平成29年6月定例会 第9回岩手県議会定例会会議録

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〇46番(柳村岩見君) 議席番号46番、自由民主クラブの柳村岩見でございます。
今定例会において一般質問の機会をいただきました先輩、同僚議員の皆様に感謝を申し上げます。
質問はわかりやすくを心がけ、項目、要旨通告のほかに全文提出とし、答弁をいただく前から再質問を用意しておりませんので、答弁は明快にお願いを申し上げます。
まず、県政運営方針5点についてお尋ねいたします。
東日本大震災津波被災から6年3カ月がたちました。改めて、とうとい命を失われた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。
現在の県復興計画は平成30年度までで、平成31年度以降の復興に関する計画については次期総合計画に位置づけるとされております。この流れは国の復興期間10年にも合わず、国の復興期間であるにもかかわらず、未曽有の被災県である岩手県に復興計画の名の計画がなく、総合計画に位置づけられているという状況をつくります。今後も復興にかかわる要望活動やヒアリングの機会は数多くあり、十分時間をとってのもの、短い時間でのもの、多くの分野や要望先、説明先も考えられます。そのプレゼンテーションの手段として、十分踏み込んだ内容の復興計画、コンパクトにまとめられたものがその都度必要になり、この総合計画の中に書き込まれておりますでは済まされない場面があると存じます。
長い年月によってつくり上げられた生きる場を一瞬で失い、10年でつくるということは、できた後に多くの課題を抱え、解決していかなければなりませんし、被災の風化とも戦っていかなければなりません。
県では、原則として、国の法律で策定が義務づけられる場合や条例の規定に基づく場合を除いて部門別計画はつくらない方針ですが、私は、復興計画は部門別計画と分類してはいけないと考えます。復興計画は単独でもあるべきではないでしょうか。
最近、政府関係者から、復興がおくれている町があり、あと4年で復興できるかどうか不安を持っている首長がいると支援体制を維持する必要性に言及し、復興庁の後継組織について、被災地域に配慮した組織をつくりたいとの見解もあります。今後に向けた復興計画のあり方についてお尋ねいたします。
広げよう感動。伝えよう感謝。のスローガンのもと開催された希望郷いわて国体、希望郷いわて大会は大成功のうちに終了いたしました。大会準備、運営に携わった全ての皆様、御声援をいただいた県民、全国の皆様、選手、役員の皆様に敬意と感謝を申し上げます。岩手県民の皆様には、多くの感動を胸に、やり抜いた、やってよかったと長く心に残り続けるものと存じます。
この国体、平成19年9月5日、本大会開催内々定を得て、平成20年1月15日、第71回国民体育大会岩手県準備委員会を設立、準備に入っておりました。3年後の平成23年3月11日、東日本大震災津波が発生。翌月、4月25日の知事定例記者会見において、5年後の開催に向けた準備を予定どおりの形で行うことは難しいと見解を表明されました。平成23年度予算で見込んでいた選手強化や関連施設整備を取りやめることを正式に表明し、その上で、5年後の開催について、現状分析として難しいとの認識を示され、開催断念も視野に関係団体と協議に入ることを明らかにしたという経過があります。
現状を分析して難しいと考える判断が率直で正しいものでも、開催の負担がクリアできても、開催しない結果、もたらすことの重大さはそれぞれ別であります。
県内各団体からの要望や県民の声、日本体育協会の全面協力の姿勢に後押しされて、平成23年12月6日、県議会12月定例会において、国体を平成28年に開催する旨の知事答弁がなされました。
できなかったことを悔やむより、しなかったことを悔やめという教えがありますが、開催できなかった場合の対外的影響や岩手県民の底力など、いわゆるレガシーを得ることができなかったことについて、知事の所見をお尋ねいたします。
希望郷いわて国体では、岩手県は男女総合成績、女子総合成績とも第2位を、希望郷いわて大会では、県史上最多となる139個のメダルを獲得し、それぞれ立派な成績をおさめました。岩手県選手、役員、関係者の皆様に敬意とお祝いを申し上げます。
