平成28年2月定例会 予算特別委員会会議録

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予算特別委員会会議記録
(第 8 号)
平成28年3月17日(木)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 菊 池   満
議事管理担当課長 渡 辺 謙 一
主任主査 中 村 佳 和
主任主査 藤 澤 壮 仁
主査 柳 原   悟
主査 田 内 慎 也
主査 菊 地 友 和
主査 菊 池   智
1説明員
農林水産部長 小 原 敏 文
理事 立 花 良 孝
技監兼
県産米戦略室長 工 藤 昌 男
副部長兼
農林水産企画室長 上 田 幹 也
農村整備担当技監
兼農村計画課
総括課長 伊 藤 千 一
林務担当技監 佐 藤 順 一
水産担当技監
兼水産振興課
総括課長 五日市 周 三
漁港担当技監
兼漁港漁村課
総括課長 藤 本 栄 二
競馬改革推進室長 佐 藤   学
理事心得 高 橋 宏 弥
参事兼団体指導課
総括課長 高 橋   勉
農林水産企画室
特命参事 黒 田 敏 彦
農林水産企画室
企画課長 中 村 善 光
農林水産企画室
管理課長 瀧 澤 信 一
指導検査課長 菊 池 信 幸
流通課総括課長兼
県産米販売推進監 伊 藤   仁
農業振興課
総括課長 前 田 一 人
担い手対策課長 菊 池 政 洋
農業普及技術課
総括課長 高 橋 昭 子
企画調査課長 鷲 野 健 二
農村建設課
総括課長 伊 藤 栄 悦
農産園芸課
総括課長兼
県産米生産振興監 高 橋 昭 雄
水田農業課長 松 岡 憲 史
畜産課総括課長 小 岩 一 幸
振興・衛生課長 村 田 忠 之
林業振興課
総括課長 佐々木   隆
森林整備課
総括課長 阿 部 義 樹
整備課長 漆 原 隆 一
森林保全課
総括課長 伊 藤 節 夫
漁業調整課長 山 口 浩 史
漁港課長 阿 部 幸 樹
競馬改革推進監 千 葉 義 郎
競馬改革推進室
特命参事 多 田   繁
県産米戦略監 星 野 圭 樹

財政課総括課長 熊 谷 泰 樹
〇高橋但馬委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
田村勝則委員は欠席とのことでありますので、御了承願います。
議案第7号から議案第25号まで、議案第27号、議案第40号から議案第50号まで、議案第54号、議案第60号、議案第61号、議案第63号、議案第64号及び議案第138号の以上37件を一括議題といたします。
本日は、農林水産部関係について、午後5時を目途に審査が終了するよう議事進行に御協力をお願いいたします。
なお、本日の農林水産部の審査につきましては、3月7日の当委員会で決定したとおり、第1部及び第2部に分けて審査することとし、第1部では農業関係分野について、第2部では林業関係分野及び水産業関係分野について、それぞれ審査することになっておりますので、御了承願います。
それでは、農林水産部長に農林水産部関係の説明を求めます。
〇小原農林水産部長 農林水産部関係の平成28年度の予算関係議案について御説明申し上げます。
予算関係議案の説明に入ります前に、平成28年度の農林水産施策の推進に当たっての基本的な考え方について御説明申し上げます。
まず、本県農林水産業を取り巻く状況でありますが、東日本大震災津波からの復旧、復興は、これまでの取り組みにより、漁船や養殖施設、水産業共同利用施設等の整備が進んでいるものの、産地魚市場の水揚げ量は震災前を下回っているなど、いまだ途上にあるほか、原木シイタケの産地再生や消費者の信頼回復、販路の回復、拡大を進めていかなければならない状況にあります。
また、本県農林水産業は、担い手の減少や高齢化など、さまざまな課題を抱えております。
このような状況を踏まえまして、平成28年度は、本格復興完遂年の位置づけのもと、東日本大震災津波復興計画に掲げた取り組みを着実に進めるとともに、いわて県民計画に掲げた取り組みも推進し、本県農林水産業が地域経済を支える基幹産業として再生、発展できるよう取り組んでまいります。
このため、引き続き、漁港施設や海岸保全施設等の復旧、整備を進めるとともに、地域漁業を担う経営体の育成や水産物の販路の拡大、高付加価値化に取り組んでまいります。
また、放射性物質影響対策として、原木シイタケの出荷制限解除に向け検査やほだ場の環境整備を進めるとともに、県産農林水産物の安全・安心、魅力の発信や消費者の信頼回復、販路の回復、拡大を図ってまいります。
次に、復興に向けた取り組みと軌を一にした全県の農林水産業の振興を図るため、農業については、地域農業マスタープランに位置づけられた中心経営体の認定農業者への誘導やリーディング経営体の育成とともに、農地中間管理事業や圃場整備事業を活用した担い手への農地集積を進めてまいります。特に米では、県のオリジナル水稲新品種銀河のしずくや岩手118号を核とした県産米のブランド化を進め、低コスト化や県産米の消費拡大に取り組みます。
また、畜産では、家畜飼養管理施設の整備や、第11回全国和牛能力共進会の上位入賞に向けた取り組みを進めます。
林業については、森林資源の循環利用を進めるとともに、林業就業者の確保、育成に向けたいわて林業アカデミーの開講準備を進めてまいります。
水産業については、岩手県漁業担い手育成ビジョンに基づき、担い手の確保、育成に取り組んでまいります。
また、6次産業化などによる農林水産物の高付加価値化と販路の拡大、農林水産物の輸出の拡大に取り組むとともに、活力ある農山漁村の創造に向けて、いわて農業農村活性化推進ビジョンを踏まえ、集落が行う活性化の取り組みを支援してまいります。
それでは、予算関係議案について御説明申し上げます。
まず、議案第7号平成28年度岩手県一般会計予算でございますが、議案その2の7ページをお開き願います。第1表歳入歳出予算の歳出の表中、農林水産部関係の予算は、6款農林水産業費の714億1、256万8、000円のうち、県土整備部所管分を除く712億2、372万2、000円、9ページの11款災害復旧費3項農林水産施設災害復旧費の388億9、586万2、000円及び12款公債費1項公債費のうち、2、425万2、000円を合わせまして1、101億4、383万6、000円となります。これを前年度当初予算1、366億7、156万8、000円と比較しますと、265億2、773万2、000円、率にして19.4%の減となります。
予算の内容につきましては、便宜、予算に関する説明書により御説明申し上げます。
なお、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に簡潔に御説明申し上げます。
予算に関する説明書の149ページをお開き願います。6款農林水産業費1項農業費であります。1目農業総務費は、農政関係職員の人件費や国土調査等に要する経費であり、説明欄上から五つ目のいわて農林水産業6次産業化推進事業費は、生産者や商工業者等の連携による特産品開発や販路拡大など、地域ぐるみの取り組みを強化しようとするものであります。説明欄中ほど、八つ目のいわて農山漁村コミュニティ活性化支援事業費は、集落等が行う地域資源を生かした活性化の取り組みを支援しようとするものであり、その下のむら・もり・うみ女子ネットワーク活動等応援事業費は、若手女性農業者の主体的な活動や食の匠等による食文化の伝承、情報発信等の取り組みを支援しようとするものであります。150ページをお開き願います。2目農業金融対策費は、農業近代化資金等の貸し付けを行う農協などの融資機関に対して利子補給等を行うものであります。また、説明欄下の農業改良資金債権管理費及び就農支援資金債権管理費は、農業改良資金等特別会計を廃止することに伴い、貸付金の償還事務等に要する経費を計上するものであります。3目農業改良普及費は、農業改良普及センターの管理運営に要する経費等のほか、151ページの説明欄一つ目のいわてニューファーマー支援事業費は、新規就農者に対して、就農前の研修期間や経営が不安定な就農直後の所得を確保する青年就農給付金を交付しようとするものであります。4目農業振興費ですが、説明欄上から六つ目のいわて農林水産ブランド輸出促進事業費は、アジア諸国やアメリカにおいて県産農林水産物のプロモーション活動を展開するほか、新たに全国輸出団体と連携した取り組みを進めようとするものであり、その下の農業経営基盤強化促進対策事業費は、農地中間管理機構を活用した場合の農地の出し手に対する協力金等を交付しようとするものであります。続いて、その下、中山間地域等直接支払事業費は、中山間地域において農業生産活動を行う農業者等に対し、農業生産条件の格差の範囲内で交付金等を交付しようとするものであり、その下の被災地域農業復興総合支援事業費は、被災市町村が行う被災農業者等への貸与等を目的とした農業用施設、機械の整備を支援しようとするものであります。152ページをお開き願いまして、説明欄上から三つ目のいわて地域農業マスタープラン実践支援事業費は、中心経営体の規模拡大や6次産業化等による経営発展に必要な機械、施設等の整備を支援しようとするものであり、説明欄下から二つ目の日本一の美味しいお米の国づくり推進事業費は、市場供給を予定している県オリジナル水稲新品種銀河のしずくや岩手118号のブランド化と、県産米の消費拡大に取り組もうとするものであります。5目農作物対策費ですが、説明欄二つ目の鳥獣被害防止総合対策事業費は、シカ等の侵入防止柵の設置等を支援するとともに、被害防止対策の担い手の育成、確保に取り組もうとするものであり、説明欄一番下の強い農業づくり交付金は、国のTPP関連対策として、農産物の高付加価値や低コスト化等による産地競争力の強化を図るため、共同利用施設等の整備を支援しようとするものであります。153ページ、6目畑作振興費ですが、説明欄中ほど、五つ目の未来を担う園芸産地一番星育成事業費は、労働環境、生産性及び出荷方法の改善など園芸生産に係るイノベーションの取り組みを支援しようとするものであり、その下のりんどう産地活性化応援事業費補助は、リンドウの盆向け品種の植えつけから収穫までの収益のない期間の栽培管理を支援しようとするものであります。7目植物防疫費は、病害虫の防除指導のほか、生産者等に対する農薬の適正使用の指導等に要する経費であります。154ページをお開き願います。8目農業協同組合指導費及び9目農業共済団体指導費は、各組合の指導監督に要する経費であります。10目農業研究センター費は、同センターの管理運営、試験研究等に要する経費であり、155ページ、11目農業大学校費は、同校の管理運営に要する経費であります。
次に、157ページをお開き願います。2項畜産業費であります。1目畜産総務費は、畜産関係職員の人件費などの管理運営費等であります。2目畜産振興費ですが、説明欄二つ目の家畜改良増殖対策事業費は、肉用牛の安定的な生産及びブランド化を推進するため、黒毛和種及び日本短角種の改良増殖等に取り組もうとするものであります。158ページをお開き願いまして、説明欄中ほど、六つ目の放射性物質被害畜産総合対策事業費は、県産粗飼料の放射性物質検査を行うとともに、牧草地の除染や汚染牧草の保管等を支援しようとするものであり、二つ下のいわて発元気な牛飼い女子応援事業費は、肉用牛生産や酪農に携わる女性のネットワークの構築や女性の視点を生かしたグループ活動、活動情報の発信を支援しようとするものであります。その下の、畜産競争力強化整備事業費補助は、国のTPP関連対策として、畜産クラスター計画に位置づけられた地域の中心経営体の家畜飼養管理施設等の整備を支援しようとするものであり、一番下の和牛オリンピック総合優勝チャレンジ事業費は、平成29年に宮城県で開催されます第11回全国和牛能力共進会に向け、出品候補牛の育成等を支援しようとするものであります。3目草地対策費は、生産性の高い畜産経営体の育成と畜産の安定的な発展を図るため、畜産農家等の生産基盤の整備を支援しようとするものであります。159ページ、4目家畜保健衛生費は、48カ月齢以上の死亡牛のBSE検査等に要する経費のほか家畜伝染病予防費が主なものであり、5目農業研究センター費は、畜産研究所の管理運営等に要する経費であります。
次に、161ページをお開き願います。3項農地費であります。1目農地総務費は、農地関係職員の人件費等であり、2目土地改良費のうち農林水産部関係の主なものでありますが、説明欄上から五つ目の経営体育成基盤整備事業費は、水田の大区画化や排水改良など生産基盤の整備と担い手への農地集積を一体的に推進し、地域の中心となる経営体の育成を図ろうとするものであり、説明欄下から四つ目の活力ある中山間地域基盤整備事業費補助は、中山間地域における高収益作物の導入や農作業の効率化に向けた簡易な基盤整備を支援しようとするものであります。二つ下の資源向上支払事業費は、水路等の長寿命化や農村環境保全活動など地域資源の質的向上を図る共同活動等を支援しようとするものであります。162ページをお開き願います。3目農地防災事業費は、農地、農業用施設等への自然災害を未然に防止するための防災ダムや老朽化した水利施設の更新等に要する経費のほか、説明欄下から二つ目の農用地災害復旧関連区画整理事業費は、東日本大震災津波により被災した農地と、隣接する農地の一体的な圃場整備により、生産性、収益性の高い農業の実現を図ろうとするものであります。163ページ、4目農地調整費は、農地中間管理機構による担い手への農地集積を促進する同機構の業務推進経費等への支援に要する経費等であります。
次に、165ページをお開き願います。4項林業費であります。1目林業総務費は、林政関係職員の人件費や県有林事業特別会計への繰出金等であります。166ページをお開き願います。2目林業振興指導費ですが、説明欄下から七つ目のいわての森林づくり推進事業費は、いわての森林づくり県民税を財源とし、針葉樹と広葉樹の混交林化を進めるとともに、地域の環境保全活動等を支援しようとするものであります。説明欄下から三つ目の特用林産施設等体制整備事業補助は、価格が高騰しているシイタケ原木等の生産資材の導入や簡易ハウスの整備を支援しようとするものであり、167ページ、説明欄上から五つ目のいわての次世代林業・木材産業育成対策事業は、森林、林業に関する知識、技術を習得できるいわて林業アカデミーの施設等を整備するとともに、木材製品の高品質化の取り組みを支援しようとするものであります。3目森林病害虫等防除費は、松くい虫などの森林病害虫の防除と被害拡大の防止に要する経費等であり、4目造林費は、再造林や広葉樹林の若返りを図る更新伐などの森林整備を支援しようとするものであります。168ページをお開き願います。5目林道費は、民有林林道網整備計画等に基づき、森林整備の基盤となる林道の開設、改良等に要する経費であります。169ページ、6目治山費は、山地災害を未然に防止し、県土の保全を図るための治山や地すべり防止、保安林の管理や整備などに要する経費であります。170ページをお開き願います。7目林業技術センター費は、同センターの管理運営、試験研究等に要する経費であります。
次に、172ページをお開き願います。5項水産業費であります。1目水産業総務費は、水産関係職員の人件費や水産科学館の管理運営等に要する経費であります。173ページ、2目水産業振興費ですが、説明欄上から七つ目の地域再生営漁計画推進事業費は、県内24漁協が策定した地域再生営漁計画の確実な実行を支援するとともに、新たに漁業者のリーダー等を対象としたセミナーを開催するなど、地域漁業の生産力向上を図ろうとするものであり、その下の高度衛生品質管理型水産物生産加工体制構築支援事業費は、水産物の漁獲から流通、加工までの一貫した高度衛生品質管理のサプライチェーン構築の取り組みを支援しようとするものであります。説明欄中ほどのさけ、ます増殖費は、サケ資源等の回復を図るため、ふ化場に対する技術指導を行うとともに漁協等が行う親魚確保対策や稚魚生産放流の取り組みを支援しようとするものであります。四つ下の栽培漁業推進事業費は、漁協等が行うアワビ種苗放流の取り組みを支援しようとするものであります。次に、173ページから174ページにかけまして、3目水産業協同組合指導費は、組合の指導監督や漁業近代化資金等の利子補給等に要する経費であります。174ページ、4目漁業調整委員会費及び5目漁業調整費は、海区漁業調整委員会等の開催や漁業調整などに要する経費であります。175ページ、6目漁業取締費は、漁業取締事務所の管理運営等に要する経費であり、7目水産技術センター費は、同センターの管理運営、試験研究等に要する経費であります。176ページをお開き願います。8目内水面水産技術センター費は、同センターの管理運営に要する経費であり、177ページ、9目漁港管理費は、県管理漁港施設の維持管理等に要する経費であります。次に、10目漁港漁場整備費の主なものでありますが、説明欄上から四つ目の海岸高潮対策事業費は、新たに防潮堤が必要となる区間について、防潮堤等の整備を進めようとするものであります。178ページをお開き願いまして、説明欄上から二つ目の漁業集落防災機能強化事業費補助は、集落内の地盤かさ上げや、集落道、避難路等の生活基盤整備などを行う市町村への補助であり、その下の漁港施設機能強化事業費は、漁港機能の向上を図る防波堤、岸壁等の整備などに要する経費であります。
次に、大きく飛びまして、231ページをお開き願います。11款災害復旧費3項農林水産施設災害復旧費1目農地及び農業用施設災害復旧費から233ページの6目漁港災害復旧費にかけましては、東日本大震災津波などにより被災した農林水産業施設の復旧に要する経費等であります。
次に、少し飛びまして、239ページをお開き願います。12款公債費1項公債費1目元金のうち、当部関係は2、425万2、000円であり、これは、これまで農業改良資金等特別会計で償還していた国の就農支援資金に係る償還元金であります。
次に、債務負担行為について御説明申し上げます。
議案その2にお戻りいただきまして、11ページをお開き願います。第2表債務負担行為の表中、10公益社団法人全国農地保有合理化協会が公益社団法人岩手県農業公社に融資した資金について元利金の償還がない場合の不足額の損失補償から、13ページの30漁港災害復旧事業までの21件であります。その内容でございますが、公益社団法人岩手県農業公社の事業資金の借り入れに係る損失補償が1件、農林水産業関係の各種資金の融通に伴う利子補給が9件、平成28年度から翌年度以降にわたって施行される工事等に係るものが11件で、いずれも、それぞれ期間及び限度額を定めて債務を負担しようとするものであります。
次に、特別会計予算について御説明申し上げます。
20ページをお開き願います。議案第9号平成28年度岩手県県有林事業特別会計予算は、予算の総額を、歳入歳出それぞれ35億5、570万8、000円としようとするものであります。
21ページ、歳入の主なものですが、1款国庫支出金は、県行造林、公営林の整備に係る国庫補助金で、3款繰入金は、一般会計及び県営林造成基金からの繰入金であり、5款諸収入は、立木処分に係る売り払い収入等であります。
22ページをお開き願います。歳出の主なものですが、1款県有林事業費は、県行造林、模範林及び公営林の維持管理や保育のほか、県債の償還等に要する経費であります。
23ページをお開き願います。議案第10号平成28年度岩手県林業・木材産業資金特別会計予算は、予算の総額を、歳入歳出それぞれ12億2、275万7、000円としようとするものであります。
24ページをお開き願います。歳入の主なものですが、2款繰越金は、前年度からの繰越金を予定するものであり、3款諸収入は、貸付金の償還金等であります。
25ページ、歳出の主なものですが、1款林業・木材産業改善資金貸付費は、林業及び木材産業経営の改善を図るため、林業者等に対し、無利子資金を貸し付けようとするものであります。
次に、26ページをお開き願います。議案第11号平成28年度岩手県沿岸漁業改善資金特別会計予算は、予算の総額を、歳入歳出それぞれ9億2、959万6、000円としようとするものであります。
27ページ、歳入の主なものですが、2款繰越金は、前年度からの繰越金を予定するものであり、3款諸収入は、貸付金に係る償還金等であります。
28ページをお開き願います。歳出、1款沿岸漁業改善資金貸付費は、沿岸漁業の経営改善を図るため、漁業従事者等に対し、無利子資金を貸し付けようとするものであります。
次に、予算以外の議案について御説明申し上げます。
65ページをお開き願います。議案第21号農業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについては、かんがい排水事業ほか10事業の、農業関係の建設事業に要する経費の一部を受益市町村に負担させようとするものであります。
次に、71ページをお開き願います。議案第22号林業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについては、県単独治山事業に要する経費の一部を受益市町村に負担させようとするものであります。
次に、72ページをお開き願いまして、議案第23号水産関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについては、水産生産基盤整備事業ほか4事業の、水産関係の建設事業に要する経費の一部を受益市町村に負担させようとするものであります。
次に、予算関係の条例について御説明申し上げます。
議案その3の155ページをお開き願います。議案第40号岩手県農業改良資金等特別会計条例を廃止する条例でありますが、関係法令の改正により、貸付主体が都道府県から株式会社日本政策金融公庫に改められたことなどにより、新たな貸し付けの見込みがなくなったことから、本条例を廃止しようとするものであります。
次に、161ページをお開き願います。議案第46号森林整備加速化・林業再生基金条例の一部を改正する条例でありますが、これは、現行の有効期限を平成31年3月31日まで延期しようとするものであります。
次に、165ページをお開き願います。議案第50号岩手県手数料条例の一部を改正する条例でありますが、本条例のうち、農林水産部関係についてでありますが、166ページの別表第6中、30の5及び30の6について、法令の改正により、動物用医薬品登録販売者の試験の実施及び同試験の合格証明書の交付に係る手数料を廃止するものであります。
次に、170ページの別表第6中、12の2から12の4についてでありますが、これも、法令の改正により、農産物検査に係る事務や権限が国から都道府県に移譲されるため、登録等の申請に係る手数料を新たに徴収しようとするものであります。
次に、242ページをお開き願います。議案第60号岩手県漁港管理条例の一部を改正する条例でありますが、これは、漁港施設等に係る電柱類などの占用料の額を減額しようとするものであります。
以上で予算関係の議案についての説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇高橋但馬委員長 これより質疑を行いますが、議会運営委員会の決定及び世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
ただいまの説明のうち、第1部農業関係について質疑はありませんか。
〇関根敏伸委員 きょうもたくさんの委員の方の質疑が予定されているようであります。委員長の手をなるべく煩わさないように質問していきたいと思いますので、よろしくお願いします。
大きく2点、お聞かせいただきます。
まず最初に、農業委員会制度が改正されるわけでありますけれども、農業委員会改革の目的と概要はどうなっているのでしょうか。県内市町村でも農業委員会の新制度への移行等が出てきているところもあろうかと思っておりますが、移行の状況、農業委員数、女性、青年の登用の状況、平均年齢の変化等はどうなっているのか、また、県の所感があればお伺いさせていただきたいと思います。
〇前田農業振興課総括課長 農業委員会改革の目的等についてでございます。この改革は、農業委員によります担い手への農地の集積、集約化や耕作放棄地の発生防止、解消などの農地利用最適化を一層推進することを目的としたものでございます。
具体的には、農業委員の選出方法を、これまでの公選制から市町村長による任命制に変更したこと、それから、農地利用最適化推進委員が新たに設置されることなどが主な内容となってございます。
移行の状況についてでございますが、平成28年4月1日から新体制に移行するのは、現農業委員の任期が今年度末で満了となる北上市を初めとして7市町の農業委員会となってございます。これらの7市町については、農業委員の定数条例は既に改正済みでございますが、農業委員の任命に係る議会の同意が、今、各市町で議会に諮られている段階でございます。
また、移行する7市町の農業委員会につきましては、これは聞き取りでございますけれども、7市町の合計となりますが、農業委員の数につきましては、現在、171名で、これから96名とほぼ半減されることになりますが、今後、新たに設置されます農地利用最適化推進委員と合わせますと、現在の農業委員数とほぼ同数以上の定数が確保される見込みでございます。
こうした農業委員の数が半減する中にあっても、例えば女性の農業委員は11名から17名に増加し、また、45歳未満の若い農業委員の数も2名から5名に増加することが見込まれてございます。さらに、農業委員の平均年齢も、現在の63歳から61歳に低下することが今の段階で見込まれているところでございます。
体制移行に向けまして手続は順調に進んでいると考えてございますので、新制度のもとで、農地利用最適化の推進が一層図られるように推進してまいりたいと考えてございます。
〇関根敏伸委員 県は、農業委員会制度の改革に際して国に対してさまざまな要請等も行ってきたと承知しておりますけれども、新制度移行に伴う課題をどのように捉えていたのでしょうか。また、要望の実現状況をどのように考えているのかお聞かせいただきたいと思います。
〇前田農業振興課総括課長 農業委員会の新制度移行に伴う課題についてでございますが、農地利用の最適化などの業務を着実に実施していくために必要な定数、そのための予算の確保などが課題と考えてございます。
このため、平成27年6月に、農業委員会制度の見直しに当たりまして、地域の実情を踏まえた農業委員等の定数の設定あるいは必要な予算を確保するよう、国に対して要望したところでございます。
その結果、農業委員と新たに設置されます農地利用最適化推進委員を合わせれば現状程度の定数が確保されるとともに、農業委員や農地利用最適化推進委員の活動を推進するための農地利用最適化交付金が国において新たに措置されたところでございまして、要望に沿った形で地域の実情に配慮された制度というか、そういう要望が反映されているものと考えてございます。
〇関根敏伸委員 新制度のもとで、まさに農地利用の最適化、耕作放棄地等の発生防止など、農業委員会が果たすべき役割を重点化されていくことになろうかと思っておりますけれども、県は、これに対してどう支援していくのでしょうか。
また、農業会議でありますとか農地中間管理機構等との連携強化が必要になってくると思いますが、この方向性についてお聞かせいただきたいと思います。
〇前田農業振興課総括課長 農業委員会への支援等についてでございます。
まず、担い手への集積、集約化などに向けた農地利用最適化推進委員の方々と、今現在、担い手への農地集積を進めております農地中間管理機構の現地で活動しております農地コーディネーターの方々との連携促進、あるいは耕作放棄地の発生防止に向けた市町村等との密接な連携による現地巡回をしながら、その発生防止、点検をしていくという取り組み強化を支援してまいります。
また、農業会議との連携ということになりますと、農業委員や農地利用最適化推進委員の資質向上に向けた研修をこれまで以上に充実させていくこと、あるいは7市町のほかに平成29年度以降に新制度に移行するところが26市町村ございますので、当面、先行する7市町の状況、課題等も見ながら、それらの26市町村が円滑にその時期までに新体制に移行するように指導してまいりたいと考えておるところでございます。
こうした取り組みで、制度改正の趣旨である農地利用の最適化に向けた活動が現場で効率的に展開されるよう、一層の連携強化を図ってまいりたいと考えてございます。
〇関根敏伸委員 定数については、推進委員等も含めればほぼ同程度が確保されたと。予算についても交付金が措置されたということで、一定のスタートを切る状況が整ったのかと思っておりますが、まさに資質の向上ということが触れられました。人材育成ということが大きなポイントになろうかと思いますので、ぜひ、農業会議等を含めた連携強化をお願いしたいと思います。
2点目、TPPについてお伺いさせていただきたいと思います。
まず、今年度の補正予算、あわせて新年度の予算を通じてTPPの対策予算はどの程度確保されているのでしょうか。TPPを見据えてどのような分野に重点配分をされているのか、あわせてお聞かせいただきたいと思います。
〇中村農林水産企画室企画課長 TPP対策予算についてでございますが、県では、国のTPP関連対策予算に対応いたしまして、今年度の2月補正予算におきましては約41億円余、また、平成28年度当初予算におきましては24億円余、総額65億円余を確保、要求している状況でございます。特に、圃場の大区画化などの生産基盤の整備でありますとか、家畜飼養管理施設や園芸の共同利用施設等の整備による産地の競争力の強化、また、農業機械の導入等によります経営感覚にすぐれた担い手の育成に重点的に配分したところでございます。
〇関根敏伸委員 65億円が確保されているということでございます。
引き続きお伺いいたしますが、県では、昨年10月5日のTPPの大筋合意を受けて、翌日だったと思いますけれども、TPP協定対策本部を設置されたと承知しております。今までの動き、これからの動きや方針はどうなっているのかお聞かせいただきたいと思います。
〇中村農林水産企画室企画課長 TPP対策本部の動きについてでございますが、県では、昨年10月6日に、知事を本部長といたします岩手県TPP対策本部を設置したところでございます。本部員会議はこれまで2回開催してございまして、第1回の会議では、大筋合意の内容について、第2回の会議では、国の政策大綱や想定される本県農林水産業への影響について情報共有し、国への要請等の対応について検討したところでございます。
今後におきましては、国が本年秋をめどに明らかにするとされております国内対策の具体的な内容でありますとか、そうした議論の動向を注視しながら、県の対策本部において情報の共有を図り、さらに必要な分析や対策の検討に取り組みますとともに、国に対して万全の対応を求めてまいります。
〇関根敏伸委員 2回という開催回数については、やや意外な感じがいたしました。
あわせてお聞きいたします。新年度にはTPPの特命課長も配置されるようでありますが、特命課長の具体的な役割をお聞かせいただきたいと思います。
県では、国の12月24日の試算を受ける形で1月に県としての農業等への影響額の試算を発表されたわけでありますけれども、この影響額を試算するに当たり国の基準で試算することになった判断理由は何なのか、また、これについての議論はなかったのか、あわせてお聞かせいただきたいと思います。
〇中村農林水産企画室企画課長 まず、特命課長の配置についてでございますが、TPPが発効された場合に、農林水産物の価格低下でありますとか産地間競争の激化といったものが本県農業に大きな影響を及ぼすことが懸念されてございます。このため、TPP協定に係る国からの情報の収集や本県農林水産物への影響に係る調査分析、あるいは関係団体との調整といったものを行うために、国が実施する農林水産業対策に対応した県の取り組みを着実に進めるということで、今般、特命課長を配置したところでございます。
