平成28年9月定例会 第6回岩手県議会定例会会議録

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〇31番(高橋元君) 改革岩手の高橋元であります。
質問に入ります前に、このたびの三笠宮崇仁親王殿下の御薨去に心から哀悼の意を表しますとともに、御生前の諸活動に対しまして深甚なる敬意と感謝を申し上げますとともに、謹んで御冥福をお祈り申し上げます。
また、今春に発生した熊本地震災害、並びに今夏の台風第10号豪雨災害により亡くなられた皆様に心から哀悼の意を表しますとともに、御遺族と被災されました皆様にお見舞いを申し上げます。災害からの復旧、復興が一日も早く進むことを願い、議会の一員として御支援をいたしてまいりたいと思っております。
前2名の議員の質問と重複する点もありますが、通告に従い順次質問いたします。
初めに、希望郷いわて国体の成果と県政運営について伺います。
本県で開催された第71回国民体育大会は、21年ぶりに冬季大会、本大会が同一県において開催され、成功裏に終了しましたが、国民体育大会の主催団体である公益財団法人日本体育協会はどのように評価され、知事はそれをどのように受けとめておられるのでしょうか。また、知事自身はどのような評価をしておられるのか伺います。
国民体育大会のあり方について、開催県外から選手を招聘しての上位入賞強化や競技施設の新設等、開催経費の負担増などで各方面で議論がなされておりますが、第71回国民体育大会は、近年開催された国体と対比し、ハード面、ソフト面で岩手オリジナルをどのように進めることができ、どのような成果が得られたのかお伺いいたします。
国体の結果でありますが、天皇杯順位目標8位以内として臨んだわけでありますが、結果は、天皇杯、皇后杯ともに第2位と、目標を大きく上回る成績でありました。厳しい練習を積まれ出場された全選手の、その活躍に全県民とともに大きな拍手を送るものであります。また、国体開催の準備に当たられた皆様、大会を支えたボランティアの皆さん、アトラクション等に参加された皆さんに心から敬意と感謝を申し上げます。ありがとうございました。そして、御苦労さまでした。
この国体において、さまざまな成果や効果があったものと思います。達増知事は、この国体の成果をこれからの県政運営にどのように生かしていくお考えか伺います。
次に、第3期復興実施計画について伺います。
本年は、3年にわたる第2期復興実施計画、本格復興期間の最終年であります。残すところおよそ5カ月であり、予算編成時期ともなっており、第3期復興実施計画の策定作業を進めているものと思われますが、第3期復興実施計画の基盤となる第2期復興実施計画は、当初想定していたとおりの進捗なのか、知事の評価と総括をお伺いいたします。
検討中と思われる第3期復興実施計画についてでありますが、第3期復興実施計画は、8年にわたる復興基本計画の最終期間であり、さらなる展開への連結期間と位置づけられており、どのような考えのもとに復興の総仕上げに向けた2年間の復興実施計画を策定しようとしているのか、現時点での復興実施計画の概要を伺います。
次に、暴風雨等による災害について伺います。
初めに、台風第10号による豪雨災害について伺います。
今夏8月末に発生した台風第10号は、太平洋を西進した後、進路を東方に変え、関東地方を過ぎたあたりから進路を北に変え、北進して大船渡市に上陸し本県に大打撃を与えました。台風第10号は、発生した当初から大型勢力を維持し、気象庁も、甚大な被害が予想されることや、時間経過とともに東北地方への上陸の可能性もあると繰り返し注意を喚起しておりました。こうした台風の本県接近や上陸の可能性を受け、県としてどのような災害を想定し、その対応を市町村とどのように共有しながら県民の被災防止に向けた対策をとられたのか、県としての対応に問題はなかったのか伺います。
大変残念なことに、台風第10号により亡くなられた方が20人、いまだ行方不明の方が3人おられ、住家被害も全半壊や床上、床下浸水等合わせて約4、300棟に上り、社会福祉や医療施設、農林水産、商工、観光などの産業、教育施設、土木、生活インフラ等、多方面にわたり被害を受けました。災害後、各方面から災害実態調査が被災地に入り、特にも、痛ましい犠牲者が多数出たことの要因についてさまざまな知見が報告され、その中では、豪雨による河川氾濫のハザードマップの整備のおくれ、住民に対する周知の不足、災害想定時の避難勧告や指示の基準解釈が曖昧であるなど、集中豪雨やそれに伴う河川氾濫に対する備えが県及び市町村で立ちおくれたこと、ふだんから防災への取り組みがなされず、多くの人命や家屋が失われ、生活や地域産業に甚大な影響が発生したとの見解が示されております。
県として、台風第10号による災害発生の要因をどのように分析しているのか、また、どのような防災対策が進められていれば、このような甚大な災害を最小限にとどめられたと考えているのか伺います。
災害復旧と生活再建についてでありますが、台風による被災地は東日本大震災による被災市町村であり、被災住民からは震災による支援事業とできる限り同等の支援策を求められており、可能な限りその要望に沿えればと考えますが、現時点で生活再建や事業再建について、国等の支援にどのような差異が生じ、その差異を県及び市町村の支援によりどの程度回復できる見通しであるのか伺います。
次に、大規模洪水による災害について伺います。
県内における大規模洪水災害は、戦後間もない1947年、1948年─昭和22年、昭和23年に2年連続して本県を襲ったカスリン、アイオン台風であります。まだ私の生まれる前の時代ですが、記録によると、一関市を中心に死者500余人、流失家屋約600戸と、未曾有の被害であったとのことであります。原因として、山間部を中心に長雨が続き、戦中に山の木々が伐採されたことや山々の荒廃が相まっての災害とされ、2年目の1948年は災害復旧が途中であり、仮堤防の決壊等も被害の原因として挙げられておりました。
当時、この水害対策として、国と県は北上川上流の支流に5大ダムの建設と一関市に遊水地整備を計画し、現在、大規模洪水は回避されております。一方、県が管理する河川においては、従来よりさまざまな箇所で洪水防災対策が進められてきているにもかかわらず、このたびの台風第10号による大規模洪水災害は、まだまだ防災対策が必要であることを明らかにいたしました。この台風被害を受け、知事は、大規模洪水による災害防止に向けて今後どのように取り組んでいく考えか伺います。
