平成30年9月定例会 第14回岩手県議会定例会会議録

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〇42番(田村誠君) 改革岩手の田村誠でございます。
質問に先立ち、今般の北海道胆振東部地震及びさきの西日本豪雨並びにたび重なる災害で被災されました皆様にお見舞いを申し上げますとともに、一刻も早い復旧、復興を心からお祈り申し上げます。
先輩、同僚議員の御配慮によりまして質問の機会をいただきました。
以下、県政の諸課題について順次質問してまいりますので、誠意ある御答弁をお願い申し上げます。
さて、多数のとうとい命と大切な財産を一瞬にして奪い取ってしまったあの忌まわしい東日本大震災津波から早くも7年半の月日が流れ、平成30年5月に発表された県の復興実施計画の施策体系・事業に基づく進捗状況を見ますと、平成29年度における第3期実施計画の構成事業の進捗は、271指標中、計画値に対する進捗率が80%以上の指標が92.3%であり、また、進捗率が80%未満の指標は7.7%となっております。
分野別に進捗率80%以上の指標を見ますと、安全の確保は49指標中81.6%、暮らしの再建は93指標中91.4%、なりわいの再生は129指標中96.9%となっており、進捗率80%以上の指標が大宗を占め、その進捗はおおむね順調であると言えます。
この間、被災地では、各方面からの温かい御支援、御協力に支えられながら、官民一体となり一つ一つ復興への歩みを進めてきたと感じております。また、県では、これまでさまざまな事業を県民一丸となって実施してきました。県当局の御尽力に対しまして感謝申し上げます。
しかしながら、岩手県毎月人口推計では、沿岸部の平成30年3月1日現在の人口は24万2、110人になっており、東日本大震災津波発生前と比較すると3万827人、11.3%の減となっております。沿岸部ではいまだ多くの被災者が応急仮設住宅への入居を余儀なくされているなど、真の復旧、復興は今なお道の途上にあるのではないかと思っております。人口減少は、殊沿岸部に限らず全県的な傾向ではありますが、このままの推移が続くと地域の活力が失われていくのは明らかであります。
県は、復興対策として沿岸部の人口減少をどのように受けとめ対策を講じていかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
県の復興基本計画は8年目となり、復興の歩みは着実に進んでおりますが、一方で、先般公表された平成30年第2回いわて復興ウォッチャー調査では、被災者の生活について、回復した、やや回復したの回答の合計は81.3%で、前回と比べて5.4ポイント減少、地域経済について、回復した、やや回復したの回答の合計は57.8%と横ばいとなっております。
この調査は、被災地域で復興の動きを観察できる立場にある方々から定期的に調査してきたものであり、これまでの傾向としては右肩上がりの回復感であったものが、復興が進んできたこの時期で横ばいとなってきたのだと認識いたしております。
この数字は意識調査ですので、正確にこれが要因と言えるものではないと思いますが、仮設店舗にいまだ残らざるを得ない方や本設移行後のローンの不安、あるいは沿岸地域の人手不足などの懸念材料があることが想定されます。このような心配の声は、日ごろ地元で聞かれる声をまさに代表しているものであり、復興が進む一方で、今後も引き続き取り組んでいくべき多くの課題が残されていると言えます。
そこでお伺いいたしますが、国の復興・創生期間終了まであと2年半となっておりますが、今後、復興をどのように進めていくつもりかお伺いいたします。
次に、県は、2019年度から2028年度にわたる指針として次期総合計画長期ビジョンの中間案を発表しております。
人口減少が続く中で、幸福を追求していくことができる地域社会の実現を目指し、幸福を守り育てるための取り組みの推進、あらゆる主体が主体性を持ってともに支え合いながら、地方の暮らしや仕事など岩手の将来を描き、その実現に向けて行動していく、社会的弱者の孤立を防ぎ社会的包接の観点に立った取り組みの推進を計画の理念としております。
幸福社会の実現に向けた取り組み等は世界でも類例があり、その理念は高邁でありますが、個々人の価値観に依存することから、行政計画としては難しい概念でもあります。最大多数の最大幸福をどう実現していくかは指標の設定が難しく、評価にも困難性が予想されます。
県は、県民の腑に落ちる計画としてわかりやすく説明していく必要がありますが、次期総合計画の策定に向けた県民の理解をどう深めていかれるのかお示し願いします。
次期総合計画策定に関連して、内陸と沿岸の格差の解消についてお伺いいたします。
平成27年の県内総生産は名目4兆7、229億円、実質4兆5、473億円であり、経済成長率は名目1.6%、実質マイナスゼロ%となっており、復興需要の下支えに加え、保健衛生、社会事業及び製造業の増加などが生産面で寄与し、プラス成長が緩やかに継続していることから、1人当たり県民所得は4年連続過去最高を更新し、276万円となっております。
平成27年度の1人当たり市町村民所得も県民所得と同様に復興需要の下支えが見られ、広域振興圏別で見ますと、県央で2.2%増、県南で0.8%増、沿岸で2.2%増、県北で2.3%増と全ての圏域で増加し、市町村平均を100とした各圏域の水準は、県央が前年度から0.5ポイント上昇し106.0と最も高く、次いで沿岸が0.5ポイント上昇し102.7、県南が0.8ポイント下降し94.7、県北が0.6ポイント上昇し93.0の順になっております。
