平成28年2月定例会 予算特別委員会会議録

前へ 次へ

予算特別委員会会議記録
(第 7 号)
平成28年3月16日(水)
1開会 午前10時1分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 菊 池   満
主任主査 中 村 佳 和
主任主査 藤 澤 壮 仁
主査 柳 原   悟
主査 田 内 慎 也
主査 菊 地 友 和
主査 菊 池   智
1説明員
教育委員会委員長 八重樫   勝
教育長 高 橋 嘉 行
教育次長兼
教育企画室長 川 上 圭 一
教育次長兼
学校教育室長 田 村 幸 義
教育企画室特命
参事兼企画課長 菊 池 正 勝
予算財務課長 滝 山 秀 樹
学校施設課長 宮 澤 寛 行
学校企画課長 石 田 知 子
首席指導主事兼学
力・復興教育課長 小野寺 哲 男
首席指導主事兼
義務教育課長 藤 岡 宏 章
首席指導主事兼
高校教育課長 岩 井   昭
高校改革課長 木 村   久
首席指導主事兼
特別支援教育課長 民部田   誠
首席指導主事兼
生徒指導課長 大 林 裕 明
生涯学習文化課
総括課長 松 下 洋 介
文化財課長 斎 藤 邦 雄
首席指導主事兼
スポーツ健康課
総括課長 八 木 浩 之
教職員課総括課長 今 野 秀 一
首席経営指導主事
兼小中学校
人事課長 佐 藤   進
特命参事兼
県立学校人事課長 山 形 守 平

企業局長 菅 原 伸 夫
次長兼
経営総務室長 新 屋 浩 二
技師長 中屋敷   暢
経営総務室
管理課長 及 川 立 雄
経営企画課長 朝 岡   薫
業務課総括課長 千 枝 泰 航
電気課長 榮 田   厳
発電所建設課長 野 崎   裕

財政課総括課長 熊 谷 泰 樹
〇高橋但馬委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
議案第7号から議案第25号まで、議案第27号、議案第40号から議案第50号まで、議案第54号、議案第60号、議案第61号、議案第63号、議案第64号及び議案第138号の以上37件を一括議題といたします。
本日は、教育委員会及び企業局関係について、午後5時を目途に審査が終了するよう議事進行に御協力をお願いいたします。
最初に、教育長に教育委員会関係の説明を求めます。
〇高橋教育長 それでは、教育委員会関係の平成28年度岩手県一般会計予算等について御説明を申し上げます。
初めに、当初予算編成に当たっての基本的な考え方についてであります。
本県全域を突然襲った東日本大震災津波から5年の歳月がたちましたが、教育委員会におきましては、引き続き学びの場の復興に向け復興計画の推進に全力で取り組むとともに、いわて県民計画第3期アクションプランに基づき、知、徳、体を備え、調和のとれた人間形成という教育目的の実現に向け取り組んでまいります。
特に、平成28年度は、児童生徒一人一人に向き合い、寄り添った教育の充実を図るため、学力向上対策やいじめの防止、早期発見、早期対応に向けた取り組みを徹底するとともに、魅力ある学校づくりに向けた教育環境の整備に取り組み、また、希望郷いわて国体における天皇杯順位の目標達成などに向けて施策や事業の重点化を図り、予算を編成したところであります。
まず、復興計画に掲げる重点的な取り組みについて御説明いたします。
一つ目は、きめ細かな学校教育の実践と教育環境の整備、充実であります。
特色ある復興教育の実践事例の普及などによりいわての復興教育を推進するほか、高校生に対して避難所の運営体験を実施するなど、実践的な防災教育に取り組んでまいります。
また、復興途上にある本県児童生徒の心のサポートや学習面などの支援に引き続き丁寧に対応するとともに、いわての学び希望基金を活用した奨学金の給付の実施や、新たに、被災した沿岸地域の県立高等学校の産業教育設備等の整備を行うほか、放課後等の居場所づくりなどにも継続して取り組んでまいります。
二つ目は、文化芸術環境の整備や伝統文化等の保存と継承であります。
被災した沿岸市町村の早期の復興事業の推進を図るため、引き続き、全国からの職員派遣の御協力をいただきながら復興関連開発事業に伴う埋蔵文化財調査に取り組むとともに、被災地から救出した文化財等の修復や、適切な保存、管理、文化芸術活動の再興を支援してまいります。
また、いわての学び希望基金を活用し、被災児童生徒の文化活動の大会参加を支援してまいります。
三つ目は、社会教育、生涯学習環境の整備であります。
被災市町村の社会教育施設の復旧、再開を支援するとともに、地域住民が行う学習支援の実施などにより、子供たちの学習環境の充実や地域コミュニティーの再興に取り組んでまいります。
四つ目は、スポーツ・レクリエーション環境の整備であります。
地域との合意形成を図りながら、高田松原野外活動センターの代替施設の整備などを進めるとともに、いわての学び希望基金を活用し、被災生徒の運動部活動の大会参加を支援してまいります。
次に、いわて県民計画第3期アクションプランに掲げる重点的な取り組みについて御説明いたします。
一つ目は、学校教育の充実であります。
岩手や日本の次代を担う子供たちが、グローバル化や情報化など、急速に変容するこれからの社会を生き抜いていくことができるよう、一人一人に生きる力を確実に身につけてもらい、社会的自立の基礎を培うとともに、一人一人の適性、進路希望などに応じて、その能力を最大限伸ばしていくことが重要です。
このような観点ら、児童生徒の学力向上、キャリア教育の充実、豊かな心を育む教育の推進、健やかな体を育む教育の推進、特別支援教育の充実、家庭、地域との協働による学校経営の推進、学校施設の整備の七つの視点を柱に取り組みを進めてまいります。
特に、児童生徒の学力向上については、学校組織全体で学習状況調査の結果分析に基づいた各教科の授業改善を進めるとともに、授業内容の理解、定着を図るため、明確な学習課題の提示による、わかる授業の徹底や家庭学習の充実などに取り組んでまいります。
また、これまで、小学校1年から4年、中学校1年において実施してきた35人以下学級を中学校2年に拡充し、思春期を迎え不安定な年代における生徒指導上の諸課題や基礎学力の定着にきめ細かに対応してまいります。
さらに、今月末を目途に策定することとしている新たな県立高等学校再編計画を踏まえ、生徒一人一人の希望する進路の実現や自己実現ができる教育環境の整備に取り組んでまいります。
豊かな心を育む教育の推進については、昨年、一昨年と2年続けて本県で発生した中学生の痛ましい事案を教訓に、教育界を挙げて、二度と同様の事案を起こさせないという強い気持ちを持ち続けながら、いじめはどの学校でも起こり得るとの前提に立って、学校組織全体での情報共有や具体的な取り組みの浸透を図るとともに、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置による教育相談体制の充実やいじめ問題対策連絡協議会などとの連携強化を図り、いじめ問題への迅速かつ機動的な対応と、自他の命や他者の気持ちを思いやる心を育む教育の推進に取り組んでまいります。
二つ目は、社会教育の充実と生涯を通じた学びの環境づくりであります。
半世紀にわたり、学校、家庭、地域の連携により実践してきた本県独自の教育振興運動の成果や課題等を踏まえ、学校教育及び各市町村との連携強化を図りながら、社会教育の取り組みの充実を図るとともに、県民の学習意欲の向上と、学びの成果が地域で生かされる生涯学習の環境づくりに取り組んでまいります。
三つ目は、文化芸術の振興であります。
平泉の文化遺産については、世界遺産の拡張登録に向けた調査研究や、総合的な情報発信に係るガイダンス機能のあり方の調査を行うとともに、北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群の世界遺産登録に向け、関係自治体と連携した取り組みを進めてまいります。
また、文化芸術活動の継承及び振興を図るとともに、文化財の保存、管理を推進してまいります。
四つ目は、豊かなスポーツライフの振興であります。
希望郷いわて国体における天皇杯順位8位以内という総合成績の目標達成に向け、入賞の可能性の高い競技、種別に重点を置いた選手強化や、高い指導力を有する指導者の招聘による指導体制の強化を図るとともに、スポーツ医・科学に基づいたサポートを行い、本県選手団の競技力向上を強力に推進してまいります。
また、いわて教育の日のつどいにおける国体開催の一層の機運醸成のほか、国体に合わせ、スポーツ博覧会や芸術作品等の企画展を開催するなど、本県の文化・スポーツを全国に向けて発信してまいります。
続きまして、一般会計予算の歳出予算について御説明申し上げます。
お手元の議案その2の8ページをお開き願います。議案第7号平成28年度岩手県一般会計予算でありますが、第1表歳入歳出予算の歳出の表中、教育委員会が所管する予算の合計額は、10款教育費の1、511億1、203万1、000円のうち、総務部が所管する1項教育総務費の一部64万9、000円、それから下のページ、9ページの一番上の8項大学費と9項私立学校費を除いた1、412億7、691万7、000円に、次の11款災害復旧費6項教育施設災害復旧費の5億3、685万8、000円を加えた総額1、418億1、377万5、000円であります。これを平成27年度当初予算額と比較いたしますと12億8、206万円、率にして0.9%の増となっております。
以下、予算の内容につきまして、便宜、お手元の予算に関する説明書により御説明を申し上げます。それでは、予算に関する説明書の208ページをお開き願います。
説明に当たりましては、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に御説明申し上げますので御了承をお願いいたします。
10款教育費1項教育総務費1目教育委員会費は、教育委員会の運営に要する経費であります。2目事務局費は、事務局の管理運営に要する経費のほか、説明欄六つ目の被災児童生徒就学援助事業費補助は、大震災津波により経済的理由から就学が困難となった小中学校の児童生徒を対象として、市町村が行う就学援助事業に対して補助しようとするものであり、一つ飛びまして、いわての学び希望基金奨学金給付事業費は、大震災津波により親御さんを亡くされた児童生徒等に大学進学までの奨学金を給付するものであります。下のページ、209ページに参りまして、3目教職員人事費は、教職員の健康診断など人事管理に要する経費のほか、児童手当、退職手当等に要する経費であります。次のページ、210ページをお開きいただきまして、4目教育指導費は、被災した幼児、児童生徒の心のサポートや学校教育に係るソフト事業に要する経費であり、教育委員会分の五つ目の児童生徒健全育成推進費は、震災の影響により心に負担を受けた児童生徒や、不登校、いじめ等による学校不適応などの児童生徒に対応するため、スクールカウンセラーを全ての小中学校と県立高校で活用できるように配置するほか、沿岸部の公立学校を支援する巡回型スクールカウンセラーを継続して配置するとともに、教育事務所に配置するスクールソーシャルワーカーを増員するなど、専門的な相談体制を充実強化しようとするものであります。あわせて、いじめ等に悩む児童生徒及び保護者の電話相談の実施やいじめ問題対策連絡協議会の運営など、いじめの再発防止や早期発見、早期対応に取り組む経費も計上いたしております。二つ飛びまして、特別支援教育推進事業費は、いわて特別支援教育推進プランに基づき、障がいのある児童生徒が充実した学校生活を過ごすことができるよう支援員や看護師を配置するほか、職業指導支援員を沿岸部等の特別支援学校に配置し、県内企業との連携を強化するとともに、技能認定の実施に向けた研究協議会を設置するなど、特別支援教育の充実に要する経費であります。二つ飛びまして、いわて未来創造人サポート事業費は、家庭、地域と協働して、岩手の特色ある産業、文化を支える人材を育成するため、生徒一人一人の進路実現に向けた各学校の取り組みに要する経費であり、次のいわて進学支援ネットワーク事業費は、生徒の進路希望の達成を支援し、将来の岩手を支える人材を育成するため、進学対策講座の開催や各学校における進学指導の取り組みに要する経費であります。二つ飛びまして、グローバルいわて推進事業費は、高い課題解決能力や外国語でのコミュニケーション能力を持つ人材を育成するため、イングリッシュキャンプや海外派遣研修を通じた語学力向上、国際理解を促進する取り組みを実施しようとするものであり、三つ飛びまして、県立学校復興担い手育成支援事業費は、沿岸地域の高校生にキャリア教育や進学支援講座等を実施し、生徒一人一人の多様な進路の実現を支援しようとするものであります。一つ飛びまして、防災教育・復興教育推進事業費は、岩手の復興、発展、地域防災を支える児童生徒を育成するため、防災教育を教育活動に位置づけ、いわての復興教育スクールや小中学校での副読本活用による復興教育を推進しようとするものであります。次の指導運営費は、学習定着度状況調査の実施に要する経費のほか、外国語によるコミュニケーション能力や問題解決力等の国際的素養を身につけたグローバル人材の育成、小規模な県立高校の教育課程の充実に向けた遠隔教育のシステム構築など、文部科学省からの委託事業等の実施に要する経費であります。次の5目教育センター費は、教職員の研修などに要する経費のほか、総合教育センターの管理運営に要する経費であり、下のページ、211ページの6目恩給及び退職年金費は、恩給及び扶助料等であります。
次のページ、212ページをお開き願います。2項小学校費1目教職員費は、小学校教職員の人件費、旅費等のほか、二つ目のすこやかサポート推進事業費は、児童の基本的な生活習慣の定着と基礎学力の向上を図るため、非常勤講師の配置に要する経費であります。
下のページ、213ページに参りまして、3項中学校費1目教職員費は、中学校教職員の人件費、旅費等のほか、生徒指導や学習定着状況調査等で課題のある学校をサポートするための非常勤講師等の配置に要する経費であり、2目学校管理費は、県立一関第一高等学校附属中学校の管理運営に要する経費であります。
215ページをお開き願います。4項高等学校費1目高等学校総務費は、高等学校教職員の人件費、旅費等であり、2目全日制高等学校管理費及び次のページ、216ページの3目定時制高等学校管理費は、それぞれの学校の管理運営等に要する経費であります。下のページ、217ページの4目教育振興費は、高等学校における教育用備品の整備や、工業、農業及び水産業教育等の実験実習に要する経費のほか、中ほどの高校奨学事業費補助は、高校生向けの奨学資金等を公益財団法人岩手育英奨学会に対し補助するものであります。三つ飛びまして、いわての学び希望基金教科書購入費等給付事業費は、大震災津波で被災し生活基盤を失った高校生に対して、教科書、制服及び修学旅行に要する経費の全部または一部を給付するものであり、次の公立高等学校等就学支援金交付事業費及び次の奨学のための給付金支給事業費は、保護者の経済的負担の軽減を図り、高校生の就学の機会を確保するため、公立高等学校の授業料相当分の支援や、低所得者世帯への給付金の支給を行おうとするものであります。一つ飛びまして、被災地域県立学校産業教育設備等整備費は、被災した沿岸地域の県立高等学校の産業教育設備や部活動設備を整備し、教育活動の充実を図ろうとするものであります。5目学校建設費は、高等学校の校舎、教職員住宅等の整備、維持管理に要する経費であり、一つ目の校舎建設事業費は、県立盛岡農業高等学校の第三校舎の耐震改築工事や、県立久慈高等学校の改築工事の設計を行おうとするものであり、次の校地整備事業費は、県立千厩高等学校のグラウンド整備等に要する経費であります。218ページに参りまして、6目通信教育費は、通信教育の管理運営に要する経費であります。
下のページ、219ページに参りまして、5項特別支援学校費1目特別支援学校費は、特別支援学校の管理運営のほか、三つ目の施設整備費は、県立盛岡となん支援学校の校舎新築や、県立花巻清風支援学校北上分教室の整備等に要する経費であります。
次に、221ページをお開き願います。6項社会教育費1目社会教育総務費は、社会教育関係職員の人件費のほか、学校、家庭、地域等が地域総ぐるみで地域の教育課題の解決に自主的に取り組む教育振興運動の推進や、青少年の家の管理運営に要する経費等であり、説明欄下から二つ目の学びを通じた被災地の地域コミュニティ再生支援事業費は、子供を中心とした地域活動及び地域住民の学習や交流の機会を通じた地域コミュニティーの再生支援に要する経費であります。222ページに参りまして、2目文化財保護費のうち、二つ目の文化財保護推進費は、指定文化財の保存、修理への補助や、民俗芸能の伝承促進等に要する経費であり、次の遺跡調査事業費は、沿岸地域の復興事業を円滑かつ迅速に進めるための埋蔵文化財調査に要する経費であります。次の柳之御所遺跡整備調査事業費は、柳之御所遺跡の発掘調査、整備のほか、世界遺産拡張登録に向けた総合的な情報発信に係るガイダンス機能のあり方を調査しようとするものであり、次の世界遺産登録推進事業費は、平泉の文化遺産の世界遺産拡張登録と保存管理、明治日本の産業革命遺産の世界遺産委員会決議事項への対応と普及啓発及び北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群の世界遺産登録に向けた取り組みに要する経費であります。3目芸術文化振興費は、青少年へのすぐれた芸術鑑賞機会の提供、中高校生の芸術文化活動への支援及び岩手芸術祭の開催など芸術文化振興に要する経費のほか、県民会館の管理運営に要する経費等であり、下から二つ目のいわての学び希望基金被災地児童生徒文化活動支援費補助は、被災した児童生徒の文化活動の大会への参加に要する経費を補助するものであり、一番下の被災地児童生徒文化芸術支援事業費は、被災した児童生徒に文化芸術に触れ合う機会を提供しようとするものであります。下のページ、223ページに参りまして、4目図書館費は、県立図書館の管理運営に要する経費であります。次の5目博物館費及び次のページ、224ページの6目美術館費については、それぞれ県立博物館及び県立美術館の管理運営等に要する経費でありますが、このうち、223ページの博物館費のスポーツ博覧会いわて開催事業費及び224ページの美術館費のいわて国体特別展示事業費については、ともに希望郷いわて国体・希望郷いわて大会の開催に合わせて、岩手県ゆかりのスポーツ選手等の活躍を紹介する企画展、岩手県ゆかりの作家による特別企画展、障がい者の絵画展などをそれぞれ開催しようとするものであります。
下のページ、225ページに参りまして、7項保健体育費1目保健体育総務費は、保健体育関係職員の人件費のほか、県立学校医や児童生徒の検診、その他保健管理に要する経費等であり、五つ目の児童生徒放射線対策支援事業費は、学校給食食材の測定のほか、学校環境放射能モニタリング検査に要する経費であります。2目体育振興費は、生涯スポーツの推進、児童生徒の体力、運動能力の向上対策、国民体育大会など各種大会への選手派遣に要する経費等であり、四つ目の児童生徒の体力向上推進事業費は、希望郷いわて元気・体力アップ60運動の実施など、運動習慣の定着を図る全県的な取り組みを推進しようとするものであります。226ページに参りまして、上から四つ目の競技力向上対策事業費は、国民体育大会や全国規模の大会に出場する選手の強化対策及びジュニア選手─いわてスーパーキッズ─の早期発掘と育成等に要する経費であり、一つ飛びまして、第71回国民体育大会選手強化事業費は、希望郷いわて国体本大会に向けた指導体制の確立、選手の育成、強化や、本県競技スポーツの普及、振興に要する経費であります。次のいわての学び希望基金被災地生徒運動部活動支援事業費は、被災した生徒に対して、運動部活動の県大会や東北大会等への参加に要する経費を補助するとともに、学校体育施設が被災した沿岸の中学校、高等学校の運動部活動の充実に向け、内陸部の体育施設へ生徒たちが移動するためのバスの借り上げ等を行おうとするものであります。3目体育施設費は、県営体育施設の管理運営及び施設整備に要する経費であります。
次に、ページを飛んでいただきまして、238ページをお開き願います。11款災害復旧費6項教育施設災害復旧費1目学校施設災害復旧費は、県立高田高等学校の艇庫や仮設グラウンドの整備など、県立学校施設の災害復旧に要する経費であり、次の2目体育施設災害復旧費は、大震災津波により全壊した県立高田松原野外活動センターの移転復旧に向けた用地造成のための予備設計に要する経費であります。
次に、債務負担行為について御説明いたします。
議案その2にお戻りいただきまして、13ページをお開き願います。第2表債務負担行為の表中、教育委員会関係のものは、事項欄47の校地整備事業費の1件であり、その内容は、県立千厩高等学校のグラウンド整備に係るものであり、期間及び限度額を定めて債務を負担しようとするものであります。
以上で一般会計予算の説明を終わります。
続きまして、予算に関連する議案について御説明申し上げます。
議案その3の162ページをお開き願います。議案第47号高等学校生徒等修学等支援基金条例の一部を改正する条例についてでありますが、これは、本年度末とされていた国の交付金を財源とする本基金による事業終了期限が延長されることから、条例の有効期限を平成29年12月31日まで延期しようとするものであります。
なお、施行期日については、公布の日から施行しようとするものであります。
以上で説明を終わります。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
〇高橋但馬委員長 これより質疑を行いますが、議会運営委員会の決定及び世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇佐々木順一委員 それでは、高校生の主権者教育、政治教育についてお伺いをしてまいりたいと思います。
このことについては、岩手県の総合教育会議を経まして、県民計画の第3期アクションプランの教育分野においても、充実に取り組んでいくと書かれております。
一方において、これまで、学習指導要領には、憲法や選挙制度、その仕組みについて教える記述はあります。しかしながら、18歳の選挙権行使が実現したことから、国や社会の問題を自分たちの問題として考え、捉え、行動していく主権者としての素養を身につける教育を充実させていくことが大変重要と考えておりますが、主権者教育、政治教育について、県教育委員会のこれからの対応策をお示し願いたいと思います。
〇岩井首席指導主事兼高校教育課長 主権者教育についての対応策でございますが、これまでも、高等学校においては、学習指導要領に基づき、日本国憲法の基本的な考え方や議会の仕組み、政治参加の重要性、選挙の意義などについて指導してまいりましたが、今般の選挙年齢の引き下げに伴い、政治的教養を育む教育の充実がより一層求められております。
県教委といたしましては、文部科学省から配布されました副教材を活用し、選挙の具体的な仕組みに関する指導や、民主政治の基本である話し合いや討論に関する指導を行うほか、政治経済等の教科における指導内容の充実を図るとともに、選挙管理委員会等と連携しながら、模擬投票を体験できる授業の実施などを通して、各校が適切な主権者教育を計画的かつ継続的に進められるように指導に努めてまいります。
〇佐々木順一委員 文部科学省では、昨年の秋に、当面、高校3年生を対象とした副教材を配布したと承知しております。この内容はどういうものなのか、また、どう活用されるのか、お伺いをいたします。
〇岩井首席指導主事兼高校教育課長 内容につきましては多岐に渡っておりますが、幾つか例を申しますと、民主政治の基本である話し合いや討論に関する指導、あるいは選挙の具体的な仕組みに関する指導などが含まれております。それらを活用しながら、現在の学習指導要領ではその内容は盛り込まれておりませんので、各学校が時間を工夫しながら指導を行っております。
〇佐々木順一委員 関連してまたもう一つ聞きますが、中央教育審議会では、18歳選挙権付与に対応して、今、学習指導要領の見直しが行われていると承知しております。
お聞きすると、公共という科目の設置も検討されていると伺っております。その中で、討論とか模擬投票、模擬選挙とか、さまざま事例が掲げられていると承知しておりますが、現段階で、県教委では、この動向をどう把握されているのか。恐らく、来年度中には答申を取りまとめて、さまざまな事例といいますか、主権者教育の方向づけをさらに明確にされるものと思っておりますが、現段階で文部科学省の動向をどう把握されているのか、お伺いをいたします。
〇岩井首席指導主事兼高校教育課長 お話があった新設科目公共につきましては、現在、中教審において検討が進められていると捉えております。
その内容につきましては、人間としてのあり方、生き方の考察を通して、主体的に社会参画するための力を実践的に育む科目ということで検討が進んでおると捉えております。将来的には、この科目の中で、現在行われております主権者教育も取り扱うことになると考えております。
この科目の扱いにつきましては、原則、全ての生徒が学ぶことになる必履修科目として設置されるものと考えておりますが、御案内のとおり、次期学習指導要領の内容が固まるのは、おおむね平成28年度と把握しております。
〇佐々木順一委員 具体的に聞きますが、新聞の題材をテーマに、教室の現場で、例えば憲法9条がいいのか悪いのかとか、そういう議論にもなる可能性はあると思います。そうしないと、なかなか政治教育は深まらないと思いますが、恐らく生徒の中には、賛成、反対とか、当然意見が分かれると思います。恐らく最終的に、それでは先生はどう考えるんだと、生徒が聞きたいという希望はあると思うのです。その場合、先生は、教育の中立性という観点から自分の考えが言えないのか、あるいは言えるのか、それはどうなのでしょうか。
〇岩井首席指導主事兼高校教育課長 教員の政治的中立性についてでございますが、教員が政治的教養に関する教育を行う場合には、現実の具体的な政治事象を扱いながら政治的教養を育み、生徒の自主的、自発的な活動を促し、充実した話し合いや討論が活発に行われるよう、多様な考え方や見方を紹介したり、異なる見解の資料を提示することなど、適切に指導する必要があるものと捉えております。
その一方で、教員の言動は、成長期にある生徒に与える影響は極めて大きいものもございますので、その辺に配慮しながら、また、教育基本法に基づき、教員が個人的な主義主張を述べることは避け、政治的中立性の確保に努めることが求められているものと考えております。
〇佐々木順一委員 多分そうだと思います。だけれども、生徒が、おやじとかおふくろの考えを聞きたいというのと同じように、先生の意見も聞きたいと。これは何といいますか、当然の、自然な希望だと思うのです。だけれども、今の話だと、答えられないということでありますから、そうなると、生徒から見れば、学校の先生は逃げたということになりかねないわけです。こういうことを積み重ねていくと、教育の生徒と教師の教育上の信頼関係が損なわれるというおそれもあると思いますので、今は法律的にはそうかもしれませんが、将来的に、ここはかなり検討して改善していく余地が私はあると思いますが、教育長はどう思いますか。
〇高橋教育長 主権者教育については、これは一般的な、評論家的な知識を身につけるということではなくて、主権者としての実践的な力、また、その判断力を養うという視点が極めて大事だと思っています。そういう中で、委員からただいま御指摘のありました生徒が教師の直接的な意見を聞きたいという思いは当然あろうかと思います。したがいまして、先ほど課長から御答弁申し上げましたように、具体的な事例を挙げながら、考え方を教師がきちんと説明する。ただ、一方で、法的な、政治的中立性の義務がございますので、その辺もきちんと生徒に説明した上で、生徒に主体的に考えてもらうという場面等をつくっていくというのが大事だと思っておりまして、ただいま委員から御意見を賜ったこと等も踏まえながら、より実践的な教育が進められるように、各学校と話し合いの上で努力していきたいと思っております。
〇佐々木順一委員 学校現場の生徒と先生の信頼関係が損なわれないように、デリケートな問題でもありますので、十分注意をしてやっていただきたいと思っております。
そして、主権者教育というのは高等学校で完結するものではないと思います。当然ながら、小学校、中学校の発達段階に応じていろいろ工夫を凝らしてやっていくべきものだと思いますが、小中義務教育段階における主権者教育はどういう対応をされるのでしょうか。
〇岩井首席指導主事兼高校教育課長 小学校、中学校、高等学校等の各段階における体系的な主権者教育の充実についてでございますが、公職選挙法の改正により、選挙権年齢が18歳に引き下げられたことに伴い、今後、小・中・高を通じ、児童生徒が主体的に政治に参加する意識を高めていくことは、より重要になるものと考えております。
主権者教育につきましては、小学校、中学校の社会科、高校の公民科の授業はもとより、選挙管理委員会と連携した模擬投票の機会などを通じて、児童生徒の発達段階に応じ、計画的かつ継続的な指導の充実に努めてまいります。
〇佐々木順一委員 それでは次に、昭和44年の文部省の通知についてお伺いいたします。
この通知は昨年廃止されました。昨年まで効力を持っていたわけであります。この中身につきましては、当時の大学紛争を背景に、高校生の政治活動を禁じたものであります。高校生の政治活動と言っても、高校生の構外、放課後、休日などについて禁じたものでありますが、これが廃止されたことによりまして、政治活動は自由ということになったと思いますが、これでよろしいのかどうか、まず認識をお伺いいたします。
〇岩井首席指導主事兼高校教育課長 昭和44年の文部省通知の廃止に伴う高校生の政治的活動についてでございますが、当該通知では、高校生の政治的活動等は一切禁止されておりましたが、昨年10月に、文部科学省から新たに示された通知では、放課後や休日等に学校の構外で行われる選挙運動や政治活動については、家庭の理解のもと、生徒が判断し行うものとされております。
〇佐々木順一委員 それでいいと思います。いいと思いますが、ただ、問題なのは、文部科学省の初等中等教育局長の新しい通知があります。その中に、放課後や休日等における学校の構外で行われる生徒の選挙運動や政治活動について、以下の点に留意することとあるわけなのです。
中身が何かと言えば、皆さんも御承知だと思うのですが、もちろん違法なものはだめなのですが、暴力的なもの、違法もしくは暴力的な政治的活動等になるおそれが高いものと認められる場合には、高等学校等は、これを制限または禁止することが必要であると、こういう通知があります。
もう一つ、文部科学省がこの件についてQ&Aを出しておりまして、その中に、生徒の放課後や休日の学校外での政治活動を届け出制とするのは可能かと、こういうQ&Aがありまして、この模範解答は、各学校で適切に判断するということであります。届け出た者の個人的な政治的信条の是非を問うようなものにならないようにすることなどの配慮が必要と。これは皆さんも承知だと思うのですが、他県におきましては、学校現場に委ねるという取り扱いもあります。学校現場で委ねられたところは、校長先生ほか、またこれも大変なわけでありますから、届け出制を導入するという動きも他県では見られるわけでありますが、この届け出制は表面的にはなるほどと思うところもあるのですが、届け出ることによって、生徒の政治的思考とか就職とか進学にいろいろ影響を及ぼすおそれもあるので、結果的に、生徒の政治活動を萎縮させるおそれがないとは言えないと思うのですが、岩手県教育委員会では、この取り扱いをどうするのかお伺いをいたします。
〇岩井首席指導主事兼高校教育課長 高校生の政治的活動等に関する届け出制についてでございますが、届け出制が求められる背景として、委員御案内のとおり、生徒の安全面や学業、生活への支障を心配することが考えられますが、一方で、届け出制にすることにより、生徒の主体的な活動を萎縮させ、思想信条の自由に抵触することがあってはならないことと考えております。
文部科学省から新たに示された通知には、学校、家庭、地域が十分連携することが望ましいとされております。そういったことを踏まえまして、生徒の安全面や学業、生活への支障に対する配慮については届け出制も一つの方策ではありますが、学校、家庭、地域の連携を充実させることが実効性のある対策につながるものと考えております。したがって、現時点では、一律に学校に対して届け出制を求める必要はないものと考えております。その上で、必要があれば、生徒の実態に応じて、保護者の意向も踏まえ、各学校が判断することを規制するものではございません。
〇佐々木順一委員 立派な判断だと思います。18歳ですよね、選挙権が付与されるのは。18歳の社会人もいるわけであります。18歳、19歳の大学生もいるわけでありますから、この方々は、何も届け出る必要性はないわけでありますので、高校生だからというたったこれだけで、いろんな届け出制というものを導入したりすると。先ほど私が申し上げたとおり、萎縮することは十分あり得るわけでありますから、私は今の県教委の判断で基本的には原則自由と、問題が起きたらそこで考えるという方針でぜひ対応していただきたいと思っております。御期待を申し上げまして、次の質問に入ります。
それでは次に、新たな県立高等学校の再編計画についてお伺いをいたします。
今、県教委では、さまざまな意見を踏まえて成案を作成中と承知しておりますが、私も岩手中部のブロック会議の現場でいろいろ関係者の御意見を聞いたわけでありますが、概して拙速な統廃合は避けていただきたいということが意見の大きな流れだったと思っております。加えて、地域も一生懸命頑張るので、生徒の確保を含めて、時間的余裕も与えてくれませんかといったものが大体の意見ではないかと私は承知しております。
一方において、県教委は、パブリックコメントもやっておられたわけでありますから、そのパブリックコメントの意見はどういうものがあったのか。そしてまた、各地域の意見を踏まえて、成案の作成に向けてこういった意見をどう取り扱うのか。そしてまた、かねがね公表の時期は今年度中と言っておりましたが、その方針で間違いないのか、これをお伺いいたします。
〇木村高校改革課長 新たな県立高等学校再編計画案に関します意見の検討状況についてでございます。この計画案に関しますパブリックコメントの状況でございますが、約700件の御意見をいただいておりますが、地域の高校をできる限り存続させるということでの計画を評価する意見、そして、既に計画案に盛り込まれ修正が不要な意見をかなりいただいている部分でございます。そして、そのほか、統合等を予定している地域からは、定員確保に向けた地域の努力を見た上で判断してほしい旨の意見、あるいは、学級減については今後の入学者の状況を見ながら、慎重に検討してほしい旨の意見等もいただいているところでございます。
再編計画の策定に当たりましては、こうしたさまざまな御意見、さらには、地方創生に向けた市町村の今後の方向性なども踏まえながら総合的な検討を行っているところでございますが、今年度末を目途に、地域の理解が得られるよう、計画の最終的な調整を行っているところでございます。(佐々木順一委員「今年度中でいいの、策定」と呼ぶ)
〇佐々木順一委員 今年度中の策定ということで、教育長がうなずいたからそれで了といたします。
岩手中部のいろんな意見交換会といいますか、説明の場での例を挙げれば、傾向として、小規模校の取り扱いが議論の中心を占めておりました。生徒減少に対する学級減について、結果的に十分な議論が深まっていないのではないかと。
それは何かというと、例えば中部ブロックを例に挙げますが、花北青雲高校と花巻南高校の学級減が最後の場面で提示されたわけであります。それで、関係者は、頭の中では総体的に学級減は避けられないというのはみんな感覚的には持っていたのです。だけれども、個別に高校の名指しが出たものですから、何でうちの学校がと、こういう戸惑いを与えたことは確かであります。そういう方々が頭の中に描いたのは、他の高校は学級減にならないよねと、何でうちだけなんだと、ここで問題はとまっているわけなんです、簡単に言えば。そういう状況の中で、成案づくりが今進められているわけでありますが、なぜ最終局面で学級減の対象高校を明記した計画素案を示さなければならなかったのか、これをお伺いいたします。
〇木村高校改革課長 学級減の計画を示す理由についてでございますが、学級減につきましては、今後、高校に入学する小中学生やその保護者の皆さんに、各高校の学級編制の見通しをあらかじめ示すことが必要と考え、計画案に示したものでございます。
学級減につきましては、震災後は大きく欠員を生じた個別の学校を検討の対象としてまいりましたが、志願倍率が低下し、生徒の学習意欲にも影響があるとの意見も寄せられていることから、ブロックごとの学級数調整を行うものでございます。
ブロックにおけるこの学級数調整につきましては、ブロック単位で中学校卒業予定者数、そして各高校への進学予定者数を基本としてブロックごとの県立高校の必要学級数を算出し、今後5年間に、各高校で一定数の欠員が生じる時期等を考慮して行うものでございます。
〇佐々木順一委員 教育委員会でも承知していると思いますが、花巻市の教育委員会から、このことに対して依頼の書面が行っていると思います。簡単にいいますと、花北青雲高校、花巻南高校の再編計画については今回の計画で決定ということではなく、志願者数の動向や状況等、さまざまな変化に柔軟に対応してほしいと。同時に、学校を初めPTAや同窓会など、さまざまな関係者あるいは小中学生、その保護者、いろんな意見を十分聞いて対応してほしいという要請が来ております。
このことを踏まえて、当然ながら、この計画はこれをもって決定ということではないと思いますが、その点についてまずお伺いをいたします。
〇木村高校改革課長 学級減についての計画の取り扱いということでございますが、そのような形で今後の入学者の状況を見ながら慎重に検討してほしいという意見もいただいているところでございますが、この計画を基本としつつも、年度ごとの各高校の入学選抜における定員充足状況、あるいはブロック内の中学校卒業者の予定なども確認しながら対応してまいりたいと考えております。
〇高橋但馬委員長 佐々木順一委員に申し上げます。世話人会の申し合わせにより、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう議事の進行に御協力を願います。
〇佐々木順一委員 了解しました。それでは、今後どういう努力をして理解を深めていくのか、そのことを聞いて終わります。
〇木村高校改革課長 計画策定後の部分につきましては、この地域との連携も重要になるということもございますので、そういった地域の取り組みを十分意見交換させていただきながら、その入学者の状況、定員の充足状況というところを見てまいりたいと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 私も高校再編についてお尋ねしたいと思います。
今の佐々木順一委員の質疑の中にありましたけれども、今年度というのは今月のことですか。今月、いつごろまでに決めるのですか。
〇木村高校改革課長 先ほどの教育長の説明の中にもありますとおり、今月末を目途に進めてまいりたいと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 前回、平成12年に、高校再編の計画が出て大幅に一回再編しましたけれども、このときの再編計画の考え方とか提案の仕方と今回との違いは、どの辺にあるのかお尋ねしたいと思います。
〇木村高校改革課長 前回の再編に係る計画との考え方の違い等についてでございます。
平成12年度から平成21年度までの10年間を期間といたしました県立高等学校新整備計画では、少子化の進行に加えまして、生徒の多様化、個性化に対応するために、特色ある学校、学科の配置が大きな特徴でございました。
今回の新たな県立高等学校再編計画案では、こうした点に加えまして、少子化が一層進行したことに伴い、地域の高校の存続を求める声も踏まえまして、教育の機会の保障の観点をより重視し、学級減を中心とした学級数調整を行う内容としていることが、さきの整備計画との違いであると考えております。
あと、提案の方法についてでございますが、地域との意見交換を行った上で再編計画の案を公表し、パブリックコメントなどを実施して意見を伺うなど、同様の手続のもとに計画策定を行っているところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 考え方はわかりました。人口減少が明らかに進んでいるというのはそのとおりであります。ただ、この提案の仕方ですけれども、私が思い起こすに、前回は、具体的な再編の高校とか学科の再編の中身を提案してからいろんな議論をしたという経緯があった。
例えば久慈地区で見た場合には、商業、水産、農林を一つの高校にして、久慈東高校にするという提案があって、その提案についてどうするかという議論を随分したという経緯があります。今回の場合は、それがないような気がするのですけれども、その点はどうなのでしょうか。
〇木村高校改革課長 提案方法についてでございますが、平成26年度から高校再編の検討を再開して以降、さまざまな機会を捉えて地域の意見を伺ってきたところでございます。そして、平成27年4月に、今後の高等学校教育の基本的方向を改定して以降は、首長など地域の代表者が参加する地域検討会議や県民の皆様が参加する意見交換会を県内9ブロックにおいて複数回開催してきているところでございます。そして、平成27年10月から11月にかけて開催いたしました地域検討会議や意見交換会におきましては、それまでにいただいた意見も踏まえ、今後の検討の方向性として、県教委の考え方を説明させていただいております。
具体的には、通学が著しく困難な地域の1学級校は特例として存続させること、前計画における統合の基準を見直すこと、そして定員を大幅に割り込んでいる専門学科の見直しや学級減を検討することなどを説明した上で、皆様から意見を伺い、再編計画案の策定、公表をしたものでございます。
〇嵯峨壱朗委員 私が言っているのはそうではなく、先ほど佐々木順一委員からもありましたけれども、具体的な高校名とか、そういったものの提案が前と違って唐突ではないですかということを言いたい。それはどうなのですか。
〇木村高校改革課長 具体的な検討ということでございますが、委員のおっしゃっているところについては統合の案が示され、その統合に向けて関係者がその対応を協議するという、統合等検討委員会のことをイメージされているのではないかと思いますが、この計画が成案になった後は、そういった形での御議論をいただきたいと考えておりますので、同様のやり方をさせていただきたいと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 ということは、私が当時、中学校のPTAにかかわっていて、この検討委員会というのに出た記憶がある。何回かやったのです。そのときは、これがいいかどうかも含めて議論して、相当何回もやった記憶があります。今回は、概略的な条件はいろいろ詰めていって、そして12月25日にぼっと、その間、具体的な─やりましたか、高校名まで挙げて。私はそうじゃなかったような気がするのですけれども。だから、同じだと言われればそうなのかと。もう10年以上も前の話ですから曖昧ですけれども、本当に同じなのですか。
