平成30年9月定例会 第14回岩手県議会定例会会議録

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〇6番(阿部盛重君) 改革岩手の阿部盛重でございます。
今回、一般質問の機会を与えていただきました先輩、そして同僚議員の皆様に感謝申し上げます。
東日本大震災津波の発災から7年6カ月が経過し、本県に上陸した平成28年台風第10号の災害から2年が経過しました。そして、本年は7月に西日本豪雨災害、9月4日には台風第21号、そして6日には北海道で最大震度7の地震災害が発生しました。犠牲になられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、御遺族や被災された方々に謹んで哀悼の意を表します。
また、避難所、そして応急仮設住宅などで生活を余儀なくされており、不自由な生活を送られている方々を初め、被災者の皆様に、心からお見舞いを申し上げます。
本県として、西日本豪雨の被災地支援の災害派遣、医療と福祉チーム、保健師、県警の広域緊急援助隊、復旧、復興応援職員長期派遣、北海道胆振東部地震対応では、緊急消防援助隊のほか、応援本部を軸に支援に当たられていることに敬意を表します。
それでは、順に質問させていただきます。よろしくお願いいたします。
まず初めに、危機管理についてお伺いいたします。
危機とは、予想を超えること、まさかというようなことが起こったときから始まると言われております。組織全体として対応すべき通常の業務も、部局内で対応、処理できるように設計されていて、業務効率を考えると、通常業務が自己完結的に遂行できるように組織の規模や権限は配分されております。ただ、それでは処理できずに、組織全体を巻き込んだ対応が必要となるような出来事が危機であると考えられています。
危機が発生した場合、情報収集、共有が大きな意味を持ち、危機発生の当初はいろいろな混乱が生じますが、それを解消するには、今の状況を迅速にかつ正確に人々に知らせる広報が大きな役割を担うことでもあります。
危機管理は1人ではできない。危機管理のための体制づくり、これはかかわりを持つ人、かかわりを持つと信じている人とともに危機管理を進めない限り、その成功は難しい。こうした組織の利害関係をステークホルダーと呼ぶことが多く、危機管理の第一歩は、誰がステークホルダーなのかを明確にし、その人たちと一緒に危機管理に取り組む体制を構築することだと思います。アイデアを持つ人、決まったことを実行する人、必要となる専門技術を持つ人、創造性に富んだ人、自分たちが影響を与えたい人と考えている人たちをステークホルダーと考えるべきと思います。
そこで、県の危機管理のための体制づくりについて、知事の見解をお聞きいたします。
次に、リスクマネジメントについてお伺いいたします。
組織の危機管理能力を向上させるためには、組織の業務遂行水準を、どのような不測の事態にも対応できるように継続的に向上させることだと思います。それを実現する仕掛けを日常業務の体制に組み込むことが、危機管理の重要なステップとなります。こうした取り組みはリスクマネジメントアプローチとされ、不測の事態に対する組織の対応という面でもPDCAサイクルを適用することが求められます。
組織の危機管理能力を向上させるためには、リスクマネジメントの取り組みが重要と考えますが、県としての認識をお伺いいたします。
企業の事業継続が危機管理の中心命題になった大きなきっかけとして、企業の活動へのコンピューターの導入がありました。企業の業務遂行は、ネットワーク化されたコンピューターに依存しているため、事故や災害などによるコンピューターの停止やデジタルデータの消失は、企業の事業継続にとって最大の障害となります。この企業の事業継続の重要性は、9.11の米国同時多発テロによって一段と深まったと言われております。
日本でも、2005年から内閣府は事業継続ガイドラインを公開し、地震に特化した企業の事業継続マネジメントの普及を促進しています。その背景には、今後30年間に70%の確率でマグニチュード7規模の首都直下地震が起こると予測される未曾有の災害があります。
事業継続の取り組み、すなわち事業継続計画は、決して企業だけに適用されるものでなく、行政、NPO、学校など、どのような組織においてもさまざまな不測の事態に備えておくべきと考えられます。
組織のリスクを最低限にとどめるため、どのような対応をされるのかお伺いいたします。
日本の行政機関は、自然災害に対する危機管理計画として、災害対策基本法に基づき、国では防災基本計画並びに各省庁の防災業務計画、地方自治体では地域防災計画を策定しております。しかしながら、日本は今世紀前半に南海トラフを震源とする地震も懸念され、このような巨大地震災害に対して、より効果的な備えを行う防災戦略を策定しております。
国土交通省は2006年に建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部改正を実施し、都道府県に耐震化率に関する数値目標を持つ耐震改修促進計画の策定を義務づけました。
地方自治体では、危機管理のための計画として地域防災計画を定めていますが、この計画は、防災に関するあらゆる対策について網羅的に書かれた計画であり、より戦略的に防災対策を進めるための計画として、地方公共団体の防災アクションプランがあります。地域で想定される地震被害を知り、効果的な対策を立案するために、現状分析として被害想定が行われ、その被害想定に基づいた地震による被害で死者、建物被害などをどれだけ減少させられるのか、さらには応急対応、復旧、復興をどれだけ円滑に行うのかについて、達成目標を実現するための実行計画であります。
各都道府県の計画では、事前に行うべき被害軽減、抑止のための目標設定は行われていますが、発災後の応急対応、復旧、復興施策については、適切な指標が提案されていないこともあり、数値目標が設定されていないことが多いとされています。
災害後、応急対応、復旧、復興を円滑に進めるための達成目標実現のための実行計画について、本県の状況をお示しください。
