平成29年6月定例会 第9回岩手県議会定例会会議録

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〇37番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
議案第37号、議案第38号に対する質疑を行います。
この議案は、株式会社東芝が深刻な経営危機に直面し、東芝の内部組織である社内カンパニーを分社化するために、県発注の二つの工事の受託事業者が株式会社東芝から分社化される事業者、東芝電機サービス株式会社に変更しようとするものであります。
知事に質問します。
第1に、債務超過に陥った東芝の経営破綻の原因と今後の再建の見通しを県としてどう把握し、認識されているでしょうか。
昨日の定時株主総会では監査法人の承認が得られず、昨年度の決算報告がなされませんでした。半導体子会社東芝メモリの売却先確定も見送られました。再建の見通しは不透明ときょうの新聞では報道されています。東芝メモリの売却がうまくいかず、東芝本社の再建がうまく進まなかった場合、子会社となる東芝電機サービス株式会社と県発注の工事への影響があるのかないのか示していただきたい。
株式会社東芝は、2015年にパソコン部門や家電部門などで巨額の粉飾決算が発覚し、2016年3月期決算では7、087億円の営業損失、最終損益で4、600億円もの巨額の赤字を出しました。2017年3月期決算では原子力事業で7、000億円もの経常損失を計上し、1、500億円の債務超過となることを明らかにしました。東芝の経営破綻の最大の原因は、経営の失敗であり、経営陣の保身であったと言わざるを得ません。特に2011年3月の東日本大震災津波、東京電力福島原発事故以後も原発事業推進で暴走したことが経営危機を深刻にした最大の要因と指摘されています。こうした株式会社東芝の状況をどういうふうに把握していたのでしょうか。
県内には東芝関連のジャパンセミコンダクターの工場がありますが、今回の東芝の経営危機の影響はどうなるのかあわせて示していただきたい。
第2に、今回の請負契約の変更による工事の見通しについて質問します。
一つ、これまでの二つの工事、水門・陸閘自動閉鎖システム整備工事と北上川上流流域下水道北上浄化センター受変電設備更新工事の進捗状況、事業費はどうなっているでしょうか。
二つ、今回、東芝の子会社である東芝電機サービス株式会社と北上電工株式会社の特定共同企業体に工事を請け負わせるということですが、工事の実態に変化、変更はあるのか。
三つ、契約書の第5条には、受注者は、この契約により生ずる権利または義務を第三者に譲渡し、または承継させてはならない。ただし、あらかじめ発注者の承諾を得た場合はこの限りではないとされています。今回の変更議案はただし書き条項によるものでありますが、契約を中止した場合のメリット、デメリット、発注者である県が承諾した場合のメリット、デメリットを示していただきたい。
四つ、工事完了後の維持管理の体制と維持管理費の見込みはどうなっているのか質問いたします。
答弁によっては再質問いたします。
〇知事(達増拓也君) 斉藤信議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、東芝の経営再建と県発注工事への影響についてでありますが、東芝の公表資料によりますと、同社の債務超過は、原子力事業における企業買収の際の、いわゆるのれん代について減損処理を行う必要が生じたことが主な原因とされているところであります。現在、同社においては、再建に向けて分社化を初めさまざまな取り組みを進めていると聞いておりまして、こうした取り組みを注意深く見守ってまいります。県発注の工事については、株式会社東芝と東芝電機サービス株式会社の吸収分割の効力が7月1日に発生することが確定しており、影響はないものと考えております。
次に、東芝の状況把握についてでありますが、東芝の経営状況については、同社から随時公表される資料のほか、子会社のジャパンセミコンダクターからの聞き取りなどにより状況把握に努めてきたところであります。
その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〇商工労働観光部長(菊池哲君) ジャパンセミコンダクターへの影響についてでありますが、東芝によりますと、今回の分社化は、東芝のグループ内の連携を強化しつつ、自律した事業体として、新規事業展開を含め事業価値最大化に集中していくこと、また、事業責任を明確化するため、分社化されたそれぞれの会社が、傘下にある会社を直接子会社化することで分社された各社のガバナンスを強化し、さらには、市場及び顧客に対する説明責任を直接果たすことを目的としているものと聞いております。
ジャパンセミコンダクターについては、現在の社内カンパニーでありますストレージ&デバイスソリューション社の事業を7月1日から承継する東芝デバイス&ストレージ株式会社の傘下に入るものと聞いておりますが、今回の分社化に伴うジャパンセミコンダクターへの影響につきましては、同社からは、事業への直接の影響はない見込みである旨を聞いているところでございます。
〇県土整備部長(中野穣治君) まず、工事の進捗状況、事業費についてでありますが、水門・陸閘自動閉鎖システム整備工事につきましては、自動閉鎖システムの根幹となる統制局、制御所及び子局に関するプログラムが完成し、4月より試験運用を開始しているところであり、平成30年4月には、全体約220基の3割に当たる約65基の水門、陸閘において運用を開始する予定としているところです。現在の契約金額は47億5、512万120円となっています。
北上川上流流域下水道北上浄化センター受変電設備更新工事につきましては、現在、工場での機器製作が計画どおり進捗しております。契約金額は4億8、600万円となっております。
次に、特定共同企業体の請負者の変更についてでありますが、東芝電機サービス株式会社と北上電工株式会社の間で特定共同企業体協定書を締結しておりまして、工事の実態に変化、変更はございません。
次に、県が仮に契約を中止した場合についてでございますけれども、当該工事の未完成部分につきましては、再度、発注することになります。これによって完成のおくれ等が見込まれると考えております。