また、影響試算についてでございますが、試算に当たりましては、TPP交渉の結果、長期の関税削減の期間あるいはセーフガードなどの影響緩和措置が今回設けられたわけでございますが、いずれにしましても、試算の前提に当たりましての不確定要素が非常に多いということもございまして、まずは国の算出方法で機械的に求めたものでございます。
〇関根敏伸委員 この基準を決める際の議論というのはなかったですか、これも改めて聞かせていただきたいと思います。
国の試算の発表等については、さまざまな声が出ているのは当然御承知だと思っております。何にも増して体質強化策を進めることによって生産費のコストが下がるんだ、国内のさまざまな対策によって、引き続き生産や農家所得が確保されるから生産量は維持できるんだという前提の中での試算がされていると承知しておりますけれども、その後、さまざまな報道機関等の動きによって、TPPの関税撤廃の例外規定というのは本来ないのだ、7年後の再協議の規定が盛り込まれているんだといったような事実も明らかになりつつあります。あわせて、国では443の細目についてもしっかり関税等を維持したと発表しておりましたけれども、これらについても事実上解放されているのではないかといったことも今般報道されているようであります。
こういったさまざまな事実が明らかになる中で、農業生産者等を含めた関係者の声をどのように把握しているのでしょうか。また、不安の払拭等への対策をどう考えているのかお聞かせいただきたいと思います。
〇中村農林水産企画室企画課長 影響額の試算に当たりましては、いろいろと試算方法等は考えられるところではございますが、まず、国で出された影響の試算の方法でもって、全国でも早い段階で岩手県が影響試算を公表したという状況にございます。
また、農業関係者の不安の払拭についてでございますけれども、昨年12月に、県では、県の農業協同組合中央会との共催により農林水産省の職員を招聘いたしまして、生産者や農業関係団体を対象といたしましたTPP協定に関する説明会を開催しました。また、農業改良普及センターにおきましても、農業者等に対する聞き取り調査をこれまで行ってきたところでございます。
そうした説明会や聞き取り調査の中では、先行きが不透明でありますとか価格下落に対する不安、将来の担い手を確保できなくなるのではないかといったような懸念の声が聞かれたところでございました。こういった不安の声も聞かれる中で、県としましても、今回、2月補正予算や当初予算で提案させていただいているところでございますけれども、こういった対策にしっかりと取り組んでまいりますし、生産者が将来にわたって意欲と希望を持って農業に取り組めるように、国に対して万全の対応、対策を求めてまいります。
〇関根敏伸委員 県農協中央会と連携して国から説明を受けた、あるいは聞き取り調査も行ったということでありますが、農業生産者の声というものを私どもは直接耳にすることは少ないので報道等によって知るしかないわけですけれども、農業生産者たちが将来にわたって生産意欲をしっかりと維持して取り組んでいく意向を持っているのかどうかということは非常に心配するわけであります。私は、農業生産者等の声をしっかりとした形で拾い上げる、重点5品目の生産者については一定の数のアンケートをとるなりして、具体的などういう意向を持っているのかといったことまで踏み込んだ上で対応を考えていく必要があるのではないかと考えるのですけれども、こういったことに関してはお考えはお持ちでしょうか。
〇中村農林水産企画室企画課長 生産者の皆様はTPPに関して非常に大きな不安を抱いているのは、そのとおりでございますので、現地の機関等を通じましてそういう声を拾い上げますとともに、アンケート調査等につきましては、今後検討させていただきます。
〇関根敏伸委員 いずれ、国の試算の影響額等には、先ほど言いましたが、生産量が維持されるのだという前提の中で、水田や畑の作付面積も減らないのだと。そういったことからさまざまな多面的な経済効果に関しても全く影響はないのだ、損失効果はないんだということも指摘されておりますが、私は、そういったところにまで影響することが非常に懸念されるのでないかと思っております。
この間の農林業センサスによりましても、農業従事者がどんどん減っている、高齢化が進んでいる、農地の集積がなかなか進んでいないといった現状が報道されているものですから、TPPの今後の見通しによっては、さらにこういった動きに拍車がかかることが非常に危惧されるわけでありますので、生産者の声の拾い上げというものはぜひやっていただきたいと思うわけであります。
そんな中で、今回の議論の中でも、この試算に対しての再度の新しい試算もさまざま議論されているわけでありますけれども、県としては、新しい試算の策定について、今、どのように検討されているのかお聞かせいただきたいと思います。
〇中村農林水産企画室企画課長 影響額といったものにつきましては、試算の前提条件によって大きく異なるということでございます。輸入品と競合する国産品がどの程度置きかわるか、あるいはそういう不確定要素も非常に多いわけでございまして、今、国が検討を進めております国内対策、あるいは国会でこれから進めようされております議論、さらには他県でも影響試算をしているところがございますので、そういった試算例等を総合的に勘案しながら、さまざまな角度から分析を進めてまいりたいと考えております。
〇関根敏伸委員 2月25日の本会議の中で、佐々木順一委員の代表質問に答える形で知事が答弁されております。農業団体等の意向も踏まえて検討していきたいと、たしかこういった旨の答弁だったかと思っておりますけれども、今、農業団体等への意向調査といったものは進められているのでしょうか。
〇中村農林水産企画室企画課長 他県の一部の農業団体では、国が何ら対策を講じなかった場合の影響試算を公表しているというのは承知してございます。
岩手県の農業団体等に意向を確認しましたところ、現時点では独自での影響試算をする予定はないと聞いております。
〇高橋但馬委員長 関根敏伸委員に申し上げます。世話人会の申し合わせにより、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう議事の進行に御協力を願います。
〇関根敏伸委員 済みません、冒頭から手を煩わせてしまいました。
最後になりますけれども、少なくとも私が把握している範囲では、農業団体として新しい試算をすることに対しては消極的な方向性ではないのではないかと思っております。これは、県がやるのか、農業団体が独自にやるのかということになれば、またスタンスは違うと思いますけれども、県と農業団体が一体的になって、さまざまな条件あるいは担い手等の意識等も踏まえた再調査を行うことには前向きだろうという感触を私は得ているわけであります。
県が1月に発表したこの試算についても、中間取りまとめと書いてありますから、国のさまざまな施策を見て、しっかり詰めていくということが書き込んであるわけであります。
先ほどの答弁の中で、TPP対策本部も、国の秋の具体的な対応を見据えて動いていきたいみたいなこともあったわけでありますけれども、それでは余りにも遅過ぎるのではないかという印象を持つわけであります。
再度、この点を踏まえて、新しい試算の策定についての動きについて部長の見解をお聞かせいただいて、終わらせていただきたいと思います。
〇小原農林水産部長 TPPの影響でございますけれども、委員からお話がありましたとおり、これは最終の県の試算というものではございません。県としても、どのような影響が生じるのか把握する必要があろうと思ってございます。しかしながら、セーフガードの関係だとか輸入量の増大の見込みというのは県独自ではなかなか見込みがたいということで、前回は国の試算をもとに算出したところでございます。
県としましては、国においてしっかりとした分析、試算を行っていただきたいというスタンスをまずとっております。あわせまして、県におきましても、いわゆるパターン分けといいますか、このような条件であればこのような影響と、いわゆる前提の置き方によって大きく試算が異なるものですから、そういったような実務的な詰めは、今、各担当ごとに作業は進めてございます。
TPP対策本部でございますけれども、秋といいますのは、仮にTPPが国会で承認された場合においては、当然、県の対策本部としても、その対応というのはしっかり打ち出す必要があろうかと思っておるためです。また、国が出します秋の政策に対しては、逆に、その政策を出す前に、農家等の声を十分踏まえながら、引き続き要請活動は行っていかなければならないと思ってございます。
〇佐々木順一委員 関連です。手短でやめます。
独自試算の件です。どういう条件が整えば試算して公表するのか、まず、その条件設定、どういう条件が皆さんの頭の中にあるのか、それをお聞かせいただきたいと思います。
〇中村農林水産企画室企画課長 今回、国は生産量は維持されると言っておりますけれども、輸入が入ってこないというような前提条件になってしまいますが、そういうことは考えにくいわけでございまして、輸入量がどの程度入ってくるかによってどの程度置きかわるか、そういった条件等を踏まえながら考えてみたいと思っております。
〇佐々木順一委員 条件設定はさまざまあると思いますが、一言で言えば決め方の問題だと思います。他県でもやっているわけでありますから、まさか岩手県の農林水産部は能力がないということではないと思います。農家の方々、関係者が実態を把握しないままに議論が進んで既成事実化して、あとは国会で批准されたということは決してあってはならないわけでありますので、そういうことが起きないように、できるだけ早期に独自試算を、JAといろいろ意見交換しながらやっていただきたいと思っておりますが、皆さんとのこれまでの意見交換の中で、岩手県のJAはやる意思はあるわけですか。
〇中村農林水産企画室企画課長 県の農協中央会のほうに確認しましたけれども、現時点では、そういう独自の影響試算をするということは考えていないと回答いただいております。
〇佐々木順一委員 では、もしJAがやる意思がないとなれば、県独自でやる用意はあるわけでしょうか。
〇中村農林水産企画室企画課長 さまざまな角度から影響分析は進めてまいります。
〇佐々木順一委員 もう終わりますが、それでは、組合員あってのJAでありますから、組合員の意向を聞いて、その上で判断されるように、岩手県のJAに皆さんから助言をしていただきたいと思っております。
あわせて、それを言った限りは、皆さんも、こういうときこそパブリックコメントを使って、県民はどう考えているのか、独自試算をやるべきだか、やらないほうがいいのか、それらも含めて県民の声を聞いたほうがいいと思います。この件については、部長、どうですか。
〇小原農林水産部長 先ほど企画課長が答弁しましたが、県独自の試算で一番のネックとなりますのは、どれだけの量が輸入品に置きかわるかと、これがまさに影響そのものであると把握してございます。安い輸入品が入ってくることによって国内価格が押し下げられ、そして生産量が減少すると。国の試算自体は一定の条件はつけてございますが、そうした場合、国におきましても、輸入品と競合する国産品がどの程度置きかわるかということについて試算を行うことが困難だと。我々は国にお願いしているのですが、したがって、国が困難な状況にある中で、県がどのような方法でこれが可能なのかということを、今、内部で議論しているということでございます。
対策に向けましては、JA中央会の話ですけれども、基本的にはJA中央会は独自でやるということを考えていないということでして、試算をやる必要はないという趣旨ではありませんので、これは補足させていただきます。JA中央会としては、やはり今後の対策、対応を重点的に考えていきたいということと、JA中央会自身でも算出がなかなか困難であるということも背景にございます。
県としましては、いずれ、仮にTPPをやろうが、なかろうが、消費者、実需者との結びつきを強化して、輸入品に負けない産地をつくることが求められているものと考えております。
〇高橋但馬委員長 佐々木順一委員に申し上げます。関連質疑は、冒頭に質疑を表明している委員よりも優先して発言を認めているものでありますので、その性格上、関連性の強いもののみ、短時間、簡潔に発言されるよう御協力願います。
〇佐々木順一委員 かしこまりました。
それでは、試算をやるか、やらないか、この1点だけ明確に答えていただきたいと思います。
〇小原農林水産部長 試算でございますけれども、いずれ、いろいろなパターン分けする分析というものは現在も進めております。ただ、それ自体、一定の前提条件ですので、その数字を公表することのいわゆるひとり歩きというものを懸念しておりまして、したがいまして、他の都道府県の状況なりを見ながら、分析、内部での作業は進めてまいります。
〇千葉伝委員 農業全般というと幅が広くなるということで、私からは農業の振興策という点についてお伺いしたいと思います。
まず、全体像を知る上で、農業県を標榜する本県の農業生産額について、直近の品目別生産額、そしてまた農業全体に占める割合をお示し願いたいと思います。
〇小岩畜産課総括課長 まず、農業産出額の作目別割合と畜産部門の畜種別割合についてでありますが、国の統計データによりますと、本県の平成26年の農業産出額は2、352億円となっておりまして、作目別では、畜産が1、410億円で約6割を占め、次いで米が471億円で約2割、野菜が250億円で約1割となっております。
また、畜産部門における畜種別割合ですけれども、養鶏が668億円で畜産部門全体の約47%、続いて養豚が270億円で約19%、乳用牛が246億円で約17%、肉用牛が218億円で約16%となっております。
〇千葉伝委員 今お聞きしたのは農業産業全体の中に占める農業生産という観点で説明があったということでいいですね。
いずれ全体額が2、352億円という中に占める畜産が1、410億円と。そしてまた、1、410億円の中で先ほどの品種別という割合を示していただいた。
農業の中で、本県は特に畜産という部門が6割を占めているという主要な産業と思うところであります。ただ、平成26年は、たしか米の販売額が全国的に落ち込んだというところもあるのですが、いずれにしても半分以上を畜産が占めているという理解であります。
そこで、今度は農業の中の畜産の分野に限ってお聞きしたいと思います。予算の説明書の158ページの6款農林水産業費2項畜産業費2目畜産振興費、和牛オリンピックの関係の事業に関連してお伺いしたいと思います。
平成29年9月、来年、隣の宮城県で開催される第11回全国和牛能力共進会についてでありますが、このことについては、今定例会で我が会派の高橋孝眞委員の質問もあったところでありますが、私自身、今後の岩手の肉用牛振興を図る上で、この共進会は非常に重要な位置にあると考えているところであります。したがって、改めて質問をしたいと思います。
この共進会は5年に1回開催される和牛のオリンピックと称されており、この共進会で上位入賞することは、和牛生産県としての名誉であり、全国に本県黒毛和種の能力をアピールする絶好の機会であると考えております。
御案内のとおり、平成24年10月に長崎県で開催された前回大会では、出品団体表彰で全国第5位に入賞するなど優秀な成績をおさめましたが、まず、この大会で上位入賞することが、肉用牛振興を図る上でどのようなメリットがあるとお考えでしょうか。
また、次期大会は、平成7年の本県での開催以来、東北での20年ぶりの大会となり、加えて隣県ということであり、出品牛の会場への移動負担が少なくなるなど、本県にとって非常に有利であり、全国の肉用牛生産者等に震災後の本県の和牛生産の振興状況を示す絶好の機会であるとも考えております。
そこで、あわせて宮城大会での上位入賞に向けて、どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
〇小岩畜産課総括課長 まず、全国和牛能力共進会で上位入賞するメリットについてでありますが、この共進会では、種雄牛候補の15から23カ月齢未満までの若雄牛から繁殖雌牛、24カ月齢未満の枝肉まで全9区で審査されまして、出品牛の優劣にとどまらず、各県の和牛改良の進度や飼養管理技術など、肉用牛生産全体の実力が評価されるものであります。
このため、この共進会での上位入賞は、県有種雄牛の能力の高さや県産牛肉の品質の高さを県内外にアピールする絶好の機会となり、県内子牛市場における購買者の増加による市場の活性化や、いわて牛の有利販売にもつながるものであります。
また、次代を担う若手、女性生産者などの生産意欲の向上や将来的な肉用牛生産基盤の強化にもつながるものと考えております。
次に、宮城大会での上位入賞に向けた取り組みについてでありますが、まず、前大会で成績が振るわなかった枝肉を審査いたします肉牛の部につきまして、今月上旬にあっせん会を開催いたしまして、20戸の肥育農家が、通常よりも4カ月早く65頭の肥育を既に開始しております。
今後、県、農協などで組織いたします対策協議会が、これらの肥育農家を定期巡回いたしまして、超音波診断装置などを活用いたしました若齢肥育指導を実施いたしまして、最終的に8頭を出品牛として選抜いたします。
また、生体で審査いたします種牛の部につきましては、県有種雄牛と体型や繁殖成績にすぐれました繁殖雌牛との交配によりまして出品候補牛の計画的な生産を行いますとともに、出品候補牛の調教や育成管理の強化を支援することとしております。
こうした取り組みによりまして、先ほどお話がありましたけれども、前回の総合5位を上回る成績をおさめまして、本県が全国に誇れる優良な和牛産地であることを県内外に強くアピールしてまいりたいと考えております。
〇千葉伝委員 いずれ本県の肉用牛振興を図る上において、特に種牛関係、種雄牛の造成ということで、本県はかなり前から優秀な種牛づくりをしてきていると承知しております。
先般、私ども畜産議員クラブの視察ということで種山の畜産研究室を視察させていただきました。そして、種牛づくりに取り組んでいる状況の説明を受け、本物を見て、立派な牛ができているなという思いをしたところであります。そういった牛から生産される立派な牛を活用して、そして、来年の和牛のオリンピックに向けて頑張っていただきたいと思っております。それは本県の肉用牛振興に大きく貢献するということで、農業団体とも連携しながら頑張ってもらいたいと思います。
次に、私もちょっと関係するところでありますけれども、本県の畜産振興に関連し、本県の産業動物獣医師の確保状況等についてお伺いします。
肉用牛振興を図る、あるいはさまざまな畜種もある中で、獣医師の果たす役割はかなり大きなものがあると思っております。社会の中で獣医師が果たす役割は、飼育動物の診療業務だけでなく、家畜衛生業務、公衆衛生業務、動物愛護業務等さまざまな分野に広がっており、我が国の畜産業の健全な発達はもとより、飼育動物の保健衛生の向上及び公衆衛生の向上にも大きく寄与してきております。
特に、食品の安全性確保に対する社会的ニーズの高まり、高病原性鳥インフルエンザ等の感染症対策の強化等を背景に、産業動物獣医師の役割はより一層重要になってきております。
しかしながら、全国的なペットブームを背景に、現状では、卒業者の過半数が小動物診療分野を選択しており、産業動物獣医師の確保が難しくなっていると聞いております。
そこで、まず、本県の産業動物獣医師の現状はどうなっているのか伺います。また、平成3年に創設した獣医学生を確保する大きな働きをしている獣医学生修学資金貸付金の活用状況と今後の産業動物獣医師の確保にどのように取り組んでいくのか、あわせて伺います。
〇村田振興・衛生課長 本県の産業動物獣医師の現状についてでございますけれども、本県に在住している獣医師の数は、平成26年12月末現在で628名であり、うち産業動物診療獣医師が181名、公務員獣医師が131名となっております。産業動物診療獣医師と公務員獣医師を合わせた産業動物獣医師は312名と、本県獣医師の約半数を占めております。
次に、産業動物獣医師の確保対策についてでありますけれども、まず、獣医学生修学資金貸付金の活用状況でございますが、平成3年度から本年度まで60名に貸し付け、これまで卒業した50名のうち37名が産業動物獣医師として県内に就職しております。
産業動物診療獣医師や公務員獣医師は畜産振興に重要な役割を担っており、その確保対策の一層の充実を図る必要があると考えていることから、獣医学生に対する修学資金制度の周知、獣医系大学への訪問と受験勧誘、インターンシップの受け入れを行うとともに、今年度からは、高校生を対象にした獣医師の職業紹介を開始したところでございます。
今後、こうした取り組みをさらに充実させまして、大学と連携しながら、産業動物獣医師の確保に努めてまいります。
〇千葉伝委員 本県の獣医師の数は628人、その中でということでの産業関係あるいは公務員獣医師のお話がありました。獣医師確保が難しくなっているのではないかという観点で私は聞いているわけなので、例えば最近の公務員獣医師に応募してくる数あるいはそれを何人必要で、何人確保されているかとか、どんな状況か、直近で何かわかることがあれば教えてください。
〇村田振興・衛生課長 具体的な数字では申し上げられないのですが、いわゆる獣医師の修学資金につきましては、現在5名の方に貸し付けをしておりまして、うち6年生が2名ございまして、今年度卒業見込みとなっております。この2名につきましては、来年度、県内に産業動物獣医師として就職する見込みとなっております。
〇千葉伝委員 今、急に聞いたからあれですけれども、いずれにしても、公務員獣医師は、産業関係で言えば、畜産の分野もありますし公衆衛生の分野もあるということで、公務員獣医師としての確保を頑張っていただかないと、民間のほうも含めてなかなか厳しいところが出てくると。
以前、県議会でも、公務員獣医師の確保という観点から国に意見書を出したこともあるわけであります。それは、やっぱり単なる獣医師の確保ということではなくて、獣医師としての役割、それから待遇、いろいろなことも含めて国にもお願いするということなわけでありますので、ぜひ獣医師確保に向けて頑張っていただきたいと思います。
次に、また別な観点から、岩手国体の馬術競技における防疫対策についてお伺いしたいと思います。
ことしは希望郷いわて国体の開催年であり、既に冬季大会が終了しておりますが、10月には本大会が予定されております。県内では正式競技として37競技が行われますが、このうち馬術競技は、動物とともに競技を行う唯一の競技であり、全国から約200頭の競技用の馬が本県に集まると伺っております。
本県は馬の産地としても全国有数の地位にあり、農用馬に加えて競争馬も多数飼養されております。こうした中、平成19年の秋田わか杉国体で、馬インフルエンザの流行により、大会期間2日を残して競技が中止されたこともあると記憶しております。
このような状況を踏まえて、馬伝染病の発生防止が国体成功に向けて何よりも重要と考えますが、県は、家畜防疫の観点からどのような対策をとるのか伺います。
〇村田振興・衛生課長 岩手国体馬術競技における防疫対策についてでございますけれども、県は、ことし6月のリハーサル大会開始の2カ月前となります4月11日に、畜産課総括課長を本部長といたします馬事衛生本部を設置し、1日当たり最大50名の家畜保健衛生所職員等を配置して、馬伝染病の発生と蔓延を防ぐ体制を整える予定としております。
具体的には、大会前に出場馬の馬インフルエンザ等の予防接種歴や検査歴を確認するとともに、大会期間中は、出場馬の受け付けと健康検査、入場車両の消毒等を実施することとしております。また、伝染病を疑う症状を示した馬につきましては、隔離をして原因を特定し、伝染病と確定診断した場合は、施設の消毒を行い、蔓延防止を図るなど、防疫対策に万全を期してまいります。
〇千葉伝委員 馬にかかわるという点からすれば、本県は競馬場2カ所を抱えているということで、全国から馬が集まった場合に、しっかりと防疫対策を進めないと、仮に発生すると競馬も中止になるやの懸念もありますので、ぜひ、対策を十分やっていただきたい。それと、先ほどの話ではないですけれども、馬にかかわる獣医師がちょっと不足しているような状況もあるわけでありますので、そういったあたりの監視体制はしっかりと進めていただきたいと思います。これは要望です。
今まで、農業全般の中で特に畜産にかかわる分といったことでお聞きしてまいりました。そこで、最後に、これからの岩手の農業をどうする、こうするというでっかい話について、小原農林水産部長に伺います。先ほど冒頭に、本県の平成28年の基本的な施策は聞きましたけれども、部長になられてから、農林水産の各分野にわたって鋭意頑張ってきていただいていると理解しております。
そして、特に農業生産者、認定農業者等々、直接出向いてお話を聞く機会、懇談する機会をつくっていただいている、このように承知しております。これまで経験したことを踏まえて、本県のこれからの農業振興策という部分で、部長の所見をお伺いしたいと思うんですが、そうすると長くなってしまう可能性がありますので、畜産部門についてのお考えをお示し願えればと思っております。
〇小原農林水産部長 岩手県の農業振興策でございますけれども、御案内のとおり、岩手県の農業は、他産業への波及の非常に大きい裾野の広い産業でございます。やはりこれは、今後とも持続的な発展を図っていく必要があろうと思ってございますし、また、日本の食料供給基地としての役割も引き続き担っていく必要があろうと思ってございます。
私も2年間、いろいろな地域、いろいろな生産者との話し合いの場にも参加させていただきました。感じましたことは、やっぱり若い意欲的な農業者が結構入ってきているということでございます。一方で、いわゆる後継者が不足している地域、将来の見通せない地域という話も聞こえてございます。それらの課題については、地域地域によって異なるかとは思いますけれども、岩手の農業に将来がないと思われますと、入ってくる方も、いわゆる新規参入もありませんし、新たな投資も控えることになりかねませんので、いずれ農業の将来をしっかり見通すことができるような施策を打ち出していきたいと考えてございます。
中でも畜産でございますが、これは、農業産出額の約6割近くで推移してきてございます。雇用の創出も含めまして地域経済に大きな役割を果たしてきてございますので、岩手県の強みであります豊富な自給飼料、これらの活用を図りながら、経営規模の拡大なり生産性の向上など、今後とも畜産振興についても尽力してまいります。
〇高橋但馬委員長 千葉伝委員に申し上げます。世話人会の申し合わせにより、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう議事の進行に御協力願います。
〇千葉伝委員 部長に今の御所見をお伺いしたということで、今後とも御活躍のほどお願いして、私の質問を終わります。
〇工藤勝博委員 私から、農業振興に関して1点お伺いいたします。
国では平成27年度の補正予算で、TPP関連で3、122億円の補正予算を計上されました。そういう中で、特に産地パワーアップ事業で505億円、畜産・酪農収益力強化整備等特別対策事業で610億円を計上されております。
この国の補正予算に対して、県ではどのような対応をなされているのかお伺いいたします。
〇高橋農産園芸課総括課長兼県産米生産振興監 まず、産地パワーアップ事業についてでありますが、この事業は、TPP関連政策大綱の実現に向けた主要施策でございまして、生産、出荷コストの低減や高収益な作物、栽培体系への転換等による収益力の向上を目的として、国の平成27年度補正予算として措置されたものです。
主な事業内容は、米や野菜、果樹等の産地が、地域の営農戦略として定めた産地パワーアップ事業計画に基づき、機械の導入や共同利用施設の整備を支援するものでございます。
本県におきましては、園芸における省力機械やハウスの導入、集出荷施設の整備による経営規模の拡大、生産性の向上に向けた取り組み等を重点的に支援することとして、平成28年度当初予算の強い農業づくり交付金の中に盛り込んでおります。
〇工藤勝博委員 基盤整備のほうでは当初41億円というお話もありましたし、この産地パワーアップ事業を強い農業づくりに充てるということでもあります。先ほど来TPPの話もあります、影響額等々ありますけれども、いずれ産地を強化していかない限りは、農家自体が成り立たないということでありますので、この事業の使い勝手といいますか利用勝手、どういう形で農家が支援を受けるようになるのか、その辺をちょっとお聞きしたいと思います。
〇高橋農産園芸課総括課長兼県産米生産振興監 この産地パワーアップ事業につきましては、ハード、ソフト面がございますけれども、ハード面では特に、例えば低コスト、耐候性ハウスですとか、高度環境制御施設なども対象になってございますし、それから、いろいろな高収益作物のためのいわゆるパイプハウスも対象になっています。
それから、TPP関連でも影響があるということもありまして、果樹、いわゆるリンゴを含めた改植なども対象になってございます。
さらには、いろいろな実証等を行うソフト経費などについても対象となっておりまして、ハード整備につきましては2分の1の補助率になってございます。
このように幅広い分野に活用できるということで、いろいろな分野での活用ができると考えてございます。
〇工藤勝博委員 いずれ今までもこういう事業に対しては、個人ではなかなか活用ができなかったと。法人か団体かということでありましたけれども、今回のこの支援事業はどういう形の支援なんですか。
〇高橋農産園芸課総括課長兼県産米生産振興監 取り組みの主体、いわゆる補助を受ける対象につきましては、地域農業再生協議会が主体となる予定でございますが、そこで作成しました産地パワーアップ計画に基づきまして、その中に中心的経営体として位置づけられている経営体が対象になります。
今、示されているところでは、強い農業づくり交付金と同じように5戸以上必要(後刻訂正あり)というようなことも示されておりますが、詳細な要綱、実施要領等につきましては、今後、国から示される予定となっております。
〇工藤勝博委員 わかりました。それでは、次の質問に行きます。
同じような中身で、いわて地域農業マスタープラン実践事業というものがあります。この事業は、新規就農者や経営規模拡大を行う農業者の主な支援ということでありますけれども、年々先細りになって、この事業予算も削られているのですが、これは、そういう希望が少なくて削られているのか、それぞれの地域から要望があると思うのですけれども、その辺はどのようになっているんでしょうか。
〇前田農業振興課総括課長 このいわて地域農業マスタープラン実践支援事業につきましては、地域からの要望は、使いやすい事業ということもございまして、ニーズは高いものでございます。ただ、県全体の予算推移の中で予算が落ちてきているのはそのとおりでございまして、現在、要望に対して5割程度の交付割合という状況になってございます。
〇工藤勝博委員 5割ということは、かなりニーズが高いというのがわかりますけれども、例えば今度の補正予算の産地パワーアップ事業の国からの予算をこっちに振り向けるような仕掛けというのはできないものでしょうか。
〇前田農業振興課総括課長 機械、施設等を導入できる事業はいろいろございます。その中で、規模の大きいものなり、国の事業に要件が合うものについては、極力国の事業を活用していただいております。規模の点でなかなか国の事業にのれないようなもので、ただ、地域としては担い手育成のために非常に重要な事業だというものについては、市町村が厳選して予算を配分しているところでございます。
例えば国の経営体育成支援事業という個人補助的な事業もございますし、今回の産地パワーアップ事業もございます。地域において、どの事業をどういう方に配分すれば効果的に事業を活用できるかということを十分に話し合っていただきながら、有効な事業活用をしていただくように現地にも話をしているところでございます。
