平成29年6月定例会 第9回岩手県議会定例会会議録

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〇28番(高橋但馬君) 改革岩手の高橋但馬です。
このたび、6月定例会において登壇の機会を賜り、先輩、同僚議員各位に心より感謝申し上げます。
東日本大震災津波から6年3カ月、台風第10号の災害から10カ月が過ぎようとしています。被災された皆様方に哀悼の意を表し、心からお見舞い申し上げます。
それでは、通告に従い順次質問いたします。当局におかれましては、誠意あふれる御答弁をいただきますようお願いいたします。
初めに、大学生による被災地支援について伺います。
ことしの4月に開催されたスポーツ・教育振興調査特別委員会において仁王地区活動センターの所長である袰岩千裕さんの講演を拝聴したところであり、その中で、僕らの夏休みProjectという活動の紹介があったところであります。東日本大震災津波発生直後、首都圏の大学生数名により僕らの夏休みProject実行委員会が設立されました。未曾有の大災害を契機として、大学生だからこそできる大学生らしい被災地支援を行おう、子供たちにフォーカスを当て、子供たちに笑顔を届けようと始まったこのプロジェクトは、10年以上の継続を目標とし、今も活動が継続されております。その活動の内容は、子供たちの笑顔のためにをコンセプトに、首都圏の大学生が毎年夏に本県の沿岸被災地の小学校を訪れ、子供たちと遊んだり勉強したりするイベントを開催するものです。
活動を始めたときの想いがホームページに次のように記されています。
大学生と子どもたちのふれあい。未曾有の震災が起こりました。家を流された子ども、親を流された子ども、兄弟を流された子ども、家族や家庭を、思い出のすべてを、津波に流されてしまった子どもたち。いつもなら、新しい学年に夢を膨らませ、待ち遠しいはずの夏休み。どんな言葉をかけたとしてもまだ新しい暮らしは見えません。私たちが「何か」をしたいと思っても、ただ、共に泣くだけです。それでも私たち大学生に何が出来るかを一生懸命考えました。物資や義援金は集められないけど、時間なら費やすことができます。ひとつの大学が、ひとつの小学校とこれから長期的に交流を持ち、直接ふれあっていくことができます。共に夏休み、冬休みの思い出を新たにひとつずつ積み上げたいと思います。これからの東北、さらにはこれからの日本を背負って立つ子どもたちにもう一度希望を持ってもらいたい。10年後、この子たちがまた大学生となる頃、次世代の子どもたちとふれあえる社会になることを願っています。
2011年は、訪問小学校が1校、参加児童数が20名でスタートした活動ですが、昨年は18校で700名の児童が参加、ことしは24校とさらにふえる見込みです。また、ボランティアの学生数も2011年は25名でしたが、ことしは約400名に達する見込みであり、一橋大学や早稲田大学を初め36の名立たる大学の学生が参加しています。
一方で、学生数の増加により宿泊先の確保の問題が生じています。現在は県立陸中海岸青少年の家などを利用していますが、施設利用独占状態が懸念されており、早急の対応が必要です。全国に震災の風化が問題となっている中、大学生の目はしっかりと被災地を見ています。県が市町村と積極的に連携し、こうしたボランティア活動を行う学生たちの支援を行っていくべきであり、応急仮設住宅の空き室の活用も一つの方法として考えられます。ボランティアの宿泊場所としての応急仮設住宅の活用について、県の対応の現状を含め、お考えをお示し願います。
また、こうした活動を行った首都圏の大学生たちは、やがて社会人として国内や世界で活躍することになります。特別委員会の後、実際に活動した学生たちにアンケートを行い、約20人から意見が返ってきました。今後の被災地及び岩手との接し方について、岩手で教員になりたいといった内容を含め、何らかの形でつながりを持っていきたいとの回答が多くあったところであります。震災を通じて岩手ときずなができた首都圏の大学生や若者が将来にわたって本県とのつながりを維持できるような仕組みづくりを構築していくことは本県にとって非常に有意義なことであると考えますが、知事の御所見を伺います。
次に、民泊新法について伺います。
今月9日、一般住宅に有料で客を泊める民泊の営業基準を定めた住宅宿泊事業法、いわゆる民泊新法が国会で可決、成立しました。早ければ来年1月にも施行されるとのことであります。これまで、日本において民泊を合法的に事業展開する方法は、宿泊料を徴収しない農家民泊などの例を除き、特区民泊などの枠組みを活用するか、旅館業法における簡易宿所の許可を受ける方法に限られていたところです。しかしながら、この民泊新法により、民泊ホストは原則として都道府県知事に届け出をすることで事業展開が可能となり、また、民泊ホストにかわって物件を管理する管理業者は国土交通大臣、エアビーアンドビーなどの仲介業者は観光庁長官の登録を受けることで合法的に事業を行うことができるようになります。
一方で、観光庁の宿泊旅行統計調査の平成28年速報値によれば、本県の旅館、ホテルの客室稼働率は、旅館39%、ビジネスホテル71.5%、シティーホテル67.5%などとなっております。既に京都市において競合激化による廃業も出ている状況から、客室稼働率が高くない本県の宿泊施設が廃業に追い込まれていくことが懸念されます。
このため、今後は、安全対策や営業状況、届け出や登録をせずに営業している民泊の実態などを関係機関と連携して把握していくことが重要となります。県においては、民泊の営業状況や営業日数などの活動実態をどのような方法で把握していく考えか、また、年間180日以内とされた営業日数の上限については自治体が条例で短縮することができるとされておりますが、その場合の考え方についてもあわせてお示しください。
次に、インバウンドの拡大について伺います。
