平成28年9月定例会 第6回岩手県議会定例会会議録

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〇33番(岩崎友一君) 自由民主クラブの岩崎友一です。
初めに、台風第10号災害により犠牲となられた方々の御冥福をお祈り申し上げ、被災された方々にお見舞いを申し上げます。また、今なお行方不明となっている3名の方々が、一日も早く御家族のもとへ戻られますことを心から御祈念を申し上げます。
それでは質問に入ります。初めに、台風第10号災害への対応について伺います。
ことし8月30日に本県に上陸した台風第10号は、沿岸北部を中心に甚大な被害をもたらしました。10月26日現在、県内の死者20名、行方不明者3名、住家被害約4、300棟、被害額約1、440億円は、水害による被害額では過去最大であります。そして、何より、東日本大震災津波においても4、672名が犠牲となり、1、123名が行方不明となっている中で、今回もまた犠牲者が出てしまったことをとても悲しく思います。
私どもは、このような事態が二度と起こることのないよう、ソフト面、ハード面双方において、今回のケースを教訓としていかなければならないと強く感じておりますが、台風第10号災害を知事はどのよう受けとめているのか伺います。
災害発生時は、初動対応が重要であります。災害発生から2日後の9月1日に、務台政務官を団長とする視察団が、続いて9月4日には石井国土交通大臣、9月7日には高市総務大臣、さらに、9月11日には松本防災担当大臣が本県の被災地を視察、9月16日に激甚災害に指定する政令が閣議決定され、9月23日に公布、施行となりました。また、10月8日には安倍総理大臣が被災地入りをしたところであり、現在、政府内において、住まいの再建やなりわい、商工業の再生等に向けたさらなる支援策について協議を続けている状況のようであります。
災害発生からこの間の政府の対応について、私は迅速であったと考えますが、知事はどのように評価をしているのか、知事の初動対応も含めて伺います。
私ども自民党県連、県議会自由民主クラブでは、台風第10号による被害の甚大さに鑑み、8月31日、共同で災害対策本部を設置いたしました。9月7日から8日までにかけては、所属国会議員、県議会議員の地元でのそれぞれの活動に加え、被害の甚大であった岩泉町、宮古市、久慈市を含めた14市町村を回り、現地視察、要望のヒアリングを行った後、9月21日と10月6日上京し、自民党本部、関係省庁に対し要望を行いました。県議会では、9月21日、10月20日に田村議長が上京し、安倍総理大臣を初め関係省庁に要望を行いました。また、9月23日に、岩泉町と久慈市で行った現地視察の際の要望を織り込んだ発議案を今定例会の開会日に可決し、一昨日、11月2日、田村議長、工藤副議長が関係省庁に要望を行ったところであります。宮古市、岩泉町、久慈市では、3市町で期成同盟会を結成し10月19日に上京、関係省庁に要望を行ったという報道もありました。本県同様に、台風第10号により甚大な被害を受けた北海道では、高橋はるみ知事が9月21日、9月30日に上京し、要望活動を行うなど精力的に活動をしておられます。
私は、このような有事の際は、特にも財政力の乏しい岩手県においては、政府への要望活動は何にも増して重要であると考えますが、知事の見解を伺います。
あわせて、台風第10号災害の発生からこの間、知事は何度上京し、誰に対し、どのような要望活動を行ったのか伺います。
台風第10号による高波、また、ことし1月18日から20日にかけての爆弾低気圧による高潮により、養殖施設の損壊や養殖物の落下、漁港施設の損壊など、水産関係では合わせて100億円を超える被害が生じております。
〔議長退席、副議長着席〕
漁港については、東日本大震災津波からの復旧が着実に進められ、防波堤などの整備がやっと終了し、安全に船が係留できるようになった矢先の被害であり、漁業者からは落胆の声が聞かれます。一方、次こそは必ず壊れない防波堤にしてほしいとの要望も頂戴しているところであります。
国の災害復旧制度は原形復旧が基本でありますが、例えば災害復旧事業とほかの事業を組み合わせるなどして、漁業者の願いをかなえるべく、災害に強い構造につくり直せないものかと思いますが、台風第10号により被害を受けた防波堤の復旧のあり方について伺います。
国では、近年、大型低気圧や台風等による高潮等に対し、安全が確保されていない漁港において、越波等による漁船や養殖施設等水産関係施設の被害、漁港施設用地や背後集落への浸水被害等が発生し、漁業活動に重大な影響が及んでいることや、東日本大震災津波を踏まえ、漁港施設機能強化事業として防波堤や岸壁等のかさ上げ改良、地震、津波に対応した施設整備など、漁港施設の機能強化に係る整備を推進しています。
県では、この事業を使い、種市漁港の防波堤や岸壁、釜石漁港の岸壁など、耐震・耐津波対策工事を進めておりますが、今後の計画はどのようになっているのかお示しを願います。
台風第10号による堤防の決壊、溢水、越水、土砂の流入により、サケ・マスふ化場は、県内20施設のうち半分に当たる10施設が被災をいたしました。一部施設では全壊状態となり、今年度の稚魚生産が困難になるなど、サケの資源造成への影響を懸念しております。
サケの回帰時期は9月から始まり、11月から12月までにはピークを迎えるため、早急なふ化場施設の復旧が求められます。東日本大震災津波、今回の台風第10号と2度被災したふ化場もあり、財政的にもかなり厳しい漁業協同組合もあると思います。
今定例会には、補正予算で水産業復旧緊急支援対策事業費として25億4、000万円を計上していただいているところでありますが、サケ・マスふ化場の復旧について県としてどのように支援していくのか、復旧の見込みとあわせて伺います。
また、今年度の稚魚生産が困難なふ化場があることから、県全体として稚魚放流数が減少するおそれがあります。現在、稚魚生産が可能なふ化場でできる限り補っていく方針であると聞いておりますが、県としてどれだけの稚魚放流を目指していくのか、また、その対策について伺います。
壇上での質問は以上です。
〔33番岩崎友一君質問席に移動〕
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 岩崎友一議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、台風第10号の教訓についてでありますが、今回の台風は沿岸部を中心に記録的な大雨となり、各地で大規模な浸水や土砂崩れが発生、また、河川の水位が急激に上昇し、氾濫するなどして甚大な人的、物的被害をもたらし、風水害では、昭和34年の伊勢湾台風以来の甚大な被害を受けたものであります。
台風第10号を初め、近年、気候変動によるものと考えられる経験したことのないような集中豪雨などにより、従来安全であると考えられてきた地域や場所でも大きな被害が発生していますことから、今後同じような風水害が発生しても、命を守り、被害を軽減させるための防災体制を整備していく必要があるものと考えております。
こうした状況を踏まえ、県においては、現在の防災体制の課題や対応などについて検討するため、岩手県防災会議幹事会議に地域防災体制分科会、社会福祉施設等防災分科会、河川・土砂災害防災分科会の三つの分科会を設けたところであり、今後、地域防災計画を見直すなど、地域防災力の強化につなげてまいります。
次に、政府の初動対応についてでありますが、発災後、直ちに政府調査団が本県入りし、現地調査を行うなど迅速な対応をしていただきました。また、内閣府を初めとする各省庁からリエゾンを派遣していただいたところであり、こうした国の動きが激甚災害の早期指定などにつながったものと考えています。
さらには、自衛隊による人命救助活動、消防庁による緊急消防援助隊の派遣、国土交通省による道路啓開などさまざまな支援をいただきましたほか、安倍首相を初め関係大臣等による現地視察をしていただき、深く感謝しております。
