平成28年9月定例会 第6回岩手県議会定例会会議録

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〇9番(佐々木宣和君) 自由民主クラブの佐々木宣和です。
まず、今回の台風第10号により、県内において亡くなられた20名の方々に哀悼の意を表しますとともに、いまだ行方不明の3名の御家族の方々、被災され今も不自由な生活をされている方々に対し、心からお見舞いを申し上げます。
そして、県内外から、自衛隊、警察、消防を初めとした多数の関係機関や、ボランティアを初め、個人、企業など一般の方々から御支援をいただき、捜索活動、支援活動、復旧活動等に取り組んでくださっておりますことに深く感謝を申し上げます。
また、県議会におきましても、現地視察に訪れていただきましたこと、各会派の皆様に視察をしていただきましたことに心より感謝申し上げます。
そして、今回は、被災地を代表して質問の機会をいただきましたことに対しまして、自由民主クラブの先輩議員の皆様に心から感謝申し上げます。
台風第10号に関する今回の質問は岩泉町の部分が多くなりますが、御了承いただきたいと思います。
8月30日の発災から、被害の大きかった岩泉町、宮古市、久慈市を中心に歩いて感じたことは、まずもって、今回の災害が東日本大震災から5年半、被災市町村にとっては復興途中の被災であり、一夜明けて、泥が乾き砂ぼこりが舞う中を分断された道路を調査しながら進むとき、東日本大震災の光景がフィードバックしました。被災された方の声を聞くと、涙も出なかった、笑うしかなかったと話され、たび重なる自然災害による生活基盤や仕事への大きな不安を抱えておりました。
そして、10月26日時点で、被害総額1、440億円のうち、岩泉町、宮古市、久慈市の3市町で被害額の8割を占め、特に岩泉町では4割を占める非常に局所的な災害でありました。
政府は、9月16日、8月から9月にかけて北海道や東北地方を初め各地に大きな被害をもたらした台風第7号、第9号、第10号、第11号による被害を一括して激甚災害に指定することを閣議決定しました。そして、安倍晋三首相は、10月8日、台風第10号による豪雨被害の状況を確認するため、大きな被害を受けた岩泉町を訪れました。
私は、被災地における復旧、復興、そしてその先の発展を考えたとき、三つのポイントがあると考えています。
一つ目はスピードです。これは、道路に代表されるような生活インフラを早期に復旧させることにより、それまでの経済循環、生活循環をキープすること。まず、今までの生活を守ることが重要であると思います。
二つ目は、計画の柔軟性です。これは、災害公営住宅の整備やまちづくりなどに関して、時間が経過するごとに住民感情、住民ニーズが変わっていくことや、災害による人口流出に対して、その時々で対応していく必要があると感じます。
そして、三つ目は、将来に対する期待感です。今回の災害を受け、これを機会に仕事をやめよう、息子のところに行こうといった言葉も聞かれました。今以上によくなる要素、期待感を持つ施策が絶対に必要であると考えます。
岩手県は、折しも市町村の過疎化、高齢化、人口減少問題を抱える中で、東日本大震災津波からの復興、そして、この先の未来を実りあるものにするためのさまざまな施策を市町村とともに取り組んでいる最中であり、そのような中で繰り返された自然災害という見えない不安は、生活や経済状況と相まって、県民にとって前に進む推進力をそぐものになると感じております。
不安を乗り越え、以前よりもよりよくするため、この悲しく、悔しい災害を明るい未来への経験とできるように、また、県を通して市町村が共有できますように質問いたします。
まず、一つ目の質問は、震災からの復興についてです。
繰り返しになりますが、今回の台風被害を受け、被災地の復旧、復興、そして発展を考えたとき、将来に対する期待感をつくることが非常に重要だと感じています。
東日本大震災発災時の復興計画を立て実行に移してから5年が経過していますが、この復興計画において、原状復旧にとどまらず、再び津波によりとうとい人命が失われることのない、より安全で暮らしやすく、誰もが人間らしい日々の生活を取り戻すことができる、一人一人に寄り添う人間本位の復興という表現があります。
復興の進捗で言えば、ハード面に関しては、三陸沿岸道路の整備や災害公営住宅の完成など、確実な進捗を見せていると感じます。その反面で、沿岸市町村からの人口流出はとまっておらず、住民のメンタル面での復興が進んでいるとは思えず、今回の台風災害でさらに拍車がかかると危惧しています。
戦後の復興期、石橋湛山は財政演説で、人間は現在よりも将来の希望に生きるものと言っています。大震災の被災地、台風第10号の被災地にいる県民を救うヒントは、この言葉が示唆するとおりだと思います。
知事は、被災者に対してどんな将来への希望を示されますか、所感をお伺いします。
二つ目の質問は、台風第10号の被災地における介護サービスについてです。
このたびの台風災害において、岩泉町では唯一の介護老人保健施設が大きな被害を受け、併設されているグループホームでは9人のとうとい命が亡くなるという痛ましい事案が発生しました。御遺族の皆様に謹んでお悔やみを申し上げるとともに、故人の安らかなる御永眠を心よりお祈り申し上げます。
まず、介護サービスの需要について伺います。
