平成30年6月定例会 第13回岩手県議会定例会会議録

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〇8番(佐藤ケイ子君) 改革岩手の佐藤ケイ子でございます。
このたび、先輩、同僚議員の御配慮のもと、4回目の一般質問の機会をいただき、感謝申し上げます。
さきの大阪府北部地震では、ブロック塀の下敷きになり犠牲になった小学生を初め、大きな被害が報道されています。大阪府からは、震災復興支援で多くの応援職員の派遣や釜石港のガントリークレーンの寄附など、多大な御支援をいただいております。犠牲になられた皆様にお見舞いを申し上げますとともに、早期の復旧をお祈り申し上げます。
さて、次期総合計画のキーワードは幸福ということであり、県民がどのようなことに幸せを感じ、どのような部分に不幸や不安を感じているかを把握して施策を展開すること、幸福追求権の保障や幸福度を高める社会づくりは大変重要なことだと思います。もちろん幸福感は個人の主観であり、幸福の姿も千差万別ですが、不幸の要因を減らす施策を講じ、幸福実感向上に向けた施策を展開しようとする達増知事のリーダーシップに期待するものです。
次期総合計画素案の中には幸福を守り育てると何カ所にも記載されておりますが、現在さまざまな苦悩を抱えている人々は、守るという現状肯定の言葉には違和感を持つのではないかと私は思います。昨今は、子供の虐待や貧困、介護殺人、過労死など深刻な社会問題があり、これらは県政としても避けられない課題です。少しでも不幸の要因を減らすには社会福祉や雇用の充実が必要であるという観点から6項目の質問をいたしますので、前向きな答弁をお願い申し上げます。
最初に、子育て支援について3点伺います。
まず、幼児教育、保育の無償化の前提課題についてです。
政府は、幼児教育、保育無償化を2019年10月から実施する予定と発表しました。しかし、既に保育料は所得に応じて決定されており、一律無償化は高所得世帯ほど恩恵が大きく、負担軽減策としてはバランスを欠くのではないかという指摘や、待機児童問題がある中でさらなる保育ニーズの拡大が見込まれることなど、多くの課題があります。平成29年4月1日現在の待機児童は、利用できる認可保育施設があるのに、特定の保育施設を希望している方などのいわゆる隠れ待機児童も含めて7万7、000人以上と言われ、その解消策こそが最優先課題であり、無償化の前にやることがあると思うものです。
認可外保育施設の利用者にはやむなく利用する例が多く、人員配置や面積基準等、保育の質のばらつきが大きく、質の確保が課題です。政府は、経過措置として5年間は基準以下でも無償化の対象とする方針ということですが、指導監督の強化と認可施設への移行支援が不可欠です。
そこで、本県における認可外保育施設の状況はどうなっているのか、指導監督などはどのように行われているのか、また、どのような課題があると認識しているのかお伺いいたします。
さらに、保育士不足は深刻な状況であり、自治体や法人が独自に奨学金返済支援や手当のアップなど工夫しているものの、待遇のよい首都圏に保育士が流出する傾向にあります。保育士確保のため一層の処遇改善が必要ですが、保育士確保策にどう取り組んでいるのかお示しください。
また、地域型保育事業の一部では、保育士資格がない者でも、子育て支援員研修を修了すれば従事することができるとされていますが、市町村単独では子育て支援員研修の実施が難しい状況にあることから、広域振興局の単位で研修を実施することができないかお伺いいたします。
次に、子供の貧困対策について伺います。
私は、昨年6月定例会で、本県の子供の貧困対策が現実的ではない要因は、実態調査を行っていないことによる切迫感の不足が原因ではないか、本県でも実態調査を行い、対策を講じるべきと質問し、その後、たびたび他の議員からも実態調査を求める質疑がありました。12月定例会では、子どもの生活実態調査を実施すると知事の答弁があり、ことし3月の予算特別委員会では、スケジュールや対象者についての質疑がありました。ことしの夏に調査を実施するとのことですが、どのように進められるのか、また、学校現場の協力は必要になるのかお伺いいたします。
子どもの貧困対策の推進に関する法律で計画策定が努力義務となっている都道府県は全て計画策定済みなのに対し、内閣府で任意に抽出したアンケート調査によれば、計画策定済みの市区町村は約3割にとどまるとの結果でした。市町村も計画を策定して取り組むべきと思いますが、市町村の取り組みを促進するためにどのように対応しようとしているのかお示しください。
3点目は、児童虐待についてです。
連日児童虐待の痛ましい事件が報道されており、親の問題とともに、児童相談所や警察、自治体、教育機関、医療機関の連携不足と施策の不十分さが指摘されております。昨年度の本県の児童虐待対応件数は速報値で1、522件、そのうち児童相談所が1、088件と全体の約71%に対応しており、盛岡市、一関市、宮古市の3カ所の児童相談所は37人の児童福祉司が配置されているとのことです。今年度は児童福祉司などを8人増員させたものの、ふえ続ける虐待通報に対し、個々に丁寧に対応するのは困難な状況ではないかと推察するところです。さらに、広大な県土に3カ所だけで素早く機動的に対応するのは物理的に難しく、3カ所体制では不十分で、見直しを検討するべきだと思うものです。
このような中で、北上市において1歳9カ月の男児が低栄養、脱水症状による全身機能障害で本年4月8日夕方ごろに死亡するという痛ましい事件が起きてしまいました。父親は保護責任者遺棄致死容疑で逮捕され、6月26日に起訴されました。
昨日、北上市の内部監査中間報告が出され、その資料によると、本年2月27日、県南広域振興局による認可外保育施設監査に同行した市職員が園長から気になる子供がいると情報提供を受ける。衣服に汚物がついている、異常な食欲だが痩せてきたというもので、市職員が児童を目視したものの、施設で着がえさせており問題を感じなかった。翌日から子育て支援課と健康増進課の職員は夜の家庭訪問を3日、計4回行ったものの、父親と接触できなかった。3月16日に認可外保育施設で児童に面会、体つきや衣服の汚れも問題ないと判断した。その後も何度か電話連絡するも、父親とは連絡がとれなかった。3月27日に別件で市役所を訪れた保育士から状況を確認すると、昨日も便が付着していた、手足が冷たく、父に理由を聞いても答えないということだった。その後、母親にやっと連絡がとれたが、奈良県で働き始めたので、父親に連絡をとっておくとのことだった。保育士には何かあったら連絡をするよう依頼したものの、4月からは認可外保育施設には通っていなかったことが事件後判明した。この間、3月15日には北上市要保護児童対策地域協議会実務者会議が開催され、県福祉総合相談センター、県南広域振興局花巻保健福祉環境センター、北上警察署の職員も出席したものの、156件の案件があり、個々のケースの議論に至らなかったというものである。この17ページもの中間報告では、子供の安全確保、父母へのアプローチ、庁内体制、外部機関との連携の四つの視点、12項目の問題点が挙げられましたが、ハイリスク家庭の認識の甘さ、認可外保育施設との連携問題、関係機関との連携不足など多くの課題が浮き彫りになっております。