〇工藤勝博委員 いずれそういうニーズ、需要がある部分に関しては、間口を狭めないで、逆に各事業と連携をとりながら、うまく農業者が経営基盤を強化するようにしていただければと思います。
3点目ですけれども、りんどう産地活性化応援事業が平成28年度で終わるということでが、平成26年度、平成27年度の事業効果を捉えてあるのであればお聞きしたいと思います。
〇高橋農産園芸課総括課長兼県産米生産振興監 りんどう産地活性化応援事業につきましては、市場のニーズに対応するため、リンドウの盆向け品種の新植から採花までの収入のない2年間の管理経費に対して助成を行うことにより、盆向け品種の作付拡大を図るものでございます。
当事業によりまして、平成26年度は10市町村で13.3ヘクタール、平成27年度は12市町村で13.3ヘクタールの新植分について助成したところです。
平成28年度は、平成27年度に新植した分の2年目についての助成を行うこととしておりまして、平成28年度以降、本格的な収穫が始まることから、盆向けのリンドウの出荷量の増大を見込んでおります。
〇工藤勝博委員 リンドウの性質上、単年度では収穫できないということはそのとおりです。2年、3年目からでないと収穫、収入にならないわけですので、大変いい事業を取り入れていただいたと思っていますが、需要期は、まだ満足しているとは言えないと思うのですね。実績も上がっていますけれども、これは、ぜひとも継続した形でやっていただきたいと思います。というのも、やっぱり岩手の花の代表はリンドウだと思うし、水田の転作にもかなり貢献しております。そういうことも含めて途切れないような形での支援をぜひお願いしたいと思いますけれども、その辺はどのようにお考えでしょうか。
〇高橋農産園芸課総括課長兼県産米生産振興監 今お話がありましたとおり、リンドウにつきましては、特に中山間地域におきまして、小区画、中区画程度の水田におきましても作付され、非常に収益を確保できる重要な品目だと考えております。
今後におきましても、水田活用の直接支払交付金、産地交付金などでも、これらのリンドウの作付に対しての支援を行うことを考えてございますし、さらには、先ほど御説明しました産地パワーアップ事業の支援導入によりまして、このリンドウの新植について支援してまいりたいと考えております。
〇工藤勝博委員 最後の質問です。農林水産省では2016年、平成28年から、地域に根差している文化を、食文化あるいはいろいろな景勝地等を含めて食と農の景勝地の認定をするということが載っております。岩手県でも、まさに農村の原風景が至るところにあると思いますけれども、それらをどのように活用するのか。せっかくの認定制度です。そしてまた、特にインバウンドの点から、外国人に対する食と農の岩手のよさを発信することは大変貴重だと思います。それらの認定に向けての平成28年度の取り組みをお聞きしたいと思います。
〇前田農業振興課総括課長 ただいまの食と農の景勝地認定制度の質問でございます。
これは、地域の多様な食の魅力を効果的に発信し、農山漁村に訪日外国人を中心とした観光客を誘致していくことを目的に、現在、国で平成28年度の創設に向けて検討されているものでございます。
本県には、例えば一関地域の餅料理であるとか、久慈地域のまめぶであるとか、さまざまな特色ある食文化、料理がございますので、こういった食と農の景勝地の認定は、本県の農山漁村の交流人口の拡大につながるものと期待されることから、地域の認定に向けての取り組みを積極的に支援してまいりたいと考えてございます。
本県の農山漁村地域では、遠野市などで、これまで農村体験モニターツアーなど試験的に外国人旅行客の受け入れを行っておりまして、こうした考えのもとに、県では、遠野市などの先進事例の共有のための情報交換会を行ったり、外国人を受け入れるに当たってのコミュニケーション指導などの技術研修会などを開催したりして支援しているところでございます。
加えて、平成28年度については、グリーン・ツーリズム実践塾というものを開催いたしまして、地域資源を活用した旅行商品の企画、提案など、地域全体をマネジメントできるような人材育成を支援することとしております。
こうした取り組みを通じて、認定を希望する積極的な地域に対しては、十分な支援をしてまいりたいと考えてございます。
〇工藤勝博委員 胆江地方の山居集落とか、景勝地が岩手県には本当にたくさんあると思います。私もたまに葛巻に行きますけれども、ヨーロッパアルプスのスイスのような地形だなと言う方もおります。それらも含めて岩手の発信力を高めていただければありがたいと思っています。
最後に、小原部長には、私は農林水産委員長もやらせてもらい、大変お世話になりました。部長からも、明るい岩手の農村を築くために一言お願いしたいと思います。
〇小原農林水産部長 食と農の景勝地でございますけれども、これは、農山漁村におきます交流人口の拡大なり、あるいはその魅力の発信という意味で、中山間地域の活性化につながる取り組みだと思ってございます。
これの認定に当たりましては、いわゆる実行組織といったようなものも必要になりますので、その組織の意向も踏まえながら、県としてしっかり支援し、中山間地域の発展に結びつけてまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 それでは、私は、先ほど来質疑が交わされておりますTPP関係の質問について、先にお伺いしたいと思います。
先ほど来、関根委員、そして佐々木順一委員から質疑がなされているところであり、私も同感の思いを持っているところでもあります。県が国の試算にのっとって県の影響額をさきに示したということは、私は、早い対応はよいと思うわけですが、その中身において、実態に合うかどうか生産者の不安があるものについては、次の試算を早く出すような取り組みが今求められているとも思います。
そういった中で、試算を出した作物の中で実態に合わないだろうと思われるようなものを現在持っているのか、そういう考えがある作物はどのぐらいあるのかどうか、先にお伺いします。
〇中村農林水産企画室企画課長 TPPの影響についてでございますが、国は、試算に当たり、生産額は減少するものの国内対策により生産量が維持されることを前提にしてございまして、実際の本県への影響額はこれより大きくなるだろうと見込んでおるところでございます。
具体的にどんな実態に合わない生産物があるかについてでございますが、先ほど来お話が出てございますが、輸入品と競合する国産品が仮に置きかわるといった場合になれば、生産量を維持していくことが非常に困難であるわけでございますので、国の試算方法によって試算した場合につきましては、実態とは異なる結果になるものだろうと考えてございます。
〇工藤大輔委員 それをわかっているのであれば、県が判断できるものについての基準で、やはり私は出すものだと思うのですよ。例えば、米については、米全体としてやったのか、輸入品が置きかわるものについて輸入価格と照らし合わせて判断しようとしているのかとか、どういう基準で県の試算を出したのかお伺いしたいと思います。
そういった中で、米の影響額はゼロともしているのですけれども、私は、先ほど言いましたように、業務用として競合する可能性のある県産米については、やはり影響があるんだろうと判断せざるを得ないと思うのですね。また、牛肉においても、国の試算では、乳用種は外国産と競合して価格が下がるとしているわけですが、じゃ、交雑種はどうなのかという、細かいところでどうなのかということの判断を生産者は求めているんだと思います。
TPPに参加することによって輸出ができるだろうということで期待をしている人たちも生産者の中にはあります。ただ、反面、我々が生産しているものについては、明らかにマイナスの影響にしかならないという生産者もいます。そういったところにどう応えていくか、どういう情報を提供するか、そして、どういう生産体制を築かせようとするのかということが、私は大事なところだと思います。
なので、今申し上げたところについて、どのような影響があると考えているのかお伺いしたいと思います。
〇中村農林水産企画室企画課長 まず、米の影響についてでございますが、国は、新たな国別枠の輸入量に相当します国産米を確実に政府が備蓄米として買い入れるとしてございまして、国産食用米の生産量や農家所得に影響は見込みにくいということで、影響額ゼロとしておるわけでございますが、仮に国による万全の対策が講じられず、安い米の輸入がふえて入ってくるような場合、そして流通量が増加した場合には、確かに業務用米を中心に国産米価格の下落といったものが懸念されると見込んでございます。
また、牛肉への影響についてでございますが、和牛並びに交雑種については、外国産と競合する乳用種等の価格下落率の2分の1の割合で価格が下落すると今回計算してございまして、国の試算方法を用いて機械的に試算しますと、本県の交雑種の生産額は約4億6、900万円から9億4、300万円減少すると見込んでございます。
〇工藤大輔委員 それでは、今、交雑種については影響額等もお示しいただいたわけですが、米においても、例えば地域ごとにそれぞれつくられているものがあります。新しく銀河のしずくとか、これから期待できるものもありますけれども、やっぱりいわてっこであったり、どんぴしゃりであったり、業務用として競合するであろうものについては、先ほど、内部でそれぞれ検討はしているとか見ているということの部長の答弁があったわけですが、品種別に見ればどうなのかということについて、その影響についてお伺いしたいと思います。
〇星野県産米戦略監 品種別の影響でございますけれども、これにつきましては、ひとめぼれなり、あきたこまちなり、いわてっこなり、どんぴしゃりなり、それぞれどのような量が業務用に行っているかというのを把握しないことにはと考えてございます。
確かに、いわてっこ、どんぴしゃりは、価格が安いということもありまして、業務用にたくさん行っているという実態がございます。
〇小原農林水産部長 米でございますけれども、国の説明によりますと、TPPによりまして新たに輸入がふえる分については、いずれ全量を市場に流通しないように隔離し、いわゆる業務用にも回らないということでございます。したがって、影響はないとしているものでございます。したがいまして、県が仮に仮定で試算するとした場合は、いわゆる国が措置を講じなかった場合は、こういう影響が見込まれると。
米につきましても、他県で幾つか独自に試算しているところはありましたけれども、全部でたしか5県ほどあったかと思いますが、そのうち、米のみ出しているものが4県あったと記憶しています。その4県は、国が対策を講じなくて輸入米の価格に下がった場合といったような前提をつけてやっております。
したがいまして、今の内部の分析といいますものも、乱暴にはなりますけれども、国が対策を講じなければというような形で内部で計算しているということでございますので、今ここでその数字を申し上げることはできないということでございます。
〇工藤大輔委員 では、国が示している試算の前提条件が今後守られると思っているのかどうか。実際に市場の前提条件で対策を講じたとしても、今までの農業の状況とか米の流通価格であったり、そのとおりにならないというのが今日の状況ではないのですか。それらも踏まえて危機感を持ったところは試算をしたのだと思いますし、それが置きかわった場合どうなのか。だからこそ、例えば品種改良が必要なのか、作物転換が必要なのか、いろいろなことについても、生産者にもやはり考えてもらわなければならないこともあるんだと思います。
いずれ、米についても、国が示した対策があったとしても、私はそのとおりにはならないだろうと思っています。県はそういった認識があるのか、いや、国が示したとおりである、それは間違いないと思っているのかどうかお伺いします。
〇小原農林水産部長 このTPPに関しましては、国の閣議で決定して、政府が責任を持って行うと言っておりますので、責任を持って隔離されるものと認識しております。
〇工藤大輔委員 その中に、国内での消費量の減少がどこまで加味されているのかとか、あるいは輸出がどうなのかとか、私はその辺の情報について把握しておりませんけれども、いずれ国にしっかりと情報開示、その試算の前提となった根拠を示してもらって、県が、県の生産者に対して本県の影響額について提示できるような材料を求めていくべきだと思いますが、お伺いします。
〇中村農林水産企画室企画課長 国の試算の前提に当たっては、米の消費量等については加味してございませんし、輸出についても考慮していない状況でございます。そういったさまざまな部分における影響等も踏まえた影響について、しっかりと国のほうで分析するよう要請してまいりたいと思います。
〇工藤大輔委員 では、先ほど関根委員からの質疑の中でTPP対策本部が2回開催されたということの説明があったわけですが、これからの県のTPP対策本部の活動というか、これから秋に向けて対策が出されるまでこのままなのか、いずれ、これからTPPが実行された場合に向けて、どのような準備をしていくのかということをもう少しわかりやすく説明していただきたいのと、あとは国会のスケジュールをどのように把握しているのかお伺いします。
〇中村農林水産企画室企画課長 対策本部の今後の活動についてでございますけれども、まさに今、国でさまざまこれから議論の展開が始まろうとしてございますが、そういった情報をまずしっかりと把握して、庁内で情報共有し、しっかりとその影響の分析を進めていく、また、分析を進めた上で、県としてどのように今後対応していくのかといったことを検討してまいりたいと思います。
国の動きにつきましては、新聞報道等で出ておりますけれども、検討委員会が今月設置されるという情報は聞いてございます。
〇工藤大輔委員 TPPがそういう形で進んでいけば、本県農業はかなり大きな影響を受ける、そしてまた、影響の多くは、より中山間地で起こるんだと思います。県の農業経営者数の推移を見れば、これは、いわて農業農村活性化推進ビジョンの概要から今申し上げるわけですが、平成12年7万5、936名の農業経営者が、平成22年5万5、347人ということであります。そしてまた、中山間地における70歳以上の割合が、その中で3、500人増加していると。平地は400人増ということで、余りふえていないわけですね。
一方でまた、本県の第1次産業純生産額は、平成19年と平成22年を比較すれば、中山間地では42%の減、平地では27%の減ということで、現在においても、より中山間地において影響があるというのは、この数字でも明らかなわけであります。
ですから、このTPPに対する対策は、やはり中山間地においても十分な準備をしなければなりませんし、また、準備を進める上では、先を読んで、例えば先ほど言った品種改良であったり、他県よりも一年でも早くこのような準備をしていましたよ、このような先手を打っていましたよということをやらなければ、今までの、国から来たお金で、ちょっと増額しながら対策を講じているということのようでは、私はこれからの農政は乗り切れないんだと思います。
ですから、中山間地に対するこれからの県の考え方、対策、そして、今、私が申し上げた農政の将来への危機感についてどのように考えているかお伺いします。
〇前田農業振興課総括課長 委員ただいま御指摘のように、平場に比べますと、現状でもかなり中山間地域は厳しい状況にございます。
こうした中で、どのようにそういう地域の農業振興を図っていくかということでございますが、こうした中山間地域においては、条件不利な農地が多いことから、大規模な圃場整備等は難しいわけですけれども、まずは排水対策などの簡易な条件整備を行い、地域にどういう担い手がいらっしゃるかという状況に合わせて、無理のない農地集積を進めながら、あるいは、さらに生産性向上に必要な機械、施設等の整備、導入を支援し、地域の中心となる農業者の経営強化を支援していくことが必要だと考えてございます。
また、こういう取り組みとあわせまして、若者、女性あるいは高齢者などの多様な方々が参画した、地域特性を生かした新たな品目の導入あるいは産直の運営、農産加工活動など、それぞれの地域のアイデアを生かした地域農業の取り組みを支援していく。そのために、先ほど委員からもお話がありましたが、平成28年度予算として提案してございますいわて農山漁村コミュニティ活性化支援事業といったものを活用して、市町村と連携しながら支援していくことにしてございます。
そうは言っても、なかなか担い手がいないという地域については、より厳しい状況なわけですが、例えば近隣地域との連携によるサポートの仕組み等も今後は検討していかなければならないと考えてございます。
〇高橋但馬委員長 執行部に申し上げます。答弁は簡潔にお願いいたします。
〇工藤大輔委員 それで、これから生産者がどのぐらい減少していくのか、生産額がどのぐらい減少していくのか、年度ごとの予測を立てて、ここまでは下がっていくんだけれども、ここからは反転攻勢の時期なんだと。人数は減るんだけれども、それだけ集約化されて、所得をこのぐらい向上させる時期がここから来るんだということの目標とかを決めて、先を見通して、それらを農業者にも示しながら、ここまでは我慢していこう、ここから反転攻勢、頑張るぞというように、ぜひ生産者と一体となった取り組みを講じてほしいと思います。今そういったものが手元にはないかと思いますので、しっかりと検討していただいて、出していただきたいと思います。
最後ですけれども、県産品の輸出についてお伺いします。
牛肉においては岩手畜産流通センターにおいて輸出可能な食肉処理施設として8カ国、9カ国なのか、認定を取得しながら輸出を着実に伸ばしてきているわけであります。これから、先ほど来申し上げているとおり、TPPの大筋合意も踏まえながら、無関税枠の獲得であったり、関税の撤廃が予定されている国あるいは日本食の評価が高い国への輸出拡大をどのように進めていこうとするのか、来年度の輸出の動向、見通しについてお伺いします。
〇伊藤流通課総括課長兼県産米販売推進監 今年度におきましては、シンガポールやベトナムでセミナーや商談会を開催いたしまして、米や水産物、それから牛肉について強い関心が寄せられたところでございまして、県産農林水産物に対する海外の需要は、非常に高まっているかと考えております。
今回のTPP大筋合意の中では、米や牛肉などの関税が撤廃されるところでございまして、特に関税の削減幅が大きいベトナム、それから、既に輸出実績があり、今後輸出拡大が期待できるアメリカにおきまして、フェア、それから商談会を強力に開催して、さらなる輸出拡大を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
〇高橋但馬委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午前11時58分 休 憩
午後1時2分 再開
〇佐々木努副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
委員各位及び執行部に申し上げます。この後、本日、延べ21人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、くれぐれも質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇小岩畜産課総括課長 先ほどの工藤勝博委員の御質問に対しまして、追加でお答えいたします。
国の畜産・酪農収益力強化整備等特別対策事業の活用についてでありますが、この事業は、畜産クラスター計画に位置づけられました中心経営体に対しまして、牛舎等の生産関連施設の整備を支援するものであります。
本県におきましては、この事業を活用いたしまして、来年度、合わせて215頭飼養できる酪農関係の牛舎など4棟に加えまして、1、740頭を飼養できる肉用牛関係の牛舎など6棟、3、500頭を飼養できる養豚関係の豚舎など7棟、さらに17万羽を飼養できるブロイラー関係の鶏舎など14棟の整備を予定しているところであります。
〇高橋農産園芸課総括課長 午前中の工藤勝博委員の質問に対しまして、産地パワーアップ事業の採択要件を5戸以上と申し上げましたが、ことしの1月20日にこの事業の要綱、要領が制定されておりまして、採択要件につきましては、花卉とか野菜、品目によりまして、原則として面積が要件として定められております。例えば、中山間地の露地花卉であれば3ヘクタールというようなことで、戸数ではなく面積が要件として定められているものでございます。訂正させていただきます。
〇佐々木努副委員長 質疑を続行いたします。
〇菅野ひろのり委員 午前中の工藤大輔委員のTPPにおける輸出について、簡潔に関連質問をさせていただきたいと思います。
先ほど御答弁いただいた中で、これからアメリカへの輸出にどんどん力を入れていくということをおっしゃっておりましたが、他県の状況を見ますと、例えば北海道では、日本で一番大きな輸出専門の施設を3月につくると。あとは、既に九州では、岩手が年間1億円の輸出に対して、10億円ほど輸出していると。また、認定されている施設数も全く違うという現状の課題を抱えていると考えています。
そういった中で、輸出における本県の課題と、今取り組むべき内容というものをどのように捉えているかお聞かせください。
〇伊藤流通課総括課長 輸出の課題でございますけれども、全国的な課題としては、輸出規制という問題がございます。本県の課題としては、本県は、生産量という形では北海道などと比べますとやはり少ないと。そういった部分で物流のコストなどがどうしてもかかってしまいます。また取引先、特に現地では、いわゆる現地なりの商習慣がございますので、そういったところが課題となっております。
国におきましては、今、オールジャパンでの輸出に力を入れようとしております。そういった形での物流の問題、また販路の問題には非常に期待しているところでございますので、私どもは、来年度、全国組織にも入りまして情報収集に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
〇菅野ひろのり委員 先ほど、オールジャパンということをおっしゃっていただきましたが、今、国内の例えば鹿児島県、宮崎県の輸出は産地間の競争が激しくなってきていると。では、仮に本県が取り組んだところで、国内だけではなく、海外へ行ってさらに国内の産地間競争が発生するという中で、非常にそれは無駄というか、大変なことだと考えています。
そうしますと、私は、先ほどもありましたオールジャパンというブランド、和牛というブランドで戦っていく必要があるのではないかと考えているわけですが、国と本県の輸出に対する役割というのをどのように捉えられているかお聞きして、質問を以上とします。
〇伊藤流通課総括課長 岩手県におきましては、東北においてもいち早く輸出に取り組みまして、その成功の一つの要因といたしましては、現地の優良なビジネスパートナーを確保して、岩手県産をぜひ欲しいという相手方を見つけたというところがあります。
ただ、今後拡大していくということになれば、国の先導といいますか、オールジャパンの取り組みがございますので、そういった中でも、岩手の産地なりといったものを理解していただく、そういう人と人とのつながりも強化していきたいと考えております。
〇阿部盛重委員 それでは、私から1点お伺いいたします。
環境保全対策と環境ビジネスの推進で、環境と共生する産地づくり確立事業費についてお伺いいたします。
平成11年公布の食料・農業・農村基本法の中に、農業の持つ物質循環機能を生かし、環境と調和した持続可能な農業生産のあり方として環境保全型農業を位置づけ、行政による誘導推進もされてきております。近年は地球温暖化防止や生物多様性保全に効果の高い取り組みも推進されている現状です。農薬や化学肥料の使用を抑え、自然、生態系本来の力を利用して行う農業として、県も農薬、肥料の低減を推進されてきておりますが、現状はどのような推移で進まれておりますでしょうかお伺いいたします。
〇高橋農業普及技術課総括課長 環境保全型農業の取り組みについてでございますけれども、県では、環境への負荷が少ない補給型施肥技術につきましては、県内の82産地のうち、被災地を含む68産地で導入されています。また、化学肥料、化学合成農薬を5割以上低減いたします特別栽培米は約1万ヘクタールで取り組まれております。
〇阿部盛重委員 現状、そういう状況ですと、取り組み農家が少ないと思いますが、もちろん、いろいろな諸問題といいますか、即できるものではないと承知しておりますけれども、県としても、推進している以上、現状より少しでも前に進む必要があると思いますが、どのような対応をお考えかお伺いいたします。
〇高橋農業普及技術課総括課長 環境保全型農業の取り組みの拡大に向けましては、ただいま環境保全型農業直接支払交付金制度がございます。これは、かかり増し経費を助成するものでございますので、これの活用促進を図るなどの取り組みによりまして一層の環境保全型農業の取り組み拡大を進めてまいりたいと考えております。
〇阿部盛重委員 今の対策以上、今後、2倍の速度で進ませるにはJAとの協力も大事になると思います。JAとの関係は、また、友好関係はどのようになっているかお伺いいたします。
〇高橋農業普及技術課総括課長 特別栽培米等特別栽培農産物につきましては主にJAの産地を中心に作付されているものでございます。また、これの先導の一つといたしまして国でも有機農業の推進に取り組んでいるところでございますが、こういった有機農業につきましても、JAや市町村と連携した水田農業でのブロックローテーションによる大規模なソバの有機栽培の取り組み事例があります。こういった事例等を生産者の皆様に広く普及しながら、JAとともに推進に努めてまいりたいと考えております。
〇阿部盛重委員 安心しました。より密にお願いいたします。
次に、これからの担い手の方々の取り組み推進についてどのようにお考えかお伺いいたします。
〇高橋農業普及技術課総括課長 農家の方々は、皆さん、基本的に環境にやさしい農業をしたいと考えておると認識しております。地域によりまして環境保全型農業に取り組む生産者が、例えば子供たちを対象といたしました学びの場を設置いたしまして、地域に生息する昆虫や水生生物などの生き物の観察会の開催などに取り組んでいるところでございます。こういった広く次の世代にもつなげるような取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇阿部盛重委員 よろしくお願いいたします。
いずれにしましても、化学肥料及び化学合成農薬の低減など環境負荷を低減する取り組みによりまして生物多様性の保全に貢献されるわけですので、最後に部長の御所見をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
〇小原農林水産部長 環境への取り組みについては社会的な事情も大きいわけですし、一方、消費者も安全・安心のニーズが非常に高いという状況にございます。したがいまして、今後とも県でも一層の取り組み拡大を進めまして、本県の環境保全型農業というものを積極的にPRしてまいりたいと考えております。
〇柳村岩見委員 午前中にも質疑がありましたが、いわて地域農業マスタープラン実践支援事業についてお尋ねいたします。
最近の農業では、生産者の高齢化とか、それに伴って栽培面積を縮小する、あるいは廃作するという傾向がある一方、規模拡大をして担い手として大規模での農業経営をしていきたいと志向される方々もあります。その過程でマスタープラン実践支援事業というものが魅力ある事業として、今、農家の方々に理解されているのだと思います。先ほどの質疑で、申請の50%しか対応できていないという姿は、議論はごちゃごちゃになりますが、農業、産業の中にはいわゆる補助金を出すな、出してはだめだよという議論をする方もいます。しかし、農家として大きくなろうとするとき、規模を拡大しようとするときに、いわゆる金食い虫みたいにお金がかかっていく。我々にも経験があるとおり、自分の体が大きくなっていくときに、丼飯を何倍食ったかという時期が、年は別としても、どなたもあると思います。何ぼ食っても腹が減る。
農家も、規模を拡大してやっていくという意欲のある人が金食い虫なわけですが、それでも50%しか申請に対する対応ができていないというのは非常に残念なことでございます。
午前中の質疑もありますから具体的にお尋ねしますけれども、平成27年に県北の町役場を訪問して要望を聞いたときに、うちの地域はメガ農家が5軒あって、お互いに切磋琢磨して、まだメガにならない農家を引っ張り上げていい影響をもたらしてやっていて、いい地域なのですが、この事業の予算が少ないために、この間の申請では30%を切ってお出ししましたと。この予算枠を、柔軟に対応できないかということについて要望がありました。いかがでしょうか。
〇前田農業振興課総括課長 委員御指摘のとおり、ニーズが高い中で、50%程度の割合でしか予算を配分できないという事実はございますが、その中でも、各地域において、この方を次の担い手に育てていこうという合意の中で、精査してその50%を配分しているところでございます。
さらに発展していく段階で、リーディング経営体を育成する事業とか、先ほどの国のさまざまな事業とかがございますので、それぞれの経営体の発展状況に応じて地域で最もふさわしい事業に対してそれぞれ配分しながら、計画的に担い手の経営発展を支援していくという形で取り組んでいくことで、私どもも、事業の整理といいますか、そういった使い分けを含めて、地域と相談しながら進めているところでございます。
〇柳村岩見委員 いずれ、この予算が年々減っております。申請の実績について、前年度なり過去何年間なりの推移を見ながらの予算化であるとは思います。県財政の厳しさの中から、予算が減っていくということもあるのだろうと思いますけれども、私は、こういう部分が農業の伸び代なんだと思うのです。俺はこういうふうにやっていきたいという人がいて、普通は貸し付けですから、いつかはお金を返すという制度が多いですけれども、これは補助金ですから、おあげしますという話で、もちろん限度はありますし、あるいは事業のチェック、種類、それらがあるわけです。確かに、お金はあげてしまうこの手の予算が膨大にあるということはどうなのかということの議論は別にあります。しかし、こういう事業の申請者が多いということは、伸び代の部分、岩手の農業をまだやる気のある人がいるという部分に着目できる話なんだと思うのです。ですから、申請に対して予算が足りなかったら補正予算を組んでやるとか、あるいはまた次年度、優先的にその方を採択するとか、そういうことも含めて、小原部長に、こういう伸び代の部分をこれからどうしていくかということなどの所感をお尋ねしたいと思います。
〇小原農林水産部長 マスタープラン実践支援事業でございますが、その使い勝手もよろしいものですから、ニーズがかなり多いという状況にございます。
これにつきましては、県単独事業で、終期は平成27年度ということでございましたけれども、やはり委員からも御指摘がありましたとおり、非常に要望も強いわけですし、農業の体質強化なり本県農業の発展にも資するということで、平成28年度以降も継続実施ということで、今回予算に計上して提案させていただいているところでございます。
県の基本的な考え方としましては、地域農業マスタープランを基本に据えまして、核となる経営体の育成なり、生産性、市場性の高い産地づくりを進めてきてございますので、その中で意欲ある農業者が将来にわたって安心して経営を持続できるということに向けまして必要な予算を今後とも確保し、関係団体と連携しながら強い地域農業の確立を目指してまいります。
〇千葉絢子委員 私からは、4点お伺いさせていただきたいと思います。
まず、経営体育成基盤整備事業と農業基盤整備促進事業について御質問させていただきます。