今回の台風災害では、家族が被災して世話ができなくなるなどしたために、介護サービスの需要が非常に高まっていると聞いています。東日本大震災においても、避難所生活の長期化に伴い、要介護認定される高齢者がふえたと聞いております。早いもので発災から2カ月が経過しますが、被災地の介護サービス需要について県はどう把握されているか、また、その対応をお伺いします。
次に、今後の施設の安全対策と介護老人保健施設の復旧について伺います。
被災した介護老人保健施設は、岩泉町ではただ一つの施設であり、高齢化率が4割を超える岩泉町では、非常に大切な施設であります。
県当局は、今回の事案をどう捉え、今後の施設の安全対策にどう生かすのか、そして、復旧に関してはどう考えているのかお伺いします。
三つ目の質問は、台風第10号災害を踏まえた水害対策についてです。
氾濫して大きな被害が予想される川は、管理をしている国や都道府県が、水位周知河川に指定し、そして、川や周辺の地形を精密に測量して、観測所でどのような水位に達したときに川の水があふれるかを計算し、避難勧告を出す目安となる危険水位を決めるとされております。
しかし、今回人的被害のあった小本川では、水位周知河川に指定されていなかったようであります。水位周知河川に指定されると、県が氾濫の範囲を示した浸水想定区域図をつくり、それをもとに市町村が川のハザードマップをつくることになっております。また、浸水想定区域内の高齢者施設には避難計画づくりが求められますが、小本川は指定前のため、そのいずれもなかったようであります。
小本川のような比較的規模の小さな川の防災対策をどう進めるのか。防災対策を強化する川には、水位周知河川と、もう一歩進んで洪水の予報を出す川があります。これらへの指定は国が管理する大きな川については進んできましたが、都道府県が管理する中小規模の川はおくれていると聞いています。
都道府県管理の川は、人が住まない山奥の川や短い川まで含めると2万ほどあるものの、指定されたのは1、562河川で、県庁所在地や中核市以外の市町村では指定が進んでいないと聞いております。
まず、水位周知河川の指定について伺います。岩手県では、現在、水位周知河川27河川において、氾濫危険水位、避難判断水位を運用していると承知しておりますが、この水位周知河川にまだ含まれていない河川は幾つあるのか、そして、その指定されていない河川に関して、今後どう対策を立て実行していくのかお伺いします。
次に、避難体制の確保に向けた取り組みについて伺います。
水位周知河川などの指定を急ぐ必要がありますが、調査に時間がかかるため、より簡易な方法で避難の目安となる水位や浸水範囲を示すことができないか、国が検討を始めることにしています。
県は、決められている調査手法によらず、簡易な方法で基準となる水位を設定し、積極的に市町村に情報を提供したり、避難勧告の判断に助言をしてもらいたいと思いますが、県当局で考えている対策をお伺いします。
次に、河川改修についてですが、今回の災害は、数日前からの雨による地盤の保水力の低下、川の上流部における豪雨、さらに下流部でも猛烈な雨、時間を置かずに水位が上昇しました。岩泉観測所では1時間当たり66ミリメートル、年間降雨量が1、000ミリメートルの地域に1日で260ミリメートルの雨が降り、水位は加速度的に2時間で3.44メートルにも上がりました。橋には上流からの流木が絡み、周辺であふれて浸水被害が発生しました。
今回浸水したエリアでは、災害復旧事業だけではなく改良復旧事業が必要と考えますが、その事業導入に当たり、今回の被害規模レベルなのか、その事業の計画と進捗をお伺いします。
また、河川内の立ち木についても災害対策のため処理をしたほうがよいと考えますが、その対策をお伺いします。土砂の堆積により通常よりも水位が高く、住民にとっては、またいつ避難するのか不安があるため、早急な取り組みをお願いしたいと考えています。
四つ目の質問は、災害に強い道路整備についてです。
まず、被災した国道の復旧について伺います。
今回の台風災害では、当初55路線、122カ所が全面通行どめとなりました。特にも岩泉町、普代村、田野畑村と盛岡市を結ぶ国道455号は13日間、宮古市と盛岡市を結ぶ国道106号が11日間全面通行どめとなったことは、地域に対して大きな打撃を与え、災害復旧のスピードを遅くした要因でもあると考えます。いまだ片側交互通行であるために渋滞が起こり、地域住民は非常に負担を強いられていますが、この主要路線の本復旧への道筋を伺います。
国道455号は下閉伊地域と県都盛岡をつなぐ重要な路線であり、今回の災害では、沢沿いに約20キロメートルにわたってずたずたに壊されました。同様の災害に対応するためには、山間部を抜けるルートもしくは旧JR岩泉線の線路跡を利用するなどの防災道路を確保する必要があると感じています。
また、国道455号は、復興支援道路に入りながら、本格的な改良工区が一つもなく、今回の被害を受けて改めて改良の必要があると感じておりますが、当局の考え方と今後の取り組みについてお伺いします。
次に、国道106号の完成時期について伺います。
国道106号は、復興道路として国直轄の工事が進んでおりますが、今回の台風被害により現況の路線に不安があり、その早期の完成が強く望まれるところであります。完成時期に関してお伺いします。
次に、下閉伊グリーンロードについて伺います。
