平成30年2月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録

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〇32番(関根敏伸君) 改革岩手の関根敏伸でございます。
一般質問の機会を与えていただきましたことに感謝申し上げ、通告に従い順次質問をさせていただきます。
まず、今後の税収見込みについて伺います。
現在審議中の通常国会には、平成30年度税制改正案が提案されております。個人所得課税とたばこ税の見直しとあわせ、地方消費税の清算基準の抜本的な見直しと、いわゆる森林環境税と森林環境譲与税の創設が含まれており、地方税収にとって大きな変化が生じてまいります。
地方消費税清算金については、清算基準が、売り上げ等の統計カバー分と人口をそれぞれ50%とする基準に見直され、県の当初予算では39億円、8.9%増加すると試算されております。
森林環境税については、市町村と都道府県に対し9対1の割合で全額を森林環境譲与税として譲与することとしておりますが、当面は2割が都道府県に譲与されることとなり、配分基準は、私有人工林面積や林業従事者数割合等により森林自治体に手厚く配分されることになります。さらに、偏在の大きい法人2税を中心に、都市部と地方の自治体間での水平移動なども行われております。
森林環境税については、今後、いわての森林県民税との関係をどうするのかとの議論も出てくると思われますが、受益と負担のあり方を含めた税の議論をしっかりとしながら、県の森林林業政策をどうすべきか考えるよい機会になるのではないかと考えております。
そこで伺いますが、まず、県としてこのような税の改正の方向性をどのように評価しているのか伺います。仮に消費税増税と清算基準の見直し、森林環境税創設やたばこ税の見直しが行われた場合、県の税収額がどのようになっていくと試算されているのでしょうか。また、県税については、東日本大震災津波発災後に比較し300億円以上の増収となっておりますが、平成30年度以降の県税収入の見通しとあわせて伺います。
次に、総合的な防災に関し何点か伺います。
地域の防災のかなめである消防団については、平成25年に消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律が制定され、公務員の消防団との兼職に関する特例、資格制度の創設、防災指導者の確保、養成、資質向上などが明記されており、県は、市町村が行う装備の改善や自主防災組織等の発展育成への取り組みに対する支援を行うことが示されております。
自主防災組織実態調査の中間集計では、県内2、236の自主防災組織のうち研修や訓練を実施していないところが3割近くあり、活動マニュアルや地域の防災マップなどの作成について未作成が50%を超えており、その実態の把握と強化が不可欠であります。
そこで伺いますが、まず、県は、この法律施行により平成25年度から消防団活動の充実に向けどのような取り組みを行ってきたのでしょうか。4年間の評価をあわせて伺います。
そして、中間集計から明らかになった点などを踏まえ、県は、自主防災組織の組織化、活性化に向けた取り組みを新年度以降どのように行っていこうとしているのかお伺いいたします。
阪神・淡路大震災の発災後、生き埋めになった人たちの約8割が、住民の共助の力で助け出されたという教訓から、平成15年にできた防災士という資格があります。被災自治体では、今後の災害に向けて職員の防災知識や技能の向上が不可欠だとの認識のもと、全職員の防災士資格取得に向けた動きを見せ始めている自治体も見受けられます。
県内に資格取得者をふやしていくとともに、県が主体となり、現在この資格を持った人たちのより有効的かつ組織的な活用策を模索し、実行していくことが、地域防災力のさらなる向上につながっていくのではないかと考えます。
平成30年1月末現在、県内には防災士の有資格取得者は1、721名おられますが、県の防災士資格取得者の増加と研修の実施などによる現在の資格者のさらなる戦力化、ネットワーク化に向けての考えをお聞かせください。
次に、市町村防災力の把握と広域防災の実施について伺います。
大規模災害が一度発生すれば、緊急的な人命救助等の危険排除、食料支援や避難所等の運営、道路啓開や災害廃棄物の処理、インフラの復旧などなどの場面と時間に応じたさまざまな取り組みが押し寄せ、それを実行していくには、さまざまな資源が必要になってまいります。これらの中の人的資源だけを見ても、今の市町村が有している数あるいは専門的な能力等をはるかに超える災害が、現在でも発生しております。
災害が発生した場合、最優先で考えなければならないのが人命救助であり、その活動は災害発生の現地でなければできませんが、避難者や被災者の支援は現地でなくても行うことができ、それを可能にすれば、被災した市町村の行政機能や職員の持つ機能を最大限現地で生かすことにつながります。最初から発災後の広域避難を図り、安定的な支援の供給を図ることは、避難者等にとっても、被災市町村にとっても望ましい姿なのではないかと考えます。
具体的な広域対応を考えていく上で必要なことは、人材や土地、民間業者や保有機材等の市町村ごとの災害対応能力、状況などを事前に把握することです。これをもとに、県が広域災害対応計画を策定することにより、発災時には、その計画にのっとって、市町村の判断を待つことなく、県や国が専門的知識や能力を有する人材や機材、民間業者等を即座に派遣するといった対応が可能になり、被害軽減と早期復旧に必ずやつながると思われます。支援物資のプッシュ支援という考え方もでてきておりますが、災害支援の総合的プッシュ支援という考え方もできるのではないでしょうか。
一昨年の台風被害の教訓をもとに、県や国と一体となって、市町村の河川氾濫時期に係る正確で早期の判断が可能になるような支援体制を構築したことは、こういった現状認識のもと行われたものであり、災害派遣福祉チームなども、岩手県が全国に先駆けて組織化を実現したものであります。