今後は、県でも検証委員会を立ち上げ、事実の把握、発生原因の分析、検証、再発防止を取りまとめるとのことですが、今回の事案を受け、改めて児童相談所体制や機能の充実を含め、市町村と連携した取り組みが重要と考えますが、知事のお考えをお伺いいたします。
2項目めは、旧優生保護法に基づく強制不妊手術について伺います。
厚生労働省によると、旧優生保護法に基づき、障がい者等に対して全国で少なくとも2万4、991人に不妊手術が行われ、このうち1万6、475人は本人の同意がなく強制的な不妊手術だったと報道され、全国で損害賠償を国に求める訴訟が起きております。本県でも県の過去の統計資料で少なくとも362人の不妊手術の実施が確認されたということです。
本年5月10日に超党派の国会議員による旧優生保護法下における強制不妊手術について考える議員連盟の勉強会が開催され、地方議員も参加し、各県の状況を情報交換しました。訴えの発端は、宮城県の1人の女性が、子供を産み育てる夢を奪われ、健康被害を受け、幸福追求権を保障した憲法第13条などの侵害に当たると20年前から声を上げ続けていたことから、現在、全国の被害が表面化したものということです。
宮城県議会は、本年2月定例会で、被害者に対する補償及び救済等の実施による早期解決を求める意見書を可決しました。鳥取県は、特例措置として、県が保有する被害者の個人情報を市町村に提供し、実態把握を進めることとしました。また、本年6月定例会に120万円の補正予算を計上し、提訴の支援を行うということです。北海道は、救済を厚生労働省に申し入れたと報道されております。
そこで、本県被害者の状況について国にはどのような報告をしたのか、本県被害者の特定や損害賠償手続への支援の考えはあるのか知事にお伺いいたします。
3項目めは、介護保険制度について3点お伺いいたします。
2000年に介護保険制度がスタートしたときの保険料は全国平均1カ月2、911円でしたが、今年度から5、869円になり、約2倍になりました。本県の平均は5、955円で、最高は西和賀町の8、100円と、大変な負担感だと思います。
一方、介護サービスの負担割合は1割が基本でしたが、平成27年8月からは所得によっては2割負担になり、うち、ことし8月からは現役並みの所得のある方の負担割合は3割負担となります。本県で2割負担者は平成29年3月末で4、435人ということですが、今回3割負担になる人数はどの程度になるのでしょうか。利用料負担が増加し、利用を控えることが懸念されますが、影響をどう見ているのかお示しください。
次に、介護事業所の休廃止及び介護職員処遇改善の状況について伺います。
報道によると、平成29年度の1年間の老人福祉、介護事業の倒産件数は115件で、介護保険制度施行以降最多と報道されています。小規模で資金調達力のない事業者が淘汰されたと介護事業者の自己責任のように報道されていますが、介護報酬の引き下げや介護職員の確保が困難で倒産に至ったと言うべきではないかと私は思います。私の地域でも、職員が確保できず要介護者を受け入れできない、経営も苦しいと聞いていますが、県内事業所の休廃止の状況はどうなっているか伺います。
次に、介護職員処遇改善加算の状況について伺います。
厚生労働省の調査によると、平成29年4月から介護職員処遇改善加算1を取得した事業所では、平均月給が1万3、660円ふえ、29万7、450円になったとのことです。本県における加算を取得した事業所の状況、給与改善状況はどうだったのか伺います。
3点目は、介護分野への新交付金の課題についてです。
厚生労働省は、市町村等保険者が自立支援、重度化防止等の取り組みを強化するとともに、都道府県が、その支援をするための新交付金として、保険者機能強化推進交付金を創設するということです。交付金は2018年度に創設、総額200億円のうち、都道府県に10億円程度、保険者に190億円程度の交付を予定しています。自立支援のインセンティブ交付金とも言うようですが、昨年、厚生労働省がインセンティブ評価指標の案を示した際には、高齢化率の高い自治体では成果が出にくく、交付金が十分に配分されないのではないかなどの反発の声があったところです。新交付金は保険者の取り組みに応じて交付されることから、保険者間の格差拡大が懸念されると思いますが、所見をお伺いいたします。
4項目めは、雇用、労働環境についてお伺いいたします。
まず、県内就職率についてです。
本年3月末現在の大学生の県内就職率は、前年より1.4ポイント減の43.6%と、3年ぶりの減少となりました。高校生の県内就職率はこの10年間で2番目に高いというものの、本年4月末現在で65.8%と、微減になったとのことです。
〔副議長退席、議長着席〕
産学官連携、いわてで働こう推進協議会など、県内就職に取り組んできたということですが、今後さらなる雇用拡大が見込まれる中で、雇用確保が重要な課題であります。
一方、学生にとって、地元に戻りたいがつてがない、どの企業がよいかわからない、就職活動で往復する交通費がない等、県内就職の難しさも従来と余り変わっていないと思われます。
昨年6月の一般質問で、新卒者の県内就職率の向上についての答弁では、いわてで働こう総合イベントの開催、高校生、大学生への県内企業PR活動の展開、おかえりいわてツアーによる合同面接会等の参加者への交通費補助などを実施したとのことでしたが、成果と課題はどうだったのか、今後の施策をどう図っていくのかお伺いいたします。
また、若者の人材確保と定着を図るため、いわて産業人材奨学金返還支援基金を創設し、奨学金返還助成制度を設けましたが、産業界の出資状況、就職者の活用状況はどうなっているのかお示しください。
県内就職を促進するために、高校生、保護者、教師などへの啓発活動やマッチング支援がますます重要であるとともに、奨学金返還助成制度の対象範囲の拡充などについても検討すべきと思いますが、いかがでしょうか。
次に、県南地区の人材確保についてです。
東芝メモリの新工場稼働に向け、2019年新卒者の技術職や事務職など370人の募集が始まっているほか、奥州市江刺の半導体工場や金ケ崎町の自動車関係の工場拡張に伴う求人が行われており、人材確保が課題となっています。また、このような大手工場の採用活動が激化することにより、地場中小企業の人材不足が深刻になると地元商工業者からの声が聞こえています。
北上雇用対策協議会では、人材確保推進員2名を配置し、学校を回り、企業情報の提供やマッチング支援ガイダンスなどもふやし、地元定着を図ることとしています。県南地区は、東北でも有数の産業集積を誇り、世界的なものづくりが加速化していく地域であると思いますが、少子化の中、県内はもとより、広く県外からも高度なものづくり人材を確保することが最重要課題であり、優秀な人材が岩手で活躍できることをアピールする大きなチャンスでもあります。これまでの取り組みと、それを踏まえた今後の方針について知事にお伺いいたします。