外国人観光客の入り込み動向の把握に関しては、従来から国が実施している宿泊旅行統計調査や県内市町村が調査している市場別の外国人観光客の入り込み動向などの統計データ、また、訪日外国人観光客の動態などを分析できる国の地域経済分析システムのほか、本県独自に、県内を訪れる外国人観光客を対象に、宿泊、観光施設などの御協力をいただきながら、旅行情報の収集手段や旅行ルート、訪問動機などに関する調査を実施されているところであります。これらの調査結果から、宮城県や青森県の外国人の周遊が多いことが明らかになっています。
外国人の来日に際して、空港利用が4万人以上の仙台空港のある宮城県は別として、本県における観光関係予算に占めるインバウンド関係予算は、東北6県の中で必ずしも少ない状況ではないと思われます。外国人観光客を本県に取り込むために、外国人観光客の入り込み動向調査を生かし、隣県等の取り組みも踏まえながら本県独自の工夫が必要と考えますが、県の考えを伺います。
観光庁の宿泊旅行統計調査によれば、平成28年の本県の外国人宿泊者数は11万5、580人であり、地域別では、台湾が最多の6万1、560人で全体の53%、以下、中国が1万2、110人で10%、香港が8、290人、韓国が6、220人となっております。
花巻空港の台湾便につきましては、さきの予算特別委員会において、定期便化を第一の目標としつつ、引き続き中華航空に対するチャーター便の運航拡大を働きかけていきますとともに、近年、旅行会社が主導するチャーター便の運航も増加しておりますことから、旅行会社に対する誘致活動も積極的に強化してまいりますとのことでありました。その後、5月30日から6月3日までの日程で、知事がみずから団長となって台湾と香港を訪れ、航空会社や政府関係機関などにトップセールスを行ったとのことであり、先般、台湾との秋季プログラムチャーター便が過去最多の34便運航されると記者発表もあったところであります。今回のトップセールスを終え、台湾との定期便就航や香港とのチャーター便就航について知事はどのように手応えを感じられたのか、そして、これらを実現するに当たっての課題認識をあわせてお示しください。
また、中国については、現在、大連経済事務所を拠点として観光客の誘客や県産品の販売拡大などに取り組んでいると承知しておりますが、これまでの大連経済事務所における取り組み内容を含め、今後、中国においてどのような展開を考えているのか伺います。
さらに今後は、タイを初めとする東南アジア諸国の開拓も必要と考えます。団体旅行客は花巻や仙台からチャーター便で受け入れており、その拡大を図っていく必要がある一方で、主たる訪日外国人は、団体旅行ではなく、FIT、いわゆる自分で日程やコースを設定する個人旅行等となっていることから、FITの誘客促進に力を入れていく必要があります。
例えば、自治体が旅行会社と連携して海外で旅行博に出展している例として北海道があります。旅行会社の持っているブースの全てがラベンダーのポスターに覆い尽くされている壁面を見て、日本への旅行を計画している旅行者はその美しさに目を奪われ、一体ここは日本のどこだと興味を示します。ここは北海道の富良野という場所と説明すると、ここへ行きたいという反応が返ってくるそうです。
岩手にはたくさんの絶景観光名所があります。ただその全てをアピールするのではなく、海外旅行博の都度、PRする観光名所を平泉一色にするのか、北山崎一色にするのか、桜と雪の回廊一色にするのかと、販売促進する部分を絞っていく必要があると考えます。岩手のどこに見に来てほしいという戦略が明確化されれば、個人旅行客をターゲットに、例えば、桜と雪の回廊へ盛岡駅から1時間置きにバスを出すなどの対応も可能になってくると考えます。さまざまな観光素材を抱える市町村と共同で、岩手のすばらしさが日本への旅行を計画している個人旅行者に直接伝わるようなPRを展開していくことが重要と考えますが、県としての御所見をお知らせください。
次に、台風で被災した中小企業者の支援について伺います。
昨年の8月30日に発生した台風第10号による商工業者の被害総額は約238億円に上っております。県では、被災事業者の施設設備の修繕や商店街等の共同施設の復旧などを支援するため、県単独予算で事業費上限額2、000万円の2分の1を補助金として交付することを可能とする地域なりわい再生緊急対策交付金制度を創設し、これまで多くの被災事業者が交付決定を受け、その迅速な対応に高い評価が聞こえております。
一方で、東日本大震災津波においては、事業費の4分の3を補助するグループ補助金に加え、自己負担分についても無利子の融資制度である高度化スキーム貸し付けにより支援されていますが、なりわい交付金では補助率が異なり、高度化スキーム貸し付けもなく、被災した商工業者にとって、特にも力のある製造業者とは異なる小売業者にとって大きな負担となっているとのことであります。今般の台風災害で被災した中小企業者の自己負担分に対する支援策はどのようになっているのかお伺いいたします。
また、近年、集中豪雨を初めとした大規模災害の発生がふえ、商工業者がこうした災害に巻き込まれるおそれは常に秘めており、万が一災害に巻き込まれた際、激甚災害の指定といった一定規模以上の災害で被災した場合の国などの支援策があらかじめ示されていれば、被災後の営業再開に向けた動きも早まっていくと考えますが、県の御所見をお示し願います。
次に、スポーツ振興について伺います。
県では、本年3月に岩手県文化・スポーツ振興戦略を策定するとともに、4月から新たに文化スポーツ部を設置したところであります。ことし5月、カナダスポーツクライミング代表チームが盛岡市みたけの県営運動公園登はん競技場で、東京で開催されるワールドカップに向けた調整を行いました。これは2020年の東京五輪のキャンプ候補地視察も兼ねており、カナダのヘッドコーチは、オリンピックの事前キャンプ地としての選定に向けて、今のところ不自由がない、ただ、スピード競技の壁の設置が必要と話し、本県のスポーツクライミングの環境を高く評価していただいたようであります。