県としても、これまでにない規模の台風災害に対し、これまでにない初動対応をとったところであり、台風上陸前の8月30日の12時に災害対策本部を設置し、各市町村に対し、適時適切な避難勧告等の発令や避難所の設営を行うよう、助言等を行ったところであります。
また、発災後、9月2日に現地災害対策本部を設置し、さまざまな調整や災害応急対策に当たりましたほか、私自身も被災市町村を訪問して、首長との意見交換を行ったところであります。
次に、知事による要望活動についてでありますが、台風第10号による本県の被害額は記録のある台風災害としては過去最大であり、復旧、復興を図るためには、国の財政支援等が欠かせないと認識しているところであります。
こうしたことから、被災状況の視察に来られた安倍首相を初め、高市総務大臣、松本内閣府特命担当大臣などの皆様に対し、私自身が直接甚大な被害の状況について説明し、災害応急対策等への財政支援や農林水産基盤の早期復旧などについて強く要望してきたところであります。
また、発災以降、災害対策本部長として、被害状況の把握や復旧、復興対策に係る補正予算編成などに陣頭指揮をとってきたことに加え、希望郷いわて国体等における行幸啓等への対応もありましたことから、私にかわり、副知事を初め県の幹部職員が、被災3市町の復旧・復興期成同盟会とも連携を図りながら、与党や関係省庁をたびたび訪問し、要望活動を行ってきたところであります。
今後も関係市町村と連携を図りながら、国の第3次補正予算の検討状況も見据え、私みずからも上京し、国に対し、復旧、復興に向けて要望活動を行ってまいります。
その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔農林水産部長紺野由夫君登壇〕
〇農林水産部長(紺野由夫君) まず、台風第10号により被害を受けた漁港施設の復旧のあり方についてでありますが、台風第10号に伴う高波による漁港施設の被害は、沿岸全12市町村におきまして、79漁港において防波堤が倒壊するなどの被害が生じております。過去に台風などの波浪により被災した施設のうち、今般、
再度の災害を受けた防波堤につきましては、堤体の幅を広げる改良復旧として災害査定を申請する予定でございます。
また、再度の災害を受けた防波堤以外の施設につきましては、原形復旧として災害査定申請を行う予定でありますが、被害が甚大な仮宿漁港などにつきましては、管理者である市が他事業を活用し、防波堤への消波工設置などの改良を行っていくことを検討しているところでございます。
国の災害査定につきましては、11月7日から行われることとなっておりまして、査定終了後、速やかに復旧工事を発注し、早期完成に向けて取り組んでまいります。
次に、漁港の防災、減災対策についてでありますが、漁港は水産業の基盤であり、大地震や大津波が発生した際にも漁業活動の早期再開が可能となりますよう、魚市場前の岸壁や防波堤などの主要な施設について、耐震化や耐津波対策を推進していくことが必要と認識しております。
このため、県では、漁港施設機能強化事業などを活用し、水産物の生産、流通の拠点漁港、防災上重要な漁港において耐震、耐津波対策を実施しており、これまでに、種市漁港など5漁港において防波堤等の拡幅などの工事に着手しておりますほか、大槌漁港など15漁港において岸壁等の構造設計を行っておりまして、今後、順次、工事着手をすることとしております。
平成30年度までには、耐震、耐津波対策を行うこととしております22漁港全てで工事に着手する予定であり、今後とも、漁港の防災、減災対策を計画的に進めてまいります。
次に、サケ・マスふ化場の復旧についてでありますが、台風第10号により被災したふ化場のうち、修繕により今年度の稚魚生産が可能な施設につきましては、既に自己復旧により稼働しておりますほか、釜石市の鵜住居ふ化場などでは、国の水産業共同利用施設災害復旧事業を活用し、査定前着工により、年内の稼働に向けて復旧整備を進めております。
一方、被害が甚大な野田村の下安家ふ化場などの施設につきましては、国の水産業競争力強化緊急施設整備事業を活用し、現状復旧にとどまらず、稚魚生産数の増加や災害に強い施設に改築するなどの機能強化を図り、平成29年度からの稚魚生産の再開に向けて復旧整備することとしております。
今回被災したふ化場の中には、東日本大震災津波とあわせ二重被災した施設もあり、事業主体の負担軽減のため、国費の導入に加え、県費のかさ上げについて今議会に提案させていただいておりまして、これらにより、サケふ化場の復旧に支援してまいりたいと考えているところでございます。
次に、サケの稚魚の確保についてでありますが、今般の台風災害により稼働できないふ化場がありますことから、計画放流数の減少が懸念されますが、4年後に回帰するサケ資源を造成するため、サケの親魚を確保し、最大限に稚魚を生産し、放流することが重要と考えております。このため、河川に遡上した親魚を有効に活用することを基本とし、被災したふ化場がある河川に遡上するサケ親魚についても近隣のふ化場に運び、種卵を確保し、稚魚を生産することとしております。
また、目標とする4億尾の稚魚放流に向け、漁業団体と連携し、定置網で漁獲したサケの親魚としての活用、定置網等の垣網短縮による河川遡上の促進などに取り組みますとともに、各ふ化場での健康な稚魚育成の徹底を図り、最大限に種卵を確保し、稚魚を生産、放流することで、サケ資源の維持、増大に努めてまいります。
〇33番(岩崎友一君) 御答弁ありがとうございました。
まず1点目、知事による要望活動についてでありますが、知事に御答弁いただきましたとおり、災害対策本部長としての役割もある、そしてまた岩手国体の行幸啓等の対応もあったということでございましたけれども、北海道の知事も早急に動かれているわけであります。冒頭、私が申し上げましたが、災害ではとにかく初動対応が重要であります。今回はスムーズといいますか、かなり早い段階で激甚災害の指定等々もしてもらったところでありますけれども、知事が言いましたように、内閣総理大臣だったり他の大臣がこちらに来た際に要望書を渡すのも重要でありますが、やはりみずから上京して、現地の切実な声も含めて、写真や映像も使いながら現地の事情を訴えてくる、そして要望を行い、課題を解決していくということも重要であると思います。知事はこれから行くということでありますけれども、被災地の課題というのは、震災のときもそうでしたが、時々刻々と変わってどんどん新しい課題が出てきますので、その時期を的確にとらえて精力的な要望活動を行っていただきたいと思います。
知事もこれから上京して要望するという答弁がありましたが、そういった意味合いでよろしいのでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 今回の台風第10号による災害が岩手にとっても50年に一度ぐらいの災害、伊勢湾台風ぐらいにまでさかのぼるくらい、また被害額で言うと、東日本大震災を除けば一番上ということが、発災当初、すぐには見えてこなかったのですが、日々現地の様子がわかるに従ってわかってきました。私の実感からしますと、翌日、ヘリで上空から見て、特に岩泉町が、かつてそうなったことがないような、隅から隅まであらゆるところが被害を受けているということを自分の目で確かめて、そして、おりて岩泉町長にもそれを確認しました。そしてまた久慈も宮古もそうです、釜石、鵜住居のほうもそうです、それぞれかつてないような被害が出ているということを私が直接把握し、首長とも認識を共有したちょうどそのころ、政府もそれぞれ担当の大臣が岩手に入ってくださいましたし、また、副大臣、政務官も入ってくださり、岩手でそういう情報を共有することができたなと思っております。
ただ、また、そういった情報を共有した後にも、岩泉町におけるかつてなかったような孤立者、孤立地域の問題が日々進行しておりまして、その様子については、日々私も災害対策本部に入って県として確認しながら、国から来ている内閣府の防災担当の職員とも情報共有しました。県と国、あるいは、市町村、県、地元側と国との情報共有をかなりの部分、岩手においてしなければならなかったというところがあったと思います。そういうことについて、まず、それなりに対応ができたと思っております。