経営体が、県や市、土地改良区からの助言を受けて事業申請を行おうといたしました。しかし、ことし申請しても手続に大体5年ぐらいかかると。そして、工事完成は早くて15年から20年後という見通しを立てられて、農家の平均年齢が66歳ということも考えますと、15年後、20年後、果たして自分たちは農家をやっているのだろうか、果たして元気で、担い手ができるのだろうかといった不安の中に立たされている現状がございます。
また、経営体育成基盤整備事業よりも小規模な農業基盤整備促進事業につきましては、予算の縮小により、こちらも農家の見通しが立たない状況になっている。農家の高齢化も進んでいる中で、県は、これらの事業をどのように進めていこうとしているのか、まず、その方針を伺いたいと思います。
〇鷲野企画調査課長 まず、経営体育成基盤整備事業についてでありますが、過去5カ年の新規採択地区では、事業構想への地域の合意形成が図られてから事業採択までの間に、事業計画の策定などに平均で3年を要しております。また、過去5カ年の完了地区では、事業の採択から完了までに平均で約12年を要しております。
県では、圃場整備への予算の重点化やコスト縮減の取り組みにより事業の進捗に努めているところでありますが、全国的な整備ニーズの高まり等により、昨年度から国の予算配分額が県の予算額を下回っておりまして、地域からの整備要望に応えることが困難な状況となっております。
農業者の高齢化が進行する中、本県農業が持続的に発展していくために、水田の大区画化や排水対策などの水田整備が重要であることから、国に対して十分な予算措置を強く求めるとともに、TPPの関連対策予算も活用しながら、おくれている本県の水田整備を計画的に進めてまいりたいと考えております。
〇伊藤農村建設課総括課長 農業基盤整備促進事業についてでありますが、国は、地域の実情に応じたきめ細かな農業生産基盤の整備を行うことを目的としまして、平成24年度に農業基盤整備促進事業を、また、平成27年度には、農地中間管理事業との連携を事業要件とはしておりますけれども、同様の整備を行える農地耕作条件改善事業をそれぞれ創設したところであります。
しかしながら、両事業とも全国からの整備ニーズが非常に多いという中、国の予算が厳しくて地域の要望に対して十分な予算の配分が得られないという状況にございます。
このため、国に対しまして、地域の要望に応えられるように十分な予算措置を求めていくとともに、県単独事業の活力ある中山間地域基盤整備事業─これもきめ細かな整備を行える事業でありますけれども─も活用しながら、地形条件に応じたきめ細かな基盤の整備を進めてまいります。
〇千葉絢子委員 やはり岩手県は地形的な問題もありまして、必ずしも米づくりに適した平地が前提の基盤整備ではないということです。ただ、古くからの農業を守ってきた小さな農村が続いてこそ、現在の岩手の農業が成り立っているということもよくお考えいただきまして、国に対して、なお一層強く要望していただきたいと思っております。
続いて、環境保全型農業直接支払交付金について伺います。
農薬を極力使わず、エンバクを緑肥にするエコファーマーに対しまして、県は現在、1反8、000円の助成金を出しています。健康志向の消費者もふえている中で、農薬の少ない安心なイメージを与えるお米をふやしブランド化を図ることも、これからTPPの発効に伴って、安全なお米を食べたいという消費者のニーズ、多少高くても日本のお米を食べたいというニーズは高いと私は考えております。その農家を元気づけるためにも、そういったことに取り組んでいる農家を振興することにもつながっていくと思うのですけれども、現状、予算はどうなっているのか、また、その増額などについてどのように考えているかお聞かせいただきたいと思います。
〇高橋農業普及技術課総括課長 平成27年度におきまして、環境保全型農業直接支払交付金を活用いたしました取り組み面積は県内で約4、100ヘクタールで、約2億4、000万円余りの交付金が支払われる見込みとなっております。
今後とも交付金の活用促進を図り、環境と調和した農業生産の取り組みの拡大を進めるとともに、消費者に対して環境保全型農業の取り組みが理解されるよう、わかりやすい情報発信などにも取り組んでまいります。
あわせて、国に対しては予算の確保を要望するなど、財源の確保にも努めてまいりたいと思います。
〇千葉絢子委員 続いて、外国人技能実習制度について伺いたいと思います。
全国的に人手不足を補うために外国人の実習生を受け入れています。岩手県でも県北を中心に導入されていますけれども、現在の受け入れ数と、その効果について伺いたいと思います。
その一方で、賃金の不払いですとか実習生の失踪などの問題も全国的には指摘されているところですけれども、この導入について促進していくのか否か、そういった県の考え方、導入に当たっての課題をどのように認識しているかお伺いしたいと思います。
〇高橋農産園芸課総括課長 農業分野の外国人技能実習生につきましては、県北地域のキャベツ、レタス等の大規模農家などを中心に受け入れられておりまして、国の資料によりますと、平成25年度の研修1年目の実習生は156名となっております。なお、実習生は最大3年間の受け入れが可能でございますが、2年目、3年目の実習生の人数については公表されておりません。
県としましては、大規模な農業経営、産地の維持、発展のために必要な制度と考えておりまして、実習生を安定的に確保することが課題と捉えております。このため、制度の目的に沿って適切な技能実習が行われ、実習生の受け入れ拡大や有効な活用につながるよう、関係団体と連携しながら取り組んでまいります。
〇千葉絢子委員 1年目の方は156人と伺いました。実際、こういった賃金の不払いといった問題は今のところ起きてないということでよろしいのでしょうか。
〇高橋農産園芸課総括課長 岩手県内において、賃金が不払いとか、そういうことについては聞いておらないところでございます。
〇千葉絢子委員 また、2年目、3年目に実際どれぐらいの実習生がいるか公表されていないということですけれども、これは、原因としてはどんなことが考えられるのでしょうか。
〇高橋農産園芸課総括課長 国では、全体の職種がありますので、農業分野だけでない職種、例えば水産業とかありますが、そういう全体の数については公表されているのですが、それぞれの詳しい、農業分野とかという分野ごとについては公表しておりません。理由については把握していないところでございます。
〇千葉絢子委員 県でも独自に把握をしたりとか、そういうことも今のところお考えではないということでしょうか。
〇高橋農産園芸課総括課長 実際に県北の産地を支える意味において必要な制度と思っておりますので、具体的な農協管内ごとには、例えば品目ごとにどれぐらいの実習生を受け入れているかということについては調査、聞き取りなどしまして、必要な支援策等があれば検討してまいりたいと思います。
〇千葉絢子委員 では、最後にいたしますけれども、TPP対策についてお伺いしたいと思います。
現在は飼料米の栽培を推進していまして助成金を出していますが、これは平成29年度までの期限がついているということでございます。平成30年度以降どうなっていくのか、農家のほうでは見通しを示してほしいという声があるのですけれども、平成30年以降はどうなっていくのでしょうか。
〇松岡水田農業課長 飼料用米につきまして、国は、平成27年3月に決定した新たな食料・農業・農村基本計画において、平成37年の生産目標を110万トンとしております。この目標に向けて、水田活用の直接支払交付金などの必要な支援をするとしておりますが、30年産以降の助成単価など、詳細は明らかにされていない状態となっております。
〇千葉絢子委員 これは、いつごろ示される予定かというのは内々に決まっているのでしょうか。見通しというのは立っているものなのですか。
〇松岡水田農業課長 県といたしましては、助成水準が維持されること、安定的な制度としていただくよう国に対して要望しているところでございますが、いつごろ明らかにされるかは承知していないところです。
〇千葉絢子委員 これは、例えば国のほうの方針が決まらなくても、県ではこういうふうに取り組んでいくというようなものを早目に農家の方に示すということが、県内の農家にとっても安心につながると思うのですけれども、国のことを待たないとどうしても県内の農家に対して出せないというものなのかと純粋に疑問になってしまうのですけれども。
〇松岡水田農業課長 飼料用米に対する農家への助成金は国から農家へ直接支払われるものでございますので、国において措置されるものと考えております。
〇千葉絢子委員 県内の農家が、TPPだったりとかいろいろな不安を抱えている中での日々の生産活動であるということを念頭に置いていただきまして、何とか農家の方が10年後も20年後も希望を持っていただけるような農業政策を県としてもしっかりと持って御説明していただきたいと思っております。
TPPに関しましては、どんな食べ物が入ってくるか、私たちの口に入る物がどういう生産過程を経ているのか、これは一般の消費者もすごく気にしていることでございます。生産者の顔がわかるものを口にするというのが一番消費者の安心感につながりますので、そういった意味でも、本県は農業県でもございますから、何とか生産者の意欲を失わないような政策を全国にも先駆けて導入していただきたいと消費者の立場からもお願いしたいと思います。
〇工藤勝子委員 私からは、農林水産物消費者理解増進対策についてお伺いいたします。
大震災によって原発事故が発生いたしまして、岩手の農林水産物の販売に大変大きな影響を与えたと思っております。5年が経過しても、消費者への理解というのはそうそう深まっていない現状があるのかと思っているところでもあります。
そういう中において、農作物、林産物、畜産等、水産物もあると思いますが、風評被害となった品目とか、その額について、わかればお示しいただきたいと思います。
〇伊藤流通課総括課長 震災後、牛肉、シイタケ、ワカメなどを初めといたしますさまざまな農林水産物で市場価格の下落、取引の縮小の事例があったところでございます。
牛肉、生シイタケ等については市場価格を回復しておりますが、干しシイタケについては、依然として学校給食において取り扱いが敬遠されていると伺っておりますし、ワカメにつきましても、震災前の価格水準にまでは戻っていないと伺っております。
〇工藤勝子委員 額についてはわかりますか。
〇伊藤流通課総括課長 風評被害の金額が幾らかというのはなかなか難しいところではございますけれども、東京電力に対しまして関係団体が賠償請求をしております。そのうち、風評被害扱いのものに関しましては47億7、900万円を請求して、約88%を賠償していただいたところでございます。
〇工藤勝子委員 そういう中において、今年度も予算を3、000万円ほど増にしていただきました。これは非常に評価したいと私は思っております。まだまだ風評被害があるということで、現在もシイタケ等が回復していないという部分もあると思っていますし、海外においても、中国、韓国、台湾等では、日本産の、特に東北の農畜産物というものに対してはまだまだ理解が深まっていないという部分がありますので、今後とも、こういう形でいろいろとPRとか情報発信していかなければならないと思っているところでもあります。
ちょっと外れるかもしれませんけれども、例えばシイタケ農家の方々ですけれども、遠野市でもこれを機会に─機会と言ったらおかしいのですけれども、もう投資をしないと。山からもシイタケの木が全部なくなってしまって、やめた農家もあります。そういう中において、やめられた生産者をどのぐらい把握しているのか、また、新たに今度はシイタケで頑張るぞと言っているところがどのぐらいあるのか、もしわかりましたならお願いしたいと思います。
〇中村農林水産企画室企画課長 原木シイタケの生産者は、震災前は、正確な数字はちょっと把握はしてございませんが、およそ1、600人ほどおったかと思います。そのうち、今回、出荷制限が1、000人ほどかかってございまして、うち300人ほどが、生産意欲を持って、今、順次再開に向けて取り組んでおられると聞いてございます。
〇工藤勝子委員 出荷解除になった人たちもあります。まだならない人たちもあります。これは把握されていらっしゃいますでしょうか。
〇佐々木努副委員長 工藤勝子委員、今度、2部のほうで。
〇工藤勝子委員 林業関係に入るのですか、わかりました。
では、今の風評被害の関係について、今までも情報を発信されて販路の拡大に努めてこられたと思っております。その効果というものが出ているのでしょうか。情報発信の仕方をもうちょっと変えてみるという考え方もあるのか、その辺のところをお聞きしたいと思います。
〇伊藤流通課総括課長 県では、これまで、首都圏、関西圏におきまして、鉄道広告、生活情報誌等を活用した情報発信に努めてまいったところでございます。今年度、その影響評価というか、インターネット調査でございましたが、岩手県のそういった広告媒体を見たことがあるかと1、000名に調査したところ、首都圏、関西圏の17%の方が見たことがあるという形で評価いただいております。
それから、首都圏、関西圏の有名シェフなどを本県にお呼びし、産地の安全性をPRしていただいていまして、その数は、これまで50名を超える人数になっており、そういう形で首都圏、県外でPRをしっかりと継続してまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 どうぞよろしくお願いいたします。できれば、例えばいわて銀河プラザ等に、販売農家の人たちとか県の人たちが行って、おいしいシイタケをその場で焼いてPRするとか、インターネットを使ったPRのほかに実際に食べていただくというものも計画していただければ、まだまだ広まっていくのではないかという思いがあります。よろしくお願いしたいと思います。
次に、いわて発元気な牛飼い女子応援事業についてお伺いいたしたいと思います。
肉用牛生産や酪農に携わっている女性が、研修会でしょうか、200名ぐらいが一堂に集まって、知事も出席されて激励されたと伺っているところでもあります。
では、どれぐらいの女性が岩手県で牛飼いをしているのか、経営にどのぐらい参画しているのかというところをお聞きしたいと思ったのですけれども、これはなかなか把握が難しいということでございました。
そういう中において、今後も女性がこういう牛飼いに携わっていくことによって畜産業の振興というのが大きく図られていく部分もあるのかと。女性の牛飼いというのは、男性とは違って、非常に細やかな管理とか牛に対する扱いというのは女性ならではのものがあると私は思っておりまして、今後、非常に有効になっていくのではないかと思っております。
そのような中で、こういう組織、ネットワークの構築とありますけれども、1回研修会があって、グループ組織ができるまで事務局体制とまではいかなくても、ある程度のサポートが必要ではないかと思っております。その部分を、各広域振興局なりいろいろな形で連携して、このグループが、自分たちで計画して、自分たちで自立してやっていけるようにしっかりとサポートする体制について、どこまで手を差し伸べてやっていけるのかということをお伺いいたします。
〇小岩畜産課総括課長 女性の畜産経営における参画人数につきましては、先ほど委員がおっしゃいましたとおり、全体の人数の把握は困難ではありますけれども、本事業の対象となりますおおむね45歳までの牛飼い女子につきましては、新規就農者ですとか経営者の配偶者、畜産関係の法人への就業者など660人程度と推定しております。
また、ネットワークの構築などに向けた事務局のあり方については、本事業で活動を支援しております八つの牛飼い女子グループの事務局につきましては、五つがグループの代表、三つが関係する農協となっておりますけれども、全グループとも、広域振興局ですとか農業改良普及センターなどの現地機関がその活動を支援しております。
来年度につきましても、このグループに対する飼養管理技術の向上に加えまして、グループ員の経営管理能力の向上に向けた取り組みも支援することとしています。いわゆるグループの方々が自立できるスキルを身につけていただくような取り組みも積極的に行っていきたいと思っておりまして、こうした取り組みによりまして、次の世代の女性リーダーの育成を図りながら、将来的には、グループ員みずからが事務局を担えるような、みずからが運営できるようなグループ活動のサポートを今後とも強化してまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 どうぞよろしくお願いしたいと思います。
農家においてはいろいろな組織があります。グループもありますし、JAのほうのグループもあります。今、この組織をやめている人たちが多い。では、何でやめるのかと。それは、私たちのようなある程度の年齢に達した人たちもいますけれども、リーダーがつながらないということが大きな課題なのです。リーダーが先頭に立って、やろう、やろうとやっているリーダーがいるうちはいいのですけれども、そこから次の代にかわろうとしたときに、もう私はできないと。これが女性特有でありまして、そうなると、では、やめようかと簡単に組織がばらばらになってしまうことがあるわけです。やはり期待されておりますので、そういうことにならないように、この事業で、ぜひしっかりとしたリーダーがつながっていくような御指導もあわせてお願い申し上げたいと思います。
今、畜産農家で一番不安に思っているのは、先ほどから質問があるように、TPPの関係で自分の経営がどうなっていくのかと。特に小さい畜産農家の人たちは余計そう思っていると思っております。この対策というものも牛飼い女子の皆さんにもしっかりと情報提供していくことをやってほしいという私の思いでありますが、そういうことができるのかどうか。
もう一点、時間もありませんのでお聞きいたしますが、前に高齢者の人たちに牛を貸し付けた事業がありました。牛を借りて、3年間のうちに雌か何かを1頭返せば、その牛が自分のものになったという事業があって、高齢者対策として私も活用させていただきました。
今後、牛飼い女子に対して─さっき600人と言いましたか、この人たちが、もし1頭ずつ繁殖牛を持ったならば、かなり大きな牛の増頭になっていくのでないかと。ですから、こういう事業をもう一度起こしてみようと。貸し付けでもいいですし、今、牛は高いので、3分の1なり4分の1なりを助成して、頑張れよと、そこまでやれる事業になるかどうかお伺いしたいと思います。
〇小岩畜産課総括課長 まず、牛飼い女子への情報提供についてでありますけれども、今年度も、例えばフェイスブック等も使いながら家畜導入に係る情報などをお流ししておりますし、来年度も、牛飼い女子会ですとかフェイスブックを継続する予定としておりますので、このような機会を捉えまして、例えばTPP対策も見据えた規模拡大に対する施策等につきまして積極的に情報を流していきたいと思っております。
また、女性を対象といたしました家畜導入事業ができないかということでありますけれども、これにつきましても、これまで牛飼い女子会員などを含みます生産者に対しまして、牛飼い女子会ですとかフェイスブックなどを活用いたしまして、国や県の家畜導入事業ですとか、放牧資材と繁殖雌牛を同時に導入できるいわゆるレンタカウ事業、これは導入経費の半分補助になりますけれども、このような事業の情報を積極的にお流ししているところでありまして、今後もそのような取り組みは続けようと思っております。
そういう取り組みを通じまして、牛飼い女性が参画する酪農と肉用牛経営の規模拡大を支援してまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 最後にします。
こういう若い女性が地域に残って牛飼いを始める。牛だけではないかもしれません。いろいろな作物も担当しながらやるのだろうと思っていますけれども、こういう人が残るということは、地域に明るい見通しというのでしょうか、非常に元気を与えてくれると思っております。そういう意味で、例えば地方創生事業が地域を元気にしていくという意味になると、このようなことにだって活用できるのではないか。それから、TPP対策においても、国から来ている予算を思い切ってこういうところにも活用できないかということをもう一度聞いて、私の質問を終わりたいと思います。
〇小岩畜産課総括課長 今後の牛飼い、畜産経営、肉用牛経営あるいは酪農経営の中心になり得る女性に対しまして、このような家畜導入事業等を設けられないのかというお尋ねでございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、現在、有効に活用できる事業がございますので、まず、これを紹介して、あとは、その状況を見ながら、どういう形がいいのかにつきまして検討してまいりたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 私からも和牛についてお伺いしたいと思います。
繁殖農家の現状についてでありますが、現在の経営体の戸数と、その規模はどのように推移しているのかお伺いしたいと思います。
〇小岩畜産課総括課長 まず、和牛繁殖農家の戸数と規模についてでありますが、平成27年2月現在の数字になりますけれども、飼養戸数は4、860戸、飼養頭数は4万3、500頭となっております。また、1戸当たりの平均飼養頭数ですけれども、約9頭で、全国の約17頭に比べまして小規模となっております。
〇城内よしひこ委員 そこで、課題としてお伺いするのですけれども、全国平均の約17頭に、岩手の約9頭の壁というのですか、なぜ10頭を超えられないのか。超えるための支援策というのはあるのかお伺いしたいと思います。
〇小岩畜産課総括課長 先ほど申しましたとおり、全国に比べて本県の和牛繁殖経営につきましては小規模である。この小規模であるということは、すなわち生産コストも高くなってしまうということになりますけれども、これが課題だと思っております。
そのためには、小規模経営に対しまして、これまでもやってきておりますけれども、低コスト牛舎の整備ですとか優良繁殖雌牛の導入支援を引き続きやっていきたいと思っております。加えまして、水田などを活用いたしました放牧の推進、先ほど申し上げましたレンタカウ事業などを有効に活用いたしまして規模拡大を図ってまいりたいと思っております。
また、若い担い手につきましては規模拡大意欲が大変強うございまして、こういう若い担い手を対象といたしました巡回指導なども県内10地域で実施しております。この巡回指導につきましては、分娩間隔の短縮などの生産性向上対策などを行っておりますけれども、そういったソフトの部分とあわせまして、規模拡大意欲を有するような経営体について、ハード、ソフト両面から規模拡大を支援していこうと思っております。
〇城内よしひこ委員 私が県議会に来るようになってからもう5年になりますけれども、その間、私の周りの小規模の繁殖農家の方々はみんなやめてしまっています。若い方々が多頭化をしていますが、10頭を超えると、堆肥舎であったり、または牛舎の問題であったり、今は確かに牛の単価も高くて何とか経営は回っているけれども、原材料、餌代も高い中にあって大変苦労しながら多頭化をしている。もう俺は高齢だからといって急にやめる方から牛を分けてもらって多頭化を図ってはいるのですけれども、なかなかその辺もうまく回っていかないという状況もあるようであります。
これからは、あと5年もすると、この状況がもっと加速度的に進んでいくものと私は思っています。ぜひ、若い担い手をしっかりと育成、支援してほしいと思っています。
あわせて言うならば、沿岸部にも牛飼い女子というのはいるのかと思っていますが、私の周りにいないのですけれども、どうなのでしょうか。
〇小岩畜産課総括課長 今、委員からお話がありましたとおり、規模拡大の意欲をお持ちの若い経営者に対して私どもは積極的に支援してまいるつもりでおりますし、先ほどの工藤勝子委員のお話にもございましたけれども、畜産経営におきまして女性の力というのは大変大きいと私は思っております。
それで、宮古地域にそのようなグループがあるのかというお尋ねだったと思いますけれども、実は宮古地域にもございます。宮古地域におきましては、田代おじょ会というものが今年度結成されておりまして、これが、宮古地域以外、県下全域で言いますと8グループも結成されております。来年度に向けては、さらに4グループが新たに女子グループを結成することとしておりますので、宮古地域を含めまして、こういう女性の自発的な取り組みにつきましてもぜひ支援してまいりたいと思っております。
〇城内よしひこ委員 いずれ、沿岸部の農業において、現金収入の一番大きな柱が牛であります。ぜひ、今後ともその支援策は進めてほしいですし、若くて意欲のある方々が頑張っている、そこを支援する、光を当てる、これが行政の仕事だと思いますので、引き続きお願いしたいと思います。
次の質問に移ります。雲南省農業連携調査事業費について伺います。
これまでも雲南省とは連携してきたようでありますが、成果について、まずお伺いしたいと思います。
〇高橋農業普及技術課総括課長 雲南省農業連携調査事業費の成果についてのお尋ねでございますけれども、本県では、平成25年に中国雲南省と友好交流協力協定を締結しております。これまで経済分野を中心に交流と協力を進めてきたところでありまして、農業分野では、平成27年度に初めて雲南省で開催されました農業シンポジウムに参加し、研究者の交流や技術開発状況の情報交換を行ったところでございます。
また、シンポジウムにおきましては、環境保全型農業やリンドウ野生種の遺伝資源利用など、花卉の品種開発に関するテーマについても発表いたしまして、研究成果等を共有したところでございます。
〇城内よしひこ委員 研究成果も共有するということでありますけれども、今後、岩手の農産物が中国雲南省にどういった形で連携というか、物として売れるのか、例えば技術で提供するのか、そういったことというのは今後考えていらっしゃるのかお伺いしたいと思います。
〇高橋農業普及技術課総括課長 今後の岩手県の農業に対するどういう期待があるのかというお尋ねであると思います。
まず、双方で条件の違うところで農業生産に取り組んでおりますので、研究者間の相互協力関係を構築するということで、相手のメリット等をお互いに享受し合うこともできるかと思っております。平成27年度に初めて取り組んだものでございますので、まだ取り組みのスタートラインでございます。将来的には、例えば岩手県の試験研究機関へ向こうの若い方々を呼んで、向こうには岩手県にない遺伝子資源とかもございますので、そういったものを共同研究できるということもあわせて、いずれ、相互発展に向けた学術交流というものを目指していきたいと考えております。
〇伊藤流通課総括課長 ただいま、雲南省への県産農林水産物の輸出のお話がございましたが、現在、中国と岩手県というか、日本の輸出というのはなかなか厳しい環境にございます。米とか牛肉とか、また野菜もそうですが、かなり厳しい、出荷ができない状況でございます。
今後は、そういった規制の解除に向けて国のほうに毎年のように要望してまいりますので、その動向を見ながら取り組みたいと思っております。
〇城内よしひこ委員 今の答弁なのですけれども、まさにそこを私は聞こうと思ったのですけれども、中国は、そのとおり、原発の事故以来、日本の物をなかなか買わないということがあります。そういった中で、中国の方々に言わせると、民をもって官を動かすという話をされております。今、中国も大変な状況で、民間交流というものを大事にしているようであります。そういったことを足がかりにしっかりと交流を深めながら、岩手のすばらしい食材を売り込める、それだけの大きな市場であると思っていますので、ぜひ、安定的な経済活動、交流ができるように頑張ってほしいと思いますが、その辺、今後の見通しとしてあるのかどうかお伺いしたいと思います。
〇伊藤流通課総括課長 例えば台湾とかシンガポールでございますけれども、聞くところによると、例えば台湾ですと9割の方が日本に観光で来たことがある、シンガポールですと7割の方が来たことがあると。この経験が日本食に非常になじんで輸出を後押ししております。中国本土からも日本への観光客がどんどんふえてまいりますので、そういったまさに民間の動きを捉えまして、国と一緒になって、そういった障壁を取り除いていければと思っております。
〇城内よしひこ委員 ぜひ、岩手の食材を中国に売り込めるように、今後とも頑張っていただければと思います。
〇斉藤信委員 私は、TPP協定のその深刻な中身と、余りにもずさんな影響試算の問題についてお聞きします。
TPP協定は、全品目で95%、農林水産物では81%、重要5品目では30%の関税撤廃という協定です。まさに戦後最悪、こんな全面的な関税撤廃の協定というのはなかったのではないかと。WTO協定がありました、牛肉・オレンジの自由化がありましたけれども、それだけに、これが与える影響というのは極めて重大だと受けとめることが必要だと思うけれども、いかがですか。
〇中村農林水産企画室企画課長 TPP協定は、先ほどもいろいろと御質問がございましたけれども、本県農林水産業にとって非常に大きな影響を与えることが懸念されてございますので、関税撤廃は、今、そのよしあしといいますか、議論されております。その考え方、捉え方はあると思いますけれども、繰り返しでございますが、国でしっかり議論していただきたいと考えてございます。
〇斉藤信委員 国会で議論されるのは当然なのですよ。問題は、岩手は農業県なのだから、その農業県がどれだけ大きな打撃と影響を受けるのか、その具体的、実態的な把握を踏まえて国や政府に物を言わなかったら、県の役割を果たせないじゃないですか。
私は、部長に改めて聞くけれども、これは戦後最悪ですよ。こんな協定は今までなかったですよ。これについて国会で慎重な審議を求めるという程度で済むんですか。私は、必要な影響調査もやって、岩手の農業を守るという点でしっかりと国会論戦に反映するように意見を上げるべきだと思いますが、いかがですか。
〇小原農林水産部長 このTPPにつきましては、本県の農林水産業に非常に大きな影響を与えることが懸念されてございます。したがいまして、大筋合意以降、県としては、これまでたびたび国に、詳細な影響の分析と情報の開示、そして十分な対策、加えまして協定の締結に当たっては国会で十分に国民的議論を踏まえた審議を尽くすよう要望してきてございますし、今後も引き続き要望してまいります。
〇斉藤信委員 要望がまだ抽象的なんですよ。慎重な審議を求めるという程度では要望にならないし、国が3年前の試算と全く違うでたらめな試算を出しているわけですから、それに対してきっちりした反論を含めた試算をしなければだめですよ。
それで、協定の具体的な中身について、このTPP協定は全面的な関税撤廃に進んでいく仕組みになっています。重要5品目も除外ではなく例外と。例外というのは関税見直しの対象になるのです。TPP協定第2の4条、現行の関税を引き上げ、又は新たな関税を採用してはならない、第2項は、漸進的に関税を撤廃する、第3項は、関税の撤廃時期の繰上げについて検討するため協議する。具体的には、7年後に関税の撤廃、関税の割り当て、セーフガードについて再協議となっていますよ。
今はごまかしで例外とした。それでも30%、15品目は一気に撤廃になるのですよ。ほかのものも、このTPP協定では、引き上げてはならない、漸進的に関税を撤廃する、関税撤廃の時期を繰り上げるとなっているんですね。
関税が撤廃されたら、政府の試算は成り立たないじゃないですか。そういう協定になっているのではないですか、部長。
〇小原農林水産部長 この協定の内容につきましては、ただいま斉藤委員が質問で申されたとおりと県でも認識してございます。
したがいまして、当然、国会で審議するに当たっては、それらの諸条件も踏まえた議論が必要であろうと考えてございますし、また、国に対しても、なかなか国自身が対策を講じない場合の影響を出すことが、セーフガード等もあり困難であると。こちらも要望しておりますが、いずれ国からは、現在そういう回答が来てございますが、県としては、引き続きそれらも含めて要望してまいります。
