平成29年9月定例会 決算特別委員会会議録

前へ 次へ

決算特別委員会会議記録
(第 1 号)
平成29年10月11日(水)
1開会 午前10時3分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
事務局長 大 友 宏 司
議事調査課
総括課長 村 上 宏 治
議事管理担当課長 中 村 佳 和
主任主査 安 齊 和 男
主任主査 柳 原   悟
主査 上 野 公一郎
主査 小 原 亜季子
主査 菊 池   智
主査 戸 塚 教 仁
1説明員
知事 達 増 拓 也
副知事 千 葉 茂 樹
企画理事 岩 間   隆
企画理事 大 平   尚
会計管理者 新 屋 浩 二
会計指導監 清 水 雅 典

秘書広報室長 保   和 衛
秘書広報室
副室長兼
首席調査監 上和野 里 美

総務部長 佐 藤   博
総務部副部長兼
総務室長 高 橋 勝 重
財政課総括課長 小 原   勝

政策地域部長 藤 田 康 幸
政策地域部副部長
兼政策推進室長
兼首席ふるさと
振興監 南   敏 幸
政策地域部副部長
兼地域振興室長兼
台風災害復旧復興
推進室長 鈴 木   敦

文化スポーツ
企画室企画課長 畠 山   剛

環境生活企画室
企画課長 黒 田   農

保健福祉企画室
企画課長 中 野 文 男

商工企画室
企画課長 阿 部   博

農林水産企画室
企画課長 照 井 富 也

県土整備企画室
企画課長 嵯 峨 俊 幸

復興局長 佐々木   信
復興局副局長 内 宮 明 俊

経営管理課
総括課長 小 原 重 幸

教育企画室
企画課長 鈴 木   優

監査委員 吉 田 政 司
監査委員 工 藤 洋 子
監査委員事務局長 熊 谷 正 和
監査第一課
総括課長 千 葉 達 也
監査第二課
総括課長 村 上 博 和
〇大友議会事務局長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うこととなっておりますので、年長の委員を御紹介申し上げます。
出席委員中、工藤勝子委員が年長の委員でありますので、御紹介申し上げます。
工藤勝子委員、委員長席にお着き願います。
〔年長委員工藤勝子君委員長席に着く〕
〇工藤勝子年長委員 工藤勝子であります。何とぞよろしくお願いいたします。
それでは、ただいまから決算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開きます。
これより委員長の互選を行います。委員会条例第7条第2項の規定により、委員長互選の職務を行います。
お諮りいたします。委員長の互選の方法につきましては、先例に基づき、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子年長委員 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名したいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子年長委員 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
決算特別委員長に佐々木朋和君を指名いたします。
お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました佐々木朋和君を決算特別委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子年長委員 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました佐々木朋和君が決算特別委員長に当選されました。
ただいま当選されました佐々木朋和君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
佐々木朋和委員長、委員長席にお着き願います。
〔決算特別委員長佐々木朋和君委員長席に着く〕
〇佐々木朋和委員長 ただいま委員各位の御推挙により決算特別委員長に御指名をいただきまして、大変光栄に存じている次第でございます。
委員各位の御協力によって責務を全うしたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
引き続いて副委員長の互選を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木朋和委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
これより副委員長の互選を行います。
お諮りいたします。副委員長の互選の方法につきましては、先例に基づき、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木朋和委員長 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木朋和委員長 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
決算特別副委員長にハクセル美穂子さんを指名いたします。
お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしましたハクセル美穂子さんを決算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木朋和委員長 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしましたハクセル美穂子さんが決算特別副委員長に当選されました。
ただいま当選されましたハクセル美穂子さんが委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
ハクセル美穂子副委員長、御挨拶をお願いいたします。
〇ハクセル美穂子副委員長 ただいま副委員長に選出いただきましてまことにありがとうございます。
佐々木朋和委員長を補佐いたしまして、委員会の円滑な運営に努めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
〇佐々木朋和委員長 お諮りいたします。当決算特別委員会に付託されました決算14件及び議案2件につきましての審査の方法でありますが、お手元に配付しております日程案のとおり、本日及び明日は、知事、副知事、企画理事及び関係部局長等の出席を求め総括質疑を行い、明日の総括質疑終了後、13日及び16日から20日までの7日間は、会計管理者及び関係部局長等の出席を求め質疑を行うこととし、決算14件及び議案2件に対する意見の取りまとめと採決につきましては、10月20日の県土整備部関係の質疑が終わった後、世話人会の意見調整を経た上で行いたいと思います。
なお、7日目の農林水産部の審査については、第1部を農業関係、第2部を林業、水産業関係とし、それぞれ区分して審査することとしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木朋和委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
これより議事に入ります。
認定第1号から認定第14号まで、並びに議案第35号及び議案第36号の以上16件を一括議題といたします。
これより、会計管理者に決算の総括説明を求めます。
〇新屋会計管理者 平成28年度歳入歳出決算の概要について御説明申し上げます。
お手元に平成28年度歳入歳出決算書、歳入歳出決算事項別明細書、実質収支に関する調書など8件の法定書類のほか、決算調製資料を補完するための説明資料として歳入歳出決算説明書をお配りしております。
決算の概況につきましては、便宜、この平成28年度歳入歳出決算説明書に基づき御説明させていただきます。
それでは、歳入歳出決算説明書の1ページをお開き願います。第1平成28年度歳入歳出決算の概況、1決算の状況についてであります。
東日本大震災津波からの復旧、復興に係る取り組みを重点的に進めるとともに、いわて県民計画に掲げる希望郷いわての実現に向けた施策を着実に推進するために編成された平成28年度歳入歳出予算に係る決算の状況は、次のとおりであります。
まず、一般会計当初予算は、本格復興完遂予算として1兆661億692万円が措置され、前年度の当初予算に比べ450億8、345万円、4.1%の減となっております。
また、この当初予算に、その後の補正予算において、平成28年台風第10号等災害へ対応するための経費の措置などにより694億4、861万円の増額補正が行われたところでございます。これに前年度からの繰越額2、135億4、227万円を加えた最終予算額は1兆3、490億9、780万円となり、前年度に比べ579億5、132万円、4.5%の増となっております。
次に、この予算に対する決算についてであります。
まず、歳入について御説明いたします。44ページ及び45ページをお開き願います。第2表一般会計歳入決算状況の表の一番下の合計欄をごらん願います。
平成28年度の収入済額(A)は1兆1、452億2、905万円余で、前年度に比べ、表の右側の比較増減額(A)-(B)の欄でございますが、25億6、792万円余、0.2%減少し、収入率は、予算現額に対して84.9%、調定額に対して97.9%となっております。
なお、収入未済額は、44ページ右端の欄でございますが、242億2、852万円余で、前年度に比べ1億4、472万円余の増となっており、この収入未済額の主なものは諸収入であります。
次に、歳出についてでありますが、少し飛びまして、52ページ及び53ページをお開き願います。第7表一般会計歳出決算状況の表の一番下の合計欄をごらん願います。
平成28年度の支出済額(A)は1兆287億5、757万円余で、前年度に比べ、表の右側の比較増減額(A)-(B)の欄でございますが、77億7、095万円余、0.7%減少し、執行率は、予算現額に対して76.3%となっております。また、翌年度繰越額は2、824億1、782万円余で、前年度に比べ688億7、555万円余の増となっており、この繰越額の主なものは災害復旧費や土木費であります。
なお、不用額は379億2、240万円余で、前年度に比べ31億5、328万円余の減となっております。
次に、実質収支の状況についてでありますが、少し戻っていただきまして、42ページ及び43ページをお開き願います。第1表一般会計及び特別会計決算状況の表中、一般会計の欄に記載のとおり、一般会計の歳入総額は1兆1、452億2、905万円余、歳出総額は1兆287億5、757万円余であり、歳入歳出差引額は1、164億7、148万円となっております。
また、歳入歳出差引額(A)から翌年度へ繰り越すべき財源(B)946億3、904万円余を差し引いた実質収支額(C)は218億3、244万円の黒字となっております。
次に、一般会計の決算の特色についてでありますが、再度、1ページをお開き願います。中段の2決算の特色をごらん願います。
一般会計の決算の特色といたしましては、第1に、決算規模が前年度を下回ったことであります。決算規模は、歳入においては、繰入金、地方消費税清算金、諸収入等の減により、前年度に比べ25億6、792万円、0.2%減少し、歳出においては、県債償還元金等の減少による公債費の減のほか、労働費、災害復旧費等の減により、前年度に比べ77億7、096万円、0.7%減少しております。
第2に、自主財源が減少したことであります。自主財源は、基金繰入金の減少による繰入金の減のほか、地方消費税清算金、諸収入等の減により、前年度に比べ132億8、678万円、2.5%減少し、5、287億1、796万円となっております。
この結果、歳入総額に占める自主財源の割合は、前年度に比べ1.0ポイント減少し、46.2%となっております。
第3に、投資的経費が増加したことであります。投資的経費は、災害復旧事業費が減少したものの、道路、橋梁、河川等の整備事業の増加による土木費の増に伴い、普通建設事業費が124億554万円、6.7%増加したことにより、前年度に比べ64億7、684万円、2.3%増加し、2、931億6、545万円となっております。
この結果、歳出総額に占める投資的経費の割合は、前年度に比べ0.8ポイント増加し、28.5%となっております。
第4に、翌年度繰越額が大幅に増加したことであります。翌年度に繰り越した金額は、震災からの復興事業等において、計画調整等に不測の日数を要したことなどに加えて、平成28年台風第10号の影響などから、前年度に比べ688億7、555万円、32.3%増加し、過去最大の2、824億1、783万円となっております。
第5に、県債残高が減少したことであります。県債残高は、県債発行額が県債償還に充てられる公債費の元金償還額を下回ったことから、前年度に比べ309億5、874万円、2.3%減少し、1兆3、127億1、768万円となっております。
以上、一般会計の特色を申し上げました。
次に、特別会計の決算について御説明申し上げます。少し飛びまして、35ページをお開き願います。第3特別会計の決算状況をごらん願います。特別会計歳入歳出決算収支の状況の表により御説明申し上げます。
母子父子寡婦福祉資金特別会計など10会計の歳入総額は2、219億4、001万円余で、前年度に比べ223億5、143万円余の減となっており、その主なものは、公債管理特別会計の減などであります。また、歳出総額は2、171億7、037万円余で、前年度に比べ211億2、067万円余の減となっており、その主なものは、歳入同様、公債管理特別会計の減などであります。
なお、実質収支は、各会計とも黒字または収支均衡となっております。
以上で決算の概要説明とさせていただきますが、決算内容の詳細につきましては、審査日程に従いまして、それぞれ担当の部局長から御説明申し上げることとなっております。
なお、監査委員から御意見のありました事項につきましては、関係部局において所要の措置を講じているところでございます。
よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇佐々木朋和委員長 ただいまから総括質疑に入るわけでありますが、議会運営委員会の決定に基づき、総括質疑は、各会派及び会派に所属しない議員に質疑時間を配分して行うことになっております。
質疑時間につきましては、まず、改革岩手が37分、次に、自由民主クラブが29分、次に、いわて県民クラブが15分、次に、創成いわてが15分、次に、日本共産党が11分、次に、社民党が9分、次に、会派に所属しない議員は、公明党小野寺好委員、無所属吉田敬子委員、無所属臼澤勉委員の順に、それぞれ7分となっております。
各会派は、配分された時間の範囲内で複数の委員が質疑をすることができること、この場合におきましては、会派として続けて行うこととなっておりますので、御了承願います。
なお、総括質疑は、あす遅くとも正午までに終了することを目途にしたいと思いますので、御協力をお願いいたします。
これより総括質疑に入ります。軽石義則委員。
〔軽石義則委員質問者席に着く〕
〇軽石義則委員 改革岩手の軽石義則です。
本決算特別委員会において、会派を代表しての総括質疑の機会をいただきましたことに、先輩、同僚議員の皆様の御配慮に感謝申し上げます。
既に一般質問による質疑が交わされている部分もありますが、重複する部分は、再確認を含めて御答弁を求めることもありますので、御理解をお願いいたします。
昨年度は、東日本大震災津波から6年目を迎え、2巡目である国体を完全国体として開催することができました。希望郷いわて国体、希望郷いわて大会が、県民全体の記憶に残るすばらしい大会となりました。
開催直前の平成28年台風第10号の災害を乗り越えて、県民総参加による準備から始まり、本番におけるおもてなしによる復興支援の感謝を込めた対応は、感動として伝わったと実感しております。
この取り組みにより、培われた経験を財産として後世に伝えていくために、成果は今後に生かし、補うべきものは共有した上で施策に反映することが必要であると考えております。このことを踏まえた上で、通告に従い質問に入ります。
1点目として、平成28年度一般会計歳入歳出決算の全体についてお伺いいたします。
知事は、平成28年2月定例会において、所信表明で、完全国体と全国障害者スポーツ大会の成功はもとより、人間一人一人を大切にする人間本位の取り組みを進め、引き続き、希望郷いわての実現に向けて、復興とふるさと振興に全力で取り組みますと述べております。
当初予算は、対前年比4.1%減の1兆661億692万円でスタートしましたが、平成28年台風第10号災害や国の経済対策に呼応した事業推進経費などにより、4.5%増の1兆3、490億9、780万円の最終予算額となっております。
また、当初予算の議決に当たり、議会から、適正な執行に留意し、効果の発現に向け早期執行を図り、過去の教訓を生かし、県と市町村がより一層連携しながら、復興とふるさと振興の推進を全力で取り組まれたいなどの意見が付されました。
知事として、平成28年度の施策の推進に当たり、どのような点に力を入れて対応し、具体的にどのような成果があらわれたと考えているのか、お伺いいたします。
〇達増知事 平成28年度の施策の重点項目とその成果についてということでございますけれども、まず、東日本大震災津波からの復興につきまして、早期執行に努めながら、復興道路の整備や復興まちづくりなどによります安全の確保、そして、災害公営住宅の整備などによります暮らしの再建、また、被災事業所の事業再開支援などによりますなりわいの再生、これらに着実に取り組んだところでございます。
この結果、県の第2期復興実施計画の本格復興期間に掲げる事業ごとに設定された409指標のうち、進捗率80%以上の指標が8割に当たる327指標となりました。
また、希望郷いわて国体、希望郷いわて大会の成功に向け、市町村とも連携をしながら、県の総力を挙げて取り組んだところでございます。
円滑な大会運営、そして、県民総参加のおもてなし、また、文化プログラムや国体・大会プラスも加えまして、スポーツの枠を超えたオール岩手の取り組みが全国から高い評価をいただきました。また、岩手県民が自信と誇り、そして希望を持つことにつながったと思います。未来に引き継ぐレガシーになったと考えております。
さらに、ふるさと振興総合戦略に基づく具体的な取り組みとして、岩手で働くとして、いわてで働こう推進協議会による若者や女性の県内就職等の促進、U・Iターン対策の強化などを行いました。
そして、岩手で育てるとして、“いきいき岩手”結婚サポートセンター─i-サポを通じました出会い、結婚支援、そして医療費の現物給付の実施などを行いました。
岩手で暮らすといたしましては、再生可能エネルギーの導入促進、脳卒中等生活習慣病予防などの推進、そしてグローバル人材の育成などに取り組み、全体として市町村と連携を図りながら、さまざまな取り組みを進めてきたところであります。
このような中、平成28年の人口統計では、社会減のマイナス幅が前年より縮小したということもあり、引き続き、ふるさと振興を強力に推進していく必要があると認識しております。
〇軽石義則委員 次に、行政の仕事、いわゆる政策評価についてお伺いいたします。
行政の仕事は、絶え間ない県民の安全と安心を続けていかなければならない使命を果たしていくことが大事であると考えておりますけれども、そのためには、当初予算から補正予算を経て決算となる流れの中で、常にPDCAサイクルをとめることなく回していくことが大事だと思います。この意識は県行政にかかわる全ての人に持っていただかなければなりませんけれども、どのように現状を把握しているのかお伺いをいたします。
〇藤田政策地域部長 職員のPDCAサイクルに対する意識の現状把握についてでございますが、県では、効率的かつ効果的な行政の推進等を目的として、平成13年度に政策評価システムを本格導入した後、平成15年度に政策等の評価に関する条例を制定いたしまして、現在まで政策評価を継続して実施しているところであり、職員のPDCAサイクルに対する意識は一定程度定着しているものと考えております。
また、政策評価の必要性や手法の理解を促進するため、毎年度2回、外部の専門家をお招きいたしまして、PDCAサイクルを基本とした政策評価に関する研修会を開催しており、職員のさらなる意識の向上を図っているところでございます。
効率的かつ効果的な行政の推進や成果重視の行政経営を図るためには、政策評価システムに基づくPDCAサイクルを確実に機能させることが重要でありますことから、今後とも、職員の意識の定着を図る取り組みを継続してまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員 細部については、以降の質疑の中で具体的にさらにお聞きをしていきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
2点目として、具体の項目について順次お伺いをいたします。
まず、歳入についてお伺いをいたします。
経済の活発化による県民所得の向上は、自主財源の安定的確保と直結していると考えております。県内においても、地域的な差はあるものの、有効求人倍率は高どまりとなっており、自主財源である県税が若干増加しております。しかし、今後、東日本大震災津波からの復旧、復興の推進に伴い、震災分の公共事業が減少していくことが見込まれ、将来に向けて歳入の安定的確保の取り組みは重要であり、今から具体的に取り組んでいかなければならないと考えますが、法人県民税と事業税の決算の特徴と、あわせて今後の見通しについてお示しを願います。
〇佐藤総務部長 法人県民税と事業税の決算の特徴でございますが、法人県民税は、税率改正の影響が平年度化したことによりまして若干減少したものの、法人事業税につきましては、復興需要等を背景に、製造業で前年比12.8%、非製造業で27.3%伸びてございます。その中でも建設業が前年比42.1%伸びておりまして、法人二税全体では、前年比48億1、000万円余、17.5%増の323億2、000万円余となってございます。これによりまして、県税総額の決算額は、過去最高額となる1、333億1、000万円余を確保したところでございます。
それから、今後の見通しについてでございますけれども、将来的な収益環境を見込むことは難しいところでございまして、また、復興需要が減少していくことも見込まれるということがございますので、これまでのような伸びは期待できないと捉えているところでございます。
〇軽石義則委員 過去最高の県税ということでございます。
次に移りますけれども、平成28年度の県税徴収率と収入未済額についてお伺いしますが、平成28年度の徴収率は98.6%で、収入未済額は18億558万円となっていますけれども、どのようにこのことを評価しているのかお伺いいたします。また、今後の取り組みについても具体的にお示しを願います。
〇佐藤総務部長 県税徴収率と収入未済額についてでございますが、これまで岩手県地方税特別滞納整理機構を設置してございまして、その活用あるいは給与所得に係る個人住民税の特別徴収の推進、こういった取り組みを行いまして、徴収率の向上と収入未済額の縮減に取り組んできたところでございます。その結果として、徴収率は6年連続で改善し、収入未済額も同じく6年連続で縮減されてきているところでございます。
今後の取り組みにつきましては、引き続き地方税特別滞納整理機構を活用しまして、市町村との連携を進めながら、納期内納付を促進し、税収の確保に努めてまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員 ぜひ、引き続きその取り組みもしっかりとやっていただくことをお願いしたいと思います。
収入を、いわゆる歳入を安定させるためには、県有未利用資産の有効活用というのも大事だと思います。この点についてお伺いをいたします。
平成28年度県有未利用資産の売却は、実績としまして38件、8億7、362万5、115円となっておりますが、そこから災害公営住宅を除くと30件、5億7、343万9、023円となっております。これらの処分はどのような基準で行っているのか、お伺いをいたします。
また、今後の厳しい財政状況における対応として、売却はその価値を一度で失うことになり、継続した歳入の確保にはなり得ません。宮城県では、一般競争入札により、期間を定め、駐車場として賃貸借契約を結び、継続した収入を確保することとして活用している実態があります。本県においても、今後、現在ある県有の未利用資産をこのように有効活用していくことも選択肢に加えていくべきであると考えておりますけれども、既存の建物や土地を維持管理するために発生する経費と、業務の削減や建物を撤去する財源も、その方法で捻出することにより、土地利用の方法が広がり価値も高まるのではないかと思われますので、ぜひ検討してみるべきと考えます。
現在保有している未利用資産を分析し、賃貸借契約を活用した歳入確保策の導入の見込みはいかがでしょうか。また、市町村からの利用希望の打診の有無も含めてお示しを願います。
〇佐藤総務部長 県有未利用資産の有効活用についてでございますが、まず、県が保有する未利用資産の状況をお話ししますと、平成29年3月末現在で、土地が103件、585ヘクタール余、それから建物が41件、7万4、893平方メートルとなっております。
これらの処分に当たっては、平成23年2月に策定いたしました県未利用資産等活用・処分方針を基本としまして、県が利用する予定のない資産につきましては、地域振興の観点から地元市町村に優先的に譲渡を考えてございます。また、市町村に取得の意向がない場合には、一般競争入札により民間への売却を考えると。このほか、例えばでございますが、災害復旧工事の資材置き場などの一時的な利用について、民間への貸し付けも行っているところでございます。
委員御指摘の一般競争入札による貸し付けについてでございますが、まず、本県の平成28年度決算で実績を申し上げますと、普通財産の貸し付けは県全体で8、000万円余の収入となっております。うち、一般競争入札による貸し付けは3件、200万円余の収入となっている状況でございます。
また、宮城県が行っている賃貸事業は、仙台市の中心市街地に所有する土地を自動車の平面駐車場として用途を指定し、一般競争入札により民間に貸し付けていると伺ってございますが、本県では、残念ながらそのような資産は保有していないという状況にございます。
今後、他県の取り組み状況とか民間の専門家からの情報収集を行いまして、一般競争入札による売却や貸し付けに引き続き取り組んでまいりたいと考えてございます。
なお、市町村からの利用希望につきましては、現在、4市町から相談が寄せられているところでございます。
〇軽石義則委員 ちなみに、宮城県での賃貸契約による金額的なものとか実績などは確認しているんでしょうか。
〇佐藤総務部長 宮城県の賃貸事業を伺いますと、平成25年度に2件、平成26年度に2件の一般競争入札を実施したと伺っておりまして、それぞれ3年間の賃貸借契約を締結しまして、その4件の貸付料の年額は、総額8、727万円余と聞いてございます。
〇軽石義則委員 本県には有効に活用する中心部の場所がないということでもありますけれども、建物があって、それを撤去すれば活用できる部分もまだあるようにも見受けられるところもありますので、さらに検討していただいて、有効に活用できることがあればと思いますので、検討を深めることをお願いしたいと思います。
次に、歳出についてお伺いをいたします。
平成28年度決算における予算執行率は76.3%となり、平成27年度決算の80.3%から4ポイント低下しております。これは、前年度からの繰越事業と当該年度の最終予算の合計に対する当該年度の支出済額の割合であり、平成28年度は、台風第10号災害への対応経費など翌年度に2、824億円、先ほど過去最高という説明もありましたけれども、多額の事業費を繰り越していることから、その執行率が低下したものでありますけれども、翌年度繰越額が大幅に増加したのはどのような原因なのかを具体的にお示し願いたいと思います。
〇佐藤総務部長 平成28年度一般会計の繰越額でございますが、震災対応分2、053億円に加えまして、平成28年台風第10号災害からの復旧や国の経済対策に対応した事業費を補正予算で追加したことなどによりまして、通常分につきましても771億円の繰越額が生じまして、前年度と比較しますと688億円の増、総額で2、824億円の繰越額となったものでございます。
その繰越額の多い事業の主なものでございますが、まず、通常分につきましては、河川等災害復旧事業で136億円、それから震災分は、漁港災害復旧事業512億円、地域連携道路整備事業287億円などとなっております。
繰り越しの具体的な原因でございますが、一つは、昨年の台風第10号災害の影響によりまして工事が遅延したほか、道路、河川管理者等が実施する事業や区画整理事業など、他の事業の進度との調整等によりやむを得ず計画変更等が必要となったもの、それから、工事に着手した後に地盤の強度不足が判明したなど、何らかの理由によりまして工法の見直しが必要となったものなどでございます。
