平成28年2月定例会 予算特別委員会会議録

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予算特別委員会会議記録
(第 6 号)
平成28年3月15日(火)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 菊 池   満
主任主査 中 村 佳 和
主任主査 藤 澤 壮 仁
主査 柳 原   悟
主査 田 内 慎 也
主査 菊 地 友 和
主査 菊 池   智
1説明員
復興局長 中 村 一 郎
副局長 大 友 宏 司
副局長 高 橋   修
復興推進課
総括課長 石 川 義 晃
まちづくり再生課
総括課長 田 村 荘 弥
産業再生課
総括課長 高 橋   進
生活再建課
総括課長 小笠原 隆 行

労働委員会
事務局長 齋 藤 信 之
参事兼審査調整課
総括課長 花 山 智 行

商工労働観光部長 菅 原 和 弘
副部長兼
商工企画室長 菊 池   哲
雇用対策・
労働室長 高 橋   徹
商工企画室
企画課長 鈴 木 俊 昭
商工企画室
管理課長 岩 渕 伸 也
経営支援課
総括課長 高 橋   毅
ものづくり自動車
産業振興課
総括課長 高 橋 喜 勝
自動車産業
振興課長 瀬 川 浩 昭
産業経済交流課
総括課長 押 切 拓 也
観光課総括課長 平 井 省 三
企業立地推進課
総括課長 飛鳥川 和 彦
特命参事兼
雇用対策課長 高 橋 達 也
労働課長 工 藤 直 樹

財政課総括課長 熊 谷 泰 樹
〇高橋但馬委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
議案第7号から議案第25号まで、議案第27号、議案第40号から議案第50号まで、議案第54号、議案第60号、議案第61号、議案第63号、議案第64号及び議案第138号の以上37件を一括議題といたします。
本日は、復興局、労働委員会及び商工労働観光部関係について、午後5時を目途に審査が終了するよう議事進行に御協力をお願いいたします。
最初に、復興局長に復興局関係の説明を求めます。
〇中村復興局長 平成28年度当初予算のうち、復興局関係の歳出予算につきまして御説明を申し上げます。
復興局における平成28年度予算の執行に当たりましては、本格復興の完遂に向け、次の五つを施策の柱として重点的に取り組んでまいります。
第1は、本格復興の完遂と第3期復興実施計画の策定であります。
第2期、本格復興期間の最終年度として、第2期復興実施計画に基づく取り組みをなし遂げられるよう、各種の調査や復興委員会等による調査審議などにより進行管理を行うとともに、平成29年度からスタートする第3期復興実施計画を策定いたします。
第2に、復興まちづくりにおける課題解決と市町村支援であります。
復興事業の円滑かつ迅速な実施を支援し、早期の住宅再建を図るため、用地取得特例制度の活用や、防災集団移転促進事業等の移転跡地の利活用に係る検討を支援するなど、市町村のまちづくりを支援してまいります。
第3に、被災者に寄り添った暮らしの再建であります。
被災者一人一人の復興が地域の復興にもつながることから、市町村、関係機関、NPO等と連携して、被災された方々の状況に応じたきめ細やかな支援を行ってまいります。
第4に、なりわいの再生による三陸の創造であります。
沿岸地域の産業復興を促進するため、若者や女性を初め、被災地で起業等を行おうとする方を支援するとともに、基幹産業である水産加工事業者の人材確保を市町村と共同で支援いたします。
第5に、復興に係る情報発信ときずなづくりであります。
被災者や県民の皆さんはもとより、国内外の方々との連携とつながり、地域住民の幅広い参画による復興の一層の加速化を目指し、積極的な情報発信や交流の機会づくりを行うほか、震災津波関連資料の収集や震災津波伝承施設の整備に取り組みます。
続きまして、復興局関係の予算につきまして御説明いたします。
お手元の議案その2の6ページをお開き願います。復興局関係の一般会計歳出予算は、2款総務費のうち、2項企画費の一部11億1、900万円余と、3款民生費のうち、7ページの5項災害救助費の一部96億300万円余、続きまして、9ページに参りまして、12款公債費の一部7、100万円余であります。以上を合わせますと107億9、400万円余の予算額となっており、平成27年度当初予算額と比較いたしますと、金額にして14億6、700万円余、率にして15.7%の増となっておりますが、これは、応急仮設住宅の基礎補強や解体撤去に係る経費など、災害救助費の増などによるものであります。
それでは、お手元の予算に関する説明書により、主な事業につきまして御説明申し上げます。
予算に関する説明書の89ページをお開き願います。2款総務費2項企画費1目企画総務費のうち、右側の説明欄の中ほどにあります復興局関係の主なものにつきまして御説明いたします。
まず、復興局の管理運営費の次の復興情報発信事業費は、県内外との連携のもとに復興を推進するため、いわて三陸復興フォーラムの開催や復興を担う人づくり、いわて復興だよりの発行など、復興に関する重層的な情報発信を実施するものであります。次に、二つ飛びまして、震災津波関連資料収集・活用等推進事業費は、東日本大震災津波から得た教訓を継承し発信するため、市町村等と連携し、関連資料を収集するとともに、保存及び情報発信機能を有したデジタルアーカイブシステムを整備するものであります。次に、一つ飛びまして、震災津波伝承施設整備事業費は、災害の歴史から学び、記憶や経験を語り継ぎ、将来に生かすため、陸前高田市の高田松原津波復興祈念公園内に予定している震災津波伝承施設の整備に向け、展示に係る実施設計を行うものであります。次に、一つ飛びまして、地域基幹産業人材確保支援事業費補助は、被災地の基幹産業であります水産加工業の早期復興のため、水産加工事業者が新たに人材を確保するために必要な宿舎整備等に要する経費の一部を市町村と共同で補助するものであります。次に、さんりくチャレンジ推進事業費は、復興まちづくりに合わせたなりわいの再生を図るため、若者や女性を初めとした、被災地での起業や新事業進出をしようとする者に対しまして、事業計画の策定や販路開拓及び資金調達等の支援を行うものであります。次に、90ページに参ります。2目計画調査費の説明欄の復興局関係の復興計画推進費は、第2期復興実施計画に基づく施策や事業の進捗状況について進行管理を行うとともに、第3期復興実施計画を策定するものであります。
次に、少し飛びまして、124ページをお開き願います。3款民生費5項災害救助費1目救助費のうち、説明欄の中ほどにあります復興局関係の主なものにつきまして御説明いたします。
まず、復興局の管理運営費の次の救助費は、災害救助法に基づき、引き続き応急仮設住宅の基礎補修を含む維持管理やみなし仮設住宅の借り上げを行うほか、応急仮設住宅の解体撤去や仮設住宅用地として利用したグラウンド等の原状復旧、入居者の仮設住宅間の移転費用の一部負担などを行うものであります。次に、三つ飛びまして、総合的被災者相談支援事業費は、沿岸4カ所にあります被災者相談支援センターに相談員を配置するほか、専門家を派遣することにより、被災者からの生活再建に関する相談に総合的に対応するとともに、(仮称)いわて内陸避難者支援センターを設置し、内陸に避難されている方への恒久住宅への早期移行のための支援等を実施するものであります。次に、仮設住宅共益費支援事業費は、応急仮設住宅における共用設備などに係る水道料、電気料などの共益費を負担するものであります。次に、被災者住宅再建支援事業費補助は、持ち家による住宅再建を促進するため、住宅が全壊するなどの被害を受けた被災者に対し、住宅の建設、購入に要する経費を市町村と共同で補助するものであります。
次に、少し飛びまして、239ページをお開き願います。12款公債費1項公債費1目元金のうち7、100万円余が復興局の所管でございますが、これは、災害援護資金の借入金に係る償還元金でございます。
以上で復興局関係の説明を終わります。よろしく御審議をお願いいたします。
〇高橋但馬委員長 これより質疑を行いますが、議会運営委員会の決定及び世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇関根敏伸委員 それでは、私のほうから、大きく3点に分けてお聞きをさせていただきたいと思います。
まず1点目は、震災関連死の状況について教えていただきたいと思います。
岩手、宮城、福島3県の震災関連死につきまして、関連死数と、死者、行方不明者に対する割合、並びに弔慰金申請数と認定数及びその割合についてまず教えていただきたいと思います。
あわせて、岩手県内におきまして、審査会を県に委託した市町村と独自で行った市町村があると思っておりますけれども、これらの状況について、前述と同じような状況をお示しいただきたいと思います。
〇小笠原生活再建課総括課長 被災3県の災害関連死についてでありますが、まず、災害関連死の数と死者、行方不明者に対する割合についてですが、数値は平成28年2月末現在となりますが、本県の災害関連死は459人、死者、行方不明者に対する割合は7.3%。宮城県におきましては、災害関連死が896人、死者、行方不明者に対する割合は7.6%。福島県におきましては、災害関連死が1、984人、死者、行方不明者に対する割合は51.4%となっております。
次に、弔慰金の申請数と認定数及びその割合につきましては、同じく2月末現在で、本県は、申請数802件に対しまして、認定数459件、審査中のものもございますので、認定率は57.7%。宮城県は、申請数1、229件に対し、認定数896件、認定率72.9%。福島県は、申請数2、588件に対しまして、認定数1、984件、審査中のものもございますので、認定率は78.3%となっております。
次に、県内の災害関連死の状況についてでありますが、これも同じく数字は平成28年2月末現在となりますが、県が審査会を受託しております17市町村におきましては、災害関連死が367人、死者、行方不明者に対する割合は6.8%、弔慰金の申請数は666件、認定率は55.6%となっております。
また、みずから審査会の運営を行っている市町村は3市町ございますが、数値を公表していない市町もございますので合計で申し上げますが、災害関連死が92人、死者、行方不明者に対する割合は10.6%、弔慰金の申請数は136件、認定率は67.6%となっております。
〇関根敏伸委員 福島県の場合はやはりどうしても特殊だと思うのですが、宮城県と岩手県とを比べた場合、死者に対する関連死の割合はそう大差はないわけでありますけれども、弔慰金の申請数に対しての認定率は岩手県が57%、宮城県が72%という状況になっております。また、この審査会を県に委託したところとみずから行ったところの割合も、県に委託したところが55.6%、市町村みずからやったところが67.6%といった状況で、今、御報告いただいた数字を見る限りにおいては、岩手県、宮城県の申請と認定のあり方、あるいは、県が委託を受けた場合と市町村独自で行った場合の認定のあり方等について明らかな差異が見られると思うのですけれども、これについて、県の状況分析と所感をお伺いさせていただきたいと思います。
〇小笠原生活再建課総括課長 認定率の違いに対する分析でございますが、認定に関する基準は実は全国的に定まっているものがございませんで、新潟県の中越地震の際に行った基準が唯一全国的に知られているものでございます。
この基準では、震災発生から6カ月以内に死亡した方でないと認定にならないというルールになっております。したがいまして、自治体により、どのような考え方で申請を受け付けているかという問題がございます。本県の場合におきましては、この新潟県中越地震の6カ月ルールというものを採用しておらず広く申請を受け付けておりますので、どうしても認定率自体は低くなる傾向にあると思います。他県におきましてはこの新潟県中越地震ルールでやっているところもあると聞いておりますので、その辺の差異ではなかろうかと認識しております。
〇関根敏伸委員 岩手の場合は広く申請を受け付けているから結果として認定率が低くなっているという分析、御答弁かと思っております。
それはそれとして、今まで県は、5年にわたって復興局が災害の関連死、弔慰金の認定に関する事務を取り扱ってきたと思うのですけれども、その中でさまざまな知見が蓄積されてきたと思うわけであります。今後、大きくこの災害関連死がふえてくるとは思えないわけでありますが、今後、さまざまな災害があったときに、災害関連死と弔慰金の認定のあり方に関しては、いろいろなことを伝えていかなくてはならない責務が県としてはあるのではないかと考えているわけであります。
まず、この災害関連死を防ぐための事例の集積とか検証等をどのように把握されていらっしゃるのかお聞かせいただきたいと思いますし、あわせて、審査会の設置方法のあり方ですとか審査基準、全国統一のルールがないという状況もあるようであります。あるいは、審査会を被災地の近くに置くべきだという意見が出されていることも承知しておりますけれども、こういった等々を踏まえて、県としてどのようにこの課題を整理し、解決方法を考えていらっしゃるのかお聞きをさせていただきたいと思います。
〇小笠原生活再建課総括課長 まず初めに、災害関連死を防ぐための取り組みでございますが、災害関連死は、例えば、ライフラインが停止したことによりまして十分な医療行為が得られなかったとか、避難所で寒さにより衰弱して亡くなられたとか、そういった方々が災害関連死に該当いたします。したがいまして、今後、災害関連死を防ぐためには、避難所のあり方ですとか緊急時の医療機関における対応といったものにつきまして十分対策を練っておく必要があると考えております。発災後、県でも、例えば避難所運営上何が課題であったかとか、そういったところを分析してまとめた報告書等もございますので、それらを活用しながら今後に生かしていきたいと考えます。
次に、審査会の設置のあり方についてでありますが、この弔慰金という制度自体は市町村の条例に基づく制度でございます。したがいまして、本来であれば市町村が審査会を運営することが適当であるわけでございますが、今回、行政機能が停止したということもありましたので、県がかわりに受託して審査会の運営を行ってきたという経緯がございます。そういったことから考えますと、やはりできる限り市町村において処理されることが今後は望ましいと考えております。
先ほど申し上げましたとおり統一的な基準はありませんが、この辺につきましては被災地によって差があってはならないと考えますので、県は独自に基準を策定して公表しておりますが、これの全国的な統一化というものも考えていかなければならないのではないかと思います。
なお、審査会の場所につきましては、現在の審査会におきましても、市町村におきまして十分に被災状況等を調査していただいた上で審査会に諮問しておりますので、場所による認定の差というものはないと認識しております。
〇関根敏伸委員 いろいろ県が御苦労されて国へさまざまな要望されていたことも承知しておりますし、県独自のいろいろなルールをつくられたり、自殺との関連の認定についていろいろ御苦労されて一定の基準をつくられたということも承知しております。そういった意味では、やはり統一した基準づくり等については、いろいろな形でしっかりと国への要望等も含めて具現化していただきたいと考えております。
ただ、設置場所による差異はないという御答弁ではありますけれども、県に委託したところと市町村独自でやられたところで認定率の差があることは客観的に見てそのとおりではないかと考えておりますので、この辺についてはもう少ししっかりと分析を進めながら今後の状況に生かしていくべきではないかと考えておりますけれども、この部分について再度御答弁をいただければと思います。
〇小笠原生活再建課総括課長 審査会におきましては、当初やっておりませんでしたが、事例によりましては、審査会に諮問する市町村の職員に来ていただいて説明していただくということも始めておりますので、その辺は、被災時の状況が委員の方々にもよく御理解いただけるような形で今後も進めてまいりたいと考えております。
〇関根敏伸委員 いずれ、この災害関連死の状況につきましては弔慰金の支給とも直結するわけでありますが、お金の部分だけではなく、災害関連死と認められることによって遺族の方々の心の整理にも直結する、こういう指摘をされていらっしゃる方もおりますので、この辺についてはやはり丁寧な検証をしっかりと行っていただきたいと思うところであります。
次に、沿岸被災地でさまざまな面整備が進められていると思いますけれども、面整備の宅地造成の状況について何点かお聞きいたします。
まず、防災集団移転促進事業等において宅地造成が進められていると思いますが、市町村ごとの宅地造成数と目標に対する進捗状況、あわせて今後の見通しについてお聞かせいただきたいと思います。
〇田村まちづくり再生課総括課長 市町村の宅地造成の進捗状況でございます。
社会資本の復旧・復興ロードマップでは、土地区画整理事業や防災集団移転促進事業等の宅地整備事業は沿岸の普代村を除いて11市町村で実施されておりまして、平成27年12月末現在で、合わせて8、012区画が計画されております。
11市町村の中で、久慈市、田野畑村、岩泉町の3市町村は既に宅地整備が完了しておりまして、平成27年度末には野田村が完成する予定でございます。また、平成28年度には洋野町と宮古市が、平成29年度には山田町、大槌町がそれぞれ完成する予定でございます。なお、釜石市、大船渡市、陸前高田市の3市は、完成が平成30年度となる見込みでございます。
県全体での年度別の宅地の完成見込みでございますが、平成27年度末には2、851区画、36%、平成28年度末には4、645区画、58%、平成29年度末には6、230区画、78%が完成しまして、平成30年度には8、012区画全てが完成する見込みとなってございます。
〇関根敏伸委員 それでお伺いしたいわけですけれども、この造成された宅地について、基本的には売買が行われることになると思いますが、一部は賃貸借を行う方針を示しているところもあるようであります。売買と賃貸借の状況、どのような形態を見込まれているのかお知らせいただきたいと思いますし、あわせて、売買の場合は、被災者と自治体が売買契約を交わすことになろうかと思いますが、瑕疵担保責任の年数の制限等が設けられている実態があるのではないかとお聞きしているわけであります。この件について、県はどのように把握しているのかお知らせいただきたいと思います。
〇田村まちづくり再生課総括課長 宅地売買と賃貸借の状況についてでございますが、防災集団移転促進事業により整備される宅地は、御指摘のとおり、被災者が売買または賃貸借を選択できます。ただし、住宅団地の入居予定の方が経済的状況などによって希望が揺れるということもございまして、県ではその内容につきましては把握してございません。
また、宅地の売買契約における瑕疵担保責任の年数等の制限でございますけれども、この情報につきましては承知しております。このことから、去る2月26日に開催しました防災集団移転促進事業連絡会議におきまして、関係市町村と情報共有を行ったところでございます。
〇関根敏伸委員 今の御答弁ですと年数制限等が設けられている状況であると思います。仮に、造成した土地の品質、性能にふぐあいがあった、強度等に不足があった場合には瑕疵担保責任の問題が出てくると思っておりますけれども、品質管理等について、県の指導や支援状況はどうなっているのか。あわせて、仮に宅地に隠れた瑕疵等があった場合の責任、負担等は一般論としてどうなるのか、これをちょっと教えていただきたいと思います。
〇田村まちづくり再生課総括課長 造成した宅地の品質管理等についてでありますが、防災集団移転促進事業等において宅地が完成し引き渡しが進んでいく中で地盤支持力不足の事例が発生したことや、住宅メーカーが独自の安全性の考え方から地盤改良を勧める事例が確認されました。このことから平成26年9月に国から県に通知がありまして、これを受けて、9月と11月に県から市町村と建築業界宛てに、地盤支持力の調査方法及びその調査結果を建て主の方に十分説明するよう文書で依頼したところでございます。
宅地の瑕疵担保についてですが、住宅を建てる場合、建築業者または設計者が地盤調査を行い、安全な工法で建築することになっております。この過程で問題が生じた場合は、建築業者または設計者が責任を負うことになります。また、宅地自体に問題があった場合は、一般的には宅地を販売した市町村が責任を負うことになります。
〇関根敏伸委員 宅地の場合、売り主である市町村の責任が出てくるわけでありますが、ただ、先ほどの御答弁の中で、瑕疵担保責任の制限年数が設けられている。これは市町村ごとの状況はお示しされなかったわけでありますが、市町村によっては短い制限年数を設ける、あるいは設けないところもある、さまざまだろうと思います。そうすると、被災者の方々がどこの自治体から土地を買われたかによって、場合によっては瑕疵担保責任によるみずからの負担というのも相当出てくる可能性があると思います。
改めて、県では市町村ごとの状況をどのように捉えているのか、そして、買われた被災者の方々に土地造成に伴うふぐあいによっていろいろな負担が生じないような取り組みをしっかり指導していく必要があるのではないかと思いますが、これについての御答弁をお願いしたいと思います。
〇田村まちづくり再生課総括課長 市町村と買われる方の契約につきましては市町村の条例等で決めておりまして、それぞれ市町村ごとに異なります。県のほうからその内容につきまして市町村に指導ということはなかなか難しいところでございます。
あと、被災者の方に負担が生じることも考えられますけれども、これにつきましては、各市町村と情報共有をしながら、個々の事例について考えていきたいと思っております。
〇関根敏伸委員 今後ますます宅地造成が進んできます。どんどん売買事例がふえてくると思いますけれども、宅地を買われる被災者の方にとっても納得がいかない、不安が募る御答弁だと思っております。
改めて、今後、売買事例がふえていくときの課題や解決策をどのように整理されているのか。あるいは、市町村にこの制限年数等を任せるということではなく、国とか県がしっかりとした指導を発揮して統一したルールをつくるなり、あるいは万が一のふぐあいが生じたときの負担をどうするのか、明確化した基準をつくる必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇田村まちづくり再生課総括課長 宅地がどんどんできてきまして、売買契約がふえてまいります。そのことによりまして、この件もそうですけれども、いろいろ課題が生じてくると思います。それらにつきましては、今後、市町村等の情報収集をしながら、庁内関係課と協議、連携して当たっていきたいと思います。まだ方針が決まっておりませんので、今後の対応はこれから検討することになると思いますけれども、庁内関係課と連携しながら進めてまいりたいと思っております。
〇関根敏伸委員 ぜひしっかりとした取り組みを、統一したルール、基準、被災者にくれぐれも余計な負担がかからないような仕組みをつくっていただきたい、これは要望させていただきたいと思います。
最後になりますけれども、震災復興における検証等についてお伺いしたいと思います。
初期の震災対応、復興の進め方について検証が整理されつつあると思っておりますけれども、いかが把握されていらっしゃいますでしょうか。
それを踏まえて、本格復興期間終了後の2年間の復興方針のあり方、策定時期についてどのように考えているのかお聞かせいただきたいと思います。
〇石川復興推進課総括課長 復興の進め方の検証についてでございますけれども、初期の震災対応、復興の進め方についての検証につきましては、平成24年2月にまとめました東日本大震災津波対応検証報告書あるいは平成27年3月の国連防災世界会議に発表いたしました防災・復興に関する岩手県からの提言、こうしたものにまとめておりまして、将来見込まれる大規模災害に備えるためにも、被災した市町村に対する迅速な行政機能支援体制の整備、あるいは、復興に要する土地等の私有財産の制限のあり方等の検討、こういったものが必要だと考えてございます。
また、平成28年度までの本格復興期間の取り組みなどの成果を踏まえまして、第3期復興実施計画におきましては、平成29年度と平成30年度の2年間において、復興をさらなる展開へ導くような内容にしたいと考えております。
具体的には、社会資本の整備あるいはコミュニティーやなりわいの再生などの復興を引き続き進めますとともに、将来にわたって持続可能な三陸地域を目指した取り組みもあわせて進めていく必要があると考えてございます。
策定時期につきましては、平成28年度中に復興委員会あるいは市町村、企業、団体等とも十分に意見交換しながら策定してまいりたいと考えてございます。
〇関根敏伸委員 ぜひよろしくお願いいたします。
最後になりますが、現在、国では、復興期間終了後の復興庁の存続の議論も出始めております。また、あわせて、大災害を想定した憲法への緊急事態条項の盛り込みなどの議論も始まるのではないかという報道もされているわけでありますけれども、県は、初期の対応のあり方とか、さまざまな知見を踏まえてこられたと思っておりますが、復興庁の存続議論あるいは憲法への緊急事態条項の盛り込み等の議論について、ぜひ復興局長からの御所見をいただければと思います。
〇中村復興局長 復興庁の存続期間につきましては一応法律で10年間ということは決まってございますけれども、先般、復興大臣も、10年間終了後に国としてどういう対応が必要なのかといったことも踏まえて検討したいという御発言をされておりました。我々としても、機械的に10年過ぎたから廃止するということではなく、その時点での例えば岩手県、宮城県の復興がどういう状況にあるのかといったところは十分国としても丁寧に見ていただきたいと思いますし、一方、福島県においてはさらに相当長期の対応が求められるという状況もありますので、そこについては、やはり国のほうでもしっかり被災地の状況を踏まえて判断をいただければと思います。
それから、憲法の緊急事態条項のお話もありました。
これも、どういうことを想定して憲法で緊急事態条項を規定する必要があるのかないのか、そういったところがまだ必ずしも表に出てきていないと私は感じてございます。ですから、そういったところは、具体にこういうケースについてはやはり憲法でしっかり規定しないと対応ができないといったことを個別に議論しながら、その必要性等について国民的に議論をしていく必要があるのではないかと考えております。
〇関根敏伸委員 憲法等の議論につきましてはまさにこれからだと思っておりますが、初期の対応について、国との調整に相当日にちとか時間を要したという検証がされているわけでありますから、そういった面からいくと、私は逆に、国にさまざまな権限をいたずらに集中させることは決して復興を前進させることにはならないのではないかという感じを持っておりますので、ぜひ中村局長におかれましては、震災の発災直後から沿岸の振興局長として、あるいは復興局長として最も被災地の復興の状況を熟知されていらっしゃる方でありますので、さまざまな知見等をしっかりと今後とも国に向けてお伝えいただければと考えているところであります。
〇斉藤信委員 関連。防災集団移転促進事業における瑕疵担保責任、私は、区画整理事業においてもこの瑕疵担保責任というのが出てくると思うのですけれども、市町村の動向を聞きましたら、この瑕疵担保責任を負わないと明記している自治体が何件かあるんですよ。私は、これはもう法律に反する規定で、きちんと明記すべきだと。明記しているところは2年間という形になっていますが、この2年間の根拠は何なのか。
もう一つは、区画整理事業については特に何の明記もありません。区画整理事業、これは5メートルとか10メートルとか大変なかさ上げをして、私は壮大な実験だと思うのです。それなりの土木工学的な根拠に基づいてやっていると思うけれども、しかし、実際に宮城県などでは地盤災害が一番大きかったわけで、区画整理事業の場合の瑕疵担保責任というのはどのようになるのか、この2点をお答えいただきたい。
〇田村まちづくり再生課総括課長 防災集団移転促進事業とか区画整理事業の瑕疵担保責任でございます。
委員が御指摘のとおり、各市町村によって、期間を設定しているところ、していないところ、さまざまでございます。また、区画整理については明記していないところもございます。このことについて把握したのが最近なものですから、この対応につきましては、まだこれから検討したいと思ってございます。
〇斉藤信委員 私は、対応はぜひしてほしいけれども、防災集団移転促進事業で、例えば市町村が責任を負わないとか瑕疵担保責任はないとか、こう明記しているところもあるわけだから、これは是正が必要だと。そして、2年というのは最低の基準ですよね。2年から10年というのが法律の規定で、これは市町村の判断だと思うけれども、瑕疵担保責任を明記していなかったらこれは是正するべきだと。
もう一つは、区画整理事業の場合には、基本的には、明記がなければ民法上10年というのが適用になる、私はこのように受けとめているけれども、そういう形で対応するということでよろしいですか。
〇田村まちづくり再生課総括課長 区画整理の10年ということにつきましてはここで御回答はできないものでございます。これにつきましても、関係課と連携しながら検討してまいります。
〇斉藤信委員 明記がなければ民法上10年ということになるのではないですかと私は言っているので、私の言っていることが間違いなのか。防災集団移転促進事業については、瑕疵担保責任を明記しないということは間違いですよと。区画整理で明記がなければ民法上の10年というのが適用になりますねと、私はこのことを具体的に聞いているので、その点についてお答えを言ってください。
〇田村まちづくり再生課総括課長 ここで正しいとか間違いとかという私の手持ち資料がございませんので、この場ではお答えできないということでございます。
〔斉藤信委員「後で答えてください」と呼ぶ〕
〇佐々木茂光委員 関連。続きの話になりますけれども、もう既に宅地造成に入っています。いろいろな結果が出ています。当然、基礎をつくるに当たっても、建築費はその分の設計代が上がっていくわけです、わかりますよね。通常の家の建て方の基礎でない基礎を選択して、今、区画整理事業の人たちはもうくいを打ったりしているわけです。そういうところが見えているということを考えると、まさにこれから住宅再建が進んでいきますので、やはり早々に結論を出してその方向性を示していかないとならない。私の周辺でも、せっかくその土地を買ったけれど、そういう心配が出てきて、その土地をまた市のほうに戻した人たちも実際出てきています。
では誰が責任を持つのかという話があって、例えば、我々はその経過を見て、市から土地を買うわけです。今の話だと、土地を買った人なりそれを設計した人、その住宅にかかわった人たちが半ば責任を持つのではないかという、いろいろな境目があると思うのです。
瑕疵担保というのは、一般に公共事業として発注した場合は、発注者と、それからそれを受けた人との間の担保責任ですよね。我々は、そこを通って土地を買っているわけだから、もし責任が発生するのであれば、それを受けた事業主と発注者の関係の中だと思うのです。我々は瑕疵あることを最初からわかっているのであれば土地を買うことはしないわけだから。発注者が事業主との契約の中で工事を完成させた、これは一つの区切りですよね。そこから我々が土地を、被災者は分譲したものを買っているわけだから、責任ということを考えたら、そこまで話を戻してもらわないと、やはり我々は買うのをちゅうちょするよね、それが基礎の工事費の中に組み込まれてくるから。最初からここはくいを打ったほうがいい、コンクリートを厚くしたほうがいいというのが、我々の住宅を建てる事業費の中に組み込まれてくるんですね。今、確かに人もいない、工賃も高くなっている、資材も上がっているという中で、我々が当初見ている価格にさらにその分がベースアップされてくるのですよ。であるがゆえに、それは市町村が負担する、誰が負担する、何でもいいけれども、ただ、その負担が発生するということに対して誰がそれを面倒を見てくれるのかということ、これは早目に結論を出したほうがいいと思います。
県が、それぞれの市町村の取り組みの中で進めていくべきだというのは違いますね、被災地とすれば。岩手県がそこを仕切っているわけだから、県のほうからその話をしっかりと示すべきだと思います。
局長、何か言いたそうなので。
〇中村復興局長 今、斉藤委員、佐々木委員からお話がありましたが、被災者に不測の損害といったことが発生しないように、これは、関係諸法令、民法を含めそれぞれの諸法令も十分我々としても踏まえて、市町村ともまた十分そこは協議をしながら対応してまいりたいと思います。
〇工藤勝子委員 私も、第1期、第2期復興期間が終了いたしまして、第3期の復興に入っていく、復興完遂年に向かって取り組んでいくことになるんだろうと思っています。それを踏まえて、やはり検証ということは非常に大事になってくるだろうと思って質問しようと思いました。
その中で、関根委員からも検証についての質問がございまして、答弁もありました。平成28年度に市町村、企業、団体等も含めて検証をするという話でありました。そういう中において、各部局でも震災対応分として予算をとって計上しながら横断的に取り組んでこられたのだろうと思っております。
そういう中において、例えば、この中で被災地のボランティアの人数の関係を聞こうと思ったら、いや、これは地域福祉課のほうですよとか、それから、災害公営住宅に入った被災者がどうしても出ていくまでの間に時間がかかって、そのうちに生活相談員の方は留守だと思って帰ってしまわれるということが起きております。これは実際に被災者の生の声です。電話によるインターホンをつけたいと言ったら、それは無理だと言われたと。そういうことを聞こうと思ったら、これは県土整備部ですということもあります。それぞれ各部局でも検証というものをしっかりと、予算と、それからその予算を使った成果というものを取りまとめられるのでしょうか、お伺いいたします。
〇石川復興推進課総括課長 各部局における検証についてでございます。
各部局におきましてもそれぞれの事業の進捗状況を取りまとめているところでございまして、復興局におきましては、全体といたしまして主な取り組みの進捗状況を定期的に取りまとめているというような形でございます。
また、毎年度、各事業で指標における年間目標に対する進捗状況も押さえておりまして、これにつきましては、復興委員会あるいは各専門委員会に報告しているところでございます。
また、毎年度、いわて復興レポートにおきまして、それぞれの三つの原則10の取り組みごとの実績と課題、今後の方向性を取りまとめているところでございますが、いずれ、復興局のある意味としてやはり横断的な取り組みが必要だと考えてございますので、しっかりと各部局と連携を図りながら進めてまいりたいと考えてございます。
〇工藤勝子委員 やはりそういう中で、計画がきちんと進んでいったもの、それから、どうしてもおくれているもの、今のように住宅再建等はいろいろな課題をまだまだ抱えているようでありまして、そういうことをしっかりとやる部分があるのではないかと思っております。
その中で、もう一つ、被災者支援対策についてお伺いいたしたいと思っております。
災害公営住宅に入った人からの声であります。非常に遠いところの災害公営住宅に入ってしまったということで、応急仮設住宅にいたときより非常に買い物とかが不便になったということで、バスもないですし、タクシーで行かざるを得なくなったというお話もございました。そういう中で、今の災害公営住宅の現状、復興局として、そういうバスの配置等はどのように考えて応えられようとしているのかお伺いしたいと思います。
〇小笠原生活再建課総括課長 災害公営住宅における交通の確保でございますが、現在、地域公共交通活性化推進事業費補助─これは政策地域部で所管してございますが─によりましてコミュニティーバスの実証運行を行うなど、新たなまちづくりに対応した交通の確保を図っているところでございます。
復興局といたしましても、市町村と情報共有いたしまして、被災者の方々の足が確保されるように連携して対応してまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 どうぞよろしくお願いしたいと思います。結構高いタクシー代をかけて買い物に行っているようであります。
これも一緒にこの間聞いたことですが、応急仮設住宅にいる人たちが4人、仲よしグループができて、一緒に災害公営住宅に入ろうねと4人で約束していたけれども、人気のある災害公営住宅で、結局1人しか当たらなかったと。あとの3人は外れてしまった。1人だけ入ることになった。そういうコミュニティーができて、仲よし4人組が一緒にまた助け合っていこうとした中で、以前はその4人の中に車の免許を持っている人がいて買い物にも行けた。だけれども別れ別れになってしまって、3人残ったほうはまだいいのですけれども、1人は非常に寂しい思いをしながら行くというようなお話もありました。
それから、会期中に資料をいただきました。復興実施計画における取り組みの進捗状況とかウォッチャー調査とか、事務所がある人たちは、多分事務所に届いたのではないかと思っています。私の事務所は、土日休みになります。私はこちらに月曜日から金曜日までいます。ですから、その間に事務所に届くと、これは目に入らないでしまうのです。たまたま用事があって、こちらに来る前にちょっと事務所に寄ったらこういう資料があったわけであります。各委員にこれが配付になったんだろうと思っています。できれば、会期中であるならば、議会で手渡ししたらいかがでしょうか。そうすれば私たちもある程度目を通すこともできるわけですけれども、事務所に寄らなかったら、これは手に入らなかったわけです。審査にもこういう資料は非常に大事になってくるのだろうと思っていまして、その辺のところをどう考えるかと聞くのもおかしいですけれども、今後はそういう形で配付を……、配付するといってもただじゃないでしょうから、議会に持ってくればただで配付できるわけですので、その辺のところも私とすれば気をつけていただきたいと思うのですけれども、所感があればお聞きしたいと思います。
〇石川復興推進課総括課長 復興局でさまざまな資料を作成しておりまして、また、議員の皆様にも配付させていただいているところでございますが、そういった配慮が足りなかったところにつきましては、この場をおかりしましておわびしたいと思います。しっかり対応してまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 私からは、1点、いわての学び希望基金を財源とする平成28年度事業についてお聞きしたいと思います。
まずもって、このいわての学び希望基金ですけれども、震災で親御さんを亡くされた孤児94名、遺児489名を大学卒業までの最長22年間を支えるために、県の条例で2011年6月に設置されたと聞いております。被災した他県に先駆けて設置されて、素早い対応によって、いち早く本県の被災された子供たちに希望を与えたこと、また、この動きによって他県においても基金を設立する動きが出てきたということで、その波及効果についても敬意を表したいと思います。また、現在、79億円超の寄附をいただいているということで、大変ありがたいことでありますし、また、当局の御努力にあわせて敬意を表したいと思います。
その中で、初めに質問させていただきますけれども、当初の目的であった孤児、遺児を大学卒業まで支える資金としてはどのくらいが必要であるとお考えになっているのか伺いたいと思います。
〇石川復興推進課総括課長 奨学金給付事業の所要額についてでございます。
現在の給付対象、それから給付金額を継続した場合、28億2、000万円余となる見込みでございます。
〇佐々木朋和委員 この金額は平成23年度に達成されていると伺っておりまして、そういった状況から平成24年度からはその他の被災児童生徒の支援としての事業が加わっておりまして、例えば教科書購入費等給付事業とか被災地生徒運動部活動支援費補助ということで、いずれも、被災地の子供たちが震災前の当たり前にできていたこと、勉学、部活動、また、大会への出場ができるようにという事業内容でありまして、これは万人が了とするところであると思っております。
そのような中で、来年度予算に向けてまた新たな事業が出てきておりまして、トータルで1億6、000万円余と聞いておりますが、そもそもいわての学び希望基金の事業の決め方はどのようになっているのか伺いたいと思います。
〇石川復興推進課総括課長 いわての学び希望基金を活用しました事業の決め方についてでございます。
基金条例の趣旨に沿いまして、被災した子供たちの教育の充実等を図るための事業につきまして関係部局から要求いたしまして、毎年度の予算要求の過程におきまして、事業の必要性あるいは規模等を総合的に検討、精査して決定させていただいているところでございます。
〇佐々木朋和委員 そういったことは、復興局のほうで上がってきた事業についてチェックをしたりということはなさっているんでしょうか。
〇石川復興推進課総括課長 各部局からまず復興局に各事業について説明をしていただきまして、復興局としての意見をつけた上で予算要求という形になってございます。
〇佐々木朋和委員 当局においては他部局に比べて被災地について最も詳しい部局だと思っておりますし、また、このいわての学び希望基金の趣旨に沿った事業であるべきだし、また、基金ですから、息の長い事業に使っていただきたいという思いがあるわけですけれども、平成28年度の新規事業を見ますと、例えば科学ILC推進室から、沿岸地域で地域サイエンスシンポジウムを開催、110万円余という事業が出てきておりますけれども、私は、これはILCの機運の醸成というところが強くて、やはりそういった予算から出すべきではないかと思います。また、生涯学習文化課から、沿岸地域の子供たちがすぐれた文化芸術に触れる機会を確保するため、バスの借り上げや芸術家の派遣、美術館移動ワークショップを実施ということで3、800万円余が計上されております。こういった趣向というか、万人が必要としているものではなく、こういった特定の趣旨で使われるものについては、本当に被災地の子供たちから、また、被災自治体から必要性の声が上がっているのかなといった思いがするわけであります。また、国体・障がい者スポーツ大会局総務課からは、1、200万円余で国体に子供たちを呼んでいただいて、選手、来場者の皆さんに感謝の気持ちを伝える応援団を結成する。また、式典の前に、子供たちに大漁旗を持って来て応援をしていただく、そういったものにも使われているわけですけれども、こういったものは本当に子供たちの将来を支える基金から出すべきものなのか、私はこういった思いがするわけです。これは基金事業として適していると判断されたと思うのですけれども、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
〇石川復興推進課総括課長 今後のいわての学び希望基金の使い道ということでございます。
震災津波で親を亡くした子供たちへの奨学金や給付金はしっかり継続していかなければいけないと考えてございますが、それとあわせて、被災地の子供たちのニーズに対応した事業を実施することが必要と考えているところでございます。
こうしたことから、復興局は、関係部局とともに、沿岸地域の学校、福祉施設等々に出かけまして子供たちをめぐる状況をお伺いしているところでございますし、各部局と連携しながらこうしたさまざまな新規事業の検討を行っているところでございます。
さまざまな事業を今回要求させていただいているところでございますが、今後におきましても、被災地の子供たちを取り巻く環境の変化に対応しまして、子供たちを支援する事業についてしっかり精査してまいりたいというように考えてございます。
〇佐々木朋和委員 そこはまだ聞いていなくて、今の事業についてどうなんだというところを聞いたのですけれども、まあ、了としたいと思います。
