平成30年9月定例会 第14回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇31番(高橋元君) 改革岩手の高橋元であります。
任期最後、13回目の登壇となりました。よろしくお願いいたします。
まずもって、本年発生した数々の自然災害ですが、6月の大阪府北部地震、7月の西日本豪雨、9月の台風第21号及び北海道胆振東部地震においてお亡くなりになられました方々の御冥福を祈り、被災されました皆様、今なお不自由な避難生活をなされている皆様に心からお見舞いを申し上げますとともに、一日も早く平穏な日常と生活が戻りますことを御祈念いたします。
これまでの質問者と重複する内容もありますが、通告しております9項目について、順次質問いたします。
まず初めに、知事の今任期の中間総括と任期最終年の重点取り組みについて伺います。
知事は、2015年選挙において希望マニフェスト2015-2019を策定し、本格復興の推進とその先の三陸振興、若者女性活躍と生きにくさの解消、地域医療の充実といきいき健康社会、学び、文化、スポーツの振興、地域資源を生かした産業の発展、環境保全と再生可能エネルギーの振興、ILC-国際リニアコライダー建設の実現、希望郷いわて国体、希望郷いわて大会の成功、ラグビーワールドカップ2019岩手県釜石市開催の成功の8項目の政策を掲げました。
9月に入り今任期の最終年を迎えましたが、希望マニフェストを踏まえた政策の取り組み状況とその成果、未着手の政策や新たな取り組みなど、この3年間における中間総括を伺います。
知事の任期最終年とともにいわて県民計画及び東日本大震災津波復興計画も最終年を迎え、半年が経過いたしております。両計画とも年度末には終了し、その半年後に知事の任期が満了となりますが、中間総括を受け、マニフェストの総仕上げに向けて重点的に取り組む政策課題は何か伺います。
次に、次期総合計画の策定について伺います。
現在、岩手県次期総合計画の策定に向けて総合計画審議会が開催され、パブリックコメントや市町村長の意見聴取などが行われて修正が加えられ、今月13日の本会議終了後に、10年にわたる長期ビジョンの中間案、4年間にわたる第1期アクションプランの政策プラン(仮称)素案について県議会に説明がありました。今後、県議会でも次期総合計画特別委員会で審議され、さらに修正が加えられて、明年2月定例会に提案、議決される予定であります。
アクションプランは、現計画同様に知事の任期と連動するよう、第1期及び第2期各4年間、第3期2年間の期間で策定されますが、特に次期総合計画の推進、目標の達成には、スタート時の第1期4年間が重要であると思うところであり、また、達増知事は、この重要なスタート時に今任期で半年間かかわることになりますが、次期総合計画及び第1期アクションプランの特徴や、それについての知事の思いについて伺います。
次に、岩手県における主要農作物種子条例の制定について伺います。
米、麦、大豆の優良な種子の確保を都道府県に義務づけてきた主要農作物種子法が平成30年4月に廃止されました。同法は、昭和27年に、戦後の食糧増産という国家的要請を背景に、国、都道府県が主導して、優良な種子の生産、普及を進める必要があるとの観点から制定されたもので、稲、麦、大豆の種子を対象に、都道府県による自都道府県に普及すべき優良品種(奨励品種)の指定、原種及び原原種の生産、種子生産圃場の指定並びに種子の審査制度等を指定していました。
同法廃止の理由として、現在、種子の品質は安定していること、国際競争力の強化に向けて、都道府県中心ではなく、民間企業のノウハウを活用し、国の総力を挙げて品種開発を強力に進める必要があることなどから、法律の廃止に至ったとのことであります。
一方で、TPP協定の批准により、同協定に沿って国内法の整備に取り組んでいることや、日米2国間協議での米国の強い要望に応えたものとも言われております。
隣国韓国では、米韓FTAによって国内法約200本を変更したところ、現在ではさまざまな問題が噴出しているとのことであります。
翻って、我が国でも、主要農作物種子法の廃止を初め農業競争力強化支援法の制定、漁業権の優先順位を撤廃する漁業法の改正、水道を民営化する水道法の改正など、我が国の国会の動きも隣国韓国と非常に類似しており、危惧を感じております。
話をもとに戻しますが、この主要農作物種子法廃止に伴い、各都道府県で条例を制定する動きが出てきております。今年2月に新潟県で、3月には兵庫県、埼玉県で種子条例を制定しており、山形県、北海道でも条例の制定を検討しているとのことであります。
私は8月末に埼玉県議会を訪問し、議員発議による埼玉県主要農作物種子条例の制定経過や条例の内容を調査してまいりました。
議員発議は、埼玉県議会議員84人在職中51人の最大会派自由民主党県議団が単独発議されたとのことで、その内容は、県は法律の廃止後も優良な種子の安定供給に努めていくとのことであったが、国の種子法廃止を危惧する多くの県民の声に呼応しての取り組みであるとし、2月定例会開会中の短期間に会派単独で条例案を作成し、議会提案に至ったとのことであります。この手法は本県議会と異なりますが、迅速な対応は称賛に値します。
このように、主要農作物種子法の廃止などは、県が生産していた原種及び原原種の流出や消失につながる懸念があるとともに、低廉な種子供給システムの崩壊も懸念され、他県で条例制定の動きが加速していることからも、本県でも早急に条例を制定すべきと思いますが、お考えを伺います。
次に、自然災害防止への取り組みについて伺います。
冒頭でも申し上げましたが、本年は自然災害の多い年であります。6月に震度6弱の大阪府北部地震が発生し、通学途中の小学生がブロック塀の下敷きとなり命を落とし、7月上旬に発生した西日本豪雨災害では200人を上回る方が亡くなり、9月には25年ぶりと言われる超大型の台風第21号が中部地方に上陸して、関西国際空港や多くの建物、自動車などに被害が出、その直後に北海道胆振地方を震源とする震度7の地震による災害が発生して40人を超える方々が亡くなられ、ブラックアウトにより全道295万戸が停電するという事態となりました。改めて、亡くなられました方々の御冥福を祈り、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
私も、人生六十数年の中で、これほど1年内に連続して大規模災害が発生し、甚大な被害が出た記憶はなく、気象学者の方の予測では、2020年ごろにピークを迎えるのではないかとも言われております。本県は広域な県土を有することから、より一層市町村と連携し、防災対策を早急に進めなければと思うところであります。
〔議長退席、副議長着席〕