県としては、民間や大学、研究機関などの力もかりながら、県内市町村の防災能力の実態を早急に把握し、市町村防災から一歩進んだ、県、国も含めた広域防災計画策定に乗り出すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
次に、ふるさと納税についてお伺いいたします。
平成20年に開始されたふるさと納税は、数回の制度改正を経て、市場規模が大きく押し上げられ、自治体の返礼品が充実するにつれ、その規模はさらに広がり、総務省による調査結果では、平成26年度には389億円だったものが、平成28年度には2、844億円に急増しています。岩手県内でも、県、市町村を合わせた寄附総額が約30億円となっております。
一方、総務省は、過度の返礼品競争に警告を鳴らすため、返礼割合を30%以内にするようにとの通達を出したのは、御承知のとおりであります。
確かに、ふるさと納税制度については課題もありますが、一方で、地方の多くの素材が返礼品という形で全国に流通し、市場を拡大している現実もあり、そこに雇用が生まれ、農家など生産者に素材を流通させるためのノウハウが蓄積されていくなど、多くの成功事例が積み上がっていることは、紛れもない事実であります。
現在、ふるさと納税利用者は個人住民税を支払っている人口の3%程度にすぎませんが、仮にこれが10%に到達すれば7、000億円近くにまで拡大するとも予測されております。
ふるさと納税による経済波及効果は、自治体が返礼品調達のため地元業者に支払う金額の1.4倍から2.2倍までに達するという試算もあります。また、体験型の返礼品は、経済効果がさらに高くなると言われております。
県では、ふるさと納税の市町村ごとの取り組み実態をどのように捉え、また、県内市町村のふるさと納税への取り組みをどのように支援し、また、その地域経済への影響をより高めていこうとしているのかお伺いいたします。
返礼品活用による地域活性化を第1段階とすれば、寄附金の使途活用策をより磨いていく、そして寄附者との人間関係をさらに強め、地域の応援団になってもらうということを見据えた次の段階につなげていく必要があります。
東京都文京区では、NPOと連携して、寄附金を使い、ひとり親世帯に2カ月に一度、10キログラムの食料を届けるこども宅食を始めておりますが、この事業への寄附には返礼品は一切ない仕組みです。事業着手のためのクラウドファンディングでは、1月15日現在で目標の2、000万円の約4倍の7、900万円余の寄附が集まっております。
このように、自治体の各事業に共感する納税者の寄附により、事業化が難しい事業への着手や自治体の政策形成能力を高めるためにも、ふるさと納税は一つの可能性を秘めているとも考えます。
また、総務省は、ふるさと納税制度のさらなる活用を推進するため、新年度から起業家支援や移住、交流の促進に優遇する制度を創設するとしております。
県は、このような新たな動きをどのように把握しているのでしょうか。また、制度に課題と可能性が両立する現実も踏まえ、課題への対応を図りつつ、使途の充実による地方創生、地域での課題解決型事業への活用など、その可能性をどのように広げていこうとしているのかお伺いいたします。
次に、高齢者施策のうちの介護人材確保策について伺います。
介護人材の養成校が県内には5校ありますが、平成29年度は、定員252名に対し、入学者数は102名、定員充足率は40.5%にすぎず、経営上の理由から事業継続の困難さを訴えているところもあると伺っております。
この養成校等への入学を促すものの一つに介護福祉士等修学資金貸付事業がありますが、進路選択時には貸し付けを受けられるかどうかが不透明で入学希望を断念した、進路指導の教員等から制度説明がなかった、貸付金の入金が入学後相当おくれるため、入学金や授業料の支払いに相当苦労したなどの声も届いております。
また、今年度からは、出入国管理法の改正により、在留資格に介護が追加されたことにより、これら制度を活用し県内の養成校に入学してくる留学生の予定も出ていると伺っております。
加えて、県内には、このような養成校への入学者に独自の補助金制度などを設け、地元の人材確保に長期的に取り組む自治体も出てきております。
県としての応援や支援、一部の補助制度などを設けることによって、多くの自治体がこのような積極的な人材育成策をとっていくことにつながることは、県全体の大きな課題解決の有力な一つの方策になると考えます。
このような環境変化に対応し、現在の修学資金貸付事業のより一層の使いやすさなどを工夫しながら、しっかりとした人材を確保、育成する必要があると考えますが、県の見解をお示しください。
また、新たな財源を確保しながら、県と市町村が力を合わせたさらなる人材確保策に向けた、従来の延長線上ではない県の踏み込んだ取り組みへのお考えをお示し願います。
次に、高齢者を生かす施策への対応について伺います。
国の新しい高齢社会対策大綱が閣議決定され、高齢世代の能力を幅広く社会で生かす方向性の流れの中、65歳までの定年延長や継続して雇用する会社を支援する具体策、高齢者の起業支援などが盛り込まれました。
元気な高齢者がふえ、就労だけではなく、ボランティアやさまざまな分野で社会に貢献してくれることと、今後ますますふえていく社会保障分野で、支えられる立場から、逆に、支える立場へという意識の変革も必要なものと思います。
大綱では、65歳以上を一律に高齢者と見るのはもはや現実的ではなく、70歳やそれ以降でも、個々人の意欲、能力に応じた力を発揮できる時代が到来しており、高齢者を支える発想とともに、意欲ある高齢者の能力発揮を可能にする社会環境を整えることが必要であるとの認識に立ち、各般の取り組みを進めることが重要であるとしており、高齢化率の高い我が県としても、先んじて取り入れていくべき視点ではないでしょうか。
