平成30年2月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録

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〇2番(臼澤勉君) 無所属の臼澤勉です。
このたびは3度目の一般質問の機会をいただきました。先輩、同僚議員の皆様方に感謝申し上げます。
一般質問の最終日、最後の質問者であり、これまでの質問と一部重複いたしますが、よろしくお願いいたします。
ことしはいわて県民計画と復興計画の最終年度であり、今後の岩手の未来を見定める大事な年になります。フランスの画家ゴーギャンは、我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのかと言った。WTO統計によれば、2050年までに日本の100歳以上人口は100万人を突破し、10年前に生まれた子供の半数が107歳まで生きると推計されています。人生100年時代を迎える今、人生設計の見直しに合わせて、税制や医療、福祉、雇用、教育、結婚などの環境整備を行うのが私たちの仕事であります。まずは次の10年、どんな岩手の姿を、どんな役割を日本や世界に果たしていくのか、そんな思いで随時質問いたします。
初めに、いわて県民計画の評価と次期総合計画について伺います。
地域経済分析システム─リーサスのデータによれば、2040年の本県の人口ピラミッドは、65歳以上が4割弱、生産年齢人口が5割、14歳未満の年少人口は1割弱と推計されております。いわて県民計画を策定した当時の課題認識は大きく4点、人口流出の増大、県民所得の悪化、雇用の低迷、地域医療の危機でありました。現計画の課題と評価をいかに捉えているか。知事は、仕事や健康、子育てなど県民の幸福の要素に着目すると言いますが、現計画の課題と成果を踏まえ、次期総合計画期間の10年間はどのような時代と位置づけ、岩手の将来像をどう描き、何に重点的、優先的に取り組んでいくのかお伺いいたします。
現計画において、社会減の縮小、出生率の向上を目標に掲げていますが、残念ながら社会減は、平成29年はマイナス4、496人、前年と比較して減少幅が拡大しております。大型バス110台に相当する数が毎年首都圏等に流出しております。しかも、15歳から24歳までの層の若者の流出が約8割を占めております。特に、20歳から24歳までは、平成10年に転出超過となって以降、その割合は増加傾向にあります。社会減ゼロに向け、大学進学や就職のため相当数が関東方面へ集中している現状をどう分析、評価し、対策を考えているのか。若い世代にとって、魅力ある学びの場や働く場の確保、創造がポイントであります。具体的にどのように実効ある対策を講じていこうとしているのかお伺いいたします。
過去10年間の市町村内総生産額を圏域別に見ますと、県北14.9%の増、沿岸39.3%の増に対し、県南3.6%の減、県央6.3%の減となっております。10年間の推移を見ますと、県北、沿岸は増加傾向にあるものの、県央、県南地域は減少傾向にあります。圏域間の格差はおおむね縮小傾向にあり、復興需要に加え、県北・沿岸振興の施策の一定の成果があったと評価する一方で、県央、県南地域の産業施策のてこ入れと沿岸被災地におけるなりわいの再生が課題であります。県として現状をどう評価し、今後どのように地域経済循環を高めながら地域経済の自立を図っていくお考えかお伺いいたします。
私は、これからの100年を見据えたとき、ILCは一つの復興のシンボルであると同時に、岩手県が自身の存在を確認し、地球規模で世界に貢献できる、非常に大きなウエートを占めている施策だと確信しております。そういった意味でも、ことしは政府判断を促す大事な年であり、工藤知事の時代から取り組んできました成果を次のステージに向けて進める重要な年であります。
知事は、さきの演述でILC実現は岩手の使命と述べておりましたが、知事の言う岩手が果たすべき使命は何か。また、一致団結し受け入れに万全を期すとのことでしたが、研究施設の配置候補地を含めた全体的な青写真をどう描き、地元自治体としての受け入れ態勢の準備をどのように進めていくのかお伺いいたします。
復興と安全・安心なまちづくりについてお伺いいたします。
ことしは、県の復興計画の最終年度であります。震災から7年目を迎え、ハード整備はおおむね進んできましたが、いまだ応急仮設住宅に入居されている方はことしの1月末時点で3、655戸、7、758人という現実があり、復興の光と影に目を向けなければなりません。復興計画期間で、何ができて何が進んでいないのか。知事は、7年前に戻れるとしたら、自分自身にどんなアドバイスを送るのかお伺いしたい。そして、未来に向けた復興の姿を実現させるために県としてどのように取り組むお考えか、知事の決意をお伺いいたします。
復興に係る公共土木工事を推進する上で大きな障壁となった課題として所有者不明土地の問題がありました。今後、高齢化や人口減少が進み、相続の機会が増加する中で、さらに拡大していくことが見込まれます。実務を経験した立場からも、所有者不明土地は所有者の探索に多大な費用や時間がかかり、公共事業の円滑な実施に支障が生じるなど、その対策は喫緊の課題であります。県として、この問題をどう認識し、どのように対応していくお考えかお伺いします。
本県の所有者不明土地は、平成28年度の地籍調査から推計すると、山林や保安林等で約4分の1、26.4%と、他の地目に比べ高い傾向にあります。また、農林水産省が調べた相続未登記農地等の実態は、本県は3万8、018ヘクタール、農地面積に対する割合は約2割と、北海道、東北の中でも最も高い状況にあります。この規模は、紫波町、矢巾町の総面積よりも広い実態にあります。農林水産部としてこの農地と山林における課題をどう認識し、どのように対応していくお考えかお伺いいたします。
昨年7月に全国知事会議が開催され、あらゆる災害に負けない千年国家をつくり上げる岩手宣言が採択されました。私は、岩手宣言を契機に、火山噴火に伴う大規模な土石流を回避する避難道路の調査研究に着手するとともに、災害応急対策に必要な機能を集約した新たな防災拠点施設を整備し、生活圏ごとの広域防災拠点をつなぐネットワーク機能を充実させる体制を整備すべきと考えております。あらゆる災害に負けない千年国家をつくり上げるためにも、災害に迅速に対応するための情報伝達手段を有し、地域医療機関との連携が図られる総合的な防災拠点施設整備が必要と思いますが、県の御所見と、今後どのように検討を進めるのかお伺いいたします。
次に、子ども・子育て支援と福祉コミュニティーの確立について伺います。
初めに、自殺対策についてでありますが、10年前に比べ全体として減少傾向にある一方で、若年層は横ばい傾向にあります。知事が言う幸福な社会の実現は、私は、自殺を生まない社会と同義であると考えます。自死は個人の問題というよりも社会的損失であり、逸失損失額は1兆4、000億円とも言われております。自殺率が高いとは、地域の支援力が弱いと捉えるべきであります。命に行政区の境はなく、北東北3県の共通の課題でもあります。自殺対策は、連携をキーワードに、民間を巻き込み、市町村のネットワークづくりや広域連携での取り組み、児童生徒を対象とした予防教育も必要と考えます。県として、自死ゼロに向け、実効性のある取り組みをどのように強化していくのか、知事の決意をお伺いいたします。
次に、保育所等の待機児童への対応について伺います。
