平成30年6月定例会 第13回岩手県議会定例会会議録

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〇28番(高橋但馬君) 改革岩手の高橋但馬です。
このたびの6月定例会において登壇の機会を賜り、先輩、同僚議員各位に心より感謝申し上げます。
さきの大阪府北部地震でお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された方々に対しまして心よりお見舞い申し上げます。
それでは、通告に従い順次質問いたします。当局におかれましては、誠意あふれる御答弁をいただきますようお願いいたします。
スポーツ振興について伺います。
日本オリンピック委員会などと連携して、2007年度に始まり、希望郷いわて国体での県選手団の活躍につながったいわてスーパーキッズ発掘・育成事業。開始12年目の本年は、八幡平市出身の1期生小林陵侑選手が平昌冬季オリンピック、スキージャンプ競技に出場しました。同様の取り組みは24都道府県の26地域で行われていますが、オリンピックに出場するのは小林選手が初めてとのことであります。達増知事は、小林選手のオリンピック出場について、岩手のスポーツ力の高まりに大きな役割を果たしている、スーパーキッズの励みになると語っております。県として取り組んできたことが実を結んだと言えるでしょう。
他方、これからの岩手のスポーツの現状に目を向けなければなりません。スーパーキッズ事業で小学校、中学校、高校を県内で過ごすものの、競技を続けるために進学、就職を県外に求めるアスリートが大半です。プロスポーツを目指した場合はなおさらであり、県内にもサッカー、バスケットなどのプロチームがありますが、施設を初め、環境が整っていないことは否めない事実であります。
平昌オリンピックにスノーボードで出場した一関市出身の岩渕麗楽さんは現役の高校生で、次回の北京オリンピックを目指す逸材であり、また、ボルダリングの伊藤ふたばさんも現役高校生として東京2020オリンピックの日本代表を目指しています。また、社会人では、ホッケープレーヤーの及川栞さんが沼宮内中学校、不来方高校、天理大学、強豪ソニーホッケークラブ・ブラビア・レディースでプレー後、現在はオランダ1部リーグの新鋭強豪クラブのオランイェ・ロートでプロ選手として活躍しております。このように、岩手県出身アスリートの各競技での活躍が目立ってきました。これもスーパーキッズ事業の影響ではないでしょうか。岩手県出身のアスリートが東京2020オリンピック、パラリンピックという世界の舞台で活躍することは、沿岸被災地を初め、岩手県民を大きく勇気づけることだと思います。
しかしながら、このようなアスリートを支える体制が県内に確立されていないのではないでしょうか。練習環境を初め、生活費、活動費などの金銭面やメンタル面などを支える環境に多くの課題があり、県内の企業単独でのサポートには限界があると思います。岩手県出身アスリートの活躍は、世界へ羽ばたく人材を官と民とが一体となって支援するいい機会と考えますが、知事の考えをお知らせください。
次に、平成29年度、知事部局に文化スポーツ部を新設し、来年はラグビーワールドカップ2019釜石開催、再来年は東京2020オリンピック、パラリンピック競技大会開催等、世界的なスポーツの祭典がめじろ押しであります。みちのくコカ・コーラボトリングスケートリンクやタカヤアリーナ、盛岡市立総合プールから盛岡市立太田テニスコート、岩手県営漕艇場と盛岡市つなぎ多目的運動場は一連のスポーツ施設集積体であると考えられます。そして、例えばですが、繋地区には盛岡市つなぎスポーツ研修センターとスポーツに特化した宿泊施設も整備されていることからも、御所湖広域公園利用の見直しと同時に施設の一体的な整備が必要と思われます。
現在、国のスポーツ政策の予算や、totoの助成金は、ラグビーワールドカップや東京オリンピックへ向けられていますが、オリンピック終了後を見据えた、県としてのスポーツ環境整備やレガシーの継承について考えをお知らせください。
次に、平成20年度をもちまして御所湖広域公園のつなぎスイミングセンターが廃止され、平成28年度に取り壊しが完了し、希望郷いわて国体時はカヌー競技の臨時駐車場として活用されたところであります。当該跡地に関しましては、平成28年6月のプール施設の解体工事完了後、平成29年度末までに御所湖まつり及びサッカー大会などのイベント開催時における臨時駐車場としての許可申請など14件の跡地の使用許可申請がありました。このことからも、つなぎスイミングセンター跡地が臨時駐車場として一定の利用があることがわかります。
他方、隣接する盛岡市つなぎ多目的運動場は、平成29年度の利用者数の推移を見ると、希望郷いわて国体が開催された平成28年度の3万5、075人に比べ1、581人減の3万3、494人と、希望郷いわて国体時に引けを取らない利用状況になっております。盛岡市は、昨年度統一要望において、スポーツ推進施策の充実強化として、つなぎスイミングセンター跡地について、隣接する盛岡市つなぎ多目的運動場との相乗効果が期待できる活用を検討いただきたい旨要望しております。また、平成31年度県予算に対する統一要望においても、盛岡市はこれまでと同様の要望を行うとのことでありました。
県では、盛岡市等の意向も踏まえながら将来的な利活用について検討していただいていることとは思いますが、これについては、県と盛岡市、そして民間経営ノウハウを生かし、一過性ではなく、継続性のある事業構想を早期に策定することがスポーツを切り口とした、つなぎスイミングセンター跡地を含む御所湖広域公園の利用促進につながると思いますが、現時点の県の考えをお知らせください。
三陸地域の復興、三陸防災復興プロジェクト2019について伺います。