県は、水防法に基づき指定された水位周知河川において洪水浸水想定区域の指定を行うこととされており、市町村は情報の伝達や避難場所、避難経路等を地域防災計画に定め、住民等に洪水ハザードマップ等の印刷物を配布して周知するとのことで、県内26市町村が洪水ハザードマップを作成済みとのことであります。洪水ハザードマップは氾濫のおそれのある河川を抱える市町村に作成と住民への周知が義務づけられておりますが、未作成市町村の取り組み状況と完了目途はどうなっているのか、洪水ハザードマップの住民への周知、これまでの市町村の取り組み内容について、県としてどう評価しているのか伺います。
さきの西日本豪雨災害で川が決壊した岡山県倉敷市真備町地区は、過去にも洪水経験があったとのことで、洪水ハザードマップも作成されており、今回の浸水域はマップの洪水浸水想定区域とほぼ重なっていたものの、40人を超える犠牲者が出ております。
平成27年9月の関東・東北豪雨により鬼怒川が決壊した際も、茨城県常総市では、今回同様、洪水ハザードマップと実際の浸水域がほぼ一致していたとのことであります。繰り返しの周知と日ごろの危機感意識の保持、行政も住民も命を守るため継続して取り組んでいかなければなりません。
県が低コストの危機管理型水位計を年度内に約300カ所整備する取り組みは大いに評価するものであります。刻々と変化する河川水位を把握することは、早期の避難に役立つことは間違いありません。
洪水ハザードマップを活用しての避難勧告、特にタイムラインの存在も重要であり、市町村長は、洪水ハザードマップやタイムラインに基づき、災害発生時に適切なタイミングで避難勧告等を発令する必要がありますが、県は市町村に対し、避難勧告のマニュアルや避難場所の確保と避難経路、避難支援体制等についてどのように助言、指導を行っているのか伺います。
国土交通省は、昨年6月に、洪水や土砂災害の危険箇所に立地する各種施設に避難確保計画の策定を義務づけていますが、本年3月末の集計では全国17.7%ということであり、本県は17.2%の策定状況にあるとのことであります。2年前の台風第10号災害では、岩泉町の高齢者施設で9名が亡くなる痛ましい被害がありましたが、その本県で策定がなぜおくれているのか、その要因と今後の推進方針を伺います。
次に、教育の充実と環境整備について伺います。
少子化により入学する生徒数が減少することに伴い、新たな県立高等学校再編計画を策定し、学校再編や学級数見直しが実行されていますが、学校統合については、各地域において、入学生徒がいる限り存続をとの声が高まっており、また、多くの陳情が寄せられております。
県教育委員会として、前期再編プログラムにおける3地区6校の統合予定のうち、遠野地区、久慈地区の統合時期を延期する決定をしましたが、学科や学級数見直しはほぼ計画に沿って進められ、一部に当面の措置を講じておりますが、1学年1学級の大迫高校、宮古北高校、住田高校、岩泉高校、伊保内高校の5校、そして平成30年度において学級数減少に伴う1学年1学級となった雫石高校、西和賀高校の2校において、教員配置は充足されているのか、仮に不足の場合、どう対処しているのか、教育の質をどう確保しているのか、現状を伺います。
北海道では、特に地理的条件から再編整備が困難であり、地元からの進学率の高い第1学年1学級の高校を地域連携特例校として、同一通学区域内の地域連携協力校から出張授業など、連携した教育活動により教育環境の維持、充実を図っているとのことであります。こうした大規模校から小規模校への授業支援という、地域支援校体制の創設を検討すべきと思いますが、御所見を伺います。
次に、遠隔授業についてでありますが、地域的に統廃合の難しい小規模校が今後増加する見込みであり、広い県土を有する本県において高校教育をどう維持するかが課題と思われます。
こうした課題に有効なのが、当県同様に広い道土を有する北海道が進めるICTを活用しての遠隔授業であり、大規模校からの出張授業であると思うところであります。小規模校の教育の充実へ向け、昨年度まで試験的に導入していた遠隔授業の結果を踏まえ、本格的な取り組みを目指すべきと思いますが、どのような検討がなされているのか伺います。また、遠隔授業導入への課題として、授業を受け持つ先生やサポートする先生のふなれ等を聞きますが、どのような課題があり、どう対応しているのか伺います。
次に、エアコン整備についてでありますが、本年は35度を超える猛暑日もあり、北日本といえども厳しいものがありました。温暖化の影響は年ごとに教育現場に大きな影響を及ぼしております。教室での熱中症対策や屋外での授業、校舎外学習、部活動への対応等はどのようになっているのか伺います。
また、生徒の体調管理や授業力の向上へ、本県でもエアコン整備を早急に進めなければならないと思うところですが、県立高校におけるエアコンの設置状況、今後の設置計画はどのようになっているのか伺います。
文部科学省は、2019年度予算の概算要求に、エアコン設置など公立学校の施設整備費として、本年度予算額の3.6倍の2、432億円を盛り込んだとのことであります。県内各市町村では普通教室へのエアコン設置の動きもあり、現状での国の支援体制、県の支援、県教育委員会としての取り組みはどうなっているのか、あわせて伺います。
次に、北上市への特別支援学校高等部分教室の新設について伺います。
平成29年4月、花巻清風支援学校小、中学部北上みなみ分教室が、北上市立南小学校及び南中学校に設置され、小学部に6名、中学部に4名が通学しております。高等部は設置されておらず、現状では花巻清風支援学校本校から移籍した生徒は、中学部北上みなみ分教室卒業後、再び花巻清風支援学校本校の高等部へ通学となります。
私は、北上みなみ分教室が設置されたときに多くの生徒が分教室に移籍するものと思っておりましたが、実際にはさきの児童生徒数であります。なぜなのか、そのことについて保護者から意見聴取したところ、小、中学校で北上みなみ分教室へ移籍し通学、中学卒業後に本校高等部に通学と、2度も学習環境が変わることで大きなストレスを受ける懸念を遠因として、北上みなみ分教室へ移籍できない生徒が複数いると聞きました。また、昨年、北上市内の中学校を卒業した特別支援学級生徒が、花巻清風支援学校高等部に4名、盛岡峰南高等支援学校に4名就学しており、北上市内に高等部を設置すべきと思うところであります。
北上みなみ分教室エリアには北上翔南高校があります。学級数減での空き教室や旧北上農業高校校舎の一部、附属施設として農園、ガラス温室があり、1年を通して農福連携の実習もできる環境が備わっており、北上翔南高校の空き教室を活用し、高等部を早期に開設すべきと思いますが、教育長の所見を伺います。
次に、いわゆる8050問題について伺います。