国体の目標順位は8位以内ということでした。8位に相当する点数は、開催県がエントリーできる全ての種目、種別で選手等が1回戦を突破したときの得点に個人競技等の入賞得点を加えたものに相当するとのことであります。順位目標を決めることも、目標を持つことも大事なことであり、その目標を決めるシミュレーションもまた幾重にもあることと存じます。
8位以内は2位も1位も入っているとのことですが、8位と2位の間までには7位分の順位が含まれます。目標を持つ意味の上から、これでよかったのか、私は疑問を持っております。
競技別総合優勝が2競技、36競技172種目、種別で入賞した結果を見ますと、8位以内相当の得点から積み上げの思考が停止して、その後のチームや選手の力を把握しなかったか、できなかったのではないでしょうか。目標の意義、設定方法等の御認識と今後への教訓についてお尋ねいたします。
希望郷いわて国体、希望郷いわて大会の成功や経験を踏まえて得た自信、誇り、地域の力、きずな等のレガシーの継承と高まる文化、スポーツへの期待、それに伴う行政ニーズに応えるため、文化、スポーツ関連施策を知事部局に一元化する文化スポーツ部を今年度当初よりスタートさせました。この新部に大いに期待するところであります。
この新部は、新しい部の特徴と、設置が拙速であったこともあって、スポーツ部門で見ても、スポーツ施設9施設を4月から所管しましたが、今は指定管理者制度の時代であり、実際に磨いたことはありません。持っているのは、国体・大会のレガシーだけであります。それなら政策を持っているかというと、県営体育施設のあり方を検討する有識者会議は教育委員会に設置され、できたものを4月1日付で所管となりました。指針とする岩手県文化・スポーツ振興戦略を見ても、とても施策一元化されているとは言えず、おおむね5年間と期限を区切ってのものとなっております。
県では、このたび、岩手県文化・スポーツ事業推進本部を設置いたしました。文化、スポーツ振興に係る部局横断的な取り組みを戦略的に進めていくための設置とのことですが、部局横断的に取り組むことと、文化スポーツ部に施策を一元化することとは別のことであります。
新設された文化スポーツ部が、今後、所管されたものを磨き、政策をみずからのものとして一元化を果たしつつ成長、発展していかなければなりませんが、その工程と方向性についてお尋ねいたします。
少し気になって、改めて、職員の職務に係る倫理の保持に関する条例と、その規則を読んでみました。この条例と規則は、平成13年3月30日、制定されております。地方公務員法、警察法、地方公営企業法や地方自治法からの引用が多いようで、その表示が随所にあります。もともとこの条例の制定以前に諸法令で定められている内容であります。
この条例の中で、何人も任命権者に対し、保存されている贈与等報告の閲覧を請求することができるというところが、報酬の価額が1件につき2万円を超えるものに限るとされていますが、それ以下のものであっても閲覧の対象としていいものもあるのではないかと考えます。わかりにくい内容となっております。
制定から16年、条例を制定しなければならなかった背景から、職員の倫理は向上し、コンプライアンス全体の遵守が醸成されてきているのではないでしょうか。
東日本大震災津波被災からの復興や、いわて国体、いわて大会で見られるように、オール岩手で官民挙げて取り組む必要を自覚するとき、諸施策の推進に当たって、各分野の皆様と、型どおりでない質の高い情報交換が必要ですが、このことが、条例や規則ではなく、高い志のもとに果たされることを願います。
改めて、この条例、規則の意義と運用状況、必要性についてお尋ねいたします。
知事の政治スタンスのことでありますが、知事は、答弁を初め定例記者会見等において、政権与党に忠誠心を見せないと不利益を受ける社会になったら終わりだと述べられております。全くそのとおりであり、そのような社会ではありません。不利益を受けることがなく平等でありますが、その先にも正しく有意義である世界が存在いたします。岩手県民の代表として、知事の所感をお尋ねいたします。
農林業の振興についてお尋ねいたします。