〇斉藤信委員 政府の対応は、ごまかして、早くTPP協定を批准するという作戦なんですよ。だから、国民に知られないうちに早くこれを国会で上げたいと。まじめに情報公開しようとか問題点を明らかにしようという姿勢は全くないんですよ。ごまかしてやろうとしている。だから、そこを踏まえて私たちは対応しなくてはならない。
もう一つ指摘しますが、物品の貿易に関する小委員会、農業貿易に関する小委員会が設置されます。いわば小委員会をつくって、この例外をどうやってなくすかという審議がもう始まるのですよ。
もう一つは、現代のバイオテクノロジー生産品の貿易、これは第2章にありますけれども、遺伝子組み換え食品の扱いが貿易促進条項に含まれています。TPPになったら、今、日本は遺伝子組み換え食品は表示義務がありますね。これがTPP協定違反になってしまうんですよ。日本の食品の安全もアメリカ任せと。これがTPP協定の中身ですよ。
私は、どこから見ても、重要5品目は除外または再協議という国会決議に反することは明らかであり、このTPP協定がもし批准されたら、岩手の農業も日本の農業も壊滅的な打撃を受けると。いわば岩手の農業の死活にかかわった問題だと私は思うのですけれども、農林水産部長、どういうふうに受けとめていますか。
〇小原農林水産部長 ただいま質問のありました物品の貿易に関する小委員会、さらに農業貿易に関する小委員会の設置でございますが、これまでも、例えば日本とチリに関するEPAなどにおきましても、これらの小委員会が設置され、そして、そこで審査されていると承知してございます。この小委員会は、いずれTPP協定が締結された場合に設置するということでございますので、あくまでこれは締結後の話と理解してございます。
また、輸入食品の件でございますけれども、国におきましては、TPP協定によりまして、残留農薬、食品添加物の基準、遺伝子組み換え食品等の安全性審査や表示を含め、日本の食の安全・安心に関する制度変更は行われないと説明してございますので、そのようになるものと理解しております。
〇斉藤信委員 小委員会の話で一言つけ加えておくと、EPA協定を14カ国と結びました。WTO協定にも参加しました。全部除外協定があるのです。除外協定がある中での協議なのですよ。TPPは除外協定がないのです。これは国会でも石原大臣がはっきり言いましたが、TPPというのは、そもそも例外なき関税撤廃が大原則ですと。いわば、例外なき関税撤廃という原則で協議されるところに今までの委員会と全然違う中身があるのですよ。TPP協定に参加したら、結局は例外もなくなってしまう。
安倍首相は、再協議に応じると言っているのですよ。しかし、今は合意しないと言っていますよ。アメリカ言いなりの安倍首相が、やるわけないじゃないですか。大体自民党は、TPP断固反対とポスターまで張って、TPP協定に参加したのですから。
本当にそういう意味で国会決議違反は明白だし、農協組合長の92%が国会決議違反だと1月4日の日本農業新聞のアンケート調査で示している。最近しんぶん赤旗も北海道の組合長にアンケートしました。8割が国会決議違反だと。そうでないという人は誰もいませんでした。
私はそういう点で、国会を通ってからではだめなんですから、通らないように岩手県がどのように具体的に行動するか、このことを強く求めておきたい。
二つ目に、余りにもずさんでお手盛りな影響試算の問題についてお聞きします。
2010年の試算のときには経済効果3.2兆円、今回は13.6兆円に4倍にふえた。農林水産業の損失額は3兆円が1、300億円から2、100億円に、20分の1に減ってしまった。これはペテンではないですか。何でこういう試算になるのですか。簡単にその仕組みを言ってください。
〇小原農林水産部長 前回の試算でございますが、これは国が何らの対策も講じない場合の試算でございまして、今回は国が対策を講じた場合の試算と理解しております。
〇斉藤信委員 国の対策は、先ほどありましたけれども、補正予算で3、122億円でしょう。このうち全くの新規は幾らですか。これは今までの対策に毛の生えた程度の予算ですよ。これで戦後最大の関税撤廃に対応できるのですか。対策の中身を言ってください。3、122億円のうち全く新規は幾らですか。
〇中村農林水産企画室企画課長 TPP関連対策3、122億円、このうちの新規はどれかということでございますが、産地パワーアップ事業505億円、また、革新的技術開発緊急展開事業100億円、いわゆる畜産クラスター事業関連610億円などとなっております。
〇斉藤信委員 その程度の対策でしょう。それで、何で米への影響がないとか牛肉への影響がないとかとなるのですか。
私はもう少し立ち入って聞きましょう。大体3、100億円、これは大多数が従来の対策ですよ。それにちょっと毛の生えた程度ですよ。それで今回の関税撤廃に対応できるなんて、あなた方が本当にそう考えていたら、とんでもない話です。
例えば、国内対策でどういうことを前提にしているか。体質強化対策で生産コストの低減、品質向上、経営安定対策などの国内対策で生産や農業所得が確保されると言っているのですよ。これは農家に責任転嫁しているのです。生産コストを低減する、経営安定対策で体質を強化する。これは、農家がそうしなかったら対応できないということですよ。私は、率直に言ってそういう中身になっていないと思いますね。
それで、具体的にお聞きしますが、まず、19品目の農産物と14品目の林水産物に今回の試算は限定されました。野菜、果樹は試算の対象外、重要5品目の調製品も対象外になりました。これは農業生産額の半分近くを占めるんですよ。だから、一部の試算しかされていなかった、そのとおりですね。
〇中村農林水産企画室企画課長 国は、前回の試算と同様に関税率10%以上、また国内生産額10億円以上である33品目を今回対象として試算しております。
〇斉藤信委員 前回は、関税撤廃だから14品目で一定の影響の方向性が示されたんですよ。今回、大体92%が関税撤廃なんですから、みんなわかっているのですから。果樹も野菜も調製品も関税撤廃ですよ。これは農業生産額の4割を占めるんですよ。4割が試算の対象外になっている。これは基本的に関税撤廃。これは大変なことでしょう。
例えば、JA長野中央会が、関税撤廃19品目以外の生産減少額を試算したら74億9、000万円になった。ブドウだけで39億2、000万円、これは大変なことですよ。私はそういう点で、この試算というのは、極めて一部に限定された、全体像を示さないものだと思うけれども、どうお考えですか。答えだけでいいですから、ぱっと言ってください。
〇中村農林水産企画室企画課長 国は重要品目、先ほど来出ております33品目を対象として試算してございますが、それ以外にも、例えば、先ほどお話が出ましたような、それぞれの地域で重要品目と掲げております果実等々もございますので、そういう試算等も必要とは考えております。
〇斉藤信委員 ぜひ、JA長野中央会がやったように、岩手もしっかりやっていただきたい。実はきょうの新聞に、JA秋田中央会の試算が287億円と出ていますよ。
それで、米の影響額が、国もゼロ、岩手県もゼロと、これにみんな驚いているのですね。安い米が入ってくるのに、価格が下落すると言っているのに、何で生産減少しないのですか、所得は守られるのですか。
もう少し言っておきましょう。一つは、毎年8万トン消費が減少しています。生産量が8万トン減少しているんですよ。もう一つは、ミニマムアクセス米の77万トンプラス7万8、400トンの輸入になるんです。既にミニマムアクセス米の10万トンはSBS(売買同時契約)方式で主食用に入っている。今回もSBS米ですよ。これは、輸入された物がすぐに買い上げられるのではないんですよ。市場に入ってからその分を買い上げるだけなんですよ。だから、市場に大きな影響を与えるのです。これで何で生産量も減らない、生産額も減らないということになるのですか。
〇中村農林水産企画室企画課長 国は、新しい国別枠の輸入量に相当する国産米を備蓄米に買い入れるとしておって、その影響は見込みがたいとはしておりますけれども、先ほど来委員御指摘のとおりでございまして、国による万全の対策を講じられず、安い米が入ってくるということになれば、流通量が増加するわけでございまして、業務用を中心に国産米価格の下落は当然懸念されるところでございます。
〇斉藤信委員 きょうの河北新報にJA秋田中央会の参考表で、米は67億円減少すると。これはJA秋田中央会の試算ですよ。青森県も試算していまして、これは24億円減少すると。米は基幹産業なんですから。
そして、備蓄と言うけれども、1万トン備蓄で20億円かかるのです。7万8、000トンだったら156億円毎年かかるのですよ。関税があるから財源があるのだけれども、関税をなくしたら財源は出てこないんですね。こんなことがいつまで続くかと。こういう点でも極めてこれは重大ですよ。
牛肉の問題についても、私は、輸入牛肉で価格下落は確実だと思います。特に乳用種、これは直撃します。酪農家が打撃を受けます。酪農家は2割ぐらいをこの子牛生産で維持しているんですね。酪農家がだめになったら、私は畜産もだめになると思いますよ。
そして、何よりも牛肉の調製品が試算の対象外になっている。牛肉の調製品が多いんですよ。豚肉の場合は、豚肉に衣をつけたカツは調製品ですよ。私はこの影響は極めて重大だと思うけれども、いかがですか。
〇中村農林水産企画室企画課長 先ほど委員御指摘のとおり、本県の主要産業でございます米、畜産につきましては、TPPで、米については先ほど申し上げましたとおりでございますし、畜産関係につきましても、安い牛肉等が入ってくるようになれば、それ相当の影響が出るのだろうと考えております。
〇斉藤信委員 だんだん認めてきたね。
それで、政府の試算の最大の問題は何かというと、今、農業者の置かれている実態を無視していることなんです。70歳以上の農業者が49%に及ぶという高齢化。後継者のいない販売農家が6割。毎年4万戸が離農して、農業機械の買いかえのときにみんなやめていくのです。今でさえこうなっている。米を輸入する、牛肉を輸入する、全面的に輸入する。いわば、農業機械買いかえのときに、みんな離農するのですよ。酪農家は、牛舎の建てかえのときに、もうやっていけなくてやめる。ヨーロッパ並みの北海道の酪農家が、今2割も減少しているんですよ。
私はそういう意味で、今瀕死の状況にある農業、農家の実態を踏まえたら、生産量がゼロとか生産額がゼロとか、こういうでたらめな、ずさんな試算をそのままにしていては絶対ならないと。
それで、ちょっと資料をいただいたんですけれども、きょうの日本農業新聞に、きのう安倍首相に、ノーベル経済学賞のスティグリッツ教授が消費税を上げないほうがいいと言った、とあります。実はもう一つ言ったんですよ。TPPについて、米国での効果はほとんどなく米国議会で批准されないとの見方を示した。米国で批准されないんだったら日本は急ぐ必要はない、こういう指摘ですよ。安倍首相がわざわざ呼んだら、こういうふうに言われたんですね。
アメリカは大統領選挙で、大統領候補はみんなTPP反対ですよ。ここが批准しなかったら、これは成り立たない協定ですね。そういう状況なのに、日本政府があわてて、情報も公開しないで、試算もごまかしてこれを通すことは絶対にあってはならない。
農林水産部長、国のこんなでたらめな試算をそのままにしないで、しっかりと試算をし直して、TPP協定は批准すべきでないと言うことが必要なのではないですか。いかがですか。
〇小原農林水産部長 国の試算につきましては、先ほども答弁いたしましたけれども、セーフガード等がある中で計算が非常に難しいと言ってございますが、県としては、引き続き詳細な影響分析を求めることとしてございます。
〇千田美津子委員 私は3点お伺いいたします。
まず1点目は、日本型直接支払制度の多面的機能支払交付金についてお伺いいたします。
農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律が施行されまして、今年度から恒久対策として実施されているわけですが、この多面的機能支払いには三つありまして、一つが農地維持支払い、二つ目が共同活動の資源向上支払い、そして三つ目が長寿命化の資源向上支払いとなっています。
これらについて、国が当初約束した予算が執行されない事態が起きております。農家は本当に困っているのではないでしょうか。特に長寿命化の資源向上支払いは、私の地元の奥州市の場合、約3億7、000万円を予定していたのが、交付された額は約2億8、000万円、9、000万円も削減されているとお聞きしました。
県はこの現状をどう捉えておられますかお伺いしますし、また、今後の対応策についてもお聞きします。
〇伊藤農村建設課総括課長 資源向上支払いに係る施設の長寿命化の交付の現状ということでございますが、平成27年度の本県の多面的機能支払いの取り組み面積に交付単価を乗じた、いわゆる多面的機能支払いの総額は54億5、000万円余と計算されるわけですけれども、国の予算を上回る全国的な取り組みの拡大といった影響から、国からの配分は48億4、000万円余ということで、約6億円下回っているところでございます。
また、国は、多面的機能支払交付金のうちの農地維持支払いと資源向上支払いのうちの共同活動、ここをまず充足させるという考え方で配分していることから、委員御指摘のとおり、今年度の資源向上支払いに係る施設の長寿命化分への交付額は16億9、000万円余となっておりまして、本来の交付額の74%の配分となってございます。
これに対する対策でございますけれども、多面的機能支払制度につきましては、農業、農村の有する多面的機能の維持、発揮を図るための地域政策として平成26年度に国が創設し、平成27年度には法制化された背景もございますので、国に対しまして、本来の交付額を満額交付するように、引き続き強く求めてまいります。
〇千田美津子委員 国が農地維持、それから共同活動の資源向上のほうを優先させると。全国の取り組みが予想以上に多かったということでこういうことになったということであります。国に対して満額の支払いを要求するのは当然なのですが、それでは、この74%に削減された分は、新年度以降にどのように反映していくのかと。実際、予算を見ますと、今年度、平成27年度交付されたものとほとんど変わらない状況にあります。6億円も削減されているのに当初予算がほとんどふえていないということは、国が実施すればいいのですが、それに対して県の姿勢も、まずこのくらいかということで、進展させるという状況が私は見えないと思ったわけですが、その点お伺いいたします。
〇伊藤農村建設課総括課長 まず、不足額に対してはどのような対応をされるのかということですが、国では、この交付金の支払いにつきましては、同要綱で、毎年度、予算の範囲内で経費を助成するという規定があるということで、本来の交付額を下回る交付もあり得るのだという説明を受けておりますが、先ほどお話しさせていただきましたように、国がその制度をつくり、そして、法制化したという中で、しっかりと対応していただきたいと思っているところでございます。
繰り返しになりますけれども、今後の対応につきましては、国が平成28年度予算の概算決定額を平成27年度と同額で今措置しているというのは委員御指摘のとおりでございますが、そうした中にあっても、しっかり本県の所要額に対して交付してもらえるように、引き続き強く求めてまいりたいと考えてございます。
〇千田美津子委員 国が予算の範囲内で対応していくという方向があるにしても、地域内、集落内では、こうするという方針を決めて計画を立てているわけですね。ですから、このくらい削減されますと水路等の補修が本当に進まなくなるのではないかと。
例えば、ことし削減された箇所については、新年度は優先的にしていくと考えていいのかどうか、それから、来年の対象面積は、そうするとどのように見ておられるのか、その点お伺いいたします。
〇伊藤農村建設課総括課長 まず、多面的支払いの取り組み面積でありますけれども、平成28年度は、農地維持支払いで約1万ヘクタール等の伸びを見込んでおりまして、予算につきましては、全体の交付総額で3億2、000万円余りの増となります約57億8、000万円を見込んでございます。
ことし対応できなかった長寿命化計画への対応ということでございますけれども、これにつきましては、地域において5カ年で長寿命化の計画を組んでございますので、その地域の中で優先順位をつけながら対応していくものと考えてございます。
〇千田美津子委員 5カ年で地域で計画しているとはいっても、やはり毎年年をとっていくわけですから、ぜひ、これは予定どおり交付してもらうように引き続き要請をお願いしたいと思います。
それでは、二つ目に行きますが、農業経営基盤強化促進対策事業に関連して、農地中間管理機構による地域集積協力金交付事業についてお伺いいたします。
この事業は、農地中間管理機構を活用して地域の担い手へ農地を集積する場合に、農地の出し手などに協力金を交付するという事業であります。しかし、この事業の集積要件が途中で変わって、今年度交付対象にならないという事態が発生していると聞いています。
県はどのように把握されておられるかお伺いいたします。
〇菊池担い手対策課長 農地中間管理事業による地域集積協力金についてでありますが、地域集積協力金を含む機構集積協力金の今年度の予算状況は、国からの配分額が約21億8、400万円であったのに対し、市町村からの要望額が約21億9、100万円となり、約700万円の不足となりました。
このため、リタイアする農家への経営転換協力金や農地集積に協力する農家への耕作者集積協力金は要望額を全額配分しましたが、地域ぐるみで担い手への農地利用の集積、集約化を図る取り組みへの地域集積協力金については、要望のあった78地区のうち2地区の配分を見送ったところでございます。
〇千田美津子委員 そうしますと、集積要件が変わったというよりも、国の予算の対応により2地区が未配分となったと理解していいのか。それから、今年度2地区が残されたとしても、新年度はこれに対応してもらうことになるのかどうか。やはりこういうことがあっちもこっちも起きてくると、本当に地域は何をもって事業を進めたらいいか全くわからないことになりますね。そういった点ではしっかりやってもらうことが必要ではないかと思います。
今の点と、もう一つ伺います。機構集積協力金のうち、地域に対して交付する地域集積協力金が、今もお話しありましたが、国の予算配分によって集積前の土地の権利状況に応じて優先順位が付されたと。年度内の集積実績の多寡によって交付対象条件が変わり、機構と契約する年度の違いによって不公平な取り扱いになっていると私は聞いておりますが、どういう現状かお伺いいたします。
〇菊池担い手対策課長 機構集積協力金は、国の要綱において、各県が配分基準を定めることとされているところでございまして、県では、平成26年度から、経営転換協力金及び耕作者集積協力金を優先的に配分して、地域集積協力金は、新たな集積、集約化に資する程度の高い地域に優先的に配分するとした配分基準を定めまして、市町村を通じてこれを周知してきたところでございます。
平成26年度につきましては、要望額が予算の範囲内となったため全地区の配分となりましたが、今年度につきましては、要望額が予算額を上回ったため、結果として、2地区の地域集積協力金の配分を見送らざるを得なかったところでございます。
また、来年度の話でございますけれども、今年度配分とならなかった地域については、来年度に改めて申請することは可能でございますが、それに優先順位をつけるものではなくて、次年度の要望地域と比較の上、予算配分を検討するということで周知してございます。
〇千田美津子委員 そうしますと、予算の都合が、結局は新規の申請と同じということになるわけですね。私は、本当にそれでいいのかとちょっと疑問に感じるわけです。ぜひ、まじめに取り組んでおられる方々に対してしっかり取り組むべきではないかと。県がいろいろ対応できるという説明でしたので、ぜひ、その辺は前向きに対応をお願いしたいと思います。
それでは、三つ目にお伺いいたします。経営所得安定対策等推進事業についてお聞きいたします。
これは、市町村とかJAなどで構成する地域農業再生協議会が今、ナラシ対策などの経営所得安定対策の加入の申し込みとか、あるいは交付申請などの受け付け、確認などの事務を国と一緒になって行っているわけですが、実はこの事務が大変膨大になっていると聞いています。また、地域農業再生協議会が処理する事務に要する経費として国から推進交付金として手当てされているわけですが、事務量が大変膨大にふえているために、本来であれば職員をふやして対応すべきでしょうが、そういうことができないために、大変な職員の事務量の増大になっていると聞いております。
この現状と、なぜこういう状況になっているのか。私は、国の対応が変わってきているためではないかと思うのですが、その点をお伺いいたします。
〇松岡水田農業課長 地域農業再生協議会は、経営所得安定対策に係る事務に加えまして、その時々の農政事務に対応した支援事業等の事務も行っておりまして、事務量が多くなっていると認識しております。
このため、県では、東北六県水田農業政策推進協議会などを通じまして、国に対して、地域農業再生協議会の事務の簡素化や推進事務費の予算の確保等について要請しているところでございます。引き続き必要な要望をしていきたいと考えております。
〇千田美津子委員 これまで地域農業再生協議会がやってきたわけですけれども、私は、この手続は協議会と一緒に進めてきたという国の体制が、撤退するというか、この地域農業再生協議会に丸投げする状況だと伺っているのですが、この点についてはどうでしょうか。
〇松岡水田農業課長 経営所得安定対策等の事務につきましては、従前から地域農業再生協議会が行うものとしております。ただ、農家の選択として、農政局などの国の出先機関に直接申請することもできるものでございます。
制度的には変わっていないところでございますけれども、いずれ地域農業再生協議会にとっては重い事務になってきているかと感じているところでございます。
〇千田美津子委員 現実問題は、事務量の大変な増大となっていると聞いています。
それでは、この推進交付金は、本当に各市町村が十分に対応できるだけのものが交付されているのかどうか、その現状についてお伺いいたします。
〇松岡水田農業課長 本県には2億円余の交付金が配分されておりまして、これを各市町村の要望に応じて配分しているところでございます。
昨年までのところで申しますと、例えば市町村への配分額が2億2、300万円余でございまして、このうち実績が1億9、600万円余ということで、市町村に交付決定しており、使い切れていない状況でございまして、上手に使っている市町村と、そうではない地域協議会があるという現状にございます。
〇千田美津子委員 市町村の対応の仕方だということになるのかもしれませんけれども、私は、やっぱり市町村の現状が大変だということで、これらの改善もお願いしたいと思います。
私は、きょうのこれまでの質疑の中でもあったと思いますが、国は能率、効率あるいは農地集積を声高に言っているわけです。しかし、まじめに取り組んでいる農家や組織に対して、約束をして進めてきたにもかかわらず、予算より多いから削減すると。これがいろいろな部分で起きているなということを改めて私は痛感しています。
これからTPP対策などでもいろいろなことが出てくるのかもしれませんし、必要な予算化をするとは言っておりますけれども、私は、きょう指摘した事業の中でも、予算より取り組みが多かったから実際に削減されています。それで地域は困るわけですね。一つ一つの協議会は大変な話し合いを重ねて計画を立てています。しかし、最終的に国の予算の削減でそれらが実行できなくなったら、いつできるかわからない。そういうことが農家を苦しめている現状があるなと私は思っています。
ですから、本当に国がしっかり農業を守って頑張っていく気があるなら、この予算もしっかりつける必要があると思いますが、今の国の農業関係の予算に対して農林水産部長はどのように考えておられるかお聞きして、終わりたいと思います。
〇小原農林水産部長 今回御指摘いただきました多面的機能支払交付金なり、あるいは農地中間管理機構の地域集積協力金は、やはり国がつくった制度でございますので、国がしっかり予算措置することが絶対条件だと思っております。また、そうしないことには、委員から御指摘ありましたとおり、その制度全体に対する不信感につながると考えてございます。
したがいまして、今後も国に対し、このような地方の実情を強く訴えながら予算の確保に努めてまいります。
〇臼澤勉委員 農業振興においては、米、畜産、園芸が3本柱と認識しておりますが、私からは、このうちの米と園芸についてお伺いいたします。
まず、米のオリジナル品種の出口対策について。まさに出口戦略こそが、このオリジナル品種の販売戦略の最も重要なポイントかと認識してございます。それで、以前、決算特別委員会の総括質疑でも、過去のオリジナル品種ゆめさんさ、かけはしのことについて聞きましたが、今回、販売戦略の検証はどうだったのかお伺いします。また、銀河のしずく、岩手118号の出口戦略をどう組み立てているのか、激しい産地間競争の中、どう取り組んでいくのかお伺いします。
〇星野県産米戦略監 まず、ゆめさんさ、かけはしの販売戦略の検証でございますけれども、かけはしについては業務用米として、ゆめさんさにつきましては量販店での販売用として、新たな取引先の確保に取り組んできたところでございましたけれども、かけはしではいもち病に弱い、ゆめさんさでは高温障害が発生するといった栽培面の課題を抱えまして、販売戦略を着実に推進するためには、消費者等から支持される高品質な米を安定的に生産することが重要であると判断しております。
そこで、新品種の出口対策でございますが、いずれ銀河のしずく、岩手118号につきましては、国内トップレベルの品質と食味を確保しまして、消費者や実需者から信頼をかち取ることが必要です。
そのために、先般作成しましたいわてオリジナル品種ブランド化戦略に基づきまして、品種の特徴が最大限に発揮できるよう、場所、人、そして栽培方法を厳守するといったこと、さらには、収穫した米については食味計を活用しまして、一定の品質を満たした米だけを出荷するというような品質管理を徹底していくこととしてございます。
〇臼澤勉委員 本県のお米は、平成27年産米の食味ランキングも、銀河のしずく、そして県南ひとめぼれ、県央のあきたこまちが特A評価ということで、非常に高い品質を持って、生産者の方々の御努力、そして普及員指導の体制、本当に評価します。
そういった意味でも、他産地プレミアム米との競争が本当に激しくなってございます。この難しさは、私も経験上そこら辺は存じ上げておりますけれども、ぜひここの出口確保対策、マーケットイン、ユーザーインの視点で一つ一つ積み上げていっていただきたい。
次に、園芸振興のほうに移ります。生産性、市場性の高い園芸産地づくりの推進に向けて、その現状と目指す姿をどう捉えて、そのギャップに対して来年度以降どう取り組んでいこうとお考えなのか、まずお聞かせいただきたいと思います。
〇高橋農産園芸課総括課長兼県産米生産振興監 本県の園芸の主要品目でございますが、平成26年度の栽培面積は、平成24年度と比較しまして、レタスでは増加しているものの、キャベツ、リンゴは横ばい、キュウリ、ピーマン、リンドウでは減少してきております。
このような状況を踏まえまして、県といたしましては、まずは担い手の確保、育成に向け、規模拡大を志向する若い生産者を対象とした研修会を開催しますとともに、経営の規模拡大に向けた施設の団地的整備、それから省力機械の導入支援、さらには、リンドウやリンゴの品種開発などに取り組んできたところでございます。
平成28年度につきましては、これらの取り組みに加え、高規格ハウスの整備による長期出荷や収穫機械等の導入による規模拡大を図るとともに、ICTを活用した生産性の向上や労働環境の改善など、生産のイノベーションの取り組みを支援することにより、本県の園芸産地力の一層の強化を図ってまいります。
〇臼澤勉委員 午前中も、本県全体の農業生産額の中で、今、畜産が6割を占める、米は2割という中で、実はこの園芸振興がすごく大事なポイントだと私は認識してございます。最近ちょっと園芸のあれが少し薄くなっているような印象を持っているものですから、そこをぜひ進めていただきたいと。
それで、被災地における園芸産地の取り組みについて、話を変えてお伺いします。
今、復興のシンボルとしていろいろ被災地でも新たな取り組みが生まれております。ただ、一方で、隣の県というか、ほかの県では、例えば植物工場が経営破綻したという、震災後、新たな復興のシンボルとして期待されている中で導入されたんだけれども、やはり出口対策がうまくいかないで失敗したという事例なんかもあります。
例えば陸前高田市では、民間とか農業研究センターの南部園芸研究室、JAとかが一緒になって太陽光型の植物工場の誘致を成功させて、今、周辺地域に大規模施設園芸団地が形成されているということで、私はそこはすごく評価いたしますし、当時の普及センターの所長も、本当に一生懸命になって市と団体と協力して取り組まれていたと。
そういったところで、この沿岸被災地でそのような新たな園芸振興の取り組み状況がどうなっているか、現状、課題、今後の取り組みについてお伺いいたします。
〇高橋農産園芸課総括課長兼県産米生産振興監 県では、震災の被害を受けた沿岸地域の農業復興を進めるということで、国の交付金等を活用しながら、園芸品目の導入や施設園芸団地の形成などの取り組みを進めてきたところでございます。
今、委員から御指摘のありましたとおり、新たな取り組みとして、陸前高田市においては、ドーム型ハウス、それから高規格ハウスを活用した大規模な施設園芸団地の整備を支援してきております。また、大型スーパーや産直施設の立地もありますことから、生産機運が高まっている地域もあります。そのようなことから、地場消費に対応した地域づくりについても取り組みを進めてきております。
課題につきましては、この大型の施設園芸団地におきましては、まだ始まったところではございますが、やはり目標の収量を確保することが課題になっております。
地場消費向けの対応としましては、多品目、それから周年的な出荷ということで、品ぞろえなどの確保が課題となっております。
県としましては、今後、市町村や関係団体とも連携しながら、このような取り組みがモデルとなりますように、各取り組み主体に応じた技術や経営など、きめ細かな指導を行ってまいります。
〇臼澤勉委員 その被災地においても、農業振興、特に園芸、温暖な気候を活用した取り組みが非常に期待されております。
それで、被災地の農地の生産基盤の復旧、整備状況について、今の状況をお伺いしたいのが一つ。それから、生産の回復あるいは担い手の確保、育成においては、私は農業改良普及員の活躍が非常に期待されていると思ってございます。復興におけるこれまでの普及員の活動実績と今後の取り組みについてお伺いいたします。
〇伊藤農村建設課総括課長 まず、沿岸被災農地の復旧、整備状況についてでありますが、被災農地725ヘクタールのうち、既に転用済みの農地を除きました復旧対象農地683ヘクタールのうち、市町村のまちづくり計画などとの調整が必要なためにまだ工事に着手できない172ヘクタールを除きました511ヘクタールで、まず復旧を進めておりまして、平成28年4月までに482ヘクタールを復旧する見込みとなってございます。
〇高橋農業普及技術課総括課長 被災地における普及員の活動実績と今後の取り組みについてでありますが、普及センターでは、沿岸被災地の早期営農再開を図るため、農家の営農意向を確認し、作付を誘導する一方、作付できない農家に対しては、作業委託等の調整を図ってきたところでございます。
その結果、復旧農地の約9割で作付が再開されるとともに、新たに九つの営農組織が設立されたほか、地場消費向けの園芸生産など、営農再開が進んできていると考えております。