保育所の利用を求める人、特に1歳から2歳までの利用率は増加傾向にあり、県内の生活圏域の中心にある市や町に集中する傾向にあります。4月時点で公表される保育所等の待機児童の状況は100人台でありますが、10月時点になると700人台に大幅に増加する傾向にあります。年々増加している保育ニーズに対応するためにも、保育士の確保対策や1、2歳児の受け入れで重要な役割を果たす小規模保育事業の整備が求められます。また、例えば、病児保育の推進のための広域の取り組みなど、生活圏や就労圏が同じ圏域での連携も有効であると考えますが、県は、保育所等の待機児童を解消し、子育て環境を充実させるためにどのように市町村と連携し、取り組むお考えかお伺いいたします。
また、医療的ケアが必要な児童の受け入れ先が不足している実態にあります。私が住む矢巾町では少なくとも5名が対象と伺っており、保護者から県に要望してほしいとの声が届いております。
厚生労働省の資料によると、19歳以下の医療的ケア児は平成27年度で約1万7、000人と推計され、10年間で8、000人近くふえている現状にあります。さきの児童福祉法の改正により、医療的ケアが必要な児童への支援が受けられるよう、保健、医療、福祉の関連機関との連絡調整体制の整備について必要な措置を講ずるよう努めなければならないとされておりますが、県ではどのように取り組むのかお伺いいたします。
次に、子供の医療費助成について伺います。
現在、県では、子供の医療費助成制度の対象年齢を入院は小学校卒業まで、通院は未就学児とし、平成28年度は6万5、661人に対し5億1、500万円の補助を行っているところであります。子供、子育て支援及び少子化対策は国の最重要課題でもあり、県内市町村からは、医療費助成の対象拡大、国、県主導の医療費助成制度とするよう要望されているところであります。仮に中学3年生まで対象年齢を拡大した場合、4億8、000万円の財政負担が必要となるとのことですが、県は市町村からの要望にどのように対応するお考えか御所見をお伺いいたします。
次に、児童虐待への対策について伺います。
本県の虐待件数は、平成28年度は942件、対前年度比60%の増、市町村相談件数を含めると1、477件であり、残念ながら3年連続で、かつ大幅な増加傾向にあります。内容別に見ても、心理的虐待が5割を占め、次いで身体的虐待、育児放棄と言われるネグレクト、性的虐待と、どの案件も増加傾向にあります。
今年度、県では、児童相談所の体制強化として、3児童相談所に児童福祉司2名を増員し32名体制で取り組みを強化しておりますが、児童虐待件数は減少しない現実にあります。発生予防、早期発見、早期対応の取り組みが必要ですが、特に再発防止のためには、保護者や児童への支援と環境整備が重要であります。県は実効性ある対策をどのように打っていくお考えかお伺いいたします。
次に、地域の保健医療体制の確立について伺います。
県内の医師数は、人口10万人に対する病院勤務医師数は増加したものの、医師数全体では全国との乖離が拡大しております。全国的には西高東低の傾向にあるものの、二次医療圏単位で見ると、地域間の偏在がある状況にあります。医師の地域偏在を根本的に解消するためには国家レベルの施策が必要であり、団塊の世代が全て75歳以上になる、いわゆる2025年問題に向け、早急に手を打つべきであります。
県は、(仮称)地域医療基本法の制定を国に要望しておりますが、2025年の本県の医療需要と病床の必要量、目指すべき医療提供体制のグランドデザインをどう描き、具体的な医師偏在対策をどのように実現していこうとしているのか知事にお伺いいたします。
2025年問題にどう向き合うか、高齢化の進展が医療費を増加させ、支える側の負担の急増が見込まれることから、健康寿命を延ばす取り組みが重要になります。厚生労働省の都道府県別生命表によると、本県の健康寿命は男性は40位、70.68歳、女性は24位、74.46歳。特に男性は、下位10位に青森、秋田、岩手の北東北3県が入っております。男女ともに第1位の山梨県と比較して、寿命が約2年もの開きがあります。県は、この現状と要因をどう分析されているのか。県として、全国高位の生活習慣病による死亡率を改善し、健康寿命を延ばす取り組みを県民運動として展開するべきでありますが、実効ある対策のために、今後10年間を見通し、何に重点を置いて改善の取り組みを展開するお考えかお伺いいたします。
そして、健康産業の推進が重要となります。
〔副議長退席、議長着席〕
私は、農業は誰のために、何のために、どこに向かっていくのかと考えた場合、前述の全国高位の生活習慣病による死亡率を改善し、健康寿命を延ばす県政課題に対し、関係部局が連携し、健康の維持、増進に着目した健康産業を推進する姿が見えてきます。雑穀や海藻類などを活用した農商工連携や、地域資源を生かした創薬のほか、例えばお米についても、食味がよく太りにくい米の開発など、機能性に着目した視点から岩手の農畜産物の評価を高める取り組みが重要と考えます。いわて県民計画では元気になれる岩手構想を掲げていましたが、機能性成分の活用による農林水産物の高付加価値化に向け、県はどのように取り組むお考えかお伺いいたします。
次に、ものづくり産業の人材育成と観光、地場産業の振興について伺います。
ことしは、株式会社デンソー岩手の新工場が10月に完成予定のほか、株式会社東芝メモリの新規生産拠点の建設がいよいよ始まります。産業創造県いわての実現に向け、極めて意義深い重要な年になります。一方で、リーサスで付加価値額、労働生産性の特化係数を分析すると、本県の製造業が地域で強みのある産業になるための課題が見えてきます。
私は、ものづくり産業の国際競争力を高め、また、IoTなどの第4次産業革命技術を促進させる意味において、何よりも人材育成と企業への人材供給が重要であると考えます。AIなど第4次産業革命技術に対応した高度人材育成を目指し、産業技術短期大学校の学科再編を含め、人材育成の取り組みを一層強化すべきと考えますが、県の御所見をお伺いいたします。
次に、インバウンド観光の推進について伺います。
県は、来年度、交通政策室を設置し、花巻空港の国内路線の維持、拡充と国際定期便の受け入れ態勢の強化に取り組むとのことですが、一見すると以前の組織体制に戻すようにも見えます。空港の整備や管理と国際チャーター便、定期便の誘致等の空港利用促進に向けた一体的な取り組みの成果と課題、これについてまずお伺いいたします。
あわせて、東北6県の外国人宿泊客数は、震災前の平成22年に比べると岩手県は45%の増加であり、外国人移動相関関係を分析すると、岩手に滞在する直前、そして滞在直後に訪問している地域は、宮城県、青森県、この2県で全体の約4分の3を占めております。青森県、宮城県との連携を強化するなど、マーケティング分析を丁寧に行いながら、さまざまな交通手段を活用した総合的な誘客促進を図る必要がありますが、県はどのように取り組もうと考えているのかお伺いいたします。
