平成28年9月定例会 第6回岩手県議会定例会会議録

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〇7番(阿部盛重君) 改革岩手の阿部盛重でございます。
今回、一般質問の機会を与えていただきました先輩、そして同僚議員の皆様に感謝申し上げます。
先般、4月には熊本地方に震度7、10月21日には鳥取県中部で震度6弱を観測する地震により甚大な被害をもたらし、今も多くの方々が仮設住宅や避難所生活を送られています。県内では、8月30日に観測史上初の県内への上陸となった台風第10号によって沿岸部を中心に記録的な大雨、暴風、波浪の被害をもたらし、岩泉町では高齢者グループホームの入所者が避難できずに犠牲となられるなど、甚大な被害をもたらしました。犠牲となられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。
それでは、これまでの議員の質問と重複するところはありますが、順に質問させていただきます。よろしくお願いいたします。
まず初めに、岩手国体の成果の県政への反映についてお伺いいたします。
第71回国民体育大会希望郷いわて国体が10月1日、北上総合運動公園北上陸上競技場において、天皇、皇后両陛下をお迎えし、全国選手団2万2、900人、県選手団935人の参加のもと、総合開会式が行われました。復興支援に対する感謝を伝える大会として46年ぶりに開催する国体であり、競技も天皇杯、皇后杯ともに総合2位という本当にすばらしい成績でありました。
また、10月22日から開催された第16回全国障害者スポーツ大会希望郷いわて大会は、開会式では皇太子殿下に御臨席いただき、競技にも3日間で延べ8万6、800人が参加されるなど、非常に大きな大会でありました。個人競技において金メダル55個を含むメダル総数138個、団体競技ではメダル1個を獲得し、過去最高の成績をおさめられたことはもちろん、障がい者スポーツの魅力を全国に発信できたことを大変誇りに思います。
東日本大震災津波により練習もままならない状況の中でこの成績は大変すばらしいことですし、県教育委員会と県体育協会が実施するいわてスーパーキッズプロジェクトの選手強化の取り組みなど、地道な努力があったからと思います。役員、選手、監督、準備運営の皆さんの5年間の御努力、御活躍に感謝いたします。本当にお疲れさまでございました。
そして、全国から訪れたたくさんの方々を温かくお迎えし、参加してよかったという話をお聞きするたびに大変うれしく思いました。大会期間中は、ボランティアとして、県内はもとより他県の方も多く御協力をいただいたと聞いています。福岡市の北東北3県アンテナショップみちのく夢プラザで国体ボランティア募集の案内を見て参加された方もいると聞き、まさに冠称である東日本大震復興の架け橋を実感いたしました。
これら希望郷いわて国体、いわて大会のレガシーを今後県政にどのように反映させ、未来ある子供たちに引き継いでいくお考えか知事にお伺いいたします。
次に、内陸への災害公営住宅の整備について、2017年春に建設場所を決定し、2018年度の完成を目指すとの方向が示され、人口流出を懸念してきた沿岸自治体においても内陸避難者の意向を尊重する姿勢を示すなど、避難者の方々も安堵されていると思います。
計画によると、盛岡162戸、花巻25戸、遠野14戸、北上32戸、奥州12戸、一関36戸、旧千厩町10戸と6市に291戸整備され、建設地決定後、改めて仮入居者募集を内陸避難者の方々へ行う方向とのことですが、既に災害公営住宅に住んでおられる方が、内陸の災害公営住宅に異動したい、また、入居された方が生活設計の中で地元に戻り1戸建てを建築されていくなど種々想定されると思いますが、そのような避難者の住宅ニーズの変化にどのように対応していかれるのかお伺いいたします。
次に、台風第10号被害からの復旧、復興についてお伺いいたします。
このたびの台風により、水田、畑への土砂流入、山腹崩壊、倒木、木材の流出、漁港施設などの損壊、浸水による機械設備や備品などの水没、住宅被害などが発生し、10月26日現在の被害総額は約1、440億円で過去20年間の風水害による被害としては最大となり、公共インフラ被害、小本川を初めとした河川の氾濫による国道や県道の通行どめ、特に山間部では孤立地区が発生し、被災されたお宅では、ボランティアをお願いしてもトイレが使用できないため派遣できないと言われ、先が真っ暗になったという話も聞きました。また、災害ボランティアに出向かれる方についても、社会福祉協議会などで運行する貸し切りバスを利用される方は、往復の時間も考慮の上、午前2時間、午後2時間の計4時間、活動に従事することができるようですが、自家用車などで現地に出向き到着が午後になったが、2時間しか活動に従事できなかったなどの話も聞いており、被災者ニーズ及びボランティアニーズに柔軟に対応されていくことも必要と思われます。地域産業の被害も甚大で、東日本大震災津波からの復興途上でのさらなる被災でもあり、速やかな、そして息の長い支援が必要であると思われます。
去る9月17日、小沢一郎生活の党代表、木戸口英司参議院議員と党所属県議会議員とともに、甚大な被害をもたらした被災現場の調査と、避難されている方々を訪問し、一日も早くもとの生活に戻れるよう努力していくことを誓い、激励いたしました。視察後、県庁にて達増拓也知事及び県幹部職員の方々と意見交換をし、小沢代表は政府の激甚災害指定に触れ、国の補助金や支援策はいつも実施が遅い。党として早急な対応を政府に働きかけていく。支援策が実施されるまでの間、県や市町村が知恵を出して対応をお願いしたいと述べられました。
そのような中で、特に被害が甚大な地域のなりわいを早期に再生するため、平成28年度一般会計9月補正予算に県単独予算として地域なりわい再生緊急対策交付金が計上されましたが、地域産業の再生に向けて思い切った財政支援を行うとの決断をされた知事の思いをお聞かせください。
また、岩泉乳業の生乳加工施設、そしてサケ・マスふ化施設においても20カ所のふ化場のうち10カ所が被災しておりますが、地域の農林水産業再生のため、県として今後どのような支援策を行っていくお考えかお伺いいたします。
