平成30年6月定例会 第13回岩手県議会定例会会議録

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〇11番(田村勝則君) 一般質問の機会をいただきました創成いわての田村勝則であります。今議会の最初の登壇ということで光栄に存じております。
けさ出がけに、妻からは、多くの方々の支えがあって今のあなたがあるということを忘れずにと言われてまいりました。その感謝の心を持って質問に入らせていただきます。
まず初めに、去る6月18日に発生した大阪府北部の地震についてであります。
この地震によって犠牲になられた方々に対し、まずもって衷心より哀悼の意をささげますとともに、被害に遭われた多くの方々に対し、お見舞いと早期の復旧、復興をお祈り申し上げるものであります。
また、東日本大震災津波の折には、我が岩手県は、当地域からも多くの支援をいただいております。そのお返しも含め、県として、できる限り迅速な支援をすべきであると思いますが、既に実施されていることも含め、その取り組み状況について伺います。
次に、天皇陛下御在位30年記念事業について伺います。
新聞報道によれば、政府は、平成31年4月30日の天皇陛下の御譲位に向けて、国の儀式としてとり行う皇室関連行事の日程を決めたことが報じられております。
それによれば、2月24日に、政府主催で天皇陛下御在位30年記念式典を開催。式典委員長は首相が務め、内閣府が事務主体となって、国立劇場を会場に、天皇、皇后両陛下の御臨席のもとで、三権の長のほか、各界の代表者が出席して行われるようであります。
ちなみに、御在位20年の記念式典は鳩山内閣のときでありましたが、平成21年11月12日に政府主催で行われております。
大いなる災害受けし岩手県に人ら集いて国体開く
この御製は、昨年、本県が発行した行幸啓誌の冒頭に掲載されております。非常に平易な印象を受けますが、私は、岩手県に対する極めて深い感慨を込められたものと拝察いたします。
知事の挨拶文にも、東日本大震災復興の架け橋と冠称した希望郷いわて国体、希望郷いわて大会に際して、天皇、皇后両陛下を初め、多くの御皇族の方々へのお出ましに対する感銘と感謝の言葉がつづられております。こうしたことからも、我が岩手県においても、県民を挙げて奉祝の式典を行い祝意を表すべきと考えますが、県としてどのようにお考えか、お伺いをいたします。
また、あわせて、天皇陛下御即位に際しての前回の対応状況はどのようなものであったのかについてもお尋ねいたします。
前回の御代がわりのときは、国内でいろいろとありました。昨今の社会情勢は、御皇室への理解も世代を超えて深まっており、お祝いの行事は、平和を希求するこの日本の象徴的な慶事としてかなりの盛り上がりが予想されます。
そこで、本県の今後の対応について、前回の対応状況もあわせてお伺いをいたします。
次に、次期総合計画について伺います。
今回いただいた次期総合計画の概要、素案によれば、計画の理念として、幸福を追求していくことができる地域社会の実現を目指し、幸福を守り育てるための取組を推進との文言が記されております。
この計画は、はじめにの項に書いてありますように、来年度からの10年間の長期計画であるということ、県民みんなで目指す将来像として、県の政策推進の方向性や具体的な取り組みを示す最上位の計画であることが記されております。これからの県民にとって、極めて重要な計画であることは言うまでもありません。
そこでお伺いをいたします。昨年6月議会で私は、岩手の幸福に関する指標導入について、端的に申し上げれば、行政にはわかりにくく、なじまないのではとの疑問を投げかけました。それに対し、知事からは、専門的知見を有する有識者から幅広く意見を聞き、総合計画審議会での議論も踏まえ、できるだけわかりやすく導入していくとの答弁をいただいております。
また、知事の幸福宣言についてもお伺いしたところ、岩手県民と岩手にかかわる全ての人の幸福を高めるために、県民とともに次期総合計画を策定するということでありました。知事としての重い宣言と私は受けとめました。しかるに、今般示された素案では、幸福に関する指標の導入ではなく、また、知事の宣言にもある幸福を高めるという表現でもなく、幸福を守り育てるという新しい文言になっております。これまでに延べ20回の審議会及び部会を開催したとのことでありますが、幸福に関する指標の導入について、どのような議論がなされ、このような新しい表現になったものでしょうか。
ちなみに、県民の意識調査によれば、55.4%の県民が幸福と感じているものの、県北広域振興局圏は47.1%と低く、幸福だと感じていない人の割合は、県北、沿岸広域振興局圏の順に高くなっているのであります。また、周りの人たちと同じぐらい幸福だと感じますかとの問いにも、感じるは、やや感じるを含めても36.1%という低い数値が示されております。
理念の2には、復興の実践の過程で学び、培ってきた幸福を守り育てる姿勢は、危機を希望に変え、希望を持って未来に向かう原動力になりましたとあるわけでありますが、私は、そう言い切れるほどの意識にはまだなり得ていないのではと思えるのであります。知事も定例会見でこの点に触れ、県北には取り残され感があるのではとの認識を示しておられます。私は、津波で被災した沿岸地域も、県として懸命に復旧、復興に取り組んでいただいていることは十分承知しておりますが、まだまだの感は否めないと感じております。
ここで、少し客観的な視点から、各分野の著名な方々の言葉を借りて幸福について考察をしてみたいと思います。
岩手にもゆかりの深い瀬戸内寂聴さんは、ある著書で次のように書いておられます。
幸福とは、一瞬の感覚であると思います。さらには、戦後の教育は、自分だけの利益や幸福を追い求めるように進めてきました。今の人心の荒廃は、そのつけが廻ってきているのでしょうとも書いておられます。瀬戸内さんは、幸福の追求が人心を荒廃させたという認識と私は受けとめます。
