世帯に対する支援をどのようにされていくお考えなのか、お伺いしたいと思います。
〇復興局長(佐々木信君) 応急仮設住宅解消に向けた支援についてでありますが、現在、応急仮設住宅に入居している世帯のほとんどは、災害公営住宅の完成や土地区画整理事業等の面整備事業の完了を待って恒久的住宅への移行を予定しており、再建の見通しが立っていますが、一部の世帯では、資金的事情や再建計画に変更が生じたことなどにより、再建方法や退去時期が未定となっている状況にあります。
県では、応急仮設住宅に入居している世帯が一日も早く恒久的な住宅に移行できるよう、また、移行後も安心して生活することができるよう、沿岸に設置している被災者相談支援センター及びいわて内陸避難者支援センターにおいて相談支援を行っているところであり、引き続き市町村と連携しながら、被災者一人一人に寄り添った支援を行ってまいります。
〇44番(工藤勝子君) なかなか応急仮設住宅から離れられない世帯があるとも伺っております。そういう中において、災害公営住宅は家賃が非常に高いというイメージがある。確かに私たちが行ってみても、あのようなマンション的な建物が建っているわけでありまして、一般の人が見たら、やはり家賃が非常に高いのではないかというイメージが起きているのではないかと思っております。そういうことで、どうしても動けないと頑張っている人たちも中にはいると聞いておりますけれども、そういう人たちの相談に丁寧に乗りながら、そして訪問回数をふやしながらしっかりとした説明をしていく。そして2020年度までには、ぜひそれぞれの安全で安心していける恒久住宅に移るようにしていただきたいと思っておりますけれども、今後のそういう体制をどのように整えていこうとしているのか、訪問回数をふやそうとしているのか、お伺いをしたいと思います。
〇復興局長(佐々木信君) 現在、沿岸4地区に設置しております被災者相談支援センターには、合計で9名の相談員を配置して対応しているほか、弁護士やファイナンシャルプランナーなどの専門家による相談も実施しております。
また、盛岡市に設置しております岩手内陸避難者支援センターでは、センター長1名と相談支援員8名により、主に沿岸市町から内陸市町に避難している方や県外への避難者の方を対象に、生活再建に必要な各種制度の紹介や福祉サービス利用も踏まえながら、安心して暮らせる住まいの確保に向けた相談支援に取り組んでいるところでございまして、今後につきましても、被災者からの相談の状況に応じて、その対応を行ってまいりたいと考えております。
〇44番(工藤勝子君) 相談は、相談する人とそれから相談を受ける人、そういう信頼関係というのは私は非常に大事になってくるのではないかと思っておりますので、被災者に寄り添うという目標があるわけでありますので、ぜひ寄り添って、本当にその人たちの思いというものを聞いてほしいと思っているところでもあります。
次に、前副知事でありました上野善晴氏の県政顧問への就任についてお伺いをいたします。
上野善晴氏は、平成22年9月から平成25年6月までの約3年間、副知事として、東日本大震災津波からの復旧、復興を初め、本県の産業振興や人材育成等、現場主義を貫き県政の発展に御尽力され、その功績は大変大きいものがあると私は思っております。また、一個人としても感謝しているところでもあります。
知事は、本年8月に、上野氏を県政顧問に任命されておりますが、副知事が2人体制になりまして、役割分担をしながら課題に取り組んでいるところ、上野県政顧問に対してどのような役割を期待しているのか、知事にお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 上野県政顧問は、副知事在任中、産業経済分野を主に担当し、企業立地推進や観光振興などに手腕を発揮し、東日本大震災津波からの復旧、復興に当たっては初代復興局長を兼務し、復興計画の策定や国との調整などに尽力されました。また、財務省等での豊富な行政経験に加え、日本政策金融公庫の代表取締役専務として活躍したところであり、本県の復旧、復興施策や国の施策動向、さらには産業振興、企業誘致に係る専門的な知見を有していると高く評価しているところであります。
上野県政顧問には、被災地の現状や国内外の社会経済動向等を踏まえ、専門的知見を生かした復旧、復興施策や産業振興等に関する助言や提言等を期待しています。
〇44番(工藤勝子君) 上野県政顧問が就任されましてから約4カ月が経過しておりますが、この間、どのような活動を行っていただいたのか、お伺いしたいと思います。
〇復興局長(佐々木信君) 上野県政顧問の活動状況についてでありますが、8月1日の就任以降、沿岸市町村や被災した企業を復興局職員とともに訪問し、市町村長や事業者から復興の現場で抱える課題などについて状況を伺ったほか、岩手県東日本大震災津波復興推進本部会議にも参画しているところです。
また、商工労働観光部の職員とともに、県内の金融機関や商工関係団体、企業はもとより、県外の企業を訪問しているほか、10月に東京都で開催した企業誘致セミナーや、先月さいたま市で開催したいわて三陸復興フォーラムにも出席するなど、精力的に活動を行っているところです。
こうした活動を通じた県政顧問による助言や提言等を今後の施策推進に生かしてまいりたいと考えています。
〇44番(工藤勝子君) 最後に知事にお聞きいたします。
新しい総合計画が出されました。そしてさらにまだ復興もあるわけでありますけれども、知事は岩手県民の幸福を実現させていく大きな役割を私は担っていると思っていますが、次の知事選挙に対して、どのようなお考えを持っているのかお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 私といたしましては、県民の皆様からいただいている負託に応えて、なすべきことをなすということを考えて行動しているところであります。
〇44番(工藤勝子君) 簡潔明瞭な答えでありましたけれども、多分おなかの中にはあるだろうと思っております。
以上をもって質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(佐々木順一君) この際、暫時休憩いたします。
午後2時32分 休 憩
出席議員(46名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 千 葉 絢 子 君
3  番 ハクセル美穂子 君
4  番 菅野 ひろのり 君
5  番 柳 村   一 君
6  番 阿 部 盛 重 君
7  番 佐 藤 ケイ子 君
8  番 佐々木 宣 和 君
9  番 臼 澤   勉 君
10  番 川 村 伸 浩 君
11  番 田 村 勝 則 君
12  番 工 藤   誠 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 吉 田 敬 子 君
15  番 佐々木   努 君
16  番 千 葉   進 君
17  番 佐々木 朋 和 君
18  番 名須川   晋 君
19  番 軽 石 義 則 君
20  番 神 崎 浩 之 君
21  番 城内 よしひこ 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 佐々木 茂 光 君
24  番 高 橋 孝 眞 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 工 藤 勝 博 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 高 橋   元 君
32  番 関 根 敏 伸 君
33  番 岩 崎 友 一 君
34  番 中 平   均 君
35  番 五日市   王 君
38  番 斉 藤   信 君
39  番 小野寺   好 君
40  番 飯 澤   匡 君
41  番 佐々木 順 一 君
42  番 田 村   誠 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 工 藤 勝 子 君
45  番 柳 村 岩 見 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 大 輔 君
48  番 樋 下 正 信 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時53分再開
〇議長(佐々木順一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第1、一般質問を継続いたします。郷右近浩君。
〔30番郷右近浩君登壇〕(拍手)

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