1980年代にひきこもりが社会問題となりましたが、当時、10代から20代の若者が30年経過し40代から50代となり、親の世代も70代から80代と高齢化し、深刻な社会問題となってきていると言われている8050問題があります。親が80歳代、子供が50歳代の同居世帯で、子供が引きこもり、親も片親とか、身体的に不自由とか、世帯収入も親の年金だけで、ようやく生活している生活困窮親子が、世帯ごと社会から孤立している、孤立していく現状を指して、そう呼ばれております。中には、精神的に追い詰められた子供が親に対し暴力を振るい、それに耐えかね、あるいは将来を悲観して我が子に手をかける事件や、近所の目を気にして警察や救急車を呼ばないとか、助けを求める場がないなど、悲痛な訴えが全国的にふえているとのことであります。
この8050問題の背景には、ひきこもりの長期化、高齢化があると思われますが、ひきこもりの長期化に対応するための本県の支援の実態と今後の対応策について伺います。
次に、外国人居住者への生活支援体制について伺います。
少子高齢化に伴い急激な労働力不足が生じており、加えて、若い世代も大学進学や都会への就職など人口流出に歯止めがかからず、県内各事業所は人材難で、年ごとに事業活動が縮小しつつあります。人材確保としての方策は、他事業所より高額な賃金を支払うか、外国人労働者を雇い入れるか、ロボット投入による省人化、無人化等が考えられ、速効的に可能性が高いのは外国人労働者の雇用であり、外国人技能実習生の急増が見込まれております。
外国人労働者の実態は、本来、来日前に日本語研修を受け、片言でも日本語を話すことができるはずでありますが、全く話すことのできない方も多数いるとのことで、地域での生活に諸問題も発生しています。本来、雇用する事業所でさまざまな生活支援や日本語習得などを行うべきでありますが、現実ではそうではありません。県内居住地域での生活において、トラブルの発生を防止する上で、市町村の相談窓口開設と専任者配置を推進しなければならないと思いますが、県としてどのような対応を検討しているのか伺います。
外国人の医療機関利用について、受付窓口や診察、治療時に不十分な言語コミュニケーションのため、意思疎通を図ることができないことによるトラブル、海外旅行保険に未加入の外国人観光客の治療費未払い問題等、国内ではさまざまな外国人をめぐる問題が顕在化しております。
外国人の医療機関利用について、北上市の実例ですが、外国人の受診時に、一般社団法人北上市国際交流協会が医療機関から通訳の依頼を受け、対応しているとのことであります。そこで問題になっていることは、治療に関する専門用語について医療知識が不足していることで、事前予約の際には前もって診療科目の予備知識を学習して臨んでいるとのことでありますが、救急患者に対しては治療行為の伝達がスムーズにできないケースがあるとのことであります。また、通訳を担当する方も、仕事を調整しながらの通訳業務、昼夜分かたぬ急患での通訳業務は、通訳担当者の選任に厳しい状況があるとのことであります。
今後、技能実習生の急増や外国人訪日客の増加、ILCの誘致などによる外国人居住者の増加などが予測され、地域環境が激変している中、地域の中核病院である県立病院においては、専任通訳者を配置するなど、外国人の医療受診環境の整備についてどのような検討をなされているのか伺います。
また、現在、医療機関から要請のある通訳業務について、経費負担の仕組みが確立していない状況にあるとのことであります。仕事を休んでの対応や時間外での対応、医療機関までの往復交通費など、全くのボランティアではいかがなものかと思われます。早急に応召旅費、日当等の基準を確立すべきと思いますが、どのようなお考えか伺います。
次に、交通安全施設の設置について伺います。
北上市では、北上済生会病院の移転に伴い、隣接する交差点に信号機の設置を希望しており、また、東芝メモリ株式会社の誘致で北上工業団地では拡張整備事業が進められ、団地内道路網の改良や新設が計画され、ここでも複数の交差点誕生に信号機の設置要望が出されております。
県警本部に信号機の設置要望について伺ったところ、各警察署から提出された信号機の整備上申数は、平成25年度から平成29年度までの5年間で208カ所があり、平成26年度から平成30年度までの5年間で63カ所、年平均12カ所が整備されてきており、整備率は30.3%とのことであります。
整備箇所の選定には、毎年、各警察署の規制対策協議会で上申箇所を決定し、その上申をもとに設置可否の審査を行い、次年度の予算要求を行っているとのことでありますが、県民から事故防止や円滑な車両の流れの確保に迅速な対応が強く求められております。
国の補助事業は、指定基準に該当する道路に限定され、信号機設置も、通学路対策や歩車分離式信号機等に係るものと限られ、毎年4カ所から6カ所にとどまり、信号機整備の6割強が県単整備事業という予算上の制約があるとのことであります。整備率を4割、5割と引き上げるには、予算の増額や復興事業での信号機の設置のように、他部局事業との連携を積極的に活用すべきと思うところでありますが、そのような考えはないのか伺います。
以上、登壇しての質問を終えますが、答弁によりましては再質問いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 高橋元議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、今任期の中間総括についてでありますが、希望マニフェストで掲げた八つの政策ごとの成果として、本格復興の推進とその先の三陸振興については、復興まちづくり事業は約8割が完了し、災害公営住宅の約9割が完成、商店街や商業機能の再生が本格化し、また、新たな交通ネットワークを活用した産業振興や交流が図られ、さらに風化を防ぎ、教訓を伝え、新しい三陸を創造する三陸防災復興プロジェクト2019の開催に向けた準備などを進めております。
若者女性活躍支援と生きにくさの解消については、いわてで働こう推進協議会を核とした産学行政が一体となった若者の県内就職や若者の交流、ネットワーク構築を後押しする取り組み、女性が持てる能力を一層発揮し、活躍できる環境づくりなどを着実に進めているほか、保育所整備や保育人材の確保、子供の貧困対策などの取り組みを進めています。
地域医療の充実といきいき健康社会については、医療を担う人づくりを進め、人口10万人当たりの病院勤務医師数が増加しているほか、生活習慣病予防や生活支援の仕組みづくり、地域包括ケアシステム構築などの取り組みが進んでいます。
学び、文化、スポーツの振興については、グローバル人材の育成等により、海外とのネットワーク形成が広がり、また、文化芸術やスポーツ分野において、本県の才能豊かな人材が国内外で活躍していますほか、北海道・北東北の縄文遺跡群の世界遺産登録に向けた取り組みや、平泉の文化遺産を総合的に紹介するガイダンス施設の整備などを進めています。
地域資源を生かした産業の発展については、自動車や半導体関連産業を中心とした産業集積等が進んだほか、金色の風や銀河のしずくに代表される農林水産物のブランドの確立が図られています。