このような国が目指す方向性に対する県の認識と、今後どのように取り組んでいかれるのかお伺いいたします。
次に、障がい者施策について伺います。
昨年来、障がい者の就労の状況を調査するため、北海道と神奈川県で視察を行ってまいりました。
北海道の就労継続支援A型事業所である九神ファームでは、障がい者二十数名が十勝特産のジャガイモの加工を行っております。平均賃金は11万円を超え、一般就労への移行者もふえております。
また、東京都内で障がい者就労イベントを実施したり、全国の特別支援学校の修学旅行の誘致にも力を入れており、最近では、障がい者の全国からの移住、定住の取り組みも行っております。
神奈川県の日本理化学工業は、学校で使うチョーク市場の日本のシェア50%を占める優良企業であり、日本に残したい会社100社として真っ先に取り上げられるなど、全国的に有名な企業です。
従業員83名のうち62名が知的障がい者であり、うち半数以上がIQ40以下の重度の障がいを持った方々ですが、入社後の離職はほとんどないとのことです。働くことにより、人の役に立ち、必要とされ、あなたがいてくれて本当に助かったと言われる経験が人を幸せにするのですという経営者の言葉には、説得力がありました。
平成30年度からは、企業側の障がい者雇用率が現在の2%から2.2%に増加することになります。また、新たに加わる精神障がい者の雇用も促進されることが期待されます。
岩手県では、昨年の民間企業の法定雇用率が2.16%、雇用障がい者数は3、089人で、ともに過去最高になったと報じられる一方、43%近くの企業が法定雇用率を達成しておらず、4月からは対象企業も現在の50人以上から45.5人以上に拡大されることから、さらなる対応が必要になってくると思われます。
障がいを持った子供たちの一般就労に向けて、県では、特別支援学校での技能認定制度をつくるため検討を重ね、平成29年度を目途に制度化することが目標として盛り込まれておりました。具体的にどのような形で今年度実施されたのでしょうか。
また、製造分野、サービス業分野、農業や水産業などにおいて、人手不足感が加速しております。新年度取り組む農福連携や技能認定などによって、特別支援学校卒業生や障がいを持った子供たちの一般就労率をどの程度増加させる目標となっているのか、お伺いいたします。
3年に一度見直しが行われる障害福祉サービス等報酬が0.47%プラス改定されることになります。一方、民間信用調査機関の調べでは、平成29年の障害福祉事業所の倒産も前年より倍増しているとの調査結果があります。
昨年の厚生労働省の省令改正によって、障害福祉サービスの給付金が障がい者の賃金の原資として支払われることが禁止され、本来の事業収益で賄う事業の健全化が促されておりますが、全国では、大型の就労継続支援A型事業所の倒産によって、障がい者が大量に解雇されるなどの報道がなされております。
また、就業継続支援A型事業所に入ってくる給付金が、厚生労働省からの給付金と雇用保険からの助成金に分かれているため、行政の縦割りの弊害で事業所の全体のお金の流れがつかみ切れていないとの指摘もあります。
先般も盛岡市で就業継続支援A型事業に取り組む施設のすばらしい取り組みを拝見いたしました。県内には46の事業所があるとされておりますが、全県的に事業所の経営内容、一般就労に向けた作業訓練の実態をどのように把握し、指導されているのかお伺いいたします。
次に、子供の貧困対策についてお伺いいたします。
子供や若者の貧困対策については、平成21年に子ども・若者育成支援推進法、平成25年に子どもの貧困対策の推進に関する法律と生活困窮者自立支援法が制定されるなど、近年その整備が図られてきております。
また、平成28年には、国の子供の貧困対策に関する大綱の制定を受け、いわての子どもの貧困対策推進計画がつくられております。
児童福祉法では、すべて国民は、児童が良好な環境において生まれ、かつ、心身ともに健やかに育成されるよう努めなければならないと規定され、児童の育成については、国民がその責任の一端を担っていると明言されております。
また、国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。とされ、国と自治体に具体的な実効性のある施策の推進を求めております。
日本の子供の貧困率を示す指標は、過去最悪だった平成24年よりも2.4%改善し、平成27年は13.9%となっているものの、依然として一層の効率的な子供の貧困対策が求められております。
厚生労働省の所得再分配調査によれば、平成26年度では、高齢者世帯の当初所得が95万円、年金を加えた再分配所得が350万円なのに対し、母子家庭世帯では、当初所得192万円、再分配所得が240万円と、社会保障などによって得られている便益はわずか47万円にすぎません。母子家庭は、高齢者世帯に比べセーフティネットの恩恵が受け切れていないとも言えます。
県では新年度、子どもの貧困に対する実態調査を実施することで関連予算を提案しておりますが、発災後、被災地沿岸部で貧困の実態が拡大しているとの調査結果もあり、沿岸部における詳細な調査も必要と考えます。
まず、いわての子どもの貧困対策推進計画の2年間の総合的な施策効果の認識について伺います。生活の支援、保護者に対する就労の支援など五つの重点分野の施策に基づく平成31年度の目指すべき目標数値が余りにも現状と差がなく、仮に目標数値を達成したとしても、それが実感を伴う貧困からの脱却につながるのかやや疑問もあります。
また、平成31年には国の大綱の見直しが予定され、指標の追加も検討されているようですが、それらの動きへの認識と県の対応も含めてお聞きいたします。
教育支援の分野については、学校をプラットホームにして取り組むとしておりますが、教育と福祉と就労の分野が一体的な支援をとれる体制が必要となり、スクールソーシャルワーカーの役割が大きいと思いますが、現状はいかがでしょうか。
