平成29年9月定例会 決算特別委員会会議録

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決算特別委員会会議記録
(第 6 号)
平成29年10月18日(水)
1開会 午前10時3分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 村 上 宏 治
議事管理担当課長 中 村 佳 和
主任主査 安 齊 和 男
主任主査 柳 原   悟
主査 上 野 公一郎
主査 小 原 亜季子
主査 菊 池   智
主査 戸 塚 教 仁
1説明員
文化スポーツ部長 上 田 幹 也
副部長兼文化
スポーツ企画室長 泉   裕 之
文化スポーツ
企画室企画課長 畠 山   剛
文化スポーツ
企画室管理課長 安 藤 知 行
文化振興課
総括課長 中 里 裕 美
スポーツ振興課
総括課長 工 藤 啓一郎
ラグビーワールド
カップ2019推進課
総括課長 木 村   久

教育長 高 橋 嘉 行
教育次長兼
教育企画室長 今 野 秀 一
教育次長 岩 井   昭
教育企画室
企画課長 鈴 木   優
特命参事兼
予算財務課長 佐々木   亨
学校施設課長 佐々木   哲
教職員課総括課長 永 井 榮 一
首席経営指導主事
兼小中学校
人事課長 荒 川 享 司

首席経営指導主事
兼県立学校
人事課長 梅 津 久仁宏
学校調整課
総括課長 小久保 智 史
首席指導主事兼
産業・復興
教育課長 鈴 木 智 香
高校改革課長 藤 澤 良 志
首席指導主事兼
生徒指導課長 菊 池 広 親
首席指導主事兼
学校教育課
総括課長 中 島   新
首席指導主事兼
義務教育課長 佐 野   理
首席指導主事兼
高校教育課長 佐 藤   有
首席指導主事兼
特別支援教育課長 佐々木   徹
首席指導主事兼
保健体育課
総括課長 荒木田 光 孝
首席社会教育主事
兼生涯学習
文化財課総括課長 佐 藤 公 一
文化財課長 鎌 田   勉

企業局長 畠 山 智 禎
次長兼
経営総務室長 菊 池   満
技師長 中屋敷   暢
経営総務室
管理課長 黒 澤 俊 一
経営企画課長 藤 原 清 人
業務課総括課長 細 川 普 基
電気課長 村 上 敏 弘

会計管理者 新 屋 浩 二
会計指導監 清 水 雅 典

監査委員 吉 田 政 司
監査委員事務局長 熊 谷 正 和
監査第一課
総括課長 千 葉 達 也
監査第二課
総括課長 村 上 博 和

財政課総括課長 小 原   勝
〇佐々木朋和委員長 これより本日の会議を開きます。
小西和子委員は欠席とのことでありますので、御了承願います。
これより議事に入ります。
認定第1号から認定第14号まで、並びに議案第35号及び議案第36号の以上16件を一括議題といたします。
本日は、文化スポーツ部、教育委員会及び企業局関係について、延べ16人の質問者を予定しておりますが、午後5時を目途に審査が終了するよう、議事進行に御協力をお願いいたします。
最初に、文化スポーツ部長に文化スポーツ部関係の説明を求めます。
〇上田文化スポーツ部長 それでは、平成28年度の文化スポーツ部の決算について御説明を申し上げます。
この4月に組織再編がございまして文化スポーツ部が発足したところでございますが、ただいまより御説明申し上げますのは、旧国体・障がい者スポーツ大会局、総務部、政策地域部、環境生活部、保健福祉部、商工労働観光部及び教育委員会事務局に係る事務事業のうち、現在、文化スポーツ部において所管しております内容であります。
初めに、当部所管の主な事務事業に係る取り組みと成果及び今後の取り組み方針について総括的に御説明をいたします。
まず、文化芸術の振興についてでありますが、本県の文化芸術情報の発信、文化芸術活動の支援、被災した郷土芸能団体の活動再開に対する支援、世界遺産の理念、価値の普及、平泉の世界遺産の拡張登録に向けた取り組みなどを進めてまいりました。
次に、豊かなスポーツライフの振興についてでありますが、復興のシンボルである希望郷いわて国体、希望郷いわて大会の開催にオール岩手で取り組んだところであり、競技関係者、市町村、県議会の皆様を初めとする大会役員、関係機関、団体、県民の皆様の御協力により、無事成功させることができました。
また、両大会に向けて競技力の向上に取り組み、国体では、天皇杯、皇后杯ともに第2位の栄誉をかち取り、大会では過去最高の139個のメダルを獲得するなど、すばらしい成績をおさめることができました。
今後におきましては、両大会を通じて得られた文化、スポーツの力の高まり、県民の自信や誇り、希望など、貴重なレガシーを継承し、東日本大震災津波からの復興と、いわて県民計画に掲げております人材・文化芸術の宝庫いわての実現に向けて、文化、スポーツの振興に取り組んでまいります。
続きまして、平成28年度決算の概要について御説明いたします。
お手元の平成28年度岩手県歳入歳出決算書の12ページをお開き願います。文化スポーツ部関係の決算でございますが、2款総務費のうち、1項総務管理費の一部、2項企画費の一部、4項地域振興費の一部、10項国体・障がい者スポーツ大会費、3款民生費のうち、1項社会福祉費の一部、2項県民生活費の一部、4款衛生費のうち、2項環境衛生費の一部、5款労働費のうち、1項労政費の一部、14ページに参りまして、10款教育費のうち、6項社会教育費の一部、7項保健体育費の一部でありますが、これらの支出済総額は87億2、179万円余であり、翌年度への繰越額は5億7、256万円余、不用額は3億1、308万円余となっております。
それでは、便宜、お手元に配付されております歳入歳出決算事項別明細書により御説明を申し上げます。
なお、事業ごとの金額の読み上げは省略させていただき、主な事業の内容を中心に御説明申し上げますので、御了承をお願いいたします。
お手元の歳入歳出決算事項別明細書の158ページ、159ページをお開き願います。2款総務費1項総務管理費2目人事管理費の支出済額35億4、594万円余のうち、当部関係は172万円余であり、備考欄1行目の人事管理制度事務費のうち、岩手県スポーツ賞の表彰に要した経費であります。次に恐れ入ります164ページ、165ページをお開き願います。9目公会堂費の支出済額1、833万円余は、岩手県公会堂の管理運営に要した経費であります。
次に、166ページ、167ページをお開き願います。2項企画費1目企画総務費の支出済額215億2、686万円余のうち、当部関係は6、293万円余でありますが、その主なものについて御説明をいたします。備考欄でございます。下から8行目、ラグビーワールドカップ2019開催準備費は、開催都市負担金、協賛宝くじ拠出金のほか、機運醸成イベントの開催などに要した経費であります。
次に、172ページ、173ページをお開き願います。4項地域振興費1目地域振興総務費の支出済額34億5、007万円余のうち、当部関係1、338万円余について御説明いたします。備考欄の下から2行目でございます。世界遺産平泉理念普及事業費は、平泉の文化遺産の理念を国内外へ広く発信するために要した経費であります。
次に、186ページ、187ページをお開き願います。10項国体・障がい者スポーツ大会費1目事務局費の支出総額69億5、106万円余について御説明いたします。恐れ入りますが、188ページ、189ページをお開き願います。備考欄の1行目、管理運営費は、職員の人件費であります。次の第71回国民体育大会・第16回全国障害者スポーツ大会開催準備費は、県実行委員会への負担金、市町村に対する競技施設整備への補助金、会場地市町村への競技運営交付金などに要した経費であります。次の第71回国民体育大会・第16回全国障害者スポーツ大会被災地選手団参加支援費は、熊本地震により大きな被害を受けた熊本県及び熊本市から希望郷いわて国体、希望郷いわて大会に参加した選手団の支援に要した経費であります。
なお、不用額2億1、826万円余の主なものでございますが、第71回国民体育大会・第16回全国障害者スポーツ大会開催準備費に係る県実行委員会への負担金及び会場地市町村に対する競技運営交付金の精算などによるものであります。
次に、192ページ、193ページをお開き願います。3款民生費1項社会福祉費2目障がい者福祉費の支出済額106億4、172万円余のうち、当部関係は7、088万円余でありますが、その主なものについて御説明をいたします。備考欄上から2行目でございます。障がい者社会参加促進事業費のうち、当部関係は、希望郷いわて大会に向けた強化練習や、大会への選手派遣、障がい者向けスポーツ教室の開催等に要した経費でございます。続いて、194ページ、195ページをお開き願います。備考欄1行目の障がい者文化芸術振興事業費は、希望郷いわて国体・希望郷いわて大会の開催を契機に実施した障がい者芸術や障がい者スポーツを紹介するイベント等の開催に要した経費であります。続いて、3目老人福祉費の支出済額367億7、452万円余のうち、当部関係の2、108万円余について御説明をいたします。備考欄上から6行目、明るい長寿社会づくり推進事業費のうち、当部関係は、高齢者の生きがいと健康づくりを推進する岩手県長寿社会健康と福祉のまつりの開催等に要した経費であります。
次に、198ページ、199ページをお開き願います。2項県民生活費1目県民生活総務費の支出済額12億3、028万円余のうち、当部関係は4、588万円余でありますが、その主なものについて御説明をいたします。200ページ、201ページをお開き願います。備考欄下から7行目でございます。郷土芸能復興支援事業費補助は、被災した郷土芸能団体が活動を再開するための施設、設備の修復等を支援する市町村に対し、経費の一部を助成したものであります。一番下のいわて創生人材育成・魅力発信事業のうち、当部関係は、岩手の文化、暮らしなどの魅力発信のため、漫画等を通じた情報発信や人材育成等に要した経費及び次代を担う若者に文化芸術の発表の場を提供し交流の場を創出するいわて若者文化祭の開催に要した経費であります。
次に、218ページ、219ページをお開き願います。4款衛生費2項環境衛生費1目環境衛生総務費の支出済額54億8、094万円余のうち、当部関係の9、762万円余について御説明いたします。備考欄の下から6行目、屋内温水プール管理運営費は、県営屋内温水プールの管理運営及び施設整備に要した経費であります。
次に、236ページ、237ページをお開き願います。5款労働費1項労政費4目雇用促進費の支出済額72億7、341万円余のうち、当部関係の2、344万円余について御説明いたします。備考欄の1行目の障がい者等雇用対策費のうち、当部関係は、勤労身体障がい者体育館の管理運営に要した経費であります。
次に、飛びますが、340ページ、341ページをお開き願います。10款教育費6項社会教育費2目文化財保護費の支出済額6億2、982万円余のうち、当部関係は4、642万円余でありますが、その主なものについて御説明いたします。備考欄上から2行目、文化財保護推進費のうち、当部関係は、県内の民俗芸能団体に公演機会を提供する岩手県民俗芸能フェスティバルの開催等に要した経費であります。5行目、世界遺産登録推進事業費のうち、当部関係は、平泉の文化遺産の世界遺産拡張登録に向けた推薦書案の作成や明治日本の産業革命遺産の保存活用等に要した経費であります。3目芸術文化振興費の支出済額2億2、698万円余のうち、当部関係は2億1、165万円余でありますが、その主なものについて御説明をいたします。備考欄1行目、芸術文化振興事業費のうち、当部関係は、青少年にすぐれた芸術鑑賞機会を提供する岩手県青少年劇場の開催等に要した経費であります。4行目でございます。県民会館管理運営費は、岩手県民会館の管理運営に要した経費であります。
なお、繰越額がございます。繰越明許費5億1、622万円余は、県民会館施設整備費におきまして、計画の調整に不測の日数を要したことなどにより繰り越したものであります。
次に、344ページ、345ページをお開き願います。7項保健体育費2目体育振興費の支出総額7億3、441万円余のうち、当部関係は6億2、955万円余でありますが、その主なものについて御説明いたします。備考欄上から5行目の体育大会開催、派遣事業費は、岩手県民体育大会の運営、国民体育大会への選手団派遣等に要した経費であります。下から3行目の競技力向上対策事業費のうち、当部関係は、いわてスーパーキッズの発掘、育成等に要した経費であります。一番下でございます。第71回国民体育大会選手強化事業費は、希望郷いわて国体に向けた選手強化等に要した経費であります。
なお、不用額3、584万円余のうち、当部関係は2、720万円余でありますが、その主なものは、第71回国民体育大会選手強化事業費における悪天候等に伴う強化事業の中止などによるものであります。
次に、346ページ、347ページをお開き願います。3目体育施設費の支出総額5億3、474万円余のうち、当部関係の5億2、779万円余について御説明をいたします。備考欄1行目の管理運営費は、県営体育施設の管理運営に要した経費であります。2行目の施設設備整備費は、県営体育施設の改修工事に要した経費であります。
なお、繰越額がございます。繰越明許費5、633万円余は、施設設備整備費におきまして、計画の調整に不測の日数を要したことにより繰り越したものであります。また、不用額5、473万円余のうち、当部関係は5、464万円余でありますが、その主なものは、施設設備整備費における入札による執行残などであります。
以上で文化スポーツ部関係の説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇佐々木朋和委員長 これより質疑を行いますが、世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
ただいまの説明に対し、質疑はありませんか。
〇福井せいじ委員 初めての文化スポーツ部の部局審査、上田部長にトップバッターで質問できる光栄を感じています。
主要施策の成果に関する説明書の142ページ、中長期的な視点に立った選手育成や指導者養成の推進について伺います。
昨年の国体そしてまた障害者スポーツ大会でもすばらしい成績をおさめられた、そしてまた、最近では、日本代表選出の選手も非常に多く育っているように思います。これまで、その取り組みについてはスーパーキッズの発掘、育成の成果であるとか、あるいは重点競技における競技力向上の成果であると私は思っておりますが、この後東京オリンピックも控えておりまして、今後、こういった世界レベルでのスター選手の育成についてはどのような取り組みを考えておられるのか、その点についてお聞かせいただきたいということが1点。そしてまた、最近では、練習環境の整備、施設整備等も、スポーツクライミングの施設を初め、さまざまな意味で、本県でも非常に重点種目についての強化、充実を図っておられまして、大変ありがたいなと思っております。その上で、今度は、そういった選手を育成する指導者をいかに養成していくか、そのことについてお聞きいたしたいと思います。
〇工藤スポーツ振興課総括課長 世界レベルでの選手の育成というお尋ねでございます。
希望郷いわて国体で培った各競技団体の強化のノウハウなどをレガシーとして継承し、岩手国体で育った全国トップレベルの選手や各年代の日本代表候補選手のさらなる強化を進めるため、県では、本年3月に策定した文化・スポーツ振興戦略において、競技力向上とトップアスリートの育成を重点施策とし、取り組みを推進しております。
具体的には、オリンピックなどの国際大会で活躍するトップアスリートの育成、強化やトップコーチの養成、それから、スポーツ医・科学サポートの充実などに取り組むとともに、日本代表候補選抜合宿などを実施している中央競技団体等との連携を図りながら、委員御指摘のスーパーキッズ等の中長期的な視点に立った競技力向上に取り組んでいるところでございます。
続きまして、指導者養成の取り組み状況でございますが、岩手国体に向けては、全国トップレベルの優秀な指導者を招聘しての講習会を開催するなど、指導者の資質向上に力を入れてきたところであり、先日終了した愛媛国体においても、多くの入賞者、優勝者を輩出するなど、その成果が今回の天皇杯14位という結果につながったものと認識しております。
今年度からは、日本代表チーム等の指導や代表選手を育成した経験を持つ県内指導者を対象とした研修会の開催や中央研修会等への派遣など、さらに高いレベルの指導技術の習得を目指した県内トップコーチの養成に取り組んでいるところです。
今後も、指導者や各競技団体が、これまでに培ってきた指導技術やノウハウを国体のレガシーとして継承しながら、日本代表レベルの選手を育成できるコーチの養成を図り、本県の競技力向上を図ってまいります。
〇福井せいじ委員 中央競技団体との連携というお話もありました。そういったことは非常に重要だと思うんですけれども、一つお聞きしたいのは、今度は世界レベルの大会あるいは世界レベルでの戦いの中で、選手自身はもっともっといい指導者との出会いあるいは指導を受けたいという要望があるのではないかと思います。そういったときに、県レベルでの役割、そしてまた岩手県がどこまでやるかという線引き、その後はどこに引き継ぐかという誘導も、私は選手にとって必要ではないかと思うのでありますけれども、その観点についてちょっとお聞かせいただきたいと思います。
〇工藤スポーツ振興課総括課長 世界レベルの指導者等々でございますけれども、県内にはそれぞれ競技団体がございまして、各競技団体のところで県内レベルあるいは全国レベル、あるいは世界レベルといった指導者の情報をつかんでいると考えております。より高いレベルの指導者を求める選手に対しては、そういった指導者に指導していただくということを各競技団体と相談しながら取り組んでいければいいかなと思っておりますし、そのための強化費等々についても措置しているところでございます。
〇福井せいじ委員 いろいろな環境があって県ではできない部分もあると思うんです。指導者を県で招聘するということは難しい。そうであれば、選手をその指導者のもとに派遣できるような環境、先ほど育成費という話もありましたけれども、そういった資金的な援助も私は必要ではないかと思っております。
重ねて言うと、指導者は招聘できないけれども、選手をそのもとに送り出してやるようなバックアップ体制をぜひこれから講じていただきたいんですけれども、最後部長に、そういったオリンピアンそしてメダリストを育成するための県の姿勢、取り組みについてお聞かせいただきたいと思います。
〇上田文化スポーツ部長 オリンピアンを中心とした世界で活躍するであろうと期待される選手の育成についてでございますが、今現在の選手の競技力の状況ですけれども、今の段階でも、例えば2020年の東京オリンピックに参加、出場、そしてまた、もしかすると非常にすばらしい成績を上げる可能性のある選手が、特に若くて才能豊かな選手がたくさんおられます。そういったところでは、まず一つは、その練習環境あるいは競技力向上に関しての環境の整備が大事だろうということで、委員からも御指摘がございましたが、例えばスポーツクライミングの施設整備につきましても、今回補正予算でお認めいただいたところでございますし、そういったところは側面から支援をしてまいります。
それからもう一つの視点は、委員から御指摘のあった指導者ということでございます。例えば国際大会レベルで活躍するとなりますと、それなりの技量を持った、能力を持った指導者は全国でも限られた方ということでございますけれども、今やっておりますのは、そういった方をお招きして、それで実際に競技をやっていらっしゃる選手の方々にお話などを聞いていただくと、そして指導していただくと。
もう一つは、県内の指導者が国際的な技量を持つ指導者のところに参りまして、そこで指導方法等について学んで、それを岩手に持って帰ると、そして選手強化に役立てていただくといった取り組みもさせていただいているところでございます。
繰り返しになりますけれども、今、岩手県内には、去年の国体のレガシーももちろんございまして将来性豊かな選手、若い選手がたくさんおります。そうした岩手で生まれた選手を、岩手で育ててオリンピックに送り出し、すばらしい成果を上げていただく、それを目標にして取り組んでまいりたいと思います。
〇佐々木努委員 私から1点、平泉の世界文化遺産の拡張登録について質問させていただきたいと思います。
2011年6月の世界文化遺産登録は東日本大震災津波発災直後ということでありましたから、震災復興の大きな力になったということで、本当にうれしいことであったわけでありますけれども、一方で、地元からすれば、中尊寺とともに構成資産となるはずであった柳之御所遺跡とか一関の骨寺村荘園遺跡、私の住む奥州市では白鳥舘遺跡と長者ケ原廃寺跡、これらについては浄土思想との関連性が薄いということで除外になったことは本当に残念なことでありました。そういうことで、関係市町においては、これら除外となった資産も一体的に世界文化遺産として登録されてこそ、平泉の文化的価値が高まるんだということで、その後、県と関係2市町が一緒になって拡張登録に向けて取り組んできたということだと思います。
それが5年間の調査研究ということで今年度で終わるわけでありますけれども、これまでの調査研究の成果、それから、この5年間でどの程度の経費がかかったのか、経費を費やしたのかということを簡単で結構ですので、お示しをいただきたいと思います。
〇中里文化振興課総括課長 拡張登録に向けた調査研究の成果と調査研究に要する経費についての御質問をいただきました。
拡張登録を目指している柳之御所遺跡、達谷窟、白鳥舘遺跡、長者ケ原廃寺跡、骨寺村荘園遺跡の5遺跡につきまして、平成25年度から平成29年度までの5年間で、県、市町共同で、有識者委員会ですとか研究集会、海外専門家との意見交換会などを実施してきたところでございます。
この間の研究あるいは議論におきまして、平泉における都市形成ですとか浄土等の観点から、これらの5遺跡が潜在的に高い価値を持っているということが多くの研究者の共通認識となったところでございます。
これに要した経費でございますが、県、市町で負担をし合っておりますが、今年度の所要見込みを含めまして、5年間の経費、岩手県が3、827万1、000円、一関市が2、017万3、000円、奥州市が2、471万7、000円、平泉町が1、221万8、000円、合計で9、537万9、000円、今年度分見込みが含まれておりますが、このとおりとなっております。
〇佐々木努委員 約1億円近い経費、それから5年という長い期間を費やしてこれまで研究調査を続けてこられたと思います。その成果をもとに、予定では年度内に推薦書案を作成するということになっているようでありますけれども、8月6日、東京で海外専門家を招いての意見交換会が行われたということでありますが、その交換会を開催し、海外専門家を招聘した理由、そして、その会議における結論についてお伺いをいたします。
〇中里文化振興課総括課長 海外専門家を招聘した理由とその結論ということでございますが、ことし8月6日に実施をいたしました海外専門家との意見交換会、専門家3名を招聘しておりますが、5年間検討を進めてまいりました世界遺産としての価値証明が可能な案につきまして、世界遺産の審査等の経験豊富な海外専門家に国際的見地から御意見、御助言をいただくという趣旨で招聘をしたところでございます。
その結論でございますが、短期的には、登録済みの資産と一体的に造営された政庁─居館の証明可能性が高いとされたところでございまして、その他の遺跡等についてはなお課題があり、相当量の時間をかけてさらなる研究が必要とされたところでございます。世界遺産としての価値証明に至る課題の内容にそれぞれ差があるということが指摘されたと認識しております。
〇佐々木努委員 この会議において、県のほうからと言ったらいいんでしょうか、いずれ四つの案が示されたと聞いております。それは、A案が二つそしてB案が二つ。Aの1案としては、先ほどお話があった追加登録を目指す全ての資産を登録に向けて推薦書に盛り込むという案。それからAの2案が、柳之御所遺跡それから白鳥舘遺跡と骨寺村荘園遺跡、この三つを加えるというもの。そしてBの1案については、柳之御所遺跡と骨寺村荘園遺跡。それからB2案については、柳之御所遺跡のみと、この四つが示されたということで、結論としてはB2案、つまり、柳之御所遺跡のみを推薦書に盛り込む方向でということが結論づけられたようですが、これは新聞報道で知りましたけれども、この意見交換会においてこの四つの案が示されたと。その四つの案を選ぶに当たって、短期的な証明が可能なものということが条件としてつけられたと聞いておりますけれども、この理由は一体何だったんでしょうか。
〇中里文化振興課総括課長 平泉の拡張登録につきましては、平成25年度からこの5年間で、県、市町ともに取り組みを進めまして、今年度になりますが、5年後に専門家の意見をお聞きして、それに基づいて結論を出すということを申し合わせておりました。それに向けて専門家からの御意見を頂戴したところでございまして、短い期間で課題は全て解消されたわけではないとしても、一番短い期間で証明が可能だというものがどれになるのとかということを専門家からお聞きをしたということでございます。
〇佐々木努委員 そうすると、5年という申し合わせがあったからということで、スケジュールを最優先したということになりますね。
確かにそれはある意味正しいやり方かもしれませんけれども、スケジュールを優先すれば、これは海外のお詳しい専門家の方であっても、私みたいに細部まで資産についてよくわかっていない者であっても、一番現実的なものはBの2案であろうと、柳之御所であろうという結論になってしまうのは当然のことだと思うわけであります。この案で結論づけられたという新聞報道があったときに、私の地元の方々も、これで白鳥舘遺跡を初めとしたほかの資産はもう芽がないんだろうと、かなり落胆をされたということがあります。そういうことで、これから検討委員会を重ねてどういう結論になるかは私もよくわからないわけですけれども、県としては、専門家との意見交換会の結論をどのように推薦書に位置づけていくのか。
あわせて、これまで5年間調査研究をしてきたわけでありますけれども、B2案になるということは、そのほとんどの調査研究が、むだになってしまうとは言いませんけれども、そういう形になってしまうのではないかと思いますが、そのことについての認識をお伺いいたします。
〇中里文化振興課総括課長 専門家の御意見としては、短期的に証明可能なのはB2案ということでございましたが、その海外専門家の意見を踏まえまして、まずは昨年度末に岩手県世界遺産保存活用推進協議会において了承されている先ほどのスケジュール、この協議会には県と市、町もメンバーになっておりますが、スケジュールで今年度末の推薦書案提出に向けて取り組んでいくということが決められておりましたので、そのスケジュールにのっとって進めてまいります。
また、5年間の研究成果から指摘された課題を解決していくことで、5遺跡の持つ潜在的な価値が世界遺産に結びつく可能性があると、先ほど調査研究の成果でもお話をさせていただきましたが、そのように認識をしておりますので、引き続き価値証明の取り組みを継続いたしまして、現在は拡張登録を実現するためにどのような手順が最適であるのかということの検討を進めているという状況でございます。
〇佐々木努委員 8月に行われた海外専門家との意見交換会の際も、一人の専門家の方は、Aの1案を支持されたと。つまり、五つの追加登録を目指す資産についても推薦書に盛り込むべきだということを支持したということでありますし、9月に行われた第13回の検討委員会においても、アドバイザーの方から、白鳥舘遺跡とか衣川周辺の遺跡については短期的にも関連性が証明されるのではないかと、また3年、5年研究を続ければかなり有力な構成資産になるのではないかという指摘もあったと伺っています。ここで終わりにするのか、それとも、もう少し研究を続けて全ての資産を登録させるという取り組みにするのか、もちろんお金もかかりますし、人手もかかるということで意見が分かれるところでありますけれども、これまで拡張登録に向けて長年にわたって頑張ってきた地元の方々、ボランティアの方々も含めて、そして市町村、この方々にもいろんな思いがあると思いますから、ぜひ県において、まずは地元の方々と市町村が納得できるような結論を導き出していただきたい。スケジュールありきで進めるということではなく、今後、平泉世界文化遺産を世界に広めていくあるいは守っていくために何が最も必要なのかということを優先しながらも、地元の意向をしっかりと把握して、それを酌み上げた拡張登録に向けての取り組みを進めてほしいと思いますが、最後にそのお考えを伺って終わりにしたいと思います。