東日本大震災津波の発生から8年目を迎え、被災地においては鋭意復興に向けた取り組みが進められている中ではありますが、今後は復興の先を見据えた地域振興にも取り組んでいく必要があります。
折しも県では、昨年度、三陸防災復興プロジェクト2019実行委員会を立ち上げ、本年3月には三陸防災復興プロジェクト2019基本計画を策定し、来年─2019年度に三陸がつながる。日本各地や世界とつながる。ひとつになって更に前に進む。を基本コンセプトとして、さまざまな催事を開催することとしていますし、本年4月には、県庁内に専担組織を設置し、その準備、開催に万全を期しているところと推察いたしているところであります。
そこで知事に伺います。この三陸防災復興プロジェクト2019を通じ、被災地住民の皆さんや県内外に何を訴え、地域振興にどうつなげていくのか、改めて知事の考えをお知らせください。
一方、三陸防災復興プロジェクト2019に対し、沿岸市町村から、職員不足で全国から応援職員をいただいている状況で対応できるのか心配の声が上がっています。復興途上で慎重な意見もあるようですが、被災市町村の意見も踏まえ、どのように進めていこうと考えているのでしょうか。スケジュールや体制もどのようになっているのかもあわせて伺います。
次に、被災した事業者の事業再開を支援する商工指導団体への支援について質問いたします。
県では、平成28年台風第10号により被災した宮古市、久慈市、岩泉町の3市町の事業者の事業再開を支援するため、地域なりわい再生緊急対策交付金を創設し、交付決定件数604件、支出額12億7、500万円で被災企業の施設設備の修繕または建てかえ等々をこれまで支援しているところでございます。また、地域なりわい再生緊急対策交付金に係る自己負担分は、中小企業災害復旧資金の県単融資制度で平成28年度融資実績累計239件18億円余、平成29年度55件3億円余のとおり支援しております。3市町のうち、昨年度に宮古市、久慈市においては、地域なりわい再生緊急対策交付金は事業完了したと伺っております。被害が甚大であった岩泉町は、未復旧の事業者が存在しているのが現状であります。
被災した事業者に対しては、発災直後から商工指導団体が組織の力を生かして必要な体制を整え、被災状況の把握や相談、指導等に精力的に取り組むなど、被災事業者の早期事業再開に向けて尽力しています。県では、このように精力的に被災事業者の事業再開支援に取り組む商工指導団体に対し支援を行っていく必要があると考えますが、商工指導団体の機能強化や組織のあり方などについてどのように考え、取り組んでいくつもりかお知らせください。
ラグビーワールドカップ2019釜石開催について伺います。
復興を加速し、希望の創造と未来の可能性を追求する取り組みとして、また、新日鉄釜石ラグビー部日本選手権7連覇のラグビーのまち釜石での開催は、震災復興のシンボルとして、未来に誇れるまちの次世代への継承、沿岸被災地の活性化、岩手のスポーツ界のさらなる飛躍、発展の契機となります。釜石市で最も被害の大きかった場所に建設される釜石鵜住居復興スタジアムは、開催される12会場で唯一の新設のスタジアムとなることから、全世界から注目される存在となると考えられております。
〔副議長退席、議長着席〕
スタジアムは、常設観客席約6、000席、仮設観客席約1万席で、大会本番は、1万6、000席でフィジー対ウルグアイ、アフリカ地区1位対敗者復活予選優勝チームを観戦することになります。大会開催1年前イベントでは大会本番の仮設観客席がない状態でありますが、本番をどう想定し、どのようなテストを行うのでしょうか。
次に、現在、釜石市及び大槌町の宿泊施設の収容人数は、釜石市1、714人、大槌町659人となっています。県として、大会当日の県外からの来訪者をどう予想し、来訪者の宿泊に関しどのような対応策を考えているのでしょうか。
次に、東北横断自動車道釜石秋田線は、花巻ジャンクションから釜石中央インターチェンジ間、三陸沿岸道路は、宮古中央インターチェンジから大槌インターチェンジ間、釜石北インターチェンジから(仮称)唐桑南インターチェンジ間が平成30年度に開通予定となっております。来場する約1万6、000人の観客が円滑にスタジアムに来場できる交通輸送態勢を整えるため、本年4月に輸送対策の方針を盛り込んだ交通輸送基本計画を策定し、主な輸送方法として、ライナーバスの運行とパーク・アンド・バスライドによる対応をすることとしております。
しかし、釜石市は復興途中であり、スタジアム周辺は駐車場もまだ整備されていないような状況であり、また、道路自体も今年度の完成予定ということで、通常の交通量の把握も難しいと考えられます。具体的な数値をもとに観客輸送対策を策定する必要があると考えますが、対応策をどう考えているのでしょうか。
ラグビーワールドカップ2019を契機とした観光客の受け入れ等の基盤整備に関する事業ということでふるさと岩手応援寄付金が本年5月時点で1、300万円ほど集まっていますが、具体的な使途について伺います。
次に、世界遺産について伺います。
私がさきに取り上げました三陸防災復興プロジェクト2019及びラグビーワールドカップ2019釜石大会により、来年度は、国内はもとより、広く海外からも多くの訪問客がここ岩手に集まってくることが見込まれます。これは、両イベントのみならず、岩手のあらゆる魅力を広くPRする絶好の機会であると私は考えます。特に、本県には既に平泉の文化遺産及び明治日本の産業革命遺産の一つである橋野鉄鉱山が世界遺産として存在しています。また、登録準備を進めている北海道・北東北の縄文遺跡群の一つである御所野遺跡も存在しており、これらの世界遺産や遺跡を海外にまで広く知らしめていく必要があると考えます。