農畜産業をめぐる状況について、統計で見る産業としての岩手畜産と題するレポートがあります。それによれば、岩手県は、平成27年の農業産出額2、494億円、うち畜産の産出額は1、483億円で、農業総産出額に占める割合は59%、全国で4位で、その内容は、肉用牛242億円、乳用牛258億円、豚281億円、鶏695億円となっており、いずれも東北では1位、全国でも上位で、岩手県は畜産県であると前置きをして、豚と鶏の健闘にふれた後、肉用牛の減少を心配し、警鐘を鳴らしておられます。
その背景も語っておりますが、現在、牛肉価格、子牛価格のかつてない高騰に沸いているにもかかわらず、平成4年まで急速に伸ばしてきた飼養頭数が、平成5年から、それまで拡大したのと同じようなペースでどうして減少したのか、その原因についてお尋ねいたします。また、その後の飼育頭数の減少に伴う現状認識についてお尋ねいたします。
同レポートは、課題に取り組む出発点として、それは、こうするんだとの、県、地域の行政、団体、経営体が一つになって強い意志と意気込みを示すことが必要と訴え、この意志が独自の流れをつくり、肉用牛、乳用牛の産業基盤が強化されると、他県の取り組みを紹介しております。
岩手県も強い意志と意気込みを示す必要がありますが、どういう内容になり、県民や関係者にどう発信していかれるか、振興策についてお尋ねいたします。
次に、林業振興について何点かお尋ねいたします。
岩手県が全国に誇れる事柄の中に、県土の約77%が森林で、森林率全国8位、森林面積は北海道に次いで全国第2位であることが挙げられると思います。その恵みである林業生産額の向上は大事なことであり、豊富な資源量を考えると、将来にも夢があることであります。
近年、岩手県の木材素材生産量は120万立方メートルを超える値で推移し、平成24年以降は増加傾向にあり、平成27年は152万4、000立方メートルとの統計があります。この統計数字で喜ぶことはできず、復興需要の本格化が期待されたものの、目立った動きもなく、沿岸の一部製材所が忙しかったが、内陸の製材所まで波及することはなかった。
復興道路関連の伐採事業で、沿岸部の陸前高田、宮古、久慈、釜石地域の関連事業体は忙しかったが、低質材も多く、共販事業に結びつかなかったとの指摘があります。いずれ、生産量が増加しても需要がついていかない供給過多の状況とならないようにする必要があると思いますが、県では、今後、県産材の需要拡大に向けてどのように取り組んでいくのかについてお尋ねいたします。
こんな中、岩手県森林組合連合会の原木共販において、平成26年9月よりWEB入札システムを導入いたしました。この全国初となるシステム導入について県はどう評価し、支援していかれるお考えかお尋ねいたします。
本県の森林林業、木材産業の皆さんから、県産アカマツを用いたCLT─直交集成板が新たな木材の需要創出として実用化に期待する声があります。農林水産省、国土交通省では、直交集成板の需要創出に向け、公共建築物における木材の利用の促進に関する基本方針にCLTの活用を明記。庁舎や公営の集合住宅などに用いることで生産量を確保し、現在、1立方メートル当たり15万円程度という価格を低下させたい考えとのことであります。また、現在、国の支援を受けたCLT建築物完成見込み、36都道府県の107棟の状況に対して、政府は、地域のモデル施設とするため、平成30年度までに、官民を問わず、各都道府県で最低1棟以上のCLT建築物を整備することを決めました。CLT利用の環境はようやくここまで来ました。
県では、岩手県林業技術センターにおいて、本県の主要樹種であるアカマツの用途拡大を図ることを目的として、平成26年度から県産アカマツを用いたCLTの製造技術の開発に向けた研究を行っております。岩手県林業技術センターにおける研究状況と、国の都道府県1棟以上のCLT建築物整備方針に沿った対応の方向性についてお尋ねいたします。
林業振興施策の中に高性能林業機械導入への補助事業がありますが、この事業を活用して機械導入する際、生産量の目標値の設定を求められることなどから、事業体の中にはなかなか導入に踏み切れないとの声がありますが、県では、どのように機械導入を支援していくのかお尋ねいたします。
岩手県では、平成18年度からいわての森林づくり県民税を導入し、税や寄附をもっていわての森林づくり基金を創設し、基金を原資としていわての森林づくり推進事業を展開しております。