〇軽石義則委員 具体的な原因の説明もありましたけれども、決算書を見ますと、当初計画の変更の部分についてという理由がかなり多くて、何の計画について変更になったのか、明確に示されて伝わってこないところがありますので、そういう場合は、繰り越す原因がしっかりと伝わるようにするべきと思いますが、その点はどうでしょうか。
〇佐藤総務部長 昨年の審査の際にも飯澤委員からも同様の指摘がございまして、今年度の対応としましては、今後、各部局のほうで決算の状況説明がなされる予定でございます。その際には、繰り越しの額についても各部局長のほうから個別に説明をするように対応することとしてございます。また、繰り越し理由の分類につきましても、内容については決算説明書の調製についても改善を加えていきたいと考えてございます。
〇軽石義則委員 県民の皆さんにも原因がしっかりと伝わることが大事だと思いますので、ぜひ、その点はよろしく取り組みをお願いしたいと思います。
次に、財政基盤の将来見通しと平成30年度当初予算編成についてお伺いいたします。
先般、平成28年度決算に基づく公債費負担適正化計画の年次改定が公表されました。これによると、県債発行の適正管理を初め、低利での資金調達によるコスト削減などにより計画を着実に実行した結果、昨年度の改定と同様、計画を2年前倒しして平成30年度には達成できる見通しとのことであり、順調に財政の健全化が進んでいるものと考えます。
一方で、先日公表された平成29年度、平成30年度、平成31年度、3カ年の中期財政見通しによると、平成30年度以降公債費が大幅に減少するものの、高齢化に伴う社会保障関係経費は増加する見込みであり、平成28年度末に454億円あった財源対策基金─財政調整基金、県債管理基金、地域振興基金の合計が、平成29年度以降毎年度、130億円から160億円程度の歳入不足が生ずることにより、平成31年度末には164億円まで減少する見通しであり、機械的試算とはいえ、中期的には予断を許さない現状にあると認識をしております。
今後ますます厳しい環境になることも予想されますが、大型工場の建設発表など、財政基盤の確立に期待が持てる明るい話題もありますけれども、行政は直接的に利益を追求することができないとしても、安定した財源を確保していかなければ、求められているサービスを続けることもできなくなることも現実であります。
安定した生活を保つためにも財政基盤の確立は必要であると考えておりますが、こうした中にあって、これから平成30年度の予算編成が本格化し、東日本大震災津波と平成28年台風第10号被害からの復興、いわて県民計画の総仕上げ、そして、次期総合計画策定を見据えた取り組みなど喫緊の課題が山積する中で、知事はどのように将来の財政基盤を見通されておられるのか、そして、どのように平成30年度の予算編成に臨まれるのかお伺いします。
〇達増知事 将来の財政基盤そして平成30年度予算編成についてでございますけれども、県財政は岩手県中期財政見通しでお示ししましたとおり、平成29年度から平成31年度まで、毎年度133億円から156億円の収支不足を見込んでおりまして、平成31年度末には、財源対策基金残高が164億円まで減少すると試算しているわけであります。
こうした厳しい財政状況が続く中にありましても、東日本大震災津波からの復旧、復興については最優先で取り組まなければなりません。また、いわて県民計画の総仕上げとふるさと振興を着実に推進する必要がございます。
平成30年度予算編成に当たりましても、地方創生推進交付金や東北観光復興対策交付金等国庫財源の有効活用、そして未利用資産の売却など、あらゆる手法によりまして歳入の確保に努め、そして安定的な税財源の確保を図るために、委員御指摘のように、企業誘致を初めとした産業振興等の取り組みにより税源涵養につなげてまいります。
また、歳入確保の取り組みとあわせまして、歳出面におきましては、政策評価結果等を踏まえて、施策の優先度を見きわめて一層の選択と集中を図りながら、限られた財源の重点的かつ効率的な活用を進めて、財政運営の健全化と、そして施策の着実な推進を図ってまいります。
〇軽石義則委員 厳しい財政状況の中で、業務を進める上で非常に大変な取り組みもあると思いますけれども、そこに関連しまして、次に、業務の効率化施策についてお伺いをいたします。
監査委員による決算審査意見の個別的意見の中で、留意改善を要する事項について、会計管理者に伺います。
指摘事項が58件とされていることに対して、全庁的な取り組みの強化が求められております。これまで積み重ねてきた過去の厳しい教訓が全体で共有されていないとの受けとめにつながると思いますけれども、平成28年度はどう対応されてきたのか、お伺いをいたします。
特にも、内部管理体制についても厳しい指摘がされております。これまでの取り組み経過とその指摘に対する受けとめ、その後の対応はどのようにされたのか、お示し願います。
〇新屋会計管理者 監査の指摘に対する対応についてでございますが、過去の不適切事案等を契機といたしまして、適切な事務処理の確保を図るため、会計事務に携わる職員等への研修や所属長による会計事務自己点検等を実施してきております。
平成26年度からは、総務部において、監査で指摘を受けた事案の発生原因と再発防止策等についての調査指導や、補助事業の妥当性や実施状況などの確認指導を行う内部考査等を実施し、補助事業等の適正執行に向けて全庁的に取り組んできております。
平成28年度は事務処理指導の業務を出納局に移管するとともに、会計指導監を配置し、会計事務の適正化に関する研修や相談対応を充実させるなどして、指導体制の強化を図ったところでございます。
さらに、監査結果等を踏まえ、本年度は、組織的チェック体制の一層の強化を図るため広域振興局に審査指導監を配置し、出納機関におけるチェック体制を強化したところであり、出納局と審査指導監が一体となって、広域振興局管内の会計事務指導や職員の育成等にも取り組んできているところでございます。
ただいま御説明申し上げたような取り組みを通じまして、引き続き、内部管理体制の強化と職員の資質向上を推進してまいります。
〇軽石義則委員 具体的に取り組みをされてきているということでありますが、その中におきましても、次の項目に移りますけれども、業務の効率化をする上ではやはり人が大事でありますから、人材育成はこれまでも必要と認識して取り組みをされていると考えておりますけれども、監査の指摘にある業務の不適正処理になっている原因をしっかりと分析した上で対策をする必要があると思われます。
そこで、現在8月1日時点で102人の欠員がありますが、正職員の欠員や、正職員、非常勤職員、臨時職員などの雇用形態の異なる職員配置が不適正処理の発生要因になっているのではないかと考えられますけれども、今後、どのようにその部分については対応していくのかお伺いをします。
また、人員不足が職員の負担になっているということも考えられますけれども、長時間労働の実態をどのように把握をし、今後対策を講じていくのかお伺いをいたします。
〇佐藤総務部長 不適正処理の発生防止のためには、組織としてのチェック体制を強化することと、それから職員の資質向上が重要であると認識してございます。
県では、これまで、会計事務や補助・委託事務に係る自己点検、それから会計実地検査そして内部考査等の実施によりまして、事務処理の適正化に関する取り組みを進めてきたところでございます。先ほど会計管理者からも答弁がありましたが、本年4月には、各広域振興局に審査指導監を配置するなどしまして、組織的なチェック体制の強化や相互牽制体制の強化を図ったところでございます。
また、職員の資質や事務処理能力の向上を図るため、会計や補助・委託事務など、採用後の年数に応じて求められる業務遂行能力を習得させる研修を階層別に実施しているところでございます。このほか、会計事務に携わる職員を対象に、会計事務の適正な執行を図るための研修を実施しているところでございます。
一方、欠員の解消に向けても努力をしてございます。本年度におきましては、特別募集によりまして、一定数の欠員解消が進んでいるところでございます。引き続き早期の欠員解消に努めるほか、会計事務に係る組織的なチェック体制の強化あるいは職員の資質向上を図って、さらには、内部管理体制を確立していくということで取り組んでまいりたいと考えてございます。
また、業務の内容に応じまして、臨時的なものあるいは裁量度の高くないものにつきましては、期限付臨時職員や非常勤職員を適切に任用するなどによりまして、効率的な職員体制をつくってまいりたいと考えてございます。
それから、長時間労働の件でございますが、まず、平成28年度の実態を申し上げますと、1人当たり月平均で超過勤務時間数は16.7時間となってございます。これは、復興業務の本格化あるいは平成28年台風10号災害への対応、それから希望郷いわて国体、希望郷いわて大会の開催業務、そして宮城県で発生した高病原性鳥インフルエンザ対応など、こういった業務が入りまして、前年度と比較しますと3時間ほど増加しているところでございます。
これまでも超過勤務の縮減に向けまして、事前命令と事後確認の徹底、あるいは定時退庁日の設定、事務分担の見直し、業務支援の活用等により縮減に努めてきたところでございます。
本年度におきましても、各所属で策定する業務方針に、新たに仕事と生活の両立のための具体的な方策を記載させるようにしたところでございますし、それから、各所属長のリーダーシップのもと、実情に応じた働き方の見直しなどに取り組んでいるほか、各所属での超過勤務の縮減や休暇の取得促進などの取り組みを支援するために、職員を対象にしました働き方改革セミナーを開催したところでございます。
また、各部局や広域振興局の管理課長等をメンバーとする会議を設けてございまして、超過勤務の縮減や年次休暇の取得促進につながる取り組みを検討し、有用な事例は全庁で共有を図るという取り組みも進めてございます。
こういった取り組みによりまして、各所属の超過勤務縮減や、仕事と生活の両立に向けた取り組みを支援してまいりたいと考えてございます。
〇軽石義則委員 これまでも、このことにつきましては質疑も交わされてきておりますし、いろいろな意見も出されているところでありますので、安全衛生管理対策も含めてしっかりと対応していかなければ、せっかく努力しているのですけれども、その努力がなかなか報われなかったり、1点に負荷が集中したりということもあり得ると思いますので、ぜひ、さらにその管理等については十分意を払っていただくようにお願いをしたいと思います。
次に、地方行財政改革の推進についてお伺いをいたします。
政府が進めている経済財政諮問会議において論議されている地方行財政改革の推進について、岩手県並びに各市町村の状況についてお伺いをいたします。
この取り組みは経済再生と財政健全化の両立を目指し、地方行財政改革の推進と地域経済の好循環の拡大の2本の柱であります。東日本大震災津波や平成28年台風第10号などによるたび重なる災害からの復興を進めなければならない本県に対して、国はどのような対応を求めているのかお伺いをいたします。
具体的に、地方行政サービス改革の取り組みについては、窓口業務の改革や庶務業務の集約化など、以前から取り組んでいる業務も含めて、成果についてお伺いをいたします。
例えば、現行の各部局別で行っている公用車の管理業務を集中化するとともに、民間で行われているリースなどの手法を導入することによって、車検切れの防止や業務の削減、予算運用の平準化などにつながるのではないかと考えますけれども、このような従来のやり方を再点検し、取り組みの見直しを検討することについてもお伺いをいたします。
〇佐藤総務部長 まず、地方行財政改革の推進で国から求められている対応でございますが、ここでは地方行政サービス改革の推進に関する留意事項としまして、業務プロセス改善の手法やICTを活用した業務の標準化や効率化に努め、民間委託の積極的な活用等によるさらなる業務改革を推進し、それによって捻出されました人的資源を公務員みずからが対応すべき分野に集中することが肝要であるとされてございます。また、これが全国の地方公共団体に対しまして、積極的な業務改革の推進に努めるよう要請があったところでございます。この中で、特に住民サービスに直結する窓口業務の見直しや職員の業務効率向上につながる庶務業務等の内部管理業務の見直しは、重点的に実施するものとされているところでございます。
こういった対応につきましてですが、県では、いわて県民計画に基づく県政運営の基本姿勢を具体化する取り組みとしまして、アクションプラン行政経営編を策定してございまして、鋭意、業務の見直しや改善に取り組んでいるところでございます。
例えば、窓口業務の改善の例といたしまして、県税の納付について、これはインターネットによる地方税の手続を行うeLTAXの利用による納付、あるいはコンビニエンスストアからの納付などの見直しを行うことによりまして、これらを利用した県税納付実績が高まるなど、成果が上がっていると捉えております。特にコンビニ納付につきましては、21万件、73億円余というような実績がございますし、eLTAXによる電子申告は約2万3、000件となっているところでございます。
また、庶務業務の集約化につきましては、平成16年度に総務事務センターを設置しまして、それまで各部局主管室課等や出納局で処理しておりました給与支給や諸手当認定等の事務を総務事務センターに集約したところでございますし、それから、それによりまして各部局等の庶務担当者の縮減が図られ、県民サービス部門への職員のシフトが図られたところでございます。引き続き、こういった取り組み、国の動向あるいは他県の動向等も参考にしながら行政サービスの改善に努めていきたいと考えてございます。
それから、公用車の管理について御提案がございました。公用車につきましては、県全体で購入車両の保有台数が1、800台ほどございます。そのほかにリース車両につきまして、沿岸地区の振興局を中心に、主に震災復興業務に対応する車両として40台余がございます。
公用車の管理業務の集中化あるいはリース車両の導入は、予算の平準化あるいは事務負担の低減につながる一方で、費用負担の増加などの課題もあると捉えてございます。このため、業務の効率性やコスト縮減も含めまして、公用車の調達や管理業務のあり方について、他県の導入事例なども参考にしながら研究してまいりたいと考えてございます。
〇軽石義則委員 ぜひそういう部分を含めて、県だけがすればいいということではなく、やっぱり市町村にも連携して進めてもらうことが大事だと思います。
次に移りますけれども、地方行政サービスの地域格差について、市町村の実態をどのように把握されているのかお示し願います。財政力の違いや地域特性により全て標準化することは難しいと考えますけれども、税制のための取り組みと課題についてもお伺いいたします。
〇藤田政策地域部長 市町村における地方行政サービスの実態についてでございますが、市町村の行政サービスは多岐にわたるものでございますけれども、道路整備や教育などの基本的なサービスにつきましては、地方財政計画等の地方財政制度を初め、国の各種制度によりまして全国的にも一定の水準は維持されていると考えております。
ただ、一方で、経済財政諮問会議で指摘のありました業務改革につきましては、職員体制等の実情に応じて状況はさまざまと考えておりますが、例えば、本県におきましては、庶務業務の集約化や民間委託あるいは情報システムのクラウド化を初めとするIT化につきましても取り組みに差が生じている状況でございます。
今後、総務省におきまして、業務改革に関する事例収集、情報提供等の取り組みが進められるものと承知しておりますけれども、県といたしましても、こうした国の動きを踏まえつつ、市町村に対しまして必要な助言を行ってまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員 その国の調査の中には公共施設等の総合管理についても触れられておりますけれども、県では平成28年3月に岩手県公共施設等総合管理計画を策定したとのことです。今後、個別施設計画を策定していくこととされておりますけれども、どのような方針で取り組んでいくのかお示し願いたいと思います。
〇佐藤総務部長 岩手県公共施設等総合管理計画におきましては、全庁的な公共施設マネジメントの取り組みをこの計画によって進めてございます。また、本年3月には、公共施設個別施設計画策定指針、それから公共施設点検マニュアルを策定したところでございます。
公共施設個別施設計画策定指針におきましては、まず1点目として、施設の統廃合など施設保有の最適化に向けた取り組み、2点目としては、長寿命化と経費負担の平準化に向けた取り組み、3点目は、施設利用者等の安全・安心の確保に向けた取り組みなどといった点を掲げてございます。この指針に沿いまして、平成32年度までに部局ごとに個別施設計画の策定を進めていくこととしてございます。
また、個別施設計画の策定に当たりましては、全庁的な調整を図りながら、コストの縮減、財政負担の平準化、それから人口動態など社会経済情勢の変化に対応した施設規模、配置等の適正化などについて取り組んでいくこととしてございます。
〇軽石義則委員 各事業がこれから進められる上で、さらに国では、財政調整基金などの積み立てについて、国としては一定の団体を抽出して基金残高の傾向を把握しており、人口減少等による税収の減少に備えた財源確保あるいは社会保障関係経費について将来を見通すことが困難であること、公共施設の老朽化対策などの今後見込まれる財政需要への対処、合併団体における普通交付税の合併算定がえによる特例措置の適用期限の終了による交付税の減少を念頭に置いて、財政支出の節減にこれまで以上に努めながら、それぞれの団体の御判断に基づいて基金の積み立てをしていることは認識していると言っておりますけれども、全国で基金残高21兆円の積み立てがされておりまして、今後、個別団体ごとに詳細な状況をさらに把握する必要があり、どのような考え方で積み立てているか調査するとのことでございます。このことに対する岩手県と市町村の対応についてお伺いいたします。
また、一般行政経費地方単独事業も全国の合計で28兆円となっていることに対して、見える化の推進について取り組みを進めるとのことでありますけれども、このことについても同様にお示し願いたいと思います。
〇佐藤総務部長 基金残高と地方単独事業の見える化への本県の対応についてでございますが、まず、本県の平成28年度末の積立基金残高について申し上げますと、約1、373億円となってございまして、これは10年前と比較しますと958億円増加してございますが、うち722億円は東日本大震災津波対応の基金でございます。このほか100億円は、国庫補助金等を財源に造成しました特定政策目的のための基金でございまして、財源対策基金の増加分は133億円の増にとどまるものとなってございます。
私ども地方公共団体は、国と異なりまして赤字地方債の発行が原則として認められてございません。そうした中で、財政の弾力性を保つためには一定の基金残高を確保しておく必要がございます。本県の中期財政見通しにおきましても社会保障関係費の伸びなどにより厳しい財政状況が予想されてございまして、平成31年度末までには財源対策基金が減少していくと見込んでございます。
また、地方単独事業につきましては、産業振興や移住、定住の促進、子育て支援など、ふるさと振興の取り組みを初め、地域の実情に応じたきめ細かな施策を実施しているところでございまして、今回行われております総務省からの調査を通じて、その必要性をしっかり説明してまいりたいと考えてございます。
現在、精査、分析が進められておりますこれらの調査に適切に対応しつつ、地方公共団体の基金の必要性や、地方単独事業を含む地方一般財源総額の確保につきまして、引き続き地方6団体とともに訴えていきたいと考えてございます。
〇藤田政策地域部長 続いて、市町村の対応についてでございますけれども、総務省の調査を受けまして、県内市町村の基金残高につきましては、基金全体で平成28年度末残高は4、625億円となっておりまして、平成18年度末と比較して3、885億円増加しているところでございます。そのうち、東日本大震災津波からの復興に係る特定目的基金が2、507億円を占めております。
また、財政調整基金につきましては、平成28年度末残高は1、090億円となっておりまして、平成18年度末と比較して802億円増加しているところでございます。この主な積立理由といたしましては、災害対応、公共施設の老朽化対策、あるいは人口減に伴う税収減であったといった結果となっております。
本県では、東日本大震災津波の影響が大きいことに加えまして、特に財政調整基金につきましては、災害や景気変動など不測の事態が生じた場合でも行財政運営に支障が生じないよう市町村においても一定の残高を確保しているものでございまして、基金が増加していることをもって一概に財政的に余裕があるという認識は適当ではないと考えております。
また、地方単独事業につきましては、県分と同様、現時点では、総務省から県、市町村で重複した支出についての調査があったのみでございまして、今後、総務省において、一般行政経費地方単独事業の見える化の推進に向けた調査が段階的に行われるのではないかと考えております。
県といたしましては、今後とも、総務省からの調査に対して適切に対応しつつ、その結果を踏まえながら、市町村に対しまして基金や決算公表のあり方について適切に助言してまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員 やはりしっかりと地域の事情を理解していただいた上で、市町村も含めて、今後、将来を見通せる財政確立が大事ですので─事業も含めて、そのことについては今後も引き続き取り組んでいただきたいと思います。
次に移ります。
東日本大震災津波からの復興と、これまでの自然災害からの復旧についてお伺いいたします。
復興と復旧などに関する取り組み状況については、これまでも随時報告されております。その中で、過去に経験のない規模の取り組みであることから、早期着手を進めるため、進捗する上で、当初の計画から設計変更する事業が多く見受けられます。そのことを踏まえた上で、事業完了後に不測のふぐあいが発生した際にはどのような対応となるのかお伺いいたします。
具体的事例といたしまして、集合型の災害公営住宅において、建物の機密性が高いため、換気扇を使用したとき入り口のドアを開くのにかなりの力を要するため、障がい者や高齢者など、非常に危険ではないかとの指摘があり、指摘後の設計からドアの仕様が変更されております。しかし、指摘前に完成した災害公営住宅については、現行の公営住宅法が適用になり、修繕扱いでのドアの取りかえとなるため、現在も危険な状態となっております。
災害公営住宅では、今後、高齢化がさらに進むことが間違いなく見受けられますし、早急に改善が必要と考えますけれども、従来の公営住宅と同様の取り扱いしかできない制度が現在進められている復興事業にも適用されることには疑問が残ります。被災者に寄り添う復興であるとすれば、まずは復興事業に限り適用される制度の変更を国に求めるべきではないかと考えますけれども、このことに対する見解をお伺いいたします。
平成28年台風第10号からの復旧、復興においても同様の対応ではないかと思われます。ほかにも、完成後に従来の制度が適用になり、ふぐあいが改善できない、このような事例が把握されているのであればお示し願いたいと思います。
〇佐々木復興局長 東日本大震災津波からの復旧、復興事業についてでありますが、事業の実施に当たって生じた課題については、例えば応急仮設住宅のお風呂の追いだき機能の追加など、これまでも国と協議しながら改善してきたところです。
委員から事例として御指摘のあった災害公営住宅の玄関ドアにつきましては、民間の集合住宅でも一般的に使用されている製品ではありますが、入居者が換気扇をつけた状態では機密性が高まりドアをあけにくいとの御指摘もありましたので、室内外の気圧差を軽減するため、各戸に設置されている給気口を常時開放するといった改善方法を丁寧に説明してきたところです。この事例では、こうした使用方法の対応などにより改善が可能と考えておりますが、引き続き入居者の声を伺いながら対応してまいります。
復興に係る事業の完成後に従来の制度が適用になりふぐあいが改善できないといった事例は聞いておりませんが、復興に係る事業についてはさまざまな特例が措置されており、今後も、新たな課題が生じた場合においては、その内容に応じて国と協議してまいります。
〇軽石義則委員 換気口の開放等を含めて対策は講じているということでありますけれども、やはり緊急時にどうするかということも含めて対応すれば、給気口が閉まって換気扇が回っていて、いざ地震や火事となったとき、順次、順番に対応できるかといえば、そのことにまで及ばないところもあると思うんです。ましてや同じ災害公営住宅で仕様が違うということ自体に私としては疑問が残っておりますので、同じように対応していくのがまず大事ではないかと。全てそれにしろということではなく、これから建てられる公営住宅も含めてそういう形の仕様になっていくと思いますので、ぜひこのことについてはさらに国ともしっかりと交渉して、ドアの改善等ができるような取り組みができないものか改めてお伺いいたします。
〇佐々木復興局長 まずは、給気口の常時開放等、本来の使い方について改めて各入居者の方々に丁寧に御説明させていただきたいと考えております。それを踏まえ、さらなる改善が必要といった場合には国と協議することもあろうかと思います。
〇軽石義則委員 このような千年に一回という災害の後の対応ですので、旧来の制度で適用できないものもあると思います。そういう意味では時代に合ったものを求めていくことが大事だと思いますので、そういう取り組みも引き続きお願いしたいと思います。
次に移ります。
希望郷いわて国体、希望郷いわて大会の経験に基づいた今後の取り組みについてお伺いいたします。
両大会は、全国から延べ約17万人もの選手、役員をお迎えし、宿泊、飲食、県産品の販売など、一定の経済効果がもたらされたと思っておりますけれども、具体的にこれらの取り組みについてお伺いしたいと思います。
具体的なところに入りますけれども、今回の両大会は、復興を進めながら既存の施設を有効に活用し、できるだけ経費を節約した運営であったと思われますが、準備から締めくくりまでの総合的な収支についてはどのようになっているのかお示し願います。予算や決算では国体関係基金に繰り出した上で対応しておりますが、協賛や寄附などを含めた全体としての収入と支出の結果について、開催する努力も含めてお示し願いたいと思います。
〇千葉副知事 希望郷いわて国体、希望郷いわて大会に係ります収支の総額等についてでございますけれども、両大会の県の開催経費につきましては、国体本大会が約84億円、国体冬季大会が約5億円、障害者スポーツ大会が約15億円、合わせて約104億円となっております。両大会開催前に先催県の例をもとに開催経費を試算しました際には、国体本大会が約100億円、国体冬季大会が約11億円、障害者スポーツ大会が約20億円、合わせて約131億円と見込んでいたところでございまして、それに比べますと約27億円の減となっております。
この理由等でございますけれども、一つは、競技施設基準の弾力的な運用、あるいは競技用具の基準見直しなどにつきまして日本体育協会などに対しさまざま要望させていただきまして、御了解をいただいたことが一つ大きいことでございますし、また、開閉会式等の規模の見直しを行うなど、さまざまな経費節減を行ったことも一つの要因であると考えております。
全体事業費の財源についてでございますが、国からの補助金及び交付金が約8億円、日本体育協会、日本障がい者スポーツ協会の交付金が約2億円、民間助成金が約1億円、募金が約3億円、協賛金が約2億円など、いわゆる特定財源等が約17億円でございまして、その他は基金からの繰入金と一般財源で、県費が合計約87億円となっているところでございます。
なお、企業協賛につきましては、協賛金に加えまして2億円相当の物品提供も頂戴したところでございます。
これら特定財源等につきましては、例えば、国に対して施設整備に対する国庫補助金の増額を要望いたしました結果これが実現したということがございますし、民間団体からの助成金についても同様の実現が図られたところでございます。また、実行委員会の構成団体を初めとする県内外の企業を個別訪問いたしまして、協賛に御理解、御協力いただくということで、財源確保につきましては、さまざまな面で全力を挙げて取り組んだ結果と理解しております。
〇軽石義則委員 全体の総額についてはわかりました。
市町村の皆さんにも努力をいただいたと思っておりますけれども、両大会において、市町村として応分の負担が発生していると思います。全てを賄えるくらいの市町村の財政力ではないと思っておりますので、県としてどのような連携により取り組みをされたのか。その上で、補助金の総額、市町村の負担額についてお示し願います。
〇千葉副知事 市町村への補助金額及び市町村の負担額についてでございますが、御案内のとおり、今回の希望郷いわて国体、希望郷いわて大会は、県と市町村がいわゆる車の両輪となりまして開催、運営の中心的な役割を果たしたところでございますけれども、市町村におきましては主に各競技会の開催や運営を担っていただいたところでございまして、県といたしましては、市町村に対し、競技施設の整備や競技会の運営に要する経費などへの補助を行ったところでございます。その額は、施設整備に対する補助金が約19億円、運営に対する交付金が約22億円、合わせて41億円となっております。この補助制度に基づき算定されました市町村の負担額は、競技施設の整備が約3億円、運営に要した経費が約12億円で、合わせて約15億円となっているところでございます。