また、陸前高田市の工房めぐ海など、農産加工組織に対しては、被災直後から加工施設の再建、そして、会計管理に至る一連の支援を行い、早い組織は平成23年度内に経営再開を実現しております。
今後とも、市町村等と連携し、まずは農業者のニーズをきちっと踏まえながら、担い手が希望を持って農業に取り組み、なりわいの再生が図られるよう支援していきます。
〇臼澤勉委員 先ほど来TPPのお話とかもございました。私は、新たな農業の未来を考えたときに、この岩手県の食料供給基地の確立に向けては、まさに今こそ農林水産部といいますか旧農政部普及員あるいは農業研究センターを含めて、これは一枚岩になって取り組む必要があると思ってございます。
まさに、岩手県は全国に先駆ける食料供給基地としての使命を持って取り組む必要があると思ってございますが、今、この農業改良普及センターや農業研究センターは何が求められ、今後の普及員の育成をどのように行っていくお考えかお伺いしたいと思います。
20年前に普及員の人数はどの程度あって、今どうなっているのか、これもあわせてお伺いいたします。
〇高橋農業普及技術課総括課長 食料供給基地としての責務を果たすためには、農業改良普及センターにおきましては、産地の核となる経営体の育成や産地づくりなどの支援が求められており、そのため、農業改良普及センターでは、経営ビジョンの策定とその実現に向けた農地の集積などに取り組んでいるところでございます。
また、農業研究センターにおきましては、高品質な農産物の効率的な生産技術や新品種の開発などが求められており、マーケットインの視点に基づき研究開発に取り組んでおります。
農業改良普及員でございますけれども、このような地域の課題に的確に対応するためには、やはり専門性の高い知識と技術力、そして専門家との連携などのコーディネート力が求められており、資質向上に向けた研修体系の充実を図っているところでございます。
20年前の普及員の数でございますけれども、20年前は17普及センターと22駐在に285名を配置しており、その後、農業改良助長法の改正によりまして県の必置規制が廃止になりました。今は9普及センター、4サブセンターに205名の普及員を配置してございます。
〇臼澤勉委員 私は、今こそ本当に問われているというか、今ここを頑張ってほしいといった期待を込めて、ぜひ、現場を歩き、そして、農家の所得向上に向けて、新たな品目も含めて─今、歩いていると、普及員の方が海外からの新たな品目の提案とかも含めて頑張っているという声をよく聞きます。そこら辺、産地化に向けた取り組みとか、岩手ならこれというものをぜひぜひ育てていっていただきたいと思います。
最後になりますが、私、キーワードは健康かと思っているんです。医食同源という言葉がありますけれども、農林水産部としても、今後、農産物の生産、普及を考えていく上では、健康をテーマとした、例えば医療や福祉、農業との連携や6次産業化の取り組みなど、健康が意外とキーワードになってくるかと思います。
最後に、ここら辺の取り組み状況と御所見をお伺いして、終わります。
〇伊藤流通課総括課長兼県産米販売推進監 健康をテーマに、県産食材を活用して商品化を進めるなどの6次産業化の取り組みは、まさに最近の消費者ニーズにマッチした大いに期待できる取り組みと考えております。
これまでも、県におきましては、ヤマブドウとか雑穀とかを活用しました健康志向の商品開発を行う事業者につきまして、商品の開発とか販売などを支援してきたところでございます。
矢巾町におきましては、現在、地域関係者が一体となって、減塩をテーマとした地域ぐるみの取り組みなども行っておりますので、こうした取り組みなども大いに支援してまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 当該委員ですが、一つ簡潔に質問させていただきます。
畜産、酪農に携わる女性たちに焦点を当てた、いわて発元気な牛飼い女子応援事業について、こちらは平成27年度、今年度から取り組まれました。先ほど工藤勝子委員からも質疑がありましたけれども、この事業では、日々の牛の管理に加え、家事、育児と、なかなか家を離れて活動する機会が少なかった牛飼い女性たちを表舞台に引き出すきっかけとなり、また、テレビや情報誌で牛飼い女性の活躍が紹介されるなど、私もこの事業については注目していたところであります。
平成28年度の当初予算では、平成27年度の479万円から900万円余りに増額されておりまして、今後の事業展開にも期待が持てるものでありますが、平成27年度の取り組み状況と、平成28年度はどのように事業展開していくのかお伺いいたします。
〇小岩畜産課総括課長 いわて発元気な牛飼い女子応援事業についてでありますけれども、今年度は、飼養管理技術の向上や畜産物の高付加価値化などに取り組みます8グループ、167名の活動を支援したほか、牛飼い女子会の開催や県内外の情報誌による各グループの活動紹介、フェイスブック牛飼い女子いわてなどに取り組んだところであります。
また、去る3月10日に開催いたしました第3回牛飼い女子会には、知事みずからが御出席されまして、約200名の地域や世代を超えた牛飼い女子を激励していただきました。
今年度の成果ですけれども、まず、二つのグループが自家産生乳を用いたカッテージチーズや牛すじ肉の水煮などの試作品を完成させたこと、また、小学校に出向いての酪農出前授業の実施や女子会などを通じて地域を越えた交流が促進されたこと、さらに、新たに四つの女子グループが設立予定であるなど、県内各地で牛飼い女子の活動が活発になってまいりました。
来年度ですけれども、先ほどの8グループに、新たな四つの12グループ、これに、さらに農業高校や農業大学校の女子学生グループを加えまして、料理コンテストや我が家の牛飼い写真コンテストなどの開催、さらに、グループが開発した加工品などの販売を目的に牛飼い女子マルシェを開催することとしておりまして、こうした取り組みを通じまして、牛飼いに携わる女性の働きやすい環境づくりを進めながら、女性の積極的な畜産経営への参画や若い女性の畜産への就農を促進してまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 私も情報誌、テレビ等でも見せていただいて、本当に今後、また来年度もさらに期待するところでありますが、そこで、来年度にぜひ検討していただきたいと思うところがあります。
先ほど、高校生や農大生にも広がるということで大変いい取り組みだと思うのですけれども、毎年いわて牛の集いというものが東京でありますが、私もそうですし、議員の皆さんでも参加される方がたくさんおります。その参加される方に、男性の生産者が多い中で、牛飼い女子という活動がありますよというのをそこで紹介していただくのも、東京の市場の皆さんに注目していただくきっかけになるのではないかと思いますので、ぜひ、そういったところも加えていただきたいと思います。
二つ目は、岩手町と紫波町と宮古市のグループでは、既にユニフォームをつくられて活動されている一方で、来年度、県全体でもアパレル関係に力を入れていくので、そういった県内の企業にお願いしてユニフォームをつくると、ほかの業種の方々も牛飼い女子のことをわかっていただくきっかけにもなると思います。もしおそろいのユニフォームをつくる際には、そういったところにも目をつけていただきたいと思います。
もう一つ、最後に、これは今月発売の日経ウーマンの情報誌の中でも牛飼い女子のPRがされていて、大変いいなと思っておりました。この中に高橋孝眞委員の娘さんも入っていまして、すばらしいなと思っています。ぜひ、今後広報する際の取り組みの中で、実際に高橋孝眞委員の娘さんは、Uターンされて岩手にいらっしゃっているので……。
〇佐々木努副委員長 吉田敬子委員、簡潔にお願いします。
〇吉田敬子委員(続) そういう女性にもっと、プラスアルファで新規で入ってもらい、牛飼い女子を盛り上げ、U・Iターンの促進になるような広報の仕方もやっていただきたいと思います。先ほど千葉伝委員からは、産業動物獣医師の確保についてのお話がありましたが、そういった獣医師も、岩手で牛飼い女子が頑張っているとなったら、岩手で獣医師として活動したいなと思うきっかけにもなるかと思いますので、そういった多方面に視点を当てて広報、PRしていただきたいと思いますが、最後に御所見を伺って、終わりたいと思います。
〇小岩畜産課総括課長 ただいまさまざまな貴重な御意見を頂戴いたしましたので、来年度に向けまして、これをぜひ取り組むような形で前向きに検討してまいりたいと考えております。
〇佐々木努副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木努副委員長 質疑がないようでありますので、これで第1部農業関係の質疑を終わります。
この際、世話人会の申し合わせにより10分間程度休憩いたします。
午後3時3分 休 憩
午後3時22分 再開
〇高橋但馬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
次に、第2部林業、水産業関係について質疑はありませんか。
〇伊藤勢至委員 発災から早いもので5年が経過いたしました。三陸沿岸の基盤産業であります水産漁業は大変大きな被害を受けたわけでありますが、この間、まさに県庁一丸となってこれの対応に当たってきていただきましたことに、改めてお礼を申し上げるものでございます。
発災当時、岩手県はいち早く復興計画を立てていただきました。これに倣い、被災した12市町村もそれぞれ復興計画を立てたわけでありますが、早いところで3カ月、遅いところでは6カ月というタイムラグがありましたが、岩手県のいち早い復興計画が、今もなお、いい意味での復興を加速していると思っております。
主な被災地は沿岸でありますので、当然、基幹産業は水産漁業であります。漁船漁業をやるにしても、養殖漁業をやるにしても、その基盤は漁港にあると思っておりますが、当時、111カ所ありました県内の漁港のほとんどが被災しました。岩手県は、復興計画を立てた流れの中で、全漁港を修築するという方針を明確にいち早く打ち出していただいて、皆さんが日夜頑張っていただいてきたものと思っております。
そこで伺いますが、現在の復旧といいますか、修復状況といいますか、あと一息のところまで来ていると思うのですが、その状況についてまずお知らせいただきたい。
〇阿部漁港課長 漁港施設の復旧状況についてでありますが、平成26年7月までに、被災しました108漁港全てにおいて本格的な復旧工事に着手しております。平成27年12月末現在で59漁港の復旧を完了しております。現在も復旧工事を鋭意行っているところでございまして、平成27年度末までには約8割の漁港が復旧する見通しとなっております。
〇伊藤勢至委員 大変ありがたいことだと思っております。どうぞ、これを手を緩めることなく、人が変わり人員が変わろうとも、同じ命題として引き継いでやっていくべきものでありますので、なお御奮闘いただければと思います。
それに関連して、県が管理しております宮古市重茂地区の音部漁港についてお伺いします。
発災当初、重茂漁協ではいち早く漁民を集めまして、漁業で再生する人たちを募って方向を打ち立ててもらいました。そういう中で、重茂地区には県管理の漁港が二つあるわけでありますが、重茂漁協の組合長から、完全に被災しました音部港の後ろに住宅が二十数戸あって、作業小屋等も結構あったわけでありますが、これがきれいに全部持っていかれてしまったということから、この際、この地区を掘り込み漁港にして、そのことによって、今までの防潮堤、防波堤あるいは魚市場そのものを二重の防御策にしたいという提案をいただいて、当局とやりとりをしてまいりました。
平成25年の末だったと思いますが、水産庁に対して枠が確保できた、総額22億5、000万円の予算がついたという報告をいただいて、これはよかったと思ったところであります。その後、ちょっと見直しがあって、22億7、000万円にふえました。当初、用地買収等で随分難儀していると伺っておりましたが、仄聞するに、いよいよ入札公示が出て、落札業者も決まったやに聞いております。その辺の状況、そして、当初は平成29年度ごろの完成を目指しておったように思いますが、その辺も含めてどういう状況にあるかお伺いします。
〇阿部漁港課長 宮古市重茂地区の音部漁港についてでありますが、県では、地元の要望を踏まえまして、掘り込み式の漁港整備計画を平成25年度に策定し、これまでに必要な護岸等を整備してきたほか、掘り込み部につきましては測量や用地買収に係る調査等を実施してきたところでございます。
掘り込み部については、共有地、未相続地が多く確認されたことから、用地買収手続に時間を要してきたところでありますが、鋭意取り組みを進めた結果、これまでに、一部共有地を除く約8割で用地買収が完了しております。
また、先ほど委員がお話のとおり、今月11日に、掘り込み部の一部である導流堤などの工事の落札業者が決定いたしまして、年度内に工事を着手することとしております。
今後とも、用地買収の手続を鋭意進めていきますとともに、掘り込み部の本格的な工事を順次進め、平成29年度までの完成を目指し、引き続き取り組みを進めてまいることとしております。
〇伊藤勢至委員 被災3県の中で掘り込み型の漁港をつくる申請をして動いたのは、多分、重茂漁協の音部漁港しかないと思っています。これは、被災してから考えたのではなくて、もし何かがあったらこの際という思いがあったから、多分、そのタイミングが合って、当局のお骨折りのおかげもあって具現したものだと思っております。非常に地域の期待の高いものでありますので、これからもぜひ頑張って進めていただきたいと思います。
ところで、私が県議会に参りましたときに、書記をお務めいただいたのが小原部長でありました。以来21年間お世話になってきたわけでありますが、人事異動を見ますとお名前がないということから、これまでの長い間の御貢献、次なる人に言い置きたいことがあれば、そして、我々議員に期待するものがあれば、どうぞ、この際、肩書が外れるというお立場でおっしゃっていただければありがたいと思います。
〇小原農林水産部長 私、約20年近く前でございますが、伊藤勢至委員の副委員長のもとで十分鍛えられました。おかげで何とかここまで私も成長することができたと感謝してございます。議会事務局にも通算6年在籍しまして、委員の皆様方からさまざまな意見や議論、物の見方、考え方というものを御指導いただきました。
その中で、重茂地区の音部漁港を何とか一刻も早く完成を目指して努力してまいりたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
〇柳村岩見委員 いわて林業アカデミーについてお尋ねいたします。このことについては、今定例会の一般質問あるいはまた予算特別委員会において総括質疑があったところであり、中身をお尋ねするつもりは全くありません。
私は、このいわて林業アカデミーがこれからの林業界に位置づけされていく姿を想像するときに、アカデミーに在籍される方あるいは出身者、その就労先あるいは企業先、関係する事業体とのネットワークを構築すること、このネットワークの力によって、岩手の林業における思い、志あるいはまた技術的な裏づけ、経営的な基盤の整備を含めて、多くの志のある方が情報を共有することによって、岩手における林業分野の識見の一塊になっていくということを目指さなければ、これには意味がないと思うところであり、ここがポイントかと思います。いかがでしょうか。
〇阿部森林整備課総括課長 いわて林業アカデミーは、産官学の連携のもと、林業に関する知識や技術の習得、就業に必要な資格の取得、林業事業体でのインターンシップなどを実施して、県内事業体の中核を担う人材を養成することとしております。
アカデミーの研修生については、林業事業体とのマッチングを図るなど、研修後、円滑に県内事業体に就業できるよう取り組むとともに、就業後も、アカデミー出身者や就業先事業体と継続的に情報交換を行い、研修内容の充実や、本県の林業人材の確保、育成対策に生かしていきたいと考えております。
また、将来的には、アカデミー出身者等の若手林業就業者がさらに研さんを積んでいけるよう、それぞれの体験や成功事例等について情報共有を行うネットワークづくりについても検討してまいります。
〇柳村岩見委員 小原部長にお尋ねいたします。
長い県庁生活を退職される旨、お話を伺ったところであります。銀河のしずくなどを含めて、いわて林業アカデミーというのは、県議会の先輩議員の方々と、この話をいつ議会で出そうかな、震災後だよね、まだ言うチャンスではないよね、言ったほうがいいのではないでしょうか、いや、まだ早いよと、よくお酒を飲みながら議論した思いがあります。今、ネーミングもそうですけれども、こういう形で誕生するということに、恐らく感慨を深くされている先輩、OBの方もおられると存じます。
小原部長の置き土産の中にこれが一つ入ると思います。思いを、そして、できれば県庁生活の所感をお尋ねしたいと存じます。
〇小原農林水産部長 いわて林業アカデミーの開設でございますけれども、本県には豊富な森林資源がございます。戦後造成されました人工林が本格的な利用期を迎えているということで、林業人材の確保、育成が非常に重要な課題になってきてございます。林業の成長産業化や地域経済の発展のためにも大変重要であることから、今回、いわて林業アカデミーを開設するとしたものでございます。
このアカデミーの卒業生といいますか、出身者が、本県の森林、林業、さらには山村、地域経済の中心となって活躍できるような人材となれるよう全力で取り組んでまいります。
また、所感ということでございますけれども、まだあと2週間ほど農林水産部長として在籍しますので、残された期間、全力を尽くしてまいりたいと考えておりますので、よろしく御指導をお願いいたします。
〇佐々木努委員 関連。1点だけ。
いわて林業アカデミーは、私も、設置していただいたのは非常に評価したいと思います。前にも一般質問で取り上げさせていただきましたが、金ケ崎町にある農業大学校に林業専門学科として設置してほしいということを要望した経緯があります。そちらではなくて林業技術センターに設置することになった理由と、農業大学校に今後設置するお考えはないか、その1点だけお伺いします。
〇阿部森林整備課総括課長 いわて林業アカデミーを矢巾町に設置した経緯でございます。有識者による林業人材育成のあり方検討会におきまして、どうしても林業技術者を早急に養成する必要があるということ、あるいは林業事業体に就職してから現場でスキルアップができるのではないかといったことから、1年間の研修型の養成機関という形でスタートさせていただくものでございます。
しかしながら、委員御指摘のとおり、研修期間あるいはその内容等については、アカデミーで研修を実施しながら、研修修了者あるいは林業事業体等さまざまな方から御意見をいただきながら、よりよい方向に進化するように検討を進めてまいります。
〇千葉進委員 関連。通告していたのが、私はこの1点だけでしたので、この場でやらせていただきたいと思います。
このアカデミーについて非常にありがたいと私も思っていました。特に、今、高校では林業に関しては教える場がほとんどないという形の中で、こういう場をつくっていただけるのはありがたいと。
そういう面で、先ほど答えも大体いただいていますので、2点だけお伺いしたい。
1点目は、その就業年限といいますか、何年でやるのか。そして、その受講生たちの授業料といいますか、研修料と言うのかわかりませんけれども、それは奨学金的なものが出るのかどうか、そういう保証があるのかというのが1点。
それと、せっかくアカデミーということで林業をやるわけですけれども、同じ農林水産を見た場合、農業関係でニューファーマーとか、あるいはむら・もり・うみ女子ネットワークというものがあったりするわけですので、そことの交流のような形でお互いに切磋琢磨する、研さんに励んでいく、また、林業で知ったことを農業の方々とやりとりするとか、そういう研修、交流の機会なども設けられるものなのか、そういったことだけお伺いします。
〇阿部森林整備課総括課長 まず、授業料と奨学金の関係でございます。授業料につきましては、農業大学校等を参考にさせていただいて、同額の年額11万8、800円を予定してございます。
なお、これに対しましては、林業分野に就職し、将来的にその中核を担う強い意志を持っている者に対し、国の制度で緑の青年就業準備給付金というものがございます。これは年額150万円を給付できるものでございます。これを支給できるように、今後、国と調整を図ってまいりたいと考えております。
また、就業年限は1年でございます。
交流の関係でございます。いわて林業アカデミーの研修生が広い視野を身につけてもらうためには、やはりいろいろな分野の方々と交流することが大切だと認識しております。そのため、県立農業大学校の学生などと交流する場を設定するなど、農林水産業に従事する若者同士の出会いあるいは交流が促進されるような仕組みにつきまして検討してまいりたいと考えております。
〇千葉進委員 そういう面で、最後のところで出会いという言葉が出ましたけれども、その若者たちが、男性、女性にかかわらず、いろいろな形でお互いに出会って研さんを積んでいく場をぜひやっていっていただきたいと思いますので、1年間、そのための準備をよろしくお願いいたします。
〇飯澤匡委員 シイタケ生産地の再構築についてお伺いします。
生産地にとって大変な打撃を受けた放射線被害ですが、いろいろな御助力をいただいて何とか希望の光が見えてきたかと思っておりますが、今、生産現場では、指標値を超えたほだ木の一時保管問題と、生産するほだ木の調達が大きな課題となっている。そして、大きな視点では、やはり風評被害等の問題はいまだに払拭できていないという問題が横たわっているのでございます。
それで、東京電力の補償等、ほだ木の調達については、今、そのような形でいろいろな賠償のメニューがあるわけですが、これの見通しがどの程度まであるのかということも生産者の間では非常に心配の種になっているのでございます。
そこで、ほだ木の現在の調達状況、単価の推移であるとか、その点について端的にお伺いしたいと思いますし、先ほど申し上げた東京電力の賠償継続の見通しについて、そして、ほだ木の落葉層の除去の問題も大きな問題でございますので、その環境整備についてどのような見通しになっているのか、その点についてもお知らせ願いたいと思います。
〇佐々木林業振興課総括課長 まず、ほだ木の価格の推移ということでございます。シイタケ原木の価格につきましては、平成20年度から平成22年度ごろまでは181円という数字でございました。それが、平成26年度には262円、一関地域におきましては339円といった形で上昇しているところでございます。
それから、賠償の見通しでございますけれども、原木価格の震災前からの上昇分につきましては、東京電力に状況を説明しまして、賠償を得てきているということでございます。今後におきましても、生産者の皆様が安心して生産を続けられるように、引き続き関係団体と連携しながら、東京電力に対してしっかりと対応を求めていくということでございます。
なお、原木につきましては、これまでも国庫補助事業によりまして震災前価格の半額について補助しているところでございまして、これにつきましては来年度以降も国の事業が継続する予定でございます。
それから、ほだ場の環境整備につきましては、落葉層の除去といったことが非常に大きな課題になっているところでございます。生産者の方が希望された分についてはしっかりと除去を進めておりまして、新たに生産を再開している方についても予算を確保して進めることで、今、一生懸命取り組んでいるところでございます。
〇飯澤匡委員 ほだ場の環境整備についてお聞きしますけれども、一度まとめてラッピングしたコンテナバッグが非常に劣化して、これをまた動かすとなると、これまた問題が発生しますよというような声を生産者のほうからもいただきました。いち早い解決を見たいわけですが、何しろ、国の方針が出ないということが一番の問題でありまして、この問題は非常に頭が痛い問題ですが、県として、今、この問題解決についてどのような方策を持って進んでおるのか、その方針等をお聞きしたいと思います。
〇佐々木林業振興課総括課長 ほだ場の環境整備につきましては、昨年の12月22日に、林野庁、環境省の職員の方を現地にお招きして生産者の生の声をお聞きいただくとともに、ほだ木や落葉層の保管状況を確認いただいた上で、国、県、一関市で意見交換をしたところでございます。
その後、私どものほうで林野庁と複数回にわたって打ち合わせを行いました結果、地元であります一関市から現地の実態に即した具体的な提案があれば、しっかりと支援していきたいというお話を頂戴したところでございます。現在、その中身について一関市と調整を行っておりまして、一定の方向性が固まり次第、林野庁と協議をしたいと考えているところでございます。
〇飯澤匡委員 ただいまお話のあった昨年の12月の林野庁、環境省、一関市の3者による現地確認と今後の方向性の検討会議をまず第一歩としてやったと。これは大変意義のあることだと思っています。先ほど、もう少し前に進んだ答弁をいただいたと思っていますが、実際問題、お金を出していただいてやれるものなのか。根本的に焼却するというのが一つのゴールなんですけれども、それが、今、一関市ではちょっと滞っているわけでありまして、お金を出していただくのは結構なんですけれども、その先、どういった具体的な処理をするのかというお話についてはどの程度検討が進んでいるか、わかればお知らせいただきたいと思います。
〇佐々木林業振興課総括課長 今、委員からお話がございましたとおり、ほだ木につきましては一般廃棄物として焼却処理をするというのが原則でございます。ただ、焼却処理というのがなかなか難しい状況にあるのもこれまた事実でございまして、先ほど御説明しましたとおり、地元の実態で、本当にやれるものが何なのかというところを、今、一関市と一生懸命詰めているところでございまして、その方策を何とか詰めて、固まり次第、林野庁と協議して、何とか前に進むように頑張っていきたいと考えてございます。
〇飯澤匡委員 ちょっとしつこくて申しわけないのですが、環境省のほうはどのような考え方ですか、わかればお知らせください。
〇佐々木林業振興課総括課長 環境省の補助事業でも、廃棄物として処理する場合には、その運搬経費でありますとか処理経費については補助をするといったメニューがございますので、そういったものも視野の中に入ってくる可能性もありますけれども、いずれ、林野庁と協議している中身につきまして、今、一生懸命やっているところでございます。また、林野庁にお話をした後にも、それに対する先方からのいろいろな御指導といったものもありますので、そのプロセスを経ながら、何とかうまい形でいくようなものを引き出していきたいと考えているところでございます。
〇飯澤匡委員 わかりました。これは県もしっかり中に入って進めていただくように、ぜひともお願いしたいと思います。やはり心配事を一つ一つ除去しながら生産体制をまたもとに戻していくというようなやり方、不安材料を少しずつでも除去してやるやり方で頑張っていただきたいと思います。
もう一つお聞きしたいのですが、風評被害対策で、一時期はマーケットのほうも3分の1ぐらいになったというような最悪の事態から震災前の状況に戻りつつあるとお聞きしておりますけれども、市場の反応というのは100%戻ったわけではございません。これは、流通課とも一緒になって、県産シイタケ、生産物については大いに消費地にアピールする必要があると思うのですが、現在、生産者に対しても、栽培管理を県のほうでも求めてしっかりとやっていただいていると聞いておりますし、シイタケのイメージアップの方法についても、今、試行的ではありますけれども、行っているというお話を聞いております。この2点について、今後、さらにここに注力してやっていきたいという点があれば堂々とアピールして前に進んでいただきたいと思うのですが、その点についてお知らせください。
〇佐々木林業振興課総括課長 まず、1点目の栽培管理の徹底ということでございます。これにつきましては、これまでも、シイタケの生産再開に向けまして、ほだ場の環境整備、原木や生産物の検査など、出荷制限解除に必要となる生産過程の管理の指導に取り組んできたところでございます。
こうした取り組みによりまして、本年1月25日に新たに解除となった40名を含め、県内12市町の生産者132名に対して国の出荷制限が解除され、出荷再開が可能となっているところでございます。
今後でございますけれども、やはり栽培管理を徹底するということが一番の重要な事項でございますので、生産者向けの研修会でありますとか、現地機関がありますので、そういったところの普及指導といったものを通じて栽培管理の徹底をさらに図ることによりまして出荷制限解除をさらに進めて、一日も早い産地の再生に向けて取り組んでいきたいと考えてございます。
二つ目のイメージアップにつきましては、例えば首都圏の量販店等で行う対面販売といった形で本県シイタケのPRに努めてきたところでございます。今年度におきましては、さらなる消費拡大を目指しまして、県内の量販店でありますとか道の駅など116店舗で展開いたしました岩手の乾しいたけ応援キャンペーンでありますとか、JR盛岡駅構内の飲食店でおいしい!岩手の乾しいたけフェアを開催したり、JR東日本や地元の企業と連携して新商品の開発といったことにも取り組んできたところでございます。
今後におきましても、関係団体等と連携いたしまして安全・安心なシイタケの供給に取り組むとともに、新商品の開発などによる新たな需要の開拓に取り組んでまいります。
〇飯澤匡委員 最後にしますが、生産者の方は、東京電力の賠償などもあり、一時的には何とかやれる状況にまでこぎつけたと。安心と同時に先行きの不安と、今まで生産現場に立って、山里の資源を循環して自分の山をしっかりと整備しながら林業生産物をつくって自然の恵みをいただくというように、単なる生産活動の中ではなくて、資源の循環の中でやっているところに意味があるという喜びを感じながらやってきたと。今の状況は、外的な要因による不本意な状況であり、大変悔しい思いをしているわけです。またもとに戻って、山里を中心にした資源の循環、回帰への道筋についてはかなり遠い道程があると思いますけれども、何とかこれを実現していくことをやっていかないと、次の世代の生産者にまでつながっていかないのだろうと思います。
もう一つ課題は、今、ほだ木を現地で調達する場合に、逐次測定はするのですが、いいものもあるし、同じ山の中でも雨の降り方によって悪いところもある。これが生産者にとっては非常に悔しいところであると。一元的な管理ができないということも聞いてございます。今日までいろいろなことをやって助力いただいているわけですけれども、生産地の再構築についてはさらなるてこ入れをしていただいて何とか─生産者の方も大分減りました。私の地元の大東町は、20年、30年、ずっと生産地として全県一を誇ってきたわけですけれども、生産者の方々でやめた方も大分いらっしゃいます。ただ、これからのことを考えれば、しっかりとそこを支えていく、そしてそれをつないでいくということが大事だと思いますので、最後に、部長に、特用林産物の発展という点について、どのような思い、そしてまた、こういうふうにこれからもしていきたいということがあれば、御所見をいただきたいと思います。
〇小原農林水産部長 本県の干しシイタケは質、量ともに全国的にもかなり上位にあるものでございます。今現在、県内で放射線の影響が一番残っているものは干しシイタケと理解してございます。
これの産地再生に向けては、これまでの地道な取り組みを継続していくことしかないわけでございますが、意欲のある生産者の取り組みについて県としても今後もしっかりと支援して、シイタケの産地であり続けるよう頑張ってまいります。