五つの事業がありますが、一番予算配分が多いのはいわて環境の森整備事業です。この事業では、公益上重要で緊急に整備が必要な人工林について混交林誘導伐を実施し、あわせて間伐材有効利用の取り組みを行ってまいりました。同事業での整備が必要な森林も残っていることから、今後も間伐による森林環境の保全、林内に光を入れる混交林誘導伐を行いながらの事業展開と思いますが、この事業に枝打ち、つる切りを加えてはいかがでしょうか。事業評価委員会の存在もあるわけですが、お尋ねいたします。
東北の他県で、農林水産業振興条例を制定する際、森林資源を活用した地域の活性化に関する施策を推進する場合、推進会議を設置して大会を開催、推進のための予算を示すなど、意志力を伝えることをしておられます。岩手との違いを感じますが、これは感想だけにしておきます。
次に、県営建設工事における入札制度の見直しについてお尋ねいたします。
県では、県工事の低入札が増加していることから、調査基準価格の算定について、本年6月から直接工事費に含まれる労務費の算入率を現行の95%から100%に見直し、直接工事費全体の算入率を95%から97%に引き上げたとのことであります。この見直しの背景、内容、その結果、低入札調査基準価格の見直しにつながる関係についてお尋ねいたします。
見直しの内容は、工事請負契約に係る低入札価格調査基準中央公共工事契約制度運用連絡協議会モデルに沿ったものとのことですが、別に新しいことではなく、当然の見直しと考えられますが、この点についてもお尋ねいたします。
国土交通省は、3月31日、平成29年度当初予算に計上された所管事業の執行通達を各地方整備局に出しました。これは、例年、新年度を迎えるに当たり方針を伝えるものですが、執行通達に初めて建設産業の週休2日を推進すると記載し、直轄事業の適切な工期設定に加え、2カ年国債、ゼロ国債を活用した施工時期の平準化に努めるよう指示。週休2日に伴う必要な経費を工事費に適切に計上するように求めたものになっております。このことは国直轄事業でのことと見ておりましたが、県では、県営建設工事における完全週休2日制を推進する工事を主に県内企業を対象に各公所1件程度の発注を目指す方針のようですが、その検討内容についてお尋ねいたします。建設現場の労働環境改善には発注者の関与が不可欠でありますが、取り組みの姿勢についてもお尋ねいたします。
以上で質問を終わりますが、答弁次第では再質問をさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 柳村岩見議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、復興計画のあり方についてでありますが、第3期復興実施計画では、さらなる展開への連結期間として、復興事業の総仕上げを視野に復興の先も見据えた地域振興にも取り組みながら復興を推進していくこととしております。平成31年度以降の復興の推進に当たりましては、国の復興・創生期間と連動しながら、市町村における復興の取り組みの進捗との整合性に十分に配慮する必要があり、復興に関する県の計画につきましては、市町村初め、有識者、各界の代表者など県民的な議論を通じて策定していきたいと考えております。
次に、国体・大会開催までの経緯についてでありますが、東日本大震災津波発災直後、被災者の救助、被災地の復旧、復興に全力を挙げる必要がある中で、国体の準備も含め、平成23年度予算の全面的な見直しに着手いたしましたが、国体の開催については、沿岸を初めとする市町村や競技団体、県内の経済団体などから国体開催への強い期待の声が寄せられ、日本体育協会など関係の全国団体からは支援の声があり、一方で、東日本大震災津波の救助や復旧、復興に関係する予算については、逐次、国における全面的な負担による所要額の確保が図られたことによって予定どおり国体を開催することを前提に復興を進めることとしたところであります。
国体・大会の開催を復興の力にするという基本的考えのもと、復興と並行して両大会の準備を進めた結果、国体では天皇杯、皇后杯ともに第2位の栄誉をかち取り、大会では過去最高の139個のメダルを獲得するなど、すばらしい成績をおさめることができました。また、伝統芸能を初めとする岩手の文化、芸術、開閉会式会場や各会場での心のこもった応援とおもてなしは岩手のよさとして全国の方々から高い評価をいただくなど、県民が自信と誇り、そして希望を持つことにつながったと考えております。国体・大会に注いだ人の力や予算を全て復興に回していた場合を推測することは困難でありますが、復興のシンボルとしての希望郷いわて国体、希望郷いわて大会を成功させたことは、復興の推進も含めて、岩手の未来を切り開く貴重な財産となったと考えております。