また、今回の洪水の特徴であり、被害の規模を助長したとされる流木による被害は、橋脚などにひっかかった流木により河川がダムアップされ、洪水が河道をあふれて周辺の家屋などに被害を与える流木災害とも言われ、立ち木、倒木、原木、用材の流出などについての流木対策として、川上から川下まで、流域全体の行政と住民、関係機関が一体となって対策に取り組むことが大変重要と思います。河川区域の樹木について、長い年月を経て大きく成長した樹木が数多く見られますが、今回のような洪水規模でも流木災害にならないようにするためにどのように現状を分析されているかお伺いいたします。
また、森林の持つ土砂災害防止機能を高度に発揮できる森林のあり方、今後の森林づくりに対する施策をお示しください。
また、タイムライン、これは米国のハリケーン対策から生まれた河川防災のプログラムで、被害の発生前から実施すべき対策をあらかじめ時系列で体系化し、いつ、誰が、何を、どのようにするかを時間の流れに沿って明確に定めておくということです。河川災害の被害が最小限に抑えられるシステム、タイムラインの構築について知事の御所見をお伺いいたします。
次に、観光戦略についてお伺いいたします。
いわて花巻空港と台湾を結ぶ秋季定期チャーター便の運航が見送られましたが、これは、中華航空が運航計画全般の見直しを行う中で今回の運航を見送ることとしたものであり、定期便化について引き続き共通の目標としていくことの認識が示されました。
このような状況の中で、東北6県と新潟県の知事が台湾に出向き、台湾観光業界などとの交流懇談会が開催されました。名所、祭り、リゾートなど東北の魅力をともにアピールする有意義な機会であったと考えますが、初めて東北地方が一体となって台湾でのトップセールスを行った成果をどのように受けとめられたか知事にお伺いいたします。
また、人工的につくり出した情報と現実世界を組み合わせた拡張現実、いわゆるARに注目が集まる中、国内外で爆発的な人気となったポケモンGOは、ゲームと現実のまちを融合させたARの代表例です。愛知県では、離島に観光客を呼び込もうと、あいちの山村・離島へGO!キャンペーンを実施するそうです。ポケモンを捕まえながら名所を回るバスツアー、宿泊券や特産品が当たるイベントが開催されるということです。
先般、本県を含む東日本大震災津波の被災3県及び熊本地震の被災地熊本県とゲーム運営会社が共同記者会見を行い、観光振興に向けてARを活用した事業をされるということですが、どのように観光誘客につなげていくのかお伺いいたします。
また、地域の盛り上げを図る取り組みを総括する意見交換の場として、11月2日に岩手県主催による全国自治体ゲームコラボレーションフォーラムが全国で初めて開催されましたが、全国フォーラムの開催状況、そして、今後どのような展望をお持ちなのかお伺いいたします。
次に、農業振興についてお伺いいたします。
農業労働力の高齢化や耕作放棄地の増大、TPPの大筋合意を初めとし、農作物貿易自由化圧力の増大など、日本農業を取り巻く経済環境は厳しさを増すばかりですが、攻めの農政の代表的な施策として企業などの農業参入が注目されてきております。2015年農林業センサスによると、岩手県の総販売農家数は4万5、254戸で、そのうち専業農家数は1万1、519戸、販売農家の農業就業人口は7万357人ですが、高齢者の占める比率が上昇し、65歳以上が4万6、479人で66%を占めています。耕地面積も、12万1、863ヘクタールに対し、耕作放棄地は1万7、428ヘクタールに上ります。このような農業分野の高齢化、兼業化の進展に伴う担い手不足の深刻化、農地法の改正、政策的な変更による参入障壁の低下などを背景に、企業などの農業参入は増加を遂げてきています。
地域が企業に期待しているのは、耕作放棄地の解消や企業参入による雇用の創出などが注目されており、農村再生にかかわる寄与が大きいように思います。また、企業にとって農業分野への参入は公的な参入支援組織の役割も重要であります。なぜなら、企業にとって農業分野への参入は、農業技術の習得や農地のあっせんなどクリアしなければならない課題が多岐にわたるからですが、行政は、農業分野の中でも、技術の習得は普及センターや農業の部署、農地のあっせんは農業委員会といったぐあいに、一部の部署だけでは情報収集ができない状況にあるのが現実です。
経営課題は、農業技術の習得、農産物の販路開拓、農地の確保、資金繰りなどであり、これら課題を解決していくことが農業参入を成功させるポイントとされ、生産─1次産業、加工─2次産業、流通、販売、農村観光─3次産業のいわゆる6次産業化になります。農業参入の収益状況は、農地リース特区導入から3年後の2006年から数年間は参入企業の約1割が黒字で、制度整備から10年近く経過した2012年時点では黒字が約3割増加したということです。農地法の一部改正によりその要件も緩和され、本年4月1日より施行されましたが、企業と受け入れ地域の関係も、地域は、雇用や耕作放棄地の防止、JA利用や産地形成といった側面から地域農業と経済の活性化として企業の期待が大きいと聞きます。
県が推進する企業参入に対する受け入れ地域は、地域農業と経済の活性化を求めております。いずれ、県が中心的な主体となりながら、地域の維持、再生を目指す方策の一つとして農業への企業参入を支援する体制をより以上に構築されるものと思いますが、農地中間管理機構との連携などを踏まえ、企業などの農業参入について県としての御所見をお伺いいたします。
また、日米など12カ国が巨大経済圏を目指す環太平洋経済連携協定─TPPの大筋合意を発表してから1年が経過し、政府は今国会会期内に協定案の承認を得る方針であります。石原経済再生担当相は、我が国が早期発効の機運を高めていくことが重要だと意義を強調されましたが、米国議会、大統領候補クリントン氏、トランプ氏とも反対している状況で、日本においても暮らしや社会に及ぼす影響について国民に理解はされていません。日本にとって輸出拡大が期待できる反面、林業においては、原木を合板、製材工場へ安定供給する対策、農業の生産現場においても不安と不信ばかりです。暮らしと文化が失われ、日本社会の維持してきた制度が壊されかねません。漁業、林業、医療、生命保険、教育、知的財産などにかかわる制度などにも影響が及びます。