〇工藤大輔委員 先に林業関係についてお伺いしたいと思います。
2002年に18.8%ぐらいまで落ち込んだ森林の木材供給量が、ここに来て30%を超えてきているというのが日本全体の状況であると思います。下がり続けた数値からV字回復の状況に今向かおうとしているのは、木材をより使おうという取り組みであったり、また、燃料用の木材の需要がここに来て急拡大しているというのが大きな要因であるとも思います。
また、県内の状況を見ましても、大規模な合板工場や木質バイオマス発電施設が稼働し、木材需要は大きく拡大していくことが予測されます。ただ、青森県でも同様に大規模な加工施設が操業しており、岩手の県北を含めて青森県からの木材の移入というものが相当あると思います。
県においては、カスケード利用ということを言っている中で、上手に活用を模索する、やっていくんだということは前々から答弁をもらっているところでありますが、製材用の原木とチップ用の原木が安定的に供給できるかということについて、現段階においても、木材関係者においては、懸念というか不安材料として残っています。
そこで、この問題についてどのように取り組むのか、改めてお伺いしたいと思います。
〇佐々木林業振興課総括課長 原木の安定的な供給についてでございます。県内では、お話がございましたとおり、近年、合板工場でありますとか木質バイオマス発電施設の整備が続いておりまして、特に県北地域においては、隣県でも同様の施設整備が進んでいるということで、一部では製材やチップ用原木等への影響を懸念する声も出ているところでございます。
このため、県では、東北地域の木材需給情報をしっかりと把握するために、国や林業関係団体、関連企業等で組織されます国産材の需給情報連絡協議会に参加いたしまして、得られた情報を県内の関係団体で構成されます県産材供給連絡会議で共有を図りながら、必要な対策を検討している状況でございます。
また、木材需要の拡大に対応しました安定供給体制の構築というものが重要でございますので、素材生産者と木材需要者との安定取引協定の締結、素材生産量の拡大に向けました高性能林業機械の導入や路網整備への支援、現場技能者の育成に取り組んでいるところでございます。
〇工藤大輔委員 競合が予想されるチップ用の原木については、林野庁からも燃料用として購入する場合のガイドラインが出ているはずです。そのガイドラインに従って燃料用の木質バイオマスの発電事業者が適切に購入されるのかどうかということについては、懸念はないのでしょうか。
〇佐々木林業振興課総括課長 県といたしましては、使うべき材が使うべきところに使われるというのがあるべき姿と考えてございまして、素材生産者と木材需要者との間で安定取引協定を結んで、しかるべき形で供給がなされるようにといった形のものを、後押しといいますか、進むように締結を働きかけているところでございます。
〇工藤大輔委員 それでは、林野庁からもガイドラインとしてしっかり出ているものですので、そこを注視していただきたいと思います。
次に、バイオマス発電用の発電燃料として、これまで有効に使われてこなかった林地残材をこれからもっとしっかりと活用していくべきだと思いますが、取り組みについてお伺いします。
〇佐々木林業振興課総括課長 県では、これまで、林地残材を有効に活用するための実証調査に取り組みまして、木質バイオマス燃料として効果的に搬出するためのノウハウなどを蓄積するとともに、素材生産業者等への普及に努めてきたところでございます。
また、発電事業者等に対しましては、曲がり材でありますとか根元部分などの形質不良材も処理することができるチップ製造機等の導入を支援しておりまして、林地残材の受け入れ態勢を整えてきたところでございます。
引き続き、素材生産業者等には実証調査の成果の普及に努めまして、確実に林地残材が搬出されるように働きかけるとともに、発電事業者等に対しましては、活用の意義を十分に理解した上で積極的に受け入れをするよう要請しながら、林地残材の有効利用に取り組んでまいります。
〇工藤大輔委員 県内で林地残材が実際にどのぐらいあるのかということを把握されているのかどうか。その上で、実際に使える林地残材もあれば、これはどうしても使えないというものも、私もよくわかるのですが、その辺の見通し、状況についてお伺いします。
〇佐々木林業振興課総括課長 林地残材につきましては、なぜ使われないかというところを若干御説明申し上げますと、搬出、山からおろしてくるのにお金がかかるというところがございます。そこの実証調査を踏まえた形で、こういう形にすれば何とかペイできるかというものを発電事業者にお示しして、林地残材が使われるような形にもっていきたいということでございます。
〇工藤大輔委員 では、量を特に把握していないのであれば、実際、今使われていないものが、新たにこのぐらい使われるようになるのだという今後の目標みたいな考え方をお伺いしたいと思います。
〇佐々木林業振興課総括課長 林地残材の量につきましては、今の状況で申し上げると、山に林地残材ということで置きっ放しといいますか、置かれている状況でございますので、数量を把握するというのはなかなか難しいというのが実態でございます。
〇工藤大輔委員 それでは、より有効な活用ができるように、支援策も含めて検討し、国にも、予算の要求も含めて、しっかりとやっていただきたいと思います。
次に、再造林についてお伺いしたいと思います。
森林所有者の経費負担が重荷となっていて、平成26年度は610ヘクタールの目標値、592ヘクタールの実績であるものの、実際に伐採した面積の4分の1程度しか再造林はされていないというのが現状であると思います。このままこの状況が進むことによって、森林の荒廃と森林資源の枯渇が懸念されております。コストを下げるための低密度の取り組み等、県でもさまざまな取り組みがされていると思いますが、私は、特に、森林経営計画を策定した森林所有者等に、より多くの支援をするような対策であったり費用軽減につながるような対策等を一層講ずるべきだと思いますが、お伺いします。
〇阿部森林整備課総括課長 再造林への支援についてでございます。今、委員御指摘のとおり、森林経営計画を策定した方には、森林整備事業におきまして高率の補助が出るようになっております。したがいまして、経営計画を作成した方々を中心に再造林を進めていただくように指導あるいは普及啓発に努めているところでございます。
〇工藤大輔委員 そこで、本県の課題は、10ヘクタール未満の森林所有者が全体の約8割方だと以前お伺いしましたが、その方々が、どうしても意識がそこに向かわない、切りっ放しなってしまう、再投資ができないというのが今の現状ではないかと思います。
そこで、10ヘクタール未満の森林所有者を集約化していこうという取り組みも進めていると思いますが、現状、そのような取り組みがどのように進んでいるのか、進捗の状況をお伺いします。
〇阿部森林整備課総括課長 小規模所有者の集約化ということでございます。現在、岩手県では、地域けん引型林業経営体という形で、地域の森林を集約化して森林経営計画をつくって、地域林業を振興しようという方々を中心に支援を行っているところでございます。
現在、その方々が全体のおおむね2割の森林について集約化を図っているところでございます。引き続き、集約した割合を高めていくように、地域けん引型林業経営体の支援に努めてまいります。
〇工藤大輔委員 わかりました。以前聞いたときよりも進んできたと思いますので、さらに集約を図りながら進めていただきたい。現在、森林の整備予算も減ってきたり、造林作業等の労働力の不足があったり、実際、苗木の生産者も不足しているということも顕在化してきたと思います。そういった状況を踏まえて、より効率のいいものを生産し、また使っていくという一層の取り組みを期待していますので、よろしくお願いしたいと思います。
次に、水産関係についてお伺いしたいと思います。
水産関係につきましては、東日本大震災津波からの復興を進める上で本当に頑張ってもらったと思います。5年を迎えた中で漁港の整備等も確実に進んでおり、今、生産者も再生産に向けてしっかりと取り組んできているという状況なのですが、現在の新規就業者の状況と支援等についてお伺いします。
私は、新規就業者をふやす手法としても、漁船であったり漁具の支援というのをもっとやる必要があるのではないか、あるいは農業の効果的な青年給付金のような対策も水産業にもあったほうがいいのではないかという思いもするのですけれども、取り組みについてお伺いしたいと思います。
あわせて、漁業担い手育成ビジョンの中では、中核的漁業者の育成に向けて、年間の販売量が1、000万円以上の漁業者をこれからふやしていくんだ、倍増していくんだという目標を持っての取り組みも進めようとしておると思いますが、その取り組みについてお伺いしたいと思います。
〇山口漁業調整課長 新規就業者の状況とその支援についてでございますが、新規就業者数は、震災前の平成20年度から平成22年度までには年間48人から77人で推移しておりましたが、震災後の平成23年度から平成25年度までにおきましては年間25人から45人となっております。
県は、新規就業者の確保のために、漁協の地域再生営漁計画に基づく取り組みを関係者と連携して着実に進めるために、今年度中に新しい漁業担い手育成ビジョンを策定することとしております。ビジョンに基づきまして、市町村の対策協議会の設立を促進しまして、新規就業者を確保するための受け皿づくりや就業情報等の提供、また、国の研修制度がございますので、それを活用しました熟練技能者によります技術指導などの取り組みを支援してまいりたいと思います。
次に、中核的漁業経営体の育成に向けた取り組みについてでございますが、震災復興事業によりまして養殖施設などの生産施設が整備されてきましたが、一方で、漁業就業者の減少と高齢化が続いております。今後、漁場の利用低下が懸念されておりますことから、中核的な漁業経営体が中心となって漁場を最大限に利用するなどによりまして、水産物を安定的に供給していくことなどが必要と認識しております。
沿岸地区24漁協が策定しました地域再生営漁計画では、地域の中核的漁業経営体への能力に応じた漁場の配分、生産物の販売方法の改善などによる収益向上などの取り組みを進めることとしておりまして、県といたしましても、漁業経営体ごとに生産性を把握、評価し、経営の改善指導を行いながら生産の機械化、省力化を進めること、加工業者等と連携して水産物の付加価値向上や販売に取り組むことなどを支援して、中核的漁業経営体の育成に努めてまいります。
〇工藤大輔委員 中核的漁業者の数を実際どのぐらいまでふやそうとしているのかお伺いしたいと思いますし、地域別に大体こういった割合に今の状況ではなるのではないかという見通しも含めてお伺いします。
〇山口漁業調整課長 中核的漁業経営体につきましては、平成26年度の現状値で283経営体ございます。これを、平成30年度には500経営体までもっていきたいと考えています。
地区別には数字がございませんが、生産が高い養殖業が中心となって、県南から中央域の経営体の数が多くなるものと見込んでおります。
〇工藤大輔委員 1、000万円以上の販売額を得るというのは、次に続ける、または担い手となる方々にとっても魅力的な産業の一つとして数えられると思います。ただ、その数をふやしていくのは本当に大事で、進めてほしいのですが、岩手県の中部から県北のほうに向けては、ではどうするのだ、どうやって地域の主体となる経営体を築いていくのかということがなかなか示されないところでありますが、その対策についてお伺いします。
〇山口漁業調整課長 特に県北につきましては、養殖に適した漁場が少ないということで、採介藻もしくは漁船漁業が中心の地域となっております。
また、漁業経営体の経営内容を見ますと、必ずしも漁業だけで食べているわけではなくて、漁業と農業、もしくは例えばシイタケ栽培というものをやっておりますので、そういうものも含めまして、漁業ではこのぐらいというような経営の指導とか、漁船漁業につきましては資源管理等に─実は県北地区のかご漁業者が、例えばタコの資源管理で、全県では1キログラム以下のタコはとらないことにしているのですけれども、県北の漁業者だけは2キログラム以上のものをとって、なるべく付加価値を高めるようなものを売ろうというような取り組みもやっておりますので、そういう取り組みを支援しながら経営体育成を進めてまいりたいと思います。
〇工藤大輔委員 どうしても県北の漁業者は体質が弱いと。この弱い状況が続いていくというのが今の流れなのだというのも理解するわけですが、高く売る、あるいは6次産業化に向けた担当課長も置いて今後しっかりと取り組むとなっております。その辺について価格にしっかり反映できるようにするとか、とったものがより高く売れるようにするというのを、県北のほうでも成果が出るように、その取り組みを期待したいと思いますので、その思いを聞いて、質問を終わりにします。
〇伊藤流通課総括課長 本県の水産業の競争力を高めていくというところでございますけれども、消費者や市場が求める品質の高さ、安全・安心に対する信頼感、そうしたニーズに的確に対応していくことが非常に重要なのではないかと思っております。
現在、県では、全国にも例がない漁獲から加工、流通まで一貫した衛生品質管理の高度化に取り組んでおるところでございますので、こうした取り組みをしっかりPRしながら、他産地としっかり差別化を図りながらブランド化を図ってまいりたいと思っているところでございます。
〇柳村一委員 さけ、ます増殖費についてお伺いします。
サケ、マスの種苗生産施設の整備状況と稚魚購入放流事業の内訳、資源造成に向けた調査研究の実施内容についてお伺いします。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 まず、種苗生産放流施設の整備状況でございます。沿岸地域のふ化場は、大震災津波によりまして多くの施設が壊滅的な被害を受けました。そこで、震災からの復旧、復興、放流体制を再構築するに当たりまして、まず、沿岸では、被災していないふ化場も含めて全部で20のふ化場に整理統合いたしました。そして、平成27年度中には全てのふ化場が整備されているところでございます。また、北上川水系には12のふ化場がございまして、サケの稚魚生産、放流をしているところでございます。県全体としては、4億尾の放流を目指してこれからも取り組みを続けてまいりたいと考えております。
また、サケの稚魚放流事業でございます。秋サケの資源造成を図るということ、そして震災からの秋サケ資源の復旧を図っていくために、これまで、民間団体、これは沿岸あるいは内水面の事業体も含め、サケの稚魚買い上げ放流に対して支援をさせていただいておりますし、また、海のほうでありますが、卵を確保することが最近非常に難しくなっておりますので、定置網から親魚をふ化場に運び、それから採卵するための経費に対して支援してきたところでございます。今後もこれらの取り組みを継続して、関係団体と連携しながら放流事業を続けてまいりたいと考えております。
次に、試験、放流の取り組み状況でございます。サケの回帰率は最近非常に低迷してございます。これは、北海道から太平洋全域に共通した状況になっておりまして、海全体の気候の変動、水温の変動によるものだと考えております。これまでの調査によりまして、放流直後、サケの稚魚が沿岸で生息している時期の海の水温が急激に上昇したときに餌となるプランクトンがなかなか発生しづらいということで、稚魚が成長不足で北洋まで泳いで行けないような状況が生じておりまして、これが回帰率低迷の一つの要因だと考えております。
このため、県の水産技術センターにおきましては、国などの研究機関と共同で、標識を施したサケを放流いたしまして、北洋へ移動していく間の成長あるいは生き残り、その環境の餌の状況などの研究を、今、取り進めているところであります。また、ふ化場におきましても、しっかりとした飼育管理を行う必要がありますので、改めまして、飼育密度の管理とか水量の状況の試験をしているところであります。
今後も、これらの調査研究を通じて、しっかりとしたサケのふ化放流を続けてまいりたいと考えております。
〇柳村一委員 卵をとるのがなかなか難しいということで、平成26年から種卵確保経費というものが新たに入っていますけれども、これが定置網でとるものと解釈してよろしいのでしょうか。
それまでは国が3分の2、県が6分の1で、10分の10ではなかったんですけれども、この経費が入って10分の10になっております。この施策的な部分というのはどうして10分の10になったか、経緯をお伺いしたいのと、あと、4億尾を目標に放流するということで、回帰率が低迷しているところに、この4億尾で、今までどおりとか、それ以上にとることができるのかという、そこら辺の考え方をお伺いしたいと思います。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 10分の10になりました経緯でございます。まず、震災の年に放流した稚魚が成魚になって帰ってくるという段階で国のほうといろいろ協議いたしまして、とにかく親は少なくなるだろう、卵をとるための川に帰ってくる親もまた少なくなるだろうと。そうすると、いろいろな方策で卵を確保しないと4年後の資源ができないということもありまして、そういう中で、特別に平成26年度から平成28年度までの3年間、種卵を確保するための事業ということで、新たに親魚確保、採卵経費、あわせて種苗を放流する経費についても10分の10、全額を国のほうと県で見るという事業ができ上がったものでございます。
そして、4億尾の目標としておりますが、これでどうかということですが、岩手県のふ化場を制限するものは水量でございます。ふ化場の飼育能力は水量で決まりますので、その水量に合わせて現在4億尾ということになっておりますので、仮に、新たにもっとふやすということになりますと、しっかりとした水を確保し、そして、新たなふ化場を整備することが必要になってまいります。現段階では、4億尾で対応していくということでございます。
〇柳村一委員 地下水とかポンプでくみ上げる水が、今の整備状況だと4億尾にしか足りないと。今後ふやしていく可能性があるのかというのをお伺いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 現在、ふ化場をふやしたいという希望を持つ地域もございます。ただ、水量をきちんと確保できるかというところの調査を全県で、その希望しているところではやっておりますが、なかなか水量を確保できていない、あるいはボーリング調査しても水源が見当たらないということもございまして、現在はこの4億尾で対応しているところでございます。
〇柳村一委員 北海道には全然かないませんけれども、北海道を除いた全国の漁獲量の半分は本県で賄っているわけですので、本県の資源になり得るものだと思いますので、増量も含めて考えてもらいたいと思います。
沿岸の地域はこれで終わりまして、北上川の水系についてお伺いしたいのですが、北上川は12カ所で、主にとるための目的ではなくて、どっちかというと放流するという環境的な部分だと思います。その点でお伺いしたいのですが、各ふ化場でふ化する卵は、遡上してきたサケの卵でやられているのかどうかということと、それまで13カ所あったんだけれども、衣川ふ化場がやめたようですが、このやめた理由がどういうものなのかということ、あと、稚魚は年々うまくふえてきておりますけれども、補助金額が毎年270万円と同じ金額である理由、この3点についてお伺いします。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 北上川におきましても、卵の確保については、河川に遡上してきた卵を親から採卵しているものでございます。それぞれの河川に上がってきたものでございます。
衣川のほうでやめた理由ということでございますが、やはり経営的な部分あるいはサケふ化放流の経費をなかなか賄い切れないという部分など、あるいは技術者の高齢化など、それらも含めてやめたものと聞いております。
それから、補助につきましては、北上川水系の放流量を180万尾でずっと固定しております。これも水量的な部分、各ふ化場の水量を算定いたしますと、やはり180万尾ということで、私どもその数量に限定しているところでございます。
〇柳村一委員 サケの放流は、子供たちが毎年、新聞とかテレビで放映されて、ある意味での岩手の風物詩になっているかと思います。
沿岸のふ化の部分は国が3分の2、県が3分の1で国の補助金が入っているのですけれども、北上川水系に限っては県単の補助で頑張っていらっしゃるのですが、ここに国の補助を入れられるような部分はないのでしょうか、お伺いします。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 国から稚魚の放流経費に助成していただいている部分につきましては、現在のところ、国は、一つには、産業的に、漁獲をして、それを漁業の収益として漁業者あるいは漁協が収入として得るという部分について助成するという考え方でございます。
北上川水系の放流につきましては、実際は海のほうにも下って役立つものではありますけれども、どちらかといいますと環境的な啓蒙啓発、普及あるいは、今、委員がお話しになりましたような小学生に対する環境学習というところでございますので、今のところ県単事業で対応させていただいているということでございます。
〇高橋但馬委員長 執行部に申し上げます。答弁は簡潔にお願いします。
〇柳村一委員 県単で頑張っておられるのはありがたいことですし、子供たちも4年後に帰ってきたサケを見てうれしかったとか言っておりますし、そのサケが、雫石川東部漁協は、遡上する距離が日本で一番長い、海から200キロ離れたところにあるということで、そういうすばらしい施設を持っている、そういう環境がある岩手を誇るべきだと思います。
ただ、そこの漁協も、水に関して言えば、川の水位が下がると井戸水がかれてしまうということで、3月までもたない、2月中に放流してしまわなければいけないというような部分もありますし、そのポンプの電気料と餌代だけで補助金がなくなって、あとは自前で出しているという部分がかなりあるようです。
どこの漁協でもそういう形で苦しい中で一生懸命、環境というか放流に向けて頑張っていらっしゃるということで、農林水産部では補助メニューがないかもしれませんが、環境生活部と話し合いをしたりして、部局横断的にサケの放流をもう少し盛り上げるような方策をしてもらいたいと思います。
あと、これは、今度は県土整備部になるかもしれませんが、昔は川で魚釣りをしていたけれども、川に岩がないと魚はすめない、すむところがないので、護岸工事が終わった後は、川はきれいになるのですが、魚のすむ環境ではなくなって、子供たちの釣りをする姿が見えなくなってくるということもあります。
この事業については、その他の活動の中で北上川の河川環境維持という部分で、多分草刈りとか木を切ったりとかという部分だと思いますけれども、そういった川に魚がすめる環境の整備ということも考えて、これから……。
〇高橋但馬委員長 柳村委員、簡潔にお願いします。
〇柳村一委員(続) はい。やっていただきたいと思いますけれども、そこのところをお伺いして、終わりにします。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 今お話しになりましたようなサケのふ化放流を通じた環境や小学生等への対応ということにつきましては、やはり各市町村などとも私どももさまざま協議をさせていただきたいと思いますし、あとは、内水面のほうで内水面振興法というものができまして、県で内水面の振興計画を今策定しているところでございます。その中で、河川のさまざまな魚類等の環境整備などを協議していく場に我々が対応することがございますので、それらも含めていろいろ対応させていただきたいと思います。
〇工藤勝子委員 シイタケ栽培につきましては、飯澤委員からの質疑にも、いろいろ現状とか対策の答弁もございましたので、私からは1点だけ。
岩手県内のシイタケ産地をやっぱりもとに戻さなければならないと私は思っています。どんこというすばらしいキノコがとれる、岩手県ではモッコリくんとも言っていました。そういう産地を確立していくために、やはり複合経営が多いわけですけれども、しっかりとしたシイタケをつくろうとする担い手を育てていく必要があるのではないかと思っております。そういう担い手育成についてだけお伺いいたします。
〇佐々木林業振興課総括課長 今、担い手ということでお話がございました。県のシイタケ生産の全体ということで申し上げれば、やはり震災以降、原木が使えなくなったりとか、あとは、出荷制限指示を受けるということで生産が思うようにいかないところがありまして、新たな担い手が参入する意欲という部分もなかなか湧かないといいますか難しくなっているのは認識しているところでございます。
一つの方法としましては、先ほどの答弁の中にもございましたけれども、シイタケのフェアとかキャンペーンといった形で頑張っておりまして、それを消費者の方たちにわかっていただくとともに、その報道は、生産に携わる方、それから生産に取り組もうという意思を持っている方にも、岩手のシイタケは非常にいいものだ、やっていこうという気持ちを持っていただくことにもつながるかと思っております。
それから、新たに担い手になってくる、参入する方については、例えば、研修会の場で栽培方法の指導をするとか、新たに生産資材の購入の部分で支援をするといった形で、できるだけスムーズな形で参入できるように御支援をしていくことを考えてございます。
〇工藤勝子委員 よろしくお願いいたします。
それでは、松くい虫防除事業費についてお伺いいたします。
松くい虫とともにナラ枯れも発生していると思っておりますが、遠野もかなり多くなって見えてきました。北限は玉山区とも聞いておりますが、現状についてお伺いいたします。
〇漆原整備課長 平成26年度の被害量は3万7、000立方メートルとなり、前年度に比べ15%の減少となっておりますが、被害発生市町村数は18で、八幡平市と岩手町で初めて被害が確認されたところであります。
平成27年度は、両市町で引き続き被害の発生が確認されたほか、平成25年度に初めて被害が確認された宮古市で、再び被害が確認されております。
〇工藤勝子委員 15%減ということで、いろいろ効果も出てきているかと思っておりますけれども、逆に市町村のほうは広がっているということで、非常に危機的ではないかと思っております。ただ、やはり被害木は、山に放置されているものが非常に多いと思っております。この処理と考え方についてお伺いいたします。
〇漆原整備課長 現在、本県の被害木の処理の方法は、被害木を伐採し、速やかに駆除処理できる伐倒、薫蒸が90%以上となっており、その多くが林内に放置されておりますが、今後は、それらの材も含め、今年度から本格稼働している合板工場や稼働が予定されている木質バイオマス発電所等で有効利用を図ってまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 いろいろ大変な問題があるだろうと思います。例えば機械が入るとかトラックが入っていくというところは、すぐ運び出せるところもあるんだろうと思います。難しい部分があるとは思いますが、例えば大雨が降った場合、あのように積んでいる松が流れてくる可能性があるのかなという危険性も非常に感じているわけでありまして、できるだけチップとして使われるとか木質バイオマスに使われるとか、そういう形でぜひ処理を急いでいただきたいと思っております。
県南地域を中心として、温暖化の現象もあって、ことしなどは特に暖かいですので春先に多くの蚊の発生が見られるのではないかと思っております。近い将来、ナンブアカマツが全滅するというような危惧を私は持っているわけでありますが、景観も含めて、岩手の山々に残していきたい木、この松というのは大きな役割を果たしていると思っております。沿岸地域では景観という部分もあります。
そこで、今後、しっかり防除対策なり木質バイオマス発電等のチップとして処理を望みますが、今後の対策、課題、その辺のところをもう一回お伺いしたいと思っておりますし、最後に、今、このアカマツの需要、使われ方、それから供給があるのかどうかお伺いしたいと思います。
〇漆原整備課長 今後の対策についてでありますが、盛岡市や遠野市等の被害の先端地域では被害が拡大傾向にあり、監視と駆除の徹底を図ることが課題となっております。
一方、一関市や奥州市等の被害が蔓延している地域では、重要な松林の保全と被害の終息が難しい松林の樹種転換を促進することが課題となっております。
このため、被害先端地域では、松くい虫防除監視員の集中的な配置や空中写真の活用による被害木の早期発見に努めるとともに、徹底した駆除を実施し、未被害地域への拡大防止に取り組んでまいります。
また、被害が蔓延している地域では、毛越寺や猊鼻渓等の重要な松林では、薬剤散布等による予防措置や感染源の駆除を実施するとともに、激害化した松林については、バイオマス発電施設等で、伐採した材の有効利用を図りながら樹種転換を進めてまいります。
〇佐々木林業振興課総括課長 アカマツの需要と供給について御質問がございました。
本県は全国第1位のアカマツ材の生産県でございまして、全国に占める本県の割合は、近年30%ぐらいとなってございます。主に合板でありますとか木材チップ、それから製材用として、県内外の木材加工施設、それから製紙工場等から安定的な需要があるところでございます。
それから、近年では、東日本大震災津波が発生いたしました平成23年を除きまして、年間で19万立方メートル程度のアカマツ材が供給されているところでございます。
〇工藤勝子委員 アカマツで山が裸になったところがありますね。そのまま放置しておけば、多分下にいろいろな木が出ていますので広葉樹みたいになるのかなと思っていますけれども、個人の山もありますので、例えばそこに、今後、集成材で非常に活用が重要になってきているカラマツ等の植樹をする、そういうことの考え、また支援とかは考えているんでしょうか。
〇漆原整備課長 委員御指摘の場所というのは、多分紫波町のことではないかと思われるのですが、平成26年度の実績ですけれども、そういう場所に44ヘクタール(後刻「18ヘクタール」と訂正)ほど樹種転換をして、カラマツ等を植栽してございまして、補助事業としては、森林整備事業で取り組ませていただいております。
引き続き、積極的に樹種転換を進めてまいりたいと思っております。
〇岩崎友一委員 時間がないので、私も1点だけにしたいと思います。
先々月の1月18日から20日にかけての高波の被害の関係で、漁港関係についてでありますけれども、4月から災害査定が入るということで、もう少しで始まるわけであります。災害査定に関しましては、基本、原形復旧ということになるかと思うのですが、私も年末、現場を見せていただきまして、釜石の箱崎、白浜漁港などは、震災の年の2011年の年始、1月頭の高波でもやられておりまして、そこがまた今回、同じようにやられたわけであります。
県内でも、ほかにそういった箇所があるのかどうか、私は把握していないのですが、やはりそういった箇所に関しましては、原形復旧ではなくて改良復旧という形で進めていただきたいと思うわけでありますが、その点について県の見解を伺いたいというのが一つ。
まとめて、もう一つですけれども、やはり冬の時期、高波の被害が多く発生するわけでありますが、今回、災害査定が終わって、発注して、直してとなりますと、その整備完了の時期はいつぐらいになるのかというのも含めて伺います。
〇阿部漁港課長 まず、暴風雪による高波で被害を受けた漁港施設の復旧でございますけれども、被害を受けた施設の復旧については、国の災害復旧事業等を活用して原形復旧とすることが原則でありますが、例えば、地盤の変動により原形に復旧することが著しく不適当な場合、それから、同じ被災原因で再度の災害を受け被災の状況が甚大である場合については、改良復旧することが可能となっております。