次に、労働環境の底上げに関する経営者団体への意識啓発について伺います。
岩手労働局が2017年11月に行った、過重労働解消キャンペーンでは、86事業場に監督を実施したところ54事業場で法令違反が確認され、31事業場に是正勧告が行われたと報道されています。本県は全国に比べ労働時間が長く、賃金も低いという統計が出されておりますが、労働環境の底上げを図らないと、若者の定着、人口流出などの課題が改善されません。経営者団体への意識啓発はどうなっているのかお伺いいたします。
5項目めは、県職員の人材確保と職員体制について伺います。
知事部局における職員の欠員は本年4月1日現在で93名と聞いており、昨年4月1日の123名欠員からは30名の改善が図られたというものの、まだまだ人員不足の状態です。新規採用の特別募集や任期付職員の正職員化など、欠員解消に向けどのように対応しようとしているのか、新年度に向けた採用方針をお示しください。
専門職種の確保も喫緊の課題であり、特に獣医師、土木技師などの人材確保に向け、処遇改善など、どのような取り組みを進めるのか伺います。
次に、県立病院の職場環境について伺います。
岩手県医療労働組合連合会が実施した民間病院を含む看護職員労働実態調査の状況が報道されました。それによると、県内の看護職員の1、826人が回答し、そのうち8割が仕事をやめたいと思うと答え、人手不足で慢性疲労になっており、医療の質への影響も懸念されると報じられております。
そこで、県立病院における看護師確保や職場環境の改善の取り組みはどのようになっているのでしょうか。平成28年度決算資料によると、県立病院の職員総数は6、303人、正規職員5、066人、臨時職員1、237人で、前年比78人増となっているものの、看護職員は増減なしの3、506人でした。また、平成28年度の時間外勤務手当も月平均5万8、494円と、全国平均3万9、442円に比べ多くなっているのは人員不足を象徴していると思いますが、人員確保の取り組みを伺います。
また、本年4月には盛岡労働基準監督署から県立中央病院に是正勧告があったと報道されました。医師や看護師などに労使間協定の定めによらず時間外労働、休日労働をさせたほか、臨床工学技士の待機時間の賃金不払い、医師の超過勤務手当の不足などの是正勧告を受け、6月20日までに是正報告を求められたとのことですが、どのような改善を行うのかお伺いいたします。
3点目は、会計年度任用職員制度への対応についてです。
2016年の総務省調査によると、自治体で働く臨時、非常勤職員は教育職も含めて64万人と公表され、職員の5人に1人が非正規となっていると言われています。地方の厳しい財政状況が続く中で、臨時、非常勤職員は、行政サービスの重要な担い手となっているものの任用根拠が不明確で適正な任用が確保されず、年収は200万円未満と、官製ワーキングプアとなっています。
このような中で、臨時、非常勤職員の適正な任用、勤務条件を確保するために、平成29年5月に地方公務員法及び地方自治法の一部改正が行われました。一般職の会計年度任用職員制度を創設し、任用、服務規律などの整備を図り、期末手当の支給を可能とするものです。また、特別職非常勤職員及び臨時的任用職員の任用条件の厳格化も行うこととされています。
そこで、本県の臨時、非常勤職員の配置状況はどうなっているのでしょうか。知事部局の非正規職員の実態についてどう捉えているのかお伺いいたします。
また、2020年4月からの制度発足に向け、条例化の時期、職員団体との協議など、制度移行への取り組み姿勢について伺います。
今回の法改正の趣旨は、これまで法の谷間に置かれ、不利な処遇に置かれた非正規職員の待遇改善であり、実際に担っている業務を把握し、正職員化の推進と、必要に応じてパートタイムからフルタイムへの移行についても積極的に行うべきではないでしょうか。会計年度任用職員の給与水準、各種手当や休暇制度について常勤職員との均衡を図ることが法改正の主眼となっており、正職員化、福利厚生の改善など、職員団体と十分な協議を進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
6項目めは、道路整備について3点お伺いいたします。
まず、国道4号の拡幅整備についてです。
国道4号の北上工業団地入り口から花巻市境までの区間については、片側1車線で渋滞区間となっており、拡幅整備の要望が毎年行われています。物流の幹線ルート、救急医療を担う県立中部病院へのルートである上に、東芝メモリの新工場による従業員の通勤や物流拡大等が想定され、拡幅整備の重要性が高まっております。本年6月に岩手県南地域ロジスティクス懇話会の総会があり、今後も東北地方整備局や国土交通省、財務省などに要望活動を展開するとのことですが、早期の拡幅整備実現に向けて、県としても国への働きかけを強化していただきたいと思います。所見をお伺いいたします。
2点目は、花巻パーキングエリアへのスマートインターチェンジの設置についてです。
花巻パーキングエリアは花巻市と北上市の境にあり、スマートインターチェンジの設置が実現すれば、県立中部病院への救急搬送や東芝メモリの新工場と関連企業の利便性向上に寄与するとして花巻市が国土交通省に要望しています。以前から、県立中部病院へのアクセスについては、北上江釣子インターチェンジから約5キロメートルの市道を通過する際に、郊外型店舗などがありいつも渋滞しており、市外から来られる方々には不便だと言われています。ぜひ花巻パーキングエリアへのスマートインターチェンジ設置について国やネクスコ東日本への働きかけを行っていただきたいと思います。いかがでしょうか。
最後は、北上市から江刺田瀬インターチェンジまでの高規格な道路の整備についてです。
東北横断自動車道釜石秋田線は、昭和44年7月策定の岩手県県勢発展計画において北上釜石線建設として明記されましたが、その後、昭和59年9月策定の新岩手県総合発展計画において、県央ルート─盛岡市、遠野市、釜石市と県南ルート─北上市、遠野市、釜石市のY字型ルートの促進を定めました。ところが、昭和61年12月定例会で中村知事より紫波-釜石ルートの提示がなされ、これに対し議会は、紫波ルートの請願を採択した上で、北上ルート整備の意見書を添えて提出したということです。その後、建設省の道路審議会への諮問案は花巻ルートを採用するに至ったとのことで、極めて異例の展開という経過でした。昭和62年5月1日の新聞では、花巻市北部で決着確実と、建設省案が示されました。その記事の最後には、北上ルートについては、高規格道路など、高速自動車道にかわる道路として整備されると記載されております。