今後は、両大会を通じて得たレガシーの継承に努め、東日本大震災津波からの復興とふるさと振興、そしてその先の希望に満ちた輝かしい岩手の未来の実現に向けて力強く歩みを進めてまいります。
次に、知事の政治スタンスということで、知事と政権との関係についてでありますが、都道府県知事と政権との関係につきましては、日本国憲法や地方自治法を初めとする法令に反することなく、国と地方公共団体とは対等であるとの原則を踏まえ、国の政府と地方の政府の協力のもと、それぞれの政策課題が解決されるよう努めることが肝要と考えます。
その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔文化スポーツ部長上田幹也君登壇〕
〇文化スポーツ部長(上田幹也君) 岩手国体の目標についてでありますが、東日本大震災津波の発災後、復旧、復興に全力で取り組む中、選手強化が大会に間に合わない可能性が生じたことなどから、競技団体等とも十分に話し合った上で、選手強化に向けた目標を優勝から8位以内入賞へと修正いたしました。その後、目標達成に向け、県外遠征や強化練習会の拡充などに取り組み、国体を翌年に控えた平成27年には16位と前年から大幅に順位を上げました。さらに、他県の戦力の調査分析を行い、これを踏まえ選手強化の重点化などに取り組んだ結果、国体開催直前には目標を十分に達成する見込みとなり、優勝をも視野に入れつつ国体に臨んだところであります。結果としては、達成は難しいとも考えられていた8位以内入賞という目標を達成し、2位というすばらしい成績をおさめましたが、目標の達成に向け、県と県体育協会や各競技団体等がチーム岩手として一致団結し、全力を挙げて取り組んだプロセスこそが教訓であり、今後の競技力の維持向上に向けて最も主要なレガシーと受けとめているところであります。
次に、文化スポーツ部の方向性についてでありますが、県では、本年4月に文化スポーツ部を設置し、文化、スポーツに関する事務を一元化したところであります。当部においては、4月以降、文化・スポーツ事業推進本部を立ち上げ、新野球場のあり方の検討、国体・大会1周年記念事業などに積極的に取り組むとともに、教育委員会事務局など7部局から移管された事業についても、これまで培われたノウハウやスキル、経験や信頼等をしっかりと受け継ぎ、総合的な見地から、より効果的、効率的に事業展開をしていくこととしております。
議員からお尋ねのありました当部に移管された施設でありますが、スポーツ関係9施設と文化関係2施設、合わせて11施設であり、いずれも指定管理制度を導入しております。
施設の管理運営につきましては、指定管理者がその自主性や創造性を最大限に発揮し、担うものでありますが、施設設置者である県といたしましても、スポーツ、文化施設を一元的に所管することから、指定管理者に対して行う管理運営状況評価についてもより客観的、総合的に行うことが可能であり、これらを通じ、利用者へのサービスの質の向上に積極的に取り組んでまいります。
また、当部の方向性でありますが、文化・スポーツ振興戦略に基づく施策を着実に推進するとともに、その取り組みを磨き上げ、進化させてまいります。
〔総務部長佐藤博君登壇〕
〇総務部長(佐藤博君) まず、職員の職務に係る倫理の保持に関する条例についてでありますが、本条例、規則の意義、必要性は、職員が県民全体の奉仕者であることを自覚し、条例等に定める明確なルールのもとで、職務執行の公正に対する県民の疑惑や不信を招くことなく、地域と一体となった活動や交流に向けた積極的な取り組みを進めることにあります。
具体的には、県の許認可や補助の対象等となる利害関係者からの金銭や供応接待等の授受の禁止のほか、職員が利害関係者と自己の費用を負担しながら行う飲食やゴルフの事前届け出、利害関係者からの依頼に基づく講演等の実施に係る事前承認、事業者等から贈与を受けた場合における報告などが義務づけられているところです。