本県では、災害時に現地の状況を的確に把握するため、被災市町村に派遣する現地連絡員-リエゾンの体制強化が進められています。被災市町村が広域の場合、限られた職員の中で、派遣人員の対応、そしてリエゾンパックの配備が5カ所だけでは、県内を網羅できないのではないかと思います。
災害時に現地状況を把握するためのリエゾンについて、県の対応策をお伺いいたします。
報道によれば、西日本豪雨による土砂崩れなど広島県内の犠牲者の約7割が、土砂災害警戒区域など、あらかじめ災害が想定された地域で亡くなられております。区域設定が必ずしも避難行動につながっていない課題が浮き彫りになりました。本県ではどのように対応をされていくのかお伺いいたします。
また、平成30年3月現在、全国で約53万カ所が土砂災害警戒区域に指定され、本県では8月末現在5、841カ所となっています。そのうち土砂災害特別警戒区域において、沿岸広域振興局管内11カ所で宅地開発されていますが、開発を避けることも減災につながることと思います。
今後の土砂災害特別警戒区域の宅地開発を県はどのように受けとめ対応されるのか、お伺いいたします。
政府は、東日本大震災津波で65歳以上の死者が全体の約6割を占めたことを踏まえ、災害対策基本法を改正して、2014年から避難行動要支援者名簿の作成を市町村に義務化しました。報道によれば、西日本豪雨被害の岡山県、広島県、愛媛県3県の市町村の8割以上で、災害発生時に自力避難が困難な高齢者や障がい者ら災害弱者一人一人に、支援者や避難先を定める個別計画の策定が完了しておらず、その理由として、自力避難が困難な要支援者の名簿を提供し、自主防災組織などの計画策定作業を支える市町村の人手が足りず着手できないケースや、支援者確保が難航することも多いとされ、本県の各市町村からも同様の要望を受けております。
また、個別計画については法的な義務がないことも、全国的に作成が低調となっている要因の一つと聞いております。
本県では、本年5月1日時点で、避難に手助けを要する避難行動要支援者として33市町村、8万1、423人が名簿に記載され、このうち本人同意のもと支援関係者に名簿情報が事前提供されている人が3万5、896人にとどまっている現状です。
〔議長退席、副議長着席〕
県では、避難行動要支援者の避難について、どのように課題を認識され、今後どのように市町村への支援を行うのかお伺いいたします。
災害時の体育館などの避難所において、大変な思いをされている方々が多いのが現状です。東日本大震災津波の避難所の被災者体験で、車椅子で生活している方が、仮設トイレに行きたくても、段差があったり手すりもなく行けなかったり、高齢者、障がい者などは、洋式タイプがあればよかった、乳幼児のいる家族には、夜泣きをしても気にならない部屋があればよかったとか、女性専用の着がえ場所があればとか、このような内容は県でも十分に把握されていることと思います。ただ、残念なことに、今回各地で起こった災害時の避難所では、なかなか対応されていないようであります。
本県では、もし災害に見舞われた場合には、要配慮者、女性などに対して、避難所でどのような具体的な対応をお考えかお伺いいたします。
また、災害情報の伝え方でありますが、気象庁が出す特別警報は最後の通告の意味合いが強く、地域の皆さんには災害リスクを知ってもらうことが大事で、自分が住む地域のリスクを認識していれば、早目の避難につながるし、住民同士の共助も強めることができると思います。
さらに、気象予警報等の基本用語を理解しておくことも必要であります。災害に結びつくような大雨が降ると、大雨注意報から大雨特別警報の順に発表され、自治体では、想定外の豪雨の際、ためらわずに避難情報を出す判断力が求められるわけです。
また、学校で子供への防災教育においても、地域の中心となる親世代に理解をいただき巻き込むこともポイントであり、正しく防災を理解し、災害から生き延びる力を身につけることが必要でもあります。
本県として、今後の災害に備え、防災知識、防災教育についての必要性について、知事のお考えをお伺いいたします。
次に、エネルギー産業についてお伺いいたします。
気候変動の問題に関する最新の科学的知見の評価を集めたレポートでは、地球の平均気温は産業革命前と比べて0.85度上昇し、海水温、海水面水位、雪氷減少など観測データが深刻さを示しています。
温暖化を食いとめようと国連のもとで2015年に採択されたパリ協定では、産業革命前から温度上昇を2度未満に抑える、今世紀後半にカーボンニュートラルを達成するという目標が掲げられました。カーボンニュートラルとは、人為的に排出されるCO2の量と植物などに吸収されるCO2の量をプラス・マイナス・ゼロにするということですが、日本もパリ協定のもと、2030年度には2013年度比26%削減という目標を掲げ、その先の2050年には80%削減を達成しなければならないとされています。
そのため、エネルギーに関するインフラ構築のスリム化が必要です。これまで大規模な発電所で大量の電気を発電し、遠距離送電により消費地まで届けるシステムでしたが、今後は、脱炭素化の要請もあり、再生可能エネルギーの導入が進展されていきます。
代表的な再生可能エネルギーといえば太陽光発電と風力発電ですが、人間が発電量をコントロールすることはできないわけです。電気には必要とされる需要量と同量の発電が常に行われている必要があるという技術的な制約があり、この制約をクリアしなければ安定した電気の供給ができないわけで、その欠点を補う蓄電池の価格が将来、指数関数的に下落すれば、再生可能エネルギーと蓄電池の組み合わせにより電気の安定供給が可能にもなっていきます。
日本が今利用するエネルギーのうち電気の占める割合は25%程度であり、残りの75%はガソリンや都市ガスなど化石燃料が占めています。電気は二次エネルギーであり、CO2を排出しない一次エネルギーからつくることができ、他方、需要側で化石燃料を消費するボイラーや内燃機関からのCO2の排出を削減するには、使用抑制が主となり、低炭素な電力で代替していけば、エネルギーの消費量を過度に抑制することなくCO2削減が可能になります。
さらに、ガソリン車をEVで代替していくことは、電気の蓄電設備としての意義で、EVやエコキュートなど蓄エネルギー機器の導入が進めば、再生可能エネルギーと蓄エネルギー機器で発電事業の主要なプレーヤーになる可能性もあると思います。
