平成30年2月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録

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〇6番(柳村一君) 改革岩手の柳村一です。
先輩議員、同僚議員の御配慮により登壇の機会を与えていただいたことに心より感謝申し上げ、通告に従い一般質問をいたします。
地方創生について質問いたします。
東京一極集中を是正し、地方の人口減少に歯どめをかけ、日本全体の活力を上げることを目的とした一連の政策の一つとして、第2次安倍政権時に地方創生が発表され、2014年12月に、まち・ひと・しごと創生法に基づき、日本全体の人口の将来展望を示すまち・ひと・しごと創生長期ビジョン、それを踏まえた今後5カ年のまち・ひと・しごと創生総合戦略が閣議決定されました。これを踏まえ、2015年度には、ほぼ全ての自治体において、地方人口ビジョンと地方版総合戦略が策定され、具体的な事業を本格的に推進することになりました。また、まち・ひと・しごと創生総合戦略は、その進捗状況に応じて見直すとし、2016年と2017年に地方創生の現状を踏まえて検証、改訂されています。さらに、地方創生のために全国の自治体で策定されたまち・ひと・しごと創生総合戦略は、2015年度から5年後の2020年に政策目標を設定しており、3年目を迎えた今年度はそろそろ具体的な結果が求められます。
2017年1月に公表された地方創生事例集には88の事例が掲載され、本県関係は、大船渡市三陸町の三陸とれたて市場、紫波町のオガールプロジェクト、遠野市のNPO法人遠野山・里・暮らしネットワークの取り組みが紹介されています。
全国でさまざまな事業が行われているものの、まち・ひと・しごと創生基本方針2017による主な基本目標の2020年成果指標に対する現状は、しごとをつくるでは、地方での若者雇用創出数を5年間で30万人としていますが、現状は9万8、000人、ひとの流れを変えるでは、地方から東京圏への転入を6万人減らし、東京圏から地方への転出を4万人ふやすとしていますが、東京圏への転入超過は、2013年の10万人から2016年には12万人と逆に増加しております。また、3年目であるため結果を求めることは時期尚早ですが、現時点ではうまく進んでいるとは言いがたく、まち・ひと・しごと創生基本方針2017の政策パッケージの主なポイントを見る限り、国としての地方創生の政策は手詰まり状態のように感じられます。
2018年度の地方創生関連予算等については、地方創生推進交付金に1、000億円、地方大学・地域産業創生事業に100億円、総合戦略等を踏まえた個別施策に6、777億円、まち・ひと・しごと創生事業費に1兆円などが確保されました。
地方創生には、地域に今ある資源を生かし、住みたいと思える地域をつくっていくことが重要であり、地域が持つ価値を生かし、課題を解決し、こんな地域に暮らしたいという将来を見据えた取り組みが必要です。また、先進地域で行われている取り組みをそのまま自分たちの地域で導入するのではなく、何に取り組むか、資源をどのように活用するか、足りない資源をどう集めるか、地域が集結して取り組む必要があります。
そこで、まち・ひと・しごと創生総合戦略の基本目標に係る地方創生の考えを伺います。
まず、稼げるまちづくりについて伺います。
基本目標、地方にしごとをつくり、安心して働けるようにするについては、稼げるまちづくりを推進するとしています。稼げるまちづくりは、まちづくりの分野において、箱物やインフラといったハード整備に偏重することなく、これを活用するソフト政策と一体となって、地域の稼ぐ力や地域価値の向上を図ることにより、まちににぎわいと活力を生み出し、民間投資の喚起や所得、雇用の増加につなげることを狙いとするものです。
昨年12月には、遠野市で第1回稼げるまちづくりセミナーin遠野が開催され、地方自治体、まちづくり関係者、商工関係者等を対象に、稼げるまちづくりの先進事例について、現場の担い手から事例紹介、パネルディスカッションを実施しました。
稼げるまちづくりは、地域の資源の有効活用のために、地域の住民や民間事業者、大学、研究機関、自治体、金融などのほか、さまざまな活動主体の連携が必要です。地域が一体となって検討、実行する上で、市町村の枠を超えた取り組みが必要となりますが、県や広域振興局の稼げるまちづくりに向けた地域との連携に対する知事の考え方を伺います。
この後の質問は質問席から行いますので、よろしくお願いいたします。
〔6番柳村一君質問席に移動〕
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 柳村一議員の御質問にお答え申し上げます。
稼げるまちづくりについてでありますが、人口減少社会においてふるさと振興を推進していくためには、持続可能な社会構造の構築を目指していくことが必要であると考えており、その一環として、地域住民や経済団体等と連携しながら、まちににぎわいと活力を生み出し、民間投資の喚起や所得、雇用の増加等につなげる稼げるまちづくりの取り組みを推進していくことが重要であると考えております。
〔議長退席、副議長着席〕
こうしたことから、県では、第4次産業革命技術等を活用した新製品、サービス等を県立大学等と連携しながら開発するものづくり革新の取り組みの支援や、各地の産業界、教育、行政機関の連携による地域ものづくりネットワークを核とした産業人材の育成、三陸DMOセンター等との連携による三陸の地域資源を生かした観光振興などに取り組んでおります。
また、各広域振興局においては、管内の市町村や地元企業、大学等と連携しながら、IT産業の振興と人材確保の推進や世界遺産平泉の魅力向上と誘客拡大、食産業やアパレル産業といった特色ある地域産業の振興などにそれぞれ取り組んでいますが、平成30年度からは、各広域振興局に産業振興室を新たに設置して体制を強化することとしております。
今後とも、地域における多様な主体との連携を図りながら、稼げるまちづくりの取り組みを推進してまいります。
〇6番(柳村一君) 地方創生は、逆に言えば、地方で取り合いになっているというのが現状でありまして、地方が特色ある政策をなかなか打ち出せないということです。今、知事から御答弁がございましたように、平成30年度から、広域振興局に産業振興室をつくって広域で取り組むということは非常にいいことだと思いますし、広域の資源を活用して地方創生につなげていくというのが重要だと思います。国の政策パッケージを待っていると、どんどんほかの県とかにおくれをとっていくので、そこら辺、一生懸命やっていただきたいと思います。
あと、この前、盛岡広域振興局のがんばろう!岩手意見交換会に参加しました。その場の出席者の県側は、知事と秘書広報室と広域振興局の局長だけだったと思うのですけれども、今後は産業振興室を活用したり、例えば広域振興局だけではなく、広域振興局以外との連携も必要になってくると思いますので、各部局の担当の出席者に近い担当の方などを参考人にしていって、意見交換会とかのさまざまな意見を参考にして県の施策につなげていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
次に、地方創生に資する大学改革についてお伺いいたします。