また、五木寛之さんは、幸せという表現になっておりますが、幸せとは、一人ひとり感じ方が違うものなのに、幸せに対する期待値が、どんどん高まっています。ときには強迫観念のようになっていると述べ、そしてそれを実現することは、相当なストレスになるともお書きになっておられます。そのストレスを避ける方法についても、幸せの期待値を下げることであるとも書いておられます。お二人とも、幸福の追求、期待値を上げようとすることは、人心の荒廃やストレスにつながるというお考えなんですね。
少し前置きが長くなりました。県民みんなで目指す将来像として、幸福を守り育てるという表現については、これまで述べてきたような視点から、私はさらなる検討を加え、見直すべきと考えるものであります。
知事には、幸福に対する深い思いもおありと存じます。その点も含めて、私の浅薄な疑問を氷解させる得心のゆく御答弁をお願い申し上げます。
副知事2人体制と危機管理対策について伺います。
今の日本は、何ゆえこんなに不祥事が頻発しているのでしょうか。政界、経済界、芸能界、スポーツ界、そして宗教界も例外ではありません。とにかく、分野を問わず、時の週刊誌をにぎわせております。その特徴として、リーダーとか高い功績のある方々が関係したものが多いということであります。権力の最高の美徳は、自制であると言ったのは、ギリシャの哲人だそうでありますが、今の時代、私はこの自制とあわせて重要なのが危機管理対策ではないかと考えております。
そこで、まずは副知事2人体制の連携についてであります。
申すまでもなく、知事には、我が岩手県のトップリーダーとしてこの県を牽引いただいているわけでありますが、知事みずからの信念と県民の感覚に、あるいは、場合によっては政治的な立ち位置による認識のずれやひずみが生じることもあります。そうしたときに、県政を公正に進める上で、副知事の果たす役割は極めて重要であると私は考えます。
地方自治法第167条には、知事の補助機関としての副知事の職務について記されております。本県の場合、事務を適正に執行する義務と責任を有する知事の補助機関として、数年ぶりで副知事2人体制になったわけでありますが、このことにより、単純に、知事、副知事の4月、5月の行事出席数を見ても88回と、昨年より24回もふえており、県民に開かれた県政を進める、あるいは県内自治体、県民の声に耳を傾けるという意味からも、よい傾向ではないかと私は受けとめております。
一方で、国会においては、今も公文書の改ざんに対し与野党双方から批判を浴びるなど、中央官庁に関する不祥事案が報じられております。県にも危機の発生など、いざというときに迅速に対応できるような体制が必要であり、副知事2人体制は、こうした体制強化に寄与するものと私は考えます。
そこで、改めて、知事はどのようなことを期待し副知事2人体制としたのか、現在の所感についてもお伺いいたします。
危機管理対策についても伺います。
悲観的に準備し、楽観的に対処せよ。最悪に備えよ。35年間、危機管理に携わった元内閣安全保障室長佐々淳行氏の言葉であります。今そこにある危機という映画も上映されるなど、過去において、国内外を問わず、危機管理の重要性が叫ばれたことがありました。かつて佐々氏の上司であった後藤田正晴内閣官房長官は、危機管理の心構えを五つの項目にして示し、内部の引き締めを図ったと言われます。いわゆる後藤田五訓と言われるものであります。
紹介をいたしますが、1、省益を忘れ、国益を想え。2、悪い本当の事実を報告せよ。3、勇気を以って意見具申せよ。4、自分の仕事ではないと言うなかれ。5、決定が下ったら従い、命令は実行せよ。この示唆に富んだ言葉は、今の時代にこそそしゃくするべきではないでしょうか。
折しも、昨年の地方自治法の改正により、内部統制に関する方針の策定が義務づけられました。関連する報告書には、副知事を内部統制責任者とする考えが打ち出されております。現在、県においては、どのような中身で検討、協議がなされているのか、あわせてお伺いいたします。
次に、防災対策についてであります。
地球温暖化が進んでおります。温暖化に最も影響を及ぼす大気中の二酸化炭素濃度は、過去最高となったと報じられております。この影響を受け、主に国が管理する全国の一級河川で洪水が起きるリスクは、国土交通省の試算によりますと、現在に比べ、最大で4倍程度に達すると予測されております。この試算によって、新たな課題も浮き彫りになっております。
国のこれまでの治水計画では、地球温暖化は考慮すべき要素に含まれておりませんでした。そのため、現在までに整備された堤防についても、決壊や流量に耐え切れずに氾濫する危険性が高まったことを受け、堤防の効率的整備を含めた温暖化対策を年度内にまとめるということであります。県としても、北上川の整備率は低い水準にあることから、国に対し、整備の促進を働きかける必要があると思いますが、県のお考えをお伺いいたします。
また、今月、紫波町内で開催された住民懇談会でも、洪水による水害対策に関する意見が多くの住民から出されておりました。市町村と連携した内水対策も大きな課題であります。この点についても、県として新たな対策を講じる必要があると考えますが、既に今年度の予算には河川改修など多額の予算が計上されていることも承知の上で、あえて喫緊の課題として県のお考えについてお示し願います。
次に、農林水産業の振興策と課題についてもお伺いいたします。
農林水産業によって、国土と国民の食料を守ることが重要であることは論を待ちません。しかし、今の政策がどうかと言えば、カロリーベースで日本の食料自給率は38%、先進国の中で一番低いことは御承知のとおりであります。私は、この現状は、食料安全保障の点でも極めて問題であるとの認識に立つものであります。