スポーツクライミングは、ボルダリング、リード、スピードの3種目で構成され、県営運動公園登はん競技場には既にボルダリングとリード用の壁が整備済みであり、カナダのヘッドコーチが言うスピード競技の壁も本年度整備する予定となっています。現在、日本では、3種目の壁がそろって整備されているのは東京、大阪に各1カ所のみ、ほかでは鳥取県で1カ所、本年度中に整備されるとのことで、本県に3種目の壁が整備されると全国にも数少ない中の1カ所となります。また、本県には、世界や国内のトップ級で活躍する中学生や高校生の選手が多いことに加え、カナダ選手の調整の際、壁のセッティングを担当したセッターも岩手県出身の若者とのことであり、このセッターの技術をカナダのヘッドコーチが絶賛していたとのことであります。
このように全国トップクラスの施設や人材を有する状況を生かし、スポーツクライミングの聖地として名乗りを上げるいい時期だと考えます。今後、競技団体と連携して、大きな大会や合宿などの誘致、県内競技人口の増加に向けた取り組みなどを積極的に進めるべきと考えますが、県としての前向きな考えを伺います。
また、スポーツクライミングは、雨天の際には競技が中止される場合があるようです。現在の県営運動公園登はん競技場について、雨天の利用も可能となるような工夫を行い、ほかの施設との差別化を図っていく必要があると考えますが、あわせて御所見を伺います。
平成20年度、つなぎスイミングセンターが廃止になり、昨年の岩手国体開催に向けプール施設等の取り壊しが完了し、カヌー競技の臨時駐車場として活用されたところであります。今後の利活用については、この一帯に県の漕艇場や盛岡市の多目的運動場があり、御所湖広域公園の中でもスポーツ公園としての機能を果たしていることや、盛岡市の多目的運動場が冬期間は積雪のため閉鎖されることなどから、通年のスポーツ利用が可能となる室内練習場を整備する方法も考えられ、市も今後の跡地利用に関心を示していました。将来的な利活用については、処分制限期間が平成40年までとなっている管理棟の撤去をする必要があるなどの課題もあり、地元盛岡市の意向も踏まえながら検討していくものと思われますが、つなぎスイミングセンター跡地の利活用について現在の県の考えをお示しください。
IGRの経営について伺います。
IGRは、平成14年の東北新幹線盛岡-八戸間の開業に伴い経営分離されたJR東北本線、いわゆる並行在来線を運営する会社として設立されました。その後、IGRは、県北地域の生活交通を支える路線として、また、北海道と首都圏を結ぶ日本の物流の大動脈の一端を担い、重要な役割を果たしてきております。また、この間、県及び地元自治体の支援により平成18年には青山駅及び巣子駅が新駅として設置され、旅客利用の増加に大きく寄与したほか、平成23年度には懸案であった貨物線路使用料制度が改正され、IGRは一定の経営基盤を確保しながら、本年、開業15年目を迎えました。
一方、IGRを取り巻く経営環境については、近年、沿線人口の減少が進み、また、昨年度は、通年運行で約3億円以上の収入をもたらしていた寝台特急北斗星やカシオペアが運行終了になるなど、厳しさを増してきております。IGRでは、鉄道事業を補完するため、不動産や旅行業、飲食、物販などの関連事業を展開し、駅を中心とした地域活性化を図りつつ収益強化の取り組みを進めてきており、経営安定化のため、その成果が期待されるものであります。今後の経営環境を見据えると、この持続的な運営が懸念されるところであります。
IGRが県民の足を守る県民鉄道として将来にわたり鉄路を維持するためには、その安定経営の確保が重要と考えます。知事は、IGRの経営についてどのような見通しを持っているのかお示しください。
先ごろ、IGRから平成28年度の決算が公表されました。当期損益1、976万3、000円の純損失計上と、6期ぶりの赤字決算でありました。赤字決算の主な理由として、IGRから減価償却費の一部が未計上であることについて、会計監査法人の指導で修正したためとの説明がなされたとのことですが、直前3月の黒字決算見込みから、一転、約7、000万円の大幅な下方修正による赤字決算であり、会計処理の錯誤によるものも含め、憂慮すべき事態であります。
IGRでは、本年3月に旅行業部門である銀河鉄道観光の社員が顧客の旅行代金を長期にわたり着服した事案も発覚しており、不適切な事態が相次いで発生しております。IGRの社員の管理監督体制について何らかの問題があるのではないかと考えますが、知事はどのような考えかお示しください。また、相次ぐ不適切な事態の発生に関し、経営者の責任についてどのようにお考えかあわせてお示しください。
IGRは、県が54.1%を出資する法人であります。相次ぐ不適切な事態の発生は県出資法人としても深刻な事態と考えますが、県として、今後、再発防止に向けてIGRに対しどのような指導監督を行うつもりなのでしょうかお示し願います。
次に、コンセッション事業について伺います。
民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律、いわゆるPFI法については、平成23年の法改正により、PFIの対象領域の拡大、民間事業者による提案制度や利用料金の徴収を行う公共施設等について施設所有権を公共主体が有したまま施設の運営権を民間事業者に設定する、いわゆるコンセッション事業の導入などが盛り込まれているところであります。
コンセッション事業は、高速道路、空港、上下水道などの料金徴収を伴う公共サービス等について、施設の所有権を公的機関の発注者に残したまま運営を特別目的会社として設立される民間事業者が行うものであり、例えば、大阪府の八尾市立病院がPFI事業として八尾医療PFI株式会社に運営を移管した事例もあり、長期契約における民間事業者のノウハウの蓄積と、人材育成や医薬品、診療材料の調達コストなどの財政的な効果が見込まれるものと報告があります。また、内閣府では、コンセッション事業の導入などについて検討する際に必要となる経費を全額補助する民間資金等活用事業調査費補助事業を実施しており、本県関係では、ことし2月に盛岡市の野球場整備と二戸市のカーリング施設整備の2件が対象事業に選定されております。
