平成28年2月定例会 予算特別委員会会議録

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予算特別委員会会議記録
(第 1 号)
平成28年3月7日(月)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
事務局長 杉 村   孝
議事調査課
総括課長 菊 池   満
議事管理担当課長 渡 辺 謙 一
主任主査 中 村 佳 和
主任主査 藤 澤 壮 仁
主査 柳 原   悟
主査 田 内 慎 也
主査 菊 地 友 和
主査 菊 池   智
1説明員
知事 達 増 拓 也
副知事 千 葉 茂 樹
企画理事 齋 藤 淳 夫

秘書広報室長 木 村 卓 也
理事兼
秘書広報室副室長
兼首席調査監 保   和 衛

総務部長 風 早 正 毅
総務部副部長
兼総務室長 佐 藤   博
人事課総括課長 菊 池   透
財政課総括課長 熊 谷 泰 樹
税務課総括課長 小 畑   真

政策地域部長 大 平   尚
副部長兼政策推進
室長兼首席
ふるさと振興監 大 槻 英 毅
政策地域部副部長
兼地域振興室長 宮 野 孝 志
政策監兼
ふるさと振興監 高 橋 勝 重
市町村課総括課長 佐 藤 隆 浩

環境生活企画室
企画課長 小野寺 宏 和

保健福祉企画室
企画課長 小 川   修

商工企画室
企画課長 鈴 木 俊 昭
商工企画室
管理課長 岩 渕 伸 也
特命参事兼
雇用対策課長 高 橋 達 也

農林水産企画室
企画課長 中 村 善 光

県土整備企画室
企画課長 小 原 由 香

復興局長 中 村 一 郎
復興局副局長 大 友 宏 司

国体・障がい者
スポーツ大会局
副局長兼
総務課総括課長 小 友 善 衛

教育企画室
特命参事兼
企画課長 菊 池 正 勝
〇杉村議会事務局長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うこととなっております。
出席委員中、工藤勝子委員が年長の委員でありますので、御紹介申し上げます。
工藤勝子委員、委員長席に御着席願います。
〔年長委員工藤勝子君委員長席に着く〕
〇工藤勝子年長委員 ただいま御紹介のありました工藤勝子です。よろしく御協力をお願いいたします。
それでは、ただいまから予算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開きます。
これより委員長の互選を行います。委員会条例第7条第2項の規定により、委員長互選の職務を行います。
お諮りいたします。委員長互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子年長委員 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子年長委員 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
予算特別委員長に高橋但馬君を指名いたします。
お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました高橋但馬君を予算特別委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子年長委員 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました高橋但馬君が予算特別委員長に当選されました。
ただいま当選されました高橋但馬君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
高橋委員長、委員長席にお着き願います。
〔予算特別委員長高橋但馬君委員長席に着く〕
〇高橋但馬委員長 ただいま予算特別委員長に選任されました高橋但馬でございます。御推挙をいただき、大変光栄に存じておる次第であります。
委員各位に御協力をいただきまして責務を全うしてまいりたいと思っておりますので、御協力をよろしくお願い申し上げ、御挨拶とさせていただきます。(拍手)
引き続いて副委員長の互選を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋但馬委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
これより副委員長の互選を行います。
お諮りいたします。副委員長の互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋但馬委員長 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋但馬委員長 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
予算特別副委員長に佐々木努君を指名いたします。
お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました佐々木努君を予算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋但馬委員長 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました佐々木努君が予算特別副委員長に当選されました。
ただいま当選されました佐々木努君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
佐々木努副委員長、御挨拶をお願いします。
〇佐々木努副委員長 ただいま御選任いただきまして、大変ありがとうございました。
高橋但馬委員長をしっかりと補佐して、スムーズな委員会運営に努めたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
〇高橋但馬委員長 お諮りいたします。当予算特別委員会に付託されました議案37件についての審査の方法でありますが、お手元に配付してあります日程案のとおり、本日及び明日は、知事、副知事、企画理事及び関係部局長等の出席を求め総括質疑を行い、明日の総括質疑終了後から10日まで及び14日から18日までは、関係部局長等の出席を求めて部局ごとに質疑を行うこととし、議案37件に対する意見の取りまとめと採決につきましては、18日の県土整備部関係の質疑が終わった後、世話人会での意見調整を経た上で行いたいと思います。
なお、8日目の農林水産部の審査については、第1部を農業関係、第2部を林業、水産業関係とし、それぞれ区分して審査することといたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋但馬委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
これより議事に入ります。
議案第7号から議案第25号まで、議案第27号、議案第40号から議案第50号まで、議案第54号、議案第60号、議案第61号、議案第63号、議案第64号及び議案第138号の以上37件を一括議題といたします。
総務部長に総括説明を求めます。
〇風早総務部長 それでは、平成28年度当初予算の概要等につきまして総括的に御説明を申し上げます。
この平成28年度当初予算は、参画、つながり、持続性の三つの視点を重視し、本格復興を完遂するための予算を最優先で措置するとともに、復興のシンボルとなる岩手国体、全国障害者スポーツ大会を成功させ、国体・大会プラスなど大会を盛り上げる取り組みを推進するほか、いわて県民計画第3期アクションプランの取り組み、岩手県ふるさと振興総合戦略に基づく、岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らすなどの取り組みを着実に展開する予算として編成いたしました。
また、国の補正予算を踏まえ、平成27年度2月補正予算と一体的にTPP対応を見据えた本県農林水産業の体質強化や地方創生などを展開するための予算を措置したほか、中期財政見通しや公債費負担適正化計画を踏まえ、財政健全化にも配慮したものとしているところであります。
それでは、予算の概要について御説明を申し上げます。
お手元の議案その2、1ページをお開き願います。議案第7号平成28年度岩手県一般会計予算であります。
第1条は、歳入歳出の総額を1兆661億691万5、000円と定めるものであります。これを前年度当初予算と比較いたしますと、4.1%の減となるものです。第2条は債務負担行為の限度額等を、第3条は地方債の限度額等をそれぞれ定めるものであり、第4条は、一時借入金の最高額を1、000億円とするものであります。第5条は、職員給与について同一款内での予算流用を定めるものであります。
次に、歳入について御説明いたします。便宜、厚い冊子になりますが、予算に関する説明書で御説明をいたします。予算に関する説明書の1ページ目をお開き願います。
一般会計歳入歳出予算事項別明細書の1総括、歳入のうち、自主財源は、1県税、2地方消費税清算金、7分担金及び負担金、8使用料及び手数料、さらに、10財産収入から14諸収入までであり、その総額は4、335億8、200万円余で、前年度当初予算と比べますと、5.3%の減となっております。これは主に、復興交付金基金やその他、特定目的基金からの繰入金の減によるものであります。
また、依存財源は、3地方譲与税、4地方特例交付金、5地方交付税、6交通安全対策特別交付金、9国庫支出金、15県債であり、その総額は6、325億2、400万円余で、前年度当初予算と比べて3.2%の減となっておりますが、これは主に、復旧、復興事業費の減に伴う震災復興特別交付税や国庫支出金の減によるものであります。
この結果、歳入に占める自主財源の割合は40.7%、依存財源の割合は59.3%と、おおむね前年度並みの割合となっております。
次に、歳入の内容について御説明を申し上げます。4ページをお開き願います。
まず、1款県税1項県民税は403億5、800万円で、前年度比1.1%の減となっておりますが、これは、2目の法人県民税について、税率改正の影響により減収が見込まれることなどによるものであります。
2項事業税は252億1、700万円で、3.4%の増となっておりますが、これは、企業収益の改善などにより、法人事業税の増収が見込まれることなどによるものです。
次に、6ページの3項地方消費税は、税率改正の影響が平年度化すること等により、213億1、100万円、12.3
%の増を見込んでおります。
4項不動産取得税は24億5、300万円で、2.0%の減と見込んでおります。
8ページに参ります。5項県たばこ税は15億6、200万円で0.9%の増、6項ゴルフ場利用税は3億100万円で、5.2%の増を見込んでおります。
10ページの7項自動車取得税は15億6、000万円で1.7%の減、8項軽油引取税は181億6、600万円で、0.1%の減と見込んでおります。
次に、12ページの9項自動車税は176億3、100万円で、0.7%の減と見込んでおります。
10項鉱区税は、最近の課税実績等を勘案し、1、700万円を計上しております。
次に、14ページの11項狩猟税ですが、狩猟者登録の見込み数により1、300万円を計上、12項産業廃棄物税は、最終処分場の年間埋立量などを勘案し、7、600万円を計上しております。
以上、県税の合計額は1、286億6、500万円で、前年度当初予算に比べ24億7、800万円、2.0%の増となるものであります。
次に、17ページの2款地方消費税清算金は476億1、100
万円で、13.7%の増となっております。
18ページの3款地方譲与税1項地方法人特別譲与税は179億6、300万円、19ページの2項地方揮発油譲与税は34億5、100万円、20ページの3項石油ガス譲与税は1億8、000万円、21ページの4項地方道路譲与税は100万円、22ページの5項航空機燃料譲与税は2、200万円をそれぞれ計上いたしております。
23ページの4款地方特例交付金は、住宅借入金等特別税額控除による減収を補填するための特例交付金でございまして、2億7、500万円を見込んでおります。
次に、24ページの5款地方交付税ですが、国の地方財政対策の内容や復旧復興事業費等を総合的に勘案して推計を行いまして、3、075億1、170万円余と、前年度当初予算に比べ80億1、766万円余、2.5%の減で計上しております。
25ページの6款交通安全対策特別交付金は、4億2、066万円余を見込んでおります。
次に、26ページの7款分担金及び負担金でありますが、1項分担金は、そのほとんどが農業農村整備事業等に係るものであり、4億4、602万円余、27ページから28ページまでの2項負担金は、民生費などの受益者負担金、市町村負担金などを計上しており、29億5、406万円余となっております。
29ページ、8款使用料及び手数料でありますが、1項使用料の主なものを申し上げますと、30ページ、4目労働使用料では、産業技術短期大学校授業料、31ページの7目土木使用料では、道路及び河川の占用料、県営住宅使用料、9目教育使用料では、県立学校における授業料などであります。これら使用料の総額は、32ページの合計欄60億2、762万円余で、前年度に比べ23.1%の増となっております。
次に、33ページの2項手数料でありますが、その主なものは、3目衛生手数料、34ページの屠畜検査に係る手数料、36ページの7目土木手数料の建築確認に係る手数料、8目警察手数料の運転免許に係る手数料などでありまして、合計は、37ページの計欄の22億651万円余、1.1%の減となっております。
次に、38ページ、9款国庫支出金でありますが、1項国庫負担金の主なものを申し上げますと、2目民生費負担金では生活保護や災害救助など、40ページの6目教育費負担金では、小中学校教職員の人件費に係るものや県立学校の授業料に充てるための就学支援交付金など、7目災害復旧費負担金では、漁港災害復旧事業、河川等災害復旧事業、港湾災害復旧事業などであります。これら国庫負担金の総額ですが、41ページの計欄1、382億3、876万円余で、前年度より1.8%の減となっております。
次に、42ページ、2項国庫補助金でありますが、その総額は、54ページまでお進みいただきまして、903億9、728万円余、復旧、復興事業の進捗に伴い、5.2%の減となっております。
次に、55ページの3項委託金でありますが、その総額は、57ページまで進んでいただきまして、28億1、391万円余で、1.3%の減となっております。
58ページの10款財産収入でありますが、1項財産運用収入は、2億1、414万円余を計上しております。59ページから60ページにかけての2項財産売払収入は、県有未利用地や生産物の売り払いによる収入などでありまして、10億9、068万円余を計上しております。
61ページの11款寄附金は、ふるさと岩手応援寄付など8、500万円余を見込んでおります。
次に、62ページ、12款繰入金1項特別会計繰入金は9億4、514万円余であります。
63ページ、2項基金繰入金は、東日本大震災復興交付金基金などの基金を活用するため、850億4、990万円余を計上しております。
64ページの13款繰越金は、整理科目であります。
65ページの14款諸収入1項延滞金、加算金及び過料等は1億9、900万円余を計上しております。
66ページの2項預金利子は8、534万円余を計上しておりまして、67ページ、3項公営企業貸付金元利収入は、113億9、655万円余を計上しておりますが、県立病院等事業会計への貸し付けの償還金がその主なものであります。
68ページの4項貸付金元利収入は、各行政部門における貸付金に係る元金及び利子の収入で、合計額は、69ページの計欄1、326億8、204万円余となっております。
70ページ、5項受託事業収入は、次の71ページの計欄のとおり、総額48億4、210万円となっております。
次に、72ページ、6項収益事業収入は、宝くじ収益34億526万円余を、73ページの7項利子割精算金収入は593万円を見込んでおります。
74ページ、8項雑入の総額は、77ページまで進んでいただきまして、56億7、105万円余と見込んでおります。
次に、78ページ、15款県債でありますが、その総額は、80ページの計欄のとおり712億5、016万円余であり、前年度に比較して、24億7、100万円、3.4%の減となっております。
この結果、県債の現在高見込みでありますが、一旦、296ページをごらんいただきまして、前年度末現在高見込み額が平成27年度末、右端の当該年度末現在高見込み額が平成28年度末となりますが、297ページの上から5行目の計欄をごらんいただきまして、平成27年度末は1兆3、528億4、400万円余、平成28年度末では、計欄の右端になりますが、1兆3、166億4、400万円余の残高になると見込んでおります。
なお、297ページの中ほどの表に県債管理基金への積立金を記載しており、これを調整した実質的な県債の現在高見込み額は、一番下の表の計欄にお示ししております。
以上で歳入についての御説明を終わります。
次に、歳出についてでありますが、主要な事業につきましては、それぞれ所管部局の審議の際に担当部局長から詳細に御説明を申し上げます。
款別歳出につきましては説明を省略し、私からは、性質別の主なものについて御説明を申し上げます。
これについては、お手元の薄い冊子ですが、予算に関する資料をごらんいただければと思います。予算に関する資料の3ページをお開き願います。3ページにございます平成28年度一般会計歳出性質別内訳表でございますが、この表の右端の前年度当初予算からの増減率の欄を中心にごらんいただきたいと存じます。
平成28年度当初予算の特徴的なところを何点か申し上げますと、まず、1人件費につきましては0.6%の増となっておりまして、退職手当など職員手当の増等によるものであります。4ページに参りまして、6普通建設事業費は、災害公営住宅整備事業や防災拠点等再生可能エネルギー導入事業費等の減により、11.0%の減となっております。7災害復旧事業費は、漁港災害復旧事業費や中小企業等復旧・復興支援事業費の減などにより、9.6%の減で計上しております。5ページに参りまして、8公債費は5.5%の減、11貸付金は、中小企業東日本大震災復興資金貸付金の増などにより、0.8%の増となっております。
平成28年度岩手県一般会計予算の概要につきましては、以上のとおりであります。特別会計につきましては、所管部局において御説明を申し上げますので、私からは省略させていただきます。
何とぞよろしく御審議をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
〇高橋但馬委員長 ただいまから総括質疑に入るわけでありますが、議会運営委員会の決定に基づき、総括質疑は、各会派及び会派に所属しない委員に質疑時間を配分して行うことになっております。
質疑時間につきましては、まず、改革岩手が54分、次に、自由民主クラブが45分、次に、いわて県民クラブが24分、次に、創成いわてが21分、次に、日本共産党が15分、次に、社民党が12分、次に、会派に所属しない委員は、公明党小野寺好委員、無所属吉田敬子委員、無所属臼澤勉委員の順に、それぞれ9分となっております。
各会派は、配分された時間の範囲内で複数の委員が質疑することができること、この場合におきましては、会派として続けて行うこととされておりますので、御了承願います。
なお、総括質疑は、本日及び明日に予定されておりますが、明日は、総括質疑終了後、議会、総務部関係の審査も予定されておりますので、議事の進行に御協力をお願いいたします。
これより総括質疑に入ります。高橋元委員。
〔高橋元委員質問者席に着く〕
〇高橋元委員 改革岩手の高橋元であります。
会派を代表いたしまして、前段が私、後段が名須川晋委員、両名で総括質疑を行いますので、よろしくお願いいたします。これまでの一般質問と重複している部分もありますが、よろしくお願いしたいと思います。
まずもって、東日本大震災津波被災から間もなく丸5年が経過となります。被災された皆様方、特に犠牲になられた方々に哀悼の意を表し、そしてまた、今なお不自由な生活を送られている方々にお見舞いを申し上げたいと思います。あわせまして、県内外から支援いただいている多くの皆様方に深く感謝を申し上げる次第であります。一刻も早い震災復興とふるさと振興をやらなければならない、そういう強い思いでいっぱいでございます。
では、質問を続けます。
まず初めに、知事の県政運営については、第3期アクションプランの内容を中心に伺いたいと思います。
第1点目、いわて県民計画、東日本大震災津波復興基本計画の実施計画期間と評価についてであります。
現在、いわて県民計画は平成21年度から平成30年度までの10年間、東日本大震災津波復興計画は平成23年度から平成30年度までの8年間が策定期間となっておりますが、県民計画は実施計画が3期にわたるアクションプラン、復興計画においても3期にわたる実施計画として推進してきました。こうした実施時期を、前期、後期の2分割ではなく、3分割にした経緯とその評価、さらに、次期県民計画についても同様な手法を用いる考えかお伺いいたします。
〇達増知事 まず、いわて県民計画は、10年の長期ビジョンとその実現のための具体的な取り組みを示したアクションプランで構成しておりまして、アクションプランについては、マニフェストサイクルと連動した計画期間として、それに合わせて第1期を2年間、第2期、第3期を4年間のプランとしたものであります。このことによって、県民の意向を的確に反映できるとともに、政策評価結果や社会経済情勢の変化などを踏まえて、政策推進目標などの見直しを図ることができるものであります。
次に、岩手県東日本大震災津波復興計画についてでありますが、東日本大震災津波からの復興に向けては、緊急的、短期的、中長期的な取り組みを重層的に進めていくことが必要でありますことから、復興基本計画におきまして、第1期を基盤復興期間、第2期を本格復興期間、第3期を更なる展開への連結期間と定めたところであります。
第1期は、基盤復興の取り組みを進め、その取り組みの成果を土台として第2期復興実施計画を策定し、本格復興の取り組みを強力に推進しているところでありまして、3期に分けた計画期間によって取り組みを着実に進めているところであります。
いわて県民計画の次の長期計画、実施計画における計画期間等のあり方につきましては、策定に取り組む時点におきまして、県内各界各層からの御意見や社会経済情勢を踏まえて検討されるものと考えております。
〇高橋元委員 両計画の策定時に議員でなかった方々が20人を超えてきているということでありますので、改めてその経緯をお伺いした次第であります。
第2点目、県民計画第3期アクションプランについて伺います。
第3期アクションプランは、知事みずから中心となって策定したいわて県民計画の総仕上げのプランであり、また、ふるさと振興総合戦略と一体的に推進していくとされております。政策編、地域編、改革編から変更した行政経営編において、重点的、優先的に取り組む主な施策は何か伺います。
〇達増知事 第3期アクションプランについてでありますが、政策編では、人口、県民所得、雇用環境、地域医療など7つの政策推進目標の達成を目指し、県内就職率の促進や創業の支援、結婚支援や保育サービスの拡充などの取り組み、長期、安定的な雇用の創出など雇用の量の確保に加えて、労働環境の改善を初めとした雇用の質の向上に向けた取り組みなどを積極的に展開してまいります。
地域編では、広域振興圏の目指す将来像の実現に向けて、県央広域振興圏においては、学術研究機能等の集積を生かしたIT、ものづくり産業の振興、地域の魅力を生かしたスポーツの推進など、県南広域振興圏においては、世界に通用するものづくり基盤の構築と伝統産業の振興、平泉世界遺産を初め多彩な資源を生かした観光振興など、県北広域振興圏におきましては、安全・安心で魅力的な農林水産資源を生かした食産業の振興、縫製業、電気電子機器関連産業、造船業など、ものづくり産業の一層の振興などを重点施策として取り組んでまいります。
行政経営編では、経営感覚を持って、重要な課題に財源や人的資源を配分する行政経営の視点を重視して、県と多様な主体との連携、協働も進めながら、復興や地域課題に取り組む体制の充実を図ることによりまして、政策編及び地域編の成果を高める取り組みを着実に推進してまいります。
〇高橋元委員 ただいま詳しく説明がありました。それらの施策を進めることによって、知事が掲げて取り組んでおります希望郷いわては、第3期アクションプランの完了時にどの程度実現できていると考えているのかお伺いいたします。
〇達増知事 いわて県民計画では、希望郷いわての目指す姿を、県民一人ひとりが、共に支え合いながら、いきいきと働き、安心して暮らし、楽しく学んでいくことができる希望あふれる社会と描いています。
こうした姿の実現に向けて、第1期及び第2期アクションプランを通じて、人口、県民所得、雇用環境、地域医療などの本県が直面する重要課題について取り組みを進めてきた結果、人口の社会減は平成25年まで6年連続で減少しましたほか、1人当たり県民所得は平成22年度から4年連続で向上し、国民所得との乖離が縮小しました。
また、雇用環境については、有効求人倍率が平成22年度以降改善してきたほか、地域医療については、人口10万人当たりの病院勤務医師数が増加傾向にあるなど、これまでの取り組みの成果があらわれているところであります。
第3期アクションプランは、いわて県民計画の最終期間であり、東日本大震災津波からの本格復興を復興計画のゴールにつなげていくとともに、ふるさと振興を軌道に乗せて、希望郷いわての実現に向けて、雇用の質の向上、医師の確保、定着など、プランに掲げた政策推進目標や指標の達成を目指して、引き続き全力で取り組んでまいります。
〇高橋元委員 幸福度の指標化について本県で初めて取り入れるとされましたが、2012年指標によりますと、幸福度や真の豊かさ等の指標化を実施している自治体は23自治体とのことであります。ふるさと希望指数という指標をつくっている県は、福井県をリーダー県として、青森、山形、長野、山梨、石川、三重、奈良、高知、鳥取、島根、熊本、宮崎の13県、ほかに単独でとやま幸福度関連指標の富山県、京都指標の京都府、新たな豊かさ指標の兵庫県のほか、札幌市、新潟市、浜松市、堺市などの地方都市でも導入しております。
幸福度を判断する際に重視する項目として、健康、家族、家計、精神的ゆとり、友人、自由時間、生きがいなどということでありますが、本県ではどのような項目を想定しているのか伺います。
〇大平政策地域部長 幸福に関する指標の設定に当たりましては、物質的な豊かさに加え、岩手ならではの生き方、豊かさといった経済的な指標でははかることのできない要素にも着目することが重要と考えてございます。
例えば、内閣府の幸福度に関する研究会報告書では、住居や雇用等の経済社会状況のほか、健康、地域とのつながりなどの関係性、自然環境等の持続可能性を幸福の構成要素としており、こうした考え方や、委員御案内の先行県での取り組み、さらに、いわて県民計画の政策体系なども踏まえ、検討を行っていく必要があると考えております。
幸福に関する指標については、県民へのアンケート調査により把握する方法や、幸福に関連する所得などの統計データを用いて測定する方法が考えられますが、県民意識調査を活用した予備調査の結果をもとに、今後、有識者による研究会を設置し、県民の意見も伺いながら、具体的な指標などについて検討を進めてまいります。
〇高橋元委員 経年ごとに幸福度が高まることを期待したいと思っております。
次に、奨学金養成医師の配置について伺います。
全国的に医師不足が深刻化している中、本県においては奨学金制度による医師の養成を進めており、これらの養成医師が円滑な義務履行とキャリアアップを両立できるよう、岩手医科大学と奨学金運営主体の関係4者で養成医師の配置調整とキャリア形成支援などを進める協定を締結し、全国で初めて養成医師の配置を行う仕組みをつくっております。この仕組みにより、県内の公的医療機関に養成医師が順次配置され、将来的に医師不足の解消に向かうことを期待しております。
先日開催された地域医療対策協議会の報道によると、養成医師の配置についても協議会の議題として上げられ、来年度の配置対象である養成医師について、13名の養成医師の配置が決まったが、3名の養成医師は配置が決まっておらず、年度内に配置を決定するということでありました。配置が未定であった養成医師も含め、現時点で来年度の配置がどうなる見込みか、また、今回の配置調整結果について知事はどう評価しているのか伺います。
〇達増知事 奨学金養成医師の配置についてでありますが、来年度の養成医師の配置に関しまして、地域医療対策協議会の時点では未定であった3名の配置につきまして、養成医師本人や関係機関との調整を進めてきたところでありまして、先週末、沿岸部に配置することに決まりました。また、県内の公的基幹病院に配置することとしていた13名のうち、1名の配置先が内陸部から沿岸部に変更となりまして、この結果、今回、義務履行に入る16名のうち6名を沿岸部に配置することとなりました。
今回の養成医師の配置につきましては、本県が全国に先駆けて策定した配置基本ルールに基づいて県内各地に円滑な配置ができたものと考えておりまして、今後とも、養成医師のキャリア形成にも配慮しつつ、医師の地域偏在の解消に向けて適切な配置を進めてまいりたいと思います。
〇高橋元委員 被災した三つの病院の再開が始まりますので、そういうところでの医師不足を充足できれば、大変すばらしいものだと期待しております。