このような絶好の機会を前にして、世界遺産の価値をどのようにPRしていこうとしているのか、県の考えをお知らせ願います。
次に、先日、平成27年7月に橋野鉄鉱山が世界遺産登録されてから初めて視察させていただきました。橋野鉄鉱山インフォメーションセンターで説明を受けた後に現地を視察いたしました。登録前は6、036人だった観光入り込み客数は、登録された平成27年には4万3、316人と7倍となり、世界に貴重で価値があり後世に残すべきものと認められたことによって、知名度が抜群に上がりました。それによって、国内だけではなく海外からも観光客がどっと押し寄せてきたことが証明されました。
しかし、平成28年は、台風第10号による影響もあり、1万7、181人と6割減、平成29年は1万人を切る状況でありました。現在もその被害の復旧作業を行っている最中でありますが、来年は橋野鉄鉱山にも平成27年以上の観光客が来場する可能性があります。現在、旧キャンプ場の西側擁壁の崩壊に係る復旧工事は着手済みではありますが、高炉場跡では、二又沢の川岸崩壊及び倒木、運搬路跡では斜面の崩落による道の塞がり、採掘場跡では北側の石垣崩落などに係る復旧工事は未着手の箇所も多くあると聞いております。来年に向けた災害復旧をどのように進めていくつもりなのかお答えをお願いいたします。
次に、多くの外国人観光客を受け入れるため、AR(拡張現実)を活用した橋野鉄鉱山観光ガイドアプリや4カ国語に対応した機械自動音声ガイドの整備がされており、外国人観光客受け入れの準備も進んでいることと考えます。これらの利用状況をどのように考え、対応していこうと考えているのでしょうか。
次に、岩手県観光協会ホームページから観光スポット橋野鉄鉱山をクリックすると、釜石市ホームページへのリンクが張られているのでありますが、ガイドアプリや自動音声ガイドの紹介等、外国人観光客も視覚的にも言語的にもより理解できる、そして楽しめるシステムを紹介する項目が掲載されていません。これからラグビーワールドカップが開催される本県の観光をアピールする大きな一つのコンテンツとホームページでありますので、今回の事案を含め多くの課題があると考えますが、どのように利便性の向上に取り組んでいくのか伺います。
橋野鉄鉱山への幹線道路となる主要地方道釜石遠野線笛吹峠は、平成28年の台風災害で14キロメートルにわたって全面通行どめとなっていました。復旧に当たっては、一日も早い復旧のため、沿岸広域振興局土木部と遠野土木センターの連携や、ドローンを使用した3D化計測の導入などにより工期短縮を図ることで復旧が進み、昨年の12月20日、約1年4カ月ぶりに全面通行どめが解除となったところであります。
同僚議員からの質問に対し、橋野鉄鉱山がユネスコ世界文化遺産への登録が決定したことに関連し、主要地方道釜石遠野線の局部改良なども視野に入れた調査に着手を検討すると答弁されております。申すまでもなく、遠野から橋野鉄鉱山までの最短ルートは釜石遠野線であり、多くの観光客が利用すると予想されます。世界遺産への観光ルートとして、そして釜石市北部の住民の内陸への最短ルートとして、この道路を整備する必要があるとともに、大阪府北部地震等、首都直下型地震や南海トラフ巨大地震につながるとも言われている状況も考え、いつ岩手県も再び地震に襲われるかわからない状況であります。住民避難や復旧のための緊急輸送路として機能するためにも早期の整備が必要と考えますが、御所見を伺います。
次に、御所野遺跡を含む北海道・北東北の縄文遺跡群の世界遺産登録については、昨年7月に国の文化審議会から示された課題への対応として、他の地域文化圏との違いを明確にし、約1万年間続いた縄文文化の特徴を強調する方針のもと、専門家との意見交換や文化庁、関係自治体との協議を重ね、昨年度末に推薦書素案を文化庁に提出したところと聞いております。ことしの7月ごろに開催される文化審議会世界文化遺産部会において、文化遺産としての推薦について審議される見込みとのことであります。
北海道の観光関係の要職を務められている方からの情報によりますと、御所野遺跡を含む北海道・北東北の縄文遺跡群の世界遺産登録が有力となってきたということであります。そうなればこの地域にとっても大変な観光資源になるので、岩手県、青森県、秋田県、そして北海道の縄文遺跡群をめぐる観光ルートを国内外に売り込む準備をしていくべきと考えますが、県としてどのように考えているのかお知らせください。
次に、民泊について伺います。
住宅宿泊事業法、いわゆる民泊新法に基づく民泊事業者の自治体への届け出がことし3月15日に始まりました。法律が施行され、実際に事業を行えるのは今月の15日からであります。主な規定は、宿泊施設ではなく、住宅に旅行者を泊めるとの位置づけから、営業日数を年180日以下に制限しています。宿泊者名簿を備えつけることや外国語で施設の利用方法を説明することなどを義務づけています。また、法律にのっとった民泊であることを示す標識も掲示しなければなりません。
6月15日時点で、民泊新法に基づく全国の民泊届け出件数は3、728件、岩手県においては10件ということでありました。現在、違法なヤミ民泊を含め、物件は数万件あるのが現状であります。また、先日の岩手日報には民泊の件が取り上げられており、活性化の起爆剤的なニュアンスの記載がありました。ラグビーワールドカップ2019の期間中に沿岸地区は宿泊キャパシティーが足りなくなることが予測されているものの、現在の入り込み客数を見ても、明らかに沿岸地域への流入は落ちていることがわかります。つまり、一過性のイベント期間のみ供給数が不足することは明らかです。