県においては、既に平成31年度を初年度とする次期総合計画の検討が始まっていますが、厳しい財政運営が余儀なくされる中、将来的にわたって質の高い県民サービスの提供を維持していくためにも、幅広い分野の事業においてコンセッション事業を導入することを検討していくべきと考えますが、御所見を伺います。
三陸復興について伺います。
沿岸被災地では、復興公営住宅の整備、仮設商店街の本設移行、防潮堤や水門整備などが進み、新しい三陸の姿が徐々に目に見える形となっています。こうした中、三陸沿岸道路の整備、三陸道路による久慈から盛間の一貫運行等の新しい交通ネットワークを通じて地理的連続性がより高まる沿岸部を市町村単位ではなく三陸として一体的にコーディネートし、食、体験型旅行、防災教育、ジオパーク等の地域資源を組み合わせて取り組んでいく必要があると考えます。東日本大震災津波発災以降、これまでの多大なる人的支援、寄附、物的支援に対し、生まれ変わった活力ある三陸の姿を示す時期は近いと考えます。災害対応、復旧、復興を通じて培った知識、成果、課題等を発信することにより、災害の風化を防ぐのも被災県民としての使命ではないでしょうか。
県内外の注目が三陸に集まる平成31年に開催予定の三陸防災復興博について、知事は現在どのような構想をお持ちでしょうか、今後の進め方とあわせてお知らせください。
さきの岩手県議会の東日本大震災津波復興特別委員会において、東日本大震災津波で被災し、不通となっているJR山田線宮古-釜石間55.4キロは、2019年3月に復旧する見込みであることが確認されました。そして、その年にはラグビーワールドカップ2019が開催され、新スタジアムの近くに鵜住居駅が復旧されるとのことであり、地元の方々も2年後に大きな期待を持ち、PR活動に取り組んでいる状況です。
一方で、ラグビーワールドカップ2019サポーター登録者数が伸び悩み、全国12の開催地の中で本県が最少となっているとの新聞報道があったところであります。昨年の希望郷いわて国体、希望郷いわて大会の大成功を成し遂げた経験を生かし、再度、知事が先頭となって県民一丸となった機運醸成を図っていく必要があると考えますが、開催まで残り2年余りとなった今、どのように取り組んでいくかお示しください。
三陸沿岸道路は、復興道路として仙台市から八戸市までの総延長359キロで整備が進められており、本県の陸前高田市から洋野町の間213キロのうち、平成32年度までに182キロが開通予定とされ、物流の迅速化、観光産業などの交流人口の拡大、渋滞解消などの大きな事業効果が期待されるところであります。しかし、無料高速道路のためサービスエリアは設置されず、既存の道の駅などの施設を利用して休憩サービスに対応するとのことであります。これは、単に高規格道路の整備という側面を超え、例えば、地域の商店や観光スポットなどに多くの方々に立ち寄っていただくきっかけになるプラス効果もあると思われます。
一方で、運送業等で三陸沿岸道路を長距離移動する方々にとっては、やはり全線開通後にトイレや休憩所がないことは非常に不便であり、また、大型トラックの通行による交通安全の面での不安もあることから、その設置に向け、沿岸市町村とともに国に対する働きかけを早急に行っていく必要があると考えます。県としてどのようにお考えかお示しください。
以上で私の質問を終わります。答弁次第で再質問させていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 高橋但馬議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、震災を通じたきずなを維持する仕組みづくりについてでありますが、第3期復興実施計画においては、若者、女性等の参画、人や物の交流の活発化、多様な主体の連携を三つの重視する視点として、三陸の復興と創造の取り組みを進めることとしています。
沿岸市町村においては、震災以前から大学との連携交流が行われてきたところでありますが、復興の過程において、その拡充や新たな取り組みが進められています。
また、企業による地域内外をつなぐ実践的な学びのコーディネートや、NPOによる学生ボランティアの学習指導など、民間が主体となった学生、若者と被災地を結ぶ交流の取り組みも各地域で行われているところです。
県では、いわて未来づくり機構と連携して、東日本大震災津波からの復興に向け、復興を担う人材育成や人的ネットワークづくりのため、いわて復興未来塾を開催しており、去る6月24日に、多様な視点から考える復興の今と将来をテーマとしたパネルディスカッションにおきまして、県内で活動している方々から、全国の学生、若者と被災地をつなぐ活動の報告や今後の展開についての意見交換を行いました。
今後も、東日本大震災津波を契機に岩手とのきずなが生まれた全国の学生、若者に対し、岩手の魅力や復興情報を発信するスマートフォン向けのアプリの登録を呼びかけるなど、SNSを活用したつながりの維持に努めるとともに、県内外のNPOや大学関係者、地方公共団体等、多様な主体との持続的な連携を図ってまいります。
次に、台湾定期便や香港チャーター便の就航についてでありますが、今回の台湾訪問では、中華航空に加え、グループ会社であるタイガーエア台湾や旅行会社を訪問し、チャーター便の運航拡大や定期便化について要望いたしました。この結果、中華航空による紅葉チャーター便の継続に加えて、初めて、タイガーエア台湾によるチャーター便が30便というまとまった便数で運航されることになり、今回の訪問の成果と考えています。
また、定期便化については、中華航空から、慎重かつ前向きに検討するとの回答もあり、これまで同様、将来的な定期便化という目標を共有できたと感じています。
香港訪問では、香港航空や香港の旅行会社に対して、本県や東北の観光資源をPRするとともに、いわて花巻空港が東北の中心にあり、東北周遊に適した立地にあることを説明し、高い評価が得られ、今後、チャーター便、定期便の運航を連携して検討していくことで一致し、前向きな手応えを感じたところであります。