〇木村高校改革課長 計画が成案になった後、統合の形、形態という部分について地域の皆さんとの意見交換をして統合のあり方を詰めさせていただくことは今後も当然行うことでございますので、そういったプロセス等を踏まえながら統合という形を進めてまいりたいと考えているところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 十何年前の話で、あなたも知らないでしょうから、今聞くのは無理があったのだろうという気がしました。
今回、唐突感は否めないと私は感じております。同じような条件でありながら、対応の仕方、先ほど佐々木順一委員から話があったけれども、何でうちだけというふうに思われた高校が多々あったと思うのです、再編の中身はともかくとして。これは本当だと思います。
先ほど同じような手続でやっていると言うけれども、その唐突感については、やはり私だけではなく、まして対象となる地域の方々、住民の方々、子供を持っている方々は余計にそれを感じたと思うのですけれども。人口減少は、それぞれどの地域もそうであることはそのとおりです。そして、募集生徒に同様の傾向があることもそのとおり。でも、さっき言ったように、取り扱いについてどういったところから違いが出てきたのか、その辺をお聞かせ願いたいと思います。
〇木村高校改革課長 各地域における再編の考え方でございますが、ブロックごとに私立高校の有無、あるいは県立高校で設置している学科等も異なっていること、そして、少子化、欠員の状況等にも違いがあることを踏まえながら、基本的にはブロック単位で中学校卒業予定者数、そして各高校への進学予定者数をもとにブロックごとの県立高校の必要学級数を算定し、各高校で一定数の欠員が生じる時期、そして、配置する普通科、専門学科のバランスも考慮しながら再編する高校を決定しているものでございます。
〇嵯峨壱朗委員 先ほど、前回と今回との違いは何かと聞いたのですけれども、一番大きな違いというのは、震災があったかなかったかというのが実は大きいんですよね。それを考慮して、途中、一時やめて、また再開して今に至っているという経緯なのでしょうけれども、この計画案の初めのところを見てもそういったことを前提に計画を立てているということですけれども、だとすれば、猶予というのが必要かなと。
具体的に言いますけれども、三つの地域が今度再編の対象になっているわけですよね。遠野地区と私どもの地区と宮古。宮古の場合は地元の理解もあるという話もありますけれども、被災地、野田村などでも3分の1の世帯が流されたり壊されているんですね。そして、まだまだ……。その前に、この提案をなされたときに、どういった意見が対象の自治体を含めて来たかというのをお聞かせ願いたいと思います。
〇木村高校改革課長 地域の反応についてでございますが、統合の対象地域では、統合への不安の声や、統合を直ちに決定するのではなく、地域での努力の時間が欲しいといった意見、あるいは、2校存続を前提に、創意工夫と努力の成果を見きわめた上で判断してほしいという御意見もあったところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 そこで、さっきの話の続きですけれども、例えば、久慈工業高校の場合は久慈市ではなくて野田村にあるのですけれども、まだ県道のつけかえとかさまざまな工事をやっていて、実際のところ通学に支障がある状態です。そういった観点からして、今回みたいに……、何年までに再編すると年限をはっきりと明確に出していますよね。この差を私は理解できない。被災地であることも含めて、そして同じような条件にもかかわらず、他の地域は募集の状況を見てやりましょうと言っているにもかかわらず、遠野と久慈については平成30年度、平成31年度、宮古についてもやると決めている。なぜその違いがあるのかお聞かせ願いたい。
〇木村高校改革課長 今回の統合案という形での取り扱いについての御質問でございますが、今回、校舎制という部分で統合をお示しさせていただいたところでございますけれども、これは、専門学科における2学級校が、生徒が少なくなることによって1学級になる場合に先生が少なくなることで専門性の確保が十分できなくなること等も考慮しております。専門学科においては2学級が最低規模というところで、1学級での専門学科の存続という部分が難しいということもありまして、校舎制ということで、専門性の確保、学校の存続という二つを狙った形での案ということでお示しさせていただいているところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 間違いなく生徒数が減っていくのは事実なので、そういった形での再編をしながら廃校ではなく残すというふうに考えていただいたことについては最低限の対応をしてもらったと思っていました。ただし、被災地はまだ復興途上で、再編ということを前面に出して、皆さん方は安易に考えているかわかりませんが、こういうふうにもう名前が出た時点で、生徒は、ああ、学校はなくなるんだと思うんですよね。だから、今年度の募集に影響が出ていると思いますよ、間違いなく。久慈工業高校も遠野緑峰高校もそうですけれども。だから、そういったことにも影響が出てくる。それで応募者が少ないからやっぱりだめだとなるのが一番怖いと思っているし、そういう現実になったと思っているのです。
もう一点は学科です。専門高校というのは、例えば久慈工業高校は土木系、建設系の学科があって、そこはある程度の募集がある。ただし、電子機械科を出ても、久慈地区にそれを受け入れる産業とか全然ないのですよ。だから、入らないですよ、多分、いつまでたっても。だから、実際の産業的なものに対応するような学科にしていくとか、そういう発想もあっていいのではないかと私は思っていました。どこにもないですよ、この電子とか機械とか、久慈地区においてはほとんどないです。
そういう意味でいうと、常任委員会でも議論があって斉藤委員からも質問があったみたいですけれども、エリアで見て、例えば県北の二戸、久慈地区で見ると、福岡工業高校があって、そこは機械システム科と電気情報システム科ですみ分けて、昔からそうやってきているはずです。昔は、二戸地区からも久慈工業高校に来たんですよね。つまり、土木系、建設系の学科というのはそこしかないから、県北地区、沿岸も含めて。そういうふうにすみ分けしてやってきているはずです。
だから、そうやって大きく考えていかないと、その意義がつかめないなという気もしていました。だから、人口減少で減ったからどうこうというだけではなく、可能性をそれぞれ見ていってもらいたい。先ほど、再編計画は、計画が出たとしても、これを基本としながら現状に合わせて見直しをしていく、対応していくという話をしておりましたけれども、そういった理解でいいのかと、いろいろな意見がある中で、もう少し猶予してくれと。例えば、この久慈工業高校の場合だと、他の地区の高校と同じように、何年になったらやめるとかではなくて、2年、3年推移を見て、やっぱり募集がなかったらと。そうすれば地域の人もやっぱりそうかと思うと思うのです。今みたいだと、ああ、県は久慈工業高校をばしっと切ったんだというふうにとられると思うのです。ですから、ぜひ地域の今回の意見を取り入れて、改めて柔軟に対応していただきたいと思います。
〇高橋教育長 高校再編にかかわりましてさまざまな御意見を頂戴いたしました。東日本大震災津波の発災の年、平成23年6月に新たな高校再編計画案を公表するという段取りで当時、検討を進めてきたところでしたけれども、未曾有の大災害の中で、沿岸部の方々の生活が内陸への避難、県外への避難等を含めて大混乱しているという中で、その検討を凍結したということについては御案内のとおりでございます。
それから5年が経過いたしまして、現在の高校の状況を見てみますと、次代を担う子供たちの学ぶ環境というのは待ったなしであり、各学校のあり方というのは地域にとって極めて大きな課題ということを前提にしつつ、現実的にそれに対応していくのが行政を担う我々の大きな責任だろうという中で検討を開始させていただいたところでございます。
基本的な方向性の検討に当たりましては、第三者委員会をつくってそこで答申をいただきつつ、そのプロセスでも地域の声をお伺いしました。12月の公表に向けた計画案の策定に向けても、各ブロック単位でさまざまな意見交換をさせていただきました。より丁寧に地域の声を反映させるという基本的な考え方のもとに、全体的なスケジュールについても、12月に公表し、年度内の策定を目指して取り組みますということについては、県議会の本会議、各地域での説明会の場でも全体的なスケジュールについて申し上げた上で、各学校の現状と地域の現状等についても丁寧に説明して計画案の策定を行ったということでございます。
今年度内に策定するということについては再三申し上げてまいっておりますけれども、この間、案公表後、各地域からさまざまな意見を頂戴してきております。より慎重にというような御意見ですとか、一方では一定の理解をいただいている地域もございます。そういう貴重な意見を我々は頂戴いたしておりますので、成案の策定に当たりましては、それらの意見等をも十分に踏まえながら、教育委員会議の場等においてさまざまな議論等をしつつ、最終案の策定に向け取り組んでいきたいと思っております。
〇嵯峨壱朗委員 被災地の実情とかさまざまな努力等も勘案しながら、人口減少というのは共通ですので、いずれ再編になるだろうという思いは持っていると思うので、そういう努力をぜひ酌んでいただいて、しっかりと考えて提案していっていただきたいと思います。
〇中平均委員 関連して質問させていただきます。今の高校再編の問題で、まず一つは年度内に策定するということです。きょうはもう3月16日ですね。年度内といっても、あと15日。具体的にいつ出せるということがある程度出てきているのではないかと思いますが、日程をお聞かせください。
〇木村高校改革課長 現在、教育委員会内におきまして最終的な検討の詰めを行っているところでございますが、今後、教育委員への協議を進めてまいりたいと考えておりますので、臨時会の開催も含めて、今年度内の策定に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
〇中平均委員 その会議等を含めてのスケジュールを示していただきたいと思います。
〇木村高校改革課長 あした教育委員会議があるのですけれども、教育委員への協議が済んでからとなりますが、臨時会ということも含めて、月末の29日ごろを候補としながら最終調整を進めているところでございます。
〇中平均委員 29日ごろということですが、本当に年度末も最後の最後ということで、今、案の段階で、これが成案となってからの議論ができる機会が少ないのかなという気がして、残念なところであります。
今の嵯峨委員の質問の中で工業高校の教員の確保が難しいという答弁もありましたけれども、先般の一般質問でも質問、答弁がありましたが、私も聞いて調べてみたところ、確かに欠員は出ているけれども、毎年募集をかけて、臨時講師を置いて、教員の採用のバランスの関係とか定数の関係もあって定数を満たしていないような現状ではないかと思って伺ったのです。それでもって、先に工業高校の教員の定数が欠員だとマスコミに出す。そういうふうな形で出ていましたけれども、実際に足りないのかとこの間お聞きしたら、いや、こういう形になっていますし、もともと募集をかけて来ている人数を全員とらないで、別の臨時講師のほうに回してという形で今、やりくりをしている。そういうことを定期的にやっていくことによって……。先ほど、木村高校改革課長から専門校だからそういうところが足りないという答弁だと思ったのですが、そういうふうな答弁になってくるとやはり違うのではないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
〇山形特命参事兼県立学校人事課長 今、委員から御指摘がございました工業高校を担当する教員でございますけれども、本年度においては、本務教員178人、本務教員の欠員に充てる臨時講師を20人配置しているということで、それがこの間新聞に工業高校教諭の欠員20名ということで出ておりますが、このように補充の教員も配置しながら岩手の産業を支える人材の育成に取り組んでいるところであります。
これは、工業系の大学において教員志望の学生が減少しており若手本務教員の確保が非常に困難となっておりまして、退職をした再任用教員、さらには、その再任用が終わった60代の講師を充てて、年齢構成にも大きな隔たりが生じているという状況であります。
これを改善するため、毎年、工業系の大学を訪問して、就職担当職員や就職活動期の学生を対象にしたガイダンスを行うなどして受験希望者の増加を図っておるところであります。
〇中平均委員 関連で、何も資料を持ってきていなかったのでもう終わりますけれども、要は、先にそういうふうにマスコミ報道でも工業系の教員も少ないと出てきて、ましてや今度、工業高校も統合されるとなると、ますます外堀から埋められているのではないかと地域のほうでは思ってしまうわけです。そういった誤解がないような今後の……、報道が出たとしても、そうではなくちゃんと定数は充足しているということを言っていくとか、また、そういった面を含めて、それこそ、この案が出てから、その前から地域のさまざまな声というものを当然聞いていらっしゃると思います。また、今議会の招集日の八重樫教育委員長演述においても、やはり教育は未来への投資であると。岩手県は大変厳しい財政だけれども、やはりそこにきちんと金をかけていかねばならない。まずは義務教育から少人数制をやっていくのだと。いずれその先はこれから考えていくにしてもという演述もありました。そういった点を踏まえて、今回の高校再編、やはりいろいろな地域の意見が当然ある。私も該当地域で、意見がある。そういったものを踏まえて、29日ごろ予定している成案に向けて、これから地域の声をどういうふうに生かしてこの案を組んでいくのかということを最後にお伺いして終わります。
〇高橋教育長 教員定数の関係についても触れさせていただきたいと思いますけれども、あくまでも教員については本務教員で充足するのを大前提にしつつ、今後なお厳しい状況だけれども人材の発掘に向けて努力いたしますというのを先般の議会でも答弁させていただきました。
そしてまた、高校再編につきましては、さまざま学ぶ環境、機会を保障してほしいという強い全県での御意見等を踏まえて、それに寄り添った計画案とさせていただきました。ただ、一方では、久慈地域、遠野地域のように専門高校と普通高校、総合学科校との統合というような案も提示させていただきましたけれども、これは、全体的な生徒数が減少する中で、その学校の機能を維持する、そして、将来の地域を担う人材を育むといういわば戦略的な統合というような考え方で提示させていただいたところでございますが、各地域地域においては、学校が統合の対象になるというのは極めて大きいということでさまざまな要請活動等もいただいているところでございます。
ただいま委員から御指摘いただいた御意見等も十分に踏まえつつ、成案の策定に当たっては、地域の声も配慮しつつ一定の方向性を満たしていきたいと思っております。
〇神崎浩之委員 嵯峨壱朗委員の質問に関連してお聞きいたします。
質問の中におきまして、具体的な学級減、それから年次を提示することによって余計に志願者数が減るのではないかということでありました。大方、議員も地域の人口減少の中で、大きな意味では学校の統合、それから学級減もやむなしという気にはなっていると思うのですが、具体的にこの学校はいつまでということを今回提示されていることに対して疑問があるのではないか。
そこで、年次、具体的な学校名、クラス名を出すことは逆にその学校の志願者数を減らすことになるのではないか、追い詰める結果になるのではないかと思うわけですが、それについて当局はどういうふうにお考えでしょうか。
〇木村高校改革課長 学級減の計画を示すことについてということでの御質問でございます。
先ほどお答えしたとおり、この計画については、今後入学される小中学生、そして保護者の皆さんに学級編制の見通しをあらかじめ示すことが重要ということでお示しさせていただいているところでございます。
御指摘のように、学級減による影響という部分もあるとは思いますが、今回の計画では、地域の高校の存続という意見が多かったということもございまして高校の存続を重要視して策定した部分はございますが、今後5年間、こういう形で学校は存続しますよというメッセージを出すというイメージもあったということを御理解いただきたいと考えております。
そして、当然ながら、この学級減の計画、ブロックの中で学級数を減らしていかなければならない状況については変わらないものではございますけれども、入試の状況等、志願者の状況、そして中学校卒業者の移入等による変化という部分も十分踏まえながら検討してまいりたいと考えているところでございます。
〇神崎浩之委員 今度、成案になるわけでありますけれども、ぜひ学校の具体的な名前、クラス、年次については明示しないでいただきたいと思っております。
先ほど言いましたように、もう拍車がかかっていると思うのです。その学校を潰すような感じで進んでいると。教育委員会はそうではないと言うかもしれませんけれども、やはり地域ではそういう見方をしております。
したがいまして、ブロックの中で人口が減る、子供たちが減る、その中で何クラス分は減ることになりかねないですよというところまではいいのですけれども、具体的な高校名、クラス名、そして年次まで明示する必要はないのではないかと思うのですが、その点についてお聞きしたいと思います。
〇木村高校改革課長 学級減の関係につきましては、震災後は大きく欠員を生じたということで、40人以上の欠員を生じた個別の学校を検討対象としてきたということがございますが、中学卒業者と定員の差ということで志願倍率が低下してきているためブロックごとの学級数調整が必要ということでございます。
計画に示さないほうがいいのではないかということでございますが、計画的にお示しする中でブロックにおける状況を皆様で共有させていただきながら、そういうふうに示さなければ、いきなり前の年に出てくるという形が本当に生徒の進路指導というか選択肢の確保という形としていいのかどうかということもございますので、あらかじめお示しした上で、その時々の定員の充足状況なり中学校卒業予定者の状況なりはしっかり把握した上で学級減を実施していくというふうに考えているところでございます。
〇飯澤匡委員 私は、文化財保護費の世界遺産登録推進事業費及び柳之御所遺跡整備調査事業費に関連してお伺いします。
先ほど教育長から説明がありましたように、世界遺産の拡張登録等にも各年にわたって継続的に御配慮いただいております。この点については本当に評価したいと思います。
平泉が世界遺産登録となってことしで5年ということで、世界遺産登録を受けて今後どのように発展性が築けるかというのは地元でも議論をしているところでもありますし、また、以前から歴史、文化を含めた歴史資料の生かし方、これをいかに世界遺産登録に合わせてレベルアップしていくかというような課題については平泉町からも要望が出ているところでもございます。端的に言いますと、研究機関は県立でやってくれという話もあるし、今、平泉の町議会では、国立博物館等の誘致についても、きょうですか、特別委員会の研究調査の報告があるとも聞いております。
そこで、現在、教育委員会においては─ずっと継続的にこの要望については出てきているわけですが─どのような検討をされておるのか、その経過状況をお知らせいただきたいと思います。いずれにしても、中世の平泉前後にわたる資料が、世界遺産登録後、質、量とも非常にふえてきていることについては前向きに捉えて県教委も何らかのアクションを起こすべきだと私も思っていますので、図書館機能、研究所機能、中核的公開施設機能、埋蔵文化財収蔵機能、これらについて要望が出ているところでございます。この検討状況についてお聞きしたいと思います。
〇松下生涯学習文化課総括課長 県立の平泉文化研究機関の設置についてでございますが、委員御指摘のとおり、さまざまな機能を含めて各所から要望書が出されてございます。
県教委におきましては、平泉文化遺産の世界遺産登録に先立ちまして、平成22年度から県内の高等教育機関で構成されるいわて高等教育コンソーシアムとの共同研究を開始するとともに、平成25年度には岩手大学平泉文化研究センターの研究サテライトが県教委の平泉遺跡群調査事務所の中に設置されまして、平泉文化の研究機能の充実を図っているところでございます。
現在、これまでの研究成果を生かしながら、平泉の文化遺産の拡張登録を最優先事項として県及び関係町が連携して取り組んでいるところでございます。県立の研究機関の設置に向けては、当面、さらなる遺跡の発掘調査ですとか研究の積み重ね、そして研究人材の育成が必要と考えておりますことから、引き続き、岩手大学等との共同研究を実施するなど、平泉文化の研究機能の充実に努めてまいりたいと考えてございます。
〇飯澤匡委員 なかなかハードルが高いということは私も認識しています。
もう一つ、内在的な問題としては、先ほどお話があったように、人材をどうやって集めるかという点については、平泉という町の規模からして、また、町の予算規模からしてもなかなか困難な点があると思います。
先ほど申し上げた国立博物館の誘致に関しても、きょうの報告を待ちたいと思いますけれども、奥州市や一関市とも連携しながらさまざま行っていく必要があるということも盛り込まれる予定と聞いておりますし、なおさらやはり県が牽引しながら、せっかく世界遺産登録をなし遂げたわけですから、さらに情報発信の場所ということに注力してやっていただく必要があると思うのですが、これは最後に教育長に方針等を聞いて終わります。
〇高橋教育長 平泉文化遺産の情報発信機能につきましては、来年度予算におきまして、その研究を進めるということで必要な経費については計上させていただいているところでございます。
大規模な研究施設でございますけれども、委員御案内のとおりさまざまなハードルがあると考えております。大震災津波を経た中で、これからの岩手の復興にとって大きな力になるのはまさに文化だという大きな思いの中で、県の政府予算の統一要望におきましても、国立博物館の招致については、大震災発災以降、強く要望してきているところでございます。
これから復興をなし遂げて、将来を展望したとき、これからは東北の時代というのが必ず来ると思っています。また、国もそういうメッセージを送っておりますので、そういう中で平泉の機能の強化をどう図っていくか、拡張登録ももちろんそうですし、ガイダンス機能ですとか研究機能、そういう中で一体的に考えていかなければならないと思っております。いずれ、国に対する要望につきましては引き続き県としても行っていきたいと思っております。
〇飯澤匡委員 今、本当にいい話をいただいたと思っているのですが、ILCの実現に関しても、科学の分野を随分切り口として出されますけれども、私は、やはり中世以降の文化というのは、非常に東北の地にあって貴重な独自の文化を遂げてきた部分もあるし、それを外国人の方々も、研究者の方々はさらにこういう分野について造詣が深い方、興味を持つ方が多くて、やはり東北という地域は、震災というものを乗り越えるだけの力の原点はここにあるのだなというようなものをしっかりと、情報拠点をつくるということは大変私は意義のあることだと思いますので、継続的に取り組んでいただきたいと思います。
〇関根敏伸委員 私からは、大きく2点についてお伺いさせていただきます。
まず最初に、特別支援教育の現状について何点かお聞きをさせていただきます。
特別支援学校の高等部への入学者の推移、数年間の状況をお示しいただきたいと思っておりますし、卒業後の就労率及びその他の進路状況について、内陸と沿岸部との比較、全国との比較等もあわせてお示しいただきたいと思います。
〇民部田首席指導主事兼特別支援教育課長 特別支援学校高等部の入学者数でございますが、5年前の平成23年度と比べ、今年度につきましては11名増の235名に増加しております。
次に、卒業後の就労率、就労継続支援A型を除く一般就労の状況でございますが、平成23年度から平成26年度までの平均で、本県では26.6%に対し全国では27.5%。また、内陸と沿岸の特別支援学校高等部の同数値については就労継続支援A型を含む数値となりますが、内陸部の33.7%に対して沿岸部では23.0%となっております。
なお、一般就労以外の卒業生の進路状況でございますが、昨年度の就労継続支援A型を含む数値ですが、福祉的就労62.8%、その他の進学などにつきましては10.6%となっております。
〇関根敏伸委員 県立学校にも特別な支援を必要とする生徒が学んでいらっしゃると思うのですけれども、この生徒数の推移と、同じく特別な支援を必要とする生徒たちの卒業後の進路の状況についてお聞かせいただきたいと思います。
〇岩井首席指導主事兼高校教育課長 県立高校における特別な支援を必要とする生徒数の推移と卒業後の進路状況についてでございますが、最近5年間の生徒数と割合を見ますと、平成23年度は833人で2.53%、平成24年度は1、009人で3.25%、平成25年度は946人で3.16%、平成26年度は893人で3.04%、平成27年度は981人で3.41%となっておりまして、全生徒数に対する割合はおおむね3%台で推移しております。
また、卒業後の進路状況につきましては、調査を実施しておりませんので正確に把握したものではございませんが、いわて特別支援教育かがやきプラン推進事業により、特別支援教育支援員を配置している学校の多くが就職率100%を達成しておりますので、各校における進路指導が適切に実施されているものと捉えております。
〇関根敏伸委員 特別支援学校高等部においても入学者がふえている状況、県立学校においても推移は大体3%前後と思いますが、傾向的にふえているのかなと私は感じました。
その中で、特別支援学校高等部において、多様なニーズに対応するための入試や教育課程、学科の設置のあり方を検討していくといったものが推進プランの中に示されていたと思います。平成26年度にこの検討委員会が設置されて、答申を受けて来年度から具体化されるとお聞きしているわけでありますけれども、この検討状況はどういったものになっているのかお聞かせいただきたいと思います。
〇民部田首席指導主事兼特別支援教育課長 高等部における検討状況についてでございますが、特別支援学校高等部には、自校の中学部の生徒だけではなく、中学校の特別支援学級や通常の学級の生徒も入学してきておりまして、特に知的障がいの高等部におきましては、多様なニーズを持った生徒一人一人の特性に応じた働く力や自立した生活をするための力等を高める必要がございます。
県教委では、平成27年度に知的障がい特別支援学校高等部のあり方に関する委員会を設置し、各学校の現状把握と課題認識の共有を図り、各学校の状況と照らし合わせながら、多様なニーズに対応するための検討をしてきたところでございます。
これまで開催した委員会において、高等部の学習の中心となる作業学習について種目の見直しやコース制のあり方、教育課程等の改善や工夫、教員の資質向上等について、現行の制度、体制で対応可能な取り組みについて協議を行ってきたところでございます。
これまでの協議を踏まえまして、高等部の入試のあり方や学科の設置等も含め、平成28年度に今後の施策の方向性について検討を行い、平成29年度以降に具体的な取り組みを実施するように努めてまいりたいと思っております。
〇関根敏伸委員 平成29年度以降の具体的な取り組みということでありますが、県立高校においても800名から1、000名ぐらいの生徒が学ばれていると思います。県立高校の中での特別支援教育の体制づくりをどう進めていくのかもお聞かせいただきたいと思います。
〇岩井首席指導主事兼高校教育課長 県立高校における特別支援教育の体制づくりについてでございますが、平成22年度から3年間かけて全ての教員を対象に研修を行うことで、教員の特別支援教育に対する理解と技能向上を図り、各学校において特別支援コーディネーターを中心に特別支援教育校内委員会を設置して特別支援教育に取り組んでまいりました。また、授業中の学習支援が必要な生徒が在籍する学校については、いわて特別支援教育かがやきプラン推進事業により特別支援教育支援員を配置し、サポート体制を整えております。
今後につきましては、中学校や関係諸機関との連携をさらに深め、県立高校における特別支援教育の体制を一層充実させてまいりたいと考えております。
〇関根敏伸委員 本当に特別支援教育を高等部あるいは県立高校の中で行っていかなければならないということであります。大変な御苦労をされていると思いますけれども、ぜひ一層の推進を図っていただきたいと思います。
そういった中で、先ほど高等部の進路状況等も示されたわけでありますし、今、答弁の中で、卒業後を見据えた自立と働く力をしっかり育てていくというお話がありました。この自立と働く力に向けた取り組み状況はどうなっているのか、課題や解決方法をどのように整理されているのか。また、先ほど内陸部と沿岸部では就労率に相当の開きがあったようでありますけれども、沿岸部に対しての取り組み等をどのように強化していくのか、まとめてお聞かせいただきたいと思います。
〇民部田首席指導主事兼特別支援教育課長 高等部卒業後を見据えた取り組みについてでございますが、高等部につきましては、生徒の卒業後を見据えたキャリア教育の充実が重要と考えているところでございます。これまでも、特別支援学校と地元企業との連携協議会での意見交換などを通じ、企業側のアドバイスを可能な限り取り入れた授業の改善や職業指導支援員の配置などに取り組んできたところです。一般就労の実績は高まっているところですが、卒業生の生活的自立や働く力をさらに高めるため、個々の基礎的能力となる生きる力の向上が必要と認識しております。
このため、特別支援学校では、生徒の生きる力の伸長を目的とした自立活動の授業を行っておりますが、この授業をより充実させ、生徒が自発的に取り組めるよう、今年度からタブレット端末を導入し、個々の基礎的能力の向上も図っているところでございます。
今後におきましても、キャリア教育と自立活動の両面で充実を図り、生徒の一般就労や自立支援に努めてまいりたいと思います。
次に、内陸と沿岸の格差是正の取り組みでございますが、4カ年の平均では約10%の相違がありましたが、昨年度につきましては内陸部32.4%に対しまして30.9%と、沿岸部での一般就労の割合が毎年高くなってきております。これは、沿岸部の特別支援学校に配置しております職業指導支援などのキャリア教育の充実が成果としてあらわれているものと考えております。来年度以降も引き続き就労支援に取り組んでまいりたいと思っております。
〇関根敏伸委員 卒業時の就労の状況等は今、御答弁いただいたように理解いたしましたが、就職された後の継続的な支援でありますとか、あるいは、当初、就業を希望されないで福祉的な就労をされたり施設に入居されたりしている方々への自立支援みたいな取り組みは継続的にされているのか、お示しいただきたいと思います。
教育委員長演述の中でも技能認定制度の取り組みが示されておりますけれども、この制度の方向性はどういったものを考えているのか、制度設計の時期と見通しについてもお聞きいたします。
〇民部田首席指導主事兼特別支援教育課長 最初に、卒業生等に対するアフターケアでございますが、県内で圏域ネットワーク会議を開催しており、その中には、企業、福祉、労働等の関係者が集まり卒業後の生徒の情報等も交換しております。その中で適切な支援をしていくということで進めております。
技能認定についてでございますが、企業側が生徒を実際に見る機会が少ないため、進路担当者による企業訪問の際に生徒の能力を理解してもらうことが難しいという課題がございます。このため、新規雇用企業の拡大を図る取り組みとして、来年度、企業訪問等で生徒の能力を客観的に伝えることができる技能認定制度を開発しようとするものです。
具体的には、企業との連携協議会に参加している企業関係者や特別支援学校進路担当者等で構成する技能認定研究協議会を開催して、技能認定の開発と平成29年度以降の実施に向けた企画等を検討してまいりたいと考えております。
〇関根敏伸委員 次の質問に移らせていただきます。
先ほど来議論のありました県立高校再編計画案につきまして、私も何点か質問させていただきます。
まず、1点目、佐々木順一委員の質問にもございましたが、パブリックコメントの状況について、いろいろな意見の状況はお示しいただきましたが、端的に、統合を含めた再編案に賛成、反対はどういった比率になっているのかまずお示しいただきたいと思います。
今回、望ましい学校規模ということで1学年4から6学級というのが示されました。あわせて、学校の最低規模ということで1学年2学級という基準が示されたわけでありますが、加えて特例校ということで三つの地域の学校が指定されているわけでありますけれども、これらの基準をどのように整理されているのかお聞かせいただきたいと思います。
〇木村高校改革課長 まず、パブリックコメントの状況についてでございますが、約700件の意見があり、計画案におおむね賛同する意見が約20%を占めて最も多く、統合、学級減に反対する意見は15%程度となっております。そして、計画案に賛同する意見も含め、既に計画案に盛り込まれ、修正が不要な意見がかなりを占めている状況でございます。
次に、望ましい学校規模等の基準についてでございますが、生徒の多様な進路目標の実現、部活動や学校行事など多様な経験を積むといった観点から、原則、1学年4から6学級程度としております。
一方、既に3学級以下の規模の学校が全体の4割を占めるという状況も踏まえまして、進路に沿った学級編制や多様な授業の展開を行い、集団生活による社会性を育成する観点から、学校の最低規模を1学年2学級としたものでございます。
さらに、広大な県土という地理的な条件の中、近隣にほかの高校がなく、統合した場合に他地区への通学が著しく困難な地域も存在し、こうした地域においても学びの機会を保障してほしいという地域の声にも配慮し、1学年1学級となっても維持する学校を特例校として設けさせていただいたところでございます。
〇関根敏伸委員 わかりました。本当に御苦労された計画案だと思います。御苦労されたがゆえに、なかなか理解されないような三つの基準も示されたのではないかと思いますし、ここに校舎制という概念も取り入れられるということで、先ほど戦略的な統合だというお話がありました。方向性は理解するのですが、基準が三つ示された部分について、やはり特例校から外れた地域、学級減が示された学校からいろいろな意見が出るのは当然だろうと思います。
そんな中で、この再編案の基本的な考え方に、産業界はもとより、地域との連携について一層の充実に向けた取り組みの展開を明記しているわけであります。今までずっと地域との連携というものは言われてきたわけでありますけれども、ここに書き込まれた展開の方向性をどのように考えていらっしゃるのか、もう少し踏み込んでお聞かせいただきたいと思います。
〇木村高校改革課長 地域との連携についてでございますが、本県の高校教育におきまして、地域の産業や今後の岩手の復興、発展を支え、ふるさとを守る人材の育成に当たっては、地域の産業構造や求められる人材のニーズの把握が必要であり、各高校とそれぞれの地域との連携が非常に重要であると考えているところでございます。
今後は、地域との連携をさらに強化し、学校や地域それぞれにプラスとなる取り組みを展開することによりまして高校の魅力を高めていくことを想定しているものでございます。
〇関根敏伸委員 わかります。ぜひ踏み込んだ連携というものにしていただきたいと私は思います。
県立学校の経営は言うまでもなく県教委が行うものでありますけれども、先ほど来、地域等のさまざまな御意見等を聞かせていただくにつけ、人口減少の中で、地方創生に取り組む地域の危機感や学校に期待する声というものも今までの再編計画とは比べ物にならない声が上がっているのではないかと思います。私も検討会議に何度か出席させていただきましたが、市町村側や地域側から積極的な学校経営に対しての提案もなされておりますし、具体的にそれがメニュー化されて実行に移されている地域もあります。
統合の時期は先ほど明確に示されたわけでありますけれども、今後、地域との連携の中で、県立高校の充実した教育環境の整備ができる方向性が見出せる、そして、地域も地域の活性化を県立高校とともに図っていくのだと。まさに双方プラスになるウイン・ウインの関係を築き上げていく方向性がようやく見えかけているのではないかと私は思うわけです。ですから、今回の再編計画が示された、もう終わりましたというわけではなく、今後の議論もしながら、高校教育のあり方を地域と一体的に取り組んでいく、検討する、研究する、そういった仕組みや組織を常設的なものとして設置していく必要があるのではないかと考えているわけでありますけれども、この点についての御意見をお聞かせいただきたいと思います。
〇木村高校改革課長 御指摘の地域との連携についてでございますが、まずはそれぞれの地域での連携を進めようとする意向や考え方を十分尊重しながら、地域の皆様と学校等が検討する場を設置することを考えているものでございます。
具体的には、各学校に設置しております教育振興会など既存の組織も活用しながら、連携に向けました具体的な取り組み内容を検討していくことを考えているところでございます。
〇関根敏伸委員 方向性はわかるのですけれども、組織の一つの具体的な目指すものとして教育振興会等が示されたわけでありますが、今までも、教育振興会、地域のPTAとか、あるいは学校支援地域本部等々がありますけれども、こういった取り組みはもうされていると思うのです。これから県教委が本当に県立高校の改革、よりよい教育水準の維持というものを目指すのであれば、既存の教育振興会との連携ということの延長線上では、具体的な方向性はなかなか見えてこないのではないかという気がいたします。
他県の例でもいろいろ示されておりますけれども、やっぱり1年ぐらいかけて改革の推進母体となる議論をする組織、これを見るとやっぱり教育委員会、首長、議会、議員であったりするわけです。こういった組織にしていかないと、財政のことから何から、具体的な連携の方向性というのは見えてこないと思うのですけれども、この辺についてもう一度教育長から御所見をいただきたいと思います。
〇高橋教育長 今月中に成案化したいというお話については再三申し上げさせていただいております。この計画の具体的な実行段階において、地域からまたさまざまな御意見を頂戴するという姿勢も我々は持ち続けなければならないと思っておりますし、それぞれ学ぶ機会の保障、質の保障を実現するためには、地方創生の取り組みとあわせまして、また、学科のあり方とか、これは産業界との連携も必要になってまいります。さまざまな関係者の皆さんで、実質的な、本質的な議論をする場は必ず必要になってくると思います。その組織のあり方については、学校関係者、市町村の皆さんを初め、さまざまな皆さんと合意形成を図りながら、どういう姿が望ましいか、ただいまの御意見等を踏まえまして検討させていただきたいと思っております。
〇高橋但馬委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午前11時58分 休 憩
午後1時2分 再開
〇佐々木努副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
委員各位及び執行部に申し上げます。この後、本日審査を予定している部局について延べ19人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
質疑を続行いたします。
〇岩崎友一委員 私から大きく2点お伺いします。
まず初めに、いわての復興教育についてお伺いをします。
いわての復興教育のプログラム、これはインターネットでとったのですけれども、全部見させていただきまして、本当に内容はすばらしいというか、全て網羅しているという印象を私は持ったわけでございますが、このいわての復興教育に関して、県全体で取り組むことに大きな意義があるとうたっているわけでありますけれども、現在の取り組み状況、全ての学校で行われているかどうかも含めて、お示しを願いたいと思います。
〇小野寺首席指導主事兼学力・復興教育課長 いわての復興教育についてでありますが、取り組みとしましては、郷土を愛し、その復興、発展を支える人材を育成するという理念のもと、県内全ての公立学校において学校経営計画に復興教育を位置づけ、各校や地域の実情及び児童生徒の心身の状況等に応じて、特色ある教育活動に取り組んでいるところです。
〇岩崎友一委員 すると、県内全部で行われているということであります。これを見ますと、公立学校それぞれでカリキュラムというか、どういった授業を行うか決めているようでありますけれども、その特徴、地域性があるかどうかも含めて、その辺はいかがなものでしょうか。
〇小野寺首席指導主事兼学力・復興教育課長 内陸部、沿岸部を含め、全ての学校で行っているわけですので、それぞれの学校の特徴、例えば内陸部であれば、その地域がどういう災害に備えるだとか、この震災を受けてどういう心のケアが大事なのだとか、あるいはそもそも命というものはどういうものなのかという教育的価値、いきる、かかわる、そなえるという三つの教育的価値に分類して、それぞれ学校の特徴に応じて、例えば保護者と連携をする活動、気象台などの外部機関と連携する活動、あるいは学校の社会科の勉強の中で地域学習として復興教育を行う。その際、小学校の低学年用、高学年用、中学校用の副読本などを活用して、学校の実態に応じて実施しているところです。
〇岩崎友一委員 その授業の中で、内陸部の児童生徒と被災地の児童生徒の交流というものは行われているのでしょうか。
〇小野寺首席指導主事兼学力・復興教育課長 被災地と内陸部の学校の交流、いわゆる横軸連携と呼んでおりますが、そのうち、県教委が捉えている実績は、平成26年度でございますが、小中学校、県立学校合計52校でございます。これは主に推進校の実態を捉えているものでございます。
具体的には、例えば小学校では、内陸部の学校が被災地の学校に対して、自分たちが育てた米や桜の苗木を贈る活動などが行われております。
中学校では、内陸部の学校が被災地の学校の文化祭に参加して復興ソングをともに歌う活動などが行われており、高等学校では、内陸部と被災地の学校が震災体験や未来を語り合う活動が、特別支援学校では、内陸部と被災地の児童生徒が災害に対する備えについて意見交換するなど、工夫した取り組みが行われております。