平成29年6月8日、参議院国土交通委員会での附帯決議では、生活環境の維持保全や地域の観光産業の育成促進の必要性等、それぞれの地域の実情や宿泊ニーズに応じた住宅宿泊事業の制度運用が可能となるよう十分な配慮を行うこととされていることからも、地域の実情、いわゆる県内宿泊施設の稼働率をしっかりと県で把握し、既存の宿泊施設の利用や民泊の必要性を議論することが重要と考えます。半永久的な観光政策において、宿泊客数の増減や宿泊施設の稼働率など現状の状況把握を行い、地域の実情に応じた民泊の必要性を考えていくべきと考えますが、県の考えをお知らせください。
次に、新聞報道によれば、セブン-イレブン・ジャパンとJTBが、ファミリーマートが民泊仲介サイト世界最大手のAirbnbとそれぞれ共同で、全国のコンビニエンスストアを民泊のチェックイン拠点として、店内の専用端末により本人確認や鍵の受け渡しをできるようにするサービスに乗り出すとのことであります。各社は、民泊関連サービスを取り入れることで利用者の拡大を目指す考えとのことです。
民泊新法では、営業できる上限が、先ほども言いましたが180日とされました。ただし、これは国が定めた上限で、各自治体が地域の実情に応じて独自にルールを定めることができることとなっております。既に、6月1日時点で、都道府県のうち条例を制定している自治体は15自治体、条例制定を行わないとしている自治体は21自治体、対応を検討中の自治体は本県を含む11自治体となっております。
例えば長野県などでは、学校周辺100メートル以内の区域、児童福祉施設周辺100メートル以内の区域、住居専用地域の月曜から金曜まで事業を制限しています。このように、自治体によっては独自の規制の動きもあります。自治体は、平日に民泊を営んでいれば直ちにルールに違反と判断できるので、規制の実効性を高める工夫とも考えられます。
民泊は旅行者のさまざまなニーズに応える方策の一つでもありますし、地域の観光振興や地域活性化につながる可能性があるものでもあります。それと同時に、一方では、民泊に起因する騒音等による生活環境の悪化や、県民が何らかの事件に巻き込まれないように県としても規制を強めていかなければならないと考えます。今後の条例の制定についてのお考えをお知らせください。
次に、県庁内保育施設について伺います。
平成28年度、庁内保育施設の設置に関するワーキンググループによる調査及び検討、並びに職員ニーズ調査が実施されました。昨年度は、庁内保育施設の設置に関する検討委員会による調査及び検討、若手職員からのヒアリング調査、宮城県、福島県、広島県等、先進県の視察が行われたと聞いております。
県庁、盛岡地区合同庁舎近辺の保育施設の空き状況を見ると、認可保育所5施設、認定こども園1施設、地域型保育施設2施設の合計定員数は547人、その中、5月10日時点であきがある施設は4施設、各施設はおおむね1人から2人のあきで、そのほかの施設は定員または定員超過となっているのが現状であります。
さきの検討委員会で出された意見としては、県内では、例年、4月1日時点で発生している待機児童の9割程度が2歳までの低年齢児であること、盛岡市では年度途中に待機児童が発生していること、育児休業中の職員が年度途中に復帰しようとする際、預け先を確保できないため育児休業を延長するケースがあること、近年、相当数の女性職員が採用されていることから、育児休業の取得や復帰を容易にするための有効な支援策として庁内保育施設のニーズが高まる傾向が想定されていることなどの意見が出されたところであります。
近隣の保育施設も定員または定員超過が多いことから県庁内保育施設は必要と考えますが、認可外保育施設とした場合、地域型保育事業を行う認可保育所とした場合、それぞれのメリットとデメリットを比較して進めていく必要があると思います。これらメリット、デメリットをお示しいただくとともに、今年度どのように取り組んでいくのかお示し願います。
以上で私の質問を終わります。答弁次第では再質問させていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
〇議長(佐々木順一君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 高橋但馬議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、岩手のアスリートに対する支援についてでありますが、希望郷いわて国体、希望郷いわて大会の成果をレガシーとし、岩手におけるスポーツ振興や競技力向上を図る上でトップアスリートの育成が重要であり、国際大会などで活躍する選手の輩出を目指していく考えであります。
日本代表候補等の有力選手の大会参加や強化合宿等の活動費を支援してきたところ、近年、国際大会出場選手数は着実に増加してきており、平成29年度は、障がい者13名を含む67名を強化選手として指定し、そのうち7名が平昌2018オリンピック、パラリンピックへの出場を果たしたところであります。
また、日本代表選手に選出されるためには、海外のさまざまな国際大会での実績を積むことが必要でありますことから、その遠征費を支援する事業を今年度創設したところであります。
さらに、学生アスリートを対象とした就職マッチングを進めており、本県出身者を中心に、正規雇用だけでもこの6年間で120人を超える学生の県内就職が実現しているとともに、フェンシング、スケート、レスリング等においては、県外出身のトップアスリートが県内企業等の支援を受け、競技に専念する例も出てきています。
加えて、昨年度から文化スポーツ部にスポーツ振興専門員12名を配置し、多面的に競技力向上を推進しているとともに、アスリートや指導者に対し、スポーツ医・科学的知見を活用した支援策を講じているところであります。
今後とも、県体育協会、競技団体、関係団体等と連携し、支援体制の強化を図りながら、オリンピック、パラリンピックなど、世界の舞台で活躍するトップアスリートの育成を目指してまいります。
