平成30年6月定例会 第13回岩手県議会定例会会議録

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〇45番(柳村岩見君) 議席番号45番、自由民主クラブの柳村岩見でございます。
今定例会において一般質問の機会をいただきました先輩、同僚議員の皆様に感謝を申し上げます。
6月18日、大阪府北部において震度6弱の地震が発生し、登校中の児童を含む数名の方がお亡くなりになりました。お亡くなりになられました方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。一日も早い復旧、復興をお祈り申し上げます。
東日本大震災津波から7年4カ月がたとうとしております。改めて、この災害によりとうとい命を失われました方々に御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。
東日本大震災津波からの復旧、復興においては、いまだ応急仮設住宅などでの生活を余儀なくされておられる被災者の方々が2、568戸、5、446人もおられるということが課題であります。
災害公営住宅の建設計画の最終部分が完成することによって、応急仮設住宅等から移る方々の見通しの数はどうなっているかお尋ねいたします。
本年度には特定延長の対象外となる方々も多く、退去期限を迎える被災者は数多く見られると思います。再延長となりましたが、このことでの数字への影響をどのように予想しておられるかお尋ねいたします。
被災から7年以上の年月がたてば、当然のことながら、応急仮設住宅入居者の抱える課題は複数化をし、より複雑になりましょう。どのような課題でしょうかお尋ねいたします。
しかしながら、東日本大震災津波被災からの復旧、復興の実現は、応急仮設住宅入居者ゼロを達成し、最後の一人まで生活再建がなし遂げられなければ、真の復興とは言えません。その問題解決のための施策、メニューをどう準備されていて、実際の現場ではどのような対応がなされているかお尋ねいたします。
発災から7年が経過し、震災の経験を踏まえ、国レベルで応急仮設住宅の整備基準や避難所の運営について改善が図られております。応急仮設住宅については、1戸当たりの設置単位の増額などにより、一定程度のグレードアップが行われております。
避難所については、国の避難所運営ガイドラインに、災害や紛争における人道支援の国際基準であるスフィア基準が、参考とすべき基準として示されております。このスフィア基準では、1人当たりのスペースを3.5平米確保することや男女のトイレの比率を1対3にすることなどが示されております。
スフィア基準による避難所設置の取り組みは全国的にはまだこれからということですが、こうした避難生活などに係る制度改善などが進められる一方で、避難所の高齢者や障がい者など要配慮者への福祉的な支援については、災害派遣医療チームのような全国の自治体による相互支援の仕組みがいまだにできておらず、課題となっているとお聞きしております。
災害時において、被災者によりよい生活環境を提供していくため、応急仮設住宅のさらなるグレードアップや災害弱者である要配慮者の避難生活を支える福祉的な総合支援の全国展開が必要と考えます。
被災者の生活環境のさらなる向上に係るこれらのことについて、東日本大震災津波を経験し、全国に先駆けて災害派遣福祉チームを立ち上げた本県の知事として、御所見をお尋ねいたします。
県の復興計画は今年度が最終年度になっており、来年度以降、復興計画を次期総合計画の中に位置づけることとしていますが、今後の復興の推進に向けた知事の決意についてお尋ねいたします。
また、国の復興庁設置期限は2020年度までであり、復興庁の後継組織のあり方について被災県の見解を集約する時期が近いと思いますが、知事の考え方をお尋ねいたします。
一方、応急仮設住宅の集約も進んでいると思いますが、その状況についてお尋ねいたします。
集約、退去後、応急仮設住宅現場が当初の使用目的に戻す必要がある場所について、撤去、原状回復の上で速やかに引き渡しが行われているのか、現状についてお尋ねいたします。