〇岩崎友一委員 ぜひ、この被災地と内陸部の学校の交流をどんどん行ってほしいと思うのです。
なぜかといいますと、内陸部におきましても、学校の先生が児童生徒に教える、例えばDVDを使って授業する、いろんなやり方はあると思うのですが、先生とかDVDではなくて、直接的に内陸部と被災地の児童生徒同士が触れ合うことによって、同じ世代同士で話をしたりすることによって、また感じ方というか捉え方というものも違ってくると思いますので、ぜひこの交流というものをさらに進めていただければと思います。
このプログラムの中には、PDCAのマネジメントサイクルの推進等々、いろんな構想が書かれておりますけれども、これまでやってきまして、県教委として成果をどのように捉えているのか。そしてまた、これを次にどういった展開に持っていこうとしているのか、お伺いしたいと思います。
〇小野寺首席指導主事兼学力・復興教育課長 成果と課題についてですが、成果としては、復興教育の理念及び先ほど申し上げた、いきる、かかわる、そなえるという三つの教育的価値が、全ての小中学校、県立学校に浸透していること、あわせて、教職員と児童生徒が東日本大震災津波に対する思いを共有し、ともに支え合おうとする態度が育まれてきていることと捉えております。
課題としましては、時間の経過に伴う震災についての意識の変化や、東日本大震災津波の経験を教訓とする防災教育を中核とした復興教育に取り組むことと捉えております。
県教委といたしましては、引き続き、復興教育の推進に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
〇岩崎友一委員 これも具体で21項目あるのです。いろんな組み合わせがあるかと思うのですが、この復興教育に期待するものが、今いろいろとやりとりさせていただいたものも含めて、実は自分もそうでありますけれども、震災のときに一番強く感じたのは、人の死のはかなさと、とうとさであったと思っています。恐らくそれは子供たちも一緒だと思うのですけれども、死というものの考え方が全く変わったというのも大震災であったと思うのですが、死のはかなさ、とうとさというのを子供たちが学ぶことによって、岩手の一つの大きな課題であります、いじめの問題の発生の抑制にもつながるのではないかという観点からも期待しておりますし、また、この教育の中で、岩手の子供たちがふるさとに対する愛着というものが生まれるような取り組みを進めてほしいと思います。
部局横断的に若者の定住ということで、いろいろ議論が交わされていますけれども、小さいころの岩手、ふるさとに対する子供の愛着というのも、年をとってから定住するということを考える場合の一つの大きな要素にもつながってくると思いますので、そういった点にも考慮しながら、この復興教育を大きく育てていただきたいと思います。
最後に教育長に見解をお伺いして、この質問は終わります。
〇高橋教育長 このいわての復興教育ですけれども、これは被災3県の中でも、特に全県的にいち早く取り組んだのは岩手県だったと思っております。
未曾有の大災害で悲惨な状況の中で、子供たちが地域に支えられたという、地域の力が子供たちの頭に入り込んでいて、困難な状況にあった皆さんの避難所生活でのお世話だとか、いち早く高齢者の方を背負って避難したとか、地域に育まれている子供というのを子供たち自身が強く体験できたと思っております。そういう子供を育んだこの岩手の地の教育、地域の力というのはすばらしいということで、これを将来に残していくということが極めて大事だということと、津波の被災地だけではなくて、自然災害というのはどこでも起こり得るということで、内陸部の子供たちを含めて、沿岸部の子供たちの現状を理解しつつ、お互いに支え合うという心の教育にも使うというのは、いわての復興教育ということです。現在お持ちいただいている副読本については改訂版でございまして、初版からまた改訂と、将来的にはまたその辺を見直すというようなことも考えておりまして、これは岩手県の教育の大きな特徴ということと財産だということを我々は強く意識しつつ、育てていきたいと思っております。
〇岩崎友一委員 ぜひよろしくお願いします。
次に、学校現場での政治的な中立性というものについて取り上げたいと思いますけれども、何でこれを取り上げるかといいますと、父母だったり祖父母の方々から、平和安全法の関係で学校の教育が偏ってはいないかと。子供たちが戦争法というものの印象を強く残して帰ってくるということで、それがちょっと気になって今回取り上げるわけでございますけれども、平和安全法について、学校の教育のあり方というものを県教委としてどのように考えているのかをお伺いしたいと思います。
〇岩井首席指導主事兼高校教育課長 学校における平和教育のあり方についてでありますが、これまでも、学校においては、社会あるいは現代社会、政治経済などの教科の学習を通して、政治的な教養を育む教育に取り組んでおります。あるいは歴史の中で、過去の歴史も学んでおります。そういった歴史の中には、戦争とか不幸な歴史もあるわけですが、そういった教材を通して、これから自分たちがつくり上げていく社会に対する認識が養われてきているものと考えております。そういった中では、当然、教員には政治的中立性が求められますので、その辺は十分、岩手県の教員においては特に配慮しながら取り組んできたものと考えておりますが、戦争法などという見方というのも、学校でそのような見方が養われているかどうか、そこは何とも言いかねますが、そのような言い方をテレビ等あるいは新聞等でも言われることがありますので、そういったものを目にしながら、耳にしながら、そういった認識が生まれてくる生徒も中にはいるのではないかと考えられます。
いずれ、学校教育においては、政治的教養を育む教育というのはこれからもますます重要になり、選挙年齢の引き下げ等もあります。そういった中でますます政治的中立性というのは求められますので、今後一層、その辺を留意しながら教育が進められるように県教委としても見ていきたいと考えております。
〇岩崎友一委員 いや、私が言ったのは、その子供が新聞だったりテレビを見て覚えたというのではなく、学校でそういったことを教わったと。ただ、子供の感じ方もあると思うので、それがどの程度かというのは実際わからないところでありますけれども、父兄だったり祖父母の方々から、ちょっと教育が偏っているのではないかという話をいただいたわけでありますけれども、その点について県教委としてどのように思うか、また、そういった実態について、あったかどうかも含めて把握できているかどうか、お伺いをします。
〇岩井首席指導主事兼高校教育課長 保護者あるいは地域の方からの御意見というものは、直接聞く機会は今のところございませんが、学校において政治的な内容を教材として扱う場合には、今は特に言われておりますが、さまざまな意見、さまざまな見方があるということをしっかり生徒が理解できるように、教材を用意して授業を進めるように求められておりますし、教員もみずからの考え方を生徒に誘導するような、自分の主義主張を言うことは厳に慎まなければならないとされておりますので、そういった中で授業は進められているものと思いますが、結果として、いろいろ発達過程にある児童生徒ですので、感受性もいろいろあります。児童生徒それぞれの捉え方が出てくるものと思いますので、いろんな感じ方、一人一人の感じ方はさまざまあるものということですし、その話を家に帰って、きょう学校でこういうことがあったという話を家庭の中で話すことはあると思うのです。そういうことは奨励されるべきだと思いますけれども、保護者の方とか聞く方によっても感じ方というのはいろいろありますので、そこは何といいますか、非常に言葉が難しいのですが、懐深く社会でも見守っていただければと感じております。
〇岩崎友一委員 実際、本当にこの授業の進め方が難しいというのは私も理解をいたします。今、私が話を聞いて事例を挙げたのは中学校の例だったのです。授業の内容がちゃんと中立性が担保されているかどうかというのは現場任せで、どこかでフォローというんですか、そういったものはされているのでしょうか。現場に任せきりなのでしょうか。
〇岩井首席指導主事兼高校教育課長 任せきりかと言われるとそれはそうではなく、県教委あるいは市町村の教育委員会でも、指導主事が学校訪問をして授業を見ることはございますし、授業の後に授業研究会として意見交換もしております、指導主事からの指導もあります。ですので、何といいますか、野放しということではないと思います。私が中学生だったころを振り返りましても、いろんな意見を聞くことで啓発されるといいますか、目が開かれるというか、社会に対する見方が広がる、殻を破ることができるというか、そういうことがあると思います。成長過程の一時期の感じ方というのはいろいろあると思いますし、そこが完成したものではなくて、まだまだ成長する中でいろんな見方、考え方が広まっていくのではないかと考えております。一通過点ということで、その授業については、教員は十分配慮しながら進めていると考えております。
〇岩崎友一委員 実際、疑念を持っている親御さんがいるというのも事実でありまして、先ほど課長からも答弁がありましたけれども、選挙権年齢が18歳に引き下げられる。そしてまた、今の中学生、高校生というのは本当に敏感な時期だと思うのです。だから、ちょっと教育を間違えれば、その先、ずっと間違ってしまう可能性もあるということで、本当にその時期の教育は重要だと思います。ですから、課長の答弁ですと、しっかりフォローはし切れていないというか、どういった授業が行われているかの実態把握をもっとしっかりしたほうがいいのではないかと思うのですが、その辺も含めて教育長、いかがでしょうか。
〇高橋教育長 学校教育においての教員の役割、これは一定程度の裁量権を持ちながら、子供たちと向き合って人間性を磨く手助けをするということで、管理的にこれはやってはだめだと縛りつけるというのは、これは教育全体の活動にとってどうかなというように思います。
一方で、野放し状態という話も先ほど出ましたけれども、個人の主義主張によってその教育の内容を一方に誘導するというのは、政治的中立性を確保する義務がある中でこれは大きな問題だと思っておりまして、県教委の立場からすれば、これは市町村教委と十分連携しながら、そういう現在の法的な仕組みであるとか、子供に向き合う際の留意事項等をきちんと市町村教委を通じながら学校に伝えていくということで、また学校の相談にも応じていくという丁寧な対応をしていくことが大事かと思っております。
〇岩崎友一委員 私ももともとしっかり先生のことを信用してやっているのだろうなという中でいただいた疑念の声でありましたので、県教委としてもしっかりと注視をしていただいて、偏った教育がなされないように、よろしくお願いしたいと思います。
〇伊藤勢至委員 ただいま防災訓練ということが出ましたので、これに関して1点お伺いしたいと思います。
今回の東日本大震災津波は、大変大きな被害がそれぞれあるかもしれませんが、多くの子供たちが一度に津波にさらわれたというのは宮城県の大川小学校で、八十数人が、揺れるのが終わってから校舎から校庭に避難をして、そのまま約1時間近くも放置されて、最終的には全員が津波に飲み込まれてしまったという、まさに悲劇であります。
3年前にもこの場でやりとりをしたと思いますが、ある高校の校長先生は、付近の住民が避難をしてきたのを受け入れて、さあ、どうぞどうぞ2階は危ないですから3階に上がってくださいと。案の定、2階の真ん中ぐらいまで浸水して、水が引いた後、そこの野球場のバックネットの上につかまって助かっていた人を救い出すのが第一番目の仕事だったということがありました。
古くなりますけれども、日本海側の男鹿半島近辺の遠足に行っていた子供たちが、地震から15分後の津波で十数名がやられてしまったということもあるわけであります。これは、多分、生徒たちを指導する立場の先生方が、こういう津波の経験がない方がいらしたのかなと。あるいは上司に連絡をとって、どうしようということをやっている間に来てしまったのかもしれません。今回の場合は通信網が全然だめでしたので、上司に判断を仰ぐという時間がない。ということは、そこの場にいる先生が、普通の先生であれ教頭であれ瞬時に判断をするしかないのだと思います。
今回の教育委員長の演述の中に、教育がずっと書いてありましたけれども、先生方の一般教養の中に、ぜひそういうものを持っていただきたいという1項があればよかったなと実は思ったところであります。
先生方というのは、県内広く転勤をして歩かれるわけでありまして、実際には、たまたまその学校には津波の経験のある方がいなかったのかもしれない。だけれども、これは常識一般、あり得ることでありますので、そういうことをふだんから先生方の脳裏にしみ込ませておいていただければ、もっと適切な処置があるいは可能だったのかもしれない、このように思うところであります。
一方、三陸の奇跡と言われていることがありまして、これは鵜住居地区でありますが、鵜住居小学校の子供たちが、地震が来た後、これは津波が来るぞ、危ないぞということで、鵜住居中学校まで逃げた。そしたら今度は、中学校の子供たちが、ここも危ないかもしれないということで、小学生の手を引いてさらに高いところに避難をした。1週間前に開通した三陸縦貫道に逃れて、そこに来たトラックに乗せられて釜石まで運ばれて助かったと。これがいわゆる三陸の奇跡と言われているわけであります。
一方、鵜住居では、残念ながら、防災センターというところに、付近の住民が二百何十人も詰めかけまして、避難場所ではないんですね、日常の訓練をあるいはそういう防災の勉強をしている会館といいますか、そこに集まって、習い性となっていたのでしょうか、そして200人以上の方々が一回で波に持っていかれたといったこともあるわけであります。
したがいまして、その場で瞬時に判断を求められる立場の先生方が適切な判断ができるような、ふだんからの情報交換、情報共有をしておかなければ、また来ないとも限りませんので、そういうことをぜひ加えていただきたい、考えていただきたいと思うところでありますが、いかがですか。教育委員長にお願いします。
〇八重樫教育委員会委員長 伊藤委員の質問といいますか要望にお答えいたしますけれども、御指摘のとおり、もっと鮮明に教員の研修というか、防災教育にというようなことを県教委としてやるということも書けばよかったかもしれませんが、ただ、御指摘のありましたように、あるいはお褒めいただいたように、当日、岩手県の先生方は、的確に判断をして子供たちの命を守るために動いたということでは、岩手の教員の底力が発揮されたと思います。
一つの例を申しますと、気仙中学校もとんでもなくやられてしまったわけです。女性の校長先生だったのですけれども、ここだというので逃げた。そうしたらここも危ないというので、彼女はまた判断をしてさらに高台に逃げて全員が助かったということを、そこで説明するムラカミさんという方か誰かに聞いたのですけれども、例えばそういうこともありましたし、沿岸に勤める教員はもう研修のあるなしにかかわらず、覚悟をしていろんな情報を得たり、地域の古老とかベテラン、消防団などにも聞きながら準備する必要があるだろうと思います。また、復興教育にもそれは明記されてありますし、ふだんから地域の人たちとのコミュニケーションをとっておくと、古老あるいは津波の詳しい人との信頼関係をつくって、逃げろと言われたらそれに従って逃げるという、そういういい関係をつくるということも私は大事だと思います。御指摘されたこと、感想を言われたことについては、これからも先生方にきちっと指導をして、1人も命を失うことのないような、安全教育をしていきたいと思います。
〇佐々木努副委員長 関連ですので、簡潔にお願いします。
〇伊藤勢至委員 教育委員長は、沿岸に勤務する先生は覚悟を持ってとおっしゃいましたが、そんなに大仰なことではないのです。決死隊の鉢巻きを締めて沿岸に勤務しなければならない、そういう重大な思いではないのです。一般教養としてお持ちをいただいたほうがいいと、こう言っているわけでありまして、何も特攻隊に行けという話ではないのです。お気持ちはわかりますけれども、そういうことを言うと沿岸勤務の先生がいなくなるかもれない。そういうふうに余り構えないで、だけれども一般教養として、何かあったら高いところに避難をしようと、そういうことを常識的にお持ちをいただいたほうがいいと、こう思うわけでございます。
〇斉藤信委員 学校の政治的中立性と主権者教育について、関連して質問したい。
学校の政治的中立性というのは、これは授業などで教員が守らなくてはならない問題です。同時に、これからの主権者教育というのは文部科学省の通知にもあるように、現実の政治的な課題を積極的に取り上げなさいと、意見が違っている問題を、こうなっているのですよ。だから、現実の政治的な問題を取り上げて、子供たちが政治的教養、政治的理解を高めるというところに、私は主権者教育の今の中身があるのだと思います。そして今、毎日のテレビ、ニュースを見て、全国の多くの高校生が戦争法、いわゆる安保関連法に反対のデモ、集会に参加しているのです。これは高校生の一つの政治的な目覚めであり、成長だと思います。だから、その点について教育委員長、私は政治的な中立性という問題と主権者教育というのは、そういう立場で受けとめて進める必要があると思いますけれども、いかがですか。
〇八重樫教育委員会委員長 高校生でなくても、18歳になれば選挙権があるわけですから、勉強をして政治のことに関心を持って、投票したり、政治活動をして一向にいいと思います。ただ、学校教育の中でということになると、いろいろと制約があっても仕方がないのではないかなと思いますし、今始まったことなので全国の様子を見たりしながら、あるいは岩手県内の高校のさまざまな課題があったときには適切に相談をしながら、決して子供の活動を制約することなく、ただ、午前中に課長が答えたように、乱すとかさまざまならないような形で適切にやっていかなければならないと思っております。
〇斉藤信委員 極めて重大な答弁でした。というのは、きょう、実は朝日新聞の一面に、愛媛県が県立全校で政治活動届け出制にすると。これは県教委がこういうモデルをつくって、全部の高校がこれに応じたと。いいですか、こんなことをやったら政治活動の規制なのですよ。人権の侵害なのです。そういう専門家のコメントが載っていますが、岩手県は先ほどそういうことはやらないと。私は全ての学校がやってはならないと思います、県教委がやらないだけではなくて。
それで、今の教育委員長の発言で問題なのは何かというと、文部科学省の通知で、授業、生徒会活動、部活動など、学校管理下にある教育活動での政治活動は禁止する必要があると。生徒会活動まで禁止されたら問題なのですよ。生徒会というのは自主的な活動ですから、それまで政治活動を禁止したら憲法違反になる。これが一つ。
二つ目、高校の構内での高校生の政治活動というのは、制限あるいは禁止する必要がある。例えば高校の中で、昼休み、放課後、戦争法反対の署名を集める。これを規制したら政治活動の規制になります。
そして三つ目に、文部科学省はここまで言っているのです。学校の外での活動でも、学校教育の円滑な実施に支障があると認められる場合には、高校は禁止も含めて指導すると。高校の外でも規制できると言っているわけです。憲法の第19条は、思想、良心の自由、第21条は集会、結社、表現の自由が保障されています。これは高校生にも保障されているのです。そして、日本政府が批准している子どもの権利条約では、子供の意見表明権、表現、情報の自由、思想、良心、宗教の自由、結社、集会の自由というのが認められているのです。グローバルスタンダードでも憲法でも、これは高校生にも認められた権利です。高校の中では憲法が通用しないということはあり得ない。この憲法が通用する高校であるべきだ、学校であるべきだと思いますけれども、この点について教育委員長、最後の論戦になりますから、しっかり答えてください。
〇八重樫教育委員会委員長 高校生の政治的活動については、これも午前中に課長が答えたとおりなのですけれども、無制限に認めるものではないのではないかと私は思っています。
我々は法治国家にいるわけですので、教育基本法とか学校教育法に基づいて子供たちを指導しなければならない。(斉藤信委員「憲法はどうなるんですか」と呼ぶ)もちろん、前段には憲法がありますけれども、その下に教育基本法があって、学校教育法というのがあるわけですから、それらを全部クリアするような形で子供たちにも許可をしたり、あるいは必要によっては制約を受けることもあり得るという考え方にしていないとだめではないかなと思っています。
〇佐々木努副委員長 関連ですので簡潔にお願いします。
〇斉藤信委員 これを最後にお聞きしたい。
憲法で保障された思想、信条の自由、集会、結社、表現の自由、高校の中でそれが規制される法的根拠はないのですよ。ありますか。法的根拠がないものを規制したら、これは憲法違反になるのですよ。教育委員長、法的根拠を示すのだったら私は今の話はいいですよ。法的根拠を示せますか。示せなかったら憲法違反なのですよ。憲法が生かされない高校はあり得ないのですよ。やるとすれば教育的指導なのです、規制ではなくて。教育的指導はあり得るけれども、法的根拠のない規制をやったら、これは憲法違反になるでしょう。違いますか。
〇高橋教育長 先ほど委員長からも御答弁いたしましたけれども、この法治国家において、守るべきものは最上位の法規として、憲法があるというのはそのとおりでございまして、ただ、その中で、さまざま基本的な人権が付与されておりますけれども、それが許されるのは、公序良俗に反しないだとか、公共の福祉の増進に反しないという中で国民のそれぞれの権利なりが認められるということだと思っておりまして、その中でさまざまな法律で憲法を補完する法体系が我が国ではつくられているということでございます。
委員からただいまお話のありました具体的な活動については、これは有権解釈するのはあくまで国でございまして、法律、憲法の運用の話でございまして、そういう中で我々は文部科学省、総務省からさまざまな情報をいただいています。その中で、きちっとそれを学校教育の中で生かすように努力していきたいと思っております。
〇千葉絢子委員 先ほど佐々木順一委員そして岩崎友一委員からも御指摘がありましたが、ただいまの政治的中立性に関しましてちょっと御質問したいと思います。
もう25年も前の話ですから時効かもしれませんけれども、私が実際に中学時代に教わりました社会の先生が、南京大虐殺の資料、そして七三一部隊の資料を持ってきて紹介をし、自分はこのような過程を経て成立した現在の日本という国にすごく疑問を持っているので、自分は日の丸そして君が代についてはとても疑問を持っているという主義主張をされたことがありました。中学2年でございましたので、私は何の疑問も持たずに、そういう考え方もあるのかと思いましたけれども、現場の教員がそのように、自分の主義主張を、政治的な見解を述べるという機会も過去にはございました。先ほど岩井課長は、現場では多分適切に指導が行われているだろうとおっしゃいましたけれども、もしかしたら、中立性が守られていない可能性もあるということを、教育委員会の皆さんには御承知おきをいただきたいと思います。
その先生はまだ退職になる年齢ではございませんので、もしかしたら、校長先生クラスになっている可能性もございます。ですので、これはちょっと問題提起として申し上げたいと思います。政治的中立性を保ってほしいというようなことを教育委員会としても明確に通達すべきだと思いますけれども、この件についていかがでしょうか。
〇岩井首席指導主事兼高校教育課長 学校における政治的中立性を求める県教委としての通知についてでございますが、これまでも、文部科学省からの通知を県教委から各学校に通知しております。趣旨とすれば、文部科学省の通知の趣旨が大前提ですので、それを学校に通知することによって、県の指導にもなるものと考えておりますし、あわせて、今度はQ&Aが示されておりますので、そのQ&Aについても、この後、学校のほうには示すこととしております。選挙年齢の引き下げに伴い、そういった興味関心が高まってきておりますので、教員としても、我々としても、より一層襟を正して、政治的教養を育む教育には取り組んでいく必要があると思いますので、その辺はしっかり取り組んでまいります。
〇千葉絢子委員 自治問題に敏感になり、考えを持って子供たち同士で討論をするということは非常に重要なことだと思っております。ただ、多感な子供の時期に教員が主義主張を述べるのはやはり慎むべきであると考えますので、そのあたりの指導は徹底をしていただきたいと改めて要望いたします。
〇工藤勝博委員 私から3点お伺いいたします。
これまでも高校再編についてはさまざま議論がありました。そういう中で、平成27年度の高校入試の結果が間もなく3時に発表されます。今年度の志願者の状況をどのように捉えているか、これも高校再編に絡んでくると思うので、その辺の捉え方をどう見ているかお聞きいたします。
〇岩井首席指導主事兼高校教育課長 平成28年度県立高校入試の出願状況についてでございますが、一般入試の全日制において、募集定員9、274人に対しまして志願者数が8、753人、志願倍率が0.94倍となっております。これは、5年連続で、募集定員に対して志願者数が下回っております。また、志願者数が定員を下回った学校は、63校中48校、78学科となっております。
〇工藤勝博委員 大震災以降、高校再編は見送られてきたわけですけれども、その5年間の間にどのような状況変化があったと捉えているか、お伺いしたいと思います。
〇岩井首席指導主事兼高校教育課長 5年間の推移についての評価でございますが、平成28年度一般入試において、1学級の学科で志願者数が定員を20人以上下回った学校、学科については、久慈工業高校、西和賀高校、釜石商工高校、水沢農業高校、大船渡東高校、高田高校、宮古工業高校、大迫高校という状況で9校、10学科ございます。
募集定員と一般入試の志願者の推移ですが、倍率で申しますと、平成28年度0.94倍、平成27年度0.93倍、平成26年度1.00倍。これは四捨五入の関係で1.00ですが、実際には志願者が定員を下回っております。平成25年度0.98倍、平成24年度0.99倍となっておりまして、平成23年度が1.01倍。したがって、平成24年度以降は、実質1倍を切るという状況になっております。
それと、震災との関連ですが、地域によっては、震災がなかったとした状態よりは倍率の低下があるものもあると思いますし、少子化の進行によって倍率が下がっているという状況も、混在しているのではないかと考えております。
〇工藤勝博委員 再編計画も、平成27年度を基準にして10年間のスパンで考えた中で、前期の再編計画ということで、それぞれ議論があった中での学校名あるいは学科名を提示したということですけれども、これは私は避けて通れないだろうと思います。それを公表するほうがいい、悪いは別としても、避けて通れない現実問題として捉えるべきだろうと思っております。
そういう中で、計画の中で魅力のある学校にするのだと。その魅力のある学校と言ったって、なかなか実際にぴんとこないのですけれども、それぞれの学校、学科の中で、どういうことを基軸として魅力のある学校にしていくのですかということが問われると思うのですけれども、その辺はどう捉えているのでしょうか。
〇木村高校改革課長 学科の関係についてのお話でございます。今回の再編計画では、普通科、専門学科、それぞれブロックの中で生徒の選択肢を確保する、バランスをよく配置するという中で、学科の配置を進めてきたところでございます。
そして、その学科の魅力ということでございますが、前の計画であれば、特徴ある学科とか個性のある多様な学科という形でお示ししていたところではございますけれども、震災の後の状況という中で、ブロック内の学級数の調整が、40人の欠員を出したようなところしかやっていないということもありますので、生徒の減少しているところに募集定員の調整がなかなか追いついていないということで、学科としてのあり方という部分で、特徴のあるというところがなかなか出しにくくなってきているという事実があるかと思います。
そうした中で、今後考えられることといたしましては、地域に求められる人材ということも十分考慮に入れ、地域と連携することによってキャリア教育的なところ等も含めながら、地域を担う人材を育成していくことが重要と考えているところでございます。
〇工藤勝博委員 具体的に学科の中で、農業に関する専門学校、盛岡農業高校、花巻農業高校、水沢農業高校があるわけですけれども、農業高校の教育環境の整備状況はどうなっているのでしょうか。
〇木村高校改革課長 農業に関する学科の環境整備についてでございます。
新たな高等学校再編計画案の前期計画におきましては、統合等を行う場合であっても、現在の高校の建物を利用する内容としております。そのため、農業高校や農業系の学科を配置する高校においても、原則的には、既存の施設、設備を活用していくことになります。また、今後、学科の再編等を行う場合は、学校を中心に、学科の内容等さまざまな視点から検討をしてまいりたいと考えております。
〇工藤勝博委員 今の農業の現場はもう日進月歩で、どんどん新しい技術、新しい施設等が入っているのですけれども、私が見た範囲では、旧態依然の実習の状況だと思いました。
そういう中で、この3校に特化した形で、設備なり環境をもっとつくっていく必要があるのだろうなと思います。せっかく十五の春、自分の将来を描いて入った学校が、何だ、こんなところかということでは、自信を持って勉学に励めないのだろうなと思っております。
特にも、ことしの入学者数を見ると、水沢農業高校が大分定員を下回っております。何かその辺にも原因があるのではないかと思っていますけれども、その辺はどう捉えているでしょうか。
〇木村高校改革課長 水沢農業高校の関係についてということでございますけれども、学科の環境というところもあるのかもしれませんけれども、奥州市胆沢区にあるということでの通学、そして帰りが遅くなるとバスの便が悪い等ということも伺っております。そして、実業高校という部分の御理解ということもさまざまある中での学校の選択ということになっているのではないかと考えているところでございます。
〇工藤勝博委員 私も盛岡農業高校OBですけれども、昭和39年、全国で5カ所の全国自営者養成校に指定された学校でした。そういう思いで入学しました。当時、新しい環境でしたので、大変楽しく、そしてまた自分の思ったような、何というのか、勉強ができましたし、そういう中で、一番思い出、いい経験になったのが全寮制なんですね。そしてまた、その当時は県内各地から入学者があって、同じ40人のクラスでも、地域から2人か3人しかいない。ほとんどそれぞれの県内市町村からの入学でした。そういう思い出が生涯の経験になるし、また、人とのつながりが生きてくるんですね。そういう状況を、これから農業教育でももっともっと強く進めていってもらったほうが私はいいのではないかと思っていました。その辺も含めて、そういう環境はぜひつくっていただきたいと思っていました。
青森県で、農業高校の、農業関係の先生をやった方が、今の日本の農業で、農業高校に入った生徒が自信を持って取り組む姿をつくっていかないと、日本の将来はないということを残しながら、校長先生を退職後もそういう仕事にかかわって指導しているということは、本当にすばらしい。そういう人材も含めて、これから農業関係の先生も取り組んでもらいたいと思います。
次の質問です。またかと思われるくらい教職員の不祥事があります。特に八幡平市管内で、1年間のうち2人も不祥事があったわけですけれども、平成27年度の発生件数と処分内容についてお聞きしたいと思います。
〇今野教職員課総括課長 教職員の不祥事案についてでございます。
御指摘のとおり、教職員の不祥事案が引き続いているということで、大変御迷惑をおかけしているところでございます。今年度の発生件数、処分状況についてですが、今年度の発生あるいは発覚した不祥事の件数につきましては、現時点で18件でございます。
その内容別の内訳ですが、道路交通法違反が7件、体罰が3件、わいせつ等が2件、セクハラ、盗撮等が2件、その他が3件、監督責任が1件でございます。
そのうち、本年度懲戒処分を行った件数ですが、懲戒処分につきましてはできるだけ速やかに実施するということではございますが、現時点で懲戒処分を行っておりますのが13件でございます。
量定別の内訳ですが、免職処分が2件、停職処分が3件、減給が2件、戒告が6件、残りにつきましては現在処分を検討中ということと、いわゆる禁固以上の刑事処分の確定によりまして、失職が1件という状況でございます。
〇工藤勝博委員 ひっきりなしにあるわけですけれども、教育現場は一体どうなっているのだろうかという疑問を感じます。人数からすれば約1万2、000人近くの職員がいるわけですけれども、数字的には、率にすれば少ないのですけれども、指導する、教える立場の方が法に触れるような、犯罪のようなことをやっていると。職場環境にも原因があるのではないかと思わざるを得ないのですけれども、その辺はどのように捉えているのでしょうか。
〇今野教職員課総括課長 教育現場の状況ということでございます。まさに現場におけるコンプライアンスの取り組みというのが非常に重要と考えているところでございまして、校長による日常のマネジメントの一環として、必要に応じて、職務上の指導というものがあることはもちろんですが、それに加えて、各学校現場の取り組みとして、定例の職員会議などで校長等による訓示があるわけですが、それだけではなくて、教職員が輪番でコンプライアンスに関すスピーチを実施するとか、年2回程度になりますが、職場ごとに実施するコンプライアンスの研修ですとか、御指摘のとおり、不祥事が引き続いているということで、そういったことがあります都度、校長から強い注意喚起を行うことにより、各学校現場におきまして法令遵守の徹底ということで、自主的な取り組みを行っているということでございます。
〇工藤勝博委員 再発防止に向けてもいろいろな取り組みがなされていると思いますけれども、私も小・中・高校生の孫がいます。学校現場の話もちょくちょく耳に入ります。例えば一番下の小学生ですけれども、教室の中で、隣の席にいた子がくしゃみをしたら、うるさいという先生の声があったらしいのです。そしたら、その子は次の日休んだという状況が現実に起こっているのです。それが重なれば不登校になったり、あるいはいじめに発展するような状況だろうと思います。十分に気をつけてもらわなければならないわけですけれども、そういう仕組みというか、それぞれ学校、また市町村の場合は市町村の教育委員会で対応していると思うのですけれども、こういう不祥事があった都度、再発防止に努めますというだけでは、なかなか解決しないのだろうと思います。その辺は十分にこれから取り組んでもらいたいと思います。
それでは次に、最後ですけれども、3月9日に国体・障がい者スポーツ大会局の部局別審査もありました。その際に千葉絢子委員から、国体後の施設の活用方法ということで、せっかくつくったボルダリングウォールを仮設だから撤去するというのはもったいないという話がありました。まさにそのとおりだと思います。
そこで伺いますけれども、当初からこれは仮設として国体後は撤去することで協議は進んでいるのか、お伺いします。
〇八木首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 ボルダリングウォールの活用についてでございますけれども、希望郷いわて国体の山岳競技のボルダリング競技会場については、開催市である盛岡市実行委員会と競技団体が協議の上、仮設の会場で実施することとしたところであり、設備についてはリースで整備しておりますので、大会後は撤去するということにしております。
なお、現在、県有のボルダリング施設があり、今回、仮設で整備したボルダリングウォールを再利用するとなると、新たな常設の施設を整備する必要があること、また、設備を維持していくための後年度負担が生じることなど、多額の経費が発生することから、難しいと考えております。
〇工藤勝博委員 山岳競技の中でもボルダリングというのは、誰でも彼でもやれるわけではないのですけれども、施設がなければ選手養成もできないし、あるいはその施設を国体が終わったからもういいと。私は教育的な施設に切りかえて考えた場合、そっちのほうがはるかに効果が高いのではないかと思いますけれども、経費はさて置いて、そういう視点で見るべきではないかと思います。
というのも、去年の和歌山国体でも盛岡南高校の生徒が入賞しています。そしてまた、年末には、中学2年生の伊藤ふたばさんが、アジアユースでチャンピオンになった。これはもう2020年の東京オリンピックを目指して頑張っていくのだと、そういう若い世代が育っているのですね。
以前は、岩手のお家芸という種目がありました。今でもホッケーとかあると思うのですけれども、自転車、ボクシング、ラグビーとか、そういうのが一つの固まりになって岩手のスポーツを支えたと思うのです。マイナーなスポーツでもしっかり選手を育成する、そしてまた次の世代が、子供たちが夢にチャレンジできる、そういう環境、施設をぜひ残すべきだと思います。後年度の維持費がかかると言っても─どれぐらいかかるのですか。
〇八木首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 現在、仮設の施設で1億2、000万円ほどと伺っており、常設にするにはそれ以上の経費がかかると伺っております。
〇工藤勝博委員 最後にします。このボルダリングの施設、先ほど来教育施設と言いました。岩手県には体育館のある学校があります。ぜひとも、体育館のある学校に、体育館の中に移設できたらそれで済むのではないかと私は個人的に思うのですけれども、その辺はどうですか、教育長。
〇高橋教育長 先ほど総括課長から御答弁させていただきましたけれども、ボルダリング施設については既に設けてあるということですが、国体競技を開催するに当たっては1施設だけでは足りないということで、仮設の施設をつくったということでございまして、また、今回の希望郷いわて国体におきましては、復興を進める中で、新たな施設整備については現有施設を有効に活用するという基本的なコンセプトのもとに、仮設の施設等を考慮するということで、これは全県的な合意形成を図った上で進めてまいりました。
ただ、委員から御指摘ありましたように、この岩手国体でこのスポーツの力というのがより大きく花開くということが大いに期待される、そうならなければならないと思っておりまして、今後、スポーツを基軸としたさまざまな岩手県の活力が出るような活動は広げていく必要があると思っておりますので、委員御提言の趣旨等を踏まえて、特定の競技に限定することなく、選手強化の可能性について、広く考えていきたいと思っております。
〇工藤勝博委員 このボルダリング施設を継続的に使えるように、岩手県の山岳協会の皆さんも大変心配して、ぜひとも残してほしいという要望もあります。それらも踏まえて、ぜひ検討していただきたいと思います。
〇佐々木朋和委員 私から2点、県立図書館の図書館費とキャリア教育についてお伺いしたいと思います。
まず、県立図書館の図書館費についてお伺いしたいと思います。
平成18年に指定管理者制度がスタートして丸10年を迎えようとしているところでありますけれども、県直営のときと比較してメリット、デメリット双方あると思いますが、他県の状況なども鑑みながら、指定管理者制度による図書館運営をどのように総括されているのか伺いたいと思います。
〇松下生涯学習文化課総括課長 県立図書館に指定管理者制度を導入した総括でございますけれども、指定管理者制度は、民間活力によりサービスの向上を図るとともに、施設の維持管理経費の節減を目的に導入しております。サービスの向上と経費の節減のバランスを両立させながら、民間事業者の創意工夫をいかに引き出していくかが必要であると認識してございます。
公益社団法人の日本図書館協会の調べによりますと、都道府県立図書館では、平成26年度までに本県以外に3県3施設が施設の維持管理について指定管理者制度を導入しておりますけれども、本県につきましては図書館の運営業務を含めて指定管理を行っているため、他県との単純な比較は難しい状況でございます。
一方で、県立図書館におきましては、指定管理者制度導入前と平成26年度の実績を比較いたしますと、開館日数が大幅に増加しておりますし、開館時間も延長しております。また、来館者数につきましては約21万人増の47万8、000人、本の貸出冊数につきましては約18万冊増の28万6、000冊となっておりまして、指定管理者制度導入によりますサービスの向上効果が出ているものと考えてございます。
〇佐々木朋和委員 今、開館日数の増でありますとか、また、来館者数の増といったことも御紹介いただいて、県民の皆さんに使いやすい図書館になっていることは評価したいと思います。
一方で、県立図書館の目的としては、市町村立図書館と同様に、先ほどおっしゃった、本を貸し出したりレファレンス機能であったりということで、図書館のサービスとしての一面と市町村立図書館を支える支援という両方の目的があると思うわけであります。そういった面で、私は、図書館サービスとしては向上していると認識しておりますけれども、市町村立図書館の支援についてはどうなのかということでこれから質問をさせていただきたいと思います。
図書館費ですが、予算に関する説明書には図書館費ということで指定管理者制度の分の予算は入っていないということでありますけれども、平成25年度は3億5、000万円、平成26年度は3億2、000万円余、平成27年度は3億8、000万円余という全体の予算規模でありますけれども、実際の図書館の主役であります図書購入費はずっと3、000万円余で推移していると認識しております。
市町村立を支える県立図書館として図書購入費は十分であるのか、図書館費全体の中で資料費として適切なのか、また、他県と比べてどのように評価なさっているのかお伺いしたいと思います。
〇松下生涯学習文化課総括課長 県立図書館の資料費についてでございますけれども、先ほど申し上げました日本図書館協会作成の資料で比較いたしますと、平成27年度の図書館資料費の予算額は、東北6県の中で本県は4番目となってございます。限られた予算でございますけれども、県立図書館におきましては、市町村立図書館を訪問し、選書に関する意見交換を行うなど、市町村立図書館との役割分担を図りながら効果的な図書資料の購入に努めているところでございます。
今後も、県民や市町村立図書館のニーズを踏まえながら、効果的な図書資料の購入に取り組んでまいりたいと考えてございます。