私は、今、県財政も厳しい中で、各部局のマイナスシーリングになっている部分のところが基金事業に入ってきてはいけないと思うのです。やはり復興局にはしっかりとチェックをしていただきたいと思いますし、こういった小さな事業─小さな事業と言ってはだめかもしれませんが、トータルで1億6、000万円費消するわけです。そういった意味で、遺児、孤児の皆さんへの支援という部分が確保されたのだったら、私は、大きな意味でもう1本柱を立てて、予算特別委員会の委員の皆さんのお話を聞いていても、例えば被災地の子供の貧困対策のために、遺児、孤児以外にも要件を緩和するでありますとか、あとは県北・沿岸地域の35人学級の拡大でありますとか、また、被災地をモデル校にして本県の課題であります数学の学力向上に使うとか、あとは被災地に戻ってもらうための給付型奨学金の設定をするとか、もっと大きな事業に使っていただければいいのではないかと思うのです。あと、船事業も、私は被災地の子供たちをリーダーとして育てるのもいいと思うのですが、この点について局長にお話を最後に伺って、終わりたいと思います。
〇中村復興局長 今、委員から具体的な御提案を幾つかいただきました。この基金を活用する場合には、基本的には、やはり寄附をしていただいた方の御意思を最大限尊重して活用しなければならないというところが大前提にございます。
先ほど課長からお話しいたしましたけれども、震災で親御さんを亡くされた子供の、社会に出るまでの勉学なり生活費等をしっかり支援しましょうというところが一番のメーンでございますが、ただ、現実の今の支給の実態と集まった御寄附の金額を見比べますと、実際はそれを上回る多くの御寄附を頂戴しておりますので、それを遺児、孤児の方以外にも、どういったところまで実際に活用が許されるのかどうかというのは、我々も内部で関係部局ともいろいろ議論しておりますけれども、なかなか一律の線引きは正直難しいところがあります。
ただ、今、委員からも幾つか具体の御提言もいただきましたので、これは引き続き、また庁内関係部局ともしっかり議論しながら、いずれ、いただいた御寄附の趣旨に沿いながら、最大限被災地の子供たちのいろいろな諸活動に生かせるように、活用を検討してまいりたいと思います。
〇佐々木朋和委員 私は一つ、自治体の意見も聞く、また、実際に子供たちにアンケートをしてみるというのもいいのではないかと思います。いずれ、いわての学び希望基金のこういったパンフレットが支援者の皆さんに届いて、大変感動されているというお話も聞きます。いい取り組みだと思っております。そういったときに、ここに事業が載ったときに、首をかしげられることのないように、ぜひとも注意して取り組んでいただきたいと思います。
〇嵯峨壱朗委員 何点か質問させてもらいます。
先ほどの局長の説明でも、本年を本格復興を完遂する年と位置づけるという話をしておりました。この本格復興完遂については総括質疑等でも知事とやりとりしたわけですけれども、知事の説明は、第2期本格復興期間の最終年度として、この6年の実施計画を確実になし遂げるという強い意思を込めてそう名づけたと言っておりますが、残念ながら、そう受け取っている人はほとんどいないですね。
この間、大船渡市で行われた5周年の追悼式の式辞で、知事は、本年を本格復興完遂年と名づけ、復興を強力に推し進めてまいりますと述べているわけですけれども、これに違和感を感じたのは、この発言で、この式辞で、第2期アクションプランの完遂をもって完遂だととりますかね。その辺、どうもダブルスタンダード、議会での説明と、それ以外のものに対しての説明と違うのではないかという気がするのですけれども、その点どうでしょうか。
〇中村復興局長 これは本会議なり予算特別委員会の総括質疑等でも知事からも申し上げておりますけれども、基本的な考え方は、今、委員からお話があった、第2期のいわゆる今、本格復興期間というのが平成26年度から平成28年度までということで、平成28年度がその3年目の最終年に当たるということで、3年間の本格復興期間で掲げられた事業については、第2期復興実施計画に具体的な事業が掲げられているわけですけれども、その事業についてはしっかりやり遂げていこうということで、平成28年度を本格復興完遂年と位置づけをしているということでございます。
先週、大船渡市で行われた追悼式で、知事が式辞の中で本格復興完遂年についても述べておられますけれども、それも、そういう趣旨で述べられたものと私は理解してございます。
〇嵯峨壱朗委員 そういう趣旨で述べたのでしょうが、そうとるかどうかなんですよ。県民の側、受ける側として。私が聞いていると、ほとんど、ことしで岩手県の本格復興は完遂─完遂というのは、要するに終わるという意味ですね。完全に終了する。英語で何と言うのですかとまだ知事から聞いていませんけれども……(「フィニッシュ」と呼ぶ者あり)フィニッシュ。(「ジ・エンド」と呼ぶ者あり)多分ね、エンドというふうにとるんですね。そうすると、説明すれば第2期アクションプランの最終年度であり、それをするのだと言うのでしょうけれども、受け取る側とすると、岩手県は復興が完遂したんだ、終わったんだととるおそれがあるのではないかと思って言っているのです。
ですから、局長は現場として、知事が言っていることをそうじゃないと言えないかもしれませんけれども、どうですか。
〇中村復興局長 結局、本格復興というのをどういうふうに理解するかということになるんだろうと思います。本格復興を復興全般と理解されれば、その復興全般が平成28年度に完遂されるのか、それとも、我々県の意図とすれば、平成28年度までを県の復興計画では本格復興期間という位置づけをしているので、少なくともその平成28年度までにやると決めている事業については、しっかりやり遂げるということで我々としては使っているということなので、それについては、引き続きいろいろな場で、県民の皆様にも誤解のないように説明していければと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 多分説明してもわからないですよ。そこまで見ていないから。だから、意気込みとして、恐らく、本格復興を完遂させるのだと通すしかないですよね。だって、一般的には、第2期アクションプランが終わるのを完遂だなんて思いませんからね。どう説明しても、それは無理だなと思っているので、その辺をきっちりと本当に進める意気込みでやるしかないと思っていました。
いずれ誤解のないようなというか、岩手県はもう終わったのだととられないような形での説明が本当に必要だと思いますので、ぜひお願いしたいと思います。
また、局長は、沿岸振興局長のときに、この被災を直接というか現場で体験したわけであります。そして、復興局長をやって、この5年間、震災で始まって震災で終わったという、言い方は悪いですけれども、そういった感じがして、大変な5年間だったなと思っております。
改めて、現場も発災当初から接していて、どういった思いを持ってこの5年間、もう少し復興局長をやってもらえるかと思っていましたけれども、限度のようですから、どういう思いなのか、ちょっと感慨をお伺いしたいと思います。
〇中村復興局長 発災時点では沿岸局におり、その後、本庁の政策地域部、あと、ここ2年間は復興局ということで、所属したところでやってきた業務は違いますけれども、いずれこの5年間は、県政の最大課題でございます復興に全力を傾注してきたつもりではございます。
ただ、実際にはまだまだ復興は道半ばという状況にございますし、多くの被災者の皆さんが応急仮設住宅等で暮らされているという厳しい状況もございます。ただ、例えば先週末でありますと、道路の開通でありますとか、大槌町、大船渡市でまち開きの式典が行われるといったように、かなり復興も被災者の皆様にも目に見えるような形で進捗が図られてきているのではないかとも思ってございます。
そういった意味で、まだまだやり遂げられなかったことは非常に多くの分野で山積してございますけれども、これにつきましては、いずれ後を託す後輩の職員の皆さんがしっかりやり遂げていただけると信じてございます。
〇嵯峨壱朗委員 きょうの新聞等でも出ておりましたけれども、住宅金融支援機構の住宅ローンの返済猶予が終了したという、新たな課題等もまだ残っているのは事実であります。これで終わりますけれども、今、後輩というか、残った職員の皆さん方にきっちりやってもらいたいということですが、あえて最後に、これで最後にしますけれども、やり残したということではないでしょうが、これはもっとこう進めたかったとか、いっぱいあるでしょうから、また未曾有の災害ですので、こういうことがもう二度とないことは当然心から祈るわけですが、あえて今後に、残しておきたいこと、こういうことは忘れてほしくないとかといったものがあれば、お聞かせ願えればと思います。
〇中村復興局長 幾つかございますけれども、あえて申し上げれば、やはり今回の震災で犠牲になった方、また行方不明の方を含めて、本県では約5、800名の方が犠牲になられているということで、そういったことを二度と起こさないということで、我々としては、いろいろな取り組みをやっていく必要があるだろうと思っております。
特にそれは、防潮堤を含めていろいろなハード的な事業も今進めているわけですが、やはり基本的には、一旦地震等があれば、しっかり避難いただくということをいかに多くの県民の皆様に徹底して協力いただくようにするのかということが、そういった意味では最大の課題かと思っておりますし、今の復興に当たりまして、知事もよくおっしゃっていますけれども、被災者イコール復興者だということで、やはり、あくまで沿岸にいる方々、沿岸で被災した方々が主体となって復興していただかないと、これはなかなか持続可能な三陸の創造には難しいのではないかと思っております。
ですから、我々はいろいろな取り組みをいろいろな部署でやっておりますけれども、あくまで主役というか、被災者の皆さんお一人お一人が主体となって、みずから復興していこうというお気持ちを持っていただけるように、我々としては、その後押しをするのが大きな役割なのではないかと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 発災からいろいろな場面で苦労されたことだと思います。それについては感謝申し上げます。それと、今後また、大所高所からいろいろな形でアドバイス等をいただければと思います。
〇神崎浩之委員 復興局の皆様には5年間本当にお世話になりました。ありがとうございます。いろいろと節目というものはあり、3年、5年、10年、30年、50年、100年と節目はあるわけですが、5年の節目ということで総括的にお伺いしたいと思います。
東日本大震災復興基本法という法律がありまして、これにのっとった復興の状況にあるのかというようなことをお伺いしたいと思います。
3月6日に東京で復興支援をするイベントがありまして、私もそこに行ったわけですが、石巻出身の関東圏の方が復興支援をするというイベントだったんですが、その中で、今回の復興には東日本大震災復興基本法という法律がありますよねということを言われました。それから、国民全体で、企業も含めて特別な税金も使っているのですよねという話を私は東京の方に言われて、はっとしたわけですけれども、そこで、今、岩手の復興というのは、細かい課題はあるのですが、この法律にのっとった復興の状況にあるのかということを確認させていただきたいと思います。
通告しておりますから、この法律の条文等があると思いますけれども、まず、目的ですが、東日本大震災の被害が甚大であった、我が国にとって未曾有の国難だったということなので、国民が安心して豊かな生活を営むことができるようにということで、復興のための資金を確保しますよ、特区をつくりますよ、復興庁の設置をいたしますよというところから始まっております。
そして、第2条に基本理念があるのですけれども、この基本理念の中の、まずは5項のロに、被災地域における雇用機会の創出と持続可能で活力ある社会経済の再生を図るための施策をやりますというようなことをうたっております。現在、岩手県については、このロのことについてはどういう状況にあるのか、例も出してちょっと説明をいただきたいと思います。
〇石川復興推進課総括課長 東日本大震災復興基本法の趣旨に沿った復興の状況ということでございます。
今、委員からもお話がございましたとおり、この法律の基本理念の中の5のロというところでは、被災地域における雇用機会の創出と持続可能で活力ある社会経済の再生を図るための施策ということで取り組まれているところでございます。
例えば、現在、国の復興道路あるいは復興支援道路という形で三陸沿岸道が過去に例のないスピードで進んでございます。その結果として、現在、交通の結節点として期待されている宮古市におきましては、内陸とのアクセスの向上を期待し、室蘭港とのフェリーの定期航路の開設が発表されたといったようなこともございますし、釜石港でのコンテナ取扱量が震災前の水準を超えて、今後さらに増加が期待されるといったようなところで、こういったものにつきましても、今後の雇用に結びつくものという形で期待しているところでございます。
県におきましても、東日本大震災復興基本法の趣旨を踏まえた復興の取り組みが推進されるよう、市町村、国とも連携しながら取り組んでまいりたいと考えてございます。
〇高橋産業再生課総括課長 東日本大震災復興基本法の理念に基づく雇用機会の創出等についてでございますが、震災後、雇用を創出しなければならないということで、事業復興型の雇用創出基金でありますとか、国とも連携しながら、いろいろと取り組みを進めてきたところでございます。
そういったことで、被災地におきましては、雇用保険でいいますと、震災前より雇用保険被保険者数がふえているといった状況にあるようなところまで来ていると認識しているところでございます。
〇神崎浩之委員 次に、4項には、少子高齢化、人口の減少、それから食料問題、電力、エネルギーの利用、環境への負荷及び地球温暖化等、人類共通の課題の解決に資するための先導的な施策に取り組むべきと書かれておりますが、この点についてはいかがでしょうか。
〇石川復興推進課総括課長 県の復興基本計画の中にもさんりく創造プロジェクトというものを設けております。そのうちの一つに研究拠点プロジェクトというものがございますけれども、その中におきましては、例えば海洋エネルギーの実証フィールド、あるいは海洋研究を通じた地域のイノベーションを図り経済活動を振興していくといったようなものを位置づけておりまして、そういった形で県の各部局で取り組んでいるところでございます。
〇神崎浩之委員 この基本理念の第2条第1項をこの項目の最後にお聞きいたしますけれども、被災地域における経済活動の停滞が連鎖的に全国各地における企業活動や国民生活に支障を及ぼしているということなので、ここからが重要なのですが、被害を受けた施設を原形に復旧すること等の単なる災害復旧にとどまらない活力ある日本の再生を視野に入れた抜本的な対策及び一人一人の人間が災害を乗り越えて豊かな人生を送ることができるようにすることと書いてあります。
被災当時は、単なる復興ではなくて日本の再生を含めたというようなことをよく国を含めみんなが言っていたのですが、現実には、もとのものを戻すだけというような声をよく聞いております。これは一番大切なことだと思っておるんですが、この点について、原形に復旧することのみではないというようなことについて、岩手県としては、この理念をどういうふうに現実化しているのでしょうか。
〇石川復興推進課総括課長 先般、復興大臣もお話になっておりますけれども、やはり、例えば地域の産業につきましても、水産業、水産加工業が中心となっているわけでございますが、それの復旧はもちろんでございますけれども、新たな産業をつくっていかなければいけないとお話になっておりまして、例えば観光産業といったようなものに取り組んでいる。これにつきましても、県としても、しっかりこれから取り組んでいきたいと考えてございますし、先ほど申し上げました交通ネットワークの整備あるいは復興まちづくりの進展を踏まえた今後の三陸地域の持続的な発展を図る方策を、現在、県としても検討しているところでございます。
〇神崎浩之委員 私たちは、被災地にいるときは被災地の課題、被災地を一歩出れば、広く全国の皆さんに、こういう現状で復興が進んでいますよということを説明する責任もあると思っておりますので、お聞かせいただいたところであります。
この法律の中に復興庁の設置ということがあるので、この復興庁の設置と、それから県の復興局の設置、これらの効果と課題を聞いてまいるわけですけれども、国のほうも、最初は二重行政になるのではということで時間もかかったこともありますが、省庁横断的に復興庁を設置いたしました。これに対して、岩手県とすれば、その効果はどうだったのか、それから課題はあったのか、その辺のあり方についてはどうだったのかお聞かせいただきたいと思います。
〇石川復興推進課総括課長 復興庁の設置の効果、それから課題についての御質問でございました。
復興庁につきましては、県あるいは市町村における復興に関する相談や要望等の一元的な窓口として大きな役割を果たしてございます。また、岩手復興局につきましては、宮古市あるいは釜石市に支所を設けるなど、国が直接、被災地域の実情を丁寧に把握し、復興政策に反映させることができる、国の復興政策の推進に大変重要な役割を担っている機関であると認識してございます。
一方、課題といたしましては、例えば復興交付金の活用に当たりまして、被災者の実情を十分に踏まえた柔軟な制度運用をお願いしていきたいと考えているものでございます。
今後におきましても、引き続き、国、県、市町村が一致団結して復興に取り組んでいけるよう、現在と同様、万全の体制を継続されるよう強く望んでまいりたいと考えてございます。
〇神崎浩之委員 復興庁の設置に当たっては、復興政策を統括するとか省庁間の連絡調整、それから特区の認定、交付金の配分等、今であれば何となく整理ができるのですけれども、当初は、やはり県のほうも、どこの窓口に言えばいいのかということで大分戸惑いもあり、御苦労もあったのではないかと考えております。
次に、県の復興局の設置の効果と課題、それから今後のあり方について、国は10年、そして見直すということもあるのですけれども、一方、県の皆さんの組織は、課題、効果について、先ほどの議論でも、もし本当に復興が完遂するのであれば来年度で要らないのではないか─ということはないとは思いますが、県の復興局の設置の効果、課題、それから今後のあり方についてお伺いしたいと思います。
〇石川復興推進課総括課長 復興局の設置の効果、課題、今後ということでございます。
復興局につきましては、復興に関する取り組みを迅速かつ強力に推進するため、復興計画推進のための司令塔の役割のほか、新たなまちづくりや水産業を核とした産業再生の取り組み、あるいは被災された方々からの相談対応、生活再建に向けた支援を担うなど、部局横断的な課題に一元的に取り組んでいるところでございます。
課題といたしましては、限られた人員体制の中で、変化していく復興ステージに応じ発生する新たな課題が出てこようかと思います。こういったものに適切に対応していくことなどが挙げられるかと考えております。
今後の復興局のあり方につきましては、復興の状況を見ながらしっかり判断していく必要があろうかと考えてございます。
〇神崎浩之委員 最後に局長にお伺いして終わりますけれども、まず、この基本法があるわけですね。立派な目的や理念が書いてあります。これにのっとって岩手の復興をどういうふうに進めるべきであるのか、進捗状況もあわせてその感想が一つ。
それから、国の復興庁については、先ほど被災地をしっかり見てほしいという答弁もありましたが、この国の復興庁、それから県の復興局のあるべき今後のあり方、それから、この理念にのっとった復興の進め方、これらについて局長の御見解をお伺いしたいと思います。
〇中村復興局長 委員からお話がありました復興の基本法、基本的にはこういった考え方を踏まえながら、岩手県でも、県としての復興基本計画なり、それを受けた実施計画を策定して、今、復興を進めていると考えております。
いずれ折々に、今、委員からも御紹介ありました基本法に掲げられている基本的な理念というものは、我々としてもしっかりとそれを再確認しながら、日々の仕事に生かしていく必要があるんだろうと改めて感じたところであります。
それと、復興庁、あと県の復興局のあり方というお話もございました。復興庁については、先ほど課長が申し上げたとおり、しっかりと役割を果たしていただいているとは思いますけれども、そこは引き続き、やはり被災地の状況に丁寧に寄り添って、なおかつ、県や市町村とも十分連携を図りながら、今後とも、ぜひ復興を進めていただければと思います。
それから、今、我々の復興局についても、それは同じ話が言えるんだろうと思いますので、庁内関係部局はもとより、沿岸の市町村、それから被災者の皆さんのお話も十分お伺いしながら、今後の復興にそれを反映させて、一日も早い復興につなげていくことが必要だろうと思ってございます。
〇神崎浩之委員 単なる災害復旧ではなくて、国は法律をつくって進めるということ、それから、広く国民から税金をいただいての復旧である、復興であるということを我々も意識していきたいと思っております。この趣旨にのっとって、法律にも、こういうふうに書いてあるのだということで、我々も支援してまいりたいと思います。
〇高橋但馬委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇田村まちづくり再生課総括課長 先ほどの瑕疵担保について、斉藤委員の御質問にお答えいたします。
瑕疵担保の責任におきましては、瑕疵を知った日から原則1年、宅建法40条1項によれば、目的物の引き渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除き、民法より不利な特約をしてはならないと定められてございます。
一方、債務不履行責任と捉えれば、消滅時効の一般原則である10年と捉える考え方もあるようでございますが、調べましたところ、学説でも争いのあることでございまして、今後、実施主体である市町村と協議しながら、適切な対応を検討してまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 それでは、私は、まず最初に、孤独死を出さない復興の取り組みについて質問します。
警察庁の発表では、岩手県の仮設住宅で生活していた人の孤独死は52人と公表されました。朝日新聞の被災者アンケートなどでも、5年を経過して被災者の状況は大変深刻になっていると。岩手大学の麦倉先生の調査でも、心の平安が戻っていないというのが6割を超えておりました。
それで、一つは、仮設住宅に取り残される被災者へのこれまで以上の対策、見守りが必要だと。5年たっても仮設住宅から出られない方々の心の痛み、重み、生活苦が、私は今まで以上に深刻だと思うのですけれども、この対策はどのようにとられるのでしょうか。
〇小笠原生活再建課総括課長 応急仮設住宅に入居されている方へのケアということでありますが、現在、見守り活動につきましては、社会福祉協議会が雇用し、県が補助する生活支援相談員のほか、各市町村が独自に雇用する仮設団地支援員、これは市町村によって名称が異なりますが、そういった方々により見守り活動を行っているところでございます。
委員御指摘のとおり、現在、応急仮設住宅での生活が長期化していることに加えまして、復興の進展により空き室が増加している状況でございますので、特に、今後は高齢者の方への見守りが重要になってくると認識しております。
このため、平成28年度は、国の財源になりますが、被災者支援総合交付金が拡充されます。これを使いまして生活支援相談員、また各市町村が雇用する支援員により、よりきめ細やかな見守り活動を行ってまいりますほか、コミュニティーの維持として、例えばそういった方々に、いわゆるお茶会みたいなものを設定して、顔を合わせるような機会を設けていただくとかといったことを通じまして、見守りやらコミュニティーの維持に取り組んでまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 先日、釜石市の仮設団地で80代の女性が亡くなり、一緒に生活していた50代の男性が衰弱状態で発見されるということもありました。私は、取り残される方々の痛み、ここに本当に心を寄せた取り組みが必要だと思います。
二つ目は、災害公営住宅では、孤立化、孤独化が仮設団地以上に進行している。私はこの間ずっと調査をして、災害公営住宅の方々からお話を聞いて、そのことを実感しています。隣に住んでいる人がわからない、同じフロアに住んでいる人がわからない。そして、重い鉄の扉で外に出なくなったと、これは共通の特徴です。ですから、もう孤立化、孤独化が仮設団地以上に急速に進んでいると。生活不活発病で体調を崩したという例も既に出ています。
一つはそういう認識が県にあるのか、市町村にあるのか。私は、この認識が大きな分岐点になると思うので、やはりそういう認識で当たらないと、阪神・淡路大震災で、実は復興公営住宅に入ってから897人が孤独死しているんですよ。阪神・淡路大震災では、復興公営住宅での孤独死が圧倒的に多いんですね。
そして、阪神で孤独死対策に当たった萬さんという人が、東北は神戸より厳しい状況だと言っています。そういう認識に立って、あらゆる対策、特に、一定規模の災害公営住宅には、仮設住宅と同じように支援員を配置して、集会室も活用して一人一人の見守りを強めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
〇小笠原生活再建課総括課長 災害公営住宅にお住まいの方のいわゆる孤立の問題でございますが、まず、県の認識ということでございますが、昨年、NPO法人が災害公営住宅にお住まいの方に対してアンケートを行っておりますが、その結果によりますと、不安を感じるという方が、応急仮設住宅と災害公営住宅でほとんど差がないことが明らかになっております。したがいまして、災害公営住宅に移られたからといって、そこで整理がついているというわけではないことは、当方でも認識しております。
このため、災害公営住宅についても、やはり見守り活動は必要だと認識しておりまして、先ほど御答弁申し上げました生活支援相談員のほか、市町村が独自に雇用している支援員が巡回して、現在、見守り活動を行っているところであります。
県からも市町村に対しまして、地域で必要とされる見守り等の支援体制が総合的に確保されるよう、文書のほか、個別に市町村に出向きまして依頼しているところでございます。
これらを受けまして、現在における来年度の支援員等の配置計画でございますが、生活支援相談員につきましては、ことし1月時点で178名配置しておりますが、これを上回る193名の配置を現在計画しておりますし、市町村におきましても、見守りやコミュニティー支援のための支援員が今年度は187名いらっしゃいますが、まだ、国の正式な決定がございませんので数字は申し上げられませんが、これを上回る配置計画となっているところでございます。
〇斉藤信委員 仮設住宅と差がないということが深刻でないということなのか、仮設住宅と同じように深刻だと受けとめるのか、これは後でそのデータを明らかにしてください。どのぐらいのデータかね。
私は、実際に自治会長からも入居者からも聞いて、共通に、本当に孤立化、孤独化、外に出歩かなくなった、そして、高齢者の姿を見ないというのが、本当の災害公営住宅の実態ですよ。仮設住宅というのは、玄関をあけると、すぐ同じ人たちがいるのですね。同じ状況で生活していますからね。その違いをしっかり認識しないと、これは誤りますよ。
孤独死に詳しい淑徳大学の結城教授は、復興住宅に移っても、高齢者が孤立していては生活の復興とは言えない。仮設住宅に常駐していた支援員を復興住宅にも配置するなど、各自治体が支援の新たな枠組みを考える必要があると、専門家がこういうふうに指摘しているんですよ。私は、それをしっかり受けとめて、やっぱり活用できるものは最大限活用すると。
意外と市町村は、災害公営住宅をつくって、大体復興はそこで山を越えたとなりますから。しかし、復興というのは、一人一人の被災者の生活再建なんですよ。生活再建で一番大事なのは人と人とのつながりです。その人間関係がなかったら、孤立して心も体もだめになるというのが大きな教訓ですよ。
復興局長、私は、そういう立場でこの問題に対応していただきたいけれども、いかがでしょうか。
〇中村復興局長 我々も、今、委員からお話のあったとおり、災害公営住宅が完成し、そこに入居していただければ、それで被災者の方々の生活が再建したとは考えてございませんので、その後もしっかりフォローしながら、お一人お一人が自立した生活を持続的に営んでいただけるような環境整備にしっかり取り組んでまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 私は先日大船渡市に行ってきました。大船渡市は、仮設団地に複数の支援員を配置していますが、今、仮設団地が縮小しているものですから、その支援員が今、復興住宅も回っているんですね。これは進んでいるほうですよ。それでも被災者から見ればどうかというと、仮設住宅のときは、見守りが必要な人に毎日回っていたものが、災害公営住宅に入ったら月1回だと。これもまた事実なんですよ。
だから、支援員の人たちは、この4年、5年で大変重要なスキルを身につけているので、こういう人たちを活用して、さっきの話だと、さらに来年度は拡充される方向ということなので、この被災者支援総合交付金を本当に最大限活用して、この2年、3年、来年度は仮設住宅から災害公営住宅に大規模に移動する時期なんです。この時期に必要な手だてをしっかりとる、後手に回らない、このことを強く求めておきたいと思います。
二つ目に、住宅確保の見通しと災害援護資金の取り組みについてお聞きしますが、一般質問で私が取り上げたときに、住宅確保の見通しが未定というのは約400世帯ということでした。先日、これを大船渡市長にもお聞きしたら、仮設住宅入居者836人中、257世帯が未定、そのうち50世帯は生活設計が立たないような深刻な状況だという話をしておりました。県の把握はちょっと甘いのではないか。恐らく、連絡もとれない、集計もされなかったという数もあって実態は400世帯の倍ぐらいになるのではないかと思いますが、全体の状況をどう把握しているでしょうか。
〇小笠原生活再建課総括課長 被災者の住宅確保の見通しに関する調査結果について申し上げます。
平成27年12月末現在で沿岸の市町村から報告いただいた数でございますが、住まいの再建方法が未定と回答された方が413世帯、連絡がとれない等により把握できていない世帯が684世帯、合わせますと1、097世帯で、全体の5.3%の方が住宅再建の方法が決まっていない状況となっております。
〇斉藤信委員 連絡がとれないのが684世帯というのも、これはちょっと深刻だと思うけれども、私は大船渡市長に聞いて、あそこはよくつかんでいると思うのですが、やはり未定の中には、生活苦で災害公営住宅に入る見通しも立たない。だから、生活保護の適用も考えた援助が必要だという認識ですよ。いわば残されている方々は、生活苦で、災害公営住宅に入っても、家賃が発生したり共益費が発生すれば、やっていけないのではないかという不安を募らせることが少なくないというこの現実もよく見て、取り残された方々の住宅確保の見通しをしっかり本当にこの1年以内に立てるようにしていただきたいと思います。
それで、私は一般質問でも災害援護資金の取り組みについてお聞きしました。350万円、厚生労働省の通知では、被災者の場合には連帯保証人は要らないと明記されていながら、その後、県の通知で、原則連帯保証人が必要という形になって断られた被災者が少なくないのです。これは現実です。
私は、これは厚生労働省の通知にも反するのではないかと。特に、県の通知は、実はこうなっているんですね。本資金による土地、家屋など固定資産の取得等相続財産がない場合は、原則として申込者に連帯保証人を求めると。住宅確保で財産を確保するということになったら、私は、連帯保証人は要らないと思うんですけれどもね。圧倒的に住宅再建で活用しているという回答もありました。
その点で市町村の担当者会議も開いたようですが、私は、この点は柔軟に対応して、特に高齢者の場合はローンが活用できないので、最大限住宅再建を支援する対応を強めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
〇小笠原生活再建課総括課長 災害援護資金の貸し付けについてでございますが、委員御指摘のとおり、震災直後、国から、原則として保証人は立てなくてもよいという通知が出されました。この通知の趣旨について確認したところ、震災という緊急性に鑑みまして、返済が確実な方に対しては保証人を立てなくてもよい旨通知したものである。それまでは保証人は必ずつけなければならなかった扱いでございました。それが、返済が確実な方については、それは要らないという趣旨ですということを国から説明を受けております。
このことから、仮に貸付金が返済されない場合、市町村がかわりに返済しなければならないことになりますので、県では、先ほど委員御指摘のとおり、借り受け人となる方に相続財産がない場合は、原則として連帯保証人を求めてくださいという通知を出したところでございます。
また、先ほど市町村担当者会議のお話がございました。ことしの2月に県内3カ所で災害援護資金の担当者を集めた会議を行いましたが、この会議では、ただいま申し上げました通知の趣旨を再度確認、徹底したところでございます。
なお、保証人を立てた方の割合でございますが、平成27年12月末現在で44.3%となっているところでございます。
〇斉藤信委員 私の質問に答えていないんですね。いわば、県の通知では、私が引用したでしょう。本資金による土地、家屋など固定資産の取得等相続財産がない場合は、原則として申込者に対し連帯保証人を求めると。圧倒的に住宅再建でこれを活用しているといった場合には、財産形成になるわけですね。こういう方々にも連帯保証人を求めるのか、求めなくていいのではないかと私はお聞きしました。
もう一つは、この国の通知は、よく見ると、平成30年までという通知なんですよ。平成30年までこういう取り組みをしますよ、保証人は要りませんと。そして、その中にはこういうことまで書いているんですよ。東日本大震災の被災者への貸し付けについては、支払期日到来から10年経過後において、なお無資力又はこれに近い状態にあり、かつ、償還金を支払うことができる見込みがない場合も免除要件に該当すると。ここまで丁寧に書かれた厚生労働省の通知を、県の通知で、厚生労働省に確かめたからこれと全く違う中身を通知するというのは、通知行政として、これは間違いだと思いますよ。厚生労働省が違うのだったら厚生労働省の通知で直せばいいじゃないですか。
二つのことを聞きました。県の通知でも、住宅確保の場合には、原則連帯保証人を求めなくていいのではないか、もう一つは、厚生労働省の通知は平成30年まで、そして、10年後、返せない場合には免除要件に該当するとまで書いてあるんですよ。この精神で対応すべきじゃないですか。
〇小笠原生活再建課総括課長 まず、連帯保証人を求めることとした県の通知の趣旨について、相続財産がある場合は不要ではないかということでございますが、これにつきましては、そのとおり、この間の市町村の担当者会議で周知したところでございます。
それから、二つ目の10年無資力のお話でございますが、確かに通知ではそう書いておるのですが、しからば、どういう状態が10年間で無資力の状態なのかということについて、国に対しましてその基準を示してくれということを申し上げております。これにつきましては、国からは、まず返済していただくことが前提であるので、今の時点でその判断基準は示せないということの回答をいただいております。
いずれにしましても、災害援護資金というものは、そういった被災者の方々の住宅再建のためのとりで的なところもございます。果たして今までのやり方でよろしいのかというところは、我々としても疑問があるところでございますので、引き続き国に対して協議してまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 私が引用した県の通知の部分はそのとおりだと。圧倒的に住宅確保のためにこの災害援護資金を活用しているので、窓口で連帯保証人を出さなければだめと断られている人が実際に多いので、これから高齢者の方々が、住宅を再建するか災害公営住宅に入るかどうするか、決断の時期ですから、柔軟に、この制度を最大限活用できるような支援を強めていただきたい。
次に、被災事業所復興状況調査についてお聞きします。
この調査結果の内容、課題はどうなっているでしょうか。仮設店舗、事業所の現状と本設再開の希望状況、それへの対応についてお聞きしたい。
〇高橋産業再生課総括課長 被災事業所復興状況調査についてでございますが、この2月1日を基準日として実施した被災事業所に対するアンケート調査でございまして、回収率は56.1%でございました。
調査結果でございますが、事業再開の状況につきましては、今回を含め、これまで9回の調査から、被災事業所の78.6%が再開していると推計してございます。
また、建物や設備が半分以上復旧していると回答した事業所は71.6%、前回調査から3.1ポイント増、労働者が充足していると回答した事業所は66.4%、2.9ポイント増、業績が震災前と同程度または上回っていると回答した事業所は47.6%で1.0ポイント増となってございます。
全体としては緩やかな回復傾向を示していると考えてございますけれども、業績が震災前と同程度以上と回答した事業所の割合は50%未満、半分に満たない状況でとどまっておりまして、足踏みが続いている状況でございます。事業者が挙げる課題といたしましては、販路の喪失、減少、売り上げの減少、労働力の確保の順に多い状況となってございます。
次に、仮設店舗、事業所についてでございますが、被災事業所復興状況調査では、事業を再開した事業所のうち、仮設店舗、事業所で再開したと回答した事業所は今回20.3%で、前回調査から1.2ポイント減少しております。そのうち、本設再開を予定していると回答した事業所は75.6%で、前回調査から4.3ポイント増加しております。一方で、予定していないとした事業所は16.2%で、前回調査から7.4ポイント減少しているところでございます。
仮設店舗、事業所の本設再開に向けましては、関係部局、関係市町村等と連携しながら適切な対応を図ってまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 再開は8割方したけれども、今回見ますと、再開した率は73.8%で1.5ポイント低下なんですね。再開したけれども、その後減っているんですね。
それと、私が特に心配しているのは、仮設店舗ですけれども、75.6%が本設再開したいと。これは高まったと。これは大変大事なことです。ただ、この中には、平成28年内に再開したいというのが28.8%で、未定と答えたのが51.4%。本設再開したいけれども、その時期は未定と。ここに私は厳しさがあるんだと思うんですね。ですから、こういう方々が本当に本設再開できるような支援策、特に釜石市とか陸前高田市では、テナントで被災した方々に対する建物や家賃に対する独自の支援策もやっていますけれども、そういう対応を市町村とも協力してやる必要があるのではないかと私は思いますが、いかがでしょうか。
〇高橋産業再生課総括課長 テナントで被災した事業者に対する支援ということでございますが、グループ補助金あるいは県の補助金は、原則として、事業者が震災前から所有し、被災した施設、設備を復旧、整備するための経費を補助しているもので、テナント事業者が新たに店舗を建設する費用までは対象としていないところでございます。
ただし、グループ補助金におきましても、地域の商業機能回復を図るため、組合等が設置する共同店舗にテナント事業者が入居して復旧する場合には、その店舗部分の建設費用を補助対象としているところでございます。
テナント事業者が単独で店舗を再建する場合につきましては、地域によりさまざまな事情がありますことから、まずは、復興まちづくりの主体である市町村において、実情を踏まえた施策によることが適当ではないかと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 これを最後の質問にしますけれども、復興基金で岩手県は医療費、介護保険料の免除や住宅再建に100万円の補助や、さまざまな取り組みを積極的にやってきたと。今年度末でこの復興基金はどのぐらいまで活用されることになるのか。
そして、今後、新しい課題やニーズも出てきます。これに対応したいと9月の決算特別委員会で復興局長も述べていましたが、今後どのぐらいの基金が残って、これを平成30年度までにどう活用できるのかを示してください。
これが本当の最後ですが、東日本大震災津波の検証について、来年度予算では、震災津波関連資料収集・活用等推進事業費で4億9、000万円の予算がある。震災関連の資料を集めるのは当然なのだけれども、この中で、今度の大震災の教訓、なぜ6、000名を超えるような犠牲者を出したか、私はこのことの実証的な検証は必要なんだと思うんですよ。
これは岩手日報が遺族アンケートでやりました。また、大槌町の安渡地区が、あそこも大きな犠牲者を出した。犠牲者を全て調査したら、やっぱり高齢者などの、いわば要援護高齢者への対策が弱かったというので、3月6日に、地区防災計画を立てて訓練までやっているんですね。私は、こういう実証的な検証を踏まえて、震災の教訓を生かすような情報収集、そして、震災の伝承施設の整備をやるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
〇石川復興推進課総括課長 まず、復興基金の活用状況、今後の見通しでございます。
御案内のとおり、これまで復興基金として約725億円を積み立ててございまして、そのうち約425億円を市町村に交付し、残りの約300億円が県の活用分ということでございます。
平成28年度当初予算におきましては、県として、住宅再建費用の一部助成などの約37億円を初め、中小企業の事業再開に向けた支援、あるいは医療や福祉サービスの利用者への支援といった幅広い取り組みに総額で約54億円を活用する予定でございます。平成28年度末の残高は約67億円と見込んでございます。
今後におきましては、被災地域の状況、ニーズを的確に把握しながら、毎年度の予算編成作業の中で復興基金の活用についても検討していくこととなりますが、いずれにいたしましても、被災者の暮らしやなりわいの再生がおくれることがないよう、引き続き、国に対して必要な財源措置について強く要望してまいりたいと考えてございます。
それから、東日本大震災津波の検証についてでございますが、委員お話しのとおり、来年度、震災津波関連資料収集・活用等推進事業を実施することとしてございます。これにつきましては、県と市町村が連携いたしまして、被災の状況あるいは復興の状況につきまして震災関連資料ということで収集し、それをデジタル化し、それをストックした上で情報発信をする。情報発信する中で、基本的にはホームページをイメージしていただければよろしいかと思いますが、検索をして必要な情報を取り出すことができるという形にしたいと考えております。それとあわせて、防災、教育、交流人口というテーマで、見る方の見やすいような形で情報発信していきたいと考えてございます。
いずれにいたしましても、津波により再び人命が失われることのないように、しっかりこのたびの震災で得られました教訓を情報発信していく必要があると考えてございますので、必要な検証はどのようなものがあるのか、これから検討しながら、このシステムづくりに取り組んでまいりたいと考えてございます。
〇高橋但馬委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午後0時0分 休 憩
午後1時2分 再開
〇佐々木努副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
委員各位及び執行部に申し上げます。この後、本日審査を予定している部局について延べ19人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
なお、午前の復興局の審査の際、斉藤委員から求めのありました資料については、執行部から提供の上、お手元に配付してありますので、御了承願います。
質疑を続行いたします。
〇木村幸弘委員 進行に協力いたしたいと思います。
