平成30年6月定例会 第13回岩手県議会定例会会議録

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〇5番(菅野ひろのり君) 改革岩手の菅野ひろのりでございます。
まず、大阪府北部で発生した地震にてお亡くなりになられた皆様、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。
2月定例会に引き続き、今回も登壇の機会を与えていただきましたことに感謝し、また、さきの質問者と重複する点もあるかと思いますが、私なりの視点から質問をさせていただきます。
まず最初に、次期総合計画について知事の考えをお伺いいたします。
私は、次期総合計画における考え方、幸福と持続可能性社会や地球環境問題への対応、里山資本主義の考え方について賛同するものであり、今後10年先を見据えたビジョンにおいて、先人が築いてきた岩手県の強みをさらに生かしていく必要があると考えています。
次期総合計画策定に向けた岩手の10年後を考える県民フォーラムが6月24日に盛岡市で開催され、約150人が参加しました。日本総合研究所主席研究員の藻谷氏による基調講演、10年間で地域をどう変えるかの中で、10年先を考えるには、現状や物事を気持ちや感情でゆがめることなく、客観的な数値に基づき把握する必要があると指摘し、現実と思い込みのギャップを埋めるこれからの10年であると述べられていました。
具体例として、各都道府県の生活保護率を挙げ、全国平均は100人当たり1.7人、東京都は2.4人、岩手県は0.9人と全国平均より少なく、その理由を自給可能な豊かな食料生産であるとし、60歳以降もさまざまな形で農と食に携われることを挙げておりました。
では、岩手県の客観的な数字とはどうでしょうか。岩手県勢要覧によると、全部で32件の代表的な暮らしや自然、文化、産業等のお国自慢が記載されています。全国1位の二戸市に代表される漆のシェアや遠野市のホップ、沿岸のワカメやアワビ類など、お国自慢の約7割に当たる22項目が農林水産物です。
次期総合計画の理念の中で、本県に受け継がれている結いの精神にも触れられておりますが、私は、こうした岩手の強みの土台となっているものの多くは、農林水産業の基盤があってこそではないかと考えており、今後10年先を見据えたビジョンを示していくに当たっても、農林水産業の将来を第一に考えていく必要があると考えています。
一方で、基調講演後のパネルディスカッションの中で知事は、ILC誘致実現や釜石港ガントリークレーン整備に伴うコンテナ取扱量の増加、東芝メモリ誘致などに触れられておりましたが、農林水産業については、残念ながら触れられておりませんでした。私は、岩手の10年後を考える中で、知事は、岩手県の強みである農林水産業に重きを置いていないのではと非常に強い危機感を感じています。
そこで伺いますが、1点目、藻谷氏が指摘する客観的な数値と思い込みのギャップを埋めるこれからの10年とすべきであるといった考え方は、次期総合計画の策定を進める上でも大切な視点と考えますが、知事の所感をお伺いします。
2点目、県民計画の素案にあります新しい時代を切り拓く重要構想として、農林水産業を土台に据えた上で、港湾や空港の活用、インフラ整備や企業誘致、ILCによる国際学術都市などを複合的に考えていくことが重要と考えます。あくまで土台は農林水産業であり、最も注力すべきと考えますが、知事が考える10年後の岩手県とはどのような姿かお伺いします。
次に、岩手の幸福に関する指標について伺いますが、幸福は、県民一人一人、何について幸せを感じるかは多種多様であり、県民一人一人に寄り添う自治が重要であると知事は述べられていました。そのとおりだと私も考えますが、第三者評価の一つの指標として幸福度を用いるのであれば理解できますが、行政が九つの政策分野に落とし込み、アクションプランの作成や数値的な評価を行うこと、また、行政が幸福をどのように追求できるかについては、非常に難しい課題だと考えています。
今回、岩手の幸福に関する幸福の指標をどうアクションプランに反映させ、県民の幸福を評価していくのか伺います。
次に、ILC─国際リニアコライダーについて伺います。
本年12月がILC誘致実現のタイムリミットであると言われている中、ILCの技術開発に関するシンポジウムが6月25日に東京で開催され、ILC計画を推進する国際研究者組織LCCのディレクターを務めるリン・エバンス氏らが、日本政府に対し、早期の受け入れ態度を表明するよう改めて促したところですし、先週の29日金曜日には、増田寛也前岩手県知事が発起人代表となり、ILCの東北誘致を目指すILC100人委員会が発足しました。政府決定の後押しになることが期待されます。
奥州市では、外国人研究者の受け入れ態勢を充実させるべく、奥州市国際交流協会や岩手県立大学と連携し、外国人研究者等が、快適に安心して生活できるためのワンストップサービスの研究に着手しています。また、農産物の食料供給基地として、特産品の開発など、産業の活性化につなげる動きが奥州市議会副議長からも提言され、誘致実現に向けた動きが活発になってきています。
残された時間はわずかです。本年12月までは約6カ月、政府決断に向けてどのような取り組みを行っていく予定か伺います。
次に、海外戦略について伺います。
岩手県の海外戦略は、いわて国際戦略ビジョンに基づき、海外との互恵的、多面的な交流を進めながら、成長が見込まれる海外市場において、より多くの外貨を獲得し、ふるさと振興を図っていくことを基本方針とし、平成14年に韓国ソウル市にソウル事務所を開設、平成17年に中国大連市に大連経済事務所、そして平成22年の上海万博への共同出展をきっかけに中国雲南省との交流が深まり、平成30年に海外の3拠点目となる雲南事務所を開設しました。
雲南省の省都昆明市の気候は、岩手県に比べて、冬は暖かく夏は涼しく、四季を通じて春のような気候で、春城とも言われています。山間の盆地を中心に農業が発達し、主要な農産物は、米、お茶、漢方薬のほか、ユリ、バラなどの花卉産業が盛んです。中でもプーアル茶は有名な特産品です。水資源も豊富で、水力エネルギー資源は中国で第2位と、主要農産物、再生可能エネルギーなど岩手県と類似する点が多くある地域でもあります。
本年6月13日から18日まで、友好、表敬訪問とあわせ現地の取り組み状況を視察するため、岩手県議会大連・雲南友好議員連盟では、五日市王副議長を初め、9名の議員と中国を訪問させていただきました。
〔議長退席、副議長着席〕