台湾、香港とも、現地の関係者からは、より一層訴求力のある東北広域の観光ルートを構築し、誘客を強化してほしいとの意見があったことから、東北各県等で構成する東北観光推進機構とも連携して、魅力ある広域ルートの構築やPR、二次交通を初めとする受け入れ環境の整備に取り組むとともに、チャーター便の運航拡大を図り、実績を重ねて、定期便化の実現に向けた取り組みを一歩一歩進めてまいりたいと思います。
次に、IGRの経営見通しについてでありますが、IGRは、開業以来、自社が起こした事故もなく、安全、安定運航を確保してきたほか、平成23年度からの貨物線路の使用料制度の改正以降、5期連続の純利益を計上し、財務上も内部留保を積み増しながら経営強化を図ってきたところであります。沿線人口の減少などの環境変化に対しても、旅客営業の強化や関連事業の展開などにより、収益確保のための取り組みを着実に進めてきたものと考えております。
また、将来見込まれる車両更新などの大規模な設備投資に対しては、県と沿線市町が、いわて銀河鉄道経営安定化基金に毎年一定額を積み立てて、これを支援することとしているなど、県、沿線市町が一体となってその経営を支えております。
こうした中、IGRの平成28年度決算では、寝台特急の運行終了等により旅客収入が大きく減少したこともあり、6期ぶりの純損失を計上したところです。
今後も、沿線人口の減少や施設老朽化による修繕、設備更新費用の増加など、IGRの経営を取り巻く環境は厳しさを増していくものと認識しておりますが、本県の生活路線として重要な役割を果たすIGRに対しては、一層の経営の効率化を求めるとともに、県、沿線市町、IGRが、引き続き一体となって安定経営のための取り組みを進め、将来にわたる鉄路維持を図ってまいります。
次に、社内の管理監督体制についてでありますが、今回、IGR旅行業部門における着服事案と会計処理の錯誤による赤字決算が相次いで発生したことに関しては、IGRでは、社内のチェック体制に不備があったとの見解を示しており、再発防止のため、社内の相互牽制機能の強化や複数の担当者等による多重チェックを行うなどの対策を講じることとしたところです。
また、社内に、新たに選任された専務取締役をトップとする業務改善チームを設置し、再発防止策の徹底と継続的な社内業務の改善等を図るとともに、監査役会が、その実施状況を監視、検証していくこととしており、県としては、IGRのこれらの取り組みが十分行われるよう指導、監督してまいります。
経営者の責任については、今回の不適切な事案に関し、再発防止と信頼の回復に向けて取り組むことが、社長を初めとするIGR経営陣の重要な責務であると考えており、県としても、これに全力を挙げて取り組むよう要請しているところであります。
次に、再発防止に向けた指導監督についてでありますが、今回の不適切な事案については、県出資法人としてまことに遺憾な事態であり、IGRには、再発防止と県民の信頼の回復に向けた取り組みをしっかりと進めてもらいたいと考えております。
着服事案に関しては、再発防止策等の実施状況について、当面の間、県に定期的に報告するとともに、報告に基づき県が行うヒアリングや実地調査に対応するよう、IGRに対し文書で要請いたしました。
IGRでは、今回の事案を踏まえ、新たに選任された専務取締役をトップとする業務改善チームによる再発防止策の徹底等と、監査役会によるその実施状況の監視、検証を行うこととしていますが、県としては、出資法人の適正な事業運営を確保する観点から、今後、定期的な状況把握を行いながら、指導監督の一層の強化を図ってまいります。
次に、三陸防災復興博の構想についてでありますが、平成31年は、三陸鉄道の一貫経営のほか、ラグビーワールドカップ2019の開催など、三陸地域が国内、国外から大きな注目を集める好機と考えています。
この機を捉え、仮称ではありますが、三陸防災復興博を三陸地域全体で開催し、東日本大震災津波への支援に対する感謝の気持ちや、復興、防災モデルを含めた新しい三陸、一つの三陸の姿を国内、国外に発信するとともに、三陸地域の交流人口の拡大を目指したいと考えております。
現時点では、三陸鉄道の車両や駅を活用した企画のほか、防災や復興をテーマとしたシンポジウム、震災復興への祈りや三陸の自然をテーマとした企画展などを各地で開催したいと考えています。
さらに、復興の先を見据えた三陸地域の振興にもつながるよう、三陸ならではの体験旅行プログラムや、豊かな食材を活用した特産品の開発などについても、内部で検討を進めているところです。
今後、市町村や関係団体と十分な意思疎通を図りながら、今年度中に実行委員会を設立し、具体的な準備を進めていく予定としております。
次に、ラグビーワールドカップ2019についてでありますが、釜石市で開催される本大会は、東日本大震災津波の被災地を代表して、世界中からいただいた支援への感謝の思いと復興の姿を世界に向けて発信するという大きな役割を担っており、県民が広く大会にかかわり、大会機運を盛り上げていくことが重要であります。
ことし4月には、文化スポーツ部にラグビーワールドカップ2019推進課を新設するとともに、官民146団体が参画して釜石開催実行委員会が設立されるなど、大会に向けた推進体制が整備されました。
また、実行委員会においては、6月に報道機関や経済団体などで構成する広報・イベント部会を設置して、情報発信等に積極的に取り組んでいるところであり、その結果、本県のサポーター登録者数が5月末の772人から6月23日現在で4、448人へと大きく増加し、目標達成率は55.6%となるなど、大会への理解が着実に浸透しつつあります。
9月には、釜石会場の試合日程や対戦カードが明らかになりますことから、この機会を捉え、一層の機運醸成を図るなど、引き続き、実行委員会を中心として、官民の関係団体、そして県民が、オール岩手でスクラムを組み、万全の体制で大会を迎えられるようしっかりと取り組んでまいります。