〇33番(岩崎友一君) その部分に対してはそのとおりだと思います。今後、知事も上京して要望するということも答弁でお話しされましたけれども、今後は時々刻々と変わる課題をしっかり解決のために上京するということでよろしいですか。
〇知事(達増拓也君) 国の第3次補正予算が検討されている中、ともすれば、東日本大震災のときのような踏み込んだ支援をしなくてもいいのではないかというような雰囲気が、どうも今東京のほうにあるようにも感じています。今回の台風第10号は、東日本大震災に重ねて被害を受けているということ、また、場所によっては、東日本大震災のとき以上の被害を受けているということを改めて国にしっかり伝えて、国が決して腰が引けた状態にならないようにということが今大事になってきていると思っているので、そういう必要性に迫られて上京日程を調整しているところです。
〇33番(岩崎友一君) 必要性というか、ぜひ精力的に要望活動を行っていただきたいと思いますし、腰が引けているわけでもなくて、要望活動を行ってしっかりと支援を充実させていくということが重要であると思いますので、そういった意味から、ぜひぜひ積極的な要望活動を期待したいと思います。
サケの関係については、1点だけでありますけれども、部長から御答弁いただきましたとおり、帰ってくるのが4年後ですね。ことしのサケの回帰率もかなり悪そうだということで、なかなかいい話題もございませんので、このサケというものは長期的な支援が必要になってくるのだろうと思いますので、充実した支援になるようによろしくお願いしたいと思います。
次の質問に移ります。防災対策について4点お伺いをいたします。
まず、治水対策についてであります。県では、平成25年の豪雨災害を受け、平成26年度から平成31年度までの計画を策定し、家屋への浸水被害のおそれがある区間など、緊急性の高い箇所について、全県を対象に河道掘削を行ってきました。しかしながら、今般の台風第10号による大雨で、県内17河川27カ所において溢水、越水により、多くの家屋や事業所への浸水被害が生じており、早期にさらなる治水対策を進めていかなければなりません。基本的には、河川改修を第一に進めていただきたいと思うのですが、河川改修、河道掘削の県の考え方について伺います。
また、今定例会には、補正予算で河道掘削に係る事業に約30億円が計上されているところでありますが、具体的な事業の内容について、対象河川、整備の時期も含めてお示しを願います。あわせて、今後の河川改修の計画もお示しを願います。
〇県土整備部長(及川隆君) 治水対策についてでありますが、県では、従来より、近年洪水により被害実績がある区間や資産の集中している箇所等において、河道拡幅や築堤などによる河川改修を優先的に進めてきているところです。あわせて、市街地を中心に、河道の土砂堆積や立ち木の繁茂が著しい地区において、計画的に河道掘削等を実施してきています。
また、補正予算における治水施設整備事業費19億5、000万円については、台風第10号で被害のあった久慈市の久慈川、岩泉町の小本川、大槌町の大槌川など、家屋や事業所の浸水被害が発生した17河川を対象に、県単独費により、再度災害防止のための河川の拡幅や河床の掘り下げを行うこととしています。
河川海岸等維持修繕費11億6、000万円については、台風第10号や台風第7号などにより、洪水で土砂の堆積があった河川全般について、県単独費により緊急性の高い箇所から河道掘削等を行うこととしており、いずれの事業とも、年度内での執行を目指してまいります。
今後は、小本川や安家川等、相当数の家屋や事業所などで浸水被害のあった河川において、今回の洪水規模を踏まえ、国庫補助事業を導入し、河道拡幅や築堤などによる抜本的な改修を行うこととしています。
〇33番(岩崎友一君) 県でも、これまでも県単事業で河道掘削はやられてきたと思いますが、ぜひ、あわせて行っていただきたいのが要望活動です。例えば私の地元でも、小鎚川や釜石の甲子川を県でやっていただいているのですが、予算の関係から、1年で数百メートルというか、100メートル、200メートルくらいしか整備が進んでいかなかったので、全県的にこの河道掘削の必要性は高まっていると思いますから、我々も行っていますけれども、国からも補助金をもらって、さらにより多くの河道掘削事業を行えるように、その辺の要望活動も強化していっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇県土整備部長(及川隆君) 河道掘削等の維持管理の部分に関する事業につきましても、今回の台風第10号被害を受けまして、国に交付金等の補助制度の要望をしているところでございます。
〇33番(岩崎友一君) かなりお金もかかる話だと思うのですが、今後ともよろしくお願いします。
それで、これは質問に出していなくて申しわけないのですが、ちょっと確認があります。例えば河川改修だったり河道掘削をする際には、よく川の中に私有地があって担保にとられているような場所もあったりするかと思うのですけれども、掘削や改修するに当たって、その辺は、個人のものがある場合には避けるとか、優先的にどう進めるという方針みたいなものはあるのでしょうか。
〇県土整備部長(及川隆君) 河川区域の中には私有地があるところもございます。優先的に河道掘削をしなければならない場所に私有地があった場合等は、所有者の了解を得るように努めながら実施しているところでございます。
事業実施に当たりましては、私有地だからといって後回しにするといったことは極力ないように取り組んでいるところでございます。
〇33番(岩崎友一君) わかりました。
次に、河川情報システムの運用改善について取り上げます。
台風第10号災害により人的、物的被害がもたらされた主な原因は、河川の溢水、越水でありました。今後、溢水、越水時にも犠牲者を出さないためには早期避難が絶対であり、避難情報を発令する市町村もあらゆる角度から情報収集を行っていかなければなりません。市町村では雨量や水位観測等を避難情報の重要な指標としておりますが、局地的な豪雨や急激な川の増水に対し正確な情報を得るためには、雨量観測所や水位観測所、水位カメラの増設や河川水位警戒標識の新たな設置等、さらなる対策を講じる必要があると考えます。県の見解、今後の取り組みについて伺います。
県では、河川情報システムを運用しております。この情報は、市町村はもとより住民の方々も多く見られているようで、8月30日にはこのシステムを引用した情報がフェイスブック等でも多く見られるなど、その有用性が明らかになったものと認識しております。反面、利用者の増加に伴うものからか、システムがフリーズしてしまうといった反省点も浮き彫りになったところであり、早急な改善を求めたいと思います。県の見解を伺います。
〇県土整備部長(及川隆君) 河川情報システムの運用改善についてでありますけれども、雨量や水位の情報は、市町村が避難勧告等を行う場合や、住民みずからが早期避難を判断する場合において有効であると考えており、岩手県では、雨量観測所188カ所、水位観測所132カ所のデータをインターネットを通じてリアルタイムで情報提供しています。今回の台風の際にも、これらの情報をもとに久慈市などにおいて適切な避難が行われたところです。これらの雨量や水位観測所等については、状況に応じて必要な箇所に設置を検討してまいります。
また、今年度からの新たな取り組みといたしまして、河川の状況が確認できるよう、水位周知河川の水位観測所に監視カメラの設置を行うこととしています。
なお、今回の台風第10号の際には、岩手県の河川情報システムにこれまでにないアクセスが集中したことで閲覧速度が遅くなったものと考えられますが、現在、原因と対応策について調査中であり、判明次第、改善していきたいと考えています。