本県は、今年度も多額の予算を計上して農林水産業の振興策を進めているわけでありますが、多くの課題も山積しております。その一つが、中山間地での鳥獣被害対策であります。県は、頻発する野生鳥獣による農作物被害を防止するため、平成20年に総合対策事業を立ち上げ、今年度も2億1、000万円ほどの予算を計上しております。しかし、残念ながら、なかなか抜本的な解決には至っておりません。そこで、かなりの効果が評価されている電気柵設置への支援、地域ぐるみでの被害防止対策に取り組むモデル地区への支援強化や、猟友会などによる捕獲や頭数削減についても積極的な支援策を講じるべきと考えますが、県の取り組みについて伺います。
水産業についてもお尋ねいたします。
喫水の深き漁船が羽光る鴎の群れをまとひ帰り来
私の好きなこの歌は、大量の船が山田湾に帰港する様子を詠んだものであります。しかし、近ごろは、そんな活気が沿岸には感じられません。サケの不漁を初めとする水揚げ量の減少が続く中、政府も漁業権の見直しなどを柱とする水産業活性化策をまとめ、経済財政運営の指針となる骨太方針に盛り込んだことが報じられております。しかし、一朝一夕に効果があらわれるものではありません。県としても、衰退しないための漁業振興策として、今回、新たにいわて水産アカデミー設立を掲げております。平成31年度の開講に向けて、関係者との協議がなされているとは思いますが、その中身と進捗状況、さらには、課題などこれまでの取り組みについて伺います。
文化財保護への取り組みと民俗芸能の継承、活用についてもお尋ねいたします。
去る6月15日、地元の工藤誠議員とともに、九戸城跡と天台寺、漆振興に取り組んでいる滴生舎の視察をしてまいりました。九戸城跡では、ボランティアガイドの方から細やかな説明をお聞きし、戦国武将としての九戸政実公の思いにしばしの涙を流し、天台寺では、現在進められている修復現場の作業状況を直に拝見でき、重要文化財修復の大変さや伝統職人のすごさを改めて感じてきました。滴生舎では、漆の作業工程や二戸市の今後の取り組みについても担当者からいろいろとお聞きし、文化財の保護政策がいかに大切なものであるか、改めて痛感してきたところであります。
そこで、県としても、県北振興にも大きく貢献すると思われるこれらの文化財保護をどのように進めようとされておられるのか、お伺いをいたします。
漆産業の振興方針についてもお伺いいたします。
あわせて、民俗芸能の継承策と観光などへの活用策、民俗芸能の団体が他県や海外に招聘されていくときの経費の助成などについて積極的な取り組みがこれからは必要と考えますが、県の姿勢についてもお尋ねいたします。
最後に、拉致問題の啓発教育について伺います。
さきの米朝首脳会談において、日本人の拉致問題が改めて大きく報じられるようになりました。しかし、解決への道筋はいまだに見えておりません。政府においても、これまで、横田めぐみさんを初め、北朝鮮に拉致されている日本人全員の帰国を要求し続けているものの、曽我ひとみさんなど5人の帰国からはや15年がたちました。その後は、1人の帰国も実現しておりません。岩手県議連でも、過般、アニメめぐみを見て、この拉致問題の啓発を図ったところでありますが、もし自分の子供がと思うと、被害者御家族の苦悶はいかばかりかと強い憤りを禁じ得ません。
そして危惧するのは、この事件の風化ということであります。横田めぐみさんの拉致から、はや40年がたちました。内閣府発表の外交に関する世論調査では、北朝鮮の関心事項に拉致問題を挙げた人が最低になり、特に若年層の関心が低く、拉致を知らない小学生もふえております。政府は、教育現場での拉致問題の理解を深めてもらうための啓発教育の予算を今年度に計上したことが報道されております。本県の啓発教育の取り組み状況と、政府が制作し、全国の小、中、高の学校に配布されたDVDアニメめぐみの活用状況についてもお伺いし、私の一般質問を終わります。
なお、答弁によっては再質問をいたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 田村勝則議員の御質問にお答え申し上げます。
天皇陛下御在位30年記念行事への対応についてでありますが、天皇、皇后両陛下におかれては、即位後、平成9年の全国豊かな海づくり大会を初め、一昨年の希望郷いわて国体など、5回にわたり岩手県にお出ましいただいております。特に、東日本大震災津波の発災以降、沿岸被災地のお見舞いや復興状況の御視察を賜り、応急仮設住宅に住む被災者の方々を初め多くの県民と触れ合い、その思いに寄り添っていただいております。
天皇陛下の御退位及び皇太子殿下の御即位が国民の祝福の中でつつがなく行われるよう本年4月に政府の基本方針が閣議決定されたところであり、県の御在位30年記念行事への対応につきましては、今後、関係府省において検討されていく内容や、民間による取り組みの動向を踏まえながら検討を進めてまいりたいと考えております。
次に、天皇陛下御即位への対応についてでありますが、平成の御代がわりに際しましては、国事行為である国の儀式として行われた即位礼正殿の儀、饗宴の儀への知事出席を初め、即位の礼当日には県庁舎等に国旗を掲揚しましたほか、市長会、町村会と共同でお祝い品を献上するなど、御即位について、県民を代表して祝意を表しているところであります。
御即位への具体的な対応につきましては、政府の基本方針等を踏まえながら検討を進めてまいりたいと考えております。
次に、幸福に関する指標の導入に係る議論についてでありますが、総合計画審議会では、昨年9月に岩手の幸福に関する指標研究会報告書が取りまとめられた直後に、この研究会の座長を招き、報告書の概要について説明を受け、議論する機会が設けられましたが、その際、報告書で示された指標例を参考にしながら、アクションプランの中で幸福に関する客観的指標を設定することについてコンセンサスが得られたため、具体的な指標の導入については、今後、アクションプランの策定過程で検討することとしております。