地域経済分析システム─リーサスによると、本県の地域経済の自立度を示す地域経済循環率は、2010年86.9%から2013年75.4%に11.5ポイント低下し、北海道、東北の中で最も低い現状にあります。残念ながら、県内で稼いだお金が地域の住民や企業等の所得や消費、地域の企業の投資に十分に回っているとは言えない状況にあります。今、各県で観光客の誘客拡大に向けて取り組んでおりますが、残念ながら、本県においては、新潟ふるさと村や青森県観光物産館アスパムのような総合的に地元の地場産品や土産品を購入できる拠点が十分とは言えず、このままでは隣接県に外貨が流出するだけであります。車で移動される観光客やビジネスマンを含めた県内外の観光客をターゲットに、幹線道路沿いに観光物産拠点を整備し、外貨を地域内に落とし込む仕組みを整備すべきと考えます。観光誘客の取り組みと、お土産や地場産品、産直等を組み合わせた本県ならではの観光物産拠点、いわて銀河プラザのような拠点を岩手県産や市町村、民間と連携し、創設してはいかがでしょうか。県の御所見をお伺いいたします。
食料供給基地の確立と森林環境保全対策についてお伺いします。
本県の農業は、畜産、稲作、園芸それぞれが特色ある産地を形成しているものの、平成28年農業産出額は2、609億円で、20年前に比べると約2割減少しています。畜産は1割強増加したものの、米は5割の減、園芸は2割の減であり、生産者の所得向上に必ずしもつながっているとは言いがたい現状にあります。
ことしは米政策が大きく見直される歴史的な年でありますが、平成30年産以降、生産性、市場性の高い産地づくりを推進するためも、オリジナル品種を初めとする需要に応じた特色ある米生産を推進する一方で、米から高収益な土地利用型野菜に転換させ、農家の所得向上と消費者から信頼される食料供給基地としての役割を担っていかなければなりません。
水稲生産から園芸作物への転換の成否の本質は、経営体の育成にあります。ある認定農業者の方が、若い農業者に次のように言っておりました。面積を確保したい者は機構が貸し出しの対象とする経営を目指せ、得意で夢中になれる分野で規模拡大を目指せ、いつでも設備投資ができる経営体を目指せと。このように健全な経営体の育成が鍵でありますが、県はどのようにして高収益な土地利用型野菜品目を導入する経営体の育成に取り組んでいくのかお伺いいたします。
また、新たに高収益な土地利用型野菜を水田へ導入するためには、水田の畑地化や畑作物に軸足を置いた汎用化のための排水改良を行い、かんがい設備を整備しなければなりません。特に本県の場合、北上川流域沿いの平場のほか中山間地域を多く抱えており、地域の実情に合った基盤整備が必要となりますが、県は食料供給基地の再構築に向け、どのように取り組みを推進するお考えかお伺いいたします。
次に、森林環境保全対策についてお伺いします。
水源の涵養や土砂流出防止など、森林の有する公益的機能の維持増進のためには、森林環境を良好な状態で保全することが重要であります。平成30年度の税制改正大綱案に森林環境税と森林環境譲与税の創設が明記されました。具体的には、自然的条件が悪く採算性が望めない森林などを市町村が受け入れ、間伐等の森林整備を進めると伺っております。
私はこれまでも、現行のいわての森林づくり県民税の使途について、水源の涵養などの公益的機能の高い森林へ誘導する間伐や、地域住民活動などの支援以外に、大雨豪雨災害時の流木除去、あるいは鳥獣被害対策のための里山整備等に使途を拡大すべきと訴えてきたところであります。今回の国の制度創設により、現行の県民税の使途に対する基本的な考え方を含め、県民税のあり方をどうお考えかお伺いいたします。
次に、教育環境の充実と文化、スポーツの推進について伺います。
初めに、不登校児童生徒への支援について伺います。
県内の公立小中学校の不登校児童生徒は、平成28年度、小学校で183名、中学校で876名と、1、000人を超す子供たちが病気以外の何らかの理由で学校に行けない状況にあります。4年連続で増加し、学年が上がるにつれふえる傾向にあり、1、000人当たりの不登校児童生徒数は11.1人であり、お隣の秋田県と比較して2人も多い状況にあります。おおよそ100人に1人が不登校である現状にあります。また、90日以上欠席している者が約半数、しかも、そのうち出席日数がゼロの子供が35人おります。本人や学校、家庭に係る要因は複雑に絡み合っていると思いますが、この現状の要因分析をどう捉えているのか。そして、要因に対する支援のあり方が見えてくると思いますが、フリースクール等の関係機関との連携も含めて、県教育委員会として実効ある対策をどのように講じるお考えか御所見をお伺いいたします。
次に、発達障がい児への教育支援についてお伺いします。
義務教育段階の全児童生徒数は減少傾向にある一方で、発達障がい児を含む特別支援教育の対象となる児童生徒数は増加傾向にあります。平成26年度の本県独自の調査結果によると、小中学校の通常学級に在籍する児童生徒で、学習面、行動面で特別な支援が必要とされた児童生徒数は5、521人、割合は約5.7%です。35人学級に2人程度いるという計算になります。私は、全ての学校や学級に発達障がいを含めた障がいのある子供たちが在籍する可能性があることを前提に、障がいの状態や発達の段階に応じた指導を充実させるほか、その支援が継続して行われるよう、各学校段階の移行期の適切な引き継ぎが重要なポイントと考えます。県の御所見をお伺いいたします。
平昌オリンピック冬季競技大会で、本県出身選手が大活躍いたしました。来月から始まるパラリンピック冬季競技大会においても、矢巾町出身の高橋幸平選手を初めとした選手の活躍が期待されます。これは、スーパーキッズ育成と選手強化にかかわる多くの関係者の成果であり、関係者の御尽力に敬意を表します。
一方で、昭和45年の岩手国体の会場として整備された県営スポーツ施設の多くが老朽化してきております。先般、県営野球場について盛岡市と共同で整備検討を進める旨の報告を受けましたが、次は、8年後に耐用年数を迎える県営体育館であります。20年、30年先を見据えて、新時代にふさわしい県営体育館を機能的、一体的に整備すべきであります。具体的には、震災により凍結されているスポーツ健康科学センター、多目的屋内練習施設を、競技力向上や生涯スポーツの振興、冬期間のフィールド練習環境の整備の観点からも、新たな県営体育館を市や町と連携し、一体的に整備してはどうかと考えますが、県の御所見をお伺いいたします。
結びに、先人たちの歴史への思いをはせながら、史跡の保全と活用についてお伺いいたします。
今月、志波城跡や徳丹城跡、胆沢城跡などの古代城柵が日本遺産に再申請されました。4月下旬の認定を願うばかりであります。志波城や徳丹城などは、平泉の世界文化遺産につながる重要な意味を持つ古代遺跡である一方、国指定史跡徳丹城跡は、発掘調査により住宅等の移転を進めても、広大な低利用地があらわれている状況にあります。
史跡の保存は、活用の視点をしっかり入れながら、個性ある地域づくりに寄与すべきであり、現代に生きる我々が未来につなぐ重要な使命があります。
県民が歴史や文化に親しむ場として活用されることが社会的に要請されますが、県は、国や市町と連携しながら史跡の活用方策を積極的に進めるお考えがあるのか、お伺いいたします。
以上で私の一般質問を終了いたします。
岩手はどこから来たのか、岩手は何ができるのか、岩手はどこへ行くのか。人生100年時代を見据え、どんな岩手の姿を描くのか。ぜひ、県民一人一人が希望と夢を抱けるような、前向きで積極的な答弁を期待いたします。
