平成29年6月定例会 第9回岩手県議会定例会会議録

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〇39番(飯澤匡君) いわて県民クラブの飯澤匡でございます。
改選直後の代表質問から約2年ぶり、一問一答式の一般質問にあっては、約3年ぶりの質問になります。どうぞよろしくお願いいたします。
東日本大震災津波から6年と4カ月になろうとしています。改めて、お亡くなりになられました方には御冥福を、また、被災された方々にはお見舞いを申し上げます。そして、震災対応に、今なお尽力されている県職員を初め、関係者に敬意を表したいと思います。
ことしで達増県政10年となります。本来なれば、知事マニフェストを軸につくられた政策の評価を十分に議会もすることが必要と思いますが、東日本大震災津波という、とてつもない大きな事象が発生し、現在も、復興局を中心に、復興対応に県行政の大きなエネルギーを注入しているさなかであり、復興需要によって数値が変化している部分は否めません。例を挙げれば、知事の四つの危機の解消も政策目標に真に達しているかという評価の輪郭も私は定かになっていないと思います。
この震災が与えた影響を政策評価上でしっかりと押さえた上で、今回の質問は、この先の10年の課題と展望に関して、政策提言を交えながら未来志向で行ってまいりたいと思います。ただし、行政の品質管理をする上で、厳しい監査をすることは議会の使命でありますので、IGRの問題等、しっかりと評価するところはさせていただきます。
県の行政計画は、復興基本計画が平成30年度で期間が終了し、10年スパンの県民計画も同じく平成30年度で終了します。次なる総合計画に記される内容は、震災後の県のあるべき姿を映す大変重要な計画になると思われます。特に、2020年ディケードを本県がいかなる産業で発展をさせ雇用を確保しようとするのかは、重要な課題であると私は課題認識しています。
2020年以降は、これまでの経済発展則が通用しないとも言われ、また、生産年齢人口が大きく減少する中でいかなる策を打てるか、県行政の真価が問われます。
政府においては、我が国のみならず、先進国に共通する長期停滞を打破し、中長期的な経済成長を実現していくために、近年、急激に起きている第4次産業革命─IoT、ビックデータ、人工知能(AI)、ロボット、シェアリングエコノミー─等のイノベーションをあらゆる産業や社会生活に取り入れることにより、さまざまな社会問題を解決する未来投資戦略2017を閣議決定─第4次産業革命ソサエティー5.0─したところであり、それを受けて、経済産業省においては、もっと先の2030年代に向けて、どのような社会を目指すのかの新産業ビジョンを、産業分野ごとに具体的戦略案を既に発表しています。
人工知能の分野等は、国主導で動かす要素が大きく占めると感じますが、第4次産業革命も取り込んだ産業成長策も次期総合計画に盛り込むのは私は当然と思います。
一方、県内の震災復興の先にどんな岩手があるのかと、被災地のみならず、産業界からも県に求めている声が大きくなっていると感じています。
そこで知事に伺います。
第1に、新しい総合計画は、本年度後半には策定に着手するものと思いますが、現時点において、知事自身として、本県の産業発展軸には何を中心と考えておられるのか。
第2に、政府の成長戦略とは、どの産業でどのように呼応するつもりなのか。
第3に、被災地の産業振興と新産業の植えつけ、並びに広域的な産業創生における県の役割についてどのように自己評価されているのか。特に、戦略基地と位置づけている沿岸広域振興局のこれまでの成果を示してください。
第4に、第4次産業革命を視野に入れた人材育成についてどのようにお考えか。県内の社会システム、教育機関においてどうあるべきかを、また、どうすべきかを示してください。
第5に、本県経済を下支えしてきた復興予算が今後大幅に縮小していく中で、財政運営は大きく転換する必要があります。一方で、産業と人材育成の投資は必要不可欠であることから、新たな財源として、法定外目的税の導入について、県の考え方をお伺いします。
第6に、中長期的な産業振興策については戦略室等を設置し、民間の人材を積極的に活用していく方策を探るべきと前回の質問で提案していましたが、どのようになっているか、三陸地域の総合的な振興の観点からお伺いします。
次に、地域主権改革についてお尋ねします。
震災前は、国において、地方制度調査会の議論の中心は、地方公共団体から地方政府へと画期的な考え方が示され、税源移譲に関しても、国から地方へ大胆に促したと承知しています。
達増知事には、地域主権改革についてこれまで積極的な発信を認めることができませんが、次の10年の県の地域経営を考える上で、知事の地域主権改革の考え方は大きく県政へも影響を与えると考えますので、改めて、地域主権改革についての知事自身の考え方を示してください。
第31次地方制度調査会は、人口減少社会に的確に対応する地方行政体制及びガバナンスのあり方について政府に答申していますが、県が担うこれからの方向性として、広域連携の積極的な関与、それに付随する外部資源の活用、内部統制のあり方が強く打ち出されています。
広域連携等については、この後、一問一答でお尋ねしますので、ここでは、内部統制に対する県の対応方針についてお伺いします。
次に、ILCの実現に向けた県の取り組みについてお伺いします。
文部科学省で設置された有識者会議の作業部会の作業も大詰めを迎え、有識者会議全体の総括が公表されるという段にようやく到達してまいりました。有識者会議の答申は、政府がILCを実現、決定する上で重要なポイントであり、ここ1年が正念場と言われています。ところが、ILCを所管する文部科学省は、省内がごたごた続き、輪をかけて、米国を連携軸としてILC実現を図ってきたところですが、トランプ政権になって担当部局の人事がいまだに不透明とあって、予断を許さない状況にあると認識しています。しかしながら、このような状況下にあっても、本県としては歩を緩めることなく、着実に実現に向けた県のグランドデザインにかかわった将来図の策定、産業の育成、人材の育成等が一体となって戦略的に策定され、21世紀が環境の世紀と位置づけられ、自然と社会との調和が今日の世界の命題とするならば、その考え方に合致した独創的なグランドデザインを県が自信を持って積極的に主張し、働きかけるべきと考えます。このことは、本県の強みである自然豊富な地域資源を生かし、持続可能な未来社会をつくることにもつながると確信しています。
そこで伺いますが、まず、目前に迫ったILC実現に向けた最終段階における今後の詰めの取り組みを時系列にお示しください。
ILCの誘致に向け、県は組織を挙げて取り組んでいると承知していますが、地域への貢献など、県立大学としてのILC推進に向けた取り組み状況についてお伺いします。
次に、具体的に内容に踏み込んでお尋ねします。
ILC実現を想定して科学技術特区ということが期待されるわけですが、先進的な産業を主とした産業発展を軸としながらも、今日まで地域を支えてきた第1次産業をも成長産業に組み入れた産業成長戦略の策定状況とその内容についてお尋ねします。
また、社会インフラの中でも、特に研究者が優先的に整備を助言している学校と病院の整備方針についてお伺いします。
ILCに関連して、大船渡港を物流拠点とする動きが報道されました。私は示唆に富んだ考えと評価をいたします。ついては、今後の物流拠点と衝突予定地点までのアクセスの整備、言うまでもなく、新笹ノ田トンネル建設を含んだ国道343号の整備については必要不可欠であると考えますが、整備方針をお知らせください。
この後の質問は質問席から行いますので、よろしくお願いいたします。
〔39番飯澤匡君質問席に移動〕
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 飯澤匡議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、次期総合計画を策定する上での本県の産業発展軸についてでありますが、いわて県民計画第3期アクションプランでは、産業創造県いわてと食と緑の創造県いわての実現を掲げており、ものづくり産業や食産業、地場産業のほか、農林水産業や観光産業など、さまざまな産業分野の施策を総合的に展開しています。