今回、岩泉町では、山間部を走る下閉伊グリーンロードがあることで孤立を免れました。同様の災害に対応するためにも、普代村、田野畑村との連携のためにも、このグリーンロードの県道部分約5キロメートルの早期完成は非常に重要であると考えますが、完成の見通しについて伺います。
五つ目の質問は、建設事業者の確保等についてです。
東日本大震災の復興工事が急ピッチで進む中、今回の台風第10号被害は、事業者の確保、資機材、労働者の不足などの問題があると思いますが、県当局はこれらの問題をどう把握しているのかお伺いします。また、その解決に向けた取り組みもお伺いします。
六つ目の質問は、住まいの再建についてです。
まず、応急仮設住宅の建設について伺います。
10月12日より応急仮設住宅の建設が始まり、現時点で岩泉町に10団地256戸を整備する計画が決まりました。町外に避難したり、入居を決めかねている被災者も見込まれているため、応急仮設住宅への入居の意向は時間の経過で変化すると考えられます。そのため、きめ細かいニーズ把握と町との連携が必要と考えますが、今後の取り組みをお伺いします。
次に、災害公営住宅の整備について伺います。
被災者に高齢者が多いことや地域事情から災害公営住宅の早期の計画着手が望まれますが、その取り組みをお伺いします。
〔副議長退席、議長着席〕
次に、白物家電等の支援について伺います。
東日本大震災のときは、白物家電に関しては日本赤十字社からの支援がありました。被災者から同様の対応が要望されておりますが、今回の対応はあるのでしょうか。県として把握しているのかお伺いします。
七つ目の質問は、被災地における商工業への支援についてです。
台風第10号災害により、商工関係者、観光施設等の被害額は243億円に上り、店舗、事務所、工場等建物や生産設備が損壊するなど壊滅的な損失をこうむっております。さらに、道路の通行どめなどの影響により、物流の混乱、消費の減退、さらには、旅行や宿泊のキャンセル、イベントの中止等、各方面にわたる影響が深刻化しています。意欲はあるものの、二重債務の問題で思うように事業を再開できないあせりやいら立ちを持つ事業者がふえております。
今回の台風第10号災害に対し、東日本大震災津波並みの支援を要望されているところですが、東日本大震災津波からの復興に成果を上げた施策としてグループ補助金があります。その実績はどうなっているのか、対象事業者数、補助金額など、これらの成果をどのように評価しているのかお伺いします。
また、グループ補助金の評価を踏まえ、台風第10号災害ではどのような支援を計画しているのかお伺いします。
八つ目の質問は、被災地における農林水産業の振興についてです。
まず、台風第10号等により被災した漁港施設の早期復旧について伺います。
本年8月に襲来した台風第10号等による高波により、東日本大震災津波で被災し、復旧が完了した漁港や復旧途中の漁港においても、防波堤が倒壊するなど、漁港関係施設で30億円を超える被害額となっております。本年1月の暴風雪波浪による被害と合わせ、東日本大震災津波からの復旧、復興途中の水産業にとって大きな痛手となっており、なりわいの再生に向け漁港施設の早期復旧への取り組みが必要と強く考えております。
今般の被害では、防波堤が波浪により二度、三度とたび重なる被害を受けている事例もあるほか、流木等が漁港の港内に漂着し漁船の航行を妨げるなどの被害が数多くの漁港で生じております。
つきましては、今般の台風第10号等の高波による防波堤など漁港施設の被災状況とこれまでの応急工事などの取り組みとあわせ、早期復旧に向けた今後の対応についてお伺いします。
次に、サケの漁獲見通しと今後の対応について伺います。
本県のサケ漁業は、沿岸地域産業において重要な位置を占めており、震災からの復旧、復興に向けても早期の資源回復が望まれているところであります。昨年度は、震災年に放流した稚魚が5年魚として回帰し、また、回帰主群となる4年魚は震災翌年のふ化場復旧の途上にあり、稚魚放流数が少なかったことなどから、回帰資源が少なく、漁獲量が1万トンを下回る結果になったと聞いております。
そういった中、さらに今般の台風第10号災害により、サケ・マスふ化場が被災し、中核となるふ化場で施設が全壊するなど、今年度の生産が困難な状況となり、また、私の地元の岩泉町でも小本川のふ化場が被災し、土砂や流木の堆積等により今年度の稚魚生産が絶望的となっていることから、来年度以降のふ化放流事業への影響が非常に心配されているところです。
今年度の親魚となるサケの回帰状況は厳しいと聞いていますが、これまでの漁獲状況と今後の見通しについてお伺いします。また、サケの回帰状況が厳しい要因と今後の資源造成に向けた対応についてお伺いします。
次に、林道被害について伺います。
台風第10号の豪雨によって、林業の重要な生産基盤である林道に大きな被害が出ております。このことは、合板工場、製材所、チップ工場にも多大な影響を与え、さらに、地域経済にも大きなダメージを与えております。
宮古市、久慈市及び岩泉町においては、林道を生活道として利用している住民の方々が一時孤立するという事態になるなど、生活への影響も甚大であると聞いていますが、これら被災した林道の被害状況についてお伺いします。また、林道の早期復旧が望まれていますが、どのように復旧に取り組んでいくのか、県の復旧に向けた対応についてお伺いします。
次に、畜産業被害について伺います。