また、次期総合計画で幸福をキーワードにすることについて総合計画審議会においてさまざまな議論がなされ、今月11日の中間答申では、基本目標として、東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き復興に取り組みながら幸福を守り育てる希望郷いわてが掲げられたところであり、素案におきましても幸福を守り育てるという表現を踏襲したところであります。
なお、ことし1月に開催した次期総合計画に関するフォーラムの中で、幸福指標研究会のアドバイザーとして御協力いただいた京都大学の広井教授から、幸福に着目する意義の一つとして、ないものねだりではなく、あるもの探しというポジティブな発想につながるといったお話がありました。このことを例えばふるさと振興に敷衍いたしますと、地域の豊かな資源に目を向け、これを強みとして一層活用していく発想につながるものであり、幸福を守り育てるという表現と軌を一にするものと考えております。
次に、幸福を守り育てるという表現についてでありますが、私個人の理解では、議員が引用されたお二人の幸せについての考え方は、執着を捨て、足ることを知ることによって安心の境地に達するという仏教的な考え方をもととしたものという印象を受けたところでありまして、おのれの幸福に執着し過ぎることを戒める趣旨のものと理解しております。
一方、仏教には治生産業もとより布施にあらざることなしという言葉があり─チショウというのは、政治の治、統治の治に、生きる、生まれるの生で治生でありますが─、私の理解で恐縮ですが、公の福祉向上のための活動や財、サービスの生産などの実業はおのれの力を他者に施すこととして推奨されており、他者の幸福のために働くことは仏教も否定していないと考えます。そのような意味で、議員が引用されたお二人の考え方も、総合計画審議会の中間答申や次期総合計画の素案に相反するものではないと考えます。
次に、副知事2人体制についてでありますが、現在検討を進めている次期総合計画を着実に推進していくための体制が必要と考えたものであり、また、ものづくり産業の集積や高度化の促進などにも取り組んでいくためのトップセールスの充実も必要と考えたものであります。これらの県政課題に着実に対応していくため、トップマネジメント体制の一層の強化を図ることとし、副知事2人の体制としたものであります。
また、このような体制強化が議員御指摘のような危機管理の場面でも発揮されるものと考えておりまして、引き続き、知事と、知事を支える副知事2人が力を合わせて県政の推進に当たっていく考えであります。
その他のお尋ねにつきましては企画理事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔企画理事兼総務部長佐藤博君登壇〕
〇企画理事兼総務部長(佐藤博君) まず、大阪府北部の地震への支援についてでありますが、県では、発災当初から関係省庁や全国知事会等と連携し、被災状況の把握と被災府県からの応援職員の御家族の安否確認を行うとともに、DMATなど、医療、保健、福祉関係者の人的支援、飲料水の提供等の物的支援、応援職員の一時帰郷など、迅速に対応できるよう準備を進めてきたところです。
地震等による大規模災害が発生した場合の広域応援については、全国知事会が主導して都道府県間における災害時等の広域応援に関する協定を締結しており、それによると、今回の場合、まず近畿ブロック内でカバーし、被災府県に人的、物的な支援を行う。災害が広域にわたる場合は、隣接の中部圏ブロックが必要な支援を行うもの。さらに大規模な場合は、全国知事会が調整し、複数ブロックから必要な支援を行うこととなっています。現時点において全国知事会を通じての広域応援要請は受けていませんが、関西地域の自治体には東日本大震災津波の復旧、復興を通じて大きな支援をいただいていることから、引き続き情報収集を行い、要請があった場合は速やかに被災府県のニーズに沿った支援を行えるようにしてまいります。
次に、内部統制に関する検討状況についてでありますが、内部統制は、地方公共団体の事務処理上におけるリスクを回避し、適正さを確保する体制を整備するものであり、改正地方自治法において2020年4月1日からの導入が求められているところです。
県では、過去の不適切な事務処理事案の発生などを受け、これまで会計事務自己点検や補助事業及び委託事業に係る自己点検を実施しているほか、会計検査院との人事交流、本庁及び広域振興局における審査指導体制の強化等により、会計事務を中心に今般の法改正に先行して内部管理体制の強化を図ってきたところであり、現在、これらの取り組み内容を踏まえ、内部統制の対象とする事務や具体的な運用方法について検討に着手しているところです。
また、内部統制は全庁的な取り組みであることから、副知事をトップとした推進体制を整備し、組織としてリスク管理を行うとともに、より適正な事務処理につなげるように検討を進めてまいります。
〔県土整備部長八重樫弘明君登壇〕
〇県土整備部長(八重樫弘明君) まず、北上川の洪水対策についてでございますが、人口や資産が集中している北上川流域においては、従来から国による河川改修やダム、遊水地などの整備が計画的に進められてきたと承知しており、今年度においても、一関遊水地の整備を初め、紫波町日詰地区の堤防などの整備を進めていくと伺っております。
現在、北上川などの県内の国管理河川の整備率はおおむね5割であり、無堤地区等、整備の必要な区間がまだ多く存在することから、県としては着実な整備の促進が必要であると考えており、今月実施いたしました2019年度政府予算提言、要望においても、直轄河川改修事業の促進について国に要望したところでございます。洪水から県民の生命、財産を守るとともに、県土の保全を図るため、今後とも市町村と連携を図りながら、一層の整備促進について引き続き国へ働きかけてまいりたいと思います。