次に、三陸防災復興プロジェクト2019の開催意義についてでありますが、2019年は、三陸鉄道の一貫経営、東日本大震災津波伝承館の開館、ラグビーワールドカップ2019の開催など、三陸地域が国内外から大きな注目を集める年となります。この機会を捉え、三陸地域全体で三陸防災復興プロジェクト2019を開催することにより、東日本大震災津波からの復興に懸命に取り組んでいる被災地の姿を発信し、東日本大震災津波の風化を防ぐとともに、国内外からの復興への支援に対する感謝を示し、また、被災県として東日本大震災津波の記憶と教訓を伝え、日本国内や世界の防災力向上にも貢献していきたいと考えております。
さらに、三陸地域の多様な魅力を国内外に発信し、三陸地域への関心や認知度を高めながら、交流人口の拡大や地域経済の活性化を図り、復興を力強く推進し、新たな三陸の創造につなげていきたいと考えております。
その他のお尋ねにつきましては企画理事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔文化スポーツ部長菊池哲君登壇〕
〇文化スポーツ部長(菊池哲君) まず、オリンピック終了後を見据えたスポーツ環境整備についてでありますが、希望郷いわて国体、いわて大会以降、国内外のスポーツ関係者から高い評価を得ている施設やスポーツ環境が県内各地に数多くあり、ラグビーワールドカップ2019釜石開催に向けては、盛岡市ほか3市が公認チームキャンプ地に内定するとともに、東京2020オリンピックに向けては、花巻市ほか2市が事前キャンプ地に決定するなど、世界各国のナショナルチームの受け入れ準備が進められているところでございます。
また、過日、国内初のスポーツクライミング第1回コンバインドジャパンカップが盛岡市で開催され、さらに2020年には、クライミング・アジア選手権の開催も決定するなど、スポーツ資源を活用した各種合宿の誘致が次々と実現しており、2020年の東京オリンピック、パラリンピックに向けた事前キャンプのさらなる誘致にもつながることが期待されているところでございます。
オリンピック、パラリンピック終了後においても、それまで蓄積したキャンプ誘致や大会運営等のノウハウ、国内外のネットワークなどのレガシーを生かし、県内の産学、そして行政が結集し設立いたしましたいわてスポーツコミッションを中心として、一層のスポーツ振興と地域活性化に取り組んでいくこととしております。
なお、今後のスポーツ施設の整備に当たっては、有識者による懇談会からの報告も参考にさせていただきながら、国のインフラ長寿命化基本計画に基づく公共施設等総合管理計画を踏まえ策定することとされております個別施設計画の中で、維持管理や修繕、更新等々について、活用財源も含め検討してまいります。
次に、ラグビーワールドカップ2019釜石開催の大会開催1年前イベントについてでありますが、大会開催1年前イベントについては、本年10月に、釜石鵜住居復興スタジアムでのジャパンラグビートップリーグ公式戦開催に合わせ、大会本番を見据えながら、まずは常設観客席約6、000席で、関係機関と連携し、交通輸送や防災、医療救護等、受け入れ態勢の整備に向けたテストを行う予定としております。
具体的には、交通輸送面では、釜石駅を起点とし、釜石市民ホールに設置予定の大会公認イベントスペース、いわゆるファンゾーンを経由し、スタジアムまでを結ぶシャトルバスや、県内主要駅等からのライナーバスの運行、パーク・アンド・バスライドの試行などを行います。また、防災、医療救護面では、防災本部や医療救護本部の運営体制の確認、緊急車両の配備、運用の試行などを実施する予定としております。
また、ファンゾーンにおいても、パブリックビューイングや地元郷土芸能の披露、ラグビー体験を実施するなど、運営テストとあわせ、開催機運の醸成に向けた取り組みを予定しているとともに、周辺の広場等を活用した観光物産振興のイベントも調整しているところでございます。
本イベントでのテスト結果につきましては、交通輸送や防災、医療救護等、各分野の詳細な対応策に反映させるとともに、来年度には、スタジアムの仮設スタンド完成後、大会本番同様の1万6、000席での各種テストを予定しているところでございます。
次に、大会来訪者の宿泊についてでありますが、昨年度、国体等の大規模スポーツ大会の実績データを活用した動員予測システムによる来場動向シミュレーションを実施し、1試合当たりの観客1万6、000人のうち県外及び外国からの観客は、来年9月25日の試合で6、200人、10月13日の試合では7、600人、2試合合計で1万3、800人が来場されると予想されたところでございます。
今後、大会観戦チケットの販売状況を踏まえながら精査を進めることとしておりますが、釜石市及び大槌町の宿泊施設の収容人数を上回る観客が来訪されることが見込まれているところでございます。このため、県内の官民関係団体等で組織する釜石開催実行委員会のもと、昨年7月、宿泊、旅行業関係団体等で構成する交通輸送・宿泊専門部会を設置し、見込まれる宿泊需要に的確に対応するため、必要な対策について専門的な見地から検討を進めているところでございます。
加えて、試合日前後でのイベントの実施や、滞在、周遊型旅行商品の造成等、大会来訪者がより長く県内に宿泊していただけるよう、市町村や関係団体と連携しながら取り組みを推進してまいります。
次に、観客の輸送対策についてでありますが、観戦チケットの販売前の昨年においては、先ほどの来場動向シミュレーションを実施し、試合開催日ごとに県内、県外別の交通手段ごとの来場者数の見込みを立て、これをもとにライナーバスの運行やパーク・アンド・バスライド等の交通輸送対策の基本方針を取りまとめたところでございます。