昆明市では南部鉄器を初めとする伝統工芸品が出品された南アジア博覧会の視察、世界第2位の花卉市場である昆明国際花卉オークションセンターや農業分野の視察、雲南省幹部との懇談、上海市では、日本岩手県観光物産店の視察、上海大可堂との懇談を行ってきました。
日本岩手県観光物産店は、地価が非常に高い高級街に位置しており、高級路線では、久慈琥珀や南部鉄器や岩谷堂箪笥、食品では、江刺リンゴジュースや卵麺、岩谷堂羊羹など数多く展示され、また、フランススタイルの洋館が特徴的な上海大可堂では、伝統工芸品である南部鉄器の気品をより高める大切な扱いと販売をしていただいておりました。南アジア博覧会では、南部鉄器が既に完売している人気の高さです。
雲南省幹部からの歓迎の挨拶では、農業分野での技術交流を深めたい旨の発言もいただき、伝統工芸品を初めとする物産販売分野にとどまらず、さまざまな分野での交流を深めることが、本県の将来的な利益につながるのではと感じたところです。
そこで伺いますが、1点目、これまでの雲南省との交流の実績を踏まえつつ多方面での交流を促進していく必要があると考えますが、今後、雲南省での展望をどのように考え雲南省政府の提案に応えていくのか、お伺いします。
2点目、南アジア博覧会では、南部鉄器の類似品も多数出展されており、茶器の人気を感じさせていましたが、岩手県という県自体の露出が少なく、中国人を初めとするアジアの方々にとって、南部鉄器と岩手県がどう結びつくのか、ここから誘客、交流までつなげられるかなどの課題を感じたところです。岩手ブランドの普及拡大策にどのように取り組むのかお伺いします。
3点目、平成30年度の海外展開を含む事業予算は46事業、合計14億7、100万円が計上されており、海外展開の柱である伝統工芸品の販売実績をこれからも積み重ね、新しい展開へと発展させ、県民の理解をより深めていく必要があると考えますが、岩手県民に対して、海外事務所の必要性をどのように広めていくのかお伺いいたします。
次に、空港と港湾の利活用について伺います。まず、花巻空港-羽田空港便の実現についてです。
県議会会議録のデータベースから羽田空港をキーワードに絞って検索しますと、答弁を含めて29件がヒットします。過去は平成7年9月定例会までさかのぼり、23年前から、本会議において、花巻空港-羽田空港便就航の可能性や実現に向けた提言、議論がされてきた経緯が見られます。
県当局の御答弁も、航空会社からは、新幹線との競合、羽田空港の発着枠の問題などから難しいとの見解が示され、実現の見通しは厳しいものがあるとの認識です。国土交通省の航空局航空ネットワーク部からも、航空路線の運航は、航空会社の経営判断、東北新幹線との競合下において十分な需要が見込まれていないためと伺いました。
就航実現には高いハードルであることはうかがえますが、岩手県は、御承知のとおり、ILCの誘致実現に向け多くの方々に御尽力をいただいているさなかであり、ILCが実現すれば、世界中から数千人の研究者が来県され、ILCを中心に研究開発拠点や居住エリアなどのコアゾーンに相互に人が行き来できるような交通システムの充実がさらに求められ、花巻空港の活用が期待されます。
また、さきに述べた就航できない理由の一つ、新幹線との競合については、東京駅を起点に考えているようですが、羽田空港での乗り継ぎや手荷物の預け直しなどの時間、労力の軽減、成田空港の混雑状況回避などを想定し、本県への外国人客の移動手段の利便性も考慮する必要があると考えます。
平成28年6月定例会における高橋但馬議員の質問にも、商工労働観光部長が、国の調査データを活用し、入国場所や移動ルートなどを推定しているところと答弁いただいております。
そこで伺いますが、ILC誘致実現による海外研究者等の来県者が増加することを踏まえ、海外客の来県ルートをどのように想定しているのか、また、海外へのゲートウエーとして、羽田空港と花巻空港の就航の可能性はどのようになっているのかお伺いします。
次に、港湾の活用についてです。
釜石港では、東日本大震災津波からの復興支援として、大阪府から岩手県に無償譲渡されたガントリークレーンが、昨年9月23日に供用開始され、作業効率は既存クレーンの約3倍となりました。コンテナの取扱量が増加し、中国、韓国向けの新たな外貿航路も就航、利用企業は2011年の8社から2017年には45社まで増加したとのことです。
また、取扱量は限定ではありますが、ILCに関して、実験装置のクライオモジュールの輸送には海上コンテナが利用される可能性があり、岩手県とILC、港湾と復興をつなぐ象徴の一つになるのではと期待を寄せます。
国際物流に関して、東北地方整備局では、トラックドライバー不足の現状と輸送コストの削減、空コンテナの有効活用等を踏まえ、コンテナラウンドユースを東北で導入する可能性について検討を始めているとのことです。
コンテナラウンドユースは、輸入で使用した海上コンテナから貨物をおろした後に空となったコンテナを、港に返却することなく、輸出もしくは国内輸送で使用する取り組みです。
このコンテナラウンドユースのポイントは、コンテナ貨物の輸出入量が多い岩手県内陸部への空コンテナの一時保管場所の確保が必要という点であり、東北国際物流戦略チームでは、東北の港湾利用が多く、輸出入のバランスがとれていることに加え、大船渡、釜石の両港へ約2時間で行くことができる岩手県の北上地区を、効果が見込まれるモデルケースとして可能性の調査を行っています。
平成28年4月に策定された岩手県港湾利用促進プランでは、コンテナラウンドユース実施に向けての調査や社会実験について検討するとしていますが、取扱量の確保と物流拠点が広域にわたる観点から、岩手県のみならず、北東北、東北全体を視野に入れた連携、特に岩手県の強いリーダーシップが必要と考えますが、本県のコンテナラウンドユース導入の必要性と取り組み状況はどうなっているのかお伺いします。
次に、釜石港における畜産物の輸出入について伺います。
岩手県は本年度、冷蔵冷凍コンテナを一時保管するための専用電源リーファーコンセントを、釜石港で16口から58口に増設することとしており、釜石市は、今後の輸出入の拡大に期待しているとの報道がありました。
また、その報道では、釜石港の国際貿易拠点化が加速する中、県は、畜産品の輸出入に不可欠な動物検疫の指定港への追加に向けた取り組みを進めていくこととされております。指定港は、東北6県では岩手県だけなく、畜産県と言われる本県は、食肉輸出を他県に頼らざるを得ない実情にあります。
国は、農業競争力強化プログラムのもと農畜産物の輸出を強化しており、本県の主な輸出品である牛肉は、平成29年55.2トン、前年比142%と伸びてはいるものの、運送手段は商社経由での空輸とのことです。その他の畜産品は、岩手県から京浜港などを経由して輸出しています。
