平成28年9月定例会 第6回岩手県議会定例会会議録

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〇1番(千田美津子君) 日本共産党の千田美津子です。
私は、議案第23号、請願陳情受理番号第15号、請願陳情受理番号第16号及び請願陳情受理番号第23号の総務委員長報告に反対の立場で討論いたします。
まず、議案第23号は、訴えの提起に関し議決を求めることについてであります。
多額の家賃の滞納に対する訴えを起こすというものでありますけれども、滞納者の実態は複雑で、低所得者や病気等さまざまな問題を抱えている場合も多く、生活保護などの福祉的な施策が必要な場合もあります。この間、一定の努力をされてきたことと思いますけれども、連絡がとれないことなどを理由に訴えを起こすというのは、私は問題があると考えますので、議案第23号については反対をいたします。
次に、請願陳情受理番号第15号所得税法第56条廃止を求める請願についてであります。
所得税法第56条の要旨は、事業主と生計を一にする配偶者その他の親族が、事業主からの対価の支払い、つまり給与を受ける場合には、その給与の額は原則として必要経費にならないというものです。つまり、個人事業主が家族へ給与を支払ったとしても、それは必要経費にならず事業主の所得とされてしまいます。これが税法上の原則です。
この第56条が長年にわたり家族従事者の社会的、経済的自立を妨げています。このため白色申告者の場合、息子さんが仕事を手伝っていた際に独立開業するということになれば当然借り入れを起こしますが、その際に所得証明は専従者をとり、給与所得収入額が50万円、給与所得控除を引きますとゼロになってしまいます。
まさに、この第56条は、戦前の家制度の名残であり、男女共同参画社会基本法の趣旨からも受け入れがたい内容で、時代おくれのものになっています。国連の女性差別撤廃委員会からは、労働の対価が税法で事業主の所得とされるのは人権侵害ではないかと取り上げられ、異議が出ています。また、配偶者が交通事故に遭った場合などは、専業主婦の方より日常補償額が少なくなるというふぐあいが現実に起きております。
このように、所得税法第56条は、憲法、女性差別撤廃条約、男女共同参画社会基本法にも違反する時代おくれの条文だと言わなければなりません。
また、税法上の問題で言えば、原則、個人の場合は自主申告、いわゆる白色申告です。青色申告は原則ではありません。税務署にお願いをして許可をもらってやっているものであります。
社会が大きく変わる中、同一生計であるというだけで親族に支払う対価の経済性を一切認めないこの規定は、もはや多様な経済実態にそぐわないものであり、課税上、新たな不公平を生じる結果となっています。
同一生計親族に支払う対価については、その適正な金額を必要経費とすることが、所得税法の本則からも当然であり、また、対価の支払いを受ける側も所得とすることが相当です。労働に対して正当な評価と報酬を得ることは当然の権利であり、自立して生きるための基本的な要件です。
私は、このような観点から、請願陳情受理番号第15号所得税法第56条廃止を求める請願は、採択すべきと考えます。
請願陳情受理番号第16号は、米軍元海兵隊員による沖縄での女性殺害事件に強く抗議し、日米地位協定の抜本的見直し、海兵隊の撤退、米軍基地の大幅な整理・縮小を求める請願です。
ことし4月末に沖縄県うるま市の20歳の女性が行方不明になり、嘉手納基地で働く元海兵隊員が容疑者として逮捕され、その後、遺体が発見されるという痛ましい事件が起きました。実は、前の月の3月13日にもキャンプシュワブ所属の海兵隊員が、那覇市内のホテルで観光客の女性を襲い、準強姦容疑で逮捕されています。
沖縄では、1972年の本土復帰からことしの5月までに米軍関係者による犯罪が5、910件発生し、凶悪事件は575件、レイプ事件は129件も起きています。米軍は事件のたびに再発防止を行うと言いますが、米軍基地があるゆえに、多くの犠牲と過重な負担を強いられてきたのが沖縄であります。
ことし6月、沖縄の怒りは沸騰し、那覇市内で被害者を追悼し、海兵隊の撤退を求める県民大会が開催され、6万5、000人もの県民が参加しました。しかも、女性に対する暴力は、1995年の少女暴行事件や1955年の由美子ちゃん事件等に象徴される形で起こり続けており、米軍の駐留の中で起きているということは紛れもない事実であります。そして、これらを可能にしているのが日米安保であり、不平等な日米地位協定があり続けているためです。
これ以上犠牲者を出さないためにも、請願項目にあるように、日米両政府が県民に対して謝罪し完全な補償を行うこと、米海兵隊の撤退及び米軍基地の大幅な整理、縮小を行うこと、日米地位協定の抜本的な改定、そして、普天間基地の無条件閉鎖と名護市辺野古での米軍新基地建設を断念することは急務であります。