しかしながら、市町村におきましてはこれ以外に単独で負担したものがあるわけでございますが、これについては県において把握していないところでございますので、御了承をお願いしたいと思います。
〇軽石義則委員 多くの投資がされておりますけれども、県を含め、市町村も次に向けて投資をされたと思います。投資対効果の評価についてお伺いいたします。
県並びに市町村の投資、具体的に投資の効果がどのように出されているのか把握し、それを評価されているのでしょうか。また、最近、国体のレガシーにより、北上市では合宿の誘致、盛岡市では水球カナダチームの事前キャンプの誘致など、投資による効果が目に見えてあらわれてきておりますけれども、県における投資においてこのような効果が出ていればお示し願いたいと思います。
〇千葉副知事 希望郷いわて国体、希望郷いわて大会の経済波及効果等についてでございますけれども、まず、経済波及効果につきましては、県の実行委員会では試算しておりませんが、民間の経済研究機関が試算した結果によりますと、県全体での経済波及効果は、大会運営費などに伴うものが約297億円、来場者消費支出に伴うものが約156億円で、合計約453億円という試算が公表されております。
また、市町村における実施効果というお話でございますけれども、国体を契機に整備した施設や円滑な大会運営が国内外の競技関係者から高い評価を得たと考えております。ことし、東アジアU22ハンドボール選手権が花巻市総合体育館で、また、カヌージャパンカップが奥州市いさわカヌー競技場で開催されましたほか、来年、テニスの国別対抗戦デビスカップの盛岡市総合アリーナでの開催が実現したところでございます。
また、県営施設の整備による効果につきましては、県営運動公園に整備いたしましたスポーツクライミングの登はん競技場におきまして、ことし5月にカナダ代表チームによるワールドカップの事前キャンプが行われ、8月にはJOC認定競技別強化センターに認定されたところでございます。
また、先ほど市町村の実施効果のほうで申し上げました全国大会あるいは国際大会の招致に係る評価につきましては、先ほど申しましたとおり国体時における県の支援も行ったところでございますので、間接的には県の投資による効果とも言えるのではないかと考えているところでございます。
〇軽石義則委員 ぜひ今後も引き続き、いろいろな機会を通じて、さらにその効果が拡大されるように取り組みをお願いしたいと思います。
次に、経済効果についてお伺いいたします。
先ほど、開催準備から国体・障がい者スポーツ大会局廃止までの総合的な収支はお示しいただきましたけれども、その中で、県内地場中小企業を含めた経済効果はどのように把握されているのかお示し願います。
〇千葉副知事 県内地場企業等の参画についてでございますけれども、希望郷いわて国体、希望郷いわて大会の運営に当たりましては、さまざまな地場企業の方々に御協力いただいたところでございます。例えば、選手、役員、関係者、観覧者など延べ約17万人の宿泊の受け入れや、バス、タクシー、レンタカーなどの輸送手段の提供、弁当の提供、式典、競技会場の清掃、競技会プログラムを初めとします各種印刷物の作成などにかかわっていただいたと理解しております。
両大会の運営経費につきましては、県実行委員会から支出しておりますほか、先ほど申しましたとおり市町村独自の予算から支出されたものもございますし、さらには、大会以外の場面で、県内各地で飲食の提供や県産品、お土産品、記念品の製造や販売なども担っていただいたと考えております。したがいまして、県内の地場中小企業にはさまざまな分野で一定の経済効果があったものと考えているところでございます。
なお、これらの支出に伴います経済効果につきましては、先ほど申し上げました民間試算での来場者消費支出以外の支出も含まれていると考えておりますので、その実績額の把握については困難であると考えております。
〇軽石義則委員 それらの効果は、実績額はなかなか難しいということでありますけれども、実際に実行したことについてはしっかりと記録に残していく必要があると思います。主要施策の成果に関する説明書・いわて県民計画実施状況報告書の内容を見ますと豊かなスポーツライフの振興項目が中心となっておりまして、そのほかの項目につきましては、各部局の部分を見ても努力はしているけれども何か遠慮ぎみに記載されておりまして、希望郷いわて国体、希望郷いわて大会に関連する部分が余り見受けられないようにも感じております。しっかりそのことを後世に伝える、事実を正確に伝える記録として残すためにはこの報告書にもしっかり明記するべきだと思うんですが、今後のイベント対応をする上でも、そのことについてはどのように取り組みをしてきたかお伺いいたします。
〇藤田政策地域部長 主要施策の成果に関する説明書の内容についてでございますが、本定例会に提出しております主要施策の成果に関する説明書におきましては、第3期アクションプランに掲げる指標やそれらを実現するための事務事業を対象といたしまして各担当部局が実施した実績測定評価の結果を取りまとめておりまして、希望郷いわて国体、希望郷いわて大会につきましては、取り組みの中心となる豊かなスポーツライフの振興の政策項目だけではなく、産業・雇用分野であります観光産業の振興と、地場産業の振興あるいは医療・子育て・福祉分野でも両大会に関連する事項を記載しているところでございます。
なお、希望郷いわて国体、希望郷いわて大会の実績や成果を後世に伝えていくためには、選手の活躍の様子などがわかる写真等を豊富に掲載した報告書を別途作成しておりまして、市町村や競技団体などに幅広く配布しているところでございますが、主要施策の成果に関する説明書におきましても、希望郷いわて国体、希望郷いわて大会のような大規模イベントにつきまして、その実績、さらには関連する成果を的確に把握いたしまして、記録していくように努めてまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員 ぜひそういうふうにしっかりと記録していくように対応をお願いしたいと思います。
次に、それらを踏まえて、今後の取り組みについてお伺いいたします。
歴史的な経験を生かしていくことは大事ですし、そのことが県内の地場中小の企業の皆さん、いわゆる働く皆さんにも実感として伝わっていくことが大事だと思うんです。努力して何に協力できたかが大事だと思いまして、その努力した結果を改めて確認する必要があるのではないかと考えておりますけれども、事業本体を契約した契約者だけではなく、下請以下のいわゆる現場で働く皆さんがそこに評価していただいているというものにつながっていくことが大事だと思います。
これは、県が締結する契約に関する条例の意義にもつながっていくと思いますので、その考え方にどのように対応されてきたかお示し願いたいと思いますし、また、今後、国際大会、2019年ラグビーワールドカップも予定されておりますけれども、現場の声をお聞きしますと、宿泊施設は確保できても、施設の中でおもてなしをしてくれる従業員の数を確保できるのかという不安の声も聞くところでございます。それらも含めて、今後どのような対応をしていくのかお伺いいたします。
〇千葉副知事 今後の取り組みについてでございますが、昨年の希望郷いわて国体、希望郷いわて大会の成功は、市町村、競技団体を初め、今申し上げました輸送、宿泊などさまざまな業務を担っていただいた県内の中小企業の方々やボランティア、あるいは多くの県民の皆様方が一丸となって取り組んでいただいた成果が実を結んだものと考えております。
両大会に関する宿泊、輸送などにつきましては、県実行委員会が委託契約を締結したものでございまして、県が締結する契約に関する条例、いわゆる公契約条例が直接適用されるものではないところでございますが、今後におきまして、実行委員会予算の大宗を県負担金で賄うような大規模イベントにつきましては、この条例の趣旨を踏まえ、中小企業への受注機会の確保、あるいは県産品の利用促進に十分配慮すべきという考えのもと、この条例の趣旨に沿った運用がなされていくことが望ましいと考えておりますし、そのように取り組むべきと考えております。
特に2年後に控えましたラグビーワールドカップ2019釜石開催に向けましては、昨年の希望郷いわて国体、希望郷いわて大会同様、さまざまな分野の民間事業者の方々に担っていただく役割は大変重要であります。本年7月に釜石開催実行委員会に交通輸送・宿泊専門部会を設けまして、県内の重立った宿泊、旅行業関係団体の皆様に御参画いただき、見込まれる宿泊需要に的確に対応するため、必要な対策について専門的な見地からの検討を進めているところでございます。この検討の中で、今、委員からも御指摘がございましたが、希望郷いわて国体、希望郷いわて大会におけるこれからの改善点なども含め、御意見を頂戴しながら検討する必要があろうかと思っています。
また、特に委員から御指摘のございました、御懸念をいただいております人材不足につきましても、この部会の中でしっかりと検討していただきたいと考えております。
今後におきましても、希望郷いわて国体、希望郷いわて大会を通じて各分野で得た成果や経験、あるいは改善すべき点などをきちっと引き継ぎまして、今月設立しますいわてスポーツコミッションにおける大会、合宿誘致に向けた取り組み、あるいは、先ほどから繰り返しておりますが、ラグビーワールドカップ2019釜石開催における質の高い運営などにしっかりと結びつけていきたいと考えております。
〇軽石義則委員 ぜひ、次にしっかりとつなぐ対応をしていただくようにお願いしたいと思います。
昨日、昨年行われた希望郷いわて国体を受けて愛媛国体が終了したわけでございますけれども、この部分、昨年の選手団の強化などを含めて成果が出ていると思います。男女総合成績は14位、2度の地元国体を除くと過去最高の好成績と報道されておりますし、結果は残しておりますけれども、特に3年後の東京2020オリンピックを狙える若手選手の活躍もその国体のレガシーの一つではないかと思います。この愛媛国体で本県の選手が活躍したことにつきまして、知事の所感をお伺いいたします。
〇達増知事 笑顔つなぐえひめ国体、岩手県勢は天皇杯の順位14位ということで、愛媛国体に臨むに当たりまして目標としていた10位台を達成することができました。特に、委員御指摘のとおり優勝数が8種目ということで、希望郷いわて国体、前年の和歌山国体を上回り、岩手国体以前よりも強い岩手チームになっているということが言えると思いますし、また、惜しくも準優勝という競技もありまして、それも含めて、日本を代表して世界を目指すことができる人材が岩手において育ってきているということが言えると思います。
希望郷いわて国体のレガシーでもございますし、ぜひこれを来年以降にもつなぎながら、東京オリンピック・パラリンピックにもつなげていくことができるように頑張っていきたいと思います。
〇軽石義則委員 ぜひ、県民全体で、次につながるように支えていける体制づくりといいますか、そういうものにも取り組みをお願いしたいと思います。
次に、台湾との交流についてお伺いいたします。
私は、5月に岩手県議会と県内の市町村議会が初めて合同により実施した台湾訪問団に参加させていただきました。目的は、東日本大震災津波への御支援に対する御礼と定期便の就航を県内各議会議員が要請するものでありました。台北市、花蓮市を訪問いたしましたけれども、地方政府、行政関係者、マスコミ、観光を中心とした業界関係者などの皆様と岩手県への観光誘致を中心に意見交換、懇談を和やかに真剣にさせていただきました。
その中で、台湾政府に関係する機関の方から、岩手県の真剣さが伝わることが今後のポイントになるだろうというヒントもいただいたところであります。要請はしたものの、では、岩手として受け入れ態勢がどうなのかということはやはりこれからしっかり対応していかなければならないと思っているところでありますけれども、これまで台湾からのインバウンドの拡大に向けて、本県の食や文化を含めたPR、また、知事のトップセールスを初めとしてどのような取り組みを行ってきたのか。また、インバウンドの受け入れ環境整備の取り組み状況、岩手らしいおもてなしの今後の取り組みについてもあわせてお伺いいたします。
〇達増知事 台湾との交流についてでありますが、岩手の先人たちの台湾での活躍がございますし、また、東日本大震災津波の際に多大な御支援をいただいたこともあり、岩手と台湾は特別な関係にあると考えております。
さらに、平成28年の台湾からの宿泊者数は6万4、780人泊と過去最高となっておりまして、外国人旅行者の県内消費額から推計いたしますと、台湾からのインバウンドの消費額は全体の半数以上を占める約24億円となり、地域経済に大きな効果をもたらしているところでございます。
そこで岩手県といたしましては、台湾における旅行博への出展、台湾のテレビドラマや旅番組のロケ誘致などによりまして、歴史、文化、食、特産品などを丸ごと売り込む各種プロモーションを展開してきたところであります。こうした取り組みを進める中で、時期を捉え、私も関係自治体や産業界のトップの方々とミッション団を組織して、民間、行政一体となったプロモーションを実施してきたところであります。
そのような中にありまして、本年5月の訪台におきましては、中華航空やタイガーエア台湾、旅行会社などを訪問し、いわて花巻空港へのチャーター便、さらには定期便運航を働きかけたところでありまして、その結果、タイガーエア台湾によるチャーター便の初就航が決定し、今年度は過去最高の146便の台湾とのチャーター便が運航される見込みとなりました。
そして、受け入れ環境の整備についてでありますが、空港ターミナルビルの増築など空港の受け入れ態勢を強化しますとともに、宿泊、観光施設のインバウンド対応への支援、通訳、翻訳サービスの提供など、ハード、ソフト両面にわたってその推進に取り組んでいるところでございます。
今後も、食を初めとする県産品の魅力をたっぷりと堪能してもらうツアー造成の一層の促進などおもてなしの強化に注力しますとともに、岩手を丸ごと売り込むプロモーションを民間、行政一体で推進し、インバウンド拡大につなげていく考えであります。
〇軽石義則委員 そのことが台湾のほうにもしっかり伝わることも大事ですし、我々県民全体にもしっかりと伝わっていくことが大事だと思いますので、引き続きその取り組みをお願いしたいと思います。
次に、県内企業の労働環境の状況についてお伺いいたします。
雇用については、有効求人倍率は、求職者の不足の実態があらわれて高い状況になっております。しかし、雇用形態の内容を見ますと、非正規の割合が高まっている現状にあることは認識しているところでございます。また、業種による人手不足が顕著であり、その解消のために、岩手県として、中小企業振興とあわせ、労働時間、賃金、福利厚生などの実態を労働局とは違う観点から正確に把握することが必要であると考えますけれども、県では、非正規雇用の割合や労働時間を初めとした労働環境の実態をどのように把握しているのでしょうか。また、そのような現状を踏まえて、いわてで働こう推進協議会においてどのような取り組みを進めているのか、これまでの成果を含めてお示し願います。
〇千葉副知事 まず、労働実態の把握についてでございますけれども、県内企業の労働環境の実態につきましては、全国との比較、分析等を行う必要がございますことから基本的には国の統計調査を活用しておりますが、企業・事業所行動調査など県独自の調査も適宜実施しまして、それらをあわせて把握に努めているところでございます。
これらの調査によりますと、まず、県内の正規雇用、非正規雇用労働者の割合についてでございますが、国が5年ごとに実施しております就業構造基本調査によりますと─直近データは平成24年でありますけれども─正規労働者は62.4%、非正規労働者は37.6%となっておりまして、時系列的には全国の動向と同様に正規労働者の割合が低下しておりますが、全国平均と比較しまして0.6ポイント高い状況となっております。
一方、県が2年ごとに実施しております企業・事業所行動調査によりますと、正社員の雇用をふやしていると回答している企業の割合が平成28年度は54.0%で、その4年前の平成24年度の39.2%から増加している傾向にございまして、これは抽出調査ではございますが、近年の正社員の有効求人倍率の高さを反映し、増加しているものと考えているところでございます。
次に、労働時間についてでございますが、国の調査によりますと、平成28年の1人当たりの年間総実労働時間が全国平均の1、783時間に対しまして本県は1、885時間と全国平均よりも上回っているところでございますけれども、その差は近年、縮小傾向にあるところでございます。
次に、賃金についてでございますが、平成28年の従業員30人以上の事業所における給与は、全国の28万9、899円に対しまして本県では24万3、463円となっておりまして、全国平均を下回っているところでございますが、金額的には近年、上昇傾向にあるところでございます。
このほか、企業の福利厚生面につきましては従来の国や県の調査では把握されておりませんので、今後、本県独自の調査を実施し、分析していきたいと考えております。
次に、いわてで働こう推進協議会の取り組み、成果等についてでございますが、このような現状を踏まえまして、いわてで働こう推進協議会におきましては、働き方改革の推進、処遇改善の推進、職場定着の促進を取り組み目標として掲げましていわて働き方改革推進運動を展開し、正規雇用の拡大や若年層の早期離職の改善に向けた取り組みを進めているところでございます。
具体的に若干申し上げますと、いわて働き方改革アワードとして、すぐれた取り組みを行った企業を表彰し、その先進事例を広く周知いたしますとともに、働き方改革を推進するため、ジョブカフェいわてへのサポートデスクの設置やアドバイザーの派遣、働き方改革セミナーの開催などの事業を実施しております。
また、岩手県経営者協会など経済7団体に、知事あるいは関係部局長等が直接、非正規労働者の正社員転換や待遇改善、長時間労働の是正や年次有給休暇の取得促進など、処遇改善についての要望活動も展開してきているところでございます。
このような多岐にわたる取り組みを踏まえまして、いわて働き方改革推進運動への参加企業数が昨年度の82社から今年度は9月末現在で98社と着実に増加してきているところでございまして、県内におきましても働き方改革の理解と実践が着実に広がってきているのではないかと認識しております。
また、正規、非正規労働者の割合等につきましては、例えば県南地域では、非正規社員から正規社員への転換等により正規の割合が高まっている企業も多数出てきていると承知しているところでございます。
今後とも、この協議会を核とし、産学官労金の各構成団体と連携いたしまして、この働き方改革推進運動を強力に展開して、県内企業等の長時間労働の是正、あるいは正規雇用の拡大など労働環境の改善を促進してまいります。
〇軽石義則委員 そういう実態をしっかりと把握した上で今後の取り組みがさらに大事になっていくと思っておりますけれども、新聞報道によりますと、安全管理面のところで、新国立競技場の建設現場において長時間労働による過労自殺の報道もされているところであります。私はこれまで、平成28年12月定例会の一般質問で、県営工事でこういうことが発生してはならないということから、部局横断的な管理指導ができる体制を必要とするのではないかという提案をしてまいりましたけれども、このことについて具体的に検討されてきているのでしょうか。また、県営工事現場の労働実態、安全管理など、作業環境面の把握状況についてあわせてお伺いいたします。
〇千葉副知事 県営建設工事の現場の労働環境等についてでございますけれども、東日本大震災津波からの復旧、復興工事が本格化しております現在におきましては、工事量の増加に伴いまして労働災害が増加傾向にあるものと認識しているところでございます。
建設現場における労働災害を防止していくためには、受注者の安全衛生の取り組みはもとより、発注者におきましても、必要な安全対策を反映した適切な設計と施工中における安全指導が重要であると考えているところでございます。
このため、まず、県におきましては、官民の発注者で組織しております東日本大震災復旧・復興工事関係者連絡会議の構成員に対しまして、労働災害の発生状況や労働者安全対策について情報共有を図っておりますとともに、国や業界団体との合同安全パトロールなどの取り組みも行っているところでございます。また、県庁内におきましては、東日本大震災津波復興推進本部に設置いたしました岩手県復旧・復興工事施工確保対策連絡調整会議を活用いたしまして、関係部局における労働災害防止のための取り組みを進めているところでございます。
今後とも、労働災害を防止するため、情報共有の強化と注意喚起の徹底を図ってまいりたいと考えております。
また、県営建設工事における現場の労働実態や安全管理につきましては、契約書等で労働基準法や労働安全衛生法等の関係法令を遵守するよう定めておりますほか、施工に先立ち、受注者に詳細な作業計画書を提出させまして適正な計画であることを確認いたしますとともに、監督行為を通じて現場における作業状況や安全管理の状況を把握しているところでございます。
なお、安全管理等に問題がある場合は、受注者に対し指導を行うなど、現場における適正な作業環境の確保に努めてまいります。
いずれにいたしましても、先ほど委員から御懸念がございましたが、過労死の問題等が岩手県内の工事で発生しないように私どもも全力で取り組んでまいります。
〇軽石義則委員 県が発注する仕事の中にそういうことが発生すれば民間に対する影響も大きいわけでございますので、しっかりと対応していただきたいと思います。
そういう現場を管理する上で、大事なのはやはり人材育成だと思いますので、人材育成の現状と課題についてお伺いいたします。
労働力不足を解消していく上では、その分野で働く人材をしっかりと育成していかなければならないと考えております。最近、県外の大手企業の生産現場で検査を行う資格者の不足による問題が大きく報道されておりますが、私は、さまざまな分野で公的な資格を有する人材が不足してきているあらわれではないかと考えております。本県でもものづくりの分野における取り組みをこれまでもされてきておりますけれども、今後、多くの産業人材を確保していく上では、資格取得については非常に大事なところではないかと思います。産業技術短期大学校、そして高等技術専門校においては、現在、県内でのものづくり産業の人材を供給する視点を踏まえ、どのような学科を設置してどのような状況にあるのか、また、そこで学ぶ学生の皆さんはどのような課程で資格取得をしているのかお示し願いたいと思います。
〇千葉副知事 産業人材の養成についてでございますけれども、県では、職業能力開発促進法に基づきまして、産業技術短期大学校本校及び水沢校、あわせて高等技術専門校を県内に3カ所設置しております。
まず、産業技術短期大学校及び水沢校におきましては、機械加工技術を学ぶメカトロニクス技術科及び生産技術科、電気設備などの設計、施工技術を学ぶ電気技術科及び電子技術科、建物の設計、施工技術を学ぶ建築科及び建築設備科、工業製品や印刷物などの製品デザインを学ぶ産業デザイン科、プログラムの開発などを学ぶ情報技術科を設置しているところでございます。また、県内3カ所に設置しております高等技術専門校におきましては、自動車整備の技術を学ぶ自動車システム科、木造建築の施工技術を学ぶ建築科、機械加工の技術を学ぶ金型技術科を設置しております。
これら学生が取得を目指す主な資格についてでございますが、機械系の学科では、金属の加工を目的とする2級機械加工技能士、電気、電子系の学科では、電気工事に必要な電気工事士、建築系の学科では、建物の設計、監理に必要な2級建築士、自動車システム科では、自動車整備に必要な2級自動車整備士などが挙げられるところでございます。
県といたしましては、今後におきましても、企業や大学を初めとする高等教育機関との連携を強化しながら、高度なものづくり産業に対応した人材の育成に努めてまいります。
〇軽石義則委員 まだ通告している項目もありますけれども、時間が来ましたので、残った部分は部局別審査の中でやらせていただきたいと思います。
人材育成をする上で、また人員不足を解消するためには、具体的な現場に合った対策、現場が求めている対策を業界団体と一緒に連携した取り組みが必要だと思われますので、これまで以上にそれぞれ関係する団体としっかり連携をとって進めていただくことをお願いして終わります。
〇佐々木朋和委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午前11時58分 休 憩
午後1時3分再開
〇佐々木朋和委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。次に、佐々木茂光委員。
〔佐々木茂光委員質問者席に着く〕
〇佐々木茂光委員 自由民主クラブの佐々木茂光でございます。
ちょうど本日は東日本大震災津波の月命日ということで、6、000名を超える方々が犠牲になられた日であります。改めて、お亡くなりになられた方々を含めて、心からお悔やみを申し上げるところでございます。
東日本大震災津波から7回忌を迎えた中で、まさに復興はまだ道半ばだと私は承知をしております。今回の総括質疑も、東日本大震災津波の復興を中心としたお題目で質疑をさせていただきたいと思います。
その中で、平成28年度の決算ということもありまして、最初に、公債費の状況についてお尋ねをしたいと思います。
公債費負担適正化計画達成に向けた取り組みの中で、県財政についてお伺いをいたします。
昨年度の決算を受け、公債費負担適正化計画の改定が行われましたが、それによりますと、平成28年度の実質公債費比率は19.5%と、ピークであった平成27年度から着実に下降し、平成30年度には18%を下回り、計画を2年前倒しで達成できるとの見通しが示されました。
昨今の金利状況等も踏まえての計画前倒しと思いますが、県として、計画達成に向けどのように取り組んできたのか、お示し願います。
また、昨年度は、8月に台風第10号が岩手県を直撃し、災害復旧や河川整備などでの大幅な公共事業を実施していますが、台風第10号災害からの復旧・復興の計画への影響もあわせてお伺いいたします。
〇佐藤総務部長 公債費負担適正化計画の達成に向けた取り組みについてでありますが、平成25年度に公債費負担適正化計画を策定して以降も、東日本大震災津波からの復旧、復興事業に最優先で取り組む中で、通常分の県債で県が発行規模の管理可能なものにつきましては、平成25年度の発行規模355億円程度を維持するように努めまして、最終予算額ベースでお示ししますと、平成26年度は272億円、平成27年度が334億円、平成28年度が343億円と、その発行規模を抑制してきたところでございます。
また、県債残高を圧縮するために、震災特例として創設されました補償金免除繰上償還制度を活用しまして、平成25年度には11億円の繰り上げ償還を行いまして、1億2、000万円の利息軽減を図ってきたところでございます。
これらの取り組みによりまして、仮にでございますが、現在の低金利環境や本県の標準財政規模が維持される前提で推計をしますと、当初の計画を2年前倒しして、平成30年度決算において実質公債費比率が18%下回る見通しとなったところでございます。
なお、昨年の台風第10号からの復旧、復興事業に要する財源でございますが、平成28年度許可の県債につきましては138億円程度、それから平成29年度の許可債については67億円程度発行する見込みとしてございますが、大半は、災害復旧事業債あるいは災害関連の公共事業債等でございまして、これらの起債につきましては、後年度の償還に手厚い交付税措置がなされることから、公債費負担適正化計画達成への影響は限定的と捉えているところでございます。
〇佐々木茂光委員 次に、平成30年度予算編成の考え方についてですが、先月開催の予算編成連絡会議で、県は、中期財政見通しの公表とあわせ平成30年度の予算編成方針を示し、来年度の予算編成作業に向けて本格的に動き出しております。
公共事業については、前年度の1.0倍の枠内での要求と、東日本大震災津波以降初めてシーリングをかけない要求基準が示されましたが、この考え方についてお示し願いたいと思います。
〇佐藤総務部長 平成30年度予算編成の考え方についてでございますが、東日本大震災津波からの復旧、復興に係る事業は引き続き最優先で実施するほか、通常分の公共事業につきましても、東日本大震災津波以降、国の要求基準を超えるシーリングを課して抑制を図ってきたところでございますが、震災対応予算が漸減を始める中、公共投資を今後計画的に進めていくため予算規模を維持することとし、前年度当初予算の県債と一般財源の合計と同額とする要求基準としたところでございます。
なお、国の動向等も踏まえまして、必要に応じて別途協議を認めるほか、平成28年台風第10号災害対応経費につきましても、別途総務部と協議の上、所要の額の要求を認めることとしているところでございます。