〇上田文化スポーツ部長 平泉の拡張登録に関してのさまざまなお尋ねがございました。経緯については、もう、触れませんけれども、今、拡張登録を目指す資産が五つございます。その価値証明に関して5年の期間を費やし、県と関係市町が共同してそれに取り組んでまいったということでございまして、やはり県といたしましても、その考え方は今後も多分変わらないと思いますし、ぜひとも、この五つの資産全てが世界遺産登録に結びつくような方向で進めたいというのが基本的な考え方でございます。
ただ、一方で、専門家の方々からは、短期的な証明ということではこうだということで、各資産のところでの濃淡が出てまいりましたけれども、そういった意見を頂戴いたしました。
ちょっと違う話をさせていただきますけれども、今、世界遺産の登録を目指すというのは、海外はもちろんですが、国内の中でもさまざまな争いといいますか、レースになっております。その中では、そのたたき台に乗る、次のステップに移るのに時間的におくれればおくれるほど、世界遺産登録の道はだんだん狭まってしまうという事情がございます。これを何とか早い時期にたたき台に乗せて、できるだけ早く世界遺産登録を目指すというのが二つ目の基本的な考え方でございます。これを両方満たすようなうまい方法があるかどうか、うまいというのは非常に言葉があれですが、最善の方法は何かというところが多分課題だと思っております。そういったことでは、委員おっしゃるように、今までかかわっていただいた関係の市町の御意向はぜひお聞きをしなければならないということで、まず御意見、お考えをお聞きした上で、その対策、対応については練り上げてまいりたいと考えております。
〇工藤誠委員 私はまた縄文遺跡群の世界遺産登録に向けてのことについてなんですが、今回一般質問もさせていただきました。その中で若干加えてお聞きしたいということがありますので、よろしくお願いしたいと思います。
登録の部分は教育委員会ということなので、文化スポーツ部には、機運醸成の関係についてお伺いしたいと思っています。
今までもいろんなことに取り組んでいらっしゃったということは存じ上げているわけですけれども、イベントも、フォーラムもやってきました、さまざまやってきたということは多くの方は余り知らないかもしれませんけれども、私は知っております。その成果ということと、それから、いろんなことをやった中で、どういう課題が見つかっているのかということ。これについては予算も絡んでいるんでしょうから、経費の状況とか、それから、そういうものに参加された皆さんが実際どういう関心を示されているのか。アンケート等をとっているようなものがあれば、その内容についてお知らせ願いたいと思います。
〇中里文化振興課総括課長 縄文遺跡群の世界遺産登録に向けての機運醸成について、イベントの成果と課題、アンケート等の実施結果、あとは経費についてということでございますが、今年度、県が実施いたしましたイベントにつきましては、まず、機運醸成に向けてはより多くの方に参加していただく必要があるということで周知を図る必要がございますが、テレビ、ラジオでのPR、主要な集客施設でのポスター掲出、ホームページ等を使って周知を行っているところでございます。
成果と課題につきましては、ことし9月に行いましたイベントは2日間開催をいたしましたが、2、100人の来場がございました。また、多様な方々に御来場いただいたと受けとめておりまして、PRの成果があったと捉えております。
また、昨年度、縄文遺跡群世界遺産登録推進本部の予算によりまして、盛岡市内で開催いたしましたフォーラムでございますが、こちらも200名の定員のところ350名の来場者がありまして、今までにない普及啓発が図られたと考えておりますが、さらに効果的な実施方法あるいは周知のあり方等につきましては、今後も引き続き検討してまいりたいと考えております。
次に、昨年度開催いたしましたフォーラムではアンケートを実施しております。その結果についてですが、アンケートには外国人、英国の方のお話を聞く機会があったということで、外国人の見方や外国の遺跡との違いなどを聞くことができて大変参考になったという声をいただいているところでございます。縄文遺跡群の価値を、改めて評価をいただいたと考えております。
経費でございますが、今年度、県におきまして、世界遺産に関する普及啓発事業は二つ実施しております。世界遺産の理念・価値普及事業が650万7、000円、世界遺産登録推進・機運醸成事業が171万1、000円となっております。
なお、昨年度盛岡市で開催したフォーラムにつきましては、64万8、000円の経費を要したところでございます。
〇工藤誠委員 4道県のことについても聞こうと思いましたけれども、言い忘れました。多分、同じような中身でしょうから、ここは改めてお聞きはしません。
百舌鳥・古市古墳群の例を一般質問で私は引用したわけですけれども、ATMの画面にPR画面を載せるとか、山手線の11両編成の電車を貸し切ったPR広告とかに比べれば、なかなかフォーラムの開催だとか、IBCまつりでブースを貸し切ってやったとか、それはそれで悪いというわけではないんですけれども、若干取り組みの程度が違うんじゃないかなと私は率直に感じるわけです。来年、強力なライバルになるであろう、ある県の取り組みの予算を聞きますと、億単位であるという話も実は聞いておるわけでございまして、非常にそういうことでは─登録の仕事は一番肝心な仕事であるわけですが、機運醸成も車の両輪として私は極めて大事だと思っています。そういうことで、これから考えなければならないんですけれども、さらに大きなうねりを出していくために大胆な機運醸成に取り組むお考えはないのかという思いがありますので、そのことについてまずお伺いしたいと思います。
〇中里文化振興課総括課長 機運醸成の取り組みの今後の展開でございます。
まず、今年度の取り組みでございますが、県におきましては、新規事業といたしまして、世界遺産のパネル巡回展を予定しております。1月に盛岡駅、2月には二戸駅で開催する方向で調整中でございます。御所野遺跡など、縄文遺跡群を中心とした世界遺産関連パネルにわかりやすい解説を加えまして展示をし、多くの方々に理解を深めていただく機会にしたいと考えております。
また、首都圏等へのPRでございますが、こちらは御所野遺跡単体ではなく、推進本部では縄文遺跡群全体でPRするということが効果的なのではないかと考えております。推進本部のPR活動としましては、今年度は、7月に首都圏で最も発行部数の多い大手全国紙にフルカラーで広告を掲載いたしましたことに加えまして、今後ですが、全国展開をしております有名書店などにおいて、縄文遺跡群を紹介したブックカバーを提供していただくという取り組みを予定しているところでございます。
今後におきましても、推進本部あるいは関係自治体と連携して、より効果的な機運醸成のあり方について検討してまいりたいと考えております。
〇工藤誠委員 とにかく続けて、それから、いろんな工夫を凝らしてやっていくべきだと私は思っています。ただ、4道県の話を聞くと、急遽、何かこういうことをやろうという話が出たときに、割と岩手県は、お金が厳しいのでちょっと難しいと、そういう話をよそのほうから聞いています。もう、5度見送りになっているわけですから、とにかくお金のことは余り考えないでいただいて、予算をつぎ込んでいただき、目的を達成していかないとならないわけですから、機運醸成にしっかり取り組んでいただきたいと私は思っていますので、先ほどの600万円とか170万円とか60万円とかいうことではなくて、もう少し頑張っていただきたいと思います。
それで3点目になりますけれども、こういう機運醸成については、興味がある人は興味がある、興味がない人は興味がないわけでありまして、非常に難しい問題ですけれども、小中学生といいますか、小さい子供たちからしっかりと関心を持たせていくことが必要だと私は思っております。この視点は非常に大事だと思っていますが、このことについて県としてはどのように考えているかということと、私の地元の一戸南小学校などでもそういう取り組みをしているんですけれども、こういう活動の支援についてもどのように考えているか、そのことについてお伺いしたいと思います。
〇中里文化振興課総括課長 子供たちに対する機運醸成といいますか普及啓発についてでございますが、県では、県内の学校の児童生徒に世界遺産の理念・価値の普及啓発を図るため、知事を初め職員が直接学校に出向いて実施する平泉の文化遺産及び橋野鉄鉱山に関する出前授業を実施しておりますが、平成27年度以降は縄文遺跡群の普及啓発を図るため、世界遺産の出前授業の中で御所野遺跡を取り上げまして、その理念、価値の普及を図っているところでございます。
県としては、本県の児童生徒が御所野遺跡などの縄文時代の遺跡に関心をより寄せていただいて、誇りを持っていただいて、北海道・北東北の縄文遺跡群の価値に対する理解を深めることが重要と考えておりまして、今後とも、世界遺産授業の充実を図ってまいりたいと考えております。
〇工藤誠委員 これまでの話は従来から何ら変わった話ではないわけでございまして、今後本当に頑張っていくためには新たな展開が絶対必要であると私は思っています。その中で、一般質問でも申し上げましたけれども、縄文遺跡のインフォメーションセンターという話を出させていただきました。今、北海道・北東北縄文遺跡群を見る方は、青森空港なり、あとは新幹線で新青森駅に着いて、そしてすぐ三内丸山遺跡に行くというパターンが多いようです。そして、その辺を見てもうお帰りになると。しかし、17構成資産を見た場合に、一番南に位置するのが御所野遺跡であるということから考えると、そこが縄文17構成資産の入口になっていくだろうと私は思います。しっかりまずそこが起点になって、そこから八戸なり鹿角に行く、そして青森に行って北海道という展開が絶対必要であるという思いがありますので、御所野遺跡にインフォメーションセンターなり、またそれにかわるような施設でもいいんですけれども、何かそういうことを現時点で考えていらっしゃることがあればお伺いしたいと思います。
〇中里文化振興課総括課長 縄文遺跡群に係るインフォメーションセンターについてでございますが、関係自治体で構成する推進本部の包括的保存管理計画におきまして情報発信拠点施設の整備が位置づけられていることから、まずは世界遺産登録に向けた取り組みの進捗に応じて、この拠点施設の整備に関する検討を進めることが、関係する自治体共通の認識であると理解をしているところでございます。
〇工藤誠委員 ことし初めて文化スポーツ部ができました。そして岩手県文化・スポーツ振興戦略というものも策定されて、これに基づいてこれから機運醸成に臨むことになると思います。
そこで、部長にお伺いしたいわけですけれども、部長はいろいろユニークな経歴をお持ちのようでございますので、今後、新年度の予算編成もこれから始まるわけでございますから、これまでと違った発想のもとに機運醸成を高める施策を、どう展開していくかということのお考えを伺いたいと思いますし、それから、もう一点は、これも一般質問で教育長に所感を伺ったんですけれども、今のように登録は教育委員会だ、機運醸成は文化スポーツ部だと、こういうことについて教育長は、なかなかそれについても難しいという御所見も述べておられました。こういう組織のあり方について知事部局である文化スポーツ部の上田部長の御見解もお聞きしたいと思いますので、その2点について伺って終わりにしたいと思います。
〇上田文化スポーツ部長 まず、機運醸成に向けての今後の展開でございますが、まず、全国的な展開については、4道県にまたがる遺跡群でございますので、そういった観点からPRをしていくことが皆さんに対するアピール度も高いだろうと思います。そういったことでは推進本部がございますので、その場で積極的に御提案なりをさせていただきたいと思います。
それから、県でやる事業ということになりますと、全国展開というよりは県内での機運醸成ということになろうかと思います。課長からも申し上げましたけれども、スタンプラリーとかそういった工夫を凝らしながら、特に子供などに世界遺産そして御所野遺跡のすばらしさを理解していただくような取り組みも進めているところでございます。
今後においてでございますけれども、特に岩手県世界遺産保存活用推進協議会というものを立ち上げておりまして、そこには岩手県商工会議所連合会とかあるいは岩手県観光協会に御参加をいただいております。そういったことで、民間団体とも連携を密にいたしまして、今後、どういった方法で効果的な機運醸成をしていくかを研究して、今後の展開方向についても詰めさせていただいて、ぜひ新年度予算なりに生かさせていただければと思っております。
それから、二つ目のお尋ねでございます。特に縄文遺跡群の世界遺産登録に関しての事務は、登録に関しては、現在、事務局を教育委員会で所管しております。また、機運醸成に関しては、平泉あるいは橋野とあわせて文化スポーツ部で所管しております。
そのあり方についてはいろいろな御意見があるということは聞いておりますし、私どもの部内でもいろいろな議論がある場合がございますが、恐縮ですが、ここで言及させていただくのはちょっと差し控えさせていただいて、そういった組織に関しての所管は総務管理部門でございますので、最終的にそちらのほうの判断になろうかと思いますけれども、議論はあるということだけお話し申し上げて、御理解いただきたいと思います。
〇千葉絢子委員 それでは、私からは、伝統芸能団体の伝承に関する支援についてお伺いいたします。
まず、市町村が把握している現在活動中の民俗芸能団体数についてですが、平成22年度は1、126団体ありました。それが、ことし平成29年4月1日時点では、127団体、10%以上減少して999団体にまでなっております。中断あるいは廃絶の主な理由は何であると考えていらっしゃるでしょうか、お伺いします。
〇中里文化振興課総括課長 民俗芸能団体の減少についてでございますが、減少の主な理由として考えられる一つの要因としましては東日本大震災津波の影響もあると推測しておりますが、そのほか、やはり後継者の減少によるものが大きいと考えております。具体的には、民俗芸能が多く存在する農村地域において、少子化ですとか、あるいは進学、就職等により後継者となる若者が少なくなったこと、また、地元に若者がいる場合であっても、仕事の関係で、平日の夜とか休日に練習に参加することが難しいということで、活動を中断したりやめてしまう団体がある状況と認識しております。
〇千葉絢子委員 人口減少、それから災害などの影響ということでしたが、今、伝統芸能の主な担い手は大学生、それから、中学生、高校生と未成年が大分ふえていまして、そっちのほうに担い手の中心がシフトしてきているのも事実です。
ただ、そういった団体で何が一番の問題かと言いますと、楽器や装束などの備品の整備にお金がかかるということなんです。例えば、太鼓ですと1張当たり8万円から10万円いたします。それから、伝統芸能となってきますと衣装も昔ながらのものを使っておりますので、生地、それから柄、材質などといったものを含めると、私が所属している団体でも、大人用の装束はトータルで5万円になります。それは全部自分たちで出すわけなんですけれども、そういった、まず備品が高価であるということ。
そのほかに、活動する場所、練習場所になりますが、そういったところにも各団体は苦慮していると伺っています。多くは地域の公民館ですとか体育館など公共の施設を利用していますが、ここで問題になってくるのは鳴り物の騒音問題なんです。太鼓、打ちかね、それから笛といったものがありまして、思うように活動ができない団体もあるようです。
こうした厳しい状況の中、岩手大学の民俗芸能サークルばっけの会のメンバーが、来月、チェコ共和国のプラハで開催されるジャパンウイークというイベントに招致されました。そして、日本代表として、岩手県の指定無形民俗文化財である三本柳さんさ踊りを披露してくることになりました。この学生たちは、文化振興基金とか、あとは保存会から補助もいたしますけれども、それでも1人当たり30万円の自己負担金が発生しています。学生たちはどうするかというと、親に借金をしてこの公演に臨むということでございました。10人以上参加するのですけれども、それだけでも300万円以上の出費になるということです。
県の無形文化財の指定を受けている団体も、そうでない団体も、維持、それから、これからも存続していくためには、人材育成ですとか国内外への情報発信は必要でありまして、活動資金に一番頭を悩ませているのが現実です。この点についてはどんな支援が必要だと思っていらっしゃるか、認識をお伺いいたします。
〇中里文化振興課総括課長 民俗芸能団体の担い手への支援についてでございますけれども、まず、県内の小中学校でも、総合的な学習の時間ですとか特別活動など、民俗芸能を取り入れているところが多くなっております。また、高校や大学においても、今、委員から御紹介もいただきましたけれども、クラブ活動ですとかサークル活動で民俗芸能が盛んに行われてきているという喜ばしい状況がございます。こうした学校教育の場で民俗芸能に親しんできた若者が、将来の民俗芸能の担い手として、地域の団体等で活動していくことが重要だと認識しております。
民俗芸能団体の活動に必要となる楽器ですとか装束などの道具類の整備につきましては、文化庁あるいは県の文化振興基金の助成事業により支援を行っているところでございますし、先ほど御紹介いただきましたとおり、活動支援ということでも基金の助成事業が使われているところでございます。
今後も引き続きこのような支援を行っていくほか、活動場所の確保につきましては、公民館等が活用されているというお話もありましたとおり、まずは市町村と連携、情報交換をしながら、効果的な支援のあり方について検討してまいりたいと思います。
〇千葉絢子委員 被災地の団体に対しましては郷土芸能復興支援事業費補助などがあるのに対しまして、内陸部の団体にとっては補助制度が少ないという印象を、主要施策の成果に関する説明書並びにいわて県民計画実施状況報告書を見て感じた次第であります。文化庁の補助金も2種類御紹介いただいておりますが、それについては、やはり条件として、市町村等が参画している実行委員会等が実施している団体に対する補助ということで、去年の実績は14団体でございました。額は1億円以上になっているのですけれども、審査が非常に厳しいという問題があります。
文化庁や県の補助事業の対象、内容については、現状で十分だとお考えになっていますでしょうか。
〇中里文化振興課総括課長 文化庁ですとか県の補助事業についてでございますが、今、御紹介いただきましたとおり、文化庁の補助事業につきましては、採択率が比較的高いこともありまして、県内の団体への周知に努めているところでございますが、市町村の計画にのっとった取り組みでなければいけないというような条件があったり、あるいは実行委員会をつくって、対象団体にならなければいけないというような条件があることは認識しております。
使い勝手がいいかというと、そういう補助事業ではないのかもしれませんので、より民俗芸能団体のニーズを踏まえた支援というものを、今後検討する必要があるのではないかと考えております。
〇千葉絢子委員 文化が観光や地域経済を牽引するということを、秋田県のわらび座の社長が、この間の東北6県と北海道の議員交流大会の講演の中でお話になったということは、一般質問の中でも御紹介させていただきました。そういった観光とか経済の観点から、文化芸術の果たす役割が非常に大きくなっていることが言われております。
岩手の民俗芸能に大変造詣の深かった、世界遺産登録の際は推薦書作成委員会の委員でもいらした盛岡大学の大矢邦宣先生という方がいらっしゃいました。その方は、岩手は民俗芸能の宝庫であるとして、その保存や継承についても、県内各団体にさまざまな示唆をいただいたと私は記憶しております。
先ほど国体の話が出ましたけれども、愛媛国体の開会式に今月の頭に行ってまいりました。あちらも郷土芸能を開会式に取り入れていましたが、その内容は野球拳だったんですね。野球拳の発祥の地が愛媛だったということで延々と野球拳を見せられたのですけれども、それに比べて去年の岩手はどうだったか。さんさ、鬼剣舞、それから早池峰神楽に鹿踊りとバリエーション豊かで、本当に見る方々を飽きさせなかった。岩手にはすばらしい民俗芸能がたくさんあるということを、皆さんに、全国にお示しできたのではないかと思っております。
ただ、平成22年から平成29年の間に127団体の伝統が失われようとしているということを考えますと、被災地に限らず、内陸の団体にも活動に必要な施設ですとか備品に対する支援は本当に必要だと思っているんですね。
盛岡市では、市内の54の団体に毎年4万円ずつ活動助成金を支援しておりまして、文化芸術活動を支援しております。ただ、県としては、これまで伝統芸能への支援は余りしてこなかったのではないかという印象を受けておりまして、それが、かつて1、500あった団体のうち延べ446団体が存続の危機に瀕していることの原因ではないかと私は考えております。
伝統芸能が果たしている役割は、その存在意義、ふるさと振興に果たす役割の大きさを考えますと、ふるさと振興総合戦略の中に含めてもいいのではないかと。県指定の団体の活動状況だけでも一度皆さんに見ていただきたいと思うんですね。どんなに熱心に伝承活動をしているか。大人たちは、学校での伝承芸能鑑賞会のようなところには仕事を休んで行きます。そして、そこで育った子供たちは、大学に入って、民俗芸能サークルに入ったり、今、岩手大学の民俗芸能サークルには49人所属しております。その中から伝統芸能に魅せられて、出身が岩手ではないのに岩手に残った子供たちもおりますし、私が所属している保存会にも五、六人、大学の民俗芸能サークルから盛岡に定住して、今も続けている方々もおりますので、若者が、将来的に伝統芸能をきっかけにその地域に定住することも十分考えられると思うんですね。
せめて、県指定団体の文化財に対しては何らかの積極的な支援をすべきで、それ以外の団体に関しても、必要なものについて、例えば太鼓5張欲しいんだけれども、上限20万円だと3張しか買えませんとか、そういったところになってしまうと、やはり存続ができなくなる、廃絶するしかなくなってしまうというようなことも考えるべきです。
全額ではなくていいんです。年度途中でも必要なものに関しては申請できるような補助金の道を開くなどが必要だと考えます。そのためには、一度、伝統芸能の団体に、市町村を通じてでも結構です、どんな課題を抱えているか聞き取り調査などをしていただければと思うのですが、その可能性についてはいかがでしょうか。
〇中里文化振興課総括課長 県の支援ですけれども、県では、文化財の指定の有無にかかわらず、民俗芸能団体が活発に活動していくことが非常に重要だと認識しております。
そういったことから、今、委員からお話がありました団体の状況についての聞き取りにつきまして、市町村を通じてというお話がありましたけれども、やはり民俗芸能団体は、その地域で活動されていく、あるいは盛り上がっていく必要があるということで、まずは、やはり市町村との連携が重要だと考えておりますので、市町村と連携しながら、今いただきました御意見を参考にして、進め方について検討してまいりたいと思います。
〇佐々木朋和委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木朋和委員長 質疑がないようでありますので、文化スポーツ部関係の質疑をこれで終わります。
文化スポーツ部の皆さんは退席されて結構です。お疲れさまでした。
次に、教育長に教育委員会関係の説明を求めます。
〇高橋教育長 それでは、平成28年度の教育委員会関係の決算について御説明申し上げます。
決算額等の御説明の前に、本年4月に文化スポーツ部に移管した事業等以外の総括的な取り組みの実績と今後の取り組み方針等について、初めに御説明申し上げます。
教育委員会におきましては、東日本大震災津波からの教育の復興といわて県民計画の着実な推進の二つを大きな柱として、学びの場の復興といわて県民計画に掲げる人材・文化芸術の宝庫いわての実現に向けて、学校教育、社会教育、文化芸術、スポーツの各分野において施策の重点化を図り、本県教育の振興に取り組んでまいりました。
第3期アクションプランにおける七つの政策に位置づけられている教育・文化の中のそれぞれの政策項目に沿ってその概要を申し上げます。
児童生徒の学力向上につきましては、各学校における全国学力・学習状況調査等の分析結果の活用の定着等を推進してきたことにより、学校組織全体での授業改善の取り組みが広く浸透してきており、家庭学習についても、家庭の御協力もいただきながら、その理解が進んできております。また、外国語活動の推進やイングリッシュキャンプの開催、高校生の海外派遣などを通じて、グローバル化社会に適応する人材の育成にも取り組んでまいりました。
今後におきましても、県、市町村、学校、家庭、地域との十分な連携のもとに、各学校における教育活動の質の向上や学力向上の取り組みを推進するとともに、本県のふるさと振興を一層推進する観点から、産業界等との連携のもとに、中高生等の地元企業に対する理解の促進や、産業人材の育成などのキャリア教育の充実にも取り組んでまいります。
さらに、平成32年度から段階的に導入される新しい学習指導要領に基づく主体的・対話的で深い学びの推進にも努めてまいります。
豊かな心を育む教育の推進につきましては、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置などにより、東日本大震災津波で心に負担を負った子供たちへの心のサポートを重点的に進めてまいりました。
また、本県で発生したいじめを一因とする痛ましい事案などを教訓に、このような事案を風化させることなく、児童生徒が自他の生命、他者の人権を尊重することを基軸とした教育を推進するとともに、学習指導要領の改訂により特別の教科として位置づけられた道徳教育の充実に向けた授業改善などにも取り組んでまいりました。
今後におきましても、児童生徒が相談しやすい環境づくりを推進するとともに、本県の全児童生徒を対象に行っている心とからだの健康観察なども活用し、いじめや学校不適応の未然防止、早期発見、早期対応などに組織的に取り組んでまいります。
健やかな体を育む教育の推進につきましては、希望郷いわて元気・体力アップ60運動などを推進し、学校、家庭、地域が連携し、児童生徒が運動やスポーツに親しむことのできる環境づくりに取り組んでまいりました。
今後におきましても、児童生徒の肥満の改善や予防などを推進するため、望ましい食習慣などの基本的な生活習慣の定着に向け、学校と家庭、関係機関等と連携した健康教育を促進してまいります。
特別支援教育の充実につきましては、特別支援学校の学校施設の整備に取り組むとともに、ICT機器を活用した指導の充実や、就労サポーター制度の推進などに取り組んでまいりました。
今後におきましては、企業、関係機関からの生徒の就労に対する理解を一層促進するとともに、高等学校における通級による指導の具体的な運用形態の検討などを進めてまいります。
家庭・地域との協働による学校経営の推進につきましては、学校行事等の教育活動に地域の皆様の力もお借りして、学力向上や体験活動等の充実を図るなど、家庭、地域との協働を推進してまいりました。
また、教育振興運動を通して、全県共通課題としている情報メディアとの上手な付き合い方の推進を初め、それぞれの実践区における教育課題等に対応した取り組みを進めてまいりました。