次に、市町村と連携した内水対策についてでありますが、堤防等の整備が進むことにより河川からの大きな氾濫被害は軽減されてまいりますが、一方で、本川へ流入する支川の流域で、局所的な大雨が降った場合などには内水被害が発生しているところでございます。内水発生時には排水ポンプなどによる強制排水が有効であることから、現在、県内では、国、県、市町村合わせて35カ所の排水機場を設置し、対策を実施しているところでございます。また、現在、宮古市や釜石市などが6カ所の排水機場の整備を進めているところであり、議員の御質問にもありました紫波町においては、近年の浸水被害を踏まえ、今年度から内水対策を含む紫波町公共下水道事業計画の見直しに着手し、具体的な対策を検討する予定と聞いております。
県としては、引き続き市町村に対し施設整備等の計画に係る技術的助言を行うとともに、必要に応じて国とも連携を図りながら、効果的な内水対策に向けて取り組んでまいります。
〔農林水産部長上田幹也君登壇〕
〇農林水産部長(上田幹也君) まず、鳥獣被害防止対策についてでありますが、野生鳥獣による農作物被害を防止するためには、個体数を適正に管理するとともに、野生鳥獣から農作物を守り、さらに集落に寄せつけない対策を総合的に実施していくことが重要であります。このため、県では、市町村が策定している鳥獣被害防止計画を踏まえながら、国庫事業を活用し、猟銃、箱わなによる有害捕獲や、本県で開発した積雪に強い恒久電気柵の設置、地域全体での被害防止活動への支援などを行っております。
このような取り組み等によりまして、県内では盛岡市猪去自治会や遠野市ニホンジカ捕獲応援隊が野生鳥獣を人里に寄せつけないための住民参加による里山周辺の除間伐や捕獲活動等によりまして国の鳥獣被害対策優良活動表彰を受賞するなど、住民主体の被害防止活動が広がっているほか、野生鳥獣による農作物被害額も減少傾向となっております。
県といたしましては、鳥獣被害のさらなる低減に向けまして、本年度は有害捕獲に係る予算を増額するとともに、新たに紫波町など4地区をモデル地区に位置づけ、猟友会と住民が一体となった地域ぐるみの被害防止活動の拡大を図ることとしており、今後においても、市町村や関係団体と連携し、鳥獣被害防止対策の充実強化に取り組んでまいります。
次に、いわて水産アカデミーについてでありますが、県では、漁業の基本的知識や技術の習得を初め、ICT等の先端技術を駆使した高度な経営手法の取得を支援し、将来の本県漁業の中核を担う人材を養成する機関として(仮称)いわて水産アカデミーを設置することとし、2019年4月の開講に向けて準備を進めているところであります。
アカデミーの運営は、県、市町村、漁業関係団体を構成員とする協議会が担うこととしており、現在、協議会の設立に向け、組織運営体制、役割分担等について調整しているところであります。
また、研修生の確保に向けてPRリーフレットを作成したところであり、7月に開催される全国漁業就業支援フェアでのPRや、ハローワーク、県内高等学校等への情報提供に取り組むとともに、研修生の実務研修を担う漁業者のリストアップを市町村等と連携して進めているところであります。
今後、2019年4月のアカデミー開講の準備を着実に進め、アカデミーを核として、本県漁業の担い手確保、育成に向けた取り組みを力強く推進してまいります。
〔商工労働観光部長戸舘弘幸君登壇〕
〇商工労働観光部長(戸舘弘幸君) 漆産業の振興についてでありますが、国宝を初め、天台寺などの重要文化財の修繕で国産漆の需要が高まっていることなどを背景に、平成29年度から、県や漆ゆかりの市町、漆生産組合、漆器協同組合などを構成員とするいわて漆振興実務者連携会議により、オール岩手の体制で、漆生産の一層の拡大を初め、漆製品の新たな展開や高付加価値化などに取り組んでいるところでございます。
平成29年度におきましては、漆の生産拡大を図るため、同連携会議に、二戸市を初め、漆生産組合、国の研究機関などによる生産分科会を設置するとともに、漆文化の再認識、再評価のために、産地訪問ツアーや漆の魅力を発信するシンポジウムを開催したところでございます。平成30年度におきましては、同連携会議を通じて引き続き漆の生産拡大を図りますとともに、首都圏でのイベントやウエブサイトでの漆文化の情報発信、県産漆を使用した新たな漆製品の企画制作を支援するなど取り組んでまいります。
このような取り組みを通じまして、本県ならではの漆文化を背景といたしまして、生漆の生産から漆製品の製造販売まで一貫して対応する国内漆関連産業の一大産地形成に向け、市町、関係団体と一体となって取り組んでまいります。
〔文化スポーツ部長菊池哲君登壇〕
〇文化スポーツ部長(菊池哲君) 民俗芸能の継承、活用についてでありますが、民俗芸能の継承の対策としては、まずもって東日本大震災津波で被災した沿岸地域の民俗芸能団体の活動再開を支援してきているところであります。加えて、県内のすぐれた民俗芸能が一堂に会し、県民理解の醸成を図る岩手県民俗芸能フェスティバルを平成26年度から開催してきておりまして、来場者からは高い評価を得ているところでございます。そして、平成28年度からは高等学校の出演枠を設け、今年度からはその枠をふやすなど、若い世代による伝承活動の支援を拡充してきているところでございます。
次に、観光等への活用についてでありますが、昨年度から訪日外国人向けの伝統文化鑑賞、体験プログラムの開発に取り組んでおりまして、本年度は、盛岡、二戸、釜石の3地域において、1泊2日の期間で地域の民俗芸能や歴史、文化を学べるプログラムを作成することとしておりまして、これにより本県の民俗芸能の魅力を世界に発信し、来年度以降、旅行商品化に向けた取り組みを進めていくこととしております。