その先に再生可能エネルギーと水素という組み合わせもあると思います。分散型電源が発電した電気によって水を電気分解して水素を製造し、近くを通る天然ガスパイプラインやガス配管に流し込めば、分散型電源で発電された電気を無駄なく使えます。このような需給構造の大胆な変革も必要ではないかと思います。
今世紀後半には脱炭素化の圧力が強まる中で、BER、いわゆるピーク電源ですが、カーボンフリー燃料としてCO2フリーの水素、アンモニア、これは広い意味で水素と言えますが、微細藻類バイオマス、人工光合成などが現実的な選択肢となり得ます。これらの燃料は、電化できないエネルギー利用においても化石燃料を代替していくものと思います。
今後は、自由化、人口減少分散型発電DERの指数関数的成長などによって、化石燃料需要は不確実性を増してきますから、エネルギー供給体制の柔軟性を高めていくことが求められます。
本県として、CO2削減のため水素を利用した取り組みや産学官民金との連携成果についてお伺いいたします。
次に、障がい者の就労についてお伺いいたします。
国際障害者年では、完全参加と平等がスローガンとして採択され、ノーマライゼーション正常化の概念が、我が国の障がい者施策の中にも広がってきております。この正常化は、高齢者や障がい者などを施設に隔離せず、健常者と一緒に助け合いながら暮らしていくのが、正常な社会のあり方とする考え方になっています。
ノーマライゼーション社会を築くため、経済的見地からだけの施策でなく、福祉社会を形成するためという大見地に立った展望が望まれております。
障がい者雇用については、健常な人たちの雇用条件に加え、作業指導や生活指導などのサポートが必要で、単に人手が足りないから、忙しいからとの理由だけで採用するのではなく、その対応を万全に整えなくてはなりません。
障がい者雇用をする受け手となる事業所や企業などの業種もいろいろあり、その中の作業の内容にも、身体労働的なものから事務的なものまで、就労者の適性に合った内容の職種や職場もいろいろあります。これからの障がい者就労の推進活動も、単に総体的な論点だけでなく、具体的な職場や作業内容を想定して進めていかないと実質的な普及につながってこないものと、施設を運営されている方もおっしゃっておりました。
全国各地や海外での障がい者就労の実績などを見ると、特に農業分野、環境分野などに成功例が見られます。農業分野においては、単に米づくりや野菜、果実づくりなど1次産品としてだけでなく、加工から販売工程に至るまでの6次産業化を目指す動きの中で、付加価値を獲得し、従来の低賃金から脱皮している障がい者雇用事業も出てきております。
農林水産省においては、障がい者の農業分野での雇用の推進が明記され、植物の栽培、動物の飼育などの作業は、やり方を工夫すれば障がい者が働く職種として対応可能にもなります。農家側にとっても、減少した労働力の確保に寄与でき、農業で障がい者が自立していけるよう応援することができるわけです。
また、一般に園芸療法-ホーティカルチュラルセラピーは、園芸福祉などとも言われ、癒やしや障がいの機能改善にもつながる効果が期待されています。ただ、雇用する側の条件としては、障がい者へのサポート体制などがあるか、何よりも原則的な報酬の支払い能力が、一番問題になっているのも事実です。
また、一方で、福祉施設など福祉関係団体などのグループでも、障害者総合支援法などの趣意からも独立経営を目指す動きが活発で、その職種として農業分野に挑戦している事業者も多くあります。
国の法律では、民間事業主は、平成25年4月1日から平成30年3月までの雇用率ですが、そのうち常時雇用する労働者の2%以上は障がい者を雇用しなければならないことが定められています。すなわち、50人の従業員に対し1人以上の障がい者雇用が義務づけられています。
先般、中央省庁や国の機関などで法定雇用率を水増ししたことが発覚したことは大変残念なことでありますが、平成29年6月1日時点において、本県では、実雇用率2.16%と前年を上回り、法定雇用率2.0%も超えており、全国平均1.97%も上回っています。
法定雇用率を達成している企業は残念ながら57.5%にとどまっていますが、その中でも、本県における環境関連の業種の取り組みは全国的に注目されており、リサイクル事業所では、精神障がい者や知的障がいのある人たちのしっかりした仕事ぶりが地域の人から評価され、地域おこしにもつながっているとのことです。
さらに、一戸町の奥中山高原地帯は、多くの障がい者施設と高原野菜農家が存在しており、まさに福祉と農業の共生地域として、双方の関係者が協業して、地域特産農業を守り続けています。
このように、障がい者雇用が地域活性化につながっている例もあることから、本県は、全国的にも評価をいただいているわけです。今後、さらに障がい者雇用を推進するために、障がい者の就職に向けた準備や訓練について、本県では具体的にどのような取り組みを行っているのかお伺いいたします。
さらに、農林水産省の農林水産政策研究所においては、農福連携チームが結成され、実態の調査や研究が進められ、また、鳥取県においては、福祉と農業が連携してプロジェクトチームを編成し事業を推進しています。
今後は、農業のほかに、他の分野における就労の場の確保が必要になってきております。ここに携わる人々の心身の健康保持や回復、仕事場における人間関係、それが地域を巻き込んでの活性化、人々の往来が頻繁になる観光化、そして、学び合い、支え合う教育的効果など多方面にわたる絶大な効果が期待されているわけです。
そこで、障がい者の多様な就労の場の確保について、現状と今後の対応策について知事にお伺いいたします。
次に、ILC誘致実現についてお伺いいたします。
北上山地が有力候補となっている素粒子実験施設、次世代の大型加速器ILC国際リニアコライダーについては、2017年11月の国際会議で、全長を短縮して初期投資を抑えるステージングが承認され、初期整備延長は31キロメートルから20キロメートルに短縮され、施設の建設費も約8、000億円から約5、000億円となり、初期建設コストの大幅な削減につながったわけです。
そして、2018年12月に策定作業が始まる欧州の次期素粒子物理5カ年戦略に日本政府の建設方針を盛り込まなければ、ILC実現は事実上難しいとされております。