〇33番(岩崎友一君) 私も実は実際にこの河川情報システムをずっと見ていました。何分置きとか、川の水位の変化もかなりはっきりわかるのでいいと思いますが、ただ、観測所が一つの河川に1カ所、2カ所ということです。例えば今回の岩泉のように、先に山のほうで急激な雨が降って、その水が下ってきたのと里に降った大雨のタイミングが重なって一気に増水したというようなテレビ等の話もございますけれども、なかなか気候が不安定ですから、今後どういった災害というか大雨が降るかわからない状況において、やはり観測所の増設等々をしていただいて正確な情報を得られるようにしていただきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いします。
次に、避難所体制について質問します。
災害対策基本法では、津波、洪水等による危険が切迫した状況で、住民等が緊急に避難する際の避難先として指定緊急避難場所を、また、災害の危険性がなくなるまで、あるいは、災害により家に戻れなくなった住民等を一定期間滞在させるための指定避難所を各市町村が指定することとされております。10月末現在、県内では指定緊急避難場所が約2、000カ所、指定避難所が約1、400カ所指定されております。避難所は、災害時に避難者の生命、身体の安全を守る重要な施設であり、設置場所や収容定員などに十分配慮されたものでなければなりません。今般の台風災害では、各市町村の避難勧告等を受け多くの住民が避難所等に避難したものと思われますが、避難所の中には、土砂災害警戒区域に指定されている等の理由から、満足に機能しなかった避難所もあるのではないでしょうか。実際、大槌町では、避難勧告等の発令とともに住民が避難したものの、土砂災害警戒区域内にある避難所は開放されず、ほかの避難所がいっぱいだったことから、車の中で一夜を過ごした方もいたと聞いております。
そこで伺います。各避難所は災害時に避難対象者全員を収容することができるのかどうか。もし収容できないのであれば今後の対策について検討しなければならないと思いますが、県の見解を伺います。
指定緊急避難場所は、津波、洪水、噴火、がけ崩れなどのように災害の種類によって避難場所が決められておりますが、この情報は住民に十分周知されているものでしょうか。どの災害時に自分がどこの避難所に避難すべきか住民一人一人が知っておくべきだと考えますが、いかがでしょうか。
〇総務部長(風早正毅君) 避難所の体制についてでありますが、指定避難所については、災害対策基本法により、市町村長が、想定される災害の状況、人口の状況等を勘案し、一定の基準を満たす施設をあらかじめ指定することとされております。県内の指定状況は約1、400カ所、収容人数は約39万4、000人分となっており、災害の規模によっては不足する場合も考えられます。
避難所は学校や公民館、集会所などが指定されておりますが、実際は、地域に大きな公的施設がなかったり、洪水、土砂災害等が発生する区域に立地しているため指定することができずにいる市町村があるほか、東日本大震災津波で被災した市町村では、被災により避難所が不足し、今後、復興事業の進捗による施設等の完成とあわせて指定の見直しを行うところもあると聞いております。
大規模な災害等が発生し、避難者が指定避難所に入所できない場合、市町村において臨時の避難所での避難者の受け入れを行うほか、他市町村への広域避難などにより避難者の安全を確保することとしております。
また、指定緊急避難場所については、各市町村においてホームページによる公表、広報誌や防災マップへ掲載し全戸配布を行うなど、さまざまな方法により周知を行っているところであります。県でも、市町村から指定の報告を受けホームページ上で公表を行っており、今後も市町村と連携して住民への周知を行ってまいります。
〇33番(岩崎友一君) 今回いろいろと話を聞きまして、市町村が例えば全域に避難準備情報や避難勧告や避難指示を出す場合、出すのはいいのですが、実際、本当にみんな逃げた場合に受け皿が足りているのかといえば多分足りていないことに気がつきまして、さすがに行政としてそれは無責任になってしまうのかなと思います。
そういう実態をしっかり把握していただければ、避難所整備の際にも、例えばのり面をもうちょっと整備すれば使える避難所もあったり、それでも足りない場合には、これは地域性もあると思うのですが、高いビルとか、そういった民間の会社と災害協定なりを結んで有事の際に避難場所として受け入れをしていただく。あるいはそれでも足りない場合には、特に沿岸、県北というのは高い建物もない地域が多いですから、2階建ての建物に住まれている方には2階に逃げるようにとか、どんどん高齢者の方もふえていますから、しっかりとその辺を明示して、より近くで安全な場所を事前に周知していくことが物すごくこれから重要になってくると思いますけれども、その辺いかがでしょうか、総務部長。
〇総務部長(風早正毅君) 御指摘のとおりでございまして、このたびの台風災害におきましても、例えば岩泉町で現在も避難所になっております龍泉洞温泉ホテルですが、これは通常の指定避難所ではなく、今回、甚大な被害を受けて、当初、体育館等を活用されることも考えておられましたが、よりよい場所ということで臨時に指定されました。また、現在も避難されておられますが、田野畑村のアズビィホールに岩泉町の住民の方が避難されたりというようなことをやっております。
また、さらには、これは結果的にはそういうことになりませんでしたが、孤立者が非常に多くて、9月上旬の2度目の台風が来るかもというときには、もっと避難者がふえ、町外の避難場所が必要になるのではないかということで、当時、県も一緒になって検討をやっていた状況もございます。
議員御指摘のとおり、事前にさまざまな形態の災害、1カ所の町に集中するという今回のような状況もあるので、引き続き、市町村と連携して、事前にどれだけ我々としてもシミュレーションできるのか、そして市町村のほうで準備ができるのか、そういった助言を行ってまいりたいと考えております。
〇33番(岩崎友一君) 周知の方法もそうですが、ホームページも有効な手段の一つではありますけれども、やはりなかなかお年寄りの方々というのは見る機会も少ないと思います。私も地元でちょっと聞いたりしても、例えば、同じ仮設住宅団地に住んでいる方に、洪水が起きたときにどこに逃げると聞いても、みんな何となくしかわからないのですね。実際どこに行けばいいというはっきりしたものをわかっていらっしゃらない方が非常に多いと感じました。
冒頭、知事から今回の災害の教訓で地域防災計画の見直しという御答弁をいただいたところでありますけれども、多分今回の震災で浮き彫りになった点、反省すべき点というのはこれだけではないと思いますので、そういった会議の場では市町村の方々にも課題をしっかり出していただいて、共有して、県が先頭に立って、音頭を取ってそういった解決といいますか充足といいますか、しっかりやっていただきたいと思います。
次に、土坂峠のトンネル化についてお伺いいたします。
今回の台風第10号による道路の決壊により、大動脈である国道106号や国道455号を初め、内陸部と沿岸部を結ぶ道路が軒並み通行どめとなりました。被害の一番甚大だった岩泉町へは久慈市経由で、宮古市には釜石市経由で行かざるを得ない状況であり、国道45号を中心に大渋滞が発生し、盛岡市から釜石市経由で宮古市に入るのに6時間以上の時間を要した期間もあり、災害対応や物資輸送に大きな支障が生じてしまいました。東日本大震災津波発災時もそうであったように、沿岸部は内陸部と違い迂回路がなく、1本の道路が通行不能となれば大回りをせざるを得ないことから、災害時であろうとも、内陸部と沿岸部を円滑かつ安全に結ぶ複数の道路を確保しておかなければならないと思います。
主要地方道大槌小国線土坂峠は、台風第10号による大雨の影響で一部箇所において土砂災害が発生し一時通行どめとなりましたが、沿岸広域振興局の早急な対応により土砂を撤去していただき、その後は盛岡市と宮古市を結ぶ最短ルートとして災害復旧、物資輸送に大きな役割を果たしたところであります。
9月26日、早期トンネル化望む声と題して新聞報道もあったとおり、土坂トンネル早期開通を望む住民の声がより高まっております。そろそろ英断を賜りたいと思います。県の見解を伺います。