また、さまざまな支援の制度があっても、それを知らない、あるいはそこにたどり着けないという実態も指摘されておりますが、その解消方策についてもお伺いいたします。
高校への進学率と中退率は、早急に一般家庭並みにする必要があります。一説には、高卒と中卒の生涯賃金は約7、000万円の違いが生じるとされており、進学希望を持つ子供たちへの学習機会の提供には、最大限配慮していかなければなりません。そのためには、生活困窮者自立支援事業における学習支援のさらなる推進も必要かと思います。
盛岡市では、生活保護世帯の中学生の進学率が低い、学習、進学意欲が低く、子供が安易に就労を選択するケースがあるなどの現状を踏まえ、平成24年度からは就学相談支援を、そして、平成27年度からは、中学生を対象に、福祉、教育学部の大学生スタッフの活用による学習支援を実施、生活保護世帯の高校進学率が平成24年度の94.8%から平成26年度には98.0%に増加、参加率も28.1%から74.9%に上昇しております。
貧困問題を考えたときに、子供の学習支援による学びの環境を整えることは、貧困の連鎖を食いとめるためには大いに進めていかなければなりません。学習支援事業は、町村にあっては、県の事業であり、また義務化されたものではないと思いますが、市も含めた県内全体の実施の状況や、より効果的な事業効果達成への県のお考えをお示しください。
次に、障がいを持った子供たちの学びの環境について伺います。
岩手県の障がいを持った小中学校の子供たちの学びの現況については、平成29年5月の状況で、特別支援学校、小中学校の特別支援学級、通級指導教室の在籍者の合計が4、260人と、平成20年に比較して全体で1、206人、増加率39%と大きくふえております。通級による指導が開始されたのが平成5年からですが、小中学校における通級指導教室、特別支援学級とも増加傾向にあり、学びの多様化が顕著になっております。
さらには、今まで義務教育課程のみに認められていた通級指導教室が、平成28年度の法改正により高校でも開始されました。県では、平成23年から県内三つの県立高校で校内整備に向けた研究指定校を定めて研究を行い、平成30年度から岩手県立紫波総合高校で初の通級による指導を行うと聞いております。
そこで伺いますが、指定校となった経緯と校内体制に向けてどのような体制整備が行われているのでしょうか。また、平成31年度以降の全県的な本格運用に向けた手引書を作成するなどの取り組みを行うとしておりますが、平成29年度の研究を踏まえ、平成30年度以降どのように全県的に普及させようとしているのか、展望と見通しについて伺います。
中学校の特別支援学級に在籍していた子供たちの進路の状況を見ますと、219名のうちの約6割が特別支援学校高等部に進学し、4割弱が公立、私立の高校へ進学しております。高校進学者の84名のうち、全日制、定時制を合計した公立校への進学が30名、私立校へは残り54名が進学しており、進学者のうちの65%程度が特別支援学級を備えた私立へ進んでいるという状況があります。
仮に県内の公立高校に中学校までと同様に特別支援学級や通級指導教室が継続的にしっかりとした連携関係の中に存在していれば、今の進学状況とはかなり変わった傾向を示す可能性もあります。より深く学びたいという人にも、自立、就労を見据えた選択をしたいという人にも、その可能性が広がっている必要があり、通学等への負担軽減にも配慮した環境整備をするのが県の大きな仕事になると思います。
現在、県内には分校も含め14の県立の特別支援学校があり、平均すると1校当たりの生徒数は53.7人、1学級当たり5.2人という状況になっております。
少子化の中にあっても、特別な教育を必要とする生徒数が年々上昇し、教室の不足や通学における保護者の負担感とともに、できるだけ地域で一体的に教育を受けさせるというノーマライゼーションやインクルーシブ教育の理念を踏まえ、また、現状の高等部の1学校当たりの生徒数平均値などから、今後さまざまな検討を加える必要があるのではないでしょうか。
いわて特別支援教育推進プランが平成30年度で終了し、平成31年度以降の新しいプランの策定に着手するべき時期でありますが、高等部の分校あるいは新しい特別支援学校の設置に関する見解をお知らせください。
先日、大船渡市で行われた特別支援教育に対応した授業力向上研修会に参加してまいりました。日々障がいを持った子供たちに向き合いながら、学びの環境と子供たちの可能性を広げていくために、意欲ある教師が自主的に活動しているもので、その前向きな姿勢に心から敬意を表するものであります。
県内外の教師が講師役となり、さまざまな障がいを持った児童生徒の現状を踏まえ、その解決のための具体の行動や指導法などが伝授されており、入学当初は1日50回も教室を飛び出していた子供が、1学期修了後には、ほとんどそれがなくなったなどの事例が紹介され、感嘆して帰路に着いたところであります。
特別支援教育の推進の基本は、教師一人一人の授業力を向上させることが一番の近道であると改めて感じるところであります。研修会では、校内におけるケア会議の持ち方、特別支援教育コーディネーターが生命線であることなども指摘されておりました。
県教育委員会の校内体制への認識と教師の専門性の向上、授業力向上に向けた具体的な取り組みについてお聞かせください。
最後に、県南地域への企業誘致の取り組みについて伺います。
現在、半導体企業を中心とした県南地区への誘致が進められようとしておりますが、企業誘致における課題をどのように捉え、その解決に向けて立地予定市町村とどのような役割分担をしていくのか伺います。
また、人材の確保策については、どのような対応をお考えでいるのでしょうか。
加えて、予定されている水需要とその供給への対応や、現在利用しているユーザーへの影響をどのように把握しているのかお伺いいたします。