環境保全と再生可能エネルギーの振興については、リサイクル等の促進に取り組み、廃棄物の排出量が減少傾向にあるほか、再生可能エネルギーの導入量が着実に増加しています。
ILC建設の実現については、政府の判断を後押しするため、関係機関との連携を含め、研究施設や海外の研究者等の受け入れ環境づくりの準備を加速させているほか、国に対する積極的な働きかけを行っています。
平成28年の希望郷いわて国体、希望郷いわて大会は、県民の底力とさまざまなつながりの力を結集し大成功をおさめたところであり、そこから得られた自信、誇りを岩手の貴重なレガシーとして、ラグビーワールドカップ2019釜石開催に生かし、万全の体制で大会を迎えられるよう、開催機運の醸成や受け入れ態勢の準備を進めているところであります。
このように、マニフェストを踏まえ、政策の具体化に取り組んできたところであり、これらの取り組みは多くの成果を上げ、次期総合計画につながる土台を築いたものと考えております。
次に、任期最終年の重点取り組みについてでありますが、引き続き、東日本大震災津波からの復興に最優先に取り組みながら、ふるさと振興総合戦略を着実に推進してまいります。
復興については、被災者イコール復興者一人一人の復興を見守りながら、三陸のよりよい復興の実現を目指す三陸復興、創造に取り組んでまいります。
また、復興道路やフェリー航路など、新たな交通ネットワークを活用した産業振興や交流促進、ジオパークを活用した地域振興や交流人口の拡大、三陸防災復興プロジェクト2019の開催に向けた準備などを進めてまいります。
ふるさと振興については、3本の柱に基づく取り組みを市町村等と連携しながら、着実に推進してまいります。
具体的には、ILCの実現に向けた取り組みを初めとした科学技術振興、ラグビーワールドカップ2019や東京2020オリンピック、パラリンピック競技大会の開催に向けた取り組みなど文化、スポーツを振興する取り組み、いわて花巻空港における国際定期便の就航等を踏まえた外国人観光客の誘客促進や海外市場への販路拡大など国際戦略を加速する取り組み、若者の主体的な活動の支援や女性活躍推進員の配置による若者、女性の活躍を一層促進する取り組みなどに重点的に取り組んでまいります。
次に、次期総合計画の策定についてでありますが、長期ビジョンの特徴の一つ目として、県政の最重要課題である東日本大震災津波からの復興を明確に位置づけ、市町村や国と一体となった切れ目のない取り組みを進め、復興の先を見据えた地域振興にも取り組みながら、長期的な視点に立って、三陸のよりよい復興の実現を目指すこととしています。
特徴の二つ目として、基本目標に、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわてを掲げ、これを実現するための政策の体系として、岩手の幸福に関する指標研究会から示された幸福の実感に関連する領域をもとに、10の政策分野を設定しています。
特徴の三つ目として、長期ビジョンに掲げる10年後の将来像の実現をより確かなものとし、さらにその先をも見据え、経済、社会のグローバル化や第4次産業革命の進展、人口減少、少子高齢化の進行などの時代の変化に的確に対応するため、11の新しい時代を切り拓くプロジェクトを掲げています。
政策プラン(仮称)の特徴としては、岩手の幸福に関する指標研究会報告書の客観的指標例などを参考に、10の政策分野それぞれに幸福に関連する客観的数値目標を掲げ、幸福を守り育てる観点から政策の効果を捉えることが挙げられます。
また、長期ビジョンの基本目標から政策プラン(仮称)までの体系が明確になっており、県民にとって、基本目標と政策がどのようにつながっているかということが理解しやすいものになっていると考えます。
今後とも、総合計画審議会を中心に幅広く議論を進め、また、多くの方々から御意見をいただきながら、オール岩手で計画づくりを進めてまいりたいと思います。
その他のお尋ねにつきましては企画理事及び関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔農林水産部長上田幹也君登壇〕
〇農林水産部長(上田幹也君) 主要農作物種子条例の制定についてでありますが、水田農業の振興の上で、米、麦及び大豆の優良種子の安定供給は極めて重要であると考えており、主要農作物種子法は廃止されましたが、引き続き、県が関与し、優良な種子を安定的に生産、供給することが必要不可欠であります。このため、県では、平成30年4月1日付で主要農作物種子法が廃止されたことに伴い、同日付で、岩手県稲、麦及び大豆の種子の生産等に関する要綱等を施行し、従来どおり、原種、原原種の生産、供給及び種苗の生産基準に係る検査を行うなど、優良な種子を生産、供給する体制を維持、継続することとしたところであります。
現在、本県においては、要綱等に基づきまして県が種子の生産、供給に関与しておりますが、一方で、他の道県では、条例を制定する、あるいは制定に向けた検討を開始するなどの動きもあるところでございます。
条例の制定については、今後、行政法学研究者などの専門家の見解等もいただきながら研究をしてまいりたいと存じます。
〔県土整備部長八重樫弘明君登壇〕
〇県土整備部長(八重樫弘明君) 洪水ハザードマップの作成と住民への周知についてでありますが、洪水時の浸水範囲や浸水深、また、避難場所や避難経路等が記載される洪水ハザードマップは、住民の円滑かつ迅速な避難を促すために非常に有効なものであると考えております。現在、県内の市町村においては、7市町村が未作成でありますが、このうち、岩泉町では、今年度中の作成を目指し検討を始めており、その他の市町村においても、今後、県の洪水浸水想定区域の指定等に合わせ、順次作成を進めていくと承知しております。
また、市町村が行う洪水ハザードマップの住民への周知については、全戸配布やホームページ掲載のほか、広報誌の活用や地域説明会の開催など、それぞれ有効な取り組みを工夫しながら実施していると認識しておりまして、県でも、国、県、市町村で構成する洪水減災対策協議会などにおいて意見交換を行うなど、引き続きこれらの取り組みを支援してまいります。
〔企画理事兼総務部長佐藤博君登壇〕
〇企画理事兼総務部長(佐藤博君) まず、避難体制の整備についてでありますが、市町村長が行う避難勧告等の発令については、あらかじめ災害別に発令基準を定める必要があることから、県は市町村に対し、国が定めた避難勧告等に関するガイドラインを周知するとともに、発令基準の作成を支援しております。
また、市町村では、住民が早期に避難できるよう、避難場所や避難経路を示した洪水ハザードマップ等を作成し周知しておりますが、県もホームページ上で公表し、その取り組みを支援しています。