一方、先月、政府が閣議決定した未来投資戦略2017において、第4次産業革命の波として掲げているIoT、ビックデータ、AI等は技術進歩が著しく、大きな産業発展に資する分野であり、また、人口減少社会で深刻な問題となっている労働力不足を補う上でも、極めて重要な分野と認識しております。こうしたことから、本県の地域経済を牽引する自動車や半導体関連産業、地域の特性と資源を十分に生かした農林水産業や食産業、観光産業、さらには、県民の安全・安心な生活を支える医療関連産業など、幅広い分野でIoT等を活用していくことが重要と考えています。
こうした認識のもと、次期総合計画の策定に当たりましては、これまでの取り組みや国の動向等を踏まえつつ、今後10年間を展望した岩手の強みと弱み、リスクとチャンスを分析した上で、産業界の御意見も幅広く伺いながら総合計画審議会において議論を進め、今後の産業振興の方向性を検討してまいります。
次に、県の役割に係る自己評価等についてでありますが、現在、沿岸地域では、三陸沿岸道路などの整備が進み、宮古-室蘭間のフェリー航路や釜石港外貿ダイレクト航路の開設を間近に控え、既に物流関連企業や製造業の新規立地が進むなど、ダイナミックな動きも出ています。
こうした中、沿岸広域振興局は、なりわいの再生に向け、被災企業の抱える課題の解決に取り組んでおり、いわゆるカイゼンの取り組みでは、導入企業での労働生産性が向上していますほか、大手コンサルタント会社と連携した被災企業に対する経営支援の取り組みでは、平成28年台風第10号の被災事業者も含めて、事業再開や経営の安定化につながっています。
また、新たな交通インフラを生かした取り組みも行っており、宮古-室蘭間のフェリーの就航を見据え、沿岸広域振興局と北海道の胆振総合振興局が連携推進に関する協定を締結し、両地域間での観光、交流の促進や産業振興等の取り組みを始めています。
今後も、沿岸地域の市町村や企業、団体のニーズを的確に捉え、地域とともに、三陸のよりよい復興の実現に取り組んでまいります。
次に、地域主権改革についてでありますが、地方自治体は、人材の育成や産業政策などの主役となり、住民に身近な公共サービスの提供をするとともに、国は、社会保障給付などの分野で国民を守るという、行政システムの確立が必要と考えます。その上で、地方のあるべき姿として、住民の生活に密着したサービスは住民に身近な基礎自治体が主体的、総合的に提供する役割を担い、県は、広域的な視点に立った産業振興や基盤整備、市町村の支援など、広域的、専門的なサービスを提供していくべきと考えます。
こうした認識のもと、今後10年の岩手を考えるに当たっては、市町村や各種団体、若者、女性や大学生、岩手にゆかりのある県外在住者など、できるだけ多くの方々に意見を求めながら、幅広い議論を行ってまいります。
その他のお尋ねにつきましては企画理事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔企画理事大平尚君登壇〕
〇企画理事(大平尚君) まず、ILCの実現に向けた取り組みについてでありますが、国においては、有識者会議における体制及びマネジメントの在り方検証作業部会が8月にも報告書を取りまとめる段階に入っており、その後、それまでの四つの作業部会の総括が行われるものと考えております。また、文部科学省と米国エネルギー省とで日米ディスカッショングループが設置され、コスト削減についての共同研究が開始されております。
さらには、世界の研究者間においても、ILCの初期建設コストを大幅に削減させるため、全長を20キロメートルからスタートさせ、その後、段階的に30キロメートルから50キロメートルまで拡張するステージングという方法が、ことしの8月の国際会議において承認される見込みと聞いております。
こうしたILCの実現に向けた状況から、東北ILC準備室では、ことし8月を一つの区切りとして、多文化共生の環境整備やILCの広報、東北のマスタープラン策定、コストを最小限に抑えた技術設計、加速器関連産業振興方策などを取りまとめることとしており、ステージングの国際承認とその具体的内容、建設コストの公表状況などを見ながら、さらに内容を詰め公表することとしております。
県においては、東北ILC準備室の活動に積極的に関与し、建設候補地として円滑な社会基盤整備や外国人研究者とその家族等の受け入れ環境の整備について、準備期間、建設期間、運用期間の各ステージに合わせた形で準備を検討しているところです。
これらの状況を踏まえ、県としては、国に対して東北の準備状況や経済波及効果を示し要望を行うなど、超党派国会議員連盟や東北ILC推進協議会など関係団体とも密接に連携しながら、ILC実現に向けて全力で取り組んでまいります。
次に、産業の成長戦略についてでありますが、ILCの経済波及効果は、医療、生命科学、新機能材料などへの応用や、さらには、土木、建設から研究施設の運用など多岐にわたることから、県としても、その効果が最大限発揮されるよう検討を進めているところです。
平成27年6月には、産学官で構成されるいわて加速器関連産業研究会を立ち上げ、加速器関連産業に係る勉強会や視察会を初め、ILCの中核となる加速空洞や高周波制御などの分野別の技術セミナーを開催し、現在、その会員数は178会員となっております。
また、高エネルギー加速器研究機構と工業技術センター等との連携も強化し、地元企業の加速器関連産業の参入に向けた研究開発も進めているところです。
ILCにおいては、研究者や技術者とその家族が数千人規模で居住するほか、施設の見学者も多数来訪すると考えられ、国内外とのつながりの拡大は、本県の農林水産業や食産業、観光産業にも大きな波及効果が期待されるところです。このため、1次産業については、ILCの排熱利用や地域農林水産物の新商品開発とその提供、効果的な国内外へのPR手法などについて検討を行っているところです。
これらの取り組みについては、今年度に部局横断で設置したILC推進研究会のもとに、産業振興分科会、地域資源活用分科会など、分野ごとの分科会を設置してさらに具体の振興策を検討しているところであり、特に加速器関連産業については、参入支援や研究開発、人材育成等を柱とする平成30年度からの4年間のアクションプランを年度内に取りまとめ、本県の加速器関連産業振興を推進していく考えであります。
次に、社会インフラについてでありますが、県では、平成25年のILC立地評価会議において、外国人対応の住居環境、教育、医療、文化施設は現状では不十分との指摘や、来県された外国人研究者からのヒアリングを踏まえ、庁内ワーキンググループでの課題整理を発展させ、部局横断の研究会による具体的な対応策を検討しているところです。
また、先般開催された文部科学省有識者会議作業部会においては、周辺環境整備については、国と県、市町村における分担について、今後、整理する必要があるとの報告書案が示されました。
この中では、生活環境については、バイリンガルな幼稚園、初等教育施設が不可欠、地域の救急医療、病院などの緊急時対応力の向上が必要であるとしております。このため、県としては、教育については、既存学校での受け入れ計画や、インターナショナルスクールの可能性についても調査検討を行うとともに、薬局、救急医療体制、医療通訳などの外国人対応の医療のあり方について関係者の意見なども聞きながら、一定の取りまとめを行い、地元自治体や関係団体との協議を進めるなどの準備を行ってまいります。
〔政策地域部長藤田康幸君登壇〕
〇政策地域部長(藤田康幸君) まず、政府の成長戦略との呼応についてでございますが、先月、政府が閣議決定した未来投資戦略2017では、工業社会、情報社会に続く新しい社会であるソサエティー5.0の実現に向けた戦略分野として、健康寿命の延伸、移動革命の実現、サプライチェーンの次世代化、そして快適なインフラ・まちづくり、金融とITの融合により新サービスを提供するフィンテックの五つの分野を中心に、国の政策資源を集中投資し、未来投資を促進することとしております。
一方、本県におきましては、産業を取り巻く環境の大きな変化に対応するため、平成27年3月に、新・科学技術による地域イノベーション指針を策定いたしまして、次世代自動車分野やロボット分野、健康長寿分野など七つの重点技術分野を設定いたしまして、科学技術による持続的なイノベーションの創出に向けた取り組みを推進しているところでございます。
国の戦略分野の本県の産業への導入につきましては、県の指針におきましても、例えば、健康寿命の延伸におけるICTやロボット技術を活用した福祉、介護や高齢者の見守り支援のための機器に関する技術開発ですとか、それから、移動革命の実現における本県に集積する自動車関連産業や、ソフトウエア産業と連携した高度センシング技術や制御システム技術を取り込んだ運転補助システムの開発などを盛り込みまして取り組みを進めているところでございます。