次に、県北・沿岸振興について2点伺います。
県北地域においては、地域資源を生かして食産業の推進やアパレル産業の育成等に取り組むほか、若者の地元就職、Uターン促進に向けた取り組み、若者、女性の活躍による地域づくりへの支援を掲げて進められましたが、その成果と課題、第3期アクションプランでの県北振興をどのように進めていく考えか伺います。
〇達増知事 県では、いわて県民計画において、すぐれた地域資源を生かした産業振興による地域経済の活性化を掲げて、県北地域の特徴的な産業振興の取り組みとして、食産業における商品開発や取引拡大に向けた支援、鶏肉を中心とした北いわて食材のPR、アパレル産業の認知度向上や産学官連携による企業の経営基盤強化に向けた支援などの取り組みを積極的に展開してまいりました。
また、若者、女性の地域づくり活動や情報発信、交流イベントへの取り組み支援などを通じて、交流、活躍機会の創出に努めてまいりました。
このような取り組みの結果、地域を牽引する産業としての食産業やアパレル産業の認知度が高まりましたほか、健康食品や鶏肉の食品製造企業における生産設備の増強、北いわてアパレル産業振興会の設立や、同振興会の主催による北いわて学生デザインファッションショーの開催、郷土の英雄、戦国武将九戸政実公を活用した地域づくりなど、企業や地域の主体的な取り組みが展開されてきているところであります。
一方で、県北地域の人口減少率は依然として県平均を上回る状況が続いておりまして、若者の地元定着に向けた産業振興や雇用機会の確保等を一層推進していく必要があります。
このため、県民計画第3期アクションプランにおいては、地域資源を生かした食産業の振興、アパレルを初めとするものづくり産業の振興、雇用機会の確保と若者の地元定着を県北地域における重点施策と位置づけまして、これまで以上に市町村を初め関係団体、企業等と連携を強化して、地域の主体性を生かしながら県北地域の振興に取り組んでまいります。
〇高橋元委員 沿岸振興についてでありますけれども、環境省は、東日本大震災津波で大きな被害の出た陸中海岸国立公園を復興に生かそうと検討を重ね、平成25年に三陸復興国立公園─旧陸中海岸国立公園、みちのく潮風トレイル─旧東北海岸トレイルを名称を変えて再指定いたしました。森・里・川・海、つながる自然つながる未来、新たな国立公園へ、グリーン復興プロジェクトとして三陸復興を支援していただいております。
加えて、平成25年に日本ジオパーク委員会により三陸ジオパークが認定され、沿岸地域の観光資源が大幅に充実されましたが、沿岸振興を図るためには、こうした観光資源をさらに活用することが大切と考えますが、県では、これまでどのような取り組みをなされてきたのか、今後どのような活用をしていくのか伺います。
〇千葉副知事 沿岸振興における観光資源についてでございますけれども、沿岸地域におきましては、ただいま委員からお話がございましたように、三陸復興国立公園、みちのく潮風トレイル、三陸ジオパークを初め、昨年7月には世界遺産に登録されました橋野鉄鉱山や、復興のシンボルともなっております三陸鉄道、豊かな食と暮らしなど、多彩かつすぐれた観光資源を有しておりますことから、これらを組み合わせました体験型観光や、震災学習を取り入れた教育旅行などの復興ツーリズムを中心に観光振興を図ることが重要であると認識しております。
このため、県といたしましては、三陸ジオパークガイドなどの各種ガイドの養成やネットワーク化、具体的な旅行プランの問い合わせ等に一元的に対応する窓口の設置、案内板等の整備への支援などによりまして受け入れ態勢を向上させますとともに、みちのく潮風トレイルウォーキング等の体験イベントや県外PRイベントの実施、教育旅行誘致説明会の開催などによりましてプロモーションを展開してきたところでございます。
しかしながら、いまだに沿岸への観光客数が震災前水準まで回復しておりませんことから、内陸と沿岸をつなぐ二次交通整備などの受け入れ態勢の充実や、新たな観光資源の知名度のさらなる向上などが課題であると認識しております。
したがいまして、今後におきましては、北海道新幹線の開業や復興道路等の開通によります移動の利便性の向上も生かしながら、内陸から沿岸に向かうバスツアーの運行支援などにより二次交通を充実させますとともに、2019年のラグビーワールドカップ開催によります国内外からの注目度の高まりなども生かしながら、テーマ性あるいはストーリー性のある情報発信を行い、沿岸への誘客の取り組みを強化してまいりたいと考えております。
〇高橋元委員 海岸線を縫うような形の遊歩道等も被災を受けて、立入禁止のところがかなりありました。一刻も早い整備等を望みたいと思っております。
次に、産業政策についてでありますが、国際競争力の高いものづくり産業の促進のため地域クラスターの形成促進に取り組むとしております。内容的には、既に産業集積が進んでいる自動車や半導体以外の農業や林業機械といった製造業などを想定しているとのことであります。完成品などを生産し、一定以上の部品調達を行う企業を中心に、原材料や部品調達、物流などで参入できる地場企業を育成、中核企業と関連企業群からなる地域クラスターを形成し、2018年度までに五つの企業群を育成し、産業集積を進める見込みとされております。一部地域集中となるのか、県内全域の展開となるのか伺います。
〇千葉副知事 ものづくり産業の振興についてでございますけれども、地域クラスターの取り組みは、これまで培いました自動車関連産業の生産体制強化や人材育成などの支援ノウハウを生かしながら、自動車以外の多様な産業集積を形成していこうとするものでございます。
具体的には、地場企業の技術高度化や新技術開発等の取り組みを支援し、県内各地に立地しながら国内外に一定の市場シェアを有しております有力な完成品メーカー等と地場企業との取引拡大を促進することによりまして、これらの企業群で構成しますサプライチェーン全体の生産力を高め、地域経済の拡大、発展を図っていく考え方でございます。
現在、県内各地にはこのような有力なメーカーが立地しておりますことから、これらを核としたクラスター形成が可能と考えておりまして、全県的な取り組みとして展開していきたいと考えているところでございます。
〇高橋元委員 五つの企業群と、具体的に五つと出ましたので、おおよそどういうものを想定されているのかお伺いしたいと思います。
〇千葉副知事 具体的にはこれからということになりますけれども、県内各地に有力な完成品メーカーが立地しておりますことから、各広域振興圏ごとに一つ、また、ものづくり企業が集積しております県南地域におきましてはさらにもう一つのクラスターを形成することを想定いたしまして、平成30年度までに計5クラスターを支援したいと考えているところでございます。
〇高橋元委員 次に、地域の中核となる都市づくりについて伺います。
東洋経済が全国の都市を対象に、毎年、住みよさランキングという都市評価を公表しております。公的統計をもとに、それぞれの市が持つ都市力を、安心度、利便度、快適度、富裕度、住居水準充実度の五つの観点に分類し、採用15指標についてそれぞれ平均値を50とする偏差値を算出、その単純平均を総合評価としてランキングしたものであります。平成27年度で22回目となりますが、トップ20に10都市、トップ30に15都市と、その半数を富山、石川、福井の北陸3県の都市が占めております。東北では4位名取市、38位天童市、50位新庄市が50位以内、本県におきましては、北上市が150位に位置し、以下、滝沢市216位、盛岡市238位という状況にあります。
これでは、Iターン、Uターンを呼びかけても、住みよさを改善しない限り、大幅には移住の増加は見込めないものと危惧するものであります。県内市町村の実情をしっかりと分析し、強いところを伸ばしながら弱いところの改善を図る取り組みが不足ではないか、知事の所感を伺いたいと思います。
〇達増知事 東洋経済が公表しています住みよさランキングは、全国の都市を対象にして、病院数や出生数、小売業年間商品販売額、新設住宅着工戸数、財政力指数などの15の指標を用いて、安心度、快適度、富裕度などのいわゆる都市力をあらわした一つのランキングと承知しておりまして、ランキングのような快適で安心な地域づくりを行うことは重要と考えますが、一方で、移住者については、近年、田園回帰と言われますように、住みよさランキングではあらわれない農村、漁村部の暮らしなどに魅力を感じて移住するケースもあるところでございます。
このことから、市町村において、地域の弱み、強みを分析しながら魅力ある地域づくりを進めて、それを移住希望者にアピールしていくことが重要と考えております。
県といたしましても、今年度、PR動画の制作のほか、定住、交流のホームページやパンフレットをリニューアルして、首都圏と比較した本県での暮らしの豊かさや市町村の特色を紹介するなど、情報発信の取り組みを強化したところでありますが、今後とも、地域の強みを伸ばしつつ、その魅力を発信できるよう支援してまいります。
〇高橋元委員 ぜひ、全国へのいろいろな発信をして、移住者がふえるようにお願いしたいと思ってございます。
次に、特別支援教育の充実について伺います。
新年度に、県立療育センターの移転新築に伴い、一体で盛岡となん支援学校も移転新築整備が進められ、また、児童生徒の急増に伴い、県立花巻清風支援学校北上分教室の開設に向けた整備が盛り込まれ、施設面で充実が図られております。授業にタブレットを導入した教室もあり、学習理解の向上も出てきていると聞いております。
昨年末から監査業務で特別支援学校を訪問しておりますが、県議会で2度、校舎移転新築の請願を採択している釜石祥雲支援学校に初めて伺いましたが、極めて劣悪な環境でありました。山間で、校舎脇に狭い道路、また、道路の一方が沢側で、校舎東側は急傾斜の山があり、中腹を切り崩して三陸復興道路の工事が行われており、校庭は皆無という状況に絶句、言葉を失いました。移転新築はどのような計画になっているのか伺いいます。
〇千葉副知事 県立釜石祥雲支援学校についてでございますけれども、同校は、当初、国立療養所釜石病院に入院する児童生徒のため、病弱を障がいとする養護学校として設置されましたことから、運動施設などの整備が図られてこなかったという経緯がございます。
その後、平成20年度から障がいの種類を越えて身近な地域の学校への就学を希望する保護者等の要請に応えるため、新たに知的障がい、肢体不自由も対象としたところでございまして、児童生徒数の増加等に伴う学校環境の整備が大きな課題となっているところでございます。
平成26年9月に、釜石市、請願提出者、PTA代表者など関係者で構成しております釜石祥雲支援学校環境整備検討協議会が設置されまして、県教育委員会も参画しており、現在、その方向性の協議を進めているところでございます。
これまで開催した協議会におきまして、具体的な移転候補地などについても協議内容としてきているところでございますけれども、候補地として上げられております場所が、いずれも釜石市の応急仮設団地集約化計画において集約先の仮設住宅となっておりますことから、学校用地の確保の見通しの立つ時期等がいまだ確定していない状況にあると承知しているところでございます。
県教育委員会におきましては、さらに釜石市や関係者との情報共有に努めながら、協議会の場におきまして整備の方向性を検討していくこととしております。いずれ、2度目の請願の採択という重みも踏まえまして、私どもといたしましても全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
〇高橋元委員 ぜひ、早期の移転新築整備、よろしくお願いしたいと思います。
次に、市町村が取り組んでいる上下水道の整備について伺います。
県内の汚水処理施設整備についてでありますが、公共下水道や集落排水から浄化槽への移行が急速に進んでおります。大規模な工事は必要ではなく、災害や老朽化等でトラブルが起きても限定的で済む利点や、市町村の財政事情などからと思われます。
しかし、各市町村とも住民が浄化槽を整備したくても補助金の順番待ちの状態が続いており、国や県の支援を拡充すべきと思われますが、どうでしょうか。
〇千葉副知事 汚水処理施設の整備についてでございますけれども、県では、平成22年度に策定いたしましたいわて汚水処理ビジョン2010に基づきまして整備を進めてきているところでございまして、中山間地域など家屋が比較的分散している地域における浄化槽の役割はますます大きくなってきていると考えております。
浄化槽の設置に要する経費につきましては、国と県では市町村に対する補助制度を設け助成を行っているところでございますが、各市町村の取り組みにつきましては、一部温度差もございますことから、委員御指摘のような状況も承知しているところでございます。
県では、これまで、国に対しまして支援制度の拡充を要望してきたところでございますが、今般、防災減災の観点から地域防災計画等に位置づけられることになります浄化槽の面的整備に対しまして、平成28年度から支援措置を拡充する予定と伺っております。
県におきましては、引き続き国に対する要望を行いますとともに、各市町村のニーズ等を踏まえながら浄化槽の整備を支援してまいりたいと考えております。
〇高橋元委員 私の住む北上市においても、この補助額の拡充を待ち望んでいる方がたくさんおりまして、ぜひ、よろしくお願いしたいと思います。
水道事業についてでありますが、これから先、人口減少や設備の老朽化に対応し切れない自治体が出てくる心配があります。事業運営や設備の更新に必要な費用を水道料金に転嫁できるかといえば、なかなか難しい状況にあります。人口減少に伴う水道料金の値上げを抑制するには、統合によって浄水場の数や人件費を絞って運営費を削減することであり、そのためには県内の水道事業を統合して、県で事業の一元化を行うことを検討すべきと思いますが、どうでしょうか。
〇千葉副知事 県内の水道事業の統合についてでございますけれども、市町村等の水道事業が将来も持続するため、岩手県水道整備基本構想におきましては、費用対効果に基づく事業計画の策定、適正な水道料金の設定などの経営基盤の強化を図りますとともに、施設、管理の一体化を推進し、市町村を越えた水道事業の統合を目指すこととしております。
平成3年4月から北上市、花巻市及び紫波町は水道用水供給事業の統合を開始し、平成26年4月には給水事業を統合したところでございまして、水道施設の統廃合を進め、経営の効率化を図っておりまして、今後も水需要予測に応じた施設の統廃合を進めることとしております。
このように水道事業の統合は経営基盤の強化にも有効でございますが、県内の水道事業体が置かれております地理的条件あるいは経営基盤は大きく異なっておりますことから、各地域の特性に応じた広域化を進める必要があると考えております。
広域化の進め方といたしましては、まずは、各地域で中核となる市町村等を中心とした検討の場でございます協議会を設置していただきまして、住民に理解を得ながら、地域特性に応じた水道事業の統合に向かうように、県としても積極的に促進していきたいと考えているところでございます。
委員から御提言がございました水道事業の県内一元化につきましては、その先にございます水道事業のあり方として並行して研究していきたいと考えているところでございます。
〇高橋元委員 どうぞよろしくお願いしたいと思います。
第3点目、震災復興について伺います。
知事演述で、復興計画について、新年度は本格復興期間最終年度に当たり、年度末までに災害公営住宅の約9割の完成、漁港の復旧完了を図るなど本格復興完遂年とするといたしました。震災復興計画は残すところあと3年、期間内でインフラ面の復興計画はどの程度完了し、どの分野、事業が平成31年度以降となるのか、その見通しを伺います。
〇中村復興局長 復旧・復興ロードマップに掲載されております社会資本の主要8分野、752カ所のうち、平成31年度以降も事業が継続される箇所につきましては、三陸沿岸道路などの復興道路等で20カ所、大型の水門工事等の海岸保全施設で4カ所、合計24カ所の見込みとなっておりまして、全体の3%となっております。
その他の復興まちづくりや災害公営住宅など被災者の生活再建に直接かかわる分野につきましては、復興計画期間内に完了する予定となってございます。
〇高橋元委員 ぜひ、そういう形で生活面の復興を完遂していただきたいと思います。
暮らしの再建について伺います。
暮らしの再建は、災害公営住宅の建設が急ピッチで進められ、平成28年度中にほぼ完成の見込みとのことであります。その一方で、完成後の諸問題も新たに生まれてきております。
完成後の入居率が思わしくない公営住宅、平面的な住環境から立体的な住環境へのふなれ、雑踏音の聞こえる状況から密閉という状況に孤独感などが挙げられ、住宅棟ごとのコミュニケーションをどう図るかが問題であります。どのような取り組みを進めているのか伺います。
〇中村復興局長 これまで、災害公営住宅に入居されております住民相互の交流を図るため、集会所等を整備いたしましてテーブルや座布団などの備品を用意するとともに、入居に際しましてはグループ募集を行ったり、また、鍵の引き渡し等の際に入居者の顔合わせ等の機会を持つなど、コミュニティーの維持形成に努めてまいりました。
また、見守り体制といたしまして、生活支援相談員の活動範囲を災害公営住宅や自宅を自力再建した世帯にまで拡大いたしまして、地域全体を対象とした見守り活動を展開しております。
さらに、応急仮設住宅から災害公営住宅へ転居した後に孤立することのないよう、受け入れ先の地域における支援体制づくりや関係者の意識の醸成を図るため、生活支援相談員や自治会長等の皆さんを対象に、災害公営住宅への移行研修を行ってございます。
今後も、市町村や社会福祉協議会等関係機関と連携いたしまして、災害公営住宅におけるコミュニティーづくりを支援してまいります。
〇高橋元委員 住宅団地となりますと、やはり個室となりますので、たくさん住んでいらっしゃいますが、上下あるいは左右どちらの方との交流も大変難しいものと思っております。
高齢者の孤独感を解消するため、団地内コミュニケーションのツールに棟内放送可能な有線電話を設置してはどうでしょうか。定期放送やコミュニティーFM等の放送受信もできるものがよく、高齢者のアナログ世代に配慮が必要だと思っておりますけれども、所感があればお伺いしたいと思います。
〇中村復興局長 棟内放送の設備につきましては、民間の集合住宅等におきましても一般的には普及しているものでもないということもございまして、災害公営住宅での導入につきましては慎重な検討が必要であろうと考えてございます。
なお、集会室等に、例えば有線放送でありますとかラジオ放送等を聞くための音響設備を設置することにつきましては制度上可能でありますけれども、その費用の負担等につきましてはいろいろ検討する課題もございますので、それにつきましては、入居者の皆さんといろいろ協議をさせていただきながら検討させていただきたいと思っております。
〇高橋元委員 壁を通してコミュニケーションを図るというのはなかなか難しいものです。私が小さいころは、有線放送で地域内の全ての情報を聞くことができました。そういうシステムが私はいいんじゃないかと思っています。引き続き研究をお願いしたいと思います。
次に、災害公営住宅の被災者入居後の空き室の活用について伺います。
震災から間もなく5年、長期にわたる避難生活から他の自治体へ移住された方、これまでに亡くなられた方、自力で土地を見つけて再建した方等により災害公営住宅の空き室が出てきております。平成28年度中にほぼ災害公営住宅が完成し、応急仮設住宅から移住が完了した時点で空き室が出る可能性も現状から否定できない状況にあります。
このような中、宮城県仙台市や山元町において、被災者の希望数に基づいて整備した宅地を一般住民や町外の住民にも分譲するとの報道があります。被災者向けに整備した宅地や住宅団地にあきが生じた場合、広く被災者以外の方の入居も検討すべきと思いますが、どうでしょうか。
〇中村復興局長 完成いたしました災害公営住宅は1月末時点で2、748戸ございまして、うち、入居していない空き住戸は361戸となっております。ただ、現時点での空き住戸は、入居をまだ迷っている方などがその要因と考えられますことから、引き続き入居の促進に努めてまいりたいと考えております。
いまだ多くの被災者の方々が応急仮設住宅等で暮らしておりまして、災害公営住宅の建設も途上にありますことから、被災者以外の方を現時点で入居させることは難しいと考えておりますが、今後、復興が進みまして、入居を希望する被災者の方々がいなくなりました時点におきましては、入居を認めるということも可能と考えております。
また、防災集団移転促進事業で完成した団地のうち、1月末現在で契約の見込みがない区画数は21区画、漁業集落防災機能強化事業で完成した地区におきましては、契約の見込みがない区画数は6区画と伺っております。これらの区画は、現在、各市町村におきまして、住宅再建支援策などを説明しながら、移転者の再募集を行うなどの対応を実施してございます。被災者の皆さんの利用が見込めないと最終的に確認ができれば、事業主体であります市町村がその利活用について適切に判断されるものと考えてございます。
〇高橋元委員 次に、内陸避難者についてでありますが、内陸避難者に対し、より細やかな支援をしていくとし、恒久住宅に移行するための支援センターを新たに盛岡市に設置する計画とのことであります。これまで、ふるさとに戻ることを前提に、内陸への避難者への対応は出身自治体と避難先自治体に委ねてきたところでありますが、県として支援センターを設置することは多少遅きに失した感はありますけれども、評価できるものであります。
内陸避難者の直近での意識調査はどうなっているのか、その調査をもとに支援センターがどのような役割を果たすのか伺います。
〇中村復興局長 昨年8月に県が行いました内陸地区等に避難している皆さんを対象としたアンケート調査によりますと、内陸のみなし仮設住宅で居住している方の約3割が供与期間終了後の再建意向を検討中としておりますほか、現在住んでいる市町村への定住を希望する方が約半数いらっしゃいます。
このことから、県におきましては、来年度、いわて内陸避難者支援センター─仮称でございますけれども、こういったセンターを設置いたしまして、住宅再建の意向が決まっていない方に対しまして被災元の市町村にかわって意向調査を行うほか、被災者からの住宅再建に関する相談にも対応することにより、内陸避難者の皆さんの住宅再建を支援しようと考えてございます。
〇高橋元委員 次に、なりわいの再生について伺います。
まず、県内の養殖生産物の輸出について、震災前と現状ではどのように推移しているのか伺います。
震災前まで水産物の主要な輸出先であった韓国は、震災に伴う東京電力福島第一原発事故の影響を理由に、岩手県を含め、宮城、福島など8県の水産物を輸入禁止にし、いまだに解除に至っておりません。県としては、引き続き、水産団体と連携して輸入禁止解除に向けた取り組みを進めるべきではないかと思うところでありますが、どうでしょうか。
〇中村復興局長 本県におきましては、外洋に面した海域では主にワカメや昆布、内湾海域では主にカキやホタテガイ、ホヤなどが養殖されておりまして、このうち輸出につきましては、ホヤが韓国に対しまして生産量の7割、約770トン、金額で1億円が輸出されていたところでございます。平成25年9月に韓国政府が本県を含む8県の全ての水産物の輸入を禁止したことから、養殖ホヤやスケトウダラ等の韓国への輸出が途絶えたところでありまして、県では、関係団体と連携し、国に対しまして、輸入禁止措置が一刻も早く解除されますよう、韓国政府に対して強力に働きかけることを要望してまいりました。
国においては、平成27年5月にWTOに対し、輸入禁止措置は科学的根拠のない不当な規制であるということで提訴し、現在、WTO協定に基づく審理が進められているところでございます。
県といたしましては、引き続き、国に対しまして本県水産物の安全性を示す検査資料の提供を行うとともに、関係団体と連携し、韓国の輸入禁止措置の早期解除を働きかけてまいります。
〇高橋元委員 政府同士は、いろいろな問題で、原発問題だけじゃなくて、引きずっているような気がします。そういうことも含めて、例えば、以前の韓国の輸入元を日本に招いて安全性を実際に確かめてもらうとか、そういう民間レベルの動きをどんどん拡大して、韓国の国内からも政府に働きかけてもらうとか、そういう取り組みも大事じゃないかと思っております。ぜひそのことも含めて検討をお願いしたいと思います。
次に、販路の回復、拡大についてでありますが、震災により失った水産物の販路の回復が喫緊の課題とされる中、一刻も早く県産水産物の競争力、販売力の強化に取り組む必要があります。
平成25年度から進めている高度衛生品質管理地域づくりでは、漁獲から流通、加工まで一貫した水産物の高度衛生品質管理サプライチェーンの構築を進めることとしており、県産水産物の高付加価値化や高値販売の面で期待されております。
他県の例ですが、宮城県南三陸町戸倉カキ養殖場では、まだ国内に例のないASC─水産養殖管理協議会の国際認証を取得するため、昨年11月に審査を受け、本年3月にも認証取得見込みとのことであります。ASC認証は、自然環境や地域社会に配慮した厳格な基準を設け、養殖場の管理や運営を認証することで持続可能な養殖業を推進する国際的な認証制度とのことであります。
他県でも特色ある産地づくりをスピード感を持って進めているように見受けられ、本県においても、他産地との差別化などを進めることにより、県産水産物の競争力、販売力を高めるべきと考えますが、県の取り組みについて伺います。
〇中村復興局長 本県におきましては、食の安全・安心に立脚いたしました消費者から選ばれる産地を確立するため、委員御指摘のとおり、全国的にも例のない漁獲から流通、加工まで一貫した衛生品質管理のサプライチェーン構築による高度衛生品質管理地域づくりに取り組んでございます。
県では、この取り組みを促進するため、魚市場を有する10市町村による高度衛生品質管理計画の策定とその実行を支援しておりまして、これまでに7市町が計画を策定して取り組みを進め、このうち洋野町につきましては、衛生品質管理の高度化が一定水準に達したことから、今年度中に初めて高度衛生品質管理地域として認定する予定です。
現在、衛生品質管理の向上によって生み出された商品価値を有する高鮮度なイカやマダラを用いた新たなビジネスモデルの構築に取り組んでおりまして、地域水産物の競争力や販売力を高め、消費者から選ばれる産地づくりを推進してまいります。
〇高橋元委員 水産加工業の再建がなかなか進んでいないとされています。施設や設備が整い、生産体制はできたが、操業休止中に失った顧客が回復せず、新たな販路も道半ば、フル操業に至っていないとのことであります。加えて、復興特需により、賃金が高額な建設作業員へ人材が流出し、人手不足が深刻な状況にあります。この状態が続く限り、水産加工業の本格復興はあり得ないのではないかと危惧するところであります。このままただ漁獲し販売するだけでは、沿岸被災地の雇用と地域経済は失われたままであります。どのような対応策、支援策を検討しているのか伺います。
また、水産加工場ではカイゼンを導入して作業効率を図っておりますが、根本的には人手が足りない状況にあり、加えて、水を使用しながらの手作業もつらそうに見え、手作業部分の機械化やIT化を図るべきではないかと思われます。県は、その機械化やIT化の取り組みを応援する考えはないのかあわせて伺います。
〇中村復興局長 県におきましては、商品力の向上や商談会の開催などによりまして県産品のPRや販路の拡大を促進するとともに、求職と求人のマッチング支援や宿舎の確保に対する助成、就労環境改善の促進等によりまして人材確保を支援するなど、水産加工業の再建を後押ししているところでございます。
今後、こうした取り組みをさらに充実させるほか、産学官金の異業種連携、経営革新による新商品開発、共同での輸出促進など販路の開拓、拡大を支援するとともに、今般設立いたしましたいわてで働こう推進協議会による県内就業の促進や働き方の改善に関する協議、情報共有、啓発等を通じて人材確保の取り組みを進めてまいります。
また、委員御指摘の機械化やIT化につきましては、国の補助事業を活用いたしまして設備の高度化を支援しており、カイゼンの導入とあわせて、引き続き、作業効率の改善に向けた機械化等を促進するなど総合的な支援に取り組み、水産加工業の復興を確かなものにしてまいります。
〇高橋元委員 ぜひ沿岸地区の経済の再生をお願いしたいと思います。
次に、三陸防災復興博について伺います。
知事は、平成31年、2019年ラグビーワールドカップ釜石大会に合わせ、復興を国内外に発信するとして三陸防災復興博を開催したいと表明されました。JR山田線宮古-釜石間が開通となり、三陸鉄道への営業移管がされる時期でもあります。地域の魅力や資源を発掘し磨きをかけ、三陸ジオパークや教育旅行の受け入れなどを積極的にアピールしたいと新聞社のインタビューに答えておられましたが、第1次震災復興計画が平成30年度で終了する区切りのよいときでもあり、内外の目が釜石、そして岩手に向いているときであることからタイミング的にすばらしい企画と思われますが、現時点でその規模や内容をどのように想定しているのか伺います。
〇達増知事 三陸防災復興博についてでありますが、三陸鉄道や復興道路によって三陸地域が文字どおり一つにつながるということで、山田線の再開に合わせて、この歴史的な出来事を記念し、また、復興やふるさと振興をテーマとして、地域の未来を開く可能性を追求していくものにしたいと考えております。