運用状況について平成27年度の件数で見ると、利害関係者との飲食等の届け出件数が660件、講演等の承認件数が2件、事業者等からの贈与等の報告、これは県立大学の非常勤講師の報酬、出版物の執筆報酬ですが、4件となってございます。
県の諸施策を推進するに当たっては、公務に対する県民の信頼を確保しつつ、地域や県内団体、企業等、多様な主体と連携、協働を進めながら引き続き適切な運用に努めてまいります。
次に、低入札調査基準価格の見直しについてでありますが、今般の県営建設工事における低入札調査基準価格の改正は、建設業の健全な発達を図る上で、公共事業の品質確保や、その担い手の賃金を適切に確保する観点から見直しを行ったものであります。これは、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律に基づく国からの要請を踏まえて、中央公共工事契約制度運用連絡協議会から示されたモデルに準じた内容となっているものです。
また、低入札調査基準価格の水準については、基本的に国に準じていますが、国からの要請に基づく改正以外にも、平成24年3月には、県内建設業が地域インフラの維持管理や災害対応を持続的に担う上で、これまで停滞していた人材育成、建設機械更新等の回復に取り組むための利益改善を目的に県独自に調査基準価格を引き上げるなど、地域の実情を考慮した見直しも行っているところであります。
今後も、入札動向を注視しながら、引き続き低入札対策に適切に対応していく考えです。
〔農林水産部長紺野由夫君登壇〕
〇農林水産部長(紺野由夫君) まず、肉用牛の減少についてでありますが、本県の肉用牛の飼養頭数は、平成4年の約16万頭をピークに減少傾向となっており、平成28年は4割減の約9万頭となっております。
飼養頭数が減少した主な原因は、平成3年の牛肉輸入自由化により、輸入牛肉と品質面で競合する乳用種や日本短角種などの牛肉や子牛価格が低下し、さらに黒毛和種も価格が低下したこと、また、平成13年のBSEの発生や原発事故に伴う放射性物質の影響、さらに、畜産農家の高齢化の進行などにより、飼養頭数10頭未満の小規模農家を中心に肉用牛生産を中止したことと考えております。
これまで減少傾向であった肉用牛の飼養頭数は、近年、若い生産者の規模拡大の取り組み等により増加に転じてきており、県としては、このような規模拡大の動きを加速化し、肉用牛生産が拡大するよう生産基盤を強化していくことが重要と考えております。
次に、肉用牛及び乳用牛の振興策についてでありますが、本県が肉用牛、乳用牛生産の主産地として今後とも持続的に発展していくためには、飼養規模の拡大と生産性の向上により足腰の強い経営を確立し、競争力の高い産地を形成していくことが何よりも重要であります。
このため、県では、市町村、団体、生産者と意見交換しながら酪農・肉用牛生産近代化計画を策定し、平成37年度の目標として、全国平均並みの経営規模への拡大を掲げたところであります。現在、目標の達成に向け、市町村、団体と連携を密にしながら、規模拡大に向けた施設、機械導入などの生産基盤の強化や、生産者への飼養管理指導などの生産性の向上、高品質生産や6次産業化などの高付加価値化などの取り組みを推進しております。
県内では、畜産クラスター事業などにより約3、000頭分の牛舎整備が進み、また、若い生産者の増頭計画が数多くあることから、これら規模拡大等の取り組みを一層強化するとともに、こうした動きを市町村や団体、生産者に発信、共有し、さらに拡大しながら、足腰の強い経営、競争力の高い産地形成に向け、生産者、関係者一丸となって邁進してまいります。
次に、県産木材の需給バランスについてでありますが、本県では、合板工場や木質バイオマス発電施設の本格稼動を背景に県産材の供給量は増加傾向にありますが、将来的な人口減少社会の到来に伴い住宅着工数の減少が予測されており、県産材の新たな需要創出が必要と考えております。
このため、県では、中高層建築物の木造化などに必要な新技術の習得を目的とした研修会の開催や、商業施設などの木質化に向けた建築関係者等による検討を通じ住宅以外の建築物への木材利用を促進するとともに、県内製材業者と県外大手オフィス家具メーカーが連携した新たな木材製品の開発を支援してきたところであります。