〇佐々木茂光委員 それでは次に、国民健康保険制度が平成30年度から都道府県が財政運営の責任主体となることが決まっており、県から市町村別の標準保険料率試算も公表されているところであります。
6月の一般質問でも取り上げたわけですが、この試算では、1人当たり、年額が県平均で11万3、937円、前年度から6、781円の増加に対し、県内増加率最高の陸前高田市では14万5、858円と、前年度から42.3%もの増となっております。
先月21日には、国民健康保険運営協議会が開催され、前回の試算公表時からの市町村との協議を踏まえた激変緩和の対応方法や規模等が示されていますが、市町村からは県に対してどのような要望や協議がなされたのか、具体的にお示しを願います。
また、県では、市町村からの協議内容をどのように激変緩和方法や運営方針の中間案に反映させたのか、お伺いをいたします。
〇千葉副知事 国民健康保険制度改革に係ります市町村からの要望等についてでございますが、国民健康保険事業費納付金・標準保険料率の試算結果におきまして、1人当たり保険税が増加いたします沿岸地域等の市町村から、東日本大震災津波の影響により、医療費水準、所得水準が高く推移していることが保険税増加の要因の一つとなっていることから、納付金等の決定に当たっては、震災の影響も考慮すること、また、保険税が増加する場合には、激変緩和措置を講ずることなどの要望をいただいているところでございます。
こうした要望等を踏まえまして、県で策定しております国民健康保険運営方針の中間案におきましては、保険税負担が平成28年度と比較して一定割合を超えて増加する市町村に対しまして、県繰入金を活用して保険税を軽減することを明記し、反映させたところでございます。
新制度が始まる平成30年度におきましては、円滑な移行を図るため、制度施行当初に市町村の保険税が急激に増加することがないよう最大限配慮する必要があることから、平成28年度の保険税と同程度の水準まで激変緩和を講ずる方向で、県と市町村等で構成しております広域化等支援方針推進連携会議の場で、現在、協議を進めているところでございます。
〇佐々木茂光委員 今のお話を聞きますと、当然激変緩和ということで、これまでの保険税のあり方というものが、平成28年度、平成29年度、平成30年度、それ以降ということになると、被災地というのはまだ復興の道半ば、まちそのものも今そういう状況で、まだ完成度がそこまで立ち上がっていないというのが実情なんです。我々がそれを心配するというのは、もう完成されてまちとして動き出しているところもあれば、被災状況によって、復興の進度のぐあいによって、それぞれ市町村がばらばらだということもあると思うんです。そういったところに対する考え方、対応というのは、今現状ではどのように考えられておるんでしょうか。
〇千葉副知事 今委員からお話がありましたとおり、被災地の市町村での国保財政の状況というのは各自治体ごとに現状に格差がございますし、また、その状況を起こしている要因についても、さまざま各地域での個別の実情もあるものと考えております。したがいまして、今回の中間案の中では、そういう方向を示させていただいているところでございます。私どもといたしましても、被災地の現状についての認識は十分把握した上で、具体的に対応していかなければならないと考えております。
〇佐々木茂光委員 そういった意味で、被災地への配慮、激変緩和というのは、平成30年度が来るとそれから少しずつ一定の額まで戻していくということになるんですが、私たちが被災地として望んでいるのは、ある意味、被災地の特例として、国に対してその辺の協議をして、県もそれぞれ負担が今度出てくるということになってくるわけなので、国に対してしっかりその辺は県としても強く要望するべきではないかというか、そういった動きはあるんでしょうか。
〇千葉副知事 今おっしゃいました国への要望の関係でございますが、先ほど申し上げました試算結果におきましては、沿岸の被災市町村におきまして、保険税負担が平成28年度に比較して非常に高くなる傾向がございますが、これは、医療費水準が高いことに加えまして、東日本大震災津波の影響によります医療給付費の負担増等に対して交付されております国の特別調整交付金が平成28年度から減額をされておりまして、その分を保険税で補う必要があることが影響しているものと考えております。したがいまして、被災市町村におきましては、このような国の特別調整交付金の減額の影響が大きいことがありますので、県といたしましては、国の特別調整交付金の減額措置の先送り、あるいは激変緩和用財源の追加配分等、被災市町村に対する特別な財政措置を講じていただくよう、国に対して要望は行っているところでございます。
〇佐々木茂光委員 それでは東日本大震災津波からの復興について、昨年度は復興完遂年ということで、知事は、第2期復興実施計画の最終年度である平成28年度を本格復興完遂年と位置づけ、さまざまな場面で復興を完遂すると表現してきたわけですが、実際に平成28年度を終え、復興完遂年であったかという認識を問いたいと思います。
9月8日、県幹部の皆さんが陸前高田市に集まり、現地復興推進連絡会議が開かれました。その際、陸前高田市の様子を目の当たりにしたわけでありますが、確かに町並みは多少盛り土が進み、地元商店街の懸命な努力によって、商店街アバッセがオープンに至りました。しかし、そうした動きはまだ一部にとどまっており、いまだ仮設店舗での営業、応急仮設住宅での暮らしを余儀なくされている方々が多いのが実態であります。実際、皆さんも目にしたと思うんですが、まだまだ大型ダンプが往来し、まだまだ道半ば、途上であるということも承知されたかと思います。また、そういう状況が東日本大震災津波発災以来6年、そしてもう7年という中にいるわけであります。
知事は、直接、その目で復旧、復興の最前線の状況を見て、復興が完遂したとの認識を持たれたのかどうかを率直にお伺いいたします。
〇達増知事 本格復興完遂年に対する御質問をいただいておりますけれども、第2期復興実施計画期間、本格復興期間におきましては、第1期復興実施計画における基盤復興の取り組みの成果を土台に、災害廃棄物処理分等を除く実質的な事業費ベースで、第1期の基盤復興期間を上回る過去最大の予算規模で事業を進め、本格復興の取り組みを強力に推進してまいりました。その最終年度が平成28年度でございまして、第2期復興実施計画に掲げた事業をやり遂げるという強い意志を持って本格復興完遂年という名のもとに取り組みを進め、陸前高田市において県内最大規模の防潮堤がほぼ完成し、宮古市以南では、初めて宮古市と大船渡市で予定されていた災害公営住宅が全て整備され、県立病院は大槌と山田の両病院が開院し、また、大槌学園や高田東中学校等、平成28年度末までに84校の公立学校の校舎が完成するなど、それまでの2年間とあわせ、この本格復興期間では、409の指標のうち、進捗率が80%以上の指標が全体で80%となりました。
一方、いまだ多くの方々が応急仮設住宅等での不自由な生活を余儀なくされていますし、また、一部の社会資本等の整備については、復興まちづくり事業など他事業との調整、また、施工条件の変化や台風等、やむを得ない事情によっておくれが生じた事業もございます。
今年度からの2年間の第3期復興実施計画期間は、更なる展開への連結期間として、復興事業の総仕上げを視野に、復興の先も見据えた地域振興にも取り組みながら、全力で復興を推進してまいります。
〇佐々木茂光委員 この復興完遂年を含めて、これまでは復興元年から始まり復興完遂年まで来たわけです。現状の中で、私は、今知事が言われるように、いずれ完遂に向かって取り組んでいくぞという意気込みがその言葉の中に添えられたと思うんですが、なかなか現場を見ると、まだその域に行っていないのではないかという認識は、逆に知事は持っておられるでしょうか。
〇達増知事 本格復興完遂年ということで、本格復興期間の事業をやり遂げるという思いで臨んでくる中で完了しない事業もあったわけでありますけれども、それについては次の段階、今の段階である更なる展開への連結期間の中で、この第3期の今年度、来年度やる計画とともに進めていくことができておりますので、本格復興期間の3年間というものについては、いわばそこを卒業して、次の段階に進むことはできていると思っております。
〇佐々木茂光委員 完遂という言葉を知事が選んだのは、計画を進めていく上で、一応ここを目指しますという意味での完遂という言葉を選んだのですか。
〇達増知事 繰り返し説明しているところでございますけれども、第2期復興実施期間の本格復興期間に計画された事業をやり遂げるという意味で本格復興推進年、本格復興邁進年、本格復興完遂年という名のもとに年度の事業にしっかり取り組んできたわけでありまして、本格復興完遂年というところについては、やるべきことをやりつつ、残った部分については、今の第3期の中で進めることができていると思っております。
〇佐々木茂光委員 ということは、完遂という言葉で進めていながらも、現実は、復興にかかわって新しい課題が出たり、まだ満足でないということの中で、実際は完遂ではないという考えで今おられるんでしょうか。
〇達増知事 委員、先ほどから復興完遂という言葉を使われていますけれども、私は復興完遂という言葉は使ってはきていなかったと記憶するのであり、本格復興完遂年という、第3期の本格復旧期間の最終年に当たるのでその年の予算を本格復興完遂予算と呼んだり、その年を本格復興完遂年と呼んできたわけでありますけれども、そういったことから離れて、委員がおっしゃるような東日本大震災津波からの復興が完遂されたかといいますと、それはまだ県の当初の計画でも8年あるうちの6年が終わった段階で、まだまだこれからやるべきことはあり、また8年を超えてもやらなければならないことはあると思っておりましたので、復興全体の完遂には至っていないと考えております。
〇佐々木茂光委員 そういうわけで、結果として復興完遂という言葉がある意味、あたかも復興が終わったんだなという捉え方、また、そう捉えられることによって、被災地の風化もそこそこ拍車をかけたのではないかなと私は改めて思うんですが、まだまだ復興が真っただ中、まさに途上であるということを含めると、また新たな意味で、被災地、被災者の方々に、それをしっかり届ける役割がその中にあるのではないかと私は考えるんですが、知事はどのように思われているでしょうか。
〇達増知事 県の復興計画では、今、第3期の復興実施期間に入っていますので、第3期にやるべき内容というものをきちんと被災地の皆さんにもお示ししながら、ただ、これは非常に事業数も多いですし多岐にわたりますので、復興ロードマップまたその説明資料のような形で、それぞれの市町村別あるいは地域ごとに、どこまで事業が終わり、また、どういった事業が残っているかというのは説明できるようにしてありますので、これは県、それぞれ現場の広域振興局も含め、手分けをしながら、復興の現場の皆さんと理解をともにしながら復興の歩みを進めてまいりたいと思います。
〇佐々木茂光委員 我々被災地は完遂という言葉だけで捉えていますので、今知事の言ったところまでは我々も説明していないところもあるし、みずから知事がそういうことを発しているということを我々が心配するというか、一番危惧するところなんでありますが、実際は年度を通しながら、今も現状で設計変更があったり追加工事があったりということで、新たな課題に向いて取り組んでおりますが、全体的なおくれの原因がどうだったのかということを聞くわけであります。県が公表した第2期復興実施計画の進捗状況によると、計画で設定した409の指標のうち、進捗率が80%未満の数値は82指標。そのうち、実際のニーズを反映するなどし、実質的におくれと評価しているのは31指標となっている。中でも、おくれが目立つのは安全の確保の分野であり、20%以上がおくれという評価です。進捗がおくれている原因をどのように分析されているのでしょうか。
〇達増知事 復興まちづくり事業など他事業との調整、また、施工条件の変化や台風等、やむを得ない事情により、一部事業におくれが生じたものと認識しております。
〇佐々木茂光委員 そのおくれの中に、新たに追加として上がってくるものもあれば、私は計画にのっとって進めていくためには、そのときそのときのおくれというものをどこかで取り返さなければ、到達するところからなかなか遠のいていくような気がするんです。我々被災者のほうから見ると、これはいつそれいつまでにやってくれるというのが示された中で動いていくわけです。今、知事が言うように、現場の状況が変化する。例えば掘っていったらいきなりかたいものが出てきた、今度は水が出るようになった、そういうところに対応して計画を進めていくわけです、現場のほうは。だけれども、そのときのおくれというものをどこかで取り返さないと、皆さんに示している当初の計画からどこまでもずれ込んでいくんですね。それが被災者にとっては非常に苦痛になってきているというのは承知しているでしょうか。
〇達増知事 防潮堤でもそうですし、また、土地の造成、そして災害公営住宅また病院とか学校とか、そういった建物、それぞれつくらなければならないものについては省略をするわけにはいきませんので、そこでおくれが生じたからといってそれをやめてしまうわけにはいきませんので、完成をきちっと確保するという中で、短縮できる部分については短縮していくということが必要になると思います。
それは、当初ある時点では工事が完了すると、そういう情報を共有していた関係の被災者の方からすれば、このおくれということについては、自分がさまざま計画していたこと、予定していたことも違ってくるでありましょうし、また、そもそも生活の再建、なりわいの再生などについても、それぞれの個人あるいは世帯の復興にもまたおくれが強いられるということは、非常にそれは当事者の方にとっては苦しいことだと私も感じます。
〇佐々木茂光委員 ですから、私はその辺、知事がどのような形で被災地に─常々知事は、被災地に寄り添いというようなことでお話をされているんですが、当然それぞれによって被災の状況が違ったりするわけなんですけれども、全体的に見て計画の、特にも大きいのは住宅再建をしようとしている人たち、なりわいももちろんそうなんですが、その辺の方々が例えばあと2年ですよと、それがまたあと2年ですよという状況があると、そのときに自分の思いというのがどんどん薄れてくるというのか、もう、やり場がなくなってしまうんです。だから、きちっとそこで締めるところは締めるという取り組み─おくれた分は、じゃ、しようがないですよね、しようがない。確かにやっているのはわかりますよ。ただ、それがまだまだ被災地には伝わっていないということを思うんです。これをこのままどんどん延ばしていくと、被災地が潰されるような気がするんです。被災地みずからが潰れてしまうような気がする、いろいろな計画、取り組みの中で。そういった中で、知事のほうからしっかりとした被災地に向けた気持ちをこれは発信するべきではないかと思うところなんですが、知事はその辺はどのように思われているでしょうか。
〇達増知事 総理大臣が被災地を御訪問されたとき、また、天皇陛下、皇后陛下、それから皇太子殿下、妃殿下が御訪問されたとき私も同行し、既に完成した災害公営住宅、また、高台移転、土地の造成が完成し、そこに持ち家が再建された家、本当にうれしそうな笑顔で、再建された生活をベースに新しい生活や、また、なりわいをスタートさせている被災者イコール復興者の方々がいらっしゃるわけでありまして、今、まだそこに至っていない途中にある皆様も、結局そこを目指して何物にもかえられないような笑顔を獲得するために、今、事業に取り組んでいるということでありますので、これは陸前高田市全体についても陸前高田市においても、アバッセたかた周辺がこの整備が完了した段階の模型などもつくって、そこに至るために今やっているんだということを市民の皆さんにもわかるように取り組んでいらっしゃるわけでありますけれども、その復興がなった暁の姿というものを共有しながら、しかし、復興の長期化によってさまざま心や体のケアが必要であったりとか、また、さまざま追加的な支援が必要になる、支援の延長も必要になる、そういった方々もいらっしゃるわけで、そこにはきちっと寄り添って手当てをし、そして復興の、まさに委員おっしゃる完遂ということをお一人お一人が実現できるように努めてまいりたいと思います。
〇佐々木茂光委員 被災を受けた当時は、みんな体力、気力は満々であるわけです。それは年齢の高い人もあれば若い人たちもありますけれども、体力が落ちていくと結局気力もなえていくわけです。私が心配しているのはそういうところで、要は、このときまでだったら頑張れるぞと、みんなそのとき思ったと思うんです、起き上がるためにも。ただ、それがこの辺までいくんですよというのが、また今言うように、いろいろ事業によって変更しなければならない、もう少し時間をもらわなければならないという状況になったときに、また、はい、何年おくれますというと、どこまでも体力を使うし気力もどんどんなえていくんです。それが今7年近くもたっている状況の中で、応急仮設住宅にいる方々もまだおります。住宅に入った方々もいるけれども、最終的には皆さんにはこうなるんだぞということを示しながらも、これはいつそれいつまでやるぞという気持ちを伝えるべきでないかと思うんです。
実際、我々もまだ被災地にいる一人であるんだけれども、おまえたち本気になってやる気あるのかと、半ばそういう捨て言葉みたいなものを投げかける人も実際おります。これは、例えば当時家を建てようと思った、事業を再開しようとした人たちが60歳だと。もう、あすあすは今度70歳ですよね。7年目に初めて今店舗展開、再建して動き出そうとしている。状況がまるきり変わってしまっているということが、もう一歩踏み出せない何かであったりするんですね。そういうふうに、人の気持ちも心も少しずつ弱ってきているということを踏まえると、話の仕方、言葉のかけ方というのも違ってくると思うんですね。そういったところを踏まえて、知事から被災地に向けて何か、夢や希望じゃないですけれども、もう少し頑張れよと、頑張ってもらえないだろうかというような言葉を発していただければと思うんですが、その辺、知事はどうでしょうか。
〇達増知事 復興の長期化に伴ってさまざま体力は衰える、また、加齢によるさまざまな課題も出てくる、そういったところについては、さらにしっかり手当てをしていきたいと思っておりますし、また、そうしているところであります。そして、委員からも御指摘あったように、既に復興事業が完了しているところもございます。市町村単位で既にいわば復興を卒業したようなところもございます。その分、県としても、まだ今復興の事業に取り組んでいるところに集中していくことができるわけでありますので、今復興の長期化に直面している被災者の方々一人一人に対する県の力というのはより集中し、より多くの手を差し伸べていく形になります。
また、復興の長期化による新しい施策というものは国単位でも行われるべきと考えておりまして、そういう中で、全国知事会議が岩手県で開催されたということもあり、今までなかったような一度に大勢の知事に被災の現場、この現場に入っていただいて、改めて全国的な関心も高めていただくとか、陸前高田市であれば立教大学のキャンパスができて、また、さまざま外国からの大学関係者も集まってくるというような新しい取り組みもあり、長期化しているがゆえに今までなかったような新しい支援も、全国から、さらに海外からもあるんだということも力にしていただきたいと思います。
いずれ、途中で放り投げる、途中でやめるというようなことは復興についてはあり得ません。一人一復興をなし遂げなければ復興というものは終わりませんし、また、復興については、決して取りこぼしとか切り捨てということはあってはなりません。そういった人が全く出てこない、1人も出てこないような復興を県としては進めてまいります。
〇佐々木茂光委員 そういう気持ちでやってもらうんでしょうけれども、何というか、被災地では時間がたっている。ですから、おくれているのは、これは今言う状況説明の中でも、それは我々も現場では承知している人たちもいるわけですけれども、おくれたならおくれたなりにしっかりどこかでフォローして、それを一日でも早い復興に結びつけていくという取り組みをしっかりとこれからも継続してやっていただきたいと思います。
半分残ったような気がするんですけれども、そういった中で、被災企業の再建支援も続いているわけでありますが、高台造成がいまだ完了していない地域、これから再建の本番というところもあります。既にグループ補助金や県単独の事業補助金をいただきながら取り組んでいるところでありますが、現在のところ、補助金がいつまで続くのか明らかにされていないのでありますが、県が率先して、最後の1社が立ち上がるまで支援していくのだという姿勢を示しながら事業所の再開を後押ししていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。
〇佐々木復興局長 被災企業の再建支援についてでありますが、県では、被災事業者の施設、設備の早期復旧を図るため、国や市町村と連携した補助事業を実施しており、グループ補助金についてはこれまで170グループ、1、459事業者に対して852億円の補助金を交付決定しており、被災事業者の早期事業再開に大きな役割を果たしてきたと認識しております。
現在、土地区画整理事業の進捗にあわせ、仮設店舗から本設店舗への移行が本格化しており、商店街、共同店舗の整備が加速している地域においては、さらにグループ補助金等の利用が見込まれます。そのため、国に対しては、平成30年度以降についてもグループ補助金を継続することや、既に交付決定した事業者でも、複数年度にわたって補助事業を実施できるよう、繰り越し、再交付のための予算措置を講ずることを要望しているところです。
また、市町村連携会議などを通じ、建物の着工可能時期など、地域事情の把握に努めるとともに、グループ活動への参加が困難な事業者には、市町村と連携した中小企業被災資産復旧事業費補助金により、その復旧を支援していきたいと考えています。
県といたしましては、引き続き国や市町村と連携を密にし、これら補助事業により一人一人が事業再開を円滑に進められるよう、きめ細やかに対応してまいります。
〇佐々木茂光委員 一方、沿岸事業所の業績を見ますと、現在の業績が震災前と同程度または上回っている事業所は46.9%にとどまり、1年前の前回調査から比較しても1.7ポイント減少と、足踏み状態が続いている状況であります。しかも、業績が同程度以上と答えている企業の多くは建設業であり、製造業でも辛うじて5割を超えているだけで、その他の業種では、多くの事業所がいまだ震災前の状況に届いていないという調査結果になっております。これらの業種の多くは、今後の見通しにおいても、震災前と同程度以上になると回答している割合が前回調査を下回っており、先行きに明るい見通しが立てられておりません。そうした事業所で最も大きな課題として挙げられているのが、顧客、取引先の減少、販路喪失となっております。せっかくつくっても売れないなどという状況であります。
なりわいを順調に軌道に乗せていくためには、グループ補助のようなハードの支援とあわせ、販路回復や新規顧客の開拓といったソフト面の支援も欠かせないものと考えますが、これまでの県の取り組みと実績をお示し願います。また、今後どのようにこの課題に取り組んでいくのか、あわせてお伺いいたします。
〇佐々木復興局長 事業所再開後の支援についてでありますが、被災した沿岸事業所の販路の回復及び拡大を図るため、商工会連合会、いわて産業振興センター及び沿岸地区の商工会議所に販路拡大アドバイザー等を配置し、企業の巡回相談による営業強化の取り組みの支援を行っているほか、首都圏に販路開拓プロモーターを配置し、販売先のあっせん、紹介などによる受発注のマッチングなどを行っております。
こうした取り組みにより、平成28年度はあわせて延べ1、552件の相談を受け、延べ1、694件の取引支援を行ったところであり、首都圏の百貨店や量販店との取引が開始されるなどの成果が上がっています。さらに、毎年、食の商談会を盛岡や首都圏を初め全国各地で開催しており、震災以降、延べ約1、600事業者が出展し、商談会時点での成約だけでも10億円を超える実績を上げております。また、多くの消費者の方々へ広く県産品を直接PRするため、県内外の大手量販店と連携した岩手フェア、物産展やアンテナショップでの販売を展開しているところです。
今後におきましても、引き続き関係機関と連携しながら、被災事業者の販路回復及び拡大の取り組みを進めるとともに、専門家を活用した経営相談等、経営改善についても支援を強化してまいります。
〇佐々木茂光委員 次に、県立高田病院及び地域医療についてお尋ねをいたします。
震災で被災した県立高田病院の再開は、この県立病院が被災病院として最後の病院となっております。年度内の開院に向けて工事、準備も大詰めの段階であります。高田病院は、震災前から訪問診療に力を入れ、その活動は全国的にも取り上げられるなど、地域密着の医療が提供されてきました。引き続き、地域医療を支える核としての機能が発揮されることを期待しております。
6月定例会では、新病院の体制について、現体制を基本としつつ、さらなる医師確保に努めるとの回答をいただきましたが、年度内開院まで半年を切り、高田病院の診療体制とそれに伴う医師の配置見通しをお知らせ願います。
〇千葉副知事 県立高田病院の医師配置についてでございますが、内科、総合診療科、小児科、外科及び整形外科につきましては、現在、震災前と比べまして1名多い常勤医師7名で対応していただいております。また、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科や岩手県医師会高田診療所から引き継ぎました心療内科及び皮膚科につきましては、関係大学や基幹病院等からの応援を受けて診療を行っているところでございます。
新しい病院では、地域住民に身近な医療を提供するため、内科、外科を基本とした現在の診療体制を維持したいと考えており、さらなる医師確保に向けまして、関係大学への医師派遣要請や即戦力医師の招聘に取り組んでいるところでございます。
〇佐々木茂光委員 年度内の開院ということなんですが、その辺、改めて予定どおり開院の運びとなるんでしょうか。
〇千葉副知事 現在のところ、予定どおりと医療局から報告を受けています。
〇佐々木茂光委員 今、病院の内容を含めて、施設のあり方もそうなんですが、リハビリテーションという機能、沿岸部から相当数の方々がこっちの内陸のほうに来ております。内陸のほうもそうかもしれませんが、地方も高齢化が大分進行している中で、リハビリテーション施設、病院にお世話になる方々がふえてきております。そういった中で、元気に回復して地元にまた戻って暮らせる、要は、沿岸部から内陸まで通うというのも相当の時間もあり、相当のロスもあるものですから、できれば、県立高田病院付近あるいは沿岸部のほうに、リハビリなりそういった特化した機能を持った施設を展開していくことも必要ではないかと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
〇千葉副知事 リハビリテーション機能の充実についてでございますけれども、震災前からでございますけれども、県では、二次保健医療圏ごとに地域リハビリテーション広域支援センターを設置いたしまして、患者の状態に応じて、身近な地域で適切なリハビリテーションが提供できるように理学療法士、作業療法士等の専門職のネットワーク構築や、地域包括支援センターあるいは介護事業所への研修機会の提供などの支援に取り組んできているところでございます。しかしながら、沿岸部におきましては、東日本大震災津波発災以前から、盛岡医療圏等の内陸部に比べまして、回復期リハビリテーションに係ります病床や人材等が不足する傾向にありました上、発災後におきましては、今委員からもお話がございましたけれども、リハビリテーション提供体制の弱体化や被災者等の生活不活発病の発生等が大きく懸念されたところでございます。このため、復興特区制度を活用いたしまして、訪問リハビリテーション事業所の開設者要件の緩和による増設の支援、あるいはリハビリテーションに関する巡回相談や技術的助言の実施、従事者向け研修会の開催など、さまざまな支援に努めてきたところでございます。しかしながら、依然として沿岸部と内陸部の回復リハビテーション機能の偏在は解消されていない状況にあるものと理解しております。
県といたしましては、平成28年3月に策定した岩手県地域医療構想に基づきまして、構想区域ごとの地域医療構想調整会議における議論を踏まえまして、医療機関が、回復期リハビリテーションを初めとする地域で不足する病床機能への転換に取り組む場合に、地域医療介護総合確保基金を活用して財政支援を行うことを初めといたしまして、沿岸部を初め、全県における回復期リハビリテーション機能の充実に努めていくこととしております。
いずれ、この課題はまさに東日本大震災津波発災以前からある大きな課題でございますので、私どもといたしましても、引き続き、この課題については取り組んでまいりたいと考えております。