その他のお尋ねにつきましては企画理事及び関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔復興局長佐々木信君登壇〕
〇復興局長(佐々木信君) まず、大学生がボランティア活動を行う際の宿泊場所についてでありますが、東日本大震災津波からの復旧、復興に当たっては、ボランティア活動が大きく貢献しているところであり、その宿泊場所としての応急仮設住宅の活用について、本県等から国に対し強く要望した結果、応急仮設住宅を管理する市町村の判断により、地元自治体等からの要請を受けて活動しているボランティアなどの利用が可能とされております。
本年5月末現在、4市町において60戸がボランティアの宿舎として活用されていますが、今後、季節的に利用需要が高まることも想定されます。
一方で、各市町村において応急仮設住宅の集約を進めている状況でありますことから、県としても、地域の実情に応じた有効活用に係る市町村等からの相談などにしっかりと対応してまいります。
次に、三陸沿岸道路への休憩施設等の設置についてでありますが、議員御指摘のとおり、国では、無料の高速道路である三陸沿岸道路においては、高速道路上からの道の駅等への案内を充実させることにより、いわゆるサービスエリアを新設するのではなく、既存の施設を活用して、休憩サービスを提供する方針と伺っています。
一方で、三陸沿岸道路の開通後は、観光や物流において多くの利用が見込まれることから、利用者の利便性向上が今後の課題となると認識しており、先般の県と東北地方整備局との懇談において、本線直結のトイレや休憩施設の必要性についても意見交換したところです。
今後とも、利用者の御意見も伺いながら、市町村と連携し国に働きかけてまいります。
〔企画理事岩間隆君登壇〕
〇企画理事(岩間隆君) 今後の中国展開についてでありますが、大連経済事務所は、平成17年4月に設置して以来、県内企業の中国ビジネス支援、県産品の販路拡大や観光誘客、さらには中国地方政府との交流などに取り組み、幅広い成果を上げているところであります。
中でも大連経済事務所のコーディネートにより出展が実現した上海万博を機に交流が始まった雲南省とは、平成25年に友好交流協力協定を締結し、地方政府間交流を起点として、中国-南アジア博覧会への出展や青少年訪問団の相互派遣、農業シンポジウムの相互開催など、幅広い分野での連携、交流に拡大してきております。
今後、さらなる交流の拡大が見込まれますことから、東南アジア、南アジアへのゲートウエーとして、成長が著しい雲南省への新たな拠点の設置など、大連経済事務所とあわせた体制を構築していくことも必要であると考えておりまして、こうしたことを通じて、これまでの取り組みを一層強化するなど、有望な市場である中国への展開を着実に図っていく考えであります。
〔環境生活部長津軽石昭彦君登壇〕
〇環境生活部長(津軽石昭彦君) まず、民泊の活動実態の把握についてでありますが、現時点でも、県では、随時、民泊紹介サイトを閲覧し、旅館業法に基づく施設の営業許可の有無を確認するとともに、無許可営業が疑われる場合には、保健所において営業実態を把握し、法令違反が確認された場合は、必要な対応を行っておりまして、民泊新法施行後においても、これまでと同様にしっかりと対応することとしております。
次に、条例による営業日数の短縮についてでありますが、住宅宿泊事業法第18条の規定によりますと、住宅宿泊事業、いわゆる民泊に起因する騒音等による生活環境の悪化を防止するため、必要があるときは、政令で定める基準に従い、条例により区域を定め、住宅宿泊事業の実施期間を制限することができることとなっております。
現時点では、基準となる政令や国で示すこととしているガイドラインが示されていないことから、引き続き情報収集に努めるとともに、国から政令等が示され次第、有識者や関係者の方々の御意見等も伺いながら、その対応を検討してまいります。
〔商工労働観光部長菊池哲君登壇〕
〇商工労働観光部長(菊池哲君) まず、インバウンドの誘客拡大に向けた取り組みについてでありますが、外国人観光客の入り込み動向調査によりますと、本県を訪れる外国人観光客の多くは、成田、羽田空港から入国し、首都圏から北上して東北や北東北を周遊していることから、その中で、本県での周遊、滞在をより多くしていくことが重要であると認識しております。
このようなことから、北東北3県で連携し、食をテーマとした周遊コースの確立や、十和田・八幡平国立公園の観光資源の磨き上げに取り組むとともに、宮城県や青森県などと連携し、震災学習や、みちのく潮風トレイルなどを生かした、沿岸地域における観光コンテンツの開発に取り組んでいるところでございます。
さらには、北海道新幹線の開業により北海道との交通利便性が向上したことから、旅行会社に対し、北東北と北海道を組み合わせた旅行商品を提案するなど、北海道からの外国人観光客の取り込みにも取り組んでいるところでございます。
今後におきましても、引き続き広域連携による東北、北東北への誘客の底上げを図りながら、東アジア圏を中心に高い人気の南部鉄瓶、あまちゃんの現地放映で認知度が高まっております三陸鉄道、歴史ある馬事文化、日本トップクラスのスキーリゾートなど、本県ならではの地域資源を活用したプロモーションを強化し、一層の誘客拡大に取り組んでいく考えでございます。
次に、個人旅行客の誘客についてでありますが、近年、訪日外国人のうち個人旅行客が増加しており、本県へのさらなる誘客拡大を図るには、個人旅行客向けのプロモーションを一層強化していく必要があると認識しているところでございます。
このため、市町村を初め関係者と連携し、タイや台湾等の旅行博や各種イベントへの出展、メディア関係者やブロガーの招請、フェイスブックなどのSNSを活用した情報発信、海外のテレビドラマや旅番組のロケ地誘致など、本県の魅力をさまざまな切り口から強調しアピールする取り組みを展開しているところでございます。