基本目標の、地方への新しいひとの流れをつくるについては、東京圏への転入超過の改善が見られません。その大部分は進学時、就職時の若者が占めている状況です。こうした中、2017年12月の地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議の最終報告では、地方大学を取り巻く問題認識を踏まえ、首長のリーダーシップのもとで、地方大学の振興により、地域の中核産業の振興や人材への投資を通じて、地域の生産性の向上を目指すことが求められている。このため、地方大学は、地方公共団体、地域の産業界、金融機関などとの連携を深め、地域の将来ビジョンを共有しながら取り組みを行っていく必要がある。その際、国公、私立ごとに置かれている状況が異なる点にも配慮しながら、政策を検討する必要があると報告されております。
文部科学省の2015年度学校基本調査によると、本県の大学進学者数は4、519人、本県の大学定員数は2、701人、入学者数は2、549人と定員割れの状態であります。また、自県への進学者数は1、217人で、半数以下となっております。また、本県の2016年の大学または短期大学に進学した生徒の割合は44.2%で、年々進学率は伸びていますが、全国で40位と低い状態が続いております。
今後の本県の地方創生にとって大学の振興は急務であり、担い手の育成、確保が重要です。2018年度の地方創生関連予算等には地方大学・地域産業創生事業費が計上されています。
そこで、首長の強力なリーダーシップのもと、組織レベルでの持続可能な産学官連携体制の構築など、地方大学の振興に対する知事の考えをお伺いします。
〇知事(達増拓也君) 県におきましては、これまでも、岩手大学を中心に、地域における雇用創出や学卒者の地元定着率の向上を推進する文部科学省の補助事業、地(知)の拠点大学による地方創生推進事業─COCプラスに、県立大学などの高等教育機関や市町村、経済、産業団体とともに事業協働機関として参画しており、産学行政一体となった地方創生の取り組みを推進しているところであります。
また、平成30年度当初予算案におきましては、産学官連携による水産業等の高度化や、高度専門人材の育成を図るため、岩手大学が実施する釜石キャンパスの整備を支援することとしております。
こうした中、国の平成30年度予算案におきましては、地域の中核的産業の振興や専門人材育成などを行うすぐれた取り組みを支援するため、地方大学・地域産業創生事業100億円が新たに措置され、関連法案が通常国会に提出されたところであります。この事業については、日本全国や世界中から学生が集まるようなキラリと光る地方大学づくりを推進する大学の取り組みを支援するものであり、県としては、こうした国の新たな動きに呼応し、岩手大学や県立大学を初めとする関係機関と情報共有を図りながら、その活用に向けて検討してまいります。
〇6番(柳村一君) 岩手県には国公立大学、私立大学がたくさんあるわけで、その大学を生かして産業を振興していくというのもかなり重要になると思います。今、知事の答弁の中で、生かしていくとおっしゃっていますけれども、U・I・Jターンとかインターンシップなどを、今、県は一生懸命取り上げておりますけれども、受け皿がないというのが現状のような気がします。その上で、特色のある大学をもっともっと発展させて、県にとっての産業振興のために大学を使っていくべきだと考えますので、今後とも取り組みを一生懸命お願いしたいと思います。
次に、小さな拠点づくりについて伺います。
基本目標の、時代に合った地域をつくり、安心な暮らしを守るとともに、地域と地域を連携するについては、中山間地域を初めとする多くの農山漁村等では、人口減少、高齢化の急速な進展と、それに伴う生活サービスの低下という負のスパイラルにより、将来的な集落の維持が危ぶまれております。将来にわたって地域住民が暮らし続けることができるよう、地域の生活や仕事を支えるための住民主体の取り組み体制づくりや、利便性の高い地域づくりである小さな拠点の形成の推進が示されております。
本県は、政策評価レポート2017において、安心して心豊かに暮らせるいわての実現の今後の方向性として、持続可能な地域コミュニティーの構築を促進するため、モデルとなる地域コミュニティー活動の支援や、移住定住、小さな拠点づくりなど、特徴的な取り組みをしている活動事例の発信を強化するとしております。
地域の将来は地域住民が決定するべきでありますが、将来的に住みなれた地域で暮らし続けるために、中山間地域等の集落生活圏において必要な生活サービスを受け続けられる環境を維持し、地域住民が、自治体や事業者、各種団体と協力、役割分担をしながら、各種生活支援機能を集約、確保し、地域の資源を活用し、仕事、収入を確保する取り組みである小さな拠点づくりに対する考えをお伺いいたします。
〇政策地域部長(藤田康幸君) 小さな拠点づくりについてでありますが、過疎化が進む地域におきましては、人口の減少や高齢化の進展によりまして、地域活動の担い手不足や日常の生活サービスの低下などが懸念されているところでありまして、このような課題に対応し、地域住民が主体となって生活サービス機能を持続的に確保する体制を確立する小さな拠点の形成は、将来にわたって地域コミュニティー機能を維持していくための有効な手法の一つであると認識しております。
県といたしましても、地域コミュニティーの活性化に向けまして、地域で抱えている課題に主体的に取り組む団体を元気なコミュニティ特選団体に認定いたしまして、住民が主体となった体制づくりや、地域資源を生かした6次産業化の取り組みなどの優良事例の普及啓発を行うとともに、小さな拠点づくりを促進するために、地域づくりフォーラムの開催による県内外の先進取り組み事例の紹介や、小さな拠点づくりに取り組む団体に対する国の助成制度等の市町村への周知、市町村が行う地域住民の日常生活に不可欠な地域交通の確保等に必要な事業への補助など、さまざまな取り組みを行っているところでございます。
今後も市町村と連携しながら、将来にわたって地域住民がふるさとで暮らし続けることができるよう、小さな拠点づくりの促進に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
〇6番(柳村一君) 先ほど来、地方創生について、稼げるまちづくり、大学の改革、あと今の小さな拠点づくりについて伺ってきたわけでありますけれども、オリンピックではございませんが、日本というのは、パシュートにしても100メートルリレーにしても連携、個々の力は余り強くないけれども、連携することによって世界に立ち向かっていくという、いい成績をとれるという、連携というのが日本人のすばらしいところではないかと思います。そういった中で、稼げるまちづくりを広域でやる、そこの中に今度は大学の改革を取り入れていく、さらには、国の助成だけでやっている小さな拠点づくりを、それらと絡めてやるということによって、助成に頼らず小さな拠点づくりができていくと思うのです。そういった岩手のいいところを掛け合わせて6次産業が12次産業になるような形の、どんどん発展した取り組みにつなげていければと思いますので、今後期待しておりますのでよろしくお願いします。
次に、雇用環境についてお伺いいたします。