〇佐々木朋和委員 東北で4番目の予算規模と教えていただきました。私も岩手県の図書館の図書費が群を抜いて低いとは申しませんけれども、やはり最低レベルであると─最低レベルと言ったら悪いかな、低いと思っております。私も実際に県立図書館に行って見てまいりましたけれども、数字を見ますと、平成18年度、平成19年度は建てたばかりということで6、200万円余、4、300万円余と予算をつけていただいていました。10年を経過して、やはり使用者の方から県立図書館は古い本ばかりだねという声もお聞きしております。先ほど来館者数はふえているとおっしゃっていましたけれども、平成18年度は53万人余だったのが平成26年度には47万8、000人余になっております。そういった意味で、徐々に魅力が低下しているのではないかと思うところであります。
また、市町村立図書館への協力貸し出しが平成26年度は2、556冊ですが、他県を見ると桁が違って2万冊、3万冊を貸しているところもあるわけです。一方で、市町村立の図書館間における相互貸出冊数の推移を見ますと、平成26年度は、市町村が県から借りたのが2、500冊余に対して市町村同士は4、800冊余ということで、県にないから市町村がお互いに借りているのかなということも推察されるわけであります。
開館時間をふやすとか、目の前のサービスは、盛岡市の皆様方には申しわけないのですけれども、盛岡市立図書館もあるわけですよね。私は、市町村立図書館の支援にもっと力を入れるべきなのではないかと思うところですけれども、もう一回御所見をいただきたいと思います。
〇松下生涯学習文化課総括課長 市町村立図書館支援についてでございますけれども、先ほど委員から御紹介のありました県立図書館から市町村立図書館等への協力貸出冊数につきましては、市町村立図書館からこの本がいいと本を指定して依頼された冊数でございます。そのほか、セットで半年間以上貸し出す団体貸し出しの冊数につきましては、市町村立図書館の平成26年度の実績で1万5、731冊となっております。
また、県立図書館におきましては、市町村立図書館の職員の人材育成のため専門研修等を実施しているほか、沿岸被災地を含め県内全ての市町村を訪問して運営支援や助言等を行っているところです。図書の貸し出しはもちろんですが、企画展示の展示物の貸し出しや市町村からのレファレンスへの対応支援も行っております。
今後につきましても、市町村立図書館への訪問支援を継続するなど、市町村立図書館への支援の充実に取り組んでまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 今、団体貸し出しのほうも言っていただきましたけれども、そうではなくて、やはり協力貸し出しで、これが欲しいといったものが県立図書館にあるかどうかというのが私は大事だと思うのです。やはり市町村立図書館で買えないような高い本、専門性のある本とかを県が保持している。広い岩手県の中で、市町村立図書館が自分のところにはないけれども県にありますよという後ろからの支援を必要としている点を私は指摘しているわけであります。
市町村立図書館の支援についても言っていただきました。私はまさにこれから市町村立図書館への支援というのが重要になってくると思っておりまして、先ほども言っていただきましたけれども、一つは、やはり被災図書館を本県は抱えているということです。もう一つは、各市町村立図書館も臨時の職員がふえて、おっしゃっていただいたようなレファレンス機能をどうやって維持していくかが重要であるということです。今、地方創生、ふるさと振興ということで本県も取り組んでおりますが、各市町村を見ますと、ふるさと創生・人口減少調査特別委員会でも行ってきましたけれども、例えば滝沢市でもビッグルーフということで官民一体型の人の集まる施設をつくりたい、その中で図書館をつくるというふうにふるさと創生の目玉に据えている。これは陸前高田市も宮古市もそうだと聞いておりますけれども、そういったときに、何ぼ建物が立派で図書館がよくても、支える県立図書館が、借りたい本を言ったら県立図書館にもないですよと、ほかのところから借りてきますよというのでは、なかなか魅力を発揮できないと感じるところであります。
私は、そういった背景の中でぜひとも予算規模をアップしていただきたいという思いがありますし、もしそれがかなわないのであれば、市町村支援事業とでもして別枠で予算を確保するとか、そういった取り組みが必要ではないかと思うのですが、教育長に御所見をお願いしたいと思います。
〇高橋教育長 県立図書館の役割についてはただいまさまざまな御意見を頂戴いたしまして、なるほどと受けとめさせていただいたところでございます。
そういう中で、県立図書館は、市町村の図書館の運営面での支援ですとか被災地への支援等に重点的に取り組んできたところでございまして、より広く、県下全ての図書館と協力し合いながら、岩手県の図書を必要としている人たちの需要に応えていくというのは極めて大事なことだと思っています。
予算の確保につきましては、来年度は幾ら、再来年度は幾らと今の時点でお話しするのはできませんけれども、できる限りの努力をさせていただきたいと思っております。
〇佐々木朋和委員 教育長になるほどなと思っていただけたのなら、言ったかいがあったと思うところでございます。
市町村立図書館も、先ほども申し上げましたように予算が厳しい中で、例えば県立図書館でレファレンスの講習をしようとしても、または回数をふやそうとしても集まるのも大変だと。特にも沿岸被災地では、逆に図書館に出向いてほしいと言っていると聞きます。しかしながら、県立図書館にはそういった出張費についても確保が難しい。また、他県のいい例を見に行かせたいのだけれども、そういった出張費の捻出も大変だ。できるだけその分は図書に回したいということで、選書についても、複書をなくしたり大変な苦労をされているというのは私も認識しておりますので、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。
県立図書館に行ったとき、何か文献を探したり、課題についての図書を見つけたいといったときにはレファレンス機能をぜひともお使いくださいと言われましたので、議員の皆さんも使っていただければと思います。
次に、キャリア教育について質問させていただきたいと思います。特に高卒の3年離職率4割について伺いたいと思うのですけれども、現状認識と、平成28年度予算への反映についてお伺いしたいと思います。
事前に資料をいただきまして、岩手労働局の調べによりますと、本県の高校卒業時平成24年度から平成26年3月までの間における離職状況、いわゆる3年離職率は43.1%でありまして、本県は全国の40.0%に比して3ポイント高くなっております。女性が47.6%、男性が39.2%ということですし、1年目の離職率が22.8%、2年目が11.5%、3年目が8.8%と、やはり1年目の離職が3年離職率の半分を占める、こういったデータも出ております。県は、この傾向と早期離職の原因をどのように分析しているのか、その分析を踏まえて平成28年度予算にどのように生かしているのか伺いたいと思います。
〇岩井首席指導主事兼高校教育課長 高卒3年以内の離職率の現状認識と平成28年度予算への反映についてでございますが、岩手労働局の調査によりますと、高校卒業後3年以内の離職率は、委員御案内のとおり40%程度で推移しております。ここ3年間で見ると微増傾向にあります。就職して1年目の離職率が最も高く、2年目、3年目と進むにつれて離職率は下がる傾向にあります。
3年以内の離職者のうち1年目の離職者が約半数を占めておりまして、その原因は、主にコミュニケーション能力の不足、あるいは臨機応変な対応力の不足。これらを岩手県では社会人基礎力と捉えております。それから、企業や職業に対する理解の不足、忍耐力の不足等があるものと推測しております。
これらの課題に対応するためにはキャリア教育の充実が一層必要であると認識しておりますので、県教委といたしましては、来年度も学校、地域の協働によるキャリア教育推進事業、いわて未来創造人サポート事業、県立学校復興担い手育成支援事業を実施することとしております。
〇佐々木朋和委員 私もそういった点が課題であろうと認識しておりまして、特にも、仕事、会社選びのミスマッチを解消していくためには、職場体験、インターンシップが重要と思っているところであります。
今、御紹介をいただきましたけれども、いわて県民計画第3期アクションプランで、高校生のインターンシップの継続の高校の目標は、平成27年度が79校に対して平成28年度は80校に、また、中学生の職場体験は2日間以上としておりますけれども、平成27年度の78.5%を平成28年度は79%へということで、これを見ると施策の水平展開していくイメージだと思うのですけれども、私は内容についても向上していかなければならないのではないかと思っているところであります。
例えば一関市では中学生に5日間の職場体験を奨励しているということでありました。平成25年は6校が5日間やっておりまして、2校が4日間、11校が3日間、附属中学校も3日間開催しているということで、県が言っている2日よりもさらに日数を加えて行っているわけでありますけれども、現場の先生からは、2日間では生徒は職場に行って楽しかったと帰ってくるけれども、5日間行うと働くことは大変だなというふうな認識に変わって帰ってくるとお話を聞きました。
県はこのような取り組みをどのように評価しているのか。また、2日間の職場体験の実施率を上げるだけではなく、5日間の職場体験校の増加なども目指すべきではないかと思います。また、高校生のインターンシップも同様と思いますが、御所見を伺いたいと思います。
〇岩井首席指導主事兼高校教育課長 職場体験の日数についてでございますが、職場体験活動は、取り組み日数に応じて生徒の学習意欲が高まる傾向にあると言われております。一関市教育委員会の取り組みは、体験活動の日数を確保するとともに、事前事後の学習も深め、働くとはどういうことかという視点から将来の自分を考えたり現在の生活を見詰め直したりする機会につなげており、そういった点ですぐれた取り組みであると捉えております。
5日間の実施につきましては、学校行事の精選や周囲の企業の理解と協力が必要であることから、学校や地域の実情に応じて取り組んでいるところでございまして、義務教育における県全体のインターンシップ実施の指標といたしましては、そういった事情もありますので、2日以上としているところでございます。
高校においても、義務教育同様、他の教育活動とのバランスやインターンシップ受け入れ企業の理解と協力が必要でありますので、学校のニーズに応じて実施しているところでございます。インターンシップが必要ということはそのとおり重く受けとめておりますので、今後におきましても、インターンシップの日数の拡大を含め、その充実に努めてまいります。
〇佐々木朋和委員 今おっしゃったとおり、インターンシップ、職場体験の拡大には、予算というよりも、やはりどうやって時間をあけるかということが大きな課題だと思っておりまして、私は一つ、勉学、スポーツ─部活動とキャリア教育の健全な配分についてということで提案をさせていただきたいと思います。
私も前回、後ろに控えております城内委員長のもと、スポーツ振興等調査特別委員会に所属しておりまして、長野県に調査に行ってまいりました。長野県では、部活動について実態調査を行って、現在では、週5日間平日があるうちの1日は部活動をやらない日を決めて適正化を図っていると聞きました。また、土日は練習試合だけで、部活は基本的にやめるという形でやっている中で、効率的な部活動、効果の上がる部活動を目指しているというふうに勉強してまいった次第であります。
先ほど社会人力の話もされておりましたけれども、私も地元のジョブカフェに行ってお話を聞いてきましたら、やはり現代の子供は、小・中・高と皆さん部活動などで忙しくて、地域活動などで大人と接する時間も少ないので社会人力を養うのはなかなか難しいのではないかという意見もいただいているところであります。本県のスポーツ振興においてはスーパーキッズという事業があって、複数の種目にチャレンジする。それが功を奏しているわけですけれども、部活動が余りにも忙しくて、県教育委員会では総合スポーツクラブも育成していただいておりますけれども、そういったところになかなか子供たちも来ないという話も聞いております。
知事の国体後のスポーツ部局の統合も視野に入れるとの発言もありましたけれども、あわせて、本県の中学生、高校生の勉学、スポーツ、キャリア教育の健全な配分のために、部活動の実態調査と指針づくりも視野に入れるべきではないかと思いますけれども、御所見を伺いたいと思います。
〇八木首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 勉学、スポーツ、キャリア教育の健全な配分についてでありますが、これまで、中学校、高等学校において、文部科学省より示された運動部活動での指導のガイドラインに基づき、よりよい運動部活動の推進を図ってまいりました。他方、適切な休養日や活動時間に配慮することや、科学的な方法を取り入れた効果的な指導のあり方について、諸調査の結果により改善の必要性を認識しております。
今後は、効果的な運動部活動の実現を目指し、岩手県版運動部活動の指導ガイドラインを作成することとしており、このことによって、生徒が勉学、スポーツ、キャリア教育等においてバランスのとれた学校生活が送れるよう取り組んでまいります。
〇佐々木朋和委員 最後にしたいと思います。
前向きな御答弁をいただいたと思っております。今、本当に子供たちに与えられる役割が多くてかわいそうだなと思うぐらいですけれども、子供たちが健全にそういった勉学、またキャリア教育、そしてスポーツ─部活動とバランスよく行えるように、ぜひとも御指導をお願いしたいと思います。
最後になりますけれども、高卒3年離職率4割の改善については、企業の労働環境の整備、また、インターンシップでありますとか職場体験へ協力する企業の増加、また、子供たちが希望する職種のある企業の誘致など、商工労働観光部所管の事業によって改善しなければいけない分野も多々あると思っております。課題を共有しながら連携して取り組み、双方でプロジェクトチームでもつくって事に当たってほしいと思っているわけでありますけれども、最後に御所見を伺って終わりたいと思います。
〇八木首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 商工労働観光部との連携についてでございますが、商工労働観光部が業務委託しているジョブカフェいわてを通じてキャリア教育における連携を進めるとともに、商工労働観光部で県内11地域に配置する就業支援員によりまして高校生の就職や職場定着の支援を行うなど、連携を図っております。
若者の離職対策に向けては、先般、県、岩手労働局、教育関係機関、経済団体、業界団体等の24機関の代表者を構成員とするいわてで働こう推進協議会が設立されたところでございまして、このような場を通じて課題を共有するとともに、その改善に取り組んでまいりたいと考えております。
〇福井せいじ委員 初めに、大槌町で進める小中一貫教育についてお聞きします。
平成28年4月1日から、大槌町では、大槌学園─これは義務教育学校と聞いております─、それから、吉里吉里学園小中一貫校の設置が決まっているやにお聞きしております。全国で小中一貫校の導入が進められている地域もありますが、この大槌学園、吉里吉里学園の開校の背景、目的、そしてまた、小中一貫教育でこの大槌町ではどのようなことをするのか、さらに、この大槌町ではふるさと科の導入ということも伺っておりますが、この3点についてどのようなものかお聞かせいただきたいと思います。
〇藤岡首席指導主事兼義務教育課長 大槌町で進められております小中一貫教育についてでございますけれども、大槌町では、中1ギャップ等の教育課題への対応、そして、震災からの復興に向けた貴重な体験を教育的な価値として子供たちに伝え、郷土を愛し、ふるさとの将来を担う人づくりを目指し、義務教育の9年間を見通した小中一貫教育を導入し、平成27年度よりその取り組みを進めていると伺っているところでございます。
これまで2年間の試行期間を経まして、平成27年度から大槌学園、吉里吉里学園として、それぞれの地域の特色を生かした一貫教育を実施しているところであります。両学園では、計画的、継続的に学ぶことができる学びの安心と保障、復興、防災を基盤としたふるさと教育の推進、学校、家庭、地域の参画による教育活動の推進という三つの柱のもとに、地域の方や保護者の方々とともに協議しながら、子供たちの健やかな成長の実現に向けて取り組んでいるようでございます。
先ほど委員から御紹介がありましたように、大槌学園は平成28年4月より新たな制度であります義務教育学校へ移行する予定になっております。具体的にどのような内容に取り組んでいるかというと、一番の特色は、9年間を通してふるさとについて学ぶふるさと科という特設の学びの機会を設定しているということになります。これまでも地元に目を向けるということはあったわけですけれども、今回の大槌町の場合は、やはり震災、そしてそこからの復興ということに子供たち自身がしっかりとかかわっていく必要がある。将来の大槌を担っていく人材を育てていくということを町総がかりで行うということから、商工会等との連携もとりながらその教育を守り立てていくというところが一番の特色かと思いますし、先ほど、地域、保護者の方と協議という話もあったのですが、学校運営協議会というものを立ち上げて、学校の教育内容等について地域の方が機会あるごとに話をする場面も設定するという新しい取り組みを進めているところでございます。
いずれにしましても、まだ本実施始がまってすぐですので、今後課題等もあろうかとは思うのですけれども、積極的に特色を出しながら、それぞれの学校で取り組んでいる状況と捉えております。
〇福井せいじ委員 今、御説明をいただいて、非常に特色のある取り組みということはわかったのでありますけれども、今は小学校6年、中学校3年と、小学校、中学校と分かれている学校でありますけれども、小学校、中学校と分かれているとできないこと、この9年間だったらできることというのはどういうことなのですか。逆に言えば、6年、3年と分かれていると、今、課長がおっしゃったようなことはできないものなのでしょうか、そこら辺をお聞かせいただきたいのですけれども。
〇藤岡首席指導主事兼義務教育課長 小中連携という取り組みは全ての学校で意識しながら取り組んでいる現状があると思いますけれども、一歩踏み込んで、それでは9年間を系統的につないでいこうということになるとさまざまな課題があるというのも現状でございます。ただ、9年間、例えば同じ学校で学ぶ、または一貫教育の中でともに学ぶ機会があるということになりますと、中学生が小学生と直接触れ合う機会があったり、小学生が中学生の姿に憧れて、自分もそうなりたいという気持ちを持って育つというような効果もあるわけです。
そういうメリットをどう生かしていくかということと、例えば施設が離れているということになりますと、今度は、移動をどうするのか、打ち合わせの機会をどうするのかという別の問題も出てまいります。それぞれの市町村でどういう教育を進めていくのかというビジョンをしっかりと持って、地域の方と話し合いを進めながら、自分の地域の学校をどうしていくのか、どういう方策をとっていけばいいのかということによって課題点をクリアできるところもありますでしょうし、メリットをさらに大きくするということもあると思っていますので、全てが不可能ということではない、工夫次第というところは多分にあるのではないかと考えております。
〇福井せいじ委員 さまざまなメリット、デメリットについては、今お話しいただいたことでもありますし、小中一貫校への可能性というものを今お聞かせいただいたような気がします。
そして、もう一つ、具体的に小中一貫校の中のメリットとして中1ギャップの解消というのも私は言葉として捉えたのですけれども、この中1ギャップについては小中一貫校の導入によってどのような形で解消されるのかお聞かせいただきたいのですけれども、いかがでしょうか。
〇藤岡首席指導主事兼義務教育課長 中1ギャップの解消につきましては、既に全国で取り組んでいる小中一貫教育を進める自治体または学校から大きな成果が上がっているという報告を受けております。なぜそういうような成果が上がっているのかというのは、やはり中学校の生活についてのイメージを小学生が持ちやすいことが一番あるのではないのかと。また、保護者の方も中学校教育についての理解が早まりますので、子供に対して適切な助言または励まし等ができているということにあるのかなと思っています。
小学校から中学校に上がるというのは大きな節目でもあるわけで、その節目は節目として私は大事だと思うのですが、その接続の際に、余り障害がなくスムーズに接続するというのが子供にとっては大事なことですので、小学校の教育内容、中学校の教育内容を子供たちも教員も双方で理解しながら進めていくということで中1ギャップ等についても抑止力が働いているのではないかと思っているところです。
〇福井せいじ委員 今まで小中一貫校の非常にいい点をお聞かせいただいたのですが、逆に、デメリットあるいは課題というものがあるとすればどのようなものなのかお聞かせいただきたいと思います。
〇藤岡首席指導主事兼義務教育課長 国でまとめている調査によりますと、課題の中でやはり一番多いのは打ち合わせ時間の確保ということになります。それから、小学校、中学校双方での乗り合い授業、つまり中学校の教員が小学校に行って教えるとか小学校の教員が中学校に行って教える場合があるわけですけれども、その際発生する免許の問題とか、今後、国も検討を進めると言っているわけですけれども、クリアしていかなければいけないものもある。そうなってきますと教える内容に制限が出てくるということで、ある面では、特例的な措置が認められているわけですけれども、それをどう有効活用していくか学校の中で協議する場面をどう持っていくかが非常に難しいということが言われております。
もう一点は、一体型で進めている学校では余り課題にはなっていないのですけれども、隣接型というか分離型で行われているところでは、先ほども触れましたが、やはり移動の時間の確保をどうするのか。教員だけではなく子供たちの移動の時間の確保もあろうかと思いますので、そういう物理的な部分の課題が大きいと思っております。
〇福井せいじ委員 さまざまなメリットあるいはデメリットがあるということを今お聞きしましたが、私は、学力という面で、小さいころからしっかりとした教育を受ける、あるいはさまざまなことを経験するということは非常に大事なことなのではないかと思っています。小学校、中学校のときに長いスパンで一つの方向に向かった教育を受けるということは、自分の勉強する意味、自分の人生を考える意味でも非常に大事なことではないかと思っております。
そういった意味で、この小中一貫というものは、これから取り組むべき大いなる課題、そしてまたいいテーマではないかと思うのでありますが、岩手県において、今後この小中一貫教育についてどのような形で取り組んでいくか、そういったお考えがあれば教育長からお聞きしたいのですけれども、いかがでしょうか。
〇高橋教育長 小中一貫教育につきましては、外形的なものとして義務教育学校ということで完全に統合するという場合もございますし、連携を図っていくというようなさまざまなスタイルがありますけれども、それぞれメリット、デメリットがあろうかと思います。これは何よりも、保護者もそうですし、それぞれの市町村において、地域の皆さんと行政とがきちっと合意形成を図って、一定の方向性を情報共有するというところから始まらないと、形だけをつくるということは大きな問題をはらむ要因になるのではないかと思っています。
大槌学園につきましては、津波被害を直接受けましたので、大震災発災後から、新しい校舎が必要だということで、苦しい状況だけれども、こういう中で未来を託すのは子供たちなのだと。それは大槌町として特徴的な教育をやって、ふるさとを愛する子供を育てるのだという一貫したビジョンを持ちながらその準備を進めてまいりました。義務教育学校としては平成28年4月からスタートでございますので、これまでの蓄積を踏まえつつ、その成果というものも出てくると思いますし、一方、課題も出てくると思います。それらの状況を各市町村教委も注視しております。また、盛岡市でも土淵小、中学校の一貫校としての取り組み等がある。県教委としてもそういう情報をきちっと各市町村に伝えていきつつ、相談に丁寧に対応していくのが我々に課せられた大きな課題だと思っておりますので、その辺は固定的な考え方ではなく、より広く我々も情報収集に努めながら適切に対応していきたいというように考えております。
〇福井せいじ委員 今、小中一貫校のことを聞きました。また、一関市では中高一貫校ということも既に実施されていますけれども、今、教育長、課長のお話の中で、私は、さまざまな校種の連携、あるいは、地域でその学校に関心を持って見ていこうということが非常に大切なのだと感じました。ぜひともこの大槌町のモデルを大切に見守りながら、そしてまた、それがいいと思ったら、ぜひとも素早くその成果を見きわめて、県内に広めていただきたいと思っております。
次に、教育振興運動についてお聞きしたいと思います。
いわて県民計画第3期アクションプランの中にもこの教育振興運動という言葉は出てきています。実は、私が小学校のころも教育振興運動というのがありまして、かつて聞いたなというような感覚を持って、今、改めて勉強させていただきました。
教育振興運動について、特に私が関心を持ったのは5者教育ということで、5者のそれぞれの役割を果たしながら進める教育運動だと。その5者とは、子供、親、教師、地域、行政ということで、普通、教育というのは、子供と教師と行政というのが概して受ける印象なのですけれども、そこに、親の役割、地域の役割を持ってこの教育振興運動を進めるということであります。これは岩手県が昭和40年代に始めて、非常に効果を上げた運動であると私は聞いております。
しかしながら、平成26年で50周年を迎えて、この運動が今、私としては形骸化しているのではないかということをちょっと感じているわけでありますが、教育振興運動について、今どのような形で取り組んでいるのかお聞かせいただきたいと思います。
〇松下生涯学習文化課総括課長 教育振興運動につきしましては、委員御指摘のとおり、5者がそれぞれの役割を果たしながら相互に連携して進めてきている運動でございます。昭和40年に提唱されて以来、長きにわたり継続してきているところですが、マンネリ化ですとか成果を実感できないなどの課題がございまして、それらの課題解決を図り、教育振興運動の原点に返りながら、一層の活性化を目指して、平成17年度から10年間、みんなで教振!10か年プロジェクトということで取り組んできたところでございます。
この10か年プロジェクトにおきましては、約8割の市町村や実践区等で組織の見直しが行われまして、学校、家庭、地域の連携が図られるとともに、家庭学習の充実と読書活動の推進を新たに全県共通課題として掲げて取り組んだことによりまして、児童生徒のテレビ視聴時間の減少ですとか平均読書冊数の増加などの成果が上がってきたものと考えております。
そして、本年度からは教育振興運動5か年プランということで、新たに情報メディアとの上手なつき合い方というものを全県共通課題に設定いたしまして、この全県共通課題と地域の教育課題の解決に向けた取り組みを有機的に連動させながら教育振興運動の活性化を図ろうということで、今、取り組んでいるところでございます。
〇福井せいじ委員 10か年プロジェクトを終えて次は5か年プランということで、この教育振興運動の掘り起こしというか広がりというものを今からまたつくっていくということでありますが、やはり私は、この運動をつなげるということも大切なのでありますけれども、この運動を多くの保護者の皆さん、地域の皆さんに広げてほしいのです。
実は、私もPTAの役員をやっているとき、教育振興運動の実践校になると、実践校を終わった途端にその学校では教育振興運動の熱が冷めていくというような事例もあった、と言っては自分のことになってしまうのですけれども、そういうこともありました。そういう意味では、やはりこの運動をつなげる、そしてまた広めるという工夫が私は必要だと思うのであります。
この運動というのは、見えるものであればあるほど広がりやすいわけであります。例えば昭和40年代、私が小学校のころには、勉強机を置こうとか自分の勉強部屋を持とうとか、そういった目に見える運動をしてきました。また、小学校に行くと挨拶運動というのがありました。非常に懐かしいなと思って、学校の校門の前に並んで挨拶をするのですね。今でいうとよくあんなことをやっていたなと自分でも恥ずかしくなるのですけれども、ああいうことをやったり、一生懸命掃除をやっていました。そういった形で、私は、見える運動をぜひとも親御さんと一緒になってやっていただきたい。そういう工夫が私は必要だと思うのであります。運動をつなげるというのも必要ですが、それを広げる、一緒にやる、見えるような運動にぜひ取り組んでいただきたいと思うのでありますが、私が小学校のときにもしかしてともにあった教育委員長、この教育振興運動に関して何か御所見があればお聞かせいただきたいのですが、いかがでしょうか。
〇八重樫教育委員会委員長 福井委員おっしゃるとおり、岩手県は学力が低いということで、岩手県独自の運動で、机を買ったり、出稼ぎに行ったお父さんは絵本を買ってくるとか、歯磨きとか、夕方は夕読みとか、まさに見える形でやってきたわけです。いわゆる純粋な、単純なというか継続できるようなもの。今は、余りにも成果、課題、組織をどうするとか、いろいろ面倒くさいことを考えるからだめだと私は思っています。もっと単純に、今までより5者が、例えば挨拶運動をしようといったら、子供も大人も教育委員会でも地域でも挨拶すると。見える形で継続する。原点に返ってやったらいかがかなと思います。
私は、岩泉町の教育振興運動の集約集会に行って90分演説してきました。子供たちも参加しておりまして、子供たちだけに要求するのではなくて、やっぱり大人もちゃんとやらなければだめだというような話もしたのですけれども。昔どおりにきちんと組織をつくりながら運動を地道に続けているところもありますので、難しく成果が何だ、課題は何だ、組織をどうしようとか、余りそういうことを考えないで、みんなでできることを一つなり二つなり長く継続してやるということが大事ではないかと私は思っています。
〇千葉絢子委員 主権者教育については、ただいままでの答弁で私の疑問は解消されましたので、主権者教育については割愛させていただきたいと思います。
少人数教育の拡充についてお伺いしたいと思います。
本年4月からの中学校2年生に対する35人以下学級の拡充について、大変喜ばしいことであると思いますし、教育委員長が演述で表明されたときに私は大変感動いたしました。本気で子供たちに向き合っていかなければいけないという決意を聞いて、私が本県の教育のこれからについて感じていたもやもやが少し晴れたような気がいたしまして、大変感動いたしました。
それで、中学校2年生に少人数学級を拡充することについて、教職員の配置等はどれぐらいの増加があるのでしょうか。また、人数、人件費などへの影響についてお伺いしたいと思います。
学校によっては、中学校2年生に拡充されるのはいいのだけれども、教室がちょっと足りないというような学校の声も聞いたことがございまして、これについては実際どうなのかというところをまずお伺いしたいと思います。
〇佐藤首席経営指導主事兼小中学校人事課長 中学校2年生での35人以下学級拡充に伴う教職員の人数並びに人件費についてでございますが、必要人数は2月時点で47人が見込まれ、その所要額は年間約4億円と試算しておりますが、この財源は、国から配分される加配定数の少人数学級への重点化により捻出したものでございます。
教室不足の実際についてでございますが、小学校2年生から4年生、中学校1年生で35人以下学級の対象となる113校のうち、教室の不足が実施に影響している学校は、市町村教育委員会からの聞き取りの結果では、学校近辺の土地開発や住宅造成等により住宅がふえることで、児童生徒数の増加数により、小学校1校、中学校1校の計2校となっております。
〇千葉絢子委員 教室が足りないといった声は本当に限定的なものだったというのが今わかりました。
小学校5年生、6年生にも拡充した場合、先日の一般質問では、教育長から新たに730人の教職員が必要という答弁でございました。国の法令の小学校1年生のみに対して本県では小学校4年生まで拡充しているところでございますけれども、以前に段階的に小学校4年生まで拡充した際には、教職員の増員、財政負担はそれぞれどれぐらいであったのかお教えいただきたいと思います。小学校5年生、6年生に拡充できない、あるいはしないという根拠についてもお伺いしたいと思っております。
〇佐藤首席経営指導主事兼小中学校人事課長 小学校4年生まで拡充していることに伴う教員の増員と財政負担についてでございますが、現在、35人以下学級を実施することによる教員の必要数は115人で、その必要額は約9億9、000万円と試算しておりますが、先ほども申し上げましたとおり、中学校2年生と同様、国から配分される加配定数等を重点化して実施するものでございます。
最後に、小学校5年生、6年生への拡充についてでございますが、変化の激しい時代に子供たちが生き抜き、岩手、日本の次代を担う子供たちのためには、少人数学級の充実など教育環境の整備が欠かせないと考えます。平成23年に改正された公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の附則においても、安定的な財源を確保しながら、小学校2年生から6年生まで及び中学校に係る学級編制の標準を順次、改定することに努めることとされております。
一方、国においては、財政健全化の議論の中で教職員定数の削減が取り上げられるなどしており、特にも単年度ごとに措置される加配定数については不安定な部分があることから注意深く見ていく必要がありますが、今後の拡充については国の状況を注視しながら検討していくものでございますし、義務教育における安定した実施のためには、やはり定数改善計画の早期実現が不可欠であり、継続的に要望してまいりたいと考えております。
〇千葉絢子委員 不登校とかいじめは小学校5年生あたりになると顕在化してくるという指摘もありますし、数字を見ても、娘の小学校でも実際にそのようです。また、中学校1年生になると不登校などはさらにふえるという傾向もありますから、ぜひその芽が出始める高学年への拡充はいずれしていただきたいと思っています。
県教委として、拡充をしたいというお気持ちがあるのか伺いたい。私と同じ気持ちで子供たちと向き合ってくださっているかというところを確認させていただきたいと思います。
〇佐藤首席経営指導主事兼小中学校人事課長 先ほども申し上げましたけれども、実は、国からの加配定数等を振りかえながら少人数学級に重点化して実施しているものでございますが、特にも、習熟度別指導、協力教授─チームティーチングと呼んでおります、一つの学級の中に複数の先生方を配置して子供たちをきめ細かく見ていくという協力教授等による指導といった、束ねて少人数指導と呼んでおりますけれども、この少人数指導の充実のための加配を振りかえて実施しているのが実情でございます。少人数学級をふやすことで少人数指導を縮小せざるを得ないという状況がございます。
一方で、学校、市町村からは、少人数指導によるこれまでの成果を踏まえながらその継続を求める声も大きいものがあることから、今後も、学校の実情、そして市町村の要望等も把握しながら適切に対応していく必要があると考えているところでございます。
〇千葉絢子委員 少子化になっておりますので、いずれは少人数学級になってしまうのか心配しているところであるのですけれども、そういった中でも大規模校はございますので、大規模校であればあるほどそういったいじめ、不登校の出現率が高い。中学校ですと350人以上の中規模校以上で出現率が高いということもありますので、そこはきめ細かに見ていっていただきたいと思っております。
次ですが、キャリア教育の推進方法についてお伺いいたします。
来年度の実施事業の中に、いわて未来創造人サポート事業費に600万円の予算、それから、学校・地域の協働によるキャリア教育推進事業費に500万円の予算が組んでありますけれども、これら二つの違いについてまず教えていただきたいと思います。
〇岩井首席指導主事兼高校教育課長 学校・地域の協働によるキャリア教育推進事業といわて未来創造人サポート事業との違いについてでございますが、どちらの事業もキャリア教育の充実を目指しているものではございますが、学校・地域の協働によるキャリア教育推進事業は、専門学科を対象に、資格取得や専門技能を身につけ、専門性を有する本県の地域産業を支える人材の育成や生徒の地元定着等を目的としたものでございます。
これに対しまして、いわて未来創造人サポート事業は、県立学校の学校種や学科の別を問わず、進路ガイダンスなどのキャリア教育の充実に加え、特別支援学校生の自立の支援、地域伝統技能の継承、地域社会に貢献する人材の育成など、学校が主体的に取り組む幅広い活動を通じて、生徒の社会人、職業人としてたくましく生き抜く力を育むことを目的としたものでございます。
県教委といたしましては、今後とも、教科活動や両事業などを通じて、生徒の進路希望の実現のほか、本県の地域産業を支え、地域に貢献する人材の育成を目指してキャリア教育の充実に努めてまいります。
〇千葉絢子委員 先ほども佐々木朋和委員からの御指摘にもありました高卒者の3年目離職率が43.1%ということで、これは、やはり働くという意識を、実業高校の場合は仕事に直結した授業でございますし、キャリア教育、そして進路指導─就職指導になりますか、そういったことも徹底されているので、働くということに対しての意識は普通科高校の生徒よりは高いと私は感じております。
一方で、離職率の高さにつながっているのは、もしかすると普通科高校の出身の高卒者だったりするのではないか。一般質問でも御指摘申し上げましたが、普通科高校、特に進学を主眼に置いている学校というのは、やはり就職活動をする大学3年生になるまで、自分が働くということに関して無頓着な子供たちも多いのではないかという自分の実感もありまして、実際、自分は何の仕事が向いているのだろう、それを考える機会というのが就職活動が目前に迫ったときにしか実感することがないのですね。大学の就職ガイダンスのときにも、皆さんは受験勉強で、どこの大学に行きたいという目標が定まったら、どれぐらいの点数をとればそこの学校に入れるというのはわかっていますよね。その準備は、早い人で小学校、中学校からやっています。それは明確な合格基準があるからです。では、就職活動では、自分がその会社に合格する、内定をもらうには、答えはありますかと。それがわからないのになぜ何も準備していないのですかというふうに大学の先生から言われたことがありました。そこではっとするんですよね、学生たちは。
自分が働くというのを意識するためには、やはり計画的なキャリア教育、普通科高校で社会人になっていく直前のキャリア教育というのを本当に重視していかなければ離職率というのは下がっていかない。県内定着ということもやはり難しいのではないか。本当に社会減ゼロを達成できるのかというところもありまして、普通科高校へのキャリア教育もぜひ拡充していただきたいと思いますが、改めて県の方針を伺いたいと思います。
〇岩井首席指導主事兼高校教育課長 キャリア教育の方向性と普通科高校のキャリア教育についてですが、普通科高校の進路の状況ですけれども、学校によっては、生徒の実態に応じて、就職する生徒の割合が高い学校、就職、進学半々にいる学校、進学する生徒の割合が高い学校それぞれございまして、学校の事情に応じたキャリア教育を実践しております。
小規模校においても就職、進学両方に対応できるようにきめ細かい指導に努めておりますし、そういった点では、生徒の実態に応じたキャリア教育を適切に実施しようという学校の努力はあるものと御理解いただければ幸いです。
キャリア教育を進める上では、やはり教科あるいは学校の日々の教育活動を通じて総合生活力という基礎・基本となるものをしっかり育てた上で、地域の協力を得ながら人生設計力といった次につながる能力を高めていくことが重要ですので、今後とも、地域社会、地域産業との関係を重視したインターンシップや地域伝統技能の継承など、実践的、体験的な活動の充実を図りながら地域を担う人材の育成を目指してまいります。就職とか大学合格が目的になってしまうと次につながりませんので、それはあくまでも手段であって、その先のさらにキャリアアップがあるということを我々はしっかり自覚した上で今後も取り組んでいく必要があると考えております。
〇千葉絢子委員 今までもキャリア教育に取り組んでいらっしゃるという実績はもちろんあります。ただ、それがあっても離職率は高卒で43.1%、これはやっぱり何とかしていかなければいけない問題だと思っています。今までの取り組みに加え、さらに子供たちの職業観を醸成していくために、やはり何らかの手を打っていかなくてはいけないのではないかと私は感じますので、ここは問題提起させていただくことにしたいと思います。
次に、高校再編の計画の中で議論されるのは、数のことがやはり中心になっておりますけれども、再編される高校の周辺地域では、どのようにしてその地域を活性化していく人材を育成していくのか、高校生と地域の人たちとのかかわりの中で、高校生自身が自分たちの住む地域の中での自分の将来の役割を自覚していくような形でのキャリア教育というのも必要と思っております。それがひいては地元に帰って地元のために貢献する人材を育てる、地元の企業に就職するという意識につながっていくと思うのですけれども、こういった地域のために貢献していく人材育成という観点でのキャリア教育について、認識と方向性をお聞かせいただきたいと思います。
〇岩井首席指導主事兼高校教育課長 キャリア教育の認識と方向性についてでございますが、キャリア教育については、生徒が自己のあり方、生き方を考え、主体的に進路選択し、社会人、職業人として自立する力を育むことが重要でございます。地域社会、地域産業との関連を重視し、インターンシップや地域伝統技能の継承など、実践的、体験的な活動の充実を図りながら、地域を担う人材の育成を目指してまいります。
〇千葉絢子委員 次、最後にさせていただきたいと思います。
環境生活部と合同でグローバルいわて推進事業費というものを計上していらっしゃいます。これに含まれるイングリッシュ・キャンプについてお伺いいたします。