現在、釜石自動車道から秋田自動車道は大きく花巻市を迂回するルートで、県南地域や秋田県側からは時間のロスが大きく、また、北上市から江刺田瀬インターチェンジまでの国道107号は、急勾配やカーブ、隘路があり、冬場は難所となっております。釜石港、大船渡港の活用には北上市周辺の工業団地から製品を出荷することを本気で進めるべきであり、釜石自動車道とのつながりを考慮し、北上市から江刺田瀬インターチェンジまでを高規格な道路として整備するよう検討していただきたいと思います。その方針をお伺いし、登壇しての質問を終わります。答弁によっては再質問させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 佐藤ケイ子議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、児童虐待についてでありますが、増加する児童虐待の発生予防と早期発見、早期対応のためには、議員御指摘のとおり、児童相談所の相談機能と対応の充実、市町村、警察など関係機関との連携した取り組みが重要と認識しております。
県では今年度、児童福祉司や児童心理司を増員したところであり、今後も、児童福祉司等を担える専門職員の計画的な確保に努め、児童相談所の体制強化を図るとともに、昨年度から義務化された児童福祉司任用後研修の継続実施によって、児童虐待対応力の充実強化に努めてまいります。
また、地域における見守り体制充実のためには、市町村の役割が重要となりますことから、市町村の要保護児童対策地域協議会における児童相談所の助言指導を充実させるとともに、研修を通じて市町村職員の対応力の向上を図るなど、引き続き市町村の取り組みを支援してまいります。
今後とも、児童相談所の体制や市町村における相談機能の強化を図りながら、関係機関が連携し、児童虐待防止対策を推進してまいります。
次に、旧優生保護法に基づく強制不妊手術についてでありますが、厚生労働省からの依頼に基づき、保健所など県の22機関に対して、旧優生保護法に関連した資料等の保管状況を調査した結果、岩手県衛生年報等の統計資料は確認できましたが、当事者が特定できるような関連資料は見つからなかったところであります。
このため、厚生労働省には、優生手術申請書等個人が特定できる資料は保有していないこと、県が保有する衛生年報で昭和25年から昭和37年までの強制不妊手術件数362件を確認したことについて報告を行いました。
県としては、今後、医療機関や障がい者施設等を対象とした独自調査を実施しますほか、県庁と県内9カ所の保健所に設置した相談窓口においても、訪問による相談を行うなど、相談者の状況に応じた丁寧な対応をすることにより、旧優生保護法により不妊手術を受けた当事者の実態把握に努めていきたいと考えております。
現在のところ、本県被害者の特定には至っていないことから、まずは、実態把握を進め、国の動向も注視しながら、県として当事者のニーズに応じた支援を行ってまいりたいと思います。
次に、県南地区の人材確保についてでありますが、県南地区では、自動車、半導体関連産業を中心に、ものづくり産業の集積が加速し、新たに創出される雇用者数は、報道等の情報を総合的に勘案しますと、今後5年間で5、000人規模に及ぶ可能性もあると想定され、その人材確保が重要な課題となっています。一方、本年3月の県内新卒者の就職動向は、高校卒業者約1、000人、大学、短大卒業者約1、000人が就職のため県外に出るなど、県内定着に向けた取り組みの強化が必要であると認識しております。
県ではこれまで、いわてで働こう推進協議会を核として、産業界、教育機関、市町村、関係団体等と協力して、新卒者等の県内就職やU・Iターンを促進すべく、小学校から高等教育機関までの各段階に応じた工場見学や、いわゆるCOCプラスと連携したインターンシップ、企業説明会、就職支援などに取り組んできたところであります。
さらに、今年度からは、新たに北上市に設置した地域産業高度化支援センターの活動を通じて、高度ものづくり人材を初めとする産業人材の育成に加え、県外からの人材確保と県内定着の取り組みを強化するとともに、今月には、首都圏等の大学を対象に岩手U・Iターンクラブを創設したところであり、今後、首都圏以外の大学にも広く加盟を呼びかけ、より多くの学生に岩手県の就職情報や企業情報を積極的に届けてまいります。
若者の地元志向は着実に高まってきていると受けとめておりまして、今後におきましても、市町村などの関係機関と連携し、岩手で働き、岩手で暮らすことを望む人たちの希望に応えるよう、これらの取り組みを強力に推進してまいります。
その他のお尋ねにつきましては企画理事及び関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔保健福祉部長八重樫幸治君登壇〕
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) まず、認可外保育施設と指導監督の状況についてでありますが、県内の認可外保育施設は、平成30年3月31日現在で96カ所設置されています。認可外保育施設から毎年度、運営状況の報告が提出され、また、所管する県や市町村が原則、年に1回以上立入調査を実施し、適正な施設運営や保育サービスの質の確保が図られるよう指導を行っているところであります。
平成29年度に県が立入調査を行った30施設については、安全確保や非常災害に対する措置、職員の健康管理など74件の指摘を行い、このうち文書指摘とした49件については、施設から改善報告を受け、その改善状況を確認しています。
認可外保育施設は、有資格者の配置などの基準が緩やかで、利用者の入退所に応じた保育サービスの質の確保が難しいなどの課題もあることから、引き続き、施設の適正な運営や安全性が確保されるよう、立入調査の機会を通じて、法令に定める基準の遵守等について指導していきます。
次に、保育士確保対策についてでありますが、県では、平成25年10月に岩手県保育士・保育所支援センターを設置し、潜在保育士の掘り起こしやマッチング支援を行い、これまで403人の再就職を支援したほか、今年度から、保育士修学資金貸付事業に沿岸希望枠を設け、その拡充を図るなど、保育士確保の取り組みを進めてきたところであります。
また、保育士の待遇改善に向けて、保育士の平均経験年数などに応じて賃金の改善を行った保育所等に対する処遇改善等加算を平成27年度から実施しており、毎年度、全ての対象施設で取り組みが行われています。
さらに、今年度から、保育士の業務負担を軽減し、離職防止を図るため、保育士の補助業務を行う保育補助者の雇い上げや、遊具の片づけなど保育周辺業務を担う保育支援者の雇い上げに対する補助事業を実施し、保育士確保対策の一層の強化を図ることとしています。
次に、子育て支援員研修についてでありますが、小規模保育事業などの地域型保育事業については、平成30年4月1日現在、11市町で60施設が設置されており、この事業では、保育士のほか、子育て支援員研修の修了者も従事することができるとされています。
子育て支援員研修の実施については、地域型保育事業を実施する市町村では、既にこの研修を実施し、従事者の養成を行っていることから、県では、その取り組みに対して財政支援を行っています。