所得の格差は、復興需要といういわば特需に支えられ、平年ベースでは、内陸と沿岸の産業構造の問題もあり、一概に論ずることはできませんが、格差がいまだ解消されていないのが実態ではないでしょうか。
このままの実態では人口減少が続き高齢化に拍車をかけ、県北・沿岸の農林水産業の後継者不足や生産にも大きな影響を与えることから、ますます地域の活力が失われ、所得格差の解消が果たされることはないのではないかと危惧しております。
次期総合計画において沿岸振興策をどう実現し、所得格差の解消を進めていくお考えなのか、知事にお伺いいたします。
私は、質問の機会があるたびに浜がよければおかがいいと申し上げ、特に沿岸地域の県民所得向上の原動力としての水産業の振興を一貫して主張してまいりました。沿岸被災地域におけるなりわいの再生については、地域経済の基幹をなす水産業の再生が何よりも重要であると考えております。
水産庁は、水産政策の改革についてを公表しました。その一つである漁業者の所得向上に資する流通構造の改革としては、水産物流通について、物流の効率化、情報通信技術等の活用、国内外の需要への対応等を強力に推進するとともに、産地市場の統合、重点化、消費地に産地サイドの流通拠点を確保するなどの施策が進められております。
一方、近年は本県の主要魚種のサケ、スルメイカなどが不漁にある中で、漁家の所得向上を図るためには、漁業者が消費者とお互いに顔の見える関係を構築しながら、多様な地域水産物の高付加価値化や販路開拓などを行う必要があり、三陸での青年漁業者の取り組みなど、全国各地でさまざまな取り組みが進められております。
県は、漁家の所得向上につながる地域水産物の高付加価値化や販路開拓、消費地への情報発信などにどのように対応していこうとされているのかお伺いいたします。
また、水産政策の改革のもう一つの柱として、養殖、沿岸漁業の発展に資する海面利用制度の見直しが掲げられ、適切な資源管理などの観点から、漁業権制度を維持しつつ養殖業における円滑な規模拡大、新規参入に向けて、漁業権付与に至るプロセスの透明化、権利内容の明確化等を図ること、あるいは漁場計画の策定プロセスの透明化として、策定に当たり、県は海面を最大限活用できるよう留意すること、また、国は戦略的養殖品目を設定した上で総合戦略を策定し、適地拡大に向けた大規模静穏水域の確保や漁港の積極的活用を推進することなどが進められようとしております。
県は、このような改革の方向にどのように対応されていくのか、基本的な考え方をお示し願います。
また、サケやスルメイカ等の漁獲量が激減している状況などから、新たな魚種の増殖、養殖生産物の確保対策を早急に進めていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。
次に、ホタテ等の貝毒対策についてお伺いいたします。
東日本大震災津波で大きな被害が出た岩手、宮城両県で、麻痺性貝毒による養殖ホタテの出荷規制が長期化しており、全国的に貝毒の発生件数が増加する中、ホタテ生産の盛んな岩手県釜石市から宮城県石巻市の沿岸約120キロメートルの範囲において、釜石市以南では、釜石湾で3月から出荷停止、三陸町海域ではホタテに加えマボヤ、マガキが、大船渡湾西部ではイワガキ、広田湾ではムラサキガイ、エゾイシカゲガイが出荷停止となっておりました。全く水揚げができず収入がないと、養殖業を営む漁業者は危機感を募らせております。
岩手県では、3月6日、釜石市の釜石湾で規制が始まり、9月11日現在、12海域のうち4海域で出荷を規制中であり、県漁業協同組合連合会によると、4月から8月のホタテガイ出荷量は県全域で昨年度の1、006トンに対し、今年度は396トンに落ち込んだとしています。
宮城県でも3月20日から一部海域で規制が始まり、ホタテを生産する全7海域中6海域で出荷ができない状況であり、県は、漁業者に融資制度を紹介する相談窓口を設置したとしています。
貝毒は、貝が毒を持ったプランクトンを食べて毒を蓄積することで発生し、人が食べると中毒を起こすもので、3週連続で規制値を下回ることにより出荷を再開することができますが、ホタテは他の貝と比べ毒が抜けるのに時間がかかるため、漁家の経営に直接影響を及ぼすのみならず、その加工業者についても原材料の確保が困難となることから地域経済に与える影響が大きく、産業を維持していくための対策が急務となっております。
県は、貝毒対策をどのように進めていくお考えなのかお伺いいたします。
次に、林業振興についてお伺いいたします。
再生可能な資源である森林資源は、人工林では、利用期を迎え、伐採した後、再造林を行うことで保続されています。そして、植える、育てる、伐採する、使う、植えるの健全な森林サイクルを維持することで、森林の持つ公益的機能の高度発揮と森林資源の循環利用が可能となります。
近年、記録的な豪雨の多発により、林地の崩壊や土砂の流出等、県民生活に影響を及ぼす事態が発生しており、人工林の伐採跡地にも造林が行われず、森林の再生がおくれ公益的機能の低下が懸念されているため、広葉樹を含めた再造林を行い、森林を早期に回復することが必要であります。