まず、どのような形で実施するものか、実施に至る経緯、目的、取り組み内容、それから期待される効果についてお伺いしたいと思います。私が中学生のときに、大学の同窓生のALT─同じ大学から派遣されているALTが赴任している中学校の生徒がよりすぐられて、12人くらいでアメリカに1週間ホームステイさせるという事業に、3分の2の補助を受けて参加させていただきました。インディアナ州に派遣される事業なのですけれども、1週間、ホストファミリーの中に単身放り込まれて、家の中でも、スクールバスに乗って学校に行って、学校の授業も全部英語でしゃべる。それを1週間、何の知識もない中で行ったのですけれども、その中で、初めて、ああ、英語って話せなければ意味がないんだなと実感したのです。必要に迫られて習得するのが外国語であって、このイングリッシュ・キャンプは2泊3日で実施されるようですけれども、単なる思い出づくりで終わらなければいいなと思っています。外国人との関係でいけば、何を食べるのか、その食材は煮るのか焼くのか、どう料理するのか、ごみはどこに捨てたらいいのか、普通に生活すれば生じてくる疑問をそのキャンプの中できちんとぶつけ合って問題を解決するような中身でなければ2泊3日の思い出づくりで終わってしまうような気がするのです。こういったことも踏まえて御答弁をいただきたいと思います。
〇小野寺首席指導主事兼学力・復興教育課長 イングリッシュ・キャンプについてでありますが、この事業は、社会のグローバル化が急速に進展する中、本県のグローバル人材育成の一環として、国際共通語である英語のコミュニケーション能力の向上等を目的として、本年度から新たに環境生活部との連携のもと、海外派遣と組み合わせて、県内の希望する高校生を対象として、総合教育センターを会場に2泊3日のキャンプを夏と秋の2回実施したものです。
本年度は県内30校から56名が参加し、県が任用している外国語指導助手や国際交流員のほか、在札幌米国総領事館の領事、あるいは文部科学省職員などを講師として、英語そのものの基礎技能の向上を目指す講座を初め、岩手を世界に発信するためのプレゼンテーションの作成、ミニドラマの制作、将来の留学に向けたガイダンスなど、さまざまな体験活動を全て英語で実施いたしました。
また、宿泊を伴うものですので、宿泊の際には、ALTとともに自分の考えを英語で語ったり、お互いの地域の生活について英語で語り合う、そういう取り組みもしております。
この事業により、本年度参加した全ての生徒から、岩手のよさをもっと知らなければいけない、それを英語でしっかり伝えたい、そのためには英語をもっと勉強したい、海外留学について意欲が湧いた等の感想を得るなど、生徒の視野を世界へ広げる契機となり、グローバル人材の育成に向けた基盤づくりに一定の成果を得ていると考えており、来年度は参加枠を中学生にも拡大する予定としております。
〇千葉絢子委員 56人が日本人という中では、休憩時間には日本語をしゃべれるわけですよ。でも、中学生でも、1週間英語しかない環境、それだけ苛酷な環境に放り込まれたということを考えれば、本当にそのキャンプ中は一切日本語をしゃべってはだめというような縛りをかけるぐらいのことをやっていただきたいというふうに、あえて、かわいい子には旅をさせよではないのですけれども、そういった形で実践的なイングリッシュ・キャンプになることを切に願っております。
〇佐々木努副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
午後3時7分 休 憩
午後3時27分 再開
〇高橋但馬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
委員各位及び執行部に申し上げます。この後、本日審査を予定している部局について延べ14人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
質疑を続行いたします。
〇城内よしひこ委員 それでは、3点について質問します。明快な答弁を期待します。
文化財の保存管理と活用、推進についてであります。
復興関連工事でたくさんの埋蔵文化財調査をしていただきました。大変な御努力だったと思います。
そこで、復興関連工事に伴って埋蔵文化財はどれぐらい出土したのか、また、ことし今後どれぐらい出る予定なのか、あわせてお伺いします。
〇斎藤文化財課長 復興発掘調査によります埋蔵文化財の出土量と今後の見通しについてでございますが、東日本大震災津波の発災直後は、埋蔵文化財調査によります復旧、復興のおくれが懸念されましたが、全国からの多大な御支援等により、国、県事業、市町村事業等による埋蔵文化財調査は順調に推移し、現在、復興道路関係では約94%、集団移転関係では100%となっており、平成25年度、平成26年度をピークに、終息の方向に進んでおります。
現在までの県及び沿岸市町村の調査では、土器や石器などの埋蔵文化財は、40リットルの収納箱で約1万箱が出土しておりますが、今後は、復興関連の発掘調査が減少するため、埋蔵文化財の出土量につきましても必然的に減少していくものと考えております。
出土いたしました埋蔵文化財の活用につきましては、現在、整理作業を順次行っているところでございます。
整理作業の終了後は、地域の歴史を物語る資料として、資料館での展示や学校教育で活用が図られるよう、各市町村教育委員会に働きかけてまいりたいと考えております。
また、県としても、先ごろ県立博物館において、復興発掘調査で出土した土器を展示する企画展を開催し、多くの来館者がございました。
今後も関係各機関と連携を図りながら、さらに活用について進めてまいりたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 広く県民に見ていただくというのが大事だと思います。せっかく掘り起こして、全国から多くの応援をいただいて作業したまさに結果だと思っています。それを、では、どうやって広く県民の皆さんに見ていただくかというのがみそだと思いますし、今後、その整理に、実はそっちのほうに私は時間がかかるのではないかと思っています。県においても、学芸員の方々はそう多くはいらっしゃいませんし、各市町村においてもそのとおりであります。
恥ずかしながら、我が宮古市もたくさんの埋蔵文化財が出る地域でありまして、そういったものは閉校になった学校に保管しておくだけで手一杯であります。そういったものを整理していかなければ、何のために苦労して掘り起こしたのかわからないと私は思うのですけれども、今後そういったことについて、どう取り組んでいくかお伺いしたいと思います。
〇斎藤文化財課長 発掘調査については、ほぼ終了の見込みでございますけれども、委員御指摘のとおり、今後報告書作成という仕事が残ってございます。発掘調査したものについては、必ず報告書としてまとめるということが義務づけられておりますので、恐らく平成32年ごろまでには、県もそうですし、市町村についても、報告書の完了の見込みはつくものと考えております。
その後の土器、石器の扱いにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、地域で、公開活用で、重要なものですので、ぜひ積極的に使っていただきたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 私も県立博物館に実は過日、見に行ってまいりました。大槌地区の方々がバス1台で見に来ていらっしゃいましたけれども、私はPRが少ないのではないかと思っています。広範囲にわたって出土していますので、ブースブース、各地域ごとのスペースは狭くて、これで果たしてよかったのかなと思いますが、企画展的に、地域ごとに取り上げる、光を当てるような取り組み方も必要ではないかと思いますし、持ち回りというのもまたいいのかなと思っています。
過去に宮古で出た巻き貝が展示してありました。大英博物館にも行ってきた巻き貝でしたけれども、そういった特色あるものは結構長く展示するのですけれども、そうでないものはなかなか光を当てることがないようでありますので、ぜひ、そういったことにもしっかり取り組んでいただければ、全国から応援に来ていただいた発掘作業に携わった方々に対する恩返しになるのではないかなと私は思いますが、その辺再度お伺いします。
〇斎藤文化財課長 委員御指摘のとおり、全国から応援職員をたくさんいただいているわけなんですが、その方々の応援に応えるためにも、発掘調査で出ました土器、石器については地元で十分に活用するとともに、せっかく今回調査に来られた他県の方々との今後の交流というのも想定してございますので、例えば土器を交流して公開するとか、そのようなことも今後考えていく必要があろうと思ってございます。
〇城内よしひこ委員 最後のこともちょっと聞こうかなと思っていたのですけれども、多くの方々のコメントとして、応援職員の発掘作業の苦労のてんまつが県立博物館にありました。そういったことも踏まえて、岩手のファンになっていただいたものと私は確信しています。現地のそれぞれが、戻った方々の地域との交流というのも必要ですし、岩手の情報発信もしてほしいと思います。それは要望にします。
次に移ります。生涯学習環境の整備についてでありますが、公民館活動の現状はどのようになっているか、また、今年度の取り組みをどのように考えているのか、お伺いしたいと思います。
〇松下生涯学習文化課総括課長 公民館活動の現状と本年度の取り組みについてでございますけれども、本県には、現在227館の公民館がございまして、平成26年度の利用者数は延べ約213万人となってございます。また、平成26年度において、公民館等の社会教育施設で行われました講座の数は約1万講座と、参加者数は延べ約69万人となってございまして、地域住民の実生活に即して、趣味、教養的な講座ですとか、地域課題に応じた学びの機会の提供など、さまざま多様な取り組みが行われているところでございます。
また、県教育委員会におきましては、本年度、市町村の公民館職員等を対象といたしました社会教育指導員等研修講座や事業プログラム開発研修講座等の研修会、また、市町村の要請やニーズに応じた出前研修を実施したところでございます。
〇城内よしひこ委員 約213万人の方が参加されたということでありますが、これは地域による偏りというのはないのかと思うところであります。公民館が設置されても事業を活発に展開していない地域があるやに私は見ておりますが、そういったことはないのか。あわせて、今後、被災をした沿岸部で、どういった形で再度公民館活動を取り戻していくのかということについてもお伺いしたいと思います。
〇松下生涯学習文化課総括課長 ただいま委員御指摘がございました地域の偏りということについてでございますが、それぞれの地域の公民館におきまして、さまざまな講座ですとか体験活動の場ですとかが取り組まれているところでございますが、その数は確かに、その地域によってばらつきがある状況かなと思ってございます。
また、特に沿岸市町村におきまして、公民館も津波等の被害を受けて、今後、復旧が必要な部分がまだ多く残ってございますので、そのあたりにつきましては、施設の復旧と、また、今後の活動が円滑に立ち上がれるような支援を県教育委員会としてもしていきたいと考えてございます。
〇城内よしひこ委員 被災地では、新たな復興に伴うまちづくりができてまいりました。これまで住んでいた地域じゃないところに、災害公営住宅にお住まいになっている方々がおります。そういった方々が地域に根差す上でも公民館事業というのは私はすごい有効的な活動だと思っております。そういった方々を積極的に引っ張り出すという言い方は変ですけれども、引きこもりにならないためにも、公民館活動について再度、被災地沿岸部に光を当ててほしいと思いますし、早期に復旧をしていただかないといけないのではないかなと思っております。盛りだくさんの活動、地域の行事であったり食文化だったり、いろんなものを掘り起こしている活動もしていますので、そういったことを県教育委員会としてもしっかりと応援してほしいと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
〇松下生涯学習文化課総括課長 委員御指摘のとおり、沿岸被災地においては、これからコミュニティーの再構築ということが大変重要な課題になってくると認識してございまして、そのコミュニティーの再生という観点から言っても、公民館は一つの大きな拠点になると認識をしてございます。
これまでも、県教育委員会におきましては、各種研修会等を通じまして、公民館の事業内容の充実ですとか、関係職員の人材育成、資質の向上を図ってきたところでございますけれども、今後におきましても、公民館等の取り組みを活性化し、生涯学習環境の整備が進むように、市町村のニーズを踏まえながら、研修内容の充実ですとか、支援体制のさらなる充実を図ってまいりたいと考えてございます。
〇城内よしひこ委員 特にもコアになる方々、公民館長と言われる方々の研修をしっかりとしていただきたい。そうしないと、公民館活動の質が均一化されていかないのではないか。隣の公民館は積極的に活動しているけれども、我が地域の公民館はなかなかという状況があります。ぜひそういったことがないように、しっかりと支援、マンパワーの育成も含めてしてほしいと思いますが、再度決意をお願いします。
〇松下生涯学習文化課総括課長 本県の生涯学習推進センターにおきましては、公民館職員も対象といたしまして各種講座また研修会を開催してございまして、その中には、公民館長を対象としたセミナーも開催してございます。来年度からは、新たに、現在、各市町村においては、まちづくりと公民館活動を一体化するということで首長部局のほうに市民センターとして移管しているところもございますので、そういうところの市民センターの長なども対象にしながら、新しい研修会を立ち上げることを検討してございまして、各地域において、公民館活動が活性化するように取り組んでまいりたいと考えてございます。
〇城内よしひこ委員 沿岸部の復興に寄与するものと思いますので、ぜひ、てこ入れをよろしくお願いします。
それでは最後の質問に入ります。
いじめ対策についてでありますが、今年度の取り組みについてお伺いしたいと思います。
〇大林首席指導主事兼生徒指導課長 来年度のいじめ対策についてでありますが、平成28年度においては、本年度におけるさまざまな反省や取り組みを踏まえ、できる限りの方途を講じていくこととしております。
具体的には、各学校で策定しているいじめ防止基本方針の実効性を高めるため、その取り組みの実態調査を行うこと、校長や生徒指導主事を対象とした研修、教員を対象とした授業力向上研修等において、いじめの未然防止や適切な対応に係る内容を充実させるとともに、総合教育センターで発行したいわていじめ問題防止・対応マニュアルの校内研修でのさらなる活用を図ってまいります。
また、各学校が抱える解決が困難な事案に対して、県教育委員会として、有識者や指導主事が専門的な知見から助言等を行ういじめ問題解決支援チームを派遣いたします。
24時間子供SOSダイヤル等のいじめ相談窓口の周知に引き続き取り組んでいくとともに、条例に基づいて設置した岩手県いじめ問題対策連絡協議会及び岩手県いじめ問題対策委員会により、関係機関との連携強化や、いじめ防止等に係る取り組みの推進並びに重大事態への対応に取り組んでまいります。
いずれ、2年連続して発生いたしました大変痛ましい事案を教訓に、県全体でいじめの適切な認知と早期対応に努めるなど、できる限りの努力をしてまいりたいと思います。
〇城内よしひこ委員 今お答えいただきましたが、痛ましい事案ということでありました。私も本当に残念だったのですけれども、そういったことがないように、先ほど同僚の議員が言ったとおり、5者での連携というのは今後必要になってくるものと思っております。
そこで、今回教育委員長の演述を聞いて、少しはっと思ったことがありました。この自殺事案についてであります。
文章をいただいたのですけれども、その中で、いじめを一因とした中学生の痛ましい自殺事案が発生したということでした。自殺事案ということでしたけれども、私は自殺に追い込んだということが、裏を返すと言えるのではないかと思って聞いていました。そこが能動的な話と受動的な話と、私はちょっと、先生方は一歩置いて考えたんじゃないかなと。まさに現場に足を突っ込んでいる先生方にとっては、客観的に見るのではなくて、自分が同じ目線で子供たちと接していかないと、こういう事件はまた私は出てくるのではないかと、発生してしまうのではないかと危惧したところであります。そういう部分を何とか、追い込む前に皆さんが手を差し伸べる、そういうことがないように仕組みはつくった。でも、先ほど教育委員長がお話になったとおり、面倒くさい仕組みはたくさんつくるけれども、本来、仏をつくって魂を入れないと意味がない話であります。これは人の命にかかわることでありますので、言葉尻を捉えて言っているのではありません。ぜひそういうことを真摯に考え直すには大きな代償だったと思いますが、そういう事案だったと思っています。
八重樫教育委員長には大変な時期に、お二人の生徒のそういった事案に遭遇してしまったということも含めて、今後、皆さんに伝える思いをしっかりと私にも伝えてほしいと思いますが、いかがでしょうか。
〇八重樫教育委員会委員長 今御指摘がありましたように、2人の中学生が自殺をしたと。はっきり言えば、言っていいかどうかわかりませんが、私の個人的な見解ですけれども、追い込んだというような気がいたします。
他県の話ですけれども、万引きをしていないのにしたということで、これは学校の分析でも追い込んだのだと、学校が原因だとはっきり言っていました。矢巾の問題も、第三者委員会がやっていますけれども、先生が頑張っていることは認めつつも、先生が追い込んだのではないにしても、周りの子供たちが追い込んだのだというようなことが言葉の上で言えるのではないかと思いますし、私の気持ちはそうです。ですから、そういうことにならないように、我々教職員は子供の微妙な変化に気がつき、子供の心に寄り添い、何よりも子供の微妙な変化に気づくような教師であってほしいですし、一人一人の命を大事にする。学力も大事ですけれども、まずは命を大事にする教育に専念してほしい、エネルギーを使ってほしい。たとえ多忙であっても─この話をすると、子供と接する時間がないではないかと、多忙だと、どこからか飛んできそうですけれども、たとえ多忙であっても、これは教師の大事な大事な役目だと私は思っていますので、本当に二度と子供が命を失うことのないように、我々教師があるいは大人が子供を追い込むことがないような教育界にしなければならない、世の中にしなければならないと思います。
〇佐々木宣和委員 女子スポーツの環境整備について1点だけ伺います。
先日、なでしこジャパンがオリンピック出場権を逃したということが大きくニュースで取り上げられました。2011年のドイツワールドカップで優勝して、そしてまた国民栄誉賞をとったということが記憶に鮮明に残っておりますし、そしてまた、オリンピックにおいて、女子の獲得メダル数が男子の獲得数を上回ったというのは2000年のシドニーオリンピックで、男子の5個に対して女子は12個獲得したというところでございます。
こういった女子アスリートの躍進の影には、女性を後押しする法整備もあったところで1985年の男女雇用機会均等法、そして1999年の男女共同参画基本法と、そういった社会情勢に合わせるように女子スポーツも盛んになってきたところで、今、一億総活躍と言われて、女性の活躍と言われ、かなり出ている中で、岩手県が今回の国体において女子アスリートに対する強化策、環境整備等、女性に特化した取り組み等があったのか伺います。
〇八木首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 女子アスリートに対する取り組み等についてでございますけれども、希望郷いわて国体に向けては、女子種別も含め、現在、各競技団体を中心に強化事業に鋭意取り組んでおり、特にも、希望郷いわて国体から正式競技として女子種目が導入されたウエイトリフティングやラグビーフットボール競技等につきましては、選手の発掘段階から力を入れてきたところでございます。
加えて、岩手国体に向けた強化事業において、女子選手や女性指導者の活動環境整備の一環として、託児支援の子育てサポートを実施しております。
また、第71回国体強化委員会は、岩手が目指す女子アスリートの指導のポイントを作成し、女子選手指導の心構えや強化実践例などについて周知を図り、女子選手の競技力向上につなげる取り組みを進めてまいりました。
また、女子選手のためのスポーツ医・科学講座として、内科、歯科、栄養に関する講習会や、医師や管理栄養士によるスポーツ医・科学相談を実施し、女子アスリートのレベルアップを図ってきたところでございます。
〇佐々木宣和委員 託児支援サポートとか、すごくいいなというふうに思っております。
その中で、世界においては、1994年5月に、スポーツに関して女性に対する差別や不平等、不均衡を是正するための行動指針というところで、ブライトン宣言というものが出されておりまして、これを受けて、IOCは、スポーツ関係団体における女性役員の割合というものを2000年末までに10%、2005年までに20%とするように決議したと。俗に言う20%ルールというものを決議されたというところで、この宣言の中には、女性のリーダーや意思決定者がおらず、模範となる女性像が存在しない状態では、女性の機会均等を実現することはできないというところが明記されております。
そういったところで、現在、岩手県のスポーツ競技団体における女性役員の割合というものを伺いたいと思います。
〇八木首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 県のスポーツ競技団体における女性役員の割合等についてでございますけれども、現在、岩手県体育協会加盟の県内54競技団体役員総数491名のうち、女性の役員は、女性の競技者が極めて少ない種目も多いことなどから、16競技団体で34名であり、割合といたしましては6.9%にとどまっております。
また、岩手県中学校体育連盟役員では、66名中女性は7名で、割合が10.6%、岩手県高等学校体育連盟役員については、132名中女性は11名で、割合が8.3%という現状にございます。
各競技団体等の役員につきましては、それぞれの団体において主体的に決定しているところでございますけれども、委員御案内のとおり、世界的な流れとして、スポーツ界におきましても、女子スポーツ競技の拡大や女子アスリートの人材登用などを積極的に推し進めている動きがございますので、本県といたしましても、このような動きなども踏まえつつ、競技団体等と連携しながら、女性の活躍の広がりなどに、今後なお一層努めてまいりたいと考えております。
〇佐々木宣和委員 やはり10%以下というような現状があるというところかと思います。先ほどもおっしゃられておりましたけれども、女性役員が少ないと、特有の悩みに対応したサポートをしていくのがなかなか厳しいとも言われておりまして、ただ、JOC加盟団体を私も調べたのですけれども、1割以下という状態でございまして、JOC本体の役員も、この前国体にも来ていただきました橋本聖子さん、高橋尚子さん、柔道の山口香さんの、32人中3人しかまだいないという状況で、2020年の東京オリンピック・パラリンピック組織委員会が34人中7人で、これはようやく何とか20%を超えたというところであります。
著名なスポーツコラムニストの記事で、女子スポーツの環境整備なくして真のスポーツ立国なしという言葉がありまして、そのぐらいの気概を持って取り組むべきなのかなと思っております。
今回、国体を契機に、女性のスポーツ環境整備が進むというところで、先進的に取り組んでいくいい機会なのかなと思っております。
最後に、教育長に所感を伺って終わります。
〇高橋教育長 女子スポーツの環境整備についてでございます。
女性の一層の活躍が産業の振興や地域の活性化など、本県のふるさと振興を図る上で新たな発想や行動を生み出す大きな力となりますことから、スポーツ、文化など、さまざまな分野への女性参画を一層推進することとなる環境整備に取り組むことは、極めて重要な視点だと認識いたしております。
昨年の紀の国わかやま国体では、柔道成年女子とカヌー少年女子の優勝でありますとか、ホッケー少年女子の準優勝を初め、多くの種目で入賞を果たしたことによりまして、皇后杯順位が16位と、前回の33位から大きくその成績を伸ばしまして、復興に取り組む多くの県民の皆さんに、大きな喜びと感動を与えていただいたところでございます。
これらの女子選手の活躍は、天皇杯順位の大躍進にも大きく貢献しましたし、希望郷いわて国体冬季大会におきましても、16の入賞を数える大活躍を見せたところでございまして、秋の本大会に向けても、女子選手の活躍が大いに期待されているところでございます。
また、本県のスポーツ振興に幅広く御審議をいただいておりますスポーツ推進審議会におきましても、女性オリンピアンを初め各分野で活躍する女性委員からは、女性ならではの視点やこれまでの実績等を踏まえ、貴重な御意見、御提言をいただくなど、本県のスポーツ振興に大きく御貢献いただいているところでございます。
委員御指摘のとおり、希望郷いわて国体で盛り上がった本県のスポーツ、文化の力を今後の県勢の発展に生かしていくことは、極めて重要な視点と考えますので、御提言の趣旨等を十分に踏まえまして、女性の一層のスポーツ分野への参加、促進に向けた取り組みを、市町村や競技団体等との十分な連携のもとに進めてまいりたいと考えております。
〇高田一郎委員 それではまず最初に、広島県の中学3年生の、誤った記録による進路指導で自殺に追い込まれた問題についてお聞きします。
まず教育長に、この事件をどう受けとめているのかお伺いいたします。
〇高橋教育長 広島県の自殺問題に関する所感についてでございます。
現段階におきましては、当該町教育委員会の調査報告書に関する報道をもとにお答えすることしかできませんけれども、自殺した中学生と保護者の心境を推しはかったときに、高校入試という当面の大きな試練に直面した中学生が、教師に、自分の事実や思いを伝えられず悩んだ末に、将来の希望を捨てみずから死を選択するに至ったことは、要因は違うにいたしましても、学校側の不適切な対応という点におきまして、本県での中学生自殺事案とも重なり、学校経営上、あってはならないことと自戒しなくてはならないという思いと同時に、悲しさとむなしさで胸を突かれる思いというのが私の率直な所感でございます。
今後、町教育委員会の第三者委員会による調査でありますとか、文部科学省特別チームによる検証などが行われると承知いたしておりますけれども、まずは、これらの動向を注視しながら、今般の痛ましい事案の教訓を市町村教育委員会とともに、本県の教育に生かしていくことが必要と考えております。
〇高田一郎委員 誤った情報で進路指導したということは、本当に言語道断だと思います。しかし、中学1年生のときから、万引きで3年の進路指導がもう絶対的なものになってしまうということが果たしていいのだろうかと、ここに大きな率直な疑問を、報道からでしたけれども私は思いました。
中学生というのは思春期でありますから、いろんなつまずきがあります。しかし、そういう中で、先生の指導などでどんどん成長していく、これが中学校の教育の目標だと思うのです。1年から誤りを許さないという進路指導というのは本当にいいのだろうかと、そういう思いをいたします。
そこで、岩手県の進路指導、推薦基準はどうなっているのか、その実態について伺います。
〇藤岡首席指導主事兼義務教育課長 岩手県の進路指導及び推薦基準についてのお伺いでございますけれども、進路指導につきましては、高校入試ということに限らず、中学校1年生の段階から発達段階に応じて、将来像を見据えながら進めていくという流れで進んでおります。そういう中で、中学校3年生を迎え、いよいよ高校入試という段階で推薦入試等にかかわる推薦基準という問題が出てくるわけなんですけれども、県内の高校入試選抜における推薦基準につきましては、公立及び私立の各高等学校において、推薦入学者選抜を実施する際の推薦基準を定めておりまして、入試要項等によって各中学校及び生徒、保護者に対してその基準が示されております。
各中学校に対しましては、県立学校においては、全中学校を対象とした高校入試に係る説明会において示され、各校が共通の認識のもとで進路指導を行うことができるようにしているところでございます。中学校では、その基準をもとに推薦の手続を進めることになりますけれども、その際、中学校における校内推薦基準は各校で定めております。一般的には、校長を委員長とした校内推薦委員会を組織しまして、各高等学校が示した推薦基準に基づいて校内推薦基準を定め、実施しているものと認識しているところでございます。
〇高田一郎委員 1年生から誤りを許さないという進路指導が行われた場合に、3年間、重圧の中で子供たちが暮らすことになると思うのです。
日本の教育というのは、国連・子どもの権利委員会からも指摘されているように、高度に競争的な教育の中にあって、子供の発達のゆがみが生じて、自殺や不登校の原因にもなっていると指摘をされているわけです。
今、答弁がありましたように、岩手県の県立学校の入学選抜推薦基準に基づいて各学校の中で検討していると、基準をつくっているということですけれども、実態が把握されていないのではないかと思うのです。そういう実態を把握して、あるいは進路指導のあり方についても、県教育委員会としてしっかりと市町村教育委員会と連携しながら、こういう対応になっていないのか、進路指導のあり方についても再認識といいますか、再協議といいますか、話し合い、議論というか、こういうことが必要になってくるのではないかと思うのですけれども、その点についていかがでしょうか。
〇藤岡首席指導主事兼義務教育課長 各学校の進路指導につきましては、学習指導要領の中でも進路指導はこうあるべきだという表記がございまして、進路指導主事等を中心としながら校内の組織体制をしっかりと確立し、整備すると。そして、教師が相互に密接な連絡をとりながら進めていくとされておりますし、さらに、特にも将来にかかわる問題そして進路を決めるという段階では、ガイダンス機能の充実を図っていく必要があると言われているところでございます。
こういうような学習指導要領等の中身に基づきながら各学校で対応していると捉えているわけですけれども、委員御指摘の調査等につきまして、県の教育委員会では現在調査をしておりませんけれども、必要に応じて市町村教育委員会に依頼をしながら、その状況の把握に努めてまいりたいと考えておりますし、報告いただいた内容等も受けながら、適切な指導なのかどうかということについては、その都度、市町村教育委員会と連携をとりながら、しっかりと指導してまいりたいと考えているところです。
〇高田一郎委員 わかりました。よろしくお願いいたします。
今回の件については、自殺した中学生が、先生は何も聞いてくれなかったという報道もあります。生徒と先生との信頼関係がなくなっているということに対して、非常にせつない思いをいたしました。信頼関係を築いていくという点では、教員の指導力の向上とか、そしてゆとり教育を進めていく、そういう環境をつくっていく努力を現場も頑張っていかなければならないと思います。
それにかかわって、教員の多忙化問題についてお伺いしたいと思います。
今現在の教職員の多忙化の解消については、この間私も何度も質問いたしましたけれども、県教育委員会も真摯に受けとめて取り組んでいきたいという答弁をこの間ずっといただきました。
それで、現在の超過勤務の実態がどうなっているのか、80時間以上100時間以上の超過勤務の実態、あるいはその教職員の人数、また、この間さまざま努力をされてきたと思うのですけれども、どう改善されているのか、この点についてお伺いをいたします。
〇今野教職員課総括課長 教職員の超過勤務の実態と今後の取り組み、現状等を含めてということでございますが、まず、県立学校について申し上げますが、教員1人月当たりの超過勤務時間数でございますが、今年度について四半期ごとに申し上げますが、第1四半期が30.6時間、第2四半期が26時間、それから第3四半期が26.9時間となっているところでございまして、この超過勤務時間の把握は平成24年から行っているところでございますが、平成24年以降ということで申し上げますと、ほぼ横ばいといった状況になっているところでございますが、昨年度との比較について申し上げますと、それぞれ1.6時間から3.4時間の増となっているところでございます。
それから、時間外勤務、80時間以上それから100時間以上の教員の割合ということでございますが、これも今年度の状況について申し上げますと、80時間以上100時間未満の教員の割合でございますが、第1四半期が5.2%、第2四半期が3.8%、第3四半期が4.4%でございます。
100時間以上の教員でございますが、第1四半期が7.8%、第2四半期が5.2%、第3四半期が5.4%ということになってございまして、これも平成24年以降の傾向ということで申し上げますと、ほぼ横ばいということではございますが、昨年度との比較におきましては、それぞれ1%程度の増ということになっているところでございます。
こういったことを踏まえまして、県教育委員会におきましては、これまで、事務の簡素化ですとか、それから時間外記録簿の活用の推進、それから学校徴収金を担当する非常勤職員の配置ですとか、それから学校が年間で見通しを持って学校運営ができるような年間計画を作成しまして、それを各学校に示すといった取り組みをこれまで実施してまいりまして、一定の効果を上げてきたものとは認識しているところでございますが、先ほど申し上げましたとおり、これまで横ばいと、なかなか減っていないという状況を踏まえまして、昨年1月からということでございますが、職員団体との協議の場というものを設けまして、これは双方、協議に基づいてテーマを設定して順次協議を行いまして、できるところからということでございますが、取り組みに着手しているところでございます。
今後につきましても、部活動指導業務の見直しですとか、それから各種の事務作業の見直しについて協議を行いまして、時間外勤務の縮減につなげていきたいと考えているところでございます。(高田一郎委員「教職員の人数」と呼ぶ)
申しわけございません。人数についてはちょっと手持ちがございませんで。(高田一郎委員「通告していた。超過勤務の職員の数」と呼ぶ)
後ほどお答えしたいと思います。
〇高田一郎委員 では、後で答弁いただきたいと思います。事前に通告しておりましたので。
先ほど超過勤務の実態について伺いましたけれども、さまざまな努力をしているのはわかっていますが、一定の効果を上げているんだという答弁でありましたけれども、超過勤務の実態は横ばいなんですね。しかも、第1四半期を見ますと、むしろふえているという状況なんです。しかも、80時間、100時間というのは、厚生労働省の基準からすれば過労死ラインを超えるような超過勤務の実態なんです。この間努力してきたにもかかわらず、超過勤務の実態が改善されないと。これは県教育委員会の中に、もうやむを得ないのではないかと、こういう思いがあるのではないかと、非常に危機感がないのではないかと私は思うのですけれども、その点、教育長いかがですか。
〇高橋教育長 危機感がないという意識は全くございません。それで、きょうの朝、冒頭申し上げましたけれども、平成28年度は、特に子供一人一人に寄り添った教育の推進を図っていくということで、さまざまな課題がございますので、そこに丁寧に対応していく必要があるということで、そのためには、教職員に、それに専念できるような相対的な勤務時間の縮減も同時に進めていくということが極めて大事なことだと思っておりまして、そういう中で、協議の場等を通じながら、具体的な改善策を意見交換しているところでございまして、現に、現場にいる教員の御意見等も十分聞きながら、適切な対応をしてまいりたいと思っております。
〇高田一郎委員 先ほど少人数学級の問題も議論されました。教職員を抜本的にふやして少人数学級の実現とか業務改善とか、一層の努力をして対応していただきたいと思うのですけれども、ちょっと時間がないのでまとめてお伺いいたします。
長時間勤務を解消する上で、何といっても前提となるのは、労働時間の正確な把握ではないかと私は思います。今、県立高校については勤務実態の把握を行う取り組みをしています。でも、お聞きしますと、それは自主申告になっているのではないか。そして、市町村教育委員会については、実態の把握がされていないのではないか、そういう状況にあるのではないかと私は思います。そこがどうなっているのかということもお聞きしたいと思うのですが、私は、民間では当たり前のタイムカードを導入するなど、客観的に、正確に勤務時間を把握できるように県教育委員会も取り組むべきではないかと思うのですけれども、この点はいかがでしょうか。
そしてもう一つ、まとめて質問いたします。
教職員の過重負担の原因となっているものは部活動のあり方です。先ほども佐々木朋和委員から質疑がありまして、県教育委員会も部活動についても見直すと、必要な検討をしていきたいというお話でありました。これは具体的にどのような形になっていくのでしょうか。
〇今野教職員課総括課長 まず、勤務時間の正確な把握についてでございます。個々の教職員の勤務状況を把握しまして、それを事務分掌の平準化につなげまして、さらには職員の健康管理を図るという観点から、勤務時間の適切な把握というものは必要と考えているところでございまして、各学校長に対しては、その旨、各年、毎年の各種の会議等の場で周知徹底を図っているところでございます。
先ほど県立高校の勤務時間の把握について自主申告ということではないかという御指摘がございましたが、基本的には、当初は各職員から申告をしていただくというものではございますが、その申告内容について必要に応じて校長から確認をしてもらいながらという、一応そういうプロセスを踏ませていただくということでございまして、完全な自主申告に任せ切っているということではないと考えているところでございます。
それから、市町村につきましても、市町村教育委員会に対しては勤務時間の記録を県教育委員会に準じて行っていただくように、この間、いろいろお願いをしてきているところでございますが、なかなか全部の市町村ということにはなっていないところではございますが、これも引き続き徹底をしてまいりたいと考えているところでございます。
それから、タイムカードの導入という御指摘があったわけでございますが、タイムカードの導入につきましては、これによりまして、出勤退勤時間の記録そのものは可能となるということではございますが、タイムカードだけでは正確な勤務時間の把握がなかなか難しい。それから、いわゆる国、地方公共団体を通じて、公務員の職場についてはタイムカードの導入というのは現在のところはないという実態もあるところでございまして、現時点では導入はなかなか難しいのではないかと考えているところでございます。
いずれ、市町村も含めて、勤務時間の正確な把握については、各学校に対して徹底を図っていきたいと考えているところでございます。
〇八木首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 部活動の中でも、運動部活動のあり方についてお答えいたします。
これまで、中学校、高等学校の教員を対象とした研修会や会議において、文部科学省より示された運動部活動での指導のガイドラインに基づいて、適切な休養日や活動時間に配慮することや、科学的な指導内容、方法を積極的に取り入れるよう働きかけてきたところです。
また、保護者や外部指導者に対して、適切かつ効果的な運動部活動のあり方について、共通理解を図る機会である運動部活動連絡会を実施するよう働きかけており、平成27年度においては、中学校168校中82校で実施しております。
今後は、管理職の理解をいただきながら、より多くの学校において運動部活動の狙いを校内で確認するとともに、運動部活動連絡会が実施されるよう努めてまいります。
また、平成28年度には、岩手県版の運動部活動指導のガイドラインを作成する予定としておりまして、その中で、休養日や短時間の部活動などを目指した効果的な部活動の取り組みというものを検討していきたいと考えております。
〇高田一郎委員 なかなかタイムカードは難しいという話ですが、実態把握は大事だということで、今後そのように努力したいということですが、実態の把握というのが非常に大事ですので、ぜひこういった努力をしていただきたいと思います。
部活動の問題については、新年度、ガイドラインをつくりたいという話でありましたが、既に文部科学省においては、平成25年に部活動にかかわるガイドラインも示され、あるいは平成9年には、スポーツ活動に関する調査研究会の報告書も出されています。この中身を見ると、部活動というのは教育の一環であって、スポーツの果たす役割は大変大きいということを前提に、教職員にとっても生徒にとっても、部活動を適正なものにするということは非常に大事だということで、数字も示しているのです。高校については1週間に1日以上の休養、中学校は2日、平日は2時間から3時間という具体的な数字も示されています。県教育委員会がこれから検討するガイドラインについては、これを参考にといいますか、これを基本にしていくということなのでしょうか。
〇八木首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 現在までも国のガイドラインを参考にしてさまざま講習等を行っておりますので、このガイドラインを基本として考えていきたいと思います。
〇高田一郎委員 最後に、被災した学校の再建状況、学校施設の整備等についてお伺いいたします。
端的にお伺いいたします。被災した学校の再建状況はどうなっているのか。計画どおりに進んでいるのかどうかというのが一つです。
それから、東日本大震災から5年となります。仮設住宅が校庭に設置されてもう1年、2年使えなくなるのではないかという思いをしています。運動不足、通学時間が長くなる、体力低下、こういうことを以前からずっと指摘されてきました。現在、これはどういう状況になっているのか、この2点についてまとめてお伺いいたします。
〇宮澤学校施設課長 被災した学校の再建状況についてでありますが、まず、岩手県立高田高校についてでございますが、校舎、柔剣道場及び第2体育館、実習棟につきましては、既に御案内のとおり、昨年3月19日に完成引き渡しが行われておりまして、予定どおり完成してございます。
また、平成28年度におきましては、仮設グラウンドの拡張、艇庫、講義棟の建設に着手いたしますが、第1グラウンドの本格復旧及び第2グラウンド、研修会館及び職員住宅等につきましては、市の土地区画整理事業仮設住宅設置等との関係から、着手、完成にはまだ時間を要する見通しでございます。
県教育委員会といたしましては、陸前高田市、各事業所管部局等と連携を図りまして、少しでも早く、事業着手が可能となるよう努めてまいりたいと考えております。
また、市町村の学校につきましては、平成26年度に船越小学校、本年3月に岩泉町の小本小中学校が完成してございますが、なお、大槌町の大槌学園など4市町村11校が整備途上にございまして、うち10校については、平成28年度中に完成する見通しとなってございますが、残る1校につきましては、土地区画整理事業との関連により、平成30年度の完成見込みとなってございます。
全体といたしましては、建設用地の取得、事業計画の調整、入札不調、土地区画整理事業との調整等の理由により、当初のスケジュールより1年ないし2年おくれているところでございますが、現在は、整備事業は順調に推移している状況にございます。