また、地域によっては、広域振興局が主催する市町村担当者会議の場で研修の共同開催が提案され、一部では市町村を超えた広域的な取り組みも行われています。
県では、市町村に対する子育て支援員研修が円滑に行われるよう個別に相談に応じるほか、引き続き広域振興局での担当者会議などの情報交換等の場を通じて、市町村の取り組みを支援してまいります。
次に、子どもの生活実態調査についてでありますが、今年度実施を予定している子どもの生活実態調査については、8月下旬に学校を通じて調査票の配付、回収を行う予定であり、昨年度から学校教育を所管する県教育委員会を通じ、市町村教育委員会との意見交換や教育事務所長会議での説明を行い、市町村教育委員会に協力を依頼してきたところであります。
また、来月には、市町村教育委員会に対し、教育事務所単位で説明会を開催するなど、調査の実施に向け調整を図ることとしています。
大規模な調査となることから、学校現場や保護者の皆様の御理解と御協力が不可欠と考えており、今後とも、調査に関する広報等を行うなど、円滑な調査実施に向けて取り組んでいきます。
次に、市町村の子供の貧困対策計画の策定についてでありますが、県内市町村で子供の貧困対策計画を策定しているのは、本年3月に策定した盛岡市のみとなっており、ほかに1市が策定を検討中と聞いています。
子供の貧困対策は、住民に身近な市町村での対応が求められており、子供の貧困対策を総合的に推進するための計画を市町村が策定することは、重要であると認識しています。
県としては、子供の貧困について理解を深めていただくための市町村の担当者を対象とした研修の実施などを通じ、各市町村での計画策定を促すなど、子供の貧困対策推進に向けた取り組みを支援してまいります。
次に、介護サービスの利用者負担割合の見直しとその影響についてでありますが、国では、現在2割負担となっている方の約3分の1が3割負担になると推計しており、この割合を単純に当てはめた場合、本県の3割負担者は1、500人程度と見込まれます。
なお、介護保険では、所得等に応じて自己負担の月額上限額が定められており、既に上限額に達している方には負担割合引き上げの影響はないことから、実際に負担増となるのは1、000人程度と見込まれます。
サービス利用への影響については、平成27年に2割負担が導入された前後を比較すると、本県全体ではサービス受給者数、利用回数等に大きな変化が見られなかったところでありますが、今後、本年8月から施行される今回の制度改正の影響の把握に努め、国に対して必要な提言、要望を行ってまいります。
次に、介護事業所の休廃止及び介護職員の処遇改善の状況についてでありますが、平成29年度の県内の廃止、休止事業所は151カ所であり、そのうち経営主体の変更など事務手続的な廃止を除く実質的な廃止、休止事業所は117カ所となっています。
また、介護職員処遇改善加算を取得した県内の事業所は、平成30年4月時点で1、515事業所、加算対象となる事業所全体の89.4%となっています。
給与の改善状況については、議員から御紹介のあった国の介護従事者処遇状況等調査では、都道府県別の内訳は公表されていませんが、公益財団法人介護労働安定センターの事業所における介護労働実態調査によると、平成28年度の賞与等を除く県内事業所の月給平均額は20万2、342円となり、平成27年度に比べ9、240円、約4.8%増加したところであります。
その後も介護職員処遇改善加算の充実が図られ、事業者に対して当該加算の取得を働きかけていることから、平成29年度にはさらなる改善が図られているものと考えています。
次に、介護分野の新交付金の課題についてでありますが、現在、国から示されている市町村等保険者向けの評価指標は、保険者機能の強化に向けた体制等の構築、自立支援、重度化防止等に資する施策の推進及び介護保険運営の安定化に資する施策の推進の三つの柱から構成されています。
指標の細目を見ると、その多くが保険者として取り組むべきプロセスを評価する項目となっていると認められることから、県としては、研修会の開催やケアプラン点検のアドバイザーの派遣などにより支援し、全ての保険者が評価指標に設定されている項目に取り組むよう促すこととしております。
一方で、評価指標の運用によっては、議員御指摘のとおり、格差の拡大につながる可能性もあることから、保険者の規模や高齢化の状況等によって不公平が生じないような評価指標とするよう、今後、保険者との意見交換等を通じて、県内の状況を把握しながら、国に必要な提言や要望を行ってまいります。
〔商工労働観光部長戸舘弘幸君登壇〕
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) まず、新卒者への県内就職支援の取り組みについてでありますが、いわてで働こう総合イベント、いわてとワタシゴト展は、県内企業の情報と岩手で働く魅力を発信する場として昨年9月に開催し、2日間で延べ1、545人の来場者がございました。
来場者からは、地方には仕事がないというイメージがあったが、いろいろな働き方があることに気づかされたとの声も上がるなど、若者が県内企業やそこで働く方を身近に感じ、その意識を地元就職の方向に向かわせる機会にできたと考えております。
また、おかえりいわてツアーは、首都圏等に進学した学生を対象に、岩手の企業や仕事を知るプログラムへの参加を条件として交通費の一部を県が負担するツアーで、昨年度初めて2回実施し、定員を上回る計51名の申し込みがありました。参加者からは、情報交換もでき、より岩手で就職したくなった、就職サイトでは知ることのできない情報を得ることができてよかったなどの声が寄せられたところであります。
このほか、企業説明会や工場見学の実施などにより、高校生や大学生への企業PRも行っておりまして、県内企業の認知度は徐々に高まっているものと認識しております。
先ほど知事が答弁申し上げたとおり、今後、相当な数の雇用増が見込まれますので、これらの取り組みの成果をしっかりと県内就職につなげていく必要があります。本人はもとより、就職先を決めるに当たって影響が大きい保護者の方々にも、県内企業を知っていただいた上で、本人、保護者とも岩手で働くことへの意識を高めていただくことが重要と考えております。
このため、今年度は、特に高校生と県内企業の若手社員等との交流会や保護者を対象とした企業説明会などを開催し、関係機関と連携して県内就職に対する意識の醸成に取り組んでまいります。
また、おかえりいわてツアーも継続して実施し、個々の学生の就職活動も支援してまいります。
今後とも、こうした取り組みを一層強化し、県内就職につなげてまいります。
次に、奨学金返還支援制度の状況と新たな支援策についてでありますが、県では、昨年度、国の特別交付税措置による制度を活用し、大学等の学生や既卒のU・Iターン希望者の本県ものづくり産業等への就業を支援する、いわて産業人材奨学金返還支援制度を創設し、現在、積極的に利用促進を図っているところでございます。