また、民俗芸能の他県や海外での公演に係る経費につきましては、県や関係団体を通じての各種支援を行っているところでありますが、岩手県文化振興基金を通じた助成においては、今年度から上限額を100万円までに引き上げるなど、支援策の充実を図ってきているところでございます。
今後においても、引き続き関係団体や関係部局と連携しながら、民俗芸能が次の世代に引き継がれるよう取り組んでまいります。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) 文化財保護についてでありますが、文化財は、郷土の歴史や文化を正しく理解するために貴重な欠くことのできない有形、無形の財産であり、その価値の理解を深め、保護に取り組んでいくことは極めて重要であると認識いたしております。
二戸市の国指定史跡九戸城跡については、現在、史跡の公有地化と発掘調査に取り組み、その価値の理解促進と活用に向けた史跡公園化が進められており、また、国指定重要文化財建造物の天台寺については、劣化した部材交換などの保存修理工事が実施されているところであります。
今般の文化財保護法の改正では、文化財をまちづくりに生かしつつ、地域社会全体でその継承に取り組んでいくことが必要であるとされており、文化財の保護については、今後一層地域の期待が高まっていくものと認識しております。
県教育委員会といたしましては、今後とも市町村教育委員会と連携しつつ、文化財の所有者等の皆様に対し、文化財の適切な保存と活用に関する国庫補助事業等の導入を促すとともに、文化庁の指導、助言もいただきながら、それぞれの地域における文化財の保存と活用が総合的かつ計画的に行われるよう支援してまいります。
次に、拉致問題に関する教育の取り組みについてでありますが、拉致問題は、日本が長年にわたって抱えている喫緊に解決すべき国際的な人権問題であると認識いたしております。
学校教育におきましては、必修教科である小学校、中学校の社会科、高校の公民科において拉致問題を国際社会における課題の一つとして取り上げておりますが、新学習指導要領においては、拉致問題を解決するためのさまざまな人々の努力や、この問題の解決が国際社会の明確な理解や支持を受けていることなどに着目した指導が求められております。
この3月には、拉致問題担当大臣と文部科学大臣の連名で、拉致問題に対する国民理解を一層深めるため、学校教育における拉致問題に関する映像作品の活用促進の要請が各都道府県教育委員会に対して行われたところでありますが、県教育委員会におきましては、この通知を受け、県立学校及び市町村教育委員会に対し、その周知等を改めて要請したところであります。
議員御指摘のアニメめぐみの活用状況の調査については、国による調査も含めて現時点では行われておらず、具体的な活用状況を申し上げることはできませんが、県内の各学校においては、本アニメを拉致問題に対する学習教材の一つとして活用されていると認識いたしております。
今後におきましても、国が新たに実施する教員を対象とした研修会等も活用しながら、各学校において拉致問題に関する学習が適切に行われるよう助言してまいります。
〇11番(田村勝則君) 数点再質問をさせていただきます。
まず、幸福についてでありますが、知事の答弁ではお二人の作家を私は事例に出しましたが、どちらも確かに仏教に対する造詣の深い方々ということで、まさか仏教論議になるとは思いませんでした。私の思いからすれば、そのような観点を脇に置いてしたつもりでありましたけれども、御答弁をしっかりと聞かせていただきました。
仏教には、足るを知る、そのとおりであります。そしてまた、忘己利他─自分を忘れて他を利するというような深い教義、教えもあるわけですが、翻って、県民意識調査を読ませていただきました。その中で、幸福に関して、何を重視したかということもアンケートの中で問われております。答えの中で一番多いのは、家族関係であります。行政に対する満足度というのは、そのアンケートの中には数字としては示されていなかったと私は承知しております。18、19歳ぐらいの年代になりますと、家族関係ではなく、友人などが高い数値で示されていたような認識を持っております。家族関係ということを考えた場合、やはりこれも、幸福を守り育てるという意味では、家族のどこまで踏み込んでいくかという部分にも難しさがあるのかなという思いを私はするところであります。
これからその表現についていろいろと県民の皆さんからも御意見、提言等があると思います。知事からは前回、幸福ということに対して非常に思い入れのある答弁もいただいておるわけでございますけれども、いま一度、知事として幸福ということをもう少しわかりやすく説明していただけると私はすとんと落ちるのかなという思いで先ほどお伺いしたところでございますので、改めて、御答弁をいただければと思います。
北上川の内水対策でありますが、北上川が氾濫しますと─我が県では松尾鉱山の清流化対策も進めておるわけでございますけれども─内水対策というのが非常に大きな課題になってくるのではなかろうかと思いますし、県内自治体においては大きな予算を伴う事業にもなりかねません。そういう意味で、早目に措置をすることが被害額を低め、そしてまた、県民の安全・安心にも資すると考えますが、その点について改めて御答弁をいただいておきたいと思います。
あわせて、教育にも関係するわけですが、北上川沿川というのは非常に文化財の宝庫でもございます。これが洪水によって文字どおり流されてしまうことは、岩手県にとっても大変大きな損失につながってまいります。その辺も─先ほど省益を忘れ国益を思えというような五訓もございましたが─県とすれば、連携をしっかりととっていただきながら、県の宝にもなり得る埋蔵文化財等にも御配慮いただければと存じます。その点について御答弁をいただければ。