本県においても地域経済に甚大な被害をもたらし、地域社会が崩壊、食料安全保障を根底から揺るがすことになりかねない状況で、知事として本県の農林水産業に及ぼす影響などをどのように捉え、対策はどのようにお考えかお伺いいたします。
次に、FCVの普及と自動車産業振興についてお伺いいたします。
燃料電池自動車、いわゆるFCVは水素を燃料とする自動車で、タンクに積んだ水素と空気中の酸素を化学反応させることで発生する電気を使いモーターを回して走るため、二酸化炭素などの排気ガスは出さず、エネルギー効率が高い究極のエコカーと呼ばれ、開発が加速されている状況です。トヨタ自動車が2014年に市販車として初のFCVミライを発売、2016年3月にホンダが新型FCVを投入し、世界でも最も早く市場展開が進んでいます。
経済産業省が2014年6月に策定した水素燃料電池戦略ロードマップでは、水素利用の飛躍的拡大、水素発電の本格導入と大規模な水素供給システムの確立、トータルでのCO2フリー水素供給システムの確立など、将来の二次エネルギーの中心的な役割を担う水素を本格的に利活用する水素社会の実現に向けた取り組みを加速することがうたわれています。本年3月には、新たな目標として家庭用燃料電池の価格目標が明確化され、FCVの普及目標を、2015年末で400台の実績となっている中、2020年までに4万台、2025年までに20万台、2030年までに80万台としています。二酸化炭素など排気ガスを出さないゼロエミッション車の有力候補がFCVと電気自動車─EVですが、FCVはEVに比べ走行距離が長いのが特徴で、水素を満タンにすると走行距離が約700キロメートル、EV車で200キロメートルと大きな差があります。また、水素充填時間は3分程度と非常に短い上、災害時の非常電源としても役立つとされています。また、2020年東京オリンピックに向け水素エネルギーを導入する動きも活発化させており、水素ステーション整備として2020年度までに160カ所、2025年度までに320カ所にふやす目標を掲げ、整備に力を入れる方針です。
こうした背景を踏まえ、自動車産業を中核とする本県において、今後、FCVの急速な市場展開を前提とした振興施策が必要と考えますが、県としてはどのように取り組んでいこうとしているのかお伺いします。
次に、国際リニアコライダーについてお伺いいたします。
まずは、北上山地へのILC誘致に向け、全力で取り組まれていることに敬意を表します。
地域経済の進展ばかりでなく、東北、日本が人類全体の学術振興に貢献できること、将来の子供たちにとっても知的好奇心の向上や科学的な物の見方を深めることにつながるなど、岩手の将来を担う人材育成にもつながります。世界に一つだけ建設することになっていますが、文部科学省では有識者会議を設置し検討を進め、欧米の研究者コミュニティーからも日本でのILC建設をサポートするとの公式声明もあり、最有力建設候補地は国内では北上山地と発表され、文部科学省は、ILCに関連した調査費や技術開発費として今年度8、000万円を予算化し、2017年度予算においても1億1、000万円を要求しています。
本年9月10日に先端加速器科学技術推進シンポジウム2016in東北、1から分かるILCと題して約300人が物理学と天文学の視点からILCへの理解を深められたということであり、そして、12月5日から9日までの5日間、ILCの研究者の皆さんが集う国際会議インターナショナルワークショップ・オン・フューチャー・リニアコライダー─LCWS2016が盛岡で開催されます。ILCの国際会議は、毎年、欧州、アジア、北米の持ち回りで、昨年はカナダのウィスラーで開催され、今年は建設候補地の岩手県が開催地ということで、世界各国から約300人規模の研究者が集い、ILCの実現に向け検討が進められるということです。地元として、世界の研究者に北上サイトの魅力を知ってもらうとともに、国際会議の地元開催を通してILC誘致の熱意を国内外にどのように発信していくのか、また、自治体、民間、地域住民一体となった誘致にどのように取り組んでいかれるかお考えをお伺いいたします。
また、東北ILC推進協議会は、8月29日、東北ILC準備室の事務所を開設されました。4部門13部会と2専門部会の組織ということであり、各種情報の発信や建設、受け入れに向けた技術対応など、次世代の大型加速器ILC誘致の政府決定に備えるということで、2018年3月にも誘致決定を視野に、岩手県立大学鈴木厚人学長を筆頭に15人ほどで人員構成され作業を進めるということですが、ILCの実現は、本県はもとより東北の産業振興に絶大なる効果をもたらし、次代を担う成長産業を実現するものとなります。ILCの建設成果は、技術の産業波及、地質や環境エネルギー分野、情報発信、教育、医療、文化育成への利用など、多岐にわたって還元されるものです。世界中の素粒子物理、加速器科学の研究者、学生は日本に集まり、新たな文化、技術の創造、発信の拠点、そして、建設段階から運用段階に至るまでの30年間で全国ベースで新たに約25万人分の雇用機会が創出され、3、000人近い研究者と家族が暮らすようになると言われております。経済効果、技術効果を地域にどのように波及させるのかお示しください。
次に、いじめ対策についてお伺いいたします。
近年、教育上の課題として、子供たちを取り巻く社会情勢の変化に伴い、いじめや不登校、暴力行為など、児童生徒の問題行動が挙げられます。児童虐待などの家庭の問題やネット上のいじめ問題など、今までの生徒指導体制では対応しにくい事案も大きな課題と思います。
2015年問題行動等調査における全国のいじめ認知件数は、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校合計で22万4、540件と報告されており、本県においても、2013年度は837件、2014年度では1、774件、2015年度は3、274件です。