この復興博のイメージといたしましては、三陸鉄道の南北リアス線の全線運行再開イベントが全国的にも大きく報道され、そして全国から大勢の人が集まって大いに盛り上がったあのイベントを、さらに規模を大きくして、三陸地域の魅力あるさまざまな資源や、また、駅舎や既存施設等を活用しながら、地域一円を会場として開催することを構想しております。
このような取り組みは、被災地に向けられた多くの支援に感謝し、三陸地域の現在の姿と未来像を国内外に情報発信しながら、交流人口の拡大などによって地域の活性化に資するものでありまして、今後、イベント開催に向けて、市町村や関係団体などと連携しながら具体的な検討を進めたいと思います。
〇高橋元委員 博覧会というと1カ所で大規模でというイメージを持っておりましたけれども、それぞれの各市町村でプランを練ってやるということで、これもすばらしいことだと思いますので、ぜひ成功に向けた取り組みをお願いしたいと思います。
4点目、TPP対策について伺います。
本年1月に開催された農林水産委員会で、農林水産分野におけるTPP対策が示され、その資料をいただきました。農政新時代、努力が報われる農林水産業の実現に向けてとの副題がついております。内容は、TPP大筋合意の概要、品目ごとの農林水産物への影響、総合的なTPP関連政策大綱というものでありますが、県としてこのTPP対策をどう分析し、評価しているのか伺います。
〇千葉副知事 国のTPP対策の分析と評価についてでございますけれども、平成27年10月5日のTPP協定交渉大筋合意を受けまして、政府は、11月25日に農林水産業の体質強化対策や重要5品目関連の経営安定対策等を盛り込みました総合的なTPP関連政策大綱を決定したところでございます。
大綱におきましては、国別枠の輸入量相当の国産米を政府が備蓄米として買い入れるなど政府備蓄米の運営の見直しや、肉用牛肥育経営において、粗収益が生産コストを下回った場合に差額を補填いたします肉用牛肥育経営安定特別対策事業、いわゆるマルキンの法制化や補填率の引き上げなど、これまで国に対し要請してまいりました内容が一定程度反映されたものと受けとめております。
国においては、本年秋を目途に、農林水産業の成長産業化を一層進めるために必要な戦略等について政策の具体的な内容を詰めることとしておりまして、今後、こうした国の検討状況を注視し、必要な分析や対策の検討を行いますとともに、農林漁業者が安心して経営を継続できるよう、国に対して万全な対応を強く求めてまいりたいと考えております。
〇高橋元委員 品目ごとの農林水産物への影響についてでありますが、40品目について、基礎データ、交渉結果、結果分析と分類され、国内影響が示されております。TPPにより全てがマイナスとは考えられず、プラス面もあるのではないかとささやかな期待を持っておりますが、TPPにおける本県へのプラス効果とマイナス影響をどう捉えているのか伺います。
〇千葉副知事 TPPによります本県への影響についてでございますけれども、TPP協定は、本県の基幹産業でございます農林水産業を初め、県民生活や経済活動の幅広い分野に大きな影響を及ぼすことが懸念されているところでございます。
県では、国のTPP協定の経済効果分析をもとに本県農林水産物の生産額への影響を試算いたしまして、生産額が約40億円から73億円減少するとの結果を公表したところでございます。しかしながら、国は、試算に当たりまして、生産額は減少するものの、国内対策により所得が確保され、生産量が維持されることを前提としておりまして、実際の本県への影響額はこれより大きくなるものと想定されているところでございます。
一方、国におきましては、TPP参加国への輸出拡大など攻めの農林水産業への転換が促進されることが期待されるともしておりまして、引き続き、TPP協定によりますプラス、マイナスの影響の分析を進めてまいりたいと考えております。
〇高橋元委員 政府は、あす3月8日をめどに閣議決定する方向で最終調整しているとされ、輸入関税の削減で影響を受ける畜産農家の支援など、国内対策を含め11法案をTPPの締結に伴う関係法律の整備に関する法律案として一本にまとめて今通常国会に提出する予定にあるということであります。
本県では、達増知事を本部長とし、関係部局長を本部員とする岩手県TPP協定対策本部が設置されておりますが、現状での改正状況と今後の取り組み方針はどのようになっているのか伺います。
〇千葉副知事 県TPP協定対策本部についてでございますけれども、県では、先ほど申しました昨年10月5日のTPP協定交渉の大筋合意を受けまして、全庁的な情報共有と総合的な対応を図るため、翌6日には、知事を本部長といたします岩手県TPP対策本部を設置したところでございます。
本部員会議はこれまで2回開催されておりまして、第1回の会議では、大筋合意の内容について、第2回の会議では、国の政策大綱や想定されます本県農林水産業への影響について情報共有し、国への要請等の対応について検討してきたところでございます。
今後は、国が本年秋を目途に明らかにするとされております国内対策の具体的内容やその議論の動向を注視いたしまして、県の対策本部において情報の共有を図りながら必要な分析や対策の検討に取り組んでいくこととしておりまして、また、国に対し、それらを踏まえた万全な対応を求めていきたいと考えているところでございます。
〇高橋元委員 一つ二つ質問を飛ばさせていただきます。
次に、農業経営体について伺います。
国の方針では、2023年までに農業法人数5万法人の目標を掲げました。2015年時点では、東北6県で3、761法人、岩手では839法人とのことであります。農業法人の現状と県としての育成方針をお示しください。
〇千葉副知事 農業法人の現状と育成方針についてでございますけれども、農林業センサスによりますと、本県の農業法人数は、平成22年に620経営体であったものが平成27年には839経営体と、5年前に比べまして219経営体、35%増加しているところでございます。
本県農業の持続的な発展に向けまして、農業法人は地域を牽引する担い手として重要でありますことから、県では、法人化を目指しております意欲的な経営体の規模拡大や多角化を支援しているところでございます。
具体的には、これまで、ビジネス戦略の作成やその実践に向けました農地集積、機械、施設の導入などを支援してきたところでございまして、今後は、こうした取り組みに加えまして、中小企業診断士や農業経営アドバイザー等で構成いたします支援体制を整備し、経営体それぞれのニーズに応じて必要な専門家を派遣するなど、経営発展に向けたきめ細やかな支援を行っていきたいと考えております。
〇高橋元委員 日本経済新聞の全国の農業法人へのアンケート調査によりますと、7割が農産品の輸出がふえると予測しているとのことであります。和食人気で海外への需要が見込める米や牛肉を中心に期待が大きいとのことであります。全国農業協同組合中央会も、輸出増へ対策委員会を設置したとのことであります。本県において、農業法人、JAいわてグループとの連携をどう考えているのか伺います。
〇千葉副知事 農業法人、JAいわてグループとの輸出に向けました連携についてでございますけれども、少子高齢化等により国内需要が縮小していく中で、農産物の輸出によります新たな販路の拡大は、農業者の所得確保につながる重要な取り組みの一つであると考えております。また、委員御指摘のとおり、TPP協定が農産物の輸出拡大につながるとの期待も関係者にあるところでございます。
県では、これまで、県内のJAグループなど関係団体や企業とで構成いたしますいわて農林水産物輸出促進協議会を中心に、海外の流通関係者等との結びつきを深めながら、米、リンゴ、牛肉など県産農産物の輸出拡大に取り組んできたところでございます。
一方、輸出の拡大に向けましては、輸出事務の知識や能力の習得や、販路の開拓、拡大が重要でありますことから、今後とも、貿易実務のノウハウを身につける研修会を開催いたしますほか、海外プロモーションや商談会など、マッチング機会を提供するなど、JAグループや農業法人の海外市場への進出に向けた取り組みを支援してまいりたいと考えております。
〇高橋元委員 農業に参入する企業は年々ふえてきております。国では、本年4月に施行される改正農地法で、企業等の出資比率を従来の25%から50%未満まで引き上げるとしております。また、先般の戦略特区において50%以上引き上げることを検討していたが、結果的には見送りとなったところであります。
こうした企業等による農業生産法人への出資比率を引き上げる国の動きに、知事はどのような所感を持っているのか伺います。
〇達増知事 本県農業の発展を図っていくためには、農業生産法人など、地域農業を牽引する力強い経営体の育成が重要であります。国では、農業生産法人の経営発展を促進するため、農業生産法人への企業等の出資比率を25%以下から50%未満まで引き上げることなどを内容とする改正農地法を本年4月から施行するところであります。
企業等による出資比率の引き上げは、出資による経営基盤の強化や、企業の技術や販路等を生かした事業の多角化が期待される一方で、企業等の議決権が高まることへの懸念もあると考えております。
県といたしましては、出資を受ける農業生産法人が、経営ビジョンを企業等と十分に協議しながら経営発展して、ひいては地域農業の振興につながることを期待しています。
〇高橋元委員 5点目、地方創生、人口減少社会への対応について伺います。
県と市町村それぞれに地方創生プランの策定に努めることとなっておりますが、県内市町村の取り組み状況と、県と各市町村相互の整合性と連携はどのように図られているのか伺います。本来のあるべき姿は、県計画と市町村計画は一体であるべきと思うところでありますが、どうでしょうか。
〇大平政策地域部長 地方創生プランについてでありますが、県内市町村におきましては、2月末時点で21市町村が総合戦略の策定を終えており、今月中に全ての市町村が策定する予定となっております。
県の戦略策定に当たりましては、県・市町村人口問題連絡会議を初め、広域振興圏ごとに説明会を開催し、市町村との共通認識を図り、県内全市町村と意見交換を重ね、いただいた意見を十分に反映してまいりました。さらに、広域振興局の職員が市町村の戦略策定のための有識者会議の委員となり、県の考え方、総合的な見解を述べるほか、広域振興局に市町村の窓口となるふるさと振興監を配置し、個別の相談に対応するなど、県、市町村が連携を図りながら策定できたものと考えてございます。
県の総合戦略に掲げた取り組みの推進に当たりましては、市町村は重要なパートナーであり、首都圏における全県的な移住情報の発信を初めとした移住、定住の促進や、結婚を望む方々のマッチング支援を初めとした出会い、結婚支援など、県、市町村総合戦略で掲げる取り組みの効果が発揮されるよう、市町村と十分に連携を図り、一体となって取り組んでまいります。
〇高橋元委員 岩手県人口ビジョンでは、社会減ゼロが実現し、出生率が向上した場合であっても、一定期間、人口減少は避けられないとしております。広大な県土を持つ本県において、人口減少が進む中にあっても行政サービスが継続的に提供できる体制を築くとともに、新たに生じる行政需要についても適切に対応していかなければならないと考えるところであります。
県では、この人口減少等の状況を踏まえ、どのように行政経営をしていくのが望ましいと考えているのか伺います。
〇風早総務部長 人口減少等の状況を踏まえた行政経営についてでありますが、県民のニーズのさらなる多様化が見込まれる中、復興やふるさと振興を進め、その先にある希望郷いわてを実現していくためには、地域社会を構成するあらゆる主体がともに支え合いながら総力を結集していく地域経営の考え方によってあらゆる取り組みを進めていくことが重要であります。
県では、地域経営を推進する立場として、また、県民の幸福を追求する自治体として、みずからが成果を上げていくことは当然のこととして、多様な主体がそれぞれの力を発揮できる環境を整えていく役割についても果たしていく必要があります。そのため、行政運営に経営感覚を取り入れる行政経営の視点を重視し、重要な地域課題に取り組む体制の充実を図るとともに、地域の特性を生かしつつ、先進的な視野を持ち、ICTなども積極的に活用しながら、県民の皆様の期待と信頼に応える行政サービスの提供に取り組んでまいります。
また、多様な主体の動機づけや活動の促進を図るプロモーションを積極的に展開することにより、公共サービス分野における連携、協働の輪のさらなる拡大を図ってまいります。
〇高橋元委員 人口減少がこのまま進んでいけば、将来、集落が崩壊し、生活難民や行政サービス難民の発生を招くことが予測されます。今般策定しようとしている公共施設等総合管理計画において、既存施設の再編も含め、人口減少を見据えた公共施設等のあり方を検討するとしております。このような計画策定は、集落人口の減少が進む市町村との連携が必要と思われ、市町村と共同で策定すべきではないかと思うところですが、どうでしょうか。
〇風早総務部長 公共施設等総合管理計画についてであります。
本計画は、公共施設等の全体状況を把握し、計画的な更新や長寿命化、施設配置の適正化により財政負担の軽減、平準化を図るなど、長期的な視点に立った公共施設マネジメントの取り組みを推進するため策定するものであります。
人口動態などの変化に対応した公共施設等のあり方については、効率的な行政サービスの提供やコスト縮減等の観点から、国や市町村と連携を図りながら検討を進めることとしております。
具体的には、今後、施設類型ごとに定めることとしております個別の施設計画において、相互に類似機能を有する施設を整備する際には、施設規模や機能分担について調整を図るなど、市町村と連携した計画の推進に努めてまいります。
〇高橋元委員 6点目、平成28年度予算について伺います。
平成28年度政府予算案についてでありますが、県は、毎夏、省庁等に予算要望を行っておりますが、要望事項の取りまとめをどう審議し、決定しているのか、その手順についてと、予算や政策に関する県内産業界や各種団体等のヒアリング、省庁要望や国会審議で県選出国会議員との連携をどう進めているのか伺います。
〇大平政策地域部長 国に対する予算要望についてでありますが、県では、例年6月に提言、要望活動を行っておりまして、今年度は、昨年の6月4日に関係省庁に対し、復興と地方創生を確実に進めるため、各政策分野の項目について最重要課題とともに提言、要望活動を行いました。
要望活動に当たりましては、いわて県民計画や復興計画に掲げる取り組みの方向性を踏まえ実施しているところでありますが、今年度においては、ふるさと振興総合戦略の策定に取り組んでおりましたことから、新たに地方創生関連項目を設けるなど、県政課題における重要度や緊急度から要望事項を決定しております。その内容につきましては、前年度の政府予算の決定状況や、市町村からの要望、県内各団体等から県に行われた要望活動や関係団体と県との意見交換等も踏まえたものとなっております。
また、県選出国会議員との連携につきましては、関係省庁に対する要望に先立ち、関係部局長が要望事項等について事前に御説明し、意見交換する機会を設けているところであります。国会議員の方々におかれましては、省庁への要望や要望項目の実現に当たって御支援、御協力をいただいているところであります。
〇高橋元委員 次に、予算措置状況と評価についてでありますが、通常国会に平成27年度補正予算並びに平成28年度予算案が提出となって審議されておりますが、この国の予算をどのように知事は評価しているのか伺います。また、県の平成28年度復興計画、県民計画、ふるさと総合戦略推進に十分な予算となっているのかあわせて伺います。
〇達増知事 予算措置状況と評価についてでありますが、地方財政対策については、一般財源総額が本年度以上に確保されているほか、まち・ひと・しごと創生事業費が引き続き1兆円確保されるなど、地方に一定の配慮がなされたものと考えております。
震災復興に係る予算については、復興の取り組みを推進させるための財源がおおむね確保されているところであり、一定の評価ができますが、一方で、心のケアに関する予算が年々減少傾向にあるなど、復興の量の確保と質の向上を図っていく上で課題もあるところであります。
地方創生に係る予算については、国の平成27年度補正予算及び平成28年度予算で交付金が措置されているほか、地方創生推進交付金創設に伴い生じる地方負担分についても適切な地方財政措置を講じるとされましたが、地方創生を推進していくためには、対象分野や対象経費の制約などを排除するなど、地方の自由度が高い制度設計が必要でありますことから、国に対して働きかけているところであります。
今後におきましても、復興とふるさと振興の推進に当たりましては、継続的、安定的な財源の確保が必要不可欠でありますので、全国知事会や北海道東北地方知事会など、あらゆる機会を捉えて国に対して強く要請してまいります。
〇高橋元委員 本県の平成28年度当初予算について伺います。
初めに、国内並びに県内の社会経済情勢についてどう捉えているのか伺います。
行き過ぎた規制緩和によって、社会秩序の崩壊、非正規雇用拡大による経済低迷と、未婚、少子化、子供の貧困等さまざまな日本社会の混乱に加え、年初から円高基調、株価安が続き、日銀のマイナス金利導入による経済不安が増しておりますが、国内経済の本年の動向について知事の所感を伺います。
〇達増知事 先月、内閣府が公表した四半期のGDP速報によりますと、昨年10月から12月期における実質GDPが年率で1.4%のマイナスとなっており、また、今月、財務省が公表した法人企業統計調査におきましても、同期間の設備投資は季節調整後の数値で前期比マイナスとなっています。また、1月末の日本銀行のマイナス金利導入決定以降も、日経平均株価は下落基調で推移しています。さらに、実質賃金指数についても近年改善が見られておらず、消費支出の伸びも現時点では大きく期待できないところであり、本年の国内経済についても予断を許さないものと考えます。
こうした状況の克服には、我が国のGDPの8割以上を占める国内の需要喚起が不可欠であり、特に、さきに述べましたように、設備投資や民間消費が伸び悩む中にあっては、金融政策だけではなく、公的需要も含めた内需拡大型の経済、財政政策を実施することが重要と考えます。
〇高橋元委員 日銀のマイナス金利導入は、住宅ローンの金利引き下げや企業向け貸出金利低下等のプラス面もありますが、定期預金や普通預金の金利引き下げ、投資信託商品、個人向け国債の販売中止、預かり手数料の発生等、資産運用面ではマイナス面が多いとされておりますが、県ではどのような影響が出ると試算しているのか伺います。
県内社会経済の現状についてでありますが、県内景況の動向次第で県税収入が影響されますが、知事は、昨今の県民所得、県内産業の活況、市町村運営、地域おこしやまちづくり等、県内社会体制及び経済の現状をどのように捉えているのか、また、4広域振興局ごとの経済の現状と課題をどのように捉えているのか伺います。
〇達増知事 まず、県内経済への影響についてでありますが、今般のマイナス金利導入を受けて、県内金融機関では住宅ローンの金利引き下げが発表されるなど、個人にとって一部プラス面も出ていますが、先ほど答弁しましたとおり、国内の消費支出や設備投資については需要が弱く、今後、県内企業の設備投資の促進等につながっていくかどうか見通すことは難しいと考えます。
委員御案内のとおり、マイナス金利についてはプラス、マイナスそれぞれの面があると指摘されているところであり、また、各方面に対してプラス、マイナスどちらに作用するかについても定まった見識がないことから、県内経済への影響を試算することは困難であります。
県内社会経済の現状についてでありますが、本県経済は、復興需要を背景に、平成25年度の県民所得が4年連続で増加するなど総じて回復傾向にありましたが、最近の景気動向を見ますと、大型小売店販売額や乗用車新車登録台数の減少、鉱工業生産指数の低下など、このところ足踏み感が見られます。
広域振興圏別に見ますと、平成25年度の市町村民所得については、県内の社会経済状況や全県での建設業の増加に加えて、県央のサービス業、小売、卸売、県南や沿岸の製造業の増加などを背景としていずれの広域振興圏も前年度を上回っておりますが、最近では、新設住宅着工数や有効求人倍率が特に県北地域において低下傾向にあるなど、地域間の産業構造等の違いにより圏域ごとに違いが出ているところであります。
〇高橋元委員 歳入歳出について伺います。
まず、予算編成における方針、知事査定についてでありますが、平成28年度当初予算は知事マニフェストをもとに予算編成されたと思いますが、予算編成方針の要点と知事査定で重視した点を伺います。
〇達増知事 平成28年度の当初予算は、私が掲げました希望マニフェストを踏まえて、東日本大震災津波からの復興事業を着実に進め、ふるさと岩手の本格復興をなし遂げ、岩手国体、大会の成功に取り組むとともに、ふるさと振興等を推進する予算として編成しました。
復興予算については、第2期復興実施計画に掲げる参画、つながり、持続性の視点を引き続き重視しつつ、計画に掲げた事業を確実になし遂げるための予算を措置しますとともに、ふるさと振興については、今般策定したいわて県民計画第3期アクションプランを着実に進めるとともに、岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らすなどの取り組みを総合的に展開するための予算を措置したところであります。
また、岩手国体、大会の成功やILCの実現など、復興を後押しする取り組みを推進するとともに、国の補正予算を踏まえた平成27年度2月補正予算と一体的に、TPP対応を見据えた本県農林水産業の体質強化や、また、地方創生などの取り組みについても重点的に取り組んでまいります。
〇高橋元委員 一般会計歳入についてでありますが、あらゆる手段によって歳入確保の取り組みを進めるとしております。国庫支出金や一般財源の確保に引き続き取り組むことが重要でありますが、企業にも拡大されるふるさと納税の活用についても検討すべきと考えます。
現在、ふるさと納税はほとんどがいわての学び希望基金に活用されていると思いますが、一般財源への誘導はできないものか伺います。
〇風早総務部長 ふるさと納税についてでありますが、本県では、ふるさと岩手応援寄付として受け付けをしておりますが、申し込みの段階で、いわての学び希望基金のほか、震災からの復旧などの復興支援、人材支援、子育て支援など、目的を選んで御寄附をいただいておりまして、それぞれその目的に沿った事業に充当しているところであります。
御指摘のとおり、これまでいただいた寄附のうち約8割がいわての学び希望基金となっていますことから、他の目的にも御寄附をいただけるよう、周知活動など、必要に応じて施策担当部局と連携して取り組んでまいります。
〇高橋元委員 先月でありますが、13県知事で構成する自立と分散で日本を変えるふるさと知事ネットワークで、本県のいわての学び希望基金がふるさと納税大賞を受賞したとの報道がありました。
同じく大賞を受賞した北海道東川町の取り組みは、寄附者を株主に見立て、町の事業に投資してもらうことを通じて交流を深める東川株主制度に、平成8年開設以来、本年1月末で7、915人が参加しているとのことであります。本県でも研究してみてはどうでしょうか。知事の所感を伺いたいと思います。
〇達増知事 ふるさと納税制度ということで、日本国民全体として、税金というものを、ただ取られるだけという感覚ではなく、主体的に、納税者として選択的に納税したいという気持ちがどんどん広まり、また、高まっていると思います。そうした全国の納税者の皆さんの思いにうまく応えられるような工夫を岩手県としてもやはりしていきたいと思います。
〇高橋元委員 いわての学び希望基金が項目にあるから、私はずっとあそこに寄附が行くような気がするんです。ですから、あれにかわる何かしらの項目を研究すべきじゃないかという思いがあります。もう既にまなび基金は目標金額をかなり上回ったと私は思っていますので、ぜひ研究していただきたいと思います。
ふるさと創生事業についてでありますが、国では、地方創生に向けて、人口減少に歯どめをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正し、地域で住みよい環境を確保し、活力ある日本社会を維持していくために、平成27年度に引き続き、平成28年度地方財政計画にまち・ひと・しごと創生事業を1兆円計上いたしましたが、本県への配分額と、その使途はどうなっているのか伺います。
〇風早総務部長 まち・ひと・しごと創生事業費についてでありますが、地方財政計画に計上されましたまち・ひと・しごと創生事業費は、普通交付税として行革指標や経済指標等を用いて地方公共団体に交付されております。平成27年度における本県の交付額は56億円となりました。平成28年度については、現時点では国から具体的な算定方法が示されていないため試算することは困難でありますが、平成27年度とおおむね同程度の額が交付されるものと考えております。
一般財源である普通交付税として交付されますことから使途の特定は行っておりませんが、岩手県ふるさと振興総合戦略に掲げます岩手への新たな人の流れの創出、出生率の向上、地域の魅力向上のための事業の財源として有効に活用してまいります。
〇高橋元委員 次に、歳出について伺います。
就業人口減少の中での企業誘致の取り組みについてでありますが、地場企業や事業所、そして、多くの県内産業が、就業者が不足する中、従来どおりの企業誘致活動を進めることはさらに人材不足を招くことになりはしないかと危惧するところであります。全県を捉えて企業配置する調整を県としてするべきではないかと思うところですが、所感を伺います。
〇千葉副知事 企業誘致の取り組みについてでございますけれども、現在、地場企業、誘致企業を問わず人材確保が一番の課題であると考えておりまして、現在折衝中の企業におきましても、人材確保を立地決定の判断材料の重要な一つの要素としている状況にございます。県といたしましても、市町村の意向を確認しながら、有効求人倍率が比較的低く、人材確保がしやすい地域を勘案しつつ紹介しているところでございます。
また、今後の企業誘致に当たりましては、今、委員御懸念のような県内事業者への影響にも十分配慮いたしますとともに、市町村ともさらに連携いたしまして、地域の事情等に留意しながら、積極的な人材確保の支援に努めてまいりたいと考えております。
〇高橋元委員 人口の県外流出で、防ぎようもない県外高等教育機関への進学での流出ですが、Uターンに向けて、県外大学生に対する働きかけを行う必要があります。教育委員会と連携して、在学生に県内企業とのマッチングやインターン制を導入支援してはどうかと思いますが、いかがでしょうか。
〇千葉副知事 県外大学生とのマッチングについてでございますけれども、県では、ふるさといわて定住財団と連携し、県内外で就職面接会やU・Iターンフェアなどを開催しております。また、東京のUターンセンターでは、専任職員を配置し、県内就職を希望する学生への相談対応や企業とのマッチング支援を実施しておりますほか、首都圏の大学での就職相談会への対応や、企業のインターンシップ受け入れ情報の提供などを行っております。
今年度、ジョブカフェいわてに新たに設置いたしましたU・Iターンサポートデスクでは、学生はもとより、保護者向けにも相談や情報提供を行っているところでございまして、県内で開催しております首都圏の大学の保護者懇談会におきましても県内就職について説明を行っております。
加えて、市町村の御協力をいただきながら、1月の成人式の機会を捉えてUターン支援に関する情報提供を行いますとともに、教育委員会と連携し、高校同窓会を活用してUターン就職の働きかけを行ってきているところでございます。
さらに、今般設立いたしましたいわてで働こう推進協議会におきましては、大学生の3月1日就職活動開始に合わせまして、県内企業の経営者から県内外の学生へのメッセージを県の就職情報サイトで発信しておりますほか、大学と連携し、学生への周知に努めているところでございます。
また、同協議会には、経済団体を初め教育機関やPTA関係機関も参画しておりますことから、高校卒業時の機会の活用や、保護者を通じた情報提供の方法などにつきましても意見交換し、県外学生に対しまして働きかけを強化していきたいと考えているところでございます。
〇高橋元委員 新卒者への働きかけは大変重要だと思いますし、また、就職者にも、3カ月、3年とか、機会を捉えて……。離職ということも世間的には出ているわけですから、できれば連絡網があり、絶えず働きかければ、そういう方々も、この機会に、岩手に行くかと。3年都会で暮らしたから、これから岩手に戻るかという方々を呼び込めるような気もするんですが、その辺も含めて働きかけを、ぜひ充実を図っていただきたいと思います。
新産業の創出に対する取り組みでありますが、航空産業、ロボット産業の分野がこれからの成長産業と思われます。航空産業は自動車産業に匹敵する部品を必要としており、その部品製作の事業所を県内で展開できないか。
また、人材不足と高齢化、作業軽減にロボットの導入が見込まれます。ロボット製作の研究に支援し、有力な産業に育てるべきと思いますが、いかがでしょうか。
〇千葉副知事 新産業の創出についてでございますけれども、本県ものづくり産業のさらなる成長を図るためには、中核でございます自動車、半導体関連産業の一層の集積と高度化に加えまして、医療機器とともに、航空機やロボットなど、これらに続く新産業の創出が重要であると考えております。
航空機につきましては、自動車と同様に産業の裾野が広く、市場の成長が予測されている有望な分野として県内企業の積極的な参入が期待されますことから、県では、今年度、企業を対象とした参入セミナーを開催いたしましたほか、東北経済産業局と連携してアンケートや企業訪問を実施し、航空機産業への参入実態や意向の把握について努めているところでございます。