いわて産業人材奨学金返還支援基金への産業界の出捐状況につきましては、1億円の目標額に対しまして、これまで39団体、個人から7、300万円余の出捐をいただいているところであります。
平成29年度に制度を活用した学生等の状況につきましては、54名を認定し、助成を開始したところであります。このうち他道県出身者が6名、既卒のU・Iターン希望者は5名となっております。
運用開始2年目となります本制度は、認定を受けた学生等及び就職予定先企業の双方から高い評価を得ているところでありますが、当面、現行制度の浸透による高度技術人材の確保に努めながら、産業界の出捐の状況や県内就職を促進する施策としての効果等を見定めつつ、次なる展開について研究してまいります。
次に、労働環境の改善に関する経営者団体への意識啓発についてでありますが、本県におきましては、長時間労働の是正や年次有給休暇の取得促進などが容易に進まない実態にありまして、県では、これらの労働環境の改善につながる働き方改革を促進するため、経済団体や労働団体等を構成員とするいわてで働こう推進協議会を核といたしまして、いわて働き方改革推進運動を展開する中で、経済団体等に対する意識啓発を行ってきたところであります。具体的には、直接経済団体を訪問し、労働環境の整備の必要性について説明をし、いわて働き方改革推進運動への参加も要請してきたところであります。
また、岩手労働局と連携し、長時間労働の是正や年次有給休暇の取得促進、非正規労働者の処遇改善等の労働環境の整備に向けた取り組みの推進について、経済団体等への要請活動も行ってきたところであります。
今後、このような取り組みを引き続き推進いたしますとともに、平成30年4月に岩手労働局が設置いたしました岩手県働き方改革推進支援センターと連携をし、県内経済団体からの協力等も得ながら、各企業における働き方改革を促進してまいります。
〔企画理事兼総務部長佐藤博君登壇〕
〇企画理事兼総務部長(佐藤博君) まず、欠員解消に向けた対応と来年度の採用方針についてでありますが、本年4月1日現在における欠員の主な内訳を見ますと、一般行政職が62人、総合土木職が15人となっており、欠員解消が引き続き重要な課題となっております。
このため、現在、昨年度に引き続き特別募集を実施し、8月1日に35人程度の採用を予定しているところです。
来年度に向けては、新規職員採用数を本年度の採用者数170人と同程度と見込んでいるほか、任期付職員や再任用職員の採用、都道府県等からの応援職員の受け入れ、任期付職員経験者の任期の定めのない職員への採用などの手段を講じて、必要な人員の確保に取り組んでいくこととしています。
また、受験者の確保に向けては、県内外の大学生や保護者に対する説明会の開催、採用情報の提供のほか、インターンシップなどに取り組んでいるところであり、特に、大卒で、今年度知事部局に採用された職員のうち10人が、インターンシップを経験していることから、インターンシップの受け入れの拡大に力を入れてまいります。
今後も、こうした人材確保に向けた取り組みを継続するとともに、事業の効率化や重点化などにも十分配意しながら、職員体制の確保、充実に向けた対策を講じてまいります。
次に、専門職種の人材確保についてでありますが、獣医師及び総合土木職は、それぞれ、専門的な知識を必要とする行政分野において欠かせない人材であり、その確保は重要な課題と認識しているところです。
まず、獣医師の確保に向けては、主に新卒者等を対象とした通常の採用選考に加え、免許を有する者の通年募集や、昨年度初めて都道府県等での職務経験者を対象とした任期付職員の採用選考を実施し、幅広い採用に努めているほか、修学資金の貸し付け、初任給の引き上げや手当の増額等を実施してきたところです。
また、総合土木職の確保に向けては、民間等経験者のための採用枠を設けて幅広く募集してきましたが、近年、新卒者も含め応募者数が減少していることから、インターンシップの実施や大学の訪問等を通じて、採用試験受験者の確保を強化していくこととしております。
今後におきましても、所管部局や人事委員会と連携しながら、専門職種確保のための取り組みを進めてまいります。
次に、知事部局における臨時、非常勤職員の配置状況についてでありますが、本年4月時点において、臨時的任用職員が553人、非常勤職員が1、573人であり、合計2、126人となっております。
なお、平成28年の総務省調査においては、臨時、非常勤職員の対象を、任用期間が6カ月以上、かつ勤務時間が週19時間25分以上の職員としており、この調査結果によれば、本県知事部局職員のおおむね6人に1人が、臨時、非常勤職員となっているところです。
次に、会計年度任用職員の制度導入に向けた取り組み姿勢についてでありますが、会計年度任用職員制度の適正かつ円滑な実施を確保するため、昨年8月に国から事務処理マニュアルが通知されており、このマニュアルの中で、条例化の時期等の想定スケジュールについては、平成31年春から会計年度任用職員の募集活動を行う場合は、今年度内に職員団体との協議等を経て勤務条件等を確定し、遅くとも平成31年2月定例会において条例案を提案し、その成立を図ることとされています。
また、会計年度任用職員が従事する業務の性質及び標準的な業務の量により、会計年度任用職員のうちフルタイムの職またはパートタイムの職等の設定を行うこととし、単に勤務条件の確保等に伴う財政上の制約を理由として、短い勤務時間を設定するなど、現在行っているフルタイムでの任用について抑制を図ることは、今回の法改正の趣旨に沿わないものであることが示されております。
給与や休暇制度については、類似の職務に従事する常勤職員や国の非常勤職員との権衡の観点─これはつり合いという意味でございますが─を踏まえながら整備することとされております。
県といたしましては、こうしたマニュアルに示された内容のほか、他の都道府県の動向等を踏まえつつ、適正な制度設計となるよう、人事委員会とも協議しながら、今後、具体的な検討を進めてまいります。
また、職員団体に対しましては、マニュアルに記載された内容を踏まえつつ、丁寧な説明を行い、必要な協議を重ねていきたいと考えております。
〔医療局長大槻英毅君登壇〕
〇医療局長(大槻英毅君) 県立病院における看護職員の確保及び職場環境の改善についてでございますが、経営計画における職員配置計画に基づく被災病院の再建、産前産後休暇や育児休業等の取得者にかわる代替職員の増員などにより、平成26年度から4カ年で正規職員138名を増員したところでございます。
一方で、近年では、採用試験における看護部門の受験者が減少しており、平成29年度の通常募集においても、168人の採用予定に対して受験者が160人であり、特別募集を実施し、必要な人員を確保してきたところでございます。
今後におきましても、これまで取り組んできた看護師養成校の訪問や就職セミナーの開催などの取り組みを継続するほか、保護者向け就職説明会や県立病院見学ツアーを開催するなど、受験者の確保に努めてまいりたいと考えております。