次期総合計画の中間答申を踏まえ素案が公表されました。今回の素案は、初めに、策定の趣旨、計画期間、構成、推進の考え方など、理念、岩手の現状認識と展望、基本目標、東日本大震災津波からの復興推進の基本方向、政策9分野の推進の基本方向、新しい時代を切り拓く重要構想、地域振興の展開方向、行政経営の基本姿勢の8章で構成されており、先般の県議会で説明されました。
第1章、理念では、数度にわたり幸福あるいは幸福感という言葉で物事の状況を説明する箇所があります。次期総合計画の策定に当たって、幸福、幸福感を視点とした経済的な尺度ではかることができない心の豊かさや、地域や人のつながりなどを大切にし、一人一人の幸福度を高める社会づくりが必要だとの提言、岩手の幸福に関する指標研究会の昨年9月7日に公表された報告によるところが多いと思います。
私たちの日々の生活の中では、一人一人が感じ、持つ幸福度、幸福感は千差万別とも言えますし、まことに幅の広いものであり、概念的でわかりにくい言葉でもあります。それだけに、行政が幸福という言葉を使うときは、より慎重でなければなりません。
岩手県民は、人や地域などとのつながりを示すソーシャルキャピタルが高く、主観的幸福感が高い傾向にあるというだけに、精神論とならない、幸福の訳である、満ち足りていて、不平や不満がない。そのさま。ということを幸福の定義として、私たちは、そのために県民所得向上策等の経済的指標と幸福感の指標の両方を持つ必要があると考えますが、御認識と11月の最終答申における次期総合計画にどう反映されるのか、第1期アクションプラン策定において、どう具体化するお考えかについてお尋ねいたします。
次期総合計画においては、岩手県の30年後をこのように予想する。そのため、今後10年間このような考えのもとに具体的な施策をこう展開する。財源の配分はこのようにするという内容が計画であると考えますが、岩手の将来について予想を試みておりますが、姿が見えてきません。意味のある統計を高度に分析しなければ将来像は予想できませんし、日本における少子高齢化の社会現象も、対策を学ぶ先進国を見つけることは難しいものがあります。
人口減少と少子高齢化の急速な進行について、もっと予想の努力が必要ではなかったでしょうか。書き進むに当たっての所見と総合計画審議会での議論はどのようなものがあったかお尋ねいたします。
次に、スポーツ振興についてお尋ねいたします。
国のスポーツ基本計画第1期計画は、平成24年3月に文部科学大臣のもとで策定され、平成24年度から5年間の計画でした。この計画期間中にスポーツ庁が設立され、計画期間も終了したことから、平成29年度から5年間の計画を新たに作成するため、スポーツ庁において、スポーツに係る幅広い分野の有識者から構成されるスポーツ審議会に対し、専門的な検討を依頼、審議会では、総会を5回、基本計画部会を11回開催、平成29年3月1日に答申されました。
この答申を踏まえ、スポーツ基本法第30条の規定に基づくスポーツの関係省庁の連絡調整を経て、スポーツの推進に関する基本的な計画を改定、第2期計画を策定するとされました。
スポーツ振興法の全部改正により制定されたスポーツ基本法では、県は、スポーツ基本計画を参酌し、その地方の実情に即したスポーツの推進に関する計画、地方スポーツ推進計画を定めるよう努めるとされました。このことにより、本県における地方スポーツ推進計画を見直すこととし、その内容の方向や具体的内容を示すことといたしました。
県は、既に岩手県スポーツ推進審議会に諮問を行っております。まず、諮問内容全体についてお尋ねいたします。
スポーツ基本法第10条において、県は、スポーツ基本計画を参酌し、その地方の実情に即したスポーツの推進に関する計画を定めるよう努めるものとするとされておりますが、県は、どのようにスポーツ基本計画を参酌されておられるのかお尋ねいたします。
加えて、地方の実情について、岩手県においてはどのような実情と定義づけられる方向なのでしょうか、お尋ねいたします。
県営スポーツ施設のあり方については、教育委員会に設置された県営スポーツ施設のあり方に関する懇談会で検討され、文化スポーツ部に移管され、同部から昨年12月に検討結果が公表されました。
報告書では、県営スポーツ施設の整備、改修については、東日本大震災津波の発災や希望郷いわて国体、希望郷いわて大会の開催、厳しい県の財政状況等により計画変更等を余儀なくされてきたが、スポーツを取り巻く環境の変化を踏まえ、施設、設備の老朽化、市町村との連携や役割の分担、国体終了後の県営スポーツ施設のあり方、岩手県公共施設等総合管理計画との整合の視点による検討が必要であるとしております。