また、ロボットに関しましては、岩手大学と企業の共同によるリハビリ支援ロボットの開発支援や、県立大学を中心といたしましたロボット制御技術の人材育成などを進めてきたところでございまして、さらに今年度は、水産加工設備などロボット活用が期待される分野への県内設備メーカー等の進出を促進いたしますセミナーや企業見学会を開催したところでございます。
平成28年度におきましては、これらの取り組みに加えまして、参入を目指す企業の技術認証の取得や開発グループの形成を促進するなど、産業振興センターや工業立地センターとも連携を図りながら支援を強化していきたいと考えているところでございます。
〇高橋元委員 私の最後の質問にさせていただきますが、岩手の地域ブランドについてであります。
和牛を例にしますと、前沢牛、江刺牛、きたかみ牛、いわいずみ短角牛など12品種がブランド牛として国内に出ております。他県のブランド牛に比べると、まさに県内で過当競争しているように見受けられる面もあります。世界と競争していくためには、ある程度品種を絞り込み、量産する方策が得策に思えますけれども、その辺はいかがでしょうか。
〇千葉副知事 地域ブランド牛の生産についてでございますけれども、地域ブランド牛は、産地の生産者や団体が主体となりまして長年ブランドとして育んできたところでございまして、それぞれの産地とバイヤーの間に強い結びつきがあるものも多いと承知しております。
一方で、効果的に消費者にPRしていくためには全県が一体となった取り組みも重要でございまして、現在、県や市町村、関係団体で構成いたしますいわて牛普及推進協議会を中心に、いわて牛を統一的なブランドとして、アピール度の高い、効率的なPRにも取り組んでいるところでございます。
県では、地域ブランド牛に対する産地の思いを十分尊重しつつ、今後の海外展開におきましては、県産和牛の有利販売につながるよう、いわて牛を前面に押し出したフェアやプロモーションを展開するなど、県全体のブランド力を高める取り組みも進めていきたいと考えております。
〇高橋元委員 和牛の肥育については、それぞれの生産農家で、餌とか生育環境とかそれぞれ違って、その結果としてさまざまなブランド牛が出てくるわけでございます。ただ、どんどん畜産農家も減ってきておりますし、ブランド力を維持していくためにはある程度集約化もしていく必要があるのではないか、そんな思いもしております。
米においては、新たに二つの品種がブランド米、それから県北のほうでも一つ、今、研究されているということですので、4広域圏であれば一つぐらいずつのブランドでいいのではないか、そんな思いもしておりますので、ぜひ今後の産業振興のためにもその辺を含めて御検討いただきたいと思います。
以降、名須川晋委員と交代させていただきます。終わります。
〇高橋但馬委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
午前11時59分 休 憩
午後1時2分 再開
〇高橋但馬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。次に、名須川晋委員。
〔名須川晋委員質問者席に着く〕
〇名須川晋委員 それでは、午前中の高橋元委員に続きまして総括の質問をさせていただきます。
早速でございます。県政運営についてでございます。
知事は、さきの知事演述におきまして、希望郷いわて国体、希望郷いわて大会を、オール岩手、岩手の総力を結集して復興のシンボルとして成功させ、岩手の歴史に新たなページをしるしていきましょうと述べられております。震災後は開催が危ぶまれたいわて国体、いわて大会でございますが、いよいよ本大会もこの秋に開催されます。
人が生きるには、それこそ希望や夢、目標が大事でございます。大会以降も県民が一体になれる夢や目標をまず示していただきたいと思います。
〇達増知事 さきに開催された希望郷いわて国体冬季大会では、天候不順といった困難な状況にありましても、競技役員や自衛隊の力によって円滑に進められた競技運営に加えまして、児童生徒を初めとする県民、ボランティアの力による心温まるおもてなしや創意工夫を凝らした歓迎の取り組みなど、多くの成果を残したところであります。
こうした成果を秋の本大会にしっかりとつなげて、まずは、オール岩手で希望郷いわて国体、希望郷いわて大会を成功させていくことが大切であり、知事演述の中でも県民の皆さんに訴えたところであります。
そして、両大会の成功によって、一層高まる地元の底力とさまざまなつながりの力を糧に、県民、企業、NPO、市町村などあらゆる主体の総力を結集して、東日本大震災津波からの復興とふるさと振興を県民共通のテーマとして取り組んで、県民一人一人が希望を持ち、岩手全体に希望があふれる希望郷いわての実現を目指したいと考えます。
さらにその先につきましては、いわて県民計画の次の長期計画の検討や、幸福についての検討も踏まえて描かれるものと考えております。
〇名須川晋委員 先月21日、リオデジャネイロ五輪代表選考会を兼ねました第99回日本陸上競技選手権大会の20キロメートル競歩で、花巻北高校出身の高橋英輝選手が優勝を果たし、五輪代表の内定を決めました。県民に希望を与えるこの朗報に、若者の活躍にも目を向ける知事はどのような所感をお持ちになりますでしょうか。
また、次代につなぐ若手選手たちの育成について、あるいはスポーツ行政の一層の推進について意気込みを伺います。
〇達増知事 議員御案内のとおり、先般行われた第99回日本陸上競技選手権大会20キロメートル競歩において、本県出身の高橋英輝選手が見事優勝し、世界最高峰の舞台であるオリンピックの日本代表に内定しましたことは、国体本番を迎えた本県にとって、また、県民にとって大変喜ばしいビッグニュースだったと思います。高橋選手には、リオデジャネイロオリンピックでも持てる力を思う存分発揮してもらい、メダル獲得を狙ってほしいと思います。
岩手で育った高橋選手がオリンピックの舞台に立つということは、本県がこれまで取り組んできた一貫指導体制などの選手強化が結実したということでもあり、これを本県の大きな自信に、今後においてもジュニアの育成強化を初めとした本県スポーツ振興の充実に努めてまいります。
〇名須川晋委員 それでは、国体の成功、国体・大会プラスなど大会を盛り上げる取り組みについて伺います。
希望郷いわて国体冬季大会は、男女総合成績である天皇杯順位が4位と、2巡目以降の国体では最高位につけました。まずは、選手、コーチ、監督等関係者、そして地元ボランティアの皆さんの活躍に敬意を表したいと思っております。
競技面、運営面、そしてプラス部分を含め、どう総括しておりますでしょうか。
〇達増知事 冬季大会は、スケート、アイスホッケー競技会、スキー競技会を合わせて、全国から約3、500名の選手団を迎えて開催され、各競技会会場に詰めかけた多くの県民の力強い応援に応えて、県勢は、天皇杯順位が昨年の14位から4位へ、皇后杯順位が10位から8位へと躍進し、県民に感動と希望をもたらしました。
開始式では、選手、役員、観覧者などで会場が埋め尽くされる中、式典音楽隊による心のこもった演奏や、岩手ゆかりの著名人や県民からの復興支援感謝のビデオメッセージの上映、小中学生による冬季大会では初めての都道府県応援団などによって、全国に向けて感謝の思いや心からの歓迎の気持ちを十分に伝えることができたと思います。
一方、競技会では、小中学生を初めとする多数の県民の応援や、また、地元料理のお振る舞いなど温かなおもてなしは大変好評を博しました。また、オリンピックやパラリンピックに出場した本県選手等の協力を得て、カーリングとミニバイアスロンのデモンストレーションスポーツの実施や、チェアスキーによるジャイアントスラロームのエキシビションを実施するなど、随所に岩手らしい工夫をし、盛り上がる大会となりました。
さらに、1月31日に開催したまるごと芸術体験フェスタや、1月からスタートし、現在もさまざまな文化事業が行われています文化プログラムなど、国体開催にあわせて本県の芸術、文化なども積極的に発信されているところであります。
こうした成果を、残り7カ月となった秋の本大会、全国障害者スポーツ大会にしっかりつなげていくために、選手強化、大会運営両面に、県内各地での両大会開会式のパブリックビューイングや障がい者の芸術作品の紹介、展示といった国体・大会プラスの取り組みも加えながら、県民と力を合わせてオール岩手で取り組んでまいります。
〇名須川晋委員 新年度予算に第71回国民体育大会選手強化事業費4億1、400万円余の予算が計上されております。これについてでございますけれども、昨年の紀の国わかやま国体は、男女総合成績である天皇杯順位が、その前の37位から16位へと大躍進を果たしました。岩手国体8位以内入賞という目標を掲げた本県選手団の一層の活躍に大いに期待するものでございます。
そこで、天皇杯順位8位以内入賞という目標を掲げ、強化事業の質の向上と拡大を図るとともに、入賞の可能性の高い競技種別に重点を置いた選手強化を推進とのことでございますが、では、どの程度の成算を持っているのか。この8位というのは県民へのコミットメント、必達目標なのか。担当者はどれほどの覚悟を持って取り組まれているのか。仮に達成できなかった場合、その責任をどうするのかと。まずは意気込みを示していただきたいと思います。
〇達増知事 目標の天皇杯順位8位以内を達成するためには、大きく躍進した昨年の紀の国わかやま国体の天皇杯競技得点699点に450点をさらに上積みした1、150点以上の獲得が必要であると見込まれますことから、そのハードルは決して低くないものと認識しております。
本県の選手強化の状況は、昨年の紀の国わかやま国体を契機に飛躍的に進み、先月終了した希望郷いわて国体冬季大会においても天皇杯順位が前回の14位から4位へと大きな成果を上げて、秋の本大会へ向け、上々のスタートを切りました。
これは、選手たちのたゆまぬ努力を初め強化に取り組む指導者やスタッフの熱意などによって、強化事業の成果が結実してきているものと捉えております。
秋の本大会におきましては、本県選手団の活躍が、東日本大震災津波からの復興に取り組む県民に大きな感動と希望をもたらし、ひいては希望郷いわて国体の成功にもつながると考えておりますので、目標とする天皇杯順位8位以内の達成はもちろんでありますが、できるだけ高いレベルでの入賞ができるように、今後、なお一層、選手や岩手県体育協会などの競技団体と一丸となって力を合わせ、チーム岩手としての選手強化に取り組んでまいります。
〇名須川晋委員 出場する競技や人数等々も当然多くなってきてのことだと思いますけれども、その8位というのが、頑張ればいける目標なのか、あるいは実に大変厳しい状況を何とかクリアしようと、今、必死で頑張っているのか、その辺がよくわからないというのが実情でございましたので、事前に知れば、大変厳しいところから入賞すれば、こちらもその喜び度合いがより一層深まってくるのではないかと思っております。
責任の所在については、あえて御答弁はいただきませんけれども、ぜひとも8位、あるいはそれ以上の入賞を果たしていただきますようにお願いいたします。
一方で、第16回全国障害者スポーツ大会選手育成強化事業費ということで600万円上げられております。全国障害者スポーツ大会に出場する選手の育成強化については、どのような内容で選手の育成強化を図っていくのか。トップレベルの障がい者アスリートを育成すべきと考えるが、現状はどうなっておりますでしょうか。
〇千葉副知事 第16回全国障害者スポーツ大会選手育成強化事業費についてでありますが、本事業は、本年10月の希望郷いわて大会におきます全競技への本県選手の参加及び上位進出を目指しまして、選手の育成及び強化に取り組むものでございまして、平成28年度は、強化練習や遠征、ブロック予選会への参加、指導者間連携と推進体制の強化を取り組みの柱としております。
具体的に申し上げますと、強化練習、遠征につきましては、実践を通じた選手強化を図るため、各競技とも、今年度は2カ月に1回だった強化練習を毎月実施とするほか、団体競技における他県チームとの強化試合等を、大会前に今年度と同じく2回行うこととしております。
ブロック予選会への参加につきましては、本県以外で開催していますグランドソフトボール及び聴覚バレーボールへの宿泊経費について支援することとしております。
また、指導者間連携と推進体制強化につきましては、希望郷いわて大会選手育成強化推進委員会に設置しております、選手の確保や育成を担当しております選手育成強化専門委員会と、練習への参加支援等を行いますサポート専門委員会におきまして、関係機関、団体等が連携して取り組むこととしております。
次に、トップレベルの障がい者アスリートの育成の現状についてでありますが、平成25年度から実施してまいりました選手育成強化事業によりまして、選手の発掘、育成強化を行ってきた結果、昨年の和歌山大会ではメダル獲得数35個と、過去最高の成績をおさめたところでございます。
今回の大会におきましては、開催県として、各競技とも昨年を上回る好成績を上げることが県民に希望と勇気を与えることにつながりますことから、10月の大会開催までの間、個人競技、団体競技とも年度前半に集中して選手の育成強化に取り組んでまいります。
また、大会出場選手の中から、今後、国際大会で活躍する選手があらわれてくること、さらに選手の活躍に感動し、アスリートを志す障がい者の方々がふえることを強く期待しているところであり、その方向性に向けて県も推進したいと考えております。
〇名須川晋委員 スキー競技会第2日目の大回転の競技開始に先立ちまして、2010年バンクーバー冬季パラリンピックに出場した矢巾町の横澤高徳選手がチェアスキーのエキシビション滑走を行い、地元国体に花を添えていただきました。直接この横澤選手に話を聞いたことはないんですが、チェアスキーはスポーツ量販店に赴けば簡単に購入できる代物ではないだけに、用具の調達や自分の体に合ったカスタマイズなど苦労が想起されます。
そこで、本県における義肢を含めた用具の購入及び開発支援体制はどうなっているか。障がいをお持ちの方がスポーツ全般にわたり取り組むハードルを低くすべきであると考えますが、いかがでございましょうか。
〇千葉副知事 障がい者スポーツ用具の現状及び開発支援体制についてでございますけれども、まず、チェアスキー等の用具につきましては、福祉用具販売店で購入が可能ということでございまして、使用する方の体格や好みに合わせて高さやクッション挿入等の調整を施して納品されることとなっております。
また、スポーツ用義肢につきましては、義肢製作所などにおいて製作からフィッティングまでを行っている現状でございます。
義肢装具を含めました障がい者スポーツ用具の開発支援につきましては、厚生労働省が行います障害者自立支援機器等開発促進事業によりまして比較的低価格でスタイリッシュなスポーツ用義足が商品化されるなど、現在、国レベルでスポーツ用具の研究開発が進められておるところでございまして、本県では、これまでこうした取り組み事例はなかったところでございます。
次に、障がい者のスポーツ参加につきましては、障がい者の社会参加の機会拡大や健全な発育発達、体力の向上等の面で重要と考えております。このため、県身体障害者福祉協会に委託いたしまして、障がい者が取り組みやすい卓球バレーやサウンドテーブルテニスなどのスポーツ教室開催事業を実施しております。
また、ふれあいランド岩手におきましては、車椅子利用者の方や脳性麻痺等の障がいを有する方を対象といたしました水中歩行教室の実施や、障がいの有無にかかわらず参加することができます水泳、アーチェリー等といったスポーツ事業を実施しておりますほか、サントリー東北チャレンジド・スポーツ応援基金から寄贈されました競技用車椅子等を保管し、希望郷いわて大会に向けた選手強化練習等にも活用させていただいているところでございます。
今回の大会を契機に、障がい者のスポーツ活動への参加が一層促進されますよう、関係団体と協議しながら進めてまいりたいと考えているところでございます。
〇名須川晋委員 国体の選手強化事業費は4億1、400万円、一方で障がい者スポーツ大会のほうの選手育成強化事業費は600万円ということで、余りにも差があき過ぎているのではないでしょうか。もっと障がい者スポーツの分野にも目を向けていただきたいと思っておりますし、これは、これまでも言ってまいりましたように、教育委員会と、そして福祉と行政の分野が担当が違うところに由来しているのではないか、この証拠ではないかと思っておりますので、ぜひとも障がい者スポーツにも目を向けていただき、スポーツ行政の一元化も図っていただきたいと再び申し上げさせていただきます。
日本遺産への対応についてでございます。
本県には、ユネスコ世界遺産が平泉、橋野鉄鉱山の2カ所、無形文化遺産は早池峰神楽が登録されているのは御案内のとおりでございます。
一方で、文化庁は日本遺産を進めております。2020年までに日本全体で100件程度認定、ならせば各都道府県で1カ所ないしは2カ所選定されるのではないでしょうか。初年度である平成27年度は群馬以西の全国で18カ所が選定され、総じて東日本側の取り組みがおそい。
この日本遺産について、県は果たして重きを置いているのか、どう取り組んできたか。仄聞ですが、平泉町が申請の動きを見せていたそうですが、首尾よくいかなかったとのことですが、理由は何でありましたでしょうか。
〇千葉副知事 日本遺産への対応についてでございますけれども、日本遺産は、基本的に市町村からの申請をもとに、地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化、伝統を語るストーリーを認定し、文化財を総合的に整備、活用しながら、国内外に戦略的に発信することによりまして、地域の活性化を図っていくことを目的に、本年度、新たに設けられたものでございます。
本年度における日本遺産の認定につきましては、ただいま委員からもお話がございましたが、40都府県83件の提案の中から18件が認定されたところでございますが、本県からは平泉町が平泉と義経をストーリーとした申請を行ったものの、認定に至ることができなかったところでございます。
認定に係る文化庁の審査委員会の審議内容は公表されておらず、認定されませんでした理由は明らかとなってはおりませんが、昨年10月に県教育委員会が平泉町とともに文化庁に出向き、申請内容をもとに今後の進め方について御相談申し上げたところ、テーマ設定も含め平泉の特色がより伝わるストーリーとするための工夫が必要との助言をいただいたところであり、平泉町におきましては、現在、県教育委員会とともにストーリーの検討を重ねているところでございます。引き続き、平泉町に対する支援と、また、県内各市町村への普及啓発を図っていきたいと考えております。
〇名須川晋委員 いまだ県内で重立った動きが見られない中で、このまま本県で1カ所も選定されない事態となりますことを懸念いたします。
知事は、演述の中で、平泉、橋野鉄鉱山、御所野遺跡を引き合いに、本県文化遺産の持つ価値の継承を指し示しました。例えば、県内で浄法寺の漆文化や一関の餅料理文化、あるいはマルカンデパート大食堂の昭和レトロ文化といった日本遺産にふさわしい本県文化遺産の持つ価値であり、文化庁が求めるストーリーも構築できるのではないでしょうか。
インバウンド誘致や地方創生にもつながる施策と考えられ得るが、重要性をどう認識しているか、県のかかわり、支援体制はどうなっているか。例えば広域振興局単位で取り組みを進めていくべきではないか、お知らせください。
〇千葉副知事 日本遺産に対する認識と県の支援体制についてでございますが、本県は、御案内のとおり、世界遺産の平泉や橋野鉄鉱山、世界遺産登録を目指しております御所野遺跡などを初めとした有形、無形の多くの文化財を有しておりまして、これらの文化財を活用したまちづくりの推進や観光振興の取り組みは極めて重要であると認識しております。
日本遺産につきましては、地域に点在しております有形、無形の文化財を有機的に結びつけて、地域活性化のための重要な資源として文化財を活用することを目的としておりますけれども、本県が有する多様な文化財の魅力を国内外に発信し、地方創生に生かしていくためにも、本県の文化、伝統のストーリーが日本遺産に認定されることは意義が大きいものと考えております。
先ほど申し上げましたとおり、日本遺産の申請は市町村が主体となるものでございますが、これも繰り返しますが、県といたしましても、各市町村に対し、日本遺産への申請を強く働きかけていきたいと考えております。
また、日本遺産の認定に向けましては、文化財の活用と観光振興の両面から検討していく必要がありますことから、関係部局あるいは広域振興局等が中心となりまして、市町村の取り組みを積極的に支援してまいりたいと考えております。
〇名須川晋委員 空き家対策とリノベーションまちづくりについてでございます。
県内の空き家状況はどうなっているか、その推移について、そして、本県での空き家、空きビルになる特徴をどう分析しているか。空き家対策特別措置法が施行されて1年がたっておりますけれども、都道府県は市町村に対してのどのような支援を行っているか、そして、成果や取り組み事例など、空き家対策に関する方針、予防策や具体策、対策事例の紹介等を盛り込んだ手引き集を作成して、県の責務の一端を果たしていくべきではないか、お知らせください。
〇千葉副知事 まず、県内の空き家状況等についてでありますが、国が5年ごとに行っております住宅・土地統計調査によりますと、平成25年の県内の空き家は7万6、300戸であり、空き家率は13.8%となっております。また、この空き家率につきましては、平成5年は8.7%、平成15年は11.5%であったことから、近年、増加する傾向にございます。
空き家になる住宅等につきましては、人口減少や社会情勢の変化の中で、立地や物件等の条件が悪いことなどが特徴であると考えております。
次に、県の支援についてでございますけれども、空き家対策特別措置法の施行に伴う市町村への支援につきましては、国土交通省担当者や専門家を講師といたします行政職員向けの勉強会を開催いたしておりますほか、市町村が行う勉強会等に対し、県職員の派遣等も行っているところでございます。
次に、法施行後の取り組み状況についてでありますけれども、例えば北上市におきましては空き家対策条例の制定を予定しておりますほか、県内17の市町村で実態調査に取り組んでおりまして、11の市町村で法に基づく対策計画を策定する予定と伺っております。
また、手引き集の作成につきましては、福岡県などの一部の県が行っていると承知しておりますが、本県では、市町村担当者が集まります会議等において、他の自治体における先進的取り組み等についての情報提供を行っておりまして、今後も積極的に支援してまいりたいと考えております。
〇名須川晋委員 1月25日にいわてリノベーションシンポジウムが開催されました。会場となった岩手県公会堂大ホールは満員に近く、リノベーションまちづくりへの関心の高さを見せつけたところです。この企画をどう総括しているか、また、新年度のリノベーションまちづくり施策をどのように進めていきますでしょうか。
〇千葉副知事 いわてリノベーションシンポジウムについてでありますが、ことし1月25日に県が開催いたしましたいわてリノベーションシンポジウムにおきましては、行政職員、建築関係者、不動産業者、学生など400名を超える参加をいただいたところでございまして、リノベーションまちづくりに対する関心の高さを認識しますとともに、参加者によります今後の具体的な取り組みに期待もしているところでございます。
県では、リノベーションまちづくりの取り組みが県内に広く普及していくことを目指し、今年度から、いわてリノベーションシンポジウムの開催に加えまして、先ほど申しましたが、行政職員を対象としたセミナーの実施や民間事業者が行います勉強会での講演などを行ってきたところでございます。
来年度は、取り組みを進めるための具体的な手法等について不動産所有者や建築関係者等が習得するためのセミナーを実施するなど、リノベーションまちづくりの担い手の育成や周知、普及に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
〇名須川晋委員 高齢化社会の進行とも相まって、相続にかかわるさまざまな障害も増大し、社会的、経済的デメリットが発生しております。これまでは、制度に限界がある成年後見制度を使うしかなかったわけでございますが、実は余り知られていないことでございますが、2007年に信託法が大きく改正され、財産管理の一手法として家族信託という手法が法律によって明確化されました。
この家族信託とは、資産を持つ方が特定の目的、例えば自分の老後の生活、介護等に必要な資金の管理及び給付に従って、その保有する不動産、預貯金等の資産を信頼できる家族に託し、その管理、処分を任せる仕組みのことであります。元気なうちから資産の管理、処分を託すことで、元気なうちは本人の指示に基づく財産管理を、本人が判断能力を喪失した後は、本人の意向に沿った財産管理をスムーズに実行できるというメリットがございます。
資産活用の側面も強いのですが、この制度が普及すれば、空き家対策、リノベーションまちづくりに好影響を及ぼすことも期待でき、今、脚光を浴びつつある制度でございます。
空き家化を防ぐには、こうした相続生前対策も効果的であり、県内の司法書士会、不動産専門家と連携しながら、住民意識の醸成、啓発を図っていくべきではないでしょうか。
〇千葉副知事 家族信託制度についてでございますが、空き家は、高齢者が所有する不動産の遊休化によっても発生いたしますことから、資産管理や相続対策が柔軟に行える家族信託の活用によりまして、空き家の有効活用が進むことも期待できるものと私どもも考えております。
県といたしましては、来年度から実施いたします不動産所有者等を対象としたセミナーにおきまして、資産管理や相続対策に詳しい専門家の意見も伺いながら、家族信託等に関する情報提供も行いますなど、不動産所有等への啓発にも取り組んでまいりたいと考えております。
〇名須川晋委員 前向きな御答弁ありがとうございました。
福岡県の手引きにもこの相続生前対策というものが記載されておりました。花巻市では既に3回ほど、一般市民を対象にした説明会も行っておりましたので、県としても、広く普及させて、相続生前対策によって、空き家活用だけでなく、親と子供の相続の争いのようなことも減っていくと思いますので、ぜひとも意識の醸成を図っていただきたいと思います。
雇用維持、創出と就業支援について、震災等対応雇用支援事業の成果をどう分析しているか。今年度の対象者数見込みは1、200人ほど、新年度は大きく減り、250人の計画でございます。表現は悪いが、金の切れ目が縁の切れ目で、現実として雇用期間の終了イコール雇いどめの事例がこれまでもあったし、今月も数多く発生するのではないでしょうか。状況を把握し、事業者にできるだけ雇用維持を求めるとともに、事後の対策を検討するべきではないでしょうか。
その一方で、違った観点から見ると、労働需給が逼迫する昨今、事業は一定の役割を終えたとも言えるのではないでしょうか。
〇中村復興局長 震災等対応雇用支援事業につきましては、平成23年度から今年度までに延べ約2万2、000人の雇用を創出してきたところでございます。平成28年度につきましては雇用見込み数が減少いたしますが、これは、内陸部の事業が今年度で終了となることによるものでございます。
今後の再就職の対策につきましては、この事業による雇用者を対象にいたしました今後の就業意向の意向調査などを踏まえまして、ハローワーク等と連携し、円滑な再就職に向けた支援に努めてまいることとしております。
なお、この震災等対応雇用支援事業につきましては、昨年の復興事業の見直しの際に、事業目的等を達成した事業として整理されておりまして、所管する厚生労働省では、平成28年度限りで終了予定としておりますけれども、県といたしましては、沿岸市町村の意向も確認しながら、今後の対応につきましては検討してまいります。
〇名須川晋委員 事業復興型雇用創出助成金について伺います。
平成27年度の状況と新年度のあり方について、助成対象者数が平成26年度の4、270人から大きく減り、今年度は350人程度となりました。本議会の補正予算で大きく減額されておりますが、主たる理由は助成対象の変更であったとのことでございますが、その詳細をお示しください。
〇中村復興局長 この事業が今年度大きく減少した部分につきましてでございますが、国の助成対象要件が平成26年度と比べまして大幅に限定されたものであります。具体的には、申請可能な事業所が沿岸12市町村に所在する事業所に限定されたこと、また、一部の例外を除きまして、平成26年度までに支給を受けた事業所には支給しないこととされたこと、さらには、支給対象となる労働者が、最初の支給対象者の雇い入れから1年以内に雇い入れた労働者に限られたことなどがございます。
〇名須川晋委員 事業復興型雇用創出助成金事務センターの費用が今年度約2億4、480万円、新年度約2億3、480万円とほとんど変わらない状況であるのはなぜでしょうか。申請が集中した一昨年と比較して事務量は大分減っているはずでございます。事務所経費や人件費等固定費が大部分であろうと推測するものの、事務量に合わせ可能な限り漸減していくべきと思います。
本事務は株式会社パソナに委託しておりますが、契約内容はどうなっておりますでしょうか。