答弁によっては再質問いたしますので、よろしくお願いいたします。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 臼澤勉議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、いわて県民計画の課題と評価、将来ビジョンについてでありますが、岩手が直面する危機を希望に変えるべく平成21年にいわて県民計画を策定し、県政の諸課題に取り組んできた結果、人口の社会減については、社会減ゼロは達成できていないものの、計画策定当時6、000人弱だったものが4、000人台まで縮小し、地域医療については、人口10万人当たりの医師数では全国との乖離が拡大しているものの、病院勤務医師数は増加しています。また、国民所得に対する県民所得水準の乖離はおよそ9割まで縮小し、雇用環境については正社員の有効求人倍率が上昇するなど、現行のいわて県民計画の取り組みは、次期総合計画につながる土台を築いたものと認識しております。
次期総合計画においては、これまでのいわて県民計画に基づく取り組みの成果を引き継ぎながら、復興の先を見据えた地域振興や第4次産業革命等の新たな時代の潮流も踏まえ、幸福をキーワードに、岩手が持つ多様な豊かさやつながりなどにも着目した将来像を描き、その実現に向けて取り組んでいきたいと考えており、今後、総合計画審議会を初め、さまざまな分野、世代の方々と幅広く議論を行いながら、精力的に検討を進めてまいります。
次に、ILC誘致についてでありますが、ILCは素粒子物理学における世界最先端の研究施設であり、建設に当たっては、地質や振動等に対する厳しい条件をクリアすることが求められていますが、国内及び世界の研究者は北上山地を最適と評価し、北上山地に限り検討が進められています。
このように、世界で唯一の候補地を有する本県であればこそ、ILCを実現することは、科学と技術を進歩させ人類の発展に大きく貢献し、東日本大震災津波からの復興に当たり、国内外からいただいた多くの支援に報いることができるものであり、岩手の使命と述べたものであります。
また、ILC研究所の機能や配置等に加え、地域への広範な波及等を含めた全体のプランについては、国の有識者会議で示されたILC周辺の生活環境要件や社会基盤要件を踏まえ、現在、東北ILC準備室が東北のマスタープランとして策定を進めており、本県もその検討に積極的に参画しているところです。
同プランは、年度末には取りまとめられ、今後、これらをもとに、国と地方、県と市町村、民間との役割分担など、地域の実態に沿った検討の段階に進むと考えられます。
このようなことから、県としては、平成30年度には、東北のマスタープランや次期総合計画の議論を踏まえつつ、関係市や関係団体と密接に連携し、ILC実現を見据えた振興策を取りまとめるなど、ILCの受け入れ準備を着実に進めてまいります。
次に、復興計画の評価と課題についてでありますが、復興まちづくり事業は約7割が完了し、災害公営住宅の約9割が完成するなど、恒久的な住宅への移行が進み、あすの県立高田病院の開院によって全ての県立病院の復旧が完了します。また、大型商業施設や共同店舗がオープンし、商業機能の再生も本格化しており、にぎわいのあるまちづくりが進んでいます。さらに、三陸沿岸道路などの新たな交通ネットワークの整備が進んでいることにより、釜石港でのガントリークレーンの供用開始や、宮古-室蘭間を結ぶ定期フェリー航路の開設など、当初の復興計画には盛り込まれていなかった事業も進んでいます。
平成30年度においても、復興まちづくりの基盤整備に引き続き取り組むとともに、復興の長期化や恒久的な住宅への移行に伴う課題に対しては、岩手県こころのケアセンターにおける相談対応や、生活支援相談員による見守り活動など、きめ細かな心と体のケアに引き続き取り組みますほか、住宅再建先での新たなコミュニティー形成が円滑に進むよう支援を実施します。
また、水産業や商店街の再生、中小企業における事業再開後の販路回復など、なりわいの再生に伴う課題に対しては、担い手の確保、育成や高度衛生品質管理体制の構築による高付加価値化に取り組むとともに、仮設店舗から本設への円滑な移行や販路拡大による収益性の回復を支援します。
7年前の発災直後に戻れるとしたらとのお尋ねについては、震災や津波によって多くの方が犠牲になったことが最大の悲劇でありますことから、一人でも多くの方が避難するよう、市町村の最前線に呼びかけるなど、できることは何でもやれということを自分へのアドバイスとしたいと思います。
今後とも、一人一人の幸福追求権を保障していくこと、そして犠牲者のふるさとへの思いを継承すること、これを原則とする東日本大震災津波からの復興に向けた基本方針に基づきながら、復興計画に掲げるいのちを守り、海と大地と共に生きる、ふるさと岩手・三陸の創造に向けて、全力で取り組んでまいりたいと思います。
次に、自殺対策についてでありますが、本県では、岩手県自殺対策アクションプランを策定し、包括的な自殺対策プログラム久慈モデルの実践などに官民一体となって取り組んできており、自殺者数は、中長期的に全国平均を上回るペースで減少を続け、警察庁自殺統計の速報値によると、平成29年は、前年比50人減の272人で、減少率15.5%が全国3位となるなど、その成果があらわれてきています。
このため、平成30年度に策定する次期アクションプランと圏域別計画でも、こうした取り組みを基本としながら、国の自殺総合対策大綱に掲げる子供、若者や妊産婦への対策などを新たに加えることを検討しています。
また、平成28年の自殺対策基本法の改正に伴い、市町村に自殺対策計画の策定が義務づけられ、その計画の策定には、市町村長のリーダーシップが重要でありますことから、今年度自殺対策トップセミナーを開催いたしました。来年度には、全ての市町村において計画が策定されるよう継続して支援し、重層的に地域の実情に即したきめ細かな対策を行うことにより、取り組みの実効性を高めてまいります。
自殺はさまざまな要因が関係するため、幅広い分野における包括的な取り組みが重要であり、今後とも、岩手県自殺対策推進協議会を中心に、多様な主体が連携し、岩手の総力を結集して、誰も自殺に追い込まれることなく、幸福を実感できる地域社会の実現に向けて取り組んでまいります。
次に、2025年の医療需要と目指すべき医療提供体制についてでありますが、今後の少子高齢化の進展等に伴う医療需要の変化に対応するため、県では、平成28年3月に地域医療構想を策定し、2025年における病床の必要量を踏まえて、急性期の医療から在宅医療に至るまで、切れ目のない良質な医療提供体制の構築に向けて取り組んでいるところであります。
将来のあるべき医療提供体制を構築するためには、医師の不足と地域偏在の解消が不可欠であり、県では、医師確保対策アクションプランに基づきさまざまな取り組みを行っていますが、こうした県による取り組みだけでは限界があり、国を挙げた対策が必要であります。このため、県では、引き続き、奨学金による医師の養成と配置等の取り組みを推進するとともに、我が国全体で抜本的な医師の不足と偏在の解消を図るため、地域医療基本法の法制化に向けた取り組みを進め、住民が地域でひとしく適切な医療を受けられる岩手を目指してまいります。
その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔政策地域部長藤田康幸君登壇〕