さらに、災害時の住民避難においては、自主防災組織が重要な役割を担うことから、その組織づくりと活動の活性化を促進するため、地域防災サポーターを派遣し研修にも取り組んでおります。このほか、平成28年の台風第10号災害の教訓を踏まえ、昨年6月には、国、県、気象台、有識者からなる風水害対策支援チームを設置し、台風が接近した際に市町村に早期の警戒態勢がとれるよう助言を行うなど、市町村への支援の強化に努めております。
今後におきましても、市町村における住民避難の対応が円滑に行われるよう助言等を行ってまいります。
次に、避難確保計画の策定状況についてでありますが、避難確保計画の策定がおくれている要因としては、計画策定の主体となる施設管理者の制度に対する理解や計画の具体的な作成方法、関連する防災気象情報等の知識が必ずしも十分ではなかったものと考えられるところでございます。このため、県では、今年度、計画未策定の社会福祉施設及び医療施設の管理者等を対象に、盛岡地方気象台等の協力も得て、県内4広域振興局で計6回の講習会を開催し、周知に努めたところです。
今後におきましても、市町村における計画策定の取り組みを促すとともに、計画策定の指導、助言を積極的に行うなど計画策定の支援に努めてまいります。
〔保健福祉部長八重樫幸治君登壇〕
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) いわゆる8050問題についてでありますが、県内のひきこもりの実態については、釜石保健所が平成27年度に管内の調査を実施しており、これによると、ひきこもり状態の方は59人で、40代から60代が51.9%、ひきこもり期間10年以上が22.4%となっており、今後、ひきこもり者の高齢化やひきこもり期間の長期化が懸念されるところであります。
県では、岩手県精神保健福祉センター内に設置している県ひきこもり支援センター及び各保健所においてひきこもりに関する相談対応や当事者の居場所づくり、家族教室、支援者向け研修会等の支援を行っており、来所や電話、メール等による相談件数は、年間延べ500件から600件程度で推移しています。
今年度、県では、県内全域のひきこもり者の実態を把握し、ひきこもり者及びその家族等が必要な支援を受けることができる体制構築や支援策の検討へ結びつけるため、初めて全県を対象とした実態調査を実施しています。
今後、調査結果を踏まえ、市町村、社会福祉協議会による訪問支援や広報啓発活動、生活困窮者自立相談支援機関による相談支援等、それぞれの分野における取り組みの強化につなげていくほか、市町村や関係機関と連携しながら対応策について検討してまいります。
〔政策地域部長白水伸英君登壇〕
〇政策地域部長(白水伸英君) 市町村の相談窓口開設と専任者の配置についてでありますが、本県の在住外国人数は年々増加しておりまして、法務省の在留外国人統計によりますと、平成29年12月末現在で6、627人と、震災以後最多となったところでございます。また、国におきましては、新たな在留資格の創設など、外国人材の受け入れに向けた取り組みをさらに進めることとしているほか、本県におきましても、ILC誘致が決定した場合、研究者や技術者など、多くの外国人が来県すると見込まれており、本県に在住する外国人はさらに増加することが想定されるところでございます。したがいまして、県では、増加する在留外国人にとりましても暮らしやすい環境を整えていくため、市町村や国際交流協会等の関係機関と連携し、多言語による生活情報の提供、あるいは日本語学習の支援、災害時の外国人支援体制の構築に取り組んでいるところでございます。
さらに、今年度は、地域で外国人が生活する上で最も身近な窓口となる市町村の職員を対象とした地域国際化人材育成研修会を開催するなど、地域において外国人支援を担う人材の育成にも取り組んでいるところであり、今後も引き続き、必要な施策を積極的に展開し、県内各地域の取り組みを支援してまいる所存でございます。
次に、医療通訳業務についてでありますが、現在、県内では、岩手県国際交流協会や各地域の国際交流協会において、外国人が医療機関を受診する際にさまざまな支援を行っているほか、奥州市国際交流協会におきましては、県立病院等と連携し、病院からの要請に応じて医療通訳ボランティアを派遣していると聞いておるところでございます。
県では、外国人が円滑に医療機関を受診できるよう、今年度、新たに医療ガイドブックの作成に取り組んでいるほか、市町村担当者等を対象といたしました外国人の医療相談対応に係る研修会を開催することとしております。
医療通訳については、全国でもさまざまな取り組みが行われていますが、その多くはボランティアによって支えられており、旅費、日当等、費用負担のあり方が課題となっていると承知しております。
また、医療通訳の円滑な実施に向けましては、人材の確保、専門性の担保、訴訟への対応など、解決すべき課題が多いところでございますので、医療機関関係者と問題意識を共有するとともに、他県での先進事例を参考にするなど、外国人が安心して医療機関を受診できる環境づくりについて研究をしてまいる所存でございます。
〔医療局長大槻英毅君登壇〕
〇医療局長(大槻英毅君) 県立病院における外国人の医療受診環境の整備についてでございますが、県立病院では、外国人患者が受診しやすい環境の整備を図るため、各病院における外国人患者の受診動向に応じて外国語対応マニュアルや外国語外来問診票等を用意しているほか、医師や看護師など、外国語対応が可能な職員が個別に対応しているところでございます。
また、県南地域の県立中部病院、県立胆沢病院、県立磐井病院及び県立江刺病院の4病院におきましては、奥州市国際交流協会と医療通訳派遣システムの覚書を締結し、医療通訳ボランティアを派遣いただいているところでございます。
本県では、いわて花巻空港国際定期便の就航、ラグビーワールドカップ2019の開催、ILC誘致など外国人観光客や外国人居住者の増加により、今後、県立病院を受診する外国人の患者が増加してくるものと考えております。
医療局といたしましては、今後も関係機関と連携をしながら、先行して一部の病院で導入しております翻訳アプリの活用、外国人患者対応研修会の開催などを通じまして、外語人の患者が受診しやすい環境の整備に取り組んでまいります。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) 高校における教育の質の確保についてでありますが、県立高校の教員配置につきましては、全県的視野に立ちながら、バランスのとれた教員構成となることを基本として行っておりますが、学校ごとの配置数につきましては、いわゆる高校標準法に定める基準に従い学級数に基づき決定しております。したがいまして、学級減となる高校については、高校標準法に基づき算定される教員数は減少しますが、特に小規模校における実際の配置に当たりましては、各学校の実情を踏まえながら教員の減少に伴う影響を緩和するため、教員の加配措置をあわせて行っているところであります。