また、こうした看護師確保対策にあわせ、夜勤専従制度を初めとする多様な勤務形態の導入や、院内保育の充実など福利厚生を推進し、職員のワーク・ライフ・バランスの向上を図ることによって離職防止を推進するほか、病院内部で行われている各種委員会等の持ち方や会議録の作成簡素化など、事務作業を効率化することで超過勤務の縮減を図り、総合的に勤務環境の改善を進めてまいります。
次に、県立中央病院に対する是正勧告への対応についてでございますが、今般、中央病院が是正勧告を受けたことについては真摯に受けとめ、本庁及び中央病院において早期の改善に向けて取り組んでいるところでございます。
これまで、中央病院において、一定時間を超える時間外労働の際の通告や休日における勤務の割り振りの厳格化を図ったほか、臨床工学技士に関しましては、超過勤務手当の不足額の精査を進めるとともに、院内待機の状況から交代制勤務に移行する改善を図ったところでございます。また、医師の超過勤務手当につきましても、全県立病院の医師を対象に医療局本庁において不足額を精査しているところでございまして、支給に向けた準備を進めてまいります。
医療局といたしましては、今回の是正勧告を一つの契機として、労働関係法令の遵守はもとより、地域医療を確保していくためにも、県立病院の職員が健康で安心して働くことができる職場環境の整備が必要であると改めて認識しておりまして、今後、これまで以上に医師確保の取り組みを積極的に進めていくとともに、病院現場におきましても、他職種との連携によります医師の業務の軽減あるいは効率化をさらに進めてまいりたいと考えております。
〔県土整備部長八重樫弘明君登壇〕
〇県土整備部長(八重樫弘明君) まず、国道4号の拡幅整備についてでございますが、国では、現在、金ケ崎拡幅や北上拡幅による4車線化、水沢東バイパスの整備を進めており、国道4号の渋滞緩和による通勤や物流における定時性の向上に取り組んでいるところでございます。
県としては、これまでも国道4号の整備促進を国に要望してきており、今月8日に行った2019年度政府予算提言、要望においては、事業着手済みの区間の早期完成とともに、議員から御指摘のありました北上市から花巻市までの区間を含めた早期4車線化を要望したところでございます。今後も、地元市を含め、関係機関と緊密に連携しながら、あらゆる機会を通じて国に対して強く要望してまいります。
次に、花巻パーキングエリアへのスマートインターチェンジの設置についてでありますが、スマートインターチェンジの整備までの流れは、地元市町村などの発意に基づいて、県や市町村が連携して、その必要性や整備方針など基礎的な検討を行った上で、国による調査や高速道路会社との調整などを経て事業化に至るものでございます。
花巻パーキングエリアへのスマートインターチェンジの設置については、花巻市が昨年12月に設置した検討会に県も参画しており、必要性や整備方針等についてこれまで6回の検討を重ねているところでございます。
県としては、引き続き検討会に参画し、広域的な道路ネットワークの観点から見たスマートインターチェンジの必要性や、県道への接続も含めた具体の整備計画などについて、花巻市への助言を行うとともに、市と連携して事業化に向けた国の調査が開始されるよう取り組んでまいりたいと思います。
次に、北上市から江刺田瀬インターチェンジまでの高規格な道路の整備についてでありますが、県では、江刺田瀬インターチェンジへの北上方面からのアクセスの向上を図るため、国道107号の整備を進めてきたところでございます。平成23年10月には江刺田瀬インターチェンジに直結する札押工区の供用を開始するとともに、現在は、札押工区の西側に隣接する梁川-口内工区において、急勾配の解消等を図るため、約1キロメートルのトンネルを含めた2.7キロメートルの整備を進めております。今年度中にトンネル区間の開通を予定しているところでございます。この札押工区及び梁川-口内工区の道路の規格については、自動車専用道路ではないものの、一般道路としては規格の高い最高速度時速60キロメートルの設計速度で整備をしているところでございます。
梁川-口内工区からさらに西側の区間については、東北横断自動車道釜石-花巻間の全線開通による物流の変化や周辺の開発動向などを見きわめながら、物流ルートとして、整備が必要な区間や、その道路規格等について検討を進めてまいりたいと考えております。
〇8番(佐藤ケイ子君) 知事から、児童虐待に関して、そして児童相談所の体制強化に向けた答弁をいただきました。ぜひ強化をしていただきたいと思います。
この児童相談所の職員配置基準については国が改正を決めておりまして、順次増員を図ることになっております。ところが、専門性の確保や人事異動の問題など、現場では非常に苦慮しているとお聞きしております。岩手県もそうですが、全国的にも、やはり児童相談所の任務が厳しいということで、転勤─3年くらいで異動というのが40%、5年以内に異動が五十数%というくらい大変な職場であります。そうしたことを踏まえて、さらには、今度市町村にその任務というか責任がどんどんおろされてくることになっておりますので、この体制強化については県と市町村両方で取り組みを進めていかなければならないことだと思っております。
そういったところで、昨日、北上市議会の全員協議会で児童虐待の案件について中間報告が出されておりますけれども、大変問題のある案件でした。最終的には、県の児童相談所に相談しなければならなかったわけですけれども、家庭環境の把握ができずに終わってしまった。なぜかというと、市役所が家庭訪問のあり方について認識が薄かったということ。虐待を市役所が疑っていると思われると連絡が拒絶されるのではないかとか過剰な判断をしてしまい、1歳6カ月児健診を受けるようにという切り口での不十分な連絡体制になってしまった。それから、認可外保育施設との信頼関係も、遠慮し過ぎたということなどがありました。
また、県では、要保護児童対策地域協議会に関して、マニュアルなども出しているわけですけれども、どうもそのマニュアルどおりに行っていなかった。担当者の経験に基づく判断で対応してしまったなど、本当に不十分な対応だったということで、北上市議会でも大変厳しい意見が出されたと聞いております。特に、対応しているのは非常勤職員の相談員が中心でありまして、これは、北上市の対応のまずさもあるのですけれども、県内どこの市町村でも、そういった専門知識、スキルのある児童相談に対応する職員の配置はなかなかできていない状況ではないかと思っております。
そうしたことで、県では、市町村要保護児童対策地域協議会運営実務マニュアルを活用して研修を実施して市町村の取り組みを支援していくということだったのですけれども、その成果と課題をどういうふうに捉えているのかお伺いしたいと思います。
それから、児童相談所のあり方についてですけれども、県内3カ所ということで、広い県土の中では本当に機動的に動くには大変な状況です。通報を受けたら48時間以内に動かなければならないわけですが、なかなか厳しいなと思ってお聞きしているところです。