今後ともこうした取り組みにより幅広い需要を創出するとともに、県みずからが率先して公共施設への木材利用を進め、さらに県内外の需要者に対し県産材の売り込みを行うなど、積極的な取り組みを展開してまいります。
次に、岩手県森林組合連合会のWEB入札システムについてでありますが、このWEB入札システムは岩手県森林組合連合会と民間企業が共同で開発したもので、インターネットを利用し、いつでも、どこからでも丸太の入札に参加できる仕組みとなっております。このシステム導入により、全国各地の材木店などが県内の木材市場に足を運ぶことなく入札に参加可能となり、また、良質な県産材がこれまで以上に全国に販売されるようになったところであります。加えて、書類作成などの入札業務の大幅な削減、執行ミスやトラブルの減少、精算事務等の軽減など、入札参加者や執行者双方の事務の効率化にもつながっております。
県では、この全国初のシステムについて、昨年11月に開催された林野庁主催の全国会議におきまして先進事例として紹介したところであり、今後につきましても、さまざまな機会を捉えて積極的なPRに努め、県産材の販路拡大や有利販売につながるよう取り組んでまいります。
次に、CLTの活用についてでありますが、林業技術センターにおける県産アカマツを用いたCLT製造技術の開発に向けた研究につきましては、平成26年度からこれまでに実用サイズのCLTを用いた強度試験などを行い、JAS規格に適合することを検証したところであります。さらに今年度は、県産アカマツCLTの実用化に向けた具体的な実証試験を行うこととしております。
また、国のCLT建築物整備方針に沿った対応の方向性についてでありますが、CLTは、建物の床や壁といった構造躯体に活用することにより現場施工が容易となり、工期が短縮されるなどのメリットがあり、県内では、平成27年10月に盛岡市内に建築された店舗併用事務所の床材に杉のCLTが活用されたところであります。
県といたしましては、県産アカマツCLTの研究開発を進めるとともに、建築士、工務店等を対象としたCLT建築物の設計、工法等に関する研修会を開催し、CLTの普及啓発を行うなど、県内におきましてもCLTが積極的に活用されるよう取り組んでまいります。
次に、高性能林業機械の導入支援についてでありますが、県では、拡大する木材需要に対応した県産材の安定供給に向けて国の補助事業を活用した高性能林業機械等の導入を支援してきたところであり、過去5年間の補助事業による導入実績は63台となっております。
また、県では、補助事業の活用を希望する事業体に対しまして補助要件等を丁寧に説明するとともに、事業体みずからが設定する高性能林業機械等導入後の素材生産量の目標値についても、適正な水準となるよう助言などを行っているところであります。これまでのところ、補助事業を活用した各事業体の目標達成状況は順調に推移しているところでありますが、引き続き事業体の状況を把握しながら、目標値の達成状況が低水準となった場合には、必要な助言、指導を行い、改善を支援してまいります。
次に、いわて環境の森整備事業についてでありますが、いわて環境の森整備事業は、公益上重要で管理が行き届かない森林を対象として、針葉樹と広葉樹の入りまじった、水源の涵養などの公益的機能の高い森林へ誘導するという森林環境保全のための間伐などに限って実施しているところでございます。このため、枝打ちやつる切りは事業対象となっていないところでありますが、この県民税の使途やあり方については、今後、外部有識者等で構成する事業評価委員会、県民の皆様や県議会の御意見などを参考にしながら検討してまいります。
〔県土整備部長中野穣治君登壇〕
〇県土整備部長(中野穣治君) 初めに、週休2日制を推進する工事の発注方針についてでありますが、県内の建設業従事者の年齢構成を見ますと、50歳以上の方の割合が5割を超えておりまして、社会資本の整備、維持管理の将来の担い手の確保が喫緊の課題となっております。建設業の魅力を高め、若者や女性の就業を確保していくためには、建設現場に週休2日制を導入していくことが必要になると考えており、県では、今年度より建設現場の週休2日制の実現に向けての課題を把握するためのモデル工事を実施しているところでございます。モデル工事は受注者の選択により実施できることとしているほか、仮に週休2日制が実現できない場合においてもペナルティーは一切課さないなど、意欲のある企業が参加しやすいよう配慮しております。また、今後、取り組みの拡大に向けた機運を高めていくために、週休2日のモデル工事にチャレンジした企業名とその事例を県のホームページにおいて紹介することとしております。