〇佐々木茂光委員 今のは本当に大事な取り組みだと思いますので、医療の格差をどこかで、例えば医師も看護師も、内陸はそこそこ不足していると言っても沿岸部ほどではないのでありますし、民間の病院を含めると相当数の医療の施設の格差がある中で、ある意味特化した形で、沿岸部のほうにもリハビリテーションなりそういった施設の展開を強く望むところでございます。
次に、被災地の健康促進支援についてお伺いいたします。
県内では高台整備や災害公営住宅の建設が進み、恒久住宅への移行が進む一方、さまざまな事情でいまだ9、000人を超える方々が応急仮設住宅等での生活を余儀なくされております。住み始めたころはみんな同じ状況でありながら、ある意味格差がない状況でしたが、1人退去、2人退去と団地にあきが出始め、応急仮設住宅暮らしが長期化している高齢者などからは、焦りや健康に対する不安が増しているとの声が聞こえております。また、災害公営住宅に移転できたとしても、応急仮設住宅のころのコミュニティー形成は難しく、かえって孤独になってしまったという声も聞こえております。
今、県では、国の被災者支援総合交付金を活用して被災者の健康促進や住民交流の支援事業を実施していますが、こうした取り組みはいつまでという終期を決めずに、住民一人一人が本当の復興を果たすまで粘り強く続けていくべきと考えますが、県の認識と今後の取り組み方針をお伺いいたします。
〇佐々木復興局長 被災地における健康促進の支援についてでありますが、岩手医科大学が平成23年度以降、沿岸4市町を対象に毎年度実施している被災者の健康状態に関する調査の平成28年度の結果によりますと、応急仮設住宅入居者のうち、健康状態がよくないと答えた方の割合は、男性で12.9%、女性で14.6%となっています。また、恒久住宅への移行後もひきこもりがちとなっている高齢者や、応急仮設住宅では取り残される不安感を訴える方々もおり、厳しい生活環境の長期化や災害公営住宅への転居等、生活環境の著しい変化により、被災者の心身の健康状態の悪化が懸念されておりますことから、こうした方々に対する支援が引き続き必要であると認識しています。
県では、国の被災者支援総合交付金を活用し、応急仮設住宅や災害公営住宅集会場等での健康、栄養相談、口腔ケア指導等を実施しているほか、応急仮設住宅等に住む高齢者等の交流の活性化や生活不活発病の予防を目的としたふれあい運動教室の開催など、住民交流や地域のコミュニティー形成を支援しています。
また、県社会福祉協議会と連携し、生活支援相談員による被災者の見守りや相談支援活動を実施するとともに、交流会の開催など、住民相互に支え合うコミュニティー形成の支援などに取り組んでいます。
国に対しては、被災者支援総合交付金について、平成30年度以降も中長期にわたる安定的な制度として継続するよう要望しているところであり、今後も継続して要望していきます。
県の第3期復興実施計画においては、被災者支援のためのソフト事業については計画期間等で区切ることはせず、必要な事業は最後まで実施していくこととしており、市町村や関係機関と連携を図りながら、被災者一人一人の復興を最後まで見守り、寄り添った支援を実施してまいります。
〇佐々木茂光委員 これが最後になるかと思うんですが、津波伝承施設の整備についてであります。復興祈念公園は被災地を象徴する場所であり、広島の平和記念公園のように、全国の皆さんが岩手を訪れるきっかけになることを願うものであります。そういった中、震災学習など若い人も多く訪れる、また、いろんな資料として海外からもろもろの方々も出入りをされ、まさに交流人口の増加にそれがつながっていくものと思いますが、それらの伝承施設をどのように整備していく方針であるのかお伺いするとともに、地元ガイドの養成など、早いうちから受け入れ準備を進めていかなければならないものと思うのでありますが、ソフト面での必要な準備をどう整理しているか、あわせてお示し願いたいと思います。
〇佐々木復興局長 震災津波伝承施設の整備についてでありますが、この施設は、東日本大震災津波の事実と教訓の世界そして未来への伝承などを整備方針に掲げ、事業の柱を展示事業と教育・普及事業の二つとし、震災津波災害関連の研究者、専門家から防災学習で訪れる小中学生まで、幅広い層の利用を想定しています。
展示事業については、震災津波の脅威を実感できる臨場感のある展示や、震災津波を自分事として捉え、命を守る教訓を学べる展示など、特色を持たせた展示とすることとしており、具体的には、流出した気仙大橋の一部などの大型被災物の実物展示や大型映像装置を用いた震災津波の映像の再現など、津波の破壊力や脅威を直感的に理解できるような展示、また、実際の避難行動や被災者の方々の証言も取り入れた展示など、幅広い層にとってわかりやすく、学びやすい施設となるよう検討を進めております。
教育・普及事業については、公園内の震災遺構などの多様な資源を生かした質の高い教育・普及プログラムの提供に向け、公園内の震災遺構をめぐるフィールドツアーや施設内に設置するセミナー室を活用した防災学習、語り部、ボランティア育成のための研修の実施などについて検討を進めています。
これらの事業は、三陸沿岸市町村や大学等の研究機関など多様な人、組織、機関と連携、協働して推進することとしており、地元で伝承活動に取り組んでいる方々などとも連携を図りながら、震災津波の伝承と防災学習の拠点として、全国そして世界から多くの方に訪れていただける施設を目指して整備していきたいと考えております。
〇佐々木茂光委員 私の質問はこれで終わりたいと思います。残りの時間は福井せいじ委員にお渡ししたいと思います。
ありがとうございました。
〇佐々木朋和委員長 次に、福井せいじ委員。
〔福井せいじ委員質問者席に着く〕
〇福井せいじ委員 福井せいじであります。佐々木委員の後を引き継ぎまして、私は1点、ILC建設実現についてお尋ねしたいと思います。
平成28年度もさまざまな形でILC建設実現の予算を使ったと思いますが、ILCは素粒子物理学の研究を進める施設でありますが、その建設に約1兆円の費用が必要であり、また、その運営にも、県レベルでは到底賄い切れない経費が必要となります。建設費用の調達また運営費用の調達の計画をお示しいただきたいと思います。
また、現在、多額のコストの軽減を図るため、その規模を縮小した形での建設を計画されているとのことですが、その状況をお示しください。
〇大平企画理事 2点のお尋ねでございます。
ILCの建設費用等についてでありますが、ILCの建設及び運営費用は、国際協力の中で各国が負担するものと考えられますが、その分担については、去る7月に開催された国のILCに関する有識者会議において、ILCに関する国際的な研究者組織の考え方が示されております。
それによりますと、国際的な経費分担は、ILCの建設と運営に関してホスト国─建設される国でありますが─ホスト国の経費分担を50%程度までとし、残りをその他の参加国で案分するというものであります。
ILCは国際プロジェクトであり、最終的には各国政府間の交渉の中で決定されることになります。
有識者会議の体制及びマネジメントの在り方検証作業部会の報告書においては、住宅、教育等の生活環境要件や交通、情報等の社会基盤要件のうち、公共施設や公共サービスにかかわるものについてはILCの立地自治体、周辺自治体による支援が不可欠であるとされており、国のILC立地の議論の進展とあわせ、その動向を注視してまいります。
もう一点のお尋ねでありますが、ILCの初期コストの削減についてでありますが、ILCの実現の課題は、トンネルが31キロの場合1兆円を超える整備費用と言われていることもあり、世界の研究者においては、昨年12月に盛岡で開催されましたILCの国際会議、LCWS2016で提案されましたILCを20キロの計画でスタートし、順次拡張するという─これをステージングと言っておりますが─ステージング計画について議論されてきております。
去る8月の国際将来加速器委員会、中国で開催されましたICFAという会議で、ILCを20キロでスタートする基本的方向が了承されてございます。
11月にカナダで開催されるICFA、先ほど申しました委員会で正式承認される見込みと伺っております。この場合、ILCの初期建設コストは、研究者の方が示した資料によりますと、30%から40%程度削減されると伺っております。
〇福井せいじ委員 コスト面の確認をさせていただきましたが、視点を変えて質問したいんですけれども、この費用が一つの問題になっていると私は伺っています。仮に、今なかなか進まないこの実現の決定について、日本で建設実現が進まない場合は一体どうなるのか、もし情報としてあればお話しいただきたい。
〇大平企画理事 一番懸念されますのは、2018年─来年の夏に2020年からのヨーロッパの素粒子物理の次の計画の検討がスタートされます。ILCは、現在のヨーロッパの計画では、日本が手を挙げた場合には応援するというスタンスになっております。日本がその時期までに何らかの意思表示をしなければその計画に盛り込まれないことになりますので、ヨーロッパは応援しないということで、独自の計画を進めるということがまず一つ考えられます。
もう一つ、中国においても相当加速器の予算を投入してございまして、現在計画されておりますのは70キロから100キロの円形の加速器でありますが、そちらのほうでも先ほど申しました20キロのILCと同じ程度の物理の研究はできるということも一方で言われております。したがいまして、来年の夏ころまでに何らかの意思表示が日本から出なければヨーロッパで別計画が検討される、あるいは中国での計画に世界各国から研究者の方が参加するということが一つの可能性として考えられます。
〇福井せいじ委員 それでは、また違った視点から知事に質問したいと思います。
日本は、戦後の荒廃期を乗り越えて高度経済成長をなし遂げ世界第2位の経済大国となり、国際的に経済的な地位を確立してまいりました。しかし、少子高齢化が進み、日本の歴史上初めて人口減少時代を迎え、今後は経済的側面での国際的地位の優位性は保てなくなると私は考えています。そのような将来を見据え、日本はどのような国づくりを進めていくべきか知事の見解をお聞かせください。
〇達増知事 日本のあるべき姿としましては、1980年代から構想されてきたことでありますけれども、やはり内需拡大型の構造改革を行って、強い地方経済に支えられた強い日本経済を実現し、それぞれの地方が地域資源を活用して、その地方らしい豊かさを実現していく姿を日本のあるべき姿と考えます。
また、少子化、人口減少の中で、国民一人一人の価値をより大事にしていかなければならなくなると考えられますけれども、国民一人一人の幸福度を高めていく場は基本的に地方でありますので、地方が主役となる国づくりは今後ますます重要になると考えます。
全国的な課題としては、今後一層発展していく科学技術や豊かな自然環境に基づく歴史と文化、思いやりのある勤勉な人材など、良質な日本的価値等を生かしながら、地球温暖化などの地球規模の課題解決や、東日本大震災津波などの大規模災害の経験を通じた国際協力、成熟した社会における持続可能な発展モデルの提示などに積極的に取り組んでいかなければならないと思います。
特に、人口減少の局面を迎えた日本においては、地方が人材や財源を確保できるような制度改革を進めるとともに、人々の幸福を保障するようなIoTやAIなどの科学技術の振興に強力に取り組んで、国際社会で先導的な役割を果たしていくことができればと考えます。
〇福井せいじ委員 今、知事は、国内での国のあり方というものをお話しなさったんですけれども、私は、先ほど国際的な地位という言葉をお伝えしたつもりだったんです。私、今回、議員派遣でCERN、そしてまたドイツのDESYを視察させていただきました。CERNは、実は1954年にその創立を決めているんです。1954年というと、第二次世界大戦が終わって9年後です。そのときにCERNをつくろうと欧州12カ国が決めているんです。これは、第二次世界大戦で荒廃した文化の再興、そしてまた、分断されたヨーロッパを一つにしようという理念でCERNがつくられたと私は聞いてまいりました。また、DESYも、1959年、戦後間もなく、ドイツは敗戦国でありますが、その中で何とか科学技術で国を再興しようという思いでDESYの建設を決めたと言われています。
私は、今、日本に何が必要か。10年後、20年後の日本がどのような価値観を世界に発信できるかが問われていると思うのであります。その意味で、このILCが岩手に建設されれば、岩手から世界を変える一つのキーポイントになると思うのでありますが、そういった点から、達増知事は、日本の未来、岩手の未来を見据えて、このILCの建設の意義をどのように捉えていらっしゃるかお聞かせいただきたいんですが、いかがですか。
〇達増知事 ILCは、21世紀の科学と技術を大きく前進させる国際プロジェクトでありまして、それが日本に建設されれば世界をリードする初の国際プロジェクトの実現となり、国際社会の発展や平和にも寄与し、そして、科学技術創造立国を標榜しています日本の象徴的な研究拠点になるものと考えます。
岩手県にとりましても、ILC実現を契機として加速器関連産業の集積を図り、また、外国人研究者や関係の皆さんと地域で共生していくことでグローバル人材の育成、多文化共生社会の実現が進み、新産業の創出とあわせ、世界に開かれた地方のモデルを岩手において示すことができるのではないかと考えます。
また、県民全体にとって、科学技術、そして海外への関心が一層高まって、多様性についての認識も深まり、郷土への誇りもさらに高まるものと考えます。
〇福井せいじ委員 まさに私も、達増知事の今の答弁と同じように、見解を一つにするものであります。このILCの建設の実現は、今お話ししたとおり日本の歴史上大きな意義を持つものであり、その鍵を握るのは、まさに今、岩手県にあると私は思っております。そしてまた、そのトップリーダーの知事の取り組みこそ歴史を変える行動であると思っておりますが、今こそその実現に向けて最大のエネルギーを注ぎ込む瞬間であると思うんですが、そのために必要な行動は何であると思いますか、知事。
〇達増知事 まず、政府の日本誘致、日本建設の決断を促す活動が重要でありますので、これまでもさまざまな機会を通じて、関係者と連携しながら要望等を行ってまいりました。加えて、政府の判断を後押しするため、東北ILC準備室など関係機関との連携を深めることがさらに重要で、研究施設や海外の研究者等の受け入れ環境づくりの準備も進めていかなければならないところであります。さらに、国民的な理解を図ることが重要でありますので、首都圏を初め、県外での各種イベントでPRを行ったり、これも関係者と連携、協力して展開していかなければなりません。
この11月には、ILCの初期計画を20キロメートルとして建設コストを大幅に削減する計画が研究者の皆さんによる国際的組織において正式承認される見込みでありまして、引き続き、超党派で構成される国会議員連盟や東北ILC推進協議会など関係団体と密接に連携しながら、その内容を踏まえた経済波及効果や東北の準備状況などを示しつつ、国に対して積極的に働きかけていきたいと思います。
〇福井せいじ委員 今、知事から政府の決断という言葉が出されました。私は、政府の決断を促すためには、やはり岩手県のトップリーダー、知事の直談判が必要だと思っています。政府に決断を促すために、やはり知事の思いを、そしてまた、この世界を変える日本の役割をぜひとも自分の言葉でお伝えいただきたいんですけれども、いかがでしょうか、知事。政府の決断を促すために直談判に乗り出してはどうでしょうか。
〇達増知事 ILC関係の研究者の代表的な方々や、また東北ILC推進協議会、それから国会議員連盟の方々等との話の中ではそういうアイデアは出てきていませんけれども、基本はチームワークが大事だと思っておりまして、私が知事になってからでも10年間、特に研究者の皆さんとの連携を最重視しつつ、そこからどんどん連携の輪を広げてきているところでありますので、そこの中での情報交換、方向性の共有といったことをさらに高めながら、ILCの実現に向かって歩を進めてまいりたいと思います。
〇福井せいじ委員 最後に、私は、もう自分のペースではやっていけないと思うんです。相手もいます。ぜひとも私は知事に直談判に臨んでいただきたいんですが、いかがでしょうか。
〇達増知事 ILCを推進している主要な方々からはそういう意見はいただいていないところでございまして、またそういった皆さんとよくよく相談をしながら進めていきたいと思います。
〇福井せいじ委員 終わります。
〇佐々木朋和委員長 次に、ハクセル美穂子委員。
〔ハクセル美穂子委員質問者席に着く〕(拍手)
〇ハクセル美穂子委員 いわて県民クラブのハクセル美穂子でございます。
会派を代表しまして、平成28年度決算について順次御質問いたします。どうぞよろしくお願いいたします。
平成28年度一般会計歳入歳出決算は、最終的に1兆円を超える額となりました。東日本大震災津波発災による復旧、復興の中、過去に積み重ねた県債の償還のピークを迎えるという苦しい状況のもとで、さまざまな部分を切り詰めながら財政運営を進めてきた県当局の御努力には心から敬意を表します。
今回の決算が昨年に引き続き1兆円を超えた要因には、平成28年台風第10号関連の災害復旧費が補正されてきたという背景もございます。このように、新たな災害復旧費が加えられる可能性や老朽化した施設の更新時期も今後重なってくるため、引き続き厳しい財政運営になると考えております。今後もさらなる選択と集中を進めていかなくてはなりません。そして、事業の選択と集中は、組織の代表者である知事の明確な将来ビジョンが出されてこそ形になると考えます。
そこで御質問いたします。実質公債費比率19.5%、将来負担比率229.4%という岩手県の状況からは、今後も財政は硬直化が進み、長期にわたって厳しい財政運営を強いられることが予想されます。厳しい財政運営の中、さまざまな課題が山積しており、予算も限られている、人員も限られている、そういう状況にはありますが、次期総合計画の策定に係る知事の県政将来ビジョンについてお考えをお伺いいたします。
〇達増知事 県政将来ビジョンでございますけれども、本県は、中期財政見通しで示したとおり、今後も厳しい財政状況が見込まれております。また、職員体制も限られた中でございますけれども、東日本大震災津波からの復興を初め、昨年8月の台風第10号災害への対応、そして希望郷いわて国体、希望郷いわて大会を同時になし遂げたように、これまでも予算と人的資源を最大限に生かし、着実な事業執行と成果を上げてまいりました。
そこで、次期総合計画におきましても、復興に向けた原則の一つとして位置づけました一人一人の幸福追求権の保障、これは憲法にも書かれている言葉でありますけれども、この考え方を踏まえつつ、県政の最重要課題である東日本大震災津波からの復興の取り組みを明確に位置づけ、そして幸福をキーワードにしながら、岩手が持つ多様な豊かさやつながりなどに着目しながら、今後10年間に県民みんなが力を結集し、行動していくための目指す将来像を描いていきたいと考えております。
次期総合計画の基本的な方向や施策の内容については、今後、総合計画審議会等において具体的に議論いただくことになるわけでありますけれども、その中で明らかとなる本県の将来像の実現に向けて、引き続き徹底した選択と集中を行いながら、必要な施策を着実に推進していきたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 知事のおっしゃっている幸福追求権の保障とか、理念の部分はこれまでも何度もお話をいただいているので、同じような答弁なのかなと感じました。
私は、予算も限られている、人員も限られている中で、では、具体的に組織をどういうふうにしてこれから乗り切っていくのかといった部分についてのビジョンも少し入ってくるといいなと思っておりましたけれども、その体制的な部分がないのがちょっと残念と感じております。
予算が少なくとも、県職員─人の働きを生かしてできる県の役割は何か、このことをきちんとさらに突き詰めて考えていかないと、財源がないのですから、どういうふうに活用できるかというのを本当に突き詰めて考えていかなくてはいけないと思っています。
県職員の給料である人件費は義務的経費ではありますけれども、県民の皆さんから見れば、県に対するお金の投資でもあると私は考えています。だからこそ県職員の働きによって事業の実現性が高まり、県民の利益につながった、そういう働き方について、今後は県を挙げてさらに頭を振り絞って考えていくべきだと思っています。予算がないから事業ができないではなく、岩手県の将来にとって何をなさねばならないのか、そのために今ある資源をどう最大限に活用して取り組んでいくのか、今までにはない柔軟な考え方で成果を出していくことが求められてくると思っております。
私は、こういった時代のニーズを現実的なものにするためには、県職員の力を十分に発揮できるような組織体制、すなわち現場を重視した組織体制へと抜本的な改革を進めていく必要があると考えています。
そこで御質問いたします。今後、震災復興予算が減っていくことは明らかであります。事業予算が減少していく状況の中で、限られた職員で行政課題に対応していくためには、各部局が連携して取り組むなどの対応もさらに必要と考えますが、今後の県の組織体制をどのように考えているのかお伺いいたします。
〇佐藤総務部長 県の組織体制についてでありますが、限られた職員体制の中でさまざまな行政課題に適切に対応していくためには、施策の優先度を見きわめ、重要課題に財源や人的資源を配分し、事業の効率化や重点化も図りながら成果を上げていくことが重要であると認識しております。これまでもそういった視点を踏まえまして組織体制を構築してきたところでございます。
また、重要な県政課題につきましては、これまでも政策会議や政策会議幹事会などで部局横断的に協議してまいりまして政策形成を図ってきているほか、例えば緊急に対応が必要となった課題につきましては、関係室課の職員をチーム員とするクロス・ファンクショナル・チームを設置するなど、迅速な解決を図っているところでございます。
今後も、行政を取り巻く環境の変化に的確に対応した組織体制を構築していくことが重要でありますので、引き続き事務事業の見直しや効率化を図るとともに、ただいま説明しましたクロス・ファンクショナル・チームなども活用しながら、直面するさまざまな県政課題に柔軟かつ適切に対応してまいりたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 クロス・ファンクショナル・チームというので横のつながりをつくるために今も鋭意取り組んでいらっしゃることは私も承知しておりますが、その中でもう一歩進めるためには、私は、やっぱり現場に近い、要するに市町村に近い組織の体制の強化が今後は必要ではないかと思っています。一番現場に近い組織は広域振興局です。現場の課題に即時対応できる権限を与えることです。すなわち、振興局の組織強化をすることによって地域振興にダイレクトにつながっていくのではないかと考えています。特に、岩手県は広いので、地域地域で展開すべき施策、その方法はそれぞれ異なります。だからこそ、県の重要施策を各地域に確実に落とし込んでいくためには、広域振興局の強化が必要不可欠だと考えます。
このことについては、昨年の決算総括質疑でも我が県民クラブの飯澤委員から同様の質問がありました。その答弁の中で、政策地域部長からは、厳しい財政状況で、単独の市町村では取り組むことが難しい広域的な産業振興について、それぞれの地域の特性を生かした戦略的な取り組みを展開してきているという回答がありました。戦略的な取り組みをしているということですけれども、私にはちょっと足りない部分も感じられます。広域振興局の役割の強化をさまざまな新しい政策との関係性を踏まえてどのように考えているのか知事にお伺いいたします。
〇達増知事 広域振興局の役割の強化についてでありますけれども、広域振興局は、産業振興による地域経済の活性化を主眼として、地域ニーズに即した施策展開が一層可能となるよう、市町村本位の考え方で、市町村への支援や広域的、専門的なサービスの提供などを行うことを目的に設置したものであります。この目的を実現するため、広域振興局長の裁量で執行できる地域経営推進費などの予算措置等によりまして、局長のリーダーシップのもとで商工、観光、食産業等の分野において広域的な連携組織を構築し、ビジネスマッチングの促進や産業人材の育成、広域的なイベントの開催など、地域の特性やニーズを踏まえた広域的な施策を展開しているところであります。
また、東日本大震災津波や平成28年台風第10号災害の対応では、四つの広域振興局にまとめたスケールメリットを生かして、内陸部の広域振興局から沿岸部の市町村等へ迅速な人的支援や物資の供給を行うなど、機動的な災害支援業務の展開が図られました。
新たな政策を推進していく観点からは、例えば、今年度、各広域振興局の経営企画部に特命課長を配置して、文化、スポーツの振興を全県的に推進しているところでありまして、今後も、新たな政策や課題に適切に対応できるよう、必要に応じて広域振興局の機能を強化してまいります。
〇ハクセル美穂子委員 文化、スポーツの特命課長ということですが、私、母親でございますので、生活、福祉の分野についても広域振興局の強化をやってほしいという思いがありましてこの質問をさせていただきました。
現在の広域振興局の組織は、産業分野、いわゆるものづくりや農林水産業の分野、それから今、特命課長も設置している文化、スポーツについては、予算も組んで人員も配置して、各圏域でのニーズに対応できる体制を整備していると思っています。しかし、生活、福祉の分野については、広域振興局には事務の部分しか落とされていないと見ております。企画部門は、大体、県本庁で行っている。人材不足を補う女性の就業支援、それから子育て世代の保育環境の充実は、就業環境の整備に非常に密に関連していることだと認識しております。産業側と保育側との連携が重要になってきているのですけれども、今現在の広域振興局の体制ではこの部分を支える仕組みが不十分だと思っています。子育て支援もですが、介護離職の問題についても、広域振興局の各部局に落とし込まれている権限のバランスが今はばらばらな状況なので、なかなか広域振興局単位での有機的な展開は見込めないのではと感じています。広域振興局の中の解決すべき課題は各圏域で異なりますし、市町村の生活、福祉分野の課題解決のために広域で連動する事例は最近ふえてきておりますし、圏域の中で市町村が情報共有すべきこともふえてきていると認識しています。
そこで御質問いたします。地域のさまざまな課題解決のため、広域振興局各部署においてさらなる連携強化を図ることが必要になってくると感じておりますけれども、今後、各部署が横の連携を図り、産業振興分野と生活、福祉分野などが有機的な連携を図ることが必要と考えるものでありまして、より地域に密着した広域振興局において、地域の特性を生かした取り組みを行うべきと考えますけれども、所感をお伺いいたします。
〇藤田政策地域部長 広域振興局内各部署の連携強化についてでございますが、多様化する圏域の課題に的確に対応していくためには、広域振興局内でも関係部署が連携しまして、横断的な取り組みを行うことが必要と考えております。広域振興局におきましては、例えば、産業振興部門と保健福祉部門が連携いたしまして、ものづくり企業による事業所内保育所の整備に対する補助とあわせて実施する保育士の確保に向けた支援、あるいは高齢者の就業促進に向けた保健師による指導の実施、あるいは障がい者の自立に向けた農業分野での就業実証事業の実施など、さまざまな取り組みを行っているところでございます。
今後も、施策を効果的に展開していく観点から、広域振興局長のリーダーシップのもとで各部署の連携を強化してまいりたいと考えております。
〇ハクセル美穂子委員 いろいろ広域振興局の中でも連携しているという御答弁もありました。
私がよく質問させていただいているのは病児保育の関係ですけれども、あれも広域振興局の管内で本当はできることですが、なかなか進んできませんでした。今回、4月から矢巾町と紫波町で広域協定を組まれて最初の事例をつくってくださったことで、例えば盛岡広域振興局管内で同じような事例があるところは興味を持って、広域振興局の事務担当者会議の中で意見交換をしたというお話を私もお聞きしました。やはりそういうふうに身近なところでそういった事例を共有していくことが非常に重要だと思っておりますので、ぜひそういった部分についてもさらに進めていっていただきたいと思っています。ものづくりの企業所内保育だけでなく、保育全般の課題についても、広域の圏域の中で助け合えるところは助け合っていく視点でぜひ進めていっていただきたいと思っております。
今後も県民ニーズに合わせた組織体制になるように、研究を進めていって取り組んでいただきたいと思います。
次の質問に移ります。
県立大学の幼稚園教諭資格取得ができる学科が、文部科学省の再認定結果によっては今後なくなる可能性があるとお聞きしました。私自身も、幼児保育と小学校への接続という点を考慮しまして、あえて自分の子供は幼稚園に入れた、そういう思いを持つ母親の一人でもあります。保育だけではなく、小学校との接続がうまくいく幼児教育を考えた際には、やっぱり幼稚園教諭と保育士の両方の資格を持った人材を育成していくことが重要だと考えます。これは岩手県の将来の人材育成にも大きく寄与すると考えます。