以上で私の一般質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 関根敏伸議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、税制改正の方向性への評価についてでありますが、今般の税制改正大綱において、地域社会を支える地方税財政基盤を構築するため、地方消費税の清算基準の抜本的な見直し、森林吸収源対策に係る地方財源の確保などを行い、さらには、特に偏在度の高い地方法人課税における税源の偏在を是正する新たな措置について検討し、平成31年度税制改正において結論を得ると明記されたところであります。地方創生を実現していくためには、国による東京一極集中の是正に向けた抜本的な対策のほか、地方税財源の偏在の是正や地方の自主財源の充実によって地方の財政基盤を強化していくことが必要であり、このような方向性に沿った税制の改正は、地方にとって好ましいものであります。県にとっても、歳入の増加につながるものであり、ふるさと振興を進めていく上で望ましいものと考えております。
次に、市町村の防災力の把握と広域防災の実施についてでありますが、市町村の防災力は、市町村の職員数や体制、地域の消防力や自主防災組織の活動などさまざまな要素の総合力によるものであり、県としても、各地域における水防用資機材や林野火災消火資機材、応急給水資材の整備状況や避難所の指定状況など防災上必要な情報については毎年把握し、県の地域防災計画に盛り込んでおります。
また、広域防災については、東日本大震災津波の際に、広域避難や被災市町村への職員派遣、広域的な瓦れき処理など、単独市町村では対応できない課題が発生しましたことから、災害時に市町村を越えた避難を円滑に行うための広域一時滞在マニュアル、他県等からの支援の受け入れや本県から被災地への支援等について定めた岩手県災害時受援応援計画、災害廃棄物の処理について定めた岩手県災害廃棄物対応方針などを策定し、県の地域防災計画の見直しや広域的な災害想定による総合防災訓練などに取り組んでまいりました。
今後におきましても、平常時から国や市町村、防災関係機関と情報共有や訓練などを通じて密接な関係をつくり、災害時には迅速かつ効果的な応急対策を展開してまいります。
次に、高齢者を生かす施策への対応についてでありますが、国の新たな高齢社会対策大綱では、全ての年代の人々が本人の希望や意欲に応じて、持てる能力を生かして活躍できるエージレス社会を目指すことなどが示されております。全国よりも高齢化率が高い本県におきましては、この大綱で示している高齢世代の能力を幅広く社会で生かすため、高齢者の就労支援や社会貢献活動支援など、高齢者自身が支える側に立つことも含めて、地域における活動を後押しするという視点がより重要であると認識しております。
本県における高齢者の就労に関しては、国の調査によりますと、希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合は、本県が87.5%で全国第1位となっておりまして高い水準にありますが、今後とも、企業等の協力を得ながら高齢者の雇用機会、就業機会の確保に努めてまいります。
現在、本県の高齢者福祉計画であるいわていきいきプランの改定作業を進めていますが、地域での高齢者の活躍を支援するという視点をプランに盛り込んで、市町村や関係団体等と連携し、高齢者が住みなれた地域で安心して幸福に生活し続けることができる地域包括ケアのまちづくりの実現に向け、機運の醸成や環境の整備に取り組んでまいりたいと思います。
次に、いわての子どもの貧困対策推進計画の施策効果と新たな計画についてでありますが、県では、計画に基づいて、各部局が連携し貧困対策の取り組みを進めてまいりましたが、生活困窮世帯等に対する子供の学習支援事業の参加者数が平成28年度実績で目標を上回る423人となるなど、子供の学習支援や居場所づくりの取り組みが着実に進んでいるものと認識しております。
国においては、平成31年度の子供の貧困対策に関する大綱の見直しに向け、新たに学力に課題のある子供の割合や朝食欠食児童生徒の割合等の指標化など、貧困状況をより多面的に把握するための見直しの方向性を取りまとめたところです。当初予算案に盛り込んでいる子どもの生活実態調査におきましては、第1に、小学生、中学生のいる世帯の就業、収入の状況や生活状況等を把握するための調査、第2に、困窮世帯の生活実態や公的支援の利用意向等を把握するための調査、第3に、子育て世帯の支援ニーズを明らかにし、個別支援につなげるための調査、この3種類の幅広く詳細な調査を行うこととしております。この調査によりまして、支援を要する世帯のニーズを把握し、早期の個別支援につなげるとともに、調査結果を踏まえながら、今後、いわての子どもの貧困対策推進計画の見直しを行って、子供の将来がその生まれ育った環境に左右されることなく、自分の将来に希望を持てる社会の実現に向けて、子供の貧困対策の一層の推進を図ってまいります。
その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔総務部長佐藤博君登壇〕
〇総務部長(佐藤博君) まず、消費税増税と地方消費税の清算基準の見直しによる税収についてですが、清算基準の見直しにより、平成30年度から実質税収で約20億円の増収と試算しているところであり、2019年10月からの消費税率引き上げによる増収については、一定の仮定のもとに機械的に試算すると、平年度ベースで先ほどの清算基準の見直しを加味した場合、約136億円の増収と試算しているところです。
次に、森林環境税の創設による森林環境譲与税の譲与額については、県分として初年度の2019年度は約1億2、000万円、平年度では約1億8、000万円の増収と、また、たばこ税の見直しによる税収については、初年度の平成30年度は約3、000万円、平年度では約1億7、000万円の増収と試算しているところです。