前後しますが、報告の前書きには、懇談会では、今後の県営スポーツ施設のあり方について方向性を協議したので、その結果を報告するとし、今後この報告を参考に、県民のニーズに沿った県営スポーツ施設の管理、運営を図るよう提言するとされております。
まず、この県営スポーツ施設のあり方についてという報告の位置づけについてでありますが、検討するための検討報告、または検討のための方向性の報告と理解してよろしいのかお尋ねいたします。
検討を行った組織名は県営スポーツ施設のあり方に関する懇談会、いわゆる懇談会であり、詳細な結論づけをする会ではなかったとの理解でよろしいかお尋ねいたします。
その上で、それぞれ県営スポーツ施設の今後のあり方について報告しております。その中で、県営運動公園陸上競技場が最も古く整備され、設置年度昭和41年6月、耐用年数は65年で、それは平成で言えば46年度に当たります。
耐用年数的には、施設の内容もあり少し期間の余裕がありますが、報告では、全国規模の競技会、大会においては、しばらくの間、1種公認である北上陸上競技場の利用が可能であるため、全国規模の大会開催の見通し等を勘案し、改修、改築については改めて検討することが望ましいとし、検討に当たっては、陸上競技場のスタンドが2034年度に耐用年度を迎えるため、劣化度調査等の結果を踏まえる必要があるとし、当面の措置としては、適時改修等を行い、2種公認を維持していく必要があるとしております。
私は、県営運動公園陸上競技場の問題点は、補助競技場が300メートルトラックであるということだと考えます。結果として、1種、2種公認との関係がありますが、そのこと自体により、競技が400メートルトラックで行われますが、補助競技場が300メートルトラックであるという現実。今でも補助競技場という名前ですが、実際は、競技はしない、ウオーミングアップ場としての利用と考えられます。本番は、直線が長いとか、カーブが緩いとかイメージしながらウオーミングアップをする選手にとって現実的ではありません。
本競技場トラックと補助競技場トラックは同じ400メートルであるべきです。だからこそ、補助競技場が直走路8レーン、曲走路6レーン以上の400メートルトラックであることが、第1種公認の主要条件となっているものだと理解いたします。御認識と、この解消策についてお尋ねいたします。
県営体育館についても触れたいところですが、別の機会として、スポーツ健康科学センター、多目的屋内練習施設についてお尋ねいたします。
報告では、近隣の道県におけるスポーツ医・科学施設、屋内練習施設の状況に触れた後、今後のあり方では、競技力向上や生涯スポーツの振興、また、冬期間のフィールド練習環境の整備の観点から県営の施設として整備することが望ましい。一方、整備計画は東日本大震災津波被災により凍結されていることから、改めてその整備のあり方について検討することが望ましいとされております。
凍結されているこの事業を一旦白紙とされたらいかがでしょうか。また、あり方懇談会からのその必要性についての報告から、早期に事業着手する必要があると考えますが、お考えをお尋ねいたします。
改めて、関係各界からの声や、昨今の県産木材利用のシンボルとして森林県岩手の威信をかけての県産材仕様とする等の検討が必要と考えますが、県の考え方についてお尋ねいたします。
スポーツ施設の整備については、現在、国からの財源の支援はゼロであることから、総合防災公園という発想や貴重なインフラとして機能するスポーツ施設を目指す時代となっております。
近隣県でのスポーツ施設の質、量や本格的なサッカースタジアム建設議論もあるところであり、スポーツ施設整備についての検討の方向と決意的なものがあればお聞かせください。
県営スポーツ施設のあり方に関する懇談会では、岩手県公共施設等総合管理計画との整合についても触れております。
同計画では、県が保有している公共施設等の全体状況を把握し、計画的な更新や長寿命化、施設配置の最適化により、財政負担の軽減、平準化を図ることなどを目的に策定されたものですが、スポーツ施設を含む今後の公共施設等の整備に関する展望について、同計画の所管部の見解をお尋ねいたします。