株式会社いわちくは、輸出拡大を見越し、HACCPに対応した豚食肉処理新工場を約109億円かけて建設中であり、畜産品の港湾輸出の一助になります。
今後の釜石港の活用に向けて、取扱量、輸出の頻度、輸出先など十分な輸出入の見込みがあるのでしょうか。本県の港湾を動物検疫の指定港とするニーズとその必要性をどのように捉えているか伺います。
次に、農業振興について、TPPに関連してお伺いします。
米国を除く11カ国による環太平洋連携協定の新協定TPP11関連法が先週成立しました。6月30日の日本農業新聞では、TPP11熟議なき成立との見出しで報道されており、今後さまざまな影響が岩手県の農家の皆さんに直結するため、あえてこの場で取り上げさせていただきます。
岩手県は、TPP11による本県農林水産物への影響額について、生産量を国内対策の効果を考慮し試算していますが、JA滋賀中央会では、対策がとられなかった場合の試算をしています。国の対策が効果的であるか、また、十分であるかは現時点で不明確であり、国内対策効果を加味せずに試算すべきと考えていますが、県の考えをお伺いします。
次に、種子法の廃止について伺います。
農産物である米、麦、大豆は、主要農産物種子法によって都道府県が奨励品種指定試験を行うよう義務づけられていましたが、この法律は平成30年度に廃止となりました。
長野県の阿部守一知事は、6月22日、種子条例の制定を目指す意向を示し、単に法律でなくなったところを補完するだけではなく、県の伝統野菜を守ることなども含め考える必要がある。条例案をつくり、県議会にお示しする方向で考えたいと語り、また、7月に県主要農作物の種子生産に係る基本要綱を施行し、県がソバを含む主要農作物の種子を安定的に供給することを定めました。全国では、兵庫県、新潟県、埼玉県が条例を設けています。
県が、将来にわたり、県が根拠をもとに種子生産を守るため、条例を策定する必要があると考えますが、要綱、要領で十分対応できると県が考える根拠をお示しください。
次に、種苗法の改正に伴う影響について伺います。
5月15日付けの日本農業新聞によりますと、国は、品種登録した品種の種苗の自家増殖を原則禁止する方向で検討に入ったとの報道がありました。農林水産省の品種登録データ検索からは、品種登録者の住所が岩手県であるものが237件あります。本改正案は検討段階であるため国政の動向を冷静に見きわめる必要はありますが、仮に自家増殖を全面禁止にすれば、農業経営の打撃ともなります。
県内の伝統作物や、例えばリンゴの奥州ロマンなどオリジナル品種にどの程度影響があると推測されるのか、本県への影響をお示しください。
次に、遺伝子組み換え作物の本県農業への影響について伺います。
厚生労働省は、遺伝子組み換え食品の安全性を周知している一方、2018年夏には、農林水産省と経済産業省が、新素材や医療品開発への遺伝子組み換え作物などの利用について、バイオ技術の活用戦略に盛り込むとされております。
また、海外では、遺伝子組み換えにより除草剤耐性を得た穀物の栽培が進み、広く流通しているほか、漁業の分野においても、2倍の速度で成長する遺伝子組み換えのサケの流通が始まったと聞いております。
TPP11は数千ページにも及ぶ文書で、まだまだ正確に私たちに伝わっていない部分が多く、詳細はほとんど報道されることがありません。そのため、国の法体系の変更点と国際情勢を鑑みながら、本県の特に農業への予防線を張っておく必要があると考えますが、遺伝子組み換え作物の国内での栽培の定着化について、現時点での有効性と危険性、本県農業への影響をどう捉えているかお伺いします。
次に、次期総合計画と東京2020オリンピック、パラリンピック競技大会に関連して、GAPと環境保全型農業について伺います。
6月12日、自由党岩手県議団にて内閣の東京オリンピック競技大会・パラリンピック競技大会推進本部に伺い、岩手県出身で知事の同窓生でもあります源新企画・推進統括官から、オリンピック、パラリンピックの取り組みについて伺いました。
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会における飲食提供に係る基本戦略において、認証、すなわちGAPについて記載がされておりましたが、全国的に、GAPについて、消費者の認知度、生産者の取得ともに広がりを見せていないとのことです。最悪の想定として、GAPに準ずる輸入農産物の提供も選択肢にあることが示唆されている危機的な状況であり、逆に申せば、他県の状況が進んでいない中で、岩手県が食料供給基地の存在を見せるチャンスでもあります。
一方で、次期総合計画において、収益力の高い食料供給基地をつくる上で、GAPと環境保全型農業を推進しているものの、GAPの取得は広がらず、消費者の認知も上がっていない。
そして、さらに、環境保全型農業に対する直接支払交付金について、国は、対象者の要件を従来のエコファーマーからGAPの実施に切りかえています。猫の目農政に農家は翻弄されています。
県は、次期総合計画に掲げる以上、二つの推進に努めなければならないと考えますが、今後の具体策をお伺いします。
いわてクリーンセンターについて伺います。
いわてクリーンセンターの焼却施設は、稼働後22年を経過し、老朽化により営業を休止し、平成29年度に解体着工されました。
附帯施設であるえさしクリーンパークは、浴室と6レーンある25メートルの温水プールに、幼児用のプール、120畳の和室休憩室から成る大規模な施設であり、奥州市のみならず、県南地域全体の小中学生から高齢者まで幅広い年代が通年にわたって利用し、その利用者数は、平成29年度においては約5万2、000人と、まさに地域で愛される健康増進施設であります。しかし、いわてクリーンセンターの焼却施設廃止に伴い、附帯施設であるえさしクリーンパークも、2022年3月で営業終了を予定しております。
この地域では、東日本大震災津波で倒壊した旧江刺市民プールを廃止し、その代替としてえさしクリーンパークが残された経緯もあります。現在、地域ではえさしクリーンパークを守る会という市民団体が結成され、施設の存続を求める署名活動が展開されています。焼却施設の管理者はクリーンいわて事業団、えさしクリーンパークの建物は県、運営は奥州市であり、板挟みになっている地元住民のやり場のない憤りが聞こえてきます。
そこで伺いますが、いわてクリーンセンターの産業廃棄物受け入れが終了した後、附帯施設であるえさしクリーンパークの利活用について、奥州市からはどのような考えが示されているのか、今後の無償譲渡の可能性も含め、基本方針はどのようになっているのかお伺いします。
次に、ブロック塀の安全対策について伺います。