平成30年度以降の県税収入の見通しについてでありますが、将来的な収益環境や雇用所得の状況を予測することは難しいところでありますが、ただいま説明しました税制改正に伴う一定の増収は見込まれるものと考えているところです。
次に、消防団活動の充実に向けた取り組みについてでありますが、県では、消防団への加入促進、特に女性や若者の加入促進のため、各種媒体を活用した広報を初め、市町村に対し、消防団協力事業所表示制度、学生消防団活動認証制度の市町村への導入の働きかけを行ってきたところであり、昨年度からは、いわて男女共同参画フェスティバルにおいて女性消防団員による分科会を開催し、本年度は、国、花巻市と地域防災力向上シンポジウムを開催するとともに、地域で消防団を応援するいわて消防団応援の店登録事業を新たに実施しているところでございます。さらに、市町村に対して団員報酬の見直しを働きかけるとともに、補助制度の活用を進め、装備の充実を図っております。こうした取り組みの結果、女性団員は平成25年度と平成29年を比較して95人ふえており、また、8市町村で団員報酬の引き上げがなされたところです。
今後におきましても、市町村や岩手県消防協会等と連携し、地域防災力のかなめである消防団活動を支援してまいります。
次に、自主防災組織の組織化、活性化に向けた取り組みについてでありますが、自主防災組織の組織化を進めるため、組織率の低い市町村を訪問し、組織化を進めるための方策を協議するとともに、自治会関係者を対象とした地域研修会を開催し、自主防災組織の重要性や役割について理解を深めていただいているところです。
また、自主防災組織の活性化を進めるため、今年度、自主防災組織のリーダーや有識者による自主防災組織活性化検討会議を設置するとともに、県内全ての自主防災組織を対象とした実態調査を昨年11月から実施し、今年度中に結果を取りまとめることとしております。この調査について今月上旬に中間集計を行ったところ、9割以上の自主防災組織が自治会と同一であること、約7割の組織が防災に関する研修や訓練を実施し、約8割の自主防災組織が防災セミナー等に参加している一方、防災マップや活動マニュアルを作成している組織はそれぞれ約4割にとどまっていることなどが明らかになっています。
県では、今回の実態調査の結果について市町村と情報共有するとともに、来年度は、調査結果をもとに自主防災組織活性化モデル事業や自主防災組織リーダー研修会などを展開し、地域性を生かした組織活性化のモデルづくりと県内への普及を進め、市町村と連携しながら自主防災組織の活性化を進めていきたいと考えております。
次に、防災士の活用についてでありますが、防災士は、防災に係る一定の知識、技能を習得し、高い意識を持っており、本県においては、資格取得者が増加しているほか、日本防災士会岩手県支部が設けられ、防災士同士のネットワーク化が図られているところであり、防災士に対し地域主体の防災活動を推進する人材として期待しているところです。
このため、県では、岩手県支部の会議に出席し、役員と意見交換を行うとともに、県内の防災士20名を県地域防災サポーターに登録し、地域の要望に応じて派遣しているところであり、本県における防災教育に大きな役割を担っていただいております。
今後におきましても、市町村や日本防災士会岩手県支部等と連携を図りながら、住民への防災知識の普及や自主防災組織の活性化などにおいて防災士に活躍していただきたいと考えております。
〔政策地域部長藤田康幸君登壇〕
〇政策地域部長(藤田康幸君) ふるさと納税の市町村の取り組みについてでありますが、県内の市町村における平成28年度のふるさと納税の受け入れ額は29億7、974万円でございまして、平成27年度と比較して約29%増加しているところでございます。
ふるさと納税は、その使途について、地域の実情に応じて創意工夫を図り、あらかじめ十分な周知を行って募集するとともに、寄附金を充当する事業の成果等について、公表や寄附者に対する報告を行うなど、ふるさと納税の目的などが明確に伝わるよう努めることが重要であると考えておりまして、県内の市町村では、地元の特産品だけでなく、田舎暮らし体験ツアーや空き家となった寄附者の実家の見守りなどの代行サービスを返礼品とする事例、あるいは、子供、子育て支援など使途を明確にした上で、東京などで寄附の活用状況などの報告会を開催することで、寄附者の共感を得るような事例も生まれているところでございます。
県といたしましては、引き続きふるさと納税制度に関する必要な助言を行っていくとともに、寄附金を活用して、地域における起業支援や移住促進につなげる新たな国の施策に関する情報提供などを行ってまいりたいと考えております。
次に、ふるさと納税の新たな動きについてでありますが、クラウドファンディング型のふるさと納税を活用して地域における起業支援や移住促進につなげるふるさと起業家支援プロジェクト及びふるさと移住交流促進プロジェクトを平成30年度から開始することにつきましては、総務省からの通知等で承知しておりまして、関係部局とも情報共有を図っているところでございます。
ふるさと納税は、寄附者の納得感が得られやすくするためにも、その使途について、地域の実情に応じて創意工夫を図りつつ、ふるさと納税の目的などが明確に伝わるよう努めることが重要であると考えております。こうした観点からも、県としては、既にクラウドファンディング型のふるさと納税を活用している自治体の事例も参考にしながら、ふるさと移住交流促進プロジェクトなどの活用に向けて検討してまいりたいと考えております。
〔保健福祉部長八重樫幸治君登壇〕
〇保健福祉部長(八重樫幸治君) まず、介護人材の確保についてでありますが、介護福祉士等修学資金貸付制度については、外国人留学生等が個人の連帯保証人を立てられない場合、貸付申請ができないなどの課題があることから、岩手県社会福祉協議会と連携して、利便性を高めるための貸付手続の見直しを検討しているところであります。また、先般、県内高等学校に対し、当該貸付制度の情報提供等を改めて依頼したところであり、こうした貸付金の利便性の向上や制度の周知を図ることによって、希望者が適切に貸し付けを利用できるように努めてまいります。