〇県土整備部長(及川隆君) 土坂峠のトンネル化についてでございますが、県では、災害に強く信頼性の高い道路ネットワークを構築するため、復興計画において大槌小国線を復興関連道路として位置づけ、改良を進めてきています。土坂峠については、早期に整備効果が発現できる現道拡幅区間約1.1キロメートルの整備を進めるとともに、のり面防災対策を実施しているところです。
土坂峠のトンネル化につきましては、急峻な地形であり大規模な事業が想定されることから、より慎重な検討が必要であると考えており、事業の必要性や重要性、緊急性等を考慮するとともに、今後の交通量の推移や公共事業予算の動向、さらには復興道路等の整備を踏まえた道路ネットワークの状況等も考慮しながら総合的に判断してまいります。
〇33番(岩崎友一君) 毎回同じような答弁で、本当に答弁してもらうのも恐縮でありますけれども、1点確認させていただきたいのが、どこまで必要性を共有できているかということです。今回も、震災のときもそうでしたが、内陸部と沿岸部は本当に全然道路状況が違うと。内陸部だったら、例えば国道4号が通行不能になってもすぐ隣に市道があったり町道があったり農道があったりで、ちょっと回ればすぐ迂回できる。一方で、今回のように、例えば国道106号や国道455号が土砂崩れだったり、河川ですか、川の水で削られてしまって道路が崩壊した等々ありますと、先ほど申し上げましたとおり、岩泉には久慈経由、宮古には釜石経由で迂回することにもなります。釜石経由については、私も渋滞に何度かはまりましたけれども、朝は遠野から宮古まで、帰りは宮古から遠野方面に向かってずっと渋滞が続いている状態でございました。そう考えると、冒頭の御答弁では災害に強くというようなお言葉もいただきましたけれども、災害に弱いのではないかと思っておりまして、内陸部と沿岸部に、災害が発生しても円滑かつ安全に通れる複数の道路が必要だと思うのですが、その必要性というところまでは理解していただけているものでしょうか。
〇県土整備部長(及川隆君) 道路の機能ということでございますけれども、確かに防災面や住民生活の維持などにおいて道路が果たす多様な役割を十分勘案することは必要でありまして、代替路線の必要性ということも評価に当たっては考慮すべきものと考えてございます。
事業化する場合には公共事業評価に基づいて評価するわけでございますけれども、その中には迂回路であったり、その他必要性というところでは、現状の道路の幅員、カーブといったようなことも項目にあるわけでございます。それらを考慮して総合的に判断していくということでございます。
〇33番(岩崎友一君) 知事、先ほど、台風第10号の災害発生後に、最初に入ったのは岩泉で、ヘリで行かれたとたしか御答弁いただきましたけれども、それは何でヘリで行かれたのですか。道路が通れないからですか。どうでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 最初にヘリで移動したのは、まず、全貌を把握したかったからであります。
〇33番(岩崎友一君) それはそれでいいと思います。ただ、知事も災害対策本部長として情報の収集ということも言っていましたけれども、あのときかなりの道路が通行どめになっていまして、かなり初動の災害対応に支障を来したと思うのですが、知事、その辺はどのように捉えていましたでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 今回の台風第10号災害において、幹線道路を災害に強くすることの重要性を再認識したところであります。現在、国や県において復興道路、復興支援道路等の整備を進めているところであり、まずはこれらの一日も早い完成を目指していかなければならないと考えております。
土坂峠については、先ほど部長が答弁したとおり、今後の交通量の推移や公共事業予算の動向、復興道路等の整備を踏まえて総合的に判断してまいります。
〇33番(岩崎友一君) 前回─多分1年前の一般質問でも、土坂峠をやらせてもらっていますけれども、道路網の整備には戦略性が必要であるということをお話しさせていただきました。やはりそういった中に災害時の対応というものもしっかり入れていただきたいと思います。総合的にというと何か上手にどうにでもできそうな感じがするのでありますけれども、道路網の脆弱さについて、台風第10号で、またこれは震災と一緒だなということを私は強く思いましたので、その辺も踏まえて、財政的に苦しいのはそのとおりであると思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。
時間がありませんので、次に、震災復興について取り上げます。
最初に、震災の現状認識等についてお伺いいたします。
平成28年度、知事は本年度を本格復興完遂年と位置づけ、平成28年度予算を本格復興完遂予算として編成されました。1週間後の11月11日で震災発生から5年8カ月が経過いたします。今年度は54%の区域で面的整備が完了する予定であり、土地の引き渡しや災害公営住宅の入居が進むなど、一定の進捗は見られるところであります。
一方、応急仮設住宅、みなし仮設住宅では今なお約1万6、500人が不自由な生活を余儀なくされており、県が10月27日に発表した社会資本の復旧・復興ロードマップを見ても、防災集団移転促進事業を初めとした面的整備、海岸保全施設、災害公営住宅、漁港、道路など42カ所において1年以上のおくれが生じることとなり、中には約2年おくれる事業もあります。
ことしの2月定例会において、知事は、本格復興完遂年を、平成28年度が第2期の本格復興期間の最終年度として、次の期間につなげる重要な年であり、実施計画に掲げた事業を確実になし遂げるという強い意思を込めたと説明されましたが、これだけのおくれが生じている中で、被災地の応急仮設住宅で体力的にも精神的にも限界を迎える中、頑張っている、踏ん張っている方々に対して、本格復興完遂年という被災地の実態を無視したような言葉は説明がつかないと思いますが、震災復興の現状認識等も含めて改めて知事のお考えをお聞きします。
〇知事(達増拓也君) 先般公表した社会資本の復旧・復興ロードマップでは、復興まちづくりや災害公営住宅の分野を中心に、全体の9割を超える箇所で着工し、完成箇所も5割を超えたところであります。社会資本の主要8分野のうち、例えば災害公営住宅では予定する約5、700戸のうち8割以上で着工し、大船渡市で予定されていた災害公営住宅が全て完了するなど、約7割が完成しています。漁港では全ての箇所で着工し、平成28年度末で9割以上が完成する見込みとなっています。教育では9月に大槌学園の新校舎が完成するなど、平成28年度末で約9割の公立学校整備が完了する見込みとなっています。
一方、防潮堤など海岸保全施設等において、市町村を初めとする関係者との調整、また、施工条件の変化や台風等でやむを得ない事情によって完成時期の延伸も生じておりますが、復興基本計画期間内にはほとんどの箇所が完成する見込みであります。
第2期復興実施計画期間であるこの本格復興期間では、これまで、災害廃棄物処理分等を除く実質的な事業費ベースで第1期の基盤復興期間を上回る過去最大の予算規模で事業を進めているところであり、今年度におきましても、第2期復興実施計画に掲げる事業をきっちりやり遂げる本格復興の完遂に向けて最後までしっかりと取り組んでまいります。
〇33番(岩崎友一君) 知事が言う意味もわからなくもないわけであります。私は、復興がおくれていることについて、なぜおくれているかという理由は個々に聞いていますから私もそれは承知しているつもりで、別にそれを責めているわけではないのです。知事が言うように、実績を言えばそのとおりだと思うのです。予算額などいろいろな数字を持ってくれば進んでいるように見せることもできます。ただ、私が言いたいのは、実際、もう5年8カ月たつ中で、被災地では二極化が生じている。仮設住宅を出られた方、まだ残っている方。残っている方々には、本当に自分たちが置いていかれるのではないか、一生仮設住宅にいなければいけないのではないかというような不安を持たれている方が非常に多くいるわけです。