県といたしましては、引き続き、戦略の方向性や各戦略分野における具体の取り組み、また、今後、詳細が明らかになる関係省庁の平成30年度政府概算要求の内容などを注視しつつ、関係する産業分野や科学技術分野等への導入につなげてまいりたいと考えております。
次に、第4次産業革命を視野に入れた人材育成等についてでございますが、政府の未来投資戦略2017では、第4次産業革命の進展によりまして、価値の源泉がモノからヒト、人材、データに移行するとされているところでございまして、県といたしましても、新・科学技術による地域イノベーション指針によりまして、人材の育成、確保や研究開発基盤強化等の戦略を推進しているところでございます。このうち、人材育成・確保戦略といたしまして、県内の中学校や高校、大学等と連携した科学技術の理解促進と次代を担う人材の育成、そして岩手大学や県立大学、研究機関等と連携したイノベーション創出に向けた人材の育成などに取り組んでいるところでございまして、今後とも、第4次産業革命を視野に入れた人材育成を進めてまいりたいと考えております。
また、県内の社会システムのあり方につきましては、県内外のさまざまな知恵、情報、技術、人材の連携を促進するため、個人や企業、行政、大学、研究機関、団体など、あらゆる主体が重層的に、よりオープンなネットワークでつながることのできる社会システムを構築していくことが重要と考えておりまして、県の公設試験研究機関等の研究成果を、県民や企業等に横展開していく取り組みなどを行っているところです。
さらに、大学等の教育機関のあり方につきましては、さまざまな研究領域の情報や技術を融合いたしまして、イノベーションを通じて、社会課題の解決につなげていく教育、研究の実践が重要と考えております。
例えば、岩手大学では、本年度、大学院に総合科学研究科を新設いたしまして、理工学、農学などの研究領域の垣根を越えて地域課題の解決に取り組む地域創生専攻を設置したところでございまして、こうした新たな動きとも連携しながら、次代を見据えた人材育成を進めてまいりたいと考えております。
次に、民間の人材の積極的活用についてでございますが、県では、中長期的な産業振興策の一環といたしまして、三陸地域の復興のその先を見据えた総合的な地域振興の推進体制を整備するため、平成27年度に三陸総合振興準備室を設置いたしまして、この準備室が中心となって、平成28年4月に、公益財団法人さんりく基金を母体とした三陸DMOセンターを設置したところでございます。
三陸DMOセンターでは、総括コーディネーターや観光プロデューサーとして民間人材を配置いたしまして、観光の動態や経済に関するデータ等の調査、分析を行うとともに、三陸地域の交流人口の拡大と産業振興につながる観光地域づくりの取り組みの中核を担っているところでございます。
今後とも、こうした体制のもとで、三陸地域の総合的な振興に積極的に取り組んでいくとともに、推進体制の不断の検討の中で、必要に応じて、民間人のさらなる活用についても検討してまいりたいと考えております。
〔総務部長佐藤博君登壇〕
〇総務部長(佐藤博君) まず、法定外目的税の導入についてでありますが、県では、法定外目的税として、平成16年から産業廃棄物の発生抑制、再使用、再生利用、その他適正な処分に係る施策に要する費用に充てるための産業廃棄物税を導入しているほか、これまで、産業振興に関する施策推進のための県民税法人税割の特例措置や森林の公的機能の維持、増進を目的とした県民税の超過課税であるいわての森林づくり県民税を創設するなど、特定の政策目的を実現するための税制について、県民の理解を得ながら導入してきたところです。
産業振興や人材の確保などの施策を推進するための財源確保は重要な課題と認識しておりますが、新たな財源としての法定外目的税の導入については、受益と負担の関係を含め慎重に対応すべきであると考えています。
次に、内部統制に対する県の対応方針についてでありますが、平成28年3月、第31次地方制度調査会は政府に対し、地方公共団体のガバナンスのあり方として、公金を扱う主体である地方公共団体において、地方公共団体における事務が適切に実施され、住民の福祉の増進を図ることを基本とする組織目的が達成されるよう、事務を執行する主体である長みずからが行政サービスの提供等の事務上のリスクを評価、コントロールし、事務の適正な執行を確保する体制を整備、運用するよう答申しており、本年6月9日、長の内部統制に係る規定等が盛り込まれた改正地方自治法が公布され、平成32年4月から施行されることとなったところでございます。
県では、これまで、会計事務や補助、委託業務に係る自己点検及び会計実地検査、内部考査等の実施により事務処理の適正化に関する取り組みを進めてきたところでございます。
今後、県の財務に関する事務等の管理及び執行などについて、内部統制に関する方針の策定や必要な体制整備を進める必要がありますが、追って国から示される制度の詳細や他の都道府県の動向等も注視しながら、法改正の内容を踏まえ、適切に対応してまいります。
次に、ILC推進に向けた県立大学の取り組み状況についてでありますが、県立大学では、平成25年6月に、学長、副学長、学部長等で構成する岩手県立大学ILC推進会議を設置しており、平成27年4月に就任した鈴木学長は、みずから議長として学内をリードするとともに、東北ILC推進協議会東北ILC準備室長も務めるなど、関係機関等と一体となって、ILCの誘致及び誘致後の研究活動の円滑な推進に向けて取り組んでいただいているところでございます。また、本年4月から県立大学に駐在する企画理事を学長の特別顧問に委嘱するなど、学長の活動支援体制を強化したところでございます。
これまでの主な取り組みとしては、県内の産学公で構成するいわて加速器関連産業研究会によるILC技術セミナーを学内等で開催し、県内企業のILC関連技術の向上の支援に取り組んだほか、ILC誘致に向けた啓発活動や外国人の医療環境整備に向けた研究等も行ってきました。
こうした取り組みに加え、今後、県立大学としては、本県での外国人の日常生活や住居等の生活環境整備を総合的に支援する方策を研究するなど、ILCの推進に向け、県、市町村、関係団体等と連携して取り組んでいくこととしているところでございます。
〔県土整備部長中野穣治君登壇〕
〇県土整備部長(中野穣治君) 物流拠点とのアクセス整備方針についてでありますが、大船渡港をILCに関連した物流拠点と想定した場合の建設候補地までのアクセスについては、三陸沿岸道路から国道340号を経て343号を利用するルートがその一つとして考えられます。
ILC関連施設の建設に伴う資材の運搬については、運搬する部品の大きさや形に応じて、運搬するルート上に道路幅員やトンネル等の高さ、また、橋梁の重量制限などで支障となる箇所がある場合は、これらを解消するために必要な道路整備を検討していくことになります。
また、ルート上にある笹ノ田峠に新たなトンネルを整備することについては、県の公共事業評価を経ることや安定的な事業予算の確保が課題となり、ILCの実現へ向けた進展、特に、中央キャンパスや関連施設の立地場所や規模等の検討状況もにらみながら、所要の検討を行っていく必要があると考えております。
〔39番飯澤匡君「議長、議事進行」と呼ぶ〕
〇39番(飯澤匡君) 質問時間10分に対して20分答えているわけです。政府の第4次産業革命等について説明なんか要らないんです。端的に答えてください。もう10分も私の想定から時間をロスしました。議長もちゃんとそこら辺の御指導をお願いします。
〇議長(田村誠君) 答弁に当たっては簡潔にお願いいたします。
〇39番(飯澤匡君) まず、回りくどい質問をしましたけれども、知事に端的にお伺いします。
2020年、岩手県民は何を主体として、何の産業を基軸としてお金を稼いでいったらいいのかお伺いします。
〇知事(達増拓也君) 議員の先ほどの質問の冒頭の御発言の中でも、IoT、ビッグデータ、AI等、政府の未来投資戦略2017を引用して御指摘になったとおり、今まで高度情報社会と言われ、基本的に情報通信技術というものがネットと端末の中で大きく膨らんでいたわけでありますけれども、今やそれが自動車でありますとか、農機具でありますとか、至るところに広がって、そして場所的にも至るところで利活用できるようになる。そうなってきますと、岩手のもともとの得意分野であります農林水産業でありますとか、大きな潜在力を秘めている観光、今、チャンスを伸ばしている自動車関連産業など、それから半導体関連産業についても先ほど申し上げました。そして、第1次産業に関連すれば食産業、医療関連産業、そういったそれぞれの分野において、その担い手となる人たちが工夫と努力を重ねながら、岩手の産業を花開かせていくことが期待できると思います。