もう一つ申し上げたいと思いますが、拉致問題であります。
私自身が本県で拉致問題にかかわったのは、元県議会議員高橋雪文氏との活動でありました。活動を始めたころは、県民世論も非常に冷たい視線で、私どもの署名活動にもなかなか協力いただけなかった、そのような思いを私は持っております。横田めぐみさんは、13歳、1977年11月15日の七五三の日に拉致されて、そしてもう53歳になるわけでありますけれども、我が子が拉致されたらということを考えれば、国連憲章にもありますが、誰一人として取り残さない社会づくりという意味でも、我が国が決してないがしろにしてはいけない事案、問題ではなかろうかと私は考えます。その点についても御答弁をいただけますれば幸いでございます。よろしくお願いいたします。
〇知事(達増拓也君) 現行の総合計画でありますいわて県民計画におきましては、基本目標をいっしょに育む希望郷いわてとしております。それだけでございます。では、その希望郷いわてとは何か、それを一緒に育むとはどういうことかの説明として、まず、生き生きと働いています、安心して暮らしています、楽しく学んでいますと、仕事、暮らし、学び・こころという基本目標をおろしたものを掲げております。
生き生きと働いていますというのはしからばどういうことかというと、それは、県民一人一人が、みずからの希望の実現に向かって、それぞれの選択に応じてその能力を十分に発揮できる仕事につき、岩手が持つ多様な可能性を生かして生き生きと働いています。また、地域社会の姿としては、地域の多様な資源と知恵を生かした活力ある産業が展開しています。地域や分野を越えて産業が結びつき、県内経済が力強く循環しています。やる気や能力が生かされ、仕事と心豊かな暮らしが調和しています。岩手の産業を支える活力と創造性あふれる担い手が育ち、活躍しています。こうした説明を仕事、暮らし、学び・こころの3分野についてそれぞれ行って、それがいっしょに育む希望郷いわてという意味だとわかるようにし、その全体が基本目標というような構想、構造になっています。
この基本目標を達成するために七つの政策ということになっているわけでありますけれども、それに対し、今回の次期総合計画の素案では、まず基本目標として、東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き、復興に取り組みながら、幸福を守り育てる希望郷いわてとしています。まずそれで基本目標としては完結しているような形になり、そして、幸福を守り育てる希望郷いわてということとの関連で、幸福度を幸福指標としてはかることができ、かつそれぞれの分野ごとに幸福指標が高まるような政策を展開していくことができる領域として健康・余暇、家族・子育て、教育、居住環境・コミュニティ、安全、仕事・収入、歴史・文化、自然環境という八つの分野に整理して、それに社会基盤を加えて九つの分野にし、それぞれに沿った政策の展開ということで個別の政策が展開されていくという構造になっておりまして、より県民の皆さんが、基本目標というものを理解し、それが政策にどうつながっていくのかというのを理解しやすく、かつ簡単に覚えやすいような構造になっていると思います。
幸福指標との関係で政策の領域を九つに整理しているのですが、議員御指摘の、幸福で何を重視したかの調査の答えで多かった家族も入っております。ほかに、仕事・収入とか安全とか健康・余暇といった何を幸福で重視するかというところで、大体県民の皆さんの─人によって幸福は違っても─それぞれ重視するものが九つの政策分野でカバーすることができるのではないかというふうにも考えております。
〇県土整備部長(八重樫弘明君) 内水対策についての御質問にお答えいたします。
内水被害が起きるメカニズムとしては、まず、本川の堤防を築いて本川からの大きな洪水を防ぐようなハード整備が行われた後、洪水のときに支川から本川へ水が流れにくくなる現象が生じるというもので、先行して本川の堤防工事が進むことが必要となっております。
岩手県内の国直轄河川は整備率が5割程度でございますが、こちらのほうも大きな洪水を防ぐという意味でどんどん進めていただきたいと考えておりますが、本川の堤防の整備が終わった、そして、その流域の川沿いの土地利用が高度になされるようになると、やはり内水という現象が際立ってくる場合がございます。
こういった場合には、いろいろ効果的な対策─ポンプをどの程度のものにするとか、どの範囲をどれくらい水は許容するとかいろいろなまた計算も出てきますので、そういったところを市町村の計画への県の助言も差し上げながら、早急に必要がある場合は計画を定めて、事業化に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
〇教育長(高橋嘉行君) 初めに、ただいまの内水対策についてでございますけれども、具体的な公共工事等を行う場合に当たりましては、議員御案内のとおり、埋蔵文化財調査等、その地域の財産をしっかりと調査していくことが求められておりますので、県土整備部との十分な連携のもとに進めていきたいと思っております。
次に、拉致問題についてでございます。
愛する家族をある日突然連れ去られ、そしてまた平穏な日常が失われた拉致被害者と拉致被害者家族会の皆様方のお気持ちを察しますと、その日から今日まで長期間にわたって想像を絶する悲しみ、それから苦しみがあったというように思っております。
先ほども御答弁申し上げましたけれども、この問題は喫緊に解決すべき国際問題であると認識しておりまして、その解決のためには、多くの国民が心を一つにして、全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現への思いを共有することが大事であると思っておりますので、このような思いも持ちながらさまざまな教育課題に取り組んでいきたいというように考えております。