河川敷の立ち木について、私は、景観と防災上、伐採すべきだと以前から提言してまいりました。残念ながら、懸念されたとおり今回の洪水で多くの立ち木が増水で流され、橋梁にひっかかり水をせきとめ、洪水を誘発し、また、家屋や施設に流れ込み、甚大な被害をもたらしました。このような流木による被害防止に向け、市街地を流下する河川については、河川敷立ち木の伐採計画を策定し、地域住民の協力を得ながら洪水防止対策を講ずるべきと思いますが、いかがでしょうか、伺います。
また、できることであれば、市街地の橋梁は橋脚の極力少ない橋梁にする。例えばロープ斜張橋に変更すれば橋脚への流木のひっかかりをある程度防止できると思うところであり、今後の橋梁架設でぜひ考慮に入れていただきたいと望むものであります。
次に、農業振興について伺います。
先ごろの報道によると、安倍首相は国家戦略特区諮問会議で農業分野で特区への外国人労働者の受け入れを検討する方針を示し、来年の通常国会への法案提出を視野に、実現に向けた議論を加速していくと強調したとのことであり、農業においても労働力不足が深刻であることをあらわしております。
先月12日、13日と千葉県の幕張メッセで開催された第3回国際次世代農業EXPOに行ってまいりましたが、さまざまな先進的な取り組みやそれをサポートするシステム、各種農業機械、有害鳥獣対策関連資材、食物工場の提案、再生エネルギーの取り組み等に驚嘆してまいりました。中でも、自動車の自動運転の試験走行のCMをよく目にしますが、トラクターや田植え機械の自動運転実験が行われ、実用段階に来ていること、ドローンを活用しての農薬散布やGPS機能とICTを活用しての農作業の均一化、水田のかん水調整など、農作業とICTの融合、そのデータをもとにトレーサビリティーや営農データ整理が一本化される提案もなされておりました。
東北各地ではトラクターや田植え機の自動運転実証試験を進めていますが、本県ではこのような取り組みや検討はなされているのか。また、大規模区画の水田がある農業研究センターにおいてそのような取り組みをすべきと思いますが、いかがでしょうか、伺います。
また、国際次世代農業EXPOの会場では、宮崎県、佐賀県、鳥取県、石川県、福井県、愛媛県西条市がブースを設け、企業の農業参入を支援するPRを行っておりました。本県における農業への企業参入について、県としてどのように取り組みや検討がなされているのか伺います。
次に、無形民俗文化財について伺います。
本県の無形民俗文化財、民俗芸能について、人口の減少と高齢化の進行により活動中断や廃絶が多数現出してきております。この現状をどのように捉え、どのような課題認識を持ち、どう取り組んでおられるのか伺います。
多くの民俗芸能団体は、大もとの庭元を頂点に枝分かれし、拡散普及して今日に至っており、みずからの系統はどこにあるのか、どの時代に変化して独自芸能となったのか不明の団体も数多く存在しております。その中で、本来であれば国指定の重要無形民俗文化財に登録されてもおかしくないと思われる民俗芸能もあり、調査研究が進んでいないように見受けられます。
〔副議長退席、議長着席〕
県の文化財行政は、無形民俗文化財を専門とする担当者が不在で、各民俗芸能団体の普及系図の作成、芸能の映像記録作成や、国の重要文化財としての保護育成を視野に入れた取り組みが欠如しているとの意見もあります。高齢化、少子化による民俗芸能存続の危機を各地域が抱えており、活動休止や廃絶が急速に増加する中、将来の再開も含めて、映像記録の作成、国や県の文化財指定に向けた専任の学芸員を配置すべきと強く思いますが、そのような考えはないのか伺います。
次に、障がい者支援について伺います。
議員発議による、障がいのある人もない人も共に学び共に生きる岩手県づくり条例が平成23年7月1日に施行されて丸5年が経過いたしました。条例制定前と5年経過の現状を比較し、何がどのように進展したと捉えているのか、課題とその解決に向けた今後の取り組みを伺います。
先月の25日、北上市内において県南地区障がい者就職相談会が開催されました。企業と求職者とのマッチング促進を図ることなどを目的に、花巻、北上、水沢、一関の各公共職業安定所と岩手労働局が主催したものであります。北上公共職業安定所長からは、県内と管内の求人状況や資格取得などについての説明があったとのことであります。県は、障がい者の求人状況をどのように把握しているか、障がい者の資格取得への支援はどのようになっているか、障がい者の雇用についての県としての取り組み状況を伺います。
10月22日から24日まで開催された第16回全国障害者スポーツ大会での本県選手団の活躍はすばらしいものがありました。地元で開催の陸上競技を観戦しましたが、さまざまな障がいを持ちながらも、必死に記録を伸ばそうと頑張られている姿に大きな感動を覚えました。よい成績を残し、あるいはなかなか力を出し切れなかった、そんな思いは来年の大会に向けて大きな原動力になるものと思われます。
そこで、障がい者とスポーツの関係について伺います。
本年は地元開催であり、多くの選手が出場できました。各選手は来年もぜひ出場したいと願っているものと思われますが、愛媛大会への取り組みはどのように考えておられるのか。また、障がい者がスポーツを気軽に楽しめる環境づくりも大事だと思います。その環境づくりのために、競技団体等との協議が必要ではないでしょうか。4年後の東京パラリンピックも踏まえ、県としての積極的な支援を求めたいと思っております。お考えを伺います。
次に、がん対策推進について伺います。
この条例も議員発議によるものですが、平成26年4月1日に岩手県がん対策推進条例が施行され2年経過しましたが、この間、重点的にどのような取り組みを進めてこられたか。また、施行後の効果をどう評価し、課題をどのように捉え、今後どう改善を図っていく考えか伺います。
条例には事業者の役割、教育機関の役割を明記してありますが、県としてどのような取り組みをしているのか伺います。事業者の役割については双方向での取り組みが大事であり、事業者の条例に対する取り組み状況や意見をどう捉えているのか、児童や生徒はがんについてどのような感想を持ち、日常生活に生かそうとしているのか、その実態について伺います。
がん対策、特にがん予防における欧米の取り組みは先進的で、食事改善や喫煙、受動喫煙防止などの取り組みによりその成果は年ごとにあらわれ、がん罹患率やがん死亡者が減少しております。