また、科目によって専任教員の配置が困難となる場合においては、近隣の学校の教員の兼務等の措置を講じるとともに、各学校では、選択科目や学校設定科目の開設等の教育課程上の工夫であるとか、習熟度別授業の実施等により生徒の進路希望にきめ細かに対応し、教育の質の確保に努めているところでございます。
今後におきましても、引き続き、学校の現状、特色等に配慮した適切な教員配置に努めてまいります。
次に、地域支援校体制についてでありますが、本県では、学級減等により、教科、科目によって専任教員の配置が困難となる場合等におきましても、生徒の科目選択の幅を保障し、進学を希望する生徒には、大学入試等に必要な基礎力、応用力を、就職を目指す生徒には、幅広い教養を身につけ必要な資格取得に取り組むことができるように、近隣の学校への加配措置等を講じながら、当該小規模校への兼務発令などの人事面での措置を行い、適切な授業の実施を支援する体制を確保しているところでございます。
今後とも、各学校の実情、ニーズに応じた加配や兼務発令等のきめ細かな支援に努めるとともに、議員御案内の事例なども参考にしつつ、さらには、遠隔授業の効果的な活用等も図りながら、小規模校における教育内容の充実に努めてまいります。
次に、遠隔授業についてでありますが、県教育委員会におきましては、小規模校における教育の質の維持向上を図る方策の一つとして、昨年度まで、文部科学省の委託事業を活用して、西和賀高校と岩泉高校との間で遠隔授業の試行に取り組んだところであります。この試行を通して、限定的な専門教員の配置に対する補完性や、専門性の高い教員の指導による生徒の理解の質の向上などの成果が見られた一方で、教員の操作技術の向上や対話的な授業の充実などへの課題が明らかになったところであり、これらの状況を報告書として取りまとめたところでございます。
本年度におきましては、遠隔授業の他校への普及を視野に、従来のシステムに比して操作方法がより簡便でコスト的にも低廉な新たな遠隔授業システムを導入し、課外授業や進路講演会など進路指導の充実に取り組むとともに、授業力向上のための教員研修など、その活用の幅を広げていくことといたしております。
また、議員御指摘のとおり、従来のシステムは操作方法が複雑で、教員の授業準備や授業中の操作などに課題もありましたが、新たなシステムの導入により教員の負担感の軽減が図られ、円滑な授業の実施や活用頻度の向上などにもつながっております。
遠隔授業の技術は、今後のICT技術の進歩や第4次産業革命の進展などにより学習ツールとして大きな可能性があると存じますので、これまで蓄積したノウハウや課題なども踏まえながら、対象校の拡大や遠隔教育のさらなる推進に取り組んでまいります。
次に、熱中症対策についてでありますが、県教育委員会におきましては、市町村教育委員会及び県立学校等に対し、熱中症事故防止に向けて継続して指導、要請を行ってきたところでありますが、本年度においては、愛知県の小学校における死亡事故の発生等を踏まえ、再三にわたり通知を発出し、その周知に努めたところであります。
具体的には、運動部以外の部活動や屋外での授業等も含め、気温、湿度などの環境条件に配慮した学校活動を実施するとともに、必要に応じて中止、延期等の柔軟な対応を図ること、適切な水分、塩分補給や休憩の取得等の児童生徒の健康管理の徹底を図ること、さらには、熱中症の疑いが見られた場合の適切な応急手当ての実施等を強く指導、要請してきたところであります。幸いにも、本県においては、学校活動の中で重篤な事案の発生はありませんでしたが、来年度以降においても熱中症の発生が危惧されますので、今後とも、熱中症事故防止対策の周知や教職員を対象とした安全教育の研修等を通じながら、熱中症事故防止の徹底に取り組んでまいります。
次に、公立学校におけるエアコンの設置についてでありますが、その整備に向けた基本的な考え方については先ほどの神崎議員の御質問にお答えしたとおりでありますが、児童生徒の安全の確保や教育環境の改善という観点から、喫緊に取り組むべき課題であると認識いたしております。
県立高校におけるエアコン設置については、これまで、学校からの要望を踏まえ、保健室のほか、夏季講習に活用する教室等への整備を優先して取り組んできておりますが、現在の普通教室、特別教室への設置率は全体で9.7%となっております。
昨年、本年とこれまでにないような猛暑を経験し、保護者を含む学校側からの一層の充実に向けた強い要望もありますので、今後におきましては、現在の環境や利用頻度を考慮しながら具体的な検討を行っているところであり、必要な整備に早急に取り組んでいきたいと考えてとおります。
また、市町村立学校の整備につきましては、国の財政支援措置である学校施設環境改善交付金の予算総額の拡充や地方財政措置の充実を政策提言の機会を通じ国に強く要望してきておりますが、全国都道府県教育委員会連合会におきましても、公立学校へのエアコン導入費用に対する国の施策の充実と予算措置の抜本的な充実を強く要望していくことといたしております。
県内におきましては、現在のところ、4市2町から小、中学校の教室452室等へのエアコン導入の要望があり、県教育委員会におきましては、その事業計画書を国に提出しておりますが、過日行われた文部科学省の来年度予算の概算要求では積極的な姿勢が示されておりますので、今後の動向を注視しつつ、市町村との連携のもとに、他の市町村を含め、国の交付金等を活用した設備の充実に取り組んでまいります。
次に、北上市への特別支援学校高等部分教室の設置についてでありますが、特別支援学校の高等部においては、生徒の卒業後の自立や就労を見据え、一人一人に応じた社会性や働く力を育むために、作業学習に適した教育環境や、人間関係の幅の広がりを踏まえた一定の学習集団を確保する必要がありますので、広域圏を単位として高等部を設置することを基本としているところであります。
このような観点から、北上地区と同様に小、中学部の分教室を設置している一関地区や遠野地区におきましても、高等部への進学に当たっては本校での教育を基本としているところでありますが、特に、花巻清風支援学校高等部におきましては、平成27年度に新たに作業棟を増築し、花北地区の生徒を対象とした高等部の教育環境の充実を図ったところであります。
高等部のあり方を含む特別支援学校の教育環境の整備に対しては、他の地区からもさまざまな要望がありますので、まずは現在取り組んでいる盛岡ひがし支援学校や釜石祥雲支援学校などの整備を重点的に進めつつ、今後の方向性につきましては、生徒数の動向や全体的な学校配置のあり方等を総合的に勘案し、議員御提言の趣旨等も踏まえさせていただきながら、検討してまいります。
〔警察本部長島村英君登壇〕