木材価格の低迷や、安定した木材需要が見通せず、人件費や燃料費の高騰により主伐の収益が低下し、再造林やその後の下草刈り等の初期投資経費の負担が多いため、60年スパンの林業経営の収支試算でも赤字になる場合があることなどから、再造林に踏み切れないこと、高齢化に伴い、植樹してもその後の管理を自分でできないという現状と担い手不足が足かせとなっていることなどが課題であり、事業がなかなか進展しない状況にあります。また、里山の広葉樹林は、これまでも、まき、炭あるいはシイタケ原木等さまざまに利活用されており、公益的機能の低下を食いとめ、森林の保全と利用を両立させた持続的な森林管理を行っていく必要があると思っております。
県は、林業経営への意欲を高め、また、林業経営が成り立っていく方策をどのように考えているのかお伺いいたします。
次に、産業の振興について幾つかお伺いします。
県内陸部には東芝関連の半導体である企業東芝メモリ株式会社が、総投資額1兆円とも言われる工場の建設と稼働に向けた事業が進み、周辺では関連企業の進出の動きも活発化しているようであります。東芝メモリの進出が発表されたのは昨年9月であり、設備や原料供給、メンテナンスなどを担う関連企業の動きも活発化し始め、半導体製造装置の大手、東京エレクトロン株式会社の関連会社も、受注を目指し、北上市で12月から150人態勢で操業を開始すると聞いております。また、隣の花巻市でも、半導体工場のダクト製造やメンテナンスを手がける福井県の排気設備会社が8月に進出するなど、北上川流域は自動車、半導体の関連産業を中心とした製造業の一大集積地としてますます発展が期待されます。
一方、国際リニアコライダーについては、7月には、文部科学省の有識者会議が科学的意義を認める一方、日、米、欧が分担する最大約8、000億円の総建設費は国民の理解が重要と報告し、8月から日本学術会議が建設の是非を審議しています。これらの結果を踏まえ、日本政府が年内にも建設の是非を最終的に決定する見通しとなるなど、その建設に向けて着実な取り組みが進められております。
私は、沿岸部の振興には、地域の特性を生かした農林水産業の振興に加え県内陸部の工業振興の波及効果をできる限り沿岸部に拡大していくことが必要であり、沿岸部の人口減少を抑え、住みたい、住んでよかったと思える地域としていくことが肝要であると考えております。
ILC建設予定地に最も近い大船渡港は、物流ネットワークの形成と活力に満ちた地域づくりを支える根幹施設であり、県内最大級の物流拠点として県勢の発展に大きく寄与しているところであります。
現在、東日本大震災津波により甚大な被害を受けた本港の港湾施設につきましては、港内各所で復旧工事が進められ、震災後、新たに国際フィーダーコンテナ定期航路が開設され、貨物の集荷を促進するため、野々田埠頭におけるコンテナ用上屋倉庫の整備や、関連施設設備の荷役、運搬での港湾利用を見据えた活動が進められております。
このような状況の中、ILCの誘致及び建設における大船渡港永浜、山口地区工業用地の活用検討のため、平成29年6月12日から当分の間、当該工業用地の分譲に係る公募が一時中断されております。
ILC建設に当たって、大船渡港の役割と物流施設の最大限の活用による波及効果の拡大を考慮すると、永浜、山口地区工業用地の活用方針の早期決定や、岸壁、埠頭用地、臨港道路などの港湾施設の整備の促進、工業用地全体の早期完成、建設地までのアクセス道路の整備促進や施設における物流、防災機能の強化が喫緊の課題となっております。
県は、自動車、半導体関連産業を沿岸部へどのように波及させていくお考えなのか、知事に御所見をお伺いいたします。また、大船渡港の活用及び整備をどのように進めていくお考えなのか、あわせてお伺いいたします。
次に、国民の安全・安心の確保や生産性の向上等による成長力の強化などのために、道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律に規定する補助率のかさ上げについては、平成30年度以降、10年間延長されております。
こうした中で、道路法においては、平常時、災害時を問わず安定的な輸送を確保するため、新たに重要物流道路制度が新設されております。気仙地域と東北横断自動車道釜石秋田線を結ぶ国道107号は物流の重要な基幹道路であるとともに、交流人口の拡大、災害時の救助、救援活動、農林水産物流通の基幹道路としても重要な路線でもあると考えております。
県は、延長された道路整備の特別措置をどのように活用しながら道路整備を推進していくお考えなのか、知事にお伺いいたします。特に、国道107号白石峠及び荷沢峠での新たなトンネルの整備や屈曲区間の改良などの早期事業化、また、積雪、路面凍結時の対策の充実について、あわせてお伺いいたします。
次に、東日本大震災津波と被災者の心と体のケアについてお伺いいたします。
被災から7年半がたち次第に暮らしが安定に向かい、被災地の子供らの笑顔に希望を感じる日々が訪れております。
しかしながら、被災者は、避難生活の長期化によるストレスなどから健康面に不安を抱えており、また、震災の体験や親の健康不安、生活困窮は子供たちに深刻な影を落とし、個々の状況に応じたケアを必要としております。
現在、被災者は医療費や介護保険利用料等の負担が免除されており、この制度は本年12月までとされております。被災者の適切な医療を受ける機会を引き続き確保するため、来年1月以降も免除を継続する必要があると考えますが、県の財政支援について知事のお考えをお伺いいたします。