今回の台風災害では、畜産被害も深刻なものとなりました。牛舎が浸水して牛が死んだり、多くの農業用機械が水没したほか、道路寸断で生乳の集荷ができずに、7市町村で139トンが廃棄されました。
岩泉町では、町が運営する第三セクターの岩泉乳業も被災しました。同社の工場は、周辺地域の生乳を集約し、ろ過や冷却をするコールドセンターの機能も果たしていて、宮古市、山田町、岩泉町、田野畑村から1日約20トンの生乳を受け入れてきました。操業停止は、地域の酪農産業全体に影響する事態となっております。
また、飼料となるトウモロコシ畑への土砂の流入、牧草地の浸水、牧草ロールの流出の被害も発生しました。そのため、今後、牛の飼料不足が懸念されますが、これから冬を迎えるに当たっての越冬飼料の確保対策について、どのように取り組んでいるのかお伺いします。
九つ目の質問は、ICTの利活用についてです。
2月の一般質問では、国や地方公共団体等が保有する公共データを二次利用しやすい形で公開し、民間企業のデータ活用促進による経済活性化やNPOや市民が地域の課題解決に取り組むための手段として期待されるオープンデータの取り組み、また、それらを使うためにも必須となるプログラミング教育の必要性を質問させていただきました。
これに関連して、政府は2015年4月に地域経済分析システム─リーサスを発表しております。従来は自治体ごとの縦割りで産業、人口、観光などの施策を検討するのが一般的でしたが、リーサスを使えば、複数の自治体を一つの地域として捉え、より効果のある施策を生み出すことも可能になるとの期待を込めています。私もウエブ上で操作してみましたが、情報の見える化は非常に楽しく、概況をつかむのにはとてもいいものと感じました。
また、自治体の職員向けの限定されたコンテンツでは、帝国データバンクの取引データを閲覧することができるとのことで、より具体的な政策をつくるものになり得るのではないかと期待しています。また、オープンになっていることで、民間企業、地域住民、市民レベルで課題を共有できるものと期待しています。
国と市町村を結ぶ県においては、市町村の置かれる状況を詳細に把握し、強み、弱みを共有する、国に対しては、それを踏まえてストロングポイントを提案することが重要だと考えますが、このリーサスの活用状況を伺います。
最後に、市町村の将来像について伺います。
東日本大震災、そして、このたびの台風被害という二つの大きな災害は、改めて行政のありがたみを感じる出来事でありました。その反面で、二層制行政の弊害を感じたのも事実であります。地方自治法の目指す姿は市町村の自立であると思いますが、その環境は整ってきているのか、自主財源比率などを見ても非常に厳しい環境にあると思います。
自治体の成り立ちを考えると、明治に市制、町村制が始まった際、岩手県には1市21町219村で計241だったものが、昭和の合併により1958年には12市27町24村の計63、そして、現在は14市15町4村の33市町村になりました。
明治の大合併は、近代的な地方自治体、行政単位としての市町村をつくり上げるため、戸籍や徴税等の仕事、中でも義務教育である小学校の設置、管理を任せるために300戸から500戸を標準規模として全国的な町村合併が行われたようであります。
昭和の合併は、1947年に制定された地方自治法のもとで市町村の役割が強化され、中学校の設置、管理、消防、社会福祉等は市町村が担うものとされました。特にも、新しく義務教育化した中学校の設置、管理を効率的に行うために必要とされた人口規模である約8、000人以上を標準として、全国的に市町村の合併が進められたようであります。
そして、平成の合併は、地方分権の推進、少子高齢化の進展、厳しい財政状況及び日常生活圏の拡大という四つの要素があり、これらを踏まえた場合には、市町村の行財政基盤を強化するとともに、より効果的、効率的な行政運営の実現を図るために市町村合併を行う必要があったと認識しております。
また、2000年の機関委任事務の廃止により、国と地方の関係は上下、主従の関係から対等、協力の関係へと変わり、自立する地方自治体を目指すように進んでいます。
しかし、今、明治、昭和の合併で見ても、小学校区、中学校区を維持することも難しく、いわて統計白書2015によると、人口が増加しているのは矢巾町、滝沢市のみで、平成16年からの人口増減率がマイナス20%を超える市町村が4市町村、マイナス15%を超えるのが9市町村、マイナス10%を超えるのが12市町村であり、県央部の8市町村に人口が集まって人口の偏在が進んでいます。特にも、沿岸部は県内全域に転出超過となっております。
そこで、人口減少社会における市町村の自立について伺います。知事は、岩手県の自治体の代表者として県内の自治体全体を見通す必要があると考えていますが、岩手県の発展を考える立場にある知事は、今後、人口減少が進展するとの予測がある中で、自立する市町村のあるべき姿をどう考えるかお伺いします。
次に、県と市町村が果たすべき役割について伺います。
今回の台風第10号災害に限らず、災害復旧予算の大部分は国が予算化しているため、事業の執行に当たっては、国、県、市町村の調整協議が必要になっています。現場第一主義でいく場合には、市町村は市町村の、県は県の役割を明確化して取り組んでいくことが、スピード感を持った復興につながると感じます。