これらの学校の復旧につきましては、児童生徒や保護者を初め、地元市町村の期待が極めて高くなっており、被災市町村における復興の重要な道しるべということもございますので、教育委員会といたしましては、これらの市町村に対し、それぞれの状況に応じた支援を行うとともに、関係機関等への働きかけを行いまして、一日も早く復旧事業が完了するよう、事業の進展に努めてまいりたいと考えております。
〇八木首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 被災地における児童の体力の状況についてでございますが、県体力・運動能力調査結果における小学校5、6年生の総合評価では、5段階評価の下位群であるD、Eの割合は、被災前の水準までには回復していない状況となっております。
これらの要因としては、校庭に仮設住宅が建設されている状況や、スクールバスの利用などが長期化している影響によるものと認識しております。
このような環境下において、各学校では、児童の実態や地域の実情に応じて、児童が楽しく運動することができる取り組みを行っております。
また、本年度、新たに地区別に小中学校の担当者会議を開催し、各地区における体力向上や運動習慣の形成を目指した取り組みのあり方について、共通理解を図る機会を設定しているところでございます。
今後におきましても、制約のある環境下ではございますが、被災地の児童の体力向上の取り組みを進めてまいります。
〇今野教職員課総括課長 先ほどの80時間以上の職員の人数ということでございまして、大変失礼いたました。
平成27年度について申し上げますが、1カ月分の平均ということでございますが、第1四半期が293人でございます。第2四半期が197人、それから第3四半期が203人、これが100時間以上の職員数でございます。
次に、80時間以上100時間未満の職員数でございますが、第1四半期が195人、第2四半期が143人、第3四半期が166人ということでございます。
〇高橋但馬委員長 高田一郎委員に申し上げます。世話人会の申し合わせにより、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう議事の進行に御協力願います。
〇高田一郎委員 では、本当に最後にいたします。
学校の施設整備の関係ですけれども、建築基準法や消防法などに基づいて、学校施設は定期的に点検、改善しなければならないという法に規定されております。学校は、子供たちが1日の大半を過ごす場所であって、安全が何よりも最優先でなければならないと思います。この定期的な点検の実施状況、そして改善の状況はどうなっているのか、具体的に答弁をお願いいたします。
〇宮澤学校施設課長 学校施設の点検の状況についてでございますが、県立学校につきましては、全ての学校におきまして、法律にのっとり、1年に2回の消防点検が業者への委託により、また、3年に1回の建築点検が、県教育委員会の有資格技術職員により実施されております。ふぐあいが発見された場合、緊急性、必要性の高いものから順に、でき得る限り速やかに維持補修を実施しているところでございます。
まず、消防点検でございますが、平成27年11月に実施した県立学校本分校81校を対象にした調査結果では、平成26年度における自動火災報知機関係の指摘件数が全件で128件、これについては全て改善済みでございます。また、消火器関係の指摘件数は54件ございまして、うち改善済みが49件、残り5件については、平成28年度のできる限り早い時期に是正してまいります。
また、建築点検でございますが、過去3カ年におきまして、平成24年度26校、平成25年度28校、平成26年度28校の本分校82校について実施しておりますが、その中で、早急に補修、改善を要すると判定された案件が計92件あったところでございます。
それに対する対応でございますが、平成24年度の29件につきましては全て対応済みでございまして、平成25年度の30件のうち29件が対応済み、また、平成26年度の33件につきましては24件が対応済みでございますが、未対応の箇所につきましては平成28年度以降の対応となっております。
未対応となっている箇所につきましては、使用制限や立入禁止の措置を講じまして、児童生徒に危険が及ばないよう対応しているところでございますが、今後、できる限り早期の改修に向けて取り組んでまいります。
また、市町村立学校でございますが、維持管理を市町村教育委員会が行っておりまして、点検につきましては、各消防署、振興局土木センターの指導により、全ての市町村において法律の規定どおり点検が行われてございます。
市町村立学校の維持修繕でございますが、これはそれぞれの市町村がみずからの責任において取り組むべきものでございまして、ふぐあい箇所の修繕は、緊急性、必要性が高いものを優先して修繕が行われているものと理解してございますが、県教育委員会といたしましては、今後とも、児童生徒の安全が確保されるよう、さまざまな機会を捉えて、注意喚起と修繕の働きかけを継続的に行ってまいります。
〇小野寺好委員 学校のグラウンドの関係なのですけれども、プレハブ応急仮設住宅が建設されて、順次撤去されていくわけなのですけれども、例えば大船渡市の綾里の場合、既にプレハブ仮設住宅が撤去されたではないかと、何で使えるようにしないのだという、周辺からの不満というか疑問の声があるのですが、県教委では、地元でそういったことに対しての説明とかはやっていないのでしょうか。
〇宮澤学校施設課長 大船渡市の綾里の仮設住宅を既に撤去しているということでございましたけれども、個別の状況については把握していない部分もございますが、まず、撤去後に使用する前段といたしまして、グラウンドの復旧があるのではないかと思います。仮設住宅を設置したということでグラウンドがかなり傷んでいる状況にあるのではないかと思っております。今後、仮設住宅の撤去が進む中でそういった問題が多々出てくることも予想されますので、早期にグラウンドが使用可能になるように、関係機関あるいは関係部局と適切に対応してまいりたいと思っております。
〇小野寺好委員 そうではなくて、既にプレハブ仮設住宅がなくなったのにいつまで放っておくのだということで、私が復興局に聞いたら、建てたのは、県が災害救助法の関係で建てた。土地は市町村の学校だと。市町村の学校だけれども県が責任を持って整地して返すという建前のようですが、ただ、どんな砂でもいいわけではなく、きちんとした砂が手に入らないと使える状態にできないのだと。そういった説明が地元の人たちにないために、何だ学校は、何だ県はといった不満の声、疑問の声が上がっているので、ちゃんと当局から地元に説明すべきではないですかといったことです。
〇宮澤学校施設課長 仮設住宅が建っておりましたグラウンドの復旧につきましては、関係部局と連携いたしまして、早期の使用が可能となるよう対応してまいりたいと考えております。
〇木村幸弘委員 2点ほどお伺いさせていただきます。
1点目は、児童生徒健全育成推進事業の中で東日本大震災津波の影響を受けた高校生の学校不適応等、問題行動対応のための相談支援体制ということでの整備の予算がついているわけでありますけれども、具体的に、この高校生に対する対応について、その内容や相談体制というのはどのような形で整えられていくのかお伺いしたいと思います。
それから、もう一点は、遠隔教育推進事業の調査研究についての予算が計上されております。これは、高校再編の議論も含めて、小規模校に対してのさまざまな教育課程の中で充実強化を図るための一つの手法ということで、各地域のいろいろな協議の中でも意見が出されていた部分でありますけれども、改めてこの調査研究ということで示されたわけですが、その内容等について具体的にお伺いしたいと思います。
〇大林首席指導主事兼生徒指導課長 東日本大震災津波の影響を受けた高校生に対する具体的対応についてでありますが、県教育委員会では、東日本大震災等の影響によるストレスの状況を把握するため、平成23年度以降、毎年9月に県内の公立の小・中・高・特別支援学校の全児童生徒を対象に心とからだの健康観察を実施しております。
この調査結果の個票は各中学校から進学先の高校に引き継がれることになっておりまして、各高校においては、入学前の生徒の状況についても把握できる体制を整えております。各高校においては、この調査結果をもとに、個々の生徒の被災の状況や要サポートの有無を確認し、支援の必要な生徒に対して教員やスクールカウンセラーによる面談を行うなど、学校不適応に対応するための教育相談体制の充実に努めております。
〇岩井首席指導主事兼高校教育課長 遠隔教育推進事業の調査研究についてでございますが、本調査研究は、小規模校における教育の質の維持向上を図る方策の一つとして、文部科学省の事業を活用して、本年度から3年をかけて取り組むこととしたものでございます。
具体的には、山間地に位置する小規模校である西和賀高校と岩泉高校を遠隔授業システムで結び、平成28年度は、夏休み、冬休み、平日の放課後における課外等で遠隔授業を実施し、遠隔授業のあり方について調査研究を進めるとともに、総合教育センターともシステムで結ぶことにより、教員の授業研究等にも取り組む予定としてございます。
平成29年度につきましては、課外授業で得られた成果を踏まえ、正規の授業に調査研究を広げ、より実践的な活用を目指すこととしております。
調査研究終了後の県内小規模校への導入につきましては、3年間の成果を踏まえ、財政的な見通しについても勘案しながら慎重に検討を進めてまいりたいと考えております。
〇木村幸弘委員 まず、高校の不適応対応の関係ですけれども、やはり東日本大震災津波の影響を受けた児童生徒が小学校、中学校から高校へと持ち上がる際、引き継がれていくという体制があるのだろうと思いますけれども、そうした中で、今の御説明では、高校においてスクールカウンセラーあるいは教職員の面談等を含めた対応をしていくということですが、きょうの予算に関する説明の中で、例えばスクールカウンセラーの全小中学校への配置の考え方が示されましたし、スクールソーシャルワーカーについても増員するという話も出されたわけでありますけれども、こうした一連のスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等を含めての対応の中で、予算に関する説明書では小、中学校という位置づけになっているのですけれども、高校では、増員も含めて対応するという方向で考えているものなのでしょうか。
〇大林首席指導主事兼生徒指導課長 県立高校につきましては、高校カウンセラーといういわゆる臨床心理士資格を持った方が10名、県立高校で対応しておりますし、県内の3大学─県立大学、岩手大学、盛岡大学の臨床心理士資格を持っている先生方には沿岸部を中心に対応していただく体制をとっております。
スクールソーシャルワーカーにつきましては、県立高校が県の社会福祉士会に直接依頼するシステムをつくっておりますので、そのシステムを使いながらスクールソーシャルワーカーの派遣が行われているという状況でございます。
〇木村幸弘委員 わかりました。
支援の仕組みの中で、よく現場から聞かれるのは、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーとの連携の中で現場の先生方との十分な打ち合わせや意思疎通をする時間がとれなかったり、いろいろな部分で時間も制約されていることなどから、どうしても行き違い、すれ違いも出てしまったりすると。お互いに共通認識に立って生徒に向き合うためのタイミングというか手法としての取り組み方がまだ不十分ではないかという現場からの声もあるわけです。そうした点についてどのように対応していくのかについてもお伺いしたいと思います。
〇大林首席指導主事兼生徒指導課長 先ほどの配置についてはそのとおりでございまして、やはり時間をもっとふやしてほしいという要望が各高校から来ているのも現実でございます。ただ、どうしても勤務時間との関係がありますので、そうなると、スクールカウンセラーもしくはスクールソーシャルワーカーと教員をつなぐ学校内のコーディネーター役を務める教員の役割がすごく大きくなってくると思います。それが学校によっては副校長であったり生徒指導主事であったり相談担当の先生になるわけですけれども、やはりその連携をしっかりとやりながら、課題はさまざまあるわけですけれども、その課題を克服するように努めているところでありますし、来年度もその方向でやらなければならないと思っております。
〇木村幸弘委員 そういった現場のさまざまな課題というのがやはり上がってきているわけですから、その辺の連携のとり方については、引き続き、本当に現場の声をしっかりと踏まえた体制を含めて検討し、ぜひ対策を講じていただくようお願いしたいと思います。
それから、遠隔授業の取り組みですけれども、改めて3年間の取り組みの中でということですけれども、これは、今お話のあった西和賀、岩泉のそれぞれの高校と遠隔で授業を結ぶ際には、ベースになるどこかまた違う高校、例えば盛岡市や内陸の高校とつなぎでやるのですか。総合教育センターがそれを行うというシステムなのですか。
〇岩井首席指導主事兼高校教育課長 県教委と県立学校の間にネットワークがありますので、基本的には、そのネットワークを利用して岩泉高校、西和賀高校を遠隔授業のシステムで結びます。双方にカメラとスクリーンを用意しまして、例えば、岩泉高校の生物の教員が授業をするときに西和賀高校にも配信して西和賀高校の生徒が生物の授業を受ける。逆に、西和賀高校の化学の教員が西和賀高校の生徒に化学の授業をするときに合わせて岩泉高校の生徒が化学の授業を受けるということで、双方の学校で同時に……。文部科学省の方針で、単位を認める授業としては幾つかハードルがありまして、その条件を満たす遠隔授業については単位として認めますということですので、平成28年度については、まず、単位を認める授業ではない課外授業で取り組んでみて、いろいろな成果と課題を把握した上で、平成29年度には正規の単位を認める授業にも取り入れていきたいと考えております。
多くの県で取り組んでいるのは、配信側は教員だけで、受信側に生徒がいて授業を受ける形ですが、双方に生徒を置きますので、授業する教員は、自分の学校の生徒と相手側の生徒で授業が2倍になります。今取り組もうとしているのは、そういう負担をかけずに、自分の学校の授業をするときに相手の授業も兼ねることができるということを目指しております。その際には双方の生徒が交流することができますから、少ない人数で限られた空間の中で生徒同士がやりとりをするよりは、遠く離れたところで、異なる文化といいますか背景を持って成長してきた生徒同士と意見交換するとか話し合うことによって、限られた人数で教育を受ける生徒たちがもっと大きな集団で教育が受けられる、そういうメリットも生かせればいいと思って取り組んでまいりたいと考えております。
〇木村幸弘委員 そういう考えで平成28年度にまずやってみるということですけれども、そうしますと、平成29年度以降、実践的な活用に入っていくことになった場合、その形、西和賀高校、岩泉高校という連携のシステムは変えないで、そういう体制を本県の遠隔授業の形として進めていく方向でやっていこうという考え方なのか。それとも、小規模校ですから、どうしても教職員の配置の関係、必要な教科カリキュラムの関係で、やっぱりある程度先生が整えられている学校との連携で、必要な遠隔授業をすることも場合によっては想定されると思うのですけれども、その辺の考え方はどうなのでしょうか。
〇岩井首席指導主事兼高校教育課長 学校の組み合わせ方については、やはり西和賀高校と岩泉高校で調査研究する中でいろいろ検討していきたいと考えております。いずれ、生徒の進路希望もいろいろありますので、できれば同じような進路希望の生徒集団の中で連携して進めるのが有効かなと考えております。就職を希望する生徒が多い学校と進学を希望する生徒が多い学校を組み合わせることは、目指す教科の目標といいますか指導の方向が異なる可能性もありますので、そういったことも踏まえて、あとは教員配置もありますが、似たような教科の配置の学校同士は、つなぐメリットがありませんので、組み合わせ方も工夫していく必要があると思います。その辺をこの2年間でうまく進めていきたい。そのためにも、総合教育センターが遠隔授業を活用した授業のあり方を研究テーマとして取り組むことによって、より有効な授業を進めていけるのではないか。
それから、総合教育センターの研修指導主事が遠隔授業を見ることによって、授業研究、授業力向上にもつながると考えておりますし、研修指導主事が模範授業をすることによって、各学校にいる教員の授業力向上にもつながるものと考えております。
〇千田美津子委員 私は、大きく分けて3点、特別支援教育、それからいじめ、不登校問題、そして高校再編とお聞きしますので、よろしくお願いいたします。
まず、特別支援教育ですけれども、午前中に関根委員が特別支援学校の高等部のあり方について質問されて、答弁がありました。今、検討が開始されて、平成29年度以降に具体的な取り組みがなされるということでしたので、それはそれで進めていただきたいのですが、私は去年の9月定例会の一般質問におきましても提案しましたけれども、特に北上市から花巻清風支援学校に通っておられる高等部の子供たちが多くて、親御さんたちは、何とか北上市を中心とした県南地域に高等部設けてほしいということでありました。
今現在、高等部に通われている子供たちは何人いらっしゃるのか。そして、私はいずれこの設置を検討していただきたいと思いますので、その点をお伺いいたします。
〇民部田首席指導主事兼特別支援教育課長 高等部の現状についてでございますが、現在、花巻清風支援学校で北上市出身の高等部の生徒につきましては56名在籍しております。全員が通学というわけではございませんし、寄宿舎を利用している生徒もおります。
生徒の卒業後の生活的自立や就職の実現に向けまして、複数の作業学習の選択が可能となる作業学習に適した教育環境と、人間関係の広がりなどを育むための一定の学習集団が必要であること等から、特にも、小中学部の分教室を設置している一関地区あるいは遠野地区におきましては本校での教育が望ましいと考えております。
現在、特別支援学校につきましては広域圏ごとに設置しておりますし、分教室につきましては、地元の学校に通わせたいという市町村からの設置要望を受けて、施設整備は市町村、備品整備、人的体制は県が行うという役割分担の上で設置しているものでございます。
現在、特別支援学校におきましては全県的な施設整備を進めているところでございまして、盛岡となん支援学校やその空き校舎、また、釜石祥雲支援学校などの大規模な施設整備を実施、検討中でございます。こうした中で同じ広域圏に二つ目の特別支援学校を設置することは財政的にも困難であるため、保護者や地元の声に現実的に速やかに対応でき、そして、子供たちがともに学び、ともに育つ教育の場として分教室を設置しようとするものでございます。
〇千田美津子委員 小学校、中学校の分教室についてはつくられるということで、それはわかりましたが、高等部も今のお答えだとそういうふうに考えてよろしいのですか。
〇民部田首席指導主事兼特別支援教育課長 最初のほうで御説明申し上げましたが、高等部につきましては、複数の作業学習の選択が可能となるような作業学習、これは将来の卒業後の生活自立や就職に向けての取り組みでございますが、それと人間関係の広がりなどを育むための一定の学習集団が必要ということで、本校での教育が望ましいという考えでございます。
〇千田美津子委員 一般質問のときもお話ししましたけれども、できたばかりの作業棟が、生徒数が多くて非常に手狭だという話も聞いています。一定の集団が必要という考え方はわかりますけれども、保護者の皆さんの話を聞いてやはり何らかの改善策が必要だと思いましたので、今やられている検討の中でも、このままでいいのだという決めつけではなく、ぜひ環境改善のために努力をしていただきたいと思いますので、その点お答えをいただきたいと思います。
〇民部田首席指導主事兼特別支援教育課長 いろいろな現在の課題、実態を含めながら検討を進めてまいりたいと思っております。花巻清風支援学校の現状につきましては、一昨年、特別教室棟を整備いたしまして5教室の不足を改善することができました。それぞれの学校の実態に応じまして、学校と相談しながら可能なところで検討してまいりたいと思います。
〇千田美津子委員 次に、障がい者への差別を禁止するという点で、岩手県でも、障がいのある人もない人も共に学び共に生きる岩手県づくり条例、いわゆる障がい者権利条例が施行されました。
そこで、この条例によって特別支援教育の分野で前進した点は何があるかお聞きしたいと思います。
もう一つ続けて伺いますが、今、全国的にも特別支援学校の教室不足が大問題となっています。カーテンで教室を区切ったりして使っているとか音楽の授業でも音が出せないとか、そういう大変な状況があると言われておりますが、県内の実態はそのようなことがないのかお聞きします。
あわせて、全国ではおととしの時点で約4、000教室が不足していると指摘されています。私は国が設置基準をつくるべきだと考えておりますけれども、この点についてもお聞きいたします。
〇民部田首席指導主事兼特別支援教育課長 まず最初に、障がいのある人もない人も共に学び共に生きる岩手県づくり条例の施行についてでございますが、県教委では、平成23年7月施行の同条例に規定する障がいのある人とない人との交流の機会の拡大、ともに学び、必要な教育を受けるための支援体制の整備と充実を図ってきたところでございます。
具体的には、交流の機会の拡大のため、平成24年度に交流籍を活用した交流及び共同学習の取り組みを全県的に開始し、特別支援学校と地元の小中学校の児童生徒の交流人数は年々増加しているところでございます。
また、地元の学校で学ばせたいという保護者等の思いに応えまして、多様な学びの場としての特別支援学校分教室を地元の小中学校に設置し、ともに学び、ともに育つ教育の場として障がいのある子供とない子供の交流が日常的に行われております。県教委では、こうした交流が今後とも拡大するよう、支援体制の整備と充実に努めてまいりたいと考えております。
それから、教室不足によって音の出せない音楽室とか、そういうことに関しましては、本県の中ではございません。
国による設置基準の設定についてでございますが、障がいの状態に応じて必要となる施設や設備が異なり、現在、複数の障がいを持つ子供たちが同じ特別支援学校で学んでいるという状況等もございますので、一律の基準を設けることは難しい面があると考えております。まず、設置基準に係る国の認識や動向に注視して、必要に応じて対応してまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 よろしくお願いいたします。
それでは、二つ目、いじめ、不登校の現状と対策についてお聞きいたします。
先ほども質疑がありましたけれども、全国的にも生徒のいじめ等、さまざまな形での自殺、事件が後を絶っていません。いじめ対策で必要なのは、何回も繰り返し言われていることですが、いじめは人権侵害であり、絶対に許されないということを徹底することだと考えています。このため、教師、保護者、地域が一体となって取り組む必要があると考えております。改めて、県内のいじめ、不登校の現状についてお聞きいたします。
〇大林首席指導主事兼生徒指導課長 県内のいじめ、不登校の現状についてでありますが、平成26年度問題行動等調査の結果で申し上げますと、県内の公立学校におけるいじめの認知件数は、小学校で1、031件、中学校で492件、高等学校で162件、特別支援学校で89件、合わせて1、774件となっており、前年度と比較しまして937件増加しております。
不登校児童生徒数については、同じく平成26年度の問題行動等調査の結果では、小学校が143人、中学校が791人、高等学校が354人、合わせて1、288人となっており、前年度と比較して中学校で81人増加いたしました。小学校、高等学校につきましては減少しております。
〇千田美津子委員 いじめ対策で重要なのは、先ほど新年度以降の取り組みのお話がありましたけれども、やっぱり一部の取り組みにとどまってしまうことが非常に問題だと思います。今、岩手県内のいじめ対策の現状についてどのように認識しておられるのか、その点をお伺いいたします。
〇大林首席指導主事兼生徒指導課長 昨年、矢巾町で発生しました重大事案を受けまして県教委が全県で実施しましたいじめ防止基本方針の取り組み状況の調査結果からは、いじめまたはいじめの疑いがある事案があったにもかかわらず、約30%の学校においていわゆる学校の組織、会議の中で協議がなされなかったことや、やはり約30%の学校で研修が計画どおり実施されなかったという実態が明らかになっております。これらの調査結果を受けまして、いじめ問題への対策の徹底のために、県教委では、県立学校長会議や指導主事会議などを通じて、各学校において策定しております学校いじめ防止基本方針に沿った対応、特にもいじめの積極的な認知と適切な初期対応について改めて指導しておるところであります。
今後におきましても、教職員への研修の充実を図るとともに、市町村教育委員会と連携しながら、いじめ問題の解決に向けて努力してまいりたいと思います。
〇千田美津子委員 今、御答弁いただきましたが、資料をいただきまして、いじめの発見はどういうきっかけかという資料があったのですけれども、私は、担任の先生とか身近な先生方が子供の変化に気がついて、発見することが一番多いのかと思ったら、いかんせん、アンケート調査などの取り組みの中で発見されたというのが、小学校であれば501件のうち340件なのです。学級担任あるいは担任外の先生が発見されたのが159件ですから、私は、これが逆転しているなと思いました。
何を言いたいかといいますと、アンケート調査というのはそんなに頻繁にやるものではありませんよね。ですから、もし本当にいじめ発見の精度を上げることを考えた場合、アンケートでない、日常的に子供のいじめを発見するシステムを検討していくことが私は大事……。担任の先生とか先生方が頑張ることもそうなのですが、例えば、目安箱ではありませんけれども、日常的に子供も訴えられる、保護者も訴えられる、そういうことの必要性を私はこの資料を見て感じました。その点、どうでしょうか。
〇大林首席指導主事兼生徒指導課長 今、委員御指摘のとおり、発見の部分については、教員もしくは学校関係者が発見しているパーセンテージが非常に少ないというのはそのとおりでございまして、いじめ自体も教員が見ていないところで起こっているというところもありますから、その辺の課題はもちろんそのとおりであると考えております。
いずれ、子供のさまざまな微妙な変化を教員自身が気づくような感性という部分も含めて、担任だけではなく学校全体の中でそういう変化を見取るという対応も必要であると考えておりますので、先ほどちょっと御説明申し上げましたけれども、そのためにはやっぱり研修の部分とか、総合教育センターで発行しておりますマニュアル等の活用も図りながら、アンケート調査も1回だけではやはりなかなか難しい部分がありますから、年に複数回やることによっていじめの発見というか掘り起こしということも当然大切なことでありますので、委員の御意見等も参考にしながら、来年度も引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 引き続きよろしくお願いいたします。
それでは、不登校対策ですけれども、私は、学校へのスクールソーシャルワーカーをもっと配置すべきではないかと感じています。県内の不登校に対する相談員の配置についていろいろ資料もいただきましたが、やはりもっともっと必要だと思います。国が直接岩手県社会福祉士会に委託したスクールソーシャルワーカーの派遣事業が打ち切られまして、それまで派遣されていた市町村からは、やはりあのような事業がもっと必要だという声が寄せられています。これについてどのように考えるかお聞きいたします。
〇大林首席指導主事兼生徒指導課長 社会福祉士会に委託しているものについては我々の管轄ではないのですけれども、スクールソーシャルワーカーの必要性について、もしくは各学校からのニーズの高まりは我々も当然感じている部分がありまして、今年度は14名のスクールソーシャルワーカーを県教委として任用いたしまして、それを県内の六つの教育事務所に─配置については差がありますけれども─配置しながら、その活用については、教育事務所ごとに市町村に派遣したりというような対応をしているということになります。
ニーズが高まっているということもありますので、新年度につきましては、人数を3名ふやして17名にしまして、そのニーズに応えるように努めてまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 本当にスクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーの果たす役割は非常に大きいと思います。ただ、資格者が少ないという現実もお聞きしましたので、ぜひその点の対応を重ねてお願いしたいと思います。
それでは、最後に、高校再編についてお聞きいたします。
午前中にも多くの委員がこの問題を取り上げました。私も、この計画案が出されてから、名指しされた高校も訪問して、この高校再編問題は、子供たちのこともさることながら、地域のあり方を変える、そういう本当に大変な問題だと思いました。
これまでも県教委はかなりの回数の議論をされ、そして多くの意見を聞いてきたと言われましたが、ただ、その方向はやはり年度内に決めるということが何回も繰り返して答弁されています。
これまでの答弁の中で気になったのが、ブロックごとの学級数の調整が必要だというお話でありました。そうなると、名指しをされた学校がいろいろな努力のもとでもし減らなかった場合、全体で、今度は名前が挙がらなかった学校の学級数を減らすということもあるのかどうか。結局、少子化の中で子供たちが減るからこのブロックでは1クラス減らすとか、そういう意味ですよね。出前説明会ではそういう答弁もされているわけですが、この点をお伺いいたします。
〇木村高校改革課長 学級減の関係について、今回、ブロックごとの学級数調整を行うための年度ごとの計画を示させていただいているところでございますが、このブロックにおけるそれぞれの中学校卒業者の状況、それらを踏まえた各学校への入学者の状況等の推計のもとに、再編計画にのせているところでございます。
ただし、この計画を基本としながらも、毎年度の入学者選抜における定員の充足状況、ブロックにおける中学校卒業者の状況、移住等による状況変化等があるのかどうかという部分は十分確認した上で検討していくという考え方を持っております。
〇千田美津子委員 この計画を基本としながらというのはある意味わからないでもないのですけれども、やはり年度を示して学校名まで挙げられますと、名指しされた学校や地域は、これまでは案だったからいいのですけれども、本当にそれが計画として出されたとき、大きな落胆が起きるのではないかと思います。ですから、どなたか言われましたけれども、学校名とか年度まで入れる必要があるのかと。本当にこれから地域のあり方を考え、子供たちにとってどういう環境がいいのかということを考えるとき、今のやり方が本当にベストなのかと私は疑ってしまいます。
総論とすれば子供たちが減るのだからやむを得ないけれども、しかし、各論の部分では大きな意見がたくさんあります。ですから、これをごり押しすることは決して得策ではないと思うわけですが、その点について教育長にお伺いいたします。
〇高橋教育長 高校再編につきましては、今回、再編の対象となった高校から十分な時間と、今後の頑張りを見てほしいというような強い要望をいただいております。
一方、学級減につきましても、委員御案内のような意見ももちろんございますけれども、何よりも学ぶ機会を保障してほしいと。ある程度の学級減はやむを得ないけれども、それを優先してほしいというようなさまざまな御意見を頂戴いたしております。
先ほども課長から、望ましい学年規模は4学級から6学級と答弁申し上げておりますけれども、そういう中で、学級減はするけれども学校は残していくから、それよりもなお厳しい状況にならないように地域の御協力をお願いするというようなメッセージもあわせて入れているところでございます。今後、地方創生の取り組み等でどのように動いていくか、十分に状況の変化も見きわめながら最終的な対応を決定していくというような丁寧な対応が我々に求められているというように思っております。
〇高橋但馬委員長 千田美津子委員に申し上げます。世話人会の申し合わせにより、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう議事の進行に御協力願います。
〇千田美津子委員 最後にいたします。
今、御答弁いただきましたが、私は名指しをされた高校に行ってみまして、地元への就職率が非常に高いこと、そして、地元企業等からの要望も非常に強いということを感じました。ですから、地域にとって本当にいい形がどうなのかという慎重な検討が必要だと。計画を示してから検討するというのは本末転倒と私は思います。ぜひ子供たちにとってどうあるべきかという視点で検討していただきたいと思いますので、その点をもう一度伺って終わります。
〇木村高校改革課長 子供たちの環境を考えて計画を進めてほしいとの御意見でしたが、まさに我々もそういうことを考えて進めているものでございます。生徒が減少する中で、震災後、平成24年から5年連続で入試倍率が1倍を切る。昨年は0.93倍、ことしは0.94倍ということで、こういった入試倍率等が本当に子供たちの学ぶ環境といった面でよろしいのかということ等も考えますと、いち早くそういった方向性を示していくことも重要と考えております。
それぞれの学校が地域において重要な役割を持っていることは当然我々も十分認識しておりますが、その学校の機能をこれからも維持していくための再編計画と考えていることを御理解を賜れればと思います。
〇吉田敬子委員 いわての学び希望基金の活用についてお伺いいたします。
いわての学び希望基金を活用して、県教育委員会では中高生の文化活動、運動部活動の支援の取り組みをされておりますけれども、これまでの成果、そして課題をどのように捉えているかお伺いいたします。あわせて、来年度は拡充されるところがありますけれども、どのような効果を期待されているかお伺いいたします。
〇松下生涯学習文化課総括課長 いわての学び希望基金の活用における文化活動等の取り組みの成果や課題についてでございますが、平成27年度は、いわての学び希望基金被災地児童生徒文化活動支援事業におきまして、新たに岩手県中学校及び高等学校文化連盟の会費についても補助対象に加えまして、被災し、住宅の全壊、半壊の被害等があった児童生徒が経済的な理由により大会等への参加が困難にならないよう、約3、600人の児童生徒に対しまして支援を行ったところでございます。
いまだ数多くの児童生徒が仮設住宅等で不自由な暮らしを余儀なくされている状況にあることなどから、今後も、被災した児童生徒がこれまでと変わらず文化活動に係る県大会等に出場できるよう、出場に要する費用等につきまして継続して支援していく必要があると考えてございます。
また、平成28年度につきましては、これまでの事業に加えまして、沿岸被災地の文化施設が十分に復興していない状況を踏まえて、文化芸術による心の復興を図ることを目的といたしまして、各種民俗芸能大会ですとか県立博物館、県立美術館の企画展等を観覧するためのバスの借り上げに要する経費への支援や、県立美術館学芸員による移動ワークショップを開催するなど、被災地の児童生徒に文化芸術鑑賞の機会を提供していきたいと考えてございます。
〇八木首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 運動部活動に対する支援についてでございますけれども、平成27年度は、運動部活動における大会参加等に係る経費の支援に加え、中学校体育連盟負担金、高等学校体育連盟入会金、分担金も全額補助することとし、約5、300人の被災生徒に対し支援を行ったところでございます。
来年度につきましては、新たに、自校のグラウンド等で十分な運動部活動ができない中学校、高等学校に対して体育施設に移動するためのバス借り上げ費用支援を行うこととしており、多くの生徒が参加する中総体や高校総体に向けての活動ができるよう支援を行うこととしております。
〇吉田敬子委員 昨日は復興局のほうで佐々木朋和委員からいわての学び希望基金の活用についてのいろいろな質疑がありまして、その中で県教育委員会の話も取り上げられて指摘があったのですけれども、私は、ILCの部分は検討しなければいけないのかなと思ったのですが、県教育委員会でやられている文化活動と運動部活動の支援をいわての学び希望基金でやるということは引き続きやっていっていただきたいと思っております。実際に現地の中学校、高校の先生だけでなく、それを活用されている生徒からも大変助かっているという声を聞いております。来年度拡充されるということでありますけれども、昨日の復興局の話では、現地の先生方との何が必要なのかという検討も踏まえて、さらなる拡充に向けても県教育委員会等を含めてやっていくというお話もいただきましたけれども、今現在で拡充される部分以外のところで、県教育委員会として問題、課題等があって考えられている部分があればお伺いしたいと思います。
〇菊池教育企画室特命参事兼企画課長 いわての学び希望基金を活用した事業でございますが、御案内のとおり、平成23年に遺児、孤児の教育費を賄うということで奨学金の支給を開始いたしまして、以降、教科書の購入費等、それから制服代、修学旅行費などにつきましては、遺児、孤児に限らず、住居の被害を受けた方も対象に拡大してまいりました。先ほど課長から答弁申し上げたとおり、文化部、運動部の活動にかかわる費用を支援してきてございます。
ただいま平成28年度予算でも御審議いただいておりますが、県立学校の備品整備を6、600万円ほど今回お願いしてございます。これにつきましては、現在、経済同友会が立ち上げましたIPPO IPPO NIPPONプロジェクトによりまして、本県の高校14校でこれまでに5億円を超える産業教育設備、それから備品、部活動の用品等の支援を受けてございますが、被災後5年を経過いたしまして、このプロジェクトによる支援も平成28年度の上期で終わるというような状況がございます。こういった環境の変化を踏まえまして、いわての学び希望基金を活用して、平成28年度は民間からの助成が途切れるわけでございますが、なお沿岸の被災校におきましてはそういった設備等の支援が必要ということでいわての学び希望基金の活用を考えているものでございます。
被災地の需要は復興とともに変化してきていますし、供給側と申しますか、支援する側の民間助成のあり方もどんどん変わってきていますので、そういった現状を踏まえながら、県教育委員会といたしましては、子供たちの教育環境の整備のために、この基金を活用して事業を広めてまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 先ほどは岩崎友一委員からも復興教育の話がありましたけれども、郷土芸能の活動とかもまだ再開できてなかったり縮小になっているところもあります。中高生の被災地における文化芸術、部活動への支援というのも大事だと思います。校庭とか体育館がまだなかったり、遠方にある中で、やはりこういった支援というのは大事だと思いますので、ぜひこれからもよろしくお願いいたします。
次に移りますが、高等学校におけるライフプランニング支援について、キャリア教育との連携についてお伺いいたします。
今年度から高校生向けの保健体育資料が改訂されまして、その中には、男女がともにライフプランを考えること、特にも今回は、妊娠には適齢期があること、及び不妊に悩む男女がふえているということを踏まえた改訂がありました。まだ終わっていませんけれども、今年度の県立高校におけるライフプランニング支援の実態をお伺いしたいと思います。
あわせて、決算特別委員会の際、知事からはキャリア教育と一緒に連携したライフプランニング支援をやっていきたいという御答弁をいただきましたけれども、キャリア教育との関係、連携というのもあわせてお伺いいたします。
〇八木首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 高等学校におけるライフプランニング支援についてでございますけれども、毎年、文部科学省から高校1年生を対象に、啓発教材、健康な生活を送るためにが配布されておりますが、今年度8月に配布された平成27年度版では、今日の健康問題とその対策の項目が拡充され、この中で新たにライフプランニングに関する内容が盛り込まれたところでございます。この啓発教材は、保健体育等の教科及び道徳、特別活動、総合的な学習の時間などにおける健康教育の補助資料として活用を求められたものであり、今年度は各学校へ配布を行い、関連する教育課程において活用するよう依頼したところでございます。
なお、平成28年度におきましては、各学校が効果的に活用できるよう、各研修会等を通じて周知を行うことで、生徒一人一人のライフプランについて関心を高める教育の充実に努めてまいります。
〇吉田敬子委員 道徳や保健体育等の授業でやられているということですけれども、基本的には保健体育の先生がこの授業をされているということなのでしょうか。
〇八木首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 この啓発教材は、保健体育等ですので、家庭科とかほかの教科でも使うという内容でございます。これらの教科及び道徳、特別活動、学校活動の中で補助資料として使っていくというものでございます。
〇吉田敬子委員 先ほど来キャリア教育についての質疑もありましたけれども、キャリア教育と一緒に、その中にぜひライフプランニングという視点も加えて高校の教育の中に位置づけていただきたいと思っております。現在は、結婚する、しないとか子供を産む、産まないという選択肢がある中で、多様化は認めていかなければいけないとは思うのですけれども、ただ、やはり妊娠には適齢期があるということと不妊に悩む男女がふえていること、そしてまた、婦人科系の病気を持つ女性がふえていて、それが若年化しているという現実もあります。これも常任委員会で取り上げたことがあるのですが、岩手県の中絶率が全国の平均より高いという実態がありまして、保健体育と家庭科の中でのことだけでなく、特にこれは女子生徒になるのですけれども、結婚、妊娠、出産等のライフプランニングを含めたキャリア教育を一緒にやっていっていただきたいと思っております。