子供の心のケアは、心に深い傷を負いながらSOSを言えず、時が過ぎてから苦しみ出す子供たちがいることなども考慮し、より丁寧に長期的に対応すべきであります。被災地の子供の心のケアの課題をどのように捉えておられるのか、現状と対策をお示し願います。
また、子供たちが経済的状況を問わず必要な医療を適切に受けられるよう、子供の医療費助成の小学生までの現物給付化を早急に実施すべきと考えますが、知事のお考えをお伺いいたします。
最後に、野生鳥獣被害対策についてお伺いいたします。
鹿による農作物被害は、侵入防止柵の設置など集落単位での対策をしておりますが、依然として大きく、また、近年では猿による農作物被害の対策も加わり、農家等は頭を痛めております。このままの傾向が長く続くことにより、農家、林家の生産意欲が低下し、耕作放棄につながりかねないことから、国土の保全上の観点からも抜本的対策を講じていく必要があると考えております。
かつて、三陸町では捕獲した鹿を飼育し食肉利用を試みた事業もありましたが、思うように進展せず、さらに産学官の知恵を結集していく必要があるものと痛感しております。
県は、野生鳥獣被害対策をどのように進めていくお考えなのかお伺いいたします。
また、ニホンジカについては、山中にそのまま放置されている事例もあると聞いていますが、捕獲後の個体についての現状と今後の対応についてお示しいただきたいと思います。あわせて、野生鳥獣の食肉利用を検討する必要があると考えますが、いかがでしょうか。
以上で私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 田村誠議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、沿岸部の人口減少対策についてでありますが、沿岸地域においては、県平均を上回る人口減少が続いていることから、若者、女性の地元定着や、U・Iターンの促進を図るための産業振興や雇用機会の確保、魅力ある地域づくり等の人口減少対策を重点的に推進していく必要があると考えております。
このため、沿岸被災地の復旧、復興の推進そのものが人口減少対策でありますことから、被災地の一日も早い復興の実現を目指して、復興まちづくりなどの安全の確保、生活の基盤となる災害公営住宅の整備などの暮らしの再建、漁業、商工業などのなりわいの再生に取り組んでいるところであります。
また、沿岸地域では、震災後、高校生の地元就職率が向上し、若者の地元志向が高まっていますほか、企業やNPO等の支援活動などを通じて新たなつながりが生まれ、移住に結びついている事例もありますことから、こうした地元に残りたい、あるいは地域に貢献したいといった若者の思いを実現するため、ふるさと振興を重点的に推進することが重要と考えます。
さらには、復興道路の整備の進展や三陸鉄道による久慈-盛間の一貫経営、宮古-室蘭間の定期フェリー航路の開設などの交通ネットワークの向上やラグビーワールドカップ2019釜石開催、三陸防災復興プロジェクト2019の開催により、三陸地域が国内外から大きな注目を集め、交流の活発化が期待されるところであります。
このような地域のポテンシャルの向上や交流の機会を的確に捉え、引き続き、地域と連携し、地域の特性を生かした持続的な沿岸地域の振興につながるよう総力を挙げて取り組んでまいります。
次に、内陸と沿岸の格差の解消についてでありますが、今般公表した次期総合計画長期ビジョンの中間案におきましては、県政の最重要課題である東日本大震災津波からの復興を明確に位置づけ、三陸のよりよい復興の実現に向けて引き続き取り組むこととしております。
また、県北・沿岸振興を引き続き重要な課題として位置づけるとともに、長期的な視点に立ち、岩手らしさを生かした新たな価値、サービスの創造を目指す11の新たな時代を切り拓くプロジェクトの一つとして、復興とその先を見据え、持続的な地域経済の発展を図るため、仮称ではありますが、三陸防災復興ゾーンプロジェクトを検討しているところであります。
この中では、復興道路やフェリー航路、三陸鉄道など新たな交通ネットワークを生かした地域経済の好循環を拡大する取り組み、三陸の地質遺産や文化、自然を活用した教育、保護、保全及びジオツーリズムなどに取り組むジオパーク活動の推進、三陸の豊かな資源を活用した世界に誇れる食のまちを形成する取り組み、三陸の魅力的な自然環境を活用したスポーツツーリズムの推進による交流の活性化など、具体的な取り組み内容について検討しているところであります。
今後においては、パブリックコメントや地域説明会などさまざまな機会を捉えて、地域の方々の御意見をいただき、さらに検討を進めてまいります。
次に、自動車、半導体関連産業の沿岸部への波及についてでありますが、県ではこれまで、自動車や半導体など国際競争力が高く、経済成長の牽引役となるものづくり産業の発展を目指し、企業誘致や地場企業の生産性向上、取引拡大、人材育成等の支援により、内陸地域のみならず、県北・沿岸地域を含めた強固なものづくり基盤の形成に努めてきたところであります。
こうした取り組みにより、自動車関連産業では、県内企業が、大手企業との取引拡大を図ることを目的に県が主催した展示商談会を契機として、大船渡市や山田町に立地する企業による新規受注や岩泉町に立地する企業の業容拡大が実現し、半導体関連産業では、大槌町に立地する企業において半導体製造装置関連の取引が拡大するなど、沿岸地域にもその効果が波及してきているところであります。