最初に、被災者に寄り添った暮らしの再建ということで当初予算のポイントなどでも説明があったわけでありますが、改めて、いわて内陸避難者支援センター(仮称)の設置が予定されているわけでありますけれども、そのセンターの具体的な役割及び体制、そして、その支援の内容について、どのようなものになっているのかお聞かせいただきたいと思います。
それから、もう一つ、応急仮設住宅の集約化の現状と見通しについてはどうなっているでしょうか。そして、集約化に伴って、教育施設、特にグラウンド等の原状復旧に対する見通しについてはどのようになっているのかお示しいただきたいと思います。
加えて、こうした集約化を進めるに当たって、やはり応急仮設住宅に暮らしている方々の被災者にかかわる支援あるいはアフターケアといいますかフォローの考え方が大変重要になってくると思われます。午前中、斉藤信委員からもそれぞれの質問があったわけでありますけれども、改めて、こうした集約化に伴う被災者に対する支援の考え方についてもお聞かせいただきたいと思います。
〇小笠原生活再建課総括課長 いわて内陸避難者支援センター(仮称)の役割についてでありますが、一つは、住宅再建の意向が決まっていない内陸への避難者に対しまして、被災元の市町村にかわりまして意向調査を行うという市町村支援の面と、もう一つ、被災者からの住宅再建に関する相談に応ずることにより、恒久住宅への移行を促進しようとするものであります。
センターの体制につきましては、NPO法人等への委託を予定しておりまして、公募により、すぐれた提案のあった団体に委託するということで進めております。
次に、具体的支援内容につきましては、先ほどと重複いたしますが、被災市町村からの依頼を受けまして、内陸及び県外の避難者の方々の住まいの意向調査を電話や戸別訪問等によりするとともに、困った問題を抱えておられる方に対しては、その解決に向けて関係機関、専門家のところにつなぐというような機能も持たせたいと考えております。
次に、応急仮設住宅の集約化の現状と見通しについてでありますが、現在のところ、宮古市、大槌町、釜石市、大船渡市の4市町で集約化計画を策定しております。山田町、陸前高田市の2市町におきましても今年度中に集約化計画を策定すると聞いております。
次に、学校グラウンドに建設されました応急仮設住宅についてでありますが、これまで三つの小中学校におきまして応急仮設住宅の解体撤去を行ったところでありまして、現在、29団地残ってございます。平成28年度は、新たに九つの学校で応急仮設住宅を撤去する計画となっております。
次に、集約化に伴う被災者支援でありますが、まず、金銭的な面としましては、県では、1世帯10万円を限度に─市町村を通じての補助になりますが─移転費用の補助を行うとともに、集約化計画の策定に当たりましては、住民に丁寧に説明しながら進めるよう、また、集約先のコミュニティーの再構築につきましても丁寧に行うように市町村に依頼しつつ、連携して進めているところでございます。
〇木村幸弘委員 内陸避難者支援センターの役割と体制ということですが、一つは、このセンターについては、内陸の例えば盛岡を中心にした設置の考え方なのか、あるいは、内陸でもそれぞれ拠点的に、盛岡圏あるいは中部圏あるいは県南地区という形で、それぞれの避難者にそれぞれの形で支援をしていくような対応や取り組みに対してこのセンターを位置づけていくのか、その辺のところの考え方をお聞かせいただきたいと思います。
それから、集約化については、まだこれから計画を立てて具体的に動き出すという自治体もあるわけでありますけれども、いずれにしても、計画に沿いつつも、しかし、被災者に対するしっかりとした支援といいますか丁寧な対応が当然求められると思います。4市町が既に進めている集約化計画に基づいて三つの小中学校において撤去されたという実績を上げているわけですけれども、具体的に、その際に対象となった被災者等に対する対応の仕方であったとか、何か成果あるいは課題等がなかったのかどうか、その辺についても承知していればお示しいただきたいと思います。
〇小笠原生活再建課総括課長 まず、内陸の避難者支援センターの関係でございますが、設置場所は、被災者の一番多い盛岡市ということで考えております。ただ、内陸も広範囲にわたっておりますので、あとはどういう提案が出てくるか。つまり、方法としてはいろいろ考えられると思うのですけれども、巡回して回る。そんなに意向調査は頻繁に回るわけではございませんので、盛岡に置いても内陸は十分カバーできると考えておりますし、あるいは、もし仮に別に拠点を設けたいというような提案があれば、それはそれで一つの提案になるかと思います。
それから、集約化に伴う被災者へのケアの面でございますが、まず第1に、集約化計画を策定するに当たり、丁寧に住民に説明することが必要であろうと考えます。やはり御理解、御納得をいただいた上でないとなかなか集約化は進みませんので、まずそこの一番最初は、御理解いただいた上で動いていただくというところが重要と考えております。
〇木村幸弘委員 盛岡市に避難者支援センターを設けるというのは一つの考え方としてわかりますけれども、そうすると、NPO法人等にこれから公募によって委託する際、場合によっては、盛岡市を拠点としたセンターの中でさまざまな内陸各地のエリアをカバーしていくような提案についても、それは出たところで判断をするみたいな答弁ですけれども、私は、県の姿勢として、むしろ逆に、内陸をしっかりとカバーできるようなきちんとした考え方をまず県が持っていないと、提案を待ってそれでいいでしょうみたいなことではなく、このセンターを設置するに当たっても、やはりきちんと全体をしっかりとカバーできるような基本的な姿勢といいますか、そういう構えをまず持っていただいた上で、その中で具体的に公募によってどのような提案がなされてくるのかに対しての判断をしていくことが重要だと思いますけれども、その点についてのお考えをもう一度聞かせてください。
次に、さんりくチャレンジ推進事業の具体的内容についてお伺いしておきたいと思います。
〇小笠原生活再建課総括課長 募集に当たりましては、被災した市町村ごとの担当者を配置するようにということで募集をかけます。あとはハードの面として、例えば県南のほうの市町村に常に人がいなければならないかということ、そこまでは県としては求めません。ただ、やはり被災元の市町村との連携が非常に重要でございますので、そこの担当者を設けてください、その分の人件費は積みますということで募集を行っております。
〇高橋産業再生課総括課長 さんりくチャレンジ推進事業についてでございますが、被災地における起業や第二創業、新事業進出など、若者や女性を初めとする新たなチャレンジをしようとする方を強力に支援していこうとするものでございまして、具体的には4段階の取り組みを考えてございます。
一つ目は、起業者やその予備軍、既存事業者等の交流会を開催するなどして、起業等の意識啓発や協力関係の構築を促進いたします。
二つ目として、商工団体に専門の指導員を配置いたしまして、商工会、商工会議所など地域の支援団体と連携した相談対応や助言、指導によって、事業計画の策定など起業等に向けた支援を行います。
三つ目として、起業等に当たりまして、初期費用の補助、あるいはクラウドファンディングによる資金調達の支援といったことを通じまして、事業計画の実現を後押しいたします。
四つ目として、起業等の後におきましても、地域の支援機関のほか、協力企業等とも連携いたしまして、経営指導や首都圏等へのPR、販路開拓を支援するといったようなことを予定しているものでございます。
〇木村幸弘委員 さんりくチャレンジ推進事業の説明をいただきましたけれども、昨年でしたか、本音で語ろう県議会のときに宮古にお邪魔した際、漁業、稲作農業、畜産などそれぞれの若手の事業者の方々との意見交換会がありまして、その際に、自分たちは特徴的な取り組みをしているんですけれども、新たな事業に対するチャレンジであるとか、あるいは関係する各業種の中での交流連携であるとか、そういった部分がなかなかできていないということをお話しいただいた経過がありました。
そういう意味で、今回のさんりくチャレンジ推進事業というのは、改めて、既にそういう事業を行っている若い人たちや、自分たちの事業の幅をもうワンランク広げて展開しようという方々に対する支援と受けとめましたけれども、そうしたとき、例えば個別の事業者単体の新たな起業や取り組みに対しての支援というスキームになるのか。あるいは、今ちょっと申し上げた、いろいろな地域の中の事業者間で連携をとりながら新たなものを立ち上げていくというか、そういった取り組みの中で進めようとする、グループと言うべきなのか、そういうふうな何か新しい動きに対する、単体ではなくて、それぞれの事業者間の連携の中で新たに事業を立ち上げるという取り組み体制の支援なども含めて、このチャレンジのスキームがかかわっていくことになるのか、その辺の考え方はどうなんでしょうか。
〇高橋産業再生課総括課長 さんりくチャレンジ推進事業で予定しておりますのは、基本的には、起業や第二創業、あるいは既存の事業者であっても新事業に進出するといったところで、それぞれの方あるいは起業の取り組みに対する支援ということで考えておりますけれども、ただ、黙っていても起業が起きてくるというわけではないと考えておりまして、委員からお話しいただいたようないろいろな業種の取り組みであるとか若手のグループの取り組みといったものも促進しながら、新たな起業とか、あるいは新事業をつくるとか、新たなことをやろうとする、そういうことができてきたときには、それに対してまた支援していくといったようなことで考えておりまして、委員から御指摘いただいたグループについても、そういう意味では対象とさせていただくといったようなことで考えておるところでございます。
〇木村幸弘委員 そこで、もう一つ考え方なんですけれども、例えば、これは沿岸被災地の枠というイメージだと思うのですけれども、この沿岸被災地で事業を展開しようとする若手と内陸部とのネットワークの中で、同じような思いの中で活動したり、あるいは事業展開をしようという考え方を持っている方々なりとの連携の中で、お互いの持っている、例えば販路も含めたいろいろな能力を生かしながら展開していくというところについても、そこは拡大された考え方を持っているのですか。
〇高橋産業再生課総括課長 このさんりくチャレンジ推進事業におきましては、基本的には、沿岸12市町村で起業等をしていただく方々に対する支援と考えておりますが、それぞれの起業についてその活動範囲を決めているわけではございませんので、内陸の方とか、あるいは東京と一緒にやるとか、そういったようなことであっても対象とすることになろうかと考えております。
〇臼澤勉委員 私から3点ほどお伺いいたします。
まず、復興の進捗状況についてお伺いいたします。
毎月、県では復興実施計画における主な取り組みの進捗状況を公表して丁寧に情報提供をいただいていることに対しまして感謝申し上げます。
震災から5年を迎えて、地権者を初め、国、県、市町村、関係団体の多くの御努力により着実に復興事業が推進していると認識してございますが、県事業で、実施設計にも至っていない未着手の事業の有無についてお伺いいたします。そして、仮にあるのであれば、その原因は何なのかお知らせ願います。
〇田村まちづくり再生課総括課長 復興事業の進捗状況でございます。
県事業における実施設計の状況については詳細には把握しておりませんけれども、一部の災害公営住宅を除きまして、大部分の箇所では設計に着手しているものと認識しております。
なお、県が公表しております社会資本の復旧・復興ロードマップにおける未着手の箇所の状況でございますけれども、平成27年12月末時点で、県事業310カ所のうち未着手の箇所は36カ所、12%となっております。
工事が未着手になっている理由につきましては、主に道路関係では、まちづくり事業や関連機関、地元との調整、それから、主に災害公営住宅の分野においてですが、面整備事業の敷地造成を待っている状態という箇所が多くなってございます。
〇臼澤勉委員 さまざまな現場の理由があると思います。そして、震災後、優先順位をつけられて、なりわいの再生といいますか住宅の再建から進められているということでは、私もそこはしっかり理解してございます。
ただ、一方で、ほかの、例えば教育委員会やさまざまな部署における県が行う事業についてもこれからといったところもありますので、ぜひそこら辺、連携といいますか、一緒に取り組みながら、着実な復興に向けて取り組みを進めていただければと思います。
それから、震災5年目の中間検証については先ほど来各委員からお尋ねがありましたので、ここについては省略いたします。
二つ目でございますが、被災者の生活再建支援金の増額についてお尋ねいたします。
私の問題認識は、やはり被災が大きな市町村ほどこれから住宅再建なりに取り組まれるということで、資材高騰とか労務費の高騰で、基礎支援金、加算支援金が当初のときに比べて十分ではないといいますか、そういう問題認識がございます。ここら辺につきましても、支援金の拡充について国に対する要望を強化する必要があろうかと思うのですけれども、その対応についてお伺いいたします。
〇小笠原生活再建課総括課長 被災者生活再建支援金の増額についてでありますが、県ではこれまで、国に対し、繰り返し被災者生活再建支援金の増額を要望してきたところですが、国では、他の制度とのバランス、国や都道府県の財源負担などを勘案して、慎重に検討すべきとしているところでございます。
しかしながら、国では、資材高騰等の物価上昇に対しまして、災害公営住宅の建設費を含む公共事業費等につきましては引き上げておりますので、被災者の住宅再建につきましても同様に取り扱うべきものと考えられます。県としましては、引き続き、生活再建支援金の増額について強く要望してまいります。
〇臼澤勉委員 これから住宅再建というところもございますので、そこら辺の公平性といいますか、そういった確保が図られるよう、ぜひ国のほうにも要望を強化して継続的に行っていただければと思います。
次に、最後のほうに移りますが、移転跡地の土地利用の関係でお伺いいたします。
今議会にも公有地と民有地を交換する際の不動産取得税の減免措置が図られるということで、これは評価に値すると思って、本当に県当局の御努力に感謝申し上げます。
防災集団移転事業によって市町村が買い取った被災宅地等は公有地と民有地が混在して、企業誘致等の面からも面的な整備と活用が課題に挙げられていると私も認識してございます。
そこで、市町村が買い取った被災宅地等の面積と、それから買い取り対象面積に占める割合はどの程度あるのかお示し願います。
〇田村まちづくり再生課総括課長 被災宅地等の買い取り面積でございますが、平成27年12月31日時点で、防災集団移転促進事業による移転跡地の買い取り対象面積約376ヘクタールに対しまして買い取り済みの面積は約269ヘクタールとなっておりまして、全体の約7割が買い取り済みとなっております。
〇臼澤勉委員 防災集団移転事業による買い取りは任意ですので、当然、被災された方で売りたくないという方はそのまま残されてお持ちになっているということは理解します。7割ということで、逆に言うと3割程度が民有地と公有地とが混在しているのかなと理解いたします。
そこで、この移転跡地の活用ということで、現地では、事業用地とか水産業の作業場、漁具置き場あるいは緑地公園等、さまざまな形での活用計画というのが議論されていると思いますが、この移転跡地の活用計画は現時点でどの程度決まっているのか、現状と今後の見通しについてお示し願います。
〇田村まちづくり再生課総括課長 移転跡地の活用計画の現状と見通しについてでありますが、県が市町村に聞き取った結果によりますと、平成28年2月末時点で、移転跡地は大小合わせて72地区ございます。そのうち約4割の30地区で土地利用計画が策定済みとなっております。そのほかの42地区につきましても、跡地が小規模で整備の予定がない地区などを除きまして、今後、土地利用計画の策定が進んでいくものと考えてございます。
跡地活用につきましてはいろいろな手法がございますけれども、交付金の活用は欠かせないことから、県としましては、引き続き市町村から丁寧な聞き取りにより課題を把握し、国に対して効果促進事業の柔軟な運用などを要望していくなど、積極的に市町村を支援してまいりたいと思っております。
〇臼澤勉委員 私も、昨年9月の決算特別委員会総括でも、ここら辺の土地利用の課題、そして、現場でのそういった有効な事業、土地の集約化であったり、あるいは被災した宅地の中にもいろいろな配管であったり基礎とかもまだ残っていたりするという部分でさまざまな課題がまだありますので、ぜひ国のほうにそういった事業スキームを示していただけるよう取り組んでいただければと思います。
最後に、中村局長から一言コメントをいただきたいと思います。
本当に岩手の復興はまだ道半ばでございます。市町村が被災したと同時に岩手県が被災したんだという思いで、今までも局長が先頭を切って取り組まれてきたと思います。これからの復興を進めていって、そして、岩手の未来への思いをぜひ中村局長からお聞きしたいと思います。そして、全国の自治体から多くの応援職員の方々も今来ておりますし、この3月に戻られる方もいます。ぜひ局長の発災からの思いも含めて、よろしくお願いいたします。
〇中村復興局長 今、委員からお話ありましたが、我が復興局にも多くの応援の職員に来ていただいております。県には今、170名ほど全国の自治体から来ていただいており、沿岸市町村には約700名の職員の方々に来ていただいております。この復興、非常に長い道のりの取り組みがまだまだ必要であろうと考えておりますので、当然基本的には我々岩手の人間がしっかり進めていかなければならないことではあるんですが、それだけではやはりなかなか十分には進め切れないということで、全国のそういった多くの力を引き続きおかりしながら、何とか一日も早い復興を進めていく必要があると思います。
沿岸地域は、被災前からそもそも人口減少でありますとか高齢化といったところでは課題も多く指摘されている地域でありまして、それに加えて今回の大震災でありますけれども、私は、三陸は、むしろこの逆境を逆手にとって、全国に誇れる地域になり得る十分いろいろな条件がそろっている地域ではないかと思っております。
そういった意味で、我々地元の人間プラスさまざまな全国の皆さんの応援の力をおかりしながら、何とか全国に誇り得る三陸、また、岩手そのものをつくり上げていっていただきたいと思います。私も引き続き、それに対しては、また一県民としてしっかり協力をしてまいりたいと考えております。
〇佐々木努副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇斉藤信委員 いただいた資料を私、じっくり読ませていただきました。8ページを見てください。私が指摘した孤立化、孤独化についてかかわるのはこのページなんですね。
ここでは何と言っているかというと、集会所、談話室の利用状況、団地内の会話頻度とも仮設住宅と比較し、災害公営住宅が低い傾向となっていると。仮設住宅が24%に対して1年以上の災害公営住宅は46%、倍ですよ。そして、1年前との比較で、団地内、近隣とのつき合いについても、災害公営住宅1年未満の団地は38%高くなっている。こういうふうに評価しているのに、私の質問に対して、災害公営住宅と仮設住宅は変わらなかったと。この答弁は違うんじゃないですか。訂正したらいいんじゃないですか。
〇小笠原生活再建課総括課長 私が先ほど申し上げましたのは、6ページのところの生活の安心度という面からの答弁でございました。しかしながら、委員御指摘のとおり、8ページのところでは孤立化の記載もございます。確かにこちらのほうにも触れて答弁すべきであったと考えております。そこら辺は、認識を新たにして、今後取り組んでまいります。
〇斉藤信委員 事実上、訂正されたと思います。私は質問をちゃんと通告しているんだから。
それで、6ページのことについて言えば、災害公営住宅に入っても、40%が不安を感じているというところが重要なんですよ。災害公営住宅に入っても、この不安感が仮設と余り変わらない。ここが問題なんですよ。そして、孤立化、孤独化の問題については、8ページのところでかなり高いとなっているわけだから、もっと正確な答弁をしてください。
〇佐々木努副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木努副委員長 質疑がないようでありますので、これで復興局関係の質疑を終わります。
復興局の皆さんは退席されて結構です。お疲れさまでした。
次に、労働委員会事務局長に労働委員会関係の説明を求めます。
〇齋藤労働委員会事務局長 それでは、労働委員会関係の予算につきまして御説明を申し上げます。
便宜、お手元の予算に関する説明書により御説明申し上げますので、説明書の147ページをお開き願います。第5款労働費第3項労働委員会費のうち、1目委員会費3、090万4、000円は、労使紛争の解決を図るための労働委員会の運営に要する経費であり、委員15人に対する報酬及び旅費等の事務費でございます。2目事務局費8、970万7、000円は、事務局の管理運営に要する経費であり、事務局職員10人の人件費及び旅費、需用費等の事務費でございます。
以上で労働委員会関係の予算についての説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇佐々木努副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木努副委員長 質疑がないようでありますので、これで労働委員会関係の質疑を終わります。
労働委員会の皆さんは退席されて結構です。お疲れさまでした。
次に、商工労働観光部長に商工労働観光部関係の説明を求めます。
〇菅原商工労働観光部長 それでは、平成28年度商工労働観光部関係の当初予算及び予算関連議案について御説明申し上げます。
まず、平成28年度歳出予算について御説明申し上げます。
初めに、当部の予算編成に当たっての基本的な考え方についてでありますが、東日本大震災津波からの本格復興を図るため、暮らしの再建やなりわいの再生の取り組みを着実に推進するとともに、いわて県民計画に掲げる産業創造県いわての実現に向けて、産業の一層の振興と雇用、労働環境の整備を推進するための予算として編成したところであります。
まず、本格復興の完遂に向けた取り組みでありますが、暮らしの再建については、産業振興施策と一体となった雇用、労働環境の整備に取り組んでまいります。
また、なりわいの再生については、被災した中小企業の事業再生を初め、創業支援の強化やまちづくりと連動した商店街の再構築への支援に取り組んでまいります。
次に、産業創造県いわての実現についてでありますが、まず、地域経済を牽引するものづくり産業の振興を図るため、重点分野である自動車、半導体関連産業の集積促進に加え、これらに続く成長分野の企業を育成します。
また、企業の誘致や、県内企業の生産性、付加価値の向上を図るほか、すぐれた産業人材の確保、育成と県内への定着を促進します。
次に、今議会に提案している中小企業振興基本計画に基づき、企業の経営革新に対する支援や、事業活動を担う人材の育成等の支援の充実、強化など、中小企業の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進します。
また、県産品に対する信頼を一層高め、販売の拡大を図るため、商品の魅力向上や新たな購買層の開拓につなげる取り組みを進め、岩手ブランドの確立を図ります。
さらに、二つの世界遺産を有する優位性や北海道新幹線開業の効果を生かしながら、沿岸地域を初めとする教育旅行及び企業、団体研修の誘致や、希望郷いわて国体、希望郷いわて大会、ラグビーワールドカップ2019日本大会開催を見据えた観光キャンペーンの展開、台湾を中心とした外国人観光客の誘客などの取り組みを促進します。
また、若者や女性の県内での就業の一層の促進を図るため、オール岩手の関係機関で設立したいわてで働こう推進協議会を中心に、県内就業の促進や働き方の改善の取り組みを官民を挙げて推進します。
以上が予算編成に当たっての基本的な考え方でありますが、これら施策の推進に当たっては、それぞれの地域が持つ特性や魅力、人材などの資源が最大限に活用されるよう、関係機関などとも連携しながら取り組んでまいります。
それでは、予算議案について御説明申し上げます。
まず、議案第7号平成28年度岩手県一般会計予算でありますが、議案その2の7ページをお開き願います。5款労働費のうち、1項労政費及び2項職業訓練費の合計80億9、110万3、000円と7款商工費の1、375億3、160万8、000円、9ページに参りまして、11款災害復旧費4項商工労働観光施設災害復旧費の77億5、849万5、000円と13款諸支出金3項公営企業負担金の一部3、312万3、000円、合わせまして1、534億1、432万9、000円が商工労働観光部関係の予算の総額であります。これを前年度の当初予算と比較しますと、131億1、500万円の減、率にいたしまして7.9%の減となっております。減額となった主な内容としましては、中小企業等復旧・復興支援事業費の64億6、526万円余、事業復興型雇用創出事業費補助の55億4、452万円余の減などによるものであります。
以下、予算の内容につきましては、予算に関する説明書により御説明申し上げます。
なお、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に御説明申し上げますので、御了承願います。
それでは、予算に関する説明書の142ページをお開き願います。まず、5款労働費1項労政費1目労政総務費でありますが、関係職員の給与費や労働情報の把握及び労働組合調査などに要する経費であります。2目労働教育費は、労働環境の整備や労働紛争の未然防止等を図るための雇用・労働フォーラムの開催などに要する経費であります。143ページに参りまして、3目労働福祉費でありますが、説明欄一つ目の労働者等生活安定支援資金貸付金などに要する経費であります。4目雇用促進費でありますが、説明欄上から七つ目のいわてで働こう推進事業費は、若者や女性の県内での就業の一層の促進を図るため、いわてで働こう推進協議会の運営及び県内就業促進のための啓発等の取り組みを実施しようとするものであります。次のいわてしごと人材創生事業費は、ふるさと回帰支援センターへのキャリアカウンセラーの配置など、U・Iターン就職相談機能の強化とともに、企業の人手不足に対応するための取り組みを実施しようとするものであります。次のいわて働き方改革等推進事業費は、長時間労働の抑制などの働き方改革を推進するとともに、正規雇用の拡大等を図るための取り組みを実施しようとするものであります。次の緊急雇用創出事業費補助は、離職を余儀なくされた失業者に対し、次の雇用までの短期の雇用、就業機会を創出する緊急雇用創出事業を行う市町村に対して必要な経費を補助しようとするものであります。次の事業復興型雇用創出事業費補助は、被災地の雇用創出の中核となることが期待される事業所が被災者を雇用する場合に、その雇い入れに要する経費を補助しようとするものであります。一番下の緊急雇用創出事業臨時特例基金積立金は、事業復興型雇用創出事業費補助の財源となる国の平成28年度緊急雇用創出事業臨時特例交付金を基金に積み増そうとするものであります。
145ページに参りまして、2項職業訓練費1目職業訓練総務費でありますが、説明欄上から三つ目の認定職業訓練費は、技能労働者の養成及び技能水準の向上を図るため、認定職業訓練を実施する職業訓練団体に対し、運営費及び設備整備費の一部を補助しようとするものであります。2目職業訓練校費でありますが、説明欄上から一つ目と二つ目の管理運営費及び公共職業能力開発費は、産業技術短期大学校等の職員給与費及び運営費であります。説明欄下から二つ目の就職支援能力開発費は、離職者等の職業能力開発の実施による再就職の支援、母子家庭の母等に対する自立促進を実施しようとするものであります。
次に、179ページをお開き願います。7款商工費1項商工業費1目商工業総務費でありますが、説明欄一番上の管理運営費は、関係職員の給与費や事務経費など、管理運営に要する経費であります。説明欄中ほどの上から九つ目でありますが、ものづくり人材育成定着促進モデル事業費は、関係機関と連携し、高校生等に対する地元企業への理解促進や早期離職対策等の取り組みを推進しようとするものであります。その二つ下の3Dプリンタ等次世代ものづくり産業育成事業費は、3Dプリンターの活用による高付加価値製品の生産拠点の形成に向け、人材育成の取り組みを推進しようとするものであります。説明欄下から四つ目の欧州県産品プロモーション推進事業費は、ミラノ国際博覧会等で構築したネットワーク等を活用して、県産品の販路拡大と交流人口の拡大につなげる取り組みを実施しようとするものであります。次の180ページに参りまして、2目中小企業振興費でありますが、説明欄上から八つ目の中小企業東日本大震災復興資金貸付金は、被災事業者に対し所要資金を貸し付けるための原資の一部を金融機関に預託し、早急な事業活動の再開等を支援しようとするものであります。説明欄中ほどの商工業小規模事業経営支援事業費補助は、商工会議所等が行う小規模事業者の経営改善普及事業等の実施に要する経費を補助しようとするものであります。その四つ下の岩手産業復興機構出資金は、被災事業者の二重債務問題の解決を図るため、債権買い取り支援を行う岩手産業復興機構に出資しようとするものであります。次の中小企業被災資産復旧事業費補助は、市町村が行う被災事業者の施設等の復旧に対する補助事業に要する経費を補助しようとするものであります。次の被災商店街にぎわい支援事業費は、被災地域の商業機能の回復を図るため、専門家派遣、セミナー開催により、商店街構築や共同店舗設置、運営に係る支援を行おうとするものであります。次の被災中小企業重層的支援事業費は、被災事業者の再建を支援するため、産業支援機関が行う支援事業に要する経費に対して補助等を行おうとするものであります。その二つ下の次世代経営者育成事業費補助は、創業の機会を確保し、持続可能な企業を育成するため、若者、女性等の創業に対するチャレンジを支援するとともに、人材育成、事業承継につながる取り組みを推進しようとするものであります。その三つ下の自動車関連産業創出推進事業費は、自動車関連産業の集積に向けて、県内企業の生産体制強化や取引拡大の支援等、総合的な取り組みを推進しようとするものであります。181ページに参りまして、説明欄上から四つ目のものづくり革新推進事業費は、本県製造業の競争力強化を図るため、高付加価値製品の開発や企業の生産性向上を促進しようとするものであります。次の地域クラスター形成促進事業費は、ものづくり産業の発展に向け、県内の中核的企業と地場企業群とのサプライチェーンを構築し、地域経済に好循環をもたらす地域クラスターの形成を促進しようとするものであります。その六つ下のいわてフードコミュニケーション推進事業費は、アドバイザー等の専門家の活用を初め、大手量販店等でのフェアの開催等を通じて、売れる商品づくりから販売促進まで総合的に支援しようとするものであります。次のいわての食と工芸魅力拡大事業費は、風評被害の払拭と岩手ブランドの確立に向け、県産品の販路拡大、魅力向上等につなげる取り組みを実施しようとするものであります。3目企業立地対策費でありますが、説明欄上から二つ目の企業立地促進資金貸付金は、県内に工場等を新設または増設する企業に対し設備資金を貸し付けるための原資の一部を金融機関に預託し、企業立地の促進を図ろうとするものであります。次の企業立地促進奨励事業費補助は、工場等の立地を促進するため、市町村が行う補助事業に対し、その経費を補助しようとするものであります。182ページに参りまして、4目中小企業経営指導費でありますが、説明欄二つ目の中小企業ベンチャー支援事業費補助は、中小企業やベンチャー企業の育成を図るため、いわて産業振興センターが行う新事業創出から経営革新、取引開拓などの事業に対し補助しようとするものであります。5目貿易振興費は、日本貿易振興機構盛岡貿易情報センターの事業運営経費に対する負担金であります。6目工業技術センター費は、説明欄一つ目の地方独立行政法人岩手県工業技術センター運営費交付金などに要する経費であります。
次に、183ページに参りまして、2項観光費1目観光総務費でありますが、説明欄一番上の管理運営費は、関係職員の給与費、家族旅行村等の管理運営に要する経費であります。説明欄中ほどの希望郷いわて国体・希望郷いわて大会観光キャンペーン事業費は、希望郷いわて国体、希望郷いわて大会で本県を訪れる方々に本県の魅力を発信し、長期滞在と岩手ファンの拡大を促進しようとするものであります。次のいわてインバウンド新時代戦略事業費は、ラグビーワールドカップ2019日本大会、東京2020オリンピック、パラリンピック等による外国人観光客の増加を見据え、戦略的、効果的なプロモーションを実施するとともに、受け入れ態勢整備を支援しようとするものであります。その三つ下の復興ツーリズム推進事業費は、本県への観光入り込み客数を維持、拡大するため、震災学習を中心とした教育旅行及び企業研修旅行の誘致活動の強化と受け入れ態勢の整備を促進しようとするものであります。184ページに参りまして、2目観光施設費は、岩洞湖家族旅行村等の県有観光施設に係る修繕等を行おうとするものであります。
次に、235ページをお開き願います。11款災害復旧費4項商工労働観光施設災害復旧費1目商工観光施設災害復旧費でありますが、中小企業等復旧・復興支援事業費、いわゆるグループ補助は、被災事業者が一体となって復旧、復興を行う場合に、国と県が連携して、当該事業に不可欠な施設等の復旧、整備に対して補助しようとするものであります。
次に、242ページをお開き願います。13款諸支出金3項公営企業負担金1目公営企業負担金のうち、説明欄一番下の工業用水道事業会計負担金は、工業用水を低廉かつ安定的に供給することにより、企業立地施策の推進等を目的として、第二北上中部工業用水道における金ケ崎ろ過施設第2期の維持に係る経費の一部を負担しようとするものであります。
以上で一般会計歳出予算の説明を終わります。
次に、債務負担行為について御説明申し上げます。
議案その2に戻りまして、11ページをお開き願います。第2表債務負担行為のうち、当部関係のものは、事項欄5から9までの5件であります。内訳は、損失補償に係るもの3件、保証料補給に係るもの1件、離職者等再就職訓練に係るもの1件であり、これらについて、それぞれの期間及び限度額を定めて債務を負担しようとするものであります。
次に、特別会計について御説明申し上げます。
29ページをお開き願います。議案第12号平成28年度岩手県中小企業振興資金特別会計予算でありますが、これは、歳入歳出予算の総額をそれぞれ51億518万6、000円とするものであります。
次に、30ページに参りまして、第1表歳入歳出予算の歳入でありますが、1款繰入金1項一般会計繰入金は、中小企業高度化資金の貸付原資及び貸付事務費に充てるため、一般会計から繰り入れするものであります。
2款繰越金1項繰越金は、前年度からの繰越金を予定するものであります。
3款諸収入1項貸付金元利収入は設備資金貸付等の貸付償還金であり、2項預金利子は歳計現金の利子、3項雑入は、中小企業高度化資金の延滞違約金収入等であります。
4款県債1項県債は、被災中小企業施設・設備整備支援事業貸付金の貸付原資として、独立行政法人中小企業基盤整備機構から借り入れしようとするものであります。
次に、31ページに参りまして、歳出でありますが、1款小規模企業者等設備導入資金貸付費1項貸付費は、いわて産業振興センターが行う被災中小企業施設・設備整備支援事業貸付に要する資金の貸し付けのほか、国、独立行政法人中小企業基盤整備機構及び一般会計に対する償還金等であります。
2項貸付事務費は、貸付事務及び資金の回収などに要する事務経費及びいわて産業振興センターが行う被災中小企業施設・設備整備支援事業貸付等に要する事務経費に対する補助であります。
以上が商工労働観光部関係の当初予算の内容でございます。
引き続きまして、予算に関連する議案について御説明いたします。
お手元の議案その3の160ページをお開き願います。議案第45号緊急雇用創出事業臨時特例基金条例の一部を改正する条例について御説明いたします。
現在、緊急雇用創出事業に要する経費の財源として緊急雇用創出事業臨時特例基金を設置しておりますが、国の平成28年度当初予算案が閣議決定されたことに伴い、事業復興型雇用創出事業の実施期間が平成31年度末まで延長される見込みであることから、条例の有効期限を精算期間を含め平成32年度末まで延期しようとするものであり、公布の日から施行しようとするものであります。
次に、同じく議案その3の169ページをお開き願います。議案第50号岩手県手数料条例の一部を改正する条例のうち、商工労働観光事務関係手数料の改正について御説明いたします。
職業能力開発促進法施行令の一部改正に伴い、同施行令の第3条が第2条に改められましたことから、同施行令の第3条という文言を引用しております岩手県手数料条例別表第5の規定中の文言整理をしようとするものであり、平成28年4月1日から施行しようとするものであります。
以上で商工労働観光部関係の議案の説明を終わります。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
〇佐々木努副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇佐々木朋和委員 私から2点質問をさせていただきたいと思います。
まず初めに、平成28年度の中小企業振興関係予算についてお伺いしたいと思います。
平成28年度の中小企業振興関係の予算は、条例に基づきます岩手県中小企業振興基本計画が作成されて初めての予算ということで、これまでとは違うぞというところを見せていただきたいところでありますけれども、この条例、また計画については常任委員会で議論されると思いますので、私からは予算の反映状況について質問したいと思います。
まずもって計画ですけれども、条例はできても計画までつくる県が少ないところ、着手されたということと、また、中小企業振興条例と公契約条例がともに制定されているのは、本県と長野県のみということで、中小企業振興先進県として大変評価をしているところであります。
また、この計画の中に中小企業関連のデータがそろったことは大変大きな前進でありますし、また、本計画作成のための審議会を開いているわけですけれども、関係団体の参加とともに、商工労働観光部関係課の課長の皆さんが出席して聴取されたところに、私も全部聞いたわけではありませんが、団体から評価の声が上がっているとお聞きしております。
そういった中で、大変よくできている計画だと思うのですが、私は残念な点がありまして、それは予算とのリンクが見えないことであります。施策の方向、目指す姿を達成するための平成28年度予算、事業はどれなのかしっかりとリンクさせ、見える化することが、計画や各事業の事業者への浸透、毎年度の分野別予算の比較など分析に資すると思いますけれども、御所見を伺いたいと思います。
〇高橋経営支援課総括課長 岩手県中小企業振興基本計画と平成28年度予算とのリンクということでしたけれども、平成28年度当初予算の編成に当たりまして、今定例会に提案させていただいております岩手県中小企業振興基本計画案とその各予算事業を同時並行的に検討を進めてきたところでありまして、基本計画案に掲げる目指す姿を達成するために必要な事業を予算案に計上しております。
今定例会に提案しております予算案において、基本計画の構成事業としましては、相対のお話になるのですけれども、再掲事業を除いて全体では113事業あるとなっておりまして、平成28年度当初予算における事業費の総額は1、523億9、300万円余を計上という形でさせていただいているところです。
〇佐々木朋和委員 ぜひ、それをメニューとして見える化していただきたいと思います。千葉県などではそういうことをやって、毎年ごとに検証と、また次年度予算ということで出しているとお聞きしておりますので、ぜひともやっていただきたいと思っております。
1問飛ばして3問目に行かせていただきたいと思うのですけれども、私がこのように申し上げるのは、震災直後の苦い経験があるからでありまして、そのころグループ補助について、内陸も使える要件があったのですが、それがなかなか事業者に伝わらなくて、使えない方が多く出たということを私も苦い経験として持っております。
そういったときに、やはり県として、中小企業振興施策を一つにして見える化することが重要だと思いますし、もっと言えば、県、国、関係団体の事業がワンストップで事業者のほうに情報として入る、これが私は理想だと思っております。
本県においては、各市町村ごとに商工の出先機関があるというわけではなくて、広域振興局ごとになっておりますから、ぜひとも、そういった意味も込めて実現をしていただきたいと思っているわけであります。
そういった中での中小企業振興予算の事業の浸透のさせ方ですけれども、県内の全市町村が中小企業振興条例を制定して、また、計画を持っているわけではないという中にあって、どのようにして県下に浸透させていくのかというところが大きな課題だと思っておりますが、この点についてどのようにお考えになっているのか伺いたいと思います。
〇高橋経営支援課総括課長 今お話がありました県内への中小企業振興施策の浸透についてですけれども、まず、現在提案しております基本計画の策定に当たりましては、いろいろな団体の方からお話も伺った上で、県内4カ所で案の地域説明会を開催いたしまして、市町村からの御意見も伺うというようなことで策定作業を進めてきたところです。
また、この計画を進めるのと、通常業務の中でも、各部局、各課、各広域振興局は、市町村と連携をとって情報共有しながらいろいろな事業を進めてきておりまして、そういう形でやっておりますので、これについては、担当者会議等さまざまな形での取り組みがありますので、これからもやっていきたいと思っています。
こうした会議の場に加えて、計画策定されました後には、商工会議所や商工会、商工団体の会合などに出向いて、計画内容についての説明を行いたいと思っておりますし、ホームページですとか機関誌を使って周知を図るといったようなことで、計画の内容ですとか事業についての周知を図っていきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 私は、これは提案なんですけれども、先ほど申し上げました審議会が大変評判がよかったということでありまして、各市町村ごとに、県が音頭をとって、県、市町村、また関係団体と円卓会議みたいなものを持っていただいて、お互いに、お互いの事業を共有し合いながら事業者のほうに流していく体制をぜひともとっていただきたいと思います。これは意見であります。
次に、中小企業振興施策のPDCAサイクルの回し方について、1問戻る形になりますけれども、質問させていただきたいと思います。
この計画を見ますと、40ページから、そのほか中小企業者の自主的な努力を促進するために必要な環境整備というものが記載されておりまして、これは、当商工労働観光部に関係ないところでも、例えば再生可能エネルギーの導入促進でありますとか地域バイオマスの総合的な利活用の促進、また、県産農林水産物の高付加価値化の推進、地域特性や環境に配慮した住宅の普及促進というような部分も目標に掲げておりまして、これは中小企業が参入しやすいイノベーションの可能性があるところを取り入れたというところで大変画期的なことであって、私は、岩手県独自のものだと誇っていいのではないかと思っております。
その一方で、やっぱりこういった分野は、はやり廃りが早いわけでありますから、しっかりとPDCAサイクルを回しながら施策を転換していかなければいけないと思っているわけですけれども、こういった中小企業振興施策のPDCAサイクルをどのように回していくのか、見直しは何年ごとに行っていくのか、また、先ほど計画の策定に当たって審議会を開いたということでありましたけれども、これは一旦解散となるのか、それとも毎年意見を聞いていくのか、この点についてお伺いしたいと思います。