いじめの防止に向けた国や自治体、学校などの責務を明確化したいじめ防止対策推進法では、学校には、保護者や地域住民、児童相談所など関係者と連携していじめ防止と早期発見に取り組み、具体的に機能する組織を置くよう義務づけられており、いじめが疑われる場合は、この組織で情報を収集し教育委員会に報告され、また、いじめられた児童生徒が自殺を考えるような心身や財産に深刻かつ重大な被害が及びそうな場合や相当期間欠席を余儀なくされている場合など、いわゆる重大事態を把握した場合は、学校または教育委員会が調査組織をつくって必要な情報を保護者に提供することになっていますが、2013年9月、法施行後の半年間でも残念ながら重大事態が180件以上起きている状況です。10月11日に、大津市の自殺された中学生のお父さんが記者会見で、今でもいじめで命を落とす子供が多い、いじめ防止対策推進法が予防になっているとは言えない状況だと述べておりました。2015年7月、いじめ被害を訴えていた矢巾町の中学2年生男子が自殺した問題でも、この生徒はいじめや自殺について示唆していたのに、情報を教職員が共有できなかったこと、本年8月25日には、青森市内の中学2年生の女子生徒が無料通信アプリLINEで誹謗中傷を受け、自殺された事件もありました。
国立教育政策研究所が実施した小4から中3までの6年間の追跡調査では、9割近くの児童生徒がいじめの被害者または加害者になっている。安心して通え、授業や行事で充実感が得られる、そうした学校運営がいじめ防止の早道になると言われています。これらの対策として、アクティブラーニング、対話や討議を通して子供たちが学ぶことも考えられます。このような昨今のいじめの状況をどのように捉え、今後取り組みをお考えなのかお伺いいたします。
最後に、特殊詐欺についてお伺いいたします。
特殊詐欺は、近年、首都圏より各地方へ被害が分散している傾向にありますが、県内の被害額を見ると、高かった2014年に比べ減少傾向にあります。ただ、被害者の多くが65歳以上のリタイアメント世代であると言われており、本県もお年寄りへの周知に力を入れ、対策を講じている状況と伺っております。
県内における振り込め詐欺被害認知状況として、本年9月末現在ではトータル1億3、650万円となっております。盛岡市内に住む30代男性が5月上旬から8月下旬にかけ異性紹介サイトで540万円相当の電子マネーをだまし取られる架空請求詐欺事件、9月に60代の女性が165万円をだまし取られる還付金詐欺事件、70歳の女性が50万円の振り込め詐欺に遭う事件が発生し、高齢者の方を狙った悪質商法も絶えません。また、金融商品取引名目の特殊詐欺被害額は全国の合計で16億5、000万円に上っていることからも、特殊詐欺を未然に防ぐことは警察の信頼度を高めることにもつながります。
他県の状況を見ますと、愛媛県宇和島市など4市5町を所管する県南予地方局では、見守りネットワークをつくって被害を防止されています。この見守りネットワークは、民生委員やヘルパー、ケアマネジャー、銀行員、郵便局員、福祉関係者で構成されているようです。
本県では、お年寄りへの周知などの対策をされてもなお被害がなくならない状況をどのように捉えていますでしょうか。また、今後、被害を防ぐためにどのような施策をお考えなのかお伺いいたします。
以上で質問を終わりますが、答弁によっては再質問させていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 阿部盛重議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、希望郷いわて国体の成果の県政への反映についてでありますが、希望郷いわて国体では天皇杯、皇后杯第2位の栄誉をかち取り、希望郷いわて大会では過去最高の139個のメダルを得ることができ、県民の熱い応援を力に、これまでの競技力向上や障がい者スポーツ普及の成果が発揮され、すばらしい成果をおさめることができました。また、伝統芸能を初めとした岩手のすばらしい文化や、地域が一体となった県民運動的な取り組み、子供たちによる各県選手団への声援など、県民のおもてなしは全国の方々から高い評価を得たところであります。さらには、議員御案内のとおり、運営に当たっては多くのボランティアの方々に参加いただきましたほか、障がい者アートが注目されるなど、ともに支え合う共生社会の姿を岩手から発信できたところであります。
このような文化、スポーツの力の高まりやオール岩手で希望郷いわて国体・希望郷いわて大会を成功させたことは、県民の自信や誇り、そして希望を持つことにつながったところであります。これらの成果をレガシーとして次世代に引き継ぎ、スポーツ、文化、経済、観光などの分野で生かして、名実ともに全国に認知された希望郷いわてとして、復興とふるさと振興をより強力に推進してまいります。
次に、地域なりわい再生緊急対策交付金についてでありますが、今般の台風第10号は、東日本大震災津波の被災地である本県沿岸部に観測史上初めて上陸し、記録的な大雨により復興途上の地域に甚大な被害をもたらし、発災直後に現地入りした際、被災された皆さんが、生活やなりわい、さらには地域の将来に不安を感じているという印象を受けました。
こうした不安に正面から向き合い、必要な対応をすることにより、東日本大震災津波からの地域の再生に向け、なりわいの再生の歩みをとめず、また、国体開催を目前に控えて、観光、物産などさまざまな準備をされてきた方々の思いが生かされるよう、迅速な復旧、復興が必要であると痛感したものであります。
加えまして、特に宮古市、久慈市、岩泉町においては、中心商店街の小規模事業者や震災からの復興途上にある中小企業等に甚大な被害があり、地域経済に及ぼす影響も大きいことから、従来の融資型の支援に加え、さらに踏み込んだ支援を行うことにより、地域の産業活動等を早急に再開させることが必要であると判断したものであります。
こうしたことから、市町の判断と裁量により、柔軟な対応が可能な地域なりわい再生緊急対策交付金を県単独の制度として今定例会に提案したところでありまして、被災事業者の方々には、この制度を活用し、復旧、復興に向けて希望を持って前向きに取り組んでいただきたいと考えております。
さらに、国に対しては、本県独自のこうした緊急的対応も踏まえ、被災地からの要望が強いグループ補助金の適用や中心商店街の緊急再生に向けた支援等を要望してきており、今般、国においては、台風被害者向けの小規模事業者持続化補助事業の実施を決定したところであります。今後におきましても、より一層の手厚い支援策を講ずるよう、引き続き国に対し要望してまいります。