学区制についてお尋ねいたします。
県立高校における学区制は、特定の高校への入学志願者の集中を避けることなどの理由から、一部の学系、コースを除く全日制普通科に適用されております。
この学区のあり方に関しては、新たな県立高等学校再編計画の策定に向け、県内各ブロックごとに開催した意見交換会の場などにおいても、生徒の学校選択の機会拡大の観点から学区の撤廃を求める意見や、地域外への生徒の流出防止の観点から学区の維持を望む意見等もあり、県議会においても、それぞれ意見があるところであります。
これらのことから、県としては、学区制の存廃いずれかの方向性を目指すということではなく、平成28年度に移行した新たな入試制度の状況や再編計画の推進状況を見きわめるとともに、広く意見をいただきながら多面的な検討を進めたいとしております。
検討に当たってのことですが、検討は広く意見をいただくものであり、存廃の方向性を目指すものではないと言っておりますが、検討の結果は存廃のどちらかではないですか、お尋ねいたします。
もちろん学区制をとることへのメリットととる必要性の時代背景、志願者数と状況があり、学区制を廃止したほうが、特徴ある教育環境を持った学校など、志願者が広く入学したい学校を選べるということがあります。つまり、高校志願者数が多い時代では、志願者が、いずれかの高校に入学できる入試環境が求められているところですが、全国的に中学生が減少し、現状では、入学倍率が平準で、かつ多くの高校において定員数を満たさない時代において、生徒にとって魅力ある、入学したい高校を選べることの大切さが増していると思います。
魅力ある高校をはかるバロメーターが志願者数であることは、一義的には間違いではありませんが、その時代によって学区制をとることの意味が変わるということであり、御認識についてお尋ねいたします。
全国的には、平成15年に東京都と和歌山県が学区を廃止し、今年度は岐阜県、来年度は島根県と、全国的には全都道府県中25都道府県が廃止をいたしております。これだけの都道府県が学区制廃止に至る検討の中身は、相当に広い視野に立ってのものであったろうと想像できます。岩手県における検討も、将来を見据えた、本質に触れた検討を求めたいと思います。
以上で質問を終わりますが、答弁次第では再質問をさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 柳村岩見議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、被災者の生活環境のさらなる向上についてでありますが、平成28年の台風第10号災害における応急仮設住宅については、東日本大震災津波の経験を踏まえ、風除室や入浴設備の追い炊き機能などを当初から整備しましたほか、断熱材を増加するなどの寒冷地対策や、玄関スロープ等の設置による要配慮者対策を行い、居住環境の改善を行いました。
避難所における福祉的な相互支援については、本県では平成25年度に災害派遣福祉チームを全国に先駆けて設置し、平成28年の熊本地震において派遣したところであり、要配慮者に対する介護や相談対応など、福祉的な支援を行いました。
国においては、現時点で、災害救助法に福祉的な支援を位置づけるまでには至っていませんが、チーム設置に係る補助事業の創設やガイドラインを策定するなど自治体への普及を進めており、全国における派遣体制の構築は、23都道府県となっているところであります。
県といたしましては、今後も、引き続き、チームの制度化について国に要望していくとともに、東北各県を初め、全国に向けて、本県のチーム員養成研修プログラムや派遣ノウハウ等を提供することなどにより、全国的な相互支援の仕組みづくりにつなげていきたいと考えています。
今後も、東日本大震災津波や平成28年台風第10号災害の経験を踏まえ、こうした本県の取り組みを情報発信し、応急仮設住宅や避難所における良好な生活環境の確保につながるよう努めてまいります。
次に、今後の復興の推進についてでありますが、東日本大震災津波からの復興は県政の最重要課題であり、現在策定を進めている次期総合計画においても、東日本大震災津波からの復興に向けた基本方針に掲げた一人一人の幸福追求権を保障すること、犠牲者のふるさとへの思いを継承することを復興の取り組みの原則とし、いのちを守り海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸の創造を復興の目指す姿としていく考えであります。