〇中村復興局長 事業復興型雇用創出助成金事務センターの費用につきましては、助成金は認定から3年間支援するものでございまして、これまでの認定件数の累積により事務量が高どまりになっているということもございまして、平成28年度においては事務量に大幅な減少はないと見込まれることから、昨年度と大きな差がないということが理由でございますが、今後、事務量の変化に応じまして必要な見直しを行ってまいります。
次に、契約内容につきましては、その主なものにつきましては、書類審査でありますとか相談対応を行う職員の人件費、事務所の家賃や備品等の使用料、賃借料等でございます。
〇名須川晋委員 助成金の減額分は基金に戻すのでしょうか。基金はこれからどうするのか。国に、使いよい制度の改善を求めていくべきではないでしょうか。
〇中村復興局長 助成金の減額分につきましては、基金に積み戻しいたしまして、次年度以降の財源とする予定でございます。
県では、これまで、機会を捉えまして、国に対しまして、活用が伸び悩んでいる現状を伝えるとともに要件の緩和などを要望してまいりました。今後におきましても、被災地の事業復興を図る上での有効な事業の一つと捉えておりまして、被災企業の積極的な活用に結びつくような簡素で手厚い制度となるよう、引き続き国に要望してまいりたいと考えております。
〇名須川晋委員 基金は残高が相当残っているはずでございますので、ぜひとも岩手県で使っていただくような取り組みをしていただきたいと思います。
子育てしやすい職場環境について質問します。
次世代育成支援対策推進法に基づき、子育てサポート企業として厚生労働大臣が認定するくるみんマーク、さらに高い水準の取り組みを評価したプラチナくるみんマーク制度がございます。
また、本県においても、ワーク・ライフ・バランスに配慮した職場環境充実のため、独自に、いわて子育てにやさしい企業等施策を進めております。この認証企業の状況はどうなっておりますでしょうか。
〇千葉副知事 認証企業の状況についてでございますけれども、いわて子育てにやさしい企業等認証につきましては、広域振興局が中心となりまして、企業訪問による周知に加え、今年度、新たに広報用リーフレットを作成し、一般事業主行動計画を策定した県内企業等への配付に取り組みました結果、現在、認証件数は本年3月1日現在で31件となっているところでございます。
〇名須川晋委員 いわて子育てにやさしい企業等では、認証のメリット4点が挙げられております。子育て支援に取り組む企業等として、イメージがアップし、社会的評価が高まります。職業安定所の求人登録票に表示できます。県商工観光資金の県単融資制度にかかる保証料率0.05%の引き下げの対象になります。県が発注する特定の施策に係る10万円以下の物品納入と30万円以下の印刷物製作業の契約について優先されます。この4点でございます。
経済的優遇策はあくまで副次的なものとはいえ、県単融資制度を利用しない、必要ない、県との取引がない企業も多々ある中で、メリットは薄く、あるいはなく、インセンティブの拡大を図るべきではないでしょうか。
〇千葉副知事 いわて子育てにやさしい企業等認証のメリット等についてでございますけれども、県が掲げております認証のメリットの一つでございます社会的な評価が高まることによりまして人材の確保が容易になるほか、金融機関からの融資が得られやすくなったなどの認証企業からの御報告もございますことから、企業によっては一定の効果もあるものと認識しております。
その他の認証のメリットにつきましては、本県では、県単融資制度に係ります保証料率の引き下げ等がございますが、他県等におきましては、建設工事等の入札参加資格審査における加点や、男性が育児休業を取得した場合などにおける奨励金制度などを設けている事例などもあることは承知しております。
今後、認証件数の推移や認証基準のあり方も踏まえつつ、さらには認証企業の意見や他県の取り組みも参考にしながら、見直しに向けて必要な検討を行ってまいりたいと考えております。
〇名須川晋委員 引き続きというか、検討してきたとは思えないのですが、県内事業所登録数は5万5、000社ほどあるうち、さまざまな企業の大きさはあると思うのですけれども、9年目で認証を受けたのは、この中でたったの31社ということでございましょうか。認証期間の3年を超えて更新を行っていない前や元の会社も多分数に入っているのではないでしょうか。つまり事業の周知が図られていないとともに経済的インセンティブも明らかに働いていない、制度自体がないに等しい、機能していない証拠ではないでしょうか。
岩手県ふるさと振興総合戦略で平成32年に人口の社会減ゼロ、平成31年に出生率0.1%増という目標を掲げておられます。例えば法人県民税、法人事業税等の減免などあらゆる施策を総動員して対策を図っていただきたいと思います。
改正障害者雇用促進法の施行について伺います。
障がい者の範囲が広がる法定雇用率を見直し、雇用分野での障がい者差別を禁止し、雇用の分野での合理的配慮の提供義務等々といった改正点を盛り込んだ改正障害者雇用促進法が4月に施行されます。
県は、どのように政策を進めていかれますでしょうか。
〇千葉副知事 改正障害者雇用促進法の施行についてでございますけれども、この法律におきましては、全ての事業主に対しまして、雇用の分野において、障がい者であることを理由とする不当な差別的取り扱いを禁止いたしますとともに、障がい者の特性に配慮した必要な措置を講ずることを義務づけたものであります。
また、事業主の努力義務として、雇用する障がい者からの苦情を自主的に解決することが規定され、紛争があった場合は、都道府県労働局が事業主に対して助言や指導等を行うこととされたところでございます。
岩手労働局におきましては、事業主に対してこの内容の周知を図っているところであり、県では、岩手労働局と連携いたしまして、事業主における障がい者雇用に係る理解を一層促進し、雇用の場を確保するため、商工団体や経営者団体に対しまして要請活動を行っているところでございます。
また、国の外郭団体であります独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構岩手県支部と連携し、障がい者を積極的に雇用し、かつ定着率の高い事業所や、それぞれの事業所において優秀な勤務実績を上げている障がい者の方などの表彰をしているところでございます。
こうした取り組みを通じまして、障がいを理由とする差別の解消を図り、障がい者雇用の促進に取り組んでまいりたいと考えております。
〇名須川晋委員 観光産業の振興について伺います。
いわゆる地方創生交付金を原資とするふるさと旅行券でどの程度の効果が見られたのか。その反動減が来年度来るのではないかとの観光業者の懸念がございますが、対応策はありますでしょうか。
〇齋藤企画理事 御案内のありましたいわてに泊まろう誘客促進事業にあわせまして、公衆無線LAN等の環境や二次交通の整備、宿泊施設等へのカイゼン導入の支援などにより、受け入れ態勢の整備もあわせて行いました。また、冬季国体とも連動した観光キャンペーンや、女性の視点で企画したモデルツアーの実施などにより、プロモーションも展開してまいりました。
その結果、旅行券の利用を開始した昨年6月から12月までの本県全体の延べ宿泊者数は前年に比べ約14万人泊の増となり、このうち旅行券利用による宿泊者数は約11万人泊程度と見られることから、新たな宿泊需要の掘り起こしの面でも一定の効果があったものと考えております。
これを生かしまして、受け入れ態勢の充実や情報発信の強化により、リピーターの拡大、定着を図ることが重要と認識しております。
ことしは、今月末の北海道新幹線の開業、6月の平泉世界遺産登録5周年、10月の希望郷いわて国体、希望郷いわて大会の開催など、多くの観光客あるいは国体関係者が訪れることが期待されております。
このほか、観光庁が、観光による東北の復興を目的として30億円を超える東北観光復興対策交付金を予算計上しており、この支援策も活用しながら、市町村や関係団体、観光事業者と一体となり、受け入れ態勢の一層の充実やプロモーションなどによる情報発信の強化を図り、誘客の拡大に努めてまいります。
〇名須川晋委員 ふるさと旅行券等でございますが、1回だけということで、今年度は多分大勢お客様が来た、真水で11万人増ということでございますが、さまざまなイベントがあるとはいえ、ことしはそこまでは行かないだろうと。国体とか、あるいは新幹線の北海道延伸となっても、そこまでは行かないと。今、観光業者の方々も非常に懸念しているところでございます。
国は1回だけなのかもしれませんけれども、ぜひとも引き続き継続して、観光産業の振興につながるような施策を進めていただきたいと思っております。
花巻空港沖縄便の再開について質問させていただきます。
2016年度上期、愛知県の名古屋線は1便増の4往復に増便、札幌線は1便減の3往復に減りますが、機材が大型化になって、1日の提供座席数は最大の1、836席となります。利便性の向上が高まっているところでございます。
今、一部ではございますが、交流人口の増加、物産交流に資するべく、沖縄便の復活を求める声が出てきております。沖縄便再開に向けたお考えはないでしょうか。その取り組みについてもお知らせください。
〇千葉副知事 沖縄便についてでございますけれども、平成9年度から平成12年度までは11月から3月までの期間に、また、平成13年度から平成19年度までの間は3月のみの季節限定で定期運航されておりましたが、平成20年度以降は運航されていない状況にございます。現行路線におきましては、日本航空の大阪伊丹空港または福岡空港での乗り継ぎによりまして、花巻空港、那覇空港が結ばれているところでございます。
今、委員からお話がございましたが、岩手と沖縄についてはいろいろな特別な関係もございます。例えばでございますが、平成5年の冷害の際に石垣島で水稲種子の緊急増殖も行っていただいたと。それ以来、さまざまな面での交流活動も引き続き行っている状況にございます。
いずれ、直行便があれば利便性は大きく向上してきますことから、今後、本県と沖縄間の乗り継ぎ需要の動向等も見ながら、沖縄便の再開につきまして航空会社に対する働きかけを検討してまいりたいと考えております。
〇名須川晋委員 地球温暖化適応計画の策定について質問いたします。
事前に提示しておりました質問に先立ちまして、先週金曜日に大きな状況変化がありましたので、まずはその概要からお話をさせていただきたいと思います。
政府は、今後の地球温暖化対策の基本方針を示す地球温暖化対策計画の原案を先週発表いたしました。昨年末に採択された新たな国際ルール、パリ協定を受け、温暖化ガスの排出については、従来の中期目標に加えて、2050年に現在より80%削減するとの長期目標─なかなか野心的な目標でございますが、これを掲げました。5月の伊勢志摩サミットまでに閣議決定するということでございます。
これが事前にわかっていれば、また質問の内容も変わったわけでございますけれども、お渡ししておりました質問をそのままさせていただきます。
12月議会にも一般質問にて指摘させていただきましたが、これからのまちづくりに関する重要な課題として、地方創生、人口減少、超高齢化社会への対応に加えて、地球温暖化の進行に係る地球的な異常気象への対応ではないかと私は考えます。気候変動、地球温暖化はもはや疑いようのない現実であり、環境、経済、あらゆる分野において地球全体の最大の問題であります。
昨年末、フランスのパリで開催された気候変動枠組条約第21回締約国会議、通称COP21は、150にも上る世界各国の首脳が集結し、2020年以降の新しい温暖化対策の枠組みを決定する会議で、いわゆるパリ合意が果たされました。環境省は、地球温暖化適応計画を発表し、いよいよ国を挙げて適応化に乗り出しております。
私たちも、もはや二酸化炭素排出抑制のみを地球温暖化対策として上げるのではなく、これら予測を現実のものとして捉え、過酷な環境変化の中、県民の安寧な暮らしをどう守っていくのか、防止策とともに温暖化を前提とした適応策をどう構築していくのかということも並行して検討していかなければなりません。
本県においても、岩手県環境基本計画及び岩手県地球温暖化対策実行計画の見直しにより適応について盛り込まれたところでございますが、新年度はどのように取り組んでいくのかお知らせください。
〇達増知事 県では、今議会に計画の変更について提案しています岩手県地球温暖化対策実行計画におきまして新たに気候変動への適応策を位置づけて、本県において予測される影響や、農林水産業や自然災害などの各分野におけるこれまでの取り組みのほか、今後の方向性を計画に盛り込んだところであります。
また、いわて県民計画第3期アクションプランにおいて、気候変動により生じる事象に的確に対応するため、これまでにも行ってきた各分野の施策に加えて、本県において予測される影響を踏まえた新たな施策も視野に、適応策の総合化、体系化を図る適応計画の策定に向けた検討を進めていくこととしております。
国では、地方自治体における適応計画策定を支援するため、地域別の将来予測や影響評価などの情報を収集、分析し、情報提供を行うプラットフォームを平成28年度に開設する予定と聞いております。
県としては、国のプラットフォーム等を通じて提供されるさまざまな気候変動に関する情報について、関係部局や関係研究機関と認識の共有を図りながら、本県において予測される影響の把握と対応について検討を進めていきたいと考えております。
〇名須川晋委員 終わります。
〇高橋但馬委員長 次に、嵯峨壱朗委員。
〔嵯峨壱朗委員質問者席に着く〕
〇嵯峨壱朗委員 自由民主クラブの嵯峨壱朗でございます。会派を代表いたしまして総括質疑をさせていただきます。
最初に、本格復興完遂予算についてお尋ねいたします。ここ数年、同じようなことを聞いておりますけれども。
平成28年度の当初予算は1兆661億円と、平成27年度と比較し451億円の減でありますが、災害廃棄物処理分を除く予算額としては過去最高の規模となった昨年度に次ぐ過去2番目の規模となっております。
昨年も同様の質問をしました。知事は、これまで、それぞれの年の予算の特徴を捉えて、平成24年度は岩手復興元年予算、平成25年度は岩手復興加速予算、平成26年度は本格復興推進予算、昨年度は本格復興邁進予算、そして平成28年度当初予算についても本格復興完遂予算と名づけております。これまでも、それぞれ被災地の状況、復旧、復興のあり方、目指すべき点を踏まえて命名してきたものと思われますが、その違いがよくわからなかったのは私だけではない─私だけかもしれません。
当然のことながら、年ごとに復旧、復興に向けた取り組みを確実に完遂、なし遂げてきたものと思いますが、あえて平成28年度を完遂年、完遂予算とした意味は何でしょうか。何度も議論になっており、重なっているかもしれませんが、県民の皆さんにどのようなメッセージを伝えようとしているのかお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 平成28年度は、第2期の本格復興期間の最終年度として、次の期間につなげる重要な年であり、実施計画に掲げた事業を確実になし遂げるという強い意志を込めて、本年を本格復興完遂年と位置づけたところであります。
また、平成28年度当初予算は、被災地の安全、暮らし、なりわいを支える復興事業を着実に進め、ふるさと岩手の本格復興をやり遂げ、希望郷いわて国体、希望郷いわて大会を成功に導き、ふるさと振興を推進する本格復興完遂予算として編成したところであります。
本格復興をなし遂げるには、これまで以上に県民の皆さんの協力が必要になりますことから、より多くの方々の参画をいただいて、オール岩手の力とさまざまなつながりの力によって一日も早い復興を目指し、全力で取り組んでまいります。
〇嵯峨壱朗委員 完遂という言葉ですけれども、私は余り英語は得意ではないので、知事にあえてお伺いしたいんですけれども、完遂という言葉を英語で訳すとすれば、どういった言葉が適当なんでしょうか。
〇達増知事 大変申しわけないんですけれども、やはりちょっといろいろ英語の用例等を調べた上ではないと、適当な訳語というのは少なくとも今まで用意していなかったところでありまして、この場ではすぐには出てこないものでございます。
〇嵯峨壱朗委員 私も調べてみたんですけれども、よくわかりませんでした。結局、コンプリートとか、フィニッシュとか、アカァンプリィシュとか、ある意味ではクローズとかエンドとか、さまざまな意味合いが想定されるようです。後で、どういう意味合いで理解したらいいかお聞かせ願えればと思います。
完遂ですけれども、私のイメージする完遂というのは、文字通り完遂、辞典的に言うと、知事も答弁で申し上げておりましたけれども、目的を達成すること、なし遂げることです。
この本格復興完遂予算という名称だけ聞きますと、知事がいろいろな場面で説明しておりますアクションプランで想定されている事業を完全になし遂げることにはとらないのではないかと私は思っているんですけれども、その点、どう思われますか。
〇達増知事 本格復興期間の最終年度であります平成28年度が終わる時点では、今、被災地でも最も強く求められていると思われます住宅関係で、災害公営住宅がほとんどの戸数、完成を見るところでありますし、それに伴って、市町村で行っている高台または平地の造成についても、現状に比べて格段に進む予定になっております。
また、県の関係ですと、三つの県立病院のうちの二つが新年度中にオープン、そして、高田病院についても、その翌年度にオープンできるぐらいにまで本格復興期間において進む予定であるということで、これらが完遂、着実になし遂げられることで、岩手における復興というものがかなり大きく前進します。ただ、そのための復興事業の量の確保でありますとか、その間の質の向上というのは、県民みんなで力を合わせないとなかなか容易でもありませんので、そこを県民の総力を挙げて達成していこうという思いを込めて本格復興完遂年、本格復興完遂予算などと言っているところであります。
〇嵯峨壱朗委員 知事の言うところの第2期アクションプランの事業を大方なし遂げることを完遂と言う意味づけ、位置づけですけれども、私は、外から見ると、完遂という言葉を使われると、もう復興は終わったのかな、なし遂げられたのかなととられるのではないかということを危惧するんですけれども、その点はどう思われますか。
〇達増知事 岩手県における復興について、県の計画では、最初の3年間を基盤復興期間と位置づけ、その次の3年間を本格復興期間と位置づける。その本格復興期間の内容としましては、防潮堤等の安全施設に加えて、住宅の、特に災害公営住宅がほぼ全戸完成を見るということや、県立病院がこの3年間でほぼ完成していく。また、高田高校の落成もこの本格復興期間内において行われるというようなことを、今までの間も、県民の皆さんや、また国でありますとか関係の機関、そして関係の市町村ともすり合わせながら進めてきたと思っております。
〇嵯峨壱朗委員 未曽有の出来事ですので、県としても、この間、最大限の努力をしてやってきたということについては敬意を表したいと思っておりますし、県としての計画どおりにいっているということですので、その点については、知事の言うところの本格復興完遂年という位置づけについては、そのこととして理解しました。
先だって、復興庁の昨年12月末での調査のことが報道に出ており、それを見ると、福島県はちょっと比較にならないのかもしれないのですけれども、仮設住宅の入居率は、岩手県が60%に対して宮城県が53%、災害公営住宅の完成率は、宮城県が50%に対して岩手県が48%、例えば農地の再開の状況は、宮城県が88%に対して岩手県が67%、被災した学校等復旧率は、岩手県が85%に対して宮城県が97%と、岩手県が低いものだけ述べましたが、それぞれ被災地の状況に特徴があると思うのですけれども、私は、岩手県のほうがずっと進んでいたんじゃないかなというイメージがあったのです。いろいろな理由があると思いますが、こういったことがあると、先ほど述べられていましたが、第2期アクションプランに対する復興の監視というのではそのとおりかもしれないけれども、被災地の方々からすればそういうふうには感じないのではないかなと思って、今、例として挙げました。
これは復興局長でもいいのですが、もっと進んでいたというイメージがあったのですけれども、こういった原因の理由がわかれば教えてください。
〇中村復興局長 今、委員から御紹介ありました昨年末時点での復興庁での数値は我々も掌握してございます。我々としては、基本的には岩手と宮城はそれほど進捗に大きな差がないと認識してございます。今、委員から御紹介はありませんでしたけれども、例えば漁港の復旧、整備等につきましては岩手のほうが宮城よりも進んでいるという分野もございます。分野分野によって、宮城と岩手のいろいろな地形的な要因、被害の状況、その他の中で若干の差が現時点として出てきているということはございますけれども、我々としては、一日も早い復旧、復興を目指して、今、精いっぱいの努力で頑張っているという状況でございますので、御理解を賜ればと思います。
〇嵯峨壱朗委員 宮城県は平地が多かったとか、岩手県の場合、高台の造成もあるとか、途中から困難な部分が岩手県のほうはふえてきた、そういった話も聞いております。恐らくそういった理由があると思うんですけれども、ぜひ本格復興完遂予算に恥じないような予算執行をして事業展開していただきたいと思います。
次に移ります。
いわて県民計画第3期アクションプランへの幸福に関する指標の導入ということで、これも先ほど高橋元委員からも質問がありましたけれども、ずっと同じ答弁なわけであります。
県では、今年度から4年間について、復興を着実に推進するとともに、ふるさと振興を基本に据え、県民一人一人が希望を持てる希望郷いわての実現に向けて、復興計画と軌を一にし、ふるさと振興総合戦略を包含する第3期アクションプランを策定したところであります。この第3期アクションプランでは、県民の幸福を追求する自治体岩手として、物質的な豊かさに加え、幸福度などの幸福に関する指標の導入の検討を進めているとされて、これはずっと議論されてきたところです。9月の知事演述の中にも幸福度については触れられておりました。
幸福というものは個々人の主観的な価値観によって大きく異なるものであり、政策評価の指標として導入することは相当難しいと思われますけれども、知事自身の考える目指すべき幸福感というものはどういうものかお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 ここ数年の社会科学分野での研究成果によって、幸福を構成する要素等について一定の知見が得られてきており、国際機関や国、地方自治体等における導入や政策評価への活用が進みつつあるという状況の中で試行的に導入することとしているものであります。
幸福感については個人や集団によってさまざまあると考えられますので、特定の幸福感を設定するということではなく、新たな視点としての幸福に関する指標づくりを通じて、県民の皆さんが個人や地域社会のあり方や幸福などについて考えていくきっかけにもできると考えておりまして、そうした議論の中から、県政を進めていくのに参考になるような形で幸福に関する指標等を導入できればと思っております。
〇嵯峨壱朗委員 今後4年後ですか、つくった総合計画があるわけですけれども、知事は、昨年の11月25日に、知事講話─部課長研修ですか、その中で具体的に述べておられました。この総合計画に向けて、私たちは幸福度というものを指標に入れていこうとしています。そして、それは、これから4年間のアクションプランのほうにもある程度反映させていこうとしております。県の組織の中においても、また、岩手県民全体においても、そもそも幸福とは何か、どうすれば幸福になれるか、そういう議論を改めてしていく4年間にもなると。
先だってつくられましたアクションプランにも既に反映させているということですけれども、具体的じゃなくてもいいんですが、どういった形で反映させているかお話しいただければと思います。
〇達増知事 経済的な豊かさだけではなく、岩手ならではの豊かさというような考え方は、既にいわて県民計画でありますとか、第1期、第2期のアクションプランをつくる中でも念頭に入れ、そして、今回の第3期アクションプランでもそういう基本的な考え方の上でやっているわけでありますけれども、今回、試行的に導入というのは、そういった基本的考え方にとどまらず、県民意識調査などにおいてもう少し直接幸福にまつわる質問を行って、いわゆる幸福量であるとか幸福度と言われるようなものの調査のようなこともこの4年間の中でやっていこうという趣旨であります。
〇嵯峨壱朗委員 国連でもやっているし、国でも一定の指標を出しているようですけれども、難しいですよね、確かに。
この幸福とのかかわりで、9月の一般質問でしたか、阿部議員から岩手コモンウェルス構想について質問がありました。その中で、岩手コモンウェルスというものは幸福度を高めると。そして、みんなで幸福になっていくのにふさわしい共同体のあり方というような結論になればと思っていますという説明をされておりましたが、恐らくあるべき岩手の姿として、知事はそういうコモンウェルスというものを意識して言ったんでしょうけれども、もう少しわかりやすく説明していただきたいと思います。
〇達増知事 幸福との関係でいいますと、アメリカ独立のときに、マサチューセッツ、ペンシルベニア、バージニアの3州がコモンウェルスを名乗ったと。それは、独立して、みずからの手でみずからを治めるという共同体としてコモンウェルスを名乗ったと同時に、アメリカ独立革命でありますから、独立宣言にもある、生命、自由、幸福追求の権利を保障するための制度としてそういうものを立ち上げたということで、特に幸福を目指すということが、行政としてそこまで入っていいのかと県職員が迷っているとすれば、むしろデモクラシーの原点として、幸福追求権の保障ということが民主主義の原点にあるんだという意味で、コモンウェルスというあり方や考え方を確認する中で幸福追求の大切さということもわかるだろうというふうに考えてそういう話をしたものであります。
〇嵯峨壱朗委員 このコモンウェルスという言葉は、今、ホッブズのリヴァイアサンの新書が出ていますね。それが最初にコモンウェルスという言葉を使っているのでしょうかね。国という意味でしょうか、共和国でしょうか。そこから始まって、ロックであったりルソーだったり、そしてアメリカの独立戦争までこういった国という概念ができたのかなと思っているのですけれども。
知事は、この説明の中で、私なりの理解ですけれども、今の国と県のあり方、県はプリフェクチャーだと。中央に対する地方の一つの、請負機関じゃないけれども県、州という捉え方。このコモンウェルスという言葉には、独立した、分権した国的なものであるというふうな意味合いを込めているのでしょうか、どうなんでしょう。
〇達増知事 自立と共生の共同体としてこのコモンウェルスという言葉がいいのではないかと考えております。いわゆる地方自治体を呼ぶ際に、県という言葉もプリフェクチャーという言葉も、それぞれ中国やフランスで中央集権のもとでの国の出先のエリアという意味で使われていた言葉ですので、もちろんアメリカの州とか知事みたいに、もとは植民地の領域とか植民地総督の名前で使われていたものが、民主主義の制度の言葉として確立しているのもありますから、今の日本で県と言ってはだめだ、プリフェクチャーと言ってはだめだとは言いませんけれども、ただ、本来のあり方というのを自覚するには、コモンウェルスという言葉をじっくり自分の中で反すうするというのでしょうか、それが自治体をいいものにするのに役に立つと思っております。
〇嵯峨壱朗委員 私もよくわからないので、勉強したいと思います。幸福度、生きていること、生きること。もともとイングランドの時代とか、どうやって自分がそれぞれ生きていくか、生命を守るというのが最大のそのための装置だったのでしょうけれども、いずれ、それはそれとして、これから勉強して、どういったあり方がいいか、また教えていただければと思います。
アクションプランを実現しながら、次の総合計画に向けての幸福度の指標の入り方等、これからもどういうふうに取り組んでいくのか検証していきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
次に、ILCについてお尋ねしたいと思います。
ILC誘致の実現についてですけれども、昨年11月、県立大学の鈴木学長が基礎物理学ブレークスルー賞を受賞したということであります。先だってお祝いがありましたけれども、ILCの誘致実現を目指す本県としては大きな力になるものであり、心より祝福するものでございます。さらには、本年12月にはリニアコライダー国際会議2016年の本県開催も予定されているということで、県内での機運の醸成の拡大は着実に進められると思っております。
しかし、ILC誘致の実現に向けた国民的理解の促進、政府への対応はどうでしょうか。先日の関根議員の一般質問の中でも、政策地域部長の答弁では、今後一、二年が政府の誘致表明に向けて重要な時期となることから、普及啓蒙活動の拡充により国民の関心を高め、政府のILC誘致の決断を促していくということでありましたが、本県のILC誘致実現のために国民的理解をどのように促進していくのか、また、政府へはこれまでどのような働きかけを行ってきたのか、さらに、今後どのような働きかけをしていくつもりなのか知事の考えをお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 本県ではこれまで、岩手県国際リニアコライダー推進協議会や東北ILC推進協議会と連携し、ホームページ、フェイスブック、ユーチューブ、コミック等各種媒体の活用や、復興フォーラム、フォーリン・プレスセンターなど、あらゆる機会を通じて県内外に情報発信しているところであります。