県内の公立大学において唯一幼稚園教諭と保育士の資格取得ができるということも県立大学の魅力ですが、県は、設置者として県立大学の役割をどう捉えているのかお示しください。
〇佐藤総務部長 県では、県立大学に対しまして、今年度からスタートしました第3期中期目標におきまして、専門的な知識、技術を身につけ、多様化する地域社会の課題に主体的に取り組み、豊かな人間性や国際的視野を備えた地域の未来を切り開く人材の育成を目指すことを指示しているところでございます。やはり県立大学に期待するところは、実学・実践及び地域志向教育を通じ、いわて創造人材を育成することでございます。県立大学では、この県からの中期目標を受けまして第3期中期計画を策定し、この計画に対して県が認可しているところでございます。
この計画の中で、社会福祉学部におきましては、社会福祉の領域全体を総合的に捉え、人間の尊厳に対する深い理解に立った高度で専門的な知識、技術と現実的な問題解決に結びつけられる学際的教養を身につけた福祉人材を育成することとしてございます。こうした目標、計画を踏まえた上で、現在、県立大学におきましては、教育職員免許法の改正に伴う幼稚園教諭養成課程の再認定について慎重に検討を行っていると承知してございます。
〇ハクセル美穂子委員 県民目線で考えますと、保育士資格に加えて幼稚園教諭資格を取得できる県内唯一の公立の学科をなくすというこの選択が正しいとは私には考えられません。自治体の保育士採用試験には保育士免許プラス幼稚園教諭免許が必須となっているんです。だからこそ、県立大学開学当初には出していなかった幼稚園教諭免許を平成19年からわざわざ県立大学でも出せるように取り組んだはずです。県民ニーズに基づいてこれは設置した学科なのではないかと感じます。そういった面でも県民ニーズを無視して廃止するのは正しくないと思いますので、岩手県は県立大学の設置者として、今お話ししてくださったような将来にわたってどんな人材を県が必要としているのかというビジョンをしっかりと示して、県民のニーズに沿った学部、学科が設置されるように県立大学に対して指導、助言をしていただきたいと思います。それが設置者の責務であると考えますけれども、その点についてもう一回御答弁をお願いいたします。
〇佐藤総務部長 ただいま委員から御指摘がありましたけれども、県内には認定こども園が63施設ございます。そのうち、幼稚園教諭免許と保育士資格とを併有した、いわゆる両方の資格を持っている職員の配置が要件とされる幼保連携型認定こども園は49施設、8割近くあるという実態がございます。それから、ほかの幼稚園型または保育所型の認定こども園でも、資格を併有する─両方持っている職員の配置が望ましいとされてございます。そういったニーズも現実的にございますので、そういったニーズも踏まえながら県立大学の学内で議論していっていただければと思います。
〇ハクセル美穂子委員 ぜひよろしくお願いいたします。
最後に、ILC─国際リニアコライダーについて御質問いたします。
先ほど福井委員もお話ししていましたけれども、私も先日、CERNとDESYを訪れる海外行政視察に参加させていただきまして、非常に実りの多い視察をさせていただきました。この視察実現のために御理解いただいた皆様、御尽力いただいた皆様にまずもって感謝の意を表したいと思います。
CERNではCLICという次世代の加速器、それからDESYではXFELというILCの10分の1サイズの加速器についても間近に見ることができました。その中で、私はDESYでお会いした研究者のトーマス博士に三つの直線型の加速器の関係性について質問したところ、博士はこういうふうにお答えになりました。CLICはこれからの技術を活用する加速器で、今現在確立されているものではない。しかしILCは、今、確立されている技術で建設する加速器であり、ヨーロッパ諸国は日本政府の早い決断を望んでいる。来年8月までに決定されなければ、ヨーロッパ諸国はヨーロッパでの直線型加速器建設に投資するという決定をせざるを得なくなる。そう決まってしまうと、ヨーロッパ諸国は、ILCには財政的なこともあるので参画できなくなるであろう。ヨーロッパ諸国が参画しないということになれば、ILCは国際研究機関になり得る要素を失ってしまい、計画も頓挫してしまう危険性があると私に話していただきました。来年8月までという具体的な日程も言ってくださる中で要望がありました。
平成28年度は、知事の要望活動が5回です。今後、8月の政府決定までにどのような要望活動に取り組んでいかれるのか。知事御自身の要望活動についてこれからどういうふうに取り組んでいかれるのか。どうやって政府決定につなげていこうとしているのか、その御見解をお伺いいたします。
〇達増知事 ILC─国際リニアコライダーについてでありますが、ILCの実現に向けて、この1年が極めて重要な時期であります。これまで以上に、県や東北の関係機関、また関係団体等がどのタイミングでどのように働きかけていくべきか、一層綿密に協議、調整していかなければならない段階にあります。
これまでもそのような認識に基づいて要請活動を行ってまいりましたが、県としては、東日本大震災津波の発災直後から、復興構想会議も含め、あらゆる機会を通じてILCの必要性を訴え、昨年度は、政府予算要望などの場でILCの早期実現について要望を行いました。また、東北ILC推進協議会、それから北海道東北地方知事会などにおいても、活動の効果が最大限上がるように要望を行っているところであります。
このような中で、国においては、有識者会議が設置した四つの作業部会も議論を終え、来年度の政府予算概算要求も倍増以上となるということで、ILC実現に向け着実に前進しております。11月には、このILCの初期計画を20キロとして建設コストを大幅に削減する計画が研究者の国際的組織で正式に承認される見込みでありますので、今後、関係者が一致団結して、ILC実現の後押しともなる東北の準備状況や経済波及効果等を示しながら積極的に要望を行っていきたいと思います。
〇ハクセル美穂子委員 あと少ししかないので、ぜひ知事が県の代表として、政府に対してしっかりと働きかけを重ねていっていただきたいと思います。そのことを最後に強くお願いしまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
〇佐々木朋和委員長 次に、工藤大輔委員。
〔工藤大輔委員質問者席に着く〕(拍手)
〇工藤大輔委員 創成いわての工藤大輔であります。
平成28年度決算審査に当たり、会派を代表し、質問いたします。
平成28年度は、厳しい財政状況の中、復興の取り組みを加速させ、岩手国体を通し、感謝の心と岩手の底力を全国に伝えることができたと思います。そういった中で、知事を初め関係の皆様方の取り組みに敬意を表するところであります。
それでは最初に、なりわいの再生について、県の支援等についてお伺いします。
東日本大震災津波からの復興に関し、なりわいの再生が重要だと思いますが、未曾有の大震災を乗り越え、三陸のよりよい復興の実現につなげるためには、若者や女性の視点を生かした新たなビジネスの仕上げによるにぎわいの創出が必要だと考えます。県は、被災地のニーズをどのように捉え、支援を行ってきたのでしょうか。これまでの支援の実例と今後の方向性についてお伺いします。
〇佐々木復興局長 なりわいの再生に向けた県の支援についてでありますが、県では、復興まちづくりに合わせたなりわいの再生を図るため、若者や女性を初め、新たにビジネスの立ち上げにチャレンジしようとする事業者に対して、成長段階に応じた支援を総合的に行ってきたところであります。
具体的には、平成28年度はさんりくチャレンジ推進事業において、事業計画策定支援3件、初期費用補助14件、クラウドファンディング活用支援5件、販路開拓支援等19件、合計41件の取り組み支援を行ったことにより、キタムラサキウニのブランド化や介護予防フィットネスジムの運営などの新たなビジネスが展開されております。
今後、土地区画整理事業の進捗に伴い、中心市街地における商店街の整備が本格化する地域もあることから、本設店舗への移行と合わせた新事業への取り組みや起業等への支援を行うとともに、これまで起業した方々の販路開拓など、次のステージに向けた成長支援に継続的に取り組んでまいります。
〇工藤大輔委員 次に、公共事業の発注見通しと建設業への支援についてお伺いします。
東日本大震災津波の復興需要がピークを迎え、復興実施計画をもとに進めてきた多重防災型まちづくりなどの各種事業が完了することにより、その反動減の影響が心配されています。公共事業や民間の住宅建設等が被災地経済を支えてきたため、急激な事業の減少が地域経済と雇用環境に与える影響は決して小さいものではありません。
県は、これからの公共事業の発注規模の見通しを示すとともに、県外企業が受注する機会が多い分野を県内建設業が受注できるようなJVでの参加の機会の拡大や、入札における地域要件の柔軟な設定、技術の取得に係る支援などに努めるべきと思いますが、いかがでしょうか。
〇千葉副知事 公共事業の発注見通しについてでございますが、今後の発注規模の見通しは、各建設企業の経営判断において非常に重要な要素となるものと考えております。
県内の公共事業予算でございますけれども、復興事業の進捗に伴いまして減少していくものと一方では見込んでおりますが、県といたしましては、県民の安全・安心な暮らしを守り、地域の産業や経済を支える社会資本の整備やその維持管理のために公共事業の果たす役割は引き続き大きいものがあると認識しておりまして、平成27年度に策定いたしました岩手県国土強靭化地域計画や東日本大震災津波前の事業規模なども参考にしながら、今後の公共事業のあり方について総合的に検討してまいります。
また、現在、県におきましては、復興後を見据えまして、平成27年度に策定いたしましたいわて建設業振興中期プランに基づき、建設企業の経営基盤、人材育成等への支援を着実に進めており、公共事業の担い手であります建設企業の経営基盤の強化を図っているところでございます。
また、県内建設企業の受注機会の確保につきましては、これまでもさまざまな機会において関係団体からの御意見を伺いながら、JV発注における県内企業の参入拡大や地域要件の拡大、技術力の向上の支援等を行ってきたところでございます。
県におきましては、地域の建設業は、災害等の緊急時に必要不可欠な存在、また、社会資本整備等の担い手として重要な産業であると認識しておりまして、引き続き県内企業の受注機会の確保に努めますとともに、いわゆるi-Constructionの活用によります生産性の向上や、若者、女性が働きやすい職場環境の整備による新たな担い手の確保、育成などにより、県内建設業の発展を支援してまいります。
〇工藤大輔委員 東日本大震災津波前は、公共事業が大幅に少なかったときがあった中で、建設業も他の業種に進出するなどの取り組みを県でも支援してきたと思います。そのような状況になるのではないかと考えられるわけですけれども、早期に将来の事業費を示すことによって、雇用についても業者の方々は安定的、計画的な雇用をつくることができますし、また、県外建設事業者が受注機会の多い分野に向けてチャレンジする機会にもなると思います。ですので、私は、この点については早期に示すべきだと思いますが、改めてお伺いしたいと思います。
〇千葉副知事 今申しましたとおり、公共事業費をどのような規模で確保していくか、県として進めていくかについては極めて重要な課題でございますので、現在、この2年間でさまざまな計画の策定を進めてまいります。その中で公共事業の関係につきましても検討してまいりたいと考えているところでございます。
〇工藤大輔委員 次に、県民所得についてお伺いします。
県の実質経済成長率は、東日本大震災津波発災前の平成22年度がマイナス0.0%でしたが、復興需要により平成23年度から上昇しております。この推移に合わせ、平成22年度の県民所得226万6、000円から平成26年度には271万6、000円と45万円増加しておりますが、県民の多くはその実感が湧いていないのが実態ではないでしょうか。復興特需や一部の業種が押し上げていると推測されますが、県民所得の上昇をどのように認識され、県民所得の向上に努めてきたかお伺いします。
〇藤田政策地域部長 通告がなかったので詳細のデータは手元にないんですが、確かに県民所得は復興需要によって押し上げられてきたと認識しております。
〇工藤大輔委員 復興需要が押し上げてきた、私もそのように思ったところであります。
経済成長率の鈍化によってこれも自然と下がっていくことが想定されますので、被災地においてそれぞれ地域の中核となる企業を支えたり、また、新しい事業の創造も非常に大切だと思いますので、さまざまな事業を一層展開していくことを期待したいと思います。
次に、市町村の決算状況についてお伺いします。
東日本大震災津波発災以降、沿岸部の市町村は手厚い財政支援もあって実質公債費比率が低下するなど、市町村財政は改善の兆しを見せています。しかしながら、少子高齢化や人口減少、産業振興や人材育成に対する積極的な施策の推進が求められており、財政の健全化とバランスをどうとるか難しい判断となっています。
そこでお伺いしますが、平成28年度の市町村の決算状況をどのように評価しているのかお伺いします。
〇藤田政策地域部長 県内の市町村における平成28年度決算状況についてでございますけれども、法律に基づく財政指標で見ますと、全ての市町村が実質公債費比率等の健全化判断比率におきまして早期健全化基準を下回っておりまして、現状ではおおむね健全な行財政運営を続けていると認識しております。
一方で、社会保障関係費や公共施設の老朽化に伴う維持補修費の増など、将来の負担増が懸念されるところでございます。特に沿線市町村におきましては、東日本大震災津波からの復旧、復興事業の進捗に伴いまして事業費は減少傾向にありますけれども、災害公営住宅等の維持補修費など、将来の負担が見込まれるところでございます。また、平成28年の台風第10号により甚大な被害があった市町におきましては、復旧、復興事業が本格化していることから、引き続き財政状況を注視していく必要があると考えております。
こうした状況を踏まえまして、県といたしましては、引き続き市町村行財政コンサルティングを通じた助言等を行うとともに、市町村と連携しながら、国に対しまして必要な財源が措置されるよう要望してまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 次に、復興交付金事業計画の進捗についてお伺いします。
東日本大震災津波からの復興に当たり、復興のステージごとに変化する被災地のニーズを酌み取り、制度のすき間を補う事業や将来のまちづくりに向けた事業の実施に向け、復興交付金による基金事業は有効な対策となっています。県、市町村の基金の執行状況を踏まえ、取り組みをどう評価しているのかお伺いします。
〇佐々木復興局長 東日本大震災津波からの復興に向けて、国では復興交付金という制度を用意していただいたところであり、これは、委員御指摘のとおり、被災地のニーズに応じたさまざまな事業に活用が可能ということで、被災地の復興に果たしている役割は非常に大きいものがあると考えております。
今後とも、復興のステージに応じた取り組みにこの交付金が活用できるよう、県としても市町村と一緒になって取り組みを進めていきたいと思っております。
〇工藤大輔委員 現在の執行状況、執行率が県、市町村を合わせて約8割という数字も出ておりますが、この状況についてはどのようにお考えでしょうか。
〇佐々木復興局長 各自治体が公表しております復興交付金事業計画進捗状況報告によりますと、平成28年度末時点で、岩手県及び県内市町村への交付金の交付実額7、400億円余に対し、契約済み額は5、900億円余であり、執行率は79.7%となっております。この差し引きの約1、500億円には、既に完了した事業の執行残額や、住民の意向を踏まえた計画変更により廃止した事業の額も含まれておりまして、市町村として必要な復興事業は進められているものと認識しております。
なお、執行されていない交付金については、他事業へ流用することも制度上可能となっております。
〇工藤大輔委員 東日本大震災津波からきょうで6年7カ月が経過しております。創造的復興に向けて、これからが正念場であると私は捉えています。復興基金の新たな視点での活用も求められており、復興基金は平成32年度に精算されるということでありますが、精算前に事業の掘り起こしなども行うべきと考えます。県では、市町村と一体となってどのように取り組むお考えかお伺いします。
〇佐々木復興局長 復興交付金の市町村事業につきましても、県としてもさまざまな場面で助言、支援を行っているところであります。例えば、復興庁による復興交付金ヒアリング─市町村に対するヒアリングの際に同席しての円滑な事業採択のための助言や、復興交付金効果促進事業の活用事例集を作成し配布してその活用を促進しております。また、移転元地活用に係る担当者会議や戸別訪問による制度運用の情報提供及び活用の働きかけや元地活用事例集の作成、配布、それから、復興事業のための土地収用に係る書類作成等の実務を支援したこともございます。
今後とも、復興・創生期間内における市町村の復興交付金活用につきましては、県としても支援してまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 県ではそのような支援をされておりますが、例えば、被災地の実情をよく知る広域振興局と一体で取り組むとか、あるいは専門人材の派遣を行うとか、もう一歩踏み込んだ支援も必要ではないかと思います。復興が進んでいく中にあって、創造的復興はまだだと、これからだという認識を持って、この交付金事業をさらに有効に活用するためにそのようなことも検討すべきと思いますが、いかがでしょうか。
〇佐々木復興局長 市町村の復興交付金事業の進捗に当たりましては、例えば、ハード事業については、広域振興局の土木関係あるいは農林関係の職員も一緒に市町村と連携しながら進めているところで、今後ともそういった取り組みは必要と考えております。委員御指摘のことも踏まえて、今後とも広域振興局とも相談の上、市町村における事業が円滑に進むように考えていきたいと思います。
〇工藤大輔委員 交付金関係で1点、確認したいと思いますが、土地造成事業などが平成32年度に終わる陸前高田市等では、グループ補助金の利用がその後に見込まれるわけであります。復興基金の必要性は平成32年度以降も続くと思いますが、国のルールに従って平成32年度で精算するお考えなのかどうか方向性をお示しください。
〇佐々木復興局長 現在は、復興・創生期間が平成32年度までとされております。国の復興庁は、復興庁設置法において平成33年3月31日までに廃止するものと規定されており、また、東日本大震災復興特別会計につきましては、復興特別会計に関する法律において、復興庁が廃止されたときに廃止するものと規定されているところであります。現時点では、制度上は委員御指摘のとおり精算が見込まれているわけでございますが、県としては、今後の復興の進捗状況も踏まえて、国に対して被災地の実情を丁寧に説明しながら、復興をおくらせることのないように取り組んでいきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員長 工藤大輔委員の質疑の途中ではありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、10分間ほど休憩いたします。工藤委員、御了承願います。
午後3時1分 休 憩
午後3時19分再開
〇佐々木朋和委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。
〇工藤大輔委員 それでは、引き続き質問をいたします。
職員の適正配置についてお伺いします。
社会情勢の変化に的確に対応しながら県政課題を推進するため、県庁組織が持つマンパワーを最大限有効に生かす人事の適正な配置は重要な観点であります。これまでも、部局の新設や人員配置の重点化、職員研修に努めてきているところでありますが、その成果についてお示し願います。
〇佐藤総務部長 職員の適正配置等についてでありますが、これまでも直面する県政課題に的確に対応するため、部局体制を整備したところでありまして、具体的に申し上げますと、平成23年度に設置した復興局は、東日本大震災津波からの復旧、復興業務の司令塔としての役割を果たしているほか、平成25年度に設置しました国体・障がい者スポーツ大会局は、当該大会を成功に導いたところです。また、本年度設置した文化スポーツ部におきましては、これまで各部局で行ってきた施策につきまして、文化・スポーツ振興戦略に基づき一体的に取り組んでいるところでございます。
また、人員配置については、復興やふるさと振興の推進、ILCを初めとする科学振興、国際戦略などの特定課題にそれぞれ必要とされる人材を集中的に配置し、県政上の重要な施策に的確に対応しているところです。
さらに、職員研修については、職員育成ビジョンに基づき、みずからの可能性を伸ばして挑戦し続ける職員の育成、職員の成長を支え、組織で成果を発揮する組織力の向上、生き生きと働ける、風通しのよい職場づくりを基本として実施しているところです。特に、若手職員や女性職員の活躍推進を初めとして、創意工夫を凝らし、柔軟な発想で新たな課題に取り組む職員の育成強化に努めてまいります。
〇工藤大輔委員 次に、広域振興局長等の人事配置についてお伺いします。
広域振興局体制は圏域内の経営手腕が求められます。いかに圏域内の課題に精通しているか、圏域の施策の実行力、課題解決力も人事配置における重要な視点であります。広域振興局長や副局長の人選に当たって、どのような視点で配置を行っているのかお伺いします。
〇千葉副知事 広域振興局長等の人事配置についてでありますが、職員の人事異動に当たりましては、これまでも業績等を重視した任用を基本としつつ、業務が適切に遂行され、県民サービスの一層の向上が図られるよう、適材適所の視点を踏まえて実施しているところであります。
とりわけ、広域振興局にありましては、市町村や地域住民の方々と地域の目指す姿について共通の認識を持ちながら、独自性や機動力を発揮した地域経営を担っていくことが求められておりまして、局長及び副局長につきましては、積極的なリーダーシップによって、当該圏域におきます重要課題への対応や円滑な業務運営にも的確に対応できる人材を配置してきたところであります。
引き続き、各圏域を取り巻く経済情勢や地域課題を踏まえながら、適切な人事配置に努めてまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 従来、職員の方々や局長は、二、三年で異動となるという中で、行政は継続性があるとは言っても、その間にいかに成果を残すかということも大切であります。そういった二、三年の異動が適正かどうかということも踏まえ、今後の人事の方針についても、特に広域振興局については意を用いながら人事配置を行っていただくようにお願いしたいと思います。
では、次に全国植樹祭についてお伺いします。
全国植樹祭は、国土の70%を占める森を守り育てることの大切さを普及啓発することを目的に、昭和25年から開催をされてきました。本県では昭和49年に旧松尾村、現在の八幡平市の県民の森で初めて開催されました。当時の林業産出額は330億円規模と、現在の1.4倍程度あり、積極的な森林整備は現在の森林資源量へつながっています。その後の森林、林業を取り巻く環境は、木材価格の低下や外材の輸入の増加などにより、長年にわたる低迷期が続いてきました。
現在の県内の木材需要は、東日本大震災津波以降、新たに建設された大型合板工場や木材バイオマス発電での大量の活用が見込まれており、木材需要の構造は厳しいながらも変化しようとしています。このような機会に、岩手の森林、林業の再生に向け、2回目となる全国植樹祭の開催を前向きに検討すべきと思いますが、お考えをお伺いします。
〇達増知事 全国植樹祭の開催についてでありますが、全国植樹祭は、国土緑化運動の中心的な行事として、天皇皇后両陛下の御臨席のもと、両陛下によるお手植えや参加者による記念植樹等を通じて、国民の森林に対する愛情を培うことを目的に毎年開催されています。
本県では、昭和49年に旧松尾村の県民の森におきまして、自然と産業が調和する豊かな緑の創造をテーマに開催したところであり、それまでの針葉樹のみの植樹に加え、全国初となる広葉樹の植樹や、次代の森づくりの担い手である森林愛護少年団が初参加するなど、本県独自の取り組みを行った大会でありました。
本県で再び全国植樹祭を開催することは、豊かな森林環境を次の世代に引き継ぐための県民理解の醸成や林業の持続的かつ健全な発展を図るとともに、震災から復興した姿を発信できる機会となるものと考えます。
全国植樹祭の開催につきましては、今後、主催者である公益社団法人国土緑化推進機構の意向や関係団体などから御意見を伺い、幅広く検討してまいります。
〇工藤大輔委員 私は、全国植樹祭の開催については、以前にも国土緑化推進機構から、そろそろどうかという提案もあったように聞いております。復興や、また国体開催もあった中で、延期とか検討が続けられていると思いますけれども、私は県内の状況も変わってきており、前向きにさらに検討を深めていただきたいと思いますし、開催に向けての努力を期待したいと思います。改めて考えをお伺いします。
〇達増知事 委員御指摘のとおりでございますし、また、国土緑化推進機構のほうから岩手県にどうぞということであれば、それはよくよく考えて理由のあることと思いますので、国土緑化推進機構の意向を尊重しながら、関係団体などから御意見を伺い、検討してまいります。
〇工藤大輔委員 では次に、今後の河川の管理方針についてお伺いします。
近年、ゲリラ豪雨が多発するとともに、大型台風による被害が全国的に発生しています。本県では、平成11年の県北豪雨災害を初め、昨年8月30日に発生した台風第10号により、河川の氾濫や市街地での排水機能の脆弱性等により大きな被害を受けました。その都度、河川改修の必要性が指摘をされておりますが、県が管理する312河川、総延長2、831キロメートルの適切な整備や管理は、財政事情から見ても厳しい状況にあります。
県では年次計画を立て、緊急性の高い箇所の整備を行っておりますが、昨年の台風第10号の被害を教訓とし、集中的に立ち木の伐採や河川の整備等を行うべきと思いますが、今後の管理方針の具体策をお伺いします。
〇千葉副知事 今後の河川の管理方針についてでありますが、平成28年度は、台風第10号災害を踏まえ、緊急的に対応すべき区間を加えた55河川、67カ所において、補正予算も含めた事業費約14億800万円を活用し、洪水による流木の除去、河道掘削及び立ち木伐採を実施したところでございます。また、改めて、全河川において河道の土砂の堆積状況や流木となり得る河川区域内の立ち木の状況を調査し、その結果をもとに、市町村にも意見を伺った上で、河道掘削及び立ち木伐採の年次計画を見直し、近年の浸水実績のある箇所や資産の集中箇所など、緊急性があり事業効果の高い箇所から集中的に実施していくこととしたところであります。
平成29年度は、昨日議決をいただきました9月補正予算も含め約6億7、000万円を措置して、43河川、52カ所において、河道掘削や立ち木伐採に取り組んでいるところであります。
今後におきましても、地域住民の方々や市町村等関係機関の協力を得ながら、河川巡視を強化しつつ、土砂の堆積状況などの把握を行い、河川の適切な維持管理に努めてまいります。
〇工藤大輔委員 今後の集中的な管理がさらに必要だと思いますが、県では、何か集中的な計画を立てたり、大体このぐらいの年度予算が必要ではないかという推計を立てながら計画的な整備を進めるべきだと思いますが、さらなる今後の方針をお伺いします。
〇千葉副知事 現在、この計画につきましては、これまで、平成25年の豪雨災害を受けまして、平成26年度から平成31年度までの年次計画を立てて取り組んできたところでありました。しかしながら、昨年8月の台風第10号の出水によりまして、堆積土砂等の河道状況の著しい変化が生じましたことから、年次計画を見直し、引き続き、河道内の堆積土砂や立ち木の伐採を計画的に実施していくこととしております。
なお、計画の見直しに当たりましては、市町村の意見を反映させるため、ことしの2月に、全市町村に対し河道掘削等要望箇所のヒアリングを実施し、計画の見直しをしているところであります。
現在のところ、平成29年度から平成33年度までの5カ年間で全体計画を策定しているところであります。
順次、このような年次計画に基づきまして事業を進めてまいりますし、適時適切に見直しを行いながらこの計画を進めてまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 次に、水位周知河川であっても水位計のあるエリア以外の危険箇所については対応に差があるように感じます。簡易な水位計や水位表示板の設置をすることによって、地域住民みずから氾濫の危険性を察知し、自主的な避難にもつながってくると思いますが、危険性の高いエリアへの対策をどのように講じるかお伺いします。