その実現に向け、取り組みの柱として、引き続き、安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生を掲げ施策を推進していくとともに、新たな柱として、未来のための伝承、発信を掲げ、東日本大震災津波の事実を踏まえた教訓や復興の姿を後世や国内外の人々に伝え、国内のみならず、世界の防災力向上に貢献していきたいと考えております。
この四つの柱に基づく取り組みを進めるに当たっては、2019年度から2022年度までの復興に係るアクションプランを策定し、現行の復興実施計画と同様に、具体的な施策や事業を盛り込むことで、切れ目のない復興の取り組みを進めていく考えであります。
今後におきましても、こうした考え方のもと、被災者一人一人の復興が一日も早くなし遂げられるよう、全力で取り組んでまいります。
次に、復興庁の後継組織についてでありますが、国においては、2020年度までを復興・創生期間として、復興庁を2020年度末で廃止し、同時に、東日本大震災復興特別会計も廃止することとしており、今年度中を目途に、復興・創生期間における東日本大震災からの復興の基本方針について、必要な見直しを行うこととしているところです。
被災地におきましては、復興・創生期間の終了後も被災者の心のケアなど中長期に取り組むべき課題があり、施策の着実な推進のため、現在復興庁が担っている復興の視点から省庁を横断的に見る機能や、地方公共団体への一元的な窓口と支援の機能等が確保されることが必要と考えております。このことから、県では、先般実施した2019年度政府予算提言、要望において、国の基本方針の見直しに当たり、当該期間終了後における必要な事業や制度の継続とあわせて、推進体制の整備を図るよう要望したところであります。
今後、他県とも連携しながら、復興・創生期間後においても復興の推進に必要な機能が確保されるよう、さまざまな機会を捉え、国に働きかけていきたいと思います。
次に、幸福感についてでありますが、次期総合計画の策定に当たっては、県民所得等の物質的な豊かさに加え、経済的な尺度でははかることができない心の豊かさなども大切にして、一人一人の幸福度を高める社会づくりを進めていく必要があると考えております。
こうした考えから、先般公表した次期総合計画の素案においては、昨年9月に取りまとめた幸福に関する指標研究会報告書を参考に、幸福感に関連する政策分野として、仕事、収入に加え、家族、子育て、教育などを設定し、それぞれの分野ごとに取り組みの方向性を掲げています。そして、仕事、収入の政策分野では、県民所得等の経済的な豊かさを高めるためにも、地域経済を支える中小企業に対する支援やものづくり産業、農林水産業等の振興などの方向性を掲げており、12月定例会で報告する予定の最終案に向けて、これらをさらに具体化していく考えであります。
さらに、アクションプランの策定に当たっては、岩手の幸福に関する指標研究会報告書で示された指標の例を参考に、1人当たり県民所得や農業産出額等の経済的指標も活用していく考えであります。
その他のお尋ねつきましては企画理事及び関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔復興局長佐々木信君登壇〕
〇復興局長(佐々木信君) まず、応急仮設住宅等からの移転者の動向等についてでありますが、災害公営住宅は、内陸に整備する住宅も含め、今年度末までに97%、来年度には全て完成する見込みとなっています。それに伴って、本年5月末現在、応急仮設住宅等に入居中で災害公営住宅への転居を予定している640世帯のうち、73%の470世帯が今年度中に、残り170世帯については来年度中に災害公営住宅に移行するものと見込んでおります。
県では、災害公営住宅の完成を待って転居する方々及び土地区画整理事業等による土地の引き渡しを待って自宅を再建する方々を対象として、応急仮設住宅等の供与期間を特定延長することについて国と協議してまいりました。今般、2020年3月までの再延長が認められたことから、来年度中に災害公営住宅に移行する予定の世帯について、移行までの間、応急仮設住宅等に入居することに支障はなくなったところです。