今後におきましても、家庭、地域との協働による学校経営を推進するとともに、教育振興運動や実践的な復興、防災教育を核としたいわての復興教育などを通じて、岩手の復興、発展や地域防災を支える人材の育成などに取り組んでまいります。
生涯を通じた学びの環境づくりにつきましては、県民の皆様に、生涯学習情報提供システムなどにより先進事例などを紹介するとともに、各市町村や民間団体等と連携しながら、被災地域における学びを通じた地域コミュニティーの再生などに取り組んでまいりました。
今後におきましても、生涯を通じた学びの環境づくりのため、社会教育の充実や被災した社会教育施設の復旧、再開への支援、学習環境の整備などに取り組んでまいります。
文化芸術の振興につきましては、柳之御所遺跡の史跡公園の整備や北海道・北東北の縄文遺跡群の世界遺産登録に向け、関係自治体等と連携した取り組みを進めてきたところであります。
縄文遺跡群につきましては、本年度においても国内推薦候補に選ばれませんでしたが、引き続き、文化スポーツ部や関係道県との十分な連携のもとに、世界遺産登録の実現に向けた取り組みを進めるとともに、本県の文化芸術を担う人材の育成に向け、学校教育における文化芸術活動の推進などに取り組んでまいります。
豊かなスポーツライフの振興につきましては、希望郷いわて国体・希望郷いわて大会を契機に、各競技団体等との連携、協力体制を強めながら、スポーツライフの振興や中高生の競技力向上などに取り組んできたところであります。
今後におきましても、スポーツ振興の基盤となる学校体育の充実に努めるとともに、オリンピック・パラリンピック教育など、子供たちがスポーツへの興味、関心を高める取り組みなどを推進してまいります。
以上、総括的な取り組みと今後の取り組み方針等について御説明申し上げました。
続きまして、決算額等について御説明申し上げます。
お手元の平成28年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開き願います。冒頭にも触れさせていただきましたが、文化スポーツ部に移管した事業等以外の決算額等について説明させていただきます。
教育委員会関係の一般会計歳出決算は、10款教育費の支出済額1、490億3、279万円余のうち、文化スポーツ部に移管した6項社会教育費の一部2億5、807万円余と7項保健体育費の一部11億5、735万円余、16ページに参りまして、8項大学費及び9項私立学校費を除いた1、380億3、493万円余と、次の11款災害復旧費6項教育施設災害復旧費の2億1、933万円余を合わせた1、382億5、427万円余となっており、翌年度への繰越額は、文化スポーツ部に移管した分を除いた2億5、010万円余となっております。また、不用額は7億7、000万円余となっており、その主なものは、退職手当など給与費等の執行残及び施設整備に係る入札執行残によるものなどとなっております。
以下、個々の内容につきましては、便宜、お手元の平成28年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げます。
決算事項別明細書の324ページをお開き願います。説明は、備考欄に記載している主な事業等について御説明いたしますが、事業ごとの金額については省略させていただきますので、御了承をお願いいたします。
10款教育費1項教育総務費でありますが、1目教育委員会費の支出済額2、988万円余は、委員会の運営に要した経費であります。2目事務局費の支出済額26億8、493万円余の主なものは、事務局職員人件費等の管理運営費のほか、東日本大震災津波により被災した幼児児童生徒の就園や就学機会を確保するため、市町村が行う被災幼児就園支援事業及び被災児童生徒就学援助事業に要した経費への補助、親御さんを亡くした児童生徒等に奨学金の給付を行ったいわての学び希望基金奨学金給付事業費などであり、事故繰越187万円余は、物品の納入が遅延したことによるものであります。326ページをお開き願います。3目教職員人事費の支出済額130億6、401万円余は、教職員の健康診断等を実施した人事管理費、児童手当、退職手当の支給に要した経費などであります。4目教育指導費の支出済額10億468万円余の主なものは、震災で心に負担を負った幼児児童生徒や学校不適応の生徒等を支援するため、スクールカウンセラーの配置などを行った児童生徒健全育成推進費、県立学校等をICTで結ぶいわて教育情報ネットワーク運営費、328ページに参りまして、特別な支援を必要とする児童生徒のために支援員や看護師の配置などを行った特別支援教育推進事業費、県立学校における進学対策講座の開催や各学校の進学指導の取り組みを支援したいわて進学支援ネットワーク事業費、県立学校等における実践的な外国語指導を行った外国語教育推進事業費、沿岸部被災地域の県立学校生徒の進路実現や復興を担う人材の育成を支援した県立学校復興担い手育成支援事業費、小中学校の学力向上対策などを行った指導運営費であります。5目教育センター費の支出済額4億4、333万円余は、総合教育センターの管理運営に要した経費であります。330ページをお開き願います。6目恩給及び退職年金費の支出済額9、594万円余は、恩給及び扶助料などの支給に要した経費であります。
次に、2項小学校費でありますが、1目教職員費の支出済額449億6、146万円余の主なものは、教職員の人件費、旅費、多人数の学級などに非常勤講師を配置したすこやかサポート推進事業に要した経費であります。
次に、3項中学校費でありますが、1目教職員費の支出済額275億2、603万円余の主なものは、教職員の人件費、旅費であり、2目学校管理費の支出済額569万円余は、一関第一高校附属中学校の管理運営に要した経費であります。
332ページをお開き願います。4項高等学校費でありますが、1目高等学校総務費の支出済額259億430万円余の主なものは、教職員の人件費、旅費、新たな県立高等学校再編計画の推進や生徒の通学支援に要した経費であります。2目全日制高等学校管理費の支出済額15億2、985万円余は、県立高等学校の管理運営に要した経費であり、繰越明許費1、200万円は、寄附採納を受けた高田高校の実習教材の購入に要する経費を繰り越したものであります。334ページをお開き願います。3目定時制高等学校管理費の支出済額6、041万円余は、県立定時制高等学校の管理運営に要した経費であります。4目教育振興費の支出済額39億6、649万円余の主なものは、県立高等学校に係る産業教育設備、情報処理教育設備などの整備費、農業実習や共同実習船運航のための教育実験実習費、公益財団法人岩手育英奨学会に対する高校奨学事業費補助、被災した生徒へ教科書購入などに要する経費の一部を給付したいわての学び希望基金教科書購入費等給付事業費、高校授業料相当分を支援する公立高等学校等就学支援金交付事業費であります。336ページをお開き願います。5目学校建設費の支出済額9億9、850万円余の主なものは、盛岡農業高校特別教室棟の耐震改築を行った校舎建設事業費、千厩高校や盛岡第四高校の校地整備を行った校地整備事業費であり、繰越明許費1億9、207万円余は、盛岡農業高校の牛舎改築に係る経費、校舎や産業教育施設の耐震診断に要する経費を繰り越したものであります。6目通信教育費の支出済額557万円余は、通信教育の管理運営に要した経費であります。
次に、5項特別支援学校費でありますが、1目特別支援学校費の支出済額120億2、551万円余の主なものは、教職員の人件費等の管理運営費のほか、盛岡となん支援学校の移転整備などの施設整備費であり、繰越明許費2、106万円余は、気仙光陵支援学校寄宿舎の設備改修に係る経費を繰り越したものであります。
338ページをお開き願います。6項社会教育費でありますが、1目社会教育総務費の支出済額12億798万円余の主なものは、県立青少年の家の管理運営費、被災地における子供たちの放課後の安全、安心な居場所づくりや、学びを通じた被災地の地域コミュニティ再生支援事業費、社会教育に係る職員人件費などの指導運営費であります。340ページをお開き願います。2目文化財保護費の支出済額6億2、982万円余のうち、教育委員会分の5億8、339万円余の主なものは、指定文化財の保存、修理に対する補助や、東日本大震災津波により被災した博物館所蔵文化財の修理等の支援を行った文化財保護推進費、被災地における埋蔵文化財調査の支援を行った遺跡調査事業費、柳之御所遺跡の学術発掘調査や史跡整備を行った柳之御所遺跡整備調査事業費であります。3目芸術文化振興費の支出済額2億2、698万円余のうち教育委員会分の1、533万円余の主なものは、全国高等学校総合文化祭や全国中学校総合文化祭への参加に要する経費を補助した芸術文化振興事業費、被災地の児童生徒が文化活動の大会等に参加する経費を補助したいわての学び希望基金被災地児童生徒文化活動支援費補助であります。4目図書館費の支出済額2億9、354万円余は、県立図書館の管理運営に要した経費であります。342ページをお開き願います。5目博物館費の支出済額3億6、244万円余は、県立博物館の管理運営に要した経費であります。6目美術館費の支出済額4億2、286万円余は、県立美術館の管理運営に要した経費であります。
344ページをお開き願います。7項保健体育費でありますが、1目保健体育総務費の支出済額7億3、087万円余の主なものは、県立学校児童生徒の健康診断などの児童生徒保健管理費、学校管理下における生徒の事故や災害に係る共済の掛金及び給付金、特別支援学校等の学校給食食材の放射性物質濃度測定を行った児童生徒放射線対策支援事業費、保健体育及びスポーツ振興に係る職員人件費などの指導運営費であります。2目体育振興費の支出済額7億3、441万円余のうち教育委員会分の1億486万円余の主なものは、中学校及び高等学校の運動部活動に地域スポーツ指導者の派遣等を行った運動部活動活性化推進事業費、346ページに参りまして、被災した生徒の運動部活動の県大会や東北大会等への参加に要する経費を補助したいわての学び希望基金被災地生徒運動部活動支援事業費であります。3目体育施設費の支出済額5億3、474万円余のうち教育委員会分の694万円余は、施設の整備に係る調査に要した経費であります。
次に、ページを飛びまして、360ページをお開き願います。11款災害復旧費6項教育施設災害復旧費でありますが、1目学校施設災害復旧費の支出済額1億9、545万円余の主なものは、昨年8月の台風第10号を初め、大雨等の自然災害による県立学校施設の災害復旧に要した経費であります。繰越明許費554万円余は、伊保内高校ののり面の災害復旧に要する経費を繰り越したものであり、事故繰越27万円は、被災した県立学校の物品の購入に当たり、納入が遅延したことによるものであります。2目体育施設災害復旧費の支出済額2、387万円余でありますが、東日本大震災津波により全壊した県立高田松原野外活動センターの移転復旧に係る基本設計に要した経費であります。
以上が決算の概要についてであります。
最後になりますが、県民の皆様からの本県教育に対する信頼を確保するため、学校教育の充実や教職員による不祥事の発生防止に不断に取り組むとともに、教職員一人一人が、自信と気概を持って子供たちに向き合うための環境の整備などに、より一層取り組んでまいりますことを申し上げ、私からの説明とさせていただきます。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
〇佐々木朋和委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇高橋但馬委員 私は、教育指導費について質問させていただきます。
決算事項別明細書の329ページですけれども、指導運営費の中の平成28年度学習定着度状況調査について、基本的な考え方としては、各小中義務教育学校において、児童生徒一人一人の学習の定着状況を把握し、その結果をもとに指導の充実を図る、または、本県児童生徒の学力向上に資するというような内容と理解しておりますけれども、県教育委員会としては、学校または先生にどのように利活用してほしいのか、そして、先生の反応はどのような感じなのかお知らせください。
〇中島首席指導主事兼学校教育課総括課長 学校における調査の利活用やその反応についてでありますけれども、県教育委員会といたしましては、諸調査を通じて、児童生徒一人一人の学習定着状況を把握することを目的としておりまして、県独自の調査と全国的な調査をあわせて、小学5年生から中学3年生までの各学年の定着状況を把握できる体制の構築に努めております。
その上で、各学校は毎回、その分析結果を利用して指導改善を進めることで、学習定着の向上を図ることとしております。
さらに、本県では、調査結果を活用した学校の組織的な取り組みを平成26年度から進めてきたところでございますけれども、各学校の主体的な取り組みとして全県的に浸透してきており、その成果が、正答率の向上や無答率の減少など、学力の状況に徐々に反映されてきていると捉えております。
〇高橋但馬委員 調査人数は、小学校義務教育学校第5学年は332校、中学校第2学年は164校ということでありますけれども、今回、私は中学校に特化しての質問なのですが、全県的な規模でのテストだと先ほどおっしゃいましたが、その地域別の学力の状態はどのように捉えているかお知らせください。
〇中島首席指導主事兼学校教育課総括課長 地域別の学力についてでございますけれども、学習定着度状況調査は、調査時点での学習定着度をはかるものでありまして、それまでの学校の指導や、家庭学習の取り組み状況などが反映され、正答率の差にあらわれていると捉えております。
学校には、調査結果を分析し、指導改善や家庭学習の取り組み状況に対する指導を行うことで定着状況の改善を求めており、このような改善サイクルによりまして、確かな学力の定着を継続的に進めていきたいと考えております。
県教育委員会といたしましては、地域や家庭の状況等によらない学びの保障を実現することを目指しておりまして、優良な改善事例を紹介、普及するなど、各学校の実情に応じた指導の工夫を支援してまいります。
今後も、児童生徒一人一人に寄り添いながら、可能性とチャンスの最大化が図れるよう取り組みを進めてまいります。
〇高橋但馬委員 県教育委員会では、その定着度調査をすることで、学校ごとの要するに平均点の部分の差が出ていることは認識しているということでよろしいですか。
〇中島首席指導主事兼学校教育課総括課長 児童生徒一人一人の学習定着の状況には当然差があるものと認識しておりますが、地域と学力の相関につきましては、明確に申し上げるのはなかなか難しい状況にございます。
〇高橋但馬委員 了解いたしました。
これは中3のものですけれども、民間の総合評価のグラフがあるのですが、盛岡中央部の学校ですと全部の教科で305点、盛岡以外のところですと100点と、これだけの格差がある状況があります。
それで、こういう学力の格差から、同じテストでも平均で学校ごとに大きな差が出てくると思うんですけれども、このような状況でも内申点というのは平等に扱われていると。なので、例えば今出た三百幾らとっている学校でも4は4なんです。低い学校でも、学校ごとにつけるので、低いところでも4は4。そういう内申点の格差については、県教育委員会としてはどのように考えていますか。
〇中島首席指導主事兼学校教育課総括課長 いわゆる内申点、調査書の評定の格差についてでございますが、中学校における評定につきましては、文部科学省の通知に基づきまして、各学年における各教科の学習状況について、中学校学習指導要領に示す各教科の目標に照らして、その実現状況を総括的に評価しております。
例えば、中学校学習指導要領に示す各教科の目標に照らしまして、学習の実現状況が十分満足できるもののうち、特に程度が高い状況と判断されるものを5、十分満足できる状況と判断されるものを4のように評価しております。
本県の中学校におきましても、生徒個々に対して、学習指導要領に定める目標に準拠した評価を行っておりますことから、適切な評価がなされているものと認識しております。
〇高橋但馬委員 先ほど申し上げた部分で考えると、評価として妥当なのかどうかということは、ちょっと納得いかない部分が私としてはあるんです。高等学校の入学者選抜実施概要一覧表というものをいただいて、この中で、選抜の順序も、学力と調査書、面接等というので、今、ABCで3段階に分かれていて、Aだと学力5で調査書5、Bだと学力3で調査書7、Cだと学力7で調査書3という段階に分かれていて、このBのところを採用する部分もふえてきているというところであります。ほとんどの高等学校で増加しているわけですけれども、内申点が高ければ、学力検査の点をとれなくても合格してしまうと。そうするとボーダーが下がって学力低下につながってしまうと私は思うんですけれども、その辺はどのように捉えていますか。
〇中島首席指導主事兼学校教育課総括課長 調査書の評定と学力検査の関係についてでございますが、現行の入試制度は、平成22年度から平成23年度の県立高校入試改善検討委員会の中で議論いただきながら検討いたしまして、周知期間を設けた上で平成28年度入試から実施したものでございます。一般入学者選抜では、委員御指摘のとおり、学力検査と調査書、面接等を均等に評価するA選考、調査書、面接等を重視するB選考、学力検査を重視するC選考により選抜が行われております。
各県立高校では、AからC選考の割合及び選考順によって定められた7通りの選抜方法から、各校の特色に応じた方法を選択いたしまして、多元的、総合的な選抜を実施いたしております。
学校教育法第30条では、学力の3要素として、知識・技能、思考力・判断力・表現力、主体的に学習に取り組む態度と定義しておりまして、この学力の3要素をバランスよく育成することが学力の向上につながります。
入学者選抜において調査書の評価が行われますのは、中学校3年間の日常的な学習活動を評価するためでありますけれども、本県の一般入学者選抜の方法は、学力の3要素を適切に評価する方法でもあり、高校入学後のさらなる学力向上のためにも、調査書の評定と学力検査の得点を総合的に評価して選抜していくことが重要であると考えております。
〇高橋但馬委員 今、偏差値というものがない状況がありまして、民間のテストを受ければいいのではないかということもあると思うんですけれども、自分が今、岩手県内でどの位置にいるのか、全国でどの位置にいるのかということを、やっぱり生徒は知る必要があるのではないかと私も思うわけです。
青森県では、中学校での業者テストの廃止という背景を受けて、青森県全県テストというものを塾の協議会でやっているわけですけれども、平成29年度の学力・学習状況調査の平均正答率を見ても、東北の平均より岩手県は下回っている部分があるということも考えると、岩手県の教育委員会として、ここの平均点をどう上げていくのか、その取り組みについてお伺いします。
〇中島首席指導主事兼学校教育課総括課長 本県の課題解決の方向性についてでございますけれども、調査結果を活用いたしました授業改善の取り組みは浸透してきておりまして、特に中学校数学では全国平均正答率との比較では厳しい状況でございますが、その差は徐々にではありますけれども縮小傾向にあります。
しかしながら、数学で正答率の低い生徒の割合が多いことですとか、中学校での家庭学習時間が少ない生徒が多いことが課題になっております。
県教育委員会いたしましては、現在推進している学校組織での取り組みの一層の充実及び家庭学習習慣の定着を図るなど、今後、具体的な課題解決に向けて取り組んでまいります。
〇高橋但馬委員 了解しました。
学力を向上させるためには、やっぱり子供たちの学習意欲をかき立てることが大切だと思います。県教育委員会として、平均点を上げるためにしっかりと取り組んでいただく必要があり、今までどおりというものではなく、さらに新たに取り組むべきことがあると思いますので、お願いして、質問を終わりたいと思います。
〇佐々木朋和委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午前11時56分 休 憩
午後1時2分再開
〇ハクセル美穂子副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。
〇佐々木宣和委員 大きく2点伺いたいと思います。
まず一つがスポーツ振興、特にも運動部活動についてでございます。
運動部活動活性化推進費について具体的内容をお伺いいたします。
〇荒木田首席指導主事兼保健体育課総括課長 運動部活動活性化推進費の具体的な内容についてでありますが、本事業は、指導者研修と指導者派遣事業の二つの事業からなっております。
運動部活動指導者研修会は、中学校及び高等学校の教員に対するスポーツ医・科学を活用した指導方法、コミュニケーションの充実に関する知識や技能についての研修を内容とするものであります。昨年度は、県北地区と盛岡地区において実施しまして、本年度は宮古地区と中部地区において実施する予定でございます。3年間で県内全6地区の実施を目指しまして、来年度は、県南地区と沿岸南部地区で実施する予定としております。
また、指導者派遣事業につきましては、運動部活動の活性化及び教職員の資質向上を目的としまして、中学校及び高等学校にアスレティックトレーナー等を派遣することを内容とするものであります。
昨年度は、中学校5校、高等学校7校に、アスレティックトレーナーや栄養士を派遣したところでありますけれども、本年度は、高等学校2校へのアスレティックトレーナー派遣に加えまして、総合型地域スポーツクラブ等に協力いただきながら、中学校3校にスポーツ指導者を派遣しまして、地域連携のモデルとなる実践事例を県内に広めていこうと考えております。
〇佐々木宣和委員 特に指導者の研修会は意味があることだと思っております。今は昔と違って、スポーツに関しても非常にロジカルに、うまくなるためのその醍醐味というものも考えながらやっていくということや、県内の指導者の意識が同じレベルに保たれていくというのは非常に重要だと思っています。
中学校の運動部活動の数の状況というものを伺いたいと思います。特にも、沿岸部はどういう状況か、また、県央部との比較をお願いいたします。
〇荒木田首席指導主事兼保健体育課総括課長 中学校の運動部活動数の状況でありますが、沿岸部を所管する沿岸南部、宮古及び県北教育事務所管内の中学校運動部活動数の状況につきましては、1校当たり平均6.0部でございます。盛岡、及び県南地区をあわせました県央部の平均9.5部に比較しまして、1校当たりの運動部数は少ない状況にあります。
〇佐々木宣和委員 三つぐらい、できるスポーツが少ないような感じなのかなと思います。この10年で中学生の数が8、000人ぐらい減っていて、学校の数もたしか202から167で、35校減っていて、特にも沿岸、県北というところがどんどん少なくなっている中で、子供たちが部活動を選択する自由というのが、実は沿岸なり県北のエリアにはあるのかなと感じているところです。
ちょっと手前みそですけれども、私も岩泉町のバスケットボール協会に入って、社会人のチームでやっているんですけれども、中学校にも高校にもバスケットボール部がなくなったという話も聞いていて、結局、社会人のバスケットボールチームに入ってくる子もいないようになると、岩泉町ではもうバスケットができないじゃないかというところもあります。昨年は希望郷いわて国体・いわて大会ということで、この岩手県のスポーツ熱というのがすごく上がったところなんですけれども、結局、スポーツをやる環境ということを考えていくと、なかなか沿岸、県北、過疎地域というか、人口が減少している地域というのは厳しい状況にあるのかなと思っているところですけれども、所感を伺いたいと思います。
〇荒木田首席指導主事兼保健体育課総括課長 沿岸部と県央部、そのギャップを埋める取り組みの必要性についてでありますけれども、生徒数の減少等の影響をより多く受けております沿岸部においては、やはり運動部の選択肢は県央部と比較しまして少ない状況にあります。運動部活動のあり方について検討していく必要性を認識しているところです。
現在、沿岸部の中学校では、部活動以外の地域スポーツを優先して取り組めるように配慮したり、部活動とみなしたりするなど工夫を行っており、昨年度の沿岸部においては、180名を超える生徒が、19種目の部活動以外の地域スポーツ活動に取り組んでいる状況です。
また、野球のKボールやラグビー等、学校の枠を超えて合同チームを編成して大会に臨むなど、学校を主体とした取り組みも見られます。
県教育委員会といたしましては、今後も、運動部活動の工夫例を広く紹介したり、総合型地域スポーツクラブ等との連携を図るなど、生徒による多様なスポーツ活動の取り組みを推進してまいります。
〇佐々木宣和委員 特にも2019年にラグビーワールドカップもあるので、沿岸の子供たちがスポーツをやる環境というのを丁寧に考えていっていただきたいと思います。
次に、プログラミング教育について伺いたいと思います。
まず、2020年から小学校でプログラミング教育が必修化されるということでございまして、この背景として、IT人材の不足ということが言われております。2020年には36.9万人、2030年には78万人のIT人材が不足するということが言われています。これは日本だけではなくて、世界でも言われていることでございまして、国内では、このプログラミング教育ということに対しましては、2012年から新学習指導要領に基づき、中学校の技術家庭科でプログラミングによる計測制御が必修化されたところでございますけれども、これまで、中学校のプログラミングによる計測制御の現状と課題というのを教えていただきたいと思います。
〇佐野首席指導主事兼義務教育課長 中学校でのプログラミングによる計測制御の授業についての現状と課題でありますが、現行学習指導要領では、計測制御のためのプログラムの作成を通して基本的な仕組みを知り、簡単なプログラムの作成ができるようにするとともに、情報処理の手順を工夫する能力を育成することを狙いとしており、各中学校においては、学習指導要領の内容に基づいた授業を行っております。
現在の学習をさらにより深い学びにするために、従前からの計測制御に加えて、ネットワークやデータを活用して処理するプログラミングも題材として扱うことを課題と考えており、今回の新学習指導要領にも示されたところであります。
〇佐々木宣和委員 具体的にどんなツールを使ってやられているのかということを聞いてイメージをしたいんですけれども、答弁をいただけますでしょうか。
〇佐野首席指導主事兼義務教育課長 現在、授業場面ではコンピューターでシミュレーションをしながら学習するという場面もありますけれども、子供たちにより深い学びを実現するには具体物を与えて、実感を持って理解させるということが必要と思っておりますが、一人一人に十分に行き渡るような教材の配置につきましては課題であると考えております。
〇佐々木宣和委員 聞いた話によると、教える先生の熱量によってかなり差があって課題があると聞いていて、先生方も忙しいと思いますけれども、なるべく熱量を持ってやっていただきたいと思っております。
2016年6月に発表された成長戦略の中で、義務教育段階からのプログラミング教育等のIT教育を推進するという内容が盛り込まれて、その背景には、第6回産業競争力会議で楽天の三木谷社長が、このエンジニアが足りないという状況とか、質、量ともに向上させていかなければいけないと言われたということもあると言われています。
2016年4月に、文部科学省がプログラミング教育必修化を検討という情報が出て、2020年からプログラミング教育を必修化していこうと、小学校で義務化していこうという流れでございますけれども、今の小学校での環境の整備、指導方法の検討状況というものを伺いたいと思います。