〇高橋経営支援課総括課長 PDCAサイクルというお話でしたけれども、委員からお話がありましたとおり、この基本計画においては、PDCAサイクルにより施策等の継続的な改善を図っていくことが重要だと認識しております。計画案にも盛り込んでおりますけれども、推進する施策には、その指標等を設定して、基本計画の実施状況を毎年度取りまとめて、その結果をホームページなどを通じて公表するものと考えております。
また、委員会というお話でしたけれども、基本計画の策定後、中小企業振興施策に関して外部の方の御意見をいただく機会、組織を設けて、その意見等を踏まえて、今考えている計画では平成30年度までを計画の期間にしておりますが、具体的な施策等については、必要に応じて見直しを図っていくというようなことで考えていきたいと思っております。
また、その委員会につきましては、この基本計画案の策定に当たり、中小企業振興基本計画検討委員会を設けたわけですけれども、基本計画の策定のための設置ということで、委員の方にお願いして就任していただいております。
来年度以降、PDCAということで委員会を設置し、外部の意見を聞く機会も設けたいと思っておりますが、その委員については、今回は計画策定ということでひとまずお願いしておりますので、委員の方もいろいろ御都合等もありますし、またいろいろお話を伺いながら、いずれ外部の方の入った委員会を設けていきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 いいものができたと思っておりますので、委員については、いろいろな事情もあってということですが、弱まることのなきよう、この質問の中で3回ぐらい褒めさせていただきましたので、ぜひとも継続をお願いしたいと思っております。
次に、話題を変えまして、いわてインバウンド新戦略事業についてお伺いしたいと思います。
いわて県民計画第3期アクションプランにおいて、県では三つの指標を掲げておりまして、観光入り込み客数、観光宿泊客数、また、外国人宿泊客数の3点を挙げております。
外国人宿泊客数については、平成26年の7.3万人泊から、平成30年に8.1万人泊ということで、1年に2、000人ずつのプラスを目指す一方で、観光宿泊客数は、平成27年でプラス2.6万人、平成28年でプラス3.7万人、平成29年でプラス0.6万人、平成30年でプラス2.1万人と、最終的には258.8万人と設定しているところであります。
しかし、現状を見てみますと、平泉効果、あまちゃん効果から一段落して、平成22年から平成26年で3.1万人泊の減となっているところであります。平成27年、平成28年は、割引旅行券、また国体効果を期待してこのような目標設定と思いますが、国内人口が減少している状況の中でどれだけ国内需要を喚起できるのかが大きな課題であると思っています。
また、1人当たりの宿泊数増も0.01ポイントずつふやしていくという見込みでありますけれども、私は、祝日がふえない限りなかなか難しいのではないかといった思いをしております。
そのような状況の中で、どのような戦略で2の観光宿泊客数アップを目指していくのか、御所見を伺いたいと思います。
〇平井観光課総括課長 宿泊者数の増加策についてでございますが、宿泊者数を増加させるためには、県内のより多くの観光地やその周辺地をめぐっていただき、本県での旅行者の滞在時間をより長くすることによりまして、宿泊につながるような、いわゆる周遊観光の促進が重要であると認識しているところでございます。
このため、県におきましては、二つの世界遺産や食など、特定のテーマにスポットを当てたプロモーションなどによるテーマ性のある周遊観光を促進する観光キャンペーンの展開や、内陸、沿岸を広く周遊する旅行商品の造成促進を図るための旅行会社を対象としたモデルツアーの実施、平泉など内陸の観光地を訪れる観光客を沿岸へ誘引するための内陸から沿岸へ向かうバスツアーの運行支援などに取り組んできたところでございます。
今後におきましても、市町村や関係団体と連携し、プロモーションの強化や二次交通の充実により県内周遊の促進を図るとともに、宿泊や観光施設におけるサービス向上を目的としたセミナーの開催や無料公衆無線LANなど受け入れ環境整備の支援などによりまして、受け入れ態勢を充実させ、より多くのリピーターの確保を図り宿泊者数の増加につなげていきたいと考えているところでございます。
〇佐々木朋和委員 ぜひ、その方向で頑張っていただきたいと思います。思いますけれども、やはり専門家の意見などでも、国内旅行は現状維持がいいところではないかという見方があるのも事実だと思います。一方で、先日、安倍首相が、2020年までに東北へのインバウンドを150万人にふやすというような報道がございました。6で単純に割っても岩手に25万人かということだと思いますから、私は、これからは、国内旅行はそうやって頑張りながらも、プラス分はインバウンドに注力していくのがいい方法ではないかと思っております。
これは意見でありますけれども、そのインバウンドの話題に行く前に、指標についてもう一点質問したいと思います。
本県が観光立県というふうに条例もつくって、計画もつくっておりますけれども、それには、そうしていくためには、私は、入り込み客数だけではなくて観光収入の向上を目指していかなければならないと思っております。平成26年のインバウンドの観光消費単価が5万9、591円、県外客が1万9、360円、県内客が1万7、223円、これが各1人ずつの単価ですけれども、これの向上を指標に盛り込むべきではないかと私は思いますが、いかがでしょうか。
また、もう一点、最近リンケージ問題という言葉が書籍でも話題になっておりまして、要は何かというと、中国観光客の皆様方の爆買いという話があっても、例えば100円ショップの中国製品とかヨーロッパのブランド品を買われたのでは、日本に落ちるお金は小売分しかないのではないかという問題であります。
背景として、本県の条例では、観光は裾野の広い産業である、だからこそ振興する価値があるのだとうたっております。また、他部局ですけれども、いわて丸ごと売り込み隊の活動もある中で、観光施設での食事やお土産の地産率など、実質的に観光がどのぐらい本県産業に寄与しているかという指標を設ける、また、地産品を奨励するような取り組みも必要ではないかと思いますが、御所見を伺いたいと思います。
〇平井観光課総括課長 まず、指標のあり方についてでございますが、いわて県民計画第3期アクションプランにおきましては、震災で大きく落ち込んだ国内外からの観光客の入り込みが、震災前の水準にいまだに完全に回復していないという現状を踏まえまして、まずは、早急に本県への観光客入り込みを完全に回復させることを狙いに、観光入り込み客数、宿泊者数、外国人宿泊者数を指標として設定したところでございます。
一方、委員からお話がございましたとおり、観光振興につきましては、地域の交流人口の拡大のみならず、地域経済の活性化を図る上でも重要な施策と認識していることを踏まえますと、経済効果に視点を置いた指標についても検討する必要があると認識しており、今後、観光客入り込みの回復の度合いを踏まえながら、指標のあり方についても研究していきたいと考えてございます。
また、県内経済に貢献する観光のあり方でございますが、私どもも、できるだけ県内の物を買っていただいたり、県内の食材を使った料理を楽しんでいただくような観光ルートを造成するような形で働きかけていきたいと考えてございます。
〇佐々木朋和委員 前向きな答弁をいただいたと思っておりますけれども、観光収入については、やはり国も目標入り込み数とともに上げているので、ぜひとも、これも今後、震災復興の進捗に合わせて検討いただきたいと思っております。
あと、リンケージ問題と言われるものですけれども、私は、ぜひ見える化してほしいという意図であります。観光振興という言葉が力を持つには、やはり地域の皆さん方が、観光って必要だよね、観光によってこの地域が潤っているよね、そういったことが実感できないと、観光振興といっても大きなことはできないのではないかと思っております。そういった意味で、ぜひとも見える化に努めていただきたいと思っております。
最後に、インバウンド戦略についてお伺いしたいと思います。
今般、いわてインバウンド新時代戦略事業費ということで、ラグビーワールドカップやオリンピックを見据えてこの事業を立ち上げたということは、私は大変評価できると思っております。
しかしながら、今、本県は、また、日本もそうですけれども、インバウンドの相手方というのはアジアに傾向があると思っております。もちろん台湾議連もありますけれども、台湾も、またタイも重要な相手先でありますから、それはぜひとも進めていただきたいと思っているところであります。
このいわてインバウンド新時代戦略事業費については、相手方を中国、韓国、香港、オーストラリア、タイ、マレーシアなどとしておりますけれども、この戦略として、相手先をどのような選定基準で選んでいるのかお伺いしたいと思います。
私は、ラグビーワールドカップやオリンピックという大きな目標を捉えているのであれば、ぜひとも欧米のお客様も視野に入れた取り組みをしていかなければいけないのではないかと思っているところでありますが、御所見を伺いたいと思います。
〇平井観光課総括課長 インバウンド戦略としての相手方の選定についてでございますが、日本や本県への入り込みの伸びやそのシェアの状況、その国の観光客のニーズとこれに対応する本県観光コンテンツや受け入れ態勢の整備状況、それから、他県と連携して広域周遊ルートを構築することによって誘客拡大の可能性があるかなどにつきまして総合的に勘案いたしまして、ターゲットとこれに対する誘客戦略を定めているところでございます。
具体的には、本県の外国人観光客入り込みの過半を占めて、花巻空港への定期便就航を目指している台湾につきましては、最重点市場として、春の桜や秋の紅葉シーズン以外の夏、冬の誘客を強化いたしまして、フルシーズンで来ていただくような取り組みを進めているところでございます。
また、東日本大震災津波の影響によりまして本県や東北への入り込みは落ちておりますが、日本全体への入り込みやそのシェアは十分高いものがあります韓国、中国、香港につきましては、東北各県との連携のもとで、例えば韓国は日本酒、中国はスキー、香港は食やレンタカーといったニーズに対応するような受け入れ態勢の整備やプロモーション活動を進めているところでございます。
また、近年、本県への入り込みの伸びが高いオーストラリア、タイなどにつきましては、スキーを初め冬季観光へのニーズが高いことから、スキーや雪と冬の食などを組み合わせた滞在型観光のプロモーションを展開しているところでございます。
また、委員からお話がございましたが、これらに加えまして、ラグビーワールドカップや東京オリンピック・パラリンピックの開催を踏まえると、欧米からのいわゆる個人旅行者の増加が見込まれることから、これも視野に入れながら、各国のニーズや特性を踏まえて、受け入れ態勢の充実やプロモーション強化に取り組みまして、誘客の拡大につなげていきたいと考えてございます。
〇佐々木朋和委員 私は、ワールドカップ、またオリンピックというのは、インバウンドについての大きなチャンスだと思っておりますし、東南アジアも含めて、先ほど課長がおっしゃっていただいたようなFITについてもふえている中で、東京におり立ったとしても、ぜひ北のほうに来ていただくといった意味でも大変重要であると思っております。
そして、先ほど選定理由の中にニーズという言葉がありましたけれども、やはり私は、来ていただきやすいところも大事なのですが、末永く岩手に来ていただくためには、岩手と親和性のある、岩手とニーズが合うお客様に来ていただくのが一番だと思っております。
例えば、どこの国というのはあれですけれども、欧米の国だと、観光庁の2014年7月から9月期の訪日外国人観光客の訪日目的調査というものがありまして、上位には、日本酒、自然、観光地、また農村漁村体験というものもあるのですね。そういった意味で、私は、被災地へ行っていただくのも、アジアのお客様もそうですけれども、やっぱり欧米のお客様のほうが大変親和性があると思いますし、潮風トレイルなどもできる中で、そういった意味では、欧米のインバウンドのお客様にもう少しターゲットの重点を置いてもいいのかなと思っているところでありますので、ぜひとも御検討いただきたいと思います。
最後になりますけれども、おもてなしについて伺いたいと思います。
本県では条例でもおもてなしというのが、本県においての、岩手県人としての優しさでありますとか、親切さでありますとか、こういったことが大きな魅力だとうたっておりますけれども、私はこれについて、インバウンド仕様もぜひやっていかなければいけないのではないかと思っております。
先ほど御説明もいただきましたが、無線LANの整備とか多言語化と使いやすいようにという取り組みは進んでおりますけれども、おもてなしの仕方というものは各国によって違うと思います。
例えば外国人のお客様に日本のおもてなしに対して、最後にサービスに対して不満はありませんでしたかといった一言をかける、かけない、日本人はかけないのですけれども、何でかけないんだというクレームがあるという話を聞いたことがあります。
そういった意味で、各国別のおもてなしマニュアルみたいなものをつくったり、または、いい取り組みを水平方向に広げたりといったソフト面での支援というか、おもてなしの外国版へのチェンジといった取り組みも必要だと思うのですけれども、最後に伺って、終わりたいと思います。
〇平井観光課総括課長 インバウンドに対するおもてなし向上についてでございますが、ただいま委員から御紹介ございました言語面でのサービス向上のみならず、県におきましては、外国人受け入れのためのセミナー開催や受け入れ対応マニュアルの制作などによる受け入れ態勢の充実に取り組んでいるところでございます。
このうちセミナーにつきましては、受講する施設の外国人受け入れの実績に応じて、初級、中級の2段階の内容とするとともに、希望する施設に対しては、専門家による個別コンサルティングも用意するなど、それぞれの施設の状況に応じた受け入れ態勢の充実が図られるよう実施したところでございます。
また、事業者向けの受け入れ対応マニュアルにおきましては、委員のおっしゃったような各国別ではございませんが、例えば中国人観光客は、一般的に温かい食事を好む傾向があるといったような国別の特徴やニーズと、これらの対応について示すなど、実際に施設の方が対応する際の参考となるように、現在、制作を進めているところでございます。
さらに、本年1月には、香港の大手旅行会社の社長を講師に招き、観光関係事業者等を対象に、香港からの観光客の特徴や接客のポイントなどについて講演いただいたところでありまして、今後も、セミナーの開催やマニュアルなどによりまして、おもてなしの向上を図る取り組みを充実させ、外国人観光客の誘致拡大につなげていきたいと考えてございます。
〇佐々木朋和委員 今、御答弁いただいたとおりだと思うのですけれども、個人の外国人旅行者がふえている中で、団体でエージェントがついてくる場合は、事業者もクレームというのはわかると思うのですが、個人の外国人旅行者だとそういった情報が入らないと思います。そういったところで、個人の外国人旅行者がふえている中で、ぜひとも、県でも各国別のマニュアル等もつくるなどして対応いただければと思います。
〇工藤勝子委員 被災地における中小企業、被災事業者における現状と課題についてお伺いしたいと思っております。5年の検証もあると思っておりますし、その中で、販売不振等で、せっかく事業を立ち上げても、思わしくなくなってしまった企業もあると思っておりますし、その中で新たに企業が入ってきたところもあると思いますが、その現状と課題についてお伺いいたします。
〇高橋経営支援課総括課長 まず、被災地の中小企業の現状と課題についてでありますけれども、本年2月に実施しました被災事業所復興状況調査によりますと、事業再開または一部再開した事業者の割合は78.6%と推計されております。また、業績が震災前と同程度以上と回答した事業者の割合は47.6%、労働者が充足していると回答した事業者は66.4%となっています。
これらの数値は改善基調にはあるものの、この調査の中で、経営課題として販路の喪失や労働力の確保等を挙げる事業者が多く、引き続き、業績回復に向けた取り組みが重要であると認識しております。
それから、倒産の件数のお話ですけれども、民間の信用調査機関の調査によりますと、平成23年度から平成28年2月末までの県内での企業等の倒産件数は220件、平成23年度が56件で、それ以降は毎年度40件程度で推移しております。
このうち、震災の影響で倒産した企業という数字も調査されておりまして、5年間で61件、平成27年度は4件ということになっております。
〇飛鳥川企業立地推進課総括課長 被災地における企業進出の状況についてでございますが、沿岸被災地域の12市町村における企業誘致の実績は、平成23年度が6件、平成24年度が4件、平成25年度及び平成26年度がともに3件、平成27年度が2件の合計18件となっております。
また、新規立地のほか、沿岸被災地においては、国の津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金の採択などによって、平成23年度以降で延べ13件が増設を行っているところでございます。
〇工藤勝子委員 被災中小企業や事業所は、グループ補助金を活用されて、多分、それぞれの工場や設備等を復旧、整備してこられたと思っております。これは、県と国で4分の3という先ほどの説明もございました。
そういう中において、今後このグループ補助金がどこまで活用できるのか。例えば、今誘致された企業の中で、このグループ補助金を使ってこちらのほうに立地できたのかというようなところをお伺いしたいと思っております。
〇飛鳥川企業立地推進課総括課長 いわゆるグループ補助金につきましては、被災した、既に震災前に立地していた企業に活用される補助制度ということでございまして、今、国では、新たな企業誘致のために、津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金という別メニューを用意しているところでございます。この制度は、他県から来てもよろしいですし、地元の企業が活用して、いわゆる復興の部分でお使いいただく補助制度でございます。国の直接的な補助ということで、事業者については、大企業が補助率3分の1、そして、中小企業については2分の1という制度でございます。
〇工藤勝子委員 それでは、どんどん被災地のほうも復興が進んできているわけですけれども、企業とか若者とか女性の事業を起こそうとした人に支援があるわけですが、今後、どのくらいの期待を持っているのか。まだまだ必要だと思うのか。ところが反面、沿岸被災地では非常に人材が足りない、不足しているという、企業が拡大できないというところもあるわけであります。では、そういう中において、企業が来て、本当に人が集まるのかというようなこともあるのではないかと思っているところであります。
現実に人材の不足というのは、県でどのぐらいと捉えていらっしゃるんでしょうか。
〇高橋雇用対策・労働室長 被災地の企業の人材不足の状況についてでございます。
岩手労働局の調査によりますと、平成28年1月現在の沿岸地域の有効求人倍率は1.41倍となってございまして、43カ月連続で1倍を超えている状況でございます。
職業別で申しますと、ものづくり分野でございます生産工程の職業が1.60倍、うち水産加工業を含む食料品製造の職業が2.93倍となっているところでございます。
〇工藤勝子委員 現状から、やはり水産加工業の人たちが、人が足りないという声が多くなってきているのではないかと思っております。その中で、外国人の研修の方々も多分いらっしゃっているのではないかと思っていますけれども、今どのくらいの人たちが研修として入っていられるのか、捉えていらっしゃいますでしょうか。
〇高橋雇用対策・労働室長 外国人技能実習生についてのお尋ねでございますが、厚生労働省が公表してございます外国人雇用状況の届け出状況によりますと、岩手県において在留資格が技能実習として届け出されている外国人労働者は、平成27年10月末現在で1、594人となってございます。これは、前年同期と比べまして63人、率にして4.1%増加している状況でございます。
なお、この1、594人のうちの水産加工業の部分の内訳については、手持ち資料がございませんので、御容赦願いたいと思います。
〇工藤勝子委員 こういう中で非常に大きな役割を、この技能研修に来られている外国の人たちで賄っている部分も大いにあるのかなと思っているところでもあります。
その中で、今後、沿岸被災地のほうでも、若者や女性がいろいろ活躍できる社会をつくっていく中において、いわてで働こう推進協議会というものが立ち上がっております。そういう中において、若者、女性が誇りを持って生き生きと仕事ができるという形の中で、この推進協議会では、どのような取り組みをやっていこうとしているのかお知らせいただきたいと思います。
〇高橋雇用対策・労働室長 若い女性等が働く場として魅力ある場所が必要だという観点でのお尋ねかと思いますけれども、いわてで働こう推進協議会につきましては、先般、2月9日に設立したわけでございますが、やはり女性等が働きやすい職場環境を実現するためには、長時間労働の抑制あるいは仕事と家庭の両立の取り組みを促進することが重要でございます。
県では、ワーク・ライフ・バランスをテーマとしたセミナー等の開催等により、優良な企業の取り組み事例の紹介とか、子育て支援等に取り組む事業主に対する国のさまざまな助成制度がございます。これらの活用促進などの普及啓発を行うとともに、岩手労働局と連携して、働き方改革の推進等について経済団体等へ要請活動を行っているものでございます。
いわてで働こう推進協議会では、県内各界、オール岩手の体制でということで、さまざまなことを議論できる場と捉えておりますので、ぜひそういった場を活用いたしまして、若い女性等の働く場の確保が進むように取り組んでまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 最後にします。やはりいわてで働こう推進協議会で、オール岩手の取り組みというあたりでいろいろな人たちが入っているんだろうと思いますけれども、そこの議論もさることながら、例えば年何回ぐらい、定期的にきちんとやるものなのか、また、そういう働きやすい職場をつくるために、まず、優良事例などを提出するとは思っているのですけれども、ぜひ、この協議会の役割を果たしていただきたいと私は思っているところでありますので、改めてそういう決意みたいなものでもいいですが、しっかりと取り組んでいただきたいという思いがありますので、所感があれば伺って、終わります。
〇高橋雇用対策・労働室長 ただいま貴重な御意見を頂戴したと思っております。国でも一億総活躍というような中で、女性、若者等が県内で活躍できるような環境をつくっていくことが非常に重要だと感じておりますので、この協議会の連携によりまして、さまざまな取り組みをきちっと進めていきたいと考えてございます。
〇飯澤匡委員 3点あるのですが、最初に、通告していないんですけれども、済みませんが、よろしく、答えてください。
インバウンド戦略のお話が先ほどありましたが、IGRいわて銀河鉄道株式会社という県が50%以上出資している会社が、観光協会に積み増ししてまで外国人観光客を誘致しようとする、このようなことをやっているわけですが、当該県庁内の観光課が連携か何かしてやっているのでしょうか、それをお伺いします。
〇平井観光課総括課長 インバウンドにつきましては、当課とIGRとの連携もしくはタイアップによる旅行商品の造成とか、そういう取り組みはございません。
〇飯澤匡委員 私は慎重にやったほうがいいと思います。
では、質問に移ります。ちょっと順番を変えますのでよろしくお願いします。
トヨタ自動車の生産拠点再編の影響、小型車等、東北に拠点を移すというような戦略が示されました。この金ケ崎工場、旧関東自動車が受ける今後の影響についてどのように把握されているかお知らせください。
あわせて、岩手東芝エレクトロニクス、これも新会社を大分と合併してつくるという情報が2月の頭にありました。これは一種の整理縮小かという感じにもとられるわけですけれども、今後の動向把握と地元雇用についてどのような影響が出るのか、分析されているのであればお知らせください。
〇瀬川自動車産業振興課長 トヨタ自動車生産拠点再編によりますトヨタ自動車東日本の岩手工場への今後の影響についてでありますが、トヨタ自動車は、2011年7月に東北の国内第3拠点化を表明するとともに、2012年7月には、新たにトヨタ自動車東日本という会社を設立し、コンパクト車の企画、開発から生産までを担う拠点化を進めてきているところでございます。
県では、この拠点化に呼応する形で、2013年2月に岩手県自動車関連産業振興アクションプランを策定し、トヨタ自動車及び大手部品メーカーとの連携により、新たな部品メーカーの立地、集積と地場企業の育成を一体的に進めてきたほか、アクセス道路の改良を国に要望するなど、立地環境の整備にも努めてきたところでございます。
報道のあった生産車種移管についてでございますが、現時点で、トヨタ自動車が具体的な内容や時期を明らかにしていないことから、今後の影響についてお示しすることはできませんが、新車種や人気車種の生産移管は、本県の自動車産業にとってまさに追い風になるものと考えております。
引き続き、自動車関連産業の一層の集積に取り組んでまいるつもりでございます。
〇飛鳥川企業立地推進課総括課長 岩手東芝エレクトロニクスの新会社化の影響についてでございますけれども、東芝は、システムLSI事業の構造改革に伴いまして、東芝大分工場のシステムLSI事業の一部を東芝から分割しまして、岩手東芝エレクトロニクスに吸収、そして、承継させて新会社を設立することとしているものです。
新会社は、北上、大分の2工場体制ということでありますけれども、その詳細は承知していないところでございます。
半導体事業の構造改革によって、全国の関連拠点に勤務されている半導体部門の従業員でございますけれども、約2、800人が他企業への転籍、そして、他の拠点への再配置や早期退職の対象となっておりますが、岩手東芝エレクトロニクスに関する内容は明らかにされていないため、現時点では、雇用や地域経済への影響は把握できないところでございます。
〇飯澤匡委員 戦略が発表されていないのでわからない、そして、東芝のほうも、まだその実態はわからない。これではちょっといかんのではないですかね、どうでしょうか。
トヨタのほうはいいニュースとして捉えられていますが、問題は3年後ですね。今発表されている小型車の製造が終わってから、果たしてどうなるかということなんですよ。こういうときこそ、トップセールスなりそういうものを使って、トップ同士の話し合いによって、どういう傾向があるのか、その戦略をどうやってつかむのか、これは、やはりトップ同士の話し合いでしかできない問題だと思うわけです。
この間、秘書広報室にも聞いたら、行ったついでにぐらいな話でして、宮城県の知事は、名古屋に行った晩、社長とも夕食をともにしていろいろ話をしているとも聞いています。当初、アクセルやエンジンの部分なども岩手県で誘致をしたという経緯があるのですが、そっくり宮城県にやられてしまった。このことも踏まえて、やはりしっかりとした戦略をつくるためには、しっかりとした情報をつかんでおかなければだめだと思いますが、その点について所感を、これは部長に求めたいと思います。
それから、東芝の件ですが、これは、次の名称はジャパンセミコンダクターという会社になるそうですが、これで私が懸念しているのは、もう東芝という会社名がここは抜け落ちてしまっている。私は、ある程度整理にかかっているのではないかというような懸念をするわけです。現に、四日市市に出向している社員の方々から話を聞くと、それも否定できないだろうと。そして、出向している方々も、もう四日市市に転籍だ、ほとんどそういう結果になるだろうと。
せっかくフラッシュメモリーで誘致をし、途中までよかった情報があったわけですが、それも、外的な状況もありほとんどパアになってしまったと。これは雇用の問題に大変な影響ありで、しっかりとした情報収集すべきじゃないですか。これも部長に聞きます。
〇菅原商工労働観光部長 まず、トヨタ自動車の関係でございますけれども、東北の国内第3拠点化という方針に対応しまして、課長からも申し上げましたが、岩手県自動車関連産業振興アクションプランを作成し、その戦略に沿いまして各種の取り組みを進めてきたところであります。
今般、新たな小型車の生産開始というようなことも見据えまして、トヨタ自動車もそうですし、大手部品メーカーへのトップセールスを重ねております。また、その主要な役員などに対して、県内企業の高い技術力とか大学等のすぐれた研究シーズをアピールする展示商談会を毎年開催してございます。こういったことで、一層の集積促進や取引拡大に向けた取り組みを引き続き進めているところであります。
知事を初めとするトップセールスにつきましてですが、トヨタに関しましても相当回数実施いたしてございまして、今後もトヨタ自動車やグループ企業に対しまして、効果的なタイミングを捉えて積極的に実施してまいりたいと思います。
それから、東芝の関連でございますが、東芝は、構造改革ということで財務内容の改善を図るという観点で、注力領域であります半導体事業等に重点投資するという方針を示しているようでございまして、引き続き、NAND型フラッシュメモリー事業への投資を継続していくのではないかと認識してございます。
県といたしましては、東芝を取り巻く環境を注視しながら、工場建設計画の動向に関する情報収集を行うとともに、引き続き新工場建設に向けた働きかけを続けたいと思っております。
岩手東芝エレクトロニクスを初め、地元北上市とも緊密な連携を図りながら、新工場が一刻も早く実現できますよう、知事をトップとして機会あるごとに働きかけを行っているところでありますが、今後においても効果的なタイミングで要請を行ってまいります。
〇飯澤匡委員 注視ではだめなんですよ。その先どうなるかというのは、事前に情報をつかんでおかないと。企業は、ある日突然、事業計画をばあっと変えて、東芝も今、大変厳しい状況であることは間違いないところでありますし、いかんせん岩手県の雇用に大きな影響を持つものです。事務方の皆さんが、トヨタ自動車関連の集積を目指してさまざまな活動をしていることは、これは認めます。私が言っているのはその先の話なんです、先の話。先の話をしてどうするかと。3年後、5年後、10年後どうなるか。トヨタ自動車もそれなりの構想を持っているはずですから、そこに触れていかないとだめなんですよ。立ちおくれたらアウトになってしまうから、そこをしっかりお願いします。
次に、この間の大雪りばぁねっとの第三者による検証結果についてお伺いします。
まず、自己評価を求めたいと思うのですが、まとめて聞きます。
県民に対して説明責任にたえ得る検証結果となっているか、これが1点目。議会が第三者による客観的な検証を求めたものに従った会議の運営方法、検討項目に沿っているか、これが2点目。3点目は、取りまとめ結果と検証作業の議論の内容がかみ合っていない部分があるとの指摘がさきの常任委員会でもあったそうでありますが、その評価を求めます。4点目、検証結果から新たに何が導き出され、今後に生かされるのか。まとめて4点お聞きします。
〇岩渕商工企画室管理課長 4点質問をいただきました。まず1点目でございますが、県民に対する説明責任の自己評価についてでございます。
今回の検証に当たり、有識者の方々には、本事案の論点や議会の決議の趣旨などをあらかじめ把握いただいた上で、丁寧かつ十分な検証を行っていただいたと認識しております。
また、会議におきましては、県と山田町の関係だけに絞らず、県と県民の関係からの検証も必要であるといった意見もあり、そうした観点も踏まえまして、御蔵の湯を補助対象経費として認めたことや、平成23年度の完了確認のあり方、また、県の責任の捉え方などについて、専門的な識見に基づくさまざまな意見が示されたものと受けとめております。
検証結果におきましては、引き続き、再発防止にしっかりと取り組むことを期待するとまとめられておりますことから、中間検査の徹底や内部考査の実施、補助金等審査委員会の運営など、現在の補助事業等の適正化に向けた取り組みを引き続き進めるとともに、有識者会議におけるさまざまな意見について、どのようにして具体的な取り組みに生かしていくかといった検討を行っていく必要があると考えております。
2点目でございます。会議の運営方法や検討項目に関する自己評価でございます。
今回の検証に当たりましては、有識者の方々には、あらかじめ議会の決議内容などを含め、これまでの経緯等を御理解いただいた上で、新たな検証組織への参画について御承引いただいております。
その上で、第1回の会議におきまして、会議の運営方法や検証の進め方について、有識者の方々の間で協議いただき、お決めいただいたところであり、その際には、さまざまな考え方が示されると思うので委員会形式にはこだわらない進め方とすべきであるといった意見や、さきの報告書や昨年の外部所見と同様の区分で検証を進める方法でよいといった意見などがあったところでございます。
こうした経緯のもと検証を進める中で、御蔵の湯を補助対象として認めたこと、平成23年度の完了確認、また県の責任の捉え方など、これまでの議会における議論や決議の趣旨を踏まえた意見が多かったと認識しております。
次に、3点目でございます。取りまとめの結果についてでございます。
今回の有識者会議における取りまとめに当たりましては、会議の中で、今後の補助事業の適正執行に向けた対応等に生かしていくため、結論を一本化することにこだわらず、多様な意見を反映した取りまとめとすべきという意見があり、そうした方向で取りまとめることとされたところでございます。
有識者会議におきましては、さきの報告書の妥当性等につきまして、その内容自体は妥当なことが盛り込まれているが、言いわけに見える書きぶりのために印象がよくなかったとの意見や、内容を個々に見ればおおむね妥当と捉えられるが、最後に、通常の処理としては適切であったと結んでいる部分で違和感を持たれていると感じるなどの意見がございまして、こうした部分につきましては、有識者の方々の見解が一致し、報告書に記載のとおりの内容になったものと認識しております。
最後に、検証結果から新たに導き出されたものについてでございます。
検証結果におきましては、有識者会議における意見等も参考として、引き続き再発防止にしっかりと取り組まれることを期待するとされております。
また、会議の中では、補助事業の進捗管理や完了確認のあり方、さらには、補助事業等における県と市町村の関係などについて、それぞれの識見に基づいたさまざまな意見があったところでございます。
このため、今後、有識者会議におけるこれらさまざまな意見につきまして、どのようにして具体的な取り組みに生かしていくかといった検討を行っていく必要があると考えております。
〇飯澤匡委員 議会が求めたのは、ちょっとよく見てほしいんですけれども、昨年、県庁内で行われた検証について検証すべきという内容ではなくて、新たに第三者委員会での再検証をやれという内容なんですが、実際、今回の再検証は、冒頭に、平成26年3月に山田町災害復興支援事業等検証委員会が取りまとめた報告書の妥当性について検証を行うこととしたというようなことになっているのですが、これは議会が求めたものとちょっと内容が違うと思うのですが、その点について見解を求めたいと思います。
それから、今回の検証内容を見ていても、おのおのの委員の発言と取りまとめが、どうもかみ合っていないんですね。御蔵の湯についても、県の中間管理等について厳しい指摘をしている委員がたくさんおるのに、最終的には、検証結果としておおむね妥当だったと認められるという、何か強引にまとめたような感じがするわけですが、この間の議論はどういう議論があったのか。岩渕課長ではぐあいが悪いから、菊池副部長が答えてください。
〇菊池副部長兼商工企画室長 まず、検証の方法といいますか有識者会議が検証を進めるに当たって議論されたこと、やり方等についてのお話でございます。
これにつきましては、私が常任委員会でも御説明申し上げたところでございますが、まず、岩渕課長が先ほどお答えしましたとおり、有識者の方々には、あらかじめ議会の決議内容等を含め、これまでの経過等について御理解いただくよう、資料を示し説明をした上で、参画について御承引いただいているという経過がございます。こうした経過のもと、第1回会議においては、運営方法や検証の進め方について有識者の方々で御協議いただき、やり方、議論の仕方等を決めていただいたところですが、結果として、最終的には、いただいた意見を各5人の先生方にお示しし、まとめていただいたというような形になっております。
なお、その中で、今、御指摘があった具体的な議論を進めるに当たっての設定の仕方でございますが、さきの検証委員会における報告書の妥当性についての議論や、御蔵の湯の件、さらには、平成23年度、平成24年度の一連のいろいろな事務、対応についての議論が議会において大きな焦点となっていたということで、まずは、いわゆる作業の進め方としまして、具体的ないわば切り口としてこういった設定もあるのかなというような受けとめ方を我々はしていますが、そういった適切ないわば切り口、具体的な議題として先生方が結果としてお決めいただいたものに従って議論が進められたものと思っています。
ちなみに、先ほど申し上げました、議決の内容として有識者の先生方にあらかじめお示ししました2回の決議の内容としましては、例えば、その指摘において、責任範囲を限定的にし、期待された検証目的から乖離した極めて不十分な内容、あるいは、本旨は県及び県職員のかかわりについて客観的な再検証、責任の解明と再発防止の徹底などといった決議の内容についてもるる御説明申し上げて、この検証に当たっていただいたものでございます。そういった経過の中で、議論を進めていく上でのテーマとしてそういった設定をされたと把握しております。
ちなみに、今、飯澤委員から御指摘いただいた一端を申せば、先ほどそういった観点でおっしゃったのではないかと思いますが、その設置要綱の中身についても、実は5人の先生方と意見が交わされた上で、有識者会議の中で設置要綱も決められて進められてきたということでございます。決して決議の内容を無視したものではなく、議論の進め方の切り口という形で、我々は、先生方が決められた議論の進め方としては、適当な切り口ではあったのかなと受けとめております。
〇岩渕商工企画室管理課長 取りまとめにつきましても、最後の会議のときに有識者の方々の御意見をいただきまして、今後の改善策に生かしていくためには、多様な意見を広くまとめる、一つの結論に必ずしもこだわらないようなまとめ方が好ましいという意見がございまして、そういう方向でまとめることと会議の中で決められたところでございます。
それから、そういう厳しいいろいろな意見の中身と最後の取りまとめ結果が違うのではないかという御指摘がございましたけれども、会議の中では、前の報告書も当然、委員の方々にはお渡しして見ていただいているわけでございますが、さきの報告書におきましても、例えば今後の適切な執行管理のあり方として、不適切な執行が懸念されるような、例えば事業費が大幅に増加し始めるなどの兆候があった場合は、通常でない十分な注意に基づき関係者それぞれが対応すべきであるといった中身とかが書かれておりまして、そういう部分につきまして、書いてある内容は、おおむね妥当だというような意見があったところでございます。
〇飯澤匡委員 この後、同質問は嵯峨委員から厳しく詮議があると思いますので、よろしくお願いします。
最後に、DIOジャパンの補助金返還について、まとめて聞きます。
花巻市、奥州市、一関市が補助金返還に関してまだ議案を出していない状況について、部長の所見を求めます。
2月10日の審査以降、商工労働観光部では市町に対してどのような対応をしたのか、詳細な報告を求めます。
DIO社の誘致は、通常の誘致活動と同様であったと部長は本会議で答弁されましたが、その認識で間違いないのか確認いたします。
今後、返還がなされないケースの対応はどうされるのでしょうか。会計上の対応、期限等、具体的な3市への対応策について示していただきたい。
5番目、大雪問題の総括が十分にされていなかったことによる同事業の緊急雇用創出事業に反省が生かされなかった。この一連の拡大を許した部の責任は私は重大であると思いますが、県民利益を失した認識はあるのか、その認識を問います。
〇菅原商工労働観光部長 まず、DIOジャパン事案に係る補助金返還についてでありますが、立地7市町のうち、盛岡市、釜石市、洋野町、二戸市は、県に全額返還するための平成27年度補正予算を議会に提案済みでありまして、そのうち洋野町、盛岡市、釜石市では、補正予算が可決されたと聞いてございます。
花巻市、奥州市、一関市につきましては、現時点では平成27年度内の予算化の方針が示されていないところでありますが、その3市それぞれにおいて、返還についての検討が今まさに進められている状況と認識してございまして、その過程における現在の状況と受けとめておりますが、県としての考え方は、既に立地市町にお示ししているところでありまして、平成27年度内の予算措置について検討願うということに変わりはないところでございます。
それから、次はDIOジャパンの誘致についてでありますが、県では、通常の企業誘致と同様に、各市町と連携しながら誘致活動を行ったというような認識をしているところでございます。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 市町に対する対応状況についてでございますが、県と立地市町との連絡会議を2月18日に開催しておりまして、2月10日の東日本大震災津波復興特別委員会における審議内容、県の再発防止策、補助金返還に関する県の考え方等を御説明したところでございます。
その後、立地7市町のうち、先ほど部長から答弁申し上げましたが、盛岡市、釜石市、洋野町、二戸市は、県に全額返還するための平成27年度補正予算を議会に提案済みでございまして、そのうち洋野町、盛岡市、釜石市では補正予算が可決されたと聞いております。
その後、花巻市、奥州市、一関市については、現時点では、平成27年度補正予算に計上する方針は示されていないところでございますが、3市に対しましては、3月8日にも状況を確認し、平成27年度内の返還に向けた予算措置の検討について、改めてお願いしているところでございます。
また、返還がなされない場合の対応についてでございますが、県としては、3市に対しまして、平成27年度内の返還に向けた予算措置について改めてお願いしているところでございまして、仮に平成27年度内に返還がなされない場合には、県の歳入予算は市町から返還された収入額をもって決算することになります。歳出、これは積立金でございますが、これについては、平成27年度末までに返還された収入額分を基金に積み戻すことになっております。
〇高橋雇用対策・労働室長 緊急雇用創出事業についてでございます。
DIOジャパンが被災地の復興を掲げて進出したにもかかわらず、早期の事業所閉鎖ということになりまして、多くの離職者が出るなど、立地市町及び県民に多大な被害を及ぼしたものでありまして、県、市町とも、いわば被害者ということで、極めて遺憾と思ってございます。
このようなことから、県といたしましては、再発防止に努めることが重要であると認識しておりまして、緊急雇用創出事業の中間段階における検査の徹底を図るとともに、全庁的には、補助事業等の適正執行に向け、会計事務等のスキルを有する職員による内部考査や本庁と広域振興局の双方の職員で事務処理を確認するダブルチェック、それから、補助金等審査委員会を設置いたしまして、制度設計段階で補助事業の内容を審査するといったような対策を講じてきているところでございまして、引き続き、こうした取り組みにより再発防止に努めてまいりたいと考えてございます。
〇飯澤匡委員 部長、なぜその3市が補助金返還にすぐ応じないかというのは、何回も言っているように、これは一関市長も市議会の答弁で言っていますが、県南広域振興局から補助対象となる経費や業務を県の統一基準で示されて、市長はそれに従ったという認識なんですよ。ですから、知事の陳謝はあったにせよ、経過説明が足りないと。あなた方が市長の納得するような説明をしていないからこういうことになっているのではないですか。ほかの市町は返還したからそれでいい、これに従うのではないですかみたいな答弁は、絶対おかしいと思いますよ。