次に、災害に対応するシステムの構築についてでありますが、河川災害の発生を前提として、関係者が事前にとるべき行動を時系列に整理したタイムラインについては、これを活用し、関係者が迅速な避難に対応することで被害の最小化が期待されますことから、市町村と連携し早期に導入を図りたいと考えております。
県では、今回の台風第10号の災害を受けて、岩手県防災会議幹事会議に河川・土砂災害防災分科会を設けて、この中でタイムラインの活用についても検討していくこととしておりまして、既に北上川などで実施している国土交通省の取り組み状況を参考にしながら、タイムラインの作成を進めていきたいと思います。
次に、台湾訪問によるトップセールスについてでありますが、台湾へは、これまでも本県単独でトップセールスを行ってきたところでありますが、本県と台湾の間には歴史的なつながりもあり、さまざまな分野での交流が盛んとなってきており、昨年の本県における台湾からの観光客は、宿泊者数で見ますと東北6県で最も多く、本県の外国人宿泊者全体の過半を占め、その比率は全国一となっているところであります。
このような中、今般の東北トップセールスにおいては、各県の知事等や関係団体の代表が一体となって、台湾の観光業界や政府機関に対し、東北観光の魅力や交通アクセスの状況などのプロモーションを行うとともに、意見交換等を行ったところであります。
その結果、東北とその魅力の認知度が高まるとともに、例えば、台湾の観光業界の代表からは、近年、東北を訪れる観光客は増加しており、今後も全力で東北の観光を応援するというコメントがあり、また、先月には、台湾から東北への新たな航空路線が開設されるなど、着々と成果があらわれてきているものと捉えているところであります。
このようなことから、東北広域での取り組みにより誘客拡大が図られ、そして、本県への入り込み増へとつながることが効果的でありますことから、今後も、広域連携によるプロモーションに積極的に取り組んでいきたいと考えております。
次に、TPPへの対応についてでありますが、TPP協定は、本県の基幹産業である農林水産業を初め、県民生活や経済活動の幅広い分野に大きな影響を及ぼすことが懸念されています。
このため、県では、国に対し、TPP協定に関する合意内容や農林水産業等に及ぼす影響について、十分な情報開示と説明を行い、国民的議論を尽くすことや、総合的なTPP関連政策大綱に示された対策の早期具体化と必要な予算の確保などを要望してきたところであり、今後におきましても、国会の議論を注視しながら、農林漁業者が安心して経営を継続できるよう、国に対して万全な対策を強く求めてまいります。
また、今回の補正予算案において、TPP協定をも見据えた農林水産業の体質強化に向けて、水田の大区画化、大規模園芸施設の整備など総額約102億円を盛り込んだところであります。
今後におきましても、生産者が意欲と希望を持って生産活動にいそしむことができる強い農林水産業の創造に向けて、生産性、市場性の高い産地づくり、6次産業化、輸出の促進などに力強く取り組んでまいります。
その他のお尋ねにつきましては企画理事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔企画理事杉村孝君登壇〕
〇企画理事(杉村孝君) 全国自治体ゲームコラボレーションフォーラムについてでありますが、スマートフォンなどのモバイル端末が広く普及する中、本県では、いわてまるごと売込み隊や職員有志の研究会を中心に、位置情報ゲームを地域活性化に活用する取り組みを全国に先駆けて進めてきたところです。
こうした動きが全国各地に広まる中、地方自治体とゲームとの新しい形での連携事例などを広く共有し、議論するため、去る11月2日に盛岡市でフォーラムを開催したものでございます。
当日は、全国から自治体関係者等約200人が参集し、基調講演やディスカッションのほか、県内外の団体や民間企業、関係機関等による発表や意見交換を通じて、観光誘客や交流人口の拡大、地域の商工団体との連携など、今後のさらなる可能性等について議論を深めたところであります。
今後も、ゲームを含めたデジタルコンテンツを活用し、東日本大震災津波からの復興を推し進める姿や、岩手のさまざまな魅力を発信することにより新たな岩手のファンの掘り起こしを図るなど、地域の活性化につなげてまいります。
〔県土整備部長及川隆君登壇〕
〇県土整備部長(及川隆君) まず、内陸への災害公営住宅の整備についてでありますが、内陸部の災害公営住宅の整備に際し、被災地からの人口の流出を招かないよう、現に災害公営住宅に入居申し込みをしていないなどの入居要件を設定した経緯があります。
このことから、仮に沿岸部の災害公営住宅にお住まいの方が内陸の災害公営住宅に申し込まれた場合は、入居要件に適合しないと考えています。
また、災害公営住宅に居住されている方が、自宅を建設、購入する場合には、事情を丁寧に聞いた上で、基本的に国の被災者生活再建支援制度や県の被災者住宅再建支援事業の対象とするように対応しています。
内陸災害公営住宅の整備も含め、関係市町村と連携を図りながら、引き続き被災者の住宅ニーズを踏まえた支援に取り組んでまいります。
次に、河川区域内における樹木管理の現状についてでありますが、河川区域内の樹木については、これまで伐採の年次計画を策定し、定期的な河川巡視等を実施しながら、緊急性の高い箇所から実施してきたところです。
今回の洪水では、主に河川の上流部で記録的な大雨となり、水位の急激な上昇や流れが急に速くなったことにより、河川区域内や沢沿いの大小の樹木が流出し、橋脚間隔が狭く桁下空間に余裕のない橋梁に引っかかり被害が生じたものと考えています。
一方、橋梁のうち、河川管理施設等構造令の基準に基づき所定の橋脚間隔や桁下空間が確保されている箇所では、流木の閉塞による被害が軽減されたものと認識しています。
〔農林水産部長紺野由夫君登壇〕
〇農林水産部長(紺野由夫君) まず、農林水産業再生に向けた支援策についてでありますが、台風第10号による甚大な被害を踏まえ、今回の補正予算案に総額約82億円の対策費を盛り込み、早期の復旧、復興に取り組むこととしたところです。
生乳加工施設や農業機械等については、国の補助事業を活用した強い農業づくり交付金や被災農業者緊急支援事業等により、施設の再整備や機能強化、農業者の早期営農再開などを支援してまいります。