岩手労働局は、2017年12月の有効求人倍率は、前月を0.01ポイント上回り1.45倍、新規求人倍率は初めて2倍を超えると発表いたしました。また、常用求人・求職バランスシートによると、昨年12月の有効求人倍率は1.37倍となっており、保安の職業が7.42倍、建設、採掘の職業が3.93倍、サービスの職業が2.43倍と倍率が高くなっております。その一方で、事務的職業が0.34倍、運搬、清掃、包装等の職業が0.60倍と低い職業もあり、単純な人手不足というよりは、人手不足と人余りが共存する複雑な労働環境になっており、人手不足が深刻な職業とそうでない職業の差が大きくなっております。人手不足が深刻な職業の多くが新卒採用で充足できず、中途採用について主婦や高齢者など非労働力人口の活用など取り組みを行っています。
そこで、人手不足など雇用環境の課題解決への考えをお伺いいたします。
まず、新卒者の県内就職について伺います。
岩手労働局のことし3月新規卒業予定者の昨年12月末日現在の状況は、高校生の就職内定率は95.0%で、大学生の就職内定率は82.2%となっています。県内就職内定者の割合は、高校生が64.4%、大学生が43.9%となっています。また、県内就職内定率は、高校生が93.2%で、前年同期比1.2ポイント低下、大学生が76.3
%で、前年同期比1.6ポイントの低下となっています。
人手不足、人材確保が全国的に課題となっていますが、本県においては依然として若年者の進学、就職による県外への流出が続いています。地域産業の振興のためには、重点的に人材の確保や育成を推進する必要がありますが、新卒者の県内就職についての考えを伺います。
〇商工労働観光部長(菊池哲君) 人口減少社会が進行する中で、活力ある地域経済を維持し発展させていくためには、人材の確保や育成を推進していくことが必要であります。また、昨年の若年者雇用動向調査によると、県内学生で岩手県出身者の約7割が県内就職を希望していることもありまして、県では、地元を知ろう、地元に残ろう、地元に帰ろうの3本の柱で県内就職を促進することが重要と考えておりまして、いわてで働こう推進協議会では、この3本の柱を共有し取り組みを構成しております。
まず、地元を知ろうの観点では、これまでも地元企業や就職支援情報の発信に取り組んでまいりましたが、来年度は、市町村等と連携した小中学校における地域の産業や企業に関心を持ち知ってもらう取り組みや、学校の場での保護者等を対象とした企業説明会などの取り組みを強化し、小中学生や保護者に対する地元の産業、企業の認知度向上に取り組んでまいります。
次に、地元に残ろうの観点では、これまでも広域振興局等に配置している就業支援員による取り組みに加えまして、来年度は、新たに人材育成・定着支援員を県内各地域に配置し、いわゆる就職のミスマッチの解消も含め、人材の育成、定着に取り組んでまいります。
次に、地元に帰ろうの観点では、これまでも本県企業でのインターンシップの実施等に取り組んでまいりましたが、来年度は首都圏の大学等を対象に、岩手U・Iターンクラブを新たに設置し、大学側の協力のもと、学生のU・Iターン就職の拡大を図るなど、県外からの人材確保にも取り組んでまいります。
これらを総合的に推進することによりまして、新卒者の県内就職促進に取り組んでいく考えであります。
〇6番(柳村一君) 今の答弁ですと、7割の人が県内で就職したいということで、新しい取り組みで、知ろう、残ろう、帰ろうということをやっているということですが、実際問題、県立大学生とこの前話す機会がありまして、総合政策学部の4年生の学生は、県内のいろんな企業を調べたのですけれども、自分に合うというか目指すものがないということで、ネットで調べたところ、千葉県にいいところがあったというので、そっちに行くのですよという話がありました。また、ソフトウェア情報学部の方もやはり県内では難しいということで、県外に出ざるを得ないと言っていますけれども、将来的には戻ってきて起業したいという考えがあるようでありまして、そういう方にとっては、この帰ろうという取り組みが今後きいてくるのだと思いますので、そこら辺はしっかりやってもらいたいと思います。
あと、看護学部の学生は、スキルアップするためには県外に出るしかないという話です。資格を取って就職しても、そのスキルより上のレベルで働ける場所が岩手にはないということをおっしゃっていました。それを考えると、先ほど言いました大学改革の部分であるとか、広域振興局での稼げるまちづくりという部分で、受け皿をどんどんつくって広げていかないと、7割の学生が残れる岩手県にはならないと思いますので、そこら辺をしっかりとやっていただきたいと思います。
次に、シニア就労について伺います。
2017年3月の働き方改革実行計画では、高齢者の就業促進が検討テーマの一つとされました。65歳以降の継続雇用延長や65歳までの定年延長を行う企業への支援を充実し、将来的に継続雇用年齢等の引き上げを進めていくための環境整備や、多様な技術、経験を有するシニア層が、一つの企業にとどまらず、幅広く社会に貢献できる仕組みを構築するための施策等が対応策として盛り込まれました。
少子高齢化が進み将来の人手不足が懸念される中、シニア層の活用が重要な課題となります。年金支給開始年齢の引き上げで、より長く働きたいと考える人はふえています。
そこで、シニア層が活躍できる雇用に対する環境整備、仕組み、制度導入などの考えについてお伺いします。
〇商工労働環境部長(菊池哲君) 国におきましては、働き方改革実行計画によりまして、年齢にかかわりなくエイジレスに働ける社会の実現に向けて、まず、環境整備の面では、65歳以降の継続雇用延長、65歳までの定年延長を行う企業への助成措置の強化、継続雇用延長や定年延長の手法を紹介するマニュアルや好事例集を作成し、企業への働きかけ、相談、援助の実施などを行っております。
また、仕組みづくりの面では、ハローワークにおいて、年齢にかかわりなく働ける企業の求人を開拓し、その求人票を見える化することや、経済団体等と連携した、U・I・Jターンし、その地方で働くための全国マッチングネットワークの創設などに取り組んでおります。また、制度導入の面では、継続雇用年齢等の引き上げに係る制度のあり方の再度の検討など、現在、取り組みを進めていると伺っております。
そのようなことから、県といたしましては、岩手労働局等と連携しながら取り組んでいくことが重要であると認識しておりまして、具体的には、岩手労働局や市町村と連携した経済団体に対する雇用確保の要請活動、事業主に対する継続雇用制度や助成金等の活用促進などの周知、広域振興局等に配置している就業支援員による高齢者の就業に向けた相談対応などに取り組んでいるところでありまして、また、公益社団法人岩手県シルバー人材センター連合会に対する運営費につきましても、今年度から増額措置して支援を強化しているところでございます。
今度とも、より一層、高齢者のニーズに応じた多様な就業機会が提供されるなど、エイジレス社会の実現に向けて、県としても高齢者の就労の促進に努めていく考えであります。
〇6番(柳村一君) 私もそろそろそういう歳に近づいてきますので、こういう整備はしっかりやっていっていただきたいと思うのでありますが、例えば介護の現場などで、フルタイムでは働けないですけれども、お年寄りに寄り添う仕事とか、そういう部分では、年代が近いほうが話も合ったりする部分もありますし、気持ちもよくわかるという部分で、そういう新しい職場に対応するような職種みたいなものも関係機関と話し合っていかなければいけないようなこともあると思います。