また、これらの取り組みに当たりましては、売り込み先の国、地域のニーズや特性などを踏まえながら、例えば、黄金の國、いわて。の金色や春の桜と雪のイメージカラー、三陸の食、南部鉄瓶などに代表される岩手ブランドをメーンモチーフとして、訴求力のあるPRの展開に努めているところでございます。
今後におきましても、海外事務所や現地コーディネーターを活用して、海外で人気のあるコンテンツの情報を収集、分析し、これらを生かしたPRを行うなど効果的なプロモーションを展開し、誘客の拡大につなげていくこととしております。
次に、台風で被災した中小企業者に対する支援についてでありますが、県では、被災事業者の事業再開を支援するため、交付金制度を創設するとともに、いわゆる自己負担部分については、中小企業災害復旧資金等の県単融資制度で支援しているところでございます。
この中小企業災害復旧資金は、事業者負担軽減のため信用保証料の全額を県が補給するとともに、利子につきましては、地元3市町が利子補給を行っておりまして、実質的に無利子で借りられるようになっているところでございます。
次に、一定規模以上の災害に対する支援策についてでありますが、現状では、激甚災害の指定に伴い、国により信用保証の特例などの金融支援措置が講じられることとなっておりますが、いわゆる補助制度などについては明確な規定がなく、大規模災害で被災した事業者の早期事業再開を進める上で、補助制度などもあらかじめ示されていることは意義あることと思います。
したがいまして、国に対しましては、機会を捉え、手厚い支援策を構築しておくことについて、働きかけていきたいと考えております。
〔文化スポーツ部長上田幹也君登壇〕
〇文化スポーツ部長(上田幹也君) スポーツクライミングについてでありますが、県では、選手強化やスポーツクライミング教室を実施するなど、世界レベルのトップアスリートの育成や競技人口の拡大に取り組んできたところであり、引き続き、しっかりと取り組みを進めてまいります。
また、リード施設は、競技用の壁が上部、下部どちらも可動するなど、すぐれた機能を備え、国内外から高い評価を受けており、さらに、現在整備を進めておりますスピード施設が完成すれば、ボルダリング施設と合わせ3種目が整った全国でも極めてハイレベルな施設となります。
今後におきましては、このような優位性を生かし、オリンピックの事前キャンプや国際大会、全国大会、合宿などの誘致にも積極的に取り組んでまいります。
次に、雨天利用についてでありますが、屋外にございますリード施設は、正面以外は屋根と外壁で覆われており、基本的に雨でも大会や練習を行うことができる全国でも数少ない施設であり、この強みを生かし、各種大会や合宿等の誘致を進めてまいります。
〔県土整備部長中野穣治君登壇〕
〇県土整備部長(中野穣治君) つなぎスイミングセンター跡地の利活用についてでありますが、つなぎスイミングセンターについては、平成28年6月に管理棟とトイレを除く施設の取り壊しが完了し、跡地は、希望郷いわて国体カヌー、スプリント会場の駐車場として使用したところであり、現状では、大規模イベント開催時における臨時駐車場などとしての利用を見込んでいるところです。
文化やスポーツ、またレクリエーションへの県民の関心が高まっている中、当該跡地は、都市公園として利用可能な貴重な空間であると認識しておりまして、その活用に関する公園利用者のニーズ、また、地域振興の観点から、地元市町の意向も踏まえながら、将来的な利活用について検討してまいりたいと考えてございます。
〔総務部長佐藤博君登壇〕
〇総務部長(佐藤博君) コンセッション事業についてでありますが、公共施設等運営権制度を活用したコンセッション事業は、公共施設等の建設、維持管理、運営等を行政と民間が連携し、民間の創意工夫等を活用することで財政資金の効率的使用や行政の効率化等を図るPPP、PFI手法の一つとされ、公的負担の抑制や住民サービスの向上などに有効な手段として、国のPPP、PFI推進アクションプランの重点施策に位置づけられております。
県では、財政状況が一層厳しくなる中、老朽化した公共施設等の長期的視点に立った計画的な維持、更新や長寿命化などを計画的に進めるため、平成28年3月に策定した岩手県公共施設等総合管理計画において、PPP、PFI手法の活用など、民間活力の導入について検討することとしたところでございます。
また、平成11年のPFI法の制定を受け、平成14年に岩手県におけるPFI法導入のための指針を策定しておりますが、先般の法改正など国等の動向などを踏まえ、今後のPPP、PFI手法の導入に向けて、現在、対象事業の選定方法や事業評価方法など、当該指針の見直し作業に取り組んでいるところでございます。
今後、次期総合計画や岩手県公共施設等総合管理計画に基づく個別施設計画の策定に当たっては、コンセッション事業も含めたPPP、PFI手法の積極的な導入に向けて、幅広い観点から検討を進めてまいります。
〇28番(高橋但馬君) 御説明ありがとうございました。復興局長に関しましては、前向きな御答弁をいただいたと捉えております。引き続き、学生ボランティアを初めとする岩手、被災地に目が向いている方々に対して、県として、しっかりと対応していただければと思います。
インバウンドの拡大について再質問します。
平成27年度から始まった外国人観光客等受入促進環境整備事業ですけれども、これは、Wi-Fi等ICT環境の整備に関して、宿泊施設の整備率がWi-Fi館内整備79.6%、客室が73.3%と8割に近い整備率となっていると。
このような中、外国人を受け入れるためにWi-Fiの部分の整備は非常に進んできていると考えます。その中で、本年度から補助対象に加わった客室の和洋室化の事業については、客室への入浴設備または客室への洋式トイレの導入をあわせて実施しなければならないという要件があります。基本的に外国人観光客の受け入れに前向きな施設は、ユニットバスもしくはシャワーユニット、洋式トイレ化はほぼ終了しており、客室の和洋室化を行いたくても補助金の交付対象にならないというのが今、現状です。こうした補助金を有効に活用していくためには、あらかじめ対象施設の実態を把握した上で弾力的な運用を可能とする制度設計も必要と考えますが、この補助金の有効活用について県の考えをお知らせください。