以前にも紹介しましたが、アメリカ合衆国政府は、上院にマクガバン上院議員を委員長とする栄養問題特別委員会を設置し、2年間にわたり200億円を投じて調査し、1977年にマクガバンレポートがまとめられ、がん、心臓病、脳卒中など現代病は食生活の間違いで起こる食源病であると解明して、深刻なビタミン、ミネラル不足を世界に警告いたしました。日本以外の先進国はこのレポートを健康政策の原点としており、いまだに日本だけが無視し続けて取り組みがおくれ、結果としてがん患者やがん死亡者がふえております。厚生労働省の取り組みがおくれている以上、みずからの健康と愛する家族のために、欧米の取り組み事例を調査し、これからの県としてのがん予防の取り組みに生かすべきと思いますが、いかがでしょうか。
次に、県立高校における遠隔授業について伺います。
遠隔授業に関する調査研究は、平成28年度、平成29年度の2年間にわたり、県立西和賀高校と県立岩泉高校間において実施することとなり、今年度は3年生を対象に5回の課外遠隔授業が計画され、10月19日に行われた3回目の遠隔授業を参観してまいりました。授業の進め方について、授業を担当された先生の所感は、ふだん顔を合わせたことがない生徒であり、どう接したらいいのか多少の戸惑いがあるとのことでありました。まだ3回目でありますが、この間の試行でどのような展望、課題を持たれたか伺います。
初年度ということで本年は5回の実施であり、遠隔授業の調査研究には週に数回の本格的な課外授業の実施が望ましいと思うところでありますが、2年目となる平成29年度はどのような授業計画を検討し、また、遠隔授業を担当する先生の授業力を上げる取り組みをどのように検討しているのか伺います。
最後に、県北・沿岸振興について伺います。
まず、県北地域の振興策でありますが、施策展開の方向性として、(1)若者、女性の活躍支援、(2)地域の特徴的な産業の振興、(3)観光の振興、(4)農産物のブランド化の4点を掲げております。若者の定着やU・Iターンを成果あるものとするならば、アパレル産業、食産業に加えてインパクトの大きい次世代産業群の形成が重要と思われます。例えば、航空、宇宙産業の一端を担う調査研究機関あるいは企業の誘致をすべきと思いますが、三つ目の産業の柱として、雇用者の多いものづくりについて何か検討しているものはないのか伺います。
沿岸地域の振興策についてでありますが、本年3月、復興局より、三陸の未来を拓く提案、三陸復興・振興方策調査報告書が発行されました。新たな三陸地域を築いていくためのアイデアや事例をプロジェクトの形で整理されたもので、市町村や企業、団体等において三陸の復興や復興に向けた取り組みを検討し、県民的な議論を深めていくための参考資料ということでありますが、提案プロジェクトに大きな期待を持たせる一方、実施主体が県ではなく、市町村や企業、団体等に取り組みを委ねるような印象が否めません。この三陸の未来を拓く提案を策定した真の目的、県としてどう活用していくお考えか伺います。
以上、登壇しての質問を終わります。答弁によりましては再質問をいたします。どうぞよろしくお願いいたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 高橋元議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、希望郷いわて国体の評価についてでありますが、日本体育協会の張会長は、本県訪問の礼状の中で、復興に向けて前に進もうとする岩手県民の皆様の思いが大会の成功につながり、大変感動的な記憶に残る大会だったと述べられ、原国体委員長は、報道機関のインタビューで、県民の方々の思いが詰まった開会式だった。天皇、皇后両陛下も非常に感動されていたと答えられています。東日本大震災津波からの復興に全力で取り組む中、また、台風第10号による被害の爪跡が深く残る中、開催した今回の国体についてこのような評価をいただいたことは大変ありがたく、光栄なことと受けとめております。
本県選手団は、県民の熱い応援に後押しされながら、国体では天皇杯、皇后杯とも第2位という栄誉をかち取り、全国障害者スポーツ大会でも139個という東京都に次ぐメダル数を獲得しました。県民全ての輝かしい誇れる成果としてともに喜びを分かち合いたいと思います。
両大会は、県民が力を合わせて岩手のスポーツの力を最高度に高め、開閉会式や文化プログラム事業では岩手の文化を花開かせ、準備段階も含め多くの県民の参加が得られるなど、成功裏に終えることができ、県民の自信と誇り、そして希望につながったものと総括しているところであります。
次に、岩手オリジナルの成果についてでありますが、今回の国体は、復興支援への感謝を伝えることを大会全体を貫くテーマとしたことが最大の特徴であり、東日本大震災津波からの復興に予算や人員を優先的に投入しながらも、国体も必ず成功させるという思いで準備を進めてきたところであります。
具体的な特徴について申し上げますと、まず、競技面では、選手補強について可能な限り地元就職によりその定着を図るなど、競技力向上の効果が今後も継続するように取り組んだところであります。また、施設面では、既存施設を最大限に活用することを基本とし、仮設による施設整備や、中央競技団体に施設基準の弾力的運用を求めることなどにより経費の節減に努めたところであります。加えて、競技運営面では、女子種別を中心に国体未実施のオリンピック種目を正式競技として導入するなど、東京オリンピックに向けた日本全体の選手強化の端緒となる大会となり、総合開会式等においては、被災3県合同合唱団による合唱、都道府県応援団や復興支援感謝団による応援や歓迎などにより復興支援への感謝の気持ちを伝えることができたと考えております。
このほか、ボランティアやおもてなし、応援などに多くの県民に参加いただいたほか、数多くの企業による募金、企業協賛への協力やメディア各社の積極的な報道、さらには、国体・大会プラスといった新しい取り組みによる大会の盛り上げなど、オール岩手での取り組みによって全県的な広がりを持つ大会となったことも大きな成果であると評価しております。
次に、国体の成果の県政への反映についてでありますが、希望郷いわて国体・希望郷いわて大会を通じて、岩手のスポーツの力の高まりや伝統芸能、障がい者アートを初めとしたすばらしい文化、実直な県民性やおもてなしなどのさまざまな岩手のよさが示され、本県を訪れた全国の方々からは高い評価をいただいたものと考えております。