このような県と市町村の二層制行政の問題点、それぞれの役割及び関係についても、東日本大震災津波、台風第10号災害の2度の大きな災害復旧に当たる知事の所感をお伺いします。
最後に、県民に大きな感動を与えました岩手国体は、私も本当に感動しました。大震災からの復興をテーマに開催された岩手国体は、天皇杯2位、皇后杯2位というすばらしい成果を上げ、選手はもとより、監督、関係者の皆様の御努力に敬意を表します。このことは、被災者の方々にも同様に大きな感動を与え、元気にさせるすばらしいものになったと思います。
2019年にはラグビーワールドカップが釜石で開催されますが、スポーツに限らず、これからも県民に感動と元気を与えるようなイベントを開催し、明るい地域づくりを推進していただきたいと思います。
以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 佐々木宣和議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、震災からの復興についてでありますが、東日本大震災津波からの復興については、震災前よりも、より安全で暮らしやすい地域をつくり上げるため、単なる原状復旧にとどまらない、安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生に取り組んでおります。
例えば、復興道路の整備や三陸鉄道による久慈−盛間の一貫経営、宮古−室蘭間のフェリー航路開設など、新たな交通ネットワークの整備が格段に進むことにより、三陸地域の人と物の交流が拡大し、震災前以上の三陸地域の発展が期待されるところであります。
台風第10号による災害からの復旧、復興については、今回の補正予算案に、県独自の施策も含め現時点で必要な事業を幅広く盛り込んだところでありまして、被災市町村や国などとの連携を図りながら、一日も早い復旧、復興を目指し、今までよりも安全なまちづくりや生活の再建、なりわいの再生を進めてまいります。
東日本大震災津波と、そして台風により重ねて被害を受けた地域も、必要な復旧、復興事業を通じて、未来に希望を持つことができるよう全力で取り組んでまいります。
次に、人口減少社会における市町村の自立についてでありますが、人口減少は、経済規模の縮小や地域活力の低下など、地域の社会システムの維持、存続に影響を及ぼすことが考えられることから、市町村の行財政基盤の強化を進め、自立性を高めるとともに、連携中枢都市圏、定住自立圏の取り組みによる市町村間の連携や地域住民との協働などを進めて、持続可能で活力ある地域社会を形成していくことが重要であります。
こうした中、県内各市町村では、平成27年度中に人口ビジョンと地方版総合戦略を策定し、広域連携による魅力ある圏域づくりや移住、定住の促進、安心して子育てできる環境の整備などによって、人口減少に歯どめをかけ、活力ある地域社会の実現を目指していますことから、県としては、住民に身近な市町村の総合戦略に掲げる施策と県の施策が効果的、相乗的に発揮されるよう連携を強めてまいります。
次に、県と市町村の二層制行政の問題点やそれぞれの役割等についてでありますが、地方自治制度のもとでは、住民に身近な行政サービスは市町村が総合的に担い、県は、広域的事務、連絡調整事務などを担うものとされています。
このような県と市町村の役割分担による二層制の行政は、合理的な面がありますものの、観光振興や公共施設の整備などの分野においては、重複する場合も考えられるところであります。
本県においては、東日本大震災津波の経験から、災害などで市町村の行政機能が停滞し処理能力を超えるような場合においては、二層制の役割分担を超えて県が市町村を支援することが非常に重要であると学んだところであります。
このため、今般の台風災害にあっては、発災直後に現地災害対策本部を設置し、部長級職員をその現地に常駐させるとともに、9月下旬には、台風災害復旧復興推進室を組織して、担当課長を現地に駐在させることとしました。また、被災市町の災害対策本部に県の職員を定期的に参加させるなど、現地との情報共有を図りながら、現地と連携した復旧対策に注力してまいりました。
さらには、国に対しても、被災3市町で構成される復旧復興期成同盟会と合同で要望活動を行うなど、一体となって取り組んでいるところであります。
その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁をさせますので、御了承をお願いします。
〔保健福祉部長佐々木信君登壇〕
〇保健福祉部長(佐々木信君) まず、台風第10号の被災地における介護サービス需要についてでありますが、被害の大きかった市町村の状況を聞き取ったところ、現時点では、被災前と比較して、新規に要介護認定された高齢者がふえているといった状況は見られなかったとのことです。一方で、自宅が被災したため、施設の短期入所を利用する方などがふえているほか、被災市町村の施設において、定員を超過して入所者を受け入れている状況が生じていると承知しております。
県といたしましては、今後とも、被災市町村と緊密に連携をとりながら現地の状況把握に努めますとともに、第6期介護保険事業計画に基づく施設整備が円滑に進むよう支援するなど、被災地の高齢者が必要とする介護サービスを適切に受けられるよう対応してまいります。