大阪府北部地震では、最大震度6弱の地震により、小学4年生、9歳の児童がブロック塀の下敷きになり犠牲となりました。建築基準法に違反した建築物であり、目視だけの点検で安全と判断していたようで、外部の専門家が危険性を指摘したものの、市教育委員会は対策を講じなかったと報道されています。
本県でも東日本大震災津波以降、ブロック塀診断士が市町村に対して専門家によるブロック塀診断の必要性を訴えても、市町村の理解が深まらず、取り組みが進まなかったとの声が寄せられています。
危険箇所は学校施設のみならず、通学路等も指摘されており、診断後のブロック塀等の撤去、補修に多額の費用がかかるため、自治体の助成が必要ではないかと思います。
そこで伺いますが、大阪府北部地震によるブロック塀の倒壊による人的被害を受けて、県所有施設や県立高校等のブロック塀の緊急点検を行っていますが、小中学校の安全点検の実施状況はどうなっているのか、また、市町村に建築士等の有資格者がいない場合の対応策はどうなっているのか、お伺いします。
あわせて、通学路等の民間所有のブロック塀等の安全点検を促すため、どう周知していくのかお伺いいたします。
質問は以上となります。
最後に、繰り返しになりますが、岩手県内の農林水産業の振興こそが本県の土台であり、また、それが総合計画に示されなければなりません。そして、ILC誘致実現が、国際学術都市としての岩手県のさらなる付加価値を生みます。
大阪府から譲渡されたガントリークレーンに象徴されるように、港湾の利活用が進み、花巻空港が海外の出入り口となり、企業誘致や地場産業が雇用につながり、そして、復興道路がそれぞれの拠点を結び、岩手県内のさまざまな交流人口の活性につながるように求め、一般質問を終わらせていただきます。
答弁によっては再質問させていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 菅野ひろのり議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、次期総合計画の策定を進める上での視点についてでありますが、先月24日に開催した県民フォーラムにおける藻谷氏の基調講演は、客観的な数値を分析すれば、岩手には多くの強みがあり、これを正確に認識し、今後の地域づくりに最大限生かしていくことが大切といった趣旨の内容と受けとめております。
次期総合計画の素案では、岩手の強みや弱みなどを分析した上で、政策推進の方向性を示す構成としており、例えば農林水産業については、米のオリジナル品種金色の風、銀河のしずくのブランド化や、ブロイラー等の畜産物の生産拡大が進んでいること、全国シェア1位のワカメ、アワビなど豊かな水産資源に恵まれていることなど、統計データ等を踏まえた強みを分析した上で、これらの強みを生かした今後の取り組みの方向性が盛り込まれているところであります。
今後とも、総合計画審議会を中心に幅広く議論を進める中で、客観的な統計データ等を踏まえながら、各分野における岩手の持つ強みを広く県民の皆さんと共有し、オール岩手で計画づくりを進めてまいります。
次に、10年後の岩手県の姿についてでありますが、次期総合計画の素案では、総合計画審議会の中間答申を踏まえ、基本目標として、東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き、復興に取り組みながら、幸福を守り育てる希望郷いわてを掲げていますが、10年後の将来像の実現をより確かなものとし、また、10年先の岩手の姿を県民の皆さんと広く共有していくためにも、世界や日本の動きに的確に対応しながら、長期的、戦略的な考え方に立って、創造性や岩手らしさなどを有する重要構想を盛り込むこととしています。
重要構想では、国際リニアコライダーの建設を契機とした世界最先端の国際科学技術イノベーション拠点の形成や水素の社会経済活動における利活用のほか、本県の主要産業の一つである農林水産業と第4次産業革命技術によるイノベーションを融合させた取り組みなど、新しい時代を切り拓いていく新たな価値、サービスの創造や、地域課題の解決につながる先駆的な構想を構築していくこととしております。
今後、専門的な知見を有する有識者や、県民、各種団体、市町村などから幅広く御意見を伺いながら、重要構想の具体化を進めてまいります。
次に、ILCについてでありますが、ILC計画が世界の協力のもとに実現されるためには、ヨーロッパにおける2020年からの素粒子物理の5カ年計画にILCが盛り込まれることが必須となっており、ことしじゅうに日本政府がILCに前向きな方向性を打ち出す必要がある状況と認識しております。このため、東北ILC推進協議会や北海道東北地方知事会など、東北の関係者とともに、機会を捉え、政府・与党に対し、ILCの早期実現について要望を行っているところであります。
また、ILCの全国的な理解も政府判断の後押しとなることから、草の根的な応援団であるILCサポーターズや、経営者や文化人などで構成するILC100人委員会の活動支援のほか、8月に予定されるノーベル物理学賞受賞者を招聘したシンポジウムの開催支援など、関係団体と連携して、首都圏等でのPR活動を積極的に進めているところであります。
今後とも、このような国民的な理解増進活動や、建設候補地として受け入れ環境の整備を進めるとともに、超党派国会議員連盟や東北ILC推進協議会等関係団体とも密接に連携しながら、ILCの実現に向けて全力で取り組んでまいります。
その他のお尋ねにつきましては企画理事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔企画理事紺野由夫君登壇〕
〇企画理事(紺野由夫君) 雲南省における展開についてでありますが、本県と雲南省との交流は、平成25年に締結した友好交流協力協定に基づき、地方政府間交流を起点とし、経済、観光、農林業、青少年交流など、幅広い分野の交流に拡大しております。
ことし4月には、雲南省から副省長を初め、省・政財界の要人の方々の御臨席のもと、本県からは知事、県議会議長、県内経済界の代表などが出席し、雲南省昆明市に岩手県雲南事務所を開所したところであり、交流全般に係る連絡調整や本県関係者と雲南省との交流支援及び観光、文化等の情報発信など、さらなる交流の進展に向け力強く取り組んでいるところであります。
また、現地において、知事と同省人民政府幹部との会談が行われ、雲南省側から、雲南事務所を拠点とした多面的な交流が新たな時代を迎えることを期待する旨の発言があり、今後における交流連携の一層の推進を相互に確認したところであります。