〇警察本部長(島村英君) 交通安全施設の設置についてでありますが、信号機を含めた交通安全施設の整備は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、交通に起因する障害を防止することを目的としております。
その中において、議員お尋ねの信号機の設置につきましては、警察庁の指針に準拠しつつ、これに当県における道路環境などの要素を加味し総合的な見地から、公安委員会の権限としてその判断を行っており、現状においては、目的を異にする他部局事業との連携は困難であると認識しております。
県警察といたしましては、県民の皆様の御要望について、交通安全を願う切実な声として受けとめており、交通安全施設の整備目的を勘案しつつ応えてまいりたいと考えております。
〇31番(高橋元君) それぞれに御答弁ありがとうございました。納得する回答もありましたし、もう少しお願いしたいというところもありました。限られた時間でございますので、何点かに絞って、足りないところは決算特別委員会でも少しお尋ねしたいと思っております。
まず一つは、知事にお伺いしますが、今、知事が主導して、次期総合計画を策定中であります。先ほどの知事の答弁にも、この任期4年間でできたこと、取り組んでいること、そしてまた課題として示された点、いろいろあったわけであります。それらを次期総合計画の中にもいろいろな形で盛り込んでいくということも話がありました。
知事はたつ年生まれ、私もたつ年生まれで、ちょうど一回り違う、12歳お若いわけであります。ことし54歳ですね。そういうことからすると、任期3期ということで、それぞれ多選批判も出てくるかもしれませんけれども、知事の今までやってきたことは、アクションプランという形で、総合計画をただ単に年次ごとにこなしていくのではなくて、知事の任期に合わせてアクションプランをつくっていく。そこには、さまざまな時代の流れがあって、それらを導入しながら新しい考えで県民計画を補充、推進していく、こういうやり方は非常にいいやり方だと私は思っておりまして、そういうことを考えると、次の最初の4年間は大変重要な時期ではないかと。10年間の長期計画の出だしの4年間でありますので、そういう意味では、私は、ぜひ、知事に頑張ってもらえればいいなとも思いますが、その政策実現のために、知事はどういう強い、熱い思いを持っておられるのか、もう少しそのあたりをお尋ねしたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 新しい総合計画の最初の4年間が重要であるというのは、本当にそのとおりでありまして、この計画を実際に現実のものにしていくに当たっては、やはりスタートダッシュのところで、できるだけ限りなく前進していくことが非常に重要と思っております。
そのためには、計画の策定段階から広く県民的な議論を行うことによりまして、県民の広い理解のもとに計画を決定することで、計画を年度の初めから実施に移していくに当たっても、県民の皆さんの理解をベースにしながら、力強い県政を推進していくことができるであろうと考えるものであります。そういう意味で、この議会の場も含めてでありますけれども、県民的な議論の中で次期総合計画を策定していくということが非常に大事で、そこに力を注いでいきたいと考えます。
〇31番(高橋元君) 知事は、その時期についての立場を示すのはまだ早いということ、この間、9月の定例記者会見での記者とのやりとりでそういうことを承知しております。その時期がいつなのかということでもあるわけでありますが、今のやりとりの中で、それとなく知事の気持ちもわかったような気がしますので、ぜひ頑張っていただければと思っております。
それから、通訳をされている方の応召旅費については、私もはっきりと回答いただけなかったのかなと思っておりますけれども、やはり仕事を休んだり、遠くに行くのも車で向かったり、その辺を含め一定の応召旅費を考えなければならないとも思っております。ぜひ、そのことも検討していただければと思っております。これは、答弁があれば、ひとつお願いしたい。
それから、北上みなみ分教室の高等部の設置であります。県教育委員会としては盛岡と釜石の学校整備を進める、これは私もずっとその内情については承知しております。そしてまた、例えば北上みなみ分教室に高等部を設けるとすれば、それなりの施設整備を進めなければならないし、教員の配置もしなければいけない。それらも含めていろいろ面倒なこともあるのかもしれませんが、新しく学校を建てるのではなくて、あるところを活用してやっていくというのが北上みなみ分教室のいいところだと私は思います。
この間いただいた資料を見ますと、平成29年度に北上市から本校の中学部に通学している生徒が21人、高等部に通学している生徒が26人、合わせて47人です。そのほかに寄宿舎に住んでいる方々は、中学部で6人、高等部で18人、合わせて24人いらっしゃるのです。寄宿舎ですから、集団生活も勉強だというところは、私も理解するのですけれども、通学している47人、そして平成30年度は中学部に25人、高等部に25人、合わせますと50人なのです。毎年50人前後の子供たちが通学しているわけであります。
その中で、保護者の意見をいろいろ聞くと、こういう意見があります。現在、中学部に通学。北上みなみ分教室に転入させても、高等部でまた本校に戻り、2度も環境が変わることによる大きなストレスが心配で現状を変えられない。それから、自閉症の特徴として、環境に適応するまでに時間がかかる。一度なれてしまったルーチンを変えることは難しいなどから、現在北上みなみ分教室の小学部に通学しているが、高等部の進学を見据えて、小学部から中学部に行かないで花巻の本校に通わせなければならないのではないかということも検討されている保護者の方もいるわけであります。
そういう心配の声がある一方で、北上に高等部分教室ができれば、希望すれば普通高校の部活動に参加させてもらえるのではないか、あるいは北上市の工業団地などで実習させてもらい、障がい者に対する理解が進むことによって雇用が拡大していくのではないかという前向きの声も寄せられているわけです。
さらには、市外の普通高校に通学している保護者の方なのですが、今は、担任の先生の理解、特別支援教育支援員の配置、教育相談の体制、スクールソーシャルワーカーの支援等手厚い支援体制がある。非常に驚いたとともに感謝をしている。こういう手厚い支援で私の子供が普通高校に通える。そういうことを考えますと、早く北上市に高等部を設置してほしい。そうすればよそに通学させなくても済むのだということをおっしゃる保護者がおられるわけです。これまでの県教育委員会の努力、取り組みは大変評価をいたしますし、高等部の設立は、先ほど言ったようにさまざまな予算上の措置も必要なのかもしれませんが、ただ、そう言ってはおられない状況なので、大体2年とか3年以内に、環境が整えば高等部をつくりたいという、そんな思いはないのかどうか、教育長に所感をもう一度お尋ねしたいと思います。