中核市にも、設置義務ではなく任意ではありますけれども、協力を強く要請する必要があるのではないか。中核市への児童相談所設置についてぜひお願いしてほしいわけですけれども、その協議の状況はどうなっているのかお伺いしたいと思います。児童相談所の増設も検討するべきだと申し上げましたけれども、本当に検討に入っていただきたいということを申し上げたいと思います。
それから、もう一つは、知事部局の人材確保の関係ですけれども、専門職種の確保の問題です。
獣医師、土木技師が不足しているというお答えでございました。確かに定数から不足しているのはその職種だと思いますけれども、ほかの専門職種でも、定数上は満たしているものの、実際には大変な状況があるということをお聞きしております。今後多くの専門職の方々が定年を迎えるということで、農業普及員や福祉の関係職員、栄養士、保健師など、そうした方々の専門性をどうやって確保するのかというのが問題として出されております。
私たちがやっている女性議員と語る会の中で先日出された一つの例ですけれども、県内九つの保健所のうち、七つの保健所で管理栄養士が1人しか配置されていないということです。今、脳卒中予防や健康寿命のための食事改善などを進めなければならないけれども、1人体制では非常に厳しいと。それから、こういうスキルを継承しなければならないけれども、1人体制でどうやって次の方に伝えるのだろうかというようなお話がありました。そうした部分でも専門職の人材確保についてはぜひ力を入れていただきたいと思います。市町村でも県に求めているのは専門職でありますから、ぜひ御検討をいただきたいと思います。
それから、会計年度任用職員の関係です。
会計年度任用職員という言葉だと今後誤解を受けるかもしれませんが、会計年度任用職員といっても、更新して働いていただける、各種手当なども出るということになりますので、国に対して財源の裏づけを確保するように地方6団体と一緒に要望するべきと思いますけれども、その点についてはどう考えていらっしゃるのか。
それから、先ほどの答弁では、県が来年の2月議会までに条例の成立を図る必要があり、今後具体的な検討を進めていくとのことでした。県の次は市町村が条例化を進めていかなければならないのですけれども、市町村は、県がどういう条例をつくるのかということを注目しております。ぜひ県内市町村への影響も考えて、行政サービス、そして職員の労働環境の向上に向けた制度をつくり上げていただきたい、先進事例となっていただきたいと思っておりますので、御所見をお伺いします。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 市町村の児童相談のあり方についてでありますが、県では、市町村の対応力向上を図るため、平成28年度に市町村要保護児童対策地域協議会運営実務マニュアルを活用した市町村職員研修を実施しまして、対応が困難なハイリスク事案などへの対応手法や当該地域協議会の運営方法等についての実務研修を行ったところであります。
昨年度は、平成28年改正児童福祉法により新たに義務化されました市町村の要保護児童対策地域協議会調整担当者研修を実施しまして、市町村の対応力及び専門性の向上に向けた支援を行いました。参加した市町村職員からは、演習を通じて子供や保護者へのかかわり方を学んだことによって対人面接技術のスキルアップが図られた等の意見がありまして、一定の成果は得られたと考えております。一方、課題としては、北上市の事案でもありましたが、乳幼児健診未受診者に対するその後の対応など、保健と福祉との連携、協力による母子保健から児童福祉への切れ目のない支援の仕組みづくりなど、児童虐待の防止体制の構築に向けた支援が必要と考えています。
次に、盛岡市への児童相談所設置要請についてでありますけれども、盛岡市では、本年4月に子育て世代包括支援センターと市区町村子ども家庭総合支援拠点の機能をあわせ持つ子ども未来ステーションを設置し、児童虐待対応の体制を充実させたところでありますけれども、児童相談所の設置については継続して情報収集等を行っている状況と伺っています。
県としては、今後も引き続き、盛岡市の意向を確認しながら、必要に応じて国の児童相談所の設置促進施策等についての情報提供や意見交換を行っていきたいと考えています。
児童虐待については、議員御指摘のとおり素早い対応が求められておりますことから、地域の見守り体制の充実を図りまして、児童虐待の早期発見や早期対応等の取り組みを推進しながら、児童相談所等の必要な体制の整備に努めてまいりたいと考えております。
〇企画理事兼総務部長(佐藤博君) 専門職種の体制についてでありますが、これまで、専門職種の職員に必要な知識、技能等につきましては、資格の取得によるもののほか、職種に応じた基礎的な専門知識のもとで業務遂行を通じて習得されてきているところでございます。
また、例えばでございますが、獣医師を対象とした農林水産省での講習会や、先ほど一例で取り上げていただきました栄養士の場合ですと、栄養士を対象としました外部機関による専門研修にも出席させております。また、農業普及員を対象とした普及活動に関する先輩職員から後輩職員への研修指導、あるいは専門知識を有する再任用職員による業務指導、それから、本県では若手職員を支援するメンター制度の実施などにも取り組んでおりますので、先ほどの栄養士が職場に1人しかいないというようなときは、このメンター制度で、同じ職種の先輩と若手職員をマッチングさせるようなこともしております。こうした取り組みに加えまして、年齢バランスに配慮した計画的な採用を進めながら、職員体制の整備に努めていきたいと考えております。
それから、会計年度任用職員制度の財源措置に関する国への要請についてでございますが、地方公務員法及び地方自治法改正に係る国会審議の中で、政府から地方財政措置についてしっかり検討していくと答弁があったと承知しております。県といたしましては、今後、他県や全国知事会の動向等も踏まえまして、国に対し必要な財源措置が図られるよう対応を求めてまいりたいと考えております。
また、今回の法改正の趣旨が、地方行政の重要な担い手となっている臨時、非常勤職員の適正な任用や勤務条件の確保ということでございますので、この任用及び勤務条件に関する統一的な取り扱いを定め、今後の制度的な基盤を構築していくということが必要と認識しておりますので、県としましては、こういった趣旨を参考に制度の導入に向けた具体的な検討を進めてまいりますし、県内市町村に対しましては、県の条例等の検討状況を必要に応じて情報提供していきたいと考えております。
〇議長(佐々木順一君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後4時54分 散 会

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