〇政策地域部長(藤田康幸君) 人口対策についてでありますが、平成29年の本県の社会減を年齢別に見ますと、15歳から24歳までで全体の約85%を占めておりまして、また、平成28年の総務省調査における10代、20代の若者の転出先を地域別に見ますと、関東方面への転出は5、371人となっている一方で、関東方面から本県への流入は2、551人にとどまっておりまして、進学や就職のため本県から流出している若者の地元定着と、首都圏等の若者を対象とした本県への新しい人の流れの創出が重要と考えております。
このため、若い世代にとって魅力ある学びの場や働く場の創造に向けた施策の重点的な推進が必要と考えておりまして、具体的に申し上げますと、岩手大学や県立大学等と連携して起業マインドの醸成に向けた実務教育を実施するいわてキボウスター開拓塾等による魅力ある学びの場の創出や、本県の中核産業である自動車、半導体関連産業の集積や、企業立地の促進等による働く場の確保などに取り組んでいるところでございます。
さらに、平成30年度におきましては、魅力ある仕事づくりに向けて、第4次産業革命技術等を活用した生産性向上や新産業創出等を支援していくほか、全国の大学等との連携を図る岩手U・Iターンクラブの創設によりまして、首都圏等からのU・Iターン促進に向けた取り組みの強化などに新たに取り組むこととしております。
次に、圏域別県内総生産の評価と今後の方向性についてでありますが、平成26年度の1人当たり市町村民所得を平成17年度と比較しますと、4広域振興圏とも増加しているとともに、最大の圏域と最小の圏域の差は、平成17年度の72万6、000円から平成26年度の31万7、000円と、半分以上縮小しているところでございます。
また、平成26年度の圏域別の県内総生産を平成17年度と比較いたしますと、議員御指摘とのおり、県央広域圏と県南広域圏で減少しているのに対しまして、県北広域圏は14.9%の増加、沿岸広域圏は39.3%の増加となっておりまして、県北広域圏における建設業が553億円、211.0%の増加、沿岸広域圏においては、ほとんどの産業でマイナスとなっている中、建設業が3、205億円、584.0%の増加と大きな伸びを示しております。これは、災害復旧事業などの復興需要が県内経済に大きく寄与しているものと考えております。
こうした状況を踏まえますと、県央、県南広域圏も含め、本県の産業全般にわたって、商品やサービスの高付加価値化や海外も含めたマーケットの拡大に取り組むとともに、幅広い分野でAIやIoT等も活用した生産性の向上を図っていくことが重要と考えております。
また、県北・沿岸広域圏におきましては、ことし予定されている宮古-室蘭間のフェリー航路開設や、2019年に予定されている三陸鉄道の一貫経営、ラグビーワールドカップ2019の釜石開催、大型外国クルーズ船の寄港など、三陸地域が国内外から大きな注目を集めるチャンスを捉えながら、国内外との人や物の交流、連携を活発化させ、地域の資源を最大限活用した産業振興を図っていくことも極めて重要であると考えております。
〔県土整備部長中野穣治君登壇〕
〇県土整備部長(中野穣治君) まず、所有者不明土地の活用についてでありますが、所有者不明土地は、東日本大震災津波からの復旧、復興事業を初め、公共事業の円滑な実施において大きな支障となっていると認識しております。
震災復興事業の実施に当たっては、国に対しまして事業用地の円滑な取得を図るための特例措置の創設を要望したところであり、また、将来の大規模災害に備える仕組みを構築するために、復興に要する土地等の私有財産制限のあり方などについて、幅広い議論、検討を進めるように提案してきたところです。
今般、国において、所有者不明土地の円滑な利用や適切な管理の仕組みなどを盛り込んだ法案が提出される予定と承知しておりまして、その内容は、平時において公共事業を円滑に進める上で有益なものと考えております。
次に、空港の整備や管理と利用促進についてでありますが、平成16年度に空港利用促進業務が県土整備部に移管されて以降、空港の整備、管理と利用促進業務を一体的に行ってきたところでございます。特に、震災後は国内定期便の維持、拡充に取り組む一方、知事のトップセールスを初めとして積極的な国際便の誘致に取り組んできました。
また、ハード面では、国内定期路線の便数の増加や国際チャーター便等の誘致状況を踏まえ、空港ターミナルビルの増築を行うなど、空港の受け入れ機能の向上に取り組んできました。
こうした結果、国内線は、名古屋線、福岡線の復活などにより過去最高の1日12往復が運航され、また、国際線については、平成26年度に台湾との間で本県初の定期チャーター便が就航し、その後も台湾を中心に国際チャーター便の実績を積み重ね、本年度は過去最高の164便の運航が見込まれているところです。
今後の課題につきましては、本県初の国際定期便の就航に向けて、インバウンド、アウトバウンド両方の需要の拡大が最も重要と考えております。
また、国際定期便化となりますれば、外国人の個人旅行者の増加が見込まれますことから、鉄道やバス等他の交通モードとの接続など、受け入れ環境の整備に取り組んでいく必要があると考えております。
〔農林水産部長紺野由夫君登壇〕
〇農林水産部長(紺野由夫君) まず、所有者不明農地、山林の課題対応についてでありますが、相続未処理などにより所有権移転登記が行われていない農地や山林は、所有権者の特定に困難を来してきておりまして、農地では、経営の規模拡大を目指す担い手等への農地の集積、集約化に影響が、また、山林では、効率的な施業を行うための集約化や計画的な路網整備の実施に支障が生じてきていると認識しております。このため、国では、土地の所有権者の一部が判明するなど一定の条件が整った場合には、意欲のある担い手に対し、農地の貸し付けや山林経営の委託などを可能とする内容の関係法案を今国会に提出し、審議する予定と聞いております。
県では、関係法案の審議の動向を注視するとともに、法律が成立した場合には、市町村や農業委員会などと連携し、これらの制度を十分に活用しながら、農地や山林の集積、集約化を図り、生産性の高い農林業経営を進めてまいります。
次に、健康産業の推進についてでありますが、県民の健康の増進を図り健康寿命を延伸していくためには、食生活や運動、休養など、生活習慣の改善の取り組みを進めていくことはもとより、健康長寿に結びつくとされております農林水産物、食品の機能性の発掘や商品開発などを推進していくことが重要であります。このため、県では、バイオテクノロジー研究推進に係る基本方針に基づき、岩手生物工学研究センターにおいて、農林水産物の機能性を活用した健康維持、増進技術の開発に取り組んできたところであります。その結果、イサダに含まれる肥満抑制物質の特定抽出などの成果が上がっており、食品関連企業や水産加工業者等と連携し、サプリメントなどの商品化に向けたプロジェクトが進行しているところであります。
また、平成29年6月には、機能性に関する研究推進や産業振興を図るため、県内の関係団体等で構成するいわて農林水産物機能性活用研究会が設立され、機能性成分に関する情報共有や活用の可能性等に関する検討が行われております。
今後も、こうした取り組みを進めるとともに、生物工学研究センターの研究基盤を強化し、機能性成分に着目した農林水産物の付加価値向上や需要創出を図りながら、県民の健康増進に貢献する農林水産業の確立に取り組んでまいります。