〇39番(飯澤匡君) まさに手がたい答弁なんですけれども、県民に対して、次の10年先というのは非常に見通しがつかない中でも、岩手としてはどうなんだと。かつて千田知事の北上総合開発計画は、確かにうまくいかないところもありましたが、ようやく花開いて、肉牛としての産地は名をはせるまでになりました。
私の質問の意図するところはそういうところにあるのですが、また同じような答えが返ってきますから、ここは指摘にとどめておきます。
復興後の産業について、私は大変気になるんです。大分前になりますが、3月12日に放映された日曜討論を見返してみました。宮城県と岩手県の知事が前半で参加いたしまして、復興後の県の産業振興についてが焦点でありました。特に復興特需後の産業の雇用や受け皿に関してが大きなテーマであったわけですが、知事からは、オールジャパンで全国から人、物、金を投入してほしい、希望している。そして、ちょっとこれはわからないんですけれども、産業構造の調整を果たしていくことで雇用先もちゃんと確保できるんだというお話でした。この産業構造の調整とは具体的にどういうことを指すのでしょうか、お知らせ願いたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 建設、土木関係に偏っている働き方を、もっと岩手の沿岸の風土や地域資源を活用したような産業にシフトさせていくということであります。
〇39番(飯澤匡君) その具体的先の明確な目標というのは何かあるんですか。
〇知事(達増拓也君) 岩手沿岸の風土や地域資源について、より具体的にという御質問だったと理解いたしますけれども、例えば水産業、漁業資源を生かした加工業については、今、いわゆるカイゼンということも導入されて、会社によっては東日本大震災前を上回る売り上げに伸びているところもあるんですけれども、人手不足ゆえに人手不足問題に直面していると。そういったところに、今、建設、土木のほうに取られている人手が移っていくことによって、経営者の希望する方向にさらに伸ばしていくことができるのだと思います。
同様のチャンスは農林水産業の1次産業の分野にもあり、陸前高田では新しい形の園芸農業が今伸びているところでもありますし、ごく一部の例しか出せませんでしたけれども、具体的にはさまざまな動きが期待できると思います。
〇39番(飯澤匡君) 知事のお得意とするボトムアップなのでしょうけれども、ここはやはり知事のリーダーシップが期待される。これは被災地の首長の方々も言っていることです。戦略基地である沿岸広域振興局は、私自身は、戦略基地として機能しているかという部分については、なかなかそれを見出すことができません。したがって、今後、やはり宮城県との競争という部分がありますから、総合計画の中で、何をもって岩手県をこれから引っ張っていくのかというのは、しっかり提案していただきたいと。これでは、被災市町村の地域の方々もなかなか理解できないのではないかと思います。
質問をたくさん用意していましたが、大分割愛いたしまして、ILCに関して伺います。
鈴木厚人県立大学長を抜擢したのは私は大変評価しております。しかし、この決定後、今まさに正念場を迎える中で、岩手の存在感というのが政府筋に伝えられていないのが私の実感としてとても残念です。例えばですが、情報発信力を強化するために、今、孤軍奮闘している山下先生を常時支援するなど、東京事務所に専任の要員を配置すべきではないかと思いますが、いかがですか。
〇企画理事(大平尚君) ILCの推進の県の体制については、昨年の12月、ことしの4月に、私も含めて人員を増強し、駐在も滝沢市、仙台市に置いております。東京大学の山下先生の活動についても、県立大学には特命課長も配置し、きょうも東京に出張させております。鈴木先生と山下先生も一緒でありますので、そのような体制の中でフォローしております。東北経済連合会にも1名置いておりますので、その課長にも山下先生を十分フォローするようにという職務命令をし、それはやっております。
今後、ILCがどういう局面になるか、ことしのステージングの進捗状況、国の予算の動向を見ながら、必要な体制については内部で検討してまいりたいと思います。
〇39番(飯澤匡君) 大変大きな正念場を迎えていると思いますので、遺漏なきようにやるところはしっかり人材を投資してやっていただきたい。
今回、県立大学に企画理事の大平さんがいらっしゃいますけれども、これは県の人事としては私は評価したいと思いますが、さらに必要なところに配置をお願いしたいと思います。
次に、産業と人材の確保の大きな大綱の中で、トヨタ戦略の見通しについてお伺いします。
豊田社長は、四つの荒波の自動運転、シェアリング、コネクテッド、電気自動車、これらはトヨタの存在を脅かしかねない大変な技術的な変化とし、2018年3月期は2年連続の減収減益会計を予想しています。
今後、本県ものづくり産業の主軸であるトヨタとの連携について、このような考え方を県はどのように把握して、また、影響を受けると想定しているか、対応と戦略をお伺いします。
〇商工労働観光部長(菊池哲君) トヨタとの連携についてでありますが、トヨタにおきましては、これまでも、もっといいクルマづくり・人づくりのスローガンに加え、未来への挑戦という意志のもと、いよいよ持続的成長の実行フェーズに入ってきたとして、今後も10年先、20年先を見据えた種まきを続けていくとの方針を示しているところでございます。
また、このような未来への投資を進めるとともに、もっといいクルマづくりの原点はコンパクトカーにあるということを明示しておりまして、その生産を担うトヨタ自動車東日本を中核に、東北の第3の国内拠点としての機能を高めておりまして、関連企業の集積も積極的に進めていくとトヨタから示されているところでございます。
県では、こうしたトヨタの東北での取り組みに対応し、本県を中心とした自動車関連産業の集積を一層促進するとともに、トヨタ自動車東日本、さらには主要部品メーカーなどとよく連携し、トヨタが今後重要な鍵と捉える新たな領域、例えばAI、ロボティクスなどにしっかりと対応、適応しつつ、本県の基盤技術産業群の信頼性と他のこれからの成長分野への応用拡張性を一層高め、さらなる地域産業の高度化に向け取り組んでいく考えであります。
〇39番(飯澤匡君) それでは、当然やっていると思われる豊田社長と知事とのトップ会談についてお伺いします。
知事は、東北6県と新潟県で構成するとうほく自動車産業集積連携会議の代表幹事でもあり、最新の情報を知り得る立場として、ただいま申し上げました四つの荒波などの本県に降りかかっているものをどうやってしのいでいくかということを、県民にも戦略を示す説明責任を有していると考えますが、常時やっていると思うんですけれども、庁内にどのような御指示を出しているのかお伺いします。
〇知事(達増拓也君) 平成18年にとうほく自動車産業集積連携会議を設立しまして、これは岩手県知事が代表幹事を務め、毎年、東北各県と連携してトップセールス等を行っています。その中で、トヨタ幹部に対し、産学官連携による幅広い分野の企業集積、競争力のある生産拠点形成、そして人材の育成、確保などについて提案し、意見交換しております。
岩手県は、これまで常に東北各県との連携の中心的役割を担っておりまして、今後においても、この連携を強化しつつ、岩手工場を中心としたサプライチェーンの構築やものづくり人材の育成、確保、定着、インフラ整備等を市町村や教育機関等とよく連携して進めるよう関係部局に指示しているところでありまして、引き続き一丸となって取り組んでまいります。
〇39番(飯澤匡君) それは現行の取り組みの延長上であるわけですが、私が質問の趣旨としているのは、これから先のことです。トヨタがかなり厳しい状況にある中で、本県が何を果たさなければならないのかということなんです。
宮城県の自動車産業振興室では、新聞記事によりますと、独自のサプライヤーの技術の必要性を訴え、同県が自動車関連企業向け支援として開くセミナーでは、自動運転など実在技術を意識したテーマを設定するなど、東北大学などとの産学連携による技術開発も推進していると報道されていますが、未来に向けて、このような産学連携についてどのような戦略を持っていますでしょうか、お伺いします。
〇商工労働観光部長(菊池哲君) トヨタのこれからの企業戦略と呼応した本県の産業振興、特に自動車関連産業の振興につきましては、先ほどトヨタの方針について述べましたとおり、現在進めているコンパクトカー中心の未来化についてのテーマが中心となると捉えております。