次に、施設の今後の安全対策と介護老人保健施設の復旧についてでありますが、今回の台風災害で認知症高齢者グループホームの入所者9名が亡くなったことは大変残念なことであり、改めて、自力での避難が困難な方も多く利用される介護保険施設等において、水害や土砂災害を含む各種災害に備えた十分な対策を講ずることの重要性を痛感いたしました。
県では、これまでも、介護保険施設などを対象とした集団指導等において、施設の安全対策についての指導、助言を行ってまいりましたが、本年9月に、利用者の安全確保及び非常災害時の体制整備の強化などについて、関係者への周知徹底を改めて行ったところです。
今後、県及び市町村において、各施設における非常災害対策計画の策定状況や避難訓練の実施状況について点検し、必要な指導、助言を入念に行うことにより、利用者の安全確保に万全を期してまいります。
また、岩泉町の介護老人保健施設の復旧に関しては、入所していた方々が、現在、町外の施設や病院での生活を余儀なくされており、地域の介護サービスの提供機能の早期回復が急務でありますことから、県といたしましても、施設の早期復旧を支援することとし、今定例会に提案している補正予算案に所要の経費を計上したところです。
次に、応急仮設住宅の建設についてでありますが、災害救助法に基づく応急仮設住宅は、台風第10号により住宅が全壊するなど住居を確保できない被災者を対象として、市町村と連携しながら、県が主体となって整備を進めているところです。
整備に当たりましては、市町村において住家等の被害調査、住民に対する応急仮設住宅入居の意向調査などを進め、応急仮設住宅の新規建設、東日本大震災津波の際に整備した既存の応急仮設住宅の活用、さらには、民間賃貸住宅の借り上げ、いわゆるみなし仮設の活用など県と市町村が情報共有し、被災者のニーズを把握しながら対応しております。
特に被害が大きかった岩泉町においては、現在、応急仮設住宅の新規建設を進めているところでありますが、議員御指摘のとおり、時間の経過により入居の意向が変化することも想定されますことから、今後も町と密接に連携し、被災者一人一人の意向を確認しながら、応急仮設住宅の適切な提供に取り組んでまいります。
〔県土整備部長及川隆君登壇〕
〇県土整備部長(及川隆君) まず、水位周知河川の指定についてでありますが、現在、水位周知河川は、県管理河川312河川のうち、27河川31区間で指定しており、指定がなされていない河川は285河川となっています。
今後においては、人口や資産が集中する区間、過去に浸水被害が発生した区間、防災に関する地域ニーズが強い区間などの各条件に該当する区間を対象に、緊急性を勘案しながら順次指定を進めてまいります。
今回の甚大な台風被害を踏まえ、小本川については、来年の出水期前までに岩泉町と調整を図りながら、水位周知河川に指定してまいりたいと考えています。
次に、避難体制の確保に向けた取り組みについてでありますが、現在、国では、河川防災情報を適切な段階で、河川管理者から市町村長へ確実に伝達するホットラインの地方公共団体での運用を目指すとともに、水位周知河川制度に準じた方法で、地域の水害危険性を周知する新たな仕組みの検討を行っているところです。
県では、これら国の検討内容を注視しつつ、本県における仕組みの構築に向け、市町村と連携し、検討するとともに、今回の浸水実績図等の提供を行い、市町村の避難計画等の立案を支援してまいります。
次に、河川の改良計画と進捗についてでありますが、被害の大きかった岩泉町の小本川などにおいては、再度の浸水被害を防止するため、改良復旧事業を導入することとしており、現時点では、河川の拡幅や築堤等の概略設計を進めているところです。
今後は、この計画を住民の皆様へお示しし御意見をいただくとともに、順次用地の御協力をいただき、工事に着手する予定としています。
次に、河川内の立ち木の対策についてでありますが、立ち木の伐採や堆積土砂の撤去については、これまで年次計画を策定し、河川沿いの土地利用を勘案しながら、緊急性の高い箇所から実施してきたところでありますが、今般の洪水被害を踏まえ、今回の補正予算案に計上している河川海岸等維持修繕費も活用しながら緊急に必要な箇所の精査を行い、早急に対策を実施してまいります。
次に、被災した国道の復旧についてでありますが、台風第10号による災害により、現在も片側交互通行規制となっている県管理国道は5路線7カ所あり、このうち国道106号では1カ所、国道455号では3カ所となっています。
片側交互通行規制箇所の本復旧工事においては、川沿いの狭隘な現場条件での作業を余儀なくされ、通行を確保しながらの施工となるため、工事完了までには一定期間を要するものと考えています。
災害復旧事業については、災害発生年度を含む3カ年以内に完了させることが原則であり、現時点では、各箇所ともおおむね平成30年度までの完成を見込んでいます。
工事期間中、利用者の皆様には御不便をおかけすることになりますが、御理解をいただきながら、可能な限り早期の復旧を目指してまいります。
次に、国道455号の改良についてでありますが、県では、国道455号を復興支援道路と位置づけ、現在、信頼性の高い安全な交通を確保するため、岩泉町三田貝地内や門大橋等において、のり面防災対策や橋梁耐震補強を実施しているところです。今回の被災を踏まえ、再度災害を防止する観点から、必要な区間において、河川改良復旧事業にあわせた道路整備など、防災機能を高めるための検討を行ってまいります。