〇佐藤総務部長 水位計設置外エリアへの対策についてでありますが、まず、県では、水位周知河川に設けた水位計から送られる水位や雨量などのデータを岩手県河川情報システムで公表しており、住民の方々は、これらのデータをインターネットで知ることができるようになってございます。
委員御指摘のとおり、水位周知河川に指定されていない中小河川や、水位周知河川であっても水位計が設置されていない地域への対策が必要であると考えております。このため、県では、県土整備部におきまして、本年12月までに水位計の設置に係る5カ年計画を策定することとし、設置、運用コストが水位計よりも安価で、ホームページ上などで水位情報を確認できる危機管理型水位計の活用を検討しているほか、市町村と連携をしまして、現地の水位を目視確認できるような水位表示板の設置を推進しているところであります。
また、気象庁では、本年7月から、洪水警報の危険度分布をホームページで公開しておりまして、中小河川を含む全国の河川について、河川の増水、氾濫による浸水害発生の危険度の高まりをインターネットで確認することができるようになったところであります。
県といたしましては、引き続き、国や県などが提供している防災関連情報を住民自身が収集できるよう広く周知を図るとともに、自主防災組織等による災害リスクの確認を促進するなど、早目の避難行動につながるよう取り組んでいきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 危険箇所の下流のほうに民家が複数あったり、あるいは、よく氾濫の危険性があるようなところであってもエリア外ということで、なかなか整備が進んでいないのが実態でありますので、そういった箇所を重点的に考えながら、適切な対応を進めていただくよう要望したいと思います。
次に、ひきこもりについてお伺いします。
昨年内閣府が行った調査によると、15歳から39歳のひきこもりが全国で54万人に上ると推計されました。ひきこもりは、長期的に社会参画を回避しているというような状態にあり、長期化や高齢化することによって社会との結びつきが薄れてまいります。また、親の高齢化や病気、介護が必要になった際など生活も一変し、経済的にも厳しい状況につながっていくという現状があります。
他の都府県では、実態を把握する具体的な調査を実施した結果、40歳以上のひきこもりが15歳から39歳のひきこもり数を上回っている調査結果がありますが、県では、ひきこもりの人数や実態をどう捉えているのかお伺いします。
また、県にもひきこもり地域支援センターが設置されていますが、どのような対策を講じひきこもり家庭に寄り添った対応をしているのか、あわせてお伺いします。
〇千葉副知事 ひきこもりについてでありますが、県では、各保健所がひきこもりに関する相談に対応しておりますほか、平成21年度に、岩手県精神保健福祉センター内に岩手県ひきこもり支援センターを設置し、専門の相談員を3名配置して相談対応に当たっております。また、あわせて、当事者の居場所づくりや家庭教室、保健所や民間支援団体等への研修や技術支援、住民を対象とした講演会など、関係機関が連携したひきこもり対策の中心ともなっているところであります。
ひきこもりの実態についてでありますが、国による定義はあるものの、その具体的な判断は難しく、また、表に出にくいという状況もありますことから、総体の把握は極めて困難なところがございますが、岩手県ひきこもり支援センターや各保健所が受け付けました来所や電話によります相談件数は、年間実人数で約250人、延べ600件となっており、直近5年間の来所による相談では、ひきこもり本人の年齢は、20代から30代で全体の6割から8割を占めております。
一方、平成27年度に釜石保健所が実施しました管内の民生児童委員へのアンケート調査によりますと、ひきこもり状態にある方は当該管内で59人、その52%が40歳代以上という結果も出ておりまして、委員御指摘のとおり、ひきこもりの状態にある方の高齢化の傾向も見られるところでございます。
ひきこもりにつきましては、介入の機会を捉えることに極めて困難性はありますものの、相談があった方については、本人の背景にある個々の課題を丁寧にお聞きしながら、本人との信頼関係を構築し、時間をかけた継続的な支援を行っておりまして、その結果、外出が可能となった方や就労に至った例なども実際あるところであります。
また、ひきこもりが長期化しないためには、早い段階で本人や御家族に、みずからが置かれている状態を認知していただき、相談や支援に結びつけることが極めて重要でありますことから、先ほど申し上げましたひきこもり支援センターや各保健所における相談事業に加えまして、一般向け公開講座等の普及啓発、支援関係者に対する研修や技術支援を通じたスキルアップ等の取り組みを強化してまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 私は、県が把握している人数以上の相当何倍もひきこもりの実態があり、各家庭においては、本当に困っている、悩みの大きな種だと感じている世帯が多いのではないかと思います。何とか告白したいと思っても、なかなか改善策が見出せない。相談に行っても、その相談によって改善しなければ、相談が無意味に感じてしまって相談件数も減っていったり、あるいは、本人が相談に行ければいいんですけれども、なかなか一歩も踏み出せないという状況があると思います。
私は、まずはひきこもりの実態を県で詳しく具体の調査をして、実態を把握した中で対応策を検討していかなければ、積極的に相談機関を利用してくださいと言うだけでは、大きな課題の改善にはつながらないと思いますので、私は調査を実施しながら対応をとるべきだと思いますが、県の考え方をお伺いします。
〇千葉副知事 今申し上げました御答弁の中で、平成27年度に釜石保健所におきまして、管内の民生児童委員のアンケートによりますひきこもり実態調査を行った実績について御説明申し上げましたが、県全体の実態把握につきましては、釜石保健所で行われた実態調査あるいは他県での調査事例も研究しつつ、その調査対応について前向きに検討してまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 最後に、企業誘致等の取り組みについてお伺いします。
本県の企業誘致の取り組みは、北上市を中心とする県南地域で堅調に進んでおり、さきのデンソー岩手の新工場建設や東芝メモリの進出が決まるなど、ものづくり産業の集積が進んでいます。
これまで、企業立地促進法に基づいて県内6地域で基本計画を策定し、立地件数や雇用創出等の目標を掲げて取り組んできましたが、積極的に取り組んできた増設分も含め、実績をどう評価しているのでしょうか。その上で、後継法である地域未来投資促進法における成長戦略へどのように結びつけ経済的波及効果を高めようとしているのかお伺いします。
〇千葉副知事 2点お尋ねを頂戴いたしました。
まず、企業立地促進法の実績とその評価についてでございます。
企業立地促進法は、企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化を図るため、平成19年度に施行されたものでありまして、その基本方針において、集積区域設定の基本的な考え方が示され、一つの計画における可住地面積がおおむね20万ヘクタール以下とされたことや、地域によって産業構造等が異なることから、本県におきましては、全県を6地域に分けて基本計画を策定したところであります。
実績についてでありますが、地域によって計画期間は異なりますが、平成28年度で計画期間が終了した3地域で見ますと、県南広域地域では、増設を含む立地件数は、目標60件に対して実績94件、雇用創出人数は、目標1、600人に対して実績4、458人と、計画目標を大きく上回る結果となったところであります。
また、県北広域地域では、立地件数は、目標12件に対して実績10件、雇用創出人数は、目標340人に対して実績293人、盛岡広域地域では、立地件数は、目標30件に対して実績30件、雇用創出人数は、目標520人に対して実績547人と、おおむね順調に推移し成果を上げたものと認識しております。
なお、これらの3地域以外につきましては、現時点においていまだ計画期間の途中でございまして、実績をお示しできない状況にあります。
次に、地域未来投資促進法への対応でありますが、本年7月、企業立地促進法の一部が改正されまして地域未来投資促進法が施行されたところですが、法の趣旨は、地域特性を生かした高い付加価値を創出し、かつ、地域内の取引の拡大や受注機会の増大などにより、地域の事業者に対して相当の経済的波及効果をもたらす地域牽引事業を促進しようとするものでありまして、企業立地促進法では製造業が主な支援対象であったものが、改正後の法律におきましては、農林水産業や観光、スポーツ、環境、エネルギーなど、新たな成長分野へと拡大されたところであります。
新しい法律におきましては、県と市町村が共同で基本計画を策定することとされておりまして、県は市町村と連携して、より多くの事業者が支援を受けられるよう、成長が期待されるさまざまな分野を対象とした基本計画を策定し、9月29日に国の同意を得たところであります。
今後におきましては、この基本計画に沿って、事業者が地域経済牽引事業計画を作成し、県がこれを承認することによってさまざまな支援措置が講じられることとなりますが、企業立地促進法により、立地あるいは業容拡大を行った事業者が、地域経済牽引事業者として地域を力強くリードしていくことができますよう、市町村等と連携して引き続き支援を行うこととしております。
さらには、地域未来投資促進法では、対象分野が拡大されたことによりまして、新たな分野における地域経済牽引事業者の掘り起こしにも努めてまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 さまざま質問させていただきましたが、復興の先を見詰め、県政が大きく進展するよう、今後さらなる御努力をしていただきますようお願い申し上げ、質問を終えたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
〇佐々木朋和委員長 次に、斉藤信委員。
〔斉藤信委員質問者席に着く〕
〇斉藤信委員 日本共産党の斉藤信でございます。
東日本大震災津波からきょうでちょうど6年7カ月目の月命日となりました。東日本大震災津波からの復興は、引き続き県政の最大の課題であります。そこでお聞きします。
被災者の住宅再建は引き続き切実な課題です。6月末の仮設入居者の住宅確保の意向調査では、回答した4、955世帯のうち4、694世帯の意向決定済み。その内訳は、自立再建の希望が2、824件、60.2%となっています。この自立再建の希望を実らせることは極めて重要です。
最大の課題は資金の問題ですが、震災前と比べて住宅建設費用はどれだけ高騰しているでしょうか。平成26年4月からは消費税が8%に増税されました。この増税分を加えると、どれだけの負担増になっているか示してください。知事にお聞きします。
〇達増知事 住宅建設費用についてでありますが、県内の建築士、設計事務所、工務店、林業、木材産業関係者などからなる岩手県地域型復興住宅推進協議会では、被災地に建設された復興住宅の工事費等の調査を実施しておりまして、その調査結果によりますと、引き上げ分を含む消費税込みで、県全体では、震災前の坪単価48.5万円から平成28年10月ごろの坪単価57.2万円に、18%程度上昇しています。また、沿岸市町村においては、震災前の坪単価47.9万円から平成28年10月ごろの坪単価は59.3万円となっており、24%程度上昇しています。
なお、平成26年4月からの消費税率引き上げの影響については、国のすまい給付金制度等により、消費税率引き上げ分に見合う負担軽減措置が行われているところであります。
〇斉藤信委員 30坪の家を建てれば、約300万円値上げということになると思います。
それで、国の被災者生活再建支援金の継続、延長は、いつごろまでに明らかになるのでしょうか。
〇達増知事 被災者生活再建支援金の延長についてでありますが、平成30年4月10日までとなっている申請期間の延長につきましては、本支援金の事務を行っている公益財団法人都道府県会館に対して9月20日付けで要請を行ったところでありますが、同会館から、再延長を必要とする理由の精査や全ての申請が完了すると見込まれる時期について確認を求められておりまして、現在、市町村に照会しながら協議を進めているところであります。
昨年度は、同会館との協議を12月に行いましたが、今年度は、被災者の方々に早目に周知できるように協議開始時期を早めたところでありまして、できるだけ早期に延長決定となるよう協議を進めてまいります。
〇斉藤信委員 昨年は12月に協議して、いつ結論が出たんでしょうか。
これは10月発行の我が家のくらし再建プランのしおりです。これを見ますと、加算支援金は平成30年4月10日までとなっているんですよ。これを見たらみんながっくりきて、住宅再建の希望がなくなるんじゃないですか。
〇達増知事 昨年度、公益財団法人都道府県会館との協議にどのくらいの期間を要したかについては、県から公益財団法人都道府県会館に12月16日付けで要請し、12月28日付けで延長決定の通知があったところであります。
〇佐々木復興局長 加算支援金が平成30年4月10日となっておりますけれども、加算支援金につきましては、当初認められている期間が37カ月ということで、平成26年4月10日まででした。それが国の政令の改正によりまして、4年間さらに延長できるということで、平成30年4月10日までになったものであります。その後については、再延長については1年ごとということになっており、現在、その要請の手続を進めているところであります。
〇斉藤信委員 復興局長、よく私の質問聞いておいて。あなたがたが発行したこのしおりを、きのうホームページで初めて見ました。10月発行です。それで、期限が平成30年4月10日となっているんです。注釈も何もないんです、1年ごとに延長できるというのも。これを見たらがっくりしますよ。きちんと注釈つけてやるべきではないですか。
〇佐々木復興局長 事務を担当しております広域財団法人都道府県会館と協議中でありましたので、その発行したものについては、まだ確定的ではないということで記載しなかったものであります。
〇斉藤信委員 だから、協議をして1年ごとに延長が可能ですとか何かやらないと、出したばかりのこのしおりが全く意味がなくなるということなんです。
それで、私は、被災者住宅再建支援事業費補助金、生活再建住宅支援事業補助金、被災宅地復旧工事助成事業の県独自の補助金は、いち早く延長を打ち出すべきじゃないですか。知事。
〇達増知事 県独自の被災者支援についてということでありますけれども、被災者住宅再建支援事業費補助金及び被災宅地復旧を含む生活再建住宅支援事業補助金につきましては、持ち家による住宅再建を促進するための本県独自の支援策として県と市町村が共同で実施しているものであり、いずれも平成30年度までを実施期間としているところであります。
この実施期間の延長については、住宅再建の前提となりますまちづくりの進捗状況等を踏まえ、市町村の意向も伺いながら、被災者の方々が安心して自立再建することができるように、被災者生活再建支援金の申請期間の延長協議とあわせて検討してまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 だから私が冒頭で聞いたでしょう。6月末の意向調査で2、824件、60.2%の人が自立再建したいと答えているんです。はっきりしているじゃないですか。知事、これにきちんと応えて、国に先駆けて延長の方向を示すべきじゃないですか。
〇達増知事 市町村の意向も重要と考えますので、市町村の意向も伺いながら、また、都道府県会館に対する被災者生活再建支援金の申請期間の延長協議とあわせて検討してまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 私が知事を評価しているのは、本当に被災者一人一人に寄り添って被災者の幸福追求権を追求すると、これが復興の理念だと。だったら、これだけ多くの被災者が住宅再建を希望しているとはっきりしているわけだから、これにきちんと応える必要があるんじゃないですか。
〇達増知事 市町村の意向も伺いながら検討していくわけでありますけれども、委員が冒頭紹介された仮設入居者の住宅確保の意向調査の回答もきちんと踏まえて検討してまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 私がきょう質問したのは、陸前高田市長と釜石市長から、ぜひ、これは知事に言明してほしいとお願いされたから聞いたんです。市町村の意向ははっきりしていますよ、知事。
〇達増知事 各市長がそういうことであれば、市当局との協議についてもおおむねそういう方向に行くのかなという、今、感じたところでございます。
〇斉藤信委員 こういうときこそ知事の決断というのが被災者を励ますので、ぜひ、いち早くやっていただきたい。
それと、災害援護資金制度が平成30年3月31日までとなっています。上限350万円で、住宅再建にとっても本当に活用できる制度なんですね。この延長が私は必要だと思いますけれども、これはどういうふうに交渉し、見通しはどうなっているでしょうか。
〇達増知事 災害援護資金制度についてでありますけれども、東日本大震災津波に係る災害援護資金の本県の市町村における貸付実績は、平成29年8月末までで1、076件、27億5、900万円余となっているところであります。
この申請期間について、東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律及び関係政令による特例措置では平成30年3月31日までとされているわけでありますが、県では、被災地における面整備の進捗状況等を踏まえて、本年6月、国に対し、特例措置の延長について要望を行ったところでありまして、今後も機会を捉えて国に働きかけてまいります。
〇斉藤信委員 私は自民党政権の対応も厳しく問われていると思います。
それで、被災者の深刻な実態、この見守りについてお聞きしますが、この間の孤独死、自殺の実態はどうでしょうか。
岩手県社会福祉協議会が被災者の生活実態調査をこの前行いましたが、その調査結果はどうなっているでしょうか。孤独死、自殺を出さない具体的な対策について示していただきたい。
〇達増知事 孤独死、自殺の実態についてでありますが、平成29年7月末現在、東日本大震災津波に係る災害公営住宅と応急仮設住宅において、ひとり暮らしで亡くなられた後に発見された方は、災害公営住宅で13人、応急仮設住宅で41人となっています。また、同じく震災関連の自殺者は44人となっています。
生活実態調査についてでありますが、岩手県社会福祉協議会では、被災者の暮らしの実態と今後どのような支援が必要なのかを把握するため、平成28年度に東日本大震災被災者実態調査を行いました。この調査結果では、災害公営住宅入居者のうち、60代以上の方が7割以上を占め、そのうちひとり暮らし、2人暮らしの方の割合がそれぞれ4割程度となっています。孤立傾向にある人は地域での暮らしに対し満足度が低く、周囲とのかかわりの濃淡が地域での暮らしやすさの実感に影響を与えております。また、重点的に見守りを行っている世帯で、生活支援相談員等とのつながりに頼っている場合は、周囲とのかかわりの頻度が低く、日常生活の中での安否確認の漏れが心配されること等の、今申し上げたような課題が指摘されております。
地域の住民がお互いを理解し交流を深めるような支援活動に注力する必要があるなど、今後の活動の方向性も示されているところであります。
県といたしましても、市町村や関係機関と連携して、復興しつつある地域で安心した暮らしを取り戻すため、生活支援相談員の活動等を地域の実情に応じて見直すなど、被災者一人一人に寄り添った住民同士のつながりをつくっていくコミュニティー支援に努めてまいります。
そして、孤独死や自殺を出さないための具体的な対策についてでありますが、災害公営住宅や応急仮設住宅における孤独死や東日本大震災津波に関連する自殺を予防するためには、さきの実態調査の結果なども踏まえて、被災者が地域で孤立を深めることのないような対応が必要であります。県では、県社会福祉協議会と連携して、生活支援相談員による被災者への個別支援や住民相互に支え合うコミュニティー形成等の地域支援の両面に取り組むとともに、こころのケアセンターにおいて、医師による相談や専門職員による個別訪問のほか、保健所と連携して悩みを抱えた被災者を支援するゲートキーパーの養成など、市町村が行う心の健康づくりに専門的立場から協力してきたところであります。
県としては、応急仮設住宅から災害公営住宅へ移行への本格化など、東日本大震災津波の被災地の状況や被災者ニーズを踏まえて市町村や関係機関と連携を図りながら、一層、被災者一人一人に寄り添ったきめ細かな支援に努めてまいります。
〇斉藤信委員 県社会福祉協議会の調査では、経済的困窮を訴えているのが9割近く、今後さらに悪くなるというのが45%だったと、こういう指摘もありました。私は、こうした被災者の実態に心を寄せて、しっかりした支援を強化していただきたい。
陸前高田市の復興の課題についてお聞きします。
復興祈念公園の整備と四つの震災遺構の保存、管理、活用。県の責任を明確にして答えていただきたい。
気仙川の河川改修におけるJR東日本の鉄橋の復旧とその調整はどうなっているでしょうか。
〇達増知事 陸前高田市の復興の課題について、まず、復興祈念公園についてでありますが、高田松原津波復興祈念公園につきましては、国、県及び陸前高田市が連携して整備を進めており、県では、平成31年に開催予定のラグビーワールドカップを見据えて、震災津波伝承施設及び公園の整備に取り組んでいるところであり、国においても、国営追悼・祈念施設や道の駅高田松原の整備を進めていただいているところであります。
公園内の震災遺構につきましては、被害の程度や破壊力の大きさなどの津波の脅威を後世に伝える貴重な資料であり、遺構の周囲に安全対策を講じた上で外部から見学を行う、いわゆる見守り遺構として活用することとしているところであります。今後、遺構の所有者である陸前高田市と協議の上、それぞれの遺構の具体的な保存、管理と活用のあり方について検討してまいります。
そして、気仙川の河川改修についてでありますが、県では、気仙川の陸前高田市高田地区から住田町向川口地区までの区間において、平成27年度から築堤や河道掘削による河川改修を実施しているところであります。
JR東日本が被災した橋梁を復旧するとした場合には、気仙川の河川改修計画の区間内でありますことから、県との事前協議が必要となります。現段階ではJR東日本から協議を受けておりませんが、JR東日本からの要請に応じて、河川改修の計画図面を提供しているところであります。
今後、JR東日本から協議があった場合には、河川改修計画との調整を図りながら、必要な手続を進めてまいります。
〇斉藤信委員 四つの震災遺構の管理、活用、これは私は県が責任を持ってぜひやっていただきたいし、気仙川の改修については、JR東日本に早く鉄橋を復旧してほしいと。気仙川の改修の見通しが出ないとそれができないという市のお話でしたから、JR東日本待ちにならないで大いに協議して、黙っているとやらないなんて言いますから、ここをしっかりやっていただきたい。どうですか。
〇達増知事 震災遺構については、まず所有者である陸前高田市と協議して、そして、それぞれの遺構の具体的な保存、管理と活用のあり方について検討していきたいと思います。
また、気仙川の河川改修に関しては、JR東日本からの要請に応じて河川改修の設計図面の提供は行っているところでありまして、JR東日本から協議があった場合には、河川改修計画との調整を図りながら、必要な手続を進めていくという段取りとなります。
〇斉藤信委員 次に、台風第10号災害の復旧の課題についてお聞きをいたします。
住宅被害の状況と被災者生活再建支援金の申請件数はどうなっているでしょうか。
全壊の世帯も住宅を補修して再建する世帯が多いように見受けられますが、支援の拡充が必要ではないでしょうか。
〇達増知事 台風第10号災害の復旧の関係についてでありますが、まず、住宅被害への対応の関係で、本年9月1日現在、平成28年台風第10号災害による住家被害の状況は、全壊478世帯、大規模半壊534世帯、半壊1、943世帯、床上浸水121世帯となっています。
被災者への住宅再建の支援としては、全壊及び大規模半壊の住家被害を受けた世帯に対し、全県に適用された被災者生活再建支援法に基づき支援金が支給されており、申請件数については、基礎支援金1、030件、加算支援金538件となっています。
また、同法の支給対象とならない半壊及び床上浸水世帯に対し市町村が支援金の支給を行う場合、県が補助金を交付する県単独制度を創設し支援金を支給しているところでありまして、この支給件数については、半壊1、536件、床上浸水44件となっています。
そして、この支援の拡充についてでありますが、台風第10号災害では多くの住家被害が生じており、被災者一人一人に丁寧に寄り添いながら、一日も早く安心して暮らせる環境を取り戻すことが重要であります。
被災者生活再建支援金の加算支援金は、全壊、大規模半壊等の世帯を対象とするものでありますが、その支援金額は、被災した自宅を補修することとした場合には、自宅を新築した場合の半額となるものであります。
発災から1年後の時点で、自宅を補修することとして加算支援金を申請した被災者の割合が東日本大震災津波では61.9%であるのに対し、台風第10号災害では77.3%と高い状況にあります。このため、県としては、被災者の方が安心して自力再建できるよう、国に対して被災者生活再建支援金の増額及び制度の要件緩和と充実を求めておりますほか、幅広い財政需要に対応できる弾力的で自由度の高い総合的な支援制度の創設等を要望しているところでありまして、今後も機会を捉えて必要な財源措置や制度改正等について国に要望してまいります。
〇斉藤信委員 台風第10号災害の場合、全壊規模の被災者が住宅の補修で対応しているというのが、今答弁あったように77.3%。岩泉町の場合は84.8%です。だから、ほとんどは、全壊規模でも住宅補修してとなりますと、やはり数百万円規模かかるんです。この支援策は、今国にも要望しているようですけれども、私はぜひ考えて対応して、被災自治体を支援していただきたい。いかがですか。
〇達増知事 東日本大震災津波では、国の特別交付税などによって設置した復興基金を財源として、県と市町村が共同で、岩手県内で住宅を再建する方に最大100万円を補助する被災者住宅再建支援事業を行っていますほか、県産材の活用やバリアフリー住宅に対する追加的な支援措置を行いました。
さきの台風第10号による災害におきましては、被災3市町─宮古市、久慈市、岩泉町は速やかに住宅再建200万円の独自支援策を決定し、県といたしましては、市町村独自では支援が困難な商工業など産業分野に対する支援事業を行いましたほか、局地激甚災害指定を受けた被災3市町に対して、早期復興を支援するために自由度の高い県単交付金を交付したところであります。
このような独自支援を台風第10号関係で行っているところでありますが、今後さらに被災市町、県ともに多額の財政需要が見込まれますことから、県といたしましては、国に対して、幅広い財政需要に対応できる弾力的で自由度の高い総合的な支援制度の創設等を要望しているところであります。
〇斉藤信委員 次に、子供の医療費助成の現物給付化の拡充について質問します。
昨日の県議会本会議で、子供の医療費助成を小学校卒業まで現物給付化を求める請願は、全会一致で採択をされました。知事は、これをどう受けとめているでしょうか。
〇達増知事 議会の決定については重く受けとめたいと思います。
〇斉藤信委員 小学校までの現物給付化を進める上での課題は、2、000万円の新たなペナルティー、医療費の増加ということでしたが、来年度から就学前までのペナルティーはなくなります。どれだけなくなりますか。
〇達増知事 平成30年度より、未就学児までを対象とした現物給付に係る国保の減額調整措置が廃止されることとなりまして、減額されなくなる国庫負担相当分、いわゆるペナルティーがなくなる分は、これまでの実績に基づいて試算いたしますと、年間約3、200万円と見込まれます。
〇斉藤信委員 そうすると、来年から3、200万円のペナルティーがなくなると。新たに負担がかかるのは2、000万円と。だったら、私は新たな負担なしに小学校卒業まで現物給付化は拡充できると思いますが、どうですか、知事。
〇達増知事 現物給付化によるペナルティーは、市町村国保に対して、本来交付されるべき国庫負担金が減額されているものでありまして、減額分は各市町村が国保財政の中で補填しているものであります。未就学児分のペナルティー廃止に伴って、補填しなくてもよくなる財源を小学生の現物給付拡大によって新たに発生するペナルティーの補填に活用するかどうかということについては、各市町村が判断して決定すべきものであり、県が主導できるものではないと考えているところであります。
〇斉藤信委員 だから私は県議会の請願の採択を踏まえて対応してほしいんです。新たな負担はかからないと。