雲南省政府からの提案については、平成28年度に設置した庁内関係室課で構成する雲南省交流促進ワーキンググループを通じて、お互いの強みを生かしながら、岩手県と雲南省のさらなる相互発展に貢献する取り組みとなるよう、その対応を検討してまいります。
〔政策地域部長藤田康幸君登壇〕
〇政策地域部長(藤田康幸君) 幸福の指標についてでございますが、岩手の幸福に関する指標研究会が昨年9月に取りまとめた報告書では、幸福度は、幸福感をあらわす主観的指標と、領域別実感に関連する統計データで構成される客観的指標で示されるものとされております。そして、主観的指標は、短期的な数値の変動に着目するのではなく、長期的な視点での数値の維持、向上を図るという観点で設定するものであることから、目標値を設定して管理するべき性質のものではないといった指摘がなされております。
また、客観的指標につきましては、研究会の報告書におきまして、指標の例が提示されているところでございます。
今後、アクションプラン策定に当たりましては、客観的指標の例も含め、研究会の報告書の内容を十分参考にしながら、政策評価の仕組みに基づくマネジメントサイクルに資する指標を盛り込みまして、取り組みの成果を県民と共有し、計画の実効性を高めていきたいと考えております。
次に、羽田便就航の可能性についてでございますが、海外客の来県ルートにつきましては、国の地域経済分析システム、いわゆるリーサスのデータによりますと、2016年に本県を訪問した外国人の7割以上が、成田、仙台、羽田の各空港からの入出国となっております。このうち、仙台空港はアジア線が中心でありまして、ILCの研究者などの多くが見込まれるヨーロッパやアメリカからは、首都圏の空港を利用する機会が多いものと想定しているところでございます。
羽田線の就航につきましては、毎年ダイヤ改正の時期に合わせて航空会社に対して要望してきたところでございますけれども、現時点で実現の見通しは厳しいものと認識しているところでございます。
一方、今後、ILCの誘致が実現すれば、相当数の国内外の研究者等の往来が期待されることから、ILC誘致の状況を踏まえながら、国際ハブ空港である羽田空港との接続について、引き続き航空会社に働きかけを行ってまいりたいと考えております。
〔商工労働観光部長戸舘弘幸君登壇〕
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) まず、中国における岩手ブランドの普及についてでありますが、平成22年の上海万国博覧会を機に南部鉄器の知名度が高まった一方、南部鉄器の産地が岩手県であることについては、さらなる認知度の向上が必要であると認識しております。このため、平成29年度から、大連市、上海市、昆明市で、南部鉄器などの県産品の展示販売や観光情報の発信を行う岩手フェアの開催などによりまして、岩手県が南部鉄器の産地であることに加え、本県の観光資源や質の高い食品、工芸品等をPRしてきているところでございます。
さらに、平成30年度におきましては、中国の著名人などを招聘し、本県の自然や文化、温泉や食、伝統的工芸品の工房などを体感いただいた上で、多様な魅力を中国で発信していただくほか、岩手県大連経済事務所が築いたネットワークにより、昨年12月に上海市にプレオープンした日本岩手県観光物産店を拠点といたしまして、県産品の販路開拓や観光情報の発信を本格化させることとしておりまして、こうした取り組みを通じて、中国における南部鉄器を通じた岩手ブランドの普及に取り組んでまいります。
次に、県民に対する海外事務所の必要性の周知についてでありますが、本県が海外に設置している事務所は、地方政府間交流の推進や、事業者による輸出などの海外展開支援、国際チャーター便の誘致活動、海外から本県への誘客の促進などに取り組んでいるところでございます。
海外事務所による支援を受けたり、商談会を利用していただいた事業者の方々からは、本庁サイドでのフォロー等とあわせ、総じて高い評価をいただいているものと認識しております。
本年6月に発行した県の広報誌いわてグラフでは、本県と雲南省との交流状況とあわせ、4月に開所した雲南事務所を紹介したところでありまして、今後とも、県の広報媒体等を通じ、海外事務所の活動状況を紹介するなど、海外事務所の必要性について広く県民に理解されるよう努めてまいります。
〔県土整備部長八重樫弘明君登壇〕
〇県土整備部長(八重樫弘明君) まず、コンテナラウンドユースの導入についてでございますが、コンテナラウンドユースは、輸入で使用した空となったコンテナを効率的に輸出に使用することで空コンテナの輸送が最小限となり、トラックドライバーの不足への対応や輸送コストの低減などの面でメリットがある取り組みであると承知してございます。
この取り組みの課題等を検討するために、県では、平成25年度に、県及び港湾所在市、コンテナ関係の物流事業者を構成員とするコンテナ貨物集貨拡大に向けた検討会を設置し、これまでに6回の検討会を開催しているところでございます。
検討会においては、コンテナラウンドユースの有効性については共有されているところですが、内陸部での空コンテナの一時保管場所の整備や運営のあり方などが継続して検討すべき課題として挙げられているところでございます。
今後は、検討会における課題を踏まえ、検討会のメンバーに加えまして、荷主や船会社など、コンテナラウンドユースに関係する事業者との意見交換の機会を設け、取り組みの方向性について研究してまいりたいと考えてございます。
次に、動物検疫の指定港についてでありますが、県内の港湾が家畜伝染病予防法に基づく動物検疫の指定港になることにより、畜産物の輸出入における輸送手段の多様化が図られ、港湾物流の活性化に資するものと考えてございます。
県では、動物検疫の指定港になるための要件等について昨年11月に農林水産省動物検疫所に確認したとろ、対象貨物の輸出入が、毎年、確実に見込まれることが必要であると見解が示されたところでございます。このため、対象貨物の県内港湾を利用した輸出入の可能性について、荷主や物流事業者から聞き取りを行ってきたところでございます。これまでのところ、輸出での利用の意向はまだ確認できておりませんが、輸入については、複数の荷主から、食肉、羽毛及び動物由来の飼料添加物などについて、県内港湾の利用の意向が示されているところでございます。
県としては、今回の荷主や物流事業者からの聞き取り結果を取りまとめ、今後の対応について、国と協議を進めてまいりたいと考えてございます。
次に、ブロック塀の安全点検についてでありますが、大阪府北部地震での人的被害のあったブロック塀の倒壊は、ブロック塀が建築基準法に適合していないものであったということが原因の一つとされております。民間所有のブロック塀は、その数や個別の耐震性の有無の把握が難しいなど、課題がふくそうしている状況にあります。