〇佐野首席指導主事兼義務教育課長 プログラミング教育にかかわる小学校での環境の整備、指導方法の検討状況についてでありますが、学校のICT環境の整備につきましては、文部科学省が実施した平成27年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査の結果によりますと、本県小学校のコンピューター1台当たりの児童数は5.6人と、全国の7.0人を上回った状況になっており、1学級で授業を行う場合一人一人に、コンピューターが充足する台数の整備が進められてきたものと捉えております。
これまでも、ICTの環境整備については、各市町村教育委員会に理解を求めてきており、今後も、国の予算措置の動向について情報提供を行っていくとともに、環境整備が充実されるよう働きかけてまいります。
また、指導方法の検討状況についてでありますが、これまで、小学校では情報教育として、コンピューターの基本的な技能の習得を中心とした学習に取り組んでいたところでありますが、プログラミング教育については、新学指導要領の完全実施に向けて準備を進めている段階であります。
また、現在、文部科学省、総務省、経済産業省が中心となり、未来の学びコンソーシアムを設立し、今後、学校のニーズに応じたプログラミング教材の開発や外部人材の活用促進等を進めるとされておりますので、国の動向も注視しながら、プログラミング教育の先進実践事例を各学校に広めてまいりたいと考えております。
県教育委員会といたしましては、今後、プログラミング教育の実施に向けて、環境の整備、指導の方法、両面における課題の解決に向けて情報提供や指導助言を行い、市町村教育委員会と連携しながら取り組んでまいります。
〇佐々木宣和委員 2012年の中学校の技術家庭科でのプログラミングによる計測制御が必修化されたということがスイッチとなり、そのプログラミング教育というものを仕事とする会社というのも、2013年には10社以下だったのが、2016年にはもう150社を超えたということでございますし、NPOの法人などがこのプログラミング教育をかなり一生懸命やっているということです。
岩手県でも、もちろんNPOでやっておられる方もいらっしゃるんですけれども、これは通告していなかったんですが、幼少の子供たちに対してプログラミングを教えるという民間の組織の動きというものを捉えられているか、教えていただきたいと思います。
〇佐野首席指導主事兼義務教育課長 プログラミング教育の必要性、重要性については承知しているところでございますが、民間についての情報は今手元にございません。
〇佐々木宣和委員 端的に言うと、都市部だとかなり進んでいるようなんですけれども、岩手県はやっぱりハンディがあるのかなというところで、ウエブ上で教えるというのもあるみたいですけれども、結局、子供たちに対して教える、小学生に対して教えるということだと、やっぱり体験しないと全然覚えていかないというか、効果がないというところもあると思っていて、先進事例を含めながら先生方と協力しながらやっていただきたい思います。
このプログラミング教育に関して言えば、アメリカでは、オバマ前大統領とかマーク・ザッカーバーグとかが必要性を訴えておりますし、エストニアでは、小学校1年生から必修科目化していると。また、イギリスでは、今度は教える先生方に対してプログラミング教育をすると。教える人に対して教育をするというのに50万ポンドを投じているということもあるようです。フィンランドでは、2016年から小学校でプログラミングを必修化しているということで、結局、世界的にも非常にプログラミングというものが重要と思われていて、その重要性、必要性というものをいかに捉えられているのか。その熱量の大きさをエスカレーションして各市町村に落としていくときに、その市町村がやる気というか、精度が高い授業ができるかということにつながってくると思うんですけれども、改めて、プログラミング教育の必要性、重要性というものをどう捉えられているのか、伺いたいと思います。
〇佐野首席指導主事兼義務教育課長 人工知能の飛躍的な進化により、雇用のあり方などに大きな変化をもたらすとの予測も示されている中、人工知能がどれだけ進化し思考できるようなったとしても、その思考の目的を与えたり、目的のよさ、正しさ、美しさを判断したりできるのは、人間の最も大きな強みであることが再認識されております。こうした人間の強みを伸ばしていくことは、学校教育が長年目指してきたことであり、社会が求める人材像とも合致するものと言われております。
また、日常生活の中には、コンピューターとプログラミングの働きの恩恵を受けた例えば家電などがあり、これらの便利な機械は、プログラミングを通じて人間の意図した処理により動作していることを子供たちが理解できるようにすることが、時代の要請として必要となってきております。
これらのことを受けまして、次期学習指導要領では、小学校でのプログラミング教育が導入されたところですが、県教育委員会といたしましても、プログラミング言語やプログラミングの技能の習得だけに過度に偏ることのないように留意しつつ、児童がプログラミングを体験しながら、コンピューターに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身につけるための学習活動を充実させていきたいと考えております。
〇佐々木宣和委員 そうだと思いますし、重要なんですけれども、結局、前段で触れたITの人材の不足というところで、変な話、プログラミングをやれば御飯が食べられますよというような方策でやっている国もあるようです。
何でプログラミングを勉強しなければいけないかということは、結局、道具の使い方を覚えるということだと思うんです。すごく複雑化して、例えば、スマートフォンを開いても何でそう動くかなんてわからないわけで、スマートフォンをこう操作するとこう返ってくるというのをきちっとわかっていないと、その道具が何でそう動くのかというのをわかっていないと、ブラックボックスみたいなものになってしまうと。
今、ユーザーインターフェースがすごく発達してきて、昔のガラケーとかの説明書がこんなに分厚かったのに、今はスマートフォンも説明書なしで、使い方だったらインターネットを検索すればわかるようになっています。子供たちにとってみれば、いきなりスマートフォンを使うような環境になっており、パソコンがこうなって、こうなって、今スマートフォンになっているという段階を知らない状態で使うというのはすごく怖いなということも思っています。AIの話も触れられましたけれども、今後、テクノロジーがどんどん進化するに当たって、それがどうやって動いているのかというのがわかる人間というのが1割とか2割だけになってしまうと、物すごく怖いことだなと思っているんです。
そういうことも加味していただいて、2020年から義務教育化するということですので、引き続き取り組んで、特にも、民間の取り組みというものをすごく活用しなければいけないところだと思うので、その点も考えてやっていただきたいと思います。
〇飯澤匡委員 1点お伺いします。2019年には、岩手でラグビーワールドカップが開催される予定ですが、これを目前にした学校現場、特に県立高校のラグビー競技への理解促進と、また、選手の強化策についてお伺いします。
まず、学校経営者である校長先生は、このラグビー競技に対する理解度がどういうものなのか。冒頭に教育長から、2020年のオリンピック・パラリンピックの理解度促進についてはお話がありましたが、どうもいろいろ話を聞いていると、なかなかこういう話が盛り上がってこない。岩手県でこういうワールドカップが開催されるなんていうことは本当に稀有で奇跡的なことだと思うんですが、そのことについてもなかなか深く掘り下げていないような気がするんですが、その点についてどう現状把握をしているか、まずお伺いします。
〇荒木田首席指導主事兼保健体育課総括課長 校長の理解度についてでありますけれども、県内の高校ラグビーは2度にわたる全国制覇を含め、長い歴史と伝統を持ち、本県高校スポーツ全体を牽引してきたところであります。
県内高校のラグビー部は20校でありますけれども、現在もラグビーを愛する生徒たちによる積極的な活動が行われており、ラグビー競技は適切な指導のもと、ワン・フォー・オール、オール・フォー・ワンの精神を学ぶことができる、安全ですばらしいスポーツの一つであると認識しております。
また、2019ラグビーワールドカップ釜石開催は、スポーツの価値への理解を深めるとともに、国際、異文化理解等、多面的教育価値を持つなど、生徒たちにとっても世界とつながる貴重な機会となるものであり、県内児童生徒に対しても、ラグビー競技への正しい理解への一層の促進を図って行うべきものと考えております。
これまでも、県内各高校におきまして、部活動や体育の授業を通じまして、ラグビー競技に対する正しい理解の促進に努めてきたところではありますが、委員からの御指摘を踏まえまして、今後におきましても、校長や教員に対してもラグビーへの積極的な理解促進を図りまして、学校一丸となってスクラムを組み、2019年ラグビーワールドカップの機運醸成と高校ラグビーの普及発展に努めてまいります。
〇飯澤匡委員 余りきれいにまとめられるとなかなか大変なんですけれども、まず私の問題意識は、いずれ学校の生徒の数が減っているということで、今20校という話がありましたが、15人でチームを組める状態がどんどん厳しくなっているというのは、これはどの県も同じような状況だと、都市部の学校は違いますけれども。これがもうひとつ、ラグビー競技がワンステップ盛り上がらない理由、これもあるんだろうと思います。
それからもう一つ、ただいま理解度促進についてお話がありましたが、ちょっと懸念材料は、学校経営者である校長の、最近責任問題ということが重くなってきて、危険なスポーツに対しては余り前に進めようとしない風潮があると聞いています。これはちょっと問題だなと思っています。
底辺拡大のために、小学生や中学生を対象に、ラグビー協会と、タグラグビーの普及を今指導員なんかも増員して一生懸命やっていて、それに対して学校教育現場でも呼応していただいていると感じていますし、事実、非常にタグラグビーについては参加している児童生徒もふえていると聞いています。さて、では、高校に上がってラグビーしようかと思ったら、まず大体にして人数がそろわない。あと混合チーム、他校と一緒になってセブンズ(7人制ラグビー)もやっとできるような状況であるんですけれども、そのような状況であっても、なかなかラグビーを継続させよういうような土壌が広まっていかないということは事実だろうと思うんです。
そこで、ただいま課長からも話があったように、岩手県は全国でも特異なラグビー文化というのを花咲かせて、この釜石会場が決定したというのも一つの文化、歴史があってこその話ですし、関係者の努力もあったからこそだと思うんですね。でありますから、高校において、そういう生徒のやりたいという気持ちを阻害しないような、なおかつ、ワールドカップが岩手県で、釜石で開催されるということをもっと深く浸透させるようにすることが、競技の強化だけでなくて、岩手県民としての誇りという部分にもつながっていくと思うんですが、その点についてどのようにお考えか、もう一度御答弁願います。
〇荒木田首席指導主事兼保健体育課総括課長 委員がおっしゃいましたレベルアップの話でございますけれども、そのためのコーチング体制の強化についてですが、ラグビー競技は、体づくりやスキルの向上が不可欠なスポーツでありまして、特に十分なトレーニング、そのための指導者が不足している場合などはけがに結びつくスポーツであると捉えております。県立学校におけるラグビー部の活動につきましては、各学校において、顧問またはラグビーを専門的に指導できる外部指導者による指導が進められている状況にありますが、あわせて、関係団体を初め関係機関と連携を図りまして、まずは指導者のレベルアップに向けた取り組みを推進しているところでございます。
生徒の競技レベルや体力レベルに応じまして、安全面に配慮した適切な指導が行われるよう、引き続き、生徒が存分にラグビーに打ち込めるような環境づくりを促しまして、コーチング体制の強化に努め、さらにラグビーを盛り上げていきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 今コーチング体制について触れられましたけれども、これはラグビーにかかわらず、トレーニングの仕方、それから体幹強化等については、コーチングのほうも非常にスキルがアップしていまして、ラグビーは特に危ないので首の強化ですとか、ここら辺がやれるかやれないかというのも一つの大きなかぎになっているわけです。したがって、県立高校では今競技別に指定強化をされていますが、こういうコーチングをしっかりできる人も登用していくということも必要でありますし、また、講習会であるとかそういうことも、これはラグビー協会でやるところもありますけれども、学校教員についても、ただ単に協会の枠の中でやるのではなくて、きょうの私の主題である、ワールドカップが開催されるという意義をしっかりと捉えて、何といいますか、意識啓発─啓発とは言いませんけれども、意識をもっともっといいほうに浸透させていくような方策をぜひとももっと考えていただきたい。ただ、2年後にラグビーの世界大会があるぐらいの話では、とても寂しい話だと思います。
繰り返しになりますが、いずれ、学校経営者の校長の理解度によってかなり違うということ、それから競技の強化、コーチングの強化もしっかりやっていただくということ、どの競技にも言えるんですが、何度も申し上げますが、せっかくワールドカップという大きな大会がこの岩手県で開催されるので、その点は県教育委員会も意を体して御対応をいただきたいと思います。もう一度答弁願います。
〇荒木田首席指導主事兼保健体育課総括課長 ラグビーワールドカップが2年後に来る、そして次はオリンピックが来るという、スポーツイベントがいっぱい来ます。そういうものを捉えて、県教育委員会としましても、先ほど委員の御指摘にもありましたが、子供たちにこういうものを通じて、いい大人になってほしいと思います。こういうものを捉えた適切な教育、そして管理職についても、子供たちをしっかり教育していくのだという指導をさせるような取り組みをしていきたいと思っております。
〇工藤誠委員 私のほうからは2点お伺いいたします。
初めに、新聞報道等で御承知のとおり、一野辺製パンという会社の倒産に伴う学校給食への影響ということについてお伺いしたいと思います。
9月末にこの報道がありました。この本社工場は私が住んでいるまちにあり、古くからの老舗でございまして、いろんな地域でも愛されているパン工場でした。この倒産に伴って、離職者の対応等についてはハローワークなどでしっかり対応されているようでございます。
質問の1点目は、学校給食をこの会社は受託していたということでございます。新聞報道によれば、盛岡以北9市町村で約1万6、000食、それから青森県南では約1万2、000食、非常に大きな仕事をしていたということで、突然そういう状況に陥って、学校関係者もそうですし、子供たち、また父兄の皆さんもびっくりしていると思います。
それで、今現在、それから2週間ぐらいたっているわけですけれども、学校給食にどういう影響が出ているのか。また、現在の状況と対応策、いろいろ関係自治体でもやっていると思うんですけれども、その対応策の進捗状況についてお伺いしたいと思います。
〇ハクセル美穂子副委員長 工藤誠委員に申し上げます。決算審査であることの趣旨を踏まえて質疑を行うようお願いします。
〇荒木田首席指導主事兼保健体育課総括課長 一野辺製パンの倒産に伴います学校給食の現在の状況でありますが、今回の倒産の影響を受けた公立小中学校は、委員のお話のとおり9市町村、小学校68校、中学校が33校、計101校となっております。
対応策でありますが、当面の対応としまして、当該市町村では、主食の欠食が生じないよう、自校または共同調理場からの米飯提供や、保護者に主食を持参させるよう依頼をすることなどにより対応しているところでございます。
また、今後の提供の体制についてでありますが、公益財団法人岩手県学校給食会と岩手県パン工業組合が代替業者について検討を行っておりますが、製造業者から各学校に配送する車両とドライバーの確保のめどが立っていないなど、配送面の調整等の課題があり、今しばらく時間を要する見通しとなっております。
〇工藤誠委員 学校給食という点では決算と関係がないということでもないと思いますが、ただ、急に出てきた話だったので、こういうことを質問させていただきました。ちょっと関係ないかもしれませんが、お許しいただきたいと思います。
それで、こういう非常事態ということについて、県の教育委員会としてはどういうかかわりを持っているのかということと、それから支援策としてどういうことを考えているのか、そのことについてお伺いしたいと思います。
〇荒木田首席指導主事兼保健体育課総括課長 県教育委員会とのかかわりと支援についてでありますが、学校給食の実施主体は市町村であり、業者選定等は市町村が行うことから、県教育委員会としましては、安全、安心な学校給食の提供のために、市町村に対しまして、代替食提供にかかわる衛生管理に対する助言等を行ってきているところでございます。
今後も、早い時期に従前どおりの給食が提供されるよう、学校給食会と連携をしまして、市町村からの要請を踏まえながら、学校給食業者等の情報提供や衛生管理に関する助言などを行いまして、適切な対応がなされるよう支援してまいりたいと思います。
〇工藤誠委員 今2学期ですか、そして冬休みが来るまでにまだ2カ月ほどあります。学校教育そのものにかかわってくるものだと私は思いますし、子供たちの教育環境をしっかり整えること、これは学校給食法においても定められていることでございます。それと、御父兄の負担とか、さまざまなことがこれから出てきますので、早急な対応をしていただいて、すぐに再開していただきたいと思います。
そして、今後こういうことがまた起こるということは考えにくいことではありますが、今後に向けて、市町村教育委員会との連携など、セーフティーネットみたいなものをどう確立していくべきなのか、そういうことをどのようにお考えになっているかということをお伺いしたいと思います。
〇荒木田首席指導主事兼保健体育課総括課長 市町村教育委員会との連携また危機管理体制の構築についてでありますけれども、緊急事案に適切に対応するためには、日ごろより市町村教育委員会及び県の学校給食会との連携を密にしながら、速やかな状況把握、情報の提供、情報共有を図ることが重要であると考えております。
また、県の学校給食会と連携をしまして、学校給食用の主食製造業者の状況等を把握していくことも重要だと考えております。
県の学校給食会の理事会におきまして、課題があれば早期に市町村へ情報提供するなどの適切な対応がとれるよう、危機管理の体制の構築に努めてまいります。
〇工藤誠委員 それでは、この質問については以上で終わります。いずれ、早期に対応をお願いしたいと思っております。
それでは2点目でございますが、縄文遺跡群の世界遺産登録ということで、このことについては一般質問でも申し上げました。十分教育長からも誠意ある御答弁をいただいたと思っておりますが、若干追加で御質問させていただきたいと思います。
まず一つは、プロジェクトチームをつくったということについてですが、県政調査会で御説明をいただきましたが、これまでの検討状況、それから文化庁というか文化審議会から示された課題の整理など、まだ方向性も見えていないということもありましたけれども、現時点でどういう状況にあるのかということについてお願いしたいと思います。
〇鎌田文化財課長 まず、プロジェクトチームの検討状況についてでありますが、8月に青森市で開催された第1回プロジェクトチーム会議では、構成資産の主要要素である貝塚、記念物、集落の三つのテーマ─記念物とはストーンサークル等のことでありますが、これらのテーマを一つずつ取り上げ、12月までに北海道、秋田県、岩手県でそれぞれ会議を開催し、推薦書素案のブラッシュアップに反映させていくことで合意いたしました。
今月北海道で開催された第2回の会議では、貝塚研究の第一人者からの基調報告や構成資産、関連資産の各貝塚に関する最新の調査研究報告を踏まえ、北海道、北東北に所在する貝塚のそれぞれの特徴や相互交流、縄文時代の環境変動、内陸部の集落との関係性について意見交換を行いました。今後、12月にかけては、秋田県を会場に記念物を、本県を会場に集落をテーマに掲げ、検討を進めていくこととなっております。
次に、文化審議会から示された課題の整理と対応策についてでありますが、北海道・北東北の縄文遺跡群を地域文化圏として説明しようとしたことについては文化審議会から評価されており、今後は地域文化圏としての優位性、特異性等について他地域との比較研究等により、より明確に説明することが最も中心的な課題と認識しております。
今後は、北海道、北東北の地域文化圏の不偏的な価値について、他地域との比較研究や文化圏内での交流について検討を進めるとともに、17資産全体でその価値を過不足なく説明できるよう取り組んでまいりたいと考えております。
〇工藤誠委員 2回目に質問しようとしたことについても回答をいただきましたのでそこはカットして、毎回課題を示されて、その対応方法について検討しているわけでございます。それについては、文化庁の調査官も入って一緒に課題解決に向けてアドバイスを受けたり、検討したりしているわけですけれども、これまで5回、文化審議会に挑戦しているわけですが、文化審議会では、縄文遺跡群の世界遺産登録についてどう理解をしているのか、その理解度というか、それをどういうふうに皆さんは感触として持っていらっしゃるのかということについてお伺いしたいと思います。
〇鎌田文化財課長 文化庁の認識についてでありますが、これまで、事務局及び4道県担当者が文化庁に直接赴き、推薦書素案作成について世界遺産担当調査官と協議を何度も行ってきました。保存管理面で課題のある二つの遺跡を構成資産から除外したことや、幾つかの構成資産において史跡の追加指定が行われたこと、また、地域文化圏として普遍的価値を説明するという方向に転換したことや、個々の遺跡での解説の充実等についても文化庁と協議を進めているものです。
文化庁からは、推薦書素案の内容が十分整理され、論理的な内容になっていることを認めていただいているものと考えております。
〇工藤誠委員 理解していただいているということが結果につながっていないということはどういうことなのかということまでは聞きませんけれども、まず、しっかりとさらに説明を尽くして、私は何度も申し上げますけれども、推薦書の熟度をいかに高めていくかと、それが最も大事なのだということを何度も申し上げています。そのために、一般質問でも申し上げましたが、人員体制の問題、専門家の方が県教育委員会にたくさんいらっしゃるのか、いないのかもよくわかりませんけれども、そういう人員体制をしっかり組むべきだと思いますし、もしも外部の人材が必要であれば外部の人材を招聘してチームに加えるとか、それはもう当然やるべきだと私は思っています。
その辺の取り組みのこともお伺いいたしたいし、それから、4道県での予算を毎年負担金で出しているわけですけれども、この予算については不足はないのでしょうか。何かもっと取り組むべき課題があるのに、予算が足りないという現状はないのかどうか、その辺の人員体制と予算の内容についてお伺いしたいと思います。
〇鎌田文化財課長 まず、縄文遺跡群の世界遺産登録に向けた人員についてでありますが、さきの一般質問にて教育長から答弁いたしましたが、人員的には、文化スポーツ部に異動となった関係職員を県教育委員会職員として併任発令を行い、知事部局と県教育委員会とが相互に密接に連携しながら、一体的に取り組んできたところです。
今後、必要な業務内容等を見きわめながら、知事部局と十分に連携して、人員確保について適切に対応してまいりたいと考えております。
次に、縄文遺跡群の世界遺産登録に係る予算についてでありますが、縄文遺跡群世界遺産登録推進会議において、推薦書素案作成事業や縄文フォーラム、国際的合意形成促進事業いわゆる国際専門家会議の開催、縄文遺跡群保存管理活用協議会等必要な事業と経費について合意形成し、負担金という形で4道県及び資産を構成する14市町で経費を分担しております。
来年度の具体的な事業については、今後開催予定の縄文遺跡群世界遺産登録推進会議において必要な事業と経費について合意を図っていくこととなりますが、県といたしましては、必要な予算を確保し、対応していきたいと考えております。
〇工藤誠委員 先ほどの文化スポーツ部のときにもちょっと申し上げたんですけれども、4道県の本部の経費というものについては、かかるものはやっぱりかかるわけで、まして5度も推薦を見送られているということについては、何かしら足りない部分があるはずですから、足りない部分を補うためのいろんな事業を行うために必要な経費は確保していただきたいし、人員もしっかりと対応していただきたいと思います。ここは教育長の手腕にもかかっていると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
最後になりますけれども、これも一般質問で知事からもお話がありました。近々4道県知事の意見交換の場があるということでございます。それで、現時点において岩手県からはどういう提案をなさるお考えがあるのかということについてお聞きします。
〇鎌田文化財課長 道県知事の意見交換の場の時期と岩手県からの提案についてでありますが、4道県知事等により構成される縄文遺跡群世界遺産登録推進本部会議は、本県の働きかけにより、11月1日に青森市で開催することが決定いたしました。この本部会議には、4道県知事及び教育長のほかに、17資産を構成する14市町の首長及び教育長が出席することとしております。8月の北海道・北東北知事サミットでは、4道県の知事が連携の強化を合意したところですが、今回の推進本部会議では、構成する全ての道県及び市町が一堂に会することから、4道県と14市町の連携がこれまで以上に強化され、共通認識のもとで機運醸成が図られ、より充実した推薦書素案作成につながるよう準備して臨みたいと考えております。
〇工藤誠委員 いずれ、やることはやっていると、それからお金もかけ、人も十分やっているということですので、私はもう来年の推薦書がどうでき上がるのか楽しみにしながらまた待っておりますけれども、いずれ、検討していく段階でどういう課題が解決されて、そして、どういう状況にあるのかというのを、今後、ぜひ機会があれば我々にお示しいただきたいと思います。
先般の県政調査会では推薦書の中身も見ることができない、また、課題の整理もできていない、対応方法もまだ明らかにできないという中で、我々としても何をどう話をしていいか私も非常に苦しんでいるところであります。ぜひ公開した場でしっかりとその中身を示していただきたいと思っています。
それで一つ、私は提案をさせていただきたいと思います。これはコメントを特には求めませんが、北海道・北東北の縄文遺跡群というこのタイトルですけれども、今までの例を見れば、登録になったところは、平泉であれば仏国土を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群、橋野鉄鋼山であれば明治日本の産業革命遺産、それから最近では、神宿る島宗像・沖ノ島とか誰が聞いてもインパクトがあります。そういうタイトルからもう少し考えていくことも、私は必要ではないかと思います。例えば、津軽海峡圏というものがあるわけですから、そういうものをメーンとした、海峡圏を挟んだ縄文遺跡群のネーミングとか、また、1万年以上続いた自然との共生というか、そういうものも織り込んでもう少し考えていただかないと、同じことを同じように繰り返したっていつまでたっても同じですから、そのことを改めて申し上げて終わりたいと思います。特にコメントは要りません。
〇軽石義則委員 学校現場における働き方改革について1点質問させていただきます。
働き方改革では、正規、非正規の働き方などをこれまでも議論されてきておりますけれども、きょうは非正規教員についてお伺いしたいと思います。
県内のいわゆる小学校、中学校、高等学校、学校現場における非正規教員の配置状況、人数を含めてどのような現状となっているのか。学校規模別等の正規、非正規の割合など、全体の数の割合はどうなっているのかなどを含めてお示し願いたいと思います。