それで、今、本当に若い世代の方々から大歓迎されています。手続も簡単だ、負担もない。なぜこれが進まないのか、本当に私は不思議なくらいです。小学校卒業の入院まで拡大をしたときに、その点でペナルティー分を対応してほしいと市町村とやったんです。そのペナルティー分がなくなるんですから、就学前までは。私はそういう経過から言っても、これは直ちに拡充をするという方向を大いに県がイニシアチブをとって進めるべきではないですか。
〇達増知事 ことしの9月に、市町村に対して現物給付の拡大についての意向を確認しましたところ、新たな減額調整措置が発生することから、国保の財政状況が厳しい状況の中では困難である、また、現物給付の実施以降医療給付費が大幅に増加している状況であり、現時点で拡大する予定はないなど、現物給付の拡大に慎重な意見もあったところであります。
現物給付を小学校卒業まで拡大する場合、市町村国保に対する国庫負担金の減額措置が発生しますので、市町村の意向を十分に踏まえて慎重に検討する必要があると考えておりますが、昨日の本会議において、現物給付を小学校卒業まで拡大することを求める請願が採択されましたので、その趣旨も踏まえて市町村との協議を進めていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 医療費がふえたということについて、盛岡市のひとり親世帯の生活実態調査で、病院、診療所に行かなければならないのに、受けなかった、受診できなかったというのが23.2%ありました。私はこういう方々が安心して受けられるようになったんだと思います。子供を病院に連れていくのに、休んだり時間休をとったりして行くんですよ。安いから行くわけじゃないんですよ。私はそういう意味で、現物給付化というのは大きな役割を果たしていると思いますので、ぜひしっかり対応していただきたい。
次に、消費税増税の影響についてお聞きをいたします。
平成26年4月からの消費税8%増税の影響はどうだったか。1人当たり、1世帯当たり、県民全体の負担増を示してください。あわせて、10%増税になったらどういう影響を受けるか示してください。
〇達増知事 消費税増税の影響についてでありますが、まず、政府の試算をもとに推計しますと、国、地方をあわせて消費税率8%となったときの負担増は、県民1人当たり年間約5万2、000円、1世帯当たり年間約12万円、県民総負担は年間623億円余と推計されます。
そして、消費税率10%となったときの負担増についてでありますが、同様に、政府の試算をもとに推計いたしますと、軽減税率適用後で、県民1人当たり年間約2万7、000円、1世帯当たり年間約6万2、000円、県民総負担は年間338億円余と推計されます。
〇斉藤信委員 すごい負担ですね。びっくりしました。8%増税で1世帯当たり12万円ですよ。県民全体の負担額は623億円。これが消費を落ち込ませているんです。
今、年間22万円の消費が減退していますから、私は本当にこれは深刻な事態で、もし10%増税になったら県民全体の負担額は962億円、1、000億円近い負担増を強いられると。消費税というのは使い方じゃないんです。こういう大増税は中止すべきだと思いますが、消費税8%増税で消費不況に陥った、さらなる10%増税についての知事の認識をお伺いしたい。
〇達増知事 消費税率8%引き上げ後の平成26年の県内経済は、消費税率引き上げの影響による大型小売店販売額や新車登録台数といった個人消費の落ち込みなどの影響が見られました。
このように、消費税増税は経済的に弱い立場にある方々や、我が国の経済を支える多数の中小企業に負担を強いることになるため、国民生活の多方面に多大な影響を及ぼすことが懸念されます。特に、本県の場合には、東日本大震災津波や平成28年台風第10号災害の被災地への影響も大きく、被災者の方々の暮らしの再建やなりわいの再生の妨げとなることも懸念されます。
県といたしましては、消費税増税によって経済的に弱い立場にある方々が困窮することがないよう、また、地域に根差した産業に十分配慮して、地方経済の落ち込みや復興のおくれを招くことのないような対応を国に求めてまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 最後に、雇用問題についてお聞きいたします。
県内誘致企業にとっても中小企業にとっても雇用確保問題は切実な課題と考えますが、実態をどう把握されているでしょうか。
県内高卒者の県内就職率の状況はどうでしょうか。全国、東北各県と比べてどう認識されているか。私は、当面、緊急に10%以上県内就職率を高める取り組みを進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇達増知事 雇用確保の課題についてでありますが、まず、県内の雇用状況の実態につきましては、直近の8月末の有効求人倍率が1.38倍と52カ月連続で1倍を超える高水準を維持するなど、求人側の企業側にとっては厳しい環境が続いていると承知しております。また、新規求人の実数についても、平成27年度の12万8、707人から昨年度は13万256人と、1、549人、1.2%増加しており、特に、従業員300人未満の中小企業等におきましては、平成27年度の12万4、387人から昨年度は12万6、268人と、1、881人、1.5%の増加となっております。全国的に少子高齢化の進展や高学歴化等により新規学卒者の就職者数が伸びない中で、中小企業のほか誘致企業も多数立地している岩手県にとりましては、人材の確保が急務の課題であると認識しております。
県といたしましては、これまで、いわてで働こう推進協議会の取り組みを初めとして、新規学卒者の県内定着の促進やU・Iターンによる人材の確保等に取り組んできたところでありますが、今後においては、このような取り組みを一層強力に推進し、誘致企業のみならず、県内企業全体の持続的発展につながるよう、推進体制の強化も含めて検討を進め、人材の確保に努めてまいりたいと思います。
高卒者の県内就職率についてでありますが、平成28年度については、県内各地域に就業支援員を配置して高校との連携を強化するとともに、キャリア教育支援セミナーの開催等の取り組みを展開したことなどによりまして平成29年3月卒で66.3%となり、昨年度と比較して2.2ポイント上回ったところであります。
東北各県や全国と比較いたしますと、東北各県の平成29年3月卒の県内就職率は、高い順に、宮城県81.0
%、山形県78.1%、福島県76.0%、岩手県66.3%、秋田県66.0%、青森県57.0%となっておりまして、本県は東北で4番目、全国では第37位となっています。
高卒者の県内就職率の高い地域は、一般的に企業集積が進んでいることや、また、歴史的、地理的な特性もあってもともと地元志向が強い地域と言われていることに加えまして、近年、新卒者の就職者数が減少する中で、官民の連携によって地元企業の理解促進に力を入れて取り組んできているものと考えております。
本県におきましても、これまで、就業支援員による県内就職の支援のほか、企業見学会やインターンシップなどの取り組みを展開した結果、着実に地元就職への意識が高まってきておりまして、県内就職率も上向いてきています。特に今年度においては、高卒者の県内就職率の向上を図るため、いわてで働こう推進協議会に高卒者の県内就職ワーキンググループを設置して、県内就職率の高い地域の現状分析、調査等を行って、その結果を共有し、今後の取り組みについて意見交換を行い、構成団体の取り組みに反映させていくこととしています。
また、各構成団体とも連携しながら、企業における雇用、労働環境の整備を初め、キャリア教育やインターンシップ事業の展開による県内企業と高校生のマッチングの一層の充実を図ることなどによりまして、本県における新規高卒者の県内就職率がさらに高まっていくよう取り組んでまいります。
〇斉藤信委員 いわてで働こう推進協議会は、6月に岩手県の若年者雇用動向調査結果を出しました。それを見ますと、岩手県出身者で見ると69.2%が岩手県で働きたいと思っており、県外の人も19.7%は岩手県で働きたいと思っていると。もう一つは、岩手県内に本社を持つ企業を1社も知らない者の割合が37.3%あったと。だから私は、岩手県内の企業がどういう役割を果たしているのかしっかり伝えながら、岩手で働こう、働きたいという高校生、大学生の期待に応える取り組みを抜本的に強化するべきだと思います。少なくとも高卒は宮城、山形、福島のところまで一気に引き上げるという取り組みが必要ではないでしょうか。
〇達増知事 県内就職を希望している割合のほうが実際就職した割合より高いという現状は非常にもったいない話でありまして、それだけ地元志向が高い岩手の若者たちにしっかり応えるように、企業、また行政、そして地元社会の大人たちが頑張らなければならない局面だと思います。そして、今の地元就職志向の希望の率の高さに大人たちが甘えることなく、その割合をさらに高めて、そして地元就職率をさらに高めるように、ここは県がやはり司令塔にもなり、先頭にも立ちながら、岩手の総力を、大人たちの総力を結集して県内の就職率を高めてまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 問題は、県内就職率の目標が低過ぎるんです。これを10%ぐらい引き上げて目標を達成するという取り組みが必要ではないのか。
〇達増知事 この辺は、いわてで働こう推進協議会の場を初め、経済団体、各産業関係団体ともいろいろ話し合いながら決めているところではありますけれども、さっき申し上げたような、希望する数字も高め、そして実際の結果の数字も高めていくという意識を、経済、行政、そして地域社会一体となって進めてまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 終わります。(拍手)
〇佐々木朋和委員長 次に、木村幸弘委員。
〔木村幸弘委員質問者席に着く〕
〇木村幸弘委員 社民党の木村でございます。
通告しております質問に従いまして順次質問を行っていきたいと思います。
まず1点目は、いわて県民計画の進捗実態と課題についてでございますが、まず大きく、これまで、いわて県民計画第1期あるいは今日の第3期までに至るアクションプランに基づいて取り組みを進めてきたわけでありますけれども、これらの全体的な取り組みに対して知事はどのような評価をされているのかについてお伺いしたいと思います。
〇達増知事 いわて県民計画の進捗実態と課題について、まずはいわて県民計画の取り組み状況についてでありますが、人口の社会減の拡大や国民所得に対する岩手の県民所得の水準の乖離、また厳しい雇用環境、そして地域医療の確保といった岩手が直面する危機を希望に変えていくため、平成21年にいわて県民計画を策定して、それに基づき、県政の諸課題に取り組んできたところであります。
また、その間、東日本大震災津波という未曾有の大災害が発生したわけでありますが、これに対し、地元の底力とさまざまなつながりの力を合わせ、市町村、県、国が一体となり、また、さまざまな主体、個人も含め、多くの力を合わせて被災地、被災者に寄り添う復興に全力を挙げて取り組んでまいりました。
その結果、まず人口の社会減につきましては、いわて県民計画策定当時6、000人弱あったものが3、000人台に縮小し、そして国民所得に対する県民所得の乖離についてもおよそ9割の水準にまで縮小、そして雇用環境については正社員の有効求人倍率が上昇し、地域医療については人口当たりの病院勤務医師数が増加するなど、いわて県民計画に基づく取り組みの成果があらわれてきたものと認識しております。
今後におきましては、これまでの取り組みの成果を踏まえ、第3期復興実施計画に基づいて、復興事業の総仕上げを視野に復興の先も見据えた地域振興に取り組んでまいりますほか、いわて県民計画の第3期アクションプランに掲げた地域の資源を活用した産業振興や、地域の個性や特色を生かした地域振興の取り組みを今年度、そして来年度、進めてまいります。
〇木村幸弘委員 今までのさまざまな取り組みを通じて、一定の成果もあり、また一方では、それぞれの具体の事業を進める中では課題も当然あったと思います。
そうした状況の中で、改めて第3期アクションプランの具体的評価と課題というところに質問を進めてまいりますけれども、県民、それからNPO、企業、市町村、県などのあらゆる主体が一体となって実現を目指す最終目標としてのみんなで目指す姿及び県が主体となる具体的な推進方策の七つの政策の達成状況に対してはどのような具体的な評価と課題があるのかお伺いしたいと思います。
〇藤田政策地域部長 第3期アクションプランの具体的評価と課題についてでございますが、本定例会で提出した平成28年度主要施策の成果に関する説明書における指標の達成度につきましては、みんなで目指す姿では約8割の指標が、また、県が取り組む具体的な推進方策では約9割の指標が達成度80%以上のおおむね達成以上となっているところであります。
一方、みんなで目指す姿指標では、社会資本・公共交通・情報基盤の政策分野におきまして約4割、また、医療・子育て・福祉の政策分野において3割の指標が達成度80%未満のややおくれ、おくれとなっているところであります。
具体的な推進方策では、医療・子育て・福祉の政策分野におきまして22.7%の指標が、また、社会資本・公共交通・情報基盤の政策分野におきまして14.8%の指標がややおくれ、あるいはおくれとなっておりまして、質の高い医療が受けられる体制の整備、あるいは広域的な交通基盤の維持、確保等で平成28年度の目標値を大きく下回った指標があったためであります。
〇木村幸弘委員 今、御答弁をいただきましたけれども、そうしたおくれの実態も含めて、平成30年度の最終目標に対する進捗状況において、目指す姿と推進方策のいずれも3割が50%未満となっております。さらにその中で、目指す姿で医療・子育て・福祉が4割、社会資本・公共交通・情報基盤が6割と、おくれが顕著になっております。県主体の具体的推進方策では、安全・安心、教育・文化以外の5項目が3割超えのおくれとなっているわけであります。政策遂行がおくれているとの評価について、どのような具体の問題、課題などがあるのかお伺いしたいと思います。
例えば、前期2カ年は達成に向けた基礎、土台づくりということがあって、今後、残る2カ年の中で目標達成が見通せる計画になっているものなのか、あるいは、施策そのものや達成期間をこの際練り直すなどの課題があるものもあるのか、そうした点についてはいかがでしょうか。
〇藤田政策地域部長 政策遂行のおくれについてでありますが、平成30年度の最終目標に対する進捗率は、平成28年度が中間年でありますことから50%を基準に整理しておりますけれども、指標によっては最終年度に向けて数値の改善が見込まれるものもありまして、例えば都市間の平均所要時間などは、平成28年度目標値に対する達成度はA評価でありましても、最終目標に対する進捗率が50%未満となっているところです。したがいまして、政策の進捗状況を判断する上では、単年度の目標に対する達成状況を基本としつつ、最終目標に対する進捗率もあわせて評価していく必要があると考えております。その上で指標の達成状況を評価いたしますと、政策3の医療・子育て・福祉と、それから政策4の社会資本・公共交通・情報基盤におきまして、みんなで目指す姿指標や具体的な推進方策指標におくれや、ややおくれが見られるものと考えております。
これらの政策において、みんなで目指す姿指標でおくれが見られるものは、政策3では、結婚サポートセンターの会員成婚数、それから地域密着型サービス拠点数などでして、政策4では、景観づくりに取り組む地区数、それから第三セクター鉄道、バスの1人当たり利用回数などがあるところです。
おくれている理由といたしましては、出会いから結婚までに期間を要していること、あるいは資材高騰により福祉施設の整備が進まなかったこと、平成28年台風第10号の影響、路線の休廃止などさまざまあるところです。
県といたしましては、社会経済状況の変化や、県以外の実施主体の取り組み状況なども加味いたしまして政策の進捗状況の総合的な評価を行った上で、12月定例会で政策評価レポートとして報告することとしておりまして、今後、その評価を踏まえ、最終目標の達成に向けて取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇木村幸弘委員 ただいま、具体の事例等も紹介いただきながらおくれの状況も含めて御説明をいただいたわけですけれども、例えば、そうした事例の中で、私などが具体の項目の中でこれはどうなのかなと感じたのは、在宅医療に新しく参入する医師数などについても、活動実績として、研修会の回数は12分の12でA評価。しかし、実際に在宅医療に参入する医師数は5分のゼロでDという評価であり、実際の活動と実績との関係でなかなか難しい評価になっている部分であるとか、あるいは、子育て家庭の支援事業や子供の健全育成の支援では、活動、成果の実績がいずれも厳しい結果になっている項目もあります。これらを見ますと、果たして残り2カ年の中でこれが十分成果を上げることができるのだろうかと疑問を感じる部分もあるわけです。
そういう意味で言うと、制度設計を含めて問題がないのか、あるいは本当に具体的に成果を今後上げることができるのか、しっかりとした分析と検討が必要ではないかと思いますけれども、その点についての御所見はいかがでしょうか。
〇藤田政策地域部長 ただいま御指摘いただきましたとおり、項目によりましては、政策を推進していく上での手段と、出てくるアウトカムの成果との間での因果関係といいますか相関関係のところがなかなかマッチしないといった現実もあろうかと思います。そうしたところについて成果を上げていくためにはどうした手段が必要なのか、あるいはその手段のやり方についてどういった効果的なやり方があるのかといったことは、不断に分析して事業進行をやっていかなければいけないと考えております。
〇木村幸弘委員 そうしたこれからの具体的な検討にかかわってくる部分としては、例えば目指す姿の取り組みでは、あらゆる主体がという考え方に立って取り組むとしています。これらのそれぞれの目指す姿、全指標99項目のうち、いわゆるややおくれ、おくれの指標への取り組みについて、主体別の原因や課題がないのか。ある場合には県としてどのような対応をしているのか伺いたいと思います。
また、県主体の推進方策の指標との重複性や、あるいはその関係などからして、指標達成度においては全くそれぞれが別の整理をされている考え方に立っているのか、その点についてもお伺いしたいと思います。
〇藤田政策地域部長 おくれている指標への対応についてでありますが、おくれている理由といたしましては、地方を取り巻く社会経済状況の変化、あるいは自然災害などさまざまな要因が考えられるところでありまして、おくれの理由を県民やNPO、企業、市町村等の主体別に整理することは困難と考えておりますが、12月定例会で報告いたします政策評価レポートでの総合評価を踏まえまして、最終目標の達成に向けて取り組みを進めていくこととしているところです。
また、みんなで目指す姿指標と具体的な推進方策指標の関係につきましては、みんなで目指す姿の実現に向けて多様な主体の協働と役割分担を行いまして、その中で県が取り組むものを具体的な推進方策としていることから、具体的な推進方策指標の達成度と、その上位にあるみんなで目指す姿の達成度は必ずしも同一にはならないところでありまして、それぞれ分けて整理しているところです。
〇木村幸弘委員 それでは、一連のこうしたさまざまなアクションプランに基づく計画が推進されているわけですけれども、今日の復興計画の取り組み、本格復興期間と言われてきたこの3カ年の成果との関係においてはどのように評価し、また、第3期アクションプランの評価とどういう関係の位置づけの中で対応してきているのかお伺いしたいと思います。
〇藤田政策地域部長 アクションプランと復興計画の関係についてでありますが、第2期復興実施計画の進捗状況は、設定した409指標中、進捗率80%以上の指標が全体で80%となっておりまして、これを三つの原則ごとに見ますと、安全の確保で72.7%、それから暮らしの再建で81.2%、なりわいの再生で82.0%となっているところでございます。
第3期アクションプランは、いわて県民計画の長期ビジョンの実現と東日本大震災津波からの復興とを一体的に推進していくものでありますことから、本定例会で提出した平成28年度主要施策の成果に関する説明書では、アクションプランに掲げる具体的推進方策を構成する事務事業の活動実績や成果を復興実施計画に掲げる事務事業と一体的に評価しているところであります。
〇木村幸弘委員 それでは、岩手県ふるさと振興総合戦略と連動している施策について、その特徴的な成果と課題について伺います。特に、成果に関する説明書に示されているKPI─重要業績成果指標について、総合戦略及びアクションプランの各計画における政策的位置づけと、あわせてその評価について伺いたいと思います。
〇藤田政策地域部長 岩手県ふるさと振興総合戦略と連動している施策についてでありますが、総合戦略では、岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らすの三つの柱を掲げておりまして、これらの柱と連動している施策の特徴的な成果と課題について具体例を申し上げますと、一つ目の柱である岩手で働くにつきましては、いわて産業人材奨学金返還支援事業等による産業人材確保や、いわて働き方改革推進運動の展開に取り組みまして、県内企業の参画が進んでいるところであります。その一方で、雪不足や平成28年台風第10号の影響による観光入り込み客数の減少が見られまして、誘客促進の強化が課題となっているところでございます。
二つ目の柱であります岩手で育てるにつきましては、結婚サポートセンター─i-サポの会員登録数が9月末現在で1、191人と順調に増加している一方で成婚数が24組にとどまっておりまして、その増加が課題となっております。
三つ目の柱であります岩手で暮らすにつきましては、知事を初め、企業、団体のトップによるイクボス宣言など、女性活躍推進に取り組む企業等が増加しております。その一方で、三陸鉄道や路線バスの年間利用者数の減少が見られまして、利用促進の取り組みによる利用者確保が課題となっております。
また、KPIの政策的位置づけにつきましては、総合戦略は、いわて県民計画第3期アクションプランにおける地方創生関連分野を展開するための戦略でありますことから、総合戦略のKPIにつきましてはアクションプランと整合性を図って設定いたしまして、政策評価の実施とあわせて効果を検証することとしております。12月定例会の時期に向けまして、現在、平成28年度における取り組み状況の取りまとめを行っているところでございます。
〇木村幸弘委員 重要業績成果指標においては、県におけるさまざまな事業の項目の中でも、特に重点的にこの事業については強化あるいは拡充を図らなければならないという考え方に立ってこのような選定が行われているものなのか、その辺の項目の選定に対する考え方というか、その根拠についてお示しいただきたいと思います。
〇藤田政策地域部長 今定例会で提出しております平成28年度主要施策の成果に関する説明書の中で、個々の施策あるいは事務事業につきましてKPIという印を付しているところがありますが、そこは特に重要という考えでということでもないですけれども、岩手県ふるさと振興総合戦略に基づくKPIと一致しているところについて、KPIという印を付すことによって一体的な評価を行っているということでお示ししているところであります。
〇木村幸弘委員 特に重要ではないということも言われましたけれども、事業の一つ一つを見れば、本県の施策を遂行する上では各項目どれをとっても外せない課題であり、重要なんです。そうした中でもさらにKPIと銘打って項目を抽出してこの報告書にも記載されているという意味合いからすると、全体の計画の進め方や指標の考え方の中で、この位置づけをどういうふうに見ればいいのかと私も思っておったんです。Dランクの全体を見ましても、全体のDランクの箇所数からいえば大体半分ぐらいがKPI部分でDランクに取り上げられている─政策編のほうです。新たに予算編成方針などでもふるさと振興総合戦略を展開することについて大変留意すべき事項の一つに挙げていますし、また、幸福度指標の関係についても、これらの12領域に沿った施策を意欲的に立案しなさいというようなことが指示されておりますけれども、具体的に、一連のさまざまな計画と重なっていくKPIを初めとした各種の計画との関係性をどのように捉えながら展開していくつもりなのかお伺いしたいと思います。
〇藤田政策地域部長 先ほど、特に重要ではないという意味合いでということでお答えしたんですが、ちょっと語弊があったかと思います。
今定例会に提出させていただいている成果に関する説明書の中で付している意味合いというのは、岩手県ふるさと振興総合戦略に基づくKPIと重なっている部分はここですよということでお示しさせていただいているという意味合いで申し上げたところであります。
岩手県ふるさと振興総合戦略に基づくKPIにつきましては、岩手県の地域振興を図っていく、特に人口減少問題を克服していくためにそういった取り組みをやっていくという意味ではどれも非常に重要な取り組みでありまして、それを第3期アクションプランとともに、連動して効果的に取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇木村幸弘委員 時間がありませんので、次の質問に移ります。
主要農作物種子法廃止に伴う影響と対策についてですが、主要農作物種子法が来年4月に廃止される予定となっております。本年6月定例会でもお二方がこの点について質問を行っておりますが、国の動向を見据え、優良な種子を安定的に生産、供給する体制を維持していくとの答弁があります。改めて、半年後に迫った同法の廃止に伴うその後の調査検討がなされているとすれば、具体の影響と分析、そして本県農業政策にどう対応しようとしているのかお伺いします。
〇千葉副知事 主要農作物種子法廃止の影響と対応についてでありますけれども、県では、これまで、主要農作物種子法に基づきまして、稲、麦、大豆の優良種子を生産するため、農業研究センターにおいて、原種、原原種の生産や奨励品種の決定試験、また、農業改良普及センターにおいて、種子生産圃場の指定や生産圃場、生産物の審査、種子生産に係る指導等を行ってきたところであります。
今般の主要農作物種子法の廃止によりまして、都道府県に義務づけられておりました生産や審査、指導等の業務が行われなくなることにより、伝染性病害に汚染された種子や発芽率が低い種子等の粗悪な種子の流通のほか、十分な量の原種を確保できないことによる種子供給量の不足などが、本県の農業者はもとより、全国的にも強く懸念されているところであります。
このような懸念を払拭するため、国におきましては、主要農作物種子法廃止後におきましても種子の品質が維持されるよう、これまで同法に基づき定めておりました変異株の除去や種子の発芽率等の種子生産の基準を種苗法の基準として新たに定めたところであります。さらに、これまで同法において定めておりました都道府県の役割や、種子の安定供給を行ってまいりました種子協会の位置づけにつきましても、新たに種苗法の種子生産ガイドラインに定める予定と伺っております。こうした国の動向も踏まえまして、県としては、今後も優良な種子を安定的に生産、供給する体制を堅持し、良食味で多収な新品種や県北地域に適した主食用米品種の開発に取り組んでまいりたいと考えております。
〇木村幸弘委員 国の新たなガイドライン制定の動きなどもあるようですけれども、一方では、日本の種子を守る会あるいは農業団体等からも種子の安定的な生産、供給体制の堅持を要請する動きなどがあります。こうした事情を踏まえながら、新たな法律や制度の確立などについて県としても積極的に国に対して求めるべきですが、所見を伺って終わります。
〇千葉副知事 新たな法律や制度の確立についてでありますけれども、県におきましては、主要農作物種子法廃止後におきましても、引き続き優良な種子を安定的に生産、供給する体制を堅持する必要があるものと考えておりまして、また、県内の農業団体から同様の御要望をいただいておりますことも踏まえ、国に対しまして、本県農業の重要作物である稲、麦、大豆の種子生産に関するガイドラインの制定や、県が行う種子の生産、普及に対する地方交付税措置の継続を要望してきたところであります。
また、先ほど申しましたとおり、国は、引き続き県等が関与して種子の生産、供給が行われるよう、その役割等をガイドラインに定める予定と伺っておりますが、こうした国の動向を注視しつつ、今後においても引き続き国に対して要望してまいりたいと考えております。
〇木村幸弘委員 以上で終わります。(拍手)
〇佐々木朋和委員長 お諮りいたします。時間もおおむね午後5時になりますので、続く総括質疑はあす行うこととしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木朋和委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。あす以降は、毎日午前10時から開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後4時55分 散 会

前へ 次へ