商工労働観光部の部長だけが考えることではなくて、やはり健康、福祉であったり、いろいろな分野の中で協力しながら、そういう雇用の場を広げていくということが重要だと思います。知っている方で、退職なさって70歳近くになっても、パートタイムで保育士をやっている方がいらっしゃったりとか、働く意欲のある人はまだまだ元気でありますし、そういうことによって、逆に言えば健康寿命も延びるわけでございます。そういうことで相乗効果が生まれるわけですので、ぜひとも、このシニア就労についても今後とも検討していただきたいと思います。
次に、地域防災力についてお伺いいたします。
東日本大震災津波という未曽有の大災害を初め地震や局地的な豪雨等による災害が各地で頻発し、住民の生命、身体及び財産を災害から保護するための地域防災力の重要性が増大しています。
しかし、少子高齢化の進展などにより、地域における防災活動の担い手を十分に確保することが困難となっています。2013年12月に、消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律が定められ、地域防災力の充実強化に関する計画の策定、消防団の強化、地域における防災体制の強化などについて規定されましたが、地域防災力の充実強化への考えを伺います。
消防団の確保について、まずお伺いします。
消防団は、みずからの地域はみずからで守るという郷土愛護の精神に基づき、地域防災力の中核として地域の安全・安心を守っております。消防団の充実強化に向けてはさまざまな取り組みが行われていますが、消防団員数は年々減少している現状です。災害が多様化し、今後、大規模地震等の発生も危惧されており、消防団員の確保に向けた取り組みは不可欠です。
ことし1月9日の消防庁の消防団員の確保方策等に関する検討会報告書では、消防団の役割の多様化への対応、多様な人材の活用に向けた工夫、消防団員の活動環境の整備について公表されました。
そこで、地域防災力の充実強化に資する消防団員の確保の考えについてお伺いします。
〇総務部長(佐藤博君) 消防団員の確保は喫緊の課題であると認識しておりまして、県では、消防団への加入促進、特に若者や女性の加入促進を図るため、各種媒体を活用した広報や、昨年度からいわて男女共同参画フェスティバルにおける分科会を開催して周知を図り、本年度は、国、花巻市と地域防災力向上シンポジウムを開催するとともに、地域で消防団を応援するいわて消防団応援の店登録事業を新たに実施しています。
また、県内市町村におきましても、消防団協力事業所表示制度や機能別団員制度による団員確保に加え、学生消防団活動認証制度の導入や、新採用職員の体験入団などの新たな取り組みを進めているところです。
今後も、市町村や県消防協会、商工団体や事業所等と連携し、消防団に係る県民の理解促進を図り、消防団員の確保に向けて取り組みを進めてまいります。
〇6番(柳村一君) 前にもお話ししましたけれども、例えば、若者ということで大学生の活用などもいいと思いますし、県のほうで新採用の職員の研修みたいなものも行っているということでしたけれども、大学生とか若い人、女性について、消防団に関心があるかどうかという、そこら辺の感触的なもの、把握しているものはあるのでしょうか。あればお答えいただきたいと思います。
〇総務部長(佐藤博君) 県内の大学生あるいは専門学生の入団状況を見ますと、平成29年4月現在で17人と、これはまだ少ない状況でございます。また、県職員の入団状況も見ますと、約100名程度ということでございますが、そういった若い大学生であるとか職員に対しての啓発といいますか、その意識づけというものは非常に大事なことと存じます。
2月の初めに花巻市で、地域防災力向上シンポジウムが県内から450名ほど参加して開催されましたが、そこでは、県立大学の学生がパネリストとして参加して、いろいろな活動を報告しました。そして、その場で、そのパネリストは消防団員になりたいとお話をされておりました。そういった若い方々への周知を図る機会というのはなかなか少ないのかもしれません。
一方で、県立大学でも、大学祭の際に消防団PRコーナーというものも設けて関心を呼ぶような形をとっております。そういった取り組みを通じて団員確保に向けて努力してまいりたいと考えてございます。
〇6番(柳村一君) 学園祭のPR活動に、一昨年、私も出ましたけれども、大学生には見向きもされず、お子さん連れの若い人たちが関心を持っていました。やはり大学生は学問するのが当然でありますでしょうし、県職員も仕事が重要だと思いますけれども、団員がどんどん高齢化して、中間層もいないという状況がこのまま続いていくと、消防団確保が本当に大変な状況になると思いますので、今後とも機会を見つけて消防団確保に取り組んでいただきたいと思います。
次に、大規模災害団員について伺います。
消防団員の確保方策等に関する検討会報告書では、大規模災害時のマンパワー確保に係る課題への対応において、大規模災害時に限定して出動し、基本団員だけでは対応できない役割を担う大規模災害団員の枠組み例を示し、各地方公共団体での導入を促進するとしております。
大規模災害団員は、大規模災害時に限り出動するとしており、風水害で被害が広範囲に及び、避難勧告の発令や避難所開設等が必要な場合や、地震、津波などでは震度5以上で津波警報が発表され、避難所開設が必要な場合などを想定しています。
活動内容は、大規模災害時に新たに業務が生じる場合に限定し、基本団員が消火、救助、警戒活動等を集中して行う間に、それ以外の災害情報の収集、報告、住民への伝達や避難誘導、安否確認、避難所運営支援などの活動を担うとしています。
このほか、重機を活用した啓開活動や、ドローンやバイクを活用した情報収集活動、水上バイクを活用した水難救助活動など、民間で所有する資機材を活用した活動なども想定しています。また、活動は大規模災害時に限るため、基本団員より低報酬ですが、出動手当や公務災害補償は団員と同等に受けられるとしています。
以上、大規模災害団員の概要はあくまで一例であり、地域によって運用が異なり得ることに留意するとされていますが、大規模災害団員に対する県の考え方をお伺いします。
〇総務部長(佐藤博君) 東日本大震災津波や平成28年台風第10号災害の教訓を踏まえまして、大規模災害発生時における消防団員の確保は重要な課題であると捉えてございます。
今回示されました大規模災害団員の枠組みは課題解決の一つになるものと考えております。
具体的には、大規模災害団員のなり手として、消防職員OBあるいは団員OB、自主防災組織のメンバー、さらに重機やドローンといった特殊な資機材を保有する事業所の関係者など幅広い人材を想定しておりますので、今後、市町村に本制度の周知や全国における実例の紹介などを進めまして、それぞれの地域の人材を生かした防災力の充実を促進していきたいと考えております。
〇6番(柳村一君) 今のところ、県としては周知に徹するという部分でいいのでしょうね。わかりました。
消防団員が少ない中で、大規模災害団員というものの重要性というのは今後出てくると思います。かといって、大規模災害を待っているというだけでは難しい部分が、モチベーションというわけではありませんけれども、大規模災害時にいざ出動しろといっても、なかなか難しいことがあるので、県としても、どのような対応をするべきかというのを、周知ではなく、県の大規模災害団員のあり方の提言みたいなものを市町村にするべきではないかと思っておりますし、そのときに重要なのが自主防災組織とのかかわりだと思いますので、次に自主防災組織についてお伺いします。