〇永井教職員課総括課長 非正規教員についてのお尋ねでございます。
非正規教員の配置状況でございますが、まず、大まかに申し上げて、常勤講師とそれから非常勤講師の2種類ございますし、それから非常勤講師においては、専門職員と嘱託員という形でさらに分かれている体制となっております。いずれも正規教員と同様に、学校教育の推進に力を尽くしていただいているものでございます。
この配置状況でございますが、ことしの5月1日の数字で申し上げさせていただきますと、校種別の人数が、小学校におきましては、常勤講師と非常勤講師を合わせて計509名、中学校においては380名となっております。高等学校におきましては、計386名、それから特別支援学校においては、計198名となっております。
これらの数字につきまして、学校の規模別にどのような配置状況かというお尋ねでございますけれども、教職員の総数に対しての常勤講師の数で答弁をさせていただきますが、小学校におきましては、全体の7.2%となっております。そのうち、規模別の区分で申し上げると、19学級以上の大規模な学校が8.1%という数字になっております。
次に、中学校におきましては、全体で6.9%となっております。その中で、最も大きい区分といたしましては、11学級以下のいわゆる小規模校が7.6%と最も多くなっております。
高等学校につきましても同様でございますが、全体で9.4%という数字になっております。区分で参りますと、1学年3クラス以下の小規模の学校が15.2%と最も多くなっております。
特別支援学校においては、全体で11.1%となっておりますけれども、教員数が80人以上の大規模校が14.8%と最も多くなっております。
〇軽石義則委員 非常に重要な役割を比率から言っても担っているということが数字でもあらわれていると思います。非正規教員の区分もいろいろあるようですけれども、職務分担として具体的にどのような業務内容になっているのか、お示し願います。
〇永井教職員課総括課長 職務分担、職務内容についてのお尋ねでございます。
具体的な分担ですとか内容について、これも常勤講師を例にとりますと、小中学校におきましては、学校の事情によっては担任ですとか部活動を受け持つなど、いわゆる正規教員と同じ業務内容となっているケースもございます。
県立学校においては、また若干状況が異なっておりまして、基本的に担任を持つことはございませんで、校務分掌の中で比較的負担の少ない業務ですとか、あるいは担任ではなくて副担任ですとか、学年付という職務を担当しているのが基本でございます。
なお、部活動につきましては、高等学校におきましては、これは基本的には、全員が何らかの形で担当を持っているという状況になっております。
〇軽石義則委員 非正規と言われながらも正規とほぼ同じ仕事、責任を持たせられていると認識しますけれども、そうであると、同一労働同一賃金と世の中では今その改善を進めているわけですが、非正規教員のいわゆる勤務環境といいますか、総労働時間の把握や時間外勤務の現状、有給休暇の取得、賃金、これはボーナス、期末手当を含めてですけれども、年収とかそういうもろもろは、条件的には正規と非正規はどのような形で今進んでいるのか、差があるとすればどのぐらいの差があるのか、お示しを願いたいと思います。
〇永井教職員課総括課長 まず、先ほどの御答弁を申し上げた中で、正規職員と同じような職務内容になっているケースが多いと申し上げましたが、例えば小中学校においての担任という部分については、いわゆる業務指導ですとか、基本的に同様の職務になっているものが多いです。人数が大きい学校でしたら、例えば部活動ですとか校務分掌などは主担当とせずに補佐的な役割を、いわゆるクラスの外での学校業務としてやっているケースも多いですし、また、職員会議などに提案するような業務などについては、どちらかというと、正規職員とチームを組んだりサポートをしたりというような職務、業務内容が多いという状況にございます。
そういった中で、労働環境はどうかということでございますが、まず制度的な部分から申し上げさせていただきますと、いわゆる常勤講師につきましては、勤務時間ですとか服務関係は正規職員と同様の取り扱いでございます。ただ、給与制度においては、若干正規職員と違った運用をされている部分もございます。あと、福利厚生の部分ですと、健康保険法ですとか厚生年金法が適用になっているものでございます。
それから、非常勤講師につきましては、先ほど申し上げた専門職員と嘱託員で若干違いがございますけれども、服務関係は正規職員と同様でございます。報酬はその働き、任用形態によりまして月決めであったり、時間給であったりということになっております。福利厚生関係も、健康保険ですとか厚生年金の関係になりますが、その労働時間によって別の法令が適用されるものがございます。
その中で、実績の数字というところでのお尋ねでございますけれども、有給休暇につきましては、正規職員と同様の服務になっておりますので、数字としては非正規の部分がございませんので正規職員の実績を御紹介させていただきますが、県立学校におきましては、平成28年度で年間13.9日、その前の年、平成27年ですと13.1日、その一つ前の平成26年は13.2日という数字になっておりますので、しっかりした数字がございませんけれども、ほぼ同様の取得の状況になっているのではないかと考えております。
それから、給与面につきましても、これも制度の御紹介で恐縮でございますが、いわゆる初任給で比較させていただきますと、小中学校ですと、例えば新卒、大学を出てすぐ常勤講師になった場合、給料の月額が19万7、500円という数字で、これがいわゆる採用試験を経て正規職員として任用された場合は20万1、300円ということで、ここには若干の差異がございます。県立学校についてもほぼ同様の状況でございます。
なお、それ以外の手当、例えば期末とか勤勉手当につきましては、常勤講師、正規職員とも同様の支給月数で給付しているところでございます。
〇軽石義則委員 非常勤教員のいわゆる労働条件の実績といいますか、そういうものが区分してしっかり把握できていないと聞こえるんですけれども、それでいいんでしょうか。
〇永井教職員課総括課長 非常勤職員の服務環境の管理ということでございますけれども、基本的には、先ほど申し上げたとおり、服務管理という観点、それから報酬等については、それぞれの実績に応じながらも同様の管理はいたしているところでございます。実績の管理になりますと、正規職員と同様に把握しているものと、それから、各学校に照会しながら実績として押さえなければ出てこないものと、そのような数字が若干ございます。
〇軽石義則委員 それぞれの学校に、現場にお任せしてしっかり管理していただいているということだと思いますけれども、教育現場ですので、非正規、正規ではなくて、正規の教員をもって運営されていくべきところが本来求めるべき姿ではないかと思っております。非正規の教員の実態をしっかり把握できないとすれば、いつになっても正規のいわゆる基準、基礎になる部分が見つけ出せないのではないかと思うんですが、その点はどうなんでしょうか。
〇永井教職員課総括課長 委員から、いわゆる非正規教員の職務及び今後の処遇改善については、しっかり現状を把握することが大事ではないかという御指摘をいただきました。実は現在、まさに非常勤職員のいわゆる服務実態とか任用実態を把握する取り組みを進めております。これは、冒頭御紹介がございました国における働き方改革の推進ですとか、あとは、公務現場における行政需要の多様化といったものを踏まえまして地方公務員法が改正になっておりまして、平成32年度に非常勤及び臨時職員の制度が変わる予定になっております。
その前段といたしまして、現在、その任用ですとか勤務条件等について統一的な取り扱いをするための全数調査を、これは県教育委員会だけではなくて、地方公共団体全てにおいてそれぞれ準備をしている状況でございます。
こういった調査をしっかりと展開する、確認することによりまして、勤務実態を把握し、調査結果を踏まえた適切な制度設計をしっかりと、今後、他県の状況ですとか他任命権者とも確認をしながら進めてまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員 今調査中だということでありますけれども、やはり本来、国から調査を依頼されてするべきものではなくて、岩手県の教育現場をどうつくっていくかという基本的な考え方からすれば、岩手県として独自の実態はしっかり把握して、これまで進めてきておくべきだったと思います。これからでも遅くはないと思いますけれども、やはりその対策をしっかりして、かなり厳しい環境の中でこれから岩手を担う人材を育てていくために、取り組まなければならないことも多くあると思います。
では、これまで非常勤教員は、どのような位置づけで捉えて来たのでしょうか。
〇永井教職員課総括課長 非常勤教員の基本的な考え方でございます。正規の職員とは異なりまして、臨時的な任用というのが基本的な非常勤教員としての任用のあり方でございます。
やはり行政需要が増えたりですとか、あるいは、現在沿岸のほうでは震災のための復興の加配ですとか、さまざまなそういう時々に応じた行政需要が臨時に発生する場合もございます。そういう臨時かつ緊急な場合において、正規職員の手当てがなかなか難しい場合においては、これを臨時的任用という形で任用していくのが基本的な制度でございます。
先ほど申し上げましたとおり、学校における働きですとか役割については正規職員と大きくは違わない、むしろ担任を持ったりとか指導の面で正規職員に伍して大きな役割を果たしているという認識のもとに、これまでも、例えば常勤講師につきましては、少しずつ初任給を引き上げしたりですとか、あるいは社会保険制度の運用を見直したりですとかというような、非正規教員の働きとその立場に沿った形でのさまざまな改善の取り組みにも、できる範囲ではございますが、逐次進めてきているところでございます。
〇軽石義則委員 進めてきていただいていることは十分理解しますけれども、しかし、長時間労働の発生や、現場でいろいろな苦労もされているというお話もこれまで議会でも質疑が交わされているところです。そういうところにしっかり対応されていないから、課題、問題の具体的解決に結びついていないこともあるのではないかと私は考えております。
そうだとすれば、実際に今、岩手県の教育現場で、本来であれば正規職員が何人必要で、何人不足しているかというのはわかるんでしょうか。
〇永井教職員課総括課長 いわゆるマンパワーとしてトータルで幾ら必要かというところと非正規との割合という部分のお尋ねです。
現時点で、先ほど申し上げた常勤講師のうち、欠員だったりとか病気ですとかといった形で手が足りないという方については、例えば小中学校で100名強、それから、高校では170名程度、あとは特別支援学校で100名程度いますので、基本的にはそういった方々の部分については、マンパワーとして正職員が足りない分として臨時的任用ということでカバーしていただいております。
また、人数ということになりますと、現員で、常勤講師等全部で各職種を通して1、000名ほどいらっしゃいますけれども、現時点における必要なマンパワーとして、正職員の足りない分を1、100名の常勤講師等の方々にしっかりと担っていただいていると考えております。
〇軽石義則委員 詳しい実態は今調査中なので、それが正確に把握された段階で出てくると思いますけれども、民間であれば、非正規の社員は、職員として一定の年数が過ぎると正規に繰り上げになる、いわゆる採用していただけるという制度を今どんどんつくっていただいているわけです。やっぱり行政というか県の仕事、特に教育現場においては、経験年数に応じた対応の仕方というのは、常にその場にいて、長い経験が物を言うこともあると思うんですね。そういう制度は今もあると思いますが、さらに広げるという思いはあるんでしょうか。
〇永井教職員課総括課長 いわゆる常勤の講師の方の中で、経験豊富でしっかりとした力をお持ちの方もたくさんいらっしゃるというのは、委員御指摘のとおりでございます。そういった講師の方々を、例えば民間ですと、今5年たてば正規転換ですとかといった動きがあると聞いております。
現時点で、例えばそういう講師の方々を一定期間で無条件に転換というのは、任用制度上なかなか難しいところもございますけれども、学校現場で、そういう能力をしっかり発揮されている講師の皆さんの経験ですとか職務能力を評価した上で、1年以上勤務されている講師の方については、教員採用試験の一部の科目を免除する措置を行っているところであります。
〇軽石義則委員 一部の試験を免除することも大事だと思いますけれども、やはり現場で積み重ねてきたものを現場で有効に活用していく制度もさらに広げていくべきと思いますし、努力している姿を子供たちは一番見ていると思うんですね。子供たちが育つ環境で、先生たちが、正規、非正規の格差があって、先生方でさえ努力してもどうにもならないんだというようなことを見て社会に出ていくのではなく、自分たちも、社会に出て努力をすれば結果がついてくるんだというものをしっかり目で見せることも大事だと思うんですね。そういうところを教育長に、さらにしっかりやるという答えをいただいて、終わりたいと思います。
〇高橋教育長 今、委員から正規雇用と非正規雇用のあり方についてさまざまな御意見を頂戴いたしました。基本的な制度の仕組みといたしまして、非正規の任用は、例えば職員の育児休業ですとか休職という一時的な空白期間を穴埋めする仕組みが臨時採用ということでございまして、それを正規雇用と全く同等の、ごっちゃにしてやるというのは、本来の任用のあり方として適切なあり方ではないと思っております。
しかし、高等学校の授業科目、コマ数等を見ますと、1週間に例えば1コマ、2コマというものもございまして、そこは常勤の職員で対応するのは非効率だということもございまして、これは非正規雇用というものがあってしかるべきかと思います。
それから、採用のあり方といたしまして、これは、教諭も地方公務員の一つでございますので、地方公務員法、それから、教員にかかわる関係法令のもとで採用を行っていくということで、一定の公平性を担保する必要もあるということです。
ただ一方、委員から御指摘がありましたように、経験等を積んで人間的な幅を持っている、それを適正に評価することも極めて大事な視点だと思っておりまして、先ほど課長から採用のあり方について御説明させていただいたところでございます。
今後のあり方といたしましては、常勤的な雇用制度は限定的なものとして一歩ずつ前に進めていく、解消に向けて取り組んでいくという基本的な姿勢を持ちながら、あと、採用のあり方等についてもさまざまな課題が出てきております。それらを一つずつ丁寧に検討して、いい形の仕組みをつくっていく努力をしていきたいと考えております。
〇阿部盛重委員 私からは、児童生徒健全育成推進費のいじめ、不登校対応についてお伺いいたします。
平成27年度のいじめ認知件数が、小学校では2、302件、中学校では765件、高等学校では157件、トータル3、224件ということでございますが、いじめ防止対策推進法が施行されたにもかかわらず、数字的には非常に多いと感じております。
この手の問題点をどう分析されて課題解決されているのか伺います。また、重大事態件数が17件ということでございますが、この件は全て解決されているのかどうかと、あと、不登校も小学校では189人、中学校は829人、高等学校339人で、計1、357人ということですが、この方々への課題解決がどう推移しているのか、対策を含めてお伺いいたします。
〇菊池首席指導主事兼生徒指導課長 まず、一つ目のいじめの部分についてでございます。現在、いじめにかかわっては、学校がいじめを見つけたといういじめの認知件数と変わっております。従前は、いじめの件数ということで、事実行為があったかなかったかということでございましたが、今は認知件数でございますので、いじめを認めた、学校が見つけた数と捉えております。ですから、今般1、500件以上という、御指摘があったように、認知件数が上がっているということは、学校における教員の感度が上がってきているものと捉えております。
次に、2点目ですが、いじめ重大事態にかかわりまして、平成27年度17件という、御案内のとおりでございます。これらにつきましては、学校の調査等を含みまして、全て当該児童生徒、保護者等の了解を得て、収束していると認識しております。
3点目の不登校につきましては、過去というか、ここ数年増加の傾向にございます。学校不適応等の対応にかかわりましては、専門的なスタッフとしまして、スクールカウンセラーもしくはスクールソーシャルワーカー等の専門的な知見を有した方々に、学校を支援していただいている状況でございます。
〇阿部盛重委員 わかりました。先生方の質がレベルアップされているということで認識いたしました。
次に、問題の早期発見や防止に向けて、悩みを抱える子供たち、また親の相談に乗るスクールカウンセラーの拡充が急がれております。配置率を見ますと、小学校が73%、中学校98%、高校が80%ということですが、文部科学省は、平成37年度までに小中学校の配置を100%という目標を挙げておりますけれども、本県の配置計画はどのようになっておりますでしょうか。
〇菊池首席指導主事兼生徒指導課長 本年度につきましては、今、委員御案内のとおりの数値でございます。構造上の問題がございますが、学校への配置率につきましては、県内には六つの教育事務所がございます。実はその教育事務所にもスクールカウンセラーを配置しておりますので、配置していない学校もございますが、その学校につきましては、何かありましたときには、教育事務所からそちらの学校に対応できる体制を整えております。ですから、言い方を変えますと、配置率は御案内のとおりでございますが、活用できる学校はほぼ、ほぼ100%と捉えております。
〇阿部盛重委員 わかりました。ありがとうございます。
次に、問題解決のため資格として臨床心理士が必要でございますが、次代の人材育成、採用計画と、それから、スクールカウンセラーの1日の活動内容及び情報を学校と共有し、また課題解決しなければなりませんけれども、どのようなシステムになっているのかお伺いいたします。
〇菊池首席指導主事兼生徒指導課長 臨床心理士の採用の計画ということでございますが、本県におきましては人材確保がまず第1の課題でございます。大学を卒業して、そのまますぐ確保できるものでもございません。ですので、採用を本年度につきましては昨年度から2名ふやしたところでございますが、それぞれお一人が担当する学校をふやしていただくなどして、学校のニーズに今対応しているところでございます。
それから、二つ目の1日の活動につきましては、配置型のスクールカウンセラーにつきましては、学校に登校しまして、本日の勤務の内容を確認し、そして、カウンセリング等を受ける児童の情報収集、授業を見たり、そういう情報収集をし、児童生徒または保護者へのカウンセリング、そして、その後にその報告及び1週間の間にどのように対応すればいいかという教員へのアドバイスのようなことを、1日の活動の中で行っているところでございます。
〇阿部盛重委員 ただ、お一人のスクールカウンセラーの方が何校もかけ持ちというお話もちょっとお聞きしました。他県では、午前中1校、午後1校というところもあるようでございますが、スクールカウンセラーに負担がかなりかかっているのではないかと思うんですが、その点はいかがでしょうか。
〇菊池首席指導主事兼生徒指導課長 今、1人当たりおよそ3校の学校を担当しております。負担の軽重につきましては、その方の認識もございましょうから、省かせていただきますが、いずれそういう対応をしておりますので、まずは人材の確保をして、少なからず拡充の方向で検討してまいりたいと考えているところでございます。
〇阿部盛重委員 いずれ内容が非常に難しい、難題のある子もいると思うんですけれども、そうするとどうしてもスクールカウンセラーの度合い、比重が重くなっていくと思いますので、極力1校及び2校ぐらいの配置ができればいいと思っておりますので、ぜひ育成を含めてよろしくお願いいたします。
それから、教育長にお伺いいたしますけれども、スクールカウンセラーの活動時間及び拡充について、そして、本来教員は子供に寄り添うべきと考えますが、ただ、新聞等でも報道されていますけれども、先生方が、非常に余裕がない状況になっているということがあります。学校環境の整備が急務と思っておりますが、その点、教育長としての御所見をお伺いいたします。
〇高橋教育長 まず最初に、スクールカウンセラー、それからスクールソーシャルワーカーの話がございました。専門的な知識、経験を有する外部の人材を活用するのは極めて大事だと思っております。それから、学校教育活動については、教員の日々の活動によって、子供たちに向き合った教育がなされているということで、教職員の勤務環境を整備していくのは極めて大事なことだと思っております。
そういう中で、一般質問でもお答えさせていただきましたけれども、学校に対する期待の高まりでありますとか、それから、いじめの問題もございました。さまざまな教育課題の多様化等に伴いまして、教員に求められる役割が質、量ともに拡大して、教職員の負担が増大している状況にあると認識いたしております。県教育委員会におきましては、これまでも少人数学級の推進、それから、事務的業務の見直し、部活動休養日の改善や設定、履行などに取り組んでまいりましたし、そのほか、勤務負担軽減に向けた関係団体との協議の場における検討を経て、さまざまな勤務負担軽減策を逐次実施してきたところでございます。
また、8月末でございますが、中央教育審議会の緊急提言がございました。そういう中で、全国的にもそういう動きというものを、何とか改善に向けて速度を速めようということで文部科学省の概算要求にも盛られております。そういう動きがございますので、しっかりとそのような課題認識を受けとめながら、関係者の理解、協力のもとに実績を積み重ねていきたい。そして、今後どういうことをやったらいいかということを、一層拍車をかけて検討を進めさせていただきたいと思っております。
〇阿部盛重委員 大変ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
次に、岩手県民歌の普及促進についてお伺いいたします。
昨年開催されました第71回希望郷いわて国体、それから、第16回希望郷いわて大会から1年を迎えました。1周年を記念したイベントも開催されました。スポーツ選手の育成、そして環境整備に取り組んでおりますけれども、開会式で、岩手県民の歌を観客など全員で合唱しましょうというアナウンスが流れましたが、残念ながら、岩手県民の歌を歌える方はほとんどいない状況でございました。大会会場の反応から見て県民に浸透しているとは言いがたい実態でもありました。
県民の歌を歌えないということは、郷土愛醸成の点から非常に残念なことでもあると思っております。歌で県民の心をつなぎ、きずなを深め、幸福度も高め、郷土愛醸成に役立つと思いますが、どのように県民の歌を浸透させていくのかお伺いいたします。
〇中島首席指導主事兼学校教育課総括課長 県民の歌の浸透についてでございますけれども、本県の児童生徒にとりましても、昨年の岩手国体は、ふるさと岩手に対する誇りや郷土愛を育む貴重な機会となりました。そうした国体レガシーを長く継承する意味で、委員御提言の県民の歌の普及は、非常に意義のあることと存じております。
このような観点からも、県教育委員会におきましては、これからの岩手を担っていく子供たちに広く県民の歌を知ってもらうため、国体開催からちょうど1年目を迎えました9月末に、県内の各学校に対して、さまざまな機会を通じて県民の歌の一層の普及を図るための要請を行ったところでございます。
また、その普及のためには、まずもって、本県の教員自身が歌唱できることも大切ですので、初めての試みでございますけれども、来る11月17日に、約600人余が出席いたします教職員永年勤続表彰式で、同曲を出席者全員で歌唱する予定も組んでおります。
こうした取り組みなどを通じて、学校教育における県民の歌の普及を図っていきたいと考えております。
〇阿部盛重委員 最後に教育長にお伺いいたしますけれども、県民の結束を高めるためという前提でございますが、この件に関しましての御所見をお伺いいたします。
〇高橋教育長 この県民の歌でございますけれども、これは御案内のとおりでございますが、昭和39年に、この岩手県庁の竣工を記念して制定されたものということでございますが、昭和45年国体に向けて、広く県民に親しまれた経緯もございます。
この県民の歌と一緒に岩手音頭というものもありました。岩手片富士雲さえ招くということから始まる歌もございます。そういうことですけれども、この県民の歌、何分広く岩手県にゆかりのある歌と言われると限界もありますので、それぞれの学校の諸行事にあわせて、この県民の歌をまずもって浸透させることが、郷土愛を育むと。
それから、この歌自体が、この岩手に住む誇り、岩手の自然や文化のすばらしさを躍動感あるリズムで表現した曲であると思っております。また、こういうことを普及させるのは本県のソフトパワー戦略の一助にもなることから、先ほど課長から申しましたとおり、そういうことも予定いたしておりますので、できる限りの努力をさせていただきたいと思っております。
〇千田美津子委員 3点についてお聞きしたいと思います。
まず第1点は、就学支援、就学援助についてお聞きしたいと思います。
これは、経済的な理由で就学困難な生徒に対して、学ぶ機会を保障していくという本当に重要な役割があるわけです。
そこで、まず一つは、新入学児童生徒学用品費の入学前の支給についてでありますけれども、この間、一般質問でも質問したわけですが、平成28年度は4市村というお話がありましたが、その後、国の通達等もあってかなり検討しているのではないかと思いますので、今時点で把握している市町村を具体的に教えていただきたいと思います。
〇佐々木学校施設課長 ただいま委員からも御紹介がございましたけれども、入学開始前の新入学児童生徒学用品費の支給でございますが、4市村のほかにも、さまざま検討されている市町村が多いと聞いております。
これまでのところ、数市町村において実施の方針を固めているということを聞いておりますし、必要な予算補正等の実施に向けた具体的な検討を行っている市町村も相当数あると承知しております。
ただ、検討中でございまして、公にすることについては、なかなかできる状態にある市町村は現在のところそれほど多くないわけですけれども、何市町村か御了解をいただきましたので御紹介させていただきますと、北上市、二戸市、紫波町では、今年度からの実施の方針を固めているとお聞きしております。
いずれ、実施市町村につきましては、今後、補正予算案等を各市町村議会に提案する段取りをしている市町村も多いようですので、その提出等を通じまして、順次明らかになるものと考えております。
〇千田美津子委員 市町村のさまざまな状況もあって明らかにできないというのはわかりました。ただ、先ほども言いましたけれども、国から3月31日付であえてこの補助金を入学する年度の開始前に支給できるということ、そして、必要な援助が適切な時期に実施されるように特に通知をしてくださいと、県にそういう通知があったわけですね。ですから、これはぜひ前向きにといいますか、できれば県内33市町村でそれらが実施できるような流れをもっとつくってもらうといった意味でも、県に率先して対応していただきたいということで、市町村の事情もあることはわかりますけれども、ぜひ、県内の市町村に対する指導として、もっと助言、アドバイスをお願いしたいと思いますので、その点をひとつお聞きしたいと思います。
それから、就学援助について、これも一般質問でも取り上げました。準要保護就学援助については、市町村の事業でありますのでそれぞれの判断によって行われているんですが、これだけはやってほしいというものがあります。というのは、体育実技用具費の支給が、県内33市町村のうち実施しているのが18市町村にとどまっております。