県では、今回の事故を受けて、県民からの相談に対応するための相談窓口を開設するとともに、所有者による安全点検実施のためのブロック塀の点検チェックポイントや、危険性が確認された場合の付近通行者への注意表示及び補修や撤去等の必要性について県のホームページに掲載し、注意喚起を行ったところでございます。
なお、市町村に対しては、市町村の広報紙などを通じて、所有者による安全点検の実施と注意喚起等について広く住民へ周知していただくよう依頼したところでございます。
また、教育委員会を初め、県有建築物を所有する各部局に対しても、点検のチェックのポイント等について情報を共有しているところであり、さらに、建築士関係団体に対して、所有者からの相談への対応を依頼しているところでございます。
引き続き、市町村や建築士関係団体と連携しながら、住民への周知と住民からの相談などにしっかり対応していきたいと考えてございます。
〔農林水産部長上田幹也君登壇〕
〇農林水産部長(上田幹也君) まず、TPP11による本県農林水産物への影響額についてでありますが、県では、国の経済効果分析をもとに、TPP11による本県農林水産物への影響を試算し、生産額が約22億円から36億円程度減少するとの試算結果を公表したところであります。
国は、試算に当たり、価格の低下により生産額は減少するものの、国内対策により生産量が維持されることを前提としており、実際の本県への影響額は、これより大きくなることも考えられます。
県としては、これまで、国に対し、TPP11による農林水産業への影響を十分に分析し、丁寧な説明を行うよう要望しているところであり、引き続き、国内への影響等について十分な情報提供を行うなど、国において万全の対策を講じるよう求めてまいります。
次に、種子法の廃止についてでありますが、水田農業の振興上、米、麦、大豆の優良種子の安定供給は極めて重要であると考えており、主要農作物種子法廃止後においても引き続き県が関与し、優良な種子を安定的に生産、供給する体制を維持することが重要であります。このため、県では、平成30年4月1日付けで主要農作物種子法が廃止されたことに伴い、同日付けで、岩手県稲、麦及び大豆の種子の生産等に関する要綱などを施行し、従来どおり、原種供給及び種苗の生産基準に係る検査を行うなど、優良な種子を生産、供給する体制を維持、継続することとしたところであります。
また、これまで、説明会を開催するなど、生産者や関係団体に対して、新たな要綱等に基づき、県がこれまでどおり、種子の生産、供給に関与する旨を周知し、一定の理解が得られているものと認識しております。
引き続き、国や他の道府県の動向等を踏まえ、種子生産者や関係団体の御意見も伺いながら、優良な種子の安定的な生産、供給に向け、適切に対応してまいります。
次に、種苗法の改正に伴う影響についてでありますが、現行の種苗法では、登録された品種のうち、種苗法施行規則で定められた品目に該当するものと、育成者との契約で自家増殖を認めないとされた場合に限り自家増殖が禁止されております。一方、県内で栽培されている伝統作物について、確認可能な全ての品種については、種苗法に基づく登録がなされておりません。したがって、種苗法の適用がないため、自家増殖は可能でございます。また、地域のオリジナル品種につきましては、国に確認しましたところ、仮に種苗法が改正された場合でも、育成者の許諾があれば、品種登録されたものであっても自家増殖を可能とする考えとのことであります。したがいまして、現時点で種苗法の改正内容の詳細は明らかではございませんが、仮に報道にあったとおり、改正種苗法により自家増殖が原則禁止されたとしても、伝統作物や地域のオリジナル品種を栽培する農業者への影響は基本的にないものと考えられます。
次に、遺伝子組み換え作物の本県農業への影響についてでありますが、海外で生産されている遺伝子組み換え作物は、除草剤耐性があることなどにより栽培しやすい特徴がある一方、実った種子等が周辺の生態系に侵入した場合、野生植物の種や生態系の維持に影響を与える危険性が指摘されているほか、遺伝子組み換え作物に対する消費者等の不安が完全には払拭されていないと受けとめております。このため、遺伝子組み換え作物については、日本を含む170カ国が締結している生物多様性条約カルタヘナ議定書により、輸入が拒否できるなど、輸入国に一定の条件のもとで国際的にその移動などが規制されております。また、国では、同議定書の国内担保法として、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律、いわゆるカルタヘナ法を平成16年2月に施行し、国の承認を得ない限り、遺伝子組み換え作物の栽培を禁止しております。
さらに、本県では、平成16年度に遺伝子組換え食用作物の栽培規制に関するガイドラインを策定いたし、法に基づく承認が得られた遺伝子組み換え作物の栽培を行おうとする者に対し、一定の条件のもとで中止要請する規定を盛り込むなど、県独自の規制を行ってきたところであり、今後とも、生態系の維持や消費者の安心の確保等に取り組んでまいります。
次に、GAP及び環境保全型農業の推進についてでありますが、GAPについては、県は、これまで、農業普及員などをGAP指導員として103名養成するとともに、費用負担なしに県版GAPの登録ができる制度を創設し、また、認証GAP取得のためのコンサルタントを派遣するなど、GAPの取り組みの拡大に向けた環境を整備してきたところであります。
このような取り組みにより、昨年9月には、全国初となる県版GAPの登録が実現したところであり、これに続く動きが県内各地で見られるほか、輸出にも対応できる国際水準GAPの登録を目指す農業者も着実にふえてきており、県では、これらの取り組みを積極的に支援してきたところであります。
環境保全型農業については、県では、これまで、環境保全型農業直接支払交付金を活用し、地球温暖化防止や生物多様性の保全につながる活動の推進に取り組んできたところであります。
今年度、直接支払交付金の要件に新たにGAPの取り組みが位置づけられたことから、交付金事業に取り組む農業者を対象に研修会を開催するなど、GAPの取り組みをきめ細かに支援しているところであります。
今後とも、食品の安全や環境の保全等が確保され、消費者からの信頼に応えるGAPの取り組みや環境保全型農業をしっかりと推進してまいります。
〔環境生活部長大友宏司君登壇〕