今後も、全国的な会合やイベントを初め、本年12月に盛岡市で開催される国際的な会議も活用して、積極的に普及啓発を行ってまいります。
また、先月の超党派の国会議員で構成される議員連盟の訪米では、東北及び岩手の関係者が行動をともにして、地元の熱意を米国側に伝えることもでき、議員連盟の方々との連携についてもより深まったものと考えております。
これまでも、政府に対しては、県の予算要望や東北ILC推進協議会等関係団体と連携した要望を行ってきたところでありますが、今後は、訪米での状況も踏まえ、ILC受け入れ準備のための新たな東北の体制の整備状況や、本県のみならず、東北の復興や我が国の成長に寄与するプロジェクトの裏づけともなる経済波及効果の試算などの取り組みも示しながら要望してまいります。
〇嵯峨壱朗委員 以前、国会議員の誘致の議員連盟で、ノーベル賞をとった小柴先生を呼んで講演を受けたのだそうです。そこで、被災地出身の国会議員が─岩手だったという話もありますけれども、復興にどうしても必要だと。経済的な発展のためにも必要だというようなことを言ったのだそうです。だから必要だと。そうしたら、冗談じゃないと小柴さんは怒ったのだそうです。そのためにリニアコライダーが来るのではないのだと。経済的な、それは派生的に出ることはもちろん否定しない。私が若干懸念しているのは、誘致された場合の経済効果を測定するとか考えるとか、重要なことでしょうけれども、表でするようなことではないなと思っているのです。その話を最近の報道等を見て思い起こしましたけれども、その点はどのようにお考えですか。
〇達増知事 まず、ILC─国際リニアコライダーが、そもそもこれは科学研究のための施設であって、宇宙の成り立ちでありますとか物質やその運動の本質について明らかにすることで人類全体の視野をより広げていくことが目的であるということは常に大事にしていかなければならないところだと思います。
そういったところも含め、県といたしましても、研究者の皆さんの考え方や判断を大事にしながら、どの程度自治体あるいは地元というものが前に出ていいのか表に出てきていいのかとか、そういったことについてはかなり慎重にやってきたところもありますけれども、今お話ししました経済波及効果の試算についてもというのは、研究者のほうからも、そういったことも示していくことが全体としてILCを推進していくのにいいのではないかということで取り組むこととしたところであります。
〇嵯峨壱朗委員 了解しました。基本というのがあると思いますので、その基本を踏まえた上で、確かに地元からするといろいろな効果があるので、それはそれでどんどん進めていっていいと思うのですけれども、余り表で議論するのはどうかなという懸念があったものでお聞きしました。リニアコライダーについてはこれでいいです。
次に、ものづくり自動車産業振興室の設置についてお尋ねしたいと思います。
これも一般質問等で関根議員初め、議論があったところでありますけれども、新年度に向けて、本格復興の完遂や希望郷いわて国体、希望郷いわて大会の成功、いわて県民計画を推進するための体制強化を図った組織、職員体制の見直しが計画されました。
ちょっと質問の順番がずれたりしましたが、済みません。
その中で、世界的な競争下にあるものづくり産業に係る企業誘致、産業集積、人材育成等の施策を一体的に行うため、ものづくり自動車産業振興課と企業立地推進課を統合し、ものづくり自動車産業振興室を設置するということであります。名は体をあらわしているのでしょうか。この名前からすると、どこに企業誘致、産業集積、人材育成といったものが読み取れるのかなと思っております。読み取れるのでしょうか。
特に企業誘致は自治体間の激しい誘致競争にさらされており、今回の組織改編による組織の名称変更で、岩手県の企業誘致をする意気込みが相手企業に伝わるのか。自動車にしか関心がないのではないかという議論もあったかもしれませんが、そういった懸念があるのではないかと私は思っておりますが、組織改編した意図は何なのか、企業誘致への影響はないのか改めてお尋ねしたいと思います。
〇千葉副知事 ものづくり自動車産業振興室の設置についてでございますけれども、今後、自動車関連産業を初めといたします本県ものづくり産業のさらなる振興を図っていく上では、より競争力の高い産業集積を実現していく必要があるものと考えております。
このため、これまでものづくり自動車産業振興課と企業立地推進課の双方で担ってまいりました企業誘致や、誘致企業のフォローアップ等をより一体的に進めていきますとともに、誘致企業と地場企業の連携、協業や、ものづくり人材の育成に向けた取り組みについても一体的、効果的に推進していく必要があるものと考えたところであります。
こうした考えのもと、新たにものづくり自動車産業振興室を設置しようとするものでございまして、本県が自動車関連産業を初めとしますものづくり産業の振興に注力していることを対外的にしっかりと発信することによりまして、企業誘致分野における競争力もさらに高めていく必要があるものと考えております。
確かに、今、御懸念のお言葉もいただいておりますが、私どもといたしましては、企業誘致からフォローアップ、さらなる地場企業との連携まで、一体的な政策を進めていく上で、今回、部内室を設けていきたいと考えております。
いずれ、企業誘致という言葉が消えることで後退したのではないかというイメージの劣化については、十分配慮して取り組んでまいりたいと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 今、くしくも副知事がイメージの劣化という言葉を使われましたけれども、ものづくり産業振興課ではだめだったのですかね。自動車が入ると、自動車産業は一番大きいですから、何となく、私が東芝だったら、うちは要らないのかなとか思ったりするような気がするのです。そういった検討もしたのですか、どうなのでしょうか。
〇千葉副知事 まず、今回、私ども検討した経過を若干申し上げますと、現在、北海道及び東北各県のうち、企業立地という表記が含まれている県が青森、宮城、福島の3県でございます。含まれていないのが北海道、秋田、山形の3道県となっております。そういうことを御説明した上で産業振興室という名前にしたわけですが、あえて自動車をつけたことにつきましては、私どもの県南をまさにリードしていく産業でありまして、これは我が県としては非常に重要な産業だということで、あえてものづくりの後に自動車をつけるということで、これは、今の課の状況もそうでございますが、そこの考え方を引き継いだというふうに御理解賜りたいと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 企業立地推進課の主な仕事は県南の自動車関連だという話はこの間もしておりましたね。それは実態としてわかるのですけれども、何となく、受ける側からすると岩手県は自動車だけかと、多分そう思うと思うのです。内側的にはいいのでしょうけれども。ですから、それを説明するのに相当なエネルギーが必要なような気が逆にするのですけれども。どうなんだろう、私だけですか。岩手県は車しかやらないのかとか実際に、そんな問い合わせはないですか。
〇千葉副知事 現在のものづくり自動車産業振興課をつくった時点でも、そういうような心配はないのか、誤解はないのかということで、そういう議論もしながら課の名前を決めた経緯もございますが、今まで私が聞いている限りではそのような話は聞いておりません。
ただ、そういうような御懸念というか、企業誘致に関する、繰り返しになりますけれども、後退みたいなイメージは好ましくございませんので、払拭するような情報発信はきちんとさせていただきたいと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 ぜひお願いします。企業誘致からほど遠い沿岸・県北からすると、ますます企業誘致は遠のいたのかなという感覚が否めないなと思っておりますので、ぜひその懸念も払拭いただければと思います。
次に移ります。
農林水産業の振興とTPP対策についてですけれども……(「元気よくお願いします」と呼ぶ者あり)、はい、元気よくいきたいと思います。
次に、農林水産業の振興とTPP対策についてお尋ねいたします。
農林水産業の平成26年統計によると、日本のGDP約487兆円のうち、農林水産業の占める割合は5.7兆円、1.16%であります。人口減少や高齢化の進行、食の多様化など社会環境の変化により、米を初めとした食料の国内消費量も将来に向けますます減少していくものと予想されております。
こうした中で、昨年10月5日にTPP協定交渉が大筋で合意に達しました。これによって、本県では、特にも米、牛肉、豚肉への影響が懸念されているところであります。
国は、TPP関連政策大綱に基づく施策を推進するため、平成27年度補正予算にTPP関連対策として、経営感覚にすぐれた担い手の育成、国際影響力のある産地イノベーションの促進、畜産、酪農収益力強化総合プロジェクト推進などの総額3、122億円を計上しました。それに呼応して、本県では、平成28年度当初予算に畜産競争力強化整備事業費など24億円を、また、平成27年度2月補正予算に経営体育成基盤整備事業費など40億円を計上し、TPP対応を見据えた本県農林水産業の体質強化に取り組んでいくこととしておりますが、今回の国のTPP対応の補正予算をどのように評価しているか。また、今後、本県農林水産業へのTPPの影響を最小限とするために国にどのような分野への対策を求めていくつもりなのか。あわせて、今後の農林水産業の振興をどのように考えているのかお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 国の平成27年度補正予算においては、TPP関連政策大綱の実現に向けた農林水産分野の施策として、農地の大区画化や畜産の収益性向上に向けた対策など3、122億円が計上されており、これまで国に対して要請してきた生産性向上や競争力強化などの対策が一定程度盛り込まれているものと受けとめております。
国においては、本年秋を目途に、農林水産業の成長産業化を一層進めるために必要な戦略等について政策の具体的内容を詰めることとしていますが、本県の基幹作物であります米や畜産等に大きな影響を及ぼすことが懸念されていることや、中山間地域が多い本県の実情を踏まえて、農業者の皆さん等が安心して経営を継続できるような対策を引き続き求めていきたいと思います。
TPP協定など経済のグローバル化の流れがある中、本県の基幹産業である農林水産業は持続的に発展していくことが重要でありますので、意欲と希望を持って生産活動にいそしむことができる強い農林水産業と、農山漁村で生き生きと暮らすことができる活力ある農山漁村を車の両輪としてつくり上げてまいります。
〇嵯峨壱朗委員 恐らく不十分な点は多々あると思うのですけれども、ぜひ国のほうにいろいろな機会を通じて要望していって、いい方向に行くようにお願いしたいと思います。私どもも努力いたします。
次に、IGR問題についてお尋ねしたいと思います。
IGRの社長の醜聞についての投書が県議会に2回ほど、各会派に数回にわたり届いております。知事もこのような投書が届いている事実は承知していると思いますけれども、岩手県が50%を超える株主でありますIGRの取締役会長という立場も踏まえて、この醜聞に係る投書の内容についてどう思っているか所感をお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 昨年10月13日に岩手県議会事務局内岩手県知事という宛先で届いた書簡についての御質問であるとすれば、その書簡については承知しておりますけれども、差出人が明らかではなく、送付された意図についても不明でありますので、届いた書簡について言及することは差し控えさせていただきたいと思います。
なお、その後、担当部署を通じて、IGR社長から、当該書簡と同様の書簡が県内外の関係方面に送られていることから、警察に相談したいという連絡があったという報告を受けたところであります。
〇嵯峨壱朗委員 警察に被害届け出をしたということで、議会のほうにも調査の協力依頼が来たという話を私も聞いておりました。
中身のことはあえて言いませんけれども、誰が出しているのか、相当内部に詳しい人です。岩手県が50%以上の株を持っている、民間企業とはいえ、半官的な会社だと私は思っているのです。この間、総務常任委員会でも実態の調査という形で行ったらしいのですけれども、こういったこと自体、もう少し県としてどうなのかということを、一応確認する必要があるのではないかと思います。その点はいかがでしょうか。
〇達増知事 IGRの経営の問題ということであれば、これは、関係法令はもちろん、社内規程に従って適切に執行されていると考えておりまして、会社の監査役や外部監査法人による監査においても不適切な点はないと確認されているところであり、IGRは適切に経営されているものと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 適切に経営されているという認識、私は、経営についてどうこうということではなかったのですけれども、当該投書のあった社長というのは岩手県の元職員なわけであります。そして、大雪りばぁねっとのとき、当時の沿岸広域振興局副局長という形で、議会に参考人でも来ていただいている方でした。そういった意味でいうと、話題性のある人だなと思っているのです。ですから、経営はもちろん問題ないのかもしれないのですけれども、こういう投書が来ていますよ、どうなんだということで、違った意味で確認するべきじゃないのか。それで何ともないのであればそれでいいと思うのです。これは副知事にお尋ねしたいと思いますけれども、どうでしょうか。
〇千葉副知事 10月の投書の内容につきましては、多方面にわたっているということで県も把握しておりました。IGRに県の派遣職員も行っておりますので、その職員を通じてその有無等について一応内部的には確認をしたところでございます。その時点では、この内容について、新たな問題点は特に把握していない状況でございます。
〇嵯峨壱朗委員 県として確認した結果、問題はないという認識であるということですね。これからまだいろいろな情報が出てくるのか、それが正しいかどうかは別の問題として、これからまたいろいろな形で継続的に調査していきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
飛びますけれども、とりあえず最後の質問に行きます。
知事の政治姿勢についてお尋ねしたいと思います。
知事は、先日の一般質問で、安全保障関連法について、安保関連法は廃止が適当と考えると述べる一方で、昨年の知事選については、県内のさまざまな団体、政党、個人など多くの方々に推薦、支持をいただき、県民党的な力の結集ができたと考えている。この力の結集は、岩手を守り、日本を変える大きな可能性を有していると思うと述べられておりました。
そこで、廃止が適当と考える理由の中で、安全保障をめぐる国際環境の変化が言われているが、日本を取り巻く安全保障環境については、安保関連法のようなものが必要になる状況ではないと考えると述べておりました。
そこでお尋ねしたいと思いますけれども、今のも後で聞きますけれども、知事の言うところの県民党的な力の結集が、岩手を守り、日本を変えるということはどういう意味なのかお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 県民党的な力の結集が、岩手を守り、日本を変えるというのはどういう意味かということについては、岩手の大多数を占めるような県民の思いや行動というものが形になっていくとき、岩手県民の今までの歴史や今の県民性からして、それは、岩手をさまざまな困難から守り、そして、日本をいいように変えていく、そういう力になるであろうという意味で申しております。
〇嵯峨壱朗委員 これは選挙のときの話なのでしょぅが、岩手を守るというのは、困難という言葉を使いましたけれども、何から守るのか。その困難というのはどういう意味で、そして、その困難から守るということで日本をどのように変えていくのか、そういうお考えをお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 今は、まず、東日本大震災津波という、あの震災による危機から復興という事業を通じて岩手を守る。また、全国的な人口減少問題の中で、それが地方消滅、ひいては日本消滅にならないように岩手でふるさとを守っていくということでありますし、それぞれ復興、そしてふるさと振興ということにきちんと向き合っていく中で、今の日本全体が失ってしまおうとしている、人間にとって大事な価値でありますとか、それを実現するための制度や運用といったものが岩手から生まれ、全国にも広まって日本全体をよくしていくことが期待できるのではないかということであります。
〇嵯峨壱朗委員 これに関連して、先ほど説明しましたけれども、安保関連法が必要な状況ではないということでしたが、必要な状況とは、知事が考えるのはどのような状況だと思えばいいのでしょうか。
〇達増知事 私は必要な状況にはないと言っているところであります。裏を返しますと、政府の閣議決定に始まり、また、法案提出、可決に至る過程で、国際環境の変化として、中国の問題、北朝鮮の問題、テロの問題の三つが基本的に挙げられていたと思います。中国との、基本的には尖閣諸島をめぐる問題だと思いますが、今、日本と中国の間で軍事的な対立にはしないように、警察的な対応にとどめている中で、日米安全保障体制の強化といったような軍事的手段でやるようなことではないと考えておりますし、北朝鮮問題については、6カ国協議という外交的な枠組みの中で、また国連も舞台にしながら国際社会で取り組んでいる中、日米安保体制を強化ということを突出させることは的外れと考えておりますし、また、テロとの関係についても、これも日米安保体制を強化する中で、日本が世界のどこにでも行けるような対応にするというのは、アメリカの湾岸戦争での対応が、国連決議にきちっと従って、有志連合というようなことをせずに、きちんと国連の枠組みでやってああいった展開をしたのに対し、イラク戦争では、有志連合という国連の枠組みを離れた集団的自衛権の論理で介入した結果、イラク戦争が泥沼化してそこからISISも出てきたということからいいますと、日米安保体制の強化でそれに対応するというのはやはりおかしいと、そういうふうに考えております。
〇嵯峨壱朗委員 私も戦争反対です。今言うとおり、国際的な関係を良好に保つための努力を政府には安倍総理を初めきっちりとやってもらいたい、そう思っております。
知事の認識からすると、今の時点ではさまざまな脅威はないわけではないけれども、こういう形で対応するほどには至っていないと。どういう状態になったらというのは、それはまた確かに難しい話かもしれないのですけれども、現時点では必要はないのだというふうに捉えていいですか。
〇達増知事 現在必要なのは、海上保安庁を中心とする警察的な対応と、それを軍事問題にエスカレートさせない対中国との外交と。北朝鮮問題については、国連を中心とした外交。そして、テロ問題についても、これも国連を中心とした、国連憲章のもとでの集団安全保障の考え方に従って対応することが必要な段階にあると思います。
〇嵯峨壱朗委員 次に移ります。
水産業ですけれども、アワビの資源造成ということで、もうサケとかいろいろな議論がなされているので、これも岩手県で担い手育成ビジョンをつくる段階で調査したのでしょう。漁業就業者は、1988年度には1万8、385人だったのが2008年には9、948人までほぼ半減して、2018年には4、607人まで減る見込みだと言われております。そうした中で、これは震災の影響もあると思うのですけれども、高齢化も含めて減っているのは事実です。そのためにも、少しでもつくり育てる漁業というものに力を入れていくべきだと思っております。
サケの稚魚の放流については計画どおり行われてきているということでありますが、アワビというのは、直接漁家が収入を得られる重要な魚種なんです。サケはどうしても定置とかそういった組織になりますので、そういった中でいうと、アワビというものは非常に重要な魚種だと思っているのです。
しかも資源回復には3年、5年かかるので、このアワビの放流の状況及び漁獲の状況、さらには、震災から5年経過して国の支援等も見直されつつあるのではないかと思うのですが、そういったことに対してどのように来年対応していくのか、県の対応もあわせてお伺いしたいと思います。
〇千葉副知事 委員御案内のとおり、本県のアワビは全国1位の漁獲量を誇っておりまして、本県水産業の重要な漁獲対象でございますが、東日本大震災津波によりまして大きな被害を受けまして、現在、復旧が進められてきたところでございます。
平成25年度には県内全てのアワビ種苗生産施設の整備が完了いたしまして、順次種苗放流が再開され、平成27年度には、復興計画に掲げております890万個のアワビ種苗が放流されたところでございます。
また、平成27年度のアワビの漁獲量は、震災後の種苗放流数の減少などにより震災前の85%にとどまる約292トンとなりましたが、漁獲金額は、単価の上昇に支えられまして、震災前の126%となる約29億円と現在なっているところでございます。
いずれ、県といたしましては、積極的な種苗放流や適切な漁場管理を促進しますとともに、漁場の特性に応じた漁獲の指導等に取り組んでいきたいと考えているところでございます。
〇達増知事 今後のアワビの種苗放流についてでありますが、本県の沿岸域は岩礁域の続く海岸線を持つ特徴があり、これまで、アワビ、ウニ等の磯根資源を対象とした栽培漁業が進められておりまして、特にアワビは、価格も高く、漁業者の直接の収入源となる漁業対象種でありますので、各地で積極的な種苗放流や漁場管理等による資源の造成が行われてまいりました。
震災後、県では、アワビの早期の資源回復に向けて、漁協が行う種苗の生産や購入、放流に係る経費に対して、国の事業を活用して支援してまいりました。今後も、県では漁協が行う種苗放流への支援が必要と考えておりまして、平成28年度当初予算案に種苗放流経費の支援策を盛り込んだところであり、平成29年度以降についても、引き続き国に対して支援の継続を強く働きかけ、アワビの資源造成に取り組んでまいります。
〇嵯峨壱朗委員 震災からまだ復旧途上、そして、しけ等でこの間も相当の被害を受けていますので、ぜひ、できる限りですけれども、支援をいただければと思います。
最後になりますけれども、児童虐待の対応についてであります。
私があえて言うまでもないことですけれども、新聞、テレビ等で常に悲惨な状況が伝えられております。全国的に見ますと、児童相談所における児童虐待の対応件数は年々増加している状況にあります。平成26年度には8万9、000件で、過去最高となっております。児童虐待は、この間の教育長の話じゃないですけれども、大人のいじめをなくさなければならないという話がありましたけれども、全く私もそう思います。
そのいじめ、虐待の状況、現状と取り組み状況について、本県における状況をお示しいただければと思います。
〇千葉副知事 児童虐待の現状と取り組み状況についてでございますが、平成26年度の県全体の児童虐待対応件数は844件でありまして、前年度─平成25年度に比較いたしまして1件の減ということで、おおむね横ばいの状況にございます。
また、平成26年度の児童虐待対応件数を虐待種別で見ますと、身体的虐待が304件で約36%、心理的虐待が277件で32.8%などとなっているところでございます。
県といたしましては、これまでも、児童虐待防止アクションプランを策定いたしまして、児童虐待防止に向けた啓発活動、あるいは保育所職員等を対象とした研修会を実施してきましたほか、市町村における要保護児童対策地域協議会に児童相談所の職員が参画するなど、運営支援等にも取り組んできたところでございます。
また、今年度におきましては、この児童虐待防止アクションプランの改定に取り組んでおりますほか、新たに、市町村要保護児童対策地域協議会の活性化を図るため運営実務マニュアルを策定したところであり、今後とも、市町村等と緊密な連携を図りながら、児童虐待防止アクションプランに基づく総合的な取り組みを推進していきたいと考えているところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 先だって、一関の児童相談所を訪れる機会がございました。一関の児童相談所は昭和55年に建てられた建物ということで、相当老朽化していました。また、盛岡にある福祉総合相談センターは昭和48年ですか、いろいろと老朽化が進んでいるようでございます。一方、児童虐待は恐らく増加していると思うのです。年々一時保護の児童数がふえている状況にあると思うのですが、県内の児童相談所の一時保護の現状はどうなっているのかお尋ねしたいと思います。
〇千葉副知事 児童相談所の一時保護所の現状についてでございますけれども、福祉総合相談センター及び各児童相談所に設置されております一時保護所における平成26年度の入所児童数は実人員で252人、保護した延べ日数は5、432日となっておりまして、前年度─平成25年度に比べると、実人員で1人、延べ日数で178日増加しているところでございます。
一時保護所につきましては、ただいま委員から御指摘もございましたが、建設から非常に長い年月が経過しておりまして、老朽化や、あるいは一時保護児童の増加等に伴う狭隘化が進んできている現状にございます。これまでも必要に応じて教室の修繕等を行うなど、施設、設備の整備を図ってきたところでございますが、今、御指摘のような状況にあることも事実でございます。
いずれ、児童に一定期間生活の場を提供する機能を有する一時保護所につきましては、今後においても、保護した児童が安心して、できるだけ快適な生活を送ることができるよう、引き続き環境の整備に努めてまいりたいと考えているところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 実際に現場を見ると、本当にこれで預かれるのかなと思うような状況、狭さもあるし古さもあるのですけれども、恐らくもっと役割が大きくなっていくと思うのです。児童虐待もふえていく傾向にあるわけですし、今までとは違った重要な役割を果たしていくのではないかと思うので、もちろんお金がかかることですから大変かもしれませんけれども、子育ても含めて子供を大事するんだといった面からいっても、ぜひ重点的、計画的に手をかけていっていただきたいと思います。
次に、児童相談員の人員体制についてですが、建物も古いのですけれども、人も少ないですね。政府は、平成28年度から児童福祉司を大幅にふやす方針を決めました。大幅かどうかちょっと疑問なところもありますけれども、一応そう言っています。人件費に使える地方交付税をふやし、地方自治体に対して増員を促していくと報道されておりました。
私は、児童虐待防止の推進に当たっては、児童相談所の果たすべき役割は先ほど述べたように極めて重要であるし、重要になってくると思います。その重要な役割を果たしていくためにも、相応の対応が必要であり、その中心となるのは児童福祉司でございます。これまでの本県の児童相談所の人員体制の強化はどうなっているのか。また、改めてですけれども、新年度における人員体制についてもお尋ねしたいと思います。
〇千葉副知事 児童相談所の人員体制の強化についてでございますが、県内3カ所の児童相談所におきましては、地区別の担当制に加えまして、虐待別に専門的、機動的に対応できる虐待対応専門チームを整備いたしまして、虐待相談や児童の安全確認、保護者対応等の一連の対応を進めております。
また、相談件数の増加や相談内容の複雑化、多様化に対応するため、今お話ございました児童福祉司につきましては、虐待通告時の児童の安全確認の義務化など、虐待対応の強化が図られました平成19年度から順次増員を図っておりまして、平成27年度は28人の体制となっております。
来年度─平成28年度におきましては、さらにきめ細やかな支援を要する困難事例に対応していくため、児童福祉司を2名増員し、さらなる体制の強化を図っていくこととしております。
〇嵯峨壱朗委員 ぜひしっかりと、できる限りでしょうけれども、対応していっていただきたいと思います。
るる質問してまいりましたけれども、アクションプランの4年間の最初の年ということです。ぜひ実行していただきたい。先ほど医師の話がありましたが、養成医師を沿岸部にも派遣していただいて大変感謝しております。ただ、沿岸部は医師が現状でも少ないので、余り経験のないお医者さんが来て、指導する体制が十分かというと、指導できない場合もあるという話も聞きました。そうすると現場の診療とかにも影響してくるという話も聞き、結構いろいろな複雑な問題があるのだなと思っておりますので、いろいろなところに配慮してアクションプランを実行していただければと思います。
私の質問はこれで終わらせていただいて、残余は福井せいじ委員にお任せしたいと思います。
〇高橋但馬委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
午後2時55分 休 憩
午後3時12分 再開
〇高橋但馬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。次に、福井せいじ委員。
〔福井せいじ委員質問者席に着く〕
〇福井せいじ委員 それでは、まず初めに県財政についてお聞きいたします。
一つ目の質問として、平成28年度予算編成方針について伺います。
本県の財政は、県債償還が高い水準で続く中、社会保障関係費の増加、また、希望郷いわて国体、いわて大会の開催なども控え、さまざまな必要経費も生じています。