また、本県選手団の躍動する姿が県民に大きな感動を与えたこと、地域が一体となった県民運動的な取り組みの展開や、多くのボランティアの方々と選手、関係者との交流などにより、希望郷いわて国体・希望郷いわて大会が成功したことは、岩手県民が自信や誇り、そして希望を持つことにつながりました。
こうした成果は、ともに支え合う共生社会の形成や、スポーツ、文化、地域振興、経済、観光などにおいて未来に引き継ぐレガシーとなるものであり、それぞれの分野でこれらを生かしていくことにより、名実ともに全国に認知された希望郷いわてとして、復興とふるさと振興をより強力に推進してまいりたいと思います。
次に、第2期復興実施計画の総括についてでありますが、第2期復興実施計画期間である本格復興期間におきましては、災害廃棄物処理分等を除く実質的な事業費ベースで、第1期の基盤復興期間を上回る過去最大の予算規模で事業を進めております。
復興計画で掲げた三つの原則のうち、安全の確保については、復興道路が新規事業化された全ての区間で着手し、約4割が供用済み、土地区画整理事業等市町村の面整備事業では、宅地供給予定の全ての区画で着工され、平成28年度末で5割を超える宅地の供給見込みとなっています。
暮らしの再建については、災害公営住宅の約7割が完成し、平成28年度末で約8割の完成見込みとなっており、市町村立小中学校においても、平成28年度末で約9割の完成見込みとなっています。
なりわいの再生については、一部再開を含め、約8割の被災事業所で事業が再開されたほか、商店街や商業機能の再生が本格化しております。
また、県の第2期復興実施計画に掲げる延べ344指標については、平成27年度の計画に対する進捗率が、95%以上の指標が約7割となっています。
一方、いまだ多くの方々が応急仮設住宅等での不自由な生活を余儀なくされているほか、先般公表した社会資本の復旧・復興ロードマップでは、防潮堤など、海岸保全施設等において完成時期の延伸も生じております。
復興の進捗は、地域や被災者によってさまざまではありますが、これまで以上に、より多くの方々の参画をいただきながら、オール岩手の力、そしてさまざまなつながりの力を合わせ、一日も早い復興を目指して全力で取り組んでまいります。
次に、大規模洪水災害の防止に向けた今後の取り組みについてでありますが、今回の台風では、沿岸部を中心に記録的な大雨となり、河川の水位が急激に上昇するとともに、橋梁に流木が詰まるなどの現象によって、岩泉町の小本川などで甚大な浸水被害が発生しました。一方、これまでに洪水対策を講じてきた軽米町の雪谷川や久慈市の滝ダム下流の長内川などでは、洪水被害が防止されたところであり、整備の効果があらわれているものと認識しております。
これらを踏まえて、被害の大きかった岩泉町の小本川などにおいては、川の拡幅や築堤等による早期の河川改修を行いますとともに、その他の河川におきましても計画的に河道掘削や立ち木処理を行い、洪水被害の防止に努めてまいります。
同時に、住民の円滑かつ迅速な避難を促すため、被災があった河川を含めて、水位周知河川の指定を進めるなどのソフト対策も着実に取り組み、ハード整備とあわせて、洪水から県民の生命、財産を守るとともに、県土の保全を図ってまいります。
その他のお尋ねにつきましては副知事及び関係部局長から答弁させますので、御了承願います。
〔副知事千葉茂樹君登壇〕
〇副知事(千葉茂樹君) 県北地域における施策展開の方向性についてでありますが、県では、いわて県民計画におきまして、優れた地域資源を生かした産業振興による地域経済の基盤の強化を柱の一つに掲げ、地域の特性を生かした産業振興に重点的に取り組んでまいりました結果、県北地域におきましては、健康食品や鶏肉加工、菓子製造などの食品製造業や電気機械製造業の生産拡大に加え、産学官連携により、地域の縫製業の一層の振興を図るための北いわてアパレル産業振興会が設立されるなど、地域の主体的な取り組みが展開されてきております。
議員から御例示のございました航空、宇宙産業のうち特に航空産業につきましては、自動車関連産業と同様に裾野が広く、今後の成長が期待される分野でありますが、県として参入促進セミナーの開催など今年度の取り組みを進める中で、参入に当たりましては国際認証資格の取得が求められるほか、部品の一貫生産ができる技術力や共同受注体の形成が必要とされるなどの課題も明らかになってきているところでございます。
また、航空産業などにおきます調査研究機関や企業の誘致を含めた産業形成に当たりましては、関連産業群の集積と、これを支える高度な技術力を持つ人材の育成、定着を初め、工業用地などのインフラ整備も必要とされるところでございますので、これらを全県的な課題として検討していく必要があるものと考えております。
冒頭申し上げましたアパレル産業の振興に当たりましては、地元の縫製企業や学校と連携したファッションショーの開催、学校法人文化学園と連携した人材育成や縫製業のイメージアップなど、ここ数年にわたりまして産学官が連携して取り組んできたところでありますが、まだ途上にございまして、県北地域の課題となっております若者の地元定着やU・Iターンの一層の促進を図るためには、このような取り組みを一層強化していく必要があると考えております。
一方、議員からお尋ねのございました新しい産業の形成につきましても、市町村と意見交換を行いながら、前広に研究してまいりたいと考えております。
〔復興局長木村卓也君登壇〕
〇復興局長(木村卓也君) まず、第3期復興実施計画の概要についてでありますが、本年8月にお示しした第3期復興実施計画の方向性では、全体の取り組み方向として、仮案ではございますが、交流、連携を力に、県民が一丸となって取り組み、被災者一人一人の復興をなし遂げ、希望あるふるさとにつなげる三陸復興としているところでございます。
また、第3期計画を進めるに当たっては、震災を契機に生まれた新たなつながりやきずなを生かし、これまでの参画のほかに、交流と連携を重視する視点として掲げて、復興事業の総仕上げと復興の先を見据えた地域振興に取り組むこととしております。
具体的には、共通の課題であります予算の確実な措置による事業の着実な推進と復興事業の進捗に合わせた人材確保のほか、三つの原則ごとの主な課題でございます海岸保全施設の早期完成、被災者の心と体の健康や新たなコミュニティー形成、1次産業就業者など担い手の確保、育成などの課題に取り組むほか、三陸創造プロジェクトについては、復興の進展に伴う環境変化や新たなトピックスと第2期計画における成果や課題を踏まえ、より実効性を高めたものとしていきたいと考えてございます。