また、自宅再建の方々も含めた再延長の対象者は、今後、市町を通じて特定作業を行いますが、現時点では、現在応急仮設住宅等に入居している世帯のうち、680世帯程度が対象になるものと推計しております。
次に、応急仮設住宅の入居者が抱える課題についてでありますが、応急仮設住宅に入居されている方々が住宅再建について検討するに当たり、土地の相続など財産の権利関係の整理、再建に係る資金の確保と返済の見通し、災害公営住宅や民間賃貸住宅の家賃の負担、自身の健康面の不安、将来的な家族のUターンによる同居の見通し、子供の進学や就職による別居の見通しなどの課題が挙げられています。また、これらの課題が単一でなく重層化している場合もあり、それぞれの世帯に応じた対応が必要となっております。
次に、これらの課題解決のための対応についてでありますが、市町村において、応急仮設住宅等にお住まいの方々の生活再建の意向把握や相談支援を行っているのに加え、県では、いわて内陸避難者支援センターが沿岸市町村からの依頼を受けて、県外及び内陸に避難している被災者に対して、個別訪問等により住まいの意向把握や相談対応を行っているほか、沿岸4地区の被災者相談支援センターにおいて、生活設計の専門家等による相談対応を行っているところです。
こうした取り組みに加え、今年度からいわて内陸避難者支援センターが沿岸部におられる方についても市町村からの依頼に応じて相談支援を実施しており、また、被災者相談支援センターにおいて、生活設計に関するアドバイザーによる訪問型の個別相談対応を行っております。
引き続き、応急仮設住宅等にお住まいの方々が一日も早く恒久的住宅に移行できるよう、市町村と連携しながら、被災者一人一人に寄り添った支援を行ってまいります。
次に、応急仮設住宅の撤去、集約についてでありますが、県全体で319団地、1万3、984戸建設した応急仮設住宅については、各市町村において、災害公営住宅の整備や面整備の進捗状況や見通しを踏まえ計画的に集約を進めており、集約や退去により入居者が不在となった応急仮設住宅について、本年5月末現在で136団地、4、847戸を解体しております。
解体に当たりましては、全入居者の退去後に、市町村からの依頼を受けて県が応急仮設住宅を解体、撤去し、用地を原状に回復させて市町村に返還しているところです。例えば、学校グラウンドに建設された応急仮設住宅の場合、建物の解体工事後にグラウンドの復旧工事を実施した上で返還していますが、グラウンドの復旧工事は冬期間を避けることが望ましいことから、翌年度に施工している例もあります。
県では、できるだけ速やかに土地を返還できるよう、個々の案件ごとに、市町村と解体の時期や原状回復の方法などを調整し対応してまいります。
〔政策地域部長藤田康幸君登壇〕
〇政策地域部長(藤田康幸君) 岩手の将来像についてでございますが、人口減少と少子高齢化の進行は、次期総合計画の策定に関する議論において最も重要な要素の一つであるため、国立社会保障・人口問題研究所による2065年の人口推計のほか、岩手県人口ビジョンにおける本県の人口減少のメカニズムの分析や将来の人口予測をもとに、人口減少等が与える影響などを勘案しているところでございます。
総合計画審議会におきましても、社会減は、あらゆる分野に関係する重要な課題として計画に位置づけるべき、人口減による需要減の影響も踏まえるべきなどといった趣旨の御意見があったところでございます。
今後、東京一極集中を是正し、岩手への新たな人の流れを生み出していくためには、より地方の人々の暮らしや仕事を起点とする政策を組み立てていくことが重要と考えており、アクションプランにおいて具体的な取り組みを盛り込んでいく考えでございます。
〔文化スポーツ部長菊池哲君登壇〕
〇文化スポーツ部長(菊池哲君) まず、スポーツ推進計画についてでありますが、国の第2期スポーツ基本計画において、地方公共団体には、地域の特性や現場のニーズに応じたスポーツの施策を主体的に実施するとともに、スポーツを通じた健康増進、共生社会の実現や経済、地域の活性化など、スポーツを通じた活力ある社会づくりに取り組むことが期待されております。このことから、本県の地方スポーツ推進計画の策定に当たっては、国の計画に基づき、県民それぞれのライフステージに応じたスポーツ活動の定着、増進や、スポーツを通じた交流人口の拡大による地域の総合的な活性化につながる取り組みなどを盛り込む方向で検討を進めているところであります。
