平成28年9月定例会 第6回岩手県議会定例会会議録

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〇37番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
議案に対する質疑を行います。
議案第1号は、2016年度岩手県一般会計補正予算(第2号)であります。総額1、122億円余の大型補正予算であり、そのうち702億円余は台風第10号災害対応に関するものであります。
第1に、地域振興総務費の管理運営費が台風第10号等災害対応分として1、538万円余計上されています。本庁及び岩泉町に台風災害復旧復興推進室を設置し、台風災害被災地の早期復旧を推進しようとするものということでありますが、その体制、機能、取り組みの課題と今後の見通しはどうなっているでしょうか。
達増知事を先頭に、安倍首相や各大臣、国会にも要望活動を行っていますが、国への要望に対する国の対応は具体的にどうなっているでしょうか。現時点で実現しているもの、実現の可能性があるもの、また、見通しがないものはどうなっているか具体的に示していただきたい。
第2に、台風第10号等災害対応分を含む道路維持修繕費が13億5、288万円余計上されています。道路管理瑕疵の発生を未然に防止するため、日常的、応急的な道路の維持管理の実施に要する経費となっていますが、その具体的内容、そして、国道106号、国道455号等の全面的改修の見通しはどうなっているか示してください。
第3に、台風第10号等災害対応の河川海岸等維持修繕費12億1、000万円余、治水施設整備事業費19億4、651万円余、災害復旧事業費466億円余等が計上されています。今回の台風第10号による洪水の特徴と治水対策の基本方針はどうなっているでしょうか。
被害の大きい小本川、安家川、久慈川、閉伊川水系の河川改修、河道掘削等の具体的な復旧方針はどうなっているでしょうか、今後の見通しを含めて示していただきたい。
小本川流域の被災した老人保健施設は同じ場所で改修、再建を進める方針ですが、堤防のかさ上げと強化は間に合うように行われるのでしょうか。
第4に、災害関連緊急砂防事業費が77億5、000万円余計上されています。土砂災害発生防止のための緊急的な土石流対策施設等の設置に要する経費としています。岩泉町内では1、300カ所の土砂崩れが発生したとされていますが、具体的な事業の内容、箇所数はどうなっているでしょうか。本格的な土石流対策の見通しを含めて示していただきたい。
第5に、台風第10号の被害を受けた応急仮設住宅の修繕費等が1、091万円余計上されています。応急仮設住宅の被害状況と、家財道具等も被災していると思いますが、被災者に対する補償と対応はどうなっているでしょうか。あわせて、岩泉町における応急仮設住宅の整備戸数と整備の見通しを示してください。
議案第18号から議案第21号は、震災復興工事に係る変更請負契約の締結に関し議決を求めるものであります。必要な工事だと思いますが、議案第19号八木地区海岸防潮堤工事の場合は、当初の契約額が3億2、400万円で、今回、第4回の変更契約額は5億6、337万円余と、73.9%増となっています。余りにも変更金額が大きく、これでは当初の入札の意味がなくなってしまいます。議案第18号の主要地方道大船渡広田陸前高田線小友地区道路改良工事の場合は、6億7、122万円から9億3、592万円に39.4%の増となっています。これだけ当初の契約金額から乖離する理由、問題は何か、改善の方向はどうなっているか示されたい。
議案第23号は、訴えの提起に関し議決を求めるものであります。2名の県営住宅入居者に対し、県営住宅の明け渡し及び滞納家賃等支払い請求を求めるものでありますが、この入居者は働いているのか、収入の状況を把握しているのか。住宅確保も福祉の課題であります。もし低収入、生活苦や病気などが背景にあるなら、福祉の機関につないで対象者の生活再建の手だてをとるべきと考えますが、そうした努力はされているでしょうか。
答弁によっては再質問をさせていただきます。