あと、昨年の台風第10号で被災した商工業者の支援について、昨年の台風被害に際して、被災地の商工会議所や商工会、商工会連合会など商工団体が精力的に動いたことで、県が創設した地域なりわい再生緊急対策交付金制度が有効に活用されたものと私は受けとめております。同時に、こうした被災地の商工団体に対する人員措置に対する経費も盛り込まれていたことは高く評価できることと考えております。また、こうした商工団体は、中小企業における経営革新計画の策定支援などの、いわゆる伴走型支援の主体ともなっております。
本質問でも触れたとおり、大雨などの災害の発生頻度もふえております。こうした中、やはり一義的に商工業者の支援を行う商工団体が担う役割というのは非常に大きいものを感じているわけですけれども、その体制強化を含め、県との連携や県の支援がさらに必要と考えますが、御所見をお願いいたします。
最後は、民泊についてお伺いします。
年間180日以内とされた営業日数の上限について、環境悪化が懸念される地域自治体がこれを条例で短縮することができるとされております。ここで言う環境悪化というのは、大きく分類すると、生活環境の悪化と既存の宿泊施設との競合があると思います。生活環境の悪化は、騒音やごみ問題、治安問題と以前に私は質問しました。そして、家賃の高騰化の危惧であります。既存業者と新規参入者がイコールフィッテングではない状況であります。
例えば、民宿が民宿ということではなくて簡易宿所から一般住宅として登録し直した場合、あくまでうちは一般住宅だとした場合、固定資産税がまず下がります。そして、温泉旅館。温泉浴場を別会社にする。そうすると、温泉施設の部分だけは日帰り入浴ということになって入湯税が半額になるという部分もあって、行政の税収も減るということも考えられるんです。ただ、それを実際にやるかどうかは別としても、事業主はそこまで危機感を持って民泊に対して対応しなければならないという、ある意味、既存業者というのは追い込まれた状況にあると私は考えているんです。
国の部分でいろいろな法整備があるとは思うのですけれども、やっぱり県としても、こういう状況を見ながら、先進的な対応というか、事前に事業者と話し合いながら、打開策というか、先ほども出ていましたけれども、基本的に稼働率が100%を超えていない状況で、新たに参入してくること自体なかなか厳しいことなのかと思っております。民間競合になかなか入りづらいというのはわかるんですけれども、その辺も含めた対応をお願いしたいと思いますが、御所見を伺います。
〇商工労働観光部長(菊池哲君) まず、外国人観光客等受入促進環境整備事業についてでございますが、この事業は国の東北観光復興交付金を財源として活用しておりますことから、補助対象の要件等を含む事業内容について、国との協議を行いながら、国から同交付金の交付決定を受けた上で実施している形となっているものです。国との協議においては、国から、補助対象としては、外国人旅行者の受け入れのため欠くことができない基本的な設備である洋式トイレ整備や、利便性確保の観点から重要である無料公衆無線LAN整備などを対象とするよう指導されておりまして、例えば、客室の和洋室化への改修を伴わないベッド等、什器のみの購入といった形のものは対象外とされている状況にございます。
県としては、宿泊施設や観光事業者の方々などがより使いやすい補助制度とすることも重要と考えておりますので、関係者の御意見などを踏まえながら国との協議を行いまして、外国人観光客の受け入れ環境のさらなる向上が図られるよう取り組んでまいりたいと思いますので、御了承願います。
次に、商工指導団体についての御質問でございましたが、商工会、商工会議所などの商工指導団体は、中小企業者を取り巻く社会経済環境が変化する中、事業者がみずからの強みを生かしながら成長、発展できるよう、いわゆる伴走型の経営支援を初め、事業承継や創業、観光振興などさまざまな支援を行っているところでございます。
また、さきの台風第10号災害においては、発災直後から連合会を中心とした組織の力を生かして必要な体制を整え、被災状況の把握や相談、指導等に精力的に取り組むなど、被災事業者の早期事業再開に向けて大変御尽力いただいたと認識しております。
このように商工指導団体は、県内中小企業と地域経済の振興に大きな役割を果たしており、県では、商工指導団体と緊密に連携しながら、より効率的に中小企業振興施策を展開していくことができるよう、現在、商工指導団体の機能強化や組織のあり方などについて意見交換を行っているところでございます。引き続き、そうした検討を重ねながら、どうあるべきか等について考えていきたいと思っております。
加えまして、民泊の関係の御質問がありましたので、私、商工労働観光部側の立場としてお答えさせていただきます。
既存宿泊事業者と新法の制定により新たに参入する事業者との間における、いわゆるイコールフィッテングの問題について御指摘をいただいたと思うんですが、この点につきましては先般の国会でもその立法過程において御審議されておりまして、御案内のとおり附帯決議なども出ている状況でございます。既存の旅行業法に基づくホテル、旅館業者等との公正、公平な競争条件の確保の必要性にも留意し、必要な措置を講じることという附帯決議の内容、要旨だったと思います。そういう状況で、現時点で新法の規制の基準となる政省令、ガイドラインの策定について国が今進めているわけで、まだ明記されていませんので、そういったことから、附帯決議に対する国の対応状況も見きわめながら今後の対応についても考えていきたいということでおりますので、御了承願いたいと思います。
〇議長(田村誠君) 次に、千葉伝君。
〔47番千葉伝君登壇〕(拍手)

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