そういった現実がある中で完遂という言葉の使い方が正しいのかどうかということと、私はもともと、ことしの初めに知事がこの言葉を出されたとき、おくれそうな事業も、精査すればちょっとこれは厳しいだろうなという事業もある中でこういった復興完遂という言葉が出てきたことに違和感を覚えたわけであります。知事は、今の被災地の実態をどのように捉えていますか。
〇知事(達増拓也君) 基盤復興期間にさまざま進めた上で、次の3年間、本格復興期間という今の3年間に事業をきちっとやらなければ、もう復興計画全体が崩壊してしまう。もう復興できないみたいな状態になることがあってはならない、この本格復興の3年間の事業はきちっとやるのだという思いを持っています。幾つかおくれることが明らかになっている事業も出てきましたけれども、ただ、それは、関係者の皆さんと、理由を明らかにしながら調整し、基本的に納得、了解を得た上で、おくらせるということでありますので、復興がもう頓挫するとか復興できなくなるというような復興計画の大きな崩れはなく、まず、今年度、この本格復興完遂年の事業をきちっとやっていくことで復興のゴールが見える段階に入っていくことができると思っております。
一方、幾つかの市町村ではもうほとんど復興事業が終わっているところもあるわけですけれども、まだ今後数年にわたって復興事業が続くところもある。そういった復興事業が今後も数年続いていくような地域の皆さんの中に、取り残され感や不安でありますとか、希望を失いそうになるような気持ちはあるかと思います。ピーク時には、4万人、5万人という方々が家を失って避難され、今も1万何千人という方が仮設住宅生活をされていて、これは復興期間が延びれば延びるほど仮設住宅生活というのはきつくなっていくわけではありますけれども、ただ、その分、県としても、既に終わった方々、終わった市町村に今まで回していた県の持てる力、エネルギーなどを今残っている皆さんに集中させていくことができる。これは日本全体としてもそうなわけです。オールジャパンでの復興というときに、残っている人たちにほどオールジャパンの力をより集中させていくことができるわけですから、そういうオール岩手の復興、オールジャパンの復興、東日本大震災からの復興、東京オリンピック、パラリンピックとの関係でも、改めて日本全体としての東日本大震災からの復興ということも今、社会的に盛り上がってきていると思いますけれども、この力を、まだしばらく仮設住宅生活を強いられる方々に注いでいかなければならないという状況だと思っております。
〇33番(岩崎友一君) 知事の答弁を聞いていましたら自分で何を質問したか忘れてしまいまして、シンプルに言いますと、やはり二極化が生じている。仮設住宅に残られている方々が今一番苦しいと思うのです。もう家を建てられたり公営住宅に入居された方々は、自分たちの次の生活、少しでも豊かになるようなことを考えている。残されている方々はずっと不安。知事はそういうことはないと言うけれども、でも実際、今そういった気持ちを持たれている方々が多い。そういった方々にこれからは集中的に気持ちを注いでいく、寄り添っていくことが大事だと思うのですが、その辺、知事はどのようにお考えですか。
〇知事(達増拓也君) 私も、長くなればなるほどきつくなっていく、そして、希望を失いそうになる人たちも出てくるし、さまざま不安を持っている方々もいらっしゃる。そこに、より力を集中させて対応すべき局面と申し上げております。
〇33番(岩崎友一君) 私もそのとおりだと思うのです。もう取り残されそうという不安な気持ちがある方々に対して、復興完遂と、言葉だけはもう完遂とどんどん進んでいく、それはなかなか申しわけないというか、ちょっと違うだろうと、そういった気も私はするのですが、その辺はいかが思いますか。
〇知事(達増拓也君) 繰り返し言いますけれども、本格復興期間の3年間の事業をきちっとやると。おくれるところがあったとしても、そこはちゃんと関係者が納得ずくの上でのおくれにとどめるということをきちっとやり切ることで復興がなると、復興のゴールが見えてくるということでありますので、そこはやはり頑張っていかなければならないところと考えております。
〇33番(岩崎友一君) 知事の精神論的なものもわかるのですが、ただ実際、先ほど言いましたように、この前のロードマップで42カ所において1年以上のおくれが生じると、中には2年おくれるのも出てきている、これが現実なわけであります。被災地の実態と復興完遂年は、ことしはなかなかマッチングしなかったと思っております。既に復興完遂年、復興完遂予算というものは出てしまった言葉ですから、もうどうしようもないのですが、来年、もし知事が、何とか年とか、何とか予算というネーミングをするのであれば、もう一度被災地に行って現場を見てもらって、まだ仮設住宅に残っている方々と言葉を交わしていただいて、そういった中で本当にその言葉がふさわしいかどうか、しっかりとしんしゃくした上でネーミングをお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 東日本大震災から丸5年が経過し、国の区切りでは、新しい5年間の中には入っているのですけれども、私といたしましては、来年の1月の仕事始めは、やはり沿岸から行っていかなければならないと思っておりまして、沿岸に前の日から泊まって、被災者、復興に取り組んでいる皆さんの今の生活や仕事というものを改めて一緒に共有しながら1年のスタートを行い、その中で、来年度のあり方も考えていきたいと思っております。
〇33番(岩崎友一君) ぜひ、よろしくお願いします。仮設住宅に残された方々に一番寄り添っていかなければならないと思いますので、そういった方々と言葉も思いも共有できるような、ネーミングをされるのであればそういったことをお願いしたいと思います。
次に進みます。国民健康保険等の一部負担金免除についてお伺いします。
国民健康保険、後期高齢者医療制度、介護保険及び障がい福祉サービスの一部負担金の免除については、平成28年度当初予算においても市町村への財政支援が措置されておりますが、ことしの12月までとなっております。
震災被災地では、ことし大槌病院、山田病院が本設再建され、診療も始まるなど、地域医療も少しずつではありますが回復をしております。ただ、多くの応急仮設住宅が病院から離れた地域に建設されており、交通費もかさんでいること等から、入居者からは、さらなる延長を求める声を多くいただいております。避難生活が長期化していることも考慮し、受診機会を確保することが必要であることから、今後も事業を継続する必要があると考えます。
来年1月以降の一部負担金免除に対する県の財政支援についてどのように考えているのか、お伺いをします。
〇知事(達増拓也君) 国民健康保険等の一部負担金免除についてでありますが、平成29年1月以降における被災者の一部負担金等の免除措置について、市町村等に対しその意向を確認しましたところ、国保財政が厳しい状況になっていることなどから、対象者の見直しや免除の終了の検討についての意見もありましたが、最終的には、国民健康保険、後期高齢者医療制度、介護保険及び障がい福祉サービスについて、全ての市町村等におきまして、現行制度のまま継続するとの回答を得たところであります。
県といたしましては、いまだ多くの被災者が応急仮設住宅等で不自由な生活を余儀なくされており、引き続き、医療や介護サービス等を受ける機会の確保に努める必要がありますことから、平成29年12月までの1年間、これまでと同様の財政支援を継続していきたいと考えております。
〇33番(岩崎友一君) ぜひよろしくお願いします。
次に行きます。次に、三陸の観光振興についてお伺いをいたします。
三陸地域は、震災前、年間693万人もの観光客が訪れ、碁石海岸、浄土ヶ浜、北山崎を初めとした自然景勝地、高田松原、根浜海岸、浪板海岸などの海水浴場や、もぐらんぴあなどの充実した観光資源を有する県内有数の観光地でありました。震災により、多くの観光資源が失われましたが、現在は徐々に復旧も進み、また、津波の被災地域を来訪するボランティアツアーや教育旅行プログラムの展開、橋野高炉跡の世界遺産登録、三陸ジオパークの認定により、これまでなかった取り組みや新たな観光資源の掘り起こしも行われてきております。しかしながら、沿岸部の入り込み客数を見ると、震災前と比べ、一昨年が75%の438万人、昨年も74%の429万人にとどまっております。