なお、承継を承諾した場合につきましては、当該工事を施工する能力を有している東芝電機サービス株式会社により工事が適切に履行されるものと考えております。
また、工事完了後の維持管理についてでありますが、水門・陸閘自動閉鎖システムにつきましては、完成後に必要な予算を確保した上で、別途、発注することとしております。現在の試算でございますが、自動閉鎖システム維持管理費は、現時点で年間1億円から2億円程度を見込んでおります。
北上川上流流域下水道北上浄化センターの維持管理につきましては、現在、契約している維持管理業務の中で実施することとしております。
〇37番(斉藤信君) 私は、東芝の経営状態というのは深刻だと思うんです。大体、きのうの株主総会に監査法人の承諾が得られなくて決算報告ができないと。そして、再建のためには、一番の稼ぎ頭である東芝メモリを売却しないと債務超過を解消できない。ところが、この売却の見通しも立たなかったと。逆にウエスタンデジタルを訴えました。これは裁判闘争にどちらもなっているわけです。日米間の政府もかかわっていますけれども、係争している場合には対象にしないとなっている。来年3月までに売却しなかったら上場廃止なんです。
私が聞きたかったのは、そうなった場合に、いわば本社がこけた場合に子会社への影響はないのかと聞いているんです。東芝の100%出資ですから。率直に言って、今の東芝の状況というのは、そういうことも考えながら対応しなければならない状況ではないのか。きのうの株主総会がそうなんですから。だから、そうした場合に子会社への影響はないのかと。今、発注している事業への影響はないのかと私は聞いたので、もう少しそこを正確にシビアにお答えいただきたいと思います。
二つ目に、私、工事の進捗状況を聞きましたが、水門、陸閘の場合には220基のうち65基が来年4月に完成すると。だとすれば、220分の65という進捗率なのか、事業費ベースでどういう進捗状況なのか。大体220分の65で間違いないのか。そういう進捗状況なのかどうか、そこもわかれば正確に教えていただきたい。
今、東芝が新しい東芝電機サービス株式会社に移行しますから、工事だけ考えたら、そのほうがスムーズでメリットがあると私自身は考えます。問題は、本社がこけた場合なんです。だから、本社がこけないということであればそれで全然問題がないと思うけれども、あわせてそのことを示していただきたい。
工事上は恐らく、中止して再発注すれば工事期間は延びるけれども工事ができないことはないと思うんです。私は、メリット、デメリットを聞いたんだけれども、もっと正確に緻密に答えていただきたい。
〇商工労働観光部長(菊池哲君) 東芝の再建の見通しについての御質問についてお答えしたいと思います。
東芝から聞き取っているところによりますと、いずれ一連の不適正会計に端を発したこの一体の事案に対しまして、新たな経営体制、ガバナンス体制を組んで、しっかりと信頼の回復、そして再建に向けて取り組んでいくという方針で鋭意努力しているということですので、当面その対応については見守っていく、その対応を信頼して見守っていくということにしております。先ほどもお答え申し上げましたように、今までのさまざまな部門を分社化し、いわば稼ぐ力を再生しながら再建に努めているということですので、見守っていきたいと思っております。
〇県土整備部長(中野穣治君) 株式会社東芝の経営再建の成否がこの工事に与える影響ということでございますけれども、先ほども申し上げましたとおりですが、今回、分社化によりまして、現在、東芝が有しております工場の設備、従業員、技術者及び技術に係る知的財産権等、これらは全て分社される先の東芝電機サービス社に承継されます。また、吸収分割の効力は7月1日に発生することが契約書上確定しておりますので、親会社である東芝とは関係なく、東芝電機サービス株式会社によって施工能力を持った会社が存在するということになりますので、工事への影響はないと考えております。
それから、工事の進捗の出来高という御質問がございました。現在の数字について申し上げさせていただきますと、契約額につきましては、現在、全体が47億5、512万120円となっております。これにつきまして、平成27年度の出来高が2億2、220万円、平成28年度の出来高につきましては13億3、650万円となっております。というところが今の進捗状況となっております。
〇37番(斉藤信君) 最後ですけれども、東芝本社がこけた場合に、100%出資の子会社に影響がないのかと私、聞いているんです。結局、来年3月までに東芝メモリの売却ができなかったら、上場廃止で株価暴落ですよ。そういうふうになるんです。だから必死になってやっているわけでしょう、債務超過を2年続けられないということで。一番の稼ぎ頭を売らなくちゃならない、そのぐらい深刻なわけです。ところが、きのうの株主総会でも、相手先を確定できず、逆に双方が裁判をやると。国際仲裁裁判所は最低でも1年以上かかると言われているんです。だから、本当に私はこれは複雑で、そういう点できのうの株主総会の結果は不透明と、どこでもそういう報道なんです。
だから、私、一般論で聞きますけれども、本社がこけたときに100%出資の子会社にどういう影響を与えるのか与えないのか、ここだけ教えてください。
〇商工労働観光部長(菊池哲君) 一般論といたしましては、100%子会社ということでありますと経営の連担が考えられますので、影響はあると思います。東芝の関係につきまして申しますと、特に稼ぎ頭であり価値の高い機能でございます部門を稼ぎ頭として少しでも高く価値を打ち出そうということで今、一生懸命努力されているようでして、その係争問題につきましても、いわばそういう闘いの中で東芝が生き残っていく取り組みをされているということで、見守っていきたいと考えております。
〇議長(田村誠君) これをもって質疑を終結いたします。
次に、ただいま議題となっております議案第37号及び議案第38号は、県土整備委員会に付託いたします。
〇議長(田村誠君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後5時41分 散 会

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