次に、本県スポーツを取り巻く状況は、一昨年の希望郷いわて国体で培われた競技力や、希望郷いわて大会を契機とした障がい者スポーツ団体の設立などさまざまなレガシーが継承され、また、ラグビーワールドカップ2019釜石開催や東京オリンピック、パラリンピックを控え、県民のスポーツに対する機運が一層高まっているところでございます。
一方、県民のスポーツ活動においては、働く世代や女性のスポーツ実施率の向上を図ることや、地域において障がい者のスポーツを支える指導者の今後一層の養成、確保などの課題もあると捉えているところでございます。
今後は、岩手県スポーツ推進審議会を初め、県議会の皆様、県民の皆様にも御意見をいただきながら策定作業を進めていく考えであります。
次に、県営スポーツ施設のあり方に関する懇談会についてでありますが、県営スポーツ施設等の多くは、昭和45年の国体に合わせて整備されたものであり、老朽化の進行等を踏まえ、外部有識者による県営スポーツ施設のあり方に関する懇談会において御検討いただき、昨年末に県に対する報告として方向性が取りまとめられたところでございます。このことから、今後は、この懇談会からの報告も参考にさせていただき、岩手県公共施設等総合管理計画に基づき策定することとされております個別施設計画の中で、それぞれのスポーツ施設の維持管理や修繕、更新などについての対応を整理していく考えであります。
次に、県営運動公園陸上競技場についてでありますが、県営運動公園の陸上競技場及び補助競技場は、昭和45年の国体に合わせて整備されたものであり、日本陸上競技連盟の規定では、設置当初は第1種公認陸上競技場でありましたが、平成23年に規定の改正があり、第1種の公認要件である補助競技場が第3種公認相当という基準を満たさず、結果、第2種公認となったところでございます。
補助競技場を第3種公認相当の400メートルトラックにするためには相応の面積の用地を要することから、県営運動公園内の各施設の配置を抜本的に見直すなど、大規模な改修が必要になると考えているところであります。
なお、現在の補助競技場は、選手たちのウォーミングアップに利用されているほか、サッカー教室やグラウンドゴルフ大会、小中学校のマラソン大会など、県民の身近なスポーツ施設として幅広く利用されているところでございます。
次に、スポーツ健康科学センター、多目的屋内練習施設についてでありますが、これまで、スポーツ健康科学センターの機能として想定してまいりましたアスリートのスポーツ医・科学サポートにつきましては、大学を初めとする関係機関との連携により、選手強化のためのトレーニングや心理サポート、アンチ・ドーピング指導など、スポーツ医・科学の知見に基づいた取り組みが実践され、国体を初めとした全国大会やオリンピック、パラリンピック等の国際大会での本県出身選手の活躍につながっているところでございます。
また、平成11年の岩手インターハイ等を契機に、県内の多くの市町村に多目的に活用できるスポーツ施設が充実してきているところでありまして、それらの施設を核として、各地域においては、さまざまなスポーツ活動が盛んに行われている状況にあります。
このような環境の変化も踏まえまして、スポーツ健康科学センター、多目的屋内練習施設のあり方につきましては、今後、必要に応じ、外部有識者や競技団体等からの御意見などをいただきつつ、岩手県公共施設・公共工事木材利用推進行動計画なども参考にしながら、総合的に検討していく考えであります。
次に、スポーツ施設整備の検討の方向についてでありますが、近年、スポーツ施設は、身近にスポーツを楽しむとともに、競技水準の向上を図るという本来の機能に加え、利用実態に応じ、安全の確保や障がい者等の利便性の向上などが必要とされてきております。また、多くは、避難所や防災拠点等として災害時に使用することとなってきており、備蓄や貯水等の機能を有している場合もございます。さらに、公共施設や商業施設などの複合的な機能を組み合わせた交流施設といった新たな考え方もあり、今後においては、先ほど申し上げました有識者による懇談会からの報告書も参考としつつ、公共施設等総合管理計画を踏まえ、関係部局等とも連携し総合的な検討が必要と考えており、しっかりと取り組んでまいる所存でございます。