また、農家が減収となることを踏まえ、県単独事業の農作物災害復旧対策事業により、生産の再開に向け、農作物等のまき直しや代替作物の生産、畜産農家の粗飼料の確保などを支援してまいります。
サケ・マスふ化場については、国費の導入に加え、県費をかさ上げすることとし、特に、東日本大震災津波との二重被災を受けた施設については、その特殊性に配慮するとともに、稚魚生産数の増加や災害に強い施設に改築するなどの機能強化も図りながら、稚魚生産の再開に向けた復旧整備を支援していくこととしております。
このような取り組みを通じて、被災農林漁業者の復旧に係る負担を軽減し、再び意欲を持って生産活動ができるよう、市町村や関係団体と連携して支援してまいります。
次に、土砂災害防止のための森林づくりについてでありますが、森林は、土砂流出の防止や水源涵養などの多面的な機能を有しており、これらの機能が十分に発揮されるよう整備していくことが重要であります。
このため、県では、保育や間伐、伐採跡地への計画的な造林など、健全な森林が育成されるよう、森林所有者や森林組合等に対する技術指導を行うとともに、各種助成制度を有効に活用して、適切な森林整備を支援してきたところでございます。
また、平成12年に伐採等に関する基準を定め、森林整備で発生した間伐材等が流下し被害をもたらさないよう、川下へ配慮した森林整備の実施について周知徹底を図ってきたところです。
今後とも、森林所有者、林業関係者と一体となって適切な森林整備を行い、災害に強い森林づくりに取り組んでまいります。
次に、企業等の農業参入についてでありますが、県では、農業の担い手の減少、高齢化が進行する中で、地域農業の新たな担い手として企業等の参入を支援しておりまして、参入した企業は、耕作放棄地の再生利用や地域内の雇用創出など、地域農業と経済の活性化に寄与しております。
このため、県では、企業等の農業参入を促進するため、農地中間管理機構等に企業向けの農業参入相談窓口を設置し、栽培に適した農作物の相談活動や農地中間管理事業の活用によるまとまった農地のマッチングの支援などを行うとともに、参入企業の安定した農業経営の確立に向け、栽培技術の習得支援に加え、6次産業化に関する相談活動なども行っているところです。
今後とも、農業参入を希望する企業が、地域社会と調和した新たな担い手として安定した農業経営を確立できるよう、農地中間管理機構等の関係機関と連携して総合的に支援してまいります。
〔商工労働観光部長菊池哲君登壇〕
〇商工労働観光部長(菊池哲君) まず、拡張現実、ARを活用した観光客誘致についてでありますが、スマートフォンなどのモバイル端末の普及とともに、全世界で多くの人々が利用しているARゲームは、実際に観光地に足を運んだ観光客に対し、現実と架空とを組み合わせたこれまでにない新しい体験を提供するものでありまして、本県におきましても積極的に活用することで県内周遊を促進し、誘客拡大につなげていくことが肝要であると認識しております。
このことから、先月開催されました希望郷いわて国体・希望郷いわて大会期間中において、ARゲームとまち歩きを組み合わせたスタンプラリーや、ARゲームを楽しみながら観光スポットをめぐる県内周遊バスツアーを実施したところでありまして、さらに、今月12日には、宮城県内で開催されるARゲームのイベントに本県、福島県、熊本県の被災4県が連携し観光PRを行うこととしております。
今後も、周遊観光を促進するための二次交通を初めとする受け入れ態勢の整備、充実を図りながら、ARゲームを活用した観光客の誘客拡大に取り組んでまいります。
次に、FCVの普及と自動車産業振興についてでありますが、深刻な地球温暖化を背景として、二酸化炭素の排出がないFCV等環境にやさしい次世代自動車に対するニーズが世界中に高まっており、その市場が拡大する局面を迎えております。
このため、自動車メーカーは、環境にやさしい次世代自動車の開発を加速させておりまして、県内においても、FCVの中核的技術である燃料電池関連技術の研究開発が産学連携で始まるなど、将来を見据えた新たな取り組みが動き出しているところであります。
県といたしましては、他の分野へも応用展開が可能な燃料電池関連技術など、次世代技術の研究開発を産業支援機関や大学等と連携して支援し、自動車関連産業を初めとする本県ものづくり産業の一層の発展を期していく所存でございます。
〔政策地域部長大平尚君登壇〕
〇政策地域部長(大平尚君) まず、ILC誘致に向けた取り組みについてでありますが、盛岡市で開催される国際会議LCWSは、国際推進組織であるLCC─リニアコライダーコラボレーションの主催により、12月5日から9日までの会期で、直線型の加速器にかかわる世界中の研究者が一堂に会し、最新の研究や技術を発表し議論するもので、国内においては、東京以外では初の地方開催となるものであります。
県といたしましては、この国際会議をILC実現への重要な機会と捉え、実行委員会に参画し、広報活動や企業セッションなど会議開催を全面的に支援しているところであります。
また、国内外に対し、本県の食、文化、観光などの魅力や地元企業の技術力を強力に発信するため、自治体や各種団体と一体となって、外国語にも対応した交流展示ブースの設置を初め、全体交流会においては、郷土芸能の披露や本県の食材提供など準備を進めているところであります。
特に、世界の研究者の方々に対しては、建設候補地の視察の場を活用し、ILCの建設候補地としての北上サイトの優位性、普及啓発や地域としての調査研究など地元の取り組みを紹介し、世界の研究者の方々に直接熱意を伝えていくこととしております。
さらに、同会期中には、本県独自の取り組みとして、ILCをテーマとした県民集会や世界の研究者と地元中高生との交流会を開催し、研究者の方々へアピールするとともに、広く県民の理解増進にもつなげ、県を挙げてILC実現へ取り組む機運を高めてまいります。
次に、ILCによる経済効果と技術効果の地域への波及についてでありますが、ILCによる経済波及効果は、土木、建設から研究施設の運用まで多岐にわたると考えられ、地元企業ができるだけこれら業務に参入することが重要です。