今後は、モデル工事を通じて把握された課題について、受発注者協働で解決を図りながら、建設現場における週休2日の実現に向けて取り組んでまいります。
次に、建設現場の労働環境改善への取り組みについてでありますが、県では、平成19年度より、現場事務所や休憩所へのエアコン、仮眠用ベッドの設置など、受注者が労働者の作業環境の改善を行うための費用を現場経費として計上することとしておりまして、特記仕様書にも明示しているところです。また、今年度より、特に女性の労働環境改善等を目的といたしまして、洋式水洗機能や鏡つきの洗面台などを備え、女性の利用にも配慮した快適トイレの設置を促進するとともに、けんせつ小町ネットワークなど、建設現場で働く女性の交流を促進する取り組みにも着手しております。さらに、インターネットを利用して受発注者が相互に工事書類をやり取りすることができる情報共有システムの活用を始めたところであり、現場業務の効率化や省力化にも努めているところです。
今後とも、若者や女性も含め、全ての従事者の方が安全で快適に働くことのできる職場環境の実現を目指し、建設現場の労働環境の改善に努めてまいります。
〇議長(田村誠君) この際、暫時休憩いたします。
午後1時59分 休 憩
出席議員(47名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 臼 澤   勉 君
3  番 千 葉 絢 子 君
4  番 ハクセル美穂子 君
5  番 菅野 ひろのり 君
6  番 柳 村   一 君
7  番 阿 部 盛 重 君
8  番 佐 藤 ケイ子 君
9  番 佐々木 宣 和 君
10  番 川 村 伸 浩 君
11  番 田 村 勝 則 君
12  番 工 藤   誠 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 吉 田 敬 子 君
15  番 佐々木   努 君
16  番 千 葉   進 君
17  番 佐々木 朋 和 君
18  番 名須川   晋 君
19  番 軽 石 義 則 君
20  番 神 崎 浩 之 君
21  番 城内 よしひこ 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 佐々木 茂 光 君
24  番 高 橋 孝 眞 君
25  番 木 村 幸 弘 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 工 藤 勝 博 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 高 橋   元 君
32  番 関 根 敏 伸 君
33  番 岩 崎 友 一 君
34  番 嵯 峨 壱 朗 君
35  番 中 平   均 君
36  番 五日市   王 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 小野寺   好 君
39  番 飯 澤   匡 君
41  番 佐々木 順 一 君
42  番 田 村   誠 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 工 藤 勝 子 君
45  番 樋 下 正 信 君
46  番 柳 村 岩 見 君
47  番 千 葉   伝 君
48  番 工 藤 大 輔 君
欠席議員(1名)
40  番 渡 辺 幸 貫 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時18分 再 開
〇議長(田村誠君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第2、一般質問を継続いたします。柳村一君。
〔6番柳村一君登壇〕(拍手)

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