大規模地震等の発生から住民の命と生活を守るためには、自主防災組織が不可欠です。非常時において自主防災組織は、地域をよく知っているため細やかな対応ができる、現場の近くにいるため迅速な対応ができるという利点があります。地域の顔の見える関係を生かして非常時の活動を展開して、公助の手の届かない部分を補うことができます。
本県の2017年4月現在の自主防災組織の状況は、組織数2、236、隊員数70万2、326人、組織率85.3%となっております。県内15市町が100%の組織率ですが、7市町村が50%以下の組織率となっています。
自主防災組織は、災害時に避難誘導や安否確認、さらには避難所運営などをコミュニティー主体で進めることも期待されています。また、高齢者や障がい者などの要支援者を支えるためにも、自主防災組織は重要な役割を果たします。
そこで、地域防災力の充実強化のための自主防災組織の組織化や育成に対する考えをお伺いいたします。
〇総務部長(佐藤博君) 大規模災害に対応する地域防災力として、地域コミュニティーの果たす役割は大きいと考えております。自主防災組織の組織化や活性化の取り組みを昨年の9月補正で予算措置してから取り組んでおりますが、具体的には、今年度、組織率の低い市町村に直接出向きまして、組織化を進めるための方策を協議しているところでございますし、自治会関係者を対象とした研修会に地域防災サポーターを講師として派遣しております。その中で、自主防災組織の重要性や役割について理解を深めていただき、組織の立ち上げを促しているところです。
また、自主防災組織の活性化を進めるため自主防災組織活性化検討会議を設置しておりますが、ここでは県内全ての自主防災組織を対象とした実態調査をしておりまして、この調査結果をもとに、平成30年度は自主防災組織活性化モデル事業あるいは自主防災組織リーダー研修会といったものを展開しまして、地域性を生かした組織活性化のモデルづくりと県内への普及を進め、市町村と連携しながら自主防災組織の活性化を進めていきたいと考えております。
〇6番(柳村一君) 自主防災組織率50%以下の市町村の原因というか、どうして上がってこないかという理由みたいなものは把握されているのでしょうか。
〇総務部長(佐藤博君) 組織率の低い市町村でございますが、地域的に見ますと、県北・沿岸部の市町村という状況になっております。そして、それぞれの団体の組織率の推移を見てみますと、当初から組織率が低いところは徐々に上がってきておりますが、まだ50%を超えるに至ってないというところがございます。一方では、かつては90%台、あるいは50%を超える組織率があったにもかかわらず、その後、東日本大震災津波があったということがございまして、組織率が低くなってしまっているという状況のところもございます。
そういったところで、今回のアンケート調査によりまして組織の状況を確認したところ、9割以上の自主防災組織が自治会と同一であるということがわかりました。議員御指摘のように、コミュニティーと同一、コミュニティーの活動がしっかりしているところということでございますので、ことし1月の市長、町村長を対象にしましたトップセミナーでそういった状況も説明しまして、取り組みの強化についてお願いしたところでございます。
〇6番(柳村一君) 多分、そこら辺の原因というのは、中山間地域の高齢化の問題とか、そういうものがやはり絡んでくるのだと思います。
そこで、先ほども言った小さな拠点づくりという部分の観点も踏まえながら、さまざまな問題が出てくるわけです。交通だったり、コミュニティーだったりとか人口減少、そういう部分で県としても主体性を持って地域に指導できるような体制をつくっていかなければいけないと思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、地域包括ケア病棟についてお伺いいたします。
地域包括ケア病棟は、2014年度診療報酬改定で、急性期と在宅の橋渡し役として新設された病棟で、病院からの在宅復帰や在宅患者の支援など、地域包括ケアシステムにおける中核的な役割を担う機能を持つ病棟です。急性期後の治療や回復期のリハビリを要する患者、軽度、中等度の急性期患者の緊急入院、短期滞在手術、糖尿病教育入院、医療必要度の高いレスパイトケア等の患者を受け入れ、最高60日を目安に在宅生活復帰を目指します。
高齢者がふえる中で医療と介護を複合化し対応できる体制づくりが必要であり、その重要な位置に地域包括ケア病棟があります。住まい、医療、介護、予防、生活の支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築の実現において、在宅医療や急性期病院から患者を受け入れる地域包括ケア病棟を効果的、効率的に運営していく必要があります。
そこで、地域包括ケア病棟と地域医療とのかかわりについての考えをお伺いいたします。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 地域包括ケアシステムの構築に向けて、地域において急性期の医療から在宅医療、介護に至るまでの一連のサービスが適切に確保されることが必要であり、地域包括ケアシステムを支える地域医療の提供体制が求められていると考えております。
地域包括ケア病棟は、議員御指摘のとおり、回復期機能を主とし、介護施設や在宅からの急変時の受け入れ等の機能も有する病床として位置づけられており、地域において医療と介護の総合的な確保を図る上で重要な役割を担うことが期待されますことから、県では、地域医療介護総合確保基金を活用し、急性期機能や慢性期機能の病棟から地域包括ケア病棟への転換を図る医療機関に対して財政支援を行うなど、回復期機能の病床の充実に向けて取り組むこととしております。
〇6番(柳村一君) 二次医療圏で県立病院の占める位置というのは大きいと思います。県立病院の中でも地域包括ケア病棟を併設しているところがありますけれども、今後、県立病院と二次医療圏の地域包括ケアシステムという部分では、最終的には病棟を減らしていく方向にはあると思うのですけれども、ここの地域包括ケア病棟については、地域包括ケアシステム上、なくてはならない病棟になると思いますので、そこら辺の医療計画との兼ね合いはどのようなお考えなのでしょうか。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 県では、回復期を初めとする地域二次医療圏で不足する病床機能を確保するためにも、先ほど申し上げました病床転換施設設備整備事業費補助によりまして、地域包括ケア病棟への病床機能転換等財政支援を行っているところでありまして、議員から御指摘のありましたとおり、県立病院においても、東和病院、大船渡病院に加えまして、千厩病院、久慈病院、軽米病院等において、地域包括ケア病棟または地域包括ケア病床の取り組みが進んでいるところでございます。
〇6番(柳村一君) 地域包括ケアシステムで在宅復帰とか在宅生活に向けていくときに、回復期という部分でリハビリというのが重要になってくると思います。そのときに、二次医療圏でもリハビリというのは施設に入らないとなかなか受けられないとか、そういう部分があります。最近ではデイケアサービスでリハビリをうたっているところもふえてきていますけれども、そうなってくると、県立病院の役割というのは重要になってくると思いますので、今後、地域の包括ケアシステムとの兼ね合いを見ながら、しっかりと地域医療を担っていただきたいと思います。