〇11番(田村勝則君) 知事から再答弁をいただきましてありがとうございました。
1点だけ私の中にひっかかることがございます。幸福という言葉は非常にいい言葉なわけですけれども、日本人というのは、幸福感というのが実は戦後余り変わっていないのだそうです。これは、GDPとも比例しない。景気がよくても悪くても、国民の幸福感というのは大体血圧のように安定しているのが我が日本であるということを何かの統計で読んだことがございます。そういう意味では、これから積極的な取り組みを期待し、そして県民のためのすばらしい事業が進められていくことが肝心なわけでありますけれども、幸福という言葉について、改めてさらにいろいろな専門的見地のある方々からも御意見を拝聴しながら進めていただければと思います。
参考までに、我が国の元号が新しくかわるわけですけれども、平成というのは、内平かにして外成るという言葉からきているわけですけれども、元号は、平成まで約250あると言われております。いろいろな数え方がありますが、この中で、幸や福がどのように元号になっているか。国の理想とかその時代の理想的なことを示しているわけですが、実は幸というのは一回も使われておりません。福というのは、貞永の次の年に天福という元号が使われておりますが、極めて短い年数で終わってしまったということがございます。
もちろん元号とこの10年の県のキャッチフレーズは何も整合性はないわけでありますけれども、そういうことも私の頭によぎったところでございます。これからしっかりと、10年の我が県の理想になる計画でありますので、キーワードについても議論をしていただきながら前に進めていただければということを申し上げ、知事が手を挙げていますので、お願いして終わります。
〇知事(達増拓也君) 先ほど申し上げたのは、基本目標から九つの分野、そして各政策におろしていくという説明でありましたが、九つの分野、素案で言えば、27ページから始まる政策推進の基本方向に、九つの分野ごとに全部で数百、政策が書かれており、先ほど議員御指摘の家族に関しては、例えば、子供の貧困対策や児童虐待の防止対策による子供が健やかに成長できる環境の整備というような政策も盛り込まれております。逆に言いますと、子供の貧困対策や児童虐待の防止対策による子供が健やかに成長できる環境の整備などなど、ここに挙げられました政策推進の基本方向が満たされれば基本目標は達成されたことになるのではないか。イコール、東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き復興に取り組みながら幸福を守り育てる希望郷いわてというのは、これらの政策を実現すれば基本目標も達成されるというような、計画素案の中では、幸福の定義と申しましょうか、そういう意味で幸福という言葉を使っているということでございます。
元号との比較については、恐れ多くて全く頭によぎることもなく、現行計画のこの希望郷いわての希望という希の字も望の字も元号には使われたことがないのではないかと恐れ入っている次第でございます。
〇議長(佐々木順一君) この際、暫時休憩いたします。
午後2時20分 休 憩
出席議員(45名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 臼 澤   勉 君
3  番 千 葉 絢 子 君
4  番 ハクセル美穂子 君
5  番 菅野 ひろのり 君
6  番 柳 村   一 君
7  番 阿 部 盛 重 君
8  番 佐 藤 ケイ子 君
9  番 佐々木 宣 和 君
10  番 川 村 伸 浩 君
11  番 田 村 勝 則 君
12  番 工 藤   誠 君
13  番 高 田 一 郎 君
15  番 佐々木   努 君
16  番 千 葉   進 君
17  番 佐々木 朋 和 君
18  番 名須川   晋 君
19  番 軽 石 義 則 君
20  番 神 崎 浩 之 君
21  番 城内 よしひこ 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 佐々木 茂 光 君
24  番 高 橋 孝 眞 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 工 藤 勝 博 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 高 橋   元 君
32  番 関 根 敏 伸 君
33  番 岩 崎 友 一 君
34  番 中 平   均 君
35  番 五日市   王 君
38  番 斉 藤   信 君
39  番 小野寺   好 君
40  番 飯 澤   匡 君
41  番 佐々木 順 一 君
42  番 田 村   誠 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 工 藤 勝 子 君
45  番 柳 村 岩 見 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 大 輔 君
48  番 樋 下 正 信 君
欠席議員(1名)
14  番 吉 田 敬 子 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時39分再開
〇議長(佐々木順一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第1、一般質問を継続いたします。次に、千葉絢子さん。
〔3番千葉絢子君登壇〕(拍手)

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