よって、請願陳情受理番号第16号米軍元海兵隊員による沖縄での女性殺害事件に強く抗議し、日米地位協定の抜本的見直し、海兵隊の撤退、米軍基地の大幅な整理・縮小を求める請願は採択すべきと考えます。
請願陳情受理番号第23号は、安保法制の発動を許さず、自衛隊に「駆けつけ警護」など新任務を付与せず、南スーダンからの撤退を求めるものです。
総務委員長の報告では、安保法制の発動をやめ、多くの国民が望んでいる安保法制を廃止するよう国に求めることは採択する一方で、安保関連法に基づく、自衛隊に駆けつけ警護など新任務を付与せず、南スーダンから自衛隊を撤退させるよう国に求めることの請願項目は不採択とされました。これは論理的に矛盾するものです。
南スーダンの状況は、国連の報告書でも、ことしの7月に首都ジュバで、大統領派の政府軍と前副大統領派の反政府軍との間で戦闘があり、300人以上が死亡したとされています。政府軍による国連部隊、人道支援団体への攻撃、殺害、レイプも発生しています。その後も国内各地で戦闘が継続しており内戦状態にあります。停戦合意は既に破綻しており、自衛隊の撤退こそ必要です。
こうした危険な状況の中で、11月に派兵される自衛隊、東北の部隊である第9師団第5普通科連隊に、安保関連法、戦争法に基づいて駆けつけ警護の新たな任務が付与されようとしていることは極めて重大であります。
駆けつけ警護とは、国連の施設や他国の部隊が襲撃されたときに、自衛隊が駆けつけて救出をするということです。まさに殺し殺される戦争に巻き込まれることになります。国際紛争の解決に当たって、武力の行使も、武力の威嚇も行ってはならないという憲法9条を踏みにじるものであり、戦後初めて戦死者を出しかねない問題であります。とりわけ、派兵が予定されている部隊は岩手県出身者を含む東北の部隊であります。
また、11月9日に開催された民進党、共産党、自由党、社民党の野党書記局長、幹事長会談では、ТPP承認案と関連法案徹底審議を求めることとあわせて、南スーダンPKOの駆けつけ警護の任務の付与に反対することも合意されています。国会でも選挙協力でも前進している野党合意を踏まえて、この請願項目が採択されますように強く訴えるものでございます。
以上で反対討論といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(田村誠君) 以上で通告による討論は終わりました。これをもって討論を終結いたします。
これより、請願陳情中、受理番号第23号安保法制の発動を許さず、自衛隊に「駆けつけ警護」など新任務を付与せず、南スーダンからの撤退を求める請願のうち、項目の1、自衛隊に駆けつけ警護など新任務を付与せず、南スーダンから自衛隊を撤退するよう国に求めることを採決いたします。
なお、本件に対する委員長の報告は不採択でありますが、本件を採択することについて採決いたします。
本件を採択と決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
〇議長(田村誠君) 起立少数であります。よって、請願陳情中、受理番号第23号安保法制の発動を許さず、自衛隊に「駆けつけ警護」など新任務を付与せず、南スーダンからの撤退を求める請願のうち、項目の1、自衛隊に駆けつけ警護など新任務を付与せず、南スーダンから自衛隊を撤退するよう国に求めることについては、不採択とすることに決定いたしました。
次に、請願陳情中、受理番号第23号安保法制の発動を許さず、自衛隊に「駆けつけ警護」など新任務を付与せず、南スーダンからの撤退を求める請願のうち、項目の2、安保法制の発動をやめ、多くの国民が望んでいる安保法制を廃止するよう国に求めることを採決いたします。
本件は、委員長の報告のとおり採択と決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
〇議長(田村誠君) 起立多数であります。よって、請願陳情中、受理番号第23号安保法制の発動を許さず、自衛隊に「駆けつけ警護」など新任務を付与せず、南スーダンからの撤退を求める請願のうち、項目の2、安保法制の発動をやめ、多くの国民が望んでいる安保法制を廃止するよう国に求めることは、委員長の報告のとおり採択と決定いたしました。
次に、請願陳情中、受理番号第14号TPP協定を国会で批准しないことを求める請願を採決いたします。
本請願は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
〇議長(田村誠君) 起立多数であります。よって、請願陳情中、受理番号第14号TPP協定を国会で批准しないことを求める請願は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