次に、介護医療院についてお伺いいたします。
医療制度改革に伴い、2012年3月までに廃止するとしていましたが、その受け皿の整備が進んでいないため、2018年3月まで猶予された介護療養病床の廃止が2024年3月まで延期されました。
廃止後は、身体機能や医療の必要度によって、施設基準が、介護療養病床に相当する介護医療院の1型、また、介護老人保健施設に相当する介護医療院の2型、施設基準が医療機関と有料老人ホームに相当する医療外付け型の3種類が受け皿になります。
介護療養病床からの新たな受け皿の創設になる介護医療院は、医療ニーズの高い認知症高齢者の利用を想定した施設で、医師や薬剤師の人員配置が手厚い1型と、老人保健施設並みの配置の2型に分かれる見通しです。また、介護療養病床の経過措置期間が2024年3月まで6年間延長され、病院または診療所から介護医療院に転換した場合には、転換前の病院または診療所の名称を引き続き使用できるとされています。
介護医療院は、主として長期にわたり療養が必要である要介護者に対し、療養上の管理、看護、医学的管理のもとにおける介護及び機能訓練、その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とした施設で、日常的な医学的管理が必要な重度の要介護者の受け入れ等の機能に加え、生活施設としての機能を兼ね備えた施設となるとしています。また、療養室、診察室、処置室、機能訓練室等、都道府県が条例で定める施設や医師及び看護師等の都道府県の条例で定める員数の従業員を有しなければならないとされています。
県では、この介護医療院をどのように捉え、どのように対応していくつもりなのか、考えをお伺いいたします。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 介護医療院は、高齢化の進展により増加が見込まれる慢性期の医療と介護のニーズをあわせ持つ高齢者に対応する施設として新たに創設される介護保険施設であり、中重度の要介護高齢者にも適切な医療と介護のサービスを切れ目なく提供できることから、地域包括ケアシステムを深化、推進していく上で重要な施設になるものと考えています。
また、介護医療院は、廃止期限が6年間延長された介護療養病床等の転換先の一つとして想定されておりまして、国において転換促進策が講じられることから、県としても、関係医療機関に対して、介護医療院への転換に資する情報を提供するなど、介護療養病床等からの転換が進むよう支援してまいります。
〇6番(柳村一君) 実際問題として、介護療養病床から介護医療院に転換していくという病院は、全部そうなっていくものだと考えておられるのでしょうか。現時点でわかるところだけでいいですので、お聞かせください。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 県内に介護療養病床は現在315床ございますが、昨年9月に、県内の介護療養病床等を有する病院等に転換意向調査を行ったところ、平成32年度末が第7期の介護保険計画期間の終期でありますけれども、そこまでに介護医療院への転換を予定していると回答がありましたのは、先ほど介護療養病床315床と申し上げましたが、それに医療療養病床を加えた2、481床中、60床が転換を予定していると回答があったところでございます。ただ、今般、施設であるとか人員の基準、介護報酬が示されたことに伴いまして、今後、転換を検討する病院等は増加するものと思われますので、県としては、そうした情報提供なりをしながら、転換についての支援を行ってまいりたいと考えているところでございます。
〇6番(柳村一君) 7対1から介護医療院になりますとかなり緩和はされるわけで、そうなってくると、看護師の部分とか、薬剤師、あとは回復期などのリハビリの理学療法士、作業療法士の需要が必要になってくると思いますけれども、県の今の供給と今後の見込みについて、転換していくときに不都合みたいなものがあるのかどうか、今わかっているところでお伺いできればと思います。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 先ほど申し上げましたとおり、第7期の介護保険計画を今市町村のほうで取りまとめをしておりますので、その中で、介護保険事業計画を策定する際に、関係する医療機関の転換意向を踏まえた上で、介護サービス量を見込むよう保険者を指導しているところでありまして、その中で、介護療養病床または医療療養病床からの転換ということが出てきた場合に、県としても支援をしていきたいという考え方でございます。
〇6番(柳村一君) 7期がまだしっかりとできていないので、今後を見据えて地域包括ケアシステム及び介護の岩手県のしっかりした対応をお願いしたいと思います。
次に移ります。子育て支援についてお伺いいたします。
まず、子供の貧困の実態と貧困対策についてお伺いいたします。
貧困には、相対的貧困と絶対的貧困があるとされております。相対的貧困とは、相対的に見て貧困という意味で、周りと比べたときに、生活水準が低い層または個人のことを指します。具体的には、所得の中央値の半分を下回っている人が陥っている経済状態を指します。絶対的貧困とは、国際機関で用いられる貧困の程度で、絶対的貧困の基準は国や機関、時代によって異なります。日本の相対的貧困率は約16%で、6人に1人が貧困という状態になっています。しかし、周囲を見渡せば、全員がスマートフォンを持って普通の生活を送っているように見えます。
日本の貧困の最大の問題は、将来への投資をする経済力がないということで、教育や将来への投資を行うことの難しさが問題となっております。専修学校、短大を含む大学等の進学率は、全世帯の平均が73.5%であるのに対し、ひとり親家庭では41.6%、生活保護世帯は32.9%と、半分以下の数字になっています。大学を卒業すれば将来が安泰という時代ではありませんが、貧困層は、子供が大学へ進学するための資金が捻出できないという状況です。
子どもの貧困対策の推進に関する法律が成立してから4年たちます。その内容は、年1回、子供の貧困や対策の実施状況を公表する。子供の貧困対策を総合的に推進するため、大綱を政府が作成する。大綱には、子供の貧困率や生活保護世帯の子供の高校進学率などの指標を改善するための施策、教育や生活支援、保護者の就労支援などを定める。国と地方自治体は、貧困家庭の就学や学資の援助、学習支援といった教育支援に取り組む。都道府県は、子供の貧困対策についての計画を策定するよう努める。国の子供の貧困対策会議の設置というもので、貧困率削減の数値目標は盛り込まれず、具体的な経済支援もないものになってしまいました。
そもそも、子供が貧困状態にある問題の根本は親の貧困であり、親の貧困についても対策を考える必要があります。