ことしに入ってからは、観戦チケットの販売が開始され県内外の来場者の動向が明確になりつつあり、より実態に近い来場者予測が可能となりますことから、今後、試合会場の開門、閉門時間の設定を初め、在来線の増便等の対応も踏まえながら、きめ細かな対策を検討し、交通輸送実施計画を具体化してまいる考えであります。
加えて、大会開催1年前イベントや来年度実施予定の本番前のテストイベントなど、大会直前までテストや検証を重ねながら、万全な交通輸送対策が講じられるよう努めてまいります。
次に、ふるさと岩手応援寄付についてでありますが、県では、平成28年11月、ふるさと納税制度を活用した岩手応援寄付に、新たにラグビーワールドカップ2019を契機とした観光客の受け入れ等の基盤整備の項目を設け、各種広報やイベント、企業訪問などさまざまな機会を捉え、県内外の企業、団体や個人に対し、広く寄附への協力を呼びかけているところでありまして、本年5月末時点で1、381万円余の寄附をいただいているところでございます。
その使途につきましては、基本的に、大会開催を契機とした観戦客を初めとする国内外からの本県への来訪者に対するおもてなし向上など、受け入れ態勢の整備に活用していきたいと考えております。
次に、岩手県内の世界遺産等のPRについてでありますが、県では、二つの世界遺産及び御所野遺跡の各資産情報を一元化し効果的に発信するポータルサイトの運用、国際的旅行博でのPR、3遺産への周遊促進のための世界遺産スタンプラリーの展開、好評を得ております児童生徒を対象とした世界遺産出前授業などの取り組みを進めているところでございます。
また、平泉の文化遺産及び御所野遺跡の関係市町や商工観光団体においては、ボランティアガイドの養成や外国語対応ガイドの配置、修学旅行の誘致活動などの取り組みを展開しているところでございます。さらに、明治日本の産業革命遺産や北海道・北東北の縄文遺跡群の構成資産を有する各道県等と広域的な連携を図り、外国人観光客向けのパンフレットやホームページによる情報発信、ガイド人材の育成事業等を実施しているところでございます。
今後においては、引き続き、このような取り組みを展開していくとともに、現在国が計画しております明治日本の産業革命遺産の総合的な情報を発信する施設を活用するなどして、世界遺産の価値をよりわかりやすく伝え、本県来訪者の一層の拡大に取り組んでいきたいと考えております。
次に、橋野鉄鉱山の災害復旧についてでありますが、平成28年の台風第10号により、橋野鉄鉱山についても被害を受けたところでありますが、世界遺産としての価値を損なうほどの被害は確認されていないところであります。
橋野鉄鉱山のうち、来訪者に公開している高炉場跡につきましては、国及び県の補助により、今年度中に釜石市による復旧が終了する予定となっております。一方、非公開エリアであります運搬路跡及び採掘場跡については、林野庁による林道の復旧に合わせて進めることとしておりまして、2022年度までに終了する予定となっております。
こうした災害復旧への支援に加え、県では、世界遺産を構成する橋野鉄鉱山を保全するために組織された釜石地区管理保全協議会の構成員として、国とともに、世界遺産の保全や修復の進め方に対する技術的支援を行うなど、釜石市が進める世界遺産の保護等の取り組みを引き続き支援してまいります。
〔県土整備部長八重樫弘明君登壇〕
〇県土整備部長(八重樫弘明君) まず、御所湖広域公園の活用についてでありますが、御所湖広域公園は、平成27年度に施設整備が完了いたしまして、現在、公園施設の適正な維持管理のため、優先順位や年度ごとの予算の平準化を勘案した公園施設長寿命化計画に基づいて、設備等の修繕や更新を行っております。このうち、つなぎスイミングセンター跡地については、議員御案内のとおり、老朽化したプールを平成28年6月に取り壊した後、同年10月には、希望郷いわて国体カヌー・スプリント会場の駐車場として活用したほか、周辺で開催されるイベント等の臨時駐車場として利用されているところでございます。
当該跡地周辺には、御所湖漕艇場や盛岡市立つなぎ多目的運動場などスポーツ施設が多くありまして、近接する温泉、宿泊施設等との相乗効果が期待されることから、今後のスポーツ利用を含めた活用方策について、公園利用者のニーズや民間も含めた地元市町の意向をお聞きしながら、継続して検討を進めてまいりたいと考えております。
次に、主要地方道釜石遠野線笛吹峠の整備についてでありますが、本路線については、橋野鉄鉱山の世界遺産登録以降交通量が増加しておりますが、笛吹峠付近は幅員が狭く、急カーブが連続していることから、乗用車同士のすれ違いが困難な状況の改善を図るため、待避所の設置や局部的な拡幅等を行う事業について、平成29年度に着手したところでございます。
これまでに、笛吹峠の釜石側、遠野側のそれぞれの区間において測量調査や地質調査、詳細設計を実施してきており、今年度は、用地取得に必要な保安林解除の手続や用地測量等を進めながら、用地の取得に着手することとしております。
引き続き、待避所の設置工事の実施に向け、関係機関との協議や用地の取得に取り組んでいくとともに、現在、本路線で行われている平成28年台風第10号による被災箇所の災害復旧について、年内の完成を目指して工事を進めているところでございます。
〔政策地域部長藤田康幸君登壇〕
〇政策地域部長(藤田康幸君) 被災市町村の意見も踏まえた三陸防災復興プロジェクト2019の開催についてでございますが、沿岸市町村からは、交流人口の拡大につながる有意義な取り組みであるという御意見があった一方、復興が完了したと誤解されないよう留意してほしいなどの御意見もあったところでございます。こうした御意見を踏まえながら、ことし3月には、全市町村が参画した実行委員会におきまして、開催趣旨や会期、催事計画等を明示した基本計画を決定したところでございまして、現在、関係団体の実務者で構成する三つの専門部会を実行委員会に設置いたしまして、具体的な内容の検討を進めているところでございます。