それから、今回のDIOジャパン問題については、今までの事情と違うから、何回も一関市では確認をしたそうです。県は本気でこういうことをやるのかと何回も確認してやりながら進めてきた。今までのやり方と違うんですよ。ですから、その説明責任、ましてや市町との、これは何回も何回も言っているけれども、しっかりとやらないといかんと思いますよ。
私は簡単だと思いますよ。知事が電話一本入れて、こういう経過だから何とか理解していただきたい、これで済む話なんですよ。こういうことを全然やっていないじゃないですか。事務方に適時適切に任せていますから、これが私は大きな問題だと思います。
どういう所見をお持ちか、部長、お答えください。それで終わります。
〇菅原商工労働観光部長 DIOジャパンの事業を進めるに当たりましては、県としても、要綱、要領に照らし合わせまして共通的な考え方を整理しながらやってきたというのは、そのとおりでございます。ただ、そういったことが他の県とどこが違うのかということにつきましては、他県においても同様の対応をしてきたということでございまして、本県だけが特別な状況だったという受けとめはしていないところであります。
いずれ、要領、要綱に照らし合わせながら、疑問な点等につきましては、厚生労働省にも照会しながら対応してきたところでございまして、県、市町とも、その時点、時点で適当と判断して事業実施してきたものと捉えてございます。
〇佐々木努副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後3時11分 休 憩
午後3時31分 再開
〇高橋但馬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
委員各位及び執行部に申し上げます。この後、本日審査を予定している部局について延べ14人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
質疑を続行いたします。
〇佐々木努委員 先ほどの飯澤匡委員に関連して質問させていただきますが、私は副委員長職なので、簡潔に質問させていただきます。
先ほどのDIOジャパン関連コールセンターの問題です。
私もさまざまな委員会等で取り上げてまいりましたが、全然納得のいく答弁がいただけていません。私もこれは早く終わらせたいのです。この問題をいつまでも引きずってはだめだし、引きずるような問題ではないのです。ですから、やはり県として何が悪かったのか、どこが納得してもらえなかったのかをしっかり検証すべきだし、認識すべきだと思います。
さっき部長が、他県とどこも違わないと。被災3県、コールセンターを入れられた県の取り組みは同じだったと言いますけれども、同じじゃないんですよ。これだけ多くのコールセンターを誘致したのは岩手だけです。それに緊急雇用創出事業を導入して、同じ要領、要綱を県がつくって、それをやらせたというのは私は岩手だけだと認識しています。それをやはり市町村は一番問題にしていて、そこを認めない限り、絶対に市町村は納得しません。そして、補助金も返したくないと思い続けるはずです。
ですから、もっと県として市町村の思いを受けとめて誠意ある対応をしてほしいと思いますが、3月8日、関係市の意思確認をしたということですが、どういう形でされましたか。それをお聞きします。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 3月8日には、その時点でまだ奥州市等、予算措置の方針が示されていない状況でしたので、改めて関係市においてどういった状況かを確認いたしまして、その時点でもまだ方針が示せる状況にないということをお聞きしました。その上で、改めて平成27年度内の予算措置について検討をお願いしたということでございます。
〇佐々木努委員 そうじゃなくて、どういう形で意思確認をしたかということです。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 私どもとしては、3市に電話で確認し、お願いしたということでございます。
〇佐々木努委員 そこが私は問題だと思うのです。これだけマスコミにも取り上げられています。議会でも議論になっています。それだけ大きな問題だということをやはり認識されて、それなりの責任ある方が直接3市に行って、そして責任のある方と話をする、話を聞く、まずそこからじゃないかと思います。
さっき飯澤委員が知事が電話をすればいいのではないかという話をしましたが、私は、最終的には知事が出向いて首長と話をして、こういうことで県にも手落ちがあったから何とか理解してほしいというふうな話をして、そして初めて、市長も、では、補助金を返しますという話になるのではないかと私は思います。その辺の誠意が私には全然感じられないのです。電話をかけて相手の対応を待っているということでは全然だめだと思いますが、部長、いかがでしょうか。
〇菅原商工労働観光部長 私どもも、私あるいは副部長なり室長が何度か出向いて、中には首長と直接お話ししたところもございます。そういったことを繰り返し、また、連絡会からの文書でのお問い合わせについても私の名前でお返事を差し上げてございますので、県としての考え方は既に各市町にお示ししているということで、現在、その後の状況変化等に応じまして、当部が関係市との連絡窓口となっている状況でございます。
もう少し事務レベルを超えたところでといったお話でございますが、そこにつきましては、私が今ここで判断しかねる部分がございますので、予算特別委員会の場でそういった御意見があったということを上司に伝えたいと思います。
〇佐々木努委員 私も、ぜひそれをやってほしい、そして、早くこの問題を解決してほしいということをお願いして終わります。
〇工藤大輔委員 先ほど来、大雪りばぁねっとの質問、そしてDIOジャパンの質問が交わされています。大雪りばぁねっとの関係につきましては、これまで長く議論を重ねられたことでもあります。いずれ、震災のかなり忙しい中で進められたものの中で手落ちがあった、あとは確認の不足があったということで、これは大いに県も反省をしなければならないと思いますので、今後そのような手落ちがないように、幾ら忙しかったといえども、少し内容がお粗末というか、もう少しやっていればよかったということがわかる事案ですから、そこはしっかりとやっていただきたいと思います。
また、DIOジャパンについてですけれども、現在、4市町で既に返還されている状況の中、皆さんも御承知のとおり、会計検査院の制度というのは、県がオーケーを出しても、省庁がいいよと言っても、最後は会計検査院がだめだと言えば返還に応ぜざるを得ない。その指摘を受けたら尊重しなければならないというのが最終的な制度であると思います。それゆえに、制度をつくる国あるいは県の責任はより重いのだということを私は以前にも申し上げたところでもあります。それを自覚しながら、県が事前にそのことがわかれば、先に国にしっかりと申し入れをし、変えてもらうということは今後とも徹底していただきながら、今、返還に応じていただけない3市については、3市の意向を丁寧に把握し、どうすれば返還の環境が整うのかということをしっかりと、事務方であってもまたそれぞれの人を通じて進めながら、一日も早く返還に応じてもらえるような努力をさらにしていくべきだと思いますが、この件について部長の答弁をいただきたいと思います。
〇菅原商工労働観光部長 委員おっしゃるとおりだと思います。私どもも会計検査院から県の落ち度という部分を指摘されましたので、今後、不十分なことのないよう取り組みを進めてまいりたいと思いますし、また、返還の問題につきましても、各委員からさまざま御意見、御指摘がございましたので、それらを踏まえまして、早期の決着に向けまして引き続き努力をしてまいりたいと思います。
〇工藤大輔委員 早期に3市の思いが通じるような中身で進めていただきたいと思います。
それでは、通告していた質問を行いたいと思います。
希望郷いわて国体・希望郷いわて大会観光キャンペーン事業費が計上されています。その中で、冬季国体が終了し、本県の選手団には大いに活躍していただいたところであります。また、復興国体ということもあり、岩手を訪問された方々の県内の観光や被災地訪問がどのように行われたか、実績とその取り組みについてどう評価しているのか先にお伺いしたいと思います。
〇平井観光課総括課長 冬季国体における実績と取り組みの評価等についてでございますが、冬季国体におきましては、大会参加者向けに製作した観光ガイドブックを大会前の10月中旬には出場選手や大会関係者に事前送付するとともに、大会期間中は、震災語り部ガイドつきの三陸観光応援バスツアーや、二つの世界遺産、そして沿岸地域の冬の食をめぐるバスツアーの運行を支援したところでございます。
実績と評価についてでございますが、冬季国体が開催されました本年1月から2月における本県への観光入り込み客数につきましては、現在、調査中でございますが、県が運行支援いたしましたバスツアーの利用者につきましては全体が85名で、バスツアー1回当たりの平均利用者が6名と、昨年同時期の平均利用者5.6名を若干上回ってはいるものの、やはり入り込みの高い秋、夏のシーズンの運行に比べると低調な状態でございまして、このことを踏まえますと、国体開催のメリットを今後に十分生かすためにも、本大会に向けては企画内容の見直しやPRの強化などに取り組み、沿岸を初め全県への誘客の拡大につなげていくことが必要と感じているところでございます。
〇工藤大輔委員 希望郷いわて旅ガイドというのをいただきました。その中を見ますとこういうチラシが間に入っていて、三陸観光応援バスツアーということで四つのコースが設定されています。この中身を見ても、被災地を訪問してもらいたいとか行っていただこうという気持ちがこの中から十分感じられないのですよね。特にも冬季国体は冬場ですから、行ってもらうのはなかなか難しいと思ったのかもしれません。ただ、新年度の事業の中には、再度訪問してもらう、リピーターになってもらうということからすれば、やはり冬季国体からもう少し感謝を伝えるということであったり、被災地のこれがこうなっていったのだと、だからこちらを訪問してほしいというようなことが見えるような形でないと……。大会に出た方であれば感謝が伝わります。行ってみて、よし、頑張ろうと思ってやって、競技が終わった後、行こうと思っても、訪問する方はもう事前に日程を決めていますから、行く気がない方、行こうと思っていない方はそのまま近くだけを見て帰ります。ですから、ここは、被災地や沿岸を見てもらおうとすることからすると、ちょっと対応が弱かったのではないかと思います。
それを受けて、いずれ本大会が来ますが、その準備状況と、目標とする人数等の規模はどうなのかということをお伺いしたいと思いますし、同時に、本大会までの間、デモンストレーション競技も随時開催されていきます。どのように誘客に結びつけていこうとしているのかお伺いします。
〇平井観光課総括課長 まず、本大会に向けた準備状況等についてでございますが、本大会に向けましては、冬季国体と同様に大会参加者向けの観光ガイドブックの製作、それから、二つの世界遺産を核とし、本県の観光スポットと沿岸地域の食などをめぐるバスツアーの運行支援に加えまして、県内各市町村の観光や物産、イベントなど、岩手を丸ごと発信するパビリオンを設置いたしまして、県内各地の市町村の観光施設や物産施設との連携のもとで、県内の周遊観光や特産品の販売を促進することとしております。これにつきましては、本年度2月補正予算におきましてこれらの事業に必要な経費を措置させていただきまして、現在、準備を進めているところでございます。
また、人数等の規模でございますけれども、一般社団法人岩手経済研究所の試算によりますと、本大会、いわて大会におきまして、選手、役員、観客で延べ98万4、000人(後刻「93万4、000人」と訂正)の来場者が見込まれているところでございますが、このいらっしゃった方々に各地を観光していただき、特にも沿岸地域まで足を伸ばしていただくことで県内各地での観光客の入り込みと宿泊の増加を図っていきたいと考えているところでございます。
また、デモンストレーションスポーツの開催における誘客の取り組みでございますが、県内各地で多彩なデモンストレーションスポーツが開催されますことから、これへの参加や観戦のために県外から訪れる方々に対しても県内各地の観光地の周遊を促していくことが重要と認識しているところでございます。このことから、デモンストレーションスポーツがスタートする6月に向けて、情報発信の強化や、沿岸を初め内陸を周遊するバスツアーの運行支援などによる二次交通の充実に取り組み、デモンストレーションスポーツの参加者などの県内周遊観光を促進し、誘客の拡大につなげていきたいと思います。
なお、恐れ入りますが、本大会における人数等の規模でございますが、岩手経済研究所の試算によりますと、本大会、いわて大会におきまして、選手、役員、観客で延べ98万4、000人と先ほど申し上げましたが、93万4、000人でございます。訂正させていただきます。
〇工藤大輔委員 国体の開催は、実際、始まればすぐ終わってしまうぐらい実を言うと非常に短い期間であります。デモンストレーション競技は随時開催されていくということもあって、この1年を通じて多くの方に岩手を訪問していただけるような発信の仕方をさらに工夫して、よい結果が出るように導いていただきたいと思いますし、先ほど、沿岸部への誘客という話もありました。
県内の観光客、総じて戻ってきてはいるのですが、どうしても沿岸部が被災前と比べて戻っていないというような状況であります。その中で、三陸ジオパークやみちのく潮風トレイルの指定、また、橋野鉄鉱山・高炉跡の世界遺産指定など、追い風となる環境は出てきています。それに応じて、県でも復興ツーリズム推進事業費や三陸地域資源活用観光事業費等が観光課で計上されていますし、また、他部局においても三陸総合振興推進費なども予算計上され、総合的な取り組みが行われていくのだろうというふうに予算書の中で推察もされます。
そういった中、ガイドの育成や案内板の支援、また、トイレや二次交通など、非常に課題はまだまだ多いと思いますが、沿岸部において特にも重点的に取り組むべき事業は何なのか。こういったことをすることによって誘客に結びつくポイントとなる内容についてお示ししていただきたいのと、あわせて、復興関係、学校の関係の取り組みについても御説明をいただければと思います。
〇平井観光課総括課長 沿岸における誘客拡大の取り組みのポイント等についてでございますが、先ほど委員もおっしゃいましたとおり、沿岸地域におきましては、みちのく潮風トレイル、または三陸ジオパーク、それから橋野鉄鉱山など、さらには、復興のシンボルとなっております三陸鉄道、そして、三陸の豊かな食、暮らしなど多彩かつすぐれた観光資源を有していますので、これらの資源を組み合わせまして、さらにそこに震災学習を取り入れました復興ツーリズムといたしまして教育旅行の誘致、一般観光客の誘致に取り組むことが重要であると認識してございます。
このための取り組みのポイントといたしましては、まず受け入れ態勢の整備でございますが、三陸ジオパークガイドなどの各種ガイドの養成、それから、ガイド団体同士のネットワーク化にも取り組んでございます。さらには、県外のお客様からの具体的な旅行プランの問い合わせなどに一元的に対応する窓口を三陸鉄道に設置してございます。また、案内板等の整備の支援も行っているところでございまして、このような受け入れ態勢の向上とともに、内外でのPRの強化をいたしまして三陸地域への誘客の拡大を図っていこうというものでございます。
さらに申し上げますと、今月にはいよいよ北海道新幹線が開業いたします。北海道と本県との移動時間が大変短くなります。短くなるということは、沿岸部まで足を伸ばすという可能性が拡大してまいります。この点を生かしまして、特にも教育旅行におきまして本県沿岸部で震災を学んでいただくということで、現在、北海道に対しましてこのようなプロモーションをかけてございます。こういうことも生かして、本県への教育旅行を中心に拡大を図ってまいりたいと考えてございます。
〇工藤大輔委員 沿岸、また被災地の誘客について鋭意努めていただきたいと思いますし、また、県内の観光地の魅力の向上にしっかりとつながるような事業として、新年度、取り組んでいただきたいと思います。
次に、ものづくり自動車産業推進室についてお伺いしたいと思います。
これは既に本会議等でも議論されてきているところでありますが、新年度、二つの課を統合し、室に格上げするようですが、改めてどのような効果が期待されているのかお伺いしたいと思いますし、人数も含めて、その規模についてお伺いしたいと思います。何人体制か。
〇岩渕商工企画室管理課長 二つの課の統合によって期待される効果でございますけれども、これまで、ものづくり自動車産業振興課と企業立地推進課の双方で担ってきました企業誘致や誘致企業のフォローアップを一体的に進めていくこと、そして、新たに室を設置して、本県が自動車関連産業を初めとするものづくり産業の振興に注力していることを対外的にしっかりと発信していくことによりまして、企業誘致分野における競争力がさらに高まっていくものと考えております。
また、誘致企業と地場企業の連携、協業やものづくり人材の育成に向けた取り組みについても一体的、効果的に推進することでより競争力の高い産業集積が実現して、本県ものづくり産業のさらなる振興に結びついていくものと考えております。
組織体制でございますけれども、定数上の扱いでございますが、現在、企業立地推進課10名、ものづくり自動車産業振興課18名の28名体制になっております。これが統合によりまして1名増の29名体制が定数上の人数となっております。
〇工藤大輔委員 これは出向が抜けているから1名減ということになるのですか。(「1名増です」と呼ぶ者あり)現状、ものづくり自動車産業振興課は18名と説明があったのですが、出向で行っている方と、たしか一戸町から来ている方もあるかと思いますが、私、数えたら19名と思ったのですが、その確認が1点。
それと、新しい室の体制になったとき、それぞれの組織体制の中で役割というのが何名体制になるのかということを答えてください。
〇岩渕商工企画室管理課長 定数上の取り扱いで、現員数とは異なるということが第1点でございます。
それから、今お話ありました一戸町から来ている職員につきましては定数にカウントされていませんので、御了承いただきたいと思います。
来年度の人数でございますけれども、副部長級の室長1名、ものづくり産業振興課長1名、自動車産業振興課長1名、企業立地推進担当課長1名。ものづくり振興課長のもとに課員8名、企業立地に課員8名、自動車産業に課員9名という定数で配置しております。
〇工藤大輔委員 そうなると、企業立地の関係は10名から8名とか、いずれ体制的には減るような形にも見えるわけですけれども、やはり県北・沿岸等は特にも企業立地の成果がなかなか出てこない、ゼロというのが続いていたり。となると不安を覚えるところもありますが、この室をつくることによって、県北・沿岸における企業立地にどのような効果が出てくるのかお伺いしたいと思います。
〇飛鳥川企業立地推進課総括課長 県北・沿岸地域への効果についてでございますが、さまざまなところで企業立地が近年進んでいないという御指摘はそのとおりでございまして、企業誘致全体を取り巻く環境はやはり大変厳しいと認識しております。
そのことを踏まえまして、今後の企業誘致戦略については、県外からの企業誘致に加えまして、立地した企業と地域の関係づくりを進めるビジョンを盛り込むことがますます必要になってくると考えております。
新設されるものづくり自動車産業振興室でございますけれども、引き続き企業誘致や立地企業のフォローアップに努めますとともに、誘致企業と地場企業の連携、協業、先ほども御答弁させていただきましたけれども、それにプラスして、人材の育成に向けた取り組みを一体的に推進する予定としているものでございます。
このため、県では、地域の中核的企業と地場企業のサプライチェーン構築を目的とした地域クラスター形成促進事業も新年度に取り組むこととしております。県北・沿岸地域においても、このような取り組みを進めることによりまして工場の増設や取引先企業の誘致につながり、そして、地域経済がより一層活性化していくことを期待しているところでございます。
〇工藤大輔委員 自動車関連産業は、部品メーカーを含めて、計画的になのか進出がふえてきている。その傾向は望ましいですし、応援すべきときにはぐっと応援して、県全体から見れば効果を高めていただきたいという思いは強く持っています。その一方で、やはり県北において、食産業やアパレルをうたいながらもなかなか成果が出ない。先ほど飛鳥川総括課長から説明があったとおりの事業も当然フォローアップしていただきたいわけでありますが、どうしても新聞紙上に出る企業誘致の状況は、明らかに誘致や大幅な事業拡大ということで踊るのはやはり県南地域ですから、それだけ優位性があるということは理解しています。
いずれ、地域の振興を考えても、県北・沿岸に対して、ここで人がちょっと減ってみたり、事実上の格下げではないかと見られないように、とにかく成果を出していかなければ、これは何か言われてしまうのはしようがないと思います。できればもっと手を加えていただきたい。もっと戦略をふやしてもらいたい。食やアパレルだけではなく別の柱立てもやってほしいというのが県北・沿岸の本当の気持ちではないかと思います。ですから、その事業をどのように今後進めていこうとするのか、私は新たな柱立て等も必要だと思いますが、最後にそれをお伺いして質問を終わりたいと思います。
〇菅原商工労働観光部長 おっしゃるとおり、県北・沿岸地域において新基軸といったものを構築していくことも一つ大事なことと思います。そういうことで、先ほど飛鳥川総括課長からも申し上げましたが、来年度から県南地域の自動車産業とか半導体産業におけるサプライチェーン構築がございます。そういった事例を横展開するような形で県北・沿岸地域でもやれないかということで地域クラスター形成促進事業に取り組むことにしてございます。まだ詳細はお話しできませんが、そういうことで、県北・沿岸地域におきましても、地域の中核的産業と地場企業とのサプライチェーン構築ということで産業振興を図って、今後とも注力してまいりたいと思います。
〇伊藤勢至委員 質問者がいっぱいいるのは存じていますので、手短に関連質問をさせてもらいます。
ただいま工藤大輔委員からの質問に対して、観光課総括課長から、新幹線が北海道に延びる、これを見越してアプローチをしているという話がございました。これに関連してお伺いしたいと思います。
今月7日、県土整備部港湾課から正式発表がございました。平成30年、北海道室蘭市と宮古市の間に定期フェリーが就航するということでございます。これは三陸沿岸あるいは県北振興にもつながるものと思いますので、今おっしゃった新幹線効果を追い求めるその勢いをとめないで、平成30年のフェリー開設に向かっての準備もあわせて進めるべきだと思います。もちろんことしの国体に皆さんが集中して向かっていることもよくわかります。でも、その先にある新しい展開、県北・沿岸振興についても大きな手となる可能性を秘めているものでありますので、ぜひそこまで継続した運動展開をして、もって沿岸・県北の振興を図るべき、このように思いますが、いかがお考えでしょうか。
〇菅原商工労働観光部長 このたびの宮古-室蘭間の新規定期航路の開設でございますが、本県と北海道との間に人や物の新たな流れをつくり出すことから、地域経済の活性化や観光の振興などに大きく寄与するものと考えてございます。
県といたしましては、宮古-室蘭間の新規航路の開設という新たなパイプの形成を初めといたしました産業面、観光面での環境の変化に的確に対応していきたいと考えておりまして、復興道路や港湾機能も活用しました産業振興を展開していくことが大事であると考えております。こういった認識に立ちまして、市町村、関係団体等とも連携いたしまして、三陸地域はもとより、県全体での産業面、観光面での活用策にも及ぶような調査研究を鋭意進めてまいりたいと思います。
〇伊藤勢至委員 正式発表によりますと、毎日1便寄港すると。車両、トラックを69台、乗用車を20台、そして観光客を最大600人乗せてくるというフェリーです。観光振興、誰かも言いましたが、まさに観光は外貨を稼ぐ大きな手段だと。私もそのように思ってまいりました。物流につきましても、片荷ということはあり得ない。双方向で物を積んで運んで初めて物流は成り立つと思っておりますが、北海道から荷物を積んできたトラックに帰りに何の荷物を積んでやるかを今から研究をしておかなければならないと思います。
聞くところによりますと、北海道から宮古市に入ってくるほとんどのトラックには、宅急便、恐らく関東、関西向けの農林水産物等だと思いますが、商売であり、物流でありますので、片道切符では商売にならないんです。ですから、最初から70台までいかなくても、三陸沿岸、オール岩手の何を積んでやるかということを今から本気になって研究していくことが大事だろうと思っています。
県土の広さからいきますと、北海道は面積的には約3倍、人口的には4倍、まさにでっかいどうでありますので、そういうところにひるむことなく、1本の航路ではありますけれども、新しい展開が開けるという気持ちをぜひ持っていただいて取り組んでいただきたい。これは三陸沿岸、県北振興に風穴をあけるものだと思っておりますので、ぜひそういうふうに取り組んでもらいたいわけでありますが、部長はもうしゃべり疲れたでしょうから、観光課総括課長から。
〇平井観光課総括課長 委員がおっしゃいましたとおり、観光振興の面でお答えいたしますが、北海道は今、岩手県への教育旅行で一番大きなマーケットでございます。北海道から岩手県に修学旅行にいらっしゃる方が一番多い。ただ、委員からも先ほどお話がございましたとおり、北海道から来るお客様、そして今度は逆に岩手県から北海道に向かうお客様も、航路を維持する、そして、それによって交流人口をふやすというところで非常に大事なものと認識しております。
このことから、私どもが北海道に対して修学旅行のセールスをする際、北海道の学校の教育旅行プログラムにぜひ沿岸の学校との交流プログラムを持ってくださいと。両校が交流することによって、沿岸の中学校、高等学校が北海道に修学旅行に行く可能性も広がっていくでしょうというようなセールスをしてございます。このようなことから、双方向の交流人口が図られることを念頭に取り組みを進めてまいりたいと考えてございます。
〔伊藤勢至委員「物流も聞きたい」と呼ぶ〕
〇飛鳥川企業立地推進課総括課長 今、委員から物流面のお話がありました。北海道は、新幹線の開通に伴いまして、今まで貨物で運んでいたものが今度は海運に動いていく、そういった総量の部分で北海道から本州に流れてくる物流は多くなってくるのではないかと思っております。
一方、片荷だけではやはり長続きはしないということが課題でございまして、本州から北海道に行っているものの大きな荷物とすると日用品等があろうかと思います。岩手県内には、北上、花巻地域にこういった日用品の大手物流卸企業もおりますので、こういったところから、フェリー開通に間に合わせた形で、何とかそういった荷をフェリーを使って運べないかといったところも企業といろいろ御相談をしながら研究をしていきたいと考えております。
〇佐藤ケイ子委員 私は、雇用環境の改善に向けた取り組みについてお伺いしたいと思います。
けさの新聞に岩手労働局が発表した是正残業代2億4、000万円の支払いを求められているとか、そういったことなどもあるのですけれども、岩手県の労働環境は本当は非常に厳しいと見ています。給料が低い、処遇が悪いとか非正規が多いとか、それで退職者が多い。職場の労働事故も多いということでたくさんの課題を抱えておりますけれども、県内の人材確保、それから人口流出の問題にも絡んでまいりますので、新年度に予算計上されていますいわて働き方改革等推進事業の内容についてお伺いいたします。
〇工藤労働課長 いわて働き方改革等推進事業についてでございますけれども、この事業は、長時間労働の抑制などの働き方改革を推進するとともに、正規雇用の拡大等を図るため、優良な取り組み事例の紹介や国の助成制度の活用の促進などに取り組むものでございます。
具体的には、労働時間の短縮などをスローガンに掲げるなどして働き方改革の推進運動を展開するとともに、働き方改革を積極的に推進している企業、団体等の表彰、それから、当該受賞企業の取り組み事例や国の助成制度などをまとめたパンフレットの作成、配布などを行うこととしております。また、正社員雇用の拡大や非正規雇用から正規雇用への転換の取り組みを行っている企業の事例紹介などを内容とした事業主向けのセミナーを内陸地域と沿岸地域で開催することとしております。こうした取り組みをいわてで働こう推進協議会の構成団体と連携を図りながら行い、企業等における働き方の見直しや正規雇用の拡大、処遇の改善を推進してまいります。
〇佐藤ケイ子委員 この事業が実を結べばいいと思うわけですけれども、岩手県は全国に比べて平均給与が低いわけですよね。岩手労働局の資料によりますと、全国でも最下位グループ、下から3番目ではないかと私は見ました。私が見た資料によると、例えば平均給与月額、全国は男性32万9、600円のところ、岩手は25万7、700円。賞与でも、全国は97万2、000円、岩手は39万2、300円とすごく差がある。女性についても同じようにもっとひどい差が出ておりますし、最低賃金も全国最下位グループということで、これでは人材確保がなかなか難しいと思います。
そして、求人倍率は高いわけですけれども、非正規雇用が非常に多いと。有効求人倍率は1.23倍あるということで求人は多いと言われてはいますけれども、その中身は、常用雇用は0.7倍くらいだと思って調べてみました。
そうした内容で、カイゼンの啓発等を図るというのは本当に大事なことだと思います。全国と比べた労働実態をどのように捉えていらっしゃるでしょうか。
〇工藤労働課長 委員御指摘のとおり、本県の給与、それから賃金水準は、いずれも全国平均を下回っている低い状況にございます。一方では、本県1人当たりの年間総労働時間は全国平均を上回っている状況にございます。
そうしたことから、まずは賃金水準、給与水準を引き上げていくためには労働生産性を高めていくことが必要とされておりますので、県としましては、企業における設備等の高度化やカイゼン導入への支援、それから付加価値向上のための新商品開発、販路開拓への支援を行うとともに、長時間労働の抑制など、働き方改革の取り組みを推進することによって総合的に労働生産性を高めていくということで考えてございます。
これらに加えて、今般設立したいわてで働こう推進協議会、それからまたその構成員と連携を図りながら、若者や女性等の県内就職の促進や働き方の改善に関する協議、情報共有、啓発等を図っていくこととしておりまして、こうした取り組みを通じて、給与、賃金水準の引き上げ、それから長時間労働の抑制等、労働環境の整備改善を図っていくということで考えてございます。
〇佐藤ケイ子委員 そのとおり取り組んでいただきたいと思うわけです。
それから、職場での事故が非常に多いのではないかと思っているのです。例えば、平成28年1月現在の労災事故52件。県内七つの労働基準監督署で、52件あるうちの16件が花巻労働基準監督署の中なのですね。花巻労働基準監督署は北上市、花巻市をエリアとしているわけですけれども、そうすると、大体、北上市で労災事故が多いのかなと私は推察します。
今、北上市の中ではどういうことになっているかというと、誘致企業がありまして、全国でシェアが多いコンビニエンスストアの製造会社が来て─大手企業なわけですけれども、ブラック企業大賞を受賞する、そういう企業なわけです。その中ではやはり労働災害が非常に多くて、安全管理特別指導事業場の指定を受けていたりするわけです。そういう指導を受けている事業所が多くなっているのではないかと思いますし、その実態。
それから、きょうの報道でもありましたけれども、労働基準監督署から残業代未払いの関係で是正の指導を受けているのが40社あって昨年より1社ふえている。2億3、934万円、是正勧告を受けている企業数は過去最多、金額も過去2番目ということで県内の労働環境は非常に厳しい状況ですけれども、どういうふうに捉えているか、安全管理の部分での捉え方をお伺いいたします。
〇工藤労働課長 安全管理面に関して、まず、安全管理特別指導事業場についてでございますけれども、都道府県労働局長は、労働安全衛生法に基づきまして、労働災害の防止を図るため総合的な改善措置を講ずる必要があると認める事業場を安全管理特別指導事業場に指定して、当該事業場の安全、衛生に関する改善計画を作成すべきことを指示することができるとされているところでございますが、岩手労働局によりますと、この安全管理特別指導事業場の指定件数につきましては非公表ではありますけれども、ここ数年、同程度の件数で推移していると聞いてございます。
一方、全県の労働災害の発生状況を見ますと、休業4日以上の発生件数は、平成23年1、280件だったものが平成26年2、478件までふえたことから、国の指導監督、それから県ではそれと連携した普及啓発に取り組んだところでございまして、そういうことが功を奏したということもあろうかと思いますが、平成27年には1、220件に減少していると労働局から聞いております。
そういった状況にはございますけれども、労働局でも引き続き指導監督に力を入れていくということで聞いてございますし、県としましても、連携して普及啓発等を図りながら、労働安全面についても徹底が図られるように進めてまいりたいと考えてございます。
〇佐藤ケイ子委員 所見をお伺いしたいと思うのですけれども、いわてで働こう推進協議会の取り組みもいいですし働き方改革の推進も非常にいいわけですけれども、やはり労働環境を改善してもらう取り組み、意識を全県的に持っていただかないと働き続けていくことが非常に厳しい状況なわけです。それで人口流出ということになってまいります。意識を改革すること、会社の社会的責任、それから経営者の倫理観の醸成ということを高めてもらう。それから働く側も、不条理な処遇を受けていれば、それをしっかり声を出していって意識を高めていかなければならないと思うわけです。そうした働き方の改善について決意をお伺いしたいと思います。
〇工藤労働課長 委員御指摘のとおり、まさに労働環境の改善、向上のためには、事業者や労働者の意識、労働慣行を変えていくことが非常に重要であると考えてございます。
そういったことから、このいわて働き方改革等推進事業におきましては推進運動の展開等を行うことにしてございますので、関係機関と連携しながら、より一層、普及啓発、それから意識変革、企業等の事業者、労働者ともに意識が変わるように取り組んでまいりたいと考えてございます。
〇嵯峨壱朗委員 山田町NPO事案再検証報告書についてお尋ねしたいと思います。
まず前段として、この委員会をつくろうと決めたのはいつごろだったのかということを確認しておきたいのですが、お願いしたいと思います。
〇岩渕商工企画室管理課長 新たな検証組織についてでございますが、新たな検証組織を設置いたしまして改めて検証を行おうとしたのは12月定例会の前でございます。
〇嵯峨壱朗委員 それは、会計検査院の指摘があったからという理解でいいのですか。
〇岩渕商工企画室管理課長 議会の2度にわたる決議についてはきちんと対応しなければいけないと考えておりまして、11月に会計検査院の結果も公表されましたことから、そういう状況を踏まえて、11月下旬に新たな検証組織を設置したいということで議長への申し入れ等を行ったところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 ということは、会計検査院の結果が……。というのは、平成26年7月7日から1年5カ月ぐらい経過して検証委員会の設置を決めたということですね。議会の決議が最終にあったのは平成26年7月7日、それからすると1年半近くたっていると。そこで改めて議会の決議を受けて設置したというのは、これは会計検査院の指摘がなければ設置しなかったと捉えていいのかな。
〇岩渕商工企画室管理課長 議会の決議に対する対応については、先ほどお答えしましたとおりしっかりと対応しなければいけないという認識でおりましたけれども、一方で、平成26年、会計検査院の検査がこの事案についても入りまして、そういう検査が継続中で一定の結論を導き出すような検証は差し控えるべきという考えのもとで時間がかかってきたところでございますが、会計検査の結果も平成26年から1年以上かかってやっと出たという状況で、今回、新たに検証しようということを考えたところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 前段の最後ですが、ということは、やはり会計検査院の結果がなければ、その時期にまだやるかどうかわからなかったということでいいですか。
〇岩渕商工企画室管理課長 会計検査院の結果は、時間がかかりましたけれども、結果は必ず出るということは見通しておりました。あとは、その結果の内容を見きわめて検証しなければいけないということでございます。
今般、山田町の事案についても会計検査院から指摘を受けたわけでございますので、そういう状況も踏まえまして改めて検証しようとしたところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 わかりました。
この議会の決議ですけれども、改めて具体的に質問に入りますが、山田町NPO事案の再検証報告書という平成28年3月2日の今、私が問題にして取り上げているものですけれども、この検証の目的というものが出ています。それを見ますと、平成26年3月25日、山田町災害復興支援事業等の第三者委員会の再検証を求める決議及び先ほど申し述べた議会での決議に対応するため、新たな組織を設置、当該事案における県の対応の妥当性について改めて検証を行うと述べておりますけれども、この二つの決議のどの部分に対応してこの委員会をつくったのか教えてください。
〇岩渕商工企画室管理課長 決議と検証の関係についてでございますけれども、議会からの2度の決議におきましては、さきの報告書が、責任の範囲を限定的にし、期待された検証目的から乖離した極めて不十分な内容であったこととか、県議会が決議で求めている本旨は、県及び職員のかかわりについて、客観的な再検証による責任の解明と再発防止の徹底であるといったことなどが盛り込まれておりまして、このため、より外部の視点を取り入れた第三者委員会を新たに立ち上げ、県民への説明責任を果たせる結果を得るため、再度の検証を行うよう強く求めるとされていたものであると認識しております。
このことから、今回、法制度や補助事業の仕組みに精通している外部の方々により改めて検証を行うこととしたところでございまして、有識者の方々には、こうした議会の決議内容をしっかりと踏まえた上で、丁寧かつ十分な検証を行っていただいたと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 先だっての常任委員会でも千葉伝委員、そして斉藤信委員からいろいろと質疑があったようですけれども、この決議の中で、県が前にやったというか、いわゆる客観性を欠いた委員会で検証したというその検証では不十分だと言ったのですが、検証しろということは一言も言っていないですよね、決議で。どこにそれが書いてあるのか。そうではなくて、山田の大雪りばぁねっと事案について、妥当性という言葉を使っていますけれども、県のかかわりはどうだったのかということを検証してくれ、あくまでそれをやってくれという決議をしている。にもかかわらず、皆さん方がやったのは、その検証報告が妥当であるかどうかという点。誰も議会の決議の中で求めていないと思うのですけれども、どこに該当するのでしょうか。
〇菊池副部長兼商工企画室長 有識者会議の先生方に検証をお願いするに当たって、先ほども飯澤委員に対してお答えしたところでございますが、2度の決議内容そのものもお示しした上で、そういったことから検証が求められている御認識をいただいて会議の構成メンバーになっていただくことを御承引いただき、事前にいろいろ研究していただいた上で臨んでいただいております。これには決算特別委員会の集中審査の議事録も当然お示ししていますし、さまざまな関係資料をお示ししております。もちろん、有識者会議の大きなテーマとして、議会の決議に対応した検証をすべしという御認識であったと私どもも思っております。
その中で、具体的な議論を進めていく上では、さすがに何らかの具体的なメルクマールといいますか論点を整理して、論点に従ってまずは検証していくことが具体的な作業内容ではないかと思っておりますが、その中で、さきの検証委員会における報告書の妥当性の検証についての議論や、あるいは御蔵の湯の件、あるいは先ほど申し上げました平成23年度及び平成24年度の関係事務の対応についてなどが議会でいろいろ議論をいただいたということもあり、そういったことをまずは論点とされて検討を進めていくという形に有識者会議が進んだものと私どもは認識しております。
言いかえれば、いわば議論を進めていく上での切り口としてこういった論点を設けて、その結果、決議内容でいろいろ御指摘いただいているかかわりとかそういったものも浮き彫りにされてくる、そういった具体的な作業が進んでくる過程であったのではないかということで、事務方として申させていただければ、その作業のやり方としては適切な対応であったのではないかと受けとめております。これらのプロセス及びやり方について決めていただいたのは有識者会議の皆様ですので、その検証の進め方を含めて御議論いただき、お決めいただいたプロセスについて事務方としてそれ以上コメントすることはございませんが、重ねて申し上げますと、いろいろな論点を用意して検証を進めたということであって、決議内容を無視して有識者会議が検討を進めたとは私どもは受けとめておりません。
〇嵯峨壱朗委員 別の角度からすると、妥当性を検証するというのは百歩譲ってそうかということで、その妥当性の検証の妥当性は何についての妥当性を検証しようとしたのですか。検証結果の妥当性ですか、それとも大雪りばぁねっと事案に対する県のかかわりが妥当であったという意味での妥当性の検証なのか、どっちなのですか。
〇菊池副部長兼商工企画室長 これは有識者会議が検討し、まとめていただいたことなので、受け取る側としての県の受け取り方でございますが、妥当性ということについては、まず、県の対応の妥当性について御検討いただいた。これは設置目的に従ってそのようなことをやったと思いますので、県の一連の対応についての是非といいますか、責任あるいは反省すべき点等々について御議論をいただいたと思っております。
〇嵯峨壱朗委員 委員会の質疑でも妥当性が出てくる。5名の先生方にまずもってこの妥当性はいかがかという切り口から改めて検証をいただいたと思っておりますというふうに、先ほどの説明でもそうですけれども、この妥当性という切り口で検証を決めたのは、あたかも委員会の方々だったという説明ですよね。では、皆さん方がこれを設置するためにつくった要綱は、いつ、誰がつくったのか教えてください。
〇菊池副部長兼商工企画室長 これは、第1回有識者会議の場において、先ほど、会議の進め方とか論点とか、そういった御議論をいただいた上で、それでは設置要綱についてお諮りしますという形で、有識者の皆様で御検討いただいて制定していただいた要綱でございます。
〇嵯峨壱朗委員 要綱に明確に報告の妥当性等について検証すると書いていますよね。これは、見ていると報告の妥当性についての検証です、最初からね、要綱の中にあるのを見ると。
だから、最初から事業への県のかかわりの妥当性がどうこうというのは検証対象になっていないという理解ではないですか。
〇菊池副部長兼商工企画室長 国語的なところでちょっとコメントしがたいところがありますが、妥当性等について検証するということで、もともと設置目的としてある県の対応の妥当性等ということでありますので、先ほど御答弁しましたとおり、県の対応の妥当性について全般的に御議論いただいたものと認識しております。