平成28年度の復興事業以外の通常分の予算は総額約6、650億円であり、そうした中で予算編成にどのような方針で臨んでいるのか、近年の動向も踏まえ、お聞かせいただきたいと思います。
特に、人口減少問題対策を初めとしたふるさと振興も強力に推進していく必要があります。それゆえに、岩手で暮らす魅力を高めるための公共事業や政策推進費の確保も重要であると考えますが、知事は、その確保についてもどのような考えで予算編成に取り組んでいるのか、あわせてお聞かせください。
〇達増知事 平成28年度当初予算は、東日本大震災津波からの復興事業を着実に進め、ふるさと岩手の本格復興をなし遂げ、いわて国体、いわて大会の成功に取り組むとともに、ふるさと振興等を推進する予算として編成しました。
本県財政は、公債費が依然として高い水準で推移していることなど厳しい財政状況にあり、近年は、震災分以外の通常分の予算については、地方財政対策の動向を踏まえながら、毎年度、政策的経費の一部にシーリングを設定し、ゼロベースでの事業の必要性と優先度を見きわめ、重点化を図ってきたところであります。
引き続き、国庫補助金や各種交付金を最大限に活用するとともに、限られた財源の有効活用に努めるなど、創意と工夫によって必要な事業への予算の重点化を図ってまいります。
〇福井せいじ委員 今、シーリングの件もお話しされましたが、政策推進費で、私が調べたところによりますと、震災以降はずっとマイナスシーリングを続けております。そしてまた、公共事業においては、特に平成24年度が0.8のシーリング、それ以降はずっと0.9というシーリングになっておりまして、それ以前の予算規模と比べますと、60%近い予算規模になっていると思われます。
こういったシーリングを続けてきて、減額予算の中で県民への暮らしの影響というのはどのようになっているのか。私は、これは非常に厳しい状況になっていると感じておりますが、知事はどのように感じておられるか、所見をお伺いいたしたいと思います。
〇達増知事 近年の傾向といたしましては、県民所得については、1人当たり県民所得が増大傾向にあって、国の平均、つまり国民所得との差は縮んできているところではありますけれども、去年、おととしあたりになってきて、人口流出の増大にも見られるように、地方経済の相対的悪化ということがこの岩手にも起きてきていると思います。
そういう背景に鑑みても、国の財政政策から、特に地方財政計画から離れて、地方で単独で例えば県債をふやして、その借金で公共事業をふやすみたいなことは非現実的と考えているところでありますが、まず、与えられた環境の中では、去年、おととし以前は、県民所得と国民所得との乖離の改善ということが着実になし遂げられてきたところでありますし、去年、おととしについても、県民の皆さんが頑張って踏みとどまっていらっしゃると思っております。
〇福井せいじ委員 私は今、踏み込んだ質問をさせていただいたのですが、県民所得、その中での雇用者報酬とか、数字的には確かに乖離が縮小しているとは思うのですけれども、県民所得というのは企業や法人の所得も含まれているわけであります。そういった中で、さっき言った公共事業費の削減や政策推進費の削減というのは、私は、県民の暮らしに直接影響を与えているのではないかと。暮らしが非常に厳しくなってくる、狭められていく、そういった傾向にはないのかということをお聞きしたいのですけれども、いかがでしょうか。
〇達増知事 県民所得の増大傾向の中で、賃金水準については横ばい状態であって改善を見ていないところでありますので、そのような県民一人一人の生活実感からすると、ちょっときついのではないかという趣旨の御指摘は、そのとおりだと思います。
リーマンショック直後に、まさにこれは麻生内閣も、鳩山内閣も、基本的に両方同じ方針で、地方の景気を支えるということで経済対策を行いましたが、例えば公会堂の2階を改装して、あそこでローカル結婚式をやれるようにしたのもそのころの予算を使ってなのですが、そのような経済効果もあり、かつ地方創生効果もあるような公共事業というのはあるわけです。リーマンショック直後、まさにそのような国の方針もあって、それは、そのころ、県からの人口流出も少なくなるという顕著な効果もありましたので、今、やはりリーマンショック直後の状況を克服したような類の経済財政政策を地方にしていかなければならないのではないかということは、国に強く言っていかなければならないと思います。
〇福井せいじ委員 そのようなこともぜひやっていただきたいし、先ほど、知事の答弁の中でありましたように、外部資金をいかにうまく活用していくか。我々の地域、県は財政的には非常に厳しいわけでありますから、ぜひとも国の外部資金等をうまく活用していくことをお願いしたいと思います。
次に移りますが、先ほどからちょっと話が出ていましたが、県債償還についてと、これも同じような意図になるかもしれませんが、財政の弾力性の創出の見通しについてお聞きいたします。
県債償還が県財政を圧迫しております。現在は、一般行政経費や基礎的経費などの必要経費を確保すると、新たな事業を行う場合の予算確保はままならない状況にあると考えます。
先ほども話しましたが、今まさに若者や女性が活躍し、魅力あるふるさと岩手を創造し、社会減にストップをかけ、さらに出生率を上げるための子育て支援などさまざまなソフト事業に取り組むべきであると考えますが、知事は、今後の県債償還と県財政における弾力性の創出の見通しについてどのようにお考えか、お聞かせください。
同時に、従来の事業に関し、その効率や効果を上げるためにどのような取り組みをなさっているのかもお聞かせいただきたいと思います。
〇達増知事 本県におきましては、過去の公共事業のために発行した県債の償還が高水準で推移しておりまして、平成25年度に公債費負担適正化計画を策定して、公債費の適正管理に努めているところであります。
公債費のピークは平成26年度であり、今後は減少傾向で推移する見込みですが、一方で、社会保障関係費の増加等により今後も厳しい財政状況が続くと見込まれますので、引き続き、選択と集中による財源の有効活用によって政策的経費を確保していく必要があります。
また、事業効率や効果を上げるための取り組みとして、投資的経費や補助金、負担金等の歳出事業について、毎年度、公共事業評価や事務事業評価を実施して、この結果を踏まえて予算編成過程において見直しを行い、当初予算に反映しています。
今後も、マネジメントサイクルを確実に機能させて、いわて県民計画と財政健全化を着実に推進してまいります。
〇福井せいじ委員 限られた財源の中で、さまざまな暮らしの改善とか、今、人口減少に取り組まなければいけない。そういった意味では、知事のおっしゃられるソフトパワーの活用というのは非常に大事だと思います。ぜひとも工夫を重ねて、そういった方面にお金を向けられるような知恵を使っていただきたいと思います。
次に、これもまた、いかにお金をためていくかというお話でありますが、税源涵養の取り組みについてお聞きします。
今、財政の弾力性の創出は、歳出の工夫、歳入の増加にあると考えます。
そこで伺いますが、歳入の増加に関して言えば、自主財源の確保が必須です。そのためには税収の確保が重要であると思いますが、財政が逼迫している中で、例えばこれまで以上に産業振興施策に重点投資するなど、知事はいかにこの税源涵養に取り組んでいくか、そのお考えをお聞かせください。
〇達増知事 県民税や事業税は県税の大宗を占める重要な財源でありまして、産業振興によって法人所得等の向上を図り税源を確保していくことは、今後も岩手県が地方主導のふるさと振興を進めていく上で重要と考えます。
総合戦略におきましても、ふるさと振興の三つの柱の一つに岩手で働くを掲げて、商工業、観光産業の振興や農林水産業の振興を総合的に推進することとしています。
自動車関連産業を初めとしたものづくり産業や食産業、伝統産業など、雇用の創出につながる産業の振興に加えて、水産加工業等へのカイゼン手法の導入によって労働生産性を上げるなど、法人所得や個人所得の向上につながる取り組みを進めてまいります。
〇福井せいじ委員 今、答弁の中にもありましたけれども、一つ整理したいのは、県民所得の増加というのが、私も調べましたが、県税収入総額に非常に密接に関連しているわけであります。その中で、知事がおっしゃったように法人税を上げていく、あるいはその中から県民税も上がっていく、そういった正のスパイラルをつくっていくことも必要であると私は考えております。
一方で、県内総生産、GDP、県民所得を上げるために産業別の県内総生産額をいかにして上げていくかという、先ほど、商工業や農林水産業という言葉が出ましたが、ここに、第1次産業、第2次産業、第3次産業の産業種別ごとの生産増の目標というものもそれぞれ決めるべきではないかと私は思うのでありますが、知事はどうお考えでしょうか。
〇達増知事 基本的に、産業別に生産量といいますか、所得といいますか、その向上を図っていくような施策が求められていると思います。
一方、県は、地方自治法に定める地方公共団体の目的として、住民の福祉の向上というところがありますので、雇用の安定でありますとか、直接的な生産量や所得額の向上、拡大以外の政策目標もさまざまございますので、そういった総合的な中で毎年度の予算を決めているというところでありますけれども、その中で、委員御指摘の産業力の強化ということについては、一つ意を用いるべきところだと思います。
〇福井せいじ委員 いろいろな産業政策というものはあって、政策の成果とか結果というのはなかなか見ることはできないのでありますけれども、今、県としては、経済指標データとして県内総生産、これは平成25年度ですけれども、4兆5、162億円という県内の名目総生産がありまして、それぞれ第1次産業、第2次産業、第3次産業の結果が出ているわけであります。そういった意味では、それぞれの産業種別ごとの生産額の目標金額というものを定めて、それにチャレンジする、これも一つ税源涵養の考え方ではないかと思いますし、そしてまた、これが政策担当者のモチベーションにつながると思いますので、ぜひ、そういった視点も取り入れていただければと思います。
次に、県民所得の全国平均との乖離の縮小への取り組みについてであります。
これまで、そして今後も県当局が取り組んでいくふるさと振興総合戦略、幸福度指標の導入、さらには財政問題とさまざまな点で関連することですが、知事は、マニフェストで県民所得の低迷を岩手の四つの危機の一つに掲げました。そして、知事は、アクションプランで県民所得の全国平均との乖離の縮小を掲げております。
私自身も、議員になった理由の一つは、まさに知事の掲げるマニフェスト、アクションプランと同様の県民の所得を全国平均と同等にするということでした。しかし、このテーマについて考えてみると、震災以降は、震災特需もあり、徐々に全国平均に近づいてきたものの、県内の実態経済を見ると、多くの業種で依然として業績は上がらず、多くの県民の所得は増加していないのが現状です。
県民所得の増加を図るには、県内事業者の99.8%を占める中小・零細企業の業績を上げるため経営者の資質向上を図ること、さらに、サービス業を中心とする人手のかかる職種の生産性を向上させていかなければならないと私は考えます。
ここで伺いますが、知事のマニフェストを踏まえ、アクションプランに掲げた県民所得の全国平均との乖離の縮小について、いかなる取り組みで乖離を縮小なさるのかをお聞かせください。
〇達増知事 県民所得水準は、復興需要を初め自動車関連産業などの集積や観光業、農林水産業の振興によって向上してきており、引き続き、足腰の強いものづくり産業の振興や地域資源を生かした6次産業化の取り組みなどを推進してまいります。また、さらなる県民所得の向上に向けては、従来からの産業振興施策に加えて、県民の約9割が働く中小企業の所得を向上し、賃金の向上へとつなげていく取り組みが重要と考えます。
こうしたことから、第3期アクションプランにおいても中小企業者の経営力の向上や経営革新計画の策定、実施までの一貫した支援、カイゼンを初めとした労働生産性向上の取り組みの普及などを施策に盛り込んだところであります。
産業振興や労働生産性の向上、さらには、ILCの実現や海洋エネルギー研究拠点の構築、各種産業人材の育成、次世代科学技術イノベーションの創出など、中長期の取り組みもあわせて県民所得の向上につなげてまいります。
〇福井せいじ委員 実は、先ほど産業種別の生産額の話をしましたが、県内の総生産額が4兆5、000億円です。そのうち第3次産業というのは3兆1、900億円で、実に54.4%を占めております。
私は、農林水産業も岩手県の中心的な基軸ではあると思います。そしてまた、ものづくりも大切であると思いますが、この第3次産業がまさに54%を担っている、こういったこともぜひ忘れないでいただきたい。
そしてまた、中小・零細企業というのはこの第3次産業に多いわけです。ここで第3次産業が生産性をいかに向上するか、付加価値を高めていくかが、これからの岩手県の生産額をいかにふやすかという鍵を握っていると思います。ぜひとも、そういった意味も踏まえて、第3次産業の総生産額をアップする政策にも取り組んでいただきたいと思っております。
ちょっと順番を変えて質問をしていきます。
地域経済の振興について企画理事にお聞きします。
税源涵養の中で重要なことは、地域に存在する企業の業績を上げ、ひいては法人地方税の税収を上げることにもあります。私は、そのためにも地域内経済循環を促進すること、そして、県外から外貨をいかに稼ぐかだと考えております。
昨年からいわてまるごと売込み推進本部を設置し、県産品の販路拡大や観光振興、定住・交流促進、企業誘致促進など、お金や人を岩手に流入させることに力を入れていますが、これまでの取り組みと成果をお聞かせください。
〇齋藤企画理事 近年、復興の進展に伴いまして、県内の道路、港湾、空港などの整備が着実に進展し、今月末の北海道新幹線の開業が迫るなど、交通インフラの飛躍的な向上が視野に入ってまいりました。
一方、平泉の世界遺産登録5周年や希望郷いわて国体、希望郷いわて大会、さらにはラグビーワールドカップや東京オリンピックなど、イベントの開催が見込まれ、誘客はもとより県産品など岩手を売り込む好機が増大してきている、そういう状況であると捉えております。
このことから、各部局の施策の相乗効果がこれまで以上発揮されるよう、本県の対外的売り込み活動に係る施策情報を共有しながら、部局横断的な取り組みを戦略的、総合的に推進していくため、昨年4月に、副知事を本部長とし、関係部局長で構成するいわてまるごと売込み推進本部を設置いたしました。
まず、本県の各種プロモーションでは、部局ごとにキャッチコピー等が存在していたことから、県外広報で使用してまいりました「黄金の國、いわて。」を対外的売り込み活動における統一イメージとして選定いたしました。これをモチーフに、つい最近でございますが、いわてまるごと売込み隊のユニホームを作製いたしまして、今後、各種プロモーションで活用していくこととしております。
一方、対外的売り込み活動では、例えば今年度作成した県産品のPR動画サイト、cafeイーハトーブでは、本県の漆器などとともに水産物や県産米など食材も紹介しております。また、台湾のイベントにおきまして、世界遺産平泉などの観光地の紹介とともに南部鉄器等の展示、地酒や県産米のPRを行うなど、各部局が連携しながら、統一したイメージやコンセプトのもと、岩手の魅力をまるごと売り込んでいるところであります。
〇福井せいじ委員 今までの実績というか、取り組み成果をお聞きしたのでありますが、私はまたここでこだわるのですけれども、例えばいわてまるごと売込み推進本部がどれぐらいの外貨を稼いだとか、あるいはどれぐらいの売り上げの実績を立てたとか、そういった視点で、今取り組んでいる事業、内容については考えたことはないのかということなのであります。いわてまるごと売込み推進本部というもの、あるいは推進隊というものをつくっていますよね。その方々が県外に行ってどれだけのものを稼いでくるのか、これを、ぜひそういった視点で考えていただきたいのですが、いかがでしょうか。
〇齋藤企画理事 分野別に細かく申しますと、いわてまるごと売込み推進隊の守備範囲というか、受け持っているところは、県産品とか1次産品といったものの売り込みのほかに、例えば企業誘致であるとかポートセールス、台湾定期便の新しい開設を、経済効果としてまとめてするには大変つらい部分がございますが、それは個別の部局の政策目標の中にはね返して、この部分は頑張ったということでお示しできると思っております。
また、もともとこのいわてまるごと売込み推進隊の趣旨は、各部局がそれぞれ縦割りで取り組んできたもののロスを減らして、効率的、そしてより効果的にやろうという、ちょっとカイゼンの精神にも近い部分がございまして、そういったところでもっと効率的に取り組んでいきたいと考えております。
〇福井せいじ委員 くどいようなんですけれども、先ほどの嵯峨委員のILCの問題では、経済効果というものにこだわるよりは、もっと大事なものがあるという話もあったんですが、私は、ここで、いわてまるごと売込み推進本部というのであれば、ぜひとも売り込みにこだわっていただきたい。そして、各部局にそれぞれ売り込んだ実績があるのであれば、いわてまるごと売込み推進本部として、それを集約して一つの大きな目標にして、そこに目がけて目標を設定して取り組んでいただければ、私は、もっと効果が上がるのではないかと思いますし、齋藤副本部長のモチベーションも上がるのではないかと思います。そういう視点からぜひお考えいただきたいのですけれども、再度お聞きしますが、いかがでしょうか。
〇齋藤企画理事 叱咤激励ありがとうございます。
いずれ、全くおっしゃるとおりでございまして、私どもも、1円でも多く、とにかく岩手の外貨を稼ぎたい。復興が進む一方で、真の復興を果たすためには、やはり外貨を稼いで岩手自身が自立的に経済サイクルを回せるような力をつけていくことだと存じております。そのためにも、ぜひ、今の御趣旨のようなことを踏まえまして頑張ってまいりたいと思います。
〇福井せいじ委員 私も、3年前、東京の商談会にお邪魔しました。そしてまた、先々月ですか、福岡の商談会にお邪魔しましたが、非常に出展者の意気込みは違っていると思っています。商品企画から始まって、販路開拓あるいは販売企画から非常に違っているなと僕は思いました。例えば、オキアミ、イサダを今まで廃棄していたものを、それをふりかけにして売っていく、そういった方々もいましたし、あるいはTPPに備えて、外に売るということではなく、国内でもっと市場を広げようとして、工夫して自分で商品開発をしているとか、さまざまな工夫をして外貨を稼ぐというか、自分自身の商売を何とかしようという、それが非常に感じられたわけでありまして、ぜひとも、今後、齋藤副本部長にもそういった思いを持って取り組んでいただきたいと思います。
また、南部鉄器の話も出ましたが、南部鉄器も、デザイン開発とか、用途変更とかも外国人のアイデアだということでありました。これから岩手の伝統工芸品、漆器とかあるいは岩谷堂箪笥とか、そういったものも今の暮らしに合わせたものに適合するようなアイデアをもって売り込みに取り組んでいただきたいと思っております。
最後に、達増知事の御所見を伺って、質問を終わりたいと思います。
〇達増知事 分野横断的にいわてまるごと売込み推進隊という形で進めるようにして、例えば立地企業の本社で岩手の物産展をやってもらうとか、海外においても、ともすれば空港、観光、物産がばらばらになる危険性があったものが、非常に統合的に行われるようになったというようなところが顕著に見えてきていると思いますので、そういったことの結果を数字で見ていくということも大事だと思いますので、工夫したいと思います。
〇福井せいじ委員 終わります。
〇高橋但馬委員長 次に、工藤勝博委員。
〔工藤勝博委員質問者席に着く〕
〇工藤勝博委員 いわて県民クラブの工藤勝博でございます。前段は私のほうから、後段は飯澤委員から御質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いします。
まず最初に、先だって行われました冬季大会の成果と本大会に向けての準備状況についてお伺いいたします。
2巡目の国体、岩手県では初めてとなる完全国体の冬季大会が終了いたしました。第1幕のスケート、アイスホッケー競技会では数多くの入賞を果たし、総合順位も8位と順調なスタートでありました。また、2月20日からの第2幕、スキー競技会では、期待されたエースを欠きながらも、三ケ田泰良君、永井兄弟を初めチーム岩手の大活躍で、目標としていた冬季大会男女総合5位以内を上回る4位で本大会を迎えることができました。スキー競技会では、雪不足そしてまた悪天候にも見舞われ、万全のコンディションではありませんでしたが、陸上自衛隊岩手駐屯地、大会関係者の御尽力で大成功の大会であったと私は確信しております。
そこでお伺いいたします。冬季大会を終えての成果と課題をどう捉えているのでしょうか、知事の御見解をお伺いいたします。
〇達増知事 冬季大会は約3、500名の選手団を全国から迎えて開催され、多くの県民の力強い応援に後押しされた岩手県勢の目覚ましい活躍は、県民に感動と希望をもたらしてくれたと思います。
競技会場では、小中学生から高齢者までさまざまな年代の方々が声援を送り、また、足湯や雪だるま等の雪像など、地域の特色を生かした創意工夫あふれる歓迎や、県産食材をふんだんに使った豚汁やひっつみのお振る舞いなど、岩手ならではの温かなおもてなしもあり、大いに盛り上がりました。
一方、競技運営面では、悪天候や設備の一部破損などにより、やむを得ず競技スケジュールや競技会場を変更せざるを得ない事態も生じましたが、施設スタッフはもちろん、競技役員、自衛隊といった関係者全員が力を合わせて懸命かつ適切に対応した結果、無事全ての日程を終了することができました。また、式典、輸送、交通、会場整備、宿泊などの大会運営においても、大きなトラブルもなく円滑に進めることができたと考えております。
今回の大会運営を通じまして、大会の盛り上げには多くの県民にさまざまな形で参加していただくことが大切であると改めて強く感じております。
130万人で参加宣言あるいは文化プログラム、また国体・大会プラスなどの取り組みを通じて、より一層の機運の醸成を図るなど、冬季大会で得られた成果を、秋に開催される国体、全国障害者スポーツ大会に生かしてまいりたいと思います。
〇工藤勝博委員 本大会に向けてのいろいろな準備等を伺いますけれども、本大会に向けての課題、準備状況ですけれども、冬季の両競技会場には多くの観覧者、そしてまた応援団が会場いっぱいに訪れ、県勢に熱い声援をし、大いに盛り上がりました。
私の地元で、田山スキー場でこんなに多くの人が来たのは見たこともないと往年のスキー選手が言っておりました。それだけ、地元の選手、県内の選手が活躍するということもあっただろうと思います。そういう選手が最高のパフォーマンスをできるのが、観客がいかに多くいるかだろうということを改めて感じたところでもありますけれども、あと200日余りと迫った本大会に向けての課題と、その準備状況についてはどうお考えなのでしょうか、お伺いいたします。
〇千葉副知事 本大会に向けての課題と準備状況についてでございますけれども、本大会は、県内33市町村全てが競技会場となり、選手、役員の数も冬季大会を大きく上回る規模となりますことから、盛り上がりを見せました冬季大会の成功を本大会にしっかりとつなげ、完全国体の集大成とすることが重要だと考えております。
このため、県内における本大会の盛り上げにつきましては、全国からの来県者を歓迎する花いっぱい運動やクリーンアップ運動などの拡充、各競技会場での学校応援を初め多くの方々の観戦や応援につながる取り組みの実施、開閉会式での都道府県応援団や沿岸地域の小中学生による復興支援感謝団の活動など、市町村と十分連携を図りながら推進していくこととしております。
一方、競技施設整備、宿泊、輸送などの大会運営につきましては、競技施設整備では、改修が必要な43施設のうち40施設が今年度中に整備を終え、来年度は軽微な改修や大会直前の仮設整備を残すのみであること、宿泊では、4月に本大会に係る配宿センターを設置し、配宿業務を開始すること、輸送では、課題となっておりました国体、大会で必要なバス、延べ7、200台が確保できる見通しであることなど、予定通り諸準備を進めているところでございます。
こうした取り組みによりまして、各県選手団を温かくお迎えし、感謝の気持ちをお伝えするとともに、競技に臨む選手がその持てる力を十分に発揮できますよう、オール岩手でしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
〇工藤勝博委員 当初から懸念されておりました宿泊、そしてまたバスの輸送関係も万全だということで、安心はいたしました。
今大会で私は、オリンピックで金メダルをとった荻原健司さん、船木和喜さんが大会に参加したことで、本当に盛り上がったと一番感じました。そういう仕掛けも、これから本大会に向けての大きな誘客の一歩になるのではないか、参考になるのではないかと思いますし、また、金メダリストが大会に参加したということで、次の世代を担う子供たちも本当に希望が湧いてくるということを改めて感じたところでもあります。
それらに向けての観客動員─先ほど、花いっぱいとかいろんな状況が準備できれば、そのとおりだと思いますけれども、それ以外に、何か寄せつけるような仕掛け、仕組みをもし考えているのであればお聞かせ願いたいと思いますし、なければ、ぜひそういう取り組みもしていただければ、また本大会も盛り上がると思いますけれども、いかがでしょうか。
〇達増知事 冬季大会でスケートの本郷選手や村上選手のように世界で1位を狙えるような選手が参加して大いに盛り上がりましたので、御指摘のとおり、そういう選手の参加というのは非常に盛り上がると思います。
これは、各都道府県の選手団に誰が選ばれるかなのですが、過去の国体でも世界一を狙えるような選手が都道府県代表として国体に出ることは結構例があると承知しておりますので、ことしの岩手国体本大会もそういったところが期待できると思いますし、また、東日本大震災津波復興のかけはし国体、大会でありますので、そういった全国の皆さんと心をつなげられるような工夫を開閉会式などでもやっていきたいと思います。
〇工藤勝博委員 そういう中で、開会式もそうでした、そしてまた、何といっても入賞メダルとビクトリーブーケ─岩手県の代表的な花のリンドウで飾ったブーケもいただいた選手は、何といいますか、感激と感謝の気持ちがいっぱいあったと思います。そしてまた、閉会式の最後には、選手の皆さんに特産のリンドウの花束をプレゼントしたことで、選手を初め関係者の皆さんも本当に高い評価をしていたと思います。それらも含めて、本大会の部分にも検討していただければ、ちょうど9月、10月はリンドウが何ぼでもありますから、ぜひ御利用いただければと思います。
次の質問ですけれども、気の早い話になりますけれども、冬季国体を開催する県は限られております。恐らく十数県しかないわけですけれども、来年の開催地は長野県ということで、長野県では16回目を開催するとあります。次回も、十数年後には岩手で開催しなければならないと思うのですけれども、冬季スポーツの底辺拡大、競技力向上、施設整備にどのように取り組んでまいるのかお聞きいたします。
〇達増知事 冬季国体の次回開催に向けた環境整備についてでありますが、冬季国体を開催できる都道府県は限られていますことから、おおむね10年周期で本県での開催が行われた経緯がございますが、冬季スポーツは交流人口の拡大に大きく貢献する本県の持つ強みでもありますので、常に国体を初めとしたさまざまな大会の受け入れの環境を整備していくことは重要と認識しております。
本県では、スキー、スケートともに全国トップレベルの大会が開催できる環境を有しておりますので、今後におきましても、このような環境を十分に活用した冬季スポーツの振興を図るとともに、その開催に必要な施設整備等に市町村とともに取り組んでまいります。
〇工藤勝博委員 同じ雪国、東北の中でも隣の青森県、秋田県、山形県に今回の大会でもおくれをとったのは、何といっても悔しいと思います。しかし、スーパーキッズで成長した若い少年の世代が世界でも活躍しております。国体で上がったその成果を次世代に継続してこそ、本当の意味での復興国体の意味があるのではないかと思います。それらのこれからのスーパーキッズ等も含めて取り組みをお聞かせ願いたいと思います。
〇千葉副知事 ここ数年間の国体の活躍、あるいは今回の冬季国体での活躍におきましては、一定期間やってきましたスーパーキッズの事業が一定の効果を出したということは評価されるものだと思っております。このような幼少期から将来可能性がある子供たちを十分に発掘して育成しているという仕組みは、これからも実施していきたいと考えております。
〇工藤勝博委員 次に、平成28年度予算と財政運営についてお聞きいたします。
本格復興完遂予算と行政サービスについて、まずお伺いいたします。
平成28年度当初予算は1兆661億円と5年連続1兆円を超え、災害廃棄物処理分を除くと、震災後、2番目の大型予算であります。東日本大震災津波からの本格復興期間、平成26年度から平成28年度までということですが、最終年度に当たり本格復興完遂予算と名づけ、あたかも復興がなし遂げられるかごときに強い印象を受けますが、まず、この本格復興完遂予算の真意を、先ほど来質問がありますけれども、改めて知事にお伺いしたいと思います。
〇達増知事 平成28年度は、第2期の本格復興期間の最終年度として次の期間につなげる重要な年であり、実施計画に掲げた事業を確実になし遂げるという強い意志を込めて、本年を本格復興完遂年と位置づけたところであります。