介護人材の確保については、地域医療介護総合確保基金を活用して、市町村等が行う取り組みに必要な経費を支援しているほか、新たな取り組みとして、介護ロボットの導入支援や元気な高齢者等に対する介護の入門研修実施に係る所要の経費を平成30年度当初予算案に盛り込んだところです。
今後、県内で働く外国人介護人材の増加も予想されることから、県としては、引き続き本基金の活用を基本とし、県、市町村、事業者団体、養成施設等がそれぞれの役割に応じて総合的かつ効果的な取り組みを展開できるよう、岩手県介護労働懇談会等を通じて連携強化に努めていきます。
次に、就労継続支援A型事業所についてでありますが、県内46事業所のうち、今年度開設された事業所と中核市である盛岡市所管分を除く27事業所について、国の指導に基づき、県が平成28年度の会計書類等を徴して経営状況等を把握したところ、21事業所において障がい者の賃金総額が事業収益を上回る状況となっていたところであります。このため、21事業所には昨年9月末までに経営改善計画書の提出を求めており、今後、広域振興局において、計画に基づく経営改善を指導することとしております。
また、作業訓練については、広域振興局がおおむね3年ごとに行う実地指導において、利用者の障がいの特性を踏まえているか、一般就労に向けて必要な知識、能力の向上が図られているかなど、その実態を確認しており、必要に応じて指導することとしておりますが、過去3年間で作業訓練内容について指摘に至った事業所はない状況であります。
県としては、今後ともこうした取り組みを行うとともに、受注実績が落ち込んでいる事業所も見られることから、岩手県社会福祉協議会の共同受注センターや障がい者就労支援振興センターとも連携し、商品開発や販路開拓の支援を通じて事業所の売り上げ拡大を図るなど、就労支援事業所の健全な運営を確保し、障がい者の就労を支援してまいります。
次に、子供の貧困対策に関する支援制度の周知についてでありますが、県では、ひとり親家庭に対しては、ひとり親家庭等のための支援ガイドブックを作成し、市町村や各種相談窓口に配架して対象世帯に配布してきたところであり、当該ガイドブックを活用した各種支援制度や相談窓口の周知に努めているところであります。また、広域振興局等の担当職員が市町村に出向いてひとり親家庭出張個別相談会を実施し、個別相談に応じているほか、ひとり親家庭支援者等養成セミナーや子供の貧困対策についての出前講座の開催等を通じ、常日ごろ地域で身近な相談に応じている民生委員、児童委員や市町村の社会福祉協議会の職員等への各種支援制度の周知に努めています。こうした取り組みに加え、当初予算案に盛り込んでいる子どもの生活実態調査により、支援を必要とする世帯のニーズを把握し、より適切な個別支援につなげていくこととしています。
次に、子どもの学習支援事業についてでありますが、県では、子供たちが学び育っていく環境の整備について、貧困の連鎖を防止する観点からも重要と認識しており、平成25年度から生活困窮者自立支援事業による中学生を対象とした学習支援に学校等関係機関と連携して取り組み、今年度は、新たに3町を加え12市町に拡大して実施し、本年1月末現在、243人の子供が学習会に参加しています。平成30年度においては、さらに実施地域を拡大し16市町村で中学生を対象とした学習支援を行う予定であるほか、これまで学習会に参加した子供たちへのフォローアップ等の観点から、新たに高校生世代を対象とする学習支援等を五つの町で行うこととしています。
県としては、今後とも各市に対し先行事例の紹介を行うとともに、町村部については、参加者、対象地域及び対象世代の拡充に向けて取り組み、小学生から高校生世代のそれぞれに寄り添った学習支援等を行うことにより、一人でも多くの子供たちが希望する進路に進んでいけるよう努めてまいります。
〔商工労働観光部長菊池哲君登壇〕
〇商工労働観光部長(菊池哲君) 企業誘致の課題と市町村との役割分担についてでありますが、企業誘致については、市町村と企業ニーズや動向等の情報共有のもと、しっかりと連携し対応を図ってきたところであり、その結果、自動車、半導体関連産業を初めとする産業集積が進んできているところであります。
こうした中にあって、特に県南地域においては、企業が求める大区画の工場用地及び周辺インフラなど立地基盤の整備や、地域産業全体としての人材確保などが重要であると考えております。
企業立地基盤の整備については、工場用地については市町村が整備することを基本とし、県は市町村の計画立案段階から連携し対応することとしており、道路等のインフラにつきましては、国、県、市町村それぞれが担う役割に基づく対応を行うとともに、必要に応じ、協力し合って整備を進めるものであります。
また、人材の確保については、これまで、地元市町村を含む産学行政が一体となって組織する北上川流域ものづくりネットワークを中心に、小学校から高等教育機関までの各段階に応じて工場見学やインターンシップ、就職支援などに取り組んできたところでありまして、新年度におきましては、広域振興局の体制の強化を図るとともに、新たにものづくり自動車産業振興室内に専担組織を設置し、北上市に駐在させ、市町村と連携、協働し、産業人材の育成、確保、定着に取り組んでいくこととしております。
〔企業局長畠山智禎君登壇〕
〇企業局長(畠山智禎君) 工業用水需要への対応についてでありますが、県南地区に立地が進められている半導体企業につきましては、当面、企業局の現在の供給能力で対応可能と考えております。この企業は、将来的には相当規模の工業用水を必要とする可能性がありますので、当該企業と協議しながら、企業が希望する水量を供給できるよう、必要に応じて設備投資を行うなど、関係部局及び関係機関と連携して対応してまいります。