次に、請願陳情中、受理番号第27号若者も高齢者も安心できる年金制度の実現を求める請願を採決いたします。
本請願は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
〇議長(田村誠君) 起立多数であります。よって、請願陳情中、受理番号第27号若者も高齢者も安心できる年金制度の実現を求める請願は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
次に、請願陳情中、受理番号第15号所得税法第56条廃止を求める請願を採決いたします。
本請願は、委員長の報告のとおり不採択と決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
〇議長(田村誠君) 起立多数であります。よって、請願陳情中、受理番号第15号所得税法第56条廃止を求める請願は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
次に、請願陳情中、受理番号第16号米軍元海兵隊員による沖縄での女性殺害事件に強く抗議し、日米地位協定の抜本的見直し、海兵隊の撤退、米軍基地の大幅な整理・縮小を求める請願を採決いたします。
本請願は、委員長の報告のとおり不採択と決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
〇議長(田村誠君) 起立多数であります。よって、請願陳情中、受理番号第16号米軍元海兵隊員による沖縄での女性殺害事件に強く抗議し、日米地位協定の抜本的見直し、海兵隊の撤退、米軍基地の大幅な整理・縮小を求める請願は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
次に、議案第23号訴えの提起に関し議決を求めることについてを採決いたします。
本案は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
〇議長(田村誠君) 起立多数であります。よって、議案第23号訴えの提起に関し議決を求めることについては、委員長の報告のとおり決定いたしました。
次に、議案第20号宮古港藤原地区海岸防潮堤工事の変更請負契約の締結に関し議決を求めることについてを採決いたします。
本案は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
〇議長(田村誠君) 起立全員であります。よって、議案第20号宮古港藤原地区海岸防潮堤工事の変更請負契約の締結に関し議決を求めることについては、委員長の報告のとおり決定いたしました。
次に、議案第1号から議案第19号まで、議案第21号、議案第22号、議案第24号から議案第27号まで、議案第31号から議案第37号まで及びただいま議決いたしました請願陳情を除く請願陳情を一括して採決いたします。
各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
〇議長(田村誠君) 起立全員であります。よって、議案第1号から議案第19号まで、議案第21号、議案第22号、議案第24号から議案第27号まで、議案第31号から議案第37号まで及びただいま議決いたしました請願陳情を除く請願陳情は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
日程第36 委員会の閉会中の継続審査の件
〇議長(田村誠君) 次に、日程第36、委員会の閉会中の継続審査の件を議題といたします。
〔参照〕
委員会の閉会中の継続審査事件
1 継続審査
環境福祉委員会 請願陳情受理番号第25号
早池峰国定公園の保護を更に強化していただきたい請願
〇議長(田村誠君) お諮りいたします。委員会の閉会中の継続審査の件につきましては、環境福祉委員長からお手元に配付いたしてあるとおり申し出がありますが、委員長からの申し出のとおり、閉会中の継続審査に付することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(田村誠君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長からの申し出のとおり、閉会中の継続審査に付することに決定いたしました。
日程第37 発議案第3号安全保障関連法の廃止を求める意見書及び日程第38 発議案第4号TPP協定を批准しないことを求める意見書
〇議長(田村誠君) 次に、日程第37、発議案第3号及び日程第38、発議案第4号を一括議題といたします。
提出者の説明を求めます。小野総務委員長。
〔総務委員長小野共君登壇〕

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