〇嵯峨壱朗委員 この設置の要綱を見ると、報告書の妥当性等について検証を行うためということで、この等の部分に県のかかわり方の妥当性が含められていると理解すれば、報告書の妥当性のほうに重きがあって、県のかかわり方が妥当であるかどうかということは、そんなに重視していなかったと。我々の決議とすれば、あくまで県のかかわり方が妥当であったかどうかについて第三者的な視点で検証すべきだということを決議している。こうやって見ると、もう要綱自体で我々の決議を受け取っていないことが鮮明じゃないのかな。
〇菊池副部長兼商工企画室長 繰り返しになりますが国語的なことで私もこれ以上コメントするものはないのでございますが、妥当性等について検証するということで全てを包含していると思いますし、それが有識者会議の委員の皆様方の総意であったということでございます。この報告書にいろいろ書いてはおりますが、県の対応の妥当性についてということで大きく設置の目的で掲げ、それ以下の検証の内容について、いわば総覧している形でございますので、この設置の目的において、検証の中身といいますか検証のあり方としては、県議会の決議に従って、全般にわたっての検証をしていただいたと受けとめております。
〇嵯峨壱朗委員 認識の違いと言えばそれまでなんですけれども、あくまで決議を見ると、我々は2回決議している。それは、前段に、客観性を欠いているのではないかという検証メンバーの中で検証したものについて、これは不十分だろうと。いわゆる自分たちが自分のことを決めるようなものですから。そうではなくて、第三者委員会をやってくれ。それが、あくまでそういった、この委員会をつくって、委員会がその妥当性という検証の切り口を決めたからこれでやったとか、それはちょっと違うと思うんですね。この委員のメンバーの方々は、それからするとどういった権限があるのですか。
金科玉条のごとくこれを取り上げているけれども、それは違うのではないですか。少なくとも決議があったことに対応して、今回、会計検査院の結果が出て、そして、それに対応する形で今回、客観的な委員会をつくったというのであれば、どう見ても、その決議に応えているとは言いがたいような気がします。
そして、細かく言っていくと、その妥当性をどうこうするというのは委員会の方々が決めましたと。では、県は、この委員会の中のどこに関与しているのか、意向はどこにあるのかという気がしますけれどもね。どうでしょうか。
〇菊池副部長兼商工企画室長 繰り返しになりますが、有識者会議のメンバーの方々には、事前に議会の議決内容について御説明申し上げて、それに沿って検証していただくということで御承認いただいているものでございます。
まさに有識者の方々に議論を預けた形でこの検証作業をしていただいたことなのですが、その議論の進め方について、いろいろ方法論があろうかと思いますが、この有識者の方々にとって、いわば検証を進めていく道のりというかプロセスの中に、当然、前回の資料としての検証委員会の報告書もあり、議会でのいろいろなやりとり、議論もあり、あるいは参考人招致の資料もあり、そういったものをいろいろ見ていただいて、議論していただいたものだと思っています。まさに第三者的立場で有識者の方々が論点を構成し、その議論の過程において、決議内容についての県のかかわり、職員のかかわりといったものもごらんになった上で、各有識者それぞれが確認され、検討された上で、この有識者会議で意見が交わされ、議論され、報告書になったということで受けとめております。
〇嵯峨壱朗委員 そろそろやめますけれども、このことについて菅原部長と議論するのもこれが最後かもしれないので、改めてお聞きしますが、検証結果の結論として、検証結果はおおむね妥当であったと認められると述べております。それは、この大雪りばぁねっとの当該事業での県の役割、かかわり方が、おおむね妥当であったというのと同義と解釈してよろしいのでしょうか。また、そうだとすれば、県もそのように解釈していると理解していいでしょうか。
〇菅原商工労働観光部長 検証結果の総論、まとめのところでは、検証結果としては、おおむね妥当であったと認められるということでありますので、県のかかわりそれ自体についてのよしあしを述べた文章ではないと解釈してございます。
そういうことで、有識者会議のまとめといたしまして、こういった認識がありますけれども、さきの報告書に対するお考えについては、通常ではない場合の対応を中心に取りまとめるべきであったというようなことではなかったかと受けとめておるところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 認識の違いがずっとあるわけですけれども、検証結果は、あくまで、余り客観的ではないと言われた検証委員会でやった検証結果が、妥当だったという結論だったという理解ですね。確認だけです。
〇菊池副部長兼商工企画室長 この有識者会議での検討内容は、先ほど来申し上げましたように、さきの委員会での報告書の妥当性のみならず、御蔵の湯や平成23年度、平成24年度の県のさまざまな事務等の一連の対応について、まさに見ていただきまして、総括的に申し上げれば、設置目的である県の対応の妥当性について、さまざまな論点から御議論いただいたものと思っておりますので、この有識者会議の報告書が、単に前回の検証委員会の報告書の妥当性にこだわっての、限定されての報告ではないと県としては受けとめております。
したがいまして、この報告書の中で述べられておりますように、何よりも、まず最大の結論として、再発防止に向けてしっかり取り組むようにという趣旨のことを有識者会議の方々でまとめていただいております。
これまでも、県はさまざまな形で再発防止に取り組んでまいりましたが、今回の有識者会議でのさまざまな御指摘、御意見等もまた改めて踏まえまして、今後、さらに県としてどのようなことがやっていけるのか、やっていくべきなのか、どう取り組んでいくのか、具体的な論点もさまざま示されておりますので、そういったものについて検討しながら、さらに再発防止に努めていく必要があると認識しておるところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 再発防止はそのとおりですけれども、私が思うには、今回の件は、恐らく相当特異な例だと思うのです。ですから、再発防止は当然重要ですけれども、再発防止に重きを置き過ぎて、前に、例えば補助金適正化条例をつくるとかというのもありましたね。我々はあれに反対したんですね。そこまでやっていいのか、必要ないのではないかと。ですから、逆に言うと過剰にやる、これは第一義的に大雪りばぁねっとの何とかが悪いのであって、それが大前提ですから。山田町の対応も悪い、そして、それにかかわっての県の指導が悪かったという指摘もあります。それを忘れないことですね。
そして、過剰に反応することによって、自分たちの首を絞めてもだめと私はずっと感じていました。ただ、認識の違いがあることもわかったけれども、それはそれで確認しましたので、これで終わらせていただきます。
〇千葉絢子委員 私からは2点お伺いさせていただきます。ちょっと質問の順番を変えまして、まず、若者の地元定着に向けた取り組みについて伺っていきたいと思います。
知事演述の中で、若者の地元定着を促す手段の一つとして、地元産業界等と連携し、奨学金を活用した取り組みの具体化等についても検討を進めると知事が述べられました。この検討を進めるというのは、佐々木順一委員の認識と同じ立場で見れば、知事が検討するということは、やるということだというお話を佐々木順一委員は以前なさっていました。
この具体化等について、新年度予算の中ではどこに含まれるのか。恐らくこれは商工労働観光部の管轄になると思うのですけれども、実際、検討が始まっているのか、始まっているのであれば、どの程度進んでいるのかというところをお伺いさせていただきたいと思います。
〇高橋ものづくり自動車産業振興課総括課長 若者の地元定着に向けた取り組みについてでございますけれども、奨学金を活用した取り組みにつきまして、平成28年度当初予算におきましては、事業費の計上は行っていないということでございます。
ただ、大学生等の有能な産業人材の就職促進を図る上で有効な手段の一つだという認識でございます。そのためにも、本県の産業の発展にも寄与する取り組みとしたいと考えておりまして、現在、先行する他県の事例の調査を進めているところでございます。その中では、製造業を中心とした戦略産業を支える人材を獲得するための制度という形で運用しているところもございます。
このような先行事例を参考としながら、事業化に当たりましては、産業界の意見等を踏まえまして実効性ある制度にしていきたいと考えておりますので、今後、産業界とか関係団体と連携を図りながら検討を早急に進めていきたいと考えております。
〇千葉絢子委員 私は、これについて一般質問でも取り上げさせていただきまして、秋田県では、県が指定する特定産業に就職していく大学生に対しては、奨学金の10分の10を補助するという事例も御紹介させていただきながら、県の取り組みについても進めてほしいと申し上げました。
これは若者の定着にとっても有効だと思っております。実際、奨学金をもらって新たに就職した学生は、新入社員の段階で何百万円という奨学金の返還額を抱えたまま入社してくる例も結構ございます。せっかく県内に定着をと思って県内企業に就職しても、結局、所得が低いために奨学金を返済するのにも長い年月かかってしまって、それを返し終わるまで結婚もできないというような現状もありますので、岩手県の産業を支える業界に就職する新卒の方に対しては、この奨学金の助成制度をぜひ早目に検討していただきたいと思っております。
次に、一般質問でも多くの議員が取り上げた若者、女性の働く場の確保、定着についての答弁で何度も耳にいたしました、いわてで働こう推進協議会について質問させていただきます。
一番の設置目的と達成すべき具体的な目標は何でしょうか。主な実施予定事業についてもお伺いしたいと思います。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 いわてで働こう推進協議会の設置目的等でございますが、まず、設置目的につきましては、本県の産業振興と人口減少の歯どめに資することを目的としまして、産業界や金融機関、教育機関などと連携して、オール岩手の体制で、若者や女性等のU・Iターンを含めた県内就職の促進や働き方の改善に関する協議、情報共有、啓発等を行うこととしております。
また、達成すべき具体的な目標につきましては、協議会の取り組みを通じて、本県のふるさと振興総合戦略に掲げる三つの施策推進目標の一つであります人口の社会減ゼロの達成に向けて、若者や女性等がやりがいを感じ、生活を支える所得が得られる仕事を創出し、岩手への新たな人の流れを生み出していくことを目的としております。
主な実施予定事業でございますが、構成団体による会議の開催のほか、私どもとしては、県民運動的な展開を図るための推進大会の開催あるいは意識啓発事業、関係機関が実施している就業支援の一元的な情報発信を図っていきたいと思っております。
また、働き方の改善については、協議会の構成団体との連携を図りながら、企業等における仕事と生活の調和に向けた働き方の見直し、正規雇用の拡大や処遇の改善等を推進していきたいと思っております。
〇千葉絢子委員 その推進大会という、いわゆるセミナーのようなものになるかと思っておりますけれども、その取り組み事例の紹介とか表彰というのは、もしかすると参加した人にとっては余り心に響かないかもしれないと思っています。本当に参加した経営者なり関係団体が聞きたいのは、就業支援に出資というか、これは投資ととるかコストととるかですけれども、その費用に見合った具体的な利益がどれぐらい出ているのか、また、その取り組みをしようとした経営者の信念というものに触れて初めて、心を動かされて共感をし、その輪が広がっていくのではないかと思っております。
ぜひ、こういう取り組みをしていますというきれいなところばかりではなくて、実際この投資をしたことによって、一時的にこの業績はこうなりましたけれども、将来こういうふうになっていくという見通しが立っているという、具体的な本音のところを聞けるような推進大会にしていただきたいとお願いしたいと思っております。
次に、この推進協議会のメンバー構成についてお伺いいたします。
いただいていた資料ですと、24人、トップは達増知事でいらっしゃいますけれども、岩手労働局、高等学校長会、私学協会、そして大学、PTA、商工会連合会、商工会議所連合会など、産業界、労働者の団体、そして首長、金融機関というそうそうたるメンバー24人で構成されています。
ただ、若者と女性の県内就職を促進するにしては、まずは女性の委員がお一人もいらっしゃらないということ、それから、若者や女性が働きたいと思える産業や仕事がないことも、岩手県の場合は若者、女性の流出につながっているのではないかという指摘もあります。
それはなぜかというと、現在の状況は、お店を広げて、お客さんが来ないのは何でだろうと皆さんが思っている状態なのではないかと。もしかすると、その店の商品が若者や女性に訴えるものが少ないのが原因かもしれないのに、その理由については当事者である若者や女性の話を聞かなければ、本当のところはわからないかもしれないと感じます。
県内の企業も、例えば若者や女性が必要としている職業、サービスを提供していくために多角化が必要かもしれない。そういった視点を持っていただくために、ぜひ、当事者の若者、女性に多くかかわっている、例えば、一番現場に近いジョブカフェの方に入ってもらうとか、そういうところで具体的な政策提言をもらうことも有効ではないかと思うのですけれども、このメンバー構成についての見解をお聞かせいただきたいと思います。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 協議会のメンバー構成でございますが、まず、協議会は、24の機関が構成団体となって設立しているところでございますが、設立に当たりましては、協議会からの報告として、各構成団体の代表者等が委員として就任いただいているところでございます。
なお、委員御指摘のとおり、若者、女性の意見をどう反映していくかという部分につきましては、その必要性は十分認識しておりまして、協議会設立前に、若者や女性の意見を聞く機会を既に設けております。また、女性も参加しましたワーキンググループも開催しております。
今後におきましても、そういった取り組みを行いながら、女性等の意見の把握を行っていきたいと思っております。
なお、ジョブカフェにつきましては、この事業を実施するに当たり、委託先として業務をお願いすることになっております。協議会の運営に当たりましては、ふだんからジョブカフェと意見交換をしながら、ジョブカフェの意見も十分反映した中で運営していきたいと思っているところでございます。
〇千葉絢子委員 この協議会は、基本的には新卒の方をターゲットにしているようですけれども、ただ、その一方で課題となっているのは、社会人がUターンする場所がないことが、首都圏などの岩手県出身の社会人の方からはよく聞かれることです。新規就業で1人ずつ定着させるよりも、私は、家族ごと定着したほうが、人口がふえる速度は高いのではないかと思っておりますので、ぜひ、今後は新規就職者以外への対象の拡大についても検討していただきたいと思っておりますが、この点についていかがでしょうか。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 協議会におきましては、委員御指摘のありました新卒者をまず重点に取り組むことにしておりますが、県外に居住なさって、岩手へのU・Iターンを考えている方への働きかけといったものも考えていきたいと思っております。
具体的には、県で就職情報サイトを持っておりますが、その中で、県内企業を知ってもらう取り組みとして、県内企業の採用情報あるいは会社の日常の様子ですとか職場からのメッセージ等、さまざまな企業情報を盛り込んで情報発信しているところでございます。
また、協議会において、各構成団体でいろいろな就職関連の情報を発信しております。それらについても一元的な情報発信に取り組むことによりまして、本県へのU・Iターンを考えていらっしゃる社会人のU・Iターン促進を一層強化していきたいと考えております。
〇千葉絢子委員 ぜひ、社会人の方にもUターンはいいよというような積極的な働きかけをお願いしたいと思っております。
この、いわてで働こう推進協議会、そして、いわて働き方改革等推進事業というものも立ち上がったというのは、やはりもう待ったなしで取り組まなければいけない課題だと県でも認識していらっしゃると私は捉えております。ですから、こういう支援がもっと必要ではないかと私たちが指摘したことに対して、もうやっていますという答弁は、本当はもう要らないのですよ。実際、その到達点として、県内就業者の拡大と人口減少の歯どめをこの要領の第1条で明確に規定しているわけですし、委員もこの24人の知と財の結晶が集まっているからには、有効な施策を必ず出していかなければいけないだろうと、真剣に取り組んでいただきたいと願っております。
これについて危機感を持って取り組んでほしいという私の気持ちもお伝えいたしまして、これは部長と、これからのことも考えて、ぜひ菊池副部長からもその姿勢についてお伺いしたいと思います。
〇菅原商工労働観光部長 推進大会につきましては、セミナー的なものというよりは、総決起大会的なものとして、構成機関のみならず、県全体のあらゆる組織を挙げて取り組んでいくという意気込みを示す大会にしたいと考えてございます。
また、これは知事が会長をしてございますが、会長である知事とさまざま意見を交換しながら、この協議会の事業構成等を今詰めておりますが、知事が、相当熱が入っているということで、私どもそのオーダーに応えるのに日々頭をひねっている状況でございます。
そういうことで、知事自身も、構成団体も含め、これは待ったなしの課題だよ、大きな課題だよという認識のもと進めてございますので、私ども事務局としても必死で頑張ってまいりたいと思います。
〇菊池副部長兼商工企画室長 今、菅原部長からお答えしたことがほとんど全てでございますが、この協議会の原点的な発想は、まさにオール岩手、産学官、そして、さまざまな団体がみんなプレーヤーになって、それぞれの持ち場、持ち場というか、立場、立場で、みずからこの岩手で働こうという若者たち、社会人たち、U・Iターンで帰ってくる人たちも含めて働きかけ、そして、しっかりと受け入れようということが原形となっている設計となっての協議会の発想でございます。
今、関係団体等とそういったものの意識共有も進めておりますし、これからは企業の人たち一人一人がプレーヤーになるわけですが、その方々もみずから、もともと人材不足とかといった課題を共有されてのこのいわてで働こう推進協議会的な取り組みに対して、必要性を訴えられ、中央会とか中小企業団体等の声を通じて、企業たちの切実な思い、何かしなければならないという思いが、これだけではないのですが、こういった形で一つの取り組みも出てきているということです。くどいですけれども、それぞれがプレーヤーとして主体的にやるべきことをやっていこうという発想のようでございますので、そういったものが実現できるように、一歩でも二歩でも進められるように、できるところからみんなと一緒に行動していくような協議会にしたいと思っております。
〇千葉絢子委員 私たちの子供たちも10年、20年後には岩手で就職をする年齢を迎えますので、何とか今よりもいい状態にして手渡してやりたいと思っております。そのために、私も皆さんと一緒の気持ちで、働く場の定着に向けて一生懸命取り組んでいきたいと思いますし、その決起大会では、もし私もお手伝いできれば、司会などでもお手伝いさせていただきたいと思っておりますので、どうか子供たちのためにも一生懸命取り組んでいっていただけたらと思っております。
〇阿部盛重委員 私からは、ジョブカフェいわて管理運営費についてお伺いいたします。
ジョブカフェは、年齢、性別問わず、障がいの有無、全ての求職者の総合就業支援施設と捉えている方が多いわけです。学生の方やスキルアップを考えている方、また、子育てをしながら働きたい方など、就職活動の不安や疑問、困っていることに対して、専門のカウンセラーが相談に乗っていただけることは、大変心強いと思います。
もちろん企業との関係も大事になってくるわけですが、地元企業と出先企業との連携体制はどのようになっているかお伺いいたします。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 企業との連携支援ということでございますが、ジョブカフェいわてでは、県内に事業所がある企業であれば、基本的に県内に本社がある企業あるいは県外に本社がある企業に関係なく、企業の採用や人材育成力強化の支援について取り組んでいるところでございます。
具体的には、人材確保や定着のための各種セミナーあるいは出張コンサルタントを実施しております。そういったものを通じて、企業の採用力や人材育成力の強化を支援しており、求職者の円滑な就職と定着の支援を行って、企業の人手不足の対策に取り組んでいるところでございます。
また、定期的にジョブカフェが実施する研修やサービスについても情報発信を行っておりまして、それとともに、企業の依頼を受けまして、必要な情報あるいはサービス提供を行っているところでございます。
〇阿部盛重委員 企業が企業をさらに紹介いただけるぐらいまで強いきずなが生まれれば一番いいのですが、やはり企業にとっては、優秀な方が入社した、その方がもちろん利益を与えていくわけですけれども、そういう方々の育成もしっかりされているということでございますので、改めてよろしくお願いいたします。
次の質問に移ります。障がいのある方への対応についてお伺いします。
さまざまな障がいの特性に合わせた就職活動を進められていると思いますが、車椅子でお越しの方もいらっしゃるでしょうし、プライバシーに配慮した体制もとられていると思います。そういう方への就業支援体制はどのようになっているかお伺いいたします。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 障がいを持っておられる方への対応でございますが、ジョブカフェの建物自体では、車椅子の方など身体に障がいを抱えている方も、対応できるようなスペースを確保して、どのような方でも来所いただけるような体制を整えているところでございます。
〇阿部盛重委員 1点確認ですが、障がい関係カウンセリングといいますかプロの担当者は、経験豊富な方で、障がいについても知識がある方だとは思いますが、そういう方が対応されているのでしょうか。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 ジョブカフェいわてでは、相談者に対しましてキャリアカウンセリングを行っているところでございます。キャリアカウンセリングの方は、経験が長い方が多く、さまざまな方に対応できることになっております。
ジョブカフェいわてでは7人のカウンセラーがおりまして、障がい者を含めてさまざまな相談に対応できるよう、ケース検討会でありますとか支援マニュアルなどを整備しまして、その能力向上に努めているところでございます。
専門的な資格があるかと言えば、全員が持っているわけではございませんが、障がいの程度によっては、やっぱり専門の機関、具体的にはハローワークでありますとか障害者職業センター等、専門の施設がございますので、そういった機関と連携しながら必要な支援を行っているところでございます。
〇阿部盛重委員 わかりました。
今、スタッフが7人体制というお話ですが、スタッフの方からお聞きした中では、やはり専門のスタッフをもう少しふやしてほしいというお話もお聞きしました。今後の人員体制強化策はどのようにお考えでしょうか。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 平成28年度においては、現体制のままで行かざるを得ない状況でございます。ただ、ジョブカフェいわてへの期待は非常に大きくなっている、皆さんからそれだけ期待される施設になっているということでございます。今後の体制については、平成28年度から、働き方の改善に関する事業等いろいろお願いする中で人員体制もふやすことにはなっております。そういった中で、我々も雇用対策・労働室でいろいろ相談に応じながら、キャリアカウンセラーの方が相談しやすい体制づくりには意を配して対応していきたいと思っております。
〇阿部盛重委員 スタッフの能力がアップできればできるほど、また、事業の展開も幅広くなると思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、利用者をより効果的に就職決定に導くための効果策と就職への関心を高める効果について、どのように捉えておられるかお伺いいたします。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 利用者が就職に関心を高める方法の取り組みということでございますが、ジョブカフェいわてでは、相談者の方に対してキャリアカウンセリング等を行っておりまして、そういったカウンセリングを通じて、主体的な就職活動を促すように支援しているところでございます。
また、業界や県内の事業所への理解を深める取り組みとしまして、ジョブカフェいわてで企業説明会あるいは企業見学会を定期的に開催して、幅広い業種に目を向けるように支援しているところでございます。
また、高校や大学等からの依頼に応じまして、生徒や学生の皆様に職業観の醸成あるいは仕事理解の促進のため、オーダー型で出張セミナー等を実施しているところでございます。
こういった取り組みは、早期離職を防止する意味でも重要と考えておりますので、引き続き、ジョブカフェいわてにおいて、企業あるいは関係機関と連携して取り組みを進めていきたいと考えております。
〇阿部盛重委員 そうしますと、地域ジョブカフェに対しても、ジョブカフェ本体として支援をしっかりされているということでよろしいでしょうか。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 地域ジョブカフェへの支援についてでございますが、地域ジョブカフェは、それぞれの地域のニーズに合った就業支援を実施しているところでございます。
ジョブカフェいわてでは、地域ジョブカフェと連携して、地域ジョブカフェの要望を踏まえた必要な支援を行っているところでございます。具体的には、地域ジョブカフェが実施するセミナー等の企画PRの支援、ジョブカフェ職員のスキルアップのための研修の実施、地域ジョブカフェの新任職員への個別トレーニング等を行っております。
今後も、各地域で効果的な就業支援が行われるよう、ジョブカフェいわてと地域ジョブカフェが連携して対応していきたいと考えております。
〇阿部盛重委員 わかりました。
最後に、今の時代、情報が流出する問題がたびたび起きておりますけれども、個人情報、企業情報の保護について、セキュリティー対策はどのようになっているのかお聞きして、質問を終わります。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 ジョブカフェいわてにおける個人情報セキュリティー管理でございますが、ジョブカフェいわてでは、利用者の個人情報等について、堅牢なセキュリティーを確保しましたクラウドサービスによって管理しているところでございます。
また、リスクマネジメントに関する規定や受託事業者が定める個人情報保護ポリシーに基づき、取り扱う個人情報の管理方法を厳格に定め情報管理を行っているところでございます。
さらに、職員に対して情報セキュリティー教育や個人情報保護教育を年に数回実施しているほか、受託事業者のセキュリティー管理者による監査等も行っているところでございます。
これらの取り組みを通じて、ジョブカフェいわてにおける個人情報の適切な管理を図っていきたいと考えております。
〇福井せいじ委員 かなり重複した質問があったので、省略しながら聞いていきたいと思います。
まず初めに、いわてで働こう推進協議会でありますが、これに水を差すわけではないのですが、かなり今回の定例会では、このいわてで働こう推進協議会が、まるで打ち出の小鎚のように、就業環境の改善あるいは若者、女性の就業促進に関して取り上げられてきました。具体的な取り組みについては今までさまざまなお話をされてきましたが、実際に県内の企業、事業所の改善に当たっては、東京圏の企業との賃金格差是正、あるいは育児休暇実施による従業員確保や残業削減の実施など、就業環境の改善を行うには、実際の企業は多くの経費負担を要すると私は考えております。
さらに、先日、とある新聞には、とある調査会社の結果が出ていましたが、この震災以降5年間で、売上高1億円以上の企業については収益が非常に改善しているとなっておりますが、売上高1億円以下の企業は3.9%ぐらいの減収になっていると。そういった中でいかに就業改善をしていくかというのは非常に大きな負担を伴うと思っておりますが、この点についてどうお考えか。
そして、さらに、この岩手県では売上高1億円以下の企業がほとんどなんですね。そういった中で、このいわてで働こう推進協議会が考えているさまざまな就業改善、そしてまた、若者、女性の就業促進を図るにはどうしたらいいのか、具体的に教えていただきたいのですけれども、いかがでしょうか。
〇高橋雇用対策・労働室長 ただいまの御質問にございました、いわてで働こう推進協議会は、るる目的等を御説明したところですので、その中で就業の環境改善、これらをオール岩手で進めていくのだというようなお話を申し上げているわけですが、確かに、企業にとっては努力が必要になってくると思っております。
企業が労働生産性を高めて、若者等に魅力ある雇用、労働環境の改善に取り組むことは、県内就職を促進する上で非常に重要であると捉えております。また、企業自身にとっても、さらに労働生産性を高めるという好循環につながっていくものと考えているところでございます。
そうした企業の取り組みにつきましては、基本的には企業努力によって進められるべきものと考えるところでございますが、雇用、労働環境の改善に取り組む事業主に対して、国のさまざまな助成制度がございます。県では、これらの活用を奨励するとともに、設備等の高度化とか、あるいはカイゼンのさまざまな業種への普及展開、それから、付加価値向上のための新商品開発や販路開拓への支援などを行っているところでございます。
これらの取り組みによりまして、若者等がやりがいと生活を支える所得が得られる仕事の創出につながることを期待してございます。
〇福井せいじ委員 今、答弁の中で生産性の改善、そしてまた、さまざまな就業環境の改善についてお話しされましたが、その支援制度を設けるのはありがたいことなのでありますが、その支援制度を使って、いかに投資して、どれぐらいのリターンがあるか、そういったことまで、やはりさまざまシミュレーションする必要があるかと思っております。
これは、小規模事業者あるいは零細企業においては、そういったシミュレーションをする力もなかなかないのでありまして、そういったところまで、かゆいところに手が届くような指導等も必要だと思いますが、いかがですか。
〇高橋経営支援課総括課長 いわゆる小規模事業者への経営改善等の支援ということですけれども、被災地への専門家のアドバイザー派遣といったような、被災地で重点的に取り組んでいる事業もあるのですが、商工会議所あるいは商工会で、持続化補助金と言っている、事業主の方が経営計画を策定して、販売促進とか経営のあり方を改善していこうというような取り組みに対して、商工団体が一緒になって支援するような取り組みがあります。そういう計画をつくって取り組んでいくものに対して国の助成制度もあります。
各商工団体とも、地元の事業者を回ってそういう働きかけもしております。会議所、商工会が一番身近な団体ですので、そういったところの継続的な取り組みを進めていくことが一番大事かと考えております。
〇福井せいじ委員 いわゆる伴走型の支援ということになると思いますが、しっかりと伴走してあげて、そういった投資対リターンのことまで面倒を見ていきながら、生産性の向上を図っていただきたいと思います。
そこで、今、生産性の向上というものが一つ言葉で出てきたのですが、その中で、企業にそういったさまざまな支援をすることも一つ必要なんですが、ある意味、事業統合とか円滑な撤退ということも、業界全体の生産性を高めるためには必要ではないかと思うのであります。こういった円滑な撤退、そしてまた、事業統合に関する何か御所見、取り組み等がありましたらお知らせいただきたいのですが、いかがでしょうか。
〇高橋経営支援課総括課長 事業統合といったようなお話に関してまず申し上げますと、いわゆるグループ活動、規模の小さい事業者がまとまって効率を上げていくといったような取り組みから、組合を設立して事業をするということがありまして、そういった活動をする企業、グループに対して、中小企業団体中央会が、組合の設立に関してですとか、実際に立ち上げてからの事業の進め方などのフォローも行っております。
それから、例えば先代の方から若い後継者が事業を引き継いで、既存の事業とは別に新しい分野に取り組もうという、いわゆる第二創業みたいなことを考えていることに対しても、国などでそういった部分の支援をする制度があります。これにつきましても、先ほど言った商工団体とのふだんのおつき合いの中でいろいろな相談事が出てきますので、そういったところのお話をしたりということで、いろいろな形での取り組みを、日常的にそういう商工団体を通じてやっていくことが大事かと考えています。
〇福井せいじ委員 今、地域経済は岐路に立たされていると私は思います。人口減少、そしてまた、地域の企業がどう存続していくかについては、今、課長がおっしゃったとおり、組合化というのは、一時非常にはやったというか、いろいろな取り組みがあったんですけれども、その後、少しはやらなくなったというか、取り組みが廃れたときもありました。
しかし、ここに来て、地方の企業を存続させるためには、こういった組合化の取り組みも非常に大事だと思いますので、この組合化についても、あるいは円滑な事業統合についても、これから、ぜひとも当局には熱心にお取り組みいただきたいし、また、事業承継の話も今出ましたが、さまざまな意味で承継しやすい、そしてまた、東京に出ていった息子が帰ってきやすいような環境をつくることも必要だと思っております。ぜひともお取り組みいただきたいと思います。
〇高橋但馬委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後5時19分 休 憩
午後5時42分 再開
〇佐々木努副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
委員各位及び執行部に申し上げます。この後、本日審査を予定している部局について延べ8人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
質疑を続行いたします。
〇柳村一委員 緊急雇用創出事業費補助の雇用者数とその後の雇用状況についてお伺いします。
もう一つは、事業復興型雇用創出事業費補助の事業による雇用者数の推移についてお伺いします。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 緊急雇用創出事業費補助についてでございますが、まず雇用者数でございますが、この事業によりまして平成23年度から平成27年度までに延べ約2万2、000人の雇用を創出してきたところでございます。平成28年度においては雇用者数が250人減少する見込みですが、これは、内陸部の事業が今年度で終了となること等によるものでございます。
今後の再就職の対策につきましては、この事業による雇用者を対象とした今後の就業意向の調査結果などを踏まえ、ハローワークと連携し、円滑な再就職に向けた支援に努めていくこととしております。
また、事業復興型雇用創出事業費補助の雇用者数の推移でございますが、平成23年度から平成27年度までに約1万8、000人の雇用創出を支援してきたところでございます。平成28年度については、雇用創出数を800人と見込んでおります。
〇柳村一委員 基金が平成31年度まで延長になるということで条例も改正になりますけれども、内陸の事業が終わるということで平成28年度予算が大きく減額しております。なりわいの再生ということを県は掲げておりますけれども、この事業内容ですね。短期雇用と就業の機会を確保するという部分ですけれども、そろそろこの短期雇用とかそういう部分での対応というのは終わってもいいのではないかと考えるのですけれども、今後の被災地での雇用対策の取り組みの方向性をどのようにお考えなのかお伺いします。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 緊急雇用創出事業につきましては、厚生労働省において、平成28年度は沿岸市町村でのみ今の事業を継続して実施することができることになっております。平成29年度以降どうするかにつきましては、沿岸市町村等の意向も確認しながら対応については検討していきたいと考えているところでございます。
〇柳村一委員 前の工藤勝子委員への答弁で、被災地で再開した事業所が78%超えているということと、誘致も18社、増設事業が13件あったということで、なりわいの再生に向けて、被災地でも徐々に事業がしっかりしてきています。
先ほども工藤勝子委員がおっしゃいましたけれども、最近、人材不足が課題になってきているのではないかと思います。先ほどの答弁で、県の人材不足の把握については、平成28年1月で1.41倍という有効求人倍率のみで、その内容的なことはお答えになっていないし、把握されていない模様でした。外国人技能実習生が1、594人いるということで、まさに1、600人ぐらいの雇用が生まれているのに、被災地では人材が不足して、外国人に頼っているような状況が見えてくるのではないかと思います。
被災地が人材不足であるとなりわいの再生の根本が揺らいでくるのではないかと思いますし、また、先ほど、地域クラスター形成などで内陸との横連携みたいな形で雇用をふやしていくということで、被災者の雇用の枠を超えた被災地での今後の事業継続なり雇用の創出を考えていく時期だと思うのですが、その件についてお伺いします。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 今後の沿岸地域における雇用対策の考え方でございますが、現在、緊急雇用創出事業においては、短期の雇用を創出する事業のほか、一部においては被災者の支援をする事業も組まれて実施されているところでございます。我々としては、現時点ではこの事業は平成28年度で終了することも踏まえて、復興庁の予算で別途、被災者支援事業が措置されておりますので、引き続き、必要な被災者支援対策についてはそういった事業への移行を考えてくれということを片方で言っております。
それ以外の事業をどうするかについては、そこで現在、仕事をしている方もいらっしゃいます。そういった事情も考えつつ、委員おっしゃるとおり、被災地における有効求人倍率をどう考えるか、なおかつ当事者である沿岸市町村の方がどう考えるかを全体的に考慮しながら平成29年度以降の対応を考えていきたいと思っております。
〇柳村一委員 被災者への支援が県とか市町村の御努力によりかなり行き届いてきて人材不足という新たな問題が出てきたわけですので、そこら辺もしっかり県としては捉えて、雇用や産業の拡大を図るような施策をしてもらいたいと思います。
次に、いわてしごと人材創生事業ですけれども、この事業内容と内容別の事業費の内訳についてお伺いします。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 いわてしごと人材創生事業費についてでございますが、この事業は、企業等の人手不足に対応するため、求職者への就職、職場定着支援、及び企業への採用、人材育成支援に取り組み、県内外から人材を確保することを目的として実施するものでございます。
事業費の内訳は、情報発信、採用力の強化や沿岸企業の理解促進を図るため、大手就職情報サイトの活用支援、高校等と連携した地元産業を知る取り組み等を行う事業費として1、448万円余、若者等の職場定着を支援するため、企業へのキャリアカウンセラーの派遣やセミナー開催等を行う事業費として1、507万円余、U・Iターンを促進するため、県内外でのU・Iターン相談体制の強化、県内企業の情報発信、U・Iターン希望者とのマッチングを行う事業費2、182万円余を計上しております。
なお、実施に当たりましては、今般設立しましたいわてで働こう協議会に参加している産業界、教育機関など関係機関とも連携して、事業が効果的に行われるよう取り組んでいきたいと考えております。
〇柳村一委員 情報発信とかU・Iターンをやって、岩手で働きたいといって、例えば先ほどのように三陸に仕事がありますよという形をとっても、今度、その人たちが住む場所とか生活する場所がしっかりしていなければいけないので、ただ情報発信するだけではなく、基盤整備みたいなものもしっかりしていかなければいけないと思います。
あと、労働環境の内容がしっかりしていなければいけないと思いますので、次のいわて働き方改革等推進事業についてですけれども、先ほど来お2人への答弁で、就業に関する件について、いわてで働こう推進協議会の意味はわかりました。働き方改革の推進のところで、佐藤委員の質疑に対してはいわてで働こう推進協議会と連携して取り組んでいくという御答弁はございましたけれども、具体的にどういう取り組みを行うというところが見えてこなかったので、そこら辺もう少し詳しくお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇工藤労働課長 いわて働き方改革等推進事業の具体的な内容でございますが、全体としましては、先ほど答弁しましたように、長時間労働の抑制などの働き方改革の推進、正規雇用の拡大等を図るための優良な取り組み事例の紹介、国の助成制度の活用の促進などに取り組むものでございますが、具体的には、労働時間の短縮や正規雇用の転換に取り組む事業主に対する国の助成制度や優良な取り組み事例などをまとめたパンフレットを作成して配布することを予定してございます。
それから、正規雇用の拡大や非正規雇用から正規雇用への転換等の処遇改善の取り組みを行っている企業の事例紹介などを内容とした事業主向けのセミナーを内陸地域、沿岸地域で開催すること、働き方改革に積極的に取り組んでいる企業を募集して表彰することを主な内容としているものでございます。
〇柳村一委員 そういう上辺というか、紹介とかそういう部分での支援というのは今までもやってきているでしょうし、もう少し下支えするとか横から支えてあげるという取り組みをしないことには労働環境というのははっきり言ってよくなっていかないと思います。有効求人倍率が高い今だからこそ、岩手でもう少し労働環境とか雇用の拡大、産業の創出という部分に今、力を入れればそれが後々の力になっていくと思うので、今が正念場だと思いますので、そこら辺、しっかり施策にあらわして展開してもらいたいと思いますけれども、最後にその点をお伺いして終わります。
〇工藤労働課長 いわて働き方改革等推進事業の具体的な展開ですが、肝心なのは意識改革ということで、先ほどの答弁でもお話ししましたが、使用者、労働者の意識を今こそ変えていく取り組みが大事と考えておりまして、まずは、先ほどお話ししたパンフレットの作成、それから、セミナーの前提としまして、普及啓発が中心でございますけれども、全県的な働き方改革に取り組みましょうというような運動を通じて意識改革を進めていきたいと考えてございます。
〇城内よしひこ委員 3点についてお伺いします。
復興ツーリズムについてでありますが、今年度の取り組みについてどのような動きがあるのかお伺いします。
〇平井観光課総括課長 復興ツーリズムの今年度の取り組みについてでございますが、今年度は、震災学習を中心とした教育旅行及び企業研修旅行の誘致を柱に、震災語り部ガイドの研修やネットワーク化、被災地情報の発信や具体的な旅行プランの問い合わせに一元的に対応する窓口の設置、中核コーディネーターセンターによる各団体の主体的な観光地づくりの支援などの受け入れ態勢の整備を進めるとともに、北海道、首都圏等での修学旅行誘致説明会や、中部、関西圏での企業研修旅行誘致説明会の開催、企業研修担当者の沿岸への招請などのプロモーションを展開してきたところでございます。