今後、県議会を初め、復興委員会や市町村等関係機関、県民の皆様からも御意見をいただきながら、来年3月の計画策定を目指し作業を進めてまいります。
次に、三陸復興・振興方策調査報告書についてでありますが、この報告書は、復興の進展に伴う三陸地域の交通ネットワーク整備による環境変化や、産業、コミュニティーの地域の現状分析をもとに、さまざまな分野の方々の御意見等を踏まえて、中長期的な視点や広域的な観点に立ち、新たな三陸地域を築いていくためのアイデアや事例をプロジェクトとして取りまとめたものでございます。
復興や復興の先を見据えた地域振興の取り組みは、県はもとより、市町村、企業、団体など、多様な主体の交流、連携によって進めていくことが重要と考えておりまして、報告書では、想定される実施主体を問わず、さまざまな取り組みを掲載しているところでございます。
市町村や企業等の皆様には、これまで、岩手県沿岸市町村復興期成同盟会や岩手かけ橋供創ネットワーク会議などの場において、内容の説明と事業化に向けた検討の要請を行ってきているところでございまして、今後も、機会を捉えて働きかけを行っていきたいと考えております。
また、県が主体となって実施するものにつきましては、例えば報告書に掲載している三陸観光マネジメントプロジェクトに相当するものとして、本年4月に開設した三陸DMOセンターを核とした広域の観光地域づくりを今年度策定する第3期復興実施計画の三陸創造プロジェクトに盛り込むなど、施策の具体化を図ってまいりたいと考えております。
〔総務部長風早正毅君登壇〕
〇総務部長(風早正毅君) 台風第10号の上陸に備えた対応についてでありますが、台風第10号は、本県に太平洋側から直接上陸するおそれがあり、その場合、土砂災害、河川の増水や氾濫、低い土地の浸水、暴風、高波によるかつてない規模の災害の発生が懸念されておりましたことから、台風上陸前の8月29日に災害警戒本部を設置し情報収集を始めたところであり、8月30日午前10時には災害特別警戒本部へ移行、同日12時には災害対策本部を設置し、これまでにない初動対応をとったところであります。
また、盛岡地方気象台からの気象警報や気象情報は、県、市町村が同時に受信する仕組みとなっているほか、災害対策本部設置前には、県から各市町村に対し、住民が日中に避難準備や避難ができるよう、適時、避難勧告等の発令や避難所の設営を行うよう助言を行うなど、市町村とともに危機感を持って対応に当たったところであります。
このように、各市町村との情報共有や助言等を行いながら対応してきたところではありますが、多くの犠牲者が生じたことはまことに遺憾であり、今後、県防災会議幹事会議のもとに設置された三つの分科会において、現在の防災体制の課題や対応策などについて検討し、より一層の地域防災力の強化に努めてまいります。
次に、台風第10号の災害発生要因と防災対策についてでありますが、台風第10号により沿岸部を中心に記録的な大雨となり、各地で大規模な浸水や土砂崩れが発生、また、河川の水位が短時間で急激に上昇し氾濫するなどして、甚大な人的、物的被害をもたらしたものと考えております。
今回の台風では、河川の水位情報や市町村による避難準備情報等の重要な情報が住民の避難行動につながらず、被害が拡大した面もあることから、避難に関する情報提供の改善方策について検討する国の検討会等の状況を踏まえながら、県防災会議幹事会議のもとに設置した分科会により、被害を最小限にとどめるための情報伝達のあり方や、住民の迅速な避難を促す方策などについて検討してまいります。
〔政策地域部長大平尚君登壇〕
〇政策地域部長(大平尚君) 台風第10号からの再建に向けた支援についてでありますが、まず住宅の再建、生活再建支援についてでありますが、東日本大震災津波時には、被災者生活再建支援法に基づき、国から最大で300万円の支援金の支給のほか、震災復興特別交付税等を原資とする基金を活用して、県としては、市町村との共同による最大100万円の被災者住宅再建支援事業等の補助を行い、さらに市町村独自で支援を実施しているところであります。
今回の台風災害については、被災者生活再建支援法に基づく国からの支援金の制度は同様でありますが、県としては、法による支援の対象とならない半壊世帯及び床上浸水世帯に対する県単独補助制度を創設しているところであります。さらに、市町村においては、宮古市、久慈市及び岩泉町において、最大200万円の住宅建設購入補助を行うなど、独自の支援を行う予定と伺っております。
事業者の再建支援についてでありますが、東日本大震災津波時には、補助率4分の3の国庫補助事業のグループ補助金や、県、市町村合わせて2分の1を補助する中小企業被災資産復旧事業費補助等の支援を行っております。
今回の台風災害については、現時点では国のグループ補助金は適用されておりませんが、被災事業者の早期のなりわい再生を強力に支援する必要があることから、県としては、商工分野で激甚災害指定を受けた3市町を対象に、これら市町が被災事業者への補助を行う場合等に支援を行う、新たな交付金などを盛り込んだ補正予算案を今議会に提案しております。
国に対しては、グループ補助金を今回の台風災害にも適用させることに加え、幅広い財政需要に対応できる弾力的で自由度の高い総合的な支援制度の創設等を要望しており、引き続き強く働きかけてまいります。
〔県土整備部長及川隆君登壇〕
〇県土整備部長(及川隆君) 流木による被害防止についてでありますが、今回の洪水では、主に河川の上流部で短時間に猛烈な豪雨があり、水位の急激な上昇や流れが速くなったことにより、河川や沢沿いの立ち木が流出し橋梁にひっかかり、多くの箇所で被害が生じたところです。
河道の立ち木の伐採については、平成25年の豪雨災害を受け、平成26年度から平成31年度までの年次計画を策定し取り組んでいるところであり、この計画に基づき、定期的な河川巡視や洪水後の河川巡視、さらには住民の方々からの情報等を参考にしながら、河川沿いの土地利用を勘案しつつ、緊急性の高い箇所から実施しています。
今回の洪水被害を踏まえ、流木となり得る河川沿いの立ち木の定期的な伐採について、流域住民の方々や関係機関の協力を得ながら進めていきたいと考えています。
また、橋梁の新設やかけかえの際には、河川管理施設等構造令に基づき、計画流量に応じて所定の橋脚間隔や桁下空間を設けることとしており、今後とも適切な流木対策に配慮してまいります。
〔農林水産部長紺野由夫君登壇〕