〇環境生活部長(大友宏司君) えさしクリーンパークについてでありますが、えさしクリーンパークは、いわてクリーンセンター稼働の際、県が焼却炉の余熱利用モデル施設として平成7年に整備したものであり、県、奥州市、クリーンいわて事業団3者の協力のもとにこれまで運営され、長年地域の皆様に親しまれ利用されてきたところであります。
平成28年3月に、老朽化のため、いわてクリーンセンターの焼却炉の稼働を終了することに伴い、えさしクリーンパークへの余熱供給が終了することや、屋内温水プールなどの余熱利用施設自体も老朽化が進んでいることから、営業を終了する計画としておりましたが、地元の皆様からの存続要望にも応え、平成27年9月に3者で施設の取り扱いに関する覚書を締結し、2021年度末までの営業としたものです。
また、覚書では、期限前であっても、大規模修繕を行わなければ利用者の安全が確保できない状況となった際には、その時点で一旦営業を停止し、営業の再開または終了について3者で協議することとしております。
2022年度以降の利活用について奥州市から申し入れ等はされておりませんが、その後も営業するとなれば、天井、内壁、床などの主要構造、電気設備、空調、排水設備など、施設の大規模修繕や重油ボイラー設備の更新が必要となり、運営費負担も今後増嵩すると見込まれることから、覚書を延長することは難しいものと考えております。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) 小中学校のブロック塀の安全点検等についてでありますが、大阪府北部を震源とする地震により女子児童が犠牲となる事故が発生したこと等を踏まえ、その翌日に文部科学省から、学校におけるブロック塀等の安全点検等の実施についての通知があり、県教育委員会におきましては、この通知に基づき、市町村教育委員会と全ての県立学校に対し、その安全点検等の速やかな実施を要請したところであります。
各市町村教育委員会におきましては、これまでに緊急点検を実施し早期の現状把握に努めてきましたが、その調査の結果、学校にブロック塀がある14市町村においては、現在、関係法令等に基づく耐震対策や経年劣化の状況の詳しい調査に取り組んでおります。
補強工事等の具体的な対応はこれからとなりますが、国の動向等も把握しながら、適切な対応が図られるように指導、助言を行ってまいります。
また、市町村に建築士等の有資格者がいない場合の対応策についてでありますが、現在、県内で有資格者がいない自治体も一部にはありますので、県教育委員会におきましては、県土整備部の協力も得ながら、県と当該町村との情報共有や必要な支援に努めていくことといたしており、今般の点検等を通じて、小中学校等における安全の向上に取り組んでいく考えであります。
〇5番(菅野ひろのり君) 御答弁ありがとうございました。
簡潔に4点ほど質問したいと思います。
1点目ですが、先ほどのえさしクリーンパークのところで、私の質問で、無償譲渡の可能性も含めてという質問をさせていただいたのですが、その可能性をお答えいただいていないような気がしましたので、御答弁をいただきたいと思います。
2点目です。釜石港の動物検疫の輸出入についてでございますが、先ほどの御答弁だと、国は、毎年確実に輸出があるということで、量や回数や、そういった制限がないのかという認識で聞かせていただきました。
一方で、岩手県内の輸出状況、きょう岩手県畜産議員クラブ総会もありましたけれども、例えば豚も空輸、牛も空輸とお聞きしております。釜石市では、動物検疫の指定をとってさらに拡充していきたいという考えがありますが、県の状況としては、今は動物の輸出入ができる状況ではないという御答弁をいただいたように聞こえます。だとすると、釜石港を拡充する上で、県も食肉の輸出をやっていく中で、これからどのように取り組んでいくのか。単に輸出を拡大していくというだけでは、港湾の活用につながらないと思っています。その点をお伺いしたいと思います。
3点目、4点目は農業、TPP11と種子法について伺います。
まず、上田農林水産部長には大変丁寧な御説明をいただきましてありがとうございました。
まず、TPP11についてでございます。国内対策は、県も十分ではないという御認識のようでございまして、私も全くそのとおりに思っています。だからこそ、輸入額の試算、これは国と同様にしてはいけないと私は考えています。
といいますのも、岩手県の関連予算は、平成29年度と平成30年度を合わせて108億円。これは紺野前農林水産部長が一生懸命確保していただいた金額であると思っていますが、一方で、108億円の中身を見ると、土地改良予算が43%で46億円。次いで岩手畜産流通センターの新工場の予算が17%で、これは老朽化対策。そして強い農業づくり交付金の予算が8%で、これは減反調整に伴う対策。これら三つで74.5億円です。108億円のうち74億円はTPP11に直結していない、今までの拡充とか老朽化の対策の予算であります。十分に国はTPP11に対する対策は行っていないとすると、岩手県にはもっと影響があると私は考えているのです。そういう意味で言うと、国内対策で何が必要かと言えば、価格に関する取り組みであり、米価の下落に備えるものや、牛乳であれば乳価の交渉であると考えています。
繰り返しになりますが、県は、十分に国の対策がとられていないという認識でいらっしゃいますから、国が情報や対策を十分示していないということだろうと推測していますが、今回想定した県内での影響に対して、具体的にどのような対策に取り組んでいくべきなのか、国にどういうことを要求していくのか、これを伺いたいと思います。
最後に、種子法に関してでございます。
種子法の今回の廃止で重要なのは、大きく2点あると私は思っています。一つは、予算措置、そして2点目が奨励品種の決定、大きくこの二つだと思っています。
予算措置に関して、これは当初廃止の予定でありましたが、平成30年1月26日、国からの通達の中で、岩手県には交付税は今後も措置されるという内容をいただいております。つまり、予算に関しては変わらないですよということなのだと思っています。そうすると、奨励品種にできるかということがポイントだと思います。では、今回の種子法廃止に関係なく、過去に民間が岩手県に種子生産を含めて検査してください、奨励品種にしてくださいと依頼した事例があるかということをお聞きしましたら、民間企業からの試験を依頼されたことはあるが、これは予備研究ということなので、積極的に品種登録したいということではないということです。