そこで、本県の子供の貧困の実態と貧困対策について、知事に考えをお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 県では、これまで、生活保護世帯の子供の割合など、公的支援の対象となっている子供に関する統計資料等によって、子供の貧困の状況の把握に努めてまいりました。子供の貧困対策を効果的に推進するためには、子供のいる家庭の実態を把握することが必要でありますことから、県では、来年度、小学生、中学生のいる世帯の就業、収入の状況や生活状況等を把握するための調査、困窮世帯の生活実態や公的支援の利用意向等を把握するための調査、そして子育て世帯の支援ニーズを明らかにし、個別支援につなげるための調査、この3種類の幅広く詳細な子供の生活実態調査を実施するための経費、また、子供の支援に取り組む団体のネットワーク化を図り、官民一体となった支援を行うための経費を当初予算案に盛り込んだところであります。
また、小学生を対象とした学習支援にあわせて、子供が基礎的な学習習慣などを習得できるよう親への養育支援等も行い、家庭全体への支援を行う取り組みをモデル的に実施することとしています。
こうした取り組みとあわせまして、いわての子どもの貧困対策推進計画に基づく教育の支援、保護者に対する就労の支援、経済的支援などの重点施策を着実に推進しながら、子供の将来がその生まれ育った環境に左右されることなく、自分の将来に希望を持てる社会の実現に向けて、子供の貧困対策を総合的に推進してまいります。
〇6番(柳村一君) 2月11日に、たきざわ政策セミナーで知事の講演をいただきましてありがとうございました。その中で、今の政治に欠けているのは、10年先、20年先を見据えた政策がないということで、子供の貧困につきましても、今、民間で子ども食堂をやっていたり、医療費の現物給付、高校の無償化、返還不要の奨学金など、さまざまな対策がその場その場で繰り広げられていますけれども、根本的には、貧困対策にはつながっていかないのではないかと思います。10年、20年先の子供の貧困対策に向けてどのような考え方をしていけばいいのか、もし知事の所感がございましたらお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 岩手県といたしましては、まず生活実態調査を行って、その結果も踏まえながら、新たな支援施策の検討を行うなどしてまいりますけれども、やはり暮らしの現場、仕事の現場というのは地方にあるわけでありまして、子育て支援、その中でも子供の貧困対策ということも地方の現場の中で進めていくことが大事だと思います。そういった地方自治体によるきめ細かな、また、大々的な子供の貧困対策のためには一般財源、地方が自由に使える財源が充実することが大事で、地方交付税交付金の厚みを確保していくということが、これは、過去、リーマンショック対策などで行った際に人口減少への歯どめにもなったところでありまして、そういった大きく地方自治体に力をつけていくような政策が求められると考えます。
〇6番(柳村一君) ぜひとも、岩手県から、達増知事が発信するさまざまな政策において、国の手本となるような政策を期待しております。
次に、保育所の広域利用についてお伺いします。
政府はことし2月6日に、待機児童解消に向け、子ども・子育て支援法改正案を閣議決定いたしました。近隣の市区町村間で利用者を調整し、自治体の枠を超えた広域利用を促すことが柱です。企業が負担して保育所整備などに充てる事業主拠出金も引き上げるとし、今国会で成立させ、4月1日の施行を目指すとしています。
保育所の利用は、原則、保護者が暮らす市区町村にしか申請できませんが、改正案では、都道府県が調整役となって保育所の広域利用を推進するとしています。具体的には、都道府県が中心となり、関係する市区町村の担当者や保育事業者、有識者らで構成する(仮称)待機児童対策協議会を設置し、自治体間の広域利用の推進を検討するほか、保育所の整備計画、保育士の確保、育成策を話し合うとしています。
そこで、子ども・子育て支援法改正案における保育所の広域利用について県の考えを伺います。
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) 保育所の広域利用についてでありますが、子ども・子育て支援法では、保育の実施主体は市町村とされており、県の役割は、市町村間の調整が整わない場合など、市町村からの要請に基づき広域的な調整を行うこととされていますが、国においては、待機児童解消の促進に向け、議員御紹介のとおり、県への協議会設置を可能とするなどの法改正が検討されているところであります。
保育所の広域利用について県内市町村の実施状況を調査したところ、保護者の実情などに応じて、既に市町村間の調整が日常的に行われておりまして、平成30年1月1日現在、32市町村において、延べ98市町村間で737人の広域利用が行われているとの回答がありました。県では、これまで、市町村からの要請に基づき広域調整を行った実績はありませんが、紫波町と矢巾町とが個別に協定を締結して、紫波町内にある病児保育施設を矢巾町の方が利用している事例があり、その協定締結に当たっては、費用負担の方法など具体的な実施方法について助言等を行ったところであります。
今後においても、法改正の動向を踏まえ、広域調整において必要な役割を果たしていく考えであります。
〇6番(柳村一君) 結構、もう、やられているということで、知っている方でも、働きに行くときに、働きに向かうのと反対側の保育所に預けなければいけないとか、そういうのは何とかならないのかという話はありますし、働き方改革のそういう部分はどんどん手当てしていくべきだと思いますので、今後も県としてしっかり支援していただきたいと思います。
次に、学校における働き方改革についてお伺いします。
昨年12月に中央教育審議会は、新しい時代の教育に向けた持続可能な教育指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(中間まとめ)をまとめました。
このまとめでは、学校、教師が担う業務の明確化を通じた役割分担と業務の適正化、学校が作成する計画等の見直し、学校の組織運営体制のあり方、勤務時間に関する意識改革と制度面の検討、学校における働き方改革の実現に向けた環境整備という観点において取り組むべき具体的な方策が示されました。文部科学省は、これを踏まえて、文部科学省が中心的に実施していく内容を緊急対策として取りまとめ、着実に実施していくとしております。
そこでまず、学校及び教師が担う業務の明確化、適正化について伺います。
中間まとめにおいては、代表的な業務のあり方に関して考え方が示されました。この考え方を踏まえ、学校、教師が担うべき業務の範囲が学校現場や地域、保護者等に共有されるよう、学校や教師、事務職員等の標準職務を明確化し、各教育委員会の学校管理規則に適切に位置づけられるよう、モデル案を作成し提示するとしました。14業務の位置づけを3分類し、業務の軽減とともに、教育委員会などが勤務時間の管理を徹底する必要性を指摘していますが、この業務の明確化、適正化に対する考えをお伺いします。
〇教育長(高橋嘉行君) 教職員が児童生徒に丁寧にかかわりながら、質の高い授業や個に応じた学習指導に情熱を持って当たっていくためには、教職員の業務負担軽減策を総合的かつ主体的に講じていくことが喫緊の課題と認識いたしております。
このような考え方のもとに、県教育委員会では、これまで、それぞれの学校や地域の実情に応じた役割分担の明確化とその適正化に取り組み、研究指定の重点化や精選、会議や調査の厳選などの取り組みに加え、少人数学級の推進や、すこやかサポートの非常勤職員の配置などに取り組んできたところでございます。