〔企画理事兼総務部長佐藤博君登壇〕
〇企画理事兼総務部長(佐藤博君) 岩手県公共施設等総合管理計画についてでありますが、県では、庁舎や県民利用施設、学校施設など約6、000棟の公共施設、道路や港湾を初めとするインフラ施設など多数の施設を保有しておりますが、その多くが高度成長期から昭和50年代を中心に整備されており、今後、大規模修繕や更新の時期を迎えていることから、増大する維持管理や修繕、更新等に要する経費への対応が課題となっております。こうしたことから、平成28年3月に策定した岩手県公共施設等総合管理計画に基づき、各施設の現況を把握した上で、整備等の優先度や適切な整備手法を検討することにより、コストの縮減と財政負担の平準化を図り、また、人口動態など社会経済情勢の変化に対応した施設規模や配置の適正化などに取り組んでいくこととしております。
今後は、中期財政見通し等を踏まえた中長期的な視点に立った財政運営を念頭に、公共施設等総合管理計画に基づく県有施設の適正な管理や財政負担の平準化などに取り組んでいくとともに、関係部局等と連携しながら、必要な公共施設等の整備に取り組んでまいります。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) 県立高校の学区制についてでありますが、学区制は、特定の高校への入学志願者の集中を避けることや、高等学校教育の機会の均等を図ること等を目的に、専門学科、総合学科、一部の学系、コースを除く全日制普通科を対象に設けており、平成16年度からは以前の19学区から現在の8学区に再編し、現在に至っております。
そのあり方については、議員御指摘のとおり、これまで、新たな県立高等学校再編計画の策定に向け県内各ブロックで開催した地域検討会議などの場や、県議会の場等でも学区制を維持すべきとの意見や廃止すべきという意見など、さまざまな御意見を頂戴してきておりますが、教育委員会におきましては、昨年4月に、県立高等学校における生徒の多様な受け入れのあり方に関する検討会議を設置し、県外からの入学志願者の受け入れのあり方なども含め、議論を重ねていただいているところであります。
検討会議におきましては、現在、学区制が、中学生にとって、みずからの夢や希望を実現する学校選択にかかわる身近で重要な問題でありますし、それぞれの学校や地域のあり方等にも直結する課題でもありますので、学区の存廃いずれかに集約するということだけにとどまらず、PTA関係者や学校長からの意見等も丁寧に把握しつつ、また、他県の状況なども参考にしながら、学区のあり方や、他県からの生徒の受け入れに当たっての条件整備等について、多面的な検討を進めていただいているところであります。
次に、学区制に対する認識についてでありますが、学区の指定については、平成14年の法改正により、その判断が学校所管の教育委員会に委ねられたことや、少子化の進行等に伴い、全国的には学区を撤廃するなどの動きがふえてきておりますが、一方では、本県と同様に、広大な面積と多くの中山間地域を抱える北海道、福島県、長野県等においては、現在も学区制を維持しているという状況もあります。
本県における学区制のあり方については、社会情勢の変化に加え、全国の状況等も見きわめながら、生徒の学校選択の機会の拡大などの学区廃止の効果とともに、学区を廃止した場合の学校が立地する地域への影響等についても考慮し、慎重に検討する必要があると考えております。
いずれ、検討会議からは、今後、今月中旬に開催される第4回目の会議を経て、教育委員会に対して学区のあり方等に関する今後の方向性への提言をいただくこととしておりますので、教育委員会におきましては、この提言の内容を十分に踏まえるとともに、また、生徒、保護者からの視点や、現在、県内各市町村が鋭意取り組んでいる地方創生の取り組み状況なども考慮しながら、適切な方向性を見出していきたいと考えております。
〇議長(佐々木順一君) 次に、菅野ひろのり君。
〔5番菅野ひろのり君登壇〕(拍手)

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