次に、高収益な土地利用型野菜品目を導入する経営体の育成についてでありますが、農業が地域経済を支え持続的に発展していくためには、意欲と能力のある経営体の育成が重要であります。このため、県では、販売額3、000万円以上または農業所得1、000万円以上を確保する経営体をリーディング経営体と位置づけ、こうした経営体の育成に向け、いわてアグリフロンティアスクールによる経営力の向上、農地中間管理事業による農地の集積、集約化、経営体育成支援事業などによる機械、施設の整備などに取り組んできたところであり、その結果、タマネギやバレイショなど、需要拡大が見込まれる加工、業務用野菜を大規模に生産する経営体もあらわれてきております。
今後、こうした動きを加速させるため、新たにいわて型野菜トップモデル産地創造事業を当初予算案に盛り込み、省力的な野菜生産に必要な高性能機械の導入やパイプハウスの団地的な整備を進めることとしております。
さらに、本年4月には、農業団体と連携して、新たに農業経営相談センターを開設し、経営の規模拡大や法人化に向け、きめ細かな支援を行うこととしており、こうしたハード、ソフト両面の取り組みにより、本県農業を牽引し、地域経済を支える農業経営者を育成してまいります。
次に、基盤整備の考え方についてでありますが、本県農業の持続的な発展を図っていくためには、生産性、収益性の高い農業の実現に資する生産基盤の整備など、土地改良事業を着実に進めていく必要があると考えております。このため、県では、生産コストの低減や、麦、大豆、園芸作物などの品質、単収の向上に向け、圃場の大区画化や排水対策、中山間地域でのきめ細かな整備など、地域のニーズや立地条件を踏まえた基盤整備に取り組んできたところであります。
地域におきましては、基盤整備を契機とした話し合い、合意形成が進み、近年、ジャガイモ、トマトなど高収益作物の地域一体となった作付や、6次産業化などにつながる事例がふえてきているところであります。
今後、こうした取り組みをさらに拡大させるため、これまでの排水対策に加え、新たに地下からの用水機能を付加した地下水位制御システムを導入するなど、地域の実情に応じた基盤整備を進め、効率的、安定的な農業経営を支援してまいります。
次に、森林環境保全対策についてでありますが、いわての森林づくり県民税は、本県の豊かな森林環境を次の世代に良好な状態で引き継いでいくため、県民みんなで支える仕組みとして平成18年度に創設したものであり、その使途は、制度創設の趣旨を踏まえ、森林環境保全に関する施策に要する費用に充てることを基本とし、現在、2020年度を終期とする第3期の取り組みを推進しているところであります。
また、森林環境税の創設を踏まえた今後の県民税のあり方につきましては、国の森林環境税の使途等を精査し、本県の県民税との関係を整理するとともに、第3期における取り組みの成果や課題を踏まえ、県民の皆様を初め、事業評価委員会や県議会の御意見なども伺いながら、具体的な検討を進めてまいります。
〔総務部長佐藤博君登壇〕
〇総務部長(佐藤博君) 総合広域防災体制と医療連携についてでありますが、県では、大規模な災害が発生した場合、県庁に災害対策本部及び災害対策本部支援室を設け、災害情報や対策の一元化、関係機関との連絡調整を行っております。中でも、医療機関との連携は極めて重要であることから、災害対策本部支援室にDMATの常駐スペースを設け、DMATの連絡員と緊密な連絡をとりながら災害対策を行っているところです。
また、広域防災拠点のあり方については、平成24年度に岩手県広域防災拠点整備構想を策定した際、議員御指摘の集中配置型については、人、物、情報の機能を1カ所に配置するメリットが指摘された一方で、施設が被災した場合には一度に全ての機能が失われる可能性や、広大な敷地と多額の整備費用が必要となることなどが指摘されたことから、早期に必要な防災体制を確立する必要性や必要最小限のコストでの実現性などに鑑み、分散連携型の拠点整備を選択したところです。
県といたしましては、県内5地域に配置した広域防災拠点の機能の充実を図っていくこととしており、災害応急対策に必要な機能を集約した新たな防災拠点施設の整備については中長期的な課題として位置づけ、引き続き、財政支援措置の創設等について国に要望するとともに、各県の状況等の調査を進め、また、関係機関の意見を伺いながら検討を進めていきたいと考えております。
〔保健福祉部長八重樫幸治君登壇〕
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) まず、保育所等の待機児童への対応についてでありますが、厚生労働省が実施している保育所等利用待機児童数調査によると、議員御指摘のとおり、毎年度待機児童が発生し、年度途中で増加する傾向にあることから、待機児童解消に向けて、市町村の取り組みの一層の促進を図ることが必要な状況にあります。このため、今年度は新たな取り組みとして、平成29年4月1日時点で待機児童が発生している10市町村を対象に、個別に情報、意見交換を行い、年々高まる保育ニーズへの対応に向け、小規模保育事業の活用や幼稚園の認定こども園の移行などについて、助言を行ったところであります。
市町村では、現在、子ども・子育て支援事業計画に定める保育定員等の見直しを行っているところであり、現時点では、保育の利用ニーズを上回る利用定員が確保される計画となる見込みであります。
県では、施設整備に対する財政支援を行い、受け皿のさらなる拡大を図るほか、岩手県保育士・保育所支援センターによる潜在保育士のマッチング支援や、保育士修学資金貸付事業の拡充などにより保育士の確保に努めることとしており、待機児童の解消に向けて、引き続き市町村の取り組みを支援してまいります。
次に、医療的ケアが必要な児童の受け入れ先拡充についてでありますが、人工呼吸器や胃ろう等を使用し、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが必要な障がい児、いわゆる医療的ケア児は、平成28年度の児童福祉法等の改正によりその対応が新たに規定されたものであり、行政機関や関係事業所等が緊密に連携して、医療機関や障がい福祉サービス事業所等における支援を確保し、加えて、保育や教育の現場等においても適切に支援を受けることができる体制を整備していくことが必要とされています。
このため、平成30年度において、既存の重症心身障がい児・者支援推進会議に保健、保育、教育などの関係者を加えて医療的ケア児の支援に係る連携体制を構築することとしており、医療的ケア児の実態把握に努めながら、具体的な支援策や受け入れ態勢の整備を検討するなど取り組みを進めてまいります。
次に、子供の医療費助成についてでありますが、総合的な子育て支援については、岩手県ふるさと振興総合戦略を展開していく上で重要な施策でありますが、子供の医療費助成は、本来、自治体の財政力の差などによらず、全国どこの地域においても同等な水準で行われるべきであり、これまで、県の政府予算提言・要望において全国一律の制度を創設するよう要望してきたところであり、全国知事会からも同様の要請を行っているところであります。
現在、県内28市町村において中学校卒業までを対象として医療費助成を行っており、さらに3市町村において、来年度、中学校卒業までを対象とする方針が示されていることから、市町村に対する県の助成を中学校卒業まで拡大したとしても、サービスの向上に直接つながるものではないこと、また、県の助成対象を拡大する場合は、多額の財源を確保する必要があることから、今後、国の動向を注視しながら、県の医療、福祉政策全体の中で総合的に検討する必要があると考えております。