そういったことから、世界的な主要部品メーカーでもありますデンソー等の業容拡大を一層進めながら、その中で生まれてきます未来型の研究開発事業とともに地域産業も連携して取り組むことにより、厚みのある、対応力のある基盤技術産業群を形成することが、今後の未来を開いていく岩手の最大の強みになろうと考えておりまして、自動車関連産業のみならず、他の産業にも成長分野にしっかりと進出していける力強い基盤技術産業群を形成していくというのが、本県のものづくり産業振興の当面の目標となります。
〇39番(飯澤匡君) これもなかなか手がたい答弁でありまして、知事にももっと突っ込んだ、トヨタ戦略に呼応したというか、かゆいところに手が届くような本県の戦略を述べてもらいたかったなと。
宮城県ではみやぎ発展税等で財源も用意しながら、しっかりと対応している。かつてアクセルやミッション等、九州が自動車の集積基地としたものを東北に持ってくるとき、本当であれば岩手がそれを請け負うはず、それを目標とされてきたわけですが、しっかりとこれは宮城県にやられてしまった。東北全体でということを考えれば、それでいいかもしれませんが、この教訓は、地域間競争ですから、やはりしっかりとした情報を先んじて取って、これはやっていかなければならないと思うわけです。
小型車についても、今度は、新興国小型車カンパニーというようなダイハツ工業が主導するものもトヨタは警戒していますが、やはりそういう情報もしっかりと得ながらやっていくのが必要だと、このように私は指摘させていただきたいと思います。
次に、政府の未来投資戦略と連携した第1次産業の育成と現状課題の解決に関してお伺いします。
説明はいいですから、端的にお答えください。
中山間地における県の取り組みについて、国は、未来投資戦略2017において、中山間地の特色を生かした所得向上の自発的取り組みを促進するとしておりますけれども、県はどのように取り組むのかお伺いします。
第2点目は、県内土地改良区のストックマネジメントについて、県の考えを伺います。
事業規模や国営、県営の違いによって補助メニューが大きく異なり、要件に該当しない改良区は、今後、施設の管理、維持に大きな危機感を持っていますが、具体的な我が地元の事例として、藤沢土地改良区の課題認識と支援策を示していただきたいと思います。
〇農林水産部長(紺野由夫君) まず、中山間地域における県の取り組みについてでございますが、県といたしましては、農業者の所得向上と活力ある農業、農村を中山間地域において実現していくということが重要であると考えております。
このため、県では、中山間地域等直接支払制度や、県が実施いたしますいわて農山漁村コミュニティ活性化支援事業などを活用いたしまして、地域特産物の産地化や6次産業化、グリーンツーリズムなど、地域の創意工夫に満ちた取り組みを促進いたしますとともに、平成28年からは、岩手大学等と連携いたしまして地域リーダーの育成を支援しているところであります。
今後とも、こうした取り組みを通じまして、農業者の所得向上と、農村景観、伝統文化など地域の宝を生かす主体的な取り組みを促進いたしまして、個性豊かな中山間地域の振興を図ってまいります。
次に、県内土地改良区のストックマネジメントについてでありますが、藤沢地区につきましては、昭和57年度から平成10年度にかけまして、農業ダム2基、用水路50キロメートル等を整備したところでありますが、近年、施設の老朽化が進行しておりまして、土地改良区が行う維持管理に支障を来すことが懸念されております。このため、国が実施いたしました施設の機能診断結果に基づきまして、耐用年数が超過した水管理システムの更新や突発的に破損したパイプラインの改修など、緊急性の高いものから、県営基幹水利施設ストックマネジメント事業により対応しているところであります。
今後、ダムや用水路等の大規模な施設の改修など、高度な技術を要し、かつ多額の負担が生じることが想定されますことから、まずは国に対して、国営事業により対応していただくよう要望しているところでありまして、引き続き強く働きかけてまいります。
〇39番(飯澤匡君) 続けて、シイタケ産業再生のためのつなぎ融資について伺います。本県の特徴である特用林産物のシイタケ産業の再生についてお伺いします。
ようやく再生の緒についたと言えますけれども、課題はまだまだ多い。特に原発事故による被害からの立ち上がりのため、つなぎ融資の弾力的な制度設計について生産者から強い要望があったと、この間の東日本大震災津波復興特別委員会の現地視察でもそのような声が上がりました。県の今後の対応についてお伺いします。
〇農林水産部長(紺野由夫君) お尋ねのありましたこの融資制度におきましては、原発事故の影響により高騰する原木購入価格と震災前価格との価格差、いわゆるかかり増し経費の規模によりまして5段階の融資限度額を設定しておりますけれども、融資限度額がかかり増し経費を下回る場合がありまして、かかり増し経費全額を融資できない状況が生じております。このため、生産者の皆様からは、全額融資できるよう制度の見直しを要望されているところであります。
この要望を踏まえまして、県では、改めて生産者の皆様から詳細な要望内容等を確認するとともに、融資元となる集出荷団体から意見聴取を行うなど見直し作業を進めておりまして、問題点を整理しながら、スピード感を持って具体的な見直し方策を検討してまいります。
今後とも、資金繰りの円滑化や原木確保など、原発事故によって生じたさまざまな課題を着実に克服いたしまして、生産者の皆様が意欲を持って生産再開や規模拡大などに取り組むことができるよう対応してまいります。
〇39番(飯澤匡君) 紺野農林水産部長には私は大きな信頼を寄せていますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
次に、観光産業について伺います。観光産業における人材育成についてお伺いします。
我が国のGDPは550兆円を超え、600兆円に迫っております。先ほど来お話ししておりました自動車産業の占めるその割合は11兆円。政府が目標としているインバウンド効果による観光産業の実績は昨年度3.7兆円、2020年度目標は8兆円、2030年度は15兆円と自動車産業をも将来は凌駕する見込みになっています。
それを受けて、ホスピタリティーマネジメント、高度人材育成が求められるということで国立大学でもさまざまな検討がされておりますが、本県も戦略を持って対応すべきではないかと思います。
質問の第1点、観光産業における人材育成について、県の戦略を示していただきたい。
また、第2点、県立高校における人材育成について、県立高校の対応についてお伺いします。
〇商工労働観光部長(菊池哲君) 観光産業における人材育成についてでありますが、県といたしましては、大きく三つの柱を掲げ取り組んでいるところでございます。
まず1点目は、地域の観光をマネジメントするリーダーの育成についてということになりますが、これまで、いわて観光マネジメント人材育成セミナーなどを展開しまして先進事例の研究などを行い、特に平成27年度からは、三陸地域を題材とし、具体的な旅行商品の開発につながるモデル商品の研究などを盛り込むなど、より実践的な取り組みを実施しているところでございます。
二つ目は、事業者の経営改善や経営力の向上、強化についてでございまして、いわゆる経営革新、経営力向上に向けた支援、指導を展開しながら、いわゆるカイゼンの手法なども取り入れた個別事業者に対するコンサルティング事業なども実施してきているところでございます。その結果、県の補助事業を活用し、外国人観光客の積極的な受け入れに要する施設整備等を行う事業者も出できているところでございます。
三つ目は、従事する職員の定着とスキルアップでございまして、昨年度からは、県内の旅館、ホテルの勤務歴3年目までの若手社員を対象に、職業意欲やおもてなし向上を目的とした研修会を実施しておりまして、今年度においても事業規模を一層拡充し、取り組むこととしております。
今後におきましては、さらに各地域においてDMOの設立の動き等もあります。この動きとも連動しながら、DMOの中核となる人材の確保、育成を初め、それに参画する地域の観光事業者等における人材の強化にも一層注力してまいる考えでございます。
〇教育長(高橋嘉行君) 県立高校における人材育成についてでありますが、県立高校では、いわてキャリア教育指針に基づき、生徒が社会人として自立して生きるために必要な総合生活力と人生設計力の育成に学校教育活動全体を通じて取り組んでおります。