震災により失われた観光資源の復旧のおくれから、観光地として魅力が失われていることなどがその原因であると考えますが、県はどのように分析をされているのでしょうか。
〇商工労働観光部長(菊池哲君) 観光入り込み客数についてでありますが、昨年の沿岸地域の観光入り込み客数については、沿岸北部は、久慈地域におけるあまちゃん効果などにより、震災前の水準を上回っておりますが、沿岸南部は、震災前の約6割となっている状況であります。
また、県の観光統計調査で用いております観光地等調査対象地点数について見ますと、震災前と比較し、北部では約8割、南部では約6割となっているところでございます。
このような状況となっておりますが、今後、復旧、復興が進む中で、各地の複数の観光ポイントをめぐり、より多くの時間、より多くの場所を周遊する沿岸地域における広域周遊観光の再生に向けまして、地域主体の観光地域づくりなどを進めることを目的に、本年4月に開所いたしました三陸DMOセンターなどとも連携しながら取り組んでいきたいと考えているところであります。
〇33番(岩崎友一君) この数字を見ますと、新たな取り組み、観光資源の掘り起こしも行われながらも、震災前と比べて、沿岸南部では6割という話でございます。まだゼロに戻っていない状況でして、今の御答弁をいただきまして、まだまだ復旧しなければならない観光資源もあるんだなと感じているところであります。
それも含めて今後に向けてでありますけれども、今は価値観やライフスタイルが多様化し、観光客のニーズは、体験や交流、趣味を目的とする旅への多様化が進んできております。また、旅行形態も、個人旅行から家族、友人、知人との旅行といった小グループでの旅行が主流となり、特に家族で楽しめる観光スポットに人気が集中しているようであります。
既に県が進めている情報発信の強化、外国人の受け入れ態勢や交通ネットワークの整備などに加え、海水浴場の復旧や体験、交流施設の整備、イベントの開催など、時代のニーズに的確に応えられるような戦略と実行力が、震災被災地の復興を大きく前に進めることになると思いますが、県の方針についてお伺いします。
〇商工労働観光部長(菊池哲君) 三陸の観光振興に係る県の方針等についてでございますが、平成26年3月に策定いたしましたみちのく岩手観光立県第2期基本計画におきましては、三陸沿岸観光の再構築を大きな柱としておりまして、これに基づき、三陸が有するすぐれた自然景観や観光レジャースポットなどを生かし、三陸復興国立公園、みちのく潮風トレイル、三陸ジオパークなど、より一層すぐれたストーリー性を有する観光資源へと磨き上げていくことや、これに震災学習体験を盛り込んだ三陸観光のプロモーションに取り組んでいるところでございます。
また、近年の個人、小グループ型観光化及びテーマ性や体験、交流を求める滞在型観光へと変化している観光ニーズに対応し、三陸沿岸ならではのさまざまな楽しみ方を組み込んだバスツアーの運行などを支援しているところでございます。
今後におきましても、各市町村や観光事業者等関係機関と連携しまして、三陸への誘客を図っていく考えでございます。
〇33番(岩崎友一君) ぜひ、県にしっかり音頭をとってもらって、各市町村の観光資源や、取り組みと連動して進めていっていただきたいと思います。
そこで、次に、根浜海岸と浪板海岸の砂浜再生について取り上げます。
夏と言えば海、海と言えば砂浜であります。沿岸部の海水浴場は震災前、海水浴、サーフィン、トライアスロン、バーベキュー、スイカ割り、キャンプ等々、県内外の多くの観光客、特にも家族連れでにぎわっておりました。地元の住民にとっては、家族、友人との多くの思い出が生まれた場所であり、まさにふるさとの象徴でありました。しかしながら、震災はその思い出とにぎわいを奪い去るかのように、砂浜もさらっていきました。
現在、陸前高田市の高田海岸、山田町の浦の浜海岸については、復興交付金効果促進事業を活用し再生に向けた取り組みが進められ、浦の浜海岸については間もなく整備が終了いたします。
高田海岸についても、試験再生中の200メートルの砂浜が先般の台風第10号の波浪にも耐え、今年度は試験施工の計画を観察の上、養浜技術検討委員会で施工結果を検証、来年度には本格施工を進める運びとなり、試験施工は技術的にも大きな成果を得られたものと思います。
一方、釜石市の根浜海岸、大槌町の浪板海岸は、釜石市、大槌町から要望があるものの、再生に向けた取り組みが進んでいない状況にあります。釜石市では、ラグビーワールドカップ開催までに砂浜を再生させ、復興スタジアム周辺を、スポーツと観光の中心として整備をしたい考えを示しております。大槌町では、ことし4月、浪板海岸前に浪板海岸ヴィレッジをオープンさせ、浪板海岸周辺をまちの観光スポットの中心とするべく、官民一体となった取り組みを進めており、砂浜再生に向けて、現在2万人を超える方々の署名も集まっている状況であります。
砂浜の再生は、県の進める三陸復興プロジェクト、釜石市、大槌町が総合戦略でうたう交流人口の拡大、三陸鉄道の利用促進といった観点からも不可欠な観光資源であり、早期に再生すべきであると考えます。
根浜海岸、浪板海岸の砂浜再生に関する県の見解について、これまでの検討状況も踏まえ、お示しをいただきたいと思います。
〇復興局長(木村卓也君) 砂浜再生についてでございますが、本県の海水浴場は、三陸地域における重要な観光資源であると認識しており、県では、陸前高田市の高田海岸、山田町の浦の浜海岸で、海岸保全施設と一体となった砂浜再生事業を進めているところでございます。
また、釜石市と大槌町では、復興交付金を活用して根浜海岸と浪板海岸の砂浜再生事業を実施するため、復興庁と協議を進めてきたところでございますが、現在、砂浜の管理が課題となっておりますほか、人工的に再生された砂浜は、自然の砂浜より波や潮流、台風等の自然現象の影響を受けやすいなどの技術的な課題もあるところでございます。
県では、これまで、これらの課題の整理それから対応等につきまして、市、町と協議を進めるとともに、復興庁に対して地域の実情等を説明するなど、事業化に向けた支援を行ってきたところでございます。
今後におきましても、市、町に対しまして、既に砂浜再生に向けた取り組みを進めている高田海岸や浦の浜海岸のデータの提供、調査方法に関する技術的支援など引き続き行っていくとともに、事業採択に向けまして復興庁との協議をさらに進めていきたいと考えてございます。
〇33番(岩崎友一君) これは県としても、根浜海岸、波板海岸の砂浜を再生させたいという強い思いがあるということで、まずよろしいですか。
〇復興局長(木村卓也君) ただいま申し上げましたとおり、海水浴場というのは本県の観光資源の一つだということ、それから、釜石市、大槌町では、そういう観光資源ということも念頭に置いて砂浜再生について非常に強い意欲を持っているということについては、県としても、そういうことで受けとめてございます。そこで、復興交付金の活用ということにつきまして、これまでもそういう市、町の考え方も受けまして、復興庁との協議を進めているというところでございます。
今後におきましても、市、町とともに、そういう思いを共有しながら、復興庁などと協議を進めていきたいと考えております。
〇33番(岩崎友一君) 腰が引けているのですよ。釜石市、大槌町がやるんだったら県も仕方なくやりますよみたいな、そういうふうに聞こえるのですが、これは県はもっと前面に出られないのですか。
〇復興局長(木村卓也君) 今、市のほうからは、海岸保全区域指定とかそういう制度上の問題もありますので、市で砂浜再生をして、その後の管理についてできれば県にというような要望を受けてございますし、大槌町から県には、こちらで整備をしてくれという具体の要望というのは今はなく、砂浜再生についていろんな支援をお願いしますという要望が国のほうに出ているという状況でございますので、これまでもそうですし、これからも市、町のそういう要望等の状況も踏まえながら、県として一緒になって砂浜再生の整備ができるような形で進んでいければと思っております。