さらに、中国国内では、ILCのライバルとされる巨大円形加速器CEPC円形電子・陽電子衝突型加速器を2020年ごろから建設する計画が進行中で、現実のものとなれば、日本を含む世界中の科学者や技術者が中国に集中し、ILC計画は頓挫してしまうおそれがあります。
ILC実現へとつながる鍵として、日本社会の声の高まりが必要であると言われております。国の対応として、2017年11月に国際研究者コミュニティーがILC計画の見直しを公表したことから、ILCに関する有識者会議の二つの部会である素粒子原子核物理作業部会、技術設計報告書検証作業部会を再開し、2018年1月以降、見直し後のILC計画について再検証が開始、素粒子原子核物理作業部会では、欧州合同原子核研究機関における実験の進展状況を踏まえ、特に科学的意義について検証しました。
また、技術設計報告書検証作業部会では、トンネルの長さが短縮されたことや加速器のコスト削減の研究開発の進捗を踏まえ、コストや技術的フィージビリティーなどについて検証したところです。
また、ILC計画は国際協力が必要不可欠であることから、本年1月、超党派のILC国会議員連盟が政産学官の各層でILCに関する対話議論を進めました。これを受け、官のレベルにおいても、文部科学省とフランス高等教育・研究・イノベーション省及びドイツ教育・研究省との意見交換を行っていくことを初め、超党派の国会議員連盟や関係組織などを加えた連絡協議会を設立し、今後、国家プロジェクトと位置づけるよう政府への働きかけを進めるとされています。
本県でも、県先端科学技術研究センターの岩手ILC連携室にILCオープンラボを設置し、高エネルギー加速器研究機構で使用されたILCの心臓部クライオモジュールを常設展示し、ここ1カ所でILCの全てがわかる施設として拠点機能の強化を図っているほか、ILCの推進モデル校8校を指定し、ILCを担う人材育成事業を展開、加えて、経済波及効果として、建設から20年間で5兆7、200億円となる試算を公表し、ことし8月には、各関係団体にILC日本誘致に向け年内に方針を打ち出すよう要望活動も行われました。
また、ILC100人委員会も発足し、財界人、文化人など各界での発信力やパイプを生かしたILCの意義の発信のほか、ILCサポーターにおいては、30万人を目標に呼びかけるなど、機運醸成が活発になっております。
ILC誘致実現には、これらのことをさらに一層進める中で、特に国民理解や国内外の科学コミュニティーでの周知などが重要と考えますが、知事の所見と対応策をお伺いいたします。
最後に、東京2020オリンピック、パラリンピックへの食材提供についてお伺いいたします。
6月12日に会派内の自由党系議員有志による視察を実施し、新国立競技場建設現場、東京オリンピック、パラリンピック競技大会推進本部のヒアリングなどにより、開催まで2年を切った準備状況を実感したところでございます。
諸外国から多くの人が日本を訪れる東京2020大会は、日本の食の魅力、岩手の食材の魅力を世界に発信する好機と考えますが、県では、食材提供についてどのように取り組んでいるのかお伺いいたします。
また、必要とされる国際水準GAPの認証取得や岩手県版GAPの確認登録などに対する後押しの施策についてもお示しください。
以上で質問を終わりますが、答弁によっては再質問させていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 阿部盛重議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、県の危機管理体制についてでありますが、県では、地震、津波、風水害等の自然災害を初め、林野火災等の大規模火災、感染症及び鳥インフルエンザなどから県民の生命、身体及び財産が守られるよう、さまざまな危機管理事案に備える体制を整備しておくことが重要と認識しております。
このため、夜間、休日等を含めて職員による24時間危機管理体制を敷き、危機管理事案の発生に備えるとともに、危機管理事案ごとの対応マニュアル等を定め、関係機関の役割分担と行動内容を明確にし、訓練や研修を行っているところであります。
また、国、市町村、警察、消防、自衛隊、関係機関、団体等と顔の見える関係を構築し、連携の強化を図ってきたところであり、9月6日に発生した北海道胆振東部地震においても、消防庁からの緊急消防援助隊の派遣要請に応じて、県と県内5消防本部が調整し、地上部隊18隊65名及び県防災航空隊7名を迅速に送り出し、いち早く被災地での救助捜索活動等に当たったところであります。
今後におきましても、関係機関、団体等との連携をさらに深めながら、危機管理事案にしっかりと対応してまいります。
次に、防災知識の普及啓発についてでありますが、地震、津波や風水害などが発生した際に迅速に避難をするためには、日ごろから、県民一人一人が防災に関する知識を深め、防災気象情報等を正しく理解しておくことが重要であります。
このため県では、県政広報誌いわてグラフや県政テレビ番組などを活用した防災に関する情報の発信、防災セミナーや岩手県地域防災サポーターによるワークショップなどを開催して防災知識の普及啓発に努めてきたところであります。また、地域の中核となって防災活動を担う人材を育てるため、自主防災組織リーダー研修会の開催や、岩手大学と連携した防災リーダー養成講座、県教育委員会との共同による副読本を活用した防災教育や小中学校教員を対象とした防災教育研修講座を実施してまいりました。さらに、本年4月には、地震体験室を搭載した防災指導車の新車両防災そばっち号を導入して県内各地での防災教育や防災訓練等で活用していますほか、NTTタウンページ株式会社の協力を得て、防災啓発情報を掲載した冊子、いわゆる防災タウンページを年明けに県内全戸に配布することとしておりまして、県民の防災知識の普及啓発に向けた取り組みを進めてまいります。
次に、障がい者の多様な就労の場の確保についてでありますが、本年3月に策定した岩手県障がい者プランにおきましては、障がい者一人ひとりが地域の人たちと共に支え合う仲間として、いきいきと暮らし、幸福を実感できる社会の実現を目指しており、障がい者の多様な就労の場を確保することは、働くことの喜びや生きがいの実感にもつながり、自立と社会参加の促進に資するものと認識しております。