やっぱりこれはなくてはならないものでありますので、今の子供の貧困、ひとり親世帯の貧困等を考え合わせれば、ぜひ、これについてはできるだけ早く対応していただきたいと思います。市町村のやることだからということで終わらせないで、ぜひ県内の市町村が取り組まれるように、指導力を発揮していただきたいと思いますので、この2点をお聞きいたします。
〇佐々木学校施設課長 新入学児童生徒学用品費の支給の実施に向けましては、通知が出されましたのがことしの1月と理解しておりまして、なかなか新年度もしくは直ちに着手するような状況にはなかった市町村もあったと聞いております。
実施に向けた課題もさまざま聞いておりまして、今年度、各市町村にアンケート調査を実施いたしました。認定基準などの制度的な調整や予算の確保、それから、認定後、例えばですけれども、入学前に転居した場合の取り扱い等につきまして、運用面でのさまざまな懸念があることが明らかになっております。
そうした制度の運用面での懸念につきましては、アンケート調査の結果を踏まえまして、既に実施済みの市町村がございますので、そういった市町村の状況でございますとか類似する国庫補助制度の取り扱いについて、各市町村に情報提供を行うという取り組みをしております。
それから、体育実技用具費等の取り扱い等につきましても、同様に保護者負担の実情を踏まえた取り組みの一つと考えております。実施している市町村もあるわけでございますので、積極的な検討が進められるように、引き続き実施市町村等に係る情報提供ですとか、運用等に係る助言等を行ってまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 アンケートをとられたということで、課題があることもわかりました。それらも踏まえて、ぜひ積極的な対応をさらにお願いしたいと思います。
それでは、2点目に移ります。先ほども阿部委員からお話がありましたいじめ、不登校の問題について、私も質問したいと思います。
先ほどの質問の中で、平成27年度の実態について、今公表されているのはその件数なんですけれども、私は、平成28年度の決算審査でありますので、平成28年度の実態がどうだったのかを知りたいと思っております。
主要施策の成果に関する説明書では、文部科学省の調査が未了だとして実績値が公表されていないわけです。しかし、子供たちのそういう状況を把握して検討するのが、私はこの決算審査の場だと思いますので、現状についてどの程度お話ししていただけるかわかりませんけれども、その状況についてお聞きしたいと思います。
〇菊池首席指導主事兼生徒指導課長 委員御案内のように、平成28年度の結果につきましては、この調査は国の調査でございますので、国が精査をして、そして、国の公表以降に都道府県が公表するという形になっております。よって、現時点において、その数値等につきましては、私からお話しできるものではないことを御理解いただきたいと思っております。
傾向としましては、いじめ、不登校等につきましては、増加傾向であろうと思われるということでございます。
〇千田美津子委員 国の調査であるということでのお話はそのとおりだと思いますが、増加傾向であろうというのは非常にひどい答弁で、例えば、不登校であれば何件ほどふえているとか、そういうことぐらいはいいのではないでしょうか。そうでないと、私たちが平成28年度の決算審査を何でやればいいのか、そうであろうという状況を聞いて、ああ、そうですかという話にはならないですね。ですから、その点、もう一度お聞きします。
〇菊池首席指導主事兼生徒指導課長 平成28年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸問題に関する調査につきましては、国の調査と申し上げましたが、もう少し詳しく言いますと、これは統計法上の調査ということで実施しておるところでございます。したがって、その法によって、その部分についての制限が定められておりますので、傾向については、先ほどの私の表現が不適切だったかもしれませんが、お話ししたところでございますが、数値等につきましては、私どもで今回公表できるものを持ち合わせていない状況でございますので、御理解のほどよろしくお願いいたします。
〇千田美津子委員 これ以上お話ししても難しいとは思いますけれども、しかし、数値は公表しなくても、それであれば、平成28年度中のいじめや不登校への対応はしていないのですか。私はしていると思うんですよね。やっぱりそれについてどういう状況にあるのか、解決した率がどのくらいとか、それから、いじめ防止対策推進法第28条1項に規定する重大事故がどうだったのか、そういう点についてはいかがでしょうか。
〇菊池首席指導主事兼生徒指導課長 いじめ、不登校への対応ということでございますが、まず、いじめにつきましては、昨年度三つの重点ということで実施しております。いじめの認知にかかわる部分、いじめの情報共有という部分、それから、学校での組織対応という部分が重点ということで取り組んだところでございます。
その結果につきましては、平成28年度調査によりますと、この三つは、ほぼ100%ということで、各学校で取り組みが推進されているものと認識しております。
今年度につきましては、この三つの取り組みに加えまして、特にも、本県においては痛ましい事案が2件ありましたので、自殺予防に係る取り組みという部分、それから、そのことにかかわって、児童生徒の取り組みを活発にしましょうという部分等を含めまして取り組んでいるところでございます。
不登校につきましては、先ほどもあったように、専門的なスタッフの派遣等、教員の研修を含めて、現在実施しておるところでございます。
なお、解消率、それから、いじめ防止対策推進法第28条1項の部分の数値につきましては、先ほど答弁申し上げたとおりでございますので、御了解いただきたいと思います。
〇千田美津子委員 きょうはわかりましたというか、仕方ありません。
それで、主要施策で、いじめは、どんな理由があってもいけないことだと思うという割合が、小学校では達成度がBとなっていますね。この状況についてどう考えておられるかお聞きしたいと思います。
〇菊池首席指導主事兼生徒指導課長 委員御案内のとおり、達成度がBということでございます。この部分につきましてもう少し詳細に申し上げますと、目標値につきましては、86ポイントを目標値にしておりまして、実績値は85.9ポイントとなっております。算定式によりますと95%の達成率ということですが、ABCDの評価で言いますとB評価という形になっております。
なお、平成27年度と28年度を比べてみますと、平成27年度が83.8ポイントで、平成28年度が85.9ポイントとなっており、2.1ポイント上回っており、経年では上昇しているところです。加えまして、全国と比べますと、全国よりも2.8ポイント本県が上回っている状況でございます。
〇千田美津子委員 全国よりも2.8ポイント上回っているということは、県教育委員会を初めとした取り組みが功を奏しているんだと思います。ただ、もう一つ、数字が上がっているからいいと言えばいいんですけれども、やっぱりいじめはどんな理由があってもだめであるということが、もっと100%に近くなるべきだと思うんですね。それで、そういう子供たちへの意識づけを、どういう形で学校では教育されているかという点について、それから、子どもの権利条約に沿った対応として、岩手県教育委員会、学校現場で、やっぱりそれらを子供たちに意識づけしていくことが非常に重要なんですけれども、その取り組みについてお聞きしたいと思います。
〇菊池首席指導主事兼生徒指導課長 御案内のとおり、100%を目指すのが、本当の目指す姿であろうと捉えております。
学校ではどのような取り組みをしているかということでございますが、命を大切にするという部分につきましては、道徳を中心にして、全教育課程の中で実施しておるところでございます。
加えまして、先ほど本年度のいじめ問題対策の重点というところで、児童生徒の活動を活発にしましょうということをお話し申し上げました。県内におきましては、例えば市内の生徒会が交流をしまして、いじめをなくすような運動をしましょうという活動もあちこちでこれは今、取り組みをされているところでございますので、そういう機運の醸成といいますか子供たちの意識は高まっているかと思います。
本年度、本当に防ぎたいのは自死、本当に守りたいのは人権であるということを我々のキーワードとして、校長研修講座等を含めて周知しておるところで、その御理解にのっとった活動がされているものと認識しております。
〇千田美津子委員 わかりました。先ほど答弁があった三つの重点ということで、認知、共有、それから組織対応ということで100%推進されているという御答弁でありました。そういうことで頑張っていただきたいんですが、やっぱり自殺予防という点では、いじめもさることながら、福井県での自殺の問題では担任、副担任の対応の問題があったわけですけれども、やはり子供たちをそういう状況に追いやらないために、本当にきめ細かな対応といいますか、そして、集団でそういう認知ができるような対応が私は本当に大事ではないかと思いますので、その点、もう一度お聞きいたします。
〇菊池首席指導主事兼生徒指導課長 ただいま福井県の例が出されましたが、非常に心の痛む事案であると思っております。
本県においては、先ほど申し上げたとおり、痛ましい事案が2件ありましたので、学校起因のそういうものを出してはいけないという認識で今取り組んでいるところでございますし、学校の管理職を含め、そういう気持ちにつきましては、従前よりも非常に高まっているものと認識しております。
いじめの認知にかかわりましては、もちろん教師側の認知もございますが、生徒同士の部分での認知も大事でございます。ですので、いじめを許さない学校風土をつくっていくという部分を教員と、そして子供たちが一体となり、そして保護者、地域にそれをきちっとお知らせしていく、そういう活動を今後より一層進めてまいりたいと考えてございます。
〇千田美津子委員 ぜひ、よろしくお願いいたします。
それでは、3点目ですが、35人学級の実現拡大についてお聞きしたいと思います。
残念ながら小学校5年生、6年生が今なっていないわけですけれども、本当に努力をされて、この間の拡大によって、子供たちの環境がすごくよくなったのではないかと私も思っております。今、これらの取り組みにおいて、どういう効果があったと見ているかについてお聞きしたいと思います。
〇荒川首席経営指導主事兼小中学校人事課長 35人学級の効果でございますが、学級集団のまとまりが築きやすい、それからトラブルの未然防止、不登校、いじめ等の問題行動の抑止というところが挙げられますけれども、細かい面で言いますと、授業中の子供たちの発言の機会、体験の機会がふえたということで、子供たちがそれぞれ主体的に学ぶ環境が整備されていると認識しております。
〇千田美津子委員 今御答弁いただいたように、本当に子供たちにとって非常にいい状況が生まれていると思います。それで、私は5年生に行ってからクラスががくっと減ったりということではなくて、やっぱり何とか5年生、6年生でも実施していく時ではないかと。岩手の子供たちを本当に健やかに育てるという意味で、ぜひ全学年に拡大をしていただきたいと思いますが、その点お聞きいたします。
〇荒川首席経営指導主事兼小中学校人事課長 35人以下学級の5、6年生への拡充でありますが、本県は少人数加配からの定数の振りかえで少人数学級に対応しておりますので、小学校5年生、6年生に35人学級を拡充した場合、約50名の定数が必要となります。少人数指導加配から50名を担任に振りかえるということでございます。
少人数指導、チームティーチングや習熟度別で実施して成果を上げている学校もありまして、その学校で従来の指導ができなくなるという不安の声も聞こえているところでございます。
したがって、35人学級の拡充につきましては、市町村教育委員会の意向も踏まえながら、あと、国の定数改善計画の動向、それに伴って加配の措置数、そういうところを注視しながら検討してまいりたいと思っております。
〇千田美津子委員 50人必要だとなるとそういうことになるかとは思いましたけれども、少人数指導、チームティーチングなどで本当に成果を上げている学校、市町村もありますので、それは全く無視できないんですが、やっぱり4年生まで35人学級で行って、5年生になってクラスが少なくなったりということになると、せっかくいい状況が、5年生、6年生で本当に微妙な変化がまた出てしまうということで、私は、これはほかの何ものにも変えがたい本当に大事な施策であろうと思います。
いろいろなことはあるとしても、私は、ぜひ前向きに検討していただきたいと思いますので、最後に教育長に伺って、終わります。
〇高橋教育長 少人数学級につきましては、しばらくの間、小学校1、2年生というところでとまっていたところでございますけれども、本県での痛ましい事案の発生を機に、生徒一人一人に寄り添った教育を、そして、特に中学校は部活動等もあり、さまざまな子供たちの特に成長する時期でトラブルも多いということで、中学校を優先して少人数学級を導入したということでございます。
小学校の5、6年生が40人学級ということで、御案内のとおりでございますけれども、この35人学級の実現のためには、今、課長から申し上げたとおり越えるべきハードルがあるということでございます。
ただ、一方で教職員の勤務環境が、すなわち子供たちの教育に直結する問題だということもあります。何度も申し上げますけれども、今回の概算要求でも、文部科学省では教職員体制の充実という方向性を色濃く出し、今、財務省に要求しているところでございます。そういうことで、本県ももちろん含めまして、都道府県から積極的にそういう要請をしているところでございまして、それがいかに実現するかということもまた、大きな判断要素になる。それは、さまざまな情報を踏まえつつ、また市町村の意見等も聞きながら、丁寧な検討を行っていきたいと考えております。
〇ハクセル美穂子副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
午後2時55分 休 憩
午後3時18分再開
〇佐々木朋和委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。
〇吉田敬子委員 医療的ケアを必要とする児童の学校教育の支援体制についてお伺いいたします。
近年、医療的ケア児が増加傾向にありますけれども、全国の数字ですが、平成17年は9、403人であったのが、平成27年は1万7、078人と、約2倍と医療的ケア児が大きく増加しております。
そこで、特別支援学校における看護師の配置を平成15年度から県では開始しておりますが、配置数や看護師の人材育成の状況についてどう捉えているか、まずはお伺いいたします。
〇佐々木首席指導主事兼特別支援教育課長 特別支援学校への看護師の配置についてですけれども、現在、特別支援学校医療的ケア体制整備事業のもとで、経管栄養等の医療的ケアを必要とする児童生徒の学習環境を整備し、保護者の付き添い介護の負担軽減を図ることを目的として看護師を配置しているところでございます。事業を開始いたしました平成15年度は、児童生徒15名に対して6名の看護師を配置し、今年度は、児童生徒38名に対して27名を配置しているところでございます。
また、配置している看護師を対象に研修会を行っており、医療的ケアに関する基礎的な知識を確認するとともに、各校の取り組みの成果と課題にかかわる協議を通して適切な医療的ケアの推進に役立て、人材育成に努めております。
今後も、看護師の学校における医療的ケアに係るさらなる専門性の向上につながる研修内容等を工夫していきたいと考えております。
〇吉田敬子委員 看護の研修会についてお伺いいたしますけれども、県では研修会を年1回行っていると伺っておりますが、研修会への参加率が平成30年度100%の目標に対して、平成28年度は69%ということで、評価はCということになっております。私は看護師の皆さんが、医師がいない中、学校現場でやるということはかなり不安といいますか、そういったことも抱えてわからないこともあるかと思いますので、こういう研修会に参加するということは必ず必要だと思いますので、研修会に100%参加しやすい開催の工夫というのが必要だと思いますけれども、県としてどのように課題を捉えているかお伺いいたします。
〇佐々木首席指導主事兼特別支援教育課長 ただいまの研修会の持ち方でございますけれども、御指摘のとおり、全員参加の研修会の形態はやはり現実的には難しいというところがあり、数値が上げられずにいるところでございます。したがいまして、今年度、参加できない原因等を確認させていただきましたところ、やはり看護師さん方の勤務の関係、児童生徒への対応等々から、全員が一堂に集まっての研修はなかなか無理があるということで、私たちも急遽、研修形態を工夫しまして、参加できない方にも資料等の提示と、あと、同校で参加された方が持ち帰っての校内研修をお願いしまして、全員に同じ情報共有ができるような形での研修を始めたところでございます。
〇吉田敬子委員 今年度は工夫されているということでお伺いしましたけれども、できれば一緒に受けながら、多分、研修会に参加することで、ほかの児童の医療的行為を看護師同士でお話をする機会ということも私は大事だと思いますので、ぜひ何とか研修会に参加できるような仕組みを、改めて研究しながら次に続けていただきたいと思います。
次に参りますが、先ほどは、特別支援学校における医療的ケア児の教育支援ということでお伺いいたしました。全国では、現在、医療的ケア児のために一般の小中学校に通えるように看護師を配置する自治体もふえてきております。特に大阪府が一番進んでいると私は感じているんですけれども、小中学校を管轄する市町村に対して看護師の人件費を補助する制度を10年前から実施しているそうで、その看護師の確保以外にも緊急時の救急体制の整備や教職員の理解も必要で、それには時間がかかるということで、今やっとそういった体制になってきたということを伺っております。
看護師についてですけれども、病院よりも学校での勤務のほうが夜勤もなくて働きやすい時間帯で、子育てと両立しやすいという声を資料で見ました。こういった小中学校における県の医療的ケア児に対する受け入れ状況、体制についてお伺いいたします。
〇佐々木首席指導主事兼特別支援教育課長 小中学校、義務教育学校における医療的ケアを必要とする児童生徒の受け入れ状況ということでございますけれども、平成28年度に県教育委員会が実施しました医療的ケアに関する調査におきましては、県内6名の児童生徒が導尿などの医療的ケアを必要とし、保護者から医療的ケアを受けながら学校生活を送っているところでございます。
医療的ケアを必要とする児童生徒の学びの場や支援体制は、各市町村教育委員会において、当該校の状況に加え、個々の障がいの状態や医療的ケアの内容、必要とされる支援等について、本人、保護者と検討を重ねた上で決定しているところでございます。
委員御指摘のとおり、大阪府は全国的にも非常に小中学校等での看護師の配置の多いところでございます。御意見等を参考にさせていただきながら、今後検討に加えていきたいと思います。
〇吉田敬子委員 平成26年度は、6名の児童生徒が一般の小中学校に通っていたということですけれども、ただ、保護者の方が仕事をしながら付き添うというのは難しいので、仕事をやめなければいけない状態になっている。看護師に学校の付き添い等、医療的ケアを行っていただいたほうが保護者の負担は軽減されると思いますので、ぜひ、県で取り組みを強化していただきたいと思います。
そこでですけれども、文部科学省では、平成28年度から、小中学校への看護師配置を後押しするための人件費の補助を開始したということを聞いております。これは3分の1を自治体で補助するという制度だと伺っております。今年度は、インクルーシブ教育システム推進事業という中の一つに、医療的ケアのための看護師育成を拡充ということで、全国でも1、000人から1、200人にしようと、国でも医療的ケア児を一般の小中学校でも受け入れ態勢を強化しようと取り組みをしておりますけれども、先ほど平成28年度は保護者から医療的ケアを受けながらということであったんですが、平成28年度はもう既に国がそういう事業を開始していたんですけれども、岩手県として各市町村に対する通知や指導というのはどのように行ったんでしょうか、お伺いいたします。
〇佐々木首席指導主事兼特別支援教育課長 県としましては、一人一人の児童生徒の実態ですとか、医療的ケアの内容等を本人、保護者と学校等関係機関が十分に共通理解をした上で、児童にとって適切な学びの場を決めていくことが大切であると考え、県で配置しておりますエリアコーディネーターを活用して情報収集をしているところでございます。
委員お話のとおり、国においては、近年、医療的ケアを必要とする児童生徒の増加を受けまして、看護師の配置や体制整備を進める事業を展開しております。これらの動向ですとか関連する情報を各市町村に提供しながら状況の把握に努め、必要に応じて市町村教育委員会と連携を図り、今後も取り組んでいきたいと考えております。
〇吉田敬子委員 ぜひ最後に教育長にお伺いしたいんですけれども、特別支援学校だけでなく、義務教育課程においてもこういった国の補助制度というものがあるということですので、教育委員会全体でぜひ協力体制を構築していただきたいと思っております。昨年度は障害者総合支援法、また、児童福祉法も改正されまして、その中に初めて医療的ケア児という言葉が盛り込まれたので、まだまだ医療的ケア児に対する支援というのはこれからではありますけれども、ぜひ、国等の動向も見据えて、県でも率先してこの取り組みを強化していただきたいと思います。
私の総括質疑で、これは保健福祉部の関係にはなるんですけれども、岩手県重症心身障がい児・者支援推進会議というものがありまして、この中に、新たに保健、保育、教育などの関係者を加えて連携体制を整備することとしておりという、新しく教育の分野にまでそこを広げていくという知事の答弁がありましたので、ぜひ教育委員会の中でもそういった導入といいますか、医療的ケア児に可能な限り、一般的な教育環境で生活を送ってもらえるような教育体制を整備していただきたいと思いますが、教育長の御所見を伺います。
〇高橋教育長 医療的ケアが必要な子供の学びの環境というものを、保護者、それから子供自身の思い等もしっかり受けとめながら、適切な受け入れ態勢を整備していくということは極めて大事な視点だと思っておりますし、議会でのやりとりも私も承知いたしております。
実際、医療的ケアは、具体的に言いますと、ベッドに寝た状態でも普通の小中学校に通わせたいという保護者の思いもあります。逆に、特別支援学校で子供たちに対する専門的なケアを受ける。それから、病院における分教室等でやったほうがより適切だという判断をするさまざまな保護者の思いもございます。あと一方では、インクルーシブ教育を推進するという観点で、一般の障がいのない子供たちが身近にいるという効果もまた期待できるという学校の反応もございます。
いずれ、どこで受け入れるかというのは、その児童、保護者に寄り添って、小中学校の場合は市町村教育委員会の中でしっかりと意見を聞いて決めていくということが大事だと思っておりまして、県教育委員会でもそういう丁寧な対応をするように市町村に要請したいと思います。
それから、国からの事業導入等については、これは政府予算の決定、概算要求も含めてですけれども、しっかりとその情報を、この医療的ケアだけではなく、教育制度全体についてのその情報をしっかり伝えて、できる限り、外部からの支援を受けられるような方途も適切に講じていきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 それでは私から、特別支援学校費関連の決算についてまずお伺いいたします。
がん教育の取り組みについてお伺いいたします。
がん対策推進基本計画の見直しも進められております。保健福祉部でも聞いておりますが、きょうは教育委員会サイドのほうをお伺いします。
平成27年度から平成28年度に、西和賀町の小中学校、高等学校も含めてですが、がん教育の取り組みが行われておりましたが、県内の取り組み状況と評価、今後の対応についてお伺いいたします。
〇荒木田首席指導主事兼保健体育課総括課長 がんは生活習慣とかかわりの深い病気であることから、児童生徒にがんについて正しい知識を習得させて、予防のため、望ましい生活習慣を確立していくことが極めて重要であると認識しております。
委員御案内のおとり、県教育委員会におきましては、平成27年度、平成28年度の2カ年、文部科学省の委託事業において、西和賀町内の小中学校及び高等学校でがん教育の授業実践を行い、教員対象の研修会等で実践報告を行うとともに、県立学校14校へ講師派遣を実施したところであります。
本年度におきましては、昨年度に引き続きまして、県立学校11校へ講師派遣を行うほか、教員対象の研修会において、がん教育実践の具体について周知を図っているところであります。
がん教育の授業実践を行った学校の児童生徒からは、がん検診は大切なので家族にも伝えたい、今からよい生活習慣をつくっていきたいなどの感想が寄せられたほか、児童生徒のがんの基本的知識の習得及び自己の健康管理能力の育成について、着実に効果を上げているものと認識しております。
また、教員対象の研修会では、研修者全員から、がん教育の意義が理解できたという評価を受けていることから、今後、学校現場においてがん教育の実践が進められていくものと期待しているところでございます。
県教育委員会といたしましては、今後も保健体育科の教科を中心に、教育活動全体で発達段階に応じたがん教育が実施できるよう、学校における指導内容及び方法等について教員研修を進めるほか、関係機関と連携しながら外部指導者の活用などに積極的に取り組んでまいります。
〇臼澤勉委員 このがん教育の意義は、子供たちに命のとうとさとか、あるいは本県は乳がんの検診受診率が非常に低い状況でございますので、子供からお母さんに対して受診の働きかけ、いわゆる逆世代間伝達の効果も期待されますので、ぜひ積極的に、そして、教育委員会と医師会といいますか、医師との連携がさらに重要になってまいりますので、高等学校もそうですが、小中学校のほうでもぜひ積極的に取り組んでいっていただきたいと思います。
次に、がん患者児童生徒への学習支援についてお伺いいたします。
教育修学支援を必要とするがん患者児童生徒の実情と学習支援の実態、今後の対応についてまずお伺いいたします。
〇佐々木首席指導主事兼特別支援教育課長 がんの児童生徒への学習支援の現状と実態についてでありますが、特別支援学校に在籍している児童生徒につきましては、病状や入院等の状況に応じて、通学または教員が病院を訪問する形態により学習を進めております。
小児がんの治療による岩手医科大学附属病院への入退院に伴う盛岡青松支援学校医大訪問教育部への転出入は、平成28年度、11名となっております。
また、盛岡青松支援学校医大訪問教育部では、学籍異動を伴わない病気療養児についても、在籍校と協議し、可能な範囲で交流及び共同学習を入院中の学習保障として行っておるところでございます。
今後の対応につきましては、国において、現在、入院児童生徒等への教育を保障するための体制整備に関する調査研究を進めていますので、これらの成果や課題等を踏まえながら、平成31年度からの次期いわて特別支援教育推進プランの策定において、方向性を検討していきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 なぜ私が今回このテーマを取り上げたかと言いますと、高校生に対する教育的支援について、ここが少し抜け落ちているのではないかということで取り上げさせていただいております。