〇33番(岩崎友一君) 何か腰が引けているのです。砂浜の重要性は、先ほどの商工労働観光部長の御答弁でも必要だということがわかると思います。私は、先ほど申し上げましたけれども、釜石市、大槌町だったり、三陸の交流人口の拡大であったり、三陸鉄道の利用促進といった観点からもこれは必要だと思うのですが、この辺政策地域部長は、どのようにお考えでしょうか。
〇政策地域部長(大平尚君) 県では、第2期復興実施計画の三陸創造プロジェクトの中でも、新たな交流による地域づくりプロジェクトの中で、三陸地域が誇る海岸風景の再生による観光振興を掲げてございます。
砂浜につきましては、美しい景観形成、海水浴あるいは三陸鉄道の利用促進、ジオパークなど、さまざまな効果があるものと考えてございます。三陸地域の魅力ある地域資源の一つとして、砂浜が再生されることは望ましいものと考えてございます。ただ、復興局長が答弁いたしましたように、さまざまな課題があるということも承知しているところでございます。
〇33番(岩崎友一君) さまざまな課題があるというか、県がもっと前面に出てやってもらわなければ困るのです。市と町が前に出て、我々は市と町がやるのだったらそれをバックアップしますみたいに聞こえるのですが。県としてもこれだけ必要性がわかっているわけなので、もっと県が前面に出てやっていただきたいのですが、逆に、前面に出てできない理由は何かあるのでしょうか。
〇復興局長(木村卓也君) 根浜海岸、浪板海岸の砂浜を再生する地域については、復興庁のほうからは、海岸保全地域の指定が条件だというようなことも言われており、そういうさまざまな課題があるということでございます。一義的には、観光資源、地元の交流人口の拡大ということで観光のためというようなこともございますので、県が前面というよりも、釜石市、大槌町と一緒になって、県としても、この砂浜再生が実現できるような形で進めていければいいかなと思っております。
〇33番(岩崎友一君) 最後のほうがちょっと聞こえなかったので、もう一度お願いします。
〇復興局長(木村卓也君) 失礼しました。市、町とともに、県も一緒になって、復興交付金を活用して砂浜再生ができるような形で取り組んでいきたいと考えております。
〇33番(岩崎友一君) ぜひ、よろしくお願いします。
確かに今、復興局長から答弁があったように、海岸保全区域でなければ復興交付金効果促進事業は使えないと。ただ、一方で、国土交通省からは、そういった海岸保全区域としてなかなか認めてもらえないような話もあるやに聞いております。ただ、県が前面に立って、何とか砂浜を再生させたいという思いを持ってやれば、その辺しっかりと、運用の改善だったり事業の改善を通して再生できると思いますし、私も何とか岩手の数少ない海水浴場の再生に向けて全力で頑張りたいと思いますので、県も市町村と並んで、それを追い越して先頭に立つくらいの気持ちで取り組んでいただきたいと思うのですが、知事、よろしいでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 海岸保全施設ではないところが海岸保全施設でないことにはそれなりの理由があるので、それを海岸保全施設にしなければだめという理屈についてはやっぱり難しいのだなとは思うのですけれども、それはそれで置いておいて、要は、釜石市や大槌町にとっても、この砂浜の問題というのは広く復興の一環だと私は思っております。被災者の皆さんイコール復興者の皆さんが、生活、なりわい、安全といったことを総合的にきちんと復興という形にしていくまちづくりの中の一環だと思っておりますので、そういう意味では、やはりそれぞれ市、町の考え方、やり方というのを尊重しながら、県としても一緒に取り組んでいきたいと思います。
〇33番(岩崎友一君) 釜石市と大槌町は、必ず再生をさせたいという思いでありますので、冒頭、今の政府が若干腰が引けている部分があったら私が行くような答弁が知事からありましたけれども、県も腰が引けることなく、前面に立って再生に向けて御尽力をいただきたいと思います。
時間がございませんので、持ち家再建の支援の増額を飛ばしまして、最後、行方不明者の捜索について取り上げたいと思います。
東日本大震災津波による行方不明者については、毎月11日の月命日を中心に、集中捜索を継続して行っていただいております警察や海上保安部の皆さんに、心から感謝を申し上げたいと思います。しかしながら、ことしの9月末現在、県内で1、123名の方が今なお行方不明という状況であります。また、先般の台風第10号により、3名の方が行方不明のままでもあります。毎月11日の捜索については、台風第10号の後、9月、10月は休止したものの、11月からは再開する予定になっているかと思います。今も帰りを待ち、何らかの手がかりを求め続ける御家族からは、あのときから時間がとまったままという声が今なお聞かれます。
震災そして台風第10号による行方不明者の捜索活動の状況と今後の活動方針について伺います。
また、関係機関による懸命の捜索の結果、発見された御遺体のうち、9月末現在58名の方が身元不明となっております。先般、盛岡駅の南口で御遺体の似顔絵が描かれたポスターを見かけました。より住民の目につくよう、多くの場所に掲示していただきたいと思いますが、身元照合の取り組みとあわせてお伺いをします。
〇警察本部長(堀誠司君) 初めに、東日本大震災津波による行方不明者の捜索活動の状況でございます。
各月命日を中心とした沿岸警察署単位の捜索活動、そして3月、9月には、本部及び内陸部警察署員を動員した集中捜索を継続しており、本年も3月11日に釜石市片岸地区で行ったものを初め、延べ43回、約700人を動員して実施しております。
また、台風第10号による行方不明者の方の捜索活動でございますが、発災直後から9月16日までの間は毎日、他県警の応援も含め、延べ約2、500人を動員し、被災者の救助、安否確認、捜索などを実施したところであり、その後は、いまだ行方不明となっている3名の方の捜索を延べ14回、約100人を動員、うち3回は消防と合同でありますが、実施したところであります。
次に、今後の捜索活動の方針でありますが、震災行方不明者の方の捜索につきましては、御家族の要望などを踏まえつつ、先ほど申し上げた活動を継続することとしており、例えば陸前高田市から要望のございました同市内古川沼の捜索につきましては、今月の月命日の捜索に合わせ、機動隊の潜水部隊を投入し、市や海上保安部とも連携して実施する予定であります。
また、台風第10号による行方不明者の捜索につきましても、機動隊の動員あるいは消防など関係機関との連携といった必要な態勢をとり、御家族の要望も踏まえつつ継続して実施してまいります。
次に、身元不明の御遺体の身元確認に向けた取り組み状況でございます。
身元を確認するために、行方不明者の御家族等から提供していただいたDNA型資料の鑑定、歯科カルテの照合、さらには、似顔絵、御遺体の特徴、所持品などの情報公開といったものを進めているところであり、昨年中は5名の方、そしてことしに入りましては1名の方の身元を確認し、御遺体の引き渡しをしております。さらに、行方不明者を探していらっしゃる御家族などにもお集まりいただき、行方不明者の情報収集と身元不明者の情報提供を行う活動も継続して実施しております。
また、先ほど議員からお話がございました身元不明者の似顔絵等のポスターについては、今後も関係機関や団体の協力をいただきながら、駅、公共施設など、住民の方々が集まるような場所に掲示を進めるなど、より多くの情報を得られるように取り組んでまいりたいと考えております。
県警察といたしましては、これらの活動を継続しながら、1人でも多く、1日でも早く御遺体を引き渡せるよう、身元確認に努めてまいります。

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