県では、障がいの特性や就労に当たっての留意事項をまとめたいわて障がい者就労応援ハンドブックを作成、配布するなど、多様な就労を促進しており、障がい者就労支援事業所においては、一般企業での就労が困難な障がい者が食料品の製造販売、清掃作業請負、飲食店営業などでさまざまな仕事に従事していますほか、子供の衣料品製造など新たな分野への参入も進められてきているところです。
また、農福連携の取り組みとして、農家等と就労支援事業所との作業委託に係るマッチング支援や、アドバイザー派遣による就労支援事業所への農業技術指導などを実施してきた結果、障がい者の農業分野での就労が拡大しているところであります。
県といたしましては、農福連携の取り組みを一層推進するほか、障がい者の就労に対する意識啓発を図るとともに、一般企業や特別支援学校などの関係機関とも連携し、障がい者の個性に応じた多様な就労の場の確保に向けた取り組みを強化してまいります。
次に、ILC誘致実現に向けた周知についてでありますが、ILCの実現には、ヨーロッパにおける素粒子物理5カ年戦略策定などの状況から、年末までが極めて重要な期間と認識しております。これまで、国への要望活動や地元として受け入れ環境の整備を積極的に進めてきていますが、ILC実現には、広く国民及び科学コミュニティーの理解、支持を得ることが政府判断の大きな力になると考えているところであります。
このため県では、関係団体とも連携しながら、ILC関連の国際学会におけるブース展示やILCサポーターズの積極的な展開、ILC100人委員会の活動支援のほか、約1、000人が参加し東京で開催されたノーベル物理学賞受賞者を招聘したシンポジウムを初め、延べ1万4、660人が参加したバキューム2018真空展への出展PRなど、広く全国に向けILCの周知、理解増進に取り組んでいるところであります。このようなことなどもあり、全国規模の報道番組や新聞記事、インターネットニュース等で取り上げられるなど、ILCへの関心が全国的にも高まり始めています。
今後も引き続き、国際学会における出展や首都圏等で行われるイベントなどを通じてILCの理解と支援を広げる活動を強化するとともに、ILC誘致実現に向けた決議を採択した自由民主党ILC誘致実現連絡協議会の動向や日本学術会議の審議状況を見ながら国への要望活動を継続して行うなど、ILCの実現に向けて全力で取り組んでまいります。
その他のお尋ねにつきましては企画理事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔企画理事兼総務部長佐藤博君登壇〕
〇企画理事兼総務部長(佐藤博君) まず、リスクマネジメントについてでありますが、グローバル化の進展や情報通信技術の飛躍的な進歩など社会経済情勢の大きな変化の中で、県の業務を取り巻くリスクは従前にも増して高まっていると認識しているところです。業務遂行上のリスクに適切に対応していくためには、日常業務の中で、それぞれの業務に関するリスクの分析と評価、対応策の検討を不断に繰り返していくことが重要であり、組織としてPDCAサイクルを徹底しながら取り組んでまいりたいと考えております。また、現在策定中の次期総合計画におきましては、新たに内部統制制度を導入することとし、財務事務や情報セキュリティーなどを対象に総合的かつ継続的にリスクマネジメントを行う体制を構築し、事務処理の適正性、透明性を確保することとしております。こうした取り組みを通じて、組織としてのリスクマネジメント能力を高め、安定的、持続的な県民サービスの提供に努めてまいります。
次に、本県の災害時の事業継続についてでありますが、大規模災害が発生した場合、迅速に応急業務を実施する一方、継続の必要性の高い通常業務も実施していくことが必要となります。
このため県では、第1に、県民の生命、生活及び財産の保護を最優先とするとともに、被害の拡大を防止し、県民生活や経済活動への影響を最小限にとどめるため、災害応急対策を中心とした非常時優先業務を優先的に実施すること、第2に、非常時優先業務以外の通常業務は、発災後しばらくの間、積極的に休止または非常時優先業務の実施に支障のない範囲で実施すること、第3に、非常時優先業務の実施に必要な人員、資機材等の確保、配分に当たっては、限られた資源を最大限有効に活用するため、全庁横断的に対応することなどを定めた岩手県災害時業務継続計画、いわゆるBCPを策定し、これに基づき、災害時における業務を実施することとしております。
次に、発災後の応急対応等に係る実行計画についてでありますが、国の中央防災会議における日本海溝・千島海溝周辺型地震の地震防災戦略の決定を踏まえ、本県では平成22年3月に岩手県地震・津波アクションプログラムを策定し、地域防災力の強化、地震や津波に強いまちづくりの推進、機能的な体制の整備などの取り組みを進めてきたところです。しかしながら、東日本大震災津波の発生により状況が大きく変化し、岩手県東日本大震災津波復興計画及び復興実施計画に基づき、毎年度、進捗管理を行いながら、海岸保全施設、まちづくり、ソフト対策による多重防災型のまちづくりを進めているところです。
現在、国においては、有識者会議を設置し、日本海溝と千島海溝を震源域とする巨大地震について、その規模や被害想定の見直しを行っているところであり、この想定に基づいて国の計画や防災戦略が改正されるものと伺っております。県といたしましては、これらの国の動向を注視し、復興の進捗状況も踏まえながら、地域防災計画や地震・津波アクションプランの見直しについて検討してまいります。
次に、リエゾンの対応についてでありますが、大規模な災害が発生するおそれのある場合等には、県庁の災害対策本部や広域振興局等に置いている九つの地方支部から被災市町村にリエゾンを派遣し、情報収集と伝達に当たってきたところです。このリエゾンの活動を機動的かつ効率的に実施するため、本年8月に、通信機器やパソコン、食料等を装備したリエゾンパックを県内5カ所に配置したところです。9月6日に発生しました北海道胆振東部地震においては、このパックを持参したリエゾンが現地から動画や画像を含むデータを送信することにより応援本部において現地の状況や支援ニーズを的確に把握することができ、早期に支援物資の送付や避難所運営支援などの応援職員の派遣につなげることができたところです。このように、北海道安平町での支援活動でリエゾンパックの有効性が確認できたことから、今後、未整備の地方支部への計画的な配備を進めてまいります。