〇農林水産部長(紺野由夫君) まず、次世代の技術を活用した農業の取り組みについてでありますが、担い手の減少や高齢化が進行する中、農業生産分野におきましてもイノベーションの取り組みは重要でありますことから、県では、技術開発基本方針などに基づきまして、哺乳ロボットや搾乳ロボットによる作業の省力化、クラウドを活用した農地情報システムによる生産管理の高度化等の技術導入を支援してきたところです。
また、本年9月には、いわてICT農業祭を東北で初めて開催し、来場した約1、000人の農業者等の皆様に、ドローンやGPSトラクターなどの展示、操縦体験によりまして、農業分野での次世代技術の活用について広く情報発信したところであります。
県以外におきましても、胆沢平野土地改良区におきまして、クラウドを活用した営農支援システムを情報通信関連企業と共同開発し、地域の農業法人や農業者等に無償提供して経営の効率化を支援するなど、さまざまな先駆的な取り組みが行われているところです。
こうした取り組みに加えまして、今後におきましては、関連企業や県内の大学等と連携し、ドローンを活用した生育診断技術や水田センサーを活用した生産管理技術等の実証研究を行うこととしておりまして、これらの成果の活用を図り、若者や女性にとって参入しやすく希望の持てる魅力ある農業の実現に向け、力強く取り組んでまいります。
次に、本県における企業の農業参入に係る取り組みについてでありますが、農業の担い手の減少や高齢化が進行する中で、企業の参入は、新たな担い手の確保や耕作放棄地を含めた農地の有効利用に加え、地域内の雇用創出等への貢献が期待されるところであります。このため、県では、国主催の農業参入フェアに参加し、本県に適した農作物や、大規模経営が可能な農地の状況等を参加企業にPRするとともに、本庁や現地機関及び農地中間管理機構に企業向けの農業参入相談窓口を設置し、農業参入アドバイザーによる相談対応を行っているところです。また、参入企業の安定した農業経営の確立に向け、栽培技術の習得支援に加え、6次産業化に関する相談活動等も行っているところです。
今後とも、本県に参入を希望する企業が、地域社会と調和した新たな担い手として安定した農業経営を確立できるよう、総合的に支援してまいります。
〔保健福祉部長佐々木信君登壇〕
〇保健福祉部長(佐々木信君) まず、障がいのある人もない人も共に学び共に生きる岩手県づくり条例に基づく取り組み状況についてでありますが、条例の施行以来、市町村社会福祉協議会への相談窓口の設置、リーフレット等による権利擁護の普及啓発、手話通訳者等ボランティアの養成、派遣などに取り組んできたところであり、本年4月の障害者差別解消法の施行、9月のリオデジャネイロパラリンピックの開催、先月の希望郷いわて大会での本県選手の活躍も相まって、障がい者への理解が進んでいるものと認識しております。
課題といたしましては、市町村社会福祉協議会への相談件数が年間数件程度にとどまっており、条例に基づく相談の仕組みが必ずしも十分に周知されていないと思われること、また、障害者差別解消法では同様の相談を市町村で受けることとされており、相談窓口がわかりにくいことが挙げられます。
県では、これまで、全国障害者スポーツ大会の本県開催に向けて、障害者差別解消法の周知とともに、条例の普及啓発に努めてきたところであり、今後とも、コンビニエンスストアへのパンフレットの配架や民間事業者への周知に努め、障がい者の権利擁護についての普及啓発を図ってまいります。
また、市町村等との協議を進め、障がい者にとってわかりやすい相談体制の構築に取り組んでまいります。
次に、障がい者スポーツへの支援についてでありますが、希望郷いわて大会では、地元開催に向けて選手の発掘、強化に取り組んだ結果、過去最高の139個のメダルを獲得したところです。
全国障害者スポーツ大会においては、個人競技は、都道府県等の障がい者数に応じて出場枠が配分される一方、団体競技は、ブロック予選を勝ち抜いた自治体が出場することになっており、今後も、競技力の維持向上に向け強化練習の実施などに取り組み、本年度の成果を愛媛大会につなげていきたいと考えています。
また、障がい者がスポーツを気軽に楽しめる環境づくりについては、これまでも各競技団体には、県障がい者スポーツ大会の開催に当たって御協力いただくとともに、希望郷いわて大会に向けた選手育成強化にも御支援いただいたところです。こうした中、県水泳連盟や県卓球協会では内部に関連組織を設置し、障がいのある人もない人もともにスポーツに取り組める体制の整備に取り組んでいると伺っております。
県といたしましても、今後とも、各競技団体と連携を深め、障がい者がスポーツを気軽に楽しめる環境づくりや競技力向上に取り組んでまいります。
次に、がん対策推進条例施行後の効果や課題等についてでありますが、条例施行後において、新たに学校や岩手労働局と連携したがん教育や、がん患者の就労支援、がん診療連携拠点病院等の相談員と連携した患者・家族向け療養サポートブックの作成、がん患者や家族の意見を幅広く伺う場としてのがん患者・家族会連絡会の開催などに重点的に取り組んでまいりました。こうした取り組みにより、従来の保健医療従事者に加えて、教育、労働関係機関やがん患者など、多様な関係者と連携したがん対策の推進が図られたと認識しております。
一方、課題としては、県のがん対策推進計画に掲げている平成29年度までにがん年齢調整死亡率を20%減少させるという目標の達成は困難な状況にあり、国が昨年12月に策定したがん対策加速化プランに呼応したがん予防や、がんとの共生の取り組みを一層推進する必要があると考えています。
県といたしましては、今後とも、教育、労働関係機関等との連携を強化しながら、児童生徒へのがん予防に対する正しい知識の普及や、がん患者に対する就労支援等のがん対策に取り組んでまいります。
次に、事業者及び教育機関との取り組みについてでありますが、県では、平成27年度から、がんと仕事の両立支援セミナーを開催し、事業者等へのがん患者の就労に関する意識啓発を行っており、国においても、今年度からハローワーク盛岡に就職支援ナビゲーターを配置し、がん患者の就労相談に対応するなど、取り組みが強化されています。また、平成27年2月には、岩手県がん検診受診率向上プロジェクト協定の締結企業が6社に増加し、事業者と一体となったがん予防の取り組みをさらに推進しているところでありますが、一方で、事業者からは、がんを抱えた従業員の治療と仕事の両立について不安があるとの意見を伺っているところです。