観光産業に携わる人材には、それぞれの地域の歴史、地理、文化に対する深い理解とともに、英語を含めたコミュニケーション能力や、訪れる方々をもてなすホスピタリティーなど総合的な資質や能力が必要であると考えており、これらの能力を育成するために、インターンシップや出前授業など、産業界の御協力もいただきながら取り組んでいるところでございます。
今後、本県では、インバウンド誘致の強化やラグビーワールドカップ2019の開催などにより、観光客の誘客、滞在なども大きく期待されておりますので、観光産業からの需要にも対応できるような人材の育成を含めたキャリア教育の充実に一層努めてまいります。
〇39番(飯澤匡君) 人材の育成というのは、一朝一夕にいかないわけですね。これは企業も大分苦労しているわけです。県には、これまで、産業育成、産業の振興に対しての所見も交えて私は述べさせていただきましたが、やはりいろんな種をまくということが、次の2020年代には必要なのではないかと思います。それが今だと思うんですね。そういう趣旨で知事にも質問したんですが、なかなかそういう画期的な答弁がなかったのは大変残念な思いでございます。
産業とこれからの人材の育成の確保について、これは大きなテーマともなっておりますので、今後も、私も注視をしながら、提案または質問させていただきたいと思います。
次に、エネルギー政策について伺います。
政府の示した2030年度までのエネルギーのベストミックスにおける再生可能エネルギーは、太陽光と風力は合計で9%弱にとどめる一方で、安定して発電できる地熱や水力、バイオマスは最大15%まで引き上げるなど、メリハリをつけるとされています。県は、再生可能エネルギーによる電力自給率を2020年度までに35%とする目標としています。
最近見ておりますと、太陽光発電などは、点としては普及していますが、面となった系統的な再生可能エネルギー政策には、到達していないのではないか。何より、地域産業の貢献にも結びついていない。被災地においては、再生可能エネルギーを生み出し、活用を図り、より一層効果を上げるため地産地消のモデルをつくり、その延長上に国の研究機関をも呼び込むようなインパクトがなければ成果は上がらないと私は思うわけですが、県はもっと地域にお金が落ちる仕組みを考えるべきであると考えますが、いかがでしょうか。
〇環境生活部長(津軽石昭彦君) 系統的な再生可能エネルギー政策についてでありますが、岩手県における再生可能エネルギーによる電力自給率は、直近データの平成27年度においては21.1%となっており、地域に賦存する再生可能エネルギー資源を有効に活用して順調な導入が進んでいるところであります。
県では、特にポテンシャルが全国的にも優位な風力と地熱につきましては、重点的にこれを進めていく必要がありますことから、風力につきましては、風力発電導入構想を策定いたしまして、この中で適地を示しまして戦略的な誘導を図っているほか、地熱につきましては、再生可能エネルギー導入支援マップなどにより、環境や地域と調和した導入に努めているところであります。
今後、風力発電につきましては、メンテナンス業務の拡大なども期待されますことから、こうした関連産業への本県企業の参入も見据えまして勉強会を開催するなど、被災地も含め、再生可能エネルギー導入による地域経済の循環を一層高める取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇39番(飯澤匡君) 海洋エネルギー関連産業創出ビジョンを示しておりますが、なかなか被災地の産業に結びついていないというのが私はとても不満です。これは環境生活部というよりも、政策地域部の中でしっかりと戦略を持って、これは対応すべきだと考えます。
次、知事の原発政策について伺います。
2012年、嘉田由紀子元滋賀県知事は、新党日本未来の党を結成し、この政党の結成を受けて、小沢一郎氏が代表を務めてきた国民の生活が第一を解党した上で、党ごと合流するということを決定いたしました。そのお膳立てをしたのが達増知事とされています。その新党日本未来の党の政策の代表的なものは卒原発でありましたが、現在の達増知事の原発政策は、この卒原発という考えでよろしいか。原発稼働再開についての考え方も、この際お示しをいただきたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 6年前の東日本大震災津波による原発事故の影響によって、本県でも、放射性物質に汚染された農林業系副産物の処理、原木シイタケの出荷制限、風評被害対策、汚染廃棄物の処理など、今なお大きな問題となっております。
全国的にも、原発事故以降、国民の間で原子力の安全性に対する信頼が大きく揺らぎ、エネルギーに対する問題意識や再生可能エネルギー導入への意欲が高まっており、原発の再稼働についても、こうした意識の変化を踏まえた対応が求められているものと考えます。
嘉田元知事の卒原発の理念の中には、省エネルギーや再生可能エネルギーの普及の考え方も含まれると聞いておりまして、これについては、岩手県として積極的に取り組んでいるところであります。
〇39番(飯澤匡君) 再稼働についてはどうですか。
〇知事(達増拓也君) 今、原発の再稼働についても、東日本大震災津波による原発事故以降の国民の意識の変化を踏まえた対応が求められていると考えております。
〇39番(飯澤匡君) なかなか率直な答えが出ないのは残念でありますが、達増知事は、かつて国会議員のときに、これは平成18年2月24日の経済産業委員会において、中国に負けないほど原子力発電所をつくろうというわけではないのですが、戦略的に、特に技術の問題、核燃料サイクルにかかわる技術は高いものがあるわけですから、そうした戦略的な政策というものが必要だと発言していますが、現在、この発言から見ますと、原発政策は維持すると。国会議員当時の考え方だと思うんですが、ということは、今では考え方が変わって、先ほどの答弁を引用しますと、この当時とはまるっきり考え方が変わったということでよろしいですか。
〇知事(達増拓也君) 自由党の衆議院議員だったころのことを今引用されたのかと思いますけれども、引用のとおり、技術の研究というのは大事だという趣旨でございますし、また、当時、自由党国会議員団でトリウム溶融塩という、ウランがプルトニウムになるような今ある原発はやはり危険で、こういうのはなくしたほうがいいと。それ以外の技術の可能性を、勉強会を開いて勉強したりもしておりまして、当時から、安全なエネルギー体系というものを思考していたなということを思い出します。
〇39番(飯澤匡君) これは国等のいろいろなエネルギー政策がありますが、これはやっぱりはっきりしておかなければならないのは、ILCが実現した場合、原発がなくともできると、そんな大きな電力がなくてもできるわけです。この間、女川の原子力発電所の視察をさせていただきましたが、東電事故で課題となった非常電源、冷却水の確保、これは4、000億円をかけてバックアップをしているわけです。
またしつこく聞きますけれども、では、東北電力が、今後、女川原発再稼働を本県に要請した場合、どのように返答するのかお伺いをしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 最近ちょっと余り表立って議論にはなっていないんですけれども、岩手県としては、女川原発を中心とした半径何キロメートルで岩手のどこがかかってくるか、そこに住んでいる人たちの考え方とかも大事だと思いますし、これから提案されてくる技術的なものと、それに対する岩手への関連というものをにらみながら対応していくのかなと思います。
〇39番(飯澤匡君) はっきりしない様子なんですけれども、そういう答弁だろうとは覚悟をしておりました。いずれにしても、エネルギーミックス、ベストミックスの中で今政府が掲げているのは、原発についても21%は維持をするという考え方ですから、その際にも、本県の対応というのは、そのアクションプランが発動されたときに対応を迫られるんだろうと思います。
それでは最後、IGRの件についてお伺いします。
大分質問を割愛されてちょっと不満なんですけれども、IGRについてお伺いしたいと思います。
改めてIGRの連続不祥事に対して、知事はどのように思っているかお伺いします。
〇知事(達増拓也君) 当初伺っていた質問の一番最初の質問とは違う質問……(39番飯澤匡君「感想ですから、記者会見で言っている同じようなことを」と呼ぶ)はい。まず、今回の不適切な事案につきましては、県出資法人としてまことに遺憾な事態であり、IGRには再発防止そして県民の信頼の回復に向けた取り組みをしっかり進めてもらいたいと考えています。