このため、今般の被害においては、被災した施設のうち、波浪による再度の災害を受けた釜石市鵜住居地区の白浜漁港第2防波堤については、堤体の幅を広げる改良復旧として災害査定申請の準備を現在進めているところでございます。
それから、もう一つの御質問でございます。漁船の航行とか安全係留に大きな影響を与える重要な白浜の防波堤については、地元の復旧にかける思いも非常に強いと聞いております。ですので、災害査定の準備と並行して、工事発注用設計書の作成を行うなど、速やかに発注できるよう作業を進め、波浪の状況にもよりますが、冬までには防波堤の機能が一定程度回復するよう努めてまいります。
〇岩崎友一委員 1点確認ですけれども、やはり災害査定についてですが、原形復旧と改良復旧の場合というのは、時期も異なるものなのでしょうか。
〇阿部漁港課長 原形復旧と改良復旧ですけれども、原形復旧とは、もとに戻すということですので、準備が、測量とかそういったものが整えば大体すぐに査定を受けられるような状況でございます。それに対して改良復旧につきましては、構造の見直しから全て行わなければならない、さらには国との協議も必要になるということで、災害査定を受けるには、原形復旧に比べて時間がかかるということでございます。
〇岩崎友一委員 わかりました。何とか冬に向けて完成するように進めていただきたいと思います。
〇城内よしひこ委員 私からも、1月18日から20日にかけて起きた低気圧の水産被害についてお伺いしたいと思います。
具体的に、漁船または建物など水産関連施設の被害状況について、どのようになっているのかお伺いしたいと思います。
〇山口漁業調整課長 2月26日現在の数字ですけれども、漁船の被害につきましては4、100万円余、水産関連施設につきましては2、200万円余(後刻「2、290万円余」と訂正)の被害となっております。
〇城内よしひこ委員 次に、養殖施設と養殖生産物の被害状況はどのようになっているでしょうか。
〇山口漁業調整課長 同じく養殖施設等につきましてですが2、700万円余(後刻「3、400万円余」と訂正)、養殖生産物につきましては5億7、900万円余となっております。
なお、養殖生産物につきましては、収穫までにその管理を適正に行うことで一定の生産回復が可能となりますので、県では、漁業者に対しまして丁寧な育成管理を指導しまして、被害額の低減に努めていきたいと思います。
〇城内よしひこ委員 低気圧が起きたのが1月で、まだワカメも含めて、昆布もそうですけれども、種のつけ直しがきく時期だったので、値段についても、昨年の在庫がなくなって高目で推移しているということで、少しは安心しています。
そこで、過日、水産被害を調査した際の話ですけれども、がんばる養殖復興支援事業についてお伺いしたいのですが、がんばる養殖復興支援事業を受けている方々は何人ぐらい県内にいらっしゃいますでしょうか。
〇山口漁業調整課長 がんばる養殖復興支援事業につきましては、東日本大震災津波からの養殖業の早期復旧を図るための事業でございますが、県では、この事業の導入を支援しまして、492経営体が事業に参加しております。
〇城内よしひこ委員 その被害状況もお伺いしたいと思います。あわせて、この救済策、がんばる養殖復興支援事業を受けていらっしゃる方々は、お伺いすると共済に入れない、その対象ではないという話を現地、現場でお伺いしました。そういった方々への支援策はないのかお伺いしたいと思います。
〇山口漁業調整課長 がんばる養殖復興支援事業に参加している方々の個々の被害状況は把握しておりませんが、今回、その対象となる養殖生産物に被害が発生しているのは宮古市と陸前高田市でありまして、その被害額は9、100万円余となっております。
がんばる養殖復興支援事業に参加している経営体につきましては、漁業共済に入れないのは事実でございます。ただ、がんばる養殖復興支援事業そのものは、生産に必要な経費を国が事前に支給しまして、漁業者は、その生産金額から経費分を国庫に返納する仕組みとなっております。また、仮に波浪被害等で生産実績が計画を下回っても、赤字額の9割までが補助されますので、実質的な救済を受けることになっております。
また、経過期間中に波浪被害などで種苗を失った場合などにつきましては、新たに種苗を購入する計画変更も可能であります。現地の状況等を確認しまして、事業実施主体であります漁協に、県としては助言、指導してまいりたいと思います。
〇城内よしひこ委員 養殖漁業には、1年で生産、回収できるワカメ、昆布、海藻類と、ホタテやカキのように2年、3年とかかる生産物もあるわけであります。そういった中で、今回話をお伺いした方はホタテをやっている方でして、2年、3年、もうじき収穫の時期を迎えようとするときに被害に遭ってしまった。そうすると、なかなか次の再投資が難しいという話でした。その部分も、今お伺いした内容でよく理解したところでありますけれども、ぜひ懇切丁寧に被害を受けた方々のフォローをしていただいて、これでもう漁家から撤退しようということのないようにくれぐれもお願いしたいと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
〇山口漁業調整課長 今回、がんばる漁業復興支援事業の事業主体は漁協でございますので、漁協と、その状況等を確認しながら、意向も確認しながら、そこら辺はしっかりと助言していきたいと思います。
〇城内よしひこ委員 最後に部長お伺いしたいと思います。本県の水産業に対する思い、農業県であるということもありますが、我々沿岸部から来ている者とすれば、水産県岩手であると自負をしております。ぜひ水産業に対する思いをお伺いしたいと思います。
〇小原農林水産部長 本県は、いわゆる三陸漁場、日本有数の漁場を有するということで、これは間違いなく水産県でございます。
サケを主力としてやってございましたが、震災の影響で、サケについてはまだ震災前の4割ほどといったような、なりわいが戻っておらないということでございます。ハード整備についてはおおむね復旧、復興が何とか進んできてございますが、所得確保に向けて、そしてまた、さらに10年後を見据えて漁業が振興しているように、この漁業、水産業は、本県が将来とも発展し、日本に誇る水産県であるよう、今後とも進めてまいります。
〇斉藤信委員 それでは、東日本大震災津波から5年が経過しましたので、漁業の復興状況について最初にお聞きします。
昨年の産地魚市場の水揚げ量、水揚げ金額は、前年比、そして震災前と比べてどうなったでしょうか。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 平成27年の県内産地魚市場の水揚げ量は11万4、000トン、水揚げ金額が199億円となっております。前年比でありますが、水揚げ量とすれば87%、金額では88%となります。また、震災前の数量との比較でございますが、数量では64%、金額では85%となっております。
〇斉藤信委員 去年はサケとサンマが大不漁で、前年からちょっと割れたと。全体とすれば6割強というところが水揚げの水準かなと。売り上げでいけば85%ということで、漁船の確保や養殖施設の整備は大体目標どおりに行ったと思いますけれども、私は、これから漁船や養殖施設を活用してどう経営を成り立たせるのか、という状況になったのかなと。
そこで、養殖の生産量、生産額、アワビ、ウニの採海藻の生産量、生産額はどう推移しているか。今のように前年比と震災前と比較して示していただきたい。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 まず、ワカメの生産量、生産額でございます。平成27年度は1万5、349トン、これは前年比107%でございまして、震災前に対しては69%になります。生産金額については23億3、900万円で、対前年比137%、震災前では56%でございます。
次に、昆布についてでございます。平成27年度は6、729トンで、対前年比101%、震災前に比べますと59%、金額では8億5、400万円です。対前年比98%、対震災前56%。
ホタテにつきましては、生産量3、280トンで、対前年比84%、震災前の58%、生産金額につきましては14億2、900万円で、対前年比97%、震災前でも92%となっております。
また、カキでございます。これはむき身の重量のみお答えさせていただきますが、225トンでありまして、対前年比106%、そして震災前の55%となっております。
また、アワビにつきましては、平成27年度292トンでありまして、対前年比113%、震災前の85%でございます。金額的には29億円で、対前年比127%、震災前と比べまして126%となってございます。
ウニでございます。これは生ウニのむき身でございますが、平成27年度は98トン、対前年比110%、震災前の80%、金額では7億3、000万円で、対前年比89%、震災前の96%となっているところでございます。
〇斉藤信委員 わかりました。対前年比では、養殖の場合は大体とんとん、それを超えていると。ただ、生産額となるとやっぱり6割前後で、これは、恐らく漁業者が本当に2割、3割減ってしまったことが最大の要因ではないかと。ですから、今就業している方々は、個々の漁業者は、大体震災前の水準に戻っているのかなという感じがいたします。
それで、サケ、サンマが大不漁でありましたが、この資源回復の見通しについてどう把握しているか示していただきたい。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 サケにつきまして、平成27年度の秋サケの漁獲そのものは、震災年に放流いたしました稚魚が5年魚で回帰したこと、そして、主力となる4年魚が震災翌年の、ふ化場がまだ整備途上で2億9、000万尾と少なかったことから、回帰尾数が少なかったと見ております。
平成27年春からは4億尾の放流を開始しておりますので、震災前の漁獲に回復するのは、この稚魚が回帰する平成30年度以降になると考えております。
サンマなど主要な魚種の資源動向は、国の調査によりますと、サンマは資源的には横ばい、例えばスルメイカでありますと減少傾向。ただ、マダラとかブリとかは増加傾向にあると国では見ておりまして、魚種によりばらつきはありますが、総じて本県の近海の資源は安定しているかと見ております。
〇斉藤信委員 サケについては、戻るのは平成30年以降と。昨年が底なのか、この底が少しまだ続くのか見通しが見えない大変厳しい状況だと思いますけれども、漁業者に聞いたら、夏場がとれたんだ、それで何とかとんとん行っているということでした。恐らくマダラその他、その点で何とか持ちこたえたというのが実態ではないかと思います。
次に、私は漁業担い手育成対策についてお聞きします。
県も3月末には漁業担い手ビジョンを策定すると。先日、水産関係の懇談会でも説明を受けましたし、漁業関係団体の方々からも、私は特に意見を聞いてまいりました。一番の今の問題は、もう担い手だと、これは共通しています。
そこで、漁業経営体、漁業担い手の現状、この間の推移はどうなっているのかを示してください。
〇山口漁業調整課長 漁業経営体の推移でございますが、個人の漁業経営体につきましては、震災前の平成20年に5、204経営体ありましたが、平成25年には3、770経営体となっております。
就業者につきましては、震災前、平成20年に9、948人でありましたが、平成25年には6、289人となっております。
〇斉藤信委員 漁業経営体は、今言ったように1、434経営体、これは5年間で27.5%減なんですね。そして、漁業就業者は3、659人、36.7%減です。私は、もう本当に激減と言ってもいい状況だと思うんですね。
そこで、それだけに漁業の担い手をどう確保するかというのは、これまでの延長線上では全然対応できないと漁業関係者も言っておりました。もう抜本的に真水を使ってやってほしいと。
ところが、来年度の予算を見ますと、漁業担い手確保・育成総合対策事業費は約700万円、前年度より90万円減った。地域再生営漁計画推進事業費は870万円弱で、これは1億5、100万円減ったと。減っているのですよ。これから担い手対策を総合的にやろうというときに、予算を減らしてやろうなどということは考えられない。
それで、県のこの担い手ビジョンの中身と来年度予算の整合性がとれないと私は思うけれども、そこを説明していただきたい。
〇山口漁業調整課長 まず、担い手育成ビジョンですけれども、漁業者の減少と高齢化が進んでおりますので、担い手確保、育成の取り組みは重要だとは県も認識しております。県はこれまで、漁協の経営戦略、戦術となります地域再生営漁計画の策定とこれに基づく新規就業者の確保、漁業経営体の規模拡大などの取り組みを支援しております。このような取り組みに基づきまして、来年度、地域再生営漁計画を支援するということで予算計上させていただいておるところでございます。
また、地域再生営漁計画の着実な実行を進めるために、今年度は、関係者が連携しまして取り組めるように担い手育成ビジョンを策定することとしております。その中身は、中核的な漁業経営体を育成するために、生産の機械化、省力化、販売方法の改善などの取り組みを支援すること、新規就業者を確保するために、市町村協議会を設立いたしまして、地域ごとの新規就業者を確保する受け皿づくりや国の事業を活用しまして、熟練漁業者等による技術指導等の取り組みを支援してまいるところでございます。
担い手対策、地域再生営漁計画の支援事業の予算は減っておりますけれども、基本的に、就業対策につきましては国の支援事業でお金が出る事業でございますので、それを活用して今後もやっていきたいと考えております。また、来年、平成28年度は、就業フェアを県内で開催できるよう、ただいま関係団体と協議をしております。こういう取り組みは予算には反映されておりませんが、国の事業を引っ張ってきたいと思っています。
また、本庁予算のほかに沿岸広域振興局で予算化しておりまして、現在、漁業体験をさせるような事業とか、来年、漁業経営体の経営改善を支援するような事業等を、別途予算計上をさせていただいているところでございます。
〇斉藤信委員 余り説得力がなかった。
そこで、既に陸前高田市や宮古市などで独自の漁業担い手対策をやっていますね。その中身と実績を示してください。どういう支援策をやっているのか。
〇山口漁業調整課長 沿岸市町村の担い手施策でございますが、沿岸市町村のうち、陸前高田市、大船渡市、大槌町、山田町、宮古市が独自の施策を実施しております。
その内容と実績ですけれども、陸前高田市の事業におきましては、新規就業者に奨励金を支給する事業でして、その支給実績につきましては、平成26年度に2名。大船渡市の事業につきましては、新規就業者の宿舎整備を補助する事業がございまして、その補助実績ですけれども、平成27年度に2件。大槌町の事業は、漁業研修等を実施する事業でございまして、その受講実績は平成26年度に11名。山田町は、新規就業者に就業奨励金を支給する事業でございまして、その支給実績は平成26年度で1名。宮古市の事業につきましては、新規就業者の受け入れの補助を行うという事業でございまして、新規の受け入れ実績につきましては平成26年度3名というような実績になっております。
〇斉藤信委員 陸前高田市は、新規参入型の場合には120万円、宮古市の場合は年120万円を2年間。私は、やっぱりこのぐらいのことをやらないと育てられないと思いますよ。
国の支援策も農業や林業と比べると極めて不十分。私は、せめて、農業は青年就農支援金とか、さっき林業のものがありましたね、あれは1年だけれども、あれぐらいの支援をやらないと育てられないと思いますよ。私は、ここ3年から5年ぐらいが勝負だと思いますよ。ここでうまくやらなかったら漁業者が立ち消えますよ。
だから、漁業者が真水と言っているのは、やっぱり宮古市や陸前高田市がやっている並みのことを全県的にやると、全県的に。やっぱりそういう思い切った支援策が必要ではないでしょうか。どうですか。そのぐらいのことをやらなかったら確保できないのではないですか。
〇山口漁業調整課長 漁業の新規就業につきましては、未経験者、未就業者が、就業当初から組合員資格を得まして養殖業を営むとか、漁業許可を得まして漁船漁業を営むのは、技術的等の問題から非常に困難だと認識しております。よって、熟練漁業者などに雇用されながら技術習得を図ることが重要だと私どもは認識しております。
国の就業支援事業につきましては、このような実情に即しまして、新規就業者を雇用して、雇用される身分で実践研修を受けることで、その指導者に対して謝金を払う仕組みになっております。その期間が、新規就業者の身分が雇用されているということで保障されているものですから、1年から2年以内ということで、農業の3年から5年よりもかなり短くはなっておりますけれども、そのような実情を反映して今の制度になっております。
県といたしましては、このような事業を最大限活用しまして、先ほどもちょっと御説明しましたが、県内でのフェアの開催とか、あとは就業支援情報をこれから積極的に発信していくようなことなどの担い手対策を進めてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 これだけ激減してきて、私は、本当にこの3年ぐらいのところで勝負しないと、この激減傾向に歯どめがかからない。そのためには、やっぱり私は、宮古市とか陸前高田市が頑張っているけれども、全県的に、あの程度のことをせめて2年ぐらい支援してやると。その際、漁業者の後継者、これが一番のポイントですよ。
もう一つは、せっかく水産高校、水産学科があるわけですね。この就職状況を聞いてみると、漁業への就職が平成26年度は8人、平成25年度は7人なんですよ。私は、やっぱり水産高校、水産学科で漁業の担い手をしっかりつくっていくことも、そのためにどうすればいいのかということも知恵を出してやらないとだめだと思うけれども、五日市技監、こういう具体的な思い切ったことがないとビジョンに魂が入りませんよ。いかがですか。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 まず、水産高校の生徒は、やはり水産高校から漁業に入っていただくのが一番の近道であろうと考えております。ただ、高校の先生方にお聞きしても、どこから入っていいのかわからないというところもお聞きしております。
そこで、今年度、久慈東高校に私ども県北広域振興局で働きかけまして、生徒を対象に北の海人(あま)養成塾という名称で研修会を開催いたしております。内容としては、天然ワカメの採取やらボイル塩蔵の加工の方法を実習するとか、ウニを実際にとってみるとか、そういうことを実習したところでございます。
生徒からは、非常に貴重な経験になったという意見、そして、やはり漁業を今まで余り認識していなかったけれども、漁業も一つの選択肢だなという意見ももらっております。また、学校の先生、指導教諭の方々からは、このような体験の場はやはり必要だ、これからも続けてほしいという話もいただいております。
ですから、今後、高校生の皆さんに、こういう体験の場を通じて、まずは漁業への就業のきっかけを提供していくような取り組みをさらに続けていきたいと思います。
〇斉藤信委員 これで最後にします。
ぜひ、担い手ビジョンをつくって予算を減らしたなんていうちぐはぐなことはやらないほうがいい。やっぱりビジョンをつくって、それにふさわしい思い切った対策を示さないと漁業者が本気にしませんよ。
最後ですけれども、サケの刺し網漁の許可をめぐって、今裁判も行われていますが、この論点、県の主張、このことについてわかりやすく示していただきたい。
〇山口漁業調整課長 サケの刺し網の許可を求める裁判の論点につきましてですが、平成26年9月30日以降に、合計102名の漁業者から、サケを目的とする固定式刺し網漁業の許可を求める申請がありました。県では、漁業法及び漁業調整規則等に照らしまして、許可をしないことといたしました。
この不許可処分を受けました漁業者のうち100名が、平成27年11月5日付で、県の不許可処分の取り消し及びサケ刺し網漁業の許可を求めて盛岡地裁に県を提訴したところでございます。
これまで2回の口頭弁論が行われまして、裁判では、これまでのところ、県の不許可処分の理由の適法性が主な論点となっているところでございます。
県では、弁護士を代理人といたしまして、原告の請求の棄却を求めること、客観的データと根拠に基づく事実を示しまして不許可処分に至った経緯等を主張しておりまして、今後も、県の処分の適法性等について主張していくところでございます。
〇高橋但馬委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇漆原整備課長 先ほど工藤勝子委員への答弁の中で、平成26年度の樹種転換の実績を44ヘクタールと答弁いたしましたが、44ヘクタールは平成27年度の見込みの数字でありまして、平成26年度については18ヘクタールということでございまして、訂正させていただきます。済みませんでした。
〇山口漁業調整課長 先ほど城内よしひこ委員からの質問に対しまして、水産関係の被害額のうち、養殖施設と水産関係施設の被害額に間違いがございましたので訂正させていただきます。
養殖施設の被害額につきましては3、400万円余、水産関連施設の被害につきましては2、290万円余となっております。
〇高橋但馬委員長 おおむね再開後2時間が経過いたしますが、質疑を表明している委員があと2人となっていることから、質疑を続行したいと思いますので、御了承願います。
〇小西和子委員 では、私からは、時間短縮のために最初の1問目は割愛します。
では、2問目から。いわての森林づくり県民税についてでございますけれども、次年度から3期目に入るわけです。いわての森林づくり県民税の税収をお伺いします。
まとめてお伺いします。
いわて環境の森整備事業についてですけれども、今年度は目標を大幅に下回りました。次年度の目標を達成するためには、この課題を解決しなければならないと思いますけれども、次年度の取り組みについてお伺いします。あわせて、間伐材活用についてお伺いいたします。
〇佐々木林業振興課総括課長 まず、県民税の税収ということでございますけれども、来年度見込んでいる税収につきましては7億4、000万円ということでございます。
それから、森林整備事業を進めていくための取り組みということでございますけれども、これについては、いわて環境の森整備事業を実施する主体が森林組合等の林業事業体ということでございますので、こういった皆様への働きかけを地域説明会などを通じてさらに強めることによりまして、施工地の確保に努めてまいりたいと考えてございます。
それから、間伐材の利用ということがございました。これにつきましては、来年度の新たな取り組みといたしまして、いわて環境の森整備事業におきまして、間伐材を地域の公共施設等の木質バイオマス燃料等に有効利用するモデル事業を実施することとしておりまして、こうした取り組みを通じまして、間伐材の有効利用を図っていきたいと考えてございます。
〇小西和子委員 次年度から3期に入るわけですが、残る1万ヘクタールを5年間である程度めどをつけるという計画を立てているわけですけれども、ということは次年度の取り組みがすごく重要になってくるのではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、問題の県民税の認知度についてお伺いいたします。
いわての森林づくり県民税の認知度が、何年前だったでしょうか、4割程度にとどまっていることが課題だということで、今年度までの認知度の目標を7割と設定していたわけですけれども、直近のアンケート結果は、前回お伺いしたときはまだまとまっていませんという答えだったのですが、アンケート結果についてお伺いいたします。
〇佐々木林業振興課総括課長 今年度実施いたしましたアンケート調査においては、認知度について、県民税を導入していることを知っていると答えた方が35%にとどまったところでございます。
〇小西和子委員 何か全然進んでいない、認知度が高まっていないなと思います。非常に残念です。
そこで、次年度の認知度を高めるための取り組みをお伺いしたいのですけれども、一般県民はもちろんですが、どうも肝心の小規模森林所有者の方々にもその情報が届いていないというようなことを聞きましたので、そういう方々にこそ届けなければならないと思うのですが、その工夫というか、そういうことも考えていらっしゃれば、あわせてお伺いしたいと思います。課題もあるのでしょうか。カンバツ君の利用についても、ぜひ提示していただければと思います。よろしくお願いします。
〇佐々木林業振興課総括課長 認知度向上のための取り組みというところでございます。これにつきましては、今、小規模森林所有者というお話も出ましたけれども、森林、林業にかかわりの薄い方あるいは御関心が若干薄い皆様にPRしていくこと、わかっていただくことが課題だと考えてございます。これまでも、テレビあるいはラジオといった媒体によるPRをしてきたところでございまして、そういったものについては、引き続きしっかりやっていくということで考えてございます。
それから、いわて環境の森整備事業の施工地において、ここは県民税をいただいてやった施工地ですということを看板やのぼりを設置して、訪れた県民の方にPRをするでありますとか、それから、県民参加の森林づくり事業の募集広告といったものに県民税を活用しているのだという旨の記載を行うといった形で、さまざまな手段を用いて、しっかりとその周知に、認知度が上がるように取り組みを進めてまいります。
〇小西和子委員 よろしくお願いいたします。
この事業は、すごく高く評価されていますよね。年間ですけれども、県民1人1、000円ずつ納めている。それで、どんどん健全な森林に変えていくというようなことです。
担当の方々がすごく熱心だと評価委員会でも褒めていらっしゃいますね。そういうことも聞いておりますので、やっぱりよりよい事業として3期目がスタートするわけですけれども、通告していませんでしたが、そのことの決意をお伺いしたいと思います。
〇佐々木林業振興課総括課長 このいわての森林づくり県民税につきましては、森林の公益的機能を維持、増進させて、次の世代に森林を良好な状態で引き継ぐという目標を持って取り組みを進めてきたところでございます。なかなか認知度が向上しないといった課題もあるわけでございますけれども、やはり本庁の職員を初め、現地機関の職員、それからパートナーであります森林、林業にかかわる皆様方とうまく連携を図って、いただいた県民税を用いて取り組みが進むようにしっかり取り組んでまいります。
〇小西和子委員 1期目、2期目、そして3期目ですので、さらにすばらしい成果が出るように期待しております。
続きまして、防潮林の再生についてお伺いいたします。今年度の防潮林再生の進捗状況をお伺いいたします。
〇伊藤森林保全課総括課長 復旧を予定している防潮林20地区約56ヘクタールのうち、平成27年度までに8地区約23ヘクタールに着手しておりまして、全体では、平成27年度に完成した1地区を加えて2地区約3.5ヘクタールが完成したところでございます。
〇小西和子委員 それでは、次年度の復旧計画についてお伺いいたします。
〇伊藤森林保全課総括課長 平成28年度は、繰り越しを除く、新たに4地区約16ヘクタールの工事に着手し、この新規着工地区を含む8地区約32ヘクタールで防潮林の再生に向けた工事を実施する計画としております。
このうち、平成28年度内に2地区約2ヘクタールが完成し、全体で4地区約5.5ヘクタールが完成する見込みとなっております。
〇小西和子委員 課題等がございましたならお伺いしたいのですが、よろしいですか。
〇伊藤森林保全課総括課長 まだ未着手となっております防潮林が平成27年度末で12地区ございます。これにつきましては、他所管等の防潮堤の工事やまちづくり計画との調整に時間を要しているところでございます。
今後は、引き続き、防潮堤工事やまちづくり計画の進捗状況を踏まえながら、順次着手していきたいと考えております。
〇小西和子委員 白砂青松の美しい風景というのは、先人が長い年月、心血を注いで育成したものであると捉えております。それを取り戻すためにも、取り組みの強化をよろしくお願いいたします。
〇臼澤勉委員 私からは手短に質問を行います。
まず、先ほども伊藤勢至委員へ、漁港の復旧状況で、8割が復旧されているという答弁がありました。私からは防潮堤の施設の復旧整備、進捗状況、今後の見通しについてお伺いします。そして、県土整備部で整備している防潮堤の整備と一体的に完成しないと安全・安心なまちづくりが確保されないということで、そこをちょっと懸念しているわけでございますが、県土整備部とどのような連携をとりながら取り組んでいるのかお伺いいたします。
〇藤本漁港担当技監兼漁港漁村課総括課長 まず、防潮堤の復旧、整備の進捗状況と今後の見通しでありますけれども、農林水産部所管の防潮堤の復旧につきましては、平成28年2月までに、漁港海岸、農地海岸及び林野海岸を合わせた復旧予定の67海岸のうち、96%に当たる64海岸で本格的な復旧に着手しておりまして、これまでに7海岸で復旧工事が完了しております。
震災からの復旧に際しては、生コン等の建設資材の確保、他事業との工程調整、速やかな用地取得等が課題となっておりますが、関係機関との連絡調整の綿密化、迅速な用地取得に取り組み、おおむね平成30年度までの完了を目指して取り組んでいるところでございます。
次に、県土整備部の防潮堤整備との連携についてでありますが、県土整備部が所管する水門、防潮堤と連続している漁港海岸は県管理で9海岸あります。その防潮堤復旧につきましては、広域振興局内におきまして土木部と水産部とで随時打ち合わせを行うなど連絡を緊密に行い、連携を図って復旧を進めているところであります。
特に、船越漁港海岸の防潮堤につきましては、県土整備部所管の建設海岸と連続し一体の防潮堤となっているため、建設海岸と漁港海岸の工事を一括発注いたしまして、早期復旧を目指しているところであります。
〇臼澤勉委員 沿岸被災地を歩くと、特に陸前高田市であったり大槌町で、防潮堤の連続性、一体的な整備は地元の方々も非常に注視しておりますので、連携をとって着々と進めていただければと思います。
最後に、先ほど、工藤勝子委員から松くい虫防除事業費の関係のお尋ねがありました。ことしは特に観光の面からも、国体を迎えるということで、例えば紫波町でも自転車の競技会場の周辺で非常に松くい虫の被害がございます。安全確保の観点、景観上の配慮の関係からも、ここら辺の取り組みが必要になってまいります。いつでも防除できるということではないとは思うのですけれども、そこら辺を計画的にやっていただきたいと思いまして、最後に御所見をお伺いして、終わります。
〇漆原整備課長 枯死してから数年経過した被害木については、委員御指摘のとおり、景観への悪影響や倒木による公共施設等への被害が懸念されることから、いわて環境の森整備事業の中に松林の広葉樹林化促進の予算を提案しておりまして、これによりまして松林の広葉樹林化を図るとともに枯死経過木の処理を進めてまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 ぜひ、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いします。
〇高橋但馬委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋但馬委員長 質疑がないようでありますので、これで第2部林業、水産業関係の質疑を終わります。
農林水産部の皆さんは御苦労さまでした。
以上で本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後5時29分 散 会

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