がん教育については、平成27年度から、モデル事業として、西和賀町においてがんの教育総合支援事業を実施しているほか、小学6年生を対象としたがん教育のためのリーフレットの作成や、岩手県対がん協会が実施するがん出前講座への支援を行っています。
これらの事業を通して、児童生徒からは、がん予防の大切さがわかった、教えてもらったことをこれからの生活に生かしたいなどの声が寄せられているところです。
今後も、事業者やハローワーク、教育関係機関等と連携しながら、治療と仕事の両立に向けた支援やがん教育の取り組みを一層推進してまいります。
次に、がん予防の取り組みについてでありますが、議員から御紹介があったとおり、海外でもがん予防に係るさまざまな研究や報告がなされているところであり、先進的な研究や報告を踏まえた予防策が重要であると認識しております。
一方、欧米の研究だけに基づく情報の場合、日本人ではリスクやその意味合いが変わる可能性があるとの指摘もあり、国立がん研究センターでは、WHOや国際がん研究機構等による国際評価に加え、日本人を対象とした研究結果やエビデンス等も踏まえて、日本人のためのがん予防法を作成しているところです。
県では、がん予防対策として、岩手県がん対策基本計画及び健康いわて21プランに基づき、禁煙支援や受動喫煙防止対策、適量飲酒の普及啓発、いわて減塩・適塩の日の普及啓発や、適塩・野菜たっぷりヘルシーメニュー推進事業の実施等の食生活改善対策などに取り組んでおります。来年度においては、次期がん対策推進計画の策定や健康いわて21プランの中間評価、見直しを行うこととしており、内外の最新の知見も参考としながら、関係機関等と連携し、がん予防対策の強化に取り組んでまいります。
〔商工労働観光部長菊池哲君登壇〕
〇商工労働観光部長(菊池哲君) 障がい者の雇用についてでありますが、まず、障がい者の求人状況については、岩手労働局に直近の状況を確認したところ、障がい者に限定した求人件数は188件となっております。なお、同局によりますと、各公共職業安定所におきましては、障がい者に限定した求人だけではなく、一般求人も含め、それぞれの障がい者の状況に合った職業紹介を行っていると伺っております。
次に、資格取得への支援については、障がい者の能力、適性及び地域の障がい者雇用ニーズに対応した知識、技能の習得に向け、障がい者の態様に応じた多様な委託訓練を実施しておりまして、特にニーズが高いOA事務の資格取得に向けたカリキュラムを設定するなど、障がい者の就職を支援しているところでございます。
さらに、事業所に対する障がい者の雇用促進の要請を初め、障がい者雇用優良事業所等知事表彰や優良事例の紹介などにも取り組んでいるところでございまして、引き続き、関係機関と連携しながら障がい者雇用の促進に努めてまいります。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) 民俗芸能についてでありますが、本県の民俗芸能は、地域地域の生活や習慣、信仰などと結びつきながら育まれ、時代を超えて受け継がれてきた本県の貴重な財産であるとともに、演ずる人たち、見る人たちそれぞれにとってコミュニティー形成の重要なよりどころでもあります。本県は民俗芸能の宝庫であり、先般の希望郷いわて国体、いわて大会の開会セレモニーなどさまざまな場におきましても神楽や虎舞、鬼剣舞、さんさ踊りなど躍動感あふれる民俗芸能が披露され、来県した皆様方からも多くの賞賛の声をいただいたところです。
さまざまな意義のある民俗芸能を伝承していくための課題として、それぞれの団体により事情は異なりますが、人口減少が進行している地域においては、伝承活動の中核となるリーダー層が高齢化していく中、技術、作法等を受け継ぐ後継者の確保、育成などが大きな課題であると認識いたしております。
本県におきましては、これまで、郷土の歴史、文化への理解の醸成、後継者の育成などの観点から、多くの学校で総合的学習の時間や特別活動においてその伝承活動を推進してきているところであり、また、全県的な伝承活動といたしましては、保存会への備品整備への支援や、中学校、高等学校の総合文化祭、民俗芸能フェスティバルの開催などに取り組んできております。民俗芸能は、本県の魅力向上や地域活性化を図る上で大きな役割が期待されておりますので、今後におきましても、なお一層、市町村等との連携を図りながらその充実発展に努めてまいります。
次に、学芸員の配置についてでありますが、教育委員会事務局には、現在、民俗文化財を専担とする学芸員は配置しておりませんが、県教委が所管する県立博物館の民俗部門に3名の専門の学芸員を配置し、無形文化財に関する研究をテーマとして、本県の無形民俗に関する調査に継続して取り組んできております。あわせて、国や県の指定文化財の保護や拡充に向けて、文化財保護審議会の委員に民俗文化財に造詣の深い有識者2名を委嘱し、その調査研究や国選択の記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財への対応などにも取り組んでいただいているところでございます。
学芸員の具体的な人事配置につきましては、事務局と博物館の連携のあり方等を検討しつつ、また、議員御提言の趣旨をも踏まえ、総合的に判断してまいります。
次に、県立高校における遠隔授業についてでありますが、この遠隔授業は、社会や理科など選択科目がふえる高校教育において、小規模校で学ぶ生徒の機会の保障と学びの質の保証という視点から、国のモデル事業を導入し、御案内の2校を対象にその実証に取り組んでいるところであります。
これまで、両校と教育センター、教育委員会事務局間での連携のもとに取り組み、社会、理科で3回の課外授業を実施したところでありますが、この試行を通じ、生徒側からは、タイムラグを感じることなく授業を受けることができた、映像や音声には違和感はなかったというような肯定的な評価がある一方で、送信側の先生や生徒とのやりとりがうまくいかなかったというような声があります。教師側からは、機材のセッティングの工夫、改善など運用上の課題が出されております。
これまでの試行を通じ、ただいま申し上げたような評価や課題が明らかになってきておりますが、遠隔授業は、指導体制の制約を情報機器の活用で一定の克服ができる可能性があるという期待も体感できてきておりますので、今後の取り組みを通じて関係者間での研究を深めていきたいと考えております。