IGRでは、今回の事案を踏まえて、新たに選任された専務取締役をトップとする業務改善チームを設置して、再発防止策の徹底と継続的な社内業務の改善等を図るとともに、監査役会がその実施状況を監視、検証していくとしていますけれども、県としては、この出資法人の適正な事業運営を確保する観点から、今後定期的な状況把握を行いながら、指導監督の一層の強化を図り、その責務を果たしてまいりたいと思います。
〇39番(飯澤匡君) その先の答弁までいただいたんですが、もう一回端的な質問です。黒字から赤字転落になったということが発覚したという報告を受けたときに、知事は、IGRの社長に直接どのような対応をしたのでしょうか、お伺いします。
〇知事(達増拓也君) ちょっと聞き取れなかったところもあるので、きちっとした答弁になるかどうか……(39番飯澤匡君「では、もう一回言います。」と呼ぶ)
〇39番(飯澤匡君) 会長職ですから、こういった連続不祥事はただいま遺憾と申されました。このように、県民の信頼を失うような事象が連続してあったわけですから、普通であれば、知事は会長職であるということもあり、県民の代表でありますから、IGRの社長を呼んで何か言うべきが普通であろうと思うわけですが、そのことについてどういう対応をしたのか、お伺いします。
〇知事(達増拓也君) ちょっと今、事実関係について思い出しながらの答弁となりますけれども、IGR社長から株主総会や取締役会の進め方に関する、これはIGR社長からだったか県の担当部局からだったか、ちょっと今、正確に思い出せないんですけれども、いずれ、IGR株主総会と取締役会への会長としての出席対応の事前説明の中で、今回の不適切な事案についての説明も受けましたけれども、同時に、再発防止等の概要についても説明を受け、そうしたことがきちっと行われるようにというようなやり取りをした記憶がございます。
〇39番(飯澤匡君) 知事は、赤字に転落した時点で、この原因等もただいま説明がありましたけれども、理解した上で、専門家である監査委員等から助言は求めなかったでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 監査委員とおっしゃったか、IGRの監査役は株主総会で報告があり、先ほど述べたような事後の対応をとる旨、そこで確認したところであります。
〇39番(飯澤匡君) 私は企業人でありますから、企業の不祥事についてはやはり社長が責任を持ってやると、対応するというのがこれは普通であろうと思うわけです。
社会的にこれは非常にダメージを受けたと思いますが、第三セクターとして、これは県民の足を守るという意味においても、公的な使命を負っているわけであります。赤字修正は、決定的に経営者の経営管理能力が疑われる重大な問題と考えますが、ましてや、この会計科目を錯誤で済まされる問題ではありません。IGR経営責任者である社長は、なぜ処分されないのでしょうか、不思議でなりません。なぜ処分されないのでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 今回の不適切な事案については、県出資法人としてまことに遺憾な事態であるわけです。IGRには、再発防止と県民の信頼の回復に向けた取り組みをしっかり進めてもらいたいところでありまして、社長を初めとするIGR経営陣に対しては、再発防止と信頼の回復に向けて取り組むことが重要な責務であると考えておりまして、県としても、これに全力を挙げて取り組むよう要請しているところであります。
〇39番(飯澤匡君) 経営責任者というのは結果責任だと思います。私も大変微力ながら一企業人に身を置いているわけですが、内心じくじたる思いです。今回の件についても私も反省する部分もあるわけですけれども、この二つの事案は、いずれ発生プロセスに大きな問題があります。
着服事案は、本人が申告するまで発見できなかった。普通の会社がやっている月末締めの管理もやっていない、でたらめな出納管理をしていたことになります。
赤字転落については、昨年の12月19日の取締役会で純利益が4、500万円と報告しながら、外部監査法人の指摘を受けて、5月上旬ぎりぎりになって約7、000万円の収支違いというのがありました。常勤監査役は何をしていたのでしょうか。パソコンや鉄道輸送システムのリース費用が漏れたと。知事はあらかじめ計上すべきなどと言っていますが、こういう大型物件の購入時には、あらかじめ減価償却をどうするかを考えるのが、経営者なら当たり前であります。台帳さえも作成しなかったのではないか。キャッシュフローは確保されていると私は信じたいが、このままではわかりません。
このようなさまは、会社としては基本中の基本がなっていない。これは全て結果責任である社長が責任を負うべきであります。しかも、第三セクターの会社で公的な使命を帯びている会社であります。余りに不祥事の質が悪過ぎる。それも連続であります。菊池社長は、全ての責任は自分にあると言っているのですから、責任をとらせたらいいのではないですか。なぜやらないんですか。
〇知事(達増拓也君) 先ほども申し上げましたけれども、さきの株主総会またそれに続く取締役会の中で、IGRとしては、専務取締役というポストを新たに選任し、その専務取締役をトップにして業務改善チームを設置したと。そして、再発防止策の徹底と継続的な社内業務の改善策を図り、また、御指摘がありましたが、監査役会としてもその実施状況を監視、検証していくということとしているところであります。そして、県としては、そうした会社に対して定期的な状況把握を行いながら、指導監督の一層の強化を図って、この指導監督の責務を果たしていくということでございます。
〇39番(飯澤匡君) 業務改善チームの設定によって責任が回避されるというのは、これはにわかに私は本当に信じがたい。この点については後ほど指摘をしますが、IGRのステークホルダーは県民であります。筆頭株主である県の管理責任も問われると思いますが、いかがでしょうか。責任の所在を県民にどのように説明するのでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 今回の不適切な事案のうち、まず着服事案に関しては、再発防止策等の実施状況について、当面の間、県に定期的に報告するとともに、報告に基づいて県が行うヒアリングや実地調査に対応するよう、県からIGRに対して文書で要請をいたしました。
そして、財務会計処理に関しては、IGRでは複数の部署、担当者による多重チェック体制を強化し、期中の営業計画や収支見通しの管理を一層徹底するとしておりますところ、県としては、その取り組み状況について随時報告を求め、取締役会の場などでも意見を述べていくということでございます。
そして、業務改善チームと監査役会の監視、検証についても、定期的な状況把握を行いながら、指導監督していくというところでございます。
〇39番(飯澤匡君) それでは県民は納得しないと思いますよ。まず、私が納得しない。それほど知事が非常に遺憾であると言いながら、株主総会で一言も発言をしなかったと。県民に対する説明、それに社長に対して意見を言える立場であるのは、会長職である知事しかいないと思うわけですが、なぜ株主総会でこの不祥事に対して発言をなされなかったのか、私は不思議でならないのですが、なぜですか。
〇知事(達増拓也君) 株主総会で、議事におきまして、平成28年度の事業報告、計算書類が報告され、利益剰余金の処分承認議案そして取締役、監査役の選任議案が付議されたわけですけれども、いずれも内容に異議がなく、出席していた株主からも発言がなかったものであります。
IGRから、着服事案の概要の報告があり、社長からは、着服事案と平成28年度決算における財務会計処理の錯誤等について陳謝があり、これに対し、改めて確認すべき点もなかったということで、私としても出席していた株主と同様、発言をしなかったものであります。
〇39番(飯澤匡君) 第三セクターの弱みを非常に感じる、そういう内容でございます。今までの答弁は、これから再発防止に努めれば、社長の責任は回避されるという論調で答弁をなされていますが、業務改善チームを編成して再発防止を図るということは、社会通念上、通らない。第一に、新たに専務を置くということで役員報酬は増大します。そして、そもそも社内に改善チームを設置するということは、社長に解決能力がないと理解されるのではないですか。社長は専務より格上で、その改善チームが具申したものが、社長によってほごにされる可能性だってあります。赤字を生んだ営業方針を県は認めたことと、これは一般社会では理解される可能性もある。経済界や金融界の反応は、知事には聞こえていないんでしょうか。私はこのような再発防止策を図ることが、県民に説明責任を果たし、また、責任をとるということには絶対にならないと思うわけですが、再度お伺いします。