次に、児童虐待防止対策についてでありますが、県では、これまで、児童虐待防止アクションプランに基づき、児童虐待防止の普及啓発や、医療従事者、保育所職員等を対象とした研修会を実施してきたところであります。特に、児童虐待の再発防止に向けて、虐待を受けた子供と親との関係を再構築するための自立支援計画を策定するなど、保護者への指導や支援に取り組んでいるところであります。また、増加する児童虐待に的確に対応するため、現在、三つの児童相談所に32名配置している児童福祉司を来年度5名増員するとともに、あわせて、児童心理司を3名増員し、より一層の体制強化を図ることとしており、虐待を受けた子供への支援とその保護者への指導を強化してまいります。
地域における児童虐待の早期発見、見守り体制の充実のためには市町村の役割が重要となることから、市町村の要保護児童対策地域協議会へ児童相談所職員が参画するとともに、研修を通じて市町村職員の対応力の向上を図るなど、引き続き市町村の取り組みを支援してまいります。
次に、健康寿命伸長への取り組みについてでありますが、本県の健康寿命については、国が公表している平成25年の調査では、前回の平成22年の調査と比べ、男性は1.25歳増加、女性は1.21歳増加しており、全国順位も、男性は43位から40位へ、女性は32位から全国平均を上回る24位へと改善しているところであります。
健康寿命の延伸を図るためには、三大生活習慣病であるがん、心疾患、脳卒中の予防が重要であり、県では、生活習慣病の発症予防と重症化予防を徹底するため、食生活改善、身体活動、運動、禁煙など、生活習慣の改善の取り組みを強化するとともに、がん検診、特定健診受診率及び特定保健指導実施率の向上による疾病の早期発見と重症化予防など、健康対策に総合的に取り組んでいるところであります。中でも脳卒中は、がんや心疾患に比べて死亡率が低いものの、後遺症が残り医療や介護が必要となる割合が高く、健康寿命への影響が大きいこと、また、本県の脳卒中死亡率は、65歳未満の若い年代から既に全国よりも高い状況にあります。
こうした課題等を踏まえ、現在、第2次健康いわて21プランの中間見直しを行っており、乳幼児期から高齢期まで、それぞれのライフステージに応じた健康な生活習慣づくりの施策などに重点的に取り組むこととしています。
平成30年度においては、働き盛り世代を対象とした生活活動量の増加や食生活の改善を促す健康増進の取り組みを新たに当初予算案に盛り込んだところであり、企業等が行う健康経営の取り組みを支援することなどにより、岩手県脳卒中予防県民会議の構成機関とも連携を図りながら、健康寿命の延伸に向けて県民一体となって取り組んでまいります。
〔商工労働観光部長菊池哲君登壇〕
〇商工労働観光部長(菊池哲君) まず、ものづくり産業の高度人材育成についてでありますが、今後、ものづくり産業が持続的発展を図っていく上で、IoTやAIなどの第4次産業革命技術は欠くことのできないものとなっておりまして、これらの技術を活用できる高度人材の育成は、今後ますます重要になっていくものと認識しております。
このため、県では、各種補助事業の活用促進に加え、半導体関連産業創出推進事業や中小企業ベンチャー支援事業などにより、企業経営者等にIoTの活用や市場参入、ロボット技術の導入を働きかけてきているとともに、産業の現場におけるロボットシステムの導入をコーディネートする人材の育成等に取り組んできているところでございます。
今後におきましても、企業や大学等と連携し、これまでの取り組みをより強化するとともに、新年度においては、第4次産業革命技術を活用した異業種連携による新製品等の開発につながるワークショップの開催、製造ラインのIoT化など、産業の現場における新技術活用を牽引する人材の育成などにより、県内企業の生産性向上等につながる高度技術人材の育成を一層推進してまいります。
そのような中で、実践技術者の育成に取り組んでおります産業技術短期大学校においては、これまでもカリキュラムについて不断の見直しを行ってきており、IoTやAIに関する授業を実施しているとともに、卒業研究に取り組む学生たちもふえてきているところでございます。このように、産業技術短期大学校がIoTやAIを学び習得できる場であることをさらに一層広報に努めるとともに、技術革新や産業界のニーズに対応した技術者の輩出につながるよう体制を検討していく考えであります。
次に、総合的な誘客促進への取り組みについてでありますが、本県を訪れる外国人観光客の多くは、いわて花巻空港のほか、成田、羽田空港や仙台空港から入国し、北上して東北や北東北を周遊していることから、その中で、県内でのより多くの周遊、滞在を促進していくことが重要と認識しております。
このため、東北各県との連携による、海外の各国それぞれの市場特性やニーズを踏まえての食や文化、震災学習、スキーなどを切り口とした広域観光プロモーションの展開や、鉄道、高速バスのフリーパス、レンタカーの利用促進などによる二次交通の利便性の向上に取り組むとともに、本県の魅力を海外の方々に直接訴求するテレビ、SNSなどによるPRの展開や、県内宿泊、観光施設の受け入れ環境の充実を進めてきたところでございます。
今後も、東北各県、さらには外国人観光客の人気の高い北海道や東京2020オリンピック、パラリンピックが開催される東京都などとの連携を強化し、広域観光ルートとして売り込みを図るとともに、県内各地でのより広い周遊とより長い滞在につなげていく考えであります。
次に、観光物産拠点の整備についてでありますが、県産品の販売拡大は、本県の地域経済の活性化につながる重要な取り組みであり、いわて花巻空港、JR主要駅、県内各地の道の駅や各観光物産施設などで展開されているところでございます。また、魅力ある商品づくりと販売拡大に向けて、毎年開催しているいわて特産品コンクール及びいわて特産品フェアを初め、県内での大手量販店と連携した各種県産品フェアや、さらに、首都圏等大都市における観光物産展及び商談会などを展開してきているところでございます。これらの展開による最近の販売動向を見ますと、全国的な傾向でもありますが、店舗での販売に伸び悩みが見られる一方、いわゆる通販市場が拡大してきており、販売の多チャンネル化が進んできているところでもございます。
このような中にあって、議員御提案の新たな拠点の整備につきましては、他県の取り組み事例を見ますと運営面で苦慮されている例も多いことから、当面は、民間活力の活用を含め、他県の展開状況や市場動向をしっかりと調査研究していくことが必要と考えております。
〔文化スポーツ部長上田幹也君登壇〕
〇文化スポーツ部長(上田幹也君) 県営スポーツ施設の老朽化への対応についてでありますが、これまで、外部有識者による県営スポーツ施設のあり方に関する懇談会において御検討いただき、昨年末に意見が取りまとめられ、県に報告をいただいたところであります。
報告では、県営体育館については、当面、施設、設備の状況等を考慮しながら適時改修等を行い、現状を維持することが望ましい、また、スポーツ健康科学センター、多目的屋内練習施設については、改めてその整備のあり方について検討を行うことが望ましいとされたところであります。