御案内のとおり、院内学級は義務教育が対象のため、勉学の手段が高校生のそういった方々についてはちょっと閉ざされているような状況になっております。それで、全国的に見ますと、ここ数年、例えば福島県では、一時的に通信制課程のほうに籍を移しながら病床に教員を派遣するような取り組みであったり、あるいは大阪では、当時の橋本市長に患者からメールを送って、学びたい、ぜひ学校で友達と一緒に卒業したいというメッセージや陳情を行い、非常勤講師の派遣制度ができ、そして神奈川県でも、非常勤講師の派遣制度がここ数年の中でできてきております。
岩手県として、ここら辺の高校生の教育的支援についてどのように取り組んでいくお考えなのか、お伺いいたします。
〇佐々木首席指導主事兼特別支援教育課長 高校生の教育支援についてですけれども、現在長期入院をしている高校生には、それぞれの入院先等において治療に専念することを優先しながら、各校で対応しているところです。
今後は、次期いわて特別支援教育推進プランの考えに基づいて、具体的な対応方法等を明確にしていきたいと考えているところでございます。
〇臼澤勉委員 岩手で学んでいるそのような子供たちの友達と一緒に卒業したいという思いなど、そういった生徒一人一人に対する学ぶ機会を県として、そして教育立県を掲げて取り組んできている本県としても、ほかの自治体に劣らぬ仕組みにしていっていただきたいと思います。
次に、定時制高等学校の管理費に関する決算についてお伺いいたします。
平成28年度の県内実業高校における定時制の学びの実態と評価について、どのようになっているのかお伺いいたします。
〇佐藤首席指導主事兼高校教育課長 専門高校における定時制の学びの実態と評価についてでありますけれども、県内の専門高校で定時制課程を設置している学校は盛岡工業高校定時制でありまして、現在の在籍生徒数は、1年生が6人、2年生が1人、3年生が7人、4年生が1人で、合計15人と定員割れをしている状況にあります。また、在籍する生徒の出身は、盛岡市及びその近郊に限られております。
生徒の入学理由としましては、さまざまな背景を持つ生徒が入学しております。定時制課程は、働きながら学ぶ青少年に教育の機会を与えることを設置の趣旨としておりますが、現状では就労していない生徒が多く、働きながら工業に関する知識や技術、資格を身につけて進路に生かすというかつての状況とは異なり、何らかの支援を必要とする生徒が多く学んでおり、少人数の集団の中で、きめ細かな教育の実践を行っている実態もあります。
資格取得の状況は、電気工事士等の資格を取得する生徒が年に1名程度となっておりますが、卒業生の進路を見ますと、専門的な技術、資格を生かせる分野の企業等への就職者は少なく、製造業、小売業等、さまざまな分野に就職している状況にあります。
中学校時代に不登校を経験した生徒が、生徒一人一人に寄り添う指導によって、目標を持って学校生活を送れるようになるなど、多様な履修形態を提供しているという定時制課程の果たす役割は十分認識しておりますけれども、現在の高校の定時制の学校の特色、進路の状況を見ますと、定時制専門学科としての役割は変化していると考えております。
〇臼澤勉委員 今の盛岡工業高校定時制の実績は、例えば不登校生徒の解消率が高く、全生徒がほとんど一日も休まずに通われているということで、まずここが特徴かと思います。それから、進路、修学についても、それぞれ皆さん資格を取得し、平成27年度ですが、12名の生徒が延べ15種の資格を取得して、就職や進学につながっているということで、すごく私は評価すべき状況にあると思います。
そこで、東北管内の実業高校の定時制の現状はどのようになっているのか、お伺いいたします。
〇藤澤高校改革課長 東北管内の専門高校定時制の現状でございますけれども、定時制の工業科の設置校は、青森県が3校、宮城県が3校、山形県が2校、福島県が1校となっておりまして、秋田県にはございません。
各県の定時制の工業科には、おおむね20人以上の生徒が在籍しているという状況で、岩手県のように極端に在籍生徒が少ない状況にはないものと認識しております。
〇臼澤勉委員 各県に実業高校の定時制がございます。私は普通校とは違って、ものづくりを通じてまさに生徒たちは生き方であったり社会人としての基礎力、人間性、他人を思いやる自己抑制力を育成したりとさまざまな効果をもたらして、先ほどのような実績になっていると認識しております。全日制で得られないコミュニケーション能力向上のために、修業の機会を積極的に推進しているということで、非常にこれは意義深いと認識しておりますが、定時制の趣旨と意義を県教育委員会としてどのように捉えて、最近の社会環境の変化にどのように対応しようとしているのか、目指す姿をどう考えているのかお伺いいたします。
〇藤澤高校改革課長 高等学校の定時制の趣旨、意義、今後の目指す姿ということでございますけれども、定時制課程は、これまでは働きながら学ぶ青少年の教育機関としての機能を果たしてきたものと承知しておりますけれども、現状ではそうした生徒は少なく、何らかの支援を要する生徒が多く学んでいる状況にあると認識しております。
新たな高校再編計画を平成28年3月に策定するに当たりまして、平成27年度に、今後の高等学校教育の基本的方向というものを改定して高校再編の策定をしたわけですけれども、その中でも、こういった状況を踏まえた定時制、通信制教育の方向性をお示ししたところでございます。
今後におきましても、定時制課程の設置の趣旨を踏まえながらも、社会環境の変化、それから生徒のライフスタイル、能力や適性、関心、意欲等に柔軟に対応できるような学習の場として、弾力的な単位修得等が可能となるであるとか、転編入学の機会を多くするなど、学習機会の充実を図るため、単位制への転換なども含めて検討してまいりたいと思っております。
〇臼澤勉委員 働きながら通う方々は少なくなってきているという実態は全国的な傾向かと思いますが、一方で、不登校問題などが、増加している傾向がございます。そういう中で、工業高校が今行っている定時制の意義、まさに教育の目的である人格の完成、そして、どうやって自立して生きていくかといったところのつなぎを、具体に資格取得も含めて取り組まれているという、これは県内でここしかないんです。例えば、今後、杜陵高校と一緒になったときに、こういう指導ができるのかということに実はちょっと疑問を感じております。この必要性をどう考えているのか。小学校より中学校は不登校児童も5倍に膨れ上がってくるわけです。先ほどの県内でも800人くらいの不登校の児童生徒がいるという中でも、多様な学びの機会を実践的に取り組むような場所をなぜ閉ざすのかというところについてどうお考えなのかお伺いいたします。
〇藤澤高校改革課長 定時制高校で学ぶ生徒の学びの場の確保という御趣旨かと思いますけれども、盛岡工業高校定時制課程におきましては、これは少人数で学ぶ環境となっており、生徒15人に対しまして、教員が副校長以下で15人の配置となっておりまして、一定の懇切丁寧な指導により成果を上げているということは承知しておりますけれども、働きながら学ぶ生徒であったり、専門的な資格は少人数がとっているものもありますが、その資格を生かして就職する生徒は少ないということで、生徒が定時制の専門学科で学ぶ目的は変化しているものと考えております。
杜陵高校の定時制という選択肢をお話ししているわけですけれども、杜陵高校の定時制の場合、1部は午前中、それから2部は主に午後、それから3部は夜間という形があり、それから通信制課程もあるということで、さまざまな形態の履修が可能となっております。
それから、工業系の科目はないわけですが、ニーズのある商業とか家庭の科目もあるということで、進学から就職までの生徒の進路希望に対応した学びということ、生徒個々の生活状況であるとか意欲に応じた環境というのが一定程度は整っているものと思っておりまして、今後におきましても、生徒の目的意識の高揚であるとか学習意欲の向上を図りながら、また、一方で、支援が必要な生徒に対しては、教育環境の充実などを含めて対応してまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 今回の高校再編のこの意義というものは、人数が少なくなってきたから、あるいはコストの問題とは私は捉えていなくて、本質的には教育の質を高めるためにどうあるべきかといったところがこの再編の本質だと思っております。
先ほども資格取得が余り進んでいないような言い方もありましたが、実際、危険物取扱者とかボイラー技師だとか、さまざまな資格を取得しており、これが生徒たちには自信につながっているんです。そういう声を私は聞いておりますし、子供たちの作文をぜひ教育長にも読んでいただきたい。子供たちが中学校のときには不登校で行けなかった。だけれどもという、本当に素直なコメントが書いてありますので、ぜひそこは読んでいただきたい。その上で、またさまざまな意見があろうかとは思いますが、議論していただきたいと思います。
今後の定時制課程の再編スケジュール、そして保護者説明会、パブリックコメントをされてきておりますけれども、検討状況、対応はどのように意見を反映させているのかお伺いします。
〇藤澤高校改革課長 再編のスケジュールでございますけれども、盛岡工業高校定時制については、平成31年度の募集停止ということで今計画には記載しておりますけれども、その予定どおりということである場合には、事前に学科改編等につきまして、中学生それからその保護者の皆様にお知らせをすることとしておりまして、募集停止についても、平成30年3月にはお知らせをするということを考えております。
また、例年どおりであれば、その後、平成30年8月の閉会中の常任委員会で、平成31年度の県立学校の編制案を御説明し、10月には、管理運営規則に学級数等が定められておりますので、その改正という手続を予定しております。
それから、再編計画を策定する前に、平成28年3月の前ですけれども、県内各地を回って皆様から多数の御意見をいただいております。
それから、計画策定後も、昨年度それからことしにかけて、盛岡工業高校の同窓会であるとかPTAの方々に、この募集停止の方向性を御説明しているところでございます。その中では、在籍生徒数が減っていること、極端に少ないということで、募集停止についてはある程度やむを得ないという御意見もいただいている一方で、先ほどから御紹介がありますように、支援の必要な生徒が多く入っているということで、そういった生徒たちの学びの機会の保障が必要ではないかという御意見もいただいております。
再編計画を今回盛岡工業高校の定時制についても盛り込んでおりますけれども、大きな考え方として、学びの質の保証ということ、それから機会の確保ということを柱としておりまして、定時制課程におきましてもブロックを基本として、これは教育環境をしっかり整備していくことが大事だと思っております。
そういったことをさまざま考慮しまして、盛岡地区におきましては、杜陵高校定時制課程ということで学びのニーズにはこれからも応えていきたいと思っております。
また、盛岡工業高校定時制課程の関係につきましては、これからもまだ少し時間がありますので、さまざま意見交換をしてまいりたいと思っております。
〇臼澤勉委員 私、実は再編の説明会のときの文章を見て、ちょっと、えっと思う表現がありました。
募集停止後の生徒の学びの選択肢として、工業を学びたい生徒については全日制課程がありますと。定時制での学びを希望する生徒については、杜陵高校がありますという言い方がありました。工業高校で学びたい生徒は、全日制に行けないから実は定時制に行かれているんです。そういった専門的な技術取得をしたい、そして自立した生き方をしていこうということで、親御さん、生徒さんたちも非常に期待をしているんです。こういう文章は、何かもう結論ありきみたいなところがあって、少し表現的にはえっと思うようなところでありました。
最後に改めて聞きます。杜陵高校への再編により、生徒の多様な教育の機会を確保されるとおっしゃいましたが、どのように確保するお考えなのか。さらに言えば、各種資格取得の指導は可能だとお考えですか。県内唯一の実業高校定時制の学びの扉を開放しておくということの意義は大きいと思いますし、生徒数が少ないということをおっしゃっておりますが、中学校の進路指導の担当者との連携をもっと図っていただければ、不登校だとかいろいろと悩んでいる子供たちの学びの場としての意義、あるいは夜間だから行きにくいという話もありますので、工業高校定時制の昼の部も開設しながら、多様な学びの機会の場を確保するという意義もあると思います。学校の教室が足りないというお話も一方ではありますが、これから再編でクラスも減ります。学校の教室もあきます。そういった資源を活用した取り組みということをぜひ御検討していただきたい。教育長、御答弁をお願いします。
〇高橋教育長 今、臼澤委員からさまざまな思い、それから保護者、生徒たちの声の話をお聞きいたしました。それぞれ県立学校は我々の所管でございますので、学校とのやりとりをやっていますので、この話については私も十分承知いたしております。
最初に、この再編計画の中で、盛岡工業定時制課程の募集停止は今突然出てきた話ではなくて、これは基本的な方向性を平成27年に定めつつ、その間地域検討会議でありますとか、さまざまな議論をした中で計画案として決定させていただいているということについては、これは御理解をいただきたいと思っています。そういう中で、具体的な再編に当たっては、入学する生徒の状況等を見きわめながら、最終的な決定をしますというので今再編計画案になっております。
我々も学びの機会の保障というのは、これは全県的に重要な視点だと思っていまして、人口減少時代にあって、そういう機会を保障するというのは今後とも必要だと思っています。ただ、一方で、現在の盛岡工業高校の入学者が、当初、全県から入ってくる定時制の専門高校という位置づけでスタートしておりましたけれども、限定的に盛岡地区の一部のごく少ない子供たちになってしまっている。そしてまた、進路もそういう状況に変わってきているという状況にあります。したがいまして、全県的な学びの機会を保障するというときに、どこの学校であっても、この学校の統合については、機会を保障してほしいということは全県的にかなりございます。今計画案に出している学校もございます。そして、これまでもいろいろな話がございました。そういう中で、苦しいながらもそういう計画案とさせていただいたところでございまして、そういう考え方については御理解をいただければと思います。ただ、一方で、今委員がお話になった現実もあるということは十分頭に入れつつ、今後、丁寧に対応していきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員長 臼澤委員に申し上げます。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔にお願いいたします。
〇臼澤勉委員 私もこの再編計画が今突然出てきたわけではないということは認識してますが、この定時制の統廃合の部分については、説明会にいらっしゃっている一般の方々もほとんどが学校の先生であったり、校長先生とか、一部に限られていたりということで、どこまで知られているのかといったところが少しございます。
最後に、今取り組まれている学校現場の先生方も、さまざまな思いもあって頑張られているというところも、当然評価されているとは思いますけれども─私は、普通高校の再編とはまた意味が違いますということを言っているんです。県内唯一の、そして東北でも、実業高校の定時制の道は確保されております。先ほど、秋田はありませんといいますが、能代工業高校のところにはちゃんと普通校としてはあるんです、定時制ではありませんけれども。そういう意味でいけば、そういう道をぜひ私は確保していただきたい。
新渡戸稲造先生も言っております。教育に関しては急ぐなと。急がず、ゆっくりというか、余り拙速に教育制度をいじるなということを言っております。ぜひ御検討していただきたい。御要望で終わります。
〇佐々木朋和委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木朋和委員長 質疑がないようでありますので、教育委員会関係の質疑をこれで終わります。
教育委員会事務局の皆さんは退席されて結構です。お疲れさまでした。
次に、企業局長に企業局関係の説明を求めます。
〇畠山企業局長 それでは、平成28年度の企業局関係の決算等について御説明申し上げます。
初めに、企業局の事業の総括的な取り組みと成果及び今後の取り組み方向について御説明申し上げます。
平成28年度の事業運営に当たりましては、公営企業の経営の基本理念である経済性の発揮と公共の福祉の増進を踏まえながら、平成28年度から平成31年度までの4年間を対象とする、第5次中期経営計画の初年度として、クリーンな電力と良質な工業用水の安定供給に取り組むとともに、施設の計画的な改良、修繕や業務コストの節減を図り、効率的な経営に努めてまいりました。
電気事業については、高森高原風力発電所では風車の基礎工事や変電所建屋の建築などを、簗川発電所では現地工事に着手するなど、新規の2発電所の建設を進めたほか、既設の発電所の大規模修繕などに取り組みました。また、出水率が平年を下回ったものの、供給電力量は目標を達成するとともに、純利益も前年度に引き続き10億円台となりました。
一方、工業用水道事業については、施設の改良、修繕を行いながら安定供給に努めたほか、老朽化が進んでいる配管の更新や耐震化を進めました。
営業収益は、超過水量の減少により前年度より減少したものの、経費の効率的な執行に努めたことなどにより、純利益を確保することができました。
このほか、地域貢献の施策として、平成18年度から、市町村等が行う再生可能エネルギー導入の取り組みを支援しており、特に沿岸地域については、平成23年度から補助率を引き上げるなど、支援の充実を図っております。さらに、平成28年に発生した台風第10号災害の被災市町への支援にも新たに取り組んでおります。
次に、今後の取り組み方向につきましては、第5次中期経営計画に基づき、一層の安定供給と安定経営に努めてまいりたいと考えております。
電気事業では、引き続き新規発電所の建設を進め、本県の電力自給率の向上に努めるほか、電力システム改革の動向や事業を取り巻く環境の変化に適切に対応してまいります。
このほか、先日記者発表を行った震災復興及びふるさと振興に寄与する東北電力との共同の取り組みであるいわて復興パワーも進めてまいります。
工業用水道事業では、老朽化した配管の更新や耐震化を進めるとともに、需要の状況など経営環境の変化に的確に対応しながら、引き続き安定経営に向けた取り組みを進めてまいります。
それでは、企業局の平成28年度決算等について御説明申し上げます。
まず、認定第13号平成28年度岩手県電気事業会計決算の概要について御説明申し上げます。
電気事業会計決算の1ページをお開き願います。
なお、決算報告書は、予算に対する決算という性格上、消費税を含めた金額で作成しておりますが、損益計算書及びその他の財務諸表は消費税抜きの金額で作成することとなっており、金額に相違がありますので、あらかじめ御承知願います。
それでは、(1)収益的収入及び支出でありますが、収入の第1款電気事業収益は、表の右から3列目に記載のとおり、決算額は58億1、533万円余であります。
主な内訳でありますが、第1項営業収益51億1、719万円余は、胆沢第二発電所など16カ所の水力発電所に係る電力料収入等であり、第2項附帯事業収益1億4、281万円余は、稲庭高原風力発電所及び相去太陽光発電所に係る電力料収入であります。
次に、支出の第1款電気事業費用は、表の右から4列目に記載のとおり、決算額は41億5、291万円余であります。
主な内訳でありますが、第1項営業費用39億5、960万円余は、水力発電所の運転及び管理運営に要した経費であり、第2項附帯事業費用1億1、420万円余は、稲庭高原風力発電所と相去太陽光発電所の運転及び管理運営に要した経費であります。
次に、2ページをお開き願います。(2)資本的収入及び支出のうち収入の第1款資本的収入は、表の右から3列目に記載のとおり、決算額は24億245万円余であります。
主な内訳でありますが、第1項企業債14億5、200万円は、高森高原風力発電所建設に係る企業債の借り入れであり、第3項長期貸付金償還金4億2、599万円余は、一般会計等からの長期貸付金に係る償還金であります。
次に、支出の第1款資本的支出は、表の右から6列目に記載のとおり、決算額は90億5、402万円余であります。
主な内訳でありますが、第1項建設費79億1、500万円余は、高森高原風力発電所及び簗川発電所の建設に係る工事費などの経費であり、第2項改良費7億8、031万円余は、発電所と管理施設、設備の改良や更新に要した経費であります。
なお、第1項建設費の翌年度繰越額3、502万円余は、高森高原風力発電所整備事業において、平成28年台風第10号の影響により工事が遅延したため繰り越しとなったものであります。また、資本的収入額が資本的支出額に対し不足しておりますが、欄外に記載しておりますとおり、減債積立金等で補填しております。
次に、3ページの損益計算書でありますが、営業利益は、一番右側の中ほどに記載のとおり9億1、562万円余となっております。経常利益は右側下から4行目に記載のとおり10億2、226万円余となっております。当年度純利益は、経常利益と同額の10億2、226万円余であります。また、当年度未処分利益剰余金は、純利益にその他未処分利益剰余金変動額を加えたものであり、二重下線を付した34億2、701万円余であります。
次に、4ページをお開き願います。剰余金計算書でありますが、主な項目の当年度変動額及び当年度末残高について御説明申し上げます。
表の左から6列目に記載されております利益剰余金のうち減債積立金は、企業債の償還財源として3億474万円余を取り崩したため、当年度末残高は7億2、397万円余となっております。8列目に記載されております建設改良積立金は、建設改良事業の財源として20億円を取り崩したため、当年度末残高は19億7、181万円余となっております。9列目に記載されております中小水力発電開発改良積立金は、水力発電施設の改良費の財源として1億円を取り崩したため、当年度末残高は8億5、522万円余となっております。また、隣の欄の環境保全・クリーンエネルギー導入促進積立金は、地域貢献の財源として1、788万円余を取り崩したため、当年度末残高は1億4、663万円余となっております。さらに、二つ隣の欄の未処分利益剰余金は、当年度末残高が34億2、701万円余となり、利益剰余金の合計は、当年度末残高で74億6、293万円余となっております。表の右から2列目の評価差額等は、株式の時価評価差額で45億5、279万円余であり、資本金、剰余金を合わせた資本合計の当年度末残高は、記載のとおり405億9、560万円余となっております。
なお、5ページにあります剰余金処分計算書は、未処分利益剰余金の処分案と重複しますので、説明を省略させていただきます。
また、6ページ以降の貸借対照表、事業報告書、附属書類につきましても、説明は省略させていただきます。
次に、議案第35号平成28年度岩手県電気事業会計未処分利益剰余金の処分に関し議決を求めることについて御説明申し上げます。
恐れ入りますが、議案その3により御説明申し上げます。
議案その3の1ページをお開き願います。平成28年度岩手県電気事業会計の未処分利益剰余金は34億2、701万594円でありますが、そのうち24億474万6、417円を資本金に組み入れるとともに、4億9、113万2、088円を企業債の償還財源に充てるための減債積立金に、4億9、113万2、089円を建設改良事業等の財源に充てるための建設改良積立金に、4、000万円を地域貢献の財源に充てるための環境保全・クリーンエネルギー導入促進積立金に、それぞれ積み立てようとするものであります。
電気事業に関する説明は以上でございます。
続きまして、認定第14号平成28年度岩手県工業用水道事業会計決算の概要について御説明申し上げます。
工業用水道事業会計決算の1ページをお開き願います。1の決算報告書でありますが、(1)収益的収入及び支出のうち、収入の第1款工業用水道事業収益は、表の右から3列目に記載のとおり、決算額は9億7、457万円余であります。
主な内訳でありますが、第1項営業収益9億179万円余は、工業用水の給水料金収入等であります。
次に、支出の第1款工業用水道事業費用は、表の右から4列目に記載のとおり、決算額が8億8、635万円余であります。
主な内訳でありますが、第1項営業費用8億1、212万円余は、工業用水道施設の給水業務及び管理運営に要した経費であります。
次に、2ページをお開き願います。(2)資本的収入及び支出のうち、収入の第1款資本的収入は、表の右から3列目に記載のとおり、決算額は3億8、480万円であり、これは、工業用水道施設の改良工事に係る企業債の借り入れであります。
なお、第2項補助金については、平成28年度の国の補正予算、経済対策対応分を予算計上しておりましたが、事業を繰り越したため決算額はゼロ円となったものでございます。
次に、支出の第1款資本的支出は、表の右から6列目に記載のとおり、決算額は8億9、600万円余であります。
主な内訳でありますが、第1項改良費3億7、988万円余は、工業用水道施設の改良や更新に要した経費であり、第2項企業債償還金3億1、757万円余は、工業用水道施設の建設改良事業のため、過年度に借り入れた企業債等に係る償還金であります。
第3項他会計からの長期借入金償還金1億9、854万円余は、一般会計等からの借入金の償還金であります。
なお、第1項改良費の翌年度繰越額2億6、796万円余は、第一及び第二北上中部工業用水道設備改良工事において、設計の策定調整に日数を要したため、繰り越しとなったものであります。
また、資本的収入額が資本的支出額に対し不足しておりますが、欄外に記載しておりますとおり、減債積立金及び減価償却費などの過年度分損益勘定留保資金等で補填しております。
次に、3ページの損益計算書でありますが、電気事業会計と同様に、営業利益は、一番右側の中ほどに記載のとおり4、397万円余となっております。経常利益は、右側下から4行目に記載のとおり6、008万円余となっております。当年度純利益は、経常利益と同額の6、008万円余であります。
また、当年度未処分利益剰余金は、純利益にその他未処分利益剰余金変動額を加えたものであり、二重下線を付した2億682万円余であります。
次に、4ページをお開き願います。剰余金計算書でありますが、電気事業会計と同様に、主な項目の当年度変動額及び当年度末残高について御説明申し上げます。
表の左から5列目に記載されております利益剰余金のうち減災積立金は、企業債の償還財源として1億4、674万円余を取り崩したため、当年度末残高はありません。
また、隣の欄の未処分利益剰余金は、当年度末残高が2億682万円余となり、利益剰余金の合計は、当年度末残高で未処分利益剰余金と同額となっております。
資本合計の当年度末残高は、表の一番右側に記載のとおり、資本金、剰余金を合わせた34億6、840万円余となっております。
なお、5ページにあります剰余金処分計算書は、未処分利益剰余金の処分案と重複しますので、説明を省略させていただきます。
また、6ページ以降の貸借対照表、事業報告書、附属書類につきましても、説明は省略させていただきます。
次に、議案第36号平成28年度岩手県工業用水道事業会計未処分利益剰余金の処分に関し議決を求めることについて御説明申し上げます。
恐れ入りますが、議案その3により御説明申し上げます。
議案その3の2ページをお開き願います。平成28年度岩手県工業用水道事業会計の未処分利益剰余金は2
億682万2、070円でありますが、このうち1億4、674万531円を資本金に組み入れるとともに、6、008万1、539円を企業債の償還財源に充てるための減災積立金に積み立てようとするものであります。