地域への経済波及については、ILCと各種業界、業種との具体的なかかわりを明確にすることが必要であり、現在、岩手県国際リニアコライダー推進協議会に設置されたイノベーション・経済波及効果調査委員会において地域の波及効果の検討を進めていることから、その検討結果も踏まえ、今後とも関係団体等と情報共有を図りながら、参入可能な分野ごとに広く地域へ波及効果が行き渡るよう連携を強化してまいります。
技術の波及については、いわて加速器関連産業研究会を中心に、研修会や視察会などを通じて県内企業の加速器関連産業への参入支援を行っており、今年度から、高エネルギー加速器研究機構や先端加速器科学技術推進協議会と連携し、加速空洞や高周波制御など、個々の技術を対象とした技術セミナーも開始したところであります。
既に技術開発に乗り出した企業も出てきており、岩手大学や工業技術センターなどの協力も得ながら、技術波及をさらに広げるイノベーション創出に向け、県内企業の研究開発や技術マッチングなどを支援し、加速器関連産業の裾野拡大に努めてまいります。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) いじめ対策についてでありますが、いじめは、いじめを受けた児童生徒の人権を傷つける行為でありますが、発達段階にある子供たちが学校生活を営む中で、どの学校でも、どの子供にも、いつでも起こり得るという前提で、その未然防止や解決に向けた早期の対応を図ることが極めて大事であると認識いたしております。
議員御案内のとおり、先般公表されました問題行動等調査においては、昨年度1年間における県内公立学校のいじめの認知件数は、総件数で3、200件余、平成26年度と比較して約1.8倍、1、500件の増加となっております。
このような結果は、本県で発生した痛ましい事案に対する教育界全体での情報の共有や、いじめ問題への重点的な取り組みを行ったこと等により、法に定めるいじめの定義が各学校に浸透し、これに基づく積極的な認知が進んだこと等によるものと捉えております。
なお、これら認知されたものの98.6%が、各学校における組織的な対応を行ったこと等により解決しております。
今後におきましても、いじめ問題への積極的な対応は学校の基本的な業務であるとの認識のもとに、情報モラル教育等の教育研修のさらなる充実に加え、学校の教育相談体制の強化を図るため、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置の充実などに努めるとともに、保護者や地域の皆様方の理解と協力もいただきながら、いじめ対策への丁寧かつ積極的な対応を図ってまいります。
〔警察本部長堀誠司君登壇〕
〇警察本部長(堀誠司君) 初めに、特殊詐欺被害の現状を申し上げます。
本年9月末現在の被害認知件数は65件、被害金額は約1億3、650万円余であり、昨年同期と比べますと、件数は6件の増加、金額は1億134万円余の減少となっております。
このうちの半数近い30件が、医療費の還付金などを口実に被害者を金融機関店舗以外のATMに誘い出して、ATM操作をさせ、現金を振り込ませる還付金等詐欺であり、昨年同期より22件増加しております。また、65歳以上の高齢者の被害件数が全体の約65%を占めております。
次に、特殊詐欺被害がなくならない状況をどのように捉えているかについてでありますが、特殊詐欺自体を御存じであってもだまされてしまった方がほとんどでありますので、県民の皆様の誰もが被害者となり得ることを理解していただき、抵抗力を高め、そして持続していただくよう、対策の工夫を続けることが重要と考えております。
次に、今後、被害を防ぐための施策についてでありますが、これまで実施してまいりました金融機関店舗外ATM利用者に対する注意喚起、預金小切手プラン、特殊詐欺被害防止広報センターや民生委員、ケアマネジャーからの注意喚起等の施策に加えまして、本年8月から、特殊詐欺被害防止活動を推進する法人、団体などをサポーターとして委嘱する特殊詐欺被害防止サポーター制度の運用を開始しており、県民総ぐるみによる未然防止を図っていきたい、努めていきたいと考えております。
また、これらの施策の推進に当たりましては、具体的な手口の周知、また、より見やすく、聞きやすく、わかりやすい広報というものに配慮し、高齢者などの被害防止に努めてまいります。
〇7番(阿部盛重君) 御答弁ありがとうございます。3点について再質問させていただきます。
1点目は流木被害についてですが、台風第10号の豪雨での甚大な被害は、流木や土砂が橋脚などに堆積しダムのようになり被害を拡大したと、現地調査をされた岩手大学理工学部小笠原准教授も分析されています。
盛岡市内でも、国土交通省が管理する一級河川は、北上川船田橋付近より下流、中津川水道橋付近より下流、雫石川の3河川、県が管理する一級河川は、北上川船田橋より上流、中津川水道橋より上流、簗川、米内川、乙部川、見前川、根田茂川など21河川あります。
県が管理する河川では幾たびとなく洪水に見舞われてきたことから、治水対策として1950年代から北上川及び松川などにおいて河川改修が進められてきました。また、2006年11月に国土交通省により一級河川北上川水系河川整備基本方針が策定され、基本高水のピーク流量、洪水調節施設による調節、河道への配分流量が定められ、治水安全度は確実に向上しているものと思われます。
しかし、そのような中にあっても、近年では、2013年9月の洪水により床上、床下浸水、農地被害などが発生しております。過去の事案を超える事態を想定して準備を進めていかなければならないと考えますが、流木災害などを未然に防ぐための今後の対応策についてお伺いいたします。
2点目は、いじめ対策についてですが、文部科学省の平成29年度概算要求によりますと、国は、いじめ対策・不登校支援等総合事業において、社会福祉などの専門知識、技術を用いて学校と関係機関との仲介、深刻な問題を抱えた保護者や子供の実態を把握し、個々の状況に応じ福祉施設や警察などへの協力要請、生活保護、就学援助手続、助言など、学校だけでは解決が困難な場合も含め児童生徒への支援を行うSSW─スクールソーシャルワーカーを配置し、いじめ問題などの解決に向けた教育相談体制の充実を図ることとしております。