また、5月には、全市町村を対象とした会議を開催いたしまして、各催事の具体化に向けて、情報共有を初め市町村の連携を図っているところでございます。そして、これらの専門部会や市町村等の御意見を十分踏まえながら、年内には、各催事運営の具体的な計画を策定することとしておりまして、その中で、市町村の状況にも十分配慮してまいりたいと考えております。
〔商工労働観光部長戸舘弘幸君登壇〕
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) まず、被災した事業者の事業再開を支援する商工指導団体への支援についてでありますが、商工指導団体は、東日本大震災津波や平成28年台風第10号災害からの早期事業再開等に向け、伴走型の経営支援により、経営相談や専門家派遣、販路開拓支援など、被災事業者の復旧、復興に中心的な役割を担ってきたものと認識しております。
県は、平成28年台風第10号災害において、被災事業者の施設、設備の早急な復旧のため、地域なりわい再生緊急対策交付金制度を創設するとともに、被災3市町の商工会議所、商工会の商工指導団体職員の増員措置を講じてきたところでありまして、特に被害が甚大であった岩泉町においては、平成30年度も交付金事業の継続とあわせ、商工会職員の増員措置を継続しているところであります。
商工指導団体が被災事業者の支援に重要な役割を担っていることに鑑み、引き続き、早期事業再開や経営の安定化に向けた伴走型の経営支援に必要な経費に対する補助などにより、商工指導団体が被災事業者に寄り添ったきめ細かい活動を継続的に展開できるよう支援してまいります。
次に、外国人観光客受け入れに係るガイド機器についてでありますが、県では、本年3月から、世界遺産橋野鉄鉱山を沿岸地域の観光資源として一層活用していくため、拡張現実─ARを用い、英語にも対応した観光ガイドアプリを開発したところであり、また、釜石市では、平成27年11月から、見学時に携帯できる4カ国語対応の音声ガイド機器を整備し、国内外からの観光客に提供しているところであります。
観光ガイドアプリにつきましては、利用を開始してまだ間もないところでありますが、施設に配架している利用方法を説明するチラシが4月以降600部以上読まれており、利用者の方々からは、ガイドを受けながら映像を見ると実際の大きさが実感できてよい、石組みだけではわからないが、映像を見ると想像しやすくなるなどの評価をいただいているところであります。
また、音声ガイド機器については、平成27年度は29回、平成28年度は395回、平成29年度は、平成28年の台風第10号の影響により171回の利用実績となっておりますが、利用者からは、解説を聞きながら見ることで理解が深まるなどの評価をいただいているところであります。
今後におきましては、来年のラグビーワールドカップ2019や再来年の東京2020オリンピック、パラリンピック開催などにより増加が見込まれる訪日外国人の橋野鉄鉱山への来訪を促進するためにも、観光ガイドブック等のさまざまな媒体での周知などにより、ガイド機器の利用促進を図ってまいる考えでございます。
次に、観光をアピールするホームページについてでありますが、県では、本年3月末に、観光ポータルサイトいわての旅外国語版のリニューアルを行い、写真や動画などビジュアルを中心とした構成による訴求力の強化や、利用者がオリジナルの旅行行程を作成できる機能の導入などによる利便性の向上を図ったところであります。
今後におきましても、先ほどの橋野鉄鉱山に係るガイド機器の情報の掲載や、ラグビーワールドカップ2019関連ウエブサイトへのリンクなどにより、さらなる訴求力の強化や利便性の向上を図っていく考えであります。
次に、御所野遺跡についてでありますが、御所野遺跡を観光資源として効果的に活用するためには、北海道・北東北の4道県が連携した取り組みが重要と認識しているところであります。このため、平成27年の北海道・北東北知事サミットにおいて、4道県が連携して縄文遺跡群の魅力発信とPRに取り組むことを合意し、4道県共同のフォーラムやプロモーションなどを実施してきたところであります。
また、御所野遺跡は、北海道・北東北の縄文遺跡群の一番南に位置し、首都圏等からの玄関口としての役割を担うことから、県では、御所野遺跡を訪れる旅行商品の造成支援や、本年度新たに立ち上げた御所野遺跡等観光資源連携推進事業による体験メニューを紹介するパンフレットの製作、モニターツアーの実施などにより、御所野遺跡の集客力を一層高める取り組みを進めているところであります。
今後におきましても、外国人観光客誘致も視野に、北海道・北東北の広域的な観光周遊ルートを構築し、これも活用しながら、御所野遺跡への誘客拡大を図るためのプロモーションを展開していく考えでございます。
次に、民泊についてでありますが、民泊への対応については、一つには、民泊サービスが、既存宿泊施設と調和しながら、民泊事業者のおもてなしの力などを生かして、多様な宿泊ニーズへの受け皿の一つとして展開されるよう、地域の実情や特性を踏まえ対応すること。二つ目として、住民や旅行者の安全・安心の確保を第一に、民泊サービスが適正に運営されるよう、関係法令に基づき適切に対応するとともに、民泊サービスに起因する騒音等の生活環境の悪化防止を図るため、法に基づき、合理的に必要と認められる限度において、営業を制限する区域及び期間等を定める条例の検討を進めることの二つの基本的な考え方のもと、関係部局が連携し取り組むこととしているところであります。