沿岸地域におきましては、釜石港のガントリークレーン整備や宮古-室蘭フェリー就航などの港湾機能の充実に加え、復興道路の整備進展などにより物流の利便性が大幅に向上してきており、このような立地環境を効果的に発信し、沿岸地域への企業の新規立地や沿岸地域の企業の業容拡大につなげるとともに、自動車、半導体関連産業の産学行政連携組織による取引拡大支援等の取り組みを通じ、今後さらに加速することが見込まれます自動車、半導体関連産業の集積やその効果が、沿岸地域を含め全県に波及するよう取り組んでまいります。
次に、道路整備に係る国の財政上の特別措置の活用についてでありますが、今回、道路整備等に係る補助率のかさ上げ措置が平成30年度から10年間延長されることに加えて、地方公共団体による老朽化対策への支援の強化、財政力の低い地方公共団体への支援の強化、交付金事業のかさ上げ措置の対象の重点化という内容の見直しが行われたところであり、引き続き、県や市町村の地方負担の軽減が図られるものと承知しているところであります。
県といたしましては、道路施設の的確な老朽化対策や耐震対策、ストック効果を高めるアクセス道路の整備などに当たり、今回の特別措置も十分に活用しながら、県民の安全・安心を支え産業や観光振興の基盤となる道路の整備、適切な道路の維持管理を着実に進めてまいりたいと思います。
次に、被災者の医療費の一部負担金免除についてでありますが、平成31年1月以降における被災者の一部負担金等の免除措置について、市町村等に対しその意向を確認しましたところ、厳しい国保財政の状況や被用者保険との公平性の観点などから、対象者の見直しや免除措置の終期の検討についての意見もございましたが、最終的には、国民健康保険、後期高齢者医療制度、介護保険及び障がい福祉サービスについて、全ての市町村等において現行制度のまま継続するとの回答を得たところであります。
県といたしましては、いまだ多くの被災者の方々が、応急仮設住宅等で不自由な生活を余儀なくされ、健康面で不安を抱えており、引き続き医療や介護サービス等を受ける機会の確保に努める必要がありますことから、2019年12月までの1年間、これまでと同様の財政支援を継続していきたいと考えます。
次に、子供の医療費助成の現物給付の対象拡大についてでありますが、県では、人口減少対策としての総合的な子育て支援施策の一環として、平成28年8月から未就学児及び妊産婦を対象とした現物給付を実施してきたところでありますが、昨年の9月定例会におきまして小学生までの現物給付の拡大を求める請願が採択されたことを重く受けとめ、これまで、市町村との協議の場を設け、実施に向けた意見交換を行いながら、課題の把握や必要な調整を進めてきたところであります。
現物給付の対象拡大に当たっては、新たに国民健康保険の国庫負担金等に減額調整措置が発生することや医療給付費の増加が懸念されることなどから、拡大に慎重な意見もありましたが、最終的には、県内全ての市町村から賛成の意向が示されたことから、県内統一して小学生まで現物給付を拡大したいと考えます。
今後、県、市町村それぞれにおいて実施に向けた取り組みを進めることとなりますが、取り組みに要する期間や受給者等への周知期間などを考慮し、具体的には、来年度の受給者証の更新時期に合わせ、2019年8月から実施することとしたいと考えております。
その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔復興局長佐々木信君登壇〕
〇復興局長(佐々木信君) 今後の復興の取り組みについてでありますが、県ではこれまで、計画期間を8年間とする岩手県東日本大震災津波復興計画に基づき、被災者一人一人の復興を見守り、寄り添った支援を行いながら、一日も早い復興を目指して取り組んできたところであり、今年度は、さらなる展開への連結期間として、第3期復興実施計画に基づく取り組みを進めております。
その結果、社会資本の整備等を初めとして復興事業は着実に進捗しているところでありますが、一方で、8月末で4、143人の方々が今なお応急仮設住宅等での生活を余儀なくされており、被災者の心のケアや住宅再建、市町村が行うまちづくり後における事業者への支援等の課題もあるところです。
このため、現在策定を進めている次期総合計画においても、復興を県政の最重要課題として、取り組みの柱に、安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生、未来のための伝承・発信を掲げ、2019年度から2022年度までの復興に係るアクションプランを策定して、現行の復興実施計画と同様に具体的な施策や事業を盛り込み、多様化する課題に対応するため、次期総合計画に基づく政策の推進や地域振興の展開と連動しながら、切れ目のない復興の取り組みを進めていく考えです。
また、被災地では、国の復興・創生期間を超えて中長期的に取り組むべき課題もありますことから、本年6月に実施した2019年度政府予算提言、要望において、施策の進捗状況や被災地の実態等を十分に踏まえ、当該期間終了後も必要な事業及び制度を継続するよう要望したところです。
今後におきましても、復興を進めるために必要な事業や制度の継続について国に提言、要望しながら、被災者一人一人の復興がなし遂げられるよう、必要な取り組みは最後まで実施していく考えであります。