そして、平成28年度当初予算は、被災地の安全、暮らし、なりわいを支える復興事業を着実に進め、ふるさと岩手の本格復興をやり遂げて、希望郷いわて国体、希望郷いわて大会を成功に導き、ふるさと振興を推進する本格復興完遂予算として編成したところであります。
〇工藤勝博委員 完遂という言葉はいろいろ受けとめ方があるだろうと思いますが、いずれ、全てがなし遂げられたということはまだまだないと思うんですけれども、復興支援道路、防潮堤、災害公営住宅、漁港、県立病院再建のハード面は大方のめどはついたと思います。しかしながら、暮らしを支えるなりわいはどのように判断をなされているのかお伺いしたいと思います。
特に、1月18日から20日にかけての暴風雪で、また甚大な漁業被害が発生しました。再建さなかのたび重なる被害に言葉もないわけですけれども、安定した収入を得られる産業、なりわいの創出は大きな課題であります。被災地に寄り添う行政サービスは、まさにこれからがスタートだろうと思いますが、知事の見解をお伺いいたします。
〇達増知事 なりわいの再生につきましては、壊滅的な被害を受けた水産業や製造業の再開、仮設商店街の整備などに取り組んで、漁船や養殖施設の整備はおおむね完了し、約8割の事業者が再開するなど、生産基盤の復旧が進んでおり、被災地における雇用保険の被保険者数は震災前を超えているところであります。
一方で、水産業の後継者や水産加工業等における労働者不足、販路の回復、拡大などの課題が顕在化しております。また、まちづくりに伴う商店街や商業機能の再生はこれから本格化していくところであります。
県といたしましては、こうした課題に今後もしっかりと対応するとともに、創業等の新たなチャレンジを支援するなど、被災地の産業の再生と創出を進め、暮らしを支えるなりわいにつなげていく考えであります。
〇工藤勝博委員 直近の被災事業所復興状況調査では、事業を再開した企業で、もとに戻った、もとよりよくなったを合わせても47.6%です。半分に届いていないというのが現状です。5年たって届いていないということは、これから復興の格差が広がることがとても心配されるだろうと思いますけれども、そういう状況を県ではどのように認識しているのかお伺いしたいと思います。
〇中村復興局長 先般公表させていただきました被災事業所復興状況調査でも、今、委員お話しのとおりの結果になっております。我々としては、この結果を真摯に受けとめまして、できるだけ早期に被災地のなりわいが再生いたしますように、今後とも、水産加工を初め商業、製造業等のいち早い再建に引き続き努力してまいりたいと考えております。
〇工藤勝博委員 次に、財政再建に向けた課題についてお伺いいたします。
財政を再建するためには何をなすべきか。私は、対策として三つあると思っております。一つは、経済成長を促して、それに伴う税収をふやすこと。二つ目が、歳出を削減すること。そしてまた、税等の負担をふやすこと。しかし、これは、どれをとっても現状では容易なことでないと思っております。
このような現状の中で、財政再建の大きなポイントは県債発行と公債費にあるのではないかと思います。
達増知事は、9年前、岩手の危機を希望に変えることを掲げて知事に初当選されたと記憶しております。平成19年の県債残高1兆3、983億円から、平成28年度の見込みでは1兆3、100億円で、平成23年度から6年連続して減少はしております。平成28年度の県債発行予定額は713億円で、前年度比3.4%の減、財政健全化のために、復興関係を除く公共事業を精査したところで減らしたとあります。
このことからもプライマリーバランスは黒字ということでありますけれども、県債残高が9年間で883億円の減少がありました。単純に借金が減るということは評価すべきと考えますが、過度の公共事業また生産的投資を絞り込めば、将来に向けての経済成長は望めなくなるのではないかと考えますけれども、その辺は知事はどういう御認識なのでしょうか、お伺いいたします。
〇達増知事 公債費負担適正化計画に基づく県債の新規発行額の抑制など、公債費の適正管理に努めていることによって、県債残高は着実に減少しています。
一方、公債費は、平成26年度がピークではありますが、その水準は依然として高く、平成28年度当初予算におきましても、収支ギャップへの対応のために多額の財源対策基金の取り崩しを行ったところであります。また、社会保障関係費等も増加傾向にありますことから、今後も厳しい財政状況が続くと見込まれます。
引き続き、中期財政見通しなど財政状況に関する情報を積極的に公開して、県民の皆さんの理解を得ながら、財政健全化に向けた取り組みを着実に進めていく必要があると考えております。
〇工藤勝博委員 インフラ整備の財源とか県債発行の抑制や、なお高い水準が続く公債費のための財源捻出に向けた選択と集中に対し、県民の理解をどう得るかということが問われると思います。
岩手で働く、岩手で暮らす、岩手で育てるというその環境の足元をどう築いていくかが、これからまた大きな行政の課題だろうと考えますけれども、財政の再建と岩手の成長を知事はどうお考えなのでしょうか、お伺いします。
〇達増知事 地方自治体が発行する公債である県債は、やはり国が発行する国債に比べても信用力は全然違いますので、国債についてはどんどんふやしていっても、今みたいに、むしろ国債に信用が高まり、人気が出てよく売れるということもあるわけですけれども、県債の場合は、かなり慎重にやっていかないと、地方自治体財政破綻ということになり、過去、財政破綻して、住民の負担を格段にふやさなければならなくなって人口流出的な問題も深刻化しているという自治体もございますので、もし、景気対策でありますとか、インフラ整備的なことを進めるのであれば、そこは国を挙げて、そういった方向での施策にかじを切ってもらいたいと思います。
〇工藤勝博委員 今、知事がおっしゃったように、現在進行中であります北海道の夕張市は、過度に絞り込んで住民サービスが満足にできない。特に若い世代が、もうこのまちで暮らしていけないということで出ていく、負のスパイラルに入っているということを伺っています。ぜひ、岩手がそういうことにならないようにお願いしたいと思います。
そういう中で、財源の確保についてお伺いします。
自主財源の柱である県税収入が、平成23年度を底にして平成24年度から増加に転じております。平成27年度当初比24億7、800万円の増で、1、286億6、500万円となる見込みであります。震災以降、復旧、復興需要が継続し、個人県民税や法人事業税が微増、また、消費税率引き上げによる平成28年度も地方消費税の増加が見込まれております。
しかし、今後においては、復興需要の減少、国内外の経済情勢の不安定が懸念され、税収のさらなる確保策が重要と考えられますが、どのような視点で取り組みをなされるのかお伺いいたします。
〇風早総務部長 税収のさらなる確保策についてでありますが、産業振興等による税源涵養等とともに、課税、徴収両面での取り組みも重要であると認識しております。
今般策定しました第3期アクションプラン行政経営編では、歳入確保の強化のため、県税収入の確保を重点項目とし、課税捕捉調査の強化、収入未済額の縮減にも取り組んでいくこととしております。
具体的には、法人事業税や不動産取得税などの課税捕捉調査の確実な実施や、岩手県地方税特別滞納整理機構等による個人県民税の収入未済額の縮減、悪質な滞納事例に対する毅然とした滞納処分の実施などにより、税収確保を図ってまいります。
さらに、地方税の充実、強化に向けては、偏在性が小さく、税収が安定的な地方税体系を構築することが重要でありますので、今後とも、全国知事会等を通じ、国に働きかけをしてまいります。
〇工藤勝博委員 次に、国のTPP補正予算に対する県の対応についてお伺いいたします。
今回の国の補正予算は、国が一億総活躍社会の実現やTPP関連政策大綱実現のための施策であります。各分野にわたって事業展開することを評価いたしますが、継続的にどう取り組むのかがこれから問われてくると思います。
県は、平成28年度当初予算と2月補正予算と一体的に編成としていますが、単発のソフト事業では、その成果は目に見えにくくなりがちなので、注意が必要と思います。
TPP関連では、攻めの農林水産業への転換を目指して41億4、600万円を計上されました。まさに目に見える事業展開を望みます。特に、経営体育成基盤整備事業は各地からの要望があります。要望に応えられるように、強く期待いたします。経営体育成基盤整備事業について、通常分を含めた事業規模をお伺いいたします。
〇千葉副知事 経営体育成基盤整備事業の事業規模についてでありますが、平成28年度は、現在、御審議をいただいております当初予算案に、震災分を除いて約41億円を、また、先日議決いただきました2月補正予算におけるTPP関連対策として約25億9、000万円を、それぞれ計上したところでございまして、それらを合計した予算額は、平成27年度当初予算額対比49%増の約66億9、000万円となっているところでございます。
事業の内容は、41地区で水田の区画整理約200ヘクタール、暗渠排水約120ヘクタールの整備を予定しているところでございます。
生産性及び収益性の高い農業の実現のためには、担い手の確保、育成とともに生産基盤の整備が重要でございますことから、TPP関連対策予算も活用しながら、おくれております本県の水田整備を計画的に進めていきたいと考えております。
〇工藤勝博委員 次に、人口減少と若者、女性の活躍に向けての施策についてお伺いいたします。
人口減少の原因と指摘されているところに少子化があります。少子化の要因は、未婚化、晩婚化が進んでいると指摘もされております。いわての子どもを健やかに育む条例は、社会全体で県民の就労、結婚、妊娠、出産、子育てを支え、県民が安心して子供を産み育てることができる社会の実現を目指して制定されました。
これらを実現する手だてとして、我が会派の佐々木努委員が一般質問等で再三取り上げました結婚支援センターが実を結び、県でも腰を上げました。昨年10月から“いきいき岩手”結婚サポートセンター─i-サポが開設されました。平成28年度においてもいわての子どもスマイル推進事業費が計上されました。
そこで、i-サポの実績、課題についてお伺いいたします。
〇千葉副知事 “いきいき岩手”結婚サポートセンター─i-サポの実績と課題についてでございますが、昨年10月の開設以来、2月末までの約5カ月間で、今年度の目標でございました250人に対しまして380人の入会登録があり、男女の登録割合が、男性約7割、女性約3割となっている状況にございます。また、成婚まで至った会員はまだございませんが、お見合いは81件実施しておりまして、その結果、交際まで発展した会員が40組となっております。
課題といたしましては、マッチング事業を円滑に進めるため、さらなる会員の確保、特に女性の会員確保に努めることが重要であると考えておりまして、今後とも、新聞、女性向け情報誌等により広く周知いたしますなど、女性会員の確保に向けた取り組みを強化していきたいと考えております。
〇工藤勝博委員 次に、いわて女性の活躍促進連携会議の具体的な取り組みについてお伺いいたします。
国では、一億総活躍社会の実現に向けての予算措置を講じたところでありますが、県では、一歩先んじて女性の活躍促進連携会議を平成26年5月22日に設立されております。
目的として、少子高齢化社会において労働人口の減少が見込まれる中、女性の労働力を活用することは経済活性化のために必要なことであり、特に女性の活躍が求められるということです。
いわて女性の活躍促進連携会議は県内の経済団体、産業団体等17組織で構成され、各分野での取り組みが期待されるところでありますが、その事業効果、課題についてお伺いいたします。
〇千葉副知事 いわて女性の活躍促進連携会議の具体的な取り組み等についてでございますけれども、今年度は、この会議を構成いたしております産業団体や経済団体と連携して、経営戦略としての女性活躍をテーマとした講演会や、働き方の見直しなどを考える機会とする男性のためのワーク・ライフ・バランスセミナーなどを開催し、経営者や男性に対する意識啓発を図ったところでございます。
また、構成団体から推薦を受けましたベテランの女性社員を講師とし、御自身の経験をロールモデルとして若手女性社員に提供するセミナーを開催することによりまして、若手社員のキャリア形成支援や、職業人としての意欲向上が図られてきているところでございます。
女性の活躍推進のためには、企業の経営者や男性を含め、地域社会全体が女性の活躍推進の取り組みに関心を高め、性別による役割分担意識の解消や、長時間労働の抑制といった働き方の見直しなどを図ることが引き続き課題となっております。
県といたしましては、引き続き、来年度も、この連携会議を中心に、男女双方にとって働きやすい環境の整備、あるいは女性登用などを推進するための施策について、推進エンジンとして御協力をいただきながら具体的な取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇工藤勝博委員 次に、食と緑の創造県いわてについてお伺いいたします。
現下の農業情勢は、従事者の高齢化、離農者の増加等、難問が山積しております。TPPの協定発効後を見据えた対策が求められております。
このような中、県の主体的な役割に積極的な行動が見えてこないと言われます。農業県と言われる他県では、まさに先取りする施策を行っております。国の方針を待って対応するのではなく、県がみずから考え、国に提案する発想もあってしかるべきではないでしょうか。
本県は北海道に次ぐ広大な面積を有し、生産基盤、資源は豊富にあり、いかに活用するかにあります。また、稲作、畑作、酪農、畜産、園芸という農業形態が巧みに組み合わされた総合産地という側面を持っております。強みがあります。
昨年、農業関係のコンクールで、全国3位以上になった法人、組織が数多く受賞されました。さらに、新規就農者の増加や、昨年発表した銀河のしずくやそれに続く岩手118号と、ブランド化の期待が高まる県のオリジナル水稲品種も生まれております。このような岩手の底力をポジティブに発信、積極的にアピールすべきだと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
〇達増知事 本県の農業は、県内各地域の農業者の皆さんが、地域の立地条件や資源などを生かして、英知と努力によって特色ある産地を形成し、我が国の食料供給基地としての役割を担ってきています。また、丹精込めて生産した農畜産物は、安全・安心で、全国トップレベルの高品質を有しており、全国的にも高く評価されています。
こうしたイメージをさらに高めて、生産者の意欲喚起と県産農畜産物のブランド力の向上を図るために、産地の魅力、生産された農畜産物の特徴などを国内外に発信し、高い信頼と評価をかち取っていくことが重要であります。
このため、国内外でのトップセールスの実施やSNS等を活用した情報の発信、量販店でのフェア等の開催、商談会や産地招聘を通じたマッチング機会の創出などを通じて、戦略的、総合的に発信しているところであります。引き続き、豊かな自然や食など本県農業、農村の魅力や農畜産物の特徴を丸ごとアピールし、本県農業の振興を図ってまいります。
〇工藤勝博委員 次に、昨年4月に議員発議で施行されました食と農林水産業の振興に関する条例にかかわり、お伺いいたします。
制定の趣旨は、前文に掲げている、本県の基幹産業である農林水産業を魅力ある産業として発展させていくために、時代の変化に対応した岩手ならではの食と農林水産業の方向性を明らかにし、行政、農林水産業者が県民一体となってその振興に取り組むことが肝要であると。また、県民の参加と協力のもとに、本県農林水産業の持続的な発展と、安全で安心な食の生産、供給を通じた県民の豊かな暮らしの実現を目指すための条例の制定であります。
残念ながら知事演述では一言も触れられておりませんでしたが、平成28年度予算に特に反映された事業、金額があればお示しいただきたいと思います。
〇千葉副知事 食と農林水産業の振興条例に掲げる事項の反映状況についてでございますけれども、平成28年度当初予算案におきましては、安定的な経営の確立や食の安全・安心の確保など、条例の理念に即した、農林水産業の振興に関する各般の事業を盛り込んだところでございます。
具体的には、条例に掲げております地域の特性を生かした農林水産業の推進として、新たに、ICTの活用など園芸生産のイノベーションの取り組みを支援いたします未来を担う園芸産地一番星育成事業に340万円余、農林水産業の担い手育成等にあっては、林業経営を担う若年就業者の確保、育成を進めるため、いわて林業アカデミーの開講準備を進めるいわての次世代林業・木材産業育成対策事業に3、750万円余を計上したところでございます。
また、農林水産物の高付加価値化にあっては、水産物の衛生品質管理の高度化を支援する高度衛生品質管理型水産物生産加工体制構築支援事業に1、340万円余を盛り込んだところでございます。
〇工藤勝博委員 次に、JAグループとの連携についてお伺いいたします。
JA岩手県信連と全農岩手県本部は、平成28年度から3年間で県内農業者の新規園芸品目導入に向けた取り組みや新規就農研修の受け入れ先などに計6億円を助成し、規模拡大などを支援する事業を計画されました。これもTPPによる本県農業への影響が懸念される中、農業生産の基盤整備や農業者の所得向上につなげる体制づくりの強化を目指しており、時宜を得た対策と思います。これらJAグループの取り組み姿勢に対する評価と県の連携についてお伺いいたします。
〇千葉副知事 TPP協定は、本県の基幹産業でございます農業に大きな影響を及ぼすことが懸念されておりまして、農業者の経営力向上と経営基盤の強化によりまして、本県農業の競争力を強化していくことがこれまで以上に重要になるものと考えております。
こうした中、JAグループでは、平成28年4月にJAいわてグループ農業担い手サポートセンターを設置するとともに、新規就農者の研修費や、法人化を目指す集落営農組織の会合費、新たに園芸に取り組むための経費、繁殖牛の導入費などに対する助成事業を実施すると伺っております。農業者の経営発展を図っていく上で効果的な取り組みであると考えております。
県では、これまでも農業者の経営力向上や産地づくりなどに連携して取り組んできたところでありますが、今後は、支援対象であります農業者のニーズや経営上の課題などについて、サポートセンターと情報を共有しながら、これらの事業が有効に活用され、農業者の経営発展が図られるよう、一層の連携に努めてまいりたいと考えております。
〇工藤勝博委員 残余の質問は、飯澤委員にお任せします。私の質問はこれで終わります。
〇高橋但馬委員長 次に、飯沢匡委員。
〔飯澤匡委員質問者席に着く〕
〇飯澤匡委員 順番を変えますので、よろしくお願いします。
先に、DIOジャパン問題に係る補助金返還について、よろしくお願いします。
2月10日の審議で知事の陳謝があって大きく事態は変わると思いましたが、依然、一関市、花巻市、奥州市は、補助金返還に係る問題については県には一端の責任があると言っておりまして、いまだ議会にもその議案をかけない状況にあります。この状況を見て、県はどのようにこれから対処しますか。
〇達増知事 会計検査院から指摘された不適正支出等額について、県といたしましては、関係市町に平成27年度内の返還に向けた予算措置について検討を求めているところであり、立地7市町のうち、盛岡市、釜石市、洋野町、二戸市は、県に全額返済するための平成27年度補正予算を議会に提案済み、または今後提案する予定と聞いています。
委員御指摘の花巻市、奥州市、一関市においては、現時点で予算化の方針が示されていませんが、引き続き、平成27年度内の予算措置について検討を求めていきたいと思います。
県と市町村においては、あらゆる政策分野において日ごろから事務レベルの密なやりとり、調整が行われておりまして、時宜を捉えてトップ同士でもそうした流れを確認しており、市町村とのパートナーシップはしっかりと維持されているものと認識しておりますが、震災からの復興やふるさと振興など、今後とも市町村と連携して取り組んでまいりたいと思います。
〇飯澤匡委員 この内容については、市議会の中でも繰り返し同じ答弁をやっています。2月10日以降、知事や副知事は、例えば一関市に対して具体的に何か行動されたんでしょうか。補正予算議案は3月4日に決定し、これは織り込み済みで計上され、それは可決されました。このことを含んでおくというのであれば、それなりの行動を2月10日以降はされたと思うんですが、いかがですか。
〇達増知事 本件について、県としての考え方は既に立地市町に示しており、担当部を関係市との連絡窓口としております。
〇飯澤匡委員 いまだこの改善がないということは何か別の原因があると思うんですが、その点についてはどういう御所見でしょうか。
〇達増知事 先ほど御答弁申し上げましたように、盛岡市、釜石市、洋野町、二戸市においては、既に平成27年度補正予算を議会に提出済み、あるいは今後提案する予定と聞いておりますので、花巻市、奥州市、一関市についても、同様な予算措置について検討を求めていきたいと思っております。
〇飯澤匡委員 具体的な行動をお伺いしています。予算措置をしないというのは何か原因があるわけですから、そこの点についてどのようにこれからなさるんですか。
〇達増知事 関係7市町の連絡協議会から県の考え方については書面で質問があり、それに対して、商工労働観光部長から連絡協議会のほうに県の考えは示しているところでありまして、その後、御指摘の花巻市、奥州市、一関市から県に対して正式な文書等は届いていないと承知しております。
〇飯澤匡委員 具体的な対応答弁が出ないのは極めて残念であります。
私は、今回の予算計上に当たっても、それは会計上のやり方でしょうからしようがないということで私も賛成しましたが、しかしながら、その経過に至るまでは、やっぱり県の何らかの行動というのがあってしかるべきだと思っております。
どうも、やって当たり前、県が決めたのだからやって当たり前という考え方、3市町がそれに対して反発しているように感じていますけれども、その点については客観的にどのように県は受けとめていますか。
〇達増知事 県が決めたというよりも、会計検査院の指摘も参考にしながら、法律にのっとった対応をしなければならないということだと理解しております。行政というもの、地方公共団体そのものが、憲法に基づいて、地方自治法を根拠に存在する法律的な団体なわけでありますから、特に公金の扱いについては法律に基づいてきちっと対応していくということだと思います。
〇飯澤匡委員 知事、その点じゃないんですよ。結局、3市町が県の補助金返還に応じられないというのは、今まで何度も審議の中でやってきましたが、知事が陳謝したにもかかわらずこの問題の打開が図られないのは、やはり、今回の緊急雇用創出事業、DIOジャパン問題については、県が主導的にやってきたんでしょうと。それに対して、ただ返してくださいという答えだけでは応えられませんよと、こういう答えだと私は思うんです。それに対して答えが全然返ってこないんですよ。地方公共団体と補助金の返還のさまざまなルールについてはそのとおりかもしれませんけれども、ここには非常に深い信頼関係の溝があると思いますよ。それを修復するには、やはり県の能動的な対応というのが必要だと思いますが、再度答弁を求めます。
〇達増知事 私も関係市町のトップの皆さんの気持ちについてはわかるところがありますし、私自身も気持ちの問題としてはさまざまあるわけでありますけれども、およそ公金の取り扱い、県であれば、それは県民130万人の税金等の負担のお金なわけでありますし、それぞれの自治体もそういうお金を扱っているんだと思います。その扱いについて、組織として法律的に明確にされないような理由で何か扱い、判断を決めるということはあってはならないわけでありまして、県としては、まず、この公金の取り扱いという問題については、7市町と連携しながら会計検査院の調査に対応したり厚生労働省とやりとりするなどして、できるだけ市町に負担が生じないよう誠意を持って努めてきたところでありますし、また、企業誘致の問題や、当該企業の撤退後の職を失った人たちへの対応等につきましても、それぞれの関係市町と県は誠意を持ってしっかり対応してきたものと認識しております。
〇飯澤匡委員 堂々めぐりなので次の質問に入らざるを得ないんですが、中間検査、完了検査、これは県の指導ですね。指導のもとにやってきたと。聞いたところによりますと、これでいいんですかと自治体側が県のほうに問いかけても、いや、これでやっていいのだというような強力な指導があって今回のDIOジャパン問題は進展してきてしまったと。結果、このような破綻に至ったということですから、これはあくまで結果責任、全国的な問題だとしても、企業の存続性を見抜けなかったということは結果責任ですから、それについては知事は陳謝をしたということは私は了としますけれども、いずれ、この市町との間に溝があってはならない。加えて、私は、大雪りばあねっとと同様に、これに対する検証作業を県はすべきと思いますけれども、この点についてはどうお思いですか。
〇達増知事 まず、本件につきましては、この議会におきましても、前の任期4年間の議員の皆さん方も含め議員の皆さんから質問をどんどんいただき、そして、岩手県議会もまた必要な事実関係を明らかにし、本質を追及するといったことを議会としてもしっかり努めてやられる中で、執行部も議会の質問にはきちっと誠実に答弁を行いながら、本件に関する県民的な理解を深めてきたと思っております。
〇飯澤匡委員 では、やらないということですね。検証作業はやる必要はないということでよろしいですか。
〇達増知事 私は、岩手県議会が行ってきたDIO問題の取り扱いには不足はなかったと思っております。
〇飯澤匡委員 次の質問に入ります。
IGRにかかわる諸問題ですが、これは単なる投書だけにはとどまらない。県が県の元職員を社長として派遣したということに非常に私は重要なポイントがあると思います。
まず一つお聞きしますけれども、私は、火のないところに煙は立たないと。今回の投書事案については、匿名であっても、これは54%も県が出資している企業でありますから、このような問題が本当に起こっているかどうか、私は、経営者としてしっかりとその事実確認をするということは絶対必要だという立場であります。
先ほど副知事が、県の派遣している職員に確認したところ、今回は、そのようなことはなかったと言っていますが、私は、詳細にわたってこれは確認する必要があると思いますけれども、その点についてはいかがですか。
〇達増知事 先ほどの答弁でも述べさせていただきましたとおり、差出人が不明であり、また、差出人の意図もわからない中で、仮にこれが犯罪であって、犯人の目的が騒ぎ立ててIGRの経営の妨害をするというようなことであったとすれば、私がそれについてばたばたすることが犯罪に協力することにもなりかねないということもありますので、この内容について特に議会で私から言及することは差し控えさせていただきたいと思います。
〇飯澤匡委員 この当社長は盛岡東警察署に名誉毀損で訴えを起こしておりまして、知事と副知事は、それに対して証拠の提供を求めたところ、それに応じたとしていますが、これは、公人で名誉毀損したのか、それとも私人で名誉毀損したのか、その点はもちろん把握して対応されたと思いますけれども、その点についてはいかがな見識で対応されたのでしょうかお聞きします。
〇達増知事 ただいま委員から警察捜査に関する質問がありましたが、警察との関係上、答弁は差し控えさせていただきます。
〇飯澤匡委員 それにしても、私は、この投書にかかわらず、現社員、それからOBからも聞き取りをしましたし、私も12月議会からこの問題を取り上げて、たくさんの方々からもいろいろな情報が提供されています。私物化しているような状況についてはほぼ間違いないところだというふうに私は確信しておりますが、この状況だと、私は、社員は非常にかわいそうな状況に陥っていると思います。
そしてまた、この取締役の状況は、第三セクターでありますから、県が責任を持って実務体制を行うというのが社長の役目です、あとの役員は沿岸市町村の首長ですから。このこともあって、このIGRの経営については、県が本当に責任を持って人事についても行う必要があるし、その事実関係もしっかりと確かめるべきだと思いますが、再度答弁を求めたいと思います。
〇達増知事 IGRに関しては、県といたしましては、株主総会や取締役会への参画などにより適切な経営が確保されるよう対応しておりまして、今後もそのように対応してまいりたいと思います。
〇飯澤匡委員 問題の真相はかなり複雑だと思いますよ。これが次の社長になったときに経営的にいろいろな意味で影響が出てくると、これは県民利益に反することになりますから、私はしっかりと調査をしていただきたい、このように思います。
以上であります。
〇高橋但馬委員長 お諮りいたします。予定の午後5時までにまだ若干時間がありますが、区切りの関係から、続く総括質疑はあす行うこととしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋但馬委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
あす以降は、毎日午前10時から開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後4時33分 散 会

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