ちょっと長くなって恐縮ですが、過去を振り返っても、岩手県においては種子法廃止による危険性は、現段階では薄いのかなと当局の皆さんのお話を聞いて感じているところであります。そういう意味で、迅速かつ冷静な御判断をいただいているのだなと思っていますが、1日目に一般質問された、いわて県民クラブの千葉絢子議員と私は同様の考えでして、種子法廃止に賛成の場合は民間の活性化がその理由だけれども、反対の場合は種子の価格高騰と独占への懸念がその理由です。ここからは担当部署が別だと思いますが、農薬と遺伝子組み換え作物の普及、拡大の懸念、今は確証がないですけれども、そういう方向に発展するという懸念が主に反対派の理由で、私もその一人です。ですから、可能性というのは少なからずゼロではない。そう考えますと、将来にわたって、食の安全性を担保する責任が私たちにはあると考えていますし、また、全国の動向を踏まえた上でも、これは議員提案による条例化にも資する課題ではないかと感じています。
そこで伺いますが、今後、国の動向を踏まえて条例化の策定もあり得ると考えていいのか、その点を伺いたいと思います。
〇環境生活部長(大友宏司君) えさしクリーンパークの無償譲渡についての御質問でございましたけれども、相手のあるお話でございますし、また、仮定のお話でしたのであえて言及はしないでおりました。
覚書の経過につきましては、先ほど御説明したとおりでございまして、現在の覚書に至っており、2021年度末で営業終了ということになっております。営業終了後は、それぞれの所有者において解体、撤去等を進めるということで市も合意しているということでございますので、現状についてはそういうことだということで御理解いただければと考えております。
〇県土整備部長(八重樫弘明君) 動物検疫の指定港について御質問がございましたが、対象貨物の輸出入が毎年確実に見込まれるという要件は、数量については、特段、これ以上というようなことは示されておりません。輸出あるいは輸入する貨物船が港に年1回、2回必ず着岸するというニーズがあれば、恐らく大丈夫ではないかと確認したところでございます。
それから、豚肉や牛肉の輸出に関しては、現在のところは岩手県からは空輸によると伺っておりますが、まずは動物検疫の指定港にするための要件が確認できましたので、そちらの要件をクリアすることを進めながら指定港にしていくことを優先させたいと思っております。その結果、いろいろなルートが開かれることによって、その上で荷主の方や物流事業者の方のニーズが生まれてくる可能性もございますので、そのように進めさせていただきたいと考えてございます。
〇農林水産部長(上田幹也君) まず、TPP11に対する対応等についてでありますが、本県の農業は他産業への波及が非常に大きい裾野の広い産業でございまして、地域経済を支える基幹産業として、国際貿易ルールがあるなしの動向にかかわらず、一貫して将来にわたって持続的に発展させていくことが重要であります。このため、県では、農業経営の高度化、それから生産性、市場性の高い産地づくり、高付加価値化などを柱といたしまして、農業者の収益アップと農業、農村の活性化に向けた取り組みを進めているところでございます。
今後におきましても、こうした取り組みをさらに進め、地域の核となる担い手を中心として、多くの農家が生産活動に携わる中で、多彩な資源を生かした6次産業化を推進するなど、地域の特色や強みを生かして、収益性の高い農業に向け積極的に取り組んでまいります。また、国に対しましては、今後とも農林漁業者が安心して経営を継続できるよう、万全な対策を引き続き強く求めてまいります。
次に、種子法についてでございますが、県では、いわゆる種子法の廃止に伴いまして、新たな要綱等に基づき、県が引き続き、種子の生産、供給に関与する旨を周知してきたところであります。
生産者の方々からは、種子法廃止後も県が責任を持って種子生産を実施することがわかり安心したとの声が寄せられるなど、要綱等に基づき、従来どおりの生産、供給体制を維持、継続することに対し、一定の理解が得られているものと認識をしております。
引き続き、国や他の道府県の動向も注視しながら、県が関与し優良な種子を安定的に生産、供給する体制を堅持してまいります。
〇副議長(五日市王君) この際、暫時休憩いたします。
午後3時13分 休 憩
出席議員(45名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 臼 澤   勉 君
3  番 千 葉 絢 子 君
4  番 ハクセル美穂子 君
5  番 菅野 ひろのり 君
6  番 柳 村   一 君
7  番 阿 部 盛 重 君
8  番 佐 藤 ケイ子 君
9  番 佐々木 宣 和 君
10  番 川 村 伸 浩 君
11  番 田 村 勝 則 君
12  番 工 藤   誠 君
13  番 高 田 一 郎 君
15  番 佐々木   努 君
16  番 千 葉   進 君
17  番 佐々木 朋 和 君
18  番 名須川   晋 君
19  番 軽 石 義 則 君
20  番 神 崎 浩 之 君
21  番 城内 よしひこ 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 佐々木 茂 光 君
24  番 高 橋 孝 眞 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 工 藤 勝 博 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 高 橋   元 君
32  番 関 根 敏 伸 君
33  番 岩 崎 友 一 君
34  番 中 平   均 君
35  番 五日市   王 君
38  番 斉 藤   信 君
39  番 小野寺   好 君
40  番 飯 澤   匡 君
41  番 佐々木 順 一 君
42  番 田 村   誠 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 工 藤 勝 子 君
45  番 柳 村 岩 見 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 大 輔 君
48  番 樋 下 正 信 君
欠席議員(1名)
14  番 吉 田 敬 子 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後3時38分再開
〇副議長(五日市王君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第1、一般質問を継続いたします。樋下正信君。
〔48番樋下正信君登壇〕(拍手)

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