〔県土整備部長八重樫弘明君登壇〕
〇県土整備部長(八重樫弘明君) まず、土砂災害警戒区域での避難についてでございますが、西日本豪雨では、土砂災害警戒区域等の指定に関する情報の周知や土砂災害警戒情報を受けた避難勧告等がおおむねなされていたにもかかわらず、十分な避難行動に結びつかなかったことにより多くのとうとい命が失われたことから、国土交通省では、有識者で構成される実効性のある避難を確保するための土砂災害対策検討委員会をこの8月に設置したところでございます。
この委員会では、平成30年7月豪雨による土砂災害の被害実態等の検証や実効性のある避難を確保するためのハード、ソフトの連携のあり方の検討を行っていくこととしており、県としてもその検討状況について注視してまいります。
本県においては、地域住民の方々のみずからの避難行動へつなげていただくため、土砂災害の危険のおそれがある箇所について知っていただくことが重要と考え、まずは、土砂災害防止法に基づく基礎調査結果を2019年度末までに公表することとしています。さらに、基礎調査完了後は、市町村と連携しながら、住民説明会などの機会を捉えて避難の重要性について改めて周知するとともに、土砂災害警戒区域等の迅速な指定を進め、市町村における地域防災計画への位置づけや住民の避難体制の確保を促進してまいります。
次に、土砂災害特別警戒区域での開発についてですが、土砂災害特別警戒区域では、住宅、宅地分譲等の特定の開発行為や建築物の構造に係る規制等が生じるところです。このため、土砂災害特別警戒区域内において宅地開発の申請があった場合には、土砂災害を防止するための対策工事の計画が安全を確保するために必要な技術的基準に従っているかどうかについて適切に審査をしているところでございます。引き続き、土砂災害特別警戒区域に関する情報について、県のホームページや市町村のハザードマップへの掲載等を通じて広く発信していくとともに、地域の住宅事情等から土砂災害警戒特別区域内での宅地開発の申請があった場合には適切に対応してまいります。
〔保健福祉部長八重樫幸治君登壇〕
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) まず、避難行動要支援者の避難についてでありますが、市町村においては、災害の発生に備えた平常時からの対策として、消防機関や民生委員など避難支援等関係者への避難行動要支援者名簿の提供による情報共有や、要支援者一人一人の個別計画の策定などの取り組みが求められています。本県においては、平常時からの名簿提供は要支援者の約4割にとどまっており、要支援者が自身の情報を周囲に知られたくないなどの理由により提供の同意が得られないことが主な課題となっています。
また、避難行動要支援者の個別計画については、平成29年度末で15市町村が計画の策定に未着手となっており、地域における避難支援者の確保が難しいことなどが課題として挙げられます。県としては、実効性のある避難支援が行われるよう、今後も研修会等においてこうした課題に係る先進的な取り組み事例を紹介するなど市町村の支援を行うほか、防災訓練において要支援者の避難訓練にも取り組むよう働きかけていきます。さらに、岩手県地域防災サポーターの派遣や自主防災組織リーダー研修会の開催などを通じて地域の防災活動を支援し、避難行動要支援者への避難支援の充実に取り組んでまいります。
次に、要配慮者に対しての避難所運営についてでありますが、東日本大震災津波では、高齢者や障がい者、妊産婦、乳幼児など特別な配慮を要する方々が避難所で安心して生活できる環境を整えることが困難な避難所もあったと承知しています。避難所の運営に当たっては、このような要配慮者に応じた対応をあらかじめ想定しておく必要があることから、県では、東日本大震災津波の経験も踏まえ、避難所を運営する市町村の参考としていただくため、平成25年度に市町村避難所運営マニュアル作成モデルを作成し、県内市町村及び都道府県に配付するとともに、県のホームページで公開しているところであります。
この作成モデルでは、避難所運営で留意すべき事項を時系列で整理し、プライバシーや安全に配慮した専用スペースの確保、男女別トイレの設置など、要配慮者や女性等のニーズに応じた配慮事項を記載しており、北海道胆振東部地震に伴い、避難所支援員として派遣した職員を通じて北海道安平町へ提供したところです。県としては、多くの市町村で作成されるよう、引き続き普及に努めていきます。
〔環境生活部長大友宏司君登壇〕
〇環境生活部長(大友宏司君) エネルギー産業についてでありますが、水素は、太陽光や風力発電などの再生可能エネルギーから製造でき、利用時に二酸化炭素を排出しないことから、地球温暖化対策の点からも今後の可能性が大いに期待されるエネルギー源と認識しております。
県では、水素の理解促進の取り組みとして、民間事業者の協力を得ていわて温暖化防止フェアやエコカーフェスタ等のイベントを開催し燃料電池自動車の展示紹介を行ったほか、将来的に水素事業への県内企業の参入も期待されることから、地元金融機関との共催により、県内への水素関連製品の導入事例等についての勉強会を実施してきたところです。
また、水素利活用の可能性を探るため、昨年度は、国の関係機関との共同研究を実施し、水素エネルギー研究者を初め、ガス会社、電力会社、ものづくり企業、大学などの関係者の御意見をいただきながら、本県における再生可能エネルギーの導入計画の把握や再生可能エネルギーからの水素製造量の試算、中山間地域、農林水産関連産業、製造業、公共交通機関・自動車の4分野の利活用モデルなどの調査報告を取りまとめたところです。
今年度は、これら共同研究の成果を踏まえ水素利活用構想を作成することとしており、再生可能エネルギー由来の水素の製造、利活用の推進、水素ステーションや燃料電池自動車等の普及、新たな水素関連ビジネスの創出、育成などについて現在検討を進めております。