お尋ねのありました地域の実情を踏まえた民泊につきましては、本県では、ホテル、旅館等の宿泊施設が都市部や温泉地に集中して立地しており、宿泊施設が少なく通過型観光地となっている地域があることや、外国人観光客等の誘客拡大のためには、多様な宿泊ニーズへの対応が必要であることなどから、地域の実情も踏まえながら民泊の活用を図っていくことが重要と認識しているところであります。
このような取り組みを進めるには、市町村DMOのような観光地域づくり推進組織の活動が重要となってまいりますため、県では、三陸DMOセンター等と連携し、各市町村におけるDMO組織化の動きを促進するとともに、滞在型観光地の形成に向けて、地域の特色を生かした多彩なコンテンツづくりや受け入れ態勢整備、おもてなし力の向上などを支援しているところでございます。
今後におきましても、民泊サービスの適正な運営を確保しながら、県内をより広く周遊し、より長く滞在する周遊、滞在型観光の売り込みなどにより、既存の宿泊施設も含め、宿泊需要の拡大を図り、地域の活性化につなげていきたいと考えております。
〔環境生活部長大友宏司君登壇〕
〇環境生活部長(大友宏司君) 条例での民泊の規制についてでありますが、民泊活用の基本的な対応方針は商工労働観光部長から答弁申し上げておりますが、民泊は、宿泊の新たな受け皿として観光客誘致などの効果が期待されるものの、東京都、京都府などでは、宿泊者による騒音などにより周辺地域の生活環境が悪化した事例が生じており、本県においても同様の影響が懸念され、そうした場合には、観光地としてのイメージにも影響が及ぶものと考えております。
国においては、住宅宿泊事業法第18条に、住宅宿泊事業に起因する騒音等による生活環境の悪化を防止するため必要があるときは、条例により、区域を定めて、事業を実施する期間を制限することができると規定していることから、本県においても、関係団体や市町村の意見等もお聞きし、条例の検討を行ってきたところであります。
本年1月に実施したパブリックコメントの意見や他県での条例制定の状況、本県や全国での届け出状況等を踏まえながら、9月定例会での条例案の提案に向けて、事業を制限する区域及び機関等について引き続き検討してまいります。
〔企画理事兼総務部長佐藤博君登壇〕
〇企画理事兼総務部長(佐藤博君) 庁内保育施設についてでありますが、現在、庁内保育施設を設置しているのは全国で7都県あり、うち公的給付のない認可外保育施設が4県、公的給付のある地域型保育事業を活用した認可保育所が3都県となっております。
まず、認可外保育施設は、立地市町村の設置基準によらない柔軟な対応が可能となる一方で、運営に係る費用の事業主負担が大きいこと、次に、地域型保育事業による認可保育所は、公的給付があるため事業主負担が軽減される一方で、立地市町村の設置基準を満たす必要があることといった点が挙げられます。
昨年度から設置している副部長級職員で構成する検討委員会においては、育児休業中の職員が希望する時期に復職できることを念頭に検討を進めているところであり、先ほど説明しました双方のメリット、デメリットを比較しながら、仮に庁内保育施設を整備するとした場合の保育内容等の具体化について検討を継続し、年度内を目途に検討結果を取りまとめる予定としております。
〇28番(高橋但馬君) ラグビーワールドカップについて再質問させていただきたいと思います。
仮設スタジアムの建設費について、当初から、仮設スタジアムの建設費については県が応分の負担をするということを言っておりましたけれども、本大会の開催は、言うまでもなく、来年の9月になっております。仮設施設の整備費の県の負担はどのくらいになりそうなのか、率直にお伺いしたいと思います。
続けて、来年10月でワールドカップにおけるスタジアムの使用は終わるわけですけれども、その後、議論のとおり、スタジアムの維持は所有者である釜石市がしていかなければならないということで、財政を圧迫していくことは間違いないと考えられるわけです。今後、スタジアムはラグビーに限った使用法だけなのか、それとも、多目的に使っていくのかという部分もまだ決まっていないわけですけれども、その辺、県として、大会後のスタジアムの利活用についてどう考えているのかお知らせください。
〇文化スポーツ部長(菊池哲君) 2点のお尋ねがありました。まず、スタジアムのスタンドの仮設整備の関係でございますが、仮設施設の整備費につきましては、現在、釜石市が、大会本体の運営主体でありますロンドンにあるラグビーワールドカップリミテッドと協議、調整しているところでございます。そして、今、費用の精査を行っているということで、県は御案内のとおりですが、釜石市にもその応援職員を派遣しておりますし、駐在も行うなどしてこの競技の支援も含め、大会準備全般を支援しているところであります。今後、その費用の精査等が進むと思われておりまして、釜石市で整備費の確定があれば、それに伴う県への支援要請などが行われるという形になります。そして、県では、その要請を受け、検討した上で所要の支援を行っていくという流れ、対応になりまして、現在まだ精査中ということでございます。
次に、大会後のスタジアムの利活用でございますが、これは御案内のとおり、本施設は、まずもって、スポーツ活動そして文化活動など、いわゆる市民のための公の施設ということで釜石市が整備しておりまして、そういったことを踏まえまして、県としては、沿岸地域の振興や広域的なさまざまな文化、スポーツの取り組みなど、各般にわたって釜石市と協議して、その利活用については検討、対応していくことになると考えております。
〇議長(佐々木順一君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後5時28分 散 会

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