岩手県内では既に2008年度からSSWを配置しており、2014年度は県内小中学校を対象に12人、2015年度では14人、2016年度で16人、また、県立高等学校でも2015年度から岩手県社会福祉士会と派遣等についての委託契約を結び、相談件数は9校で58回とのことです。SSWとして選考する者として、社会福祉士や精神保健福祉士などの福祉に関する専門的な資格を有する者、または活動経験の実績などがある者のうち、関係機関とのネットワークの構築、連携、調整などを適切に遂行できる者とされていますが、SSWの専門性向上策、学校内のチーム体制における保護者や教職員に対する支援と教職員研修、SSWの雇用形態改善、担い手不足など、いじめの防止に向け、SSWを効果的に活用するための今後の方策はどのようにお考えかお伺いいたします。
3点目は、警察の信頼度についてですが、特殊詐欺被害の地方への分散化により本県でも多様な対策を講じているとのことでありますが、特殊詐欺を初めとする犯罪の増加は、住民の体感治安、警察の信頼度の低下に直結するものと考えます。昨年、全国の運転免許センターで免許更新者を対象に住民の体感治安と警察信頼度を探る全国調査が初めて実施されました。体感治安では山形県、警察信頼度では福島県が1位の結果で、岩手県も全国平均を上回る点数でありましたが、今後、住民の体感治安、警察信頼度の点数をさらに上げていくため、どのような対応をお考えかお伺いして終わりにいたします。
〇県土整備部長(及川隆君) 流木被害防止の対応策についてでありますが、今回の洪水被害を踏まえ、地域住民の方々や市町村等の関係機関の協力を得ながら河川巡視を強化し、流木となり得る河川区域内の立ち木の調査を実施し、緊急性の高いところから伐採を進めていきたいと考えています。
また、橋梁の新設や小本川等の河川改修など、橋梁のかけかえの際には、最新の雨量データについても考慮した河川の計画流量に応じた所定の橋脚間隔や桁下空間を確保するなど、適切な流木対策に配慮してまいります。
〇教育長(高橋嘉行君) スクールソーシャルワーカーの効果的な活用策についてでありますが、スクールソーシャルワーカーは、いじめ問題の当事者に加え、家庭での虐待を受けた児童生徒等が抱えている課題の解決のための助言や、学校と福祉関係機関等との連携を図る極めて重要な役割を担っており、専門性が強く求められている職でございます。
複雑多様化する社会状況の中で学校に期待される役割は増してきておりますが、外部機関と連携しなければ解決に至らない事案も増加傾向にありますので、スクールソーシャルワーカーが対応するケースも増大していくものと認識いたしております。
今後におきましては、スクールソーシャルワーカー配置のための予算の確保とあわせ、現在、国において検討が進められております教育相談体制の強化の動向等も踏まえつつ、専門性の高い人材の確保やその資質の向上に努めてまいります。
〇警察本部長(堀誠司君) 県民の体感治安、そして県警察の信頼度を向上させるための取り組みについてでありますが、御指摘の調査は、警察庁が実施した治安に関する住民意識調査であり、その結果が報道されたものと承知しております。
県内の刑法犯認知件数は昨年4、884件と戦後最少となっておりますが、他方で、県民の皆様に不安感を与える特殊詐欺のほか、子供や女性への声かけ等の脅威事犯の認知件数は増加傾向にあります。
県警察といたしましては、関係機関との連携を含め、特殊詐欺を初め、県民の皆様に不安感を与えるような事案について、できる限り発生させない、そして、芽が小さいうちに摘み取っていくための被害防止活動等を推進するとともに、発生した事件、事故に対しましては、迅速かつ適切な対応により早期解決を図ることで、体感治安の向上、ひいては警察への信頼を高めてまいりたいと考えております。
〇議長(田村誠君) この際、暫時休憩いたします。
午後2時10分 休 憩
出席議員(46名)
1  番 千 田 美津子 君
2  番 臼 澤   勉 君
3  番 千 葉 絢 子 君
4  番 ハクセル美穂子 君
5  番 菅野 ひろのり 君
6  番 柳 村   一 君
7  番 阿 部 盛 重 君
8  番 佐 藤 ケイ子 君
9  番 佐々木 宣 和 君
10  番 川 村 伸 浩 君
11  番 田 村 勝 則 君
12  番 工 藤   誠 君
13  番 高 田 一 郎 君
14  番 吉 田 敬 子 君
15  番 佐々木   努 君
16  番 千 葉   進 君
17  番 佐々木 朋 和 君
18  番 名須川   晋 君
19  番 軽 石 義 則 君
20  番 神 崎 浩 之 君
21  番 城内 よしひこ 君
22  番 福 井 せいじ 君
23  番 佐々木 茂 光 君
24  番 高 橋 孝 眞 君
26  番 小 西 和 子 君
27  番 工 藤 勝 博 君
28  番 高 橋 但 馬 君
29  番 小 野   共 君
30  番 郷右近   浩 君
31  番 高 橋   元 君
32  番 関 根 敏 伸 君
33  番 岩 崎 友 一 君
34  番 嵯 峨 壱 朗 君
35  番 中 平   均 君
36  番 五日市   王 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 小野寺   好 君
39  番 飯 澤   匡 君
41  番 佐々木 順 一 君
42  番 田 村   誠 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 工 藤 勝 子 君
45  番 樋 下 正 信 君
46  番 柳 村 岩 見 君
47  番 千 葉   伝 君
48  番 工 藤 大 輔 君
欠席議員(2名)
25  番 木 村 幸 弘 君
40  番 渡 辺 幸 貫 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時28分 再開
〇議長(田村誠君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第1、一般質問を継続いたします。千田美津子さん。
〔1番千田美津子君登壇〕(拍手)

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