まだ言いますか。業務改善チームをもって再発防止を図るということが責任を果たすことだと思いますか。
〇知事(達増拓也君) 議員のおっしゃるとおり、さまざまな問題意識、また、御指摘もあると思いますので、そういった御意見も参考にしながら、会社としては、会社のガバナンスとして株主総会、役員会の決定に基づいてしっかりとしたガバナンスを行っていく、そして県は、県出資法人に対する監督責任として、きちっとそれを見ていくというふうにしてまいりたいと思います。
〇39番(飯澤匡君) 私は前段で内部統制の話をしました。地方制度調査会のこれからの地方に対する監査のあり方についても言及されています。また、出資法人等のあり方についても、昨年度、より一層、透明性を明らかにせよというような通達が来ているわけであります。どうも流れと逆行するようだと、とても私はそういう思いをしています。
知事、私は申し上げますが、こうした曖昧な処分は県自体のガバナンスも問われることになると思います。つまり、県民の信用を落とすような失策をしても、事後対応さえすれば、責任逃れできるということを庁内に示しているようなものではありませんか。私は、今回の第三セクターのこの処分を厳正にしなければ、本当にこれは今回の処分というのは県政のガバナンスと一対の鏡だと思うんですが、知事はこういうことは認識していないのでしょうか、お伺いします。
〇知事(達増拓也君) 処分という言葉、先ほど申し上げたとおりでございまして、株主総会での決定そして取締役会での決定、ちょっと言葉は不正確かもしれませんけれども、IGRの中期計画とそれに基づく年度ごとの事業内容というものを株式会社のガバナンスに従って決定する中で、社長の役割やまた経営のあり方についても決定したところでございますので、県としては、それがしっかり株主の意思、ひいては県民の意思に沿ったものになっているかどうかを、しっかりチェックしてまいりたいと思います。
〇39番(飯澤匡君) 知事、株主総会を一つの決定の機関として、それを動かしていくことを基礎としていますけれども、実際問題、県は54%出資して、株主の中は沿線の市町村であったり、いわゆる関係者なんですね。岩手県が50%以上持っているということは、最終的には県が何とかするだろうと、県がやっていることに従わざるを得ないというような考え方、これは少なからずあると思いますよ。そういう内容を見て、やはりこれは厳正に対処するということをやらなければ、今後いろんな意味で私は危険な部分が出てくるのではないかと思います。
私は、県民の信頼を回復するには、抜本的な外部からの改革が必要だと思います。内部の業務改善チームなんて甘い対策ではなくて、県が54%を出資している責任から、徹底的な外部監査をするのが筋と思うが、いかがですか。
赤字になったからには、関連事業の収支、採算ベースに至るまでの年次事業計画等、県民の目に明らかにするのは当然だと思いますが、いかがですか。
〇政策地域部長(藤田康幸君) ただいまの御質問につきまして、先ほど議員が御指摘されました業務改善チームのほかに、外部からの人材ということで監査役会がその実施状況を監視、検証していくということで、その監査報告書の中でもそういったことがうたわれております。
また、監査ということにつきましては、外部監査ということで監査法人の監査が義務づけられておりまして、これも毎年度、会社法の規定に基づいてしっかりやっているということでございまして、引き続き、そうした体制で監査をやっていくということでございます。
〇39番(飯澤匡君) はっきり申し上げて、今のIGRは経営管理体制が全くなっていません。社長と現場の心が離れています。何が起因しているのか、言うまでもありません。会社の屋台骨がきしんでいます。現に、7月1日に、IGR小繋駅で、下り列車が70メートルオーバーランする事案が発生しました。これは、この会社の管理体制がなっていない象徴だと思っています。緩んでいるのではありませんか。経営陣を刷新して立て直すべき、私はそういう時期に来ていると思いますが、あえてこの問題についてお伺いします。
関連事業の拡大に終始し、本業を忘れた会社の末路は決まっています。早く軌道修正するのが県の責任です。知事は、群れの危険をいち早く察知して、県民の安全を確保するのがリーダーとしての役目と本会議で発言しました。
ここにIGRの苦しんでいる社員がいます。私のもとにはたくさんの匿名で、社長に対するいろいろな発言が届きますが、最近のお便りは、会社が潰れてしまう、県は何をやっているんだというような悲痛の声ですよ。知事は、この会社がおかしくなってしまう問題意識を持った社員がいるということを重く見て、IGRの経営改革には真正面から取り組み、一日も早く解決すべきと考えますが、いかがですか。
〇知事(達増拓也君) 小繋駅でのオーバーランについては、盛岡-八戸間は、IGRの運転士と青い森鉄道の運転士が交代、入れかわりながら運転する中、青い森鉄道の運転士が、ちょっと正確な表現ではないかもしれないけれども、報道によると、ぼーっとしていたということだったようでありますけれども、オーバーラン後、IGRのほうでは、小繋駅利用者に急遽タクシーを配して目的地に送るといったことを速やかにやったと聞いております。
ことし、15周年を迎えるIGRでありますが、県民の県民鉄道として、その県民鉄道という名にふさわしいようなIGRとして利用者の皆さんの信頼に応え、そして県民の信頼にも応えられるよう、取締役体制、専務職の信任もあって強化されたところでもありますので、15周年を超えてさらに力強く進んでいくよう、県としてもしっかり対処していきたいと思います。
〇39番(飯澤匡君) まことに残念な答弁でありました。
以上で質問を終わります。(拍手)
〇議長(田村誠君) 以上をもって飯澤匡君の一般質問を終わります。
〇議長(田村誠君) この際、暫時休憩いたします。
午後2時34分 休 憩
出席議員(48名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 臼 澤   勉 君
3  番 千 葉 絢 子 君
4  番 ハクセル美穂子 君
5  番 菅野 ひろのり 君
6  番 柳 村   一 君
7  番 阿 部 盛 重 君
8  番 佐 藤 ケイ子 君
9  番 佐々木 宣 和 君
10  番 川 村 伸 浩 君
11  番 田 村 勝 則 君
12  番 工 藤   誠 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 吉 田 敬 子 君
15  番 佐々木   努 君
16  番 千 葉   進 君
17  番 佐々木 朋 和 君
18  番 名須川   晋 君
19  番 軽 石 義 則 君
20  番 神 崎 浩 之 君
21  番 城内 よしひこ 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 佐々木 茂 光 君
24  番 高 橋 孝 眞 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 工 藤 勝 博 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 高 橋   元 君
32  番 関 根 敏 伸 君
33  番 岩 崎 友 一 君
34  番 嵯 峨 壱 朗 君
35  番 中 平   均 君
36  番 五日市   王 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 小野寺   好 君
39  番 飯 澤   匡 君
40  番 渡 辺 幸 貫 君
41  番 佐々木 順 一 君
42  番 田 村   誠 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 工 藤 勝 子 君
45  番 樋 下 正 信 君
46  番 柳 村 岩 見 君
47  番 千 葉   伝 君
48  番 工 藤 大 輔 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時53分 再 開
〇議長(田村誠君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第1、一般質問を継続いたします。菅野ひろのり君。
〔5番菅野ひろのり君登壇〕(拍手)

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