〇復興局長(木村卓也君) 応急仮設住宅の被害状況等についてでございますが、台風第10号により、現に居住している応急仮設住宅のうち38戸が床上浸水となったほか、床下浸水や屋根の破損、浄化槽のふぐあい等が生じ、合計で125件の修繕工事等を行ったところでございます。
また、被災者に対する対応については、床上浸水した38戸のうち34戸が空き住戸に移転したほか、被災者生活再建支援法による支援の対象とならない半壊及び床上浸水世帯に対し、市町村が支援金の支給を行う場合に県が補助金を交付する県単独制度を創設いたしまして、半壊世帯は20万円、床上浸水世帯には5万円支給することとしております。
〇政策地域部長(大平尚君) 台風災害復旧復興推進室の体制等についてでありますが、9月23日に災害対策本部から体制を移行し、知事を本部長とする平成28年台風災害復旧・復興推進本部を設置したことに合わせて、推進本部の事務局、復旧、復興推進施策の総括及び事業全体の進行管理等の機能を担う組織として、政策地域部内に台風災害復旧復興推進室を設置したものであります。
体制といたしましては、本庁においては部長級の理事が室長を兼任し、専任の総括課長級1名及び室員2名の計3名を配置しているほか、特に被害が著しい岩泉町に現地対策課を設けて、総括課長級1名、室員1名の計2名を配置しております。
東日本大震災津波で被災した市町村で甚大な被害となっており、今後は、応急復旧から本格復旧、復興へと段階が移っていくことから、被災した市町村それぞれの状況を適切に把握しながら対応することが課題であると認識しており、市町村と連携を密にすることにより、一日も早い復旧、復興に取り組んでまいります。
次に、県の要望に対する国の対応についてでありますが、県では、台風災害からの復旧、復興に向け、8月31日の政府現地調査団に対する要望以降、安倍首相を初め国の関係省庁などに対し、たびたび要望活動を行ってきたところであります。この結果、具体的には、発災直後から要望した激甚災害の指定が実現し、被災したサケ・マスふ化場などの災害復旧における補助率がかさ上げされることになったほか、東日本大震災津波からの復興の途上にあった漁港施設や海岸保全施設が被災した場合について、復興予算での対応が認められたところであります。
さらに、被災した生乳等加工施設の復旧に向け、強い農業づくり交付金の対象事業の拡大や遡及適用が認められたほか、被災小規模事業者の復旧を支援するため、小規模事業者持続化補助金に補助の上限額を拡大した新たな支援枠が創設されるなど、これまでの要望の内容が一定程度反映されてきたところであります。
一方、中小企業等を対象としたいわゆるグループ補助金の適用や、現時点で災害復旧制度のない光ファイバーやテレビ共同受信施設等の情報通信基盤の復旧に向けた補助制度の創設、弾力的で自由度の高い総合的な支援制度の創設などについては明確な回答が得られていないところであります。
このようなことから、県としては、国の第3次補正予算の検討状況を見据えながら、被災市町と連携し、国に対する要望活動を展開してまいります。
〇県土整備部長(及川隆君) まず、台風第10号等災害対応分を含む道路維持修繕費の内訳についてでありますが、台風第10号災害に伴い通行どめとなった国道106号など、54路線の道路啓開作業、応急復旧などに経費を要したことから、今後見込まれる道路の路面や側溝の補修、防護柵など道路附属施設の修繕など、日常の道路の維持管理に要する経費を計上するものであります。
次に、国道106号、国道455号等全面的改修の見通しについてでありますが、国道106号等の災害復旧工事におきましては、川沿いの狭隘な現場条件での作業を余儀なくされ、通行を確保しながらの施工となるため、工事完了までには一定の期間を要するものと考えています。
災害復旧工事につきましては災害発生年度を含む3カ年以内に完了させることが原則であり、現時点では、各箇所ともおおむね平成30年度までの完成を見込んでいるところでございます。工事期間中、利用者の皆様には御不便をおかけすることとなりますが、可能な限り早期の復旧を目指してまいります。