水素利活用推進については、次期総合計画長期ビジョンの中間案における新しい時代を切り拓くプロジェクトの一つに掲げているところであり、今後、関係者と十分連携しながら、本県の地域特性を踏まえた利活用策の具体化に取り組んでまいります。
〔商工労働観光部長戸舘弘幸君登壇〕
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) 障がい者の雇用についてでありますが、議員御指摘のうち、農業分野における就労については、農福連携の取り組みなど、先ほどの知事からの答弁のとおりであり、また、環境分野における就労については、県内複数のリサイクル事業所において、障がい者の方が収集、解体補助、分別作業などに携わり、活躍されていると承知しているところであります。これらの分野におけるものを含め、本県の民間企業に雇用されている障がい者数は、平成29年6月1日時点で3、089人と過去最高となり、県内企業における障がい者雇用が進んできていると認識しております。
障がい者の就職に係る支援については、事前の相談からマッチング、就職後の定着や生活の支援等さまざまなニーズがあり、県や岩手労働局のほか、県内9カ所に設置している障害者就業・生活支援センター等、障がい者御本人、家族、事業主に対して就業や生活の支援を行う関係機関が連携して取り組んでいるところでございます。
また、県では、企業、社会福祉法人、民間教育訓練機関等、地域の多様な団体等に委託いたしまして、障がい者御本人の希望、適性及び地域の雇用ニーズ等に対応した訓練を実施しているところでありまして、具体的には、OA機器操作等のカリキュラムを座学中心に学ぶ知識、技能習得訓練、企業等の現場において行うインターンシップ型の実践能力習得訓練などを実施しており、平成27年度から平成29年度の3年間で延べ90名が受講されているところであります。特に、実践能力習得訓練等は住みなれた地域の企業等における訓練でありまして、食品加工や部品製造、清掃等さまざまな業種での実践的な訓練が行われ、高い就職率につながっております。
就職を希望する障がい者も増加傾向にありますことから、今後とも、障がいを持つ方が地域において能力を十分発揮できるよう、きめ細かく支援してまいります。
〔農林水産部長上田幹也君登壇〕
〇農林水産部長(上田幹也君) まず、東京2020オリンピック、パラリンピックへの食材提供についてでありますが、県では、本年2月に、県、関係団体をメンバーとするいわて東京オリ・パラ等県産農林水産物利活用促進協議会を設立いたしまして、大会への県産食材の提供に関する情報収集と利活用の促進に向けた取り組みを進めているところであります。
これまで、国際オリンピック委員会公式夕食会や国の中央合同庁舎食堂におけるGAP等認証食材フェアにおきまして、県産農林水産物の提供やブースでのPRを行ってまいったところであります。また、今月行われました内閣官房東京オリンピック・パラリンピック推進本部事務局が主催する研修会におきまして、食品関係事業者等に対し、大会での県産農林水産物の利活用に向けた取り組みの状況などについてプレゼンテーションを行ったところであります。
現在、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会におきまして、大会における飲食提供等の業務を委託する事業者の選定作業を進めておりまして、今月中には明らかとなる委託事業者の選定結果等を注視いたしまして、大会への県産農林水産物の供給に向けた取り組みを関係機関、団体と連携しながら積極的に取り組んでまいります。
次に、GAP認証の取得についてでありますが、東京2020オリンピック、パラリンピック競技大会への食材を提供するためには、グローバルGAPやアジアGAP等の認証取得や県版GAPの第三者による確認が必要でございます。
このため県では、昨年6月、生産者や関係団体が一丸となってGAPの取り組みを推進するいわての農業オリンピアン・パラリンピアン応援宣言を行うなど機運醸成を図ったほか、これまで、農業普及員などをGAP指導員として103名養成するとともに、費用負担なしに県版GAPの確認を受けることができる制度の創設や、認証取得に向けたコンサルタント派遣など、GAP認証の取得等のための環境を整備してきたところであります。さらに、今年度から新たに認証取得に係る費用を助成するなど、GAP認証の取得に係る費用負担の軽減を図っているところであります。
今後ともこうした取り組みを強化し、GAP認証の取得や県版GAPの確認を着実に進め、大会に県産食材を提供できる体制を整備してまいります。
〇7番(阿部盛重君) 御答弁、いろいろとありがとうございます。
危機管理についてと福祉避難所についての2点だけ再質問させていただきます。
最初に、危機管理について、先ほど県の認識についてお聞きしましたけれども、危機管理の当事者はステークホルダーを狭く捉えてしまう傾向があると言われております。
日本で初めて発生した事案で、京都府の船井郡の養鶏場で2004年に起きた鳥インフルエンザの流行がありました。この事案で最も大きな影響を受けたのは、養鶏場が主たる消費地としていた兵庫県の阪神地域でありました。県では専任の職員安全官を置き、厚生労働省がまとめた鳥インフルエンザ危機管理マニュアルを参考に県も2003年にマニュアルを整備しておりました。しかし、危機対応ではなかったため、問題が発生したわけです。それはステークホルダーの狭さと言われておりました。マニュアルでは養鶏業者と監督官庁だけをステークホルダーとしており、発生を予防するための養鶏業者がとるべき措置と、鳥インフルエンザが発生した場合に感染した鳥をどのように安全に処分するかの手続が記載されていたわけです。ところが、消費者による買い控え、安全が保証されるまで鶏肉は買わないとか卵は買わないという消費者心理が働き、消費が低迷したわけです。こうした風評被害対策への対応はされてなく、教育委員会では、安全性が保証されるまで学校給食に鶏肉は使用しないという宣言で、部局間の足並みの悪さまで明らかになったわけです。