また、平泉などの内陸の観光地を訪れる観光客を沿岸へ誘引するために、内陸から沿岸へ向かうバスツアーの運行を支援してきたところでもございます。
〇城内よしひこ委員 本県には二つの世界遺産もありますし、また、三陸ジオパークというすばらしい財産があるわけですけれども、そういったものとの連携、特にも三陸ジオパークとの連携はどのようにお考えなのかお伺いしたいと思います。
〇平井観光課総括課長 ジオパークとの連携についてでございますが、三陸ジオパークは、沿岸地域を代表するすぐれた観光資源の一つと認識してございまして、復興ツーリズムの柱として、震災学習や橋野鉄鉱山、また三陸鉄道、そして三陸の豊かな食、暮らしなどと組み合わせて売り込んでいくことによりまして沿岸地域の誘客拡大を図ることが重要と認識しているところでございます。
このため、三陸ジオパークガイドや震災語り部ガイドなど各種ガイドの養成やそのネットワーク化、ジオサイトを初めさまざまな観光コンテンツを組み合わせた旅行プランの問い合わせに一元的に対応する窓口の設置などにより受け入れ態勢を整備するとともに、ジオサイトを組み込んだ修学旅行をセールスする誘致説明会の開催や、ジオサイトを周遊する旅行商品の造成を促すための首都圏等の旅行会社の沿岸地域への招請などのプロモーションを展開してきたところでございます。
今後におきましても、三陸ジオパークを柱として、復興ツーリズムの推進を図るために、関係市町村や関係団体等との連携を強化しながら受け入れ態勢の一層の充実や情報発信の強化を図ってまいりたいと考えてございます。
〇城内よしひこ委員 課題までしゃべっていただいたので、提案になるのですけれども、ジオパークというのは結構地味でして、女性の方々は全然興味がないというのがあります。そういった方々を掘り起こす意味で、例えば地元検定のような形でクイズ形式のものをやる。スタンプラリーのような形で、何点かポイントがたまったら、地元の料飲店とタイアップをして、地元の食材を堪能できるような仕組みづくりも必要なのではないかと。観光だけで通過されると、地元にはなかなかお金が落ちない。特にもジオパークだと、岩を見てよかったとか景色を見てよかったでは、なかなか地元の活性化にはつながりにくいものが感じられます。地元としても、地域の経済活性化につながるような仕組みづくりというのはやっぱり必要だと思うのです。そういう検定方式や地元の料飲店とか商店街との連携も必要だと思いますが、そういう点については検討の余地はあるでしょうか。
〇平井観光課総括課長 特にも沿岸地域の回遊の促進に関しましては、先ほども申し上げましたが、外部からの旅行プランの問い合わせとか、それに対するプログラムの提供などを一元的に行う、私どもはプラットフォームと呼んでございますが、こちらを三陸鉄道に委託してございます。さまざまなプログラムを組む中で、先ほど委員からお話のありました、例えば学習プログラムを組み合わせたもの、それから、回遊促進のために、例えばゲーム形式でやるものにつきましては、ちょっと趣旨は異なりますが、秋の観光キャンペーンにおきまして、宝探しゲームという形で実施してございます。また、現在、若者に人気がありますIngressとか、モバイル端末を使ったゲーム感覚のものも使いながら回遊させていくと。ただ、その中に、先ほど委員もおっしゃいましたとおり、お金を落としていくような仕掛け、地元の商店街の皆様やお土産物、そういうものとの組み合わせにつきましては、先ほどお話ししましたプラットフォーム機能と連携しながら進めていこうというように考えてございます。
〇城内よしひこ委員 ぜひ若い女性の方々を取り込むような、そして地元にお金が落ちるような仕組みを模索してほしいと思います。
次に移ります。
復興倒産についてお伺いしたいと思います。
これまでも2回ぐらい委員会でお伺いした経緯があります。地方税の動向を見ますと、そろそろ踊り場に入ってきたのかなという感があります。その中で、現状、復興に関連する業種も含めて、状況はどのようになっているのかお伺いしたいと思います。
〇高橋経営支援課総括課長 震災関連の倒産についてでありますけれども、いわゆる震災関連倒産ということで幾つか民間の信用調査機関の調査がありまして、県内企業では、震災発生から本年2月末までで合計61件となっていまして、平成27年度は4件発生しております。震災以降、復旧、復興に向けた補助、融資等の支援とか債権買い取りといった金融機関の柔軟な対応などもありまして、今のところ震災関連の倒産は、数字の上では減少傾向といいますか、低いところで落ち着いている状況になっております。
〇城内よしひこ委員 先ほど来委員の皆さんからもお話があるとおり、現地、現場では、労働力の不足や資材、原材料の高騰が言われております。グループ補助金やいろいろな支援策で復旧、復興はしたけれども、思うように売り上げが伸びてこないという現状が今、現地、現場ではお話をされております。そういったことに早目早目に対応することが私は必要ではないかと思っております。特にも、復興特需が一段落してしまうと、また地元の経済がもとに戻ってしまうという感があります。そういったことは現地、現場で仕事をされている方々はもう既に危惧しているわけでありますので、そういった声にも耳を傾けながらしっかりと対応を準備してほしいと思うのですけれども、その辺の心構えというのはお持ちなのかお伺いしたいと思います。
〇高橋経営支援課総括課長 復旧した被災事業者に関して、県の事業所復興状況調査でも、経営上の課題として販路の喪失とか人材の部分が挙げられております。県としても、引き続き金融機関や商工団体と連携して、金融面での支援、円滑な資金供給というのもあるのですけれども、やはり販路確保のために、商談会、マッチングといった売り上げを伸ばすための取り組み、人材確保のためのマッチングとか、業績回復のための支援が重要と考えておりますので、そういった取り組みを進めてまいりたいと思います。
〇城内よしひこ委員 あわせて、応急仮設の仮店舗で営業している方々がこれから本復旧に入っていくわけでありますけれども、落ち着いてきて、また、小さいお店、特にもたろちゃんハウスで営業している方のお話をお伺いしますと、人がだんだんにいなくなって、真綿で首を絞められるように売り上げが落ちていくと言うんですね。そういう方々が蓄えも使いながら今、営業している。次に本設に本当に移行できるのかなという話もされております。後押しも含めて、そういった方々の支援も今後必要になってくると思います。息の長い復興に対して、ぜひソフト面の支援が必要だと思います。そういう準備も始めておかなければならないと思うのですが、そのとおり現地、現場ではまだ本格復旧というのがなされていませんので、その辺の準備状況も踏まえながら検討していただきたいと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
〇高橋経営支援課総括課長 本設移行の関係では、実際にお店だけでなく、そこに住む人たちも戻ってきての商業活動ということになりますので、そういうまちづくりと合わせた本設移転という支援で、グループ補助金ももちろん活用していただいているわけですけれども、そのときに事業計画策定部分の支援ですとか、今、仮設店舗あるいは本設の売り上げ向上のために、個別に幾つかのお店を選定して経営指導といったこともしており、それをみんなで勉強会というか報告会といったこともやっておりまして、そういう意味で、施設の復旧、それからソフト面の部分とあわせて引き続き支援を行っていきたいと思います。
〇城内よしひこ委員 いずれ一本立ちする前に倒産にならないように、しっかりと見守っていただきたいと思います。
3点目に移ります。
県立高等技術専門校の入校状況をお示しください。
〇工藤労働課長 高等技術専門校3校の平成27年度の入校生の状況ですけれども、定員80人に対し、入校者80人、定員どおりという状況でございました。それから、平成28年度の入校生の状況でございますが、3月11日現在、75人の応募がありまして、合格者70人となってございます。
〇城内よしひこ委員 3校あるうちの2校は特にも老朽化が進んでいるわけですが、一般質問等でもお伺いしたのですけれども、改修の必要があると思っております。宮古高等技術専門校の自動車科は、ニーズはたくさんあるそうであります。岩手は、ものづくり産業、特にも自動車産業に力を入れていますし、そういった関連でたくさんのニーズはあるけれども、なかなか募集定員が埋まりそうにないと現地、現場では悩んでいらっしゃいます。そういったことを鑑みても、ここで一踏ん張りして、岩手ものづくり人材を育てる意味でも施設の老朽化対策は早晩しなければならない課題ではないかと。新たな技術革新に伴う人材を輩出する、育成するという観点からも必要ではないかと思いますが、その辺の所見をお伺いします。
〇工藤労働課長 高等技術専門校の老朽化及び今後の改修の予定についてでございますが、県立職業能力開発施設は、千厩高等技術専門校が建設から50年以上、宮古高等技術専門校が40年以上経過しているなど老朽化が進んでおりまして、必要な改修などを行いながら訓練環境の維持に努めているところでございます。平成28年度は、千厩高等技術専門校の屋根の塗装工事を行う予定ですし、宮古高等技術専門校は受電設備の改修などを予定しております。
また、宮古高等技術専門校につきましては、今年度、耐震診断を行ったところでございますが、その結果、耐震改修が必要とされましたことから、平成28年度にそのための設計を実施する予定としてございます。
それから、千厩高等技術専門校の耐震診断につきましては、昨年度、建設当時の図面が準備できなかったこともありまして入札不調のため実施できませんでしたが、今年度、徹底して再度探した結果、当時の図面が見つかるなど、めどが立ちましたので、平成28年度当初予算に計上して実施する予定としてございます。
〇城内よしひこ委員 技術者は、やっぱり岩手の宝だと私は思っています。ぜひその人材を確保する上でも、適切な環境で育成できるように県としてはしっかりやっていかなければならないのではないかと思います。特にも、50年たった施設をそのままにしておくというのは、なかなか難かしいのではないかと思います。ぜひ改修も含めて、そろそろ検討課題、準備段階に入ってもいいのではないかと思います。そのことについて部長から所見をお伺いして終わりたいと思います。
〇菅原商工労働観光部長 高等技術専門校の大規模な改修あるいは新築ということになりますと多額の財政負担の問題がございますので、こちらのほうはよくよく準備を整えた上で臨まないといけないと思っております。
また、そもそもの訓練ニーズ、学科とかの根本的な見直しもこれから必要になってくると思います。ということで、県では来年度から新しい職業能力開発計画を策定する予定としてございますが、その中で県立職業能力開発施設の再編整備についても今年度から議論を徐々に始めているところでございますので、そうした議論も踏まえながら訓練施設の充実について取り組んでまいりたいと思います。
〇神崎浩之委員 観光について1本質問いたしますが、その前に、DIOジャパンのやりとりを聞いて、2点だけ確認させてください。
一関市、奥州市、それから花巻市は3月定例会に補正予算を措置しないということでありました。当局は市とやりとりをしているということだったのですが、おのおの一関市、奥州市、花巻市はどういう理由で措置できないと言っているのか、1点であります。
それから、山田町の返還の際、山田町の他の緊急雇用創出事業と相殺して返還したと記憶しておりますけれども、その点について確認させていただきたいし、今回も例えばこういう方法もあるのか確認させていただきたいと思います。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 花巻市、奥州市、一関市における検討の状況でございますが、私どもが聞いている中では、3市においてはできるだけ早期に決着したいという旨のお話はありましたが、その一方で、現段階ではいろいろな予算時期等については結論が出せないというようなことで聞いておるところでございます。内部ではいろいろ議論がなされているものと思っております。
山田町の返還の事例ですが、相殺ではなく、山田の事業は平成23年度と平成24年度の2カ年で行われたわけですが、平成24年度についてはちょうど事業の完了確認の時期であったことから、返還対象外の経費全体を山田町への補助金全体から差し引いたということで、現金の出入りはなかったということでございます。ほかの事業と相殺したということではなく、あくまでも精算の中で事業費を確定したものでございます。
〇神崎浩之委員 それでは、通告の観光についてお伺いしていきたいと思います。
国は、来年度は東北復興元年ということで、ことしに入って復興大臣、それから政務官が平泉、南部鉄器等々に来ております。観光復興の予算を5億円から50億円にふやした。それから、観光庁の予算も通常100億円程度を合わせて300億円に増額するということでありますが、この点についてはこういう流れであるのかということを確認させていただきたいと思います。
また、県は、復興ツーリズム、いわて観光キャンペーン等、来年度事業を組み立てておりますけれども、これらの大幅に増額する予算を見込んで県の事業を組み立てていたのか確認させてください。
〇平井観光課総括課長 国の観光予算の大幅な増額の活用についてでございますが、私どもは、観光庁、復興庁から予算の編成等について説明会で説明を受けているところでございますが、復興庁におきまして、やはり復興の進捗度合いを勘案した上で、ことしからは、特に被災3県を中心に東北地方の観光を復興することが被災地の復興をさらに加速させることになるということと、もう一点は、今、日本にたくさんの外国人観光客が訪れている中で東北だけが震災前の数字に届いていないという状況を踏まえて、国の役割といたしましては、外国人観光客を東北に誘致するための支援をしようということで多額の予算を増額して計上しているというふうに説明を受けているものでございます。
また、県の予算での活用でございますけれども、特にも、今回、東北観光復興対策交付金が総額で32億6、500万円計上されてございます。この交付金につきましては、県が策定いたしまして観光庁の認定を受けた外国人観光客を増加するための計画に基づいて県に交付されるという補助スキームが想定されていると国から説明を受けているものです。
したがいまして、本県といたしましても当然この交付金の活用を念頭に進めているところでございますが、本年度予算におきましては、外国人観光客の誘致拡大に向けて、既に受け入れ環境の充実やプロモーション強化を図る事業を計上してございます。この交付金の活用につきましても、この事業への充当を初めといたしまして、さらに計画を策定する段階で拡充すべきところは拡充する。また、東北観光推進機構、これは、東北6県プラス新潟県で構成されている東北の広域的な誘客に取り組む団体でございますが、ここと連携して、東北が一体となったいわゆるインバウンド誘客─外国人を東北全体に呼んでくるというような連携事業も、東北各県と話し合いながら、できるものについては早急に取り組むということでこの交付金を活用することを現在考えて進めているところでございます。
〇神崎浩之委員 5億円から50億円ということで、できる限り岩手に一緒に引っ張ってきたいと思っております。
そういう、国も県も力を入れておりますインバウンドについて、二つ質問したいと思います。
台湾ももちろんですけれども、韓国、香港の誘致であります。震災前の平成22年には、香港のお客様が1
万7、920人泊、平成26年度はそれに対して3、940人泊、それから、韓国も平成22年の1万2、440人泊に対して今はたった4、350人泊で、もともとなかったお客様をふやしていくのではなく、もともとあったお客様が今は35%、22%にとどまっているということで、これは非常にもったいないと思うのです。台湾はもちろんですが、これらの国に対する対応について考えをお聞きしたいと思います。
それから、インバウンド、インバウンドと言うのですが、私は、地元がまだインバウンドの機運になってないのではないかというような気がしております。地元の商店、旅館を含め、機運が乏しいのではないかと思うのですが、その点についてお伺いしたいと思います。
〇平井観光課総括課長 まず、震災で大きく落ち込んでおります韓国、中国、香港についてでございますが、東日本大震災の発災により、こちらからの誘客が東北全体で低調な状況でございます。ただし、日本全体で見ますと、この三つの国から日本にいらっしゃる観光客の方はかなりふえている、また、高いシェアを占めております。こういうことに鑑みますと、日本全体にいらっしゃるこのような観光客の方々を何とか東北に引っ張ってくるというところが課題でございまして、このため、先ほどの答弁で申し上げましたが、やはりこれは東北全体で連携しながら、まずは東北の認知度、もしくは東北の楽しいものをプロモーション等でアピールしていきながら回復を図っていくことが重要と考えてございまして、こちらも、それぞれ国によりまして特徴がございます。また、ニーズもございます。例えば韓国ではゴルフや日本酒などが好まれているようでございますし、中国におきましては、皆さん御承知のように買い物でございますが、東北に限って申しますと、中国ではオリンピックの開催を控えておりまして、スキーの人気が高うございますので、スキーによる誘客も考えなければなりませんし、香港につきましては、レンタカードライブとか食というものが人気が高うございます。ここら辺のところを踏まえまして、東北で連携してプロモーションを強化しながら、また、先ほど委員からもお話ございましたが、何よりも大切な受け入れ態勢をきちんと、このような外国人の方が来て、地元でお買い物をしていただいたり食を楽しんでいただくということが必要でございますので、受け入れ態勢につきましては、こういった外国人の方のニーズが高い公衆無線LANの整備とか、または外国語表示にも努めているところでございますし、そういった取り組みを進めてまいりたいと思います。
それから、インバウンドに対する地域の方々の機運でございますけれども、こちらにつきましては、私ども、観光事業者の方を中心にセミナー等を開催しておりまして、そこで申し上げていることは、まず、何よりも外国人の受け入れというものは非常にハードルが高いものではないと。そのために、私どもでは、例えば電話で通訳サービスをするコールセンターとか、そういう支援をするスキームを整えてございますということでお話をしておりますし、また、外国人観光客は、国内からの観光客に比べて消費単価が非常に高うございます。そういう点で、地元経済の活性化にも資するというところも細かくお話ししながら、誘客の態勢を整えていきたいと考えてございます。
〇神崎浩之委員 県が頑張っても、地元の機運が盛り上がらないとなかなか難しいと思っております。
次に、教育旅行と北海道新幹線ですね。これはビッグチャンスということですが、修学旅行について頑張る、教育旅行を頑張るということでありましたが、実際に北海道から岩手に来て、そして沿岸を回れるものなのかお聞きしたいと思います。
盛岡市から宮古市まで1時間40分ぐらいかかるということで、新幹線沿いは来るけれども、果たしてそこから沿岸に回ってくれるのかということですが、修学旅行の北海道からの新幹線の誘客で、沿岸を回れるルート等、具体的に考えているのであればお示しいただきたい。
〇平井観光課総括課長 修学旅行における沿岸への誘引の具体的な取り組みでございますが、まず、北海道新幹線開業によりまして、本県と札幌市または函館市との間につきましては1時間20分、時間が短縮されるものでございます。この短縮される時間を活用いたしますと、例えば修学旅行におきましては、北海道を朝出発いたしますと、現在の交通機関の使い方であれば岩手県盛岡市に到着するのが大体午後2時過ぎ、3時近くとなりますが、新幹線を活用いたしますとお昼過ぎぐらいには盛岡市に到着いたしますので、その日のうちに沿岸に回ることができます。これによりまして、沿岸に宿泊するということも可能になってまいります。
私どもでは、こういう形で、例えば震災学習とかを組み込んで、沿岸に回るようなルートを誘致説明会等で御提案申し上げて誘客を図っているところでございます。
〇神崎浩之委員 東北本線沿いまでは来るんだけれどもということがあったのですが、ぜひ北海道新幹線が通ったことによって沿岸まで回れるという具体的なルートを示して誘客に努めていただきたいと思っています。
次に、バリアフリー観光ですね。実は、高齢者、障がい者、障がい児は、数は少ないのですけれども、1人の障がい児がいると家族全員で来るということもありまして、1人の障がい者ではなくて5人家族。例えば修学旅行も、1人の障がい児がいると100人来るのですよ。障がい者は1人ですけれども、実はお客さんは100人になって来るという効果も実は裏にあるということでありまして、ぜひバリアフリー観光についても努めていただきたい。今回、インバウンドを国が進めておりますけれども、そのインバウンドの予算の中には、旅館を活用する場合には、外国人であればベッドにする、それから、和式のトイレを洋式にする等々の整備についても国が予算措置してくれるということもあります。そういう中で、あわせて障がい者、障がい児のバリアフリー観光を進めていただきたいと思います。これは、時間がありませんので、答弁は求めません。
最後ですけれども、東北観光アドバイザー会議についてお伺いしたいと思います。
東北観光アドバイザー会議、これは、実は予算が復興庁であるということと所管が復興庁であるということで、県の商工労働観光部ではどれぐらい連携をとれて一緒に進めているのか非常に不安でありますので、観光課として、この東北観光アドバイザー会議の設置、目的、それから内容についてどのぐらい把握しているのか教えていただきたいと思います。
〇平井観光課総括課長 東北観光アドバイザー会議についてでございますが、この会議は、東北の産業、なりわいの再生に向けて、観光復興を推進するために、有識者の意見を聞くことを目的に昨年12月に復興庁が設置したもので、今年度中にこの会議を4回開催し、東北の観光推進に向けた提言をまとめるものと聞いてございます。
また、先月開催されました第2回東北観光アドバイザー会議におきましては、本県からは菊池副部長が出席いたしまして、東北各県の観光担当部長、副部長等から、このアドバイザー会議の委員がインバウンドの現状とその取り組み状況などについて聞き取りを行ってございます。私どものほうでインバウンドに対する取り組み等の説明をしているところでございまして、この会議におきまして、出席の委員からは、震災前の水準に回復していない東北の外国人観光客の誘客拡大を図っていくには、やはり広域での取り組みが必要であろうというような意見などが出されたところでありまして、私どもといたしましても、先ほど答弁でも申し上げましたが、東北観光推進機構と連携して、東北全体でのインバウンド誘客を進めなければならないという認識のもと、東北観光推進機構への働きかけや6県共同でのプロモーション等にも取り組んでいるところでございまして、また、この会議での提言も踏まえまして、さらに連携を強化いたしまして取り組みを進めてまいりたいと考えてございます。
〇神崎浩之委員 最後にいたしますが、このアドバイザー会議では、例えば、全国は春、夏、秋とピークがあるけれども東北は秋だけということで、雪のブランドづくり。それから、教育旅行についても、学生は1回修学旅行で来ればリピーターになるということで、大切にしたほうがいいですよ。それから、東北は観光情報の発信が下手なので、観光情報の発信。それから、食の魅力という提案もされております。食文化については、岩手であればわんこそばであったり、伝統芸能では中尊寺薪能、南部鉄器、それからさんさ踊り等々いろいろと意見が出ております。
教育旅行につきましても、ボランティアプラス観光という取り組みで企業等からも誘客するべきではないか。それから、周遊パスをつくったほうがいいとか、この東北観光アドバイザー会議からさまざま提案も出されておりますので、復興庁の所管で皆様方との連携をどれだけ密にやっていただけるか心配でありますけれども、いずれ5億円から50億円でありますので、ぜひ活用して進んでいただきたいと思います。
〇高田一郎委員 通告した順序を若干変えて質問いたします。
まず最初に、被災地のなりわいの再生の問題についてであります。
今、被災地では、区画整理事業のおくれとか、あるいは人口減少の中で、魅力あるまちづくりをどう進めていくかが大きな課題になっております。中心商店街になかなか店舗が集まらないとか、まちづくり会社をつくってもテナント料が高くてなかなか手が出ないとか、そういうことで難儀している状況だと思います。
こういう状況の中で、県として新年度どのような支援をしていくのか。私は、従来にない抜本的な対策をやっていかなければ商店街の再生はなかなか難しいのではないかと思うのですけれども、まず、基本的な考え方についてお伺いいたします。
〇高橋経営支援課総括課長 復興まちづくりを進める上で魅力あるまちづくりというお話ですけれども、まちづくりを進める上では商業機能の構築が重要でして、県では、被災事業者を対象に、グループ補助金ですとか個別事業者向けの県の単独の資産復旧事業補助金などによりまして復旧費用を助成してきております。それから、事業計画策定に対する専門家の派遣などを行っております。また、共同店舗開催のためのノウハウを得るというようなことでセミナーの開催といったこともしております。
市町村では、まちなか再生計画とかを策定してまちづくりを進めておりますので、そういう再生計画の策定ですとか、あるいは事業者の事業計画策定に対しての策定支援なども行っておりますし、個店の経営指導、集客イベントの助成など、施設整備の部分と運営のソフトの部分と両方支援を行っております。今後も、まちづくりは市町村が主体となって進めていくものではありますけれども、市町村や商工団体と連携しながら、まちづくり計画と連動した商店街の構築について支援していきたいと考えております。
〇高田一郎委員 経営指導などを含めて総合的な支援をしていきたいというお話でありました。
具体的に何点かお伺いしますけれども、グループ補助金を適用されないテナントで被災した事業者の支援というのはなかなかなくて、陸前高田市や釜石市などでは独自の支援を行っております。全体の資金の中でも県としての支援策を明快に示されなかったのですけれども、こういったことも含めた具体的な県としての支援も必要になってくるのではないかというのが1点です。
二つ目は、中小企業庁が、仮設施設有効活用等助成事業、いわゆる貸し店舗でありますけれども、2019年まで3年間延長することを決定いたしました。これは、県も含めて大きな声を上げてきた大きな成果だと思っております。
しかし、造成工事などで撤去が必要な場合とされており、陸前高田市などでは該当にならないために、市の試算では5億円の持ち出しが出てくるということで、国に対して支援を求めているという報道もありました。こういう状況になっている店舗というのは被災地ではどの程度あるのか、具体的に数字があったら示していただきたい。もちろん撤去の費用を国がしっかり責任を持ってやるべきだということを国に継続して求めていってほしいと思いますけれども、現状がどうなっているのかというのが二つ目です。
そしてもう一つは、水産加工業の被災事業者は、グループ補助金などで8割程度が再開しているという復興状況でありますけれども、販路の消滅とか、水揚げがいわゆる不漁、あるいは原材料の高騰、人材不足、従業員が不足しているということでなかなか厳しい状況にあります。県が行った復興状況調査では、震災前と同程度またはこれを上回る事業者は47.6%という数字ですから、今、被災した事業者の経営状況というのは二極化しているのではないかと思うのです。
私は、成功した事例などにも学びながら、経営が難儀している被災事業者に対しての支援策を強めていくべきだと思うのですけれども、この点についてどのような事業展開、支援を行おうとしているのか、あわせて3点お聞きいたします。
〇高橋経営支援課総括課長 お尋ねのあった件、まず2点、テナント事業者の支援の部分と、仮設店舗の関係について説明したいと思います。
まず、テナントで営業していて被災した事業者ですけれども、全くグループ補助金が使えないということではなく、共同店舗に入るといった場合には、もともと営業していた部分の規模に応じてそういった施設への入居の分がグループ補助金の対象になりますし、持っていた資産、設備を復旧するといったものも対象になっております。
それから、陸前高田市などで市で助成する制度を平成28年度に進めるということで検討されているようですし、釜石市でもそういったもの、あるいは入居できるようなテナントビルの支援、立地協定を結ぶといったようなことでそれぞれ市町村の状況に応じて対応しておりますので、県としても、そういういろいろな事業を組み合わせて支援していくということで考えていきたいと思っております。
それから、仮設店舗の関係ですけれども、委員からお話あったとおり、撤去費用の助成の年数が延長されました。市町村では、そういう制度を生かして、仮設店舗の継続使用が必要な場合に向けて、本設移行の時期とか、あるいは集約化が必要な部分とか、そういう利用見通しを今、立てている状況ですので、現時点で、できるだけ使える形で、あるいは無償譲渡を考えている市町村もありますので、何件撤去するというような数字は、各市町村とも今、精査しているところと把握しております。
仮設施設に入居している事業者ですけれども、いわゆる仮設施設を整備した中小企業基盤整備機構のほうでデータを整理しています。今のところ、そういった施設で営業している商業者の方は334事業者ほどと把握しております。
〇押切産業経済交流課総括課長 最後の水産加工業の営業継続への支援ということでございますが、県ではこれまで、水産加工業が抱えるさまざまな課題に対しまして、商品力向上、商談会の開催などによる県産品のPR、販路拡大を促進するほか、原材料の調達等に対する国の補助事業の活用、求職、求人マッチング支援とか宿舎確保に対する助成、雇用環境改善等による人材確保の支援、さらには、労働生産性を高めるためのカイゼンの導入等を行ってきたところでございます。
新年度につきましては、こうした取り組みをさらに充実させるほか、異業種連携による新商品開発でありますとか、共同での仕入れや輸出促進など販路開拓、拡大を支援しますとともに、さらには、先ほど来お話に出ておりますいわてで働こう推進協議会による県内就業の促進や働き方の改善等による人材確保の取り組みを進めながら水産加工業の復興を確かなものにしていきたいということでございます。
成功事例というお話がございましたが、例えば、カイゼンで見える化してやったことによって生産量が30%アップしたとか、そういう取り組みにつきましては、カイゼンの発表会等で、水産加工業の人たち、その横の人たちにも広がるような形で波及させると。あとは、1次加工だけやっていたところが、例えば自分でプライベートブランドをつくって、新たな収益の柱になるまでには時間がかかると思いますが、そういう取り組みをしているところもありますので、そういうものも応援していきたいと考えているところでございます。
〇高田一郎委員 テナントで被災した事業者への支援については全くないわけではないということで何点か挙げられましたけれども、しかし、陸前高田市や釜石市などでは、既存の制度ではテナントで被災した事業者がなかなか再建できないということで独自の支援策をつくったわけです。だから、私は、そういった、今、頑張って再建したいんだという被災事業者を後押しするような支援が必要だと思います。
先ほど議論にもありましたように、被災した事業者へのアンケートでも、本設再開を求める事業者が75.6%、これは予想以上に大変高い数字だと思うのです。しかし、中身を聞くと、平成28年度内に再建したいという人が28.8%、未定が51.4%ですから、再開したいんだけれども、どうしようかと揺れている事業者も多いと思うのです。これを後押しする支援が必要だと思うのです。今の制度ではやはり不十分ではないか、後押しする支援制度を県としても考えていくべきではないかと思うのですが、その点についてもお伺いいたします。
それから、水産加工業の関係ですけれども、今、被災した事業者の方々は二極化しているという話をされました。確かに成功している事業者の方々に聞きますと、共通しているのは、再開が早かったということなんですね。もう一つは、消費者のニーズをしっかり把握しながら、ネット販売などを含めて販路の拡大に努力をして、しかも専門家の方々の支援が大変心強かったし、それが力になったというのが、成功をおさめている事業者の共通した声になっているのです。
だから、経営継続で難儀している事業者に対する販路開拓を含めたきめ細かな支援策、専門家の力をかりた支援策というのが本当に大事になってくると思うのですけれども、体制的にきちんとなっているのかどうか、その辺についてお伺いしたいと思います。
〇高橋経営支援課総括課長 テナント事業者の支援のお話ですが、先ほどもお話ししましたが、市町村でそういう支援の枠組みを考えているというのもありますし、仮設店舗を譲渡して本設として展開して使うといったようなところを考えているところもあります。グループ補助金等で対応できる部分はできるだけ対応するということで、いろいろな支援の枠組みで進めておりますので、そういったところで対応していきたいと考えております。
〇押切産業経済交流課総括課長 成功事例というか、うまくいったところで、ネット販売をしているというお話がありましたけれども、例えば、一次加工をしているところがまず商品をつくると。商品をつくっても、ただ卸に納めるだけだと、まだ差がなかなか出てこないのだけれども、ネット販売だと、つくった原価ですぐ出せるというところで、専門家のお話を聞きながら、ネットで成功したという事例は、私も実際に聞いております。
いずれ、産業創造アドバイザーとして13人ほど委嘱させていただいておりますので、まず、加工業者のニーズも聞きながら、ネット販売がいいのか、ニーズに合ったような支援を引き続きさせていただきたいと思います。
〇高田一郎委員 いずれグループ補助金などを活用して借金もして再開したけれども、販路が消滅したり経営がうまくなくなって廃業したという状況もありますので、やっぱり支援を一層強めて頑張っていただきたいと思います。
次に、中小企業振興対策についてお伺いいたします。
前段、佐々木朋和委員からも質問がありました。中小企業基本計画を今年度策定して、新年度は初めての具体化する年度であります。先ほど新年度は113事業、1、523億円の事業展開をするという答弁でありましたけれども、これは、中小企業振興条例をつくって、その具体化の年として中小企業対策費としては充実されるような事業展開になるのでしょうか。あわせて、県内の中小企業、小規模企業の企業数、そして、企業数がここ数年でどういう状況になっているのか、この点についても数字があれば示していただきたい。
〇高橋経営支援課総括課長 まず1点目、中小企業振興基本計画に基づく予算の関係ですけれども、目指す姿を実現するためのさまざまな施策に応じて事業を組んでいるものですので、必要なものをできるだけ盛り込んでいると考えております。
それから、小規模企業者の数の推移ですけれども、経済センサスは3年ごとの調査ですので、平成21年と平成24年の状況でお話ししますと、いわゆる従業員数が20人以下、商業、サービス業では5人以下の小規模事業者数が、平成21年は3万9、125社でしたが、平成24年には3万3、837社ということで、5、288社ほど減少しているという状況です。
〇高田一郎委員 中小企業振興対策については、新年度は、中小企業振興条例が制定されて、基本計画をつくって初めての年、それにふさわしい中小企業対策になっているのかどうかをお聞きしたので、この点について答弁いただきたいと思います。
それで、県内の中小企業の実態について説明がありました。3年間で5、288事業者が減っていると。いただいた資料を見ますと、岩手県の中小企業の87.4%が小規模企業なんですね。従業員5人以下とか、製造業では20人以下とか、本当に小規模な企業が大勢になっていると。
やっぱりこの小規模企業者の経営状況をよくしていくことが、中小企業対策の基本中の基本ではないかと思います。そのために、やはり仕事の確保、事業の継続支援、後継者問題を含めた人材育成が基本中の基本ではないかと思います。
その三つのうちの一番大事なのが仕事の確保ではないかと思います。本当に家族経営でやっている方々も含めて、こういった小規模事業者の仕事をどう確保するかということが大事になってくると思いますけれども、県としてはどのような対応をお考えになっているのか。あわせて、昨年度から国の事業として展開されました小規模事業者持続化補助金の取り組み状況、この実績がどうなっているのか、ここについても数字を示していただきたいと思います。
〇高橋経営支援課総括課長 まず1点目、基本計画に基づく事業の状況ということですけれども、中小企業の基本計画としては、人材の確保ですとか経営革新の取り組みが重要だと考えております。先ほど来いろいろお話が出ていますけれども、いわてで働こう推進協議会ですとか地域クラスター形成促進事業とかといった人材確保に関する事業ですとか、あるいは中小企業者の経営革新計画策定に対する支援に関する事業といったものの商工団体と連携した取り組みに対する事業などを盛り込んでおりまして、こういった取り組みにあわせて、基本計画関係の新規事業として今のところ18事業を計画しております。そういったことで、基本計画策定初年度に対して、さまざまな形で事業を進めていきたいと考えております。
それから、小規模企業への支援ですけれども、委員からお話があったとおり、小規模企業が県内の事業者の多くを占めますので、こうしたところへの支援が非常に重要と考えております。
委員からお話がありました小規模企業者に対する経営計画策定などの支援ということで小規模事業者持続化補助金がありまして、例えば販売促進ですとか事業計画を見直すといったような取り組みに対する助成といったものを、商工団体と企業者が一体となって取り組むというようなことで進めております。
その小規模事業者に対する支援の実績ですけれども、今年度は531事業者が採択となっております。平成26年度に関しては193事業者が採択となっております。
〇高田一郎委員 小規模事業者持続化補助金が今年度531事業者というのは、小規模企業者全体の数からして決して多くない事業者数だと思うんですね。私は改めて事業を見ましたけれども、これはなかなかいい事業だと思うのです。本当に小さな事業者でも、この補助金は広報宣伝とか店舗の改修とか商談会への参加費用、あるいは車両購入、これは条件がありますけれども、こういった事業にも使えて、上限50万円で、さらに条件を満たせば最大500万円を使えるという事業なんですね。だから、やっぱりこの制度がまだまだ徹底していないのではないかというのが一つ。
それから、これは窓口が商工会議所です。商工会議所に参加していないところはどうなっているのか。やっぱり参加していないところも含めて、制度を徹底して利用してもらう努力、展開が必要ではないかと思うのですけれども、その点についていかがでしょうか。
〇高橋経営支援課総括課長 まず、この採択状況に関してですけれども、平成26年度から平成27年度では倍以上の伸びということで、商工団体でも、小規模事業者が経営力を向上するためには、これが非常に効果的な事業だと考えて、取り組みを進めているところです。これについては、引き続き県としても団体と一緒になって、取り組みの支援を進めていきたいと思っております。
それから、会員か会員でないかといったところのお話もあるのですけれども、商工団体としては、小規模事業者持続化補助金だけではなくて、さまざまな情報の提供ですとか経営相談といった部分を含めて、組織化に取り組んでいるということもありますので、そういった流れと全体の中での支援のツールと考えております。
平成28年度以降もこういった取り組みを広げていくことで、経営力向上に取り組む小規模企業者の支援を進めていきたいと考えております。
〇高田一郎委員 最後にいたしますけれども、雇用促進住宅の問題についてお聞きいたします。
雇用促進住宅については2019年度で廃止になるということが閣議決定されております。これは居住権が非常に脅かされて、存続を求める運動も県内で起きています。県内ではどのような状況になっているのか、県としての対応についてお伺いしたい。あわせて、自治体が買い上げることができるような国や県の財政支援はどのようになっているのか。他県では、社会資本整備交付金などを活用して購入している自治体もありますけれども、この件について2点まとめてお伺いいたします。
〇工藤労働課長 雇用促進住宅についてでございますけれども、雇用促進住宅は、国が設置して、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が管理、運営しているものでありまして、平成19年の閣議決定により、平成33年度までに譲渡、廃止されることが決定されております。
これを踏まえて、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構において市町村への譲渡や民間売却を進めておりまして、県内では、これまでに9住宅、632戸が市町村に譲渡されて、2住宅、160戸が民間に売却されております。
また、公営住宅として購入するように住民から陳情が寄せられた自治体もあると聞いております。
この自治体が買い上げる場合の財政支援についてでございますが、県の財政支援はございませんが、かつては国の交付金等があって、それを活用して購入した自治体の例もあるということですけれども、確認しているところでは、国では、地方公共団体及びこれに準じた公益的な法人に譲渡する場合には、公的な住宅として利用すること、現在の入居者が引き継がれることなどを条件として、不動産鑑定価格から5割以内を減額して譲渡価格とするというような運用をしているということでございます。
この件につきまして厚生労働省に確認したところでは、入居者の方々が入居し続けられるように、まず第1には自治体への譲渡を進めていると。自治体に譲渡されない場合には、入居者が引き続き入居できる条件で民間事業者に売却する方針であると聞いております。
あくまでも国の方針によって進められているものですので、基本的には、国や独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が入居者の方々によく説明して、その声を十分にくみ上げて、居住の安定の確保を図るべきものと考えますけれども、県といたしましても、入居者の方々の不安が解消されるように適切に対応していく考えでございます。
〇佐々木努副委員長 高田一郎委員に申し上げます。世話人会の申し合わせにより、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう議事の進行に御協力願います。
〇高田一郎委員 わかりました。最後にします。
国の方針であるけれども、入居者が不安にならないような対応を県としても支援していきたいというお話でありました。
そもそもこの問題というのは、特殊法人改革で、雇用促進住宅は所期の目的を終えたといって無駄な部門を切るのではなくて、住宅政策という国民生活に必要な部分をなくして、しかも入居者の理解もなく閣議決定したというところに大きな問題があると思います。
そもそも閣議決定の撤回こそ必要だと思いますけれども、いずれこの入居者の住まいを保障すべきだという点で、機構に対して、国に対して、例えば明け渡しを求める場合は、国や機構の責任で移転補償をしっかりと機構に求めるとか、あるいは公営住宅を退去せざるを得ない方々に対しては、県営住宅も含めて優先入居をさせるような、居住者の住まいの保障をするという点でそういった支援を県としても手厚くやっていくべきではないかと思います。県土整備部との連携も含めて対応していくべきだと思いますけれども、その点についてお聞きして、終わりたいと思います。