なお、現在、工業用水を利用しているユーザーには影響がないと考えておりまして、将来におきましても供給に支障が生じないよう対応してまいります。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) 特別支援学校における技能認定制度についてでありますが、本制度は、高等部に在籍する生徒の雇用機会の拡大を図るために、地元企業等からの御理解、御協力をいただきながら、生徒の職業生活や社会生活に必要な知識、技能、態度などの資質の向上を図るとともに、生徒一人一人の有する力を評価基準に基づき明らかにしようとするものであり、本年度から全ての特別支援学校で取り組んでおります。
具体的な取り組みといたしましては、特別支援学校の教員と企業経営者の皆様などで構成する研究協議会において評価基準を設定し、この基準に基づき、昨年11月に1回目の技能認定会を開催したところであります。清掃、物品運搬、事務補助等の分野で77名の生徒がそれぞれの力量に応じて初級、中級、上級の技能認定を受けたところであります。
生徒一人一人の障がいの程度等が異なり、年度ごとの一般就労の目標値を定めることは困難ではありますが、県内企業等の障がい者雇用に対する理解も深まってきておりますので、生徒や保護者の希望に沿った一般就労ができる限り実現できるよう、企業側等からの御理解、御協力をいただきながら今後一層取り組んでいきたいと考えております。
次に、スクールソーシャルワーカーについてでありますが、スクールソーシャルワーカーは、本県の子どもの貧困対策推進計画において、生活困窮世帯の子供を生活支援や福祉制度につなぐ役割を担っており、学校の不適応対策においても、学校と関係機関をつなぎ、改善を図るなどの極めて重要な役割を果たしております。その重要性に鑑み、県教育委員会におきましてはスクールソーシャルワーカーの増員に努めてきており、本年度においては19人を県内の教育事務所に配置し、不登校への対応や家庭への支援に取り組んでいるところであり、その対応数も年々増加してきております。
スクールソーシャルワーカーが連携するパートナーは、福祉や保健、医療等の関係機関であり、スクールソーシャルワーカーを含め学校が子供の貧困対策のプラットホームの役割を担っておりますので、今後におきましても、関係団体や大学等との連携を深めながら、その人材確保に努め、学校においてスクールソーシャルワーカーを適切に活用できる体制づくりを推進してまいります。
次に、高等学校における通級による指導についてでありますが、通級による指導は、生徒一人一人の教育的ニーズに応じた特別の指導を行う指導形態であり、高等学校における特別支援教育の推進において、大切な役割が期待されていると認識いたしております。
県教育委員会では、本年度において、岩手県立紫波総合高校を研究協力校として実践研究に取り組んだところでありますが、同校は平成23年度からの2年間、特別支援教育の実践研究に取り組んだ蓄積があったことなどから、通級による指導の指定校として適切と判断したものであります。
この研究を通して、教員定数の加配を行いながら、校内検討委員会の設置や特別の教育課程の編成などの体制整備を図ってきたところでありますが、現在は、その成果を踏まえ、総合教育センターと同校を中心に、通級による指導の実践に向けた手引の作成に取り組んでおります。
今後は、研究の成果物である手引を活用し、通級による指導の運用について、研究協力校以外の学校においても具体的な検討が進められるよう、その推進を図っていく考えでございます。
次に、特別支援学校の高等部のあり方等についてでありますが、高等部については、卒業後の自立や就労の実現に向け、作業学習に適した教育環境や人間関係の広がりなどを育むための一定の学習集団が必要でありますので、広域圏を単位として特別支援学校の高等部を設置しております。
特別支援学校の整備、充実については、議員御案内のとおり、保護者の皆様や自治体の皆様などから学校の狭隘化の解消や老朽化対策への早急な対応などさまざまな要望を受けてきておりますが、県教育委員会におきましては、これまで、小中学部の新たな分教室の設置などに取り組むとともに、現在は、盛岡となん支援学校の旧校舎を活用した新設校の整備や釜石祥雲支援学校の移転改築、前沢明峰支援学校の特別教室棟の整備などに取り組んでいるところでございます。
高等部の分校や新たな特別支援学校の設置などの教育環境の整備につきましては、まずもって、現在取り組んでいる整備を着実に推進していきたいと考えておりますが、今後のあり方については、生徒数の動向や全体的な学校配置のあり方等を総合的に勘案し、検討してまいりたいと考えております。
次に、特別支援教育における授業力の向上対策についてでありますが、本県の特別支援教育に関する校内体制については、全ての公立学校において特別支援教育コーディネーターを配置し、このコーディネーターを中心に校内の支援体制を構築しながら学校全体で子供たちの支援に取り組んでおり、また、各学校の特別支援教育の推進に当たっては、校内でのケア会議等において、特別支援教育コーディネーターが全体的な調整役を行うなど、重要な役割を果たしております。
あわせて、県教育委員会におきましては、県内4ブロックに設置している特別支援教育コーディネーター連絡会を定期的に開催し、その専門性の向上や特別支援教育に関する情報共有などに努めているところであります。
教員個々の授業力の向上につきましては、総合教育センターで実施する基本研修に特別支援教育の講座を設けるなど、研修内容の充実や指導技法の向上に取り組んでおりますが、今後におきましても、特別支援教育の充実と授業力の向上に向け一層取り組んでまいります。
〇議長(佐々木順一君) 傍聴者への配慮から、しばらくお待ち願います。
次に、佐々木茂光君。
〔23番佐々木茂光君登壇〕

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