来年度はモデル事業指定の最終年度となりますので、本格導入に向けた研究、実践を一層深めていきたいと考えており、具体的な取り組みといたしましては、課外授業での活用回数の増加と教育課程内での活用、他の自治体での好事例の導入などに取り組み、担当教師の授業力の向上などを図っていく計画といたしております。いずれ、地理的な制約がある本県において、小規模校同士が連携し、相互の教育資源を活用する遠隔授業は、高校教育の推進に当たって有効な手段と存じますので、次年度以降もその定着に取り組んでまいります。
〇31番(高橋元君) それぞれに御答弁ありがとうございました。私の思いが通じたような御回答をいただきまして、本当に感謝申し上げたいと思います。
その中で何点か再度お尋ねしたいのですが、まず、流木による被害防止についてでありますが、先ほども河道の掘削とか立ち木の伐採等を今後とも進めていくというお話でございました。ただ、広い県土でありますし、たくさんの中小河川を抱えている本県であります。これを全てやっていくためには相当な年数を要するのではないかと非常に心配するところでございます。
そこで、緊急的に、例えば水際から3メートルあるいは5メートルぐらいのところの立ち木をとりあえず切り倒すとか、緊急に今できることを優先してやってみてはいかがか、このように思うところでありますが、もう一度部長の所見を伺いたいと思います。
それから、農業ドローン活用についてですが、先ほどもいわてICT農業祭ですか、これらを使って広く情報発信をしているということでございました。また、各地域で取り組まれているそれぞれの次世代の技術を活用した農業の取り組みについても支援しているというお話でありました。予算の関係がありますから、支援も大事ということは理解しますけれども、やはりみずからやってみて、その成果をしっかりと、大丈夫だできるぞ、やらないかと、そういう取り組みが私は重要ではないかと思っております。
農薬の散布はこれまで有人の大型ヘリから無人のヘリコプターでやってきておりますが、1機1、000万円前後かかるわけです。ところが、このドローンというのはもう既に数十万円で購入できるし、1人で農薬散布等もできる、あるいは空中からいろいろな圃場管理もできるということで、今後、早期に個別農家に普及していくものと思っております。その際の指導が農協なのか、地域の農業法人を含めた団体なのか、あるいは県なのか、その辺のところもありますけれども、やっぱりそういう取り組みをぜひ県としても、圃場がたくさんありますので、そういうところで実証試験をしてくということが一番普及に当たっての指導に適切に対応できるのではないかと思っております。
また、リモートセンシングによる精密農業への取り組み、稲など農産物の生育状況調査、あるいは深刻な被害をもたらす病害虫、有害鳥獣などについて空から観察をしながら、その状態に合わせて適時適切に追肥や農薬散布、あるいは有害鳥獣に対する取り組み、こういったものができるということで、それらを含めて、もう既にアメリカなどでは2000年代の初頭から導入されているということでありますし、国内では北海道旭川市とか沖縄県、こういうところでも実証しているということで、やはり私は、県として主体的にそういう実証試験も積極的に取り組みをしながら岩手の農業指導を先導していただきたい、こんな思いをしております。
それから、民俗芸能につきましては、先ほど教育長の答弁でも県立博物館の中で3名の方が民俗芸能の担当ということでしたが、県立博物館でいろいろお話を聞きますと、いろいろな業務の中の一部が民俗芸能の分野の業務ということで、専任という形ではない、私はそんな思いをして帰ってまいりました。博物館でつくられた資料などを見ますと、活動休止、それから廃絶というのがずらっと並んでいるのです。これがあと5年先、10年先になったらさらにふえて、地域の民俗芸能が本当に数えるだけしか残らない。それを何年か後にもう一度やりたいといったときに果たして再開できるのかというと、やっぱり記録がしっかり残っていなければならない、そういう思いがあるわけでありまして、これらを含めて、やっぱり専任学芸員を1名配置し、何とかその辺の取り組みをということを考えておりました。
そこで、教育長の今後の取り組みについて期待したいのですが、教育委員会は知事も関係するわけでございますので、この民俗芸能の振興に対する知事のいろいろな思いをお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 民俗芸能についてでありますが、東日本大震災からの復興においても注目されていますように、民俗芸能の果たす役割は極めて大きく、将来にわたって継承、発展させていくべき岩手県の貴重な財産であると考えております。さきの国体で来県いただいた天皇、皇后両陛下にもさまざまな民俗芸能をごらんいただいて、高い関心を寄せられたところでもございます。
希望郷いわて国体、希望郷いわて大会の成功で得たスポーツ、文化などにおける貴重なレガシーを継承し、生かしていくという意味でも、来年度から予定しています文化、スポーツ行政の知事部局への一元化も大きな契機として、民俗芸能など本県の文化、芸術の保存、発展に県民とともに取り組んでまいりたいと思います。
〇県土整備部長(及川隆君) 流木による被害防止についてでありますが、立ち木の伐採については、今回の洪水被害を踏まえ、流域住民の方々や市町村等の関係機関の協力を得ながら河川巡視を強化するとともに、御提言のありました洪水時に流出するおそれのある水際などの立ち木の精査を実施し、緊急性の高いところから伐採を進め、流木による水害防止に努めてまいります。
〇農林水産部長(紺野由夫君) 農業分野でのドローン活用につきましては、本県農業におきましても大変有効なツール、手段と考えているところでございます。
県内の動きといたしましても、本年4月にはドローンを普及するための民間組織が設立されまして、身近な場で実演、展示とか操縦体験を行うなど、農業分野での利用拡大の機運が着実に高まってきていると認識してございます。
こうした状況も踏まえまして、県におきましては、年度内に産学官連携によるドローンも含めたスマート農業の推進組織を立ち上げまして先端技術への理解促進を図りますとともに、県挙げて広くスマート農業に取り組むということで考えてございます。こうした取り組みを力強く進めまして、生産性、市場性の高い農業生産を進めてまいりたいと考えております。
〇議長(田村誠君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後6時0分 散 会

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