〇工藤労働課長 住んでいる方々、入居者の住まいの保障等につきまして先ほど答弁いたしましたが、厚生労働省に確認したところでは、そういった入居者の住まい保障という問題まで至らないように、入居者が入居し続けられるように、自治体への譲渡または民間売却を進める方針だということでございます。
国の方針によるものということではございますが、県といたしましても、入居者の方々の不安が解消されるように、国からの情報収集あるいは市町村への情報提供など、関係部局とも連携しながら適切に対応してまいる考えでございます。
〇木村幸弘委員 それでは、私からは何点か重複する点もありますけれども、質問させていただきます。
一つは、事業復興型雇用創出事業においての質問でありますが、先ほど柳村一委員も質問しておりましたけれども、改めて、この平成27年度の事業実績を見ますと大幅な利用低迷になっているわけであります。制度変更等の具体的な影響があるということは、この間の議論の中でも出ておりましたけれども、具体的にどのような影響があったのか、そして、この制度変更に伴って、県はこの間にどういう対策、手だてを行ってきたのかお伺いしたいと思います。
あわせて、新年度においては同事業に対しての制度利用の見通し、先ほどは平成28年度目標を800人という答弁がございましたけれども、この目標設定の考え方、そして、変更に伴う影響に対してどう対策を講じようとするのか伺います。
もう一点、産業振興施策及び基金活用事業ということで、事業復興型雇用創出事業とは別に、基金活用事業では、そのほかに生涯現役・全員参加・世代継承型雇用創出事業、それから、地域人づくり事業云々ということでの事業もあるわけですが、これについても動きが見えない。上半期に対する下半期の実績状況についてどうなっているのか伺います。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 事業復興型雇用創出事業費でございますが、平成27年度の認定者数が大幅に減少した要因としましては、国の助成対象要件が、平成26年度に比べ大幅に限定されたものでありまして、具体的には、申請可能な事業所が沿岸12市町村に所在する事業所に限られたこと、一部の例外を除き平成26年度までに支給を受けた事業所には支給しないこととされたこと、支給対象となる労働者が、最初の支給対象者の雇い入れから1年以内に雇い入れた労働者に限られたことなどでございます。
これに対しまして、県では、事業の説明会を実施するとともに、沿岸地域の市町村、商工会等の広報紙を通じまして周知を図ってきたところでございます。
また、平成27年度から要件が限定されたことから、県としては、機会を捉えて国に対して、活用が伸び悩んでいる現状を伝え、要件の緩和などを要望してきているところでございます。
平成28年度については、認定数800人としておりますが、これは平成27年度の実績見込みを踏まえつつ、復興の着実な進捗に伴い、被災地における土地区画整理事業等の面的整備が進んでいることから、これらの用地に立地する事業者の活用が一定程度見込まれるものと考えております。
本年度の活用実績を踏まえ、市町村、商工会等を通じた周知広報により、必要な事業所において活用が図られるよう努めてまいりたいと思っております。
次に、産業振興施策の実績状況でございますが、平成27年9月30日現在の実績については、目標1、590人に対し、実績が1、462人、進捗率は91.9%となっております。
10月以降の実績については年度明けの4月末に取りまとめる予定ではございますが、現時点では、9月末現在の実績よりさらにふえるものと見込んでいるところでございます。
雇用対策基金を活用した雇用創出、拡大のうち、生涯現役・全員参加・世代継承型雇用創出事業の平成28年1月末現在の実績については、目標50人に対して実績は27人、地域人づくり事業の雇用拡大プロセスについては、目標90人に対して実績42人となっているところでございます。
〇木村幸弘委員 わかりました。いずれ、なぜ国が平成27年度の状況の中でこのような制度変更を行ったのかということに対しては、非常に不満があるわけですね。平成26年度まで100%を超える実績を上げてきた同事業が、突然、沿岸12市町に絞られるなどの要件が厳格化されるということで、新聞報道でも、現地の商工会等あるいは事業所などからも、支援拡充やこの要件の緩和が必要だ、当初より使い勝手が悪くなってしまったということも意見として挙がっているようであります。
改めて、具体的に新年度に向けて同事業を生かしていく上でも、国の対応についても厳しく緩和を求めていく姿勢も必要でしょうし、同時に、県としては、こうした状況の中で、国待ちの姿勢ではなくて、この条件が厳しくなったことに伴って、まさにこの間、雇用対策の問題がずっと議論されていますけれども、こういういわゆる雇用支援のための制度や枠組みが厳しい状況になっていくことに対して、逆に県から積極的に、県単でも検討する必要も出てくるのではないかと思うのですけれども、そうした対応についてはどうなのでしょうか。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 事業復興型の要件につきましては、今回の平成27年度に見直しがあったのは、やはり国としては、重点化を図りたいということで対象エリアを沿岸市町村に限定したと聞いております。また、集中的な支援を行いたいということで要件の限定も行われたと聞いております。
これに対しましては、私どもとしても、利用がなかなか伸び悩んでいる実態がございますので、引き続きこういった現状を国に伝えまして、できる限り、事業者が使い勝手のいいような制度になるように求めていきたいと思っております。
また、県としての雇用支援のあり方ということでございますが、最近における雇用求人倍率の動向等、有効求人倍率が非常に高い状況にもございます。そういった状況の中で、県がどこまで、何ができるかということについては、さまざまな関係市町村の御意見とかを聞きながら、総合的に対応していくべきものと考えております。
〇木村幸弘委員 国は重点的にということを理由にしているわけですけれども、重点的にと言う割には、制度内容を悪くしているわけですね。助成金の上限なども引き下げたり、あるいはそういった雇用の要件なども厳しくするなど、逆に被災地を締め上げるような対応ではないかと思いますので、この点については非常に問題があるということだと思います。
次に、いわて働き方改革等推進事業については、これまで何人かの委員の皆さんからも御質問と、その内容についての説明がありましたので、改めての質問は省略しますけれども、ただ、いろいろとやりとりの中で意見を聞いていて、私も感じたのは、例えば、千葉絢子委員からは、この啓発活動の中での総決起大会を含めて、いろいろなケースについて紹介等に取り組まれる際には、いわゆるきれいなところだけを見せるのではなくて、しっかりと厳しいところを見せながらという意見が出ておりました。私もそのとおりだと思うんです。
せっかく大会に参加されて、いいところだけを見せられて、経済力の強いところになるのか、あるいは大企業の事例なのか、それはわかりませんけれども、あそこはそういうところだからねで終わって帰っていくような状況では、全く盛り上がらないわけです。むしろ地場の中小企業やそうしたところの、ある意味、厳しい中でどういう取り組みがなされてきたのか、あるいは、成功事例もあれば失敗事例も含めてしっかりと示しながら、その中で参加した人たちが、自分たちのところに当てはまる問題があったということで、それを認識して帰られるような中身の対応が必要ではないかと思いますけれども、その点について御所見があれば、ひとつお聞かせください。
最後、もう一つの質問ですが、いわてフードコミュニケーション推進事業における取り組みですけれども、売れる商品づくり、そして販売促進までの総合的な支援をやるんだという事業の説明がありますが、もう少し具体的にその内容についてお聞かせいただきたいと思います。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 働き方改革の事業の進め方につきましては、県もそうですが、国としても重点的な取り組みの一つと聞いております。
この事業を実施するに当たりましては、岩手労働局と連携しまして、岩手労働局が知っている優良な事例等を提供いただくようなことも考えたいと思っています。
今後、具体化を図っていく過程の中で、ただいま委員から御意見のありました点も踏まえて、参加者にとって、より実りあるものにしていきたいと考えます。
〇押切産業経済交流課総括課長 いわてフードコミュニケーション推進事業における総合的な支援の具体的な内容としましては、新商品開発など新たな事業活動に取り組む事業者などに対しまして、商品開発やマーケティング、販路開拓など各分野に精通する岩手県産業創造アドバイザー等の専門家が、企業訪問や商談会を通じて継続的に助言、指導を行い、そして、大手量販店と連携して、首都圏等で実施するフェアでの試験販売を行うという形で、取り組みを連動して、入り口から出口まで消費者ニーズを捉えた魅力ある商品づくりから販売先の確保までを一貫的に支援していくという中身でございます。
〇木村幸弘委員 食産業の振興ですけれども、いろいろな事業が提起されて、そして、岩手からとにかく売れる商品をつくっていこうという思いは、そのとおりわかるのですが、こういった事業をいろいろな形でこれまでもやってきたと思うのですけれども、その結果、岩手の中で、このような商品が開発されて、このように全国から非常に売れる商品として評価をいただいているとか、そういった部分での評価がどこまでどうなっているんだろうという結果が、よくわからないという部分があります。
押切総括課長は花巻市出身ですから、あえて聞きますが、復興庁が主催した世界にも通用する究極のお土産という取り組みがございましたね。これで、東北でさまざまなお土産商品の開発されたものが選ばれて、その中で岩手県内から三つのお土産が選ばれたと。それが、何と全て花巻市からの出品の商品であったということなんです。
ただ、その後、これをどういう形で売り込むのか、あるいはマーケティングなり、いろいろな形で取り組むべきなのかというところまでは、復興庁は世話をしてくれていないわけですね。あとは自分たちでやれという感じで、せっかく評価をいただきながら、具体的に、戦略的に岩手のものとして誇れる商品として評価されたものという形での売り込みであるとか、いろいろな販売戦略がきちんととられているのかという部分で言うと、その辺が非常に乏しいなと感じるわけであります。
そういう意味で、いろいろと仕掛けはいいのですけれども、仕掛けをした後の具体的な形がどういう形で見えてくるのか、あるいはどのように取り組んでいるのかというところをもう少ししっかりと見せていかないとだめではないかと思うのですけれども、この点について最後お聞きして、終わります。
〇押切産業経済交流課総括課長 世界にも通用する究極のお土産ということで花巻市から三つ選ばれて、今週、知事にも表敬訪問するということで、すごくいいことだと思います。
賞をとったという商品はいろいろありまして、まず、例えばこの究極のお土産でありますとか、全国的なふるさと名品でありますとか、いろいろあります。それというのは、一つのプライオリティーとして、例えば量販店に置いてもらうとか、県単独の物産展もやっておりますので、そういうところに置いてもらうときに、こういうものに選ばれたものですよということで、そのバイヤーの皆さんに御紹介できますので、そういうものを通じて一つでも二つでも、地元で売っているだけでなくて、大量生産がもう少しできるのであれば、大手のところでも売ってもらえるような取り組みもあわせて進めていきたいと考えているところでございます。
ちなみに、この平泉黄金バウムは、究極のお土産にも選ばれましたけれども、もともと県産品のお土産コンクールをやっていた中で、国体部門というものを設けて、その中で賞をとった商品でもございます。
〇千田美津子委員 トヨタ自動車関連ですが、岩手工場の雇用について、今年度の正規の新規採用数は幾らか、そして、昨年の決算審査の際に、今年度中に期間社員を10月に50名、それから、ことしの4月1日にさらに50人正規雇用にするという説明があったわけですが、これらは現実に実施されたのか、まず、その点をお伺いいたします。
〇瀬川自動車産業振興課長 トヨタ自動車東日本岩手工場の平成27年度の正規の新規採用者数ですが、18名と聞いております。
さらに、期間社員の正規社員登用についてですが、昨年10月1日に50名を登用した上で、本年4月1日実施予定と公表しておりましたものにつきまして、前倒しをして、3月1日に49名の登用を行っていると伺っております。
これによりまして、岩手工場の全雇用者数に占める正規社員の比率は74.4%まで高まっております。
〇千田美津子委員 今の御説明で、前倒しして対応されたということは評価をしたいと思います。ただ、期間社員が減っているとはいっても、実数でお聞きしますと、期間社員は400人以上いるわけですね。派遣社員も300人おられるということで、ぜひ、これは今後も改善をしていただきたい。
それで、平成28年度の雇用の見通しについては何かつかんでおられるかお伺いいたします。
自動車は数万点の部品で構成される本当に裾野が広い産業と言われるわけですが、トヨタの雇用の改善によって、部品メーカーなどへの波及効果がどうなっているか、現状についてあわせてお伺いいたします。
それからもう一つ、派遣社員が実はふえていると見ています。なぜ減らないのか、その理由についてもお伺いいたします。
〇瀬川自動車産業振興課長 雇用の見通しでございますが、トヨタ自動車東日本では、生産計画の台数を見ながら雇用人数を決定していると聞いておりますが、詳細につきましては明らかにされておりません。
県としましては、トヨタ自動車の東北拠点化の動向を見ながら適切に対応するとともに、岩手工場の生産拡大と、より一層の雇用拡大につながるよう、引き続き取り組んでまいりたいと存じます。
それから、正社員化の話でございます。
工業統計調査で、本県の輸送用機械製造業の従業員数は着実に増加しておりまして、近年は6、700人程度で推移しております。
また、トヨタ自動車東日本の正社員化の動きは、部品メーカーにも同様の取り組みが広がりつつあるということで、好影響が出ていると認識しております。
県としましては、自動車関連産業の一層の集積や取引拡大による雇用者増に加え、正社員化の推進に向けた働きかけなどの取り組みを進めてまいりたいと考えております。
それから、派遣社員のお話でございましたが、生産台数の状況に時々の増減があるということで、過去2年間につきましては、おおむね300名前後の推移と伺っております。全従業員に占める比率で約10%の水準で推移しているところでございますが、これは、年、月の生産の増減による調整のために派遣社員等を使っているのではないかと思われます。
〇千田美津子委員 今3点お聞きしましたけれども、新年度の雇用についてはまだわからないということでありますが、やはり今後の状況によっては、もっともっと働きかけをしていただきたい。
それから、波及効果については広がりつつある、好影響が出ているということで非常にいいことだと思います。これらについても、あわせて取り組みの強化をしていただきたいと思います。
県南広域圏ものづくり力強化対策事業についてお伺いいたします。
この事業は、人材育成や取引企業、企業グループ化などに取り組まれているようでありますけれども、平成26年度は目標値を下回ってC評価となっていましたが、今年度、平成27年度の現状はどのようになっているかお伺いいたします。
〇高橋ものづくり自動車産業振興課総括課長 県南広域圏ものづくり力強化対策事業につきましては、今、委員から御説明がありましたとおり、人材育成を含めた形で取り組みを進めておりました。
今年度の技能士取得者数でございますけれども、先週、3月11日に年度後期の合格者の全県分が発表されたということでございましたので、地区別の状況については、現在集計をしているところでございます。
なお、今年度の取り組みといたしましては、機械保全技術研修、これらの集合研修、さらには、企業の要請に基づくオーダーメード型の研修を実施いたしまして、集合研修、オーダーメード型の研修を合わせまして270名程度の人材の育成等に向けての研修を実施したところでございます。
〇千田美津子委員 今の御答弁で大体状況はわかりましたが、合格者数が地域別にはわからないということですが、せっかくの事業ですので、人材育成、そして、この事業の効果が本当に上がるように、いろいろ取り組みを精査しながら、より効果的な事業の推進をお願いしたいと思いますので、その点伺って、終わります。
〇高橋ものづくり自動車産業振興課総括課長 やはり県南地域は、自動車を初めとしたものづくり産業の集積地ということでございますので、このような資格取得の技能が高い方たちも含めまして、ものづくり産業人材の育成を図っていくことが非常に重要だと考えております。
来年度は、これらの研修に加えまして、研修をやった後の社内での展開についても支援に取り組むということでございますし、さらには、企業のニーズもお聞きしながら、県南のものづくり企業の人材力の強化につながるような取り組みを進めていきたいと考えております。
〇吉田敬子委員 伝統的工芸品を含む伝統工芸産業の振興についてお伺いいたします。
南部鉄器、浄法寺漆、秀衡塗等の伝統的工芸品、また、それ以外の伝統工芸品のこれまでの生産量、輸出量、売り上げ等の推移などから、どのような取り組みの成果があり、課題をどう捉え、来年度に生かすのかお伺いいたします。あわせて、人材育成、後継者の取り組みの状況と課題について、どのように把握し、来年度取り組むのかお伺いいたします。
〇押切産業経済交流課総括課長 伝統工芸品の取り組み成果と来年度への生かし方ということでございますけれども、県ではこれまで、物産展等を通じて、販売機会の創出でありますとか販路拡大、情報発信等に取り組んできたところであります。
伝統的工芸品4品目の製造品出荷額ということで、経済産業省の工業統計調査の直近3年の数字でございますけれども、平成24年が26億1、000万円余、平成25年が27億6、000万円余、平成26年が31億4、000万円余と増加しております。
輸出額についてでございますが、ジェトロ盛岡におきまして、南部鉄器の分だけ明示的に出している部分がありますので、それを参考までにお知らせしますと、南部鉄器につきましては、平成24年が5億円余、平成25年が5億1、000万円余、そして平成26年が5億8、000万円余と、これも増加傾向にございます。
次に、売り上げにつきましては、首都圏の百貨店での物産展や展示販売会等で、県で把握した直近の売上集計の過去2年分でございますけれども、平成25年度と平成26年度の比較では、平成25年度の約9、590万円に対して、平成26年度は約1億680万円ということで、10%ほどふえているという状況にはございます。
数字の上ではふえておりますのと、あわせて、浄法寺漆の漆器が、松屋銀座、三越でありますとか、東京の大手百貨店の常設販売品になるという取り組みの成果もあらわれているところではございます。
ただ、一方で、ライフスタイルとかニーズの変化等による需要の減少等もございまして、新商品開発のおくれという部分も課題として認識しているところでございます。
こういうことを踏まえて、平成28年度におきましては、新たなライフスタイルと、例えば工芸品をどういうふうに使うかという研究会のようなものを、横のつながりの連携も図りながら、新たな購買層の開拓に努めるような取り組みをしてまいりたいと考えているところでございます。
あわせて、人材育成の取り組み状況というお話でございました。
平成24年度から平成26年度まで、国の緊急雇用創出事業臨時特例交付金を使った事業でございますけれども、伝統的工芸品等次世代継承事業により、伝統的工芸品4事業者で6名を雇用させていただきまして、その事業終了後の現在においても継続雇用されており、将来の担い手として着実に技術習得に励んでいるところでございます。
来年度の取り組みに向けまして、産地組合の皆様から御要望を聞いたところ、やはり従事者の高齢化が進んでいることと、若手後継者の育成ということで技術の指導がなかなかできないという部分がございましたので、平成28年度におきましては、国の地方創生加速化交付金を活用しまして、若手後継者の技術習得や研さんに向けた研修を実施するほか、小・中・高生に対しまして伝統的工芸品への興味喚起を図って、将来の就職先の候補の一つとして頭のすみにでも置いていただければということで、パンフレットの作成等も考えているところでございます。
〇吉田敬子委員 生産量、輸出、売り上げ等、全てが増加しているということで、私も岩手だからこそという商品に対してのこれからの支援はもっと大事になってくると思います。先ほど来の4品目の伝統的工芸品の分野がメーンになるかもしれないのですけれども、それ以外の、県北のほうでは竹細工だったり、県南のほうでは東山和紙とかといったものも伝統的工芸品のうちに入ると思っております。
先ほど答弁がありましたように、来年度は新たに、ライフスタイルとして提案していくということでしたので、例えば県北地域だと雑穀と竹細工を一緒に、県南地域はお餅と東山和紙というような売り方をすると購入者がふえていくと思います。また、お米で銀河のしずくが来年度出ると思いますけれども、岩谷堂箪笥で、たんすだと、ちょっと高いので私たちは買えないのですが、米びつを新しく商品開発されていますので、そういったお米と米びつといったものを提案していくことも大事かと思いますので、ライフスタイルのほうで来年度やっていくということですのでぜひ検討いただきたいことと、あと、特に後継者の育成というところで、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。
平成24年度から平成26年度までで緊急雇用創出事業を使って雇用した6名ということは大変評価いたしまして、企業のほうでも継続的に雇用されるということで、フォローアップを通じながら、まだ6名だけでは足りないと思いますので、ほかの分野での取り組み強化をぜひ図っていただきたいと思っております。
次に移りますが、アパレル関連産業の振興についてお伺いいたしますが、県北で行ってきたマッチング商談会での新たな取引成立など、成果をどのように捉え、課題を来年度に生かすのか。そしてまた、北いわてオリジナルブランドの現在までの申し込み状況等はどうなっているのかお伺いいたします。
〇押切産業経済交流課総括課長 アパレル関連産業につきまして、まず、マッチング商談会の成果ということでございますけれども、県北地域を中心とした縫製企業と首都圏の発注企業とのビジネスマッチングの機会を創出するため、平成27年2月に二戸市で開催した商談会では、東京都を中心に発注企業23社と岩手県、青森県の受注企業20社の参加があり、8件で600万円余の新たな取引が成立したと聞いているところでございます。
また、今年度は、さらに多くの発注企業の参加を促すため、10月に東京都を会場に行ったと聞いてございまして、その結果、発注企業につきましては昨年度より18社多い41社が集まりましたが、岩手県からは、若干遠いということもありまして受注企業は16社の参加ということでございました。商談結果については、現在追跡中ということでございますので、御了承願います。
今後は、関係機関とも連携しながら、地元開催と東京開催との結果を比較するなど、成果と課題を把握しながら、次年度以降の検討を進めていきたいと考えているところでございます。
あと、北いわてオリジナルブランドの申し込み状況というお話でございます。
先月、二戸市で開催したファッションショーでありますとか、先週末にクロステラス盛岡で北いわてオリジナルブランドということで、県北の縫製事業者9社が、オリジナルブランドとして制作したオリジナル服を一般公開したということでございます。
これに対する購入の申し込み状況ですけれども、まだ公開して間もないということで、久慈市の1業者に対してトレーニングウエア5着の注文があったという話は聞いてございますけれども、そのほかに問い合わせは数件あったという話はありますが、まだこれからという状況でございます。
今後は、さらなる受注に向けまして、連携協定を締結しております学校法人文化学園からの技術指導を受けるなど、製品のブラッシュアップも図りながら、さらなる受注拡大に努めてまいりたいと考えているところでございます。
〇吉田敬子委員 県北の皆さんがこれまで頑張ってきた成果があったからこそ、来年度以降、県全体で取り組めるということだと思っていますので、県全体で取り組みに力を入れていただきたいのですけれども、やはり県北の皆さんがあってこそなので、ぜひ、そこを忘れないでいただきたいと思っております。
次に、その中で技術力向上に向けた取り組みと、人材確保、育成の取り組みがどのように行われているのか、その課題等があればお伺いいたします。
〇押切産業経済交流課総括課長 技術力向上に向けた取り組みということで、研修の実績をお話しさせていただきます。
県北地域におきまして、平成26年度に縫製CADオペレーター養成研修と技術向上・品質管理セミナーを、平成27年度におきましては、技術向上・コストマネジメントセミナーを開催し、持続的な成長に向けた人材育成に取り組んでいるところでございます。
平成28年度は、県北縫製事業者の中堅女子社員を対象としたスキルアップに向けての勉強会を開催して、文化学園の協力も得ながら、生産性向上や商品開発を担う人材を育成していくこととしているところでございます。
次に、人材育成、確保の取り組みについて、平成27年度は小・中・高生を対象としたアパレル企業の見学会を県北地域で開催しまして、延べ303名の参加があったと聞いているところでございます。そのほかに、一般求職者を対象とした企業見学会も開催してございまして、延べ38名の参加があり、うち3名の雇用につながったという話もございます。
このほか、高校生に対しましては、就職相談会や企業説明会などを開催して人材確保に努めているということでございます。
県北地域におきまして繊維工業はいろいろ盛んではあるのですけれども、新卒者の求人数と就職者数ということになりますと、平成25年度は求人38名に対して就職が14名、平成26年度は求人39名に対して就職が12名と、新卒者につきましてはなかなか厳しい状況にあるようでございますので、学生デザインファッションショーの継続開催等による情報発信などによりまして、縫製業のイメージアップも図りながら、次代を担う人材確保、育成に取り組んでいきたいと考えているところでございます。
〇吉田敬子委員 人材確保の中で、総括質疑の答弁の中で専門学校等とも連携しながらとありましたけれども、県内の県立高校の中でも、家政等で授業を持っている学校もありますので、そういった方々にももっと連携を持ってやっていただきたいと思います。文化学園と連携を始めて、これからが勝負だと思うのですけれども、例えば学生をインターンで受け入れて、U・Iターンの定着になるとか、そういったものの取り組みをするとかという形で、ぜひ就職希望者が出るような形に取り組んでいっていただきたいと思っております。
アパレルの中で最後に、県北以外の県全体で、来年度以降取り組んでいかれるのですけれども、県北だけでなく、例えば北上市にはUTOというカシミアのマフラーをつくっている、平均年齢28歳という女性の雇用が多い企業があって、ここもすごく高品質でデザイン性のあるところだったり、花巻市にも東和プラムという、ジャケットをつくっていて、海外のデザイナーのものをつくっていたりとか、奥州市には、水沢ダウンというたしかオリンピックだったか何かの日本のチームのダウンをつくった会社があったり、盛岡市にも、企業誘致ですけれども白鳩というスポーツインナーをつくっている会社があって、本当に県北だけではなく県内各地にたくさんそういった企業がありますので、県北のこれまでの取り組みを県全体でどのように取り組んでいくのか意気込みをお伺いしたいと思います。
あわせて、企業におけるワーク・ライフ・バランスの取り組みについてお伺いしたいのですけれども、先ほど来いわて働き方改革等推進事業等で質疑がありまして、企業におけるワーク・ライフ・バランスの啓発とか正規雇用の拡大、そして国の制度の周知促進を図っていくという答弁をいただきました。その中で、県としては県内企業に国の制度の周知を図っていくということだったのですけれども、国の制度を活用している県内の企業についてはどのように把握されているのか伺います。
〇押切産業経済交流課総括課長 アパレル企業の県全体への波及ということで、工業統計では、繊維産業自体、県全体となりますと企業数及び就業者数は減少傾向にありますけれども、一方で製造品出荷額は増加しているという状況がございます。
先ほどお話ございましたとおり、県北地域を基点としながらも、水沢ダウンでありますとか、デサント系の超高級ダウンみたいなものをつくっているところが奥州市胆沢区のほうにありますので、さらなるトップブランド等との取引拡大でありますとか持続的な産業発展に向けまして、本県事業者が誇る高い縫製技術等のPRや人材確保、育成など、県北を基点としながらも全県的な政策の展開に向けて取り組んでまいりたいと思っております。
〇工藤労働課長 ワーク・ライフ・バランスの推進に関する国の助成制度の利用状況の把握についてでございますけれども、本県では、岩手労働局がこういった助成制度の担当ということで、実際には岩手労働局から利用実績等をお聞きして把握してございます。
例えば、長時間労働の抑制につながりますような所定外労働時間の削減に取り組まれる事業主に対して、その実施に要した費用の一部を助成する職場意識改善助成金というものがありますけれども、これにつきましては、平成26年度利用実績3件、平成27年度4件とお聞きしているところでございます。
〇吉田敬子委員 12月の一般質問で再質問させていただいたときにもそういった御答弁をいただいて、国の制度を活用している企業の数が少ないと思ったのですけれども、その周知をするためには、私は、その企業がどこなのかということを県で把握しなければいけないと思っているのです。きょうの質問のためにどこの企業がこれを受けられているのかという資料を出していただきたかったのですけれども、労働局からの情報提供がなかったのか、ちょっと開示できないというようなことがあったと私は認識しているのですが、そういった中で、県としては、国の助成制度の周知をしていく中で、企業がどういうものを使っているかわからないのにどのようにこの改革等推進事業の中でやっていくのかなと私は疑問に思ったのですけれども、その辺についての御所見をお伺いいたしたいと思います。
〇工藤労働課長 助成制度の利用をされている具体的な企業名について岩手労働局に情報提供をお願いしたところですけれども、企業名につきましては、法人情報保護のために情報提供はできないということでございました。ただ、一方では、岩手労働局としても助成金をもっと活用してほしいと。行政のことなので予算上の上限はあるけれども、まだまだ上限に達するほどの利用実績ではないので、県も普及して利用実績が伸びるようにもっと取り組んでほしいというお話をいただいておりますし、県からも積極的に普及啓発のための情報提供をいただくように、岩手労働局に要請、申し入れをしているところでございます。
そういった情報提供の制限というのは一部あるようでございますけれども、県としましては、岩手労働局と連携して、この助成金が活用されて企業の取り組みが進むように進めてまいりたいと考えてございますし、その一環としまして、本日、何度か答弁させていただいておりますけれども、いわて働き方改革等推進事業の中で具体的な企業の取り組みを募集して、岩手労働局としては組織的に情報漏えいにつながるような情報提供は難しいというのはありますが、一方では、私どものほうで募集して、こういう助成金を使ってやりましたよというような情報がいただければ、そういったところを収集してお知らせするというような取り組みも可能と考えてございますので、新年度はそういった取り組みを通じて普及啓発等を行っていきたいと考えてございます。
〇吉田敬子委員 フレックス制度等を導入して多様な働き方を支援するようにやられている企業もあるので、ぜひそれを生かしていただきたいと思います。
最後に、中途採用の状況とプロフェッショナル人材受け入れの取り組みについて、県内の求人数のうち、中途採用の割合がどのようになっているかを県としてどのように把握されていて、来年度、新しくプロフェッショナル人材の戦略拠点を設置することになっていますけれども、その効果をどう見込んでいるのかお伺いいたします。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 中途採用の割合でございますが、岩手労働局が公表しております有効求人数については新規学卒者を除く数値となっており、平成25年度の1カ月当たりの有効求人数の平均は2万9、173人、平成26年度の平均は2万8、204人、直近の平成28年1月は2万8、376人と51カ月連続で2万5、000人を超える高い水準で推移しております。経験年数ごとの人数は統計として把握できていない状況でございます。
プロフェッショナル人材戦略拠点事業についてでございますが、これは平成27年12月に設置しておりまして、都市圏のプロフェッショナル人材の県内への還流を図ることを目的に設置しているものでございます。本拠点の活動を通じ、プロフェッショナル人材の県内還流の促進を初め、企業訪問等を通じまして、県内企業が持つ潜在成長力への目覚めの喚起といったもので新事業や新たな販路の開拓など、攻めの経営への転換が促進されることを期待しているものでございます。
〇吉田敬子委員 新卒者への取り組みで、先ほどいわて働き方改革等推進事業でありましたけれども、U・Iターンの定着のためには、やはり中途採用がどういった状況になっているかを県として把握しなければいけないですし、先ほどプロフェッショナル人材のことをお話しいただきましたけれども、これについても、委託でプロフェッショナル人材がその期間だけこっちに来るよりは、本来は、ずっと岩手に定住、移住してもらえるような方を事業としてやっていくべきだと思っています。そのときだけ来て帰ってしまうのでは意味がないと思うので、そういった取り組みをぜひ強化していただきたいと思います。所見を伺って終わります。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 U・Iターンの拡大は県としても重点的に取り組むことにしておりますので、東京都に設置しておりますUターンセンターと連携しながらしっかりと取り組んでいきたいと思っております。
プロフェッショナル人材戦略拠点については、基本的に会社で採用していただけるように定着を前提にした働きかけをやることとしておりますので、そういった取り組みを通じてU・Iターン拡大の一助になればと思っているところでございます。
〇臼澤勉委員 私からは、大きく二つ、復興のなりわいの再生と観光振興についてお伺いいたします。
先ほど高田一郎委員から仮設商店街の集約化、撤去助成につきまして御質問がありましたので、これについては省略いたします。ただ、中小企業庁による仮設商店街の移設、撤去につきましては、確かにその事業は対象期間も延長になっておりますけれども、中小企業庁に言わせれば、譲り渡しているので、市のほうであとは撤去してくれと。やむを得ず、例えば区画整理事業とか復興関連事業で継続できない場合とか土地使用者の事情により施設が継続できないとか、そういうやむを得ない事由ということで、限定的なのかなと思っております。いずれにしましても、この移設、撤去につきましてもぜひ引き続き中小企業庁にも御要望していただきながら、なりわいの再生に向けて御支援いただければと思います。
商工会、会議所の再建についてお伺いいたします。
ことし、大槌の商工会館も─あそこの区画整理事業は6月ごろですか─再建されるということで、大きくまちづくりが一歩進むのかなと期待されております。ただ、一方で、まだまだ商工会あるいは会議所の再建の見通しが立っていないといいますか、できていないところもございます。今の商工会、会議所の現状と、今後の再建見通し、対応についてお伺いいたします。
〇高橋経営支援課総括課長 東日本大震災津波で被災した商工会議所、商工会館の再建についてですが、全壊という状態になった会議所、商工会は3カ所ありまして、そのうち、大船渡商工会議所は平成25年度に復旧しております。また、今お話があったとおり、大槌商工会については、現在建てかえ中ということで4月完成予定となっております。もう1カ所、陸前高田商工会はまだ復旧をしておりませんで、平成29年度を目途に建てかえする予定と伺っております。
〇臼澤勉委員 個々の商工会館の復旧についても、いろいろと事業が限定的な部分もあったりしますので、ぜひそこら辺の御支援をよろしくお願いしたいと思います。
観光振興のほうに移ります。
先ほども神崎委員から教育旅行の誘致等、御質問がありました。ことしは、平泉の5周年、宮沢賢治の120周年、石川啄木の130周年あるいは十和田八幡平の国立公園指定の80周年と、いろいろ取り組みがございます。それから、北海道新幹線開業といった部分もありますし、先ほど来、三陸ジオパーク、震災学習、岩手にはさまざまな学ぶ観光資源というか学ぶ旅、体験型の教育旅行のプログラム、この観光資源はふんだんにあるのかなと期待しております。
その上で、受け入れ態勢を、ぜひ整備していく必要があろうかと思います。教育旅行に向けた受け入れ態勢、先ほどは商品造成についての御質問がありましたので、私からは受け入れ態勢の部分の取り組みについて御所見をお伺いします。
〇平井観光課総括課長 教育旅行の受け入れ態勢の整備状況でございますけれども、特にも震災学習を中心といたしまして、これと二つの世界遺産を組み合わせることで本県ならではのオンリーワンの学習メニューが造成されるわけでございまして、これに向けた受け入れ態勢といたしましては、まずは沿岸地域におきまして、三陸ジオパークガイド、それから震災語り部ガイドなど各種ガイドの育成、そして、このガイド団体のネットワーク化に取り組んでいるものでございます。
また、教育旅行の誘致に当たりましては、教育側サイドからのいろいろなニーズとかがございまして、そういう問い合わせに対しまして一元的に対応する窓口が必要であろうということで、私どもこれはプラットフォームと呼んでおりますが、その機能を三陸鉄道に委託いたしまして教育旅行の誘致に取り組んでいるものでございます。
〇臼澤勉委員 ぜひその受け入れ態勢をしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
その上で、ボランティアガイド、先ほども三陸ジオパークの関連でのジオパークのガイドのお話がありました。私は、まさにこのガイドの育成が重要と思っております。国際観光、インバウンド観光においても、たしか全国に先駆けて岩手県で平成19年に地域限定通訳案内士も導入しまして、私の記憶では二十数名、国家資格の通訳案内士を含めると50名近くのガイドを養成されていたと思います。
それでお伺いいたしますけれども、現在の地域限定通訳案内士も含めたボランティアガイドの現状と課題、今後の育成に向けた取り組みについてお伺いいたします。
〇平井観光課総括課長 まず、ボランティアガイドの現状と課題でございますけれども、現在、県内には49団体771名のガイドが活動しているところでございますが、課題といたしましては、観光客のニーズが多様化していることがございます。これに対応するため、ガイド団体の連携の強化、そしてガイドの充実確保が課題と認識しているところでございます。
このため、県では、平成16年に設立いたしました岩手県観光ボランティアガイド連絡協議会を中心にガイド団体の連携を推進するとともに、県の観光協会を通じて、この協議会が実施するボランティアガイドの研修事業に対する支援を実施しているところでございます。また、沿岸地域におきましては、先ほど御紹介いたしましたとおり、ガイドの養成や窓口の設置などの取り組みを行っているところでございます。
次に、地域限定通訳案内士の現状と課題でございますが、現在、英語26名、中国語7名、韓国語3名の計35名が地域限定通訳案内士として登録しているところでございますが、近年におきましては通訳ガイドの実績が年間50件程度となっていることから、案内士の活動機会の拡大が大きな課題であると認識しているところでございます。
このため、県では、県の観光ポータルサイトいわての旅において通訳案内士を紹介するとともに、東京都と連携いたしまして、アメリカなど欧米から東京を訪れる個人旅行客を本県に誘引するための東京都との共同プロモーションに取り組んでいるところでございます。
今後も、個人旅行客を中心とした誘客の取り組みなどにより、まずは通訳士の活動機会の拡大を図りながら、案内士の育成、確保にも取り組んでまいりたいと考えてございます。
〇臼澤勉委員 先般、ある温泉旅館に行きましたら、中国の個人客も結構いらっしゃっているというお話もあって、今聞きましたら、やはり中国語とか韓国語はガイドがちょっと少ないという印象もありますが、いずれにしましても、これからてこ入れして旅行客をふやしてまいりますので、そういった受け入れ態勢、ガイドの養成についてもしっかり取り組んでいただきたい。ILCもございますから、そういった意味で、地域限定通訳案内士の問題集、非常に岩手に特化した、私も難しくて日本語ですら解けないような……、解けないというか、岩手を知らなければ解けないような問題でございますから、ああいった部分もしっかりと取り組みながら受け入れ態勢に取り組んでいただければと思います。
〇伊藤勢至委員 関連。通告しておりませんでしたが、1点のみお願いいたします。
先ほど、神崎委員の質問のやりとりの中で、現在、盛岡-宮古間が1時間40分かかる、観光客誘導は大丈夫なのかという御心配の声をいただいたと思いますが、確かに現在は1時間40分かかります。しかし、国道106号が復興支援道路の位置づけを受けまして、まず、盛岡市側から参りますと、区界トンネル、平津戸トンネル、箱石トンネル、そして茂市トンネルという長大トンネルが入ってまいりまして、これが完成する平成30年には、現在、盛岡市役所-宮古市役所間が105キロメートルありますけれども、これがショートカットされまして、85キロメートルを切る見込みであります。時間は70分台と言われておりますので、平成30年には、簡単に言えば、盛岡駅で新幹線をおりたお客さんが浄土ヶ浜を見たいといって十分に午前中に帰ってくる時間で行き来できることになるわけであります。
したがいまして、これは全ての分野に関係いたしますが、余り時間もありませんので、観光課総括課長と企業立地推進課総括課長に代表して、平成30年度を見越した施策の展開の中にこれをぜひ含んでいただきたいということでお伺いしたいと思います。
〇平井観光課総括課長 先ほど来、私ども御答弁で申し上げているように、特に今、重要なのは沿岸への誘客でございます。この点につきまして、北海道新幹線の活用、そして、さらにはインバウンド、いわゆる外国人観光客につきましても沿岸に誘客する必要があると私どもは認識しておりまして、ぜひとも花巻空港への国際定期便の取り組みとともに、このような道路インフラを利用いたしまして、ぜひとも外国人の方に沿岸に誘客していただくような取り組みを進めてまいりたいと考えてございます。
〇飛鳥川企業立地推進課総括課長 今、復興支援道路のお話がございました。そして、いわゆる三陸沿岸道路、こういった道路が県内で充実してくることで、県内の物流は業者のほうも大きく変わってくるというような見込みを立てているところでございます。
我々といたしますと、そういった企業の機運をつかまえまして、先ほどの御答弁でもございますが、フェリーの帰り荷等も探しながら一層の物流の効率化を図っていきたいと思っております。
〇佐々木努副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木努副委員長 質疑がないようでありますので、これで商工労働観光部関係の質疑を終わります。
商工労働観光部の皆さん、お疲れさまでした。
以上で本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後8時4分 散 会

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