〔政策地域部長白水伸英君登壇〕
〇政策地域部長(白水伸英君) 次期総合計画の策定に向けた県民理解についてでありますが、次期総合計画は、行政だけではなく、県民、企業、NPOなどあらゆる主体が、本県の将来像などを共有し、それぞれの主体がみずから取り組みを進めていくビジョンとなるものでございます。
このため、去る6月に藻谷浩介氏を講師とした県民フォーラムを開催したほか、ツイッターやフェイスブックなどのSNSを活用した情報発信を行っているところでございます。
また、総合計画審議会の中間答申を踏まえ、6月に次期総合計画長期ビジョンの素案を公表した後、パブリックコメント、地域説明会などを通じまして計500件を超える御意見をいただき、今般、その意見等を踏まえ、基本目標の考え方を初め素案の内容をさらに具体化するとともに、多様な主体に期待される役割などを新たに盛り込み、中間案として公表させていただきました。
あわせて、アクションプランの一つである政策プラン(仮称)素案を公表し、幸福を守り育てる10の政策分野ごとに統計データに基づく指標項目や具体的推進方策をお示しさせていただいたところでございます。
これら次期総合計画長期ビジョンの中間案と政策プラン(仮称)素案については、今後、さらにパブリックコメントや地域説明会を開催して意見を伺うこととしており、こうした機会などを通じて県民の理解を深めていきたいと考えております。
〔農林水産部長上田幹也君登壇〕
〇農林水産部長(上田幹也君) まず、水産物の流通改善についてでありますが、県では、地域水産物の高付加価値化や販路開拓を図るため、全国的に高い評価をいただいている、漁獲から流通、加工まで一貫して衛生、品質を管理する高度衛生品質管理地域づくりや、ウニなどの品質を長期間保持できる通電加熱などの技術開発を進めております。
また、沿岸地区漁業協同組合が策定した地域再生営漁計画に基づき、小本浜漁業協同組合女性部による加工品開発や各種イベントへの出展、綾里漁業協同組合青壮年部によるSNSを活用した消費者との交流や直接販売など他の地域をリードする取り組みが行われており、その活動を支援しております。
さらに、消費地への情報発信につきましては、安全・安心で高品質な水産物の魅力をPRするため、県内外の量販店や飲食店におけるフェアの開催やシェフ等を招聘した商談会、産地見学会の開催、また、生産者や旬の食材の情報を盛り込んだニュースレターの配布等に取り組んでおります。
今後は、引き続き、高付加価値化や販路開拓、首都圏等への情報発信に積極的に取り組み、地域水産物の競争力や販売力を高め、消費者から選ばれる産地づくりを推進してまいります。
次に、海面利用制度の見直しについてでありますが、国の水産政策の改革において、養殖、沿岸漁業につきましては、沿岸水域を有効かつ効率的に活用する仕組みとするため、漁業権制度の維持を前提として、漁業権設定のプロセス等を改善することとしております。
東日本大震災津波を契機といたしまして、低迷している本県漁業生産量の回復に当たっては、漁業者の生産規模拡大、静穏域などの新規漁場の利用、新規養殖種目の導入などにより、水域を有効かつ効率的に活用することが重要であり、今回の国の改革の方向性は、本県の沿岸水域を活用した漁業振興の方向性と基本的に同じものと受けとめております。
一方で、今回の改革では、施策の具体的内容がいまだ示されておらず、本県への影響については現時点では不透明であります。
国は、今後、政策の具体化に向けまして関係者の意見を聞きながら進めていくこととしておりますことから、県では、本県漁業者等の意向をきめ細かにお伺いし、これらに沿った施策が展開されるよう、必要に応じ国へ働きかけてまいります。
次に、新たな魚種の増殖や養殖生産物の確保対策についてでありますが、平成29年における本県漁業の漁獲量は、主要魚種であるサケの漁獲量や養殖生産量などの減少によりまして、約11万トンとなり、前年の約9割、震災前3カ年平均の約6割にとどまっておりまして、漁獲量の回復に向けた新たな増養殖種目の導入は重要と認識しております。
このため県では、新たな増殖魚種として、水揚げの少ない春に漁獲され、肉質がよく高価格で取引されるサクラマスに着目いたしまして、放流用種苗の量産化技術等の開発に取り組んでいるところであります。
また、近年、国内の需要が高まっておりますギンザケやニジマスなどの養殖について、国内の先進事例や市場動向を調査し、本県での事業化に向けて研究をしていくこととしております。
今後、本県漁業の漁獲量の回復、拡大に向けまして、これらの取り組みを加速させ、新たな増養殖種目の事業化に積極的に取り組んでまいります。
次に、ホタテ等の貝毒対策についてでありますが、ことしの貝毒による出荷自粛規制は、3月以降、釜石以南の最大6海域に及ぶなど、これまでになく広域化、長期化しておりまして、一部の海域で規制が解除されたものの、これらの地域の漁業、加工業等にさまざまな影響を与えたところであります。
このため、岩手県漁業協同組合連合会では、毒化したホタテガイの加工向け出荷基準を緩和し、これによって、釜石を除く全ての海域において貝柱を加工原料として出荷が行われたところであります。
県では、出荷基準緩和への助言を行うとともに、毒化したホタテガイを扱う漁業者や加工業者などに対し、基準に沿って適切に対応するよう指導してきたところであります。