さらに、野鳥の死骸発見報告が保健所に殺到したことも予想されていなかったことでありました。あそこにハトが死んでいる、カラスが死んでいた、これは鳥インフルエンザによるものか検査してほしいという依頼が2、000件以上寄せられたわけでございます。保健所の規定では、専門の検査機関に検査依頼し、1週間ほどして検査報告が戻り、報告をすると定めていましたが、こうした想定外の業務量に対応するための人員配置と予算措置もしておらず、情報処理の仕組みもない状態でありました。
この事例は、危機が発生した場合のステークホルダーは、当初、マニュアルにあった養鶏業者や監督官庁だけでなく、マニュアルにはなかった教育委員会や保健所、検査機関、消費者団体、マスコミもこの問題のステークホルダーであることを示しておりました。最終消費者につながるこうしたステークホルダーを考慮せずにいたことが、発生後に慌てて対応策を考え、実行するというどたばたにつながったと思います。ステークホルダーの重要性に対し、どう認識してどう対応されていくのかお伺いします。
次に、要支援者の避難について御答弁いただきましたが、障がいには、肢体不自由、視覚、聴覚、盲聾、内部、知的、発達、高次脳機能、精神などがあり、さらに難病患者、認知症高齢者なども含め、こうした方々に応じた避難の支援が必要でありますので、ぜひ要支援者の避難の充実が一層図られるようにお願いいたします。また、避難所において適切な支援を受けられることが必要ですので、あわせて取り組みをお願いしたいと思います。
要支援者の避難について、福祉避難所の拡大や充実が求められますが、どのように取り組んでいかれるのかお伺いして終わりにいたします。
〇企画理事兼総務部長(佐藤博君) 災害対応あるいは危機管理事案の対応におけるステークホルダーの役割というのは、非常に重要であると認識しております。県地域防災計画あるいは事案ごとの対応マニュアルに沿って応急対策を行っていくこととなりますが、今、御指摘がありましたような、ほかで発生した事案、これらをきちんと調査するなり学ぶことが多々あろうかと思いますので、そういったことも随時、不断の見直しの中に取り入れながら対応していく必要があると考えております。
これらのほかに、さまざまな団体あるいは企業等との間で相互応援協定を結んでおります。本年1月1日現在では161団体と171協定を結んでおりまして、こうしたステークホルダーを幅広く捉えて連携、協力関係を構築しておくことが重要と考えております。
こういったことを踏まえながら、県民への防災知識の普及啓発と防災意識の高揚も図り、災害あるいは危機管理事案の発生に備えていきたいと考えております。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 福祉避難所の拡大や充実についてでありますが、福祉避難所は、高齢者や障がい者、乳幼児、難病患者など、特に配慮を要する方々を対象として市町村が設置するものであり、県では、研修会等を通じ、福祉避難所の確保や要配慮者に対する周知などの取り組みについて市町村に対し働きかけてきました。
この結果、県内の設置状況は、平成30年5月1日現在、31市町村において高齢者施設や障がい者施設など360カ所に拡大され、必要な資機材の準備等も徐々に進んできたところです。また、本県では、全国に先駆けて災害派遣福祉チームを設置し、個々の要配慮者が必要とする福祉的な支援の把握や福祉避難所への移送等の調整など、災害時における要配慮者への迅速かつ適切な支援体制の整備に努めています。
県としては、要配慮者が安全で安心できる避難環境が確保されるよう、福祉避難所の確保や運営体制の充実に向けて今後も引き続き市町村の支援を行うほか、災害派遣福祉チームの派遣体制の整備を進めるなど、災害時における支援体制の充実に努めてまいります。
〇副議長(五日市王君) この際、暫時休憩いたします。
午後3時52分 休 憩
出席議員(45名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 千 葉 絢 子 君
3  番 ハクセル美穂子 君
4  番 菅野 ひろのり 君
5  番 柳 村   一 君
6  番 阿 部 盛 重 君
7  番 佐 藤 ケイ子 君
8  番 佐々木 宣 和 君
9  番 臼 澤   勉 君
10  番 川 村 伸 浩 君
11  番 田 村 勝 則 君
12  番 工 藤   誠 君
13  番 高 田 一 郎 君
15  番 佐々木   努 君
16  番 千 葉   進 君
17  番 佐々木 朋 和 君
18  番 名須川   晋 君
19  番 軽 石 義 則 君
20  番 神 崎 浩 之 君
21  番 城内 よしひこ 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 佐々木 茂 光 君
24  番 高 橋 孝 眞 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 工 藤 勝 博 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 高 橋   元 君
32  番 関 根 敏 伸 君
33  番 岩 崎 友 一 君
34  番 中 平   均 君
35  番 五日市   王 君
38  番 斉 藤   信 君
39  番 小野寺   好 君
40  番 飯 澤   匡 君
41  番 佐々木 順 一 君
42  番 田 村   誠 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 工 藤 勝 子 君
45  番 柳 村 岩 見 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 大 輔 君
48  番 樋 下 正 信 君
欠席議員(1名)
14  番 吉 田 敬 子 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時13分再開
〇副議長(五日市王君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第1、一般質問を継続いたします。小西和子さん。
〔26番小西和子君登壇〕(拍手)

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