次に、国道106号の完成時期についてでありますが、国道106号については、現在、国直轄により、宮古盛岡横断道路として4工区で規格の高い道路の整備を推進していただいており、10月28日には、新たに宮古箱石道路の宮古市蟇目から腹帯地区及び川井から箱石地区の開通見通しが発表されたことから、平成32年度までに、事業化区間の約9割が完成する見通しとなったところです。
県としては、開通見通しが未発表となっている平津戸松草道路を含め、早期の完成を国に働きかけてまいります。
次に、下閉伊グリーンロードについてでありますが、県道部分については、平成19年度から改良事業に着手しことしの秋の開通を目指していましたが、8月の2度の台風により、施工中ののり面の一部が崩壊する被害を受けたところです。このため、現在片側交互通行とし、対策工法の検討を進めているところであり、可能な限り早期に工事に着手し、平成29年度内の完成供用を目指してまいります。
次に、建設事業者等の確保についてでありますが、台風第10号による土木施設等の被害額は約800億円に上り、被災箇所は約2、300カ所と東日本大震災津波を上回り、その多くの箇所が沿岸北部に集中していることから、災害復旧を進める上で、建設事業者や資機材の確保に課題があると捉えています。
一方、東日本大震災津波からの復旧、復興工事については最盛期にありますが、今後、予算額が減少していく見込みであり、また、事業が終了する箇所も出始めていることから、県内建設事業者の手持ち工事量はある程度落ちつきを取り戻しつつあると考えています。
県としては、東日本大震災津波を機に設置している復旧復興工事施工確保対策連絡調整会議を引き続き活用し、建設資材の確保や工事間の調整等を行っていくこととしています。
また、先日、業界団体と今後の復旧の進め方について意見交換を行ったところであり、必要な施工確保対策を講じながら、県全体で一丸となって取り組んでいくことを確認したところであります。
次に、災害公営住宅の整備についてでありますが、岩泉町では、台風第10号の被災者を対象として、災害公営住宅の入居に関する意向調査を実施する予定と聞いています。今後、この意向調査結果を踏まえ、災害公営住宅の整備について具体の検討が進むことになりますが、県としては、岩泉町に対し必要なアドバイスを行うとともに、建設に際して迅速な対応ができるよう準備をしてまいります。
〔政策地域部長大平尚君登壇〕
〇政策地域部長(大平尚君) まず、白物家電等の支援についてでありますが、東日本大震災津波の際は、日本赤十字社が海外救援金をもとに応急仮設住宅入居者への家電セットの無償提供を行いましたが、今般の台風第10号災害では、このような支援スキームが見込めない状況にあります。このことから、岩手県社会福祉協議会が支援窓口となって、民間企業等から支援金を中心に家電セットの支給を行うとしたところであります。現在、県も協力しながら、民間企業等に対し支援金の募集について呼びかけを広く行っているところであり、応急仮設住宅入居者が少しでも快適な生活を送っていただけるよう、連携して取り組んでまいります。
次に、ICTの利活用についてでありますが、県では、国の内閣官房まち・ひと・しごと創生本部が構築した地域経済分析システム─リーサスを活用し、ふるさと振興の関連部局において、政策立案や事業効果の検証などを行っているところであります。
リーサスを使用することでデータが可視化され、問題点等の現状分析が容易になることから、例えば、観光関連分野では、入り込み客数や観光客の出発地情報、産業振興関連では、企業間取引情報などを取得し業務に活用しているところであります。また、市町村のふるさと振興の取り組みを支援し、リーサスを県内に広く普及させるため、県としては、今年度、地域経済分析システム普及促進事業により、市町村職員向けリーサス研修会や、一般の県民や学生などを対象としたふるさといわてを元気にするアイデアコンテストを実施しているところであります。
ふるさと振興は、県のみでなく、市町村、県民や企業、NPOの方々とともに考え、県民総参加で取り組んでいく必要があることから、引き続き、リーサスなども積極的に活用しながら、オール岩手でふるさと振興の取り組みを展開してまいります。
〔商工労働観光部長菊池哲君登壇〕
〇商工労働観光部長(菊池哲君) まず、グループ補助金の実績と評価についてでありますが、県では、これまで16回の公募を行い、148グループ、1、396事業者に対し、補助金額で828億円を交付決定しております。
グループ補助金は、被災事業者の施設、設備の復旧経費を補助することにより、早期の事業再開を支援することを目的としておりまして、これまで、水産加工業の再生、中心商店街の再整備、仮設施設から本設への移行など、地域経済の復興や雇用の場の確保等において、大きな役割を果たしているものと評価しております。
次に、台風第10号災害で被災した商工業者への支援についてでありますが、いわゆる局激指定を受けた宮古市、久慈市、岩泉町においては、中心市街地の小規模事業者や震災からの復旧途上にある事業者等が多数被害を受けるなど、地域経済の影響が大きく、被災事業者等への早期復旧を図ることが必要であることから、国に対して、被災地からの要望が強いグループ補助金の適用などを要望してきておりまして、今般、国では、台風被害を受けた小規模事業者向けの補助事業の実施を決定したところであります。