今後とも、岩手県漁業協同組合連合会と連携いたしまして、さらなる基準緩和を検討するとともに、貝毒の発生予測や毒化したホタテガイなどの水産物の毒量を下げる技術の開発、確立を目指し、水産技術センターを中心に試験、研究を進めていく考えであります。
次に、林業の振興についてでありますが、県内の再造林面積は着実に増加しているものの、人工林伐採面積に比較いたしますといまだ約3割にとどまっておりまして、今後、再造林をさらに促進するためには、森林所有者の負担軽減を図るとともに、林業経営に対する意欲を高め、収益性の高い林業を実践することが重要であります。
再造林に要する経費に対しましては、県では、森林整備事業に約7割の補助を行っておりますが、これに加えまして、今年度から、林業関係団体等が設立いたしました岩手県森林再生機構が、上乗せの補助を開始するなど森林所有者の負担軽減に取り組んでいるところであります。
さらに、再造林コストの低減に向けまして、低密度植栽の促進、伐採から植栽までの作業を連続して行う一貫作業システムの普及などに取り組むとともに、施業の集約化や高性能林業機械の導入を図るなど、生産性、収益性の高い林業の実現に努めているところであります。
また、里山の広葉樹林につきましては、森林・山村多面的機能発揮対策事業によりまして、森林所有者や地域住民等が主体となった刈り払いや除間伐などの里山の保全や、伐採木のまきやシイタケ原木などへの利用など、さまざまな活動を支援しているところであります。
今後とも、関係団体と一丸となりまして、森林資源の適切な管理と効果的な林業経営の実現に向け積極的に取り組んでまいります。
次に、野生鳥獣被害対策についてでありますが、野生鳥獣による農作物被害を防止するためには、個体数を適切に管理するとともに、野生鳥獣から農作物を守り、また、集落に寄せつけない対策を総合的に実施することが重要であります。
このため県では、市町村が作成している鳥獣被害防止計画を踏まえながら、ニホンジカ等の有害捕獲や恒久電気柵の設置のほか、地域全体で取り組む被害防止活動への支援を行うとともに、ICT技術等を活用いたしましたニホンジカの遠隔捕獲や、超音波を利用した猿の追い払いの技術の実証などに取り組んでいるところであります。
このような取り組みによりまして、県内の農作物被害額は減少傾向にあるものの、被害のさらなる低減に向け、ニホンジカの捕獲に係る予算を昨年度よりも2、000頭分増額したところでありまして、今後とも、市町村や関係団体と連携しながら、鳥獣被害防止対策の充実、強化に取り組んでまいります。
次に、野生鳥獣の食肉利用についてでありますが、野生鳥獣の食肉利用は、捕獲の推進による被害防止はもとより、地域の活性化にもつながるものと考えております。
しかしながら、本県において、鹿肉等は、東日本大震災津波以降、国から出荷制限の指示を受けておりまして、食肉利用に向けましては、この出荷制限指示の解除が必要であります。
県ではこれまで、出荷制限指示の解除を前提として、鹿被害の多い市町村に対し、野生鳥獣の食肉利用に係る国の支援策の紹介などを行ってまいりました。県内の市町村からは、収益性が不透明あるいは食肉処理施設の整備が必要となるのではないかといった意見を頂戴しているところであります。
県といたしましては、全国知事会等を通じまして、国に対し、野生鳥獣の出荷制限指示の解除要件を実態に即したより現実的なものとするよう要望するとともに、引き続き野生鳥獣の食肉利用について、どのような取り組みが可能か、他県の事例なども参考にしながら研究をしていく考えであります。
〔県土整備部長八重樫弘明君登壇〕
〇県土整備部長(八重樫弘明君) まず、大船渡港の活用についてでありますが、大船渡港は、ILC関連機材を海外から輸送する際に利用できる国際フィーダー航路が開設されていることや保管施設等が立地できる広い敷地を有していることから、ILC関連機材の取り扱いに活用できる可能性があると考えてございます。
ILC以外についても、太平洋セメント大船渡工場内に建設中であるバイオマス発電所の燃料の輸入が新たに開始されることや、クルーズ船の寄港の増加など港湾の活用が着実に進んでおり、引き続き、地元大船渡市や港湾関係者などと連携しながら、利用拡大に取り組んでまいります。
また、大船渡港の整備については、永浜、山口地区において公共埠頭の来年度の供用開始を目指して、現在、野積み場等の工事を進めているところであり、工業用地についても、分譲に係る公募を一時中断している第1期分の活用状況等を踏まえながら、第2期分の工事を行うこととしております。
防災機能の強化としては、大規模地震発生時の緊急物資等の輸送に対応できる耐震強化岸壁の整備が課題であると考えておりまして、今後、耐震強化岸壁の港湾計画への位置づけについて、必要な検討を行ってまいります。
次に、国道107号のトンネル整備や道路改良等についてでございますが、国道107号は、大船渡港を有する気仙地区と内陸部を結ぶ横軸として幹線道路ネットワークを形成し、安全・安心な生活や円滑な物流、さらに産業振興を支える上で重要な路線であると認識しております。現在、のり面防災工事や橋梁耐震工事を実施しているところでございます。
議員御指摘の峠部や屈曲区間等については、現在、カーブや勾配等の道路現況の把握を行いながら、当該路線の中での整備の優先箇所などについて調査検討しているところであり、今後、どのような手法での整備が可能か検討していきたいと考えております。