そういった意味でも、来年度以降、具体的にどういう形でされているのかということを県教委としても把握していただきたいですし、キャリア教育の部分で、これまでの質疑で私も取り上げたことがあるのです。先ほど千葉絢子委員からも普通科でも取り上げたほうがいいというお話がありましたが、私もそれには本当に同じ考えであります。キャリア教育の中で、これまで県内でそういったキャリア教育をやっている民間団体等がありまして、その中では、実際にたくさんの社会人の皆さんに来ていただいて、その中にどういう人生設計を踏まえて今のキャリアがあるかということをやられているので、そういったところとの連携等も踏まえて私はやっていっていただきたいと思っております。
これはぜひ教育長に伺いたいと思うのですけれども、やはり高校生のときにもうちょっと私も知っておけば、もしかしたら私もライフプランが間違っていたとは言いませんが、もっと早く例えば妊娠したかったなとか、そういう人って私だけではなく、実際に晩婚化、非婚化も含めて、私も当事者としてありますし、実際にそれがもうちょっと若いときに情報としてあるのとないのでは全く違うと私は思っております。ぜひそういった観点も踏まえてキャリア教育を進めていっていただきたいと思っておりますが、御所見を伺って終わりたいと思います。
〇高橋教育長 ライフプランニングについては、委員からさまざまな機会を通じてこれまで御提言を頂戴いたしております。
キャリア教育と一体的にという御提案でございますけれども、その対象、その内容が、それぞれの思いによって、進むべき方向性というのはさまざまな御意見がある部分が特にこのライフプランニングだと思います。生徒たちにきちんとアドバイスできることが何よりも重要だと考えておりまして、これは、画一的にこうあるべきというのはなかなか難しい分野だと思っています。そういう意味で、さまざまな機会を通じながら情報を提供すると。そしてまた、個別の相談には養護教諭でありますとかさまざまな教員が、また専門的なアドバイスをする教員が適切に対応するということが大事だと思っておりまして、委員がおっしゃるように一定の方向性で強力にというのは、その辺はかなり我々も学校現場も慎重に、かつ投げかけられた疑問等には適切に対応するというようなこと、そういうノウハウを蓄積していくことが大事と思っておりまして、委員の御提言の趣旨等も踏まえて、今後、検討させていただきたいと思います。
〇高橋但馬委員長 おおむね再開後2時間が経過いたしましたが、教育委員会関係の審査終了後、休憩したいと思いますので、御了承願います。
質疑を続行します。
〇臼澤勉委員 私も手短に数点お伺いいたします。
まず初めに、県立社会教育施設であります岩手県立高田松原野外活動センターの復旧についてお伺いいたします。
来年度予算といたしまして用地設計等の予算が計上されておりますが、現在の検討状況についてお伺いいたします。
また、復興事業の進捗状況や旧センターの利用状況などを踏まえ、導入施設や概略規模の設定の評価などを行うべきと考えますが、今後の対応についてあわせてお伺いいたします。
〇八木首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 現在の検討状況と今後の対応についてでございますけれども、県立高田松原野外活動センターの移転復旧につきましては、コンサルタントと基本構想計画策定のため委託契約を締結しており、現在、県教育委員会内でコンサルタントを交えながら検討委員会を開催し、基本方針や導入施設などを検討しているところでございます。
なお、検討に当たりましては、被災前の県立高田松原野外活動センターの利用状況、陸前高田市の体育施設を含む復興状況、また、将来の施設利用の見込みなどを踏まえながら、平成28年6月を目途に基本構想計画を策定することとしております。
その中では、利用者数や需要圏域等の検討を行い、各施設の概略規模や施設配置等の具体的な計画を策定することとしており、それを踏まえ、今後、用地造成に伴う予備設計を行うことにしております。
〇臼澤勉委員 私もスポーツ少年団の監督をやっていた時代、大変お世話になった思い出の施設でございます。15ヘクタールに及ぶ敷地に充実した宿泊棟や施設がありました。
私が陸前高田市を訪れながら聞いている話では、今、大体5ヘクタールぐらいの規模に縮小してきているような検討状況のお話も聞いているのですけれども、陸前高田市のほうから県に対して要望書が出ていたと思います。その内容は、広田海水浴場に隣接した地域へ一日も早く移転、再建が図られるよう、特段の御配慮をお願いするというものでございます。
ホームページを見ますと、県教委からの回答では、用地造成を含む再建等の規模など、陸前高田市と協議しながら進めてまいるということで回答がありましたので、現在の地元との協議状況についてお伺いいたします。
〇八木首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 地元陸前高田市との協議状況と今後の対応についてでございますけれども、陸前高田市とは、移転予定地である広田地区の土地利用に係る十分な調整が必要となりますので、これまで、用地の確保や用地のかさ上げに伴う土砂の仮置き場の確保、また、県立高田高校広田校舎跡地のグラウンドに仮設住宅が設置されておりますので、その移転スケジュール等について協議を行ってきたところでございます。
現在、検討委員会において、基本構想計画を検討しておりますが、その検討内容を陸前高田市に情報提供の上、十分に協議しながら策定をしていきたいと考えております。
〇臼澤勉委員 ぜひ地元陸前高田市のほうとも協議していただきながら、文部科学省と協議だとか、大変苦労されていたという状況は私も把握してございます。一方で、地元のほうからも、今後どうなるのかということで、すごく不安といいますか関心を持たれております。そういった意味で、ぜひ、そこの規模も含めて、検討をしっかり地元のほうと協議していただきたい。
そして、何よりも、震災から5年がたつわけでございますが、周辺は県のほかの事業も行われております。土の確保だとかそういった部分についてもうまく連携すれば、コストも下げて事業が進められると思いますので、連携を図りながらしっかりと取り組んでいただきたい。そして、職員とかがもし必要であれば、ある程度、県土整備部のほうでも恐らく用地のスタッフも若干余力が出てきている可能性もございますので、そこら辺も連携しながら、ぜひ取り組みを進めていただければと思います。
次に、インクルーシブ教育の推進についてお伺いいたします。
教育委員長の演述で、交流籍を活用した小中学校の児童生徒との交流及び共同学習を進め、インクルーシブ教育を推進するとお話がございました。
現在の交流籍を活用した交流の実施状況と分教室の設置状況、現状と課題についてお伺いいたします。
そして、推進上の課題、今後どのように取り組んでいくのか、あわせてお伺いいたします。
〇民部田首席指導主事兼特別支援教育課長 インクルーシブ教育の推進についてでございますが、まず、交流籍を活用しました交流及び共同学習の実施状況につきましては、全県的に制度を導入しました平成24年度と比べ、今年度は2月末現在で、85名増の325名と交流者数は順調にふえ、小中学部全児童生徒の約4割の児童生徒が交流していることになります。
課題といたしましては、交流籍を持たない児童生徒についても、将来の地域社会への参画等を踏まえ、交流を推進する必要があるため、文化祭などを通じた学校間交流の機会を積極的に設けるなどの取り組みを進めてまいりたいと考えております。
次に、分教室の設置状況についてでございますが、県教委では、地元の学校で学ばせたいという保護者等の思いに応え、多様な学びの場として、平成19年4月に遠野市、一関市千厩町の小学校に小学部分教室を設置以来、現在、二戸市を加えた3地区において、地元の小中学校に小中学部分教室を設置しているところでございます。
分教室では、特別支援学校と地元の学校の児童生徒との交流が日常的に行われているところであります。しかしながら、共同学習、授業交流という共同授業という形での交流は一部の分教室では行われておりますが、さらに相互理解を深めるために、こうした交流の機会を積極的に設けることが必要と認識しております。
県教委では、設置先の小中学校の理解を得ながら、共同学習の機会を設け、授業を通じた交流も深めるなど、地域におけるインクルーシブ教育をさらに推進してまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 ともに学びともに育つ教育、多様な人材の交流というか、そういった部分が本当に必要だと思いますので、ここら辺も積極的に推進していただければと思います。
次に、私からもいじめの話を少し取り上げたいと思います。
高田委員、千田委員あるいは城内委員からもお話がありました。先ほどいじめの件数がありましたけれども、私は何よりも、重大事案に至る前の困難事案への対応が非常に重要かなと思ってございます。いわゆる困難事案、長期にわたって改善されないような事案があれば、これを解決していくという取り組みが必要になろうかと思います。現在の困難事案と言われる件数がどの程度あるのか、県教委としての把握の状況、それから今後の対応について基本的なお考えをお伺いします。
〇大林首席指導主事兼生徒指導課長 いじめ問題の困難事案についてでありますけれども、重大事態に至る前の段階にあるいわゆる困難事案については、今年度は、県立学校並びに各市町村教育委員会から数件の報告を受けております。
困難事案への対応については、市町村立学校の場合は、一義的にはその設置者である市町村教委が対応するものと捉えておりますけれども、県教委といたしましても、我々のさまざまなノウハウがございますので、市町村等の要請を受けまして、有識者や指導主事が専門的な知見から助言等を行ういじめ問題解決支援チームを派遣する体制をとっており、来年度もこの体制については継続することとしております。
〇臼澤勉委員 数件あるということでございます。いじめ問題解決支援チームの派遣であったり、あるいはいじめ問題対策委員会が設置されておりますので、しっかりと対応していただきたい。
そして、私は今度別な視点からちょっとお話をさせていただきますが、先生の視点から、今、複雑化、多様化した問題、課題解決を考えた場合に、教師に対する支援体制をしっかりと充実させていくということがまた大事かと思います。教師は国家の建設者だという言葉もございます。まさに現場が萎縮しないようにしっかりと支援体制、環境整備を整える必要があると思います。
県教育委員会として、複雑化、多様化する課題解決のためにどのように取り組むお考えか、そして、教員以外の専門スタッフの参画などから、チームとしての支援体制を強化すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
〇今野教職員課総括課長 複雑化、多様化する課題解決のための体制ということでございます。
御指摘のいじめ問題を初めといたしまして、不登校ですとか、特別支援教育への対応など、学校や教員だけでは十分な対応が困難な課題がふえているところでございます。
それから、新しい時代の子供たちに必要な資質、能力を育む、いわゆるアクティブラーニングなど、教育活動のさらなる充実が必要と認識しているところでございます。そういった観点から、教員定数の戦略的な充実ということも大切ですが、あわせて、委員御指摘の心理、福祉等の専門スタッフとの連携、分担体制の整備ですとか、事務部門の体制強化など、チームとしての学校の体制を構築いたしまして、学校の機能を強化するということが重要だと認識をしているところでございます。
そういったことを踏まえまして、先ほども答弁がありましたが、平成28年度につきましては、スクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーの増員による体制の強化を図り、今後についても、臨床心理士等の有資格者の確保、学校心理士の養成等、幅広い人材の確保に努めていくこととしているところでございます。
また、事務部門につきましては、これも来年度からということですが、小中学校に新たに事務長という職を新設することとしており、段階的に配置を拡大することにより、教員をサポートする体制の強化を図っていくこととしているところでございます。
〇臼澤勉委員 ぜひしっかり、そこら辺の体制づくりもよろしくお願いしたいと思います。
最後に、児童生徒の学力向上と豊かな心を育む教育の推進に関しましてお伺いします。
まず、教員需要の見通しについてお伺いいたします。
この教員需要を決定する主な要因として二つあるかと思います。まず一つは、児童生徒数の増減、それから教員の退職者数のこの二つがありますが、現在、戦後3回目の大量採用期の真っ最中ということで、1980年代に大量に採用された教員が定年退職をこれから迎えられると。本県の場合、現在50歳代の教員が第一線で今活躍されていて、今後10年間で定年退職のピークを迎えると伺ってございます。
それでお伺いしたいのは、人口減少、少子化社会を迎えて、県教育委員会として、今後の10年間の中期的な小中学校の教員数の需要推計をどのよう見ているのか、教員の退職者数の見通しを含めてお伺いしたいと思います。
あわせて、義務教育標準法の改正によって、今後、基礎定数、加配定数のカウントの仕方を見直すなど、戦略的に教職員の定数の改善を図るべきとも考えますが、御所見をお伺いいたします。
〇佐藤首席経営指導主事兼小中学校人事課長 中期的な小中学校教員数の需要と退職者数の見通しについてでございますが、教員の必要数は、児童生徒数及び学級数により確定するものであり、今後5年間について算出しておりますので、平成28年度から平成32年度までの推計についてお答え申し上げます。
まず、退職者数については、毎年300人から350人前後で推移するものと見込んでおり、それを踏まえた小中学校教員数の需要については、平成28年度については、小中合わせて6、473人、平成29年度は6、273人、平成30年度は6、225人、平成31年度は6、157人、平成32年度は6、117人。ただ、これに学校統合等が絡むと、この数も変化してくるものと思います。
次に、戦略的な教職員定数の改善についてでございますが、平成23年4月に義務教育標準法の一部改正が行われ、小学校1年生の学級編制の基準が40人から35人に引き下げられたことを受け、県としては、平成24年度に中学校1年生、平成25年度に小学校3年生、平成26年度に小学校4年生と、教職員定数の活用を工夫しながら、35人以下学級の拡充を進めてきたところでございます。学校課題が多様化、複雑化する中にあって、学校支援体制の強化が求められており、加配のさらなる拡充やその活用方法について、一層工夫する必要があると考えております。
一方で、本県においては、今後、定年退職者数が、ただいま御指摘のとおり増加していくこともありますので、定数の量的確保に加えまして、教員の質的保障という視点において、ベテラン教員の知識や技能を若手に継承する体制づくりが必要となることから、大学との連携強化も含め、養成、採用、研修の流れの中で、一体的な育成についても検討してまいりたいと考えます。
〇臼澤勉委員 私が心配しているというか危惧しているところは、ベテランの先生方が、今後10年間で一斉に第一線から抜けていく。その際、今度は若い先生方が入ってくるということで、先ほどのいじめの話もありますけれども、現場のほうでは複雑化、多様化した課題を持っている。そういったときに、頭数は大体バランスはとれるかもしれませんけれども、教える側の先生方が一斉にというか、大分若い方も多くなってくるといったときの質の向上とか環境整備、ここら辺にしっかりと取り組んでいく必要があろうかということでちょっとお伺いしました。
これは非常に難しい問題だと思いますので、そこら辺、しっかりと取り組んでいただきたいということで、御要望で終わります。
最後に、総括質疑で教育委員長の演述において、国語、数学、英語を中心とした取り組みが学校組織全体に広がるよう取り組むとございました。私も数学も英語も大好きですし、国語は少し苦手なのですけれども、理科教育の視点、特に小学校において重要かなと考えているものでございます。子供が自然から学ぶことによって、人格教育の根幹が育つ、そして理科で子供たちは真実を学び、しかも実感を伴うことによって子供の人格は謙虚になるのかなと考えてございます。この理科教育による人格形成、人格教育について、私は岩手県が先導して取り組むべきと考えますが、教育委員長に御所見をお伺いして終わります。
〇八重樫教育委員会委員長 私は文系なので理科が不得意ですけれども、ただ、例えば高齢者になりますと、春になると植物が出てくるのを楽しみにしている、あるいは高齢者になると野菜づくりを楽しむ。要は、植物を育てたり花を観賞したりするというのは、人間の本質として大事な要素だと思います。
同じように、例えば、子供たちが美しい花を見て美しいと感じる、あるいはメダカを捕らえてかわいいと思う、ヤギを捕らえてなでてかわいいと思う。言うなれば、理科的な教材に接することによって、子供たちの人格が完成されるというのは私も同感であります。ですから、理科の勉強が得て不得手ではなくて、そういうことを学ぶことによって、心の豊かさとか人格形成につながると思いますので、委員長演述ではさまざま予算の関係があって、国語、数学、英語と言いましたけれども、本音で言えば、社会科も、理科も、図工も、音楽もちゃんとやってやりたいというのが本音でありますが、委員おっしゃるとおり、そういうことにも力を入れて子供たちを健全に育てていきたいと思います。(拍手)
〇臼澤勉委員 ぜひ、知、徳、体のうちで、特に知、徳、結ぶところの取り組みとして、理科教育をぜひ進めていただければと思います。
〇千葉進委員 当該委員ということで大変申しわけありませんが、最後ということで若干時間をください。特にも、常任委員会では教育委員長が出るということはほとんどあり得ないわけですので、教育委員長にということもあるので、よろしくお願いいたします。
通告を幾つかしているのですけれども、時間の関係で1点だけということでお願いします。
正規、非正規とよく言われるわけですけれども、学校現場においても、臨時採用教職員、臨採者と通常言っているわけですけれども、その臨採者についてお伺いしたいと思います。
まず最初に、今年度の臨時採用者数を小学校、中学校、高校、特別支援学校別に教えていただきたい。
〇山形特命参事兼県立学校人事課長 今年度の臨時的任用教員数についてでありますが、本年度は、小学校で394名、中学校で257名、高校で365名、特別支援学校で200名、合計1、216名を任用しております。これは、欠員補充だけではなく、病休補充、育休補充、そして平成23年度からの震災加配等も含んだ人数であります。
〇千葉進委員 1、216名ということですけれども、それでは、病休補充、育休補充等を除いた欠員補充は何名になるのでしょうか。わかる範囲でお願いします。
〇山形特命参事兼県立学校人事課長 申しわけありませんが、高校と特別支援学校しか手元に資料がございませんが、高校の欠員補充が277名、特別支援学校の欠員補充が115名でございます。
〇千葉進委員 それだけの臨時採用者がいて教員採用試験を受けようと、そして採用されて頑張ろうとしていると思うのですけれども、来年度の採用者数は、小、中、高、特別支援学校、さらに養護教諭ということで見た場合、何名ずつで、臨時採用者の割合はどうなっているか教えてください。
〇山形特命参事兼県立学校人事課長 来年度の新規採用者数についてでございますが、小学校は98名、中学校44名、高校56名、特別支援学校34名、養護教諭28名、合計260名を採用候補者としております。そのうち、県内での講師経験者は50.4%となっております。特に高校では69.6%、特別支援学校では67.6%と、県立学校で高い数値となっております。
また、実習教諭の採用者数は9名、寄宿舎指導員は5名の合計14名であり、そのうち県内での臨時教員経験者は11名の78.6%となっております。
〇千葉進委員 1、000名を超える臨時採用者がいる中で、実際の採用が260名前後。
私自身も三十数年前ですけれども、1年間臨時採用をやりました。そのときは、かなり昔ですので、学年団にまず配属されませんでした。職員会議のときには、職員室の留守番で非常に寂しい思いをしておりまして、採用になった後、同じような若者そして臨時採用者という境遇でもあるので、何とか彼らのためにということで、いろんな問題等を提起しながら県教委といろいろな形で話をしてきた経緯があります。
そういう中で、今の臨時採用者の人たちは、先ほど言いましたように、校務分掌の中では学年団とか、教科のみならず部活動とか、本当にすばらしい活躍をしている人たちが多いと思っております。ただ、若いがゆえに彼らにちょっと仕事の負担がいっている部分もあるかとは思いますけれども、それでも彼らは一生懸命努力しているという実態があるわけです。
そう考えたとき、我々大人、行政の言い方では、非正規とか臨時とよく使われるわけですけれども、教えられている生徒、子供たちにとっては臨時ということはないと、先生に変わりありませんし、私は教育に臨時はないと思っているわけですので、ぜひ彼らの処遇をこれから何とか考えていただきたい。
そういう面からさらに質問しますけれども、教員採用試験、これまではどういう経緯をたどってきて、ある面では臨時採用者に対する特典といいますか、利点のあるものをやってきてくれているのか、そういうところを教えてください。
〇山形特命参事兼県立学校人事課長 教員採用試験の変遷でございますけれども、優秀な講師を確保するための優遇措置としまして、まず平成20年度実施の採用試験でB合格の制度を導入いたしました。これは、合格者に欠員が生じた場合には正採用とする制度でありまして、欠員がなく正採用に至らなかった場合でも、必ず臨時的任用教員として任用し、次年度の1次試験で教職専門と論文試験を免除するというものであります。さらに、平成23年度には、免除の対象を1次試験の全てに拡大いたしました。しかし、平成27年度試験では、異なる年度の受験者を同列に扱って比較することが困難であるという反省から、B合格は廃止いたしまして、代替措置として、欠員が生じた場合の繰り上げ合格と臨時的任用教職員経験者特別選考を新設いたしました。
〇千葉進委員 そういう面で、採用試験の1次試験が7月末ということですけれども、その1次試験の免除というのがもうなくなる。彼らにとって非常に厳しい部分があります。
特にも、何人かの人から聞いたのですけれども、まず一つ目は、例えば運動部の部活動の顧問になっている場合、高総体の大会が6月上旬で終わると。ただ、野球の場合は7月中旬、ここからの開会式と、そして7月末の採用試験。もう6月、7月の平日は当然学校で、そして土日は部活動と言いながら練習試合で、ほとんど休む日がないと。当然勉強する時間もないという状況だとよく言われております。
それから二つ目としては、将来展望がなかなか見込めないと。結婚はなかなか難しい。結婚していたとしても、子供を産もうかどうか悩んでいるという方々もいます。
それから三つ目としては、もう岩手県では難しいと、ほかの県に行こうかと。先ほど岩手県の高校で来年度は56名の採用と言われました。関東圏ですと、埼玉県、東京都、神奈川県、千葉県では1、000人です。桁が違いますから、そっちのほうを受けると、将来を考えて岩手県から出ていかざるを得ないという実態もあるわけです。新たな高校再編計画の中では、人材という言葉の材を財産の財という形で使っていますけれども、小中学生も財産ですけれども、今実際に現場で働いている若者たち、彼らが財産です。そしてその財産、彼らが岩手県から出ていってしまう。人口流出につながります。そういう面からも、ぜひ彼らの採用については、特段の御配慮をいただきたいと思っています。
過日、中学校2年生の35人学級ということが出されました。ありがたいです。高校で、もし全学年35人学級を実施すると、約210人の教員配置が必要で、二百数名の臨時採用者がいます。35人学級にして彼らを採用して、そして岩手の教育というふうに考えてもらいたい。
特にも、教育長は、先ほど教員定数は本務教員で充足すると。本務教員、正規の人でという形です。ぜひ最後に教育委員長から将来の岩手の教育の展望を含めて、ぜひ英断ある答弁をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
〇八重樫教育委員会委員長 千葉進委員のお話は共感できる面もあります。なぜならば、私の教え子で、10年間臨時採用をやって、私は励まし続けて、ついに11年目で本採用になりました。でも、彼は喜んでいた。笑い話でうまくないですけれども、10年おくれて採用になったら、そこに新採用の女の子が来たと。一緒に新採用研修を受けて、一緒になったと。
ということもあったという一つの例ですけれども、千葉進委員からお話があったように、この問題については、臨時採用をこんなに頑張っているのだからテストを免除して採用したらどうだということは、この県議会で、私も長くこの関係をしていますけれども、何回も言われました。しかしながら、では、4年制を終わった子供を持っている親からしたらどうなるか。私だって、お金がないのに4年間大学にやったんだと。一発でとれてほしいと。だから臨時採用者だけを優先するのはおかしいのではないかという考えも、一方ではあるということをわかっていただきたいということであります。
それから、私は、臨時採用をやってくれる学生、今の講師たちに、あなた方のおかげで本当に岩手の教育は成り立っているんだよと感謝をしています。
実は2月二十何日に、来年採用される予定の百何人を相手に、総合教育センターで採用おめでとうと、頑張って4月からやりなさいよと、新採用教員と講師をやった学生たちに講義をさせてもらいました。そのときにも言いましたけれども、みんなが頑張ったおかげで、講師のおかげで岩手の教育が実は成り立っているということも言いました。
ただ、将来展望を持って、結婚もできない、あるいは部活で勉強もできないという、それも重々わかります。例えば岩手県でできないので他県に行っていると。
私は岩手大学で講師をやった時代がありました。そのときに、千葉県に十何人かを連れていきました。そしてそこで採用してもらいました。学生たちはいいと、先生いいからと。千葉県でもいいと。新幹線で来ればすぐだからと言って進路変更といいましょうか、そういうこともできるので、岩手県で働かなければならないという家庭事情もあると思うし、言うならば、日本は広いので、世界は広いので、もっと柔軟な考え方をしてもらいたいと、学生たちにはしてもらいますし、それから、先ほど言いましたように、臨時採用で岩手を支えてもらっているありがたい面と、一発でとれたいと思って必死になっている学生と親もいると。公正公平にやらないと、我々の仕事は、片方に力を入れているのではないかなということもあります。
千葉進委員のおっしゃるのは重々わかりながら、英断はできないと。英断といいますか、あとはお金の問題もありますので、その辺が、予算特別委員会ですので皆さんの賛同を得られれば、もっと教育に金を使っていいぞと言ってもらえば、もっともっとできるのではないかなと。我々の責任を皆さんに転嫁してはうまくないですけれども、最後はお金の問題もある、人件費その他ありますので、そういうこともありますけれども、教員になりたい講師たちには、競争率が厳しいけれども、頑張ってやってほしいというエールを送るしかないので、まことに申しわけないですけれども、感謝しながら、頑張って来年も挑戦してほしいと。
私の教え子で、今でもまだ採用になっていない子もいますので、励まし続けています。いよいよだめなときには、進路変更しろということも言いながら、進路変更をしなければならないこともあると思います。なぜ落ちるのかということの分析もちゃんとしてもらわないと、何年もやったから先生に向いているとは限らないことだってあるような気がしますで、そう言えば失礼な話ですけれども、事実そういうこともありますので、私の教え子でそうなので、そういうことで、公正公平にやりながら講師も頑張っていただきたいと、以上でございます。
〇高橋但馬委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋但馬委員長 質疑がないようでありますので、これで教育委員会関係の質疑を終わります。
教育委員会の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
〔「御苦労さまでした。最後」と呼ぶ者あり〕
〇八重樫教育委員会委員長 長いこと委員長の職をさせていただきましたが、委員の皆さんの叱咤激励で、大変いい勉強をさせていただきました。
これほどまでに岩手の教育について愛情を持って心配してくださっている委員がいることを、私は大変うれしく思います。
4月1日からはただの教育委員として、県教育委員会の仕事は続けますけれども、必要があれば証人喚問ではないですけれども、参考人として出席いたしますので、今後も岩手の教育の発展のためにどうぞ皆さんよろしくお願いします。私も頑張ります。どうもありがとうございました。(拍手)
〇高橋但馬委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
午後6時4分 休 憩
午後6時26分 再開
〇佐々木努副委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
次に、企業局長に企業局関係の説明を求めます。
〇菅原企業局長 企業局関係の平成28年度当初予算について御説明を申し上げます。
初めに、事業運営に当たっての基本的な考え方についてでありますが、平成28年度は、平成31年度までの第5次中期経営計画の初年度として、電力システム改革等の経営環境の変化に的確に対応しながら引き続き電力と工業用水の安定供給に努めるとともに、再生可能エネルギーを活用した新規開発を進めてまいります。
電気事業では、電力システム改革により国の卸供給規制が撤廃されますが、県内への電力の安定供給を第一に、電力会社への売電契約を継続するとともに、これまで以上に精度の高い運転調整が求められることから、体制強化等に努めてまいります。また、施設や設備の長寿命化や耐震化を進めるとともに、業務効率化によるコスト削減等の取り組みにより健全経営の維持に努めてまいります。
新規開発では、一戸町の高森高原風力発電所について、平成29年度の運転開始を目指し現地工事に着手するほか、水力についても、盛岡市の簗川発電所の基礎工事に着手するなど、再生可能エネルギーによる電力自給率の向上に向けて取り組んでまいります。
地域貢献では、環境保全・クリーンエネルギー導入促進積立金を活用し、沿岸被災地を初め、市町村が行うソーラー街路灯などの導入について支援を充実してまいります。
工業用水道事業では、送配水管の老朽化対策や耐震化に取り組むなど安定供給に努め、県内経済を牽引する企業の生産活動を支えてまいります。また、全体の契約水量が横ばいに推移し、大幅な料金収入の増加を見通すことが難しい中、より一層の業務効率化によるコストの削減等に取り組み、黒字の確保に努めてまいります。
それでは、議案について御説明を申し上げます。
議案その2の56ページをお開き願います。議案第19号平成28年度岩手県電気事業会計予算について御説明申し上げます。
第2条は業務の予定量ですが、(1)は、胆沢第二発電所等の16発電所の販売目標電力量の合計を57ページの冒頭にありますとおり5億3、092万7、000キロワットアワーと見込むものであり、(2)は、新規に高森高原風力発電所及び(仮称)簗川発電所を建設しようとするものであります。
第3条は、収益的収入及び支出の予定額であります。収入の第1款電気事業収益は58億9、100万円余で、その主な内訳ですが、第1項営業収益50億2、100万円余は水力発電所14カ所分の電力料収入などであり、第2項附帯事業収益1億4、300万円余は、稲庭高原風力発電所及び相去太陽光発電所の電力料収入であります。
次に、支出の第1款電気事業費用は47億6、700万円余で、その主な内訳ですが、第1項営業費用44億6、800万円余は、職員給与費、修繕費及び減価償却費などであり、第2項附帯事業費用1億1、000万円余は、稲庭高原風力発電所及び相去太陽光発電所の運転管理費用などであります。
第4条は、資本的収入及び支出の予定額であります。58ページに参りまして、収入の第1款資本的収入は34億8、300万円余で、その主な内訳ですが、第1項企業債30億円は、高森高原風力発電所の建設資金を借り入れしようとするものであり、第3項長期貸付金償還金4億2、500万円余は、一般会計などからの長期貸付金に係る償還金であります。
支出の第1款資本的支出は97億2、900万円余で、その主な内訳ですが、第1項建設費83億3、600万円余は、高森高原風力発電所及び簗川発電所の建設工事費などであり、第2項改良費10億6、000万円余は、各発電所の設備の改良及び更新に要する経費であります。
第5条は、債務負担行為であります。これは、高森高原風力発電所送電設備建設ほか工事など10事業について債務負担行為の期間と限度額を定めようとするものであります。
59ページに参りまして、第7条は、一時借入金の限度額を30億円と定めようとするものであります。
60ページに参りまして、第9条は、議会の議決を経なければ流用することができない経費とその金額を定めようとするものであります。
以上で電気事業会計予算の説明を終わります。
次に、61ページでございます。議案第20号平成28年度岩手県工業用水道事業会計予算について御説明申し上げます。
第2条は、業務の予定量ですが、北上工業団地及び岩手中部工業団地内の18事業所に対する給水量について、年間総給水量を1、430万3、985立方メートル、1日平均給水量を3万9、189立方メートルとそれぞれ見込むものであります。
第3条は、収益的収入及び支出の予定額であります。収入の第1款工業用水道事業収益は9億7、900万円余で、その主な内訳ですが、第1項営業収益9億500万円余は給水収益などであります。
次に、支出の第1款工業用水道事業費用は9億1、600万円余で、その主な内訳ですが、第1項営業費用8億4、900万円余は、職員給与費、修繕費、業務委託費、減価償却費などであり、第2項財務費用6、500万円余は、企業債などの支払い利息であります。
62ページに参りまして、第4条は、資本的収入及び支出の予定額であります。収入の第1款資本的収入は6億6、800万円余で、その内訳ですが、第1項企業債は、工業用水道施設の改良費に係る資金を借り入れしようとするものであります。
次に、支出の第1款資本的支出は11億8、700万円余で、その主な内訳ですが、第1項改良費6億6、800万円余は、各工業用水道設備の改良及び更新に要する経費であり、第2項企業債償還金3億1、700万円余は企業債元金の償還金であり、第3項他会計からの長期借入金償還金1億9、800万円余は、一般会計等からの長期借入金の償還金であります。
第5条は債務負担行為でありますが、これは、第一北上中部工業用水道遠方監視制御装置改修工事等2事業について債務負担行為の期間と限度額を定めようとするものであります。
63ページに参りまして、第7条は、一時借入金の限度額を6億6、900万円と定めようとするものであります。
第9条は、議会の議決を経なければ流用することができない経費とその金額を定めようとするものであります。
第10条は、他会計からの補助金についてであります。これは、第二北上中部工業用水道における金ケ崎ろ過施設第2期の維持に係る一般会計負担金であり、第3条の事業外収益7、300万円余のうちの3、300万円余であります。
以上で工業用水道事業会計予算の説明を終わります。
なお、これらの予算に係る実施計画、予定キャッシュ・フロー計算書などにつきましては、予算に関する説明書の457ページから528ページに記載しておりますが、これまで御説明申し上げました予算の明細等でありますので、説明を省略させていただきます。
以上で説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇佐々木努副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇関根敏伸委員 1点、工業用水道会計の責任水量制についてお伺いをさせていただきたいと思います。
企業局では、平成23年4月より従来の責任水量制から基本料金と使用料金を組み合わせた二部料金制に改めておりますけれども、経営収支上の変化はどのようになっているのでしょうか。この見直しに至った経緯についてもあわせて教えていただきたいと思います。
〇千枝業務課総括課長 二部料金制改定後の収支への影響についてでありますが、岩手県では、平成22年度までは契約水量に応じて料金を徴収する責任水量制を採用しておりましたが、ユーザーから実使用水量─実際に使った水の量を反映した料金体系とするよう要望がございまして、平成23年度以降、責任水量制に基づく基本料金を引き下げるとともに、実使用水量に応じて使用料金を徴収する従量料金制を加えた二部料金制に移行したところでございます。
料金改定時には、二部料金制への移行に伴いまして年間で7、200万円余の減収を見込んでおりました。平成23年度から平成26年度までの4年間では年間6、200万円余から7、800万円余の減収となっておりまして、ほぼ想定した範囲内で推移しております。なお、改定後にあっても一定の利益は確保しております。
〇関根敏伸委員 ユーザーからの要請の中で、いわゆる完全責任水量制から責任水量制と従量制をあわせた現在の形に改められているという御答弁だったと思います。
減収が6、000万円から7、000万円になっている中で単年度黒字を出していらっしゃいますし、累積欠損金も一掃されたと承知しております。経営の御努力には大変敬意を表するわけでありますけれども、改めて、現在さまざまな景気の不安定要素というものが広がっております。そういった状況の中で、現在のユーザー企業の契約水量と実給水量との乖離が大きくなっているのではないかと推測するわけでありますけれども、企業局ではどのように把握しているのでありましょうか。
また、ユーザー企業や地元自治体からはどのような声が寄せられているのかお聞かせいただきたいと思います。
〇千枝業務課総括課長 まず、契約水量と実給水量との乖離でありますが、契約水量に対する実使用水量の割合である実使用率で見ると、社会情勢や産業構造が変化したこと、さらにはユーザーによる節水やリサイクル等の生産工程の合理化が進んだことなどによりまして、平成21年度には全ユーザーの平均で70%程度であったものが平成23年度以降は50%前後で推移してございます。
この要因は、業種や生産品目、輸出割合などの違いによりまして実使用水量の変動はさまざまと伺っておりますけれども、大きく言いますと、大口ユーザーでございました半導体企業の影響が大きいところでございます。
次に、ユーザー企業及び地元自治体からの意見でございますけれども、本年度、一部のユーザーから契約水量の減量要望などもありましたが、本県の工業用水道事業は厳しい経営状態が続いておりまして、契約水量の減量には料金を改定せざるを得ず、ユーザーからの同意も必要ということでお話を申し上げております。また、こういった御要望がありましたので、全ユーザーにアンケート調査を行って御意向を伺ったところ、多くのユーザーから、料金が上がるのであれば契約水量の減量は望まないという御回答をいただいているところでございます。
また、地元自治体とは、毎年度開催しております工業用水利用促進等関係機関連絡会議におきまして、ユーザーからの減量要望があったことを報告しまして、また、企業局の考え方についても説明して一定の理解を得ているところでございます。
〇関根敏伸委員 ユーザーに対してのアンケートの状況などについても拝見させていただいております。確かに、結果として、コストが上がるのであれば今の二部料金制を維持すべきだという声が大きいのも承知しておりますが、ただ一方で、やはり責任水量制の基本料金のあり方について、今、相当厳しい指摘をされていらっしゃるユーザーもあると承知しております。平成21年度の7割から平成23年度の5割ということでありますから、幾ら二部料金制とはいえ、やはり相当企業側にとってはコストの負担を強いられている契約内容になっているのではないかと思います。
私も責任水量制ということについて余り認識が正直なかったのでありますけれども、ある一定の期間、責任水量の契約をすれば、契約満了後は減量等の変更ができるものと私は思っておったのですが、実は、この責任水量制では、1回増額の水量で契約をしてしまうと二度と戻すことができない。これは、やはり私の感覚からすれば、相当厳しい経営環境の中で年々競争を強いられる企業側にとっては厳しい契約内容と言わざるを得ないと改めて認識しているわけであります。
そんな中で、公営企業として企業局は黒字化、経営健全化という目標を背負っているわけでありますが、同時に、ユーザー企業の理解、合意の調整をするためにどのような努力をされているのでしょうか。またあわせて、産業政策を所管する商工労働観光部との連携あるいは支援などはどうなっているのか、この点についても教えていただきたいと思います。
〇千枝業務課総括課長 企業局として経営健全化に向けた取り組みでございますけれども、工業用水道事業は、昭和53年度に営業を開始して以降、厳しい経営が続いておりまして、経営改善に向けて、私どもも管理費の縮減とか省エネ機器の導入とか未利用資産の処分などに努めてまいりました。また、入畑ダムの水利権の一部を農業用水に転用して事業規模の適正化を図って減価償却費等の圧縮を行ってきた、こういった私どももできる限りの努力をしてきております。そのような私どもの工業用水道の経営改善に取り組んでいることなどにつきまして、毎年2回、ユーザーを訪問させていただいて私どもの経営状況や取り組みについて御説明するとともに、また、先ほど申し上げましたが、アンケートなどを通じてユーザーのいろいろな御意向を伺いながら、理解が得られるように努めてまいったところでございます。
商工労働観光部との連携、支援でございますけれども、平成21年度、平成22年度に、立地企業の安定した雇用の確保などを図ることを目的として、契約水量の10%相当分の料金を一般会計が負担して免除したほか、本年度からは、産業施策の一環として、金ケ崎ろ過施設を維持することを目的としまして、その一部費用について一般会計からの繰り入れを受け入れているところでございます。
企業局としては、工業用水は本県の産業振興を通じてふるさと振興に重要な役割を果たすものと認識しておりまして、今後とも、商工労働観光部と連携しまして、企業の立地や既存企業の増産が図られるように努めてまいりたいと思っております。
〇関根敏伸委員 やはり工業用水道会計のそもそもの目的は、産業政策をつかさどる知事部局と連携して取り組んでいくという趣旨だろうと思っておりますので、今まで以上に一般会計で企業局の会計をどう総合的に見ていくのかという観点に立った運営が必要ではないかと思うわけであります。