今後も、国に対し、さらなる対応について引き続き要望をしてまいります。
そして、県といたしましても、これら3市町が被災事業者の施設、設備の復旧や商店街の復旧に向けた共同活動、被災した観光施設の復旧、誘客、宣伝活動を行う場合などに、その財源を支援する地域なりわい再生緊急対策交付金を本定例会の補正予算案に盛り込んだところでございまして、早期に地域のなりわい再生が図られるよう支援してまいります。
〔農林水産部長紺野由夫君登壇〕
〇農林水産部長(紺野由夫君) まず、台風第10号等により被災した漁港施設の早期復旧についてでありますが、台風第10号等による高波によりまして、沿岸全12市町村において、岩泉町の小本漁港など、81漁港で防波堤の倒壊や消波ブロックが飛散するなど、被害額は約40億6、700万円となっております。
被災した漁港のうち、漂着した流木などについては、漁業活動に支障を来さないよう、撤去作業を9月上旬までに完了したほか、漁業集落排水処理施設や水産飲雑用水施設についても災害査定前に応急工事を実施し、仮復旧しているところです。
国の災害査定終了後、速やかに復旧工事を発注しまして、早期完成に向けて取り組んでまいります。
次に、サケの漁獲見通しと今後の対応についてでありますが、10月20日までのサケの漁獲尾数は35万尾で昨年同期比65%、数量は909トンで昨年同期比59%、金額は6億500万円で昨年同期比87%と、いずれも低下している一方、平均単価は、1キログラム当たり715円で昨年同期比136%と、高値となっているところでございます。
県水産技術センターが8月に公表した今年度のサケの回帰予測では、数量については昨年度を30%程度上回る392万尾、1万2、476トンとなっており、また、主群となる4年魚及び5年魚の回帰時期については、12月上旬が中心となると予測されておりまして、今後の漁獲動向を注視しているところであります。
サケの漁獲量が少ない要因については、回帰主群となる4年魚、5年魚が、震災後のふ化場が復旧途上にありまして稚魚放流数が少なかったこと、また、現在、三陸沖に20度Cを超える暖水塊があり、沿岸の水温がサケの適水温より高いことから、回帰がおくれていることなどが考えられているところです。
今後のサケの資源造成のためには、最大限に種卵を確保し、稚魚を放流していくことが重要であり、漁業団体と連携し、定置網で漁獲したサケの親魚としての活用、定置網等での垣網短縮による河川遡上の促進などに取り組むこととしておりまして、あわせて、各ふ化場での健康な稚魚育成の徹底を図ることなどによりまして、効果的な稚魚放流につなげ、将来にわたってサケ資源の維持、増大を図ってまいります。
次に、林道被害についてでありますが、台風第10号による林道施設の被害額は、市町村が管理している林道施設を中心に1、691カ所、約88億9、000万円となっており、特に岩泉町、宮古市及び久慈市の被害が甚大で、県全体の95%を占めております。県では、対応に追われている被災市町村に対しまして職員の派遣を行い、被害箇所の把握調査を実施するなど積極的に支援を行うとともに、国に対し、災害復旧事業に係る市町村負担の軽減や災害査定の早期実施などを要望してきたところであります。
現在、災害復旧事業の災害査定に向け、被災市町村に対し、技術的助言や職員の派遣などの支援を引き続き行っており、災害査定後、直ちに重要な生活道となっております林道の復旧に着手できるよう切れ目なく支援を行い、林道施設の早期復旧に取り組んでまいります。
次に、畜産業被害についてでありますが、牧草地や飼料畑の被災、収穫した牧草の流失などにより飼料の不足が懸念されたことから、県では、まず、国や県内団体から無償提供の申し出があった牧草約60トンについて、岩泉町などの被災地に供給したところでございます。
また、越冬用飼料の確保に向け、県内で供給可能な牧草やトウモロコシサイレージなどの情報を提供するほか、国の粗飼料確保緊急対策事業とあわせ、被災者の負担を軽減するため、県単独事業により、粗飼料の確保に要する経費を市町村と連携しながら支援することとしております。
県といたしましては、来年春までの粗飼料が不足することのないよう、また、被災した畜産農家が早期に経営再建できるよう、引き続き取り組んでまいります。
日程第2 議案第31号主要地方道一関北上線(仮称)柵の瀬橋(上部工)工事の請負契約の締結に関し議決を求めることについてから日程第8 議案第37号小白浜漁港海岸防潮堤災害復旧工事の請負契約の締結に関し議決を求めることについてまで
〇議長(田村誠君) 次に、日程第2、議案第31号から日程第8、議案第37号までを一括議題といたします。
提出者の説明を求めます。風早総務部長。
〔総務部長風早正毅君登壇〕
〇総務部長(風早正毅君) ただいま議題とされました各案件について御説明申し上げます。
議案第31号から議案第37号までの7件は、災害復旧工事等の請負契約の締結に関し議決を求めようとするものであります。
以上でありますので、よろしく御審議の上、原案に御賛成くださいますようお願い申し上げます。
〇議長(田村誠君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後5時30分 散 会

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