次に、台風第10号による洪水の特徴と治水対策の基本方針についてでありますが、今回の台風では沿岸部を中心に記録的な大雨となり、河川の水位が急激に上昇するとともに、橋梁に流木が詰まるなどの現象によって岩泉町の小本川などで甚大な浸水被害が発生したところです。
被害の大きかった岩泉町の小本川などにおいては、早期の河川改修を行い再度の被害を防止するとともに、計画的に河道掘削や立ち木の処理を行い、洪水被害の未然防止に努めてまいります。あわせて、住民の円滑かつ迅速な避難を促すため、水位周知河川の指定などのソフト対策にも着実に取り組んでまいります。
次に、小本川などの河川改修、河道掘削等の具体的な復旧方針についてでありますが、小本川、安家川、閉伊川水系においては、主に川の拡幅や築堤により、また、久慈川においては主に河道掘削により河川改修を行い、再度の被害の防止を図っていくこととしています。今後は、河川改修計画を市町村や住民の皆様にお示しし御意見をいただくとともに、用地の協力を得ながら順次工事に着手してまいります。
次に、老人保健施設の改修、再建に対する小本川の堤防のかさ上げについてですが、老人保健施設の改修、再建の具体的な時期についてはまだ確定していないと伺っておりますが、小本川の河川改修は大規模な事業を想定しており、事業完了までに一定程度の期間を要するものと考えておりますことから、まずは水位周知河川の指定などのソフト対策を進め、警戒避難体制の整備を図ってまいります。
次に、災害関連緊急砂防事業費についてでありますが、災害関連緊急砂防事業費については、人家等への被害が大きかった箇所や、今後、大きな被害が予想される箇所で、緊急的な対策が必要な岩泉町内11カ所、宮古市内5カ所の計16カ所について、恒久的な砂防堰堤を整備することとして国に事業申請中であります。また、災害関連緊急砂防事業を実施する箇所に加えて対策が必要な箇所については、来年度から砂防激甚災害対策特別緊急事業による砂防堰堤等の整備を計画しているところでございます。その他、国庫補助事業の導入が困難な箇所につきましては、県単事業により被害拡大防止対策を実施することとしています。
次に、変更請負契約の締結についてでありますが、議案第19号八木地区海岸防潮堤工事の増額の主な理由は、当初、早期の復旧、復興を図るため、標準断面図等による発注方式で発注したものを、現地精査の結果から防潮堤本体工のくい打設工法を変更したものでございます。今回の変更内容については、当初は想定し得なかった内容であり、必要な対応であると考えているところであります。
議案第18号主要地方道大船渡広田陸前高田線小友地区道路改良工事の増額の主な理由は、用地取得の進捗に伴い、施工区間を延長するとともに舗装工を追加するものでありまして、これにより早期の暫定供用を図るものであります。
これらの変更請負契約議案につきましては、内容を十分精査し提案しているものでありますので、御理解をいただきますようお願い申し上げます。
次に、訴えの提起についてでありますが、県では、たび重なる訪問、電話連絡により接触を試みておりますが、相手方から回答をいただけない状況にありまして、正確な勤務の状況及び収入の状況の把握ができておりません。基本的に、入居者が病気になって働けないなどの生活の困窮等が把握できた場合は、必要に応じて家賃の減免や福祉機関等と連絡をとるといった対応を行うこととしておりますが、今回においては入居者と長期にわたり接触できなかったことから、やむを得ず訴えに至ったものであります。
〇保健福祉部長(佐々木信君) 岩泉町における応急仮設住宅の整備についてでありますが、岩泉町には10団地256戸を整備することとし、このうち、小本地区2団地では、東日本大震災津波の際に整備した応急仮設住宅の空き住戸を活用し、既に10月29日から41戸38世帯が順次入居を開始しています。また、8団地204戸の新規建設のうち、中野地区の42戸については、11月下旬の完成、入居を目指して建設を進めているところです。このほかの7団地162戸についても、敷地の追加工事など不確定な要素はありますが、12月下旬の完成、入居を目指して建設を進めてまいります。
〇議長(田村誠君) 次に、小野寺好君。

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