また、積雪、路面凍結時の対策については、初期除雪の推進や路線バス等の円滑な通行を確保する拡幅除雪、適時適切な凍結融雪剤の散布、道路情報板による情報提供、注意喚起標識の設置など冬期通行の安全対策を行ってきたところでありますが、今後とも、現地の状況を踏まえながら、一層きめ細かな冬期道路管理に努めてまいりたいと思います。
〔保健福祉部長八重樫幸治君登壇〕
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 被災地の子供の心のケアの課題についてでありますが、東日本大震災津波から7年6カ月が経過していますが、依然として、子供たちは震災そのものによるストレスに加えて、その後の転居などの環境の変化や被災生活の長期化に伴うストレスを受けているものと捉えています。
子供の心のケアの現状については、県が矢巾町に設置している、いわてこどもケアセンターの延べ受診件数が、平成25年度の2、063件から平成28年度は6、379件、平成29年度は7、663件と年々増加の傾向にあります。
いわてこどもケアセンターでは、心的外傷後ストレス障がいなどの心の不調を訴える児童に対し、児童精神科医による専門的な診療を行うとともに、教員や保育士など子供の支援者を対象とした研修会や症例検討会を開催し、支援者の専門性の向上や関係機関との連携強化に取り組んでいるところです。
議員御指摘のとおり、被災によるストレス症状は、時間が経過してあらわれることもあることから、県としては、引き続き、中長期的な視点で専門スタッフの確保やスキルアップ、関係機関等との緊密な連携により支援の質を高め、子供たちの心のケアを進めていきたいと考えています。
〔環境生活部長大友宏司君登壇〕
〇環境生活部長(大友宏司君) ニホンジカの捕獲後の個体処理についてでありますが、鳥獣保護管理法においては、捕獲または殺傷した鳥獣をその場に放置することは原則禁止されており、持ち帰るか、または持ち帰ることが困難な場合は埋設するものとされております。
ニホンジカの捕獲後の個体処理の現状ですが、平成29年度に県が委託して捕獲した6、179頭のうち、従事者による消費が約半数の3、096頭、埋設が約3割の1、942頭、焼却が約2割の1、141頭となっております。
御指摘のあった山中での放置の事例については、公益社団法人岩手県猟友会が、毎年春先に自主的に行っている山野一斉清掃活動でニホンジカの個体を回収、処理していますが、一部自然死によるものも含まれており、全体の捕獲頭数からするとごくわずかであると聞いております。
近年、ニホンジカの捕獲頭数が増加していることから、県としては、放置個体を捕食する動物がふえることにより生態系に影響が生じることのないよう、全ての狩猟者を対象として行う狩猟事故防止研修会の開催や、市町村単位で配置している鳥獣保護管理員による指導などを通じて、適切な個体処理の徹底を図ってまいります。
〇42番(田村誠君) 達増知事を初め各部局長から大変誠意ある御答弁をいただいたと思っております。心より改めて感謝申し上げます。
私は、県議会に議席をいただいて以来、均衡ある県土の発展、そして浜がよければおかがいい、いわゆる水産振興を私の基本姿勢として、これまで議会活動に取り組ませていただいてまいりました。おかげさまで、被災した漁港、漁場はほぼ復旧の運びとなり、浜では収穫の喜び、そして新たな期待にあふれているようでございます。
しかし、現状では、近年の不漁の影響も相まって、生産量や販売額はこれからの取り組みにかかってくるものと思っております。また、さきに指摘したように、復興需要の落ちつきにより沿岸地域の経済の落ち込みが懸念される中、新たな産業により大きく飛躍する内陸と、潜在力のある沿岸がともに手を携えながら、復興以前の状況ではなく、むしろさらに上の状況にもっていく必要があるのだろうと思っております。そのためには、県が地方経済の牽引役となっていくように振興を図ることが肝要であると思っております。
そこで、その地域経済を支える社会基盤の一つとして、先ほど、国道107号について御質問申し上げましたところ、重要な路線であると認識しているようであります。今後、事業化に向け、現在行われている検討をさらに進めてほしいと思いますが、これらについてどのように考えておられるか、改めてお伺いいたします。
〇県土整備部長(八重樫弘明君) 国道107号につきましては、現在、当該路線の整備優先度を検討するために現道の道路構造や交通の状況等の調査を行っておりますが、この事業化に向けては、具体的にどのような手法での整備が可能であるかの検討を行うに当たって、地形図が必要となります。この地形図の作成等について、今後進めていきたいと考えております。
〇42番(田村誠君) 御答弁ありがとうございました。いずれ、国道107号の整備促進に期待いたしておりますので、なお一層の御努力をお願いいたしたいと思っております。
これまで復旧、復興に日夜取り組んでいただきました知事初め県当局や市町村の皆様に感謝申し上げ、私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
〇議長(佐々木順一君) 傍聴者への配慮から、しばらくお待ち願います。
次に、工藤誠君。
〔12番工藤誠君登壇〕(拍手)

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