県教育委員会におきましては、議員御案内の中央教育審議会の中間取りまとめや文部科学省の緊急対策等を踏まえ、来年度予算案において、タイムカードの導入や教員の業務支援を行う非常勤職員の配置、地域人材を活用した部活動指導員の配置、教職員の健康確保策の充実などに取り組むとともに、時間外勤務の削減目標を含めた本県版の教員の働き方改革プランを策定し、総合的な対策を講じていきたいと考えておりますが、その具体的な取り組みに当たりましては、学校関係者の十分な御理解をいただきながら、力を入れて取り組んでいきたいと考えております。
〇6番(柳村一君) 次の質問まで答えられたような気がしますけれども、14の業務と三つの種類に分けたという部分でお伺いしたいのですけれども、中央教育審議会の取りまとめの14の業務と3分類というのは妥当性があるとお考えでしょうか。教育現場的にはどのような考えでいらっしゃいますでしょうか。
〇教育長(高橋嘉行君) 今回の中間取りまとめ等におきましては、具体的な業務として、学校が担うべき業務、そしてまた、将来的に担うべき業務というコアなもののほかに、地域の理解をいただきながら地域のほうで担っていただく業務等、議員御案内の14の分類を示したということでございます。
具体的に申し上げますと、例えば、学校の登下校時の見守り活動というようなことが代表例として挙がっておりますけれども、岩手県の多くの学校では、例えば交通指導員ですとか、まさにそういうものが、自治会の皆様の御協力をいただきながら積極的に推進されてきているということがございます。そういうことを今後とも理解をいただきながら御協力いただきたいということでございますけれども、その辺の整理をするに当たって、一方的に学校側から、こういうことを地域それから別の人たちにお願いしますということだけではなかなか浸透することがないと思いますので、その辺の話し合いも十分に進めながら、それぞれの地域の実情でありますとか、学校の現状等を踏まえた適切な対応がされるように、県教育委員会として市町村教育委員会等に働きかけを行いつつ、アドバイスをしていきたいと考えております。
〇6番(柳村一君) 岩手県は県土が広いので、それぞれの教育委員会においてさまざまな問題があると思いますので、しっかりと対応をお願いしたいと思います。
次、勤務時間のあり方に関する意識改革と制度面の検討について伺います。
勤務時間の管理については、厚生労働省において、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインが示され、使用者は、労働者の労働日ごとの始業、終業時刻を確認し、適正に記録することとされており、労働基準法上、校長や服務監督権者である教育委員会等に求められている責務であること等を踏まえて、教師の勤務時間を的確に把握し、勤務時間管理に当たっては、極力、管理職や教師に事務負担がかからないように、服務監督権者である教育委員会等は、自己申告方式でなく、ICTの活用やタイムカードによる勤務時間を客観的に把握し、集計するシステムを直ちに構築するよう促すとしています。
先ほどもタイムカードの導入みたいなことを話されていましたが、勤務時間のあり方に関する意識改革と制度面の検討についての考えをお伺いいたします。
〇教育長(高橋嘉行君) 今回の中間まとめでは、教員が限られた時間の中で力を発揮して、最大限の効果を上げるために、働き方改革の推進と意識改革の必要性が示されております。また、教員の勤務時間に対しては、法令上、原則的には超過勤務命令を行わないこととされておりまして、その勤務の多様性に対しては教職調整額という給与上の措置が講じられ、給与制度上、超過勤務の記録を行うこととされていないこととなっております。
県教育委員会におきましては、これまで、県立学校及び小中学校において、教員の時間外勤務の自己申告による通年での把握を進め、勤務時間の適正化に向け取り組んできたところでありますが、先ほど申し上げたとおり、来年度、県立学校にタイムカードを導入して客観的な把握を行って、管理職のリーダーシップによる業務改善等をさらに推進し、それから、全ての教職員の勤務時間に対する意識の一層の醸成に取り組んでいきたいと考えております。
また、この中間まとめにおきましては、教員の給与等に関する特別措置法での教職調整額のあり方についても議論を進める必要があるという方向が示されておりますので、国における今後の検討の動向も注視しつつ、本県における対応を検討していきたいと考えております。
〇6番(柳村一君) 教育現場も教育環境というのは大変だと伺っておりますので、県教育委員会としても、学校の先生たちに対する教育現場をしっかりと改善していただきたいとお願いしまして終わります。(拍手)
〇副議長(五日市王君) この際、暫時休憩いたします。
午後4時13分 休 憩
出席議員(46名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 臼 澤   勉 君
3  番 千 葉 絢 子 君
4  番 ハクセル美穂子 君
5  番 菅野 ひろのり 君
6  番 柳 村   一 君
7  番 阿 部 盛 重 君
8  番 佐 藤 ケイ子 君
9  番 佐々木 宣 和 君
10  番 川 村 伸 浩 君
11  番 田 村 勝 則 君
12  番 工 藤   誠 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 吉 田 敬 子 君
15  番 佐々木   努 君
16  番 千 葉   進 君
17  番 佐々木 朋 和 君
18  番 名須川   晋 君
19  番 軽 石 義 則 君
20  番 神 崎 浩 之 君
21  番 城内 よしひこ 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 佐々木 茂 光 君
24  番 高 橋 孝 眞 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 工 藤 勝 博 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 高 橋   元 君
32  番 関 根 敏 伸 君
33  番 岩 崎 友 一 君
34  番 中 平   均 君
35  番 五日市   王 君
38  番 斉 藤   信 君
39  番 小野寺   好 君
40  番 飯 澤   匡 君
41  番 佐々木 順 一 君
42  番 田 村   誠 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 工 藤 勝 子 君
45  番 柳 村 岩 見 君
46  番 千 葉   伝 君
47  番 工 藤 大 輔 君
48  番 樋 下 正 信 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時33分再開
〇副議長(五日市王君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
〇副議長(五日市王君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〇副議長(五日市王君) 日程第1、一般質問を継続いたします。佐々木宣和君。
〔9番佐々木宣和君登壇〕(拍手)

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