以上で企業局関係の決算書について御説明を終わらせていただきます。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇佐々木朋和委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇高橋孝眞委員 決算書の中でありますけれども、セグメント情報の開示として、水力発電事業、風力発電事業、太陽光発電事業の営業収益をそれぞれあらわしておりますが、共通項目に1億803万4、000円を配分しておりませんが、これはどういう理由なのかについて、最初にお伺いします。
〇菊池次長兼経営総務室長 共通項目につきましてでございますけれども、共通項目のうち、経常損益につきましては、株式受取配当金、譲渡性預金などの受取利息などでございます。そして、セグメント資産につきましては、投資有価証券、現金預金などでございます。セグメント負債につきましては、各セグメントに共通する未払い金を計上しているところでございます。
共通項目に計上している内容につきましては、財務収益、投資などの資金運用関係及び現金預金などの各セグメントの共通資産でありまして、電気事業会計で一体的に運用しておりますことから、各セグメントに配分せずに共通項目としているところでございます。
〇高橋孝眞委員 0.8%ぐらいの運用益ということになるかと思います。
次でありますけれども、太陽光発電は、減価償却を何年で計算されているのかお伺いします。また、太陽光パネルは、いつかは役割を終え、使用できなくなるわけでありますが、そうしますと解体して更地にするということになると思います。太陽光パネルには、鉛、カドミウム、セレンが使用されております。解体費用はどの程度か、現在、解体をするとすればどのくらいの費用がかかると見積もっているのかをお伺いします。
また、費用が解体時に多額に発生するとすれば、他の電気事業、水力発電事業なり風力発電事業については、修繕費の平準化ということで修繕引当金として引き当てをしております。私は、太陽光発電の解体時のための特別な引き当てが必要ではないかと思うわけですけれども、どのような考え方でしょうか、お伺いします。
〇村上電気課長 まず、相去太陽光発電所の耐用年数についてでありますが、太陽光発電所の耐用年数は、地方公営企業法施行規則に定める有形固定資産の耐用年数のうち、機械及び装置の中の主として金属製のものを適用し、17年間としており、その期間で減価償却を行っております。
次に、撤去費用についてでありますが、国の太陽光発電ガイドラインでは、建設費の5%以上を目安とすることが望ましいとされていることから、相去太陽光発電所では、計画当初から建設費の約5%に当たる2、500万円余を見込んでおります。
最後に、解体時の撤去費用の引き当てについてでありますが、1年間の売電収入として平均4、500万円程度を見込んでおり、撤去費用については単年度の費用として処理できる予定であり、引き当て等の対応は考えていないところであります。
〇高橋孝眞委員 普通であれば5%でいいのかもしれませんけれども、有害物質が入っているということは、最終的には、その有害物質の濃度によって費用が発生してくるものだと思います。そうしますと、ある程度想定をして今のうちから対応するべきではないかと思いますし、県内で先ほどの有害物質を処理できるような業者はないわけでありますので、一応調べてみる必要があるのではないか。その上で、多額に発生するということであれば、引き当てを毎年度しておく必要があると思いますので、検討していただきたいと思います。
次に、平成28年度の包括外部監査結果報告書からでありますけれども、建設準備勘定の南本内地点、槻木平地点、北本内地点について、減損の兆候に該当するものとの指摘がありますが、どのような検討がされ、今回の決算でどうされたのか。セグメント情報によりますと、南本内地点について検討された旨の内容がありますが、これら3地点は減損の必要なしとした理由は何かをお伺いいたします。
〇菊池次長兼経営総務室長 減損の兆候についてでございますけれども、今回の包括外部監査の指摘を受けまして、3地点につきまして検討したところでございます。
事業化についての可能な時期が明確ではなく、流動的な状況にあることから、減損の兆候が生じているとして、平成28年度決算書の財務諸表附属書類の58ページでございますけれども、そこに減損の兆候が生じているという旨を注記させていただいたところでございます。
〇高橋孝眞委員 南本内地点についてはということですが、他の2地点についてはどのように検討されたのかについてお願いしたいのですが。
〇細川業務課総括課長 槻木平地点と北本内地点の調査をしているところでございますが、それぞれその状況について御報告申し上げます。
まず、槻木平地点でございますけれども、平成20年の岩手・宮城内陸地震がございまして、発電所を計画していた地域が地すべり地帯に指定されました。そんな関係で、今、林野庁で地すべり防止の対策工事を行っておりますけれども、その工事の推移を注視しているところでございます。
林野庁からも、逐次工事の進捗状況などについて情報を収集している状況でございます。最近の情報によりますと、来年度、平成30年度には、一応対策工事としては概成すると。今のところ、地すべりの大きな動きは観測されていないというような情報も入っております。
したがいまして、今の時点で直ちに将来の事業化を断念する状況でもないと考えており、林野庁の対策工事が終わった段階で、また改めて槻木平地点の事業化の可能性については検討してまいりたいと考えているところでございます。
それから、もう一つの北本内地点についてでございますけれども、ここは取水口へのアクセスについて、いろいろ課題があるところでございます。保守上の課題でございますけれども、平成27年度から、その取水口へのアクセス方法についていろいろ検討を進めているところでございます。
今年度も引き続き、概略設計を行いまして、経済性の評価を含めて、今後の事業化について検討を進めているところでございます。
〇高橋孝眞委員 将来可能性はあるよねということだけではなくて、減損の兆候があるとすれば、ある程度、減損処理をしたほうがいいのではないかと思います。
次ですけれども、この報告書の中でありますが、電気事業会計と工業用水道会計で人件費、行政財産使用料の負担割合が電気事業会計に多く配分されているとのことです。今回の決算で、実際の仕事に当たっている人の割合とか建物を使用している割合で調整したものと思いますけれども、平成27年度の計算の仕方から見ますと、今年度はどのように差があるのかお伺いいたしますし、もう一つは、この際、一般管理費の配分も必要と思いますけれども、これは調整されたのかどうかお伺いして、終わります。
〇菊池次長兼経営総務室長 平成28年度に実施されました包括外部監査の指摘、意見を受けまして、人件費及び行政財産使用料につきまして、平成28年度決算において必要な整理をしたところでございます。
まず、人件費でございますが、今回の意見を受けまして、本庁管理部門職員のうち3名分の人件費5、500万円余でございますけれども、電気事業会計から工業用水道事業会計に計上したところでございます。
次に、行政財産使用料についてでございますが、今回の指摘を受けまして、減価償却費をもとに算定したことによりまして、工業用水道事業会計の収入は100万円ほどの減となったところでございます。この結果、平成27年度決算方式と比較しますと、これらを合わせて5、700万円余の差が生じたところでございまして、繰り返しになりますが、平成28年度決算において整理したところでございます。
一般管理費におきましても、整理したところでございます。
〇工藤誠委員 それでは、私は1点だけですけれども、高森高原風力発電所についてお願いいたしたいと思います。決算書では11ページの事業報告、13ページの工事の収支の関係についてです。
まとめてお聞きしますが、先ほどの説明では、平成28年台風第10号の関係で繰り越しもあったようでございますけれども、工事の進捗状況について、まず一つは、11基の風車、それから関連施設、開閉所、変電所、送電網とかがありますが、この工事の進捗状況は順調かどうかということ。それから、試運転の時期と期間、運転開始は平成30年1月をめどとしているわけですけれども、このことについて変更はないのか。それから、総事業費は127億円ということだったのですけれども、変更はなかったのかどうか。あったとすればどの点だったのか。それから、昨年度からいろいろ議論になっていますが、現地工事において、希少動植物への対応についてはどういう対応が行われたのか。以上4点についてお願いします。
〇村上電気課長 工事の進捗状況についてでありますが、まず、風車組み立てについては、昨年4月に基礎工事を開始し、本年3月には久慈港へ風車部材を陸揚げし、4月から現地へ輸送と組み立てを開始しております。先週までに風車全11基のうち10基の組み立てが完了しており、今月中には残り1基の組み立ても完了する見込みであります。
なお、風車組み立て後に実施する周辺緑化や管理用道路の舗装など一部の残工事については、冬季施工を避け、来年雪解けを待って再開する予定であります。
関連設備については、送電線工事を8月末までに完了しており、開閉所、変電所については、建築工事及び電気設備工事を9月中旬までに完了しているなど、計画どおりに進めております。
二つ目の試運転の時期と期間についてでありますが、風車単体の試運転については、9月上旬以降、組み立てが完了したものから順次開始しており、11月末までに終了する見込みであります。その後、蓄電池設備の充放電を含めた総合的な試験調整を行い、全体の試運転を年内には終了する見込みであります。したがいまして、営業運転は、計画どおり、平成30年1月に開始できるものと見込んでおります。
三つ目の総事業費の変更の見込みについてでありますが、現在工事中のため総事業費は最終確定しておりませんが、計画どおり約127億円におさまる見込みであります。
最後に、現地工事における希少動植物への対応についてでありますが、鳥類のうち、猛禽類であるノスリへの保全措置として、とまり木と人工の巣を設置しており、渡り鳥の一種であるオオジシギへの保全措置として、風車から離れたところに生息場所を誘導する対策を行っております。
植物の保全措置としては、工事場所に群生しているノシバについて、一旦仮移植し、風車組み立て完了後にもとの場所に戻すなどの対策を行っております。
〇工藤誠委員 まず順調に工事は進んでいるということでございます。それから、運転開始の時期も、このままであれば予定どおりに進むということで、まず何事もなく、残り1カ月ぐらいで雪も降ってまいりますので、よろしくお願いしたいと思います。
それで、今度は冬期間の除雪の対応ということになるわけでございますけれども、あの場所は、御存じのとおり高い場所にあります。それで、たくさん雪も降って寒さも厳しいところなので冬場は立ち入ることができないわけでありますけれども、風力発電所ができることによりまして、道路の除雪対応はどのように行うのか。当然メンテナンスも必要になってくると思いますので、現地に行くのにずっと道路を除雪していくのかどうか、ちょっとその辺がはっきりわからないので、その対応についてお伺いしたいと思います。
また、これは通告していませんけれども、除雪の対応については、以前質問したときに地元の業者などを使うということを答弁されておりましたが、既に業者は決まっているのか。会社名は結構でございますけれども、地元の業者なのかどうかということも、お答えできるのであればお願いしたいと思います。
〇村上電気課長 冬期間の除雪についてでありますが、風車までの道路は町が管理しており、風力発電所完成後も、これまで同様に、除雪は民家があるところまでと聞いております。したがって、風力発電所の巡視や故障復旧などで現場に行く場合は、雪上車等を使用することとしております。
なお、民家から雪上車の車庫まで約500メートルの区間は、企業局で除雪する予定であります。
最後に、除雪業者につきましては、まだ決まっておりません。
〇工藤誠委員 それでは、これもまとめてお聞きします。故障とか、最近、ブレードのくっつけているところが火災というか燃えるという事故が起きているようです。
それで、一つ目は、風車はドイツ製ということでございました。それで、このメンテナンスを行う業者は国内の業者なのかドイツの業者なのかということですね。それから、点検頻度とか交換部品、この交換部品もドイツから運んでくるのかどうかですけれども、そういう供給体制はどのようになっているのか伺います。
それと、二つ目が、11基のうち、そういうことがあってはならないわけですが、もし半分が何かの原因で故障になったような場合、そして運転できないような場合、売電収入への影響が出ると思うんですけれども、そういう事態が生じた場合、どのような対策を考えているかということ。
三つ目は、先ほど申し上げたような、国内外で風車の発電部分が火災を起こしている事例がございます。この高森高原風力発電所の場合はどのような対応を考えているかということで、この三つをお願いいたします。
〇村上電気課長 まず、風車のメンテナンスについてでありますが、今回の風車製作据えつけ工事は、ドイツの風車メーカーの国内代理店である株式会社日立パワーソリューションズが施工しており、運転開始後も、同社とメンテナンス契約を締結する予定であります。
同社では、秋田県能代市に保守のサービスセンターを開設し、主な交換部品等を常備しているほか、サービスエンジニアが常駐しており、故障時には速やかに対応できる体制となっております。
また、点検頻度についてでありますが、国の基準や企業局の規程に基づき、年1回の定期点検及び月例点検を行うこととしておりますが、定期点検は、メンテナンス契約の中で同社が実施する予定であり、月例点検は、別途、県内業者に委託する予定としております。
二つ目の故障した場合の売電収入への影響についてでありますが、高森高原風力発電所で発生した電力は、固定価格買取制度を活用して売電しますので、実際に発電した量に応じた料金収入となります。したがって、半分が故障し発電量が半減すれば、売電収入も半分になります。
このような場合の対策についてですが、定期点検や部品交換を行い未然に故障を防止すること、故障が発生した際には迅速に復旧すること及び一定の稼働率を保証することを内容とする包括的なメンテナンス契約を、株式会社日立パワーソリューションズと締結する予定であります。
また、落雷等の自然災害による故障リスクに対しては、損害保険への加入を検討しているところであります。
最後に、風力発電所の火災についてでありますが、国内で火災を起こした風車は、タワー上部の発電機近くにある変速機や変圧器等に含まれている可燃性の油に引火することにより、火災が拡大し、大事故につながっていると聞いております。
それに対して、高森高原風力発電所の風車は、タワー上部に油入りの機器がないことから火災発生のおそれが低く、製造メーカーによると、同タイプの風車では火災の事例がないとのことでありました。
万が一、風車で火災があった場合の対応については、地元消防署と火災発生時の連絡体制を整備しており、今後、協議を進め、風車の構造に係る情報提供などを行っていくこととしております。
〇工藤誠委員 まず、そういうことがあってはならないわけですので、万が一にもそういうことがないように、メンテナンスもしっかりお願いしたいし、万が一のときは、地元の消防団等と協力してしっかりと対応していただきたいと思っています。
最後でございますけれども、2月の予算特別委員会で、島根県の企業局でやっている風力発電所について、愛称といいますかニックネームをつけていますよという話も申し上げたのですが、この辺のことについてはどうなっているのかということ。
それから、最後に局長から、冒頭お話もありました、企業局ではいろいろと地元貢献に取り組んでいるということで、私も以前申し上げておりますが、高森高原風力発電所においては、あそこは高森高原という観光地でもございまして、地域振興や観光振興の目玉として、今回の風力発電所に大きな期待を寄せております。
それで、東北電力は、復興とふるさと振興の後押しに取り組むということもございますので、この風力発電所の完成を機会に、今後、地元と連携してどのような地元貢献をされていくのかというお考えをお伺いして、終わりたいと思います。
〇村上電気課長 委員から御提案のありました愛称募集についてでありますが、風力発電所の運転開始にあわせて、地元住民の皆さんにとって高森高原風力発電所がより身近で親しみやすい存在となるよう愛称をつけていただきたいと考えて、先週、一戸町内の小学生約500名に応募をお願いしたところであり、今後、一戸町も交えて愛称の選定を行う予定としております。
〇畠山企業局長 地域貢献活動の関連でございますけれども、高森高原風力発電所につきましては、私ども企業局の売電収入の2年分を超える巨費を投じて行う事業でございまして、命運をかけた事業でございます。地元を含め県民の期待も大変大きなものがあるだろうと考えておりまして、さまざまな面で成果を発揮していきたいと考えているところでございます。
一つには、県内の電力自給率の向上というところをしっかりやっていく。当然、これは私どもの収入につながるわけでございまして、企業局の経営基盤強化をしっかりやっていく。そしてまた、地域の振興という面でもしっかり貢献して、地元の御協力、御理解に報いてまいりたいと考えております。
具体的な内容につきましては、一つには、一戸町に対する交付金の交付というものがございます。あとは、災害時にこの発電所の蓄電池を使いまして電力供給を行っていくという意味での貢献もございます。そしてまた、委員から御指摘、御意見がございました観光という観点では、この発電所に大勢の見学者あるいは見物客が訪れまして、地域のにぎわいであるとか地域の経済の活性化であるとかといったものにつながっていただくように、一戸町としっかり連携いたしまして、大いに県内外にPRしてまいりたいと考えているところでございます。見学者対応も、しっかりと案内体制を整備してお迎えしたいと考えておりますし、また、環境学習の機会もしっかり提供してまいりたいと考えております。
また、地域でお祭りなどのイベントもあるようでございますので、そこにも私ども、参加協力をさせていただく。そんなようなさまざまな形で地域振興にも大いに貢献してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
〇斉藤信委員 私も高森高原風力発電所の状況について、ダブらない範囲でお聞きいたします。
高森高原風力発電所の発電能力、発電量、この見込みはどうでしょうか。そして、年間ベースでどのぐらいの営業利益を見込んでいるのか。これは営業費用を除いて利益を見込んでいるのか。
二つ目に、その維持管理体制はどうなるのか。今の話だと、代理店に全面的に管理を委託することになるのか、企業局として人員が必要になるのか、そのことを示してください。
〇村上電気課長 まず、発電能力、発電量の見込みについてでありますけれども、発電出力は2万5、300キロワット、年間の供給電力量は約5、300万キロワットアワーと見込んでおります。これは、一戸町と二戸市の全世帯約1万6、000世帯が1年間に使用する電力量に相当するものであります。
続きまして、利益についてですけれども、20年間で約36億円を見込んでおります。1年間にしますと約1
億8、000万円ということになります。
次に、維持管理体制についてでありますが、運転開始後の維持管理業務としては、各種の点検、作業や故障対応等を考えております。このうち風車設備については、専門的な知識が必要となるため、設置業者である株式会社日立パワーソリューションズに年1回の定期点検や故障対応等を委託し、毎月の巡視点検は職員が対応するほか、県内業者にも委託する予定であります。それ以外の送電線などの電気設備の点検、除雪や除草作業などは、県内業者に委託する予定であります。
最後に、人員についてでありますが、保守担当職員については、建設の完了に伴い発電所建設担当職員の減員分を保守担当職員の増員分に充てて、十分な体制を組み対応していきたいと考えております。
〇斉藤信委員 20年間で36億円の利益と。これは、建設費用が127億円かかるんですけれども、これを超えてという意味ですね。わかりました。
そして、先ほどの答弁の中で職員常駐という話もありましたけれども、それはどういうことですか。
〇村上電気課長 職員が常駐するというのは、秋田県能代市の株式会社日立パワーソリューションズのメンテナンスセンターに常駐するということになります。(斉藤信委員「そこから来ると」と呼ぶ)はい。
〇斉藤信委員 大規模な事業ですので、しっかりやっていただきたい。
それで、電気事業会計決算でちょっとお聞きしたいのは、附帯事業収益と費用のことですけれども、これは、稲庭高原風力発電所と太陽光発電の関係だと。それで、収益は1億4、281万円、費用は1億1、420万円と。そうすると、差し引くと2、800万円なんですね。これは、稲庭高原風力発電所と太陽光発電でそれぞれどうなっていますか。
〇菊池次長兼経営総務室長 先ほどのセグメント情報の開示の部分でございますが、風力発電事業につきましては、営業損益で465万円ほどでございます。そして、経常損益では2、000万円ほどでございます。太陽光発電につきましては、営業損益で1、500万円ほど、経常損益で1、800万円ほどという内訳になります。
〇斉藤信委員 それで2、800万円の計算が合いますか。営業費用と営業損益で。
〇菊池次長兼経営総務室長 営業損益で風力発電事業400万円ほど、太陽光発電で1、500万円ほどですが、先ほど申しましたのは、共通項目の中にいろいろなものが入っていまして、その分でちょっと合わないという部分でございます。
〇斉藤信委員 いずれにしても、稲庭高原風力発電所も利益を上げているという理解でいいですね。
それで、ロジテックによる長期未納金が1、135万円余となっていますが、これへの対応はどうなっていますか。
〇村上電気課長 相去太陽光発電所の売電先であった日本ロジテック協同組合からの未収金1、135万円余についてでありますが、去る10月4日に開催された第3回債権者集会においては、破産管財人が組合の資産と負債の調査を継続しているとの説明がありました。
次回の債権者集会は平成30年3月28日に開催される予定となっており、これに参加し、資産と負債の状況を把握し、今後、法的手続にのっとり債権の回収に努めていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 日本ロジテック協同組合の負債総額、そして資産、そして、被害を受けた機関といいますか、県なり何なりの件数はどれぐらいなのですか。
〇村上電気課長 資産と負債の状況についてでありますが、第3回債権者集会においては、8月末時点で負債が約211億円、資産が約53億円と報告がありました。
被害に遭った数は把握しておりません。
〇斉藤信委員 負債総額211億円ということになると、岩手県の被害はその中では極めて少ない、回収の見込みはなかなか厳しいということになると思います。かなりの被害件数になっているのではないかと思いますが、それは答弁ありませんでしたので。
次に、工業用水道事業についてお聞きいたします。料金対象水量と契約水量、これは同じなのでしょうか。実給水量がその約半分となっているのはなぜなのでしょうか。
〇細川業務課総括課長 まず、契約水量についてでございますけれども、ユーザー企業が使用する最大水量として申し込みを受けたものであり、料金対象水量は、この契約水量と、それを超えて使った分、いわゆる超過使用水量を加えたものになってございます。
次に、実給水量につきましては、リーマンショック前は全ユーザー企業平均で70%ございましたけれども、それ以降は50%前後で推移しております。これは、経済情勢や産業構造の変化による生産活動の結果に加えまして、ユーザー企業による節水あるいは水のリサイクルなどが進んだことが主な要因と考えてございます。
〇斉藤信委員 私も資料を見てびっくりしたのだけれども、可能給水量と実給水量の比率は平成28年度35.5%と。実際には可能給水量に対して35.5%しか使われていないということになるのですね。
〇細川業務課総括課長 契約水量に対しまして実際に使われた水量につきましては、平成28年度は、私ども49.4%と把握しておるところでございます。
〇斉藤信委員 私が聞いたのと答えがずれているんだけれども、私は、可能給水量に対して実際の給水量は35.5%ですねと。そして、実際に契約水量と実給水量で比較すると、これは半分ぐらいしか使っていないと。商売とすればかなりうまい商売になっているなと。契約水量の半分で、お金は契約どおり入るわけですからね。私は、こういうものが長続きするのかなと思いますが、そういうものなのですか。
〇細川業務課総括課長 大変失礼いたしました。施設の供給能力に対して実際に使われている水量が約35%ということでございます。
施設の供給能力につきましては、工業用水道事業を開始するに当たって需要予測をいたしまして、この程度の工業用水の需要があるだろうという予測のもとに建設して、事業として開始したものでありますけれども、実際は、なかなかそこまでユーザー企業の皆様にお使いいただけなかったこともございまして、現在のような経営状況になっているものと承知しております。
〇斉藤信委員 それで、そういう中でも超過使用水量というものはあるのですけれども、ただ、平成28年度はがくっと65%落ちたのですね。これはどういう理由ですか。
〇細川業務課総括課長 超過使用水量についてでございますけれども、これは、契約水量を超えて工業用水を使用した場合に超過使用水量として取り扱うこととしているものであり、単価も高く設定させていただいているものでございます。
平成28年度の超過使用水量は3万6、000立方メートル余であり、平成27年度の10万5、000立方メートル余に比較して約65%の減少となっております。委員御指摘のとおりでございます。
その主な理由といたしましては、割高な超過使用水量が多かったユーザー企業が、契約を見直していただきまして契約水量を増量したと。その結果、相対的に超過使用水量が減少したものでございます。
〇斉藤信委員 わかりました。
それで、東芝が1兆円規模で新たな工場を整備するということが報道されております。恐らく工業用水は、今の東芝も使っているでしょうから、同じように必要になってくるのではないかと。その際、工業用水としてどれだけ対応できるのか、その点はどう検討されているのか示してください。
〇細川業務課総括課長 東芝メモリ株式会社が新工場の建設を発表したところでございますけれども、現在のところ、新工場が必要とする工業用水の量はまだ明らかにされておりません。しかし、半導体製造過程においては相当量の水を使用するということもございますので、工業用水としても需要があるものと考えており、大いに期待しているところでもございます。
次に、供給余力ということでございますけれども、新工場立地予定地は、現在の第一北上中部工業用水道の給水区域内でございますが、この施設は1日当たり約3万7、000立方メートルの工業用水を供給する能力がございます。それに対して、現在の契約水量が約2万6、000立方メートルでございますので、この差、1万1、000立方メートルが、現在供給余力としてカウントされております。
〇斉藤信委員 これは個別には答えられないと思うけれども、今の東芝は、この範囲内で済む程度の供給量なのですか。
〇細川業務課総括課長 先ほど申し上げたとおり、新工場の今後の使用量については、これから具体的に協議を始める段階でございますので、現段階ではまだ不明というところでございます。
〇佐々木朋和委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木朋和委員長 質疑がないようでありますので、企業局関係の質疑をこれで終わります。
企業局の皆さんはお疲れさまでした。
以上で本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後5時1分 散 会

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