そんな中で、経済産業省に設けられた─どういう種類のものかわかりませんが─今後の低廉かつ安定的な工業用水供給の実現のためにと題された平成24年6月につくられた産業構造審議会の中の工業用水道政策小委員会のペーパーがありますが、この中にもやはり責任水量制のあり方というのが相当詳しく触れられております。そこでは責任水量制の現状の整理とあわせて、実供給量に応じた料金制への移行について可能な限り検討することの方向性が示されておりますけれども、企業局の対応方向について改めて聞かせていただきたいと思います。
〇千枝業務課総括課長 責任水量制と実給水量に応じた料金制度への移行に関する検討でございますけれども、経済産業省が設置した産業構造審議会の工業用水道政策小委員会が平成24年6月に取りまとめた報告書では、委員御指摘のとおり、責任水量制の整理として、事業者とユーザー企業は、契約水量の見直しを含む実給水量に応じた料金制度への移行について可能な限り検討すると報告されております。この報告書では、あわせてただし書きとしまして、料金制度の変更は、事業経営の悪化や料金単価の引き上げとなる可能性があるため、今後の工業用水道事業に関し、事業者とユーザー企業の双方にとって負担が最小になるものとして合意できる施設の更新、耐震化計画やそれに係る資金計画を検討する際にあわせて検討することが現実的であるとされております。
本県でも一部のユーザーから契約水量と料金制度の見直しについて要望がございますが、工業用水道の経営は厳しい状況にありまして、料金制度を直ちに見直すことは困難であると考えております。この小委員会の報告書を踏まえて、今後、工業用水道事業の経営状況や施設の更新、耐震化のタイミングなどを捉えまして、ユーザーの理解を得ながらいろいろ検討してまいりたいと思っております。
〇関根敏伸委員 最後にしますけれども、この小委員会の中で工業用水の設置に至る経緯からさまざまな経緯が書かれておりまして産業インフラの一翼を担ったものと評価されておりますが、他方、工業用水需給が減少し、工業用水道事業者の3割が赤字となっている。また、ユーザー企業も、円高等により国内空洞化への懸念が増大する厳しい状況となっている。新たな状況に対応できる工業用水事業の変革が今求められていると結んでいるところであります。
先ほど、産業政策をつかさどる部局との連携にも触れさせていただきました。また、一部ユーザーの中には、こういう状況の中では、岩手での事業継続をする上での足かせとなるというような厳しい指摘も受けているところであります。こういった状況を踏まえて、最後に企業局長の御見解をいただいて終わりたいと思います。
〇菅原企業局長 工業用水道事業の今後につきましては、ただいま委員からお話ありましたとおり、本県の雇用確保あるいは所得の向上を通じて地域経済の振興を図る上で極めて重要なインフラと認識しております。
一方で、工業用水道事業につきましては、全国的に工業用水の需要が伸び悩んでおりまして、これにつきましては、他の公営企業者ともいろいろと意見交換しておりますが、何せ建設を開始してから私どもの場合ですと37年が経過しておりまして、配水管等が老朽化しているという状況はどこの県も大体同じでございます。こういった老朽化しております配管はこれから更新の本格化を迎えますので、そういったこともやっていかなければならないということで相当な経費がかかるという事情もございます。
そういうことで、私どもは、これは本県に限らず全国的な共通の課題と認識しておりまして、他の公営事業者と連携して国に対する更新についての助成についても要望してまいりたいと思っておりますし、国においても、工業用水道事業の実態について認識をいただきながら、連携しながら取り組んでいきたいと思っております。
〇高橋孝眞委員 日本ロジテック協同組合に係る未収金について伺います。
日本ロジテック協同組合の経営破綻が言われております。損失額は確定していないと思いますけれども、現状で幾らと予想されるのか、また、平成28年度計画に影響は出ないのかどうかお伺いいたします。
〇榮田電気課長 相去太陽光発電所の売電料金に係る未納額でありますけれども、平成27年11月分から平成28年1月分までの未納額は遅延利息を除き1、036万円余であり、本日が納期となっている2月分については447万円余でありまして、合計しますと1、483万円余でございます。
そして、今後の料金収入の見込みでございますけれども、日本ロジテック協同組合との契約につきましては2月29日で解約しまして、3月分は東北電力と1カ月分の契約を締結しております。あわせて、平成28年度分につきましても、一般競争入札の結果、参加者がおらず随意契約とした結果、東北電力と契約している状況でございます。
ちなみに、東北電力と契約した料金単価につきましては1キロワットアワー当たり36円となっております。これは、国が定めた固定価格買取制度による調達単価を適用したものと理解しております。
〇高橋孝眞委員 最初の損失額が聞こえなかったのですけれども、そのくらい影響額があったということだと思いますが、企業局の電気事業を行う目的と、それから、東北電力を供給先としなかった理由について改めて教えていただきたいと思います。
〇榮田電気課長 企業局の電気事業を行う目的についてでありますが、本県の産業経済の発展と県民生活の安定、向上に寄与するために事業を行っておりまして、その運営に当たっては、経済性の発揮と、本来の目的である公共の福祉を増進することに留意して進めております。
次に、相去太陽光発電所の売電先の選定についてでありますけれども、地方公共団体が行う売電契約については、地方自治法の規定により、他の契約と同様に一般競争入札が原則とされております。企業局の一般水力15発電所については、開発段階で、県内唯一の送配電網を有する東北電力以外に売電先がないことから、これまで随意契約としたものであります。また、稲庭高原風力発電所も、同様に売電先を確保するために、東北電力の募集に応募して随意契約としたものであります。
一方、相去太陽光発電所については、このような供給先の制約や募集等の随意契約の要因が特にございませんでした。加えて、平成24年4月3日付で閣議決定されたエネルギー分野における規制・制度改革に係る方針において、公営電気事業における新電力の買い取り参入の実現を図るため、地方公共団体が行う売電契約については一般競争入札が原則である旨、改めて周知することとされ、平成24年4月25日付でその旨総務省から通知もあります。ということから、相去太陽光発電所につきましては一般競争に付したものでございます。
このため、国に届け出た電気事業者等を対象としまして平成26年9月1日に一般競争入札を行い、東北電力も含めた入札参加者3者のうち最も入札額の高かった日本ロジテック協同組合と売電契約を締結したものでございます。
〇高橋孝眞委員 日本ロジテック協同組合との電力供給契約書を見ますと、受給電力については、先ほど局長も経営の方針の中で電力の県内への安定供給を図ることが目的なのだ、こういうお話をしておりましたが、この中で、発生した電力については岩手県内への全量供給をすることと契約書ではうたっておりますけれども、どのようにして県内供給になっているのかを把握しているのかお伺いしたいと思いますし、供給先から未収金の回収ができないのかどうかについてもあわせて伺いたいと思います。
〇榮田電気課長 まず、相去太陽光発電所で発生した電力量について県内の供給先の確認でありますけれども、日本ロジテック協同組合と取り交わした電力受給契約につきましては、契約期間内において6カ月ごとに県内へ全量供給した実績を証する書類を提出するよう条件を付しております。平成27年度上半期の報告においては、日本ロジテック協同組合は東北電力の送電網を利用して岩手県内に電力を供給していることから、東北電力の託送ネットワークサービスセンターで把握している日本ロジテック協同組合の託送電力量と相去太陽光発電所からの供給電力量を比較し、日本ロジテック協同組合が県内に供給した電力量が多いことから、相去太陽光発電所で発電した電力量が全て県内に供給されていることを確認したものでございます。
次に、未収金の回収についてでありますけれども、日本ロジテック協同組合の供給相手先から回収することは可能と考えております。
〇高橋孝眞委員 次ですけれども、平成27年6月11日に日本ロジテック協同組合の担当部長に遅延理由を聞いたと聞いております。早期の支払いを強く要請したということですが、具体的にどういう話し合いがされたのかということと、もう一つは、日本ロジテック協同組合は再生可能エネルギー特別措置法による納付金を納付していないことが平成27年5月11日に公表されておりますけれども、この点についてはどういう話し合いがされたのかと、納付金というのはどの程度のことを言うのかについて教えていただきたいと思います。
〇榮田電気課長 まず、日本ロジテック協同組合については、再生可能エネルギー特別措置法による納付金を納付していないとして国からその事業者名を公表されております。これが平成27年5月13日のことでありました。この公表を受け、日本ロジテック協同組合の担当部長に盛岡まで来ていただきまして、いろいろ状況を確認しました。もちろん、再生可能エネルギーの納付金を納付しなかった理由、それから、そこまで陥った原因は何か、そういうところを確認し、相去太陽光発電所の料金遅延についても注意をしまして遅延の理由等について再度確認したほか、今後の支払いについて期限内の納付を強く要請し、その結果、7月分から9月分までについては遅延は改善され、遅延はなくなったものであります。
〇高橋孝眞委員 ということは、国に対する納付金についてはどのように対応すると相手先は言っておりましたか。
〇榮田電気課長 国から事業者名を公表された日本ロジテック協同組合は、公表された後、速やかに納付したと聞いております。
〇高橋孝眞委員 ということは、確認はしていないということですね。
契約書を見ますと、契約の保証とあります。これは3項目ありまして、契約保証金の納付、それから、契約保証金にかわる担保となる有価証券または金融機関及び保証事業会社の保証の提供、損害を補填する履行保証保険契約の締結、こういうふうに三つあるわけですけれども、これはどれを県として今回、保証していただいているか、そして、保証金額は幾らかについて教えていただきたいと思います。
〇榮田電気課長 契約の保証についてでございますけれども、委員御承知のとおり、この3種類の中から、今回の日本ロジテック協同組合と締結した電力受給契約については、同組合から、債務の不履行が生じた場合に損害を填補するための履行保証保険証券の提出を受けており、契約保証金額は348万円であります。
〇高橋孝眞委員 先ほど損害額の想定について聞きましたら、この分については回収できるというふうには入れなかったわけでありますけれども、これは回収できる見込みはないのですか、ありますよね。
〇榮田電気課長 この履行保証保険証券についてでありますけれども、現在、この契約保証金につきましては損害保険会社が組合への調査を実施中でありますので、その結果を受けて請求手続を行う予定でおります。
〇高橋孝眞委員 ということは回収できるお金ですよね、これは。そういうふうに考えて対応してもらえればと思いますし、電力会社をさっき東北電力に変更したということですけれども、日本ロジテック協同組合との契約上、問題はないのかと思うのですが、契約の解除の理由は、契約書上はどの項目に該当して契約解除したのか。それから、日本ロジテック協同組合からの申し入れなのかこちらからの申し入れなのか、それについて伺います。
〇榮田電気課長 ことし2月の契約先の変更でありますけれども、日本ロジテック協同組合が3月末で小売事業から撤退するといった2月24日の報道を受けまして同組合に問い合わせた結果、未納分について早期の支払いを要請しましたけれども、支払いについての明確な回答はありませんでした。こういったことから3月分の電気料金も未納となるおそれが高いものと判断しまして、日本ロジテック協同組合に解約の申し入れを行いました。その結果、2月29日をもって解約しておりまして、契約上、問題はないものと思っております。ということで、解約につきましては当方から申し入れたものであります。解約に関しては、日本ロジテック協同組合から解約に同意するという文書をいただきまして解約手続に入ったわけであります。
そして、契約解除の理由としましては、電力受給契約書の第14条第1項第3号に規定する、相当の期間を定めて催告したにもかかわらず、当該違反行為を改めないとき、及び同項第6号に規定する、本契約条項に違反し、その違反により本契約の目的を達することができないときに該当するものであります。
〇高橋孝眞委員 相手先から同意を得たというのであればよろしいわけでありますけれども、この契約書の契約の解除要件には今のような理由は当てはまらないのではないかと私は思うわけであります。なぜかといいますと、料金の支払いがなかった場合については契約解除しますというのは契約条項に普通入るはずなんですよ。1カ月か2カ月料金支払いがない場合は解除しますよと、一方的に解除できるような条項がなかったわけでありますけれども、それはどうしてなかったんでしょうか。
〇榮田電気課長 契約解除についてでありますけれども、県の標準的な契約条件及び先発県の契約等を参考に契約書を作成し、料金未納による具体的な解約条項は盛り込んでおりませんけれども、契約書の第14条第1項第3号及び第6号を適用して解約できるものと考えております。
なお、今回の事案を踏まえまして、平成28年度分の売電契約については、解約条項をより明確にするために、2カ月以上支払いが遅延した場合、解約できる規定を盛り込み、見直しを図ったところであります。
〇高橋孝眞委員 今後は見直しをするということですけれども、本来的には保証金の条項があるわけですよね、保証契約の。保証金の条項があるわけですから、本来は、売電料金をもらえない可能性があるよということで出すわけですよね。売買予定総額の5%分を保証金としてもらっているわけです。そういう意味合いから見ますと、この条項は当然なければいけなかったと私は思います。いずれにしろ、契約解除条件に本当は該当しないのではないか。相手からまずは電力をよこしなさいと言われると、供給先の問題があるので相手先に供給しなければいけない責務が県としてあったのではないかと私は思います。それは相手が解約に同意をしたということですからよろしいのかなと思いますが、いずれ、これから注意をするということですから、まずは注意していただければと思います。
もう一つは、日本ロジテック協同組合は、国が認めている、電気事業で認可しているからというようなことで、安易に相手先を調査しないで契約をして今回の被害に遭ったのではないかと私は思うわけであります。これと似たような事案は、DIOジャパンも同じなわけです。国に責任があるからと言ってもしようがありませんけれども、先ほど言いましたように、DIOジャパンにしても県の調査が不十分なことによって市町村に迷惑をかけているという実態がありますので、この辺は同じ県として考えてやる必要があるのではないかと思うところであります。
いずれにしろ、先ほども供給先から回収することも可能ですと回答されましたので、その供給先からまずできるだけ回収することをひとつ強く要望しておきますし、事業をやるということにはリスクがあることはそのとおり私自身も思いますけれども、自治体が行う事業については、できるだけリスクを回避して事業をするということが私は当然ではないのかと思うわけでありまして、今後このようなことがないように取り組んでもらえればと思いますが、局長から聞いて終わります。
〇菅原企業局長 今回の事案につきましては、ただいま委員からお話のありましたとおり、実際に支払いが遅延した場合にどうするかという面での契約上の問題が必ずしも十分ではなかったと思っております。これらにつきましては、契約履行能力を有している者のみが入札に参加できるような方法でありますとか、あるいは料金を有効に回収するような対策といったものをこれから検討していかなければならないと思っておりまして、これらにつきまして他県とも意見交換しながら検討を進めていきたいと思っております。
〇郷右近浩委員 私も、通告しておりました日本ロジテック協同組合の件でございました。ほとんどが大体同じような観点で質問の項目になっていたのですけれども、今、逆にこのやりとりを聞いていてちょっとわからなくなったところが多々ありまして、そこも含めて質問させていただければと思います。
まず最初に、はっきりと言葉が聞き取れなかったのですけれども、回収は可能なのかどうか。可能というように聞こえたような気がしたのですけれども、最後の最後に高橋孝眞委員とやりとりした際に、何かできるようなできないような、あやふやな部分だったと思うので確認したいと思います。
〇千枝業務課総括課長 全額回収可能かどうかという意味でお話をいただいたと思いますが、そこまでを含んで可能ということではなくて、一般論としてそういう手だてがあるということをお話ししたところでございます。
〇郷右近浩委員 そこの部分が、先ほど回収は可能であるというお話であったり、またさらに今のお答えであったりという中で、先ほど高橋孝眞委員に対しての答弁の中で恐らく1、483万円ほどの未収金となるといった見込みを示されております。その中で大体幾らぐらいが回収可能と見ているのかお聞かせいただければと思います。
〇千枝業務課総括課長 現在、幾ら回収可能かということは、確定的なのは先ほど申し上げました契約保証金の300万何がしだけでございます。そのほかの対応につきましては、現在、県の顧問弁護士といろいろ相談させていただきながら、どのような対応ができるか検討を進めているところでございます。
〇郷右近浩委員 もちろんそうだと思います。破産ということで、しかもかなり多額の債務を負ってという報道等も拝見させていただく中で、ほかの債権者がいる中で岩手だけを補填するといったような、しかもその補填するものがどのぐらいあるかわからない中ではなかなか確定できないということだと思います。ただ、その保証金の部分であったり、またさらには保証金以外の部分でも幾らでも何とか回収できるように頑張っていただきたいと思うわけであります。
その中で、先ほどこれも質問に対して答弁がきちんと聞けなかったのですけれども、契約に際して、日本ロジテック協同組合は、国に届け出した買い取り企業、新電力ということでそれ自体が保証になったかのような部分があるかもしれませんけれども、県として例えば信用調査みたいなものは行ったのでしょうか。
〇榮田電気課長 信用調査についてでありますけれども、一般競争入札の実施に当たっては、先発県の事例を参考にしましたが、信用調査は行っていなかったものでございます。
日本ロジテック協同組合は平成19年に設立され、電気小売事業については平成22年に業務を開始しております。相去太陽光発電所の入札当時においては、全国の多くの自治体等に電力を販売するとともに発電事業者等から電力を調達しておりまして、新電力の中では電力販売量が全国で10番以内に位置する大手の事業者であったと承知しております。このため、一定の実績を有する者と考えられたところであります。
〇郷右近浩委員 そうしたそれまでの部分での信用でありますし実績でありますけれども、しかしながら、これ自体も報道によるものなので私自身言うのもはばかられるようなものですけれども、2014年11月の契約当初の早い段階から実際問題として支払い遅延が発生していたといった報道もあるぐらいだとすると、岩手県として契約する前からもさまざまな部分は何かしらあったのではないかと─勘ぐるようなものでありますけれども。だとすると、きちんとこの会社は大丈夫かといったような部分というのは確認すべきだったと思うものであります。
今回の件に関しては、本当に何としても回収に努めていただき頑張っていただくとして、これを教訓として、実はこれからも、先ほどの質疑の中で、平成24年4月の閣議決定により、売電契約については今後一般競争入札に付すべきといった方針が国として出されたという話を聞いております。それを適用して今回の太陽光については入札したという中にあって、だとすると、これまで例えば長期契約でやってきた水力であったり風力であったり、そうした部分のほかの岩手県企業局として電気をつくっている部分についても、例えば平成30年なり平成31年に今の長期契約が切れたときには一般競争入札を行わなければいけないということになるのでしょうか。この点についてお伺いします。
〇朝岡経営企画課長 私どもの水力発電所につきましては、ただいま平成22年から平成31年までの長期契約を東北電力と結んでいるところでございます。この長期契約につきましては、契約を途中で破棄いたしまして入札にする場合は、当然、解約の手続を東北電力と踏まなければならないことになりますし、そのときには多額の違約金が発生するものと考えてございます。その違約金というのはやはり私どもの安定経営にかなり影響があるものと考えてございますので、当面、平成28年、平成29年については東北電力と契約を継続することとして手続を進めているところでございますし、その後につきましては、国の動向、それから他県の動き、それから岩手県への小売電気事業者の参入状況等を見きわめながら慎重に検討していかなければならないと考えているところでございます。
〇千枝業務課総括課長 若干補足させていただきます。
東北電力との長期契約終了後、単純に入札を行うことはやはり課題があると思っておりますので、その辺については慎重に検討して、こういった事案が発生しないように対応してまいりたいと思っております。
〇郷右近浩委員 今、千枝総括課長からの話でわかりましたけれども、その前の段階で、先ほど平成28年、平成29年についてはという話だったので、平成31年まで契約が残っている中でちょっと違和感を覚えたわけでありますけれども、これについてはとにかく平成31年まではこの契約でいくのだろうと思いますし、その後にいろいろなことを考慮しながらということでの今の千枝総括課長の発言という認識でよろしいでしょうか。
〇千枝業務課総括課長 先ほど朝岡課長が申しましたのは、2年ごとに料金を改定しておりまして、新年度から2年間、新しい料金でやるということで、現在、その件は交渉中なので明確に何円というお話はできませんけれども、そういったことを踏まえての話で、若干はしょって説明したことで誤解を与えましておわび申し上げます。
〇郷右近浩委員 怒って言っているわけではなくて、ちょっと声が出なくて、自分自身も大変になりながら言っているものですから、申しわけありません。
実際、私自身、今回こういった問題が起きた中で、これが例えば民間で太陽光発電なりそうした再生可能エネルギーをつくって、それを売買するのであれば、本当に営利目的で金額が1円でも高く買い取ってくれるところがもちろん優先順位の1位になってくると思うのでありますけれども、しかしながら、今回、岩手県でやっている事業につきましては、先ほども電気事業を行う目的の中で、産業経済の発展とか、また、さらには公共の福祉といったようなお話がありました。そうなると、本当に公共性や安全性、そうしたものも求められてくると思っているものであります。
これから国では順次、電力システム改革を進めていく中で、これから電力システム改革の第2弾としてことし4月以降は小売がさらに全面自由化ということで、発電事業についても電力会社以外の事業者にも売電が可能になってくるといった中で、またさらには、先ほどの繰り返しになりますけれども、閣議決定において一般競争入札とすべしといった中で、非常にリスキーな部分が出てくるのではないかと心配しているものであります。
だとすると、企業局として、これから、そうした国の方向性であったり、先ほど千枝総括課長からいろいろなことを考慮しながらという話ではありましたけれども、本当に県民財産をどのように、きちんと安全性を確保しながら売電していくという部分につきましての対策、先ほど高橋孝眞委員に対しまして、解約条項を2カ月にするといった話がありましたけれども、それ以外も含めて、本事案を教訓としての対策というものはどのようなものか、考えているものがあればお示しいただきたいと思います。
〇菅原企業局長 売電入札についての対策でございますけれども、今回の事案を踏まえまして、平成28年度分の相去太陽光発電所の売電契約については、先ほど申し上げましたように、料金の支払い遅延が生じた際の解約条項を2カ月と、支払い遅延が2カ月あった場合は解約しますという条項を明確に規定いたしましたほか、契約保証金につきましても5%ではなくて、いろいろな手続、解約してから新たな売電先を見つけるまでに2カ月ほどかかりますので、5%から2カ月(後刻「5%から20%」と訂正)に引き上げするという見直しを行っております。
ただ、これだけで十分ではございませんので、先ほど委員からお話がありました4月以降、小売電気事業者はいろんなところから仕入れたり販売できるということになりますし、また、現行制度では国への届け出制になっておりますが、今度登録制ということに移行するわけでございますが─失礼しました。先ほど経営保証金の率を5%から2カ月と言いましたが、5%から20%でございます。20%に変更しております。
一方、ことしの4月から登録制に移行いたしますが、国のほうで、事業者の登録審査においては、経営状況について十分に審査を行ってほしいということと、登録後も継続的に審査して、私どもに情報提供していただきたいと思っておりまして、これについては、私どもは26の都道府県市で公営電気事業経営者会議というのを組織しておりまして、ここを通じて、国にこれから要望を行っていきたいと思っておりますし、あと、先ほど申し上げましたが、ほかの県でも同様の状況にございますことから、契約履行能力を真に有している方々が入札に参加できるような方法でありますとか、あるいは売電料金を有効に回収できるような対策についても、私どものほうでもこれから検討していきたいと思っております。
〇郷右近浩委員 本当に県民財産ということを考えれば、万全の上にも万全を期して、これからもぜひ県の公共の福祉であったり発展のために頑張っていただきたいと思います。
〇渡辺幸貫委員 今の件ですが、今、36円で契約なさったと言いましたね。ただ、これは既存の契約は高い値段で国も契約しなさいと言った。だけれども、新規のものについては別の契約というかは、要するに、契約時点の安くなった単価が適用されるんじゃないですか。違いますか、確認します。
〇榮田電気課長 相去太陽光発電所の調達価格でありますけれども、相去太陽光発電所については、平成25年に国の設備認定を受けまして、その時点で単価36円と決定しております。そして国の制度においては、この調達価格で20年間継続できるということで約しております。ですから、売電契約が変わったからと言って、単価が変わるといったことはございません。
〇渡辺幸貫委員 今のは、それを日本ロジテック協同組合が契約したんだと思うんですよ。今は既存の契約ではないわけですね。そこのところを言っているのですよ。
〇千枝業務課総括課長 固定価格買取制度で相去太陽光発電所の調達価格は、1キロワットアワー36円ということで20年間決まっております。それで入札しているわけですけれども、最低価格を36円と設定して、入札の結果、前回、日本ロジテック協同組合が38円80銭、これは税抜きですが、一般競争入札に3社が入札して、日本ロジテック協同組合が38円80銭で一番高値だということになったわけです。今回は、一般競争入札に付しまして、最低価格は36円ということでやったわけですが、結果的には、最終的に見積もり合わせということで東北電力とやって、東北電力が36円という価格を提示されて、それで契約したということでございます。
〇渡辺幸貫委員 私が言いたいのは、太陽光については、政府が計画する2030年で6、400万キロワットを既にオーバーしているのですね。ですから、今、高い買い取り部分をさかのぼって下げなければならないのではないかという議論がされていますね。そういう中で、これは既存契約ではないですから、だから36円でよく契約できたなと。逆に言えば、企業局が東北電力と長いつき合いもありますし、太陽光なんていうのは水力なんかと比べたらウエートが低いですから、そういう中で36円で買ってくれと頼んだのかなと。そういうことになれば、既存の、さっき言われた、平成31年までの長い企業局と東北電力の間の長期契約、そこにもささやかな影響があるのではないかと心配をして聞くのです。心配は全く杞憂ですか。
〇千枝業務課総括課長 委員からお話しいただいたそういった議論があるというところは承知しておりますが、現行制度では、相去太陽光発電所は運転開始、平成26年11月から20年間、36円で買っていただけるという制度でございます。ですから、これは今後どういった議論になるかちょっとそこは承知しておりませんが、現在のところは間違いないものとして私ども事業を開始して、20年間の収支計画等を立てて大丈夫だということで取り組んでおるところです。
〇渡辺幸貫委員 若干ずれがあるんだけれども、だから、そう思って頼んだんだけれども、東北電力が今回入札してくれなかったらどうするのですか。可能性だってあったでしょう。だから言っているのですよ。
〇千枝業務課総括課長 現行制度では、電力会社に買い取り義務があるというところでございまして……(渡辺幸貫委員「東北電力も同じなの」と呼ぶ)いや、最終的に電力会社が買い取る義務があるという制度でございますので、私ども発電する際に、東北電力に送電線とか大丈夫ですねというようなことを確認するわけなんですけれども、そのときに送電線の設備等が太陽光をつないでも大丈夫だという回答をいただいておりまして、そういったところで電力会社は買い取り義務があるという制度でございます。
〇柳村一委員 ほとんど言われたので、二、三確認したいことがあるのでお伺いします。
まず、4月分から9月分が遅延されたのを日本ロジテック協同組合から払っていただいたということなのですけれども、ほかの自治体でも不払いのところは延滞料金が発生していたようなんですけれども、この支払いされた部分に延滞料金みたいなものは発生していたのかどうか、ちょっとお伺いします。
〇千枝業務課総括課長 支払いを受けた去年の10月分までについては遅延利息が発生しておりまして、それらも全て納入済みというところでございます。
〇柳村一委員 はい、わかりました。他県では10億円ぐらいまだ未払いのところとか結構あるので、先ほど1、483万円の支払いは可能とおっしゃっていましたけれども、優先順位がかなり低いのかなという気はしますが、ちゃんと延滞料金まで払っていただいているということは、今後ちゃんと対応してくれるのかなと思います。
あと、昨年5月13日に、納付金を納付しない業者として公表されたわけですね。そのときにおかしいと思って対応すれば、もう少し早く契約解除ができたのではないかと思いますけれども、そのときの対応はどのような形で行っていたのかお伺いします。
〇千枝業務課総括課長 委員お話のとおり、5月13日に、国は、FIT(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)賦課金を期限まで納付しなかったということで、日本ロジテック協同組合が遅延した旨を公表しておりました。その時点で、企業局への支払いは、平成26年11月分から平成27年3月分まででありますけれども、最小で1日、最大で6日程度の遅延があったものの、全て納付はされておりました。
国の公表を受けまして、私ども6月11日に日本ロジテック協同組合の担当部長を呼びまして、それまでの遅延について注意し、遅延の理由について聴取して、今後の支払いについて期限内の納付を強く要請しました。その結果、7月分から9月分までの遅延はなくなりまして、きちんと納付されておりました。しかしながら、再び10月分以降遅延が発生したというようなこともございますが、文書による注意や督促状を発出するなど、あるいは電話による再三の要請ということを繰り返しながら、10月分が平成28年1月22日、11月分の一部が2月19日に納付されてきたところです。
この間、当該組合との契約を締結している他県等の動向を情報収集して、解約の具体的な方法を検討しましたが、解約して新規の契約先を選定するまでの手続に2カ月程度かかるということで、当該組合は、これまでの督促に対して未納の分の料金も払うという意思を示してございましたので、おくれているが納付はされていたということから、解約を判断するタイミングが難しかったというところでございます。
〇柳村一委員 しようがないでしょうけれども、電力の小売事業者として登録する際の国の審査の甘さも結構指摘さていますし、また、議会としても、予算、決算で議決しているわけで、私たちにもちゃんとチェックしなかったという責任もありますので、今後、そのようなことがないようにしていただきたいと思います。
それで最後なのですけれども、通告していました、これを受けて、電力システム改革についての今後の売電先の選定方法の考え方について、もし変わったことでもあればお伺いして終わりにします。
〇朝岡経営企画課長 電力システム改革に伴う売電先の選定でございますけれども、電力システム改革となりますと、電力会社への売電を定めた国の卸供給規則というものがございますけれども、それが本年3月末をもって廃止されることになります。地方公共団体が行う売電契約につきましては、地方自治法の規定により、一般競争入札が原則であることに留意するよう国から通知が出てございますけれども、これを今すぐに導入した場合には幾つか課題がございます。
その一つは、先ほど私が申し上げた、説明不足で申しわけなかったのですが、これまで、企業局では、卸供給として水力発電所15カ所分を一括いたしまして、電力会社と平成22年から平成31年まで10カ年間の長期契約を締結しておりまして、長期契約ですが、料金は2年ごとに交渉いたしまして単価を決定しているところでございます。そこのところが先ほどちょっと言葉足らずで大変失礼いたしましたけれども、そういったことから、当面につきましては、この長期契約を私ども結んでいるものですから、水力につきましては、現状では平成28年、平成29年の料金更改をやってございますけれども、それで安定経営を図っていきたいと考えてございますし、それから、将来的に一般競争入札に移行する場合につきましては、その時々の他県からの情報を入手するとともに、国からの情報とか、それから何と言っても小売電気事業者につきまして、十分参入状況等について注視して慎重に検討していかなければならないと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 それでは、私も日本ロジテック協同組合問題について質問します。
この間の未払い金額が1、483万円余。今までの議論で、これがどれだけ回収されるのか、幾ら聞いてもわからないんですね。はっきりしているのは、契約保証金の348万円は戻ると。しかし、あと全然見通しないのではないですか。
きのうの新聞を見ると、この日本ロジテック協同組合は2015年3月末時点の負債は71億円と、膨らむ可能性があるという話ですよ。恐らくとんでもなく膨らんでいると思いますね。何か損害補償契約でもあるのですか。
〇千枝業務課総括課長 損害補償契約というのは結んでございませんで、あくまでも契約保証ということでの348万円ということでございます。
〇斉藤信委員 では、348万円しか戻らないということですね。1、483万円のうちで、今見通せるのはそれしかないと、完全に破産状態ですから。私はかなりこれはシビアな問題だと思います。
それで、平成26年9月8日に一般競争入札で契約締結をしました。ところが、売電の期間は、平成26年11月1日から平成28年3月31日の17カ月ですが、支払い遅延が発生したのは平成26年11月分です。契約したその月から遅延しているのですね。平成27年1月から6月、10月分も遅延したと。私はあり得ないと思います、契約した最初の月から遅延と。私はこの段階で危機感を持ってこの会社の決算とかいろんな情報を収集して対応すべきだったと思うけれども、そういうことはされたのでしょうか。
〇千枝業務課総括課長 その段階におきましては、1日から6日程度の遅延があった、そういう危機感というものを持って対応すればというお話でございましたけれども、相手側としては満額、延滞金も含めて納入しておりましたので、その後3カ月間でありましたけれども、きっちり支払われるようになってございましたので、詳しい経営状況とかまでは把握してございませんでした。また、私ども経営状態を把握するのも、例えば一部上場企業ですといろいろ経営情報が公開されておりますけれども、協同組合という性格もあって、なかなかそういった情報を実際把握するのは困難ではなかったのかなと思っております。
〇斉藤信委員 公の商取引で、契約したらその月から支払い遅延というのは異常なことですよ。異常だというふうに認識して対応しなきゃだめですよ。そして3カ月は払われたと。3カ月後の1月から6月、毎月遅延なんです。この段階で完全にこの会社はだめだという認識にならなかったらおかしい。1月から6月まで、毎月遅延しているのですよ。危ない会社だということでしょう。そして決定的なのは、平成27年5月13日に、国がいわゆる再生可能エネルギー特別措置法にかかわる納付金、賦課金を払っていないという事業者名を公表したと、これは決定打でしょう、この段階で。国の納付金も払えないぐらい厳しい状況にあったと。私はもうこの5月の段階で、契約の解除なり何なりをすべきだったし、そういうタイミングだったと思いますよ。
これは局長に聞きましょう。これだけ異常な遅延が続いて、国の納付金未納で事業者名を公表されたと。私はこの段階できちんと対応すればまだ傷は浅かったし、その時点での未払いは解消できたはずなんです。局長のお考えをお聞きします。
〇菅原企業局長 もっと早目に手を打つべきではなかったかという御質問でございました。確かに5月13日に、国では、FITの納付金が期限内に入らず、また、督促期限までに入らなかったということで公表したという事実がございましたので、日本ロジテック協同組合の、担当している財務部長の来局を求めまして、それで厳しく注意してやったわけでございます。その結果、先ほど申し上げましたように、その後改善されたという状況がございましたので、私どもも解約ということを具体的に視野にして検討は進めておりましたが、そういう状況でございましたので、料金の回収という観点でいろいろと督促とかそういうのを進めておりまして、解約のタイミングを失ったというのが事実であります。
そういう意味で、結果として対応が甘かったということについては、そのとおりであると思っております。
〇斉藤信委員 これは建設事業だったら不渡りみたいなものなんですよ、期限内に金を払わなかったら。何回もやっているわけです。私はそういう意味でいくと、本当に緊張感、危機感がなかったと、このように率直に指摘をしなければならないと思います。ぜひこの教訓はしっかり生かしていただくようにお願いをします。
次、二つ目に、高森高原の風力発電事業についてお聞きします。
総事業費と現段階の事業の進捗状況はいかがでしょうか。
〇野崎発電所建設課長 総事業費でございますけれども、約127億円でございます。
その主な内訳といたしましては、風力発電システム製作、据えつけが約93億円、蓄電システム製作、据えつけが約15億円、送電線建設が約7億円、建物建築が約5億円、その他約7億円と見込んでございます。
続きまして、事業の進捗状況でございますが、まず、環境アセスメントにつきましては、平成24年度から現地調査を実施しまして、平成26年度に準備書を取りまとめて住民説明を行うとともに、昨年9月には、国や県の審査を踏まえた評価書を取りまとめ、昨年10月に経済産業大臣から環境影響評価書の確定通知を受けております。
続きまして、発電所及び送電線の建設用地につきましては、一戸町から協力を得まして説明会を実施するとともに、地権者と借地に関する協議を行いまして、現在、土地の賃貸借契約の手続を進め、平成28年度早々に現地工事に着手できるよう、用地の確保に努めております。
最後に、風力発電システム製作、据えつけ工事につきましては昨年12月に発注いたしまして、風車発電機等の製作を進めているところでございます。
なお、今後のスケジュールにつきましては、平成29年11月の運転開始を目指しまして、送電線や変電所建屋の建設工事を発注するとともに、雪解けを待って4月から現地工事に着手することとしております。
〇斉藤信委員 これで最後にしますけれども、電力供給能力とその雇用効果、そしてこの施設の運営の体制はどうなるのか。
環境影響も調査が行われたということですが、猛禽類などもあったと思うけれども、希少動植物に対する具体的な対応策はどうなっているのか、これをお聞きして終わります。
〇野崎発電所建設課長 まず、電力供給能力でございますけれども、発電所の最大出力は2万5、300キロワットでございます。
年間の売電電力量につきましては約5、300万キロワットアワーで、これは一般家庭の約1万5、700世帯分に相当いたします。これは、一戸町及び二戸市の世帯数で換算いたしますと、約9割の消費電力量に相当するものでございます。
続きまして、雇用効果につきましてでございますが、今後、施設の保守管理等の方法を検討する中で、具体的な雇用が見えてくるものと考えてございます。
最後に、事業の運営体制についてでございますけれども、平成29年度の運転開始に向けまして、風力発電設備、送電線その他の設備について、落雷や乱流等への対策をより効果的に発揮させ安定的に発電できるよう、保守の方法や体制等につきまして、多角的に検討を進めることとしてございます。
最後に、環境アセスメントの関係でございますけれども、鳥類関係でございます。これは環境アセスメントの国や県の審査におきまして、まず一つ目といたしましては、ノスリの繁殖活動に配慮しなさいということが一つございました。それから二つ目といたしまして、一戸町の観光天文台がございますけれども、観測への影響の回避をしなさいという2項目が意見として出されておりまして、平成27年9月、これらへの対応方針を記載した評価書を国へ提出し、先ほど申し上げましたけれども、同年10月、経済産業省の確定を受けておるところでございます。
〇斉藤信委員 誰も気づかないとまずいのだけれども、年間供給電力量は約5万3、000キロワットアワー。さっき5、300万キロワットアワーと。そこだけ訂正して終わります。私が訂正して終わります。
〇千枝業務課総括課長 再度訂正させていただきます。
年間の売電電力量は約5、300万キロワットアワーで、これは一般家庭の1万5、700世帯分……(斎藤信委員「私がもらった資料が間違っているの」と呼ぶ)申しわけありません。こちらのほうが正解でございます。
〇佐々木努副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木努副委員長 質疑がないようでありますので、これで企業局関係の質疑を終わります。
企業局の皆さんはお疲れさまでした。
以上で本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後7時57分 散 会

前へ 次へ