今後、この懇談会報告や議員の御意見も参考にさせていただき、県営体育館を初め、県営スポーツ施設の機能や整備のあり方について総合的に検討してまいります。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) 不登校児童生徒への支援等についてでありますが、平成28年度の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査によりますと、不登校の主な要因については、友人関係や学業不振等の学校生活に起因するものが小学校で26%、中学校で42%、家族との関係など家庭状況に起因するものが小学校で60%、中学校で41%となっており、これらにその他の要因もあり、多岐にわたっております。
公立学校におきましては、保護者の理解のもとに、教職員とスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等が連携し、教員相談体制の充実を図りながら不登校の防止や改善に取り組んできているところであり、不登校児童生徒の出現率は、議員御案内の秋田県よりは高いものの、全国で6番目、東北で2番目に低い状況となっております。また、市町村におきましては、不登校児童生徒の学校復帰に向けて、学校外に適応指導教室を設置するなど、不登校児童生徒の実情の改善を図る取り組みを推進しております。
不登校を改善していくためには、学校の取り組みとあわせて、議員御指摘のフリースクールなどの民間団体等との連携もまた重要であり、市町村教育委員会におきましては、学校とフリースクールをつなぐ役割を担ったり、フリースクールが学校へ定期的に訪問したりするなどの動きがふえてきておりますので、県教育委員会といたしましては、今後におきましてもこのような連携なども一層推進してまいりたいと考えております。
次に、発達障がい児等への教育支援についてでありますが、特別な支援を必要とする児童生徒の教育につきましては、それぞれの学校において、障がいを有する児童生徒の状態や特性、発達段階を適切に把握し、一人一人の教育的ニーズに応じた支援を行うとともに、進級、進学等の移行期に適切な引き継ぎなども行い、児童生徒が楽しみながら充実した学校生活を送ることができるための支援をしていくことが大切であると考えております。
本県におきましては、児童生徒一人一人の障がいの状態等に応じた指導、支援の充実を図るため、特別支援教育のセンター的機能を有する特別支援学校の教職員が、それぞれの地域の幼稚園、小学校等への訪問支援や、全ての学校に配置している特別支援教育コーディネーターとの連携を図りつつ、校内研修の講師を務めたりするなど、それぞれの地域の特別支援教育の中心的役割を担いながら支援をしてきているところでございます。
特に、学校段階の移行期におきましては、いわて特別支援教育推進プランに基づき、幼児期から高等学校までのそれぞれの段階で作成している個別の教育支援計画を進級、進学先に引き継ぎ、学習環境の変動期も円滑な指導、支援が図られるように取り組んでおります。
今後におきましても、教職員の専門性等の向上を図りながら、児童生徒一人一人に応じた支援が展開されるよう努めてまいります。
次に、史跡の保存と活用についてでありますが、矢巾町の国指定史跡徳丹城跡は、胆沢城跡、志波城跡とともに全国的にも著名な古代城柵であり、町においては、保存管理計画と整備計画を策定し、これまで20年以上にわたり数多くの発掘調査を行い、植栽や柱跡の遺構表示を行うなど整備を進めてきておりますが、平成30年度には総合的な整備に向けた基本設計等の見直し作業を進めるとともに、目に見える形での整備活用策についても改めて検討することとしているとお聞きいたしております。
議員御指摘の徳丹城跡につきましては、地域の皆様の期待も大きいと認識しておりますので、県教育委員会といたしましては、これまで、史跡整備に関する調査指導委員会に参画し、文化庁からの指導も受けながら、整備内容や手法などの助言や調整等を行ってきているところであります。
今後におきましては、矢巾町における整備が着実に推進されるよう、国庫補助事業である史跡等総合整備事業の導入による史跡の整備や、その活用等に連携して取り組んでまいります。
〇議長(佐々木順一君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〇2番(臼澤勉君) 御答弁ありがとうございました。
時間の関係もございますので、1点だけお伺いしたいと思います。
総合広域防災体制と医療との連携について知事にお伺いしたいと思います。
私がこの質問をなぜしたのかといいますと、今はさまざまな災害等が想定されます。この前、全国知事会議でも、岩手県が開催県ということで、千年国家という宣言をした経緯がございます。
一方で、岩手山火山も含めたあらゆる災害を想定してという中で、岩手山のハザードマップを見ますと、例えば火山の大規模な土石流が流れていくと、高速道路のところも盛岡以北のところは寸断されるようなシミュレーションが出ております。昨日、ハクセル議員は奥産道のお話もされておりました。観光の視点というところもございますけれども、私は、例えばああいったところも、トンネルから2キロメートルのところを、ナショナルパークとしていろいろ観光誘客もされている中で、そういったさまざまな災害を想定した準備を……。私どもは、東日本大震災津波であったり平成28年台風第10号、岩手・宮城内陸地震とか、さまざまな災害と戦ってきたといいますか向き合ってきた部分がございます。そういう中において、ぜひ中長期的な課題としてそういった防災拠点をつくっていく、財政的な部分はあろうかと思いますが、ただ、私は、災害というのはいつ何どき起こるかわからないという中で、やるべきときはいつなのかといったところを、長期的なスタンスというよりも、震災からの復興あるいは防災立県としてのさまざまな取り組み、あるいは、昨日も軽石議員が消防学校の老朽化問題を指摘されておりました。そういった意味におきましても、いつやるのか、そこら辺はさまざまな委員会の中で検討すべき課題かと思います。ぜひそこら辺の御所見を知事からお伺いしておきたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 防災関係の体制は遺漏なきよう常に見ていかなければならないと思いますし、また、さまざま、最近でも白根山の噴火のような、それまで全国的に想定されていなかったような噴火などあった場合、岩手で同様なことが起きた場合にはと、改めて検討していくようにしていきたいと思います。
〇2番(臼澤勉君) ぜひ岩手県として、全国世界から大いなる支援を受けたこの岩手で、私どもは、恩返しじゃないですけれども、そういった防災の先進県として、ぜひ具体の行動、形を示していく使命があると。それが恩返しといいますかお返しになるのかなと思っておりますので、ぜひいろいろと積極的に御検討していただくことを希望して終わります。
〇議長(佐々木順一君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
日程第2 議案第1号平成30年度岩手県一般 会計予算から日程第105 議案第104号損害賠償請求事件に係る和解及びこれに伴う損害賠償の額を定めることに関し議決を求めることについてまで
〇議長(佐々木順一君) この際、日程第2、議案第1号から日程第105、議案第104号までを一括議題といたします。
これより質疑に入ります。
質疑の通告がありますので、発言を許します。高田一郎君。

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