〇政策地域部長(白水伸英君) 医療通訳の旅費等の問題について再質問をいただきました。
大きく二つポイントがあると思うのですけれども、まず一つでございますが、奥州市の事例の場合、国際交流協会と医療機関が協定等を結んで事業を実施しているということでございますけれども、ボランティアの多くの方については、国際交流協会の方が車で送迎をされているというような状況もあるようでございますし、あるいは県の国際交流協会があっせんするケースにおきましては、通訳の方と外国人利用者の方が交渉して費用負担を決めるというような状況もあるようでございます。ケースにより非常にさまざまでございますので、まず、よく課題や実態等をしっかりと認識してまいりたいと思います。
それから、二つ目でございますけれども、今年度の取り組みといたしまして、先ほど御答弁を申し上げましたように、例えば日本の医療保険制度の解説だとか、さまざまなことを盛り込んだ医療ガイドブックを作成することでありましたり、あるいは市町村役場の保健福祉なり市民窓口の職員の方向けの医療相談対応に係る研修会を実施するということでございますので、まず、今年度の取り組みはしっかり行った上で、議員から御指摘いただきました旅費等の負担の問題につきましては、どういった対応が必要かどうかというのは研究をしてまいりたいと思います。
〇教育長(高橋嘉行君) 花巻清風支援学校の北上分教室の関係でございますけれども、御案内のとおり、この分教室につきましては、平成29年度に設置して、現在2年目ということでございます。
この設置に至る経緯につきましては、特別支援学校をぜひともつくってほしいということを含めて分教室の話もありまして、より早期に現実的に対応できることは何かということをいろいろ話をさせていただいて、小、中学部の分教室を設置したという経緯については、御案内のとおりでございます。
そしてまた、高等部の生徒の将来的な方向性を考えたときに、一定のまとまりの中で、施設をしっかり整備した本校でということで、いろいろ話し合いをさせていただいて、その時点では一定の理解はいただいていたというように認識いたしております。
ただ一方で、議員からもただいまいろいろなお話を頂戴いたしました。そして、学校のほうからも、保護者からさまざまな要請があるということについてはお聞きいたしておりまして、現在、県教育委員会におきましては、来年度からの5年間を計画期間とする新たな特別支援教育のプランを策定する作業を行っているところでございます。
その中では、教育の充実でありますとか、学校の将来的な方向性についても検討することとしておりまして、今、さまざま議論しているところでございます。議員からいただいた話等も含めながら、今後検討させていただきたいと思いますので、御理解をよろしくお願いしたいと思います。
〇31番(高橋元君) 医療通訳の件は、ただ通訳すればいいというわけではなくて、やはり医療知識をある程度持ちながら、医者がやろうとしている医療行為を外国人の方に説明していかなければならない。その外国人の方もどういう症状を訴えるのか、そういったことも含めながらやらないと、双方のいろいろな問題も起きてくるわけです。だから、そういったことを含めれば、やはり通訳される方もある程度医療学習ができるようなことをしていかないと、大変なトラブルとかいろいろな問題が出ると。外国だと、そういうのは訴訟が起きたりすることもあるわけでありますから、やはりそこのところをもう少し考えていただいて、ぜひ今後御検討していただければと思います。
それから、北上みなみ分教室の高等部の関係ですが、北上翔南高校、前は北上農業高校があった場所でございます。金足農業高校ぐらいの有名な学校ではありませんが、私も北上農業高校の卒業生の一人でございます。あそこは、農場がありましたし温室もありました。今、農福連携もやっているのです。温室を使って、一年中、農福連携もできるのです。だから、そういった非常にほかのところと違う、また特色ある立地環境だと思いますので、来年からの計画ということのようでございますから、ぜひ前向きに、その点を含めて御検討いただければと思います。
終わります。
〇副議長(五日市王君) この際、暫時休憩いたします。
午後4時12分 休 憩
出席議員(45名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 千 葉 絢 子 君
3  番 ハクセル美穂子 君
4  番 菅野 ひろのり 君
5  番 柳 村   一 君
6  番 阿 部 盛 重 君
7  番 佐 藤 ケイ子 君
8  番 佐々木 宣 和 君
9  番 臼 澤   勉 君
10  番 川 村 伸 浩 君
11  番 田 村 勝 則 君
12  番 工 藤   誠 君
13  番 高 田 一 郎 君
15  番 佐々木   努 君
16  番 千 葉   進 君
17  番 佐々木 朋 和 君
18  番 名須川   晋 君
19  番 軽 石 義 則 君
20  番 神 崎 浩 之 君
21  番 城内 よしひこ 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 佐々木 茂 光 君
24  番 高 橋 孝 眞 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 工 藤 勝 博 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 高 橋   元 君
32  番 関 根 敏 伸 君
33  番 岩 崎 友 一 君
34  番 中 平   均 君
35  番 五日市   王 君
38  番 斉 藤   信 君
39  番 小野寺   好 君
40  番 飯 澤   匡 君
41  番 佐々木 順 一 君
42  番 田 村   誠 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 工 藤 勝 子 君
45  番 柳 村 岩 見 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 大 輔 君
48  番 樋 下 正 信 君
欠席議員(1名)
14  番 吉 田 敬 子 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時32分再開
〇副議長(五日市王君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
〇副議長(五日市王君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〇副議長(五日市王君) 日程第1、一般質問を継続いたします。千田美津子さん。
〔1番千田美津子君登壇〕(拍手)

前へ 次へ